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1968-05-15 第58回国会 衆議院 文教委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十五日(水曜日)    午前十一時二十四分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 臼井 莊一君 理事 久保田藤麿君    理事 河野 洋平君 理事 坂田 道太君    理事 谷川 和穗君 理事 西岡 武夫君    理事 小林 信一君 理事 長谷川正三君    理事 鈴木  一君       有田 喜一君    大村 襄治君       周東 英雄君    高橋 英吉君       床次 徳二君    広川シズエ君       藤波 孝生君    渡辺  肇君       大原  亨君    加藤 勘十君       加藤 清二君    唐橋  東君       川村 継義君    小松  幹君       斉藤 正男君    山中 吾郎君       有島 重武君    山田 太郎君  出席国務大臣         法 務 大 臣 赤間 文三君         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君         労 働 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         法務省訟務局長         事務取扱    上田 明信君         大蔵省主計局次         長       船後 正道君         文部政務次官  久保田円次君         文部省初等中等         教育局長    天城  勲君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君  委員外出席者         専  門  員 田中  彰君     ――――――――――――― 五月十四日  委員有島重武君辞任につき、その補欠として大  野潔君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員二階堂進君、大原亨君、唐橋東君、山中吾  郎君、大野潔君及び矢野絢也君辞任につき、そ  の補欠として大村襄治君、淡谷悠藏君、下平正  一君、小松幹君、有島重武君及び山田太郎君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員淡谷悠藏君及び下平正一辞任につき、そ  の補欠として大原亨君及び唐橋東君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  理事臼井莊一君同日理事辞任につぎ、その補欠  として河野洋平君が理事に当選した。     ――――――――――――― 五月十四日  外国人学校制度創設反対に関する請願外二十一  件(枝村要作紹介)(第五二一六号)  同(大柴滋夫紹介)(第五二一七号)  同(長谷川正三紹介)(第五二一八号)  同(浜田光人紹介)(第五二一九号)  同(広沢賢一紹介)(第五二二〇号)  同(米田東吾紹介)(第五二二一号)  同外二件(大柴滋夫紹介)(第五三〇一号)  同(浜田光人紹介)(第五三〇二号)  同外一件(平等文成紹介)(第五三〇三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第五四〇三号)  同外一件(岡田春夫紹介)(第五四〇四号)  同(只松祐治紹介)(第五四〇五号)  同外二件(浜田光人紹介)(第五四〇六号)  学校教育法の一部を改正する法律案反対に関す  る請願江田三郎紹介)(第五二二二号)  同(大原亨紹介)(第五二二三号)  同(久保三郎紹介)(第五二二四号)  同(斉藤正男紹介)(第五二二五号)  同外一件(阪上安太郎紹介)(第五二二六  号)  同外一件(野口忠夫紹介)(第五二二七号)  同(堀昌雄紹介)(第五二二八号)  同(安井吉典紹介)(第五二二九号)  同外一件(山中吾郎紹介)(第五二三〇号)  同(帆足計紹介)(第五四〇一号)  教育公務員特例法の一部を改正する法律案反対  に関する請願外一件(江田三郎紹介)(第五  二三一号)  同(大原亨紹介)(第五二三二号)  同外一件(久保三郎紹介)(第五二三三号)  同(斉藤正男紹介)(第五二三四号)  同外一件(阪上安太郎紹介)(第五二三五  号)  同外一件(野口忠夫紹介)(第五二三六号)  同(堀昌雄紹介)(第五二三七号)  同(安井吉典紹介)(第五二三八号)  同外一件(山中吾郎紹介)(第五二三九号)  同(帆足計紹介)(第五四〇〇号)  外国人学校法案反対に関する請願外一件(江田  三郎紹介)(第五二四〇号)  同(大原亨紹介)(第五二四一号)  同外一件(久保三郎紹介)(第五二四二号)  同外五件(阪上安太郎紹介)(第五二四三  号)  同外一件(野口忠夫紹介)(第五二四四号)  同(西風勲紹介)(第五二四五号)  同(堀昌雄紹介)(第五二四六号)  同(安井吉典紹介)(第五二四七号)  同外一件(山中吾郎紹介)(第五二四八号)  同外三件(阪上安太郎紹介)(第五三〇四  号)  同(帆足計紹介)(第五四〇二号)  私立大学公費助成制度確立に関する請願(河  野正紹介)(第五二四九号)  高等学校工芸科教員の養成に関する請願(高田  富之君紹介)(第五二五〇号)  人口急増地域義務教育施設整備に対する特別  措置に関する請願大野潔紹介)(第五三三  八号)  同(木原実紹介)(第五三三九号)  同外一件(長谷川正三紹介)(第五三四〇  号)  同(山花秀雄紹介)(第五三四一号)  同外一件(臼井莊一君外一名紹介)(第五三八  六号)  同外一件(臼井莊一君外二名紹介)(第五三八  七号)  同(小宮山重四郎紹介)(第五三八八号)  同外一件(小山省二紹介)(第五三八九号)  同外一件(河野洋平紹介)(第五三九〇号)  同(田川誠一紹介)(第五三九一号)  同(長谷川正三紹介)(第五三九二号)  同外三件(福田篤泰紹介)(第五三九三号)  同(福田篤泰君外一名紹介)(第五三九四号)  同外一件(福永健司紹介)(第五三九五号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第五三九六号)  同(山口敏夫紹介)(第五三九七号)  同(山村新治郎君紹介)(第五三九八号)  教育公務員特例法改悪等反対に関する請願外二  十九件(井手以誠君紹介)(第五三九九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  外国人学校法案反対に関する陳情書外六件  (第三八  四号)  教育公務員特例法の一部を改正する法律案反対  に関する陳情書外一件(第四〇七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六一号)      ――――◇―――――
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  教育公務員特例法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。有島重武君。
  3. 有島重武

    有島委員 本法案につきましては、ただいままで二十数時間にわたりまして数々の審議がなされてまいりました。その問題点の中でかなり重要なことがございまして、これ以上さらにまた審議を続けることにさえ疑義を持たれるような状態になりました。その問題はさておきまして、きょうは法務大臣がたいへんお急ぎだそうでございますので、まず質問に入ってまいりたいと思います。  法務大臣に伺いたい点でございますが、憲法に規定されております国会調査権ということと司法権ということ、この関係につきまして、司法権独立原則、一般的な御見解を、初めに聞かしていただきたいと思います。
  4. 赤間文三

    赤間国務大臣 現実の問題といたしまして、司法権独立ということは、もう御承知のように重大な問題でございますので、これに影響を著しく及ぼして、判決その他に影響を及ぼすような調査ということは御遠慮をするというたてまえをとっております。しかしながら、国会調査権は極力これを尊重いたしていきたい、こういう考え方を基本的な考えとして持っております。
  5. 有島重武

    有島委員 司法権独立原則は、これは厳正なものである。しかしながら国会調査権もなるべく重んじていきたい。それがかち合う場合ですね、現に裁判所係属中の事件調査するようなことが好ましいかどうか。そういう場合にはどうですか。
  6. 赤間文三

    赤間国務大臣 裁判所係属中のものに関連のある事件でありましても、それが裁判影響を及ぼすことがないというようなものについては、何ら関係がないと考えております。たとえば、ただいま審議が行なわれておるような教育公務員特例法の一部を改正する法律案というようなものの審議は、現在係属中の事件がいろいろありますけれども、この審議をやることは何ら裁判影響を及ぼすものではないと考えております。
  7. 有島重武

    有島委員 裁判判決に何ら影響がない場合には、係属中のものであっても国会調査は差しつかえない。いま伺いましたことは、現に裁判所係属中の事件調査することは好ましいかどうか、その点では一般論としては好ましくないということはございますね。
  8. 赤間文三

    赤間国務大臣 それは影響を及ぼすというようなものについては、お説のような場合があると考えます。しかしながら、いま申し上げました、例をとりましたこの教育公務員特例法の一部を改正する法律案審議というようなものは、現在係争中のものがいろいろありますけれども、何らこれに影響を及ぼすものがないと考えております。ひとつも差しつかえはない、かように私は考えます。
  9. 有島重武

    有島委員 お急ぎのようですが、もう少しよろしいでしょうか。——文部省のほうにちょっと伺いますけれども、超過勤務に関する裁判の経緯と現状を御説明願います。
  10. 天城勲

    天城政府委員 現在までに、超過勤務手当に関する判決におきまして、地方裁判所判決のあったものが四件ございます。それから地方裁判所係属中のものが二件でございます。地方裁判所関係は以上でございますが、これが高裁に控訴されておりますもの、大阪高裁、それから一つは最高裁までいったものもございます。  現状はいま申し上げたような状況でございます。
  11. 有島重武

    有島委員 一番最後のことばはちょっと聞き取れなかったのですが、現状は……。
  12. 天城勲

    天城政府委員 地方裁判所判決のあったものが四件、それから係属中のものが二件ということでございます。
  13. 有島重武

    有島委員 その裁判におきましておもな争点というのは、超過勤務手当を出すか出さないかという点にかかっているんだと思いますけれども、いかがでしょうか。
  14. 天城勲

    天城政府委員 この判決のあった四件でございますが、この判決内容は、いずれも教員正規勤務時間をこえて命令を受けて勤務する場合には、いわゆる割り増し賃金を支払うべきであるということを内容といたしております。
  15. 有島重武

    有島委員 ですから、おもな争点超過勤務手当を出すべきか、出すべきでないかというところにかかっていたのですね。それを確認したいんです。
  16. 天城勲

    天城政府委員 いま申し上げたとおり、命令を受けたものについては支払うべきであるという前提でございますので、そのケース命令を受けた超過勤務であるかどうかというところが争点であったわけであります。
  17. 有島重武

    有島委員 その命令を受けて超過勤務を出すべきか、それからこの問題は出すか出さないか、そういった点が争点であったように受け取ります。
  18. 天城勲

    天城政府委員 ちょっとことばが足りなかったかもしれませんが、現在の法律では、命令を受けて超過勤務に服した場合には割り増し賃金を支払う、支払わなければならぬという法律がございますが、それを前提に置きまして、争われているケースは、それに該当するかどうかということでございます。したがいまして、争点になった最初の点は、いろいろこまかいのはございますけれども、これが命令を受けた正規超勤であるかどうかということが争点になっているわけでございます。
  19. 有島重武

    有島委員 命令を、校長命令を受けたかどうか、そういった点が一つでございますね。それによって超過勤務は支払うべきか支払うべきでないか、そういった点が争点でございますね。
  20. 天城勲

    天城政府委員 そのとおりでございます。それと、それから争われている時間外の仕事が技術的に超過勤務内容を持っているかどうか、この二点でございますが、法律的には、いま御指摘のように前の点が中心でございます。
  21. 有島重武

    有島委員 いま天城局長から言われましたことは、もう一点、勤務態様の点も含まれておる、そう受け取ってよろしいですか。
  22. 天城勲

    天城政府委員 請求対象となっております勤務態様についても賃金対象となっているわけでございます。
  23. 有島重武

    有島委員 今度は、いま懸案になっておりますこのいわゆる教特法のおもな点でございますが、これは一つには勤務態様特殊性の問題を含んでおりますね。それからもう一つは、校長命令による時間外の勤務をすることができるという、そういった問題を含んでおりますね。その点を確認いたします。
  24. 天城勲

    天城政府委員 このたびの法案内容につきましてですね。——さようでございます。
  25. 有島重武

    有島委員 そういたしますと、いま裁判で問題になっておりますその争点と、この提出されました提案に示された一番の重要点であるその二つのことは一致しておりますね。
  26. 天城勲

    天城政府委員 いま裁判になっている事件前提は、現在の法制に基づきまして超過勤務を命じた場合には、時間外の勤務について時間単位で割り増し賃金を支払うという制度前提にして争われているわけでございます。この中身は先ほど申したとおりでございます。このたびは制度を、あらためて別の制度を立てようということでございますので、前提は異なっていると思うのでございます。
  27. 有島重武

    有島委員 前提は異なっておるが、争われている点はまさに一致しておる、そう確認することができますね。それは局長、よろしいですね、いままでの話は。
  28. 天城勲

    天城政府委員 私、こんなことを申し上げるのは少し釈迦に説法で恐縮なんですけれども、裁判というのは現在の法律に基づいて何が法の命ずるところであるかということをきめるわけでございますので、決定いたしますので、結局現行法に基ついて、これが当該事件に対して何が法の命ずるところであるかということを判定するということでございますので、現行法前提になる。このたびはそれと異なる制度を立てようということでございまして、その意味では私、裁判の問題とは関係がないじゃないか、このように理解いたしております。
  29. 有島重武

    有島委員 私の伺っているのは争点の問題なんです。前提の問題は違う。それは了解いたします。その点が一致している、そのことは否定なさらないわけですね。(「法務大臣答弁しろ」と呼ぶ者あり)それでは法務大臣の御見解を伺いましょう。
  30. 赤間文三

    赤間国務大臣 裁判では、訴訟を起こした教員の人が、ある特定の場合に時間外勤務をしたかどうか、もししたとすれば、訴訟請求しておるとおりに時間外勤務をしたかどうか、こういうことを個別的に裁判所は認定をいたしておるような次第でございます。個々の、個別的なものです。必ずしも一般的に教員勤務実態が明らかにされるものとは何も関係がない。したがいまして、本法案審議とこの因果関係というものは全然ございません。したがいまして、さきに申し上げましたように、裁判所は、本件は、この法律改正にとらわれることは絶対にありません。さきにも政府委員から話がありましたように、現行の法令によってその当否を判断するものでございます。したがいまして、本法案国会審議したからといって裁判所を拘束するとか、あるいは裁判影響を及ぼすというようなことは考えられないのでございまして、本法案を、係属中であるからといって審議することには何らの支障がない、われわれはこういう解釈をいたしております。
  31. 有島重武

    有島委員 御専門家法務大臣に向かって、私もしろうとで、これはちょっとわからないのでございますが、いまの問題はやはり個別的な問題ということが一つ、一般的には影響を及ぼさない、そうおっしゃいましたね。ところで、すでに裁判が終わっている二つ案件に対して、あるいはこの裁判中に、個人にとどまらず県の人事委員会措置要求があって、それで超勤の勧告をしたようなことがございます。これは何件くらいありますか。
  32. 天城勲

    天城政府委員 先ほど申したような趣旨での人事委員会の判定は二十五件ございます。行政区域の県で申しますれば二十二県にわたっております。
  33. 有島重武

    有島委員 先ほどの件のほうになりますと影響は二十五人のように思われますけれども、都道府県の県では二十二県にわたっておる。これは非常に大ぜいの方々が影響をこうむる問題である。それは当然でございますね。先ほどの、これは個別的な問題であるがと言われましたのは、やや不適当なんじゃないかと思いますが……。
  34. 赤間文三

    赤間国務大臣 裁判所審査をするのは、あくまで時間外の勤務なりやいなやということの真相を個人個人について調べるのでありまして、私は、抽象的に一括して、総括的なずさんなことをやることはない、はたして勤務外命令を受けたかどうか、それとまた請求したとおりの勤務外勤務をやったのは事実かどうか、個々に調べるよりほかに方法はないもの、かように考えております。
  35. 有島重武

    有島委員 いまこちらでもって一番最初に確かめておいたことは、まさにその法に適用されて時間外の勤務になっておったか、それ以外の話であるか、そういう点をいま裁判しておるわけでございますね。それはお認めになりますね。
  36. 赤間文三

    赤間国務大臣 訴訟を起こした者の申請がはたして事実に合うかどうかということを調査する……。
  37. 有島重武

    有島委員 その事実に合うかどうかという中身は、校長が命じたのであるかとか、あるいはそうでなかった場合であるとか、あるいは暗黙のうちに命じた形になっていた、そういうような中身になりますね。
  38. 赤間文三

    赤間国務大臣 さっきから申し上げましたように時間外勤務をしたかどうか、もししたとすれば訴訟請求しておるようなとおりの時間外の勤務をしたかどうか、こういうことを各個別に調査をいたしておる、こういうことが私が申し上げておることでございます。
  39. 有島重武

    有島委員 そのしたかどうかということの基準になるのは、これは一面でいえばその前提になるのは法律であって、もう一つは事実を追及する、そういう二面に分かれて行なわれるのだと思いますけれども、ここでもって超過勤務の問題ということがだれの目から見ても一番の焦点になっているのではないかと思います。
  40. 上田明信

    上田(明)政府委員 事案の内容になりましてこまかくなりそうでございますので、私から答弁させていただきたいと思います。  仰せのとおりこの事件は、たとえば時間を過ぎてから職員会議をやった場合は超勤に該当する、したがって超勤手当を払わなければならぬかどうか、あるいは修学旅行に先生がついていった場合に、一体それは超勤に該当するかどうか。そういう問題について、現行法のもとにおきましてそういう超勤支払い請求権というものを先生方がお待ちになる。各市町村はそういう義務があるかどうかということを現在裁判所で審理されておるわけでございます。この法案はそういうことをどうするか、現行法とは関係なくと申しますか、現行法でそういうことが問題になるのだが、そういうことをやめようかどうかということを審議されるわけなんです。もしかりに原告の人々が言うように、超勤支払い義務法律上あるということになりますと、これはこの法案がどうなりましょうとも、裁判所はそんなこととは関係なく支払い義務を命ずるはずでございますので、必ずしも司法権の問題と衝突する問題とはわれわれ考えておらないのであります。すでに発生した権利でございますから、それはこの法案がどうなりましょうとも、かりに国会を通過したといたしましても、その権利自体は消減するわけではございませんで、裁判所は遠慮なく各県なり市町村超勤支払い義務があるぞ、おまえは払えと言うこともできるのでございまして、裁判所は一向これについて拘束もされないというふうにわれわれは考えておる次第でございます。
  41. 有島重武

    有島委員 その点はわかりました。  それから先ほど個人と一般的に及ぶかどうかという問題がございましたけれども、今度は立場を変えまして、これは宮澤俊義という方の憲法解釈の本でございますけれども、「本来の裁判作用そのものは、司法権独立原則によりまったく国会の権能の外にあるから、本条の国政調査権はそれにはおよばない。すなわち、司法権独立原則に少しでも反するような調査は、許されないと解される。」これは先ほどもお話がございました。「したがって、現に裁判所係属中の事件調査することは、許されない。議院がその事件調査しても、またそれについてのその判断を公にしても、それは法律的にはなんら裁判所を拘束するものではないが、一般私人ならばともかく、議院というような重要な国家機関がそういう行動に出ることは、実際問題として、裁判官に不当な影響を与えるおそれがないとはいえないから、司法権独立を害すると解される。」そういう解釈でございますが、法務大臣急ぎのようでありますから、それだけ答えていただきたい。
  42. 赤間文三

    赤間国務大臣 係属中の事件そのもの調査することは司法権独立を害するおそれがある、これは私もはっきり認めます。係属中の事件そのもの調査することは司法権独立を侵す疑いがある。しかし、本法の改正に関する審議は、係属中の事件そのもの調査とは別な問題でございます。係属中のものそのもの調査されることについて疑いがある、別な問題であるから私は何ら疑いをいれることはない。なおまた、われわれの見解としましては、この審議というものは裁判所を拘束する点は何らない、また裁判影響を及ぼすこともない、かような見解でございます。
  43. 有島重武

    有島委員 文部大臣に少し伺いたいと思います。  法案中身もさることながら、文部大臣がなさいました提案理由についてでございます。この提案理由を見ますと、実際の提案理由となっておりますのに四行と三字ぐらいの短いものでございまして、「その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。」という書き出しのもとに四行ばかり提案理由がございまして、そのあとずっと概要が長くございます。ところで、その提案理由になっている部分をちょっとここで読みますと、「政府におきましては、教育重要性にかんがみ、これに携わる教員給与につきまして、かねてから特に留意してきたところでありますが、このたび国立及び公立小学校中学校高等学校等教員について、その勤務態様特殊性を考慮し、これに当分の間、特別の手当を支給する等の措置を講ずるため、この法律案を提出したものであります。」こういうふうにございますけれども、このいま読みましたところの「国立及び公立小学校中学校高等学校等教員について、その勤務態様特殊性を考慮し、これに当分の間、特別の手当を支給する等の措置を講ずる」と、これは理由ではなくて法案そのもの概要であると受け取られるのですが、いかがでございましょうか。
  44. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 どういうふうにお答え申し上げたらよろしいかと思うのでございますが、私どもとしましては、今回の措置をいたしますためにはやはり法律を必要とするわけでございますので、そのような措置を講ずるためにこの法律案を提出したということを申し上げておるわけでありますから、法律案提出理由ということにはこれでなるのじゃないかと存じております。この法律案を出しませんと、われわれの意図するがごとき措置を講ずることができないのであります。その意味においてこの法律案を提出した、こういうことでございますので、そのように御了解をいただきたいと思います。
  45. 有島重武

    有島委員 この提案理由を拝見する限り、われわれの意図するところといまおっしゃいましたけれども、その意図が非常に簡略されると申しますか、あるいはわかりにくいと申しますか、「教育重要性にかんがみ、」と、これは一つ理由のようにも受け取れます。それから「その勤務態様特殊性を考慮」するのだ、これが一つ理由なんだ。その二点をこれは考えることができると思うのでございます。それについて、理由二つのようにここでは解してよろしいかどうか。
  46. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この提案理由をきわめて簡単に書いておりますので、そのような御質問もあるいは無理からぬと思うのでございますが、教員給与の問題につきましては、政府といたしましてもかねがね留意いたしておるということは申し上げて差しつかえないと思っております。この教員給与の問題につきまして、先般来いわゆる超過勤務手当の問題が問題とせられてきておったわけでございます。これは給与問題からいえばその一部であろうと私は思いますけれども、そういうことが前々から問題とせられてきておったところでございますので、政府としましては、この超過勤務手当問題につきまして何らかの結論を得て決着をつけたい、こういう心持ちでいろいろ検討をいたしました結果がこのたび云々ということになってくるわけでございます。その間に提案ことばが非常に足りなかったといえば足りなかったと思いますが、従来から問題となっておりました超過勤務手当の問題について何らかの措置を講ずる必要ありという考えのもとに、今度の案ができましたわけでございます。それをやるといたしまするならば、やはり特別の立法措置を必要といたしますので、このような案を提出するに至った、こういうようにひとつ御了解をいただきたいと思います。
  47. 有島重武

    有島委員 この問題をいま伺っておりましても、いままでの審議の中でもって、どういうわけでこの法案を出されているのかということが、表面的な問題とその裏にあるらしい問題と、そういったことがいろいろ論議されたと思うのでございます。そういった点をここでもって一ぺん総ざらいして明らかにしてみていただいたらどうかと思うのでございますが、たとえばその理由というのは、一つ理由によって当分の間、超過勤務手当及び休日給を支給しない、そういうような中身でございますね。人事院は、それに対して当面の暫定措置として行なわれるならば一応やむを得ない、そういうように言っておるわけでございます。この人事院も一応やむを得ないなどということ、これは人事院がいらっしゃってからもう一ぺん聞きますけれども、今度持ち出された新しい話は、これは勤務態様特殊性ということをいっておる点が大きな特徴であると思いますけれども、その当分の間、これは勤務態様そのものが別に当分の間じゃなくて、これはかなり恒久的なものだと思うのですけれども、その勤務態様が、たとえば定員数が四十になったとか、あるいはそれ以下になるというような事態が起こってまいりますれば、いままで論議されてきた勤務特殊性というものはやや緩和される、そういうこともあると思うのでございますが、この勤務態様特殊性ということにつきまして、これもやはり当分の間の勤務態様特殊性なのであるかどうか、それはどういうふうに考えていらっしゃいましょうか。
  48. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 前々から御説明いたしておりますように、今回この法案の問題といたします点は、いわゆる時間外勤務に関する給与の問題管ございます。その時間外勤務給与の問題につきましてかねてから問題となっておりますので、それに対する回答として政府がこのような案を出したわけでございます。その主たる理由は、その問題につきまして先ほど来御議論もございましたけれども、現行法で取り扱うということになりますれば、淵源は労働基準法にあるわけでございますけれども、いわゆる割り増し賃金制度をもって時間外の勤務に対応していく、こういうことに相なろうかと思うのでありますが、教員のいわゆる時間外勤務態様を考えましたときに、時間ではかるいわゆる割り増し賃金制度によるということはふさわしくない、必ずしも適当でないという考えのもとに、特別な立法措置を講ずるということにいたしたわけでございます。ただ、当分の間ということにいたしておりますのは、教員給与の問題につきましては、やはり全般的に検討する必要あり、こういうふうな考え方を持っております。教員勤務状況等につきまして十分に検討を加えました上で、教員にふさわしい給与体系というものができ上がることを、実はわれわれとしては希望いたしておるところでございます。それにいたしましても、これは十分調査を遂げなければならぬと思います。また、どういうふうな給与にするかという問題も、よほど各方面からの御検討を願わなきゃならぬ問題だと思います。前々から申し上げておりますように、ひとつ今年から出発いたしまして、教員勤務状況についてもっと詳細な調査を遂げました上で、それに基づいて教員給与問題について取り組んでまいりたい。かような考えもございますので、当分のうちというような、いわゆる暫定的な立法としてここに御審議をお願い申し上げるということにいたしたようなわけでございます。この点は、この問題だけで教員給与問題が解決するものとは思っておりませんので、全体的な検討をいたしたいという期待のもとに、とりあえずの措置として、従来から問題になっております時間外勤務に対する給与措置をこのような方式でもっていくのが適当ではないかという考えのもとに立案いたしたものでございます。当分のうちというのは、われわれがもっと広く検討したいという気持ちを持っており、それに対する調査を進めていきたいという考えを持っておるというところから、このような措置になったわけでございます。
  49. 有島重武

    有島委員 いま当分の間のお話がございましたが、それはまたあとでもって伺いたいと思います。  この法律理由の問題でございますが、勤務態様が特殊であるから超勤の適用をしない、そういうふうな筋道になっていると思うのですが、その間にいろいろな議論がたくさん起こりまして、必ずしも一対一じゃないというようなことがあったと思うのでございます。いままでお話に出ましたもので、勤務態様特殊性——特殊性に対しては一般性というようなことがあると思うのでございますが、時間的に捕捉できないというのがその一つにあがっておる。この点につきましては、時間的に捕捉できるものとできないものと二通りあるということが明らかになりましたね。しかも、時間的に明らかになるもののうちでも、必ずしも超勤に適用しなくてもいいものがある。そういうようなことがいままでの段階で明らかになったと思うのですけれども、それを天城さんにもう一ぺん確認したいと思うのです。
  50. 天城勲

    天城政府委員 ここで言っておりますのは、いまお話しのとおりでございまして、くどくど申しませんが、結論的には、時間で計測し得るものもあるしできないものもある。また、し得るものでも、時間単位で給与を支払うのは必ずしもなじまないのじゃないかという種類のものがある。このようなことが、究極的に考えた勤務態様特殊性でございます。
  51. 有島重武

    有島委員 いまの私の質問は、ほとんど最終の締めくくりのようなあれですね。いままでたくさんあったものに一つの結論をはっきりしていきたいという気持ちは——最終というのは間違いです。これからまだまだ争点がございますけれども、いままでのものを締めくくっていきたいということで、時間に関してタイプは三つに分類することができたというその具体例をここであげておいていただきたいのです。
  52. 天城勲

    天城政府委員 教員勤務の種類と申しますか中身は、四十一年の調査のときにも、調査の時点においてどういうとらえ方をするかということで非常に議論があり、また研究が重ねられたことで非常に種類が多様でございます。したがいまして、それをここですべてうまくまとめて申し上げることができるかどうかわかりませんが、若干調査のときとその後の整理のときのいきさつがございますので、ちょっと時間をいただきますけれども、大きく分けて教員の指導活動というものが中心になります。その指導活動の中でも、直接指導活動と間接指導活動、教員の研修というような分類をいたし、さらにその直接指導活動も次々に細分していって見ていったわけであります。これが非常に大きな中心でございますが、そのほかに事務的な活動もございますし、補助的活動という種類のものもございます。これらのものをだんだん見てまいりますと、それこそ幾つかの例示を申し上げる以外にないのでありますが、具体的な例示で申し上げますと、たとえばクラブ活動といわれているような特別教育活動の指導あるいは家庭訪問、それから広い意味の学校行事がございますが、その学校行事には、校内で行なうものもあるし、校外に及ぶものもございます。また、教員としての教案の作成あるいは教材研究、それからいわゆる成績の評価等の仕事がございます。簡単に申しますと、子供に対していわゆる時間割りでもって授業をしている時間以外の勤務というものは非常な多様性を持っておりまして、それが時間外に及ぶ場合、特に学校の敷地外に及ぶ場合等につきましては非常に計測がむずかしいのではないか、このような判断が出ているわけであります。
  53. 有島重武

    有島委員 伺いたい点は、今度の超勤をはずすということの一つ理由として、勤務態様が捕捉しがたい面があるといったことが一つ理由づけになっておるということでございましたから、それは必ずその理由になるのかということが一つと。もう一つは、その理由がどこから起こっている理由であるか、そのことが問題であると思うのです。それでいま三つに分類いたしまして、これは時間外勤務として十分認められるという点が一つと、捕捉できないけれどもこうだというようなこと、これを一つの資料として、例でけっこうでございますから出していただくことができましょうか。
  54. 天城勲

    天城政府委員 これは一つの例示になるかもしれませんけれども、そういう前提で一応資料をくふうしてつくってみたいと思います。
  55. 有島重武

    有島委員 それでは、たとえばいま一番問題になっておるのは雑務というような問題ですが、これは定員数が好ましい状態になればどんどん解消できるというようなことが当然考えられるわけでございます。こういった場合には、この超過勤務をはずすという根拠はなくなると考えていいかどうか。
  56. 天城勲

    天城政府委員 雑務といっている仕事の中身でございますが、よくわからないから雑務ということになっておるわけでございますけれども、先ほど申した直接指導、間接指導、教員の大事な研修というような任務につきましては、先生が御想定になっているいわゆる雑務という問題とは関係ないと思いますし、そういう本質的な意味においてそれは特殊性があるというふうに思っております。同時に、その雑務の問題は確かに御指摘のように、教員の定数とか事務のやり方その他によって、できるだけ整理し解消していって、教員が本来の仕事に専念できるようにする措置というものは当然片一方で行なわなければならないものだ、このように考えております。しかし、いま申し上げましたように、教員の仕事自身にきわめて特殊なものがあるという本質は変わらないだろうと思います。
  57. 高見三郎

    高見委員長 暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      ————◇—————    午後零時十四分開議
  58. 高見三郎

    高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。有島重武君。
  59. 有島重武

    有島委員 先ほどの超勤をはずさなければならない理由ということが、これはいま休憩が終わりましたから、率直にお話し合いができればたいへんいいと思うのでございますけれども、第一番の理由は、率直にいえば予算が足りないということじゃないかと思うのです。大蔵省が承知しない。それだから、いままでのようなことはやっていられないしというようなことが一番大きな理由になっているのじゃないか、そう思われるわけでございますけれども、その点はいかがですか、大臣から。
  60. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 現実問題となりますと、文部省の立案いたしたものの考え方というものが実現できるかできないかということは、これは大きに予算の問題も関係しようと思っておりますが、この問題につきましては、やはり予算の問題によってこのような案ができるというものではないというふうにひとつ御承知を願いたいと思います。
  61. 有島重武

    有島委員 予算の問題は全然含まれないと解してよろしいですね。
  62. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 しいて言えば、今度の予算でごらんのとおり、この法案を実施いたしますために必要な予算は明年の一月一日からということになっております。もちろん、実施するとすれば相当な準備期間が必要でございますから、四月一日からという年度一ぱいの予算をとるということは無理があろうかと思うのでありますけれども、われわれから考えますれば、来年の一月一日まで待つ必要はない、もう少し早目に実施できるであろうということはいえると思いますけれども、その辺につきましては予算の関係全然なしとは申しませんけれども、この案そのものについて予算の関係でこういうふうな案になった、こういうふうには私ども考えておりません。このような案で進んでいくという文部省の提案を多少いれてくれたと思います。
  63. 有島重武

    有島委員 そういたしますと、もう一つ超勤をはずさなければならないという理由が別にあるということでございますね。勤務態様の中のあれですけれども、それでこれも率直に言ってしまえば、いま各所でもって先ほどお話がありました裁判が起こっておる。これをひとつ防ぐというような意味合いが十分込められているのではないか、そういうことになるのではないかといわれておりますけれども、その点大臣から。
  64. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題につきましては、先般来いろいろな質疑応答を通じましてお答えを申し上げておるところでございますが、文部省としましては、元来超過勤務手当を支給するようないわゆる超勤命令は出さないようにという指導はいたしてきておったわけでございます。しかし、現実問題といたしまして時間外の勤務が相当あるということで、それについて調査をいたしました結果は、かねてから御説明申し上げておりますように、時間外の勤務というものが相当あるということでございます。文部省の行政指導もさることながら、法律論から申しますと、現行法のもとにおいては、超過勤務を命じました場合においては超過勤務手当を出さなければならぬというその法の解釈につきましては、われわれも別に異論があるわけでも何でもない。この問題が今日までは結着のつかないままに過ぎておりましたけれども、この調査の結果に基づきまして、時間外勤務に対していかなる給与をなすべきや、現行法に従って割り増し賃金制度を出すのがいいのか、それを出すのはまずいのかということで、いろいろ論議を重ねました結果が、このような特別な手当を出すという方式をもってさしあたりこれはよろしいのではないかという結論になりましたようなわけでございます。そういうふうなことでございますので、裁判があるからどうのこうのという問題は、やはりこの問題について文部省としまして十分関心を持って、何らかの措置をとらなければならぬということに対しましては大きに関係があったと私は思いますけれども、それをやめるためにどうとかこうとかというふうな意味ではもちろんございません。何らかの措置を講ずる必要があるという判断に立ちまして、このような案をつくったわけでございます。
  65. 有島重武

    有島委員 そういたしますと、超勤裁判というものはこの法案を出す一つのきっかけにはなっておるけれども、それは理由だというわけではない、そういうような意味でございますね。
  66. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 時間外の超過勤務をしておるという実態というものを、私どもやはりこれを認めないわけにはまいらぬと思います。そういう意味で、それに応ずるための措置としてこれを考えたということでございます。
  67. 有島重武

    有島委員 ということは、さっきも言っていた裁判の問題などが出てきて、そうして一つのきっかけになっている、機縁になっている、その点はよろしいですね。
  68. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 だいぶ前からの問題でございますけれども、超勤手当を出さないままに推移してきておったという事実はお認め願えるだろうと思うのであります。しかし、そのうちにこの問題がいろいろ取り上げられて問題になってきた。その中には裁判のほうに行っていわゆる訴訟を起こして、そうしてそこで判断を求めるというふうな事態も起こってきた。われわれのほうで皆さんの声に従って調査をした結果も、相当な超過勤務をしておるという実態もつかめた。こういうことで何らかの結論を出そう、この考えのもとに立案いたしましたのがこれでございます。
  69. 有島重武

    有島委員 だんだん範囲を狭められまして、機縁の一つになっておるというような意味合いでございました。それで、それについて調査をされたというのでございますけれども、では、裁判が全国各地でもって一斉に行なわれたかというと、そういうわけではないので、これは京都、静岡、大阪と特殊に行なわれているわけなのです。勤務特殊性というのは大体全国的なものでありますのに、どうしてそれがそこだけ行なわれて裁判ざたにまでなるのか、ほかでは行なわれないのか、そういった理由調査なさいましたでしょうか。
  70. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のように、この裁判ケースが全国一斉に起きているわけではございませんで、御指摘のような府県で起きているということは事実でございます。それが特にいかなる理由に基づいているかということを、私のほうもその県の特殊な地盤についてまで調査することはいたしておりません。ただ、従来から文部省も指導してきておりますとおり、教員については超過勤務を命じないようにという指導を二十三年以来行なってきているわけでございますので、それの実態が各県によってかなり違っていたのではないか。そのことから場所によってはいろいろな問題が出てきた、このように理解しておるわけでございます。特定の県の特定の理由というものは特に私たち調査したりいたしたことはございません。
  71. 有島重武

    有島委員 それはお調べのなさり方にやや手落ちがあるのじゃないかという感じを私は持つ。同じような状態が行なわれていて、片一方は裁判になっておる、片一方はなっていない、そのことを私はここでそんなにこまかく言いませんけれども、文部省としては、そういった事情をはっきりと把握なさって発表されるべきではないか、かように思いますけれども、大臣いかがでしょう。
  72. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 いま政府委員からお答えいたしましたとおりでございまして、文部省としては、そのような具体的な訴訟提起を必要とするに至った事情というふうなものにつきまして取り調べをいたしておりませんので、ここで発表するというふうなわけにもまいらぬと思うのでございます。
  73. 有島重武

    有島委員 いたしておりませんことはわかりました。それでそういったことを把握すべきではないか、そういうように思うのですけれども御所見はいかがかと、そういうふうに聞いたわけです。
  74. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 あるいは御指摘のとおりであろうかとも思いますけれども、実情はいま申し上げましたとおりでございます。
  75. 有島重武

    有島委員 あるいはそうかもしれないが実情はそうだと、そういうお答えのなさり方は−私は率直に聞いておるのでございますから率直に答えていただきたい。そういったことを把握したほうがいいのではないかと思って御質問申し上げた。あるいはそうかもしれない、では、あるいはそうでない場合のほうを伺いましょうか。
  76. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私どもは、この法案を提出いたしますにつきまして、いまのような実情を一々把握いたしましてこの法案を提出するという必要もなかろうかと思うのでございますが、しかし、調査が粗漏であるというふうな御指摘でありますれば、私は、それは調査したほうがよかったということは申し上げられるだろうと思います。ただ、本法案提案につきましては、特にその関係は必要はないのじゃなかろうかと思いますけれども、あまり言いわけがましいことを申し上げる気持ちはございませんので、調査しておけばなおよかったということはいえるだろうと思います。
  77. 有島重武

    有島委員 わかりました。そうすると、やはり調査したほうがいいと言われるのであれば、やっておいたほうがいい。私は、これはそういったことまで把握すべきであろうと思う。教員校長の問題、これは今後ともに、この法案審議にあたっても法律上にあらわせない問題でございます。そのことをより親切に正確に把握していただきたい、そういうように要望いたします。  それから次の問題でございますが、先ほども申しましたように、「教育重要性にかんがみ」、これが一番の前提条件になっておることは当然でございますが、教育重要性にかんがみて、給与体系を改善してよい教師を集めていきたい、そういう意味合いの上からの一つの暫定措置である、そういうふうに先ほどおっしゃいましたですね。このよい教師を集めたい、これはもうみんなが思っている点でありますので、このことについて少し論議を進めるべきじゃないかと思うのですけれども、よい教師を集めるための条件は何と何と何であるか。これは一つには経済的要因、待遇改善ということが大きな問題でございましょう。もう一つは精神的な問題もあるのじゃないかと思うのでございます。それからもう一つは国民の関心の問題でございます。関心の集まらないところにはやはり人材は出てこない。ところが、この教育に対する国民的関心については、日本の国は非常に教育熱心の国である、これは間違いないと思うのです。それから、これは経済的要因についての法案でございまして、これからいろいろ審査されるわけでございますが、精神的要因ということについてはどうでしょうか、どのようにお考えになりますか。
  78. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 よき教員ということを考えましたときには、やはり精神的要素というものが非常に重きをなすことは申し上げるまでもないと思うのであります。それに関連いたしましては、もちろん教員であるべき人の心がまえの問題、修養の問題ということにもなろうかと存じますが、制度的に考えましたときには、教員養成の現在の制度というものがはたしてこれで十分であるかどうかというふうなことについての反省もなされなければならぬ、そのように存じております。
  79. 有島重武

    有島委員 申し上げたいのは、制度の上での改善、これはどうしてもやっていかなければならない問題でございますけれども、では、現在の制度が不備であるからよい教員がいないかというと、現在の制度の中でも非常に苦しい状態でもってよい教員がたくさん集まっておる、そういうこともあります。それから逆に、制度をよくしたら全部が全部いい教員が集まるかというと、それも保証できるわけではありません。そういたしまして、この法の前提といいますか、理由になっている問題の中でも、よい教員をたくさんつくっていきたいということについての、お金のかかる措置についてはこれはおのずからいろいろ限度がございます。けれども、これと並行して、さらにこの法と同じ目的を持って精神的にもやはり強化をしていくのだということは、どうしてもこれは並行ないしはそれが先行すべきではないか、そう思うのでございますけれども、いかがでしょうか。
  80. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その問題になりますと、確かに金だけで解決のつく問題でもありませんし、また制度だけで解決のつく問題でもない。要は教員そのものが大いに修養をおさめ、大いに強化しなければならぬ、そういう性質の問題だろうと存じます。したがって、私は教員の養成の段階におきましても、もっともっとわれわれも検討しなければならぬ点もございましょうし、また現に教員として仕事に従事していらっしゃる方々のいわゆる研修というような問題につきましても、さらに一段と努力すべき要素は多分にあろうかと存じます。いずれにいたしましても、そこまでまいりますと、やはり教員たるべき方々が、その使命というかその任務につきまして、はっきりしたものの考え方を持って、そして仕事に従事していただくということが不可欠の要件である。外からかれこれやりましても、それだけではなかなか片づかない問題でございます。そのような自己研修というか、自分をみがきあげていくという問題について、行政当局としましては、そのような機会をなるべくつくっていくというようなことについてとくと検討しなければならぬ点があろうかと存じます。
  81. 有島重武

    有島委員 大臣のお考えわかりました。現在教員の質の低下ということが憂えられておる。これを財政的なこうした制度の問題だけでもって片づけていこうという考えは、これは非常に片手落ちではないか、そういうことを申し上げたいわけなんです。それで外からだけでは片づかない問題だ、これは当然でございますが、そういったチャンスをつくっていきたい、じゃ具体的にはどういうことでありますか。
  82. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府として考えます場合には、一面におきましては各職場における環境というふうな問題につきまして、あるいはいわゆる勤労管理という問題につきまして配慮する必要ももちろんございましょう。同時にまた、教師の研修という問題についても教師側の熱意を換起いたしまして、われわれの努力とともに、教師側におかれましても、その研修というふうなことについて積極的に関心を持って大いに勉強してもらう、こういうことじゃなかろうかと思います。
  83. 有島重武

    有島委員 職場の改善から管理の問題、これは制度にやや近い問題でございます。またはその中心者の人格の問題にもかかわりがございます。それから研修の問題、これもやはり雑務を少なくするということが非常に大きい問題になっているようでございます。熱意を持つ、持たない、その一つの使命感に立つ、立たない、このことが教育のみならず、日本の全部の問題みたいになっておりますけれども、教育に関しての教育の理念がきわめて不明確であるという点、これがこうした制度の問題を除外した場合には、さておいて考えた場合には、一番の問題点になるのではないかと思われますけれども、いかがでしょうか。
  84. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教育の理念が不明確だというおことばでございますが、私は、その点につきましては、教育者として持つべき教育の理念というふうな問題について、御当人が不明確であるという場合は別でありますけれども、教師に対して期待いたしておる点についてはさほど不明確なものとも実は思っておりません。
  85. 有島重武

    有島委員 ちょっと聞き取れなかったのですが……。
  86. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、教育の理念という問題につきまして、個々の教師の方々がどういうふうな考え方をしておるかについてはいろいろございましょうけれども、教師たるべき方々に期待しておるという意味における理念につきましては、それほど不明確なものとは思っておりません。
  87. 有島重武

    有島委員 私も何人かの教員の友だちを持っておりますし、それから最近この問題について大ぜいの教員の方がずいぶん向こうから来てくださって、いろいろお話をしてくださいましたが、その点について、あなたは教育をどういうふうにしようと思っているのか、きわめてこれは不明確な方が大部分であって、文部大臣の持っていらっしゃるきわめて明確なところをちょっと伺わしていただきたいのです。
  88. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 これは文部大臣が持っておるということよりも、現在の日本の制度の上におきまして、日本の教育というものが憲法あるいは教育基本法の精神に従って教育がなさるべきであるということについて私は問題はないと思うのでございます。
  89. 有島重武

    有島委員 具体的に申しますと、皆さん大体教育基本法のことは言われるわけですが、教育基本法の中身に立ち至りますと「教育は、人格の完成をめざし、」この辺になるとよくわからない人がいる、それからだれかのことばをかりてきて言っておる、それから期待される人間像などは、あれは有害なものだと言いながら、お話を聞いておりますと、大体あのとおりになってしまったり、非常に支離滅裂であるということを私は感じたのです。そういった点は大臣はどう思っていらっしゃるでしょうか。気づいていらっしゃるか、もし気ついていらっしゃるとすれば、これはどういうふうにしていったらいいとお思いになるか。
  90. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 多くの教師諸君が、この問題についてそれほど無理解だとか考えがないとか、そういうふうにも私は思いませんけれども、しかし、いろいろな方がおられるわけでございますから、いろいろな考え方もございましょう。そういう意味におきまして、必ずしもはっきりしないものがあるということを否定するわけにもまいらぬと思います。私どもの仕事といたしましては、憲法ないし教育基本法の精神というものがあくまでも徹底するようにしていかなければならないと思うのでございます。その点に不十分な点があるといたしまするならば、さらに一そうそういう点につきまして私どもとしても努力をしてまいらなければなりませんが、同時に、教職員の皆さんにおかれましても、そういう点についてしっかり勉強していただくということが必要ではないかと存じます。
  91. 有島重武

    有島委員 これは画一的にどうのこうのということではございません。それぞれの方がやはりそういうものに向かってはっきりした考えを持とう、あるいは持っておるとまで言い切れなくとも、持っていこうというしっかりした姿勢は、これは欠くことができないはずであります。ただ、これは遺憾ながらそうでない方もかなり大ぜいいらっしゃるようでございます。それはその分々に応じまして皆さん方努力していらっしゃると思いますけれども、いま大臣が、文部省としても一そうの努力をしてまいりたいと仰せられましたけれども、その中身はどういうことになりますか。
  92. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 中身と申しましても、結局私どもといたしましては、そういう問題についてお互いが考える、そういうふうな問題についてお互いが勉強する、こういうふうな機会をふやす、あるいはその機会を有効に使う、こういうことに努力すべきじゃないかと思うわけでございます。
  93. 有島重武

    有島委員 そうすると、お互いが勉強する、お互いといいますと文部省と何ですか。
  94. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 お互いがということは、主として教師諸君の間でいろいろと御勉強を願いたいということが主たるものでございます。
  95. 有島重武

    有島委員 主たる点はわかりましたけれども、先ほどおっしゃった文部省のほうとしても一そうの努力をするという、努力をするというのは向こうにやれということを奨励するというだけの意味でございますか。そうじゃなくて何かお互いというのは……。
  96. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 研修等の機会におきまして、適当なりっぱな人にいろいろお話でもしてもらうとかいうようなことで、その研修の効果をあげていくということは、もちろん文部省として考えなければならぬことだと思います。いずれにいたしましても、このような問題になりますと、政府が画一的に何かのものを押しつけるというふうなことでなく、政府としましても、法の趣旨のあるところは十分その徹底につとめなければなりませんけれども、やはり教師諸君にその気になって勉強してもらうということがなければ、何をやりましたところで効果はあがらないものでございますから、こういう問題について教師相互間におきましても、また、研修等の機会におきまして、役人が出かけて行ってどうのこうのということよりも、やはりりっぱな人によっていろいろとお話を承る、そういう機会をつくることも必要じゃないかと思います。
  97. 有島重武

    有島委員 大体わかりました。皮肉なことを言えば、文部省のほうは絶対だいじょうぶなんだから向こうでしっかりやれ、そういうふうなことにも聞こえますけれども、それはさておきまして、りっぱな人を呼んできてそういったチャンスを教職員の諸君につくってあげたい、それが画一的になるということは非常にこれは無理であると思いますけれども、そこに一つの大ぜいの教師たちの注意を向けていく、論議の場所を与える、考えさせる場を与える、そういったことは必要である、これをやっていきたい、そういうふうにおっしゃったと受け取りますけれども、よろしいですか。
  98. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 いろいろな方法もありましょうけれども、主として研修という問題を充実してまいりたい、このように考えます。いまおっしゃったとおりです。
  99. 有島重武

    有島委員 その問題はいまやめます。  労働大臣お忙しいところおいでになりました。短い時間でありますので、一番の大ざっぱな話だけ伺っておきたいのですけれども、ここでもってずいぶん長い問いろいろな質疑が行なわれました。それで、この文教委員会の質疑を通じての労働大臣としての御感想をまず伺っておきたい。
  100. 小川平二

    ○小川国務大臣 きわめてむずかしい御質問でございます。どうお答え申し上げたらよろしいのか、きわめて活発、真摯な御論議が行なわれている、かように感じております。
  101. 有島重武

    有島委員 労働大臣としてのお立場としては、いま外側におっしゃった。内側に……。
  102. 小川平二

    ○小川国務大臣 ちょっと恐縮でございますが、いまの御発言聞き漏らしました。
  103. 有島重武

    有島委員 この法案は、労働省としての労働の問題と教師の問題という、問題の交錯というようなことがあると思うのでございます。労働者の定義と申しますか、それと教員というものでございますか、そういったものがいろいろ錯綜しておったと思うのですけれども、労働大臣は労働者じゃないわけですね。それで労働者と法律でもって言っている問題と、世間でもって言っている労働者という印象と、そこに多少の違和感があるのではないか、そうしてその違和感を前提としての論議がここでもってなされていたのではないかというような印象はございませんか。
  104. 小川平二

    ○小川国務大臣 御質問の御趣旨をあるいは取り違えているかもしれませんが、さような場合は御注意をいただきとうございます。  かつて本会議における文部大臣の御答弁に、国民一般が教職員、いわゆる学校の先生に対して抱いている感情は、いわゆる労働者という概念にはなじまないのではなかろうかという御発言があったかと存じます。そのお気持ちも私はよく理解できるのでございます。ただ憲法にいわゆる勤労者、すなわち労務を提供して報酬を得て生活するものが労働者でございますから、教職員もまた憲法にいわゆる労働者である。少なくともその側面を持っていることは当然でございますし、したがって労働者としての保護を受けなければならないものと承知いたしております。今回の御審議を通じて格別違和感というようなものを私は感じてはおりません。
  105. 有島重武

    有島委員 これはまた文部大臣にお話を移されたから、文部大臣のほうに伺わねばならない問題かと思うのですけれども、ことばの感じとしてのセンチメンタルな根拠しかないような、そういうような労働ということばは何か暗い感じを受けている、あるいは重っ苦しいといいますか、そういう感じを受けているということは労働大臣といえどもお認めになりますね。文部大臣はそういった意味だと思ったのですが、文部大臣の御所見を承りましょうか。
  106. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 前々から実は申し上げたつもりでございますが、これを労働者だ、こういうふうにおっしゃるのが間違っておるというふうなことを別に私は申しておるつもりはございません。ただ、学校の先生を呼ぶときに、労働者だ、労働者だという呼び方は、一般の労働者ということばの感じから生ずるものと、つまり国民に与える感じといいますか、国民感情の上から申すとなじまないものがあるのではないかということを申し上げておるのでありまして、法律上の用語というふうなことになってきますと、労働者ということばを使っても、それを間違っておるというわけにまいらぬと思います。
  107. 有島重武

    有島委員 労働大臣、さっき違和感は別にないように思うとおっしゃいましたが、お二人を並べて申し上げるのは言いにくいみたいですけれども、文部大臣のおっしゃる、教員は労働者ということばは国民になじまない、そういった考え方はやや時代おくれだというふうにお感じになりますか、率直な話をしてください。
  108. 小川平二

    ○小川国務大臣 格別時代おくれとも存じておりません。たとえば工場等でタイムレコーダーで出勤の時間等が記録される画一的な仕事をしている方々とはお仕事の態様内容もだいぶ違っておるわけでございましょうから、これは、そういう意味で、いわゆる労働者という概念と、一般の人が学校の先生に対して抱いておる気持ちとはなじみがたいというおことばは理解できるのでございます。そのことは格別、憲法のもとにおいて教職員が勤労者、労働者であることと矛盾することではないと存じております。私自身は格別矛盾を感じてはおりません。
  109. 有島重武

    有島委員 法案中身のことはずいぶん論議されましたし、時間も短いですから、あとはまた事務当局の方に伺ってもいいのですけれども、そういったつまらないような話がかなり重要なことにずっと発展しているということがあると思うのでございます。それで、いま勤労者、労働者とおっしゃいましたけれども、それは同じなのか、別なのか、ちょっとそれも伺っておきたいと思います。
  110. 小川平二

    ○小川国務大臣 憲法で勤労者と申しておりますのは、労働基準法の上におきましては労働者ということになっております。
  111. 有島重武

    有島委員 そうすると、大臣は勤労者である……。
  112. 小川平二

    ○小川国務大臣 私もまた働いておるという意味におきましては、社会的な意味におきましては勤労者であると存じておりますが、法律的な勤労者、すなわち労働者ではございません。(「法律上は、」と呼ぶ者あり)法律上は、私は労働者ではございません。   〔「委員長、やじに答えてはいけない、注意だ。」と呼ぶ者あり〕
  113. 高見三郎

    高見委員長 お静かに願います。
  114. 有島重武

    有島委員 そういうことになりますと、憲法上は勤労者であるわけでしょう。だけれども労働者ではない、そういう人もいるわけですね。
  115. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 法律ことば解釈の問題ですから、私から答弁させていただきます。  御承知のように、憲法上は、いわゆる労働者という概念を勤労者ということばで扱っております。たとえば労働条件と申しておりますことは、憲法第二十七条第二項の規定では勤労条件と表現いたしておりますが、労働法規の場における労働者あるいは労働条件ということば内容的には同じであるというふうに私どもは解釈いたしておるわけであります。しこうして労働者という場合には、これを使用する者と使用される者とのいわゆる労働関係前提でございますから、大臣がお答えになりましたように、働くという意味においては勤労者という概念に含まれるかもしれぬが、法律的な意味においてはどうかという点につきましては、法律的な意味における労使関係、労働関係の成立というものを前提にいたした場合には、国会議員の先生方につきましては、その点が、労働基準法上の労働者という場合とは法律概念としてはあまり適切ではない、こういう趣旨であろうかと思います。  なお、労働者という概念は、あくまでも使用者に対する概念でございますから、たとえば児童から見ました先生、あるいはお医者さんでも、労働者であっても、患者から見ました場合には先生でありまして、労働者という概念はあくまでも労使関係前提にして考えられるべきものであるというふうに私どもは存じておる次第でございます。
  116. 有島重武

    有島委員 これは法律上とはちょっと違うのですけれども、たとえば国民から委託されて報酬を受けている、広く解釈すればそういうことになりますね。大臣といえども、だれからも使われているのではないというわけにはいかない。法律上のことばと世間的なことばと、いまもこれだけの専門家の方々がよく使い分けられないような、そういうことばの混乱ということは極力避けて、きちんと統一すべきじゃないか。あるいはつまらない感情的な誤解など差しはさむ余地のないようにすることが大切じゃないか、こう思いますけれども、労働大臣いかがですか。
  117. 小川平二

    ○小川国務大臣 もちろん、いま仰せがありましたように、用語の混乱とか概念の混淆ということはあってはならないと存じます。
  118. 有島重武

    有島委員 そういった問題は、これは国語の問題になりますですね。そうすると、そういった問題を主管するところはどこなのであるか。
  119. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国語の問題を主管するところは、ということでございますが、行政上は文部省が国語の問題を扱うことになっております。
  120. 有島重武

    有島委員 それでは文部省といたしましても、この問題は非常に重要な論議がありましたけれども、この論議の底に、ごくささいみたいだけれども、そういった混乱がある。これは、これはこの法案に関連する、しないは別といたしまして、やはり注意を注いで、そうして一つ見解をお出しになったほうがいいんじゃないか、そういうように提議申し上げます。
  121. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題は、国語ということになりますといろいろなことばがあるわけでございますので、それを一つの用語で統一するとかいうようなことは困難なことだろうと私は思います。文部省といたしましても、働く人というものを表現するのにいろんなことばがあるわけでございますから、それをどれに限らなくちゃならぬというふうなものでもなかろうと思っております。ただ、法律上の問題ということになりますれば、私は、この問題については、問題ははっきりしておる、こう申し上げてもよろしいと思うのでございます。別に混淆を生じているという問題ではないと思います。
  122. 有島重武

    有島委員 だから、別に処置はとらなくてもいいというお話なのか、それともやはり——ことばがたくさんあるということはたいへんいいことだと思うのです。それぞれニュアンスがはっきりすることは、前提としていいことであると思うのです。それから、ことば意味というものは、時代とともにまた変わっておるわけでございます。また法律などによってそれがやや違うような印象を受ける、これはいま明らかになったところでございますけれども、そういうことはやはり明らかにしておくべきじゃないか。一つ見解を持つ方向にお命じになるほうがいいのじゃないかと思うわけでございますが、いまかまわぬからほうっておけということじゃないと思うのですけれども、いかがでございますか。
  123. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 国語がなるべくよくなるようにということは、これはわれわれとして大いに関心を持たなければならぬ問題でございますけれども、どういうことばが国民の間に使われるかというふうなことになりますと、なかなかこれを規制するとか統一するということは困難なことだろうと私は思うのであります。問題となっておりますこの法案関係から生じております問題につきましては、法律上のいわゆる用語といたしましては別に混淆も何もないことでありますし、それについていま私のほうから、こういうことばがいいとか悪いとかいうふうなことを申し上げるつもりはございません。
  124. 高見三郎

    高見委員長 有島君に申し上げますが、あなたの質問、まだあるようでございますから、この際暫時休憩いたしまして、次の機会にやっていただいていかがでしょうか。続けておやりになるようなら、続けていただいてけっこうです。
  125. 有島重武

    有島委員 では、一言だけ言っておしまいにします。  ことばの問題をここで打ち切るに際して、先ほどおっしゃったように、教員は労働者だというのは何だかなじみが悪い、その何となくということも、これは非常に重んじるべき要素を持っておると私は思います。それがいつまでも何となくじゃしょうがないと思うのです。ですから、そういった点は問題になり次第、それは処置できるお立場にいらっしゃるのですから、どんどんお命じになってもいいのじゃないか、そういうふうに私は思うのです。それからまた、これは国語の問題だけにとどまらず、法律に、またほかのところに影響のあることでございますから、そこに向かって一つの提言をなさるなり、何かそういったことは文化国家としてはたいへん大切なことなんじゃないかと思います。そういったささいなことを見過ごしている中にかなり一つの問題のてこになっている場合があるのじゃないか、そういうふうに思いましたので、そのように提案した次第でございます。  これでけっこうです。
  126. 高見三郎

    高見委員長 午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五分休憩      ————◇—————    午後二時三十一分開議
  127. 高見三郎

    高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際おはかりいたします。  理事臼井莊一君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認めます。  その補欠選任につきましては、先例によりまして委員長において指名することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認めます。よって、河野洋平君を理事指名いたします。      ————◇—————
  130. 高見三郎

    高見委員長 質疑を続行いたします。有島重武君。
  131. 有島重武

    有島委員 先ほど労働大臣、法務大臣の御都合でもって、やや首尾一貫しないで断片的な形態になりましたが、あらためて言っておきます。私の質問は、本来労基審の答申を待ってなすべき審査を、この委員会の運営に御協力して行なっている点、これは確認しておきたいと思います。  それから、この法案につきましては、労働大臣も、それから人事院も非常に辛い点をつけておる、そういった前提でもっての個々の問題であります。それでなお、午前中の法務大臣の問題にいたしましても、国会調査権の問題は、時間でもって大臣がお帰りになりましたけれども、たてまえ論と実際論の問題、これはまだ問題を残しております。それから労働と勤労の問題、労働者と勤労者、そういったようなことばの使い分けの問題、これは今後これを明らかにする方向に努力なさるような文部大臣のお答えがございまして、その後に教育理念の問題の論議でもってさっき終わったと思うのでございますけれども、こうしたことばの問題があいまいになっておりますと、内容のすりかえが行なわれる危険性が非常に多い。そういうことでもって、こうしたことについての論議を、こうした国会のみならず、これは一般に、教員の問題が問題になっておりますけれども、そういたしませんと、さっきは一つだけ人格完成という問題を申しましたけれども、実は真理と正義を愛しという問題が、私が聞かないのに教員の側から出てまいりました。そういったことについても、話をしている間に非常に内容がまちまちであるし、その一人の人についてもまた話しているうちに首尾が一貫しないような、そういうようなことがたびたびございます。これはぜひともこうした気風を起こしていくということが、今後の教育をささえ、また文化を建設していく上には必要な問題じゃないかと思って提議したわけでございます。  それから、いまの日本の学校教育理念、たとえば大学なんかを例にとりましても、教育を何のためにやっておるのかということはいろいろいわれておりますけれども、日本の大学の中で一番の代表的な東京大学に例をとりましても、これは幕府以来の一つの伝統を引いて、幾つかの系統の大学を集めてユニバーシティをつくったということになっておりますけれども、そこでもっていままで果たしてきたおもな点は、やはり先進国の文化に追いついていこうというその発想の上から行なわれてきたのではないかと思うわけです。外国の有名校、ケンブリッジとかオックスフォードという学校の成立の前提となっておりますのは、向こうはキリスト教神学の究明ということ、あるいはそれを研さんしていく、そういった一つ教育理念の核があって、そこにはっきりしたものがあって、そこに創造的な研究機関としての意義があったように思います。そうした点でも、この法案に入ります前に一般的な質問として論議いたしましたけれども、明治百年といわれておりますが、現在の時点でもって本格的に考えていかなければならない問題だと思うわけでございます。  先ほどの教育理念ということに触れましては、やや形式上の問題として、そらした研修をする機会を設けていきたいということを言われました。そこにりっぱな人たちを呼んでということもありましたけれども、今度は、じゃ、りっぱな人をどこから連れてくるか、これはなかなか困難な問題でもございますし、それからやはり現在の日本の私立大学なんかを見ましても、創立当初にはやや一つの理念を持って出発していたものが、現在の大きな社会変化の波の中でもってその個性を失いつつあるものが非常に多いということも認められるのではないかと思うのです。本気でもってそういった問題と取っ組んでいくというその方向を、文教政策の指導的立場にある大臣としても提唱、実践していかれるべきではないか、いまそういったときにあるのじゃないか、そういうふうに私は思うのでございますが、大臣の御所見をここでもって承っておきたいと思います。
  132. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 なかなかむずかしいお尋ねだと思いますが、文部省という行政府におきまして、各大学あるいはその他の学校の教育の実際について、この指導とか干渉とかいうようなことはなるべく避けたほうがよろしいというのが、今日の教育のあり方じゃないかと思うのであります。ことに大学の段階ということになれば、これはよほど——御承知のように大学の自治ということも認められておるわけでございます。各大学においてそれぞれ検討をし、またみずからその方向を定めていくべきものではないかと存じます。もっともその大きな方針と申しますか、ということは憲法なりあるいは教育基本法、こういうふうなものの精神に従ってやってほしいということは申すまでもないことでありますけれども、この大学はこうあるべきとか、ああすべし、こうすべしというようなことを文部省がいたずらに干渉するということは、むしろ、戦後の教育のうちの特に差し控えなければならないような立場に置かれておるように思うのであります。一般的に申しますならば、もとよりそれぞれの大学が、その大学の使命、任務を持って大いにやってほしいということは言えるわけでございますけれども、これについて差し出がましいことは文部省としてはなるべく避けるというのが今日の文部省のあり方ではないか、このように存じております。ただ、高等学校以下の学校ということになりますと、広く国民を対象としての教育ということにもなりますので、あまりかけ離れたことがそれぞれの学校で行なわれていることも問題点があるわけでございますので、そこで一応の基準といたしまして学習指導要領というようなものを示して、その基準のもとでそれぞれの学校において教育を生かしてやってほしいというような立場をとっているわけであります。そのようにひとつ御了承いただきたいと存ずる次第でございます。
  133. 有島重武

    有島委員 ただいまの大臣のお答えについてでございますが、それぞれの学校、それぞれの特徴、それにあまり干渉しないで、しかもそれは調整していかなければならない、そういうお立場にある。それでもって済む段階であるかどうかということをいま論議しているわけであります。それで、いま一つのそうした教育理念についての論議をどんどん展開していく方向に向けていかなければならないのじゃないか、そういうふうに申し上げたわけです。ここに進んでいこうじゃないかというような一つの方向性を示さなければ、現状のままではちりちりばらばらだ、それを追っかけていくというようなことでは、これはおさまらないときがきているのじゃないのか、そういうふうに思うわけでございます。  いま大学の話が出ましたけれども、その大学から教員が輩出されてくるわけです。そしていまやっておりますこの教特法にいたしましても、りっぱな教育をつくっていく、りっぱな教員を大ぜいつくっていく、その一つの側面にすぎない。一番大切なことは、いまこんとんとしているこの問題を、教育理念の問題を本気でもってみんなで解決していこうという一つの気風を興す方向にこれを指導する——指導するというか、一つの方向に向けていくとか、そこにみんなの共感をつくっていくとか、そういうことはいま不可欠の問題ではないかと私は思うのでございますが、その点の所感を伺いたいのです。
  134. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教育の実際に当たっておられる方たちは、やはりそれぞれの創意くふうを生かして、そして教育をやってもらわなければならぬと思うのであります。そういうふうな自由な立場で創意くふうをこらすという場合において、どういう点に考え方を向けていくのがいいかとか、どういう点に重点を置いて考えたらいいのかとか、あるいはまた教師はいかにあるべきかとか、こういうような問題につきましては、大きな問題であることは間違いございません。間違いございませんが、私は、やはり現在のたてまえのもとにおいて、それぞれの教師諸君がまじめにひとつ問題と取り組んでいただくというふうな気風をますます強めていくことも、これが先決の問題じゃないかと思うのであります。われわれといたしましては、そういう気風を大いに興してやっていただきたいという意味においても、いろいろ申し上げることもあろうかと存じますが、こうあるべしとか、こうなくちゃならぬとかいうふうなことをあまりやかましく文部省が指図する、ことに教育内容にまで立ち入って、実際の教育者としての自由を制限するとか、あるいは抑圧するとかというふうなことがあってはならぬと思います。ただ、義務教育とか高等学校段階におきましては、学校によってあまりにも違ったことが行なわれておるということでもいかがかと思いますので、一応の基準を示して その範囲内において大に創意くふうをこらしていただきたい、こういうふうな考え方でもって今日までやってまいっておるわけでございます。お話のように、問題と真剣に取り組んでいこうというふうな気風を興すということに  ついては、あくまでも私どもとしても努力をしてまいらなくちゃならぬと思いますけれども、さりとて、あまりにもまた内容にわたってかれこれと命令がましいことをやっていくということは、これは避けていかなくちゃならぬ、こういうような心境でおるわけでございます。
  135. 有島重武

    有島委員 教育の方法であるとか、それからその内容であるとか、そういったことを言っているわけじゃございません。それは私は願えると思います。それで、その方向をやはり考えておいていただきたい。念頭に置いてやっていかなければ、一幾らこういった問題を提起いたしましても、やはりそこにはただ方法論あるいはそれ以前の何か別な都合の論議でもって話がなかなかまとまっていかないのじゃないか。この方向でいま進んでおる、それにはというような方向性が究極においてしっかりしてない。そこに今度三つの重要法案といわれておりますが、ありますけれども、みんないろいろの問題がございます。それで突き詰めてまいりますと、そういった一つの方向性を見失って、ただ一つの方法論のようなところに制度の問題としてだけとらえているところに、能率の悪い論議になってくるんじゃないかということを心配するわけなんです。  それで、その問題はさておきまして、また時間の関係ということをいま言われましたので、人事院総裁お時間がおありになるそうで、総裁もたいへん長い間すわっていらっしゃいまして、たいへん重労働でいらっしゃったと思いますけれども、これだけたくさんの審議があったんですけれども、文部省に対する回答でございますね、この回答は基本は変わらないと思います。これをこのように思う、さらにこれはあらためて回答してもいいんじゃないか、そういうような変更すべき、改良すべき余地があるかどうか、そのことをまずお伺いいたします。
  136. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 この回答は、実はこういう公の場で御披露しなければならぬ場面に追い込められるとは夢にも考えずに書いた回答でございますために、文章はなはだ拙劣で、こういうところで御披露するならもうちょっと文章を練ればよかったという気持ちは持ちますけれども、趣旨は大体このとおりでございます。
  137. 有島重武

    有島委員 この問題、やはり少し詳しく解釈していただきたいようなことがあります。これは二つか三つの問題点があると思うのでございますが、人事院勧告制度のたてまえ上問題の存するところである、これはこの法律案のどこにかかっておるのか。これは一つは、給与体系というものは人事院がするんだ、そういった意味でございますか。  それから第二番目には、超勤についてはすでに勧告済みである、三十九年でございましたか、勧告があったということでございますね。そのことを曲げた形になる。これはたてまえ上問題の存するところである。その二点でありますか。ほかに何かありますか、ありませんか。
  138. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 人事院の立場としては、公務員、少なくとも国家公務員であられる人々の給与関係のことは、手当をも含めて中立機関としての人事院が勧告申し上げて、その勧告を尊重して現実化、立法化の措置をとっていただくのが望ましいし、またそれが筋合いであろうと考えておるわけであります。ただもちろん、本俸に対する関係とこのような手当のようなものに対する関係とは、多少従来の扱い方に違いがありますけれも、一口に言わしていただければ、われわれの検討の結果に基づいて、その勧告によって処置されるのが望ましいことである、これは言うまでもない。しかるところ、今回の御措置はそういう手順なしに行なわれた。それについて問題なしとせずという趣旨でございます。  第二におっしゃいました、超勤について三十九年に勧告がしてあるというお話は、私どもから申し上げればちょっと違うのでありまして、三十九年の際の勧告に報告をつけて、その中に、前回申しましたように、現行制度として超勤制度がある以上は、正規超勤命令を出したならば超勤手当を払うのがあたりまえのことだということを一つうたっておるわけです。これは現行制度の運用として、正規超勤命令を出した以上は手当を払うのはあたりまえだということを言っているわけです。それから、そのあとに他方ということがありまして、超勤手当が現実には実際上あまり支払われていないということについて、たとえば捕捉しがたいとかなんとかいう事情はいろいろあるかもしれないが、それならそれで、教職員の人々の勤務の実態というようなもの、あるいは勤務の本質というものを根本的に洗っていって、そして、あるいは超勤手当にかわるべき何か方法があればそれも研究すべき一問題であろうという指摘をしておるわけです。大体いまお示しの点はその二つに尽きるわけでございます。
  139. 有島重武

    有島委員 ほかにはない。——それから「にわかに精確な判断を下し難い」ので、——これは内容についてでございました。多少急いだので、あるいはここで論議されるとは思っていなかったので、一番初めにそういうことがございました。「にわかに精確な判断を下し難い」これは逆にいいますと粗雑な判断であったということになるのでございますが、さらにその精密な判断がおありになるのかどうか。「にわかに精確な判断を下し難い」、これ、ずいぶん時間がたちましたですね。精密な判断をさらにお示しになるという御用意があるのかどうか、そういうことです。
  140. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもとしては、人事院が取り上げます以上は、どこからつつかれてもびくともしないだけのはっきりした、しっかりしたデータを積み重ねて、しかも私どもの扱っております職種は一般職、それから教育職の隣にはもう研究職というのが並んでいらっしゃる、あるいは医療職その他いろいろな職種があるわけなんで、それとの横の連係も考えながら、まず第一に確固たるデータそのものをつかまなければならぬということで軽挙盲動はできない。いわんや、これはたびたび申し上げておりますように、私どものおあずかりしております国立学校の先生というのはほんの一部分だけでございまして、国立学校の先生だけを調べるのは、いまお話しのようにあまり時間はかからないかとも思いますけれども、しかし、この間も御指摘がありましたように、しからば公立学校のほうは目をつぶって全然見ないのかというような御批判もまたあります。それはそれとして全然無視するわけにもいかないというので問題が一つあるわけで、これはしかし、われわれ自身直接に公立学校の調査をする権限は何もございませんから、あるいは文部大臣その他にお願いして、データを集めていただくほかはない。一応昭和四十一年の調査はいただいておりますけれども、私ども、なおそれについていろんなこまかい検討をしなければならぬという気持ちを持っておりますために、要するに、今日まで踏み切る段階には至っておりませんというわけでございます。したがって、にわかに精確な判断はできない。しかし、及第か落第かくらいの判断はできる。
  141. 有島重武

    有島委員 わかりました。精確な判断ということの精確というのは、データが広範に集められていたかどうか、そういった点でもって、精確なあるいは不備な、そういうようなことであったということでございますね、いまおっしゃったのは。   〔委員長退席、久保田(藤)委員長代理着席〕
  142. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 われわれ自身が責任を持って判断を下し得るだけの精確なデータが備わっておりませんので、したがって、芸のこまかい判断はいたしかねる、精確なというのはそういう意味でございます。
  143. 有島重武

    有島委員 ちょっとおかしいと思うのですけれども、精確なということと精密なということですね。ことばの問題みたいですけれども、ちょっとすりかえがあるように思うのですけれども、いま精確な判断はできないというのは、これは責任を持って言い切るだけのデータが少なかった、そういうふうにとってよろしいのでしょうか。
  144. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 精密なと精確なという違いを指摘されたのは、大いにわが意を得た御指摘なんであります。これはわざわざ精確ということばを選んで、精密ということばを避けたわけでございます。すなわち、なぜかといえば、精密的確なという意味を含めて精確といったわけでございます。
  145. 有島重武

    有島委員 そういたしますと、いつ精密的確な判断が出るのですか。
  146. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 十分慎重に検討して、自信のある結論が出るまではそれを続けてまいりたい、こういう気持ちでおります。
  147. 有島重武

    有島委員 その精密的確の基礎になりますデータの集め方そのもの一つの不便を感じておる、そういたしますと、データの集め方について、その制度といいますか、制限といいますか、そういうことについて、こういうふうにしてもらいたいという御注文がございますか。
  148. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私ども自身が調べます分には直接やりますからとこにもお願いする——むしろその調査をお受けになる大学側のほうに御了解を得ておけばそれはいいことでありますが、公立学校の関係になりますと、これは、いまの四十一年の調査も実は文部省でお調べになったことは御承知のとおりでありまして、そういう方面の調査をさらに掘り下げていこうということになれば、おそらく文部大臣にお願いしてやっていただくほかはないと思います。
  149. 有島重武

    有島委員 じゃあ現行のままでもって別に異存はない、そうすると、あと時間待ちということでございますか。
  150. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 時間待ちということもまた語弊がございますので、先ほど申しましたように、まあこの法案の進行についての、いろいろ国会の御審議なども勘案しながら、やはり私どもとしては三十九年に問題はとにかく投げたことは投げたんですから、その点についての関心を持ち続けながら、いま申しましたような態度でさらに克明な調査を進めていこう、決してこれからぷらっと遊んでおろうという心がまえではないわけであります。
  151. 有島重武

    有島委員 ぷらっと遊んでいられたんじゃ困るので、むしろこれから本格的にやっていただけることをみんな期待しておると思うのでございますよ。  その次に、この中でもって「やむを得ない」という表現なんでございますが、これは二つに分けられると思うのですが、内部的に力が及ばない、自分のほうの力が及ばないから希望を放棄しておるのだというようなことと、外部の圧力が強いので希望どおりいかないのだ、そういう二つの場合に分けて考えることができます。この場合はどっちですか。
  152. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 それが、さっきちょっと字句がまずいなという気持ちを申し上げたのはそこのところなんですよ。いまおっしゃったように、外部の圧力に対してやむを得ないというふうにとられやしないだろうかということを考えまして、ここで御披露申し上げるようなことならもっと行き届いた表現をとるべきだったと思っておるので、そういう気持ちで書いたことでないことははっきり申し上げられます。ただ、申し上げたように、的確な、何点という採点はできませんが、しかし落第にしてしまうというだけの証拠はないということですね。落第にはするまでのことはあるまいという気持ちを出しておるわけであります。
  153. 有島重武

    有島委員 落第の証拠がない、それだけでもってやむを得ず、それがやむを得ずの中身ですね。そうすると落第の証拠が見つかり次第即座に落第させる、そういうことでございますね。「やむを得ない」というのですから、もうあと少しでも瑕瑾があれば落第にしようという身がまえだ、そういう意味でございますね。
  154. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 落第、ことばがたいへんどうも幼稚なことばを申し上げて恐縮なんですけれども、落第にするだけの証拠がないというのは、たとえば、たびたび申し上げますように、いまと比べてはたして損になるかどうかという面からいえば、損にならないだろうという面、一つの実利といいますか、現実問題として一つあるわけです。それからもう一つは、こういう考え方も、かつて三十九年の報告では、一応こういう考え方、行き方のあるということは暗示はしている、指摘はしているわけですから、そこからいって間違っておる行き方であるということはわれわれとしても言えない。たとえば四%が適当であるかどうかということになりますと、はたして九十点上げていいものやら、あるいは五十点上げていいものやら、小味なことになってくると的確な判断ができない。われわれの商売としては実はその的確な判断をしなければいけない、四%が高いか低いかということですね。それから大学の先生、高専の先生方との関係で、あっちのほうの手当をどうするかというところまで考えなければ、われわれの広い分担からいいましても的確な結論にはなりませんので、そういう気持ちも含めてのことです。   〔久保田(藤)委員長代理退席、委員長着席〕
  155. 有島重武

    有島委員 わかりました。「やむを得ない」というのは、別に永久にあきらめているわけじゃない、暫定的なことだ、希望をいえばさらにほんとうに的確な判断を下したいのだ、そこに向かって今後努力する、そういうふうなことでございますね。  それで手当という問題でございますが、手当は何通りぐらいあるのか、文部省から。
  156. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 一般職の常勤職員に対しまして適用される手当といたしましては、たとえば休日給とか俸給の特別調整額とか、こういう私どもとしましては手当と見ておるようなものも含めまして十七種類ございます。それは原則としまして一般職給与法に規定されておるわけでございますけれども、いわば特別法といたしまして寒冷地手当とか、あるいは教官に支給されます産業教育手当とか、あるいは定時制通信教育手当とか、そういう三つの特別法によるところの手当がございまして、残りは一般職給与法で規定されております。
  157. 有島重武

    有島委員 ここにかかっております法案の中では、その手当について必要なことは人事院規則で定めるということになっておりますが、いまおっしゃった十七種類の中で人事院規則でもってこれを規定するというそういう手当は何と何ですか。
  158. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 いま申し上げましたように、一般職の国家公務員に適用される給与につきましては、原則として一般職給与法に規定されておりまして、したがってそれに基づく人事院規則ということで規定されておるわけでございますが、いわば特別法としまして、先ほどちょっと申し上げましたように、たとえば寒冷地手当のようなものは一般職、特別職を含めまして一つ法律で規定されておるわけでございます。そのような関係は、人事院が勧告いたしまして、その勧告に基づいて総理府令できめるといったようなことになっておりますし、あるいはたとえば特別法でも、在外公館に勤務しておる外務公務員の給与に関する法律では在勤俸等がございますけれども、これらの場合にはその支給方法の細目をすべて法律で規定しておりまして、したがいまして、こまかい細目は規定するものがございませんので、特に人事院規則できめるという形にはなっていないわけでございますが、一般職給与法の体系の中におきましては、原則として一般職給与法で定められることが望ましゅうございますし、したがってそれに基づく人事院規則で定められることが望ましいということになるわけでございます。
  159. 有島重武

    有島委員 文教関係手当の中では、文部大臣の定めるところによる、そういうようなのが一般的であると思うのでございますよ。特に人事院規則で定める、こういうものは他にどのような例があるのか、そういう問題です。
  160. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 いま特例関係を申し上げましたが、特例関係としまして、いま御指摘のものは産業教育手当と定時制通信教育手当という二本のものがございます。これにつきましては、その細目は人事院の意見を聞いて文部大臣が定めるということになっておるわけでございます。これは適用者が国家公務員の場合は微少でございまして、中心が地方公務員でございますので、この場合には人事院の意見を聞いて文部大臣が定めるというふうになっているものと承知いたしております。しかしながら、国家公務員に適用される給与体系の一環といたしましては、原則として一般職給与法で定められておりますので、そういう給与体系の中の重要なものにつきましては一般職給与法で定めることが望ましいというふうに思っております。したがって、かつ、それに基づく人事院規則で定めることが望ましいと思っておるわけでございます。  この法律は、一般職の国家公務員につきましての給与体系の重要な一環になっておるわけでございますけれども、対象がそれ以外の地方公務員の関係のウエートが相当大きいという問題とか、あるいはその他基準法の関係等も含めておりますので、一応法律技術的に特例法という形になっているということだと思うのでございます。したがって、その手当の出し方、細目については、一般職給与法の体系の一環であるという意味におきまして人事院規則で定めることが妥当だというふうに考えております。
  161. 有島重武

    有島委員 いまこちらで伺っているのは、妥当だとか、どういうわけだとか、そういうことを伺っているのじゃないのですよ。ほかに例があるか、そういうことを伺っているのです。  それともう一つは、大きな前提の上に立って、人事院の勧告を受けてこれを定めていくのだということは、一つの自明的なことだと思うのですよ。これはストレートに 「教職特別手当に関し必要な事項は、人事院規則で定める。」、こういうような表現のものがほかに例があるかどうか。
  162. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 直接同じ例はございません。
  163. 有島重武

    有島委員 似たような例があるのですか。
  164. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、特別職を含めて規定されております寒冷地手当につきましては、人事院の勧告に基づいて支給細目が総理府令できまるという形になっておるのもございますし、あるいは産業教育手当等につきましては、人事院の意見を聞いて文部大臣が定めるという形になっているのが近い例でございます。
  165. 有島重武

    有島委員 そういった例のほうが多いわけですね。近いといっても、それ以上遠いのはあんまりないみたいに私は思うのでありますが、どうしてこの教特法に関してはこういったふうにしたのか。これは人事院でこういうふうにしてもらいたいということになったのか、文部省側からのきめ方であるのか、その辺のことを総裁にちょっと伺いたい。
  166. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 結論を先に申しますと、こうしていただかないとわれわれとしては困るというのが結論です。それはいま申しましたようにいろいろな例はありますけれども、本来はこれらのことは、国立学校の先生の分は一般職給与法の中に入れて、みな人事院規則で定めるというそのたてまえの中にはまっておるのが当然でありますけれども、たまたまこれは暫定法ということでこちらのお座敷のほうへ引っ越されただけのことで、本質はあくまでも人事院規則できめるようにしておかないとこれは落第ということになりかねない、こういうことでございます。
  167. 有島重武

    有島委員 これは文部省側の本意ではないけれども、任意にはまかされない、信用し切れないからその分だけはちゃんとこっちにキープさせてくれ、そういうようなニュアンスに私は伺ったのでありますけれども、これでもって一つの問題は、文部大臣はこのことについてどのように思っていらっしゃるか。
  168. 天城勲

    天城政府委員 私どももいまの人事院の御見解と同じでございます。  ちょっと補足いたしますが、手当の支給に関する事項というのは、やはり統一的に人事院の規則で定めるのが適当である、このように考えておるわけでございます。
  169. 有島重武

    有島委員 文部省側からいえば、これはやっかいな問題だから向こうに押しつけたような形になってしまうのではないかと思うのでございますが、文部省としてやはり一つ見解を持つべきではないか、そういう点はどうお考えになっていますか。
  170. 天城勲

    天城政府委員 これは手当の支給についての細則でございまして、先ほど来人事院からお話がありますように、諸手当、いろいろございますが、原則として人事院がそれらの諸手当の間の調整をはかりながら細則をきめておられるわけでありますから、そういうことは専門の人事院でおやりになることが適当である、このように考えております。  ただ、文部省の、何と申しますか、めんどくさいから人事院にお願いしたとか、あるいは文部省の持っている何か独特の判断を人事院にゆだねてしまったとかいうような意味では毛頭ございませんで、必要なことは十分に御相談できるわけでございまして、むしろ一般の諸手当に対する扱いの例にならったというつもりでおるわけでございます。
  171. 有島重武

    有島委員 一般の諸手当の慣例にならったといいますと、たとえば産業教育手当ですか、あの場合とこれは違うわけですね。
  172. 天城勲

    天城政府委員 こまかいいきさつがございますが、これらの法律は議員立法でございまして、いまの産業教育手当にいたしましても議員立法でございますので、この辺の扱いはいろいろ御判断があったと思うのでございますが、原則として、国家公務員である職員の給与の扱いというものは、やはり本来人事院の所管に入るという原則一つあると思います。特に諸手当の支給につきましては、一般職の職員給与法に関連いたします諸手当は、先ほど給与局長から御説明がございましたが、十七種類あるわけでございまして、それはすべて人事院で支給の方法とか時期とかの手続は規定されておりますから、それと同じ扱いをするのがむしろ本則ではないか、このように考えたわけでございます。
  173. 有島重武

    有島委員 こまかいいきさつということは、どういう話ですか。
  174. 天城勲

    天城政府委員 たいへんことばが不適当でございましたけれども、産振法のような法律には議員立法であるといういきさつ、それをちょっと申し上げようと思ったのでございまして、こまかいということばは不適当でございましたから取り消します。
  175. 有島重武

    有島委員 そうすると、将来はといいますか、ほんとうは望ましい姿は人事院でもって大ワクをはっきり明示してもらって、文部省が文部大臣の権限のもとにきめていく、そういった産業教育手当、こっちの原則にほんとうはしたいわけですか。
  176. 天城勲

    天城政府委員 いま私申したことはその逆な、むしろ原則になっているのでその原則に従ったということを申し上げたわけでございます。
  177. 有島重武

    有島委員 ほかの手当は多少変則であって、これがほんとうの原則である、そういうふうな意味でございますね。
  178. 天城勲

    天城政府委員 繰り返して申しますけれども、国家公務員に関する給与法の扱いについては、諸手当の扱いは人事院規則で定めているというのが一応の本則でございます。ただ議員立法とかあるいは特殊な、ちょっといまほかの手当の例は、私あいまいでございますので具体的に申しかねますが、こういう一般職の職員の給与法でない形でできた法律には間々こういう例外的な扱いがございますけれども、いわゆる給与法の系統でいきますと人事院がこの仕事をするというのが本則だと私は思っております。
  179. 有島重武

    有島委員 先ほどの人事院のほうのお話ですと、十七種類の中でこのようにストレートに書いてあるのは、これ一つだ、ほかのものはこういうようなストレートに人事院規則だけでもってコントロールするのは、ほかに例がなかったわけなんですが、そっちのほうが本則である、そういうことですね。
  180. 尾崎朝夷

    ○尾崎政府委員 先ほどから申し上げておりますように、一般職の国家公務員の給与につきましては一般職給与法で規定し、そうして一般職の給与法で人事院規則で細目を定めるというのが原則でございます。したがいまして、たとえば今回のように特例法で定められる場合がございましても、その細目等につきましては、同じように原則に従いまして人事院規則で定めることが適当だというふうに思っております。
  181. 有島重武

    有島委員 これは必要な事項とありますけれども、この必要な事項の中身は何ですか。
  182. 天城勲

    天城政府委員 これは給与でございますから、支給の方法に関する規定でございまして、いつ支給するかとか、支給の場合の、ほかの手当の例で申しますとどういう範囲で出すかとかいうことが規定されると思っております。
  183. 有島重武

    有島委員 ちょっとその原則は、それこそ特例といいますか、そうでないほうの問題が扱っておる手当の中のたった一つだけのほうが原則なんだ、そういった結論になりますね。
  184. 天城勲

    天城政府委員 これは先ほど来人事院が申されているように、十七種類ある手当というのは全部人事院が支給についても規則をきめられておるわけです。ですから原則はそちらなんでございます。ですからこれが特例であって、これは原則だと申し上げておるわけじゃございませんで、手当というものは、先ほど来申し上げている十七種類ございましたか、人事院が言っている十七種類というのは全部人事院が規則は定めている、それが原則だからそれにならったということでございます。
  185. 有島重武

    有島委員 教職員の給与のこれからの望ましい体系をお考えになっていくと、いままでも考えられておると思いますけれども、この問題はなかなか困難な問題なのでこういった暫定措置をつくられたのである。そう受け取るわけでございますが、この給与体系を考えていくその主管、作業していくのはどこでこれを行なっていくのか、文部省としてはどこですか。
  186. 天城勲

    天城政府委員 文部省のいまの制度で申しますと、国立学校の教職員の給与につきましては官房の人事課が扱っております。それから公立学校の先生給与問題につきましては初中局で所管いたしております。
  187. 有島重武

    有島委員 これで配慮をしなければならない政府関係機関がほかに幾つかありますか。それから、そうした政府関係の機関以外のものでやはり配慮を加えていかなければならないといった大きな要素がありますか。
  188. 天城勲

    天城政府委員 御案内のように、国家公務員の一般職の職員の給与に関しましては、人事院の勧告に従って内閣の人事局で政府としては処置するという仕組みになっておることは御存じのとおりであります。したがいまして、やはり人事院、内閣の人事局というものが大きなウエートを占める関係機関になると思います。予算の問題でございますから当然大蔵省の問題も入ってまいりますし、また地方の公立学校の先生の問題になりますと、地方公務員でございますので、また地方財政との関係もございますので、これは自治省等の関係もきわめて深いものがあるわけでございます。政府部内機関的に申しますと、少なくともそういうところは給与問題に対して一番関係の深い省庁であります。それ以外というお話でございましたが、ちょっと最後聞き漏らしました。
  189. 有島重武

    有島委員 ですからいまおっしゃいましたね。大蔵省と自治省と人事院、三つおあげになりましたね。これは政府関係の機関でございますが、そうではない要素、教員のほうであるとか、そういう配慮を加えなければいけないという要素ですね。いま現実に配慮を加えていらっしゃる、あるいは加えるべきである、相談すべきである、そういうふうに思っていらっしゃる機関ですか、そういうことはありますか。
  190. 天城勲

    天城政府委員 配慮すべき機関という意味で的確にお答えができかねるのでございますけれども、おそらく広く関係者の意見を聞くという意味での政府機関以外の関係者という意味にとってよろしいなら、機関というのではなくて関係者という意味にとれば教育関係でもいろいろな組織がございます。そういうところでも従来から給与に関していろいろな御検討をなされておることも事実でございますし、われわれのほうへ意見を出されたこともたくさんございますので、そういうところの意向ももちろん十分しんしゃくしなければならぬということは考えております。
  191. 有島重武

    有島委員 関係者の意見、これはいろいろな組織がある、これは聞かなければならぬと思っておる。それはいま幾つか例をあげて言っていただけますか。
  192. 天城勲

    天城政府委員 従来とても給与問題に関していろいろ意見を述べられておるところがありますので、その例から申し上げますと、教職員団体あるいは職能団体としての校長会あるいは国立大学協会等がございます。
  193. 有島重武

    有島委員 教職員団体それから職能団体それから国立大学協会、そういった例がある、これを公聴会という形でお聞きになっておる、あるいは会を開くまでもなくていろいろ受けていらっしゃるということであると思いますけれども、そうした関係者からの意見というものが何かまとまった形でもって記録されておりますか。
  194. 天城勲

    天城政府委員 過去のお話だと思うのでございますが、過去におきましては意見書の形で出ておるものは幾つかございます。もちろん文書になっているものはございます。
  195. 有島重武

    有島委員 それは古い話に属するんですか。それともいま問題になっておりますこの教特法案に関してのそういった記録があるんですか。
  196. 天城勲

    天城政府委員 私、いままで一般論のお話で御答弁申し上げておりましたけれども、いままでは一般の給与問題というお話でございましたので、その前提で御答弁申し上げておりましたけれども、特にこのたびの手当の問題に関しましては、具体的に、何と申しますか、もう少しことばを変えますと、この案に至りますまでの間に、教員の時間外勤務に対する措置、そういう意味でそれに対する意見がいろいろあるわけでございますが、それらに対しての御意見というのは、団体によって違う意見は、私も聞いております。伺っておるわけでございますが、たとえばこまかい文書になって報告書のような形でこれはまとまっているわけではございませんで、団体から出てきた意見というのはわれわれも承知いたしております。
  197. 有島重武

    有島委員 いまの関係者の意見ということは、やはり重要視しなければならない問題じゃないかと思うのでございます。ここでは国会の立場、国民全体ということでもって論議しておりますけれども、出すほうの側と、それからもらうほうの側、それの意見がはっきり出なければ、これはやはり非常に一方的な印象を受けるわけでございます。それで、いままでいろいろなところからお聞きになったそのいろいろな問題なんでございますが、どういうほうからどういう意見があったのか、それを大体ここでもってお話しいただけますか。
  198. 天城勲

    天城政府委員 特にこの時間外の勤務に対する給与上の措置に対しましては、昨年の夏以来——その前からいろいろ議論ございましたけれども、去年の夏から秋以後、この最後の決定に至りますまでにいろいろな御意見がございました。これは簡単にそれぞれの御意見を御紹介することも、それぞれの思想があったり深い関連がほかにもある問題でございますから、あまりはしょって申し上げると、それぞれの案の趣旨を十分伝えないことになるかもしれませんけれども、ごく大ざっぱに分類をいたしますれば、やはり時間外の勤務に対する措置であるから現行超過勤務手当でいったらいいじゃないかという意見と、それからやはり基本的に教員勤務特殊性ということにかんがみ、また従来の経緯からかんがみて、主として本俸を中心に給与体系の上からこの問題を考えていくべきじゃないかという御意見、それ一から何らか——どちらというわけでもない、本俸でもない、現行超勤手当でもない新しい制度を考えるべきじゃないか、大ざっぱに分ければこのように分類してみることができるのじゃないかと思っております。それぞれの中におきましてもいろいろなニュアンスがございますが、大ざっぱにいえばいま申し上げたような分類ができるかと思います。
  199. 有島重武

    有島委員 ここでずいぶんたくさんの議論がなされましたけれども、そういうような資料があれば、さらにこれは参考人を呼んで聴取したこともございますけれども、さらにその前にいろいろなことがあった。客観的にこれはそちらでもって表現することができる問題でございますから、これはどういう方面からはどのくらいこういう意見があったのか、そういうことを資料としてお出し願いたいと思いますけれども、可能ですか。
  200. 天城勲

    天城政府委員 いま私申し上げたようないきさつは事実でございますが、資料としてそれを文書にするということは可能でございますけれども、どこの団体がどういう意味でどのカテゴリーに入るかということを、正確に私たち分類しかねることがございますので、先ほど申したような大ざっぱな分類をして見れば幾つくらいだといったような前提で何かまとめるというならば、まとめてみることはできると思います。
  201. 有島重武

    有島委員 それでは三つでもけっこうです、四つでもけっこうです。大体こういった、たとえば給与体系の上から考えろといったことについては、似たような問題だけれどもニュアンスが違うのはここへこういうふうに出ているので、大体そういった典型的なものだけでもけっこうでございますから、資料を出していただきたい。  委員長、その資料をお願いしたいと思います。
  202. 天城勲

    天城政府委員 資料という意味は、いまここで質疑がかわされましたような点を文書で書くという意味で了解してよろしければ、そういう意味での資料をつくってみたいと思います。
  203. 有島重武

    有島委員 人事院総裁に伺いますけれども、いま給与体系をつくっていくという意見があるということでございますけれども、それは新しい給与体系をつくっていくということ、それから給与体系から考える、まあいろいろあるそうです。ここに資料が出ておりませんけれども、いままでもまあいろいろな論議がございました。人事院のほうの御判断ですね。これはなかなかたいへんなんだと思いますけれども、資料を集めて判断ができる、それは確かにそうでございますけれども、資料の集め方というのは、一つの判断、一つ前提に立って資料をお集めになるのであると思うのでございますよ。それで人事院としては、新しい給与体系というようなものを今後考慮するという前提のもとに、作業をお始めになる意思がおありになるのかどうか。
  204. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 国立学校関係給与体系の本元は、すでに御承知のように教育職の俸給表という形でできております現状では、それに超過勤務をすれば超過勤務手当をやるという、それはそれとして一つ筋の通った制度になっておるわけであります。その形から今度は新たなる形に変わろう、展開しようということがいまの問題の根本になっておるわけでございます。そのためには、そのためによほど精密的確なる調査をして基礎ができないと、これは人事院として責任を負える体系はできないということでございます。したがいまして、現実を的確に把握するということは私どもの調査の基本になるわけでございます。
  205. 有島重武

    有島委員 そのデータを集める、これは言い出せば切りのない話でございますが、大体一年かかって文部省側としてはやると言っております。それだけの資料を大体基礎にいたしまして作業を開始していく。そうすると最低一年はかかるのか、一年何カ月ではできない、二年かかるのか、二年何カ月ではできない、そういった目安はいかがでございましょうか。
  206. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 あまりどうも軽々しい御答弁はできないと思います。やるということになれば、それは一生懸命やらなければいかぬ。しかし、その結果がいつまとまるかということについては、いまはっきりしたことを申し上げる段階ではございません。
  207. 有島重武

    有島委員 いつまとまるかということをここでもって言っていただきたいというわけではございませんけれども、最低何年くらいは必要であろう、その最低基準、これ以下にはならぬであろう、困難である、不可能である、そういう見当はいままでの御経験から十分おつきになると私は思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
  208. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 われわれの当面所管しております国立大学だけでしたら何千人程度の先生方しかいないのですから、戸別訪問してアンケートをとってもそんなに時間はかからないと思いますけれども、先ほど申しましたように公立学校のほうの関係、ほんとうをいえば先生方についてはそっちが本体なんで、国立学校のほうは九牛の一毛ということになりますから、なかなかそこのところはわれわれの立場としてはむずかしいところで、最初申し上げましたように、人事院の傘の中に全部入っていただければきわめて簡単だ、これはぐちになりますけれども、そんな気持ちさえ起こるということになります。
  209. 有島重武

    有島委員 それは範囲の話でございますね。いま時間を聞いているのです。最低どのくらいはかかるのか、十年かかりますか。
  210. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 この法案がかりに実施に移りまして、そして暫定的な法律としてこれが運用されていくというときに、われわれがのほほんとして遊んでいるというわけにはいかないと思います。欠点があればすぐ見つけてやらなければならぬ。それは事柄の当然のことでありますから、あえて申し上げることはないというふうに考えております。
  211. 有島重武

    有島委員 十年はかからないというんですね。
  212. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 たぶんそんなにはかからないと思います。
  213. 有島重武

    有島委員 それじゃ五年ぐらいはどうですか。
  214. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 まあ、その辺が一応のめどとしてはほどのいいところではないかと考えております。
  215. 有島重武

    有島委員 そうすると当分の間、暫定措置というのは人事院総裁のお心の中では大体五年ぐらいである、そう思っていらっしゃるのであると理解してよろしゅうございますね。
  216. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 それはまたそうなっては困るので、おそくとも五年ぐらいだろうという気持ちを申し上げたので、五年までは絶対ねばりますという趣旨で申し上げているわけではございません。
  217. 有島重武

    有島委員 おそくとも五年とおっしゃったのですか、早くともですか、おそくとも五年というと五年以内ということだ、そうですね。五年以内という大体目途でもって作業をなさる。  今度は文部大臣に伺いますけれども、この当分の間の暫定措置として手当を出すという問題と、超勤をはずすという二つの問題があるわけでございます。そこで、そうした暫定措置をしなければならないという条件が取り去られれば、当然超勤除外というようなことはもとに戻すというお考えがおありになりますか。
  218. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 われわれといたしましては、いわば現行法における超勤手当の方式は適当でないという考え方のもとにこの案を提出いたしておるわけでございますので、もとに戻るというような考え方はいたしておりません。
  219. 有島重武

    有島委員 では、永久に教員超勤手当をはずす、そういうようなことですか。
  220. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題につきましては、先ほど来質疑応答が行なわれている教員給与に関する全般の問題ということがこれからの問題ということになってくるわけでございます。これについては相当な期間をかけて調査もし、結論も出さなければならぬと思っておりますが、いま私どもがこの案を提出いたしております考え方、いわゆる正規勤務時間をこえた勤務に対する手当の問題としての考え方というものは、少なくともこの時点においてお聞きになりますれば、私どもこの考え方は依然として残るというふうに思うわけであります。全体の給与の支給のしかたがどういうことになりますか、これによってこの案が生きるか死ぬかという問題はあろうかと思いますが、時間外勤務というものに対するものの考え方としましては、いまの考え方というものが動くことはないであろう。ただ、時間外勤務というものを取り上げての給与をつくるかつくらぬかということも問題になるわけでございますが、そのときのきめ方一つにもよろうかと思うわけでございます。繰り返して申し上げるようでございますが、時間外勤務というものに対する何らかの措置をしなければならないという場合に、現行法による超勤手当というような方式には返っていいものとは私は思っておりません。
  221. 有島重武

    有島委員 現行法に戻れという意味で言っているのではございません。それは暫定的なものである、人事院のほうもやむを得ない、意味がややはずれますけれども、超過勤務手当という問題は、いままでも非常に論議の的になっておりますけれども、超過勤務を普通出すほうがあたりまえなんだ、そういうお考えなのか、出さないほうがノーマルであるというふうにお考えになっておるのか、その辺ですね。世界的に見たときには、どこでも一応労働基準法のほうをノーマルとして考えておる。いま本法は特例法というのでございますから、どこまでも出すほうがノーマルな考え方である、そういうふうに教員に関しても超勤手当をつけるということのほうがノーマルであるのだというお考えは変わりございませんね。
  222. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この案をつくるに際しましても、先ほど来お話もいたしておりますように、いろいろな意見があったわけでございます。その中には本俸を十分引き上げることによって超勤手当を出さないというような考え方もございました。いま私どもが調査しようといたしておりますのは、結論を予定いたしておるわけではございません。十分調査をいたしました上で、われわれも考え、また関係方面の御検討も十分お願いいたしまして、できることならりっぱな給与体系をつくりたいという希望を持っての調査でございますけれども、それの結論をどうしようというような予定した考え方でもって調査をしようとは思っておらないのでございます。そういうことでございますので、いまわれわれが考えておりますことは、ともかく問題となっておる時間外の勤務というものに対する給与をいかにすべきやという立場から考えておるわけでございまして、時間外の勤務に対しては何らかの措置を講じなくちゃならぬということが前提となってこのような案ができておる、それ以上のことは現在といたしましては考えておらない、予定はしておらないというふうに御了承願いたいと思います。
  223. 有島重武

    有島委員 ただいまおっしゃった中に、小さい声でするっとおっしゃるので聞きのがしてしまうのでございますけれども、給与を上げることによって超過勤務手当を出さないようにするというようなお話もございましたけれども、それも非常に問題な点でございまして、超過勤務手当を出すということは給与の多い少ないとは関係のない話である、そういうことになりますね。超勤というのは本来は過重な労働をさせないのを原則とするんだというその歯どめにあるだけの話でございますから、給与を上げるという問題と分離して考えなければいけないじゃないか。この法案にも分離して書いてあります。書いてあるのだけれども、お考えの中に、どうしても分離しないで、これをやるからこっちは引っ込めろというその発想がある限り、これはたいへんな、いつまでたっても解決できないしこりが残るのじゃないか。
  224. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私の申し上げたことがあるいは不十分であったかと思いますが、私がそのような発想を持ってものを考えておるわけではございません。この問題をいろいろ検討します際にそういうふうな意見もあったということを申し上げているわけでございます。それを私どもは採用しておらないのでございます。勤務時間外の給与というものに対して何らかの措置を講ずべしという考え方のもとにこの案ができておるのでございまして、いまのような点は、そういう議論もあったということを申し上げたにすぎないのであります。そういう考え方のもとにこの案ができておるということでは毛頭ございません。
  225. 有島重武

    有島委員 そういう意見もあったけれども、私はその意見はとらないという大臣のお話でございます。ですから大臣は、望ましき給与体系ができたときには当然超勤というものは残っておるんだ、そういうお考えでありますね。
  226. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 望ましき給与体系というものがどんなものができるかということについては、いま私どもが予定しているものはないのでございます。そのときの問題だと思います。少なくともこの時点において申し上げられることは、そういうことは考えていないということであります。
  227. 有島重武

    有島委員 その給与体系の中にやはり二つの問題があると思うのです。給与体系というのは分に応じて望ましい給与を与えていくということであります。もう一つの問題は、過重な労働をセーブするというだけの問題でございますね。ですから、この二つの問題はどこまで行っても平行してあるのではないか、それを一つに取りまとめてしまうということは無理があるのじゃないか、それが一般的な見解だと思います。それで、これは一時的ないわば変則的なものであるということを、労働省、人事院のほうもお認めの上でもって、いま人事院のほうから大体五年のうちに一つ給与体系のめどがつくであろうということでございますから、五年間はひとつ変則的なことであるが目をつぶってついてこい、そういうような印象を受けるわけでございますが、御所見を承りたい。
  228. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 何年先のことになるかわかりませんが、(有島委員「五年」と呼ぶ)五年なら五年といたしまして、その場合にどのような給与体系というものができ上がるかということによって、この案についての考え方というものが変わってくるだろうと思います。それまでに格別のことがあれば別でありますが、いま私ども申し上げられることは、そのような本格的な給与体系というものが樹立せられた、どういうふうなものができるかということによって、いまの考え方に影響を生じてくるかこないかという問題が出てくるだろうと思うのでございます。
  229. 有島重武

    有島委員 大臣のお考えがわかりました。現在としては俸給を上げることによって超勤手当を除く、そういった意見については賛成しておらぬ。それが一つです。今度新しい給与の場合には一切御破産にして、どういうものが出るかわからぬ。そういうことになりますね。
  230. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大体そういうことになろうかと思います。
  231. 有島重武

    有島委員 そのお考えの中に非常に危惧の念を抱く者が多いわけでございます。いままでも論議になりましたので、もうこまかいことは全部省略いたしますけれども、未定量の労働をしいるのではないかというような論議、これは理論としては可能なわけでございますよ、ここに書いてある限り。確かにここには、時間外の割り増し賃金に関する労働基準法等の規定は適用しないこと、及び公務のため臨時の必要があるときには時間外の勤務を命ずることができるというような趣旨のもとに法律がつくられておりますから、これは理論上は可能なわけでございますね。そういたしますと、常識上そういうことはない、それは確かにそうでございましょう。そういたしますと、この法が成立するためには、一応これは常識的なことは信じろ、そういうことが前提になりませんとこれは通用しない、そういうふうに解せられます。いかがでございますか。
  232. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 われわれとしましては、前々から申しておりますように、なるべく正規勤務時間内でひとつ勤務はおさめてもらいたいというような考え方をいたしております。むやみやたらに時間外勤務を命ずるというふうなことは、労務管理の上から申しましてもいかがであろうかと思うので、そうでなくて、できる限り正規勤務時間の範囲内で仕事が終えるように管理はしてもらいたい。しかし、やむを得ない場合には超過勤務を命ずることも、これはやむを得ないと思いますけれども、原則としてはそういう考え方でもって指導してまいりたいと思いますし、また、現場の当局がいたずらにただ超過勤務を命ずるというふうなことは、この法律を実施いたしましたからと申しまして、私はあり得ないことだと思うのであります。やはり教員が健康であって日々の業務を元気よくやっていただくということが一番大切なことであります。近代的な労務管理というふうなことも種々いわれておるときであります。決して昔のような勤労をしているというようなことのないようにするのが、これを管理する人たちの当然の責務であろうと私は思うのであります。  そういうような意味におきまして、常識を信じろというふうなおことばもございましたが、ことばが適当かどうか存じませんけれども、そうむちゃなことをやるようなこともありませんし、また、むちゃなことをやるようではわれわれのほうからも十分に注意を加えてまいりたいと思っております。この法律を実施するに際しましても、労働省のほうからも御注文がございまして、決して、従来のような勤労に対するわれわれの態度を変えるとか、無定量な勤務をしいるというような、むちゃくちゃなことをやるのではないことだけはお約束しているわけでございます。その方針でもって臨んでまいりたいと思っておるわけでございます。
  233. 有島重武

    有島委員 それは、この場でもって大臣からお答えをいただいておる限りは、むちゃなことをやるはずはないと思う。これはそう信じていきたいわけなんですけれども、それを信じられぬという人もおるわけですよ。信じろという裏には、裏切らないという一つの保証というものが必要じゃないかと思うのですが、絶対それを裏切るようなことはないという保証はどこにございますか。
  234. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、事の性質上から考えまして、学校の教師の勤労というものを考えました場合に、そうむちゃくちゃな労務管理をやるようなことはあり得ないと実は思っておるわけでございます。いやしくも良識のある者でございましたら、そのようなばかなことをやるはずもありませんし、もしそのようなことをやる人があるとしますれば、私どもも十分行政指導をしてまいりたいと思うのでございます。
  235. 有島重武

    有島委員 良識がある者なら無定量な労働をしいるはずがない。それはそうなんですけれども、それに似た、無定量とまではいかなくても、かなりきついところ、それは校長さんによりまして、あるいは地域的な事情によりまして、あるいは経済上の事情によりまして、現実に行なわれておるところもあるのです。それで、そういったところでは、これ以上やられてはかなわぬという危惧を持つのも当然である。これもやはり考えなければならないと思うのです。いかがでございましょうか。
  236. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今日までの状態におきまして、私は、学校長命令をいたしまして、そして無定量な勤務を命じておるというふうなことがあるものとは実は考えないのでございまして、もちろん勤務の関連事項といたしまして改めなければならぬ点もあろうかと思います。いろいろな事務の中で、なるべくその事務的負担を少なくするというようなことで、外側から考えなければならぬ問題も多々あろうかと思うのであります。そういう点もございますけれども、教員の健康も何も考えないでむちゃくちゃに教員勤務を命ずるようなことはまずなかろうというふうに私は思うのでございます。
  237. 有島重武

    有島委員 これは非常に主観的な問題を含むわけでございます。健康と福祉でございますけれども、弱い人はすぐまいってしまいますね。タフな人は三日も四日も寝ないでも平気でやる人もおります。これは、そういうことになりますと、弱い人のほうが少ないということに、やらないでもこれは適用される、これも主観の問題ですよ。そうなりますと、裏切る意思がなくても、意思はなかったのだけれども結果としては裏切るようになったというようなことも起こり得るわけなんです。超勤の上で裁判になったような場合でもですね、これは別にそこにやっつけ合うという意思があって始まったことでない場合もありますし、そういった点も考えなければならない場合もこれはあるでしょう。  そういった非常に主観的なものでございますと、さっきやむを得ずの話がございましたけれども、やむを得ず当分の間、別な要素のある力でもって、その横押しによって、結果としては裏切ったと同じような、無定量なことは言わぬといいながら、それは無定量じゃないけれども、過重であると認められるか認められないかすれすれのようなことが起こって、これが争論の種になるということは、これは重々考えられるのじゃないのでしょうか。
  238. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題につきましては、いろいろ議論をすれば、有島さんのおっしゃったような、極端な場合ということがあり得ないとは私は申しませんけれども、そういうことがあってはならぬので、やはりりっぱな労務管理をするように管理の責任者としては考えていかなければならない問題でございます。そういう点をもし御指摘になるということでありますれば、十分労務管理上の注意をしていかなければならぬ問題でございまして、原則としては、先ほど来申しておりますように、なるべく超過勤務というようなことはしないで済むようにやってほしいということが、私どもの地方に対する指導の方針でございまして、それはあくまでも徹底してまいりたいと思っております。
  239. 有島重武

    有島委員 この法案は、とにかくそれだけの信頼感ということが前提にならなければこれは成立しないのだということは、これはぜひとも注目しなければならないのだと思うのです。そういたしまして、では現状はどうであるかということですね。信頼し合えるような状態にあるかどうか。  これは福岡のことでございますけれども、春の異動でもって新任された県立高校を主とする校長の話でございます。これはおとといの新聞の記事でございますが、十一人の校長が着任するのを県の教員のほうでもってこれを拒否したというのですね。それは、教育委員のほうでは、「校長になにがなんでも着任せよと指令。このため、暁のしらじら明けに学校に入りこみ、ほんのつかの間校長のイスにすわるなどという窮余の策もとられた。あげくのはて、県立水産高など三校では警官出動を要請、ピケラインを強行突破したという」話があった。「この騒動にまきこまれ、とまどったのは生徒たち。なにしろ連日登校のたびに、校長先生方とのもみあいを見せつけられる。とどのつまりは警官隊のカキ根——これでは落着いて勉強できょうはずがない。」、これは囲み記事でございますが、事務当局のほうにこの事実をちょっと確認しておきたいと思いますが、こういうことはあったのでしょうか。
  240. 天城勲

    天城政府委員 福岡県におきまして、県立高校の校長の異動にあたり、新任校長十五名に対しまして、そのうちの十二名に対しましてそれぞれの学校で着任拒否の事実がございまして、すでに四十数日たって、その間いろいろのあっせんが行なわれたわけでございますけれども、結論として、五月の十一日でございましたか、いまちょっとはっきりいたしませんが、三校についていまお述べになったようなケースがあったことは報告を受けております。
  241. 有島重武

    有島委員 これについてこの新聞の記事を書いた人は「きょうはいいとして、あすはどうやって登校するのか。白眼をむく先生と何をどう話合えばいいのか。生徒に事態をどう説明したらいいのか。相互の信頼感が失われたなかで、学校が正常に運営できるものかどうか。疲労と焦りに血走った目をつりあげ、ピケ隊の頭上をおどりこえてはみたものの、校長さんはただ途方にくれるばかりであろう。なによりも、警官隊をおともに登校して、どんな民主教育がやれるというのだろうか。」と言っております。こういったことについて、いままでの信頼してもらいたいというお話と、こうした問題が現実に起こっていること。まず、いまのこの事件についての大臣のお考えなりお感じを承っておきたいと思うのです。
  242. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、そのような教職員の人事につきまして権限がある委員会がその人事を発令いたしました場合に、あのような姿によって抵抗せられるというようなことはいかにも残念だと思っております。何とか両者の間がああいう姿でなくてあってほしいものと、このように考える次第であります。
  243. 有島重武

    有島委員 そういうことは、これは生徒たちが思っている話なんですよ。父兄たちが思っている話なんでございますよ。それで文部大臣の責任、国務大臣のお立場として、これを単に制度の問題として、いまちょちょっとおっしゃいましたね。そういうことでなしに、大臣の責任の上からはどのようにお感じになり、どのように手をお打ちになったのか、そういうことを伺いたい。
  244. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題については、何と申しましても教育委員会教員の問題でございます。教育委員会におきまして事態についてどういうふうに対処せられるか、こういう問題であり、同時にまた、教員の側においてこのような問題についてどのように対処するかという問題であろうと思うのでありまして、いま私は、この問題につきましては格別の指示、指導というふうなことをいたします前に、まず当事者であるところの教育委員会及び教員の間において、生徒にかれこれと思われるようなぶざまなことはしないようにしてほしいというのが私の気持ちでございます。一々いまどうしよう、こうしようということは考えておりません。
  245. 有島重武

    有島委員 じゃ、さしあたってどういうことをしようということは考えていない。問題の本質はどこにあるか、そういうことはお考えになっておると思うのでありますが、その点はいかがでございますか。
  246. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、この教育委員会のとりました措置というものは、教育委員会の権限に基づいて公正な人事をやったものだ、このように思っておるわけであります。これに対しましては、やはり一応それとして受けてもらうのが当然じゃなかろうか、このように思っております。第三者のかれこれ抵抗によりましてその人事がスムーズに行なえないという事態、これはよほど改善しなければならぬ事態じゃなかろうか、かように思っておる次第でございます。
  247. 有島重武

    有島委員 この問題は、いま人事院総裁の時間の都合があって、それで山中吾郎先生のほうから質問があるそうですから、いましばらくストップさせていただくことにして一それでは続けます。  問題の本質はどこにあるかというふうに伺ったのでございます。それで、この問題の解決法は当事者間でもって話すべきである、そういう問題の解決法、それはいろいろとあると思います。しかし、問題の本質は一体どこにあるのか、それを見きわめていくのは、これは責任者の問題ではないかと思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
  248. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私の承知いたしておるところでは、問題の本質と申しますのは、何か何年間かの間の慣行に反したことを教育委員会がやった、こういうふうに聞いておるのでありますが、その慣行というものがはたしてどういうものでございましょうか。私どもにとりましては、人事につきましてはもちろん教育委員会としては慎重な人事をやるべきことは、これは当然なことであります。また、公正な人事をやることも、これは当然のことでございますけれども、しかし、その人事を決定するのは、他の力、他の方面との約束とか何とかいうことで縛られるべき性質のものではないと思うのでありまして、いまのように何か慣行があったということでありますけれども、そのようなものが慣行として教育委員会が縛られなければならぬ性質のものであるかどうかということになりますと、非常に疑問があるように思うのでございます。今回の教育委員会のとった措置というものについて、私は格別不当なことはないように承知いたしておりますが、もし不当な点があれば、これはまた別でございます。
  249. 有島重武

    有島委員 ただいまおっしゃったのは問題の経緯でございます。問題の運び方がこうであった——どういうことがきっかけになったのか、同じきっかけであっても必ずそういった騒ぎが起こるとは考えられませんし、実は起こるほうが何かおかしいような感じがいたします。そうすると、問題の本質というのはどこにあるのか、それを伺っているわけです。
  250. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は別に——問題の本質ということでございますが、その問題となった点は従来のやり方と違っておるじゃないかというところにあるのじゃなかろうかと思うのであります。それ以外に格別本質とかいう問題はなかろうと思います。
  251. 有島重武

    有島委員 それはことばがちょっとおかしいと思うのでございますよ。従来の慣行と違っているというところが本質だ、こうなりますと、従来の慣行と違えばいつもこういう騒ぎになるのかということになるのです。それは本質というのではなくて、一つの、もうそれ以前にある対立があって、それでたまたまそういったことが起こったときに、それはきっかけとして起こったのではないか、そのように普通考えるのじゃないかと思うのでございます。それで、いまのお答えは、私の伺っているその本質ということでなくて、経過という範囲を出ないと思うのでございますが……。
  252. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、このような問題が起こりました理由というものが、どうもそこにあるように伺っておるのであります。したがってそれを申し上げたわけでございます。平素の教組と教員との関係がどうあるかというふうなことについては、私はこの問題と関係があるのかないのか、そういうことにつきましてはつまびらかにいたしておりません。問題として起こった例としてあげられておるのは、慣行に反しておるじゃないかという教員側のものの考え方、それがこの問題を起こしておる、こういうふうに思うのであります。平素の問題についてどうあるかというようなことについては私はつまびらかにいたしておりません。
  253. 有島重武

    有島委員 そういたしますと、本質論はどうなったのですか。
  254. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私はあなたのおっしゃる本質論というのが実はよくわからないのであります。今度の問題を起こした理由はどこにあるのかということを申し上げる以外に、申し上げようがないのであります。
  255. 有島重武

    有島委員 これはそんなにむずかしい問題じゃないと思うのですよ。ころんだのは石があったからということもあるけれども、石があればだれでもころぶか、そうもいかないわけですよ。それで、それ以前の横たわっている個々のそういう問題が、それじゃそこだけでもって終わるか、あるいはほかにもまた出てくるかどうか、これは文教の施策の非常に大切な問題であると思うのです。ですから、これ一つを言ったわけでございますけれども、この問題をその場に出ていって仲裁しろというようなことではございません。ただ十分ここでもって問題の起こっている一番のもとになっておる——きっかけというのじゃなくて、もとになっておるというものは一体どこにあるのかということはきわめておかなければいけないと思うのでございますが、いかがでございますか。
  256. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その問題につきましては、私はつまびらかにしておらないということを先ほど申し上げたのであります。いままでどういうことがあって、どういうことでこうなったかということを申し上げるだけの私は材料は持っておりません。ただ、どういうことがあるにもせよ、このような問題がああいう理由のもとに騒がれるということはいかにも残念なことである、このように申し上げておるわけでございます。そのよって来たところが一体どこにあるのかというようなところまで詳細をきわめておらないということを率直に申し上げておるわけであります。
  257. 有島重武

    有島委員 この問題は、本案を審議してまいります上に、先ほども大臣お認めになりましたように、相互の信頼ということが前提にならないと成立できない、そういう性格を持っている法案であるということはさっき明らかになったわけでございますが、こうした問題はこれはしょうがないのだ、経過を見ておるだけだ、そうなりますと、相互の信頼ということが前提になっておるにもかかわらず、現実にはこういう問題が解決することができない。だとすれば、この法案そのものは、これが万が一にも施行されたときには、そこらじゅう問題だらけになってしまうということがほとんど明らかであるということです。そういうものをほっぽり出すと、これは非常に無責任なことになるのじゃないか。この問題はこのまま見過ごしていくわけにはいかないと思うのです。  それで、いまは少し空気があったまり過ぎましたので、ここでもって私留保させていただきまして、冷えたところでもう一度これは冷静にお話をし合ったほうがよろしいのじゃないかと思いますから、いま一応ここでもって留保いたします。
  258. 高見三郎

  259. 山中吾郎

    山中(吾)委員 前回の私の質問中に定足数が不足をして、本論に入らぬ前に私の質問の機会をなくしていたので、再び委員長が御指名をされたわけですから、そういうことのないようによろしくお願いします。  私は、いま一度前回の私の質問の基本的な考え方を先に申し上げておいて、そうしてこの法案についての正しい評価をいたしたいと思いますから、最初に私の考えを申し上げておきます。  私はこの法案をあらゆる角度から検討してみました。どの角度から見ても私にとってはいいところが発見できません。このような法案を無理に成立せしめるということは、今後いろいろの日本の総合的な教育行政に禍根を残すことを非常におそれるものであります。そういう立場に立って、この国会が後世の語り草、笑いものにならないように、忌憚のない意見を私からも申し上げますから、政府当局からもうそのない意見を出していただいて、もしこれが欠陥のある法案であるならば、お互いに虚心たんかいに考え直すというのでなければ国会の意義がないのでありますから、この点を申し上げて私は質問に入りたいと思うのであります。それで、また時間が変になっては困るので、私はこの法案の評価を先に申し上げておきます。  まず、この法案を見ますと次の三つの点において非常に大きい欠陥を持っている。第一は、この法案提案までの手続上に他の法案に類例のない手続上の欠陥があるということ。第二には、現在の憲法体制のもとにおいて、立法論、法律論という上から見ても非常な欠陥がある。第三に、教育政策、政策論からいっても前進の保証が一つもない。そういう三つの点について非常に深い疑問を持っておりますから、おのおのにおいて私の意見を申し上げ御指導申し上げますから、私が納得するように答弁をしていただきたいと思うのであります。  その前に、人事院総裁が何か特に御用事があるそうでありますから、体系的に質問いたしたいのでありますけれども、人事院総裁の立場を尊重して、必要な点だけを先にお聞きをいたします。  いま有島委員より文部大臣に対していろいろな角度からあなたの回答通牒について質問をされておりましたので、それと重複することは避けたいと思いますが、一点、文部大臣とのやりとりもあったようでありますけれども、この法案の奥にひそんでおる思想が超勤否定の思想である場合、それから超勤の実態よりも低い、いわゆる給与関係からいって後退の内容が実体にあらわれてきておる場合、そういう場合については、前提としてこういう通牒について一応やむを得ざる必要悪としてお認めになったのではないと思うのですが、その点だけを人事院総裁の立場でお答えをしておいていただきたいと思うのです。
  260. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 私どもの考え方は言うまでもなく国立先生方だけについてでありますけれども、前回も申しましたように、労働基準関係の条文はすでに国立学校の先生方についてははずされておりますだけに、公立学校の先生方の場面とはその辺事情は違うと思います。  それからもう一つは、超勤制度からこういう形の新しい手当の形に移行すること自体については、これも先ほど触れました三十九年の私どもの報告書の中で一つ問題点としては指摘しておる。したがって、その問題の発展した形としてはあり得る形である、可能な形であるということがプラスの面になるわけでございます。  そこで問題は、いまお話に出ましたように、実質上の超勤から見て損か得か、どちらかということは、すなわち四%という数字が適正であるかどうかという問題になるわけでございます。それがわれわれとしては精密的確な判断をしがたい。というのは、基本的なデータというものを洗いざらい調べた上で私どもが責任をとり得る材料に基づいて出た数字ではございませんから、これが精密的確であるかどうかはわからない。しかし、先ほど二つのプラスの面と、もう一つは、幸か不幸か国立の小、中、高の先生方について予算に超過勤務の予算が現に少しではありますけれどもついているわけです。それと今度の四%に対応する予算と比べた場合に、現状から見れば必ずしも損にはならぬだろうということは、まあせいぜいやむを得ないという根拠になる。何でも正直に申しますが、やむを得ないという根拠になる。したがってまた、これはみすみす落第でございますという判こを押すだけの根拠もまたない。したがって、暫定措置としてやむを得ないものとして認めて、なおわれわれは精密な検討を続けていかなければなるまい。したがって、先ほど有島委員にさんざん追及されて五年というような何か一つの相場のようなことになってしまいましたけれども、これは追い詰められた結果ああいうようなことになっただけの話で、暫定措置として行なわれる限りこれはやむを得ないものと認めておるのだから、暫定措置として発足したら、これがすぐさまはたして正しいあり方であるかどうかということの検討は始めなければならない、そういう性質のものであると思います。
  261. 山中吾郎

    山中(吾)委員 もう一度お尋ねしておきます。拘束時間制に立っての拘束時間ですね。全体の現在の労働基準法に基づいて拘束時間制があって、勤務時間無定量の勤務というものを否定をしている。現代の近代的な労働体系というか、法体系そのものは、前提としてそれを否定するようなものは、人事院総裁は暫定であろうが何であろうが肯定される思想はない、間違いではないですね。
  262. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 そのとおりでございます。したがいまして、この法案にも出ておりますけれども、健康、福祉というような面も一つの大きな歯どめになっておるというふうに考えております。
  263. 山中吾郎

    山中(吾)委員 いまのあとのはよけいで、福祉、健康その他は歯どめにならぬ。形容詞、まくらことばであって、当然のことですから、あとでつけ加えられたことはちょっとおかしいじゃないですか。
  264. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 お耳ざわりであれば撤回してもよろしゅうございますけれども、人事院規則にはそういうのがいままであるのです。
  265. 山中吾郎

    山中(吾)委員 時間の関係があるからお帰りになってけっこうですが、五年というのを取り消された、それは一応わかりました。  そこで超勤というものは否定しないのだが、超勤に相当するあり余る十分の何か——超勤というものを否定しないで、それから勤務時間制度というものを前提として、超勤を命ぜられたときに、当然それに対して命ぜられた仕事に対して賃金請求するという、現代の近代的な憲法の人権思想というものは、それは絶対間違いなく保障されたということを前提として、方法論その他が人事院の、あなたの問題になるのですね。それは間違いないですね。
  266. 佐藤達夫

    ○佐藤(達)政府委員 憲法論というところまで崇高な議論に結びつけて考えることは、私自身どうかと思いますけれども、それは別にしても、とにかく具体的に一定の勤務時間をこえて働いてもらったというときには、普通の原則による給与だけではそれは済まされない。何かそこにプラスアルファをつけなければならぬ。これは労働基準法がすでに法律で明らかにしている原則でございますから、その原則をわれわれとして当然尊重していかなければならない、これははっきりしております。
  267. 山中吾郎

    山中(吾)委員 けっこうです。どうぞ。  それで私、先ほど申し上げましたこの法案についての欠陥を逐次質問を申し上げていきたいと思います。  まず第一の手続上及びいままでの経過についての欠陥でありますが、その中の第一に、立法手続において一つの欠陥がある。第二には中村文部大臣以来の、国会に対して予算を裏づけにしたわれわれ国会審議をしている者に対する公約に違反をしている、それが一つ。第三には、政府法律提案権とあるいは政党及び国会議員の国会審議権というものの中に、この法案の過程の中で非常に混乱をしてしまって、非常に微妙な状態になっておる。この三つの点について、どうにも解決ができない疑問でありますから、その点について御質問をいたしたいと思います。  第一点については、これは大原委員より質問をして、そうして現在この問題をどう解決するかという過程でありますから、省略をいたします。いわゆる労働基準審議会の討議事項であるということにおいて、一般の正論からいいますと、審議会の結論を得てこの法案というものを取り扱うべきだという常識の上にだんだんとそれが明らかになってきて、この間は石井会長を呼び、見解を聞いたりして現在に来ておるので、この点について、この一点だけでもこの法案提案の手続上において非常な欠陥を持っておる。この点については保留になっておるはずでありますから、大原委員から次の機会にまたその疑問点を質問されると思いますので、省略をいたします。労働大臣、来ておりませんか、労働大臣に聞かなければいかぬ。
  268. 高見三郎

    高見委員長 すぐ入りますから。
  269. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それでは労働大臣は次に来たときにしますが、国会提案する法案のいままでの経過について、私はある意味において政府国会に対して非常に不信行為をしておるということを申し上げなければならぬと思うのであります。というのは、中村文部大臣のときに——私もその当時文教委員をいたしておりました。そのときに超勤問題が国会で問題になって、そこで超勤問題もやはり政府においても取り扱う必要があるということから、超勤の実態を調査するという、そういう予算計上の説明を明確にして、それをわれわれは認めて、昭和四十年だと思いますが、超勤制度の確立のために調査費を計上して、そうして調査を始めたはずであります。これはわれわれの経過からいいますと、その結果、超勤の実態があらわれれば、超勤を満たすための予算を計上し、それに応じた法案提案する約束を国会に対してしておったはずのものである。そしてその結果、昭和四十二年の六月に調査の結果が発表されまして、文部省の報告によりますと、小学校は二時間三十分、中学校は三時間五十六分、高等学校は三時間三十分、調べ方によって、この倍くらいになると私は思いますが、一応文部省で超勤の実態が明らかになった。これに基づいて、連続した法案として提案されなければならないはずである。ところが、どういうところからどう曲がってきたのか知らないが、超勤というものでなくて、特別手当内容を持った法案提案してきておることは、これはどう見ても、前の調査費の計上のときの文部省のわれわれに対する調査目的の説明その他から見て、これはある意味においてわれわれを裏切った法案である。それならば、最初にあの調査費の計上についてわれわれは異議を申さなければならなかったはずであります。この点について、そうでないんだということを、われわれに明確に説明していただきたいと思います。
  270. 天城勲

    天城政府委員 教員勤務時間外の手当の問題に関連していろいろ御議論があり、中村文部大臣のときに、とにかく実態を調査するということで出発したことは事実でございますし、また、それに従いまして実態を調査したわけでございますが、その当時から、調査自身も、教員勤務の実態の調査ということでございまして、中村大臣も国会におきましても、調査の結果についていろいろ検討する、とにかく実態を明らかにするということを申しておるわけでございまして、超過勤務手当を支給するための勤務の実態調査をして、その結果超過勤務手当を支給するんだという意味でこの問題を取り上げてきてはいない、こういうふうに私は了解しておるわけでございますし、国会の速記録など見ましても、四十一年ごろになりまして、その御質問がございまして、調査の結果が出ていませんから、現在の段階では先のことに触れるのは困難でございます。とにかく予定どおり調査を完了いたしますということを申し上げておる資料もございます。われわれはそのように了解しているわけでございます。
  271. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それはちょっとおかしいのであって、地方において超過勤務請求があり、地方裁判所超過勤務を支給すべきだという判決も出ておる。府県の人事委員会で、二十何ヵ県で超過勤務を出すべきだという決議もある。こういう点から、これは実態調査をするという方向にわれわれが要望し、教員組織も要望し、それを受けて文部省がこの調査費を計上した。これはもううそでも何でもない、そのとおりだ。したがって、超勤の実態を調査するために計上したのですよ。局長はこれを否定するのですか。
  272. 天城勲

    天城政府委員 いまお話しになりました判決の問題、あるいは人事委員会の判定の動き、それらのことはおっしゃるとおり事実でございます。したがいまして、教員勤務時間外の勤務というものが問題になっているわけでございますので、その実態を調べるということでありますから、まさに時間外の勤務を調べるということが当初の目的であったことは事実でございます。
  273. 山中吾郎

    山中(吾)委員 これはまた先ほどの国語の問題をやらなければならなくなったのですが、労働基準法では割り増し賃金ということを言って、超勤ということばを使っていない。要するに拘束時間、勤務時間以外の、いわゆる超勤ですね。超勤裁判判決も出ているのだから、その実態を調査する、いわゆる超勤調査をするということを、われわれは何回も大臣とお互いに話をしている。それを否定をされるはずはないじゃないですか。どういうことですか。
  274. 天城勲

    天城政府委員 調査について、私は何も否定的なことを申し上げたつもりではございません。
  275. 山中吾郎

    山中(吾)委員 だから、超勤調査ということを否定されるのでは、これは次の質問に続くわけにいかない。あまりうそになりますからね。  その次に、さらには剱木文部大臣が就任をして、衆参両院に対して、数回にわたって、超過勤務手当を支給する方針だと言った。この調査費の計上をし、実態が明らかに報告され、そしてそれを受けたところの剱木文部大臣は、四十三年度から超勤手当を支給する方針であると言った。これは速記録を見てください。そして出てきた法案は、超勤否定の特別手当であるというならば、国会審議に対してまさしく裏切った法案であると思う。文部大臣、いかがですか。
  276. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私の承知いたしておりますところでは、いわゆる超過勤務手当を支給するということを公に約束せられたというふうには承知いたしておりません。
  277. 山中吾郎

    山中(吾)委員 非常に無責任だと私は思う。同じ自民党の内閣で、前の文部大臣が次の文部大臣に申し送りをすべきはずである。事実上申し送りをしたかどうか私は存じませんけれども、国会関係においては、同じ自民党内閣で連続をしているのであり、この国会の立場からいえば、前大臣がそういう意味において調査費を計上し、承認を受けて、その次に、受けた剱木文部大臣がその方針でやりますと言い、その直前のいろいろの経過は灘尾文部大臣自身は十分知らない。それは個人の問題だ。あるいはその経過の上に立って文部大臣になられたあなたは貧乏くじかもしれません。しかし、公の文部大臣としては否定できないはずです。公の文部大臣としては、知らないということは——それは個人としては知らないかもしれないが、文部大臣という公職にあり、国会という立法府に対する行政的立場の文部大臣としては、これは否定できないはずです。その点、個人として知らなかったかどうかということとけじめをつけてお答え願いたい。
  278. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教員の、いわゆる超勤と申しますか、超勤に対する何らかの措置を講ずることということについては、当時の文部大臣から検討する旨のお答えをいたしておる、このように承知いたしておりますが、いまの割り増し賃金制度というような意味における超過勤務手当を支給するということをはっきりとお約束しているというふうには私は聞いておらないのであります。
  279. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それでは、剱木文部大臣の答弁の速記録を調べましょうか。それは個人として知っているとか知らないということではなくて、いわゆる公的な文部大臣として、剱木文部大臣の次に灘尾文部大臣が就任をして、その点については、何らかの措置を検討すると聞いておったということは、それは事実その程度に申し送りになったのかどうか知らない。国会関係においてはそうはいかないと思うのです。その点について、道義的に見れば、この法案国会に対しての提案として許すことのできない非道義的な法案であります。われわれとして、審議の立場において、手続上認めるわけにいかない欠陥がある。
  280. 天城勲

    天城政府委員 いま御質問で、速記録で明らかにしろという趣旨のお話でございましたが、昨年の五十六回国会におきまして、この問題はいろいろな角度からたびたび議論がなされております。そのときにいろいろな考えがあることを大臣も申されておりますが、最後に、いろんなことを研究しなければならぬが、たとえば根本的な給与体系をつくりますまでの暫定的な措置としましても、この超過勤務の問題解決なしに四十三年度の予算を編成しようとは考えておりません、こういうお答えになっておるわけでありまして、流れは、いわゆる現行法に基づく割り増し賃金、超過手当の問題の議論がされておるのでございますけれども、ストレートに現行法超勤手当を出すという形で御返事はいたしておりませんで、ともかくその問題は解決するという形で申し上げておるのでございます。
  281. 山中吾郎

    山中(吾)委員 これは剱木前文部大臣に参考人に来てもらわなければいけなくなってしまったが、われわれの受け取り方は、明確に超過勤務というものを肯定をして、そしてこの問題を解決する、これはもう間違いないですよ。これは明確にしなければならぬので、一応ここに置いておきましょう。もし超過勤務前提として、前文部大臣国会に対して、問題を処理すると言っておることが明確になった場合に、この法案は、明確に超過勤務前提として、もし超過勤務にかわるとするならば、超過勤務を十分に充当する、超過勤務の思想というものが肯定されるだけの実体がなければ、私はいままでの佐藤内閣における文部大臣としての連続した立場においては国会の裏切りをしておるのだ、これは明確にしておきたいと思いますから、これは保留して、あとできっちりときめたいと思います。  それから第三に、政府提案権と国会審議権について、私はこの法案について非常に疑問を持っております。法律提案権は政府にありますね。文部大臣、間違いないですね。まずお聞きしておきます。
  282. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府提案権を持っておるという意味において、そのとおりでございます。
  283. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そこで今度の法案を私が見ておりますと、政府提案権なんというのはどこかに行ってしまっておるのじゃないか。そうして、党のほうもあまりこの法案に入り過ぎたために、国会のみずからの審議権を放棄してしまっておる。そういう感じを持っておるので、どの条文との関係においてもどうも私はすっきりしない、それをひとつ明確にしておきたいとまず思います。  いままでの新聞紙上その他で発表しておる経過からいっても、文部省のほうにおいては超過勤務を出したいという方針で、事務当局はそれを算出の基礎として、政府、大蔵省に交渉し、そして大蔵省に対して超過勤務を出すべきだという態度で交渉したことは間違いない。ところが、与党の文教部のほうから、超過勤務を出すべきものではないんだという意見が出て、そこで混乱をして、そのときにいろいろの教師観も含んで、号俸を引き上げるということで超過勤務というものをそこに吸収して、そうして一方に教員の待遇改善も含んで、古い教師観も含んで、少なくとも号俸の引き上げと関連して論議をされてきたことも間違いない。これも私は大体間違いない推測であると思いますが、そういうところで最後になってどうにもならなくなり、文部当局も政府も、異質の思想が出たために、窮余の一策で、立法技術上ぎりぎりの綱渡りのような、いわゆる立法技術上の論議を重ね重ねて、そうしてわれわれから見るとつじつまの合わない法案が出てきておる。意見がそこまで違うのならば、これは本来の政府の自主的な法案提出権を行使して出して、与党、野党もこの国会の中で修正するという性格の法案であったと思うのです。ところが、そういう経過の中で無理無理——政府提案権の自主性を放棄をする、あまり入り込んだために、与党の自民党も国会における議員のいわゆる集団である政党としての審議権を放棄をして、そうしていまのような法案が出てしまって、自民党の中だってそれでは気に食わぬという人がたくさんある。こういう法案が出てきておると私は思うのでありますが、こういう出し方というものを私はやるべきではないと思うのです。こういうやり方をやったのでは、国会というものが意味がないのじゃないか。政府提案権の自主性を放棄し、議員の構成する政党自身も審議権を放棄してしまった。そうしてあとにメンツだけが残って、こういう論議をしておる。まことに私は遺憾であり、この法案は独特のものだと考える。灘尾文部大臣、そう思いませんか。
  284. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この法案作成の過程におきましていろいろな議論がありましたことはおっしゃるとおりであります。政府といたしましては、種々検討の結果、この法案を適当と考えて出したわけでございますので、途中にいろいろ議論がありましたことを否定するものじゃもちろんございませんけれども、政府としましては、関係各省相談の上で、この法案をもって進むべしということに相なりましたわけでございまして、そのように御了承願います。
  285. 山中吾郎

    山中(吾)委員 結論だけやります。文部省の事務当局は、この法案の名前をアクロバット法案と言っておる。曲芸的法案、もうどうにもならない。これは国会に出したときにはお客さんは——野党がそうですか、お客さんも困るであろう。こういう出し方をして、そして委員長以下あまり動員をされないようにお互いに戒心をいたしたいと思います。  そこで本論に入っていきたいと思います。教育政策上、これもわれわれこれからの教育行政を進めるについてどうしても触れておきたいと思いますので申し上げますが、まず教育政策としての教師政策というものは、よい教師を養成するということと、それから生活を安定して、雑務に追われないで教育活動に専心できる魅力のある職場にすることと、質の向上をはかるという三つの柱がなければ、教育政策にならない。この法案を見てみますと、どの条文からいってもプラスになるところが見つからない。前進基地ならばいいが、後退の基地になる危険が非常にある。第一、待遇改善の関係を見ますと、この法案は無関係である。この四%という一つの定額支給というものを持ってまいりますと、それを前提としていろいろの雑務を当然のこととしてやらすという一つの根拠になってくる。また、四%ということを前提とすることによって、超過勤務というものはできるだけ与えないで、教材研究その他に専心できる、教育活動に専心できるようにするという、その方向で超過勤務をなくしていくという方向の刺激にならないで、定着せしめるところの政策になっていく。同時に——大蔵省帰るそうですか、この間ちょっと話をしておきましたけれども、文部省では、号俸、待遇改善と因果関係のある法案と観念的に考えておる。そして一方に四十三年度に給与についての調査費を出しておる。この間主計局次長は、これは改善のために調査費が計上されたのかと聞いたらば、そうでないのだ、これは給与の研究だと言っておる。ところが、大蔵省の関係については、財政硬直化の関係からしぼっていこうという基本的な方針があって、来年度あたりから本格的に取りかかることを一方に大蔵大臣が言っておる。同時にまた、われわれが反対をし続けたのに義務教育費国庫負担法のいわゆる限度政令を出して、地方の、教員の供給に非常に不足しておる山村の多いところでは、大蔵省で認めなくても、養護教諭は僻地に置かなければならぬとか、そういうふうなものを全部定員定額制度に持っていくということを大蔵省が盛んに追及して、文部省はついにそれを受けざるを得ない、われわれが国会で反対してもそれを計上した。そういう全体の中であなた方がこの調査費の計上を認めたことが明らかになった、文部省では期待を何かしているだけの話です。したがって、この法案と何か関係があるかと私は調査費を見たが、関係ない。どういうことになるか、鬼が出るか蛇が出るかわからない。  そこで大蔵省にお聞きしておきますが、この法案の関連事項として一般の人は関連的に考えておるのだが、あなたのほうではこの法案関係なく給与調査費を計上されたようであるが、間違いないのですか。
  286. 船後正道

    ○船後政府委員 四十三年度予算に教員給与実態調査の経費を計上いたしました経緯につきましては、前回先生にお答え申し上げたとおりでございます。  ただいま御審議願っておりますこの法案との関係でございますが、直接の関係はないというふうに私ども理解いたしております。ただ、教員給与につきましては、給与体系にも問題がございますし、それから先ほど先生御指摘になりました義務教育費の国庫負担のあり方につきましても問題があることは事実でございます。いずれにいたしましても、教員以外の公務員につきましては、国家公務員もまた地方公務員もあるいは公企体の職員も給与の実態調査は定期的に実施いたしておりまして、種々の角度から検討する際に客観的な基礎資料がそろっておりますが、教員についてはそれがない、こういうことでございますので、ちょうど地方公務員について五年目ごとに行なわれる実態調査が四十三年度にあるわけでございますので、ちょうどいい時期でございますから、教員についてもそういった実態調査の要求を認め、これを予算に計上したということでございます。
  287. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大体無関係なことは明らかになっていますね。  次に、労働過重の関係について、この法案提案することによって、いわゆる教員が雑務に追われないで教育活動に専心できる方向にこの法案が刺激になるかどうか、それを検討してみたのです。これはならないのですね。この法案で四%という手当を出すことによって、逆に必要な場合の教員の定員増が抑制される法案になる。これは必ずそうなります。現在「当分の間、」ということで二十何年そのまま続いておる事務職員、養護教諭、これは法律は必置になっておる。しかし、「当分の間、」というそのことばでこれは押えられてきておる。こういうふうに押えられていくところの法案にこれは利用されるだけであって、前進の法案にはならない。局長、なりますか、この法案が成立することによって。現在雑務その他を含んで教員が非常に過重な仕事をし、ほんとうに十分な準備をして授業できない。僻地に行ったら三つも四つも学科を持っておる先生が適当な知識で教えざるを得ない状況になっておる。実力のない先生ほど一時間の授業をするのに二時間、三時間多く準備しなければ教えられない。それができなくなっておるというときに、これを出して、これだけの手当を出しているのだということのために、もう二十年続いた「当分の間、」がまだとれない。事務職員も養護教諭もとれない。そういう関係でうしろ向きの拠点になってしまう、そういうことになると思いますが、それは局長どうですか。
  288. 天城勲

    天城政府委員 教員の負担の問題は、いろいろな角度から検討しなければならない問題でございますが、これは何べんも繰り返して申し上げておりますように、教員勤務勤務時間内で消化していただくというのを大前提に置いておりますので、今後とも正規勤務時間内で仕事ができるように、教員勤務内容の整理その他の面の努力は一方続けなければならない、それが大前提でございます。この手当ができたからといって、それは時間外に無限に勤務を命ずるための足がかりではございませんで、あくまでも勤務時間内で処理する、そのための施策は別途多角的に講じなければならぬ、このように考えております。
  289. 山中吾郎

    山中(吾)委員 これからのことで、灘尾文部大臣に最後に申し上げます。教師観についてでありますが、聖職観という古いことを言うのは百人に二、三人しかいないのですが、専門性ということを問題にするのです。専門性の概念と労働性の概念は相反するものではなくて、教師は労働者であり、労働性というものを確認した上で、なお専門的ないろいろな体系的な知識とか特殊な技術を持つということ、それがいわゆる教師の専門性の問題であって、専門性と労働性は二律背反の概念でない。これはそう思っておられますか、そうでないですか、せっかく労働大臣が来ておられますから……。
  290. 小川平二

    ○小川国務大臣 これは矛盾するものではないと存じます。
  291. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そこで労働性というものを前提として、教員の専門性を高めるには教員の養成をもっと充実しなければならない。そしてまた一たん教壇に立って、力のない先生の質を高めて専門性を高めるのには手当として何が一番大事かというと、研修手当だと思うのです。教育公務員特例法の十九条に、任命権者は、研修施設その他についてしなければならないという、研修をやらせる義務がある。そこでもしこういう法案を前進基地としてお出しになるならば、研修手当という目的を持った手当ならば私は専門性の向上には必ずなると思う。そうして先生も喜ぶし、また与党も野党も喜んで支持していくだろう。そこでいまのように超過勤務というものの実態、算出の基礎をそこへ持ってきてでき上がった製品は、超過勤務でないから、エジプトのスフィンクスのように人面獣身型に、わけのわからぬ手当になってしまう。日本の教育の向上を考えてここまで問題が出てきたのであれば、教育公務員特例法の中の任命権者に義務づけられた研修手当として四%をお出しになれば、これはもうすばらしい前進になるし、そのことは専門性の向上ということになり、また、いまの憲法及び労働基本体制に矛盾はないし、先生はみな喜ぶし、必ず私は大きいプラスになると思うのでありますから、ひとつこの法案を振り出しに戻して、そうしてお互いにそういう方向で前進するようにもっていくべきであると思いますから、この点、結論として申し上げて私の質問は終わりますが、最後に大臣の御意見を聞いておきます。
  292. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 研修手当に関する御意見は御意見として承っておきたいと思いますが、この問題は山中さんからはこてんこてんにやられておるわけでございますけれども、私どもとしては相当苦心をいたしまして、時間外勤務に対する給与の方式としてこれが適当であるということで出しておるわけでございます。研修手当の問題は、また別の問題として検討さしていただきたいと思う次第でございます。これはこれとしてぜひひとつ御賛成をいただきたい、このようにお願いしたいと思います。
  293. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それではこの研修手当の性格がわからないですよ。しかも現行法教特法のこれは一部改正になってしまっているのですが、この教特法現行法に、研修させる義務を任命権者は持っておるのに、また教員も研修義務を持っておるのに、それに対する何の制度がない。この制度をまず出すということが、これは責任者の最大の義務であり、この法案はおのずから研修手当というならわかるし、研修手当でなければならないんじゃないですか、この法体制からいったら。現行勤務評定を否定するがごとく、しないがごとく、定額という形において完全に否定になっている。そういうものの前に、私は研修手当——せっかく大蔵省の主計局次長もおりますけれども、これは研修手当ならどこからも非難する者はない。義務支出みたいなものです。だからこの法案をもとに戻して、あるいは議員立法でもいいだろうと思うのですが、そういう予算があるのですから、そういうことを検討されることが正しいし、この法案をまず法案としてというなら、この研修手当はまた出ないと思う。それはこの法案というものと切りかえるということが一番大事だ。これは実現できるじゃないか。委員長提案であってもいいと思うのですが、どうですか委員長
  294. 高見三郎

    高見委員長 私にはその意思はありません。
  295. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この法案について、私は政策上について後進基地であって、前進基地であることをあらゆる角度から調べてみたが、どうしても基地にならない。後進基地になる。これは大蔵省は腹の中で財政的立場から喜んでいるんじゃないかと思う。しかし、教育的立場についていえば非常に後退になるということを、もう少し私は言ってみたいと思うのですが、この法案は現場の教師はだれも歓迎していない。これはもらわないところの校長だけが、しかも古い校長だけが賛成している。あらゆる思想を持った現場の教員はだれもこれを肯定していない。  私は、この間参考人の話をずっと聞いておりましたけれども、佐伯参考人の場合についても、これは労基法三十七条適用除外であり、専門職の立場から見ても私は反対であると言っていた。土岐参考人も労基法三十七条適用除外、三十三条三項の読みかえ、これで戦前の教師に戻るから反対だ。その福祉を害しないような範囲、これは歯どめにならない。これは当然です。それから公明党の推薦した平塚信子先生も、現在は二十四時間勤務だ、教師だか事務屋だかわからぬということを訴えて、給与の改善、定員増ということを熾烈に言ったけれども、この特別手当は何のプラスにならない。これをもらったことによって当然になお激務を要請されるということになるので反対だと言っている。肝心の自民党から推薦になった遠藤校長先生は、教員の待遇改善のために一歩を踏み出すことになるからという錯覚を起こしている。いま話したように、ならない。こういうことによって定員増の阻止になる。定員増をしなければ労働過重は減らない。専門性ということばを使っているが、専門性ならば、これは研修手当をやらなければならない。だから全然そういう認識を持たないで校長さんは賛成しておる。だから全体を見ると、現場の先生は全然歓迎してない。歓迎してないものを無理に贈りものをすれば、これは贈賄罪みたいなものだ。そうしてある意味において先生の精神を堕落せしめるのじゃないか。くれるならもらっておけという精神になる。そういう精神じゃなくて、やはり働いたら働いた分だけを保障するということについては、当然に自分の人権の思想でもらい、それに責任を感じて仕事をするという超勤制度が正しいんじゃないでしょうか。この案によりますと、なまけた者もなまけない者も——いわゆる働きに応じて保障されるという制度でなくて、ずるい者もずるくない者ももらうという、逆になってしまう。現在先生が歓迎していない。それをもらったために専門性が向上するか、研修の意欲が出るかというと、出ないじゃないですか。そうすると、国の税金がむだ使いになるだけの話であって、日本の財政の効率化という点からいっても、教師の精神衛生上からいっても、これは何の意味もない、マイナスしかない。どこにプラスになるとお思いですか。どうですか、文部大臣
  296. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 山中さんの御意見は御意見として承っておきますけれども、何もかもいけないことのようにおっしゃることが私どもには理解できないのであります。私どもはやはりこの手当を出すことがプラスである、そのように考えて出しておるわけでございます。これ以上はあるいは意見が違うことになるかもしれませんけれども、私は日本の教師がそのような心理状態であろうとは思っておりません。
  297. 山中吾郎

    山中(吾)委員 文部大臣はよく考えておる、考えておるということを言っておられる。私は実証的に申し上げている。大体この間参考人を呼んだ場合でも、各般の人がみんな来ておった。もらわない校長さんだけが無責任に言っているだけなんです。ああいうものは審議の参考にするために呼んだ。私は正直ですから、ただ形式的に来てもらっているのではないのであって、参考にすべきものとして聞いておるし、それから現実に教員の職場の中というものはいろいろの人がおりますし、やはりあの教員の世界というものは、子供に対して平等だという平等感があります。役所じゃない。学校というものを行政官庁化したらたいへんだ。教育機能はなくなってしまう。ところが、最近は校長さんを行政官化して、いわゆる管理職手当をやって、教育者というよりも管理者方向、行政官方向に持っていっている。今度は教頭まで持っていこうとしている。あの二十人あるいは十五、六人の教育者の集団の中で一人を行政官化して、教育者意識と離れさしていくといういまのやり方は、教育機関である学校の性格から完全に離れている。あそこの教員室の秩序というものが権力秩序であっては教育はできない。その人のいわゆる専門性、そういうふうな教育技術及び学門的権威に裏づけられて秩序ができるので、他のものを持っていったって絶対だめなんだ。そういう一つの学校の性格、職員室の性格を理解をされないで、いまのように一方に行政官庁化の方向に政治のほうが無理に持っていこうとしておる。その中で、今度は超勤というふうなものを、その人が特に一定の仕事をプラスしてやった場合についても、やらない場合の者についても同じように分けるというふうなことの中で、職員室の欲求不満だとか、あるいは不公平感覚といいますか、そういうふうなものが入って、私は、法律的にそういう制度をつくれば、これはマイナスばかりだと思うのです。そうでなくて、当然に働きに応じてそれ相応の評価がされるという性格を持った超勤制度前提として、実際に一つの学校に、十五、六人の教員室にそれが入った場合に、今度は自発的に同志の中でこれを研究会の費用に使おうじゃないか、積み立てしようじゃないかということにおいて、私は教育機関は生きてくると思います。こういう法制的な行き方は、どこを見てもマイナスなんだ。そういうところをもっと検討されて、国民の税金を近代感覚でお使いになることを私はどうしてもしてもらわなければ、こういう法案をエネルギーを浪費して審議するに非常にむなしい感じがするのであります。どうですか。
  298. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御意見は御意見として承りますけれども、私どもはいろいろ検討しました結果、教員の時間外の勤務に対応する給与措置としてはこれが適当であるという考のもとに出しておりますので、その点はそのように御了承願いたいと思います。
  299. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それは答弁にならないと思う。私はこう考えるということだけで終わりになっているのです。そうすると、これは灘尾文部大臣といま一つ研究してみたいと思うのですが、超勤というものはなるだけ雑務を負わさないように抑制するために超勤手当がある。教育者の立場からいえば、純粋に教育活動、研修活動に没頭できるようにして、できるだけ定員を多くして雑務などを少なくするということのためにまず一つ超勤手当がある。それが労働基準法の第一条の前提として、近代的な思想の上に立っている法体系であるが、同時に公平の原則というものがこの機能にあると思うのです。そういうことになりますと、たとえば文部省のこの指導の中にも、天城さんにお聞きしますけれども、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律ですね。その定数法の定数算出の根拠としてあなたのほうで示されたのに、教員数の算出は教師一人の週当たり教科指導時間を二十四時間、教科外時間を二時間として、学校の大きさによって算出したものであると、これは説明しているのですね。「地方教育講話」というのを安嶋氏が審議官当時に出している。これはすでに授業時間についても指導標準時間というものが定められている。これは間違いないのですね。
  300. 天城勲

    天城政府委員 積算のものの考え方として、そういう考え方をとっておることは事実でございます。
  301. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それからさらに指導上の考え方の中で、授業時間一時間やるに少なくとも一時間の準備時間が必要であり、望ましい、これも出しておりますね。
  302. 天城勲

    天城政府委員 出しているというのはどういう意味か存じませんけれども、前から一日に四時間授業、いわゆる教科の担当四時間ということをいっておりますのは、あとの時間は教科研究とか、あるいは間接指導の時間があるから、こういうことで直接児童の教科の指導に当たる時間は四時間ということは前提になっております。
  303. 山中吾郎

    山中(吾)委員 これは加藤委員からの質問で、それは必見えておりませんと言ったので、そんなことはないんだ、ちゃんと通牒が出ているのじゃないかというので、あなた、調べると言った問題なんです。
  304. 天城勲

    天城政府委員 通牒が出ているかというお話でございましたから、そういう通牒の記憶がないということを申し上げたのですが、その後調べましたけれども、通牒はやはりございませんで、通牒という形ではなくて、いま言ったようなものも考え方の前提に立っておるわけであります。
  305. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そういう指導方針によりますと、一日四時間というと一時間教材研究、それくらいしなければいい授業ができないと思うのです。それだけで大体二十四時間、その倍の幾らになりますか、四十八時間ですね。地方の条例では大体四十四時間という基準を出しておる。したがって、一日四時間ずつ授業をするためには、その一時間に対して一時間の準備をするのは、これは最低だ。力のない者は二時間以上しなければやれない。それだけで拘束時間がはみ出してしまっているのですよ。そこであなたのほうで、いろいろの職員会議その他の研究会、家庭訪問というものが入ってくるときには、それは先生のいわゆるそういう教材研究以外の時間は全部拘束時間の外にはみ出ると思うのです。そこで、この実態調査そのものも実際に合わないばかりでなくて、さらに問題になるのはその授業時間というもの、ある人が病気をして、あとを補欠というか引き受けるとか、あるいは僻地において大体二十四時間、二十五時間という授業を持っている場合に、その人に対して永久に私は超過勤務というものを出す制度が残ると思う。だから超過勤務教員の実態、特殊性というふうな思想というものはどこにあるのか、それがわからないのです。それはどういう考えで超過勤務否定の材料に使っているのか。
  306. 天城勲

    天城政府委員 ちょっと私の申し上げたことが別の意味にとられておるので、最初前提を訂正というか、補足させていただきます。  教科の指導に一日四時間ということは、拘束八時間の授業時間のうち、あとの四時間は間接指導の時間があるだろうということで、一時間の授業に一時間の予習、復習というような結びつけた議論を申し上げたわけではございません。四時間の授業のために、あと四時間の間接指導の時間が要るだろうという前提でございますので、四の倍の八であとは全部はみ出てしまうということを肯定して申し上げたわけではないのですから、その点はひとつ御了解を願いたいと思います。
  307. 山中吾郎

    山中(吾)委員 超過勤務手当を実施されるについて調査をされて、皆さんのほうで事実上超過勤務は補足できたということが、あの報告で実施されておるのですね。調査費を計上して、小学校二時間何ぼ、中学校三時間何ぼというふうに。だから超過勤務の中で全然捕捉されないものが一部あるかもしれない、捕捉されるものがあるということは、文部省の調査そのもので実証されている。ところが、実証されないから定額支給という理屈は、あなた方の調査の結果で、もう矛盾なんです。そういうことは言えないはずであるが、それはどういうふうに解釈しているのですか。
  308. 天城勲

    天城政府委員 超勤ということばが非常に誤解があるものですから、あえて繰り返して正規勤務時間外の仕事ということを申し上げたわけですが、勤務時間外の仕事の実態は把握いたしました。その中に時間で捕捉され得るような正規勤務時間の延長、勤務内容の延長と考えられるものもございます。結論的に申しますと、捕捉し得るものもあるし捕捉しがたいものもある。また捕捉し得るものにつきましても、これに対する給与措置として時間単位で金額を計算するのは必ずしもなじめないのではないか、結論的にはそういう判断をいたしたわけでございます。
  309. 山中吾郎

    山中(吾)委員 時間単位で計算することは不適当だというのは、捕捉ができないからという意味ではない、捕捉できるけれどもぐあいが悪いというのですか。
  310. 天城勲

    天城政府委員 捕捉できるものも確かにございます。しかし、捕捉しがたいもので教員の職務と関連のあるものもかなり予測できるわけでございます。したがいまして、捕捉できるものだけをつかまえて時間単位で計算するということはむしろ実際に即さないのではないか、このような判断でございます。
  311. 山中吾郎

    山中(吾)委員 捕捉しがたい部分は号俸の引き上げで、専門性の立場も含んで、特殊性をもって号俸で待遇改善をし、捕捉できるものは超過勤務という制度はやはり残してこの問題は近代的な労働体制の上に立って進んでいくというのが正当ではないのか。そういう考えを持たないから、一方に待遇改善と取引するというかっこうで超勤否定の論議をして、待遇改善はどこかへ行くえ不明になり、そして超勤の思想を否定するこういう法案が出ておる。だから自民党の諸君の論議の中でも、東京から大阪までの切符を買っておいて、途中浜松で下車をして、そして下車した部分だけ出してしまっている。だからその思想論議は別にしても、私はそこに矛盾があると思う。待遇改善という一つの保障が一方に保証されて、そして捕捉できる部分の超勤というものは労働基準法の制度の上に置いて、初めて正しい意味教育向上のために人権を認めた教師政策になると思う。この点についてもっとじっくりとまじめに論議をして、この法案を出直すべきだと私は思うのであります。一番問題になった文部省の今村武俊氏自身がやはりこの法案がどれだけ矛盾であるかということを自分も告白しておる。議員に対して誹謗するようなかっこうでああいうことになっておりますが、日本教育新聞の記事の中にこういうことが書いてある。これはこのとおりだと思うのですよ。私は結論を申し上げたい。「この手当ては、端的にいって正規勤務時間をこえる教員勤務に対する報酬である。正規勤務時間をこえて勤務を命ぜられた場合、一時間当たりいくらの計算で超過勤務手当が支給されることは、現行法の定めるところであり、教員もその例外ではない。ただ、教員には、超過勤務を命じないという指導方針がとられており、超過勤務手当の財源措置をしてこなかっただけのことである。」、これは、いままで私たちが中村文部大臣のときから言ってきたとおり、これは正直です。そうしてだんだんと論議をしているうちに、「けれども、教員超過勤務について、一時間当たりいくらの計算で金を払うことは、教職者を遇する方法として適当でないという自民党文教部会の強い意見があり、本俸の一号引き上げで処遇したらどうかとの案もしめされた。しかし、本俸は、正規勤務時間による勤務にたいする報酬であるという定義があり、したがって、その引き上げが、正規勤務時間外の勤務にたいする報酬の支給についての解決策となり得ないばかりか、本俸の引き上げは人事院勧告の中核をなすものであり、人事院の勧告を待たずに政府が一方的に給与を決定することは公務員の労使関係の基本に変動をもたらすものであるという反論があり、本俸引き上げ案を政府の施策とすることは不可能であった。」「以上のようなことで教職特別手当の支給問題は、「泰山鳴動、ねずみ一匹」の結果となってしまった。」と書いてある。いみじくも今村氏は、泰山鳴動ねずみ一匹法案という命名をしているんだ。泰山鳴動というのは、いま言ったように二号俸引き上げ、一号俸引き上げという美名を中心に論議をしておって、泰山は鳴動したが、結論は、いわゆる超過勤務という思想を否定するような否定しないような、ちょっぴり四%のネズミ一匹だという。このネズミ一匹というものは一体将来どうなるのか、恐竜になるか何になるか不明であるというふうなことを書いておる。私は、今村氏はなかなか頭がよくて、苦しまぎれに、いわゆる政党といままでの文部省の方針の中に入って苦心に苦心をして、そうして国会審議を軽べつするようなことを一方言って責任を追及され、一方にまた、この法案をネズミ一匹で困ったものだと、これは日本教育新聞に書いてある。それほど行政官が、わけのわからぬ中に苦心をし、苦労し、一人の犠牲者が出ておる。こういう中でこの法案の矛盾というものが明確に出ておると私は思う。この法案はいさぎよく一応もとへ戻して、出発点で論議をするのは、われわれも賛成しましょう。それでこの法案を一ぺんもとへ戻して、同時に今村氏も考え直してやったらどうです、かわいそうじゃないですか。  そこで私は申し上げたいと思いますが、夜おそくまでこうして大の男が論議する資格のある法案ではない、値打ちのある法案ではない。手続上からいっても、国会に対して裏切り行為的なものがある。先ほど申し上げたことを繰り返して申し上げますが、同時に私は、ここまで政党が、法案提案されるまでに深入りをすることはよろしくないのだ、これは改めてもらいたい。そうでないと、政府法律提案権というものはないのだ、もしこれをやるなら議員立法ですべきである。  さらに、先ほど申し上げましたが、立法論上、これは労働大臣に私の質問の答えからも一応聞いておきたいと思いますが、現在の憲法と労働基準法の体制からいって、この法案というのは違憲性が内在しておる。私は顕在とは言わない、内在しておるということだけは明確に指摘できるのじゃないか。予算委員会の分科会において私があなたに質問をしたのを覚えておられると思いますが、労働基準法は憲法第二十七条に基づいた労働条件の基本法だと私は思うのですが、その点はいかがですかと分科会で私が質問したのに対して、小川国務大臣は、御指摘のありましたとおりでございますと答えている。間違いないでしょう。
  312. 小川平二

    ○小川国務大臣 労働基準法が憲法第二十七条を受けた法律であることはこれは申すまでもございません。ただし、他の法律で労働基準について定めることはこれは妨げない、これは憲法違反にはならないと考えております。  また、基本法ということを申し上げたのでございますが、かつては公務員も労働基準法の適用を受けておったという沿革もございまするし、今日なお全産業の労働者を対象といたしておる法律でございますから、確かにこれは基本的な法規だと考えております。他の法律で労働基準法と異なる定めをいたします場合にも、常に労働基準法が顧みられるべきだと考えております。なぜなら労働者の労働条件というものはこれから先ますます改善されていかなければならないことは当然でございますから、現に労働基準法が定めておる労働の基準を下回るような改正がなされることはもちろん好ましくないことであります。そういう意味で絶えず基準法が顧みられなければならない、そういう意味で私はこれが基本的な法律であるということを申し上げたのでございます。  補足をいたしますが、私、そのとき御指摘も、いただいたと思いますけれども、基本法ということばを使いましたのは、多少用語の常例にもとっておったかもしれないと考えております。つまり中小企業基本法とか農業基本法という原則を定めた法律がありまして、細則的な意味でいろいろな法規がつくられていくという、そういう意味における基本法という申し方をしたわけではないのでありまして、大切な法律である、根本をなす法律であるという意味で申し上げました。この点はどうぞそのように御理解願いたいと思います。
  313. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大体明快に思いますが、現行労働基準法は労働基準に関する基本法、憲法というべきものであって、この基準を下回る特別法は原則的に許されない、これは間違いないですか。
  314. 小川平二

    ○小川国務大臣 許されないと申しますことは、ただいま私が申し上げた意味におきまして、この基準を下回ることは、いかような観点から考えましても好ましからざることである、こういう意味でございます。
  315. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この労働基準法の第一条において、定めたのは最低基準である、それは間違いないですね。それを下回る規定を他の法律改正をする、労働基準法の最低基準を下回ることを他の法律で改めることは許されない、労働基準法として当然のことである、間違いないですか。
  316. 小川平二

    ○小川国務大臣 他の法律で労働の基準について規定いたしましても、憲法との関係ではこれは違憲ではないと存じます。ただ、労働基準法との関係では好ましくないことだと思います。
  317. 山中吾郎

    山中(吾)委員 労働基準法自身が、自分の労働基準法の改正で改めるのではなくて、他の法律がかってに改めることについては労働基準法違反でしょう、許されないでしょう。労働基準法が憲法の付属立法として二十七条に基づいて、そしてあなたのぼくに答えたように労働基本法であるという思想からいえば、これは許されない問題である。どこか、何かただし書きがなければならないか。
  318. 小川平二

    ○小川国務大臣 労働基準法には、この法律は最低の基準を設けたものであるから、この法律が存在することを理由にして労働の基準を低めるようなことをしてはならない。つまり、現に存在しておる労働基準法を上回るような基準が定められております場合に、労働基準法の最低基準がしかじかなんだからという理由で引き下げてはならない、こういうことを規定いたしておるわけでございます。他の法律で労働基準法を下回る基準をかりに設けましても、これは違法ではないと存じます。ただし、そういうことはあり得べからざること、あってはならないことだと信じておりますけれども、法律違反ではない。労働基準法はそういうことを規定してはおらない、かように私は考えております。
  319. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そういう思想に基づいておる労働大臣は、下回る危険もあり、また下回るおそれのある法律改正を他の法律がする場合、すなわち施行と改正に関する事項については、それを審議するために設置されておる中央労働基準審議会に付議すべき事項である、これは間違いないですね。
  320. 小川平二

    ○小川国務大臣 これを諮問いたしませんでした理由については、たびたび申し上げましたように、現在国家公務員には労働基準法は全く適用がないわけでございまするし、地方公務員については一部を除いて労働基準法が適用されておりますけれども、これはいわば公務員法の体系の中に組み込まれておるとも申すべき形ではないか。現に国家公務員法においてそうでありますように、労働基準法を適用するという形をとらずに、地方公務員そのもので労働基準法の定めておるのと同様の規定を定めたとしても、格別怪しむに足らない関係ではないかと存じます。また、現に地方公務員には、労働基準監督機関の権限、私どもの権限は及んでおりません。これは地方自治体の人事委員会が監督をいたしておるわけでございます。そこで、今度教職特別手当なるものを創設するための改正を文部省が中心になって立案をなさるわけでございますが、いま申し上げたような意味で、私どもはこれを主として公務員関係の問題だと考えておりますので、前例や何かも取り調べましたけれども、こういう場合に審議会に諮問をしたという前例がございません。そこで諮問はいたさなかったわけでございますが、これは労働条件の変更であることはもちろんでございますから、文部省とともに、私どもからも審議会に対して御説明を申し上げた、こういう次第でございます。
  321. 山中吾郎

    山中(吾)委員 文部省との説明があったと聞きますが、文部省の局長基準局長の了解通牒ですか、それを交換していますね。そのことを大臣と大臣の了解通牒じゃなくて局長あたりでやるような、そんな軽いものですか。大臣はそんなこと言っておる。たとえば人事院総裁文部大臣は、責任者と責任者で通牒を交換した。これは局長同士ですね。そんな軽率なことでできるんですか。
  322. 天城勲

    天城政府委員 人事院は政府の中におきましても独立の機関でございまして、閣議にも人事院総裁は出ないわけでございますので、最終的には人事院と文部省とがあのような文書の交換をいたしたわけでございます。ただ、官庁との関係におきましては閣議というものがございますので、各省大臣はその場において御判断も御意見も述べられるわけでございますので、そういう形式をとらない。ただ、この法律の運用上の意味を明らかに、解釈を明らかにしておこうということで、労働基準局長と覚書をかわしたのです。人事院との場合と意味は違うわけでございます。
  323. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ここにぼくは通牒を持っておるのですが、文部省初等中等教育局長労働省労働基準局長の了解通牒というのですか、あるのです。こんな局長同士で了解して、労働大臣、あなたは労働基準法を守って最低基準というものを保護していく責任は果たせるのですか。こんなものは、大体労働大臣と文部大臣の直接の了解をしないで、そんなことであなたの労働基準法というイメージが保たれるはずはないじゃないですか。
  324. 小川平二

    ○小川国務大臣 これは行政官庁同士の事務処理の前例などから見ましても、この種の場合にはかような覚書になっておることが多いと存じまするし、これはもちろんもう秘密でも何でもないのでありまして、現にこの委員会でも朗読を申し上げておることでございます。法律解釈を明確ならしめるという意思は、これで十分ではないかと考えております。
  325. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そういう慣例をお直しになったらどうです。こういう大事な問題を……。だからこういう労働基準から下回るような法案が出てくるのです。そして通牒の中身を見ると、私読んで何かわけがわからぬ。「教員勤務については、基本的にできるだけ正規勤務時間内に行なうこととする文部省の従来の方針を堅持するものとすること。」これは行政指導のことで、法律関係ないんだ。したがって、これは法案そのものに対して何らの拘束も何もないのだ。「改正後の第二五条の四第一項の「その勤務態様特殊性に基づき、」とは、特に正規勤務時間をこえる勤務特殊性に着目したものであること。」同じことを別な表現で読み直したようなかっこうで、私はわからないのです。何か特殊な意味があるのですか、了解が……。   〔委員長退席、西岡委員長代理着席〕
  326. 小川平二

    ○小川国務大臣 初めのほうは御指摘のように行政指導の問題でございます。言いかえればこれは法律の運用の問題であると思っております。  第二の点は、そこに書いてございますとおり、教職員の勤務が特殊な姿で行なわれておるということは、正規勤務時間をこえた部分についてのみそういうことがいえるのだと、私どもは了解しておるわけでございます。   〔西岡委員長代理退席、委員長着席〕  教職員の職務が正規勤務時間内に行なわれまする勤務をも含めて、全体としてかりに時間的な計測に適しないということでありますと、四十八時間制の原則そのものをくつがえすようなことにならざるを得ないと思います。私どもはそうではないと理解をいたしておりますので、特に文部省に対して、この点の確認を求める意味でこう書いたわけでございます。
  327. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると、教員教育活動という特殊性については、その勤務時間内の問題にについてはこれは別だ、時間外の問題についてはやはりそれに応じた割り増し金というものを前提として考えるべきだ、こういうことですね。教員特殊性に基づいて、超勤思想などというものは否定すべきでないという思想ですね。
  328. 小川平二

    ○小川国務大臣 そうではないのでございまして、本来超過勤務手当なるものは、個人個人に即してなされた勤務に対応して、時間をはかって支給されるのが原則でございますが、今回は教職員の勤務態様が特殊であるからという理由で、一律の手当が支給されることになるわけでございます。ただし、勤務態様が特殊であるというのは、あくまでも超過勤務の部分だけであって、正規の時間内に行なわれる勤務は、実際の問題といたしましても管理者のかたわらにあって、明らかに時間的に計測可能な仕事をしておるわけでございますから、その点にもし将来了解の相違が出てくるというようなことがあっては困りますので、そういう意味を明らかにしたわけでございます。超過勤務は時間ではかって支払われるのが原則でございますけれども、これはその部分が時間計測に適しないという前提に立ちますれば、これは一律に支給することもやむを得ないのじゃなかろうか、こういう考え方に立っております。
  329. 山中吾郎

    山中(吾)委員 支給方法だけの論議と解していいと思うのですが、もう一度念を押しておきますが、労働基準法の第一条の規定によって、労働基準法に定めておるところのものは最低基準である。したがって、現在の教員は四%以上の超過勤務をやっている。これを調査したら事実やっておるし、現在してなくても、必ず四%以上の勤務をやる時代も出る。定員は押えられる、養護教諭、事務職員は法律で設置義務があるけれども、当分の間で、長引いておる。事実もうすでに四%というものが、これは低目に見ておることは間違いなくて、文部省が控え目に見た調査でも四・三%に相当するものであるが、四%に押えているわけです。それで、それ以上の超過勤務請求権を放棄させておる。そして、この法案中身を客観的に見たときに、労働基準法の第一条の違反であるということ、下回るということはもう間違いない。そこで、第一条の労働基準より下回るという事実というものがこの法案中身にあらわれておると同時に、超過勤務請求権を剥奪していくという内容を持っておるのであるから、労働大臣は本来は、これはそういう労働基準法を——他の法律という形式によって、間接的に労働基準法というものの拘束時間を前提とした中核に相当する超過勤務請求権をとってしまうという方向を持っておるので、これは付議すべき事項であるということは、石井会長はそう言っているのですね。それをあなたはしなかった。しかし同時に一方、基準審議会においてはすでにそれを建議をするということで審議を始めておるのであるから、現実にいままでの論旨からいっても、労働大臣は、その結論をまつまでは少なくともこの法案というものは結論を出すべきでない。この最小限の考え方だけは、労働大臣としてはいまの論旨からいって当然のことだと思うのですが、その点いかがですか。
  330. 小川平二

    ○小川国務大臣 私どもは文部省とともに法案内容について御説明をいたしたのでありまして、これに基づいて一部の委員提案によって審議会がこれを正式にお取り上げになって、ただいま審議をなさっておるわけでございます。これが建議の形で結論的な御意見が出るのか、あるいは建議がなされないのか、この点は今日予測することができないのでございます。
  331. 山中吾郎

    山中(吾)委員 だから、建議というものがなされない結論になるか、建議という結論になるか、そのいずれにしても、結論が出るまではこの法案を成立せしめる方向にすべきでないんだ。結論でないという結論はないのですよ。その点は当然のことでしょう。
  332. 小川平二

    ○小川国務大臣 これは、この法案の提出に際しまして、すみやかに御審議願って、御可決いただきたいということを文部大臣がお述べになっておるわけでございますから、私も閣僚の一人としてこの点は同じでございます。ただ今日、この時点においてさらに審議を継続すべきであるか、ある委員会としての結論をお出しになるべきかというような点になりますれば、これは国会の御審議の問題でございますから、私がこの場でとかく申し上げる立場ではないと思います。
  333. 山中吾郎

    山中(吾)委員 労働基準法の執行の責任者、労働基準法を守っていく責任者である最高の行政官庁の労働大臣の見解を聞いておるのです。だから労働大臣の見解なんです。現在すでに審議をしておる、建議案を出すことを目的として審議をしておる。あなたの御承知のとおり、その結論は、これは建議をやめようというかどうかは向こうのことですからわからないと思います。しかし、いずれにしてもその結論が出るまでは、この法案審議はしておっても採決、成立させるということは待つべきある。それは労働大臣の最小の見識じゃないですか。それを言えないようなことでは、労働大臣は労働基準法を守る行政官庁の立場をみずから放棄している。——大臣に聞いておるのですよ。この重大な問題を基準局長に聞いてもしょうがないじゃないですか。
  334. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 審議会で実質的に取り上げましてどういうふうに進行したかという事実の問題に関連いたしますので、私から答弁さしていただきます。  大臣が申し上げましたように、審議会で説明をいたしました。これは説明ないしは報告と従来私ども申しておりました。それについて審議会はどうこうという意見が述べられなかったのでありますが、その次の審議会におきまして労働側委員から提案がございまして、審議会として取り上げてもらいたいという要望があったわけでございます。これを会長が委員にはかったのでありますが、その結課、どのような内容に取りまとめられるか、あるいは取りまとめるかいなかということは、今後の審議を通じてきめたい、とにかく審議に入りたい、こういう了解を得まして審議に入ったのでございます。事実はそういう申し合わせをいたしましたけれども、その際は、前回労働省及び文部省から説明を聞いておるということで、深い審議には至りませんで、委員の改選期に入りましたわけでございます。そうして改選された委員の手によりまして、再びこの問題を審議するかいなかということについてはかられまして、会長はこれを取り上げるということに相なったわけでございます。この過程におきまして、建議するかいなかという点については、意見はまとまっていないわけでございます。先ほども申し上げましたように、どのように取りまとめるか、建議をするかいなかということは、今後の審議の中において判断したいというふうに、会長がその考え方を明らかにして審議に入ったというのが現状でございます。月曜日に開かれました審議会におきましても、いろいろ論議があったということを大臣から先般申し上げたのでございますけれども、審議の事実からかんがみまして、私ども、建議をするといったそういった意思は明確になっていないということが事実でございますので、その点だけを私から申し上げておきます。(大原委員「建議を目的として審議を始めたんじゃないか」と呼ぶ)
  335. 山中吾郎

    山中(吾)委員 事実というお話ですが、これはいま大原委員が不規則発言しましたけれども、建議というものを目的として、そうして総会を開いて始めるということは明確にしておるわけです。明確にしておりましょう。建議を目的として審議を始めておる。しかしその結果は、建議をするかしないかは知りませんよ。それは審議会の自主的な問題です。しかし、建議を目的として審議を始めたことは事実でしょう。これは事実の問題です。
  336. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 審議会におきましては、審議の重要な事項につきましては議事録等を取りまとめておりますけれども、いま先生が表現されたような形の決定なりあるいは意向はあらわれておりません。それは事実でございます。
  337. 山中吾郎

    山中(吾)委員 この審議会の目的は、大臣から諮問を受けたときに諮問に答える。そうでないときは自発的に建議をする。二つしかないわけです。労働基準審議会の目的、機能を見ますと、二つしかないのですよ。ところが、諮問がなかったのに審議を始めている。これはもう建議を目的としている。法律からいってもそうなんです。法律からいっても、建議もしない、諮問もないのに何も正式の審議会を開くことはないのです。そうでしょう。審議会の目的は、建議機関であるか、諮問機関であるか、この二つしかないのです。それと、この法案が具体的に出て、そうして委員の中からそれを提案をして、建議するべく審議を始めてくれと提案をして、石井会長は取り上げて審議をしているじゃないですか。だから結論は別ですよ。建議を目的として審議を始めているのだから、それについて事実の上に立って労働大臣は、少なくとも審議を始めているのだから、この結論が出るまではこの法案を結論を出すべきでない、これは最小限の見解でしょう。いままでのいろいろな経過はそれでいいでしょう。それを言わないようでは、こういう法案の問題について労働大臣は一体何をお考えになっているのか。
  338. 小川平二

    ○小川国務大臣 この場でうそを申し上げるつもりは全くないのでございますけれども、これは建議を目的として御審議になっておるわけではないのでございます。ともかくこれを議題としてお取り上げになって検討、審議が始まっておるわけでございます。もちろん建議をする権限を審議会は持っておりますけれども、建議はなされないかもしれない、あるいは建議がなされるかもしれない。これを今日この時点で断定するに足る事実というものは、これは全くないわけでございます。
  339. 山中吾郎

    山中(吾)委員 労働大臣はかってにそういうことを言っておるけれども、石井会長は、建議のために審議会を開いてくれという委員の要望にこたえて、開いているのですよ。あなた、かってにそういうように解釈しておるけれども、それなら石井会長を一ぺん呼んで、聞いてみなければならない。委員長、石井会長を呼び直してください。
  340. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 月曜日に早朝から審議会を開催したのでございますが、各側の意見を聞きまして、会長が申し合わせという形できめましたのが、先日大臣が申し上げたところでございまして、「一、本日の審議では各種の意見が出てにわかに結論を得がたい状態であった。」ということでありまして、建議するかしないかということについては、いまいろいろ御意見もございますけれども、審議会としてはこの一の項目に示したようなことを述べておるわけでございますので、それ以上私がかれこれ申し上げることはいかがかと思いますが、第二は「今後本件について労・使・公益各側においてそれぞれ問題点を整理し、次回の定例総会(二十四日)前までに会長の手もとに提出すること」こういうことであります。(「第三は」と呼ぶ者あり)第三はないわけであります。原案はありましたけれども、それは削除になったわけでありまして、削除になったものについては申し上げる筋合いでないと思っております。  以上のようなことでありまして、建議するかいなかという点は、一にかかって審議会の自主的な判断によって今後処理せらるべきことであります。
  341. 山中吾郎

    山中(吾)委員 だから局長、そういう各部会の意見を聞いて、整理して、会長の手元に提出し、会長がそれによって判断して、そうしてどうするかということを次に会長がきめる。そこまでは待たなければいかぬでしょう。当然のことです。にわかに結論が出ないので、各小委員会、部会において意見を出せば、それで整理して、会長が判断をして、そうしてこれをどう取り扱うかそのときに決定するのだから、そういうことの中から建議するかしないかを全部集まったあとで判断するということに段階がきておるのだから、それまで待つのは当然ですよ。いまあなたは事実を述べただけで、しないということはどこにもないじゃないですか。この法案は事実上労働基準法の第一条の最低限度を下回るのだから、そうして一番大事な請求権も剥奪する内容を持っている。そういう実質的な法案の性格と同時に、基準審議会がこの問題の検討を始めた。そうして各小委員会からいろいろな意見を持ってきたときに整理をして、そのときに判断をするという、そういう回答が来ておるのですから、その結論が出るまで当然にこの法案の結論を出すことを見守るべきであるというのが、労働大臣はいままでの経過はどうであろうが、最小限の労働基準法を守る行政責任者の識見であると思う。それが言えないようなことではどうなるのか。私は、あなたのその点のもう少し明快なる答弁がないと、この法案審議はできないと思うのですよ。過去のいろいろな経過はわかります。労働大臣の現時点における見解というものは、その結論が出るまでは待つべきであるというのは当然じゃないですか。   〔「会長を呼べ」、「進行、進行」と呼び、その他発言する者あり〕
  342. 高見三郎

    高見委員長 暫時休憩いたします。    午後六時九分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕