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1968-03-14 第58回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十四日(木曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 足立 篤郎君    理事 鹿野 彦吉君 理事 草野一郎平君    理事 熊谷 義雄君 理事 坂村 吉正君    理事 森田重次郎君 理事 石田 宥全君    理事 角屋堅次郎君 理事 稲富 稜人君       小澤佐重喜君    小澤 太郎君       佐々木秀世君    佐藤洋之助君       白浜 仁吉君    田澤 吉郎君       中村 寅太君    中山 榮一君       丹羽 兵助君    長谷川四郎君       本名  武君   三ツ林弥太郎君       粟山  秀君    兒玉 末男君       佐々栄三郎君    柴田 健治君       西宮  弘君    美濃 政市君       森  義視君    中村 時雄君       樋上 新一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君  出席政府委員         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         農林省農政局長 森本  修君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   片山 正英君  委員外出席者         外務省経済協力         局外務参事官  有田 武夫君         林野庁林政部経         済課長     植草 治郎君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         労働省職業安定         局失業保険課長 増田 一郎君        専  門  員 松任谷健太郎君     ————————————— 二月二十九日  委員大村襄治辞任につき、その補欠として川  島正次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員川島正次郎辞任につき、その補欠として  大村襄治君が議長指名委員に選任された。 三月一日  委員柴田健治辞任につき、その補欠として枝  村要作君が議長指名委員に選任された。 同日  委員枝村要作辞任につき、その補欠として柴  田健治君が議長指名委員に選任された。 同月五日  委員柴田健治辞任につき、その補欠として井  岡大治君が議長指名委員に選任された。 同日  委員井岡大治辞任につき、その補欠として柴  田健治君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員柴田健治君及び樋上新一辞任につき、そ  の補欠として横山利秋君及び石田幸四郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として柴  田健治君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員柴田健治君及び石田幸四郎辞任につき、  その補欠として久保三郎君及び樋上新一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員久保三郎辞任につき、その補欠として柴  田健治君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員柴田健治辞任につき、その補欠として山  中吾郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山中吾郎辞任につき、その補欠として柴  田健治君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員柴田健治辞任につき、その補欠として山  内広君が議長指名委員に選任された。 同日  委員山内広辞任につき、その補欠として柴田  健治君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員大村襄治君、柴田健治君及び樋上新一君辞  任につき、その補欠として三ツ林弥太郎君、畑  和君及び有島重武君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員畑和辞任につき、その補欠として柴田健  治君が議長指名委員に選任された。 同月十四日  委員有島重武君辞任につき、その補欠として樋  上新一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月一日  中小企業を圧迫する農協事業是正に関する請  題(坪川信三君紹介)(第一八八〇号) 同月十二日  公立文教施設に対する国有林野貸付料減免に関  する請願外二十七件(池田正之輔君紹介)(第  二五九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  森林法の一部を改正する法律案内閣提出、第  五十五回国会閣法第一三三号)  積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改  正する法律案起草の件  農林水産業振興に関する件(米価審議会に関  する問題)      ————◇—————
  2. 足立篤郎

    足立委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、西村農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西村農林大臣
  3. 西村直己

    西村国務大臣 米価審議会につきましてのただいままでの状況を御報告申し上げます。  米価審議会は、去る一月二十四日、その委員の発令が行なわれたのでありますが、その後審議会の構成、ひいては米価決定あり方の問題について、国会において各政党間のお話し合いが続けられ、現在は、国会対策委員長会談等においてせっかく御折衝中と承っております。  米価決定に際しまして、米価決定に直接の利害関係を有する方々意見を十分反映させるよう配慮いたしますことは、政府の従来からの基本的な考え方でありまして、私は、先般はからずも農林大臣を拝命いたしましたが、全く同様の考え方に立ってこの問題に取り組んでまいる心がまえでおりますことは、申すまでもないところであります。  その方法についての私の目下考えは、去る八日、衆議院予算委員会において申し述べたとおり、できる限り努力いたしたい所存でございます。  何とぞ御了承賜わりたいと存じます。(拍手)
  4. 足立篤郎

    足立委員長 この際、委員長から一言申し上げます。  ただいま西村農林大臣から、米価審議会に関する問題について御発言がありましたが、本問題の解決並びに米価等の今後の審議につきましては、本委員会といたしましても最善の努力をいたしたいと存じます。      ————◇—————
  5. 足立篤郎

    足立委員長 引き続き、第五十五回国会より継続審査となっております内閣提出森林法の一部を改正する法律案を議題といたします。
  6. 足立篤郎

    足立委員長 本案につきましては、第五十五回国会におきましてすでに趣旨説明を聴取いたしておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  8. 足立篤郎

    足立委員長 質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。森義視君。
  9. 森義視

    ○森(義)委員 法案の内部の審議に入るに先立ちまして、大臣がせっかく御出席でございますので、一言大臣の所信を承っておきたいと思うのです。  大臣も御承知のように、林業という産業は、投資から収益まで大体三十年から五十年もかかるという、実に息の長い産業であるわけです。したがって、このような息の長い特殊な産業に対する政策というものは、必然的に長期計画というものが必要になってくると思います。したがいまして、これを担当する林野庁中心とする行政官は、じっと腰を落ちつけて政策の遂行に当たっていただく、こういう姿勢が望ましいと思うわけです。  ところが、歴代林野庁長官は、参議院選挙出馬をされます。農林省関係からは、もう毎回長官参議院選挙出馬をされるわけでございますが、そうなりますと、長官任期中に、結局、参議院選挙票田をつくるための政策というものが前に出てしまって、これほど息の長い林業政策を担当するには、実に場当たり的な、断片的な政策におちいってしまう危険性が多々あるわけでございます。今回の森林法の一部改正にいたしましても、そういうきらいが多分にございます。  もちろん、政策にはいろいろございますので、その政策をいかに有利に使うかということは、これは与党皆さんは、常に選挙対策考えると、当然打たれる手でございます。選挙制度審議会で、官僚の横すべりが最近問題になっておりますが、そういう問題とは別個に切り離して、林業を扱う行政官というものは、そういうふうに選挙に出る地盤つくりをやるというようなことを考えないような人を長官に据えることが、林業行政という息の長い産業をあずかる行政官としては、その心がまえが必要ではないか、こういうふうに思うわけですが、そういう点について大臣はどういう見解を持っておられるか、最初にお尋ねしたい。
  10. 西村直己

    西村国務大臣 林業は、私から申し上げるまでもなくきわめてロングランの観点から政策は立てていかなければならぬ、これは当然のことでございます。それから具体的に林業を扱います林野庁長官等が、従来参議院選挙出馬された。ただ、その在職につきましては、必ずしも短いとか長いとかではなく、相当期間おられた方もあると思います。そしてわれわれとしては、あまり短期間で職を去るということは望ましくはない、これが基本的な考えであります。  ただ、それをおやめになってから後、御本人がどういうふうな形でそれぞれお考えを持って行動されるか、これはまたその人の考えでございますから、われわれが関与すべきではないと思いますが、在職中は、短期のうちにあまりしばしばかわっていくことは、林業の上では好ましくない、これは当然申し上げられると思います。
  11. 森義視

    ○森(義)委員 短期のうちに林野庁長官がかわるということは好ましくない、行政性格からいって、そのことはそのとおりでございますが、そういたしましても選挙に出るとなりますと、これはお互いに私たち衆議院選挙を戦ってきておるわけですが、長官をやめてすぐに、突然心境の変化で衆議院参議院選挙に出るというものではないわけなんです。やはり自分の在任中からその方面の準備をやるのは、当然政治家常道であります。したがって、どうしても自分の持っておる権限を駆使してそういう票田を開拓するというのは、政一治を志す者の常道だと思うわけです。そういう考え方の人が歴代長官になっておられたのでは、林業行政というものは票田開拓のための行政におちいってしまう、こういうことを私は指摘しているわけです。したがって、そういう選挙に出られるのは個人の自由であるから、短期に交代は困るけれども、個人の自由まで拘束できないということではなくして、担当大臣として、このような林業という特殊な産業を扱う最高責任者になる林野庁長官は、そういう形でできるだけ選挙に出ない人、腰を落ちつけて日本林業のために尽くすような人が必要である、こういうふうに考える。私はそういう答弁をいただけると思っておったのですが、そういう答弁とは若干違うわけです。個人の自由だ、確かにそうでございますけれども、そういうことだからこそ日本林業というものが、今日の荒廃状態に置かれておる。いわゆる場当たり的な目先の、林業家から支援をいただくような政策任期中に何かつくって、そして票田をつくっておる。そういうことで、一つ関連性のない形の中でひょっこり出てきたりする法案があるわけです。そういうことでは、日本林業長期の発展というものが期待できない。そういう角度から私はお尋ねしておるのであって、この林業という特殊な産業を扱う長官については、できるだけそういう選挙を志す人はやらせない、そういう人選はしないような方法が望ましいと考える、こういうことを大臣から承りたいと思うのですが、いま一度御答弁願います。
  12. 西村直己

    西村国務大臣 林業性格から申しますと、そういう御意見も十分われわれとしては考えていかなくてはなりません。ただ、林業そのもののいわゆる長期政策と申しますものは、もちろん、国会で御審議願ったいわゆる基本法であるとか、その他諸般の基幹的な法律、またその間において国会を通し、あるいは政党を通して、それぞれが長期的な視野のもとにおいて考えられた中から生まれたその後の施策でございますから、一人一人がただ悪意的にこれを変え得るものではないというふうに私も考えております。そういう大事な職責に、長くいるということはもちろん望ましいことでございますが、政策そのものがそれによってぐらぐらするというようなことは、もちろんその上には私も責任者としておりますし、あるいは農林大臣という職責もございますから、十分それに気をつけてまいる。同時に、万一その職権を乱用するというようなことがあればたいへんなことでございまして、それは当然官界にある者は慎まなければならぬ、こう考えておることで御了解いただきたいと思います。
  13. 森義視

    ○森(義)委員 大臣は、林業基本法政策目標が明らかになっておるから、だれが長官になられてもその精神を逸脱するものではない、したがって、そういう点についてはかってに長官自分の恣意的な票田つくりをするというようなことはいたさない、こうおっしゃっているわけです。それでは聞きますけれども、林業基本法政策目標というのは、大きく分けて三つあるわけなんです。一つは、総生産増大であります。その次は、生産性向上によって格差是正するということであります。いま一つは、林業従事者所得向上して、社会的、経済的の基盤を引き上げるということなんです。この三つ政策目標が明らかに出ておるわけなんです。  この政策目標に従って法案が出てきておるかというと、必ずしもそうではないわけなんです。今度の森林法の一部改正というものは、その政策目標の大綱のどこに当てはまるか。これは個別施業計画をなさることによって、税制上の恩典を与える、そのことによって大林業家にかなりのメリットを与えておるわけなんです。そういうことで、法律をつくることによって次の票田をつちかうことができる。林業基本法精神にのっとって、それに長官が忠実にやっておられるんだったら、もっと違った法案が出てくるわけです。たとえば、総生産増大においては、当然林道の問題なり造林の問題について単独法案が出てくるわけです。必ずしも林業基本法の、いわゆる政策目標に向かっていまの行政は行なわれておらない。それはなぜかといえば、長官選挙に出るために、自分票田をつくるために当面の目標を追うから、法律というものが断片的な、場当たり的なものになるのだ、こういうふうに言っているわけなんです。だからいまの大臣のように、林業基本法には政策目標がはっきりしているのだから、それをはずれることはないんだ、逸脱することはないんだ、したがって、特殊な自分票田を養うために、長官がかってな政策をやるというようなことはできないんだ、こうおっしゃるけれども、それはそれなりのワクの中でやる問題はあります。決して私は、今度の森林法の一部改正も、いわゆる林業基本法で示された政策目標から逸脱していると思いません。しかし、やらねばならぬ問題がたくさんあるのに、ぼこぼことこういうこま切れ的な法律が出てくるということは、そういうところに目標があるからで、そういう点について、歴代参議院選挙に出られるような長官をいただくということは、日本林業振興上思わしくない。できればそういう問題は腰を据えて、そういう意図を持っておらない人に長官を担当していただきたい、こう言っておるわけです。これは与党議員だって同じ考えだと思う。そんな場当たり的に……(「そんな考えはないぞ。」と呼ぶ者あり)そうですか、それじゃ与党議員皆さんからも意見を出していただきたいと思うのです。長官はかわって毎回参議院に出す、そういう意図があるならばどうぞ出していただきたい。私は林業をあずかる長官というものは、もっと腰を据えてやるような人を選ぶのが妥当であると思う。その点大臣どうですか。
  14. 西村直己

    西村国務大臣 私は、最初から申し上げますように、林業性格といたしまして、長期的な目でものを考えていく、これは当然のことだと思います。したがって、歴代林野庁長官によっては、長い人もありましょうし、ある年限やった人もあるでしょう。人によっては違うこともあるかもしれません。これは個人のそれぞれの事情もあると思います。したがって、私はできるだけ長いことやる、短期でやめることは望ましくない、これははっきり申し上げておきます。  それからもう一つは、私の説明が不十分であるかもしれませんが、一つ法律案は、もちろん単に個人あるいは一人の長官の意思だけで出るものでございませんで、ここに御提案申し上げますのもいろいろな機関を経まして、そうしてまた国会にはそれぞれの政党がございます。それらの御意見も勘案しながら出てまいったという過程を踏んでいると思うのでございます。そういうようなことも御了承願いながら、さらにこれがまた国会の正式の場でもって御論議なり御審議を願っておる、こういうふうに御了解を願いたいと思います。
  15. 森義視

    ○森(義)委員 入り口でとんざしておりますと、法案審議に入れませんので、私たちはそういう希望を持っておるということだけは十分大臣のほうとしてお考えいただきまして、林業行政特殊性にふさわしいような長官を選んでいただくことを御要望申し上げまして、法案の内容の御質問に入りたいと思います。  前国会でかなり時間をかけまして森林法の一部改正については御質問申し上げ、審議をいたしましたので、そういう点に重複しないで、前国会審議の中で言い足りなかったことを中心にしてお尋ねいたしたいと思うわけです。  いま大臣とのお話の中で私の申し上げましたように、林業基本法の二条には政策目標が明らかになっておる。その林業基本法が三十九年にできてからこちら、林野庁としては、この政策目標に合致する法律としてどんな法律を出されたか。いままでは入会林野近代化法山村振興法の二つですね。そこで、今回出されようとする森林法の一部改正は、この政策目標のどれに該当するのか、これをまずお聞きしたい。
  16. 片山正英

    片山(正)政府委員 今回の改正は、森林法の一部改正でございますが、それを実施する結果によりまして、基本法でうたっております各条項にわたる実施がはかられることになります。たとえば、合理的な施業推進、それによります健全な事業の確立、あるいは協業化の推進ということもうたわれておりますが、それもまたそれによって達成するような形でわれわれは推進しようとしているのでございます。条項別にいろいろ基本法にうたってありますが、条項別にはいまちょっと申しませんけれども、三条、十一条、十二条、十三条、いろいろな条項改正が当てはまるとわれわれは存じておる次第でございます。
  17. 森義視

    ○森(義)委員 長官も御承知のように、基本法の第二条に政策目標というのが三つ明確に羅列されてあるわけです。その一つは、総生産増大であります。その二番目は、いわゆる生産性向上による他産業との格差是正であります。三番目は、林業に従事する者の所得増大によって社会的、経済的地位向上をはかる、これが林業基本法に示されておる政策目標であります。いま出されようとする森林法の一部改正は、この三つ政策目標のどれに該当するのか、これをお尋ねしておるわけです。  それからいま一つ、この政策目標を達成するために林野庁のほうで準備されている法律案ですが、どういうものを将来出そうとしておるか、その概要を、できればお聞かせ願いたいと思います。
  18. 片山正英

    片山(正)政府委員 ただいまの御質疑に対して、各条項にわたってちょっと具体的に言い過ぎましたので、かえってポイントをはずしたような気がいたします。  御質問の第一点の総生産増大の問題でありますが、御承知のように、今度の森林法改正によります森林施業計画と申しますのは、目的といたしまして樹種林相改良、それから適期伐採というものがねらいでございます。樹種林相改良適期伐採は、最も増大する、最も生長する、最もいい伐期、それを対象としておるわけでございます。したがいまして、いずれの場合におきましても林業の総生産増大につながる問題でございます。  第二点の生産性向上でございますが、これは、いま私たちの進めようとしておりますことは計画を樹立いたしまして、その計画の中で、いわゆる計画的な施業協業の中で進めようということを推進しようとしておるのでございます。そういう協業の中で進める協業体としましては、一応われわれは、森林組合というものが委託施業を受けましてやるというような形が望ましいのではないか。その場合に、その協業をより合理的に進めるためには、それらの組合に対する資本の装備を打ち立てるということが必要ではないだろうか。そういう場合にわれわれは、いまの基本法精神を体しまして、同時に林業構造改善というのをやっておるわけでございますが、その中で計画制度と相関連させながらそれを推進させて、生産性向上をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  最後の福祉向上ということでございますが、計画制度を樹立した暁におきますと、事業というものの計画が立ってまいる関係上、それに従事されます労務者の方々が、いわゆる計画的に、通年的雇用も伸ばしていけるのではないか。そういうような姿の中で、社会保障社会福祉というものが相関連して達成されてまいるのではないだろうかというふうにわれわれは思います。  そのような形で、われわれは御指摘の三点の基本法精神そのものを、この計画制度を通して推進できる、かように存じておる次第でございます。
  19. 森義視

    ○森(義)委員 それからもう一つ基本法精神の大事なことが抜けておる。いま考えておる法律案です。
  20. 片山正英

    片山(正)政府委員 法案としていま私どもが打ち合わせておりますものといたしましては、この間も質問がございましたが、森林共済制度の問題があります。森林を安定して経営してまいるという形において、現在の国営保険その他の保険というものが必ずしも十分ではないと、われわれそう考える次第でございますので、そういう問題を、まず経営の安定という意味から基本的に検討し直して、法的の措置によって対処してまいったらどうだろうかということを、いま検討中でございます。  そのほか、これは法案として即座にお答えするのはまだ早いとは思いますが、木材の流通の問題がございます。御承知のように、現在外材関係が非常に大きなウエートを占めてきております。国内材につきましては、漸増をわれわれはやっておりますが、いまの需要との関係生産の停滞を来たしております。したがいまして、国内材外材との関連におきます製材工場あり方、こういうものの体制をわれわれは整備していかなければならない、こういうような観点から、目下検討中でございます。そういう形の中で、もしでき得れば一つの形をつくってまいりたいというふうに考えておるわけであります。  それから、前からの問題として林道法というようなものが一応いわれております。しかし、私は、林道法というものを考える前に、森林開発をどういう形で進めるべきか考えるべきではなかろうか。したがって、現在われわれは、一ヘクタール当たり十三メートルというものが林道の密度として一応的確であろうという形をもちまして折衝に入っておるわけですが、もう少し具体的に、日本全国ブロックならブロックに切りまして、その中でどういう開発を基幹的な林道にしたらいいかということをきめていきたい。そういう中で、法律としてそれが必要であるならばそういう形をとる。そういうものも含めて、いま私たち検討をしておるわけでございます。  いずれにいたしましてもそういう問題を通しまして、検討の中で法案として必要なものは、すみやかな態度で臨んでいきたいというように考えておる次第でございます。一例でございますので網羅しておらないと思いますが、とりあえず御質問にお答えいたします。
  21. 森義視

    ○森(義)委員 大臣、いまお聞きのように、林業基本法政策目標について非常に一貫したあれがないわけです。こんなことで日本林業が、前向きの姿勢でいまの危機を脱することはできないと思うのです。日本林業に課せられておる当面の重要な目標は、需要の拡大に対してどう対応していくかということです。これが足らぬから外材がどんどん入ってきておるわけです。そうすると、総生産増大というのが最大の課題になってくるわけです。その総生産増大、当面の最大目標に向かってまずこういう政策をやる——総生産増大に必要なことは生産基盤の拡充であります。それには林道と造林であります。いま考えておる中では、林道法ということもあるけれども、開発全体についていろいろ考えておる、こういう長官のお話でありますから、それなら、林業政策目標の重点というものはどこにあって、それに対しどういう法案を準備しておるか。しかし、それはまだこういう検討の足らないところがあるから、とりあえずまとまりやすい森林法の一部改正から出してきたのだ。森林法の一部改正というのは、全政策の中でどういう位置づけにあるのだという、明確に系統立った政策が行なわれないというのは、先ほど申しましたように、場当たり的に長官がころころかわってしまって、自分任期中に何とか次の票田の開拓をやればいいという、そんな人事をやっておるからこういうことになるのですよ。だから、私はいまの長官答弁では、林業政策全体についての一貫性ある確たる、われわれがなるほどそうだ、それの関係法案を準備していけ、特にわれわれが協力しようという意欲がわくような、そういうものが答弁からは得られないわけです。もっとはっきりとしたものが林野庁の中ではあるはずなんですが、長官がかわられて引き継ぎが完全に行なわれておらないのかどうか知りませんが、どうもいまの長官答弁では心もとない感じがするわけですが、さらに部長のほうで補足することがあれば出していただきたい。
  22. 木村晴吉

    ○木村説明員 いま御指摘がございましたのでお答えいたしますが、長官が申し上げましたのはその骨組みでございます。一番大事なのは生産性向上の問題でございますが、生産性向上の問題で一番当面のあれは、やはり造林の推進林道の拡大でございます。この問題につきましては、いま長官が申し上げましたように、固まるか固まらぬかは別としまして、何とか新しい推進要綱的なものを固めたい。造林につきましては融資条件の改善、将来の造林のにない手は、何と申し上げましてもやはり国とか県とかあるいは大森林所有者、また零細な森林所有者をどのように固めて共同的に推進していくかという施策が、どのように固められるかという点を日夜いろいろ検討しておる段階でございます。
  23. 森義視

    ○森(義)委員 どうもはっきりしないのですが、いま部長から答弁があったように、いわゆる総生産性を高めるためにはどうしても生産基盤の整備が必要だ、そのためには造林の推進林道の拡大が必要だ、こういう御答弁があったわけです。そういう方針というものがはっきりと出ておって、それに対していま総合的な計画を練っておるのだ、こういうことだろうと思うのです。  そこで、そういう問題を遂行するに必要ないわゆる計画プランというものができましても、その計画プランというものを遂行するに必要なのは労働力なんです。この問題を離れてどんな計画も、林業の場合においては遂行できないわけです。大きな機械力にたよることもできない日本の山岳林業の場合、あらゆる計画が全部労働力にひっかかってくるわけですが、これは長官も御承知のように、林業労働力は年々老化し、質的低下を来たしております。そういう中で、このような政策を遂行するかなめになる、基盤になる労働力、特に優秀な労働力の確保について、抜本的な対策というものがあらゆる政策の底辺に位置づけられなければ、その政策それ自体が効果的な実施ができない、こういうふうに思うわけです。そういう点については、いまの林業基本法政策目標の第三項にある、林業従事者所得向上によって社会的、経済的地位向上をはかる、この規定というものが、これからの、先ほどお尋ねしました中における法案準備の中に入っておりません。これはどういうことですか。その点について長官のほうから、あらゆる政策の基盤になる稼働労働力というものをどう確保していくかについて、林業基本法の二条の政策目標からいっても当然準備しなくちゃならない問題が、三十九年に林業基本法ができてもう四年たちますが、いまだに考えられておらない。この点について私は、林業は机の上で紙に書いたらできるというような考え方でおられるというふうに受け取れるわけです。そうじゃなくて、実際にそれを稼働する労働力というものをどう確保するかという点についてどういう準備をし、今日までどういう計画をしてこられたか、これをお尋ねしたいと思う。
  24. 片山正英

    片山(正)政府委員 森林法の今回の改正は、樹種林相改良あるいは適伐というようなものを中心にした計画制度の法的認定をいたすわけでございますが、それを実施する際の労務計画等につきましては、非常に大事な問題だとわれわれは思います。したがいまして、その労務確保の問題につきまして、われわれ今年度の予算といたしまして、まずその労働力確保の前提条件となります通年的な雇用というものを確立してまいりたい。現在、御承知のように季節的であり臨時的である関係上、通年的な雇用がされてないというところに林業労務の問題点があるのではなかろうか。社会保障の充実のできがたい姿があるのではないだろうか。したがいまして、あくまでわれわれは通年雇用という形を今後推進していく中で、社会保障の充実もあわせて確立していくという方向にいきたいという考え方でおるわけでございます。  なおまた、そういう労働力確保の前提といたしましては、近代的の諸産業に伍して負けないだけの経営の姿があるべきだと思うわけでございます。したがいまして、そういうような姿に対処するために、資本装備の高度化をいたすとか、あるいは林道の整備をするとか、あるいは個々の小さな森林業者がそれができがたい情勢にあるわけでございますから、協業化というようなものを推進して、そういう他産業に比較しても劣らないような労働条件を確立し得るような形にわれわれは持っていきたい。一応そういう形で労務の確保をはかり、経営の安定をはかってまいりたい、かように思う次第でございます。
  25. 森義視

    ○森(義)委員 労務の確保をはかるためには、いわゆる雇用の安定がどうしても前提条件になる、長官の御答弁はそういうことだと思うのです。雇用の安定なくして労務の確保もはかれないし、あるいは社会保障の実施をしようとしてもなかなかできない。それでは、今日まで雇用の安定のためにどういう施策を準備してこられたか。  私は、昭和四十年の本国会で、民有林労働者の実態というものを聞いたわけです。資料がないということで、それから予算をつけて調査を始められました。もう二年たっています。その調査の実態はどうなのか。民有林労働者の実態調査というものを、昭和四十年の本国会における長官答弁では、資料がないということで逃げられた。それで資料をつくるまで待ってほしいということで、二年待ってきたわけです。ちょうど三年目です。その実態把握がなければ、あらゆる政策ができないということで実態把握のための調査をやられたわけですが、聞くところによりますと、それは登録制度によって森林組合の労務班を育成していくというような方向、私の質問したこととはすりかえられた方向へ進んでいるように聞いております。その点について、どういう民有林労働者の実態の資料を持っておられるのか。それを雇用安定に結びつけていくためには、その資料に基づいてどういう施策をやっていけば雇用安定になっていくのか、通年雇用になっていくのか、こういうことについて、いま考えておられる、資料に基づいた考え方というものを明らかにしてほしいと思う。そんな口先はかりじゃなく——質問のたびに、雇用の安定、通年雇用を考えていますということじゃ、全然前進しませんよ。そのために資料整備をやらして、予算もとってやっているじゃないか。
  26. 片山正英

    片山(正)政府委員 先生の御指摘がございまして、四十年から、御承知のように林業の労働力の対策といたしまして、労働の実態調査ということをやってまいったわけでございます。今年度で二カ年になったわけでございます。したがいまして、その二カ年の実態調査をもとにいたしまして、来年の予算にわれわれが盛り込もうと思いますのは、それによって調査されました林業者の実態、それから労働者の実態の名簿を作成いたします。その名簿を通しまして、これは職安との関係もございますが、連絡を密にいたしまして、通年的な雇用の形に持ってまいりたいということを考えておるわけでございます。  ただ、そこで問題は、林業者という性格は、一単位が非常に小さな問題でございますから、全体としては通年的でも、一人の雇用者に通年ということは、なかなかできにくい問題であろうと思うわけでございます。したがいまして、その辺の解決をするためには、先ほどおしかりは受けましたけれども、森林組合労務班というような形でこれを育成して通年的に向けることはどうだろうか、あるいは、これは林野庁内部だけで検討している段階でございますから、成案という意味ではございませんが、何をやっているかということでございますので御説明申し上げますが、そういう個々の林業者のいわゆる事務組合というようなものをつくって、それを通して年間的の離職率の緩和と申しますか、あるいは離職対策と申しますか、そういう問題の解決はできないのだろうかというような意味の検討を、実は林野庁内部でしておるわけでございます。そういうものを通して、成案を得ましたら、関係省とも十分連絡の上、とにかく安定した姿に持ってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  27. 森義視

    ○森(義)委員 資料として出してほしいと思うのですが、二年間にわたって民有林労働者の実態調査をやられましたね。その資料はもうできておるはずだと思うのですが……。
  28. 片山正英

    片山(正)政府委員 資料をいま持っておりますが、課長から説明さしてよろしゅうございましょうか。
  29. 森義視

    ○森(義)委員 その資料全部を言わなくても、その資料の中で労働者の賃金の問題です。その民有林労働者の賃金の問題を出していただきたい。
  30. 片山正英

    片山(正)政府委員 あとで御提出したいと思います。
  31. 森義視

    ○森(義)委員 それではあとで提出してもらうことにして、いま林野庁考えておる森林組合を通じての労務班、それはどういう性格のものですか。
  32. 片山正英

    片山(正)政府委員 性格と申しますか、森林組合が各森林所有者からいろいろ事業を委託される、その委託された事業を実施するという形の労務班という意味でございます。
  33. 森義視

    ○森(義)委員 林業従事者の社会的、経済的地位向上に労務班がどういうふうに役立つか、その点についてはどういうふうにお考えですか。
  34. 片山正英

    片山(正)政府委員 先ほど申しましたように、林業の一番問題点は、社会保障その他をやっていこうとする場合の一番の隘路は、やはり通年雇用じゃないというところに問題がございます。したがいまして、そういう通年雇用を達成するような形に持っていかなくてはならない。その場合の手段として、先ほど申しました森林組合の労務班というのもその一つとして考えられ、検討しておる、こういうことでございます。
  35. 森義視

    ○森(義)委員 林業労働者の一番大きな問題は、現在の山村の中におけるいわゆる封建的な身分関係なんです。若い人たちが住みつかないというのは、こういう封建的な身分関係の中に近代教育を受けた者が残れないということにあるのです。その封建的な身分関係を断ち切るためには林業労働者を組織化して、労働者としての権利を主張できるような組織をつくってやるということが必要なんですよ。それを労務班という形で、森林家とのいわゆる身分的な関係、そういう問題を温存したままで労働者を使おうという、そういう考え方林野庁にあるわけなんです。それでは若い労働者が、その封建的な身分関係の中に窒息するような形の中では、たとえば賃金が上がりましても残りませんよ。そういう封建的な身分関係を断ち切って、この基本法精神にうたわれておる社会的な地位の向上をどうはかっていくか。これは、近代的な人権尊重の立場に立ったところの労働者としての権利を主張できるような形に持っていくことが必要じゃないですか。そのためには労務班じゃなくして。民有林労働者の労働組合を結成させるべきなんですよ。それをあなた方は、その労働組合を押えるために森林組合の労務班という形で、いわゆる身分関係を温存した形の中でこき使おうとする、そこに問題があるわけなんです。その点どうお考えですか。
  36. 片山正英

    片山(正)政府委員 われわれは、民主的ないろいろな姿を打ち立てようとしておるわけでございます。したがいまして、ただいまの森林所有者、そういう人が、御指摘によりますと、封建的なものであるというようなことでございますが、われわれは、そういう所有者であろうと労働組合の人であろうと、すべて含めまして民主的な姿で推進していく、そういうような形での協議会、研修会、そういうものをやっておるわけでございます。労務班はそういうものにはならないというふうにきめつけるというのは、われわれはちょっと行き過ぎのような気がいたします。
  37. 森義視

    ○森(義)委員 それでは森林組合の労務班は、実質的に労働条件の改善なり社会的地位の向上について、団体交渉の権限が法的に認められるのですか。そんな森林組合の労務班が、民主的な権利を持っておるなんという考えは、もってのほかですよ。
  38. 片山正英

    片山(正)政府委員 森林組合の労務班というものは、団体交渉の対象に認められます。
  39. 森義視

    ○森(義)委員 労働組合法上の団体交渉の権限を持ちますか。
  40. 片山正英

    片山(正)政府委員 組合が結成されておるということでありますと、持ちます。
  41. 森義視

    ○森(義)委員 あたりまえのことじゃないか、組合を結成したら。労務班それ自体は労働組合としての労組法上の三権を持つかどうかということを聞いておるのですよ。いまつくられておる、皆さんがつくろうとしておる労務班は、労働組合として法的に認められた労働三権を持った労働者ですか。そんなことになってないですよ。労働組合と同じような労組法上の三権を持った労務班ができておるのだったら、その場所を言ってください。どことどこにそういう団体交渉権を持ち、労働三権を持っておる労務班というものがあるということなら、言ってください。
  42. 片山正英

    片山(正)政府委員 現在は、御指摘のように、そういう団体交渉権を持った労務班はございません。
  43. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、私が言っておりますように、いわゆる山村のいままでの山地主と労働者という身分関係は温存されたままで労働力を確保しようとしても、これは無理だ。現在の中高年労働者はそのまま残りましても、青年労働者は残らないわけです。これからの日本林業考えていく場合に、どうしてもやはり機械の導入が必要になってまいります。青年労働者をどうして残すかということになれば、労働者自体の中に民主的な権利を与えるということ、そのことが前提にならなければならない。それがいまのような、皆さんの実態調査をやられた中で出てきた、特に労務班編成というものは、そういうような民主的な権利を付与したところの労働者の組織ではない。したがって、民主的な権利を付与したところの労働者の組織をつくって、若い青年労働者が住みつけるようにするためには、民有林労働者の組織化というものを考えていかなくちゃならないと思うのです。その点について、私が昭和四十年にこの場所で実態調査をしてくれと言ったのは、そういう封建的な身分関係というものをどう断ち切るかということの方向へ実態調査が出てくる、そういうことを願望に置いてお願いをしているわけなんです。ところがすりかえてしまって、それを封建的な身分関係に固定化しようというような方向に、林野庁が指導するなんというのはもってのほかだ。調査した資料を出さずにですよ。逆行もおびただしいと思うのです。その点について林野庁長官は、そういう方向で青年労働者——現在の中高年労働者は、過去のそういう封建的な身分関係のつながりからいって、しぶしぶついていくでしょう。青年労働者がそれで山に残ると思いますか、いかがですか。
  44. 片山正英

    片山(正)政府委員 青年労働者が山村に喜んでとどまってもらうというような形の施策は、ぜひわれわれはやってまいらなければいかぬというふうに思います。そのような意味で、われわれは調査をいたしました実態調査をもとにいたしまして検討し、ほんとうに山にとどまって、他産業と比しても負けないというぐらいの形のものを打ち立てるということで努力してまいりたい、かように思います。
  45. 森義視

    ○森(義)委員 大臣はあまり時間がございませんが、いまの質疑応答を通じまして、大体何を私が尋ねようかということを理解をしていただいたと思うのです。問題は、日本林業を、将来の長い展望に立って考えていく場合に、それらのにない手であるところの林業労働者、特に若年労働者が、どうして住みつけるような形にしていくかということが非常に重大な課題であるわけです。と同時に、林業家が経営意欲を持って林業に精を出す。この二つが並行してはじめて日本林業は、期待しておるところの総生産増大なりあるいは外材に安易な依存をしないで自給度を高めていく、国内で必要とする木材を国内でまかなえるような形になると思う。そのためには、その基盤になるところの労働力というものが非常に重要なんですが、その問題についていまの長官答弁は、何か現在の労働者が何とか流出しなかったらいい、そういう考え方に立った答弁なんですね。私は、若い労働者をどう林業に残していくかという、そういう組織をつくらなければいかぬということを言っているわけです。この点について、大臣はどういうふうにお考えか、所見を承りたいと思います。
  46. 西村直己

    西村国務大臣 御質問答弁の間におきまして、状況はよく把握いたしました。  そこで、私も総生産増大、その基盤には、一つにはいわゆる林業の近代化という問題、その近代化には、経営の近代化、それにはもちろん資本なりその他の面からの近代化もありますし、労使関係の近代化、この点では、全くそういう観点からものはすべて考えられていかなければ、いわゆる優秀なる労働力の確保ということはできない。これはもう同感でございます。
  47. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、優秀なる労働力の確保の問題について、いま一つは、この封建的な身分関係を断ち切るために、私は、民有林労働者が民主的な権利を主張できるような組織をつくる、いわゆる民有林労働者の組織化の問題について、一歩踏み出さなくてはならないということを強く指摘いたしておきます。  その次には、やはり何といっても賃金の問題です。この基本法政策目標の中にも、いわゆる格差是正だとか、あるいは社会的地位の向上とかということが入っておりますが、現在の民有林労働者の賃金がどういうようになっておるかと申しますと、千名以上の大企業の、大体三十五歳から四十歳、これは林業労働者のいまの平均年齢ですが、それらの人たちの賃金は、年間所得七十七万八千円です。これを林業労働者に割り当てますと、林業労働者の場合、大体奈良県あたりでは百五十日から二百日稼働ですが、最高二百五十日稼動したとして日給三千百十円です。天候、気象の関係があって、林業はなかなか全日数を通じて働けないわけです。したがって、二百五十日の年間稼働として、三千百十円の日給がなければ都会の労働者とは均衡しない。百名以下の中小零細企業の労働者で年間所得五十五万三千円、これに直しましても二千二百十円です。二千二百十円の日給がなければ、二百五十日稼働として都会労働者との均衡がとれないわけです。ところが、資料によりますと、いま伐木造林夫の全国平均が千百五十三円であるわけです。そうしますと、最低の中小企業の労働者の賃金の半分なんです。こういう賃金実態が山林の労働者を確保しようとしても、これは無理なんです。この賃金を上げるためには、政策としてどういう方法が講じられなければならないか、まずこの点について林野庁当局はどう考えておるのか、いま申し上げました数字は多少のあれはありますけれども、大体間違いないわけです。中小零細企業の所得、それだけの所得をあげようとすれば、二百五十日働いて二千二百十円、この日給で二百五十日働かなければいけない。ところが、いま千百五十三円である。それは伐木造林夫ですよ。それだったら半分の賃金です。半分の日給で山に残れ、こう言ったって無理でしょう。その賃金を上げるためにはどんなにしたらいいか。これは林野庁としてはどうお考えですか。
  48. 片山正英

    片山(正)政府委員 手元に詳細な資料はございませんが、大体われわれの承知いたしております民有林の林業の賃金でありますが、土建業の屋外作業者の賃金とほぼ同じ程度の賃金が、いまの林業の賃金であると思っております。かつまた、その賃金の上昇率を見ましても、過去五年来の上昇率を見ましても、屋外の建設業の賃金の上昇率と林業の上昇率とが、これまたほぼ同じような形で上昇をしているわけでございます。そういう形ではございますが、いま御指摘のあった一般二次産業等との比較におきましては、低位で格差があるということは疑い得ないことだと思います。  したがいまして、林業としての問題点は二つでございまして、そういう低位な、屋外労働の土建屋さんと比較して同じでありながら低位であるということは、通年的に働いてないというところに一つの問題点がございます。したがってその道の打開をどうしてもはかっていかなければならない。  もう一点は、先ほども触れましたように、経営そのものがそれで成り立つような経営に持っていかなければいけない。それを吸収し得るような経営に持っていかなければいけない。そういうことで、われわれは資本装備等の合理化に力を入れて、そういうものができるような経営体としての形に持っていかなければならないというふうに思う次第でございます。
  49. 森義視

    ○森(義)委員 いま私は、現在の林業労働者の賃金を、いわゆる都市労働者並みにするためにはどのようにしたらいいかということについて、林野庁のお考えをただしたわけです。そこで、経営者がそれを支払えるような、そういう企業体に持っていかなければいかぬということです。経営者がそれを支払えるような企業体に持っていくためには、経営規模の大型化が当然考えられなければならないと思うのです。労働者に、いわゆる社会通念上必要とする生活費が支払われるような、そういう賃金を支払えるような経営体にしていくためには、どういう規模の林業が妥当なんですか。林野庁はどういう規模の林業を、いわゆる労働者に生活費を十分支払える企業として考えておられるのか。いままで林野庁のほうは、大体日本林業に対して、経営規模というものについての確たる考え方、方針というものがなかったわけなんです。そういうものがはっきりとして、こういう規模の経営にしていかなければ、雇った労働者に都市労働者と同じような賃金を支払うことはできないというふうな経営規模というのはどういうものですか。
  50. 片山正英

    片山(正)政府委員 われわれが当面考えておりますのは機械化、そういうものをわれわれは推進していくわけであります。機械化の推進の中において、やはりそういうものを吸収できる方向を見出していきたい。したがって、機械化の一つの単位というのがございます。山のいろいろな事情でそれぞれの機械の実態は違うとは思いますが、一応機械の効率的な単位という形での協業化というものをわれわれは推進していきたい、かように思います。
  51. 森義視

    ○森(義)委員 機械化の効率的な単位というのは幾らですか。
  52. 片山正英

    片山(正)政府委員 機械によって違いますが、たとえば集材機一つとりましても、大型、小型で違いますが、一例をとりますと、一集材当たり大体二千立米前後というふうに考えております。
  53. 森義視

    ○森(義)委員 世間並みの賃金を支払えるにふさわしい林業経営の規模というのは、いわゆる機械化を単位にしてとった場合において、二千立米以上の規模のあれじゃないと、民間の都市労働者の賃金と均衡したような賃金を支払えるような林業が成り立たない、こういうことですか。二千立米以上の民有林の所有者は何人いますか。
  54. 片山正英

    片山(正)政府委員 いまのは、私は一所有者という意味ではなしに、協業の形でそういうことを目標として進めていく、こういう意味でございます。
  55. 森義視

    ○森(義)委員 協業でもけっこうですが、経営規模は二千立米なければ、いわゆる都市労働者と均衡のとれた賃金を支払える規模にならない、こういうふうに理解していいのですか。はっきりしてくださいよ。
  56. 片山正英

    片山(正)政府委員 われわれは、それを理想形態としているわけでございますが、場所によりまして非常に所有形態が複雑化しているところもあると存じます。したがいまして、そういうものを一がいにそういう理想形態にどうという判断はできかねると思います。したがいまして、そういうところにつきましては、さらに林道の問題とかいろいろな問題の中で、やはり総合的に考えていかなければいけないというふうに考える次第でございます。
  57. 森義視

    ○森(義)委員 結局、林野庁はそういうものを持っていられないんですよ。いわゆる現在の民有林労働者の賃金を都市労働者の賃金に均衡するような、そういう賃金を支払える林業形態というのは、どういう規模の経営体でなければ支払えないかということについて、確たる自信のあれを持ってないでしょう。持ってないなら持ってないとはっきり言ってくださいよ。それでないと時間がかかりますよ。
  58. 片山正英

    片山(正)政府委員 われわれは、確かにそういう方向を持っておるわけでございますが、実際問題としてなかなかむずかしい問題でございますので、具体的にこうだというのは、現在のところ持っておりません。
  59. 森義視

    ○森(義)委員 私は、そういうものが確立されなければ、そういう方向というものがはっきり出されなければ、いわゆる林業労働者の所得向上して格差是正し、社会的、経済的地位向上をはかるという政策目標に合致しないと思うのですよ。だから通年雇用の問題、それから賃金の問題、社会保障の問題、こういう問題は、一貫して林野庁のほうで確たる方針を出されて、その方針を貫いて、これで初めて日本林業の基盤整備に必要なところの若年労働力を吸収することができる。これでやっていけるんだというものを出さなければ、せっかく林業基本法ができまして、これからの日本林業の進むべき方向というものを明確に打ち出しておるにもかかわらず、それに対するところのいろいろな資料なり準備なりが全然できておらない。したがって、先ほど大臣にも言ったように、森林法の一部改正というものがひょっこり出てくる。これは場当たり的な法律だと言わざるを得ないわけです。  だから、三つ要素があるわけですね。いわゆる社会的、封建的な身分の問題それから賃金の問題、社会保障の問題と。社会保障の問題でも、毎回この国会で追及しておるけれども、一向に前進しません。逆に、現在あるところのようやく力でかちとった制度すら、いろいろな面で労働省のほうから圧力を加えて、それをもぎ取ろうとしておる。これが実態なんですよ。前国会でも、特に倉石さんに、あなたは労働大臣をしておられたから、この面については詳しい、あなたに農林行政の期待はしないけれども、農林関係に働いている労働者の身分の問題について期待したいと、私はここで質問したわけです。そのときに前農林大臣の倉石さんも、はっきりと、現在の民有林に置かれておる労働者の社会保障の問題については拡充する努力をする、関係各省とも連絡をしてやる、こう答弁をされたわけですが、その後どんな連絡をしたのか。関係各省とどんな打ち合わせをしたのか。関係各省といえば、労働省と厚生省です。どういう打ち合わせをしたのか。そしていま林業労働者の失業保険の問題や、あるいは日雇い健康保険の問題、こういう問題が、その打ち合わせの中でどういう段階にきておるのか。せっかくここで答弁されましても、それが具体的に実施されなければ、答弁のしっぱなしということになるわけです。無責任な答弁になるわけです。だから、大臣が責任を持って答弁されたことを、事務当局でどういうふうにその答弁を具体化するために努力をされ、それがいまどういう段階にきておるのか。特に重要な失業保険の問題についてお尋ねしたいと思います。
  60. 片山正英

    片山(正)政府委員 先ほどちょっと言い忘れたので、補足させていただきたいのでございますが、現在、都市産業との格差を解決するようなものはございませんと申しましたのは、やはり技術がいま進歩している段階でございますので、機械化でも何でもそういう上昇の段階にございますので、われわれとしても現在なかなかつかみにくいわけでございます。  それからもう一点、ただいま申しました失業保険のその後の打ち合わせ、折衝の問題でございます。先ほどの繰り返し答弁にはなりますが、まず第一点として、失業保険を受け得るような体制に持っていくのが、条件整備をするのが、まず第一というような意味で、通年雇用の促進の予算化とその指導をやってまいりたいということでやったわけでございます。そういうことが指導してできる暁におきまして、それの運用といたしまして、先ほど申しました、たとえば、これは林野庁内部での検討でございますが、事務組合というようなものをつくって、そこの中で総合していけるのじゃないだろうかというような、内部のあれでございますけれども、対処をしてまいりたいという検討中のものでございます。  なおまた中小企業退職金制度、これにつきましてはいろいろ打ち合わせまして、森林組合一つの契約の対象となりまして、林業者あるいは労働者の方々がその森林組合を対象として、中小企業事業団と契約を結ぶというような形で推進してまいりたいというように存じておる次第でございます。
  61. 森義視

    ○森(義)委員 日雇い失業保険の特例給付で、いま民有林労働者がこの適用を受けておるのは、どこでございますか。
  62. 片山正英

    片山(正)政府委員 現在は奈良県の十ヵ町村と、それから京都府の五ヵ町村というふうに調査いたしております。
  63. 森義視

    ○森(義)委員 もちろん、奈良県では三十八年から受けているわけです。ところが、いま孤立化しておるために、それをさらに押えつけよう、日雇い失業保険の特例給付は違法だからということで押えつけよう、こういう形で出てきておるわけです。それは御存じですか。
  64. 片山正英

    片山(正)政府委員 押えつけようということかどうか知りませんが、全国的にはなかなかやりにくいというような形はございます。
  65. 森義視

    ○森(義)委員 現在あるのを押えつけあるいはやめさせよう、そういう方向へ労働省は働きかけをしておるのに、農林大臣は、現在あるのを拡大しようという答弁をしておるわけです。労働省の考え方と農林省の考え方はこんなに違いがある。片一方はつぶそうとしておるし、片一方は拡大しようとしておる。われわれはどちらを信じていいのですか。農林省は確信を持って、大臣答弁のように、現在せっかく獲得したそういう制度があるのだから、それを拡大していくという方向に、責任を持ってそれを拡大することができるかどうか。その点は、前国会から今国会までの間に、当然農林省が労働省と話し合って、方向というものはきまっておらなければいかぬわけです。ところが、きのうまだ労働省では、職業安定局長が、あなたたちが失業すれば、休業補償を事業主に要求しろということを言っておるのです。民有林労働者の、通年雇用でないこま切れ労働者が、休業補償なんてどこに要求するのですか。労働省の職業安定局長は、民有林労働者の代表に対してそういうことを言っているのです。これは林業労働者の実態というものを全然知らないものの言い方だと思うのです。そういう状態にあるということは、農林省と労働省の話し合いが、特に民有林労働者のそういう失業保険についての話し合いが、十分通じてない証拠ですよ。民有林労働者が雨が降ったからといって、きょうは休業だからといって、事業主に休業補償を要求するようなことがどこにありますか。これは労働の実態を知らない職業安定局長の答弁だと思うのですが、その点についてどこまで通じておるのか。また農林省は確信を持って林業、特に民有林の林業労働者の失業保険の問題については、現在奈良県、京都府の一部に適用されておる問題を、さらに拡大できるということを自信を持って言えますか。あとでこの問題について労働省から——職業安定局長来ておりますね。
  66. 片山正英

    片山(正)政府委員 ただいまの御指摘につきましては、われわれとしましては、何としても労働者の安定をはかっていく方向で努力してまいりたいと思う次第でございます。ただ問題は、やはり法的にきめられておる、たとえば離職率の問題がございますが、そういう問題との関連でいろいろ打ち合わせてもおるわけでございますが、われわれとしてはあくまでも安定する方向で進めたいと思いますけれども、しかし、その法的にきめられておる姿の中で、やはりわれわれとしてはどうあるべきかということでいろいろ打ち合せをしておるわけでございます。
  67. 森義視

    ○森(義)委員 労働省の失業保険課長ですか。昨日全国の民有林の労働者の皆さんが、職業安定局長と、この失業保険の問題について交渉されたときに、職業安定局長は、おまえたちは休業補償を事業主に要求しろ、失業保険に安易にたよるなんというのはおかしいじゃないかという形で、現在奈良県が適用されておる特例給付の問題についても検討をする、こういうことを言ったようですが、その真意はどういうところにあるのか、あなたがかわって答弁できるならば答弁してほしい。
  68. 増田一郎

    ○増田説明員 昨日、林野関係の皆さま方が労働省の職業安定局長と話し合いをいろいろされたわけでございますが、その席上私どもの安定局長が申し上げました趣旨は、要は、通年雇用ということが前提ではなかろうか。したがいまして、そういう前提なしに失業保険に一ぱついくということになりますと、かえって通年雇用そのものがむずかしくなる。そこで、現在の姿をそのまま定着してしまうということになるのではないか。まず通年雇用ということでひとつ努力してみたらどうか。結局、通年雇用ということであれば、休業補償というようなことに、雇用関係があるわけでございますので、当然そういったことになるわけで、そういった通年雇用という面で、それに付随した休業補償という面で、もっと努力をしてみたらどうでしょうか。そういうことが、失業保険なりそういったものを適用する一つの前提ではなかろうか、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  69. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、先ほど申しましたように、事業主に休業補償を要求しろと言われたのですか。現在の転々と職場を変わっていく民有林労働者が、だれに休業補償を要求するのですか。
  70. 増田一郎

    ○増田説明員 現在の段階ですぐにというようなことではなくして、考え方といたしまして、現在の事業主に対して通年雇用ということでやってみたらどうか。そういうことであれば、現在の事業主のほうにも休業補償ということで当然のこととして話ができるのではないか、こういうことでございます。
  71. 森義視

    ○森(義)委員 冗談じゃないですよ。通年雇用さえ確立すれば、そんなものはあなたのところに行かなくても、法的にちゃんとできておるのですよ。だから、現在の林業労働者の実態というものを完全に把握しておられるならば、そういう意見は出てこないわけなんです。これはもうけんか腰ですよ。山からたまたま林業労働者が陳情に出てきておるのに、職業安定局長はそういう態度でもって言うのはもってのほかだ。私は、きょう予算分科会がなければ、職業安定局長をここに連れてきて、その真意をただしたいと思ったのですがね。あなたに言ってもしょうがないが、通年雇用さえ確立されれば、そんな問題は解決できるわけなんです。いまそれができないから、現段階でどうするかというようなことを言っているわけです。それを、通年雇用さえ確立すれば問題が解決するじゃないか、そんな答弁はないですよ。だから林野庁長官、これは通年雇用さえ確立されれば、先年ほど長官答弁されましたように、すべての社会保障の問題は解決するわけなんです。ところが、それが確立しない段階において、現時点においてどうするかという問題ですね。これをまず第一段階として考えて、それから通年雇用へ持っていくための考え方、この二段階に分けて考えないと、それができるまでほうっておくんだということになると、林業労働者はますます踏んだりけったりになりますね。だから、少なくとも林野庁としては現在の奈良方式の、いわゆる失業保険の特例給付はそのまま拡大、この方式で各地方の民有林労働者の組織のできておるところへ拡大していく、こういう方向を、この委員会長官として約束できますか。大臣はそういう答弁をしているのですが、長官はいかがですか。
  72. 片山正英

    片山(正)政府委員 林業の実態といたしまして、先ほど申しましたように、非常に雇用者が小さいわけでございますので、特殊な人を除きまして、一事業主が通年的に雇っていくというのはなかなかむずかしい、これはそう思います。相当期間がたってもむずかしい。しかし、ただいま申しましたように、その雇っている人の形を、たとえば、先ほど申しました事務組合とかあるいは森林組合とかそういうような形の中で、ひとつ通年化していくというような指導であれば、これは何も遠き将来でなしにやっていけるんじゃないか、そういう対処をしてまいりたいというふうに思います。
  73. 森義視

    ○森(義)委員 そこで、事務組合をつくって、そして通年雇用ができるような形をとっていく、こういうことなんですけれども、それはこれからやっていこうということなんでしょう。
  74. 片山正英

    片山(正)政府委員 それはいま内輪の検討でございますから、その中で確立して……。
  75. 森義視

    ○森(義)委員 まだ検討しておる段階ですか。しかし、現実に林業労働者が受けておるところの、奈良なりあるいは京都の一部で受けておる日雇失業保険法の特例給付というものが、林業労働者が組織されておるところは適用できるわけなんです。労働者の組織も何もないところではできませんよ。組織化されておるところでは適用できるわけなんです。それを労働省にやらす腹がまえがあるかどうか。それをやらす腹がまえがないのだったら、大臣が先国会答弁されたような、いわゆる林業労働者の社会保障の問題の拡充について努力をいたしますということに対する答弁にはならないはずです。
  76. 片山正英

    片山(正)政府委員 林業労務の安定につきましては、われわれは始終努力してまいっておるわけでございますので、この問題につきましても労働省とは再三打ち合わせて、この問題以外につきましても打ち合わせておるわけでございますので、われわれはそういう安定の方向で、今後とも労働省と折衝を密にしてまいりたいというふうに思っております。
  77. 森義視

    ○森(義)委員 どうもぐあいが悪いようですね。現在林野庁考えておるのですか、現在の奈良方式ではぐあいが悪いと。どうも先ほどからの答弁を聞いておりますと、そういうふうに受け取られてしかたがないのです。林野庁自身が、林業労働者のそういう社会保障の問題について、労働省を説得するだけの自信と勇気がなければ、この問題は、労働省が上からぐっと押えてきたらつぶされてしまいますよ。林野庁自身にそういう自信がないなら、そういう自信がないということをはっきり言いなさい。
  78. 片山正英

    片山(正)政府委員 自信がないというよりも、やはり失業保険法そのものの性格との関連で、われわれは十分安定の方向はとるわけですが、打ち合わしておるわけでございます。
  79. 森義視

    ○森(義)委員 どうもたよりないお返事で、そのままの返事では私たち了解できないわけなんです。それでは、奈良県が現在そういう特例給付を受けておる。これは奈良県の労働組合がしっかりしたものがあるからです。この奈良県の方式は、少なくともそのまま認められるのか。あるいは、それを縮小していく方針を労働省が出せば、やむを得ずということで、林野庁はそれの防衛をするというような気持ちはないのですか。
  80. 片山正英

    片山(正)政府委員 われわれとしては、こういう雇用については、非常に重要でございますから、その安定の方向を推進するわけでございますが、いまおっしゃいました奈良方式についての、これを拡大していくというような意味でのわれわれとしての検討があるわけでございます。第一点は、日雇い労働者のみの雇用という点が一点と、それから継続的に企業活動をしておるという前提がございます。その点がいろいろな事情等もございまして、必ずしも画一的にいき得ないんじゃないかというようなことを考えられるのでございます。
  81. 森義視

    ○森(義)委員 それでは、継続して雇用されておる者と日雇いの者と二つ分かれるから、日雇いの者だけにはそれを適用して、月雇いのそれと二つを一本にしたもので失業保険考えようとする場合には非常にむずかしいということですか。継続して雇用されておる者と日雇いと分けて考える場合においては、日雇い労働者にはいまの日雇労働者失業保険法の特例給付でいい、こういうことですか。
  82. 片山正英

    片山(正)政府委員 それは、法的のたてまえとしましては、一般失業保険をやり得る事業所、対象の事業所が初めて日雇いのあれをやり得るということに規定的には、一応たてまえとしましてはなってございますね。そういうたてまえをちょっと申し上げる以外にないと思いますけれども……。
  83. 森義視

    ○森(義)委員 どうも長官、わからなかったらわかる部長で答弁してください。いまの答弁では、言うておるほうの長官もわからないし、聞いているほうの私たちもわからない。部長でわかっておる人があったら答弁して下さい。
  84. 片山正英

    片山(正)政府委員 経済課長にひとつ……。
  85. 植草治郎

    ○植草説明員 私からお答え申し上げます。  奈良方式の場合ですが、一般の場合には、日雇い失業保険の特例給付を受ける場合には、一般失保の適用事業所、そういうものに日雇い労働者の特例給付が受けられるという形になっているわけです。ところが、奈良で行なわれている方式は、日雇い労働者のみを雇用しておるという形になっているわけです。一般の失業保険事業所の認定をやる場合には、認定の基準がございまして、そして離職率の算定とか、あるいはそのほかに年間継続的に企業活動を行なっているものとか、あるいはまた雇用関係が明確だとか、いろいろな認定の基準があるわけでございます。奈良県でやっております方式の場合は、そのうちの離職率の算定については、これをやらなくて適用される。ただし、ほかの要件が満足しているということが条件になっているわけです。そういう形になっておりまして、したがいまして、そういう方法は一般的に考えられると思うのですが、ただ問題は、日雇い労働者のみを雇用しておるということ、それから継続的に企業活動を行なっている事業体でなければだめだという点が、一般に適用していくという場合の、実は検討上の問題点ということになっております。
  86. 森義視

    ○森(義)委員 だから、事業を継続して行なっておる、それから日雇い労務者だけを対象として雇用しておる、こういうところは日雇い失業保険法の適用を受ける事業体として成り立つ、こういうことなんでしょう。それはわかっておるのですよ。全部わかった上で奈良県の方式——各地方同じような雇用の状態にあると思うのです。奈良県がせっかくああいう形で適用されておるのに、それを他の地域に拡大して適用する、いわゆる通年雇用が確立するまでの間そういう暫定措置がとれないか、こういうことを言っておるのですよ。
  87. 植草治郎

    ○植草説明員 詳しい問題点については、むしろ労働省のほうからお答えいただいたほうがいいと思いますけれども、私どもとしては、とにかく失業保険の適用をできるだけ前向きに拡大していきたいという意図で労働省と折衝を続けているわけでございます。ただ、いまの問題点については、方法としては考えられるけれども、実態面において問題があるというような労働省のお考えもありますし、いろいろな問題があります。
  88. 森義視

    ○森(義)委員 それでは、労働省の言うなりになってしまって、実際問題として林業政策上重要な施策を、林野庁がみずから切り開いていくという意欲というものが全然ない。現実に適用されていることを拡大すらできないで、新しい社会保障の確立なんかどうしてできるのですか。通年雇用が確立するまで待ってくれ、結論はこういうことになるのです。そんな姿勢では、林業のにない手であるところの労働力を確保したり、あるいは若い労働者を林業にとどまらすことはできませんよ。それができなければ、林業生産基盤の確立だって、増産だって、そんなものはできないじゃありませんか。どうするんですか。昭和九十年には日本の自給率を九〇%に上げるといっている。そのときの木材の需要量はたしか五億石をこしておると思うのです。いまの約七割か八割増しの需要があるわけです。それに対してあなたたちは自給率を九〇%に高めるといっておる。現在ですら三〇%以上は外材が入っておるから、どんどん労働力がなくなっていって、どうしてその計画が達成できるのですか、こんな肝心かなめの労働力確保の問題についての基礎条件が、あなたたちの一方的な引っ込み思案でどうして確保できるのですか。こんなことを毎国会で口がすっぱくなるほどやっておっても、全然前進はしない。いまの平均年齢が毎年毎年一歳ずつふえていくんですよ。林業労働者は昭和九十年には、いま四十歳の労働者は幾つになりますか。百歳です。そうすると、あとひとつも青年労働者が住みつかない状態でしょう。そういう重要な問題をないがしろにして森林法の一部改正をやられましても、どうにもならないじゃないですか。労働省が法のたてまえ上こういっておるのでどうにもならぬのだ、こういうような林野庁姿勢では、その問題が解決されない。解決されないならば、林業行政というものは前に進まぬじゃないですか。どうします。
  89. 片山正英

    片山(正)政府委員 私は、いま先生の御指摘のとおりの態度で進んでおるわけでございますが、ただ、いまの奈良の方式の点でございますが、これはこの段階のものでございますということは、いまちょっと発言でき得ない立場でございまして、方向として、われわれとして安定のために努力いたしておるわけでございます。十分そのほかの施策とあわせまして努力してまいりたいと思います。
  90. 森義視

    ○森(義)委員 前向きの姿勢で努力しますというのは毎年言っておられることですね。前向きが一つも前向きにいっておらぬ。後を向いているように思うからそれを言っておるわけです。  この問題は、これ以上追及してもあれですが、とにかくいまの前向きの姿勢というようなものは、現状から、労働者が安心して働けるような社会保障の適用を拡大していくということ、このことが前向きだと思うのです。そうでしょう。前向きというのは、現状からさらに社会保障の適用を拡大していくということなんだ。そのためにこれから努力をする、こういうことだと思うのです。そういうふうに理解をして、その前向きの努力をした結果がどうであったかというのを、来年度の国会でもう一回聞くということにして、次に移ります。  ひとつ森林法改正の内容についてお伺いしたいのですが、森林施業計画の記載事項の中に、第十一条の三項ですが、この中では、施業計画を出しても、それに必要なところの資金計画なり労務計画は、全然出すことが要らなくなっているわけですね。書いてない。ところが二十条では、農林大臣や都道府県知事は、この森林施業計画を作成し、あるいはその施業計画を達成するために必要な助言、指導、資金の融通のあっせんを行なうと書いてある。片方施業計画の中には、資金計画は全然必要ない。ところが農林大臣は、そういう資金の融通あっせんを行なう、こういうことになっているわけですね。法律上これは抜けておるのではないかと思うのです。いかがでしょうか。
  91. 片山正英

    片山(正)政府委員 一つ計画を実施するための労務計画、資金計画、これは非常に重要だと思います。われわれもそれの確保等については努力してまいったわけでございますが、今回の森林法改正のいわゆる公的な認定、伐採の調整と樹種林相改良という公的の認定といたしましては必要ないのではないか。しかし労務計画、資金計画はそれに付随してつくっていただきまして、われわれもそれについて努力するということの方向におきましてそれを進めていくので、その間に矛盾というものはないと思っております。
  92. 森義視

    ○森(義)委員 それでは、農林大臣あるいは府県知事が資金のあっせん融通を行なう場合に、資金計画がないのにどういうあっせん融通を行なうのですか。施業案を出されて、その施業案を遂行するために必要な資金計画、その施業案を実施するために必要な労務計画というのは当然なことなんです。何をやるにしたところで、その事業の必要とするところの資金計画と労務計画がなければできませんよ。結局こういうことになれば、絵にかいたもちになるのではないか。それだからこの施業計画を完全に遂行するためには、どうしても資金計画なりあるいは労務計画というものが加えられて、その労務計画に基づいてどうやっていくか、あるいは資金計画の足りないところはどういうふうにしてあっせん融通していくかということが出てこなければいかぬと思う。特に私たちがこの法案に期待を持っているのは、労務計画なり施業計画の中に明らかにされたそのことによって、通年雇用、雇用安定につながっていくものなのですから、奈良県なら奈良県の林業家が全部施業計画を出して、それに必要なところの五年間の労務計画ができれば、毎年どれだけ労働力が要るかわかるのですよ。それができなければ、あなたたちは通年雇用だとか雇用の安定とか言っておるけれども、この施業計画を出すことの肝心かなめの根元で労務計画がついてない。どれだけの労働力が毎年要るのかということもつかめないような状態でどうするのですか。
  93. 片山正英

    片山(正)政府委員 私、申しましたのは、その認定の対象といたしましては、ただいま申しました施業計画でいいのじゃないか、しかし、それを進める場合の資金計画あるいは労務計画というものは当然つくっていただいて、われわれもそれによって推進していく。労務計画も、計画があるから初めて一つの立案ができるわけでございますが、ただ認定の対象としてはしておらない、こういうことであります。
  94. 森義視

    ○森(義)委員 認定の対象の中に、資金計画と労務計画を入れたら何でいけないのですか。入れたらどうしていかぬのですか。私は、この法案が実際施行される段階で、労働者にどういうメリットがあるのか、これはあとで聞きたいわけなんです。私ども期待しておるのは、このことが完全実施されることによって、いわゆる林業家については所得税から法人税から相続税から、いろいろと税法上の恩典がありますね。ところが、山で働いておる労働者には、この法案が施行されることによって何のメリットもないわけだ。ただ期待されるのは、施業計画が出されることによって、それが完全に実施されることによって、労働者が通年的に雇用される、そういう条件が生まれてくるのじゃないか、こういうことで労働者や私たちは期待しておるわけなんです。ところが、それが認定の条件の中に必要ないからということで書いてない。その認定の条件の中に入れることのほうが、より完全な施業計画ができるのじゃないですか。その点について、入れたらどうしていけないのですか。認定する場合に、それを入れることによってじゃまになるのですか。
  95. 片山正英

    片山(正)政府委員 これは森林法に基づきますいわゆる地域森林計画、資源の計画の公的な認定をいたそうということでございまして、それができますと、先生おっしゃったような雇用計画等が計画的に実現されていく、そのことをわれわれは否定しているわけじゃございませんが、今回の認定は、あくまで公的の地域森林計画の達成の認定であるというふうに考えておるわけであります。
  96. 森義視

    ○森(義)委員 森林計画を達成する場合に、資金も労働力も要らぬのですか。
  97. 片山正英

    片山(正)政府委員 いや、要らぬということを言っておるわけではありません。その雇用計画、資金計画を否定しているわけではございません。大いにこれはやってもらいたいということでございます。ただ認定の対象にはしていないということでございます。
  98. 森義視

    ○森(義)委員 だから私は、認定の対象にこれを入れたらなぜいけないのかと言っておるのです。どういういけないことがあるのか。その認定の申請書を出す場合に、これを入れたらどういう差しつかえがあるのですか。入れなければ、実際問題としてはその施業計画計画倒れになる可能性があるのじゃないですか。入れたら悪いという理由を言ってください。私は、資金計画と労務計画を入れなければ、ほんとうの魂の入った施業計画にならぬと思います。
  99. 片山正英

    片山(正)政府委員 何べんも繰り返すようで申しわけがございませんが、労務計画、資金計画というものは、個別計画でもわれわれは推進してそれを達成するように指導し、また努力をしてきておるわけです。そういう意味では、一つも先生のおっしゃるように否定の意味ではございませんが、ただ認定というその行為は、資源の伐採あるいは植栽を公的に認定しているわけでございますので、実行面としましては両々相まってこれは達成されていくべきものだ、こういうふうに解釈して指導してまいりたいと思っております。
  100. 森義視

    ○森(義)委員 それでは通年雇用の問題について、この法案は全然プラスになりませんよ。私どもは、そういうものが入っていって初めて労働力がどれだけ必要であるということが明らかになり、そこで初めて労働者の通年雇用というものが達成されるワンセクションになる、こう考えておったわけです。ところが、それが全然ないとするならば、これは施業計画に基づく個人の経営計画の中に入れるのだ、こうおっしゃるが、個人の経営計画というのは、この施業計画ができればなくなるのですよ。それは自分はかってにやりますよ。しかしこの前の国会答弁では、個別計画というのはなくなります、この施業計画一本でいくのだとおっしゃいました。そうすると、実際に必要労務をつかむところがないわけですね。その施業計画を実施するに必要な労務をつかむ場所というのはどこにもないのです。そうすると、通年雇用につながる資料というものはどこからも出てこない。それを入れてなぜ悪いのですか。
  101. 片山正英

    片山(正)政府委員 ただいまの点につきまして、指導部長からひとつ説明をいたさせます。
  102. 木村晴吉

    ○木村説明員 先生の御意見は、実はそういう点非常に論議したわけでございます。もっとそれを飛躍いたしますと、施業計画の作成の義務づけであるとか、あるいは当然そこに労務計画なり資金計画というのがあるのが正しいので、実は入れたいわけです。しかし、先ほど長官も言いましたように、公的な認定制度と、それから認定されたものが実行されない場合にはすべてが御破算になってしまうから、必要最小限度——特に資金だとかということになると個人経済に関係する。だから普及面において、資金なりあるいは労務計画というものを合わせたそういうものは指導いたすわけでございます。いままでの森林計画制度あるいは社会通念的に見て、やはり義務制の問題は、労務計画や資金計画、特に資金計画というのは個人経済に関係しますので、くどいようでございますが、これは認定されたものが実行されなかったならば一切御破算になるので、私らは、つくったものはできるだけ実行して、一歩でも前進させたいという議論の中から結論を得たものでございます。
  103. 森義視

    ○森(義)委員 施業計画を出されて、それを実行するに必要な資金がもしととのわなかった場合にはそれは御破算になる、したがって、資金まで入れておくと、それがととのわなかった場合に御破算になるのでそれを入れてないのだ、こういうことですか。それでは二十条の資金の融通あっせんというのは、どういう根拠に基づいて大臣や知事が資金の融通あっせんをやるのですか。施業計画の中に資金計画は出ていないのですよ。そうすると、方々から出てきた場合に、大体この人はこれだけの資金が必要である、それに対して関係金融機関からこういうあっせんをする、こういうことを計画を立てようにも立てようがないじゃないですか。場当たり式に、こういう計画でやりたいが金が足りぬからあっせんしてくれということを、施業計画と離れて個別に知事に言っていくのですか。何も言っていかなくても、おまえのところは金がないから貸してやろうか、こういうのですか。どういうことですか。根拠がないじゃないですか。
  104. 木村晴吉

    ○木村説明員 根拠は、あくまで自主的に森林所有者がつくりました施業計画でございまして、施業計画を実行するために必要な資金というものをあっせんするということになるわけでございます。だから、あくまで計画とその必要な資金とはばらばらなものではないのだということでございます。
  105. 森義視

    ○森(義)委員 施業計画を出してそれを実施しようとしたら、当然金が要るでしょう。その資金計画に基づいてあっせんをやるのでしょう。それを施業計画の中に入れずに、そして片方では知事があっせんをやる。そんなあっせん、やりようがないじゃないですか。どうもそこが理解できません。もう一回……。
  106. 木村晴吉

    ○木村説明員 舌足らずでどうも失礼いたしておりますが、施業計画そのものの自主的につくりました内容で、必要な——施業計画というのは五年間で、四十四年で切るのだ、造林は四十六年に植えるのだ、ではその四十六年になれば資金が要るのだといって、所有者は自主的に必要資金のあっせんを要求するとかということに相なるわけでございます。その辺ひとつ御理解いただきたいと思います。
  107. 森義視

    ○森(義)委員 それは計画の中に入れたらなぜ悪いのですか。当然施業計画が出て、私は山を五百町歩持っておる、毎年こういう形で植林し、切っていくのだ、それに必要な資金はこれだけ要るのだ、こういう形で計画を出す。それで資金計画なり、それに必要な労務がこれだけ要るのだ、そういうものを出したらなぜ悪いのか。出さぬなら、実際のあっせんの計画性が立ちませんよ。五年間に何ぼというのが出ませんよ。いまおっしゃったような説明によりますと、各人個々に自分施業計画を任意に立て、自分施業計画を実施するに必要な資金を頼みにいく、こういう形です、いまのあっせんをしてくれというのは。それじゃ計画も何も立ちようがないじゃないですか。なぜそういう資金計画や労務計画をつけたものを認定の対象にしたらいけないのか、そこを聞きたいのです。
  108. 木村晴吉

    ○木村説明員 そのポイントにつきましては、あくまで自主的に所有者につくらすんだ。つくったものは実行してもらうんだ。その場合に、労務だとか資金とか個人経済的な面が入りますと、一切が実行されない場合は御破算になる。そこで、いまの二十条のこれによってあっせんをしていき、直接には結びつけないという一つのねらい——もっと端的に申し上げますれば、結局公的認定制度というものは必要最小限度の形で、あくまで自主性の一つのポリシーの上に乗って泳がしていくのだという考え方でございます。
  109. 森義視

    ○森(義)委員 どうもあなたの考え方がわからない。
  110. 片山正英

    片山(正)政府委員 私たちは、いまの資金計画や労務計画は当然つくるように推進をして、また、その計画によってわれわれも努力をしていくことにはやぶさかではないわけであります。ただ、認定をする場合の条件として、それがあっては実際問題としてなかなかむずかしいわけでございます。そのことを言っているわけです。
  111. 森義視

    ○森(義)委員 それでは認定条件のワク外にはずして、そういうものを施業計画なりに記載できるような方法考えられませんか。
  112. 片山正英

    片山(正)政府委員 ワク外と申しますか、認定条件からはずしていくことは、当然またわれわれも考えていきたいと思います。
  113. 森義視

    ○森(義)委員 それであったらそういうことを明確に法律の上に書けませんか。認定条件の対象になるのはこれこれあるのだ、それから、いわゆるワク外として、この認定条件を遂行するに必要な資金計画と労務計画はこうなんだ、それを文書として添付させる、こういう形だったらわかるのです。
  114. 木村晴吉

    ○木村説明員 私、先ほどのを補足させていただきますが、現在の県のいわゆる管理体制、指導体制から見て、実行可能な範囲という点が、私の先ほどの説明にちょっと抜けておりましたから、補足させていただきます。
  115. 森義視

    ○森(義)委員 いま長官が申されたように、認定の条件としてはこれだけのものだ、これだけのことを記載しなければいかぬ。そこで付属文書として、認定の条件をはずれてこれだけのものを添付しなければいかぬ、これをつけておかないと——これをつけて初めて二十条のあっせんが生きてくるし、それからまた労務計画が立てられることによって、通年雇用の一つの資料ができるわけです。あなたたちは通年雇用、通年雇用と言っておられるけれども、資料すらつくろうとしないわけです。肝心な資料ができれば、五年間を通じての労務計画が出てくるわけです。
  116. 片山正英

    片山(正)政府委員 先生おっしゃったような方向で、つくらせるように指導いたしたいと思います。
  117. 森義視

    ○森(義)委員 つくらすように指導するというのを、この法律の文章の中に入れられないのですか。
  118. 足立篤郎

    足立委員長 森君、法律的な見地から官房長がお答えしたいということでありますから……。
  119. 桧垣徳太郎

    ○桧垣政府委員 私は、長官や指導部長がお答えしましたことを、法律的にこういうことであろうという意味でお答えをいたします。  森林施業計画の内容を必要最小限度のものにとどめたという意味は、これは説明にございましたように公的認定制度ということで、いわば非常に厳格な順守事項に相なるわけでございます。したがって、その事項に反することがありますとそれが取り消し理由になる、認定取り消し理由になるということでございますので、どうしても公的にこれだけは守ってもらわなければいけないというものだけにとどめた。  そこで労務計画、資金計画というものは、確かに一つ計画を実行するに必要な付随的要件であります。しかし、これは当然、事の性質上弾力的要件事項であると思われます。したがって、そういう弾力的要件事項は法律上の計画内容としては除外をしている。そうしてこの四項を見ますと、「その他の省令で定める書類を添えてしなければならない。」ということで、これは、計画内容そのものではなくして添付の書類でございますので、法律的にはこの省令の内容で解決できることであるというふうに思います。
  120. 森義視

    ○森(義)委員 わかりました。そういうふうに説明していただければいいわけです。問題はやはりそういうものが必要であるということです。必要であるけれども、認定のあれには、厳重なものであるから入れぬほうがいいのだ。だったら、添付書類としてはぜひつけさせる、こういう形で御指導を願いたいと思います。  それではこれで終わります。
  121. 足立篤郎

    足立委員長 午後二時再開することとし、これにて休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ————◇—————    午後二時十八分開議
  122. 足立篤郎

    足立委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前に引き続き質疑を行ないます。角屋堅次郎君。
  123. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 午前の森委員質問に続きまして、議題となっております森林法の一部改正について若干質問をいたしたいと思います。  午前中、ちょうど大臣御都合がありまして、森君の非常に適切な質問の途中でおられなかったわけですけれども、大臣お留守になってから、主として労働者の雇用安定問題あるいは社会保障問題という点について、非常に適切な論議がございました。そのことも念頭に置いて以下の質問をお聞き願いたいと思うのでございます。  本法案は、御承知の去年の特別国会の段階で、与野党それぞれ関係委員方々から相当緻密なる論議がなされておりました。  私も、論議の経過について、十分承知をしておるつもりでございます。しかし、その後の情勢の推移等もございますし、大臣も新しくおかわりになられたこういう機会でもありますので、あらためて御質問を申し上げるわけでございます。  まず第一に、農林大臣にお伺いいたしたいのでございますが、新しく農林大臣になられて、農林水産諸問題についてこれから真剣に取り組まれるわけでございますが、当面の林業政策の問題について、どういうお考えでこれから対処されるお気持ちであるか、これをひとつ簡潔にお答えを願いたいと思います。
  124. 西村直己

    西村国務大臣 私は、必ずしもこの方面の専門ではございませんけれども、この任を受けました観点から、今後とも全力をあげて問題に取り組んで解決をはかってまいりたいという心がまえでございます。  特に、林業につきましては木材需要が非常に強い。それに対しまして、生産が国内的に追いついていない。この理由は、申し上げるまでもなく、林道の未整備であるとか、それから一労働力の問題けさほども出ましたが、労働力の雇用安定と申しますか、こういうようなこと、それからもう一つは、したがって伐採とか造林とかそういうものに対しまして、特に造林等の促進によって林業生産活動の停滞を防ぐ、あるいはそれをむしろ打開していく、こういうようなことと、それからもう一つ問題になっておりますのは、外材輸入が強い。これをどうしていくか。円滑にしていって、長期にわたってはもちろん外材に依存しないようにするという方向を目ざし、長期目標国内材でいく、こういう目標は当然立てて、それに近づけてまいるわけであります。特に私有林につきまして経営が零細である、資本装備も弱い、こういうような経営基盤の脆弱、これも一つの大きな林業の問題点である。こういうふうな考え方で問題点を拾い上げまして、それからさらにもう一つは、経済成長のもとでは水の問題が林業育成にはついておりますし、災害防除ということもあって、これは国土保全をはじめ人命、財産、一般経済に影響するところ大きいのであります。ここいらを十分踏まえまして対処してまいりたい。  そこで、これに対処する私の考えとしましては、林業基本法というものをおきめ願って数年たっておりますので、林道開発促進あるいは森林施業計画化、造林の推進、いわゆる生産対策の強化であります。それから林業構造改善、質の改善であります。林業従事者福祉向上、それからその基盤になりますところの治山治水の拡充、こういうような点を推進してまいりたい、こういうような考えでございます。
  125. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま大臣から、林業をめぐる当面の現状とこれから進めていく考え方についてお話があったわけでございますが、特に昭和三十年代以降の経済の高度成長との関連におきまして、これは林業ばかりでございません、農林水産全般に非常に大きな問題をかかえてきておる、こういう現状であろうかと思う。同時にまた、経済企画庁からもおいで願っておりますが、国土総合開発という観点から、産業全体のあるべき適正な配置というものはどういう姿であるべきなのかというふうな問題も含めて、そしてまた最近大きな政治問題になっております都市への人口集中問題とからんで都市問題、あるいはそれと関連する山村地帯におけるところの過疎問題、こういうものもやはり総合的に必要な施策を強力に講じなければ、林業プロパーの問題だけで林業政策の強力な推進ははかれないということであろうかというふうに基本的に思うわけでございます。  そこで、林業問題に入る前に少しく経済企画庁の関係のほうにお伺いしたいのでございますが、御承知の昭和三十七年の時点で国土総合開発法に基づく全国総合開発計画というのが閣議で決定してでき上がりました。私、昨年の秋の予算委員会のときにこれらの問題を取り上げたときに、本年の秋にはいまの全国総合開発計画を改定するということで、経済企画庁を中心にして関係各省の協力を得ながらいま鋭意この作業を進めておる、こう思うわけでございます。  そこで、一体この計画を改定する立案の姿勢はどこにあるのか、また昭和三十年代にこれを制定した以降、あの計画に盛られた点について、やはり情勢の推移の中で情勢判断の甘かった点、あるいはまた計数の予測値について、相当大きな食い違いの生じた点等も私はあろうかと思うのでございます。過般の全国総合開発計画は、いわゆる拠点開発方式というのに基づいて、産業と人口の適正な配置ということをやろうという意欲で、全国総合開発計画ができたと思うのですけれども、その後の推移は必ずしも計画どおりに進んでいない。むしろ相当乖離した姿というものが現実には出てきておる。そういうことも踏まえ、同時にまた全国総合開発のできる前あるいはできた以降において、たとえば北海道から首都圏あるいは近畿圏中部圏をはじめ、それぞれの地域の開発の立法があり、また新産都市、工特あるいは山村振興等各種の立法がございまして、こういう問題も含めてやはり国土総合開発法に基づく全国総合開発計画を立てるにあたっては、これらの問題を一体どういうふうに総合調整をして真に実効をあげるか、そういう一つの基本的な問題もあるわけでございます。それらの問題も踏まえて、一体改定の姿勢をどこに置くのか、あるいは全国総合開発計画以降に計画した点と基本的にどういう点に食い違いが起こってきたのか、こういう諸問題について、経済企画庁からお答えを願いたいと思います。
  126. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のとおり全国総合開発計画は、昭和三十七年に策定をいたしたものでございます。この計画の内容についてくだくだしく申し上げませんが、いわゆる拠点開発構想というような方式を取り入れまして、所得倍増計画で経済の全体としての規模なり方向が示されたものに従いまして、できる限り人口の都市集中、あるいは工業の集中といったような傾向に対して、いわゆる地方の拠点にそういったものをできるだけとどめたい、こういうようなことを計画のいわば基本的な線といたしまして、この計画がつくられたわけであります。しかしながら、その後の推移を見ますると御承知のとおりで、まず日本経済そのものの成長のテンポと申しますか、これが所得倍増計画あるいは全国総合開発計画で予定したものよりも、かなり早いスピードで進んでまいりました。また地域的な経済指標で見てまいりますると、大都市地域であります関東あるいは近畿といったような地域に対する人口及び工業の集中というものが、全国計画で予定したよりは非常に進みまして、たとえば関東の地域でいいますと、全国計画では工業出荷額の全国シェアを二九%、これは四十五年が目標でございますが、四十五年に二九%になるであろう、こう見込んだものが、すでに昭和四十年で三五%になってしまうというような状況でございます。このような人口とか産業の動きというものに対しては、全国計画考えたときのわれわれの見方というものが、やはり若干甘いと申しますか、希望的にすぎたというような反省もあるわけでございます。  また、このように経済成長のテンポが予定よりも、早くなったということは、反面におきまして、いろいろの公共施設あるいは産業投資にいたしましてもかなりのものが行なわれまして、そしてまたこういった傾向から見まして、わが国の地域開発という問題を考える場合に、従来考えたよりも相当大きな規模の計画というものが進められるのではないか、こういうことも出てきておるわけでございます。そういったような状況にかんがみまして、国土総合開発審議会等におきまして、全国総合開発計画を練り直すべきだというような御意見も出てまいりました。また各方面におきまして、地域開発の問題についての長期構想なりあるいはビジョンというようなものがいろいろ出てまいりまして、そういった動きに対応して私たちのほうといたしましても、現在ある計画を再検討して新しい計画をつくり直す必要がある、こういう判断に立ち至ったわけでございます。  それで、今度の計画をどのような方法でやっていくかということになりますると、現在作業中でございますので確たることは申し上げられないわけでございますが、昨年十月に経済審議会の地域部会報告というのが出されております。これは、御承知のとおり経済審議会の地域部会におきまして、二年有余の時間を使いまして、多数の方々に参加していただいてつくった報告でございますが、その地域部会報告におきまして、昭和六十年までの地域経済の一応の構想は出されております。その中におきまして、当面の地域課題として三つの問題があげられております。それは、一つは過密問題、それから御指摘の過疎問題、さらに地域格差の問題、こういった問題に対して地域政策として対処しなければならぬというので、そのための具体的な方向なども示されております。私どものこれからつくります全国計画においても、課題はこの三つの問題が中心になるというふうに考えております。  若干具体的に申し上げますと、たとえば農林漁業の問題などにつきましても、地域部会報告でかなりいろいろ数字的な検討が行なわれております。いま非常にむずかしい問題も出ております。そういった問題、いろいろございますが、これから多数の方々の御意見を取り入れまして、できるだけいいものをつくりたいということで現在努力中でございます。
  127. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 経済企画庁から出ておる全国総合開発計画以降の検討の書類等を見ますと、一つは、やはりこれは高度成長との関連があると思いますけれども、従来の工場第一主義と、いわゆる地域住民の福祉のいずれを優先させるかという問題もありますが、従来の地域開発姿勢というものが、工場誘致偏重であったというふうな問題が、やはり一つの反省として出ておると思いますし、また同時に、今日までの都市に対する求心構造というものに対する判断が、全国総合開発計画を策定した三十七年段階では、なかったというふうな反省もされておるわけであります。同時に、これは一次、二次、三次産業も含めて、地域のそれぞれの条件、それぞれの特性というものを生かした総合的な、社会開発も含めた総合計画というものが、この際あらためて検討されなければならぬということ等もいわれておるわけでありまして、経済審議会の地域部会というのは、私どもから言えば、やはり資本の要請が依然として強い方向で、太平洋ベルト地帯への人口集中、つまりいままでの求心構造というものを是認した上に立った総合計画というものを考えていく姿勢が根底にあるのじゃないかと思います。これは全国総合開発計画以前あるいは以降における経済、地域発展というものの、改むべき点についてはこれを是正するという姿勢で、これからの長期展望に立った新しい全国総合開発計画をつくらなければならぬ。これは閣議決定という権威づけをやるわけですから、これがこれからの全体の羅針盤になるというものでなければならぬ。  そこで、今度は農林省に返りまして、農林大臣のほうにお伺いしたいわけでありますが、全国総合開発計画というのをずっと見てまいりますと、これは農林漁業の関係に別に触れておらぬわけでではございませんが、第二章の「産業の配置と発展の方向」の中で、第一節、「工業開発の方向と地域的配置」、第二節として「農林漁業発展の方向」、それから第三章では都市問題に触れております。それからあとでは水の問題がありますし、土地の問題がありますし、あるいは国土保全の問題があります。そういうそれぞれの点、あるいは林業関係がある面では、観光開発の問題等も関連が出てまいりますし、あるいは農林漁業全般としては、第八章の「労働力の確保」という問題も関連はありますけれども、いまにしてこの第二節の「農林漁業発展の方向」なんというのを読んでみますと、現実の政策的視点からいくと、これが閣議決定による指針だとは必ずしもいえない情勢の推移がありますが、やはり農林省の場合は、全国総合開発というふうに経済企画庁が中心になってやる場合に、農林省自体の全国総合開発に対する農業、林業、漁業を含めての基本的なこれからの展望と姿勢というものはどうかということが、やはりイニシアルとしてなければいかぬと思うのですね。そういう点について、こういう全国総合開発なんというところでは、案外産業の要請ということが中心になって、第一次産業関係というのはその中で述べられておっても、全体として見るときちっとした形におさまっていないということでは、これからの問題はいけないと思う。そういう全国総合開発の問題ばかりじゃありませんが、いま取り上げておるのは全国総合開発の改定問題にからんでですけれども、農林大臣から、これらの取り組みについてお考えを承りたいと思います。
  128. 西村直己

    西村国務大臣 非常に大きな課題でございまして、林業プロパーの問題の基本には、おっしゃるように国土の総合開発の中における農林漁業の位置づけ、こういう問題からこの問題を取り上げていただくことは全く同感でございますが、日本の経済、日本の社会、日本の国民生活と申しますか、その中における農林漁業のあり方、こういう観点からやはり国土総合開発の中にこれを移してまいると、これはなかなかむずかしい問題でございまして、議論だけでは済まない問題かもしれません。ことに経済発展の成長の将来の速度、姿というものを日本経済全体としてどういうふうに持っていくのか、この基本姿勢政府全体——経企庁が調整役でございますが、農林省も加わりまして、その中においての一次産業としての農業、あるいは漁業、あるいは林業、これらを位置づけていくわけであります。したがって、具体的に申しますと、当然われわれのほうからも総合開発の調整部門に対しましては不断に連絡をとってまいり、その意見というものは述べ合ってまいりたいと思うのでございまして、これは全体の総合とそれから同時に地域開発、地域住民の福祉向上、こういうところを土台にしながらわれわれとしては進めてまいりたい、こんな考えでございます。
  129. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは全国総合開発計画をつくるという、先ほども言いましたようにすでに地域的にできておる立法、あるいは新産都市、工特等特殊立法の問題、さらに今度の国会に議論になります、たとえば土地問題に関連をしてまいりますが、建設省の関係の都市計画法問題、あるいは農林省関係で出そうとしておる農業振興地域の問題、あるいは通産省で出そうとしておる工業立地適正化法の問題、こういうような問題等もやはり全国総合開発との位置づけが明確にされるということが、土地を新しく造成するということはもう困難な時代でありますから、そういう意味でもこういう問題は非常に重要だと思う。きょうはそこまでの議論をここでやろうとは思いませんけれども、いずれにしても農林漁業を進める場合には、いわゆる人間を中心にした問題もきわめて重要でございますけれども、経済の問題としてもやはり、全国総合開発の現在の問題点を的確にとらえて、これから十年、二十年の経済開発、社会開発としてどうしていくのか、その中における農林漁業の一位置づけというものについては、意欲を持ってこういう計画の中に取り組んでいくという姿勢が農林省自体になければならぬ。そういうことでこれらの問題に真剣に取り組んでもらいたいと思う。  特にその場合に、もちろん平場の農村地帯、あるいは農山村の混合地帯、山村地帯、それぞれの地域——漁村地帯も含めてでありますけれども、特に林業との関係でいえば、山村地域とは何ぞやということになりますけれども、しかし、たとえば耕地率一〇%以下、林野率八〇%以上、あるいは林業兼業農家率が一〇%以上とか、従来からいわれておる山村の定義に基づいて山村地帯をとらえてみますと、これは国土の三四%、関係市町村でいえば二〇%近くになるわけでありますが、そこに住んでおる人口がおおむね六百万というふうに、これは林業白書の中にも書かれておるわけでありますが、そういう面積的にも相当多い、地域的にも相当広いところが、やはり主として今後林業政策を進める基盤になる。そういうところにおける過疎問題、山村振興問題というのが、総合開発の中でも重要な問題でありますけれども、これに対する取り組み、農林大臣としての考え方は、林業政策推進上からも重要であります。どういう取り組みでこれからいかれようとするのか、この点お聞きしたいと思います。
  130. 西村直己

    西村国務大臣 私は根本的には、土地政策とそれからそれ以外のいわゆる農業、林業等の基盤に対する政策とはうらはらの問題であると思います。言いかえれば、過密と過疎とは全然相対立した考え方でいったらたいへんなことになります。むしろこれを一体的に、総合的につかんだ中で解決すべきじゃないか、これが基本の考えでございます。したがって、山村におきましても山村振興指定地域をつくりまして、そして山村振興法皆さんのお力でつくっていただき、微力ながら進めておるわけであります。同時に農業におきましても、農業振興地域の整備に関する法律案を近く皆さんに御審議願って、そうしてある程度重点的な形で、過密問題に相対した、調和のとれた形でこれらを解決していきたい、こんな考え方でおるわけでございます。
  131. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 山村振興問題あるいは過疎対策問題というものは、よほど政策意欲的に取り組まないと、大勢順応主義でいくと、教育問題、労働問題あらゆる問題を含めて、やはり大きな社会問題にまで、今日もなっておりますし、今後ともやはりなっていく。これは一般的な話としてはわからぬでもありませんけれども、相当政策意欲的にやらないと……。そのことが林業とタイアップした問題になってくる。労働力の確保という問題が午前中も取り上げられましたけれども、優秀な労働力確保というのは、山村地域におけるところの根本的な振興対策とタイアップしたものが一つあるという意味において、もうそろそろ本論に入っていかなければいけませんから、これは問題を指摘しまして要請程度にとどめますが、強くこの問題にも取り組んでもらいたい。  いずれにしても、私は農林漁業に取り組む姿勢というものが、今日農林省の役人といいますか、高級官吏といいますか、そういうところでは、最近は少しバックボーンを失いつつあるのではないか、率直に言ってそういう感じがする。もっと主体的な条件、自主的な条件で農林漁業について生き生きしたビジョンと、それを裏づけるところの政策というものを立案するような情熱に燃えて取り組んでいくことが、今日非常に必要なんだと思う。これは、もちろん実態に対するところの調査なくして発言なしということもありますから、実態精査から始まらなければならないかもしれませんが、そのバックボーンが、私どもがかつて農林省に籍を置いていた時分からみると、だんだん後退をしてきているという感じがする。これは農林漁業全般の問題、あるいは総合開発一つの農林漁業のあるべき位置づけという点からしても、そのことを強く望んでいきたいと思う。  森林法との関連の中で、これは前国会において取り上げられたわけですが、若干、木材の需給問題の関係で、大臣も御方針で述べられました点と関連して、これは事務的なことで林野庁長官にお伺いしたいのですが、最近の木材の需給率の傾向というものを数字的に明らかにしてもらいたい。
  132. 片山正英

    片山(正)政府委員 木材の需給率、いわゆる外材の占める率というふうに解釈してお答え申し上げますが、昭和三十六年ぐらいまで大体は一〇%程度の外材の依存度でございましたが、その後急激な外材の輸入増加がまいりまして、かつ需要の増に対しまして国内生産材がある程度停滞している関係から、その率は逐次増大してきております。したがいまして、私たちの現在の調査によりますと、四十一年におきまして約三三%弱、三二・六%でございますが、四十二年度の見込みといたしましては約三九%ぐらいになるであろう、それが四十三年度の見通しといたしましては、約四〇%になるだろうというふうに見通しているわけでございます。
  133. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 事務当局は、数字のことはなるべく正確に答えてください。  いまの外材との関係で見ますと、総需要に対するところの割合というものは、ずっとは申し上げませんが、昭和二十七年には外材の輸入の比率は一・八%、二十八年が四・二%、二十九年四・九%というふうにずっと上がってまいりまして、二けたの数字になったのが三十五年、ちょうど高度成長の段階に入るころ、それからいまのように四十一年に三二・六%、それから四十二年では大体四〇%近くになる、こういうところまできているわけです。そういう趨勢を見ますと、全国森林計画あるいは「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」という林業基本法に基づくところの、政府で閣議決定をされた計画関連をしてみると、これは相当やはり食い違いがくる危険性を今後ともに持っている、こういうふうに判断せざるを得ないわけですけれども、その傾向は、いま指摘をしたような計画で逐次チェックをされながらいく自信がありますか。
  134. 片山正英

    片山(正)政府委員 四十一年の閣議の決定をいただきました「森林資源に関する基本計画」と「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」これを閣議決定を経たわけでございますが、この計画は、御承知のように、基本としましては経済企画庁の中期経済計画に基づきまして一応需要の想定をいたしたわけでございます。そのような形でここにあります姿といたしましては、三十七年から三十九年の一応のベースをもとといたしまして、その当時が六千六百五十万立方という想定から、五十年においては一億立方、それから六十年一億二千万立方、七十年一億三千六百万立方、八十年一億四千六百万立方、以下大体横ばいでいくだろうという計画を持っているわけでございます。これは御承知のように、先ほど申しました中期経済計画に基づいて算定してわけでございますが、最近の諸情勢はこの計画より上回っているわけでございます。したがいまして、ここで見通しました需要に対しまして、最近の傾向は上回っていることは事実でございます。  ただ、これは私たちこの五十年という長い期間において一応見通したわけでございますので、ほんとうに社会経済の基調が変わってしまったそういう一時の、一時と申しますか、当面の非常に過熱された状態での需要の増ではないだろうか。その辺の検討を今後十分いたしまして、かつ中期経済計画をもとにいたしたわけでございますから、現在の経済社会発展計画、それによっての再検討も含めまして、現在検討している段階でございます。
  135. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いま長官が言われたのは、自給率の点から申し上げると五十年が七一%、六十年が七六%、七十年が八二%、八十年が八七%、九十年が九〇%、こういうふうに、いま四割近い外材依存率だと言っておるけれども、五十年の段階でとにかく七一%だ。もっとも日本のいまの木材の蓄積亀というふうな判断からいけば、戦時中の乱伐問題、したがって今日の森林の中には相当幼齢林が多いとかいろいろな関係で、将来はそれが活用できる段階がくるという、そういうものとあわせての先ほどの判断ですけれども、それにいたしましても、閣議決定をしたこういう計画というものは、現状とはかけ離れておる形になっている。四割近く外材が入っている。しかもこの木材の輸入額というものは、今日ではイギリス、アメリカに次いで世界第三位である。日本の輸入の中では、木材の輸入というのは石油に次いで第二位であるという。もう国土の約七割近くを占めておる日本の山林、これは林業政策としてもっと強力な姿勢でやるならば、こういう安易な外材依存政策というのはチェックできるはずである。ところがとうとうたる大勢で外材輸入が伸展をしてきておる。国内生産は停滞の傾向である。これを打開をする、国内の自給率を上昇せしめるための打開策というものをやはり真剣に考えなければならぬ。それが必ずしも今日農林省の林業政策として、なるほどこれなら自給率を高めていく、今日までどんどん伸びてきている外材輸入というものをもっとコントロールすることができるという、われわれの腹にすとんとはまるようなそういう体制には受け取れないわけです。  そこで、先ほど来の「重要な林産物の需要及び供給に関する長期の見通し」というものは、昭和四十一年四月の段階で閣議できめたけれども、これはすでに今日足元からくずれておる、今後ともこういう状態は相当期間続くのではないか、こういうことになると、こういう基本法に基づいて立てる閣議決定というものは、意味をなすのかなさないのかということさえ疑問になってくる。こういう長期見通しの中でいくというならば、それを裏づける政策というものは強力に進めなければならぬ、基本的にそういうふうに思うのですが、大臣いかがですか。
  136. 片山正英

    片山(正)政府委員 おっしゃるとおりにわれわれはさように進めなければならない。そこでこの計画をつくったわけでございますが、第一点の問題は、われわれの当初想定しました需要よりも確かに現在伸びてきた。伸びてきたものを国内材生産でカバーできないというところに、実は問題があるわけでございます。  われわれの開発計画というその内容の要点だけ申し上げますと、昭和六十五年までに山の開発、いわゆる林道、それから造林、拡大造林、これらを完成して将来に備えるという形の基本的姿勢があるわけでございます。ただ残念なことには、需要が増大してきたために開発問題が若干おくれているということはございますが、山それ自身の実態といたしまして、終戦後植えた木で、いわゆる全然利用に達しないものが、人工造林のうち六七%を占めているという実態があるわけでございます。したがいましていま切っている木——人工造林は大正の初めごろに植えたものであって、その当時は現在の造林面積の約四分の一程度しか植えられておらなかったという実態から、なかなか需要に追いつかないという本質的なものがございます。それをカバーするための措置として林道の開さく、いわゆる三割の面積、四割近くの材積が眠っているものを、六十五年度までに少なくとも開発していこうということで計画を立てて、先生のおっしゃるように対処していこう。その計画が若干おくれているというのが現状でございます。
  137. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 計画が若干どころの騒ぎじゃないですよ。もうこまごましたことで申し上げませんが、やはりこれに取り組む基本的姿勢というものが、われわれが期待する方向で真剣に取っ組んでいるとは言えないということを、私は率直に言っておきたいと思うのです。  そこで、外務省のほうから来ていただいておりますが、木材の開発輸入との関連がございまするけれども、農林水産関係の海外経済協力基金というものの活用の現状、これについて御説明願いたい。
  138. 有田武夫

    ○有田説明員 これは主として外務省の所管と申しますよりも、輸出入銀行あるいは経済協力基金を通じてその融資をやっておりまして、その主管官庁は大蔵省及び通産省、経済企画庁でございまして、外務省としては、必ずしもその全貌は把握しておらないような次第でございます。
  139. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そういうことでは困るのです。きのう外務省の経済協力局長のほうに話をして、これはなわ張りは外務省も関係があるし、経済企画庁も関係があるし、通産省も大蔵省も関係がある。しかし、そんなに全部呼んで一々聞くという時間がないから、君一人来て答えてくれということを言って、局長にも、そういうことで私がやりますからひとつ出てきてくれということはあらかじめ話をしておいたはずです。局長が出られぬというからには、何か緊急の要務があるだろうと思ったんですが、それならそれで、それをちゃんと受けて出てきてもらわぬと質問にならぬじゃないですか。
  140. 有田武夫

    ○有田説明員 そういうことは、私は不幸にして伺っておりません。
  141. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そういうことでは困るのですよ。われわれは別に質問をあらかじめ予告する義務はないのです。義務はないのですけれども、やはり準備をする都合があると思うから、好意的にきのう外務省の経済協力局長のところに連絡して、こういうことを聞く、そうして次は農林省にずっと入っていきますからということを言って、それじゃ私、出ますということで、きのうちゃんと連絡がついておったんです。なわ張りはいろいろある。いろいろあるけれども、一々呼ぶわけにいかぬから、外務省に、君のほうが出て説明してくれと言っておいたのです。  それでは、外務省のほうはそうこだわらぬから、林野庁のほうから林業関係についてひとつ答弁してください。
  142. 片山正英

    片山(正)政府委員 林野庁関係、いわゆる木材関係についての海外経済協力基金を使用いたしまして開発しておる実態を申し上げます。  まず、大体四カ所でございます。一つはカリマンタンの北東部に、カリマンタン森林開発協力株式会社というのがございます。借りております金は大体二十億円でございます。(角屋委員「二十五億五千五百万円」と呼ぶ)借りておりまして、年間大体三万立方メートルぐらいのものを輸入しておる。PS方式、いわゆる生産分与方式とわれわれいっておりますが、それによってやっております。  それからその隣に、やはりカリマンタンですが、三井物産が南方林業株式会社というのをやっております。そこがやはり同じPS方式で、四十二年度におきましては、年間大体一万二千石程度生産をする、こういうことになっております。  それからカンボジア開発株式会社というのをつくっておりますが、これが二千万円ほど借りておりまして、これは設立したばかりでまだ材は入ってきていません。  それから最後に、アラスカのほうにアラスカパルプ株式会社というものがございまして、これは七十億ほど借りておりますが、これは開発銀行から借りておるわけでございまして、大体、パルプ十九万トン、製材六十万トンというような形で開発をやっております。  以上が、大体現在の状況でございます。
  143. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いわゆる開発輸入という形で、開発銀行の資金もございますが、主として海外経済協力基金——ことしの予算で見ますというと、四十三年度は事業規模として四百四十億海外経済協力基金が準備されている。それは、農林水産以外の他の方面にも使われるわけですけれども、農林水産関係だけを見ても、相当こういう方面のことが政府資金を使って進められてきておるわけです。  この際、さらに聞きたいのですが、これは前国会でも質問がなされた点ですが、最近の新しい時点として、御承知外材輸入の輸入先の大手は、ソ連材であり、米材であり、あるいは南方材である。米材の問題については、従来の丸太で来るという問題について、これがアメリカの事情によって、日米交渉までやらなければならぬという事態が出てきた。この外材にどんどん依存していく今日の傾向というのは、私はこれは戒めなければならぬと思うのだが、それにしても需要が旺盛であって、国内の生産が停滞するということに鶏口して、外国からの外材輸入がどんどんふえてくるということをいっているけれども、一体外国の事情というのはどうか、そういうものに十分こたえ得るような状態であるのかどうかということになると、これは今後の見通しからいくと、必ずしもそうもいえぬというのが、アメリカの最近の日米交渉の中でも出てきておると思う。そういう点について、どういう判断を外材輸入の今後の相手方の姿勢についてしておるか、簡潔にお答え願いたいと思います。
  144. 片山正英

    片山(正)政府委員 外材のいま入ってきております大半は、いわゆるフィリピンを主体とする南洋材、それから米国、カナダを主体にする米材、それにソ連材で約九〇%以上を占めておるわけでございます。その中で、南洋材が約半分、五〇%ばかりを占めておりますが、南洋材は、御承知のようにフィリピン及びマレーシア、ボルネオ、そういうところから入るわけでございますが、その南洋材の輸入のうちの六〇%はフィリピンから輸入している。そのフィリピンが、現在フィリピン政府の方針といたしまして、なるべく国内で製材並びに合板をして出すという指導をやっておりますので、その関係で、木材を今後処理する場合には、そういう条件を付して政府として指導しておるようでございます。したがいまして、フィリピンが丸太を出してきましたうちの八〇%は、従来は海外に出ておる現状でございますが、フィリピンとしまして、丸太の国内の消化ということから、生産材の六割は国内で消化しなさいという指導をしておりますので、四割程度しか出せないという状況になると思います。したがいまして、現在、丸太が八割出るのが四割ということになりますから、急減していく方向をたどるのではないかというふうに想定します。したがいまして、私たちはそれにかわるマレーシア、あるいはボルネオ、そういう方面の開拓を大体同じような用途の樹種でございますのでやってまいりたい、かような意味から、カリマンタンに対して政府としても応援して開発していきたいという考えでございま・す。  それから、米材の関係でございますが、この米材関係も、国内材の杉、ヒノキの減少から相当期待しておるわけでございますが、この結果、端的に申しますと、米国内において買いあさりがある。したがって、米国の素材価格がつり上がっている。その関係から、米国内におきまする製材工場が非常に企業的に困ってきたということから、米国としても丸太輸出に対しての制限の声が出てまいったわけであります。したがいまして、われわれとしましてはその問題で、御承知のように昨年暮れと今年日米交渉をいたしまして打ち合わせたわけでございますが、その中できめられました要点といたしましては、貿易というものを拡大する中で製材品というものもなるべく日本は輸入する、丸太ばかりではないということでございますが、それはやはりコマーシャルベースの問題でございますので、お互いにそういう態度で臨んでいこうということできまったわけでございます。したがいまして、今後丸太が安易にふえていくということも考えられませんので、その点は十分対処してまいらなければいかぬというふうに思います。  最後に、ソ連材の問題でございますが、これは御承知のように資源が非常に豊富でございまして、ただ問題は、そこから積み出す港という点との関連で、ある程度現在制限があるというふうにわれわれは理解しております。  大体以上でございます。
  145. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 いまの外材の増加傾向、しかし反面、外材の入ってくる米材あるいはソ連材、南方材、こういう方面を見ても、今後の見通しとしてはいろいろ地域によって大きな問題を持っておる。したがって、基本的には国内の自給率をもっと高めるという姿勢林業政策としては取り組まなければならぬということが、現実にいえると思う。  そこで、今度は外材の入ってくる内地受け入れ体制の問題でありますが、植物防疫出張所所在港及び特定港の一覧表というのがございますけれども、今日外材の入ってくる指定港としては、新規をことしも加えておりますが、五十一、特定港として二十一、計七十二と承知しておるのですが、そういうことで間違いありませんか。
  146. 片山正英

    片山(正)政府委員 指定港が五十一でございます。新規が十二入っております。それから特定港が二十で、新規が四でございます。
  147. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで、木材工場という問題に入るわけですけれども、御承知のように外材がどんどん入ってくる関係で、製材工場関係を見ますと、いわゆる国産材工場、国産外材併用工場、それから外材プロパーの外材工場、これが製材の工場の中で仕分けされておるわけですけれども、外材専用工場というのが、この外材の入ってくる主要な港と関連をして、伸び率からいうと、昭和三十七年と四十一年を見てみても、約三倍近く工場数としては伸びてきておる。それから国産プロパーのものについては、小型のものは別として、相当馬力数の多いものについては昭和三十七年と四十一年を比べてみると、六、七〇%にずっと工場数は減っておる。併用工場については、やはり併用工場だけにふえておる、こういう傾向が出ておるわけですね。ここ数年来の製材工場の倒産状況と実態について、ひとつまず林野庁長官から伺いたい。
  148. 片山正英

    片山(正)政府委員 至急調査しまして提出したいと思います。
  149. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私が言わんとするのは、要するに開発輸入について、向こうとの資本提携や何かできちんとしたものをつくって、こちらに港ができる。そこへ外材専門の製材工場ができる。一つ外材輸入についてのビルトインされた体制ができると、これはやはり国内の自給率を高めるという強力な政策をやろうとする場合に、一つのプレッシャーになってくる問題が政治的には介在するので、この実態について、倒産の問題なんというのを林野庁長官がぺらぺらと言えぬようではだめですよ。林業政策という場合は、やはり林業関連した産業の問題というのは非常に重要な一つの柱ですよ。これは中小企業庁がやればいいとか、通産省が考えればいいというのと違うのですよ。  同時に、私が聞きたいのは、こういう外材専用工場あるいは国産外材併用工場、国産材工場というのがありますけれども、山村振興関連をして考えますと、従来は山手に製材工場が、零細でありましたけれども、相当ある。ところが、こういう外材専門あるいは外材と内材の専用工場というようなものの強力なものが、しかもこれは商社が相当資金を出しているのですね。中小企業の近代化の指定を去年から受けて、そこからも出ますけれども、しかし大手は商社から相当に金が出ていますね。そして道路が整備されてくるということになると、山地のそういう林業関連産業というものはそう大きな資本力がありませんから、どうしたって平場に出ていく傾向を持つだろう。山村振興という場合は、奥地にいろいろな工場を建てるというわけにはいかない。山村には山村にふさわしい工場というものがおのずからある。もちろんスイスのような方式をとるということも一つ考え方だろう。今後はそういう道も考えていかなければならないだろうけれども、基本的にいえば、なかなかどこにも適用するというわけにはいかない。やはり山村振興という場合は、林業関連する産業の育成強化ということを考えながらやらないというと、林業政策全般というものがうまくいかないのじゃないか、こういう気がする。だから、港の問題あるいは外材や船に伴うそれの受け入れ体制の問題、それと関連して、やはり山地にある製材工場の行くえというものがどうなるか、林業政策としてそれをどう指導していくのか、あるいは林業ばかりではありませんで、それを産業政策として、地域開発観点からどうとらえるのか、そういう視点がないと、経済は力の関係で、弱肉強食で淘汰されてきますよ。それを許していいのかどうかということが一つの課題である。その観点からお答え願います。
  150. 片山正英

    片山(正)政府委員 先ほどの倒産の数字がわかりましたので、まずお答え申し上げます。  三十七年に件数として九十八件ございます。負債額が七十三億でございます。三十八年が八十二丁件で七十四億でございます。三十九年がふえまして二百八十八件の件数で、負債額が二百二十三億でございます。四十年になりまして四百五十件で三百二十億、四十一年が三百五十七件で百七十七億、四十二年が五百二十一件で三百四億、以上でございます。  それで、先生のおっしゃいました外材と内材との関係製材工場の問題でございますが、御承知のように、先ほども申しましたように外材が非常にウエートが高くなってきておるということから、従来の山地の製材工場が、外材が少ない時代には優位であった。その製材工場が、内地材の原木を原料とする限りにおいては優位に間違いございませんが、外材という問題になりますと、その優位性は都市工場に変わってきておるという状態でございます。したがいまして都市工場、外材専門工場、山地にありますのが内地材専門工場、その中間に位するのが、いわゆる外材もひいていこうというような形で推移してきているわけでございます。したがいまして山地の工場につきましては、内地材は漸増とはいきませんが、大体横ばい的の生産でございますから、その中で山地工場は動いておるわけでございますが、外材はどんどん入ってきておるということで、大規模化されているのが現状でございます。  そこで、われわれいま山地製材工場の指導といたしましては、中小企業近代化促進法というものに基。つきまして、近代化計画というものと資源との関係も考慮いたしまして、設備の近代化をはかりながらそれに対処していくという形の指導をいたしておるわけでございます。ただ、山地工場といたしましては、能率をあげていくという形の中では、どうしても過剰の状態に現在あるわけであります。そういうことから、山地工場として企業的にはなかなかむずかしいということはあると思います。  ただ、従来が外材のインパクトローンとよくいわれましたが、最近におきまする諸情勢は少し趣を異にいたしておりまして、従来は外材が入ってきておることによって内地材に非常に影響があったということでございますが、最近におきましては内地材の値上がりというものは、外材のそれに比してむしろ上がっておる、外材が内地材の値上がりより下回った形で押えられてきておるというのが現状でございますので、価格面において山地工場が非常に困ってくるという現状ではございません。  大体以上でございますが、とにもかくにも今後需給関係が少し変わってくるわけでございますので、その面の指導等十分いたして善処してまいりたい、かように思っておるわけであります。
  151. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 さらに聞くんだけれども、倒産は一体どちらの地帯に多いのか、計数的に説明願いたい。
  152. 片山正英

    片山(正)政府委員 ちょっと数字がおくれておりまして、一月からずっと月別に統計をとっておりますけれども、大体倒産の主体を占めておりますのが、いわゆる中間工場でございます。山元でもない、都市工場でもない、いわゆる先ほど申しました中間地帯のものが中心で倒産いたしております。
  153. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 長官、こんなことは、もう打てば響くように答えなければだめですよ。先ほど来言っておるように、林業政策という場合は、林業関係産業の動向とか、これをどういうふうに持っていくかというのと重大な関係があるんですよ。そしていま言ったような、いわゆる新しい要因として外材がどんどん増加してくるという傾向をいかにチェックするかという問題と、それの受け入れ態勢の動向と林業政策との関連では、それをどうとらまえてどういう方向に誘導していくのか、こういうものがなければだめですよ、林業政策としては。あるいは農林漁業全体の問題でもあるけれども……。  そこで今度は、外材問題については多くの問題がありますけれども、私の言わんとするところは、いわゆる開発輸入あるいはそれに対する受け入れ態勢としての外材専門工場、あるいは外材と併用工場とができることによって一つのビルトインされた体制ができてくると、これはなかなか抜きがたいものがある。一定の比率というものはどんどん入る傾向を持ってくる。だから、主体的にやはり国内の自給率を高めるという傾向を進めながら、外材についてはチェックするという方向をとる。こういうのが、基本的にわれわれがとってもらわなければならぬ考え方一つだということを強く申し上げておくわけです。  今度は、国内の需給問題に再び返って若干申し上げたい。全国森林計画、一体この全国森林計画計画しておる計画量と実行量との関係の乖離について、具体的にどうなっておるか説明願いたい。——それではあとで資料で出してください。
  154. 片山正英

    片山(正)政府委員 それでは資料で出します。
  155. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、前国会審議のときおらなかったので少し聞きたいんですけれども、今度の森林法改正で全国森林計画は十五年としましたね。それから地域森林計画は十年とした。今度新しくつくる森林施業計画は五年。前者の二つについて、期間を延長した趣旨はどこにありますか。
  156. 片山正英

    片山(正)政府委員 今度森林施業計画というものを五年分つくるわけでございますが、その五年分をつくる施業計画の指針となりますのが地域森林計画でございます。その場合の地域森林計画の期間が十年ということにいたしませんと、五ヵ年のものが一年でつくるわけじゃございません。ずれていくわけでございますから、したがいまして、十カ年の期間がないとそれを目安にすることは困難であるということから、期間を延長するわけでございます。
  157. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 そこで、この法案の中身で若干あれしたいのですけれども、前国会のときに若林長官が、いわゆる森林施業計画というものの十年間の達成の見通しについて説明をしていますね。私有林の場合三十ヘクタール未満が四〇%、三十から五百ヘクタールのところが八〇%、五百ヘクタール以上八〇%、こういう見通しを言っているのですよ。私はこの森林施業計画というのは、一定の規模以上のものは義務的にしてはどうかという感じさえ持っているわけです。しかし、今度は認定制度でやろうというのですが、十年の中で相当大手のところを、八〇%の達成率なんというようなものを一応めどにしているのは一体どういうことなんですか。これは公有林関係は一〇〇%見込んでいるわけですね。国有林は国がやっているのだから、これは別です。  そこで、零細なものは数人共同あるいは個別でやるか、こういう問題がございます。森林組合中心になって指導する場合でも、あるいは個人がやる場合でも、そういう問題があると思う。そしてまたこれは毎年伐採できるような、そういう経営規模ではありません。しかし少なくとも一定の規模以上のもの、たとえば認定の基準のときに、三十ヘクタールと説明されていますね。そういう一定規模以上のものについては、むしろきちっと一定年限で義務的にやったらどうかと思う。今日の木材の需給の中で、外材をどんどん入れなければならぬという体制の中で考える場合に、食糧の問題だって何だって、必要な場合には直接統制をしてやるというような姿勢をとるでしょう、第一次産業の中でも。林業については、自主的に自主的にと自覚を持って——しかしやはり義務的にということだって、これは必要な場合があるのです。またそれが可能であれば、そういうことにきちっと踏み切ればいいとさえ思う。かりに認定制度でやる場合だって、こんなゆうちょうな形でなぜやっているのか、こういう疑問が私はあると思う。一定規模以上のものはぴしゃっとやるということをやったらどうか。十年間で八〇%というゆとりを持った、そういう実態はどこに理由があるのですか。
  158. 片山正英

    片山(正)政府委員 森林施業計画が公的の色彩であるというような意味からいたしますと、確かにおっしゃるような義務制ということも考えられるわけでございます。しかし御承知のように、過去、昭和十四年でございますが森林法改正をいたしました際に、やはり森林施業計画の義務制ということをやったわけです。その当時は戦時中はなやかなりしころで、かつ統制時代への移行の時代でございました。その際にそういう義務制をやったわけでございますが、結果的には必ずしも成功しなかった、うまく運用ができなかったという実態もございます。したがいまして、現在の社会経済の情勢の中におきましては、そういう義務制でやるというよりも、むしろ理解していただく、そうしてこれを推進していくほうが、誘導していくほうがよりいいのではないか。と申しますのは、森林実態がそれぞれ違った形の所有形態、構造形態でございます。そういうものを画一的に、一方的に押しつけるような形ではなかなかいきにくいのではないか。むしろ理解のもとにこれを実施をしていくということのほうが、より適確に実態に即したものが推進されるであろうというふうに考えます。  ただ問題は、八〇%、四〇%ではというような御指摘がございました。しかし、われわれとしましては一応それはめどにしますが、そういう方向でなるべく理解の中にこれを達成することが、ほんとうの実行面においてあらわれてくるのじゃないかということで、今後とも十分努力してまいりたい、かように思います。
  159. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これはすでに前国会で議論された点ですけれども、いわゆる森林施業計画を認定制度でやるのと見合いみたいにして税制上の恩典、所得税、法人税あるいは相続税の恩典、これは前国会での各党の非常に綿密な議論を聞いておりましてもおわかりのように、零細なものはそういうものの恩典に浴するチャンスは一回か、あるいけ相当長期にわたってまたもう一回。ところが経営規模の大きなものについては、その回数はきわめて頻度が高いということが現実に出てくるわけです。したがって、やはり森林施業計画考える場合だって、零細なものの場合は、五年間について施業計画をつくるような実態に必ずしもない、そこで伐採をやるとかなんとかいうような実態にない場合もあるでしょうけれども、相当大手のものは、本来そういう恩典のチャンスもあるし、またそういう社会的要請もあるのだから、十年間に八〇%なんということを言っておらぬと、もっとやはりきちっとやっていく体制が必要だと思う。これは昭和三十七年の法改正時分に、ぼくもこの委員会におって議論したのだけれども、三十七年の当時と今度の説明では全く食い違っていますよ。そういうことは深く触れませんけれども、やはりもっと財産保持的な傾向を戒めながら、今日の経済、社会情勢の要請にこたえていくためには、一定規模以上のものは、ちゃんと受け入れ態勢をつくってきちっとやっていく、そういう政策指導が私は必要だと思う。今日はまあ現時点の法律改正でいこうということに、ぼくらもまずまずということを考えているからこの程度にしておくけれども、指導としてはそういう気持ちでやはりやってもらわなければならぬ、こう率直に思う。  そこで、大臣が冒頭に造林問題、林道問題、いろいろな問題を言われましたが、この労働力問題に触れられなかったのは、非常に柱になる問題の一つをことばとして落とされて残念だと思うのです。これは言い忘れたのだと思いますが、林道の問題で峰越し林道というのをやっていますね。それから大幹線林道とかいろいろ林道をやっている。森林開発公団の請負っておる林道とか……。そこで林道の問題では、今日国内の生産の進まぬ理由として、林業白書の中では、いわゆる林道から千五百メートルぐらい離れたところの山林が全国で三割ある、したがって林道ももっと整備しなければならぬということをいっているわけですが、これからの林道の開設の基本的なあり方としては、山地振興の社会、経済面の効果あるいは奥地山林の開発面、こういうふうなことも含めて新設等をやられる、あるいは必要なところの補修、改修等をやられるということだと思うのだが、ややもしますと政治路線にはならないだろうか。さっき森委員が言っておりましたように、歴代長官なんというものは、参議院への気持ちを持っている者はそういうことも含めてこれを使うとか、造林の問題でもそうだということが批判として言われておる。吉村さんは偉かったと思うのだが、だいぶ前ですけれども、片島港さんが、歴代長官参議院の全国区に出ておるのにあなたはどうだと言ったら、私は絶対出ませんということを農林水産委員会答弁して、ちゃんとそれは実行された。大臣は何か言われているが、あなたはどういう気持ちでおるのか、そのことに触れられなかったのだが、ずばりと、私は出ませんとここで言われたらいい。林業姿勢のためにはそういうことを言われることも一つ方法だと思うのだが、それは別として、林道問題というのは、本来必要なるべき奥地産業開発とかいろいろ必要な、やるべきことと違った方向にいくのは是正しなければならぬ、こういう批判があるのは是正しなければならぬと思うのだが、一体これからの林道の開設の方向についてどう思いますか。ことしは百一億八千百万円というものを計画に組んでおりますね、全国森林計画に基づいて。具体的にどうやろうということか、国内の木材需給に関連して非常に重要になると思いますが、どうです。
  160. 片山正英

    片山(正)政府委員 御承知のように、林道の体系整備ということを昨年いたしたわけであります。それは二千ヘクタール以上の大開発林道、それから五百ヘクタール以上の中開発林道、それからそれ以下ということで、林道体系を三つの形に分けられる。われわれの推進する方向として、先ほど申しました大開発のものは大幹線というもので、所有者だけでなかなかやり得ないという面が非常に強いわけであります。と申しますのは、普通の林道開発でございますと受益者負担というものが事前に取られるわけでございます。そういうような形もございまして、大きな開発をする場合にはなかなか困難であるということから、森林開発公団につきましては、特定森林の地域につきまして、その地域の内容といたしましては、さらに大きな一万ヘクタールというものを対象にいたしまして、かつ開発に値する蓄積というものを調査いたしまして、その中で開発を進めるという態度をとっておるわけでございます。  その場合の開発方法といたしましては、従来袋地になって行きどまりになるというのは、大幹線としての性格上おかしいわけでございますので、一応国道、県道との関連も考慮いたしまして、いわゆる袋地でない道を前提としてつくっておるわけでございます。その他のものにつきましては、先ほど申しましたように、二千ヘクタール以上のものの大幹線を中心として、本年度はそれを重点としてやったわけでございますが、とにもかくにも未開発の三割余のものを、やはりなるべく早く開発していくということに重点を置いて林道計画を作成しておるわけでございます。
  161. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 造林問題では、造林が三十六年をピークとして今日低下傾向にある、こういうことを言っておるわけです。たとえば、造林補助金の計画面積というものを見てみると、政府みずから造林補助をやっていく対象の面積が、昭和三十七年時代の二十八万五千五百三十ヘクタールから、四十一年に例をとりますと二十四万九千五十ヘクタールというふうに、造林の補助金を対象にする面積の点が減ってきておりますね。単価は是正しているのですが、この単価自身も、実勢単価との関係では一体長官どの程度ですか。そのこともあわせて、造林は、しかも拡大造林というものに中心を置いた造林をどんどんやらなければならぬ。それが将来の自給率に必ず生きてくる。これはだれしもわかっておる。しかし三十六年から造林補助の面積、この実績というものが低下をしてきておる。大臣もそのことを言っておられる。そして大臣はその理由として、労働力低下とかあるいはその他の一、二の理由を言われたと思うのだが、そんなことで済ましておられる時代じゃないと思うのですね。需給の長期の見通しあるいは先ほど言った全国森林計画の達成の中で、昭和九十年に九〇%まで持っていこうと思えば、今日時点でやはり造林問題についても真剣にやっていかないと、三十年、四十年、五十年たったときに木を切るわけにいかない。嘆いておるばかりではだめだと思うのですね。その点どうです。
  162. 片山正英

    片山(正)政府委員 御指摘のように、三十六年をピークといたしまして造林の面積は減少してきております。それは二つの理由があるわけでございます。  第一点は、三十六年までは大体終戦直後から含めまして造林未済地というものが非常に多かったわけであります。切って植えてないという形のもの、ほったらかしておいたというようなものが非常に多かったわけであります。それをあわせて植えていくというところに重点を置きまして、木を切ったところにはもちろん植えるわけです。そういう形で、いままで植えられてなかったというところが非常にあったわけであります。それをあわせて植えていったことにおいて計画的にも非常にふえてきた。三十六年くらいになってきますと、おおむねその造林未済地は解消いたしました。今後は切ったところに植えればいいという形に転化したわけでございますので、計画的にも実は若干三十六年の計画よりは下回った計画をわれわれはつくっておるわけでございます。それはそういう理由から計画自身が下回ってきておるわけでございます。しかしながら、残念なことにその計画に対しての実績は、御指摘のようにそれほど満度にはいっておらないわけであります。その点、全国森林計画に対比いたしまして九〇%が達成されて、一〇%は遺憾ながら達成されていないというふうに思います。これはいろいろな事情がございます。たとえば、薪炭林が切るべきところを切らなかった、いわゆる薪炭需要がなくなって切らなかったということで、造林面積が発生しないという事態も中にはございます。しかしながら、いずれにしましても、造林面積が減ってくるということは、今後の木材需給に非常に影響するわけでございますので、極力計画どおりには達成するように努力いたしたい、かように思います。  それから、御指摘の単価の問題でございますが、これは私たちがいま計画いたしております単価は、労賃が内地が七百十円でございますが、来年度はそれを八百円まで伸ばすということでお認めをいただいておるわけでございますが、その実勢単価は、地域によって違うと思いますが、千円以上の単価であろうと存じますので、その開差を認めざるを得ないという段階でございます。
  163. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 造林面積の低下傾向についていまお話がございましたけれども、これは天然林の奥地開発に手を加えておる、あるいは薪炭林等の、いわゆる今日薪炭問題もございますけれども、これにやはり積極的に手をかけていく。これは先国会では民社党の神田委員等も指摘しておりましたが、いわゆる団地造林、そういう趣旨で取り組む、ことしは四万ヘクタールくらいやろうというのだが、要するに、この造林に関連したやり方というものはいろいろ方法があると思うのです。しかも労働力不足ということを言うのだけれども、私どもは、官行造林廃止当時に、一定のそういう体制というものはこれからの林業政策の中では非常に重要だということで、森林開発公団にああいう形で移すということには強く反対をしたわけだが、そういう問題も含めて、造林に対するところの対策というものは、林道問題も関連しますけれども、もっと国内の自給体制の整備、そのために必要な施策、そして今日まで取り来たった問題で是正すべき点をどう是正するか、これからに向けてどう具体的に政策推進するかという点については、地域的にももっと緻密な計画に基づいて推進をするという配慮をしなければいかぬと思うのです。これは林業白書を見ると、全国的なブロック別の実態というものがそれぞれ書いてあります。それぞれ地域によって違います。林業の問題を進める場合にも、もっと地域の実態に即した緻密な計画に基づいて林業基本法のねらうところの政策目標を達成する、こういう気持ちが基本になければならぬと思うのですがね。大臣どうです。
  164. 片山正英

    片山(正)政府委員 御指摘のとおりでございます。われわれといたしましても、ただいま御指摘になりました団地造林、これは薪炭林との関係でこれを推進しなければならない、その中で達成していかなければならないというふうに思うわけであります。白書にお示しいたしましたように、造林のいま最も盛んな、順調にいっておりますのが森林開発公団の造林と公社造林でございます。それ以外のものは、御承知のように停滞しております。したがいまして、これらとの関連を十分検討しながら、造林政策については、先生おっしゃるような方向で努力してまいりたいと思います。
  165. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 林業の経済的使命、森林の公益的機能、こういうものを両方調整、調和しながら、林業政策全体を進めるということに相なるわけですけれども、森林法は、本来制定された当時の趣旨からいうと公益的機能にウエートを置いておる。林業基本法の場合は資源開発にウエートが置かれて、公益的機能が少し軽視されておるという点から修正をやったわけだけれども、それは別として、とにかく治山治水面の問題については、いずれ治山治水に対するところの五ヵ年計画の問題、あるいはそれに関連するところの立法の問題、これが出てくるわけだが、これは今日時点折衝はどこまで進んでおって、いつ出せるのです。
  166. 片山正英

    片山(正)政府委員 御承知のように治山治水の五ヵ年計画は、一月の予算の最終段階で閣議の了解を得まして、四十三年度を初年度とする治山治水五ヵ年計画を改定するということに相なりまして、その詰めをいま大蔵省といろいろやっておるわけでございますが、いまのわれわれのめどとしましては、三月中というふうに存じております。
  167. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 先国会の場合にも、非常に綿密に取り上げられました労働者の雇用安定問題あるいは社会保障の充実の問題、これは午前中、森委員が取り上げて、大臣留守の時間でもありましたけれどもいろいろ論議をされました。私、前国会の議事録を全部目を通してみても、あるいはいまの森委員とのやりとりを聞いておりましても、林野庁でも農林省でも、こういう問題は労働省の問題である、あるいは厚生省の問題であるという気持ちでこれを考えておってはいけない。林業政策推進の重要なこれも一つの問題である、中心的な課題であるという気持ちでやらないとこれはだめだと思う。なぜかならば、林業の実態なんというものは、厚生省や労働省はそう綿密に知っておるわけではない。労働者の問題は、私の地域では真珠労働者の問題なんかいろいろありますけれども、これは農業の場合でも漁業の場合でも、林業を含めて、農林省自身が、それに従事しておる関係者の労働問題、社会政策問題というものは、こうすべきであるというみずからのきちっとしたものを持って、そして実態は信念を持って説明して、安んじてその業務につけるような体制をつくるという気持ちがないと、法規上はこうでございます——法規があればそれの特例法をつくったらいかがです、あるいは改正したらいかがなんですということをぼくら言いたい。そういう点で、社会保障の問題は厚生省である、労働問題は労働省であるという意味ではなくて、農林水産の問題を進める場合にはそのことも含めて実態に即したことを関係省に強く迫っていくという姿勢がないと、社会保障の問題だって、ここでまた一々綿密に繰り返してやりませんけれども、ことしじゅうにはこの点をここまでやりたい、あるいは来年度にはここまでやりたいというようなプログラムを持って展望を与えることが必要ですよ。そういう点で他力本願的なことがあるのじゃないかということを率直に感ずる。どうですか。
  168. 片山正英

    片山(正)政府委員 雇用の安定の問題につきましては、われわれとしましても真剣に努力しているわけでございます。ただ、先ほどの答弁の中で歯切れの悪い答弁をいたしましておしかりを受けたわけでございますが、まだ統一した見解というところまで至っておりませんので、そのようなことを申し上げました。今後とも私たちは安定という方向で検討し努力してまいりたいと思っておる次第であります。
  169. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 大臣、だいぶ長官答弁をまかされるのだけれども、大臣からお答えを願いたいと思うが、雇用安定の問題は、国有林労働者の雇用安定の問題も民有林労働者の問題も含めて、午前来の質問の中でも、雇用安定については真剣に取り組まなければならぬということを長官からもお話があったわけですけれども、ことばだけでなしに、実際にやっていかなければならぬ時代に来ておると思うのです。  そこで大臣にお伺いしたいのだが、大臣自身もよく知っておられると思うのだが、国有林労働者の雇用安定の問題については四十一年の三月二十五日に、当時坂田農林大臣が御就任中でありましたが、参議院農林水産委員会で、やはり国有林労働者の雇用安定問題について基本方針を明らかにされたわけですね。これに基づいて国有林労働者の雇用安定は推進をしてきておられる、こういうふうに私どもは判断をしておるわけです。これは相手との折衝の問題がありまするから、そこまで進もう、こう思ってこの時点まで来たということはあろうと思うのですが、基本方針としてはそういう方向で来ておられると思いますし、今後もそういう方向で進められると思うのですが、いかがです。
  170. 西村直己

    西村国務大臣 その問題につきましては、大体坂田農林大臣当時にもいろんな論議がかわされたという話は聞いております。その所信はなるたけ進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  171. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは参議院段階ばかりではなしに、衆議院の労働問題として社会労働委員会でも労働大臣との間で、林業労働者の実態はよくわかりました、私のほうからも農林省や林野庁のほうにもそういうふうに進めるように言いましょうということで、当時の労働大臣が吉村君とのやりとりの中でも、やはり林業労働者の雇用安定の問題については真剣に取り組む必要がある、これは林業政策推進の柱である、こういう点から記録がはっきりとどめられております。長官としてもその方針でいかれるわけでしょう。
  172. 片山正英

    片山(正)政府委員 直営直用の拡大という問題だと思いますが、われわれといたしましてもそういう方向で努力をいたしておるわけでございます。ただ企業をいたしております関係上、やはり能率というものを踏まえてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  173. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 あとお尋ねしなければならぬ問題は、全体的には、農林省の今回の機構改革の中で、まだ林野庁に対する関係部分の問題がございます。それから今後の機構を林業関係についてどう持っていくかというような問題もあります。しかし、率直に言って大臣も御就任早々で、ここであまり専門的にお聞きしてもまだ準備不十分ということであってはいけない、こういう感じもいたします。静岡というところは山もありますし、平場もありますし、海もあるという農林水産関係の環境としては全部網羅されたところで育たれたのでありますし、直接政調会長も担当せられ、全体的な視点も持っておられるわけでありますから、われわれとしてはやはり農林水産問題についての主体的条件、あるいはビジョン、あるいは施策、こういうものを持って、今日のなかなかむずかしい農林漁業政策に真剣に取り組んでもらいたい、こういう強い気持ちを持っておるわけでありまして、その点について、最後に農林大臣にその考え方をお伺いしておきます。
  174. 西村直己

    西村国務大臣 先ほどというよりか、今朝来いろいろ御意見を伺っておりまして、特に農業等におきましてはやや後退的な面があります。しかし、農業とか第一次産業につきましては、いろいろな観点から、譲るべき点は譲るかわりに進むべき点ははっきり進めるというような形で意欲的にやっていかなければならぬ、そういう意味で、これから十分勉強してみたいと思うのであります。
  175. 足立篤郎

    足立委員長 他に質疑もないようでありますので、これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  176. 足立篤郎

    足立委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  森林法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  177. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  178. 足立篤郎

    足立委員長 この際、ただいま可決いたしました本案に対し、角屋堅次郎君外三名から、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨説明を求めます。角屋堅次郎君。
  179. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、ただいま議決されました森林法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党の四党を代表して、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    森林法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は速やかに林業基本法関連施策の整備をはかるとともに、本法施行にあたり、とくに左記事項について適切な措置を講ずべきである。      記 一、森林所有者の経営意欲を高揚して森林生産力の増強をはかるため、造林、林道生産基盤の整備をさらに強化し、あわせて森林施業計画認定制度の実施を積極的に推進し、林業の発展に資するよう努めること。  さらに森林施業計画認定制度の円滑な運用にあたり、特に、森林施業計画の認定をうけた小規模森林所有者に対する財政金融措置、たとえば伐採調整資金制度等の活用について早急に検討し、その適用が受けられるよう必要な措置を講ずるとともに、森林組合の活用等所要の措置を講ずること。 二、最近の災害の実態等にかんがみ、森林の資源開発と国土保全機能の調整をはかり治山事業の一そうの充実を期すること。 三、最近における林産物需給の動向にかんがみ、木材の自給率をたかめ、安易に外材に依存することのないよう適切な措置を講ずること。 四、最近における農山村労働力流出の傾向に対処して林業労働力を確保するため、林業労働者に対する社会保障制度の充実、雇用安定策の確立等について所要の法制的、財政的措置を早急に検討し必要な施策を講ずること。 五、今後の林業政策推進上、重要な役割を担当すべき森林組合の育成強化について必要な措置を講ずるとともに単独法の制定について検討を加えること。  右決議する。 以上であります。  この趣旨につきましては、先国会における森林法の一部改正についての本委員会における論議、並びに本日の午前来の論議等を通じて十分明らかにされておると思いますので、細部の各項目についての説明は省略をさせていただきたいと思います。  何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願いいたします。
  180. 足立篤郎

    足立委員長 以上で趣旨説明は終わりました。  本動議に対し別に発言の申し出もないようでありますので、直ちに採決いたします。  ただいまの角屋堅次郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  181. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。  この際、ただいまの附帯決議について政府の所信を求めます。西村農林大臣
  182. 西村直己

    西村国務大臣 ただいまの決議の御趣旨を尊重しまして、関係省とも協議、検討の上対処いたしてまいりたいと存じます。     —————————————
  183. 足立篤郎

    足立委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  185. 足立篤郎

    足立委員長 この際、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  御承知のとおり、積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等は、いずれも昭和四十三年三月三十一日をもって失効することになっておりますが、これらの事業の進捗状況等にかんがみ、それぞれ有効期限を昭和四十六年三月三十一日まで、三カ年間延長ずることが必要であると認めまして、理事会の御協議により、ここに各位の御賛同を得て、お手元に配付してございますような案を起草いたした次第でございます。
  186. 足立篤郎

    足立委員長 起草案について別に御発言もないようでありますので、この際、本案につきまして、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣に対し意見を述べる機会を与えることといたします。西村農林大臣
  187. 西村直己

    西村国務大臣 政府といたしましては、積雪寒冷単作地帯振興対策事業等の進捗状況にかんがみまして、本法律案の趣旨につきましては、特に異存はございません。  この機会に、積雪寒冷単作地帯等の特殊地域の農業振興対策について、一そうの意を用いることといたしたいと存じます。     —————————————
  188. 足立篤郎

    足立委員長 おはかりいたします。  お手元に配付してあります積雪寒冷単作地帯振興臨時措置法等の一部を改正する法律案の草案を本委員の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  189. 足立篤郎

    足立委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とすることに決しました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 足立篤郎

    足立委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来たる十九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十四分散会