運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-28 第58回国会 衆議院 農林水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十八日(木曜日)      午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 草野一郎平君    理事 熊谷 義雄君 理事 坂村 吉正君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 稲富 稜人君       小澤佐重喜君    小山 長規君       佐々木秀世君    田澤 吉郎君       田中 正巳君    中村 寅太君       中山 榮一君    長谷川四郎君       本名  武君   三ツ林弥太郎君       湊  徹郎君    粟山  秀君       赤路 友藏君    工藤 良平君       兒玉 末男君    佐々栄三郎君       柴田 健治君    西宮  弘君       芳賀  貢君    美濃 政市君       森  義視君    神田 大作君       中村 時雄君    岡本 富夫君       樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局乳肉衛生課長 神林 三男君         労働大臣官房労         働統計調査部雇         用統計課長   葛西 嘉隆君         (参考人)         全国酪農協同組         合連合会理事  戸谷 義次君         (参考人)         全国農業協同組         合中央会常務理         事       安井 七次君        専  門  員 松任谷健太郎君     ――――――――――――― 三月二十八日  委員赤路友藏君、實川清之君及び斎藤実辞任  につき、その補欠として柳田秀一君、芳賀貢君  及び岡本富夫君が議長指名委員に選任され  た。 同日  委員芳賀貢君及び柳田秀一辞任につき、その  補欠として實川清之君及び赤路友藏君が議長の  指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(畜産物価格に  関する問題)  農林水産業振興に関する件(昭和四十三年度  畜産物安定価格等に関する畜産振興審議会の経  過等)  昭和四十三年度畜産物価格等に関する件      ――――◇―――――
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  本日は、特に畜産物価格に関する問題について、参考人方々から御意見を聴取することといたします。  本日御出席参考人は、全国農業協同組合中央会常務理事安井七次君及び全国酪農協同組合連合会理事戸谷義次君でございます。  参考人には、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  ただいま、本委員会におきましては、畜産物価格に関する問題について調査をいたしておりますが、本問題につきまして、参考人方々の忌憚のない御意見をお聞かせいただきたいと存じます。  なお、はなはだかってではありますが、参考人各位からの御意見開陳は、お一人十五分以内にお願いすることとし、その後委員からの質疑があれば、これにお答えいただくことにいたしたいと存じます。  御意見開陳は、安井参考人戸谷参考人の順序でお願いいたします。  それでは、安井参考人お願いいたします。安井参考人
  3. 安井七次

    安井参考人 いつもお世話になっております。  それでは、私のほうからお手元にお配りをいたしておると思いますが、われわれ農協の会長会議なり代表者大会できめました要請決議がございますので、これに基づきまして、われわれの考えておりますところを申し上げたいと存じます。  最初に、加工原料乳の問題について申し上げたいと思います。  前段は省略をさせていただきたいと思いますが、要するに、最近、牛乳なり乳製品の需要が増大をいたしておりますけれども、生産はやや停滞ぎみでございます。極端なのは、四十一年の八月から非常に停滞をいたしております。幸い、昨年の年暮れからやや持ち直しております。しかし、昨日の農林省審議会の御説明をいただきますと、やはり来年度は、供給は三十万トンほど不足をするということに相なっておりますから、生産増大をはかることが肝要であろうと思います。  そこで、価格決定にあたりまして、記の1でございますが、これは御承知のとおりに、加工原料乳価格をきめます中心になりますのは生産費でございます。そこで、この生産費の問題につきましては、われわれは五十五円――現在四十円九十銭かと思いますが、五十五円をお願いいたしたいということにいたしております。  ここのところで、農林省が昨日の審議会に御提案のものと非常に食い違いますのは、最も大きいのは、家族労働評価にあたりまして、われわれは、全部五人以上の製造工業規模で換算をしていただきたいといっておりますが、農林省のほうは、家族労働評価は、大体二割を評価がえをしない農業労賃、しかも一道六県の低い農業労賃計算をいたしており、われわれは、全国製造工業五人以上の規模計算をいたしておりますところに、かなりの食い違いをいたしております。  それから第二点といたしましては、われわれのほうは自給飼料生産についても、その家族労賃評価をさように考えておりますが、もちろん、農林省のほうではそうはお考えになっておりませんところに、このところの食い違いがかなりできております。この点の改正を、ひとつお願いをいたしたいということです。  生産費で第二点は、労働時間が非常に短縮をされてきております。これは生産合理化ができておることでありますが、この計算からいきますと、労働時間の短縮が、生産費の全体に占める割合を非常に低くしております。このところが、米の問題と同様に、生産合理化のメリットがないというところが問題であります。  それからもう一つは、具体的には、引きますところの副産物価額を、大体八百円ほど見込んでおりますけれども、これは御承知のように、主として厩肥、堆肥をつくる敷きわら等を換算してあるのであります。われわれはこの点では、家畜の飼育に一番問題になりますのはふん尿の処理であって、むしろそれを副産物として計上するのでなくて、非常な経費がかかるものであるから、お下げになるほうがよいのではないか、こう申しております。  それから乳牛償却費が、三百九十一円農林省の試案には入っております。このところは、六年たちますと償却をするということになっておりますが、どうも現状からいくと四年のようでありますから、この点をお考え願いたい、こう申し上げております。  2の指定乳製品安定指標価格でございますが、御承知のように、市場におきますところの特定乳製品価格をきめて、それから販売経費製造経費を引いて基準価格を出して、私が前段申し上げました生産費との差を補給することになっておりますが、どうも安定指標価格算定実勢価格から低い、このところが一つ問題であります。実勢価格から低いということは、財政負担を多くするということに通じます。  3は、いま申し上げました主要乳製品製造販売価格をこの指標価格から引くわけでありますが、この製造販売価格調査なり内容が妥当であろうかどうか、もう少し十分なる調査のもとでおやりになることがいいではないかと考えております。  ここのところで私、特にお願いをいたしたいのですが、いま申し上げました調査を十分にやりましても、価格の仕組みから一つ問題があります。というのは、加工乳製品価格を、四年前にさかのぼってとりますところに安く出るという結果が見えるようでありますから、われわれのほうは、このところは三年にされることをお願いいたしておるわけであります。  4は、申し上げるまでもございませんが、事業団放出価格は適正であること。現在、これは一〇四%でありますけれども、一一〇%を上回ったときに放出をすることがよいであろうと思います。  5は、乳製品輸入は極力押える、あるいは計画輸入をする、放出の操作を十分にやるというところを申し上げておるわけであります。  その次をお聞きいただきたいと思います。飲用原料乳の問題であります。これも昨日の審議会で非常に問題になりました。御承知のように、この保証価格制度をしきますときに、原料乳はこれでよろしいけれども、飲用乳はふつり合いになるが、それは将来どうするのであろうかということが問題になりまして、将来はやはり不足払い制度をしくべきである、あるいは何らかの適切なる指導を加えるべきであるというところから、この制度が出発をいたしましたが、最近の飲用乳関係を見ますと、物価問題等から、飲用乳価格指導農林省が介入することすら間違いであるという声が非常にありますから、飲用乳は野放しになっております。そのためにどうしても安くなりますので、価格支持制度を確立することを前提に、取引指導価格考えてもらいたいということを前段お願いいたしております。  そして、その場合における取引価格は、キロ当たり六十六円にして、加工原料乳とつり合いがとれるようにということをお願いいたしております。  2は省略させていただきますが、ごらんおきをいただければけっこうと思います。  そこで、この牛乳の問題を通じまして、昨日の審議会で、大体答申のところで意見の一致を見ました点、私は、この点を特に申し上げて今後の御協力をお願いいたしたいと思いますが、加工原料乳保証価格については、飼育労働評価適正化をはかること、これは先ほど申し上げましたとおりですが、それが答申になっております。それから、加工原料乳基準取引価格については、それぞれ適正にやること、これもそのようになっております。それから、いま申し上げました市乳化の問題については、建議として、「市乳化が促進されるよう適切な措置を検討すること。」これは、われわれの意見からいいますと、政府指導価格をつくって何ぶんの措置をされる、指導されることがよろしいということをいっておるわけであります。  以上申し上げまして、乳価関係のところを終わらしていただきます。  次のページをごらんいただきますと、豚肉安定基準価格の問題を載せております。この豚肉安定価格につきましては、1にありますように、一キロ当たり三百五十三円、そしてわれわれは、上物は三百六十六円と要望いたしておりますが、過日の審議会では三百二十円ということで、据え置きもやむを得ないと回答いたしております。このところは生産費がかなり下がっておりますので、われわれはこの要求をいたしましたけれども、答申では据え置きということに相なっておりますが、これでは豚の再生産がいかがであろうかと考えております。  非常に問題になりますのは、2の制度運用のところで、上物以外はこの制度では買わないということになっております。そこで、上物以外の割合は大体半分であります。ですから、価格安定をはかるこの制度において、市場出回りの半分近いものをそのままにしておいて価格安定ができるかどうか、畜安法の精神にそれは沿うであろうかどうかということを、私は農林省に申しておりますけれども、なかなか中物買い入れが進みません。進みませんために、昨年、御承知のように中物が多くて非常に格差が開きました。通常の年の倍のマイナス格差で取引されて、豚肉農家経営は赤字になっております。  その次にハのところをごらんいただきます。生産者団体から買い上げ価格は、市場買い上げ価格から手数料を控除しないことと申しておりますが、御承知のように中央卸売市場等から買うものについては、現在、実質は二・五になると思いますが、手数料を取っております、それが市場手数料です。ところがそうでない、市場外買い上げをされたものについても、なお現在一%の手数料を取っております。これはいかなる根拠でお取りになるのか。市場のないところからは取るべきでないということを強く申し上げておりますが、数年間実現を見ない問題でありますので、はなはだ遺憾に存じております。  さらに二のところをごらんいただきたいと思いますが、「安定基準価格市場間格差を撤廃すること。」とあります。御承知のように、同一の価格で買うべき性質のものであろうと思いますにもかかわらず、現在なお広島の市場、福岡の市場買い入れるものについては、キロ五円のマイナス格差をつけております。この理由といたしましては、大阪市場に対する運賃格差とか、水分の問題とかという理由がつけられておるようでありますけれども、この買い入れを発動するときには非常に低落をいたしまして、政策的な意味で買うものでありますから、そのものに五円の格差をつけることは、きわめて妥当な措置ではないのではないかということを申しております。この格差撤廃も、本年度はぜひひとつ実現を見たいものだと考えておりますが、よろしくお願いを申し上げます。  それから、3の輸入食肉の問題でありますが、できるだけ抑制をしていただきたいということ、その次はできるだけ計画輸入をしていただきたいこと、さらにでき得れば、現在これを扱う事業団がございますから、ここで一元買い入れをして一元放出をしていただく。そうすると輸入差益はかなり出ます。この輸入差益は、肉畜の今後の増産対策にお使いになることがよろしいのではないか。これは御承知のように、昨年畜産振興事業団の、乳製品輸入差益の大多数のものを酪農事業振興に使うという法律改正がなされましたごとく、この肉畜についても、そういうことをお考えになるほうが最も妥当ではないのか。そういたしませんと、特定業者輸入差益をもうけるとかもうけていないとか、業界同士においてもそういう問題が生じますから、そういうことをお願いいたしておるわけでございます。  きわめて簡単でございますけれども、予定の時間がまいりましたので、一応御報告を申し上げまして、あとで御質問をいただければけっこうと存じます。(拍手)
  4. 足立篤郎

    足立委員長 次に戸谷参考人お願いいたします。戸谷参考人
  5. 戸谷義次

    戸谷参考人 ただいま紹介をいただきました、私は戸谷義次であります。私は、ただいま安井さんから説明されたこととできるだけ重複しないように、避けて申し上げたいと思います。  私は、茨城県の霞ケ浦の出島というところで、直接自分で一町五反の経営乳牛七頭を飼育して、そしてまた土浦酪農という酪農組合、六百戸の組合員を擁して、一日三万六千キロ牛乳を集めておる組合長もしております。ただいま紹介がありましたように、全国酪農協同組合連合会理事もしております。  そこで、私は、皆さんのお手元陳述要旨というのを差し上げてございますが、ただいま安井さんから申し上げた点を全部避けて申し上げたいと思います。  まず、「現在の需給関係を是正するため、生乳生産の促進を急速にはかると共に、国内自給体制の確立を期せられたい。」というこのことは、先生方お願いをしたいことなのであります。そしてその内容を申し上げたいわけでございますが、実は、こういうことについてやはりわれわれ酪農民がなすべきことと、国がなすべきことというのが、現在ごっちゃになっているのではないかというふうに私は思うわけであります。  例を申し上げますと、われわれが直接牛乳生産する場合に、子牛育成をやります。子牛育成をやるのに、私どものところのような低団地になりますと、あまり放牧場がございませんから、うちの庭先に、くいに子牛をつないだぐらいでおきますと、その牛は非常に弱く育ちます。したがいまして、育成牧場に放した牛と、それからうちに縛っておいた牛とでは、お産をするときに非常に差があります。牧場に放牧しておったほうの牛は、安産で簡単にいきますが、自分のうちで首を縛って棒につないでおいたような牛は、非常に難産が多い。それから出産回数も、放牧場に放牧したほうは七回も八回もとれるけれども、うちで、小さなところで放牧しておいた牛は、三、四回で身体がまいってしまう、こういうふうでございますから、やはり放牧場がほしいわけであります。  そこで、実は数年前から私も、ここへしばしば傍聴に来させていただいているのですが、農林大臣国有林を開放するとかいろいろなことを言っておられますけれども、現実問題として私のところでは、県の酪農連合会で、筑波山に適地があるから払い下げてもらいたい、こういうことで関東農政局東京営林局等に申し入れをしますと、これは調査だけでも三年かかる、それから実際に仕事にかかれるのは五年くらいかかる、こういうふうなことをいわれるわけであります。それが一つと、もう一つは、規制がございまして、傾斜度は二十度以上はいけないんだ、こういうふうにいっております。そうなりますと、もうほとんど開放する場所はなくなってくる。ところが実際には、われわれも放牧場を使っておりますが、牛は三十度でも四十度でも、高いところは前足を折っても上がっていきます。そういうところほど健全な牛ができるわけであります。そういうのにもかかわらず一定の線を引いて、いかにしたらば開放しないように――大臣の答弁ではちゃんと開放できるようになっておるけれども、実際には開放しない。したがって、全国各地でずいぶん国有林開放を要求しておるけれども、それが現実には行なわれないというのが実際でございますので、そういう点を先生方にぜひ是正していただきたいということであります。  それから、その次に資金の問題でございますが、最近非常にいい制度として、畜産関係については畜産物総合融資として、経営拡大資金というのが数年前から貸し出されることになりました。ところが、この資金を借りるにあたりまして、手続をいたしますと、早くて半年、おそければ一年かかります。そうなると、いまのように物価の激しく変動する時期においては、一例を申し上げますと、乳牛は申し込みをするときには二十万円ではらみの牛が買えたのが、金が出たときには二十五万円になります。二〇%も上がることになれば、せっかく安い利息の、しかも長期の金を出してもらったといっても、その値上がり分によってかえってマイナスを生ずる、こういう問題が多分にございます。  そこで、これも一例なんですが、やむを得ずしてわれわれは、高金利でありますけれども、国民金融公庫が一部乳牛貸し出しをしております。それのほうはきわめて簡単ですけれども金利が高い。これは申し込んでから一週間ぐらいで貸し出しができる。こうなりますと、やはり金利が高くても、そのほうに飛びつかざるを得ない、結果的にはそのほうが安いという結果になります。聞くところによりますと、今度総合資金というのが出るそうでありますけれども、それも相当低金利長期のようでございますけれども、それもやはり相当選別――いろいろなことをやかましく言われるならば、おそらく先ほどの経営拡大資金と同じように、金利が安いほうがいいのか、早く貸し出されたほうがいいのかという問題になりますので、そういう点を十分しんしゃくしていただきたい。ありがたがらせて、そして実際は非常に迷惑するということにならぬようにお願いをしたいわけであります。  それからその次に、実はわれわれは乳質改善ということをわれわれ自体がやっております。その場合に、これはわれわれ自体がやるべきなのか、国がやるべきなのかということを考えていただきたい。もちろん、われわれはりっぱな牛乳を出せば高く売れるわけですから、われわれがしなければならないけれども、牛乳冷却機を買えばすぐそれが冷却できるのじゃない。牛乳冷却機を買っても、電線をしがなければならない。電線をしくのに冷却機と同じくらいかかります。隣からどこから全部、みんな牛を飼っていれば別ですけれども、一軒で牛を飼って、二キロも三キロも離れているところに自分電線をしがなければならない。もし電線をしくということになると、その費用までひっくるめると、倍も三倍も冷却の金がかかる。現実に低団地においては、六、七、八、九月の半ばごろまでは水の温度が二十度くらいになります。牛乳の細菌のふえるのが進まないのはプラス五度くらいのところでございますが、プラスの五度に夏下げるのにはどうしても冷却機を使わなければならない。そのときに、冷却機を買ったほかに別に電線をわれわれの費用でやるというようなことであってはいけないのじゃないか。こういうことはやはり国が持って、設備についてはしていただくべきじゃないか、こういうことを考えるわけであります。  そこで、大体一日の量の一トンくらいを冷却するのに、牛乳冷却機そのものが十万円くらいかかります。それから試算しますと、大体一キログラムの牛乳に換算しますと、要するに電気の線をしいたり、それから冷却機の装置の償却を引いたり電気料金を払ったりしますと、少なくとも一円くらいかかってしまう。ところが、牛乳代は一円も高く売れません。こういうところに問題があるわけでございます。そういう点について、酪農民が持つべきところと国が考えるべき点ということを、十分考えていただきたいわけでございます。  それから、その次に資金の問題です。前後しましたけれども、一頭から三頭、五頭から十頭、十頭から十五頭というふうにふえていくに従って、そのままの施設ではいけない。一頭から三頭くらいのときはいいけれども、また肉牛、豚の場合にはある程度追い込みがききますけれども、乳牛の場合は一頭一頭係留をしなければならない。そうすると、五頭までの施設をしたときに十頭にふやす場合には、いままでの施設は全部投資無効になってしまいます。そういうことになりますと、償却の限界までそれは使用できないわけでございますから、そういうものをぜひ資金融資なりあるいは乳価算定のとき等についても、十分考えていただきたいわけでございます。  それから、共同化でなければ融資しないというようなことがございますけれども、共同融資をしていただく点と、個人でなければできない点とを分けてしていただかなければならない。補助金なんかの場合ですと、どうしても共同でしなければならぬというような場合が多いようですけれども、たとえば一、二頭の牛を飼っているときに、わずか一頭か二頭の牛乳であれば、自転車で五百メートルも千メートルも朝、昼、晩持っていっても差しつかえないけれども、それが一人で五百キロも千キロもということになりますと、それを三度三度一キロも二キロも持っていくわけにはいかない。こういうことになると、やはり個人施設をしなければならぬわけでありますから、こういうふうなことについて、共同融資でなければ補助をしないとか、あるいは優先的に金を貸さぬとかいうことを言わないでほしい。そういうことについては、十分実情に沿ったようにして金を貸していただきたいということを要求したいわけであります。  それからその次に、保証価格算定のところでございますが、昨日の答申のときに、私いろいろ政府から出された資料を見せていただきましたが、これによりますと、大体今度の労働費が一時間当たり百九十一円三十二銭になっておるようであります。ところが、われわれがいろいろな政府調査資料内容を見ますると、全国の五人以上の他産業の製造業者は二百十八円六十六銭になっています。そうして百人以上になりますと二百九十円で、われわれが直接牛乳を出している乳業者、われわれの仲間といっても差しつかえない乳業者、その人たち労働賃金は二百九十五円になっています。そうしますと、同じ国民でありながら、同じ牛乳をいじくる者でありながら、そういう人たち賃金格差というものが、一方において農民は百九十一円三十二銭、そして五人以上でも二百十八円というふうに、同じ国民の中に格差をつけ、要すれば、加工原料乳を扱うところの地区というものは、これは低開発地区というふうに解釈をされておる。同じ国民でも、そういうふうに政府みずからが格差をつけるというふうに解釈せざるを得ないわけでありますので、この点については、少なくとも今年から二百十八円はぜひ守っていただきたいという考え方なのであります。  それから最後に、市乳の問題でございますが、市乳については、われわれは乳業メーカーとずっと交渉しております。ところが、いまだに乳業メーカーの各社の社長たちは、ことしは一銭も出せません、われわれは社会事業のためにやっているのじゃない、株式会社なんです、したがって、皆さんの生活を守るために会社はできているのじゃないから、われわれのもうからないものは払うことはできません、こういうことをはっきり言っておるわけであります。  そこで、牛乳というものは農産物の中で一番やっかいなものでございます。皆さんも御承知のように、一日といえどもしぼらないわけにいかない。また、一日といえどもためておくわけにいかぬわけです。そういうわけでためておいて交渉することはできない。最近、春になりましたら盛んに各産業の労働者はストをやっておりますが、われわれがあんなストをやっておった日には、その日その日の牛乳は全部腐ってしまう。一日でも牛乳をしぼらなかったならば、乳牛は乳房炎になってしまって、それが直るのに二週間も三週間もかかります。そういうことになりますと、ばく大な損失をこうむらなければならない。したがって、安くても何でも泣き泣きそれを売らなければならない。こういうところに非常に問題がございますので、われわれはスト権を確立するとかそんなことは一つも言いませんから、つくったものが正当に売れるようにしていただきたい。そのためには、やはり加工原料乳と同じように、価格支持制度というものをぜひつくっていただきたいわけであります。  私も、実はうちで牛乳をしぼっておるということを先ほど申し上げましたが、もう三日間うちへ帰らぬから、きのう電話がきて、乳房炎になるから早く帰ってこい、こういうことなんでありますけれども、この乳価がきまらぬと、組合の代表でもございますし全国理事でもございますから、責任がございますから、一頭や二頭乳房炎になってもしかたがないという考え方でございますけれども、全国牛乳を扱う者はそういうことでございますので、ただいま皆さんのところに提示しております陳述要旨内容を、できるならばぜひここで決議をお願いしたいということを申し上げまして、私のほうからの説明を終わらせていただきます。
  6. 足立篤郎

    足立委員長 以上で、両参考人の御意見開陳は一応終わりました。     ―――――――――――――
  7. 足立篤郎

    足立委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。角屋堅次郎君。
  8. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 安井戸谷参考人には、お忙しいところを非常に御苦労さんでございましたが、私どもの質問の終わったあと参考人お二方、忙しいと思いますけれども、午前中政府のほうとの質疑のやりとりの中でも、また参考人の御意見と御希望がございますので、午前中は御出席をされるように、まだ冒頭に希望申し上げておきたいと思います。  いま御両人からお話がございましたが、これは会計年度の開始前に、御承知のように価格をきめなければならないという時期にきておるわけでございまして、従来でありますと、この審議会の中には国会からも参画をいたしておりまして、これが取りやめになった関係もありまして、審議会の実態については後ほど政府からもお話を伺おうと思いますので、参考人には、特にその点については触れませんけれども、安井さんのほうからいろいろお話が全般的にございましたので、数点お尋ねをいたしたいと思います。  まず、加工原料乳保証価格の問題でありますが、これは加工原料乳保証価格ばかりでなしに、肉豚の安定基準価格との関連の問題もございますけれども、要するに、価格政策として自家労賃というものをどう正当に評価をするか、非常に重要な柱になる問題でございます。いまも御指摘のように、政府から出しております考え方というのは、加工原料乳保証価格について、飼育労働費のうち、管理労働と付随労働とに分ける。これは、私ども米審におりましたけれども、実際は米でも全然やってないことなんですね。米価の算定のときにもそういう区分でやってないことを、いわゆる成長性があるといわれる畜産の価格政策の中で導入をしていく。しかも、戸谷さんからお話しのようにその労働費がきわめて低い。管理労働の場合には、お話のように一道六県の製造業の労賃、これは北海道はじめ東北、あるいは山陰で一県とっておりまするけれども、いずれも周辺地域としては労賃水準は非常に低いところです。したがって、そういう関係もございまして、一道六県の製造労賃百九十一円三十二銭、これでは問題にならぬと思っておるところに、付随労働については、農家の日雇い労賃をとりまして百二十六円七十六銭という非常に低いものを導入してきておる。これは飼育労働費の評価の問題として、こういう考え方にわれわれとしては基本的に賛成できないわけです。  そこで、戸谷さんからお話しのように、全国の五人以上の製造規模の男女込みの平均賃金でいえば二百十八円六十六銭。社会党の場合でいえば、米価の場合でも、やはり都市と農村との生活の均衡ということからいけば、百人規模以上というふうなことを、基本としては考えに置かなければならぬじゃないかということを、考え方としては持っておるわけですけれども、ただ、加工原料乳等の保証価格の場合には、いわゆる乳を生産する酪農家、これを加工していく乳業メーカーというものの一連の関連として考えてみますと、乳業メーカーの労働者の賃金というのはどうか。そうすると、先ほどお話しのように二百九十五円という数字が出てきておる。そういうことからいくと、労賃のとり方としては、きわめて低いところの労賃の導入をやっておるところに問題があると思う。  ただ、ここでお伺いしたいのは、そういうことについて先ほども御意見がございましたが、今度は肉豚になりますと、私の承知しておるところでは、生産者団体側のほうも、自家労働については、農業の日雇い労賃で評価をする。したがって、きわめてダウンしておるわけですね。米価ではこうである、あるいは加工原料乳保証価格ではこうである、あるいは肉豚の安定基準価格ではこうであると、きわめて三者三様の考え方をとっておるわけですね。これは基本的には、やはり農畜産物価格安定政策という点から見れば、自家労賃をどう見るかということについては、きちっとした基本がなければならぬ。加工原料乳保証価格のときの、いわゆる飼育労働費の評価考え方、肉豚の安定基準価格のときには非常にダウンをした考え方という点については、本来、もっと主張としてはきちっとされる必要があるべきじゃないかという感じを、率直に言って持つわけです。そういう点についての生産者団体としての考え方を、安井さんからちょっとお伺いしたい。特に、加工原料乳保証価格の問題では、これはいわば酪農家、乳業メーカーが一貫作業でやっておるというたてまえからいけば、その上にさらに二百九十五円の乳業メーカーの一時間当たりの労賃評価というものに、やはり関連を持つというか、それを土台に置いてというか、こういう考え方も本来とられなければならぬと思うのですが、安井さんから伺いたい。
  9. 安井七次

    安井参考人 最初の、価格政策として農業団体は二通りあるいは三通りになるかもしれぬが、いかが思うかというお話のようでありますが、われわれのほうではこう考えておるのです。全面管理をする、あるいは全面管理に近い保証をする、そういう価格維持施策そのものについては、米の場合には日雇い労賃なんというものは問題にしないで、製造工業労賃単価をとる。われわれのほうはすでにそれに先んじて、さらに進んで所得補償の考えを持っております。この牛乳の場合には、やはり実態から見るとまさに保証制度でありますから、これは全部製造工業並みの賃金をとるべきである、こう考えております。  それから、豚の場合におきましては、これは上限、下限で操作をする安定帯の価格でございますから、農安法も同様でございますが、これは日雇い賃金で計算することは、この段階ではやむを得ないのではなかろうか、そういう価格の立て方の考え方を一つ考えておるわけです。そこで第二番目の、それでは具体的に今度の保証価格における考え方はどうか。これは非常に御議論があろうと思いますが、全面的に全国製造工業五人以上の規模の労賃をとるべきである、しかし、進んで五十人、百人に進むべきものであろう、こう私は考えております。  そこで、それは考え方でありますが、今度の問題で具体的になりますと、まず第一点は、示された六・七八時間のうち、二割近いものは日雇い賃金で計算をしておる。残り八割は製造工業規模五人以上の労賃で計算しておる。ただし、この五人以上の規模も、この生産費調査いたしました一道六県の製造工業規模という、全国規模から見るときわめて低い、そういうところをとっておるところにまず第二番目の問題がある。  そこで、なぜ二割の差をつけるのか、私は非常に疑問に思っています。製造工業規模の労賃といいますのは、特殊な技能も、複雑なる技能も、簡易なる技能も、みな入った労賃計算です。で、乳牛に関する限りどうしてそれを二つ分けなければならぬのか。製造工業の労賃を見てごらんなさい、幾通りもある。非常に繁雑な仕事をやっているものも簡単なものも、みな平均してできている。それを当てはめるのに、酪農家だけは特殊な飼育管理のものだけをとるとか、そうでないものは低めるとかいうのは、そもそも間違いではないか。私はこれは非常に遺憾に思っております。  その次に、五人以上は低いではないか。これもごもっともと思いますけれども、これは徐々にふやしていったらどうだろうか、私はこう考えています。  それから、さらに不満を申し上げますと、戸谷さんからおっしゃったように、乳業関係者の賃金というものは一時間当たり三百円近い。さらに、先ほど申し上げました基準価格をつくるときに、販売経費それから製造経費、これはゆとりのあるものでとっておる。これは職員の待遇問題にもよい影響をするものをとっておる。にもかかわらずどうして酪農家だけこう低いところに基準をとどめておかなければいかぬのか。さらに、この六・七八時間は、去年は七・六四時間なんです。生産合理化が行なわれると時間が短くなる。短くなったものに単価をかけますから、まさに合理化のメリットというものは取られて残りはしない。一体、これでは酪農家というものは将来どういうことをやるのだろうかということを、私は申し上げておるわけです。
  10. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま安井さんから、生産性向上のメリットの問題が出たわけですけれども、これは昨年の米価の場合には、その考え方の一部を政府自身がきめるときに導入をしたのですね。会の議論の中でどういう経過があったかよく知りませんけれども、こういう生産性向上のメリットというものを、価格政策の中でどう考えたらいいのかという議論が、皆さん方のほうから提唱されたと思うのですが、審議会の全体的な議論の中の経過としては、簡単でけっこうですけれども、どういう議論が出ておったか、少しお話を願いたいと思います。
  11. 安井七次

    安井参考人 今度のときは、私が申し上げるだけで、反応なしです。むしろこういう意見が出ました。私は、その委員間の議論はどうかと思いましたので反論いたしましたが、生産性が上がって、生産費が安くなって、そうして市場へその安いものが出るというのは好ましいことである、日本農業の問題はそこだから、それを大いにやりなさい。私がその委員に反論をしたのは、現在の電気製品を例にとれば非常な販売量になり、技術革新が行なわれて生産性が上がるけれども、下がりますか。下げたら食えないのじゃないですか。そういう状態の中において、農業者だけ技術革新なり生産性を上げたそのメリットをなくすれば、ますます所得格差と生計費格差が違ってくるのじゃないか。さすがにそれには、他の委員の反論はございませんでした。その程度のやりとりです。
  12. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いままた安井さんからお話が出ました加工原料乳の基準取引価格、これは農林省の場合は一定の算定方式があるわけですけれども、御指摘になりました乳製品の製造販売費用という、いわゆる方程式からいくとCに当たるものですね。しかもその前にはM、卸売り業者のマージンというものがありますね。この卸売り業者のマージンあるいは乳製品の製造販売費用のC、これをいずれも安定指標価格から引いてそうして計算している。結局、この乳製品の製造販売費用というものを資料で見ますと、製造販売費の中における販売費のウエートというのが、バターの場合二七・一%、脱粉の場合一九・五%、あるいは全練の場合に九・八%、相当大きなウエートを占めておりますが、これは結果の値をそのままトレースしておるわけですね。これは、やはりそういう結果をトレースというのではなしに、かりにこの方程式をそのまま前提にします場合にも、適正な修正というのか、あるいは本来正当に見てよろしい程度のものは、当然Cの値としてとられなければならぬかと思うのですけれども、これは審議会の議論の中でも相当あったわけでしょうか。
  13. 安井七次

    安井参考人 われわれの調査をした資料に基づきまして、四十一年、四十二年の加工品の大口実需者渡しの実需価格、実際売買をされておる価格と、この審議会できめたときの農林省原案の価格との差は、極端なるものは一割近いものがあります。それだけ市場価格より低くきめております。きめておるというより、結果としてそう相なったというのが正しいのでしょう。それから五%のものもあります。このことは、やはりできるだけ市場価格と近寄らせませんと、メーカー擁護の仕組みになるわけです。メーカーを擁護するだけの制度になる。そこで、農林省はいかなる調査をされておりますかと、いまお尋ねのようなことをお尋ねしましたが、調査方法等を明らかにお聞きすることはできませんでした。ただ言われたものだから、そのとおりとっておるのではない、精査は厳重にやっておるということはお聞きいたしました。  私の意見を申し上げますれば、一企業の帳簿を調べるわけにはまいりません。また大口実需者といっても、かなりなものを調べなければ、どうしても実態にそぐわないものがあるから、この安定指標価格のきめ方には、パリティでいくとか推定値でいくとか、何らかの方法を考えるほうがよいのではなかろうか。しかし、それよりも、調査の方法が厳然とあるというなら、それでやってしかるべきものです。それからマイナスをする製造経費販売経費、これは、農林省として一企業の中を見るわけにまいらぬのじゃなかろうか。したがって私は、やはり申されたとおりを計上する結果として、基準価格がまだまだ上がるべきものが上がらないで、結局保証価格との差を狭めて、それが財政負担になってくるのではないか。この点、私は非常に遺憾に思うのです。生産者の場合の価格をきめるときには、十銭、二十銭までやかましく言って、そうでない場合にはできない――これは怠ったのではない、できないという問題がある。そこで、ゆるやかなる価格のきめ方のものと峻烈なる価格のきめ方のものの組み合わせでこの保証価格ができておるところに最後まで問題が残るであろう、私はこう思います。
  14. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 本格的な質疑は、後ほど芳賀先生以下予定されておるわけですから、簡潔にあと二、三点お伺いいたしますが、例の市乳の指導価格というもの、あるいは不足払い制度の市乳への導入、われわれもこれは当然速急にやらなければならぬというふうに思っておるわけですが、そういう問題と関連をして、安井さんも戸谷さんもお触れになりませんでしたが、還元乳の問題があるのですね。これは食品衛生法その他いろいろな関連で最近話題をまいておりますが、これらあたりのところのお考えについて、簡潔にお伺いしておきたいと思います。
  15. 戸谷義次

    戸谷参考人 ただいま、市乳の中で支持価格を出せということをいわれておるが、その中で、還元乳はどうかということでございますが、実は私どもの組合でも牛乳を売っておるが、還元乳は使っておらない。ところが、いま全国牛乳が足りないのに、還元乳はけしからぬじゃないかとかなんとかいうことを生産者が言ってみても、足りないのだから、あまり声を大にしておりませんけれども、どうもここ十年ばかり、学校給食が始まってアメリカの脱脂粉乳が入ってから、脱脂粉乳だけで飲ましたり、半分脱脂粉乳を入れ半分なま乳を入れたり、そういう癖がついてくると、そっちのほうの乳がほんとうじゃないかという感じを生徒が持つようになってまいります。そこで、これは非常に危険であるという感じを持っておりますので、できることならば学校給食については全部なま乳にし、そうしてなお市場に販売する乳についても、どうしても牛乳が足りないならば、これは本物の乳であります、これはまぜものでありますということを、はっきりするようにしないと困るのじゃないかというふうに思っております。
  16. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 肉豚の安定基準価格決定に伴います事業団買い上げの問題について、これは先ほど、畜安法の施行規則との関連の問題になりますが、上肉に限定せずに少なくとも中肉の買い上げもやるべきだというお話ですが、これはまさにそういうふうに今後やっていくべきだ。これは前の檜垣君のときにも、そういう方向で努力すると言いながら、現実にはやっていないという経過があると私ども思っております。  さらに市場手数料の問題は、たしか四十一年度から従来の二%、福岡は三%、これを一%に改定いたしましたが、市場の手を経ずして手数料をとることは、これは本来筋の通らぬものだから全面的に削除する、そういう方向でいかなければならないと思います。  この機会に伺いたいのは、例の安定基準価格市場間格差の撤廃問題。先ほどもお触れになりましたが、大阪、広島、福岡の関係では、大阪に比べて広島、福岡が五円安である。これは農林省もそういう言い方を若干やっているのじゃないかと思うのだが、そういうふうに市場間格差を撤廃するということになれば、巷間一部では、福岡とかあるいは広島に相当殺到するのではないかということがいわれるわけですね。それらの問題についてはどういうふうにお考えか、お伺いしておきたい。
  17. 安井七次

    安井参考人 私は、一時殺到すると思いますが、それはそれなりで買い入れ場所を広げたらよいと思います。福岡において主要都市を指定したらいい。しかし、それはおっしゃることであって、実際はそういうことはないと思います。それはそれなりで、もしあれば、それは農林省としての買い上げ操作の問題として処理をすべきものであって、場所がないから五円の格差を残すというのは、私は理由にはならないと思います。それでもし農林省がどうしても五円の格差を実態に合わして残すのだとおっしゃるなら、さらに実態に合わして格差をつける問題が各市場間に出てくるだろうと思います。私はそうでなくて、困っておるときに買うという制度のものであるから、そういうことはネグレクトして、同じ価格で買ってやるというのが法のたてまえだろうと思います。
  18. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 最後に、いわゆる乳製品輸入問題あるいは肉畜輸入問題に関連をして安井さんのほうから……。乳製品は、御承知のように事業団が一元的に買い上げておる。ところが肉畜の場合には、事業団のほかに現在日本食肉協議会というものが存在しておる。これが大体ウエートからいけば、双方そう違わないウエートだと思いますけれども、これを事業団が一元的にやる。しかも、差益についてはこれを畜産振興、特に肉畜の場合であれば、そういう方面の畜産振興に導入して使っていく。方向としては私はそういうふうにやっていかなければならぬと思うのですが、そういう輸入体制のあり方の問題と、同時に、例のオーストラリアあたりから沖繩を経由して、いわゆる関税の恩典の間隙を縫って、擬装輸入というのが一つの大きな問題になっているわけですね。これらの問題について、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。先ほどの日本食肉協議会、これは政治的背景も若干あるのですけれども、これはやはり摩擦なく事業団一元化の方向に持っていくべきだ、こういうふうに私、思いますけれども、それらの問題を含めて、ひとつお答えを願いたいと思います。
  19. 安井七次

    安井参考人 私の申し上げておりますのは、やはり計画輸入をやりませんと市場圧迫をするから、どうしても事業団一元がよいであろう。一元が困難な場合には、事業団ができて、輸入肉を取り扱う初めにあたって、事業団と協議会は半分半分という割合がありますから、そういう割合を厳守されるほうがよいであろう。最近の傾向を見ますと、六、四の状態に変わりつつあります。あるいは七、三に変わるのかもしれません。事業団のほうが減ってきております。そのことを申し上げておきます。  さらに擬装輸入の問題は、われわれもお願いをしておりますが、御承知のように日本へ入れば二五%の関税がかかる、沖繩なら五%で済むということで、全部沖繩で揚げて、内地と沖繩の間の関税はかかりませんから二〇%がただもうかる。もうかるとすると、それを大量に輸入する傾向になりますから非常に困る。二〇%もうけておるかおらぬかの問題は別にして、そういうことを非常に心配をしておるのです。
  20. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 参考人に私からのお尋ねはたくさんありますけれども、後ほど本格的な質問もありますので、この程度で終わりますが、われわれ、審議会の伝えられる答申の中身、建議の中身では、安定的な畜産振興現実にはできないのではないか、こういう気持ちを率直に言って持っておるわけです。  質問としては以上で終わらしていただきます。
  21. 足立篤郎

    足立委員長 湊徹郎君。
  22. 湊徹郎

    ○湊委員 乳価に関連して、二、三の基本的な問題について、この機会に両参考人にお尋ねしてみたいと思います。  両参考人の先ほどのお話の中には、非常に考えさせられる点をたくさん含んでおるわけでありますが、第一点は、米にしろ、乳価にしろ、あるいは生糸にしろ、毎年大体きまった時期にきまってきめられる。そのきめ方なんかについてのいろいろな議論はあっても、そういうことになっているわけですが、ふだんは何か忘れ去られたような状態で、土俵ぎわになってから問題が突然起こるかのごときかっこうで今日まできている。こういうことを私、非常に残念に思っている一人なんであります。  そこで今度の場合、城を攻めるにも正面から攻めるだけが能じゃなくて、裏門、からめ手さまざまに、不断にパイプを通じておきながらやっていくことが非常に大事だと思うのであります。いままでの農林省に対して、両方の資料の違いであるとか、基礎的な問題というのは、やはり事前に詰めるだけ詰めておく必要があるし、先ほど戸谷さんから、メーカーのほうとはほんとうに去年も一年御苦労願ったわけでありますが、なかなか壁厚きものがあって、がんとしてさっぱり交渉にならぬ、ここで政府に介入の措置をとってもらうしかない、こういうふうなお話があったのであります。  そこで、いままでの両参考人の属する両団体の農林省に対するいろいろな交渉の概要と、それからどの程度まで煮詰まっておるかという煮詰まりぐあい、それから戸谷さんのほうからは、メーカーとの交渉の具体的な中身といいますか、そういうことについてお漏らし願いたい。簡単でけっこうでありますから、最初にその点お聞きしたいと思います。
  23. 安井七次

    安井参考人 私は、全中の常務と同時に中央酪農会の関係の常務をやっておりまして、両面を通じて、あらゆる面で農林省とは日常かなり折衝をやっております。特に生産関係、対策で……。ただし価格になりますと、農林省も大蔵省がございまして、限度を心得ておられるようです。われわれには全部相談してもらいたい気持ちはありますけれども、農林省は限度を心得られて、それ以上に入るわけにまいりません。
  24. 戸谷義次

    戸谷参考人 私は、ただいまの質問のうちで二つの質問ですが、農林省に対しては、実はことしはこの問題が非常に難航するであろうということを予想されておりましたので、予算の時期以前から農林省に、ぜひこの牛乳の支持価格制度なりあるいは不足払い制度なりそういうものについて、こういうふうにするということがすぐわからないから、ひとつ調査するような制度資金を設けてもらいたい、こういうことの要求をずっとしてまいりました。これは、その必要は感ずるけれども、まだ具体的にそういうところまでいっておらないが、必要なときには、その必要な程度の資金は見ようということでございましたので、その後も何べんとなく折衝してみますが、まだ具体的にどうということは出ておりません。  それから、メーカーとどういうふうな交渉をして、具体的にどうかということでございますが、私は、実は自分の組合でびん詰めにして売った以外は――雪印牛乳と昔から取引しておるけれども、いまは荷受け機関の団体ができまして、実質的には、書類でもって各県は荷受け機関を経由して、荷受け機関がメーカーと取引することになるが、その下ごしらえとして、また日ごろのなじみとして、私はその雪印の社長の下の段階の各支所の所長なりあるいは課長なりそういう人たちに至るまで折衝を続けておるが、もはや昨年から中央交渉が成り立ったのだから、上のことでやっていただきたい、われわれ下のほうの工場長だとか課長とかの問題でない、こういうことを下のほうでは言っております。今度は上のほうになりますと、先ほども申し上げましたように、われわれは救済対策の事業をやっているのじゃないのだから、もうからない仕事に対しては断じて支払いをすることはできない、政府が何と言おうと国会が何と言おうと払えない、こういう一点ばりで、なかなか進んでおらない。しかし、今後ともどういうふうな道かは見出していかなければならぬという問題は、昨日も政府から審議会に提示された金額が、一キロ当たり加工原料乳で一円三十八銭というものが前年より上がるようになっておる。そうなりますと、一升で二円以上のものが上がることになるわけであります。そうすると、加工乳は上がって市乳が上がらないということになると非常に問題になってきますので、そういうことからも、今後も話し合いを続ける意思があるかどうか、こういうことを各社の社長に申し上げたところが、話し合いは十分しましょう、こういうことでございますけれども、話し合いしてみても、先ほどのような問題がネックになっていますから、なかなか順調に進まぬと思っております。
  25. 湊徹郎

    ○湊委員 第二点は、消費者の皆さんに対する両団体の努力なのでありますが、率直に申しますと、最近国民生活が急速に変わっている。その結果、農産物の種類も量も急速に当然伸び、かつ変化しつつあるわけでありますが、そういう情勢をやはりがっちりつかまえてやっていくことが、農政にとっても必要でありますが、同時に、団体側の仕事としても大事だろう、こう私は日ごろ考えておる一員なのであります。  一、二例をとって申しますと、たとえば米価のときも、大体一俵当たり八千円米価あるいは一万円米価、石当たりにして二万五千円あるいは二万円、いろいろなことでやるのでありますけれども、東京の都民や何かは実際キロ買いしておる。あるいはポリエチレンの袋に入れてたかだか五キロぐらい、そういう単位で買っている。そこで、一俵当たり、一石当たりというスローガンをそのままストレートにぶっつけても実感がない。そういうようなところから、なかなか消費者各位に、一年丹精込めたこの努力のあとというものがほんとうにしみ通っていないのじゃないか、こういう感じをここ二、三年実感として非常に強く持っておる。そういう努力を、やはり農業団体もこれはやるべきじゃないか。いままで、野菜なんかもそうでありますが、神田とかあるいは築地、そういう市場に運び込むまでは農業団体の役割りであるけれども、あとのことは、わしゃ知らぬとは言わぬけれども、あまり克明につかまえていない。そういうところに対してもう少し努力をすべきじゃなかろうか。乳価については、たまたま去年ああいう問題があったために、そういう意味で非常に好ましい状態、お互いに生産者の立場、消費者の立場が理解できるいいきっかけになったろう、こういうふうに考えておるのでありますが、その点についての御両人の御所見と、両団体の努力、これも簡単にひとつ……。
  26. 安井七次

    安井参考人 私はこう考えております。消費者に対するもちろんわれわれのPRも足りませんが、やはり物価問題で国が十分お取り上げになる必要がある。その場合に勇敢に、中間経費がいかに高いかを……。牛乳の場合で申しますと、消費者価格に対する生産者の手取りの割合は、昨年二円上がりまして手取りはふえましたけれども、四五%ないし五〇%です。この実態を明らかにして、膨大な中間経費がいかにかかっているかを究明されて、そうして、それに対する措置政府もわれわれもともにやる、それをお願いをいたしたいと思います。われわれ農業団体からいいますと、広報活動をもっぱら農民に向かってやっておりましたが、今後都民に向かって、消費者に向かってやろうと思っております。しかし、どうもわれわれだけでやるとてまえみそに考えられますので、やはり特に農産物と物価の問題、農民をその首謀のようにいわれているが、そうではない。この点を私は取り上げてもらって、国会として、政府として大きくやっていただくことが、一番われわれの対策を進めるのにはいいのではないか。しかし、それに対する流通の合理化は、集配センター等いまわれわれの基本構想の中でそれぞれ考えて進めております。それとも合わせていきたいと思っております。
  27. 戸谷義次

    戸谷参考人 私は、先ほども申し上げましたように、自分のところの組合で処理したものを直売している面もございますから、それから申し上げると、直売している点についてはそんなに苦労しないわけです。それは中間経費というものがありませんから。そこで卸のときには十三円でおろす。ところが白い牛乳の場合には、農民から原価で買って、庭先から運び、集乳費その他の経費をかけてそして十三円でおろすことになっていますから、十三円でおろしたのでは、白い牛乳はどうしても赤字になります。ところが、直売の場合には少なくとも店舗に十四、五円でおろしますから、その場合には白い牛乳といえども黒字になります。そういうことでございますけれども、いま大メーカーがやっているのは、われわれが大メーカーに届けて、それを今度処理して、またもう一度、たとえば茨城県で買って東京へ送った乳を、東京で処理してまた茨城県に送って、そして輸送経費をかけておろす。そこで十三円ということになるとこれは赤字だ。これは無理がないと思いますが、そこらの問題も相当検討する必要がないか、それが一つ。  もう一つは、消費者の方々も相当問題があると思うのは、これは国民の所得の関係からやむを得ない点も多少感じられるのです。実は、私は茨城県の県庁で数年前に、地下の食堂まで飲みに行ってもらえば一合七円で売ります、各課に配達すれば一合十二円になります、こういう場合にどっちにしますかというアンケートをとったのですが、大部分の方は、二円や三円高くても私の机まで持ってこいということでありますから、消費者の教育というものもだいぶ必要なんじゃないか。県庁のようにある程度知識の高い人たちでもそういうことがありますから、一般の家庭においては、ほかの用事があって多忙な方が多いわけでありますから、そういう点からいうと、ただぜいたくというだけでなくて、持ってきてもらったほうがいいという点もあるかもしれない。こういうことを分けて検討しないと、必ずしも中間経費という問題だけではいえない点もあるのではないか。  それから、日本の所得が非常に低いからという点を一部申し上げましたが、たとえば、五合びんで配達すれば安いじゃないかというけれども、そういうわけにいかないということがよくわかります。それは五合びんで買っておいて、三人の子供がおる。三人の子供が五合びんで買っているものを、親が分けておいてやれば別ですが、一番先に学校から帰ってきた子供が五合びんで飲むと、半分くらい飲んでしまう。こうなると、あとの子供は飲むことができない。こういうふうな問題を多分に含んでいますから、やはり日本の経済全体との問題もございますから、こういうむずかしい問題については、国会議員の先生方に処理してもらわないとわからぬじゃないか、こう思います。
  28. 湊徹郎

    ○湊委員 時間がございませんから、第三点として、さっき角屋さんもお触れになりましたけれども、いろいろな農産物、米、乳、肉あるいは生糸、さまざまな価格の立て方をされておるわけであります。その場合に、生産費のとらえ方そのものがそれぞれ区々であるという問題もございますし、同時にポイントになるのは、さっき言われたとおり、まさに自家労賃が生産費の主要部分でありますから、六割から七割くらいが大体自家労賃、この評価に問題点が集中する、これは当然のことであります。しかしながら、いままでの経過等もございますので、実際米の場合は、つまり均衡労賃を移しかえるという処置をとっている。それに右へならえするといっては語弊がありますが、だんだんそれを一つの目標にしながらきているわけであります。その場合に、願わくは農業そのものが近代化して、農家の労賃そのものが労賃としてすなおに均衡された形で上がっていくことが一番けっこうな姿なんだが、現実はそうじゃない。そこで、支持政策によってある程度カバーしていく。こういうことはある程度はやむを得ないし、さっき安井さんもおっしゃられたとおりだと思うのです。  そこで第一点は、米について、去年は生計費均衡労賃という考え方をお出しになられたわけです。あの考え方と、それからいまの五人規模の自家労賃、結局段階的には、去年お出しになられた米の全中方式ですか、あれを頭に置かれながらこの御意見をおきめになられたのか、その両者の関連はどういうふうにお考えなっていらっしゃるのか、そういう点を安井さんに第一点にお伺いしたい。  それから第二点は、これは御両者でけっこうでありますが、価格政策と実際の生産性を上げることによって、一日も早くそういう状態をつくらなければいかぬ。そこで、構造政策とかいろいろ問題になっているわけですね。そうすると両方かね合いの問題です。片方はただ時間がかかるので、なかなかそう簡単に、一朝一夕に実現せぬ、こういうことではあるのだけれども、これは思い切った努力の傾注のしかたによっては、速度はかなり速めることはできるわけですね。それから一方、その間価格政策によってカバーしていく。この両者のかね合いというものをどういうふうに考え、そしてまた政府や何かに対して臨まれるときに、こういうふうにウエートの置き方を――というと語弊がありますけれども、置いてお考えになっていらっしゃるか、この二点をひとつ……。
  29. 安井七次

    安井参考人 お答えいたします。  私はこう考えているのです。米の所得なり生計均衡の方式は、現状ではやむを得ないと思う。しかし、御承知のように作目ことの――いまは複合体でありますから、これはやむを得ないと私は思っている。これがだんだん、最近の傾向を見ますと作目ごとに固まりつつある。畜産地帯は畜産地帯、米地帯は米地帯というように、複合体がだんだん薄れていきますと、これはやはり本来の米のみの生産費に返っていくということにならざるを得ぬと思います。そういう作目別の生産形態のこれからの進みぐあいによって、米の価格体系というものは変えるべきである。第二番目は、生産体制は、われわれ今度、昨年の十一月一日大会で決議いたしました基本構想で、どんどん団地造成という形で進んでいきます。それに関係する法律改正お願いをいたしたいと思いますが、そこで結局は農村の所得ですね、一人当たりの所得、農業以外の所得と農業者の所得とが均衡がとれてきた場合には、価格政策というものはゆるやかにしたほうがいい。現在のように所得格差も三割足らずある、生計格差もある、このときには、やはり価格政策は重要視して生産対策と並んでいくが、均衡がとれてきたら、現在よりも価格に対するわれわれの態度、これは後退したほうがよいと、こう思います。そういうことを考えています。
  30. 戸谷義次

    戸谷参考人 ただいまのことですけれども、私も、実は米もつくっておりますしするからよくわかるのですけれども、牛乳だけはこれは他のものと違うということをはっきり言い得ると思います。米の場合は、私どもも苗しろもし、刈り取りまで大体五カ月間くらいだ。ところが牛乳の場合は、御承知のように朝から晩まで、正月の元日から暮れの三十一日まで、雨が降ろうが風が吹こうが休みなし、そうしてくそと小便をかぶりっぱなしでやるような仕事でございまして、しかもその貯蔵もできなければ、販売するのも待ったなしだ。こういうものの性格からして、これは価格政策を急速にやっていくしかない。これは安井さんと意見が多少違うようでありますけれども、これはほかのものとは違うんだということをはっきりしていただきたいと思います。
  31. 湊徹郎

    ○湊委員 以上で終わりますが、個々の問題等についてはいずれまた個々にお聞かせいただくこととして、どうもありがとうございました。  以上で終わります。
  32. 足立篤郎

    足立委員長 神田大作君。
  33. 神田大作

    ○神田(大)委員 前にいろいろと御質問がありましたから、私は簡単に御質問申し上げまして終わりたいと思います。  まず第一に、畜産振興審議会というものは、いつでも、三月三十一日の告示をされる少し前に答申をしてくるのですね。そのために国会等におきましても、十分な審議をわれわれしようと思いましてもできない。これは政府に私は申し上げたいのですが、しかし、審議会委員である安井さんや戸谷さんが、こういう問題についても十分に審議ができるような余裕を持った答申をしていただくようにお願いしたいと思いますが、ひとつ御意見を承らしていただきます。
  34. 安井七次

    安井参考人 御指摘のとおり、われわれ委員としてはむしろ痛切に感じているわけです。それで昨年も申し上げたのですよ。いま審議会価格決定する、施策をきめる、特に飼料の関係になりますと、来年度の予算の関係がくっつくわけです。したがって三月末、来年度予算がもう計上済みのところで、この審議会でさようなことをきめたって意味がないんじゃないのか。そこで、農林省もごもっともであるということで、秋ごろにえさについては懇談会を開きました。今後そういうぐあいに前進をしてもらいたい。  それから第二点は、農林省の方もお見えになるようで、私は審議会でやかましく言うのですが、必ず前年度の決議、建議をいかに取り扱ったか、同時に資料を早く配ること、そうしないと審議が十分でない。遺憾ながら資料の配付もことしは十分でございませんでした。とっさに見せられて、いかなる委員といえども名案が出るわけじゃございません。私は御指摘のとおり、やはり審議会運営としてはそういう点が非常に残っている。これは畜産のみでなく、他の審議会でも非常に残っている。これは大蔵省との折衝のむずかしさがこういうことにしておるようだけれども、改善をされぬと意味がないと思います。
  35. 神田大作

    ○神田(大)委員 全くそのとおりで、われわれもこの皆さんのところへ出された資料を参考に見せられますが、これは二日や三日でこなせるものじゃない。専門的な字句をもってできているわけなんです。そういうものを、農林省の形式的な考えをもって審議会をやることになるおそれがあるから、われわれとしても政府にこれは強く要求しますが、皆さんのほうからもこの点を要求して、十分な審議ができるようなそういう仕組みにしてもらいたい、こういうように考えます。  いま一つ、ちょっとこの資料の中で、私は先ほど安井さんのほうからもいろいろお聞きしましたが、政府が出したいわゆる価格算定方式、それから皆さんのほうから出す算定方式の違いがありますね。この算定方式の違いがあるから、いつもそこでもって政府が言いのがれをするわけですね。算定方式が違うんだ。そうすると農業団体からは、そういう算定方式は間違っているからこの算定方式がいいといって、農業団体は農業団体の算定方式でやってくる。そこで食い違いができて、いわゆる正当な議論と結論がごまかされる。そういうことでありますから、この点についてどのようなお考えを持っているか、算定方式についての考え方を簡単にお伺いしたい。
  36. 安井七次

    安井参考人 加工原料乳算定方式、それから豚肉基準価格算定方式も、米のように大きくは変わりません。調査内容とそれから自家労働費評価のところが変わっております。したがって算定方式は、大小の差があっても、米のようにそう変わっているというものではございません。いま申し上げたそのところが変わっている。したがって、ここへ力が入るということになるわけでございます。
  37. 神田大作

    ○神田(大)委員 それではあとで政府当局に質問しますから、この程度で終わります。
  38. 足立篤郎

    足立委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人には御多用中のところ、長期間にわたり御出席をいただきありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。(拍手)
  39. 足立篤郎

    足立委員長 この際、昭和四十二年度畜産物安定価格等に関し、畜産振興審議会の経過等について、岡田畜産局長から説明を聴取いたします。岡田畜産局長
  40. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 それでは、畜産振興審議会答申について御説明を申し上げます。  去る三月十八日に畜産振興審議会の本会議が開かれまして、それに対しまして昭和四十三年度の飼料の需給計画、豚肉安定基準価格、それから加工原料乳保証価格基準価格安定指標価格買い入れ限度数量につきまして諮問をいたしたわけでございます。  豚肉につきましては、御承知のように二十五日に部会が開かれまして、すでに答申がなされたわけでございます。  加工原料乳につきましては、昨日の部会におきまして答申がなされたわけでございます。答申は皆さまのお手元に御配付をいたしておるわけでございます。一応読んでみたいと思います。       答  申   昭和四十三年三月二十七日付け四三畜A第一二六六号で諮問のあった昭和四十三年度の加工原料乳保証価格及び基準取引価格生産者補給交付金に係る加工原料乳の数量の最高限度として農林大臣の定める数量並びに指定乳製品安定指標価格を定めるにあたり留意すべき事項について下記のとおり答申する。   なお、あわせて別紙のとおり建議する。         記   1、加工原料乳保証価格については、飼育労働につきその評価適正化を図ることを旨として定めること。   2、指定乳製品安定指標価格については、乳製品の需給の安定に資することを旨として定めること。   3、加工原料乳の基準取引価格については、指定乳製品安定指標価格を適正に反映することを旨として定めること。   4、生産者補給交付金の対象となる加工原料乳の数量の最高限度については、需給の実態に即して定めること。  以上が答申でございますが、あわせて別紙にございますような建議がなされたわけでございます。「市乳化が促進されるよう適切な措置を検討すること。」こういうことでございます。   〔委員長退席、草野委員長代理着席〕
  41. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいま岡田畜産局長から、昨日畜産振興審議会の酪農部会が政府答申いたしました四項目にわたる答申内容並びに市乳関係に対する建議について説明がありましたが、この答申内容をいま見ましても、立法府であるわれわれとしても、何を意図しておるものか、抽象的でわからぬわけです。したがって、政府としては政府考えどおりに解釈して、尊重できる答申内容であると私は考えておるわけですが、農林大臣としてはこの答申を昨日受けられて、四項目の内容について政府としてはどういうような理解をしておるか、その理解された点を尊重するかという点について、これは重点的に農林大臣から答弁を願いたいと思います。
  43. 西村直己

    ○西村国務大臣 まず畜産局長から経緯を……。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたが答申を受けられたんじゃないですか。局長農林大臣じゃない。答申を受けない者がどういう答弁ができるのですか。大臣でなければだめじゃないか。局長答申したんじゃない。
  45. 西村直己

    ○西村国務大臣 私はあとでやります。
  46. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 答申につきましては議論の経過がございますので、一応答申が出ましたということを大臣に御報告いたしておりますけれども、経過の具体的内容等については、まだお話をする機会がございませんので、詳細な内容はお話をいたしておりません。したがいまして、私からあらためてお話をすることにいたしております。私は審議会出席をいたしておりまして、議論の経過を十分承知をいたしております。そういう議論の結果、こういう答申が出されましたので、そういうふうな点につきましては十分大臣にお話し申し上げまして、御相談をいたすつもりにいたしております。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは第一点の、加工原料乳保証価格については、飼育労働につきその評価適正化をはかるべしという点について一番議論になった点は、飼育管理労働に対して、昨年政府はこれを主要労働と付随労働ということに区分をして、それぞれの労働時間に対して異なった賃金評価をしておるわけですが、おそらく答申の意図するところは、そういう全く合理性を欠いた、自家労賃を下げる目的だけで行なった労働評価の区分は去年きりでやめて、ことしはまともな、理論的な飼育労働に対する評価をやるべきであるという答申内容であると私は考えるわけです。これに対して政府としてはどう考えるか。去年どおりやる考えであるか。答申の意図するところを受けて、ことしは一本立ての労賃評価をやる考えであるか、この点を答弁してもらいたいと思うわけです。答申に盛られた内容をどう理解して、理解した点をどう尊重するかということを聞いておるわけです。これは価格決定上非常に重大な点でありますから、農林大臣から明確にしてもらいたいと思います。
  48. 西村直己

    ○西村国務大臣 その点はわかります。おそらく御意見の中心は、全部一本化して評価がえしたいというような意味で御意見が出ておるのじゃないかと思います。したがって答申の精神というものは、昨年やりました主要飼育管理労働評価がえと申しますか、それをなぞってと申しますか、その線においての答申ではないかと思うのでございます。そこが価格決定の大きな、やはり御意見のいろいろ出る点だと思うのでございます。そこで私といたしましても、答申の精神というものは十分よくわかります。同時にまた御意見が出ておりますから、それらも十分検討しながら最終的なものをきめていきたい、こういう気持ちでございます。
  49. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは農林大臣としては、第一の点は、答申は昨年同様に労働評価を区分してよろしい、そういう趣旨であるというふうに受けとめて、これを尊重すれば去年どおりになるということのようであります。  そこで、先ほど参考人として、審議会委員である安井七次君が意見を述べられたわけでありますが、あなたの場合は全国生産者代表として審議会に参加して、いま大臣の理解されたような答申に、これは全員一致でなされたようにわれわれは考えておるのですが、そうなると、まことにこれは農民を裏切って、審議会の中で去年同様でいいというような答申をなされたと断ぜざるを得ないわけですが、あなたの良心的な答弁を聞かしてもらいたいと思います。
  50. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕
  51. 草野一郎平

    ○草野委員長代理 速記を始めて。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 それではこの問題は理事会で十分取り扱いを協議してもらうことにして、岡田畜産局長にこの件について尋ねますが、たとえば酪農部会の委員の中で、いま大臣が述べられたごとく、昨年同様の労働区分による賃金評価でいいという趣旨で全員が答申された、あんたはそういうふうに理解をして大臣に報告をしたわけですね。特に生産者代表は、その場合にどういう態度であったかということは、あんたは直接おったから、はっきりしてください。
  53. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 大臣がただいまお話しになりましたことは、要するに一つ飼育労働につきまして、全部評価がえをすべきであるという意見と、なおそれについてさらに、昨年は一道六県の五人以上の製造業労賃をとっているけれども、それは全国のベースで考えるべきである、こういう意見生産者の代表から出されております。一方昨年の価格決定にあたりまして、一部飼養労働につきまして評価がえをいたしたわけでありますけれども、これは本来生産費主義でございますから、したがいましてさらに拡張すべきではない、こういう意見と両方がございました。いま大臣がおっしゃっいましたことは、その審議会で二つの意見があったということを申しておられるというふうに、私は理解をいたしたわけでございますが、そういうことでございます。
  54. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、先ほどの大臣のお話しとだいぶ理解の度合いが違うじゃないですか。あんたは政府の御用委員だけの、一方の意見しか大臣に伝えていないでしょう。大臣はその委員会に行っておらぬから、部下たち、局長の言うとおりに理解しておるのですよ。もう一つ意見は、昨年のように同一農業従事者である家族労働の中において、その作業によって労働を区分して、賃金の評価が異なるような計算というものは、これは他にあり得ないわけですよ。だから、これは、昨年は、それ以前の日雇い労賃から一歩前進したということはわれわれは認めたわけだが、いつまでもこれを続けるということは許されないわけですよ。だから、今年はやはりすっきりした一本立ての体制にすべきですね、自家労働については。たとえば、主要生産地の他産業並みということであれば、それを統一して評価がえをするということは当然じゃないですか。都合のいいことだけ大臣に言わないで、都合の悪い点も、やはりこういう意見がありましたと――では大臣から……。
  55. 西村直己

    ○西村国務大臣 私が、あるいは少しことばが足りないというか、誤解しておったかもしれません。むしろ私はその経過は抽象化されたものを拝見しましたが、その精神は、おそらくいろんな経緯で、生産者その他の方々から全労働を一緒に扱えという御意見、あるいは評価がえの場合に全国のベースで扱え、これらの意見の集約としてああいう集約された意見が出た。またこの場におきましても、皆さまのそういう御意見がかわされておる。それらは私、農林大臣としては、当時おられた方の気持ち、経過、同時にこの場で御発表なさいます意見等を十分検討して最終決定を下したい、こういう趣旨でございますことを御了承願いたいと思います。
  56. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたい点は、今回の政府の試算の内容を見ますと、昨年同様に労賃の対象としては、北海道、青森、岩手、山形、福島、長野、鳥取の一道六県のその地域における製造工業の五人以上規模の賃金というものを対象にして、これを各地域の生産乳量に基準を求めて、加重平均の計算をしておるように私たちは理解しておるわけであります。  ただ、ここで問題になるのは、北海道、岩手県等においては、一時間の五人規模以上の製造労賃が、北海道は二百円、あるいは岩手県が一時間二百二十円ということになっておりますが、それ以外の五つの県の場合には、非常にその地域の製造業の賃金水準は低い。そういうことになると、全国的な同規模の製造業の労賃水準に比べて、乳価を決定する場合の規模別賃金水準というものが、異常に低くなるということが明らかになっておるわけでありますが、こういう矛盾は、農林大臣におかれましても適切な判断のもとに立って、一番劣悪な条件で算定されておる五人規模の賃金というものを採用するという場合には、少なくとも全国規模の五人以上の製造規模労賃によるということが妥当であるというふうに考えますが、この点については大臣としてはいかようにお考えになっておるか、明らかにしてもらいたいわけであります。
  57. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 私から申し上げたいと思いますが、実は昨年飼育管理労働の一部を評価がえをいたしたわけでございますが、その際、一道六県の地域におきます五人以上の製造業労賃の平均というものをとったわけでございます。それはなぜそういう形にいたしたかと申しますと、御承知のように、酪農労働飼育管理労働中一部のものにつきましては、周年拘束性、熟練性があるというふうな観点から、都市労賃で評価すべきであるというふうな考え方に立ちまして評価がえをいたしたわけでございますが、その際、酪農家が酪農をやっていくかやめるかということを決意いたします労賃の水準というものは、当然、当該地域に実現をいたしております平均的な労賃が前提になるというふうに思われるわけでございます。そういうふうな意味から申しまして、全国ベースではなくてその地域の他産業労賃であるというふうに判断されますので、したがいまして、そういう地域の労賃をとったということにいたしたわけでございます。
  58. 芳賀貢

    芳賀委員 その点が問題なんですよ。農林大臣に聞いておるんですよ、いいですか。北海道においては二百七円三十銭、岩手県二百二十三円、これは二百円台ですから、大体全国規模と大きな違いはないわけですが、それ以外の青森においては百六十七円八十銭、山形県が百五十八円五十銭、福島が百七十九円三十銭、長野が百八十五円五十銭、鳥取が百四十六円三十銭、こういうことになりますと、全国規模の平均から見ると、その地域の民間の労賃水準というものは非常に低いわけですね。いま局長の言われたとおり、それぞれの地域において対応できる賃金ということになれば、このような政府の案によると百九十一円ということにしかならぬわけですからして、北海道、岩手等においては、同一地域の規模別賃金よりも非常に酪農家の自家労賃の水準というものは低いという、こういう具体的な矛盾が表面にあらわれてくるわけでありますからして、この点を是正するということになれば、やはりこういうような、単に原料乳の主要生産地域における純農村地帯の低い賃金水準だけを採用するということは、これはその地域の農業の発展の上から見ても逆効果になると思うんですね。それは大臣としてどう考えますか。
  59. 西村直己

    ○西村国務大臣 御存じのとおり、昨年評価がえという一歩前進した体制を、皆さんの御尽力でとりました。さらにそれを労働の質として全労でいくかどうかという問題と、もう一つは、ベースのとり方がその地域だけでは低過ぎはせぬか、したがって全国平均でやるべきじゃないか、こういう御意見。そこで先ほども申し上げましたように、審議会の経過におきましても、それぞれの立場からそういうような御意見も出、それからまたそれに違うような意見も出ておって、そうして抽象化されました答申がここに出ているわけでございます。そこで、私どもはこの答申答申として、経過等も十分考え、同時にこの場におきまして国会を通しての皆さんの御意見等もまたよく検討しなければならぬということで、承って私は処理をしたい、こういう考えでございます。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員 大臣の御都合がありますから、要点だけを大臣に先にお尋ねをして、詳細については畜産局長、他の政府委員にお尋ねをしたいと思います。  今回の政府の試算を見ますと、いわゆる牛乳キロ生産するために要した自家労働時間というものが、前年に比べて約百キロ当たり一時間減少しておるわけであります。昨年の場合には、四十一年度に対して大体一・二時間減少しておるわけであります。これはわれわれの立場から考えれば、百キロ牛乳生産する場合に投下された労働時間が、毎年のように一時間あるいはそれ以上短縮されておる。労働時間が短縮されれば、それが直ちに自家労賃の計算の中で、いわゆる生産者の所得の減退ということでこれはあらわれてきておるわけであります。前年とことしの労働時間の短縮というものは、これ前年対比で一二%労働時間が短縮になっておる。四十一年と四十二年対比では一四%労働時間が短縮されておる。このことは大臣も御理解できると思いますけれども、生産数量が変わらない状態の中で投下労働時間が短縮されるということは、これはすなわち労働生産性が異常に上昇しておるということを立証するわけであります。したがって、民間の規模別の賃金等を見ても、労働生産性の高い規模ということになれば、当然百人規模以上とか、千人規模以上ということになるわけであります。こういうふうな異常な労働生産性の向上に対して、それを単に農家の生産費を減少させるというだけの手段に用いるということは、これは誤りであるというふうにわれわれは考えるわけであります。この生産性向上部分というものは、当然農家の自家労賃の質的向上の中で正当に評価すべきであるというふうに考えるわけでありますが、農林大臣としては、これはどういうような理解で今回の決定に対しては取り組みなさるつもりであるか、お答えを願いたいわけであります。
  61. 西村直己

    ○西村国務大臣 これは御議論のあるところでございましょうと思います。時間がそういうふうに短縮されましたにつきましては、多頭飼育と申しますか、飼養頭数がふえてまいるというようなことから、こういうふうな計算が立っていくものと思います。米価につきましては、生産性のメリットの半分還元というのを昨年やっております。そういうような考え方も全然とれぬことはないのですが、御存じのとおり生産費主義でいくか、生産費並びに所得補償方式、そういうふうに発展していくか、それによって議論の分かれるところだと思います。われわれのいまの立場としては、生産費方式をとってこういうふうな計算を立てた、こういうふうに私どもの立場は御理解願いたいと思います。
  62. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの大臣のおことばは、米価の場合には、昨年から生産性向上部分のいわゆるメリットの配分というものを、米価決定にこれは勘案したわけですね。当時大臣は政調会長だったですね。そういう理解も持っておるし、これはあなたは政策的に取り扱ったわけだ。たまたま前自民党政調会長が、そういう認識のある人が農林大臣になって初めて乳価を扱うわけでありますから、その理論は、米には適用するが乳価には適用できないということにはならなぬと思うのですね。その点はどう考えておられますか。理論的にどう考えておるかということと、大臣の行政責任でその理論を実行に移す意欲があるかないかも、あわせてお答え願いたいと思います。
  63. 西村直己

    ○西村国務大臣 実は昨年も一昨年も、私、党におきましては政調会長でこの乳価決定に当たったことは事実でございます。米価決定に当たったことも事実でございます。ただ米とこの酪農、これは必ずしもすべてが同じように、同じ扱いをしなければならぬとまでは、私ども、まだ論を進めるにはいささか問題が幾つかあると思うのでございます。われわれとしては、少し研究の時間を与えさせていただきたいと思います。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員 これは四月一日までに農林大臣が告示なさるわけですから、まだ相当の時間的な余裕もあるわけですからして、四月一日までの告示に間に合うようにこの点は迅速に検討して、メリットをどういうふうに処理したかということは、これはあとでわかるわけですから、ここだけで逃げ答弁で大臣がお茶をにごされても、あとで農林大臣はけしからぬということになるわけですから、これは間違いないですか。
  65. 西村直己

    ○西村国務大臣 私の申し上げておりますのは、ただ時間的に研究の時間があるとかないとかそういう問題じゃなくて、やはりこれはそれぞれの畜産物あるいは農産物、これらの経緯とか、またいろいろな論が立つと思うのでございます。それらも十分勘案してみたい、こういうことでございまして、その点は米につきましても長い間いろいろな論議がありましたが、昨年度はああいう形になった。しかし酪農につきましては、一昨年あるいは昨年におきましてもまだ他の要素の分において改正を加えつつあるという段階でございますから、そこらについても十分勘案しながら最終の結論を得たい、これが私の考えであります。
  66. 芳賀貢

    芳賀委員 それではもう二点だけ大臣にお尋ねします。  その一点は、農林省の試算によると、ことしの乳価の中で、いわゆる政府から生産者に交付する生産者補給金の予定金額が、昨年は一キロ当たり五円六十銭、今年の場合は五円三十銭というふうに予定されておるようですが、前年よりも三十銭政府が負担すべき交付金の金額が減少されておる。おそらくこれはあとで自民党の顔を立てるために三十銭くらいふやして前年同様とする、その含みでこれはとってあるのかもしれませんが、しかし、政策的に毎年毎年前年同様の政府負担で済ませるというふうには、これは絶対考えられないわけでありますが、この点に対してどう考えておるかという点。  もう一つは、これは大臣に簡単には理解できないと思いますが、なま乳の生産費の中に占めるえさ代というものは、これは大きなウエートを占めておるわけです。このえさを二通りに分けて、一つは農家が購入したえさ代、もう一つ自分が飼料を栽培して、いわゆる自給飼料を使用したものと二つに分けておるわけでありまして、購入したえさについては、実績主義ですからこれは問題がありませんが、自分自給飼料として生産したえさに対してその位置づけですね、いわゆる価値の判断というものがまことに当を得ないやり方なわけです。いわゆる農業の日雇い労賃によってえさを栽培する農家の労働費を計上して、そのままのものをなまでこの自給飼料として計上しておるわけでありますから、その生産した飼料を市場で販売した場合の収益と、自分の家畜にこれを与えた場合の価格という面で、これは大きな懸隔が出るわけであります。   〔草野委員長代理退席、委員長着席〕 これは政策的に見ても、日本の濃厚飼料の八〇%は輸入に依存しておる。八百万トンをこえるえさの輸入を行なっておる。一方において政府の施策として、国内における自給飼料の増産計画を立てておるが、せっかく飼料を増産しても、その価値というものは、一般の経済作物の五分の一くらいで評価されるということになれば、進んで自給飼料生産をやるということは放棄されるということになるわけであります。これは単に乳価計算だけでなくて、わが国のえさ対策、農業政策全般から見ても、これを阻害するやり方というものが、農林省乳価計算の中にことしもあらわれておるわけでありますからして、これは非常に重大な点であります。したがって、この二点について大臣から明快な所見を述べてもらいたいわけです。
  67. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 第一点の御質問の点でございますが、これは一応先般審議会に提出をいたしました資料で明らかでございますように、基準価格等の上がりと、それから保証価格の上がりとの間には三十銭の開きがございますので、御承知のように金額は五円三十銭ということになるわけであります。これは、一応従来の考え方によりまして計算をいたしました結果そういうことになったわけでございまして、特に政策的な意図を持ってそういうふうにいたしたわけではないわけでございますので、その点は御了承をお願いいたしたいというふうに存ずる次第でございます。  それから、第二点の自給飼料と購入飼料の関係でございますが、御承知のように牛乳生産費は、酪農部門としての生産費計算をするというたてまえになっております。したがいまして、酪農の生産部門の中で、自分のところでできたものが投入される場合には、それは当然生産費計算いたしましてはじくということになろうかと私は思うわけでございます。配合飼料等は、もちろん購入飼料といたしまして自己の生産の中に投入いたしておるわけでございますが、これは外部から購入いたすわけでございますから、当然その費用が計上されるわけでございますけれども、生産費といたしましては、自分経営においてつくって生産に投入されますものは、当然牛乳生産費の中で、生産費として計算すべきものではなかろうかというふうに思っておる次第でございます。
  68. 西村直己

    ○西村国務大臣 いま局長の申しましたような考えでございます。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで農林大臣、もう一つお尋ねしますが、農家から販売されたなま乳を、いわゆる乳業会社がそれを原料にして乳製品を製造するわけでありますが、この主要な乳業会社で働く労働者諸君の平均賃金は幾らかということが、大体おわかりになりますか。たとえば森永であるとか、雪印であるとか、明治であるとか、あるいは巨大な食品産業の労働賃金がどの程度のものであるか。これは、政府がおきめになる指定乳製品指標価格の中に認められておるわけです。許容されておるわけですからして、この点は、他産業の賃金よりもなお密接な関係があるわけです。おそらく簡単に御答弁できないと思うので、私が数字を言いますから、それは間違っているとか、そうであるというふうに言ってもらえばいいわけです。  昨年度一年間の、いわゆる乳業会社に従事する労働者の平均賃金は、時間当たりについて二百九十五円ということになっておるわけです。先ほど言ったように、政府の試算は、牛乳生産する自家労賃は百九十一円。そうすると、一時間当たり百四円の賃金上の格差というものがありまして、乳業会社のほうは、指定乳製品価格の中に、会社のいうとおり全部その二百九十五円は認めておる。農民の生産に要した労働については、一時間当たり百四円も低いところの百九十一円しか採用しておらぬ。こういう点を、農林大臣はどのようにお考えになるか。率直なお感じになった点を、この委員会を通じて国民の前に明らかにしてもらいたいと思う。
  70. 西村直己

    ○西村国務大臣 数字のことでございますから、なお局長から御説明いたしますが、企業でございますので、あるいはそれぞれの企業によって違ってくるかと思うのであります。
  71. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 有価証券報告書で求めました乳業三社の平均基準内賃金は、二百十九円でございます。
  72. 足立篤郎

    足立委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  73. 足立篤郎

    足立委員長 速記を始めて。  神田大作君。
  74. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣がお忙しいようでありますから、私は時間を守って五、六分質問をします。簡単でいいですから……。  まず第一に、先ほども参考人にお尋ねしたのですが、畜産振興審議会を、三月三十一日の告示のまぎわにいつも開催して、そして資料の提出やその他についても不十分であろうし、それをまたこなすのに相当時間がかかるにもかかわらず、まぎわになって審議会を開いてやるということでは、公平な審議会の運営は私は期せられないと思う。また同時に国会といたしましても、この答申に基づいて質疑をやるのでありますが、三十一日は日曜でしょう。三十日にやらなければならぬということになると、きょう、あしたというような非常に短時間でなければできないというようなことで、これはまことに適当でないと思うのですが、大臣はその点についてどう考えますか。
  75. 西村直己

    ○西村国務大臣 早いにこしたことはないのですが、ただ生産費調査等の資料が、なかなかその時点でないと出てまいりませんので、こういうようなまぎわのことになっておるわけでございます。資料関係で、生産費その他の調査資料がどうしても正確なものを期したい、こういう結果から、少し時間が迫ってまいっておるというのが従来の例でございます。
  76. 神田大作

    ○神田(大)委員 それは言いわけにならぬです。そういうことは毎年やっておる。毎年毎年やっておることを、一年に一回審議会をやって答申しなければならぬということはわかっておって、それを資料がそろわぬですだの何だの、そういうことは言いわけにならぬから、大臣がもっとはっきりと、今度はそういうことじゃないように、十分な資料を集めて、十分な余裕をつくって審議会を開くということを言ったらいいでしょう。言いわけを言ったってしようがない。
  77. 西村直己

    ○西村国務大臣 ちょっと局長から御答弁いたさせます。
  78. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 毎年その年度の加工原料乳価格なり食肉の安定基準価格をきめるわけでございますが、それにつきましては、もちろん正確な資料を求めまして、翌年度の生産費その他の価格を推定いたすわけでございますから、やはり正確な資料が必要でございますことと、新しい資料を求めてやるということが必要になるわけでございます。したがいまして、そういうふうな関係から、大体三月の末になってまいるわけでございます。
  79. 神田大作

    ○神田(大)委員 新しい資料を求めることはそれは必要でしょう。しかしながら、審議に差しつかえたり、あるいは国会の審議に支障を来たすようなことでは困る。実際問題として、この委員会できょうしかもうできないということであれば、会軽視もはなはだしいことになるのであるからして、これはそういうまぎわな、きわどいようなことじゃなしに――資料はそろうわけです。そんなことは、それは言いわけにすぎないのだから、はっきりその点は答弁してください。
  80. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 おしかりを受けましてはなはだ恐縮に存じますけれども、実際われわれやっておりますものといたしましては、そういうふうな実態にございまして、前もってやるというふうなことはなかなかむずかしいわけでございます。
  81. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは今後も、やはり一日か二日しか国会には審議させないということですか。今後はどうなんですか。
  82. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 国会の御審議をいただかないためにというふうな考え方は、毛頭持っておりません。したがいまして、われわれとしてもできるだけ早くやりたいと思っておりますけれども、先ほど申し上げましたような事情もございまして、なかなかむずかしい点がございますので、御了承いただきたいと思います。
  83. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはこの次にまた質問します。  大臣に大事な点を申し上げますが、価格保証の問題でいろいろこまかい問題がありますが、飲用乳生産価格支持制度も、これは加工乳と同じように実施すべきであると私は考えるが、その点に対してどう考えますか。
  84. 西村直己

    ○西村国務大臣 その点は、市乳につきまして価格支持制度までまいるという考えは、いまのところ持っておりません。
  85. 神田大作

    ○神田(大)委員 近き将来において、これを考慮するという考えはありませんか。
  86. 西村直己

    ○西村国務大臣 いまのところそういう考えはございません。
  87. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、これはますます輸入を増加させ、還元乳を利用するということになって、生産者といたしましてもこれは納得のできない重大な問題でありますが、これらについて大臣は、近い将来においてこれを考慮するという考えがないとすれば、これはわれわれは生産者の団体の皆さんと連帯して、この問題を今後追及していきたいと思います。これは非常に理屈に合わぬことです。加工乳だけは生産価格の保証をする、飲用乳であるからこれはほおっておく、こういうことは、これは不公平もはなはだしいことであって、しかも、今後日本の酪農を衰微させるもとであると考えますが、いま一度この点について御答弁を願います。
  88. 西村直己

    ○西村国務大臣 私どもの考えを申し上げますと、生乳の生産者と乳業メーカーとの間の交渉で、需給の実勢に応じて妥当な水準で取引されることがきまっていくというふうに考えているわけであります。したがって、価格支持ということはいまのところ考えておらない、こういうわけでございます。
  89. 神田大作

    ○神田(大)委員 飲用乳について、野放しで政府は見ておるということですか。
  90. 西村直己

    ○西村国務大臣 いまのところ、私のほうとしては両者の交渉の推移をながめていきたい、こういう考えであります。
  91. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはたいへんなことだ。去年は指導といいましたか、指示といいましたか、業者生産者との話し合いに対しまして、政府はある程度の価格の指示を与えてこれを指導したと思うんですが、去年のことよりもこれは後退するわけです。野放しにやらせる。これは聞き捨てならぬことだと思いますが、畜産局長はこの問題をどう思います。
  92. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、昨年乳価の改定が行なわれるに伴いまして、メーカーの卸価格なり消費価格の改定が行なわれたわけでございます。その際に農林省といたしましては、価格の形成に対しまして指導を行なうということは、いたさないということを明らかにいたしたのであります。本来市乳につきましては、地域的な需給の実勢に応じて価格形成か行なわれるというたてまえになっております。そういことで各地域において価格の差もございまして、これを一律に何らかの方法を考えてやるということは、なかなかむずかしい問題でございます。そこで、現在、来年度の乳価につきましてメーカーと生産者との間で交渉が行なわれておるわけでございます。私たちとしましても、この問題については非常に関心を持っておるわけでございます。両者の交渉の推移を見ながら、これについてわれわれとしても両者の話し合いがつくことを希望いたしますし、そういうことにつきまして援助はいたすつもりでございます。
  93. 足立篤郎

    足立委員長 神田君に申し上げますが、参議院のほうで、法案採決のために農林大臣出席を強く求められておりますので、簡単にお願いいたします。
  94. 神田大作

    ○神田(大)委員 それではこの問題はあとで御質問申し上げましょう。  最後に豚肉買い上げでございますが、いま上肉しか買い上げの対象になっておりませんが、中肉等を買い上げなければ効果はあがらないと思いますが、大臣はこの点についてどう考えますか。中肉の買い上げをやるかやらぬか。
  95. 西村直己

    ○西村国務大臣 局長から答弁させます。
  96. 神田大作

    ○神田(大)委員 大臣答えなさい。これは豚肉価格の一番の問題点なんだからね。
  97. 西村直己

    ○西村国務大臣 中肉を買い上げるかどうかという問題につきましては、研究はしてまいります。しかし、いまのところすぐこれを実行に移すというところまでは、まだまいっておりません。
  98. 神田大作

    ○神田(大)委員 それでは、あとでこの問題につきまして引き続いて質疑をいたしたいと思いますが、芳賀君の質疑が終えてから行ないます。
  99. 足立篤郎

    足立委員長 本会議散会後再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時五十五分休憩      ――――◇―――――    午後二時五十一分開議
  100. 足立篤郎

    足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について質疑を続行いたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員 農林省に質問をする前に、労働省から出席をされておりますので、関連する問題についてお尋ねいたします。  午前中に農林大臣に質問したわけでありますが、今回の加工乳の価格をきめる場合に、一番必要になる関係道県の賃金の問題でありますが、この際労働省のほうから、北海道、青森県、岩手県、山形県、福島県、長野県及び鳥取県の、一道六県における民間製造業の五人以上規模の賃金の実態がどういうふうになっておるかという点について、五人以上と三十人以上、百人以上の三様の規模別賃金について説明をしてもらいたいと思います。あわせて全国規模の同様の三段階における賃金状態がどうなっておるか、その点についてお尋ねいたします。
  102. 葛西嘉隆

    ○葛西説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の点でございますが、私ども労働省でやっております毎月勤労統計によります賃金でございますが、全国につきましては、四十二年まですでに規模別に出ておりますが、都道府県別になりますと、現在集計中でございまして、若干数字が古くて恐縮でございますが、四十一年の年間平均の数字で申し上げたいと思います。  四十一年の一年間の平均月間給与でございますが、製造業の全国の平均給与総額が四万五百十円でございます。月間の平均の総実労働時間は口九十三時間でございますので、この時間で総額を割りますと、一時間当たりの単価が二百九円八十銭、これが製造業の全体の、三十人以上の規模の単価でございます。同様にいたしまして、これを五人以上について計算いたしますと、一時間当たり百九十四円八十銭と相なります。これが五人以上の単価でございます。  それから、御指摘のございました一道六県につきまして申し上げますが、これはやはり、いずれも三十人以上の規模でございます。まず北海道につきましては、一時間当たり百九十円二十銭、それから青森県が百五十八円四十銭、岩手県が百九十九円十銭、山形県が百五十一円二十銭、福島県が百七十三円ちょうど、長野県が百六十八円九十銭、鳥取県が百三十五円二十銭、これはいずれも三十人以上の規模の賃金でございまして、全国平均の二百九円八十銭に対応するものでございます。なお、百人以上の規模でございますが、これは実は製造業全体の、しかも全国のものしかとってございませんが、先ほど申し上げました全国の三十人以上が二百九円八十銭でございますが、百人以上だけをとりますと、これが概算いたしまして二百二十四円と相なっております。なお、都道府県別のはちょっと規模別の区分をいたしておりませんので、ただいま申し上げましたのは全国の数字でございます。
  103. 芳賀貢

    芳賀委員 ただいまのは昭和四十一年と言われたわけですが、その後の賃金の上昇係数等を用いた場合、四十一年に対して民間産業の賃金上昇率は、四十二年一年間で大体どのくらいになっていますか。
  104. 葛西嘉隆

    ○葛西説明員 大体概算でございますが、年間に一〇%と見ていただければよろしいと思います。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは四十一年度規模別賃金に、大体一〇%プラスしたもので大きな狂いはないということになるわけですか。
  106. 葛西嘉隆

    ○葛西説明員 はい。
  107. 芳賀貢

    芳賀委員 畜産局長にお尋ねしますが、いま労働省の雇用統計課長からお聞きのとおりの説明があったわけですが、全国規模の賃金については、昭和四十二年も明らかになっておるわけですが、地方については、四十二年度の分は明確になっておらないという点と、もう一つは、この五人以上規模の賃金実態が、労働省の毎勤統計においても把握してないというお話でありましたが、しからば農林省としては、算定の要領を見ますと、労働省の毎勤統計に基づくということが書いてありますが、五人規模をどのような方法で計算されたか、その計算内容についてお尋ねいたします。
  108. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 一道六県につきましては、三十人以上の規模につきましては、労賃が十一月まで出ておるわけでございます。そこで、三十人以上の規模と、それから五人以上の規模につきましては、全国の数字がございますから、その格差を一道六県の三十人以上の規模の労賃にかけまして、それで五人以上の労賃に換算と申しますか、推定をいたしております。その数字を使っておるわけでございます。
  109. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、労働省の五人規模以上の一道六県の賃金水準ではなくて、農林省が独自に計算を行なって、五人規模の賃金を得たということになるわけですね。
  110. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 労働省から出されております毎勤統計を使いまして、それで最近の五人以上の規模の労賃を一道六県について推定をいたした、こういうことでございます。
  111. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、その推計は農林省独自の判断でやったということですね。
  112. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 五人以上のがわかりませんので、それは独自に推定をいたしておるということになります。
  113. 芳賀貢

    芳賀委員 把握しがたい五人以上を、どういうわけで農林省は毎年無理をして把握しておるわけですか。三十人、百人というのはこれはもう明らかになっているわけだが、捕捉できない五人規模というのを、無理に求めるというところに問題があると思うのですね。
  114. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 労働評価がえをいたします場合に、どのような規模を適用したらいいかということは、一つの問題であると思います。ただ、比較的経営規模の小さい酪農が非常に多いという現在の状態から考えまして、五人以上の規模評価がえするのが適当であるというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、統計調査部にお尋ねしますが、きょうはだれが来ていますか。――それでは、統計調査部が来るまで局長にお尋ねします。  今回の頭数規模別による生産費並びに生乳の生産量の問題ですが、頭数規模別ということになれば、何を対象にしたかを明確にしてもらいたい。たとえば、一戸当たりの乳用牛の飼養頭数による規模別であるか、生乳を生産する一戸当たりの搾乳牛の飼養頭数に基づいて規模生産費規模別の生産量というものを把握したかという点であります。これは、いずれも一戸当たり規模というものは同一の対象でなければならぬと思うわけであります。だから、飼養頭数でいくということになれば、いずれも飼養頭数の規模別によらなければならぬし、搾乳牛のみの対象ということになれば、生産費生産量も搾乳牛に基づくということになると思うわけですが、この点はどういうことになっておりますか。
  116. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 搾乳牛頭数に基づきましてやっておるわけでございます。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、頭数規模別の生産費を出す場合は、一戸当たりの乳用牛の飼養頭数の中の搾乳牛だけを対象にした規模生産費ということになるのですね。したがって、頭数規模生産量ということになればもう明快でありまして、搾乳できる、いわゆる乳の生産を現在行なっておる乳用牛だけについてということになるので、局長の言われたとおりであるとすればわれわれも常識的にわかるわけですが、それに間違いないですか。
  118. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 誤解がないように申し上げておきますけれども、搾乳牛という場合には乾乳牛も一応入った搾乳牛という意味でございます。したがいまして、年間の調査をやっておるわけでございますから、その間に乾乳のものがいるわけでございます。しかし、それも含めまして搾乳牛としての扱いをいたしておるということでございます。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員 いま乾乳牛といわれたのは、一年十二カ月のうち通年的に搾乳ができない、たとえば十二カ月のうち十カ月とか、三カ月だけ搾乳できるというものも搾乳牛頭数に入れてあるという意味ですか。
  120. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 いや、普通二カ月でございますとか乾乳期間というのがございますね。そういうものがつきまして一年間継続して生産費調査をやるわけでございます。したがいまして、その間の期間は乾乳期間というものが生ずるはずでございます。そういう乳牛も含めまして、搾乳牛ということで頭数を計算しておるわけでございます。
  121. 芳賀貢

    芳賀委員 調査対象の一年間の期間内に、必ず乳の生産が行なわれる牛でしょう。そうじゃないですか。
  122. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 そういうことでございます。
  123. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、搾乳牛規模別ということになればどういうことになるのですか。たとえば一、二頭とか、三、四頭とか、五頭とか、七、八頭という規模別があれは――私の承知しておるところでは、二月当たりの乳用牛の飼養頭数に比較して搾乳牛割合は、大体その飼養頭数の二分の一ということになるわけですね。ですから、八頭飼養している場合には搾乳牛は四頭程度、十頭規模の場合には搾乳牛五頭ということになるわけです。ですから、規模の段階が非常に低いということになるわけですが、今回の調査規模は、搾乳牛によるところの規模別のどの程度の段階になっておるか、その点を明確にしてもらいたい。
  124. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 一道六県の総搾乳牛頭数を戸数で割りますと、平均一戸当たりの搾乳牛頭数というのが出てくるわけでございます。
  125. 芳賀貢

    芳賀委員 では、この点は統計調査部が来てからもう一度お尋ねしたいと思います。  そこで、労働時間の問題は午前中申し上げましたが、これを四十一年、四十二年、四十三年というふうに比較いたしますと、相当労働時間の減少が目立っておるわけであります。たとえば米価の算定の場合は、十アール当たりの投下労働時間がやはり減少傾向にあるわけでありますが、前年度の労働時間だけを採用する場合においては、労働時間の適正な把握あるいは自家労賃の算定に大きく変動が生じやすいということを顧慮いたしまして、稲作の労働時間の場合には、過去三年間の平均の十アール当たりの投下労働時間ということでやっておるわけです。ですから、これが価格面に反映する場合に大きな変動はないわけですが、生乳の場合には前年度の労働時間をなまのまま持ってくるということになるわけでありますから、ここに問題があるわけです。これを政府側から見れば、前年度の生産性の向上部分を労働時間の短縮ということで計算すると、どうしても生産費が低減するわけですから、政府にとっては都合がいいかもしれぬが、これは政府が一方的にそういう独断的な計算をすべきでないと思うわけであります。同じ農林省が、稲作の場合は過去三年間の労働時間の平均ということでやっているわけですし、乳牛の場合にも、若年労働時間の面で非常に変動が多いわけですから、これはやはり少なくとも三年間の平均労働時間ということでされたほうが、基礎として非常に安定するのじゃないかと思いますが、これはどう考えておりますか。
  126. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 私が申し上げるまでもございませんが、稲作と違って、酪農につきましては技術がまだ非常に未発達な点もあるわけでございます。それから経営規模につきましても、比較的まだ小さいという状態でございまして、安定はいたしておらぬ、非常に流動的な状態にあるわけであります。合理化を相当進めなければならぬというふうな段階でございます。毎年急速に生産労働が減少いたしておるわけでございますけれども、やはり相当合理化を進めていかなければならぬというふうな段階でございますので、われわれとしましては、毎年その年の労働時間をとったほうがいいんではないかというふうに実は考えているわけ一でございます。
  127. 芳賀貢

    芳賀委員 たとえば、昭和四十年の統計調査部の調査によりますと、百キロ当たりの投下労働時間が十時間、四十一年は八・八六時間、四十二年が七・六四時間、四十三年が六・七八時間ということになっておりますので、四十三年、四十二年の比較では約〇・九時間でありますが、それ以前はいずれも一・二時間あるいは一・一時間というような時間の短縮が行なわれておるわけであります。したがって、これらの急激な労働生産性の向上というものに対して、農林省が何ら賃金上の配慮をしないということになれば、生産性の向上努力というものは、農民にとっては、むしろ非常にマイナスの作用を与えるということになると思うわけであります。したがって、この点は価格算定上非常に大事な問題ですからして、私の言うのは、単年度主義でなくて、少なくとも過去三カ年間の平均ということになれば、安定した労働時間の推移というものが掌握できるわけですからして、長い目で見ても、そのほうが政策的にも妥当な措置であるという、ふうに考えるわけです。  しかし三年平均をとれば、当然若干の時間数がふえますからして、その分だけ農家の自家労賃がふえるということになるわけですから、あくまでも農林省がそれをおそれるということになれば、これは理論的に局長が同意しても、財政上の理由、あるいは政策的に乳価を押えるということになれば、それは効果を発揮できない。ここが分かれ道だと思うわけです。ですから、この点は農林大臣はしろうとで全然何ら自主的な答弁ができなかったわけですが、これはできれば安倍さんから、政務次官から責任のある答弁ができればやってもらうし、無理であれば、局長政府委員ですからして、しいてとは言いません。
  128. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 いまの芳賀先生の御議論は、一つの議論だと思っております。農林省がいまやっておるやり方とは、考え方の相違はあると思いますけれども、将来の問題として考えていかなければならぬことじゃないかと私は思っております。
  129. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、午前に話しました主要労働時間の中で付随労働時間というものを区分しているわけですが、これは先ほども言いましたとおり、昨年の場合には、日雇い労賃から他産業の均衡労賃に大きく前進したわけですからして、そのごく一部の付随労働時間の評価等について、われわれとしても神経質に触れなかったわけです。昨年の価格決定の方式については、これはほめるわけじゃありませんが、岡田局長の努力というものはわれわれとしても認めておるわけであります。しかしそれにもたれて、二年も三年も同じことでやるということは、これは前進がないわけですからして、昨年のことはいいといたしましても、ことしはわずか一時間余の問題ですからして、これは当然一本の評価にして、すっきりしたものにすべきであると思うわけです。これを行なっても、大体百キロ当りで九十八円くらい、ですから一キロにすると一円ですね。付随労働を主要労働のほうへ統一した場合も、価格上から見ればキロ一円程度の差にしかならぬわけですからして、このくらいのことは自民党政府としてもできると思うわけですが、いかがですか。
  130. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 この点につきましては、先ほども申し上げましたように、審議会に出しましたものにつきましては従来の考え方で算定をいたしておるわけでございます。その際にも申し上げましたように、昨年とりました考え方があくまで生産費主義としての生産費計算である、こういうことでございまして、その労働の周年性、拘束性、熟練性、こういうふうな三つの条件に該当いたしますものにつきましては、これは五人以上の製造業の労賃に評価がえをしてもいいではないか、こういうふうな判断でやったわけであります。したがいまして、そういうふうな点につきましては、現在も特に考え方は変わっておらないわけでございますけれども、先ほど大臣が申されましたように、答申もございましたので、答申につきましてさらに検討さしていただきたい。大臣も申されたことでございますし、私たちといたしましても、さらに検討はいたしてみるつもりにはいたしております。
  131. 芳賀貢

    芳賀委員 それではいまの局長のおことばを信用して、昨年ほどの努力は要らぬわけですからして、いま一段と努力をして、今年度の価格決定の場合にこれをすっきり統一してもらうということで、これを期待しておきます。  それからもう一つ、時間短縮と賃金の上昇の関係でありますが、自家労賃については、先ほど労働省の担当課長の言われたとおり、四十一、二年の上昇率が一〇%ということで明らかになったわけであります。ところが、時間短縮のほうは昨年とことしで一二%違う、四十一年、四十二年で一四%違うということになれば、自家労賃のほうで一〇%アップが行なわれるとしても、労働時間の短縮によって一二%ないし一四%所得が減退するということになるわけですからして、差し引きずると生産性の向上努力によって、むしろ受け得べき労賃というものは、昨年は千二百五十四円、今年は千二百五円でありますから、差し引き百キロ当たり四十九円減少するということになるわけです。ですからこの点は、繰り返すようですが十分検討を加えて、先ほどの付随労働を整備するという問題、あるいは生産性のメリット部分に対する生産農家に対する還元率をどうするかということについては、大臣のおことばにもありましたが、一段とこれを詰めて、全国生産者の期待にこたえるようにしてもらいたいと思います。  それから、もう一点大事な問題ですが、生産費におけるえさの問題です。これはわれわれとして絶対に了承できない内容であります。購入の飼料については実績主義でやっておるわけですが、自給飼料については――自給飼料というのは飼料作物ですね。生産農家が生産する飼料作物の飼料としての評価について、これは何ら評価がえが行なわれてないわけですが、この点は、この機会に明確にしてもらいたいと思います。  時間を省略する意味で、北海道の札幌、北見、函館、帯広の統計調査事務所が、昭和四十一年、二年にかけて「北海道農林水産統計年報」を発刊しておるわけです。この中に昭和四十一年産の自給飼料費用価のいわゆる生産費の方式によるものが出ておるので、これを私が一応読み上げます。このままの価格を畜産局長が採用しておるわけですから、自給飼料費として妥当であるかどうかということを判断してもらいたいと思います。  まず、なま牧草のうちのチモシーについては、十アール当たり生産量が二千七百七十四キロ、つまり二・七トンということになるわけですね。これの百キロ当たりの単価が八十四円、一キロにいたしますと八十四銭ということになるわけであります。そういたしますと、この単価によりますと十アール当たりのチモシーの価格というものは二千三百円ということにしかならぬわけですね。なま牧草であるチモシーを栽培して、それが農林省の単価によりますと、十アール当たり価格にして二千三百円の粗収入しかないということになるわけですね。これをそのまま今年度の場合においても自給飼料として計算しておるわけであります。ですから十アール二千三百円、一ヘクタール、一町歩二万三千円。十町歩の十ヘクタール栽培いたしましても、これでいうと二十三万円しか牧草栽培によるところの粗収入はない、こういうまことに常識で理解に苦しむような数字が実はできておるわけであります。  次に、青刈り作物の一番用いておりますところのデントコーンにいたしましても、十アール当たり生産量が四千百二十六キロ、この百キロ当たりの単価が百五十七円ですから、一キロ一円五十七銭、十アール当たりが六千五百円ということにしかならぬわけであります。おそらくこのような収量の上がる畑の場合においては、バレイショを栽培すれば五十俵を上回る十アール当たりの反収があるわけでありますから、そういうものと比較した場合において、同じ経済作物をつくった場合、バレイショの場合には、一俵五百円にすれば五十俵で二万五千円、自給飼料であるデントコーンを栽培した場合の農林省価格算定は六千五百円ですから、ちょうど四分の一にしか認められていないということにこれはなるわけであります。  それから種実類ですね、穀物として自給飼料をつくった場合の実例としては、トウモロコシは十アール出たり三百八十六キロです。六十キロ一俵にいたしますと、六俵半の高収穫をあげておるわけでありますが、百キロ当たりの単価は二千百六十三円ということにしかならぬわけでありますから、これも一般に農作物として生産したトウモロコシの生産地における販売価格と、なま乳を生産するために農家が自給して用いる場合との価値の差というものは、あまりにもかけ離れておるということになるわけであります。  さらに燕麦の場合には、十アール当たり二百六十六キロ、百キロ当たり単価千八百円、一キロ十八円にしかこれはならぬということになるわけであります。これらはいずれも、トウモロコシは十アール八千円の収入しかない。燕麦の場合には四千八百円の収入しかないということになるわけであります。私は北海道で組合長をやっていますから、米麦はもちろんでありますが、あらゆる畑作農産物の産地における販売価格というものは、一応頭の中に持っておるわけです。ですから自給にしろ販売にしろ、農家が飼料作物として生産したそのものの価値というものは、自給したからそれが四分の一の値しかないというものではないと思うのです。  たとえば、極端な例になるが、隣の酪農家がこのような飼料作物を栽培しておる。自分の牛にこれを給与すれば四分の一の非常に安い価格でしか認められないが、それを隣の酪農家に販売した場合には、四倍の価格で売れるということになるわけです。そういう場合には、これは計算上からいうと購入飼料ということになるわけですね。ですから、自給にした購入にしろ、同一の牛に与えるえさというものに対しては、その価値に変わりはないと思うわけです。単に価格を下げるということだけに専念して、せっかく酪農家が自給飼料生産に一生懸命努力する、政府が巨費を投じて草地の造成や開発をやるその成果というものが、価値的にこういうふうな無価値にひとしいような状態でこれが乳価に還元された場合に、むしろ大きな損失やらマイナスを招くというような、そういう国内における飼料の生産というものに対して、この価格問題と離れて、一体農林省としては、政策的にえさ対策の面から見て、あるいは国内における自給飼料増産対策の面から見て、これをどう考えるわけですか。
  132. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいまお話のございました点でございますが、現実に配合飼料等の購入飼料に依存しますよりは、自給飼料によって給与したほうがやはりコストが安くつくということで、合理的な経営が行なわれる、こういうことで現在の自給飼料の増産、革地の造成ということを進めておるわけでございまして、したがいまして、当然私は安くついておる、こういうふうに思うわけであります。  そこで、生産量の問題といたしましては、そういった他に対する交換価値が具現されるものは別でございますけれども、そうでないものは、やはり自分のところで生産したものは、その生産費に基づいて考えるというのが、その部門別の生産費計算としては当然と申しますか、そういうことであるべきではなかろうかというふうに思うわけでございまして、外部から購入いたしましたものは、もちろん購入としてそれは生産費の中に組み入れられるものでございまして、自分経営でできたものまでその他の交換価値と比較いたしまして評価するということは、いかがなものであろうかというふうに考えているわけでございます。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員 あなたは当然だというのですか。いいですか、普通の畑地で牧草や、あるいは青刈りの飼料、あるいは種実の飼料を栽培して、この計算からいうと自家労賃の場合にはニコヨン労賃ですからね。一日九百円程度なんですよ。だから、同一の酪農家が飼料生産をする労働をやった場合には、他産業のちょうど二分の一の労賃の評価しかこれに認めさせない。そういうような不当な、社会に通用しない低い労賃のままで、なまのままで、それを自分飼育する乳牛に給与しておるんだから、そのままであたりまえだというようなことは、畜産局長でなければいいですよ。畜産審議会の御用学者とか御用評論家がそういうことを言うのであれば私はとがめないが、いやしくも日本の畜産行政を直接担当しておる岡山君自弁が、そういうことをあたりまえだとか、当然だと言うのは、これはわれわれとして絶対了承できないですよ。いいですか、このような飼料作物を生産した場合の十アール当たりの値というものは、計算上先ほど言ったとおり二千三百円、あるいは最高で八千円程度しか粗収入が上がらぬわけです。それ以外の作物を生産すれば、反当二万あるいは三万円の収益が上がるということになれば、どう計算しても、自給飼料生産して自分の牛に与えるということが、これは農業経営上から見ても、作物の栽培上から見ても、最も不利益なやり方だということになるじゃないですか。そういうことをやっているから、毎年毎年外国からの輸入飼料の割合がふえて、ほとんど日本の畜産というものは、外国の農民の生産したえさをわざわざ買ってきて、そうして家畜に与えなければ畜産ができない、酪農ができないという、そういう状態にこれはなっているんですよ。  あなた、外国の飼料政策を見てみなさい。アメリカにしても、ヨーロッパの農業国においても日本のように外国からえさを買うということを避けて、できるだけ自給度を高めるためにどういうことをやっているかというと、同じ畑に有利な経済作物を栽培した場合と、不利な飼料作物を栽培した場合の十アール当たりの販売価格上の差額というものを計算して、十アール当たり飼料作物のほうが反当一万円不利益であるとか、そういうことになれば、その一万円の格差というものを政府が飼料増産の奨励金として生産者に与えて、他の販売業の経済作物をつくっても自給の飼料作物をつくっても、収益の面では変わりがないというような、そういう重厚な政策というものを講じておるから、外国では月分の国で必要な飼料の自給度が高まっておるということになるわけです。畜産局長のような言辞があたりまえであるというようなことで、わが国の畜産政策や飼料政策が進められるならば、これは数升ならずして、自給飼料生産する者は全然皆無ということに当然なるのですよ。  ですから、繰り返して言うようですが、ただ当面の価格だけを下げるということに専念して、あらゆる対応すべき政策を犠牲にするというようなやり方は、これはとるべき政策でないということを指摘しておるわけです。時間がありませんから、この点に対して、将来に責任を持てる明確な答弁をしておいてもらいたいと思います。
  134. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 私が申し上げましたのは、あるいはことばが足りなかったかもしれませんけれども、生産費計算いたします場合には、自己の経営におきましてつくられたものを乳牛に給与する場合には、それはやはり生産にかかった費用が幾らであるかということで計算するということになろうかと私は思っておるわけでございます。  そこで、やはり合理的なできるだけ安く経営ができるような措置を講じなければならない、できるだけ購入飼料に依存しなくてもよろしい経営をつくる、こういうことで、一方では草地開発でございますとか、あるいは自給飼料作物の増産ということに助成をいたしまして、努力をいたしておるわけでございまして、私は、価格を下げるためにそういうふうな計算を故意にいたしておるというふうには考えておらないわけでございまして、やはりかかったものにつきましては、正当な費用計算すべきであるというふうに思っておるわけでございます。
  135. 芳賀貢

    芳賀委員 では終わります。
  136. 足立篤郎

    足立委員長 神田大作君。
  137. 神田大作

    ○神田(大)委員 先ほど飲用乳に対しまして、いわゆる指標価格というものをつくるかということに対しまして大臣から、いま考えてないということでありますが、これはいますぐそれをやれということではなしに、日本の酪農振興上これは非常に重大な問題でありますので、これらにつきまして、畜産局長からいま少し詳しい御説明を願いたい。そうでない限り日本の酪農は、外国の輸入品によって圧倒されていくおそれがあると思うので、私は酪農振興をする上において、ぜひ近い将来においてこれを考慮しなければならぬ問題であろうと考えますので、お尋ねを申し上げます。
  138. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 飲用牛乳の問題でございます。飲用牛乳は、現在、御承知のように、自由な市場価格のメカニズムの中で価格形成が行なわれるようになっております。生産者とメーカーが話し合いをしまして価格がきまるということになっておるわけです。   〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕 地域的な需給によりまして価格形成が行なわれております関係から、地域によりまして、必ずしも実現しておる価格が同一ではございません。たとえば、東京の場合と北海道の場合と比較しましても、市乳の価格というもの、生産者に支払われる価格というものはかなりの相違があるわけでございます。  そういうふうに地域的な需給によってきまってくる価格であるということと、もう一つは、たとえば何らかの形でこれに対する安定をはかるというふうなことを考えましても、乳製品等でございますと、やはり指標価格というものによりまして安定させる。そのためには、需給の操作をするということによってできるわけでございますけれども、市乳につきましては、そういう乳製品のような価格に対する操作措置をとるということは、非常にむずかしいわけでございます。そういう意味から、これに対しまして何らかの形をとるということはきわめてむずかしいと、従来からもいろいろ検討はいたしたわけでございますけれども、なかなかむずかしいということで現在に至っているわけでございますが、しかし、市乳の価格形成が適切に行なわれるということは望ましいことでございますので、今後ともそういう問題につきましては、われわれといたしましても検討すべき問題ではあると考えておるわけでございます。
  139. 神田大作

    ○神田(大)委員 地域的に非常にむずかしい問題ではありますけれども、必ずしも不可能なことではない、こういうように私は考える。  また飲用乳に対しまして、加工乳のような補給金を支払うというような、そういう制度についてどのようにお考えになっておりますか、お伺いします。
  140. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 補給金を払うというふうなことになりますと、卸売り、小売り価格の統制というようなことが当然伴うわけだろうと思いますけれども、それにしても乳価水準がそれぞれのところで違いますから、これに不足払いをするということは、はなはだむずかしいことであるというふうに私は考えております。
  141. 神田大作

    ○神田(大)委員 現在における日本の酪農の不振な状況からいたしまして、この飲用牛乳に対しましても何らかの施策を施さない限り、なかなかこれは振興できない。そういう意味合いにおいて、私は指標価格の問題であるとかあるいは補給金の問題等についても、真剣に考えるときが来たのではないか、こういうように考えますので、政府におかれましても、ひとつ十分考慮してもらいたいということを申し上げます。  次いで還元乳のことでございますが、市販されておるところの牛乳の中に、相当の脱脂粉乳等がまざっておるといわれておりますが、この点について、その後どのような調査をいたしたかお尋ね申し上げます。
  142. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 還元乳につきましては、私たちの調べたところでは、大体総生乳の飲用向けに供給されましたものに対しまして八%弱であるというふうに推定をいたしております。御承知のように、一つは、従来のわが国の酪農の状態を見てみまして、やはり夏はかなり一般の消費が多い、しかし冬は減ってまいるという点があるわけです。ところが生産につきましては、夏は暑いために乳牛の乳量が下がってくる、しかし涼しくなってまいりますと乳量がふえるということで、生産と需要との関係にアンバランスがございます。そういうふうなことから、余乳がありますものを乳製品にいたしておきまして、それを足りない場合に還元乳に転化するというふうな形態が行なわれておるわけでございます。そういう意味から、季節的な需給の調整をするという意味におきましては、還元乳というものは、私は必要なものだというふうに考えております。  ただ、還元乳がどんどんふえますということは、一つは生乳の供給が不足をしているというようなことによる場合が、最近は特に多いように思われるわけであります。したがいまして、一般の消費者に新鮮な生乳を供給するというふうなことが望ましいという趣旨からいたしますと、できるだけ生乳の生産を増加して、一般に供給をふやすということによって、だんだん還元乳にかえていくというふうなことを考えなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  143. 神田大作

    ○神田(大)委員 八%程度還元乳になろうというが、これはどのような方法でお調べになったかお伺いいたします。
  144. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 要するに、飲用乳として幾ら供給されたかということと、それから、それに対しまして供給されましたなま乳が幾らであるかということで計算をいたしますと、そのギャップというものが、要するに還元乳として使用されたものである、こういうことになるわけですから、一応推定はできるわけでございます。
  145. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは過般の予算委員会における中村君の質問に対しましては、六%程度というように畜産局長は答弁しておる。今度は八%というような答弁をしておるが、まだ一カ月とたっていないのに、どうも根拠のないような答弁であると思うが、これを正確な資料を本委員会に提出をして、そしてこれら還元乳の状態をはっきりと把握してもらいたいと思います。その違いはどういう違いですか。
  146. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 予算委員会中村先生のお話がありましたときに、私も答弁いたしたと思うのですけれども、おおむね七%程度と私はお答えをしたつもりでおるわけでございます。十八万一千トンというものが還元乳として加えられたものであるというふうに考えておりまして、これが八%弱になるわけであります。したがいまして、下から申し上げましたのと上から申し上げましたのとの違いでございまして、実際異なっておるようには考えておらないわけであります。
  147. 神田大作

    ○神田(大)委員 さっきの還元乳の数字的資料お願いしたいと思います。
  148. 熊谷義雄

    ○熊谷委員長代理 では、資料の提出をしてください。
  149. 神田大作

    ○神田(大)委員 それで還元乳となま乳の区別をするために、還元乳であれば還元乳、あるいはなま乳であればなま乳というように、牛乳に表示をすべきであるということをいわれておりますけれども、これは価格の面においても、なま乳の場合と還元乳の場合は違うと思うのです。それが何%入っておるかわからぬのに、ただなま乳の価格でもって売っておるということは不当であると思いますが、その点についてはどうです。
  150. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいまお話の点につきましては、従来普通牛乳のほかに、たとえばデラックス牛乳でありますとか、スーパー牛乳でありますとか、いろいろな名前をつけまして加工乳として売っておったわけです。そこで、なかなか区別がつきにくい問題もあるわけでございますから、やはり表示を明らかにして、それで普通牛乳は普通牛乳、加工牛乳は加工牛乳として市販をしたほうがよろしい、こういうことになりまして、先般乳業者と公取との間で話し合いがつきまして、それで公正取引規約をつくりまして、はっきり表示をいたすことになったわけでございます。私は、そういうふうに内容の表示を明らかにいたしまして、牛乳の消費がどんどん伸びていくということが、最もよろしいというふうに考えておるわけでございます。
  151. 神田大作

    ○神田(大)委員 それは、表示をするのはすることに決定したということであれば了承いたしますが、それでは、価格の問題については局長はどう考えますか。還元乳が入った牛乳に対する価格の点について、これを野放しにしておくつもりですか。
  152. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先生御承知のように、いま市乳価格につきまして、普通牛乳につきましてもそれから加工牛乳につきましても、政府価格の統制をいたしておりません。自由に形成される価格だということになっておりますので、われわれがそれに対して、幾らであるべきかということを申し上げることはできないわけであります。ただ加工乳の場合は、その中にビタミンがさらに添加されますとか、そのほかミネラル等が加えられるとかいう事情でございますので、したがいまして、生産費が高くなれば、それはある程度消費者価格も高くなるであろうということは推定されるわけでございます。
  153. 神田大作

    ○神田(大)委員 政府が決定するのではないといいますけれども、これはやはり日本の物価を抑制するというような観点に立って、不当な価格でもって売られるものに対しましては、これは畜産振興上からいいましても、野放しにすべき問題ではないのです。  それから、なま乳のほかに水を割るとか、あるいはまたなま乳のかわりに脱脂粉乳を入れるということに対して、これを指導監督しないというのは政府の怠慢ではなかろうか。その点いかがです。
  154. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほどお答え申しましたように、なま乳の供給か不足をいたしますために還元乳というものが出てくると思うのですけれども、またそういうふうな特殊なものを入れまして、それによる嗜好というものもあると思うわけでございます。したがいまして、ある特定の商品を、必要がありまして生じたものについて、それを否定するようなことはできないと私は思うわけでございますけれども、なま乳によります新鮮な牛乳を飲むということが望ましい。したがいまして、国民の皆さんがそういうようなことになるように十分生乳の供給をふやして、そういうふうな方向になるように期待をいたしておるわけでございます。
  155. 神田大作

    ○神田(大)委員 どうも答弁が不十分だが、それでは、厚生省の関係の方がおられるようでありますが、これらの牛乳のほかにコーヒーとか、あるいはその他いろんなものが入っている牛乳が市販されておりますが、これらに対しまして、厚生省としてはいかなる監督といかなる指示を与えておるか、お尋ねいたします。
  156. 神林三男

    ○神林説明員 お答えいたします。  私のほうといたしましてはしぼったままの牛乳を――先ほどからなま乳といっておりますが、殺菌処理をしたものは、牛乳という表示を五号活字でするようにいたしております。  それから、先ほどから問題になっている加工乳でございますが、還元乳もこの中に含まれますが、たいがいミネラル、ビタミンというようなものが入っております。そういうものは加工乳という表示を、やはり五号活字でするようにいたしております。  それから、さらにコーヒー牛乳あるいはフルーツ牛乳というようなものは、乳飲料という名称をつけさせまして、それもやはり表示をするということになっておりまして、特に最後に申し上げました乳飲料につきましては、コーヒー牛乳あるいはフルーツ牛乳、これは公正取引委員会なんかで、先ほど岡田局長が答えたように、今後牛乳という文字は、少なくとも表のびんのところへは使わせない、表示は乳飲料ということで一応今後もやっていきたい、そういうふうに考えております。
  157. 神田大作

    ○神田(大)委員 公取で指摘されて、牛乳にあらざるものを牛乳という名称をつけないというようなことをきめたのはいつです。いつごろからですか。
  158. 神林三男

    ○神林説明員 これは、昨年の八月時分から問題が起きまして、そして最近公取のほうで何か最終案ができたそうでございます。私のほうは、従来から乳飲料一本でやってきておるわけでございます。
  159. 神田大作

    ○神田(大)委員 しかし、このフルーツ牛乳とかコーヒー牛乳にはちゃんと森永コーヒー牛乳と、牛乳という文字が入っているわけです。フルーツにもフルーツ牛乳という文字が入っておる。これはきのうぼくが買ってきたのであります。こういうふうに、政府のほうでは取り締まるというようなことをいい、あるいは指導するというようなこと々いっておりながら、現実においてこれは取り締まりも何もしてない。野放しにしておる。しかも、これには牛乳が入ってないという。実際においてこれを厚生省では検査をして分析したことがあるかどうか、お尋ねします。
  160. 神林三男

    ○神林説明員 私どものほうでは、成分規格はきまっておりませんですが、一応乳固形分三%以上あるものは、大体従来牛乳に類似したものとして衛生取り締まりをやっておるわけでございます。そして、大体四〇%から六〇%くらい乳成分が入っているということになっております。
  161. 神田大作

    ○神田(大)委員 コーヒー牛乳あるいはフルーツ牛乳が、牛乳一つも入ってない。これは売っている人が、牛乳と書いてあるが牛乳ではなく、牛乳じゃない何かの飲料が入っておるということをはっきりと言っておるのだ。これらに対して口だけではなしに、市場においてこれを検査して、それを指導する努力を、厚生省なりあるいは農林省ではやっておらないと私は思うのでございますが、これらに対してどう考えます。
  162. 神林三男

    ○神林説明員 お答えいたします。  厚生省のほうでは一応衛生規格といたしまして、細菌数三万、大腸菌の陰性という規格をつくっております。それで取り締まりをやっておりまして、乳飲料につきましては、嗜好飲料という立場から成分規格はきめてございません。
  163. 神田大作

    ○神田(大)委員 牛乳という表示をしないというようなことを言っておりますが、はっきりと森永牛乳と表示もしてある。キャップにもちゃんと書いてあるのですね。そういうのはやらぬと言っておりながら、これを市場でもって堂々と売っているわけですが、これは消費者が迷惑する。生産者も迷惑する。業者だけが――製造者は森永であるか、あるいは明治であるか、あるいは雪印であるか知らぬが、そういう大企業がぼろもうけをしていると私は思うんですが、そういうことに対しましては、農林省や厚生省は見て見ぬふりをしておるのか。
  164. 神林三男

    ○神林説明員 お答え申し上げます。  私のほうは、商品名を使う分につきましては、取り締まりが直接できませんのですから、乳飲料という表示を必ずさせるようにさしております。  それから、先ほどの公正取引委員会の問題でございますが、これは六カ月後に、何か牛乳という文字を一切そういうものには使わせないように、規約をつくるということになっております。
  165. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは乳飲料と表示してあるが、これは乳飲料と書いてない。牛乳と書いてある。
  166. 神林三男

    ○神林説明員 そこには書いてございますが…。
  167. 神田大作

    ○神田(大)委員 これはどういうわけですか。
  168. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 乳飲料につきましては、いま厚生省のほうからもお答えがあったとおりでございます。従来フルーツ牛乳でありますとか、コーヒー牛乳でありますとかいうことで、ある程度牛乳が入っておりまして、それにフレーバーをつけたりコーヒーを入れたりいろいろなことで、やはりコーヒー牛乳であるとかフルーツ牛乳であるとかいうことで売られておったわけです。これはある意味におきまして、牛乳が入っておりますと、やはり牛乳に国民をならすという意味におきましては、一つの方法であるわけでございますけれども、しかし、牛乳が入ってないものまで牛乳という名前をつけるというようなことは虚偽の表示でございますから、そういうふうなことは妥当でない。今後その表示をはっきりさせて、それで牛乳が入ってないものは牛乳が入ってないものだということで、はっきりした名前をつけて販売するということにしたらよかろうということで、先般来関係各省が集まりまして、公取を中心にしまして表示の問題を、加工乳の問題も含めまして協議をいたしまして、話がまとまる段階になってまいっておるわけでございますから、正式にまとまりまして構成規格が告示をされますと、それに従った措置が行なわれるということになるわけでございます。  現在のところは、まだ話が最終段階に入っておるところでございまして、決定をしておるというわけでもございませんので、先生のおっしゃったような問題があるいは出てくるかもしれぬ、そういうふうに思っておる次第でございます。
  169. 神田大作

    ○神田(大)委員 この問題が起きたのはもう去年です。公取が取り上げたのが去年の八月ごろだと思いますから、一年近くなるわけですね。それを各省が善処する、指導監督をするといいながら、これを一年もほうっておいて、しかも乳飲料とキャップにだけ小さく書いて、実際に牛乳であると書いてある。しかしだれもここしか見ない。だから、牛乳だとだれも考えるわけですね。しかもフルーツでありまして、売るほうの人が牛乳が入ってないと言うのだ。牛乳じゃなく、何かでもって牛乳のにおいか牛乳の味をさせておる。こういう重大な問題を、一年も農林省や厚生省あるいはその他の所管官庁が、善処すると言いながら放任しておくということは、まことに私は怠慢だ、けしからぬ話だと思う。政務次官どう考えます。これはすぐ善処しますか。お答え願います。
  170. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 それぞれの規格があると思うのですが、その規格に反して、いまおっしゃいましたようなそうした類似のものが販売されるということは、非常にけしからぬことだと思います。さっそく関係各省ともよく連絡をとりまして、ひとつきびしく処分をしたいと思っております。
  171. 神田大作

    ○神田(大)委員 学校給食について、なま乳を飲ませる方法を考えるべきだと思いますが、学校給食のなま乳の供給について、畜産局長はその後どのような考えを持っておられるか、お尋ねします。
  172. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、学校給食目標というのをつくっておりまして、その目標に向かって努力をいたしておるところでございます。
  173. 神田大作

    ○神田(大)委員 脱脂粉乳を生徒に一ほとんど脱脂粉乳でありますけれども、このようなことでは日本の酪農の振興は何年たってもできない。アメリカから輸入されているところの脱脂粉乳を学校給食に回して、そうしておいしいなま乳を供給できないというようなことをいつまでもやっておると、日本の酪農振興は徹底しないのでありますが、この点について努力のあとが私は一つも見られない。文部省なんかとの交渉を積極的に行なって、そしてなま乳の学校給食に対して、農林省はもっと積極的に取り組むべきだと思いますが、その点についてどうお考えになりますか。
  174. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほど申し上げましたように、学校給食の目標に向かって努力をいたしておるわけでございまして、現在四六・七%が生乳によって供給されている、こういうふうな状態にあるわけでございます。
  175. 神田大作

    ○神田(大)委員 去年は何%でありましたか。
  176. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 昨年は三七・一%でございます。
  177. 神田大作

    ○神田(大)委員 多少はふえているといっても、そのような増加のしかたでは、われわれとしても納得できないのでありまして、この点について、わざわざ輸入脱脂粉乳を使うことについては速急にこれをやめて、なま乳に転換するよう特段の御努力をお願いいたします。  次に、豚肉価格安定の問題につきまして一応お尋ね申しますが、この答申によりますと、「昭和四十三年度の指定食肉の安定価格については、現行のそれを変更すべき特別の理由はないものと認める。」という答申があるようでありますが、この答申は、審議委員の満場一致の答申でございますか。
  178. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 お話しのように、満場一致の答申でございます。
  179. 神田大作

    ○神田(大)委員 われわれから考えますと、これは去年も据え置いたわけですね。ことしも据え置く。二年も三百二十円という価格を据え置くということは、物価の上昇やその他から勘案いたしましても不当であろうと考えておりますけれども、これらについてどのようにお考えになっておりますか。
  180. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、豚肉価格の安定制度は、従来から需給実勢方式という方式をとっておるわけで、生産費によります価格制度をとっておらないわけでございます。この方式をとっております理由は、わが国の養豚業が、長期的には、現実需給関係によって形成されました需給価格のもとで順調な発展を遂げておるという事実がございます。この事実に立脚いたしまして、過去において実現れた価格の基調を、将来においても安定的に再現するということをねらいといたしておるわけでございます。  この場合に、過去の期間と価格決定年度との間におきます肉豚の生産費の変化の状況及び豚肉の需給の状況、そういうものを価格算定上に織り込むことになっておるわけでございますが、明年度の価格計算におきましては、推定生産費が過去の基準となる期間に比較しましてかなり低下をしており、同時に、当面の需給関係を反映させまして若干の供給促進の効果を織り込む必要がある。この両者がたまたま相殺されたというふうな関係から、現在の価格に据え置くということになったわけで、したがいまして、現在の価格を特別に変更しなければならない理由はない、こういうふうな答申になったわけでございます。
  181. 神田大作

    ○神田(大)委員 農林省からの、「指定食肉安定価格算定説明参考資料」を私はただいまいただいた。ただいまいただいたので、これを検討するいとまはないのであります。これは先ほど私が言ったとおり、審議会の開催をまぎわまでやって、そしていま持ってきて、質問はもうきょうしかできないということであります。政府はあすかあさってこれを告示するわけでしょう。そういうふうな審議のしかたでは、この価格がはたして適正であるかどうかということをわれわれは質問するいとまがない。だから、これはきょう私が言ったとおり、畜産振興審議会をもっと早く開いて、この答申をわれわれには少なくとも十日や一週間前に渡るようにしなければ、これは国会で審議が不可能でしょう。こういうことを当局がやってもいいようなことを、大臣がいるときに畜産局長は答弁したようでありますが、局長はどう考えるのですか。
  182. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 午前中の御質問に対してお答えいたしましたところでございますが、われわれといたしましてもできるだけ御趣旨に沿うように努力いたしたいと思っております。
  183. 神田大作

    ○神田(大)委員 だから、このこまかい数字につきましては、私は後刻質問をすることにいたしまして、常識的に申しまして、三百二十円という価格を二年間続けて据え置くということに対しましては、豚肉生産農家といたしましては承服しがたいことであります。物価が相当値上がりしておるのと相殺するというようなことは、了解しがたいのでありますから、この点について、いわゆる労賃あるいは飼料その他の値上がり等を十分勘案して御決定を願いたいということを申し上げます。  次に、いわゆる市場の拡大の問題でありますが、生産者団体が持っておるところの市場をきわめて限定しておるようでありますが、これを拡大する意思があるかどうかお尋ね申し上げます。豚肉買い上げ市場でございます。
  184. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 豚肉買い上げにつきましては、中央卸売市場その他これに準ずる市場ということになっておりますけれども、市場外におきましても、産地において買うということをいたしておるわけでございます。
  185. 神田大作

    ○神田(大)委員 産地をある程度指定しておると思いますが、産地であれば無制限にどこでも買うわけでございますか。
  186. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 現在、昨年買い上げをいたしておりましたときには四十一カ所で買い上げをいたしておったようでございます。これは、当然設備がなければ買うというわけにまいらぬわけでございます。したがいまして、設備の点から制約があるということを御了承願いたいと思います。
  187. 神田大作

    ○神田(大)委員 設備と申しましても、膨大な金がかかるわけはないのです。だから、そういうように生産者の利便をはかる意味合いにおいて、この買い上げ場所を拡大するように努力してもらいたいと考えますが、いかがでございますか。
  188. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 現在畜産局としまして、流通対策の一環としまして食肉センターの助成をいたしておるわけでございますが、こういうふうなものが、要するに買い上げ施設になるわけでございますから、そういうような必要な施設につきましては、助成をいたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  189. 神田大作

    ○神田(大)委員 次に、先ほどもちょっと問題になりましたが、生産者団体からの買い上げ価格から市場手数料を一%引いておるようでありますが、これは市場にかかったわけではないのでありますから、市場手数料を引くことは不当だと思うのでありますが、それはいかがでありますか。
  190. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 市場に持っていきますと手数料を引かれるわけでございますが、現在きめております買い上げ価格というものは、当然市場手数料を織り込んだ形できめられております。したがいまして、産地で買い上げます場合においても、手数料が入った価格でございますから、当然手数料を引くというようなことになろうかというふうに思っておるわけでございます。
  191. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、市場へ持っていけば市場手数料ということがあるが、何ら市場の手を経ないで買い上げておることであるからして、この点は私は不当であろうと思うのです。だから、この点ひとつ再考してもらいたい。  次に、牛肉の輸入でございますけれども、特に事業団が一括して輸入をいたしまして、そうしてこれを計画的に放出するということを畜産物価格安定法においてもうたっておるわけでありますけれども、これについて局長はどう考えておりますか。
  192. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先生のおっしゃいましたことは、たしか牛肉の問題だろうかと思いますが、牛肉の輸入につきましては、民間と事業団両者が輸入をいたしておるわけでございます。畜産事業団輸入いたしますものは国内の需給の安定、価格の安定ということを旨としてやるべきものだというふうに私は考えておる次第でございます。
  193. 神田大作

    ○神田(大)委員 ところが、最近この事業団輸入の数量が少なくなって、業者輸入がだんだんふえておるということは、畜産物安定からいいましても非常にまずいことだろうと考えますが、この点についてどう考えますか。
  194. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 一応私たちが考えておることを申し上げますと、民間の自由な企業の活動によりまして経済の運営が行なわれるのは、基本の原則だろうというふうに思っておるわけであります。ただ、政策的に必要があって介入いたします場合にも、その必要な限度を越してやることが適当であるかどうかということにつきましては、問題があると思うのでございます。したがいまして、私たちのほうも本来事業団輸入するという目的、それは国内の需給の安定なり、価格の安定をはかっていくというふうな限度におきまして、事業団が関与していくべき性質のものというふうに判断をいたしておるわけでございます。
  195. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは、畜産物価格安定法の趣旨に沿って計画輸入、計画放出というような立場に立てば、事業団に取り扱わせるということが一番いいことだ。業者に扱わせたのではなかなか計画的な出荷、放出ができない。そういう意味合いにおいて、私は事業団輸入肉の取り扱いを多くさせる――全然やらぬというわけにはなかなかまいらぬでございましょうが、しかし、逆に民間貿易のほうがだんだんふえていく、事業団輸入が少なくなっていくということは、これは悪い傾向だと思いますが、この点どうですか。これはいいと思っていますか。
  196. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 まあ、どの程度事業団輸入し、どの程度民間が輸入すべきかということは、なかなかむずかしい問題だと私は考えておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、やはり事業団がこれをやる本来のねらいは、国内の需給が混乱しないように、価格が不安定にならないようにということで、その範囲内でやるべきものだというふうに考えておるわけでございまして、したがいまして、事業団としましてもやはり計画的に輸入をいたしまして、国内の需給なり価格の状況に応じて放出をするということを考えるべきものだと考えております。
  197. 神田大作

    ○神田(大)委員 との問題は、資料をもってまたあとで御質問申し上げることにいたしましょう。  最後に私は、沖繩から牛肉を擬装輸入しておりますけれども、これをこのまま放置しておくと、豚肉その他の価格安定に悪影響を及ぼすおそれが十分あると思いますが、これらに対して局長はどう考えますか。
  198. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、牛肉は現在割り当て物資でございます。関税を二五%賦課いたしておるわけでございますけれども、沖繩からの物資は、南西諸島物資ということで無税になって自由化されておるわけでございます。そういうふうな関係、しかも沖繩が外国から入れます場合には、輸入関税としては無税でございます。国内税が若干かかるようになっておりますけれども、無税でございます。そういうふうな関係から、沖繩に牛が導入されまして、それが肥育されまして肉という形になりまして国内へ入ってくるというふうな問題があるわけでございます。これはまさに制度の相違、関税の違いというものをいわば利用して、そういうふうな形が行なわれているということでございますので、それがだんだん拡大いたしますと、いまの割り当て制度というものが無意味になってくるおそれがあるわけでございます。  そういう意味から、かねて沖繩政府と協議をいたしておったわけでございますが、今後沖繩政府としましても、日本に対してそういった牛なり肉を輸出をしないというふうなことをするために、外国からの輸入を制限する等の措置をとるというふうなことで、一応了解がついておりまして、沖縄におきましてそれらに対する具体的な措置を現在検討しておる段階でございます。
  199. 神田大作

    ○神田(大)委員 これは非常に重大な問題でありますので、政府当局においては適切なる処置を早急に行なわれるよう強く要望いたしまして、私は資料が来ましてから、また後刻の機会において質問申し上げることにいたします。
  200. 熊谷義雄

    ○熊谷委員長代理 次に鹿野彦吉君。
  201. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 私は、非常に簡単に政務次官にお尋ねいたしたいと思います。  日本経済が非常に困難な状態にありますが、今後ますます日本経済の伸展とともに、農産物の国内の物価問題に対する影響は非常に重大さを加えるとともに、農業の問題は非常に重大なわけでございまして、そのためにはどうしてもできるだけ早く農業の近代化をはかり、そうして農業が自立いたし、世界経済に対して堂々と競争し得るような体制をつくらなければならないのですが、しかし、この問題は非常にむずかしい。一刻も早くそうしたことに到達しなければならないのだけれども、むずかしい。このむずかしい問題を解決するまでの間は、やはりどうしても徹底した保護農政というものをとっていかなければならないと思うのですが、これに対して政務次官のお考えを承りたい。
  202. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 いま鹿野先生がおっしゃいましたように、日本の農業は国際的にも国内的にもきわめてむずかしい段階に来ておると思います。日本の農業の自給体制というものをつくるために、いま政府としても、構造政策、生産政策等、あらゆる措置を講じておりますが、やはりその根底には何としても国の力強い支持といいますか、協力というものがなければ、日本の農業というものはこれから発展できないと私は思っております。
  203. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 政務次官のそうしたお考えに対して、私は、加工原料乳保証価格は主要なる飼育管理労働力だとかあるいは付随労働力なんというようなけちな分け方をしないで、そして普通の他産業の労賃並みの労賃を適用するということが一つ。あるいはまた、指定乳製品安定指標価格算定にあたっては、過去三カ年間の実勢価格をとって、最近の乳製品市場実勢価格が反映するようにしてほしい。あるいはまた、指定乳製品事業団放出価格は、安定指標価格の一割ぐらい高いところに置くことが望ましい。また、乳製品輸入はこれはできるだけ慎重に考えて、そうして安易に輸入をするようなことのないように考慮をしてほしい。  次に、豚肉安定価格の問題につきましては、豚肉買い上げ制度があるわけですが、この問題については、上物だけで、中肉がいままで買い上げられておらないけれども、中肉の買い上げもやはり同じようにやるということについてぜひとも考慮してほしい。牛肉その他の食肉輸入の抑制の問題については、乳製品の問題と同様に慎重に這般の情勢を配慮いたしまして、必要やむを得ない輸入の場合には畜産振興事業団に一元化することにいたし、その輸入差益金は全面的に国内企業の生産振興合理化に資するようにする、こういうようなことを私は農林当局を代表する政務次官に強く要望いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  204. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 いまの先生の御質問、これまでの各委員の質問の中にもだんだん明らかになってまいったわけでございますが、いろいろの御要望に対しましては、むずかしい点もありますけれども、政府としても、ひとつ前向きの姿勢で取り組んでいかなければならない非常に重大なことであると認識をいたしております。
  205. 鹿野彦吉

    ○鹿野委員 けっこうです。終わりました。
  206. 熊谷義雄

    ○熊谷委員長代理 美濃政市君。
  207. 美濃政市

    ○美濃委員 時間もかなり経過しておりますから、できるだけ重複を避けたいと思います。私は算定資料内容につきまして、二、三質問いたしたいと思います。  まず第一に、ことしの算定にあたって一頭当たり乳量を四千九百九十六キロというふうに聞いておるわけです。片や畜産局から出しております「乳用牛飼養の動向」という資料に基づきますと、四千九百九十六キロという一頭当たり乳量というものが、ちょっと理解に苦しむわけですが、どうしてこうなったかお尋ねいたします。
  208. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 お答えいたします。  総乳量を要するに飼育頭数で割りまして一頭当たりのを出しておるわけであります。
  209. 美濃政市

    ○美濃委員 そういたしますと、この飼育頭数は乾乳牛は入っておるかいないか……。
  210. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほど、芳賀先生からお話がございましたときにもちょっとお答えいたしたわけでございますけれども、搾乳牛と申します場合には、乾乳期間にあるものも含めまして計算をいたしております。瞬間的な頭数で見ます場合に、乾乳牛、搾乳牛というような区別をいたします場合がありますけれども、長期的な生産費調査のようなものを見ます場合には、当然その中に乾乳期間もあるわけでございますから、したがいまして、そういうものも含めて計算をいたしておるというふうに考えております。
  211. 美濃政市

    ○美濃委員 この期間のとり方は、私の聞いたところでは四十一年の六月から四十二年の七月まで、こういうふうに聞いておるわけですが、その資料は私のところにないのです。これは私のつくった資料でなくて畜産局の資料なんですが、四十一年の二月末、これで四十一年の乳量を乳牛頭数で割りますと四千三百キロ。そうすると、期間的にちょっとズレておりますけれども、この加工原料乳の五〇%以上生産しております北海道の乳量が、脂肪三・二で計算をいたしまして四千五百キロですから、そうすると四千九百九十六キロという乳量、これは私はちょっと理解できないわけです。
  212. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま先生のお話がございました二月一日の数字は、全国の総飼養頭数でございます。したがいまして、それは搾乳牛だけでなくて子牛とかいろいろな牛が入っておるわけでございます。したがいまして、搾乳牛一頭当たりの乳量にはならないわけでございます。
  213. 美濃政市

    ○美濃委員 そうじゃないですよ。そういうピントのはずれた質問をしておりませんよ。これは畜産局から出した資料です。昭和四十一年の二月末は搾乳牛六十六万四千七百十頭、乾乳牛十万九百三十頭、この頭数で三百四十一万四千トンを割ると四千三百キロになるというのでありまして、そんな育成牛なんか入れておりません。
  214. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 失礼いたしました。私その資料を存じませんで失礼いたしましたが、この数字は全国と一道六県の違いということになるわけでございます。
  215. 美濃政市

    ○美濃委員 私はそれはおかしいと思うのです。特に分類すると、北海道の昨年の実績が四千五百キロです。加工乳のやや半分が北海道ですから、全国の計数で四千九百九十六キロになるのだということであれば、加工乳地帯でない地帯はぐっと下がりますね。四千キロを割るような状態にならなければならぬ。八十万トン少々のものの比率が高くて、全国の比率が入ることによって四千三百キロになるんだというのだったら、全国は四千キロを割ることになるのですよ。どうも畜産局長の答弁ははずれておると思う。
  216. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 いまちょっと尋ねてみましたら、先生のお手元にございます資料は四十一年のものになるわけでございます。私のほうで計算いたしておりますものは四十二年になるわけでございますから、その点で時間的なズレがあるわけでございます。  それから、私のほうで計算しましたのは、一道六県の全体の戸数を集計をしまして、頭数で総乳量を割って出した、こういうことに相なるわけでございます。
  217. 美濃政市

    ○美濃委員 私の手元にあるのは、四十三年二月という資料です。
  218. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 それは印刷した年月日でございまして、中身は古いものであります。
  219. 美濃政市

    ○美濃委員 その古いものでも、前段の答弁はかなり違うのです。全国を入れたことによって違うと言い、どうも答弁が一貫していないですね。この資料は古ければ古くていいのです。四十一年度は四千三百キロ、この資料では間違いないのですから、四十一年二月でけっこうなんです。それ以上は書いてないから私は言ってないんです。四十一年の二月で四千三百キロなんです。それから五カ月を経過してその後の一年でありますから、四千九百キロというようには、そういうように増量はしていない、こう言っておるわけです。時点の相違はないわけです。これは、ここへ具体的な資料を持ってきておりませんね。きちっと答弁できますか。
  220. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先生のいまのお話のは四十一年の二月でございますから、四十二年になりますと、一年間のズレがあるわけでございます。そういうふうな点と全国ベースと、それから一道六県のベースとの違い、二つの要素で違ってまいっておるというふうに考えておるわけでございます。
  221. 美濃政市

    ○美濃委員 どうもいまの局長答弁では理解ができません。しかし、これ以上ここで質疑をすることは避けたいと思いますから、全国と、今回これに使った積算資料ですね、これを克明に資料として提出願いましょう。それを見て判断すれば了解できるかもしれません。私はこれだけの量はないのではないかという疑問を持っておるわけです。ですから、その資料の提出を求められるかどうか。
  222. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 全体としてはお出しできます。
  223. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは、次に飼育時間についてお尋ねいたします。  この飼育時間について、今回のこの乳価を試算した規模頭数は何頭であるか。
  224. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 お話の点でございますが、全頭数を戸数で割りますと、四頭ということになります。
  225. 美濃政市

    ○美濃委員 全頭数を戸数で割ると四頭。ことしの加工原料乳を試算するときの標準規模頭数は、何頭として計算したか。いつも四頭なら四頭……。
  226. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 計算が、平均で四頭というのはそういう計算をするわけでございますけれども、しかし、労働時間を出します場合には、やはり階層別の加重平均を出しますので、直接四頭というものと結びつかないわけでございます。   〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕
  227. 美濃政市

    ○美濃委員 わかりました。  そこで、同じく畜産局が出しておる頭数規模別の飼育時間、これは、私は実態に当てはめて大体信用できると考えておるわけですが、この頭数規模別に対する一頭当たりの年間飼育時間、これと、それから今回飼育時間として出しました六・七八時間ですね、これで大体計算いたしますと、四千五百キロ計算すると三百八時間となります。原案どおりの四千九百何キロ計算しても三百二十二時間。この時間を、この資料の頭数規模飼育時間に当てはめると、五頭から六頭で三百五十五時間でありますから、四千九百キロで試算したとしても大体七頭という飼育体系をさしております。今回の飼育時間は七頭という飼育体系をさしておる、これは言えるわけです。この時間は経営実態に当てはめてみて、大体標準として適当であると私は見ておるわけです。農林省の出しておるこの規模別一頭当たり年間飼育労働時間というものは大体適正なもの、こういうように見ておるわけですが、これは適正であると大体信頼しておるだけにこれに当てはめるわけです。そうすると、今回出しましたこの六・七八時間ですか、これを乳量でかけますと大体七頭標準の時間です。まあ八頭にはちょっと欠けると思う。大体七頭と思います。そのように考えて私は間違いないと思うのですが、いかがですか。
  228. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたのは、全国規模の場合でございます。したがいまして、一道六県の場合についてみますと、先ほどからいろいろ特殊性があることを申し上げておったわけでございますけれども、若干違いまして、全国ベースよりも若干異なりまして、大体私たちのところでは、五、六頭層よりちょっと低いところであるというふうに思っております。
  229. 美濃政市

    ○美濃委員 それも私は了解できないです。加工乳地帯の飼育時間数が長いといういまの答弁では、ちょっと理解できないわけです。反対の表現をしておる、こういうふうに受け取れるわけですが、これも資料提出を願います。ここで問答しておると時間がございませんし、あとの質問者もあるようでありますから、資料の提出を願いたい、私はそういうふうに思います。  そこで、八頭体系になってまいりますと三百時間でございますから、三、八、二十四、二千四百時間、いわゆる乳牛飼育は二千四百時間という年間の他産業の専従労働単位になります。八頭で年間労働の単位になります。そこに私は注目をしておるわけです。これまで年々時間を圧縮してきた。ことしになって大体一労働単位の年間労働時間まで持ってきた。先ほど来労働評価の問題がございましたが、ここで労働評価を適正にすべきである。今回の労働評価は、これはもう先ほど来意見が出ておりますから繰り返しはいたしませんが、非常に不適当である。一労働単位に労働時間を圧縮して生産性を持ってきたのでありますから、他産業並みの年間労働単位に時間数を持ってきて、そうしてなおかつ生産性が低いという理由で、これはたとえば一頭規模の年間飼育労働六百六十一時間、あるいは二頭で五百十時間という時間を採用するところに――他産業並み労働賃金は、やはり比較生産性から無理だという考え方にも、ある程度生産者も立たなければならぬと私は思うわけです。しかし、一労働単位、二千四百時間労働単位に頭数を持ってくれば、そのときの労働評価というものは今度適正にしなければいけない、こう思います。  あと二、三点ございますが、その前にちょっと状況を一つ申し上げておきますけれども、実は、こういう問題から多頭飼育が破壊されようとしております。これは現実に私の農協で起きた問題でありますが、私どもの組合員で二十八頭まで多頭飼育にこぎつけたのです。大体三十頭の多頭飼育にこぎつけて畜舎をつくるといま六百万かかる。それにトラクターですね。そういう機械が古くなって機械装備を入れかえなければならぬ、あるいは乾牧草の梱包機等も入れなければならぬ、こう計算すると、機械で一千万、畜舎で六百万の追加投資をしなければ、三十頭規模経営が困難なんです。  そこで、その組合員は後継者がおるのです。二十七歳ですが、嫁さんももらいましてきちっとした、私のところの農協では指折りの酪農家であったわけです。追加投資で融資を農協に申請しようかどうかということで検討したところ、三十頭飼っても一千六百万円の現在の制度資金では返済が困難であるということで、いろいろ親子相談した結果、土地から牛まで全部売ってしまいました。牛は高等登録をとった牛で、平均三十万ちょっとこえておりまして、牛だけで九百万、土地から全部処分いたしまして二千万の現金にかえました。それでいま町へ出て信託に預金して遊んで食っております。年七分の金利で百四十万になります。どうですか、三十頭の牛を飼うよりも全部売って、信託なり国債を買って町で遊んでおったほうが所得が高いというのであります。私の言うことが違うと思ったら現実調査員を派遣してください。事実です。もうこれが大ショックになりました。私のところの村で多頭飼育を希望しておった酪農民に、大きなシヨツクを与えたわけです。こんなような計算では全然――それは農業は企業だ、多頭飼育だなんて言ったって、あるいは政策上、指導上はうまいこと言って酪農民を踊らしたって、現実にはやれない価格形成をしておる。全然そろばんに合わない。これが現実に出てきたわけです。  それから、そのショックでもう一人出たわけですね。この人は三十二歳で、おやじさんが私のところの理事をしておりました。やはり同じ頭数を飼っておって、むすこさんが過重労働で北大に入院しておるわけです。これも牛を売って金にかえて、金利で遊んでやろうという方針にかわるようであります。ですから多頭飼育が破壊されていく。こういう計算でやっておったら、多頭飼育をやった場合、規模拡大をやった場合にやれません。そこに問題がある。そうすると、いかに労賃評価が適正でなければならぬか、これをひとつ深く認識をしてもらいたい。  そこで、そういう問題が出てくる中で、今回の乳価試算を見てその次に出てくる問題が、飼育労働単位を八頭に持っていった――私も昨年、いろいろほかの問題もあわせて東北六県の国政調査に参加したわけですけれども、加工原料乳、これはどこへ行っても、たとえば建物費ですね。現実に加工乳に乳を出しておっても、一頭二頭飼っておる方は昔の古い物置き、草ぶきの物置き等を、下だけコンクリートにたたいて牛を入れて、サイロもつくっていないという飼い方がかなりあります。確かに統調が設備を積算すると四万五千円か五万円しかかかっていない。この事実も知っております。しかし、七頭、八頭の牛を飼っておる農家で牛舎を建ててない農家はございません。北海道はもとより、内地といえども頭数が七頭以上になれば、そういう体系で飼っておる人はいないわけです。全部牛舎をつくっております。  そうすると、この建物費の償却の見方であります。この償却はそういうものが入っておるわけですね。二頭とか三頭とか昔の生産性の低いときにきめた基準そのままをここへ持ってきておるわけです。そこで、この償却費は何ぼ見ればいいか、私はそういう観点に立って、今回きめましたマル寒資金の四分五厘、二十五年という資金を一応借りてつくるという基礎に立つ、あるいは現在あるものでもだめになったときは、何回も借りないで自己資金で建てて、償却だけは――法人であれば償却を積み立ててやるわけです。償却をすぐ積み立てておくという計算をやりますと、この償却は白キロ当たり百七十五円を必要といたします。頭数が変わったのでありますから、生産性の向上のメリットは、労働費は、ここでいえば時間の圧縮によって、去年よりも百キロ当たり五円安くなっておるわけです。そうなると、規模が違ってくれば規模が違ったように計算をせぬと、八頭、十頭飼った農家を、経営の維持が全然できない状態に追い込んでいくわけです、この乳価というものは。そうすると、償却をまず百七十五円を計算しなければならぬ。  その次は、労費は質疑が終わっておりますから除きまして、自給飼料副産物収入の問題になりますが、自給飼料副産物収入で、八頭以上飼うようになりますと、八頭規模で私は実態をつかんでおりますが、厩肥はここで計上しておるのは百八十四円です。厩肥は半分は牧草に使います。それからここで計上されております飼料費、これは私がどこを歩いてみても、大体搾乳牛一頭当たり七千円という金肥を使っております。牧草あるいはデントコーンで一頭当たり七千円という金肥を標準として使っておることは事実であります。そうすると、ここに計上されておるのは金肥だけである。堆厩肥は半分――七頭、八頭の体系で半分は飼料畑に使って、半分は他作物に使っておるから、半分をこの飼料費に入れるべきである。控除するだけでなくて、十五頭の体系になったときには完全酪農化いたしますから、この堆厩肥料というものは全部飼料作物に入っていくのだ。その注意が足りない。依然として二頭、三頭飼いの償却あるいはこういうものをそのままに据え置いて、現実を無視して計算が行なわれる。どうでしょうか。
  230. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 一定の階層をどうこうということではございませんで、全階層を平均して出しておりますので、そういうことになっておるというふうに考えておるわけでございます。
  231. 美濃政市

    ○美濃委員 次に、同じ副産物収入の産子の問題です。これはどういうふうに計算されたのか。産子は、大体多く見て五〇%です。北海道は酪農地帯ですが、北海道の実績は四六%くらいでしょう。牝牛の出生率――牡犢が出た場合は大体安い価格です。そうすると、ここで二年に一頭出るということで計算をする、また乾乳牛がございまして、乾乳牛を含めて出生率がそうでありますから、実際の頭数に対する出生率から見ると半分は雌、こういっているのですが、乳牛総頭数から見ると、不幸にして不受胎牛が相当数おります。四二%くらいでしょう。乳牛総頭数に対する牝牛の出生率は四二というところです。そうすると、この六百十六円というのは大体六万円ないし六万数千円を控除しておる。これはまあ六カ月か七カ月飼育すれば六万数千円になりますけれども、それは一年でいえば、出生率が半分ですから三万円ちょっとですが、その二倍を計算している。乳牛一頭につき六万円の子牛生産利益を副収入と見ておるのだが、これは非常に実情と合わない。
  232. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 産子につきましては、調査期間中に売却されましたものはその価格、それから保留されているものにつきましては、調査期間の末において売買すれば幾らかということを見積もって、それを全部を集計して出したわけでございますから、したがいまして、全体の平均ということに相なるわけでございます。
  233. 美濃政市

    ○美濃委員 子牛の売買の平均というのは、どこをつかんでの平均ですか。何の平均を言っているのですか。
  234. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 つまり、各農家で個票があるわけでございますけれども、それで産子の調査があるわけでございます。先ほど申し上げましたように、調査期間中に売却されたものは当然その価格が書かれております。それから、調査期間の終わりになお保留されておるものにつきましては、それの評価をいたしまして、そこで個票に書かれてくるわけでございますが、それが集計をされまして、それで加重平均をされまして出てまいる、こういうことになるわけでございます。
  235. 美濃政市

    ○美濃委員 それはおかしいのではないのですか。やはり出生したときの、牝牛は産み落としで評価すべきじゃないですか、子牛ですから。それからあとは、たとえばはっきりしたデータは北海道でやっております。北海道で大樹町というところに酪農事業団が育成専門牧場を持っております。一日の飼育経費二百円です。その経費が別にかかるのです。その経費を含めて六万円に売ったという、こういう計算は私は通例あり得ないと思うのですがね。
  236. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 要するに産子でございますから、いまの考え方は、売り渡されましたときにはその価格がはっきりしておるわけでございます。それから、売り渡されていないものについては、調査の最後の期間に幾らで売れるかということを評価するわけでございます。そこで、それを生産するために必要な労働費その他は別の、項目で計上されておるわけでございますから……。
  237. 美濃政市

    ○美濃委員 どこに計上されておりますか。乳価の中に別項目というのはないのですがね。
  238. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 それぞれの費目の中で計算されておるわけでございます。たとえば、飼育労働費なら飼育労働費の中でその分の飼育労働計算されておるわけでございます。
  239. 美濃政市

    ○美濃委員 それば少しおかしいのではないですか。体系としてやはりそういうややこしい計算をしないで――入っておるか入っておらぬかわからぬですよ、そんなことを言ったって。入れておりますと言ったって、分類されてきちっと入れておるなら別ですが、それならどうしてそれを別記しないのですか。
  240. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 それは飼育労働として一括して生産費調査のほうでは調査をしてあるわけでございますから、分離した数字は出ておらぬわけでございます。したがいまして、それは全体の飼育労働費なり飼料費なりということで入ってまいるわけでございます。
  241. 美濃政市

    ○美濃委員 しかし、私はそういう答弁ではちょっと理解できないのですがね。どうしてこれを出生直後の評価にしないのか。それからまた、それであればそれであるように――この計算は、これは統調ですか。私は、そういうことを克明に見れば、それまで入っているかどうか。通例飼育経費その他は、統一調資料というのは見ておりますが、そういうものが入っておるという事実をまだ確認していないのですがね。私は抜けておると思うのです。
  242. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 その点は決して間違いはございません。要するに副産物収入でございますから、副産物として売却されたものは、売却されたものの価格をあげてくるというのが私は普通ではないか、こう思っておるわけでございます。それを大きくするためにかかりました費用は、もちろんかかっているわけでございますから、それが見られていないとおかしいことになるわけでございます。それは、それぞれの費目の中でまとまった形で入っておる、それだけ特に特記はされておらぬ、こういうことでございます。
  243. 美濃政市

    ○美濃委員 私は、そういうことがいまのところ理解できません。それでこの分もひとつ克明な資料お願いいたします。
  244. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 これはそういうふうに分離をしておりませんから、どの部分が産子であり、どの部分が親であるということは、もちろん統計数字としては出ておらないわけでございます。したがいまして、そういうふうな約束で生産費調査が行なわれておるということ、これは統計調査部へ確かめていただければはっきりいたすと思うのでございます。
  245. 美濃政市

    ○美濃委員 しかし、それは調査をするときに、どの程度入っておるという分類はできるでしょう。できぬというのであれば、ないということに該当すると思うのです。分類資料はあくまで要求いたします。出せぬのであれば、これは見ていないということに判断いたします。
  246. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 酪農経営といたしましては、親も子も飼育労働として同じでございますから、それを分けて、親が幾らで子が幾らということはなかなかむずかしいのではないかと思うのでございますけれども、そういうようなことにいたしませんと、一方では費用がかかって、一方は副産物収入があるということでございますから、それは見合わないとおかしいことになるわけでございますから、したがって、そういうふうなことは生産費調査の約束として当然入っておることであるとわれわれは了解いたしておりますし、この点は、統計調査部へお確かめ願えれば間違いないと私は考えております。
  247. 美濃政市

    ○美濃委員 その分類資料をいただけますか。あくまで事務上分類はできるわけですから、分類資料をもらわなければ、理解できません。
  248. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 分類はできないと私は思っておるのです。と申しますのは、これは分類できれば副産物のほうをあげなくてもいいわけですから、そういうことになると思うのです。したがいまして、これは統計調査部のほうで調査いたしておるわけでございますけれども、私たちの了解しておるところでは、そういうような分類はしていないように了解をいたしております。
  249. 美濃政市

    ○美濃委員 それでは、統計調査部のほうでも調べてみます。  何かきょうの答弁は、この問題、それから乳量の問題、いずれもどうも明確性を欠いております。  次に、先ほど申し上げた、これから畜産をしようとしておる者に、多頭飼育を崩壊させないために、次の問題点としては地代であります。それから資本利子であります。この資本利子は、やはりいま設備導入あわせて四十万は最低必要といたします、一頭当たりの設備に。そしてそれは借り入れ金であれ、自己資本であれ――おそらく本年も、この原料で加工した乳業はかなりの配当をすると思います。農民の資本も、先ほど申し上げたような状態が起きないようにするためには、よく資本利子は六分で計算しておる、七分で計算しておるといいますけれども、これは先ほど申し上げた一頭飼いの客体、そしてサイロもつくっていないというそういう客体を混同して、総平均設備は七万円である、七万五千円である、それに七分五厘で資本利子を計算しておりますというようなことは、私どもはこれから先の、真に畜産を振興する体系では、そういう一面もあるということは理解いたしますけれども、しかし、四十万かかるのでありますから、四十万に対して、最低マル寒を借りても払える体制ということになると、四十万に対する五分の資本利子を見積もるべきである。それは自己資本で出しておっても、五分くらいは優遇すべきですよ。国債を買っても七分国が保証するのですから、七分まで保証するということは当然じゃないですか。そうしないと、先ほど申し上げたような多頭飼育が崩壊するのです。マル寒資金を使っても安心して規模拡大はできません。これは、ここをはっきりしなければ総合資金もだめです。  そうすると、資本利子は三百四十五円でなくて四百円、地代は、私は平均一頭当たり二十万と計算をいたします。非常に小反別で四回も刈って高度にやっておるところがありますが、畑であってもそういうところは地価が高いです。北海道と内地の土地と平均いたしまして、牧草をつくる、粗飼料をつくる一頭当たりの土地代金は、これを二十万と計算をいたします。そうすると、これは百四十一円でなくて二百円以上と申し上げます。そうして労賃は、とりあえずいまのところ、この場合、とにかく二千四百時間の労働単位時間に時間を圧縮したんだから、この適用する賃金は、五人規模以上の全国平均労賃二百十八円六十六銭をオール計算すべきである。特に、この飼料生産は高度な技術と判断力を要します。飼料生産労働を単純労働として、雇用労賃で計算するというところが問題であります。  もう一つは、償却でありますが、償却は、この表によりますと、四十二年二月ですか、その総頭数は八十二万頭、そしてその同じ年度に二十万頭の乳牛を屠殺しております。そうすると、いま肉が高いですから、死亡さして土に埋めるというケースは少ないです。屠殺頭数で総頭数を割ると四年償却ということになる。いま肉に売って更新する差金は、私は、加工乳地帯で平均十万ないし十二万と計算いたしております。そう程度の高い高等登録牛でなくて、普通搾乳牛で十万ないし十二万の更新差金を要する。それを四年で割りますと、一年間の乳牛償却は二万五千円ないし二万七千円くらいになります。それで計算をいたしますと、乳牛償却というものは五百七十七円を見るのが正当である。三百九十一円というものは全く不足である。  以上、それを総括いたしますと、キロ当たり乳価は五十六円七十八銭となります。これが酪農の再生産をし得る価格であると申し上げておきます。  これから告示期間に向かうわけですが、いろいろ労働費計算については、畜産審議会もそれぞれこれでは不十分であるというか、非常に抽象的な表現でありますけれども、よろしいとは表現してないわけです。告示期間までの間に十分これを検討して最終決定を行なわれぬと、多頭飼育どころか、多頭飼育が崩壊する。一頭、二頭ではまだこういう計算をしないで、無我夢中で飼っておるわけですよ。何とか牛を飼ったら、冷害の対策ができるんじゃないかというので。農民がかわいそうです。少数頭数の間は無理してやれるのです、他の農業や何かで。しかし、専門にやると破壊するのです。この乳価で専門酪農は破壊するのです。収支合わないのです。これを十分今後検討されまして、最終の告示価格は五十六円七十八銭とするように努力をしてもらいたいと思うのですが、政務次官の御意見を承りたいと思います。
  250. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 答申も受けております。いろいろと委員先生方からの御意見も出ておりますので、ひとつ適正な価格を決定したいと思っております。
  251. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 関連して。いま美濃君との論争の中で、その他経費の中に含んでおると、こういうことです。統計の中では分類できないと、こういうことです。しかし、それは積算の基礎がないわけではないのです。そういうことで、美濃君が要求したような積算の基礎を示してもらいたい。なぜそういうことをやかましく言うかというと、その基礎が明らかでないために、ことしの酪農関係の税金が、所得税も地方税も含んで非常に大幅に上がっているのです。あなた方は税金のことをちっとも考えていない。その他収入などに回すべきものでありませんよ。その他収入などというものは、もっと性質の違うものが入るべきものであって、一本の柱が立たなければならないのです。ところが、統計の中でもそれは明らかでありませんなどと言う。そんなことはありませんよ。統計の中にはちゃんと積算の基礎があるのですから、あとでそれは資料を出してください。答弁は要りません。
  252. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 その他ということではございませんで、ここに出ておりますそれぞれの項目の中に入っておるということでございまして、その他に入っているということではございません。
  253. 石田宥全

    ○石田(宥)委員 やはりそれはそれとして、資料として、どこには幾ら入っている、どこには幾ら入っているというふうにはっきりしてくださいというのです。この点は非常に重要な問題で、価格の問題も問題であるけれども、さっき申し上げるように所得税や地方税に影響するところ大きいので、一般の酪農家などが税金問題の交渉などをする場合に、ややもすると、統計局の資料で押しつけられるおそれがあるのです。現にそういう地域があるわけです。よほど勉強してないと、統計の資料だからといわれると、農民は弱いですから。だから、やはりそういうものはそういうものとして、ちゃんとその積算の基礎を明らかにしていただく必要があろうと思うので、どこに幾らどういうふうに入っておるか、どこに幾らどういうふうに入っておるかということは明らかにすべき性質のものだと考えるので、それはそれで、ひとつここへ出してもらいたいということです。
  254. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 私も自信がございませんので、統計とよく話をいたしまして、また御相談いたします。
  255. 足立篤郎

    足立委員長 柴田健治君。
  256. 柴田健治

    ○柴田委員 時間がないようでありますが、乳価の問題が中心で、豚のほうがあまり論議されてないので、遁走しそうなので、ちょっと取っつかまえておきたいと思います。  畜産審議会のほうから答申がされて、連続三年間その価格を据え置くということになったということの答申を受けておりますが、われわれから考えるとどうも納得がしにくいので、三年間連続据え置くという理由を、局長なり次官はどういう理解をしておるのか、その点をまずお尋ねしたい。
  257. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 豚の価格をきめるにつきましては、需給実勢方式という方式をとっておるわけであります。と申しますのは、過去に日本の養豚業というものは、いわゆる三年ないし四年のピッグサイクルという価格変動を経ながらも、増大する需要に対して十分な供給を持ってまいったわけでございます。そこで、単に供給が拡大しただけでなくて、経営規模も逐次拡大をいたしまして、非常に発展をしてきているということが言えると思うのでございます。価格安定制度ができまして、その後の価格の変動が、その制度によりまして、一つのワクの中に入れられまして変動しているという形になってきておる。そういうふうな、高かったり安かったりするという過程を通りながらも、わが国の養豚業は経営規模を拡大し、生産増大ということもはかられてきた、こういうことでございますから、そういうふうな過去の実情が将来に投影されまして安定的に伸びるということであれば、それはやはり今後の養豚業が拡大するということになるのではなかろうか、こういうふうな前提が、需給実勢方式の考え方であります。  ただ、豚肉がふえたり減ったりする時期があるわけでございますから、減っておるときにはふやさなければいかぬということで、ふえるための要素を価格的に考えていかなければならぬ。それから生産費の構造が変わってきておりますから、その生産費の構造の要素も変えなければいかぬということでございまして、いままでのその需給実勢のもとにおいて拡大したのを、安定的に将来も拡大をさせる、その中に生産費の変化の要素と需給の実勢を反映させるような要素とを入れまして計算をすれば、今後も安定的な発展が望まれるということになるというふうに思われるわけであります。  そこで今回、その昭和四十三年度の豚肉が幾らであるかという計算をいたしますと、生産費としては御承知のようにかなり下がってきておるわけでございます。ところが、供給力が若干足りませんので、それは供給力をふやすような形の要素を入れていかなければならぬということになるわけであります。それを計算いたしますとお互いに相殺されまして、現在の三百九十円と三百二十円に価格が定まる、こういうことになるわけでございます。そういう意味から、審議会のほうでは、特に上げなければならぬという理由はないというふうな答申になったわけでございます。
  258. 柴田健治

    ○柴田委員 その豚価のほうからいうと、審議会答申内容の意味がどうあろうとも、三年間連続据え置かなければならぬという理由が明らかにわからない。それで、要するにいろいろな、生計費だ、生産費だ、物価指数――農村においてもいろいろ変動があるということは御承知のとおりだ。いまのお答えを聞いておると、ことばを要約すると、需給は十分なされる、だから要するに安定しておるんだ、生産が高まってきたということは安定しておる証拠だ、だから価格は据え置いてもいいんだ、結論的に言えばそういうことなんですか。
  259. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、豚肉というものは長期的にふえたり減ったりしながら、しかも全体として規模が拡大してきておる、こういう状態にあるわけです。そこで、そういうふうな状態を想定してみますと、現状におきましては、三百二十円と三百九十円の間にあって安定的に発展していけるのではないかと、こういうことなんであります。
  260. 柴田健治

    ○柴田委員 どうも歯切れの悪い答弁で、一方交通なんだね。あなたはそういう解釈だが、農家が養豚をしてみて実際もうかっておるのか、実際それだけ農民の生活も高まり、ほんとうの所得として利潤が出ておるのか、そういうことをはっきり確認して、たとえば百頭飼っておるとか五百頭飼っておるとかいう、その標準規模から見て、大体百頭なら百頭飼っておる農家が、年間どれだけの利益をあげておるかという規模別の基準というものがあれば、知らしてもらいたいのです。
  261. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 四十二年度の豚肉生産費が出ておりますので、それで規模別のがわかるわけでございますけれども、御承知のように、豚は子豚の価格というのが非常に変動するわけでございます。子豚が非常に安いときもあるし高いときもある。そういうことで、来年度の生産費を推定します場合に、子豚の価格を何ぼに見るかということは非常に困難です。ことしは下がっておるからとして、物価修正しただけで子豚を見ましたら、子豚がとんでもない高い値段になった、生産費としましては子豚が非常に高いから、高いものと見ておったら、えらい子豚が下がって安くなったというふうに、普通の生産費計算と違いまして、需給が動きます子豚価格というものをどういうふうに見るかということは、生産費計算としては、将来の生産費を推定します場合には非常にむずかしいわけでございます。過去のは、生産費調査の結果、子豚の現実買い入れ価格によりまして、コストが幾らになったかということは計算はできるわけでございますけれども、将来の子豚価格なり豚肉価格生産費から推定をするということは、非常にむずかしいわけでございます。そこで、生産費計算をしまして、四十三年度の豚の価格生産費から推定しますということは、従来からいろいろ研究されておりますけれども、生産費計算としてはなかなかむずかしいわけでございます。  そこで、現実にいままで需給実勢方式というのがとられてまいりましたのは、その点は、過去の変動の中で、一定の周期を描きながら発展してきているその平均的なものを実現して、それに構造的な変化なり需給事情というものが加味されれば、それでかつて実現したような形で実現をするというふうな構想になっておるのでございまして、私は、考え方としては正しい考え方ではないか。従来この方式については、それほど批判がなくて現在までに至っていますのもそういうことではなかろうか。ほかのものとやや商品として、豚の場合は違っておるという性格に基づいておると思っておるわけでございます。
  262. 柴田健治

    ○柴田委員 どうも局長の答弁は、何を言うたのかわからぬが、わからないように答弁するのが答弁技術か知れないけれども、やはり一つ価格をきめる場合に、科学的な根拠というものを明確にするということは、これは原則論なんですね。その原則論をただ日本語の表現の回しで、わかったようなわからないような言い方をしてやられたのでは、生産農民はほんとうに困る。  要するに、豚価というものが常に変動がある。だから、もうかるときにはどっと子豚の相場も上がってくるだろうし、損をするときには、伝染病で豚コレラでも発生したら、これはがたっと相場が落ちる。要するに、それはもうかるかもうからないか、また災害があったかなかったかということにおいて、多少の変化が出てくるということは間違いないので、それだけいまのすべての諸情勢が農村においてはまだまだ不安定だ。不安定なところに価格の変動というものが出てくるんだ。安定しておれば、そういう基礎的な諸問題というものは把握できるはずなんだ。価格の変動があるから把握しにくいというのは、それは安定してないという証拠なんですね、ぼくらから言わせれば。それを変動があって価格を把握しにくいということは、それはどちらかといえば、責任のがれの無責任きわまる答弁だとわれわれは言わざるを得ないのです。それから、審議会委員の諸君が、どんな人がなって答申されたのか知らないけれども、基礎的な根拠はない、ただ客観情勢、そしていまの物価対策、そういうムードの中で答申をしたと言わざるを得ないと思うのです。  いま価格の問題で生産価格、要するに生体価格、それから卸価格、これは枝肉価格、それから小売り価格、精肉価格、これの差があるという点について御承知だと思うのですが、要するになぜこれだけの差が出るのか、どこにこういう矛盾と欠陥があるのか、そういう点がおわかりならちょっと説明願いたいのです。
  263. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 生産価格なり卸売り価格、小売り価格、要するに生産されたものが屠殺されまして枝肉になります。その枝肉になりましたものが小売りの段階へまいりまして精肉になる、こういう過程で、そこに処理の仕事が入ってきておる。それから生体から枝肉になり、枝肉から精肉になりますためには、そこに歩どまりの問題がございます。そういうふうな歩どまりの問題なり処理の問題なり、それぞれの段階におきます手数料の問題なり、こういうふうなことで、それぞれ段階別の価格が出ておるというふうに思っております。
  264. 柴田健治

    ○柴田委員 価格が出ておるというのはわかっておるのですけれども、なぜこれだけの開きが出てくるのかという矛盾をわれわれは感じておるわけですよ。要するに問題は、流通機構が改善されていないということです。一方では流通の機構の改善を一つもやろうとしない。たとえば、公立の県営屠場でもどんどんこしらえていくような姿勢ならまだわかりますよ。何にも流通の機構の改善をしようとせずに、ただ客観情勢だけの判断で価格を据え置くということでは、生産農民にとっては理解できない、そういう考え方に立つわけですね。生体なり枝肉なり精肉としてのこれだけの価格に開きのあることは……。  もう一つは、法律的に畜産物価格の安定法がある。これを十分生かしてないために豚肉価格の変動が常に起きているのではないか、こういう気がするのですが、そういう点は何か感づいておられますか。
  265. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 私は、豚の価格変動というものは、現在においては不可避であると思っております。御承知のように、豚につきましては非常に多数の子供が生まれるわけですから、過剰生産なり過小生産なりというものがある程度あって、ピッグサイクルというものが世界のいずれの国においてもあるわけでございます。したがいまして、これを完全にそういう変動なしに安定させるということは、むずかしいと私は考えておるわけでございます。  ただ、畜安法ができまして、価格変動の幅というものがだんだん狭まってきております。昔、法律がないころには、上がります場合と下がります場合と非常に極端な変動をしておったわけでございますが、畜安法ができまして、上限価格と下限価格をきめまして、下限に下がるときには買い上げる、上限をこす場合には売り渡すというふうな需給操作を通じまして、だんだん価格変動の幅が狭まってきておるというのは事実でございます。ただ、そういうことのために価格変動の波が、従来は三年であったものが、最近は四年周期になってきておるということもいわれております。そういうふうな形で、やや安定した形になってきておるということは間違いないのではなかろうかと思っておるわけでございます。
  266. 柴田健治

    ○柴田委員 こういう農林統計から出してみて、生体が十キロが千八百七十九円、片方の枝肉になるとキログラムの単価を出している。それが平均すると相当の価格になっておる。それから精肉になると百グラム単位になっている。しろうとが見ると、生体の価格、枝因の価格、精肉の価格が、キロを抜いた単価を見るとだんだん下がったようになる。最後の精肉の類になると、場所によって違いますけれども、百グラムが七十七円というのは札幌だ。東京なら百グラム八十六円だ。そうすると、一キロの小売り価格が八百六十円になる。そうすると、東京で枝肉になると一キロが五百二十三円、それが精肉で小売りになると八百六十円になる。それから今度は生体になると十キロが大体千八百七十円だから、一キロが百八十七円ですか。生産農民からいえば、一キロが百八十七円のものが東京に出てくると八百六十円にもなる。  先ほど乳価の問題で、加工原料乳飲用乳との差別という、半ば差別行政だという意見が出ておりましたが、豚肉価格政策においても、そうした上物中物と差別行政をやらざるを得ない。あなたは、それは需給調整で、調整の一つの弾力性を持ってやっておると言われるだろうけれども、こういうあまりにも差別的な行政の中で、生産農民は常に不安定だ、同時にまた消費者価格も不安定だ、こう言わざるを得ない。だから、この点についてもう少しわかりやすく説明願いたいと思うのです、生産価格と消費者価格になぜこれだけ開きが出てくるかという。そうすれば、生産価格をもっと上げて消費者価格をもっと安くするという方法を考えたほうが、物価対策の面から見ても、また需要の面から考えても、もっと伸びるのではないか、また安定もするのではないか、こういう考え方が出てくるわけですが、その点について説明を願いたい。
  267. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 いま、どこでどういうふうに金がかかるかというふうな資料を持っておりませんけれども、現実に農家から出荷しましたあと、消費の段階に至るまでは、輸送がありまして、それから屠場に入りまして、それが皮をはがれ、内臓をとられるという形になりますから、肉の量は、量的に見ますと、最初買いましたものより量が少なくなってくるわけでありますから、その分だけが一キログラム当たりの肉の価格としては高くなってくることはもちろんでございます。それから、今度は枝肉で売られましたものが骨をとられまして精肉になりますと、それだけ歩どまりは減るわけでありますから、その分だけは精肉の価格に積み重ねられていく、こういうことになるわけですから、そういう意味ではやはり高くなっていく。それに、たとえば卸の場合ですと、卸の利潤とかそういうのが入りますし、小売りのところに行きますと、肉を切って売る。そこで、その手数がかかりますとか、あるいは若干の利潤がかかるとかいうようなことで、やはり高くなっていくということは普通ではなかろうかと思うわけでございますけれども、それがどの程度かということを、ちょっといま資料を持っておりません。  そこで、現実の成立している価格がそれでは適正であるかどうであるか、こういうふうなことになりますと、枝肉につきましては、卸売り市場で毎日価格が形成されていく。それによって小売り価格がきまってくる。しかし、卸売り価格と小売り価格が常に平均した価格で動いておるというふうには必ずしもまいらない、これは市場を通じて自由に形成される価格でございますから。ただ、御売が上がります場合にも比較的小売りは上がらないという傾向はある。しかし今度は逆に、卸が下がってもなかなか小売りが下がらないという、小売りの価格の硬直性というものはある程度ある、こういわれております。しかし、その間に密接な関係があるわけでございますけれども、時期的のズレ等がございます。  ただ、いまの価格が適正であるかどうかといえば、現実の流通関係を前提にいたしておりますから、流通関係をさらに合理化をいたしますことによりまして、この価格がもっと適切なものになるということは期待できると思うわけであります。そういう意味で、私のほうといたしまして、御承知のように食肉センターというふうなものを、必要な個所につくるということで助成をいたしておるわけでございますし、また、特に小売り段階は非常に零細な食肉業者が多いわけでございますから、非常に経費がかさむということもございますので、この合理化ということを推進いたしておりまして、それには、今回国会で御審議をお願いいたしておると思いますけれども、生鮮食料品の近代化資金制度というようなものもつくりまして、合理化に資したいというふうに考えておるわけでございます。
  268. 柴田健治

    ○柴田委員 局長、いまの制度買い上げの運用方法は、適正だと思われておりますか。
  269. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 事業団買い上げでございますが、買い上げの方法にいろいろな問題があるわけでございますけれども、基準価格に下がってきますと、そこで買い入れる。それは原則としては市場を通じて買い入れることにしておりますけれども、市場だけでは十分でございませんので、必要な場合には産地で買い上げるというふうな措置も講じておるわけでございます。それで、買い上げましたものは処理加工いたしまして、部分肉にいたしまして、それを急速冷凍にかけまして、冷蔵庫に保管しておくという形で保管いたしておるわけでございまして、私は、現在のところそういうふうな形がいいのではないかというふうに考えております。
  270. 柴田健治

    ○柴田委員 局長がいいんだという自信を持っていれば、審議会のほうで答申するのもそういうことになると思うのですね。いまの運用をわれわれが見ておると、上物中物と大体半々だ。だから農民のほうからいうと、ほとんど中物で押えられてしまう。中物で押えられたら、農家が一年養豚をやってみて、これだけは平均価格でいくだろう、こういうことで自分なりの計算を立てていろんな投資もやり、労力も費やしてやった。ところが市場に出したら、これは中物だということで押えられてしまう。価格も押えられてしまう。農家とすれば自信が失われる。自信を失うというところに――あなたは養豚は順調に伸びていると言われるけれども、そこに、農家に精神的な不安というものが常に伴っておるわけですね。  だから、上物だ、中物だといって、いま数字的にも半々くらいになっておるわけですが、これを、あくまでも消費者を守る、生産者を守るという立場で、こういう中途はんぱなことを考えずに、中間の流通機構を改善するという姿勢の中で一本化したらどうか。それぞれのもうけの逃げ道をこしらえてやるというような、要するにこれは、中間業者にもうけさせ、利潤を与えるための一つの逃げ道である、こうわれわれは解釈せざるを得ないのですね。畜安法の精神をもう少し拡大解釈していくなりして、一本化したらどうかという気がするのですが、その点についてはどうですか。
  271. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 中肉の問題につきましては、かねがね審議会でも問題が出ておりまして、しばしば小委員会をつくって検討されたわけでございます。その検討の結果は、いろいろな点が問題にされておりまして、まだ必ずしも問題は詰められておらないわけでございますけれども、一つは、上が五〇%で中が大体四〇%以上になっておるわけで、両方合わせて九〇%ということでございますが、これを買い上げるということになりますと、膨大な設備なり処理場が必要になってまいるわけでございます。実は昭和四十一年の三月から買い上げまして、四十二年の七月まで一年四カ月買ったわけでございますけれども、たいへん膨大な数量になっておるわけでございます。それがなお完全処理できない状態にあるわけでございまして、中を買うということになりますと、物理的に限界がないのかどうかという問題が一つはございます。  それからもう一つは、だんだん豚肉の品質が悪くなるような傾向になるおそれがある。中までみな買うということになりますと、現実に豚の品種について、もっと上物をつくらなければいかぬというような要請が非常に強くなってくるわけでございます。需要者側から申しますと、背のあぶらの薄い豚が需要されておるわけでございますけれども、だんだん上豚が少なくなってまいりまして、中豚がふえておるような現況で、改良上の問題からもはたして妥当であるかどうか、またそういうふうな状態が、農家の経営としても妥当であるかどうか、というふうな改良政策上の問題も一つあるわけでございます。  それからもう一つは、現実の問題としまして、中と上との価格差をどういうふうに設定するか。別別の動き方をいたしますので、常に中と上との価格差というものは一定でございませんで、非常に変動いたしておりますので、どういう事態において買い上げをするのか、その価格関係をどういうふうに考えるのかというふうなことにつきましても、なかなかむずかしい問題がございまして、まだ結論が出ておらないわけでございます。これはわれわれといたしましても、なお今後検討すべき問題であると考えておりますけれども、非常にむずかしい問題があるわけでございます。
  272. 柴田健治

    ○柴田委員 それで肉質の改良ということは、養豚ばかりではなく肉牛でもそうなんですが、肉質改良、品種改良ということについては、これはやはり国も県も責任があるわけですね。その責任を果たさずに、生産農家だけにまだ改良の余地があるのだということでいまの買い上げ方式を続けていくことは、あまりにも酷だと私は思うのです。だからそういうことを考えたら、もっと早急にこの問題を解決するという姿勢で取り組んでもらいたい。その取り組みの用意があるかどうかということなんですが、どうですか。
  273. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 十分検討をいたすことにいたします。
  274. 柴田健治

    ○柴田委員 それからもう一つ局長が言われたのですが、中間の業者というのは手数料経費も運賃も要るというけれども、今度またこの国会が済むと、御承知のようにいろいろな公共料金、運賃その他が上がってくるわけですね。それが据え置かれたら、すべての公共料金、運賃というものは、こうした目方のかかるものについては、消費者がかぶるのか生産者がかぶるのかということになるわけですね。中間の業者はかぶらない。きまっておる。だから、実際にもうける者はかぶらないが、消費者がかぶるのか生産者がかぶるのかという問題も考えさせられるんですね。その場合に、据え置かなければならぬという理由が、生産農民からいうと理解できないのです。中間はもうかってないというけれども、実際はもうかっておるんですよ。  局長、あなた牛のことは長い間やって知っているんだから御承知だと思うが、牛一頭でも捨てるところは一つもないんですよ。骨は骨粉に使うし、皮は牛皮でくつになるし、内臓は全部ホルモン焼きです。ホルモン焼きは、牛の価格でごらんなさい。農民の手取りは、百貫目の牛一頭二千円ですよ。屠殺場から金が支払われていくのは一頭分で二千円で、ホルモン焼きは一頭分で三万円をあげているんですよ。皮でもそうです。捨てるところは全然ありはしない。豚だってそうです。肥料にしたり何かしてほとんど捨てるところはないのです。もうかるようになっているのです。それが中間で目減りがしたとか、いろいろな手数料が要るからといって、生産農民だけにしわ寄せをしなければならぬという理由は、われわれにはわからぬ。  それから、もう少し流通機構の改善の中で、中間業者の利潤を少なくしていくような方向をとるということ、これは一つ物価政策からいっても私は正しいと思うのです。あなたは中間でいろいろな手数料や何か要るんだ、必要経費が要るんだから、生産価格と消費者価格が違うのだ。それは表面の理屈であって、内容はそうじゃないのだとわれわれは言わざるを得ないのですよ。  局長、ほとんど時間がありませんから、こまかいことは申し上げておられませんけれども、外国から輸入したのは、豚肉はないのですか。
  275. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 豚肉に関しては、ほとんどございません。
  276. 柴田健治

    ○柴田委員 いま統計数字には六百万頭くらいおることになっているのですね。豚が六百万頭で、屠殺数量が一頭六十キロ平均として年間一千万頭をこしているのですね。いま統計に出ている六百万頭の中で、ほんとうに農家として養豚をやっている生産農民、それからもう一つ、第三国人が飼っている豚、これは大体御承知だろうと思うのですが、これは分類したら、比例はどういうことになっていますか。
  277. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 そこまではわかりかねます。
  278. 柴田健治

    ○柴田委員 日本の国土の中でどこの人間が飼っておっても、日本の領土の中で飼っておる頭数を、いやしくも農林統計で出す限りにおいては、大体把握しておかなければならぬはずです。そのために雑種やそういうものがはんらんしておるから、したがって、品種改良もできないのだと私は思うのです。それから、第三国人が何頭飼っておるのか、日本人が何頭飼っておるのか、そういう基礎的な数字も把握してないところに、養豚に対する認識が非常に欠けておると私は思う。価格の政策においても、審議会答申でも、審議会委員諸君がどれだけのものを握っておるかということは、私は疑問を持っておる。それで、今度の豚肉据え置きについては、私はもう非常に不満を持っておるわけなんですが、本委員会でも今度決議がなされるようで、その決議を十分尊重願いたいと思うのです。  この機会に、ちょっとお尋ねしておきたいのですが、局長、配合飼料の安定基金制度ができたですね。これは輸入原料の問題で、四種目だけに限定されておる。これは結果はどうなんですか。輸入業者をかばうためにこしらえたのですか、酪農家をかばうためにこしらえた制度ですか。
  279. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 畜産農家の飼料価格の安定をはかるためにといいますか、つくったものだと考えております。
  280. 柴田健治

    ○柴田委員 どうもこれは趣旨がよくわからないのです。これに対して農林省としてはどういう考え方に立っておられるか。
  281. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 現在、全購連を中心にいたしまして一つできておるわけでございます。それから全酪連を中心にして一つできております。これは要するに、外国から入ります飼料原料が値上がりをいたしまして、その結果配合飼料の値上げをせざるを得ないというときにおいても、平生からためておきまして、その価格でもって、しばらくの間値上げを最小限度にとどめるというようなことを目的としたものでございます。そのためにあらかじめ農民が拠出をしておき、また団体も拠出をしておきまして、その分だけ、価格の騰貴がございました場合に、しばらくの間その影響を緩和する、こういうふうなことでございます。
  282. 柴田健治

    ○柴田委員 価格が上がらなければ、変動がなければいいのです。万一予想以外に価格が上昇した場合、価格が暴騰した場合に、そのときにはどうなるのですか。
  283. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 予定以上に価格が騰貴をいたしますと、これはその分だけ値上がりするということになろうかと思います。ただ、配合飼料の原料は、いまほとんど国際相場によって支配されておるわけでございますから、国際価格の変動というものが影響があるというふうに思っております。ただ、えさの問題につきましては、御承知のように食管の飼料勘定におきまして、輸入飼料につきまして、国内の需給調整をはかるため飼料原料の扱いをいたしておるわけです。価格変動の差異を想定いたしまして、トウモロコシでございますとか、あるいは油かすでございますとか、魚粉等につきましては、調整保管をするというたてまえになっておるわけでございます。
  284. 柴田健治

    ○柴田委員 価格が変動して手がつけられないような形になってきた、その場合にこういう基金制度ができて、生産農民も団体も基金を積んでおくわけですが、もう追っつかないという場合に、農林省としては、将来それを救済する考え方に立っておられるかどうか。
  285. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 農林省としては、そういうふうなものを救済するという考えはございません。
  286. 柴田健治

    ○柴田委員 時間がきましたから終わります。     ―――――――――――――
  287. 足立篤郎

    足立委員長 この際、おはかりいたします。  昭和四十三年度畜産物価格等に関する件について、本委員会の決議をいたしたいと存じます。  すなわち、本件につきましては、先刻来各党間で御協議を願っていたのでありますが、ただいまその案文がまとまりました。案文につきましては、お手元に配付いたしてあるとおりでございます。
  288. 足立篤郎

    足立委員長 この案文を、本委員会の決議といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  289. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、ただいまの決議について、政府の所信を求めます。
  290. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 ただいまの御決議につきましては、政府といたしましては、その御趣旨に沿いまして、十分誠意をもって検討いたしたいと思っております。
  291. 足立篤郎

    足立委員長 なお、ただいまの決議の関係当局への送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は来たる四月二日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十八分散会