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1968-05-15 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十五日(水曜日)    午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 井原 岸高君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 藤尾 正行君    理事 松澤 雄藏君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 受田 新吉君       上村千一郎君    桂木 鉄夫君       菊池 義郎君    小山 省二君       塩谷 一夫君    田澤 吉郎君       橋口  隆君    武藤 嘉文君       渡辺 栄一君    伊賀 定盛君       大原  亨君    工藤 良平君       武部  文君    千葉 佳男君       華山 親義君    浜田 光人君       安井 吉典君   米内山義一郎君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      木村 武雄君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         農林大臣官房長 檜垣徳太郎君         農林省農政局長 森本  修君         農林省農地局長 和田 正明君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         食糧庁長官   大口 駿一君         林野庁長官   片山 正英君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房         臨時農地被買収         者給付金業務室         長       川合  武君         内閣総理大臣官         房       森 宏太郎君         参  事  官         厚生省薬務局薬         事課長     野海 勝視君         林野庁林政部長 亀長 友義君         運輸省港湾局参         事官      見坊 力男君         労働省安全衛生         局労働衛生課長 伊集院兼和君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 五月十五日  委員赤城宗徳君、荒舩清十郎君、内海英男君、  江崎眞澄君、野呂恭一君、藤波孝生君、淡谷悠  藏君、稻村隆一君、安井吉典君及び米内山義一  郎君辞任につき、その補欠として橋口隆君、武  藤嘉文君、箕輪登君、田澤吉郎君、小山省二君、  渡辺栄一君、大原亨君、千葉佳男君、工藤良平  君及び伊賀定盛君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員小山省二君、田澤吉郎君、橋口隆君、箕輪  登君、武藤嘉文君、渡辺栄一君、伊賀定盛君、  大原亨君、工藤良平君及び千葉佳男辞任につ  き、その補欠として野呂恭一君、江崎眞澄君、  赤城宗徳君、内海英男君、荒舩清十郎君、藤波  孝生君、米内山義一郎君、淡谷悠藏君、安井吉  典君及び稻村隆一君が議長指名委員選任  された。     ――――――――――――― 五月十四日  王子野戦病院反対運動による地元住民被害補  償に関する請願河野密紹介)(第五二一四号)  戦時中の強制疎開者に対する国家補償に関  する請願柳田秀一紹介)(第五二一五号)  旧軍人恩給改善に関する請願赤城宗徳君紹  介)(第五二八四号)  同外二件(内海英男紹介)(第五二八五号)  同(田川誠一紹介)(第五二八六号)  同(丹羽喬四郎紹介)(第五二八七号)  同(福田篤泰紹介)(第五二八八号)  同外二十三件(大坪保雄紹介)(第五三〇九号)  同外三件(伊藤宗一郎紹介)(第五三一〇号)  同(小峯柳多君紹介)(第五三一一号)  同外三件(長谷川峻紹介)(第五三一二号)  同(藤波孝生紹介)(第五三一三号)  同(船田中君紹介)(第五三一四号)  同(古屋亨紹介)(第五三一五号)  同(川野芳滿紹介)(第五三一六号)  同外三件(大坪保雄紹介)(第五三二七号)  同(金子一平紹介)(第五三二八号)  同外二件(小宮山重四郎紹介)(第五三二九  号)  同外一件(世耕政隆紹介)(第五三三〇号)  同外七件(谷垣專一君紹介)(第五三三一号)  同外一件(中山榮一紹介)(第五三三二号)  同(福永健司紹介)(第五三三三号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第五三三四号)  同(森田重次郎紹介)(第五三三五号)  同(山崎巖紹介)(第五三三六号)  同外七件(稻村左近四郎紹介)(第五三四二号)  同外一件(小川半次紹介)(第五三四三号)  同外十三件(大坪保雄紹介)(第五三四四号)  同(金子一平紹介)(第五三四五号)  同外七件(鴨田宗一紹介)(第五三四六号)  同(久保田藤麿紹介)(第五三四七号)  同(小峯柳多君紹介)(第五三四八号)  同外八件(河野洋平紹介)(第五三四九号)  同外一件(坂田英一紹介)(第五三五〇号)  同外一件(坂本三十次君紹介)(第五三五一号)  同(砂田重民紹介)(第五三五二号)  同外一件(世耕政隆紹介)(第五三五三号)  同外一件(關谷勝利紹介)(第五三五四号)  同外十件(田澤吉郎紹介)(第五三五五号)  同外三件(谷垣專一君紹介)(第五三五六号)  同外一件(内藤隆紹介)(第五三五七号)  同(中山榮一紹介)(第五三五八号)  同(野呂恭一紹介)(第五三五九号)  同外十五件(八田貞義紹介)(第五三六〇  号)  同外一件(早川崇紹介)(第五三六一号)  同外一件(福田篤泰紹介)(第五三六二号)  同外三件(船田中君紹介)(第五三六三号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第五三六四号)  同外二件(粟山秀紹介)(第五三六五号)  同(森田重次郎紹介)(第五三六六号)  同外三件(山口敏夫紹介)(第五三六七号)  同外三件(山崎巖紹介)(第五三六八号)  同外四件(山手滿男紹介)(第五三六九号)  同外五件(渡辺美智雄紹介)(第五三七〇号)  国及び地方公共団体建設関係職員現場手当支  給に関する請願福永健司紹介)(第五三二六号)  元満鉄職員であった公務員等恩給等通算に関  する請願外一件(愛知揆一君紹介)(第五三七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  靖国神社の国家護持に関する陳情書  (第四〇二号)  防衛庁の省への昇格等に関する陳情書  (第四〇三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四八号)  行政機関職員の定員に関する法律案内閣提  出第一一号)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    ○三池委員長 これより会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。工藤良平君。
  3. 工藤良平

    工藤委員 私は、農林省設置法の一部改正につきまして若干御質問をいたしたいと思います。  農業基本的な問題については、先般の農林水産委員会大臣にいろいろお聞きをいたしましたので、本日は、若干断片的になるかもわかりませんけれども基本的な問題について一、二質問をしながら具体的内容に触れてみたいと思います。  まず第一番は大臣にお伺いいたしますが、きょうの新聞によりますと、昨夜農業協同組合中央会の役員との会合の中で、米審に対する問題について若干意見の交換をなされたようでありますが、大臣としては二十二名の米審委員任命については基本的な方針は変えないということを、一昨日ですか、大体表明しておったようでございますが、その基本的な方針について今後も変わらないのかどうかお伺いしたいと思います。
  4. 西村直己

    西村国務大臣 米審構成につきましては、私としましては、各党間で協議をした上でということが一応取り上げられているものですから、もし協議がおまとまりになりますればそれを尊重していきたいというのが、私ども基本考えでございます。  それからもう一つは、米審構成段階におきまして、生産者消費者の声が反映しないじゃないかということ、これはまあ当然のことでありますが、そこでそれは二つの面があると思います。構成の中に入ってやれという議論と、いや、構成の中に入らぬでも他に方法があるじゃないかといういろいろな議論があることは当然で、いずれにしましても生産者消費者意向というものを十分反映するように私としてはつとめてまいりたい、こういうのが現状の段階考えでございます。昨晩は、これはただ私が非公式に、農中あるいは農業団体の幹部から着任当時ごあいさつをいただきましたから、そういう意味で私は礼儀を尽くす意味で、昨晩はお返しをするということで御懇談申し上げた次第でございます。
  5. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、米審の問題につきましては従来の形式を変えまして、生産者消費者代表に別の立場から意見を聴取する。こういう形になりますと、根本的に食糧管理制度運営そのものについてもやはり何らかの変化というものが起こるのではないだろうかということが当然に予想されるわけでございまして、その点については従来の方針と変わらないのか。あるいはまたけさ新聞によりますと、この米の問題は単に経済合理性の面からだけで処理できるものではない、こういうようなことが言われているわけでありますが、この点についての本意というものはどこにあるのかお聞きしたいと思います。
  6. 西村直己

    西村国務大臣 米審構成そのものは、ただいま申し上げましたように各党間の協議というものもまだ継続されておるものでございますから、それを見守りながらやってまいりたい、こういうことでございます。いずれにいたしましても、生産者消費者の声というものを反映させることは必要でございます。  それから食管制度そのものは、今回の米価というものは御存じのとおり現行食管法に基づいてきめられるものでございます。食管法が変わらぬ以上は現行食管法でいくわけでございますから、その答申というものは十分くんでいかなければならない、こう考えておるわけでございます。  それからけさの一部の新聞経済合理性云々と出ておりましたのは、別に私自体が正式にそれをしゃべったわけではないのですが、昨日も申し上げましたように、主食という問題は古くて新しい問題だと私はいつも申し上げておるのでありますが、非常に余るとき、非常に足りないとき、これはいつも非常に問題になりますので、安定供給が一番望ましいことでございます。そこでこういうものを割り切るときに、ただ理屈だけでもってこね回していくことによってお互いの感情の対立の中で、ものごと解決されるようにということを望む以上——もちろん、こういった事柄が量でありあるいは価格でありそれから所得でありあるいは支出であるという経済の面があることは当然でありますが、ただ理論闘争とか理論的な議論のし合いだけでいくべきものでない。ましてや生産農民立場もあります、消費者立場もありますから、ただ財政が赤字だからどうだとかという数字の議論からだけで追い詰めるべきではない、こういう趣旨のことと御了解いただきたいのでございます。
  7. 工藤良平

    工藤委員 いま御答弁の中にありましたように、私ども農業の問題を考える場合には、やはり食糧の安定的な供給ということが常に基本になるということは、従来から大臣も主張してきたとおりであります。したがって、現在の米の生産にいたしましても、豊凶というものがずいぶんあるわけでありまして、でき過ぎたときもこれは措置をしなければなりませんし、もちろん足らないときにはなおさら措置をしなければならない。そのことが食糧管理制度というものがすでに長い間にわたって維持されてきた要素である、こういうように考えるわけであります。したがって、これらの問題については、安定的供給をはかるという意味においてもぜひ私は今後堅持すべきである、こういうように考えるわけであります。このことについては大臣のお考えというのは変わらない、こういうことをまず確認をしておきたいと思います。
  8. 西村直己

    西村国務大臣 私は、国会答弁でも、したがって食管制度の根幹を守るということを申し上げているのは、やはり根幹的な思想というものは、いずれにしましても守る姿勢の中で——それから特に農業生産をやっている方々にいたずらに不安感を醸成しながら問題を解決しようという考えはございません。
  9. 工藤良平

    工藤委員 したがって食管の維持の問題につきましては、どんなに言いましても、量の問題と同時に価格の問題が非常に中心になるわけでありますが、すでに麦価決定米価決定というものが目前に迫っているわけでありまして、これは私ども農林水産委員会に対しましてももちろん各党間の調整という問題が残されておりますので、農林省としてはやはり早急に結論を出して、麦価米価決定に取り組まなければならないと考えるわけでありますが、大臣は、この点についてはいつごろまでにそれらの結論を出していただくような希望を持っていらっしゃるわけですか。
  10. 西村直己

    西村国務大臣 私としては、これが一つの政治問題になっておりますし、私の着任前に御存じのとおり各党間で折衝というようなことになっておりますものですから、できるだけ早くその結論が出ることが望ましいと期待はいたしております。麦につきましては、御存じのとおり政令で六月一ぱい、それから米につきましては、まだ時期等はいつというふうには——まだこれからだんだん考えてまいりたいというように思います。
  11. 工藤良平

    工藤委員 この問題を早く解決をするためには、従来の倉石大臣決定をした二十二名の米審委員任命がえについては若干弾力性のある考え方というものを打ち出さない限り、問題の解決を早めるということにはならないのではないか、こういうように考えるわけでありますが、その点に対する大臣考え方には弾力性がおありですか。
  12. 西村直己

    西村国務大臣 これは確かに両論あると思います。生産者を中に入れる、これも一つ議論であります。それから、生産者が中へ入らぬでも、むしろ価格決定そのもの政府の責任でございますから、政府生産者意向あるいは消費者意向というものを十分にくみ取るという場があってもいいのではないかという議論があります。それから各党にもそれぞれの御意見があるようでございます。そこいらを練り合わしたものでよく考えてまいりたいと思っております。
  13. 工藤良平

    工藤委員 この点については、生産者代表を入れていかぬという理由はどこにもないと私は考えるわけです。この点については従来からとってまいりました方針というものをぜひこの際推進をしていただく、そして倉石大臣のきめました二十二名については任命がえをするというような方向で措置をしていただきたいと思います。  さらに、その問題について食糧庁長官にお伺いをいたしたいと思いますが、二十二名の米審委員決定が一月の二十三日に倉石農林大臣から発表されたのであります。その過程の中で、従来の生産者代表あるいは消費者代表国会議員を入れない、こういう決定をする際に、食糧庁長官としてはどのような考え方で臨んでまいりましたか、お伺いをしたいと思います。
  14. 大口駿一

    大口政府委員 米価審議会委員の問題につきましては、昨年以来いろいろな経過を経てまいっておるわけでありまして、まず昨年の六月に、米価審議会委員構成の切りかえの際に、国会議員委員としてお願いをするかどうかという問題が、実は政府全体の各審議会共通の問題として課題になっておったわけであります。結局、昨年六月には従来どおりな構成でやるということに最終的にきまりまして、行なわれたわけであります。その際に、昨年に限って委員任期を十二月末で終了させる特別の政令を出しました。今後は一月に任期の切りかえをすることによって、むしろ米麦価決定の時期直前に委員任命をするということでなくて、事前に時間をかけて審議をいたす体制をつくるという趣旨で、そういう任期の縮小をいたした経緯もあるわけでございます。  昨年の十二月三十一日に米価審議会委員任期が切れまして新しい委員任命する際に、いろいろ大臣から御指示を受けて、私どもも内部で協議をいたしたのでありまするが、その際に、従来の経緯からいろいろ問題が議論されました中で、当時大臣として非常に考えられましたことの一つに、生産者米価決定の際の米価審議会が、昨年並びに一昨年と二回にわたって答申が得られなかったという事態を非常に重視をされ、われわれに対しまして、この答申を得られないという事態をいかなる方法改善をするかという問題を最重点に検討するような御指示をいただき、私どもとしては、ただいま大臣がお答えになりましたように、米価決定によって直接の利害関係を有する者、生産者並び消費者でありますが、この方々意見を、米価審議会諮問機関でありまするので、諮問機関委員の中に含めて答申に盛り込ませるという趣旨意見を聞く方法と、それから、農林大臣が最終的に米麦価決定する際に、米価審議会答申と直接の利害関係を有する方々の御意見とを並行して聴取した上で最終的に公正な決定をするという方法と、二つがあるという趣旨でいろいろ意見を申し上げまして、結局あのような結論大臣が出されたというのが経過でございます。
  15. 工藤良平

    工藤委員 大臣が一月に決定をする際に、もちろん昨年の米審当時から国会議員をはずすということについては確かに問題として提起をされてまいりました。任命の際にもその点が非常に問題になったところであります。しかし生産者代表を入れないということについては、これは突如として出されてきたことでありまして、この問題についてはあらかじめ、米価審議会というのは諮問機関であるから、その中には入れなくても他の方法によって聞く方法というものを考えるべきだということが、一月二十一日以前にすでに出されていたわけでありますか、その点をもう少し詳しくお話し願いたいと思います。
  16. 大口駿一

    大口政府委員 部内で最終結論に至るまでの経過をあまり詳細に申し上げることはいかがかと思います。最終的に下されました大臣結論以上にあまり深く立ち入って申し上げることはこの際差し控えたいと思いますが、ただ、ここで申し上げたいことは、私どもがあのような構成米価審議会委員発令されました当時の大臣の御真意というのは、ほかのもっとより適当な方法利害関係者意見を聞くということにあったのでありますが、しかしながら現実には、あの発令に伴って農林省があたかも生産者はもちろんのこと消費者意見も全く無視して米麦価をきめる意図であるというかのごとく誤解を招いたことは非常に意図に反したことでありまして、大臣も非常にその点は残念に思われたと思いますし、また補佐する立場の私どもとしましても、その点は残念に思いますと同時に、若干その点についての周知徹底方法に十分でなかった点は反省をいたしておる次第であります。
  17. 工藤良平

    工藤委員 いま長官の御答弁のように、私どもも結局突如として生産者代表を締め出されたという理解をしたわけであります。その後、この問題は農林水産委員会で問題となり、さらに国会対策委員会各党間の重大な問題となって、その後国会混乱というものが出てきたわけです。その過程の中で生産者代表意見を聞くというものが別途の形で考えられるという経過をたどってきたのではないか、このように理解をするわけでありますが、そのことは間違いでございますか。
  18. 大口駿一

    大口政府委員 国会でいろいろな御論議が出たあとで、突如として私ども生産者代表なり消費者代表意見を聞く方法あとから考え出して申し上げたというのは全く事実に反するわけでありまして、私ども真意先ほど申し上げたとおりでありますが、米価審議会委員発令の際に特に農林省意図というものを世の中に明らかにする趣旨農林大臣談話というものを同時に発表させていただいておるわけであります。その中には生産者並び消費者意見を十分聞いた上でやるということがはっきりと書いてあるわけでありますが、たまたまその農林大臣談話内容があまり世の中の人の注意を引かないで委員構成だけが非常な注意を引いたために、私ども先ほど来申し上げておりますように、農林省意図がきわめて私ども意図しないふうに受け取られたということについては、私は非常に残念に思っているということを申し上げたわけであります。農林大臣談話というものは当時新聞に発表いたしておるわけでありますし、その内容はいま申し上げた趣旨がはっきりと盛り込まれてあるわけであります。
  19. 工藤良平

    工藤委員 長官もそうおっしゃいますけれども、そのことについて、いま長官趣旨のように理解をされた方はほとんどいないわけであります。むしろそういうことによって混乱というものが今後生じるのではないか。現実にいま米審も一回も開かれていないというこのような混乱というものは、農林省がそういう問題をひた隠しに隠そうという意図があったのではないか、このように理解をする以外にないわけであります。それでは長官、このような米審委員任命によって一切混乱が起こらずに従来よりもより以上にスムーズに運営ができるというように理解をされておりましたか、その点をお伺いしたいと思います。   〔委員長退席浦野委員長代理着席
  20. 大口駿一

    大口政府委員 その際に私が事前にどういう見通しを持っておったかということをこの際申し上げることはあるいはいかがかと思いますが、しかし全く平穏無事で推移するという考え方ではおりませんでした。ただ、いずれ大方の御理解が得られるものというふうに私は期待をいたしておったわけでございます。
  21. 工藤良平

    工藤委員 そういう全く農民考え方というものを無視した食糧庁考え方そのものに大きな誤りがあるわけでしょう。そういうことではたして食糧管理制度というものが守られていきますか、長官どうですか、その点は。
  22. 大口駿一

    大口政府委員 先ほどから繰り返して申し上げておりまするが、私ども生産者並び消費者意向を無視してものごとを進める気は全くないわけでありまして、そのことは先ほど来繰り返して申し上げているとおりであります。  ただ、これらの方々意見を拝聴する方法としては、先ほど大臣も申されておりますように、米価審議会委員の中に含めて答申の中に反映をさせる方法と、それから米価審議会答申を受けて大臣最終決定をされるわけでありますが、その際に、米価審議会答申とあわせて生産者なり消費者意見を十分聞いた上で決定をするという方法二つあり得る。その二つの後者を選んだということでございまして、ただいま御指摘のように、私ども生産者意向を全く無視して事を運ぼうという意図は初めから全然持っていないわけでありまして、今後の食管制度の問題につきましても、生産者意向を無視して行政を進める意図は私自身も持っておりませんし、また農林大臣もそのようなお気持ちを持っておられないと私は思っております。
  23. 工藤良平

    工藤委員 そうしますと、いま申し上げましたように、米価審議会委員という形ではなくて別の方法で御意見を聞く、それは法的にはどのようなことになりますか、明らかにしていただきたいと思います。
  24. 大口駿一

    大口政府委員 農林省農林行政を進める場合に、法的な根拠を有する場合、また有しない場合を問わず生産者並び農業団体意向は絶えず聴取した上で行政を進めているのが過去の姿であります。また今後もそうあるべきことだと思います。米価審議会の問題に限局をしてただいまそういう意見を聞く法的な根拠があるかという仰せでございますが、私どもはむしろ農林大臣行政を進められる姿勢として農業団体意見を聞きながらやっていかれるということは何も法的根拠がなくても十分いままでやっておられることだと思いますし、また米価決定においても過去において米価審議会委員として御意見を伺うほかに農業団体から御意見を伺っているのが過去の実態でございます。私はそのような形で何ら支障がないというふうに考えておったのでございます。
  25. 工藤良平

    工藤委員 支障はないとおっしゃいますけれども現実米価審議会が開かれていないということは、すでにもう支障が起こっているわけではございませんか。これは別に支障はないわけでございますか、はっきりしていただきたい。
  26. 大口駿一

    大口政府委員 米価審議会のほかに農業団体意見を聞くというのは、いずれ米価並びに麦価をきめる場合には私どもとして積極的に御意見を拝聴する姿勢を持っておりますし、またそのように事は進むと思います。
  27. 工藤良平

    工藤委員 そうじゃなくて、現実にいま米価審議会が開かれていないということは、もうすでに支障が起こっているのではないかと私は言っている。そのことをお認めになりますか。
  28. 大口駿一

    大口政府委員 米価審議会のいつ開かれるかという問題につきましては、先ほど大臣がお答えになりましたが、具体的に麦の価格決定する時期は六月でありますし、米の値段を決定する時期はそのあとでありますから、もちろん米価審議会をできるだけたび重ねて開いて根本的な検討をお願いしょうと思っておったことに対しては支障があると言えばあると申せるわけであります。しかし少なくとも従来から制度に基づいて具体的な価格決定する時期はまだ先のことでありますので、すでにそのことについて重大なる支障が起きているとは私は実は考えておらないのでございますが、ただ農林省として米麦価の問題について根本的な検討をお願いしょうというふうに当初考えておりましたその構想は、支障が起きているということはこの際申し上げざるを得ないと思います。
  29. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、長官いつごろまでに米価審議会の第一回の委員会が開かれれば支障が来たさないのでございますか。
  30. 大口駿一

    大口政府委員 米価審議会の開催につきましては、これは農林大臣が御決定になることでありますので、先ほど大臣も申されましたとおり、麦価決定は六月末までというふうになっておりますので、その点からおのずと時期の制約が生ずることはございまするが、現時点においては、先ほど来申し上げておりまするように、まだその時期には至っておらないというふうに考えております。
  31. 工藤良平

    工藤委員 食糧管理を預かる責任者として食糧庁長官は、いつごろまでにその結論が出れば十分に間に合う、このように理解をされるか、その点を再度お聞きしたいと思います。
  32. 大口駿一

    大口政府委員 繰り返して申し上げまするが、麦の価格決定する時期というものは制度上きまっておりまするので、その時期の前までに米価審議会の発足ができれば支障はないというふうに考えております。
  33. 工藤良平

    工藤委員 それはいつごろですか。すでに農民団体あたりでは相当強い運動が起こりつつあるわけでありまするが、そういう状態の中でいつごろまでに決定をすればスムーズにいけるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  34. 大口駿一

    大口政府委員 いつ開くかという御判断は、これは大臣がなされることでありまするから、ここで私が申し上げるわけにまいりませんが、先ほど申しましたように六月三十日までに麦の値段をきめる必要がありまするので、その前に米価審議会に麦の価格の諮問をいたすとすれば、その時期までに結論が出れば差しつかえないというふうに申し上げておるわけであります。
  35. 工藤良平

    工藤委員 それでは米審の問題については、いま直ちに開く必要はないし、六月末直前に開ければいい、こういうことに理解をしてよろしゅうございますね。   〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 大口駿一

    大口政府委員 米価審議会をいつ開くかということの判断はこれは大臣がなされるものでございまするが、ただ、ぎりぎりいって時間的な制約はいつかというお尋ねでありましたので、先ほどのようなお答えをいたしたのであります。
  37. 工藤良平

    工藤委員 この問題については一応こういう程度にいたしておきたいと思うのですが、いま長官とのこの問答の中から私感じましたことは、食糧管理制度に対する長官自身の熱意というものについて若干疑問を差しはさまなければならないような感じを受けるわけであります。やはり食糧管理制度を預かる以上は、農民立場あるいは消費者立場というものをどのように調整をし、運営をしていくかということが食糧庁長官の任務でなければならぬ。もちろんそれは大臣の任務でもありましょう。そういうことをやはり念頭に置きながらこの運営に当たらなければならないと思います。その点については一言だけ私は申し上げておきたいと思います。  それから、一つ需給の問題についてお聞きをいたしますが、これはすでに淡谷先生なりそれぞれの方々から御質問がありましたので私は多くを触れませんが、「農産物の需要と生産の長期見通し」という四十一年の十一月に農政審議会の懇談会が検討して出されておる資料がございます。これによりますと、昭和五十一年における米麦の需給関係の数字が出ているわけです。この内容について、現在の情勢からいたしますと相当手直しをしなければならないのではないだろうかというふうに考えるわけでありますが、そういう必要はございませんか。
  38. 大口駿一

    大口政府委員 ただいま工藤委員が御指摘になりました時期に農林省としましては各農産物につきまして需要と生産の見通しを立てたのでありまするが、この際の需要と生産の見通しという作業をいたしましたその作業の性格は、過去の傾向その他から判断をして、需要は需要でもってどういうふうな見通しになるかという作業をし、生産のほうは生産のほうとして面積あるいは反収の傾向あるいは技術の発達の度合い等を推算をして発表をし、両者の結びつきというものは必ずしもないと言うとことばが過ぎるのでございまするが、むしろ作業の形としては両者それぞれ別個にやったわけでございます。その後時間も経過をいたしましたし、その当時得られなかったいろいろな新しいデータ等も織り込みまして、私どもとしましては今後の日本の食糧政策の方向を見きわめる上ではより新しいデータに基づいた各農産物の需要の見通し等を的確につかみまして、それによって今後の食糧政策の方向に誤りなきを期したいという趣旨で現在全省をあげて各農産物について作業をやっております。いつごろまでにまとめるかということは私直接の担当ではございませんが、米麦につきましても現在新しい角度で需要の見通しを正確につかむべく作業をいたしておりますので、まとまりますまではいまその内容がどの程度であるかということは申し上げられないわけでありまするが、少なくともいま申された改定といえば改定という作業をいたしておるということだけは申し上げておきます。
  39. 工藤良平

    工藤委員 もう一つ伺いしますが、この中で米については五十一年段階でほぼ一〇〇%近くに需要と供給の関係がバランスがとれるようなかっこうになっておるわけですが、麦の問題については、生産量が年々減少していって、三十九年からいたしますと大体半分程度になる、需要のほうは相当伸びるというような計数が出ているわけでありますが、特に将来の問題として、麦の問題についてはこのような傾向を新しい資料の中でも見通しとして立てていこうとするのか、その点について基本的な考え方を伺っておきたいと思います。
  40. 大口駿一

    大口政府委員 まず米につきましては、御承知のように昨年四十二年産米が作況指数で一一二という有史以来の大豊作を迎えましたために、米の需給事情というのは大幅に現在緩和いたしております。しかし、これが将来の天候なり将来の技術の進歩なりの度合いでどの程度の生産が安定して期待できるかという問題と、それから米の需要の動向等をかみ合わした場合に、何年ぐらい後に米の自給体制が確立できるかという問題については、目下作業中でありまするので、作業の結果を待った上ではっきりと申し上げざるを得ないと思います。ただ、最近の米の生産力というものは技術の進歩その他によって相当伸びておる反面、米の需要というものは一人当たりの消費量で見る限りむしろ若干減退傾向が出ておることは、見通しを策定いたしました当時も出ておりましたが、その後その傾向の大きな方向は狂わないと思います。  小麦の問題につきましては、戦争直後の小麦が米の代替食糧であるという時代から見ますると、最近では国民生活並びに国民の所得水準の向上に伴いまして、都市はもちろんのこと農村地帯にまで小麦の消費の増大というものは相当顕著なものがある。米の豊凶に若干影響はされまするが、むしろ独自の需要分野を開拓したというふうに判断をされますので、小麦の消費増の傾向というのは、程度は別として、従来の傾向が今後続くと思います。  それから麦の生産の問題でありまするが、麦は御承知のように昭和二十七年に直接統制から間接統制に切りかわったわけであります。その後食糧管理法に基づいて国内麦の価格の面においては年々パリティの上昇に伴って買い入れ価格を引き上げてきたわけでありますが、最近の農業労働力の事情その他いろんな事情がからみ合いまして、麦の生産性が他の農産物に比べてきわめて低いという事情が非常に大きく響きまして、麦の生産が年々減退をいたしておるのであります。過去において各方面から、麦の生産の減退並びにこれに伴っての冬作の不作付け地の増加という問題がいろんな角度で批判を受け、またこれが対策にわれわれも苦慮いたしたのでありますが、率直に申しまして、現在小麦で申しますれば国内生産の全需要量に占める割合はおおむね二割程度で、これを飛躍的に増大をさして自給体制を確立するということはちょっとむずかしいのではないかというふうに私ども考えております。しかしながら、麦の生産が麦の需要と無関係に生産減退をするということを食いとめますために、昨年以来実は契約栽培ということを進めておりまして、生産と消費とをもっとより結びつけるという方途を講じましたのも、むしろ麦の生産減退傾向と需要の傾向とが無関係に進まないようにという配慮からやったものであります。これが逐次軌道に乗りますれば、需要に合った麦は生産の減退が食いとめられるという傾向が出てくるものと考えております。
  41. 工藤良平

    工藤委員 長官にもう一つ伺いいたしますが、今後の問題として、特に食糧管理制度の問題が論議をされておる過程でございますけれども、国内における食糧自給体制を確立していくためにも、食糧の管理機構等につきましても根本的なといいますか、抜本的な改革というものが考えられるのか。たとえば食糧検査の問題等につきまして抜本的な改革というものが行なわれようとする考え方がおありなのかどうか、その点を最後に一点伺っておきたいと思います。
  42. 大口駿一

    大口政府委員 食糧管理制度そのものをどうするかという問題はきわめて高い次元で判断をすべき問題も含んでおりますので、むしろこの際、ただいま御指摘の検査の問題についてお答えをいたしたいと思います。  農産物検査法は昭和二十六年に制定をされたのでありますが、この二十六年に制定をされましたときの趣旨は、それ以前の検査は、米麦の全量政府買い上げということに伴いまして、いわば会計法上の検収検査という性格を持っておったのであります。農産物の検査というのは、そもそも食糧管理制度に基づく政府買い入れがあるなしにかかわらず、取引の公正確保とかあるいは生産者の保護という観点から歴史の古いものであります。そういう意味では、検査は検査ということで、昭和二十六年に検査制度が確立され、検査法が制定されたのでございますが、検査の目的は、私から特に申し上げるまでもなく、全国の農産物の流通の公正、円滑化ということで、絶えず流通、生産の実態に即応したものでなければならないと思うのであります。何しろ昭和二十六年から今日までは相当な時間もたっております。その後いろいろ農産物、特に米麦の流通の実態も変わってきております。また生産の実態も著しく変わってきておりますので、私どもとしてはやはり検査制度そのものの細目の運用につきましては絶えずそういうような事態の変化に即応したような形をとっていくべきだというふうに考えております。ただいろいろ変化をしたと申しましても、検査法制定当時のいわゆる米麦の毎個検査という形はまだ大部分を占めておりますので、いまこの時点で抜本的な改正をすべきであるというふうには考えておりません。しかしながら抜本的な改正をする時期はまだ若干先のことだと思いますが、絶えず生産、流通の実態の変化に即応すべく、検討なり手直しをすべきものであるというふうに考えておりまして、最近においてのいろいろバラ検査の試験実施でありますとか、いろいろな手だてを講じておりますが、もし時間の関係がありますれば省略いたすことにいたしまして、なお詳細なお尋ねがありますれば、最近具体的にやりましたいろいろな事例について申し上げたいと思います。
  43. 工藤良平

    工藤委員 それらの問題についてはあらためて農林水産委員会等でいろいろと検討してみたいと思っております。  次に、本題の、今回出されてまいりました農林省の設置法の一部改正の問題について基本的にお伺いしたいと思います。  すでに一省一局削減で農林省の機構は若干変わってきておるわけでありますが、今回ざらに農林省設置法として農林局の問題を中心にいたしまして統計その他の問題が提起をされてきておるわけでありますが、この設置法の改正というものは、昨年の八月に出された新しい農業基本方針に基づいた農林省全体の総合的な判断の上に立ってこの機構改革を必要とするのか、まずその点を冒頭にお伺いをいたしたいと思います。
  44. 西村直己

    西村国務大臣 昨年八月に構造改善についての一つ基本方針を立てましたが、その流れに沿いましてやはり考えております。
  45. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、この改正というものは、全体的に農林省の機構を——ここ当分の間はこの改正だけで、当たる必要がない、そのように根本的にお考えになっていますか。
  46. 西村直己

    西村国務大臣 当面直ちに根本的にやらなければならぬというものはないと考えております。
  47. 工藤良平

    工藤委員 私は、もし農林省がほんとうに新しい構造改善方針に基づいて——これの是非は私はきょうは問いませんけれども、これに基づいてやるとするならば、このようなみみっちい改革ということではたして新しい農業政策というものが打ち立てられますか。その点、私は基本的に大きな疑問を持ちますので、お伺いをしたい。
  48. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 農林省行政機構の改革についてはかねていろいろと検討を進めてまいって、その結論が今日の中央、地方を通ずる機構改革として設置法改正案になって御審議をわずらわしておるわけでございます。  私どもは、やはり現段階におきます日本の農業ないし農業を取り巻く環境の変化、推移というものに応じてこういう機構改革をいたしたいということでございますので、われわれに課されております農林行政の推進には、この改正が実現いたしますれば遺漏なく進めることができるというふうに信じております。
  49. 工藤良平

    工藤委員 そこに、私は農林省のきわめて消極的な考え方があるということなのです。どこかに気がねをしながら機構をいじらなければ守られないというような、ほんとうに消極的な考え方が根底に流れているような気が私はしてならないのであります。なぜ、農業政策を進めるとするならば、もう少し大胆、率直に考え方を明らかにしないのか。たとえば一省一局削減の問題にいたしましても、園芸局と蚕糸局を統合した、そのほかに食糧庁の業務第二部の問題を出しておりますけれども、これはやはり行政管理庁からの要請に基づいて一省一局削減の中で強制をされたものなんですか。
  50. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 ただいまもお答え申し上げましたとおり、農林省としましては今後の農政の重点的な展開の視点をどこに置くかという点の検討とあわせて、それに対応する農林省の機構はどうあるべきかということを検討を進めてまいったのでありますが、蚕糸局と園芸局との統合の問題は、一省一局削減の問題が閣議決定をなされる以前に農林省としての腹案としては持っておったのであります。これは現段階におきます行政機構の改革に対しまして、新しく部局を設置するということ自身——これは一省一局削減の政府方針が打ち出されるまでもなく、私どもとしてはやはり行政の機構はできるだけ簡素をもって旨とすべきものであるという前提のもとに検討を進めた結果、そういう腹案は持っておったのでございますが、たまたま閣議において一省一局削減ということが決定になりましたので、われわれが検討の結果、持っておりました腹案をもって閣議の決定にこたえたというかっこうになったのでございます。
  51. 工藤良平

    工藤委員 さっき御回答をいただきましたように、これが新しい農業政策を進める上の抜本的な機構改革であるとするならば、そういった食糧庁の問題なりあるいは畜産の問題なりいろいろ総合的な問題を検討して、ここでやはりあらためて出すべきではないか。局部的に当たろうとするところに農林省姿勢そのものに問題がある。その点どうですか。
  52. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 私どもとしての今回の中央地方を通じる機構改革の基本的な考え方を申し上げますと、農業ないし農業を取り巻く環境の変化、特に私どもが最近行政としてあるいは行政をこなすための機構として欠陥と思われました第一の点は、農産物の流通行政の面における対応のしかたが現在のところでははなはだ不十分である、整備されてないという点を欠陥として感じたわけでございます。  第二の点は、御案内のように農業に関する国際関係がきわめて複雑な変化をしておる。またその変化は急激でございます。それに対応いたします農林省の対応の機構として現在の機構では不十分であるという点を第二の点として取り上げたのでございます。  さらに地方の機構といたしましては、大きな問題といたしましては、一つは地方の農林行政をできる限り総合的に推進をしていくという場合に、民有林行政について地域の特性に応じたさらにきめのこまかい行政というものが現実に行なわれつつあるのに対して、それを中央一本で処理しようということに対しての問題の解決、それから農業と林業との接点があるというこの事実についての機構としての対応のしかたをどうするかという問題、それから地域農政を進めていこうといたしますれば地域の農業の実情なりあるいは動向の把握というものをより正確により深くつかまえるということ、さらにその動向を分析いたしまして将来をトするというようなことを行政の中に反映する必要が実は強まっておる。大きく言いますとそれら四点の問題に対応するということを私どもの当面の行政機構改革の焦点として取り上げたのでございます。
  53. 工藤良平

    工藤委員 それでは具体的にお聞きをしますが、今度は地方農林局にされる。その中に民有林関係を含めるということでございますが、そういたしますと、林野庁のほうからこの民有林関係を引き離すということになるわけですか。民有林関係はすべて県農林局に参りますと一切のそういう手続なりすべての問題が解決するわけでございますか。
  54. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 民有林の行政につきましては、御承知のように、林野庁が直接県に指導してやっておるわけでございます。現在そういうような形で推進しておりましたが、先ほど官房長からも御説明のように、林野庁といたしまして新たに基本法の制定で取り上げている問題として林業構造改善問題、なおまた山村振興法に基づく計画がある。それからまた入り会い林野の整備というような問題、それらの問題を農業との関係において地元に密着したきめのこまかい指導調整というのが必要であるということから地方の農政局に林務部を設置いたしまして、それらの円滑な推進をはかりたいということで改正をお願いいたしておるわけでございます。
  55. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、地方のほうはどうなるわけでありますか。農林局のほうに地方の営林局から民有林関係が移る、そういうことになるわけですね。それをちょっと聞きましょう。
  56. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 私の説明が少し足りなかったと思いますが、林野庁の行政として、国有林関係におきましては、営林局署の機構を使ってやっておるわけでございます。民有林の行政につきましては、営林局と離れまして県と直接結んでやっておったのが実態でございます。
  57. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、中央のほうにおきましては、やはり従来どおり県を通じて林野庁ということになるわけでありますか。
  58. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 地方農林局というのをお認めいただく段階になりますと、農林局を通じて林野庁がいろいろ指導するという形になります。
  59. 工藤良平

    工藤委員 国有林野と民有林といったものはやはり総合的に統括して国の林業行政というものを扱わなければならないと私ども理解をするわけでありますが、その場合に、農林局に移ったけれども中央のほうは依然として林野庁のほうで統括をするということになるわけですか。それとも何か農林省の他の部局でそれを扱うようになるわけでございますか。その点はどうなりますか。
  60. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 中央といたしましては林野庁の機構の中で取り上げられてまいります。それから地方といたしましては、従来も農業構造改善等がございますが、それらと営林局との調整は、営林局内に国有林野管理審議会というのがありましてその中で調整しておったわけでございますが、今回もし林業構造改善その他入りますと、総合的なものをやっていける形になるというふうに考えます。
  61. 工藤良平

    工藤委員 私もあまり実務を扱ったことはございませんけれども、その点官房長、別に支障はございませんか。総合的な林業行政という立場から見た場合に別に問題はございませんか。
  62. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 地方農政局は、御案内のようにたとえば林野庁の現在の行政でも各局に属する事務を本省から権限移譲をいたしておるわけでございますが、それぞれの所掌事務はそれぞれの局長が所管指揮をいたしておるわけであります。したがいまして林野行政につきましては、一部の民有林行政事務を地方農林局に権限移譲いたしましても林野行政全体を通ずる指揮監督は林野庁長官の所掌として変化はございません。
  63. 工藤良平

    工藤委員 その点どうも私どもしっくりいかないわけでありますけれども、時間がございませんからもう一つ具体的にお伺いいたしますが、それは地方農林局と試験研究機関あるいは改良普及事業との関係はどういうことになりますか。先般、私、自治省の資料をちょっとのぞいたわけでございますけれども、これによりますと、今度の定年制の問題と関連をいたしまして、定年後の身分問題について、たとえば改良普及員というようなものにつきましては定年後五十五歳を過ぎた者がやれる仕事ではないかというようなことから一応業種の指定がなされておるのでありますが、こういう点については、農林省立場というものが改良普及員というものは年齢のいった定年を過ぎた人がやれるような感覚にあるとするならば大きな間違いではないか。むしろいまの新しい農業には新しい感覚で農業を指導していくというアフターケアが必要だということを私再三申し上げたのでありますけれども、こういうことが起こっておるわけでありますが、この点に対して農林省どうですか。
  64. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 改良普及事業は国と都道府県との共同事業として法定化されておるものでございます。これの直接の指導機構は現在地方農政局の所掌として権限がおろされております。試験研究機関との関係におきましては、改良普及事業の技術的指導のソースは都道府県の試験研究機関であるということになっております。それを技術的にさらにバックアップするための試験研究機関として国の地域農業試験場があるわけでございます。普及員の諸君が五十五歳以上の、一般の定年を過ぎた者でもやれる仕事ではないかというような御指摘があるということでございますが、いわゆる改良普及員という中には専門技術員でございますとか、やや高度の試験研究陣営に近いような特殊な知識、経験、技術を持っておる方がおりますので、一がいに、五十五歳の定年で、もはやその職にたえないと言い切るわけにもまいるまいと思いますが、御意見の中にも出ておったと思いますが、やはり改良普及員一般から申せば、新しい技術、新しい経営の知識というようなものをこなし得るような者でなければ対応できないであろうという点は同感でございます。
  65. 工藤良平

    工藤委員 いまのような考え方があるわけで、先ほどから再三言いますように、もう少し積極的に農林省は取っ組んでいかなければ、将来、食糧、米の検査機構の問題等につきましても、こういうのは五十五歳以上でもできるじゃないかというような意見も出てこないとも限りませんし、この点につきましては、より積極的な姿勢をぜひ見せていただきたいと思います。  これとともに、農林局の二重行政的な問題ですね。分限はどうなっておるか。地方で全部すべてのものができるのか、本省に来なくてもいいのか、そこまできちんと割り切って、農林局というものを位置づけしておるのか。今度のこの改正案の中にそのような根本的な問題が含まれておりますか。
  66. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 法律の改正によりまして、今回新たに権限の移譲が行なわれますものは民有林行政だけでございます。民有林行政につきましてはおよそ地方農林局に権限を移譲したものは、地方農林局限りで処理できるような権限移譲をいたしたいと思っております。  なお、従来の権限を移譲いたしております部分につきましても、現在省内で検討中でございますが、従来もそういう努力をいたしてまいりましたが、権限を移譲いたしました事務については、地方農林局限りで処理できるという方向をもっと徹底さしてまいりたいというふうに思っておったのでございます。
  67. 工藤良平

    工藤委員 時間があまりありませんから、最後に統計の問題についてお聞きしたい。官房長の専門であるわけでございますが……。  統計の問題については今後一体どのような位置づけをなさっていかれるのか。特に米、麦中心の農業というものから、選択的拡大と農林省がしきりに言っておりますように、非常に広範に農業というものがわたってまいります。しかも、数量というものは年々拡大されつつあるわけでございますが、そういう点からいいましても、統計の位置づけというものが性格的にもずいぶん変わっておるのではないか、こういうふうな気がするわけでありますが、今後の統計のあり方というものについてひとつ考え方を聞かしていただきたいと思います。
  68. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 統計個有の理論でございますとか、あるいは手法というような問題につきましては、これは統計調査部長が見えておりますので、あとで、御説明が必要であれば、やっていただくこととしますが、私ども農林省としては、農林統計を行政上どういうふうに位置づけるかは、まずその農林行政自身の行政運営の根本に触れる問題だと思うのであります。行政の近代化ということはやはり科学的なデータに基づいた行政をするということが不可欠の条件であるというふうに私は思うのでございまして、そういう意味からは、日本の農業の動向がいろいろ複雑な変化を遂げつつあればあるほど、農林統計の必要な調査の整備、また調査ないし統計の精密さを必要とするというふうに思うのでございます。ただ、農業の事情の変化に応じまして、統計の業務の内容というものが、それに即応したような流動性といいますか、そういうものはやはり考えざるを得ないのではないかというように思うのでございまして、現状から申しますれば、かつて作物統計というようなことに非常なウエートを置かれておりましたのが、経済統計なり、あるいは流通統計なり、または作物にいたしましても、拡大をいたしております畜産、果樹、蔬菜等の調査、そういうようなことに遺憾のないように即応をしていくということがわが国の農林統計の使命じゃなかろうかというふうに思います。
  69. 工藤良平

    工藤委員 この点についてはそう深く論争する必要はないと思いますけれども、従来、農林統計というものが、地方自治体なりあるいは農民自身から非常に疎遠にされるきらいというものがあったわけであります。私どもよく聞くわけでありますが、それはやはり、この農林省統計というものが一つの収奪の道具にされてきたというところに非常に根本的な問題があったと私は理解しているわけですが、もしそれが違えば幸いだと思います。しかし、いまおっしゃるように、生産、流通、価格、そういう農業全般について、これからの統計というものがより科学的なデータを提示していくという重大な任務を持つわけです。私ども一つのどんな小さな問題を取り上げてみましても、科学的なデータに基づく資料というものがたいへん必要になってくる。そういう点からしますと従来よりも増して農林統計の充実というものが必要になるだろう、こういうふうに私は理解をいたしているわけでありますが、そういった面から、今度の農林省設置法に基づく機構改革というものがそれに完全にマッチすることになるのかどうか、根本的な重大な問題を持ってくるわけなんで、その点についての考え方をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  70. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 今回の統計調査事務所、地方農林局の統合という問題は、先ほどもお話を申し上げましたように、地域の農政を推進していくために必要な地域農業の動向の把握並びに分析という問題が一つの重要なモメントであるということでございますが、農林統計全般の科学的なデータとしての内容の充実という問題は、単に機構の改革問題のみでなく、農林統計全体を通じまして、本省における統計の整備充実の問題としてやはり考えていかなければいけない。地方農林局に統合されます結果、それに奉仕できます部面というものは、やはり、その地域の実情に応じた統計調査の設定に関する適応性の問題、あるいはそれを地域的に分析集計することによってそれぞれの地域の農業の動向なり、あるいは実情なりというものを把握することによって、全国的統計のほかに、一つのそういう地域性を明瞭にしていくという意味で補完されるという面はあると私ども考えているのでございます。
  71. 工藤良平

    工藤委員 時間がありませんから、その点はそれくらいにして、次に大臣にお伺いいたしますが、この農林統計の将来性については、非常に重要であろうと思います。ところが、一部には、統計の地方移譲というような話も実は出てくるわけでございます。私どもは、現実に災害の問題を扱ってみても、あるいは生産過程の問題を扱ってみても、現在の農林統計の果たしてきた役割りというものは実に大きいわけであります。しかも、相当信憑性のある統計として評価をされてきたわけでありまして、今後、この農林統計に対する大臣姿勢というものは、そういった地方移譲とか、そういうことではなくて、ほんとうに根本的に農林統計というものの重要性というものをはっきりとさせることによって、これからの農政に果たす役割りというものは明らかになってくるだろう、私はこういうように考えるわけで、その点を大臣ひとつこの際はっきりしていただきたい、こういうように思います。
  72. 西村直己

    西村国務大臣 農林統計につきましては、戦後かなりいろいろ各方面の御指摘もありまして、だんだんに内容が充実をされてまいりますが、まだ改善される余地はあるのであります。特に農林統計は確度の高いということが必要だと思います。したがって、それに従事する人が専門知識とかあるいはその能力というものが全国的な視野でなければいかぬ。地域的なものをよくつかみ上げるけれども、絶えず地域だけにとらわれあるいは府県だけにとらわれてその利害だけの立場から統計というものがもし集められてきたら、非常に農政というものはゆがむ、そういう意味から、私は、国の立場から確度の高い統計、そのために能率のいい専門の職員というものが活発に動けるようなふうにやはり誘導してまいりたい。特に農作物の生産費調査あるいは被害の調査あるいは価格対策、いろいろな資金の融資等の場合におきます大事な根拠である、こういう認識を持っておる次第でございます。
  73. 工藤良平

    工藤委員 最後に、私は先ほどから幾つかの問題を指摘をしてまいりましたけれども、今回出されたこの設置法の問題については、局部的な一部の問題であって、私はもう少し農政全体の問題とあわせて農林省の機構はどうあるべきか、根本的な問題に触れて再検討すべきではないだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。その点を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  74. 三池信

    ○三池委員長 受田新吉君。
  75. 受田新吉

    ○受田委員 きょうは、農林省設置法の一部改正法案の改正目的の一、二のポイントとあわせて、農林行政に関連する国民大衆に直接影響のある個々の問題を一、二指摘いたしまして、当局の意図を明らかにさしていただきたいと思います。  今度のこの改正案で農業者大学校というものが新設されたんでございますが、この大学校の名称を用いて各省設置法が競うて大学校を設置されていることに対して、私は従来しばしばその問題点を指摘して反省を求めてまいりました。なぜ大学校という名称を用いなければならないのか。研修機関としての魅力のある名称を用いて差しつかえないものであろうと思って——こまごましたことは申し上げません。単に大学校という名称の魅力に大きく動かされて、農林省もまた農業者大学校というものを考えられたのかどうか、御答弁願いたいのです。
  76. 森本修

    ○森本政府委員 単に大学校という名前だけで農業者に対して教育上の魅力を与えるといったような考え方ではございませんで、先般もお答えを申し上げましたように、想定しておりますところの教育内容、それから教育の程度、そういうものを総合いたしますと、現在の大学程度の教育内容であるということになっております。そういった教育の内容なり程度を対外的に明確にするというふうな意味で大学校という名前を採用することにいたしておるわけであります。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 教育の内容が学校教育法の規定する大学に準じたものであるという御判断ですか。
  78. 森本修

    ○森本政府委員 程度といたしましては、さような内容にするという考え方であります。
  79. 受田新吉

    ○受田委員 それははなはだ奇怪な御答弁をいただいたものですが、学校教育法に規定する大学というものは四年制の大学というものが本則であり、例外として短期大学というものが認められております。長期の四年制の大学、短期の二年制の大学とどこがそれに準じたものであるということができますか。御指摘されている、定員を一学年に五十人程度として当分の間男子のみとしておる、こういう形、それから修学年限というものがどういうものになるか、そういうものとあわせて大学に準じた措置としてお認めになるところを御指摘願いたいのです。
  80. 森本修

    ○森本政府委員 考えております教育の期間は三年ということを予定しております。私が申し上げましたのは、教科の内容といいますか、それと、それから教育をいたしますところの知識の程度といいますか、そういうものについては大学程度のものを想定しておるということを申し上げたのであります。
  81. 受田新吉

    ○受田委員 教育期間というものは、これは非常に大事なことなんで、三年であるならばせいぜい専門学校という形のもので、農業者専門学校、こういう名称にでもしておかれる程度のものだと私は思う。いかがですか。
  82. 森本修

    ○森本政府委員 繰り返すようで恐縮でありますけれども、私どもとしては教育の内容は大学程度というものを目途としておる次第であります。
  83. 受田新吉

    ○受田委員 三年で大学程度というものはどういうことで可能性を見ますか。そして一週の授業時数、そこにおける教授の資格、これは大学設置審議会で認められた基準で定められるような人を選ぶのか。そしてその必修科目、選択科目というようなものが学校教育法の大学設置基準に規定されたものが採択されておるのか、お示しを願います。そういう詳細なものをちょっと私拝見したいのでございますが、手元におありでしたら、ちょっと私比較検討さしていただいて審判を下します。
  84. 森本修

    ○森本政府委員 ちょっとどういう学科をどうという詳細なものは手元にございませんので、時間割りあるいは講義の種類等につきましては、必ずしも詳細に御説明する資料をちょっと持っておりませんが、私どもとしては先ほど来申し上げておりますようなことで、ほぼ大学程度の教科内容、それから知識の程度につきましては、そういうふうな内容のものを備えているということで準備をしておるところでございます。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 農林省でもう一つ水産大学校というのがある。同じ農林省の所管の中にあるこの水産大学校というものは、修業年限が何年で、そしてその教育内容がどういうものであるか。これをちょっと御答弁願います。
  86. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 所管の長官が参っておりませんので、すぐ連絡いたしましてお答えいたします。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 同じ農林省の中で同じ名称を、一方は水産大学校であり一方は農業者大学校である。これは官房長においても、そこはあなたのほうで、同じ省の大学校のことですから、その比較検討をされてこの法案を出されたと思うのですが、担当の水産庁長官がおいででなければわからないというようなそういう——これは設置法の改正ですから、全く同じ名前を使った大学校が農林省にもう一つできるのですから、既設の大学校との比較検討をされて提案されたと私は思ったのです。既設の大学校のことはここにおいでになられる首脳部の間には全然認識にない、そして単独で農業者大学校を設置された、こう判断せざるを得ないと私は思うのです。これは非常にゆゆしい問題だ。他省にあるなら私は言いません。同じ農林省の所管である、それが水産庁長官でなければわからぬ。(「休憩だ」と呼ぶ者あり)休憩に値しますね。これはやはり農林省の所管ですから、私はほかの省なら言いません。それじゃ全く思いつきでこういう大学校をつくられたとしか判断できぬ。農林大臣、あなたはそういう判断をきっとされると思うのです。連絡調整ができておらぬ。双方の打ち合わせがついておらぬ。——それでは水産庁長官が来られてから御答弁いただきますが、水産大学校は四年制です。これは学校教育法の大学と相準ずる立場で、このほうは本物の大学校と名称をつけてふしぎでないと私は思います。ところがここへ三年制の農業者大学校を用意されて学校教育法の大学に準じた教育内容を織り込もうとし、制度化されようとしておるのでございまするから、この場合は農業者専門学校というような形のものに名称をつけ直されて、その間大学という名称に魅力を感じ過ぎる当局の御意図を粉砕しなければならぬと思うのです。非常に私、大学の名称を軽々しくお用いになる傾向があると不安感が漂うてならないのであります。その教育内容、そしてその就業年限、定数、たった一学年に五十人、三年で百五十人、しかも女子は当分の間やめて男だけやる。むしろ農村は女子をこれから農業の基幹にしようという動向があるときに、最初から男女を選抜してやるべきものを、男子だけやっている。いろいろなところに片手落ちが起こっているのです。それでこれを見ると、自然科学、社会科学、人文科学の各方面から盛んに基礎演習等へもずっと教育の範囲を広げて、一応社会人としての基礎教育をしよう、あるいはある程度の専門基礎教育をしようと企図されていることはわかるのでございますが、はなはだ思いつきで出された法案であるという認識をここではっきりさせられました。いまからでもおそくない。農業者研修所あるいは農業者専門学校、こういうような名称につけ直されて一むしろそのほうを学生の諸君は喜ばれると思うのです。ここに学ばれる学生にいたしましても、別に大学校という名前をつけられたから、おれは大学校を出たんだという肩書きを用いるということであまりいばるお気持ちはないと私は思うのです、農村の柱になろうという中堅人材であるならば。  それじゃ次の問題に入らしていただきましょう。従来地方支分部局として農政局を設置されたのでございますけれども、この農政局を置かれるときにもいろいろ議論があった。しかし、その当時は、農政局というものは別に林の字を省いた意味でなくて、農政の全般であるから林業も含んでおると私たちは認識をしておったわけです。地方農政局のやっている仕事の中に林業は全然なかったのかどうか、お答え願いたい。
  88. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 現在の地方農政局におきましては、林業行政は所掌をいたしておりません。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 それは地方の営林局がやっているから御遠慮したという意味ですか。
  90. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 先ほど林野庁長官もお答えを申し上げましたように、地方の営林局は国有林の業務を担当いたしておるのでございまして、民有林行政は林野本庁で所掌をいたしておるのでございます。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 その民有林の新しい行政指導をしようというので今度林務部をつくるという御趣旨一つの大きな目標になっております。この中身を見るとそうなっている。ところが、林野庁と営林局は、営林局は現場の仕事をしている、林野庁が全般の仕事をしている、その間において農政局は、林野行政というものの中の少なくとも農政に関する問題としてはいままで何かつかんでおられたはずです。この林野行政を地方農政局が全然念頭に置かないで農政ができるかどうか、御答弁がほしいと思います。
  92. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 現在の農政局では林野行政そのものを所掌はいたしておりませんが、たとえば草地改良事業のごとく、新しい農用地の開発について、従来林野であったところの活用をはかるというような場合には、そういう点で接触点があったことは事実でございます。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 国有林野を大いに開放して牧野と化していくという点、草地利用あるいは里山利用、こういうようなものが当然牧畜事業としての関係から林野行政にタッチしておる。そうした問題を含めて、いままでの農政局がそういう広い範囲で林野行政というものにタッチしながら仕事を進めていっても一向差しつかえないはずなんです。新しく林務部というものを設けて、そこで林野庁の出先機関のようなものをつくっていこうという行き方は、従来せっかく長い間つちかわれた農林省の末端の行政機関混乱を起こさしめる。民有林の問題はまた民有林の問題として、国有林と民有林の調整をはかる行政措置は、現行制度で幾らでもできます。こういうところに何か機構いじりがされて、しかも何か、林務部を置くために地方の経営部と事業部を一本にして、営林局の中を、北海道なんか四つまでそれをはずされるというような現象の起こるような、何か小細工をされたような印象が私の脳裏をかすめてならない。やるのなら、もっともっと抜本的な対策をお立てになる、こういうかっこうで農林省の機構いじりをしていただきたい。一局削減と、そして地方の行政機構との連絡調整、それを一緒に御検討願って、もっと広い幅のある、農は国のもとであるという大事な国策を担当する役所らしい機構にお切りかえをいただきたいと私は思っております。まあこれはせっかく林務部を置かれるという案でありまするから、私の見解は見解として、ひとつ掘り下げてお尋ねをしてみたいと思うのです。  日本の森林の三分の一という広い林野を国有林として握っておるわけですが、この膨大な国有林の利用ということについて、いま関係法案が一つ提案されておりますけれど、そういう小細工の問題でなくて、私がお聞きしたいことが一つあります。ヨーロッパの先進国はその国土の二割程度が森林であって八割程度が耕地であるという国が非常に多い。そういう国々と日本は森林が八割で耕地、平地が二割という逆な国ぶりであるのですが、この森林の利用というのは、民有林を含めて、しかも国有林をひとつ思い切って民間に利用さすような形のものを、国有林、民有林を含んだほんとうに総合計画を立てていかぬと、国有林だけをとにかくあくまでも守っていく、そこにつとめる林野庁の職員にしても、その国有林のためだけという意味でなくして、国有、民有を含めた林野行政を担当するというような形に役人の気持ちを切りかえる必要があると思うのですが、御所見を伺いたいと思います。
  94. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 国土の六八%を占める森林でございます。したがいまして、これの利用の高度化という観点に立ちましてわれわれも努力をしているわけでございます。御承知のようにその方向といたしましては全国森林計画というものを私ども立てておりまして、その中でそれを推進をはかっておるわけでございます。御承知のように日本の森林のうちで、従来薪炭林といって使っておりましたものが約半分近くあるわけでございます。それらが今後の需要の動向から見ますとその必要性が非常に薄らいできておりますので、その利用の高度化をはかるという意味で用材林に転換さしていく政策を推進しておるわけでございます。国有林とても民有林とても同じ方向でいっておるわけでございます。それからもう一点は、三割近くの未利用の森林がございますので、それらを開発しようという形で推進しておるわけでございます。そこでそれらの合理的な推進の中で農業あるいはその他の土地利用の高度化がさらにはかられるというものに対しましてはそれに十分こたえていくという形でわれわれも対処してまいりたい、かように思っておる次第でございます。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 土地改良事業の一環としての草地造成計画というのもお持ちのようです。これは四十一年から始まった計画のようですし、酪農振興法に基づく里山対策というのもお持ちのようです。しかし、小細工でなくして、日本の森林が荒れ果てておるようなところをもっと、特に国有林を開放して、国有林にそういう広大な牧畜計画、牧野計画を立てる民間人があるならば、あるいは市町村、農協等があるならば、森林組合等、そういうものに大幅にそれを開放するという施策が要るのではないか。少なくとも百五十町歩から二百町歩程度の牧野というものが日本の各所に誕生していいと思うのです。県にも助成金を出して思い切ってやらしていい。最近山火事がひんぱんに起こっていますが、山林の愛護というものにもどこか抜けたものがある。そういうものをひっくるめて、農林大臣として、日本の山林を牧野に開放をしていく、まだ一〇〇%の自給体制のできていない酪農事業というものを、ひとつ自給自足体制の酪農にする、乳牛、肉牛、そしてバター、チーズ等の酪製品、こういうものをせめて日本で自給体制ができるように進めていくためには、まずこの機会に国有林の開放というところをひとつ思い切ってこういう事業に開放する施策をとられるということ、それで民有林との接続がありまするから、接続にあたっての指導、調整をはかられるという、そういう構想を西村先生お持ちじゃありませんか。ヨーロッパの、またアメリカのあの国土を最高度に利用している国々で広々とした牧野に放牧されているゆうゆうたるあの牛馬の姿を見たときに、あなたは何かの夢を描いてお帰りにならなかったか。もう一つ、日本の酪農は、特定の県を途いては、都市周辺あるいは国道の幹線一帯では、大体一頭を駄屋でいかにも大事に守り育てて、子供を一頭産むと乳牛の場合は乳をしぼられるからすぐ衰える、衰えてすぐ屠殺場に若い間に送られるという現象があって、ほんものの酪農になっておらぬ。そういうものをほんものの酪農にしていく。頭数を多くして、そして比較的長期に酪農の対象になれるような政策をおとりになるべきじゃないか。農業改善事業で酪農事業を進めるところはほとんど失敗しているという傾向がある。やりきれぬ。採算が合わぬ。こういう現象をなくするための農林大臣の抱負経綸を伺いたいと思います。
  96. 西村直己

    西村国務大臣 森林資源として、また森林をさらに他の農政、特に酪農と関連して国土総合で考えたらどうか、基本的な考え方は私賛成です。日本は、食の問題の一つは、食糧基本消費動向も多少変わり、特に動物たん白資源というもので酪農を助長しよう、それには飼料問題という大きな問題が背後にあるところであります。このためにも、草地の造成、それから濃厚飼料を少しでも自給度を高める、これはもう当然のことであります。いま一つは酪農におきまして多頭羽飼育の問題、これも当然であります。ただ、一方におきまして、国有林におきましても林産資源の自給というものも一つの使命でございます。林産資源の需給を調節するといいますか、それをになってまいることも大きな仕事であります。したがって、一がいにこれをただ切り払っていけばいいというだけではなくて、そこでもって全国森林計画というものの中での施業案を進めてまいる。かたわら今度は必要に応じての活用をやっていこうという活用法案も出す。また酪農振興については酪農振興としての草地の造成あるいは飼料自給体制への施策等々畜産施策を進めてまいる。大きな方向としては、ただいま言われるような一つの方向というもの、国資源の総合利用という体制の中で調和のとれた酪農なり森林資源、そして国土の保全、こういうような構想は賛成でございます。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 私大事な質問が後に残っておるので、法案に直接関係する問題につきましては以上でとどめて、これからひとつ、関係の担当官がそれぞれ来ておられると思いまするから、いわゆる農地報償法に関係した問題をまず、取り上げて、次に植物防疫担当の立場からの農林省の植物検疫行政についてお尋ねをさせていただきます。  きょうは、農林省では大臣と農地局長、それから総理府にある臨時農地被買収者給付金業務室の室長さんとにいまからお尋ねをいたしますから御答弁を願いたいと思います。  農地報償法という法律はどういう精神で生まれたか。これはわれわれは反対した法律ではございますけれども、しかし現にこの法律は厳として四十年以来存在している。この法律の趣旨を、法律には書いてありますけれども、ひとつもう一度ここで御説明を願いたいと思います。
  98. 川合武

    ○川合説明員 農地改革におきましての農地被買収者の貢献を多とするとともに、その受けた心理的な影響というようなものを考慮しまして、これらの人々に対する報償を実施する、こういう考え方でこの法律ができておりますし、また施行いたしておる次第でございます。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 実は、いまから申し上げますことは、法律の名称を略して——正式には農地被買収者等に対する給付金の支給に関する法律でございますけれども、いわゆる農地報償法というかっこうでこれをお尋ねしたいと思います。  これは農地を買収令書に基づいて処分に協力をしてくれた人に対するごほうびというような意味を持った法律であると、当時御答弁があったのでございまするが、その点は、いまの御説明に加うるにそういう意味があったかどうか、農林大臣から御答弁願います。
  100. 西村直己

    西村国務大臣 ただいまここに、提案理由にも書いてありますように、「農地被買収者の貢献を多とするとともに、その受けた心理的影響」、そこいらを見合わせまして農地被買収者の給付金支給、こういう意味で普通には報償というようなことばを使っておるのじゃないかと思います。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 いわゆる農地報償法の報償ということばが使われる理由はそこにあるわけですね。したがって、これは全く政策的な見地からの法律であると理解してよろしいかどうか、大臣
  102. 西村直己

    西村国務大臣 政策という意味がどういう意味に使っているのかわかりませんが、いずれにいたしましても、そこに政治としてギャップがある、それを埋めていかなければならない、こういう意味で埋められた法律だと思います。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 したがって、旧自作農創設特別措置法、略して自創法と言いましょう、これによって買収計画に協力してくれた人に対して、何らかの形でお報いしたい、それはごほうびという意味も含めたものであると、当時答弁がなされた記憶が私には残っております。したがって、この扱い方は、単にしゃくし定木で一々こまかい事務処理によって片づけることでなくして、ある程度幅を持った措置の必要性もここに考えていいと私は判断をします。  そこで問題が一つあるわけですが、これはいわゆる自創法の規定に基づいて戦後の農地解放政策に協力した人が、昭和二十年の十一月を起点とした、そのときの自作農創設の趣旨を生かしていく行政行為が行なわれたのですが、買収令書というものが政府の委任を受けた地方長官から出される。その出される買収令書を本人が受けたときに、買収令書に記載された買収期日が、受領したときよりもさかのぼったものが出されたことがしばしばあったのです。これはどういう理由でそういうことがされたか、お答えを願いたいのです。
  104. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 御承知のように、現行の農地法では、買収令書に記載をされました買収の期日までに買収代金の支払いをいたしますと、その記載をされた買収期日に買収の効力が発生するという規定になっておりますが、旧自作農創設特別措置法では、そこのところの明文の規定がございませんで、買収令書に記載をされた日に買収の効果が発生するというふうに書かれております。御承知のように、当時きわめて短期間に大量の不在地主あるいは在村地主の一町歩以上の小作地の農地の解放をいたしまして広範な自作農創設事業を進めますために、事務処理の便宜のために一年数回、全国にわたりまして買収の期日をあらかじめ定めて各県に手続をいたさせたのでございますが、非常に数量が多数でございましたために、買収令書の交付が、ものによっては、御指摘のように令書に記載されました期日より以後に交付をされた例が事実ございます。それについては、従来とも効力について若干法律論の争いもございましたが、すでに最高裁の判決で、ああいう多量な事務処理をする場合には、若干のおくれがあっても、それは買収の効果に影響がないという判例もございますので、当時としては多数の量の仕事を急速にやったために、やむを得ずそういう事態が起こったことがあったというふうに承知をしております。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 農地法の十三条三項に、十一条に規定した買収令書を交付しなければならないことに対する具体的な規定が書いてありますね。いま局長が言われたとおり、国が買収令書に記載された買収の期日までに対価の支払いをしないときは、その令書は効力を失う。だから現実の問題として、令書の交付期日以後に買収の期日を示さなければならぬということになるわけです。これが現行農地法の精神です。ところが旧自創法では、短期間にばく大な数量の処理をするので、いまのような買収令書を受領したそのときに、十日も二十日も前にさかのぼった期日が書いてあるのがある。たまたまその買収令書を受領した人が、二十日前にはその人のにいさんが生きていたのであるが、そのにいさんが買収令書の期日以後に死なれて、そして弟がその財産の承継者となって、所有権は兄から弟に移転した。この事例は山口県の上山正夫さんという人、その弟が橘三郎さんという人で、この弟がその財産権の承継者である。買収令書の期日が二十日も前に書かれてあって、買収令書をもらったときには、もうその承継者である弟に財産権が移転している、だから、もらった人は承継者であったということになるのですが、この承継者であったという事実を、いま局長から御答弁のように、当時の法律はその令書に記載された期日をもって処理するということで、そういう形で処理をしているという御答弁があったわけです。いまこの上山橘三郎さんは行政不服審査法の規定に基づいて再審請求をされております。総理府にそれが出ているはずであると思うのでございます。この問題については、私ひとつこれから、いま最高裁の判例をお示しになったので伺いますが、最高裁の最民集三巻の五号の判例をどういうふうに御判断されるか、これをひとつ農地局長からお答えを願いましょう。これは自創法に基づく農地の買収の場合における判例でございますが、「同法第九条の規定による買収令書の交付またはこれに代わるべき公告の手続きがなされないかぎりは、当該農地の所有権は、政府に移転しない。」と、こういう最高裁の判例がありまするが、これをどういうふうに判断されるか。
  106. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 ただいま御指摘の最高裁の判決文を手持ちをいたしておりませんので、早急に調べてから御返答申し上げます。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 この大切な判例に対する御答弁がなければお話にならない。  それともう一つ。これは行裁集八巻の十号の判例、「死亡した登記簿上の所有名義人あてになされた農地買収処分は、その相続人に対するものと解すべく、」というこの判例はどういうふうに理解されますか。
  108. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 後段おっしゃいました判例は、買収令書に記載しました買収期日以前に当該所有者がなくなりまして、したがって死者を所有者として買収をしたような場合だと思います。一般的には、これはやはり事実の調べが不十分でございますれば、こういう買収は一般的には無効であるかと思います。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、いま指摘した、買収令書が交付されたときには死亡者であった、だから死亡買収という、それは無効だ、こういうことになりますと、これは買収令書は無効ではございませんかね。
  110. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いま私が申し上げましたのは、買収令書に記載をされました買収期日以前に所有者がなくなり、その相続人にも知らされていなかったケースについて申し上げたのでございまして、先ほど来先生が言っておられますのは、買収令書に記載された買収の期日には、その方は生存しておられて土地の所有権は持っておられた。ただ、たまたま事務的な手続として買収の令書の交付が少しおくれた。そのおくれた間になくなられたということで、買収令書に記載をされた期日にはその方は生存をしておられたわけでございます。その点につきましては最高裁の三十六年の三月三日の判決要旨で、買収計画によって定められた買収の時期よりもおくれて買収令書が交付されたとしても、それだけで買収処分の効力を否定するのは相当でないという判決がございますので、ただいまおっしゃっておられますような事案では、買収令書の交付がただおくれたという理由だけでは、買収処分そのものの効力は無効にはならないという判例があるわけでございます。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 ちょっとその判例というものは死者買収を否定した判例と解釈されますか。
  112. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 いわゆる死者買収といっておりますのは、買収令書に記載をされました期日に買収の効果が発生するわけでございますが、それ以前に本来の所有者がなくなっておられて、すでに相続という状態が開始されておるにかかわらず、なくなった所有者、つまり旧所有者を対象として買収をした場合をいっておりますので、これは買収の効果はやはり死んだ方を相手にして買収をするといっても、それは一般的には無効であるということでございまして、そういうものも死者買収というふうに言っておるわけでございます。  いま私が申し上げました昭和三十六年三月三日の判決の意味は、買収令書に記載された日が、たとえば五月一日なら五月一日であって、その日現在ではその所有者は生きておられた、生存しておられた、その後なくなられて買収令書の交付を受けたときには、すでになくなっておられたということがあったとしても、買収の効果の発生する期日には所有者は生存しておられたということで、それは有効であるという意味先ほど私が申し上げました死者買収ではないと思うのでございます。
  113. 森宏太郎

    ○森説明員 森でございます。先ほどからお話がございましたように、上山橘三郎さんから二月十四日付で私どものほうへ審査請求が出てまいっております。審査請求が出ておりますのは、現在の時点で四十二件ほどでございまして、すでに処理済み、裁決済みあるいは取り下げというようなものを除きますと、十三件でございます。この中で、上山橘三郎さんの審査請求案件は、先生からいろいろお話がございましたように、私ども率直に申しまして、非常にお気の毒なケース、非常な、何と申しますか、谷間に入ったようなケースだと、そういうふうに言っていいかと思います。ただ、と言って、このケースが全くほかに例がないかということになりますと、百十数万件の多数の案件でございますので、中には、同様のケースがあったのではないか、あるいは、市町村の受付の段階ですでにそれを、法律の規定に、あるいは、政府のそのときの方針に照らして認められないということで却下したものもあるやというふうに考えております。それで、審査請求が現在出ておる段階でございまして、県の答弁書並びに御本人からの反論書の提出をまちまして、私どものほうで慎重にこの問題を、裁決に至るまでにさらに検討さしていただきたいと思うわけでございます。ただ、先ほど来、農地局長のほうからもお答えがございましたように、このケースは、死者買収のケースではございませんで、所有権が政府に移ります買収期日におきましては、御当人と申しますか、お兄さんの上山正夫さんが生存されておるという案件でございますので、農地改革におきます買収の取り扱いから申しまして、死者買収のケースと同一に扱うわけにはまいらないということがございます。  それから、先ほど来、局長からも御答弁がございましたように、農地改革における買収は、あくまでも買収期日に対象農地の所有権が政府に移る。それがたとえ相当後日に交付されましても、場合によりますと、十年後交付されているというようなケースもまれにあるようでございますけれども、なおさかのぼって、買収期日に政府に所有権が移る、かような構成になっておりますので、これの扱いと私どものほうの農地報償も同様に取り扱っておりまして、買収期日の直前におきます所有権者を農地被買収者として扱うという形になる、そういう形でやっておるわけでございます。
  114. 受田新吉

    ○受田委員 私は、この農地被買収者の問題は、総理府に移っておるけれども、現在の農地法の精神をひとつ御答弁を願いたいのですが、農地法の精神は、農地買収令書を交付して、本人が受領して、しかる後に買収期日がきまるというはっきりした規定が十一条、十三条にあるわけなんです。そういう意味から、この農地報償法の担当は、当時、農林省のお役人がほとんどお仕事をされていて、いまでも業務室におられる方々農林省から行って——違いますか。
  115. 森宏太郎

    ○森説明員 現在はほとんどおりませんで、農林省では私だけでございます。おっしゃるように、当初からほとんど農林省の役人が農地報償業務を担当しておりましたが、事務量の減少に伴いまして、順次農林省に帰りまして、現在は、まあ私だけでございまして、室長は総理府の中から行っております。
  116. 受田新吉

    ○受田委員 はい、わかりました。  そこで、これはそうなると、総務長官に御答弁願わなければいかぬのですが、総務長官はきょうおいでいただけないのですね、おいでにならない。けれども、室長さんでひとつお答え願いたい。  いまの農地法の現在の精神を生かして、当時混乱の中で処理されたこの行政処分に対しては、現在の時点で、報償法の精神から、死亡した人に買収令書が来たようこの場合はこの買収令書の受領者である生存承継者にこれが与えられたという形に切りかえていいのじゃないか。現に農地の提供をしたのはその承継者である、現実に承継者たる弟である。その人にもう所有権は移っておった。それを、遡及して死亡者の名義を採用して、現在承継者である弟を無視するというような形は、農地報償法の精神からいって間違いである、愛情を持って一人の権利の主張者を擁護するという形でいくような処理をこの機会にされてしかるべきであると私は思うのです。まだ双方からの書類が未提出であるということでございます。県の書類も、反論もまだ出ておらぬということでございますが、わずかな件数であって、それでその件数が——大所高所から見て、現在の農地法の精神から見れば、もう明らかに買収令書を受領したその人の権利に移転している。この問題の処理をひとつ現時点における——政策的見地から法律ができたという意味からも、ぜひこれを広い解釈で救ってあげるというところに農地報償法の精神があると思うのです。そういう処理のしかたをこの機会にしていただくべきである。私から強い要望を申し上げておきます。すなわち受領したときに行政処分は一応完了したと見るべきであって、受領した期日が令書に書いてあった買収期日によって支配されるということのないような形でこれを御処理いただくよう、皆さん良識ある方々が御相談されて——件数はわずかしかないです。
  117. 森宏太郎

    ○森説明員 農地報償は貴重な国費を支出するわけでございますので、やはり明確な資料が整った場合において、これを客観的に証明できる場合におきましてのみ支出するということにいたしませんと、一つの支出が、場合によると重複支出となるということもございます。そういうような観点から、私どもの農地報償の取り扱い上におきましては、あくまでも買収時点におきます非常に客観的資料が整っておりまして、明確な場合に限って農地報償の被買収者と扱う、そういう扱いになっております。
  118. 受田新吉

    ○受田委員 私は法律論議はこのあたりでおいて、この農地報償法の精神というものに重点を置いて結論を求めたいと思います。  いま、大臣も言われたとおり、この農地買収に協力された方に対する愛情の法律であるという意味から、政策的見地でこの問題の処理がされるという意味からは、現行農地法が買収令書を受領したその時点に買収期日をきめておる、こういうことを考えたら、混乱の中で、あの既往にさかのぼったような日付で、死んだ人の名前で買収令書を出すような、そういう間違いをした、現実には間違いをしておるのだ、それを生かして対象外に葬り去るというようなことは冷酷である、落ち着いた、戦後二十年たった今日の時点における行政措置というものは、現行農地法の精神を生かすという形をおとりになるのが筋ではないか、対象者がそうよけいおるわけではない、こういうことを私申し上げておきたいのでございますが、これは答弁の責任者は一体だれになるのですか。善処するとか検討するとかいう答弁は、本日は一体だれがなさるのですか。
  119. 川合武

    ○川合説明員 お尋ねの意味合いはよく承ったのでございますが、私どもの解釈は、先ほどから出ておりますように、農地報償制度においては買収期日における該当者をとらえる、こういうたてまえを貫いておる、そういう考え方でずっときておりまして、私それが間違いではないと思っております。ただこの問題につきましては、これは具体的に行政不服審査法で審査請求が出ておりまして、そして御本人の反論書もいただいていないわけでございますが、いずれにいたしましても、不服審査が出ておりますので、これは申し上げるまでもなく、法律に基づきます手続によるものでございます。私どもそれに関しまして、これは慎重に検討するということは当然のつとめとも思いますので、さような点について十分検討いたしたい、こう思っております。
  120. 受田新吉

    ○受田委員 私これで質問を終わりますが、もう一つ最後に、植物検疫上の問題を指摘してお答えをいただきたいのでございますが、いま農林省といたしましては植物防疫課におかれまして御処理なさっておられるメチルブロマイド、メチブロという劇薬があるわけです。これは輸入関係の食品、木材等に対する薫蒸剤として用いられておる。そのメチブロが毒物及び劇物取締法という厚生省の所管する法律の対象としては劇物の中に入っておるようです。この劇物が実はきわめて有害な薫蒸剤として、昨年十二月には荷揚げされる港において一名死亡、七名中毒という事件まで引き起こしておる。この事件について、農林省としても、人を死亡せしめるような薫蒸剤を引き続き御奨励されておること、その取り扱いに対して厳重な注意をされておりながらも、死亡事件や中毒事件が相次いで起こっておるというこの事実に対してどういう御処置をされておるか、御答弁を願いたい。
  121. 森本修

    ○森本政府委員 御案内のように、植物防疫といたしましては、外国から入ってまいりますところの農産物に付着をする害虫等が国内に入りますと、たいへん大きな問題を生じますので、できるだけ完全に殺菌をするということを中心にして検疫をいたしておりますし、また消毒をするたてまえになっておるわけであります。したがいまして、使用される薬剤としては、ある程度限定をされてくるということは、その目的からいいますと、やむを得ない事態ではないかというふうに思っております。したがいまして、使いますところの農薬が、御指摘がありましたように、毒性を持つということは、残念ながら現在の技術水準においてはある意味でやむを得ない。しかしそれが使用方法その他を誤りまして、使用者に害を与えるということは、私どもとしても非常に残念でありますので、できるだけその使用方法等を厳重に注意をして、害毒を流さないようにつとめてまいりたいと考えております。なお、御指摘がございました事件直後直ちに通牒を発しまして、その点について再三注意を喚起をいたしておるという状況にございます。
  122. 受田新吉

    ○受田委員 きょうここへ御臨席をいただいている運輸省及び労働省の方に御答弁を願いたいのですが、このメチブロの弊害というものは、色がない、においがない、ここに問題があるわけです。この無臭無色というところに非常に危険があるので、一酸化炭素が入っている都市ガスなどでもにおいを入れている。においがないというので、荷揚げするときなどに沖仲仕の皆さんなどが気がつかないで倒れていく、こういう事件が相次いでおるわけなんです。無臭無色の危険性があって、しかも毒性があとに残るというおそれのあるこの問題の扱いについて、労働省としてはどういう通達をしてこれを指導しておるか。また運輸省は、運輸行政上の対象になる職員が神戸その他で荷揚げ業務に携わっておられる。その際に殺虫ガスの強力なる劇毒に触れて生命を失い、中毒を起こしておるという事態に対してどういう御処置をされておるのか。行政両当局の御答弁を願いたい、かように考えます。
  123. 伊集院兼和

    ○伊集院説明員 ただいま御指摘のように、メチブロいわゆる臭化メチルは、御指摘のような人間に対しても毒性の強いものでございます。特に、ただいまお話の出ております海上で薫蒸作業の際に用いられます場合には、陸上におきまする倉庫薫蒸の場合にも増しまして、薫蒸業者の関係労働者それから荷役業者の関係作業者のほかに、はしけ業者の関係者もその作業場所におる関係で、作業時におきまする従事者についてはかなりの危険を伴うものでございます。したがいまして、先般、三月二十二日であったと思いますが、先ほど御指摘のとき以来運輸省、農林省とも相談をいたしまして、極力万やむを得ない場合のほかは海上薫蒸を差し控えていただくように農林省のほうにお願いをいたしまして、万やむを得ず海上薫蒸の必要な場合につきましては、先ほど申し上げましたような、業者に対して、私どものほうで薫蒸の際におけるメチブロ中毒対策要項を定めまして、その中で御指摘のような性質のメチブロは、測定をしなければその濃度はわかりません、その測定についてあるいは作業者についての教育の問題あるいは作業主任者を定めて保護具等の着用の方法について担保する等につきましてそれを定めたのでございますが、それに関する業者の指導監督につとめておる次第でございます。
  124. 受田新吉

    ○受田委員 運輸省、労働省両方から御説明をいただいたあとで、もう一ぺん繰り返しますから……。
  125. 見坊力男

    ○見坊説明員 運輸省の船員局におきましても、労働省と十分御相談を申し上げ、先ほど御説明ございましたように、両省から通達が出されております。私は港湾局でございますが、港湾における荷役作業が円滑にいかない、特にこういう危険な作業によりまして荷役に死傷が出るということは、非常にたいへんなことであると思うわけでございます。取り扱い要領が出されまして、業界団体にもそれが通達されております。私どもとしましては、その取り扱い要領によりまして、その取り扱い面につきまして事故がないように、関係の業界等に十分周知徹底をはかってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  126. 受田新吉

    ○受田委員 厚生省へちょっと伺いたいのですが、いま現実に、昨年におきましても、十一月、十二月と事件が続出しておるわけなのです。ことしにおきまして、こういう問題の扱いについて、労働基準局長から……。
  127. 見坊力男

    ○見坊説明員 安全衛生局長並びに運輸省の船員局長、両方の通達でございます。
  128. 受田新吉

    ○受田委員 今度廃止される安全衛生局長、やっぱり安全衛生局は大事だ。その安全衛生局長と運輸省の局長の連名で通達を出された。それは非常に危険な毒性があるからというような意味が書いてありますか、どうですか。
  129. 見坊力男

    ○見坊説明員 御指摘のとおりでございます。
  130. 受田新吉

    ○受田委員 そういう非常に危険な毒性があってあぶないから気をつけろというのですが、厚生省は毒物及び劇物取締法を担当されておるので、このメチブロは、いまや劇物でなくて毒物に昇格したのじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。いま通牒にもそう書いてある。
  131. 野海勝視

    ○野海説明員 先生御指摘のように、現在メチルブロマイドは毒物及び劇物取締法上劇物に指定されておるわけでございますが、薬物が現実に人身事故を頻発しておるというような状況になりますれば、当然毒物及び劇物取締法上の取り扱い、ないしあるいは法律改正等によってその取り扱いを検討しなければならぬと思います。しかしながら、先ほど来各省から御答弁がありましたように、現在農林、労働、運輸等の関係各省におかれまして、非常に強い行政指導を行なっておられますので、要は、毒物及び劇物取締法の目的は、薬物による危害防止という点にありますので、これらの強い行政指導によりまして、その危害防止の効果があがるということを期待しておるわけでございますが、それらの今後の行政指導による危害防止の効果というようなものも十分見まして、それらの経過をあわせまして、今後の毒物及び劇物取締法上の取り扱いについて検討してまいりたいと思います。
  132. 受田新吉

    ○受田委員 厚生省としては、そうした実態を把握して——現に防毒マスクをかけてこの消毒業務に当たっておる職員が、防毒マスクをかけて死んでおる。これはもうたいへんな問題です。  それから全国の食糧事務所関係の方々は、これはもう口をすくしてメチブロの危険を訴えておられる。食糧事務所関係で扱われておられるこのメチブロに対する批判はどうなっておるか。食糧事務所関係の方、どなたかおられませんか。——わからない。  農林省としては、最近このメチブロに対する長い間の研究を続けられて、なおこの大きな危険を持って死傷事件が続出しでいるという実態の中で、なぜにおいを入れるという研究をしておられないのか、あるいは色をつけるという研究をなぜしておられないのか。そういう問題。  もう一つ、毒物の中に入っておるけれども、ホストキシンが薫蒸剤としてすでに専売公社、農林省食糧事務所その他で非常に効果的な薬剤として証明されつつある、この現実をどう考えておられるか、あわせて御答弁を願いたいと思います。
  133. 森本修

    ○森本政府委員 まず第一に、メチブロは、御指摘のように無臭、無色ということが危害防止上非常に問題でありますので、私のほうでもすでにこういうものに色をつけるあるいはにおいをつけるといったようなことができないかということで調査、研究を進めさせております。  それから第二番目のホストキシンの問題でございますが、これも御指摘がございましたように、一般の防除用としては各種の倉庫等で使われておるわけであります。ただ、先ほど申し上げましたように、植物防疫といたしましては、一般の防除用以上の完全殺菌といいますか、そういうことが要請をされております。私どもとしても、先ほど来御指摘がございましたように、できるだけ安全なといいますか、それほど危害を与えない薬が発明されあるいは採用されて、作業としても心配がないというふうなことが理想でございますから、ホストキシンが使えればということで、しばしば基礎的な研究あるいは実用試験等をやってまいりましたけれども、まだその薬をもってしては植物防疫上心配がないという結論には到達をいたしておりません。しかし各方面からなおこれについて検討を進めてもらいたいという要望がございますので、目下大学のしかるべき研究室その他に依頼をいたしまして、再々調査をいたしておるという段階でございます。
  134. 受田新吉

    ○受田委員 農林省では、専売公社が現にこれを大量に使用している、食糧事務所関係が国内のものにこれを使っているという事実は御否定になりませんね。
  135. 森本修

    ○森本政府委員 先ほど申し上げましたように、一般の防除用としてはそういうものが使用されておるという事実はよくわかっております。
  136. 受田新吉

    ○受田委員 このホストキシンの研究は、農林省はいつから始めておられるのですか。
  137. 森本修

    ○森本政府委員 私どもとしましては、横浜の植物防疫所におきまして昭和三十七年から四十一年まで継続して数十回基礎調査をいたしております。また名古屋、横浜、神戸、門司の各植物防疫所におきまして、三十六年から四十年にわたって合計五十六回実用試験といいますか、そういう角度からの調査をやってまいった、そういうことでございます。
  138. 受田新吉

    ○受田委員 あなた方農林省の御縁の深い食糧事務所などと一緒になっている全国主食集荷協同組合連合会理事の河野さんなどは、このメチブロに対して鋭い批判をしておる。現にこれは死傷事件が続発をしておる。ホストキシンのほうはいままで事故があったかどうか、事故が起こっていないという一つ現実があるのではないか、これもひとつお示し願いたい。
  139. 森本修

    ○森本政府委員 私どもとしても御指摘がございましたようなことで、各種の使用する薬剤に関する意見ないしは風評といったようなものを聞いております。そういう点から、先ほど来申し上げましたように、そういうものが採用できれば非常にけっこうだということで、調査、試験等を数十回にわたってやってまいったのでございますが、輸入検疫に使用してまだ心配はないという段階に至っておりませんので採用するに至っておりませんが、引き続き部外のしかるべき研究室等に頼んで調査を続行しておるという段階でございます。
  140. 受田新吉

    ○受田委員 最後に私申し上げたいのですけれども、先進諸国家はすでにメチブロの使用をどんどん取りやめておるのです。そしてそのメチブロの危険防止をしようとするならば、あらゆる問題をひっかかえて非常にばく大な金がかかる。そういう意味からいっても、労働省の安全衛生局、運輸省の港湾局の共同通牒などを実施しようとしたらばく大な金がかかる。そういうむだをあえてしてまでもこのメチブロに固執しなければならないのかどうか。そして一方において、ホストキシンその他の新しい薫蒸剤で、すでに効果的な、定評を得ておるような形になりつつあるものを積極的に取り上げていくという熱意をなぜ欠いているのか。この問題について、すでに劇物から毒物に切りかえようという形にならざるを得ないかもしれないという厚生省の見解もあるぐらいのこの薫蒸剤を、農林省としてはひとつ根本的に検討をしていただくときが、ただ単なる検討でなくして答えを出す日が近いと思うのでございますが、御決意のほどを承っておきたいと思います。
  141. 森本修

    ○森本政府委員 諸外国のお話がございましたけれども、私どもとしてもそういうことで諸外国の実例を調査いたしております。まだメチブロを使っておる国が大部分でありまして、ホストキシンは確かに一般防除用として諸外国では使われております。しかし私どもの調べたところでは、輸入検疫に使っておる国はまず見当たらないという現状でございます。しかし、先ほど来のことを繰り返すようでありますけれども、調査、検討を進めまして、採用ができるだけの確証が得られれば採用することにやぶさかではないという方針でございます。
  142. 受田新吉

    ○受田委員 いま諸外国でメチブロの使用が依然として盛んであるという御答弁でございました。これの先進諸国家の使用量と他の薬剤の使用の傾向等をひとつあとから資料としてお示しをいただきまして、この問題を早急に解決していただくように、危険防止と同時に、薬剤の研究にはいま関係四省があるわけですから、農林省が植物検疫においては中心になられて懸案の解決に積極的に取り組んでもらいたいことを最後に要望して、私の質問を終わります。
  143. 三池信

    ○三池委員長 鈴切康雄君。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 動物性たん白が乏しい国民生活の中で食肉という問題はまことに重要な問題であります。その意味において、供給と需要のバランスをとるために畜産振興事業団の存在はまことに大きな意義があると思うのですが、その趣旨及びその業務の態様について御説明願いたい。
  145. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように豚の価格につきましては周期的な変動を繰り返しておるわけであります。かつては三年周期をもちまして上昇または下降というようなことを繰り返しておったわけでありますが、最近は四年を周期にいたしまして変動いたしております。価格が下落をいたしますと、生産をいたしております生産者にとりましては非常な打撃になる。それからまた価格が非常に騰貴いたしますと、これは消費者に対して非常な問題を与えるということになりますので、したがいまして、その上限価格と下限価格をきめまして、その間に安定をさせるというふうなことを旨といたしておるわけであります。事業団といたしましては、安定基準価格を下りました場合には買い上げをいたしまして、これを保管いたしまして、価格が上限価格をこえ、またはこえるおそれがある場合は卸売り市場に放出するというふうなことを業務といたしておるわけであります。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 畜産物の価格の安定ということは、私の考え方では、主たる目的はいま申されましたとおり、消費者保護の物価安定と、もう一つ生産者価格安定による保護との両面が含まれていると、かように理解してよろしゅうございますか。
  147. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 さようでございます。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 指定食肉である豚肉の価格の安定をはかるために、事業団としては安定基準価格と、それから安定上位価格とを設けられているわけです。そして安定基準価格によって買い入れ、安定上位価格で放出をする。枝肉の一キログラム当たりの価格は私どもわかっておりますが、部分肉にした場合保存経路とコストの点ではどのような違いが出てくるか、その点についてお伺いいたします。
  149. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ちょっと先生の御趣旨が十分理解できなかったのでございますけれども、部分肉はどういうふうにして処理され、保管されるか、こういうことでございますか。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そういうことです。
  151. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように安定基準価格を割りました場合に、事業団が市場または生産地におきまして買い入れをいたしまして、これを部分肉として処理をいたします。それを冷凍いたしましたものを特定の冷蔵庫に入れまして保管をする、こういうふうなことになっておるわけでございます。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 枝肉から部分肉とした場合の歩どまりをどのように見ているか、その算定基準についてお伺いいたします。
  153. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 枝肉の七四%というふうに見ております。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 枝肉から部分肉にする場合の処理の方法はどのようにされているかという問題、それから私ども常識から考えますと、通常骨は一割弱、そしてあぶらを大体一割とすると歩どまりは悪く見ても八〇%が歩どまりだというふうに、通常そのように言われているわけであります。それなのに七四%の歩どまりというのは少し私は見方が甘いのではないか、その分やはり消費者価格サービスとして還元されるべきではないかと思うのです。七四%というそのパーセントが出た算定の基準というものは非常に甘いのじゃないかと私は思うのですが、その点について……。
  155. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように枝肉から部分肉にいたします場合には、もちろん骨は取るわけでございます。それから脂肪等につきましても除去をいたすということで基準をきめておるわけでございます。この基準のきめ方につきましては、いろいろな現実に取引されております状態でございまして、それからまあ専門的な検討を経ましてきめておるわけでございまして、特に甘くしておるというふうには考えておらないわけであります。
  156. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私もそれを一応専門的な分野から何軒か当たってみたわけでございます。ところが骨は確かに一割弱、それから脂肪を取って一割で八〇%、それでなければ実際において商売がやっていかれないことはこれはもう常識だと言うんですね。それを事業団においては枝肉から部分肉にするのに七四%という見方をしているのはどう見ても甘いということが通常の向こうの意見であるわけですが、その点について、その七四%というパーセントが出たということについて、どれだけそれではその問題に対して調査をされ、またこの段階で七四%という一つの基準になったかということについてお伺いいたします。
  157. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいま具体的な資料を持ち合わせておりませんけれども現実に専門的にやりました結果七四%というふうになったとわれわれは了解をいたしております。
  158. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 七四%というのは非常に甘いという見方ですね。これについてもう少し調査をしてみる必要があるのじゃないか。相当の豚肉をやはり枝肉か部分肉で買い上げているわけでありますから、その歩どまりがたとえ〇・一%にしても一%にしても大きく影響してくるということは考えられるわけであります。そういうふうに、要するに甘い見方と言われるようなそういうやり方、これは非常に私は事業団のあり方としてはまずいのじゃないか、かように思うわけでありまして、さらにその問題について調査をする必要があると思うのですが、いかがでしょうか。
  159. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 おそらく先生おっしゃいますのは現実の小売り業者だとかいろいろなところでお話をお聞きになったと思うのでございます。まあ現実に直ちに販売されますものとそれから冷凍保管をいたします場合とは若干異なるというふうに思われるわけでございますけれども、その問題につきましてはさらに検討は加えてみたいというふうに考えております。
  160. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大体あぶらが一割くらい出たとしたときのラードの処理、これはどうなっておりますか。
  161. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 あぶらが出ましたものにつきましては別途副産物として売却をするということにいたしておるわけでございます。
  162. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十一年、四十二年、そして四十三年度の指定食肉、豚ですね、豚肉の買い入れ、売り渡しの概要を説明してください。
  163. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、四十一年の三月から買い入れを始めたわけでございます。四十一年に引き続きまして、四十二年というふうに引き続き買い入れをいたしまして、四十二年の七月まで買い入れを行なったわけでございますが、この間に買い入れました総頭数は約八十九万、重量換算で約三万七千トンということになっておるわけでございます。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 通常価格安定されておるときの需要者別の、たとえば加工屋、卸量、それから小売り屋と大別したときの比率は大体どうなっておるか。これはこまかいデータは出ないにしても、やはり専門家の間ではその比率というものは大体わかっているわけであります。その点について伺います。
  165. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先生のお話は、売り渡した場合の、要するに卸売り業者なり、加工業者なり、小売り業者なり、おのおのの比率でございますか。
  166. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 畜産事業団でなくて、通常取引をされている……。
  167. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 通常の取引といたしまして、四十二年の十一月に調べましたものでございますが、卸売り業者五一%、加工業者一八%、小売り業者三一%。これは東京市場において調査をいたしたものでございます。
  168. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は一応おたくのほうの話を聞いた上でのあれでありますが、市場で取引きをされておる度合いというもの、比率というものは、大体加工屋が四〇%、卸量が四〇%、小売り屋が三〇%だというふうに聞いておるわけでありますけれども、えらく数字が違うのですが、その点いかがですか。
  169. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 東京市場で売り渡しましたいわゆる保管豚肉と、それからそれ以外を含めました場合と、比率は若干違ってきておるわけでございます。先ほど申し上げましたのは、一般的に東京市場におきますシェアを申し上げたわけであります。事業団の売り渡しましたもののシェアにつきましては、卸売り業者が三七%、加工業者が四五%、小売り業者が一八%、こういうことになっているわけでございます。
  170. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、大体考え方としては四〇%の四〇%の二〇%ということになるわけですね。それが大体、通常市場で取引をされておる、大別されたパーセントになるわけであります。これは常識だということになっております。  そこで、四十一年度、四十二年度の放出肉の売り渡し先別数量はどのようになっておるか。大別して、加工屋、卸屋、小売り屋の放出全量に対する。パーセントというのはどれだけになっておりますか。
  171. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 各市場別に全部、それぞれの卸売り、加工、小売りにどのように売却したかということは、正確な調査はいままだないわけでございます。随契で売り渡したものを一応申し上げますと、加工業者に対しましては二千六百三十トン、小売り業者の団体に対しまして三千五百六十トン、農協に対しまして売り渡したものが九百八十八トン、それから消費者団体等に売り渡したものが三百五十四トン、こういうことになっております。
  172. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 過日おたくのほうの資料をいただいておりますので、それで申し上げますが、東京市場の四十二年九月の卸売りは四六%、加工が四二%、それから小売りが一二%になっております。それから、なお十一月は卸売りは三七%、加工は四五%、小売りが一八%になっておりますが、その点間違いありませんか。
  173. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 間違いございません。
  174. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこで、私は次のことが言えるんではないかと思います。結局、放出肉に対して、少なくとも加工業者が、非常に高くなった場合、思惑買いをしておるという点であります。そして、その思惑買いがしょせんは物価をつり上げている。放出因を出すときは少なくとも枝肉三百九十円を突破する気配があるときで、市場としてはどこでもほしいということは間違いないわけであります。加工業者のほうでは、利幅があるから十分採算がとれるし、高い値でせり、そうして市場もそれにつられて高くなるということは、当然考えられるわけであります。いま申し上げましたとおり、普通のマーケットにおいては四〇、四〇の二〇である、こうなっておるわけでありますが、少なくとも四十二年の九月と十一月のデータによれば、すでに加工業者は四二%と四五%、小売りはぐっと減って一二%と一八%となっているということは、そういう点において思惑買いがあり、それがすべての物価を高くしている原因になっているというふうに私は思うわけでありますが、その見解をお伺いいたします。
  175. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように保管豚肉の売り渡しは、法律の規定によりまして、中央卸売市場等で入札の方法で売るということが原則になっております。これはやはり、価格が変動いたしております場合に、中央卸売市場が価格形成機能といたしまして全国的な中心になるわけでございます。したがいまして、価格安定をいたします場合には、一つは、中央卸売市場を通じてやるのが適当ではないかということと、それからもう一つは、売り渡す場合には公正かつ敏速でなければならぬ、こういうふうなことがありますし、また中央卸売市場が大消費都市にあるというふうなことから、原則としてせり売りによって中央卸売市場で売るということになっております。その結果、先ほど申し上げましたような率になってまいっておるわけでございます。したがいまして、この率自体を調べまして、その月によりまして若干の変動はもちろんあるわけでございますけれども、大体、先ほどお話がございましたような四〇、四〇、二〇というふうなところになっておると思うわけでございます。十一月に加工業者が若干上がっておる点がございますが、この点につきましては、御承知のように十二月というのは、非常に加工品の需要が強い時期でございます。したがいまして、十一月に加工の仕込みをするというふうなこともございますので、やはり加工業者の需要がふえるというふうに私たちは考えておるわけでございます。しかし、特にそれが非常に強いというふうなものではないというふうに判断しております。
  176. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 物価安定、すなわち畜産物の価格安定ということを表題としている畜産振興事業団の設立の趣旨は、しょせんは需要者の価格安定と生産者価格安定ということがいわれているわけであります。その趣旨にえらく反するわけですね。それじゃ、あなたのほうで随契をやっていないかといえば、随契をやっているわけでしょう。せりが主体だというならば、せりだけでやればいいのが、随契だってやっておるわけです。それを思うと——私は随契が必ずしもいけないということではないと思うのです。少なくとも三百九十円をこした場合においては、もう市場には少なくなってしまう。そのときには当然どこもほしいわけであります。そうした場合に、私は少なくともいま申し上げましたとおりに、四〇%の四〇%の二〇%というその範囲において、これは当然随契なり何なりで早くそれを処分してあげる。これは放出すること自体が価格が安定されるというふうに私は思うわけです。ところが、やはり大手の加工業者の思惑からどんどん買われてしまって、物価が高くなっている、肉が高くなっているということはいなめない事実であります。そのデータが、あなたは十一月だとおっしゃいますけれども、実際に九月だってそういう傾向になっているわけですね。そういう観点から考えたときに、私はどうしてもそこに一つの、いまの豚肉の値段の高くなる原因があると思うわけであります。大臣、いかがでしょうか、その点は。
  177. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ただいまの点でございますけれども、法律で原則的にせり売りということになっておるわけでございますが、必要のある場合と申しますと、せり売りすることが適当でない場合は随意契約によって売り渡すことができるという規定になっておるわけであります。したがいましてたとえば保管上の必要がありますとか、特別に必要がある場合には随意契約で売り渡したこともあるわけでございますけれども、しかし原則としまして、市場を通じましてできるだけ市場の機能並びに冷蔵庫から出庫できる事務的な限界にまで出しまして価格安定につとめたのであります。その結果といたしまして九月当時かなり上がりました豚価も逐次安定に向かいまして、十二月には安定基準帯の中心に安定するというふうな事態までになったのでございます。お話しのような随契につきましては、随契をして価格を交渉いたしあるいは数量の交渉をいたすということになりますと、全国的な売却をいたさなければならない関係から、その需要を集め、かつ価格の交渉をするということにつきましてはかなり長い時間を要するわけであります。したがいまして、価格が騰貴しておりますときに、これを冷やす場合に、緊急に措置をするということがなかなかしにくい、そういうふうな点もございます。したがいまして、私はやはり原則は法律どおり競争入札でやりまして、適当でない場合に随契でやるということがやはり本質として行なわれるべきものではないかというふうに考えておるわけであります。
  178. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、それじゃ実際を考えて適当でないと思うのです。どうしてかというと、あなたは非常に時間がかかるというふうに言われたわけですけれども、確かにときたま随契をぽんと出したのでは時間がかかるかわからない。しかし常に販売ルートをはっきりさせて、そしてその販売ルートへどんどんとその随契によって、三百九十円を上回る時点においてはやはり随契をもってやるということ自体が、市場におけるところの価格の安定になる。それが要するに事業団の畜産物価格安定という大きな趣旨に沿うのではないか、そう私は思うわけであります。その点について。
  179. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 畜産振興事業団の放出は、安定上位価格になった冷凍豚肉の価格をさし値としておるわけでございますが、せり売りの結果、現実価格は毎日変動いたしまして、平均的に見ますと、さし値よりも若干高目に形成されておるというのが実態でございます。これを安値の定価で売るという場合には、一見先生のおっしゃるように価格抑制効果が大きいようにも見えますけれども、末端価格について規制ができないという現実があります以上、生鮮の豚肉が騰貴しておる場合にはいたずらに中間利益をあげさせるというふうな結果になるおそれなしとしないということで、はたして消費者にそれが還元されるかどうかという保証はないわけでございます。したがって私は、放出はやはり市場で公正に形成させておる。したがって、価格がさらに上がるような場合にはさらに数量を大量に放出するというふうな形によりまして価格を安定させるほうが望ましいというふうに実は考えておるわけでございます。
  180. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、消費者に還元される値段というものが、それが随契でやればどうかわからないということは、どっちだって言える問題です。要するに食肉というのはなまものなんです。なまものでありますからそんなにストックできる問題じゃないわけです。さし値方式でなくして、通常の需要率に応じた放出でなくては、物価高誘引の大きな原因になっておる。そこにはやはり豚肉の値段がどんどん高くなっておる点、そしてしかも普通の市場で売られておるところのパーセントをそのときには大きく上回って加工業者は思惑買いをしておるという点、それは私もいろいろ調べてきた点でそういうふうに考えているわけであります。その点についてもう一度。
  181. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほども申し上げましたように、市場を通じまして価格形成が行なわれる。各地区とも、たとえば市場がないところにおきましても東京卸売り市場の価格だとか、それから大阪卸売り市場の価格というものを基準にして取引するというのが全国の豚の取引の実態でございます。中央卸売り市場というものの価格は全国的に非常に大きな意味を持っております。私は、この市場の価格を安定させるということがまず第一に全国的に価格を安定させるゆえんであるというふうに思っておるわけです。したがいまして、そこを通じて売りましたものが特定のものに独占されるということになりますと、これは問題があるというふうに思うわけでございますけれども、私調べました結果として、独占的にある特定の業者に買い入れられておるという実態は必ずしもないというふうに私は思っておるわけでございます。でありますから、市場売りが重点であるべきだと思っておりますけれども、法律にございますように、市場で売ることが必ずしも適当でない場合ということもあるわけでございます。たとえば、昨年の十二月等には年末の非常な価格の騰貴という心配もございましたので、十一月にそれのあらかじめ予想される対策として随契をいたしたわけでございます。今後におきましてもそういうふうなことがございますればやはり随契も考えていくべきものだ。その点はそのときの情勢に応じまして弾力的に処してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  182. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 独占的に買ったということはちょっと市場では見受けられないというふうにいま言われましたけれども、加工業者が総体的に思惑買いをしているというデータは出ているわけであります。どこがたくさん買ったということは、それはあなたのデータによってはわからないかもしれませんけれども。  そこで、食肉の三百九十円というその価格よりも上回るときにおいて、それを大量に市場で販売をされているその姿において随契をもっともっとふやしていくべきではないか、そして消費者にもっともっとその点をそういう高いときにどんどんと回すようにしたらどうかというように私は思うわけであります。その点について経済企画庁の方ひとつ、食肉の価格安定という問題……。
  183. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ちょっとその前に一言お話し申し上げたいと思いますが、実は先ほど先生お話しがございましたように、価格安定ということが目的でございます。消費者価格の安定ということも一つの重要なねらいでございますから、したがいまして一挙に放出をいたしてしまいますとそれでもう終わりでございます。一体価格の変動がいつまでどういう状態であるかという見通しをつけまして、それに対応するような売り方ということも考えていかなければならぬわけでございます。したがいまして先生おっしゃいますように、大量に一挙に放出すればいいということにはなかなかならぬわけでございまして、私たちもその辺は実は苦労をいたしておりまして、ある時期は非常に安くなった、しかし売り払ってしまったら急激に騰貴したというふうな事態がございますと、かえってこれは消費者のためにならないことではないかというふうに考えておるわけでございます。そういうふうなやや長期的な考慮もしながら、最も価格安定ができるような形で売っていきたいというふうなことを従来心がけておるのでございます。
  184. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私おくれて参りましたので、随契であるべきかあるいは一般の公開入札であるべきかという御議論につきまして十分承ることができなかったので、若干ピントのはずれたお答えになるかと思います。  私ども豚肉の価格につきましてはやはり消費者物価の関係からはきわめて大きな関心を持たざるを得ないわけでございます。そういう意味におきましていろいろ検討すべき点はあるいはあるのかと存じますけれども、現在の価格安定の制度は、やはり政府としてそれなりの責任を持って安定を心がけようという意味においては、一応私どもとしてもぜひうまく運営をしてもらいたいという意味において歓迎をいたしておるのでございます。随契にすべきかあるいは法律の原則どおりであるべきかということにつきましては、実態の問題としてあるいは技術の問題としてあろうと思いますので、どうも私どものいまの段階の勉強では十分なことを申し上げられませんが、適切に運営されるならば、一般に役所ないし役所に類するところは、ものを売るという場合には、普通はやはり入札のほうが無難でございます。そういう方法でどうしても効果を達せられないという場合には、随契ということになるわけでございますが、私ども役所の立場といたしましては、畜産局等にそのつどいろいろ説明を求めたり、あるいは若干口ばしを入れたりいたしておりますが、一般的にはいまの段階では、私どもとしまして入札が原則であるべきといういまの法律の趣旨を特に直すべきであるというふうにはまだ思い至らない段階でございます。
  185. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 国内生活局長にお伺いいたしますが、あなたはおくれて来られたので、いままでの話のことについてはまだおわかりになっていないかとも思いますが、実は市場で普通価格安定をされているときの豚肉の販売されている大体の種別の比率というのは、先ほども話にありましたけれども、卸が四〇%、加工屋が四〇%、小売りが二〇%、こうなっておるわけです。ところが放出をされるときになりますと、急にその比率が変わってくるわけです。加工屋のほうがずっと多くなる。ハム、ソーセージという大手業者が主体となるところがずっと多くなってくるということは、しょせんは思惑買いがされておるということです。私はそこに問題があると思うのです。少なくともそういう場合において、どこでも市場は非常にほしがっているわけですから、当然消費者を守るあなた方の立場とするならば、法律的にいえば、せり売り、さし値ということが原則になっているとは思いますけれども、そういうときは、やはり多分にそういう配慮が今後必要じゃないか、こういうことを私は言っているわけであります。その点について……。
  186. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私どもなお十分な勉強を現在の段階でいたしておりませんので、あまりはかばかしい御返事はできないかと思いますが、加工業者がある段階で相当に大量に手当てをするということにつきましては、元来加工業者が大量に手当てをせざるを得ない性質があると思うのです。それからまた手当てをした材料等につきましても、直接に一般の小売りから消費者へ行くものと違う、違ってもある程度差しつかえないというようなこともございますし、その時期に加工業者が買い出動に出てくるというような形がありますが、これは私ども非常に芸をこまかくしまして、できるだけ消費者物価の安定に資するようなことを当然農林省のほうでお考えいただかなければならないと思うのですけれども——少し言い過ぎになるかとも思いますが、安定制度自体は、量をもって価格に影響させるということが大体の大きなやり方だろうと思います。その意味におきましては、こまかく——あるいはこまかいというと語弊があるかもわかりませんが、これはもうあらゆる場合に、売り方については検討を加えていかなければならないと思いますが、そういう技術的な点はいろいろ農林省等でもお考えいただくといたしまして、やはり適時適切に相当量うまく出していただくということで、いまの段階は十分とはいえないかと思いますが、それなりにやっておるのではないかと思います。
  187. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そこでいま私が話をしましたとおりに、やはりそこにさし値が原則的であるというけれども、随契も今後相当考えていかなければならぬのじゃないか。やはりその市場、市場によっての対処としては、もっと考えていかなければならない。そして随契の場合においても、その組織体というか、それがもっと円滑に動くようになれば、いま懸念をされているところの、なかなか最後の末端まで渡るのがおそいとかいう問題も解決されていくのではないかと思いますので、その点は十分考慮をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  188. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほど申し上げましたように、必要がある場合には随契ということも併用していく、その点は弾力的に考えていくつもりでおります。
  189. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 過日新聞に「保管豚肉がついに投げ売り、黄変した二千トン、無計画な買いだめのせい」という見出しで「一年余の長期貯蔵ですっかり変質、脂肪分が黄色に変色、そのままではとても食べられないというひどさ、あわてた同事業団と農林省は、これら黄変豚肉をハム、ソーセージ加工業者に捨て値で払い下げることをきめた」と報じておりますが、その内容を概略御説明ください。
  190. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 そういう新聞に出ておったことは確かでございますが、実態に即しない、ややオーバーな表現になっているように私たちは思います。御承知のように、畜産振興事業団が買い上げました豚肉は、加工工場に委託して冷凍部分肉として現在約九千トンを保管しております。その品質管理については、事業団の中に設けられております食肉検査委員会及び加工業者に対する委託試験によって確認をしているわけでございますが、その結果によれば、保管期間が一年以上経過したものでも、一般的に冷凍食品として食用に供する点では差しつかえないとの判定が出ております。しかしこれらのものの中には、保管期間が一年以内のものに比べて脂肪のあぶら焼けというのがございます。そういうこともございますので、万一の場合を考慮いたしまして、その放出については、これらの部分肉を除去する等の措置もとれますが、随意契約の方法によって放出することが適当であるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、食用に供することには問題はございませんけれども、商品価値としてはかなり低下していることはいなめない事実でございまして、売り渡しの価格の点でもその点は考慮せざるを得ないというふうに考えているわけでございまして、食用に供されないから投げ売りをするというふうなことはございません。
  191. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 豚肉が黄色くなるというのはどういうことですか。
  192. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように枝肉にいたしました場合に、そこに脂肪があるわけでございますが、脂肪が酸化してまいるわけでございます。それがやや黄色になってまいるわけでございます。
  193. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その豚肉はどういうふうな処分をされたのですか。
  194. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほど申し上げましたように、一般の食用に供することが不可能ではございません。しかしその酸化している部分を取って、あと食用に供する必要がある。ところが一たん小売り業者に渡りますと、どんなことになるのかなかなかつかめない。そこではっきり対象のつかめます加工業者を相手に、これを随契で売り渡すということで現在話し合いをいたしているわけで、検討をいたしている次第でございます。
  195. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 豚肉が黄色くなるということは、常識からいってこれは腐っているということを意味するわけであります。それは黄色い豚肉もありますよ。しかしそれは要するに豚が食べものに魚類をとった場合には黄色くなります。しかし普通の肉が黄色になるということは、少なくとも豚が変色し腐る、あるいは腐る一歩手前ということを意味しているわけであります。ところが、それを不適当でないとすれば、どんどん消費者にさばいてしかるべきではないか。それがさばけないということは、そこにやはり豚肉が幾らか不適格である、すなわち豚肉が黄変したということは腐ったか、あるいは腐る一歩手前だと判断できますが、その点いかがですか。
  196. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先生の腐っているというのは、腐敗だと思いますが、腐敗ということはございません。脂肪の白い部分が酸化して黄色くなっているということでございますから、腐っておるということとは違うわけでございます。したがいまして、赤身の肉それ自体が腐敗しておるということでは全くないわけでございます。したがいまして、食用に供します場合には、酸化いたしております部分を除去いたしまして、それで食用に供するということが適当であるわけでございますけれども、それをやりますのには、やはり設備も十分な設備を持っており、また、確実にそれを指導できるという状態のものにこれを売却するのが適当である。指導、監督も十分できるということでございますし、また、加工製品にいたしますれば、製造工程中に加熱をいたしますので、衛生的であるということもございますし、また、解凍いたしましたときに、解凍後の処理で非常に時間をかけますと、御承知のように、生鮮のものと違いまして、冷凍したものを解凍いたしましたあと、比較的時間的には腐敗しやすいという条件はあるわけでございます。そういうふうな点から考えまして、これはやはり加工業者に売ったほうが適当である、こういうふうな判断をいたしまして、現在話し合いをいたしておる、検討いたしておるという段階でございます。
  197. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 なまもので食べる人はいないと私は思うのです。少なくとも煮たり焼いたりするわけでありますけれども、それでいても、なお結局は加工業者のほうに売ったほうが適当だということ自体は、かなりその豚肉がいたんでいる、そのように判断するわけであります。なぜこのような管理の操作の不手ぎわになったか、この点についてお伺いいたします。
  198. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほどの点でございますけれども、なおつけ加えさせていただきますと、要するに、小売りの店頭で解凍したものを売るわけでございますけれども、その場合に一挙に大量に処理できれば、問題はないわけですけれども、時間がかかりますと腐敗しやすいという事実がございます。そういう点から、小売りに売り渡すということは適当でないということは実は先ほど申し上げたとおりでございます。  そこで、そういうのがなぜ残っておるかという理由でございますが、御承知のように、買い上げましたものを保管いたしまして、価格が騰貴いたしました場合に売るということにいたしておるわけでございまして、部分肉にいたしまして、三万七千トン程度買い上げましたものを十二月までにほとんど大部分売りまして、残るところが九千トンばかりになっておるわけでございますが、まず、売る原則といたしましては、もちろん、われわれとしましても、古いものから売るというのが原則でございます。そういうことで売ってまいったわけでございますが、古いものが若干残ってまいったということにつきましては、まことに残念に思っておるわけでございますけれども現実の在庫操作の問題として、たとえば買い入れました当時の倉庫事情から、必ずしも大消費地中心に在庫配置ができなかったという点がございます。放出途中に関西その他の地区から東京に短期間に無理移しをせざるを得なかったというような事情もあるわけでございまして、その間に買い入れ時期別の在庫整理が必ずしも十分できなかった。それからまた、十一月ごろに、暮れの対策といたしまして、関西地区から相当東京に持ってきたわけでございますけれども、その際に、東京に移しました結果、実は、十二月は価格が安定をいたしまして、放出を中止したというふうな実情もございます。そういうふうなために、関西地区で残っておりましたものを東京に移しまして急速に売る予定のものが売却できなかったために、残っておったというふうなこともございまして、相当な努力をいたしたわけでございますけれども、結果としましては、やはり若干古いものが残るという結果になりまして、はなはだ残念に存じておる次第でございます。
  199. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 努力はしたけれども、結局そういう結果になったということは、しょせんは管理の不手ぎわであったという事実ですね。これがぼくはいえるんではないかと思う。  そこで、古いものが残った。先に買った肉が下積みになった。売却のときに取り残される。そして、地域によっては長期間にわたって処分の時期が来なかったりして、このような事態が起こったとすれば、根本的に研究、改良する必要があると私は思うわけでありますが、その点いかがですか。
  200. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 大部分すでに売りまして、現在残りの九千トンを毎日売却いたしておるわけでありますが、要するに、買い入れのときにかなり急速に買い入れをいたしたということもございまして、それから、買い入れる場所と売却する場所とが必ずしも一致しておらぬというふうなこともございまして、先ほど申し上げましたような問題が生じたわけでございまして、今後につきましては、今回の経験にかんがみまして、そういうことがないようにひとつ慎重に検討していく必要があるというふうに考えているわけでございます。
  201. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それからもう一つは、上位価格を三百九十円に押えているということですね。やはり、長い間の保存という問題、また金利、倉庫料、腐敗——あなたは腐敗とは言わなかったのですが、腐敗ということは起こるのではないかと思うのですね。その上位価格をこの際もう少し考えていかなくてはならぬのではないか。上位価格が三百九十円だということは、要するに、いつまでも保管料を取られ、しかもこういうふうな黄変をしてしまうという状態になってしまうという問題が起こるとするならば、やはりその点を解決すべきじゃないか。そして、消費者にも、できるだけ高くない肉を食べさせる。これは物価安定の上からも重要な問題だと思うのですが、その上位価格の問題についてどのようにお考えになっておられるか、その点についてお聞きしたい。
  202. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、豚肉の安定基準価格並びに安定上位価格につきましては、毎年法律の規定に従いまして、審議会で御審議を願っているわけであります。その際にもいろいろ御意見はございます。むしろ幅が狭過ぎるのではないか、もっと広くすべきではないかというふうな御意見もございますし、もっと狭めるべきではないかという御意見もございます。幸い、大多数の委員も、やはり三百二十円と三百九十円が適当であるという御答申をいただきまして、それに従いまして四十三年度の価格についてもきめさしていただいた、こういうことでございます。
  203. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 確かに審議会はそういうふうに答申をされて、三百二十円と三百九十円ときめられたかもわかりません。しかし、現実の問題は、そのように、三百二十円から三百九十円の幅があまりあるために、長い間倉庫の中にもぐっておって、今度の黄変豚という問題も起こってきたわけであります。そういう点についてはどうでしょうか。大体、これだけの黄変をしたのを普通の値段で売ったのと、それから今度たとえば加工業者に売ったものと、どれだけの値開きがありますか。どれだけの損なんですか。
  204. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 値段はまだはっきりきめておりませんので、その点はわからないわけで、現在話をいたしている次第であります。
  205. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたはいまそういうふうに言われましたけれども、しかし、大体どれくらいの損であるかはわかるでしょう。それくらいの計算ができないようではしょうがないじゃありませんか。大体売り値がこれくらいだから大体これくらいだということがわかるわけでしょう。その点についてどういうふうに検討されておりますか。
  206. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、市場で売る場合には、自然の価格形成があるわけです。随契で売ります場合には、要するに、市場で考えます場合と違いまして、先ほど申し上げましたように、酸化した分だとか、そういうふうな商品価値の落ちているものもございますので、そういうものをどういうふうに評価するかということになってくるわけであります。これは、われわれがかってにきめるということはなかなかできないわけでございますから、専門家の意見を聞いたり、それから買い入れ側の希望を聞いたりということによりまして適切な価格決定していかなければならぬということで、現在検討いたしておる段階でございまして、はっきり幾らというふうにはまだきめておらないわけでございます。
  207. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この問題が起こってから、もう、だいぶ日にちがたつわけであります。そういう意味において、いつまで黄変豚をふところに持っているつもりなんですか。早くそういうものは処分をするなり何なりしなくちゃならぬわけです。それなのに、いまだ価格の点において打ち合わせもついてない、検討もされてないというような状態では、あまりにも、やはり黄変豚が出るだけの原因をつくっているあなた方の行政の不手ぎわ、それを私は言いたいのです。そういう点について、まるっきり検討されてないと私は思いませんけれども、その点どうですか。
  208. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 現在検討いたしておりまして、早急に売り渡しをしたいということで努力いたしておるわけでございますが、先ほども申し上げましたように、随契となりますと、やはり相手が買わなくては困るという問題があるわけでございますから、そこで、その間の話をしますと、若干の時間がかかるということで、ある程度やむを得ないと思っておるわけでございますけれども、しかし、できるだけ早くきめたいということで話し合いを急がしておる状態でございます。
  209. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後でありますが、買わないという状態では困るというのは、よほどいたんでいる証拠ですな。まあそれはそれとして、そこで、大臣、最後ですが、いままでいろいろ論議されてきました。しかも、食肉の問題は国民に非常に密着した問題であります。結局は、そういうふうに黄変豚となったものを、価格の点でいろいろ検討されても、しょせんはそういうものは、国民にしわ寄せをされているのだということを私は非常に心配するわけであります。大臣は、この食肉の問題について合理的な抜本対策を考えて検討されるかどうか、それを最後にお伺いします。
  210. 西村直己

    西村国務大臣 いろいろ御質疑なり答弁も聞きまして、特に黄変豚につきましては、私は、先般、新聞に出まして、直ちに報告を求めまして、一応事情は、概略は調べております。この安定事業団等の操作によりまして、豚を中心に価格を国民のために安定していく、これは大事なことであります。ただ、事柄が、生きていると申しますか、なま肉でありますのと、もう一つは、そのやり方いかんによりますと、十分な在庫調整と申しますか、蔵出しと蔵入れとがうまく合わなかったり、その需要については、管理、運営をするほうにもなかなか苦労はあろうと思います。冷蔵庫をさがして入れてくるわけです。今度はそれをまた、ほんとうに需要があるところへびしゃっと合わせるという操作はむずかしいけれども、いまの制度が現行法として行なわれている以上、それをあやまちないように努力をするということは、やはり行政の責任でございます。しかし、同時に、各国とも、いろいろこういう問題、需給安定をやるについていろいろ苦労があろうと思います。ものによって不足払いというような方法をとっていると思います。いろいろありますから、私どもとしては、こういうものは時代の要請において絶えずいろいろ検討しながら、しかし現在あるものをやはり国民のためになるように、これは当然行政の責任として、率直に申しますならば、こういうことが腐った、腐らぬは別として、品質は非常に悪くなったということは事実なんであります。その責任を感じながら、十分に反省を加え、検討を加えてまいりたい、こういうふうに考えます。
  211. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 じゃ、けっこうです。
  212. 三池信

    ○三池委員長 大出俊君。
  213. 大出俊

    ○大出委員 大臣の時間はどのぐらいありますか。
  214. 西村直己

    西村国務大臣 昼食をさせていただけるか——どっちでもいいですよ、委員会運営で。ただ、私のほうは、何か参議院で本会議が法案をあげるので引っぱられているのと、あとは、委員会の要求がありますが、委員長さん、理事の方が適当に御調整願いたいと思います。
  215. 大出俊

    ○大出委員 けさほどの約束と違いまして、また、途中で先ほど皆さんのほうから休憩したいとおっしゃるから、しぶしぶ私は了承したが、内閣委員会というのは、昼めしは食ったことはないのです、五年間私はやっているんだけれども。ところが、どうしてもというので、一時間けっこうでございますというので席を立って、ぼくはこの委員会を出たところが、とたんに、休憩はなくなりましたからすぐ来てくれと言う。これは一体けさの打ち合わせからどういうことになったのですか、委員長から説明してください。この答弁の次第によっては、直ちに委員会を切って……。
  216. 三池信

    ○三池委員長 質問の時間の予定が少し延びたせいじゃないかと思っております。
  217. 大出俊

    ○大出委員 あなた、けさおいでになったでしょう。各質問者の時間の予定などは、理事会できめたおぼえはないですよ。
  218. 三池信

    ○三池委員長 ええ。
  219. 大出俊

    ○大出委員 ええじゃわからない。
  220. 三池信

    ○三池委員長 時間はきめませんでした。
  221. 大出俊

    ○大出委員 きょうは、定例でない日にやることになったのだが、私どもは、それをあえて了承しているわけだ。だから、きょうは、六人も質問者があることは初めからわかって、大臣が出席することになっているわけだ。けさ大臣がどこに何分行くか、どっちに何時間行くかという予定は全然聞いたことはない。でたらめな運営をされて、きのう以来、質問をしているのに、与党の諸君が一人もいないというばかなことがありますか。そういうことで委員長委員会をやれますか。どうなんだ、冗談じゃない。
  222. 三池信

    ○三池委員長 その点はまことに申しわけないと思います。
  223. 大出俊

    ○大出委員 大臣の時間の予定をはっきりしてください。
  224. 三池信

    ○三池委員長 大臣はどうですか。
  225. 西村直己

    西村国務大臣 ちょっと失礼ですが、速記をとめて……。
  226. 三池信

    ○三池委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  227. 三池信

    ○三池委員長 速記を始めて。
  228. 大出俊

    ○大出委員 いま雑談で隣のほうから、きのうは一人いたんだけれども便所へ行ったから、それで一人もいなくなったと言うけれども、一人いたということでいばられちゃあ困る。委員会というのは与党一人で成り立つものではない。そういうばかな話はないので、これは自今、成立しなければ直ちにやめさしていただきます。しないものを、やれと言ったって、委員長さん、無理だ。  ところで、私もここまできて、農林省の設置法の改正、これはどうせ参議院へ行っても通らぬだろうと思うけれども、こんな状態じゃ、審議といったって、さっぱり皆さんはお集まりにならないのだから……。だけれども、けじめはつけなければなりませんから、そういう意味で、皆さんのほうの筆頭理事の顔を立てることにいたします。したがって、とりあえず、時間がありませんから、いま鈴切委員から質問が出ております豚肉の問題、これは正式には、おう変豚というのか、こう変豚というのかわかりませんが、おう変米というから、あるいはおう変豚かもしれませんが、これについて私は、実は、行政管理庁長官に先般この委員会でこの点をただしているわけであります。それは畜産振興事業団そのものについての問題でございまして、こういう事業団はやめたらどうだと、実は私質問をしたわけでありますが、そのときに行政管理庁のほうは、たくさん積んでおって上から売っていったから下のほうから腐ってきた、こういう答弁をして、農林省のほうと十分に打ち合わせをしておく、こういうことになっておるわけでありますが、打ち合わせばしておられますか。このあと実は行政管理庁に私は質問するので、してないというなら行政管理庁長官にもう一ぺん責任追及をやり直さなければならぬですよ。
  229. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 行政管理庁に対しましては当方の経過は御説明を申し上げております。
  230. 大出俊

    ○大出委員 七日のこの委員会質問をいたしまして、あなたのほうから聞いたというのだと思うのでありますけれども、局長から答弁があった。それはどんどん買っていって全国二十数カ所の倉庫に保管をした。そうして昨年、価格変動によりまして、多少売るということになって売った。ところがその後また買い続けた。要するにたくさんあるから、順番に下のほうからというわけにいかなくて下のほうが残っちゃって黄変をした、こういう理由の説明があって、大体ということだというふうに承っていると、こういうわけでありますね。しからば一体事後措置をどうするかという点等について、行政管理庁段階としてはわからない、だから当該の農林省と十分この点は打ち合わせて調査もするということであった。これは行政管理の一環ですよ、事業団の運営という問題は。そういう実は答弁になっている。だからその後打ち合わせがあったかと聞いているわけです。なければないでいいですよ。
  231. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 行政管理庁からのお話がございまして十七日に具体的に御相談をいたすことにいたしております。
  232. 大出俊

    ○大出委員 そうでなければおかしい。  大臣に承りたいのですが、先ほど諸外国にも例がある、こうおっしゃいましたですね。そこでカナダあたりでちょうど日本と同じ例がございますが、御存じですか。
  233. 西村直己

    西村国務大臣 その点は、私はカナダ自体は知らぬのですが、こういう現物をかかえて需給安定をする場合によほど管理を気をつけてまいりませんといろいろ事故が起こるのではないか、こういうふうに聞いております。
  234. 大出俊

    ○大出委員 あと処理それから責任のとり方、これについて私は承りたいのですが、そこで申し上げますが、ちょうどいまから勘定をいたしますと九年前にカナダでやっぱり豚肉の黄変問題が起こっているわけであります。価格安定方式は同じ価格支持方式がとられているわけであります。ところで約十三万トンの豚肉をカナダ政府は買いまして、これが価格変動がないためにどうにももっていかなくなった、こういう状態がカナダで起こっております。結果的にはカナダ政府はこの制度をやめた。そして保管肉の処理に何と七年間かかった。しかも七年間かかったあげくの果てに国が日本円に直しまして二百五十億円の損失を背負い込んだ。したがって、やはりカナダの場合でもこの種の機関がございましたから、その責任の問題も明らかになってきている。当時の責任者は、国民の税金をこれだけ大きな損失を招いたということで、責任をとっておやめになっている。こういう結果が出ているわけであります。したがって大臣先ほどほかの国にもこういう制度があるとおっしゃった、ちょうど同じようなカナダの例は御存じかと言うと、御存じでないと言う。しかしながら他国で負っている責任、国民に対する責任という意味において、先ほど質問を聞いていると、どのくらい損失になるかという点についておわかりにならぬと言う。ずいぶん無責任きわまる話だと思っております。私はどうしても日限を限って、どのくらいの損失があってどうなったかという点を明らかにしていただかなければならぬと思いますが、その上に立って、大臣どういうこの責任をおとりになろうとするのですか。
  235. 西村直己

    西村国務大臣 具体的にカナダの例がどういうふうな数字で、どういうように処理しているかということは知らない。ただ現物をかかえて、特になま肉をかかえて需給調整をするという制度、この運用をよほどよくしないと、これは常識からいってもわかるわけであります。それから特に需給調整でございますから最高、最低の価格の中で操作をしてまいります。一方倉庫という問題もあります。輸送問題もありましょう。そこでそれに対する万全の気をつけはやっていかなければならぬ。そういう意味で、こういう結果が出たことはまことに残念であり、まことに遺憾に存じます。その結果については十分反省を加えると同時に、こういう制度がいいか悪いかという論議も当然あり得ると思うのです。これ自体もあり得る。しかしまた今度は他の制度がよりいいかという問題もその逆に起こってまいる。そこらもよく絶えず研究してまいるべきではないか、こう思うのであります。
  236. 大出俊

    ○大出委員 研究をするのはけっこうでございまして、農林省は所管でございますから研究しなければ公務員の義務がつとまらぬ、あたりまえのことです。研究するのはけっこうなんだが、こういう結果が出たことに対する、国民に対する責任はどうするかと言っているのです。こんなことは前もって警告がたくさん方々から出ている、いまに始まったことではない。臨時行政調査会だってこの畜産振興事業団についてはものを言っているのですよ。御存じですか。
  237. 西村直己

    西村国務大臣 それは、それに対する批判のあることは私、聞いております。
  238. 大出俊

    ○大出委員 西村さんは倉石さんのあとで、おかわりになったのですから、私はあまりこまかいことを申し上げる気はないけれども、四十二年五月十二日の新聞に相当詳しく、これはいまにえらいことになる、カナダの轍を踏まないという保証は一切ない、あぶない、どうするのだということを、相当きびしく、臨時行政調査会の答申を受けていろいろな方面から事業団を調べている中で取り上げておるのです。  ここに書いてあることをちょっと引用すると、四十二年の段階で豚七十万頭を買い付けた。これはあとになると十八万頭買い足して八十八万頭になるのですが、この時点で七十万頭買い続けてきた。これを全国二十数カ所に分けて保管しているのだけれども、これはえらいことになる、豚肉が食えなくなるのではないか。そうするとカナダの二の舞いで、たいへんな国費の損失を招く結果になる、どうするのだ、ということを警告しているのですよ。しかもこの時点で事業団のほうにもたくさん記者も行かれて質問している。農林省の畜産の責任の方々にもいろいろ質問をしている。にもかかわらず今日までなおかつ八十八万頭を数えるまで畜産振興事業団は買い続けてきた、結果的に黄変問題が起こった、こういうわけです。大臣、この経過御存じですか。
  239. 西村直己

    西村国務大臣 その経過は十分存じません。私の就任以前の事柄でもありますし……。
  240. 大出俊

    ○大出委員 就任以前でございますが、責任継承の原則がございまして、ないとおっしゃられたからといってそうでございますかと申し上げかねるわけでございます。現に農林大臣でございますから。そこでこれは一ぺんその経過をお調べいただきたいと思います。  そこで先ほどのお話を聞いておると、価格は畜産振興審議会がきめるわけです。例をあげて申し上げると三十七年は二百四十五円、三十九年は二百九十円、四十一年は三百二十円、こういうふうに年々審議会の答申は上がってきているわけですね。そうでしょう。四十一年、四十二年というのは据え置きにいたしました。それで現在は三百二十円、最高値三百九十円になっている、上肉の場合です。ところで問題になるのは、一体豚を育てるほうはどう変わっているかということを、これが実は一番根本的な問題なのですが、お調べになったことがありますか。
  241. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先生の御質問趣旨がどういう点か、ちょっと明断でない点がございますが、実は豚につきましては周期的な変動があるわけでございます。したがいまして非常に価格が高くなりますと、それが生産を刺激しまして生産がふえる。ところが豚につきましては、御承知のように、一回に多数の子供が生まれるというふうなことがございまして、過剰生産になってまいるというふうな事態がございまして、それがまた価格を下げる、そういうふうな経過を繰り返しておるわけでございます。したがって価格安定制度は、そういうふうな激しい価格変動をできるだけ抑制して、一定の価格の幅の中におさめるというふうなことをやるのが価格安定制度でございます。そういうふうなことの結果、わが国の養豚事業というものは非常に発展してまいりまして、必要な豚肉を国民に供給するというふうな任務を果たしてまいっておるわけでございます。経営規模もだんだん拡大いたしまして、合理的な経営というものが出現をしてまいっておるというふうな状態にあるわけでございます。
  242. 大出俊

    ○大出委員 いまのお話は当然なことです。畜産振興事業団が何をやるか、読んでみればちゃんと書いてある。一つもふしぎなことはない。あたりまえのことだ。私が聞いているのは、つまり一定の価格価格安定をはかったわけですから、それからは下がらない。下がれば買い上げるわけですから。そうでしょう。そうすると、底値はきまっているわけです。三百二十円なら三百二十円というふうにきまっている。そうでしょう。三百二十円に合わせて——それを割ることはないのだから、合わせて生産者の側は生産しようとする。子豚はおおむね種つけが終わって十カ月たてば市場に出るのですよ。非常に生産期間というものは短いわけですね。それは当然でしょう。そうなると、三百二十円の底値に合わせて採算がとれるように、企業の経営というものはかようになる。これはあたりまえのことです。そこで数字をあげて三十九年と四十二年を比較いたしますと、養豚農家の一戸当たりの平均頭数は、三十九年には五頭なんですよ。それは間違いはないから、ごらんにならぬでもいいです。五頭なんです。ところがこれが四十二年には九頭に平均頭数がふえている。ということは、企業規模が拡大をされているのですね。生産規模が広がっているということです。そうすると、個々の生産コストが下がるのはあたりまえです。これは原理原則です。そうなると、三百二十円に合わせてそれで採算がとれるようになってきているということなんですね。価格変動というものは生産の側から逆に少なくなってきているということなんですね。だから、買っている、下がらない、つまり需給調整という形のものが生産規模の変化によってそう大きな値くずれをしない、こういうふうになっているのですね。いままでならば、高くなった、それというので、十カ月なんですから、豚を飼う。ところがそれが市場に出るとたんに下がる。下がったらやめようというので、みなやめてしまう、やめてしまうから極端にまた上がる、こういう状態だったのですよ。そこで振興事業団をつくったのです。その法意に間違いはない。ないのだが、しかしさっき申し上げたように、毎年毎年審議答申が変わってきている間に生産をする側の状態が変わったということについて、あなた方はそれをとらえて手を打とうとしないところに、審議会がそれを踏まえて答申を出そうとしないのです。  これは事務局は農林省なんですが、しきりにいま世の中審議会、審議会と逃げてしまうのだけれども、恩給審議会みたいに、恩給局を押しのけて大蔵省が入っていって書いてしまう。だから満目ケースのようなばかげたことが出てくる。似たようなことをやれる能力を皆さんは持っておられるのだから、審議会、審議会だとていさいのいいことを言わないほうがいい。事務局のあなた方がやろうと思えばできる。そうなると、それと見合って一体どういうふうにするかということを、値幅についてあなた方がそこで調整をはからなければ、将来に向かって振興事業団は要らないのですよ。だから、そこのところに根本的に、大臣がいま言っておられましたけれども、制度自体を、臨調の答申にあるところの畜産振興事業団というもののあり方、農産物全体の価格安定という問題とからんだ、総合的にというものの言い方と合わせてどういうふうにするかということをあなた方が考えなければならぬ責任があると私は言いたい。行政管理庁もそれは認めておられる。私はこの間、臨調がものを言っている限りは行政管理庁に行政管理面の責任がありますぞ、そのとおりだと答えている。それをほっぽっておくからこういうことになる。だから当農林省、本家本元へものを言うまえに、行政管理をする行政管理庁にものを言っておかなければいかぬと思って私はものを言ったのですけれども、それを十七日に御相談くださるということだからそれはいいけれども、そこらのところはあなた方の責任としてとらえて、問題の将来に向かってのあり方というものに向けて御検討いただかなければならぬ筋合い、そこが何にも出てこないのじゃ話がかみ合う点がないでしょう。いかがですか、その点は。
  243. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、毎年審議会で安定基準価格、安定上位価格について審議を願って答申をいただきまして、そうして価格をきめるということになっておるわけでございますが、きめる場合には、もちろんその生産条件でございますとか経済条件の変化というものは価格の上に当然影響してまいるわけでございます。従来、先ほどお話がございましたように、たとえば労賃が上がりますとか、あるいは飼料費が上がりますとかいうふうな価格を上げる影響等もございまして、したがって上がっておったわけでございますけれども、しかし、経営規模が拡大して合理化されてきますとコストも下がってきます。そういうふうなことも参酌しながら価格をきめておるわけでございます。したがいまして、そういうものの変化というものは一応織り込んであるというふうに思うわけでございます。  ただ、何としてもなまものを扱う制度になっておるわけでございます。先ほどカナダ等のお話もございましたけれども、カナダ等も非常に大量のものを買いまして、それで処置に困ったという一つの例でございます。わが国で買っております。たとえば四十一年から四十二年までに買いました量も、必ずしも需給規模からいたしまして、カナダのように非常に大きいというものでは必ずしもないわけでございます。価格が上がります場合に、やはりこれを売却いたしまして消費者価格の安定に資するということは必要である、そういう意味ではやはり相当の効果を持っておるというふうに思っておるわけでございます。ただ、なまものを扱いますために、長期にわたりますと問題が起きるという可能性もございますので、今後この豚肉の安定制度につきましては、さらに検討していく必要があるというふうに考えておるわけでございますけれども、いままでのところはやはり生産者消費者価格安定の上に相当の効果を持ってまいったものだというふうに考えておるわけでございます。
  244. 大出俊

    ○大出委員 これは三十七年の暴落のときに最初に買ったわけですね。これが大体肉にして四千五百トン買っておられるわけです。ところで四十一年の三月十八日、ここで豚肉相場が下落しましたね。このとき二度目の買い上げを始めたわけです。このときには、ずうっと何カ月も買い続けているわけですね。というかっこうでたまってきたわけです。だから、これがこのときに七十万頭に近づいた。ほんとうをいうと、実はこの辺で先行きの見通しを立てなければならぬ筋合いだったわけです。これが最近のこの数字を見ると八十八万頭というのですから、まだ十八万頭このときから買いっ放しに買っているわけだ、やたら場所を見つけてね。皆さんは保管料ばかり一生懸命払ったわけですから。そこで今日こういう答えが出た。だとすれば、やはり有能な官僚の皆さんである限りは——この辺にカナダの二の舞いを踏みはせぬかと世の中も言っている。だとすれば、一体どうするかということをもうちょっとこれは考えてしかるべき筋合いだった。私はまずそこに問題点があると思うわけです、方法なり含めて。いまになってから、先ほど質問があったように、加工業者に安く払い下げる。その場合に、最近のものの本にも書いてありますが、これは一つ間違ったら、勘ぐれば、わさわざこれは黄色くしたのじゃないかということまで載っている。勘ぐればきりがない。しかも皆さんのほうは、全く他人事のようなことばかりやっていると書いてある。というのは、生産者は保護されたし、消費者も高いものを買わされることがなかったのだから、この程度で済んだのはむしろよかったのじゃないかというようなことを言う人が出てきている、これを読むと。これは倉庫代だけでも数十億円になるでしょう。これには当事業団の保坂信男さんという理事さんがこう言っていると書いてある。そうかと思うと、畜産局の食肉鶏卵課の言い分は、黄変肉が出たことについても放出するとき無計画だった責任は若干残るでしょうがという、まさに他人ごとだ。当の責任あるセクションの言うことではない、こういうことで国民に納得しろといったって、これはむちゃくちゃな話だと書いてある。しかも先ほどのお話によると、これは一体幾ら、どういうふうになるのか、値段もきまっていない。そういう無責任な売り方はないと私は思うのです。事業団というのは資本金が三十億六千百二十万円ですよ。このうちの二十七億円というのは政府出資ですよ。買い上げはみな政府が金を出して買っているのです。そうでしょう。この資本金からいったって、民間は残るわずか三億足らず、そうなるとこれは全部国民の税金ですよ。それを国民が納得するように処理するという気持ちがあなた方になければ、これは何も黄変豚だけに限らず、農政全般にわたって納得しようがない。どういう業者にどのくらいの価格のやりとりで——最終的にきまっていなくてもいいけれども、どの程度のトン数をいつごろどういう契約で引き渡したのですか。
  245. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 まだ全然引き渡しておりません。
  246. 大出俊

    ○大出委員 先ほどあなたの答弁で、どんどん売っていると言ったじゃないですか。
  247. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 市場で最近、安定上位価格を越えるような事態になってまいりましたので、市場ではどんどん売っておるわけです。価格安定に資しているわけでございます。まだ売っておらないと申しますのは、先ほどからお話しがございましたやや脂肪が酸化しておるものにつきましては市場で自由に売るということは適切でない、したがってこれにつきましては加工業者と随意契約によって売り渡しをいたしたいということで、現在どのように売るか、価格はどうするかということを検討いたしておるわけでございまして、酸化をいたしておりませんものにつきましてはどんどん市場で売っておるわけでございます。
  248. 大出俊

    ○大出委員 もう一ぺん念を押すけれども、黄変したものは一切売っていない、売買契約もしていない、ただ随意契約でどこかの加工業者に売ろうと考えて検討している、こういうことですか。
  249. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 そういうことで、加工メーカーの団体がございますので、それとお話をいたしておる段階でございます。
  250. 大出俊

    ○大出委員 ここに、ハムソーセージ協組の石幡総務部長さんという方が、黄色部分を削って使えば問題はない、こういうことを言っているというわけです。ここに書いてある。しかし、この記者の方は、脂肪が浮いた肉でつくったまずいハム、ソーセージを食わされる消費者こそいいつらの皮だと書いてある。また、買いたたかれてえらい安いのは、これは国民の血税、たいへんな損失を招くのではないかと書いてある。  ところで、随契というのはどういう意味ですか。どうして随契でなければいけないのですか。
  251. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほどちょっと御説明申し上げましたように、市場を通じて売るということになりますと、やはり酸化しております脂肪の部分は除去して販売をしなければならぬということ、それからまた小売り業者の店頭で売りますと、相当年限もたっておるわけでございますから、解凍した後に腐敗しやすいというふうなこともございますので、加工業者に対しまして、むしろ熱処理をするとかそういうことで酸化して部分を除去してやるということについての指導監督は十分できるわけでございます。したがいまして加工業者に売り渡しをするというふうに考えておるわけでございます。
  252. 大出俊

    ○大出委員 加工業者に売り渡すにしても、随契とはどういうわけだと私は聞いておる。随意契約だなんということを言うから、あらかじめ裏のほうで取引でもあって、買いたたかれたらたたかせて、買い手がそこしかないのだからというようなことでべらぼうに安く売って、どこかに回っていくのではないかということまで書いてある。随契なんということを考えるからそうなんだ。随契じゃなくても買い手は幾らもあるでしょう、加工業者は一つじゃないのですから。そこらをどういうことだと聞いておるのです。
  253. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 加工業者の団体といま話をいたしておる段階でございます。
  254. 大出俊

    ○大出委員 だから石幡さんという人の名前を私はあげたのだけれども、団体と話をして、その団体に引き渡そうなどということを考えると、これは話はさしなんだから、これ以外買わない、買えないと言われればしかたがないということになる。そういう筋合いのものかどうかというわけです。  中には、学者の見解なんかは、黄変部分を除去させるだけさせる、黄変部分の除去だけさせたあとの肉は普通食肉用に供せられるかどうかという点等を調べてみて、供せられるのだということになれば、全国にはデパートもあるわけですから、そういう機関を通じて食用に売れないのか、売れなければ売れない理由を明らかにしろ、ともかく随契で特定の業者団体なんということはけしからぬ、こう言っている方々がたくさんある。この問題は、そういう疑惑を招くような処理のしかたをなぜおやりになるか。もう少し、科学の世の中なんだから、国民が納得するようなやり方で、公正な価格で、国民の税金になるべく大きな損失、穴をあけないように、最大限の努力をするということでやる方法はないのかと言っているわけですよ。
  255. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 どのように売り渡すのが一番適当であるかというふうなことは検討いたしたわけでございます。酸化の程度等につきましても、やはりいろいろでございますから、したがいまして、一律にそのそれぞれについて価格をきめるということになると、やはりなかなかたいへんでございます。したがいまして、検討いたします基礎としましては、買い入れました時期でありますとか、そういうふうな酸化の程度でありますとか、そういうふうなものを検討して、どれぐらいの値引きをするかということをきめるわけでございますけれども、やはりそれは一括して売ったほうが適当であるというふうに私たちは考えておるわけでございます。
  256. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、あくまでも一括して随契で特定の業者に売る、こういうわけですか。
  257. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 特定の業者ではございません。加工業者の団体と話しておりまして、加工業者全体に売るというふうに考えております。
  258. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、あくまでも加工業者の団体と農林省との話し合いで値がさまる、こういうことですな。
  259. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 そういうふうに話によりまして価格をきめるということになるわけでございますけれども、もちろんこれは適切な価格でなければなりませんので、その点は十分検討いたしましてきめたいというふうに考えております。
  260. 大出俊

    ○大出委員 適切な価格でなくてはいけないというのですけれども、黄変した豚が、適切な価格といって、どこかに基準があるのですか。
  261. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 もちろん買い手とすればできるだけ安いほうがいいにきまっているわけでございますけれども、しかし、われわれとしましては、事業団が買い上げました豚肉でございますから、安ければ安いだけでいいというわけにはもちろんまいらないわけでございますから、したがいまして、酸化の程度でございますとか、そういったものを十分検討いたしまして、適切な価格をきめるということになろうかと存じております。
  262. 大出俊

    ○大出委員 くどいようですが、これは相手が一団体しかないものを、あなたのほうで幾らこれが適切な価格だといったって、向こうがそれじゃ高過ぎると言うとすれば、競争じゃないのですから、相手がない限りはしようがないでしょう。売らなくて何年も持っているのですか。カナダじゃないけれども、八年ぐらい持っているのですか。適切な価格なんて出てきっこないじゃないか。相手あってのことだから。だから、ほかに方法がないかと私は聞いている。大臣、どうですか、そこのところは。疑惑を招きますよ。
  263. 西村直己

    西村国務大臣 大出さんのおっしゃることは、これは競争入札でもしたらいいじゃないかというお気持ちはわかります。ただ、ものがものだけに、私は専門的でよくわからぬが、酸化したあぶらをとって、それを適するような道に使わせる。ただそれを競争入札で、デパートや何かへぱっと流すほうがいいのか。それよりは、むしろ、さっき局長の言いましたように、最後までトレースできる、食用に供されるルートまではっきりするような、確認のできるような道を通して流していくほうがいいのか。こういうところまで判断しながら、しかもそこに団体——団体と申しましても、特定の業者でなくて多くの加盟している業者があるでございましょうから、その中で今度は農林省が気に入りました値段、それから普通の商取引の取引間の品物品物によるところのいろいろなデータというものがあるでありましょうから、それらから見た妥当な値段というものを出していくことのほうが私は、一応この競争入札という概念からいっていかにも適切な値段あるいは適正な値段が出るようでありますが、要は、私は実態的に少しでもこの事態をぐあいよく処理ができると申しますか、適切に処理ができるような方途としては、局長以下が苦労している道を十分責任を持つようにして私はやらせてみたい、こういう考えでございます。
  264. 大出俊

    ○大出委員 農水の時間もあるのでございましょうから、参議院の本会議のほうはともかくとして、さっき坂村さんですか、農水の理事の方もお見えになっておりましたから、あまり長い引きとめ方もできないとは思いますけれども、もうちょっとお願いします。  先ほど、鈴切さんのほうからの御質問で、いまの問題が出ておりましたけれども、先般私もずいぶん長いこの論議を行管相手にいたしてもおります。いずれにしても国民に疑惑を招くようなことだけは、事食生活に関連する問題でありますから、一番国民の皆さんもよくわかる問題でありますから、そういう点で、しかもまた敏感なんですよ、食生活に関します問題でありますだけに。だから、何を一体政府はやっているんだということになる。とかくそう言われがちですよ。それだけにひとつこれは疑惑を持たれぬような処理のしかたというものにやはり知恵をしぼっていただかぬと、特定の業者団体に相対随契で渡しましたなどということになると、これがまたいろいろな疑惑の的になる。これは与野党云々ではなくて、やはり政治的な立場から見ると不信を招く材料ですから、そういう意味でこれはやはり大臣いまお話しになりましたが、まだ措置をされていない、検討中だそうでございますので、どういうふうにすれば一番国民の皆さんに、なるほどこういう結果になったけれども、その処理は当を得ているというふうに受け取られるかということに最大の重点を置いてひとつこの処理をお考えいただきたいことと、それから制度そのものについても将来に向かってどう考えればいいかというふうな点もあわせてお考えをいただきたい、こう考えますが、最後にいかがですか。
  265. 西村直己

    西村国務大臣 私はお説の大筋はごもっともだと思います。ことに行政責任も持っておりますし、それから国民の食生活に関することですから、これはもう万人が最もわかりやすい方法でいくことは当然であります。ただ同時に、それが最も具体的に適切な方法でやるように、まあこれだけ国会を通して御論議をいただいた問題でもございますから、十分それらの点も考慮いたしまして私どもとしては万全の措置をとりたい、こう思っております。
  266. 大出俊

    ○大出委員 あと何点か農林省設置法改正案をめぐりまして、大臣のおいでになるところでその大筋だけ承ろうと思います。私のほう、これはやはり実は二、三時間時間をと思っておったんですけれども、与党の理事さんのほうからのお話もございますので、重点的に答弁を聞かしていただきたい、こう思います。長い時間はかけません。  そこで、今回の設置法の改正の中の問題の重点というのは、平たく申し上げて、現在の農政局を名称変更をし、かつ改組をする、こういう形で、重点は林務部なるものをつくろうということですね。部長の下にこれは課が二つできるわけですね。それからもう一つは、現在の地方支分部局の形になっております統計事務をやっている統計事務所、これを農林局——農政局の改名をいたしました農林局に入れよう、こういうところが中心だと思うのでありますが、その中のまず林務部についてでございますけれども、この林務部云々の問題は歴史があるんですね。四十年に中央森林審議会の答申が出ているわけでありますが、これらをめぐって四十一年に皆さんがおやりになろうとしたこと等を含めて、これは歴史がある。ところであえて今回林務部をつくろうということに踏み切った理由、これを、短時間でけっこうですけれども、お聞かせをいただきたい。
  267. 西村直己

    西村国務大臣 森林行政というのは御存じのとおり、総合的に森林そのものを、国有林なり民有林を合わして国土保全なり林産資源なりの需給をはかっていく、こういうたてまえから林野庁でやってまいるわけであります。ただ、民有林につきましては、林野庁と県との段階、それから国有林につきましても御存じのような形になっております。そこで地域行政の農政との結びつきを考えて、今回は民有林に関しては農林局の中へ入れて、そうして農林としての総合行政立場を生かしていきたいというのが一つでございます。  それから統計事務所につきましては、これは御存じのとおり、より地域的な総合行政に役立たせる、こういう意味から統計事務所のその地域にあるもの、それから系統を農林局としての立場でつかまえていく、こういう趣旨で改正を御提案申し上げたのであります。
  268. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、林務部がやらんとする仕事は、具体的にいうと、大筋何をやろうとするわけですか。
  269. 亀長友義

    亀長説明員 林務部はもちろん民有林関係の仕事でございまして、主としてこれは私ども考えておりますのは、林業構造改善、入り会い林野の整備というふうなことあるいは森林組合の指導というふうなことを主体に考えております。
  270. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、この民有林野の造林だとか、営林だとかあるいは技術相談とか森林治水事業というふうなものとの関係はどういうことになりますか。
  271. 亀長友義

    亀長説明員 林野庁では治山事業と申しておりますが、治山事業につきましては御承のように直轄治山というのがございます。これにつきましては従来どおり営林局の系統で直轄治山という形で民有林の直轄治山は実施するという考えでおります。それ以外の一般治山につきましては、当面技術的な指導という面を重点的に考えてまいりたいと思います。それがために治山の技術者も適宜配置をする。さらに災害等につきましては災害に関する情報連絡あるいは緊急の場合の災害査定というふうな形で治山事業の指導をする、かように考えております。
  272. 大出俊

    ○大出委員 どうも治山事業とこうおっしゃるのだけれども、私はこの法律の条文を読んでいるのでして、いまあなたのほうでは治山事業とおっしゃるというのだけれども、そうするとこの法律の条文は違うのですか。設置法六十七条を見ますと、二号に「民有林野の造林及び営林についての技術相談並びに森林治水事業の実施に関すること。」と書いてあるのですよ。これは違いますか。法律用語というのはむずかしいので、はっきりしてください。
  273. 亀長友義

    亀長説明員 いままでの営林局におきましては、先ほど御指摘のように、「民有林野の造林及び営林の指導並びに森林治水事業」と書いてございますが、これは現在でも営林局におきましては直轄治山のみを民有林については実施をいたしております。一般の治山は府県において実施をいたしております。
  274. 大出俊

    ○大出委員 私の聞いたのは、私がこの文字を読み上げたわけだ。いいですか。「民有林野の造林及び営林についての技術相談並びに森林治水事業の実施に関すること。」と読み上げて、これはどういう関係を持つのかと聞いたら、あなたのほうで、私のほうは治水と申さないで治山と申すとおっしゃるので、法律用語ですから、議事録に残るのですから、私が読み上げた法律が違うならともかく、違わないなら、私の質問していることをかってに私のほうは治山と言う、そういういいかげんな話はないでしょう。法律に書いてある法律用語です。これは六十七条に書いてあるでしょう。あなたが治山に変えたらえらいことになりますよ。改正案を出してください。治山という……。
  275. 亀長友義

    亀長説明員 私どものほうで森林治水ということを俗に使っておりませんので、つい間違えました。訂正いたします。
  276. 大出俊

    ○大出委員 六十七条が違うんだということなら、あなた、設置法の改正をいたさなければならぬ。山と水とたいした違いはないなんて——風林火山なんていっているが、そうはいかぬです。山と水は大きな違いです。一々言えば切りがありませんから、重点だけにいたします。  ところで、大臣に承りたいのですけれども、となりますと、六十七条はこのまま生きていく、こういうわけですね。ここで一つ承っておきたいことがありますのは、全国に十四の営林局というのがございますね。これと、今回の林務部とは何か因果関係はございますか、仕事の面で。
  277. 亀長友義

    亀長説明員 営林局は、御承知のように国有林の直轄事業をたてまえといたしまして、林務部は民有林の行政をやるということでございます。もちろん統轄は林野本庁において、従来どおり森林の総合行政立場からいたすつもりでございます。実務面の観念といたしましては、現在農業のために、あるいは畜産のために国有林を利用するというふうな面が農政面から出てまいりますから、そういうものは一応民有林についても国有林についても起こってくるわけであります。その際に、国有林の行政とそういうものを利用するという場合には、農林局と国有林とがいろいろ関連を持つということが実務上はございますが、一応仕事の系統といたしましては、営林局は国有林をやり、林務部は民有林野を対象に業務を進める、こういうことになっております。
  278. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、設置法のたてまえからいたしますと、行政機構というものは設置法で規定しているのですから、仕事そのものからは関係がない、こう言っていいですか。
  279. 亀長友義

    亀長説明員 大局的な意味から申しますと、森林というものはあくまで国有林、民有林を通じまして総合的に考えるべきであるという大きな意味での立場行政方針というものは、一貫しておらなければならないと考えております。それから、たとえば造林だとか林道であるとかいう面につきましては、たとえば国有林の林道と民有林の林道とが関連をもちましてつくられていくということでなければいけないということは言えるのでありますが、実務面におきましては、一応これを分解して考えるということができると思います。  今回林務部を設置するに際しまして、国有林等から七人の人を振りかえるということにいたしておりますが、これは広い意味で一般林野行政に国有林としても協力をしていく、かような考え方で私ども今回提案をいたしておるわけでございます。
  280. 大出俊

    ○大出委員 あなた、私が質問していないことを何で一生懸命答弁するんですか。予防線を張ろうとすると足が出たりしっぽが出たりする。それはおやりにならぬほうがいい。私が質問しているのは、設置法にいう仕事の面で直接的に関係があるのかと聞いている。そうしたところが、あなたは農林省の森林行政の面ではと言う。森林というのは、木を三つ書いて森で、それに林を書くんだから、森林と。国の森林だって民有林だって同じですよ、同じく森林というんだから。まして日本の農林行政は機能別に立脚してつくられている。縦割りの機能です。その農林行政の中の森林行政は、林業と名がついたら民間だって国営だって一緒です。だから、設置法の中で機能を細分化したらどう分かれるかは、部局設置の原則があります。私は九年間も内閣委員会で機構の問題を専門にやっているんですから、あなたがそんなことを言ってもだめです。そんなことでは、設置法をあらためて考えなさい。あなたが予防線を張りたいのは、関係がないと言っては、関係がないなら、何で営林局の部長さん七人もぶつ飛ばして林務部に持っていったんだと言われるから、どこかで関係があるように言っておかなければならぬものですから、あなた、一生懸命になる。そうするとうそになる。我田引水とはそのことです。  そこで私の申し上げたいのは、もう一つ別な角度がある。行政管理庁の方針がある。国の行政管理に関する方針がある。その方針の中では、国においても——佐藤さんが、理屈はございません、ショック療法でございまして、全部一局削減、こう言われる。だから、自治省なんかは四つしか局がない。財政局をぶつつぶすわけにいかぬ。税務局も、税金の関係だからぶつつぶすわけにいかない、自治省にしてみれば。とうとうどこにしわが寄ったかというと選挙局。だから、赤澤自治大臣が、私は最後まで総理に反対した。隣におる行政管理庁長官にも反対をしたけれども、鼻づらをそろえてくれということで、不満だけれども、しょうがないんでそうしたんだ。同じことで、地方の機構においても、新しく部をつくるならつくってもいいから、理屈はない、どこかの部をつぶしてこい。これが行政管理庁の言い分。しょうがないから、皆さんは、新しい部をつくるのは認める。そのかわりどこかをぶつつぶせ。ちょうどうまいぐあいに、こっちをつぶしてこっちをつくる。それだけの理由で、ほんとうの理由はない。その方針に従った。そうじゃないのですか。それだけ言えば、ほかのことは必要はない。
  281. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 政府全体といたしまして、本年度の予算編成あるいは行政改革の方針基本的な態度として、中央地方を通じて増部、職制の新設は認めがたいという方針でございました。農林省としても、その方針はもっともであるという考え方から、林務部をつくることにつきまして、林業行政全体のたてまえからいずれを選ぶかということで、お話しのように営林局の系統から部長七名を減じ、その定数を地方農林局の部長として振りかえたのでございます。
  282. 大出俊

    ○大出委員 それだから、予防線を張らずに、行政管理庁はそう言っているんだ、国の方針はそうなんだ、したがってこれに従ったんだ。そうすれば農林省の責任じゃない。そうでしょう。あなた、そう言えばいい、無理なことをしなくても。  そこで問題は、そうなると、これは仕事という面からいけば別に関係はない。部の統廃合はしなくてもいい。いいけれども、部局を増置しないという国の方針がある限りはいたしかたがない。だから営林局の機構改革ということにしわが寄ったということになる。やがて七人の部長さんが抜けて林務部のほうに入っていく、こういう結果になる、まだなっていないのですが。なるかどうかはこれからのことでしょうが、そういう意図である、言いかえればこういうことですね。  そこでもう一つ、監査課というのがございますね。十四の局におのおの一課ずつ、十四課ある。これをなくして、いま官房長がお答えになった筆法で、国の方針に従いましてということで、十四課を廃止をいたしまして、これを七つの林務部の下に二課ずつつくるわけでありますから、ちょうど十四です。これまた見合い。こういうかっこうになったのも同じ理由と考えていいですな。
  283. 檜垣徳太郎

    ○檜垣政府委員 相関連をして措置をしたということでございます。
  284. 大出俊

    ○大出委員 相関連をして措置をした、これまた農林省の責任ではない、こういうことになる。  そこで今度、農林省の責任になるところを承りたいのですけれども、そうすると相関連して課がなくなったはずなんですけれども、何か妙な——妙なということもありませんが、企画調整室などというのが目に入るというか、これに書いてある。現在の企画調整室というものは一体何ものですか、官制上。
  285. 亀長友義

    亀長説明員 現在各十四局におきまして企画調整室というものを事実上つくっております。これは実は官制に基づいておらないのですが、現在御承知のように分権管理ということで、営林局署にかなり大幅な権限移譲をして、業務の円滑な遂行ができるようにいたしておりますが、営林局におきまして、その総合企画、それから予算の一括配分というようなことをやる関係上、そのまとめ役として企画調整室というのが事実上ございます。それから別途監査課がございまして、これは事業の実施後の部内監査ということをやっております。これを新たに統合いたしまして、局長直轄の企画調整の特別の部をつくりまして、そこで従来のものを総括統制していく。予算の一括配分、事後監査というものを一括やりたい、かような考えであります。
  286. 大出俊

    ○大出委員 これは国家行政組織法の面からいって、官制上の機構というものはきめられておりますね。はっきりしている。これは官制上の機構ではない。かといって国家行政組織法ではない。設置法の面からいっても、これは何ら触れておらない。つまり官制上の機構ではない、これは現在はっきりしておるんですか。
  287. 亀長友義

    亀長説明員 これは現在のところは何も根拠のあるものではございません。今回の改正をいたしまして、省令で企画調整官というものを各局に置く予定でございます。その首席は、首席企画調整官という考えで、従来の監査官等もそちらのほうに名を変えてそれぞれの事務を担当する。そこで一つ一つのそういった企画調整官の組織のものができる、かような考えでございます。したがって今度からは省令の根拠のあるもの、企画調整官というものを任命していきたいと思っております。
  288. 大出俊

    ○大出委員 そうすると省令で企画調整室を設けるのですか。何か省令ということになるのですか。
  289. 亀長友義

    亀長説明員 企画調整官を設置するというのが省令になります。
  290. 大出俊

    ○大出委員 そうするといまのお話の首席企画調整官というのは省令ですか。
  291. 亀長友義

    亀長説明員 省令の中に、一名の首席と企画調整官を入れる予定でおります。これは企画調整官が数名おりますから、これの統括責任者、かように考えております。
  292. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、首席企画調整官がおり、そこで調整官があわせて数名おる、その下に事務担当何がしというのがずっと配置をされる。それを含めて企画調整室というのですか。
  293. 亀長友義

    亀長説明員 室というのは正規の名称ではございませんけれども、当然その事務所は室ということに相なります。私どもとしては、首席調整官、その下におります企画調整官、それぞれの調整官づきの事務職員考えております。
  294. 大出俊

    ○大出委員 そこで承りたいことはそこから先なんですけれども、営林局に監査課がございまして、監査官というような方がおられるようですけれども、何名ぐらいおって、何をやっているのですか。
  295. 亀長友義

    亀長説明員 ちょっと正確ではございませんが、監査官は営林局では大体百二十名ぐらいおります。本省にも局にもそれぞれ配置いたしております。それで営林局におきましては主として監査課に配置をいたしておりまして、部内の考査事務をやっております。その考査事務につきましても経理、労務あるいは事業というふうにそれぞれの担当分野がございます。
  296. 大出俊

    ○大出委員 労務担当の監査官というのは何名ぐらいおりますか。
  297. 亀長友義

    亀長説明員 実は私のほうで各局に定員を配置するだけで、それぞれの局で何を担当するかは局長の権限になっております。いまその統計は持っておりませんが、労務関係は大体各局二名程度と承知をいたしております。
  298. 大出俊

    ○大出委員 各営林局ごとに一名、端数でもう一人ということで、これは全国四十人からいるのじゃないですか。権限がどっちにあったってあなたの傘下なんだから、どういう権限になっているかぐらいわかっているでしょう、あなた。
  299. 亀長友義

    亀長説明員 全国十四営林局ございますので、大体各局二名程度というふうに私ども承知をいたしております。本省にも若干、一、二名おります。正確な数字はいま持っておりませんので、またあとから御報告いたします。
  300. 大出俊

    ○大出委員 それは本省だって労働者もいれば働く人はいるのだから、労働組合だってあるのだから、それを担当する人がいないのはおかしい、あなた方の考え方からすると。いなければ逆にどうかしている。私はそんなものはないほうがいいと思っているのだけれども……。そこで、そうしますと、労務担当じゃないほうの本来の監査官というのは何名ぐらいおるのですか。
  301. 亀長友義

    亀長説明員 本庁を入れまして百三十五名でございます。特に職種はきめておりませんので、そのときどきの局長の分担で変化がございます。現実の数字はただいま集計したものを持っておりませんので、あとから提出いたします。
  302. 大出俊

    ○大出委員 いや、別に大した意味があるわけではありませんけれども、監査官という仕事の中身を見てみると、ちょっと解せないものがある。ここに監査官の図が書いてありますけれども、ところがいろんなことをやっておられるのだ。本来の監査官というのはあまりいないのじゃないかという気がするから、適当に労務管理のほうに監査官をまたつくっちゃったのではないかという気がするので伺ってみたかった。あなたは最初監査官が百二十名だと言った。全国十四営林局に一、二名いるのだから、私は四十ぐらいじゃないかと言った。その数字で差し引きずると八十名ぐらいになるはずなんですけれども、いま聞いてみると百三十五名いるというのですが、そこらの関係はどうなんですか。
  303. 亀長友義

    亀長説明員 私が最初に大体百二十名程度と申し上げましたのは、正確に申しますと百三十五名でございます。そのうち労務担当の監査に従事いたしておりますのは本庁各局平均二名程度でございます。残余はそれ以外の行政を監査いたしております。
  304. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、八十何名かの方が本来の監査官であって、つまり営林局の仕事の面の監査官であって、それから四十何名かの方は、これは労務担当の監査官である。こう言われているわけですね。比率からいって、本来の仕事をするよりも、ずいぶん労務担当ばかりふえちゃって、三分の一以上労務担当の監査官ばかりいるというのは妙な話に聞こえるのですが、これはどうしてそんなにふやしたのですか。
  305. 亀長友義

    亀長説明員 実は私どものほうとして、監査官は本来は一本でございます。別に労務というふうに特定をしておらないのであります。局の事情で、最近非常に労務問題の仕事がふえてきております。もちろん所管の職員課でございますとか、それぞれ担当の課もございますが、なかなか労務問題は複雑になってまいりまして、とても課長だけで処理し切れない、自然局長としても監査官を二名程度労務の担当にして、労務関係の仕事が円滑にいくようにせざるを得ないという実情があるわけでございまして、そういう実情に応じまして、二名程度各局とも労務担当の関係の監査官ということで、その仕事をやっております。やらざるを得ないという実情にございます。
  306. 大出俊

    ○大出委員 大臣にここでひとつ承りたいのですが、前農林大臣倉石さんがかつて労働大臣を数回おやりのころに、私いろいろやりとりした経過がありますが、労務管理というものを一番適確にかつ能率的にやる方法として、管理をする側とされる側に分けてみて、どういう姿が一番理想的かという論議をしたことがある。倉石さんはそのほうの専門家ですから、英国なんかに行って調べてこられた倉石さんの御発言によると、最少の人員で最大の方々を管理をする。つまり労務管理をする側はできるだけ人員が少ないほうがいい、これはもう学問的に原理、原則だろうと思う。それはそうです。労働者が労働組合をつくった場合に、組合側に課長さんやあるいは課長補佐の方々に近い方々が一ぱい入っていると、何かやろうというときにブレーキがそっちからかかる、こういう作用がある。ところがみんなこれを片っ端から、労担と監査のどっちが先だかわかりませんが、監査で労担なんということにすると、向こうのほうに近い人はみんなそっちへ行ってしまいますから、組合でまとまるほうはますます共通の利害関係でがちっとまとまる。そうすると、組合がますます強くなる。あまり労務担当の監査官ばかりふやされると、逆にますます労働組合は強くなっていく。百三十何名の監査官の中で四、五十名もの労務担当の監査官がいるというのは解せませんので、そこらのところはあまりうまい管理方式をとっているとは思われませんので、先ほど申しました原理、原則と照らし合わせまして、大臣のお考えをこのあたりで伺っておきたいと思うのです。
  307. 西村直己

    西村国務大臣 国有林を管理いたしますために、たくさんの作業員をかかえて、労務管理というものはたいへん大事なものでございます。したがってその労務管理の趣旨が達成されるように、私どもも全くそういうような趣旨でやってまいらなければいかぬと思います。
  308. 大出俊

    ○大出委員 大臣に最後に、時間の関係もおありのようですから、大筋をひとつ承りたいのですが、大きく分けて二つございます。  一つは、さっき私が申しました中央森林審議会の答申、これは四十年ですね。四十一年の段階では、皆さんのほうは、この答申が国有林の経営と行政の、行経分離という意味の中身を持っているということから、ひとつそこに論拠をあなた方は置かれて、行政は山林局でというようなことで、片一方そこに林務部をつくって、そして国会に法改正という形で出てきた。これは時の政治情勢で反対にあって成立しなかったという経過があるわけであります。にもかかわらず、今回、林務部というものをまたつくろう。しかも、国の方針行政管理の方針に従って、私に言わせれば、先ほども例にあげたように、関係のないどうも営林局の分野から、しかも、北海道あたりは何も農政局はないのですから、したがって、農林局ができるわけじゃない。しかし営林局は四つある。そこはみんな部長がなくなってしまう。部を統合しちゃって、そこから四人引っこ抜いてしまう、こういうことまでおやりになった。一番小さいところからやったんだと言うのだろうと思うけれども、何も北海道に農林局ができるのじゃないのですから、本来、農政局がないのですから、何も関係ないのだから、そこから何も部長を四人引っこ抜かなくたってよさそうなものだと思うけれども、そういうことまでおやりになった。また、監査課というものをなくしてしまって、官制上どうも企画調整室をつくるわけにいかぬということで、首席企画調整官を置いて、実際上は企画調整室をつくるという形になるというところまで考えた。あえて林務部というものをつくらなければならぬという理由は一体何かという点、大臣、これはいましきりに、国内の森林資源、木材資源というものは枯渇の方向に向かって進んでおります。これは外国から木材を輸入している。世の中がまたそっちの方向に進んでいる。木材業者であるとか、あるいは紙パルプのパルプ業者であるとかいうものがいろいろと関係がある。ここで何か切り離して、公社かあるいはそれに類する団体をこしらえる。つまり経営という面が強調される。こういう立場からすると、時の業者の関係で乱伐が行なわれても、国が直接責任を負わない、こういうかっこうに流れていきそうな気がする。しかも、地域から相当な苦情がくる、しかし、それは国が間接的な立場に立つ、こういう方向に向かって将来進んでいきそうな気がする。林務部というものは、一つ間違うと、どうもそのはしりになりそうな気がする。こういう点が各党間の中でも、この問題についてどうなんだというときに、どうあっても賛成できないという方々の理論的な裏づけにもなっている、こういうふうに受け取れるのですけれども、念のために大臣、将来に向かって、この種の行政はどうあるべきだとお考えかということ、これが一つであります。  それからもう一つ。今回の、この林務部をつくることについて、しわが、どうも見ておると、営林局に片っ端から寄ってくる。監査課がなくなるなんかということになると、そこに働いておる方々、監査課の課員の方々、ここにいろんな係があります。この方々は、将来に向かってどっちに行くのですか。この二つについて、明確に御答弁願いたい。
  309. 西村直己

    西村国務大臣 中央森林審議会の答申につきましては、これは慎重に検討しておることでございます。  それから、地方農政局を変えまして地方農林局、その中に林務部ができるということにつきましては、先ほど最初申し上げましたように、他意あってでなくて、地域農政あるいはその中の民有林との関係を十分考えていきたい。しかし、同時に、林野庁という全体の中で、全国森林計画であるとか、あるいは、今般御審議を願いました民有林に対する計画的施業制度というふうなものによって、森林資源のいわゆる培養、需給の安定というものにつとめてまいりたいのでございまして、それほどの他意はないと思うのであります。  それから、もう一つ、北海道その他において林務部と申しますか、部がなくなって、農政局へ持っていったんじゃないかという点は、これは先ほど来、官房長から御説明申し上げましたような観点から、まあ国有林野のほうに御協力を願ってやっていく、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  310. 亀長友義

    亀長説明員 営林局の部長が七名こちらへ参りますが、七名が林務部へ定員上参ることになりますが、実際上、もちろん人事といたしましては、適材適所ということでやってまいりたいと思います。  それから、監査課がなくなりまして企画調整官というのができます。定員関係で私ども事実上は、監査課長が首席の企画調整官になる、大体そういう考え方でおります。それから、従来おりました監査課の職員は、大体そのまま企画調整官なり事務職員として首席企画調整官のもとに移る。もちろん個々の人事につきましては、やはり適材適所で、個々にそれぞれ配置がえをすることはございますが、原則的には、そのまま大体企画調整官のところへ監査課の人たちは行くという考え方をしております。
  311. 大出俊

    ○大出委員 それでは、念のために大臣、林務部云々という今度の立案で、しわが関係のない営林局にいったりすると困るという心配を私はしておる。そこで、七人の部長さんは、部の統合——三部のうち、総務部が残って、あと二つ統合されるわけですから、そこで、七名移る。これだけですな、しわが寄るというのは。あとはない、これでいいですな、大臣
  312. 西村直己

    西村国務大臣 そのとおり、全体としては職員が残りまして、部長だけの部分が移るというような形になります。
  313. 大出俊

    ○大出委員 私は、四十二年の「行政監察月報」七十八号、これは横に一九六六年と書いてありますが、三月ですな、ここに、「地方農政局の機構、要員配置の適正化および業務運営の合理化について」という行管の考え方が膨大な紙数をさいて載っております。これは、農政局をつくったが、なっちゃおらぬじゃないかということなんです、一口に言えば。そういうことが一ぱい載っておる。これをあとからぼつぼついろいろなことを内部的にやられることは、皆さんおやりになっているそうだけれども、実は、これははじから全部一つずつ聞かなければならぬ筋なんだ。しかし、これをやっておりますと、多岐にわたりますから、二、三時間かかるので、そこで大臣、あなたもお忙しいようですから、大臣のいないところでこれをやってもしかたがありませんから、私は、このところはやめたいと思います。したがって、御協力を申し上げて、大臣、農水のほうにおいでいただきたいと思います。  そこで、私は、最後に一つだけ申し上げておきたいのは、どうもあまり無理な機構いじりをおやりになると——農政局をつくったときも、これは幾つもの理由がついている。ついているんだけれども、この行管の勧告を見ればわかるように、せっかく機構をつくったって、つくったときの理由が何も行なわれていない、まるっきりなっていないじゃないかということがここに書いてある。つまり屋上屋なんですね、それだけだというと。地域の方々は、補助金なんかこの農政局の中にありますから、そういった補助金、許可認可の権限がそこに行ったから、農政局に日参する。ところが、農政局の権限は、在来てっぺんの本省が縛っているから、農政局に行ったってまた本省に行かなければならぬということで、逆に地域の人たちは苦労している、こういう結果が出ている。だから屋上屋、しかも、たいした理屈がない。理屈がないということを日本語では無理と書くのですから、あまり無理なことはおやりにならぬほうがいい、こう思うわけでありまして、私は、どうも、いま出されておりますこの案には賛成がしがたい、こう思うのであります。そのことを最後につけ加えて、先ほどからしきりに与党の皆さんのほうも急いでおりますので、打ち切りたいと思います。たいへんどうも……。
  314. 三池信

    ○三池委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  315. 三池信

    ○三池委員長 ただいま委員長の手元に浦野幸男君より、本案に対する修正案が提出されております。    農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案  農林省設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  附則第一項ただし書中「同年四月一日」を「公布の日」に改める。
  316. 三池信

    ○三池委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。浦野幸男君。
  317. 浦野幸男

    浦野委員 ただいま議題となりました農林省設置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますので、朗読は省略し、その要旨を申し上げますと、本改正案中農業者大学校の設置及び輸出品検査所の業務範囲の拡充に関する改正につきましては、昭和四十三年四月一日から施行することとなっているのでありますが、すでにその日を経過しておりますので、これを公布の日に改めようとするものであります。  よろしく御賛成をお願いいたします。     —————————————
  318. 三池信

    ○三池委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず浦野幸男君提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  319. 三池信

    ○三池委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除いて原案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  320. 三池信

    ○三池委員長 起立多数。よって、修正部分を除いては原案のとおり可決いたしました。  これにて本案は修正議決すべきものと決しました。  なおただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成については委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  321. 三池信

    ○三池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  322. 三池信

    ○三池委員長 次に、行政機関職員の定員に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  323. 大出俊

    ○大出委員 木村長官にとりあえず伺いたいのですけれども、この間私が、新聞に報道されている点を取り上げまして、国家行政組織法十九条の二項というところで「特別の事情により前項の定員を緊急に増加する必要が生じた場合においては、同項の規定にかかわらず、附加すべき定員は、一年以内の期間を限り、政令でこれを定めることができる。」これを読み上げまして、この法律が通らない場合に、そこで予定していた定員を政令措置をする、このことについて、法制局が解釈上これはできるんだというようなことを言うたという新聞記事があるが、まことにもってけしからぬじゃないか。法案が出ていて審議している過程に、その法案が通らなかったらこういう措置があるんだなんというたわごとを言うなんて、もってのほかだということを申し上げた。あなた方は、だれかそういうことを予測される人があってものを言っておる、そういうことはあるべきではない、と言った。ところが本日またそういう御発言がある。   〔委員長退席、松澤委員長代理着席〕 この間私が指摘したときに、また委員会でそういう御指摘があるので、再度この点についてはその向きに、そういうことであってはいけないということを言う、こういう御答弁があったわけでありますが、その向きのほうはどういうことになりましたか。
  324. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 あの節も申したとおり、私は、あの新聞記事を見まして、私にとりましては全く突然な話だったのであります。こちらが提案しておって審議をお願いしておる最中にああいうふうなことを言われた。私のほうからいいますと、うしろから切りつけられたような気持ちでもって、非常に不愉快でありました。したがって、その不愉快であるという気持ちは、官房のほうにもぶっつけております。したがって、その気持ちは依然として同じであります。
  325. 大出俊

    ○大出委員 いま官房のほうに、というお話があったのですが、それでわかった、とこういうことにしたほうがいいのかもしれませんが、木村官房長官が法制局の諸君と相談して——法制局が木村官房長官と相談したのか、これはわかりませんが、ともかくそういう解釈が成り立つんだというようなことを言ったというんですね。その後いろいろ調べてみると、やはり木村官房長官のところが震源地だという気がする。これは、時の官房長官がそういうたわごとを言うなんということは、私は許せぬと思っておりまして、ぜひここに官房長官を呼んで、どうしても事の真偽を明らかにしたい、こう実は思っておるのですが、その前にその相手方なのか当事者なのかわかりませんが、法制局にとにかく来ていただいて、内閣法制局というものは一体何を考えておるのかということを、事のいきさつを含めて、明確にしていただかぬと審議に入れない、こういうことでございます。明確にしてください。
  326. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 ただいま先生の仰せられましたこと、私も実はあの新聞記事を見まして、寝耳に水というように驚いたわけでございます。これは行政管理庁長官がただいま申しましたように、私たちは消極的な立場、どちらかといえば各省の行政運用がありまして、その行政運用についていろいろの疑義があったり何かする場合に私のほうに相談がある、それに基づいて意見を申し述べるというようなことが普通の手続でございます。そこで、今回のごとくあるいは法制意見にわたる、あるいは法律の御審議を願っておる段階におきまして、私たちが法律の解釈上政令でできるんだというようなことを現段階で申すわけはございませんで、私自身申しませんし、また私がその後あの新聞記事を読みまして、長官以下に尋ねたところによりましても、そういうことは一切ない、こういうことでございます。
  327. 大出俊

    ○大出委員 実は衆議院の法制局なるところも偶然当たってみたわけです。私は法制局に電話をかけてくれと言ったら、電話をかけた。法制局長室でございますと出た。聞いてみたらどうも話が食い違うと思ったら、電話がかかった先が衆議院の法制局だったわけです。そうすると、これは衆議院の法制局もそんなことを言ってない。聞いてみたら、あれは内閣の法制局でございますと言う。それで、実は内閣の法制局に電話をかけたんだがあなたのところにつながっちゃったんだと言うので、あらためてあなたのところに連絡をとったんですけれども、つまり衆議院の法制局なんかも、あれは内閣でしょうと言う、新聞にそう書いてあるのだから。しかし、あなたはそんなことはないと言う。長官お見えいただいておりませんけれども、あなたが言うことにその点では間違いがないのじゃないかと思う。そうすると、これはだれも言いもせぬものが天下の公器である新聞に載るはずはない。そうすると、これはいよいよ官房長官においでをいただいて事の真偽のほどを明らかにしないというと、内閣の法制局でありますから、官房長官を一ぺんこれはお呼びいただいてひとつじっくり承りたい、こう思うわけであります。ここで委員長にお願いをしておきたいのは、官房長官を早急にひとつ呼んでいただきたいというこです。  そこで、せっかく御出席いただきましたからお願いをいたしたいのでありますけれども先ほど来私が申し上げております国家行政組織法第十九条の二項なるもの、これはこの間私が、行政管理庁の大国さんここにおいでになりますが、長官もおいでになりますが、いろいろこの点で質問を申し上げたのですが、これができたときの法意と申しますか、できたときのこの二項が予定しておりますものは、あらかじめ予知しがたい、あるいは予見しがたいという意味でここに書いてあるこの「特別の事情により」というものをとらえているということですね。間違いなくそういうことです。国会図書館その他専門家にもよく聞いてみました。そういうことで、この文章が、予定されている特別の事情という形で、しかも「緊急に増加する必要が生じた」というこの条項とからんでいる、そういう意味では。そうすると、たとえば島根県にある国立大学がある。この国立大学は四十年に法律改正が行なわれまして、三カ年計画で先生その他充足をする、こうなっておる。年々ふえてきている。こういうものについて、これをどうも、あらかじめ予測できないも予知できないも、三年前からこれははっきりわかっているのですから、予測も何も、これはさまっているのです。そういったものは、この二項でやれるような筋合いのものではないはずだ。これはかって例があったように、炭鉱が爆発して保安要員が足りない、緊急に必要だ、確かにこれはあらかじめ予測していない。予知していない。できない。しかもきわめて緊急性が強い。こういう場合にこの条項というならばわかる。わかるけれども、そうでなく、あらかじめもうわかっているもの、たとえば九州にあります芸術工科大学なんというところも、あらかじめ法律が改正されていて人が必要だということはわかっておる。しかも予算編成の際におおむねこうこうこういう人員が要るということがるる相談をされ、査定がされて人がきまってきている。こういうふうなものについて、しかも国会開会中に法律を審議しているというのに、事もあろうにこういうものは行政措置で、政令でやれるのだなどというようなことはあり得べきでもないし、また百歩譲ってみてもこの条項は適用すべき筋合いのものではない。これは将来にたいへんな悪例を残す、こう私は考えなければならぬと思っているのですが、それに対してまさにそのとおりである、御指摘のとおりである、あらかじめ予測ができない特別な事情、こういうことがこの二項が予定していることだ、全く同感だという行政管理庁の御答弁を実はいただいているわけであります。   〔松澤委員長代理退席、委員長着席〕 この点についてもし食い違いがあるとすれば、これは重要な問題ですから、行政管理庁の御答弁どおりでよろしいかどうか承っておきたいわけです。
  328. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 ただいまの第十九条でございますが、第十九条は、第一項におきまして、国の行政機関の定員につきましては法律をもって規定しなければいけないというのをまず大原則として掲げました。ただ、その大原則にもやはり例外があるわけでございまして、たとえば、ただいまお述べになりましたように災害が起こるとかいうような場合に、すぐ緊急に人が必要であるというのにもかかわらず法律を待たなければいけないというのでは行政能率の上でも阻害になる。そこで特に第二項を設けて、政令でもってそういう必要のある場合には置くのだというふうに規定したわけでございます。そこで、第一項の法律主義を破る第二項でございますから、第二項につきましては当然拡張的な解釈をすることは許されない、それは御説のとおりであろうと思います。  ところで、その第二項の「特別の事情により前項の定員を緊急に増加する必要が生じた場合」というのはどういう場合であるかということでございますが、これは実は法制局といたしましても、国会で定員法の御審議をお願いしておる段階でこれの正式な検討をいたすなんということは当然やっておりませんで、これから述べますることはやや私見にわたるかもしれませんが、その限りでお許しを願いたいと思います。  この第二項の「特別の事情により前項の定員を緊急に増加する必要が生じた」というのは、先ほど行管が申したと仰せられました予測できないような事態のみであるかということでございますけれども、実はそう予測できなかったということだけであるかどうかにつきましてはやや疑問を持つわけでございます。ここでは予測できないというようなことを何ら限定をいたしませんで、特別の事情によって緊急の必要が生じた、こういうふうにいっておりますが、この「特別の事情」というのは、私たちが考えますところによりますと、要するに通常でない事態というのをいうのだろうと思います。通常でない事態でありますから、たとえば文部省の学校の例で申しますと、生徒は募集をいたした、しかしながら、その生徒に応ずる先生、教授と申しますか、そういう定員が充足されないというような場合におきましては、これはまさにそういう行政の必要が満たせないわけでございますから、そのためには通常定員法なり何なり法律の改正という措置をお願いいたしまして、そこで行政需要を充足するようなことをいたすわけでありますが、そういう行政需要を満たすための措置その他を全部とりました場合におきまして、なおかつそこに通常でない事態が起こって、そうしてもうあすをも知れない——そこまで緊急というのを強く言う必要はないと思いますが、もうあしたにも授業ができないというような事態が生じます場合におきましては、やはりそこに十九条二項にいうような事態が生じたというようにいえないことはないのではないか。ただ、現時点におきましてそういう事態があるかどうかにつきましては、私も実は、これは事実認定がまず先立つものでございますので、そこまで何ら申し上げることができないわけでございますけれども、法律論といたしましては、十九条二項に書いてありますような事態であればできるし、そうでなければできないということでございます。
  329. 大出俊

    ○大出委員 いまの質問のけじめだけつけておきたいのですけれども、いまのお話からすると、第一項を打ち消す第二項だから、拡張解釈はすべきでない、これが大前提ですね。これは私もそうだと思うのです。そういう理解です。これはこの間も議論をいたしましたがね。したがって、いま私見に類するかもしれないという前提でお話しですから、あえてこだわりませんが、しかしいまの御意見をあるいは御解釈をすなおに受け取れば、通常でないという前提が一つある。そうすると、通常のやり方をすべてやって、なおかつ満たされない。しかもそれが特別な事情である。学校の生徒がいて、先生が必要だというような場合、その事実認定が先行した上で、拡張解釈を避けながらこの条項にいかざるを得ない場合がある。その意味ではあらかじめ予見しがたい。そのワクの中だけかというと、多少そういう点も含んで解釈していいのではないかと思う、こういう御意見ですね。したがって、それをまさにすなおに受け取りますと、これはどうなるかわかりませんが、定員法なら定員法という法律があった。国会審議している。しかしこの定員法というものは現在各省に分かれていて、ある法律は各省設置法なのです。そうすると、各省設置法の改正という形をとらぬで、ある意味では俗称総定員法というような形をとってお出しになってきた。各省にわたって多岐である。審議に時間もかかる。したがってなかなかこれが通らない。その場合に、会期があるわけでありますから、当然通常の方法をまずとるべきですね。通常の方法をとるべきだということになると、学校の先生というような緊急不可欠な問題については、文部省の設置法を改正して出し直せば足りる。そのことをわれわれの側は、実は公のこの委員会の席上で、お出しいただければ通しましょうと灘尾文部大臣にも申し上げてある。そういう方法をとれるのですからとるべきなのだが、おとりにならぬで、どこかで相談されて、新聞などに、そういう通常の手続があるのを全部抜いてしまって、とにかく国家行政組織法十九条の二項というところで、行政措置政令でやればやれるのだというようなことを、何も驚くことはないというような形を世の中に出すことは、あえて当初から通常ならざる状態をみずから予測して、この条項のほうでやればできるという言い方になる。明らかにこの解釈は拡張解釈である。したがって、国会が開会されているのですから、そういう言い方がもしあるとすれば、それは審議無視の最たるものである。そうなると、これは民主的な議会制度というものに対するたいへんな挑戦ですよ。何といわれてもこれだけは許しがたい。どんなことがあってもそういう態度をとるべきでない。国民の税金を使う定員ですから、全力をあげて通常な形で充足をはかるという最大の努力を時の政府はすべきである。その余地があるにもかかわらずどこかで、あるいは牽制的なのかもしれませんけれども、そういうものの言い方をさせるあるいはするということは許しがたい、こう私ども理解している。したがって、いまの御説からいけば、通常の方法で充足をはかるということを最後までやらなければいかぬ。なぜならば、第一項打ち消しの第二項だから、拡張解釈はとるべきでない。こういうものを先例にしたらえらいことになります。したがって、これは限定して解釈すべきものであって、万策尽きて万やむを得ないあるいは突発的な事故で手の打ちようがないという場合にのみ一項打ち消しの二項というものにたよる、論拠を求めるということにならざるを得ない、こういう筋合いのものというふうに限られるものです。そうしないと、これは何でもかってに一年以内の期限を付して政令でということになれば人が雇えるということでは、早い話が、一年以内で終わるのだなどというようなことで雇って、一年以内でやめればいいのだというところまで解釈するとすればたいへんなことになると実は考えています。そこらのところはどうですか。
  330. 田中康民

    ○田中(康)政府委員 現時点におきまして通常の努力をして、通常の方法によって異常の事態が生じないようにいたしますことは当然のことかと心得ますが、これは私たち事務官のなすべき問題ではございませんで、この点については、そういうような事態があるとないとにかかわりませず、たとえば国会閉会後におきまして、この十九条二項のような事態が生ずることを避け得ないことはあるのではないかというふうに私ども考えます。その場合におきまして、十九条二項に該当いたしますれば、やはり政令でもってやれるというふうに私は解釈せざるを得ないかと思います。
  331. 大出俊

    ○大出委員 そこで行政管理庁長官に伺いたいのですが、この会期が続いている過程でございますから、この会期の過程で、先ほども御意見をいただきましたからいいのですが、十九条の二項などというものをいまから予測をしてものを言うというようなことは、国会軽視あるいは審議無視というのみならず、いまからそれに触れるとなれば、これは拡張解釈ですよ、明確に。通常ならざる状態、このことを——いま通常に動いておるわけですから、通常ならざる状態を予見し、予定してものを言う、こういうことは私は許しておけない、こう考えるのですが、この点は、まだこれからこの会期中にいろいろ努力をしなければならぬことですし、しかも現行設置法も存在するのですから、そういう点については相当——行政管理庁が定員管理をするのですから、そういう意味では慎重の上に慎重を重ねて、この種の拡大解釈が前例として残るようなところに持ち込むべきでない、こう考えております。そこらのところはどうですか。
  332. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 私は官僚政治というものは嫌いなんです。何としても政党政治を、ほんとうに名実兼ね備えた政党政治にしてみたい。こういう気持ちを持っておるものなんであります。したがって、事務が政治に先行するなどということは許されないことなんであります。そういう立場に立って、ああいうような新聞記事が出たときに、非常に不愉快に感じたのであります。どんなことでも自分たちの責任において解決してみたい。解決できない問題は何もないはずだ。私はこういう考えを持っていま取り組んでおる最中なんでありまして、私がいま考えておりますことでも、この法案は何としても通してみたい、通してもらいたいと一生懸命になって努力しておる最中に、われわれの政治を抜きにして、事務がどっかから飛び出してきて、こういうものがあるんだなどということを言われては、全く心外しごくなんであります。そうであったならば、もともとこの定員法が出ない前からこういう法案があったのですから、それでやったって一向かまわないじゃないか、こういうふうに私は思うのであります。こういうようなばかげたことは、不愉快なだけでなくて、今後許しておけない。どんなことでも私たちの責任において解決したいというのが、私ら政党政治家のものの考え方なんであります。あんな記事が出まして、非常に不愉快なんであります。不愉快な点になりますと、お互いに同様だと思います。したがって、不愉快だという気持ちだけは、言ったと思われる本人にぶちまけてはおきましたけれども、それにつけても、お互いがやはり自覚して、政党政治を確立するためにはどうしたらいいんだ。ほんとうに官僚政治というものは不愉快なものですから、どうしたらいいんだということをもっともっと深刻に考えてみたい、協議したい、こういう気持ちであります。
  333. 大出俊

    ○大出委員 この心外ついでにもう一つ、まことに心外きわまると思っているのでありますが、きょう審議に入ろうという約束をしていますから——なぜならは理事運営委員会は動いているんですから、理事会でお約束申し上げた。だから、私はまことにふらち千万だと思っているのでありますが、がまんして質問しているのであります。ともかくけさ新聞を見ると、定員法というものは三年の時限立法でなんて、しかも——新聞記者のセンスでお書きになったんだとは思うけれども、三年の時限立法でということを、佐藤総理が、ここにおいでになる三池委員長に言われた。現に、三年の時限立法で通せということを言われた。片や野党の諸君のほうも、本日水曜日は定例日でないはずの内閣委員会に応じたという変化が見られるというのです。まことに、これは迷惑もって、これは迷惑千万だ。これは皆さんの責任ではない。委員会というのは理事運営だから、委員長の責任だ。私はもってのほかだと思う。委員会というものは理事運営でやっておって、各党の意思の疎通をはかった場合には、いろいろな変化があるのはあたりまえです。ところが、どうも三年の時限立法とでかでかと載っかった下のほうに何か書いてあるのです。予定されてない水曜日に内閣委員会が開かれるという変化があらわれているなんていうことを言い切っているわけです。だから、佐藤総理が時の行政長官なんだから、三年の時限立法でやれなんということだったら、こんなものは引っ込めてください、定員法なんていうのは即刻。もってのほかだ。
  334. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 そのことについて、私の考えていることを申し述べさしていただきます。  私は責任者としてこの法案を出したのであります。この法案の作成は、行政管理庁の全知全能をしぼったものであります。だからといって、私はより以上りっぱな案が出た場合においては、考えが出た場合においては、修正に応ずるという気持ちは持っておるのであります。全知全能のあらゆる気持ちを持って出したものであっても、より以上りっぱな意見国会に出た場合においては、それは修正されてもやむを得ないじゃないか、それくらいの気持ちは持っておるのですよ。しゃにむに、がむしゃらに、どんな法案でも通してみたいというような気持ちは毛頭持っていないのであります。そういう気持ちを持っておる。私の気持ちを、だれか具体的に表現したのかもしれませんが、その表現のしかたが非常にまずかったじゃないかと私は思っております。それでありますから私は委員会の討議を通じましてりっぱな御意見をお聞きいたしたい。非常にすなおな気持ちで臨んでおることだけは間違いありません。しかし、きょうの委員会がそのために開かれたとかどうとかということは、自分ではわからないことであります。
  335. 大出俊

    ○大出委員 これは事、総理がこう言うんだから、総理がそう言ったんだということになれば、あなたを飛び越えてしまったことになる。総理なんだから。そうでしょう。即刻総理がここにおいでになって、三年の時限立法に修正して出し直すと言うか、そう言った覚えはないと言うか、明らかにしていただかなければ、こんなばかげた審議できませんよ。こんなふざけたことはできない。そんな人をばかにした話はない。そんなことで審議できますかね。
  336. 三池信

    ○三池委員長 大出委員に申し上げます。  私が総理から言われたということでいまお話がありましたけれども、私は総理からそういうような話は一つも承っておりませんし、また、私自身の口から、そういうようなことを新聞記者の方にお話ししたこともありませんということを、ここで言明しておきますから、どうかそういう御了解の上でひとつ審議を進めていただきたいと思います。
  337. 大出俊

    ○大出委員 審議の進めようがないのです。天下の讀賣新聞が一面にちゃんと書いておる。冗談じゃないですよ。きのうのぎょうじゃないですか。そんなばかな話がありますか。そういう点が明らかにならぬで、また三年の時限立法でございます。野党もそれに応じたようなことを書いておって、そんなはかばかしい——期限のないこんな法案が審議できますか。だから、私はさっき官房長官を呼んでくれと言っているんです。総理か官房長官が来てはっきりしてください。そんな人をばかにした話はない。
  338. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 讀賣新聞に出ておったのは私も見たのですが……。
  339. 大出俊

    ○大出委員 見たら、あなた、すぐ聞かなければいかぬじゃないですか、総理に。
  340. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 いま委員長が言われたとおりだと思うのです。私もそんな話は総理としたことはありませんし、それから総理から委員長にそういう話はなかった、こう言っておるのでありますから、私はやはりその点は、いろいろな点を憶測いたしまして新聞記者諸君がお書きになったんじゃないか、こういう気がするのですよ。そういう点で大きな新聞に出た関係上、大出委員が御憤慨なさることは当然だと思いますけれども、事実の問題については、私もそんな話をしたことはありません。総理からそんな話はなかった、こういうことでありますから、新聞記者がいろいろなことを考えて想像して書いたのじゃないか、こういう気がするのです。御憤慨なさることは当然かもしれませんけれども、どうかその点はやわらげてくださいまして御審議してくださるようにお願い申し上げます。
  341. 大出俊

    ○大出委員 委員長のことばにもかかわらず、それが事実であるということを私は知っているのですよ。それでもあなたはそう言いますか。いいかげんなことはだめですよ。
  342. 木村武雄

    ○木村(武)国務大臣 私は委員長が言われたことはそのとおりだと思います。
  343. 大出俊

    ○大出委員 私が、その知っている本人が言うのだから間違いない。うそ書いてないですよ、新聞は。そんなことは委員長御自身が知っているはずだ。だめです。総理でも官房長官でも呼んでください。
  344. 三池信

    ○三池委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後四時二十五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕