運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-04-25 第58回国会 衆議院 農林水産委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十五日(木曜日)    午前十時十四分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 草野一郎平君    理事 熊谷 義雄君 理事 坂村 吉正君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 稲富 稜人君       小澤 太郎君    岡崎 英城君       小山 長規君    佐藤洋之助君       齋藤 邦吉君    田澤 吉郎君       田中 榮一君    田中 正巳君       中山 榮一君    丹羽 兵助君      三ツ林弥太郎君    湊  徹郎君       粟山  秀君    山中 貞則君       渡辺  肇君    赤路 友藏君       伊賀 定盛君    工藤 良平君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       實川 清之君    柴田 健治君       西宮  弘君    美濃 政市君       森  義視君    神田 大作君       中村 時雄君    樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林大臣官房長 檜垣徳太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農政局長 森本  修君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         農林省蚕糸局長 池田 俊也君         農林省園芸局長 黒河内 修君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   片山 正英君         水産庁長官   久宗  高君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         議     員 坂村 吉正君         議     員 工藤 良平君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月二十五日  委員小沢佐重喜君、白浜仁吉君、丹羽兵助君及  び赤路友藏辞任につき、その補欠として渡辺  肇君、岡崎英城君、田中榮一君及び柳田秀一君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡崎英城君、田中榮一君、渡辺肇君及び柳  田秀一辞任につき、その補欠として白浜仁吉  君、丹羽兵助君、小沢佐重喜君及び赤路友藏君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十七日  小規模ため池等整備事業に関する緊急措置法案  (衆法第二号)の提出者工藤良平君外十一名  提出」は「工藤良平君外十名提出」に訂正され  た。 四月二十四日  農業者年金制度確立に関する請願小松幹君紹  介)(第四五八八号)  中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(武藤  山治君紹介)(第四六四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  競馬法の一部を改正する法律案坂村吉正君外  四名提出衆法第三二号)  農業振興地域整備に関する法律案内閣提出  第一〇一号)  農地法の一部を改正する法律案内閣提出第八  七号)  国有林野活用に関する法律案内閣提出第八  八号)  農業協同組合法の一部を改正する法律案内閣  提出第八九号)  小規模ため池等整備事業に関する緊急措置法案  (工藤良平君外十名提出衆法第二号)  農林水産業振興に関する件      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  内閣提出農業振興地域整備に関する法律案農地法の一部を改正する法律案国有林野活用に関する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題とし、趣旨説明を求めます。西村農林大臣
  3. 西村直己

    西村国務大臣 農業振興地域整備に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  近年における国民経済高度成長のもとで、地域社会経済情勢は著しい変貌を遂げつつありますが、特に、都市地域への人口集中工業開発及び交通網整備進展に伴って、農地の無秩序な壊廃、土地利用度の低下、農業経営粗放化などの事態が、都市周辺のみならず、漸次農村地域にも波及していく傾向が見られるのであります。  政府といたしましては、従来から各地域の実態に応じた農業施策推進に意を用いてまいったのでありますが、右に述べたような地域農業をめぐる情勢変化に対処し、需要の動向に即応した農産物の安定的な供給と、生産性の高い農業経営育成という農政基本目標を実現するためには、今後農業振興をはかるべき地域を明らかにし、土地有効利用農業近代化のための措置計画的に推進する必要があると考えるのであります。このためには、名地域条件に応じ、国土合理的利用観点から各種土地利用との調整を留意しつつ、土地計画的利用農業生産基盤整備開発農地保有合理化農業近代化のための施設整備等各般にわたり、農業の健全な発展をはかるための条件を備えた農業地域を保全し形成することを目途として、各地域における自主的かつ総合的な計画樹立及び推進をはかることが肝要であると考え、この法律案提出した次第であります。  以下、この法律案のおもな内容について御説明いたすわけでありますが、時間の都合により、理事会の御了承をいただきましたので、朗読を省略し、その内容会議録にとどめていただきたいと存じます。     —————————————  第一に、この法律目的は、総合的に農業振興をはかることが必要であると認められる地域整備のための施策計画的に推進することにより、農業の健全な発展をはかるとともに、国土資源の合理的な利用に寄与することと規定しております。  第二に、都道府県知事は、農業振興地域指定並びに農業振興地域における土地農業上の有効利用農地保有合理化及び農業近代化に関する農業振興地域整備基本方針を定め、農林大臣の承認を受けることとしております。  この基本方針は、国土総合開発計画その他の地域開発あるいは地域振興に関する計画都市計画等との調和が保たれたものでなければならないものとしております。  第三に、都道府県知事は、農業振興地域整備基本方針に基づいて、関係市町村協議の上、土地農業上の利用高度化をはかることが相当であり、農業経営近代化の見込みが確実である等の要件を備え、農業振興をはかることが相当であると認められる地域を、農業振興地域として指定することとしております。  第四は、農業振興地域整備計画樹立であります。市町村は、農業振興地域について、農用地等として利用すべき土地区域とその区域内の土地用途区分を定めた農用地利用計画農業生産基盤整備開発農地保有合理化のための農用地等に関する権利の取得の円滑化及び農業近代化のための施設整備内容とする農業振興地域整備計画を定め、都道府県知事の認可を受けるものとしております。また、都道府県は、関係市町村の同意を得て、農業生産基盤整備開発または農業近代化のための施設整備に関する事項で、その受益範囲が広域にわたるもの等についての農業振興地域整備計画を定めることができるものとしております。  第五に、農用地利用計画において農用地等として利用すべきものと定められた土地については、市町村長は、農用地利用計画に従った土地利用がなされるよう、関係権利者に対して土地利用についての勧告及び農用地利用計画に従って土地利用しようとする者との協議についての勧告をすることができるものとし、この協議がととのわない場合における都道府県知事の調停について規定しております。また、農用地利用計画に従った土地利用確保するため、国及び地方公共団体の責務及び農地法による農地等転用許可についての基本方針を定めております。  以上のほか、農業委員会による農地等権利移動についてのあっせん、農業振興地域整備計画の作成及び達成のための国及び都道府県の援助、農業振興地域における生活環境施設整備、国の普通財産の譲渡貸し付け国有林野活用市町村長勧告等により土地の譲渡が行なわれた場合の税制上の特別措置等について定めております。  以上が、この法律案の主要な内容であります。     —————————————  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  次に、農地法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  戦後の農地改革により広範に自作農が創設され、これによってわが国農業生産力は画期的な発展を遂げ、農民経済的社会的地位向上をもたらしたのみならず、戦後における日本経済の復興と繁栄に大きな寄与をしたことはあらためて申し上げるまでもありません。農地改革諸立法を承継して制定された現行農地法は、このような農地改革の成果を維持するという社会的に大きな使命を有するものであります。  しかしながら、ひるがえってわが国農業現状を見ますと、国民経済高度成長農業就業人口の急速な減少と兼業化をもたらし、その過程を通じて農業生産選択的拡大農業機械化が進んだとはいうものの、経営規模はなお零細であり、このため、生産性向上をはかるにもおのずから限界があることを否定し得ない実情にあります。したがいまして、農業生産性を高め、国民食糧の安定的な供給農業従事者の所得の増大をはかるという農政基本目標を実現するためには、農地がより生産性の高い経営によって効率的に利用されるようにその流動化を促進することが肝要であり、そのためには、農地制度は新しい時代の農業要請にこたえ得るものでなければならないと考えるのであります。  政府といたしましては、このような観点から検討を加え、当面する課題にこたえるため農地法改正をいたすこととした次第であります。  以下、この法律案のおもな内容について御説明いたすわけでありますが、時間の都合により、理事会の御了解をいただき、朗読を省略し、その内容会議録にとどめていただきたいと存じます。     —————————————  第一は、農地等権利移動制限についての改正であります。まず、近年における農業技術進歩等にかんがみて、本人またはその家族がみずから農作業を行なうのであれば、上限面積制限雇用労働力制限を設けないこととし、また、第二種兼業農家経営面積の上昇に照応して下限面積制限を五十アールに引き上げ、できるだけ農地農業に専念する農家により効率的に利用されるよう配慮したのであります。  第二に、集団的生産組織育成土地効率的利用に資するため、農業生産法人要件実情に即して緩和することとし、その法人役員の過半が農地提供者であり、かつ、農作業に常時従事するものでなければならない旨の要件を課して、従来の借入地面積制限雇用労働力制限等は廃止することといたしております。また、農業生産法人構成員当該法人農地を貸した場合には、その小作地所有面積制限をしないこととし、農業協同組合組合員農業協同組合に対し農業経営委託を行なう場合にも、同様の措置をいたしております。  第三は、小作地所有制限についてでありますが、農業をやめて住所を他へ移した場合に、従来住んでいた市町村所有していた農地につきましては、在村の場合と同様に小作地所有を認めることといたしております。これは、いわゆる旧地主制の復活を意味するものではなく、他産業に従事しようとする農家が他の市町村住所を移しやすくし、農地の効率的な利用確保しようとするためのものであります。  第四は、農地等賃貸借の解約、更新拒絶等についての規制を緩和することとし、十年以上の期間の定めのある賃貸借または水田裏作賃貸借について、その更新をしない場合およびおよそすべての賃貸借について合意により解約する場合には、許可を要しないことといたしております。  第五は、小作料最高額統制制度を廃止することといたしております。これは、雇用の機会の増大した現在では、当事者の自由な契約にゆだねても戦前のような高額の小作料が発生する余地は、一般的にはないものと判断されるからであります。  しかし、現に存する小作地につきましては、小作農の経営に急激な変化を与えることを避けるため、なお十年をこえない範囲内において、政令で定める日までは小作料統制を続けることといたしております。  以上の改正により、他産業に従事する者がその所有する農地農業に専念する農業者に貸しやすくなり、その結果、専業農家規模拡大集団的生産組織発展が一そう促進され、土地効率的利用に資することとなると考えるのであります。  第六は、草地利用権設定制度の新設であります。これは、畜産物需要の増加に対応して飼料の生産基盤拡大強化をはかるため、未利用里山等につきまして、市町村または農業協同組合共同利用施設として草地造成をする必要がある場合に、それが国土資源利用という総合的見地から妥当とされるときは、一定の手続きのもとに草地利用権設定することにつき所有者等協議を求め、これがととのわないときには、都道府県知事の裁定を受けることができる制度であります。  以上申し上げました趣旨に基づいて農地法改正するにあたって、農地法目的土地農業上の効率的な利用をはかるため、その利用関係を調整することを追加することといたしております。  以上が、本法案の主要な内容であります。     —————————————  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  次に、国有林野活用に関する法律案につきまして、その提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  国有林野は、その面積において、わが国森林面積の約三分の一、国土面積に対しましても、二割余を占め、国土の保全、林産物の需給及び価格の安定等に大きな役割りを果たすとともに、従来からも、社会経済情勢の推移に即応して、地元住民要請に応じた貸し付け、売り払い、部分林または共用林野設定等によって地元産業振興地元住民の福祉の向上に寄与してまいったのであります。  しかしながら、近年、わが国の目ざましい経済発展の中で、農山村からの急速な労働力の流出が見られる等、わが国農林業はきわめてきびしい条件のもとに立たされることになり、ここに、農林業の零細な経営規模拡大する等、その構造改善農山地域振興をはかるための施策を一そう強力に推進することが要請されるに至っております。  このような要請にこたえるため、この際、国有林野活用を積極的に推進することとし、このため、林業基本法規定趣旨に従い、積極的に行なうべき国有林野活用内容を具体的に示すとともに、これらの活用を行なうにあたっての国の基本的態度を明らかにすること等により、国有林野活用の適正円滑な実施確保をはかることとした次第であります。  以上が、この法律案提案する理由でございます。  以下、この法律案のおもな内容について御説明いたすわけでありますが、時間の都合により、理事会の御了解をいただきましたので、朗読を省略し、その内容会議録にとどめていただきたいと存じます。     —————————————  第一は、農林大臣国有林野管理及び経営事業の適切な運営確保に必要な考慮を払いつつ積極的に行なうべき国有林野活用につきまして、その活用種類等を明らかにしたことであります。すなわち、その一は農業構造改善等のための国有林野活用、その二は農業構造改善等のために譲渡された土地代替地に供するための国有林野活用、その三は林業構造改善のための国有林野活用であり、その四は国有林野の所在する地域住民が共同して行なう造林、家畜の放牧等のための部分林または共用林野設定のための国有林野活用、その五は国有林野の所在する地域における公用、公共用または公益事業の用に供するための国有林野活用、その六は山村振興計画に基づく事業の用に供するための国有林野活用であります。  第二は、農林大臣は、国有林野活用につきまして、その推進のための方針、適地の選定方法その他活用実施に関する基本的事項を定め、これを公表すべきこととしたことであります。  第三は、農林大臣は、国有林野活用の適正な実施をはかるため、活用の事務をすみやかに行なうとともに、その活用にあたっては、用途指定し、買い戻しの特約を付す等必要な措置を講ずべきこととしたことであります。  第四は、農林業構造改善のための国有林野活用の円滑な実施をはかるため、そのような国有林野活用として、土地等の売り払いをする場合には、二十五年以内の延納の特約をすることができることとしたことであります。  この法律案の主要な内容は、おおむね以上のとおりであります。     —————————————  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  最後に、農業協同組合法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  農業協同組合は、農業生産力の増進と農民経済的社会的地位向上をはかることを目的とする農民協同組織として、昭和二十二年に発足して以来、わが国経済及び農業の歩みとともに発展してまいりました。  しかしながら、近年における農業及び農業協同組合をめぐる諸情勢変化には著しいものがあると考えられます。  すなわち、近年における経済高度成長を背景として、農業生産選択的拡大機械化進展など農業近代化の動きが見られる反面、兼業化が進み、経営規模はなお零細であり、農業生産面の一部には楽観を許さないきざしもあらわれております。このような事態に対処して農業構造改善農業生産維持増大をはかるためには、個々の農家経営規模拡大を進めることとあわせて、協業など生産の集団的な組織育成することもまたきわめて重要となっているのであります。  また、農業協同組合自体につきましても、組合をめぐる諸情勢に対処し得るよう、国が昭和三十六年以来進めてまいりました農協合併進展の結果、組合規模拡大しその経営基盤が充実しつつありますが、合併後における組合組織管理面事業運営面などにつきましてなお改善を要する点も少なくなく、また系統組織運営面におきましても解決を要する問題が生じてきております。  このような情勢の中で、農民協同組織であります農業協同組合がその役割りをよりよく果たすためには、組合員及びその役職員の自主的な努力にまつところが大きいのでありますが、制度面において改善を要する点もありますので、今回農業協同組合法改正提案する次第でございます。  以下、この法律案のおもな内容について御説明いたすわけでございますが、時間の都合により、理事会の御了解をいただきましたので、朗読を省略し、その内容会議録にとどめていただきたいと存じます。     —————————————  改正の第一点は、集団的生産組織に関連する制度面改善措置であります。  その内容といたしましては、まず農業協同組合組合員から委託を受けて行なう農業経営事業を認めることであります。近年組合トラクター等機械施設を保有し、組合員から農作業委託を受ける例が全国各地に見られますが、就業構造変化機械化進展に伴い、さらに農業経営自体組合委託するような必要が生じつつありますので、組合がこのような組合員の要望にこたえて、その農業経営を受託し、組合が合理的な形で農業経営を行ない得る道を開こうとするものであります。  次に、農業経営を行なう農事組合法人につきまして、その経営合理化就業事情変化に対応して、組合員資格及び員外従事者に関する制限を緩和して、経営安定向上をはかるとともに、設立の円滑化に資そうとするものであります。  改正の第二点は、農協合併進展による農業協同組合規模変化に対処するための措置であります。  まず、総代会制度整備することであります。合併の結果組合規模が大きくなったため、総会の開催ないし運営に困難を生じている組合がふえておりますので、このような状況にある組合につきましてその円滑な管理運営確保するためには、総代会制度をより一そう活用し得る道を開く必要があると考えられるのであります。このため、総代会の権限を拡大し、役員選挙または選任及び定款変更の決議につきましても総代会において行ない得るようにするとともに、これに伴い、総代の定数の最低限度を引き上げようとするものであります。また、組合の解散及び合併につきましても、総代会において議決をし、さらに、組合員の直接投票による賛成を得ることによってもこれを行ない得ることとしております。  次は、農業協同組合連合会会員につきまして一会員一票制の特例を設けることであります。合併進展に伴い、連合会会員であります農業協同組合規模に相当の格差を生じ、従来の一会員一票制では実質的な平等が確保されがたい実情も見られるようになってきておりますので、今回、連合会会員に対しまして、その組合員の数に基づいて二個以上の議決権及び選挙権を与えることができることとしようとするものであります。なお、中央会につきましてもこれと同趣旨措置を講ずることとしております。  以上のほか、農業協同組合事業運営現状にかんがみまして、信用事業につきまして貸し付けに関する規定整備を行なうとともに、信用事業を行なう農業協同組合連合会が行なう指定金融機関業務代理間接構成員のためにも行ない得ることとする等の措置を講ずることといたしております。  以上が、この法律案のおもな内容であります。     —————————————  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  4. 足立篤郎

    足立委員長 以上で趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 足立篤郎

    足立委員長 次に、工藤良平君外十名提出小規模ため池等整備事業に関する緊急措置法案議題とし、趣旨説明を求めます。工藤良平君。
  6. 工藤良平

    工藤議員 ただいま議題となりました小規模ため池等整備事業に関する緊急措置法案について、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、昨年七月以降九州全域並びに四国及び中国地方の一部に七十数年ぶりといわれる激甚なる干ばつが発生いたしました。このため、水稲、果樹を中心とする被害は実に一千億円に達し、被災農民生活経営は重大な危機に立ち至ったわけであります。  このように干ばつによる被害が、広範囲にまたがり、しかも激甚化した原因の一つは、被害地域の大部分が天水、ため池にたよっている地域であり、その上現在あるため池は老朽化して漏水が激しく、干ばつに対して有効な機能を発揮できないところにあるということがいえるのであります。  現行制度によれば、老朽ため池補強事業採択基準は、総事業費おおむね百万円以上、堤高五メートル以上または貯水量三万トン以上、受益面積おおむね五ヘクタール以上となっております。しかるに、昭和三十年調査によるため池台帳によれば、全国で約二十七万七千カ所に及ぶため池のうち、受益面積五ヘクタール未満のため池が二十三万一千カ所で、全体の八三%という圧倒的多数を占めております。  このため、地形上、気候上しばしば干ばつによる被害を受けている地域農民が、老朽ため池補強を行なおうとしても、国の補助が受けられないため実行できず、みすみす干ばつ被害を大きくしているのが実情であります。ため池さえ完備しておれば、昨年の干ばつによる一千億円の被害はほとんど免れ得たであろうといわれており、小規模ため池を緊急に整備してほしいというのが被災農民の一致した要求ともなっております。  ため池に関する国庫助成の採択基準の引き下げについては、すでに昨年衆議院災害対策特別委員会において決議をされておるところでもあり、日本社会党といたしましては採択基準の緩和をも含め、小規模ため池の緊急な整備が必要であると考え、本法案提出した次第であります。  次に、この法案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一は、目的でありますが、気候上、地形上しばしば干ばつによって農作物の被害を受けている地域に対し、小規模ため池等の整備事業を緊急かつ計画的に実施し、干ばつによる農作物の被害を防止することにより、農業生産力向上農業経営安定をはかることにいたしております。  第二は、小規模ため池整備事業実施であります。現行では受益面積五ヘクタール以上等々の制限のある採択基準を引き下げ、農用地のかんがいを目的とするため池及び取水施設の新設または変更であって、おおむね二ヘクタール以上を受益面積とする事業を対象とすることにいたしております。  第三は、小規模ため池等の整備計画であります。都道府県知事は、農林省令で定めるところにより、昭和四十三年以降五カ年間において小規模ため池等の整備計画を作成することとし、計画の作成には関係市町村、関係農業団体の意見を聞くこととしております。  第四は、国の補助であります。国は、小規模ため池等整備事業実施に要する経費の二分の一を補助することといたしております。  以上が、本法案提案理由及びその主要な内容でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  7. 足立篤郎

    足立委員長 以上で趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  8. 足立篤郎

    足立委員長 次に、農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  9. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先般、農林大臣から御説明のありました所信表明について、御質問をいたしたいと存じます。  まず、大臣にお伺いしたいのは、その所信表明の中におきまして、特に四十三年度におきましては、農業生産基盤整備、農産物の生産対策の拡充、農業構造改善、食糧管理制度運営改善、生鮮食料品等の価格安定及び流通改善推進農山漁村対策の充実、農林漁業金融の改善等に重点を置く旨を表明されておりますが、現在の日本の実情というものを見ますと、依然として農村の労働力は怒濤のごとく流出をし、農家経営というものはきわめて苦しい状態にあり、しかも、農民の所得というものは常にその最低を示し、これからの日本の農業がきわめて危ぶまれておる状態にあり、若手の労働力というもの、つまり青年が、農業の将来に希望を失っている証左ではないかと思うのでありますが、特に大臣が表明されましたこの七つの重点施策というものは、ほぼこれに似通った主張が常になされておりますけれども、実施の面におきましては多くの隘路があり、現実に土地利用等の問題につきましても、今回提案されております農業振興地域法案にいたしましても、結局は、建設省が出しました都市計画法案に対抗する領土宣言的な意味しか持っていない。ほんとうにこれからの日本農業に対するビジョンというものが具体的になく、しかも、全農民がこれに参加していく姿勢というか、情熱を持ち得ないところがあると思うのでございますが、この点について大臣は、日本農業の未来ということについてどういうふうな構想をお持ちなのか、この際まずお伺いしたいと存じます。
  10. 西村直己

    西村国務大臣 予算委員会あるいはこの席を通じましても、多少その点についてもうすでに触れはいたしておりますが、私も、大体現状認識につきましては、兒玉委員のおっしゃるように、農業につきましてきわめてシビアーな問題を国内的にも持ち、同時にまたもう一つ、国際的にも日本農業をめぐる諸問題というのは確かにあると思うのでございます。しかし、農業自体が、水産とあわせまして、国民の主要な食糧を安定供給する大事な基盤であり、またそれに従事しておる農民自体は、その重要な使命を果たしていただく立場に立っておる方々であります。したがって、それがよりよい生産力あるいは生産性を上げる、同時にその働いておる方々のいわゆる所得と申しますか、生活内容向上する、こういうような組み合わせを目標にしていくことは、もうすでに農業基本法以来、政府あるいは各政党の方々も同じようなお気持ち、同じような目標であって、ただそこに、やり方につきまして多少の違いはあるかもしれませんが、大きな目標というものは一致している。  そこで、私どものほうの立場といたしましては、ただいまお話がありましたような大体七つくらいの項目を柱といたしまして、今年度予算、あるいはそれに必要な法案、あるいはそれに付随する行政の施策というようなものを、あわせて推進してまいりたいと思います。  要は、何と申しましてもわが国の食糧というものを安定供給する、そうして農業生産というものをより生産性を上げる、質をよくする、同時にその従事者に対する生活向上をはかってまいる、この方向により強力に進んでまいりたい、こういう考えでございます。
  11. 兒玉末男

    ○兒玉委員 私は、先ほど提案説明がありました農振法案内容については、後日の委員会でただすことにいたしますけれども、基本的な理念として、少なくとも現在、特に農用地である土地農地利用率というものが毎年毎年低下の傾向にある。このことは、やはり日本の農業者が、幾ら働いてもその労働に対する価値報酬というものが十分でないところに最大の基因があるわけであります。しかも、今回の農振法案は領土宣言的傾向は確かに強いのでありますけれども、この農地をほんとうに振興地域として指定した場合に、一体農民は何をつくり、何をもってその所得を向上しようとしているのか、その辺の基本的方向というものがさだかでないように私は考えるわけでございます。いわゆるこの農振法案提案の基本となるところの領土宣言と同時に、何をつくって、何をもって農民生活の基盤を保証しようとするのか、この辺を私は明らかにしていただきたいと思います。
  12. 西村直己

    西村国務大臣 問題は、農振法案自体が、都市計画法案が出たから、ただそれとぱっと相対立していくというよりは、もう少し私どもは根深い考え方を持ってこの法案は出しておるつもりでございます。農業振興いたしますには、何と申しましても、申し上げるまでもなく土地、そうしてその土地利用、これがたいへん大事なことだと思います。そこでその土地というものを、たとえば農地流動化を促進しますにしましても、部分部分あるいは個々の農家、こういうものを対象にしてのもちろん農業土地利用の効率化をはかる、さらにその基盤としての農村地域と申しますか、それのさらに総合されたる地域、それをつかみ上げて、そうしてその中においての今度は個々の営農、個々の協業、こういうものを推進していく、このためにも農業振興地域に関しての制度というものがあってしかるべきじゃないか、こういう観点から、この振興地域法案というものが今回御審議を願うようになった、こう考えております。  したがって、あくまでもその基本としては、農民の自主とか住民の自治とか、そういうものを基本にはいたしますけれども、国の制度として、大きな総合計画の中において農村振興地域的にはかっていく、まずこういうような土台づくりのための制度、こういうように私は解釈しながら皆さんに御審議を願ってまいりたい。  そうなると、おのずから国土全体の中において、農村あるいは農業の総合的な振興をしていくべき地域というものがはっきりしてまいり、そこで国の施策というものも十分重点的に流れやすい、こういうような考え方のもとに、今度の農業振興地域法案というものの提案を行なっておる、こういう趣旨でございます。
  13. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間の制限がございますので、これはまた後日突っ込んで御質問をしたいと思います。  次に、何と申しましても今日の重要な課題は、一億近い国民をまかなっていく食糧の問題であろうかと思うのでございます。いわゆる農産物の需給関係ということが非常に問題でありますが、特に施策の中におきまして、食糧管理制度運営改善ということをいわれておりますが、農林省としては、この食管制度のいわゆる運営改善ということは、具体的に何を志向しているのか、この点をまずお伺いしたいと存じます。
  14. 西村直己

    西村国務大臣 食糧管理制度そのものをどういうふうにするかという御議論も、世論にありますことは私も聞いております。また、これらについて議論の行なわれる場合もあるかもしれません。しかし、私どもは、この食糧管理制度そのものというのは、主食というもののあり方につきましては、生産はもちろん消費に至るまで国民全体、またこれを生産する農民にとっても非常に重要な問題だけに、その取り扱いは私どもは慎重にしてまいりたい。しかしながら、現実にあります制度運営してまいります場合におきましても、まだまだ運営上の改善というものは多々あろうと思います。そういうようなものにつきまして、私どもは、やはり運営上の改善というものは不断にはかり、実現し、合理化してまいるということは、これは当然のことだと考えてこういうふうな表現を使ったわけでございます。
  15. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この際、食糧庁長官にもお伺いしたいのでありますけれども、今回政府が予算措置の中において考えられておる生産者価格と消費者価格のスライド、いわゆる同時決定という考え方は、食管制度の間接統制を志向するものではないかという私たちは懸念を持つわけでございますが、特に担当長官としていかなる御所見をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  16. 大口駿一

    ○大口政府委員 本年度の食糧管理特別会計予算におけるいわゆる総合予算主義の採用ということが、間接統制に移行することではないかというただいまの御指摘でございますが、私どもは、ただいま大臣がお答えになりましたように、現在の食管制度そのものの基本に触れるような問題については、きわめて慎重な態度で対処してまいりたいという基本には変わりないわけでございますので、今回の食管特別会計の予算における総合予算主義の採用というものが、ただいま御指摘になりましたような基本的な問題に触れるような意図を持っておるわけではございません。  ただ、現在の生産者米価並びに消費者米価は、御承知のように、食管法の第三条並びに第四条それぞれ別個の条文を基礎として決定する仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、この関係は二重米価であるという御議論があるわけであります。私どもは、完全なる二重米価を全面的に否定する制度であるということは考えておりませんけれども、しかし、やはり一つのものの値段として、両者に若干なりとも関連性があってしかるべきではないかという考え方を基本的に持っておりまするが、現在の生産者米価と消費者米価の関係は、御承知のように、実額におきましても生産者米価のほうが消費者米価よりも、玄米石当たりについて約五百円高いという関係になっておりまして、このような価格関係というものが、食管制度そのものが、当然に予想しておる姿であるとはなかなか考えにくいのではないかという意味で、私どもは両米価の関係を、現在よりも正常な形にすべきではないかというのが、むしろ現在の食管制度を健全に運営するために必要な条件ではないかというふうに考えておるわけでありまして、食糧庁といたしましては、この両米価の関係を、制度運営を健全にするために正常化していくということが主たるねらいでございまして、その結果、今年は財政事情その他も念頭に置きつつ、総合予算主義で予算を編成したということでございまして、制度そのものを他の制度に移しかえる準備なり意図なりというものは、何らこの予算編成とは関係のない問題というふうに私は理解をいたします。
  17. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いま、長官が財政上の問題も言われましたが、少なくとも食管会計による赤字が、約二千四百億といわれておりますけれども、特に予算編成の方向として一般的に報道されておるのは、財政硬直化の原因というものが、公務員の給与だとか食管制度の欠陥、医療制度、こういうことがその財政硬化の主たる原因であるかのようにいわれておりますけれども、私は、特に食管制度というものが、千五百万近くの生産農民、米食に依存する七千万近くの人、この全体の比率から見た場合には、その程度の赤字というものは、そう硬直化の主たる原因ではない。しかも、これが果たす役割りというものは、国民の大多数が非常な恩恵に浴しておるという点等から考えますと、特に財政的な理由というのは、この食管制度改善が主たる理由のように承っておるわけでございますが、これに対して大臣としてはどういうようなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。
  18. 西村直己

    西村国務大臣 財政を持っておられる立場の方々は、いまおっしゃったような財政上の議論というものも出てくるでございましょうが、私どもはやはり食糧の安定供給、そしてそのもとにおいては、堂々として生産をされておる生産農民、また、安定的な家計を持ちたいという消費者の立場、こういうものをよくながめながら現在の食管法というものを健全に運行してまいりたい、こういうようなたてまえのもとに運営合理化改善をはかりながら、食管法の基本というものに従ってやってまいりたい、これが現在の考えでございます。  したがって、ここに二千四百十五億でございますかの赤字があるから、それゆえに食管法を曲げるとかいうたてまえからの議論は、私どもはいたすつもりはありません。むしろ主要食糧を安定供給してまいる、そして食管制度が現在行なわれておるのを健全な形で運行しながら改善合理化をはかってまいる、そういう中において、あくまで目標は主要食糧の安定供給、それは同時に生産者の立場における食糧生産向上、質の向上もございましょうし、それからくる流通をきれいにして、そして消費者家計の安定という問題も食管法には出ておりますから、そういうのをよくにらんでいくのが私どものたてまえでございます。  ただ、政治でございますから、それでは財政は全然抜きでいいかというとそうではなく、政治全体の中においては財政の面から論ぜられる立場のものもあってしかるべきである、こういうことはこれは当然あると思います。
  19. 兒玉末男

    ○兒玉委員 続きましてあと二点食管制度について触れまして、次に移りたいと思っておりますが、これは一つの仮定の問題として、一般に財界なり政府の主流の考えというのは、今回の米価審議委員の任命にあたりましても、生産者団体、消費者団体を除外したこの思想から発想されることは、やはり近き将来この食管制度を何とかしてはずしていこうという意向が、私はいろいろな発言の場においてくみ取れるわけでございますけれども、今日農村においては労働力が非常に流出をし、あるいは農地の壊廃というきわめて憂慮すべき中にあるにかかわらず、国民の主要食糧である米の生産というものが維持されることに対して、一体大臣は食管制度の持つ役割りをどういうふうに評価されているのか。もしかりにこの食管制度がなくなった場合において、主要食糧であるこの米の、約一千万トン台の生産というものが将来確保されるかどうか、これは仮定の問題でございますけれども、この二点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  20. 西村直己

    西村国務大臣 これは委員の方々は専門家でいらっしゃいますから、主食の問題はもうすでに御存じのとおり、また食管法のできる前の昭和十五年に、すでに米の問題に私がタッチした当時の記憶から考えましても、主食の問題というのは、古くして新しいなかなかむずかしい問題だと思います。なぜならば、これは非常にたくさんの農民生産者として努力してくれるということが一つ、いま一つは、いかなる方でもおてんとうさまと一緒に米というものはついて回ると申しますか、食べておられる。したがって、需給を安定しながらやるということが、何といっても最大の問題だと思います。それだけに私は事柄が大きく、かつまた事柄の扱いいかんによってはナーバスになりやすい問題である。この点を十分に私は心得ながら、こういった問題の処理に当たってまいりたい、こういうわけであります。  そこで、この中立委員と申しますか、よく世間では中立米審と申しますが、それはすでに御存じのとおり、政府は米審の構成メンバーというものを発表されて、先般来の国会でも、角屋委員を御中心に予算委員会等におきまして非常に御論議いただいて、その経過もすでに御存じのとおりでございまして、生産者あるいは消費者というものの意向が、かりに価格決定であれば、その価格決定において反映されなければならぬことは、これは当然のことでございます。ただ、そういうようないろいろな経緯を経まして今日一応米審の委員が発令になっておりますので、これは各党間でも、この問題について協議しようという段階に、いろいろな経過をたどりましてなっておりますので、できる限り私は結論が早く出ることを望みますし、またその結論が出れば、それを十分見守りまして処理をしたい、私どもはこういうふうな考えでございます。
  21. 兒玉末男

    ○兒玉委員 米の問題についてあと一問。これは昨日の新聞でございましたか、いわゆる今回の日通問題をめぐりまして、日通の独占輸送ということに相当な批判が起きまして、特に米麦の輸送については、複数の形態において輸送すべきだという提案がなされておりますが、これに対しまして、いわゆる日通が提起した米麦輸送改革案というものを、他の運送機関である全国通運が不参加ということを表明しておりますが、これは問題が非常に重大であろうと思うのでございます。これに対しまして農林省としてはどういうふうな指導を行ない、対処しようとされておるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  22. 西村直己

    西村国務大臣 これは、ただいま事務当局のほうでもかなりいろいろな検討を加えておりますので、先に経過を申し上げてあとで私から申し上げます。
  23. 大口駿一

    ○大口政府委員 米麦輸送の問題につきまして、長年にわたって日本通運と一括契約を結んで輸送をしておるわけでありますが、最近において、日本通運以外の通運業者であります全国通運株式会社が、運輸省におかれましても通運業の健全なる発達という趣旨で、日通と併存して育成していくという方針をとっておられることも念頭に置きまして、また、従来の独占輸送に対するいろいろな御意見等も念頭に置きまして、昨年の末、今年度の輸送契約の段階から、従来の日通に加えて、さらに全国通運株式会社傘下の輸送業者を、その能力に応じて政府の米麦輸送に参加させるという考え方のもとに、その具体的な技術的問題を研究すべく研究会を発足をさせて、現在、鋭意その研究を進めておる段階でありまして、ごく近い将来にその研究の成果をまとめました上で、最終的にどのような形にするかということを、大臣の御指示を得た上で結論を出してまいりたいと思っております。したがいまして、今年度の輸送から、日通の独占輸送に対して、全国通運を何らかの形で参加させるという方針は決定いたしておりますが、具体的な内容については、いずれ技術的な問題の研究が終わった段階で、最終的な御判断を大臣にいただくというのが現在の段階でございます。
  24. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点は、いずれ農林省のほうでも真剣に取り組んでもらわなければならぬ問題でありますが、次に移ります。  再度食糧庁長官にお伺いしたいのでありますけれども、特に国内の大豆、なたねの問題でございますが、その大半を輸入に依存する関係上、国内のいわゆる生産意欲というものが低下している。特に大豆の場合におきましては、今回ケネディラウンドにおける関税定率の引き下げが行なわれました。ところがなたねについては現状維持、しかもなたねから出すところの油、油脂というものは、非常に国民の嗜好に適合しておるにもかかわらず、このような大豆となたねの関税の不合理、あるいは国内における油脂行政というものが大企業に偏向し、中小企業が圧迫をされている、同時にまた、なたね生産等に対する積極的な自給度の向上するような点における指導が欠如していると私は思うのでございますが、これらの点に関して食糧庁長官の御所見を承り、さらに今後のなたね生産の増強、あるいは関係の油脂企業等に対するところの適切なる保護政策とを、あわせてお伺いしたいと存じます。
  25. 大口駿一

    ○大口政府委員 大豆並びになたねにつきましては、昭和三十六年の大豆の輸入の自由化になりました際に、国内産の大豆並びになたねの生産確保並びに農家の所得の確保という趣旨で、大豆なたね交付金制度というものが発足をいたし現在に至っておることは、兒玉委員も御案内のとおりでございます。したがいまして、関税その他の問題はいろいろございますが、基本的には、大豆並びになたねの輸入によって、国内の生産農家に対する影響が及ばない措置は十分とられておると私どもは考えております。したがいまして、ケネディラウンドの関係で大豆の関税が、将来数年間にわたって漸減をしていくという措置がとられる予定になっておりますが、このような措置がかりにとられましても、ただいま申しましたような大豆なたね交付金法の運用によりまして、その影響が直ちに国内の大豆生産農家に及ぶ点は、遮断ができておるのではないかというふうに考えております。  大豆並びになたねの国内の生産対策等につきましては、園芸局長のほうが所管でございますから、後ほど園芸局長からお答えをいただいたほうが適当かと思いますが、国内の油脂の業界の問題といたしましては、実は、現在大豆は輸入が自由化されておりますが、なたねはまだ外貨割り当て制度が存続をいたしておることも御承知のとおりでありますが、このなたねの外貨割り当て制度というのは、国内の生産農家に対する保護という問題もありますが、なたねを主原料といたしております中小製油業界の保護育成という目的をもかね備えておる機能を持っておると思いますので、私どもとしましては、ここ当分の間なたねの現在の外貨割り当て制度に、何らかの変更を加えるという考えは持っておりません。  いずれにいたしましても、大豆なたね交付金法の適正なる運用並びに生産対策等と相まって、国内の油脂原料の確保には、農林省といたしましても従来に引き続いて努力をいたしてまいるつもりでありますし、また、製油業界の安定的な育成という問題につきましても、鋭意努力をいたしておるつもりでございます。  なお、生産対策につきましては、園芸局長からお答えをいただきたいと思います。
  26. 黒河内修

    ○黒河内(修)政府委員 大豆、なたねの生産対策について御説明いたします。  先生も御承知と思いますが、大豆、なたねにつきましては、従来私どもといたしましては、主産地を中心といたしました原々種圃あるいは原種圃の設置といったような種子対策事業でございますとか、あるいは生産コストを下げるためのトラクターその他の機械化の導入というような政策をとってまいったわけでございますけれども、四十二年度から、御承知のように地域特産農業推進対策事業ということを特産物について行ないまして、その一環として生産改善施設でございますとか、あるいは流通の改善施設、たとえば集荷倉庫でありますとか、乾燥施設でございますとか、そういうような施設の設置助成を行なっておりまして、私どもといたしましては今後その施策によりまして、極力主産地形成というようなことのために、主産地を対象にいたしましてこの施策の拡充強化をはかってまいりたい、かように考えております。
  27. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特になたね、大豆の問題については、今後さらに機会を得て御質問したいと思うのでございます。  時間がございませんので、次に畜産振興について。今年度の方針の中においても特に強調されておるわけでございますけれども、依然として牛肉等は約二万トン、国内消費量の一割五分に当たる程度の輸入をされておるようでございますが、やはり国内における自給体制の強化ということは、何といいましても価格の安定ということが第一であり、第二としては飼料の自給体制ということがきわめて必要ではなかろうかと思うのですが、このような国内におけるところの、いわゆる肉等の自給体制というものに関連する畜産振興という問題、さらには、特にいままで問題となっておりましたところのアルゼンチン等からのいわゆる牛肉輸入政策について、今回一大転換を行なった旨の新聞報道がなされておりますが、特にこの点は急性家畜伝染病である口蹄疫という問題との関係におきまして、非常に大きな課題だと思うのでございますが、こういうふうな覚え書きがもし締結されるといたしますと、特に問題となっている中国からの問題も、これは当然提起されてくるのじゃないかというふうに考えるわけでございますが、国内における供給体制の強化という点と、今回の牛肉輸入政策転換に関連して、大臣並びに担当局長の御所見を承りたいと思います。
  28. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 牛肉の自給の問題でございますが、国内の肉牛の生産につきましては、先生御承知のように、従来役牛として飼養されておったわけでございますが、労働力が減少いたしましたり、農業機械化進展するあるいは化学肥料が普及するというふうな形から、逐次肉牛の生産が減ってまいりまして、特に三十九年ごろから急速に減少いたしておるわけでございます。そういうふうなことから、国内の牛肉の需給のバランスがくずれてまいりました結果といたしまして、外国から輸入せざるを得ないというふうな事態になりまして、四十一年には一万トン、四十二年に一万九千トンの割り当てをいたしたわけでございます。  しかし、将来の国際の需給から見ましても、牛肉につきましては簡単に外国から入れることはむずかしいという点もございますし、国内の農業生産という立場から考えましても、できるだけ国内で生産をするというふうな観点で政策を遂行すべきであると考えておるわけでございまして、御承知のように、昭和四十一年に肉用牛の振興施策実施方針を立てまして、肉用牛生産の適地を指定しまして、重点的、計画的な施策実施してまいったわけでございます。その結果といたしまして、施策の浸透もありましたし、また価格の上昇ということもございまして、生産の意欲が出てまいりまして、最近では回復のきざしを見せておるというふうに考えております。昭和四十二年を境にいたしまして、四十三年にはやや増加傾向に向かうであろうという判断をいたしておるわけでございます。  私たちといたしましては、今後とも肉用牛の飼養構造変化に対処しまして、長期的観点に立って肉用牛の振興をはかっていくというふうな考えをいたしております。そのために、草地改良事業推進でございますとか、家畜導入事業でございますとかというのを積極的に推進してまいる考えでおりますが、特に四十二年度から子牛価格の安定基金を設置することにいたしまして、これに対する助成をいたしたわけでありますが、四十三年度におきましても引き続き助成をいたしまして、子牛の安定的な生産確保したいというふうに考えておる次第でございます。  それから、アルゼンチンからの煮沸肉を輸入する件でございますが、この件につきましては新聞等に、基本的な政策の変更をしたかというふうなことが書かれておりますけれども、私たちといたしましては、従来の口蹄疫に対する基本的な考え方を変更したつもりはございません。  経過を申し上げますと、アルゼンチンは御承知のように口蹄疫に汚染されておりまして、食肉の輸入禁止地域指定されておるわけでございますが、かねがね煮沸肉というものがございまして、煮沸肉につきましては、口蹄疫の心配がないから輸入してくれというふうな要請があったわけでございます。昨年たしか十月であったと思いますけれども、日本とアルゼンチンの民間の経済委員会が開かれましたときも、この委員会を通じまして、ぜひ日本に輸入してもらいたいという強い要請があったわけでございます。それに基づきまして本年二月、技術者二名をアルゼンチンに派遣いたしまして、現地の調査をいたしたわけでございます。  その結果、非常に合理的に衛生管理が行なわれておるオートメ工場がございまして、そういうふうな工場でございますれば、できた煮沸肉につきましては、口蹄疫の心配がないというふうなことが技術的に判断をされてまいりました。したがいまして、この煮沸肉について一定の条件が満たされれば、輸入をしてもいいんじゃないかというふうに考えて、技術的な衛生条件につきまして、アルゼンチンとわが国とが現在協議をいたしておるという段階でございます。したがいまして、もしこの条件が整いまして、アルゼンチンとの間に話がつくということになりますれば、中国につきましても同一な条件が認められる。中共から煮沸肉の輸入の要請はございませんけれども、もしも要請があった場合におきましては、アルゼンチンと異なった取り扱いをしなければならないものはないというふうに考えておるわけでございます。  ただ、なま肉につきましては、これは御承知のように口蹄疫の心配が非常に強いわけでございますから、この点につきましては、従来から私たちのほうで考えております基本的な方針に沿って処置をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  29. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点は、今後大きな政治問題化することも考えられますので、この際、特に大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  30. 西村直己

    西村国務大臣 畜産全体の振興の問題につきましては、畜産局長からお話し申し上げましたような形で、私も極力この自給率を上げてまいる。ことに飼料で、非常にこれがネックになっておりますから、その飼料対策として草地の造成とか、そういった各般のことについて来年度の予算に向かいましても努力をしていきたい、こう考えております。  それから、アルゼンチンからの煮沸肉を入れることにつきまして、一体中共の食肉輸入の問題をどうするかということ、当然御関心の深い向きがあろうと思うのでございます。そこで私はこれにつきましても、いま肉が国内自給が足りなければ、入れる方法があればそれは検討しなければいかぬということは考えております。ただ、御存じのとおりこれは衛生技術の問題でございますから、なまのものですと、衛生技術できちっとした保証なり対策なりが立たぬうちはいけない。  それから、煮沸肉は一つの例を開きましたから、これと同じ方法がもしとり得るなら、これはアルゼンチン、中共、別に異なる方法をとる必要はないのでありまして、同じように扱っていきたい、こういう考えでございます。
  31. 兒玉末男

    ○兒玉委員 再度畜産局長にお伺いしたいと思いますが、大体国内における供給体制が十分に確立されるめどというのは、一体どの辺においておられるのか、特に国民の食生活と関係の深い点でございますので、あらためてお伺いしたいと思います。
  32. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和四十二年度が下げどまりで、四十三年度からは生産がふえつつあるというふうに考えておるわけでございます。資源をふやすには、先生も御承知のようにかなり長期を要するわけでありますから、何年というふうなことを簡単に申し上げるわけにはまいりませんけれども、できるだけふやしたいということで努力をいたしておりますし、特に乳牛の雄子牛の肥育ということについて、特段の努力をいたしておるわけでございまして、乳牛の雄子牛の肥育が最近急速に増大をいたしております。そういうふうなこともございまして、ここ当分輸入をせざるを得ないと思いますけれども、できるだけ輸入を減らすという方向で努力をいたしたいというふうに考えております。
  33. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ちょっと与党席がうるさいですから、静かにしてください。
  34. 足立篤郎

    足立委員長 静粛に願います。
  35. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、果樹、野菜等生鮮食料品の生産並びに価格、流通対策の点と、さらに、先般野菜の産地指定制度によって、価格あるいは生産供給を安定する法律が制定されておりまするが、特に品目の指定の増加なり、その後のいわゆる指定産地における価格関係、供給関係等、現在どういうふうな現況にあるのか、この点あわせて大臣並びに担当局長からお伺いしたいと思います。
  36. 黒河内修

    ○黒河内(修)政府委員 野菜につきましては、先生御承知のように、野菜生産出荷安定法に基づきまして、四大市場向けのそれぞれの指定産地をやっております。ただいまのところ、先般三十地域指定いたしまして、全国で大体全国で四百四十地域指定になっております。それから指定野菜につきましては、今年度から従来のキャベツ、キュウリ、大根、タマネギ、トマト、ニンジン、ネギ、ハクサイの八品目でございましたけれども、このほかにナスを加えまして九品目にいたしております。  それで、私どものいまのところの予定といたしましては、四大指定消費地域内に入荷いたします指定野菜のうちの指定産地からの出荷見込みと申しますのは、現状では、大体五割程度になっておるということでございます。したがいまして、私どもといたしましては今後さらに、本年度におきましても七十地域ぐらい新規に指定をいたしまして、生鮮食料品の物価安定、それから生産地におきましては、それぞれ必要な近代化事業等の諸事業を行ないまして、計画出荷ができるようにさらに拡充強化してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣にお伺いしたいのでありますけれども、いま園芸局長からも非常に増産の傾向と成果が評価されておるわけでございますけれども、問題は、今後生鮮食料品の供給ということと、中間経費の節減ということと、流通対策の中におけるコールドチェーン等、鮮度を低下させないための機構整備ということが、私はきわめて重要であろうかと思うのでございますが、特に流通部門においての対策を今後どう進めていかれようとするのか、この際特に大臣にお伺いしたいと思います。
  38. 西村直己

    西村国務大臣 コールドチェーンも、すでに先般公庫資金の場合に御論議いただいたように、実験段階に進んで、これをどう経済的に実用化していくかという段階でございますので、われわれとしては、これをできるだけ経済性のあるように達成してまいりたいと思います。  それから生鮮食料品は、生産地の問題については、指定地の拡大であるとか種類の拡大生産増強、それも流通に結びつけた生産増強をやっておるわけでありますが、さらに流通機構の中におきましても、先般この委員会で御論議願った際にも出ました、卸売市場の整備であるとか小売りの近代化であるとか、こういった方面をさらにさらに強化してまいって、生鮮食料品の安定と、同時に生産者の生産意欲というものを守ってまいりたい、こう思っております。
  39. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間がありませんので次に移りますけれども、いま一番問題は、何といっても農村における労働力確保ということが大事でありますが、今年度の予算措置においても、農業後継者対策ということがうたわれておるわけですけれども、その対象人員というのは、一カ町村にわずか二人か三人、これではまさに焼け石に水の感を深くするわけでありまして、問題は、今後農業従事者がいかにしたならば所得が向上し、経営が安定するか、この長期の視点に立ったところの対策というものがきわめて必要ではないかと私は思うのですが、後継者対策に対して今後どういうふうな積極的な措置をとろうとしているのか。  それからこれに関連いたしまして、農家の所得が低位にあるために、どうしても出かせぎをしなければ生活ができない。この出かせぎ対策にいたしましても、やはり私は抽象的な論議でなくして、具体的にもう少し血の通った対策というものがとられてしかるべきじゃないかと思う。これはもちろん農林省だけの所管ではないわけでございますけれども、問題は出かせぎに行かなくても十分家でささえられるようなところの、出かせぎに対する抜本的な対策以前の問題として処理すべき具体的な点がたくさんあるのじゃないか。たとえば、例として、花つくりだとかいろいろな面で、積極的な農業面の施策を通じて成功しておる例も全国にあるわけでありますが、この点も含めて、大臣の御所見を承りたいと思います。
  40. 西村直己

    西村国務大臣 農村の労働力、就業人口自体が減少するということ以上に大事なのは、申し上げるまでもなく何といっても労働力の質の問題が大事である。そこで、後継者の問題というものが当然登場してくると思うのであります。それに対しては、他の面から農業を魅力のあるものに変えてまいることも必要でありましょう。同時に、後継者自体をどう育成するかという問題もありましょう。もう一つは、それとの関連においての農業者の、いわゆる老後の安定のための年金的なものも考えていかなければなりません。いろいろな面から、後継者あるいは労働の質を確保してまいる。あるいは資質の向上と申しますか、質の向上をはかる。そして各府県なりに伝習農場とかいろいろな施設がございますし、また、今回農林省設置法の一部改正にも、農業者大学校という制度を新しく御提案申し上げておるように思っておるのであります。それから後継者の育成資金等のワクの拡大等もやっておりますが、これからもさらに、これらについては当然のこととして、われわれは努力をしてまいるつもりでおります。なお細部にわたりましては、関係の局長から御説明申し上げます。  もう一つは出かせぎの問題でありますが、これも農業所得の少ない地域におきましては、出かせぎの現象というものが現実として起こっておる。また将来も多くなるであろうということは、すなおに受け取らなければならぬ。私自体が幾ら理想論を言いましても、現実を踏まえつつ政策は進めてまいらなければならぬ。現実にある問題の中から、これを少なくするというお説のような考え方も持たなくてはならぬと同時に、出かせぎ自体を、私自体としてはある程度せぬばならないと思います。農外所得というものを保持していく場合に、できるだけ出かせぎの、不明朗な面と申しますか、不安な面と申しますか、そういうものは除いてまいる努力もしなければならぬと思います。したがいまして、雇用先の不安定というようなことからくるもの、それから家庭環境、こういったものとの関連等々よく考えてみますというと、もちろん私ども農林省だけの問題ではありません。大きく申しますれば、農外所得をふやしたいという部分におきましては、近いところに雇用機会を確保するというような、いろいろな地域開発との問題もからんでまいりますが、何と申しましても、こういうものをわれわれが理屈を言っておったり、一つの理論だけのものにとどまる以前に、現実に少しでも前進をはかってまいるように、各関係省とも努力をしてまいりたい、こう思います。
  41. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほど出かせぎに関連しまして申し上げたわけですが、これは園芸局長にお伺いしたいわけですけれども、出かせぎに行かなくても農家経営ができるようにということで、たとえば一つの例でありますけれども、愛知県の飛島村におきましては農協の指導のもとに花つくり、それから岡山県の西大寺というところ、ここではシイタケのグループ栽培等、こういうような一つの積極的な指導によって農家経営の安定に寄与している、こういうこと等が報道されておるわけでございますが、局長はこの辺の事情を承知されているのかどうか。先ほど申し上げましたような血の通った対策というのは、こういう具体的な一つの例で申し上げているのでございますが、いかがでございますか。
  42. 黒河内修

    ○黒河内(修)政府委員 私、ただいま先生からお話がありました具体的な現地の実情につきましては承知いたしておりませんけれども、御承知のように、最近花卉につきましても、電照菊でございますとかカーネーションその他、生活水準の向上に伴いまして、生活の中に非常に花を入れるというような環境から、花卉栽培等も非常に盛んになってまいっております。私どもも、先般全国生産者大会がございましたけれども、これらの花卉の栽培につきましては、先ほどなたね等で申しましたように、やはり主産地形成というようなことで、地元の労働力の事情でございますとか、他の競合作物との関係でございますとか、そういうような面を考慮して、将来伸ばしていくところにつきましては、ある程度重点的にその振興措置を、今後考えていきたいというふうに考えております。
  43. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、漁業関係について二点お伺いしたいと存じます。  第一点は、昨日同僚の角屋委員からも質問があったと思うのですが、今日の沿岸漁業なり零細な中小資本の漁業振興ということは、何といいましても資金制度の面において、この際やはり抜本的な改革をすべきだ。そういう意味から、近代化資金制度の確立というのが、関係漁民の強烈な願いではないかと私は思うのでございますが、これに対して早急に法案なり予算の整備等を、私は確立すべきだと思うのでございますが、これに対する御所見を承りたいと存じます。
  44. 西村直己

    西村国務大臣 昨日もお話が出ましたように、漁業近代化資金は、昨年の予算折衝の際におきましても、もうすでに関係農林、大蔵両大臣の間で実施のめどがついております。そこで、あとはそれをどう具体化するかの問題でございますので、できる限りその調査を急ぎまして、またできる限り早い時期に実施に移したい、そういうふうに考えておることを申し上げたいと思います。
  45. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この際、水産庁長官にもお伺いしたいのでありますが、特に漁業資源の開発ということが、日本の水産界における大きな課題でありますが、先般就航しました調査船の、いわゆる現在におけるところの成果なり今後の展望等について、どういうふうな御意見をお持ちかお伺いしたいと存じます。
  46. 久宗高

    ○久宗政府委員 資源の開発につきましては、先般お話しいたしましたように、本年度から新漁場の開発に乗り出したいと考えておるわけでございまして、開洋丸を中心といたしまして、民間の御努力も組み立てまして、計画に取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。主として問題としております地帯は、高緯度地帯におきますカツオ・マグロ資源の問題、それから東海、黄海におきますまき網の問題、これらが中心になろうかと思うわけでございます。いずれにいたしましても相当期間のかかることでございますので、役所と県と民間の試験操業をうまく組み合わせまして処理にあたりたいと考えておるわけでございます。
  47. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に漁業関係に関連しまして、毎年問題となっております日ソ漁業の関係でございますけれども、特にこのサケ・マスの漁獲量をめぐりまして、いわゆるこの資源状態の把握ということで常に意見の対立があり、それに基因をいたしまして結局今回の場合におきましても、日本とソ連との間における漁獲量の、いわゆる対立があるわけでございますが、この辺のことについては、何といいましても資源状態の科学的な把握ということが問題であろうかと思うのですが、一体、これにどういうふうに対処しようとされるのか。また去る二月六日、ソ連の最高会議幹部会は、いわゆるカニについても大陸だな資源としての方向を発表し、これに対して日本側は、あくまでも公海資源であり、定着性の生物資源でないという立場から、これまた交渉の過程で基本的な対立を示しておるわけでございますが、日ソ漁業に関連するこの二つの点について、大臣の御所見を承りたいと存じます。
  48. 西村直己

    西村国務大臣 昨日もこの問題に御質問が触れられたわけでありますが、具体的なことにつきましては現在目下交渉中でございますので、あるいは避けなければならぬ点もあるかもしれませんが、サケ・マスにつきましては、日ソ漁業条約に基づいてお互いに共同で調査する、こういうことがございますので、日ソ双方から科学者、専門家が出まして綿密な調査を、その年々でやるわけであります。そこでわがほうが出したデータ、向こうが出したデータで議論はいたしますけれども、そのデータに基づきまして、漁業条約に基づく委員会の中でもって現在も折衝をやっておるわけであります。  そこで、見通しとしてはサケ・マスも、私は今回、最終的には円満な妥結にいき得るというふうな期待を持っておるわけでございます。  それから大陸だな資源につきましては、確かに相手方のほうとしては、相手方の一応加盟している条約からくる主張である大陸だなというものをいっているわけでありますが、わがほうとしてはこれに加盟していない。したがって、わがほうとしては従来の漁業条約のワク内で、あくまでも公海上の資源であるといって、そういう点で先般カニ漁業につきましては、今年度は解決を見たわけでございます。
  49. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間がございませんので、あと二点にしぼって御質問したいと存じます。  第一点は、林野庁関係の木材の関係でございますけれども、これは非常に庶民階級には重大な影響を持つものであります。特に最近の木材価格の傾向等を見ておりますと、昭和三十六年に対前年比二〇・八%上昇、三十七年、四十一年、四十二年とそれぞれ二%、八%、一一・八%、本年の一月においては実に前年平均の一・二%も上昇しておるという非常な木材価格の上昇であります。このことは、何と申しましても国内におけるところの木材の供給体制というところに問題点があろうかと私は思うのでございますが、この最近の木材価格の動きの原因は大体どうなっておるのか。  それから相当数の外材が輸入されて、四十二年度における経企庁の統計によりましても、八千四百万立米の需要に対しまして外材が三千三百万立米輸入されて、実に四〇%を占めておるわけでございますが、このような木材類のいわゆる価格の変動、またこれに対する対策、同時に、これから無制限に外材の輸入をすべきではないと思うが、こういうふうな問題について、どういうふうな対策をお持ちなのか。  次に、特に私は、現在林業に従事しておるところの労働力の需給関係というものがうまくいかない要因は、労働条件のいわゆる劣悪であるということ、あるいは経済力の低下または過疎問題等、社会保障制度等がおくれておるという情勢が、今日の林業労働力の需給関係がうまくいっていない重要な要因ではないかと思うのですが、これに対してどういうふうな抜本的な対策をお持ちなのか。  それからもう一つは、特に国有林関係の労働者の雇用安定対策について、先般来わが党の森委員からも強く指摘をされておりますが、この定員化の問題等について、どういうふうな措置をとられようとしておるのか。以上、大まかに申し上げて三点についてお伺いをしたいと存じます。
  50. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 第一点の、価格の上昇の原因いかんというお話でございますが、木材需要が非常に急激に増大してまいったのは御承知のとおりでございます。それに対しまして、国内の生産体制というものがなかなか整備されない。たとえば林道であるとか、資本装備を高度化して対処するというようなことが、まだ十分に行なわれておらないという点が一点ございます。そのような姿の中で、労賃の上昇が非常に激しいということが相関連いたしまして、国内生産が停滞しておるということが一点ございます。それからもう一点は、御承知のように、人工林というのがございます。これが、全森林面積の大体三二%国内にあるわけでございますが、そのうちの六七%は終戦後植えた木である。したがいまして伐期に達しない、そういうような性格がございます。そういうような形から、供給が期待どおりいかないというのが一点ございます。しかしながらなお三割余にわたりまする未開発林がございますので、そういうものの開発によりこれは達成されるべきでございますが、先ほど申しました林道その他の未整備が若干ございます。それからもう一点は、外材によってその価格を安定するということで対処してまいっておるわけでございますが、御承知のように外材価格もまた、産地において値上がりしておるというのが実態でございます。したがいまして、それらとの相関連の中で、木材価格が上昇してまいったという実情でございます。  しからば、その対策いかんということに相なろうかと思うわけでございますが、対策につきましては、基本的には、その原因で申し上げましたように、やはり林道をつくってまいる、あるいは生産を合理的にするという意味の生産の協業的な姿、それに伴う資本の装備をやってまいるということが必要ではなかろうか。なおまた長期的に見ますれば、やはり造林の推進ということの中でこれが達成されていくべきではないかというふうに思うわけでございます。そのほか総合的な対策といたしまして、構造改善であるとか、あるいは労働対策とか、そういうものとの関連において、やはり総合してこれを進めなければならない、かように思う次第でございます。  それから、第二点の労働の問題でございます。御承知のように、従来山林労働というのは、性格的にも非常に季節的であるわけでございます。したがいまして、従来の雇用の姿というのは、臨時的な雇用というのが従来の姿であったわけでございます。しかし、そのような形で今後の林業を進めることは非常に困難でございます。やはり通年的な雇用という形に持っていくべきであろう。そのような姿におきましては、やはり造林という季節性の高いものとほかの事業と組み合わせながら、通年的な作業の仕組みに持っていくべきじゃなかろうかというので、そのような指導をやってまいっておるわけでございます。四十三年度におきましては、新たに予算もお願いいたしまして、通年雇用推進の姿を打ち出しておるわけでございます。そうすることによって、いわゆる労働条件整備されることによって、社会保障その他の基盤もまた整備されるわけでございますので、それを通して安定的な雇用がはかられるというふうに考える次第でございます。  最後に国有林の労働の問題。これは国有林には、定員内の職員と定員外の職員と御指摘のとおりございます。その中で、常用作業員が約一万名ございますし、なお定期作業員というのが約三万名あります。したがって、その常用作業員の中で機械作業員というのが二千七百名ばかりおるわけでありますが、これは今後国有林の機械化推進の中において、定員内に任用してまいるという方向で進んでおります。現在までのところ約六百名を定員内に任用してまいったという姿であります。なおまた定期作業員というのは期間的の雇用でございますので、これはあくまで通年的な雇用に持っていく、その中で安定してまいるというふうに考えております。  なお賃金その他につきましては、諸情勢の許す限り合理化の中でこれは進めてまいりたいというふうに考えている次第であります。
  51. 兒玉末男

    ○兒玉委員 時間ですので、最後に一点だけ農林大臣にお伺いしたいと思うのですが、ただいま長官からの答弁の中にもございましたとおり、現在国内の木材の供給は全体の六七%しかできないということをいま指摘されております。こういう状況から考えましても、年間にばく大な外貨を使って外材輸入という態勢をできるだけ解消するためにも、いわゆる国有林等におけるところの植栽造林等きわめて重要な使命があるわけでありまして、そういう点からも、一番最後に問題になりましたところの、現在国有林に働いておる労働者の中で、当然定員化しなくちゃいけないにもかかわらず、昨年九月末で欠員二千四百名であります。いま長官が答弁されましたが、約六百名が今年度定員化されるということでございますけれども、実質的には、現在のいわゆる定員内の職員の仕事と何ら変わらないことをやっている。この機械関係の者については、とにかく早急にこの欠員が解消し、二千四百名全部が定員化されるように、特に今後の国有林労働者の使命等の点から考えましても、きわめて重要な課題ではないかと考えますので、この点についてはひとつ積極的な努力を要望しまして、大臣の御所見を承わりたいと思います。
  52. 西村直己

    西村国務大臣 機械要員等につきましては、ただいまでも定員化をはかりつつはあるわけでありますが、なお二千数百名の方々が一応まだ対象外になっておるわけでございます。したがって、これらにつきましても許す範囲におきまして努力をいたしてまいりたいと思います。  なお同時に、国有林の常用の作業員の方々の待遇等につきましても、先般他の委員会におきましても御答弁申し上げたのでありますが、それらにつきましても努力はしてまいるつもりであります。
  53. 足立篤郎

    足立委員長 神田大作君。
  54. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣、元気がないようでありますが、日本農業が非常に重大な段階に立っているので、もっと元気を出して、自信を持って答弁してもらいたい。  まず第一に、大臣は所信表明で、「私は常日ごろから、農業の健全な発展なくしては、日本経済の豊かな繁栄はあり得ないと考えております。」と申しておられますが、大臣のこのような表明に相反して、日本農業の健全な発展が年々失われているようでありますが、特に農産物の輸入が非常に多くなってきておる。昭和三十五年度以来の数字をとってみますと、年率平均一五%ずつ輸入がふえておる。中でも畜産物は、国民の食糧消費の多様化、高度化を反映して非常な高い伸び率であって、昭和三十五年度に対して昭和四十一年度の輸入数量の比較は、畜産物で三・七倍、飼料で三・五倍というように輸入が非常に伸びておる。果実や加工品では、六・一倍と、全く驚くような数字を示しておりますが、これはとりもなおさず、日本の農業が外国の農業に依存をしているということであって、大臣の言っておるところの、農業の健全な発展と相反しておるのでありますが、この点に対してどのような考えを持っておりますか。
  55. 西村直己

    西村国務大臣 御質問の趣旨は、農産物の輸入が非常に伸びておる、したがって、日本の農業というものが健全に伸びているかどうか、一口に言いますとそういう御趣旨だと思うのでございます。  そこで、戦後におきまする経過から見まして、最近では、日本経済高度成長を遂げて、所得も上がる、したがって日常生活における消費の内容というものがかなり高度、多様と申しますか、お乳も飲めばくだものも食べる、蔬菜もうんと食べる、肉類も食べるというふうに変化してきておる。そこで、これに対して供給のほうは供給なりに、ある程度絶対量の伸びはあると私は思うのです。しかし、それが必ずしも追いついていない。ことに、経済の異常な伸びに対しまして需要供給のバランスがくずれているところへ、自由化問題等も多少ありまして、そこで、特に農産物の輸入が、これに林産物を加えますと、日本の輸入の中の相当大きな部分を占めておることは事実でございます。  そこで、一つは国内における自給体制を確立することが大事なことでありまして、現在、ご存じのとおり自給率が八一%、これは総合自給率でありますが、総合自給率だけで出しておってもいけないのでございまして、個々の自給率を高める。これには品目によって、私どもはしっかりしたものを立てていかなければならぬ。そこで、品目別の自給率につきまして長期見通しを、すでに三十七年でございますかに立てておりますが、なるべくすみやかに、日本の農業の中で、これについては自給度をこの程度まで高め得るしまた高めねばならぬ、これはこの程度の自給率にとどまるであろうというような見通しというのをさらにもう一ぺん、われわれとしてはできるだけ早い機会に検討を終えまして、それに向かって生産なり生産性なりの向上をはかってまいる、こういう考えでおります。
  56. 神田大作

    ○神田(大)委員 輸入が非常に多いということは、とりもなおさず、日本の自給率が消費に比例いたしまして少ない、追いつかぬということであろうと思うのです。それと同時に、鉱工品の輸出に見合う外国からの農産物の輸入でもって、輸出入のバランスをとろうとする政府の考え方が、このように農産物をたくさん輸入することによって鉱工品の輸出を伸ばし、そして日本の農業を、大臣の言明とは相反するように押えようとする。そういう意図があるからこういうような結果が出てくるのであって、いかに大臣が、口で農業の健全な振興をはかると言ったところで、そのような、いわゆる政府自体の輸入、輸出の考え方を直さない限り、これはできないと思うのですが、大臣はどう思いますか。
  57. 西村直己

    西村国務大臣 官房長がちょっと先にお答えいたします。
  58. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 ちょっと私から御説明申し上げたいと思います。  御指摘のように、昭和三十年代後半から、非常に日本の農産物の輸入がふえたのでございます。この理由は、先ほど農林大臣が申し上げましたように、日本の高度成長に伴う食糧需要の異常な伸び方というものが、主たる原因であると私どもは思っておるのでございます。それに対して日本の農業生産が追いつかないということも、当然その原因であるわけでありますが、三十年代前半の日本農業の総生産の伸びは年率三・二%、後半が二・三%、四十一年は前年に比べまして三・八%、四十二年はおそらく八%近い伸びになると思うのでございます。この農業生産の伸び自身は、世界の各国に比べましても高いほうに属しておるのでございます。  ところが、食糧の需要の伸び自身は、世界に例を見ないような高い伸びでございますので、依然そこに輸入に依存する率が現象としてふえてきておるということでございまして、日本農業生産を押えるというような考え方は、毛頭持っておるわけではございませんが、農業生産の特質から申し上げまして、急速な需要の伸びに対応いたしまして、どうしてもある程度の輸入依存という姿が出るのは、やむを得ないことではないだろうかというふうに思っております。
  59. 神田大作

    ○神田(大)委員 なるほど農業生産力は伸びておるでしょう。伸びておるが、しかし、近代化機械化しておる現在の農業経営の上から見ましても、これはもっと消費に見合って伸ばさなければならぬのでありますが、それを伸ばしておらない。構造改善事業をやっても成果があがらぬし、あるいは今度農地法改正等もやりますが、ただ日本の五百万町歩の農地をどうするかというようなことだけ考えて、耕作地を拡大しようという積極的な施策を行なわない。  そういうところから、日本の農業需要に比較して伸びておらない。基本的な政府の対策が欠けておると私は思うのです。農地拡大とかあるいはまた近代化機械化の徹底した構造改善施策を施さない限り、これは輸入に依存しなくてはならぬが、輸入ができるからといって、日本国内の農産物の増大に対して非常に消極的である。その消極的であるということは、鉱工業生産品を輸出して、その見返りとして農産物を輸入するのであるから、これはそう積極的にやる必要はない、こういうような考えを根本的に持っておるのじゃないですか。その点いかがですか。
  60. 西村直己

    西村国務大臣 ちょっとその点は、私どもと考えが異なるのじゃないかと思います。私どもはむしろ農業生産を、ものによってはそれは自給率を伸ばしにくいものもありますが、自給率をできるだけ高めたいという努力をし、そのために、あるいは農用地の拡大もいたしますし、構造改善もやりますし、またその他機械化近代化、それから選択的拡大、いろいろな方法で進めてまいっております。特に既墾地だけではなく、新しい開拓なり開墾なり、そういったものにつきましても、相当長期の土地改良計画の中で具体的にやっておると思います。状況は、農地局の参事官のほうから御説明申し上げたいと思います。
  61. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 御承知と思いますが、去る昭和四十一年の三月土地改良長期計画を閣議決定いたしまして、四十三年度は三年目に当たっておりますが、この計画では、農地の開発の面を申しますと、向こう十カ年間に農地三十五万ヘクタール、草地四十万ヘクタールを新たに造成する計画でございます。この計画は現在進行中でございますけれども、すでに四十年、四十一年の二カ年の実績を調べてみましても、それ以前の実績よりはかなり伸びておりまして、開拓、干拓あるいは草地改良、こういうようなことで農用地の新しい開発、これを進めておりまして、十年間にいま申し上げました目標を達成する計画で、予算措置も、現在の段階では、ほぼ計画と見合った事業費を計上しながら進めておるわけでございます。
  62. 神田大作

    ○神田(大)委員 時間がないから先へ進んで、この問題はあとの機会で御質問することにいたします。   〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕  それに関連もしますが、たとえば脱脂粉乳の輸入ですね。こういうものを大量に輸入しておりますが、そのために日本の、いわゆる酪農振興に大きな支障を来たしておるわけです。一応加工原料乳につきましては乳価の不足払い等をやっておりますから、ある程度東北とか北海道の原料乳地帯においては、酪農の安定が見られつつあるようであります。しかしながら、市乳を主体としておるところの酪農地帯においては、還元乳を使って市乳にまぜて売っておるというような現状においては、非常に市乳地帯の酪農振興というものに重大な支障を来たしております。この問題は前にも予算委員会等においても、わが党といたしましてこれを指摘しておきましたが、還元乳のこのような酪農振興を圧迫する問題につきまして、大臣はどのようにお考えになっておりますか。
  63. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御質問の還元乳の問題でございますが、いわゆる還元乳と申しますのは、生乳の需給の季節的、地域的なアンバランスをカバーするためにやむなくつくられているというものでございまして、コストの面から見ましても、生乳のみによる飲用牛乳より、必ずしも有利だとは言えない状態にあるわけでございます。もちろん、飲用牛乳についてはあくまでもフレッシュなものが好ましいことは言うまでもないわけでございますから、生乳生産振興させてまいることによって解決していきたいというふうに考えております。  つまり、国内的に生乳の、需給のバランスがとれていないために、やむなく還元乳が使われておるというのが実態でございますから、どうしても国内の生乳の生産をふやしまして、それによって供給をいたしまして、還元乳というものを減らしていくというふうな措置をとることが、適当であるというふうに考えておるのでございます。
  64. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは重大なことなんですね。還元乳を減らすためには市乳の振興をはかるというが、現在のように生乳に粉乳が入っておって、これを売っておれば必ずもうかるわけです。商売からいっても、もうかるところへ走るのは当然でありますからして、この還元乳に対する何らかの規制をしない以上は、市乳地帯の酪農は振興しない。この点を畜産局長、よほど決意をしてかかっていかないと、日本の市乳地帯の酪農は全滅するおそれがあるのですがどうですか。これは大事なことですよ。あなたはいつもそういうへ理屈を言ってごまかしているが、これは絶対承認できない。
  65. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先生御承知のように、飲用牛乳の消費というものは非常に伸びておるわけでございます。国内で供給をいたします生乳では、その需要に応じ切れないということがございますために、やむを得ないで還元乳が出ているというふうに考えているわけでございます。したがいまして、フレッシュな生乳を十分供給するということにしなければ、還元乳を禁止いたしましても、どうしても需要があるわけでございますから、供給ができないということになっているわけでございます。したがいまして、フレッシュな生乳を、必要なものを十分供給するということをしなければならぬというふうに私たちは考えておるわけでございます。
  66. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、市乳振興のためにどのようにお考えになっていますか。
  67. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 加工原料乳につきましては、不足払い制度によりまして価格の安定をはかっておるわけでございますが、市乳価格につきましては、本来地域的な商品として、自由に価格形成されるものでございますし、また、価格操作というふうな形で統制することは、なかなかこれはむずかしい問題でもあるわけでございます。したがいまして、現在は生産者と乳業者との間の話し合いによりまして、価格が形成されるということになっておるわけでございまして、私たちは妥当な価格が形成されるように、両者の話し合いが円満に進行するように、努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  68. 神田大作

    ○神田(大)委員 そこが大事なんですよ。円満な価格の形成をはかろうといっておっても、粉の還元乳が横行している以上は、乳業メーカーは積極的に生乳を適正な価格で買おうとしないのですよ。粉を還元乳にしてやればもうかるのですから、もうかるほうへ手が出るのは当然でしょう。そこのところに、粉乳の輸入を押えるとか、あるいは国内の生産を押えるとかして、適正な生乳の価格、取引を助成しない限り、これは振興しないですよ。どうですか。
  69. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 需要があるという形で還元乳というものも出てくるわけでございますから、したがいまして、需要に応じまして価格形成が行なわれることになるというふうに思っておるわけでございます。還元乳につきましては、要するに加工過程を経まして出てきたものでございますから、これをまた還元をして牛乳にするということで、コスト的に見ますと、普通牛乳における場合よりもコスト的に非常に有利であるというふうな形にはならないものであるというふうに思っております。
  70. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、あなたの考えとはわれわれは考えがあべこべなんですね。この問題を議論すると、私は時間が四十分しかないのだから、ほかの大事な質問ができなくなるので、これはまたあとでよく局長の見解をただしたいと思う。この還元乳の問題を解決しない限り生乳の振興はできない。それから加工原料乳に対しては不足払いをやっているが、市乳に対しては何ら政府が手助けをしていないわけですね。だから、どうしても政府が、これの輸入を押えるためには、酪農振興のためにある程度犠牲を払って、加工原料乳と同じような不足払い制度——そういう名前がいいかどうかわからぬが、何らかの助成措置をとらぬ限り、現在における関東から近畿、中部にかけての酪農というものが、衰微するのは目に見えている。いまが非常に大事なときですから、局長も大局的立場に立ってお考え願い、大臣もこの問題について十分な考慮を払ってもらいたいということを申し上げまして先へ進みます。  次に、食糧問題についてお尋ねします。先ほども質問があったようですが、今度の予算でもって、生産者米価と消費者米価をスライドするような考え方が予算に載っておるわけですね。生産者米価が上がれば消費者米価も上げるというような、そういう考えで予算が編成されておるようでありますが、これは生産者米価の適正な値上げを押える一つの方法として、おまえら、米価を値上げするということになると消費者米価も上がるのだぞというようにして、いわゆる物価の上昇を農業生産者、米の生産者になすりつけるようなやり方でありますが、大臣はどのような考えですか。
  71. 西村直己

    西村国務大臣 米価は、御存じのとおり食管法の三条、四条によりまして、生産者米価それから消費者米価はきめるわけであります。それで生産者米価は、再生産確保ということで基準が設けられておるし、それから消費者米価は、御存じのとおり家計安定ということでいくわけであります。したがって、これによって、ただ生産者米価は総合予算制という中できめるから、もう初めから消費者米価にスライドするから生産者価格を押えるのだ、こういうことはわれわれは考えていなくて、あくまでも食管法の基準によってやっていく。しかし、その両米価というものは全然無関係ではない。御存じのとおり、食管制度の中において両方をそれぞれの基準できめる、そして経済その他の事情によってこれをきめ合っていく、こういうことになっておるわけであります。  したがって、私どもは総合予算制をとったからといって、直ちにこれがスライドされて、そしてそのスライドによって今度逆に生産者米価を押えるのだ、こういう意味で考えていない。あくまでも主体は食管法の条項に従ってわれわれとしては価格決定をする。ただ、総合予算制というものが一応国会の御審議を経ておりますから、それは十分念頭に入れながら、われわれとしては価格決定というものはやっていかなければならぬということは、それはそれなりでございます。
  72. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは非常に大事なことで、今後、今年度の米価の問題ももう時期的にわれわれは検討しなければならぬ時期でありますが、大臣は食管法でやると言いますが、いわゆる消費者米価と生産者米価をからませるということは、暗に生産者米価を押えるというふうに、われわれとしても、国民としても、米作農家としても考えざるを得ない。いわゆる二重価格制、生産者米価は食糧の需給を確保するために、いわゆる生産費所得補償方式によってこれをやる、片一方において消費者米価というものは、国民の食糧の供給の安定と同時に、生活を守るためにこれをやるという二重価格制をとらざるを得ないのが日本の現状なんです。それを破るような、生産者価格と消費者価格をスライドするということは、そのような基本的な考えを、政府はここでもって御破算にするという考え以外にはこれは見られない。そういうふうになっていくわけです。だから大臣がどのような弁明をしたところで、われわれ国民としては、生産者が生産の増強をはかり、食糧を確保するための米価であり、消費者米価というものは国民の生活安定のための米価でなければならぬのを、それをスライドするというようなことは理屈に合わぬ。大臣がそんな答弁をしたって、どうにも国民はみんな納得しないのです。その基本方針を今度変えようとしたところに問題があるのです。大臣、どう思います。
  73. 西村直己

    西村国務大臣 あくまでも米価というものは、御存じのとおり食管法にすでに条項がきまっておりまして、それに従って政府が決定をするわけであります。したがって、米価については、当然労賃あるいは資材費等上がる要因がありますれば、生産費は再生産確保のために上がってまいるわけであります。同時に、消費米価というものは、たしか四条でありますかによって家計米価というものを中心にして、そうして消費者の家計というものの安定の観点からきめてまいる。ただ、それらはやはり両方とも、経済その他の要件も十分勘案しながらという前提はもちろん入ってまいりましょう。  そこで、総合予算制であるから直ちにこっちがこっちと……。ただ問題は、食管会計の中には、米価もありますが同時に米価以外の要素というものも食管会計の中にある。そういうような中からきめられていきますが、私どもは、直ちに甲のものが乙へそのまま乗り移ってどうだ、機械的に計算してスライドだ、スライドだとおしゃるのは、そういう意味ではないというふうに御説明を申し上げておるわけであります。
  74. 神田大作

    ○神田(大)委員 この問題は、大臣の考えとわれわれの考えは非常に違うので、あとの機会にまたお尋ねをすることとします。  最近日通問題で、だいぶ汚職でもって検察庁にあげられておるようでありますが、この日通汚職の問題に関連して、大臣からまだ一回もわれわれはこれらに対する見解は聞いていないのです。食糧をはじめ国有林関係の材木、これらあらゆる国の荷物が日通に独占的に委託してあるのでありますが、これらの問題につきましては、前々から非常な疑惑の目をもって見られておったわけですが、これは独占禁止法にも違反するし、また財政法にも触れると思うのですが、この食糧独占輸送に対して、大臣はどう考えておりますか。
  75. 西村直己

    西村国務大臣 私は、従来の経過におきまして、日通自体が食糧輸送についてその能力が非常にあるし、また食糧というものを全国的に配ると申しますか、集めたり配ったり輸送するという仕事は、非常に責任のある仕事でございます。そういう意味から、従来において日通がこれを担当しておったそれ自体は、別に法律上もまたその他にも触れる問題ではないし、またその手続は、法理的にちゃんときまった形でやられておったと思います。  ただ問題は、今日の事柄が起こる以前から、すでに農林省内部におかれましても、他に能力のあるようなものがありますれば、複数輸送でやってもいいじゃないかというような考え方も起こっておりまして、昨年の末から、すでに事務的な研究会を開いておるわけであります。その対象が、たしか全国通運という会社でありますが、そこでそれらを事務的に詰めた結論をまって、能力があるものなら、私どもは何らかの形でこれは参加さしていいのじゃないか、こういう現在考えでおります。   〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 神田大作

    ○神田(大)委員 食糧庁長官、どう考えるか。
  77. 大口駿一

    ○大口政府委員 基本的には、ただいま大臣が申されたとおりでございまして、補足して申し上げますと、ただいま神田委員が御指摘になりました中で、財政法にも触れるという趣旨の御指摘があったのでありますが、この点は、おそらく会計法規で、政府が契約を結ぶ場合には一般競争入札が原則であるという、その原則のことを申されたのではないかと思いますので、そういう趣旨了解をしてお答えをいたしたいと思いますが、実は、食糧の輸送は全国的な規模にわたっております。御承知のように、生産県から消費県にわたって、また同一県内においても生産地帯から消費地帯に緊急かつ安全に輸送するということのために、戦後の食糧窮迫時代には、非常に緊急輸送がおもになっておったと思います。したがいまして、食糧庁といたしましては、安全確実に運び得る能力があるものということで日本通運を選定して今日にまいったのでありますが、若干他の業者の参画を認めても差しつかえないと思いますので、本年からそのような角度で研究いたしておるわけであります。  しかしながら、実際に運送業者をして運送いたさせております支払い運送賃の内容というのは、大部分が運輸省の所管でありまして、倉庫業法によりまする入出庫賃でありますとか、あるいは通運事業法による通運料金でありますとか、あるいは道路運送法によるトラック運賃でありますとか、それぞれの認可料金をもとにしてやっておりまする関係上、これを入札に付して競争させるという、その実益がほとんどないという考え方が基本にあるわけでございまして、会計法規におきましても、運送並びに保管をするときには随意契約でやっても差しつかえないということに、予算決算会計令で明記されておりますので、私どもは、従来とっておりました形が、特に会計法規に照らして問題があるとは考えておりませんし、また、今後複数の業者を参加させる場合におきましても、入札制をとってこれを競争させるということは、現在の運賃の認可料金制度のもとにおいて、必ずしも実益に乏しいのではないかという見解を持っております。
  78. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、時間がないからあとでやりますが、非常に問題を含んでおると思うのです。いまこういう問題が起きて初めて食糧庁は日通と、それから今度全国通運という全国的な組織を持っておられること、食糧庁と、三者でもって研究会をやっておるということでありますが、この非常に利害関係ある三者ということじゃなしに、もっと広範な意味においての第三者を入れて検討をして固めるべきであろうと思います。日通と全国通運というような限られたものでは、また同じような問題が出てくる、こう私は考えます。  そういう意味合いにおきまして、全購連等がいま食糧輸送の、いわばマル通からの下請をやっておるような、そういう形になっております。相当の輸送力を持っておりながら、このマル通にピンはねをされて下請をやっておる。あるいはまた、マル通は食糧庁から一括して請負って、それを各支店、営業所にはピンはねをしてやらせておるような、そういう形跡もあるわけですね。こういう問題点が非常にたくさんある。全国民が食糧庁にも汚職が飛び火するのではないかというような、そういう疑念を持っておるようでありますが、この問題について大臣は、いま司直の手が入っておる最中でございますから私は深く追及しませんが、どのように考えておりますか。
  79. 西村直己

    西村国務大臣 日通自体が他の事業をやって、いろいろ問題を起こしておることについては、私もそれは司直の問題だと思いますが、事柄が、食糧輸送自体についてどうだということについては、現在何らわれわれは聞いておりません。ただ問題は、食糧が相当需要供給も緩和しておりますし、それから、この事件が起こる以前から全国通運というものも、国鉄も出資して一つの能力を持ちつつある。そういうような段階においては、こういう公益性のある物資輸送については、複数であっても、あるいは複数に準ずるような方法であってもいいのではないかということで、すでに研究を進めております。昨年からやっておるのです。決して、今回の事態が起こったからあわててどうするとか、こういう問題ではございません。  ただ問題は、それじゃといって何んでもかんでも大ぜい集めて競争入札するかという点については、事柄が法制的にきまっている料金の問題でございますから、競争によって受ける実益も少ないではないか。そこで、能力というものがまず問題になってくるわけでございます。たとえば、能力と申しますと、それでは実際にどの程度各駅で免許というものをそれぞれの会社が持っておるかというような、いろいろな技術的な問題が入ってまいります。そういうものと、もう一つは食糧の安全確保なり、安全輸送なり、緊急輸送なりの体系というものを十分に果たし得るか、こういう観点から私どもは妥当な結論を出してまいりたい、こういう趣旨でございます。  今日、私は信じておりますし、食糧庁等においてそういった忌まわしいような事柄は少なくともあり得ない、こう考えております。
  80. 神田大作

    ○神田(大)委員 まだ大臣の答弁に対しまして質問はたくさんありますけれども、時間がありませんから……。  食糧の安全輸送というような関係からいって、いま玄米でもって出していますね。あれを白米輸送にして、産地でもって精白してそれを出すということになれば、ぬかとかあるいはその他のものを逆輸送する必要もないし、そういう意味合いにおいて検討する段階に来ていると思いますが、この生産地における白米の出荷に対してどのような考えを持っていますか。私はそうすべきだと思いますが、どうですか。
  81. 大口駿一

    ○大口政府委員 産地における白米の問題は、実は従来から、長く保管に耐えないという長年の言い伝えがございまして、私どもも実はそうではあろうというふうに従来も思っておったわけでございます。しかし最近におきましては、産地における生産合理化ということをねらって、産地におけるカントリーエレベーターが逐次建設されておる現状、それから消費地においてはまた集中精米というような、できるだけ大規模なものをつくって合理化をしていこうということに関連をいたしまして、若干産地における精米の実験等もやっておりますが、やはり最近のように需給が緩和いたしまして、政府の手持ち米が非常な数量にのぼっております際に、むしろ産地において精米をすることを原則とするような形には、なかなか行き得ないのではないかと思います。むしろ、ただいま神田委員の申されました輸送の合理化という点で着目いたしますならば、現在輸入の麦等でやっておりますバラの輸送、これをやはり米についても逐次及ぼすというようなことが、将来の輸送合理化の非常に大きな研究問題ではなかろうかと思っております。  現在の日本の米の生産が、非常に零細規模であるということ等にも制約を受けまして、にわかにはバラ輸送が一般的な姿にはなり得ないとは思いますが、食糧庁におきましては、すでに一両年前から、内地米のバラ輸送につきましては、いろいろな研究なり試験を現在実施いたしておるわけでございまして、いずれにしましても、現在の米麦の輸送の方法を合理化することによって、将来に向かって経費の節減をはかっていく努力は、大いにいたしておるつもりございます。
  82. 神田大作

    ○神田(大)委員 この問題も時間がありませんから、あとの機会にもっと御答弁を願いたいと思います。  最後に、林野庁に私はお尋ねしますが、林野庁において国有林野を、現在までに払い下げあるいは貸し付け等をやっております。この問題も、時間がないのでとても結論には達しませんが、ただ一点だけ伺いますが、農業振興とか、畜産振興とか、あるいはまたどうしても国の経済施策の上において必要なものに対しては、われわれ払い下げなり、あるいは貸し付けなりをすべきであろうと思います。しかし、何らそれと関係のないものに相当数の国有林野貸し付け等を行なっておりますが、その実態はどうですか。これは林野庁長官にお尋ねいたします。
  83. 足立篤郎

    足立委員長 長官に申し上げますが、申し合わせの時間がありませんので、詳しいことはまた機会を設けますから簡潔に……。
  84. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 それでは簡単に申し上げますが、突然でございますので、貸し付けの実態の資料が手元にないわけでございます。しかし、貸し付けの姿につきましては、国有林野法の七条に基づきましてそれぞれの規定がございます。それに準拠して貸し付けしている実態でございます。
  85. 神田大作

    ○神田(大)委員 時間がありませんから、あとは質問しませんが、そういう資料を提出してもらいます。  それでは終わります。
  86. 足立篤郎

    足立委員長 樋上新一君。
  87. 樋上新一

    ○樋上委員 大臣の施政方針に対する質問でございますが、前二人の方からいろいろな点で質問がありましたので、全部重複を避けまして、私は、生糸の問題についてお伺いいたしたいと思うのでございます。  かつて生糸といえば、輸出産業の花形であった。現在はその立場が大きく変わっている状態でありますが、これにはいろいろと原因はあると思いますが、特に考えられることは、国内生産がここ数年頭打ちになっている反面、内需が急速に伸びていることなどが大きな要因だと思いますが、生糸の需給の推移を、三十六年から今日に至るまで教えていただきたいと思うのです。
  88. 池田俊也

    ○池田政府委員 生糸の需給の概要でございますが、ただいま先生お話がございましたように、繭の生産は、過去十カ年間くらいとりましても大体横ばいでございます。昨年は一割近く増加をしたわけでございますけれども、大体を申し上げれば横ばいでございます。  それから需要につきましては、これは内需が最近非常に増加をしているわけでございます。昭和三十年ごろの数字をとりますと、内需は約十六万俵というところでございましたが、それが最近におきましては倍に近い三十二万俵程度にまで増加をしてきているわけでございます。これは一時的にはかなりブーム的な——絹の婦人用の着物でございますけれども、ブーム的な様相があったわけでございますが、最近は、私どもの見方では、かなり着実に増加をしてきているのではなかろうか、こういう傾向は、今後も続くのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  89. 樋上新一

    ○樋上委員 確かに、三十八年以降輸入が増大する反面、輸出が減少していることは数字の示すとおりでありますが、特に四十年までは、輸出が輸入を上回っていたのが、四十二年になると完全にその地位を逆にしているわけですが、こういった需給関係の変化を、国内需要と原料生産とにしぼられた場合、根本的な原因は何にありますか。
  90. 池田俊也

    ○池田政府委員 ただいま申し上げたわけでございますが、内需が非常に増加をしてまいりまして、非常に増加の著しかった年をとりますと、前年に比べまして三割もふえたような年もあるわけでございます。毎年平均をして二万俵ないし三万俵程度最近はふえております。そういうようなことで、従来相当量が海外に出ていたわけでございますが、内需が非常に強いために、率直に申しまして輸出余力が非常に減退をした。価格も非常に上がりまして、内需でございますと、価格が上がりましても消費がかなり追随しているわけでございますけれども、海外の場合におきましては、必ずしも内需ほど価格に対する対応力が強くない。こういうような事情がございまして輸出が非常に減退いたしまして、最近におきましては、従来輸出に回っておりましたものを全部食いつぶして、さらに足りなくて輸入が増加をしておる、こういうような状態でございます。
  91. 樋上新一

    ○樋上委員 三十六年以降の生産量と伸び率をお伺いしたいのです。なおまた、政府としての目標生産量は幾らになっているか……。
  92. 池田俊也

    ○池田政府委員 三十六年以降の生産量は大体横ばいでございまして、たとえば三十六年をとりますと、三十一万俵ぐらいの生産をいたしておりますが、ごく最近の四十二年も大体同じようなことでございます。ただ、昨年末が九%増産されましたので、本年は三十三万俵程度はいくのではなかろうか、かように考えております。  それから今後の見通しでございますが、これは私どもといたしましては、まだ公式な数字ではございませんが、内部的に作業をいたしております数字を申し上げますと、昭和五十一年、大体十年先でございますが、五十一年には四十九万俵程度の生糸の生産をいたしたい。これはいろいろ労力事情等もございますので、かなりの政策努力が要るとは思いますが、最近非常に生産性が上がっておりまして、努力をすればその程度までは可能ではなかろうか。特に最近糸価が高いために、農家生産意欲が非常に高いわけでございます。昨年は九%増加でございましたが、本年は、いまのところの見通しでは六%程度は増加するのじゃないかと考えておりますが、五十一年にその程度の生産をあげることも、努力いかんによっては可能であろう、かように考えておるわけでございます。
  93. 樋上新一

    ○樋上委員 しかし、その目標生産量を完遂することはいろいろな困難があると思うのです。その第一に考えられるのは、技術進歩が頭打ちではないか。すなわち、現在は繊度感知機にしても非常に高精度のものがアタッチされており、糸質もきわめて安定しておるということは、繰糸工程において今後さほど目立った技術進歩は期待できないことを意味しているのである。次に考えられることは、労働力の不足ということが顕著にあらわれているのではないか。さまざまな要因があると思うのですが、この問題についてどのように対策を考えておられますか。
  94. 池田俊也

    ○池田政府委員 今後の生産は、一に養蚕部面におきましてどの程度の成果があがるかということでございますが、従来の傾向から申しますと、労働生産性が非常に上がっているわけでございます。たとえば、三十年と比較をいたしますと、労働生産性は現在まで大体倍上がっております。それから土地生産性のほうはそれほどではございませんが、着実に増加をしております。私どもといたしましては、今後労力問題はございますけれども、これはいろいろな省力の技術が最近非常に普及しておりますし、さらにいい機械も出てきておりますので、そういうものを今後さらに普及を進めるならば、生産余力としては十分にあるのではなかろうかと考えておるわけでございます。  製糸の段階におきましては、ただいま先生御指摘ございましたが、これは自動繰糸機というものが一巡をいたしまして、最近非常に高性能のものが出てきておりますけれども、これは生産量に直接関係はないと思いますが、養蚕部面がそういうようなことでございますので、今後も相当有望である、われわれとしてはそういうように確信をいたしております。
  95. 樋上新一

    ○樋上委員 このことに関連してお伺いいたしますが、原料代のウエートがきわめて高い製糸経営の場合、生産増強にも限度がある。安い原料については、今後の課題として検討していくべきではないか。この見通しについてはどう考えておりますか。
  96. 池田俊也

    ○池田政府委員 生産費の面から見ますと、確かにいま生糸の生産費の内訳というのは八割が原料代、二割が加工販売費、こういうことになっております。この傾向は、私どもは率直なことを申しましてそう変わらないのではなかろうかと思います。と申しますのは、生産性は非常に養蚕部面あるいは製糸分野でそれぞれ上がっておりますけれども、御承知のように、賃金水準というものはかなり急速に増加をしておりますので、生産費としては、やはり上がる要素がかなり強いわけでございます。しかしながら、先ほど申しました労働生産性の上がり方がかなり顕著でございますので、従来のような大幅な上がり方には、必ずしもならないのではないだろうか。これは相当努力は要ると思いますが、そういうふうに考えておるわけでございます。
  97. 樋上新一

    ○樋上委員 需要が伸びたために、国内生産だけではとてもまかない切れずに、昭和三十八年から輸入を開始したわけでありますけれども、その輸入国及び輸入量の推移を四十二年度まで、わかりましたら知らせていただきたいと思います。
  98. 池田俊也

    ○池田政府委員 輸入が、三十八年ごろから出てまいったわけでございます。織物もございますが、生糸のほうで申し上げますと、三十八年に百三十俵というものが入りましたが、その後毎年逐次増加をいたしまして、四十二年には二万九千俵、約三万俵でございます。その程度のものが入っているわけでございます。  相手国は、非常にたくさんございますけれども、一番多いのは中共でございます。それから第二位が韓国、こういう状況でございます。
  99. 樋上新一

    ○樋上委員 いまちょっと聞き漏らしたのですけれども、生糸産業として見た場合の国際環境は、なかなかむずかしい問題があるように感じます。特に、日本糸の輸出市場からの後退は明らかでありますが、その理由としては、さきにも述べられましたように、内需の急増による輸出向けの玉不足という面があると同時に、日本糸の価格の割り高が大きく響いているように思われますが、これらの輸出面における今後の見通しをお伺いしたいのです。
  100. 池田俊也

    ○池田政府委員 私どもといたしましては、実は輸出というのは、大体内需を七、八割、それから海外に対する輸出を二、三割にするというのが、産業としては一番好ましいかっこうではないだろうか、そういう気持ちを持っておるわけでございます。したがいまして、これはいろいろな分析もいたした結果でございますけれども、先ほど申し上げました昭和五十一年の一応の見通しといたしましては、生糸需要量全体といたしましては五十万俵程度と考えておりますが、そのうち十万俵程度はできれば輸出をいたしたい。  その場合の一番の問題点は、価格がどうなるかという問題でございます。これは、価格がある程度のレベルに落ちつくということと、それから安定をするということがことに大事でございますけれども、私どもといたしましては、糸価が最近大幅に下がりまして、キロ当たり六千五百円前後でございますが、なるべくその程度に安定をしてほしい、こういう気持ちを持っております。
  101. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、生糸の輸出の将来性については、これはゼロにひとしいと思うのです。むしろ需要過多のため、輸出どころの騒ぎではないのが現状でありまして、輸出入商社にとっても、昔からのお得意の注文を、むげに断わることもできずに送り出しているような程度ではないか。それにしても年間五千俵程度ではないか。三十六年からの実態を先ほどお聞きしましたが、この点どうでしょうか。
  102. 池田俊也

    ○池田政府委員 最近は、いま御指摘のとおり、非常に減退をしておるわけでございます。これは糸価が非常に上がった、それから短期間の間に上がったということが原因でございますが、現在は若干その点が是正されまして、価格も相当下がってきている。こういうような価格であれば、海外に対する輸出は相当増加をするのではないかというふうに思っておりますので、最近の数字だけで非常に悲観的に考えるのは、必ずしも妥当でないのではないだろうか、そういう気持ちを持っているわけでございます。
  103. 樋上新一

    ○樋上委員 本年における一億二千万円の使途の内訳は、時間の関係上あとで資料で出していただきたいと思います。私のほうも調べておるのですけれども、時間がありませんから。  この生糸の需要増進事業費というものは、一応予算上日本の生糸の宣伝費とされておりますけれども、実際は絹製品の啓蒙という点に重点が置かれているのではないかと思うが、この点はどうでしょうか。
  104. 池田俊也

    ○池田政府委員 私どもは、絹業協会を通じまして海外に対する宣伝をやっておるわけでございますが、これの基本的な考え方は、要するに、海外におきまして絹に対する需要を増加させる。絹というものは必ずしも一般的でございませんので、絹というものはこういういいところがあるのだということを認識させまして、需要を増加させるというのが基本でございます。それによりまして、日本がそれに適応するような生糸の供給ができるならば、当然増加をするであろう、こういう前提でやってきているわけでございます。
  105. 樋上新一

    ○樋上委員 いま幾ら宣伝いたしましても、その注文に応じられるのかどうか。それはどうでしょう。
  106. 池田俊也

    ○池田政府委員 昨年までの状況で申しますと、確かにいま先生がおっしゃいましたように、国内の需要が強過ぎて、そうして価格が非常に高くなりまして、まあ率直なところを言いまして輸出余力がない、こういう状態であったわけでございます。しかしながら、最近の状況を主にして申し上げますと、価格も相当程度下がってきておりますし、輸出余力もかなり増加をしてきているというふうに考えますので、私どもといたしましては、努力のいかんによっては、相当程度の輸出を見る基礎はできたのではなかろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  107. 樋上新一

    ○樋上委員 通産省関係予算にも、絹製品の海外宣伝費というものが、昨年は六千二百万円、本年も五千四百万円計上されております。この点二重の費用になっているわけですが、何のためにその宣伝をするのか、こういうことをお伺いしたいと思うのです。
  108. 池田俊也

    ○池田政府委員 絹関係の海外宣伝は、確かに農林省と通産省と二本立てになっているわけでございますが、農林省のほうの海外宣伝の趣旨は、先ほど申し上げましたように、海外において絹に対する需要増大をはかる、これが主眼でございまして、具体的には、海外に国際絹業協会という国際的な組織がございますが、そういうものとタイアップをしながら需要増大をはかる。それから、私どもが承知しておりますところでは、通産省のほうの補助金は、これは日本製の絹織物の輸出振興のためのもろもろの事業を行なう、こういうのがたてまえでございまして、まあ非常に区別のしにくい点も確かにございますけれども、趣旨といたしましては、そういうふうに分かれているわけでございます。
  109. 樋上新一

    ○樋上委員 あくまでも一本にしぼるべきではないか。財政硬直化のおり、合計しますと二億近い金が使われておる。こういうむだを省くべきであると私は思うのです。生糸と製品だから一本にできないとのことでありますが、しかし、社団法人の日本絹業協会を通じてやっていく分には問題はないように私は思うのですが、この点どうでしょうか。
  110. 池田俊也

    ○池田政府委員 私どもの農林関係の事業は、ただいま申しましたように、国際絹業協会とのタイアップのもとに事業を行なう、こういうような基礎的な考え方があるわけでございます。通産省のほうは日本製の織物ということで、独自の売り込みというと非常にことばがあれですが、輸出促進のための事業をやるということで、若干性格が違うのでございますが、確かに、御指摘のように絹業協会を通じて事業をやっているという点におきましては、これは全く同一でございます。そういうような意味で、確かにそういうような御指摘もあり得ると思いますので、私どももそういう点につきましては今後さらに研究をしてみたい、こういうふうに考えております。
  111. 樋上新一

    ○樋上委員 ちょっと大臣にお伺いしますが、特に通産省の五千四百万円の予算の内訳を見ますと、ほとんどが製品の展示代と日本絹業協会の海外駐在員に対する補助と聞いております。そういう面から見ましても、私は一本にできるのじゃないかと思いますが、大臣、どうでしょうか。
  112. 西村直己

    西村国務大臣 絹並びに絹製品の海外需要に対する宣伝費に対しての扱い方だと思うのでございます。これにつきましては、当時新聞紙面で御批判があったのを私どもも見ております。宣伝というたてまえからいえば、長い目で見た一つの意義はあろうと思います。しかし、同時にまたおっしゃる点もありますので、来年度の予算編成等におきましても十分検討を加えていきたい、こう思っております。
  113. 樋上新一

    ○樋上委員 もう一ぺんお伺いしますが、また海外販路の維持のためであるならば、おのおのの商社にまかすか、それとも協会及び日本蚕糸事業団の輸出振興費として繰り入れるべきであると思いますが、この点はどうでしょうか。
  114. 池田俊也

    ○池田政府委員 生糸の海外宣伝というようなものを、商社にたよっていいかどうかということになりますと、実は私どもとしては、やはりそれは国が相当バックアップしまして、蚕糸関係の業界の総力をあげてやるのが一番いいのではないだろうかという気持ちを持っているわけでございます。しかしながら、蚕糸事業団という蚕糸業界の民間と国との合作でそういう事業団もあることでございますので、こういう事業団が、あるいは輸出促進のためのそういう事業をやるということも、これは一つの考え方としてはあり得るかもしれないという気持ちは、実は持っているわけでございます。そういうことも含めまして検討をしてみたい、かように考えております。
  115. 樋上新一

    ○樋上委員 いま発表がありましたように、輸出量は年々減少している状態であるわけですが、しかし、農林省は昨年に続き、財政硬直化のおりに一億二千万円もの金を投入しているわけですが、私がここで問題にしているのは、その大部分が宣伝事業等に使われている、それが問題である、こう私は思うのです。  いままで発表がありましたとおり、輸出量は年年減少の一途をたどっておるのでありますが、このようなおりに、農林省は毎年、生糸の需要増進費として海外宣伝費を計上しているのですが、はたして生糸の輸出振興にそれが役立っているであろうか、どういう結果になっておるであろうかということを私は憂うるのであります。あらゆる障害はあると思いますが、ぜひ前向きの姿で、生糸産業全般にわたる需要政策を実施していただきたい、かように思う次第であります。
  116. 西村直己

    西村国務大臣 私どもとしては、十分心得てやっていくつもりであります。
  117. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、大臣のほうはけっこうでございます。  米の配給についてお伺いしたいのですが、米の配給段階における卸売り業者と小売り業者の販売マージンは、どのような積算によってきめられているのでしょうか、この点をお伺いしておきたい。
  118. 大口駿一

    ○大口政府委員 現在の米の配給段階におけるマージンは、卸売り販売業者並びに小売り販売業者合計いたしまして、六百六十円三十六銭になっております。  内容のこまかい点についてお尋ねがあれば、後ほどまたお答えをいたしまするが、卸売り並びに小売りのマージンとも、その構成内容を大きく分けますと、人件費と事務費と事業費からなっておるわけでありまして、人件費は、当然卸売り、小売り店に働く人の人件費でありまするが、これは、従来とも国家公務員の給与ベースをある程度横に見ながら算定いたしております。それから事務費というのは、店を張るために当然必要な経費ということでありまして、それぞれ物価の動向等を織り込んで年々修正をいたしております。それから事業費と申しますのは、たとえば卸売りでありますれば、米の仕入れをするための金利でありまするとか、あるいは保険料でありまするとか、あるいは運送賃、倉庫に保管する場合の保管料等が主たる内容でありまするし、また小売りの場合におきましては、それぞれ消費者の家庭へ届けるための運搬料、そういうものが小売りマージンの中の事業費になろうかと思います。それから卸、小売りいずれでもってやるかはケースによって違いまするが、玄米を精白いたしまする場合の搗精賃も、このマージンの総額の中には入っております。いま申しましたような内容をもとにいたしまして積算をいたしておるわけでございます。
  119. 樋上新一

    ○樋上委員 たとえば米の生産費調査のようなものが、販売経費について毎年実施されているのか。もし実施されているとすれば、調査の対象数、調査方法は、聞き取りか本人記入か、この点はどうなっておるのでしょうか。
  120. 大口駿一

    ○大口政府委員 私どもは食糧管理法に基づきまして、卸売り販売業者並びに小売り販売業者に対する包括的な監督権を持っておるわけでありまして、その監督権に基づきまして、販売業者からいろいろな報告を出さしたり、調査をいたしておるわけでありまして、必ずしもマージンの算定だけのための調査とは限りませんが、すべての卸売り、すなわち全国で三百九十五、小売り業者では五万六千六百七十四という業者に、いろいろな調査報告を命じて調査をいたしております。非常に件数が多いのですが、これを読み上げたほうがよろしゅうございますでしょうか。それとも——聞き取りではなくて、書面による報告を食糧事務所等に提出させるのが主たる調査方法でございます。
  121. 樋上新一

    ○樋上委員 年々のマージンの改定は、どういう根拠によって算定されますか。
  122. 大口駿一

    ○大口政府委員 現実には、販売業者のマージンは、通常予算編成の段階におきまして会計年度ごとに、マージンを改定の必要がある場合には改定をいたしておるわけでありまして、先ほど申し上げましたような内容、すなわち人件費の場合におきましては、国家公務員の給与をある程度念頭に置いて計算をいたしておりまする関係上、国家公務員の給与の改定の状況等をもとにして積算のし直しをいたしております。  それから事務費並びに事業費の中で、物価、労賃その他の値上がりを織り込む場合には、先ほど申し上げました販売業者の調査に基づいて、各事業体の働いている人間の数でありますとか、そういうものを調査いたしましたことをもとにいたしまして、物価動向その他を織り込んで適正なマージンの積算をいたしておるという次第でございます。
  123. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、この点が問題だと思うのですが、当方の調べましたところによりますると、十年くらい前のマージン内訳をもとに、その後の人件費その他の費目の値上げ率を適宜増して、そうして合計を出している。特に人件費は、公務員のベースアップ率をかけて算定するという、まことにいいかげんなはじき方でお茶を濁している。販売経費の実態も把握せずに、かかるふまじめなやり方で通してきている。私はこの点について、政府統制というものがはたしてできているか、この点にあきれているのでございます。この点はどうですか。
  124. 大口駿一

    ○大口政府委員 販売業者のマージンの内容について、あまり詳細にわたってお答えするのもいかがかと思いましたので、概括的なことを申し上げたわけでございますが、たとえて申しますれば、人件費については、公務員のベースと申しましても、月々の給与の単価並びに賞与の部分が何カ月分、あるいは退職金の積み立てがどの程度というようなこまかいことを計算いたしておりまするし、また事務費の中では厚生費、旅費、通信費、事務用品費、借家料、光熱費、雑費というような、非常にこまかいものをはじいて計算をいたしておりまするので、また事業費につきましても運賃、保管料、出庫料、金利、保険料、各項目について相当精細な積算をいたしておりまするので、私どもの考え方といたしましては、この内容は相当適正な算定をされておると思っております。  ただ、マージンにつきましては、先ほど申し上げましたように、玄米を精米にいたす場合の搗精賃というものを計算いたします際に、できましたぬかを副産物収入として差し引いたり、また俵で運んだものを精米にいたせば、その俵が要らなくなりますので、あき俵を売った収入等がありますので、マージンの額と物価の伸びが完全に並行して伸びるというふうにはならないかと思いますが、しかし、内容は相当精密に計算をいたしておるつもりでございますが、ただ、何ぶんにも米の統制をやっておりまする立場として、さらに今後適正な計算をするために検討の必要があれば、改善に努力をいたしたいと思います。
  125. 樋上新一

    ○樋上委員 客観的なデータに基づいてマージン額は算定されるべきであると考えますけれども、いま時間の関係上、早急に綿密な実態調査に着手をしていただいて、それを一度資料として出していただきたい、こう思います。
  126. 大口駿一

    ○大口政府委員 資料としてどういうものを出したらよろしゅうございますか。
  127. 樋上新一

    ○樋上委員 いまあなたのおっしゃった……。
  128. 大口駿一

    ○大口政府委員 調査の項目でございますか。——これはさっそくお出しいたします。
  129. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは、今度は米の卸、小売りの登録制度について質問いたします。  まず、小売り店が卸に登録する制度がありますが、この際、小売り店が他の卸業者に登録がえをしようとすると、現在の卸業者の承諾が必要であるということになっていますが、これはいかなる理由に基づくものであるかお伺いしたいと思います。
  130. 大口駿一

    ○大口政府委員 現在の卸売り業者並びに小売り業者の登録制度の中で、小売り業者が、従来結びついておりました卸売り業者から他の卸売り業者に移ろうといたします場合には、卸業者の承諾を得ることが必要となっておりますのは御指摘のとおりでありまして、これは、やはりおよそ商売をする場合に、ある時点においては、たとえば連続した商売の売りかけ金等があるという場合もありますでしょうし、いろいろ自分の事業計画等も、結びつきの小売りというものを念頭に置いてやっておるということが当然でありますから、承諾を必要とするという形は、私はやはり全部の販売業者が登録制度をとっておるという、自由営業でないというたてまえからすれば、制度として必ずしも不適当な制度であるとは思っておりません。  問題はむしろ、その承諾を要するということが、制度上は、いたずらに何らの理由なくして断わってはいかぬということになっておりまするのを、なかなか承諾を与えないという事態が散見されますることによる弊害のほうが大きいと思っております。
  131. 樋上新一

    ○樋上委員 この制度は、小売り商は、取引の相手である卸売り業者を選択するという自由を全く奪われているのではないか、私はこう思うのです。いかに不適格と認めても、他に登録がえをする自由を認めないというのはあまりにも一方的であり、不公正ではないかと思うのです。消費者が小売りを、その好みに従って選択し得ると同じように、小売りに対しても卸を選択できる権利を持たすべきではないか。この制度について政府の見解はどうなのか。即刻改正すべきものと私は考えますが、食管法施行規則を改正することについて政府の考えをお伺いしたいと思います。
  132. 大口駿一

    ○大口政府委員 卸、小売りの登録制度並びにそれぞれの選択の自由が非常に制約をされておるという問題、これは一般的に、現在の米の販売業者の登録制度が、あまりにも硬直的にすぎるという批判は、いろいろ私どもも聞き及んでおります。また物価安定推進会議におきましても、現在の卸並びに小売り販売業者の登録制度が、あまりに硬直的であるという御批判もいただいておりますので、私どもといたしましては、消費者に対するサービスの向上ということを第一の眼目といたしまして、この問題に前向きに取り組んでまいりたいと思っております。  ただ、現在の米の販売業者は、あくまで直接統制の米を扱うという使命を持った業種でありますので、いわゆる自由販売をしておる商品の流通段階のように、完全なる競争の自由というものを導入するということについては、いささか事情を異にすると思いますが、しかし、やはり流通の改善、消費者に対するサービスの向上という観点から、この問題は、御批判にこたえるべく現在検討を進めておる段階でございます。
  133. 樋上新一

    ○樋上委員 食糧管理法施行規則の第十八条六項の規定についてですが、大阪におきまして小売り販売業者八名が、卸売り業者の大阪米穀卸販売株式会社に登録変更を申し出て、そして拒否されたので、大阪府知事に、拒否の理由が正当でないと申し出ました。大阪府農林部では現在調査中であるということを聞いていますが、卸売り販売業者の拒否の理由は正当であるかどうか、食糧庁の見解を聞きたいと思うのです。
  134. 大口駿一

    ○大口政府委員 制度上は、正当な理由なくして断わってはいかぬということになっておりますが、いま御指摘の件は、私、実はまだ具体的にそれほど詳しく聞き及んでおりませんので、さっそく実情を調査をさせていただきたいと思います。
  135. 樋上新一

    ○樋上委員 ここに調査した材料がありますから、これをあとで見ていただいて……。
  136. 大口駿一

    ○大口政府委員 後ほど拝見させていただきます。
  137. 樋上新一

    ○樋上委員 昭和三十八年十月二十八日、食糧第五七八二号及び昭和二十九年七月二十六日、食糧第三七三七号の食糧庁長官より知事に通達されている点から見た場合はどうなるか、こういうことですね。よく調査してください。両方の言い分が出ているのです、卸売り業者と販売業者と。それでこれに非常に悩んで、これは早く適当な解決をしてもらいたいと切なる陳情がありますので、よろしくお願いします。  それから東京、大阪の大消費地において、全販連等の生産者団体が卸業務をやりたいと希望しておりますが、なぜこれを許可しないのか。既存の米穀業者だけに限定しているのか。それは非常に不公正ではないか、こう思うのですがどうでしょうか。   〔私語する者あり〕
  138. 足立篤郎

    足立委員長 静粛に願います。
  139. 大口駿一

    ○大口政府委員 米の卸売り業者並びに小売り業者の登録につきましては、一定の制度上の条件がございます。その条件に該当いたします限りは、卸売り業者、小売り業者としての道が開かれておるということができると思うのでございます。ただ、実際問題といたしましては、先ほど来御指摘になっております小売り並びに卸売り業者の結びつきの現状からいたしまして、また小売り販売業者の事業地域市町村に限定されておるということから、新しい地域に小売りの店を出すということが、制度上なかなか動きにくくなっておることは、そういう現状になっておることを私どもも認めておりますので、先ほどから申し上げておりますように、この販売業者の登録制度が若干硬直的に過ぎるという御批判に対しては、私ども目下前向きに検討いたしたいと思っております。  なお、農協の消費地に対する進出の問題につきましては、これはやはりその制度の運用の問題のみならず、農協が産地において集荷並びに販売の面においても相当大きなシェアを占めておる現状からいたしまして、消費地、ことに東京、大阪等の消費地においても、現在の既存の米屋に対して農協が、それに匹敵し得るようなシェアを持つべきであるかどうかという問題については、私は慎重に対処すべき問題の一つではないかというふうに考えております。
  140. 樋上新一

    ○樋上委員 いまお話が出ました点を私もお伺いしようと思ったのですが、生活協同組合やまた他業種の小売り商も、一定の要件に合致すれば米の小売り業ができるようにすべきであると私は思うのです。現在のような既存業者の擁護の制度を、このように私は改むべきだと思いますが、この点はどうでしょうか。
  141. 大口駿一

    ○大口政府委員 米の販売業者の指導並びに運用の問題につきましては、私どもも、先ほど来申し上げておりまするように、できるだけ硬直性を排除するという観点並びに消費者に対するサービスの向上という観点を、重点的に頭に置いて今後運用すべき問題だと思いまするが、先ほど来申し述べておりまするように、政府の配給制度のもとにある商品を扱う事業でありますだけに、全くの自由流通を前提とした商品の小売り業並びに卸売り業などと、全く同一に扱うことはいささか問題があろうと存じます。したがって、だれでも自由に開業しても差しつかえないというところまでいくには、いささか問題があろうかと存じまするが、いずれにいたしましても、いろいろな角度からいろいろな御指摘なり御批判を受けておりまするので、私どものほうといたしましては、先ほど申しましたようなことを重点に置きまして、今後の検討を進めていく所存でございます。
  142. 樋上新一

    ○樋上委員 集中精米所の設置についておくれているようでありますが、その実態はどうなっておりましょうか。
  143. 大口駿一

    ○大口政府委員 集中精米は、米の流通段階の近代化合理化ということをねらいといたしまして、政府としましてもこれを積極的に助成するという方針のもとに、昭和四十二会計年度予算におきましては全国で七カ所、二百馬力以上の精米所に対しまして三分の一の補助率での補助金を予算化いたしまして、おおむね七カ所がその緒についておるわけでありまするが、本年度予算におきましては、さらにその個所数をふやしまして九カ所、合計一億三千五百万円の予算を計上して、その推進に努力をいたしておる段階でございます。  ただいま樋上委員が申されました、その進捗が必ずしも順調に進んでおらないというお話でございましたが、集中精米所を開設いたしますると、その精米所において実際に消費者の家庭に届けるような形、すなわち、小袋で全部つくるということを同時にやりまする関係上、小売り業者としましては、従来、店先に精米機を置いてことんことんとやるのが米屋であるという実感からすれば、なかなか従来の観念が捨て切れないという問題、また卸売り業者としては、将来の米の流通がどういうふうな姿になるかという問題等がありまして、卸売り業者と小売り業者といずれがこれを担当してやるかという問題等について、必ずしも順調にいかない要素もあるやに聞いております。また土地の入手が、大消費地においてはなかなかむずかしいという問題も障害の一つと聞いておりまするが、いずれにいたしましても、政府は予算措置を講じて、本件の推進に積極的に取り組んでおる姿勢を示しておるつもりでございます。
  144. 樋上新一

    ○樋上委員 東京都で集中精米所ができないのは、小売り商が非常に反対をしているため、補助金がストップになっていると聞いておるのですが、このような行政権の弱いことでは、何一つよくならないと思うのですが、この点はいかがですか。
  145. 大口駿一

    ○大口政府委員 確かに、全国平均から見ますと、東京における集中精米を促進する機運が、必ずしも全国に率先をするという姿になっておらないことは御指摘のとおりでありまして、私どもは、おりに触れて卸売り業者並びに小売り業者の話し合いの円満解決によって、本件が、まず東京で全国に模範を示すというような形になってほしいと思っておりまするが、必ずしも十分所期の成果をあげておらない点は、御指摘のとおりでございます。今後において、私どもは、やはり大型精米、集中精米というのは、流通段階の近代化合理化にとって非常に必要な要素を持っておりまするので、障害を排除してもできるだけそういう機運の醸成につとめてまいりたいと思っております。
  146. 樋上新一

    ○樋上委員 配給機構に競争原理を大幅に導入すべきであると私は思うのですが、この点はどうでしょう。
  147. 大口駿一

    ○大口政府委員 この点は、先ほど申し上げましたように、現在の登録制度があまりにも硬直的である。すなわち、ことばをかえて申しますれば、競争原理が全く導入されておらないということからのいろいろな御批判が出ておることは先ほど来申し上げたとおりでありまして、私どもはその御批判を念頭に置いて、今後競争原理を導入するという場合に、どのような方法をとったらいいかということで、現在積極的に検討いたしておりますが、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、全くの自由販売の商品でありますれば、それぞれ卸においても商品選択その他が十分可能でありますが、現在、米が政府の直接統制でありますので、政府が需給調整の結果、卸売り販売業者に販売する米については、必ずしも業者の自由選択を許さないという売り方をしておりますので、全く自由販売と同じように競争原理を導入することには、いささか問題があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、現状改善する努力は講じてまいりたいと思います。
  148. 樋上新一

    ○樋上委員 米の配給業者の法規違反というものは、全国にびまんしておるのですが、これに対する監視、取り締まりがほとんど行なわれておらないが、今後どのように取り締まる方針か。登録の取り消しというような、きびしい措置をとる御意思があるのかないのか。現在のように野放しでは、政府みずからが制度をくずしているとしか思えないのですが、この点はどうお考えになりますか。
  149. 大口駿一

    ○大口政府委員 米の販売業者が、特に大消費地において、いろいろ私どもが意図しない形での営業をしておる実態については、私どもも聞き及んでおります。これを是正する方法といたしましては、単に法規上の取り締まりだけでは、必ずしも十分でないと思いますので、消費者米価を改定いたします際に、配給品目の組み合わせを変えるとかいろいろな方法で、従来とかく不明朗な形になっております格上げ販売等の是正の努力は、できるだけいたしておりますが、遺憾ながら、最近の需給事情の緩和に伴いまして、若干、昔日のような厳正なる営業という観点からすれば、ルーズになっておる点は残念に思っておる次第でございます。ただ、全然取り締まりを行なっておらないというわけではございませんので、最近における食糧管理法の違反事例の件数その他の数字はここに持ち合わせておりますので、もし御要求がございますれば、申し述べる用意はございます。
  150. 樋上新一

    ○樋上委員 じゃあとでそれを出していただきます。  配給ルートに乗せるのは内地米のみとして、準内地米はワク外とし、かつ、国際価格に近づけ、低所得者層の家計をカバーするという考えが消費者団体から出ているのですが、実施の意思があるのかないのか、この点を伺いたい。
  151. 大口駿一

    ○大口政府委員 内地米と準内地米の問題については、実は昨年の十月に消費者米価を改定いたしました際に、現在の配給基準量十キロの中で配給いたしますのは内地米だけにいたしまして、準内地米は、この配給のワク外にいたす措置はすでに講じております。  ただ、ただいま準内地米を国際価格でというお話がございますが、私どもはやはり内地米と輸入米とを一括して管理しております関係上、両者の消費者米価においての関連性というものも、全く無視するわけにはまいらないかと思います。しかしながら、先ほど申されましたように、準内地米を中心にした価格の安い米に対する要望が強いことも事実でありますので、昨年の十月の消費者米価改定の際には、準内地米の値上げ率をほとんど据え置き同様の措置を講ずることによりまして、ただいまのような御要望にこたえる措置は講じたつもりでおります。
  152. 樋上新一

    ○樋上委員 最後に、内地米との混米のおそれがあるなら、ポリ袋によるポリパックを実施したらどうか。そういう点どうでしょう。
  153. 大口駿一

    ○大口政府委員 昨年の消費者米価を改定いたしまする際に、内地米につきましては、相当な金額の値上げを余儀なくされたわけでありますが、先ほど申し上げましたような配慮から、準内地米の値上げをほとんどいたさなかったことに伴いまして、流通段階における混米等の不正が起きないように、徳用上米、すなわち準内地米を主体とする配給品目につきましては、これを小袋詰めにして消費者の手に渡るようにいたしまして、この袋代を政府から財政的に何らかの助成をする措置を講じて、いまのような弊害が起きないような配慮をいたしたつもりでございます。
  154. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは岡田畜産局長に伺いますが、この前に質問いたしましたあの中国肉のことですが、きのうの新聞に、アルゼンチンより牛肉を輸入することになったようですが、これはどうなんですか。
  155. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 アルゼンチンから牛肉を輸入するということでなくて、煮沸いたしました肉なら、口蹄疫を国内に侵入させるおそれがないということで、この煮沸肉につきましては、一定の衛生的な条件が満たされるならば輸入が可能であるということで、現在、アルゼンチンと協議をいたしておる段階でございます。
  156. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは中国の肉も入れるのですね。
  157. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 なま肉につきましては、口蹄疫その他の悪性伝染病侵入のおそれがありますから、これは認めるわけにはまいりませんけれども、煮沸肉につきましては、中共においても希望があり、かつ、当方がアルゼンチンと協議してきまります条件に合致すれば、同一の取り扱いをしないという必要はないものと考えております。
  158. 樋上新一

    ○樋上委員 中国より煮沸した豚の内臓を輸入しているようだが、これは煮沸処理の施設がちゃんと完備している証拠ではないかと思うのですが、この点どうですか。
  159. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 肉の場合と、それから胃でありますとか、腸でありますとかいうふうな内臓の場合とは非常に違っておりまして、牛肉の場合でも、胃でありますとか腸でありますとかいうものと煮沸とでは違っておるわけでございまして、アルゼンチンにおいて調査いたしましたものにつきましては、オートメーションシステムになったワンウェーシステムという方式で牛肉を入れまして、それが完全に煮沸されまして、その間に人が全然手を触れないというふうな形で出るようなシステムになっておる工場があるわけです。こういう工場につきましては、わがほうでアルゼンチン国を通じて指定をいたします。そういう指定した工場のみにつきましては、輸入を認めても差しつかえないのではないか。なおその工場につきましては、必要なつど当方からの立ち入り検査の要求をいたした場合に、アルゼンチン国は、常にそれを保証することを条件として提示いたしておるわけでございます。
  160. 樋上新一

    ○樋上委員 煮沸した場合、これは調製食品とみなされるのかどうか。
  161. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 煮沸いたしたものは、調製食品というふうに考えておるわけでございます。
  162. 樋上新一

    ○樋上委員 この前あなたにお伺いいたしましたときに、ワクチンの製造方法について、中国の製造方法が不明だから輸入できないと言っているが、それでは他国の製造方法等をつかんでいらっしゃるのか。
  163. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 中共については、世界に国際獣医事務局というのがございますが、これに参加いたしておりません。私ども、国際獣医事務局に参加いたしております国につきましては、どのようなワクチンが使われており、どのような製造方法が使われておるかということを承知いたしておるわけでございます。
  164. 樋上新一

    ○樋上委員 煮沸牛肉を輸入許可するということだったら、その輸入は輸送費なども高くつくと思うのですが、その点はどうでしょう。中国より輸入したほうがすべて安くつくと思うのですが……。
  165. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 どのような価格になるかということは、輸入をするということがきまりまして、経済ベース、商業ベースで輸入がされましたときでないと、はっきり申し上げるわけにはまいらないわけでございます。
  166. 樋上新一

    ○樋上委員 とにかく、こういったようなアルゼンチンから煮沸した牛肉を輸入するという段階になって、中国肉だけの輸入はいまだ決定がないということは、そこに政治的な圧力があると私は申し上げるのですが、この点を十分検討して、中国肉の輸入を一日も早く促進して、みんなが求めている安い肉を大衆に配るという意味で、政府は真剣に検討すべきであるということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  167. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  168. 足立篤郎

    足立委員長 速記を始めてください。      ————◇—————
  169. 足立篤郎

    足立委員長 この際、競馬法の一部を改正する法律案議題といたします。  稲富稜人君から、本案に対する修正案が提出されております。
  170. 足立篤郎

    足立委員長 提出者より趣旨説明を求めます。稲富稜人君
  171. 稲富稜人

    ○稲富委員 私は、民主社会党を代表いたしまして、坂村吉正君外四名提出競馬法の一部を改正する法律案につき、修正案を提出するものであります。  すなわち、原案において、昭和四十二年度限りで地方競馬施行権をなくした市町村につき、昭和四十三年度から四十五年度までの三カ年間に限り、都道府県は、農林大臣指定を受けて開催した競馬の収益の一部を、これら市町村に交付することができる、こういうことでありますが、この交付期間を一カ年短縮して、これを昭和四十三年度及び四十四年度の二カ年に限り交付することができることに改めようとするものでございます。  何とぞ委員各位の御賛成をお願いしたいと思うわけであります。
  172. 足立篤郎

    足立委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  この際、原案及び修正案に対し質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稲富稜人君
  173. 稲富稜人

    ○稲富委員 この機会に二点だけ、提出者並びに政府の御所信を承っておきたいと思うのでございます。  この法案によりますと、競馬廃止市町村に対し、その市町村の競馬の施行の廃止に伴う急激な収入の減少による財政上の影響を緩和するため、政令で定めるところにより、競馬の収益として算出される額の一部に相当する金額を交付することになっております。その交付する額は、私たちといたしましては漸減方式をとることが妥当であり、その交付の率といたしましては、四十三年度は、地方財政の都合もありますので一〇〇%、四十四年度は五〇%を適当と思うのでございます。これが最大限と思いますので、これに対する提案者並びに政府の御所信を承りたいものです。  さらに、自治大臣に対しましては、再びこの競馬法改正をやらないで済むように、今後におきまする地方自治体に対する十分なる御指導をお願いしたい、かように考えまして、これに対する所信を伺いたいと思う次第でございます。
  174. 坂村吉正

    坂村議員 ただいまの稲富委員の御発言でございますが、原案では三年となっておりましたけれども、いろいろ御検討の上の御発言であろうと思いますので、提案者といたしましては、やむを得ないものと思って賛成をいたす次第でございます。
  175. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 関係地方公共団体の指導につきましては、了承いたしました。
  176. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 ただいまの御質問、妥当であろうと思います。国会の御決定に従いまして、政府としても政令で善処していきたいと思います。
  177. 足立篤郎

    足立委員長 関連質問を許します。中村時雄君。
  178. 中村時雄

    ○中村(時)委員 自治大臣、農林省並びに提案者に一言お尋ねしたい。  これは過ぐる国会で、競馬法の一部を改正する法律案というものが出されてきた。その際に自治大臣並びに農林大臣は、このような法案に関しまして、今後一切行なわないことを言明しておる。これはその際の速記録をよく読んだらわかると思う。ところが、突如としてまた再びこういう問題を出してきた。一体政府としての責任はどこにあるのか、これが第一点。  第二点は、なぜ私がそういう主張をするかといえば、少なくとも地方自治体において、終戦直後においては、荒廃しておった中で、終戦処理の問題にからんで競馬というものはある程度の認識を深めていった。そうして、これによって何とか地方財政の確立をはかろうとした。一方政府のほうは、すでに日本の経済は立ち直った、世界でも有数な国家としての経済の立ち上がりを見せている、こう言っている反面、このようなギャンブルのテラ銭によって地方自治体をやっていくということがはたして正しいかどうか。私は正しくないと思う。もしそれがギャンブルでない、スポーツだというなれば、一体どこにその基本があるかを明確にしておいていただきたい。もしギャンブルを認めるなら認めるで、一つの方法論があろうと思う。そのギャンブルであがってくるテラ銭で、より社会的に有利な問題を取り上げて経済効果をねらっているということなら、それも一つの理由である。しかし、そうなるとなれば、ドッグレースにしたってハイアライにしたって何だってやれるじゃないか、こういうかっこうが打ち出されてくるに違いない。これに対してどういう考え方を持っておるのか。もちろん、現在の修正案に対して私はいまよりもいい、こういうふうに考えておるけれども、関連質問なので、その二点だけを私は明確にしておいていただきたい、こう思うわけなんです。
  179. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 いまの中村委員の御発言、よくわかりますが、競馬につきましては、健全なる娯楽ということで長い歴史をもって今日まで発展をしてきたのであります。今回の御提案は議員提案でございまして、国会の御決定になることでございますから、政府としても、これを尊重しなければならないと考えております。
  180. 坂村吉正

    坂村議員 ただいまの中村委員の御質問でございますが、私に関する限りをお答え申し上げます。  この前の競馬法の延長の審議の過程にかんがみまして、今度あの特例の期限が切れましたけれども、これを延長するという考え方は、これは全然とりません。しかし、やはり地方財政上からいっても、非常な激変を与えてはいかぬという実情も考慮いたしまして、激変緩和の措置を講じたわけでございまして、御了承いただきたいと思います。
  181. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 農林水産委員会のほうでもいろいろ御検討の上、こうした一つの結論が出ておるようでございまするので、その線に沿うて善処いたしたいと考えております。
  182. 中村時雄

    ○中村(時)委員 いまの、農林水産委員会で云々ということはおかしいと私は思う。私がいま質問したのは、本質的なことを聞いておる。こういうことがいいか悪いか、私はそれを聞いておる。少なくとも自治大臣としては、これはいいとは思っていないと思う。そういう点を、はっきりさしていっていただきたい。
  183. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 われわれは、公営競技調査会の答申を尊重する立場に立っておるわけでございますが、内心を申せば、当農林水産委員会での発言はまだいたしておりませんけれども、私、同じことを他の委員会でも繰り返しておるわけでございます。私自身の考え方は変わりませんけれども、しかし、いろいろ御事情もあることも承知をいたしておりまするし、この財政問題につきましても、せっかくいろいろ御配慮をいただいておるようでございますので、法案が成立をいたしました暁には、御趣旨に沿うて十分善処いたしたい、かように考えます。
  184. 足立篤郎

    足立委員長 兒玉末男君。
  185. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この際、政務次官並びに自治大臣にお伺いしたいのでありますが、まず、農林政務次官に対しましては、先ほど稲富委員から、この再延長の取り扱いについて、二カ年の漸減措置でもって関係市町村の財政上の問題を打ち切る、こういうふうな意味の修正が出されたわけですが、特に農林省としましては、この二カ年の措置について、再度また、この次に再びこういうような事態を繰り返すことのないように措置すべきだと私は思うのですが、この今回の二カ年の漸減措置によって、今後再びそういうことがないという確信をお持ちなのか、こにに対する取り扱いについて、政務次官の御所見を承っておきたい。
  186. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 財源の問題でございますから、自治省と十分相談をいたしまして、今後そういうことのないように善処していく所存でございます。
  187. 兒玉末男

    ○兒玉委員 自治大臣にお伺いしますが、過去における経過については、十分大臣も御承知だと思うのですが、問題は、この二カ年間における漸減措置で、三年度目からの、いわゆる関係市町村への財政計画というものをきちんと立てて、いま政務次官が答弁したような線に十分沿うように、私は自治省も対処していくべきだと考えるわけでありますが、これに対する自治大臣の御所見を承りたい。
  188. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私のほうとしては、何も公営ギャンブルをやっているところを特別扱いをしておるわけではありませんので、ちゃんと交付税だっていくべきものはいっておるわけでございます。格別これに特に対処しなければならぬものは何もないわけであります。
  189. 足立篤郎

    足立委員長 他に質疑もないようでありますので、原案及び修正案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  190. 足立篤郎

    足立委員長 引き続き原案及び修正案を一括して討論に付すのでありますが、討論の申し出もないようでありますので、直ちに採決いたします。  まず、稲富稜人君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  191. 足立篤郎

    足立委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  192. 足立篤郎

    足立委員長 起立多数。よって、本案は修正議決いたしました。  なお、ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  194. 足立篤郎

    足立委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時六分散会