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1968-03-08 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月八日(金曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長代理 理事 松澤 雄藏君    理事 井原 岸高君 理事 上村千一郎君    理事 浦野 幸男君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君       荒舩清十郎君    内海 英男君       塩谷 一夫君    菅波  茂君       野呂 恭一君    橋本龍太郎君       湊  徹郎君    稻村 隆一君       武部  文君    華山 親義君       浜田 光人君    安井 吉典君      米内山義一郎君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         法 務 大 臣 赤間 文三君  出席政府委員         法務政務次官  進藤 一馬君         法務大臣官房経         理部長     辻 辰三郎君         法務省入国管理         局長      中川  進君  委員外出席者         人事院事務総局         公平局長    茨木  広君         行政管理庁行政         管理局管理官  木下  薫君         法務大臣官房人         事課長     羽山 忠弘君         法務大臣官房司         法法制調査部長 川島 一郎君         法務省民事局第         一課長     香川 保一君         大蔵省国有財産         局鑑定審議官  三島 和夫君         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 三月六日  委員伊藤惣助丸君辞任につき、その補欠として  渡部一郎君が議長指名委員に選任された。 同月八日  委員桂木鉄夫君、佐藤文生君、藤波孝生君及び  武部文辞任につき、その補欠として湊徹郎  君、橋本龍太郎君、菅波茂君及び八百板正君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員菅波茂君、橋本龍太郎君、湊徹郎君及び八  百板正辞任につき、その補欠として藤波孝生  君、佐藤文生君、桂木鉄夫君及び武部文君が議  長の指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月六日  公務員賃金抑制及び定員削減反対等に関する  請願浜田光人紹介)(第二〇八六号)  同(浜田光人紹介)(第二一二一号)  同(阿部助哉君紹介)(第二二二二号)  同(川上貫一紹介)(第二二二三号)  同(木原実紹介)(第二二二四号)  同(田代文久紹介)(第二二二五号)  同(楯兼次郎君紹介)(第二二二六号)  同外一件(谷口善太郎紹介)(第二二二七  号)  同(浜田光人紹介)(第二二二八号)  同外一件(林百郎君紹介)(第二二二九号)  同(松本善明紹介)(第二二三〇号)  同(八百板正紹介)(第二二三一号)  同外一件(横山利秋紹介)(第二二三二号)  法務局職員増員等に関する請願稻村隆一君  紹介)(第二〇八七号)  同外四件(木原実紹介)(第二一二三号)  同(古川喜一紹介)(第二一二四号)  同(稻村隆一君紹介)(第二一六七号)  同(柴田健治紹介)(第二一六八号)  同(森本靖紹介)(第二二三六号)  現場手当支給に関する請願加藤六月君外一名  紹介)(第二一六九号)  行政職俸給表(二)等適用者差別撤廃等に関  する請願川上貫一紹介)(第二二三三号)  同(田代文久紹介)(第二二三四号)  国家公務員給与体系改善等に関する請願(松  本善明紹介)(第二二三五号)  金鵄勲章受章者の処遇に関する請願(船田中君  紹介)(第二二三七号)  国及び地方公共団体建設関係職員現場手当支  給に関する請願大出俊紹介)(第二二三八  号)  同(田中角榮紹介)(第二二三九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四三号)      ――――◇―――――
  2. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 これより会議を開きます。  本日は委員長が病気のため、委員長指名により、松澤雄藏の私が委員長職務を行ないます。  法務省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 法務省設置法の一部改正なんでありますけれども旧来からこの委員会で何回か入管出張所設置するというような問題を扱ってまいりましたが、今回たしか五カ所になるのではないかと思うのでありますが、これはたしか一カ所二名くらいの定員のはずだと思うのでありますが、その内訳、それからどういう仕事を主としておやりになるかという点、簡単に御説明をいただきたいと思います。
  4. 中川進

    中川(進)政府委員 いま御質問ございましたように、大体一カ所二名でございます。職務内容は主として入船審査と申しまして、外国の船が港に入りましたときに船へ出かけまして、そして入国事務を行なうということでございます。
  5. 大出俊

    大出委員 二名の方の官職の名称はどうなっておりますか。
  6. 中川進

    中川(進)政府委員 普通は審査官一名、警備官一名でございます。
  7. 大出俊

    大出委員 審査官警備官の分掌と申しますか、どういうことをやるかという規定があるはずでございますが、それをちょっと読み上げてください。
  8. 中川進

    中川(進)政府委員 出入国管理令の第六十一条の二というのがございますが、それに「入国審査官は、左の事務を行う。一 上陸及び退去強制についての審査及び口頭審理を行なうこと。二 収容令書又は退去強制令書発付すること。三 収容令書又は退去強制令書発付を受けて収容されている者を仮放免すること。」それから「3 入国管理事務所に置かれた入国審査官は、必要があるときは、その入国管理事務所管轄区域外においても、職務を行うことができる。」これが入国審査官職務でございます。それから入国警備官に対しましては、六十一条の三というのがございまして、その第二項に「入国警備官は、左の事務を行う。一 入国上陸又は在留に関する違反事件調査すること。二 収容令書及び退去強制令書執行するため、その執行を受ける者を収容し、護送し、及び送還すること。三入国者収容所収容場その他の施設を警備すること。」とこういうふうになっております。
  9. 大出俊

    大出委員 現在いわゆる出張所というのは全国何カ所ございますか。
  10. 中川進

    中川(進)政府委員 六十六カ所でございます。
  11. 大出俊

    大出委員 これは将来どの程度、どういうかっこうでふえていくというお考えでございますか。というのは、当初これは設置法からはずすというお考え中川さんのところであったようでございますが、将来これはどういうかっこうになるかと  いうことを一ぺん展望してみませんと、あるいはこの次の機会あたりに、設置法からはずして省令できめるなどという形が出てきかねないと私は実は思うわけであります。つまりいままで何回か毎年ここでこの審議をしてまいりましたけれども、将来これがこの限度と考えがたい程度にふえるのだとすれば、そのようにわわれれのほうも考えなければなりませんし、それから現在の状況から見て、このぐらいまでやればいいのだというところまでいつごろいくかという問題があります。したがってその辺の展望をお述べをいただきたいと思います。
  12. 中川進

    中川(進)政府委員 ただいま日本に出入国港と指定されておりますのが百九ございますが、そのうちただいま六十六置いておりまして、今度五つ新しい設置を御承認願っているわけでございます。したがいましてこれが全部御承認をいただきますと七十一カ所になるわけでございまして、行く行くの問題としましては、やはりできればこの百九の港に全部置かねばならないだろう、そしてその百九自体がもっとふえていくだろうということが考えられますが、しかし一方におきましては、そうむやみにこれが百五十も二百もということになることはないと思います。百二十なり百三十なりというところで一応の目安がつく。そこらまでに大体年に幾つぐらいずつふやしていくか、かりに百二十といたしまして、七十ということで大体五十カ所あとにつくるということでございまして、年に五カ所ずつことしのように御承認をいただけますと、あと十カ年すれば大体出入国港に全部出張所を置ける、こう考えております。  それからただいま御指摘の第二の点でございますが、地方自治法百五十六条の規定によりまして国会の御審議を経ないでもとにかく事務所設置を認めていただけるというふうな制度に、できれば御改正承認をいただければよいと思うのでございますが、いろいろな事情でことしはそこまでまいりませんでした次第でございます。
  13. 大出俊

    大出委員 これは地方自治法規定その他と関係がありますけれども、似たようなもの、たとえば税関なんかの場合に省令できめているような形のところもあるようでありますが、これは旧来経過歴史がありまして、なぜ一体これは省令できめるのではなしに設置法に残してあるかという経過がございますから、そういうものを踏まえて私はやはり設置法できめていくべきだという気が実はするわけであります。  そこで、この六十六カ所に五カ所をふやして七十一カ所になるということでありますが、百九の港に全部置こう、こういうわけでありますけれども、大体予算的に見て、毎年五カ所くらいずつふやすとしてどのくらい予算上要るのですか。予算書細目がないものですからわからないのですけれども
  14. 中川進

    中川(進)政府委員 今度の五カ所につきましても八十七万円の予算を要求しているわけでございますが、そのほかに人件費がございますし、それから運営のための庁費旅費その他が要るわけでございますが、私どもといたしましては地方入管一本で幾らというふうに要求しておりますので、具体的に、たとえば二人の庁の運営に年々どれだけかかるというところまではいま詰めておりません。
  15. 大出俊

    大出委員 二人庁だからたいした予算ではないと思うのですが、うしろをちょっとあけてみたのですけれども細目がそこに記載されておりませんので、いま承ったわけなんですが、要するにちょっと見当はつかぬというわけですね。  この二〇ページ、二一ページの表を見ますと、入港船舶などの数が記載をされております。これは相当アンバランスだという感じがするわけであります、比較的多いところと少ないところと。しかし二人庁という形は変わらない、こういうことになっているのだろうと思うのでありますが、予算執行経過から見て――仕事内容はどんなことがあったかということを聞いていると長くなりますから、執行経過から見て、当初予算で要求した額と実際にかかっている経費との間にどんなふうな関係が出ておりますか。たとえば前回決定をいたしました大分だとかあるいは四国の松山だとかありますが、一、二例をあげてみていただきたい。
  16. 中川進

    中川(進)政府委員 予算執行したあとを振り返りまして、私どもとしましては、特に御承認、御協賛を得ました予算で非常に困るということはないと思います。
  17. 大出俊

    大出委員 いまあげていただきました審査官なり警備官の業務がありますけれども、二人の人ではどうにも手が足りないというようなことが、この表を見ますと、相当出入船舶の多い港、たとえば高知なら高知というところを見ますと二百十二なんという数字がここに載っております。比較的これは他に比べると多いように見えるわけであります。こういう場合に、やはり二人庁なんですから、そうするとこれは相当なアンバランスになって、こういうところに上陸をしたいという場合に、すぐ出かけていって許可を与える、与えないという問題が出てくるわけであります。相当頻度の高いところは繁忙であり、そうでないところはのんびりしているということになってくるのですが、そこらのところはどんなふうにとらえておりますか。
  18. 中川進

    中川(進)政府委員 御指摘のごとく、先ほど私ことばが足りませんでしたが、予算という点では一応御協賛を得ましたもので別に不足はないのでございますが、定員に関しましては、確かに繁忙なところは非常に手不足でございますので、できればこの繁閑の度に応じまして、忙しいところにはもう少したくさん定員をつけていただきたいということを希望しております。
  19. 大出俊

    大出委員 あと登記所などの問題なんかも少し承りたいのでありますが、どこの官庁も――私も官庁育ちの者ですけれども、どうも当初予算をながめてみてこうなっているんだということを思っても、結果的に執行あとをたどってみるとそのとおり使われていないというのが一方にあるわけですね。こんなはずはないと思って見ると、予算上はこうなんだということがよくあるわけですね。これはあとのほうから申し上げます。  私は実は現地を二カ所ばかり前に見たことがありますけれども、もう一ぺん何かの機会に立ち寄らしていただこうと思っていますが、どうにも忙しくてしょうがないというところもやはり定員が二名に限られている。これは郵便局なんかだって同じことが言えるので、行程二十キロあれば一人配置だということになっている。一日いたってあまりお客さんが来ないようなところだって、一人いなければならない。山の中の先のほうに一軒家があってそこにも人がいる限りは、一人置いて配達しなければならぬということになってくる。ところが、そうでない相当忙しいところであっても、一人でやるということがあるわけです。私は、こういう非常に頻度の高いところは、二人でやっていただいているということでは相当その人たちが負担になってくるのではないか、実はこういうふうに思うわけでありまして、何でもかんでも二人配置だ、審査警備両方一人ずついなければならぬ、それだけだという形では、どうせここまでのふやし方をしようとするならば、ついていかぬような気がする。したがって、そういうふうな点をもうちょっと定員算定基準めいたことに触れてお話しを願えないかと思うのです。
  20. 中川進

    中川(進)政府委員 御指摘の点まことにごもっともでございまして、われわれといたしましても、入国管理事務所出張所繁忙なところ、特に大阪とか神戸とか横浜でございますが、そういうところは非常にたくさんの定員を置いておるわけでございます。ただいま御審議をお願いしておりますのは、とにかく境、福山高知、堺、名古屋というわけで、確かに表で見ますと相当の出入りがございますが、いま申しました大阪とか神戸とか横浜とかいうようなところに比べますと、出入量はずっと少ないのでございまして、大体いやしくも役所という限りには、一人では休養もとれないし、どうにもなりませんので、最低限二人は要るということでございます。もちろん、できましたら、たとえばここにあります福山のようなところよりは、御指摘高知なり大阪堺なりのほうがはるかに船舶出入が多うございますから、たとえば福山が二人でございましたら、堺なり高知なりは少なくとも三人、できれば四人入れていただければありがたいのでございますが、いかんせん、予算定員ともに非常に窮屈でございますので、私どもといたしましては、人数が少なくとも、ともかくそこに常駐的に役所を開くということにまず最初は重点を置きまして、開いたあとで漸次それを拡張と申しますか充実していきたい、かように考えておる次第でございます。
  21. 大出俊

    大出委員 これは法務省入管局長さんの立場から見れば、何が何でも役所一つこしらえる、それが先決だというものの考え方、見方になるのですけれども、さて末端に行きまして、そこに行く人の身になりますと、おれはまたえらいところへ来てしまった、デートするひまもないということになってしまう、若い人の場合なら。だから、勤務時間があったってそんなことを言ってはいられないということになってしまう。そこまで考え配置をしていただかないと、私ども委員会というものは設置法――機構プラス定員ですね。これは定員法がなくなって設置法に入ってきたいろいろの経過から見ても、定員というものは何できめるかという基準一つ問題になる。国家行政組織法の面からいって、各行政機関の職の定員法律できめる、こうなっているわけですが、そこに至る過程で、職の定数あるいは職員――恒常的な職という意味職員、こういう人は一体何が基準かというと、あくまでも機構である。機構に見合った人という解釈で定員設置法の中に入ってきているということなんですね。そうだとすると、機構考えるなら人のほうをあわせて考えて措置をしなければ筋が通らないということになる。したがって、いまのお話にあったように、三人なり五人なり必要なところはぜひこれをふやしていただきたい。  それからもう一つ、いま行管の方にも御出席願っておりますが、行管立場からすると、世間一般の皆さんの世論として公務員の数がやたら多い、おれたちの税金を食っているではないか、だから公務員の数を減らす行管がんばれ。減らすといえば世の中は何でも賛成だ、こうなるのですけれども、しかしその減るのが学校の先生を減らそうということになれば、おかあさん連中大騒ぎになってしまう。もうちょっと先生をふやしてくれ、こうなってくる。あるいは陸運事務所へ行って車検登録やなんかをやっているときに自分の番がなかなか回ってこないということになると、おれたちは税金払っているのに何でふやさないんだ、こうなる。そこにそういった二面があるわけですね。だからせんじ詰めれば、必要なところには必要な人を配置をするということですね。これでなければならぬと思う。許認可事務の廃止のようにやはり要らないもの、簡素化すべきもの、またできるものはしていかなければならぬということになると思う。そういう意味で、現場で、ある意味ではサービス的な面も持つわけでありますから、そういうところでどうにもならぬほどの繁忙をかかえて一人庁では私は困ると思う。ぜひひとつ来年以降の場合はもうちょっと、この数字だけではわかりませんので、どういう度合になっているかということを、ただ出入船舶数だとかあるいは外国船がどうだとかということだけではわかりませんから、もう少し考え資料を出していただいて、われわれ審議する側がながめてみてこれは気の毒だ、もうちょっと――この委員会機構審議する委員会なんですから、これだけの仕事をしているのだとするならば、これは去年あるいはおととし大分なり松山なりがこしらえたけれども、仏つくって何がしになっては困るから、もうちょっとこれはふやしたらどうか、そういうことになるような形の出し方を私はぜひひとつしていただきたいと思います。それからもう一つ、いまたいへんありがたいお話があったのですが、少なくとも役所あるいは官庁というからには一人ということは困る、やはり二人いなければ困るというお話なんですが、ところが全国に千二百くらい登記所には一人庁がある。これは法務省傘下です。一人庁ではたいへんだということで金を何とかつけろと私どもやかましくいって三千六百円かになった。半日はうちの仕事をするのだろうといって人事院は半分に減らした。正直いうとあれは実にけしからぬと私は思っているのですが、たとえば一人庁で実測なりにすぐ出かけてしまえば、あとお客さんが来れば奥さんがやるよりしようがない、一人庁だから。そうだとすると、やはりこれも同じ法務省関係だけれども、どうも一人庁なんというものがあるということは、これは何とかなくさなければならぬことになる。あとから中川さんがそういうふうにおっしゃっておられましたから、将来おそらく法務省の中で一人庁はなくなるんだろうと私は思うのですが、そういうことで、人というものは実際に社会一般通念から見てこれだけの繁忙があればこれだけ要るというようなことはわかるのですから、ぜひひとつそういうふうにしていただきたい。  羽田の植物検定なんかを見てみましても、あるいは方々の港の植物検定を見てみましても、あれなんかも実際必要な大切な仕事なんだが、人が足らない。仕事昭和三十年ぐらいから調べてみて七倍にも八倍にもなってしまっているのに人は一つもふえない。だからバローイングネマトーダなんという、ミカンネモグリセンチュウというのだけれども、害虫がどんどん入ってくるがどうにもならぬ。アメリカシロヒトリが入ってきて大騒ぎになって、入ってきてから八千万も金を使って防除作業をやっている。これは植物検定なら検定ということでおさめなければならない。やっぱり似たような性格を持つ出張所ですから、ぜひひとつそういうことを一目瞭然なるほどとわかるように資料をこの次にもつくっていただいて、設置法から抜こうなんということを、別なほうから考えないで、充実さしていく方向でひとつお出しいただきたい、こういうように考えるわけであります。  それからもう一つ少年院の、愛知でございましたか、これは市町村の名称変更に伴う名称変更というだけのものかどうかという点を念のために伺っておきたい。
  22. 川島一郎

    川島説明員 愛知少年院関係は、設置法の別表にその所在地規定しておりますが、従来猿投町という町の中にあったわけですが、これが豊田市に編入されてきましたので、その所在地猿投町から豊田市に改めたということだけの改定でございます。
  23. 大出俊

    大出委員 この設置法関係で実はもう少し質問したいことがあるわけですが、同じく定員の問題とからみますので少し定員の問題をめぐって御質問申し上げたいわけであります。これまた入管関係につきましては、朝鮮公民の帰国問題につきまして前回一ぺん田中伊三次さんが法務大臣のときに中川さんに出席いただいて少し長い質問をいたしたこともありますので、実は承りたいのでありますが、いま定員の問題で質問してまいりましたからとりあえず定員にからむ問題を御質問申し上げたいのであります。  現在法務省で、法務局登記関係仕事をやっていく中に、正式名称測量車ということなのだろうと思いますが、あるいは実測車ということなのだろうと思うのですが、これは大体どんなことに使っておるわけでございますか。
  24. 香川保一

    香川説明員 実測車不動産登記の中で不動産の表示に関する登記というものがございまして、これは個々の土地建物状況登記するものでございますが、その関係登記申請がございますと、たとえば十坪増築したという申請がございますと、現場に出かけまして、はたして的確にそのとおり増築されているかどうかという現場の確認をするわけであります。それからまた登録免許制の課税の関係不動産価格を認定しなければならない場合がございますが、この場合にやはり現況を調査して認定するということになりますので、さような場合に、従来は電車、バス等交通機関を利用して出かけておったのでありますが、能率上やはり実測車を用いて機動的に調査するということが必要でございますので、さような意味から実測車を導入いたしまして、いま申しましたような調査に使っておるわけでございます。
  25. 大出俊

    大出委員 そうすると、これはどうしても行かなくては調べられない仕事だということになるわけですか。
  26. 香川保一

    香川説明員 原則的にはお説のとおりすべて調査して的確に把握できれば、それに越したことはないのでございますけれども、ただ登記申請書にそのようなことが間違いないということを証する書面等の添付を求めまして、それによって特に現場調査しなくても間違いないというふうな場合には、実地調査を省略しているわけでございます。この関係は、制度的にはできるだけ広範囲に調査ができれば、それに越したことはないと思うのでありますが、他の登記事務が非常に繁忙をきわめておりますので、遺憾ながら理想的な実地調査は現在できていないと申し上げるほかないと思います。
  27. 大出俊

    大出委員 いま香川さんのお話の中に、他の登記事務が非常に繁忙であるからというお話がありましたが、実は私は登記所は一人庁も含めまして何カ所か実際に行って調べたことがございます。この委員会登記関係はちょいちょい出てまいりますから。私は非常に義憤を感ずるわけであります。一人庁も含めましてこれだけお忙しいのに、さっきも口に出しましたが御主人が官職についておられて調査に出かけられる、一人庁でも行かなければならぬ場合が出てくる。あとお客さんが来る、いない。いないじゃ済まないというので奥さんが聞いておいて、あとで御主人にこうだと言う。奥さんはこれは定員算定に入っていないのですね。奥さん手当なんというのが別に新設でもしていれば別です。扶養手当以外にないわけです。そうすると、これは一体どういうことになるかというと、登記関係事務というものは相当人をふやさなければという、法務省はかたいから少しおとなしいのじゃないかという気がするくらい繁忙なんですね。  そこで、ひとつ法的な根拠を承りたいのですが、認められる程度、つまり確実であると思われる、証明するに足る書類が添付されておればというのでありますが、法律的にはどうなっているのですか。
  28. 香川保一

    香川説明員 法律的には非常にばく然となっておると申しますか、要するにその申請が相当と認められないときというふうな表現になっておりまして、相当であるかどうかという書面上の審査をしてどうも疑わしい、的確にそうだという判定ができない場合は実地調査をしなければならぬ、かような趣旨の規定になっております。その辺の判定は登記官にまかされておるわけでございます。
  29. 大出俊

    大出委員 法律の関連条文をあげていただきたいのですが……。
  30. 香川保一

    香川説明員 不動産登記法の四十九条の十号でございます。「土地又ハ建物ノ表示二関スル登記申請書二掲ゲタル土地又ハ建物ノ表示二関スル事項が登記官ノ調査ノ結果ト符合セザルトキ」、この場合にはその申請を却下するということになっておるわけでございます。そうして、ここに出てまいります「登記官ノ調査」という関係が、不動産登記法の二十五条ノ二で、「不動産ノ表示ニ関スル登記又ハ登記官職権ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得」という規定と、それからやはり不動産登記法の五十条の一項に「登記官ハ土地又ハ建物ノ表示二関スル登記申請アリタル場合又ハ職権ヲ以テ其登記ヲ為ス場合ニ於テ必要アルトキハ土地又ハ建物ノ表示二関スル事項ヲ調査スルコトヲ得」とございます。  これらの規定を総合して考えますと、全部の表示に関する登記について必ず実地調査をしなければならぬというところまでは不動産登記法は求めていない。登記官が必要がある――この必要があるかどうかは、たとえば建物が火災で滅失したという滅失の登記申請がございまして、消防署の証明がついておればこれは必要ないということで、実地調査をしないで滅失の登記をするというふうな場合もあるわけでございます。すべて調査をした上でなければ登記をしてはならぬという趣旨ではなかろう、こういうふうに解釈いたしております。
  31. 大出俊

    大出委員 香川さんが現場事務をやっておられたかどうかわかりませんけれども――おそらくやっておられないでしょう。ですから現在、間違いもあるだろうと思いますが、私も昨晩条文をあけてみたのです。そうすると、これは「登記官ノ調査ノ結果ト符合セザルトキ」という表現ですね。そうすると、私は法律解釈はしろうとですけれども、どうも登記官の調査が先行していなければならぬという気がする。登記しに来たその場合、登記という必要が起こった場合に、登記官の側がこれはどうなんだろうかと、行って調べた。これが前提になって「符合セザルトキ」ということになるのだろうという気がするわけです。したがって原則的には調査をするということが法意であって、ただ、しかしその必要は全くないというふうに確認ができるものはいいのだ、こういう読み方が正しいのじゃないかという気が私はする。いまのように焼けちゃって消防署からちゃんと証明するものが出ている。そうすると、これは調査する必要はない、間違いはない、こういうことになる。誤登記でもあったらたいへんなことになりますからね。したがって、これは人の財産ですから、財産権というものを守っていくという立場からすれば、やはりこれは調査が前提になっている、こういう気がするわけです。そうではないかと私は思っているのです。先ほどやってもいい、やらなくてもいい、相当と認められないときなんというあいまいなことになっているとおっしゃったから、それで実は条文をあげてくれと申し上げたのですけれども、そこに少し違いがあるようですが、そこのところはどういうふうに御解釈でございますか。
  32. 香川保一

    香川説明員 先ほど申し上げた申し上げ方が少し不適当であったかもしれませんが、お説のとおり、この実地調査規定が必要ありと認めるときは調査するということになっておりまして、ただいま仰せの四十九条の十号は、調査の結果と符合しないときには却下する、こうなっておりますので、十号のほうだけを読みますと、すべて調査が前提になっているというふうな読み方もできないではないと思うのでありますけれども、五十条の規定等々と考え合わせますと、調査はしなくてもいいというふうに登記官が判断すれば、そのときはまさにその申請が適法なものとして登記をするということを前提にしまして、書面審査だけで登記ができない、申請が相当と認められない、そういう疑いがあるときは実地調査をして、その結果と違っておれば却下するというふうに四十九条の十号を読むべきではなかろうか、かように解釈いたしております。
  33. 大出俊

    大出委員 世の中の法律というのは、論議をしてきめたそのときにいろいろな法意がありますけれども法律が一人歩きするとなかなかそうならない、いろいろな解釈が出てきましてね。だから、へたに法律論などをやりますと、おれはこう思うと言って持ち出すと、必ず学説なんというものも反対の学説があってみたりするものですね。だがしかし、一般通念、社会一般の常識的な考え方からすると、間違ったとなるとこれはたいへんなことですから、そういう意味ではできる限りやはり調査をして正確を期すというのが一番いいことではないか、法律の読み方がどうであれ、一般庶民からすればそういう気持ちになるだろうと私は思うわけであります。だから、私どもこういう審議の席におりますから、庶民の皆さんにとって間違いがない方法をという気持ちからすれば、やはり四十九条の十号というのは、できるだけいま私が申し上げたようになってほしい、そうあってほしいという気が実はするわけであります。  さて、そうなると、ますますもってこれはどうも人が足りなくて、先ほどおっしゃられたように、えらい忙しい、他の登記事務が忙しいなんというようなことで、まあちょっと疑問があるけれどもいいじゃないかというようなことになってしまっちゃ困るわけですね。そうすると、どうしてもそこで人の問題も、あるいはその人が活動しやすい方法を考えるということも、これは喫緊の急務であるということになる、一日一日の仕事をしているわけですからね。そこで承りたいわけですが、そういう意味でおそらく測量車あるいは実測車というものを1自転車なりあるいは原動機付自転車ですか、何かやかましいものがくっついておりますが、こういう旧来の、二十世紀におよそ役に立たぬようなものを、少し法務省も近代的になろうというわけで、この原動機付自転車などで行っておりましたのを、少しは前向きに近代的な、二十一世紀も近いからというので、ここで測量車実測車というようなものを考えた、こういうことだと思うのです。さて、そこで考えたはいいのですが、これは予算上はどのくらいあるのですか。
  34. 香川保一

    香川説明員 予算的に昭和四十二年度まで認められましたのが、全国で二十台でございます。
  35. 大出俊

    大出委員 そうしますと、ここでひとつ伺っておきたいのですが、二十台ではどうもあまり近代的ではないわけでありますが、実測を必要とする登記所というのは全国で何カ所ぐらいございますか。
  36. 香川保一

    香川説明員 実測を必要とする登記所――登記所である以上は不動産の、先ほど申しました表示に関する登記事務を扱うわけでございますから、その量の多寡はございますけれども、すべての登記所実測を必要とする仕事があるわけでございます。
  37. 大出俊

    大出委員 何カ所ですか。
  38. 香川保一

    香川説明員 全部で千八百足らずだと思いましたが、正確にはちょっといま記憶いたしておりませんが……。
  39. 大出俊

    大出委員 正確にひとつ教えていただけませんか。それからそのうち一人庁というのはどのくらいありますか。
  40. 香川保一

    香川説明員 一人庁は二百五十八でございます。
  41. 大出俊

    大出委員 あとから正確に承りますが、数字が出てきたところでお答えいただければけっこうです。いまのお話では、私は先ほど申しましたように実は課長さんと少し見解が違うので、調査を必要とする登記所は、とこういう表現を使ったのです、先ほどのお話では、相当と認められないとき云々というのがありましたから。しかしそれであっても、調査は必要である。だから登記所と名がつく限りは全部実測をする、あるいは測量をする、こういうことになる。それがおよそ千八百前後であろう、そのうち一人庁が二百幾つかある、そこのところはこういうことですね。
  42. 香川保一

    香川説明員 二百五十八です。
  43. 大出俊

    大出委員 そこで、二十台となりますと、千八百分の二十、こういうことになるわけでありまして、あとは旧態依然たる原動機つき自転車、カブなんというのがあるのですね。こういうふうなのが出てくるわけでありますが、そうすると、近代的な機械がないところはやはり原動機つき自転車とか、そういうふうなものを使っておるわけでございますか。
  44. 香川保一

    香川説明員 お説のとおりでございます。
  45. 大出俊

    大出委員 予算で原動機つき自転車は何台ぐらいか、それから実測に使うその他のものもあるかもしれませんから、あわせてお話しいただきたい。
  46. 香川保一

    香川説明員 お説の原動機つき自転車と申しますのは、予算的には四十二年度までで三百九十六台でございます。
  47. 大出俊

    大出委員 そのほかのものはございませんか。
  48. 香川保一

    香川説明員 そのほかは通常の自転車でございます。これは経緯を申し上げますと、当初実地測量に必要なものということで予算化されましたものが自転車から始まったわけであります。
  49. 大出俊

    大出委員 それは知っています。これは二十七年ごろからということなんですが、そうすると自転車のほうは予算上はどのくらいになっておりますか。――整理していきましょう。原動機つき自転車というのは一体予算上何台であり、通常の自転車というのは予算上何台であって、大体何年で廃車ということになっておりますか。そして現在使っているものは何台ありますか。
  50. 香川保一

    香川説明員 先ほど全国登記所の数は千八百ぐらいと申し上げましたが、正確に申し上げますと、千七百六十九でございます。そしてこのうちいわゆる実地測量車と称するものが二十台、それから原動機つき自転車が三百九十六台でございますから、残り千三百五十三の庁が自転車、予算的にはかようになっております。
  51. 大出俊

    大出委員 その自転車はどのくらいで廃車というような基準がありますか。
  52. 香川保一

    香川説明員 予質的には更新の要求をいたしておりますが、必ずしも同一時に全部更新というわけには予算上認められませんけれども、私ども執行の面では約五年ぐらいで更新というふうに執行いたしております。
  53. 大出俊

    大出委員 そうすると、これはずいぶん非能率で、世の中の識者が聞いたら、吹き出すぐらいなことになっていると思うのです。登記なんというのは仕事が前近代的だからという意味かもしれませんが、郵便のように一軒一軒配達するのならこれは自転車よりしょうがないのです、早いのに乗っかっていったら通り越してしまうのですから。おまけに最近は人道、人が歩くところを自転車で走らなければ配達できませんから。しかしこれはそうでない。調査に行く個所はきまっているのですから、早いほうがいいに違いない。そうすると、これは自転車でえっちらおっちら出かけていったのでは、とてもじゃないが仕事にならない。おそらく大蔵省の役人の方々というのは、登記所がいかなるところであり、いかに忙しいところであるか知らぬだろうと思うのです。だから、これは二十台なんというようなばかげたことじゃなくて、何としてもこれは全国に行き渡るようなことにしなければどうにもならぬという気がするのです。  ここでひとつ政務次官に承りたいと思うのですが、こういう忙しさはあとから申し上げます、私も調べておりますから。こういう大事な国民の財産を保全しなければならぬ、そういう仕事に携わる方々なんで、しかも千七百六十九あって、そのうち一人庁が二百五十八あって、どうも原動車の四輪が二十台しかない、原動機つき自転車なる前近代的なもの、これすら三百九十六台しかない。さて、千三百五十三の庁が自転車、これも大蔵省に新しくしろと言ったってなかなか予算を認められないということになるのです。だから、さっきのお話では、内部では五年だなんて言っているわけであります。こういうことで一体登記事務の正確を言ってみても、これはそこで働くのは人ですから、使命観、責任感を持ってやっておられると思うのですけれども、たいへんな繁忙に耐えておるのか、そうでなければいいからかげんになるわけで、いいからかげんになるはずはない仕事でありますから、そうするとおそらくたいへんな繁忙に耐えているということになるのですね、現場の方は。そうすると、このあたりは大蔵折衝をやるという段階でも政治的なお力が必要なんで、きょうは実は政務次官に御出席をいただいて、大臣がいないところで質問する慣例はない、ないのですが、今国会の審議の最初の日でありますから、したがってあえて政務次官に御出席を賜わっただけで審議をやろうということに理事会はきめたと思います。その意味ではまさに大臣代理でございますから、御決意のほどを――私はやりとりでおわかりいただけると思うのでありますが、何とか改善、前進という方向でひとつお考えを御提起を願いたいのです。
  54. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 ただいまの登記事務その他非常に渋滞しておることを聞いておりまして、四十三年度の予算にも人員の増加あるいは事務の正確、迅速というようなことについて非常に努力いたしております。これはまだ一端でありますが、なるべく早く大蔵省にも十分に認識していただいて、国民生活の向上のために、また登記事務の正確、迅速ということは絶対にやらなければならぬと、かたい決心でおるわけであります。御了承願います。
  55. 大出俊

    大出委員 それからもう一つ政務次官にこの際お尋ねしておきたいと思います。  先ほど中川入管局長さんが、いみじくも、役所である限りは、これは一人というのはどうも役所じゃない、最低二人にしなければいかぬというので、仕事の度合いは繁閑があるだろうけれども、ともかく二人出張所をつくっておきたいのだ、こういうお話がございました。いま数字が出てまいりましたが、二百五十八の一人庁、中川さんのお説によれば、まさに役所じゃない、役所じゃないところが二百五十八もあるようでは、これまたたいへんであります。そこらのところもどういうふうにごらんになっているかということ。  それからもう一つ、先ほど中川さんに御質問いたしました入管出張所問題でありまして、私は先ほど高知の例だけ申し上げましたけれども、たいへん忙しいところがある。二カ所ばかり私もかつて見ましたが、お話を承ってみると、とにかく忙しくてしょうがないのです。したがって来年度については、どうかひとつそういうところを、やはり現場のことですから、繁忙に耐えて苦労しておられるところはふやすというふうにお考えを願いたいと思っておるのですが、そこらについての御所見を承っておきたい。
  56. 進藤一馬

    ○進藤政府委員 一人庁は事務管理上好ましいと私ども思っておりません。できるだけ早く解消しなければならぬと思っておるのでございます。いまのところやむを得ずそういう一人庁が生じておりますが、できるだけ早く一人庁を解消したいということに努力していく決意でありますから御了解願います。
  57. 大出俊

    大出委員 現場というのはなかなか上のほうでながめているようなことでなくて、私も実は郵便配達を自分でさんざやったのでよく知っているのですが、たいへんなことでございます。したがって現場の皆さんがたいへんな繁忙で苦しんでおられるのは、おいでいただけば一ぺんでわかるわけでありますから、政治的な力を御発揮いただきまして、ぜひ前向きでひとつ進めていただくようにお願い申し上げたいわけでございます。  ところで、この四輪でございますが、これが二十台。大体どういう見当で、たとえば六大都市とかなんとかいうようなことで、繁閑の度合いなどを考え配置されておりますか。  それからまた、自動車なんかの場合、たとえば他の官庁の場合には、車に乗って歩くと危険の度合いもあるので、そういう意味の危険手当的な特殊勤務手当がついている場合もあります。そういうふうなことなどは全然お考えになっていない、こういうわけでありますか。そこらのところをひとつ……。
  58. 香川保一

    香川説明員 いわゆる実測車は、表示に関する登記事務繁忙の度合いを見まして、その激しいところから逐次整備していくということで配車をいたします。さらに下がりますけれども原付自転車のほうもそういうふうな基準で配車するようにいたします。  この実地測量車を運転して実地調査をやる職員に対する手当の問題でございますが、もちろん運転して調査に参りますのは出張でございますから、出張旅費は支給いたしております。しかし特別の手当というふうなものは現行法上支給できないことになっておりますので、そういう手当はございませんが、登記所職員がそういう実地調査のためにある程度危険のあると申しますか、事故防止につとめながら車を運転しなければならないというふうな実態にかんがみまして、何とかそういう面の手当てができるようにいろいろ検討いたしております。
  59. 大出俊

    大出委員 そうすると、市内出張であっても出張旅費を出しているということになりますね。登記所というのはおのおの管轄範囲がきまっておるから、その中だと思いますがね。そういたしますと、それは旅費ですから、法律根拠は旅費規定ということになるのだろうと思いますが、そうかどうかということと、旅費規定上どのくらい、何を一体お払いになるわけでございますか。答弁しにくければしなくてもいいですよ。
  60. 香川保一

    香川説明員 車に乗っていくわけでございますから、車馬賃は支給できないわけであります。したがって、旅費法の日当を支給するということになるわけでございます。
  61. 大出俊

    大出委員 幾らでございますか。
  62. 香川保一

    香川説明員 これは通常実測車を使って行くのは午前中に済ませられるとかいうふうな場合でございますので、距離、時間に応じまして三分の一日当とか二分の一日当というふうなことになるかと思いますが、それが幾らになるか、ちょっとわかりません。
  63. 大出俊

    大出委員 いいです。私のほうから申し上げてもいいのですが、その場合今度は超過勤務というようなものはどうなりますか。調べに行って、件数が多くておそくなるというような場合がありますか。
  64. 香川保一

    香川説明員 実地測量は夜間やることは絶対ございません。したがいまして、超過勤務手当が問題になりますのは、午後参りまして、調査に手間取って役所へ帰ってくるのが五時過ぎになったという場合に、超過勤務手当の支給ということが考えられるわけであります。
  65. 大出俊

    大出委員 そこで問題は、この四輪の実測車なるものについて、調査に行く人が実測車を運転しなければならない何か分掌めいたものがございますか。
  66. 香川保一

    香川説明員 特にございません。
  67. 大出俊

    大出委員 そうすると、皆さんのほうで実測車に乗って行けという業務命令は出せませんな、ないとあれば。そこはどうですか。
  68. 香川保一

    香川説明員 やはり実測車調査をするという命令は出せるというふうに考えております。
  69. 大出俊

    大出委員 実測車というものに乗る。運転をする。この場合には、何々に乗って行けという仕事の上の分掌がなければいかぬですね。これは私も官庁育ちでよくわかるのですけれども、そのことがその人の業務であるかどうかということなんです。そこで、どうも二十台ばかりしかないわけでありますからね。たいしたことになりませんけれども、いま承るとそういうものをどう使えという規定は何もない。旧来電車、バスで行っていた。また自転車ができてきた。昭和二十七年ごろから少し変わってきた。原付自転車、それから今度は測量車。それをたとえば自転車で行かないで歩いて行った、電車で行ったという場合に、自転車に乗って行けなんていう業務命令は、これはどうもおかしな話ですがね。いまの話だと、おまえは自転車に乗って調査に行けという業務命令が出る筋合いになりますよ。これはそういうことになりますか。それでは何が業務命令の根拠ですか。
  70. 香川保一

    香川説明員 実地調査を命ずる内容としまして、特に法律的に測量車に乗って行けというところまで命ぜられる明文の根拠はないと思います。
  71. 大出俊

    大出委員 ないとなれば、これはあなた方の法律解釈からいけば、一般的にいって相当と認められないときという表現を先ほどお使いになりましたが、そんな場合だとかあるいは長年の職務経験から見て出された書類にどうも不審があるとか、これは一種の裁量ですね。それから調査が始まるとこういうことですね。本来そういう性格のものですから、業務命令的な形で自転車に乗って行けなんてことが規定上あるはずがない。だからそのほうが便利なら、電車に乗って行ったってバスに乗って行ったっていいことになる、こういうわけですね。わかりました。  そこで次に問題は、実測車のための定員というようなものはございませんですか。
  72. 香川保一

    香川説明員 特別には行二の職員はおりません。
  73. 大出俊

    大出委員 特別にではない行二の方々はおるわけですか、いま特別に行二の方はおらぬとおっしゃったのですが。
  74. 香川保一

    香川説明員 特別にと申し上げたのは、要するにこの登記事務の処理に必要な実地調査のための実測車を運転する行二の職員はないということでございます。
  75. 大出俊

    大出委員 これはあったほうがいいんですか、それともないほうがいいんですか。
  76. 香川保一

    香川説明員 これは先ほど申し上げました実地調査の励行という面あるいは都会における実測車の運転の関係から考えますと、やはり行二の職員配置してこの運転をさせるということにしたほうがいいという面もございますけれども、現在の法務局の実態から申しますと、本来の登記事務に従事する職員それ自体が相当不足いたしておりますので、なかなかそこまで参らない状況でございます。
  77. 大出俊

    大出委員 たとえば郵便局の郵便の取り集めに赤い自動四輪でぱあっと行って集めてくるのもありますが、スクーターもそうでありますけれども、こういう人たちは、郵便局が新規採用で試験を受かって入ってくる高校を出た人たちに一週間なら一週間という期限をきめて練習させるわけですね。これは乗らなければ商売にならぬから練習をさせる。そうして試験官などを呼んできて、そこで免許を与えるようなことをやったりいろいろやるわけであります。ところでいまのお話を聞いていると、必ずしも自動車で行かなければならぬ筋合いのものではどうもない。電車もバスも走っている。原動機付自転車もあるということになりますと、必ずしも自動車で行かなければならぬということにはならぬわけであります。その人の職の業務の内容というものは自動車に乗って行けというようなことは書いてない。そうだとすると、その人におまえ自動車へ乗れ、こう言ってみたところで、その人が免許証がなければ、業務命令を出して乗せたひにはえらいことになる。個人でどこかで習ってどこかで免許証を取っていたという前提でなければ。そのための業務の行二の者がいない限りはこの車は動かぬことになる。何も、この実測車を運転をしなければならぬからというので免許を取っている人ばかりいるわけではない。自分が通勤に使うとかあるいはレンタカーでも借りてどこかへ出かけようとか、おのおの目的があって職場の中にいる人が免許を取っているということになる。そうすると、その人に対して、おまえは車の免許証があるのだからこれに乗っていけと言うことにもいかぬわけでしょう。郵便局なんかの場合なら、局がちゃんと取らせるようにしてやっていたり――仕事の性格上、郵便ですから、速度が問題でございますから、そうでなければつとまらない。それが前提条件で採用しているわけです。これは業務内容に入っているわけですから問題はない。しかし、これはそうではない。だから先ほどのように自転車に乗っていけとかなんとかいうことでなければいかぬということになるわけであります。  そこで私は、やっぱりこういうものは、なかなか忙しい仕事を一ぱいかかえておって、さて自分で車を運転してなんということになると、これはまたいろいろ問題が起こります。したがって、どんどん忙しくなる。町の中の交通事情を見ても私は横浜でございますけれども、いま横浜なんかでは自転車はあぶなくてほとんど走ってない。走るにしたって道の一番端ぎりぎりのところです。車のほうが一ぱいだから、身の置きどころじゃなくて自転車の置きどころがないわけです。だから、いまながめてみると、ちょいちょい人が通るところを自転車が走っている。こういう状態です。大都市の場合ですと、一つ間違えばたいへんな事故が起こるという状態です。横浜なんかいつ爆発するかわからぬという状態です。そうするとこれは、専門的に、運転注意力を十分発揮して運転をするという人がいなければ、実測車というものはなかなか使いこなせない筋合いになると私は思うのです。  そこで私は承りたいのでありますけれども、いま人事院の公平局の方がお見えになっていると思うのでありますが、京都で藪内さんという人の問題で公平審査が行なわれたように聞いておりますが、公平審査をおやりになりましたか。いつごろおやりになりましたか。
  78. 茨木純一

    茨木説明員 今週三人ほど現地のほうに出張いたしまして終わっております。
  79. 大出俊

    大出委員 先のことでございますし、また内容によりましょうから、なかなか見通しがつきにくいと思いますけれども、公平審査の結果はいつごろを目途にということをお考えでございますか。
  80. 茨木純一

    茨木説明員 これからこの審査の結果を、全部テープに入れておりますから、それを翻訳いたしまして、それから任命されました公平委員の方々が内容を合議し、相談をいたしまして、それから院議にかける、こういう段階になりますから、いまのところいつというふうに確定的に申し上げる段階にまだ至っておりません。
  81. 大出俊

    大出委員 この藪内さんという方は、官職はどういう方でございますか。
  82. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 藪内君は法務事務官でございます。昭和三十八年の四月一日付で法務事務官に任命されたものでございます。
  83. 大出俊

    大出委員 そうすると、藪内宏美さんという方ですね、この方がいわゆる実測車なるものに乗って――京都だからおそらく二十台の配分のうちに入っておったわけでしょう、実測車があるわけですから。実測車に乗って行かれたわけですね。ここに地図がございますが、この地図を見ますと、十字路の交差点を一方から入ってまいりまして、大体速度を五キロに落とした。これはメーターがあるからわかるわけであります。ところが老人が出てきたので気をつけながらそろそろ運転していた。このお年寄りは、七十か何かのお年寄りですが、このお年寄りのほうも交通違反のように思いますが、その実測車のわきを右のほうの側にものをかついで歩いていった。右肩でかついでいるからそのほうの側に車が来たのがわからぬ。だから実測者と平行して歩いていった。そして横断歩道でないところをふらふら歩いていって急に右のほうへ曲がった。車はそろそろ走っていたわけですが、そろそろ走っておる前に出てきたということで、右側のくるぶしに自動車が接触をした。それでころがったんだと思いますが、接触したほうの右足が骨折したのだと思ったら、そうでない反対側のほうの足を骨折したわけであります。右足のくるぶしに接触したら、それでよろけて倒れる、そのときの拍子で逆の左足のほうが骨折したということであります。相当な高年齢の方でありますから、しかも荷物を右のほうにかついでいたということでありますから、したがって完全な――この人の立場からすれば、過失相殺という面でいきますと無過失ではない、相当な過失がある、こういうことでありましょうが、いずれにしてもこれは人身障害でありますから、確かに運転者側も責任があることは間違いありません。こういうことが起こったというわけであります。この点はおそらく御存じなんだろうと思います。  そこで、現在この人はこの事故で、どういうことに結果的になっておりますか。
  84. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 御質問のような事故によりまして本人は――この事故が起こりましたのは昨年の二月二日午後二時四十分ごろであります。そして昭和四十二年、すなわち昨年の四月三日に京都簡易裁判所におきまして略式命令で罰金一万五千円の言い渡しを受けまして、その略式命令は同月の七日に確定いたしました。その後、これにつきまして行政処分の内議が京都地方法務局長から大阪法務局長を経由して本省に参りました。本来京都の地方法務局長は、藪内事務官に対しましては本省に内議することなく行政処分を行なう権限を委任されておるのでございますが、その権限者がその判断によりまして本省に内議をいたすことはまた許されておるのでございまして、その判断によって内議があったわけでございます。そしてそのときの意見は戒告であります。これに対しまして大阪法務局長も同意見を付しておりまして、本省におきましても検討の結果、戒告を相当と認めて戒告をいたしたわけでありますが、その戒告をいたしました日付は昨年の八月十六日でございます。その戒告に付しまして本人から不服の申し立てがございまして、先ほどお尋ねのございました公平委員会審査が昨日か一昨日終了した、こういうことになっておるわけでございます。
  85. 大出俊

    大出委員 つまり戒告の処分理由をあげていただけませんか。何条と何条とどういう関係だというところをあげていただけませんか。
  86. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 戒告の処分理由といたしましては、本人が罰金一万五千円の刑事処分を受けたわけでございまして、これは刑法の二百十一条に違反しておるということに相なるわけでございます。国家公務員がその職務を行なうに当たりましては、公務員法に定める職務上の義務に違反しないようにしなければならぬということに相なっておりまして、その点がこの自動車を運転いたす場合には、やはり関係法令を守るということが職務上の義務と考えられる。そこで、それに違反したということを理由としておるわけでございます。
  87. 大出俊

    大出委員 さっきの質問香川さんのところに残っていますから、もう一ぺん念のために聞いておきますが、いま職務上の義務というお話があるのですけれども、その人の職務内容は自動車運転免許証をとっておけという、そういう条件規定はございませんね。何もないのですね。念のためにお聞きしたい、いかがですか。
  88. 香川保一

    香川説明員 免許をとれという命令は、もちろんいたしておりません。免許をとっておる者に運転させるというふうな実際の扱いでございます。
  89. 大出俊

    大出委員 そうすると、念のためにもう一つ聞きますが、さっき私が例にあげた他の官庁のように免許をとらせるための措置 つまり講習をやるとか、あるいは自動車学校に官庁が金を出して差し向けるとか、時間を与えるとか、こういうことは何もやっておられませんな。
  90. 香川保一

    香川説明員 役所のほうから免許をとるような特別の措置とか奨励はいたしておりません。
  91. 大出俊

    大出委員 そうすると、一切そういうことをやってないのに、自費でもって自分で苦労して免許をとった人間に運転をさせて、それはお前さんの業務だ、どうもこれはいささかえてかってな気がいたしますが、いかがなものですか。
  92. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 確かに、常識的にそういうような御批判があろうかと思いますが、問題は、その運転行為が職務としてなされたかどうかという点にあろうかと思います。
  93. 大出俊

    大出委員 そんなこと聞いてない、だめだ、そんな答弁。待ちなさい、質問したことだけ答えてください。私が質問したのは、えてかってではないかと聞いたのだから、えてかってでないかどうかだけ答えてくれればいい。
  94. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 えてかってではないと思うのでございますが……。
  95. 大出俊

    大出委員 定員配置をしない、時間も与えない、講習をするわけではない。かってに自分が何万円か金をかけて免許証をとる。その人間に、忙しいのだから自動車に乗せるようにと車だけやっておる。車があれば、時間がかかるということならしようがないから乗ります。それを今度は業務だという。そんなえてかってな話はないですよ。えてかってではないにしても、かってだ。  次に、刑法の二百十一条ということなのでありますが、これはどういう条文でございますか。
  96. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 刑法二百十一条は、俗に業務過失致死傷罪というものを規定したといわれる条文でございます。読み上げますと、「業務上必要ナル注意ヲ怠り因テ人ヲ死傷二致シタル者ハ三年以下ノ禁錮又ハ千円以下ノ罰金二処ス」ということがあるのでございます。なお、その後段といたしまして、「重大ナル過失二因リ人ヲ死傷二致シタル者亦同シ」ということに相なっております。
  97. 大出俊

    大出委員 大臣に承りたいのですが、実は内閣委員会というのは、従来から大臣の御出席をいただかない限りは審議をしない、こういうことを長年やってまいりました。今回は委員会の初めでもありますから、質問者である私のほうで、あえて旧来の慣例をきょうだけ破りまして、政務次官御出席のところで質問をすると、こういうふうに実は理事会で取り運んだわけであります。  そこで、今回提案をされております入管出張所を五カ所ばかりふやす問題、少年院の問題等々、いま審議をしてまいりました。特にここで大臣に御答弁いただきたいことが二つ三つございますが、それは入管出張所等にいたしましても二人庁でございまして、人は二人、審査、警備の両官が一名ずつおられるわけであります。ところがお手元の、大臣のところでおつくりになりました資料に基づきますと、日本船、外国船出入船舶数その他をながめてみますと、各港によってたいへんアンバランスがあります。高知の港のように、たいへん出入船舶の多いところとそうでないところとございます。にもかかわらず、配置をされている人の数はすべて二人であるということになりますと、現場の比較をいたしますと、出入船舶の非常に少ないところはのんびりしている。たいへんに多いところというのは、どうにもならぬほど忙しい、こういう状態になって、その繁忙に耐えておられるわけでありますから、そこで将来に向かっては、そこにあるそういう形式的な資料ではなくて、現実に仕事をやっている仕事の実態というものが、繁忙の度合いがきわめて高いところはどうなっているかということがわかるように資料をおつくりいただきたいということを先ほど申し上げた。というのは、何でもかんでも二人、これでやっていけるか、これに対して中川入管局長の御答弁によりますと、少なくとも官庁である限りは一人というわけにはいかないので、せめて二人いなければ官庁の体をなさないから、とりあえず二人ということで役所をつくり、そうして充実をはかっていこうということでやってきているということです。それにしても、年々数カ所ずつ出てきて、私個人の経験でも、ここで五回目の審議をしておるわけでありますから、そうなりますると、改善の措置をとってもいいと思うわけでありまして、充実をはかるべきであります。それが行なわれていないのは、まことに残念でございます。実際に忙しくて、二人ではどうにもならぬ出張所がございます。仕事の実態からして、そういうところにいる人は気の毒ですから、大臣、これは重要な仕事でございますので、三人なり四人なり、多いところには五人なりというふうにふやしていただくのが至当である、こう考えるのであります。この点はひとつ来年は、われわれ審議する側から、なるほどと思うような資料をひとつ付してぜひ出していただきたい、こう考えているわけでありますが、その点、前向きに御努力願いたいということが一点。  それからもう一つ、先ほど中川局長お話の中で出てまいりましたが、一人じゃ役所の体をなさない、だから二人、こういうことを言っておられるわけですが、まさしくそのとおりであります。したがって、法務省傘下登記関係事務所のところをながめてみますと、千七百六十九カ所の登記所がある。このうちの二百五十八が一人庁である。一人だということになりますると、調査に御主人が出かけてしまったあとに来たお客さんは、奥さんが応対をして聞いておいて、あとで御主人に話をしなければならぬこともある。奥さんには、その日の経費も、あるいは給料も払っているわけではない。そういうことになっておるわけでありますが、そういうところもどんどん仕事がふえてきてしまっているので、できる限り将来に向かって一人庁の数は減らしていくという方向で御努力願いたい。これも先ほど政務次官からちょっとお答えがありましたが、でき得べくんばそうしたいんだというお話であります。登記関係仕事がどんどん忙しくなっている現実、私も五回目の審議でございますけれども旧来登記所を回ってみたことがありますけれども、たいへんな忙しさであります。したがって、ぜひともこれはひとつそういうふうに大臣にお運びをいただきたいと思うわけであります。これが二点目。  さらに三点目は、旧来登記所には実測をしなければならぬ面がございまして、国民の財産保全をするための不動産登記等でございますから、法律的なやりとりをさっきいたしましたが、不動産登記法の四十九条十号のところに、「登記官ノ調査ノ結果ト符合セザルトキ」という表現がございまして、符合しないときには調査をしなければならぬ。この現実は前向きに読めば、登記官の調査が先行していなければ符合するしないという結果は出てこないというふうに私は考えているわけであります。したがって、できる限り省略をしないで、実測調査はすべきであるというふうに考えるわけであります。間違いがあればたいへんなことになりますから……。  さらにまた登記法の五十条というところに「必要アルトキハ」「調査スルコトヲ得」というような表現をいたしておりますから、こちらのほうからいくと、先ほど民事局一課の課長さんの答弁によりますと、この規定があるから、どうも書類を見たけれども、不審な点がある、こういうふうなとき、また、家が焼けてしまって、消防署の証明がついている、こういうときには、もう調査する必要はない、だから、やはり「必要アルトキ」ということで、すべてを調査というわけではないという解釈をとっているというお話がございましたが、結果的に、でき得べくんば、これもまた、できるだけ誤りなきように、調査は省略しないで、できるだけ万全にひとつやっていただくほうがいいことに間違いはない、こういうふうに先ほど論議が進んできておるのでありますが、これに関連をいたしまして、旧来の自転車、これは千三百五十三カ所、それから、原動機つき自転車、これが三百九十六カ所ある勘定であります。そうして二十台が四輪の自動車である。いわく測量車実測車といっておるものである。こういう数字が先ほど出てまいりましたが、この自動車となりますと、これは免許証が要るわけでありますから、だれでもかれでも運転するわけにいかない。そこで、定員はあるかと言ったら、これは定員はない。そうすると、定員がないのに何で自動車を配ったんだ、こうなるのでありますが、つまり、職場の中で、幸いにどういうかげんか、運転免許証を持っていた人、その人を対象に、やってもらっているということであります。その人の業務の内容の中に、自動車の運転は、明確にこれは入っていないのであります。しかも、官庁側としては、運転免許をとるための時間を与えているわけでもない、金を出しているわけでもない、講習をやっているわけでもない。そうなると、自分の時間で、自分の金で、自分の努力でとった免許、これを車だけやっておいて、幸い君、持っているんだから、これで実測してこいというふうなことになる。えてかってじゃないかと言ったら、えてかってじゃございませんと言うから、えてだけ抜いて、かってだろうといま言ったんでありますが、そういうことまで、実はかいつまむと審議をしてまいりましたが、最後の実測車定員、これも、六大都市というものは、運転それ専門に神経を使わなければ、腰椎症なんて、運転をやっているために起こる職業病、腰椎症というのは、タクシーの運転手なんというのは、六人に一人腰椎症であります。そういう状態、それを一生懸命、むち打ち症なんて山ほどある中で、どうにもならないくらい仕事をかかえている人が、自分の努力、自分の金、自分の時間でとった運転免許証で運転をする。それを当然のことだとか、業務上当然やることなんだと言われたのでは、これは迷惑しごくなんです。そこのところは、これは法務省なんですから、そういうめちゃくちゃは言わないで、あまり無理を押し通さないで、無理が通れば道理が引っ込むなんて世の中は昔のことなんですから、そこらあたりを、大臣は、定員考えるべきである。二十台ですから二十人なんですから、こういうふうに進めるのが正しいと思いますので、そこのところ、大臣、うしろからいろいろ用心深く書いたものが回ってきましたから、一ぺん読んでいただきたいと思います。
  98. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 まず、第一点の、入国管理についての事務所に、忙しいところも忙しくないところも並べて二人、非常に事務繁忙なところは二人で足りない、事務の繁閑で人の配置考える、非常に私、ごもっともと考えます。これはもう仰せのとおりで、原理原則で、仕事の分量に応じて配置するということに私はしていきたい。あわせて、やっぱり役所の体面を保つために二人おらないと、どうもまたぐあいが悪ければ、最小限のところを二人にして、その他は事務の分量に応じて増員をしていくということに努力していきたいと考えております。お述べになりましたように、これは、日本が非常に発展し、いろんな点で外国人との往来がふえますので、迷惑をかけないように、こういうことはやっぱり、相当必要な人員だけ将来ふやすということで、ひとつ御趣旨に沿うように、全力を尽くしていきたいと考えております。  第二番目に、登記所でございますが、これが一人で、その一人が出かけたり何かすると、またいろいろ、奥さんが手伝うとかなんとかということをするのかもしれませんが、登記事務も、あなた、非常に詳しいようで敬服しておりますが、これはもうなかなかたいへんな件数がふえるので、思い切ってまたこれは将来人をふやして、一般の人々の難儀にならぬようなことをやらないとぐあいが悪いと考えております。ことしもずいぶんがんばりましたが、まだわりあいにふえ方が少ないと思います。将来、ひとつ御期待に沿うように全力をあげて、この登記事務が円滑にいくように、人もふやして、国民の方々に御迷惑をかけぬようなぐあいにしていきたい。登記所も、お述べになりましたように、やはり一番下が二人ぐらいおったほうが、人がたずねて行ったときに留守なんていうのはぐあいが悪いです。とにかく、これは要は、もう人を相当ふやすということですから、人をふやしていくということに御期待に沿うようにしていきたいと考えております。  それから、必要なできるだけの調査の問題、実測の問題でありまするが、これはもう、お述べになりましたように、やはり必要に応じて実測をやるということは、これは当然なことに存じております。ただ、そこに使う自動車か何かの運転手が、免許も自分の力でとって、また本職でないものを使っておるというのも、これは費用の節約からいくとそういうことがいいかもしれませんが、そういうことはやはり本筋でないと考えております。やはりお述べになりましたように、将来は、要るものであれば正式の運転手をふやして、事務が円滑にいけるように努力をしていきたいと考えております。  どうも、人を減らすということをわれわれ内閣としては極力努力をいたしておりますが、やはり減らすところは思い切って減らして、こういう登記所だとか法務省のような、どうしても実務でやむを得ないようなところは、やはりこれは融通したり、また一部はふやすということで、御期待に沿うように尽くしていきたいと考えております。
  99. 大出俊

    大出委員 大臣、非常に前向きのお答えをいただきまして恐縮いたしますが、全く私も同感でございます。  ともかく、登記仕事というのは、まず、お客さんが来ると受け付ける。受け付けて、それから調査をやる。そうして調査が終わってから記入をやる。それから記入正誤確認をやって、判こを押す。それから、これはもうやらぬでいいことまでやらされているわけでありますが、税務署に通知しなければならぬ。こんなものは徴税官が出てきて調べればいいのに、官庁相互間の協力なんていいくらかげんなことを言う。したがいまして、税通、税務署へ通知をしてやって、それから書類をつづる、こういう形で流れていく仕事なんですね。まことにもって忙しくて、山のようにあってどうにもならない業務量をかかえていながら、こういうよけいなことまで、実は税務署への通知までやらなければならない、こういうような状態が現在の状態であります。そうなると、あとからこれは質問しなければなりませんが、定員算定基準に照らして一体現在の業務量はどうなんだ、人のバランスがとれているのかとれていないのかというこの問題が一つあるわけであります。  ここまで申し上げて、行管の方にお出かけいただいておりますから、ひとつ承りたいのでありますが、ことしの行管の方針はまだ御提案をいただいておりませんけれども、一省一局削減という、佐藤さんがおっしゃったことばから始まりまして、あれはまさに金くぎ流であります。何でもかんでも切ってしまえというのですから、苦しまぎれにやったあと歴然たるものがありまして、局長という名前をとったかと思ったら部長になったり、今度は、局長がなくなっちゃったからと思ってみたら、首席監察官なんという、局長と同じ給料をもらっているのがちゃんと出ている。とにかく全くもってなってないものが出てまいりました。ある意味でいえば、ショック療法だと言ってしまえばそれきりでありますけれども、とにかく国民の税金を使う行政機構というものでございますから、そういうきわめて重大な行政機構というものにショック療法なんということがはたして通るものか通らぬものかということも実はありますが、私の申し上げたいことは、国民一般の皆さんは、公務員の数を減らすのだといえば、一般的には賛成だと言うに違いない。賛成なんだけれども、じゃ、減るのはどこか、それは学校の先生だというと、PTAはそれはもうたいへんだと言っておこる。先生が足りないのに何で減らすのか、もっとふやせと言うに違いない。陸運事務所に行って、車検登録だといって順番を待っている。陸運事務所のほうで記載しなければならないものを、登録に来た方々にみな書かしている。こういうふうなことをやっていて、待たされているほうからすると、おれたちだって税金を払っているのだから、なぜもっと人をふやさないのだということになる。登記役場だって、仕事の量からいきますと同じです。だからそういう面が、片や総体的に公務員を減らすのだといえば賛成だと庶民の皆さんは言うが、事消防署を減らすといえば、おこる、学校の先生を減らすのだというとおこる。だからそういう面で、先ほどお話がありましたように、現に庶民生活、国民生活一般に密接につながりがあって、そこでたいへんな時間的なロスを国民がおやりになっている面は思い切って人をふやすのが至当であって、わけのわからないことをやっているところがあるかどうかわかりませんが、臨時行政調査会の答申によると、わけのわからないものをたくさんやっているところがだいぶあると書いてある。そういうところは思い切って大なたをふるうべきである。ところがなかなかその大なたをふるえないからというので、いまのところ実測車定員がない。そんなばかなことはない。大臣がお認めになっているとおりであります。そういうところにわずか二十台、二十人、そのくらいの定員をあっさり認めさせないくらいでは、これは天下の法務省の看板にきずがつきますから、そういう意味で、やはり実測車には定員をつけてもらわなければならない。免許証をとらなければならない義務は職務上ないのです。ない限りは、幾ら強制してみたって、業務命令は出せない。そういう筋合いになっている。業務内容に入っていないのですから、だから、おれは気分が悪くて、ゆうべ飲み過ぎて二日酔いでございますからと言って、へたに自動車に乗って交通事故になったらたいへんだ。だから、これは業務内容に入っていない限りは、業務命令でやれと言えた義理ではない。だから、そこでどうしても早急に人をふやさなければならない、こういうことになりますので、ひとつそこらのことしの行管の基本方針とあわせて、現に定員が一人もいない、車だけ予算上組んで配置をしているというのに、一体これは行政管理庁あたりがながめてみて、現場仕事ですから、どうしたらいいか、ひとつお知恵をお借りしたいのですがね。その知恵をひとつしぼっていただきたい。
  100. 木下薫

    ○木下説明員 ただいま先生の仰せのとおり、一般論といたしましては、公務員を切り詰めろ、そういう声もありますし、政府としてはそういう方針のもとに、各省庁のそれぞれ個々の仕事についての増員要求を見ておるわけでございますが、一般論といたしましては、特に国民の窓口になるようなところで国民に迷惑をかける、そういうところにつきましては、その方針のもとにおきましても重点的に見よう、こういう考え方でこれまで審査に当たってきた次第でございまして、先ほどからのお話のございましたような、特に登記の問題につきましては、私、担当官といたしまして、非常な関心を持っておる職種でございます。なお、実測車等の問題につきましては、実情をただいま伺いましたので、今後の問題といたしまして検討させていただきたいと思います。
  101. 大出俊

    大出委員 この事務の処理能力というのは、算定上は一日一人で八件くらいなんですね。どこの官庁でも能力算定基準だとか、定員算定基準だとか、何々方式というものがみなあるわけですが、これは一日八件。ところがいま一体どのくらいになっているかというと、十三件から十四件、おおむね十四件に達しているわけですね。こういうことでは、これはとてもじゃないが、たいへんなことになる、こういうわけであります。したがって、どうしてもこれは必要やむを得ざる点でありますから、実測車定員というものはふやさなければならないことになる。定員をつけなければならないことになる、こういうわけであります。厳密に申し上げますと、定員がないのに乗れなんということは、口が腐っても言うべきではありません。事故が起こった場合の責任の所在が明らかになりません。業務に入っていないのに車で行った。交通戦争の世の中でありますから、何人かに一人は交通事故にあう。ついこの問も電電公社の総裁米澤さんがうしろから追突されています。これはだれかが事故にあう。そういうことですから、本人が悪くなくても、うしろからぶつかられればけがをする。そういう状態でありますから、どうしてもそこのところは、くどいようでありますけれども、そういう関係だということをお含みおきいただきたい。大臣が先ほどおっしゃったとおりでけっこうですが……。  そこで、先ほど私この席で申しましたように、京都で、十字路がありまして、非常に忙しい職場で、登記のために実測をしなければならぬというので出かけていった。たまたまここは二十台のうちの一台が配置をされているところで、たまたま御本人も自分で免許をとっていた。そういうことで、車に乗って運転をして調べに行った。十字路に行ったら、十字路ですから、減速しまして、五キロ、そろそろ走っているわけですね。そうすると、十字路を渡り切るかどのところで、七十幾つの老人が出てまいりまして、右の肩に大きな荷物をかついでいる。したがってそろそろと行ったところが、老人が――老人も交通違反なんでありますけれども、車に沿って歩いている。向こうに行かない。そこで並行してそろそろ行ったところが、しばらく行ってから、肩にかついでいるからこちら側が見えない。急に右に曲がってきた。それで、そろそろ走っていましたから、ぶつかったというのではなくて、接触した。右足のくるぶしに車が接触をした。そうしたら、年寄りですから、肩にかついでいますから、ひっくり返った。接触したほうの右足は何ともなくて、骨折というほどではないのでありますけれども、骨折に類するようなけがを左足にされた。こっち側にぶつかった反動で、年寄りですから、こういう事故が起こったというわけであります。ここに地図も全部ございますけれども、人が車と並行して歩いて、こっちに曲がろうとした。つまり、交通標識も何もないところでありますから、したがって、御本人のほうも、過失相殺ということになれば無過失ではない。しかし、おおむね人身事故は車の側にも責任があるわけでありますが、そういう程度の接触事故であります。ところでこの人は何べんか、五回ぐらい病院へ行っておられるようでありますが、五回ぐらい行ってこの老人とお話ししたところが、私のほうも悪かったと言っている。この老人は、入院しなければならぬ状態ではないけれども、たまたま一人住まいでありまして、片方の足が、たいへんな骨折ではもちろんありませんけれども、入院してなおすということで、一カ月入院をされた。そこで五回もお伺いをして、いろいろやってまいりました。逆にこのお年寄りは、私のほうが悪かったのにこんなに来てくれてと言って非常に恐縮しておる状態です。  ところが、これが片方では交通事故でございますから、先ほど御説明いただいたのでありますが略式命令という形で、罰金が一万五千円ということになってきたというわけであります。このときに、藪内宏美さんという方でありますが、この方は、接触したんだから、確かに自分にも悪い点はあるけれども、相手方も交通法規を守っているわけではないんだから、将来自分の身分に影響のある戒告処分なんというものが出てくると予測すれば、略式命令で、ああそうですかと話をつけるようなことはしない。ところが、旧来、この種のものについてはそんなことはない。だから頭にない。まして自分が実測車を運転しなければならぬ責任も義務もない、こういう状態でありますから、たまたま自分が運転免許をとっていたというので乗っていったというわけでありますから、そのほうが早いわけでありますから、まさか戒告なんかになるとは思わないわけですから、あっさり略式命令に応諾して、簡単に片づいていいからというつもりで、一万五千円納入してしまった。私も労働組合の親方でございますから、こういう場面にも年百年じゅうぶつかりましたが、先行きそういう影響がないやつは、みんなそういう略式命令で片づけたほうが早い。年じゅうそんなことをやってきている。だから、おそらく御本人もそう思った。ところが、あとになってみたら、これは刑法の二百十一条でございますね、それでこれは戒告だということになる。刑法の二百十一条というのは、申すまでもなく業務上過失致死傷であります。「業務上必要ナル注意ヲ怠り因テ人ヲ死傷二致シタル者ハ三年以下ノ禁錮又ハ千円以下ノ罰金ニ処ス」となっている。さらにこれは後段で「重大ナル過失二因リ人ヲ死傷二致シタル者亦同シ」と、こういう条文であります。重過失なんというものじゃない。単なる接触であります。ところがこれが、出てきた処分理由からいたしますと、公務員法の九十九条、九十八条から始まるわけでありますが、二百十一条との関連で公務員法の第九十八条、これは「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」という、これが前段です。九十八条は、たくさんありますけれども前段であります。これが一つ適用されております。それから九十九条、これは信用の失墜、こういう条項であります。「(信用失墜行為の禁止)」、こういう条項だと思いますが、ここで「職員は、その官職の信用を傷つけ、又は官職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。」こういうことなのであります。そこで私は、この二つの条項に照らしまして、はたしてその程度の必要でいま私が御説明したようなことが事実であります。私がよく調べましたが、本人は決して注意を怠ったわけではない。この九十八条の法令に従う云々というのがありますけれども、これもそうなんです。本人は非常に注意して、何と五キロに落としている。老人が出てきたから、落として、老人のほうを見ながら並行していって、このまま向こうへ行ってしまうのだと思ったら曲がってきたものだから、そろそろと運転してたんだけれども、接触した。重い物をかついでいたからひっくり返って、接触したほうでない足を、骨折までいってないそうですか、骨の損傷、そういうことであります。これをしゃくし定木に九十八条に該当いたしますという。どうもこれは、私は不納得であります。信用失墜行為というけれども、月に五回も行ってよく話したが、相手の老人が私のほうも悪かったのですからと初めから言っている。逆に恐縮をしておられる。登記所の官吏の方というのは、公務員の方というのは、こんなにまで見舞いに来たりいろいろ親切にしてくれるのかというので、さすがに役所の人だというのですっかり感謝をしている。信用失墜どころの騒ぎではない。その方に会ってみていただけばわかります。そういうことになっているというのに、これを戒告だという。私は、どうもここのところはわからぬですね。官庁というものは、私も経験がたくさんありますが、一ぺん戒告なんというものを出してしまいますと、あとになってしまったなと思ったって、なかなか出し直せないものですよ。大臣も御存じでしょうけれども、組合運動なんかしてたって、いもしない人間を一山幾らで戒告だなんて、休んで彼女とデートしている者を戒告だなんて――ところがなかなか取り消せないのですね。しょうがない、人事院で公平審査をやってもらって、人事院がこういうからということで取り消したなんということがあります。これはそういうことに類する中身です。これは、いまになれば、もう一ぺんその当時考えておけばよかったという御意見だって出てくる筋じゃないかと私は思いますが、本人の日常の勤務の状態というものは、私はいろいろな関係の方に聞いてみましたが、非常にまじめで誠実な方で、業務上も優秀な方で、何にも悪いことはない。そういう気持ちで毎日やっている人、となりますと、どうもこれは私は了解しにくいわけであります。この若い方の一生の問題ですからね。こういう事件が起こっておるのでありますが、まず大臣、このことについて御存じでありますか。
  102. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 いまの事件、具体的に初めていま承りました。承知をいたしておりません。
  103. 大出俊

    大出委員 これは当該の登記所の下のほうから、法務局からずっと上がってきたわけですね。先ほどの御説明によりますと、戒告相当だというふうに書いてあったから、それで上のほうの方がそうしたというわけですね。実情をよく調査したわけでも何でもない。御本人のほうもそんなことは頭にないのです。こんなことで戒告されるなんて思っていない。そうしたら戒告だというので、びっくりした。こんなことなら略式命令で一万五千円払うなんて、ばかなことをするじゃなかったというのです。だから、こういう問題は、大臣、あまり複雑にしないで、やはりけりをつけるところはつけていただきたいというふうに思うのです。たとえば、よくいろいろな省の中では、罰金の場合、これは選挙違反なんかやってつかまった。そうすると、これは職員のほうにおるだけかというと、管理者のほうの諸君も、何人も何々党の選挙違反なんて、こっちのほうと反対の選挙違反を両方でやっている。そうすると、みんなこれは略式命令、略式命令。しばらく行政処分をしないで、みんな置いておく。こっちとこっちとずっとながめて、適当なところでというので、さて戒告はどの程度基準にするかというと、罰金一万五千円以上、それ以下ならば厳重注意ということで、罰金の多寡できまったりするということがあります。そういうものなんですから、法律の解釈、さて運用となりますと幅があるわけでありまして、そこらのころとで、やはり大臣の政治的な御判断をぜひいただいて、若い方の将来、先々のこともお考えいただいて、現にまじめにやっておられることもお調べいただければよくわかると思いますから、その意味の善処方をこれはお願いをしたいわけであります。  そこで、業務上ということでありますから、はたして実測車定員がないものを運転したことが、厳密な意味でいう業務上という解釈に当てはまるのかどうかという問題だって、法律的にはあります。そこらのところも、大臣が前向きでお答えをいただければ、あまり法律的にこまかいところをやりとりしてみてもしかたがありませんけれども、一応どういう法律解釈をするかというふうなことについての資料も検討いたしてみました。みましたが、大臣が御出席でございますから、いま私が申し上げたことに誤りがないつもりでありますが、大臣のほうがまた法務省内部の皆さんにお尋ねになって、あるいは変わった点が出るかもしれませんが、私が、資料に基づいて御説明申し上げている限りで言えば、前向きに御検討いただいてもいい筋合いのケースではないかと思いますが、御存じないということでありますから、いまここでというのも無理かもしれません。しれませんけれども、ひとつ感じ方なりお述べいただければ幸いだと思います。
  104. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 いまの具体的なお話を聞きまして、お説私は一応ごもっともの節が多いと考えております。私は大体、いろいろな事柄が起こっていろいろ処分を受けたというようなケースの場合でも、いつも考えておりますのは、本人が非常にりっぱな人間であるならば、なるべくそういう被害といいますか、そういうふうなものを、あまりその者が困らぬような方法をとることが望ましいのじゃないか、また同じことをやりましても、非常に性質の悪いような者は、やはり相当これはきつくいく、やはり何か事柄があっても、性質がよくてやむを得ないような事情であったのと、性質が比較的好ましくなくて、やることも好ましくないような者と、厳然と分けて処置をすることがいいのじゃないかというようなことを常々から言っておるのであります。いまの事件につきましては、私はまだ具体的なことをいま初めて承りましたからひとつよく調べまして、本人があまり力を落としたり、そのために困るということのないように何とか方法をひとつ研究してみたいと考えております。
  105. 大出俊

    大出委員 局長さんに承りたいのですけれども、この種のケース、こんなふうなことがいままでございましたですか。またそういうことで処分になったということがございましたですか。
  106. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 ちょうど法務省の内部の前例によりますと、これは決して重いものではございません。
  107. 大出俊

    大出委員 決して重いものではないというお話なんでありますが、戒告ということで発令をされている御本人にとっては相当な精神的負担が大きいと私は思っているわけであります。法務省内部のものとしては重いものではないという御答弁で、ちょっとそこから先がわかりかねるわけでありますけれども、差しつかえない範囲でいいですけれども、もう少しお話しをいただいておいたほうがいいんじゃないかという気がするのであります。
  108. 羽山忠弘

    ○羽山説明員 まず第一点でございますが、確かにお尋ねのとおり、運転手でない職員に対して上司から官用自動車の運転を命ずるということは望ましいということにはならないと思うのでございます。御指摘のように運転手をできるだけ増員するというような措置がまず十分努力されなければならない、こういうふうに思うわけでございます。問題は、運転手がなかなか配属になっておりません現況におきまして本人が運転をするというときに、それを職務行為でないというわけにまいりません。職務行為でないといたしますと、そこでたとえば事故が起きますと、公務災害というような適用が問題になるわけでございます。したがいまして、本人が業務に付随するいわば合理的な限度で運転をいたすということを上司が承認いたしまして、その業務の付随的な問題といたしまして、これは専門のことばでは業務付加命令というようなことを申しておるようでございますが、その付加命令として命令を出しましたときは、やはりそれは一つ職務になるのではないかというふうにわれわれは考えておるわけでございます。  そこで、その職務を遂行するにあたりましてたまたま今回のような不幸な事故が起きたわけでございます。御指摘のように私もこの刑事記録等を慎重に検討いたしたのでございますが、通行者のほうにもどうも多分に過失があるようでございます。ただ、略式命令の認定によりますと、この運転者であります藪内君が前方をよく見ていなかったということが書いてあるようでございまして、運転者といたしましては、前方を注視しないということは一つの責任を生ずる事実ではないか、こういうふうに考えるわけでございます。したがいまして、運転をするに至りました動機、経緯等はまことに気の毒だと思うのでございまして、本件はこの種の事案としては軽い事案であると考えておるわけでございます。のみならず、現地の大阪法務局長の意見によりましても、本人が事故発生後にとった被害者の救護措置等も十分である、それから刑事処分、すでに罰金一万五千円が済んでおる。本人はきわめて反省し、自粛自戒しておるということでございまして、よってその行政処分の中で戒告を相当と思量する、こういうふうに申してきたわけでございます。ちょうどこの当時の一つの類似の例でございますが、一昨年の十二月十六日に函館の保護観察所におきまして、やはり自発的に運転免許をとりました職員が同じような事故を起こしまして、大体同じような傷害を起こしておるのございますが、これにつきまして、函館の簡易裁判所におきまして罰金二万円の言い渡しがあったのでございます。これにつきまして、法務省におきましては、これも現地の意見をしんしゃくいたしまして戒告という処分を相当だという回答をいたしてその処分になっておるのでございますが、それとこの藪内君の事件が非常によく似ておりますので、戒告ということになったわけでございます。これは見方によりましてはボーダーラインでございまして、非常に軽いケースであるということは御指摘のとおりでございます。
  109. 大出俊

    大出委員 つまり定員配置もない実測車なるもの、これを一応業務内容としてない一般の職員の方に運転をさせるということは望ましいことではないというお話が先ほどございました。望ましいことでなければこれはやめていただきたい。いやしくも法務省が望ましくないと言っているのに黙って見ているという手はない、こういう筋合いになる。こんな車二十台を配置しておかないならこの事故は起こらない。本人は戒告にならない。つまり定員をつけて配置しなかったところにこういう事故が起こる、こういうわけであります。あなたがいまいみじくも言うように業務付加命令であった。業務命令までいかない。これは一つ例をあげますと、NHKの料金というものは郵便局が六割は集金している。ここがやめてしまえばNHKがつぶれてしまう。ところがこれは定員配置は全くない。私は一切やめろと言って、かつて二年ばかりやめさせた。そうするとNHKは大騒ぎ。業務命令は出せない。厳密に検討いたしましたが、出せない。しいて法務省的に言えば業務付加命令くらいは言いたいところでありますが、それも裁判で争えばどうなるかわからない。ついに業務命令は出さない。NHKが三拝九拝して、天下の薄謝協会、金がないからその薄謝協会の存立にかかわるというので、途中で妥協して話をつけてやりましたが、とにかく定員配置がないことは間違いない厳然たる事実です。きわめて不用意千万だ。定員配置もないまま車だけ配置する、そういう不用意なことをおやりになるからこういう結果になる。まことにもってこれはけしからぬと私は思う。にもかかわらず業務付加命令に相当するであろうという程度のことで、しかもそれじゃ業務であるかないかといった場合に、業務でないとしたら、これは何かけがでもした場合に労災補償その他のときに困るから、だから業務にしておかなければならない、そういう理由をあえてつけなければならぬようないいくらかげんなことを、法律を扱っておる天下の法務省がやるなんということは、だれがどう考えてもこれは筋が通りませんよ。大臣、それを現地の方々がそこまで戒告だというのには、一番末端で戒告だと言ったら、一つ上がっていけば訓告くらいになってくる、この辺に上がってきたら厳重注意くらいになってくる。いま非常にいい意見が出ておりました。おそらくボーダーラインだから戒告にしておきましょう、上にあがったら訓告か注意くらいになるだろうと思ってやったのです。それをあなたのほうはまともに受け取って戒告なんということにするから、それが気の毒な現実になってくる。これは法務大臣、ひとつ聞いておいていただきたいのは、きょうそこまで申し上げる時間がないかもしれませんが、実はあるところで似たようなことが起こった。これは裁判中でございまして、休職を発令した。六割しか給料をもらえないという状態。そうしたところが、この人はとてもじゃないけれども食っていけないから辞表を出した。辞表を出したらある官庁が受けつけない。その辞表は宙に浮いたまま。今度ほかに行ってつとめて給料をもらおうと思ったが、官庁はその辞表を受けつけないから――両方で二重に仕事をすることは禁止されております。そうするとこれはやめさしてくれないからつとめようがない。こういう宙に浮いている問題があります。中身を検討してみますと、こういうふうに理詰めでずっといくと、みずからの官庁の側にもどうも筋が通らぬ面がいろいろ出てくる。裁判のときどうにもしょうがない。官庁のメンツの問題であとに引けない、こういうことになる。だからこれはそういうふうなことにまでしないで、幸い公平審査もありますので、いままででも公平審査をやって、そこでこれをいささか過酷に過ぎたという言い方を、一般の裁判所と違いまして人事院ならばできるわけでありますから、そういう意味で、善処のしかたは私はいろいろあろうかと思います。先ほど大臣が、本人が非常に気落ちしておる、しかもまじめなんだ、人によって判断のしようもあるが、非常にまじめな人だということをおっしゃいましたが、先ほど私がここで申し上げたことは、いま局長さんが、現地の責任者の所属長の方が送ってきた、まことにまじめな、非常に誠実な方であって、起こった事故の結果の処理につきましても万全である、こういう内容を読み上げられましたが、まさに私はそのとおりだろうと思う。さっき私が申し上げたことに誤りはない。したがって、大臣がいまおっしゃっておられましたのは前向きな御答弁でありますから、そういう意味でできるだけひとつこれは善処方をお願いをしたいわけであります。  鈴切さんもお見えになっておりますので、ぼつぼつ結論にしてまいりたいというふうに思いますけれども法律上のいろいろ見解その他は省略をいたします。いずれにしても、この登記所というものについては、どうしても毎日が国民の一般と接触をするところでありまして、そういう意味の非常に高い公共性もございます。したがって、行管の先ほどのお話もございましたが、必要なところに人がつけられないなんというばかなことが起こったのでは困ります。したがって、できるだけそういうふうなところはそれこそ勇断を持って、どうかひとつ前向きで、国民一般がそのことによってたいへんな時間のロスを起こすというようなことのないようにお進めをいただきたいわけであります。そのことを最後に大臣に申し上げて、いまだんだん論議をいたして、質疑をいたしてまいりましたのでおおむねの中身等はおわかりをいただいているのだろう、こういうふうに思いますので、そこらのところをひとつ最終的にまとめて御答弁をいただきたいと思うわけであります。
  110. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 お述べになりました登記事務は、一般の方々に非常に関係が深いのでございます。法務省としましても、お述べになりましたように、できるだけひとつ人間もふやし、一般の人の利便に供するように尽くしていきたい、かように考えておりますので、御了承願います。
  111. 大出俊

    大出委員 この登記所全体の問題はまだまだこの国会、この委員会で、一省一局削減などという行政機構簡素化に関する法律が出ておりますから、そこでまた大臣に承らなければならぬ問題もございます。その際に、人事院のほうの今後の進行の度合いもございましょう。それからまた大臣もいま初めてお聞きになったそうでありますから、一ぺんひとつよくお調べをいただいて御検討をいただきたい、こう思いますので、次の機会にあらためてまたこの点を状況いかんによりましては大臣にお尋ね申し上げるということになろうかと存じますが、そういうふうに御了解をいただいておきたいと思うわけであります。  そこで、いまの点を終わらせていただきまして、入管の問題について一つだけ承っておきたいのであります。帰国協定は、七、八年延長してきたわけでありますが、田中法務大臣のときにこの席で非常に詳しく私質問をいたしました記憶がございます。  最近の実情と申しますか、昨年の打ち切り措置等の問題で、十一月というところをめどにされまして、どのくらい帰国希望者があるかというふうなことも踏まえて云々ということになっておったわけでありますので、現状の御説明をひとついただきたい。
  112. 中川進

    中川(進)政府委員 現状は、御承知のごとく一月の二十四日に、コロンボにおきます日本、朝鮮両赤十字間の会談が決裂いたしまして、そのままになっております。ただし、その決裂のごく一週間前でございますが、先生先ほどお述べになりました昨年の十一月十二日以降にも、現に北朝鮮に帰国をしておる人はあるのでございまして、一月十七日に洪という男と尹という女のこの夫婦がバイカル丸で横浜からナホトカ経由で帰国しております。
  113. 大出俊

    大出委員 これはもともとは、金日成首相を相手どりまして、川崎におられた朝鮮籍の方が切々たる事情を訴えた手紙を出したわけですね。そうしたところが、正式には朝鮮民主主義人民共和国ということになると思いますが、金首相が返事をよこしまして、喜んで受け入れたい、どうかひとつ帰ってきてください、必要ならば船でも何でも回しますからという非常に親切な手紙が金日成首相から来たわけであります。これが実はこの帰国協定の発端であります。非常に実のある回答に接しまして、そこで在日朝鮮公民の方々が非常に一生懸命に動かれまして、これが政府のほうにも上がってまいりました。この間に国際赤十字委員会が仲立ちをするという形が出てまいりまして、立ち会いのもとに北朝鮮の民主主義人民共和国の赤十字社と日本の赤十字社との間で調印をするというところに到達をした。ところが、これは政府の内部で当時いろいろ問題がありましたが、時の外務大臣の藤山愛一郎さんがたいへんお骨折りをなさいまして各方面の説得に当たられ、理解をいただける方々が非常にふえてまいりました。そうしてこれが了解という段階に達したという過去の経緯が実はあるわけであります。これが発端であります。それだけにまた年々延ばされてきたわけであります。最初の二年間ぐらいとあとの五年間ぐらいとではずいぶん帰国人員は違っております。確かに少なくなってきていることは事実であります。しかしなお六十万近い五十何万の方々が残っておる、こういうような状況でありまして、私の住んでおります神奈川でも、現にわかっているだけでも三百七、八十の人が帰りたいと言っております。おのおの日本で生計の基礎をつくっておりますから、帰りたいと思っても整理に多少の年月がかかる、こういうようなことで減ってきてはおりますけれども、やはり帰るという希望のある人はこれは帰さなければならぬ。  そこで、協定そのものをめぐる各種の問題は私も承知いたしておりますが、時間の関係もありますので、ここでとやかくここから先入ることを差し控えますけれども、そういう経緯のあった問題でございますので、決裂したわけでありますけれども、最近では特に人種差別に類するような議論も世上いろいろございます。したがって、これはひとつできるだけ前向きにお考えをいただきたい。中身をどうするかということについてはいろいろ方法がございましょう。そのことだけ最後に私の要望を申し上げておきまして、またの機会に詳しい御質問を申し上げることにして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  114. 松澤雄藏

    松澤委員長代理 鈴切康雄君。
  115. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在法務省設置法の中に旭川刑務所の移転の問題がありますが、現在刑務所の移転、改築等がだいぶ計画されているようですけれども、その計画についてお伺いしたいのです。   〔松澤委員長代理退席、井原委員長代理着席〕
  116. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 法務省の所管いたしております拘置所、刑務所、少年刑務所、拘置支所、刑務支所、かような刑務関係の収容所は合計で約百八十ばかりございますが、これらが非常に昔から建ったのがあるとか、そういう関係で市街地に位置しておるというような関係で、地元のほうから主として移転の要請がしばしばまいっております。現在こういう移転の要請を受けておりますものが約三十ばかりございます。この三十カ所につきましては、施設の老朽度、市街地との関係、その他いろいろな点を勘案いたしまして、順次この改築または移転ということを計画いたしておる次第でございます。
  117. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 旭川刑務所について、完成時期、建築費用、それから矯正施設は必ず地元との間に問題があるわけですが、その地元対策の有無について、状況についてお伺いしたい。
  118. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 旭川刑務所につきましては現在移転の上の改築をいたしておりますが、その完成時期は四十三年の十二月と予定いたしておるわけでございます。これにつきまして、新しい施設を施工いたしておりますものは、旭川市が施設いたしております部分と新都市開発センターという会社が施設いたしておる部分と二つございます。旭川市の建設いたしております分が、工事の金額といたしまして二億三千五百八十七万七千円ということに相なっております。それから新都市開発センターのほうが負担しております分が二億八千四百八十七万三千円でございます。  なおこの移転につきましては、地元の公共団体のほうにおきまして何らの反対の機運はございません。むしろ喜んで誘致していただいておるというふうに私ども理解しておる次第でございます。
  119. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 旭川刑務所の建築費用の一部が東京拘置所の一部から振りかえられているわけだが、そのいきさつについて……。
  120. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 現在巣鴨にございます東京拘置所でございますが、これを移転するようにということは、昭和三十三年の閣議了解で政府の方針がきまっておるわけでございます。その後この巣鴨にございます東京拘置所を移転する関係で、いろいろと法務省といたしましては努力いたしまして、経緯があるわけでございますが、結局のところこの巣鴨拘置所を財源にいたしまして、この財源でいろいろな施設をつくっていくということになったわけでございます。その一環といたしまして、ただいま御指摘の旭川刑務所の移築という問題もあるわけでございます。現在この巣鴨の東京拘置所を財源といたしまして移築または改築を考えておりますものは、東京拘置所を小菅に持ってまいりまして、小菅の現在の刑務所を新たに青梅市に持っていくということと、それからなおこの東京拘置所を財源といたしますと、それだけでは経費が余ります関係で、先ほど御指摘の旭川刑務所、岡山刑務所、川越少年刑務所、浦和拘置支所、この四つの施設につきましてそれぞれ関係部分の改築ということを計画いたしておる次第でございます。
  121. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 東京拘置所の巣鴨から小菅への移転はいつできるのか。そのあと地利用計画はどうなっているのか。
  122. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 ただいま申し上げましたように、東京拘置所の現在あります池袋のところがあくようになりますためには、池袋にあります現在の東京拘置所を小菅の刑務所のほうに持ってまいらなければなりません。小菅を持っていくにつきましては、小菅にかわるものを青梅市のほうにつくらしていただこうということになっておるわけでございますが、この青梅の新刑務所につきましては、現在地元の関係の方々で反対の御意向がなお相当強いという状況でございまして、まず青梅のほうの目鼻がなお若干立ちにくい状況にございます。そういう関係で、このほうが片づきませんと最終的には池袋の東京拘置所があいてこないということに相なるわけでございます。しかしながら私どもの財政的の面におきましては、すべての計画を昭和四十五年度末までに完成するということで、鋭意努力をいたしておる次第でございます。
  123. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 四十五年度末に一応計画が立てられているというのですが、現時点においてはどれくらいの残りがあるのですか。
  124. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 先ほど来申し上げました巣鴨の拘置所を財源といたします一連の計画のうちで、すでに旭川刑務所と岡山刑務所につきましては新しい建築に着手いたしております。それから川越少年刑務所のほうにつきましても、間もなく改築に着手するという段階に立ち至っておるわけでございますが、小菅のほうは先ほど来申し上げましたような関係でございます。
  125. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 どれくらいおくれておるのですか。
  126. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 最初の予定は、青梅に予定しております新刑務所につきましては、本年、四十三年の十二月までに完成いたしたいという計画でございました。
  127. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 契約の相手方たる先ほど申されました新都市開発センターというものの性質また契約内容はどうなっておりますか。
  128. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 新都市開発センターの性質でございますが、これは現在の池袋の東京拘置所が引っ越しましたあとに、その池袋の土地を都心の首都圏整備のいろんな公共的なものに使うという意味の公共事業の主体たる性格を持ちつつこのあと地を利用していくというためから、新たにこのために設立されました株式会社でございます。この株式会社の内容でございますが、実業界の一流どころの会社、各業種にわたる会社がそれぞれ出資されまして、現在は資本金十六億でございますが、そういう会社で、この会社が将来池袋の開発について東京都にかわってこれを行なうという使命を持っておる会社でございます。その会社を相手といたしまして、先ほどの池袋の交換、それから小菅の建築、青梅の建築、その他の一連の交換の契約を結んだわけでございます。しかしながらこの新都市開発センターと契約を結ぶに至りました経緯につきましては、本来これは東京都でこの交換の契約の相手方になっていただくということがこの性質上最も望ましい形であるということを考えまして、約十年にわたる経緯がございますが、東京都のほうで直接これをやっていただけないかということで法務省でいろいろ折衝したわけでございますが、東京都におきましては財政上の理由で困難であるという正式の御意向が表明されました関係で、この新都市開発センターと昭和三十九年ころからいろいろと折衝をいたしまして、契約を結びましたのは昭和四十一年の十二月、及び一部は昭和四十二年の二月、この時期に交換契約を結んでおる次第でございます。
  129. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 巣鴨拘置所の面積及び土地の評価額。
  130. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 現在の巣鴨にございます東京拘置所の面積は五万四千六百八十七・六三平米でございます。この土地を交換にあたりまして評価いたしたわけでございますが、この評価は申すまでもなく大蔵省の所管で、大蔵省のほうが所定の手続で慎重な評価をいたしておりますが、結論だけを申しますと、この土地の評価は四十六億七千三百一万六千円でございます。
  131. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 坪当たり幾らなんですか。
  132. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 坪当たり約二十七万円と理解いたしております。
  133. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 同所は池袋駅から非常に近いということ、それから周辺は、私もいろいろ調べてみたところが、大体五十万から六十万の価額はあるのです。その社会通念からしても、非常に低過ぎるという問題なんですが、要するにその評価額の積算の根拠となるものは、どういうところからそういうものが出たのか、お教え願いたい。
  134. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 ただいま申し上げましたように、国有財産の払い下げに当たるわけでございますから、この評価は大蔵省所管で法務省所管ではございませんが、一応私どもがこの池袋について結果として知っておるところを申し上げますと、結局これは国有財産払い下げにつきましての一般的な基準を当てはめているわけでございますが、相続税の課税標準価格から見た評価価格であるとか、あるいは固定資産税の課税評価価格から見た価格であるとか近時点における売買実例から見た評価価格であるとか、こういうものをもちろん参酌いたしますし、さらに権威ある不動産評価の鑑定者から、しかもそれを数社から、それぞれの鑑定を徴します。それを民間精通者鑑定評価というふうにいっておりますけれども、こういう鑑定もいたしまして、それらそれぞれの要素を総合勘案して評価をしておるというふうに私ども理解しております。   〔井原委員長代理退席、浦野委員長代理席着〕
  135. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 大蔵省の斎藤国有財産課長にお伺いしますが、ただいまのところ坪当たり単価二十七万円というお話ですが、あの近辺は御存じのとおり池袋から非常に近くて、いろいろ調べた結果五十万から六十万、高いところは百万にもなるような場所でありますが、そういう場所に対するところの国有財産課としての積算の根拠、またどういう理由でそういうふうになったのか、お教え願いたい。
  136. 三島和夫

    ○三島説明員 お答えいたします。  大蔵省の評価といたしましては、現在東京拘置所のあと地を評価いたします場合、まず相続税から見た価格というものを出します。これは相続税の路線価というものがあそこにございますので、その路線価に対してどの程度の率をかければ時価になるかということを私のほうではすでに調査いたしております。したがいまして、それに相続税の課税標準価格に修正率を乗じまして、相続税から得た価格を出します。なお、固定資産税課税標準価格からも、やはりそういった方針で価格を出します。  それからそのほかに売買実例を採用いたしております。この売買実例はその付近の売買地の価格をその品位によって修正をいたしております。この品位の修正は評価者の主観にならないように、相続税あるいは固定資産税の課税価格に応じて品位の修正をいたしております。かようにいたしまして基準価格を求めます。この場合基準価格は坪当たり約三十三万八千円でございます。これを平米当たりに直しますと十万二千円ばかりでございますが、これにつきましてその土地からさらにこの土地の利用効率の面――と申しますのは、この土地の上には堅固な非常に古い建物がございます。こういった建物の撤去整地費が一平米当り千二百七十八円、坪当たりに直しますと約四千円程度かかる。そのほかこの土地については東京都と法務省それから新都市開発センター等で話し合いができまして道路を拡幅することになっております。その拡幅する道路につきましての価格の修正をいたしております。かように価格の修正をいたしまして、大蔵省としての算定評価額は平米当たり八万八千五十円でございます。これを坪当たりに直しますと約二十九万一千円程度になろうかと思います。  なおこの価格がいいかどうかということを判定いたしますために、私のほうでは必ず評価基準により民間精通者の意見をとることにいたしております。この場合は価格が非常に高いということで、民間精通者は六社採用いたしました。これらの価格の平均を見ますと、民間精通者の平均価格は平米当たり七万九千三百二十二円でございます。したがいまして民間精通者と国の算定評価額とを平均いたしまして、一平方メートル当たり八万三千六百九十円にいたしました。  これが私たちの評価した時点でございますけれども、この時点から契約が少し延びておりますので、その時点修正をいたしまして、総額先ほど法務省のほうからお答えになりました価格にしたわけでございます。  なお先ほどいろいろ付近の土地の高いところがあるとおっしゃいました。土地につきましては、大きい通りに面しておる、あるいは駅に近い、そういった土地によって非常に価格が違ってまいります。したがいまして、あそこに放射八号でございますか、あの付近の土地は非常に高くなっておる。しかしそれから中に入ってまいりますと、土地というものは価格が急激に下がってまいります。したがって私どもの評価はこれが適当な評価であるというふうに考えております。
  137. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 新多摩刑務所の土地の買収はどうなっておりますか。
  138. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 新しく予定いたしております仮称多摩刑務所の敷地の状況でございますが、この面積は合計で二十二万五百三十二平米でございますが、このところにつきましては、現在この土地は新都市開発センターが所有いたしておるわけでございますが、これはこの刑務所の移転の計画に伴いまして、元西武鉄道株式会社が持っていた土地でございますが、それを譲り受けたいという形になっております。もっともこの敷地の中には約七分の一くらいの面積でございますが、農地法の適用を受ける農地がございます。この農地につきましては、御承知のように知事の転用許可がおりませんと所有権が移転しないという関係になっておりますので、この約七分の一の面積につきましては、旧地主さんの所有名義になっておるわけでありますが、これは昭和三十六年に西武鉄道が買いますときにすでに売買代金は払っており、しかも自作の補償料も払って一応代金の決済はしておる。知事の転用許可があることを条件にして所有権を移転するという形の契約をいたしておるわけでございます。
  139. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 昭和三十六年に地元から西武鉄道が買い上げたときは、観光開発が目的ということで買い上げたのですが、それが刑務所になるのであるから当然地元のほうは反対であることは間違いないし、またそういう観点から考えたときに、農地の転用というものがスムーズにいかないことは私は当然だと思うのです。そこでいまだ現在西武の土地になっていない、名義になっていないのは、いまあなたのお話のように、農地委員会にかかって認可を得なければその名義が変更されないというお話でありますが、そういうのと契約を結ぶことはできるかどうか。それは適当であるかどうか。
  140. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 法務省及び大蔵省、国側と新都市開発センターが青梅の刑務所に関する交換契約を締結いたしましたのは、先ほど申し上げましたように昭和四十二年の二月でございます。この際私どもは、この約七分の一の面積については農地であるということは十分承知いたしておったわけでございますが、その当時の状況では、すでに地元の方々は大体御理解をいただいて、刑務所のくることはいい、ということであるというふうな状況になっていたわけでございます。さようなことでございまして、いずれこれは話がまとまれば知事の許可がおりるという前提で契約を結んだわけでございまして、当時の客観的な情勢といたしましては、十分この土地を国が取得できるという状況があったわけでございます。  なお、それでは法律的にできないかという点につきましては、法律上は他人のものを対象にする売買ということは可能なわけでございまして、またかようなことを前提にいたしました民法の関係条文もあるわけでございまして、名義が旧地主さんであるからこの契約はできないということには相ならないわけでございます。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の友田地区の新多摩刑務所の建設については、法務省自体が非常に見通しが甘かったんじゃないか。いまあなたのおっしゃったとおり、初めはそうであったけれども現在は非常に地元の反対が強くて、それが実際に進んでいないという観点から見たときに、法務省の観点が甘かったんじゃないかと私は思うのですが、その点いかがですか。
  142. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 御指摘のとおり、現在予定どおり進行していないという点につきましては見通しが甘いというおしかりを受けるのはやむを得ないかと存ずる次第でございますが、当時といたしましては、先ほど来申したような状況であったわけでございます。その後昨年の統一地方選挙で審議会の方々が改選なさるとか、市長さんも交代なさるとかいろいろな事情の変化もあったわけでございます。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その青梅の友田地区にあるところの今度の刑務所の場所の評価額、現地の状況、それをお知らせ願いたい。
  144. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 私どもが予定いたしております青梅の土地でございますが、評価の総計は四億三千四百四十九万一千円でございます。これは建設に適するように土地を造成した後の価格でございまして、平均をいたしますと坪当たり六千五百十三円になるわけでございます。
  145. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はどうもそこのところが納得できないのですが、青梅市の調査による鑑定ですと、その場所が非常に安い価格が出ているわけですが、その点あなたは調査されましたか。
  146. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 先ほど池袋の払い下げのほうの土地について申し上げましたと同じように、この新しく国が取得いたします土地につきましても、大蔵省のもとにおきまして先ほど来の基準で正確に評価をされたわけでございます。
  147. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 青梅市の調査によると、あの場所が大体安いところで四十円から百円というようなところで、百円をこすところがありますが、そういう場所であるにもかかわらず、たとえ整地云々ということがあろうとも、七千円で買って片一方のほうはその付近の価格が大体六十万あるいはそれ以上もするような場所をわずか二十七万で払い下げをするという、そういう行き方にはどうしても私は納得がいかないわけです。その点について大臣どう思いますか。
  148. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 私はこの評価の問題には直接携わっておりませんけれども、おそらく大蔵省で正当な評価委員会にかけて売却し、あるいは購入する。正当の手続によってやったものと私は考えております。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 滋賀刑務所の場合においてもやはりこういう問題があるのです。国は大津市の膳所町にあるところの滋賀刑務所を同市の石山寺に移転をした際に、やはり東京の拘置所と同じような建築交換方式による契約を締結して、そのあと地を住宅用地に活用することになった。ところが交換契約になって、民間企業である西武建設株式会社に請け負わせて琵琶湖畔の付近の土地を代物弁済をしているということであるが、それは事実か。
  150. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 滋賀の刑務所の移転についてでございますが、この移転は法務省、大蔵省、これは具体的にに滋賀の刑務所長と大津の財務部長でございますが、それと大津市長との間にこの交換の契約が行なわれているわけでございます。交換契約が締結されましたのは昭和三十七年三月三十日でございまして、この決済も全部でき上がりまして、四十一年の三月には全部決済を終了いたしておるわけでございます。現在新しい刑務所に移っておるわけでございますが、その意味におきまして、この計画はもうすでに完了したということに相なっておるわけでございます。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その当時の大蔵省の土地評価、また住宅公団が一年後に買収をした価格、それをお聞かせ願いたい。
  152. 三島和夫

    ○三島説明員 大蔵省の評価について申し上げます。大蔵省の評価は、三十七年の一月に評価いたしましたが、平たん地で坪当たり一万百円でございます。  なお、住宅公団が買収いたしましたのは、四十二年三月でございまして、坪当たり一万九千七百九十八円でございます。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま言われたように、一年後には同じ政府関係機関である住宅公団が約二万円で買収をしているのです。それを考えたときに、国有財産に対するところの評価方法、算定方式があまりにも何かしら国民が納得のいかない点がある。その点について改善を要するのではないかと思うのですが、どうですか。
  154. 三島和夫

    ○三島説明員 ただいま一年後とおっしゃいましたが、これは売り渡したのは、三十七年の一月に評価いたしまして、三月に売り払いました。したがって住宅公団が買収いたしましたのは、四十二年三月でございます。この間約一万円値上がりしているわけでございますけれども、この間は、時日経過による一般的な土地の騰貴ということが考えられますし、また大津市に売り払いましたこの土地につきましては堀がございます。そういった堀あるいは地上の建物の整地、そういったものがいろいろございます。かりに一万百円を不動産研究所の市街地価格推移指数によりまして、住宅公団が買収いたしました時期まで時点修正いたしますと、一万八千二百九十一円でございます。これは時日の経過による値上がりでございます。そのほかに建物解体費あるいは工作物解体費等がいろいろございます。これがまた三千万円近くかかっている、かように考えられます。これを坪当たりにいたしますと約千五百円になります。したがいまして住宅公団が買収いたしました一万九千何がしと国の評価とは開きはない、かように考えておるわけでございます。  なお、評価方法につきましては、逐次私のほうは検討を重ねて、改善には努力をいたしております。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、どうも国有地を私企業に渡して、代物弁済をさせる方法には多くの疑惑を生むのじゃないかと思うのですが、その点について大臣いかがですか。
  156. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 私は、そのやり方自体が好ましくない、こういうふうには考えません。やり方は公明正大にやられておったと思います。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 東京の問題はどうですか。
  158. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 東京のものも、正当な機関にかけて評価をいたしておりますので、別に好ましくないことはない、私はかように考えております。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 東京拘置所のほうは、要するに拘置所での場所をこわす解体費まで含めて算定しておる。片一方の場合は、整地費を含んで買い上げをしているというような状態なんですが、その点はどうですか、整地費は幾らかかるのですか。
  160. 三島和夫

    ○三島説明員 ただいまの整地費は青梅の土地のほうでございますか。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうです。
  162. 三島和夫

    ○三島説明員 青梅のほうの土地は、現在畑とか山林になっております。これを相手方が造成をして宅地にした後に国が購入する、こういう計画でございます。したがって現在は山林でございますと、価格が安いかと存じますが、これを造成いたしますと、造成費が相当相手方の負担になります。したがいまして造成した後の宅地として法務省は受け取る、こういうことでございます。
  163. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その算定の明細な基準を示してください。
  164. 三島和夫

    ○三島説明員 青梅につきまして、その宅地の価格がどうしてそういう価格になるか御説明いたします。  これは、この付近の固定資産税の価格がございまして、その価格から比準いたしまして、先ほど東京拘置所で述べましたように、その倍率を乗じまして、庁舎敷地につきましては、固定資産税から見ましたものが七千二百八十六円、相続税課税標準から見ましたものが七千二百七十四円でございます。なお宿舎敷地につきましては、固定資産税から見ましたものが一万五百七十一円、それから相続税課税標準から見ましたものが一万五百五十四円、そのほか売買実例を採用しておりますが、売買実例から見ましたものが、庁舎敷地については八千二百七十五円、宿舎敷地について一万一千九百九十九円、これらを平均いたしまして、庁舎敷地については七千六百十二円、宿舎敷地については一万一千四十一円を基準価格といたします。このうちには、農地とかがけ地が当然発生いたしますので、それらの要素を考慮いたしまして、最終的には平方メートル当たり算定価格は、庁舎敷地については千七百十八円、宿舎敷地については二千八百六十九円、なお民間精通者の意見価格が、平方メートル当たり庁舎敷地は千七百九十五円、それから宿舎敷地については二千七百二十三円でございます。これらを平均いたしまして、最終的に庁舎敷地は千七百六十円、宿舎敷地は二千八百円といたしたわけであります。
  165. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 友田地区については、先ほどもお話があったとおり、地元のものすごい反対があるわけです。それで矯正施設に対しては、まず地元から歓迎されるなんていうことは、普通ではとうてい考えられていないと思いますが、法務省はその建設の場合に十分に地元を納得させるようにすべきではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  166. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 御指摘のとおり刑務所を新たな土地に移します場合には、地元の皆さまには法務省といたしましても、矯正施設の性格その他を十分に御説明申し上げまして理解を得るようにつとめております。
  167. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 理解をしてもらうようにつとめていると言いながらも、事実上においてはそういう問題がかなり多く発生するわけです。そこでこの矯正施設の法務省としての考え方を抜本的に改善する必要があるのではないか。現に移転をするというふうなやり方だけでなくして、何か改善をする方法を考えておられるのかどうか、その点について大臣にお伺いします。
  168. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 具体的に十分調査をしてやります。全体としてどういうふうな方針でやるかということはいまのところ私まだ承知しておりませんから、やはり移転をするということになればどういうところに移転をしたらいいか、それからまた移転先がそれを引き受けてくれるかどうかというようなことを、もちろん用水からいろいろな便利の点も考え、ここならば移転をしてもいい、それからまた特に地元の意見も十分参酌をいたしまして移転をしていく、こういうふうに考えております。
  169. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 移転に対してはそういうふうなことで非常に反対が方々であるわけですが、その点、たとえばアメリカのロス市あたりで、実際に警察の上を高層ビルにして、そうしてそこへ刑務所を収容するというような考え方あるいは汚水処理場の上にそういうものをつくって十分に活用するというような考え方を今後やはり法務省としては考えるべきではないか、やたらに反対で、現在このようにして拘置所の問題が、昭和四十五年ということになっていながらいまだにめどが立っていないというような状態を考えたときに、私はやはり矯正施設の抜本的な改善が必要ではないか、そのように思うわけですが、その点について大臣はさらに研究をし、改善の方策を考えていかれるかどうか、これについてお伺いします。
  170. 赤間文三

    ○赤間国務大臣 お述べになりましたようなことは十分ひとつ考えて研究してみたいと考えておりまするが、現在のところではとにかく刑務所がありまするところが都会化いたしてくる、そうするとその当該市からあまり町の繁華なところにこれがあるから、こういうところに移してくれぬかということを言ってまいります。そうすると、こちらはまたあまりへんぴなところに移すといろいろなこともあるが、しからばひとつ適当なところを研究をしてくれないかというふうな行き方がいまやっておることでございまするが、それを向こうのほうで適当なところを提供する、そんなわけで交換をしてやるとかそういうようなことをやっておるように承知をしております。  お述べになりましたように、あまり移転が喜ばれない、地元の反対が多いというようなことになれば、何とかひとつうまくこれができるように十分ひとつ研究をしてみたいと考えます。
  171. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、やはり広域都市政策、並びに新都市開発の観点からそういうふうにある程度公共的な空間を利用するということは今後非常に大切な要素じゃないかと思いますので、その点改善策を検討していただくように要望して終わります。
  172. 浦野幸男

    ○浦野委員長代理 次回は、来たる十二日火曜日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十四分散会