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1968-05-10 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 松澤 雄藏君    理事 井原 岸高君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    荒舩清十郎君       上村千一郎君    内海 英男君       菊池 義郎君    佐藤 文生君       塩谷 一夫君    野呂 恭一君       藤波 孝生君    淡谷 悠藏君       稻村 隆一君    浜田 光人君      米内山義一郎君    永末 英一君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      木村 武雄君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    大国  彰君         行政管理庁行政         監察局長    諸永  直君         防衛施設庁長官 山上 信重君         農林大臣官房長 桧垣徳太郎君         農林省畜産局長 岡田 覚夫君         食糧庁長官   大口 駿一君  委員外出席者         農林省畜産局衛         生課課長補佐  三毛 敏夫君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 五月九日  委員佐藤文生辞任につき、その補欠として中  山マサ君が議長指名委員に選任された。 同日  委員中山マサ辞任につき、その補欠として佐  藤文生君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  許可認可等整理に関する法律案内閣提出  第九五号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四八号)  国の防衛に関する件      ————◇—————
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が所用のため、委員長指名により私が委員長の職務を行ないます。  許可認可等整理に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 冒頭に一つ承っておきたいのですが、国家行政組織法にいうところの、あらかじめ予見できないような場合に行政措置で一年以内を限って定員を配置することができるという条項があるようであります。これは何条でございますか。
  4. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 十九条です。
  5. 大出俊

    大出委員 この十九条に「特別の事情により」というのがありますね。「特別の事情により前項の定員を緊急に増加する必要が生じた場合においては、同項の規定にかかわらず、附加すべき定員は、一年以内の期間を限り、政令でこれを定めることができる。」この条項法意はどういう場合を想定をしているとお考えでございますか。
  6. 大国彰

    大国政府委員 この「特別の事情により」と申しますのは、あらかじめ具体的に予見することができないような時期におきまして緊急やむを得ざる増員の必要があると認められたときと、こういうふうに解釈いたします。
  7. 大出俊

    大出委員 私もこの法律ができたころの時点におけるものの考え方を少し調べてみたのですけれども、まさにいまお話にございましたように、あらかじめ予見しがたい特別の事情が生じた場合、一言で簡単に言えばこういう趣旨だというんですね。そうすると、その事情が予見しがたいどころではなくて、三年前からわかっていたなんという場合に、この条項を適用するというのは、これはいささか筋が通らぬという気が実はするわけでございまして、あらかじめ明確にわかっているというような場合にこの条項を持ち出すということは、どうも少し筋違いじゃないかという気がするのでありますけれども、そこらの感触のほどを少しお聞かせいただきたい。
  8. 大国彰

    大国政府委員 三年前からわかっておるというようなことは、これはもう当然これには該当しないというふうに考えております。
  9. 大出俊

    大出委員 深く突っ込んでものを申し上げる気はないのでありますけれども、国会が開かれておるというふうな場合、これは国会開会中に法制局が言うたというのでありますけれども、新聞に書いてあることで、法制局に確かめたわけじゃありませんから、新聞に書いてあるという前提でものを申し上げているわけでありますけれども、たとえばある種の法律が通らなかった。それで定員をふやそうと思ったがふえないというような場合に、この条項を適用すれば行政措置でやれるのだというようなこと、どうもいささかこれは乱暴ではないかという気がいたします。先行きの問題がありまして、この種のことをあまり先例にすべきではないと私は実は思っておるわけであります。たとえば、炭鉱が爆発した、保安要員だ、何だという危険な状態があって、どうしてもこれは緊急やむを得ず、予見もしがたかったし、特別な事情であって——特別の事情と緊急やむを得ざる場合と二つあるわけですが、これはまさにそういうことに該当する、そしてこの条項を発動した先例があります。そういうことに限るべきであって、通常必要であるというふうに、あらかじめ予算の編成のときなりあるいは法律が改正をされて、三年間でその必要人員を充足をしていこうということになって積算をされてきたというふうなものに適用すべきではない、こう私実は考えておるのですが、事もあろうに国会が開会されているときに、もしかりに新聞に書いてありますように法制局がそういう見解を明らかにしたとすれば、いささかもって、これは法律解釈によらず、政治的なにおいが強過ぎるという気がするのでありまして、なるべくそういうことは私は御遠慮いただきたいと実は思っているわけでございますが、そこら辺についてひとつ御見解を承りたいと思います。
  10. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 私もあの新聞を見まして非常に不愉快に思っております。国会開会中であり、私は特にお願いをして通してもらいたいと思っておるやさきに、ああいうような新聞発表を独断で、だれがやったか知りませんけれども、おやりになったということに対しては、非常に不愉快に思っております。私のほうからいいますると、うしろのほうから切りつけられたような気がいたしまして、非常に不愉快だったのです。法律内容そのものよりも、全くそういうことは不愉快だと思いますから、私は内閣で、一体だれがどんな考えを起こしたか知らないけれども、事務政治に先行するものではない、えてかってなことをされると、私はそういうことについては責任が持てなくなると言って、そういう意見を発表した場所あとからわかったものですから、私は自分意見だけは十二分に申し述べておきましたが、私の一番不愉快なことをされたのでありまして、いまでも不愉快なんであります。大出委員からそういう質問をされますと、私は不愉快な気持ちというものがまた蒸し返してきたような気がいたします。私の性格にとって一番いやなことをされたのでありまして、全く不愉快だというお答えをする以外に私の返事はありません。
  11. 大出俊

    大出委員 長官から非常に明確な御回答をいただきましたので深くは申し上げません。私も実はいまお話ございましたような気持ちを持っております。そこで、この一つ法律について、立場が違いますから見解を異にする場合があります。これは国会という性格上当然だと思うのでありますが、そこで一つ法律が通らない場合もあるかもしれない。その場合にどういうあと処理をするかということは、たとえばその法案に賛成でない私自身の立場からしても、所々方々お困りにならぬように決着はつけなければならぬ。そういう責任を、反対の立場であればであるだけになお強く感じているわけでありまして、したがって、いささか行ないにくい質問文部大臣等にもしたこともあるわけでありますけれども、それはつまりそういう責任を負わなければならない気持ちで実は申し上げたのでありまして、そういう時期にいまお話のようなことがあったのでは困ると実は思っておるわけであります。この問題はこれで終わりますが、あわせて機構の問題、日本行政制度の問題等々についての論議をこの委員会は今国会でずっと続けてまいりましたから、ここでいまの問題と中身は全然違うのでありますけれども、からんで幾つか承りたい点があるのであります。  日本のこの官僚機構という問題についてなんでありますが、アメリカなんかの場合には、いわゆるポリティカルアポイントということばが使われておりますが、政治的な任命あるいは政治的な任用という制度があります。たとえば、ケネディ氏が大統預になったら、ハーバード大学その他から例の御存じのとおりサリンジャーなどという最高顧問の方、ガルブレース教授などがお出になりましたし、ずいぶんいろいろな方を登用される、あるいは日本でいえば局長クラス方々のところへ相当な学識経験者をどんどん採用するという、いわくポリティカルアポイントということばでありますが、政治的な任用であります。ところが、日本はここらのところは公務員法との関連がございます。そこらの点は、これは大国さんになるでしょうかね、日本機構と対比をいたしまして、日本でそういうことは一切できないとお考えでございますか。——時間がかかるようでありますから……。日本の場合には例のブレーンフーバー氏が、これは例のアメリカフーバー委員会フーバーさんと違うのでありますけれども、GHQ当時公務員制度課長をしておったブレーンフーバー氏でありますが、彼の見解等が当時行政調査部時代にいろいろ出ております。これは人事院ができる前であります。日本公務員制度全体について宮沢俊義さんとか高橋直服さんとか、その方面経験者をたくさん入れて——初代人事院総裁浅井清さんも当時の行政調査部の有力なメンバーだったわけでありますが、日本官僚制度全体を検討した時代があるわけであります。そのときに、いま申し上げた問題は爼上にのぼっているのですね。ところがいまの公務員法というものをつくって今日までまいりますと、事実問題としてはなかなか局長というところにいきなり民間人を登用するというわけにまいらない、こういう問題があります。そうなると、なおのことここに一つ官僚機構というものと政治との関連が出てくるのですね。そこで、いまの問題とからんで承りたいんですけれども、現実に一つ政党一つ政策的な立案をする。ところで、その立案過程において政党一つ機構を持っておってりっぱな一つ政策立案が行なわれて、それが官僚機構というものの上に乗って、その政治的な意図のもとに官僚諸君仕事をされて、国会法律なら法律として出てくる、こういうことでなければ本来政党政治というものは成り立たぬと実は思っている。ところが現状はそうでないのですね。どの政党にも一これはどの政党ということを申し上げるとどうも与党のようで恐縮ですから、そこのところだけは訂正いたしますけれども、どうもいまの政党に、一般的にいって、それほどりっぱな政策立案機関があるとは思えないわけであります。よしんば一つ政党のある委員会や部会で政策立案が行なわれたとしても、その中身というのは、ほとんど今日の官僚制度の中でその方面たんのう方々中心になってでき上がったものに、その政党政策という名がついているということになりかねない点が所々方々に見受けられるわけであります。つまり政党政治とはいいながら実は政党政策立案に全面的にというかあるいは中心的にというか、いまの官僚機構の中におけるベテランの方々が実際にはその政策を担当をしている、こういうことになっている。したがってその各省大臣がきまって、行政長官として仕事をしていくことになるのですけれども、実はそこから出てくる政策というものは、すべて官僚諸君事務的熟練度あるいは思考能力というものを含めた、そこに一つ中心があって、それを行政長官がやっていこうとするあるいは国会法案として出そうとする、そうなるとこれは政党政治的意思あるいは政治的意図というものと官僚機構というものとの関係、いわく政治家と言われる方々がこっちの方向へとものを考えても、なかなかそういうふうに動かないという官僚組織との関係が出てきてしまう、やむを得ざる結果になってしまう。ここのところを一体どう考えていくべきかという点が一つ非常に大きな問題だと思うのですね。これは与党野党を問わず、いずれの政党政権をとるにしてもそういう結果が出てくると思いますが、そこらのところをしからば行政機構の面でどういうふうに考えたら政党政治らしく変わっていくだろうかという問題、これは単に機構縮小云々ということだけではない。日本行政機構全般についてのそういったポイントをどうとらえるかということが、その論争をするあるいは論議をするこういう委員会場所などでも取り上げられてしかるべき問題だ、こう考えております。先ほどの御答弁とも関連します。そこらのところの御見解をいただければいただいておきたい、こう思うのです。
  12. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 大出委員の御意見と私は大体同じなんです。というのは、私は戦争前十年間政治経験があります。それから戦後こうして皆さんと一緒になって政治の場で動いておりまするが、戦前と戦後というものはまるきり違う。戦前はあなたがおっしゃったような政党だったのでありまして、政党政策立案する場合においては、官僚意見なんというものは、陰で聞いたかもしれませんけれども、たとえば政党本部にそういう者を呼んできて、そういう人々の意見などを聞いて各政党政策というものは立案されたという経験は私はほとんど持たない。したがって、政党政党独自の政策をつくり上げまして、そうしてそれをひっさげて国民に臨んで与野党で勝ち負けをきめて政権を担当する。そして担当した場合、自分の行なわんとする政策を実現する場合には、官僚機構というものは大胆に異動して変更したものでありまして、たとえば大臣がきまってから自分の欲する次官を置く、局長を置く、こういうように人事の面なんかでもそういうことが非常に行なわれておりました。それが末端までうまくいっておったものでありまして、悪いことでありまするけれども、内閣がかわると交番の巡査まで異動したなんということがあったのであります。これは非常に悪い面なんでありまするけれども、私はいい面だけ申し上げまするとそういうことだったのであります。戦後はまるっきり違っておりまして、政策立案にいたしましても、政党がつくったということよりも、お役人につくってもらったものをただ色あげしておるにすぎないのではないかというものがたくさんあります。それですから私はそういうようなものをなくして、やはり政党本来の政治をやってみたい、こういう考えでこの行政機構の改革なんかでも取り組んでおりまして、今度の一省庁一局削減なんというものは、これはお役人考えたのではない、佐藤総理みずから考えたのでありまして、それにおいてはお役人の非常な抵抗はありましたけれども、その抵抗を排除して、内容のよしあしは別ですよ、一省庁一局削減という看板に偽りないものをつくってみるということが、むしろ政党政治というものを助長せしめるためにも一つの役に立つだろう、こういう考えで取り組んだ面がたくさんあるのであります。そうでありますから、私はそういう面で与野党ともに心してこれから臨んでいかなければ、特に与党は私はそうだと思っております。閣議なんかを見ておりまして、事務次官会議で決定したものを閣議の場に乗せるというようなことではちょっと心もとないような気がしております。そういう面で私は、私の担当している問題に関する限りはその線でやっておるつもりでおります。
  13. 大出俊

    大出委員 防衛庁長官増田さんがお見えになりましたので、私はあんまり長い時間はいたしません。いまこちらから紙が参りましたから、あまりお待たせできませんので。もう二十分やそこら時間をいただきたい。たいへん恐縮ですがお願いいたします。  ともかく国会法案が上程されて論議している最中に、さっき申し上げように、法制局見解というものが新聞に載っかって、船員法が通らなくても行政組織法の十九条の二項で行政措置は一年以内でやれるのだからだいじょうぶなんだということになると、一体日本政治というのは政党政治なのか、まさにもって官僚政治なのかわけのわからないことになると思って、その問題一点取り上げて、関連していまの問題を申し上げているわけです。  そこで増田さんは英語たんのうだからあんまり英語でしゃべりたくないのだけれども、ポリティカルアポイント政治的任用というものを、ケネディ大統領になってアメリカが相当大幅に使ったということは何かというと、旧来の官僚機構が前の大統領のとき以来ケネディ政策に変わらない。だから大量に局長人事その他に政治的任用という形で、いわゆるポリティカルアポイントといわれている形でいろいろな人を登用して、ケネディ政策が前面に出るように官僚機能というものを押えて進めていったわけですね。ところが日本アメリカの大きな違いというのは、ワグナー法が出た、あるいはタフト・ハートレー法が出たという時点で、しきりにアメリカ公務員中立性が叫ばれた。かつて政友会民政党という時代には、政党が変われば犬を連れて歩いている、どうしたのだと言ったら、内閣がかわったから遊んでいるという時代日本にはあった。先ほど申し上げたブレーンフーバー氏が官僚機構を検討したときには、公務員中立性が非常に強くいわれていた。だから政党がかわっても政権がかわっても何でも、官僚中立性という形で政治的政策がその政党立案をされて、それを実行しようという段階でその方向を向いて熟練をした官僚方々がそれを推進をするという役を果たしていくということがねらいだったわけですね、新しい公務員制度というものは。ところがいまやまさにどうもそうではない。ここに今日の今日的段階の政党政治であるべきものがそうでなくなってきているという問題の焦点が一つ出てくるというふうに思う。それは片山さんの内閣以外は、それは二つの政党、どっちがどうあろうと、いわゆる保守、革新に分ければ、保守政権がずっと続いてきたという長い日本の歴史がありますから、そこにそういう問題も当然出てくる可能性をはらんではいるのです。いるのだけれども、やはり行政機構全体を云云して、末端まで機構縮小をお考えになるとすれば、当然いまお話抵抗はある。しかしそれが政府考え方意思である限りは、官僚機構そのものに対して政府意思政治目的というものに合わせた動き方を求めなければいかぬわけですね。そうすると、その一番根本になるべきものは、みずからの政党政策立案機能機構というものが現に存在しないというところに官僚機構というものを理論的に押えがたいという問題が出てくる。ここにつながっていくと思う。そこらのところを実は取り上げておきたいというふうに思ったわけであります。  もう一つ申し上げてやめますけれども、たとえば戦後の経済統制をやらなければならぬ時期に経済安定本部があった。ところが経済安定本部役割りはおおむね落ちついて薄くなってきた。そこで安定本部を廃止するときに、一体安定本部を廃止してどうするかということでずいぶん議論があった時代がある。このときに安定本部をやめて経済審議庁みたいなものに縮小した。国民所得云々という調査も必要だからなくなっても困る。ところがそれは昭和三十年に経済企画庁に昇格して今日に至っている。しかしこの経済企画庁には権限がない。だから宮澤さんがしきりに宮澤構想なんというものを発表しているが、あのしかたも宮澤私案なんですね。経済企画庁として出していない。しかしここに経済企画庁の岩尾さんを呼んできて私が質問すれば、至るところ予算硬直化財政硬直化というので年間予算を組んだというところに明確に取り入れられ、採用されておりますと言う。なぜかというと、経済企画庁権限がないから、そういう出し方をして時の総理がそのことを支持するということばの上にある種の自主的権限を与えられた形で進めていかざるを得ないということになっているわけですね。ところがアメリカの場合には議会経済委員会というのがある。日本予算委員会と違う。経済委員会委員になったアメリカの議員というものは、たいへん名誉な職であるという解釈で、アメリカ議会はあらゆる国際経済動きあるいは国内経済動き全体をとらえた純粋な理論闘争をやっているわけですね。日本予算委員会というのはそうなっていない。そうすると、やはり日本行政制度の中にあるいは国会の運営の中に、ということは、安定本部のある時代国会の中にも経済委員会みたいな委員会が事実上あった。だからそうなってくると、そういう点まで含めて相当これは広範囲に行政機構縮小なり、簡素化なりというものを手がけるとおっしゃるなら、私が昨日申し上げた末端のお医者さんになるときのいろいろな条件だとか、港湾に船が入ってきたときの条件だとか、末端の問題とてっぺんのところと、それから官僚の身分のあり方というものと政党政治というものと日本の各省庁の置かれている原則というふうなものもやはり広範にながめていただいてものを考えるという立場にお立ちいただかぬと、せっかく出された法案論議しようとしても議論がかみ合わないということになる。理屈がないということになるのですから。そういう形でなしに、私はやはり三ヵ年計画とおっしゃっているのですから、やはりひとつこういう方向で掘り下げた政党政治らしいものの解釈考え方というものをそれなりにお出しをいただくような方向にいかなければ、そう簡単に機構縮小だのあるいは総合調整機能の発揮などということは、言いやすくして行ないがたいことになるという点が実は心配なんで、これは私どもの党にも残念ながら責任があって、もう少し力があって政権がかわっていくということになるとすれば、いやでも中立性を保たなければならなくなるかもしれませんが、そういうふうな点、ここが実は一つポイントだという気がするものですから、きのうせっかく末端を申し上げましたから上のほうを少し申し上げておきたい、こう思ったわけですが、御意見をいただくほどのことではありませんが、何かお感じになったことがありましたら承っておきたいと思います。
  14. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 大出委員の御意見は非常に私楽しく聞いております。やはりそういう話がこの委員会論議されて、そうして大きく日本の運命に貢献できれば私は幸いだこう思っております。私も行政管理庁長官になってそうして行政管理庁というものを見たのですよ。戦争前はこういう機構はなかったのです。こういう庁はなかった。それから経済企画庁なんという庁もなかったのです。たとえば、日本の全体の経済に発言する、それから日本全体の行政に発言するということになってみても、省と庁と比較いたしますと、力の差が非常にあるのですよ。それですから、独立して発言してみたってそんなものはあまり効果がないのです。それはやはり総理機能として、総理の手足として動いたときに始めて大きな力を持つのだ。戦争前の行政機構といまの行政機構を比較して検討して、なかったものもあるというところから見て、私しみじみと感じておったのですよ。そうですから、経済企画庁あり方実態行政管理庁あり方実態というものも、大出委員のおっしゃったとおりで、この根本を何とかして解決しなければならぬ。その根本の解決は三カ年計画の中でやるつもりでありますけれども、立案行政管理庁でいまやっております。各省庁行政あり方は向こうで考えてもらっておりますけれども、それは仰せのとおりなんでありまして、そういうようなことで、ほんとうに各委員、各政党、夜を徹してでもいいから話し合いをしたならば、非常に意義があるのではないか、内閣委員会というものが、それこそ歴史的なものになるのではないかということを考えまして、非常に喜んで御趣旨は十分に拝聴いたしております。私はアメリカのことはわかりませんけれども、戦前日本行政あり方と比較検討して、考えさせられる幾多の問題があると思っております。
  15. 大出俊

    大出委員 これで終わりますが、経済企画庁制度的に権限がない。これは、物価一つをつかまえても、中西さんが物価担当の局長をやっておられたときに私は質問したことがありますが、企画庁というのはまことに寄せ集めなんで、経済企画庁で物価問題を論議しようとしても、自分の出てきた省に関係のあるものになると、その省から出ている者は中西さんの指示は押えようとする。こっちの省に関係のある者はこっちの省に関係のあるやつを押えようとするから、中西さんが嘆くとおりに、にっちもさっちもいかない。いまの制度からいくと、経済企画庁権限を発揮するということは、時の総理が、その政策を支持するということになって初めて権限を持たされるということになる。それは、逆な面がありまして、時の総理の好みというものがあまりにも前面に出過ぎる場合がある。今度は、逆にいうと、企画庁に権限があって、中立性あるいは総理権限というものと——別の角度で総理がそういう好みを発揮しようとしても、それはこうだということになる。制度的になかなかそうなっていないというところに問題があるけれども、下部機構全体を管理する立場からすれば、制度的に考えなければならぬ問題ではないかという気がしていたのでありますが、時間がありませんから、深く入れませんので、簡単にしておきます。  最後に一つだけ質問しておきたいことがある。  それは、臨時行政調査会がものを言っている中に、四つの団体がある。日本自転車振興会、やっている中身は競輪ですよ。それから日本小型自動車振興会、これは自動車レースですか。それから、地方競馬全国協会、これは申すまでもなく競馬です。日本船舶振興会、これはモーターボートレースですよ。この四つの団体がありますね。これは特殊法人でしょう。これに対して臨調がものをいっておりますが、その後これはどういうことになっておりますか。臨調答申の趣旨からいきまして、ですね。
  16. 諸永直

    ○諸永政府委員 臨調答申がございましたのは御承知のとおりでございますが、監理委員会でもこれを検討されまして、臨調答申の意見とはだいぶ変わってきておりまして、監理委員会の第一次意見では、整理統合の線には持ってこなかったわけでございますが、監理委員会としても、あれは第一次意見でありますので、なおそのあと検討なさるかもしれませんが、いまのところは、第一次意見としては出ておりません。
  17. 大出俊

    大出委員 これは、論議すると長くなりますし、あまり増田長官をお待たせできませんので、私の希望意見だけ申し上げておきます。  これを調べてみますと、公営競技、要するに公営ギャンブルの売り上げ額は、七五%を配当としてギャンブルに参加するファンの諸君に払い戻している。残りの二五%は一まず施行者である都道府県、市町村の金庫に入れる。一回の開催で売り上げ額が六千万円をこえた場合、法律に定めてある比率によって、交付金という形でこれらの団体に金が返ってくる、こういう仕組みですね。簡単に申し上げますとね。  そこで、何々の老人ホームは公営ギャンブルから出した金で建ったんだとか、あるいは、あそこの児童施設は競輪の収益でできたんだというふうな形が至るところにあるようになっているわけです。この金を統一的にどういうように使うということになっていない。旧来はそうなっていましたけれどもね。そうなると、国の行政の面でこういう形になっているものを、公営ギャンブルに対するコンプレックレスもありましょうから、当事者の諸君が、うちはこういうことをやっているのだと言うのだけれども、競馬で一財産なくして破産した者もおるのだし、競輪でうちをつぶした者もおるが、その上がりで児童施設もできており、老人施設もできており、いろいろなそういう公益施設もできておるというようなことを、せめてものなぐさめというか、あるいはコンプレックスの解消に使っているという面が見えますけれども、はたしてそれだけでいいのだろうか。私はいまここで直ちに公営ギャンブルを全部なくせというのではありません。私は行ったことはありませんから、なくせのほうだけれども、いま直ちにこれを全部なくせというわけではありません。臨調もそうは言っておりませんけれども、こういった中身については、国民一般の方はよく知らないと思うのでありますが、もう少し調べてみて——私、最近調べてみたら、中身がだいぶよくわかってきましたが、どうも不納得ですね。こういうところは、その団体にまかせっぱなしの形をとらないで、そこに何かもう少し統一的な運営のしかた、監督のしかた、管理のしかたを考える必要がある。しかも、そこに入っておられる各団体の方々を見ると、ほとんど関係省庁から入った方がずらりと並んでいる。関係省庁関係の都道府県から入った方がずらりと並んでいる、監督の地位にある省庁と、その現職の方の先輩がいるかっこうになっておるというようなことになると、どうもそこらあたりも釈然としないものが残る。だから、臨調もものを言ったのだろうと思うのでありますけれども、こういう点を、将来に向かって御一考をいただく必要がありはせぬかという気がいたします。  こまかい幾つかの例を申し上げたいのでありますけれども、しかし、時間がございませんので、この際、そういうものの言い方だけさせていただきまして、あらためてこまかく質問をさせていただきたいと思います。  以上で終わります。     —————————————
  18. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  19. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決に入ります。  許可認可等整理に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  20. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  22. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 決に、国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。菊池義郎君。
  23. 菊池義郎

    ○菊池委員 私は、防衛庁長官に対しまして、まず先に、日本の防衛について質問し、それから小笠原の自衛隊の施設並びに新島の射爆場の問題について御意見を拝聴したいと思います。  沖繩生まれの元の早大総長でありました大浜信泉氏がアメリカへ参りまして、沖繩を核抜きで返還しろという運動をやっております。それを、こういった民間人の運動を政府は傍観しておるわけでございますが、沖繩を核抜きで返還しても、日本の防衛には差しつかえないと長官はお答えになりますか、どうでしょうか。
  24. 増田甲子七

    増田国務大臣 政府といたしましては、総理大臣もしばしば申し上げておりますとおり、沖繩返還時における沖繩に現在存在しておる核兵器の処理については白紙でございます。そこで、そのときにいずれ交渉の結果きまるわけでございますが、いつも国際情勢の変化、防衛科学技術といっておりますが、主として防衛科学でございます、防衛科学技術の進歩並びに世論の動向によって交渉の際にきめたい、こういう態度でございます。  そこで、現在はどういう効果を発揮しておるか。現在は、メースBという有翼ミサイルで、核兵器を積む兵器でございますが、その発射台が三十六ございます。到達拒離は二千二百キロといわれております。これが米軍のものでございまして、核抑止力になっておると私は考えておる次第でございます。なお、戦術的核兵器といたしましては、あるかどうかははっきりいたしませんが、核、非核両用のものとしてナイキハーキュリーズが二個大隊現存しております。それからなおポラリス潜水艦が寄港せんと欲すれば寄港し得る。いま根拠地はグアム島でございまして、いまだかつて沖繩に寄港したことはございませんが、施政権下における米軍の港を利用いたしまして寄港せんと欲すればなし得る、こういう状態でございまして、沖繩が核抑止力を発揮いたしておるという事実は、防衛庁としては認めるわけでございます。
  25. 菊池義郎

    ○菊池委員 それでは、沖繩は核を抜いて返還されてもアジアの守りに支障はないと考えて差しつかえありませんか。
  26. 増田甲子七

    増田国務大臣 そこがつまりわれわれが関心を払い検討しておるところでございまして、この両三年のうちに沖繩の返還のめどがつく、それからあと数年ならずして沖繩は事実上返還されると思います。そのときまでに国際情勢も変化いたしましょうし、軍事科学あるいは技術の進歩もございましょうし、世論の動向もございましょうから、そのときまでにきめる、こういうことでございまして、現在は核抜きでなければいけないとか核抜きならば困るということを私は言っているのではございませんで、現在は沖繩に存在いたしておりまする核兵器、あるいは存在しておるかいないかわからないけれども核、非核両用のナイキハーキュリーズ等が核戦争を抑止する力を持っておるということは、防衛庁としてはこれを認めるにやぶさかでない、こういうわけでございます。
  27. 菊池義郎

    ○菊池委員 アメリカが沖繩の施政権を返すことを渋っておる、その最大の原因は何であるとお考えになりますか。
  28. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは外務大臣あるいは総理にお聞き願うとなおいいと思いますが、私も間接に聞いておるだけでございますが、別段渋っておるというふうには考えておりません。ただ、佐藤・ジョンソン共同コミュニケには、沖繩が日本を含む極東の安全に対して最も重大なる役割りを果たしておることは、大統領並びに総理の共通の認識であるということを宣明いたしておるわけでございます。
  29. 菊池義郎

    ○菊池委員 私がアメリカで向こうの海軍首脳部について聞いたところによりますと、沖繩の施政権を返すと渡航が自由になる、渡航が自由になることを幸いにして日本の共産勢力が沖繩に殺到するであろう、そうしてまず電源を切る、そうして通信網を切る、通信網を切られただけでも沖繩の米軍の機能は全然停止されて、にっちもさっちも動かなくなる、そういう場合に、今日のごとく米国が施政権を握っておれば、戒厳令でも何でも発動して、二・二六事件のときのように、あるいは日比谷の焼き打ち事件のときのように、戒厳令を発動してその妨害を簡単に排除することができるが、施政権日本に返っておれば戒厳令を発動することも何もできない、そうしてこの共産勢力の暴力にまかせて、米軍の機能は全く停止せんければならぬ、それで返すことを渋っておるということを私は聞かされておるのですが、これに対して長官はどういうふうにお考えになりますか。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 菊池さんは種々の情報源からお聞きでございましょうけれども、私どもの考えは、日本は法治国でございまして、日本の本土に返りましても直ちに無秩序の状態になるとは考えておりません。一道山都二府四十二県、すなわち四十六都道府県は法治国でございまして、そこで直ちに電源が切られるとか、あるいは電線が切られるというようなことは、法律その地法の関係をもって守られておる民主国家日本においては許されない、こういう状態でございます。すなわち、処罰の対象に必ずなりますから、時の政府の警察権が弱いとか強いとかいう問題はございましょうけれども、日本が法治国であるということを、その際菊池さんも、向こうの相当の情報源と接触した場合には大いに強調してほしかったと私、思います。
  31. 菊池義郎

    ○菊池委員 それから日本の国連大使が国連の会に行っていつも肩身が狭く感ずることは、日本が何ら国連に協力することができない。一朝有事の際には国連のお世話にならなければならぬ日本であるが、何ら協力することができない、これを非常に恥ずかしく思っているということをいつも言っております。それで、国連に何かの形で協力するために、自衛隊法を改正して、そうして警察軍でも出すことができるようにしたらどうかということが世論になっておりますが、これに対してどういうふうにお考えになりますか。
  32. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは国連関係の世論としては私は一考に値すると思っております。ただしかしながら、自衛隊法の改正だけでいけるものやらどうやら、私はちょっと疑問でございます、私もその点を研究いたしておりますが。それから国連の分担金は世界第七位でございまして、相当の分担をいたしております。ただ、コンゴあるいは朝鮮の三十八度線の際に国連警察軍が組織されましたけれども、これには加盟いたしておりませんし、また憲法上も自衛隊法上も許されないわけでございまして、これはいたしておりませんが、私は決してそれで日本が恥ずかしいとは考えていないのでございます。人あるいはいわく、日本の軍備は全部撤廃して、そうして国際連合の警察軍に属すればいいというようなことを言っている方もございますけれども、もう一つ掘り下げて考えたときに、国連軍というものが世界全体の警察をつかさどるという場合に、日本だけが国連警察軍の一部を構成しないで、すべて外国、つまり国連に守ってもらうのだ、日本は国際警察軍の一部をつくらないのだということになれば——私はいま道徳の問題として論じておりまするが、道徳問題としてははなはだしく非難をされるのではないか、こう考えておる次第でございまして、国際警察軍がやればいいのだというときには、おそらく国際警察軍の日本部隊というようなものができるのではないか、そういうときにはやはり所要の改正が憲法あるいは法律について必要であるということを御存じなくてそういうことをおっしゃっている向きがあるのじゃないかと私は思います。国連が世界全体の警察をやるというときには、必ずコンゴあるいは朝鮮あるいは中近東においてつくられました行政処分的と言うとことばは変かもしれませんが、その個々の場合の国際警察軍でなくて、一般的に国際警察軍というものは必ずできるわけでございまして、国際連合が全然無警察であり、全世界が無軍備であるということを、国際連合に期待すればいいという方も予想しているわけではないと思います。そこで国際警察軍ができて、日本の軍備がなくなるという場合でも、国際警察軍日本部隊ができなくてはならないということをおそらく考えなくてはならないのでございまして、将来の議論といたしましては所要の法的手続が必要であるということを説きながら全国民のコンセンサスを得るようにしなくてはならない。自由民主党ではそういうことを言っておるわけではございませんけれども、国際警察軍の日本部隊をつくらなければならぬのだということになると、これは相当の変化であります、たいへんとは申しませんが。でありますから、そこまで考えて国際連合警察軍にまかせばいいと言っている方があまりないようでございまして、そのことの研究を私はいたしていただきたい。国際連合にまかせばいいという方がそこまで研究をしていただきたいと私は考えるのでございます。もちろんこれは将来の問題でございますが。
  33. 菊池義郎

    ○菊池委員 時間があまりございませんので、長官も簡単にお答え願いたいと思いますが、どこの国でもその国の漁船を守るにはみなその国の艦艇をもって守っております。ところが日本では艦艇をもって守らないで、海上保安庁の巡視船でもってただ巡視しておるというだけでございます。それでこれまでにソビエトには千二百隻も日本の漁船をとられ、韓国にも三百隻とられておるのです。艦艇をもって守らないで海上保安庁の巡視船で巡視させて逃げることばかり教えて、守ることはしない、これは一体どういうわけなんですか。
  34. 増田甲子七

    増田国務大臣 これが本国会における衆議院の予算委員会において大きな問題になった点でございまして、海上における警備行動という条文が昭和二十九年両院において通過成立いたしておる、その自衛隊法八十二条に、海上における警備行動というものがございますということを、私が金沢で発言しただけで大問題になっておりまするが、自衛隊法八十二条というものがございますと言っただけなんです。そこで日本海における米ソの緊張状態があるときに、海上保安庁の船以上のものはわれわれが行動を命ずることは全然考えていませんということを金沢においても発言いたしましたし、また予算委員会の総括質問のときにもたびたび申しておるのですけれども、その防衛庁にとって都合のいいところはあまりお聞きにならないで、それでゆゆしきことであるなんということをおっしゃいますけれども、法律自身がゆゆしきことであるというふうには私は考えていないのでございまして、有事において八十二条によって、貨物船であろうと石油船であろうと、あるいは鉱物船であろうと、あるいは客船であろうと、海上における警備行動として所要の条件が満たされた場合には、行動をするということはあり得ます。それからそれ以上に治安出動もありますし、有事には防衛出動もあるわけでございますが、まず李ラインとかマッカーサーラインのような紛争のときにはわれわれは出ないということでいたしております、これは政府の方針として。それで日本海には、われわれは八十二条による、海上における警備行動の職権、職務を持っております。義務もありますけれども、まず行動を命じない、こういうことになっておりますから、外交折衝によってこれは解決する。なまぬるいかもしれませんけれども、そういう行動を政府としてはとっておるわけでございます。
  35. 菊池義郎

    ○菊池委員 第二次大戦まで日本には五万トン、七万トンの艦艇があり七百隻の艦艇があって、七つの海をわがもの顔に横行しておった。ところが今日の自衛隊が持っておる艦艇は、わずか千トン、二千トン、三千トン、三千トンが最高でしょう。それで結局、ソビエトあたりの艦艇にとても太刀打ちができぬというので、艦艇をもって守らないで、海上保安庁の船ならば逃げて帰っても差しつかえない、恥じにはならぬ、そういうふうな考え方なんですか、どうなんですか。
  36. 増田甲子七

    増田国務大臣 漁業関係のラインの紛争等には、治安出動もしなければ、八十条の海上における警備行動も命じないという政府の方針をとっているわけでございます。無力ということはどういう立場で菊池さんがおっしゃったか存じませんけれども、防衛関係におきましてはわが国の護衛艦は三千トン級でございます。あるいは二千トン級もございますけれども、防御能力といたしましては、昔の戦艦武蔵、大和の二倍ぐらいは一隻であるわけでございまして、攻撃能力はございません。防御能力としてはあるわけでございます。それでこその海上自衛隊であり防衛庁である、こう考えておるわけでございまして、積極的に紛争を解決するために武力交渉をしないということは、憲法の命ずるところでもございます。でございますから、どれどれと言って捕えられた場合にはちょっといくじがないかもしれませんが、まあとらえられていけ、そこであとは外交折衝で解決しよう、こういうことでやっておるわけでございます。わが国土を侵さんとするものは防御してこれを排除する、撃攘するだけの力はございます。すなわち防御能力は、十分にとは言いませんが、三十九隻の護衛艦は——戦艦武蔵、大和というものは攻撃力だけで防御力はあまりなかったという話もございますが、そこで防御力という見地から見て戦艦武蔵、大和よりは大きな力がある。攻撃力はゼロで、これは日本の自衛隊というものは攻撃力はなくて私はいいと思うのです。そういうわけでございます。
  37. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  38. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 速記を始めて。菊池君。
  39. 菊池義郎

    ○菊池委員 自衛隊は今日、いままでのクラウゼウィッツの戦術とかなんとか、旧式といっては語弊があるかもしれませんが、在来の正統の戦争の演習しかしていない。ところが今日の戦争はゲリラ戦が非常に流行している。流行どころではない、ゲリラ戦、パルチザン戦術、こういうものが最近の戦術になっておるのです。パルチザンといいますと、これは敵の侵入軍に対しまして人民部隊が武器をとって戦う、これを称して。パルチザンというのでありますが、私が世界で最も尊敬しているユーゴスラビアのチトー大統領が、ドイツ軍の侵入のときに十層倍の敵軍に囲まれて、そうして。パルチザン戦術でもって一方的に戦って、とうとう囲みを解いてドイツ軍を出してしまった。そういうようなこともありますし、それからアルジェリアの戦いで、フランスもとうとう十倍の兵力を投入して、このパルチザン戦術に負けた。マレーシアの独立の戦争のときにも、英国はさらに五十倍の兵力を投入して勝てなかったというようなわけであります。今日の自衛隊もこのパルチザン戦術、ゲリラ戦術あるいは市街戦までも演習の中に入れなければならぬと思うのですが、これについてどうお考えになりますか。
  40. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは防衛出動の場合にも、あるいは治安出動の場合にも、内乱以上のものであるならば、客観的に見れば一種の戦争みたいなものでございます。そういう場合に備えるためには柔軟反応戦術と申しますか、ゲリラというようなものもございましょうし、パルチザン的に相手方が出動するという場合がございましょう。それに対応して柔軟反応戦術をもって対処することは十分に考え、また訓練をいたしておる次第でございます。
  41. 菊池義郎

    ○菊池委員 そのゲリラ戦術の演習というものは私はまだ聞いたことがないのですが、どういう形でもってやっておるんですか。
  42. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは各種の演習をいたしておるわけでございまして、私も実地にはあまり——部隊対抗演習とか、あるいは重火器をもって装備された演習、北海道にございますが、戦車部隊でございます。その演習は見ておりまするけれども、やはり所在に出没するといったようなそういうものに対することは研究しております。また訓練もさせておるわけでございます。
  43. 菊池義郎

    ○菊池委員 それから新島の問題でございますが、新島への射爆場移転、これは反対運動まで押し切って強行はしないということを防衛庁は言っておられるのでありますが、強行しないとなりますると、これは向こうに猛烈な反対がありますし、たいへんな金もかかる。百億以上の金もかかる。補償とか、あるいはまた山をくずすとか、いろいろな金がかかってたいへんなことなんですが、強行をしないというそのおことばは、結局取りやめてもいいというように解釈して差しつかえないのでしょうか、どうでしょうか。
  44. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは沿革があるのでございまして、原子力センターに近接する水戸射爆場は危険でもございまするし、また群馬県にございまする物量投下飛行場等はぜひとりやめてほしい、そういうようなこともございまして、結局射爆場として水戸は不適当である。ただしかしながら、日本に実力部隊として駐留いたしておるのはアメリカ空軍だけでございます。海軍、陸軍はいないのでございまして、補給部隊あるいは修理部隊だけでございます。そこで、この実力部隊であるアメリカ空軍が精強なる部隊として存在しておることが必要でございまして、そのためには、横田におりまするし三沢にもおります。三沢には射爆場があります。横田には水戸の射爆場があるわけでございますが、どこかかわってほしいという切なる要望がございまして、ちょうど二年前の六月、約二年前ですが、日米共同声明がございまして、新島に——関東一円におきましては、つまり横田から半径二百キロの範囲内において適当なる射爆場が得られるならば水戸は開放してよろしい、こういうことになりまして、白羽の矢を、相当研究した結果新島に立てておるわけでございます。そうして新島につきましては技術的の回答がアメリカから参ったのが本年の四月のことでございます。が、二年たった四月に参ったわけでございまして、これにつきましては、ぜひ地元あるいは漁業者の皆さま、東京都の皆さまの御同意を得て、御協力のもとに射爆場を設置して、そうして群馬県の太田の飛行場を開放したり、それから水戸の射爆場を六分の一にしたりいたしたいと考えておる次第でございます。   〔松澤委員長代理退席、塚田委員長代理着席〕
  45. 菊池義郎

    ○菊池委員 原子力の研究所はわずか政府の金が七億円、それから民間の投資が二億円、さらにそれに加えて原子力のその会社が二億円、わずか十一億円しかかかってない。そういったような施設を他に移転することは、これはもう経費の上から考えても簡単だろうと思うのですね。なぜ他に移転しないで、そうして無理に百億、百数十億もかかるような新島に移そうとお考えになるのか、それがどうしてもわからないのです。
  46. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 かわってお答え申し上げます。  原子力研究所が水戸射爆場の北方に所在いたしますために、この水戸射爆場の使用について万一のことがあってはいろいろ問題があろうということから、昭和三十六年並びに七年、これは衆議院並びに参議院の科学技術振興特別委員会においてこの原子力研究所の付近にある水戸射爆場を移転すべきであるという、委員会での御決議がなされました。これはそういう事実がございまして、原子力研究所は現在までに投資した金額というものは相当なものになっておりまするが、今後もさらにこの施設を拡充していきたいという御希望があるやに承っておるのでございます。したがいまして、あそこにある射爆場がこれと将来競合するということが十分予想されまするので、そういったような御決議がまたなされ、またわれわれもそういうような御趣旨であるならば、もし皆さま方、国民各位の御同意が得られれば、こういうふうな移設をしたほうがいいのではないか、かように考えておる次第でございます。
  47. 菊池義郎

    ○菊池委員 それはわかっておりますが、金のたいへんにかかる新島へ移転するよりも、原子力研究所を移転したほうが簡単で安あがりです。それを言うのです。それを説けば、原子力委員会の連中だってみな納得するでありましょう。それを言っておるのです。なぜ金のかからないほうをやらないか、簡単なほうを。
  48. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま施設庁長官からお答えいたしましたとおり、衆議院と参議院の科学技術特別委員会の決議はやはり尊重しなくちゃならないのでございまして、そこで原子力センター、原子力公社あるいは原子力の発電所等を続々とあそこに設置せんとしておるということは、いままでのかけた経費というよりも、やはり一種のあらゆる原子力センターになっておるわけでございます。そこで射爆場を適当なところに移せという決議があるわけでございますから、どうか、その点もわれわれは尊重して行動しておる、菊池先生のおっしゃることはよくわかります。わかりますけれども、ひとつ科学技術の委員会のほうの決議も私ども尊重しなければなりませんし、結局は新島の方が幸福に生きていかれるようにということについてあらゆる施設をいたしまして、また漁業者の皆さまにもあらゆる施設をいたしまして、不必要なる区域はできるだけ制限いたしまして、そうして水戸射爆場が適当に移り得るように、ひとつ菊池先生のほうも御協力をいただきたい、こう考える次第でございます。
  49. 菊池義郎

    ○菊池委員 日本はただいま東シナ海の漁業が締め出され、北方漁場がこれまた締め出されておる。それで新島を中心とする伊豆七島は金華山沖とともに日本の二大漁場として脚光を浴びておるのです。そして年々百億の金がそこからあがるようなわけであります。それから民間の航空路にも当たっております。それから汽船の航路にも当たっておる。あそこに射爆場を設けるというと飛行機も遠回りせんければならぬし、それから船も遠回りせんければならぬ。さらにまた新島島民の生活を脅かすということになると、新島はほとんど抗火石で砂利ばかりです。耕す畑はほとんどございません。二割しかございません。八割はみんな抗火石の砂利ばかりです。そういうところに、八割方は漁業に依存している人たちでありまするから、彼らにとってはほんとうの死活問題です。そういうわけでありますから死活問題と、それからこの原子力の研究所をほかへ移す、どっちのほうが重いか軽いか、そういうことを考えてもらいたい。参議院や衆議院の科学技術の委員会を説得をして、そんなことは簡単なことなんです。こっちのほうは死ぬか生きるの問題ですよ。そういうわけでございまして、これを納得させることは絶対に不可能なことです。おそらく子々孫々までの補償を出せと言いますよ。そういうわけでありますから、皆さんはもう一ぺん考え直していただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  50. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは菊池さんの御意見ではございますけれども、われわれは衆議院、参議院の特別委員会の御意向があって、本会議等においても反対がなかったわけでありますから、しかも全会一致でございます。その御意向を受けて二ヵ年間働いてまいったわけでございまして、いまさら歴史を逆行するというわけにもちょっといきかねるわけでございまして、ことに日米共同の政府の発表がございます。その中には大泉の飛行場等も撤去するといっておりまするし、水戸は六分の一にするといっております。この利益というものも相当あったわけでございます。また水戸の前面に百平方キロの漁業制限をいたしております。ちょうど新島も約百平方キロでございます。そこで日本全体として見れば漁業者がどちらが多いかというと、やはり新島のほうがお説のように多いと私は思います。ことにこの新島に出漁しておる府県は十三府県だということを聞いております。しかしながら面積だけから見ますと、水戸の沿岸漁業その他百平方キロのかわりに新島の約百平方キロ、こういうわけでございますが、この百平方キロもできるだけ狭くいたしたい。それからもう一つ、ときどき制限するというのが二百平方キロ追加されております。この点は私はもっときびしくやりまして、これから小笠原島も返ってくるわけでありますから、お説のとおり飛行機が往還するときに不便があってはいけないということはごもっともでございますから、そういうことも考慮いたします。  それから新島には飛行場等をつくりまして、定期航空等もやりたいと思っております。そういたしますと、新島が発見されまして、交通が本土との間にあって以来、おそらく七、八百年たっておると思いますが、七、八百年来ない飛行場ができまして、いまでも病人等は自衛隊の飛行機が東京の病院へ運んでいるわけでございます。このことは新島の村長も非常に感謝をされておりまするが、ヘリコプターでございますから、今度ヘリコプターでなくて、八丈島とか三宅島にあるようなYS11が着く飛行場ができますれば、七百年来ない福音である。そこでなお新島の方々が生活がりっぱにできるように考えることはいたしてまいる所存でございますし、漁業者の皆さまにも射爆場がある限り、子々孫々ということばをお使いでございますが、相当長期間にわたって補償を申し上げるのは当然である、こう考えておる次第でございます。
  51. 菊池義郎

    ○菊池委員 長期間の補償といいますとどのくらいになりますか。子々孫々に至りますか。
  52. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 新島に射爆場の設置をかりに御了承をいただけたという仮定のもとに申し上げますれば、その間において制限水域を設ける等漁業者に影響を与えるわけでございまするから、そこに射場のある限り永続して補償するというのがわれわれの考えでございます。
  53. 菊池義郎

    ○菊池委員 増田長官は、この前、射爆場の移転に要する経費は、当然に移転を要請した日本のほうで持たなければならぬが、もし射爆場を新島の人々が受諾した場合に、その移転の経費は米国にも頼んで、米国から日本政府に出さして、日本政府から新島のほうへ出すのだというようなことを言われましたが、これは事実なんですか。
  54. 増田甲子七

    増田国務大臣 施設、区域等は日本が提供するわけでございまして、そこで日本が出すわけでございます。すなわち政府が出すわけでございまして、政府が出す場合には、前提として国会の御賛同を得る必要があるわけでございます。
  55. 菊池義郎

    ○菊池委員 私はずっと前に長官のお宅へ朝電話をかけて、アメリカに金を頼んでやらせることもできるんじゃないかと言ったら、そうだ、アメリカから金を出さして、その金を日本政府から向こうへ出すんだ、そういうことを言われたんです。それはどうなんです。
  56. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはこちらがアメリカに申し入れをして、水戸をどこかへかわってくれということで、いやだというアメリカ軍に水戸をかわることを承諾さしたわけでございます。そこで私はお電話のときには、十分に補償を申し上げるということに力を入れたわけで、その財源のことまではまだ正確にはわからなかったわけでございますから、もし財源について財政当局のような発言をしたとすれば、その点は修正させていただきます。
  57. 菊池義郎

    ○菊池委員 私はかれこれ百歳に近い高齢でありますが、精神年齢は二十です。私は耳も確かですし頭もはっきりしております。その私が聞いたのでありまするから、私のことばに間違いありません。長官は確かに、アメリカから金をとって、そしてその金でもって新島の施設をやるんだというようなことを言われた。おかしいと思ったのですが、それは勘違いされたんですかどうなんですか。
  58. 増田甲子七

    増田国務大臣 勘違いでございますから、修正いたします。
  59. 菊池義郎

    ○菊池委員 それからもう一つ、小笠原島に防衛庁としてはどういう施設をなさるお考えですか。
  60. 増田甲子七

    増田国務大臣 小笠原諸島のうち父島と硫黄島と南鳥島がございます。小笠原諸島といっておるわけで、今度協定によって返ってくるところでございます。そこで防衛庁としては、原則として米軍の施設を承継いたす、こういうことでございますが、しかし米軍の基地として扱っている部面でございましても、民生安定のために開放したほうがよろしいというところまでは自衛隊は考えていないのでございまして、できるだけ自衛隊は最小限度にとどめたい、こういうことで、いま防衛計画を練っておるわけでございます。
  61. 菊池義郎

    ○菊池委員 わかりました。
  62. 浜田光人

    ○浜田委員 ただいまのことに関連質問いたしますが、時間がないそうですからずばり聞きます。先日私沖繩へ行ってまいりましたがいま沖繩返還に関連して、沖繩の県民の方たちは文句なしに祖国復帰なんですね。早く返還してくれ。それは二十年の本土の防波堤、さらに安保条約の犠牲になっておる、三たび佐藤さんのジョンソン会談でまた遠のいたんじゃなかろうかという非常な不安を持っておる。そういう中で沖繩へ行ってみると、いわゆる核アレルギーと自民党さんは言っておられるが、あそこへ行くと沖繩の核弾火薬庫は、みんな芝を植えておるから、その上にヤギを飼って放射能のテストまでやっているところです。さらに佐世保でもこの二、三日来はたいへんな放射能の問題が起きておる。そういう状態の中にあって、核つきとか何とか白紙だと言っておられるが、たいへんな問題なんです。これは非常に真剣に考えなければならぬ問題だ。さらにそういう中にあってあそこでは、この駐留軍、米軍に使われる労務者が五万余りおるというのだ。それが布令百十六号で非常に苛酷な労働諸条件の中で働いておられる。特に内地にあって防衛庁では、この在日米軍の間接雇用形態で労務管理をやっておられるのですが、沖繩のこの布令百十六号と雇用形態をどのようにしたら、真に日本国民の諸権利が守られるか、こういう点についてお聞きしたい。ずばりでいいですから。
  63. 増田甲子七

    増田国務大臣 沖繩に所在するであろう核の問題につきましては白紙であるということは、るる総理が申し上げておりまするし、これはもう浜田さんおわかりですね。それから、あと沖繩の駐留軍労務者に対する処置というものは、おそらく日米安保条約の関係日本に返ってくる場合には駐留軍がありましょうから、その駐留軍労務者という形は、在日の駐留軍労務者と同じ形態になって厚く労働条件その他は維持改善される、こういうふうに考えております。
  64. 浜田光人

    ○浜田委員 それは施政権が返還された後のことですが、さっきの菊池先生の質問に対して、両三年間にめどをつけて、さらにその後に、これは三年たつか五年たつかわからない期間に返還する、こういう御答弁をなさっておるのですが、その問はどうするかという問題ですよ。今日争議権もない、あるいは団体交渉権もない。やっとこの問初めてそういう中にあって争議が起きて、団体交渉権は与えようか、こういう程度なんです。いまそういう人たちへどういう基本権を与えて労務管理をうまくやっていくか。あるいは労働者の向上をどうしてやっていけるか。それらについて直接ここでは防衛庁がそういうことをやっておられる。そういう経験の上に立ってどうしたらいいかということをお聞きしておるのです。まずそれをひとつお答え願いたい。大臣が行かれるなら大臣だけ先へ。施設庁長官が答弁されるのはあとでいいですから。大臣が時間がないと言っておられるから大臣に。
  65. 増田甲子七

    増田国務大臣 浜田さんの御質問はほんとうは総務長官とか労働大臣がお答えすればいいところでございますが、しかし条件をつけられておるのでございます。すなわち、駐留軍労務者のことは防衛庁でやっておるから、その見地からどう考えるかという御質問でございますからお答え申し上げます。  その答えは先ほど申したとおりでございまして、すなわち駐留軍という形になった場合は、駐留軍労務者の労働条件と同じ条件になります。労働関係が同じ労働関係になるようにいたします。その過程はどうかというと、閣僚としてお答えいたしますが、沖繩と日本との一体化を促進するために諮問委員会等ができておるわけでございますから、漸次日本に施政権が移行した場合にあまり格差がないように、おそらく諮問委員会あるいは日本の労働大臣日本の総務長官において考慮すべき問題である、こう考えております。これでお許し願えませんか。
  66. 浜田光人

    ○浜田委員 一体化ということは逆に、私たち現地に行ってみて、政府考えておる一体化というものは非常に逆な一体化を考えておられる。非常に現地の人たちは批判しておる。どういうことかというと、沖繩で今日やっておる社会保障制度の大きな柱である健康保険制度でもそうです。大蔵省が政府に、一体化の中であちらの保険制度を内地にも適用すべきだ、あそこは非常に黒字だからと、こう言った。なぜ黒字になるかというと、向こうは現金給付なのです。内地とは違うのですね。その説明をしておると長くなりますが、悪いところだけは、あるいは教育関係でも、あそこはかつて教育二法を粉砕した、だから一体化するときには内地のそのままを沖縄に適用する、あるいは健康保険制度のように向こうの制度を内地に適用する、こういう一体化を考えておられるようで、非常に危険なのです。  こういう議論は防衛大臣とは別個の議論だからやめますが、そこで、あなたは非常に立つことを急いでおられるが、五分ぐらいだから……。  去る十八日にあなたに広島県あるいは山口県、九州のわが党の各代議士が十名ばかり大臣室でお話申し上げたときに、呉が在日米軍の弾薬の集散基地になるのではなかろうか、そのために呉からはるばる逗子の池子まで弾薬を運んでおると言ったら、そんなことはない、どこにあるか。新聞を見せてあげたら、載ってはおらぬじゃないか、こう言われた。これは地方の新聞だけじゃないのですよ。朝日新聞の全国版に大きく出ておる。事実運んでおる。これはみな切り抜いておるが、こんな大きな字で書いてあるでしょう。「神奈川」そこからでも見えるでしょう。そういうことであったら直ちにやめさす、こう言われましたが、事実また今度は、やかましく言ったら貨車で問題の広、黄幡地区から神奈川に送っているのです。貨車で送れば安全なように思われるけれども、問題は同じであり、確かにあの呉地区から全国に弾薬がばらまかれておることは事事ですね。九州、山口から神奈川まで。そうすると西から東まで運ばれておるのだから、全国にばらまかれる集散地になっておるということを県民、市民非常に心配しておる。こういう点について大臣は直ちに交渉されたことだと思うのです、すでにあれから二十日以上たちますから。十五日が来れば一月になります。その後の経過は、どのように折衝されたのか。
  67. 増田甲子七

    増田国務大臣 あなたやその他六人の社会党の国会議員が私のところに抗議に見えたことは約二十日前でございました。そこでそのときにあなたにお聞きした場合には、広島県の広から横須賀、逗子まで運んだということまでは新聞になかったのでございまして、そういう事実はあるからいずれあと自分が証明すると言って浜田さんはお帰りになりましたが、私どもはそういう事実の有無にかかわらずそういうことはおもしろくない。そういう長距離を陸路で運搬するとか、あるいは鉄道で運搬するとかいうことはやめてほしいという申し入れをいたしております。これがあなた方六人の国会議員から陳情なり抗議なりを受けましたそれに対する反応として私のほうでいたしたことでございます。
  68. 浜田光人

    ○浜田委員 そしてこれに対して米軍はどう言っているのです。
  69. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 便宜私からお答えいたします。   〔塚田委員長代理退席、松澤委員長代理着席〕  ただいま浜田先生のお話のありましたように、呉が日本の九州あるいは東京方面に対する弾薬までも含めた集散の中心地になるということは、陸路輸送等の危険もございますので、さようなことは好ましくないということを米側にすでに申し入れております。これに対しまして、米側としては十分その趣旨は了解しておるということでございます。
  70. 浜田光人

    ○浜田委員 了解したらいいが、そういうことをやらせないと確約させなければいかぬ。それからさらに近距離の場合でも、あれだけ輸送の量の多い二級国道や一級国道はもう輸送させないように他の方法を講じさすとか、そういう点について、米軍との折衝の経過なり結果をひとつ聞かしていただきたい。
  71. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 呉から陸揚げさせるようなものについては、それは川上弾薬庫に入れる、そういったのが原則でございまして、その他の地方に持っていくということ、先ほど申し上げたように集散地にするということについては、好ましくないということを申しておりまして、米側もこれを了承いたしました。それで、これにつきまして、ただ、ここに持ってきた場合に、主として広島に持ってきたものについて、弾種によって若干残量が出る非常に小口のもの等につきましては、海上輸送なり何なりするということは、これまた不経済な点もありますので、原則としてはそういうようなことはいたさないけれども、そういう場合もあるだろうが、これは決して原則ではないということでございまして、さような場合には、あらかじめ当然、当方に事前に連絡もするということに話し合いがついております。
  72. 浜田光人

    ○浜田委員 議論はたくさんあるけれども、しかし、不経済と言うが、これは日本政府が金を出してやるのじゃないのですよ。アメリカ自分のドルを出してやるんだから、やらせなければいかぬですよ。そのために日本国民が危険な交通をやる。こういうことは日本政府が遠慮したらいかぬ。特に七〇年を控えて、私は、こういう部分的な問題でなくて、全般的にもう少し勇敢に日本政府アメリカに対してものを言わなければならぬと思うのだ。これは窓口としていろいろ困難な点はあろうかと思うけれども、日本政府を代表して、そういうところは勇敢に、ぼくは国民立場でものを言ってもらわなければならぬと思う。この点は強く要望しておきます。  まだいろいろ、あと問題を残しますが、やめろやめろと言うから……。      ————◇—————
  73. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 次に、農林省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。淡谷悠藏君。
  74. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 まず、大臣にお聞きしたいのですが、日本の食糧の自給を何%に押える方向だといまお考えになっておりますか。
  75. 西村直己

    ○西村国務大臣 現在、総合自給率は、御存じのとおり、四十一年で八一%、その中で、米がたしか九四%——正確に申しますと
  76. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 正確に言っていただきたい、大臣の答弁ですから。
  77. 西村直己

    ○西村国務大臣 はい。米が四一年で自給率は九五%ということになっております。そこで、この米の自給率を九五%でいいか悪いかということにつきましては、これは必ずしも、五で一〇〇にしなければいかぬとか、そういう数字的な議論よりも、私どもとしては、食糧の、何といいますか、消費の動向というものを十分見ていかなければならない。御存じのとおり、消費の内容というものがかなり高度また変化している、こういう問題もあわせて考えてはいます。しかし、いずれにしましても、日本人としては、主食の中の米の自給率というものが、少なくとも私は、現状以上に考えていかなければならない。昨年は豊作でありまして、非常な持ち越しが秋に起こるであろうということは御存じのとおりであります。しかし、これだけで直ちに、それでは余るからどうだとか、簡単な判断をすべきでない。そこで、御存じのとおり、主要食糧ないしは主要農産物につきましては、昭和三十七年から長期見通しというものを持っておりますが、これ自体が、少し経済情勢の背景が変わってまいっておりますから、それらもにらみ合わせまして、秋を目ざしてできるだけ早くそういった個別の自給の目標というものを、結論と申しますか、検討づけをいたしたい、そういう考えでおります。
  78. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 九五%という自給率は何年度ですか。
  79. 西村直己

    ○西村国務大臣 これは私の手元にあります資料としては、四十一年度でございます。
  80. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 麦はどうですか。麦並びに飼料の自給率ですね。特にいまの大臣の御答弁ではっきりしましたが、日本の食生活の内容がだいぶ変わってきている。これは、ハンとかあるいは畜産物の食糧がずっとふえてきておるということは常識でございますが、米が九五%——これは問題がありますけれども、九五%で押えているとしても、一体麦の自給率はどうなっておるか。それから、畜産物のための特にえさですね。このえさの自給率はどういうふうに見ておるか。
  81. 西村直己

    ○西村国務大臣 麦につきましては、これはいずれ専門の諸君から内容を説明していただきますが、私の手元にありますのでは、小麦が二〇%、それから、大麦、裸麦としまして六五%、それから、飼料でございますが、飼料につきましていえば四〇%、これは濃厚飼料でございますね。
  82. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 この食糧というものを、米によらず、もっと広い視野から見ていこうという大臣の構想がわかりましただけに、麦の二〇%の自給率、特に小麦という重大な種目になりますが、それから、飼料の四〇%、この自給率は一体どうなんですか。大臣からいいますと、正しいか正しくないか、あるいは、もっとこれは引き上げるつもりか、このままでいくつもりか。
  83. 西村直己

    ○西村国務大臣 まあ食糧農産物にはこれ以外に御存じのとおり、果実とか蔬菜とか、また、酪農なりあるいは肉、鶏卵、こういうものがございますが、おことばのように、小麦が非常に低い、それから濃厚飼料が低い。そこで、小麦等につきましては、日本のこんな状況下に立って、これが将来どの程度に国内産ができるかという一つの専門的な見解を役所の諸君からお話し申し上げていいと思いますが、必ずしもそうは上がりにくいのではないか。それから、飼料につきましては、まだまだ私どもは、国内におきましても、裏作の利用であるとかいろいろな方法によって、できるだけ努力をしたい、こう思っております。
  84. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林大臣はちょっと中座されるそうですから、役所専門家から聞くのはあとにしまして、これは大臣日本の食糧生産に関する農政の根本理念としてお聞きしておきたいのですが、一体麦の作付が減った趨勢はいつからですか。——いや、その点はあとで聞きます。大臣がわからなければあとにします。  それから、そのほかに、いまお話しのありました肉、卵、あるいは粉乳というのがあります。これは広義の食糧というよりは重大なる食糧になりますが、食肉の自給率はどれくらいあります。それから、卵はどれくらいあるか、牛乳はどれくらいあるか。
  85. 西村直己

    ○西村国務大臣 細部はひとつ専門の諸君からお答えいたしますが、私の手元にありますのでは、大豆などは非常に低いわけでございます。自給率一八%です。くだものは九三%。それから肉類、これは牛肉から豚肉その他いろいろ入っていると思いますが八八%、もちろんこの裏には飼料を食べているということがありますが、一応自給としての肉類全体としては八八%ということでございます。それから鶏卵が一〇〇%、それから牛乳、乳製品として私どものほうは一括しているものは八〇%の自給度でございます。
  86. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこでお聞きしたいのは、米の輸入量ですが、三十五年から四十年、四十一年はちょっと無理でしょうが、これはあとで係官からお聞きしますが、現在のところで押えて米の輸入量はどれくらいありますか。
  87. 西村直己

    ○西村国務大臣 今年度十七、八万トンと私は心得ております。
  88. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 最近伝えられるところによりますと、古米をだいぶもてあましているらしいのですが、この古米をもてあましているというのは、一体日本の米が余っているのか、輸入した米が余っているのか、どちらでしょう。それからもう一つ関連してお聞きしておきますが、きのう大出委員から質問がありましたが、黄変豚ができているということですな。肉が黄色になっている豚がたくさんできて困っているらしい。それからさらに黄変米の話も出ましたが、この古米などほっておいたらまた黄変米騒動が起こると思うのですが、この豚などは一体内地の豚でなったのでしょうか。どういう形ですか。大臣おわかりにならなかったら、あとで聞きます。
  89. 西村直己

    ○西村国務大臣 米につきまして輸入米が残って困るのか、内地米かという、何と申しましても輸入米の量というのは全体の量からいえば小さなものでございます。その中に私どもとしては昨年度の中共米をことしは十万トンぐらい減らして、台湾方面もたしか半分、十五万トンぐらいのを五万トンぐらいにしておりまして、しかしこれも貿易のいろいろな関係もありまして入っていると思うのでございます。したがって古米として残る大部分というものは、やはり国内産である、こう了解しております。  それから中共米の一部に、到着したのに黄変米が出かかったとかということは私もちょっと聞きましたが、それもたいしたことはないように聞いております。それから食肉、豚肉の問題で新聞等に畜産事業団が持っておる肉で変質したものがあるのではないかとかその値段を非常に安売りしたじゃないかとかという御批判が新聞等に出ましたので、私もそれを見まして多少関心がありまして、内容について報告を受けました。畜産局長から細部お聞き取り願いたいのでありますが、これは何か機関がありまして研究した結果、食用にたえないものではない。もちろん何かあぶらがどういうふうに残るとか、いろいろな長い期間の保存によってそこにあぶらの凝結状態が変わってくるというようなことからくる質の変化というものがあるということは事実のようでございます。ところがこれが、それじゃそういう現象がスムーズにうまく回転し得るならそういうことはないのでしょうが、何しろ全国各地の冷蔵庫に保管して、そして地域あるいはその他で操作をしますから、その間に多少のそういうものがあるといういまの操作状況ではやむを得ない面があるのじゃないか。ここいらの点は担当の局長と十分解明をお願いしたいと思うのでございます。
  90. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはあとで解明いたしますが、ついでにお聞きしたいのは、内地米が古米として残ってこれを消化しなくなってくれば、これは一つの問題があると思うんですがね。できるだけ外米は入れたくないのでしょう。食べるほうも外米は食べたくないでしょう。それを内地米を余してしまって、外国米を輸入するという方針は正しくない。伝えられるところによりますと、大体残っておる米は二百三十四万トンと聞いておりますが、二百三十四万トンというのは大体いつごろまでの配給ですか。
  91. 西村直己

    ○西村国務大臣 これが二百三十五万トンになるか四万トンになるか、持ち越しはこれからもう少し先に行って詰めてみなければわかりませんが、いずれにしましても推定されるものがその前後のようであることは間違いないと思います。ことしがたしか六十万トン、四十一年度から四十二年度にかけて六十万トン、それの処理でもそう楽ではないから、相当な量が持ち越されるということは事実でございます。そこで外米の輸入という問題は確かにおっしゃるとおり。ただ、これは一つのたとえば中共との交易におきまして、覚え書き貿易で中共は十五万トン買え、そうでなければなかなか話がつかぬという問題もありまして、私どもとしてはまたひとつ高い立場において、いい小站米のようなもので、また違った面でも消費できるというものであれば、中国貿易のためにも大事な問題であるからといって入っているわけであります。しかし全体の中からいきますと、たしか一昨年は三十数万トンくらいの時代もあったと思います。ずっと十七、八万トンくらいは減ってはおる、こういう外米の輸入状況であります。
  92. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 二百三十四万トンというのは大体何カ月分の配給ですか。
  93. 西村直己

    ○西村国務大臣 それが大体四ヵ月余ではないかと思います。
  94. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 自給率が大臣の言うところに従って九五%としておきますが、そうしますと四ヵ月分の配給量が余ってしまってどうにも困るといった事情は、これはふしぎな事情じゃないですか。それともまた昔の食糧政策のように、三年食をたくわえざれば心安からずというならしかたがありませんが、一体この予備の食糧というのはどれくらいたくわえておくつもりですか。その年その年で食ってしまうというわけにもいきますまいが、配給四ヵ月という在庫量はこれは正当なものなのか、あるいは意外なものであったのか。これはグリーンレポートまで出ておる世の中ですから、そういう計数を明らかにしておかなければなりません。これは農政の役割りだと思うのです。これをただす役割りは農林大臣にあると思うのですが、一体年々の端境期における手持ち米をどれくらいに押えるのが正しい日本の食糧行政であるか、これは大臣からひとつお聞きしたい。
  95. 西村直己

    ○西村国務大臣 私は米の問題——これは米というのは、日常日本人にはおてんとうさまと米とはついて回るものだと思っております。米とか水とか太陽の光というものはコンスタントに、しかも平穏な形で安定的に流していくのが一番いいと思います。それが、ですから非常に持ち越しが多過ぎたり、あるいは少し足りなくて不安感を与えるということはやはりよくない。そういう意味で、私もあまり深い経験はありませんが、食糧庁長官等の意見によりまして、二ヵ月くらいのところの古米持ち越しくらいが一応いまのような配給制度のときにはいいのではないか、こういうように言っております。
  96. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それじゃ余分は二ヵ月というふうに考えてよろしいですね。そうしますと、十二ヵ月の米の需給量じゃなくて、大臣十四ヵ月くらいは持ってなければだめだ、食べるのは。九五%というのは、余裕米まで見込んでの自給率ですか、それとも一年かっきりの自給率ですか。
  97. 西村直己

    ○西村国務大臣 この数字のとり方は、これは専門の諸君に聞いていただきたいのでありますが、いずれにしましても大体いまの一つの配給的な形をとって日本人の食糧、しかもそれが消費構造などを考えていった場合に、二ヵ月くらい余裕を持っていった中での需給体制というものを、たとえばおそらく九十何%にとるというのが大体計算になっているんじゃないか、この計算の基礎そのものはどういうふうにとっているか、これは専門の方からお聞きを願いたいと思います。
  98. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこで二ヵ月にせよ四ヵ月にせよ、実際に米が余って困るわけなんですが、この貯蔵設備は十分だと大臣考えになっておりますか。と申し上げますのは、昨日の質疑応答の中で、いま大臣の御答弁がございましたが、若干実情と違うところがある。豚を貯蔵する場合にどんどん積み込むから、上のほうの新しいのからどんどん食べていって、古いものはいつまでも古い。そのためにあぶらが吹き出して黄変豚になったのだという御答弁があったのです。少なくとも貯蔵するといったような一つの方針があるならば、そう豚が黄変するような貯蔵方針をお許しになるということは正しくないと思うが、大臣どうですか。やはり貯蔵するなら貯蔵するように万全の監督もし管理もするのが農林大臣の職責だと思うのですが、どうお考えですか。
  99. 西村直己

    ○西村国務大臣 事業団のああいうある程度のたくわえを持って買い上げたり放出したりする制度、その中において事柄は、特にこれは普通の貯蔵以上に冷蔵庫というものでございます。それだけに対象も限定されてくる。それから操作も普通の冷蔵庫の温度というものより、かなり技術的に慎重を期さなければならぬものでございましょう。そういう面から見ると、私は豚についてはああいう需給調整の機関というものがやるのはなかなか困難があるということはわかります。しかし、そうだけれども、国民の食糧を、価格を安定させながら、供給を安定させながらやるという以上は、その責任はやはり不断にそういう変質したものをつくらせぬような、一種のその中における流通と申しますか、そういうものについてはわれわれ気をつけていかなければならぬことは事実でございます。  それから米につきましては、冷蔵庫に入れるというような意味じゃないのでございましょう。しかし、これも気温であるとか湿度であるとかというものは当然管理上必要でございましょう。それから防虫、盗難はもちろんです。したがって、これも食糧庁としては倉庫あるいはその倉庫を回転させる方法等については相当なくふうを来年については加えていかなければならぬことは事実であります。  それからもう一つは、ただいたずらに古米をとっておくとかいうのでなくて、やはりたえ得る品質というものをよく考えながら、古米であるか新しい米であるかにつきましては、いずれにしましても品質の持ちこたえ得るようなものを十分に技術的に考えながらやっていく。ですから、私はその意味では保存していきますには慎重かつくふうが要る段階だと思います。
  100. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、少し御答弁が狂っているのですがね。これは国会に長い間おられる西村大臣はすでに御承知だろうと思いますが、この前の黄変米のときにひどい騒ぎがありましたね。したがって、四ヵ月という端境期の貯蔵量は、大臣の理想とする貯蔵量の倍ですね。米の貯蔵というのは冷蔵以上にむずかしいですよ。幾ら米でも生きていますから。そういう点から見ると、これは四ヵ月という米の在庫量、持ち越しは貯蔵上いまのところ心配はないですね。これはかなり大きい量ですからね、いかがですか。
  101. 西村直己

    ○西村国務大臣 貯蔵ということにつきましては、これはむしろ私よりは、技術的な問題になりますから後ほど専門の分野の人たちに十分御質問いただきたいのでありますが、いま承れば水分の少ないものであるとか品質のいいものであるとか、いろいろ品種によっても扱いは十分考えていくということは当然だと思います。
  102. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 米は乏しいよりは多いほうが国民も安心するのです。それでは貯蔵にも何にも心配がないとすれば、この間新聞報道にあったように、困った困ったというのは何が困るのですか。物があり余って困るというのですが、どういう点で困るのですか。時は米価審議会の直前ですよ。米価をきめる場合は必ず米がふんだんだというのです。だから、四ヵ月の端境期の在庫量を持っておって何が一体困るのですか。
  103. 西村直己

    ○西村国務大臣 困るとか困らぬとかの問題ではないと私は思います。今日そこに相当な持ち越し量があるという事実だけは明らかなのです。それで扱いは相当気をつけていかなければ、それはただ倉庫にほうり込んでいけばいいというだけではありません。そういう保管、保存上、それから配給上も気をつけていかなければならない。ですから、困るとか困らぬとかの問題は私どものほうでいま意見を申し上げる段階ではないので、そういう事実が起こるであろうということを想定して用意をしていく、こういう段階でございます。
  104. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 どうもたいへん手持ち米が多くて困っているといったような報道ですがね。これはどこから出た報道か知りません。  そこで一つお聞きしたいのは、ことしの輸入の米はどれくらい約束しているのですか。
  105. 大口駿一

    ○大口政府委員 ことしは食用の米としては十五、六万トンでございます。あとまだ加工用の砕米等がございますが、食用としては十五、六万トンでございます。
  106. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 余っているなら入れないほうがいいじゃないですか。これははっきり四ヵ月分余ったのは、ことしに始まったことじゃないでしょう。それを、余って予定の倍も持っていながらまた入れなければならないというのは、単に輸出入貿易の必要からですか。さっきちょっと大臣のお答えがありましたがね。
  107. 大口駿一

    ○大口政府委員 外国の米を買います場合の輸出入貿易上の配慮は、先ほど大臣が申し上げましたが、そのほかに、いま配給米とそれ以外の米とで値段は相当開いております。準内地米には準内地米としての需要が若干ございますので、内地米の持ち越し量がある場合には、かりに貿易上の配慮がなくなったとしても外米をゼロにするわけにいかないという事情も別にございます。
  108. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、いま長官が非常に重大な答弁をしているのですがね。値段が安くつくから入れるのだ、これは食管会計上の問題もあるでしょう。しかし食糧問題をそういうふうに考えていいでしょうか。少なくとも理想的にいえば食糧などは一〇〇%自給したらよろしい。値段が引き合わなければ引き合うような方法を農政の面で立てたらいいと思う。それを、余っているのに、値段の操作のためにまた外米を入れるというのですが、十五万トンか十六万トン入れて値段の操作になりますか。そういういいかげんな答弁は聞きたくないですな。
  109. 大口駿一

    ○大口政府委員 先ほどの私のお答えのことばが若干足らなかったのでございますが、値段の操作ということで申し上げたのではございませんで、配給値段の安いものに対する需要たとえば工員等が大ぜい寄宿をしているような施設とか、そういうところではやはり内地米のほかに配給価格の安い準内地米の需要がございますので、この需要にこたえるための輸入が必要であるという趣旨で申し上げたのでございます。
  110. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはあとでまたお聞きしますが、大臣、一体畜産物というものとえさとの関係はどうお考えになります。肉類は八八%の自給率があっても、えさは四〇%の自給率で、これで完全に自給といえるでしょうか。
  111. 西村直己

    ○西村国務大臣 ですから、先ほど御説明のときに、肉類としては八八%、しかしこれにはもちろん鶏も入っておりましょう、豚、牛も入っておりましょう、しかし同時に飼料の自給率は四〇%、したがって外国飼料を入れているということを申し上げた。ですから、肉そのものとしてはそういう数字は出ましょうけれども、裏には濃厚飼料の自給度が低いということ、これは当然です。したがって濃厚飼料に対して粗飼料あるいは草地の開発というようなものを非常に重視していかなければならない。そういう意味で、今回も農地法の改正等で草地の利用権の設定というような新しい制度まで起こして草地規模を拡大していこう、こういうことでわれわれ政府としては皆さんに御審議をお願いしておるわけであります。
  112. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 では、えさの自給率を高めるという方針はお立てになっておられるわけですね。その自給率の理想的なパーセントはどれくらいですか。
  113. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 畜産関係で申しますと、牛、豚だとか鶏だとかいろいろ種類があるわけでございます。豚だとか鶏のような濃厚飼料に依存する度合いが非常に高いものにつきましては、これは御承知のように主としてトウモロコシ、マイロだとかそういうふうなものに依存しているわけです。こういうものにつきましては国内生産というものがなかなかできないわけでございますから、こういうものはある程度輸入に依存せざるを得ないというふうに考えております。ただ乳用牛でありますとか肉用牛につきましては本来草食性家畜でございますから、したがいましてこれはできるだけ草などによりまして乳なり肉の生産をすべきものである。国土資源から考えましてもまた牛の生育から考えましても当然そういうことであるべきじゃないかというふうなことで、肉用牛につきましては一〇〇%、それから乳用牛につきましてはおおむね七五%程度は自給飼料によってまかないたい、こういうふうな目標で考えておるわけでございます。
  114. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、大体濃厚飼料の点は自給のあれを捨てているらしいです。一体トウモロコシが日本にできないということはないと思うのですが、これもやはり価格の点ですか。一体日本のトウモロコシの列はどれくらいありますか。理想的な例は何例が一番収量が多いですか。
  115. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 トウモロコシにつきましては一応外国から輸入いたしますものと、それから現在の国内の生産費と比べまして非常に隔たりがあるわけです。そういうふうな点から、生産性が低いし、収益性が低いということで国内で生産するということはなかなかむずかしいというのが現状であろうかというふうに思われます。したがいましてどうも国内の生産ということにはなかなかまいらないというふうなことになっておるわけでございます。
  116. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、私はいまの畜産局長の答弁は将来の飼料自給の点でたいへんな危険を持っていると思うのです。どだい肉用牛にしても草資源だけでやっていけぬということはわかっているでしょう。特に国土の半分くらいは冬は草はありませんよ。干し草となま草ではだいぶ違うでしょう。同じ肉用牛でも干し草になった場合に濃厚飼料を入れないとやれるはずがないことは常識です。特に東北、北海道といったような畜産資源に恵まれたところでは草地の改良だけではだめなことはわかっているのです。濃厚飼料がやはり必要ですよ。濃厚飼料のできないというのも、いまおっしゃるとおりただ経済的な関連だけです。わずか十一列のトウモロコシを二十まで仕上げて——品種改良は外国だって非常に苦労していますよ。二十を突破しているのもある。そういうことをやはり農政の面から見定めませんと、飼料自給の万全の策は立たないと私は思うのですが、大臣どうですか。あくまでも濃厚飼料は海外のものに依存するという形ですか。
  117. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろんわれわれのほうとしては——それは草だけでできない面はありますよ。そういうためにも濃厚飼料というものでも、たとえば裏作である程度飼料をやれる方法もまた考えていかなければならないでしょう。たとえば、冬期の裏作というものはかなりあいておりますから、そういう手も打ってまいる。しかし一方におきまして、草だけでなく、濃厚飼料はもちろん供給しなければならぬという面では海外依存をしていかなければならぬ。たとえば私は、中共のごときもこういうこともずいぶん志向しながらルートを通していけると思う。わが国としては飼料がほしい、中共米はむしろほしくない。相手のほうとしてはむしろ米を売りたい。トウモロコシは出せない。こういうような状況下において、それではもっと国として大事な——特に皆さん中共貿易に御関心がお強いですが、その米の輸入をとめて覚え書き貿易をここで切ってしまうことがどうなのか、こういう問題にもからんで十万トン程度というものが入ってきておるわけでありまして、いろいろそういうこととかみ合わせながら実際の政治というものは進めていかなければならぬ、こういうふうに思います。
  118. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それでは、大臣の御答弁で、単なる粗飼料、草の造成だけではなくて、濃厚飼料の点でも国内自給をはかるということをお考えだというふうに受け取ってよろしいですね。念のためにお聞きします。
  119. 西村直己

    ○西村国務大臣 それは、自給をはかるという意味は、自給度を多少でも上げていく努力はしなければならない、こういう意味でございます。
  120. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこで鶏卵の問題に入りますが、鶏卵は一〇〇%だといっている。ひなの輸入はどれくらいありますか。
  121. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ちょっといま正確な資料を持っておりませんので、調べてお答えいたします。
  122. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 畜産局長、それはたいへんに怠慢じゃないですか。いま大羽数の飼育者の問で一番困っているのは何だと思いますか。輸入ひなによる病気じゃないですか、ニューカッスルをはじめ。その場合に輸入の羽数がわからぬということはおかしい。一体輸入ひなによる病気の状態を畜産局、どう押えていますか。ひとつ詳しく御説明願いたい。
  123. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 では、お答えいたします。  ひなの輸入は大体二百万羽でございます。それから輸入につきましては、御承知のように輸入の際に国内で検疫制度をとっております。この検疫によりましてニューカッスル等の侵入の防止をいたしておるわけでございます。
  124. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 検疫の方法を教えてください。
  125. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 検疫につきましては一定期間検疫所に置きまして、そこでいろいろな技術的方法によりまして、病気の……。
  126. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 いろいろな技術的方法というのは、どういう方法ですか。
  127. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 専門家がおりますから……。
  128. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 局長は専門家じゃないですか。  大臣にひとつお聞きいたしますが、いまニューカッスル病、ほかにも外国ひなによる新しい病気がまた発生しておりますね。お聞きになっておりますか。
  129. 西村直己

    ○西村国務大臣 西日本で特にニューカッスルが激しい。ただ、先般も私、兵庫県方面が激しいので、ちょうど機会を得て行ってみましたが、最近は少しおさまってきておることだけは事実でございます。それ以外に、何か呼吸器に関する病気等も多少あるという話も聞いてはおります。
  130. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ひとつ専門的なお話を伺いたいのですが、生きているひなを一定期間別なところへ置いていろいろな技術を加えて検疫するというのですが、どういう技術がありますか。これはひとつ専門的にお聞きしたい。
  131. 三毛敏夫

    ○三毛説明員 十四日間の検査期間中に、入検当初と、入検中間と、入検解放期と三回にわたりまして健康検査をいたします。血液をとるとか、そういうことはいたしません。臨床的に判断いたします。
  132. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 臨床的にわかりますか。ほんとうは理想的に言えば、そのひなの種鶏場をはっきり調べるのが一番いいでしょう。二百万羽のひなを一々血液検査をやったり、人の目で病気があるかないか確めてみたって、わかるものでないことはわかっておるのです。そのために入ってきたのでしょう。理想的に言えば、このひなを出してよこしたところの種鶏場の母鶏の健康状態をはっきり押さえるのが一番いい見方でしょう。
  133. 三毛敏夫

    ○三毛説明員 お答えいたします。検疫証明書というようなもの、いわば健康証明書ですね、現地の養鶏場における鶏についての輸出国政府の発行する証明書をつけて、そして輸入を許可いたしております。
  134. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その証明書にもかかわらず病気が発生した場合にはどういう方法がありますか。現在入っておるのです。
  135. 三毛敏夫

    ○三毛説明員 さっき申しました十四日間と申しますのは、おおむね急性伝染病につきましては、その期間中に発生するものは発生いたします。しかしながら慢性伝染病につきましては、それ以後に発生するものにつきましては事実上発見することが困難でございますので、慢性伝染病につきましては私どもわかりかねますが、急性伝染病だけでございます。
  136. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 専門的な話になりますから、大臣、時間はどうですか。
  137. 西村直己

    ○西村国務大臣 いいですよ。どうぞ。
  138. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そこで、なぜあなたがそのとおりだという向こうの種鶏揚の実態をお確めにならないか。特に母鶏についての健康を配慮しないか、向こうの検疫所をすぐに信用するというわけにはいかぬでしょう。大型の家畜は別でしょう、牛とか羊とかはいいでしょう。しかし、あの小さな生まれたての脆弱なひなを十四日間も検疫のために置くということは、これはひなの育成上もよくないのです。一体どうして母鶏の検査あるいは種鶏揚のはっきりした信用度をお調べにならないのか。これが一番理想的なのです。国内のひなを出す場合は種鶏管理をちゃんといたしますけれども、どうして外国のひなは検査ができないのですか。
  139. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほど御説明しましたように、外国政府が発行する証明書をつけて、商業ベースで買い付けをしておるわけでございますから、その一々について当方でその農場の検査をするということは、これは不可能でございます。したがいまして、外国の発行する証明書を信頼しまして、それで十四日間置きまして、その結果急性伝染病がないということで国内へ輸入するという措置をとっております。
  140. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 一体ひなの輸入はどこの商社がやっています。
  141. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ひなの輸入につきましては、これはどこといいましても、非常にたくさんの商社が入っておるわけでございますから、ここでちょっと申し上げるわけにまいりませんが、相当いろいろな会社が入っております。
  142. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大体鶏の病気なんというのは潜在しますから、一度入ったら全部一ぺんに鶏を殺さなければならないのです。外国から入れる場合はただ検査証があるとかなんとかで許可すべきものではないのです。それでは入国者に対しても日本で検疫の必要はないでしょう。向こうの検疫の証明書があれば、一々むずかしく立ち会ってやることはないでしょう。一体、生き物を扱う商社が鶏に対する知識がないでしょう。ほとんどあなたのおっしゃる商業ベースで、もうかれば何でも持ってくるでしょう。買う人があれば鶏のひなでもスズメのひなでもいいじゃないですか。一体、商社に対してはっりしたこっちのほうの条件をつけてありますか。つけてあれば商社の名前がはっきりわかるはずです。どこの商社が一体入っているのです。
  143. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 御承知のように、鶏のひなの輸入は相当行なわれておるわけでございますけれども、これは御承知のように病気にかかりまして、ニューカッスル病にかかりますと、非常な経済的な損失でございますから、したがいまして、専門的に輸入いたしておるところでは、やはり相当な専門家を置きましてやっておるのが現実であるというふうに考えております。
  144. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、ただいまの御答弁、お聞きのとおりですが、理想的な病気を防ぐ方法はやはり種鶏の管理だ、母鶏の検査が一番いいということは、これは専門技術官が言っているのですよ。それができないのは、コマーシャルベースで入ってくるからだ、こういうのです。これからどうなるか知りませんが、ニューカッスルによって非常に動揺したでしょう。新しい病気が発生しているでしょう。またそのために鶏というのは、いま営業的には困ってきてしまっているのです。依然として同じような商社が同じようなあやまちを繰り返さないという保証はできないと思う。商社はどうして言えないのですか。許可を与えているでしょう、それで日本に入れておる。
  145. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先ほどお話ししましたように、これはAA物資自由化をしておる物資でございますから、したがいまして、これは自由にだれでも入れられるということになるわけでございますけれども、特定の大きな外国の種鶏農場と契約をして、優秀なものを入れるというふうな状態にあるわけでございます。
  146. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その外国の大きな種鶏場はどこですか。大きいところというのはおわかりになるでしょう。
  147. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 デカルブでありますとか、アーバーエ−カーでありますとか、バイラインでありますとか、アメリカについていえば、そういうようなところでございます。
  148. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはひなに名前がついているからわかりますがね。その間に立っている商社の名前はつかめないのですか。それは私のほうでもわかっているのだから、大体わかるでしょう。
  149. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 これはおもなものについて申し上げますと、たとえばバイラインでございますと、これはハイデオという会社がございます。それからデカルブでございますと、東食でございます。それぞれそういうふうに農場と結びつけた輸入会社というのはございます。
  150. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 農林大臣、ひとつお聞きしたいのですが、鶏というのは、やはり畜産物ですね。そのほんとうのもとをなすひなを食品会社が輸入するということは、これは一体どうですか。私は、農林省がはっきりやるべきだと思う。ちゃんと監督の権利を持って——こういう病気が発生してからではおそいけれども、おそくとも一たん発生したら、その輸入の経路なり、あるいはその種鶏揚なり、母鶏なり、現地について確かめるくらいの熱意があって、初めて養鶏業が発達すると思うのですが、大臣どうでしょう。
  151. 西村直己

    ○西村国務大臣 AA物資でありますけれども、事柄が畜産の予防衛生上大事な問題でもあります。したがって、当然それは農林省としても病気を防ぐでしょうし、また病気が発生すれば、その経路をたどるということは、これは防疫関係の担当官がやっていることだと私は思っております。
  152. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣の御答弁、そのとおりなんですが、病気が発生した場合には経路をたどってみましたか。たどったその経過を御報告願いたい。
  153. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 ニューカッスルにつきましては、先生も御承知のように戦前からわが国にあったわけでございます。終戦後におきましても、二十六年ごろからニューカッスルは国内に流行いたしておったわけでございます。四十一年に特に流行、引き続いて四十二年もかなり流行いたしたわけでございます。最近四十三年になりまして、自衛防疫対策なり生ワクチン等の使用によりまして逐次減少してまいりまして、五月にはほとんどなくなっておる。それに近いというふうな状態になっておるわけでございます。  経路につきましては、相当前からあるわけでございますので、その感染経路というものは、なかなかはっきりつかみにくい、こういうふうに思っております。従来もいろいろ追跡をいたしたことがございますけれども、なかなか十分な追跡はできないというふうな状態でございます。
  154. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ちょっと御答弁に納得いかないところがありますね。ニューカッスルにも日本の型と外国の型があるでしょう。発生したニューカッスルはどちらだったのです。
  155. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 昭和四十一年以前はアメリカ型のニューカッスルでございます。それから四十一年から発生いたしましたものは、アジア型のニューカッスルでございます。
  156. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 その経路はどうですか。アメリカ型の発生した場合は、アメリカのどこからだったのですか。
  157. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 たしか昭和二十六年であったと思いますけれども、それは埼玉県から発生いたしましたわけでございます。それからアジア型が四十一年から福岡県で発生をいたしたわけでございますけれども、この発生の経路について、先ほど申し上げましたように経路をたどってみたわけでございますけれども、なかなかはっきりいたさないというふうな状態でございます。
  158. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 アジア型が福岡で発生し、アメリカ型が埼玉で発生したというのですが、これはただ発生したわけじゃないでしょう。やはりたどれば経路はあるでしょう。経路をたどったというのですが、ひなが入ってくる経路は大体わかっているでしょう。それから管理している場合は、どこから来たひなかちゃんと管理してあればたどれないはずはないじゃないですか。
  159. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 アメリカ型の場合はおそらくキャンプの残滓から出たのではなかろうかという推定がされておるわけですけれども、必ずしもはっきりした証明ができておりません。それからアジア型の場合につきまして——これは大体ヨーロッパとアメリカにありますのはアメリカ型と称するものでございます。アジア地域にあるものがアジア型ということになっておるわけでございますけれども、このアジア型の発生の経路につきましてはどうもはっきりわからないということで、追跡いたしましたけれども、十分な結論が得られていないわけです。
  160. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 えさとか環境なんかは追跡はされましたでしょうけれども、大原則であるひなの発生した種鶏揚についての追跡はなさらなかったわけですね。あるいは輸入商社についての追跡もされなかったのですね。これはいまさらとがめたってしょうがありませんけれども、私は今後に備えたいのです。出たものは幾らあなた方をいじめたってしょうがありませんけれども、やはり手落ちですよ。特にキャンプのほうから来たとなってくれば、新しい問題が生ずる。ひなだけじゃなくて、食肉その他の輸入の場合も一つの管理、監督が必要です。どうお考えになります。
  161. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 お話のように、どういうふうな形のものから出たのか、どこからどういうふうな経路で入ったのかわからないわけです。したがいましてなかなか有効な手段がないわけですけれども鶏につきましては、十四日間動物検疫所で検査をいたしまして、健康なものは解放するということでございます。それから鶏肉等につきましては、若干輸入がなされておるわけでございますが、これにつきましては、外国から入りますものについての輸入条件をつけまして、この輸入条件によりましてニューカッスル等の病菌がないということの証明をつけまして輸入をするというふうな形にいたしておるわけでございます。その輸入の証明書を見まして、それに基づきまして検査をしまして、その結果ニューカッスル等の汚染のおそれがないということで輸入を認めているわけでございます。
  162. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ただいままでの経過についても私はふに落ちないことがたくさんありますけれども、今後そういう輸入ひな等の病気に対して、ニューカッスルはそれで済みましょうが、新しい病気がまた発生しているらしいのですが、お聞きになってませんか。
  163. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 最近やはり非常に鶏がふえてまいりまして、それから集団化する、経営が大規模化していくというふうな形で、新しい病気がいろいろ出てまいっております。たとえば最近、白血病でございますとかそれからCRDでありますとか、そういうふうな従来それほど気にしなかった病気が出てまいっておるわけでございまして、人間についても同じような傾向もあるかと思いますけれども、家畜につきましても、やはり従来ありました病気が撲滅ないし撲滅に近いという状態になりまして、また新しい病気が発生するというふうな形がかなりあるというふうに思っております。
  164. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、これは大臣に聞いていただきたいのですが、例の大羽数、大頭数の飼育が畜産界で始まった場合、百姓が五羽や十羽飼っている時代と違って、病気が発生した場合、鶏にせよ牛にせよ、大羽数飼育には大羽数飼育の病気に対する配慮が必要だということを農林水産委員会で幾度も申し上げた。それがさっぱり実行されてないのです。これに限らず、ひとつ社会党の議員説でもまじめにお聞きになって政策に取り入れていただきたいと思うのです。あらためて大臣の御答弁をいただきたい。
  165. 西村直己

    ○西村国務大臣 確かに大羽数あるいは多頭飼育になりますと 環境が変わってまいります。したがって鶏のようなものがいわゆるマスプロ形態に入りますれば、ある意味からいえば経済性を高める。そのかわり、また鶏の立場からいえば不自然な立場に環境が変ってまいるわけでございますから、それに対しての管理というものの考え方が相当進化してまいるべきことは当然だとわれわれも心得て、そういう点を十分考えていかなければならないと思っております。すべてこれは生きものでございますから、あえて鶏だけに限らず、すべての生きもの相手の農政でございますだけに、環境からくる影響というものは、生命力のないものをつくっている工場生産とは非常に変わっているということを、絶えず念頭に入れておかなければならぬと思います。
  166. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私、ことしのグリーンレポートを読みましてつくづく考えるのです。かつて農業基本法の論争の場合、成長部門として畜産と果樹が取り上げられた。これは成功しているところもありますけれども、うまくないところもあるのです。しかし全体的にいって、鶏なら卵、肉。ひなは輸入。牛のほうは乳もそれから肉も自給しているがえさは輸入、こういう形は私は成長部門として正しくないと思うのです。酪農というのは、乳をしぼると同時に草なり飼料なりつくるのが酪農です。その年の草の生産、えさの生産の量によって乳量を決定するというのが常識でしょう。それを全部えさは外国に依存する、ひなは外国に依存する。これで正しい畜産部門の発展ができましょうか。成長部門でこれではたして政策の実行ができるでしょうか。やるならば、やはりひなの段階まで、えさの段階まで、一貫した畜産部門というものを正しく把握するのが農政の本旨だと思うのですが、大臣、いかがですか。
  167. 西村直己

    ○西村国務大臣 それは私はお説のようにそういうふうに一貫していければ一番いいと思います。えさからすべてが循環して、そして一貫で持っていくことは一つの理想でもございましょう。ただ御存じのとおり、日本の酪農と申しますか畜産というものは、衣食住の関係もあったと思います。それからまた太平洋戦争の間に主食増産一本やりというような時代も経ております。そういういろいろな経緯、戦後の経緯も経て消費構造も変わり、また国民のそういう動物たん白資源を強く要望する声も当然出てくる。そこでどうしてもそういうふうな跛行的ないき方が出ていると思います。しかし同時に、それをそのまま受け取っておいてはいけないのでございますから、したがって草地であるとかあるいは濃厚飼料にしましても、努力のできる範囲において自給度を高めながらそういう形態に少しでも近づけていく。しかし、足りない分につきましては海外から入れてこなければ、需給のバランスが今度はまたくずれてまいる。その面から外国依存度がまた強くなってまいりますから、そこら考えつつやっていく以外にないのではないかと思います。
  168. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、私は問題はもっと深刻だろうと思います。食品会社等が食肉をつくりあるいは卵生産するためにひなを入れてきてどこかに入れて育てるのは、これは養鶏でもごく初歩のほうなんです。問題は何としてもえさの管理です。えさをつくるためには日本の農業の形態自体が非常に困るのじゃないですか。従来のような農法では人間の食糧をつくるのもやっと一ぱい、やはり若干の外国食糧を入れなければどうにもならない。それを牛や鶏のえさまでやるような農法がまだ日本にできていない、経済的な農法ができていない。そこに基本的な問題がある。少なくとも生産面で成長部門を目ざすならば、そこまでめんどうがらずにやらなければ、これは農政にならぬと思います。これは私の持論です。えさの問題でもあまりにも外国種のものに重さを置き過ぎているきらいがだいぶあると思う。草地改良なり草地の育成なりをはかるという予算がつけられたそうですが、一体牧草の種類は何を選んでおられるか。
  169. 岡田覚夫

    ○岡田(覚)政府委員 先生御承知のように、牧草についてはいろいろの種類がございます。やはり寒冷地とそうでないところとによっても違います。したがいまして、その地域に適したいろいろな種類のものがとられているわけでございますが、御承知のようにわが国では草をつくるということが本格的に始まったのは最近でございますから、したがいましてどの土地にどれが一番いいかというふうなことにつきましても、必ずしも十分明らかになってはいなかったわけでございます。したがいまして、現在各県におきましてその地域におきます適品種というものを選定する基準をつくるということで、各県に御協力を願っておるわけでございます。主としてつくられておりますのは、クローバーでございますとかあるいはイタリアンライグラス、そういったものが主として中心にはなっております。
  170. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もう少し専門的なお話を願えないでしょうか。クローバーだとかオーチャードだとかあるいはイタリアンライグラスなんというのはこれはあたりまえ、常識で、もっといい牧草があるでしょう。大臣も、すでにその方法を進めるというのですから。明治の初年に下総牧場で牧草の奨励をしまして、あのときアルファルファをやった。そのときみごと失敗したでしょう。日本にはそういうふうな牧草はだめなのです。泣いた経験がある。これは地下水の高さを調べれば簡単にわかることなんです。非常に地下茎の張った、根の深い草ですから、あの下総牧場みたいに地下水の高いところでは、死ぬのはあたりまえなんです。それから、大臣、みな外国種のものをやるのもむろん必要でしょう。クローバーなどは非常に飼料価値が高い。日本の牧草を少し調べてごらんになりませんか。オーチャードのかわりになぜススキの若もえをやらないのです。ハギはどうでしょうか。コマ草はどうでしょう。日本特有の植物のクズはどうでしょう。土地も気候も違う外国の品物を持ってくるのはけっこうですけれども、一面土着の草がたくさんあるはずですがね。それからもう草地の改良なんて大臣これは気をつけていただきたいのですが、きれいに荒地を起こしてしまって、そこに牧草の種をまいても、よく成育しない。特に大面積のところでは若干の日陰も要るでしょう。灌木の草がたくさんあるでしょう。野生の草で十分やっていることは方々でわかっている。なぜ野生の草などをもう少しやらないのか。ミヤコ草はどうですか。ちゃんとアメリカはこれを培養して別なものをつくっていますよ、日本のものを。たくさんあるでしょう。クズなどジャパニーズクズなんて、ちゃんと特別な研究しているじゃないですか。私これを申し上げたのは八年前です、同じえさの問題で。そのたびごとに農林省の答弁は、十分調べます、やってみますという御答弁、八年間一向進まない。そこへもってきて、園芸局は今度合併されるでしょう。畜産部門が成長部門であるならば、園芸局を独立さしてもっと強くするのがほんとうじゃないですか。蚕糸局もそのとおりですが、一局削減だからといって、機械的に取り上げて農政の根本を誤るようなことはやるべきじゃないと私は思う。いま大臣に申し上げましたが、少し社会党の言うことも取り入れていただきたいというのはただそこなんです。りっぱに北海道は北海道東北は東北、九州は九州、土地についた草資源はやっぱりありますよ。これを全部根っこから掘り起こして新しい輸入種を植えなければならないということは、どだい非常に間違った考えと思うのですが、大臣いかがですか。あらためてひとつこの委員会でも諌言をいたしたい。
  171. 西村直己

    ○西村国務大臣 淡谷さんいろいろ御研究になっておられると思いますし、私はしろうとでありますが、しかし農政の責任者でございます。したがって私は、動物蛋白資源というものを、水産を含めまして、できるだけ供給を、需給と申しますか、みずから国民の力によって供給するということは、これはうんと力を入れなければならぬ。ですから局の削減というような問題は、内容いかんによるのでありまして、形は変わりましても、私はそれ自体が直ちにどうということではないと思います。しかし、そういったような、たとえば国内の土壌に適した家畜飼料は、何といってもおくれております。急がねばならぬと思います。それでも時間がかかる問題でございます。ことに農業というものは、ものをきめましてからでも、それが役に立つまでには相当時間がかかるのでございますから、相当な促進と申しますか、馬力をかけていくことは必要でございます。いわんや、しばしばおっしゃいますが、党が違うからどうか、こういう問題ではございません。これは、農業なら農業を心配する方々のいい意見というものは、われわれどしどし取り上げて取っ組んでまいることをしなければいかぬ、こう思っております。
  172. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 畜産のほうだけ話をしましたが、米の問題に入ります。米の需給の見通しですね。これは少し専門的なことにわたりますので、差し控えておりましたが、この際、はっきりとお聞きしておきたい。一つは、九五%という自給率は、いろいろ動きがあったはずなんです。三十五年以来、せめて四十年までその自給率の動きを御説明願いたい。
  173. 大口駿一

    ○大口政府委員 先ほど大臣が九五と申されたのは四十一年の自給率でございます。  そこでいまちょっと手元にございます数字が全部連続してございませんので、後ほどまた調べて申し上げますが、ここにあります資料では、三十年は九一、三十五年は九八、三十九年が九六、四十年が九二というふうに、年によって、豊凶の差によってこの数字は変動いたしております。
  174. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 一時端境期の米が非常に困ったときがありましたね。端境期の持ち越し量の経過をお聞かせ願いたい。
  175. 大口駿一

    ○大口政府委員 先ほど大臣が申されました二百三十四万五千トンというのは、ことしの十月末、この秋の持ち越し見込み量のことでございますから、その時点中心にさかのぼって申し上げますと、昨年四十二年の実績が六十三万九千トン。古米だけで申し上げます。四十一年度十八万六千トン、四十年度四万七千トン、三十九年度一万三千トン、三十八年度一万五千トン、三十七年度八万六千トン、三十六年度四十五万五千トン。いま淡谷委員の御指摘の非常に困った時期と申しますのは三十八及び三十九米穀年度末のことであります。
  176. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これで見てもわかりますとおり、いままで百万台の持ち越し量が予想されたことはありませんね。みな二けたですね。
  177. 大口駿一

    ○大口政府委員 はい。
  178. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 それが急激に六十三万九千トンから二百三十四万五千トンまで持ち越し量がふえるという見込みは、一体どこから生じたのですか。豊作だけですか。
  179. 大口駿一

    ○大口政府委員 何と申しましても昨年産米の作況指数一一二という、生産全体で千四百四十五万トンでございますが、この生産が持ち越し量の一番大きな原因だと思います。
  180. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 もう少し立ち入ってお聞きしたいのですが、昨年度の需給状況をひとつお聞かせ願いたい。つまり、生産された日本の国内の米がどれだけか、輸入したのはどれだけか、これに対して配給はどれだけあったのか。
  181. 大口駿一

    ○大口政府委員 昨年と申されますのは、昨米穀年度という意味でございますか。
  182. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 そうです。
  183. 大口駿一

    ○大口政府委員 昨米穀年度、つまり昨年の十月末で終わりました四十二米穀年度の主体をなしまする内地米の生産は昭和四十一年産米でございますので、昭和四十一年産米の生産量を申し上げますと、千二百七十四万五千トンでございます。そこで四十二年度におきましては、前年度からの古米十八万六千トンを持ち越しまして、前年度にすでに買い入れました新米の持ち越し量と合わせまして、年度の初めに三百九万九千トンの米を持ち越し、それから外国米の持ち越し量二十八万四千トン、合計三百三十八万三千トンが年度当初の持ち越しでございます。そこで買い入れ数量は九百二十二万六千トンの内地米の買い入れ数量、それから外国から入れました米が四十六万六千トン、合計九百六十九万二千トンが買い入れ数量でございます。  そこで売却のほうにまいりまして、まず主食用としての数字は、内地米が六百十六万三千トン、それから輸入米が三十二万五千トン、合計六百四十八万八千トン、工業用といたしまして内地米が五十六万七千トン、輸入米が十七万五千トン、合計七十四万二千トン。そこで供給から需要をまかないました残りの差し引きの持ち越し量が古米で六十三万九千トン、それから外米で二十五万トン、こういう内容になっております。
  184. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 ことしの見込みをひとつお聞かせ願いたい。つまり二百三十四万五千トンが持ち越されるという計算の基礎です。   〔松澤委員長代理退席、井原委員長代理着席〕
  185. 大口駿一

    ○大口政府委員 本米穀年度当初の持ち越し量は、古米が六十三万九千トンを含めて、新、古米合わせた内地米の持ち越し量が五百五十九万五千トン、輸入米が二十五万トン、合計五百八十四万五千トン、それから買い入れは、ことしの米の作柄が一応平年作という前提を置きまして、過去における、昨年の異常大豊作の年を除きました過去の買い入れ数量というので一番高い数字は四十一年産米の買い入れ数量でありますので、この数字をとりまして、精米に換算した数字でございますが、買い入れが七百六十八万八千トン、一応予算のときに立てました輸入米の計画が三十三万トン、これはその後需給事情によって若干実行上は減らしておりますが、いま申しておりますものは一応予算の基礎になっております計画でございますので、そのつもりでお聞き取りいただきたいのでありますが、したがって買い入れの合計が八百一万八千トン、そこで需要を申し上げますと、主食用内地米六百四十八万八千トン、輸入米十六万七千トン、合計六百六十五万五千トン。工業用内地米六十二万五千トン、輸入米二十万四千トン、計八十二万九千トン。その結果、ことしの秋に明年度に持ち越しまする持ち越し米が、古米二百三十四万五千トン、輸入米で二十万九千トン、こういう内容でございます。
  186. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これはグリーンレポートのいろいろな経過を見てもわかりますが、将来における見通しをお聞かせ願いたいのです。最近における農業の実態等もあわせて考えてお答えいただきたい。
  187. 大口駿一

    ○大口政府委員 現在農林省におきまして、米を含めた各種農産物の将来の需要の見通しを作業中でございますので、正確な数字として申し上げるのはその作業のまとまったあとということになると思いまするが、米について申しますれば、最近の傾向といたしまして、食用の一人当たりの消費量は漸減いたしております。したがって、人口増加による需要増を一人当たりの消費量が大体張消しにするというような感じで、主食用としては総体としてやや横ばいの傾向。工業用の需要は、酒米の需要等を含めまして若干微増しておるというのが現在の状況でございます。  それから生産の問題は、これはもちろん天候によって非常に豊凶のフレがあるものでございますが、最近の農業技術等の発達によりまして、並びに農薬の発達によりまして、豊凶の凶のほうに振れる度合いは、ひところから見るとだいぶ狭くなっていると思いますが、おおむね千三百万トン前後が平年作というふうに私どもは理解をいたしておりますので、私は米自体で自給できる状態がいつかということは、先ほど申しました農林省の部内の作業がまとまりましたあとにさしていただきたいと思いますが、他方において、農地の壊廃、農地の造成等の状況も考えあわせる必要がありますので、いつということを的確にこの場で申し上げられませんが、しかし、天候さえ正常であれば、わりあいに近い将来に米については自給可能な状態に到達をするのではなかろうか、そういうふうに抽象的には申し上げられるかと思います。
  188. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 率直に申し上げて生産は横ばい状態でしょう。そう急激な増加はしていませんね。それから食糧の漸減傾向というのも、米の場合がそうである。人口の増加に応じて麦その他の食糧がずっとふえているせいもありますね。麦の需給方向を御説明願いたいのです。これは四〇%の自給率しかないのですから、米が幾ら自給したって、新しい食糧のほうに入ってきました麦が全く自給率を下げてしまったのでは、全般の食糧としてはやはり問題じゃないですか。大臣、そうじゃないですか。麦の需要並びに供給に対する御報告を願いたい。
  189. 大口駿一

    ○大口政府委員 先ほど私がるる申し上げましたのは、全部米だけを申し上げたのございますが、麦につきましては、四十一年度の小麦の自給率二〇%という数字は先ほど大臣からお答えがあったとおりでありますが、国内の麦の生産状況は、昭和三十年来から毎年非常に作付面積が減少いたしております。この傾向が今日まで続いた結果このような数字になったわけでありますが、国内の麦の作付面積が減りました事情は、まず麦というものの日本における生産性が非常に低いということ、並びに裏作としての農業労働力の需給関係が非常に逼迫をしておるというような事情から不作付地がふえておるというようなことも見られることからいたしまして、麦の実際の作付面積は減っておるわけでありまして、私どもここ数年来、米価審議会等におきまして麦の生産についていろいろな対策を研究すべきであるという御意見をたびたびちょうだいいたしまして、私どもいろいろ研究いたしたわけでありますが、麦の生産というものの画期的な回復というものは残念ながらないという状態でございます。ただ現在の麦の制度は、御承知のように昭和二十七年以来、いわゆる間接統制ということになっておるわけでありまして、実際の価格関係も、流通麦の大部分は、ビール麦を除いてほとんど全量が食糧庁に買い上げられておる状況でございますが、従来は食糧庁に生産者は全部麦を売り込む、需要者は食糧庁から割り当て売却を受けておるという状態でございますために、生産と需要との結びつきがほとんど見られておらない。すなわち、生産の面で申しますればどのような地域、どのような品種の麦が日本の国内において需要度が高いかという事情が必ずしも反映しない。また需要の面では生産の上に注文が十分に反映をしない。作付面積は全国的に一律に減っておる。このことは裏を返して申しますれば、ほんとうに需要が旺盛であるべき地域においても、必ずしもそうでない地域においても、需要と生産の結びつきがないために一様に減っておるというような事情がございますので、実は昨年度から、これを改めますために、麦に契約栽培方式というものを、新たに取り入れまして、需要者と生産者との間に事前に契約を結ばせまして、食糧庁は麦を価格差補給の目的で買いはいたしますが、売ります際にはその契約を尊重して売るという制度を新たに導入をいたしたのであります。この制度のねらいは、将来の麦について、ほんとうに国内需要が、立地からいっても品種からいっても、どういうものが一番望まれておるかということを的確に生産の面に反映をすることによりまして、いまの地すべり的に減っておる麦の作付の状況というものをもっと経済的な面でてこ入れをしたいというねらいで導入をいたしたのでありまして、昨年小麦で実施をいたしましたが、今年度からは、できれば大、裸麦も同様な制度を導入したい、このように考えております。
  190. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 私の質問に対するお答えがまだできませんが、麦の需給の実態ですよ。つまり二〇%の自給率というものは、ほとんど八〇%海外の輸入にまっているということなんでしょう。したがって、輸入量の実数をひとつお聞きしたいし、それから日本の食糧の変化になる米と麦との比率、これも人口増加に伴って、米の需要増加があまりなくなってくれば、別のものを食べているのです。何も食わぬわけじゃないですからね。これを詳しくお聞きしたいのです。これはくどいようでありますが、やはり食糧政策である限りは、米だけに重点を集めても、麦のほうで二〇%なんという自給率では、やはり不安ですよ。麦はほとんど皆無作に近い。それは統計に明らかです。したがって、皆無作になると輸入がふえるはずなんですが、そういう点をもっと正確にお聞きしたい。
  191. 大口駿一

    ○大口政府委員 麦の需要の状況でございますが、先ほど申しました二〇%の自給率になりますと、土台の麦の輸入量で申しますならば、四十二年度で約三百三十万トン、その前年が三百十二万トンと、ほぼ三百万トン台の輸入をいたしておるわけでございます。生産は先ほど私が申し上げましたとおりでございますが、戦後になりまして国民の食生活が、米が足りないということのために、いわゆる代用食ということで粉食が奨励されたのでありますが、最近におきましては、米が足りないから粉食という形ではなくて、むしろ所得が非常に高度化をいたしましたために、日本人の食生活の内容、構造が高度化したということで小麦の消費が着実に伸びておる状態でございます。したがいまして、いまや消費の面で申しますならば、麦は米の代替であるという形ではなくなったと思います。ただ大麦につきましては若干事情が違いまして、押し麦としての需要は米が足りない時代には非常にあったのでありますが、その後、米の需給が逐次回復をするに伴いまして、現在の大麦の食用の需要というものは、ビタミンを強化をする麦の需要以外にはほとんどなくなっておる状況でございます。したがいまして、麦の需要状況というものは、今後の所得の向上なり食生活の構造の高度化に伴いまして、今後とも着実に伸びていくものと私は考えております。  そこで、全体の需要がそういう事情でありながら、国内の生産は、先ほど申しましたように、いろいろな方法を研究いたしましたが、全体の面積の減少なり生産量の減退傾向は、遺憾ながらなかなか食いとめられないということでありますので、食用の小麦に関する限りは、この自給率を逆にふやすということは非常に困難が伴うのではないかというふうに、率直に私のほうはいまの時点考えておる次第でございます。
  192. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これは麦の輸入の増加してくる趨勢を聞きたいのですから、三十年、三十五年、四十年、四十五年と、四期にわたってお出し願いたい。小麦だけでいいです。
  193. 大口駿一

    ○大口政府委員 会計年度でございます。米は米穀年度で申し上げて、いろいろ前後して申しわけありませんが、新しいほうから古いほうにさかのぼって申し上げます。四十二年度三百十六万四千トン一先ほど小麦粉を入れて申しましたので、恐縮でございました。小麦粉が若干ございましたので三百三十五万二千トンという数字になりましたが、原麦だけで申しますと、四十二会計年度三百十六万四千トン、その前の四十一年度が三百六万一千トン、その前の四十年度は二百五十二万五千トン、その前の三十九年度が二百四十六万七千トン、その前の三十八年度が二百四十九万六千トン、その前の三十七年度は百六十四万三千トン、三十六年度が百八十七万一千トン、三十五年度二百十六万八千トン、三十四年度二百十一万二千トン。
  194. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 これに伴って小麦粉などもやはり入っているのですか。
  195. 大口駿一

    ○大口政府委員 小麦粉で入ってくるのは、加工貿易等のごく例外的なケースでございまして、通常は全部麦で入ってまいります。
  196. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 少なくとも趨勢は、十年たたないうちに五割上がっていますね。それが将来、五年後、十年後にはどれぐらいまで上がるお見込みですか。あなたはもう自給ができないと言っちゃったんですよ。ですから、いやでもこれは輸入しなければなりません。
  197. 大口駿一

    ○大口政府委員 今後たとえば五年後に要輸入量が幾らという数字は、先ほどちょっと申し上げましたように、現在農林省の中におきましては、各農産物全部についての今後の需要の見通しなりを的確につかもうという作業をいま鋭意やっておりますので、せっかくのお尋ねでございますが、いまここで小麦が何年後に何トンということをあまり腰だめで申し上げてもいかがかと思いますが、ただいま淡谷委員の御指摘になりますように、麦の消費量の現状からいたしますと、今後も輸入増の傾向は続くというふうに私は考えております。
  198. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 大臣、これは重大な御発言だと思うのです。食糧の安定した形というものは、あらゆる食糧を包含しなければならないことは、大臣もおっしゃるとおりです。米はたとえば九五%自給率があったとしても、麦はこのような趨勢、さらに飼料はどうか、非常に私はいま日本の食糧というものはあぶない段階に置かれていると思うのです。いま手をつけなければ、気がついたときはもうおそいですよ。大臣、何かこれに対して的確な農政上の見通しをおつけになっておりますか。これは国民の食糧に関する問題です。嗜好品その他も大事ですけれども、基本的な食糧問題です。小麦はややもすれば主食でないような扱いを受けている場合もございますが、人口がだんだんと増加するのに対して米の需要が停滞するというだけで食糧問題は放棄すべきでない。この見通しは一体どうつけられるのですか。一年、二年の見通しじゃしようがない。五年、十年後における日本の食糧事情というものははっきりいまから方向を立てませんと農政と言われませんから。大臣の御所見を伺いたい。
  199. 西村直己

    ○西村国務大臣 そのためにも、最近の昭和三十一七年ごろに立てました例の長期見通しに対しまして、ただいま急いで現状の背景のもとにおいての今後の需給を的確につかみたいという作業をやっておるわけであります。もちろんこれは農業のことですから、おっしゃるとおり、私どもがきょうやったからあした買えるという工業生産とは違うのでありまして、御承知のとおり農業生産はロングランでものを持っていかなければならないというのは全く同感であります。しかも大事な問題であります。  最初に申し上げましたように、主食というものがコンスタントであり安定しているということが一番の生活の基盤でございます。またつくられるほうにおいても大事なことだ。一つは消費の面、それからもう一つは生産基盤の面もあると思うのでございます。この生産基盤の動向というものも的確につかむ、そうしてその上にどう誘導するかということを考えてまいりまして、その中において今度は、海外依存しなければならぬものもそれはものによっては出てまいるでありましょう。それをそれではどの程度の限度で見通していくか。あらゆるものをくみ上げていきたいというので、私どもとしては、米につきましては一応のああいう形はとっておりますが、麦等につきましては自給度はなかなか伸びにくいといういまの段階でございます。増産はできましょう。しかしそれだけ、米とは違った意味でのパン食ならパン食という固定した一つのものが発生しておりますから、それに対してどうしていくか。代替という考え方でなくて。  もう一つは飼料でございます。飼料も、日本の土地の特性が一つはございまして、相当広大な平野を持っておるような国ではないわけでございますが、ある程度濃厚飼料なんかにも限界があるかもしれませんので、それに対して草資源でいける限度で、自給飼料でいける限度で将来の畜産、食肉的なものの需要あるいは略農の需要というようなものを十分見通していまの方向と合わせて私どもはやってまいらなければならぬ、こう考えておるわけであります。
  200. 淡谷悠藏

    ○淡谷委員 本会議の時間が迫っておりますから保留しておきます。ただし、日本の食糧に対しては非常に計画が乏しいのです。これはグリーンレポートを読んでもわかりますし、数年前につくられました農業基本法、これなどは食糧の食の字も入っていない。そういう点でいま早急にこの計画を立てませんと私は地すべり的に食糧難が起こってくるということを憂えます。なお、この点について若干続行したいと思いますので、きょうは保留しておきます。
  201. 井原岸高

    ○井原委員長代理 この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十四分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕