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1968-04-10 第58回国会 衆議院 文教委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十日(水曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 高見 三郎君    理事 久保田藤麿君 理事 坂田 道太君    理事 谷川 和穗君 理事 西岡 武夫君    理事 小林 信一君 理事 長谷川正三君    理事 鈴木  一君       有田 喜一君    稻葉  修君       久野 忠治君    河野 洋平君       周東 英雄君    高橋 英吉君      三ツ林弥太郎君    渡辺  肇君       唐橋  東君    川村 継義君       斉藤 正男君    山崎 始男君       有島 重武君  出席国務大臣         文 部 大 臣 灘尾 弘吉君  出席政府委員         文部政務次官  久保田円次君         文部大臣官房長 岩間英太郎君         文部大臣官房会         計課長     井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    天城  勲君         文部省大学学術         局長      宮地  茂君         文部省管理局長 村山 松雄君  委員外出席者         文部大臣官房人         事課長     諸沢 正道君         文部省初等中等         教育局特殊教育         課長      寒川 英希君         専  門  員 田中  彰君     ————————————— 四月九日  委員藤波孝生君及び渡辺肇辞任につき、その  補欠として福永一臣君及び増岡博之君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員福永一臣君及び増岡博之辞任につき、そ  の補欠として藤波孝生君及び渡辺肇君が議長の  指名委員に選任された。 同月十日  委員広川シズエ君及び松村謙三辞任につき、  その補欠として三ツ林弥太郎君及び高橋英吉君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員高橋英吉君及び三ツ林弥太郎辞任につき、  その補欠として松村謙三君及び広川シズエ君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月八日  外国人学校制度創設反対に関する請願金丸徳  重君紹介)(第三四五〇号)  同(長谷川正三紹介)(第三四五一号)  同(安井吉典紹介)(第三四五二号)  同外一件(斉藤正男紹介)(第三四九七号)  同(帆足計紹介)(第三四九八号)  同外五件(島本虎三紹介)(第三六七〇号)  同外百七十一件(戸叶里子紹介)(第三六七  一号)  外国人学校法案に関する請願長谷川正三君紹  介)(第三四五三号)  学校図書館法の一部改正に関する請願外三十三  件(田川誠一紹介)(第三四五四号)  教育公務員特例法の一部を改正する法律案反対  に関する請願江田三郎紹介)(第三五五八  号)  同(小沢貞孝紹介)(第三六六五号)  同(麻生良方紹介)(第三六六六号)  外国人学校法案反対に関する請願柴田健治君  紹介)(第三五五九号)  同(麻生良方紹介)(第三六六七号)  同(小沢貞孝紹介)(第三六六八号)  学校教育法の一部を改正する法律案反対に関す  る請願柴田健治紹介)(第三五六〇号)  同(小沢貞孝紹介)(第三六六九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣  提出第八号)  文教行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 高見三郎

    高見委員長 これより会議を開きます。  文教行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。鈴木一君。
  3. 鈴木一

    鈴木(一)委員 私の理解の範囲内におきましては、日本特殊教育が非常におくれておる、そういう理解をしておるわけでございますが、そういう観点から、本国会におきまして、前後二回にわたりまして、国会法七十四条による質問書を提出したわけでございます。にもかかわらず、政府答弁書を見まして、非常に私としては失望したと申しますか、もの足りない感がしたわけでございます。これは、この間から問題になりましたが、今村さんのおっしゃるように、私自身が通常の読解力が足りないのか、あるいはまた知能指数が低いために十分な理解ができないのかよくわけがわからないのでございますが、普通教育普及が九九・八%というふうにいわれておるにもかかわらず、質問書指摘したように非常におくれておると私は思うのでございます。特殊教育の発達の程度というものは、その国のほんとうの意味教育水準文化水準、あるいはまた福祉水準のバロメーターであるというふうにも言い得ると思うのでございますが、まず最初に必要なことは、私は別におくれておることをもって政府のあげ足をとり、攻撃しよう、そうして何かためにしようというのではなくて、ともにこういうおくれておる問題を少なくとも先進国といわれておる欧米水準まですみやかに持っていきたい、またそういう時期が来ているのではないか、そういう観点から申し上げたいのでありますが、お互い現状に対する事実認識というものが違っておったのでは、せっかくここで質問しましても対話の発生する余地もありませんし、意味がないと思いますので、私は非常におくれておる——もちろん東南アジアのこれからという国と比べれば、それは相当のところまできておると思いますけれども、全体的には非常におくれておるという認識に立っておるわけでありますが、政府答弁書では必ずしもそうではない。こういうこともやっておるじゃないか、ああいうこともやっておるじゃないか、調査も目下やっておるのだということで、少しも私との議論がかみ合わなかったような感じがするのでありますが、そういう事実認識について大臣はどういうふうな認識を持っておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  4. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 特殊教育について鈴木委員が年来非常に熱心に御推進いただいておることは、われわれとしましても感謝いたしておるところであります。この特殊教育現状がどうあるかということについての認識の問題でございますが、私もこの方面の仕事に比較的いろいろな関係で関心を持っておる一人でありますが、端的に申しまして、他の一般教育状態に比べました場合に、特殊教育がおくれておるということはいなめない事実であろうかと思うのであります。ことに戦前の状態では、いわゆる文部省教育行政の中で特殊教育というものはほとんど顧みられなかったというようなこともあるいは言い得るのではなかろうかと思うのであります。それに比べて考えますれば、戦後はよほどこの辺が取り上げられまして、かなり進んではきたということを私はお認め願いたいと思うのでありますけれども、一般先進国等状態に比べますれば、確かにこういう特殊教育はまだ非常に立ちおくれを日本教育行政の中で示しておるということを認めざるを得ないと思うのであります。これは出足がおくれておったということもございましょうし、教育関係に配分せられる財政的な措置が十分でないというふうな点もあろうかと思いますが、何にしましてもこの立ちおくれを取り返すといいますか、もっともっと進めていかなければならない教育分野であるということについては、私も及ばずながら鈴木さんとその認識を同じゅうしておるような気持ちがいたしております。現状は決して満足すべき状態ではないと申し上げてよろしいかと思います。
  5. 鈴木一

    鈴木(一)委員 いま大臣の御答弁を伺いまして、質問書内容とはまた違って、大体事実認識については共通であるということを私理解したわけでございますが、このおくれておる理由は一体何か。これはいろいろあろうと私は思います。六・三制の問題、あるいはまたその後出ました高校の急増対策、そういうふうなことに全精力が費やされて、こうした特殊な教育部面に対する対策が財政的にもできにくかったという点も、私は善意に解し得ると思うのでございます。しかし、そういう面ばかりでこの問題を見のがすことはできないと私は思いますので、まず最初に、なぜ特殊教育義務制に関する政令が二十年たった今日いまだに出ていないのか、その理由をお伺いしたいと思います。これは局長からでけっこうです。
  6. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のように、特殊教育領域養護学校設置義務政令施行日を定めることになっておるのでございますけれども、それが制定されていない、すなわち義務制が施行されていないという現状でございます。養護学校義務制に向かっての努力経過を若干申し上げますれば、その中で、なぜできなかったか、またなぜ延びているかということもおのずから御理解いただけるのではないかと思いますが、昭和三十一年に公立養護学校整備特別措置法ができまして、義務制の小学校と同様に、教職員の給与費とかあるいは教材費建築費国庫負担を行なってきたわけでございます。それから三十五年に設備費の補助を行なう、あるいは三十七年度から、特にこの辺から計画的な設置を強く意識いたしまして、御存じのように養護学校は非常にいろいろなものが含まれるわけでございますので、少なくとも肢体不自由と精神薄弱と病弱虚弱、この三種類養護学校を各都道府県につくりたいという方針のもとに積極的な学校設置計画を進めてまいりました。大体十六校ずつ増設するという形で計画を定めたわけでございます。この間に、いま先生理解いただいておりますように、高等学校急増対策という時期がからまってしまいまして計画がおくれました。それからなお、われわれも力が非常に足りないし、また残念なことでございますけれども、この教育に関する関係者理解というものが必ずしも十分でないというような事情も重なり合いまして、この養護学校設置水準がおくれておるわけでございます。そのようなわけで一挙に政令を出すに至っていないというのが率直に申し上げる理由でございます。  全般に特殊教育振興上いろいろな隘路があるわけでありますが、端的に養護学校設置で申し上げましたように、一般理解ということも非常に大事なことでございます。それと、実は最近心身障害者判別を適正に行なうということが非常にむずかしい問題になってまいりまして、学問が進み、教育指導法が進むに従いまして、従来込みになっておりました領域というものが、もっときめこまかく障害対象を浮かび上がらしてくる、それに適した指導を考えていくというような体制に入ってきておりまして、一言で養護学校対象児といいましても、内容が非常に多岐にわたっております。したがいまして、これに応じまする指導方法、それに応ずる教員養成ということもあわせて考えなければならない事態が起きてきておりまして、その点が一つ新しく加わっている困難な問題であると思っております。あと最初に御指摘のように予算その他の事情もからみ合いまして、学校設置が、要するに特殊教育関係機関が十分に設置されないという点がございまして、結果的には養護学校義務制が今日まで施行されていないのが実情でございます。
  7. 鈴木一

    鈴木(一)委員 いまいろいろなおくれておる理由をお述べになったわけでございますが、一般理解が足らないという問題でございますが、これは確かに理解は足らないと思います。行政に携わる者、政治に携わる者、あるいはまた関係父兄すべてがこういう問題に対する理解が足りないことが、私はこうしくおくれた一つの大きな原因だと思うわけでございます。しかし、理解が足りないということが今日まで政令を出さなかったという理由にはつながらないと思うのです。なぜならば、やはり政令で義務づけ制を早く出して、むしろそれに引っぱり込んでいくというくらいの積極的な熱意が必要だろうと私は思うわけでございます。また、心身障害児を持っておる父兄にしてみれば、いろいろそれは、最初特殊教室なんかに入れられることに対するふんまんもあり、ばか扱いにされる、普通にしておいてくれればいいじゃないか、そのためにうちの者は結婚もできないんだというようなことで、無理解からくるいろいろな抵抗もあるかもしれませんが、しかし最後は、いまのような社会体制では、いまのままでは、その父兄自身肢体不自由児からくる精神上、物質上のあらゆる負担を背負わなければならないようになっておるわけでありますから、よく話をしてみれば、むしろ私は積極的に賛意を表するものだと思うわけであります。ですから、一般理解が足りないということだけでこういう問題を放置するということは、私はむしろ文部省のほうの怠慢ではないかと思うわけでございますが、その点についてもう一度御答弁願いたいと思います。
  8. 天城勲

    天城政府委員 私も一般理解が足りないことを今日の設置の遅延ないしは不振の理由にかこつけようという気持ちは毛頭ございません。ただ率直にいろいろな事情を分析してまいりますと、予算その他による特殊教育機関設置が非常におくれておる、数が少ないということ、それから対象児の複雑になっていることとあわせて、やはり一般理解というものも不十分だということを申し上げたわけでございまして、これは一般の方々というよりも、もう少し広く関係者すべての理解の不足というつもりで申し上げたわけでございます。そのために各府県設置者の側におきましても、そういう点についての御努力をお願いいたさなければなりませんし、それからやはり全体の理解を一そう深めるということも必要でございますので、四十二年度から特殊教育推進地区というものを設けまして、判別の正しい指導就学指導推進地区を設けて、逐次全国的にその機運を起こそうという努力も片一方ではいたしておるわけでございます。  なお、補足させていただきますが、養護学校の施設に関していま計画しておりますのは、肢体不自由児精薄と病弱虚弱の三種類を当面各府県に一校ずつ三校は設置いたしたいと思っておるのでございますが、肢体自由児のほうはいま四十六府県のうち四十四県はできたのでございますが、精薄がまだ十三県、病弱が十七県という状況でございます。精薄につきましては、一方特殊学級設置というものをあわせて推進いたしております。このような状況で、肢体不自由児のほうはかなり普及を見たわけでございますが、一応先ほど申しましたように十六校ずつつくるといういまの計画で予定どおり参りますれば、あと四年ぐらいかかれば各府県にこれら各種の養護学校が一校づつはできるという計画は持っておるわけでございます。
  9. 鈴木一

    鈴木(一)委員 これは大臣にお伺いしますが、佐藤総理総理になられましてから、社会開発ということを大きく打ち出されたわけでございます。私も当初は、はなはだ耳なれないことばでもございましたし、何か適切なボキャブラリーを持ち合わせないためにこういうことばを使ったのではないかと思っておったわけでございます。しかし、謙虚にこのことばを考えてみますと、私は非常に意味深いことばでもあると当初は思ったわけでございます。しかし、残念ながら、最近はあまり社会開発ということばを使われなくなったわけでございますが、当初私がそのときに想像しましたことは、かつてケネディ大統領が、自分の妹さんかなにかに精薄子供がおって、そういうふうなことから、アメリカの特に精薄児対策について大統領直属委員会をつくられまして、積極的な対策に乗り出したことを聞いておるわけでございます。佐藤総理も、こういった方面相当力を入れて、その一つの予告として社会開発ということばを使われたのじゃないかと思ったわけでございますが、残念ながら今日は——人のまねであっても、いいことは非常にいいことだし、私は大いにやるべきだと思うわけでありますが、最近そういうふうな動きも全然ないわけでございます。おくれておるということは大臣も十分お認めでございますし、また、いま局長から各部門ごとにいろいろ経過の御説明もあったわけでありますが、この際、この辺で抜本的——ということばが適当であるかどうかわかりませんけれども、真剣にこの問題を、年次計画のようなものでも立てて推し進めていくというふうな御意思が大臣にあるのかないのかという点もお伺いしたいと思います。  同時にまた、いろいろな対策がジグザグな形で進められているのも、やはり国として基礎的な調査というものが十分行なわれていない、実態把握されていないで、ただ推定に基づいて、こういうふうな状態の者は産まれた子供の四%ぐらい平均産まれるわけであるから、これぐらい対象児はおるであろうという、実態把握がそういう程度推定にすぎないわけですね。ですから、やはり基礎的な調査を十分行なうと同時に、それに対する対策センターと申しますか、国立の総合的な一つ研究センターというものが確立されて、そうしてそこがこの学校の中心的な役割りを果たし、教育の面あるいはまた教員養成の面についても、そこが中心的な役割りを果たすというような対策がここで早急に樹立さるべきだと私は思うのでございます。そうしたような対策なしに、ただ、この肢体不自由児養護学校は四年たてば全国に行き渡るであろう、そういうふうなことではとうていこの問題の解決にはならないと私は思う。なるほど、肢体不自由児の場合は比較的その対策が立てやすいと思います。しかし一方、同じ心身障害児の場合でも、精神薄弱児の場合は、いまだに養護学校の設立されてない県が三十三県くらいあると私は思うわけでございます。しかもこの前、これは新聞の報道でございますから、正確かどうかはわかりませんが、京都大学医学部と滋賀県のびわこ学園との共同の調査による、全国公私立精神病院の中に収容されておる子供教育状況報告が出ておるわけでございます。全国で千三十三の病院に対してアンケートを出したわけでございますが、そのうち回答のあったものが三百三十八病院ということになっております。その状況を見てみますと、病院の中に教室のあるものはたった一病院しかない。これは市川の国府台の病院であります。それから病院より通学しておるのが十八病院精神病だということで長期欠席しておるところが六十五病院あるわけです。それから就学猶予あるいは免除というものが百十五、これはめんどうくさいから、ほとんどぶん投げて置かれているものだと思います。そういうような状態になっております。これに対して、病院側の希望を聞いてみましたところが、病状の軽い者には学校教育をぜひとも受けさせたいという病院が百四十八あるわけでございます。それから重症子供でも、それなりに何らかの教育を授けたいというのが百三十六、それから病院の中に学校をぜひつくりたいというのが三、こういうような報告が出ておるわけでございます。ですから、精薄のほうの関係はほとんど手がつけられていない。これは極端なことばで、少しことばが過ぎるかもしれませんけれども、養護学校のほうも遅々として進まないし、精薄のほうも、特にむずかしいから手がつけられていない。普通の肢体不自由児の場合は、整形外科とかいろいろな、対象としてはっきりしておりますからやりようもあるし、また、ただ収容するのじゃなくて、積極的に訓練を与えることによって何らか回復のきざしがあるわけでございます。ところが精薄の場合は、中にこもっておるせいか、なかなか手がつけにくい。したがって、いま申し上げましたようなこういう状態で、ほとんど手がつけられていないというふうに私は思うわけでございます。こういうふうなむずかしい部面はそのままにされておるわけでありますが、これはやはり基礎的には医学心理学教育学といったようなものが総合的に研究に取り組んでこそ、初めて対策が可能だと思うわけでありますが、国の中でそういうものを研究する場所がないのだろうと思うのです。ですから、教員養成をするところの大学だとか、あるいは普通の大学心理学科とか、あるいは普通の大学医学部というようなところで断片的に、そこに何ら——何らということばは、少し過ぎるかもしれませんが、お互いの交流なしにこういうことをやっておるから、こうすればいい、ああすればいいという総合的な対策が出てこないのだと思います。ですから、そういうものを積極的に取り上げるためにも、やはり心身障害児のための国としてのはっきりした研究機関、そういうものが必要な段階にいまきておるのじゃないか。欧米各国の進んだ国の状況を見ましても、そういうものがはっきり打ち出されて、相当の成果をあげて、それから初めて一般の教師がついてきて、いまのような先進国として、われわれが大いに範とすべきような体制ができておると思うのでありますが、そういう問題に対する御熱意のほどをぜひ伺いたいと思います。
  10. 天城勲

    天城政府委員 最初に、いま私たちが考えております、また進めております実情を御説明申し上げたいと思っております。  先生指摘のように、確かに全体的の把握、それから新しい時代に対する体制等がおくれており、ばらばら状況がございます。そこで私たち四十二年度、昨年から特にその点を意識してやっておりますが、いま御指摘の点について二つのことを取り上げて御報告申し上げたいと思います。  一つは、心身障害児実態把握というか、最近綿密に行なわれておりませんでしたので、全国的な調査を現在行なっているところでございます。よくいわれます出現率何%ということがございますが、これもかなり前の実績から出てきた数字でございまして、この辺の把握のしかたにそもそも問題があるのではないかと思いまして、もう少しきめこまかい基準を前提に置きました実態調査を進めております。ほぼまとまりかけている段階でございますが、まだ最終的な全貌が出ておりませんけれども、これによりますと、今回の調査によっても、従来何%といわれておった領域がかなり違っているのではないか。というのは、これはきめこまかくやりますと、そう大ざっぱに仕分けのできない領域も出ているということが明らかになってまいりました。  それから、いまいろいろ例を御指摘になりました点でございますが、従来盲でもない、ろうでもない、一般精薄と言っていた領域が、それだけで済まされなくなってきているわけでございまして、先生指摘の点は、おそらく大部分がいわゆる情緒障害児といわれている領域子供だと思うのでございまして、この情緒障害児といわれております領域、あるいはその中に、これも最近いろいろな点で話題になっておりますが、自閉症子供なども三、四千人いるのではないかと現在いわれております。率直に申しまして、この自閉症に対する指導方法もわかっていないものが非常に多いのでございます。重症といわれている領域もいろいろな段階があるようでございますが、ある段階子供などにはどのようにアプローチしていいか、まだわからないというものがたくさんあるということを聞いておるのであります。したがいまして、こういう実態調査の上で現状をできるだけ精密に把握するということを一つやっております。  それと同時に、従来特殊教育研究組織が盲とか、ろうとかあるいは精薄とか、確かにばらばらに行なわれていた傾向がございます。しかし、同じ盲といっても、盲教育という観点からだけでなく、やはり医学的な面も入ってまいりますし、最近は医学関係から特殊教育への研究が非常に進んできておりますので、あちらこちらで、いろいろな分野から特殊教育研究が進んでいることは非常にうれしく思っておるのでございますが、全体がまだ総合的にいっておりません。  そこで四十二年度において、特殊教育の総合的な研究調査というテーマでもっていろいろな分野関係者にお集まりいただきまして、終局的には特殊教育を総合的に研究するための研究体制あるいは研究機関というものをどういう形でやっていったらいいかということをいま御審議願っている状況でございます。やはり日本研究体制全体の中で非常に強力な集中的な総合的な研究体制も必要だという御意見も出ております。と同時に、また部門別にそれぞれ伸ばしていく分野も必要だというような意見も現在出ておりまして、まだ最終的には固まっておりませんが、御指摘のような研究体制の整備について現在検討を進めておるのでございます。  なお、御指摘のように、外国においてもいろいろな新しい教育指導並びに基本的な研究体制が進んでおりますので、この新しい状況についても私ども十分把握したいと思いまして、専門家その他大学研究員を通じて、あるいは特にそのために研究者を派遣してこの調査にも片一方当たっているわけでございます。それらが最終的にだんだん整ってまいりました段階で、先生指摘のような形でこの問題が前向きに解決のできるようなことをいま念願いたしておるわけでございます。
  11. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 この問題についての、文部省で現に行ない、また考えておりますことについては、ただいま局長の申し上げましたようなことでございますが、私は、鈴木さんのおっしゃる実態把握が不十分だという点も、確かにそのとおりだと思いますし、また、これに対処する研究ないしは研究体制というようなものもまだまだ不十分であるということは残念ながら認めざるを得ないと思うのでございます。佐藤総理のいわゆる社会開発ということの中には、この種の分野の開発、発展をはかっていくということも当然に含まれておるものと私は理解するものであります。しかしながら、現状はなかなかそうなっておらない。私は、どちらかといいますと、直接自分で現業するような力はございませんけれども、いわゆる社会福祉の問題には若干の関係を従来持ってきておるものであります。社会福祉の分野におきましても、これはむしろ文部省特殊教育よりも前の時代からこの問題は手がけてきておる分野でございますけれども、非常におくれておる。しかも、最近、特に多くの人たちのこの分野に対する非常に熱心な御要望が年々盛んになってくると申してもよろしいのであります。そういう意味で、かなり国民の皆さん方の関心も深まってきたかと思うのでございますが、わが国の現状から申しますと、社会福祉全体を通じましても、まだ十分な施設が備わっているとはいえないと思うのであります。たとえば、ひとりお年寄りの問題を取り上げてみましても、どうやら老人ホームというようなものもだんだんふえてはきておりますけれども、その老人ホームがいまの状態であれでよろしいのかといえば、もっともっと老人ホームそのものにつきましても、科学的な研究も進められ、またそれに応じてのいろいろな形態ないし種類の老人ホームが整わなければ決して十分とはいえないというような状況で、歴史の古い施設ですらそういう状況でございますので、新しく発展途上にあるこの分野につきましては、未熟であり、未完成なものが至るところにあると申し上げてもよろしいと思います。  養護学校義務制をしいたといたしましても、たとえばそれが一県に一つ養護学校ができたという程度で、それで満足し得る状態かといえば、対象となるべき児童の数を考えますと、いかにも不十分といわざるを得ないのであります。同時に、対象となるべき児童についてもいろいろあるわけであります。それらについて、やはりそれぞれの対象に応じまして機能の分化をはかって、そしてそれぞれに必要な施策を講じていくということになれば、まあそうなくちゃならないはずだと思いますけれども、これは容易ならぬことであるということもいえるわけでございます。したがって、いまおっしゃいましたように、実態調査というものも、ただ単に推定するというくらいのことだけではなくて、実情をよくきわめていくということも必要でありますし、これに対応してどういうふうな施設をどういうふうにつくっていくかという研究なり計画なりというものも当然に考えられていかなければならぬ問題だと思うのでありますが、なかなかまだ容易にそこまではいかない。同時に、この分野に関する学問の研究という点も、おそらく私は諸外国に比べればおくれておるかと思うのであります。素朴な、ただ社会福祉施設というふうなものではなくて、いわば科学的に十分研究せられた上での各種の施設というものが整備せられてこなければ満足することはできないわけでありまして、考えてみますと、実はなすべきものが非常に多く残されておるわけであります。  われわれとしましても、もちろんこの責任の衝にある者としまして、ただ世間の空気がどうとかこうとかということだけであるべきことではございませんけれども、率先して研究をし、率先して世間に訴えるということも必要だと思うのでありますが、同時に、私、非常に力強く思いますことは、この国会の内外を通じまして、このような児童に対する関心が非常に高まり、これに対して強力な施策を講ずべしというふうな空気がだんだんと強まってきておりますことを非常にうれしく思っております。願わくは、皆さま方の格別な御協力のもとに、この分野の開発、発展のためにもつと大幅にこのことが進展することができるようにありたいものと念願いたしております。それにつきましても、私どもの研究不足の点も多々あるわけでございます。政府といたしましても一そう努力いたしまして研究を進め、それをひとつぜひ御支援を願って、一日も早くこういう施設を整備するようにいたしたい。実はそちら側にすわってそのことを政府に言いたいような気持ちがしておる一人でございますが、これらを思いますと、なかなか思うような御返事ができない。できませんけれども、とにかく努力をしてまいりたいという気持ちは十分ございますので、どうぞ御協力をいただきたいと思います。
  12. 鈴木一

    鈴木(一)委員 社会福祉全体が向上しなければなかなかこういう問題も十分いかないことも、私、よく承知しております。もちろん、社会福祉を向上させるためには国民所得も相当ふえなければならぬ。なるほど生産は世界第三位だといわれておりますけれども、国民所得のほうは二十番目だ、ベネズエラの次だというような状態で、一足飛びにいまここで理想的なものをつくれというようなことを決して私は言うつもりはないのでございますが、ただしかし、こういう問題に取り組む姿勢と申しますか、そういうものによってまた問題の解決は私は違ってくると思うのです。なるほど一般の社会保障制度は、老人福祉も含めて大事だと思います。しかし、こういう心身障害児から比べてみれば、まだあと回しになってもやむを得ない面もあるのではないか。いわば一応まともなからだ、精神状態で人生の大部分を送った人であるわけですね、老人の場合は。しかし、この心身障害児の場合は、何ら自分の責任でもない。生まれたときにもうすでにそうした運命を持っているか、あるいはまた病気その他の障害でそういう状態になって、何のために生まれてきたか、全くやっかい者みたいな形で世の中に存在し、そうして一生を、あるいは短い一生かもしれませんし、長い一生かもしれませんが終わっていくということでございますから、こうした人たちを何らかの形で開発して、少しでもその能力を発揮さして、そうして生きる喜びを与えていくということが、まず私はほかの福祉よりも先に取り上げられてもいいと思うわけでありますが、こういう問題に取り組む為政者の心がけ一つで、私はだいぶ様子が違ってくると思うのです。  そこで、これは少しよけいなことかもしれませんけれども、非常におくれておったアメリカの精薄対策が、先ほど申し上げましたようにケネディの努力によって非常に躍進を遂げつつあるというわけでございますが、その際の、ケネディ大統領が大統領精薄委員会において述べたあいさつで、これは翻訳でありますから内容を正しく伝えているかどうかわかりませんが、こういうことを言っておるわけであります。「身体障害者、精神病者、その他の病気に対する治療や対策は、長足の進歩を示したにもかかわらず、われわれは精神薄弱問題のために、国家的な集中的調査研究を行なうことをあまりにも後まわしにしてきた。この誤りを是正しなければならない。心身障害者に深い関心を持つように、英智と人間性は命令する。——われわれが、これら薄幸の人々に関心を寄せるのは、単なる政治の指標のためではないし、また、国家の利益や人的資源の保護のためでもない。それは、アメリカの未来を開く鍵だからである。」こういったような非常に高い次元から問題を把握しておるわけですね。ですから、この半分ぐらいの姿勢でも社会開発を唱える佐藤総理にあるならば——それは大蔵省から予算を取ることは非常にむずかしいことはわかります。皆さんもどんなに苦労されているかも私たちよくわかります。けれども、こういったような態度でいかれるならば、私は必ず道が開かれると思うわけでございます。灘尾さんがいま、おまえたちと同じ席でこの問題は追及したいくらいだと言われましたので、その気持ちを一応了とはするものでありますが、ただ、いま調査中であるというようなことを答弁書にも書いてありますが、一体いつごろまでにこうした調査が完了するのか。あるいは国勢調査が行なわれる統計法という法律があるわけでありますが、あの法律を一部改正して、教育者あるいは医者の協力を得て毎年こういう問題に対する基礎調査を必ずやるとか、そういうふうなことを具体的にここに示していただかなければ、目下調査中では、いつでもていのいい国会答弁としか私たちの耳には響かないわけですね。  それからまた、中心となる総合的な研究所の場合でも、それは非常にむずかしい、複雑な対象でございますから、何もかも全部各部門ごとにそろった研究機関はすぐできないと私は思います。しかし、少なくとも現在はっきり取り上げられるような部分だけでも取り上げて、そしてその後それからまた分化さしていってもいいと思いますが、その基礎調査並びにその中心となる研究所に対する基礎的な調査というのは、大体いつごろの完成を、調査完了をめどにしておられるのか、もう少し——いま大臣熱意はわかったわけでありますが、それを裏づけるような局長の御答弁をいただければ、あと部門ごとにお聞きしたいことはいろいろたくさんございますけれども、いろいろなことで審議も停滞しておりますから、こまかい各部門には触れないで、いまの二つの点について私納得がいくならば、ほかに進みたいと思うわけであります。
  13. 天城勲

    天城政府委員 調査の問題でございますが、四十二年度に予算を取りまして、調査項目を定めて実施いたしまして、回収が終わりました。ただ、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、若干分析をしなければならぬものですから、その手間がちょっとかかっておりまして、いま正確に申し上げられませんが、おそらく六月ごろまでには分析が終わる予定でおりますので、そう遠くない機会にお示しできるのではないかと思っております。  それから研究体制の問題でございますが、御指摘のとおり関係者がいろいろな分野から集まって議論をいたしますと、いろいろな議論が出まして、すぐこういうものをつくろうというような段階には至らないのでございます。一年間議論をいたしまして、いままで十回ほど、かなり専門的な会議をやっておるのでございますが、いまの方向では、ことしもこれを続ける予定でおります。これは初めから二年計画ぐらいでおりましたのですが、ことしも検討を続けます。  なお、その間何もしないということも確かに問題でございますので、一方、各大学あるいは研究関係で、こういうものを始めたいというところにつきましては、全体のいまそういう動きがあるということを頭に置きながらも、逐次大学研究体制の整備は進めてまいっておるわけでございまして、本年度におきましても、大学の講座とかあるいは研究施設で適切なものについてはその設置を認めて推進するような方策をとっております。  なお、これも昨年からの計画でございまして、外国の事情並びに積極的な研究に対して、研究者の派遣も行なっておりますが、特に最近文部省の専門職の中からも海外に出てこの面の調査を専門的にやっておる状況でございます。これも、もうしばらくしたら帰ってくると思うのでございますが、形の上でなかなかあらわれませんけれども、全体そういう形で進めております。総合的な研究の問題につきましては、本年度、四十三年度中には構想をまとめたい、このように考えております。
  14. 鈴木一

    鈴木(一)委員 むずかしい問題ですから、いま私が言ったからといってすぐ調査が完了するとか、研究が終わるというものではないと思いますけれども、しかし、もう少し私はスピードをアップするということが大事だと思いますし、同時に、文部省の実際事務を担当されておる課長さんあるいは課長補佐とか、そういうふうな人が、学者だけにまかすのではなくて、みずから先進国のそうした成果をあげておる研究所でも何でも見て、そうしてその気になるということが私は一番大事なことだと思います。その方面の学者連中も、ただそれだけやっておるというわけではないと思います。医学全般のうちで一部分その問題に力をさいておる人もあるだろうと思いますし、やはりこれを専門につかさどる部局が文部省にあるわけですから、その人たちが真剣にその問題に取り組んでいただかなければ問題の推進にはならないと思うわけであります。ここに課長さんもおられるようでありますが、ことしあたり国会が終わったら、そういう方面に視察に出ていって、具体的な調査をされるような状態になっておるのですか。でなければ大臣、ぜひひとつ派遣するようにお願いしたいと思います。そうでなければ問題は進まないですよ。  それでは先に進みたいと思いますが、いろいろこういう方面に関心を持っておられる先生も、学校の中にはたくさんおることも私承知しております。けれども、一たん特殊教育の道に入ってしまうと、全く特殊扱いされてしまって、変わり者だというふうに扱われて、校長になるとか——校長になること必ずしもいいことではないかもしれません。立身出世必ずしもいいことではないと思います。校長になるよりも、こういう特殊教育をやっておるほうが国家のためになるのかもしれませんけれども、やはり人間ですから、それぞれ上のほうに進んでいくということも励みになると思うわけでありますが、この道に入ってしまうと、もう抜けられない。そうして教育者は特殊扱いされておるというふうな面も、私非常にあるやに聞いております。しかし、心身障害児、そういった人たちを取り扱って何らかの成果をあげ得るということは、私は、教育としては最高の教育だと思うんですね。そういう人こそ、校長でも何にでもなって私はしかるべきだと思うのでありますが、そういったような扱いが非常に片手落ちの面があるというふうなことですね。それから、確かに現在特殊教育は心身ともに過労におちいる職場でございますので、たしか八%の加俸をしておられるようでございますが、これも少し私は足りな過ぎると思うんですね。ソ連のようなところでも、その方面先生になろうという人に対しては、在学中に奨学資金も出し、同時に先生になってからは二割の加俸まで出して、そうしてそういう方面に積極的に進むように奨励の道を開いておるようでございますが、そうした配慮も私は足りないのじゃないかというふうな感じもいたします。これもやはりこういう問題に対する文部省の取り組む熱意が不足しておるのじゃないか。大蔵省に行くとなかなか予算を出さないので、こういうふうにおっしゃるかもしれませんが、それだけでは私納得できません。そういうふうな面についてのお考えはいかがですか。
  15. 天城勲

    天城政府委員 特殊教育関係教員の問題でありますが、これは確かに特殊教育振興上の非常に大きな問題でございまして、いま待遇あるいは人事の点を御指摘なさいましたけれども、養成の問題から始まりまして、人事行政の問題、給与問題、全般的に見ていかなければならない問題でございます。養成の問題が一つあるわけでございますが、との点については、先生よく御存じで特に御指摘がなかったのでございますが、いま逐次教員養成関係でも特殊教員養成を進めております。  人事でございますけれども、一般学校特殊教育学校とが円滑に交流が行なわれるという趣旨そのものは私たちも当然でございますし、特殊学校が何か片寄った人事の姿になっては困るという点については同感でございます。ただ一面、あまり希望者がなくて、あるいは行ってもすぐ戻ってしまうというふうな姿も非常に困るので、その両方の面から、絶えずこれは県の教育委員会の方々ともお話しているわけでございますけれども、考えているつもりでございます。  なお、待遇の問題につきましては八%、これはそれまでは四%でございましたが、四十二年度にやっと八%になったわけでございます。なお、給与表そのものにつきましては、特殊教育につきましては、小、中、高等部を通じまして高等学校の給与表を使う。学校の中で先生が共同に仕事されておりますので、高等学校の給与表を使うという形で、この点も現行制度の中では最大限に優遇をいたしておるつもりでございます。御指摘の点は非常に重要な問題であると同時に、また現実にあまり一般学校との関係を断絶しても困りますし、またある程度はこの学校でやっていただかなければなりませんし、やっていただくためには教員養成段階から相当の準備をしていかなければならぬものですから、どうしても専門化する傾向はいなめないわけでございますが、全体の人事行政ということは十分考慮していきたい、かように考えております。
  16. 鈴木一

    鈴木(一)委員 おざなりなお答えしか得られなかったわけでありますが、時間もありませんから、これに関連してもう一つお伺いいたします。  先生養成も大事だし、またそれなりの処遇もしなければ、こういう方面の振興は不可能だと思います。それで、やはりそういうものにぶつかりながら、いろいろくふうしながら一つの結論が出てくるのがこの特殊教育の特色だと思います。最初から一つの体系というものがあるのでなくて、いろいろなことをやってみて、初めてそこに一つの方法が浮かんでくる。ですから、やはり相当多くの先生が積極的にこの道に取り組めるような処遇なりしていただかなければ、幾らわれわれがこういうものに関心を持って騒いでみても、実際教育を担当するのは先生ですから、成果があがらないと思うのです。同時に、こういう方面はなるべく早期にしなければならない。同時に治療というものも伴うと思うわけでありますが、医者のほうからももっとこういうものに積極的な関心を持ってもらわなければならないと思うのでありますが、どうも最近医者の数が少ないというか、大都市あるいは中都市に集中して、医者が広く日本国全体に適正な配置がされていないというふうなうらみも私あると思います。医者の数が多くなれば、それだけ競争があって医者の収入も減ってくる面も私はあると思います。しかし、まだまだ医師は不足だと私は思います。こうした金のかかる医師の養成というものを私学に相当依存しておるわけでございますが、やはりこれは国の責任において、もう少し医者の供給も必要でないか。もう少し医学部の定員をふやすなり、あるいは新しく医学部をどこかの大学に設けて、そうして医者の数をふやすということが大事だと思うのでありますが、何か一つのそういう業界の目に見えない圧力みたいなものがあって、医学部を増設するなりあるいは定員をふやすというふうなことが——もちろんこれは金がかかるからなかなかできないのかもしれませんが、やはり国家的な一つの要請でございますから、もう少しそういう点は考慮されてもいいのではないかという感じがするわけでありますが、その点大臣から、厚生大臣もおやりになっておりますので、お伺いしたいと思います。
  17. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医者の配置ということばは適当でないかと思いますけれども、現実に医者が地域的に片寄った状態にあるということは今日の姿で、また、だんだんそういうふうな面もむしろ強くなってきておるのではないかというふうにも思うわけであります。そういった意味で、医療施設の適正な配置という問題も考えなければなりませんが、医者の絶対数の問題ということになれば、これもこの国会を通じていろいろ皆さんからもお話がございました。確かにそういう面もあろうかと思います。別に、私ども文部省といたしましては、ほかの勢力があって、そのために医者の養成がおくれておる、こういうことはないと私は思います。大体医者の問題は、どの程度医者をふやすかというようなことについては、厚生省と相談の上で、需給関係は主として厚生省で考えていただいて、それに即応してこちらのほうの対策を立てていくというやり方で今日まできておるわけであります。この数年間も、わずかではありますけれども、大学医学部の増設でありますとか、あるいは定員の増加でありますとかいうことも年々やってまいっております。お話しのように、医学部一つつくるということになりますと、かなり大きな経費を必要とする、こういうようなことで財源的にもむずかしい面もあるわけでございますが、絶対数の問題については十分厚生省あたりとも相談いたしまして、われわれとしましても極力その要求に応ずるようにいたしてまいりたい、このように存じております。御了承いただきたいと思います。
  18. 鈴木一

    鈴木(一)委員 これは少し余談というか、きょうの質問の議題からはずれるかもしれませんが、私は現在秋田市に住まっておるわけでございまして、ここには県立病院、市立病院、赤十字病院というような大きな総合病院があるわけでございますが、秋田市の救急患者の収容率というものは、共産党系の方々のやっておる中通病院という病院がありますけれども、八〇何%くらいはここへ行くわけです。それから、ほかの病院、どこと私は申し上げませんが、病院なりあるいはまた医者のところに連絡しても、なかなか来てくれない。特に名のある人は別でありますが、一般庶民階層にはなかなか近寄りがたいというようなことから、そうした病院に患者が行くわけであります。主義主張はともかくとして、好ききらいはそれぞれあるかもしれませんが、とにかくここは献身的にやるわけですね。これはやはり総体的に医者の数が足りないから、あるいはまた医者が不勉強だから、こういうふうなことも起こるのではないかと思います。やはりある程度医者の数が——医者があまりたくさんでも困るかもしれませんが、供給と需要のバランスが少し片寄り過ぎておるためにこういうふうなことが起こるのではないかと私は思います。と同時に、こうした特殊な部門を担当する医者も私は必ずしも十分ではないと思うのです。ですから、ほんとうに特殊教育あるいはまた心身障害児の治療ということを考えるならば、十年間なら十年間義務づけるというふうなことで奨学資金を出すとか、何らかやはりここで、いままでやらなかったことをやらない限り百年河清を待つような結果になるのではないか。そのうち灘尾さんもかわるでしょうし、天城さんもかわってしまう、また課長さんもかわってしまうので、またイロハからやらなければならぬ。目下調査中だということに終わってしまうと思うので、せっかく灘尾さんがいま大臣をやられ、熱意のほどを伺ったわけでございますから、何かいままでやらなかったようなことを、一つ年次計画でも立てて、それをしゃにむに推していく、こういうふうな考え方をしていただく。それを裏づけるものとして、たとえば——これはまた法律万能で中国人からは法匪といわれるかもしれませんが、特殊教育振興法とか何かそういうふうなものを一歩ここで打ち出して、その法律をたてに大蔵省とも折衝するし、また、それを母法としてもっとこまかい補助の規定その他も考えていくというふうな、一歩を進めた対策をぜひともこの次の国会には文部省熱意のあらわれとして出していただきたいと思うわけであります。しつこいようでありますが、もう一度大臣から御決意のほどを伺いたいと思います。
  19. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 医者の増加をはかっていくということは、先ほど申しましたように確かに考えなければならぬ問題であります。また、医者の養成等の問題につきましても、全国的に見ましてその養成機関を一体どこに置くかというような問題も、これは十分考えなければならぬ点だと思うのでございます。そういう全国的な配慮をいたしますと同時に、各大学状態、こういうものもにらみ合わせて今後増加をはかっていくということになろうかと存じております。それにいたしましても、ただ単に医学部をふやすとか医学部の定員をふやして、そして普通のお医者さんをたくさんつくるというだけではこの問題についての解決にならぬのではないか、やはりこのような仕事について特に勉強をやるような医者を増加するということが必要なことだと思います。医者の数を増すということの中にそういう要素も含めて、どういうふうにしたらいいかということも考えていかなければならないかと思います。先ほど来の鈴木さんのお話は、結局、文部省は頭を切りかえろ、こういう御激励だと実は思うのであります。御趣旨は十分わかっておるわけであります。できる限り前向きに問題と取り組んでいく姿勢を整えてまいりたい、このように存じております。  私は、個人的なことを申し上げるようでありますが、大臣をやっておりましても、やめておりましても、この方面の仕事には多少の関心を持っておるものであります。その点は皆さんとまた御一緒にやるということもあろうかと存じますけれども、いずれにしましてもおくれておることはいなめない事実であります。また必要が強く叫ばれておることも明らかな事実であります。この要請にこたえて文部省がもっと積極的な態度でもって問題と取り組んでいく、そういう方向で進めてまいりたいと思います。できれば次の通常国会なんかにお目にかけることができれば何より幸いでありますけれども、なかなか容易なことではないと思います。容易なことではないと存じますから、そういうつもりで下僚の諸君にもひとつ勉強してもらいたいと思います。また、せっかく皆さま方の御協力もいただきたいと存じます。
  20. 鈴木一

    鈴木(一)委員 私が医学部の定員をふやせと言ったのは、ただ漫然とふやせと言ったのではなくて、こういう方面を担当する部門の医者をふやしたらどうか、あるいは今後開発しなければならないような特殊部門の医者をふやしたらどうか、しかしこれは非常に収益もあがらず困難な仕事ですから、奨学資金でも出して、十年間はそういう方面をやってもらうとか、やはり特殊部門ですからそういうふうな熱意を示してもらいたいというのであって、漫然と医学部をふやせというふうに申し上げたわけではないのでございますから、十分ひとつその点も御考慮願いたいと思います。  早く切り上げるつもりでございましたが、総論をやっているうちにもう時間がだいぶ経過し、各論のことはまた別の機会にもう少し検討してみたいと思いますので、特殊教育のことはこの程度にしたいと思います。  最後に、最近の国立大学、私立大学のいろいろな事件について、大体質問というと、自分はこういう意見を持っているが、政府はどうだというふうな質問が多いわけでございますが、ほんとうに私自身もよく理解できませんので、その実態についてお伺いしたいと思うわけでございます。  この間も卒業式ができなかったという学校国立にもかなりあったようでございますが、学生の数からいうと、全体からすればごく少数の学生が阻止をした。そして大部分の学生は卒業式が当然行なわれるものと思って、しかも父兄まで一緒に来て卒業式に出席しようと思っていた。それができなかったというわけでありますが、全部の学生あるいは半分以上の学生が卒業式なんかやめてしまえというならば、これは阻止されることもあるかもしれませんが、ごく一部の連中がそういう行動をとったために卒業式ができなかった。卒業式というものの意味は、いろいろ考えようによって、あんなものはしなくたっていいという人もあるかもしれません。しかし、長い間の一つの伝統として、社会の慣習として、学校を卒業する一つの締めくくりとしてそういうことが行なわれておるわけでございますから、たとえいろいろな意見の相違、紛争があったとしても、卒業式だけはやる。あれだけ激しく戦ったベトナムでも、正月には休戦しよう、クリスマスには休もうというくらいの余裕があるわけなんですね。にもかかわらず、一部の学生がやらないというために、せっかく父兄も期待しておった卒業式ができなかった。私は、大学の卒業式や入学式に父兄が行くというのもちょっとおかしいと思うのですけれども、われわれのときはそんなことはなかったと思うのです。いまの学生はりっぱな行動をしたり、りっぱなことを言うておりますけれども、案外自主性がないのかもしれません。それは別といたしまして、なぜこういうふうな現象が起こるのか、文部省はどういうふうに把握されておるのか、お伺いしたいと思います。
  21. 宮地茂

    ○宮地政府委員 いまの御質問の卒業式の行なわれなかった学校でございますが、新聞等で一部報道されておりますように、東京大学、東京医科歯科大学あるいは広島大学こういった学校におきまして、全学的な一つの場所に集めての、あらかじめ予定した卒業式は行なわれませんでしたが、変則的な、各学部ごとでのできる限りの厳粛な式はやったようでございます。  ところで、こういう式が行なわれなかった原因にも、遠因なり近因なりいろいろございましょうが、直接のきっかけは、東京大学では御承知のように、医学部関係の学生が卒業式の前に、すでに各学年の学年末試験あるいは卒業者の卒業試験、こういったようなものをボイコットする、いわゆるストライキに入ったということの延長といたしまして、自分たちが掲げておる主張が学校にいれられなければ、目的のためには手段を選ばないと申しますか、自分らには関係のないほかの人々の迷惑をも顧みないで、ともかく学校という一つの権力に立ち向ってあらゆるものをつぶしていくといったようなことで、その一環として卒業式の妨害ということになったわけでございます。東京大学に限りませず、その他の大学においても、こういったようなことにつきましては、卒業式の前夜に急にこういう問題が起こるわけではございませんで、その前々からいま申しましたような原因がございまして、これに対しまして大学としてもいろいろ説得も重ね、話し合いもすべく心がけておったのは事実ですが、ただ遺憾ながらこういった一部の学生は、いわゆる話し合いということ、話し合いのできる雰囲気でのほんとうの話し合いということはがえんじないわけでございます。言うならば、そういう主張を持っておる学生が大ぜい集まって、彼ら流に言えば大衆団交と申しましょうか、そういう形でなければ話し合いができないとかといったようなことで、大河内学長も少人数で静かに話し合おうということも提案したようですが、これは学生が受け入れないということでございます。これは特に医師法の改正ということもございますが、私どもといたしましては、この原因は医師法の改正に端を発しての医学部の学生、あるいは私立学校ですと授業料の値上げ等に端を発してのトラブル、あるいは国立大学等でも見られますが、いわゆる寄宿舎の入寮の問題あるいは寮管理の問題、いろいろな事件をつかまえて学生はいろいろな申し出をしてくる。こういうふうにいろいろ事件は違いますが、根底にはやはり一連のものがあるというふうに見られるわけでございます。  破防法の適用云々といったような問題にまでなっております三派全学連、これらの人々の考え方は、私どもとしてもわからない点もないではございませんが、彼らが掲げておりますスローガンあるいは綱領、こういったようなものを見ますと、やはり権力に対抗するといった政治的、革命的な意図でそういう一連の行動が行なわれている、非常に根深いところに原因がある。しかし直接のきっかけは何か、先ほど来申しましたような現象をつかまえて紛争が起こっておる。このように考えております。
  22. 鈴木一

    鈴木(一)委員 何か根深いものがあるのではないかというふうに私も推察するわけでございます。しかし、一応大学には自治というものが認められておるわけでございますが、その自治のあり方が、そうした人たちがどういう形で動いておるのか。いわゆる三派全学連とは、全学連というだけで大学当局と接触するのではなくて、やはり何らかの学校の中における機関の中の代表という形で、大学当局と話し合いと称して集団的な団交みたいなことをやるのか。もう少し大学自身も、大学の自治ということに対して、一般学生も含め、教授も含めて真剣な取り組み方が足りないのではないか。うるさいからそのままにしておくというふうなことで、せっかく長い伝統に守られてきた大学の自治に対する真剣な取り組み方が特に大学の当局側に足りないから、こういうことも起こるのじゃないかというふうな感じもするわけでございます。ただ騒ぐやつだけが悪いのだというふうなことだけではなしに、もっと一般学生全体もこういう問題に対して関心を持たせるような、また教授たちも積極的にこういう問題の収拾に取り組むような努力が足りないのではないかというような感じもいたすわけでございますが、その点はいかがですか。
  23. 宮地茂

    ○宮地政府委員 御指摘のように、私どもも鈴木先生とある程度同様な感じを、率直に申し上げまして持つわけでございます。ただ、そう言いますと大学努力が足りないというふうにも聞こえますが、大学が非常に努力され苦悩されておるということはわかるのですが、しかしながら、それにしてもああいう結果になるという限りにおいては努力が足りない、そういう意味鈴木先生と同感でございます。そういうことで、たとえば東京大学の卒業式を三派系の学生あるいは医学連と称する医学部の学生等で組織しておる団体、これらが妨害しようとしたわけですが、それに対しまして、遠くから親も来ますし、また心ある学生は、そういうことと卒業式とは関係ないではないかといったような運動も起こったようでございますが、しかし、それにしてもやはり一部のそういった暴力には抗し得なかった。大学としても、卒業式を行なえば相当な混乱が起こるということで、ぎりぎりのところ卒業式を行ない得なかったということでございますので、率直に申しまして、ともかく大学なり、あるいは一部学生に牛耳られておる他の学生の無関心さをもう少し関心を持たせるとか、こういった意味大学はもちろん文部省にも努力が足りなかったと思います。私ども謙虚にそういう反省をして、今後大学と一緒になりまして、できる限りのいい方向に向かっていくべく努力したい、そういう決意を持っておりますが、いかんせん、それじゃ具体的にどうだこうだと言われましても、いまあしたからこういう妙薬を持っておりますとお答えするほどのものもございませんが、ともかく気持ちはそういう気持ちで進んでまいりたいと思っております。
  24. 鈴木一

    鈴木(一)委員 国立と私学の場合はまたかなり事情が違うと私は思うのです。私学の場合は、授業料はどんどん値上がりしていく。経営上やむを得ないからこうしているのだと思いますが、のみならず、これも入学希望者が多いからそうなるのだろうと思いますが、たとえばある大学のごときは、法学部の定員は六百名ということになっておりますが、実際は倍以上の生徒を収容しておる。おそらく入れた人全部出席したら机もないのじゃないかと思われるような感じがするわけでございますが、そういうふうにして高い授業料を払い、無理をして学校に来てみて、あまりにも血の通わない空ばくたる教育の場に来てみておそらく失望を感ずる。特に地方から出てきたような人は、アパートや下宿というところに住まいながら非常な失望を感ずるというふうなことは、私は想像にかたくないのです。また、そうした運動をする人たちの運動方針なんかを見ますと、入学したときこそ大いに同志をふやす絶好の機会なんだというふうに言っておるようでありますが、こんなふうな状態では、やはり多感な若い者でございますから、こうしたことは国家が悪いのだ、この国家権力を倒さなければよくならないのだというふうに思いがちだと私は考えます。したがって、そういう学生運動が苛烈になるような条件というものは、私は私学側にはたくさんあると思うのですね。しかし、国立のほうの側では、授業料といいましても月千円くらいで、いまの一般の学生の状態から見れば非常な上位に置かれ、国家の恩典も十分そこに与えられており、恵まれておる立場だと私は思うのですね。にもかかわらず、こうした運動が起こり、もしごたごたしても当然一日くらいはお互い停戦して卒業式くらいはやってもおかしくない、常識的なことが行なわれないということに対して、私はただ学生だけが過激なことをするのだ、他に意図があってやるのだ、革命予行演習だ、あるいは七〇年の安保に備えて一つの地固めをやっておるんだ、組織固めをやっておるんだということだけでは済ませられない、えらいものがあるような気がするのです。  どうも私はこの点ふに落ちないというか、私自身もどうしていいか対策はわかりませんが、やはり私は、先ほど申し上げましたように、教育の場における大学側と学生側との日常からの対話というか、心の触れ合いがあまりにも少な過ぎやしないかというふうな感じがするわけでございます。これはこれ以上申し上げても切りのないことでございますが、これに対していろいろ法律に基づいて取り締まれというふうなことも言われておるのでございますが、やはりそういうふうな方法も一つの方法かもしれませんけれども、かえってまた逆に刺激してそれを強めるというふうな結果もあると私は思いますし、また、われわれ微力ながら現実の政治に関与しておる者の立場の自己反省として考えられることは、しからば政治そのものが非常にりっぱにいっているかとなれば、必ずしもそうでもないし、またオーバーな報道かどうか知りませんが、ときどき政治家のいろいろな汚職とかが新聞にも報道される。と同時に、選挙そのものも権力とか金力とかいろいろなもので、私は決してりっぱに行なわれているとは思いませんし、学生たちに対してそういう方面にかり立てるような政治上のもろもろの悪条件も決して一方にないとは私は思わないわけでございます。ですから、いきなり頭から法律で取り締まってしまうんだというふうなことの前に、もう少し時間をかけて手を尽くすべきいろいろな問題があるのじゃないかと私は思います。  同時にまた、お互い日本人の気質には、やむにやまれぬ大和魂的な、損得を度外視して、こうだと思うと、もうめちゃくちゃに突き進むというような気質というものも十分あると私は思うのです。たとえばことしは明治百年ですが、明治維新の場合でもそういうふうなことが見られるし、水戸の浪士の切り込みとか神風連とか佐賀の乱とか、あるいは西南の役とか新撰組だとか、過去にさかのぼってみれば数々のそういうふうな、もっと何とかならなかったかと思われるようなことが実際に行なわれている。ある者は国賊となり、ある者は忠臣と申しますか、国家のためだというふうな評価もされておるわけでございますが、いずれにしてもそこに共通した日本人的な一つのかたぎと申しますか、そういうものがあると思うのです。  ただ、こういうことがはたして時代の流れを推し進めるものか、あるいは時代の流れに逆行するものかどうかということは、私は学生も十分考えてみなければならないと思うわけであります。いまの日本においてああまでしなければならないのかどうか。民主的な法的秩序からいうならば、大体あらゆるものが十分備わっておる。一人一人の権利というふうなものも十分発揚できるような形に一応法的にはなっておるわけでございますから、あえてああいうふうな行動に踏み切らなければならない積極的な理由というものは私としてはあまり考えられない。ですからもう少し、ただ取り締まるというだけではなしに、学生にもそういう反省の機会を十分与えつつ、またこれを善導するような対策を、文部当局も、もちろんわれわれもそうでありますが、大学も考えて、短兵急に事を処理しないで、時間をかける。一日ああいう暴力をふるうよりも、三百六十五日じっくり話し合いをしたほうがまだこれは世の中のためになるのだという方向へ持っていくように、文部当局もひとつ気長に、短気を起こさずに対処していただきたいということを特にお願いしたいと思います。決して私は彼らのやっていることを是認して、奨励する意味で言うのではなくて、悪いが、しかしああいうふうな行動をとる一つの客観的な要因も他にないわけではないと思いますので、特に申し上げたいと思うわけでございます。  それからもう一つ、最後にこれは要望を申し上げておきたいと思いますが、私学に対して政府もいろいろ直接間接助成もされておるわけでありますが、それでもまだまだ入学志願者を全部収容できないような現状になっておるわけでございます。私は、こうした問題を解決し、あらゆる者に教育の機会均等をという原則の恩典に浴せしめるためにも、国立大学が中心になって、通信教育というふうな制度もそろそろ開いてもいいのじゃないかというふうな感じがするわけでございます。ある者は高校を卒業して直ちに職場につとめてもいいと思います。ある者はまた昼間つとめながら通信学部だけで大学を修了するということをやってもいいと私は思いますし、特にテレビのようなものは、コマーシャルとか野球とかいろいろなそういう娯楽だけではなくて、たとえばNHKの教育テレビのようなものはこれに専属当たらしめて、そして単なる通信だけではなしに、テレビも併用するような形で大学の通信教育ができるようなことも文部省として考えるということはどういうものか、大臣にひとつお伺いしたいと思うわけであります。  私、なぜこんなことを申し上げるかというと、われわれによく就職の世話なんかを頼みにくる者があるわけでありますが、働きながら無理して各大学の通信教育を受けて大学を出たという生徒は、おおむねやる気があるから初心を忘れずになし遂げたと思うのでありますが、非常に優秀な人たちが多いわけであります。ただしかし、何となく世間では二部よりも一部を出た者を特に優先的に採るような傾向があるわけでありますが、折り入って経営者によくその話をしますと、よくわかっていただいて、しかもこの人たちは世話したあともその職場では非常に重要な役割りを果たしながら、中堅幹部として働いておる者が非常に多いわけであります。ですから、どうしても通信学部に入ってついていけない者は脱落するのもやむを得ないと思いますけれども、その卒業する道を聞いてやることは国家としても非常に大事なことではないかというふうな感じが私はするわけでございます。ただ、こういうことを申し上げますと、普通の職場に働きながら一カ月なら一カ月のスクーリングをやることは非常に困難だという場合もあろうかと思いますが、これはやはり経営者の協力を得て、少なくとも年一回のスクーリングは、一カ月間は有給休暇を与えてやるというふうな、民間からも、経団連とか日経連とかいう機関を通じて、これは財界も、ただ労働者対策ばかりやるのではなくて、そうした国民的な課題に対しても積極的に協力するというふうな、全国的にそういうムードをつくることによって、有給休暇を与えて、一カ月間ぐらいスクーリングをやる。同時にそのスクーリングも、全部東京とかそういうところに出ていかなくとも、東北なら東北大学で通信学部を設けて、スクーリングをそれぞれ地元の国立大学でやれるようにする。こういうこともやる気になればできるのではないかと私は思うわけでありますが、やる方法はともかくといたしまして、教育の機会均等を実現し、いろいろな意味で、高い授業料を払ってそれぞれの私立大学に行かれない多くの生徒もあるわけでありますから、そういう人たちの能力を十分発揮させる意味からも、そういうものを考える必要がありはしないかというふうに思うわけでありますが、大臣の御所見を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  25. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 まず、今日のあの一部の学生の状態に対しましてどう対処するかという問題についてのお話は、おおむね私は同感でございます。いろいろな原因もございましょうし、また、いろいろな性格の学生もおると思うのであります。結果としてあのような状態になっておりますけれども、それぞれの原因を数え上げてみますと、非常に複雑でもあるし、また広い問題だと思うのであります。そういう意味におきましては、これらの原因について改善しなければ、問題はいつまでも残っていく。こういうふうに思いますので、そういう観点からいたしますれば、原因の除去といいますか、現在の状態の是正、そういうことについて各方面ともに考えなければならぬ問題が多々あると私は思います。  また、現実の当面の問題としましても、学生に対処して大学の側が万全の措置を講じておるかどうかという点になりますと、これまた幾多反省しなければならぬものが大学側にもあろうと思いますし、またそれに関連して、われわれ文部省側におきましても考えなければならぬ点も少なからずあるかと思うのであります。お話のように、こういうことになりますと、なかなか一朝一夕には片づかない。何としましても、日本の学問の最高の水準を保持していく、また向上さしていかなければならない使命を持っておる大学であります。その意味におきまして、いわゆる大学の自治というものは、これは大学の生命ともいうべきものだろうと思います。その大学の自治はあくまでも確立していく、育てていくということを中心にものを考えていかなければならないと思うのであります。不幸にしてただいまの事態は、一部の学生の行動ではございますけれども、大学の自治そのものについて世間の不信を買い、信頼を失なっていくような事態にまで入ってくる危険があるわけでございます。大学としまして、その生命ともいうべき大学の自治を守っていくために、最も適切な教育指導というものを常に怠らずやっていかなければなりませんし、またその内容といたしましても、いろいろな制度上の問題もございましょう、また教官の活動の問題もございましょう、いわゆる力腕というものの不足というような問題もございましょう、いろいろな問題がたくさんあるわけでございますが、快刀乱麻を断つような解決はなかなかできない。絶えざる、しかも根気の要る努力を続けまして、大学ないし大学に学ぶ学生が一体となってりっぱな大学の自治を完成していく、こういう姿にぜひ持ってまいりたいと思うのであります。へたなことをやりまして、この大学の自治そのものを破壊するようなことは、私どもの耐え得るところではない、そういう意味で対処してまいりたいと思うのであります。  あるいは、ここで申し上げたかとも存じますが、私は昔のことばを引きまして、私どもの気持ちを申し上げておるのでありますが、昔のことばに、大国を治むるは小鮮を煮るがごとしというようなことばがございますが、やはり大学の問題を取り扱いますのには、私どもとしましても小鮮を煮るような気持ちをもってこれに対処していかなければならぬ、こういう基本的な考え方をいたしております。いかにもなまぬるいようなところがあろうかと思いますけれども、私は、時間をかけて、関係者がそれぞれ協力しながら問題の解決に当たってまいりたいと思っております。それにいたしましても、現在のあの——先ほど入学式の問題あるいは卒業式の問題をお引きになりましたが、ああいう事態がひんぴんとして起こってくる。そうして、それに対しまして大学の対処のしかたがかれこれ批判の的になっておるのであります。大学が良識をもって事を円満にやろうといたします措置が、かえってそれらの人たちのいわゆるむちゃくちゃな行動をむしろ助長するようなことになっては困る。そういう意味で、大学としましても、一面においては常にき然たる態度をもって大学の学生らしい行動をなさしめるように対処していかなければならぬと思っております。  また、一般的に申し上げますと、明治維新の例もございましたが、今日は申すまでもなく民主政治の時代である。あらゆる自由が認められている時代であります。それだけに、その自由を行使する者あるいはまた民主主義を奉ずる者としましては、暴力はあくまでも排除しなければならぬ、暴力は徹底的にこれを絶滅しなければならぬ、この勇気だけはみなが持ってほしいと思うのでありまして、暴力がまかり通っているという事態のもとでは私は大学の自治というものはおぼつかない、こういう気持ちもいたしております。これらの点につきましては、最高の学府であるだけに学生諸君も十分に反省してもらいたいし、また、一部の学生諸君の暴走に対しましても、全大学の教官あるいは学生諸君がほんとうに日常の努力を続けまして、お話にもありましたように、一時の暴力だけではなく、三百六十五日互いに話し合っていくというような気持ちのもとによき学園をつくっていってもらいたい、こういう念願を持ちながら事態に対処してまいりたいと思っておる次第であります。  学内における暴力行動はもちろんのこと、また社会に出まして、一般社会において暴力行動をふるって善良な市民の方々に御迷惑をかけるということは学生のやるべきことではない、大学生たる資格がないもの、このようにも思っているものでございます。しかし、大学の立場といたしましては、やはりどこまでも教育指導ということを中心にこれに対処して、いろいろな事情を持ち、いろいろな性格を持ち、いろいろな理由を持っている学生であります。それを一律一体に十把一からげに片づけるというような粗末なことではなしに、ほんとうに大学の教官あるいは友人諸君が、それぞれの立場において事態の改善のためにぜひとも協力をしてもらいたいものと念願をいたしているわけでございます。  それから通信教育の問題でありますが、現在は科学技術の発達した時代でありますので、それらのものを活用いたしまして通信教育を発展させ、いわゆる働きつつ学ぶ人たちに対しまして便宜を与える、教育の機会均等の実をあげるということは確かに望ましいことであろうと私は思います。  この問題と国立大学関係でございますが、この通信教育国立大学でやるということを考えました場合に、あるいはきわめて次元の低い話になるかも存じませんけれども、教員の素質あるいは校舎、そういう施設の問題もあわせて考えなければならない問題ではないかと思います。現在の国立大学は、通信教育以外に、これまでやっております方式による教育につきましていろいろ整備を要する点が少なくないために、各大学とも、率直に申して、新たに通信教育という分野を開くということについてあまり積極的な意欲を持っていないように私は思います。これにつきましては、やはり大学側が積極的な熱意と意欲を持って問題と取り組んでもらうのでなければ十分な効果も期待できませんので、現在の状況にかんがみまして、いま直ちに国立大学でこの問題を取り上げるということはなかなかむずかしいのではないか、こういうふうにも感じております。今後の研究課題として各大学の意向も徴しながら、ひとつ前向きに検討さしていただきたいと存じます。その辺でひとつお許しを……。
  26. 鈴木一

    鈴木(一)委員 それじゃ最後にお伺いしますが、もし各大学の中でそういう方面に進出をしてみたい、やってみたいというような大学があった場合、それに対する予算その他いろいろな方法があろうと思いますけれども、文部省としては大学側からそういうふうな意向が表示されれば認めていく方向である、こういうふうに理解してもいいですか。
  27. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 大学側の計画等を十分承りまして、前向きに検討してまいりたいと思います。
  28. 鈴木一

    鈴木(一)委員 終わります。
  29. 高見三郎

    高見委員長 川村継義君。
  30. 川村継義

    ○川村委員 いま鈴木委員から質問になっておりました問題について、簡単にちょっと関連してお尋ねをしたい。  ちょっとお尋ねをするタイミングが悪いのですけれども、鈴木委員がお尋ねになった前段の特殊教育の問題であります。私、特殊教育養護学校、盲学校とかろう学校、そういうものについての内容はもうきょうは触れません。その一つ特殊学級、これについてちょっとお尋ねをしておきたいと思うのですが、私のお尋ねは、質問というよりもしっかりやってもらいたい、そういう気持ちで申し上げます。初中局長御存じでございますね、いま特殊学級設置基準は次のようになっておりますね。よろしゅうございますか。市町村の人口一万未満の小学校、中学校はおのおの一学級、   〔委員長退席、坂田(道)委員長代理着席〕 一万以上三万未満の市町村にはおのおの二学級、三万から五万の段階においては三学級、五万から十万の市町村においてはおのおの四学級、十万から十五万の人口段階においてはおのおの五学級、それからは五万人増すごとに小中学校おのおの一学級を加える、こういうのが一つ設置基準になっておりますね。なお「市及び人口数三万以上の町村に対しては、昭和四十四年四月一日を目途として、上記基準以上の特殊学級設置するよう奨励する。」二番「人口数三万未満の町村に対しては、昭和四十九年四月一日を目途として、上記基準以上の特殊学級設置するよう奨励する。」そのようになっておりますね。
  31. 天城勲

    天城政府委員 さようでございます。
  32. 川村継義

    ○川村委員 そこで、実は一つの例を申し上げますが、恐縮ですが私の熊本県の天草郡市というのがあります。これは大きな島であります。ここは特殊学級に収容せねばならぬという条件の生徒、児童が案外多い地域なんです。そこの天草郡市の特殊学級設置状況一つ例として申し上げます。いまその設置基準によりますと、天草郡市十五市町村において、小学校、中学校おのおの人口段階別に見ていって二十四学級特殊学級を置かねばならないことになる。ところが現状はどうか、現状は小学校設置数が十三、中学校が五、しかも、それは市部においては大体基準に達しておりますけれども、十五市町村のうち十一町村はまだ設置されていない、こういうことなんです。  そこで、先ほど鈴木委員から特殊教育の重要性について指摘がありましたが、こういう現状を見ると、これはやはり文部省としてもよほどしっかり考えていただかなければならぬのではないか。特に設置基準の第二項における人口二万未満の町村に対しては、昭和四十九年を目途にして以上の基準の特殊学校を置く、昭和四十九年というのはたいへんなまぬるい。私はそう感じておるのですよ。そこで、これに対しては、皆さん方にこういう資料があるでしょう。こういう資料があるなら、それをやはりたんねんに分析してもらわなければ困る。分析して、一体どういう状況に置かれておるかということを十分検討願わなければ、幾ら資料が集まったってそれは何にもならぬ。そういうことになりますね。言うまでもなく教育の機会均等、それはこういう気の毒な子供にこそ大きな力が差し伸べられるべきである、こう考えるわけです。そこで、私は強く要望すると同時に、その人口の少ない町村に対して、昭和四十九年なんというのが書いてあるが、これをもっと切り上げる意思はないかどうか。そしてこのように未設置の町村が非常に多いから、そういう町村に対して早く特殊学級設置して、気の毒な子供教育する、こういう体制に持っていけないかどうか。これは局長からひとつお考えを聞いておきたいと思う。
  33. 天城勲

    天城政府委員 特殊学級設置につきまして、御指摘のような基準によりまして一応計画設置学級数というものを前提に置きまして、先ほど来若干申し上げましたけれども、いろいろな施策を通じまして特殊学級の増設をはかってきておるわけでございます。現在学級数が、計画設置の学級数と、それから現在置かれております既存の学級数とのいろいろな食い違いがございますが、まだ計画学級に対して五千ほど足りない状況でございます。それ以外に積極的にもっとおつくりになっておる府県もございますけれども、計画の面からいくと、なお五千くらい足りない状況でございます。そこで私たちとしましては、計画以上にどんどんつくられるところもございますが、計画に満たないところをおもに重点的に特殊学級設置について各府県指導を進めておるわけでございます。いま先生指摘のような具体的なケースにつきましては、いろいろなそれぞれの地方の事情があろうかと思っておりまして、計画が進むにつれまして、未設置計画の実効のあがらないところにつきましては、それぞれの事情を十分分析いたしたいと思っております。  なお、全体として設置計画の年次を早めろという御指摘でございますが、私たちもいたずらに長期にこれを置いておく考え方は毛頭ございませんので、できるだけ促進いたしたいと思っておりますが、当時の立てました計画から今日まで、当時予想しなかったいろいろな条件が加わってきておるようでございまして、実は先ほど申し上げました特殊教育に関する総合的な教育研究機関の検討の委員会におきましても、そういう研究体制と同時に、やはりこの設置の問題も当然議論になっておりますので、その中で設置が十分にいかない理由等も分析の対象になっております。これらの御議論もいただきまして、年次計画というものはもう一ぺん考え直さなければいけないのじゃないかと考えておるわけでございます。
  34. 川村継義

    ○川村委員 こういうものこそ文教行政の忘れてはならぬ大きな課題だと思うのですね。先ほど鈴木委員からいろいろ特殊教育についてお話がありましたが、これはひとつ新たな角度で取り上げていただくように強く要望しておきます。
  35. 坂田道太

    ○坂田(道)委員長代理 有島重武君。
  36. 有島重武

    ○有島委員 近く法案の審議に入ると思いますけれども、その前に、先日大臣よりの今五十八国会におきます所信表明につきまして少し伺っておきたいと思います。  これを拝見いたしますと、初めに明治百年の問題がございまして、あと当面する諸問題というふうになっておるようでございますけれども、明治百年につきまして、これは先般来予算委員会なんかでもいろいろ議論があったようでございます。それで明治百年といっても、終戦までの八十年とそれ以後の二十年と分けて考えなければならないのではないかというような議論もあったようでございます。それで、いまの時点が非常に重大な時点であるというように大臣認識していらっしゃる。そういうふうにお述べになっておりますけれども、ここで私どもは私どもなりに、この明治百年という時点に公明党は衆議院に進出した、そのように私どもは私どもなりに思っておりますけれども、これは百年もたってみればどのくらいの評価がなされるかわかりませんけれども、この明治維新の一つのエポックと、それから終戦のときのエポックと、それから明治百年のエポックと、やはりその重大さという点において質も違いますし、いろいろなニュアンスがあると思うのです。その点につきましてやや詳しく大臣のお考えを初めに伺っておきたいと思うわけでございます。
  37. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 明治百年という問題を申し上げましたのは、あたかもことしが明治百年になる。そこで、明治百年というものを記念していろいろなことが考えられており、また計画せられておるような時期でございます。私は、歴史の中でときどき一つの時期を画して、そうしてその時点に立って過去を振り返る、あるいは将来を考える。こういうふうなことは、いろいろな面で日本の国民生活の中で行なわれておることだと思うのでありますが、明治百年ということは、私は、日本国民としましてそれぞれ大きな感懐を持ってこの明治百年というものを考える人が多いのではないかと思います。私も実はその一人であります。  そこで申し上げましたのは、もとより明治百年というものの時点に立って明治維新以来のことを考える。そこからわれわれは幾多の教訓と申しますか、学ぶべきものを取り入れつつ、今度は将来を考えていきたい。こういうふうな心持ちを率直に申し上げたようなわけでございます。  この明治以来百年間の歴史の評価についてはいろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、私は、やはり明治以来の日本の発展の過程というものの中には反省すべきものもございましょうし、同時にまた、われわれが大いに学ばなければならぬ点も多々あると思うのであります。そのよきところをとらえて今後の発展に資していくという気持ちを端的に申し上げた、こういうことでございます。
  38. 有島重武

    ○有島委員 今度の所信表明の中で、冒頭にこのことを述べられたということは、現在の時代の認識というものが文教政策の一つの重要な問題である。そのように大臣がお考えになったんじゃないかというように私どもは受け取っております。それで、この問題はかなり時間が長くなりそうなのでこの次の機会に譲りまして、きょうは当面する諸問題のほうに入りますけれども、この次にまたゆっくりと御所見を詳しく承りたいと思っております。   〔坂田(道)委員長代理退席、委員長着席〕  当面する問題につきましては、初等、中等教育普及の問題、私学の振興の問題、それから高等教育の整備の問題、第四に文化の振興の問題、第五に国際交流などの問題というような諸点が並んでおります。この中で最も当面する問題は、小笠原諸島の教育問題が一番当面重要な問題ではないかと思いますので、きょうはここから始めさしていただきます。  先日、小笠原諸島の返還に関する協定が調印されまして、これは三十日後に発効でありますから、六月にはもう本土復帰ということに順調にいけばなるわけでございます。先日わが党の伊藤議員からこれを予算委員会で質問いたしましたおりに、当局側からのお答えをいただいておりますので、そのことを先に読み上げてみますけれども、現在の島民子弟に関する小中学校段階教育は、米国の教育制度にのっとり行なわれているので、以後の教育を円滑に実施するべく検討中である。基本的には日本国民を育成するという観点から日本教育に重点を置きつつ、わが国の一般の小中学校におけると同様な教育を行なっていきたいと考えているが、移行時期における教育については、生徒の学習能力を十分勘案して円滑にいくようにしたい。また、青年は日本語の能力が低いので、これについても配慮をしていきたい。こういうお答えがあったようでございます。このお答えの時点では検討中でございましたけれども、だんだん差し迫ってまいりましたので、どのように検討されて、これをどのように実施なさるのか、島民が非常に心配しておるわけでございます。具体的なお答えをいただきたいと思います。
  39. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のように、予算委員会の席でいまのような答弁大臣から申し上げたわけでございますが、その後、それに対応する措置につきまして、総理府の特連局を中心にしまして関係各省では次のような措置をいろいろ検討いたしております。  一つは、行政体制をどう持ってくるかということが一つの問題でございますが、それらの点につきましては少し話が横になりますので省略いたしますが、基本的には、われわれは大臣が申し上げたその基本点が、教育の面から見ると一番中心だと思っております。  そこでまず第一段階に返還後必要なことは、必要な教員を派遣することでございます。適格な教員を派遣することでございまして、もちろんその教員を派遣することに伴いまして教員の生活の問題を考えなければならぬ。これは居住の問題からまさに食べる食料一切の問題も入るわけでございますが、これは小笠原返還後の行政体制の問題と関連ございますが、その教員を派遣するということが一つ。その教員を派遣する場合にどういう人選をするかということでございますが、これも実は行政体制との関係でございますので、いままだ決定いたしておりませんが、その点が一つございます。  それから第二番目に、現在約五十名小中学校段階子供がおるので、いままでは校長を含めて三人の米人教師が、ラドフォード学校というのをつくって教育しておったわけでございますが、返還と同時にこの外人が引き揚げますので、その五十人の子供たちを、いままでのような形でなくて、もう少しつくり直して、学年別に再編制してみなければいけないのじゃないか。そのためにはどういう方法がいいか。結論としては、それは教員の派遣数にも関係いたすものでございますから、現在三名でやっておりますけれども、とても三名では足りないのじゃないかとわれわれ考えておりますので、学級編制の問題を片方で考えております。  それからもう一つは、アメリカ式の学校制度でございましたので、学年の始期が違っておるわけでございます。七月から新学期に入るという体制でございます。したがいまして、返還後のつなぎをどのように持っていくか、存学中の子供の学年進行をどういうふうにはかっていくか、特に新入生をどういうふうに扱っていくかという学年の違いを調節する問題について検討いたしております。  それから卒業する子供について、進学希望者の受け入れという問題でございます。中学校を卒業する子供が約十名おると思います。従来この子供たちはほとんどグアム島のアメリカのハイスクールに行っておりましたが、今後はその措置がとれませんので、これの進学先の問題について考えなければならぬ。それと関連いたしまして、現在グアム島に十人ほど行っております。高校段階でございますが、これも従来は別に明らかな制度の上でやっていたわけではございませんで、多分に個人的な関係あるいは好意の形でグアム島への留学という形をとっておったのでございますが、これも制度的に申しますと、基本的になくなる制度でございますので、これもいまグアム島の関係者と話しているところでございますが、高学年の子供は別といたしまして、一年生の子供たちは別途日本学校に引き取らなければならぬ措置がございます。この子供たちの引き取り先の問題、それに伴う経費の問題等につきましてそれぞれ検討しているところでございまして、まだ最終段階に至りませんが、東京都が一応小笠原の所管責任を負うものですから、東京都の教育長とも寄り寄り話を進めている段階でございます。
  40. 有島重武

    ○有島委員 ただいま天城局長からのお答えでございますが、教員派遣の問題ですけれども、これは何人派遣することになりますか。
  41. 天城勲

    天城政府委員 それが先ほど申しましたように、学級編制の問題がなお検討中でございますので、それに対応して最終的にはきめたいと思っております。まだきまっておりません。
  42. 有島重武

    ○有島委員 検討中、検討中と言っていらっしゃるのですが、いまあげられた問題点につきましては、これはほぼ私ども承知しております。それで向こうは九年生の方式になっておりまして、現在、ラグフォード提督学校という学校だそうですね。そこに一年から九年まで、いま五十名とおっしゃいましたけれども、六十九名の子供がいるそうです。それで、いま天城さんのおっしゃったような問題点もあるのですけれども、それをいまだに検討中だというのは、島民にとっては非常に待ち遠しいというか、あるいは何をやっているんだ、本気でやってくれているのかどうかということを非常に心配しているようであります。われわれもそれは同感です。日本語というのは八年生から九年生で習っているんだそうですよ。このごろは六年から始めるようにしているけれども、ここに義務教育を持っていけば、当然これは日本語ではやれない。やれないけれども、外国語でやっている義務教育という制度はこちらにはないわけです。それは各種学校のような体制で扱うのか、義務教育一つの特例をそこへ制定するのか、その辺の法律的な措置はどうなりますか。
  43. 天城勲

    天城政府委員 これは政府全体といたしまして、小笠原復帰後に日本の諸法令を原則として全面適用の前提でございますけれども、全く適用の実体のない分野もございますので、それらについてはいま仕分けの検討をしておりますが、教育に関しましては学校教育法を施行いたしまして、日本の義務教育制度をしくという前提で考えております。  先ほど申した検討中、検討中ということで進まないじゃないかというお話でございますが、政府の施策として、先ほど御指摘のたとえば何名派遣するかとか、学級編制をどうするかということについて、最終的にまだきまっておらないわけでございまして、その点について何もしていないわけじゃございませんで、問題ごとに詰めて議論を進めている実情でございます。
  44. 有島重武

    ○有島委員 そうしますと、義務教育制を今度の六月なら六月にすぐにしくということになりますね。
  45. 天城勲

    天城政府委員 先ほど申し上げましたように、しきますが、日本の本土の場合と従来のつながりが違うものですから、原則としては日本義務制をしきますけれども、そのつながりをどうするか。学年の始期も違います。そういうところは特例をしがなければならぬと考えております。
  46. 有島重武

    ○有島委員 特例をしいてくださるということがはっきりいたしますと、だいぶ向こうでも安心するわけであります。  それで、その特例のしかたなんですけれども、一年生から九年生まで、いまいる生徒たちは、いまの教育の方式でそのまま卒業させていってもらいたい、新しく入ってくる一年生から義務教育日本流の教育にがっちりきめていってもらいたい、そういうふうにしてもらえば非常に無理がないんじゃないかということを向こうでは言っておりますが、その点についてのお考えはどうでしょうか。
  47. 天城勲

    天城政府委員 私たちのほうも、政府調査団の中に文部省からも担当官を入れまして、現地の実情は調べましたし、それから島民の方々の希望も伺っております。また、その後島民の代表の方も東京都に来られまして、関係各省と何べんかお話し合いもいたしておりますので、島民の御希望も伺っております。ただ、いまいる子供はアメリカ式の教育でそのままやれというような御希望もあるようでございますけれども、日本の統治下に入って、今後子供たちの将来の成長を考えます場合に、そのことも考えなければなりませんし、やはり日本の版図に入った以上は日本教育制度で考えるべきだ。ただ、従来の教育のやり方が違っておったし、子供の受けてきた教育実態も違いますから、極端に変えても子供は戸惑いますので、そのやり方については無理のない移行方式を考えたいと思いますけれども、原則としては日本教育制度のもとに入るべきだ、このように考えておるわけであります。
  48. 有島重武

    ○有島委員 これは教育のことでございますから、一がいにこちらでもってきめたことが向こうにいって動きがつかぬでは困るので、試行錯誤ということは当然なされると思います。しかし、教師を何人派遣してくれるのか、大体どういう方式でもって始められるのか、その辺基本的なことはもう当然おきめになっていらっしゃったのではないかと私は期待しておったのですけれども、これは検討をなさって大体の線が出るのはいつですか。
  49. 天城勲

    天城政府委員 いま私、承っておるところでは、実質的な返還——実質的と申しますか、形式的と申しますか、六月半ばごろじゃないのでございましょうか、正確にはわかりませんが、その段階からは日本の領土に入るし、日本の統治下に入るわけでございますので、それまでにはきっちり必ずいたしたいと思っております。  なお、東京都との関係も非常にございますが、東京都もごく近く教育関係分野も含めた調査団を派遣することになっております。
  50. 有島重武

    ○有島委員 時期はいつだかわかりませんか。
  51. 天城勲

    天城政府委員 これは教育関係だけではございません。全体の措置が合わさらなければ動かない。教育者の生活の問題から、行政体制をどうするかということがきまりませんと、いま私が申したように、教育関係だけでは、就学始期とか、学年の問題とか、教育課程の問題とかいろいろ考えられるのでございますけれども、体制として全面的に出るためには全体の措置が整わなければ、行く先生方の立場もはっきりいたしません。そういう関連がございますので、全体の措置がいつということも私たちの立場からだけ申しかねますが、少なくとも返還がされて日本の統治下に入ったときには新しい制度で出発をしなければならないわけでございますので、それまでには全部整えなければなりません。その点はいま検討を進めております。
  52. 有島重武

    ○有島委員 そういたしますと、まあ確かに全体のことがきまらなければ、こちらだけきめてもしようがないみたいな話でありますけれども、こちらとしてはこれだけのことをしたいんだということを要求しているんだということは教えていただけないでしょうか。予算でも予算要求というのがあるじゃありませんか、それで折衝してきまる。きまるまで言わない——イギリスはそうだそうでございますけれども、そうしますと、そのことについては審議の余地がないということになるわけですよ。大体このような方向でもって押そうと思っているのだということは大体漏らしていいと思うのですが、教師の問題についてもこの点までは……。そういう意味で伺っているわけであります。
  53. 天城勲

    天城政府委員 別に私たち、もう時間も迫っておる問題でございますから何も隠しだてをいたしておるわけじゃございませんで、派遣する教員の数につきましても、従来のような編制方式で三人では足りないだろう、しからばどういう編制方式をしたらばいいかということで検討はいたしておるのです。その数字が何名かということがまだきまらぬものですから、この席で申しかねるわけでございます。その点御了承願います。
  54. 有島重武

    ○有島委員 それでは、なるべく早期に発表なさるように要望しておきます。これは沖繩返還と関連する問題で、小笠原の返還は一つの範例にもなる。小笠原の返還ということが沖繩の返還ということに非常につながってくるので、そういった手続についてしっかりやっていただきたい、そういうふうにわれわれ望んでいるわけです。  次に、今度の文部省予算の説明なんかを拝見いたしましても、父兄負担の軽減に非常に力を入れておるというふうになっているのだけれども、予算書を見ると、それほど入れておるように受け取られない。この点は非常に重要なことじゃないかと思うわけでございます。この点について少し伺っていきたいと思います。  それで、ここは教育全般にわたるのでまず幼稚園から聞きますと、幼稚園でもって受験料が三千円で入学金が五万円で授業料が六万円だ、年間でざっと十四万八千六百円、そういうような幼稚園も、これは世田谷の例でありますがあるわけですね。私ども大体知っているのは入学金が大体二万円程度のところは知っておりますけれども、それでもって、しかもこういった幼稚園に入るために願書の受け付けに徹夜の行列をした、そういうようなこともいわれておるわけでございます。幼稚園が絶対数が非常に少ない、あるいは幼稚園に入りたいという人が非常に多くなっておる。それについて、公立の幼稚園があればそっちに行きたいのだけれども、それがないので高いお金を出しても私立の幼稚園に行くというような状態。これはいろいろ報道されておりますけれども、幼稚園の問題について、ことしはしようがないとしても、来年度ぐらいには相当大幅に措置していただかなければならないのじゃないかと思うわけであります。その点について説明していただきたいと思います。
  55. 天城勲

    天城政府委員 幼稚園教育の振興に関しまして、三十九年度からいわゆる七カ年計画というものを定めまして、公私立を含めまして幼稚園の増設をはかってきておるわけでございます。その計画で一万五千八百学級の増をはかることとして進行しておるわけでございますが、実は幼稚園の教育につきましては、幼稚園としては公立、私立の問題がございますし、また社会的に見ますれば保育所との関係もございます。この調節がいろいろあるわけでございますが、当時の計画では就園率を六三・五%という目標を定めておるわけでございます。このもとに振興をはかってきておりますが、大体現在のところではこの計画の進行は順調にいっていると思うわけでございます。ただ、いま御指摘のように、地域によりますと公立と私立とのバランスがいろいろあるようでございます。私も、現実に幾多の地域において公立幼稚園の増設と既存の私立幼稚園との関係がいろいろ問題を起こしているところもあるようでございまして、公立の増設に対して必ずしもスムーズにいかない条件がまわりにあったりしておるような地域も聞いております。これにつきましては、全体として幼稚園の数が少ないので、できるだけその調節をはかりながら全体としての学級数をふやすという方針のもとにいろいろ関係府県とは相談をいたしているわけでございますけれども、大体計画は先ほども申し上げたように順調に進んでいるわけでございますが、地域的には公私の関係の問題がございますので、小規模の町村におきまして公立幼稚園の設置がまだ少しおくれているのではないか、このように考えております。
  56. 有島重武

    ○有島委員 この問題につきましても、初めにおあげになった保育園と幼稚園の問題、これはもうずいぶん久しく前からいわれております。何べんかいろいろなところでもって議論がなされていると思うのですけれども、これについての一つ文部省としての今後こういうふうにしていくのだという見解ははっきり定まったのでしょうか。
  57. 天城勲

    天城政府委員 幼稚園七カ年計画を定めるときに厚生省と十分御相談して、両者の性格を明らかにし、取り扱いを定めて、共同して幼児教育の問題を進めるという態度で出発しているわけでございます。いまちょっと手元にございませんが、その出発のときの中身を関係両省名で通知も府県へ出しているくらいでございまして、一応体制は整えて出発しているわけでございます。
  58. 有島重武

    ○有島委員 体制を整えて一応出発したわけでございますけれども、その後やはりいろいろな問題が起こっていると思うのですよ。保母さんの問題であるとか、それから保育園から幼稚園に移りたいときの話であるとか、いろいろなことがすでに起こっております。  それからもう一つは公私の問題で、公立を望まない地域があるというようなことを言われましたね。これはたしか神奈川県のほうなんかはそういったことがあります。ところが、父兄負担を軽減するという立場からまいりますと、これは問題なく公立をどんどんふやしていただきたい、そうみんな思っております。いろいろな関係があるというのは、私立幼稚園を経営している人の都合によるわけでありますね。そこで、そうしたことの考えの基準は、いろいろな関係があるからと言われましても、やはり子供たちと、それから父兄負担を軽減していくという方向を一番もとにして考えていっていただきたい、その点はどうでしょうか。
  59. 天城勲

    天城政府委員 御指摘のとおり、もちろん学校設置子供父兄の立場を考えるのがもとでございますから、その観点は御指摘のとおりでございます。ただ、先ほど望まないと申したのは、父兄が望まないという意味で申し上げたのではなくて、公立幼稚園の設置について望まないような条件がある地域がかなりあると申し上げたのは、御指摘のとおり、私立の既存の幼稚園がかなりあるところについては競合ということで議論が出ている。これはもう事実でございますので申し上げたわけでございますが、私たち、先ほど申しましたように、幼稚園はまだ計画の進行中で足りないのでございますから、できるだけふやしていきたい。ふやしていくときに、同じ地域に公立も私立も競合するということよりも、ないところにどんどんつくっていくというやり方をすべきじゃないかという基本的な考え方でやっているわけでございまして、適正な配置と申しますか、配分、同じところにかたまらないようにということでいままで進めておるわけでございます。ただ、都会地に私立の幼稚園が非常に多いために、都会地に公立の幼稚園をつくるときにそういう調整上の困難がございますが、これもたとえば東京の例をとりましても、区の当局者と関係者との話し合いで非常にスムーズにいっているところもございますので、一がいにどうこうということも言えないと思いますが、全体の方針としては公私立を通じて適正に配置していくことが現在の段階では必要ではないか、このように考えているわけでございます。
  60. 有島重武

    ○有島委員 適正配置ということが第一段階でございましょう。それからその次は、いま言ったように父兄負担の解消ということがやはり大きな問題であると思うのですよ。それでなかなか幼稚園が建てにくいという問題は、かなり土地の問題が多いように思います。土地が高くて、建てたが結局入学金や何かが高くならざるを得ない。そういうような関係一つの悪循環をしているのだというふうに聞いておりますけれども、東京都なんかは大体小学校に付設がずっと進んでおりますね。全国的にこうしたことを考えていかれるかどうか。小学校に幼稚園を付設設置してしまう、その点はどうですか。
  61. 天城勲

    天城政府委員 別に公立の幼稚園を小学校に付設してつくるという原則を定めているわけではございません。東京の場合のように、いま人口移動が非常に激しいものですから、地域によりますと、小学校の施設が余裕ができた、そこを使って幼稚園を開きたいという動きはございますが、われわれとして別に小学校に必ず付設するという前提でやっておるわけではございませんで、やはり土地の事情に応じてやっていくのがいいのじゃないかと思います。
  62. 有島重武

    ○有島委員 次に、小学校の問題に移ります。  小学校の問題でいま父兄の人たちから一番話が出るのは給食費の問題です。給食費は、父兄側からしますと千円から千二百円ずつ払っておるということになっております。これは文部省側から調べが出ておりますのは三十五円三十一銭云々ということになりますが、実際にはそれだけ払っておるわけですね。一食分が大体五十円から六十円についているわけです。国庫の補助があるというのだけれども、大ぜいの子供のあるところなんかは相当負担になっているところもあるわけです。これも一二%の補助、予算の大ワクということもあるでしょうけれども、さらにこれは考えていっていただきたい。これは一番耳にする問題であります。  次に、中学校について、中学校父兄負担の問題につきまして、これはちょっとショッキングな話があったわけですけれども、この間女生徒が自殺したということが出ておりましたね。これは中学から高校に移る場合ですけれども、入学金が非常に高くて、それで父兄にうんと迷惑をかけるのを苦にして自殺したというようなことがございました。それから教科書がだんだん無償になってきたわけでありますけれども、あと一年でもって全部完了するというわけでございますが、それに付随いたしまして副教科書費がなかなかばかにならない。この問題をかなり父兄の人たちが言っておる場合がある。これは、ある非常に積極的な父兄はこういうものを使ってもらいたいという。ところが、兄弟がうんと多いとか経済的に不如意な人が中にはいるわけであります。そういう人たちの声はあまり表には出ない。学校のPTAなんかの会合の場合にそれは表立って出ない声であるけれども、潜在的にこれは非常にあるわけであります。副教科書の使用ということについて文部当局としてはどうお考えになるか、そのことについて伺っておきたいのです。
  63. 天城勲

    天城政府委員 副教科書とおっしゃるのは、一般的にそういう呼び名でいわれておるのかもしれませんけれども、教科書以外は、広い意味では教材でございますので、どういう教材を学校で使われますか、そのことについては、私たち一般的に教育上有効なものについては教材として使うことができるという考え方を持っておるだけでございまして、どういう教材、副教材を使うとか、あるいは副読本のことなのかもしれませんけれども、そういうものをどういうものにしろとかいうことを一々指示しておるわけではございませんので、ただ、いま御指摘のように全体として父兄負担の問題がいろいろ出てくるわけでございます。そこで、公費で本来見るべきものが父兄負担に回っていくということでは、それは趣旨からいって相すまぬことなので、これについては公費負担をすべき分野についての予算上の措置を進めていく。それから一方家庭の状況子供教育上非常に困難を感ぜられる家庭、いわゆる要保護家庭、準要保護家庭については就学援助費の増を進めていく。財政的にはとの両面から進めておるというのが実情でございまして、特にいまのお話の問題は、父兄負担という面からわれわれも関心を持って施策を進めてまいりたいと考えております。
  64. 有島重武

    ○有島委員 当然父兄負担していくべき、そういった分野もあると思いますが、また、国として当然やるべきことがあるのです。その中間のところに非常にあいまいなところがたくさんあるわけですね。それからこの間も、大阪府のほうでございますけれども、PTAのほうの会計簿と学校のほうの会計簿を見せていただきました。ここにありますけれども、きょうは時間がないから詳しくやりませんけれども、当然これは学校でやらなければならないようなことで、学習振興費だとか、体育施設費だとか、教員を研修していく費用だとか、そういったことが非常に大幅にPTAの会計のほうにおぶさっている。これは一つ二つでなくて、まだまだたくさんあるわけでございます。そういったことについての認識がどの程度までいっておるのか。これはやはり一度全国的に調査をなすったほうがいいんじゃないかと思われるようなことをたくさん聞いております。  それからもう一つ、これは群馬のほうであったことでございますけれども、校舎の建てかえについて、老朽校舎になってこれを建てかえたい。ところが老朽校舎であるという査定がおりるには、点数でもって四千五百とか五千とかいろいろあるわけでございまして、それが県のほうの財政によって多少手心が加えられているようなこともある。父兄としては待っていられないから、どうしてもこれを建てかえたいということになる。そういうときに父兄のほうに大体一律五万円の寄付の要請があったという事実がございました。そういうことはお聞き及びですか。
  65. 村山松雄

    ○村山政府委員 公立学校校舎の建てかえにつきまして、群馬県で五万円の寄付をやったというようなことは承知しておりません。
  66. 有島重武

    ○有島委員 そちらに報告がないわけなんです。それでその中で一律でないようなところは、これは要保護の家庭にもやはり五千円ですか、ほとんど要求に近いものが来ているわけです。これは自治のほうの問題にもなると思うのですが、税金なんかを調べましてちゃんとクラスが分けてあって、そういうようなことが現実に起こっているわけです。そこまでは文部省の範囲じゃないんだからといっても、父兄のほうは、子供を育てているために出すお金というものは幾ら幾ら、父兄のほうからすれば、入る先が文部省であろうが県であろうが、つらいことはつらいわけなんですよ。そういったことが今度はいろいろ副次的な問題を引き起こしていくことは当然考えられます。ここではもう具体的には言いませんけれども、いろいろあると思うのです。そこで全国的に、父兄負担が大体どのぐらいになっておるのか、これは一応の数字は出ておるのは承知しております。この数字はこの数字として、現実にはどのぐらいかかって、そういうのはどういうふうなところから出ておるのかという、この実態をはっきりと見きわめた上でもって、次の父兄負担の解消というか軽減ということについて新しい構想をひとつ立てていただきたい、そういうふうに思うわけであります。これはもう局長はけっこうでございます。これでもって質問を終わりますから、大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  67. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 学校の校舎の新築でありますとかあるいは改築でありますとか、そういうような場合に、私は本来からいえばすべて公費でもってまかなってほしいと思うのです。現状においては、小学校の建築の場合におきましては、市町村がまた地元の人たちにある程度の寄付を求めるというふうなことも認められておるようでありますけれども、希望するところは、そういうことでなくて、市町村の公費でもって、まかなう、またそのために必要なたとえば起債というような問題につきましても、政府として十分考えていくという方向に向かって進んでまいらなければならぬと思うのであります。個々の住民の人たちに、学校建築等について当然のことのように寄付を求めるというやり方は、漸次是正していかなければならぬことじゃないかと思います。また、学校の教材等についての父兄負担の問題も確かにあると思います。各地方における教育委員会等におきましても、その適切な指導はぜひやっていただきたいと思うのでありますが、教材と申すうちに、ぜひとも必要なものもありましょうし、中にはそれほど教育上必要がないというふうなものもないとはいえぬと思います。ことに父兄の方々から申しますと、それが正規のあれであるのかそうでないのかということすら十分わからぬままに、子供さんのためにいろいろな経費を使っておられるという場合もあろう。こういうふうなときには、必要なものについてはもちろんやらなくちゃなりませんけれども、いわばそれほど必要でないものについて父兄負担が重なってくる、こういうふうなことは、指導上はやはり考えなければならぬ問題だと思いますので、そういう方向につきましては従来から指示はしてきておると思いますが、御注意もございますので、なおよく実情等につきましても検討もさせまして、できるだけ是正の方角に向かって努力いたしたいと思います。
  68. 有島重武

    ○有島委員 大臣のお答えをいただきまして、是正の方向にというお答えでございますけれども、その是正ができる、できないは、これは力の問題もあります。力といいますか、財政上の問題を伴うわけでありますけれども、実態をまずしっかりと把握していただきたい、そのことをお願いしたわけでございますが、その点はどうですか。
  69. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 十分実態把握につとめなければならぬことでありますので、一そうその方向において事務当局を督励してまいりたいと思います。
  70. 有島重武

    ○有島委員 それでは、私の質問はこの次に保留させていただきまして、きょうの質問は終わらせていただきます。      ————◇—————
  71. 高見三郎

    高見委員長 次に、国立学校設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  本案に対する質疑の通告がありますので、これを許します。川村継義君。
  72. 川村継義

    ○川村委員 私は国立学校設置法の一部を改正する法律案についてお尋ねをいたします。  その前にちょっと大臣に、いろいろ問題のお尋ねができないですから、まず要望を申し上げたいと思います。  今日高等教育の面において幾つかの大問題がわれわれの前にあるわけです。大学管理の問題、大学自治、学生指導の問題、あるいは学問の国際交流の問題、教職員の待遇問題、学術研究費及びその配分問題、米軍の研究費援助問題、学園の紛争問題、あるいは私立大学の援助の問題その他たいへん大きな問題がある。これは高等教育についてでありますけれども、後期中等教育、義務教育についても考えなければならない大きな問題でございます。大臣に私、心から要望したいと思いますことは、教育が憲法の精神にはずれたり教育基本法、これを踏みはずすことがないような方向にひとつ教育を進めていただきたい。灘尾文部大臣何回かの大臣御就任でありますから、後世に、灘尾文政の平和的にして民主的な教育確立の輝かしい業績が残りますようにお祈りすると同時に、御努力をお願いしておきたいと思います。  局長、おられますね。実はその必要私はないと思ったのですけれども、前の審議官の今村さんから精神鑑定を受けなければならぬという資格を与えられましたから、精神科に行ってみたのですけれども、超満員でまだ受けてないのですよ。世の中はまさに春、そこで局長、時間もありませんから納得のいくようにひとつ簡潔にしてしかもよくわかるようにお答えいただきたい。これは局長には注文しておきます。  そこで私はきょうは大体学部の分離とか、それから大学院の設置について、先生方の待遇についてちょっと聞いておきたいと思うのですが、その前に確かめておきたいことが一つ二つあります。ここに国立学校設置法の一部を改正する法律案というのが出ております。これを見ますと、第三条第一項の表を改正してある。そして千葉大学の文理学部を改組する。それからその次に愛媛大学の文理学部を改組する。もう一つは第三条二の第一項に茨城、大阪教育大学、香川大学、高知大学大学院を設ける、こういうことになっております。大臣、ちょっとお尋ねしますけれども、この学部の分離は千葉大学と愛媛大学二つ、大学院は四つ、こういうことで間違いございませんね。
  73. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 間違いないそうでございます。
  74. 川村継義

    ○川村委員 それでは今度は局長にお尋ねします。局長昭和四十三年度文部省所管予算案概要説明、四十三年度文部省予算の説明、予算要求額事項別表、それからもう一つ速記録がある。私のだけではないと思うのですがね。局長あけてください。まず四十三年度文部省所管予算案概要説明、これの六ページをあけてください。あけましたか、読みますよ。「国立大学の拡充整備につきましては、まず、大学入学志願者の急激な増加に対処するための既定計画に沿って、大学及び短期大学の入学定員の増加をはかり、二千七百一人の増募を行なうことにいたしました。このため大学について、一大学の創設、三文理学部の改組、十五学科の新設及び九学科の拡充等を行なうことにいたしました。」いいですか、三文理学部の改組をわれわれに説明した。もう一つ昭和四十三年度文部省予算の説明、これはページは三十九ぺページ。先生方のもそう書いてあるでしょうね。私のだけではないでしょうな。三十九ページ、四の「高等教育の整備充実と育英奨学事業の拡充」その中の「(1)国立大学の拡充整備」「1学生入学定員増七億六千九百四十一万三千円、学生入学定員を二千七百一人増加(大学二千六百一人、短大百人)するため、文理学部の改組(三大学)、」いいですか、三つだよ。もう一つ予算要求額事項別表三十七ページ、「大学の創設及び学部の改組」そして予算の内訳が書いてある。「大学の創設(一大学)文理学部の改組(三大学)」と書いてある。これも三つだ。もう一つ、これはだれが説明したのかな、速記録です。昭和四十三年三月六日、井内政府委員が説明をしている。そのうちの五ページ、「第四の大きな柱は、高等教育の整備充実と育英奨学事業の拡充であります。まず、国立大学の拡充整備のうち、学生入学定員につきましては、前年度に引き続き入学志願者の増加を背景として、かなり大幅な定員増を行ないまして、大学で二千六百一人、短大で百人、計二千七百一人の増となっております。その具体的な内容といたしましては、九州芸術工科大学の創設、千葉大学、愛媛大学、高知大学の各大学の文理学部の改組、」と書いてある。どうしてだ。しっかり答弁してくださいよ。誤植でありますとか、説明の間違いでありました、そんなことではこれは許されませんよ。局長大臣に再び迷惑をかけないように答弁してください。
  75. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お尋ねの点は、法改正は二つしかやっていないのに、資料の説明のところでは三つの文理を書いているではないかということであろうと存じます。したがいまして、そのような解釈いたしましてお答えいたします。  私ども文理学部と申しますのは、御承知のように終戦後新制大学ができました当時、当時の旧制の高等学校等を包含いたしました新制大学——一応旧制高校は文科と理科がございまして、そういったような関係で、ほぼ旧制高校を包含いたしました新制大学は、それを文理学部といったようなことで学部に転換さしたわけでございます。ところで、この文理学部は、文科、理科というものの、その他の文学部の文科あるいは理学部の理科と違いまして、何となく教養学部的な文理学部というのが実態でございます。そういったようなことから、文部省内にあります審議会等でもいろいろ御審議の結果、これはもう少しはっきりした文理学部の改組をすべきであるということで、ここ数年来文理学部の改組をしてまいりました。ところで、本年までに残っておりますのは千葉大学、愛媛大学、高知大学の文理学部でございます。その改組のやり方といたしまして、千葉大学と愛媛大学は、それを二つの学部に改組いたしました。ところが、高知大学は文理学部という名称ではございますけれども、そこの中が従来と違いまして文学科、経済学科、理学科、特に理学科の中には数学、物理、化学、地学、生物、こういったような専攻を設けまして、名称は文理学部でございますが、はっきり三つの学科を立てまして、言うならば名前は文理学部で同じでございますが、中身は完全に改組されておる。そういうことで、これに伴いまして予算等も、相当予算的には二学部を設けましたものとあまり変わらない程度予算を組んでおります。ただ、法律的には文理学部と書いてある。それが法律に載っておりますので、同じ文理学部でございますから、実質的に予算的に相当改組しても、形式的に文言としては文理学部を変える必要はないということで、それぞれの観点から、先ほど先生がお読みになられましたような時点におきましては実質的な問題、特に予算上の問題等ございますので、三学部の、三つの文理の改組というふうに書かしていただいたわけでございます。
  76. 川村継義

    ○川村委員 わかったようなわからぬような説明をしておる。では、高知大学の文理学部は、いま現在文科と理科はどういう学部にするのですか。改組してどういう学部にするのですか。
  77. 宮地茂

    ○宮地政府委員 文理学部という名前は改めておりませんが、実質的には相当の改編をいたしております。いわゆる改組拡充と申しますか、そういう実態でございまして、従来文理学部は文科入学定員は七十、理科六十と、これだけの仕分けしかございませんでした。それを今度は、御審議いただきます今回の改正では文理学部を文学科、経済学科、理学科という三つに分けまして、従来の入学定員とは違いまして文学科を六十、経済学科を八十、理学科は五つの専攻を立てまして入学定員百五名、こういった内容の改組でございます。
  78. 川村継義

    ○川村委員 そうすると、先ほど申し上げましたこういうものに文理学部、三大学を改組するなどと書かないで、そのほかにございます拡充というような予算措置がある。そこに学科の新設とか学科の拡充改組とか、こういうのがありますね。ここに含めるべきではないか。予算には学科の拡充改組九学科とあるでしょう。九学科の中にいまの高知大学のやつを含めるべきであって、文理学部の改組となると、これは法律改正事項なんだ、そうでしょう。そう解釈すべきでしょう。どうです、あなたの説明、わかったようでどうもはっきりしない、どうです。
  79. 宮地茂

    ○宮地政府委員 私ども、学部内にたとえば三つなら三つ学科がございまして、その拡充と申します場合は、三つの学科のほかにその学部の中にもう一つの学科を設ける。たとえば工学部に機械と電気があったとします。それに土木学科を一つふやすといったようなときは学科の拡充ということでやらせていただいております。ただ、今回の場合は、文理学部という名称は変わっておりませんけれども、学科が文科、理科を文学科、経済、理学科とやりました。この名称の変更だけじゃなくて教育課程の組み方も違いますし、教員組織も違ってまいりますし、実質的には二つの学部をつくったと同じような形で相当の改編が行なわれておるわけでございます。そういう意味で、まあそういうことでいろいろな予算上の扱いその他の説明では実質的な問題として三つと言ったわけでございます。法律のほうは、ただ法律は形式的に文理学部ということばしか使わない。それ以外の中身のことは法律には書かれておりませんので、政令なり省令なりの段階では学科が出てまいりますが、そういった意味で、形式的な文理学部ということばを変えるのは二つでございます。法律には二つとして、しかし予算上その他いろいろな扱いでは、これは三つの文理が同じように相当予算がつき、教員組織等も改編する、このように先ほどから御説明しておるつもりであります。
  80. 川村継義

    ○川村委員 そこで、ともするならばそのような誤解を与えないように説明すべきである。わざわざ速記録を見ると「千葉大学、愛媛大学、高知大学の各大学の文理学部の改組」と説明しておるでしょう。そうするとわれわれは、法律には二大学しか予定はない、もう一つは高知大学に違いないと思う。高知大学の文理学部をどういう学部に改組したのだろうかと受け取るのは当然でしょう。これは文学部と理学部を別につくったんかなあ、こう思わざるを得ないですよ。あなたたちの説明は、わからないではないけれども、たいへんあいまいなやり方だ。文理学部の改組ということで出てくれば、これは何といっても法律事項だ。ただ、文理学部という学部は一つであって、中にある文科とか理科とか、それにもう一つの学科を加えるということになると、これは学科の改組でいいじゃないですか。どうもはっきりしませんよ。さっき言ったでしょう、納得のいくように説明願いたいと。
  81. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ただいま大学局長からお答え申し上げたとおりでございますが、文理学部はかつて十四ほどございまして、これを逐次改組してまいりましたが、予算事項といたしましての文理学部の改組という事項をすでに三年前から実は推進しております。文理学部改組の中に、学部が分裂するものと分裂しないものと二つの方法論を用いてやってまいりました。分裂をしない型といたしましては、過去におきまして富山大学、島根大学、山口大学、以上が学部名称は文理学部のままで中身を拡充改組した、こういうことで処理いたしておりました。ただいま川村先生指摘予算の補足説明は私がさせていただきましたが、予算の整理のしかたといたしましては、文理学部の改組という事項で整理をさせていただき、説明をいままでさせていただきました。法律改正は、学部名称が変わり、学部が廃止になり、学部が新たに設置になるものにつきましては法律事項といたしまして法改正を要する、こういう扱いで従来からやってまいっておるのでございます。したがいまして、先ほど大学局長がお答えになられましたとおりでございまして、予算の事項の整理、どういう事項で何を要求し何を表現するかという点につきましては、法改正を要するものと要しないものと二つの方法論を用いておりますので、おわかりにくい点があったかと存じますが、その点はそういう整理の問題でございますので御了承賜わりたいと思います。
  82. 川村継義

    ○川村委員 わかりました。ひとつそう理解いたしましょう。  それでもう一つ確かめておかなければなりませんが、「大学の創設及び学部の改組」については、これは大学の創設一大学、文理学部の改組三大学、合わせて一億五千七百七十万二千円、これが予算の内訳になっておる。ところが別途の資料によると、文理学部の改組で千葉大学、愛媛大学の改組に必要な合計額は、千葉大学二千三百七十四万五千円、愛媛大学の分が二千六百八十九万二千円、そこでこれを合わせますと五千六十三万七千円となるわけですね。ところが大学の創設、これは九州芸術工科大学ですが、この分は実はこの資料によりますと八千四百九十八万円。そこでこのトータルは一億三千五百六十一万七千円となって、先ほどこの予算説明資料によると、一億五千七百七十万二千円とは違う。その差はどうなっておるのか。
  83. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 ただいまのお尋ねも、先ほどの文理改組の数と実は関係があるのでございまして、私、御説明申し上げました重要事項別表の大学の創設は、ただいま先生の御指摘の九州芸術工科大学でございまして、八千四百九十八万円。それから文理学部の改組、金といたしましては文理学部の名称のままの高知も含んだ金額に実はなっておりまして、先ほど先生指摘の千葉大学二千三百七十四万五千円、愛媛大学二千六百八十九万二千円、それから学部名称の変わりません高知大学の文理学部のままの拡充改組に要する経費が二千二百八万五千円。予算的に申しますと、文理学部改組三大学分が七千二百七十二万二千円でございます。九州芸術工科大学の八千四百九十八万円と三大学文理改組分の七千二百七十二万二千円のトータルが、そこにあげております一億五千七百七十万二千円でございます。したがいまして差は、先ほど申し述べました高知大学の分というふうに御理解をいただきたいと思います。
  84. 川村継義

    ○川村委員 高知大学の分は幾らになるのですか。
  85. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 二千二百八万五千円でございます。
  86. 川村継義

    ○川村委員 この皆さん方にいただいた参考資料の表によりますと、千葉大学設備費は一千三百二十七万二千円となっておる。愛媛大学設備費は九百九十九万九千円となっておる。これは間違いございませんね。
  87. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 文部省大学局のほうからお手元にお届けいたしました資料は、ただいま申し上げました金額でお届けいたしておるはずでございます。
  88. 川村継義

    ○川村委員 千葉大学設備費は千三百二十七万二千円、愛媛大学設備費は九百九十九万九千円とわれわれの資料に提示してあるが、これでよろしゅうございますかと、こう言っているのです。
  89. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 千葉大学一千三百二十七万二千円、愛媛大学九百九十九万九千円、これは文理学部改組で設備関係の経費でございますが、その中の学科設備費としての積算の基礎でございます。  なお、ここでちょっと補足説明に相なりますけれども、千葉大学で申しますと一千三百二十七万二千円が積算の基礎でございまして、四十三年度の予算編成にあたりましては一応積算の基礎を置きまして一律三%の節約ということで若干の減をいたしております。したがいまして、こまかく予算計上額を申しますと、文理改組の設備費のうちの学科設備費の千葉大学分は、節約前一千三百二十七万二千円、節約後現在の計上額一千二百八十七万四千円、こういうことでございます。
  90. 川村継義

    ○川村委員 ますますわからなくなってきた。これはあと文部省のほうからいただいた資料でございます。この資料を見ると、千葉大学設備費一千七百七十七万六千円、愛媛大学一千四百五万四千円になっている。いずれにも合わぬじゃないですか、これはどういうことですか。
  91. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 先ほどお尋ねをいただきました千葉大学の文理改組に要しまする経費の総額といたしまして、千葉大学で申しますと二千三百七十四万五千円という数値がございます。その二千三百七十四万五千円という数値の積算といたしましては、学生初度調弁費、学生厚生補導費とか、それから一般教育の設備、学科設備、それから自動車購入費とか、そういったいろいろな事項が実はあるのでございます。先ほどもお答え申し上げましたが、設備費の中で学科設備ということで積算をいたしておりまするのが一千三百二十七万二千円から三%一応減いたしました一千二百八十七万四千円ということでございまして、これよりも大きな数値が届いておろうかと思いますが、それは他の設備系統の経費を全部トータルいたしたものでございます。
  92. 川村継義

    ○川村委員 くどいようですけれども、もう一つ聞きます。千葉大学の文理学部改組に要する経費トータルは二千三百七十四万五千円、人に伴う経費八十九万、学生当たり積算校費百八十八万九千円、教官あたり積算校費百二十六万六千円、学生初度調弁費百九十二万四千円、設備費千七百七十七万六千円で、トータルが二千三百七十四万五千円になる。そうでしょう。そこをあなたが言うように、設備費千三百二十七万二千円となったならば、二千三百七十四万五千円にトータルが合わぬじゃありませんか。愛媛大学の場合もそれは同じだ。
  93. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 千葉大学の二千三百七十四万五千円の内訳をここであらためてちょっと申し上げます。設備費等ということで、その他経費も全部突っ込んだ金額でお届けしてあろうかと思います。内訳を全部申し上げます。  人に伴う経費は、先ほど先生指摘のように八十九万、それから講師手当百六万六千円、それから学生当たり積算校費は、御指摘のように百八十八万九千円、教官当たり積算校費は百二十六万六千円、それから教官研究旅費が四万九千円、学生初度調弁費は御指摘のように百九十二万四千円、学生厚生補導費は三万八千円、設備費のうち一般教育二百十四万八千円、学科設備費一千二百八十七万四千円、自動車購入費百四十三万二千円、自動車維持費九万三千円、職員旅費七万六千円、以上トータル二千三百七十四万五千円でございます。したがいまして、先ほど申しました点は、設備費等といたしまして、その他の経費を全部くくって資料をお届けいたしたかと存じます。
  94. 川村継義

    ○川村委員 そうなると、その一千七百七十万六千円と、この参考資料で配ってあります千葉大学の場合ですね、一千三百二十七万二千円。これはいまお話しのように一千七百七十七万六千円の中には設備費等ということで、ほかの経費も含まれておる、こういうことですか。——それではどうも  とにかく私たちはこまかな積算のもとなどの資料がないから、先ほど申しましたように、学部の改組でも、予算の組み方でも、もう少し明らかになるように、審議に非常にためになるように、ぜひひとつ御配慮願いたいと思います。それでなければ、私もこれからお聞きしようと思っておりました教官の給与とか待遇問題についても、一体どこからどうしてこれは出てくるのか見当がつかなくなるんですよ。  委員長、お約束の時間がきておりますが、私の質問を切っていただきますか、あるいは二時からわれわれ一時間だけもらうことにしておりますが、あとでもやらせていただきましょうか。御相談いただけたらたいへんありがたいと思います。
  95. 高見三郎

    高見委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  96. 高見三郎

    高見委員長 速記を始めて。
  97. 川村継義

    ○川村委員 それでは、委員長からお許しをいただきましたから、実は教官の給与とか待遇、それについては少しいろいろ問題も考えておるのですが、もうそれを抜きまして、ひとつ一つ二つ聞いておきたいと思いますが、今度の千葉大学、愛媛大学の改組に伴って教官は一体増加になっているのですか、あるいはどうなんですかね。たとえば千葉大学の場合には、職員定員教授四人、講師マイナス三人、助手マイナス一人、計ゼロ、こういうふうになっている。愛媛大学の場合には、教授十人、助教授マイナス一人、講師マイナス三人、計六人ということは、どう解釈したらいいんですか。文理学部の改組に伴って千葉大学の場合には職員の定員は増減なし、こう読むのか。あるいは教授だけは四人増加してある。しかし、講師三人と助手を一人減してこういうふうになっておるのか。愛媛大学の場合には、六人というのはこれは増員される教授の数なのか、ちょっと御説明願いたい。
  98. 宮地茂

    ○宮地政府委員 千葉大学の場合は、教授四人が増加されまして、講師三名と助手一名が減ということになります。これは予算的に実は俗称振りかえ定員とかいっておるものでございまして、要するに助手一人は減らしまして、教授をそのかわり一名ふやす。それから講師の定員三名を落としましてそれを教授にするといったような、そういう操作をいたしまして、今度の改正では講師、助手に当たる者を定員的には教授ということで充実をはかった。実数におきましては差し引きゼロになるということでございます。  愛媛大学につきましても、教授十人がふえる、定数的にふえます。しかし、助教授一人と講師三人、合わせて四名の者は振りかえということになりますので、差し引きしますと六名が純増になった。こういう計算で、一応そういう意味のことを掲げてあるわけでございます。
  99. 川村継義

    ○川村委員 そうしますと、先ほどの資料でありますが、千葉大学の場合の人に伴う経費というものの八十九万円というのが、この千葉大学の場合には四人の教授の給与費というように考えていいのですか。愛媛大学の場合には六百七十万が六人の方の給与費と考えていいのですか。
  100. 井内慶次郎

    ○井内政府委員 千葉大学の場合は増員がございませんので、人に伴う経費八十九万円と申しますのは、学部の増設ということでただいま法律改正をお願いいたしておりますが、学部長と事務長の管理職手当分と、宿日直手当の個所がふえますので、八十九万円の中身は、管理職手当四十二万五千円と、宿日直手当四十六万五千円、これが事項といたしましては諸手当でございますので、人に伴う経費、こういうふうな区分をいたしておるわけでございます。
  101. 川村継義

    ○川村委員 そうしますと、四人の教授の待遇、給与というものは、私は助手や講師の人たちよりも高いと思う。それはどうして見てありますか。千葉大学の場合には、この四人の教授の一年間合計の俸給月額、扶養手当、通勤手当等々考えてまいりますと、六百三十一万一千六百九十七円となっておる。そうすると、私は非常に低いと思うのだけれども、まあこれは号俸で計算した場合こうなる。この手当は一体どこに見てあるのですか。八十九万ではきかないでしょう。
  102. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 ただいま会計課長から説明いたしましたが、八十九万は手当増でありまして、教官の俸給につきましては、予算積算の技術として、一人当たりの平均単価というものを考えまして、それかける人数という積算のしかたをいたしております。そこで、その平均単価というのは、助手、講師、助教授、教授を通じて一本でございまして、四十三年度の予算案で計上してあります平均単価は、一人年間九十万八千三百六十二円ということになっております。したがいまして、実際にここで新しく講師、助手の振りかえで教授を任命します場合のその教授の俸給というのは、この予算の積算にとらわれるものではないのでありまして、その方の学歴その他を勘案して、別途俸給は決定するということになっております。
  103. 川村継義

    ○川村委員 そうですか、その辺のところはよくわからぬものですからね。とにかく、文理学部改組に要する経費、内訳というところに示してある人に伴う経費というのは、先ほど御説明のとおり、教授四人あるいは愛媛の六人、こういう増員される分の諸給与等は、このわれわれに示された経費内訳の中には入っていない。別途一緒に、平均給与で定員かけて別に求めてある、こういうことですか。
  104. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 そうでございます。
  105. 川村継義

    ○川村委員 それでは、これは大学局長からお聞きしたいのですが、文理学部を改組して、教授を四人にして、なぜ講師や助手をはずしてしまうのか。むしろ私は、講師とか助手とか助教授というものは増員をはかるべきではないか、こう考えておるのですがね。
  106. 宮地茂

    ○宮地政府委員 先ほど申しましたのは定員の増関係でございまして、実は、講師三、助手一を、たとえば千葉大学に例をとりますと減らしておるというふうに見えますが、これは減らして、そのかわり教授四名をふやしておる。もっとわかりよく言いますと、いままでの文理学部のときは助手でよかった人を、今度は教授でなければいけない。それから講師三名は、いままで講師三名でよかった分は、今度は教授でなければいけないというふうに充実をしたということでございます。これは予算をつくるときの技術的な問題で、おわかりにくいかと思いますが、実際減ったように見えますけれども、講師を減らした、助手を減らしたということにはなるのですが、実質的には、助手であった者、講師であった者を教授にしたということで、実質的に充実をはかっておる、そういうことでございます。
  107. 川村継義

    ○川村委員 わかりますよ。教授を置いていただく、あるいは助教授を教授にしてもらう、これはいろいろあれがありますけれども、してもらう。しかし、やはり学科の講座というものを受け持つ場合には、教授だけじゃいかぬでしょう。そのときにはやはり——教授はいいですよ、なるべくたくさん置いていただいて。しかし、その場合にも、必ず講師とか助手とかがおられねばならないと私は思う。そういう配慮はしていないのではないか。そこで、私がいろいろ大学教育を考える場合に、助手とか講師とかそういう人たちは確保しながら、教授も充実するというような方向ならいいけれども、教授だけで講座がやっていけるか、あるいはいろいろの理科的な研究という場合に助手なんかをいなくしていいのかというような問題があるのじゃありませんか。
  108. 宮地茂

    ○宮地政府委員 講座制と申しますのは、大学院を持っている大学でございますが、講座制の大学、あるいは学科目制の大学、学科目制と申しますのは、大学院コースを持っていない大学ですが、予算的にいろいろ講座なり学科目がございまして、それを私ども予算化します場合に、一つの基準を持っておるわけです。たとえば教授、助教授、助手、その順番に一・一・一とか、あるいは一・一・二とか、あるいは二・一・一とか、いろいろ講座、学科目、あるいは実験、非実験、こういったようなことでいろいろ基準がございまして、そういう基準に基づき、また、一応学部によりまして一般科目、専門科目といったような立て方をいたしておりまして、ただ、今度の改組で増減の部分だけを抜き出して書いてございますので、御理解しにくいかと思います。全体の構想の中で、特に実質的に動くところだけを持ち出しておりまして、おわかりにくいと存じますが、いま申しましたようなことで、根っこから相当の改編が行なわれる、数として変わったところだけを出したのが先生がお持ちの資料、このように御運解いただきたいと思います。
  109. 川村継義

    ○川村委員 それでは時間もありませんから、どうも納得いかないのですけれども……。  今度の大学の学科の拡充改組、いまのに関連しますよ、拡充改組された場合に、九学科は何々でしょうか、ちょっとさっと言ってください。
  110. 宮地茂

    ○宮地政府委員 千葉大学は、人文学部に人文学科と法経学科、理学部には数学、物理、化学、生物、この四学科ができます。  それから愛媛大学のほうは、法文学部に法律と文学の二学科ができまして、理学部のほうは数学、物理、化学、生物の四学科ができます。  以上でございます。
  111. 川村継義

    ○川村委員 いろいろものの考え方について、私、本日論争しようと思いませんけれども、科学技術の健全な発達を考えるには、どうしても基礎科学というものの成果をやはりあげていく、これが一番大事なことではないか。でないと、基礎科学を抜きにしては、私が申し上げるまでもないことですけれども、科学技術の健全な発達はいかない。そういう意味で、今度科学技術基本法など私たちは非常に注視をしております。それから、やはりこの基礎科学の研究というものと教育の基盤を整備拡充していくということについては、これは申し上げるまでもなく、研究者の育成ということに力を尽くしていかなければならぬということも当然でないでしょうか。今度の文理学部の改組や、あるいはいまの九学科の拡充改組を見ておりまして、私、少し残念に思うのは、自然科学がどうも重視をされていないのではないか。これは最近の傾向ですね。やはり生物学とか地学とか、これは天文学を含むでしょう。そういうものをもう少し文部省は本気になって充実をしていくという考え方を持たねばならぬのじゃないか。なるほど、最近は文理学部の改組等で理学関係の学科の充実はたいへん進めてもらった。ところが、やはり自然科学というものの意義、重要性をわれわれはもっと考える必要があるのではないか、今年度の九学科の改組等について特にこのことを見てとるわけです。これはひとつ十分担当においても検討していただかなければならぬと思います。  それから、講座の問題にいたしましても、これは大学院の講座等についても一つの基準があるようですけれども、実はきょうは時間がありませんから私はいろいろ具体的に聞きませんけれども、助教授や助手の待遇を引き上げる。いま助手の人たちを、例の給与表の助手は四等級ですか、ああいうようなところに格づけしないでもっと上の等級に格づけしてやるとか、そういう助手の皆さん方の待遇もよくして、やはり助手の教育上に占める職責というものをもう少し考えてやってもらう、そういうような配慮が必要ではないか。助手は四等級ですね、これは実に気の毒なような給与表の適用になるわけですけれども、こういうようなものを考えてもらうというようなことがあってしかるべきであるし、先ほどあなたはいろいろ教授の充実についてお話がありましたけれども、やはりこういり教職員の充実ということは、いま少しく助教授、助手、講師という人たち——そういうものをなくするというようなことはおそらく講座等においてもマイナスを来たすのじゃないかとわれわれは大ざっぱに考えるわけです。そういう点を考えていただかなければならぬと思うわけです。  それから、いま指定職の俸給表の適用を受けておる人は大学で何人おられますか。
  112. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 大学の学長を除きまして、教授で指定職俸給表乙の適用を受けておりますのは、正確な数字はちょっと持っておりませんが、昭和四十二年度が百二十一名、四十三年度はそれにプラス二十名程度ふえる予定でございますので、おおむね百四十名でございます。
  113. 川村継義

    ○川村委員 それはおかしい。あなたたちが出しておる国立学校特別会計ではもっとたくさんの数字じゃないですか。学長が七十五、一般の教授が百六十一ですね。  そこで、教授の場合の指定職俸給表の適用を受けるというその範囲、基準、これはどうなっていますか。
  114. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 ただいまの数字でございますけれども、私が百四十名と申し上げましたのは、先ほど申し上げましたように学部長、学長を除いた数字で百四十名でございます。  それから教授で指定職俸給表の適用を受けます者の基準は人事院と協議いたしてやっておりますが、大体学部長あるいは図書館長等、いわゆる管理職の経験のある方のうちから号俸の高い者について、いま申し上げました数の限度で指定職俸給表の乙の適用をいたしております。
  115. 川村継義

    ○川村委員 説明が大ざっぱのようですね。そうじゃなくて、たとえば医学部が置いてあるところの学部長には指定職俸給表の適用があるなんて基準があるでしょう。
  116. 諸沢正道

    ○諸沢説明員 いま申し上げましたように、医学部の学部長は指定職俸給表だという基準はないのでございますが、その学部長、対象といたします教授の所属する大学については大体五年制の大学院のある大学の教授というふうに範囲をきめているわけでございます。
  117. 川村継義

    ○川村委員 その点はまたいつか確かめます。人事院が私に説明した内容と、あなたのいまお話しの内容とは相当誤差がある。時間がありませんからあとでまた個人的にもお聞きします。  とにかく今度の文理学部の改組について、千葉大学及び愛媛大学先生方の俸給はどうなるかということを、私いただいたこの一覧表を見ますと、なるほど教授の号俸の適用は高等学校義務制の方に比べるとやや高い。しかし、これを平均してみれば、地方公務員の適用を受ける学校教職員の統一単価、地方交付税に使う統一単価よりも低いのですよ。実はこれは具体的に言わなければならぬ。そういうところをよく考えて大学先生方の給与問題、待遇問題等を十分検討いただきたい。きょうはそれだけ要望しておきます。いろいろこまかな資料がありますけれども、またいずれお聞きすることもありましょう。やはり文部省としては大学先生方の待遇というのは十分検討してもらわなければ、私が言うまでもなく頭脳流出であるとか、大学の博士課程志願者がほとんど残らぬ。いろいろな問題が私たちの耳に入ってくるわけですから、これはひとつお願いしておきます。  委員長、まことに申しわけありませんでした。実はまだお聞きしたいのですけれども、お約束の時間でもありますし、われわれのほうで緊急会議を開いているから、私はこれで質問を終わることにいたします。      ————◇—————
  118. 高見三郎

    高見委員長 この際、参考人出頭要求に関する件につきおはかりいたします。  すなわち、ただいま審議中の本法律案について参考人より意見を聴取することとし、参考人の人選、意見を聴取する日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  119. 高見三郎

    高見委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は公報をもってお知らぜすることとし、日はこれにて散会いたします。    午後二時十九分散会