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1968-04-12 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十二日(金曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 井原 岸高君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 藤尾 正行君    理事 松澤 雄藏君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君 理事 受田 新吉君       荒舩清十郎君    内海 英男君       桂木 鉄夫君    菊池 義郎君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       武部  文君    華山 親義君       浜田 光人君    八木 一男君      米内山義一郎君    永末 英一君       鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      木村 俊夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         外務政務次官  藏内 修治君  委員外出席者         総理府特別地域         連絡局参事官  加藤 泰守君         外務大臣官房外         務参事官    内田  宏君         専  門  員 茨木 純一君     ————————————— 四月十日  委員華山親義君及び伊藤惣助丸君辞任につき、  その補欠として石橋政嗣君及び渡部一郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員石橋政嗣君辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員塩谷一夫君及び藤波孝生辞任につき、そ  の補欠として千葉三郎君及び綱島正興君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員千葉三郎君及び綱島正興辞任につき、そ  の補欠として塩谷一夫君及び藤波孝生君が議長  の指名委員に選任された。 同月十二日  委員南條徳男君、華山親義君及び渡部一郎君辞  任につき、その補欠として野呂恭一君、八木一  男君及び伊藤惣助丸君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員八木一男辞任につき、その補欠として平  岡忠次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員平岡忠次郎辞任につき、その補欠として  華山親義君が議長指名委員に選任された。 同日  理事上村千一郎君同日理事辞任につき、その補  欠として藤尾正行君が理事に当選した。     ————————————— 四月十日  王子野戦病院開設反対に関する請願外二件(  河野密紹介)(第三七三三号)  公務員賃金抑制及び定員削減反対等に関する  請願佐野進紹介)(第三七三四号)  同(依田圭五君紹介)(第三七三五号)  行政職俸給表(二)等適用者差別撤廃等に関  する請願依田圭五君紹介)(第三七三六号)  元満鉄職員であった公務員等恩給等通算に関  する請願外三件(大石武一紹介)(第三七五  四号)  恩給の不均衡是正に関する請願大石武一君紹  介)(第三七五五号)  国及び地方公共団体建設関係職員現場手当支  給に関する請願増田甲子七君紹介)(第三八  八四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第六八号)      ————◇—————
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  理事辞任及び補欠選任の件についておはかりいたします。  理事上村千一郎君より理事辞任申し出があります。これを許可することとし、その補欠選任につきましては委員長において指名することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、藤尾正行君を理事指名いたします。      ————◇—————
  4. 三池信

    三池委員長 総理府設置法の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。
  5. 八木一男

    八木(一)委員 私は、ただいま議題となりました総理府設置法の一部改正案につきまして田中総務長官並びに関係政府委員に対しまして御質問を申し上げたいと思います。  この総理府設置法の中にはおもな要件として二つ盛られておりますが、その中の同和対策協議会任期延長部分及びそれに関連した問題について御質問を申し上げたいと思います。  同和対策協議会延長自体の問題についても後ほど触れたいと思いますが、その背景になっている大切な同和問題及び同和問題の同対審答申の尊重の問題と、そしてその中の中心課題でございます同和対策特別措置法提案促進の問題について主として触れてまいりたいと考えておるところであります。  同和問題については田中総務長官は前から非常に御造詣の深い方と伺いますし、また私もこの数カ月の総務長官とのいろいろの交渉においてその感を深くしておったわけでございますが、総務長官はこの同和問題の歴史的な沿革、現状、それに対してどう対処すべきかということについて総括的にまとまったお気持ち、御意見がございましたら、そんなに長い時間でなくてお聞かせをいただければありがたいと思います。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 八木委員にお答えいたしますが、いまの同和問題はまことに久いし歴史的な背景を持っておる問題でございます。この点は、時間のないただいま申し上げるいとまもございませんが、しかしながら、今日なお新憲法下において、日本社会構造の中において差別があるという問題につきましては、われわれは一日もすみやかにこれを解消しなければならない、かように存じまして、政府といわず、あるいはまた各党といわず、あげてこの問題と取り組んでおるような次第でございます。
  7. 八木一男

    八木(一)委員 総務長官は遠慮なさいまして時間の節約上あまり申されませんでしたけれども、これは私の考えておりましたことと、総務長官並びに政府関係者の考えておられることが一致した状態において、同じ気持ちで強力に推進していかなければならない問題だと思いますので、私の見解を要約して、ただいま御質問申し上げましたことについて申し上げてみたいと思います。  同和問題についてはいろいろの学説がございますが、そこで一番集中して定説になっているものが述べているように、この問題は徳川時代に始まった身分的差別という問題、身分的な階級制度という問題から発足をしていることは明らかであります。徳川時代においては、おもな生産担当者でございます農業をやる人々、そういう人たちから、そのときの支配者でございます武士階級が経済的に収奪をいたしまして、その財政的な、物質的な根拠のもと武士政権を永続化したいというところから始まったところであります。百姓は食わしむべからず、飢えしむべからずということばで象徴されているように、生産階級である農民を極度のぎりぎりまでしぼり取るということが、徳川時代政治の一番の重点でありました。それを実行するときに、一生懸命つくった米をほとんど収奪をするということになれば、それに対する農民の反抗が起こる。それを抑えていかないと徳川幕府が続いていかない、武士階級権力が続いていかないということで、それを押えるために故意身分制をつくって、武士階級を第一に置き、農民階層を国の宝だとして第二番目に置き、そして大工、左官その他建築に関係しておる人々を三番目に置き、それから商売をしておる人を四番目に置く。さらに故意穢多非人という身分制をつくって、農民権力者の次に高いものだというような名誉を与えた。国の宝であるからという名誉を与えて、そのかわりに経済的にしぼり取るということから始まった制度であります。そしてまたそういうふうに国民階層を身分的に分けることによって、権力者である武士が非常に横暴をすることについて一致して立ち上がることを防ぐために、国民をかく身分階層に分けたわけであります。そのようなことから発足をして、人為的に徳川幕府政権を維持するためにつくったその身分制から始まっているわけであります。最初はそういうことについておかしなことだとされておりましても、百年、百五十年たつとそれが生まれつきのそういうものであるように国民が誤認をいたしまして、そして国民の中に抜きがたい差別観念を植えつけることになったわけであります。その後、明治時代になって、明治四年に太政官布告を出して国民は平等であるという状態をつくりました。つくりましたけれども、そのやり方がはなはだ不徹底でございました。大名と貴族公家階級には爵位を与えました。武士階級士族という名前で残しました。それ以外の国民平民ということになりましたけれども、そのときに太政官布告穢多非人平民と同様に扱うという、いわゆる解放令ができたわけでございます。観念的に平等にしたように見えまするけれども、そのような公侯伯子男士族という階層があれば、それが尊い階層である、また前から残した位階勲等がそのまま続けば、その人たちは尊敬さるべき人たちであるというような誤った思想が濃厚に残りました。人の上に人があるという思想が残ったわけであります。それは裏返して言えば、人の下に人があるということになります。貴族があれば賤族ありという問題が残ったことになるわけであります。したがって、明治改革は非常に不徹底で、前のいわれない身分的差別概念国民全体に濃厚に残したまま、明治時代大正時代昭和時代も進んできたわけであります。  その次に経済的な点については、明治政府徳川時代よりもはるかに悪いやり方をとりました。工に当たる人たち仕事がふえて発展する。商に当たる人たち資本主義興隆期を迎えて大いに発展をいたしました。農に当たる人々も、武士の米を取り上げるそういうワクがはずれましたから、地主、小作おのおのその中に楽な人と苦しい人がありましたけれども、しかし武士から収奪される部分がなくなっただけは楽になりました。そして武士のほうはどうかといえば、これは士族哀話というような小説その他に載っておりまするけれども、実際上は手厚い措置を施されました。いわゆる官軍側高級公務員に非常にたくさん登用されました。いわゆる幕府側下級公務員にたくさん登用されました。したがって、安定したそのような職業につく人が大部分でありました。それとともに、武士階級が俸禄がなくなったことに対して、その当時で合計二億一千万円の秩祿公債を発行いたしております。その金はいまの貨幣価値で、卸売り物価換算をして二千七百億円、小売り物価では五千億円くらいの換算になります。しかも、そのお金をもとにして年三分で計算すれば、実に百七十兆くらい、年八分のあのときの公債の利息で換算をすれば、これはとてつもない天文学的な数字に達するような金額になります。数の少ない武士階級には秩祿公債ということで経済的な発展もとを与えました。農民となるためにも開墾適地を優先的に与えた。それを補助をして大農になるような道を開きました。しかしながら部落人たちにはそれと逆に、徳川時代にはそのような身分的差別をしておりました反面には、経済的なある程度の特権がございました。その特権明治政府は全部取り上げました。たとえば、斃獣処理権等特権を取り上げたわけであります。そして職業が自由になりましたから、おもに皮革関係仕事をしておった同和地区の人の特別な仕事一般の大資本がどんどん食い込んでくることになりました。労働者あるいは勤労者として立とうとすれば差別が濃厚でございまするから、官公吏はもちろん、普通の会社でもこれを雇用いたしません。労働者として立つ道がございません。農民として立とうとすれば、明治初年の農地改革農村に住んでいる同和地区の住民に一寸の土地も分け与えなかったわけであります。また、小作権も与えなかった。その後非常な努力をして、わずかな条件の悪い小作権は何十年の間に少し確保しておりまするけれども、初頭においては小作農にもなれない、手伝い農業労働者、不安定なそういう状況しかできませんでした。商売をしようとしても、町の中で土地を売ってくれない、貸してくれない。家を売ってくれない、家を貸してくれないから、そのようなところで商工業を営むことができない。労働者としても中小商工業者としても農漁民としても立つことのできない状態に置いて、しかも前になかった徴税の義務、徴兵の義務を課しました。貧乏でありますから、いろいろな土地税金やあるいは所得税のようなものはかからないかもしれませんけれども、いままで自分で醸造してどぶろくをつくっておったのが、税金のかかる酒を飲まなければならないということになるわけであります。そういう点で納税をする義務を負った。そして働き盛りのときに兵隊に引っぱられる義務を負った。明治政府徳川時代よりも経済的にははるかに圧迫をする方法をとりました。  その結果、その身分差別から出た貧乏が加速度的に増大をしてまいりました。明治から大正にかけての資本主義興隆期は、このような半永久失業群があることが、低賃金収奪をしながら資本主義を伸ばすのに好都合でございまするから、明治大正においてはその対処は行なわれませんでした。  その後、そのような状況差別貧困が極度に達したときに富山県から米騒動が起こりました。これは一般漁民の家庭の婦人から始まった運動でございまするけれども、一番米価の値上がりについて苦しい立場にある関西関西の中の特に部落の同胞にそれが急速に波及をしてあの米騒動発展をいたしたわけであります。そのような状態をとって政府はびっくりして、いままで怠けておったことについていろいろの対策を立て始めようといたしました。そして、それを契機として全国的に、いかに政府が何もやってくれないかということと、国民差別をすることと、極端の貧困にあえいでいることがもとで、いわゆる水平社運動が起こり、糾弾闘争発展をいたしました。その後、そのような糾弾闘争は表向きの差別国民がすることを抑制することにおいて役に立ちましたけれども、裏ではその差別概念はひとつも消えないという状態で、裏の差別は続きました。貧困はあくまでも続きました。  それに対してその後、そのような差別言辞を弄するもののもとをただしました。たとえば、部落同和地区が衛生的な環境が悪い、そこの子供が学校にあまり出てこない、トラホームが多い、そういうことが差別言辞を弄したもとになっているということを発見する。そのようなままに放置をしている自治体はどうしている。市町村府県にそういうことを直す行政責任があるというような要求が起こりました。そのように市町村府県に対してそういう要求が起こり、いろいろな運動が起こりました。政府のほうが対処しましたやり方も、この大東亜戦争の前段になってそれを中止いたしました。そして戦後を迎えたわけであります。  戦後を迎えて、民主主義時代になりまして当然解決されなければならないのに依然として解決されておりません、戦後の農地解放は、小作権を持っている者に自作農創設というやり方で、農地解放をいたしました。農村についている部落人たちは、この明治から大正について数十年の間に一生懸命農業手伝い人として働いた。まじめに働くからということで恩恵的に一反歩反歩、山の陰で一番条件の悪いところ、川のそばで作物が流れるところ、そういうところをやっと分けてもらって、二反か三反の小作権を何十年の間に確保しておりましたから、幾分の小作権を持っておりましたけれども、一般農村人たちのように多くの小作権を持っておりませんでした。したがって、戦後の農地解放は非常によいやり方でございましたけれども、少なくとも農村地帯同和地区人々にはごくわずかしか均てんしておらないわけであります。しかも、戦後においては、政府のほうが始めかけておりましたことを、進駐軍行政下にあって、この歴史的な背景を知らない進駐軍が、ただ形式的平等をとなえ、国民の一部に対して特別な措置をすることはおもしろくないというような、現状を、歴史一つも知らない進駐軍のため、前にとられようとしていたものがストップになりました。ところが、独立後日本ほんとう政治がよみがえってまいりました。そこで、その歴史的な背景に基づいて、非常な貧困、たとえば、生活保護については、全国各地の平均の三倍近くある失対労働者の中で、関西以西においては、たとえば私の居住している奈良県においては、八割までが部落の人である。そのように、生活保護の率、あるいは失対労働者として働いている人の数、あるいはまた、兵庫県等にある、いわゆる臨時工社外工の問題、その人たちがほとんど部落の出身の人であるというような現状から見、その当時、長欠児童、未就学児童の大部分が、関西以西においては部落子供たちであるという状況がありました。そういう状況もとにいろいろの要請あるいは運動が始まったわけであります。国会においても、その要請を受けていろいろな討議が行なわれました。内閣や各省においてもぼつぼつとこの問題に対して対処が始められました。そこでいろいろな討議が行なわれ、まず、その当時行なわれた問題は、環境改善にちょっと手がつけられております。同和教育にちょっと手がつけられております。しかし、それでは全体の問題を解決することはできない。観念的に差別がなくなったもののように見えても、いまの民主主義時代でも、子供は純真になっていても、子供がある程度に達すると、大人が、あそこの子供とはあまりつき合わないようにというようなことを言って、依然として観念的な差別も残っている。そういう貧乏と貧困の実態があり、それがだんだん拡大してくるという状態にございました。でございまするから、環境改善は、同和教育だけでは問題が足りない。明治以後の、労働者として、農民として、漁民として、中小企業者として成り立たせなかった問題、それを根本的に解決することが大きな柱でなければならないということになったわけであります。同和地区の人が、労働者として、臨時工社外工というような状態ではなしに、ほんとう自分の能力に従って働ける場所へどんどん行けるようにする。小さな農業でも、小さな工業でも、漁業でも、成り立つようにさしていかなければならない。貧困からできた環境の中で住宅は猛烈に悪い。これを直していかなければならないし、環境も直していかなければならない。そういうような問題になったわけであります。  そこで、昭和三十二年に衆議院社会労働委員会でこの問題が取り上げられました。岸内閣総理大臣質問者との討議において、総括的に内閣国会との約束国会を通じての国民との約束として、問題の整理と約束が行なわれたわけであります。その問題は、そういう歴史的背景を全部討議して、その背景の中で、部落人たちのいまの貧困と貧乏と差別は一切その人たち責任ではない、徳川時代以来のすべての政府責任である、この問題の解決は全国民責任であり、具体的にはあらゆる内閣の、すべての政府責任である、いかなる政党内閣を編成しようとも、何ぴとが総理大臣になろうとも、これに対しては全面的に急速に対処しなければならない、そのことが一つ確認されました。そこの中で、部落人たちの一切の責任ではないということは、いま貧困であり、いま貧乏であり、差別が消えないということは、何十年もスタートをおくらせた政府行政責任であるということが確認をされたわけであります。したがって、すべての面において、それを取り返す強力な措置をすることが政府責任であり、国民責任であるということが明確にそこで約束をされました。その問題を進めるにあたって、政党利己心など一切出してはならない、あらゆる政党が協力してそれを進めていかなければならない。具体的には、いまわかっている有効な制度を、予算を惜しまずにどんどんやっていくとともに、総合的な審議会をつくって、そこで結論をつくったことは一瞬の遅滞も許さず、即時、全面的に、急速に実行していく。それについての予算などは一文も惜しんではならない。そういうことについては、国会を通じて岸内閣総理大臣国民との約束になったわけであります。その問題をもとにして同和対策審議会ができ、その審議会に対して諮問をされたのは池田内閣であります。その答申を受けられたのは佐藤内閣であります。そういう経過がございまするから、同和対策審議会答申について、それをびた一文でも値切ったり、その要項を削除したり、そこに書いてあるものを遅滞をさせたりということは、このような、憲法のあらゆる条章に関係のあるもとにおいて、国会政府約束したことの違反になるわけであります。ところが、その同対審答申が出ましたそれについて、佐藤内閣総理大臣は、衆議院の本会議なり予算委員会なりで、これを完全に急速に尊重することをしばしば積極的にお約束になりました。そのうちの中心的な課題でございます同和対策特別措置法についても、昭和四十一年において、その国会で成立させたい、四十二年においても成立させたい、そのような十二分の内容を持ったものをその国会で成立をさせたいという御答弁があったわけであります。しかしながら、残念ながら、四十一年はILOの問題と祝日法の問題が一つのブレーキになって、その実現を見ませんでした。四十二年は、健康保険特例法がさらには一つの要因になって、その実現を見ませんでした。三年たった今日、何が何でも同和対策特別措置法について十二分な内容を持ったものを急速に提出していただいて、これを成立させなければならない状態であります。  ところで、この前の予算委員会においては、総理大臣田中総務長官質問をいたしました。総理大臣はその意思を明確に示してくださいましたし、できるだけ同和対策協議会答申を得てやりたいということを言われました。田中総務長官は、総理大臣より幾ぶん濃厚に同和対策協議会答申重点を置いて、同じような答弁をされました。元来、同和対策協議会というものは、社会保障制度審議会社会保険審議会のように政府を縛る協議会ではございません。その答申を得なければ政府はものができないという法律規定はないわけであります。しかも、四十一年の総理大臣安井総務長官のときには、この同和対策特別措置法を出すことについて、総理府の中の同和対策協議会に聞いてからという話は一切なかったわけであります。塚原総務長官時代においては、同和対策協議会にはからなければ出ないということもありませんでした。田中さんの時代になってから、ぜひ同和対策協議会答申を得てやりたいということを強調されたわけであります。その点について、以前からの内閣と相当にはなはだしく抵触があるわけでございますけれども、しかし、同和対策協議会というものが、五カ年計画の実地調査その他については一生懸命やっておられる実績もございまするから、法律審議がおくれていても、それを政府が急速に促進さして、そして問に合うならば、同和対策協議会意見を尊重して出すことはいいけれども、それが間に合わない場合には、同和対策協議会答申がなくても十二分のものを政府が出すということについて総理大臣のお約束をいただいたわけであります。  同和対策協議会は、三月三十日にその答えを出しました。したがって、総理大臣のお約束によれば、これに関係なしにもっと前に出てこなければならない。総務長官の強い熱望によっても、三月三十日にこの答えが出た以上、四月の二日ぐらいに同和対策特別措置法内閣案が出てこなければならない状態でございます。おくれていた事情はわかりまするけれども、同和対策特別措置法案政府案について、近日中に必ず十二分のものを出すという御答弁があろうと思いまするが、その点について、田中総務長官の前向きの積極的な、明確な御答弁をいただきたいと思います。
  8. 田中龍夫

    田中国務大臣 八木委員から詳細にわたりましてのお話を承ったわけでございます。私は先般の予算委員会の際にも申し上げましたごとくに、われわれはこの同和問題というものがそれだけ根の深い問題であり、また日本の社会に巣くっておる一つの病根とも申すべきもので、これに対しましてはわれわれはほんとうに真剣に取り組んでまいらなくてはならない。そのためにはやはり慎重な配慮もいたし、また研究、検討も遂げなければならない。かような意味合いにおきまして、ただいま八木先生がおっしゃいました審議会がまずできたわけでございます。そうしてその審議会答申によりまして同和対策協議会政府に置くということと、それから法律をつくろう、こういう結論に相なりまして、それを受けてこの同和対策協議会が四十一年の四月に発足をいたしたのでございます。  自来協議会といたされましては、ほんとうにまじめにこれと取り組まれまして、総会を開くこと十三回、また部会を開くこと三十三回に及びまして、それで前期五カ年、後期五カ年という計画のもとに、その詳細な環境の問題あるいはまた教育、社会的地位の問題あるいは経済問題と取り組まれて、ただいま実態調査、研究をしておられるような次第でございます。  なお、予算委員会のときにもお話を申しましたが、この協議会におきまして十分研究をしていただいて、そしてそれに基づいて法制化をいたしましょう、のみならずまたただいま八木先生のおっしゃいましたように、われわれはこの問題は一自民党でもなければ、一社会党でもない、これはほんとうに超党派的に各派がよくこの問題を理解し、協力をしていかなくてはならないということから、ぜひひとつ八木先生におかれましてもわが党の関係者とも御協議をいただきたい、こういうようなことを申した次第でございます。それで承りますれば、野党三党におかれましても、これにつきましてお話を遂げられ、さらにまたわが党に対しても国会対策を通じてお申し入れになっておられるということを承っておるのでございまして、自由民主党におきましては、数日前にこの同和対策特別委員会、社会部会、内閣部会、三部会の合同の審議を真面目にいたしておりまして、八木先生のお申し入れに対しましても前向きで取り組んでおるような現状でございます。  なお、わが党の中におきましても、いろいろこれらにつきましては議論がございまして、いまだ結論的な最終的決定に立ち至っておりません。  なおまた、政府の場合におきましては、この同和対策協議会が、この中に法制部会というものを設けまして、その法制部会において検討いたしたのでございますが、これがやはりいわゆる最終的な結論を得るに立ち至りませんで、中間報告的な法制部会としての一応の結論をお出しになったのでございます。と申しますることは、同対協がこの三月三十日をもちまして一応任期が切れるものでございますから、そんな関係で、その法制部会におきましては、この任期切れになりますまでの間に審議いたしました中間的なものを法制部会として御報告になり、それをなおまた中間報告として総会が受けておるのでございます。かような次第で、いまの同対協におきまする法制部会におきましても、いまだ最終結論ということには相なっておらないのでございます。そうして私どもは、ただいま八木先生がるるお話になりましたように、この問題が非常に根の深い問題であり、同時にまたこれは観念的な空論を申しましても話になりません。やはり実体的なもので、ほんとう環境の恵まれない同和地区環境の整備をし、これにまた予算を裏づけていく、あるいはまた地位の向上の問題にいたしましても、あるいは経済行為に対しまする御協力にいたしましても、口で言うのではなくてほんとうに血の通ったあたたかい気持ち一つ一つを克明に解決しなければならないという性格のものでございます。われわれはこれに対しましては、いわゆるおざなりの立法化をすればいいとは決して考えておらないのでございまして、十分検討を遂げられて、その成果をさらにまた法制化いたします場合におきましては、われわれのほうといたしましても与野党がここに一致されました姿におきましてりっぱな法律をつくってまいりたい。私どもは前向きで考えておりますと同時に、またできまするものがおざなりなものであってはならない、ほんとうにりっぱなものでありたいという念願のもとに今日進んでおりますことを中間ながら御報告を申し上げる次第でございます。
  9. 三池信

    三池委員長 八木委員に申し上げますが、質問の順序もあってたいへん御迷惑だと思いますけれども、木村官房長官がどうしても十一時半までには退出しなければならない用務を持っておりますから、できまするならば木村官房長官のほうに先に御質問願います。
  10. 八木一男

    八木(一)委員 木村官房長官と田中総務長官の両方に御質問申し上げます。お時間の関係がありますから、これを管掌されているのは田中総務長官でございますが、御答弁のほうは木村官房長官から時間内に先にいただきまして、田中総務長官にはあとからゆっくりいただきたい。いま総務長官の御答弁になったような情勢があるので、ぜひともその質問を申し上げなければならないわけであります。  実は総理大臣昭和四十一年、四十二年、四十三年にわたって同和対策特別措置法について十二分な内容のものを早く成立させることを何回も明確に言っておられるわけです。総理大臣なり自民党の総裁である方が、おざなりでなしに、あの速記録には文言しか出ておりませんけれども、そのときのことば調子から見ても、ぜひやりたい、やらなければならないというほんとう気持ちを込めて、答弁をしておられるわけであります。しかしながら、総理大臣というのは非常にお忙しくて、大蔵省や総理府あるいは厚生省等、いろいろな官庁の事務担当の人に総理大臣が直接指令を出されることはありません。それからまた自民党の総裁でもおありでありますが、党内のことはよく存じませんけれども、自民党の一人一人の議員の方に自分の熱意を訴えられる機会もないと思います。ところがここ数年間、総理大臣は非常に熱意を持っておられる。残念ながらそういう総理大臣の熱意をこの協議会審議の過程でも大蔵省なり自治省なりの、この問題のほんとう背景を知らない紋切り型の、この省のいまの年度のことしか考えないような人たちによっていろいろブレーキがかけられておる。内閣の一番頂点に立っている人の意思が、各省の問題を把握していない人のためにブレーキをかけられている。また衆議院議員、参議院議員、同じ国会で尊敬する人ばかりであります。自民党の先生方もりっぱな方ばかりでございますけれども、この問題については地域差がある。北海道、青森地区の方はどんなりっぱな政治家であっても、現象がないからこの問題はぴんとこない。ぴんとこないから、そんな問題はあとでいいだろうという意見が出がちであります。地域性があります。そういう問題を全部討議して、昭和三十二年以来国会の問題として約束している問題が、党内の一部の北海道や青森県のわからない人がそれに反対だと一言言われても、やはり党内では形式的民主主義ですから、反対の一票になります。その問題を非常に熱心に、たとえば京都の方が言われても三重の方が言われても、これについてはやはり形式的に十二分に二十四時間も討議をしなければ、京都の人の一人の御意見は、それを知らない東北や北海道の人の三名の御意見よりは、党内では勢いが弱いということになってしまうわけです。それが問題を停とんをさせているわけです。ですから、総理、総裁がほんとうに熱意を入れてやっているということを、政府の各部内全部に、またこれは党のことで申しわけございませんけれども、はたから申しますけれども、ものを動かす大政党である自民党の中で、総裁のほんとうの熱意が各議員の皆さま方におわかりになれば、この問題は急速に解決がつくと思う。その問題について、田中長官はこの焦点以来入院されておられます。その点の制約もあり、総理大臣もお忙しい方だから、まだ直接にお会いになっておられないようであります。木村官房長官は職掌柄毎日総理にお会いにならなければなりません。そういう状態で総理の前からお約束になった問題がここまできた。この焦点で踏み切らなければならないという点について、その事情を御説明になって、総理の真意が政府なり、また官房長官から幹事長その他党の全体に浸透するようにしていただきたいと思うわけであります。野党はもちろん社会党は全面的に推進をいたしたいと考えております。民社党も公明党もそういうお考えのようでございます。そういう浸透さえ急速にできれば即時にほんとうに解決する問題であります。特にことしは明治百年であります。明治百年が一部の同胞に差別を加え、貧困をしいておる。それまでに、去年までに死んだ人にはこれは取り返しがつきません。その差別に対する取り返しがつきません。貧乏に対する取り返しがつかない。いま生きておる、差別を受けておる貧乏な人、それを解決するためにはほんとうに急速にやらなければならないわけであります。総理府の一部の人に観念的なへ理屈で中間ということを強調する役人がおります。これは国民国会を裏切るものであります。そういうようなへ理屈でそういうことにブレーキをかけてはいけないと思います。  以上の点について官房長官はぜひ総理にこういう事態について総理の激励と努力と指導でやってくださいということを言っていただきたいと思います。しかし、これは本来田中総務長官の御任務であります。御病気がもしよければ、木村官房長官より前に、また同時にでも田中総務長官がその点を言っていただきたいと思います。御病気がありますから強く申しませんけれども、御病気を押してでも、委員会に出てこられるならば、ぜひ総理に会ってこれを推進していただきたいと思います。そういうことであります。特にいま中間という問題がブレーキになっておる。そとでさっきも申し上げましたのですが、総理大臣は、同和対策協議会答申があろうとなかろうと、政府は今国会に間に合うように十二分な内容を持った同和対策特別措置法案を早期の時期に閣法として提出するということをお約束になっているわけであります。ただ方法として同和対策協議会意見を聞いてからやりたいということであります。同和対策協議会は三月三十日に答えを出しているわけであります。この答えが、どういうわけか非常にへんてこりんな答えを出しております。この本文は法律部会の中間報告を了承し採択したとなっております。採択したのは総会であります。報告する段階は中間であっても、それは総会というほんとうの場において了承し採択したわけでございますから、それについては総会の意思決定であります。しかも、その内容のこの法律事項は法律案にそのままできるようなものであります。すでに問題は完備しているわけであります。そこに論議がちょっとあると総務長官言われました。その論議の内容は、これについては最低限全部賛成です。ただ不十分だからもっとよくしてくれという意見が全日本同和会、自民党と親しい同和地区の人の団体、それから部落解放同盟、あらゆる政党支持の方の入っておる同和問題の促進の団体、そこから出ておる同和地区委員の方からよりよくしたいための意見が出ました。それはよりよくしたいための意見であって、これは最低限としてこれをやらなくてはいけないという意見じゃない。これは最低限でもっとよくしたいという意見であります。三月三十日に私は会長代理に会うためにその会場に参りました。その際に、たとえば全日本同和会の代表の方、そうしてまた部落解放同盟の代表の方とそこで会いました。その人々意見は全部今国会でどうしても成立させなければならない、よくして成立させたいけれども、われわれの意見が通らなくても、最低限この問題はぜひとも今国会で成立さしてもらいたいという気持ちであります。それをお役人の一部の変な人が、中間という名前になっておるから、これでやっていいのですかといったようなくだらない解釈で、との三百年の問題、百年の問題、国会の十数年の問題がとめられておるとすればゆゆしい問題である。今国会同和対策特別措置法が成立しなければ——国民政府を信頼し、政治を信頼して、三年間ぎりぎりどうして早くできないかということで待っておりました。三年をこえて来年になれば、政府がどんなに熱意を持って、どんなに誠意を持って約束してもこたえてくれないものである。政治に不信を持つ。あえて自民党に不信を持つとは言いません。政治全体について不信を持ちます。そういう問題であります。それを実行するということについてブレーキをかける役人があるとすれば、憲法の条章を実現することに違反し、国民全体の総意に違反し、国会の決議に違反し、政府の決定に違反しておる。そのようなことを言うものが政府官僚に一人でもあれば、これは処分をしていただきたいと思う。そういう状態であります。中間ということでもし政府なりにブレーキをかける者が一人でもあれば、これは政府の意思に反するものである。その問題は、直ちにまた憲法の条章を推進することにブレーキをかけるものであるとして、これは処断をしていただきたいと思います。またわが党においてもそうでございますが、各党においても、もしそういう意見がある方については、その経緯を説明して理解していただいて、中間という文字にこだわらず、同和対策協議会意見が出て、政府がこれを聞いてからやりたいという政府約束条件は整った。しかも政府は、これがなくてもあっても早い時期において国会に十二分のものを出すということを総理大臣約束しておる。断じて政府も自民党もやっていかなければなりません。野党も推進をしなければなりません。ということをぜひ官房長官、総務長官が決意を持ってこれを推進していただきたいと思います。  まず、官房長官の前向きな明確な決意を伺っておきたいと思います。
  11. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 大体は先ほど総務長官からお答えしたとおりであります。今回、同和対策協議会意見が出てまいりました。私から総理にも御報告いたしまして、総理はその内容をよく承知しております。そこで先般三月九日でしたか、予算委員会において佐藤総理と八木委員との間に質疑、それに対する総理の御答弁がございました。私もよく承知しております。ただ申し上げられることは、現在依然として総理の考え方はその当時お答えいたしましたように「いま言われるようにできるだけ早く国会に出せとおっしゃる、これはもっともなことだと思います。」八木委員の御質問に対してこう答えられました。できるだけそういうふうに努力したい、そういう総理の考え方なり熱意は、この時点においても毛頭変わっておりません。ただ、国会へ提出いたしまして、国会の御審議が非常に円滑にいくことが望ましい、そういう意味におきまして、ただいま承りますと与党、野党の間でこれに関する話し合いを進めておられる、こう承っておりますので、その結果を見て政府としては処置をいたしたい、こう考えております。
  12. 八木一男

    八木(一)委員 総理のお気持ち、御答弁も大体けっこうなのですが、そこで心配なことをほんとうに申し上げておるわけです。党で御協議になることはけっこうであります。りっぱな政党でございますからけっこうでありますけれども、総理大臣はよく問題を御存じになって熱意がある。ところが、りっぱな政治家であっても——青森県を例に申し上げて恐縮でありますが、青森県にはいまのところ同和地区がありません。そこの方が党内のいろいろな機関のメンバーに入ってやられれば、どんなにりっぱな方でも実感がなければ、そんなものはあとでいいじゃないかということを言われるわけです。その方を非難するわけではありません。ですから、党で御協議になるのはいいのですけれども、そういう方が形式的に数が多ければ、党の諸機関では反対とか延期とか慎重論とか、そういうようないろいろな表現がありますけれども、そういうことになりましたときには、それは総理大臣として、党内では総裁として非常にお困りなる。また総理大臣が公約を実行できないということになる。国民の熱望は実行できないということになる。ですから、そういうことではなしに、総理は総裁でおられるのですから指導力を発揮して、そうやりたいのだ、これはこういうことでやるべきなのだ、内閣約束しておるのだということを総理がおっしゃったならば、総理大臣は一党の総裁でございますから、現象が少ないためにあまり知らない方はそれについて御了承になると思うのです。ところがそうじゃないところで形式的民主主義でやると、わからない人はそんなものはあとにしろということになってしまう。そうなったら党内へ戻すのは都合が悪いのではないかと思うのです。自由民主党内のことを申し上げて恐縮でございますが、政府部内においても同様のことがございます。ですから、総理のほんとうの決意と熱意を各官庁に浸透させていただき、そして与党のほうにも浸透させていただきたいということであります。その役割りを総務長官にぜひ強力にお願いをしたいのでございますが、総務長官は健康上の理由がございます。でございますから、総理と一番お会いになる機会の多い官房長官、与党との接触の多い官房長官が総務長官の御健康が回復されるまで御一緒に、回復されない間はその病気をカバーして、官房長官の職を賭したような勢いでそれをやっていただきたい。これは総務長官に先に申し上げることでございますが、官房長官はお時間がございましたから、総務長官には失礼ですけれども官房長官に申し上げたわけでございます。その意味でひとつ全力的に、田中総務長官や木村官房長官がそれでやろうということで根限り御努力になったら、りっぱな影響力のある政治家でおられますからこれはまとまります。そうして総理の意思を伝えたらまとまると思う。その決意で職を賭してやっていただく、そういう御決意をひとつ官房長官から明確にしていただきたいと思うのです。
  13. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 政府といたしましては、これは一地区の問題でなしに国の政策だという認識でおります。また同時に、これは超党派的にお取り扱いを願いたいという気持ちでおりますので、いま八木委員のいろいろおっしゃいましたことは骨に徹しまして、私なりの最善の努力をいたします。
  14. 八木一男

    八木(一)委員 私は忘れがちなので、官房長官は絶対忘れられないと思いますけれども、もう一回問題の焦点だけ申しておきますと、とにかく同和対策協議会の三月三十日に出した意見内容、これを最低ベースとして各党で、たとえば自由民主党が指導的にそれをよくされることは非常に喜ばしいことであります。それを最低ベースとして各党でよくされることはけっこうでございますが、よくするために論議がかかるということで、いま提出をおくらせたら、会期の関係を考えますとこれは流産になります。それは絶対困るわけであります。したがって、ほんとうに近日中にそれを出していただく。そしてそれまでにこれをよくする協議がととのわなかったら、出てから委員会を通じ、国会を通じて各党でよくしたらいいと思うのです。これを最低ベースとして急速に出していただく、そして自民党を含めた各党から政府要請があったときには、政府は、できている、あした出しますということにしていただきたい、そういう意味でございます。そういうことで官房長官、ひとつ強力に推進していただきたいと思います。御意見だけ伺って、御用事があるそうでありますので、あと総務長官にお聞きしたいと思います。その前向きな御答弁をひとつ。
  15. 木村俊夫

    ○木村(俊)国務大臣 先ほどお答えいたしました線に沿って最善の努力をしたいと思っております。
  16. 八木一男

    八木(一)委員 それでは官房長官よろしゅうございます。  今度は総務長官に御質問します。いま、総務長官に先に申し上げることを時間の関係上官房長官に申し上げて、その点は失礼だったと思いますが、お許しをいただきたいと思います。総務長官がまだ御病気であるという事情も考えまして官房長官に一生懸命申し上げました。しかし、委員会には出ておいでになるので、かなり御健康も回復されたと思います。これは元来総務長官が御推進になることでございますから、官房長官の倍あるいは三倍くらいの勢いで、いま官房長官に申し上げておきましたそういうつもりで御推進を願いたい。ぜひ総務長官からほんとうに前向きな、積極的な、職を賭してもそれをやってみせるという御決意を伺っておきたいと思うわけであります。
  17. 田中龍夫

    田中国務大臣 総理がこの問題について非常に熱意のありますことは、これはもう御承知のとおりでございます。ことにただいまもおっしゃいました同和対策協議会が最初に発足するときは、まだ総理が幹事長時代に特につくれと言うて非常に推進をしたものでございます。その点はどうか決して他意のないことは御承知を願いたいと思います。  それから、八木先生もわれわれとともどもに同和の問題についてはほんとうに御一緒にやってまいりましたお互い同士でございますから、その点もうよく御承知のとおりでございますが、しかし、何はともあれ、立法をいたしますにあたりまして、お役人のところで単独に法律ができるものではございません。これはこの前も御答弁のときに申し上げたように、われわれ政党内閣、与党と政府というものの関係から申しましても、立法にあたりましてはやはり党の政調会などとも協議いたしまして進めてまいるわけでございます。さような意味から申しまして、先生方のほうで野党三派が国会対策を通じられまして党のほうにお申し出になり、ほんとうに超党派の形でもって立法しようというようなお話が進んでおりますことは、わわれとしましても非常にやりやすい基礎ができるわけでございます。と同時にまた与党の意向というものがございますから、それを無視して政府のほうでいまの答申だけを受けてかってな法案もできない、このこともよく御承知のとおりでございます。党との関係を十分に調整いたしながらできるだけすみやかに前進をいたしたい、こういうふうに考えております。
  18. 八木一男

    八木(一)委員 実際の問題として、閣法をお出しになるときに、与党である自由民主党の各機関と御相談になる状態があることはわかっております。私はそれをあんまりとやかく言うような世の中知らずではありません。しかしながら、法律的には政府は、野党はもちろんですが、与党にも相談しないで提出する権限は十二分にお持ちになるわけです。国会審議するのは法律のたてまえです。事前にスムーズにいくように御相談になるわけです。ですから与党と十二今に御相談になることはけっこうでございますけれども、それを……(「早くやらないと間に合わない」と呼ぶ者あり)早くやらないと間に合いませんので、いまここにおられる与党の荒舩先生、橋本先生、三池委員長をはじめみんなこの問題は賛成で推進していただけると思うのです。(拍手)せひ党内で急速に賛成になるように——政府が、やりたいのだ、ぜひ出したいという熱意を示されればできると思うのです。それから各党の論議は、先ほど官房長官に申し上げましたように、同和対策協議会の案は、とにかくこれについては全部意見が一致しているわけです。これよりよくしたいという意見があるだけが食い違いでございます。ですからそれを最低ベースとして、できるだけよくして出す、そのことで時間をおくらせないで、必ずこの一週間くらいの間に出すということにしていただきたい。時間が間に合わなかった場合はこの内閣委員会を通じてよくするというふうにしたいと思うのです。そういう点で、総理府総務長官は一番その中核におられるわけでございますから、ぜひやりたいのだ、各部会で政治生命をかけて、佐藤内閣の命をかけてやるのだ、そうおっしゃっていただければそれでいいと思うのです。そういうふうにやりていただく御決意をもう一つ伺わしておいていただきたいと思います。
  19. 田中龍夫

    田中国務大臣 たいへん拍手も出ましたが、しかく簡単にもまいりません。それは事実問題といたしまして……。  いまの、御承知のとおり審議会が、一応の線は出してもらっておりまするが、やはりこれにつきましては法制局あるいは与党とも十分協議をいたしまして、そしてできるだけ御趣旨に沿うような推進を考慮いたしたいと考えています。
  20. 八木一男

    八木(一)委員 法制局の問題にお触れになりましたが、法制局長官はきょう要求したら出てきませんでしたが、けっこうです。  予算委員会審議の中で二回、この問題の沿革や意義を法制局長官は質疑の過程中で理解をいたしまして、これについてはいままでの法制上の慣習、書きにくいというようなことを一切言わないでそれを乗り越えて書きます。それから法制局の書くことについても、長官自体が執筆するような勢いで、政府の態度がきまられたら一日か二日で書いて見せますということを言っております。そういう点はひとつよく確認をしていただきたいと思います。ですから与党が、たとえば同和対策協議会も、自由民主党としてこれに不十分だからここをよくしようというような態度だけ、そういう態勢だけきめておけば、これはすぱっといくわけです。そういう点で確信を持って進めていただきたいということであります。もしそれが法制局がとやかく言いましたならば、法制局長官は重大な食言であります。書けませんとか、時間的にもっとかかりますとか言えば、これは責任を持って国会答弁をした法制局長官がそのとおりできないなら、そんな無能な国民を、国会をばかにした法制局長官は直ちにこれを罷免をしなければならないし、またそれと同じような態度をとる法制局の他の幹部があれば、即時全部解職をしてやってもらわなければならないということになろうと思います。その点についてひとつ決意を伺っておきたいと思います。
  21. 田中龍夫

    田中国務大臣 政党内閣でもありますので、与党と十分に協議をいたしまして……。
  22. 八木一男

    八木(一)委員 かなり時間を気にしまして、大きな声で各先生方の耳に騒音が入りましたことは、おわびを申し上げます。  いまの私の一生懸命な質疑をしておりますときに、与党はじめ各先生方に激励をしていただいて、ほんとうにありがたく存じているわけであります。特に法案が出ましたときには、当内閣委員会で御審議をいただく法律でございます。どうか委員長はじめ各委員の方々が、この法案の提出促進と、それから法案が出ましてからの修正なり成立について、私より以上に熱意を持って当たっていただくことを鶴首しながら、委員長にその点お願いをいたしておきたいと思います。できましたら委員長の御決意をひとつ……。  では委員長、いまの首を縦に振っていただいたことを、そういう御決意において委員会気持ちを代表されて示されたものと、私非常に喜びを持って理解いたしたいと思います。
  23. 三池信

    三池委員長 八木君にお答えいたします。  御希望の点は十分に参酌いたしまして、できるだけの尽力をいたします。
  24. 八木一男

    八木(一)委員 どうもありがとうございます。  それでは、あと残された時間でもっと技術的な点で申し上げてみたいと思います。  実は、この協議会についての任期延長というものがございます。この協議会の任務は、いままで同和対策審議会でできましたものを具体的に推進するため、その点についての各界の意見を集めて、これを推進する役割りじゃないかと思います。協議会審議会という名前が違いますので、審議会ほんとうに本則的な全体的なことをぽかっと出すところである、協議会はそれを具体的に出し、また出ていったものをどんどん推進する、そういうことの役割りを示すものだと私は考えておりますが、総務長官はどういうように理解をしておいでになりますか。
  25. 田中龍夫

    田中国務大臣 審議会がまずできまして、その審議会答申によりましてできました協議会でございます。八木先生とも、ある段階におきましてはこれをひとつ行政協議会的な、委員会的なものにしたらいいなというようなことを漏らしたことも御記憶にあると存じますが、この協議会はお説のごとくに非常に具体的な問題について検討をいたしつつあります。前期五カ年、後期五カ年、この前期の五カ年の中には環境整備の問題につきましても実態調査をいたしつつございますし、それからまたその他教育あるいは社会的地位の問題、経済行為の問題、こういうふうな問題について非常に真剣に取り組んでおります。今後、法制ができる場合におきましては、こういう具体的な措置法がやはりこの同和問題では基本にならなければならない問題だ、私はかように考えておりますが、その線に沿うて協議会が非常に努力をいたしておりますことを、私はここに再度御報告を申し上げたいと存じます。
  26. 八木一男

    八木(一)委員 同和対策協議会が非常に熱意を持って当たられていることは私も承知をいたしております。私はこれに非常に熱中をしておりますので、熱意を持って当たっておられるといっても百点満点であるとはいえないと思います。というのは総会が最初のころは一カ月に一回ベースでした。一カ月に一回の総会では、ほんとうの事の本質に比べればスピードが鈍いと思います。それから堀木会長は非常に熱意がおありになって、私非常に尊敬しております。しかし、おからだが弱かったことで、堀木会長の御就任中にそのために総会が少し延びたこともあります。そういうやり方については協議会自体でおきめになることでありますけれども、御病気のときには会長代理でどんどん推進できる、また月一回の総会ということではなくて、この三月のような状態、ああいう状態でどんどんとものが進められるというふうに、総会にしてもその中の部会にしてもそういうくらいになることを私は期待をいたしておるわけであります。  そこで、これが一回断絶をしておりますが、実質上継続になりますときに委員の構成は大体横すべりになるかどうか、そういう点についてちょっと伺っておきます。
  27. 田中龍夫

    田中国務大臣 その人事の問題は私はまだ考えてもおりませんし、いまここで申し上げる限りではないと思います。
  28. 八木一男

    八木(一)委員 これが三月の三十一日までに決議をされたときには、任期延長の形ですから自動的に横すべりになるのではないかというふうに、私は私なりに想像をいたしております。しかし一回断絶をしておりますから再任ということになりますので、実際上はそういうことになろうかと思いますが、いろいろな御配慮をして政府のほうで委嘱をされることになろうというふうに考えます。これは希望でありますが、非常に熱心な方が留任をされることを私は希望をしておきたいと思います。  この問題は複雑でございますから、人をかえればその問題を理解するまでに一年も二年もかかる、その人の勉強のために協議会の推進がおくれるということであってはいけないと思うわけであります。しかしながら協議会のメンバーでない方でも同じようにそういう協議会外で一生懸命推進される方をさらに加えることは別に差しつかえはないことであります。協議会委員の方の中に一、二長期間出てこられない方もあったかと思います。そういう問題についてはやはり総理府としては対処をされるべきであると思います。しかしまた非常に熱意を持って、病気でお休みになったというような方は、ぜひ病気を回復されて続いてその仕事にお当たりになっていただくということが好ましいことだと私考えております。  そういう点で、これはさまってから任命される問題でございますが、大体そういうようなお気持ち総務長官もお考えになっておられるのではないかと思いますが、明確でなくてけっこうでございますから、ひとつそれを差しつかえなければおっしゃっていただいたらと思います。
  29. 田中龍夫

    田中国務大臣 まことに当を得た御意見を承りましてありがとうございます。でき得る限り貴意に沿いまして善処いたしたいと思います。
  30. 八木一男

    八木(一)委員 そこでぜひ私の要望を申し上げたいことは、同和対策協議会のときに同和地区部落の出身の方をたくさん加えていただきたいという私どもの要望がございました。そしてその中で、同和対策審議会の法案にありますように、普通の法律と書き方が違った状態であります。普通では学識経験者という書き方のところを学識ある者及び経験ある者という書き方をしておりますが、同和対策審議会設置法では、それは秋田さんと私が提案した法律でございますが、そこでは経験ある者並びに学識ある者というのは、問題の性質上、非常にほかのことではすばらしい学者であってもこの問題はなかなか理解しにくい。したがって、この問題の解決のために一生懸命挺身してきた人がそれを一番よく知っている。そしてそれを解決するためのよい意見を出し、よい把握をなされるということで、経験ある人並びに学識ある人というように順序を変えております。同対協もその精神を受け継がれていくべきであろうと思います。そういう点で、そういう同和地区出身の方の委員が何人になるか知りませんが、委員なり専門委員の人数をふやすとか、また人をかえられるときにそういう趣旨を重んじて対処していただくように御要請を申し上げておきたいと思います。それについての意見をお聞きします。
  31. 田中龍夫

    田中国務大臣 御要望のほどは十分に承っておきます。
  32. 八木一男

    八木(一)委員 一番肝心なことを先に申し上げましたけれども、同和対策協議会というものは、いままでやってこられたのは十カ年計画におもに力を入れておられました。これはそれでけっこうであると思います。ただ、同和対策特別措置法の問題については取り組み方がおそかったので、そういうようなことでいまちょっと不十分なような状態があります。今後は十カ年計画——もし同和対策特別措置法政府の御決意のように提出されて、そうして本院あるいは参議院の御可決を得てできましたときには、その次のすぐの仕事は十カ年計画の完成だろうと思います。十カ年計画について昭和四十四年度から本格的にやるとするならば、そこの予算編成の問題がございまするから、五月、六月、七月という間に十二分の結論が出ないと本格的な発足がまたおくれることになろうと思います。そういう点でもしこれが延長が許されましたときには、総理府のほうもその点の体制をつくることに総理府の立場で強い要請なり激励なり指導をされまして、その任務を十二分に時間をおくれずに果たされるように、そのように御指導、御要請になるというお気持ちがおありになると思うのですが、それについて……。
  33. 田中龍夫

    田中国務大臣 この同和の問題は、何と申しましてもやはり具体的な実のあることでなければならないので、そういうことでいまお話しの各省の概算要求提出ということが非常に問題な時期でございまして、さような意味からやはり八木先生が五、六、七ということを特に重視なさったことと思います。私はこういうふうに推測をいたしまして、ただいまの御意見はまことに妥当なものである、かように考えます。
  34. 八木一男

    八木(一)委員 少し問題の観点を変えまして、この問題については他の委員と御一緒に私ども一生懸命に政府に促進を要請し、政府も積極的に取っ組んでおられますが、地方自治体が非常に熱心に取っ組んでおられるわけであります。その点についてもひとつ各府県、各市町村の熱意に対してもぜひ総理府は受けてこたえられまして、同和対策特別措置法のいいものの早い成立、それから十カ年計画のよいものの早い完成、それから政府全体がほんとうにそれを尊重して予算編成に当たられるということについて、焦点に当たられる総務長官が全国民の要望、そうして特に同和地区の方々の熱烈なる要望、それを対処される地方自治体の熱心な要請にこたえて、そういう問題を総体的に熱心に御推進いただけるものと存じますけれども、どうかひとつ総務長官の前向きの強い御決意を伺わせていただきたいと思います。
  35. 田中龍夫

    田中国務大臣 この問題はいわゆる政治問題として観念的に把握すべき問題よりも、むしろただいま御主張になりましたように、現場の市町村長というものが自治体の行政といたしまして最もそこに重点がなければならぬ、こういう点は全く同感でございまするし、また法制化にあたりましても自治体の意見というものを十分に取り入れて考えていかなければならぬ、かように考えております。
  36. 八木一男

    八木(一)委員 問題を少しあと先にした傾向があって恐縮いたしておりますが、私の意見ですが、田中総務長官もほかの同僚議員の方々も同じようなお気持ちだろうと思いますが、同和対策特別措置法ができる、それと同時に項目別、種目別の立法措置、法制措置が必要になってくることがあろうかと思います。そういう問題についても、政府も近い将来ひとつそれと積極的に取っ組んでいただく必要があろうと思います。また、同和対策協議会の任務もこの十カ年計画の早い予算編成期までに間に合わせることと、それからまた同和対策特別措置法が成立した上において具体的な項目別の特別な措置が必要であるということについても、これは協議してみなければなかなかわからないと思いますが、そういう任務についても深い理解を持って推進されると思いますけれども、そういう要請なり指導なり協力なりしていかれるべきであろうと思いますし、田中総務長官もそういうお考えであろうと思いますが、そういう点についての前向きの御答弁をひとついただきたいと思います。
  37. 田中龍夫

    田中国務大臣 それは全く同感でございまして、私どもは今後いろいろと党側とまた皆さま方と御相談いたさなければなりませんけれども、基本法というよりも、むしろそういった項目別の問題のほうが私は実体的に重要である、かように考えます。
  38. 八木一男

    八木(一)委員 いま田中総務長官は基本法と言われましたけれども、同和対策特別措置法であります。これは法律のいろいろな分け方があれですけれども、精神を持った、国の責務を持ったいろいろな大事な基本を書いた、そして具体的な問題を推進する根本の原動力をつくったというような特別措置法が一つ草案としてできておるわけであります。それを今度項目別に、家の問題をどうするかということについて在来の法律をさらに進めるための特別法、あるいはまた金融の問題をどうするかというような問題、あるいは特別交付税の問題について、現行制度では不十分ではないかということでいまの一般交付税、特別交付税のほかに同和対策の特別交付税をつくらなければならないというような問題等いろいろな問題があると思いますが、そういう個別的な法律を十カ年計画を進めるにあたってさらに進めていく必要が出てくると思いますので、そういう点についても総理府は積極的に取っ組んでいただく、また協議会もそういう問題を扱っていただくように御指導、御要請をいただきたいと思うわけであります。  時間がありませんで、総務長官の病院におけるお食事の時間になりますからあと簡単にいたしますが、私は同和対策特別措置法の意義を私なりにこう解釈をいたしております。十カ年計画がおくれたのは残念だけれども、来年から本格的に発足する。そのために六月、七月、八月ごろから最初の来年度予算を組むときから十カ年計画がもとになってやっていかなければならないということになろうと思います。同和対策特別措置法は車の片方の発動機であって、国の責任をうたう、地方自治体の責任をうたうということでこの問題に本格的に対処をする。またたとえば財政上、資金上のところで、同和地区のある府県は、あるところは多くて、また少ない府県もある。また市町村によったら集中的にあるところがあって、薄いところもある。したがって一般的な超過負担の問題、行政を進めるについてブレーキになっている超過負担の問題が特に同和地区においてはブレーキになる。そのブレーキになることを少なくするために、たとえば補助率をできるだけ高くしなければならないとか、単価を実質単価へ合わせて予算を組む必要があるとか、補助対象をできるだけ拡大をする必要があるとか、交付税について特別な配慮をする必要があるとか、そういう問題があろうと思うわけであります。そういうことを不十分でありますが、また財政上、資金上の起債の問題なりあるいはまたそれに対する利子補給の問題といろいろ出てくると思いますが、そういう根源が——ここに書いてございますが、根源、抽象的な書き方でございます。それが一つ、たとえばこういう法律に基づいて大蔵省がそれならそれをやるために補助率をどれだけ上げようかということの発動点になると思いますので、昭和四十四年度の予算発足の場合の、四十三年の予備折衝のときから同和対策特別措置法が非常に有効に果たす。政府、地方自治体の決意、そのような具体的な予算を組むということに非常に実際的な有効な発動点になる。そしてまた同対答申も三年間法律ができないことは国民政治に対する失望になり、不信になりということになるということから、ぜひとも今国会に成立をさせる必要がある。そして明治百年が、最初の九十九年間は差別が残っている、貧困が残っている百年であったけれども、一番最後の百年目にそういう不合理なものはなおるもとができた、したがって、明治百年はそういう気の毒な国民にとって汚辱の歴史であり、差別歴史であり、ほんとうに困難な歴史であったけれども、百年目のときには光がさした、全部が全部汚辱の日ではなかったという年にするためにも、ことしそのような同和対策特別措置法の今国会の成立、そして十カ年計画のこの七月くらいまでにおける完成、それによる予算の組み立ての推進ということが本年において必要であるというふうに私考えているわけであります。田中総務長官も同じお気持ちであろうと思いますが、どうかそういうお気持ち政府全体が、その核になっておられる田中総務長官が、御要請申し上げましたことすべてについて御推進いただくことを強力に心から御要請申し上げますとともに、内閣委員会委員長はじめ先生方がこういうことについて質問に御協力をいただき、また御援助をいただき、内閣委員長からそのような推進の御決意をいただいたことを非常に感謝をして、簡単でございますが、私は質問を終わろうとするわけでございます。私の一生懸命申し上げましたことを——私なとはとうでもけっこうでございますが、国民のために、そして大ぜいのそういう要望している方々のために、いま申し上げたことについて、非常に強力に職務を賭す勢いを持ってひとつやっていただくことを一言、強力に全面的にやるというお答えをいただいて質問を終わりたいと思うわけでございます。ぜひ前向きの御決意を伺いたいと思います。
  39. 田中龍夫

    田中国務大臣 八木先生のおっしゃることはほんとうにそのとおりでございまして、今回出します法律が空理空論、観念論で終始してはいけない、どうしてもやはり実体的な、たとえば特別に法律の助成をどうするとかなんとかというふうなものが一番つぼであろう。それだからこそわれわれは苦心いたすのでございます。  なおこれにつきましては、この法制化にあたりまして一番問題は、きんちゃくのひもを握る大蔵省、これがやはり一番大きな焦点となりますので、またその際にはどうぞよろしく御協力のほどをお願いいたします。
  40. 八木一男

    八木(一)委員 前向きな御答弁をいただいてけっこうであります。ただこれを最低線として、これ以上のものを必ず成立に間に合う早い時期においてお出しいただける、とれ以上にするためにいまの田中総務長官の御披瀝になった御決意を加えていただくことは非常にうれしいと思いますが、そのことによって時間が絶対におくれないように、成立が流産にならないように促進をしていただきたいと思います。  なお、内閣総理大臣が、法案の提出について——名前を名ざして非常に恥ずかしゅうございますが、八木一男意見を聞いていいものを出すということを再三おっしゃっていただきました。私は、こういう切迫した時期でありますから、時間をおくらすようなむずかしい問題を提起する気持ちはございません。しかしこの問題については、申し上げる時間は三十分でも一時間でも、こういうふうになさっていただければさらによいのではないかということを言う準備はいたしてございます。そのことで制約はいたしません。制約はいたしませんけれども、総理大臣のお気持ちを受けて、お約束をいただいたことについて私の一生懸命考えたことをぜひ聞いていただきたいと思います。それを条件にはいたしません。条件にすることによっておくらすことは本意ではございませんので、これが少しよくなったものであっても、この委員会でまた各党のもとによくされることを期待しておるわけでございますが、お出しになる直前にでも、この前にでも御連絡をいただいて、私にも意見を言わしていただける機会をぜひつくっていただきたいと思います。そうしていただけると思いますが、最後の締めくくりで非常に熱心に御推進の決意を承らしていただいて非常に幸いでございます。どうかよろしくお願いをいたしたいと思います。
  41. 三池信

    三池委員長 受田新吉君。
  42. 受田新吉

    ○受田委員 総務長官の御健康に御協力して差し上げて、長官にはごく簡単に、また同じく永末委員からもごく簡単にお尋ねして、予定時間にはお帰り願えるようにして、あとは事務当局にお尋ねすることにします。  長官、私は、今度の設置法の改正にポイントとしてあげられている沖繩事務所の権能に関する問題をお尋ねしたいと思うのです。  従来は沖繩の扱い方につきましては、単に南方連絡事務所という形で、米民政府との連絡事務を主たる仕事としておったようでございます。私もあそこへしばしば旅をして感じたことですけれども、特に沖繩の現地で、米大統領、国防省の直轄の代表者として高等弁務官が派遣されておる、それと日本政府から出ている現地の代表者の南方連絡事務所長とはどうも権能の上にバランスがとれていない。連絡事務所長のほうが低い地位にあって、一々本省の指揮命令に従って仕事をやるので、現地で解決する大事な問題でさえも一々指示を得るということで、なまぬるいということを感じ、一昨年及び昨年、私はこの南方連絡事務所の所長をせめて認証官である一級大使級の人物を配して、現地問題でなくて、さらにここで今度あげている日米琉の諮問委員会の執行の仕事を含む協議機関、ある意味における外交交渉をやることに今度なるわけですが、こういうことを前提とした南方連絡事務所長の地位をうんと高める提案を、私はもうすでにこの委員会でも外務大臣にも強く要請をし、総務長官にも希望を付しておいたわけです。ところが、この法改正は私が願っているような方向へ一歩前進している。もちろん昨年の佐藤総理訪米を契機とした時の流れが作用しておるのでありましても、沖繩の住民の皆さんの希望にこたえる意味の前進をしておる。同時にこの機会に、沖繩の祖国復帰を願う同胞の皆さんにも大きな希望を持たせる意味で——一々総務長官が、また外交事務に対しては外務大臣、二人の国務大臣がこれに指揮監督権を行使されるのでありますけれども、願わくば、ひとつこの機会に祖国復帰への熱願を持つ沖繩住民の同胞の希望にこたえる意味においても、より高度の政治性が発揮できる一級大使級の認証官を今度新しく設ける沖繩事務所長に任命する、このくらいの意気込みを持って当たってほしい。政治は生きものである。また、人間関係政治の問題は解決するものである。単なる事務処理の責任者という意味よりも、もう少し、より高度の政治力を発揮できる地位を与える意味において、今度設けられる、権限が拡大強化された沖繩事務所長に大もの——単に名前やらかっこうが大ものというのじゃなくして、実力を持つ大ものをひとつ任命せられ、その意味において、沖繩事務所長は認証官とするという、法律改正をするくらいの意気込みで、またそれに当てるのに行政職一の公使級の人だけをいままで振り当ててきたわけですが、指定職のポストを持つ人とか、願わくば認証官たる人をこれに振り当てるという意気込みを持ってこの問題の処理に当たってほしい。総務長官がその責任の衝に当たられる国務大臣でありますので、総理府の付属機関の長だから認証官はおかしいじゃないかという、そういう問題とは、これは違うのです。やはり付属機関の長であっても認証官になってはならぬという意味のことはどこにもないのです。私は、そういう意味の政治的判断に基づく田中総務長官の決意を伺いたいと思うのです。
  43. 田中龍夫

    田中国務大臣 今回御案内のとおりに、日本政府南方連絡事務所というような名称も変更いたしまするが、すでに御承知だろうと存じまするが、この長たる者は局長と同等の一等官でございます。いわゆる大使、公使となりますると、これは認証官でございまするが、認証官とはいたしませんが、いわゆる局長クラスの者であり、同時にまたこの役所が、総理府の所掌に属しまするいろいろな——本土との一体化の対米民政府との交渉をいたすということからいたしましても、確かにお説のごとく、その責任者には相当の資格と地位を与えてまいりたい、かように考えております。
  44. 受田新吉

    ○受田委員 大使、公使は認証官である。ところが、公使の中には、認証官たる公使は二人しかいない。あとは名称公使である。したがって、いま沖繩に行っておられる高杉さんにして本名称公使というかっこうで、オーストラリアの公使をされた方がやっておられます。その前の山本さんは、いまホノルルの総領事をやっておられる。この人も一等級の局長です。つまり指定職でない局長です。局長としては、むしろまだ地位の低い局長に当たる立場の方をあそこへ当てておる。この意味においては、オーストラリアの公使をされたといわれても名称公使である、行政一の一等級の地位にある方がやられる。いまの高杉さんがごりっぱな方であるということはよく承知しておるけれども、同時にその地位を認証官、あるいは少なくとも指定職の地位にある人をこれに当てて、その地位を高めて——特に今度法律改正の中にはっきり書いてあるのですね。従来の単なる連絡事務だけでなくして、米国政府機関との協議、この事務は外交事務に属する、こう書いてある。こういう改正案が出ておる。したがって、総務長官の指揮監督を原則としては受け、同時に外務大臣の指揮監督を受ける。少なくとも一級大使級の認証官をもって当てる。そしてひとつ総務長官、英断をふるわれるいいチャンスだと思うのです。これはそう長い期間じゃないのですから、沖繩の復帰事務については。認証官をもって当てるほどの日本政府は意気込みを示したという沖繩の同胞に対する愛情でもあるわけです。こういう措置をとられることは、高度の政治判断で、是が非でも実現してほしいものだ。英断ある発言を期待します。
  45. 田中龍夫

    田中国務大臣 御激励をいただきまして、まことにありがとうございますが、一方におきまして、諮問委員会がございまして、諮問委員会のこれに対して南方連絡事務所のほうは、総理府の役所として、それで長たる所長は、外交官のあれを兼務いたしますけれども、主として総理府仕事に属する一体化の問題を取り扱うわけでございます。お話しのような、認証官としての外交的な大使、公使ということには相なりませんので、その点は、御意見としてありがたく拝聴いたしておきます。
  46. 受田新吉

    ○受田委員 大臣、ここはちょっと考えていただかなければならぬのです。日米琉諮問委員会日本から高杉公使が行っておられる。アメリカからも公使が行っておる。ワトソンに継ぐいまのアンガーという高等弁務官、これはいま申し上げたような国防省の直轄の、アメリカを代表する責任者、そういうふうに系列が分かれておる。諮問委員会に高杉さんが行っておるからいいじゃないかというわけじゃなく、やはり沖繩の事務を処理する人は、諮問委員会とは別に今度は沖繩事務所長がやるわけですから、総務長官の職務代行者という形で認証官をもって当てても、決してそれは総務長官の権限を逸脱するような愚かな者が行くわけじゃないですから、あなたの命令に従って言うわけですからね。一方では主務大臣たる外務大臣が一人おる、外交事務も入るから。二人の指揮監督を受ける。それを一級大使とする、特に認証官とすることは、非常に意義が大きいと思うのですが、法律改正はそこへ重点を置くべきじゃないかと思います。それからもしもう一歩下がったとしても、行政職の一等級を乗り越えて、指定職の俸給を受ける待遇を受ける人をもって当てる。一歩譲ってもそこまでは持っていかなければならぬ。まだ成案が出ておらないだろうけれども、私の提案しておるのは筋が通ると思うのですがね。
  47. 田中龍夫

    田中国務大臣 いまの認証官の問題は、外交事務としてのこの南方連絡事務所の今後のあり方から申しまして、考慮を要するわけでありますが、指定職の御意見につきましては、確かに十分その点は検討いたしたいと存じます。
  48. 受田新吉

    ○受田委員 それだけにしておきます。
  49. 三池信

    三池委員長 永末英一君。
  50. 永末英一

    ○永末委員 今度、南方連絡事務所を沖繩事務所に変えて、そうして従来連絡事務所をやっておったものの上に協議事務をやる、このように御改正をなさろうとするわけですが、協議というのはどういうことですか。
  51. 田中龍夫

    田中国務大臣 この南方連絡事務所は、外交交渉をいたすとは申しながら、いわゆる民政府に対しましても、あれでございますが、同時に、法制的にいうならば、下部機構であります琉球政府というものとの交渉もいたすというような意味合いのもとに、特に協議という字句が出ておるものと存じます。
  52. 永末英一

    ○永末委員 提案されておる法律は、アメリカ政府の管轄に属するアメリカ政府機関と協議するということでしょう。琉球政府ですか、どっちですか。
  53. 田中龍夫

    田中国務大臣 ちょっと永末さん、いまの私の答弁はちょっと的がはずれておったかもわかりません。担当官からもう少し詳しく申し上げます。
  54. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。南連に今度能力として協議能力が付加されるわけでありますが、そこの協議と申しますのは、いままでは南連がアメリカ合衆国の政府機関との連絡ということはできたわけですが、合意を目標にした意見の交換といいますか、あるいはそういうような意味合いにおきまして南連がアメリカの機関と関係をしていくことはできなかったわけでございますが、今回そういう意味におきまして合意を目標とした意見の交渉ができるという、そういうところを協議という表現をもって考えているわけでございます。
  55. 永末英一

    ○永末委員 それで総務長官、先ほどあなたが琉球政府など、うそですね。協議というのは、アメリカ政府の沖繩における機関、すなわち高等弁務官と民政府、この二つでしょう、協議の相手方は。はっきりしておいてください。
  56. 田中龍夫

    田中国務大臣 そのとおりでございます。
  57. 永末英一

    ○永末委員 そこでいまお話を承りますと、合意を目的としたと、こういうことですから、合意を目的とするためには、一番大きく言いますと、いままで政府の説明では、沖繩問題について外交ルートでやるもの、それから日米協議会、その下に技術委員会、それからこの沖繩事務所が行なう協議、三つも四つもあるわけですね。もう一つは、新たに設置されようとしている諮問委員会の諮問委員が行なう助言や勧告、こういうものがある。一体沖繩事務所で行なう協議の内容というのは、これは総理府設置法で事項が書いてございますが、何が合意の対象になるのですか。
  58. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。諮問委員会における三政府間の話し合いといいますか、そういうものは非常に制度的、抽象的といいますか、そういうようなものがおもになろうかと思います。南連事務所におきましてはそういう抽象的、制度的なものというよりもさらに具体的、個別的なもの、そういうものが対象になるというふうに考えております。
  59. 永末英一

    ○永末委員 その協議される事項については、指揮監督権は外務大臣が持つ。総理府長官は関係ないのですか。
  60. 加藤泰守

    ○加藤説明員 協議そのものは、実は外交交渉の一部でございます。したがって、もともと外交交渉は総理府設置法においては、「外務省の所掌に属する事務を除く、」というふうになっておりますので、従来から総理府としてそういう外交交渉的なことはできなかったわけでございますが、したがって今回付加されました協議の能力も、本来の外務省の所掌事務の範囲に属するものと考えております。そういう意味におきまして外務大臣の指揮を受ける、こういうことになります。
  61. 永末英一

    ○永末委員 総理府設置法九条の一号から四号までというのがその内容だと思うのですが、従来はそれで連絡は総理府長官が報告を受けておったと思うんですね、指揮監督権は総理府長官にある。ところがそれを協議という形でやれば、もう総理府長官は知らぬ、当然の指揮監督権がないわけでありますから、協議ということになれば全然総理府長官はその事項については知ることができないという形になるのですか。
  62. 加藤泰守

    ○加藤説明員 私の申し上げましたのは外交交渉という面でございまして、一般に外交交渉におきましても各省大臣のやる仕事内容になるわけでございまして、外務省の外交交渉権能といいますか、そういうものはテクニック的なものというふうに考えていいと思います。したがいまして、ここにおきます協議におきましても、そういうふうな外交交渉テクニックというふうに私は考えております。内容におきましては、総理府の本来の仕事、今後重点的にやっていく一体化の問題等は総理府仕事でございますが、そういう仕事につきまして各省大臣が外務省と十分話し合った上で外交交渉を外務省にやってもらうというのと同じように、内容的には総理府が十分外務省と相談した上で外交交渉をやってもらう、こういうことになります。
  63. 永末英一

    ○永末委員 何か現在の南連事務所の権能を拡大したかのごとき宣伝をされておりますけれども、総理府設置法第九条に基づく事務というのは個々別々の事務であって、いまあなたが使われたような外交交渉ということばとわれわれが概念するような内容とは、だいぶ違っているものだと思うんですね。もしそういうものであるとするならば、これは先ほど受田さんが言われたように、所長の身分というものは相当変わってこざるを得ない。もしいままでやっておった事務が協議事項に入ってくるということが内容であるのなら、私はいままで総理府長官のこの事項というのは、特に日本国民の身辺に関する具体的な事項の処理だと思うのです。いわゆる外交交渉というような問題では私はないと思う。その問題について、ストレートに総理府長官の権限が及ばぬということは、沖繩事務所の権限が拡大したということよりは、むしろわが東京政府においてその事務所掌関係が複雑になってよくわからぬ、こういうことに結果的になりはしませんか。
  64. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。ただいまの点につきましては、従来どおり、やはり南連、今度沖繩事務所でございますが、そこでは連絡事務は当然あるわけでございます。だから、いままでの仕事はいままでどおり続いているわけでございまして、問題は沖繩現地におきましてアメリカの機関と合意を目標にした意見の交換ができる、そこで合意ができる可能性を持っておるという意味で、プラスの事務として考えているわけでございます。
  65. 永末英一

    ○永末委員 高等弁務官府に対する協議事項と目されるものと、民政府に対する協議事項と目されるものと分けて一ぺん説明してください。
  66. 加藤泰守

    ○加藤説明員 高等弁務官府と民政府は一体でございます。
  67. 永末英一

    ○永末委員 民政府は高等弁務官の権限の中でことに沖繩の行政事務に関して任務権限を与えられてつくられた、これはアメリカの役所ですね。ところが高等弁務官は包括的な権限を持っておる、沖繩におけるアメリカの権限の源である。ところが御提案の趣旨によりますと、その二つに協議ができるというのですから、一体二つに協議ができるということになるならば、この法案を提案するにあたって高等弁務官とはどういう協議をし、民政府とはどういう協議をし得るのかという内容をはっきりしてもらわなければわれわれはわからぬ、こういうことになります。
  68. 加藤泰守

    ○加藤説明員 それは高等弁務官のほうが格が上でございまして、民政府の長と考えられる民政官は高等弁務官の下で仕事をしているわけでございますので、かりに協議をするといたしましても、それぞれ内容によりまして高等弁務官と協議したほうがいいという、重要度によってきまってくると思います。しかし、いずれにいたしましても、原則的な、具体的な解決を要する事項であることには間違いないというふうに考えております。
  69. 永末英一

    ○永末委員 協議ととのわざるときはどうしますか。
  70. 加藤泰守

    ○加藤説明員 もちろん現地におきまして協議がととなわなかった場合には、東京におきまして日米の間で、場合によりますれば日米協議委員会にかけて解決する、こういうことになります。またもちろんアメリカ、ワシントンにおいて日本の大使と国務長官との岡で話し合いをするということも可能だと思います。
  71. 永末英一

    ○永末委員 従来までは、合意に達すべき事項についてはどういう手続をやっていましたか。
  72. 加藤泰守

    ○加藤説明員 従来はただ単に連絡ということだけでございましたので、日本政府としてはこういうことを考えているということを連絡するにとどまったわけでございます。したがって、もし日本政府とアメリカ政府関係で合意をする、こういうことになりますと、やはり東京におきまして話し合う、あるいはワシントンにおいて話し合う、場合によれば日米協議委員会にかけて、そこで合意をする、こういうことになるだろうと思います。
  73. 永末英一

    ○永末委員 この協議というのはいま伺いましたら、その内容は、われわれの法律でいえば総理府設置法しか準拠すべきところがない。お話の中では、何かそれ以上の外交交渉に関係するような事項もまた新しい沖繩事務所の所掌事項、協議事項としてあるかのごとき感を持たされるのです。そうじゃないのじゃないか。その事務というのは、わがほうの法律できわめて極限されている事項ではないか。そうでないと、一体すべての問題を沖繩事務所を通じて協議をするのですか。そうじゃないでしょう。先ほど申し上げたその他の各級の機関、ルートで沖繩問題については外交交渉をやるのでしょう。
  74. 加藤泰守

    ○加藤説明員 最初に申し上げましたように、沖繩現地におきまして、現地的に日米で合意できる事項について協議をする、こういうことでございますので、もちろんそこで合意できなかったことは東京なりワシントンでやるということになりますし、また事柄の重要度によりましては、現地で協議をする段階に至らずに、東京、ワシントンで交渉した上で合意する、こういうことになると思います。
  75. 永末英一

    ○永末委員 新たに諮問委員会ができようとしております。これは別途法案が出ておりますけれども、その中で諮問委員というのは一名政府の職員として任命するわけですが、補助要員が必要だ、こういうことになっておる。ことで協議というのは、わがほうの諮問委員の補助要員として沖繩事務所員を使って、その過程においては協議しなくてはならぬことがあるので協議と入れたという憶測をした場合に、当たっていますかどうですか。
  76. 加藤泰守

    ○加藤説明員 諮問委員会仕事と南連、今度の沖繩事務所の仕事というのは、先ほど申し上げましたように、一方は制度的、抽象的なものを討議して、アメリカ代表、琉球政府代表、日本政府代表の三者で討議して、そこで成案を得たものをアンガー高等弁務官に対して勧告または助言する、こういうことになります。したがって、諮問委員会における仕事と、それから南連、今度の沖繩事務所でやる仕事とは、その重要度あるいは具体的であるかどうかというようなことによりまして、やや差がございますので、沖繩事務所で協議した結果を諮問委員会へというような関係ではなくて、沖繩事務所で協議することは、そこで合意が成立することを目途としていたすわけでございますし、また諮問委員会におきましては、そういうことと関係なしに三政府間でいろいろ討議する、こういうことになるわけでございます。
  77. 永末英一

    ○永末委員 一つ聞いておきたいのですが、これは諮問委員会のほうで聞かなくちゃならぬことですけれども、ちょっと気にかかりますので……。諮問委員に付加すべき補助要員というのはどういう形で出すのですか。
  78. 加藤泰守

    ○加藤説明員 諮問委員の補助要員といたしましては、現在予算上参事官二名、調査官三名その他帯務関係といたしまして三名、合計八名がついておりますが、ただこの諮問委員会委員の補佐をするその方々だけを独立して事務所的に持っていくといたしますと、いろいろ庶務的なロスもございますし、やはり人数が少ないので、南連事務所の職員という形に一応いたしておりますが、しかし、その方々は諮問委員会の補佐ということで、そちらの仕事をやっていただくことになっております。
  79. 永末英一

    ○永末委員 最後のほうで言われた、南連事務所の所員が補助要員を兼務するということですね、大臣は時間がないようでございますから一つ伺っておきたいのですが、要するに沖繩問題の解決のためには、日米間のルートをはっきりしておくことが必要だと思うのです。われわれの感覚からいいますと、ごちゃごちゃと、いろいろな、これもできそうだ、これもできそうだというような、あれやこれやのルートをつくりましては、かえって問題を複雑にして責任の所在を分散させることになる。これはひとつあなたの在任中に、一体どこの機関は何をやるのだ、どこの機関はどこまでやるのだということをはっきりさしてもらわなければ、これはおそらく、問題が出ました場合に、一体どこの機関で処置するのか、沖繩県民もまたわれわれもわからぬ、こういうことになると思うのです。この辺の処置のしかたをはっきりしていただきたい。ひとつ御意見を伺いたい。
  80. 田中龍夫

    田中国務大臣 それは行政を行ないます者の当然心がけなければならぬことでございまして、いまの権限、分限を明確にいたし——ことに、何でもできるというような可能性を幾つか残すようなことも場合によってはございますけれども、こういうふうな、ことに諮問委員会対南方事務所といったような権限につきましては、御意見に従いましてさらに十分検討させていただきとうございます。
  81. 永末英一

    ○永末委員 総務長官あと一分時間がございますから伺っておきたいのですが、われわれは昨年の佐藤・ジョンソン声明で沖繩返還がルートに乗ったとわが国内で聞かされてまいりました。私は最近アメリカへ参りまして、その方面の関係者と、いろいろな人と十分懇談をいたしましたが、なかなかもって、佐藤さんがわが国会で言うているようには彼らは理解していない。一例を申し上げてひとつ御意見を伺いたいのですが、もしこの共同声明にあらわれたように、本土との一体化、すなわち沖繩が本土に復帰する時期に摩擦が一番少なくなるようにあらゆる施策を進めていくのだということがほんとうであるなら、B52の滞留もしくは常駐化をはかって沖繩基地の拡大使用をやるということは、私はこの共同声明の趣旨に反していると思う。しかしながらアメリカ側は全然別の角度からこの使用を考えているわけである。しかし総理府総務長官としては、いろいろな経済的なあるいは社会的な、それぞれの個々の問題が本土と一体化される道をたどるべしというのも一つは問題でしょうが、大きくは、沖繩の施政権をアメリカが保有している一番大きな意味合いは、軍事基地の自由使用にあるわけでありますから、その点についても、本土との一体化を進めるというのであるならば、拡大した使用をしては困るということは、沖繩問題に対して一番の責任者であるあなたの強硬な意見として出さるべき問題だと私は思います。この点についてのあなたの御意見を承っておきたい。
  82. 田中龍夫

    田中国務大臣 御案内のとおり、アジアの国際情勢もなかなか流動的でございまして、佐藤・ジョンソン会談当時の一つの考え方に対しまして、あくまでも目標はそのとおりであり、それに向かって邁進いたす過程におきまして、いろいろと波のあることもやむを得ないことだろうと存ずるのでございます。まあ何はともあれ、私どもは一日もすみやかに本土復帰ということをひたむきに念願いたしまして、私は一体化の問題について邁進いたしたい、かように覚悟をきめておる次第でございます。
  83. 永末英一

    ○永末委員 私の質問にすなおにお答え願わなかったわけでございます。いずれまた、それらの問題につきましては時期を改めて御質問いたします。  きょうは終わります。
  84. 三池信

    三池委員長 受田新吉君。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 外務省の政務次官はいつ来られますか。それから総務副長官には追って来ていただいて、もう二十分ほど質問を続行さしていただいて一時に終わるようにいたします。  加藤さん、私は今度の法改正に関連する総理府の所掌……。
  86. 三池信

    三池委員長 受田委員に申し上げます。  外務政務次官は、いましばらくしたら、こっちへ見えるそうですし、副長官はいま出たそうですから、しばらくして……。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。  加藤さん、南方連絡事務所のほかに、総理府に特連局があるわけですね。特別地域連絡局というのがあるわけです。その所掌事務の中に、北方地域の範囲を定める政令に基づく地域があるわけなんですが、どうも私、南方の中に北方を含めるのが特別委員会で問題になってきたわけですけれども、はっきりしておかなくてはならぬと思うことは、北方地域とはとの地域かという——ただ政治的な配慮という問題だけにとらわれて、すかっとしておかないことが、日本における政治の災いにもなるわけでございますが、この当該政令の中に総理府設置法三条二号に基づく北方地域とは、歯舞、色丹、国後、択捉「及び内閣総理大臣が定めるその他の北方の地域とする。」と、こうある。歯舞、色丹、国後、択捉というのは、もう国民もよく理解をしておるわけでございますけれども、これだけでなくて、内閣総理大臣が定めるその他の地域というものが考えられる。これはもう別にソ連に配慮する必要も何もない。日本として内政処理をする上における必要な問題として、北方地域というのは、厳密に言うならば、その他の総理大臣の定める地域というのは一体どこを予定しているのか。まだ総理大臣が指示をしておらぬようでございますが、これが指示ができない理由があるのか。あるいは想定した地域があるのか。これははっきりしたほうが私はいいと思うのです。むしろもさもさしておるので問題が起こるのです。この政令の定める北方地域の範囲をどう考えておられるか、御答弁を仰ぎたいと思います。
  88. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  政令で定めております北方地域の範囲と申しますのは、総理府の所掌事務にかかわる地域でございますので、総理府の所掌するものは一体何かということがまず前提だと思います。総理府の特連局の仕事は、本来わが国の領土でありながら現実的に日本の施政権が行使できない状態である、そういう地域につきまして内政的ないろいろな面をめんどう見る、こういうことでございますので、この政令で定める北方地域というのも、やはり平和条約三条でわが国の領土として残っているけれども、施政権が現実に及んでいないという地域ということになりますれば、南千島と考えられるわけでございます。  そこで、この政令におきまして歯舞、色丹、国後、択捉という南千島の代表的な島をあげているわけですが、「及び内閣総理大臣が定めるその他の北方の地域」、これは御指摘のように、まだそういう指定行為をしておりませんが、考え方といたしましては、いまあげました島以外にも島がございますので、一応そういうものを含めて地域の中に入れてもいいようになっているわけでございますが、現実にこの北方地域に関しまして総理府がやりますことは、引き揚げられた方々に対する援助をどうしていくかという問題でございますので、ここで厳格にこの範囲だということをいたす必要が具体的にあるかないかということだろうと思います。その点につきましては、引き揚げ者がこの島以外にないように聞いておりますので、その限りにおいてはこれを特に指定する必要もないというふうに考えております。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 これは、千島といえばその他の島までも含むんだが、総理府の考えている南千島という範囲は一体どこからどこまでなんですか。地図があるといいんだが、私のちょっと調べておる範囲内では、との四つの島のさらに北へ大きな島がまだ三つ、四つあるわけです。そしてその周辺にも島があるわけです。この四つの島だけじゃなくして付属の島がある。そういう島の名前くらいあげて——引き揚げる者がおらぬから、また漁民がいま来ておらぬからという意味でなくして、一応の予定される地域というものがさだかでないと、これは疑義が起こるのです。だから総理大臣が指定する地域について、ほかにないのならないで、ありませんとはっきりここを直せばいい。あいまいもことした形で行政事務が行なわれているというところに間違いが起こるのです。非常にごまかされる危険がある。これは外務省の内田参事官にお聞きしてもいいのですが、外務省としては御存じでしょう。
  90. 内田宏

    ○内田説明員 たいへん失礼でございますが、ちょっともう一ぺん御質問の要点を伺えませんでしょうか。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 総理府がいま政令を出して、総理府の言う北方地域というのは引き揚げその他に関連する地域というので、択捉、国後、歯舞、色丹のほかに総理大臣が指定する地域があるということになっておるんだが、外務省として考える場合に、平和条約の三条の規定に基づく千島というものの概念の中に、南千島というのは一体どの程度から南千島というか、これは外務省で答えられるわけです。いま総理府は南千島、こう指摘されたわけですが、南千島というのは条約上外交交渉でどの地域から南を言うのかということをいまお尋ねしておるわけです。
  92. 内田宏

    ○内田説明員 まことに申しわけございませんが、私直接担当いたしておりませんので、直接責任を持つ担当部局と確めた上で後刻御通報いたしたいと思います。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 わかりました。これは南千島、中千島、北千島——南千島と北千島という場合もあるようですが、これをはっきりしておかぬと、この北方領土問題を論ずるのに、あいまいもことしておっては国会の論議も非常にまごつく危険があるわけです。すかっと政府の方針をきめていただきたい。外務省からも後刻報告を願いたい。それから総理府も、南千島というのは一体どこかをひとつ厳密にお示しを願いたい。今後の領土問題を論ずるのに大事な資料としてひとつ御提出を願いたいと思います。  それから政務次官、あなたは外務大臣の職務代行者という意味できょうはお尋ねをさせてもらうのですが、今度の改正案の中で第十四条の南方連絡事務所が沖繩事務所となって、日本政府沖繩事務所の職務権限がここに書いてある。その中で、第十四条の三項に「前項の規定にかかわらず、前条第一項第一号に掲げる事務のうちアメリカ合衆国の政府機関との協議に関する事務及び同項第五号に掲げる事務については、外務大臣が、所長を指揮監督する。この場合において、当該指揮監督をするときは、外務大臣は、その旨を内閣総理大臣に通知しなければならない。」とあって、そして第四項に、今度は総務長官の指揮監督権の行使がここに書いてある。それは第十三条にある、総理府設置法の従来の南方連絡事務所の規定をやる場合に、「当該指揮監督をするときは主任の大臣は、」とありますが、これは総務長官に当たる。それが「内閣総理大臣に協議しなければならない。」、こういうふうに内閣総理大臣と協議しなければならないということが終始書いてあるわけでございます。これは、無断でやってはならない、事前に協議するのか、あるいは指揮監督の過程において協議するのか、どちらかであって、事後ということはあり得ぬことでしょうが、「するときは」という、その時点はどういうところにあるのですか。つまり、外務大臣は総理大臣に許可を得て指揮監督をする、こういうことですか。許可事項ですか。この「協議」というのは、要するに許しを受けてやるという意味ですか、どうですか。
  94. 加藤泰守

    ○加藤説明員 「協議しなければならない。」というのは、内容につきましてよく総括的な監督をいたします、内閣総理大臣内容につきまして、総括的な所務の掌理ということができなくなるような状態にならないようによく話し合っていけ、こういう趣旨でございます。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 いや、いまのは、協議しなければならない、ではないのです。通知しなければならないのです。協議しなければならないではないし、協議して指揮監督するという意味じゃない。通知義務があることを書いてある。協議義務は書いてないのです。
  96. 加藤泰守

    ○加藤説明員 私、失礼しました。前のもののほうと思いましたので……。新しい規定のほうは、これは「通知しなければならない。」ということでございまして、これは事後でもよろしい、こういうことでございます。事後でも事前でも、できるだけすみやかに連絡をとる、こういうことです。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 その指揮監督をするときは、事後に通知してもいい、もう事前に指揮監督をした後に通知をする、こういうことですか。「この場合において、当該指揮監督をするときは、」だから、したときじゃないのですね。「するときは、」とあるから、事前に通知しなければならないということじゃないのですか。そうしなければ、総理大臣だって、指揮監督したあとでこうしたと通告しましたというのでは調整はできはせぬということになる。
  98. 加藤泰守

    ○加藤説明員 もちろん、できるだけ事前にすることが望ましいわけでございます。ただ、外交交渉でございますので、場合によれば非常に急にしなければならないこともあろうかと思います。そういう場合には事後でもいいというふうに考えています。ただ、その場合におきましても、できるだけ早く通知するのが当然のことであると思います。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、外務大臣は、原則としての身分は総理府に属しておる所長を、その直属の上司である総理大臣に事前に相談なしにかってにこれを使うという意味に、ここで考えていい。総理大臣というのはつんぼさじきに置かれて、あとから、こうしたぞ、お前の部下をこういうふうに使ったぞ。たたく前に通告するのでなくて、ぴしっとたたいておいて、あとから、たたいたぞというようなものだ。総理大臣というのは一応この問題は心得ておかなければいかぬと思うのですね。これは、非常に外務大臣が独断専行をやる危険がないかという感じがする。
  100. 加藤泰守

    ○加藤説明員 これは先ほどちょっと申し上げたと思いますが、協議そのものが内容的にはやはり総理大臣と十分話し合うということが前提でございまして、私はこの協議というのは外交技術的なものというふうに考えておりますので、その点につきましてはかりに事後におきまして通知をするということでありましても、それほど所掌事務に影響を及ぼすということはないというふうに考えております。内容的には十分話し合いがあるというふうに考えております。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 その十四条の第二項には沖繩事務所長の任務がはっきり書いてある。「所長は、内閣総理大臣の命を受け、所務を掌理する。」。これがもう前提になっている。したがって外務大臣の指揮監督を受くる面につきまして、内閣総理大臣は外務大臣の独断専行を許すというような場合もあり得る規定である。それが第三項の規定であるということになるわけですね。
  102. 加藤泰守

    ○加藤説明員 先ほど申し上げましたように、協議の内容総理府の所掌事務について協議ということになりますので、独断専行というような状態内容的にあるとは考えられません。やはり外交技術的な面におきまして——必ずしも内容についての関係ではなくて、外交技術的な面におきまして内閣総理大臣に協議しないで外務大臣が指揮いたしたといたしましても、その点は問題は生じないように考えております。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 この規定は通知義務であって、協議義務がないというところに総務長官の任務との間に差異があることを、私は一応認めるわけですけれども、しかしながら沖繩という特定の地域で、みな祖国の同胞である、そういう人々を扱うときに、外務大臣というものはやはり事前に通告して、こういうことをやろうと思いますということを、事前の通告の義務と私は判断をしたのですけれども、事後に通知してもいいということになると、もう事件が処理されたあとに、こういうふうにしましたというのでなく、たとえ外交の機密に属したとしても、総理大臣、この問題でいまから協議しようと思うということを事前に通告するという意味のものでなければならないと私は思うのです。事前通告の義務の規定だが、事後通告でもさしつかえないというような規定であれば、これは外務大臣として非常な重荷を背負うわけだが、内田参事官、外務省の立場でどうお考えですか。
  104. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  この事務所長の行ないますのは、アメリカ政府の出先機関との協議でございまして、アメリカ政府自体とのいわゆる外交交渉ではございませんけれども、日米関係の全面的な調整から外務大臣が指揮監督することになっておりますが、これは外交事務全般につきまして外務大臣と総理大臣との間には事前の協議というのはございませんで、重要問題については御存じのとおりこれは随時、十分連絡した上で、外交政策を行なっておるのでございまして、この部分につきましても、外務大臣は重要問題につきましては総理と十分御相談の上やるという従来の慣行からして誤まりはないと存じまして、この規定になっていると存じます。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、指揮監督にあたって、ただいまより、内閣総理大臣、私が指揮監督しますという事前通告と理解してよろしいかどうか、内田参事官。
  106. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。具体的な事項につきましては、随時、できれば事前協議でございますけれども、緊急性にかんがみましてあるいは事後の通告、事後の通報ということが形式上あるかと存じますけれども、実態的には緊密に総理大臣と外務大臣は連絡しておると存じます。
  107. 受田新吉

    ○受田委員 そうするとここは外務大臣はその旨を事前にもしくは事後に内閣総理大臣に通報しなければならぬとはっきりうたったほうがいいんじゃないですか。「するときは、」ということがあるのですから、したときはじゃないのですから。監督したときはじゃない。「するときは、」はするにあたってという意味ですから、文章からすればするときは通知しなければならぬ。いまからこの問題については沖繩事務所長をこういうふうにいたしますというのを、「するときは、」というこの文章を率直に理解するときは、するにあたって通知をしなければならぬ。もしあとからでもいいということになれば事前にもしくは事後にとはっきりうたうべきだ。法律を修正しなければならぬ。
  108. 加藤泰守

    ○加藤説明員 この「するときは、」というふうにいたしましたのは、先ほど内田参事官からの御説明のとおり、できるだけ協議まで至るような方法で事前に話をするということが中心でございますが、場合によれば事後になることも必ずしも不可能ではないというように例外的に考えているわけでございます。したがって「するときは、」という規定の運用上そういうことは十分できるというふうに考えます。
  109. 受田新吉

    ○受田委員 これは大事なことなんですよ。法律の文章というものは非常に大事なことなんです。沖繩というのが対象になっている限りは事前に終始通告をするというふうに私は了解をしておったのですが、いまの事後があるということになると、ほかの国との交渉ではないのだから、外交機密ということは沖繩に関することはそうありはしないのですから、終始総理大臣に通知して協議に参加する、こういうかっこうでないと、外交機密、沖繩に関する機密という名目のもとに外務大臣が独断専行してからやる。所長は外交官としておれの命令を聞けということになると、総理大臣は何ら考えることなく、総理大臣内閣統轄の責任者でありながら外務大臣にかってに処理されるという危険があると思う。沖繩に関する限りはそういう機密に関することはあり得ないことだ。総理大臣に相談していけないということはないと思うのですがね。総理大臣は終始外務大臣に対して、沖繩に関する限りは自分の意図を十分外務大臣が考えて指揮監督してもらいたいと思うのだが、いまからこうしようと思うときには事前に通知して、そうかそれならそういう意図でやれとい指示を外務大臣に与えて、そこから外務大臣が指揮監督するというようなところへいかないと、非常に横暴な外務大臣——いまの三木さんのようなきれいな人であればいいけれども、無謀なことをきめてしまって、総理、こうしておいたよといわれればそれでおしまいですね。
  110. 加藤泰守

    ○加藤説明員 これは先ほど申し上げましたように、内容につきましては内閣総理大臣、すなわち外務大臣と総務長官とは十分打ち合わせした上でやるわけでございますので、御指摘のようなことはまずないというふうに考えます。私が先ほど申し上げましたのは、外交技術的なテクニックとしての問題として考えた場合には、外務大臣が先行しても問題は生じないのではないかというふうに考えるわけです。
  111. 受田新吉

    ○受田委員 外交上のテクニックなどが総理に通告しなくてやれるということはあり得ないですよ。それはもうテクニックの問題は通知して後にやれることで、いまからこの問題で協議したい、いまから私が所長を指揮監督しますというのは事前に通知しなければならぬ。この文章は私はすなおに訳せる形にすべきだと思うのですが、テクニックに関する場合事後でもいい、内田さん、そういうことが沖繩の場合ありますか。外務大臣が指揮監督しておいて、やってきましたよといって事後に通告するようなことがありますかね。
  112. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、事が重要な問題であると存じますので、外務大臣は原則として御相談すると思いますけれども、そのことの大きさによりまして、あるいは十分事前に総理大臣とある原則的なお話をしてあるような場合におきましては、その具体的なものごとについて、あるいは指揮をして、それからあと通報するということになるかと存じますけれども、これは沖繩問題に限りませず、外交問題につきましては十分原則的な問題はお打ち合わせした上で、こまかいことはおまかせ願っているというのが従来の慣行でございます。
  113. 受田新吉

    ○受田委員 私がお尋ねしているのは、中身が、協議した結果がどうあるということは別として、いまこういう問題で協議しようというときに通知をするというその解釈で、打ち合わせした結果がこういうふうになりましたということを報告するのは当然なことなんで、中身が多少の外交のテクニックで変わってくる場合があっても、その協議事項について事前に通知すると解釈していいのではないか。事後に通知する場合もあるという意味ではなくて、この文章をすなおに解釈さしてもらいたい。そうしないと、私はこの規定があるばかりに、外務大臣が別の意図でかってに協議するということもあり得ると思う。外交官としての御経験からひとつ……。
  114. 内田宏

    ○内田説明員 お答え申し上げますが、これは現実的に書いてありまして、十分事前に、こういう沖繩、特に同胞のことに関することでございますから、外務大臣は総理大臣と御相談すると存じますけれども、これはこれからやってみなければわかりませんが、あるいは非常な緊急であり、かっこの程度は総理のほうとも大方のお話はしてあるというような場合は、そういう指揮をしてあと通報するということもあると思いますが、原則はあくまで事前に通告するということでありますし、しかも外務大臣がこれを悪意的に乱用するという意図は毛頭ないわけでございます。
  115. 受田新吉

    ○受田委員 おきましょう。  この法案は外務省に非常に関係が深い法案になってきている。外務省の意図を確かめる意味で政務次官にお聞きしたいのですが、沖繩事務所長という職務は、これは総理府の職員としての身分に一応原則はなっている。しかし外務大臣が指揮監督をする外交事務をやる場合が起こる。こういうときに、高等弁務官というのはアメリカ政府を代表した非常に強大な職権を持ったのが行っている。あそこの従来の連絡事務所長は民政府との交渉しかできぬというので、高等弁務官とずいぶん差があって弱いかすかな存在になっている。しかしそこへは従来公使などをやられた方を赴任せしめておられて、事実上外務省の外交官の所長になっている。そして下におられる参事官、書記官に当たられる人が事務官になっておられる。事実中身は外交官なんです。ですから、すぐ転任するときは外交官でほかのところに転任されている。前の山本さんもホノルルの総領事に転任されている。こういうことになっているのですから、外交官がこの任務にあるということになると、高等弁務官と対等の交渉をするという、現地の沖繩である程度の処理ができる——これにも書いてある。沖繩で、現地ですかっと事務処理をさせる必要上ということがあるが、そういうことからいったら、少なくともアメリカの大使級の人、あるいは英国の大使級の人をここに据えて、高等弁務官と対等にものが言えるように、法律も変わってきて諮問委員会もできているということになれば、対等の地位にある一等大使級の人を持っていくような気持ちが、外務省側に意図があるかないか、それをちょっと確かめておきたい。
  116. 藏内修治

    ○藏内政府委員 なるほど沖繩に派遣されておりますアメリカの出先機関は、高等弁務官という非常に強い権限を持った出先機関が来ておりますが、外交上、これを見ました場合、やはり米政府の出先機関でございまして、これに対してわがほうから認証官である大使を当てるべきかどうか、お気持はよくわかるところでございますけれども、認証官の大使を当てるまでのことはないけれども、これに次ぐ有能なる外交官を検討してきたところでございまして、今後もその方針でまいりたいということが外務省としていま考えておるところでございます。
  117. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、従来と同じクラスの所長を置く、そういうことですね。
  118. 藏内修治

    ○藏内政府委員 従来と同格と申しますよりも、やはり認証官の大使を持ってくるというには当たらないけれども、これに次ぐ有能なる外交官を当てたい、こういうことでございます。
  119. 受田新吉

    ○受田委員 大使の経験者は、すでに入国管理局長などに法務省は採用している。したがって、大使の認証官の経験者の中でも相当の経験者で、この沖繩問題を処理する優秀な人材をここに持ってきて、高等弁務官と対等の交渉ができるような、もうぐっと下がったかっこうではなくて、対等でものが言える、日本も沖繩の事務所へ全権を委任する。大事なところは日本へ持ってくる、普通のことはお前のところで高等弁務官と対等で話をせよ。このくらいの地位のある人を持っていかなければ、沖繩の現地問題は簡単に片づきませんよ。やはり大きな度量と、それからある程度の地位を持った人に仕事をさせぬと、事務処理だけさせるという気の毒な形でなくて、外交事務が入るのだから、あなたは少し勇気を持って、藏内さん、やって下さらぬと、外務省としては、少なくとも大物大使の経験者のような人を持っていってもらいたいというのを閣議で外務大臣から発言させて、今度所長を任命させるときは、そのくらいの意気込みを持ってやらないと、外務省は小さな存在になりますよ、これは。
  120. 加藤泰守

    ○加藤説明員 総理府のほうから一言申し上げたいと思いますが、今後どういうふうに所長の人事をやっていくかという点につきましては、諮問委員会に外務省から現在高瀬大使が派遣されておりまして、諮問委員会の事務としては外交的な色彩が強いので、外務省のほうの大使級の方にお願いをしているわけでございますが、所長につきましては、現在高杉さんが外務省から来られて所長になっておられますが、今後は違う面から、もう少し内政的な仕事を中心に考えていきたいというふうに考えております。  ただ、先ほどからお話にもありましたように、すなわち、協議能力を有するという点につきましては、これはやや外交的な色合いも出てまいりますけれども、先ほど申し上げましたように、具体的、個別的な、やや軽微な外交折衝でございますので、この点はまず問題がないと思います。ただ、もちろん所長を補佐する面におきまして、そういうような点をよく考慮いたしまして万全を期したいというふうに考えております。
  121. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、総理府は、内政面に明るい人を持っていって、外交官からは今度は所長はとらぬという方針で、予定した人事を考えておるのかどうか。
  122. 加藤泰守

    ○加藤説明員 まだ確定的でございませんが、そういうような方向で検討しております。
  123. 受田新吉

    ○受田委員 その方向で検討しておるというと、外務省は据えぜんを食わされて、実際は内政の権威者がそこへおすわりになる。それを今度は外務大臣が指揮される、こういうことになる。それはそういう場合があってもいいし、してもいいが、そのことには、先ほど私が長官に申し上げたような国民全体が納得し、沖繩県民が沖繩の現地で、われわれのために、今度は高等弁務官と対等に処理してくれる偉いやつが来たという期待を持たせるような人を持っていかぬといかぬ。いまどういう人事を進めておられるか。副長官、長官にかわって私がいま希望するような人事が行なってもらえるかどうか。
  124. 八木徹雄

    八木政府委員 先ほど来お話を申し上げておりますように、今回の諮問委員会発足に伴いまして、諮問委員には外務省の大使級の高瀬君がいますでに行っておるわけですが、それを設置する。そのかわりいままでの南連の事務所を沖繩事務所というふうに変えまして、その沖繩事務所の長はいままでの外務省人事ではなくて、総理府人事にする、こういうことになっているわけでありなす。総理府人事におきましては、御案内のとおりいままでの南連事務所のような、ここに掲げておりますように、諮問委員会に伴う付帯的事務というものがあるわけであります。それには相当な人材を起用しなければならぬということになりますが、大体考え方としては、ただいま現在では、自治省系統の局長級くらいの人物というものを予定しております。そういうことで人事をいま進めておるわけでございます。
  125. 受田新吉

    ○受田委員 総務副長官、何の局長ですか。
  126. 八木徹雄

    八木政府委員 自治省の局長クラスの方を起用するということで人事を進めておるわけであります。
  127. 受田新吉

    ○受田委員 そうすると、沖繩の県知事の予備的な問題くらいに考えられて——これはかりにですよ。事務次官クラスの者を派遣するような大方針をお考えください。局長クラスだったら、従来の外務省の局長クラス、公使さえいっておらぬ。名称であるけれども、公使の名前だけいただいた公使であっても、公使がいままで行かれておる。そういうときに局長クラスの人を派遣されたのでは、沖繩県民は非常に嘆きますよ。それは少なくとも事務次官くらいの人を持っていく。最悪の場合でも、とにかく認証官にしていくというのが私の主張だが、これはいまからでもおそくはないですから……。そういう人事を考えていただきたいということは、沖繩県を愛するがゆえである。高等弁務官と対等の者をやらないと、アンガーはなめて、また局長クラスが来たなということになる。すらっとした人を持っていかないと沖繩を愛することにならない。どうも簡単な事務処理の人事のように見えてしかたがない。そうじゃないですか。これはみんな与野党通じて異口同音に同感だ。いまから人事を考え直していただけませんか。
  128. 八木徹雄

    八木政府委員 非常に重要な人事であるということには変わりはございません。そういう意味において一級の人物を差し向けるということは全く同感でございます。ただいままでと違って、諮問委員というのが一人大使級の、しかも古参大使級の高瀬君が行っておるわけでございます。これは日米琉の一体化施策というものを進めていくということになるわけですが、いままでの南連事務所、今度の沖繩事務所の性格は、その意味で前と少し違っていると思うのであります。そういう諮問委員仕事というものの補佐的な役割りというものと、それから在来の南連事務所の仕事というものとを兼ね備えるにふさわしい、そういう人材を起用する。それは単なる外交官だけではなくて、内政もわかる人だということで、いま私は端的に自治省の局長クラス、こう申し上げましたが、具体的人選につきましては、十分皆さんの意のあるところをひとつ長官にも話しまして、りっぱな人物を出すように努力したいと思います。
  129. 受田新吉

    ○受田委員 それではこの問題は、あなたは日米琉の諮問委員会を非常に高く評価されているけれども、現実に向こうは高等弁務官が沖繩を支配する現地派遣のアメリカ代表、こちらは沖繩事務所長が現に日本を代表しての日本政府沖繩事務所長ですよ。これは対等にしなければならぬ。諮問委員会と系統が違う。諮問委員会の風下にいるのが所長ではない。——風下が所長ですか。ちょっともう一ぺん、沖繩事務所は諮問委員会の傘下に属するような事務所ではないと思うが……。
  130. 八木徹雄

    八木政府委員 諮問委員会とは直接には関係ないわけでございます。諮問委員会は大使級の高瀬さんが行っておるわけでございます。だから沖繩事務所のほうはまだ施政権の伴っていない日本の沖繩の代表という形で一般事務を扱うということでございますから、だから気持ちの上で対等に交渉できる、そういう人材を選べということば全く同感でございます。そういうような人材を選ぶことに努力いたしたいと考えております。
  131. 受田新吉

    ○受田委員 いまから人材を考えるということですから、これで質問を終わりますが、最後に同和対策について、これは、総務副長官に一言だけ御答弁いただきたい。  アメリカでは黒人問題が非常に大きな波紋を呼んでおるわけですが、いま八木委員が指摘されたような同和対策のための特別措置というものは当然急いでやっておかれて——日本にまだそういう差別観念があるようなことをさせておるところが現実にある。これを一挙に解決するには思い切った大手術をやらなければいかぬ。キング師がなくなられたために、差別法が撤廃されたというアメリカのこともあるんだから、あちらさんでさえもそのくらいのことをやっている。いわんや日本は色も違わないし、全部同じなんで、ただ昔の制度の犠牲になった人たちを、いつまでもそういうかっこうのままに置いておくなんということは許すべからざる問題だと思う。八木委員が指摘されたことは私も全く同感でありまして、政府においては、同和対策特別措置を急いで実施されることを希望します。御意見を承って私の質問を終わります。
  132. 八木徹雄

    八木政府委員 先ほど八木一男議員に対しておそらく長官からお答えがあったと思いますが、ただいま与野党国会対策委員長会談の議に従って、国会対策の段階でこれの扱いについて慎重に検討いただいておるところでございます。おっしゃるとおり放任できることではございませんので、われわれといたしましてはできるだけすみやかにこれが立法措置ができるように努力いたしたいと思っております。
  133. 受田新吉

    ○受田委員 終わります。
  134. 三池信

    三池委員長 次回は、来たる十六日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十四分散会