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1968-04-24 第58回国会 衆議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月二十四日(水曜日)    午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 熊谷 義雄君    理事 坂村 吉正君 理事 森田重次郎君    理事 石田 宥全君 理事 角屋堅次郎君    理事 稲富 稜人君       小澤 太郎君    佐々木秀世君       齋藤 邦吉君    白浜 仁吉君       田澤 吉郎君    田中 正巳君       中村 寅太君    中山 榮一君       丹羽 兵助君    湊  徹郎君       粟山  秀君    山中 貞則君       赤路 友藏君    兒玉 末男君       佐々栄三郎君    柴田 健治君       西宮  弘君    美濃 政市君       森  義視君    中村 時雄君       斎藤  実君    樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         農林政務次官  安倍晋太郎君         水産庁長官   久宗  高君  委員外出席者         議     員 坂村 吉正君         科学技術庁原子         力局次長    田中 好雄君         通商産業省公益         事業局技術長  藤井  孝君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 四月二十四日  委員長谷川四郎君及び森義視辞任につき、そ  の補欠として山中貞則君及び野口忠夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員野口忠夫辞任につき、その補欠として森  義視君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 四月二十四日  競馬法の一部を改正する法律案坂村吉正君外  四名提出衆法第三二号) 同月二十三日  農業者年金制度確立に関する請願安宅常彦君  紹介)(第四四〇七号)  同(阿部昭吾紹介)(第四四〇八号)  同(華山親義紹介)(第四四〇九号)  同(古井喜實紹介)(第四四一〇号)  同(丹羽兵助紹介)(第四五三三号)  同(高田富之紹介)(第四五三四号)  同(鈴木一紹介)(第四五三五号)  同(斎藤実紹介)(第四五三六号)  中国産食肉の輸入禁止解除に関する請願(中谷  鉄也君紹介)(第四四一一号)  米価審議会組織等に関する請願小沢貞孝君  紹介)(第四四三九号)  同(下平正一紹介)(第四四四〇号)  同(中澤茂一紹介)(第四四四一号)  同(林百郎君紹介)(第四四四二号)  同(原茂紹介)(第四四四三号)  同(平等文成紹介)(第四四四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  魚価安定基金解散に関する法律案内閣提出  第九〇号)  競馬法の一部を改正する法律案坂村吉正君外  四名提出衆法第三二号)      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより議会を開きます。  この際、おはかりいたします。  本日付託になりました競馬法の一部を改正する法律案議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認め、さよう決定しました。  競馬法の一部を改正する法律案議題とし、提出者より趣旨説明を聴取いたします。坂村吉正君。
  4. 坂村吉正

    坂村議員 ただいま議題となりました競馬法の一部を改正する法律案について、その提案趣旨及び内容を御説明申し上げます。  御承知のとおり、現在行なわれております地方競馬は、競馬法第一条に基づき、都道府県または指定市町村がそれぞれ施行者となって施行しておりますが、このうち指定市町村は、著しく災害を受けた市町村またはその区域内に地方競馬場がある市町村に限られ、しかも財政上の特別の必要を考慮して、自治大臣農林大臣と協議の上指定するたてまえとなっております。  地方競馬についてのこのような規定は、昭和三十七年の競馬法の一部改正によって設けられたものでありますが、改正法律には、その附則において、「この法律施行の際、現に指定を受けている市町村は、昭和四十年三月三十一日までは、改正後の第一条第二項の規定による指定を受けたものとみなす。」との経過規定が設けられ、さらにこの期限は昭和四十年三月、再び三年間延長されて、昭和四十三年三月三十一日まで従来の指定市町村地方競馬施行権が認められてきたのであります。  しかし、本年三月三十一日をもってこの経過期間が満了し、これまで附則第七条によって競馬施行してきた市町村は、新たに競馬法第一条第二項によって指定を受けない限り、今後は競馬施行はできなくなったわけであります。  もちろん、地方競馬制度改正以来すでに六年を経過し、経過措置として十分な期間であったわけでありますが、その実情について考慮いたしますと、競馬施行してきましたこれら市町村財政事情は、その多くは大都市あるいは大都市周辺都市または地方中心都市に位置しており、人口の急増等に伴う公共投資等財政需要はきわめて旺盛で、多額の財源を必要としており、しかも、これら財源のうちに占める地方競馬収益の割合は毎年度かなりの比率を占めてきているような状況にあったのであります。したがいまして、いま直ちにこれらの市町村から地方競馬の開催による収入を全く断つことは、これら市町村財政に衝撃を与え、各種施策の遂行に支障を来たすことも予想されるのであります。  したがいまして、附則第七条に規定する市町村で、経過措置期間経過により本年四月一日以降競馬施行できなくなった市町村につきまして、暫定的、段階的に収入の激変を緩和する措置を講ずることが必要であると思われるのであります。  以上のような趣旨から、昭和四十二年度限りで地方競馬施行権を失った指定市町村につきましては、地方競馬施行廃止に伴う急激な財政上の影響を緩和するため、競馬法第二十三条の三の規定にかかわらず、都道府県は、農林大臣指定を受けて開催した競馬収益の一部を、これら市町村に交付することができるよう措置することといたしたのであります。  また、東京都の特別区につきましては、特別区の特殊性にかんがみ、地方競馬場の存在する特別区以外の特別区につきましても、当分の間、競馬場の存在する市町村とみなして地方競馬施行権能を与えることが必要であり、かつ、実情に沿うものと考えられますので、これらの特別区に対しても施行権を与えることといたしたのであります。  以上が、この法律案提案趣旨及び内容であります。  何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  5. 足立篤郎

    足立委員長 以上で趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  6. 足立篤郎

    足立委員長 引き続き魚価安定基金解散に関する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  7. 柴田健治

    柴田委員 魚価安定基金解散に関してお尋ねを申し上げたいと思うのですが、昭和三十六年にこの制度施行されて以来、その間の運営その他にいろいろ。プラスの面、マイナスの面があったと思うのでありますが、しかし、この廃止に至る経過というもの、そういうものをあわせ考えてみますと、どうも一つ制度をつくるのに慎重な態度といいますか、そうした慎重さを欠いたのではないかというような気もするわけであります。行政監理委員会のほうから、こんなものはもう廃止してもいい、こういうことで勧告を受け、そして廃止に踏み切る。こういうことで、勧告を受けるまでの経過というものが、多少の期間機能権能というものを十分発揮してなかった、その結果において勧告を受けた、こういうことが言えると思うのですが、一つ制度をつくるときには、もっと長期の展望に立って、慎重にそうした法律をつくるべきではないか、こういう私たちの考えになるわけですが、この点について、政務次官にまず見解を聞きたいのです。
  8. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 この安定基金ができた当時におきましては、それだけの理由また実情等もあったと私は思っておるわけですが、その後海況変化等によりまして、基金が十分な機能を果たすような客観的情勢が生まれなかったというところから、その必要がなくなったということで、臨調からの答申があったと私は思うわけです。しかし農林省としては、せっかくでき上がった基金でございますし、やはり長期的な立場に立って、いま先生が言われるようなこれの運営等をはかっていかなければならぬということで、様子を見たほうがいいではないかという意見もあったわけですが、臨調のそうした答申、それに基づく行管等からの強い勧告等がありましたし、そういうこともありまして、一応役割りはゼロではなかったわけですが、ある程度果たしたわけですけれども、しかし、そういうことならば一応廃止して、さらにひとつ総合的な対策について検討しようということに相なって、こうした法案提出したような次第でございます。
  9. 柴田健治

    柴田委員 大きく役割りを果たしたといいますか、任務を全うしたというか、それぞれの機能を発揮して、その当時のそうした問題を解決するにあたっては、役割りを果たしたということは理解できるのですが、しかし、こういう制度廃止するには、やはり次の飛躍的な構想がなければ、漁民に与える心理的影響というものが、行政官庁に対する不信感となって出てくると思うのです。制度をつくった、もう役割りが済んだらすぐ廃止するんだ、こういうことでは朝令暮改だ、こういうことで、行政官庁に対する不信感というものが出てくる可能性があると私は思うのです。そういうことから言えば、やはり次のこうした飛躍的な構想というものがあるのだ、そのために、この制度は一応廃止して前進の姿をとった、そういう姿勢が出てこなければうそだと思うのですが、そういう次の飛躍的な構想というものは、どういう考えを持っておられるのか、それも聞かしていただきたい。
  10. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 この魚価安定基金の場合は、サンマだけに限定しておるわけですから、その後の漁海況等の変化によりまして、事実上の役割りは果たしたわけですが、しかし一般的な大衆魚といいますか、そういうものの魚価安定ということに対しては、これはやはり政府としても総合的に検討して、すみやかに対策を立てて、沿岸漁民安心感を与えるということは必要であろうと思うわけであります。そういう点から、さっそく政府部内におきまして、魚価安定に対する総合的な対策を打ち立てていくという考え方に立って、鋭意検討を進めておる次第であります。
  11. 柴田健治

    柴田委員 水産庁長官にお尋ねしたいのですけれども、この魚価安定基金制度ができるときに、国会附帯決議がついておるわけです。この附帯決議に対して、このとおりを守っていけば、もうこの制度廃止されても、われわれもまた理解できるところがあるのですが、この附帯決議が十分守られていないところにわれわれが疑問を持つところであり、また、いままでの行政運営指導面で手落ちがあるのではないか、手抜かりがあるのではないか、こういう気がするわけであります。  そういう面から考えて、国会附帯決議というものはどういう効力を持つものか。また、どれだけ尊重しなければならないものか。行政当局として、国会国会附帯決議をつけたのだから、それはもう法よりはずれているのだから、条文ではないのだ、ただ国会意思として附帯決議をつけてあるのだから、それはもう別だ、こういう考え方になるとするなら、これはゆゆしき問題だと思うのです。だから、この附帯決議というものをどう尊重しなければならぬかというその度合いなんですが、そういう心がまえというか、それをどうお考えになっておるのか、聞かしていただきたい。
  12. 久宗高

    久宗政府委員 魚価安定基金の設定にあたりましては、いろいろな御議論があったわけでございますが、そのようなものを総合されまして、相当こまかい附帯決議がついておるわけでございます。この前も御説明いたしましたとおり、附帯決議の主たる趣旨は、やはり大漁貧乏に対します対処のしかたとしては必ずしも十分でないということで、幾つかの問題が提起されたわけでございます。私どもといたしましては、附帯決議趣旨に沿いまして、一つには、水産物の新しい処理加工技術によります新製品の開発の研究、それから第二には、冷凍魚消費普及促進のための事業、第三には、農山漁村におきます冷凍魚消費拡大をはかるための冷凍ショーケース設置事業、四番といたしましては、産地処理能力を増大するための産地流通加工施設建設事業、さらに最近になりましてから、冷凍魚の買い入れ、放出によります価格調整を行ないます試験事業など、先般も御説明いたしましたようなことをやっておるわけでございます。なお、東京、大阪につきましての消費地冷蔵庫建設事業といったものを、その関連におきまして実施したわけでございますが、根本的には、それらが十分総合的な効果をあげていないではないかという御批判に、まだ十分こたえていないのをはなはだ遺憾に思っておるわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、附帯決議の御趣旨に沿いまして、少なくとも個別の問題といたしましては、できるだけのことをしたつもりでございます。  なお、基金そのものにつきましては、ただいま政務次官から申し上げましたように、サンマの漁況が非常に予測と違いました経過をたどりましたために、あのままの形での基金の運用は一応終止符を打ちまして、より根本的な対策に取りかかりたいと考えております。
  13. 柴田健治

    柴田委員 その附帯決議を十分守っていただけば、この基金制度廃止しても、また見方が違ってきておる。ややもすると、この附帯決議を十分尊重されていない。長官はやったように言われるけれども、実際はそれだけの効力を十分あげていない。附帯決議をつけなければならぬ国会意思というものが、まだ十分尊重されていない。実現しないところは尊重されていない、こうも言えるわけだと思いますけれども、この基金制度廃止されても、国会附帯決議趣旨というものはやはりあるわけです。この基金制度廃止されても、この附帯決議の精神だけは将来尊重される意思があるかどうか、この点についてひとつ……。
  14. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 もちろん国会決議でございますから、その際政府答弁をいたしましたように、これを尊重して、これに伴うところの諸施策を進めていくということは、当然であろうと思います。
  15. 柴田健治

    柴田委員 たまたまこの基金制度サンマだけに限定されているが、今後の日本漁業を発展さしていく、そして漁民経済的、社会的地位の向上、また日本人の食生活にぜひ必要なたん白質供給源として、この漁業の伸展というものは、もう好むと好まざるとにかかわらずどうしてもやらなければならぬ一つの宿命があると思うのです。これを放置するわけにはいかないので、やはり流通機構改善、また魚価安定対策というものは、それは当然考えなければならぬ。サンマだけでなくして全魚価というか、全部の魚の価格調整というものを考えなければならぬと思うのです。  先ほど大漁貧乏と言われたけれども、大量にとれて、とれるたびに値が下がるのでは、漁民の生活に与える影響というものが大きいから、そういうことでなくして、魚がたくさんとれたからどういう処置をするんだとか、少ないからどういう処置をするんだとかいうんでなくして、安定した漁業調整というものを考えなければならぬのではないか、こう思うわけですが、将来こういう魚価対策について、こうした基金制度がまた再び必要なときに、こういう廃止のしかた、いままでのこういう運営のしかたでは、強い批判が出てくるんではないか、そういう場合に、当局として半ば窮地に立たされるんではないかというような気がするわけですが、将来こういう制度が強く要望されてきて、必然的にまた取り上げなければならぬ、また制度としてつくらなければならぬというときに、どういう心がまえで臨まれるのか、見解をお聞きしたい。
  16. 久宗高

    久宗政府委員 当面サンマにつきましては、いまの基金を一応打ち切りまして別途の対策考えようということになるわけでございますが、将来の問題といたしましては、御指摘のございましたように、根本的には需給のアンバランスが非常にあるわけでございまして、生産基盤整備から出発いたしまして、しばしば御指摘のございますような流通消費に至ります一貫した対策を立てまして対処するということになろうかと思うわけでございます。その際におきますいかなる機構が必要であろうかというところは、まだ十分詰めができておりませんので、対案が提示できないわけでございますが、考え方といたしましては、やはりこの附帯決議の各項目を追いましても最終的にどうも総合性に欠けて、依然として魚価の問題が残っておるということを十分頭に置きまして、御指摘を受けましたような総合的な観点に立った施策を編み出してまいりたいというふうに考えております。
  17. 柴田健治

    柴田委員 この間農林漁業金融公庫法の一部改正で、漁業関係市場改善施設というか、整備施設に対しては、現地に対する市場融資については考えていない、こういう説明を聞いたんですが、冷凍施設であろうと何であろうと、魚価安定流通機構改善、そうした需要供給との調整をはかるために、現地における、現場における市場関係改善というものを考えなければならぬ。ところが、この間の法案ではこういう点はまだ考えていない。こういう融資制度の中で、まだそういう点には手がつけられていない。附帯決議は尊重する、こう言いながら、そういう点にはまだ融資制度の中でも水産庁のほうは意見をまとめていない、調整もしていない、話し合いもしていない、こういう現況から見て、あなたがどんなにうまい答弁をしようとも、どうもぴんとこない。こういう点は長官、総合的に考えていただかなければいけないのです。基金制度サンマならサンマだけで役割りを果たしたのだ、もう廃止する、あとはぼちぼちやっていくんだというような姿勢では、漁民やまた漁業協同組合一つの末端である、法に基づいてこしらえておる組合の皆さんも、日本水産行政というものは一つ一貫性がないじゃないか、思いつきだ、ただそのときの時点に立っての思いつき指導をやる、行政をやるということでは、どこまで信用してついていったらいいのか、こういう不安が出てくるのですが、そういう関連性のあるものは全部含めて水産全体の振興をはかる、そういうバックボーンのある一つ水産行政というものがあってほしい。こういう点についての構想を、長官から聞かしていただきたいのです。
  18. 久宗高

    久宗政府委員 沿岸漁業等振興法をおつくりいただきましたときに、沿岸並びに中小漁業の基本的な方策はすでに示されていると思うのでございます。私どもといたしましてはその趣旨に沿いまして、だんだんそれの個別的な内容を充実していくように努力をいたしておるつもりであるわけでございますが、特に、昨年四つほど法案をいろいろ御審議いただきました経緯でもおわかりいただけますように、沿岸関係におきましては、一番基礎になります漁協一つとってみましても、規模その他から見まして、経済行為を営むものといたしましては十分でないわけでございますので、これにつきましての基本的な合併の線をお出しいただきまして、そこからまず進めていきたいということで施策考えておるわけでございます。  また中小漁業につきましては、特別に昨年振興法をおつくりいただきましたので、これに従いまして、準備の整ったものから指定をいたしまして、経営の近代化につきましての特別な施策を打ち出しておるわけでありますが、全体として総合いたしました場合に、まだ施策としての総合性がない、あるいは非常に長期的なビジョンがはっきり示されていないという御批判は免れないわけでございまして、私どもといたしましては、今日この段階におきまして、依然として宿題として残っております流通問題でございますとか、魚価の安定という問題につきまして、繰り返し申し上げるようでございますけれども、やはりもう一度総合的に施策組み立て考えてみたい、こう思っておるわけでございます。もちろん方向といたしましては、繰り返し申し上げましたとおり、沿振法で方向が示されているわけでございますが、この個々の施策の間に関連性が十分ではないという御批判は確かにあるわけでございますので、今後残された問題といたしましては、新しい漁港計画を立てます場合に、これが一つの基軸になりまして、何らかの意味の沿岸の筋の通った施策を打ち出してみたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  19. 柴田健治

    柴田委員 長官、昨年とことしの水産関係予算を一応目を通してみて、どうもあまり変わったところはないのですよ。それで長官としては、ことしの予算はどこに重点を置いているのか、具体的にお教え願いたいのです。今度出されておる四十三年度で講じようとする施策を一応読んでみても、文章としてはうまく書いてある。問題は予算なのです。予算がないと水産行政全体の、それこそ骨格というものが組み立てられないじゃないか。文書だけでは、実際は水産行政の推進をはかっているとはいえないわけですよ。どこに重点を置いて、どういう点を重く考えて変えていこうとしているのか。
  20. 久宗高

    久宗政府委員 ことしの予算重点として考えましたのは、しばしば御指摘を受けておりました、一番生産基盤になります漁港関係におきまして、年々公共事業一般の制約の中で伸びが非常に悪い。特に、当初計画いたしましたものにつきましても進捗度が非常におくれている、こういうこともございましたので、最大重点公共事業費を伸ばしたい、そして漁港をある程度のめどまでは持っていきたいというのが、当初の最大の眼目でございました。しかし、全般的な財政硬直化ワク内で、公共事業費一般にああいうワクがかかりましたために、残念ながら思ったような伸びが得られなかったわけでございます。しかし、一応四十四年度から新しい制度に切りかえますのに、その前の段階である程度の段階まで持っていきたいというようなめどは、一応ついたように思うわけでございます。  それから、同時に、沿岸振興関連いたしましてだいぶ前から調査しておりました、いわば小規模の自然改造といったようなものにつきましても、そろそろ実施設計に入っていいものも出てまいりましたので、これはまだ金額はわずかでございますけれども、将来の沿岸漁業生産基盤を飛躍的に伸ばすためにぜひ必要なものといたしまして、非常に私どもといたしましては重視いたしましたものが浅海増殖の中に出ておるわけでございます。  それから、遠洋ないしはいわゆる中小漁業の範疇で申しますと、これも国際的にも相当漁場問題が出てきておりますので、新漁場をはっきり組織的に調査する必要があるのではないか、こういうことを考えまして、これも昨年度、念願でございました総合的な調査船でございます開洋丸が竣工いたしましたので、これを頂点といたしまして国の調査あるいは民間の調査組み立てまして、新漁場開発を思い切って打ち出したわけでございます。これは初年度ではございますけれども、私どもといたしましては、今後漁場を積極的に開いてまいりますのに、相当はっきりした線を打ち出したと思うわけでございます。  なお、これと関連いたしまして、水産庁予算の中には出ておりませんけれども沿岸漁業につきましての資源調査につきまして、従来必ずしもその間に総合的な組み立てが十分でなかった点を考えまして、今後の日本列島周辺におきます資源を組織的に調査いたしますための方法論、これを試験場関係では、主として技術会議予算の中で組みまして、これは将来にわたる芽として私どもとしては非常に重視しておるわけでございます。  なお、全体の経済の問題と関連いたしましては、金融関係で残った問題がございまして、漁協関係におきましても相当自分たちの蓄積が出てまいりましたので、これを活用するためのいわば近代化資金というものを打ち出してみたい、こういうことを考えてまいったわけでございます。最終的な詰めでこまかい条件がきまらなかったものでございますので、若干の時間をいただきまして、調査費もいただいて、系統の金融をこの中に織り込んでいきたいと思っております。こういったことを盛り込んだのがことしの予算のおもな特徴でございます。
  21. 柴田健治

    柴田委員 いろいろ長官構想を含めて考え方を明らかにしたのですけれども魚価安定基金というのはサンマだけですけれども、私らは魚価の安定というものがぜひ必要だと思うのです。それに関連するのはやはり流通機構改善ですが、こういうことでことしの予算を見ますと、先ほど言ったように国際漁業対策でも昨年度より減っている。それから水産物流通加工の改善費でも昨年よりやや減っているわけですね。昨年は三億五千九百七十四万円で、ことしは三億五千五百六十七万二千円。流通機構改善であの国会附帯決議考えたら、これはもっとふやさなければならぬものです。それから水産物の流通調整事業費なんて、去年少し組んであった。ことしは全面削除して零にしてある。予算内容一つ一つ検討してみて、あなたがここで答弁するような数字になってないわけです。どこに重点を置かれるのか。この点について、われわれが非常に疑問を持つ点であるので、長官日本水産全体の最高責任者として、予算のとり方をもっとくふうしてもらいたい。大蔵省が言うことを聞かなければ大蔵省を呼んでもいいのですが、やはり水産庁考え方予算要求のときにもう少し強く出していかなければ、数字だけ羅列して、昨年度から何%伸びたという伸び率だけをプラスされたのでは、これはもう事業伸びたとはいえないと思う。この点について、昨年よりうんと大幅にふえたというところはあまりない。ほぼどこの省とも同じように伸びるところは平均して伸びておるだけであって、特に変わったというところはないわけですね。こういう予算から見て、四十三年度の水産関係事業は、私たちの目から見るとどこに重点を置いてあるのか。一方では安定基金制度廃止するのだ、国会附帯決議も尊重するのだ、大いにやりますと、ことばの上では何とでも言えるのですけれども予算を見るとぴんとこないのですがね、長官。この点についてどうですか。
  22. 久宗高

    久宗政府委員 やはり全体の予算の中で公共事業費のウエートが非常に大きいものでございますから、それがああいった事情で制約されましたために、非常に伸びが悪いということが全般的に言えると思います。まあこまかいことを申し上げれば、いろいろ当然減といったものもございますが、全体の印象として、十分でないではないかということは、御批判を受けるまでもなく、私ども自身が残念に思っておるわけでございますので、さらに努力をいたしたいと考えておるわけでございます。しかしながら、額は小さいのですけれども、一応先ほど申し上げましたような四、五点は、新しい行き方の芽が出たものというふうに考えておりますので、これを大事に伸ばしてまいりたいと思うわけであります。
  23. 柴田健治

    柴田委員 予算関係については、時間があれば、また聞きたいと思いますが、長官、当面水産関係について問題はいろいろたくさんあるのですが、特に公害によって漁民がいろいろ苦しんでおるわけです。この点についてはあなたのほうが窓口ですから、われわれよりか水産庁のほうがよく御承知だろうと思う。河川から流れ出る汚物、そして水質の汚濁、またいろいろな水質の汚染、変化ということで、それに対して漁民のほうから、いろいろ公害に悩まされておる、何とかしてくれという声が出ている。それから近年産業構造が大きく変わって、鉱工業の発展に伴っていろいろな化学薬品が多く使用されるようになった。それに伴っての漁場の荒廃というか、公害のために漁場が荒らされる、こういう問題が全国至るところ出ておるわけです。この点について万全の対策というか、計画のもとに、水産庁としてはそれぞれの出先の研究機関なりまた各都道府県水産関係の皆さんに御協力を願って、鋭意努力して解決するようにお骨折りをいただいておると思うのですが、まだまだ十分とはいえないので、これからがたいへんだと思う。それから原因であるとかそういった真相の究明、そういう点について努力をしておられると思いますけれども、究明は終わったが、さてその後の処置をどうするか、これまたたいへんな予算を伴うものが出てくると思うのです。  そこで、そうした水質汚濁の防止対策というものについて、予算を見るとあまり伸びていない。これも本気でやられるかどうか、予算から見るとぴんとこないんですね。長官はいつも一生懸命やりますということをよく言うのですが、今度この水質の汚濁防止対策については、予算が多少伸びているようですけれども、これだけの予算ではまだまだ十分とはいえないのです。もうこの辺で思い切った対策費がついてもいいだろう、私たちはこういう解釈をしておったのですが、予算があまりついてない。こうした公害対策に伴う水質の汚濁防止費というものが伸びない理由はどこにあるか。まだまだ調査中であるというて、何年かかるのか。それは、そういう方便で逃げられればこれはしようがないですが、もうこの辺でやっていい時期が来たのではないか、こう思うわけですが、この点について見解を聞かしていただきたい。
  24. 久宗高

    久宗政府委員 公害につきましては、確かに御指摘のように追いまくられておりまして、積極的にこれを排除していくという点では、まだまだ非常に足りないと思っているわけであります。私どものほうでも、特に公害の特別な対策室を設けまして、この問題に積極的に取り組ましておるわけでありますが、やはり何と申しましてもデータで勝負をすることになりますので、一定の水域を指定いたしまして、そこに水質の基準が設定されます際に、水産資源の維持培養に必要な水質基準というものをどうやって織り込ませるのかというのが、私どもの本来の仕事であろうというふうに思うわけでございます。今日までの実績から申しますと、調査されました地域に対しまして、現実に基準が設定されたところが非常に少のうございますので、これを一つでも多く指定されるように、データを調整いたして努力をいたしてまいりたいと思っておるわけでございます。  四十三年度におきましては、従来の行き方のほかに、水産資源の生育環境の保全に資しますために、重要な漁場につきまして、内水面で約十二でございますが、沿岸関係では八水域につきまして、水質等の漁場環境保全に関する基礎調査というものを新たに設けたわけでございまして、これらの問題につきましては、都道府県の試験研究機関とも関連を持ちまして、固めてまいりたいと思っているわけでございます。  なお、これも金額は十分ではございませんけれども水産の被害を防止いたしますのに効果的な方法といたしまして、従来パトロールをいろいろお認めいただいておったのでありますが、そういう形以外に、自動観測施設を整備いたしまして、これらによりまして常時公害の進行を監視して適切な措置がとれるような試みをしてまいりたい、こう考えておるわけであります。  ただ、やはり御指摘のように、まだまだ公害に対します私どもの組織なり研究がはなはだ不十分でございます。何とかしてこの退勢を挽回いたしまして、漁場の荒廃を防ぐということにいたしたいと考えております。
  25. 柴田健治

    柴田委員 都道府県の試験研究機関を動員して御協力願うという答弁なんですが、先ほどの水質の汚濁調査委託費は八百万ほどしかない。それで内水面で約十二水域、それから沿岸で八水域、合計二十水域ですが、二十水域に対して都道府県に八百万円ほど——おそらく全額は出さないだろう。本庁のほうに何ぼか残して、調査費というか委託費を出すわけでしょう。勘定してみると、一県に三十万や二十万出して、いまの貨幣価値からいって救済できるのか。これで、各都道府県に十分調査してもらって御協力願うという。それは地元の君たちの受益だから、受益者負担という原則を前面に強く押し出して、国が少しやるからあとは都道府県でやれ、こういうことでは、水産庁が責任を持って思い切った調査をやる、そしてその資料に基づいて思い切った施策を進めていく、こういうことにはならないのではないか。こういう考え方に私たちは立つわけで、この点についてはもっと力を入れるべきではないか、こう思っているわけですが、この点はどうですか。
  26. 久宗高

    久宗政府委員 私どもも同様に考えておりますので、できるだけこれを充実させるように努力いたしたいと考えております。
  27. 柴田健治

    柴田委員 水産庁長官、原子力の発電所の計画というものを御承知ですか。
  28. 久宗高

    久宗政府委員 原子力の発電の御計画につきましては、個々に問題がございますと御連絡を受けているわけでございまして、大体のところは伺っておりますけれども、こまかい計画までは、それぞれの個別の問題のときに御相談に応じております。
  29. 柴田健治

    柴田委員 聞くところによれば、昭和五十年までに原子力発電所を七百三十万キロワットですか、六百七十万キロワットか、そういう点の計画があるようです。それから昭和六十年までに四千万キロワットの原子力発電所をつくる、こういう計画で、一キロワットの建設資金がいまの価格で八万円ぐらいで、合計三兆二千億の建設資金でやる、こういう計画があるように承るのですが、この点について、科学技術庁なり通産省の公営事業局なりの考え方をひとつ明らかにしてもらいたいと思う。
  30. 藤井孝

    ○藤井説明員 原子力発電計画につきましては、御承知のように通産省に総合エネルギー調査会がございまして、昨年長期構想を立てたわけでございますが、先生がおっしゃいましたように、この構想の中では、五十年度までに約六百万キロワットの原子力を開発する、それから六十年度になりますと三千万ないしは四千万キロワットの開発をするというような計画が立てられておるわけでございます。実際には、これを行なう電力会社そのほかいろいろ長期の計画を立ててまいっておりまして、それらの最近の電力の長期計画等から見ましても、やはり五十年度ごろには、六百万をこえまして七百万に近い構想が出てまいっております。着々計画が実現化される方向にあるわけでございます。  具体的に申しますと、現在運転中のものは、御承知の日本原子力発電会社が東海村で十六万六千キロの発電を現に行なっておりますけれども、工事中のものといたしましては、同じく日本原子力発電会社が敦賀に敦賀発電所三十二万五千キロをやっております。東京電力が福島に福島発電所を置きまして、ここに一号機としまして四十万キロ、これは工事をやっております。二号機が七十八万四千キロというのが、これは一応決定してこれから工事に入るというところでございます。それから関西電力におきましても、敦賀の美浜でございますが、そこへ第一号機としまして三十四万、これが工事中のものでございますし、続いて第二号機が、これも決定の段階へまいっておりますが、これは五十万キロで、これらを合わせましてすでに二百五十万程度のものが工事に入っておるというような状況でございます。  そのあとの計画といたしましても、さらに中部電力とか、東北電力とかあるいは中国電力、九州電力、こういうところも計画を立て、五十年度内に運転を開始したいということでやっておりますので、これらをあわせ考えますと、私どもいま構想として一応計算してみますと、六百四十万キロぐらいの計画が出てまいっております。大体そういった現状でございます。
  31. 柴田健治

    柴田委員 私がお尋ねするのは、原子力発電所をつくることに反対ではないので、当然日本のあらゆる産業を伸ばすためには、また国民生活の向上の面からいっても、電力の必要なことはわかるので、現時点で水力発電、火力発電で現在四千万キロワットぐらいの発電能力を持っている。いま人口約一億で、昭和六十年までに人口の伸びが、経済企画庁のほうの調べでは一億一千六百万人ですか、もう千六百万人ぐらいふえるだろう。電力の需要の面から見るとまだまだ足らない。それから水力、火力もこれから大いにやらなければならぬが、しかし、当面の課題としては、原子力発電所にある程度依存するという時代を迎えた。  この点は理解できるのですけれども漁業の面から見れば、原子力発電所は、日本は御承知のように広島、長崎に原爆を受けた経験から、原子力というと非常に神経過敏になる、そういう点も考慮しなければならぬ。それから漁業に与える面がないといえばない、あるといえばあるという論争になってくると思うのですが、日本の場合は、山の中に原子力発電所をつくるわけにはいかぬ。ほとんど海岸べりだと思う。海岸べりに原子力発電所をつくるとするならば、海水を使うということになるわけですね。冷却用の水というのは、全部海水を使うということになる。聞くところによれば、五十万キロワットの原子力発電機の発電能力を出そうと思えば、冷却用の水というものは毎秒三十トン以上要るのだ。そうすると、全国で何カ所つくる計画かわかりませんが、五十万キロワットで毎秒三十トン以上の海水を使うとするならば、その付近の漁民に与える影響というものが心配になってくるわけです。よその国は、もはやいろいろ漁業に与える影響または水質の変化、水質に対する放射能の汚染度というか、そういうものについては十分調査、研究がどんどん進んでいる。日本の場合は、発電所の計画だけはどんどん進むが、そうした水質の問題漁業に与える問題というのについてはまだこれからだ、そういう感じを持つわけですが、これは両々相まって並行して進めて、漁民に対する安心感を与えなければならぬ、こう私は思う。そういう面からお尋ねを申し上げたいが、五十万キロワットに冷却用の水が毎秒どの程度要るのか、それから昭和六十年までに原子力発電所は全国で何カ所つくるのか、そういう点をひとつ聞かしていただきたい。
  32. 藤井孝

    ○藤井説明員 原子力発電所五十万キロワットの冷却用水といたしましては、海水を使う量は、先生がおっしゃいましたように大体三十トン程度は毎秒必要でございます。  それで昭和六十年になりまして三千万ないし四千万キロワットの原子力発電所ができるということになりますと、地点といたしまして考えてみますと、十五カ所ないし二十カ所、その程度じゃなかろうかと思っております。大体一つの発電所が、将来大きなものになりますと一機百万キロ、四機ぐらいで一発電所になりますので、四機四百万キロぐらいの発電所が予想される。その数からいきますと十カ所ぐらいでございますが、それはあちこちに建設されますので、十五ないし二十カ所程度ではなかろうかというふうに考えております。
  33. 柴田健治

    柴田委員 日本の場合は、戦後電力を九つに分断されて九電力に分かれているわけです。九電力で一カ所ずつつくっても九つで、二つつくれば二、九、十八カ所できる。それが二百万キロワット発電所になるか四百万キロワット発電所になるかわかりませんけれども、平均二百万キロワットとして四千万キロワット。いまの計算でいけば二十カ所ですが、二百万キロワットで冷却用の海水が毎秒百二十トン。百二十トンの海水というと相当の水なんですね。それが冷却用ですから温度が上がるわけです。その温度の高い水が常に海面へ流れ出る。そうすると水温が変わってくる。水温が変わってきた場合に、喜んで集まってくる魚もあるかもしれません。けれども水温の変化で魚道が変わったり、いままで魚が来ておったところに来ないようになってくる。特に浅海養殖、これから日本沿岸漁業の中では浅海養殖というものが進んでくると思うのですが、これはもう当然のことだと思うのです。  そこで、これから水産庁のほうが、新しい漁場の確保、新しい漁場の開拓、こういうことで投資計画を立てて、水産庁のほうは水産庁のほうで漁業協同組合なり漁連なりと相談して、この辺がよろしかろうということで投資をした。一方、いつの間にやら原子力発電所がそこにできるのだ。そうするとまた混乱を起こす。摩擦を起こす。こういうことを繰り返すと、ちょうどいまの日本の交通事情みたいに、家の立ちのきをして幅員を広げる、また狭くなったから家の立ちのきをして広げるというような、むだな投資が行なわれるのではないかという気がするわけです。だから水温の変化漁業に与える影響というものをどう考えられるのか、水産庁長官、ひとつお答え願いたいのです。
  34. 久宗高

    久宗政府委員 私ども技術者でございませんので、原子力関係に非常に弱いので、うまくお答えできないと思います。しかし発電の問題につきましては、確かに規模がどのくらいになるかという問題が大きな問題だと考えるわけでございます。少なくともいままで私どもが御連絡を受け、あるいは私どもの関係の技術者も参加いたしまして検討いたしました結果によりますれば、発電関係におきましては、放射能の問題は御心配はないと考えられるわけでございます。  ただ、冷却用に用いました水が温度が高くなりますので、それをどういう形で海に戻した場合にどの程度の影響があるかという問題につきましては、なお詳細な調査が要ろうかと思うのございます。拡散の度合い、またそこにおきまして、先ほど御指摘もございましたようなどのような魚の種類にいい影響があるか、悪い影響があるかというような問題につきましては、さらに突っ込んだ検討が要ろうかと思うのであります。現在、具体的に問題になっております東海村におきましては、いまの規模でございますれば、特別な影響はまずないというふうに一応考えておるわけでございます。
  35. 柴田健治

    柴田委員 私は、水産庁長官としてはもっと突っ込んだ考え方を明らかにしてもらえると思っておったのですが、そういう答弁を聞くということになれば、われわれは案じざるを得ないのです。水温の変化で真珠養殖はどうなっておるのですか。真珠養殖は貝類ですね。貝類というものは、温度の変化で非常に衝撃を受けるというか、そういう種属なんです。ノリにしてもそうです。泳いでいる魚は逃げますけれども……。そういう養殖について、水温の変化影響ないのですか。
  36. 久宗高

    久宗政府委員 水温の変化があれば、何らかの影響があると思います。ただいま申し上げましたように、どの程度の水が出るか、それがたまたまその地域におきます海流の状況から見まして、どういう拡散のしかたをするかといった問題につきましては、やはり個別的な検討が要るのではないかと思うわけでございます。したがいまして、一般的には影響ありとして被害のほうをまず頭に置くわけでございますが、また別の考え方といたしましては、さような温度という問題をもっと有利に展開できないだろうかといったことも検討してみる必要があるだろう。  さような意味におきまして、もちろん私どもの研究者のほうでも検討はいたしておりますが、漁業団体におきましても、この問題は将来非常に大きな問題になるべしということで、特別にこの問題を専門に検討するグループをつくりまして、マイナス面の配慮と、それからこれをもしプラスに利用し得るとすれば、どういう形があり得るだろうかという検討に入っているわけでございます。まだ、ただいまの段階では非常に程度の低い研究でございますので、もう少しこの関係を、このほうの御専門の方ともよく相談いたしまして、はっきりしためどをつけていかなければならぬというふうに考えております。
  37. 柴田健治

    柴田委員 放射線の害はないのだ、こういうことでいまの時点でいろいろ見解が出ておるようですけれども、それはそれとして害のないものだ、こう解釈をするとしても、やはり水温の変化というものが魚族に与える影響というものは、水産庁長官のほうはこれから調査研究する、民間の漁業団体等が一生懸命いま勉強しておるし、調査もしておるし、研究もしておる、こういう答弁なんですが、そういう民間の漁業団体が本気になって調査をしておるのは、それは自主的にいまやっておられる。けれども水産庁の仕事というものは、そういうものをまず取り上げて、先にやらなければならぬ仕事じゃないですか。発電所ができ上がった、漁民が騒いだ、それからおみこしを上げて調査研究いたします、こういうことが日本の官庁のいままでの惰性なんですよ。騒がなければやらない。漁民がわあわあ騒いだら、そんならぼちぼち調査費をとって調査をやりましょうか、こういうことだから、一般の国民が見る目というものは、日本の役所というものは誠意がない、こういうことで指摘を受けるわけですね。だから、こういう科学的な問題については先手を打つべきではないか、私たちはそう解釈するわけです。  それで、放射線の影響はないからと言われるが、二百万キロワットの発電所で毎秒百二十トンの海水というたらどの程度の数量か、長官、御存じですか。それが流出する。それがもう年じゅう同じように流れるわけですからね。それから潮流の関係がどうのこうのというのではなくして、毎秒百二十トンという水というたら、相当の水ですよ。それをこれから調査しますというのは、どうもその考え方自体が、もうたいした水じゃなかろう、そう変化はないだろう、影響はないだろうという浅い考えがあればこそ、取り上げ方というものがそういう姿勢になってくるのじゃないか、私はこういう気がするわけです。  それでは科学技術庁にお尋ねしますが、廃棄物の処理はどういう方法でやられるのですか。
  38. 田中好雄

    田中説明員 廃棄物の処理につきましては、まず再処理工場におきまして使用済みの燃料が出てまいりますから、それを再処理工場へ回しまして、そこで化学的な処理をして分離をするというやり方をするわけでございまして、現在、わが国では一カ所国のものとしてつくろう、こういう計画で動力炉・核燃料開発事業団において取り運ぼうとしております。
  39. 柴田健治

    柴田委員 いま科学技術庁なり、通産省なり、水産庁なり、三者いろいろな、一方では計画、一方では被害を受けるかどうかわかりませんが、それぞれ仕事の内容が違うのですから、それぞれの省で考え方が多少違うことは当然のことですが、何としてもわれわれは、日本漁業を発展させなければならぬという使命を持っております。そういう立場から、何も原子力発電所に反対するものではないけれども、やはり密接なる関連を持つという立場で、各省漁業に与える影響というものはどうであるかということを、まず第一番に科学技術庁も通産省も考えてもらって、水産庁のほうへ十分連絡をとってもらう。調査の方法はこういう方法でやる、具体的にそういう構想がなければいかぬ。今後二カ年なら二カ年間でどういう機構のもとでどういう調査をする、スタッフはどういうスタッフをそろえるのだ、こういう構想があっていい、こう思うのですが、そういう構想について、三つの機関がそれぞれどういう見解を持っておられるか、お答えを願いたいと思います。
  40. 田中好雄

    田中説明員 私のほうの再処理につきましては国でやりますので、ただいま現地のほうと交渉しておりますが、この点につきましては、水産庁のほうと十分毎回連絡をとって、スケジュールその他をお話し申し上げているわけでございます。これは地元の御協力を得なければできませんので、ただいまそちらのほうに全力をあげてお願いしているという段階でございまして、この方面につきましては、私らは十分水産庁と御連絡をとっているつもりでございます。
  41. 藤井孝

    ○藤井説明員 通産省のほうにおきましては、この原子力の問題につきまして、科学技術庁、それから水産庁、それから通産と、この三者で連絡打ち合わせ会議を設けてやっておりまして、このような将来の構想につきましても逐次検討し、固めていくようにつとめていきたいと思っております。
  42. 久宗高

    久宗政府委員 ただいま両省からお話のございましたような連絡の機構がございまして、事に当たっておるわけでございます。  先ほど私の答えが不十分で、温度の問題についてもたいしたことはないというふうにお受け取りになったように思うのでございますが、決してそういうことではございませんで、やはり問題があるわけでございます。また民間がやっているということではございませんで——もちろん民間も勉強はいたしておりますけれども、私どもの関係で申しますと、海洋関係におきまして放射能問題を扱っております。それと発電のほうで申しますと、むしろ温度の問題でございますので、一般に増養殖関係の技術者も動員いたしまして、これらについての知見を深めて対策考えてまいりたい。若干の発表されたものも実はあるわけでございますが、詳しいことは申し上げません。  そこで、全体の構想の問題と関連いたしまして、率直に申しまして私ども一番困っておりますのは、ただいまのような全国的な一応の発電等の御計画があって、しかもこれに先行いたしまして、現地で工場の進出という問題で、私どもに必ずしも御連絡のないうちに、地元でいろいろな問題が先行する場合があるわけでございます。そういたしますと、十分な地元の漁民に対する説明もできておりませんし、いきなり原子力発電が来るのだということで、漁民側におきましては内容がわかりませんだけに、とにかく反対ということで、そういう事実関係だけが先行してしまいまして、あとから説明を加えていくといったような事例が非常に多いわけでございます。こうなりますと、この種の非常に複雑な問題でございますので、危険である危険でない、どういう施設をすれば十分である十分でないといったような問題について、冷静な突っ込んだお話をするような場面にならない場合があるわけでございまして、私どもといたしましてはさようなことのないように、各省とも事前にお話があって、関係者にも内容を十分御説明をするような機会がぜひ必要であろうというふうに考えておるわけでございます。  なお、あとでお話の出ました再処理施設の問題でございますが、これはいろいろ問題があるようでありまして、相当突っ込んだ研究が必要だと思うわけでございます。この問題につきましても、事柄が非常にむずかしい科学の問題でございますので、これを一般の漁民の方々に的確に事の内容をわかっていただくのに、実は非常に苦慮しているわけでございます。私どもとしては科学技術庁、あるいは通産省とも御相談いたしまして、まず具体的な例として、よその国でどの程度のことをやって、そこで漁業とどういう形で両立しているのか、こういったものを関係者の方に目で見ていただくのが一番いいのじゃないかということで、昨年でございますか視察団を編成いたしまして、外国のおもだった施設につきまして、実際に目で見てきていただいたわけでございます。帰りましての報告の要旨でございますが、一応、理論でなくて、現実の問題としてやっておるのを見ればおよその見当はつく、しかし、その場合におきます再処理施設の当局者なり国なりがきわめて的確に処理をしていることが前提であって、そういうことが行なわれるならばこの程度の問題はという実感を得た、したがってそういうことが行なわれるかどうかが問題であるというのが、率直に申しまして、これに参加いたしました漁民の方々の御意見であります。私どもも、かりに再処理施設の問題一つを取り上げましても、少なくとも漁民の人たちが十分納得するような、一連の施策の裏打ちがあって初めてできるものというふうに考えておるわけでございまして、さらにこの辺につきましては、関係の省庁とも十分御連絡いたしまして、事に当たりたいと考えておるわけでございます。
  43. 柴田健治

    柴田委員 政務次官にお尋ねしたいのですが、いま通産省の公益事業局なり、科学技術庁の田中次長なり、水産庁長官から、いろいろそれぞれの立場に立っての考え方を明らかにされたわけです。この原子力発電所に伴う漁業に与える影響が大だ、あるいはたいした影響がないといういろいろな見方があるのですが、二百万キロワットの原子力発電所をつくるとすれば、廃棄物の処理はこれから相当問題になるのですけれども、これは汚染をする可能性のある問題です。これの処理については高度に科学的研究をして、処理方法というものはまた別に考えなければいけないのですけれども、冷却用の水は海水を使うわけです。毎秒百二十トンの水が要るわけで、常に毎秒百二十トンの海水が回転するわけです。そうすると、その水温の変化というものが年じゅうあるわけです。日本列島の周囲は御承知のように全部海であります。どこの水を使っても自由だからいいようなものだけれども漁業に与える影響というものは考えなければならぬ。その中で、特に養殖漁業としてやっている真珠養殖にしても——これは漁業とはいえないのだけれども、貝類、ノリ、天然記念物に指定されているカブトガニだとかいろいろな商品として取り扱う品物、またそうした日本の保護魚、天然記念物として指定されたようなそういうものの影響考えた場合、やはりわれわれは水産環境を重として考えなければならない。だから、発電所は自由につくりなさい、漁業のほうは水産庁のほうでかってに調査研究して適切な処置をしなさいということでは、漁民のほうは納得しないと思うのですね。この問題について、農林省としてどういう構想処置するのが一番妥当か。科学技術庁にまかせてしまうのがいいのか、通産省にまかせたほうがいいのか、この問題については農林省が全部一手に引き受けて調査研究も全部やるのだ、こういうのがいいのか、政務次官考え方はどうですか。
  44. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 原子力発電は、科学の進歩に伴いまして日本でも各地で計画をされておるわけでございますが、やはりいま柴田委員のおっしゃいましたように、この発電所が回転をし始めてから、温水の問題にしてもあるいは廃棄物の問題にしても、これは漁業との関連問題も発生する危険もなきにしもあらずと私は思っておるわけでございまして、そういう面から、やはり農林省としては漁業に対する影響を少なくするということに対して、万全の措置を講じていかなければならぬと思います。そういう立場で、たとえば原子力発電所の位置の選定にいたしましても、あるいはまたその地元の漁業者との関連にいたしましても、地元が納得し漁民も納得するような形で、原子力発電の計画あるいは建設等が進められていくべきだと思うわけで、やはりそれについては農林省、通産省あるいは科学技術庁一体となりまして、相互に緊密な連絡のもとに、影響がないような方向対策を講じ、あるいは調査を積極的に進めていかなければならぬ、そして政府としては指導性を持ってこうした漁業に対する影響をなくしていく、そこで原子力発電を進めていくというふうな方向でやっていかなければならないのじゃないかと思うわけであります。
  45. 柴田健治

    柴田委員 連絡調整政務次官、そういうお答えはそれは要領のいい答弁で、われわれはそういう答弁では不満足なんですよ。やはり漁業に与える影響は、農林省が一手に引き受けていかなければならない。それが本筋だと思うのです。予算措置にしてもそうだし、電力会社が通産省の公益事業局と相談して場所をかってにきめる、農林省には何も連絡しない、あとから建設の段階になって、あそこにつくることにいたしました、こういうことでは、私は農林省の役割からいって、何かあとからついていくような機関だと思う。これでは漁民は納得しないと思うのですよ。積極的に農林省が、たとえ原子力発電所、電力会社がどうあろうとも、通産省がどうあろうとも、科学技術庁がどうあろうとも、農林省が全部中心になってやっていくのだ、そして連絡だけはやるけれども、やはり農林省が中心となってやるという姿勢がほしい、こう私は思うのです。連絡だけやって取り組んでまいりたいということでは、私はちょっと納得ができかねる。  農林省はいつもそうでしょう。この間の海上交通に関する法案は一応この国会には提案されぬようになりましたけれども、運輸省がかってに法案をこしらえて、農林省のほうはあとから連絡を受ける。そういうことでは漁民は納得しないので、やはり漁民の保護また資源確保という面からいうと、農林省が中心にならなければならぬと思うのです。これから特に鮮度の高い——同じ魚でも量だけたくさんとれればいいのだということでなくして、質もよくなければいけない。水質のいいところにまたいい魚が回わってくるということになるわけで、水質を変化させないように手を打たなければならぬ。農林省が中心になってもらいたいと思うのですよ。連絡だけやって、将来万遺漏なきを期していきたいという程度では私は納得できない。どこに中心を置いて取り組んでいくのか、その構想を聞きたい。
  46. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 原子力発電所の位置の選定、あるいは建設等の主役といいますか、主力はやはり科学技術庁あるいは通産省と思うわけですが、事、漁業関連するあるいは漁場等に影響を与える問題につきましては、何としてもこれは農林省が中心でございますから、そういう関連のある問題につきましては、農林省が、ただいまおっしゃいましたように指導的な立場に立って各省と連絡をとり、各省にも納得をしてもらう、あるいは地元の漁民にも納得をしてもらう、いろいろな措置をやはり農林省が主力になって、中心になってやるべきだと思うわけであります。事、漁業に関しては、やはり農林省が指導的な立場に立つのは私は当然であろうと思います。
  47. 柴田健治

    柴田委員 それじゃ政務次官、いま建設をやっているところの計画は御存じですか。
  48. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 十分承知しておりません。
  49. 柴田健治

    柴田委員 政務次官はいま建設をやっている場所も知らないのだ。それで指導性を発揮するといったって、向こうさんかってにとっととっととやっているのです。そして漁民のほうはいいわ悪いわと騒いでいるわけです。それでは手おくれなんで、やはり計画ができたら、国の機関なのだから、通産省といわず——やはり役所のセクト主義があって一つも外部と連絡をとらない。問題が提起されたら連絡調整をやるのだ、そういう姿勢がそもそも間違いを起こすもとだ。事前に科学技術庁も通産省も、農林省とよく連絡をする、設置場所もその計画も全部話し合いをして、住民であろうと漁民であろうとその付近の人々の理解を求めるような、そうした構想というものがなければならないと私は思うのです。一方交通でどんどんやって、あとから水産庁のほうが知るということでは、漁民に対して責任を果たしておるとは言えないわけです。それから、問題が順次出てくるわけで、昭和五十年といったらもうすぐなんですよ、昭和六十年といったらもうすぐなんですよ。外国のほうはもうどんどん調査研究して、害があるなしは大体明確になりつつある。日本の場合はこれから調査だということですが、この原子力発電所の設置に伴って、漁業に与える影響等の調査費というものはどこに組んでいるのですか、お答え願いたい。
  50. 田中好雄

    田中説明員 科学技術庁におきましては、ただいま御質問のございました漁業に与える影響ということにつきまして、特に私らの方が扱っておりますのは、廃棄物の処理とかこういう問題でございますので、海水中にいろいろな汚物がまじるということをおそれておりますが、これは現在審査会その他では全然出ないように処理をしておりますが、この面について再処理工場をいま計画しております。これに基づくいろいろな漁業調査をすることにいたしまして、本年度七千万円ばかりのお金を用意していただきまして、放射線医学総合研究所というのがございますが、ここが那珂湊に土地を買い求めまして、水槽をつくり魚を飼って、実際にどういう影響が出るかということを調査することにしております。この面につきましては水産庁のほうにも御連絡をし、水産庁のほうからの御協力、県の水産試験場などの御協力、いずれも得られるということになっております。
  51. 柴田健治

    柴田委員 水産庁長官、科学技術庁のほうから予算が出ておるようですが、水産庁のほうは、先ほど予算のことで御答弁いただいたのですが、本年、内水面と沿岸と含めて二十地区の水質検査をやる。水産庁のほうはこれから水質検査をやるという措置を講じておるし、科学技術庁のほうは、これから害があるかないかということを調査する。水質検査が終わって、水質の基準というものが明確になって初めて、それの変化に伴う害があるかないかということの結論が出てくるのが順序だと思うのですね。水産庁はこれから水質検査をやり、科学技術庁のほうは害があるかどうか調査する。水質の基準が出ない前に、害があるかないかということはどこから出るのですか。科学技術庁のほうは水質基準を持っているのですか。水産庁と両方答弁願いたい。
  52. 田中好雄

    田中説明員 水質の問題と放射能による問題とはちょっと別でございまして、御存じのとおり、再処理をいたしますと、ある程度の放射能を帯びたものが出てまいりますが、これを低レベルの放射能と中レベル、高レベルと三つに分けます。この低いものにつきましては水で希釈して流すわけでございますが、これを流しますと放射能を帯びたものが入りますので、これが魚にどういう影響を与えるか、それから魚にどれくらい蓄積が行なわれるか、あるいは海藻などにどのくらい蓄積するか、こういうようなことを調べる必要がございます。この面でございまして、先生おっしゃいます水質の問題とはちょっと違った面のものでございます。  ただ、こう申し上げますと、先生いますぐ出ているようにお考えかもしれませんが、現に発電所から出しておりますものは、われわれのきめております数量の十分の一、あるいは場合によれば百分の一ぐらいの非常に薄いものでございまして、私らがこうやって立っていましても、天然に一年に相当な数の放射能を空間から受けておりますが、その量に比較しても〇・四%とか、その程度の低いもので放出しておりますから、そういう点を御了解願いたいと思います。いま私らがやろうとしておりますのは、再処理をした場合に出てくる低レベルのものが、どういう影響が出てくるかということについての試験でございます。御了解願います。
  53. 久宗高

    久宗政府委員 いまの御答弁で明らかだと思うのでありますが、御質問の例の水質基準のことでございますが、これはいわゆる原子力関係ではなくて、いわゆる一般の工場排水、これらの関係とお考えいただけばよろしいと思います。原子力関係、特に放射能関係につきましては、予算の点も、科学技術庁から御説明ございましたように、これは研究にいたしましても総合的な研究が必要でございますので、政府部内におきましては科学技術庁が中心になりまして、そこへ予算を集中いたしまして処理に当たっているわけでございます。したがいまして、それとの分担関係におきまして、水産庁もこれに協力いたしまして調査を進めていくというやり方をとっておるわけでございます。  ただ、御質問にございましたように、水産関係者からははなはだ申しにくいのでありますけれども、たとえば科学技術庁の御調査ではどうもぴんとこない、やはり水産関係水産庁だから、水産庁自分でやれという御要望がいつでもございます。そう言われます漁民のその気持ちはよくわかるわけでございますが、事柄が事柄でございますので、やはりそれぞれの専門家が共同して事に当たりませんとこういう分析はできませんので、私どもは科学技術庁に協力いたしまして事に当たっているわけでございます。   〔委員長退席、坂村委員長代理着席〕
  54. 柴田健治

    柴田委員 科学技術庁にみんなまかせることは、科学に関する限りは科学技術庁にまかせればいいのだというのは、先般の阿賀野川の事件でもそうですが、科学技術庁はかってな解釈で、農林省も厚生省も不満だということを聞くのですが、どうも科学技術庁に対しては、国民の立場からいうと、また漁民の立場からいうと信用しないのですよ。全く科学技術庁はいいかげんな資料を出して、害があってもないのだないのだという。一ぺんそういう罪を犯すと、なかなか国民の立場からいうと理解ができない。それから、科学技術庁の資料というものがあまり信用できない。どうも電力会社のほうの一方的な立場に立って資料をつくるという懸念がある。やはり問題は、漁民の立場からいえば、水産庁の権威あるスタッフによって害があるかないか、そういうことを明らかにしてもらうほうが、いままでのつながりからいっても信頼度が違ってくると思う。  それから、この件について科学技術庁なり通産省、農林省、この三者がそれぞれの立場で、いろいろ専門的な問題については分類して研究調査もせられると思いますけれども、総合的な漁業に対する問題に対しては、水産庁が窓口になるべきである。調査研究も水産庁がやるべきではないか。水産庁のいまの長官のお答えを聞くと、現時点にあるあらゆる公害について水質の基準や調査をやるのだ、こういうお答えなんですけれども、私が尋ねておるのは、原子力発電所に伴う漁業に与える影響というのはどうか、そういう立場でお尋ね申し上げておるので、予算全体からお尋ねすればみんな含まっていくと思いますけれども、それは別として、やはり原子力発電所に伴う漁業に与える影響水産庁が窓口になってもらいたい、こういう考え方でお尋ね申し上げておるのです。今後の調査研究はあくまで科学技術庁のほうに全部おまかせするのか、こちらは相談に来られればそれに応じていくという姿勢をとられるのか、その点をひとつ明確にしてもらいたいのです。
  55. 久宗高

    久宗政府委員 どうお答えしたら御理解いただけるのか困るのですが、科学技術庁におまかせするという性質の問題でございませんが、役所の区分から申しますと、科学技術庁が中心となりまして、それぞれの関連のある技術者を集めまして事に当たるわけでございます。ことに原子力のような相当いわば高度なもので、しかも相当専門的な知識が要るということになりますれば、まさにそういう体制が必要でございますので、予算にいたしましても、ここで統括いたしましてやっておるわけでございます。したがいまして、私どもは科学技術庁にただばく然とおまかせいたしますということではなくて、私どもが参加しなければ、この問題は解決しないという立場で参加をいたしておるわけでございます。  ただ、漁民の方々から申しますと、やはり最後には水産庁おまえはどう思うかという問題が必ずこの問題では出てまいりますので、その場合におきましても、それに的確にお答えするためにも、やはり私どもの陣営のみならず、もっと広い関係者の共同作業によりまして事の真相をつかみまして、的確に漁民にお答えできるような立場をとりたいというふうに考えております。
  56. 柴田健治

    柴田委員 長官のお答えもそれは理解できるのですよ。理解できるのだけれども、ここでまた予算を申し上げるのですが、水産庁水産庁の立場で、現在起きている公害の問題を含めてですけれども、やはり独自の立場で調査研究して、水産庁の基本的な見解というものをまとめておくべきではないか。それを、相談を受けたら見解を述べるというのではなくして、水産庁としては、この発電所ができれば、この付近の漁場の実態、それから魚種、そういう種目ごとに与える影響というものはどうなるかというぐらいのことは、すぐにでも答えが出るように調査する必要があるのじゃないか。水産庁独自においてもそれだけの調査をすべきじゃないか。そういう問題については、ひっくるめてみなやりますと言われればそれだけですけれども予算を見ると昨年よりもあまり伸びていない。特に、当面これが重要な問題として出てくるわけですが、予算から見て、水産庁のほうの取り組む姿勢というものが、いままでのしきたり、惰性だけでやっておるのではないか、変わったそうした予算が計上されていないじゃないか、こういう気がするからお尋ね申し上げておるので、その点をどう考えておられますか。
  57. 久宗高

    久宗政府委員 繰り返し申しますが、原子力関係の予算は科学技術庁に統一してつけてございますので、私のほうにそれだけを特掲して出してはおらぬというわけでございます。
  58. 柴田健治

    柴田委員 それなら合同で使うということですね。  通産省のほうにお尋ねしたいのですが、通産省のほうには、そういう設置場所というものは、昭和五十年までのができておるのか、六十年まで計画というものができ上がっておるのか、その点を聞かしていただきたい。
  59. 藤井孝

    ○藤井説明員 ただいまの点でございますが、すでに工事決定して建設にかかっておると申し上げました地点はともかくとしまして、それから先の計画の地点につきましては、はっきりとここというふうにしていないようなところが多うございまして、候補地点としましてはありましても、たとえば二カ地点のどちらかとか、そういうふうなことで、はっきりここと決定的にはなっていない、そういう状況でございます。
  60. 柴田健治

    柴田委員 それなら、これからまだ具体的には相談に応じていくということなんですが、通産省のほうは電力の需給計画というものを、日本の産業発展のために立てるのが本日だけれども、それは各電力会社ごとに立てさせるのか。通産省が日本全体の需要供給という立場で計画を立てるのか、電力会社の計画の審査をし、その計画を検討していくという姿勢をとられるのか、どちらかですか。
  61. 藤井孝

    ○藤井説明員 電力会社が計画を立てます。これにつきまして、私どものほうでその計画を長期のいろいろな観点から検討しまして、決定にまで持っていくというようなことでございます。
  62. 柴田健治

    柴田委員 いま日本の電力関係については、九つの電力に分割するということは好ましい姿ではない、やはり電力会社は一本化すべきだという考えを私は持っているのですが、いま水力や火力を持っている九つの電力会社はそのままにして、原子力発電所だけは将来一本化というような考え方はないのですか。
  63. 藤井孝

    ○藤井説明員 そのような考え方は現在持っておりません。九つの電力会社、それに電源開発会社というような形が現状でございますが、これらの広域運営体制をさらに強化した中で、原子力の開発もやっていくというふうに考えております。
  64. 柴田健治

    柴田委員 原子力発電所につきましては、将来漁民にあまり心配をかけないように、科学技術庁も通産省のほうも、農林省と十分連絡をとっていただきたい、こう思います。  それから政務次官、時間がきたから最後にお尋ねしたいのですが、ことしの水産予算があまり伸びていないということで長官にお尋ねしたのですけれども、きょう大臣が見えておりませんから、次官に最後に締めくくりのお答えを願いたいと思うのです。今年度の水産予算というものが全体を含めてあまり伸びていないのです。これでは、水産事業の推進というものは、口では言うてみても実質的には効果が出てこない、こう思うのですが、今年度の予算に対して次官はどういうお考えを持っておられるのか、満足しておられるのか不満足であるのか、その点ひとつ聞かしていただきたい。
  65. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 御存じのように、本年度予算が硬直財政の中で編成をされましたので、予算全体についてもいろいろと御批判があるわけですが、その中で農林省予算、その中における水産庁予算が編成されているわけですけれども、私は、農林省全体の予算の中では、比率の問題でございますが、水産庁水産関係予算は例年よりはちょっと伸びておるのじゃないか。しかし、全体的な水産政策を進めていく上からいきますと、まだまだもの足らない現状であることは事実でありまして、これからの水産政策を積極的にやっていくには、もっと予算の獲得を今後ともはかっていかなければ、もちろん政策の裏打ちはできないと私は思うわけであります。
  66. 赤路友藏

    赤路委員 関連して一言だけ。ちょっと誤解があると困るので申し上げておきますが、柴田君がいままで原子力発電の問題を取り上げてきましたが、これははっきり申しておきますが、原子力の平和開発について反対をしておるものではない、この点ははっきりしておきます。それから、慎重を欠きますと取り返しがつかぬということ。私は、こう言っては科学技術庁の方々におこられるかもしれないが、原子力の開発ということについては、日本よりもアメリカのほうが進んでおる、こういうふうに思わざるを得ないわけです。ところが最近、御承知と思いますが、アメリカの太平洋上にある原子力艦船の基地、ここで廃棄物から放射能が出たということを発表しておるわけです。もちろん人体に影響はない、こういっています。しかし、人体に影響があるかないか、全然数字が出ていないのでちょっと判断しかねるわけで、おそらく科学者のほうでは、どんなものだろうかというので御調査等はなさっておると思うのです。私はあまり言いたくないのですが、日本よりも一歩前進しておるアメリカにおいて、最近そういうような廃棄物の中から放射能が出たのだ、こういうことをいっておる限り、なおさら私たちとしては心配になるわけです。最近、全国的にどこの電力会社もどんどん計画をお立てになるわけなんです。それは、これからのエネルギーをできるだけコストダウンさそう、それが日本経済に大きくプラスになるのだという、その考え方自体はわかる。しかし、あまりにぼんぼんやり過ぎちゃって、何かこうムード的なものでやられてしまいますと、万一の場合これは取り返しがつかぬのですね。何かそういう感じがする。  ここに水産庁長官もおられるのですが、あの水俣の公害にしましても、もう十年以上になっているのに結論はまだ出ていないですね。そうしてイタイイタイ病にしても、阿賀野川の問題にしてもなかなか結論が出ない。もう慎重も慎重も、学者の諸君の慎重さというのはたいしたもんですね。しかし、私はこれについては慎重だと思わぬ。何かどこかに遠慮しているんじゃないかというような感じがするのです。これと違った角度で、ひとつこの原子力につきましては十分慎重な態度で臨んでいただきたい。でないと取り返しがつかぬのだ。私たちは決して原子力の平和開発ということについて反対をするものではない。慎重さを欠くと取り返しのつかぬことが起こって、収拾しがたいものが出てくる、こういうことでございますので、その点だけはっきり申し上げておきます。
  67. 坂村吉正

    坂村委員長代理 午後二時より再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時三十二分休憩      ————◇—————    午後二時二十五分開議
  68. 足立篤郎

    足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を行ないます。樋上新一君。
  69. 樋上新一

    ○樋上委員 私は、魚価安定基金解散に関する法律案審議にあたり、若干の質問を行なうものであります。  最近のわが国の水産物の動向を見たときに、特に感ずることは、需要の増大が水産物の供給を大きく上回っていることであります。この水産物の家計費額、外食費の増大などが魚価の上昇、輸入の増大等を促しているのでありますが、これらの問題が、大きく物価問題として社会に影響を及ぼしていることは周知のことであります。特に水産物においては、年々動物性たん白質一人当たりの摂取量がふえている関係上、その価格の増大というものが直接消費者に伝わってくるのでありまして、ここで水産物の消費者価格は、三十五年以降どのように伸びているか、これをお伺いしたいと思います。
  70. 久宗高

    久宗政府委員 御指摘のように、水産物の需給にアンバランスがございますので、消費者価格も相当の上昇をしているわけでございます。今回御提出申し上げております白書におきましては、四十一年段階の数字を申し上げておるわけでございます。四十年度までが高かったわけでございますので、四十年度に対しまして四十一年度はあまり大きな伸びになっておりませんが、最近の五カ年間の数字を実は用意してまいったのでございますけれども、三十八年から四十二年までの値上がりといたしましては四四%という数字になっております。これは他の食料品と比較いたしまして、野菜、肉類を若干上回っておるわけであります。
  71. 樋上新一

    ○樋上委員 水産物の消費者価格が六、七年間に約二倍の上昇を続けている。この姿は食料品以外の物価上昇と比べまして、非常に上回った数字を示しているのではないかと思いますが、その点具体的な説明をお願いいたしたいと思います。
  72. 久宗高

    久宗政府委員 基準年のとり方によりまして若干数字が違うわけでございますが御指摘のように、食料品の中でも魚介類の伸びが相当高いわけでございまして、これは主としていわゆる多獲性魚の漁獲変動が相当著しいわけでございますので、これらの関係が相当影響しておるように考えておるわけでございます。
  73. 樋上新一

    ○樋上委員 食料品の消費者物価指数の動きの中で同じように見たときには、魚介物の伸びがどのような姿をしているか、その率はいま説明してくださいましたか。
  74. 久宗高

    久宗政府委員 いま手元に持っておりますので、主要食料品全体の総合の指数で申し上げますと、四十年を一〇〇といたしましたものでは四十二年が一〇九・一になっております。この関連で、この中で食料だけを抜き出してみますと、四十年を一〇〇といたしまして一〇七・八でございます。これに対しまして、魚介類は一一七・一、肉類一一二・〇、野菜が一〇九・三といった形になっております。
  75. 樋上新一

    ○樋上委員 そうしますと、野菜類を除いた場合は魚介類の価格の上昇率は激しいもので、その上昇の要因は何に原因しておるのでしょうか。また、四十年度において一七%という高い上昇率を示したが、その直接の原因は何か、この点お伺いいたしておきます。
  76. 久宗高

    久宗政府委員 基本的には、たびたび御説明申しましたように、需要に対しまして供給が追いつかないというのが一般の問題で、それが基調にあるわけでございますが、四十二年には……(樋上委員「四十年度一七%でしょう」と呼ぶ)四十年を一〇〇といたしまして四十二年が一一七・一と申し上げたわけでございます。四十二年度におきましては、豊漁でございましたサバ及びイカを除きまして、他の魚種では生産が停滞いたしましたために、たとえば東京を例にとってみますと、四十二年度は前年に比しまして一四%の値上がりという形になっております。
  77. 樋上新一

    ○樋上委員 しかし、最近冷凍品が増加している傾向にありますので、かなり水産物価格に明るい影響をもたらしているというように思われるのですけれども、基本的には安定した需給の均衡がとれているように思う。ゆえに、四十一年の対前年の上昇率が、魚介類の場合は一・八%にとどまったといっても、この価格の停滞は一時的なものではないかと考えるのですが、どうでしょうか。
  78. 久宗高

    久宗政府委員 先ほどもちょっと触れたのでございますが、白書で掲げられております四十年から四十一年の伸びが一・八%でございますが、これは三十九年から四十年に相当大幅に上がりましたために、それをもとにいたしまして計算いたしましたために、四十年から四十一年の価格上昇は比較的小さくとどまったということでございます。
  79. 樋上新一

    ○樋上委員 漁介類の総供給量の用途別配合の割合を三十六年と四十一年とを漁業白書において比べてみると、国内食用の場合は三十六年が七四%、それであるのに四十一年度は七〇%、国内非食用の場合、三十六年は一八%であり、四十一年は一九%。輸出を見ますと三十六年八%、四十一年度に一一%と、三%の伸びを示しておるんです。しかし、ここで問題になるのは国内食用の供給量がマイナス四%になっていることであります。国内食用向けの供給量が一向に増加していないばかりか、むしろ減少の傾向にあるということは、人口の増加、また消費者の生活水準の向上に伴う需要量が確保されていないところに大きな問題があるのではないかと私は思うのですが、こういった現象が消費者価格の上昇となっているのではないか。この点お伺いいたしたいと思います。
  80. 久宗高

    久宗政府委員 先ほど申し上げましたように、基調といたしましては需要伸びが非常に強いので、それに供給が追いつけないということでございますが、ただいま御指摘の国内食用向けのパーセントは、比率としては落ちておりますけれども、絶対額といたしましては必ずしも落ちておらないわけでございます。全体の供給量が若干ふえておりますので、絶対額は減っておりません、食用向けでございますね。ただ比率といたしては、御指摘のような比率の変化があるわけでございます。
  81. 樋上新一

    ○樋上委員 国内生産者の拡大を推進していった場合、そこには大漁貧乏という姿が出てくるが、関係官庁としてどのような対策考えておられるか。事実、昨年増産したスケソウの魚価がべらぼうに安く、大漁貧乏を起こしていると聞くが、この点も具体的にお伺いしたいと思います。
  82. 久宗高

    久宗政府委員 大漁貧乏の問題は、主として典型的なものがいままでサンマであったわけですが、サンマにつきましては先般来ずっと御説明をしてまいりましたが、漁獲量が非常に減りましたために、いわゆる大漁貧乏というものは、ごく局部的には若干ございますけれども、全体としてはないわけでございます。しかし、それぞれの多獲性魚につきまして、局部的にはいわゆる大漁貧乏的な現象があるわけでございます。ただ最近、施設関係では相当伸びがありましたので、それである程度の処理をいたしておるというのが現状でございます。  それから、御指摘のスケソウダラにつきましては、御存じのとおりこれにつきましてすり身の技術が導入されまして、これは非常に革新的な技術でございますけれども、これによりまして、従来、いわばほとんど商品価値のなかったものが、あらためて食用原料といたしまして注目されてきました。それでこの漁獲高が非常に伸びましたので、それの加工のテンポとのギャップがありましたために、一部値下がりがあったわけでございます。
  83. 樋上新一

    ○樋上委員 その具体的な今後の対策というものをお持ちですか、これに対して。
  84. 久宗高

    久宗政府委員 スケソウを典型的なものとして申し上げますと、これはまさに価格の問題といたしましては、確かに御指摘のような問題があるわけでございますけれども、戦後の漁業生産の中では、ある意味では画期的な問題のように思います。つまり、すり身にできるという技術開発されて、全くいままでわれわれが問題にしなかった魚種が、相当大きな漁業の対象として浮び上がってきて、しかもそれが急速に伸びてきたということでございますので、全体としての漁業生産に大きく寄与したということは言えると思います。私どもも、一昨年七百万トンをやっとこえたということで大いに気をよくしたわけでございますが、昨年のまだ最終的な集計はございませんけれども、四十二年度におきまして、七百七十万トン近い総漁獲に上がったわけでございます。これの相当大きな部分が、いまのスケソウに関連があるわけでございます。ただ、いかにも急速に伸びましたので、それの処理の体制が十分でないというようなことから、価格におきまして若干の値下がりを見て、いろいろいま対策に奔走いたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、すり身の需要が相当ございますので、そのすり身の需要にできるだけマッチしたような形で調整をはかっていく必要があるだろうという考えでおるわけでございます。
  85. 樋上新一

    ○樋上委員 水産物の価格安定という立場から見た場合、これからの水産供給内容は、いわゆる需要の質的な変化考えながら、また、需要度の強い品種に重点を置いていかなければならないと私は思うのです。この点はどうでしょうか。
  86. 久宗高

    久宗政府委員 確かに消費の実態が、都市におきましても、農村におきましてもだんだん高度化しておりますので、それに伴ったような供給のしかたを考えていく必要があろうかと思うわけであります。
  87. 樋上新一

    ○樋上委員 エビの輸入に見るごとく、外国に依存する比重が大きくなってきたのではないか。また、一部高級品だけを輸入するのか、この点はいかがでございましょうか。
  88. 久宗高

    久宗政府委員 御指摘のように、輸入が急速に伸びておるわけでございます。その主体になっておりますのは、エビが非常に目立つわけでございます。いずれにいたしましても、いわゆる消費支出といわれるものが、経済の変動にかかわらずたいへんな伸びをいたしておりますので、それに伴いまして、御指摘のような嗜好の高度化とも関連いたしまして、エビといったようなものに集中したと思うのであります。相当大きな金額になるわけでございまして、私どもといたしましても、これをできるだけ国内でカバーできるような措置を、早く実施に移したいと考えておるわけでございます。  お聞き及びと思いますけれども、この関係の研究は、いろいろ試験段階を経まして、ある程度実施に移されておるわけでございます。もう一息やろうといたしますと、ある海区に相当大量に稚エビを放流いたしまして、それをえさを与えないで天然の状況に置きまして、それの大きくなったものを回収していくというやり方がとれれば、これが一番おもしろいわけです。その種の実験を、今年度の予算にも若干組んでおるわけでございます。それが間に合いませんうちに大量の輸入になりまして、非常に大きなウエートを占めておるわけであります。なおそのほかにも、輸入関係では、一般に高級魚といわれますものの需要が強いものでありますから、金額にいたしますと相当のものがやはり輸入されておるというのが実態でございます。
  89. 樋上新一

    ○樋上委員 生産地価格が消費者価格に及ぼす影響は非常に大きなものがある。三十五年度以降の生産地価格の動きを見ますと、生産を縮小した年には価格は大幅に上昇を見せて、また豊漁によるとき、輸入の増大したとき、価格は横ばい状態といったような不安定な動きが見られますが、これに対する処置考えていらっしゃるか、この点をお伺いしたいのです。
  90. 久宗高

    久宗政府委員 ちょっと御質問の意味を取り違えておるかもしれませんが、生鮮食料品について、特に水産物につきましては、産地価格と最終的な消費地におきます価格、これに非常に大きな開きがあるという御指摘をしばしば受けるわけでございまして、もちろんそういう実態があるわけでございますけれども一つには統計の処理上の問題もございまして、消費地に参ります場合には、比較的高級なもののウエートが非常に大きくなります関係もございまして、必ずしもその差をほんとうに的確にあらわしているとはいえない問題がございます、一般的に申し上げて。  しかし、御指摘の点はさようなことではなくて、大勢的に見ましても、相当生産地の価格と消費地の価格との間にギャップがあるということであると思うのであります。私どもといたしましては、いろいろ御指摘のございましたような、生産地から最終的な消費地に至りますまでの需給の関係をいかに組織立てていくかということが、基本的な問題のように思うわけでございます。その点がまだはなはだ不十分でございますために、しばしば相当大きなギャップも出るわけでございます。基本的には、生産部面の問題もございますけれども、陸にあがりましてからの一連の施設なりその運用につきまして、総合的な対策を講ずべきだというふうに考えております。
  91. 樋上新一

    ○樋上委員 魚価が、生産地価格から消費者価格としてどのように動いていくかといえば、昨年のサンマの産地平均価格は、キログラム四十二円と聞いております。これは前年より幾分高値になっておりますけれども、これが消費地に流れるときには、キログラム三百円の高値になっているのであります。すなわち、魚屋さんの店先に並べられていますサンマは、一尾五十円のものがざらだということでありますが、多獲性魚類として消費者になじみの深いサンマにおいてさえこういう実情であります。すでに大衆魚の値段ではないと思いますが、政府はどのようにこれを説明されますか。
  92. 久宗高

    久宗政府委員 サンマは全く頭をかかえざるを得ないわけでございます。私どもの庶民の感覚といたしましても、サンマはこのくらいの値段だというものが常識的にあったわけでございます。御承知のとおり、基金も店じまいしなければならないような状況の変化がございまして、最近この漁が著しく減っておりますために、どうしても最終価格が上がらざるを得ない。これはまさに需給そのものを反映したものと思うわけでございます。私どもといたしましては、現在の資源の動きにつきまして、もう少しこれを的確にとらえまして、せっかくこれが庶民の魚であったことから考えまして、その供給をできるだけふやすような努力をいたしたいと考えておるわけでございます。何ぶんにも漁況がひどく変わっておりますので、この問題はなかなかお答えがしにいくいわけでございます。
  93. 樋上新一

    ○樋上委員 特にサンマといった場合は、消費者のイメージが大衆魚、安い魚という感じを持っているわけでございます。もうすでにそのイメージもなくなってきているような状態でございます。こういった反面、アフリカから持ってくる冷凍のタイは一尾三十円前後で買える、こう聞いておるのですが、こういった点、政府魚価安定策に対する矛盾を感ずるのでありますが、この点はどうでしょうか。
  94. 久宗高

    久宗政府委員 それぞれ魚の相対価格という問題があろうかと思うのでございますけれども、いまのサンマにつきましては、いまお答えいたしましたように、需給関係が根本的に変わっておりますので、ただわれわれのイメージから見れば、たいへん高いものになってきているということに尽きるわけでございます。  あと、アフリカのタイのお話が出ましたけれども、やはり近海におきますものがだんだん減ってまいっております関係上、相当遠いところから運ばざるを得ないということでございまして、ただ、これらがいわゆる冷凍魚といたしまして相当の処理をして持ってきておるわけでございますので、必ずしも値段の上で非常にアンバランスであるとは考えられません。一般に、魚がある時期に出回りましたものの中で、それぞれの相対価格がきまってくるわけでございますから、必ずしも非常に高いとは考えられないわけでございます。
  95. 樋上新一

    ○樋上委員 けれども、このタイが一尾三十円ということは事実ですね。冷凍のタイが三十円で買えると聞いているのですが、その点はどうですか。
  96. 久宗高

    久宗政府委員 サンマと比較なさるのでございますれば、何ともお答しようがないわけでございます。
  97. 樋上新一

    ○樋上委員 それでは価格安定の基本は、あくまで生産量の増大によらなければならないとされているけれども、それが計画どおり生産量が増大しなかった場合どうするつもりか。特に、いま審議されているこの法案の目的はサンマに限られておるのですが、価格安定のための方策として制度化されたと聞いております。しかしながら、その後のあらゆる情勢の変化によってこの法律がもう必要がなくなってきた、こういうことですが、こういう状態を整理する事態におちいったということは、政府魚価安定に対する抜本策が欠けていたと私は思うのですが、この点はどうですか。
  98. 久宗高

    久宗政府委員 弁解がましくなりましてはなはだ申しにくいのでございますが、ただ、いろいろな経緯から、魚価安定基金サンマを中心に運用されたことは事実でございますが、サンマにつきましては、いま申しましたように、魚況が非常に変わってまいりましたので、少なくとも現状で判断される場合、あのような機構でこれを裏打ちしなければならぬかどうかということにつきましては、むしろこれを打ち切りまして、もっと本格的な、魚価安定の名にふさわしい制度なり考え方組み立ててまいりたいというのが私ども考え方であるわけでございます。  ただ、この法律ができましたときに、いろいろ不十分だということで御指摘のございました個々の問題につきましては、たとえば冷蔵庫の問題にいたしましても、これはあの当時から見ますと、格段の増強ができておるわけでございます。ただ、参考人その他からもお話が出ましたように、それらの設備がほんとうにうまく稼働しているかどうかということにつきましては、従来その辺の配慮と申しますか、施策が不十分だったというふうにも考えられるのであります。施設といたしましては相当増強されているわけでございますが、あとその施設をもう少しうまく運用する方法はないだろうか。これには、おそらく金融とかいろいろな問題が付随してまいると思うのでありますが、さようなことが当然考えられてよろしいのではないかと思うのでございます。  ただ、これももちろんそれだけではございませんで、やはり生産の増強から最終消費に至るまでのそれぞれの項目につきまして、御指摘のございますような総合的な施策組み立てる必要があろう。それに向かって、私どもといたしましてはさらに努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
  99. 樋上新一

    ○樋上委員 水産庁が、生産地における豊漁貧乏と消費地における価格高騰を防ぐねらいで、四十一年から始まった冷凍水産物流通改善事業経過とその見通しをお伺いしたい。
  100. 久宗高

    久宗政府委員 これもすでに触れた問題でございますが、御指摘事業は冷凍水産物流通改善事業ということで、主として生産者の団体でございます全漁連が事業主となりまして、流通の関係者、主として荷受け機関あるいは冷蔵庫業者を含めまして、その協力を得まして、いわゆる多獲性魚を、盛漁期に産地において冷凍いたしまして、これを消費地の冷蔵庫に保管しておきまして、値段が上がりましたときにそれを出しまして需給のバランスをとっていこうというので、これは物価対策一つ考え方といたしましても、試験的にこれに取り組んでみたわけでございますが、四十一年の関係で申しますと、四十一年度から四十二年十二月末までの事業実績で申し上げますと、生産いたしましたものが約一万二千トン、販売いたしましたものが約七千五百トン、こういうことでございます。  これをやってみましていろいろなむずかしい問題にぶつかったわけでございますが、どんどん魚の値段が上がっていく過程でございました点もあろうかと思いますが、一般の売買をされているものの中に介入して特殊なものを買い付けまして、そしてそれを売り渡そうということになりますと、農産物のように、いわゆる収穫期というものがあって、年間の需要がある時期に大体の見当がつくというものと違いまして、時々刻々の動きでございますので、買い上げてそれを保管いたしまして売り払う、この操作が実は非常にむずかしいわけでございます。  私どもこれをやりながらいろいろなことを知ったわけでございまして、四十三年度も引き続きこの問題につきまして、もう少しこまかい詰めをしようと思ってやっておるわけでございますが、このような方式でもって魚の売買にある特別の機構が介入するのがいいかどうかという点ににつきまして、実は率直に申しますと、相当疑問の点もあるわけでございます。これは非常に農産物や何かと違った意味を持っておるのじゃないかというふうに思うわけでございますが、せっかくやり出したことでもございますのと、またこれをやりながらいろいろなこともわかってまいりましたし、関係者には非常に御努力もいただいておるわけでありますので、もう少し続けまして、これを全体として評価してみたいと思っておるわけでございます。
  101. 樋上新一

    ○樋上委員 この改善事業について、二十二日行政管理庁から勧告があったとこう聞いておりますが、その抜本的な対策を検討すべきではないかという考えについてどういう勧告があったか。また、これをどうなさるつもりですか。
  102. 久宗高

    久宗政府委員 行政管理庁におきましては、一番最近に私どもがやっております仕事でございますし、またこれが一つのテストケースにもなりますので、いろいろこれについて監査をいただいたわけでございます。ちょうど私どもが、まだ中間的ではございますけれども、いろいろな難点があるなというふうに考えておりましたことを、そのまま御指摘を受けたような形になっております。  したがいまして、私どもといたしましては、このような制度を拡大しました場合に、これでいけるというふうにはちょっと断定しにくいわけでございます。ただ、こういう操作をいたしてみまして、魚の問題について、特別な機構がどういうふうに介入できるものかという一つの実験にはなるわけでございますので、さような意味でもう少しこれを掘り下げてやってみまして、最終的な評価をいたしてみたいと考えております。
  103. 樋上新一

    ○樋上委員 サンマ漁についてでありますが、最近ソ連の船団が釧路沖から三陸沖、さらに銚子沖まで大々的に出漁し、多大な漁獲をあげているのですが、その実態についてひとつ御説明願いたいと思います。
  104. 久宗高

    久宗政府委員 御承知のとおり、ソ連におきましては長期計画の中で、畜産の若干の失敗といったような問題もございまして、相当漁業に大きく依存をした計画が立てられておるようでございます。その中でも、太平洋におきまして相当のウエートがかかってくるわけでございますので、いわゆるサケ・マスでありますとかカニといったもの以外に、相当量のある魚、スケソウとかあるいはサンマといったようなものを漁獲の対象として、いろいろ試験的な操業が進んでおるわけでございまして、日本で主としてとっております比較的岸に寄りましたサンマの群、これの関係で相当の漁があるように聞いておるわけでございます。  また、御指摘のように、逐年日本沿岸に幾つかの試験操業船が参りまして、関係者の関心を引いておるわけでございますが、いまのところ、これの漁が非常に大きなものであるということはいえないと思うのであります。私どもといたしましては、サンマ資源につきましていろいろな考え方があり得るわけでございまして、現在私どものとっておりますサンマの群のほかに、もう少し沖合いのほうに別の系統もあるということもほぼわかっております。  そこで、つい最近でございますけれども、ソ連と漁業交渉をいたしております過程で、これは日ソの漁業条約に基づく委員会の話ではございませんが、昨年から日ソの間で、漁業関係技術協力につきましての協定が結ばれておるわけでございます。こちらから向こうの船に乗る、向こうからこちらの船に乗る、こういうことで、それぞれ得意とする漁業につきまして技術者の交流をいたしておるわけでございます。その問題の一環といたしまして、サンマについては共同研究をやろうじゃないかという提案をいたしましたが、それが採択されたようでございます。考え方といたしましては、サンマについては直ちに規制するとかそういう問題ではございませんで、やはり資源そのものにつきましては相当突っ込んだ検討が要りますし、また、実は知られている部分がまだ非常に少ない、もう少し実態というものをはっきり知ってみたいということがございますので、共同研究をしようじゃないかという提案をいたしまして、これが採択されたというふうに聞いております。
  105. 樋上新一

    ○樋上委員 ソ連が、昨年度とったサンマの量は幾らですか。
  106. 久宗高

    久宗政府委員 的確な数字があるわけではないのでございますが、いろいろな点から総合いたしまして、報告書によりますと、大体四、五万トンという数字になっております。
  107. 樋上新一

    ○樋上委員 私も五万トンと聞いておるのです。これはソ連の漁獲倍増五カ年計画によったものでありますが、七〇年度には十万トンを目ざしているといわれているのですね。そうすれば、今後ますますわが国のサンマ漁業は圧迫を加えられることは明らかであります。そうなってきますと、政府のほうとしてはこの点どういう具体策を講じられるか。いまあなたがおっしゃったように、共同でやっていくというけれども、はたしてそのとおりいくだろうか。特にサンマということについて、ソ連のほうはだんだん計画を——いま申しましたように、七〇年には十万トンを見込んでいるということですから、はたして共同でやっていけるようになるかならぬかということは、甘い考えではないかと私は思うのですが、この点どうでしょうか。
  108. 久宗高

    久宗政府委員 今日までの日ソのいろいろな経緯から見まして、御指摘のような御批判もあり得ると思います。ただ、サンマにつきましては、確かに資源的にも相当問題がある魚種でございまして、ほんとうの意味で実態が十分把握できていない問題がございます。したがいまして、一番関係の深いわれわれの間で共同の研究をいたしまして、漁獲の対象になりますサンマの群につきましても、はっきりしためどをつけたいと思います。いずれにしても、共同調査ということから始めて、必要があればいろいろな協定を結んでいく必要があるかと思っておるわけであります。
  109. 樋上新一

    ○樋上委員 サンマ資源保護という立場から、わが国だけのサンマ漁を規制するのは国内措置で十分できると思いますが、これだけでは意味がないのでありまして、完全なより効果的な資源対策を実施するには、ソ連の船団を規制すべきであると思うが、その点はどうでしょうか。
  110. 久宗高

    久宗政府委員 たまたま昨年の外国人漁業の規制に関する法律の際にも、いろいろな御議論が出たわけでありますが、サンマで申し上げますと、かりに十二海里の専管水域というようなものを考えましても、むしろそれよりも外の問題になるわけでございます。いずれにいたしましても、そのときにも申し上げましたように、資源の状態というものを十分掌握した上で、必要がございますれば二国間で漁業のやり方を協定するといったようなしかたが、必要でございましょうということを申し上げたのであります。サンマにつきましては、まさにそういう性質の問題でございます。ただ資源について、いま直ちに非常な規制をしなくてはならぬかどうかということにつきましては、率直に申しまして、サンマ資源そのものについては、まだまだだいぶ問題が残っておりますので、まず共同調査から始めまして、必要でございますれば、両方のとり方について相談をしてみるというのが順序であろうというふうに私ども考えております。  なお、生物学的な意味の資源のほかに、いわば経済的な要素を加えました資源、これが本来の資源だと思うわけであります。そういう意味から申しますと、生物学的にはかりに問題がないといたしましても、何らかの話し合いをしたほうが適当であるといったような問題もこの問題にはあろうかと思いますので、その場合を考えましても、いずれにいたしましても、もう少し共同調査によってサンマの実態を明らかにして、やはりそれを根拠にいたしまして話し合いをするのが筋であろうというふうに考えております。
  111. 樋上新一

    ○樋上委員 ではしっかりそういう規制問題、またソ連に対して遠慮がちな日本側でなくて、どんどん積極的に働いてもらって、このサンマ資源の点、あらゆる点において十分な政策を行なっていただきたい、こう願う次第でございます。  最後に、小笠原問題につきましても関係しておりますのでお伺いしますが、最近小笠原において、返還もきまったためか、米軍の監視もゆるみがちであると聞いておりますが、その監視の目を避けて、過日の新聞でも取り上げておったように思いますが、日本の船による密漁が行なわれておるようですが、その密漁の実態をひとつ教えていただきたい。どういう状態なんですか。
  112. 久宗高

    久宗政府委員 おそらくお話の出ましたのは、新聞にも出ました第七不動丸の問題であろうかと思われます。これは約八十四トンの船でございますが、いわゆる領海侵犯という形で先方につかまりまして、その後罰金を払って返してもらったという経緯があるわけでございます。これは二月の二十九日の問題でございます。  私どもは、この小笠原返還のお話が出かかりましたときから、すでに関係者としては、だいぶ長い時日がたっておりますので、あそこの資源は相当貯金がある、これを、帰るまでによそからとられてしまっては困るということで非常な心配をしておられましたので、また、あの周辺には相当多数の県から漁に出ておりますので、万一そういうことがあってもいかぬと思いまして、本年度の初めに、農林省へ各県の水産担当官を集めました際にも、私からじきじきこの問題につきまして注意を喚起したわけでございます。さらに、二月の二十日には通牒を出しまして、小笠原の復帰が行なわれまして、あそこで一応もとの形の漁が復活するまで、これを乱すことのないようにということを注意いたしまして、さらに、この事件がその直後に起こりましたので、三月四日に、それをもう一度確認するような通牒を出しておるわけであります。たしかこの委員会でも申し上げたと思うのでありますけれども、小笠原の復帰に伴いまして、そこに非常な空白がございますので、とにかく第一義的に考えておりますのは、もとあそこにいた方で漁業者であった方が向こうに帰られて、漁なり生活のめどのつくまでは、とにかくその方たちに限り、ほかは一切入れないという大原則でいきたいと考えておるわけでございます。今回、国会のほうにお出ししております法律案に基づきまして、さような措置をもちろんとろうと思っておるわけであります。  御指摘のように、いまのところは米軍があそこの管轄また監視をいたしておりますので、それがゆるむというようなことはまずまずないと思うのでありますけれども、この過渡期におきましても問題がないように、わがほうから出ていくのを自粛していくのがそもそもの行き方であろうということで、再三注意をしております最中にああいう事件が起こりまして、はなはだ遺憾に思っておるわけであります。今後ともさらにこの問題につきましては関係県の注意を喚起いたしまして、さような不祥事のないようにいたしたいと思っております。
  113. 樋上新一

    ○樋上委員 政務次官にお尋ねします。この問題につきましては、前回あなたに一ペん申し上げましたね。この旧島民が帰ったときに、漁場が荒らされておったというのでは、私は非常に心配だから申し上げた。ところが返還がきまって、まだ帰っていないにもかかわらず、こういう日本船が密漁をやっておる。返還になっても、いろいろやっておる間にどんどん行って資源をとってしまう、その保護ができるか、そういう点をあなたに尋ねたことがありますが、もう言っているそばからこういうのが出てきておる。この点はどうなんですか。
  114. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 ただいままで水産庁長官がお答えいたしましたように、ああした不祥な問題が起こったことは、非常に残念に思うわけでありますが、ただいま協定も国会で審議中でありますし、それに基づくところのいろいろな法律関係の案件も審議をされておるわけでありまして、われわれといたしましては、この小笠原周辺の漁場が確保される、そして帰島される漁民が安心をして漁労できるというふうに、今後とも意欲的に、ひとつ漁場の確保というところに重点を置いて政策を進めていきたいと思っております。
  115. 樋上新一

    ○樋上委員 この監視の強化を、具体的にどうするかということは、まだ立っておりませんか。
  116. 久宗高

    久宗政府委員 現在でもこういう事態がございますので、海上保安庁とも御連絡いたしまして、できるだけ監視の目を届かすようにしていただいているわけでございますが、私どもといたしましては、こちらに返還されました以降の形といたしましては、当分の間特別な取り締まり船を、水産庁といたしましてもあそこに配置するよう考えたいと思っておるわけでございます。もちろんこの取り締まりは、私どものほうでもいたしますけれども、主管は海上保安庁のほうでなさいますので、海上保安庁ともよく御相談申し上げまして、遺漏のないように取り計らいたいと思います。
  117. 樋上新一

    ○樋上委員 返還後においても、同じことが言えるわけですが、返還後のことはまだきまってないのですか、どうですか。
  118. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 返還後は、やはりいまの監視態勢といいますか、日本の領土になるわけですから、海上保安庁その他水産庁の監督のもとに、内地と同じように監視をもちろんやっていくのが当然であろうと思います。
  119. 樋上新一

    ○樋上委員 小笠原付近の魚資源、こうした資源をとる一方で、資源の保護育成ということを当然はからなければならない、こう思うのですが、数年のうちに減少してしまうのではないか。これに対する処置はどのようにするのか、この点を最後にお伺いしたいと思います。
  120. 久宗高

    久宗政府委員 これは、別途いわゆる振興対策の中で検討すべき問題だと思うわけでございます。つまり、現状におきまする事態は、非常な空白のあとでございますので、相当詳細な調査がやはり必要であろうと思います。それに基づきまして、当然振興対策が立てられるわけでございますから、その一環といたしまして、漁業問題もこの中に織り込んでいくという形になろうかと思います。
  121. 樋上新一

    ○樋上委員 では、しっかりお願いします。  以上で終わりたいと思います。
  122. 足立篤郎

  123. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣が後ほどおいでの予定だそうでありますが、それまでに政務次官あるいは水産庁長官に若干お伺いをしてまいりたいと思います。  これはむしろ大臣にお聞きするほうがいいのかもしれませんが、参考人招致のときにも私、触れたのでありますけれども、御承知の行政管理庁から、「中小漁業に関する行政監察結果に基づく勧告」というのがつい最近出されまして、これは単に農林省ばかりでなしに、それぞれ関係各省があるわけですけれども、この中では、中小漁業振興問題を含めて漁業政策全般にわたるような重点項目について、かなり示唆に富んだ勧告が出されております。私はその内容についていろいろ検討してみましたが、これは各省について非常に痛い点もありますし、また水産関係団体等においても十分内容を検討して、そうして前向きに、これらの内容の中で受けとめるべきものは受けとめていくという姿勢が必要だろうと思います。  もちろん、これは行政管理庁という、いわば水産政策論については必ずしも専門家でない立場からの行政監察でございまするので、全部が全部問題の的を射ておるかどうかというのは、これは受けとめる人によって見解の相違があるだろうと思います。私自身もこの全部が全部、こういう問題指摘であっていいかどうかという点については、若干疑問を持っておりますが、しかし総体的には、今日水産政策上持っておる問題点の相当多くの部分を指摘しておるように判断をしておるわけです。この点については行政管理庁からも、各省がこれに基づいてどういうふうな対策考えるかという点についての回答を求めておると思うのであります。そこで、これからこの問題の取り扱いを農林省としてどういうふうにしていくつもりであるのか、段取りについてお伺いしたいと思います。
  124. 久宗高

    久宗政府委員 昨日もこの問題が出まして触れたわけでございますが、ただいま角屋委員の御質問にもございましたように、私どもも今回の行政監察の内容につきましては、非常に詳細に検討いただきまして、いろいろな御指摘があったわけでありまして、一々思い当たることが多いわけであります。さような意味におきまして、しっかりこれを受けとめまして、十分この趣旨に沿ったような形の改善をいたしたいと、基本的には考えております。
  125. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私、いま大臣がおいでになる前に、数日前に行政管理庁から出されました「中小漁業に関する行政監察結果に基づく勧告」の内容について、農林省としてどういう手だてでこれに応じていくかという質問をしておったのであります。いま長官から説明がありましたが、この内容の中には、今日水産政策上持っておる多くの問題について触れておられますし、全部が全部正鵠を得ておるかどうかというのは、受けとめる人によって見解の相違もあるかもしれませんけれども、やはり非常に問題点の指摘について現実的であり、また、今後考えていかなければならぬ問題を相当多く指摘をしておると思いますので、大臣におかれても、今後の水産政策全体を樹立するにあたって、この内容指摘を、貴重な問題の指摘として受けとめて前進態勢をとっていただきたい、こういうふうに注文をつけておきたいと思います。  そこで、大臣にお伺いしたいのでありますが、せっかくの機会でありますので、魚価安定基金廃止に伴う法律案関連して、若干の問題について、基本的な考え方と今日の情勢についてお伺いしたいと思います。  まず第一は、国際漁業関係の問題でありますけれども、前にも私、日ソの漁業交渉の折衝過程で経過をお聞きしたのであります。非常に難航しておりましたが、すでにカニの問題については、処理が双方で終わりまして、サケ・マスの最終段階に来ておる。私はこの問題について、国際的な問題もございますので、多くを触れる気持ちはございませんけれども、日ソの漁業交渉の現段階と見通しというものについて、簡潔に大臣からお話を承りたいと思います。
  126. 西村直己

    ○西村国務大臣 すでに済みました分もあり、現在進行中のこともございますし、それから事柄が外交折衝で、現在、御存じのとおりモスクワで代表団が折衝いたしておりますから、国会の場を通しまして発言したことが、あちらさまに、受け取り方いかんによっては誤解を招いてもいけませんので、事柄によっては、また水産庁長官から正確に事実を補足させることもお許しを願いたいと思うのであります。  カニにつきましては、昨年長期取りきめが行なわれまして、それに基づきましてわがほうとしてはまいりたいと思っておったところ、大陸だな資源論というものが出てまいりまして、あちらさまにはあちらさまの立場はあるでしょうが、われわれとしては大陸だな資源論は受け取れない。そこでもって予定に従って、準備も要りますから、準備のための出動はいたしました。いわゆる協定に従っての出動でございます。しかし、操業日十五日ということになりまして、行く場合にどうするかということを現地ともよく打ち合わせて、若干の日にちの余裕をおいて、円満に妥結したほうがよいだろうという判定のもとに、そういう訓令を出しましたところ、相手国のほうにおきましてもそれを十分認識され、その環境下におきまして、幸い十八日でございましたか、円満のうちに操業開始ということができました。かたわらそれがサケ.マスの交渉に入り得る一つの雰囲気をつくることになったと思います。  そこで、サケ・マスになりますが、サケ・マスにつきましても、御存じのとおり従来から、わが国の主張しているものとあちらさまの主張しているものとは、食い違いはもちろんあり、平行する面もありますけれども、ごく最近になりまして、何となく歩み寄っていこうという雰囲気の中で現在進行さしておりますから、私としては、現地の代表団また相手国のほうの空気等も勘案いたしまして、できる限り予定されておる出漁期に間に合うように円満な妥結を当年度はいたしてまいりたい、こういう考えで、いませっかく努力を出先の機関にしてもらっておる状況でございます。  なお、具体的には水産庁長官のほうから、必要がありましたときにはひとつお聞き取り願いたいと思います。
  127. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 現段階においては、大臣の御答弁でおおむね尽きておるかと思いますが、いままだ国際漁業の問題では、インドネシアとの問題がありますね。これはむしろ長官のほうからでもけっこうですし、大臣みずからでもけっこうですが、最近、大体大詰めに来ておるかと思いますので、インドネシアとの交渉の問題について御報告を願いたいと思います。
  128. 西村直己

    ○西村国務大臣 インドネシアにつきましては、昨年総理大臣が参りまして、その際は私も同行いたしまして、わき役としては状況を知り、また多少の非公式なお願いといいますか、あちらさまと対話をいたしたわけでございます。その際に、現地にスペシャルボディ、特別委員会をつくって、高級官吏の間でひとつ詰め合おうじゃないか、こういうことで、ジャカルタで、十二月に入りましてから非常に熱心な討議が重ねられてきたのであります。  そこで討議をされましたことは、あくまでもあちらさまは内水宣言というものを国内的に主張されておる。こちらのほうはそれを認められない。しかし、それ自体を争っておれば当面問題が妥結したいから、それはそれなりで、率直に申しますとたな上げといいますか、一応触れないで、現実的な立場に立って打開をしよう。現実的な打開方法になりますと、あちらとしてはいろいろな条件も出したいし、こちらとしても受け入れられる条件というものが当然あるし、その場合には、多少向こう側に対する、援助ではないにしても、協力的なものも出さなければならぬ。そういうようなことで、区域であるとか、あるいはそこへ寄港する場合に、多少漁獲に対して、こちらとして経営の成り立つようなものを、一隻についてどうするとかいうような基準で、多少あちらのほうへお金を出すとか、大体そういうようなことで、かなり歩み寄るようなところもあるし、話し合いがつかないようなところもありました。  そのうちに、たしかスハルト大統領が見えるという日にちが迫りまして、そこで三木外務大臣とマリク大臣が二回ほど折衝されました。私もその席に出まして、農林大臣の立場から、とにかく日本漁民の立場、これは単に一会社の権益を主張するものではない、公海において漁民が、しかも日本全国にわたる漁民が、従来長い実績を持ってとっておる一つの権益である、これを十分認識の上で、しかしスぺシャルボディというか、特別委員会で詰め合ってきた線もあるから、それらも十分かみ合わせて話を進めたいと、こちらの立場はよくわかるように御説明申し上げたわけであります。ですから、こちらの立場は向こうは十分理解されたと思うし、その席には、いわゆる海上保安庁的な仕事をしております海事長官という方はおいでになりませんでした。しかし、海軍の総司令官という海軍大将に当たる方も同席されておりました。もちろん両国の大使等も出ておられたわけであります。そこである程度の話は、大きな方向としては努力し合うような方向の線はできかかるかに思いましたが、御存じのとおり、インドネシアの国としては大きな全体の援助の問題というのが一つあります。それが残念ながら、今日はっきり日本側は明示する段階でないものですから、スハルトさんと佐藤総理との間の会談におきましても、そこまでしぼらぬで今日になっておりますが、いずれ援助等の話が具体化してくる場合に、私どもはさらにそれを詰めていくような努力をすれば、この問題は、日本として全然期待しない方向にいくよりは、期待し得る方向へ近づいていく可能性が多いのではないかと私は思います。  それから、もう一つつけ加えておくのは、あくまでも国と国とは基本ラインの話し合いでございまして、具体的には、今度は民間とあちらさまとの暫定的協約ということになると思います。それから内水宣言はあくまでもこちらとしては認めないという前提に立っての話で、この二点だけははっきりいたしておるわけであります。
  129. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 他の委員会で、領海問題について、たしか外務大臣だったかと思いますが、ちょっと前置きのことばはあったと思いますけれども、六海里という問題ついて日本としても考えてもよろしいという意味の発言があったやにわれわれとしては承っておるわけであります。これは農林大臣みずから申されたおことばでありませんですけれども政府の大臣がそういう話をされますと、それは外務大臣個人の見解であるのか、政府部内で統一見解として言われておるのかということが、一つの問題になろうと思います。やはり領海については、従来の国会を通じて、あるいは政府みずからの態度として、日本としては三海里という方針は、今日時点ではそのまま踏襲をしておると思うのですけれども、他の委員会でそういうことが出ましたので、一体それらの問題については関係大臣との打ち合わせがあったのか、あるいは個人的見解として発表されたのか、あるいはその問題については、その見解表明も含めてどういうふうにこれから統一的な見解として取りまとめていこうとするのか、それらの問題について、ひとつ御答弁を願いたいと思います。
  130. 西村直己

    ○西村国務大臣 私も、外務大臣がそういう御発言をされたことは、新聞を通しまして拝見はいたしております。水産庁を所轄いたします農林大臣といたしましても、この領海の問題は相当大事な問題でございます。ことに最近の国際漁業の関係では、国によりましては、領海を広めたりあるいは専管水域を広めましたり、また性質は違いますけれども大陸だな宣言とか、国際漁業におきまして、いろいろ漁民、国民の諸君に影響を与える問題が提起されていることは事実でございます。したがって、われわれ水産庁といたしましても、この問題については不断に相当真剣に研究をしなければならぬ、こういう立場をとっております。  それから現在としては、政府の態度は、領海三海里という態度はもちろんこれは基本の態度で、日ソ交渉におきましても、他の交渉におきましてもとっております。ただ外務大臣は、おそらく、かつて何年か前に行なわれました国際海洋会議におきまして、合意にいかんとしたときのことも考えられて発言されたのだと思います。私のほうといたしましても、世界の合意が成り立つならば、それはわれわれとしても当然そういう立場をとらなければならぬ日がくるかと思いますが、それまでには、海洋国家としての日本だけに、利害をあらゆる角度から検討していかなければならぬ。また国際漁業に与える影響は大きいものがございますから、慎重に真剣に検討してそういうようなときに備えていきたい。政府としては、まだ結論を出すには、今日の段階では早いのではないか、そういう態度でいきたい、こう思います。
  131. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 もう一つ国際漁業の問題で、かつて池田内閣当時、私、本会議でも政府の態度をお聞きしたことがございますが、日米加漁業交渉の問題については、その後まだずっといわば経続の段階だと判断をしております。例のアブステンションの撤廃問題、自発的抑止原則の撤廃問題を含めて、池田総理自身も、これはやはり国際漁業の全体的な原則からして撤廃せねばならぬ、日本政府としてはそういう態度であくまでも交渉に臨んでいく。その点は、政府が交渉をされる過程でもその立場に立って、したがって、向こうは別の立場をとっておるので、交渉の取りまとめが、現実には日本の思うとおりに進んでいないということであろうかと思うのでありますが、いまお聞きしたいのは、日米加の漁業交渉の問題について、アブステンションの撤廃問題も含めて、今後の見通し、あるいは政府としてどういうふうに対処されようとしておるのかという点について、簡潔に御答弁願いたいと思います。
  132. 西村直己

    ○西村国務大臣 これは、所轄の水産庁長官からひとつ御答弁申し上げます。
  133. 久宗高

    久宗政府委員 日米加の問題につきましては、御指摘のように、例の自発的抑止の問題があるわけであります。日本政府といたしましては一貫いたしましてさような方式は必ずしも妥当でない、本来ならば科学的な調査に基づきまして、必要な規制はもちろん共同に受けるべきだと思うのでありますけれども、ある線で自発的に抑止するといったような形は好ましくないということで、ずっと交渉を続けてきたわけでございます。  御承知のとおり、その後三国の首都におきまして、三回にわたってこの問題が論議されたのでございますが、依然としてまだ解決を見ていないわけでございます。今度は順番から申しますと、アメリカにおきまして、アメリカのほうから提案があって事を論議するという形になるわけであります。その後のいろいろな事態から考えましても、私どもは、私どもの申し上げている事柄がきわめて常識的でもございますし、またそうあるべきだというふうに考えますので、この問題につきましては強い主張を持っておるわけでございますが、残念ながらまだ具体的に、三国が集まってそういう問題を討議するまでに熱しておらないわけでございます。現在におきましては外交ルートを通じまして、機会あるごとにその促進を促しておるわけでございます。今日、まだ確定的にいつ開かれるというところまで、詰めがいっておらないわけであります。  私どもの基本的な考え方といたしましては、その後のいろいろな事態から考えましても、去年やりました専管水域の問題との関連から考えましても、私どもの言っておりますことが決してむちゃなことでもございませんし、当然そうあるべきだと思います。この主張はくずさないで、しんぼう強く交渉をいたしたいと考えております。
  134. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 国際漁業の面で二、三の問題に触れましたけれども、大臣も御判断のように、これは日中の民間漁業協定問題あるいは日韓の問題等、日本をめぐる国際漁業の条件というものは、なかなかシビアーなものが現実に存在をしておるというのが当面の段階だろうというふうに思います。またそれに対処して誤りなく、日本が海洋国日本として、国際漁業の問題について処理していかなければならない。  そこで、一方においては動物性たん白資源に対する国内の国民の需要というものは増大をしている。他面において、大体三十一年以降漁業生産というものが増大傾向にありましたが、ここ数年来、大体七百万トン前後で停滞傾向にある。必ずしも需要供給が応じられないという状況にある。  しからば、そういう状況の中において、国際漁業の面においてもあるいは沿岸、沖合いを含んだ国内の漁業の面においても、どう対処するのかということになりますと、一つの問題としては、やはり新漁場の開拓あるいは漁場開発、改良、こういう面を積極的に進めなければならぬ。国際漁業の面では、御承知のように調査船等をつくって、大いに新漁場の開拓に乗り出そうとする。その問題の中では、やはり深層漁場の開拓というもの、国際的にも非常にこの方面の関心が高まっておりますけれども、そういう問題について日本としてもどう対処していくのかということも、重要な一つの課題でございましょう。また国内の漁場開発の面では、一方においては、やはり公害からくるところの水質汚濁問題、こういうものに対する十分な対処をしなければならぬ。他面においては優良漁場というものを、もっと豊度を高くしていくための漁場開発、改良を積極的に進めなければならぬ。あるいはまたそれに関連する水質二法の問題、あるいは水産資源保護法の問題等々について必要な改正問題があれば、これを積極的に取り上げて措置をしてまいらなければならぬ。同時に漁場開発あるいは改良問題については、むしろ新法をつくって積極的に優良漁場の造成に乗り出すべきじゃないかというようなこと等についても、私ども考えておりますし、また関係業界においてもそういう意見が非常に強い。水産庁においてもそれを受けとめてやろうという機運に今日あると私どもは判断をしておるわけであります。  私がここで前置きを若干述べましたけれども、いわゆる新漁場の開拓あるいは優良漁場開発、改良等々の問題も含めて、今後のその面における考え方をどうやっていこうというのか、その点お答えを願いたいと思います。
  135. 西村直己

    ○西村国務大臣 いまの国際、国内、特に国際面から漁業に対する環境がシビアーであるということ、おっしゃるとおりでございます。したがって、それに対しまして海洋国日本、特に世界的にも相当漁労技術もあるし、同時に実績を持っておる日本としましては、現実に処しながら、しかし将来の大局を失わないように、弾力点に外交を通し、同時に国際漁業のいろいろな外交折衝の面におきましては、不断に私どもは努力をしてまいるということ、それからいま一つは、新漁場の開拓は、特に四十三年からそれを特別に予算化しまして、力を入れていることは御存じのとおりでございます。われわれ今後もこれに努力してまいりたいと思います。  それから、その他の問題におきましても、国内におきましても生産増強ということは当然やってまいらなければなりません。いろいろな御意見が出ましたが、水産庁長官からさらにそれを答弁さしていただきたいと思います。
  136. 久宗高

    久宗政府委員 新漁場開拓につきましてお話がございましたので、御指摘のございました漁場生産力をさらに高める施策、それをどうするかという点についてだけお答えいたしたいと思います。  これは、私どもも前々からその問題と取り組んでまいりまして、御承知のように、相当数の調査をやってまいったわけでございます。その中から本年二つを選びまして、農業のほうで申しますれば、実施設計段階に入ってまいりたいということでございます。何ぶんにもいわば小規模な自然改造でございますので、いままでの他の公共事業関係と若干性質が違いますので、これを行政といたしましてどういうふうに組み立てるかにつきましては、研究すべきものがまだ相当残っているわけでございます。いずれにいたしましても、二カ所につきましては相当の実施設計段階に入った計画をやりまして、それに基づきまして、それをどの程度のめど考えていったらよろしいか、あるいは行政的にはどういう形でこの問題を処理したらよろしいかという問題も含めまして、取り組んでまいりたいと思っておるわけでございます。何ぶんにも初めての仕事でございますし、またやり方によりましては、それが将来の沿岸漁業につきましての大きな基盤になるというふうにも考えられますので、できるだけ慎重にこの問題と取り組みまして、事業化してまいりたいという気持ちでおるわけでございます。
  137. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまの国際漁業における新規漁場の開拓、あるいは深層漁場のこれからの調査、さらにそれに基づくその方面に対する漁業の新機軸をさらに進めていくという問題は問題として、この沿岸を中心にした漁場開発、改良問題については、御承知の農業面でいえば、土地改良法で国営、県営、団体営というような形で土地改良をやっていく、あるいは場合によれば特定土地改良工事特別会計というような方式も導入する、あるいは愛知用水公団方式というふうな形で事業もやってきた。ところが、日本は四面海に囲まれているわけでありますけれども、残念ながら今日沿岸漁業漁場条件というものが、ある場合には老朽化する、ある場合には公害その他で非常に悪化をしていくという条件のもとでは、動物性たん白資源需要に十分こたえる体制というのは整備できない。あるいは優秀な後継者を確保して、沿岸漁業の伸展をはかっていくということはできない。やはり基本は生産基盤というものをもっと積極的に導入して、これを開発、改良すべきである。こういうのは、今日時点の一つの大きな問題であろうと思うのです。  その点では、行管のほうでも問題指摘をしておりますけれども、われわれもかねてから漁場開発、改良というものも新法としてつくる必要があるんじゃないか、その場合には、単に漁場開発ばかりでなしに、そこでとれるものを漁業基地で受けとめなければならぬ、それに必要な漁業の機関、施設というものが必要である、それら全体を含めて漁業基盤整備と受けとめてはどうかというような感覚を持っておるわけでありますが、そういう面におけるところの立法、予算的両面の積極的な施策というものが今日望まれてはいないか、こういうふうに判断をしておるわけでございます。  たとえば、私の地元を例にとるのは恐縮でございますけれども、真珠の問題で英虞湾というところが一つある。これは真珠の生産基地としては非常に重要なところでありますけれども、今日漁場の老朽化という問題が現実に提起されておる。この点については、農林省でも農業土木試験場の水産部門でモデル的な実験をやっておるけれども、これを実際にやるという場合になれば数十億の金をかけなければならぬ。そうすると、そういうスケールの漁場改良というものを考える場合には、これは国が中心になった国営漁場開発方式をとらざるを得ない。それに見合う立法的なものはない。単に英虞湾を例にとりましたけれども、そういう面で考えてみますと、日本の場合には国営的な規模でやらなければならぬ漁場開発、改良というものは、他にも多く存在をするということを考えます場合に、そういう方面の立法体系、予算的裏づけ、こういうものを積極的に進めていく必要があるんじゃないか。この問題についてのこれからのお考えを、ひとつ承っておきたいと思います。
  138. 久宗高

    久宗政府委員 これは、昨年も私はだいぶ議論をいたした問題でありまして、その過程でももう少し詰めたい、こう申し上げたのでございます。幸い四十三年度予算で、いわゆる実施設計的なものが認められましたので、これを詰めてみますと、先ほど申し上げましたようにどういう組織が要るか、かりに法的な根拠はどういう形のものになるかといったようなことも、その実験を通じて固めてまいるということになろうと思うのであります。現在のところでは、業界でも相当これは強い御要望でございまして、水産庁がもっと早く踏み切ってくれという希望も実はあるわけでございます。事が非常に重要なことでございますし、また将来に非常によいということにもしなれば、たいへんいい仕事でございますので、若干慎重に取り扱っているわけでございます。法律そのものにつきましても、最終的にはおそらくそういうものが必要になってくると思うのでございますけれども、その中身を固めますのにも、やはり今回の実験を通じまして、もう少し問題を詰めてみたいと思っておるわけでございます。
  139. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先ほどもちょっと漁業基盤整備という感覚で話しましたけれども、今度の行管の勧告の中でも、沿岸漁業行政の実効をあげるためには、いわゆる流通加工部門等を含めてのそれを考慮した総合的な地域産業計画の中で対策を講ずるという感覚でやることが、不可欠であるというふうに問題を指摘しておるわけであります。私はこの問題の指摘は正しいと思う。  そういう点で、今回の魚価安定基金の問題は、三十六年の段階調整組合法律とともに一体として発足をいたしましたが、率直に言えば、政府はわずか八千万円程度の出資をいたしたくらいで、あまり十分なめんどうを今日まで見てきたとは言えない。しかも、あのときに附帯決議として、政府は価格安定対策流通機構整備等々を含めて、積極的に所要の立法的、法制的措置を講ずべきである、こういうふうな注文がついたのでありますが、残念ながらその注文に前向きにこたえたとも言えない。そういう状況の中で、今日魚価安定基金廃止するという措置に出ることは、私は措置としては遺憾だと思うのであります。ただ、現実にいま魚価安定基金そのものが果たしている役割りというのは、これで魚価安定対策全般をになうという体制にないことはもちろんでありまして、その点については、この廃止はやむを得ないといたしましても、これを機会にやはり抜本的な価格安定対策というものを樹立する、こういうところへ持っていかなければならぬ段階にきているのじゃないか。  したがって、私が政府にお聞きしたいのは、魚価安定基金廃止をやる、調整組合のほうは残る——参考人の質問のときにも私、言いましたけれども、夫婦として一体で発足したのでありますが、妻のほうは離縁して男やもめだけが残るという形で、これで価格安定操作をやろうと思っても、これはなかなかできない。したがって新しい観点から、多獲性大衆魚の問題を含めた価格安定対策というものをどうやるかという点についての、政府のビジョンが示されなければならぬ。いま直ちにそういうビジョンが大綱的に示し得ないとするならば、すみやかにそのビジョンを確立していく必要があるだろう、それに基づいての措置を積極的に講じてくる必要があるだろう、こういうふうに思うわけでありますけれども、これらの問題に対する大臣の考え方を承りたいと思います。
  140. 久宗高

    久宗政府委員 確かに御指摘のように、魚価安定基金ができました際にいろいろ附帯決議がございました。午前中もそれを一つ一つ並べ立てたわけでございますが、最終的には、やはりその総合的な効果に若干問題がございまして、まだ附帯決議にほんとうにおこたえしているかっこうになっていないと思うわけでございます。残念ながらサンマそのものにつきましてはああいう漁況になりましたので、今日この段階で、ああいう形の基金をそのまま残すということよりは、思い切って廃止に踏み切ったわけでございまして、御指摘のございましたように、それに伴って、ではどうするのだということを的確にお示しするのが当然だろうと思うわけでございます。しかしながら、この附帯決議で御指摘いただいたものの宿題につきましても、個別には私どもは相当やったつもりでおりますけれども、やはり問題が残っておりますので、もう少し時間をいただきまして、魚価安定というきわめてむずかしい問題につきまして、少なくとも総合性があると御評価いただけるようなものをつくりたいと、実は考えておるわけでございます。  行管のほうの御指摘も、魚価安定基金は問題があるけれども、それをむしろもっと総合的に何か案を考えるべきではないかというような御提案であったように思います。そういう意味からも、実は昨日も申し上げたのでありますが、私どももこの問題は片手間でできませんので、現業から切り離しまして若干のグループをつくりまして、すでに半年にわたりまして先の問題を実は干しておるわけでございます。今日、まことに残念でございますが、それがしぼり切れませんで、対案をすぐお出しする段階にございません。しかし取り組み方としましては、例の漁港の今後の計画の問題もございますし、さようなものとも関連いたしまして、本気に取り組みたいと思っておりますので、なお若干時間をいただきたいと思います。
  141. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この点では、宮城参考人の御意見等も貴重な問題提起であったと思いますし、私どもすでにこの二法が審議されたときに、私の名前で、水産物の価格の安定等に関する法律案というのを出したのですが、これは今日時点で、私ももう一回見直す必要があると考えておりますけれども、いま長官の御答弁のような趣旨で、積極的にこの問題については総合対策の樹立、そしてそれの実施という方面で努力してもらいたいというように、強く要請をしておきたいと思います。  それから農林漁業金融公庫法の一部改正段階で、総合的に漁業金融の問題を議論すればよかったわけでございますけれども、問題をある程度残した面もございまして、きょうここでこれらの問題を全体的にやろうとは思いませんが、やはり本年度の予算編成の過程でも、大臣御承知の、問題になりました点に、農業近代化資金というものが、創設されて相当経過しておりますが、やはり漁業の伸展のためには、制度金融のみならず系統の活用によるところの漁業近代化資金の創設というものも、積極的に取り上げてはどうかという関係業界の強い要請もあるわけでございまして、これは単に沿岸漁業面ばかりでなしに、中小漁業面のカツオ・マグロあるいは真珠等を含めた関係業界も、これの創設を強く望んでおるわけでございます。私ども承りますところでは、政府与党としては関係業界との間で、来年の一月を目途に、これらの問題についての成案を得る方向で努力をするという話になっておるやに聞いておるのでありますけれども、来年の一月といえば新年度予算がすでにきまる時期であり、あるいは政府案としてはきまっておる時期である。あるいは通常国会に向けて法案の準備も整備しなければならぬ時期である。したがって、そういう諸般の情勢から判断いたしますと、来年の一月ということは、漁業近代化資金の創設は、来年の通常国会を目ざして政府としては努力をするというふうに判断をしてよかろう、こういうふうに思っておるわけでありますが、私は、できれば参議院議員選挙後の臨時国会にこの法案が出せるならばなおさらけっこうだと思いますけれども、この漁業金融全般の中で、いま言った漁業近代化資金の創設問題も含めて、これからの新しい展望を大臣としてはどういうようにお考えになっておるか、御見解を承りたいと思います。
  142. 西村直己

    ○西村国務大臣 漁業近代化資金は、昨年の予算編成期におきまする経緯等も私、十分存じております。そこで、最終的には農林、大蔵両大臣の間でも実施しようというめどはもうすでに立っておる。したがって、それの準備の調査をすでに始めております。これは当然できるだけすみやかに実施の段階に近づけるように努力してまいりたいと思っております。
  143. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この機会に、さっき英虞湾のことをちょっと言いましたが今度の通常国会に出す予定でおそらく出し得ない段階にきているのじゃないかと思うものに、真珠事業法の一部改正の問題があるわけです。私は長官にも前々から申し上げておりますが、真珠の数年来の不況に対する当面の緊急対策、あるいは輸出産業としての真珠の重要性から見た長期展望に立つ真珠の恒久対策というものを、真剣に考えなければならぬ段階にきておる。したがって、それは単なる真珠事業法の一部改正でもって事足れりというわけにいかない。むしろ考え方を変えるならば、真珠事業法というふうなものを廃棄して、新しい観点から、短期及び長期を展望した新法樹立という構想考えてみてはどうかとさえ思っておるわけであります。あるいは真珠事業法をこの国会に出すやに記事も載っておりましたけれども、いろいろ内容等の折衝について、私どもも必ずしも知らぬわけではありませんが、真珠事業振興のために事業法の改正問題、あるいは私がいま言うように、基本法とまでは言えないけれども、新法樹立という観点から、短期及び長期を展望した考え方を導入してはどうか、こう思っておるのですが、それらの問題は今日時点でどういうふうになっておるか、御見解を承りたいと思う。
  144. 久宗高

    久宗政府委員 真珠の対策といたしましては、ただいま御指摘のございましたように、考え方としては、この段階までまいりましたので、抜本的な改正をやりたいということで今日まで準備をしてきたわけでありますが、諸般の事情でおくれまして、今国会提出できないで非常に残念に思っておる次第であります。  考え方といたしましては、角屋委員の御指摘のように、部分的に扱いましてもいかぬ問題でありますし、生産部門から最終の問題まで含めました一つの一貫した考え方を貫きたいということで、そういう取り組み方をいたしたわけでございますが、法律の形にいたしてみますと、基本法という形で全部一貫して書くのも一つの方法だと思うわけでございますが、それぞれ漁業法との連れ連れの問題が一つあるわけでございます。またもう一つは、これは国会でも非常に御勉強いただきまして、すでにつくっていただいております輸出水産業の振興に関する法律というものもございますので、法律の形といたしましてはそれらを結び合わせまして、一連の真珠対策という形になるわけでございます。さような意味で、実は私どももここで法案が出せるという前提のもとに、すでに輸出関係につきましては組合を結成いたしまして、ある種の動きに入っているわけでございます。たまたま法律のほうがおくれてしまいましたので、実は困却しているわけでございますが、これももちろん現在の真珠の段階から申しまして、日本側で真珠問題と本格的に取り組んでいるということが世界市場におきます影響もあると考えますので、若干時期はおくれましても急ぎこの問題を解決いたしまして、できるだけ早い機会に国会のほうにお願いをいたしたいと思っているわけでございます。  形といたしましては、私どもの中でも基本法的な取り上げ方も一時考えてみたのでありますが、いろいろ法制当局と当たってみますと、やはり幾つかの法律にまたがった施策にならざるを得ないと思います。したがいまして、一番根っこはもちろん生産段階への規制に出発いたしまして、順を追って各段階の問題に触れていくわけでございます。したがいまして最終的な形は、いわゆる一本の基本法で全部を補うという形にはならぬと思うわけでございますが、御趣旨は、まさにそういう単なる生産部面だけの問題ではないわけでございますので、さような意味のものに組み立てまして、御審議をいただくように準備いたしたいと思っております。
  145. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 漁業基盤整備の中では、漁港問題が一つの重要な柱になりますけれども、この問題は、第三次漁港整備計画がまだ期間中でございますが、政府としても今年中に、改定問題といいますか、新しいいわば第四次漁港整備計画というものを鋭意検討中だと思います。その場合の検討の前提としては、従来八年間という期間が、物価の上昇その他もありまして、最初予定した整備計画全体の所要の事業費というものが、だんだん実態に合わなくなるということです。多くのこの種計画というのは、五カ年で計画をするということもございまして、計画期間についても、八年というのを五年というふうな点についても、考えてみてはどうかという感じを率直に持ちます。  それと、やはり道路、港湾、漁港、これはいずれも産業基盤の基本問題でありますが、これらの問題の中で、漁港問題というのは予算ワクとしても非常に微弱である。したがって、この際新しい第四次漁港整備計画の樹立に向けては、もっと積極的に予算の拡充をはかるべきであろう、こういうふうにも思いますし、また行管の今回の勧告の中でも、中核漁港という構想が出ております。同時に、これは農林漁業基本問題調査会の漁業問題の基本問題と基本対策の中でも、いわゆる漁業経済圏あるいは中核漁港というふうな問題の提起がございまして、これらを含めてこれからの沿岸、沖合いを含めた漁業の発展、あるいは国際漁業の基地としての問題等々を含めて、新しい観点から第四次漁港整備計画の基本的構想というものについては、現在の時点及び将来の時点に即応するような体制というものを積極的に導入する必要があるだろう。というのは、漁船も大型化をし機械化をし、かつてのポンポン船あるいは帆前船の時代と違ったスケールに急速に伸びつつある、その要請にもこたえなければということであろうかと思うのですが、今日の検討段階はどういう考え方のもとにおいて進めておるのか、この点お伺いしたいと思います。
  146. 久宗高

    久宗政府委員 ただいま漁港の進め方につきましての御意見があったわけでありますが、私ども全く同感でございまして、さような取り組みをしたいと考えて実は準備に入ってきておるわけでございます。  確かに御指摘のございましたような、八年というような計画でやったわけでございますが、当時の一般的な国の経済計画との関連考えてさような形になったと思うのでありますが、結果から見ますとこれがあだになりまして、どうも非常に途中で切りかえにくい。二、三回チャンスをのがしました結果、非常にまずい結果になったわけでございますが、この点は十分反省しまして、適当な期間で全体との関連がとぎれないような対策がぜひ必要だろうというふうに思っております。  なお、四十四年度からということで前から申し上げておりますし、実は本年はそれとの関連におきまして若干の調査費が出まして、いわゆる狭い意味の漁港よりはもう少し背後地も含めました、あるいは今日御議論になっておりますような流通加工その他の問題もできるだけ織り込んだような形のものを、実は考えたいと思っております。何ぶんにも非常に大仕事で、現在進行しておりますのは、それぞれ分担してその素材を集めておるわけでありますが、漁港そのものの計画といたしましては、今日までやってまいりましたような骨組みを一応頭に置いて、それにその他の要件をどのくらいのせられるだろうかという形で苦慮しております。しかしそれがもっと本格的に、背後地の問題でありますとか、社会資本の投下の帰趨あたりがわかってまいりますれば、できるだけおもしろいものを持ちたいと思うのでありますが、実は少し問題が大き過ぎまして、まとまらぬのが現在の段階であります。  しかし、繰り返して申しますように、若干の調査費もいただいておりますので、できるだけ早く詰めまして、考え方といたしましてはもう少し広い意味の、漁業の基地というような観点でもし計画が組めればと思って、欲ばって考えておるような次第であります
  147. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 魚価安定基金解散に関する法律案内容については、同僚議員からいろいろ今日まで審議がされておりますので、私も数点あげましたけれども、多くは、重複する部面もありますので省略をいたします。さらに中小漁業振興法の法定に伴うその後の問題点というものについても、若干議論したい点もございますし、水産政策全般の問題についても、本来ならばもっとじっくり議論すべきであろう、こう思いますが、同僚委員みなそれぞれお待ちでありますので、本日の質問はこの程度にとどめておきます。
  148. 足立篤郎

    足立委員長 他に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  149. 足立篤郎

    足立委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  150. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  151. 足立篤郎

    足立委員長 この際、本案に対し、角屋堅次郎君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨説明を聴取します。角屋堅次郎君。
  152. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党を代表して、ただいま議決されました魚価安定基金解散に関する法律案に対しまして、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    魚価安定基金解散に関する法律案に対する附帯決議(案)   魚価安定基金解散は現段階においてはやむをえないものと認められるが、多獲性水産動物の価格安定対策の重要性は何ら変りがないところである。   よつて、政府は、今後新たな観点から魚価安定のための総合的対策を樹立すべきであり、特に沿岸漁業および中小漁業振興のため、すみやかに左記事項の実現を図るとともに水産施策全般にわたつて積極的な推進を期すべきである。      記  一 漁場開発、改良等漁業生産基盤整備充実を図り生産の増強に資すること。  二 産地における処理加工施設の整備、輸送の合理化、冷凍魚の普及その他水産物の消費改善等流通の近代化施策を強力に推進すること。  三 前記の各施策のほか、漁業金融制度および漁業災害補償制度の充実等の施策を含めて、水産物価格安定のための総合的対策を講ずること。   右決議する。  これら各事項につきましては、去る四月十七日以降における委員会の審査を通じまして十分審議されたところでありますから、この際説明を省略させていただきます。  何とぞ各位の御賛同をお願いいたしまして、提案説明を終わらせていただきます。
  153. 足立篤郎

    足立委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し、別に御発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。  角屋堅次郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  154. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。西村農林大臣
  155. 西村直己

    ○西村国務大臣 ただいま御決定をいただきました附帯決議につきまして、政府といたしましては御趣旨を尊重して、努力してまいる所存でございます。     —————————————
  156. 足立篤郎

    足立委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  157. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  158. 足立篤郎

    足立委員長 次回は明二十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会