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川島(広)
政府委員 いま仰せの中にもございましたけれども、昨日来たいへん
新聞、
テレビ等でも報道されましたように、
現場では
かなりの
負傷者を出したような経緯もございます。そこで現在まで
経過の
あらましを申し上げたいと思いますが、今回の
佐世保の
寄港阻止につきましてはいわゆる
全学連の主軸――反
代々木系の
学生でございますが、その中のいわゆる三派系の
中核派という派閥が最も先鋭的に年末から
全国各地において活動いたしまして、いわゆる
佐世保を第三の羽田にするというのが彼らの合い
ことばであったわけでございます。そういうふうな
経過を経まして、ことしの一月十四日の晩に
法政大学におきましていわゆる
関東ブロックの総
決起集会というのを開いたのでございます。ここに集まりました
学生の数はおよそ二百十名
程度でございましたが、
事前にわれわれが入手しておりました
情報によりましても、ここで種々の、いわゆる
角材その他のことはもちろんでございますが、いろいろと
現地佐世保におきますところの
阻止行動についての具体的な戦術を練り、さらにまたここで大きく
気勢を上げていこうというような
情報を
事前に入手いたしておりましたし、加えまして、当夜の
決起集会について
現場における視察をいたしておりました過程におきましても、
かなりの数の
角材を
学内に持ち込んでおる。さらにまた
学内においてれんがでございまするとか、あるいは
敷石等を砕いてこれを
凶器に使おうとするというような情勢も実はわかってまいりました。さようなこともございましたので、十五日の早朝から
警察といたしましては適当なる
規制措置をとる必要を
考えまして、そこで午前八時過ぎでございましたけれども、それぞれ手に手に
角材を持ちました者が
法政大学を出まして、あそこから無
届けデモで
気勢を上げながら
飯田橋のほうに向かってまいります。これに対して
警察側といたしましては、所要の
警告措置をたびたびとったのでございますけれども、何らその
警告制止に従うことなくやってまいりました。そこで次第に
警察の
警告制止をとろうとしましたときに、彼らは
角棒を振り上げ、石を投げつけてまいりましたので、これについて
現場で
公務執行妨害罪及び
凶器準備集合罪によって百三十一名、女十五名を含めました者を
現行犯逮捕をいたしたのでございます。そこで
逮捕の
現場及び付近において押収しました
物件は、
角材その他がおおむね百八十本
程度ございます。そのほかにプラカードのついたものが六十本
程度、それからベニヤ板のあれが百三十九枚、そのほか石その他を詰めました段ボール数個を
現場で押収いたしております。
さらにその晩に
自治会の事務所の
実地検証をやったのでございますが、その間においても百件近くの
物件を押収いたしております。こういうのが十五日
法政大学、
飯田橋で起きました
事件の
あらましでございます
続いてこの
逮捕を免れました者が約百名、午前十時半「雲仙・西海」によりまして
東京駅を立ちまして、博多に向かったわけでございますが、その間静岡の駅におきまして
学生三名が
角材十二本を携行いたしまして駅にやってまいりましたので、これに対して
警察官が
警告をいたしましたところ、
角材をそのまま遺留して逃げ去ったという事案がございます。
さらに同日午後五時三十分ころでございますが、大阪駅におきまして、これまた
中核派の
学生でございますが、七十名、うち女を七名含んでおったようでございますが、これらがそれぞれ手に手に
角材を持って駅に集まりました。これに対しましては国鉄の公安職員が
警告をする。さらにまたその
警告を聞き入れませんと、制服警官も出まして同様の
警告をしましたところ、全員
角材その他をそこに放置して乗車をしたというような経緯が大阪にございます。
次いで、博多、九州大学の構内でございますが、これにつきましては、十四日の朝「雲仙」で
東京駅を立ちました
学生が百名ございましたけれども、これは派閥から申しますと、社青同のように
考えられますが、この連中が、
新聞にも一部報道されておりますように、九州大学の学校当局の
警告、その他を聞き入れませんで、裏門のさくを乗り越えて、百名が中に不法に侵入し、点拠したという事案がございます。十五日の晩は、九州大
学内にはおおむね百八十名
程度の
学生が泊まり込んだものと
考えられております。
次いで、十六日の早朝、六時何分かでございましたが、先ほど申しました「雲仙・西海」で十五日
東京を立ちました
学生が、途中の駅から、それぞれ静岡、名古屋、京都、大阪からも乗り込みましたので、私のほうで確認をいたしておりますのは、全体でおおむね四百名
程度の
学生が博多駅に降り立ったわけでございます。この
学生につきましては、公安職員、
警察官双方で、
事前にいろいろな危険な
情報もございましたので、
警察官の
立場といたしましては、警職法二条によりまして一応職務
質問をいたし、
現場で公安官になぐりかかったような
学生もございましたので、全体で現行犯で四名をこの朝
逮捕いたしております。その後四百名の者は、そのまま九州大学の中に入りました。これも学校側としては、これ以上のトラブルが拡大せぬよう顧慮されて門を開かれたわけでございます。堂々と正門から入り、全体としてここに泊まり込みましたのは合計六百名でございます。その六百名の
学生が、昨日の朝午前四時に学校を出まして、これは携行
物件は何もありませんでしたが、一応デモの申請を出して、
警察のほうは道交法によって許可いたしたわけでございますが、それがそのまま博多駅に向かったわけでございます。そして九時何分かの「西海」に乗り込んだわけでございます。途中の鳥栖駅及び肥前山口駅、鳥栖駅の場合におきましては三十束、肥前山口の駅におきましては八束の
角材様のものの梱包を積み込んだことを確認いたしておりますが、残念でございましたけれども、そこには制服
警察官の配置をいたしておりませんでしたから、そのまま車内におさまりましてこれがそれぞれ各人に手渡されたという経緯でございます。
そのような経緯で、午前九時五十六分、いわゆる
佐世保の駅に降り立ったわけでございますが、車内の公安職員から、全員
角材を携行しておる、さらにまた異様に
気勢が上がっておるというような通報もございまして、現地におきます
警察官といたしましては、
佐世保の駅で適当の措置をとることも
考えたのでございますけれども、御案内のとおり
佐世保駅は、いわゆる非常に広いヤードでございますから、
学生が線路上にばらばらと降り立つようなことになりますれば、無数の石がございますのみならず、列車の運行にも至大な影響があることを顧慮し、さらにまた駅前のほうは御案内のとおり繁華街のまん前でございますから、市民の方々に対する御迷惑も
考えまして、
警備措置をとるには適当でないと判断いたしまして、
佐世保橋及び平瀬橋というきのう問題を起こしました場所に部隊を配置いたしたという経緯がございます。そして
学生が到着しましてから、直ちに平瀬橋の上に有刺鉄線によります阻止線を約三十分で展張いたしました。そこで
学生の基地への侵入を防止いたしたという経緯でございます。
そのような経緯で、
学生たちは、先ほど申しましたようないでたちで、改札口を出ませんで、線路側に降り立って、線路を伝わって、あえて平瀬橋のほうにやってきたという経緯でございます。
警察のほうといたしましては、
角棒を捨てるように、また石その他の投石を
中心に
警告を発して、おおよそ二時間にわたって
警告をしたのでございますけれども、
学生側は、わがほうの放水にもめげずに侵入しようと企図したわけでございます。その間約二時間でございましたが、その間使用しましたガスはおよそ二百発でございます。このガスの使用につきましては、付近に市民病院もございますし、さらにまたその上には共済病院等もございますので、ガスの使用については、あらかじめきわめて慎重に取り扱う
考えで、そのように指示し、また現地の
警備本部長もそのことについては最大の配慮をしておったのでございます。当初は風向きが非常によくて、海側に流れておりましたが、途中で風向きが変わりまして、市民病院のほうにもガスがかかっていったという経緯でございます。
この問題につきましては、一部
新聞に誤り伝えられておりますが、昨日も市民病院の院長先生にお会いしまして、おわびかたがたいろいろ事情を聞いてみましたが、院長先生のお話では、入院患者については何も害がなかった。と申しますのは、あらかじめ電話で
警察からガスを使用することについて連絡しておきましたことが
一つと、それから
現場の指揮官が同様にまた市民病院に連絡をいたしましたので、市民病院に入院されている患者の方々のガスによる実害は起こっていないということは、院長先生も申されておりますので、私どももそのように信じているわけでございます。
ただ問題は、いま申しましたように、本日の
新聞等にもきびしく批判があるわけでございますが、
負傷者が、残念ながらわれわれの
警備基本方針とはたがいまして、
警察官側に六十六名、
学生側に六十八名、国鉄の職員側に七名、報道
関係者の方々につきましては、けさ一名追加になりまして、全体で五名、一般の市民の方々については、三名というきのうの
調査でございましたが、昨夜から本日にかけて徴しましたところによりますと、二名ということに訂正になってきております。このような多数のけが人を出したことにつきましては、まことに残念に
考えている次第でございます。したがいまして、昨夜夜おそく午前一時ごろまでかかりまして、現地で大隊長全員を交えまして、昨日来とりました
警備措置につきまして、こまかに、きびしく反省すべき点は反省し、本日の
警備警戒につきましては、ガスの使用及び警棒の使用につきましては、より慎重でありますように私のほうからも厳重に指示したという経緯でございます。
現在のところは、けさ九州大学を出ました
学生の数は五百五十名で、いま汽車に乗って行っております。これが同様きょうのちょうど十二時五十六分に
佐世保に着くわけでございますので、ここからまた本日の
警備警戒が必要になってくるわけでございます。このように
考えている次第でございます。