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1968-04-27 第58回国会 衆議院 文教委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十七日(土曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 臼井 莊一君 理事 久保田藤麿君    理事 坂田 道太君 理事 谷川 和穗君    理事 西岡 武夫君 理事 小林 信一君    理事 長谷川正三君       大村 襄治君    周東 英雄君       菅波  茂君    竹内 黎一君       床次 徳二君    中村庸一郎君       藤波 孝生君    箕輪  登君       加藤 勘十君    唐橋  東君       川村 継義君    小松  幹君       斉藤 正男君    受田 新吉君       有島 重武君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         文部政務次官  久保田円次君         文部大臣官房長 岩間英太郎君         文部省初等中等         教育局長    天城  勲君  委員外出席者         労働省労働基準         局監督課長   藤繩 正勝君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 四月二十七日  委員河野洋平君、高橋英吉君、広川シズエ君、  渡辺肇君、山崎始男君及び永江一夫辞任につ  き、その補欠として菅波茂君、大村襄治君、箕  輪登君、竹内黎一君、加藤清二君及び受田新吉  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大村襄治君、菅波茂君、竹内黎一君、箕輪  登君及び受田新吉辞任につき、その補欠とし  て高橋英吉君、河野洋平君、渡辺肇君、広川シ  ズエ君及び永江一夫君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  教育公務員特例法の一部を改正する法律案(内  閣提出第六一号)      ————◇—————
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  教育公務員特例法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告があります。順次これを許します。西岡武夫君。
  3. 西岡武夫

    西岡委員 教員公務員特例法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  教育重要性考えますとき、その重い責任をになっているところの教員待遇に関する問題は国民のひとしく注目するところでございます。今回の第五十八国会一般教育国会といわれるところも、この法案重要性を物語るものであると思うのでございます。  まず、具体的な質問に入ります前に、基本的な問題について二、三大臣のお考えを承りたいと思うわけでありますが、まず初めに、この法律国会提案をされます以前の段階から、いわゆる聖職論等教師に対するいわゆる教師観をめぐっていろいろな論議がすでに起こっているわけでございますが、大臣教師観というものについてのお考えを承りたいと思います。
  4. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御質問に対しまして的確なお答えになるかどうか、なかなかむずかしい御質問でございますが、御質問の御趣旨は、教師というものに対してどのような考え方をしておるか、こういうことではないかと思います。ことに本案に関連しての御質問であろうと存じますが、私は、教師は大切な子供さん方をりっぱな人に育てていくために大きな役割りを果たしている、そういう意味におきまして、教師そのものがやはり学童にとりましては一つの人間としてのかがみになってくるのじゃないかと思うのであります。そういう意味におきまして、教師はそれぞれその人格をみがき、りっぱな人格を持った人として、その人格をあげて教育対象となっておる学童との関係というものに向けられていかなければならないと思うのであります。そういう観点からいたしますならば、教師御自身の人格をみがく上においての修養あるいはその勤務重要性についての自覚というものは常に持っていていただかねばならぬものと存じますし、同時にまた、われわれ国民の側から申しましても、そのようなりっぱな教師の手によってわれわれの子弟が教育せられる、そのことに対して常に敬意と信頼を寄せていかなければならない、そういうふうな方であってほしいと実は思っておるわけでございます。  しかし、一面から申しますと、教師もまた働く人でございます。教師はやはり働き、また夜は眠らなくちゃならぬ方でありますから、働く人としての教師というものについて適切な処遇というものがなされなければならないと思うのであります。決してかすみを食って生きている人でも何でもない。そういう憲法にいわゆる勤労者という性格を十分持っておるはずと私は思います。ただ、働く人と申しましても、一般の私企業に働いておる人とは趣を異にして、いわゆる全体に対する奉仕者と、こういうような大切な仕事に従事しておる人であるということはもちろんのことでございますけれども、私は、そういう意味から申しまして、この教師勤務条件でありますとか、教師勤労に対する管理の問題でありますとか、こういうことについては常に検討を怠らないで、近代的なりっぱな勤労管理あるいは勤務条件の樹立、こういう問題について常に配意してまいらなければならない立場におる人である、このように存じております。  今回のこの提案申し上げましたところの教育公務員特例法の一部を改正する法律案、この法律案における教師は、すなわちいまのような大切な仕事をなさる方でありますけれども、どこまでもやはり働く人である、その勤務条件改善する、こういうふうな意味合いにおいてこの法案提案がなされておる、かように御承知をいただきたいと思うのであります。
  5. 西岡武夫

    西岡委員 今回の措置のように教員給与改善に触れる問題につきましては、この問題に手をつけるにあたって、まず人事院勧告というものを待ってから行なうべきではなかったかという感じがするわけでありますが、その点についてお尋ねをいたします。
  6. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 人事院勧告を待たないでこの法案提出をいたしました。それについては、また法律的な説明政府委員にお願いしたいと思いますけれども、われわれとしましては、この措置がいわゆる給与の本体をなしておりますところのものに触れるものでなく、特別な手当として支給をするという問題でありまして、あるいはまた、対象となるべき方たちがいわゆる国立あるいは公立の小中学校高等学校教員に限られている、それからまた暫定的な措置として行なわれておる、こういうような観点からいたしまして、特に人事院勧告を待つまでもなく、政府として措置し得ること、このような考えのもとに本案提出いたしたわけでございます。もっとも、事実問題といたしましては、人事院のほうともいろいろ御相談しました結果、この法案ができておるというふうに御了承いただきたいと思います。不十分な点は政府委員からお答え申し上げたいと思います。
  7. 天城勲

    天城政府委員 大体いま大臣の申し上げたことで、今回人事院勧告を待たずに行なった趣旨は御説明申し上げたと思うのでございます。  ただ、若干補足いたしますと、この法律案におきましても、第二十五条の五で、「前条に規定する事項は、一般職職員給与に関する法律第二条第三号の規定による人事院勧告に係る事項に含まれるものとする。」というふうにして、この教職特別手当も本質的には人事院研究勧告対象になるという程度にはいたしております。ただ、発足にあたりましては、ただいま申し上げたような事情もございまして、勧告をまたずに制度として発足したわけであります。なお、このことにつきましては人事院と十分御連絡を申し上げまして、人事院からも今回の措置について最終的には御了承をいただいておりますので、この措置をとったわけであります。
  8. 西岡武夫

    西岡委員 人事院お尋ねをいたしたいと思いますが、人事院のこれに対する御見解はどういうふうになっておりますか。
  9. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 お答えいたします。今回の教員超過勤務手当支給しないで特別手当支給するという提案でございますけれども、これにつきましては、法律上の厳密な解釈はともかくといたしまして、人事院勧告制度のたてまえから申しますと、手続的に私どもとしてはやはり問題があるというふうに考えているのでございますけれども、その内容におきましては、人事院が先般、たしか三十九年の勧告におきまして、教官超過勤務手当あり方につきましては問題があるということで考えてまいりましたところと基本的に違っているというわけでもございません。現在の段階で、その内容が何%ということにつきましては、まだ私どもとして精密な判断は下しがたいわけでございますけれども、そういう基本的な方向としてはずれているというふうには考えておりませんので、当面の暫定措置としては一応やむを得ない、理解できる案ではなかろうかというふうに考えているのでございます。
  10. 西岡武夫

    西岡委員 少し奥歯にもののはさまったような感じを受けるわけでありますが、もう少し明確に人事院のお考えを出せないものでございますか。
  11. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 教官超勤に関する問題は、人事院といたしましても、三十九年の勧告におきまして、問題がある、そのあり方について関係省庁でやはり検討してまいりたい、私どものほうでも十分研究したいということは報告に明らかにしたとおりでございます。その後、私どもとしましてもいろいろ検討を重ねてきておりますけれども、現在の段階におきまして、これでいくという案につきましてまだ最終的な成案を得てきていなかったという状況でございますが、文部省の御提案につきましては、先ほど申しましたように、私ども考えてまいりました基本的なラインという点から申しまして、はずれているとは考えておりませんし、なお、たとえば四%が適当かどうかといった点につきまして精密にはまだ判断が十分ついておりませんけれども方向としては十分理解できる方向ではなかろうかというふうに考えているのでございます。
  12. 西岡武夫

    西岡委員 第二十五条の四の二項に「前項の教職特別手当に関し必要な事項は、人事院規則で定める。」というふうになっているわけでありますが、この内容について、どういうふうなものであるか承りたい。
  13. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 この規則中身といたしましてどういうことが規定されるべきかという点につきましては、まだ十分成案を得ているわけじゃございませんが、支給率につきましては法律に明定しておりますし、したがって、支給日その他支給手続に関する事項が定められることになるのではないかといったようなことで検討しておるわけでございます。
  14. 西岡武夫

    西岡委員 文部省お尋ねをいたしますが、この点についてどうお考えになっておられるか、また人事院とよくこの点を調整され、打ち合わせておられるか、その間の経緯をお尋ねいたします。
  15. 天城勲

    天城政府委員 この人事院規則で定める内容でございますが、もちろん人事院で最終的におきめいただくわけでございますが、私たち御相談申し上げ、また一般考えられる問題はこういうことではないかと思っておりますことは、いま一般的に言われました俸給支給方法に関する問題だと思います。たとえば教員勤務の中で研究のために内地留学をしてかなり長い間出られたり、あるいは出張でも、月の全日を学校から離れるというような場合もございます。従来教育関係の諸手当、たとえば産業教育手当とか通信教育手当などにつきましても、これらの支給についていろいろなこまかい規定がございますので、実際上の問題としては、やはりそのことをきめていただく必要がある。大体従来の諸手当の例から申しますと、こういうようなことが中身になるのではないかと、いま思っているわけでございます。
  16. 西岡武夫

    西岡委員 次に、これもこの法案提出についての手続に関する問題になるわけでありますが、この内容勤務条件に関するものであるところから、中央労働基準審議会に諮問すべきでなかったかと考えるわけでありますが、この点についての御見解を承りたいと思います。
  17. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のとおり、その点は私たちも十分検討したわけでございます。御存じのとおり、現在の公務員労働基準に関する扱いでございますが、労働基準法国家公務員である教員原則として適用がないわけでございます。それから地方公務員としての教員につきましては、一部を除きまして適用がございます。また、その監督権限というのは地方公共団体人事委員会などにありまして、労働基準監督官権限が及ばないというような形で、労働基準法公務員との関係が定められているわけでございます。  今回の改善中身は、労働基準法を直接改正するという方法ではなくして、教育公務員特例法の一部改正でございまして、その結果として国公立の小、中、高等学校教員につきまして労働基準法の、たとえば三十七条その他の規定適用ないことになる、こういう関係になるわけでございます。  この点につきましては、公務員法措置で、私たち給与上の措置という前提で考えておりますが、結果的には労働基準法との関係が出てまいりますので、労働省にも十分御相談したわけでございます。労働省も慎重に御検討をいただいた結果、これは実質的には公務員関係の問題である。現に先ほど申したように、国家公務員たる教員につきましては、労働基準法と直接関係なしに、いわゆる給与法あるいは国家公務員法労働基準が定められているわけでございますので、これは公務員関係の問題である。また、労働省のほうの御意見では、前例に徴しても、こういうケースで諮問したことがないので、今回の措置につきましては労働省付属機関である中央労働基準審議会に対して労働大臣から特に諮問をしなくていいんだ、このように伺っているわけでございます。
  18. 西岡武夫

    西岡委員 次に、ILO勧告に関してでありますが、教員地位に関する勧告趣旨からいたしますと、今回の措置教員勤務条件に変更を加えるという内容を持っているわけであります。その点から、教員団体と相談すべきではなかったかと考えるわけでありますが、この点について御見解を承りたいと思います。
  19. 天城勲

    天城政府委員 ILO、ユネスコの勧告教員地位に関する勧告性格の問題が一つあろうかと思っております。これは前にも大臣から御説明申し上げたことがある点でございますが、世界の国々の事情が非常に異なっております。また、教育制度も異なっておりますので、要は教員地位を高めるという問題ではございますけれども、それぞれの国の事情があるので、法的拘束力のない勧告という形式をとっておるのがこの教員地位に関する勧告性格の一番基本だと思うのでございます。そういう意味で各国ともみなこれに賛成をいたして、勧告形式をとっているわけでございまして、いわば条約的な法的拘束力を持つものでございますと、なかなか一ぺんにまとまらなかったいきさつもあったんじゃないかと思います。したがいまして、日本におきましても、日本事情に即しながら、日本の国の立場に立ってこの勧告の精神を生かしていく、特に教員処遇改善を主としていくという立場でございます。日本現行制度においては、御存じのとおり教育公務員給与の決定というのは、職員団体と協議しなければならないことになっておらないわけでございまして、法令によって定めるという制度になっております。また給与勤務条件等につきましては、公立学校教員にあっては都道府県の教育委員会と交渉することができることとなっておるわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、この勧告趣旨を十分生かすという意味から、教員待遇改善をはかるという意味から検討いたしておるわけでございますが、手続的には、それぞれの国内法事情によって、そのまま受けなければならないというふうにはまいらないと思っておるわけでございます。ただ、実際問題としては、われわれ事務当局といたしましては、この教職員特別手当支給をめぐりましては、職員団体方々ともしばしば意見の交換はいたしておりますし、要望も聞き、またわれわれの考えておることも御説明はいたしておるわけでございます。
  20. 西岡武夫

    西岡委員 具体的には、どういうふうな形で要望を聞いたり相談という形をとられたのか、もう少し詳しく承りたいと思います。
  21. 天城勲

    天城政府委員 今回の措置について申し上げますれば、教員正規勤務時間外の給与上の措置ということについてはどういう措置をとるか、いろいろな意見が従来ございまして、ひとり教員団体のみならず、いろんなところからいろんな御意見が出ておりました。私たちは、まず実態を明らかにするという意味で、教員勤務調査から始めたわけでございます。これにつきましては、ある時期において、前の前の文部大臣が非公式にも組合関係方々とお話し合いをいたしております。これは必ずしも正式なものではございませんけれども、お互いの理解の上で予算化をいたしまして調査に入ったわけでございます。その後別に公式の機会というか、いつ、どこでということを一々申し上げるような形式ではございませんけれども、適宜組合方々が私たちのところにおいでになってお話を重ねておりまして、最終的にこの案がきまりました段階で、三月の十一日だったと思いますけれども、この機会にも、中間のいろいろな意見はあったけれども、最終的にはこういう案にきまったんだからという形で説明を申し上げたようなこともございます。
  22. 西岡武夫

    西岡委員 次に、法案の具体的な内容に入りたいと思うわけでありますが、第二十五条の四の改正内容によりますと、教員に対し、その勤務態様特殊性に基づき、教職特別手当支給するという趣旨になっております。これは定められた勤務時間をこえて勤務した部分に見合うものとして支給されるというふうに理解をしてよろしいわけでありますか。
  23. 天城勲

    天城政府委員 この勤務態様特殊性という内容でございますが、普通に平たく申しまして、小、中、高等学校の先生の勤務には、普通いう授業を行なうほかに、教材研究ですとかあるいはクラブ活動学校行事指導家庭訪問というような、普通に考えている授業以外の勤務がいろいろございます。特に授業のほうは普通にいわれている正規授業でございますが、それ以外のいま申したような活動につきましては、正規勤務時間外にわたって行なわれる場合があるわけでございます。これはわれわれ調査をいたしまして、その実態が明らかになったわけでございますが、いま申したような仕事は、その性質から見ましても、必ずしも勤務時間の長短に対応してその手当の額を算定するということは適当でないような性質を持っているのではないかと考えております。また場所的に見ましても、学校の校外にわたって行なわれるような仕事もございます。そういう意味で、本来正規勤務時間内に終えればよろしいのでございますが、それが超過して時間外に行なわれる場合には、その勤務態様というものは普通の公務員の場合と非常に異なっておる。この点にわれわれ注目しているわけでございます。
  24. 西岡武夫

    西岡委員 そうしますと、これは超過勤務手当に見合うものと申しますか、それのかわりの処置であるというふうに申していいわけでありますか。
  25. 天城勲

    天城政府委員 給与の理論と申しますか、考え方から申しますれば、時間内の勤務に対する報酬というのは、いわば本俸で措置されているわけでございまして、時間外に対する措置という点につきまして比較いたしますれば、現行一般職員適用されております超過勤務手当ではないという意味で、かわりだということになれば、まさにそういう性質を持っているかと思います。
  26. 西岡武夫

    西岡委員 そうしますと、公立学校教員に対しては労働基準法適用されているわけでありますが、それにもかかわらず、従来超勤手当支給しなかった理由はどこにあったわけでありますか。
  27. 天城勲

    天城政府委員 これは若干歴史的な経過もございますので、その事情を申し上げたいと思っております。  戦後まもなく、二十三年に公務員給与がいわゆる新旧制度の切りかえが行なわれたわけでありますが、そのとき教員給与につきましては、一般公務員よりもほぼ一割程度割り増しして、切りかえ率で申しますと、その当時の一番高い切りかえ率によって新旧制度の切りかえを行なったわけでございます。それと同時に、そのときの考え方といたしましては、勤務時間の長短がいろいろあったわけでございますが、勤務時間の一番長い例を根拠にして、たしか十七割という比率をもって切りかえが行なわれまして、それに伴ないまして、教員には超過勤務手当支給しないという話し合いが行なわれておったわけでございます。しかし、御指摘のように労働基準法適用がございまして、超過勤務を命ずるならば当然割り増し賃金支給をしなければならぬという制度上の問題がございました。そこで切りかえのときの措置並びにそのときの考え方に基づきまして、自来文部省といたしましては、教員には原則として超過勤務を命じないようにという指導を続けてきておったのが率直に申しまして従来の実態でございます。
  28. 西岡武夫

    西岡委員 それでは、これまでのそういった方針を改めて、今回教職特別手当支給することとした理由を御説明いただきたい。
  29. 天城勲

    天城政府委員 ただいま申し上げたようないきさつによりまして超勤に対する態度は続けてきたわけでございますが、実際問題として正規勤務時間外に及んで勤務をしておる実態がいろいろ出てまいって、また、それをめぐって超過勤務手当を正式に支給すべきではないかという人事委員会判定とか、あるいは裁判判決等も出てきているわけでございます。そこで、それにはいろいろな事情がからまるわけでございますけれども、当時一般公務員よりも高い比率で切りかえられました給与制度が、今日までの間にいろいろ変遷してまいりまして、当時一般公務員教員も一本の給与制度であったのが、教員教員俸給制度に変わってまいりまして、いわゆる当時の超過勤務を含めてという意味も入ったと思うのでございますが、高い切りかえの流れが今日どのように変わってきておるかということを正確にトレースすることができないような給与制度の変遷があったわけでございます。一方、そういう事情もありまして、超過勤務実態に対して、これを支給しろという意見も出てまいりますし、人事委員会判定裁判判決等もございます。そこで、われわれといたしましては、従来超過勤務を命じないようにという指導をしてまいったのでございますが、実態がいろいろあるならば、実態調査をいたそうということで、四十一年度に公立の初中高等学校教員勤務につきましてこれを調査いたしました。その結果、昨年の七月だったと思いますが、結果も公表してございますが、教員の先ほど申したようないろいろな特殊な勤務態様正規勤務時間外に及んでおる実態が出てきたわけであります。しかし、これはいわゆる法律上命令によってなした勤務であるかいなかは一応別といたしまして、勤務時間外に及んでおる仕事実態が出てきたわけであります。そこでわれわれといたしましては、当然正規勤務時間内の延長と考えられる仕事もあるので、これに対する措置をしなければならぬ、このように考えて時間外の勤務に対する給与措置をいろいろ検討し始めたわけであります。  その場合に、現行超過勤務手当をそのまま支給するか、あるいは何らかここに新しい教員勤務に即した手当をするか、あるいは二十三年のときの考え方もあるように、基本的に給与そのもの措置することによって超勤問題をこの中で解決するか、いろいろな意見がございましたが、とにかく時間外の勤務に対する措置をしなければならぬという態度で進んでまいりまして、結果的には、今回御審議をお願いしておるような教職手当制度が暫定的には一番いい、こういうことになったわけであります。
  30. 西岡武夫

    西岡委員 ただいまお話のありました四十一年に行なわれたという調査内容について、少し詳細に御説明をいただきたいと思います。
  31. 天城勲

    天城政府委員 四十一年に行なわれました教職員勤務状況調査でございますが、一応普通にいわれております毎日の勤務開始時刻から勤務終了までの、いわゆる執務時間内の事情と、それから先ほどもちょっと触れましたが、校長の超過勤務命令があったかないかは別といたしまして、勤務時間外に仕事をしておる状況、これを年間四十八種にわたりまして、延べ九万五千人でございましたか、この人員を対象調査をいたしたわけです。その結果——もちろんこの勤務時間外の調査につきましては、いろいろの前提、あるいは勤務あり方について調査表でいろいろ条件が出ておりますが、学校の敷地内で行なっておるもの、あるいは学校の敷地外に及ぶもの、これは遠足とか修学旅行とかいろいろございますので、こまかい条件を付しながら調査をいたしたわけです。その結果、とにかく正規勤務時間外に教員仕事をしておる実態というものが出てまいりまして、小学校で二時間三十分、中学校で一二時間五十六分、こういう時間が出てまいりました。この時間外の仕事中身をいろいろ検討してまいりますと、正規勤務時間内でやれるものもかなり出てまいりますし、また、これはいわゆる超過勤務考え方、要するに勤務の延長と考えられないものもあるというようなものもございますので、いろいろ中身検討いたしました結果、結論的に、一週間で計算いたしますと、小学校教員で一時間二十分、中学校教員で二時間三十分ほどの勤務の延長と考えられる時間外の勤務がある、そういうように判断いたしたわけであります。
  32. 西岡武夫

    西岡委員 教員勤務につきましては、ほかの勤務と非常に異なっておる点にいわゆる夏休み等の問題がありますが、この点についてはどういうふうな考え方で取り扱っておられるか、その点を承ります。
  33. 天城勲

    天城政府委員 実は教員勤務とそれから俸給考えます場合に、夏休みというものをどう考えるかということは、非常にむずかしい問題でございますし、いろいろ意見のあるところでございます。日本現行制度では、夏休みというのは子供が授業をしない日という考え方をとっておりまして、公務員としての教員にとっては、これはいわゆる休日ではございません。そういう意味で夏休みの間も教員としては勤務をいたしておるという前提で、いわゆる俸給も毎月支払っているわけでございます。したがいまして、この勤務態様につきましては、子供がおりませんのでいろいろな形式教員独得にとられるわけでございまして、よくいわれます自宅研修ということも、正式には命令による勤務だという考え方をとって、正規俸給を夏休みも支払っているわけでございます。また、事実最近は臨海学校とか林間学校とか、子供の指導をする時間も入っておりますが、ならしては勤務中だ、このように考えております。ただ、時間外の勤務をどのように見るかという、先ほど申した実態調査におきましては、夏休みとかあるいは春休み、冬休みといっております要するに子供の休業日でございますが、この期間におきます勤務につきましては、勤務の最終の計算からは、要するに時間外勤務というものを明確に把握できないということで、計算の基礎からは一応はずしておりますが、本質的には四十四時間の勤務というものは夏休みもある、四十四時間の勤務を夏休みもいたしておるという前提で俸給を支払っているのが、現在の日本給与制度のたてまえでございます。これに異なる意見もいろいろございますけれども現行制度はこのようにできておりますので、その上に立っていろいろな問題を考えておるわけでございます。
  34. 西岡武夫

    西岡委員 諸外国の場合はどういう形をとっているか、もしおわかりでしたら……。
  35. 天城勲

    天城政府委員 諸外国の制度も、私もつまびらかにいたしておりませんが、いま申したように夏休みという問題がやはり大きな特色になっているようでございまして、たとえばアメリカなどでは州によりまた違いますけれども、夏休みを教員勤務しない日として本俸からはずしている州もございます。したがって、年間俸給を十カ月とかあるいは十一カ月というような計算にして、年俸制度にして、それを月割りに支給するというようなところもございます。またそういう場合、一般の先生は十カ月俸給でありながら、校長は十一カ月であるとか、十二カ月であるとかいうような、計算のしかたをいろいろ変えているところもございます。そのかわり、そういうところでは、夏休みに何か子供の指導教員が職務につく場合には、それぞれそれに必要な手当をつけるというやり方をいたしておるところもございます。それからドイツ、フランスあたりは、むしろ公務員形式に近いので、日本とそれほど違わない基本的な考え方をとっているように思います。特に勤務につきまして独特な制度をとっておりますのは、先ほど申したように運動の指導ですとか、クラブ活動指導ですとか、ある意味では教科外の課外活動について、それぞれ手当を出しておるような例もございます。フランスでは、むしろ一定の勤務時間をこえて特定の仕事をした者について手当が出される。学習監督あるいは休暇中の講義、試験準備、試験に立ち会う、答案の審査あるいは特に進路指導を担当する場合、こういうような個々の事情に従って手当を出しているというような例もございます。各国の基本制度は、基本が非常に違っておりますので、部分的に申し上げても非常におわかりにくいかと思いますが、大ざっぱに申し上げると、いま申し上げたような状況でございます。
  36. 西岡武夫

    西岡委員 この教員の夏休み時における勤務実態内容については、超勤の問題とからんでいろいろ議論のあるところでありますが、時間の関係もありますので、先に進ませていただきます。  前の劔木、中村文部大臣の当時、超過勤務手当支給するということを言明しておられると記憶しておるわけであります。また、当初文部省自体もそのような方針であったと聞いておるわけでありますが、それを今回教職特別手当に変更したのはどういう特別の事情があったか、この点大臣から承りたいと思います。
  37. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 局長から御説明を申し上げましたように、現行法のたてまえから申しますと、いわゆる時間外の勤務をいたしました場合は、労働基準法の定めによりまして割り増し賃金制度というものが、適用になるということが、一応考えられるわけであります。いろいろな沿革がありまして、従来文部省はそのような規定適用を排除するという意味もあったと思いますけれども、一方においては給与の問題について特別の考慮を払いながら、時間外の勤務は命じないようにという指導方針でやってまいりましたけれども、実際問題としまして、先ほど局長の申しましたような事情、時間外の勤務の問題についていろいろ議論を生じてくるので、何らかの措置も講じなければならないような事態に発展してまいったと思うのです。そういう関係からいたしまして、その実態を一ぺん調査しよう、調査した上で考えようという考え方がまず出たと思うのであります。その調査の進展に伴いまして、さらに具体的にどうするかという問題が、国会におきましてもいろいろ論議されたところでございます。政府としましてはその査の結果、何らかの措置をとらなければならないという考えに立ち至ったと思うのでございます。それをどういうふうに配慮するかというところが議論の生ずるところでありますが、いわゆる超過勤務手当というものでやるべきである、あるいはさらにもっと根本的に考えて、給与改善をはかった上で、それに対応する措置をするか、こういうふうないろいろなことが検討せられたと思うのであります。政府部内においてもいろいろ検討せられましたが、政府と与党の関係におきましても、与党内部におきまして十分な検討を遂げられました結果、時間外の勤務に対する措置といたしまして、従来行なわれておりますところの超過勤務手当方式は、どうも教員の時間外の勤務に対する給与としてはふさわしくないのじゃなかろうか、実情の上から申しまして、あるいはまた法案提出理由として申し上げておりますような、いわゆる教員の時間外勤務特殊性というものを考えましたときに、一般の方式に従うということはいかにもふさわしくないのじゃなかろうか、こういうような結論となりまして、根本的な給与の問題はなお調査を進めることにいしまして、暫定的な措置として、このような形において時間外勤務実態というものに対してこたえていこうということになりまして、この法案になったような次第であります。
  38. 西岡武夫

    西岡委員 次に、今回の措置に伴って教員についての労働基準法規定適用が具体的にどのように変わるか、詳細に御説明をいただきたいと思います。
  39. 天城勲

    天城政府委員 公立学校教員につきまして二十五条の七の規定がそれをいっておるわけでございます。たいへんごちゃごちゃしておって、ちょっと恐縮でございますが、少し中身について申し上げさせていただきます。  国立学校につきましては、先ほど申しましたように労働基準法適用は従来もございませんので、この措置公立学校についてのみと考えていただいてけっこうでございます。実は二十五条の七でいっておりますことは、三つのことがここに規定されておるわけでございますが、一つは、公務のため臨時の必要があるときは時間外の勤務を命じ得る根拠を定めておりますのは労働基準法の三十三条でございますが、この三十三条の三項を適用することといたしておるわけでございます。それから「十六号」とあるのは「十二号」という、たいへんややこしいのでございますが、これは要するに一般の官公庁につとめる公務員と同じ扱いをする、一般の労務者、労働者とは違って、公務員規定適用するということで、三十三条の規定を一応適用し直しておるわけでございます。それからその場合に、現在いわゆる三十六条にいう三六協定、超過勤務を命ずる場合には三六協定によって命ずるという規定があるわけでございますが、これは一般公務員には適用ございませんので、今後地方公務員たる教員についても一般公務員と同じように、三十三条で公務のため臨時の必要があるときには時間外の勤務を命じ得るという形をいたしますので、三六協定の根拠である三十六条をはずしますと同時に、時間外勤務を命ずる場合には「公務員の健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない」という規定を新たにこれに加えたわけでございます。したがいまして、新しく教職特別手当支給されますと、時間外手当の根拠であります三十七条は適用しない、こういう構想になっておるわけでございます。  なお、ここにたいへん形式的なことでございますが、船員法について触れておりますが、船員に関しましては、この労働基準労働基準法でなくて船員法に規定されておるわけでございまして、形式的に現在労働基準法と並んで船員法の規定があるわけでございますが、それも教員たる身分を持った場合の船員の規定形式的には適用されるということで入っていると思うのでございますが、それとあわせて、やはり教職手当支給するならば、船員法に基づく超過勤務という考え方はとらないという考え方で、その点も形式的には直っておるわけでございます。現実的にはこういうケースはございませんが、現行がそうなっておりますので、これもあわせて直した。  大ざっぱに申し上げますと——大ざっぱと申しますか、基本的に申し上げますと、この点が労働基準との関係のポイントでございます。あるいは説明がごたごたしておわかりにくかったかと思いますけれども、また不十分な点は補足させていただきますが、一応内容はそういうことでございます。
  40. 西岡武夫

    西岡委員 ただいまお話のありましたように、今回の措置によりまして、労働基準法の第三十七条を公立学校教員適用しないというふうになるわけでありますけれども、これは憲法第二十七条に定めるところの「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」とある憲法の精神に反するおそれはないかと思うわけでありますが、この点について御見解を承りたいと思います。
  41. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 御指摘の憲法二十七条、これに反するおそれがないかというお尋ねでございますが、私ども慎重に検討したつもりでございます。憲法二十七条には「法律でこれを定める。」こうあるわけでございます。その法律内容がとんでもないものであれば、これはあるいは反する点もあろうかと存じますけれども、私どもといたしましては、妥当な内容を持った法律と存じますので、憲法の精神に反することはない、このように存じております。
  42. 天城勲

    天城政府委員 ちょっと補足さしていただきますが、憲法二十七条の労働条件に対する法定という考え方、これは大臣言われましたように当然教員にも適用されるわけでございます。ただ、労働基準につきましては法律で定めるということになっておりますので、現在におきましても、先ほど申し上げましたように国家公務員につきましては労働基準法でなくて国家公務員法、それからいわゆる給与法の系列で労働基準は定めております。地方公務員につきましても地方公務員法で原則として定めながら、労働基準法適用するという考え方をいたしております。また、いま申し上げました船員につきましては、労働基準法じゃなくて船員法によって規定されるという形でございますので、労働基準を法定するということは、労働基準法だけでなければならないということではないとわれわれ思っておるわけでございます。ただ、労働基準法は、御案内のように労働基準の最底を保障するわけでございますので、他の法律にございます労働基準の定めが労働基準法趣旨考えておる点を下回ってはならないということはあろうかと思うわけでございます、いま大臣が言われましたように、時間外の措置につきまして、今回の措置は、労働基準法と、それから国家公務員法地方公務員法全体にとられております労働基準、これと全面的に比較する場合に、現在の労働基準法趣旨に反しておるというふうには私たち考えておりませんので、今回の措置が憲法の趣旨からはずれたものであるとは考えておりません。
  43. 西岡武夫

    西岡委員 今回の法律改正によって一番現場の教師方々が心配しておられると思われますのは、特別手当支給されることによって、その反面、先ほど御説明がございましたように歯どめはあるわけですけれども、それがきわめてあいまいな歯どめになっておるために、無定量の勤務を命ずることができるという形になるという点が一番問題があると思うわけでありますが、この点について少し詳細にお考えを承りたいと思います。
  44. 天城勲

    天城政府委員 今回の措置によりますと、公立の小、中、高等学校教員につきましては、いわゆる労使間の協定によらないで超過勤務を命ずることができるという体制になるわけでございます。これは先ほど申した労働基準法三十三条第三項の適用によるわけでありまして、これは一般公務員と同じ立場に立つわけでございます。そのことから無限の勤務を命ぜられるのではないかという御心配が出てきたんじゃないかと思うのでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、この三十三条の考え方も、臨時に公務のため必要がある場合でございますし、またそれに対しても、公務員の福祉と健康を阻害してはならないという基本的な考え方はついておるわけでございます。その趣旨を十分生かしていただければ、単に無定量の勤務ということにはならない。現に国家公務員の時間外の勤務の根拠というのはこの方法でやっておるわけでございまして、国立学校の先生もこの規定のもとにあるわけでございます。またわれわれ、労働基準法でも出ておりますように、時間外の勤務というものは本来命ずるべき問題ではないので、勤務時間というものが定められておる以上は、勤務勤務時間内にいたすというのが本来の思想でございます。この趣旨はいささかも変わるわけではございませんので、私たちといたしましては、勤務時間の適正な管理ということは前々からも申している点でございますが、今後とも一そう勤務時間内で教員勤務ができるような方法をいろいろ考えなければならぬ。それにつきましては、単に勤務時間の管理の適正ということばだけじゃございませんで、それに伴うもろもろの施策もあわせていかなければならぬわけでございますが、大綱はそういうふうに考えております。その前提の上で、やむを得ない場合に時間外においての勤務を命ずることができる。こういう趣旨でございますので、どうか時間外勤務というものと時間内の勤務というものの基本的な点を十分御理解していただければ、私はいたずらに無定量の勤務が出てくるということにはならないと思いますし、また、管理者におきましても、十分その辺の理解と見識を持って運用していただきたい、このように思っておるわけでございます。
  45. 西岡武夫

    西岡委員 ただいま御説明がありました「健康及び福祉を害しないように考慮しなければならない」という点でありますが、だれがその基準と申しますか、それを判定し、どこまでそれを——その程度のあいまいな規定教員の健康、福祉を保障し得るかという点が非常に疑問なのでありますが、その点をもう少し明確に御説明いただきたいと思います。
  46. 天城勲

    天城政府委員 この規定がたいへん抽象的であるという御批判でございますが、抽象的というよりも、こういう規定になっておりますのは、具体的な場合に具体的な事情によって判断をするという前提があるわけでございまして、先ほど来申しておりますように、学校教員仕事についていろいろの特殊な点がございまして、そのあるものが時間外に及ぶという実態をわれわれも把握したわけでございますので、その職務の特殊性という前提から、ある意味では社会通念上、教員仕事という判断からこの健康、福祉の限界というものは考えていただくものだ、かように私は考えております。これは法律で非常にこまかくいろいろなことを規定するというよりも、こういう健康、福祉を害しない範囲という趣旨規定することによりまして、教職員の職務の特殊性から十分個々の事例に即して判断していただけるんじゃないか。(「だれが判断するか」と呼ぶ者あり)それはもちろん超過勤務を命ずる管理者の責任でございますけれども、その判断というものをわれわれ信頼していかなければならない、かように思います。
  47. 西岡武夫

    西岡委員 そうしますと、この点を保障すると申しますか、考慮するすべての責任は、いわゆる校長先生にまかせられているということになるわけでございますか。
  48. 天城勲

    天城政府委員 結局、学校勤務を全体としてどのように全教員で負担していくかという学校運営の問題にかかわってくると思うのでございまして、最終的にはこれを命ずる校長の責任と判断になる、かように考えております。  ただ、繰り返して申しますように、学校勤務が普通の公務員といろいろ違った中身を持っておりますので、そのことは結局教育運営ということになるわけでございます。それをひとり校長だけで処置するわけにもまいりませんので、全教員の協力によっていろいろ複雑な学校運営をいたすわけでございますので、その中からおのずから常識的な判断が出てくるのではないか、かように考えております。
  49. 西岡武夫

    西岡委員 この点はいろいろ問題があると思いますが、先に進みたいと思います。  特別手当の額の問題についてでありますが、俸給月額、調整手当、暫定手当の月額の合計額の百分の四に相当する額というふうに規定されております。この四%とした具体的な根拠についてお尋ねいたします。
  50. 天城勲

    天城政府委員 先ほど来もお話が出ておりますように、要するに時間外の勤務に対する措置でございますので、一応時間外の勤務実態をわれわれはいろんな角度から調べたわけでございます。そのときに、この時間外の勤務というものが給与上の措置として換算した場合にはどれくらいになるかということも、予算の上のこともございますので計算いたしたわけでございますが、そのときの数字か大体四%程度——その時間を給与に換算いたしまして俸給との比率考えますと四%程度であったわけでございます。  一方事務職員、これは従来から超過勤務手当が支払われておりますが、これは俸給の六%という予算措置を従来いたしてきております。決算で見ますともう少し低いのでございますが、予算措置として六%を計上してまいっております。一般公務員も予算措置は大体六%だったと思っておりますが、先ほど申したように、一年間を通じての勤務を月別に見てまいりますと、夏休み等の特殊な事態がございますが、ならして考えますと、他の公務員との時間外の勤務態様給与のベースに比較して換算いたしますと大体四%くらいになる、周辺のいろんな調査の資料をもとにいたしまして、最終的にこういう判断をいたしたわけでございまして、四%以外にあり得ないとかいう強い意味では毛頭ございませんで、現時点におきます最も妥当な比率として四%をはじき出したわけでございます。
  51. 西岡武夫

    西岡委員 この手当は、教員一人当たりについて具体的にどのくらいの額になるわけでありますか。
  52. 天城勲

    天城政府委員 いま教員俸給が、平均いたしますと大体五万円程度と思っておりますから、四%でならしていけば二千円程度ということになると思います。
  53. 西岡武夫

    西岡委員 今回の措置に要する総体の財源は、どの程度の規模になりましょうか。
  54. 天城勲

    天城政府委員 今度は小、中、高等学校公立と国立と両方に対してこの手当支給するもので、それぞれ財政上の仕組みが違っておりますのでたいへん複雑になってまいりますが、まず義務教育関係でございますが、これは半額国庫負担でございますので、大ざっぱにいって十五億負担金で計上いたしております。したがって、府県負担の十五億、これは本年度の予算の金額でございます。それから高等学校につきましては、これは全部地方費負担でございますので、その分の約十億、これは地方負担でございます。それから国立学校につきましては、これはそんな大きな金額ではございませんが二千四百万ばかり、これが今年度の金額でございまして、一月から三月末での金額でございます。
  55. 西岡武夫

    西岡委員 年間の処置としてはどういう形になりましょうか。
  56. 天城勲

    天城政府委員 これは給与改定その他のことがございますので、こまかいことは抜きにいたしますと、義務教育関係で平年度六十億余になります。それから国立学校では一億弱、九千六百万円ほどになるわけでございます。
  57. 西岡武夫

    西岡委員 先ほど御説明がありましたように、昭和四十一年度に公立の小、中、高等学校教員勤務状況調査を行なった結果、時間外に仕事をしている実態があることが明らかになったということであります。その、実態は当然四%相当分以上の超勤実態もあったと思われるわけであります。そういたしますと、人によってはこの四%でいわば打ち切られたという形になるわけでありますので、当然不利益を受ける者も出てくることになります。また、小、中、高校の学校による相違とか、人によって超勤の時間がそれぞれ異なるのが実態ではないかと思うわけでありますが、それにもかかわらず、一律の手当支給するというのは悪平等ということにならないか、この点について御説明をいただきたい。
  58. 天城勲

    天城政府委員 この問題につきましては確かにいろいろ御議論のあるところでございます。勤務実態調査から見ましても、必ずしも年間を通じて同じ状態でもございませんし、月によって繁閑がございます。また人によっても、男女教員によっても違いがあるわけでございますが、それは実際にあたって時間外の仕事の中から勤務の延長であろうというものを拾ってみたときにそういう実態が出てきたわけでございます。この手当考えましたそもそもの趣旨が、先ほど来申しておりますように教材の研究ですとか、クラブ活動指導ですとか、家庭訪問ですとか、それらも学校の構内で行なう場合もあれば、校外に出ていく場合もある。いろいろな態様がございまして、この実態というものを把握することが、事実なかなか困難でございます。監督者におきましても、時間外の学校外における活動というものはなかなか把握できないという実態もございます。それで、先ほど来申しておりますように、時間単位で、時間計測でやるにはどうしてもなじめない実態がある、こう判断いたしました。そういたしますと、結局、この個々の日における時間というよりも、教員勤務特殊性からいいまして、年間を通じてという見方をせざるを得ないわけでございます。ある意味では教員の時間外の勤務の質、必ずしも時間ではかれない質、量、こういうものを一ぺん吸収しまして、年間を平均して四%、こういう措置をとったのでございます。  それから、いま御指摘の中に超過勤務を命ずる場合に非常に不公平にならないかということも御指摘がございましたが、これは先ほども申したように、学校運営全体につきましては、できるだけ合理的に考えていかなければならぬ。また、時間外の勤務を命ずるときにも、非常に不公平な形にならないように、不公平な形というのは、特定の人に負担が重なるということのないように考えなければならぬ。これは当然合理的な学校運営というものを前提に置くという考え方になると思うのでございまして、ぜひそういう形で合理的な方向をはかっていきたい、こういうように考えます。
  59. 西岡武夫

    西岡委員 今回の特別手当が創設をされた根拠としまして、教員の「勤務態様特殊性に基づき、」とあるわけであります。そうしますと、公立の小中学校高等学校教員にだけ支給して、大学、高専、幼稚園の教員支給しないというのはちょっと理屈が合わないのではないかと考えるわけでありますが、その点はどういうふうに御説明されるのか、承りたいと思います。
  60. 天城勲

    天城政府委員 これはたいへん基本的な問題は確かに残っております。小、中、高等学校におきましては、特別教育活動指導ですとか、他の学校に比べまして非常に特殊な勤務がある。大学や高専その他の勤務内容とかなり違うものがあるということは一応考えられると思います。四十一年の調査におきましても、この小、中、高等学校を中心に調査いたしましたし、かねがね超勤問題についての議論の出ておりましたのも小、中、高等学校が中心でございましたので、当面とりあえず暫定措置としては小、中、高等学校対象措置するというふうにいたしたわけでございます。御指摘のように、それ以外の学校についてどうあるべきかということは、やはりそれなりにいろんな特殊な状態があろうかと思いますので、これらにつきましては今後の問題として十分検討してまいらなければならぬ、このようには考えております。
  61. 西岡武夫

    西岡委員 今後の問題としてということでありますが、具体的にどういうふうに持っていかれるか、現在のところは御方針はないということでありますか。
  62. 天城勲

    天城政府委員 今回の法改正措置といたしましては小、中、高等学校教員に当面問題をしぼったわけでございまして、その意味では、大学その他の教員給与勤務あり方につきましては今回は措置ができておりません。今後十分検討していかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  63. 西岡武夫

    西岡委員 この疑問につきましては、私立学校教員についても当然出てくるわけでありますが、私立学校の先生には勤務態様特殊性がないというふうになってしまうと考えられるわけでありますが、この点についてお考えを承りたいと思います。
  64. 天城勲

    天城政府委員 教員勤務特殊性という言い方をいたしますれば、公立と私立、国立、これは分けて考えるべきものではないと思います。今回の措置は、その教員勤務特殊性に基づいた給与上の措置という点で新しい教職手当考えたわけでございます。私立学校給与制度につきましては、現在特段の定めはございませんで、学校設置者と教職員との間で契約によって定められるべき性質のものでありますし、実態も個々の学校によって違っておるわけであります。ただ、国立は法律で定められておりますし、公立教育公務員につきましては、国立の先生の給与の額と種類を基準として定めるという形になっておりまして、国・公立につきましては給与上の定めがございます。その意味で、その特殊性に基づきました給与上の措置としてこのたび教職特別手当を定めるわけでございます。したがいまして、私立学校の先生の給与につきまして何ら定めがないのに、教職特別手当だけを私立学校適用するということも、給与体系の上からこれはおかしなことでございますし、現に私立学校教員は、設置者との関係労働基準法適用もございますし、給与については十分協議して定めるという道が開かれているわけでございます。
  65. 西岡武夫

    西岡委員 最後に、大臣お尋ねいたしたいと思うのでございます。  教員の職務につきましては、いわゆる聖職論をはじめといたしましていろいろな議論があるところであります。しかしながら、いずれにいたしましても、教員の職務が一般公務員と異なるものであることは、これは何人も否定しないところであろうと考えます。であるならば、今回の措置のような特別手当といういわば中途はんぱなような形ではなくて、この法案にも「当分の間、」というふうにあるわけでありますが、抜本的な改善を早急に行なうべきではないか、そうして手厚い待遇のもとに優秀な教員を確保することが、文教行政にとりましても、また、わが国の将来にとってもぜひやらなければならない何よりも大切なことであると私は信ずるのでございますが、大臣のお考えを承りたいと思います。
  66. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 まことにごもっともなお尋ねと思うのでございます。これまでにも申し上げたことがあるかと存じますが、われわれとしましても、教員給与の問題につきましては、もっと根本的に考えてみる必要があるのではないか、こういう考えのもとにあらためて調査もしてみたいと思っております。そのためには御承知のように四十三年度の予算の中に調査費もいただいておるわけでございますが、これを活用いたしまして、すみやかに教員勤務の状態等につきまして調査を遂げまして、それに基づきまして、われわれの希望といたしておりますところは、教員にふさわしいもっと整った給与体系というものができるものならつくり上げてみたい、こういう希望のもとに作業を進めてまいりたいと思っております。それまでの暫定の措置として、今回このような措置がとられておるというふうにひとつ御理解をいただきたいと思うのでございます。  なお、先ほどの御質問に対する局長のお答えに対しましてつけ加えて申し上げておきたいと思いますけれども、私どもは、学校の先生方が常に健康であってほしい、またその家庭も堅実な家庭であってほしいと思うのであります。したがって、教員のいわゆる勤労に対しましては合理的な勤労管理が行なわれなければならぬのではないか、また勤労条件等につきましても、常に検討を怠らないでその改善につとめていかなければならぬであろうということは、根本的にわれわれの考えの底にあるということはぜひ御理解を願いたいと思うのであります。教員をいたずらにただだらだらと長い間使うとか、あるいはまた奔命に疲れて健康を害するとかいうことは、百害あって一利なしと申し上げてもよろしいのであります。日本教育をさらに充実し向上させるためには、健康な、そしてりっぱな家庭を持った教員というものがぜひ必要だ、そういう前提に立っていろいろものを考えてまいりたいと思いますので、このためにむちゃくちゃな勤労をしているというふうなことはあり得ない。もしそういうことがあるとすれば文部省としては黙っておれない、こういう考え方のもとに問題を進めてまいりたいと思っております。この点につきましてもぜひ御理解をいただきたいと存じます。
  67. 西岡武夫

    西岡委員 ただいま大臣のお考えを承って私も心強く感ずるわけでございますが、ただいまの大臣のお考えを早急に実現をされることを期待をいたしまして、私の質問を終わります。
  68. 高見三郎

    高見委員長 午後は二時に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————    午後二時八分開議
  69. 高見三郎

    高見委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  教育公務員特例法の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。唐橋東君。
  70. 唐橋東

    ○唐橋委員 提案されております法案に対して質問をいたしますが、法案内容審議に入る前に、一つはこの法案をともかく進めなければならなくなった経過と背景、二番目には手続等の不備、三番目には法案の持つ基本的な性格について、四番目には法案内容、このような順序で質問を進めたいと思うわけでございます。  したがいまして、第一番目には経過と背景というとらえ方で質問をいたしますが、ざっくばらんに申しまして、大臣、前の劔木文部大臣国会でもしばしば答弁されております。そしてまた、その内容等については、もうここで詳しく議論しなくてもいいほど論議されておるわけでございますが、その中心は何かと要約してみますと、先生方にはやはり超過勤務は支払う、これが一つ。そしてその超過勤務はあくまでも現行労働基準法に基づく超過勤務考えていたわけだと思います。と同時に他面、教師としてのいわば態様特殊性とでも申しますか——たいへん態様ということばがはやっておりますが、そういう中において根本的な改正はこれまたやりましょう。こういう答弁であるわけでございます。そしてその内容等を見てみますと、このような中で、たとえ大臣がかわろうともこのことは引き継がれていきます、こういうように答弁されておる。参議院等の速記録等も私からいま読み上げるまでもなく御承知だと思いますが、それに対して大臣はどのようにとらえられて、いま法案に出されておるような内容のものを出されたのか、まずお伺いしたいわけでございます。
  71. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたわけでございますが、教員の時間外勤務の問題につきましていろいろと国会におきましても質疑応答が重ねられてまいりましたことは、私も伺っておるわけでございますが、まずひとつ実態調査をやろうじゃないかというようなことから文部省におきまして実態調査をやった。その結果に基づきまして超過勤務の問題について何らかの措置をとらなければならないということを文部省考えたわけでございます。その中には、現在の法制から申しますと、いわゆる超過勤務手当というような制度があるわけでございます。この点も文部省としましては十分検討した問題であろうと存じます。同時に劔木大臣の頭の中には、そういう一つの考え方のほかに、やはりもっと教員の優遇措置を講ずることによって、いわば教員給与そのものに触れる基本的な改正を加えたらどうか、こういうお考えも同時にあったように思うのでございます。私は、当時は党のほうにおりまして、ときどきお話も伺っておったわけでございます。そういう関係で、私どもはどちらかといえば党のほうの文教部会へたまに出席しましてお話を伺うようなわけでございましたが、党のほうにもいろいろ議論が出てきたわけでございます。  その間、文部省及び党との間でいろいろな論議がかわされまして、予算の概算要求の際にも、超過勤務手当を出すということで概算要求はするに至らなかった。内容についてはさらに党と政府との間で十分検討しようということで概算要求も一応なされた。こういうふうな状態であったわけでございます。文部省には文部省考え方があったと思いますけれども大臣それ自身には、またいろいろ考えられる点もあったように伺うのでございます。与党との間の話し合いをいろいろ進めて、双方ともに慎重に検討いたしました結果が今回のような案に落ちついた、こういうことであります。と同時に、基本的な教員給与改善の問題についてはさらに調査を重ねた上で結論を出すことにしよう、このようなことになった。私はさように了解いたしておるわけでございます。御了承願いたいと思います。
  72. 唐橋東

    ○唐橋委員 経過は、一応私の聞いておることもそのとおりのようなことを聞いておるわけでございますが、最初文部省超過勤務手当を出す、こういうかまえであったと思うのですが、それは間違いないでしょう。
  73. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 超過勤務というものについて何かの措置をしなければならぬという考えであったことは、私は間違いないだろうと思います。いわゆる労働基準法による超過勤務手当を出すかどうかというところまで固まったものとは私は承知いたしておりませんが、ざっくばらんに申し上げまして、文部省事務当局としましては、そういうふうないわゆる事務的な考え方に立てば、現行法のもとにおいて処理していこうというふうな考えが大いにあったということは認めてよかろうと思いますが、政府及び与党間のいろいろな慎重な検討の結果が、現行法による、労働基準法による超過勤務手当は、時間外勤務に対する給与の問題を解決するにしましても必ずしも適当な方法ではないというふうなことに落ちついた、こういうことでございます。
  74. 唐橋東

    ○唐橋委員 そのような経過でいろいろ党側との折衝があった。そしてまた新聞等も報じておるように、その党側との折衝の中で、当初文部省は、いま大臣からも申されましたように教員超過勤務手当支給する、こういう方向でかまえていたが、最後になりまして灘尾文相が提案した新しい手当制度の創設は、こういうことでいまのような内容等も新聞に報じられておるわけであります。それが結論だ、現段階だと思うのですけれども、この場合に、基本的に申しまして、時間がはかれないという一つの特異性はあるとしても、はかれるという考え方教員実態超過勤務という一つの支給概念にやはり入れるべきであるかどうかということ、こういう点は一応あいまいになっておるわけです。先生方の勤務態様はいろいろある。しかし、それが整備されていった中で、現在の労働法体系の中で、労働基準法の一つの適用されておる中で時間がはかり得るのだ、こういう考え方があるとするならば、もしそのような実態を私たちはとらえ得るとするならば超過勤務手当をやはり支給すべきだ、こういう根拠に対してはどうなんですか。あくまでも超過勤務手当支給しないのだ、だから先生方の勤務というものは時間がはかれないのだからやらないのだ、こういう態度なのか。ここのところが非常に不明確になっておるところに、あとで私も申し上げますが、この手当性格の不明確さというものが出てくるのですが、基本的に、やはり先生方に対しては超過勤務手当支給すべきではないのだ、こういう考え方なのか、それともまた、支給すべきなんだが、ただその態様があるから現段階においてはこうなんだ、こういうことなんですか。その基本についての大臣考え方をお願いします。
  75. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 教員給与に関する根本的な改正というようなことを考えます場合には、いろいろな議論も出てこようかと思います。現在私ども提案しておりますものは、やはり教員正規勤務時間以外に勤務を命ぜられましたような場合においては、これに対して、現行法をすなおに解釈いたしますれば労働基準法適用がある、こういう立場に立っての考えでございます。ただ、この労働基準法による超過勤務手当という方式によって時間外勤務の問題を処理することは、勤務特殊性から見てふさわしいと考えられない、こういうことからいまのような案を、いろいろ相談しました結果がこの辺に落ちついてきた、こういうことでございます。
  76. 唐橋東

    ○唐橋委員 それらについては、あとで内容等に入ってからもさらにお伺いしたいと思いますが、この前本会議で私が質問しましたときの大臣の答弁で、最後にこういうお答えをいただいておるわけでございます。「最後に、この法案は、もとより教員給与改善に関する暫定の措置でございます。本年度以降、教員給与実態等につきまして、十分に調査を遂げまして、願わくは、りっぱな、特別な給与体系をつくりたいものと、私どもは念願いたしておる次第であります。これをもって、あるいは教育の中央集権化であるとか、あるいは教育の中立侵害であるとか、あるいは反動政策であるとかいうことは、およそ当たらないものと私は考える次第でございます。」こういう御答弁なんですけれども、どうしても私たちは、先ほど背景ということばを使いましたが、この法案の流れの中にこのことを否定できないのですよ。だからその点について、やはり私は一言この席上からも大臣の所見をお伺いするわけでございます。  教育が中立でなければならない、教育の理想として平和を求めなければならない、こういうことは、私たち大臣もあるいは全日本国民が一致していることと思います。しかし、その平和のとらえ方が一つの方向性の中でいろいろとあるし、そしてその中から出てくる教育政策という大きな流れの中にこの問題がやはり出てくる。こう考えますときに、私は、やはりいま私たちが受けとめておりますいまの政策というものは、たとえ平和を希求するんだということばを使っていても、それは力を背景とした、軍事力を背景とした平和であり、国防意識である。あの新しいいまの憲法が制定されるときには、おそらく国際信義という中において、力の平和というものは希求していなかったと思うのです。この立場で、そういう進め方であると私たちはとらえなければならないのです。それがどうも、そうでないと言われるかもしれませんが、そういう方向があるので、そして力の平和ということになってくれば、当然ここから中央集権的な行政、中央集権的な教育というものが生まれてくることは、これは歴史上の事実なんです。それの中にこの法案もあるというとらえ方を私たちはどうしてもしたいのです。そのすることが私たちが間違いなのかと思っていろいろ考えてみても、何もそれは一つのイデオロギーの問題でなくて、やはり私たちと同じように考えている国民も大ぜいいるんだという確信があるわけでございます。ですから、この教育の理想とする平和、そしていま政府考えておられる、そしてその中に教育政策がある同じ平和であっても力を根底とする平和、したがってその中から出てくる中央集権的な教育の進め方、こういうことを私たちは反動ということばで申しておるわけでございますが、こういう点について、やはり私は、くどいようですが所見をお伺いしたいわけでございます。
  77. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は先般、いまお述べになりましたようなお答えをしたわけでございます。それは唐橋さんの御質問の中にわれわれの態度に対しまして御指摘がありましたので、その御批評はおよそ当たらないだろうということを申し上げたわけでございます。私どもは決して教育の中立性でありますとか、あるいは平和の問題でありますとか、そういうふうなことと抵触するようなものの考え方日本教育行政はやっていない、こういうつもりでおるわけであります。御批判はいろいろあろうと思いますが、そのようなつもりでおりますので、先ほどのようなお答えを申し上げましたような次第であります。平和論議になりますと、なかなか大きな話になってまいりますけれども、お互いに日本の、あるいは世界の平和を求めるという心持ちにおいては、私はこれはみんな共通ではないかと思うのであります。ただ、いかにしてその平和を守るか、いかにしてその平和を維持していくかというようなことになりますと、遺憾ながら社会党の皆さん方と私どもとの間に意見が違う。いかにも不幸なことだと思うのでありますけれども、そういうふうなことになっている。したがって、唐橋さんのお立場からいえば私どものやっている態度が間違っている、こういう前提のもとにいろいろな御批評があろうかと思います。私どもは、これが日本の平和を維持する道である、こういうたてまえのもとに諸般の政策を進めておるわけでございます。この点は、御批判は御批判として承りますけれども、私どもはこの平和主義でありますとか、あるいは教育の中立性でありますとか、こういう問題につきまして決してこれは侵すつもりはないということを明確に申し上げたいと思います。
  78. 唐橋東

    ○唐橋委員 もう一言それについて申したいのは、どうしても私たちは、いまの教育行政全体がやはり中央集権化の方向を強めつつある、強められている、こういうことをしみじみ感じているわけです。大臣からいえばそういう気持ちはない、こういうようにおっしゃろうかと思うわけですけれども大臣もあらゆる新聞論調なり各種の論調等もお読みになっておいでになりますから、そういう中において、この中央集権的な方向、そういうものがいまの文教行政の中に強められているのだ、こういうとらえ方、感じ方を私たちがされるのは自由だ、こういうようにおっしゃられるかもしれないけれども、私たちは、やはりいまの文教行政の中にそれが強くあるのだ、こう断言したいのですけれども、それに対しては文部大臣としてはどうおとりになっておりますか。
  79. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私どものやってきましたこと、また現にやりつつあることにつきまして、どのようにお感じになるか、これは皆さん方もお考えのあるところだろうと思います。われわれとしましては、少なくとも中央集権をやろうの何のというふうな意識を持ってやっているつもりは毛頭ないわけでございます。ただ、教育の現状あるいは教育界の現状に即して、よりよきものにしたいというつもりでいろいろなことをやってまいっておるわけであります。これを皆さん方からごらんになりますと、中央集権ではないかという御批判が出るのだろうかと思いますが、私たちはそういうつもりではなくて、やはり教育の基本というものはきまっておると思うのであります。その基本に立脚いたしまして、現実の教育の姿あるいは行政の姿というものをよりよきものにしていこうというための努力を続けてまいったつもりでございます。
  80. 唐橋東

    ○唐橋委員 この議論をいつまで続けてみても、ただ私たち考え方を述べ、大臣考え方をお聞きする、こういう結果になろうかと思いますが、ただいま出されている法案の背景に、この法案の出されてくるその一つの流れの中に、私たちはどうしても、いま申し上げました中央集権的なもの、それは力の平和とでも申しましょうか、軍国主義的なものへの結びつきを、いかに払拭しようとしても払拭し得ないものがあるのですから、この法案も非常に重視しておるのだということだけは大臣も御了解願いたいと思うわけでございます。
  81. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 別にお答えを求められたわけではございませんけれども、私は、そういうふうな論拠がどこから出てくるのかということが了解できないのであります。われわれとしましては、そのような心持ちで物事をやっていないということを重ねて申し上げておきます。
  82. 唐橋東

    ○唐橋委員 一言だけいまの問題につけ加えさせていただきたいのですが、教育の現場においても、いま大臣の言う教育の見方と進め方、そして私が言う教育の見方と進め方、この二つの流れというものがあって、そこが現在の日本教育の一番大きな基本になっている流れだ、こういうようにも私たちも思っておるわけでございますが、この問題は一応これだけにいたしておきます。  二番目には、手続等の不備というような問題に入らせていただきたいのでございます。手続等については、まず第一に、人事院にお聞きしたいのでございますが、人事院は、前に教員にも超過勤務手当支給すべきであるという勧告を出されておるわけでございますが、その当時の内容、そしてその経過等をひとつここで明らかにしていただきたいと思います。
  83. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 人事院といたしましては、この教員超過勤務の問題につきまして、昭和三十九年の給与報告に取り上げているわけでございますが、それには「現行制度のもとに立つかぎり、成規の時間外勤務に対しては、これに応ずる超過勤務手当支給する措置が講ぜられるべきは当然であるが、他方、この問題は、教員勤務時間についての現行制度が適当であるかどうかの根本にもつながる事柄であることに顧み、関係制度改正の要否については、この点をも考慮しつつ、さらに慎重に検討する必要があると考える。」ということで給与報告をいたしております。要旨は、現行制度に立つ限りは、超過勤務が命ぜられた場合には、法規上は当然に支給されるべきものでございますけれども、あわせまして、この制度そのものにはやはり問題がございますので、十分これは検討する必要がある、という二点について報告しておるわけでございます。
  84. 唐橋東

    ○唐橋委員 そうしますと、いままでの議論の中で、大臣も申されておるように、いわば先生方の給与制度というものは根本的に検討する必要がある。その検討の上に新しい制度の出てくることが望ましいし、当然ではないだろうか。その制度が出ないうちは、現行制度のもとでは超過勤務というものは現存しておるんだ、やらなければならないんだ、こういうように理解していいわけでしょうか。
  85. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 現在私どもが、人事院が所管いたしておりますのは国立の諸学校でございます。公立の諸学校につきましては私どもといたしましては所管をいたしておらないわけでございまして、当面の給与報告の趣旨といたしましては、超過勤務命令があった場合には、それに対して勤務手当支給するということは、現行制度上当然のことであるということで申しているわけでございまして、その場合に超過勤務命令を出すかどうかという点につきましては、法規的には、臨時緊急の場合に、その業務担当者が必要性に応じて命令を発するということになるわけでございます。
  86. 唐橋東

    ○唐橋委員 そういう立場をとりながら今度の法案を見てみますと、経過の中から出てきたわけでしょうが、今度の手当勧告対象になる、こういうことが明白になっているわけです。しかし、いま大臣からずっと経過の説明もありましたが、これを新設する場合、話し合いはあった、こういうことになるのですが、私たちが聞いておるところでは、文部省並びに自民党の文教部会が話し合いをまとめて、そして先ほど申しましたように灘尾文相は新しい手当提案した、こういうように新聞で報道されている。きまってしまって、人事院のほうに、こういう点だというふうに持っていかれたのではないか、これが一つです。そうすれば人事院としては、当然勧告内容になるものであるから、検討して、そしてそのような趣旨の上に立った勧告をする、こういうことで人事院態度は表明すべきではないだろうかというふうに私たちは推測するわけですが、その間の、先ほども質問がありましたが、話し合いが行なわれたという経過、それに対して人事院はどのような意見等を出されてあったのか。多少具体的にお話し願いたいと思います。
  87. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 人事院といたしましては、先ほど申し上げましたように、三十九年の勧告に際しまして、教員超過勤務手当問題ということについては、今後の重要な検討事項であるということを申し上げまして、そうい意味におきまして、かつ、関係諸法規が幾つかの官庁にまたがっておりますので、関係省庁間で十分検討をしていく必要があるということを考え、また申し上げてまいりまして、所管の文部省とも十分一緒に検討し、いろいろ相談をしてきておるわけでございます。そしてその中には、教員勤務実態調査などにつきましても、私どもの総裁から中村文部大臣におすすめしてきたといったようなことも含まれてきておるわけでございますが、そういう関係で、この関係につきましては私ども検討してまいりましたし、文部省とされても検討されてきたものと承知いたしておるわけでございます。しかしながら、私どもとしましても、その関係が確定的にこまかく最終的な形での案がまだ現在まとまってきているとはいえないわけでございますけれども文部省当局のほうからこういう案がございましたので、それについての意見といたしましては、私どもとして、十分精密な判断は下しにくいけれども、大きな方向としては、私ども考えてきた方向に反した方向でもございませんし、それが、したがって当面の暫定措置として行なわれるものである限りはやむを得ない、十分理解できるところだというふうに考えてきたところでございまして、そういう趣旨文部省に申し上げてきたわけでございます。
  88. 唐橋東

    ○唐橋委員 何か丁寧な御答弁なんですが、この前の本会議における私の質問の際、こういうような答弁をいただいているわけなんです。「人事院として残る問題は、超過勤務手当支給せずに、特別の手当支給することはどうかという問題が残るわけでありますが、」こういうような答弁があるわけであります。しかし、これは逆からいえば、残るのではなくて出発だと思うのですよ。人事院としては、超過勤務手当支給せずに特別の手当支給することはどうかという問題だ、こう私は受け取らなければならない。だから、この点についてもう少し具体的にお尋ねしたいのです。
  89. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 本会議におきまして総裁から答弁申し上げましたことに関連しているわけでございますけれども、当面の問題につきましては、人事院といたしましては国立諸学校を所管しているわけでございまして、国立諸学校につきましては、勤務時間、したがって超過勤務をどうするかといったような問題につきましては、国家公務員法、それに基づきます人事院規則によりまして明定をされておるわけでございます。したがいまして、労働基準法を準用する余地がないわけでございまして、当面の問題といたしましては、そういう関係におきまして勤務時間等の問題ではございませんで、もっぱら給与上の問題だけに人事院の問題としてはとどまるということを申し上げておるわけでございます。
  90. 唐橋東

    ○唐橋委員 人事院の所管というようなこともいまありましたけれども、そういう点は私のほうは存じておりますし、人事院勧告したことはやはり準用される、こういうことですから、人事院考え方、そういうものが基本になっていまお聞きしたわけでございますが、どうもまだわからないのです。  今度超過勤務手当支給せずに特別手当支給するようになったんだ、したがってそれはまた勧告する事項になります。こういうような場合に、いまの「残る問題」ということで——これはあなたのほうでお書きになったでしょう。私、この点を人事院総裁の答弁の中でどうしてもここで明確にしたいわけなんです。もう二度読みますか。——質問を進めまして、人事院としては今度の特別手当はあくまでも超過勤務ではない、こういうことに受け取っているわけですか。だから超過勤務手当というようなものはやはりあくまでも残って、手をつけていないものだ、こういうように考えていられるわけですか。もう一度読んでみますと、「超過勤務手当支給せずに、特別の手当支給することはどうかという問題が残るわけでありますが、これは御指摘のとおり、相当大きな問題でございますけれども、全然これが例がないわけでもないわけであります。御承知のように、超過勤務かわります特別調整額というような制度も一部にはございますので、全然その例のないものとは申し上げられません。したがいまして、今度の案も絶対にこれは不可であるということにはならないと思います。」不可であるということは、これは不可ならばできませんよ。不可ならばできないのですけれども、その前の「残る問題は、」というところに私はひっかかるわけです。実はそれが出発でないのか。その検討をして、そしてこれが不可でないということにしたのではないか。こういうことが私は答弁の中の様子を聞いているうちに疑問になったのですから、お伺いしているのです。
  91. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 唐橋先生の本会議における御質問におきましては、労働基準法の三十六条、三十七条という関係をお引きになりまして御質問があったわけでございます。しかしながら、教員も含めまして一般国家公務員につきましては、労働基準法の三十六条、七条という関係は、それにかわる明文の規定給与法及び人事院規則ではっきりと明定されているわけでございまして、そういう関係が準用の余地がないということでございまして、したがって、そういう関係につきましては、国家公務員たる教官につきましては当面この法律案によって全く影響を受けることがない。したがいまして、残る問題は給与の問題だけでございますということを申し上げたわけでございます。
  92. 唐橋東

    ○唐橋委員 それでは、その点についての人事院への質問は、なおあとで基本的な性格等の中でいまの問題を質問したいと思いますので、経過の中では労働省のほうにお伺いしたいと思うわけでございます。  私も本会議で中央労働審議会になぜ諮問しないのかということを聞きましたら、先ほどの質問にもありましたけれども、第一に——性格にも入りますが、このように労働基準法性格を、いわゆる超過勤務割り増し賃金制という基本的な性格を変えるわけでございますね。だからこういう性格を持つ場合には当然中央労働審議会等の意見も聞くのが順当である、私たちはこういう立場を持っているわけです。したがって、その例としてお聞きしたいのは、二十五年の地公法制定のときにやはりこの例があったと思うのです。審議会の意見をやはり聴取している。諮問の形かあるいはまた意見具申の形かどちらかです。そのようにされておると思うのです。突然であるから、もしあれだったらあとで調べていただきたいのですが、その間の経過をもしここで御答え願えるならばお聞きしたいのです。
  93. 藤繩正勝

    藤繩説明員 今回の改正問題は教育公務員特例法の一部改正でございまして、その附則で、御承知のように地方公務員法五十八条の改正がなされまして、その結果労働基準法の一部適用除外が行なわれる。こういうことになっておりまして、労働基準法三十七条の超過勤務手当制度を全面的に改正するとかなんとかいうことではございませんので、この労働基準法適用になっております地方公務員たる教員について一部適用除外を行なう、こういうことでございまして、その改正の作業はもっぱら文部省を中心に行なわれてきたわけでございます。御承知と思いますが、国家公務員たる教員には現在でも労働基準法は全く適用はありません。地方公務員たる教員につきましては一部を除きまして適用はありますけれども、その施行の最も重要な任務でありますところの監督権限労働基準法が確実に実施されているかどうかということを監督いたします労働基準監督機関の権限は、地方公務員法五十八条によって地方公務員には及びませんで、人事委員会その他がこれを行使する、こういうことになっておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、労働省といたしましては、今回の改正教員の労働条件につきまして非常に重要なものであるということはもとより了解をしておりますけれども労働省といたしまして、労働省付属機関であります中央労働基準審議会に本問題を諮問すべきかどうかという、諮問という形式をとるべきかどうかということにつきまして慎重に検討をいたしました結果、いま申し上げましたように、実質的には公務員関係の問題であるという点と、それからいま御指摘もありまして、あとで申し上げますように前例にも諮問ではなかったということなどを考慮いたしまして、諮問という形式をとらないということにいたしたわけでございます。前例と申しますのは、先ほど御指摘ありましたように、昭和二十五年に地方公務員法五十八条によって、ただいま御説明いたしました労働基準監督機関の権限地方公務員の監督につきましては移したという改正であります。このときも諮問はいたしませんで、しかし実質的にはもちろん報告をいたしました。建議がなされたという経過でございます。そういうことで諮問という形式は今回もとりませんでしたが、しかしながら、本問題が教員の労働条件に関する重要な改正であるということは当然でございまして、実質的には、労働省といたしましても中央労働基準審議会審議に供すべき問題だというふうに考えまして、政府部内の成案ができました段階で、閣議決定前の二月二十二日に、特に会長にお願いをいたしまして、急遽審議会を招集していただきまして、労働、文部両当局から詳細に内容を御報告いたしたところでございます。
  94. 唐橋東

    ○唐橋委員 いまの中央労働基準審議会で、労働者委員のほうから、五十八条等の適用除外の意見の諮問ではないという意見が出たということですが、この種の問題についてはやはり審議中でしょう。
  95. 藤繩正勝

    藤繩説明員 労働省から報告をいたしました経緯は、いまお答えをしたとおりでございますが、その後閣議決定がなされました後に、三月八日に中央労働基準審議会がございまして、そのときに、前回欠席なさいました吉村という労働側の委員が御出席になりまして、前回の速記録を見て経緯は知っておるけれども、しかし、重要な問題であるから、あらためて自分が提案をしたいので審議をしてもらいたい、こういう御意見が出まして、会長から、審議会として取り上げようということで議題になっております。その後中央労働基準審議会は改選がございましたが、先般の総会で、引き続き議題とするということになって、ただいま審議中という形になっております。
  96. 唐橋東

    ○唐橋委員 現在までわかっている段階で、その審議の経過等はどうですか。
  97. 藤繩正勝

    藤繩説明員 先ほど申し上げましたように、二月二十二日には両省から報告をいたしました。そうしてその後閣議決定がありまして、いま申しましたように、三月八日に再び発言がございまして議題になりましたので、あらためてやはり同様な説明を両省、特に文部省から詳細にしていただきまして、それに対していろいろ質疑がございました。そこで、審議会としてどうするかということにつきましては、今後さらに審議をして態度をきめるということになっておるわけでございます。
  98. 唐橋東

    ○唐橋委員 この審議会で議題とされてくるというだけ、やはり重要な問題だと私たちは思うのですよ。いまの答弁を聞いていても、こういう場合に、労働省立場で、これは公務員の問題だからというような考え方で除外されているようですが、これは私としては非常にふに落ちないのです。八条と九条にどんなことが書いてあるかというと、八条にはちゃんと教育に従事する者、九条には御承知のことが書かれている。いわゆる教育に従事する者といえば、地方公務員の資格を持っている者、教職でしょう。だからそれは地方公務員だからワク外だというのなら、その八条、九条の解釈はどういうふうになるのか。それは除外できるのですか。
  99. 藤繩正勝

    藤繩説明員 この第八条の適用事業の中に教育に従事する労働者というものがあることは事実でございます。それは労働基準法発足以来変わっておりません。まず、国家公務員たる教員につきましては、その後国家公務員法改正労働基準法適用除外をされております。それから地方公務員につきましては、先ほど申し上げたように、適用はありますが監督権はない。それから私立の学校につきましては、いわゆる通常の労働者と同じ扱いになっておるということで、労働基準法でこれを除外しておるということはございません。  そこで、先ほども申し上げましたように、労働省といたしましても、事務的な扱いは権限その他が入り組んでおりますけれども、しかし、事は非常に重要でございますので、諮問という形式はとりませんけれども、実質的には問題を提起すべきであるということで積極的に御報告をしておるのでございます。決してこれを軽視するとか、そういう考えでは毛頭ございません。
  100. 唐橋東

    ○唐橋委員 なるほど国家公務員地方公務員関係は、労働基準法の中においては、ただ監督が違う、こういう中において、やはり実質適用の中には含まれておると思うのです。ただその場合、ついでに、これはもう一つ内容等にも入りますが、国家公務員は基準法適用を除外されておるけれども、実質また今度準用によって超過勤務手当支給しておるでしょう。このことはどんなふうに理解しておりますか。
  101. 藤繩正勝

    藤繩説明員 国家公務員たる教員につきましては労働基準法は全く適用がありません。しかしながら、現行給与法では超過勤務制度があることは御指摘のとおりであります。ただ、今度の改正考え方は、まず国立学校教員について、その制度を特別教職手当制度に改めようというわけでありまして、これを今度は教育公務員特例法第二十五条の五の規定によりまして地方公務員にも用いていこう、その結果労働基準法適用をはずす、こういう段取りになるわけでございます。
  102. 唐橋東

    ○唐橋委員 いまの御答弁は、やはり手当内容性格に入りますので、またあらためてあとで議論したいと思いますが、経過の中で、いま申しましたように審議会の意向等は十分参照すべきではなかったのか。そしてそういうような意見をあとから聞くのだというような態度こそが今度の手当創設に伴う一つの手続上の欠陥としてどうしても指摘せざるを得ないし、そういうことに対しては、労働省としてもはっきりした見解を経過の中に示してもらいたかったし、そういうのは当然示すべきではなかったのか、こういう考え方を持っておるわけでございます。だから、その点については、経過等についてはいまの御答弁で了承し、さらに性格等についてはあとで議論いたします。  それでは、基本的な性格というものに大体質問の焦点を合わせながらお答えを願いたいわけでありますが……。
  103. 川村継義

    ○川村委員 ちょっと関連。いまの唐橋委員に対する御答弁はよくわかるけれども、何か納得しがたいものがありますので、ひとつ関連してお尋ねをいたします。  いまお話しのように、昭和二十五年の地方公務員法が制定されるときに、この労働基準法から二条あるいは五十八条の適用除外の問題があった。それはちゃんと大臣から中央労働基準審議会説明をされて議題となっておるはずです。そこで中央労働基準審議会は、この労基法の改正について、その適用除外は相当重要問題であるからというので、審議会では取り上げて二回か三回か審議しておるはずです。そうして労働大臣に対して中央労働基準審議会から建議をされておるが、私はその建議をされた文書が実はほしいのです。  それから監督課長のことばはちょっと気になるところがあるのだけれども教育公務員だから、しかも給与に伴った措置だからということばがありましたが、公立学校関係教育公務員地方公務員ではありませんか、地方公務員でしょう。その地方公務員関係したところの労働基準法適用を、あるいは除外規定等を、特別教育公務員からまたさらにはずそう、十六号というようなものをとってしまおう、こういうのですから、ますます事は重大でしょう。これは簡単に教員だけだからいい、こういうものの考え方では私は許されないと思うのですがね。ちょっと監督課長、その辺のところ説明してください。
  104. 藤繩正勝

    藤繩説明員 先ほどもお答えいたしましたように、昭和二十五年の地方公務員法の改正のときには、私どもの記録では、地方公務員法の立案経過につきまして、当局から中央労働基準審議会に報告をいたしております。それに基づきまして、昭和二十四年の二月一日、二十五年の十一月七日に建議が出されております。建議の文書もございます。昭和二十五年十一月七日の建議の文書は残ってございます。  それから、第二の点でございますが、教員といえども地方公務員である、地方公務員には労働基準法適用はあるんだから、その一部を適用除外するということは重要な問題じゃないかというお話でございますが、再三お答えをいたしておりますように、私どもは非常に重要な問題だというふうに考えております。ただ、地方公務員の問題は、労働基準法適用がありますけれども、その施行と申しますか、監督面が労働省の管下にないものでございますので、そこで、そういった関係について正式に諮問という形でなしに、重要な問題であるからもとよりこれを報告するということで、報告をいたしております。それでまた、その後の経過も、先ほど申し上げましたように、現在も審議会で議題となって取り上げられておるということでございまして、まだ建議は出ておりませんけれども、昭和二十五年のときの経過とそれほど違ってはおらないというふうに思っております。
  105. 川村継義

    ○川村委員 労働省のほうの御見解は、監督等の権限がない、それはわかりますよ。しかし、地方の人事委員会等は、これはやっぱり労働基準法に基づいて自分の権能を行使する立場にある。ということは、基準法をいじくるということはこれは重大な問題だと考えねばならぬ。そうでしょうね。  そこで大臣あるいは局長にお答えいただきたいと思いますが、そういうようにものを考えてこの法律というものを見ていけば、こういう法案はすべからく、いま中央労働基準審議会審議されているんだから、その建議等を待ってやるのが至当ではないか。地方公務員法制定の場合はそれが行なわれている。だから、手続上あなたたちは横暴というか、非常に大きなミスをおかしている。一教員給与だからといってこれは許されないのですよ。三月八日にこれが中央労働基準審議会に問題になって、さらにこれが議題となって、新しく審議会の皆さん方はかわられたけれども、あらためて審議されることになって、議題になっておる。その議題になっておるそれを待ってやるべきが私は至当だと思う、どういう建議が出てくるか。それを、教員のことだから、給与上のことだからといって、こんな大きな手続ミスをおかすことは許されない。私は、いま監督課長にお願いしましたが、前回の建議資料、これを十分検討しなければ、この問題は、ただ単に内容がどうじゃこうじゃという前に、大きな問題があると思っております。いかがです。重大問題ですよ。
  106. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 文部省といたしましては、主管の官庁といたしまして、この法案の立案の中心になったわけでございますが、関係各省ともそれぞれよく相談をいたしまして成案を得た次第でございます。その間におきまして手続上のミスをおかしておるとは考えておりません。
  107. 川村継義

    ○川村委員 それは大臣見解で、私はそうは思わない。  監督課長にお聞きしますが、あなたは大切な労基法を守る唯一の人なんです。私がいま言いましたように、この教員の特例法改正、何かすりかえたような、ずらっとかぶせたような法案が出ておりますが、これはやはりどうでしょうね、いま中央労働基準審議会の議題になっているから、少なくともこの議題の審議のあとでおそらく建議がなされるでしょう。そういうのを待ってこういう法案を出すかどうかということをやるのが至当でありませんかね。監督課長、率直にちょっと答えてください。
  108. 藤繩正勝

    藤繩説明員 この改正法案は、すでに閣議決定を経まして、国会提案されておりますので、現段階で、ただいま御説明をいたしましたような経過でございますが、それについてどうするか、この法案審議をどうするかということは、国会の問題であろうと思いますので、私としては意見を差し控えさしていただきたいと思います。
  109. 川村継義

    ○川村委員 それは、あなたがそうお答えなさることはわからぬじゃありませんよ。しかし、ほんとうに労働法を守る大事な労働省の監督課長として、少なくともこういう法案提案するときには、内閣決定なんて言わぬで、やはり中央労働基準審議会に議題になっているんだから、しかも三月八日にすでに問題になって議題になったんだから、そういうところの結論を待ってこういう法案改正提案するということが、実は手続上一番至当で妥当なことではないか、それを聞いておるのです。
  110. 藤繩正勝

    藤繩説明員 先ほど最初にお答えいたしましたように、労働省は、事務的な手続といたしましては、お説のようなお考えも十分了解できますので、そこで、閣議決定が近いということを知りまして——御承知のように、なかなかこの成案を得るまでに曲折がございまして、時間がかかりましたが、閣議決定が近いということになりましたので、急遽、会長と相談をいたしまして、総会を招集していただいた。そこで両省から詳細に御報告をいたしたのでございます。ただ、たまたまそのときに特定の委員が、事情がありまして御出席をいただけないで、その次の機会にまた御提案があったというようないきさつでございまして、私どもとしましては、すべき手続はしたというふうに考えておるわけでございます。
  111. 川村継義

    ○川村委員 もうこれ以上は、こういう場所であなたに私はこういうようなことはお聞きしません。わかりました、お気持ちは。  大臣、局長、いまの監督課長のおことばの中に察しがつきますね。それは局長としては重大な手続のミスをやっているんだ。これを考えなければいけませんよ。  関連質問ですからこれでやめておきます。まだあります。
  112. 唐橋東

    ○唐橋委員 労働省の方に、きょうは大臣来ておいでになりませんけれども大臣の答弁の中でぜひ明白にしておかなければならない点をお聞きします。それは、私が本会議で「労基法の割り増し賃金制を根本からくずすものでありますが、こんなことが労働基準法のたてまえからいって許されることなのですか。」こういう質問に対して小川大臣は「文部省は、従来原則として超過勤務を命じないことを指導の方針としてとってきておりますが、労働省といたしましては、この方針は適切でございまするから、今後ともこれを堅持してもらいまするよう、特に要請したところでございます。」と、こう言っている。そうしますと、労働省としては、いままでの方針もいいし、そして今後もこの割り増し賃金制というような考え方は先生方として除外するのだ、こういうことを明確にして、しかも今後堅持するように要請をしたと、こういうことなんですね。私どもとしては非常に重大な発言だと思うのです。これはあなたたちのほうではちょっと答えられないかもしれませんけれども、あなたの答弁いかんによっては、一番中心的な問題ですから、労働大臣から聞かなければ私は了承できない点だ、こう思いながら質問するわけです。
  113. 藤繩正勝

    藤繩説明員 ただいまお尋ねの点は、私どもこの問題の御相談を文部省からいただきました当初から一貫して主張してまいっております。つまり、一般的には御承知のように国民生活水準が向上いたしておりまして、労働時間をむしろ短くしようという傾向の中にあるわけでございますから、そこで私どもは、教員に限らずすべてそうでございますが、まず所定労働時間の中で仕事をこなすということが一番大切である。教員につきましても、夏休み、冬休み、その他いろいろ問題があって、全体としてまず所定労働時間の中で仕事をこなすということについて、そういった時間管理というような問題について関係者の努力がさらに必要なのではないかということを、一貫して主張してまいっております。そこで、特にいまの点は実は文書をもって文部省に申し入れをいたしておりまして、従来からの文部省超過勤務をさせないという基本的な方針はぜひ堅持してもらいたいということを申し入れておるわけでございます。
  114. 唐橋東

    ○唐橋委員 それはわかります。しかし、実際超過勤務が出てきているのです。あなたは、文部省がこの前調査した結果、各小学校、中学校高等学校の時間が出たという文部省からの資料は見ておりますか。
  115. 藤繩正勝

    藤繩説明員 両省、関係省の間でいろいろ議論がありましたので、その際にお話も承っております。  その前に一点お断わりをしておいたほうがいいかと思いますが、先ほど来、超過勤務労働基準法の問題というふうに議論が進められておりますけれども労働基準法は、御承知のように一日八時間、一週四十八時間をもって全産業を通ずる最低基準といたしておりまして、それ以上のレベルにつきましては、労使の自主的な協定あるいは公務員でいえば法令の定めるところということになるわけでございまして、教員は御承知のように原則として、四十四時間の条例が大部分でございます。さらにもう少し短いのも二、三あったと思いますが、そういうことでございます。それで文部省のお調べになりました結果から見ましても、平均の時間外労働を見ますると、平均値でありますが、四十八時間の中に大体おさまるケースが多いのではないかというふうに思っております。しかし、それは別といたしまして、いずれにいたしましても、四十八時間をオーバーする件につきましては、もちろん労働基準法の問題でございます。そこで、この問題につきましては、最初に申し上げましたように、所定労働時間の中ですべてを行なうことをまず第一の前提にすべきであるということと、本問題についての議論は、私どもの省といたしましては、正規の労働時間をこえる勤務態様特殊性に着目する、つまり所定労働時間も教員は特別のものだというような議論と混乱をしないようにということを、特に私ども文部省にやはり文書をもって申し入れをいたしたわけでございます。
  116. 唐橋東

    ○唐橋委員 基準法の四十八時間制はわかるのですよ。しかし、それと同時に、もう一本の柱は、こえた場合は割り増し賃金になるのだという原則もわかっていらっしゃるでしょう。そしてまた、文部省調査によって、三時間、二時間何がしの調査も全部明らかになった、こういう事態のときには、やはり労働省としては、超過勤務は支払うべきものであると、こういうことは、各地の判例等においてもはっきり出ているわけです。それから、そういう場合には監督官庁として、これだけでは、私は、監督官庁の立場から原則だけを話をして、もう一本の中心になっている割り増し賃金制というものを認めない。こういうような御答弁にとれたので、「今後ともこれを堅持してもらいまするよう、特に要請した」と、こういうことになれば、いままでの経過の中で当然出てきたものについては、これは一番最初超過勤務を命じないことを指導の方針にする——命じないことの指導方針はいいですよ。しかし、命じなければならないとき命ずる、これはあたりまえでしょう。そうすれば、当然時間が出れば命じなければならなくなるわけだ。その点についていままでいろいろ議論があったわけですよ。だからその点で、いままでの中で、この割り増し賃金制が今度の手当でくずれたんじゃないのか、これに対してはどうなんだということを私は聞いておるわけです。
  117. 藤繩正勝

    藤繩説明員 従来から、教員の時間外労働、特に私ども関係では八時間、四十八時間をオーバーの点につきまして、労働基準法三十七条の規定に基づきます割り増し賃金の支払いが行なわれていないということがあるとすれば、それはもう問題なくたいへん困ることであるということをしばしば申し上げてまいりましたし、それはいまでもそうでなければならないというふうに思っております。ただ、本問題につきまして文部省その他からいろいろ御相談がございましたときに、私どももいろいろ苦慮いたしましたが、この問題は法律問題だけでなくて、終戦後以来一貫してとられました方針あるいはいろいろの沿革というものを除外しては考えられない。そこでたてまえの上では、現行法のもとで一般超過勤務制度もあり、法律もそうなっておりますけれども、現実には三六協定も結ばれない、そしてまた超過勤務予算も組まれないという事態の中で、この問題を現実的にどう解決するかということで、文部省が中心になって御苦心なさいまして、そうして今度の案ができましたので、私どもとしては決してもろ手をあげて賛成ということではございませんけれども、しかしながら、こういう考え方もあり得るのではなかろうか、特に今度の法律は、当分の間ということでもございますし、私どもとしては、これで政府の案ということに固まるとすれば、それはそれで了承をしなければならないというふうに考えたわけでございます。
  118. 唐橋東

    ○唐橋委員 では、なお具体的にお聞きしますけれども、今度一律に四%ですね、四%をこえた場合どうなりますか。
  119. 藤繩正勝

    藤繩説明員 それは私からお答えするのが適当かどうかわかりませんけれども、まず最初には人事院の問題でなかろうかと思いますが、この改正案が成立いたしますれば、これは法律上は四%の手当ということでございますから、それがこえた場合でも違法の問題は生じないというふうに考えます。
  120. 唐橋東

    ○唐橋委員 そういう意味じゃないんですよ。四%の——今度は、範囲をこえたものは超過勤務手当を支払うべきだという基本はくずしてないんでしょう、あなたのほうでは。そこをまずお聞きしたいのであります。
  121. 藤繩正勝

    藤繩説明員 四%という問題が出ましたのは、私ども理解では、正規勤務時間をこえる勤務態様が非常に特殊であるから、その時間がなかなか計測しがたい、あるいはかりに計測できても、一時間幾らということで計算する性格になじまないというようなたてまえに立ってこれを定められたと思います。したがいまして、今度こういうことになりますれば、人によりましてはもっと短い時間外労働でも四%支給される、そのかわり人によっては多少長くても四%にとどまる、そういうことは制度の一律性からやむを得ない。そうなりますと、四%が妥当かどうかという御議論になろうかと思いますが、これは文部省人事院でおきめになった線でございますので、将来はともかくといたしまして、現状ではそこで合理的な根拠に基づきまして定められたものというふうに理解をいたしております。
  122. 唐橋東

    ○唐橋委員 私のお聞きしたいのは、いまの問題はもう少しあとから聞こうと思っていて、多少飛躍したから、ちょっと御理解しにくかったと思うのですけれども、あなたのほうとしては、やはり割り増し賃金制度というものははっきりと堅持しなけれなばならないとはお考えになっているのでしょう。
  123. 藤繩正勝

    藤繩説明員 労働基準法原則といたしまして、もとより割り増し賃金制を堅持するということよりも、労働基準法三十二条に定めますところの八時間、四十八時間労働制というものを堅持すべきである。そうしてそれをなるたけさせないために三十六条あるいは三十七条の割り増し制度というものがあるというふうに思っております。その点は私どもさように思っております。ただ、適用の労働者につきまして、場合によりましてはいろいろの例外ということもあり得ると思うのでありますが、特に教員公務員等につきましては、外国の法制等でも必ずしも普通の産業労働者と一律ではございません。例外がむしろ多うございますので、そういう考え方も私どもとしては否定できないというふうに思っております。
  124. 唐橋東

    ○唐橋委員 前後はいいのです、外国の例は。それはさっき西岡君が言われたように、教員に対する基本的な給与体系というのはどうなんだ、こういうところから出発していけば議論になるのです。私がいま取り上げていますのは、いまの法体系の中で労働省としては割り増し賃金制というものをやはり堅持すべきものなのか、そしてそれはやはり地方公務員国家公務員でも、現在その中において、いわゆる労働基準法適用除外にはなっておるけれども超過勤務というものはその中で現実支払われている、こういう現実があるわけだ。それを今度片方は、ほんとうに込みでいつでもどこでも四%をやる。こういうことになってくれば、割り増し賃金制というこの原則と私は矛盾すると考えるから、だからそれで割り増し賃金制という原則を立てておるのか、そして立てているとするならば、いま申しましたように、四%で押えていくということは割り増し賃金制度をくずしていくことじゃないか、これに対してはどうなんだ、これをあらためて御意見を聞きましょう。
  125. 藤繩正勝

    藤繩説明員 先ほどもお答えしましたように、八時間、四十八時間労働制が基本でございまして、時間外労働というのはあくまでも例外でなければならない。それをチェックするために、一つには三十六条協定という手段があり、あるいは割り増し賃金制度という手段がある。しかしながら、公務員というふうな場合におきましては、法令等で所定労働時間というものを定めてまいるというようなことから、例外が全くあってはならぬというふうに私ども考えないわけでございます。
  126. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 関連。ちょうど藤繩監督課長さんお見えでございますから伺うのでありますけれども、本法案主管課である文部省初等中等局地方課のれっきとした職員がこういうことを正式に言っておるのでありますけれども、監督課長の見解を伺いたい。「教員について労働基準法の労働時間、休憩、休日に関する規定適用除外すべきだといっても、二十年にわたって教員適用されてきた法律規定適用除外することは、いうほど簡単なものではない。事務的に考えても、次のようなことを検討する必要があるのである。1労働基準法の労働時間に関する規定適用除外することにより、教員には二十四時間勤務を命ずることも可能となる。」断定をいたしておりますが、もう一回申し上げます。「労働基準法の労働時間に関する規定適用除外することにより、教員には二十四時間勤務を命ずることも可能となる。」専門的な課長の見解はどうですか。
  127. 藤繩正勝

    藤繩説明員 私どもは、今度の改正でも、労働基準法三十二条、つまり八時間、四十八時間労働制の適用をはずすということであれば、これは基本問題であろうかと思っておりますが、そういう問題ではなくて、所定労働時間で一貫して仕事をするという方針が過去ずっととられてきておった。しかしながら、現実には時間外労働もある。その場合に予算も組まない、三六協定もなされないということで、何か適当な代替措置がないかということで文部省を中心にお考えになったことでございますから、その程度の適用の一部除外といいますか、そういったことはこれはあり得ることではないかというふうに思っております。ただ、非常に原則的な問題として、永久にこの制度が確立されるということであれば非常に問題でございますが、当分こういった制度でやっていこうというお考えだという御説明もございまして、先ほど申し上げましたように、やむを得ない措置ではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  128. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 さらに「教育効果等を考慮すれば、二十四時間教員勤務を命ずることは実際上あり得ないにしても、二十四時間勤務があり得ない法律上の保障はないことになる。」と断定をしている。これに対する見解はいまの答弁とほぼ同じだと思いますが、どうですか。
  129. 藤繩正勝

    藤繩説明員 現行規定でも、御承知のように非現業の公務員、つまりわれわれのようなホワイトカラーにつきましては、労働基準法の三十三条に規定がありまして、三六協定によることなく、公務のため臨時に必要な場合には時間外もしくは休日の労働を命ずることができるという規定がございます。そこで、そういったたてまえをとる場合に、必ずしも非常に無定量なきびしい労働になるというふうには、私ども過去の経験から考えまして、そうは一がいに言えないのではないか。しかしながら、もとよりそういう点につきましては、念には念を入れなければなりませんので、現在国家公務員たる教員についてはすでに同じでありますが、しかし、国家公務員については人事院規則で、健康及び福祉を害しない範囲でということでございますが、今度の改正でも、私どもそれを強く主張いたしまして、法制局と折衝してその点を特に入れていただいたというような経緯でございます。
  130. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 そうすると、健康と福祉のあの挿入によって、二十四時間勤務をさせることは法的にもないのだという歯どめがこれにあるといえるのですか。
  131. 藤繩正勝

    藤繩説明員 私どもは、先ほど来申し上げておりますように、原則は所定労働時間の中での労働ということであるべきだと思っておりますし、かりにやむを得ない時間外あるいは休日労働がありましても、いま申し上げたような条文の精神の中におきまして関係当事者の間で解決が行なわれなければならない、無定量なものというふうなことはあってはならないというように思うわけでございます。
  132. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 あってはならないことはわかっているのです。法的にその歯どめができているのかいないのか。本法案によって二十四時間勤務を命じてはならないという法的な歯どめが厳然とあるのかないのか。
  133. 藤繩正勝

    藤繩説明員 今度の改正案は無条件ではございませんで、やはり公務のため臨時に必要がある場合という条件がついております。そして「公務員の健康及び福祉を害しないように」という条件がついておりますので、これは実際に超過勤務を命じます当事者におきまして、良識に基づきまして公正な労働管理、労働時間管理というものが行なわれると私どもは信じております。
  134. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私はそんなことを聞いているのではないのです。法文上二十四時間勤務を命ずることができないという歯どめがあるかどうか、これを聞いているのです。そんな管理者の良識に待つとか、あるいは法の解釈上はこういうふうに思いますとかいうことを聞いているのではない。法文上、法制上二十四時間勤務を命ずる歯どめは何条何項にありますということを言えますかということを聞いている。ありませんと言えば、それでいいですよ。
  135. 藤繩正勝

    藤繩説明員 その点、現在国家公務員たる教員についての扱いと同じになるということでございます。
  136. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 それは知っている。法律上、法文上、二十四時間勤務を禁止ができているか、それを聞いているのです。
  137. 藤繩正勝

    藤繩説明員 ただいまお答えしたような法制になっております。
  138. 唐橋東

    ○唐橋委員 あとは人事院にお聞きしますが、いま労働省のほうからも、不完全ではあるがやむを得ないんだ、暫定だから。こういうような答弁があり、先ほど人事院のほうからも、暫定だから、こういうおことばでございますが、そうするならば、このような暫定的なものはやはり早く解消すべきであるということは人事院としては当然主張すべきであり、現在までの経過の中で、いつまでこのような暫定をやらせておくのか、こういうような点も必ず議題になってきただろうと思うのでございますが、そういう点については、話し合いの中で確約的なものがおありなんですか。
  139. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 今回の措置案につきましては、人事院の問題といたしましては、先ほど申し述べましたように給与の問題だけでございます。つまり、国立学校教官に対しまして、超過勤務手当にかえまして特別な手当支給するという点でございますが、その関係におきまして考えますところは、一つは一律四%ということが適当かどうか、あるいはさらに、当面小、中、高に限定されておるわけでございますが、さらにこれがほかの教官との関係、つまり大学、高専の教官との関係等につきましては、やはり特に検討をする必要があるものと考えておるわけでございます。そういう関係におきまして、この措置案につきましては、当面の措置としましては、先ほど申し述べましたように理解できる考え方であるというふうに考えておりますけれども、いま申し述べましたような関連につきましては、やはり今後十分に検討していく必要がある、こういうふうに考えているのでございます。
  140. 唐橋東

    ○唐橋委員 今後十分検討という中で、早急に出されたからまだ意見がまとまってないんだ、こういうことなんですか。やはりこれだけの大きな変革をする場合には、ある程度の見通し等も、これは当然話し合いの中で特にあなたのほうから文部省に要求すべき性格だと思うわけです。そういう点で話は出なかったのですか。
  141. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 当面の問題につきましては、先ほど申し述べましたように一応暫定措置としては理解できる。しかしながら、人事院といたしましては、やはりこの案に対しまして、先ほど申し述べました点等につきましてすみやかに検討し、そうして均衡上どうしても必要なものにつきましては、すみやかに措置を講ずるという必要があるものと考えております。
  142. 唐橋東

    ○唐橋委員 いまの人事院の答弁を聞いてみますと、やはり文部大臣のほうから、そのような問題が残されている、こういうことに対して大臣としては今後早急にそのような是正の方向を当然これは着手しなければならぬと思うのですが、それについてはどうですか。
  143. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 文部省といたしましては、現にこの案を提案いたしまして御審議を願っておるところでございます。この案はこの案として成立させていただきたいと思うわけでございます。なお検討すべきものがあれば、もちろん検討するにやぶさかではございませんし、根本的には、先ほど申しましたようにさらに調査を詳しくいたしまして、今後の給与の問題について改善をしたいという意欲を持って進んでおるわけでございます。  なお、申し添えますけれども、この案を提案するに際しまして、あらかじめ人事院勧告を得てやっていなかったということについての御指摘がございました。それは確かにそのとおりでございますけれども、今後この問題につきましては、やはり人事院勧告にかかわる事項ということにいたしておりますので、人事院のほうでお考えがあれば、また何かの御勧告もあろうかと存じております。
  144. 小林信一

    ○小林委員 関連。いま大ぜいの質問をする人たちの問題点になっておるのは、いろいろ御説明願うのですが、おそらく了解できない状態だと思うんですよ。皆さんにも、ほんとうにわれわれを了解させる自信がないんじゃないかと思う。何かそこでもって逃げる道は、当分の間ということばなんですね。ある人は当分の措置あるいは暫定的であるから、あるいは今後検討するから、これは非常にこの不明確な点を逃げることばとしては、まことに適当なんですよ。しかし、この当分の間というのは、一体どこまでどういうふうに了解していいか。私は、当分の間を大体どれくらいの期間にお考えになって文部省労働省文部省人事院お話しになっているか、ひとつ御説明願いたいのです。そんなばく然とした点でごまかすようなことは、この際私は許してはならぬと思う。どういう、ふうにお考えになりますか。文部省のつくっている法律の中には、当分の間といってすでに二十年もたっている法律もある。だから当分の間というのは二十年も三十年も使えることばなんですよ。一体あなた方は——あなたにお聞きすることは無理かもしらぬけれども労働省としては、文部省とこの点で、当分の間ということばで簡単に了解したら、これは働く人に不忠実だと思う。人事院も、人事院の存在として、そんなことで簡単に了解しておったら、非常にこれは重大な問題だと思う。したがって、当分の間は一体どの程度の話し合いになっておったか、明確にしていただきたい。それを明確にしなければ、この問題は私はこのまま進むことはいけないと思う。ただ審議の問題じゃないですよ。今後立法上の問題あるいはこの法律がいろいろ準用される一切に影響する問題と思いますので、その点文部省はどう答えたか、あなた方はそれをどういうふうに了解しているか、人事院労働省から私はお聞きしたいと思う。
  145. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 ただいまの御質問につきましては、先ほど申し述べたとおりでございますけれども人事院といたしましては、たとえば四%という定率という関係は、一応文部省で行なわれました調査の結果に見合うものというふうに見ておるわけでございますけれども、そういう関係が各学校におきまして一律でなければならないかどうか、そういう四%そのものが判断として適当であり、そういうものでなければならないかどうか、そういったような問題、さらには当面の適用範囲……
  146. 小林信一

    ○小林委員 まことに失礼ですけれども、当分の間の認識をどういうふうにされておるか、どういうふうに話し合いをされておるか、そこを私は聞いておるのですから。三年ですか、五年ですか、一年ですか。
  147. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 さらには適用範囲が小学校、中学校高等学校という形に限定されておるわけでございますけれども、先ほど申し述べましたように、その他の学校教官との関係は不均衡がないかどうか、そういう関係検討がどうしても必要であるというように考えているわけでございまして、そういう関係検討の結論を得ましたときには、どうしても必要なものにつきましてはすみやかに措置を講ずるということを考えているわけでございます。
  148. 小林信一

    ○小林委員 そういう前提を持った当分の間、やはりこの当分の間は、ばく然とあなた方は了承している。そのばく然と了承しているものを便って、いろいろ問題があるけれども、当分の間というから了承しているんだと言う。これは非常に責任がないことばなんですね。  労働省のほう、お願いいたします。
  149. 藤繩正勝

    藤繩説明員 当分の間という表現は、確かにとりようによりましてはあいまいになるおそれがございますけれども、この問題につきましては、文部省では今年度一千万円ばかりの調査費をもって実態調査をしたいという具体的な御説明もございました。そういうことになれば、きわめて早い機会にもっと抜本的な具体策が出てまいるのではなかろうかというふうに私ども考えております。その点では、そう長い期間ではないというふうに考えている次第でございます。
  150. 小林信一

    ○小林委員 私にはそれは了解できない。一千万円の調査費を組んでこれから調査するというけれども、そうしたら早い機会というその早い機会というのは、どれくらいを労働省は予想しているか。もしあなたが答弁できなければ、私はやはり労働大臣、それから人事院総裁、責任ある人が大臣とどういう話をされたか、これを聞かないといけないと思うのですよ。当分の間というのは実に重大なことばなんです。利用はなかなかじょうずに利用されるけれども、それがいまのような利用のされ方をしたらたいへんだと思う。  委員長大臣とそれから総裁を呼んで、文部大臣立ち会いでもって、この当分の間という問題は明確にしなければいけないと思います。
  151. 川村継義

    ○川村委員 関連。いま小林委員からも発言があっておりますが、話を聞いていると、これはどうも労働省のほうもやはり責任を感じなければいかぬということもある。先ほど斉藤委員が読んだ項のもう一つ先、文部省の方がちゃんと書籍にそれをこう書いている。これは三番目ですよ。「このような見かえりの措置ともいうべきものをとることなく、単に労働基準法の労働時間、休憩、休日に関する規定適用除外するとすれば、合理的な説明が困難であろう。労働基準法の施行および改正に関する事項を、審議するための、労働省および都道府県労働基準局に労働基準審議会が置かれているが、こうした適用除外の問題は、当然、労働基準審議会の審議事項になるものであり、その審議の際、適用除外そのものの問題のほか、適用除外に伴う見かえりの措置も中心問題とならざるを得ないであろう。」ということを書いてある。われわれもそう思う。  そこで委員長、いま小林さんからは、当分の問題の解決が非常に重要だと言っておる。私も、この法案提出手続について、先ほどもちょっと申し上げましたが、大きな疑問を持っておる。そこで、文部大臣おられますから、労働大臣に来ていただいて、まず、これらの手続上の見解をびしっとしてから、ひとつ内容審議に入らせてもらいたいと思います。でないと、どうも釈然としないものがあって、いやなんですよ。ぜひひとつそうしていただきたい。お願いします。
  152. 高見三郎

    高見委員長 川村君に申し上げますが、この法案は閣議決定の法律案でありますから、主管大臣文部大臣から意見を聞くことにして、このままお進めを願いたいと思います。
  153. 川村継義

    ○川村委員 法案国会に出てくるときには、そのくらい知ってますよ。だからわれわれも一応これを審議せざるを得ないだろうと考えております。ところが、いまのような問題が出てくると、これはやはり政府の最高責任者の皆さん方に、その経過と見解を明らかにしてから審議を進めなければいかぬと思う。こういうことです。閣議決定しているのだから文部大臣だけに聞けなんて、委員長としてはちょっとおかしい御発言じゃないかと思うのですが、どうぞひとつやってください。(「要求する権利はあるんですよ」と呼ぶ者あり)
  154. 高見三郎

    高見委員長 要求は受けますよ。
  155. 唐橋東

    ○唐橋委員 私は、あとの質問でその点を取り上げようと思っていたのです。たとえば、ここに公立大学、公立高等専門学校、幼稚園の先生方との差別なんかはちゃんと出ているんですよ。先ほど人事院の答弁にあったように、こういうものを当分の間というようなことで三年も四年も流される性格のものでないですよ。だから、ここでもうはっきりと見通しをつけておいていただかなければならないし、見通しをつけて初めて私たちは慎重な審議に入るのだ、こういうかまえになると思うので、私も同じくいまの各関係大臣の出席を要求して、そこで明白にしていきたい。
  156. 高見三郎

    高見委員長 唐橋君に申し上げますが、労働大臣はただいま所在がよくわかりません。人事院総裁はほかの委員会に出ておりますので、御要求に応じることはできません。
  157. 唐橋東

    ○唐橋委員 次回に呼んでいただくように理事のほうでよく御相談願いたい。そういうことにしておいて質問を続けます。  私が内容に入りまして、どうしても大臣を呼んでいただきたいということなんですけれども、一つは先ほど人事院からいろいろお伺いしましたが、それならば、話し合いがついておるならばその見通しはどうなんだ、こういう質問をしましたうちに、そのまま了解できるような取りつけはまだできていないという理解を私が持たなければならないような答弁でありましたし、さらにもう一つは、当面このようなものを残しておけないというのは、この前本会議でも申し上げましたように、各学校の先生方の間に、学校の種別があるために、この手当をもらえない人ともらわれる人が出ておる。そういうのはもう二年も三年もほったらかしておくわけにはいかないわけです。ですから、話の内容で当分の間というものをやはりはっきりさせておかなかったならば、この中に置かれておる先生方は非常に不安だと思うのです。したがって、必ずこの次呼んでいただくということをひとつ理事方々とはかっていただくというならば——委員長のほうでそういうことで取り扱っていただきたいと思います。
  158. 高見三郎

    高見委員長 そういたしますから、質問を続けてください。
  159. 唐橋東

    ○唐橋委員 その次に、今度は内容に入りまして「必要な事項は、人事院規則で定める。」、こういうことなのですが、先ほどの質問でも、それについてはまだ内容がはっきりしてない、こういうような御答弁があったと思います。これはちょっと私たちからいうと理解できないのです。やはり法案を出す限りは、その内容は一応こういう方向なのだという具体的な説明がなくて、一切それは規則でやって、いまお答えできないのだということでは了解できないのですが、「必要な事項は、人事院規則で定める。」ということであるならば、その内容の大要を御説明願いたいのです。
  160. 尾崎朝夷

    尾崎政府委員 「必要な事項は、人事院規則で定める。」ということになっておるわけでございますが、この規則内容といたしましては、私たちいろいろ考えるのでございますけれども、結局、手当の額、その支給方法ということになると思っております。そのうち手当の額につきましては法案上明定されておりますので、結局、残りの支給方法という、つまり支給日あるいはその支給手続的な関係、こういうことに尽きるのではないかというように考えているわけでございます。
  161. 唐橋東

    ○唐橋委員 たとえば、超過勤務に見合うという考え方でこの手当をとらえるとするならば、この前文部省が調べて出てきた結果というものは、小学校の場合、中学校の場合、高等学校の場合、違うはずです。その時間等はお手元にあると思いますので省略します。その場合、やはり小学校も中学校高等学校も平均二千円、一律四%なのか、こういう内容まで実は検討されているのかどうかということをお聞きするわけです。これは文部省のほうから。
  162. 天城勲

    天城政府委員 私たち調査いたしました内容から申しますと、小学校、中学校高等学校、もちろん時間外の勤務実態は違っております。また季節によっても違いはございますし、個人差もございます。それはもう当然調査の報告にも出ているとおりでございますが、それはもちろん前提に考えて、この手当が単に時間計測だけではいかないという判断に立ったわけでございます。といいますのは、その差の出てくることは当然でございますけれども、一応考えられます時間外の勤務にいたしましても、はたして正確にこれがこれだけの時間だけ超過勤務であったかどうかということは、いえないものもかなりあるような気がいたします。その意味で時間計測になじまないという判断をいたしたわけでございまして、結果的には、年間を通じならした制度のほうがむしろ教員勤務態様に合うのじゃないか、こういう判断をいたしたわけでございます。前提としての、先生御指摘学校間、個人間、四季を通じての違いは、もちろんございます。
  163. 唐橋東

    ○唐橋委員 そうしますと、学校差、季節差、そういうようなことは一切なしに一律に支給する、こういうことなんですね。
  164. 天城勲

    天城政府委員 この案では、そのように考えております。
  165. 唐橋東

    ○唐橋委員 そういう内容でいわゆる人事院規則というものが決定され、支給する、こういうことでございますね。
  166. 天城勲

    天城政府委員 この法律案で四%と規定いたしておりますので、いま人事院のほうからお答えがございましたように、支給方法に関する規定人事院規則で定められる、このように考えているわけでございます。
  167. 唐橋東

    ○唐橋委員 そこで、先ほども大臣出席要求の理由にしたのですけれども学校差も考えない、季節差も考えないというときに、どうしても理解できないのは、本会議で申しましたように、同じ学校教育法でいう教員にこの手当が出ない理由は何ですか。
  168. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のように、今回の措置は小、中、高等学校並びに、特殊教育関係学校の小、中、高等部でございます。したがいまして、これ以外の学校教職員に対しましてはこの新しい手当適用ないわけでございます。午前中の質疑にもございましたように、小、中、高等学校教員勤務と、大学、高専あるいは幼稚園とはかなり違った点があるし、また、大学は大学なりに一般公務員とも違うことは、われわれも予想されるわけでございます。ただ、今回の措置といたしましては、小、中、高に限りましたので、あとの教職員に対してどういう措置考えるかということは、これでおしまいという意味ではございませんで、今後の課題として十分検討いたしたいというつもりがございます。なお、超過勤務という時間外勤務ということに対します措置といたしましては、小、中、高等学校教員に対しましては、今後はこの教職手当によって措置いたしたいと考えているわけでございますが、それ以外の教員につきましては、現行法どおり、超過勤務を命じた場合には超過勤務手当支給するという体制はもちろん残るわけでございます。
  169. 唐橋東

    ○唐橋委員 そこなんですね。この手当支給する人たちは、時間を考えないで手当をする、その他の人たちは、今度は超過勤務考える。こういう考え方の二本立てが、この区別の中からどうしても出ざるを得ない。そうしますと、その区分けをした考え方の基本が私はどうしても理解できないわけです。こちらのほうは私立学校だから超過勤務なんだ、こちらのほうは国立だからどうだ、こんなように必ず一律に手当支給する先生方と、あるいはもらえない方、あるいは超過勤務支給する方、この三種類が結果として出てくるでしょう。それを文部省としてはばらばらに考えていく。こういう場合に、そのとらえ方はどうしても私は理解できないのです。
  170. 天城勲

    天城政府委員 いま御指摘の中に、国公私立の三種類というお話でございましたが、本来国公私立は給与法律上の根拠も違います。ただ、公立につきましては国立に準ずるという規定がございますので、非常に似た関係が出ておりますが、私立学校につきましては、そもそもが法律給与に対して何ら規制を加えておるわけではございませんので、ひとり時間外勤務に限らず、本俸におきましても個々の学校によって異なるわけでございますから、これは一部分だけ公立制度を持ち込むのも制度全体としていかがかと思っております。ただ問題は、やはり大学、高専と高等学校以下との関係が一つあると思います。大学につきましては、従来から勤務あり方につきまして、かなり勤務時間の割り振りにつきましても学長にまかせられておるように、弾力的な運用をいたしております。ただ御案内のように、入学試験あるいは論文審査等につきましては、従来とも超過勤務手当支給するという措置をいたし、予算措置もされてきておるわけでございまして、小、中、高等学校と大学の教官とは勤務のありようがかなり違っているわけでございます。したがいまして、今回は小、中、高等学校段階をまず措置をいたしまして、大学の問題につきましては、いままでもかなり特異な扱いをしている事情もございますし、今後の問題として考えたい、こういう仕分けをしたわけでございます。同時に措置ができていないから非常にふぞろいじゃないかという御指摘はごもっともでございますが、今回の措置としては、小、中、高等学校を先に措置考えた、大学の問題につきましては次に検討させていただきたい、こういう態度で出ているわけでございます。
  171. 唐橋東

    ○唐橋委員 次に考えたいということなので、そういう点は次回の各大臣が出たときに、見通し等の問題でありますので なお御質疑したいと思います。  次に質問したいのは、勤務態様という中で、先ほども斉藤委員のほうから歯どめの問題が出ました。こういう点でいままで文部省がいろいろと指導をしまして、勤務実態をつかみなさい、こういう指導は全部やっており、そこの管理者、校長さんがとらえるとするならば、超過勤務の時間はやはりとらえ得ると思うのです。とらえ得ると思うからこそ、あの調査をされたと思うのですが、あの調査のいわば結果に対する信頼性というか、あなた方は非常にこの点はあいまいであるから今度の手当にしたのだ、こういうようにもとれるような節々がいままであるのですけれども、あれだけ時間と労力をかけて調査された結果を、どのように文部省はとらえておるのですか。
  172. 天城勲

    天城政府委員 あの調査は、御案内のように勤務時間内の仕事と、それから勤務時間外の仕事に仕分けをして、いわゆる超過勤務命令があったとかということを前提といたすわけではございませけで、現に時間外にどういう仕事があるか、したかということを調べたわけでございます。その実態判断いたしますと、いわゆる勤務の延長と考えられるものも、またそうでないものも含められております。また勤務の延長と考えられるものにつきましても、時間的に必ずしもこういう形でいいのかどうか非常に判断に苦しむものもございます。そういう意味で、時間外の仕事の中から勤務の延長と考えられるものは確かにあるけれども、それを単に時間計測で判断するのは必ずしも教員勤務態様から見て適していない、このように判断したわけでございます。
  173. 唐橋東

    ○唐橋委員 それで、実際今度一律に支給するという場合に、一律に四%に相当する時間、それを越えている実数というものはやはりあの調査の中に出てきているのでしょう。その内容等をお聞きします。
  174. 天城勲

    天城政府委員 これは、最初に申し上げましたように個人差は非常にございます。四%というのはその調査の中から一応出てまいりました数字で、時間外の仕事の中から明らかに勤務の延長とは考えられないもの、あるいは時間内で処理され得るもの等をいろいろ検討した結果、時間数は一応出ております。しかし、先ほど申し上げましたように、個人的に見ますと、平均的な時間をはるかにこえている人もいますし、それに満たない人もございますし、それから月別に見ますとそのカーブは非常にでこぼこでございます。しかし、それを一々時間ではかるよりも、この全体をならして見たほうがいいんじゃないかということで処置をいたしたわけでございまして、御指摘のように個人差はもちろん非常にございます。はるかに多い者もございます。それから少ない者もございます。
  175. 唐橋東

    ○唐橋委員 ある者ない者という議論になると思うのでございますけれども、小学校の場合などは一年生を受け持つ時間とそれから六年生を受け持つ時間と、その学年による差というものは大きくなっているわけですが、その中においても学校全体としての勤務の時間というものは、私たちも体験していますが、それは遊んでいるわけでも何でもないわけです。しかし問題は、先ほど労働省のほうから話がありましたように、こえないことを原則にし、こえた場合はどうなんだというふうに、基本が超過勤務の問題だと思うのです。ですから四%に相当する時間をこえた場合はどうなんだという基本問題がここにあり、そこに今度、歯どめという先ほどのことばがありましたが、いろいろ出てくるわけです。したがって、この問題等はもう少し労働大臣なりに、労働基本法の基本にもなるし、あるいは先ほど申しましたように今後の見通し等にもなりますので、私のきょうの質問は一応これで終わりまして、次回において大臣が出られたときにさらに質問を継続させていただきたいと思うのです。
  176. 高見三郎

    高見委員長 次回は、五月六日月曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十五分散会