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1968-05-08 第58回国会 衆議院 農林水産委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月八日(水曜日)    午前十一時八分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 草野一郎平君    理事 熊谷 義雄君 理事 坂村 吉正君    理事 森田重次郎君 理事 角屋堅次郎君    理事 兒玉 末男君 理事 稲富 稜人君       小澤 太郎君    小山 長規君       田澤 吉郎君    田中 正巳君       丹羽 兵助君    本名  武君      三ツ林弥太郎君    山中 貞則君       粟山  秀君    赤路 友藏君       伊賀 定盛君    工藤 良平君       佐々栄三郎君    柴田 健治君       西宮  弘君    美濃 政市君       森  義視君    神田 大作君       中村 時雄君    斎藤  実君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林大臣官房長 檜垣徳太郎君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君  委員外出席者         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林大臣官房企         画室長     小沼  勇君         農林省農地局管         理部長     中野 和仁君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農業振興地域整備に関する法律案内閣提出  第一〇一号)  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正  する法律案起草の件      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、去る三月二十八日、本委員会において、畜産物安定価格市場間格差等を撤廃するよう、畜産物価格等に関し決議を行なったのであります。その趣旨にかんがみ、先般来より各党間におきまして御協議を願っておったのでありますが、今般、各党意見の一致を見、お手元に配付いたしてありますとおりの起草案を作成した次第でございます。     —————————————
  3. 足立篤郎

    足立委員長 その内容は、  一、政府の定める指定食肉安定価格は、全国の主要な消費地中央卸売市場における価格とする。  二、その他の中央卸売市場における買い入れ価格は、買い入れる必要が生じた場合において、そのつど、政府の定める安定基準価格を勘案して定めることとする。 以上であります。  詳細な内容等につきましては、案文により御承知を願いたいと存じます。     —————————————
  4. 足立篤郎

    足立委員長 起草案について、別に御発言もないようでありますので、お手元に配付いたしてあります畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の草案を本委員会成案と決定し、これを委員会提出法律案といたしたいと存じますが、これに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  5. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、本案を成案とし、委員会提出法律案とすることに決しました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 足立篤郎

    足立委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、農林水産業振興に関する件、特に、乳価問題について参考人出頭を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人の人選、出頭日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、暫時休憩いたします。    午前十一時十一分休憩    午後二時十七分開議
  10. 足立篤郎

    足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農業振興地域整備に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。工藤良平君。
  11. 工藤良平

    工藤委員 私は、農業振興地域整備に関する法律案につきまして質問をいたしたいと思います。  まず第一番に、本法案が出てまいりました背景と申しますか、特に、農業が年々過疎地帯を生じているというような状況の中で、この農業振興地域整備に対しましての関心というものが高いわけでございまして、したがって、この法案が出されてまいりました背景について、まず大臣からお伺いをいたしたいと思います。
  12. 西村直己

    西村国務大臣 お答え申し上げます。  この法案を出しましたごく中心思想と申しますか、考え方は、もう申し上げるまでもなく、経済が非常に発展をしてきている。これはまた、ある意味から言えば近代国家としての一つ経済趨勢でもあると思うのであります。しかし同時に、その行き方について、必ずしも十分調和のとれた行き方でなかったかもしれませんが、いずれにいたしましても、その結果として工業伸びる。こういうような工業開発が進むとか交通網が進んでまいるとか、それで都市化現象というのが非常に強くなってくると、それ自体はそれ自体一つ調和がとれればいいのでありますが、それと関連いたしまして、無秩序ないわゆるスプロール現象的なものが各方面に発生をしてまいる。そうすると、おのずからそこで農地に対する無秩序な壊廃とか土地利用度というものが低下をするというようなこと、こういうような農業経営上のいろいろな悪い影響面が出やすいような状況というものがあるわけであります。  そこで、こういう地域農業に対しまして、これに対しての各地域地域でいろいろ農民諸君も、また私ども政府といたしましても、農業政策の推進ということは努力はいたしております。しかし、たとえば個々の農家だけ、あるいは個々地域だけ、地域のうちの一つの範囲だけががんばろうと思いましても、必ずしもそれだけでは、波をかぶりましてがんばれない。そこでもって、一つの大きな地域、あるいは国をあげての一つ方向として、農業中心として立地していく地域というものを明確化していこう。そこで、農地の造成あるいは保全、形成、それからくる諸般の施策というものの基盤をまず明確化しよう、一口に申しますと、そういうようなところから私はこの法案を立案し、皆さまに御審議を願う。なお、だんだんに、ひとつ御質問の過程におきまして細部は御説明申し上げたいと思います。
  13. 工藤良平

    工藤委員 ただいま大臣から御答弁をいただいたわけですが、一つには、高度成長政策の中で非常に都市集中という現象があらわれてきた。それに伴って、必然的に都市近郊農業というものが漸次後退をしていくといいますか、壊廃をしていく、こういう実態というものが確かにあるわけであります。この法案目的なりあるいは整備原則なりというものを検討してみましても、そういう点が確かにはっきりとうかがえるわけであります。  しかし、問題は、このような都市近郊農業への侵食というものに対しての一つの対策として、この農業振興地域重点的に考えていくのか。むしろ、より積極的に農業政策の部面として、私どももちろん基本法そのものについて若干異議があるわけでありますけれども基本法目的等からいたしましても、農業振興というのは当然取り上げてまいらなければならないわけであります。そこら辺の考え方を、もう少し明らかにしていただきたいと思います。
  14. 西村直己

    西村国務大臣 それはおっしゃるとおりでございまして、私どもは、単に都市から押えつけられてきたから消極的にこれを守るという姿勢よりは、むしろ農業基本法等をもとにいたしまして、農というもの、あるいは国民食糧安定供給、それに関連する人たちの生活の向上、これは当然の私ども使命であります。したがって、そういう面からも農というもの、あるいは個々作目について、国をあげまして、国土総合利用の体系の中において農業立地と申しますか、そういうような姿勢一つはいくべきだ。それと、それから一つは、高度成長に伴う弊害、両面をつかんでやっていくべきだ。そういう思想のもとにこの考え方は出ている、こう御解釈を願いたいと思います。
  15. 工藤良平

    工藤委員 したがいまして、この農基法目的、あるいは農基法の第八条、第九条、こういった面から新しい農業振興地域整備のこの法律案目的、そして整備原則、こういうものを照らし合わせて考えてみますと、どうもちょっとぴったりこないような感じがするわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
  16. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 農業基本法は、申し上げるまでもございませんで、日本農業の向かうべき方向基本を示したものでございます。その中で、御指摘になりました八条では、農産物需要生産長期見通しについて、国はその検討の結果を明らかにして公表すべきである、それがわが国の農業一つ行き方方向というものを見出すための基本的な資料となるものであるというふうに理解をされるのでございます。第九条は、そういうような需給の見通しのもとに立って、農業生産の選択的な拡大が行なわれるべきであり、また、農業生産性向上なりあるいは農業生産増大をはかるために、基盤整備であるとか、あるいは技術の高度化資本装備増大農業生産調整等必要な施策を講ずるべきであるということをいっておるのであります。  そこで、ただいま大臣から御説明を申し上げましたとおり、限られた国土資源、そういうものの上でこの農基法の線を貫いていこうといたしますならば、農業生産の基礎になります土地に着目いたしまして、農業振興すべき土地を確定するということと、その土地の高度の利用をはかっていく、そのための整備方向を明確にしていく。それで、農用地保全開発、その農用地における農業振興計画的に進めていこうということが、この法律目的でございますので、私どもとしては農基法の精神に沿って、現在の情勢に対応して新しい計画的土地利用方向を見出そうという考え方でおるわけでございます。
  17. 工藤良平

    工藤委員 私は、先般の建設委員会との連合審査会におきまして、農林省考え方を若干お聞きをしたわけでございますが、あの質問の中でも、農林省が現在実施しております土地改良長期計画を見ましても、大体、現状維持という傾向が非常に顕著ではないだろうか、こういうように理解をしたわけでございますが、この農業基本法の前文に書かれております考え方なりあるいは第九条の考え方というものは、もちろんこのものについては若干問題がありますけれども、「農業生産選択的拡大農業生産性向上及び農業生産増大を図る」ということが明確にうたわれているわけであります。今回のこの目的、それから整備原則というものを私、何べんも読み直してみたわけでありますが、そこには意欲的な、積極的な考え方というものがあるのかどうかということを疑わざるを得ないわけであります。  たとえば、確かにいろいろな経済的、社会的諸条件を考慮して総合的に農業振興をはかる、あるいは合理的にどうだ、こいううことが書かれているわけであります。しかし、そこには、農業基本法よりもむしろ後退をした、消極的な法案ではないだろうかという解釈に私は立つわけであります。その点について、いま一度考え方をお伺いしたいと思うのです。
  18. 太田康二

    太田説明員 先生のおっしゃる御趣旨は、おそらく、この法律案農地保全に非常に力を置いていて、農地開発等についての重点の置き方が不足しておるのではないかというお話であろうかと思うのでございます。  そこで、この法律の条文に即しまして、決してそういうことではないという点について、私のほうの見解を申し述べたいと思うのでございますが、まず第二条で、先ほど先生のおっしゃいましたように、「農業振興地域整備原則」というのがございまして、そこでは、「国土資源の合理的な利用見地からする土地農業上の利用と他の利用との調整に留意して、農業近代化のための必要な条件をそなえた農業地域保全し及び形成すること」ということが整備原則になっておるわけでございます。そこで、ここに書いてあります「農業近代化のための必要な条件をそなえた農業地域」と申しますのは、農業生産基盤となる農用地をわれわれのほうといたしましては十分に確保いたしまして、その上で、先ほどお話の出ましたような農業生産性向上あるいは総生産増大生産選択的拡大などの、いわゆる農業近代化のための必要な条件を備えた農業振興地域保全することと、形成することということが整備原則になっておるのでございます。  それから第四条で、農業振興地域整備基本方針都道府県知事が定めることになっておりますが、その第二項におきまして、当然農業振興地域における農業生産基盤整備及び開発に関する基本的な事項を定めることになっておるのでございまして、県知事が定める農業振興地域整備基本方針は、当該県におきます農業の将来の振興に関する基本的な計画でございまして、その際、当然生産基盤開発に関する基本的な事項も定められるのでございます。  これを受けまして第六条で、「農業振興地域指定」というのが行なわれるわけでございますが、この際、当然その指定の要件といたしまして、開発観点からも地域指定ということが、整備基本原則に即して行なわれるわけでございまして、二項の一号あるいは三号等を見てもらいますと、当然開発という観点を積極的に取り入れて、地域指定が行なわれるということになっておるのでございます。  さらに、地域指定が行なわれますと、第八条で市町村が、その振興地域についての整備計画を定めることになっておるのでございますが、その整備計画の第二項の第一号、第三号等を見ていただきますと、これまた開発という観点からの計画が立てられるわけでございまして、特に、第十条の三項で「農用地利用計画」というのが定められるのでございますが、これは積極的に、新たに農用地等とすることが適当な土地も含めまして、農用地利用計画というのが立てられるわけでございます。  さらに、この実効を確保するために、第十四条、第十五条等で、それぞれ市町村長の「土地利用についての勧告」あるいは「都道府県知事の調停」等の規定もあるわけでございまして、国有地につきましても、これを積極的に開発して農地にするというようなたてまえから、第十一条の第九項におきまして、市町村国有地を含めての農用地区域というものを定める道も開いておるのでございまして、さらに第二十二条の二項におきましては、国有林野等につきましても、ただいままで申し上げましたような趣旨に即しまして、農業振興地域における農業振興に資するために、積極的にこれを活用するというようなこともうたっておるのでございまして、決して、保全のみに力を入れて、開発については重点が置かれていないのではないかというようなことはなかろうというふうに考えておるのでございます。
  19. 工藤良平

    工藤委員 大体わかりました。  そこで、この整備原則の中で、「国土資源の合理的な利用見地からする土地農業上の利用と他の利用との調整に留意して、」云々、こう書いてあるわけでございますが、特にこの中で、他の利用との調整に留意するということが強調されているわけでありますが、この点については、先ほど大臣からもお話がありましたように、都市近郊における侵食その他の関係から、それらの点が当然配慮されなければならないと思うわけでございますが、ただ、基本的な考え方として、「国土資源の合理的な利用」というそのことばによって、むしろ工業立地なりあるいは都市近郊優先という立場というものが、これは経済効果の点からいっても、当然農業に対するしわ寄せというものがくるのではないだろうか、こういうように考えられるわけであります。その点については、いま太田参事官のほうから御答弁がありましたが、より積極的な農業政策の一環としてこの問題をきちんと位置づける、このように理解をしてよろしゅうございますか。大臣、その点を明確にひとつ冒頭に御回答いただいておきたいと思います。
  20. 西村直己

    西村国務大臣 お説は、結局農業に対して、どの程度積極的な姿勢でもって農業振興地域というものを指定し、あるいはそれに対して整備方針または整備計画等を立てた場合に、開発重点が置かれるか、こういう点であります。もちろん、私どものほうは、先ほど簡単なことばで申し上げました農業立地という思想を明らかにしてまいる。当然そこでもって、農業に関する諸施策というものは、すべて優先的にあるいは重点的に行なわれるということでございます。今日までももちろんそういうような思想のもとに行なわれてはおりますけれども、ややもするとそれが、部分によっては薄く広くというようなところもあったろうと思います。それをより集約的に、優先的に、扱いやすいような土地利用区分と申しますか、土地政策というものの根拠ができる。そういう意味では、私どもは農政の上で非常な意義がやはりあるのではないか、こう解釈をいたしております。
  21. 工藤良平

    工藤委員 この要綱の中でも示されておりましたけれども、この法案一つ背景として、さっき若干御答弁がありましたが、需要の動向に即応いたしまして、農産物の安定的な供給生産性の高い農業経営の育成を目標としてこれを実施する、こういうことがうたわれているわけでありますが、そういたしますと、食糧自給体制といいますか、そういう問題については一体どのようにお考えになっておるのか、お聞きをしたいと思います。
  22. 西村直己

    西村国務大臣 食糧自給体制につきましては、この委員会を通しましてもしばしば御質問にお答えをいたしておるわけでありますが、御存じのとおり総合食糧自給度、これ自体も上げなければなりませんが、個別の自給度というものに着眼をしてまいりたい。もちろん、その中で主食の自給度、これはさらにまた前進をさせる必要がありますが、それ以外に、選択的な拡大目標になっております果樹あるいは蔬菜、さらには酪農面におきまして、飼料作物であるとかさらには酪農自体、あるいは動物たん白資源のための諸施策というものによって、自給度を高めてまいる。  そこで、農業基本法八条で需要及び生産長期見通しを立てるということになっておりますが、この長期見通しが、たしか三十七年につくりましたものが現在あるわけでありますが、それ自体が、経済情勢も少し違っており、また消費事情も違ってきておる。こういう中でもって私どもはただいま、できるだけ早い機会に、さらにこれを新しい状態に合わせた自給目標と申しますか、そういうものを立てながら、農業基本法の求めておるものをまずはっきりさせていきたい、そして、それとこういうものの実行とを結びつけてやってまいる、こういうのが私ども考えでございます。
  23. 工藤良平

    工藤委員 官房から出されてまいりましたこの資料の二五ページですか、ここに、これは主として食用農産物自給率の推移の統計が出ておるわけでありますが、これは、一見してわかりますように、食糧自給率低下をしている、こういう傾向でございますが、ただいまお話しの農基法でいいますところの長期見通しが近くでき上がるということでございますけれども、この点については、食糧自給率をどの程度に押えようとするのか、これは非常に重要な問題だと思いますから、その点をお伺いしておきたいと思います。
  24. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 食糧自給率につきましては、ただいま御指摘のように、資料の二五ページで示しておるように、漸減をいたしておるのでございます。これは私どもの見方では、農林省といいますか、政府としては、食糧の総生産増大ということに努力をいたし、また、日本農民の方も努力を重ねてまいったと思うのでございます。現に、三十年代前半につきましては、食糧生産伸びは年率三・二%、相当高い伸びを示し、後半に至りまして若干低下をいたしましたが、二・三%ということで、これも世界食糧生産の平均的な伸びからいえば、それを上回っておる生産伸びであります。三十一年は、白書でも御報告申し上げましたように三・八%の伸びであり、四十二年は、対前年度比おそらく八%前後の伸びになるということで、日本農業生産自身伸びは、それほど総体的に劣っておるものではございませんが、経済の異常ともいうべき発展に伴いまして、食糧需要というものも、世界に類例を見ない伸長を示しておるのでございます。その結果として、こういう自給率ということになっておるのでございますが、私どもとしても現在、将来のおおむね十年後の生産需要長期見通しの再検討に入っておるのでございますが、経済伸びいかんによりましては、現在の食糧自給率を維持することも、どうも相当困難であるというふうに見受けられるのでございますが、これは、農業がになっております社会的使命として、食糧安定的供給ということが一つの国民経済的な使命でございますので、私どもといたしましては、できる限り政策的意図も含めまして高い自給度を維持する、あるいは品目によりまして自給度をもっと高めていくというような、生産目標を持つように検討を進めてまいりたいと思うのでございます。  ただ、結果としてどういう目標を持つかということは、現段階では、ちょっと申し上げられる段階でございませんので、残念ながら明言いたすことができないのでございますが、基本的な思想としては、ただいま申し上げたような考え方でおるわけでございます。
  25. 工藤良平

    工藤委員 農基法に基づいて、三十七年にいま言ったように長期見通しを立てた。それを変更せざるを得ない。変更しようとするならば、それは八〇%というものを八五%、九〇%と伸ばしていくのか、あるいは財界からの要請があるように、七五%なり七〇%ということにして、農業をその計画の上に乗せようとするのか、そこらあたりをひとつ明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  26. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 これは、農業の理想的な形としては、自給率は高ければ高いほどよろしいということであると私は思うのでございます。若干へ理屈めいたことに相なるかと思うのでございますが、農産物自給率の問題は、農業自身の問題でありますと同時に、その国の経済体質の問題にかかわると思うのでございます。ごく素朴に申し上げまして、食糧自給率の高い国ほど経済体質は健全であるというふうに思われますので、私どもとしては、できる限り高い自給率を持つように、政策方向を持つべきであるというふうに考えておるのでございます。  ただ、総合自給率の問題は、実は計画それ自身計数的にも非常にむずかしいものでございます。私どもといたしましては、農産物のうち主要な作目について、たとえば米でございますとか、あるいは野菜、果樹、あるいは畜産物等、私ども部内では戦略的部門ということを言っておるのでありますが、そういう主要作目については、自給度をさらに高めていくという考え方見通しも立て、また、見通しに基づいた目標を持ちたいというふうに考えておるのでざいます。
  27. 工藤良平

    工藤委員 自給度の問題については、私は農業考える場合に基本的な理念であろうと思う。したがって、私が先ほどから指摘をしておりますように、この目的の中に食糧自給度を高めるという姿勢は見当たらないと思いますが、これは故意に落としたわけでございますか。当然これは積極的に食糧自給度を高めるという視点に立って、農業振興地域整備に関する法律案というものは出てこなければならない。目的なりあるいは整備原則というものには、その点をうたっていない。そのことをひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  28. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 この法律案において、食糧自給率の問題あるいは農業生産増大の問題に触れてないことは、御指摘のとおりでございます。私どもとしては、実は自給度の問題なりあるいは総生産増大なりの問題は、すでに農業基本法で明確にされておる事柄でございまして、この農業振興地域整備に関する法律案については、そのための生産基盤になります土地の問題についてさらに高度利用を行ない、また、農業用地として利用すべき土地開発の問題を体系的に、全国にわたりまして整備してまいろうという考え方でございますので、その点についての文句は、当然の前提として考えておりましたので、この法律案自身の中に、文言としては入れていないのでございます。
  29. 工藤良平

    工藤委員 農業基本法の理念に基づいて、その具体的な一つの方策としてこれが出てきた、こういうことになりますと、これはむしろ、一環としてここに出てきても当然のことじゃございませんか。私はそういうように感じますが……。
  30. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 私は、この中にそういうような、何といいますか、この法律案自身の前提になるような文言あるいは意識というものが加わって悪いとは思わないのでございますが、一条で、「農業の健全な発展を図る」ということは、より包括的な意味で、ただいま御指摘のありましたような食糧の総生産増大というものを含めて表現をいたしておるつもりでございます。
  31. 工藤良平

    工藤委員 そういうことになりますと、これは議論をしなければならぬわけでございます。たとえば、「総合的に農業振興を図る」とか、あるいは「農業の健全な発展を図る」、確かにこれは一つの表現ではあろうと思いますが、しかし、この中にはいま言ったように、農業基本的な理念である食糧自給度を高めるという精神というものはないわけです。農業の健全な発展というのは、たとえば、自立農家というものを若干育成をすれば、それは農業としては、部分的には健全な発展をはかったということになるかもしれません。ですから、私は総合的なとか健全なということ自身は、やはりことばのあやというものがあるような気がするのです。そこにはやはり農業姿勢というものがはっきりきちんとしていなければ、いま言ったように、都市からの侵食によって農業というものは壊滅をしていく、こういう立場というものは当然起こってくるだろうと思います。  ましてや、これからの農業というものは、米、麦中心ではなくて、消費の傾向に応じて畜産なり果樹という方向に行くとするならば、ますます広大な用地というものを必要とすることは当然のことなんで、農業をやっている者は、だれでもそういうことを理解しているわけです。そういたしますと、ここにやはり積極的な部面というものはどうも見受けられない。さっき申した要綱の中には、農産物の安定的な供給ということがうたってあるわけでありますから、これはやはり目的かあるいは整備原則の中に当然入れるべきじゃないか。もう一ぺんこの点を私はお伺いしたいと思います。
  32. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 私は、御指摘基本的な考え方というのは、まさにここで反論を申し上げる何ものもないと思うのでございます。ただ、一つ法律を成文化いたします場合に、その法律の位置によって、法律目的というものをどのように表現するかは、一つのテクニックの問題であろうかと思うのでございます。農業の健全な発達ということには、個々の経営の強化の問題もございましょうが、ここで法律農業の健全な発達といっております限りにおいては、これは日本農業全般のことを表現いたしておると理解せざるを得ないのでございまして、私どもとしては、いまの御指摘のようなことを前提としつつ、こういうような表現をとりましたということを申し上げて、御理解を得る以外にはなかろうかというふうに思うのでございます。
  33. 工藤良平

    工藤委員 そういうことになりますと、いろいろな農業法律がありますが、その前文にはみな同じことを書いているのですよ。たとえば、農地法だってあるいは農業構造改善事業促進対策実施要領だって、すべての法律を見てみなさい。趣旨目的なんというものはほとんど同じことが書いてある。それじゃ、農業基本法があればそういうものは要らないということになりますか。
  34. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 私がただいま申し上げましたように、その法律目的とする事柄が何であるかということの視点のきめ方によりまして、表現上テクニックの相違がある。したがって、農業基本法に「農業生産増大」ということを通じて自給度の問題をあげているからといって、一切の法律に、その目的として、農業生産増大あるいは自給度向上意味するような文言が入って悪い、あるいはそれが間違いであるというようなことはないと私は思います。
  35. 工藤良平

    工藤委員 そうでありますから、この農業振興地域法案が、いま言うように、都市からの侵食に対する防衛的なものではなくて、より積極的な農業政策基本として、その具体的な一つの方策として打ち出したとするならば、当然その文言は入ってしかるべきじゃないか。それがほんとうの農林省姿勢ではないのか。私はそのことをただしているのです。いかがでございますか。
  36. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 基本的な農林省考え方姿勢という点につきましては、私どもは、ただいま工藤委員のおっしゃられた方向と、何ら異にするものではないのでございます。
  37. 工藤良平

    工藤委員 それでは、若干内容に入りたいと思いますが、先ほど農基法農産物長期見通しを変更せざるを得ない、こういうようなお話もございましたが、この長期見通しの変更をしなければならないという状態のもとにおいて、それでは、この法律案でいうところの振興地域については、一体どのような程度の指定をなさろうとするのか、お伺いをしたいと思うのです。
  38. 太田康二

    太田説明員 実は、この法制全般を見ていただきますとわかりますように、あらかじめ国が、これだけのものが必要だからこれだけの地域指定するというような体制はとっていないわけでございますが、かりに私のほうで、この法律案にございます農業振興地域指定の基準等に照らして、あくまでこれは机上で考えたものでございますが、おおむね市町村数にいたしまして、三千市町村前後が対象になるのではないか、そこでカバーされる農地の面積としては、五百七、八十万ヘクタールが対象になるのではないかというふうに、一応机上の計画ではそういうふうに相なっておるのでございます。
  39. 工藤良平

    工藤委員 それらの三千市町村、五百七十万ないしは五百八十万ヘクタールを、どのような計画で具体的に実施されようとするのか。
  40. 太田康二

    太田説明員 われわれの考え方といたしましては、かなり精密な調査を要し、これを具体化して事業化するということについては、相当の時間がかかるかと思うのでございまして、地域指定等の考え方につきましては、おおむね十年くらい先を見通しての計画として地域指定をしていただく。そこで、実施いたします整備計画の事業等については、おおむね五年間くらいで実施されるものということで考えております。  具体的には、地域指定は昭和四十三年度、この法律が通りますれば、それを初年度といたしまして、五カ年くらいで地域指定を終わりたいと考えております。現に、昭和四十三年度の計画といたしましては三百市町村地域指定の対象市町村考えておりまして、そのうち九十二市町村につきましては国と県とが助言、協力をいたしまして、具体的に整備計画を立てていただき、四十四年度から事業化の予算を計上いたしましてその事業化に入ってまいる。残りの二百市町村につきましては、四十三年度には調査を実施していただきまして、整備計画の樹立につきましては四十四年度にお願いをする。要すれば、先ほど申し上げましたような市町村につきましておおむね五カ年間で地域指定を完了したい、かように考えておるのでございます。
  41. 工藤良平

    工藤委員 この地域指定の際に、先ほど都市計画法との関係等もございますけれども、現在の傾向というものをながめてみますと、この資料の四ページ、五ページにかけまして耕地の拡張、壊廃及び転換面積それから地域別の面積の内訳が出ているわけでありますが、この資料によりますと、一般的な傾向として、北海道、東北、九州というものが漸増していき、他の地域壊廃の度合いというものが非常に激しいようでございますが、この原因について若干お伺いをしたいと思います。
  42. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 御指摘のような傾向は、まさにそのとおりでございますが、その原因は、申し上げるまでもないと存じますけれども、いわゆる経済成長に伴いまして人口の都市集中が行なわれ、あるいは工業の大都市周辺への集中ということがまた行なわれておるということから、住宅地あるいは工場用地等のための土地需要が旺盛な地域壊廃が大きくて、かつまたそういう地域については、新しい開発の余地も乏しいということから、総体的に土地面積の減少が顕著にあらわれておるというふうに見ておるわけでございます。
  43. 工藤良平

    工藤委員 この点は、今後の農業政策方向というものと一体どのような関連で考えたらいいのか、そこら辺をお伺いしたいと思います。
  44. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 きわめて基本的な、かつ困難な御質問でございますが、私ども、今後日本農業全体が、おそらくいろいろな社会経済情勢の変化に対応いたしまして、地域農業の様相が変わってくるのではないだろうかというふうに考えておるのでございます。したがいまして、いわゆる工業地域等につきましては、これは一種の都市近接地域農業としての発展の道をたどるであろう。いわば集約的農業、集約的な畜産というものの立地の性格を強めるだろうし、さらに、それに反しまして、北海道、東北あるいは北陸、九州等については純農業地帯としての性格、したがって、日本農業全体における重要性というものが、そういう地点に負荷されていく傾向をたどるのではないだろうかというふうに考えておるのでございます。
  45. 工藤良平

    工藤委員 いまの問題と関連をいたしまして、特に第四条の四項、「農林大臣は、都道府県知事に対し、農業振興地域整備基本方針の作成について、国の農業に関する施策の適正な実施の見地から必要な勧告をするものとする。」こういうように書かれているわけでありますが、これは、都道府県知事が、この方針に基づいてそれぞれ農業振興地域整備についての計画を進めていくわけでございますけれども、この際に、「国の農業に関する施策の適正な実施の見地から必要な勧告をするものとする。」こういうことになっているわけでございますが、これは具体的にはどういうことになるわけでございますか。
  46. 太田康二

    太田説明員 実は、この法制におきましては、先ほどもちょっと触れたのでございますが、農業振興地域整備基本方針というのは、その県におきますところの農政の方向を定める基本的な方針になるわけでございます。そこで、この基本方針は、当然国の農政の方向との斉合性を保っていなければならないということで、基本方針の作成につきましては、機関委任事務として都道府県知事にこの事務をまかせておるのでございます。  そこで、いま先生指摘の第四項で、農林大臣都道府県知事に対しまして、「農業振興地域整備基本方針の作成について、国の農業に関する施策の適正な実施の見地から必要な勧告をするものとする。」ということがございますのは、たとえば、国全体の農産物の需給の現況あるいは将来の見通し等に基づきまして、各都道府県におきまして、土地農業上の利用方向につきまして、それぞれの地域の特性に応じまして伸ばすべき土地利用は伸ばす、たとえば、草地なんかを大いに造成する必要があるというような場合もありますが、あるいは逆に、押えるべき土地利用は押えるということも、当然需給の観点から出てくる場合があるわけでございます。そういった場合には、農林大臣といたしましては、この農業振興地域整備基本方針というものが、当該県におきます農業振興のための基本的な方針でもありますし、それが同時に、先ほど申し上げました国の農政の方向との一体性を保つというような意味合いにおきまして、いま申し上げたような勧告をするという場合が出てくるかと考えるのでございます。
  47. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、国の農業に関する施策の決定というものは、非常に重要な役割りをしてくるだろうと思います。この計画というものは、そういたしますと、毎年示されてまいるわけでございますか。いま言ったように、十年なら十年という一つの区切りの中で計画を示し、場合によっては変更せざるを得ないというような場合もありましょうけれども、そういう長期見通しをきちんと立てて指導調整をされるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  48. 太田康二

    太田説明員 先ほども申し上げたのでございますが、農産物需要生産長期見通しにつきましては、目下農林省で鋭意検討中でございまして、これらの確定を待ちまして、いま考えておりますのは、この法律案全体がおおよそ十年くらい先を見通しての計画ということに相なっておりますので、これによって指導いたしてまいりたい、かように考えるわけでございます。  そこで、先生お尋ねのように、年々の変動があるではないかというようなことも実際には起こり得るわけでございまして、農産物の需給事情の変化、あるいは農業技術の進歩によりますところの生産適地の拡大、あるいは地域内における工業化、都市化が予想外に非常に進展したというような年々の変動もあり得るわけでございまして、これらにつきましては、この法律上第五条で、「農業振興地域整備基本方針の変更」という形で、「経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、農業振興地域整備基本方針を変更するものとする。」とあって、なお、その手続につきましては、基本になりますところの整備基本方針を定める手続に準じた手続によりましてやってまいるということでございまして、これらの変更等の場合におきましても、やはり、農林大臣の必要な見地からの勧告ということも、法文上はあり得るわけでございます。
  49. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、先ほどの問題に戻るわけでございますが、全体的な農地利用状況なり壊廃の状態というものを配慮していくと、やはり農業の地帯別の指導というものが相当重要になってくるのではないだろうか、こういうように思うわけでありまして、この農業振興地域指定についても、そういった面で、都市計画法との間に調整が非常に困難になってくる部面というものが出てくるのではないだろうか。こういうことが、先般来から論議をされているわけでありますが、その点についての農林省考え方をお聞きしたいと思います。
  50. 太田康二

    太田説明員 この法律案で、都市計画との関係についての取り扱いについて申し上げますと、いつも条文に即して申し上げてたいへん恐縮でございますが、まず、第四条第三項におきまして、都道府県知事の定めますところの農業振興地域整備基本方針は、都市計画との調和が保たれたものでなければならないということで、まず、都市計画との調和国土の有効利用という見地から地域指定等が行なわれるわけでございますので当然、都市計画との調和ということを一つうたっておるのでございます。  それから、第六条の三項におきまして、都道府県知事整備基本方針に基づきまして地域指定をいたすのでございますが、その際、「農業振興地域指定は、都市計画法第七条第一項の市街化四域と定められた区域で、同法第二十三条第一項の規定による協議がととのったものについては、してはならない。」これは御承知のとおり、都市計画法におきまして、市街化区域というのは第七条にございまして、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」ということになっております。しかも、新都市計画法案の第二十三条におきまして、建設大臣あるいは都道府県知事が市街化区域に関する都市計画を定めようとするとき、あるいは認可をしようとするときには、建設大臣なり都道府県知事は、あらかじめ農林大臣に協議しなければならない。したがって、この協議がたいへん重要な意味を持つわけでございまして、先般の連合審査会の際におきましても、農地局長あるいは建設省の都市局長が明らかにいたしましたとおり、集団的に存在している優良農地につきましては、原則としてすべて市街化区域には入れない。逆に、市街化調整区域の中に入ってくるのでございまして、実は、この第二十三条で協議がととのったものにつきましては、この新都市計画法の附則で農地法を直しておりまして、農地法の第四条第一項第五号並びに第五条第一項第三号を直しておるのでございます。  そこで、第四条第一項第五号の改正で、「市街化区域(都市計画法第七条第一項の市街化区域と定められた区域で、同法第二十三条第一項の規定による協議がととのったものをいう。)内にある農地を」省令で定めるところによりあらかじめ都道府県知事に届け出て、農地以外のものにする場合、こういった場合には、農地壊廃の許可が要らないという法制に、実は今回いたそうといたしておるわけでございますので、そういった土地につきましては、やはり長期の農業の立場から考えまして、土地改良投資等をやってまいる土地も含めて考えるということは不適当であろうかと考えまして、農業振興地域指定からははずす。逆に裏返して申し上げますれば、新都市計画法によりますところの市街化調整区域、いわゆる当面市街化を抑制すべき区域につきましては、私のほうといたしましては、建設省とも話し合いまして、原則として当然農業振興地域の対象になるものだ、なおかっこれを積極的に指定をしてまいりたい、かように考えておるのでございます。  それから、あとは十条の「農業振興地域整備計画の基準」ということで、農業振興地域整備計画市町村なり都道府県が定めるわけでございますが、その際、「第四条第三項に規定する計画との調和が保たれたものであり、」ということで、ここにおきましても都市計画との調整という点の配慮をいたしておるのでございます。
  51. 工藤良平

    工藤委員 先ほどの第四条の都道府県知事との関係のところで、もう一つ実は聞きたいと思うんですが、この基本計画の策定者は、あくまでも知事と、市町村が知事を通じて決定をするということになるわけでございますが、先ほどから申しておりますように、全体的な農産物需給の関係という点からいって、しかも、農業の全体的な傾向というものを見てみると、東北型農業とあるいは九州、四国を中心とした暖地農業というように、東北方面は米麦、それから北海道を中心にした酪農、それから九州方面では果樹あるいは肉牛といったような、大体大別できるような形というものが統計上出てきているわけでございますが、そのような場合に、この振興地域に基づいて計画が出てきたこれを、農林省が全体的な調整というのをどの程度やるのか。これは、やはり今後の問題として非常に重要な問題だと思いますし、その点をひとつはっきり伺っておきたいと思うのです。
  52. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 今回のこの法律案の仕組みといたしましては、農業振興地域整備の方針にいたしましても、あるいは振興地域指定にいたしましても、指定地域における整備計画にいたしましても、地方の自然的、経済的、社会的な諸種の条件の上に立って、それぞれの立地に適した方針を定め、あるいは地域指定をし、計画を立てていくという下からの自主的な判断、創意、そういうものによって積み上げていこうという行き方をしておるのでございます。それに対しまして、農林大臣基本方針の作成についての調整に必要な勧告ができるという、農林大臣としては誘導行政の立場をとっております。  そこで、私ども先ほどから申し上げておりますように、一つは、農産物の需給の面からの誘導をする必要がある。また、別の見地からは、この法案にうたっておりますように、国土資源の有効利用という観点からの誘導をする必要があるというふうに考えておるのでございまして、私どもは、まず、この法律が施行されるということになりますれば、これらの基本的な農林省考え方を、それぞれ権限をおろした、あるいは自主的に計画樹立をいたします地方自治団体あるいは地方自治団体の長に対しまして、ものの考え方基本をよく御理解を願うような指導をする必要があるだろうというふうに思っておるのでございますが、需給の問題に関します誘導といたしましては、農産物需要及び生産に対する長期見通しというものに立ちまして、大体において御指摘のように、それぞれの地域農業動向というものがあるわけでございますが、それを総体的ににらみました上で、全体の国としての農業施策というものに、おおむね沿っていくような方向に誘導してまいるということをいたしたいと思うのであります。その際、地域のそれぞれの特性というものを十分念頭に置いた指導をする必要があるだろうというふうに考えておるのでございます。
  53. 工藤良平

    工藤委員 次に、この八条の関係について基本的にちょっとお伺いをしておきたいと思うわけであります。  土地利用区分調整の問題でございますが、すでに建設省から提出されました新都市計画法案は衆議院を通過いたしました。この点の調整については、いろいろ修正もなされまして、農用地の問題につきましても、これが若干の期間認められるということになったわけであります。さらに、通産省におきましては工業立地の適正化法案というものが進められている、あるいは自治省関係につきましても土地利用計画法案検討が行なわれている、こういうことがいわれておるわけであります。この法案の中にも、そういった全体的な調整というものをやらなければならないということで、第四条の三項があるわけですね。それからいま申し上げました土地利用区分の問題については、各関係省庁との協議をしなければならない、こういうことになるだろうと思うのでございますが、その際の各省との調整問題は、非常にむずかしい問題だろうと思いますけれども、一体どのようになされるのか、お聞きをしたいと思います。
  54. 太田康二

    太田説明員 この制度で一番根幹になりますのは、都道府県知事の定める地域整備基本方針であろうかと思うのでございまして、法文で申し上げますと、第四条の第五項で、都道府県知事基本方針を定めようとするときには、農林大臣の承認を受けなければならないことに相なっております。  そこで、農林大臣が承認をしようとする場合には、国の関係行政機関の長に協議しなければならないということに相なっておりまして、この段階におきまして、ただいま先生御疑問を提出されました各省との調整は具体的に行なわれる、かように考えておるのでございます。
  55. 工藤良平

    工藤委員 この土地利用区分の問題とも関連をいたしまして、私いつも疑問に感じますことは、たとえば、農業振興の場合には水の高度利用というのが非常に重要になってくるわけでございますが、この点については、農林省のどこを見ましても、あまり積極的な構想というものはないようでございます。この点については、若干この本旨とは違うかもわかりませんけれども、当然この水の問題については、各省非常に深刻な問題として調整を要する事項でございますが、この点についての考え方も、ひとつお伺いしておきたいと思うのです。
  56. 中野和仁

    ○中野説明員 水の問題につきましては、きょうの御議論にも出ました土地改良長期計画におきまして、いろいろ計画を立てます前提といたしまして調査をいたしまして、末端の圃場整備、それに伴います基幹的なかんがい排水事業というものをいろいろ計画しております。その面から十分織り込んでおるというふうに考えております。
  57. 工藤良平

    工藤委員 そうすると、この水の総合開発総合利用という意味において、その点は農業用水に対して非常に規制がかかるというようなことはございませんか。
  58. 中野和仁

    ○中野説明員 この法律案におきましても、二町村以上にわたるような大きな地域につきましては、知事が計画を立てるというふうにもなっております。その場合に、純粋の農業地帯であれば、農業のことだけ考えればよろしいわけでありますが、工業用水あるいは上水、上工水というようなものとの関連の調整ということも必要かと思います。その辺につきましては、具体的に土地改良長期計画を立てます場合に十分調整をしていかなければなりませんし、また、現にしておるわけであります。
  59. 工藤良平

    工藤委員 きょうはあまりこの点は触れませんけれども、後日、この問題は別途触れなければならないと思います。いま申し上げましたように調整という面になりますと、非常に各省困難な問題が出てくるわけであります。この調整の行き詰まりから、計画がくずれてしまうということがあるわけで、そういった意味で、具体的にこれが実施の段階になった場合に、私は、それが各県段階でできるかどうか、そこら辺が非常に問題があると思うのです。最終的に県で調整がつかずに国の機関でやらなければならぬ、こういう場合に一体どこで調整するのか、そこら辺をもう少し伺いたいと思うのです。
  60. 中野和仁

    ○中野説明員 国の土地改良事業でありますれば、河川の水を引っぱるというような場合には、当然建設省と農林省とが相談をいたします。県営事業でありますれば県段階で、河川の所属の部局と農林部局とが相談をするということで、先ほど申し上げましたように、あるいは工業用水に使うとかその他の場合には、事業としましても総合的にやる場合には、アロケートをしてやるというようなかっこうで現在進めております。
  61. 工藤良平

    工藤委員 それから国土資源の合理的な利用という見地から、第六条にありますけれども、これは直接関連するかどうかわかりませんが、特に沿岸漁業それから林業の問題、この問題については、この法案の中にはもちろん触れてございませんけれども、この農業振興の問題とあわせて、やはり漁業、林業の問題も当然包括すべきではないかという気がするわけでございますが、その点については、もしこれは土地だけの問題だということであれば、あと産業立地の関係とかあるいは自治関係の土地利用計画といったような意味からも、やはり将来、それでは沿岸漁業の問題に対してどうするのか、林業問題についてどうするのか、そういった点をひとつ伺っておきたいと思います。
  62. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 この法律案では、まず対象の土地というものを、農業用地として高度に利用すべき土地ということで限界を引いたわけでございます。したがって、純然たる林野についてはこの法律案の対象としていない。ただ、混牧林その他の木竹の生育と農畜産業との共用部分については、これは対象にするということでございまして、純然たる林業用地については、これはむしろ、林業基本法なりあるいは森林法なりの計画対象として整備されていくべきだということで考えざるを得ないと思うのでございます。  水産につきましても、内水面等については、確かに農業のための条件整備のために影響があるということもございますが、これは、まあたまたまと申しますか、同じ農林水産行政の一環の問題でございますので、接触点における調整の問題は、農林省、農林大臣として十分に配慮した進め方をする必要があるだろうというふうに考えております。
  63. 工藤良平

    工藤委員 次に、この振興地域に対する具体的な指定後における施策について若干お聞きしたいと思うのでありますが、第六条の二項に指定条件が示されているわけでありますが、その一号の中に、「その地域内にある土地の自然的条件及びその利用の動向からみて、農用地等として利用すべき相当規模の土地があること。」こういうことが一つ示されているわけでございますけれども、相当規模といいますと一体どの程度になるのか。具体的な農業、たとえば土地改良事業とかあるいは道路を入れるとか、こういう場合の一つの対象になってくるわけなので、この点ひとつお聞きしたいと思います。
  64. 太田康二

    太田説明員 先ほど官房長が申されたのでございますが、この法律案農用地等の定義を第三条でいたしておるわけでありますが、ここでは農用地等として利用すべき相当規模の土地があるということでございまして、現に農地であるところ、あるいは将来開発して農地にすべきところ、採草放牧地についても同様でございまして、これらを含めまして、地域地域の実情によってそれぞれ違いがあろうかと思いますが、やはり最低のものとしては、そうした開発して農用地とする土地まで含めまして、おおむね二百ヘクタールくらいは期待をいたしたい、かように考えております。
  65. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、この地域指定を受けました地域に対して、重点的に農業施策を実施するということが方針にあったと思うわけでございますが、この点については、具体的にいま実施をいたしております他の法律、たとえば土地改良に関する法律なり、あるいは酪農振興法、あるいは果樹振興法、こういった法律適用の地域のものは、この法律案と一体どのような関係になっているのか、その点をお聞きしたいと思います。
  66. 太田康二

    太田説明員 しばしば申し上げていることでございますが、農業振興地域整備計画が立てられますと、その整備計画に基づいて実際事業が行なわれるわけでございまして、その際、先生指摘のように、農林省では、酪農につきましては、酪農振興法に基づきまして酪農近代化計画を立てる市町村を定め、あるいは野菜等につきましては、集団産地をきめているわけで、それぞれの法律に基づきます計画があるわけでございますが、この農業振興地域整備計画も、当然そういった計画と相まちまして実施さるべきものであろうというふうに考えております。  そこで、それでは具体的に一体どういうふうな援助をするかということでございますが、この整備計画内容を見ていただきますと明らかなように、一号につきましては、農用地利用計画でございますので、むしろこれは直ちに事業とは結びつかないわけでございますが、そういった農用地利用計画が立てられますと、その土地につきまして具体的に農業生産基盤整備及び開発に関する事項がきめられるわけでございます。さらに、そういった整備された土地の上に導入すべき農業近代化のための施設の整備に関する事項がきめられまして、これによって一体的な開発がその地域について行なわれるということに相なるわけでございます。  そこで、現在われわれが考えております内容といたしまして、農業生産基盤整備及び農業近代化施設の整備事業につきましては、農業生産基盤整備事業あるいはその他の各種の補助または融資の事業を、この農業振興地域整備計画を立てました市町村に対しまして、優先的に実施するということに配慮をいたしたいと考えているのでございます。  そこで、最も具体的な問題になりますと、それでは明年度の事業をどうするかということに相なるわけでございまして、これはいずれ四十四年度予算で勝負がつくことになるわけでございますが、農業振興地域整備計画達成に資するための特別事業の対象をどう考えていくかということでございまして、これらを解決することによりまして、積極的にこの整備計画が達成されるようにはかってまいりたいと考えておるのでございます。御承知のとおり、現在構造改善事業が一方で進められておりますが、構造改善事業が四十五年度で終わりまして、四十三年度におきましては、いわゆる次期構造改善対策としてどういった事業を取り上げていくかということで、そのあり方についても目下検討をいたしておるのでございます。そこで、これらの検討の結果を待ちまして、先ほど申し上げました特別事業との関係を検討いたしまして、四十四年度で、まずとりあえず九十二カ町村の分につきましての特別事業の予算化をはかりたい、かように考えておるのでございます。
  67. 工藤良平

    工藤委員 あともう一、二点で終わりたいと思いますが、先ほど冒頭に申し上げましたように、一定率の国民食糧を確保するという積極的な考え方に立つとするならば、特に都市近郊農業壊廃をしているという現実をながめますときに、これからの農業というものは、どうしても奥地に入らざるを得ないという傾向をたどるのではないか。そういたしますと、基盤整備をはじめといたしまして、相当大量の政府資金というものを投入しなければならないだろう、こういうように予測をされるわけでありますが、この点については、特に都市近郊農地の値上がりというものが、一つには、規模を拡大していこうとする農家の意欲を阻害していく。それはこの資料にもありますように、都市近郊からだんだん山間部に向かってまで、農地は漸次高騰しておるという状態でありますので、こういう面については、相当思い切った農業施策というものが必要ではないだろうか、こういうように考えるわけであります。もちろん、九十二カ町村を重点的にやるということ、しかし三千市町村指定するということでありますから、これは実に長期的な展望に立たなければならないわけでありますけれども、しかし、現実にはそう十五年も二十年もというわけにはいきませんでしょうし、早急な対策というものが必要だろう、思い切った農林政策というものが必要だろう、こういうように考えるわけでありますが、この点については、ひとつ農林大臣の積極的な御答弁をいただきたい、こういうように考えております。
  68. 西村直己

    西村国務大臣 一つは、土地を確保して農業立地というものの明確化をはかってまいりたい。問題は、まだその先にいろいろ、農業の経営規模の拡大をしていかなければならない。それには、地価の問題というのが一つ絶えずついて回る。ただ、これをやることによって、農業としての利用価値というものがやや浮かび上がってくる。近郊農地のごときは、むしろ農業というよりは期待価値、転用価値と申しますか、そういうものに中心が移りつつある。それをひっくり返しますと、農業壊廃になってきている。したがって、むしろ農業利用価値としておるところに積極的に、さっき申されたような政府関係の農業投資等を重点的にやってまいり、厚みを増す。そして、そこに正しい意味の、農地として利用価値のある地価を維持していく、また、地価がある程度維持されてもいいんじゃないか。近郊農地としては、市街化区域では、当然市街化としての扱いを受ける方向へいくでしょうし、それから近郊農地としては、むしろ近郊農地としての必要な限度のことは、もちろん農地としてもやりますが、それにふさわしい蔬菜、園芸であるとか、採算の合う農業一般のものでやっていただければ、いまのような形でやるよりは全然いい。  おっしゃるとおり、これは相当な決意をもってこれを指定し、計画を立てさして実行に移していくには、相当な公共投資というものはあってしかるべきだ、こういうふうな考えでございます。
  69. 工藤良平

    工藤委員 いま一つの問題は、農地の確保なり、いま言ったように積極的な生産段階における施策というものが必要になってくるわけでありますが、それと並行的に、アフターケアの問題について一体どうするのか。これは私ども、現実に農業を経験いたして痛切に感じますことは、たとえば、大分の久住の開発に四百億にのぼる開発の青写真をつくろうとしておるわけでありますが、私ども確かに成功する、いいだろうということを感ずるわけです。私も現場を先週見てきました。しかし農民がついてこない。なぜなのか。やはり農林行政に対する不信と言えば言い過ぎるかもわかりませんが、それに飛びついてみてもはたして成功するだろうかというので、やりたいんだけれどもなかなか飛びついてこない。だれかやって成功すればおれたちはついていくぞという、この農民感情というのがたくさんあるわけです。農林行政の中におけるアフターケアの問題について、私は積極的な、具体的な政策というものを打ち出す必要があるんじゃないか、こういうように考えるわけであります。  先般の総合資金制度の際にも、私はその点を強調いたしましたが、特にこれは全体的な農業政策の中でぜひ必要だ。そのことがなければ、どんなにりっぱな法律をつくってみても、農民がより積極的な農業を経営しようとする意欲を失う、こういうように考えるわけで、その点についての対策を、最後の御答弁としていただきたいと思います。
  70. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 新しい農業開発にいどみます場合に、何らかの危険を感じて、なかなか踏み切りがつかないということは、しばしば起こる事柄でございますが、それに関連いたしまして、御指摘のようなアフターケアの問題について、万全の措置を考えるべきであるという点は、まさに同感でございます。  アフターケアと申します場合には、開発後における営農指導の問題でありますとか、あるいは営農資金の問題でありますとか、あるいは生産物の流通の問題でございますとか、あるいは運転資金の問題でありますとか、いろいろあろうと思います。これらについては、一々私のほうで、これはこういうふうにするということではございませんが、まさに全体的にその問題が、新しい農業開発のあとにくる問題として、当然考えられ、用意されなければならないという点については、私どもも十分念頭に置いて、政策の展開をはかっていきたいというふうに思っております。
  71. 工藤良平

    工藤委員 本日はこの程度にいたしたいと思いますが、総括的な点だけについて基本的にお伺いをしたわけで、具体的な事項については、また機会をあらためていろいろお聞きをいたしたいと思いますので、本日はこの程度にして終わりたいと思います。
  72. 赤路友藏

    赤路委員 ちょっと一点だけ関連してお聞きいたしますが、国土総合開発との関連はどういうふうに考えておりますか。
  73. 檜垣徳太郎

    檜垣政府委員 国土総合開発の関係で、抽象的な計画としては、この法案の中でも第四条の第三項で、農業振興地域整備基本方針というものが、国土総合開発計画というものと調和をとれたものでなければならないということをいってるのでございますが、これは抽象的計画でございます。  国土総合開発につきましては、わが全国土の自然的な条件、あるいは経済、社会、文化等に関する施策等の総合的な見地からの利用開発保全、それから産業立地の適正化というようなことをねらいまして、日本国土利用の全体のあり方をデッサンとして描こうとする性質のものでございます。これは当然農業一つの産業として、それぞれの地域ごとに、今後の向かうべき方向が示されてくるということになると思います。現に経済企画庁におきまして、本年の秋を目途に、新しい国土総合開発計画検討されております。私ども農林省としても、これに参画をいたしておるのでございます。その国土総合開発地域別の農業のあり方というような問題を反映をした農業振興地域整備基本方針を立てさせるように、私どもとしては誘導してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  74. 赤路友藏

    赤路委員 おっしゃるようにこの秋できるらしい。二、三日前のNHKテレビニュースでかなり詳細に説明されている。だから、私の言いたかったことは、国土総合開発がまだできていない。要するに、この秋ごろまでに何かまとめてしまいたいというようなことらしい。これがやはり国土開発一つ中心的なものになるだろう。そうすると、こちらのほうだけが先に走っちゃって、それとの関連がうまくいかないと、あとでまた訂正だ、いや何だというような繰り返しがなされては困るので、十分そういう線を考慮に入れながらやってもらいたい、このことです。  もう一つは、いままでちょっと工藤君との質疑応答を聞いておったのですが、水の問題ですね。少し検討してもらわなければ困る。これは私は答弁を求めませんが、もちろん安易に考えてはいないだろうと思います。今日の日本の水の問題というのは、そう安易なものではない。だから地域指定をする場合に、これは県知事がやるから、県知事はそのくらいのことを考えるだろう、こういっても、もうそういう段階じゃないのですね。たとえば、お読みになったと思いますが、今度建設省が抱いておるといいますか、構想を打ち出しておる治水二十カ年計画です。治水二十カ年計画を出して、それを踏んまえて新五カ年計画が出ておるわけなんです。それを見てもそう単純なものではない。また、建設省が出しておる二十カ年計画それ自体を読んでも、この基本的な線がほんとうに私は握れておるように思わないのです。  一例を言いますと、地下水が一体どうなっているのかというようなことは、二十カ年計画には全然ない。だから、そういうふうに水はかなり重要な要素になる。せっかくこれだけ基盤整備をやり、そうして土地利用区分に基づいてやっても、先ほど工藤君が言ったように、水というものが伴ってきませんと、せっかくのものが何にもならぬ。だから、水の問題がありますから、その点は安易に考えないで、十分ひとつ農林省としても御検討を願いたい。これだけ注文をつけておきます。
  75. 足立篤郎

    足立委員長 他に関連質問はございませんか。——なしと認めます。  次回は明九日午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十三分散会