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小暮説明員 配給の仕組みの問題につきましては、当
委員会でもこれまでにも何回か御指摘あるいは御示唆がございました。そのほか
物価安定
推進会議でもしばしば
議題になっております。
食糧庁といたしましては、比較的長い期間、やや固定的な姿で配給の仕組みを続けてまいりましたので、これについて何らか改善の
方法がないかということが、むしろ
一つの課題として私
どもに課せられた問題だというふうに実は思っております。これらの問題をめぐってさまざまな
検討をいたしておりますので、あるいは
検討の
段階でのいろいろな
議論が
——これは業界の意見も当然聞くべきだと思いますので、業界の意見をいろいろ非公式に聞き、あるいは自由に討議をするといったような場を通じて出たようなことがあるのではないかと思います。
先生御指摘のとおり、きわめて大事な問題でございますので、目下慎重に
検討中でございまして、まだこの席でその内容を申し上げる
段階ではございません。
ただ、
先生のおことばにもございましたように、私
ども、
一つは、最近の精米の技術の進歩と申しますか、またおよそ物の配分でできるだけ施設を大型化することが、中間の
合理化につながる
一つの
方法ではないかという観点もございますし、また技術そのものがかなり進歩してまいったという問題もございますので、大型精米というものを何とか助長したいという気持ちがあることは、これは
一つのはっきりしたねらいでございます。ただ、大型精米を助長しようとしますと、実は
食糧庁から卸に玄米をお渡しした、それが結びつきの小売りに、主として玄米の形で配られた最後の小売り
段階に小さな精米機があってこれを精米するという従来の米の流れ方、これが実は大きく変わってくる可能性があるわけでございます。ただ機械が大きくなったというだけではなしに、やはり卸の
段階で精米するということのほうが効率的であるという問題が出てまいります。
ところが、これは、卸の
段階で精米するということは、一見きわめて近代化の方向に即し、何の問題もなさそうに見えますが、結びつきの小売りにしてみますれば、卸から完全に精米され、精白されたものを受け取って、それを消費者に公定
価格で渡すという間に、きわめて安全といえば、安全かもしれませんが、およそ商人としては何のリスクもなければ妙味もない。いわば配達業務だけになる。その点は、やはり長年統制下といえ
ども、限られた玄米をできるだけ消費者の喜ぶような米にして配給するということをやってまいった米屋の立場からしますと、
一つの反発というものがある。そこで卸と小売りの結びつきのあり方をどのようにいたしら、米屋さんがいまの配給
制度のもとで、できるだけ消費者の希望にも即した商売ができるだろうかという点がやはり
一つの論点になるわけであります。ですから、大型精米の促進ということについては、それ自身に反対をなさる方はいないと思いますが、こういう大型精米の促進をやろうと思えば、卸と小売りの結び方について、卸の立場も小売りの立場もそれぞれ遠慮なく御発言いただいた上で、そこで何らかの新しい
やり方を編み出す必要がある。この点が第二の問題点になるわけであります。
もう
一つは、いままで申し上げましたのはどこまでも、
食糧庁から玄米が卸、小売りと流れていく過程での問題であります。消費者の問題は出てまいりません。消費者の立場からいけば、今度は配給通帳で小売りから米を受け取るわけでございますが、それにしてもいまどき、特定のお米屋さんに登録したら最後、よほど奇特な人でない限り、一月以上たてば変えられるという規則もあまり御存じでありませんから、米屋さんと一度つながれば、多少サービスに不満があっても、引っ越すまではどこまでもつながっている。それでいて米屋さんに対する不満と申しますか、そういうものはしょっちゅう、いつでも燃えている、いぶっているという実態ですから、こういう面で、配給
制度下のお米屋さんであっても、何とか消費者とお米屋との結びつきを、いまよりもやや選択の余地を与える
方法はないかという問題、これが第三の問題です。
ですから、つづめて申しますと、大型精米の助長ということと、それらとの
関連で卸、小売りの結びつきのあり方の近代化、それから消費者と末端小売りとの結びつきのあり方を時宜に適したものにできないか。おおむねこの三点がねらいでございます。
ただ、これを考えます場合には、どうしても既存の商権と申しますか、大部分が
中小企業の方ですから、
中小企業が家業としてやってまいった
一つの商売であるという側面も、幾ら配給
制度であってもあるわけですから、そういう既存の商権との
関連をどのようにうまく整理したらいいかという問題がございます。ただ基本的には、私
ども当
委員会からも御指摘を受けましたし、
物価安定
推進会議からもいわれております競争原理の導入という問題につきましては、本件が
政府管理米の配給
制度にかかわる問題であるという点をこれまでもしばしば実は申し上げておりますが、そういう配給
制度の適正な運営という角度と競争原理の導入ということが、実はこれを結びつけるのになかなか技術的にむずかしい面がございます。そういう点に十分配意しながら
制度の改善をやってまいりたいと思います。
なお、従来全く米屋でなかった人間、これを米の流通の仕事の中に拾い込んで、そういういわば新しい人が入ってくることによって切磋琢磨すると申しますか、競争原理の導入ということはむしろそれを念頭に置いておっしゃる方があるいは多いかと思います。そういう角度からのものの考え方もあろうかと思いますが、米の配給の問題はやはり配給
制度の維持という
一つの行政目的にも即したものでございます。これにあまり乱暴に新しいものを導入することによって、そこから、その衝撃をもって
合理化のきっかけにするといういき方はこの際適当でないというふうに思います。ただ、既存の卸、小売りの中であまりにも硬直的な形でやってまいりましたものを、この際できるだけ
動きやすいと申しますか、時宜に適したものにいたしたいというのが念願でございます。
ただ一点だけ、これは
関係の地方自治体とも相談いたしておりますので、あるいはお耳に入るかと思いますが、人口急増地帯という問題が出ております。これまでの田園地帯に、数年間に突如として十数万の消費人口ができるといったようなことがございます。こういうところに配給の仕組みをつくる場合には、必ずしも既存のお米屋さんだけにこの受配人口を渡す必要はないのじゃないか。これはやはり公平という原理から考えても、そこには何らかの配慮があってよろしいではないか。その点、これまで戦後やや長く続いてまいりました配給
制度の一般論の陰に隠れて、そういう人口急増地帯の既存の米屋さんが既得権を持つというようなことがあったようでございますが、この点については、全然米に未経験の人を入れようとは思いませんけれ
ども、その経営の中に必ず米の配給について経験のある人が参加するということは条件として、やはり新しい形の米の配給機構を、そういう人口急増という形での新しい団地などに導入することについては、これは十分研究する価値があるのではないかというふうに思っております。それ以外の一般的な形としては、部外者を入れてまで競争を激化するということは、私
どもとしては
検討の対象にいたさないというつもりで研究いたしておる次第であります。