○岡田(覚)
政府委員 牛肉の自給の問題でございますが、国内の肉牛の
生産につきましては、先生御承知のように、従来役牛として飼養されておったわけでございますが、
労働力が減少いたしましたり、
農業機械化が
進展するあるいは化学肥料が普及するというふうな形から、逐次肉牛の
生産が減ってまいりまして、特に三十九年ごろから急速に減少いたしておるわけでございます。そういうふうなことから、国内の牛肉の需給のバランスがくずれてまいりました結果といたしまして、外国から輸入せざるを得ないというふうな
事態になりまして、四十一年には一万トン、四十二年に一万九千トンの割り当てをいたしたわけでございます。
しかし、将来の国際の需給から見ましても、牛肉につきましては簡単に外国から入れることはむずかしいという点もございますし、国内の
農業生産という立場から考えましても、できるだけ国内で
生産をするというふうな
観点で政策を遂行すべきであると考えておるわけでございまして、御承知のように、
昭和四十一年に肉用牛の
振興施策の
実施方針を立てまして、肉用牛
生産の適地を
指定しまして、重点的、
計画的な
施策を
実施してまいったわけでございます。その結果といたしまして、
施策の浸透もありましたし、また価格の上昇ということもございまして、
生産の意欲が出てまいりまして、最近では回復のきざしを見せておるというふうに考えております。
昭和四十二年を境にいたしまして、四十三年にはやや増加傾向に向かうであろうという判断をいたしておるわけでございます。
私たちといたしましては、今後とも肉用牛の飼養
構造の
変化に対処しまして、長期的
観点に立って肉用牛の
振興をはかっていくというふうな考えをいたしております。そのために、草地改良
事業の
推進でございますとか、家畜導入
事業でございますとかというのを積極的に
推進してまいる考えでおりますが、特に四十二年度から子牛価格の安定基金を設置することにいたしまして、これに対する助成をいたしたわけでありますが、四十三年度におきましても引き続き助成をいたしまして、子牛の安定的な
生産を
確保したいというふうに考えておる次第でございます。
それから、アルゼンチンからの煮沸肉を輸入する件でございますが、この件につきましては新聞等に、基本的な政策の変更をしたかというふうなことが書かれておりますけれども、私たちといたしましては、従来の口蹄疫に対する基本的な考え方を変更したつもりはございません。
経過を申し上げますと、アルゼンチンは御承知のように口蹄疫に汚染されておりまして、食肉の輸入禁止
地域に
指定されておるわけでございますが、かねがね煮沸肉というものがございまして、煮沸肉につきましては、口蹄疫の心配がないから輸入してくれというふうな
要請があったわけでございます。昨年たしか十月であったと思いますけれども、日本とアルゼンチンの民間の
経済の
委員会が開かれましたときも、この
委員会を通じまして、ぜひ日本に輸入してもらいたいという強い
要請があったわけでございます。それに基づきまして本年二月、技術者二名をアルゼンチンに派遣いたしまして、現地の調査をいたしたわけでございます。
その結果、非常に合理的に衛生
管理が行なわれておるオートメ工場がございまして、そういうふうな工場でございますれば、できた煮沸肉につきましては、口蹄疫の心配がないというふうなことが技術的に判断をされてまいりました。したがいまして、この煮沸肉について一定の
条件が満たされれば、輸入をしてもいいんじゃないかというふうに考えて、技術的な衛生
条件につきまして、アルゼンチンと
わが国とが現在
協議をいたしておるという段階でございます。したがいまして、もしこの
条件が整いまして、アルゼンチンとの間に話がつくということになりますれば、
中国につきましても同一な
条件が認められる。中共から煮沸肉の輸入の
要請はございませんけれども、もしも
要請があった場合におきましては、アルゼンチンと異なった取り扱いをしなければならないものはないというふうに考えておるわけでございます。
ただ、なま肉につきましては、これは御承知のように口蹄疫の心配が非常に強いわけでございますから、この点につきましては、従来から私たちのほうで考えております基本的な
方針に沿って処置をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。