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1968-01-18 第58回国会 衆議院 内閣委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十二年十二月二十七日) (水曜日)(午前零時現在)における本委員は、 次の通りである。    委員長 三池  信君    理事 伊能繁次郎君 理事 上村千一郎君    理事 浦野 幸男君 理事 塚田  徹君    理事 八田 貞義君 理事 大出  俊君    理事 山内  広君 理事 受田 新吉君       赤城 宗徳君    荒舩清十郎君       内海 英男君    桂木 鉄夫君       佐藤 文生君    塩谷 一夫君       關谷 勝利君    橋口  隆君       福永 健司君    藤尾 正行君       藤波 孝生君    稻村 隆一君       木原  実君    武部  文君       楢崎弥之助君    浜田 光人君       山本弥之助君   米内山義一郎君       吉田 之久君    伊藤惣助丸君       鈴切 康雄君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十三年一月十八日(木曜日)    午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 三池  信君    理事 伊能繁次郎君 理事 浦野 幸男君    理事 塚田  徹君 理事 大出  俊君    理事 木原  実君       荒舩清十郎君    桂木 鉄夫君       藤尾 正行君    武藤 嘉文君       淡谷 悠藏君    稻村 隆一君       華山 親義君    浜田 光人君       安井 吉典君    吉田 之久君       伊藤惣助丸君    鈴切 康雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 増田甲子七君  出席政府委員         警察庁警備局長 川島 広守君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         科学技術庁原子         力局長     藤波 恒雄君         法務省刑事局長 川井 英良君         公安調査庁長官 吉河 光貞君         外務省北米局長 東郷 文彦君         外務省条約局長 佐藤 正二君         文部省大学学術         局長      宮地  茂君  委員外出席者         専  門  員 茨木 純一君     ――――――――――――― 一月八日  委員楢崎弥之助君、山内広君及び山本弥之助君  辞任につき、その補欠として淡谷悠蔵君、安井  吉典君及び華山親義君が議長指名委員に選  任された。 同月十八日  委員橋口隆辞任につき、その補欠として武藤  嘉文君が議長指名委員に選任された。 同日  委員武藤嘉文辞任につき、その補欠として橋  口隆君が議長指名委員に選任された。 同日  理事山内広君同月八日委員辞任につき、その補  欠として木原実君が理事に当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  国の防衛に関する件(米原子力空母エンタープ  ライズの佐世保寄港問題)      ――――◇―――――
  2. 三池信

    三池委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  今会期中、国の行政の改善をはかり、公務員制度及び給与の適正を期する等のため、  一、行政機構並びにその運営に関する事項  二、恩給及び法制一般に関する事項  三、国の防衛に関する事項  四、公務員制度及び給与に関する事項  五、栄典に関する事項  以上の各事項について、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により国政調査を行なうこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、その手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますので、御了承願います。      ――――◇―――――
  4. 三池信

    三池委員長 次に、理事補欠選任の件についておはかりいたします。  去る八日理事山内広君が委員辞任されましたので、理事が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例により委員長において指名いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 三池信

    三池委員長 御異議なしと認めます。よって、委員長木原実君を理事指名いたします。      ――――◇―――――
  6. 三池信

    三池委員長 国の防衛に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。藤尾正行君。
  7. 藤尾正行

    藤尾委員 実は今度アメリカエンタープライズというような原子力空母を主力にいたします随伴艦を含めまして三隻の艦隊佐世保に入ってまいるということを契機といたしましていろいろな騒ぎが起こっております。特にきのうの佐世保、あるいは東京におきましても札幌におきましても、全国十七カ所におきまして三派全学連と称する、学生と申しますか、暴力団と申しますか、こういったものが非常に角材その他を持ってあばれました。またこれに対応いたしまするに、あらかじめその活動というものを予知いたしました警察機動隊といいまするものが、これに向かって放水をするとか、あるいは催涙弾を投げるとかいうようなことで、非常なけが人も出ておりまするし、何も関係のない一般市民までがこれに巻き込まれたというような不祥な事件が起こっておるわけであります。  こういった非常に重大な問題を含んでおりまするので、この問題についてあらゆる角度から検討をすることは、当委員会に当然課せられた使命の一つである、かように思います。そこで、ひとつ本日は、ほかの同僚委員諸君からも同じような御質問があると思いまするけれども、まず私のほうから、事実関係、法律問題、その科学的な危険度の問題、学生問題あるいは治安に関する問題、こういう問題を取り上げまして、それぞれの面から政府当局お答えをいただきたい。特にお願いをいたしたいのは、いろいろこういった問題を取り上げるまでに、新聞等におきましてもいろいろな取り上げ方をしておるわけでありまするけれども、ややもいたしますと、いままで政府国民との間に対話がなかったのではないかというような批判といいまするものが行なわれております。したがいまして、私は、こういった問題に対しましても、私どもの質問に応答する適切なことばがないと、適当に答えておけばよろしいというような態度でなくて、国民を相手にいたしまして、この問題は実はこうなんだ、いままでこういう点は抜けておったとか、こういう点はこうしたいとかいうようなことを交えてひとつ対話をさしていただきたい、かように思いまするので、政府委員諸君におかれましても、特に大臣におかれましては、これは防衛庁長官という立場からも、なお国務大臣という立場におかれましても、質問趣旨がそういう意味合いでありまするので、そういう趣旨を体されましてお答えをいただきたいと思います。  理事会のお話によりますと、この問題の焦点一つになっております警備の問題につきましての当面の責任者であられます警察庁の幹部の方々が非常にお忙しい、人も出張しておられるというようなことでごく短時間しかお出になれないということでございますので、その点は了承するといたしまして、ここに出ておられますかわりの政府委員におかれましてはその点もあわせお考えを願って、ひとつ十二分の御説明をしていただきたいと思います。  そこで、まず、いろいろな問題があるわけでありまするけれども、問題の焦点が、今回のエンタープライズ中心にいたします三焦の艦隊佐世保入港ということに端を発したいろいろな問題が派生をしておると思いまするけれども、この事実問題からひとつ御質問をさしていただきたいと思います。  この問題につきましても、いろいろと新聞その他におきましても毎日毎日大きくお取り上げを願っておりますので、国民皆さま方は、大体におきましてそのアウトラインといいますものを御承知かと思うのでありまするけれども、しかしながら、新聞その他の報道が必ずしもすべて、あらゆる点において正しいというわけでもない、そこに誤りがあるかもしれない、誤った考え方を持ちましてこの問題をとらえられてまいりますと、意外なところに意外な反応が、あるいは間違ったとらえられ方から間違った事態がまた新しく生起するということも考えられますので、そういうことのないようにという意味合いにおいてこの問題をお聞きするわけであります。  まず、エンタープライズ中心にいたします三隻の船があした入ってくるということでありますけれども、あした入ってくるという通告はもうすでにございましたかどうですか、その点をまずお伺いをいたします。
  8. 東郷文彦

    東郷政府委員 本日午前九時、在京米大使館から外務省に対しまして、エンタープライズ並びにトラクストン及びハルゼーという二隻の駆逐艦が明十九日午前九時三十分ごろ佐世保庵崎沖に入るという通告がございました。
  9. 藤尾正行

    藤尾委員 それではいよいよもってあしたの九時三十分か三十五分には、エンタープライズトラクストンハルゼーという三隻の船が佐世保に入ってくるということであります。  そこでいろいろ問題もありますけれども、まず第一に、私の質問政府当局にとられましても非常に御迷惑千万であるかもしれませんけれども、大体この三隻の船がベトナム戦域に出ていくのではないかということがいわれております。あるいはほかに行くのかもしれませんけれども、大体そのように国民了解をしてよろしいのでございますか、どうですか。
  10. 東郷文彦

    東郷政府委員 エンタープライズその他航空母艦は、われわれの了解しておりますところでは、ベトナム戦域に数カ月従軍し、それからまた数カ月本国に帰る、こういう動きを繰り返しておるようであります。エンタープライズも昨年の夏本国帰りまして、また今回極東水域に配置されることになりまして、われわれはこれがこれからベトナム水域に参るものと推定いたしております。
  11. 藤尾正行

    藤尾委員 われわれからの見方でありますから推定をするということは当然のことでありますけれども、いまのような北米局長お答えによりますと、大体これが交代のような形でベトナム水域に出ていくようなものらしいということのようであります。  そこでまずもってこれは非常に重大な問題で、あと委員皆さま方も非常に問題にされるでしょうし、また大方の国民の中にも非常に御疑問が多いと思うのでありますけれども、私は海軍あるいはそういった船に乗ったということではございませんので専門家ではありませんからわかりませんが、少なくともいままで長い間ベトナム戦域におって戦闘行動をしておった、その間は非常に長くて陸上に立ち寄るということも任務上かなわなかった、そういったことのために、交代の時期がきて非常に兵員も疲れており、あるいは補給も幾らかしなければならぬというような状態があるので日本に立ち寄るというようなことはわりあいそれでもわかるのでありますけれども、今度の場合は逆でありまして、もうすでにアメリカで半年近くも十二分の休養をとり、軍艦自体も必要な修理も行ない、補給も十二分に行なったと見られるエンタープライズをはじめその三隻の船が、これからどういうふうに行くかわかりませんけれども、ともかくベトナム水域に出ていくんだという行きの途上で佐世保に立ち寄るというのは、一体どういう意味で立ち寄るのかということであります。これはいままでの新聞等によりますと、休養とか、あるいは補給とか、修理とかいうことが主たる目的になっておるというように説明をされておるのでありまするけれども、この点はどうでございますか。
  12. 東郷文彦

    東郷政府委員 今回の寄港に関する通告におきましても、わが佐世保に対する寄港目的休養補給並びに維持、こういうことになっております。これはエンタープライズのみならず、普通の艦船の場合にも、われわれに実は一々本国からまっすぐ来たのか、あるいは帰りに寄ったのかということまでは一々チェックしておるわけではございません。また、いずれの場合にいたしましても、公の目的を持ってする米国軍艦日本に寄るということは、これは条約にもあることでございますので、今回もわれわれ特にいかなる他意があるのかというよらな点は、いろいろ伝えられるところもあるようでございますが、われわれは別にそういう他意ありとは考えておりません。
  13. 藤尾正行

    藤尾委員 いまの北米局長お答えは、北米局長お答えといたしまして私はごもっともだと思いまするけれども、それでは対話にならない、国民と。国民はなかなかその点がわからないと言って問題にしておるのでありまするから、これはひとつ専門的な立場から防衛局長でもだれでもけっこうでございます。海上自衛隊とか何とかいうものをお持ちになっておられて、そうして同じような事態もあり得るかと思いますので、そういう立場からお考えになって、休養補給あるいは修理ということのために佐世保往路において立ち寄る必要があるのだということが、了解がつくような御説明がいただけますか。
  14. 島田豊

    島田(豊)政府委員 原子力艦艇寄港の問題と、それからわが国海上自衛隊が持っております艦艇行動につきましては、これは比較できない面もかなりあると思います。ことに、推進力原子力であるという点におきまして、非常にこれは大きな差異がございます。したがいまして、海上自衛隊経験からいたしまして、その目的、ねらいというものを推定することは困難でございますが、私は今度の寄港につきましては、ただいま北米局長から答えられましたように、米国側目的がやはり兵員休養あるいは物資の補給ということでありますので、その辺はやはりそういう目的で入ってくるというふうにわれわれは考えざるを得ないのでございます。
  15. 藤尾正行

    藤尾委員 政府のお立場でありますから、この点は私は同僚委員も非常に――国民もまた、帰りならとにかく、補給とか休養とかということがよくわかると思うのでありますけれども、どうも往路において寄るという理由はちょっとわからない面がある。たとえば、サンフランシスコなりあるいはハワイから出港して来て、これからベトナムの戦場に行くのだ、これから半年くらいの間はとにかく、かなり長い間艦上生活だけをしなければならぬ。その際にひとつ休むだけ休んだらどうだ、補給するのはできるだけ最短距離のところで補給したらどうだというようなことでおそらくやられるのだと思いますけれども、しかし、その点が、問題が問題をいろいろと呼び得るという今回の問題だけに、どうも国民の側では納得がいかないということで、まあ条約上の問題は義務というようなものは別にさしおきまして、一般国民の側からはどうも理解ができない。あまりそういう騒動が起こりそうなら、一応この際は避けたっていいじゃないかというような気持ちも私は国民のうちの一部にはあると思うのです。ですから、向こうがそう言っているからそうなんだと、あるいはそう言われてしまえばそれまでですけれども、それ以上の国民との対話というものはできませんか、この問題に関しては。
  16. 増田甲子七

    増田国務大臣 昨年の秋にエンタープライズ寄港させたいという申し入れがございました。今度は日時等申し入れがあったのでございますが、そのときに、われわれは政府全体として考えてみまして、そうして原子力推進航空母艦であることは事実であるけれども、核兵器等は搭載せずということであるならば、日米友好の状況にかんがみてしかるべきことである。よろしい、こういう返事をいたしておるわけでございます。そのとき以来、新聞等にも出ておりまするし、ある程度新聞を通じての対話があった。ただし、一つ一つわれわれが各府県を回って対話をしなかったということは、これは藤尾先生指摘のとおりでございまして、今度は世界最大原子力推進航空母艦が来るのであるけれども、しかしながら核兵器は搭載していないし、また護衛艦等原子力推進のものと、それから普通の原動力のものと両方ありますが、ハルゼーは普通のものでございます。トラクストン原子力推進でございますが、核兵器は搭載していないんだということでございますから、そういうことで日米話し合いの上よろしい、こういう返事をしたわけでございます。  なお、藤尾先生承知のとおりわが国におきましても、原子力推進船舶建造中でございまして、昭和四十七年にはこれを運行し得るわけでございまして、スタートは非常におそかったのでございまするが、しかし皆さま方の協賛を経ました予算によって原子力推進の船ができておるわけでございまして、原子力推進という限りにおいては近代文明上当然のことであるというふうに国民皆さまが、この衆議院の内閣委員会を通じてでもわかってくださると、けっこうだと思っております。このあとのほうをひとつ藤尾さんもぜひ強調願いまして、昭和四十七年には日本船舶原子力推進されるのである。それを政府相当金を出しておるけれども、目下建造中である。それが軍艦に応用されたのがエンタープライズである、トラクストンである、こういうふうに私は了解いたしておるわけでございまして、おそかりしといえども、きょうの機会PR機会にしてくださると、ありがたいと思うのであります。
  17. 藤尾正行

    藤尾委員 いまの問題に関しまして、いまの防衛庁長官お答えは非常に広い範囲で、さらに先の問題までどんどん言ってしまわれましたので、先の問題に移らなければならぬようなはめになりますけれども、私はこの問題についてはこういうように考えたいと思うのです。  ともかく日米安保条約というものがある。そうしてその原子力推進機関を持っておる船というものも、いままで潜水艦をはじめといたしまして二十回近い度数において日本寄港してきておる。その間いろいろ調査もしておるけれども、危険はなかった。しかもこれだけでなくて、いまこれはその両方が重なっておるから問題になっておるのでありますけれども、ベトナム水域に出動しております船あるいは飛行機あるいは陸軍の兵隊さんというようなものも、それぞれの理由をもって日本休養をし補給をし、あるいは修理にやってくるということもいままでたびたびあった。その間別に日本の国家、国民に非常な悪い影響を与えたということはない。そういうことをいままでの過去の経験というものをずっと根拠にして考えてみて、今度のエンタープライズの場合は、それは両方が重なってきておるから世間が非常に大きく問題にし、またそれに対して実は政府も重なっておるがゆえに事前に十二分にPRをすべきであったけれども、ついついその機会を失なって、そのためにこういう誤解に基づくいろいろな紛争が起こってきたのだというようなことだと思うのですが、大体そのように了解してよろしゅうございますか。大臣どうですか。
  18. 増田甲子七

    増田国務大臣 そのとおり御了解くだすってけっこうでございます。御指摘のとおり原子力推進による潜水艦は二十数回も横須賀並び佐世保寄港いたしておりまして、科学技術庁あとお答えいたすと思いますが、放射能の害というものは少しもないのでございます。放射能関係のことは全部船内で処理しておりまして、ひとつも出していない、そういうことに相なっております。でございますから、過去の経験から見ましても、もう原子力船があぶないなんというのは非常に時代おくれでございまして、昔、天保時代ということを申しましたが、いまの学生諸君等がいろいろ騒いでいるのはいまの時代から申せば少し時代認識が古いのではないか、こう考えております。それにつけましても、もっとPRが必要であるという御指摘のおことばは承っておきます。
  19. 三池信

    三池委員長 申し上げます。  警察庁川島警備局長が出席されました。警備局長は時節柄非常に席をはずしにくいそうでありますが、まげて大体一時間くらいの予定で出席されておりますから、どうか質問警備関係のほうへ御集中をお願いしたいと思います。
  20. 藤尾正行

    藤尾委員 いろいろ事実問題がありますけれども、その問題はおきまして、警備局長が非常にお忙しいさなかでありますので、ひとつ警備局長に対しますいろいろな御質問をし、またお伺いもしたいと思います。  きのうから――別にきのうから始まったわけではないので、実は十五日の飯田橋事件以来あるわけですけれども、きのうあるいはきょう、きょうまたまた何かやっておるかもしれません。いままで、この時点におきますまでの間の概括的な事件について、ここでこういう事件が起こって、こういうふうになっているのだ、ごく簡単でけっこうでございますから、ひとつ御報告をいただきたいと思います。
  21. 川島広守

    川島(広)政府委員 いま仰せの中にもございましたけれども、昨日来たいへん新聞テレビ等でも報道されましたように、現場ではかなり負傷者を出したような経緯もございます。そこで現在まで経過あらましを申し上げたいと思いますが、今回の佐世保寄港阻止につきましてはいわゆる全学連の主軸――反代々木系学生でございますが、その中のいわゆる三派系の中核派という派閥が最も先鋭的に年末から全国各地において活動いたしまして、いわゆる佐世保を第三の羽田にするというのが彼らの合いことばであったわけでございます。そういうふうな経過を経まして、ことしの一月十四日の晩に法政大学におきましていわゆる関東ブロックの総決起集会というのを開いたのでございます。ここに集まりました学生の数はおよそ二百十名程度でございましたが、事前にわれわれが入手しておりました情報によりましても、ここで種々の、いわゆる角材その他のことはもちろんでございますが、いろいろと現地佐世保におきますところの阻止行動についての具体的な戦術を練り、さらにまたここで大きく気勢を上げていこうというような情報事前に入手いたしておりましたし、加えまして、当夜の決起集会について現場における視察をいたしておりました過程におきましても、かなりの数の角材学内に持ち込んでおる。さらにまた学内においてれんがでございまするとか、あるいは敷石等を砕いてこれを凶器に使おうとするというような情勢も実はわかってまいりました。さようなこともございましたので、十五日の早朝から警察といたしましては適当なる規制措置をとる必要を考えまして、そこで午前八時過ぎでございましたけれども、それぞれ手に手に角材を持ちました者が法政大学を出まして、あそこから無届けデモ気勢を上げながら飯田橋のほうに向かってまいります。これに対して警察側といたしましては、所要の警告措置をたびたびとったのでございますけれども、何らその警告制止に従うことなくやってまいりました。そこで次第に警察警告制止をとろうとしましたときに、彼らは角棒を振り上げ、石を投げつけてまいりましたので、これについて現場公務執行妨害罪及び凶器準備集合罪によって百三十一名、女十五名を含めました者を現行犯逮捕をいたしたのでございます。そこで逮捕現場及び付近において押収しました物件は、角材その他がおおむね百八十本程度ございます。そのほかにプラカードのついたものが六十本程度、それからベニヤ板のあれが百三十九枚、そのほか石その他を詰めました段ボール数個を現場で押収いたしております。  さらにその晩に自治会の事務所の実地検証をやったのでございますが、その間においても百件近くの物件を押収いたしております。こういうのが十五日法政大学飯田橋で起きました事件あらましでございます  続いてこの逮捕を免れました者が約百名、午前十時半「雲仙・西海」によりまして東京駅を立ちまして、博多に向かったわけでございますが、その間静岡の駅におきまして学生三名が角材十二本を携行いたしまして駅にやってまいりましたので、これに対して警察官が警告をいたしましたところ、角材をそのまま遺留して逃げ去ったという事案がございます。  さらに同日午後五時三十分ころでございますが、大阪駅におきまして、これまた中核派学生でございますが、七十名、うち女を七名含んでおったようでございますが、これらがそれぞれ手に手に角材を持って駅に集まりました。これに対しましては国鉄の公安職員が警告をする。さらにまたその警告を聞き入れませんと、制服警官も出まして同様の警告をしましたところ、全員角材その他をそこに放置して乗車をしたというような経緯が大阪にございます。  次いで、博多、九州大学の構内でございますが、これにつきましては、十四日の朝「雲仙」で東京駅を立ちました学生が百名ございましたけれども、これは派閥から申しますと、社青同のように考えられますが、この連中が、新聞にも一部報道されておりますように、九州大学の学校当局の警告、その他を聞き入れませんで、裏門のさくを乗り越えて、百名が中に不法に侵入し、点拠したという事案がございます。十五日の晩は、九州大学内にはおおむね百八十名程度学生が泊まり込んだものと考えられております。  次いで、十六日の早朝、六時何分かでございましたが、先ほど申しました「雲仙・西海」で十五日東京を立ちました学生が、途中の駅から、それぞれ静岡、名古屋、京都、大阪からも乗り込みましたので、私のほうで確認をいたしておりますのは、全体でおおむね四百名程度学生が博多駅に降り立ったわけでございます。この学生につきましては、公安職員、警察官双方で、事前にいろいろな危険な情報もございましたので、警察官の立場といたしましては、警職法二条によりまして一応職務質問をいたし、現場で公安官になぐりかかったような学生もございましたので、全体で現行犯で四名をこの朝逮捕いたしております。その後四百名の者は、そのまま九州大学の中に入りました。これも学校側としては、これ以上のトラブルが拡大せぬよう顧慮されて門を開かれたわけでございます。堂々と正門から入り、全体としてここに泊まり込みましたのは合計六百名でございます。その六百名の学生が、昨日の朝午前四時に学校を出まして、これは携行物件は何もありませんでしたが、一応デモの申請を出して、警察のほうは道交法によって許可いたしたわけでございますが、それがそのまま博多駅に向かったわけでございます。そして九時何分かの「西海」に乗り込んだわけでございます。途中の鳥栖駅及び肥前山口駅、鳥栖駅の場合におきましては三十束、肥前山口の駅におきましては八束の角材様のものの梱包を積み込んだことを確認いたしておりますが、残念でございましたけれども、そこには制服警察官の配置をいたしておりませんでしたから、そのまま車内におさまりましてこれがそれぞれ各人に手渡されたという経緯でございます。  そのような経緯で、午前九時五十六分、いわゆる佐世保の駅に降り立ったわけでございますが、車内の公安職員から、全員角材を携行しておる、さらにまた異様に気勢が上がっておるというような通報もございまして、現地におきます警察官といたしましては、佐世保の駅で適当の措置をとることも考えたのでございますけれども、御案内のとおり佐世保駅は、いわゆる非常に広いヤードでございますから、学生が線路上にばらばらと降り立つようなことになりますれば、無数の石がございますのみならず、列車の運行にも至大な影響があることを顧慮し、さらにまた駅前のほうは御案内のとおり繁華街のまん前でございますから、市民の方々に対する御迷惑も考えまして、警備措置をとるには適当でないと判断いたしまして、佐世保橋及び平瀬橋というきのう問題を起こしました場所に部隊を配置いたしたという経緯がございます。そして学生が到着しましてから、直ちに平瀬橋の上に有刺鉄線によります阻止線を約三十分で展張いたしました。そこで学生の基地への侵入を防止いたしたという経緯でございます。  そのような経緯で、学生たちは、先ほど申しましたようないでたちで、改札口を出ませんで、線路側に降り立って、線路を伝わって、あえて平瀬橋のほうにやってきたという経緯でございます。警察のほうといたしましては、角棒を捨てるように、また石その他の投石を中心警告を発して、おおよそ二時間にわたって警告をしたのでございますけれども、学生側は、わがほうの放水にもめげずに侵入しようと企図したわけでございます。その間約二時間でございましたが、その間使用しましたガスはおよそ二百発でございます。このガスの使用につきましては、付近に市民病院もございますし、さらにまたその上には共済病院等もございますので、ガスの使用については、あらかじめきわめて慎重に取り扱う考えで、そのように指示し、また現地の警備本部長もそのことについては最大の配慮をしておったのでございます。当初は風向きが非常によくて、海側に流れておりましたが、途中で風向きが変わりまして、市民病院のほうにもガスがかかっていったという経緯でございます。  この問題につきましては、一部新聞に誤り伝えられておりますが、昨日も市民病院の院長先生にお会いしまして、おわびかたがたいろいろ事情を聞いてみましたが、院長先生のお話では、入院患者については何も害がなかった。と申しますのは、あらかじめ電話で警察からガスを使用することについて連絡しておきましたことが一つと、それから現場の指揮官が同様にまた市民病院に連絡をいたしましたので、市民病院に入院されている患者の方々のガスによる実害は起こっていないということは、院長先生も申されておりますので、私どももそのように信じているわけでございます。  ただ問題は、いま申しましたように、本日の新聞等にもきびしく批判があるわけでございますが、負傷者が、残念ながらわれわれの警備基本方針とはたがいまして、警察官側に六十六名、学生側に六十八名、国鉄の職員側に七名、報道関係者の方々につきましては、けさ一名追加になりまして、全体で五名、一般の市民の方々については、三名というきのうの調査でございましたが、昨夜から本日にかけて徴しましたところによりますと、二名ということに訂正になってきております。このような多数のけが人を出したことにつきましては、まことに残念に考えている次第でございます。したがいまして、昨夜夜おそく午前一時ごろまでかかりまして、現地で大隊長全員を交えまして、昨日来とりました警備措置につきまして、こまかに、きびしく反省すべき点は反省し、本日の警備警戒につきましては、ガスの使用及び警棒の使用につきましては、より慎重でありますように私のほうからも厳重に指示したという経緯でございます。  現在のところは、けさ九州大学を出ました学生の数は五百五十名で、いま汽車に乗って行っております。これが同様きょうのちょうど十二時五十六分に佐世保に着くわけでございますので、ここからまた本日の警備警戒が必要になってくるわけでございます。このように考えている次第でございます。
  22. 藤尾正行

    藤尾委員 まことに御苦労さんで、よくわかりました。  それで、この騒ぎを起こした三派系全学連といいますものは、これはもうわが党だけでなく、社会党、公明党、民社党あるいは共産党すら、とにかく仲間に入ってくるのは困るのだということで指弾をしている団体でございますので、こういつたものが白昼角材を持ち、あるいは石ころを持って何百人という者が隊伍を組んで非常に非常識な、警備に対するチャレンジをするというようなことは、これは私は一種の反乱に近い非常に重大事態と思います。こういったものは、問題をできるだけ起こさないように事前に十二分の措置をとられることこそが、騒ぎをできるだけ小さくする警備中心課題ではないかというような気がするのであります。  そういった意味におきましては、これはほかの同僚とは見解が違うかもしれませんが、たとえば、法政大学を出てきたときに、飯田橋でとにかく事前角材を持ち、あるいは石ころを持ったこういう暴力団と申しますか、私は暴力団はまだ頭がないからいいと思うのでありますけれども、法律知識も持ち、いろいろな逃げ道も知的に考え、そういうことのできる暴力団以上の悪性暴力団というようなものが九州大学に立てこもる、それから出ていくというときに、事前に何らかの措置がとられるものなら十二分の措置をしていただくことのほうが、より問題を小さくし、波及する範囲を縮めるのじゃないかというような気がいたしますが、この点は警備局長どのようにお考えですか。
  23. 川島広守

    川島(広)政府委員 私の立場といたしましても全く先生のおっしゃるとおり考えております。したがいまして、特に今回の佐世保事件に限って申しましても、あらかじめ、先ほどもちょっとお答え申しましたような経緯がございますので、文部省、それからそれぞれの現地の大学関係者の方々とは数度にわたりまして打ち合わせをいたし、できるだけ警察処置をまたないで学生自身の手、もしくは学校管理者、当局の手により善処していただきたいということを再三にわたって実はお願いしてまいった経緯でございますが、昨日は残念ながら、そのような意味ではいろいろ御努力願ったことはわれわれもたいへん多といたしておるわけでありますけれども、不幸にして警察処置をとらなければならなかったとは、たいへん残念に考えておるわけであります。
  24. 藤尾正行

    藤尾委員 その点は文部省の大学当局はどのようにお考えですか。
  25. 宮地茂

    ○宮地政府委員 昨年の羽田事件に続きまして、今回三たびにわたりまして学生の身分を持つ者が非常な不祥事件を起こした、まことに申しわけなく思っております。  お尋ねの件につきましては、実は今回の問題は昨年暮れあたりから予定もされておりましたし、また学内でそういう学生の動きがあるということもございました。そういう関係で、私どもといたしましては各大学にその旨を通知いたしますと同時に、また東京にも学生部長に集まってもらい、あるいは九州地区では再三にわたってその問題について話し合いをしていただきました。また、この学生の出発にあたりましては、これは二、三わかっておる大学でございますが、学生が先ほどの御説明のように所定の汽車に乗り込むその間ぎわまで、ホームヘかけつけてまで、大学の教官は説得につとめたということでございますが、御指摘のように判断力のある者が暴力をふるうということでございまして、教官等の説得には遺憾ながら応じなかったということでございます。
  26. 藤尾正行

    藤尾委員 私はいまの大学学術局長さんのお話を聞いておりまして実にふしぎ千万だと思うのであります。実はこれはけさの毎日新聞です。毎日新聞の社会面に「九大学生会館」というものを特集をしておりまして、それについて大学当局もとにかく傍観しているのだという次第のことが書いてある。中にはひどいですよ、もしこれがほんとうならば。もし誤りがあるならば御訂正をいただきたいと思いますけれども、九大の場合にはその学生会館は教養部に属しておる。その学生会館の館長さんは池田数好という教養部長さんであられる。これがこの学生会館の運営をなすっておられるのだけれども、ほかの大学の学生は入れないのだということを初めから言っておられた。ところが、ただいま御指摘のような東京から、あるいは大阪から乗っていったような三派全学連なんというものが、有刺鉄線を張り、門には錠をかげておった大学の中にそういうものを破壊して――これは公共物ですよ、九州大学は私物じゃありませんからね。国のものなんですよ。そういったものを破壊して、そうして教養学部の学生会館の中へ押し入っていって、そうしてそれに対してこれをどうするかということについては全く手がつかぬ、こういうようなことを言っている。学生のほうでも、きのうはひどい目にあったからでしょうけれども、佐世保から帰ってきた学生は、ほんとうかうそか知りませんけれども、九大の構内に入ると同時に、助かりました、ここまで来れば警察力は及ばないというようなことを言って休養に入ったとか。それから福岡県警では、とにかく政治的な思想は別として、大学が暴力団化した学生の逃げ場になっておるということは、まことに苦々しい限りである、真に自治を守り、学生を愛するなら、前科として残る大きな犯罪行為に走らせるよりは、むしろこういった者を外へ出させるような退去命令でも出して、そしてそういった事態事前に起こさせないようにするということが、学校当局の当然のつとめじゃないかというような批判をしておられる向きもあります。とにかくさくは乗り越えられ、門は破られればしかたがない、これらを説得するといったってもう方法もない。しかしながらそれにしても警官を導入する考えはないんだ、こういうようなことを学長も言っておられるわけです。こういう事態になって、さらにきょうまた問題が起ころうとしておる。そういうことは十二分に予測がつくことですね。その予測がつくことについて、文部省として九大当局に、何らの指示も与えることができないというようなことで、一体大学行政というものはとれるのですか。その点一点だけ。とにかく警備局長さんお忙しいでしょうから、警備局長さんに質問を集中したいんだけれども、これはどうも関連をした問題として、どうしても言ってもらわなければならないことですから、あなたにもう一ぺん質問します。
  27. 宮地茂

    ○宮地政府委員 私から申し上げるのはおかしいのですが、おっしゃるとおりだと私どもも考えております。これは実は一昨日の十六日に、文部大臣の談話を出しましたが、それをちょっと読ましていただきます。時間がありませんから、問題のところだけかいつまみますが、「大学の施設が学生の暴挙の格好の拠点として利用され、教育研究の場が混乱に陥るが如き事態を招くことは、大学の自治を自らそこなうものであり、学生としても、また大学としても、その責任はきわめて重大といわなければなりません。」御指摘のとおりのことはまことに遺憾であるし、その責任は大学と学生にあるんだということを申し上げております。また、したがいまして、「各大学においては、すでに昨秋の事件にかんがみ今回の事態についても、学生指導、学校管理に鋭意努力をはらわれていることと信じますが、この際、さらに全教職員をあげて格段の努力を傾け、勇気をもって有効適切な措置を尽し、もって大学に対する国民の期待と信頼に応えられんことを切望してやみません。」考え方といたしましてはこういう考え方でございまして、これは私どもも通知いたしておりますし、大臣の談話も出しております。  ただ、言いわけではございませんが、大学当局といたしましては、この施設の管理権はなかなかむずかしい問題でございますが、憲法でいいます学問の自由を保障するその大きな内容が、大学の自治であろうかと思います。その自治の内容につきましてはいろいろございますが、施設の管理といったことも、学問の自由、大学の自治の一環として従来から扱っております。しかしながら大学構内が治外法権の場ではないということは、もう十分大学も承知いたしております。警察とも十分その点は連絡しております。ただ従来からの慣行といたしまして、大学内の問題につきましては、大学当局が警察に出動を要請する、その要請があった場合には警察が出向いていくという慣行にいたしておりますが、しかしこれはその事態事態に即してよい慣行ともなりますし、また今回のような場合でありますれば、慣行をよいことにしてそれが乱用されておるという面も考えられます。ただ、治外法権の場でもございませんし、これは前回の羽田事件以後、私ども警察当局とも話し合いをいたしておりますが、大学が警察の導入を要請しなければ、治外法権の場ではないのですから、警察は入れないということではない。凶器準備集合罪に該当するとお考えになけば、大学の要請なくして警察はお入りになられてもよいし、入る権限はあるわけでございます。したがいまして、私のほうは、大学は役に立ちませんからどうか警察のほうでびしびし入ってくださいということは申し上げかねますが、考え方といたしましてはもうはっきりいたしておることでございます。その程度で御了承をいただきたいと思います。
  28. 大出俊

    大出委員 関連。大学局長さん、いまのお話の中に、大学が、学生の暴徒ということばをさっき使われたと思うのですが、そういう場になっている、こういうのですが、そこでまず承りたいのは、なぜ一体学生がああいうことをやろうとするか、なぜ一体ああいう気持ちになるか、そこのところを大学局長さんどうお考えになりますか。
  29. 宮地茂

    ○宮地政府委員 これはまあ警察のほうへの情報にもございましたが、三派系であるとかあるいは三派の中の中核が非常にイニシアチブをとったとか、いろいろお話がございました。しかしながらこの問題につきましては、まあ学生でございますから、あまり学生に同情的に申し上げるわけではございませんが、あの年齢の者のああした考え方ということは、これはある程度わからないでもないわけでございますが、どう考えてということを私が申し上げるのもおかしゅうございますので、御質問に、答えをすりかえるようで恐縮ですが、考え方は一がいにこうだと申し上げることはできないと思いますし、むずかしい問題でございます。ただ考え方はどうであろうと、暴力をふるうということは絶対にいけない、そういう意味で彼らがやった行為は暴徒に等しいという意味で私は暴徒的な行為だと申し上げた次第でございます。
  30. 大出俊

    大出委員 あなた大学局長なんですからね、不用意なことばをお吐きいただくと、これはまことに迷惑です。いまあなた暴徒的と言い直されたけれども、さっきあなたは暴徒と言った。そこでそういうものの考え方に引き続いて凶器準備集合罪というふうに警察がお認めをいただければ、どんどん入れるのですからという、入ってくださいといわんばかりのことになる。私はそういう大学局長にはやめていただきたいと思う、正直言って。学園の自治というものはこのくらいのことがあったからといって破られては困る筋合いのものです。東京大学の学長大河内さんが非常に長い論文を発表しておられますね。口頭で述べておられます。学生の気持ちの動きの背景にあるものをとらえてものを言っておられる。これは二回目です。アメリカのいうように乗員の休養だけのためとしても、国民の広い階層の反対運動のために政府が神経をとがらせたり、学生をかかえた大学が苦慮している事実をアメリカがもっと知ってくれるべきだということから始まりまして、「『こんどの寄港ベトナム戦争への日本の直接参加を意味し、さらに日本人の核アレルギーを解消させてやろうというねらいを持っているのだ』と信じ切っている国民、とくに若い世代が広範に存在していることを念頭においてもらわないと、お互いに不幸をまねくだけである。」ということを冒頭に述べておる。そして角材を捨てたまえということを言って、学園の自治というものが、角材をふるった、このくらいのことで破られては困るんだということを言っておる。あした大学がなくなるわけじゃない、こういう世相ばかりが続くわけではない。これは長年大学の先生として真剣に教育に携わってきた東京大学の学長としては当然なことだと私は思う。私も角材を捨てたまえと言いたい。だがしかし、そのために学園の自治を破らせることはできない、こう思いますよ。だから九州大学の学長さんが、ここまできてもなおかつ警官導入をみずから要請はしたくないと言っているんでしょう。そこの一番根底にあるものを理解してやらなければ、そこに対話がなければ、単に学生を暴徒ととらえるだけで問題は解決しませんね。あなたは大学局長なんだから、凶器準備集合罪ということを警察が認定すればどんどん入ってきてやれるんだということを言う、そういうものの考え方は根本的に間違っている。あなたは若い人たちの気持ちは私も何となくわかると言う。何となくわかるという中には複雑な気持ちがあると思う。世の中の親だってそうです。東京駅にとめに行った親だっている。そこのところに対話がない。さっき藤尾さんが言ったけれども、そこに問題の本質がある。そこに触れようとしない限り大学局長なんていうものは私は大学の管理はできないと思う。私は、暴徒的と言い直されたけれども、簡単に学生を暴徒なんていうことばは使うべきじゃないと思うが、あなたはどうですか。
  31. 宮地茂

    ○宮地政府委員 私は、藤尾委員のほうから、先ほど来大学は、説得では十分ではない、学生会館が暴力的な学生に占拠されておるではないか、大学は何をしておるんだというお尋ねに対しまして答えたわけでございます。したがいまして、私のほうは警察にどうぞ入ってくださいと申し上げたわけではございません。ただ、大学としては従来のよい慣行として認められております。警察を呼ぶ場合には、大学当局が助力を求めるという場合にだけ警察が入るという慣行で進んできておるわけです。しかしながら警察の助力とは別に、大学の自治能力として物理的な力があるかと申しますと、物理的な力には限界があろう、しかしながら、大学としては限界のある範囲内でできる限りのことはしております。しかし藤尾委員はそれでも暴力的な学生に占拠されておるではないか、これは国有財産ではないか、国民のために文部省はどうするんだというお尋ねでございますので、その後半のことを申し上げた次第でございます。
  32. 大出俊

    大出委員 これで終わりますが、もう一点だけ聞いておきます。  いまあなたの御発言の中に、大学の自治というもの、つまりそれを前提にして警官導入なんていうものは、学校の側から要請がない場合には警官を入れない、これは慣行だと言う。あなたはこの慣行を尊重しかつ守ろうというふうにお考えですか。ここのところだけ聞いておきたい。
  33. 宮地茂

    ○宮地政府委員 私は、よい慣行は尊重されるべきだと思っております。しかしながら、よい慣行ですが、どんな事態になろうとも、どのように大学が非難されようとも、ともかく大学としては警察の要請をしないんだという考え方があるとすれば、これは間違っておるというふうに考えます。
  34. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから論争をする気はないんだけれども、旧来からある慣行、ずいぶん長い慣行だと思うのですね、学校側から要請しなければ警官を導入しないということは。そうでしょう。それをできるだけ守りたいというのがみなの気持ちじゃないですか。東京大学の学長もそう言っている。だから角材を捨てなさいと言っている。九大の学長だっておそらく同じ心理だと思う。それはよき慣行だからじゃないですか。こういうことが過去から今日までにそうしばしばあったわけじゃない。だから私はやはりよき慣行だと考えて、大学にそうにわかに警官を入れない、自治というものを尊重していく、だから学側から要請がなければ入ってもらいたくない、こういうふうに進めてきた慣行というものは、私は守るべきだと思っている。突発的ないろいろなケースはありましょう。ありましょうけれども、基本はそこにあると思っている。これだけあなたに申し上げておきたい。  それから警備局長に承りたいのですが、あなたの先ほどの話を聞いておって、まず一つ藤尾さんの質問に答えて御指摘のとおりと言ったのですが、この中にもどうも暴力団――これは藤尾さんの性格だから、ああいうことを言うのはしかたがないのだが、悪性の暴力団、こう言うのだけれども、暴力団の定義というものはほかにあると思うのです。刑法二百八条ノ二を追加して国会で論議をしているときに、私もあの議論を全部読んでみたのですが、いまここにありますけれども、世の中の一般の暴力団、この中には学生は入りませんよ。暴力をふるって金もうけをしているわけでも何でもない。純粋な一つの気持ちを持っていることだけは事実です。その思想がどっちを向いているかは別問題です、思想の自由はあるのですから。そうでしょう。そうだからこそ、けさのテレビでも、九州大学で、どこの派にも、全学連にも入らない方々が九百人ばかりデモをやっておる。そしてテレビの中で異口同音に言っていることは、気持ちはみな一緒だと言っている。ただこの反対運動の団体の中でリーダーシップを握って引っぱっていこうということで、推定した見方をすれば、その行動の中にたまたま暴力行為があったとしても、しかし頭の中にある気持ちは、エンタープライズは入ってもらいたくない、核アレルギーをなおすなんという、日本国民の核感情というものをそういうとらえ方をされるのは迷惑だ。しかもこのあとにポラリスが入ってくる、あるいは沖縄に核基地が認められるということになったらえらいことになる、そういう気持ちというものはみな一緒だと言っている。ただしかし、行動の面でわれわれは角材をふるうことには反対だと言っているだけで、その気持ちに共通するものはみな持っている。だとすると、これをそう簡単に市井の暴力団というふうにとらえたんでは、むしろ問題は前向きに解決しない、こう考えなければならぬと私は思うのです。  そこで、あなたがさっき御指摘のとおりと言ったのは、そこまで御指摘のとおりと言ったわけではないと思うから、私は意見だけ申し上げておくのだけれども、そこでひとつ、皆さん警備の側で集まって、いろいろな批判に対する、きのうの勇み足に対する反省という意味の論議をされておりますね。これを見ますと朝日の記者岩垂さんが、おれは朝日新聞の記者だと言って、腕章をこうつけているにもかかわらず、めちゃくちゃになぐられた、取材用の帽子まで取られてしまい、これは殺されるかと思った、しかもその前に、実力行使をいたしますからとか、突っ込みますからとか、排除しますからとか、一言も言っていない、あっと思ったら怒濤のように飛び込まれてしまった。市民まで巻き添えを食った、ほかの記者も二人ばかりけがをしている。その取材したものを負傷しながら書いております。これにうそはないと思う。それは専門にやっているのだから当たりまえかもしれないが、とにかく自分がこういう目にあって、こうだと表に出している記事を私は尊重したい。その限りで言えば、警察の皆さんがここで勇み足についての反省をする、これも私は当然だと思っている。  さっきあなたは病院の患者がガスにおかされているとかいないとか言ったけれども、それは事実がおたくのおっしゃるとおりならばそれは認めますよ。しかし病院の側からあらかじめ警察の側に、誘導するための人の配置をしてくれとかいろいろ申し入れたけれども、やってもらえなかったという院長の談話が新聞に載っている、そうでしょう。そうだとすると、そこにもやはり警察側の手落ちがあったと思う。けさのテレビを見ていると、指揮者の方が白い棒で――もううずくまって動けない、目に一ぱい催涙ガスが入っている学生をたたいている警官の上を、そのおまわりさんの鉄帽を指揮者が白い指揮棒でたたいてやめろと言っているが、それでもやめない。前につんのめる、それをまた追っかけてたたいている。やめろと言ってもまだやめない。私も軍隊の経験が長いのだけれども、こんなに指揮官がやめろと命令しているのに、全く言うことを聞かないで自分かってにひっぱたいてしまって、フラッシュがたかれようとすればまた中に入れてしまってたたく、けとばす、これでは秩序ある警察だとは言えないでしょう。そこのところは、相手がこん棒をふるってきたからというが、学生はこん棒しか持っていない、片方はたてもあれば全部完全に用意をしている、放水車もあれば催涙ガス筒も持っている、そういう状態でしょう。それを角材でなぐられたから興奮してなぐったのだということになれば、これはここまで発展するのです。  だから、ここのところはここで言っているとおり私は確認していただきたいのだが、まず一つは、指揮者の制止にもかかわらず警官が市民などの中にまで突入し、警棒による負傷者をたくさん出したこと、これが皆さんの側の反省の一点にあがっていますね。これをお認めになるかどうかという点です。  それからもう一つ。負傷した学生を検挙したあとも警官隊が集団でなぐる、けるの暴行をしたという点。それから暴力学生を実力で排除したあとも追いかけて深入りしたための行き過ぎもあったという点、これが朝日新聞の朝刊に書いてある。警察庁からも慎重な警備を望む要望があったということが一つ。それから市民の批判が高まっているということが一つ。そこで行き過ぎの実情については捜査班を設けて調査するということになっておるということで、警備当局の皆さん方が打ち合わせをされて、以上のような点の勇み足についての反省の上に一つの結論を出しておられるのですね。できるだけこういう警棒の乱用、使用というようなことを自制するということ、よほどの乱暴なデモでもない限りはというようなことがついておりますけれども。それから実力制止をする警官とデモ隊との接近をなるべく避けて、催涙ガス、放水など科学的な方法を使うというようなことが書かれておりますけれども、おたくの、警察庁のそういった指示もあってということなんですが、そこらのところはこういうふうに受け取っていいですか。
  35. 川島広守

    川島(広)政府委員 私もけさの新聞、実は読んでまいりました。大筋におきましてはいま先生のおっしゃったとおりでございます。ただ、表現その他につきましては非常に違いますけれども。その点について若干付言してお答えいたしたいと思いますが、先ほども負傷者の方々の数字を申し上げたわけでございますけれども、先般の羽田事件等に比べますと、たいへん負傷者が少なかったということは不幸中の幸いであったろうと思っております。  それからけさも郵便局員の方が二人テレビに出ておられましたけれども、岩垂記者がどういうような事情でけがをしたかということにつきましては、現地に行っておる朝日の幹部に私けさ直接電話で聞きました。岩垂記者の話では、そこに書いてあるとおりだということでございます。私もそうだと思っております。それからさらにまたその他の記者が四名ほどけがをされておるのでありますけれども、大体おおむね同じような場所であったようでございますし、同じようなけがの部位でございますから、おおむね同じようなことではなかったかと思っております。それにつきましては、きのうさっそくそれぞれ見舞いを出しまして、御本人からも事情等を聴取いたしております。  そこで昨夜聞きましたことは、そこにも書いてありますけれども、捜査班というのはちょっと大げさでございますけれども、要するに一体どういうふうな状況下で、どういうふうな錯誤に基づいてそういうことになったのか、実情の調査をこまかく行なう、さらにまた報道関係の方々は腕章、ワッペン等をつけておられるわけでございますけれども、現場で取材する方々はヘルメットをかぶっておられる。いろいろ服装は違いますけれども、一応警備本部とあらかじめ打ち合わせをしましたような服装をいたしておるわけでございます。きのうの岩垂さんの場合は、市民病院のところから逆に取材をしておったところに、ガスで学生がばっと逃げてきた。そこで岩垂さんは学生の陰になってしまった。そこで、逮捕しようという警察官が警棒をふるった、それが頭の部位に当たって、頭部をけがをされたというようなことのようでございます。  そこで本日の警備につきましては、先ほど来いろいろこまかく検討したわけでございますが、今回の佐世保警備につきましての基本方針といたしまして、要するに基地の中には絶対に入らせない。上陸米兵に対する暴行等は絶対許さない。その他違法行為は絶対に見のがさないというのが基本方針でございます。さらに市民には絶対迷惑をかけない。双方に死者、けが人は出さないというのを信条としてやってまいっておるわけでございます。それが遺憾ながらいまのような事態になりましたので、ともかくも実情を詳細に調査するということが第一点でございます。  それから第二は、警察官による実力規制、接触規制になりますと、どうしてもけが人が出ますので、放水を主にいたしまして、ガスの使用もなるべく手控えてまいりたいというのが本日の基本的な方針でございます。おおむね筋においてお尋ねのとおりでございます。
  36. 大出俊

    大出委員 半までしかないというので、まだ三十分近くありますけれども、私のやつはケリをつけておきたいので、法務省の刑事局長さんも見えていますから、先ほどの話の飯田橋事件の点、ひとつ承りたいのですが、刑法二百八条ノ二というのが国会で審議されたときに、二つの衆参両院における附帯決議がついておるのを御存じですね。ところで、当時三十三年のころだと思いますけれども、二つばかり大きな、いわゆる市井一般の世相として暴力団関係の大きな事件が、何々組親分を何々組がなぐり込みをかけたという事件が二つばかりありましたね。小松島事件だとかもう一つ。それの法律規制が何もないというので背景になっていたことも、これまた御存じのとおりだろうと思うのですね。そこで、凶器準備集合罪――凶器などというものを入れるについても客観性を持たせるということで、裁量だけが強くなっては困るということで入れた経緯がありましたね。したがって、これは凶器とは何かということから始まりまして、未必の故意であるとかあるいはそうでない絶対的な故意であるとかいうような目的についての論議もされております。したがって学者の見解もたくさん出ております。  そういう背景で一つ承りたいのは、飯田橋事件のときの学生諸君目的ですね、この二百八条ノ二でいうところのこれは一体どこに置かれているというふうに皆さんは御判断になるのですか。というのは、八日の現地の県警の警備部長さんの記者会見の席上で、すでに凶器準備集合罪を適用するということを発表されている。そうすると、だいぶ前からきめておられたことになる。だとすると、そこらをどういうふうに飯田橋事件のときにお考えになって四百人ばかりの警官がお出かけになったのか。目的は一体どこにあるというふうにお考えになったか。そこのところを承りたい。
  37. 川島広守

    川島(広)政府委員 まず、四百名の警官を配置いたしましたのは、先ほど藤尾委員の御質問にもお答えした経緯でございますが、事前情報によりまして加わりました二百十名程度学生は、まっすぐ「雲仙・南海号」で九州大学の十六日の決起大会に参加するために行くんだということ、あらかじめいろいろな角材その他の用法上の凶器となり得るようなものを準備をしておるということを現認もいたしておりますし、情報としても入手をいたしておった。これが事実関係でございます。  そこで、今回の場合でございますが、学生たちの考え方、目的と思われますのは、要するに佐世保にいろいろな物件をできるなら持っていきたい。しかしながら、これにつきましては途中警察官あるいは公安職員その他のいろいろないわば規制措置にあうであろう。そういうものを突破しなければならぬというようなことであったようでございますし、またその後の被疑者の供述でも出ておるようでございます。したがいまして、今回の共同加害の意思というものは、佐世保においても使うということを含めまして――途中の飯田橋ももちろん含むと思います。もちろん東京駅なりあるいはまた途中の公安職員の警告制止ということも当然予想しておったようでございます。したがいまして、そういうものについても共同加害の意識があったというふうに考えているわけでございます。
  38. 大出俊

    大出委員 これまたまだ調査の途中ですから、あとの問題もございますので、御指摘だけしておきますが、この「法曹時報」の昭和三十三年五月一日発行の当時の学説その他を含めて論議をされておる中に、国会の議事録の焦点もあります。附帯決議もこれに載っております。本来いわゆる一般の暴力団を対象にしたもの、さっき申し上げた小松島事件その他を背景にしたもの、これは間違いない。しかし、法律ができればひとり歩きをしますから、そういう意味で心配があるというのでいろいろな論議が出ているわけですね。  そこで、学者の意見としてここに載っておりますのは、一つ例があげられております。たとえば沼津に住んでいるやくざの親方を東京のあるやくざが殺してやろうというので凶器を準備した。その段階で一体凶器準備集合罪は成立するだろうか。しないというわけですね。なぜならば、未必の故意であるかあるいは確定的な故意であるかわかりませんが、その目的とした相手方に手が届かない状態、三十本日本刀があっても手が届かないという状態。たとえば今度はそれを輸送した、輸送したのだが、目的は向こうにあった、その場合に、じゃどこで成立するかといえば、沼津にその凶器が着き、人が着いたときである、つまり加害行為を加えられるそういった範囲に着いたときである、そう見るのが正しいという言い方ですね、意見としては。してみると、いまあなたは飯田橋の件でおっしゃったけれども、そこらは非常に公判という意味ではむずかしいところです。だからここで論議するのは不穏当でしょう。立法機関の国会のことですから、そういうふうにここから先は踏み込めませんが、一体学生の意思があるいは故意がつまり佐世保にあったのだとするならば、それだけだったとするならば、よしんばあそこに――凶器と称するものは何であるか、これは論議の分かれるところです。論議の分かれるところだと思うのですが、凶器と称するものがあったとしても、そこまで譲ってみても、はたして成立するかどうかということは非常に大きな疑問のあるところだといわざるを得ない。にもかかわらず踏み切って皆さんがお出しになったというところに問題がある。もちろん違った意見を持つ方もおありになりましょう。なりましょうが、これは焦点でしょう。ですから、この種のことは成立のときのいわく因縁も、立法の府における論議の中にも附帯決議の中にもある。その後とった幾つかの適用事項についても、成立の当時の法意というものが必ずしも適法に運用されていないのではないかという批判もある。しかも羽田事件等についても、適用の場合に検察側の反論もある。必ずしも全面的に賛成をしていなかった面もある。それは皆さんのほうは執行猶予をしたのだというかもわからぬけれども、一部適用して検挙した方に対しても、公務執行妨害だけについて起訴をしているという例もある。したがって、この種の点は相当慎重に扱っていただかないと、この意味における大きな世論の混乱を招く結果にもなりかねない、こう見ているのですが、このあたりひとつ慎重にお願いしたいのですが、いかがですか。
  39. 川井英良

    ○川井政府委員 この法律ができました動機といいますかきっかけは、いわゆる暴力団の出入りというようなものについて、これを事前に防ごうというような事態が動機になってこの法律が立案されたということは御指摘のとおりでございます。先ほどもお話がございましたように、この法律が国会で審議されましたときに、衆参両院におきまして、いわゆる大衆運動ないしは労働運動についての適用については十分に慎重にすべきだというような附帯決議がついておることも御指摘のとおりでございます。そういうふうな附帯決議がついておりますそのいきさつについて考えてみますと、私ども立案省としての法務省の答弁といたしましては、動機はそういうふうな動機で立案するものであるけれども、労働運動ないしは大衆運動といえども、この法律の要件に沿うような、共同加害の目的を持って凶器を準備するというふうな要件を満たすような場合においては、そのような運動であってもこの法律の適用を免れることはできないのだというふうな趣旨のことも、明確に国会において御答弁を申し上げておる次第でございます。  そこで問題は、新しいあまり運用されておりません法律で、またあとからできました法律でありますために、その共同加害の目的とはどの程度目的があればよろしいか、ないしは凶器といいますけれども、凶器というのは非常に広い概念でございますので、この法律にいうところの凶器とはどういうふうなものを凶器というかというようなこと、それから先ほども御指摘がございましたように、「兇器ヲ準備シ」と書いてございますけれども、その準備とはどういう意味か。非常に幾日も先のことであって何百キロも離れたことを予想しての準備というふうなものも、常識的には準備でございましょうけれども、法律用語でいうところの準備の中に、そういうふうな非常に隔たったところとまた時間的な隔たりというようなものが含まれてはたして準備といえるかどうかというようなことも、この法律の解釈上非常に問題になるところだ、こういうふうに存じております。  それから、具体的なケースにつきましては、私ある程度報告を受けておりますけれども、昨日東京地検におきまして事件を受理いたしまして、勾留請求をいたして取り調べを始めておる段階でございますので、具体的なケースについてこの法条が積極か消極かというようなことについては、今日のところはひとう御答弁を御容赦いただきたいと思います。
  40. 大出俊

    大出委員 立法の機関である国会ですから、ここから先踏み込むことは三権分立のたてまえ上よろしくないことで遠慮しているわけです。ただ、事後の問題がいろいろありますので慎重にということで、こういう意味のことを、こういう学説、こういう指摘もある、そこらはひとつ十分慎重に御配慮いただかなければいかぬということを指摘しておいたわけでございます。  そこでもう一つ、博多の件ですが、これは現地に九大の法学部長さんが行って見ておられた。この方の言っておることが載っております。この方は有名な刑法学者ですから、相当権威のある一級の方だと思うのです。そういう意味で承りたいと思うのですけれども、あそこで荷物検査、身体検査等をおやりになったのですけれども、これは警察官職務執行法の二条なんですか、五条なんですか、制止ですか、質問ですか。根拠はどこにあったのですか。
  41. 川島広守

    川島(広)政府委員 一月十六日の午前六時五十分ごろでございましたか、着いたわけでございますが、先ほどもこれでちょっと御答弁申し上げましたけれども、学生四百名の中に相当数のいわばダンボールでございますとか、あるいは大型のボストンバッグでございますとか、いろいろなものがございました。そこで、お尋ねにそのままお答えしますと、根拠は警職法の第二条で、質問でございます。
  42. 大出俊

    大出委員 質問だということになると、それは答えなくたっていいわけですね。そうですね。連れていかれることもないわけですね。これははっきりしてくださいよ。そうすると、いやだと言ったらふんづかまっちゃってあけられちゃって、中には、はだ着の下まで手を突っ込まれちゃったということになっているわけですね。だから、逮捕もしていないのに何事だといって法学部長さんがかんかんにおこっている。こういうことになった場合――井上正治さんという方は有名な方です。御存じのようにその方面の法律の権威です。現認して見ておった。ここに書いてある。予想もできない事態だというのですね。双方に行き過ぎがあるということも言えるんだろうけれども、この場合遠慮しなければならないのは、権力を持った警察隊のほうだ。逮捕もされていないではないか。これは質問――二条でやった。五条でやったということなら、制止ですから、そこに固いものが出ている、で、やってみた、結果的には凶器を持っていたということだったら、殺人予備だということだってあり得るわけですね。五条ならば制止の範囲だから。二条でおやりになったというんだったらこれは明確に、だめだと言ったらだめなんです。連れていかれない、逮捕していない限り。そうでしょう。にもかかわらずここまでやったとすると、この法学部長さんの現認されてものを言っておられるとおり、どうも世上一般の人の話を聞いてもそうだけれども、私自身もどうもこれは行き過ぎであるという感を免れないのですけれども、そこらのところを当の警備局長さんの立場ではどうお考えになりますか。
  43. 川島広守

    川島(広)政府委員 博多の駅の問題は、私ども先ほども申しましたように、根拠は二条でありまして、したがって、御指摘のように、中に何が入っておりますか、あけて見せてくれませんかというような問い方を全部やっております。中には見せてくださった方もございます。中には黙ってそしらぬ顔をして行ってしまった方も数人おったそうでございます。したがって、これは何もやっておりません。したがって、たしかその中に間違いがあるのじゃないかと思いますのは、私ども先ほどもちょっと申し上げましたが、現場で公安官になぐりかかった者とか、警察官に腕力を使った方もあるわけで、警察で四名逮捕したわけです。こういう人たちについては現場で一応身体捜検をやっております。  もう一点は、私ども先ほども申しましたが、事前情報によりまして、アンモニア、硫酸等を持ってくるという情報がありましたので、これはびんでございますので、ポケットに入りませんので、おそらくボストンバッグであろうという情報がありましたので、かなりしつこくあけて見せてくれませんかというようなことを言ったようでございます。ポケットの上からさわらせてもらいたいと言ってさわったこともございます。これは一般的な通説といたしまして、二条にいっております質問の中には、いま申しましたように上着の上からさわってみるという程度のものも含まれるというのが通説でございますけれども、その説のいかんにかかわらず、さようなことで博多の駅ではやった、こういうことであります。
  44. 大出俊

    大出委員 はだ着の下まで手を入れたということをやっているのですよ。冗談じゃない。これはたいへんな行き過ぎだと思っている。おまけにいま公務執行妨害に類するようなお話をされたけれども、断われる、引っぱっていけない、断わったら断われるのですから、それを強引に調べようとしたから警官を突き飛ばしたら、これは公務執行妨害だ。ところが、本人がいやだと言うのに警官が無理をしてやるので突き飛ばしたら公務執行妨害だ、その限りでは公務執行妨害も成り立つかっこうだけれども、法律の根拠が違法行為であった。本人がいやだと言うのにやった明確な違法行為です。である限りはその公務執行妨害は成り立たないのですよ。法律解釈上そうでしょう。うしろでいろいろひそひそ話をしているけれども、そうでしょう。だから私は、あなたはそう言うけれども、不特定多数のたくさんの人間を対象に質問ということじゃないのですよ。この法律の趣旨は個々の人を対象にしている。そうでしょう。無数を相手にしているのじゃないでしょう。そうすると、わっとあらわれてだれだかわからないのに、そこに学生でない者もいたかもしれぬ、片っ端からそれをやって、何するのだ、よせと言ったっていきなりあけちゃって、そこまでしなくたっていいじゃないかと言ったって引っぱっていかれて、それが新聞に出ておりますよ。それは新聞報道が間違いだとおっしゃるなら別だ、現認していませんが、だからそこらあたりがどうも私は少し慎重を欠いておると思いますが、そうはお思いになりませんか。
  45. 川島広守

    川島(広)政府委員 先ほどの私の説明がまずかったのであれですが、正確に申し上げますが、博多の駅に六時五十分ころに着きました学生が、駅の構内で渦巻きデモをやったわけです。そこで公安職員の手でどうにもならぬものですから警察官側に対して要請がありまして、それで出動したわけです。その渦巻きデモの制止のときに公務執行妨害が起こりましたので、いま言われたようにバッグのやり取りの問題で起こったのではありませんので、御理解願います。
  46. 大出俊

    大出委員 それではあなたの答弁がそう変わればあえて追及しませんけれども、そういう筋道のものだと思います。間違いないと思いますね、向こうのほうでもうなずいておられるから。だとすると九大の法学部長さんの言っておられるように、今後の問題がありますので慎重に御配慮いただきたい。  最後に、破防法の適用、破防法の適用としきりにおっしゃる、これについて公安調査庁の方もおいでになるように私は頼んでおいたのだけれども、これは破防法の適用と赤澤自治大臣がしきりに言っておられるけれども、無理なことをいえばリの項ぐらいがあるいはという気がする、持ち出そうとすれば、形式的に、ですよ。五条か何かで解散を命ずることができるかもしれない。やってできないことはないだろうけれども、そうだとすると少しこじつけの感じがする。リ項以外はおそらくもう該当する条文はない。何も学生が国家転覆をたくらんだわけじゃない。外国の軍隊と連絡をして入れようとしたのじゃない。そうだとするとどうもその辺しかない。こう思うわけですがね。何を一体根拠にそこまでおやりになろうとお考えになっているか、根拠をひとつお示し願いたい。また、おやりになるつもりかどうか。
  47. 吉河光貞

    ○吉河政府委員 簡単にお答えいたしますが、第一次羽田事件並びに第二次羽田事件につきましては、いわゆる三派全学連などの学生団体の行動として、角材、こん棒等のような凶器を携えて多衆共同して警備警察官に暴行を加えた。破防法四条一項二のリでございます。その条項に該当する暴力主義的な破壊活動をやった疑いが深い。これは私どももこの容疑を否定することはできないと考えております。自来公安調査庁といたしましては調査を進めておる次第でございます。最近、全般にわたりまして証拠の収集を大体終わりまして、目下集められたる数千点の証拠について検討整理の段階でございます。まだ最終の結論は出ておりません。御承知のとおり、破防法は、冒頭第三条に、この法律の調査並びに団体の規制は公共の安全確保に寄与する必要最小限度でやってもらいたいという基準がございますので、私どもは、この基準を検討いたしまして、最終の結論についてはあらゆる角度から事案の実態を検討いたしまして結論を出したいと考えておりますが、まだ結論を出すまでには至っておりません。
  48. 大出俊

    大出委員 私も承知だが、四条のリ項ではないかと申し上げたのですが、そうでしょう。最小限度という前段があります。したがって、この中でそれを前段について考えてみれば、リ項の後段の「凶器又は劇毒物を携え、」云々というところの条文だろうと思う。そうすると、これにひっかけて五条で解散という問題が出てくるかもしれない。いまあなたの考えておられるのはこういうケースですよ。私の予測どおりです。そこで、御存じのとおり、この法律は国会でいろいろ問題になったところです。それをこう簡単に破壊活動防止法などというものを持ち出されたんじゃ、一つ間違うとえらいことになる。私は法律の専門家じゃありませんが、世の中の法律専門家はみんなそう思うだろう。したがって、そこらのところは、そうでなくても予防検束だという学者の意見だってある。これは私はよほど慎重にお願いしなきゃならぬと思います。ただ、いま資料収集の段階であってまだきめてないということですから、これ以上追及はいたしませんが、これもひとつ検討願いたい。  ところで、結論は、この種のことで、とにかく、取材に行っている記者の方々が腕章をつけたりヘルメットをかぶったりしていろいろやっている。この方々まで生命の危険があるということになったら困るし、市民の皆さんに影響があっても困る。それからまた、このことがあとを引いてまたまた感情的になっていっても困る。警察のほうもそうでしょうが、若い方々ですからね。そこらのところをひとつお考えいただきたい。これは日本国民全体にとっての不幸なんです。そういう意味で、けが人を出さないというのが当初の皆さんの方針なんですから、これからのところはひとつできるだけ慎重にやっていただきたい。私どものほうも、学生さん諸君については、言うべきことは言い、整然と意思表示をするというわれわれの段階に来ていただくように努力しなければいけませんけれども、そういうことで、ひとつ警備に当たる方々のほうも慎重にやっていただきたい。文部省の皆さんのほうも、いわゆる官僚の言うような、こうこうこういうふうにという事務的処理でなしに、その根底にあるものをお考えいただいて事に当たっていただきたい、こういう気がいたします。以上です。
  49. 三池信

    三池委員長 伊藤君から関連質問があります。伊藤君。
  50. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 川島警備局長伺います。  私は先ほど来より話を聞いておりまして、いままでのことは当然である、少しも落ち度がないというふうに感じております。基本的には、デモに参加することはわれわれ国民の権利であります。先ほど、凶器準備集合罪を適用しているという話がございましたが、飯田橋におけるあの事件については、どうも必要以上にその取り締まりがきびしかったように思います。この凶器準備集合罪というのは三十三年の四月につくられたわけでありますけれども、これはあくまでも暴力団の事前検挙を目的とした法律であります。この精神からいっても、学生のほうにも問題のある学生もおりますが、しかし、学生であることには変わりないわけであります。そういう点から考えてみますと、やはり問題があるのではないか、また、検察の中にも、学生運動に適用することはおかしい、すべきではないという批判もあると聞いておりますが、それをあえて適用したということについて行き過ぎがあったのではないかというふうに思いますので、その点の見解を伺いたいと思います。
  51. 川島広守

    川島(広)政府委員 ただいまのお話の中で、きのうの警備は全然問題がなかったというようにお受け取りのようでありますが、これは先ほど藤尾先生大出先生の御質問お答えしたとおりでございまして、昨日の警備全般につきまして反省し、本日も間もなく駅に学生が着きますが、そのことについて慎重にやれということはすでに示達してございます。  それから飯田橋の問題につきましても、先ほど法務省の刑事局長から御答弁がございましたように、すでに事件は勾留段階でございますので、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  52. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 もう一つは十六日の博多駅でのことでありますが、「雲仙・西海」の到着と同時に、機動隊員がおどり込むようにして、一般の乗客の中に入って身体検査をした、一般乗客の中にも非常に不愉快な思いをした、また、間違えて取り調べられた、こういうことは非常に不愉快であった、エンタープライズが帰るまではこんなふうにされるのかしらという声もあったそうであります。これらのことを考えてみますと、これができた当時は岸総理であったわけでありますけれども、この凶器準備集合罪等をもって正当な労働運動または暴力団以外の運動を抑圧することはないというように言明しておったわけであります。そういう点からも今後行き過ぎのないようにしっかりと警備に当たってもらいたいと思います。以上であります。
  53. 三池信

    三池委員長 関連質問として浜田委員
  54. 浜田光人

    浜田委員 局長に要望しておきますが、さっき  のあなたの説明によりましても、病院のことにも触れておられましたが、いつの場合でもそうですか、第三者に危害を及ぼすような警備のしかたは下の下です。したがって、昨晩からのテレビを見ておりましても、通院患者の人たちが病院の中で待っているときに、催涙弾でみんな涙を流して、子供なんか泣いていました。病院等においてはあまりたいした催涙弾の影響がないようなあなたの御答弁でございましたが、入院患者はもっともっと密閉された部屋にいるのでしょうけれども、あれを一つ見ても、待っている患者の方たちや、子供を連れた御婦人方は催涙弾で涙をこぼしながらみんな泣いている。こういうことは、院長さんに、入院患者の意見を聞いて、たいした影響がないのだというような考え方ではなくて、たとえば、佐世保の現地では、あの橋の狭いところで取り締まったら戦術的に一番取り締まりやすいという判断をされるだろうけれども、すぐかどには病院があるから、どうしてもやらなければいかぬとすれば、それをもう少し越した先でやることが、一般市民なり第三者に影響なしにやれると思うが、なぜそういう点はやれなかったのか。時間がないので質問しないから、将来それらもよく配慮してやっていただきたい。  次に藤尾さんの関連ですが、確かにいま国民考えているのは、本国から、修理も完了して乗り組み員も来る……(「やめろ、やめろ」「関連というからやってもらったんだ」と呼ぶ者あり)最初に質問したのについての関連だが、警備局長は時間がないというから、ちゃんと要望だけで終わっている。(「質問の時間がなくなる」と呼ぶ者あり)藤尾さん終わったと思ったので……。それなら、これだけで終わっておきます。
  55. 藤尾正行

    藤尾委員 ただいま時間がほんとうに切迫している中で、各党の方々にもそれぞれ御質問していただきたい、かように思いまして、関連の質問を了承いたしたわけでございますけれども、要は、私どもはもちろんのこと、社会党におかれても、公明党におかれても、民社党におかれても、共産党に至るまで、この問題を起こしておる三派全学連というようなものの暴挙、こういったものに賛同しているものは国民としてないはずであります。ただ、そういったことの波及を市民が受けたり、あるいは報道する人たちが受けたりというようなことがあったので、そういう点がないように十二分に配慮してほしいということなのであります。きょうまたこれから何が起こるかわかりません。私は、国民皆さま方が、とにかくこの三派全学連の暴走というようなものには、だれ一人として賛同しておるものはない、かく信じますので、ひとつそういう意味合いにおいて間違いのないように、慎重なのはけっこうでありますけれども、被害がほかに及ばないように配慮しておられても、片一方のほうがもうやり出せば、これは切りがないのですから、できるだけそういうことの広まらないように、十二分の御警備をお願いをしたいということで、お帰りを願いたいと思います。  そこで、せっかく大臣にもおいでいただいて長い間お待たせを申し上げて、ほんとうに申しわけありません。そこでまたもとの問題に返りまして、一応事実の問題に返らしていただきたいと思うのでありますけれども、この問題は、いろいろ起こりましたので、またもとへ返って同じようなことを言うようでございますが、ひとつ簡単に、できるだけ質問を短くいたしまして、できるだけ国民にわかっていただけるような対話の御説明がいただきたいと思いますが、まず第一に、このベトナム海域へ行く、そういったエンタープライズなど三隻の船が佐世保に入ってくることが大体おもしろくない、日本の国自体がベトナム戦争に何か加担をしているような感じを受けるではないかというような国民の感情があるわけであります。そこでお聞きをいたしたいのでありまするけれども、これは法律問題にも関連をいたしまするが、このベトナム戦争に対しまするわが国立場、この点をまず国民にお話しかけをいただきたい。
  56. 東郷文彦

    東郷政府委員 ベトナム戦争に関しましては、いろいろ見方もございましょうが、われわれは、南ベトナムが外部からの干渉あるいは侵入によって自分の独立を傷つけられるのを防ぐために米国に援助を求めておる、それにしたがって米国は、ベトナムの外部からの力による侵略を排除して、独立を守るためにこれを援助しておる、基本的にはそういうことであると考えております。わが国は、そのアメリカとは安保条約関係ベトナム戦争以前からそういう関係を持っておるわけであります。このベトナムは、いわゆる極東の周辺に位するわけであります。その平和と安定を維持するということはわが国にとっても基本的な利益である、こういう立場ベトナム戦争を見ておるわけでございます。
  57. 藤尾正行

    藤尾委員 これは前々から問題になっておるわけでありまするけれども、安保条約にも関連をいたしまするが、極東の範囲という問題があります。そこで、いろいろいままで説がありまして、いろいろのことが言われておるわけでありますけれども、ベトナムにおけるいまの事態といいますものが極東全般に対しまして非常な大きな影響を及ぼすのだ、こういう認識がまずあって、そういう認識のもとに、安全保障条約によってわが国アメリカとの間のいろいろな義務あるいはその他のいろいろな事項が出てくる、かように思うのでありまするが、大体そのとおりでございますか。これは条約局長どうですか、安保条約第六条。
  58. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 お話しのとおりだと思います。別につけ加えることはございません。
  59. 藤尾正行

    藤尾委員 ベトナムのいまの事態といいますものが、極東の安全に非常に大きな影響を持ってくるということで、そのベトナム事態といいますものに関連をいたしておりまするアメリカ艦隊あるいは航空機というようなものがわが国の区域、施設というようなものを使いたいと言ってこられましたときに、われわれはこれを拒み得るかいなかということはどうですか。
  60. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 これは御案内のとおり、安保条約の第六条をもとといたしまして、地位協定によりまして、地位協定第五条になりますか、これは日本としては地位協定上これを受け入れるということになっております。
  61. 藤尾正行

    藤尾委員 どうもお答えをもう少しはっきり言っていただきませんと、私ども耳が悪いせいか、よくわかりません。  ともかく、私の考えでは、そういう環境の中にあるので、たとえば、いろいろございますけれども、いまエンタープライズの場合を考えてみますと、エンタープライズはいつ入ってくるんだ、入らしてもらいたいということをアメリカがわれわれのほうに通告してきておるという事実があります。それは安保条約第六条による事前協議として言ってきておるのかどうかという点が非常に問題になる一点だと思うのです。たとえば、今度の寄港事前協議の対象になるかどうかということは、岸総理とハーター国務長官の間でかわされた交換公文の中に、「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同」――これはアメリカですね。「軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動」の場合というものが第六条による事前協議の内容である、こういうことになっておるわけですね。その場合に、このエンタープライズの入港というものは、日本を基地にしておる、日本国に配置された合衆国軍隊の配置における重要な変更ではありませんですね。また、問題になっておる点は、それでは第二番目のアメリカの軍隊の装備における重要な変更であるかいなか。これはおそらく、今後問題になっていくエンタープライズが核装備を持っているかいなかということにかかってくることだろうと思います。これは現に、いままでとにかくベトナム戦争におきまして核兵器といいまするものが使われたためしは私はないと思うのですが、その点はどうですか、ありますか。
  62. 島田豊

    島田(豊)政府委員 そのような事実は全く承知いたしておりません。
  63. 藤尾正行

    藤尾委員 そういうことで、現実にいままでの戦闘では、少なくともありとあらゆる戦闘行為の中において使われておるものは通常兵器である。核兵器といいますものは一切使われていない。そうすると、とにかくいままでも航空母艦の集団がずっとベトナム海域に作戦行動をしておったということも事実でありますし、原子力駆逐艦というようなものも、フリゲートというようなものも行っておったことも事実。また、あるいは駆逐艦あるいはフリゲート等が艦砲射撃したことも事実。また、航空母艦から発進をいたしましたF4のファントムとかあるいはA4Cスカイホークとか、A6Aイントルーダーとかいうような飛行機がそれぞれの核装備も持っておるわけですね。やったらやれないことはない、両様のものをこれは持っておる。しかしそれぞれの兵器において核弾頭というものを便ったことはないのですから、使わないというのがいまのベトナム戦争における通常の考え方である、こういう国民の一般認識というものが私は通ると思うのですね。その点はいかがですか。
  64. 増田甲子七

    増田国務大臣 この際、藤尾委員の御質問に関連いたしまして、お答えを兼ねて国民の前に明らかにいたしたいと思います。  すなわち、今度参りますエンタープライズ原子力推進航空母艦である。それから随伴する護衛艦も、一つ原子力推進の護衛艦である。まあ駆逐艦といっておりまするが、そのことをぜひとも国民の前に明らかにいたしたいと思います。それから、核兵器は使おうと思えば使えないことはないのでございまするが、というのは、藤尾さんの御指摘のとおり、艦載飛行機であるファントム、それからスカイホーク並びにイントルーダーは、核兵器を搭載して飛行いたしまして、艦上から発進して核兵器を落下させるという能力はあることはあると思います。あることはありますけれども、いかなる場合でも、いままでのところ、このエンタープライズの艦載機であるファントムにいたしましても、スカイホークにいたしましても、イソトルーダーにいたしましても、核兵器が搭載可能であるけれども核兵器を搭載したことはない模様でございまするし、ことに今度は核兵器は搭載してまいらないのでございます。そこで、国民皆さまにも学生皆さまにも特に明らかにいたしたいのは、今度の寄港いたしますエンタープライズ原子力推進の船である。そういう船は日本でもつくっておるのである。このことをぜひとも全国皆さまに明らかにいたしたいと思います。すでに両三年前から原子力船日本でつくっておるのでございまして、もし原子力推進一つまり蒸気力推進とか、重油力推進とかいうものと同じく、エネルギーは結局船のスクリューを回すだけでございまして、スクリューを回すための、船が運航するときに運動するための原子力でございまして、日本でもすでに数年前から国会の協賛を経てつくっておる。このつくっておるものに対して反対ということはあまり聞いておりません。日本が世界の文明におくれるのを望むという者はないと思いまするから、また原子力の発電というものも、基本法によって茨城県の東海村において現に発電をいたしております。そういうものに対するものと核兵器と、学生諸君は真理の探求に従事していらっしゃる諸君でございますから間違いはないと思いますけれども、どうもそこのところがわかっていないのですよ。核兵器を搭載する可能性はあるけれども、核兵器をいまだかつて搭載したることはわれわれの記憶によればございませんし、ことに今回はないのでございます。そこで、原子力を蒸気力とか石炭とかあるいは重油と同様に便って船を運航さしておるのにすぎないのであるということを、全国民皆さまにこの際明瞭にいたしたい。それで、原子力といえばすぐ核兵器と思いがちですが、原子力核兵器とは天地霄壌の差異があるのでございまして、日本原子力船舶を現にどんどん建造中である。この原子力船舶をつくってはいかぬという運動は、私はまだ聞いたことはないのです。うんとつくれという運動は聞いておりまするし、原子力発電所もうんとやれという話は聞いておりますが、日本だけは、世界の進歩におくれて、原子力発電はやっちゃいかぬという声は聞いたこともないのでございます。そこで原子力推進の、原子力でプロペラを回す船にすぎないということをぜひ国民皆さまに、くどいようでございまするが、ことに明瞭にこの機会において力を入れていたしたい。藤尾委員の御質問お答えかたがた、はっきり申し上げる次第でございます。
  65. 藤尾正行

    藤尾委員 ただいまの大臣の御答弁で、私は一応明確になっておると思うのです。ということは、原子力核兵器を搭載し得るということと、現に核兵器を搭載しているということの間には天地霄壌の差異がある。あるいはエンタープライズも、これはそんなことはありますまいけれども、もしかりに米ソ戦でも起こったならば、それは私はありとあらゆる核装備をするであろうと思いますけれども、いまのベトナムに対して、ベトナム海域で作戦をするという時期に、いままでかつて使ったことのない核兵器といいまするものを、それでなくても爆弾をよけい積みたいところを、核弾頭を、そのほかによけいなものを積む。あるいはまかり間違ったら間違いが起こるかもしれないといったようなものを積んでおるとは思いませんし、またそれだけの自信があり、またそれだけの準備をやっておればこそ、日本にも事前通告をしてきて、核装備はしておりません、重要な装備の変更ではないんだということをわざわざ言ってきておるんだと思いまするが、そのように解釈してよろしゅうございますか。
  66. 東郷文彦

    東郷政府委員 お話しのとおりでございます。安保条約第六条の事前協議の装備における重要なる変更という問題は、もし向こうが積んで入ってくる場合には、向こうから事前協議をこっちにしてくる、こういう日米間の了解でございます。特に今回の原子力水上艦艇日本寄港に関する往復文書におきましても、その点に関しては、事前協議に関する事項については日本政府の意向に反して行動しないとはっきり約束しておるわけでございます。
  67. 吉田之久

    吉田(之)委員 関連。せっかくの藤尾委員の御質問中でございますが、少しただいまの長官の答弁に関連質問をいたしたいと思います。  われわれは核弾頭を使用し得る航空母艦に搭載されている艦上機、これが今度のエンタープライズの問題の一番の焦点でございますけれども、いままでベトナム戦争においてこれが一度も使われていない。核弾頭は一度も使われていない。核兵器は使われていない。いままで一回も使われていなかったから、今後絶対に使われないという保証は一体成り立つことでございましょうか、これは双方の側において。長官はどのように……。
  68. 増田甲子七

    増田国務大臣 もう広島、長崎以後、全世界において核兵器が使われるということは私は絶対ごめんでございまして、これは皆さまと全然同様でございます。全一億民衆の悲願である、こう考えております。まず、そういう前提からお話を申し上げます。  いままで使われないから将来使われないであろう、そういうことを考えておるわけではございませんのでして、いままでは使われておりませんし、それから今回積み込みのイントルーダーあるいはスカイホークあるいはファントム等は、核弾頭を搭載して航空母艦から発進し得るということは申し上げております。それから原子力推進航空母艦。そのことは、原子力推進航空母艦であろうと重油力推進航空母艦であろうと、これは同じなんでございます。推進力は大体において重油力のほうが多いのでございまして、一般航空母艦にもスカイホークもイントルーダーもファントムも積み得るわけでございます。でございまするから、私が言わんとするのは、核兵器ということと原子力推進の船ということとはまるきり違うのである。このことは案外わかっていらっしゃらぬのじゃないか。(発言する者あり)皆さんわかっていらっしゃいますよ。皆さんわかっていらっしゃいますが、この機会において全国民皆さまにお知らせするために私は申したのでございます。ですから――政府の発言は許されますから、どうぞお許しを願いたいと思います。そこで、普通の航空母艦でも、藤尾委員のおっしゃるようなファントム、スカイホーク、イントルーダー等は積み得るわけでございまして、発進もできるわけでございます。それから核兵器を積まんと欲すれば積み得る。ただ、エンタープライズの違う点は、航続力が四十万マイルもあって、もっとも薪炭とか休養等は必要でございまするが、ただ動かせば地球を二十周動かし得るということがここに書いてあります。書いてある点を私は申すだけであります。あまり向こうから権威ある回答は聞いておりませんが……。それが重油とか石炭とかいうことになると、とてもじゃないけれども地球一周はできない。一方は地球を二十周できる。そういう点が威力があるだけでございまして、甲板も少し長いのでございまするが、要するに核兵器は積んでいないということを、私どもは向こうさまに打ち合わせをいたしまして明確なる回答を得ておりまするから、寄港承認したわけでございます。
  69. 吉田之久

    吉田(之)委員 長官、われわれは推進力としての原子力を使用しているという問題などはいささかも問題にいたしておりません。原子力発電所をつくろう、原子力商船をつくろうと、そうしている日本が、原子力推進力とする航空母艦であるからということだけで、この問題を忌避しているというような時代錯誤はほとんどの国民は持っておりませんので、どうか長官、そういう点までは御心配いただかなくともけっこうでございます。ただ私が申し上げたいのは、先ほど長官が、今度のエンタープライズには断じて核弾頭は搭載してまいっておりません、スカイホークやイントルーダーなどは、十分にその能力を持っておりますけれども、しかし今回に限ってはそれを搭載してはおりません、ことに今回は搭載いたしておりませんと、いま明言されたわけでございますけれども、その根拠は一体どこにあるか。おそらく口上書だろうと思いますけれども、今日の戦争状態において、一国の艦艇が明らかに、ただいまこの航空母艦の搭載機は核弾頭を搭載いたしておりますというふうなことを言明しながら寄港するものでございましょうか、戦術上の問題として。ひとつ御質問いたしたい。
  70. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さんの御質問は私でございますから、一応お答えいたしますが、日本政府の意に反した寄港のいたし方はいたさないという回答があるわけでございます。詳細なる点はアメリカ局長からお答え申し上げます。
  71. 東郷文彦

    東郷政府委員 先ほど申し上げましたように、安保条約第六条に関します事前協議の条項におきまして、装備における重要な変更、すなわち核弾頭を持ち込むような場合には、アメリカのほうからあらかじめ日本に相談する、それで日本が賛成しなければ持ち込まない、こういうはっきりした約束をしておるわけでございます。その点に関しまして、十一月の寄港に関する交換文書におきまして、事前協議に関する問題に関しては、日本政府の意に反しては何もやらぬ、こういうことをはっきり申しておるわけでございます。われわれはそういう両国政府間の誠意ある約束を根拠にしておりますし、また現実の問題としては、先ほどから防衛庁長官もお話しのあるとおり、むろん、核弾頭をどこに配置するかということは米国のほうでも公表してはおりませんが、エンタープライズその他米国航空母艦等が日本に来る場合に核兵器は積んでいない。われわれは以上のような事情から判断しております。
  72. 浜田光人

    浜田委員 関連。大臣並びにさっきの自衛隊関係の方に関連して質問いたしますが、確かに今回の問題は、国民として何となく割り切れない、納得のいかないのは、本国で整備してハワイで休養して、そしてすぐ佐世保に入る。しかも冒頭、答弁のありましたように、これがベトナム水域に行くであろうということは答弁されておる。そうすると、国民としてはどうしても納得がいかぬのですよ。なぜかなら、通常、艦隊というものは母港を出るときに、すべて整備をし、補給すべきものは補給して出るのですね。しかも、アメリカ領土のハワイを最終的に出港したんですよ。それは六カ月も航海あるいは戦闘水域等におって、これでも問題はありますが、かりにそうなら、アメリカむちゃするなくらいでいいかもわからない。しかし、私も艦隊生活を何年かやってみたが、当然、そういう段階をずっと踏んで出て、しかも、よその国が、同じ自分の国ならいいけれども、そうでない、しかも、そういう情勢の中で、これだけ国論が盛り上がっておるときに、大臣日本の意思に反しては寄港しない、そこまでよく核弾頭や核兵器について了解を得ておるなら、そういう筋の通らない、常識で考えてもおかしい、なぜ佐世保に入るんだろうか、そうすると佐世保では特別な要務を満たすのじゃなかろうか、これは常識的にだれでも考えることなんです。だから、これだけ国民が騒いでおる問題を、政府はどうしてアメリカに理解させないのか。そうすることがこういう事態を収拾する最善の策だと私は思うのですよ。日米の国際関係というものはむしろそれが前進の方向ですよ。しかも、いま私が常識的に言ってもそうなっておる、ならざるを得ない。だから危惧するのです。こういう点について大臣はどうお考えになっておりますか。素朴な国民の感情です。
  73. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、政治家という立場で国論いことを云々する資格があると思うのです。そこで国論のことを云々いたしますが、浜田さんとは多少見解を異にするのでございまして、表面的に国論がわいていると申しましても、大多数の常識ある国民は、日米友好関係にかんがみて、航空母艦日本に寄航し、そうして乗員が休養をし、あるいは兵たんの補給をするというくらいは当然である、しかるべきことであると考えておると私は思っておりますが、そのことを勘違いをして暴力行為等に出ては困るということを、与党のみならず野党の諸君も皆さん声明をしていらっしゃるわけでございまするから、皆さまが、やはり国権の最高機関の構成員というものは国論の最高指導者だと思うのです。そこで皆さまのほうで、日本の間違った国論はやっぱり正しくリードしてくださるというのが、国権の最高機関のお互いの職責ではないかと私は考えます。
  74. 浜田光人

    浜田委員 ちょっと答弁になっておらぬのですがね。大臣、あなたは間違った世論と言われるが、社会党も公明党も民社党も共産党も、これは新聞にも出ておりましたが、選挙をして二千二百万か、あなたたち自民党が取った選挙の票と違わないのですよ。その四党がみんな反対しているのですよ。そうしますと、国民は、ほんとうに過半数に近い人がやはりそれを支持しておる。また一般的に、いろいろ新聞やテレビを見ましても、学生、やっておる自身のことよりか、確かに、この時期にこういうものがなぜ入るのだろうかという素朴な疑問をたくさんの人が持っておるということは、しょっちゅう出ております。だからそういう意味で、いま大臣が、間違った世論なんだ、これはもうそういう考え方を持たれると、ほんとうに日本の世論をバックにした政治はできなくなるということを私は心配する。  それと、私質問したのは、アメリカで整備して、最後にハワイで保養して、そしてまっすぐに行けば、これは航程からいっても、佐世保へ寄らなくても、これは近いのですよ。常識的にただいま申し上げたような状態、日本政府アメリカに、この時期に、むしろそういうものがなくても私は寄らすべきじゃないと思うのだけれども、そういうように条件がそろっておるのだから、しかもさっき申されたように、意思に反して、こう言われるのだから、勇敢にこの時期こそ政府は下げさすべき交渉をどうしてできないのかと思うのですがね。そうして、いま言ったように私は常識的に質問をしているのですが、それに対して、長官は、防衛大臣ですが、どう思われますか。補給が終わって何しに入るのだ、これは素朴な国民の疑問です。その点について、実際艦隊やら隊員を扱っている人でもいいです。
  75. 増田甲子七

    増田国務大臣 各省の政府委員からたびたびお答えいたしておりますとおり、原子力推進航空母艦が入るということは、日本佐世保にはアメリカの基地もあるわけですが、そこで休養をとったり兵たん補給をしたりということ以外にはないと思います。しかし、兼ねて、新聞記者諸君等にも、世界を二十周もできるというような、これは推進力だけの関係ですが、休養やその他は必要じゃございません、そういうような船を見せようというわけで、きょうあたり艦載機に乗りまして船の上に着くらしいのです。それから国防のことに関心を持っております国会議員にも乗ってもらって、きょうかあすあたり乗るというようなことは、やっぱりこれは見学としても有益ではないかと考えておりますし、またPRのことに携わっていらっしゃる言論機関の方々に乗ってもらうというようなことも非常に有益である。第一に非常にわからないのは――あなた方最高指導者はわかっていらしゃいますけれども、私のうちで家族に話をしてみますと、何しろ原子力推進ということと核兵器ということがよくわからないのですよ。私はわからせないように指導される方はまさかないと思いますが、私のうちなんかでもわかっていないですよ。でございますから、こういう機会を利用して大いに話しをするということが、これが対話ではないか、やはり私の対話も許していただきたいと思います。
  76. 藤尾正行

    藤尾委員 結局安保条約事前協議の問題に通ずる第二項の装備の変更というような点では、いまの対話におきまして心配がないというようなことがはっきり言えるのではないかと思います。  そこで、ここでひとつ政府を代表して長官にお約束をしていただきたいのですが、われわれは核兵器といいますものに非常に嫌悪を持っております。また、総理もたびたび、絶対に核兵器というものは導入をしないのだということを言っておられる。私どもも、また私どもの技術をもってすれば核爆発実験ぐらいなものはあるいは数年間のうちぐらいにはできるかもしれないけれども、それは絶対やらないのだ。そこでわれわれはいかなる事態になっても、エンタープライズのような原子力推進の船の寄港ということははばまないけれども、これがポラリス潜水艦ということになってまいると、おのずから話が違ってくると思う。あるいはそんなことはないと思いますけれども、ICBM、IRBMを持ってくるなんということになってくると、これは話が違ってくる。そういうことは絶対に政府としてはさせないのだ、あるいはわれわれは海外には一切派兵はしないのだ、ベトナム戦争なんかには関係しませんよというような点ですね。こういったわれわれのできることの限界、できないこと、こういうことを明確にこの際国民政府を代表して大臣から言っていただくということが非常に有意義なことだと思います。ぜひお願いいたします。
  77. 増田甲子七

    増田国務大臣 それでは閣僚という立場から、政府を代表した発言として申し上げます。  まず、皆さま御存じの行政府の核三原則でございます。すなわち核を製造せず、保有せず、持ち込まず、この原則はあくまで貫く所存でございます。それからポラリスは核を装着いたしております。ICBMも核を装着いたしております。これらは持ち込まないというかたい決意を持っているということを申し上げる次第でございます。  以上のことはいつも申し上げていることでございますけれども、この機会において、藤尾さんの御質問がございましたから、国民の前に明瞭に重ねていたすという意味におきまして申し上げた次第でございます。
  78. 藤尾正行

    藤尾委員 そういたしますと、最後に残りましたのは、結局事前協議の条項にもし触れるとすれば、日本国から行なわれる戦闘作戦行動にこのエンタープライズの入港というものがなってくるかいなかということであります。この点は北米局長はどのように考え、あるいは条約局長はどのように考えておられますか。
  79. 東郷文彦

    東郷政府委員 安保条約の六条、事前協議に申します戦闘作戦行動というものは、日本の基地を発進地として直接作戦行動をやる場合を言っているわけでございます。航空母艦の場合には、原子力空母であろうと一般の空母でありましょうとも、わが国の港を航空母艦が出まして、それからある水域に行って、そこであるいは艦載機を発進ぜしめるなり、あるいはミサイルを飛ばすなりという形でありますので、そこで安保条約事前協議に申します戦闘作戦行動というのは、その水域においてからの問題でございます。従来とも航空母艦わが国の港を出るというのは、戦闘作戦行動ではないという解釈をとっております。
  80. 藤尾正行

    藤尾委員 条約局長、それでいいですね。
  81. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 北米局長の言われたとおりでございます。
  82. 藤尾正行

    藤尾委員 ということになりますと、結局エンタープライズトラクストンあるいはハルゼーというものを伴ってあした佐世保に入ってくるということも、その一つ一つをずっと考えてみますと、日米安保条約にいう事前協議の対象にはならないことである、こういうことになりますね。それがわざわざ二十四時間前に、あなたのところに行きますよといって通告をしてくるということは、第六条でないということになると、これはそのもとは一体何ですか。
  83. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 これは安保条約の第四条に書いてあります随時協議の一種だと私は解釈しております。
  84. 藤尾正行

    藤尾委員 安保条約の第四条の随時協議といいますものは、これは非常に広範囲だと思いますね。これは条約の実施に関する事項あるいは日本の安全に対する脅威が生じたとき、あるいは極東における国際の平和と安全に対する脅威が生じたときというようなことですね。そうすると、その中でおそらくあなたの言っておられるのは、条約の実施に関する事項ということの中に入ると思われますが、そのとおりですか。
  85. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 この随時協議に関しましてはいろいろの種類があると思います。情報を交換するような場合もございますし、それから今度の場合のように、何と申しますか、事前協議条項にかからないようなものでも、お互いにその両国間の共通の問題でございますし、日本国民のほうでもいろいろ心配しておられるからという意味で協議をするという事態考えられるわけでございます。したがって、これが今度行なわれる協議――協議というものであるかどうか、今度の場合は通告というような形になっていると思いますが、もし協議が行なわれたとすれば、その事前協議ではなくて、随時協議の一部である、一種であると考えていいと思います。
  86. 藤尾正行

    藤尾委員 随時協議の一部であるという御返答でありますので、那辺にそれをとらえていいか、きわめてばくとしてわからないのでありますけれども、これをもっと砕いて言えば、今度の場合は通告なんですから、協議したことでもないのですね。むしろ協議に近い通告というようなものなので、いま局長が言われたように、非常に親切に、日本の国内で、ベトナム問題に関することあるいは核兵器に関すること、あるいは原子力推進の船に関する危険、そういったことに関連して非常に日本国民が心配する向きが多いから、突如として入って、そうして突如として出ていったということで、あとでまた大問題になってもいけない、この際はとにかくこういうものが入ります、その装備はこうでございます。いつ入ります、その危険に対してはこういう保障をいたします、心配はございませんというような意味合いで言ってこられたたぐいの協議であり、通告であると私は思いますけれども、そのように解釈してよろしゅうございますか。
  87. 東郷文彦

    東郷政府委員 そのとおりでございます。  なお、条約局長お答えを補足さしていただきますが、この原子力空母日本寄港という問題は、先ほど来のお話のように、安保条約六条の事前協議の問題ではございません。日本のほうでいろいろ原子力というものについて問題もあるということで、九月に、実は寄港させたいがどうかという申し入れがあったわけでございます。言ってみればいわゆる四条による協議というのは、その辺から始まったと考えてよいかと思います。そこで協議の主たる内容は、むろん安全性の問題等も含まれておったわけでございます。その結果としまして、十一月にわがほうから寄港差しつかえなしという返事をしたわけでございますが、それに至るまでの間、アメリカのほうからいろいろ原子力軍艦を外国の港に寄港させる場合の手続などの話もございました。その中の一つとして、少なくとも二十四時間以前に通告するというようなこともその話の中にあったわけでございます。そういうことに基づきまして、本日朝通告があったわけでございます。
  88. 藤尾正行

    藤尾委員 そうすると、手続といたしましては、いままで何回か入ってまいりました原子力潜水艦、これに対しまする手続と同様な意味合いにおいて、この原子力空母の、水上艦であるエンタープライズについても同じ手続で言ってきた、このように解釈してよろしゅうございますね。
  89. 東郷文彦

    東郷政府委員 そのとおりでございます。
  90. 藤尾正行

    藤尾委員 まあそこでその問題は、一応かっこうがついたと思うのでありますけれども、事前協議の問題では実はないのだ、ないのだけれども、ともかく日本にいろいろ心配をする向きもあるしするので、いままでの原子力潜水艦がそれぞれ日本の施設に入ってきたときにとった手続と同様な手続によって、日本国民にあらかじめ通告をしてきた、こういうことですね。  そこでいよいよエンタープライズに入りますけれども、このエンタープライズは一九六〇年にできておるわけですね。それから第七艦隊に配属されるまでにおきまして、これはキューバの危機のときにも出ておりますし、またそのあとは、第六艦隊に編入をせられて、ヨーロッパでいろいろな港に寄港しておるが、大体どのようなところに寄港をして、そしてどのような危険があったかというようなことはおわかりでございますか。
  91. 東郷文彦

    東郷政府委員 従来エンータープライズは、アメリカの港では、ニューヨーク、ボストン、サンフランシスコ、それから外国といたしましては、ブラジルのリオデジャネイロ、イタリアのジェノバ、ナポリ、それからカンヌ、ベイルート、イスタンブール、カラチ、マニラ、香港、シドニー等を訪れたと称しておりますが、その間何ら事故があったということは記憶にございません。
  92. 藤尾正行

    藤尾委員 そうしますと、少なくともそれだから絶対にどうだということは言えないわけでありますけれども、いままでの新聞報道の中には、装備しておる核兵器というような問題の可能性、あるいはベトナムに行くということについての非常な批判と申しますか、おそれといいますか、そういったアングルからこの問題を取り上げたものも多いわけでありますけれども、同時に、いままでの原子力潜水艦というものと違って、原子力推進機を少なくとも四つ持っているじゃないか、あるいは原子炉を八つ持っているじゃないか、だからいままで一隻、一隻入ってきたのとは、ちょっとわけが違って、危険度だってそれ相当に多いんだというような、国民の一部の方の御懸念もあると思うのであります。  ここでひとつ科学技術庁にお伺いをしたいのですが、大体加圧水型の原子炉というものを八基、出力は三十万馬力という蒸気タービン四基という装備のものが入ってくる。これは陸上において考えますと、大体発電原子炉、こういうものをいま方々でつくりかけておる。関西電力が敦賀につくりかけておったり、あるいは東京電力が福島につくりかけておったり、いろいろ今後計画があって、どんどんどんどんできていくだろうと思いますけれども、そういった陸上のいわゆる発電原子炉というものと比べまして、大きさなり危険度なりといいますものは、一体どのようなことになりますか。
  93. 藤波恒雄

    藤波政府委員 この原子力軍艦に搭載されております原子炉は、いま先生お話しのとおり、その型式は加圧水型というものであると考えられております。その加圧水型という原子炉は、技術的に申しますと、現在世界的に最も技術の確立された、安定した原子炉のタイプのうちの一つでございます。もう一つ沸騰水型というものもございますが、アメリカ等で二千万キロワットくらいのものを建設ないしは運転中のもののうち、ほぼ半数はその型式のものが使われておるわけでございます。なお、日本におきまして現在建造中の原子力船第一船につきましても、そのタイプのものを採用することになって進められております。  御質問の、では陸上の原子力発電所では、わが国ではどうかという点でございますが、お話しのとおり、各所に現在建設中でございますが、関西電力の美浜地点におきまして現在鋭意建設が進んでおりますものは、この加圧水型でございまして、その規模は、約三十四万キロワットのものが進められておるわけでございます。それからさらにその横にもう一基、五十万キロワット級のものを建設準備中であるという、こういうことになっておるわけであります。これは一つのユニットの規模がそうでございまして、このエンタープライズは、聞くところによりますと、その三十万馬力という軸馬力は、数基の合計の出力でそのような数字になっておるように了解しておりますので、一基の容量といたしましては、現在日本でつくられております原子力発電所の数分の一程度のものではないかと了解しておる次第でございます。
  94. 藤尾正行

    藤尾委員 それで推力におきます原子炉の問題につきましての概観はできたわけでありますけれども、ここで問題になりますのは、新聞等によりましても、そういう問題が取り上げられておるのでありますけれども、原子炉の安全性について、これは軍艦ではないか、艦艇というものは当然戦闘というものを目標にしておるのだ。だから安全性ということと戦闘能力というものとのバランスをかけてみた場合に、当然戦闘能力というもののほうを優先して建造されるのが普通である。だからそういう点において、陸上における原子炉の危険と、この空母エンタープライズにおける原子炉の危険というものでは、やはりある意味において安全性がそれだけ犠牲にされた形で建造されておるのではないかというような疑いが国民の中にあると思います。私はむしろ、戦闘行為でありますから、いつ何どき魚雷を食ったり爆弾を受けたりということで、より危険度が多いわけでありますから、安全度はおそらくより高くしておるのに違いない、そう思いますけれども、そうでないというような意味合い新聞の論調もあるようでありますので、その点どちらが正しいのか、これはひとつ科学技術庁原子力局長にお伺いしたい。
  95. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お答えいたします。  技術的に考えました場合に、船用の原子炉を設計する場合には、陸上に設計する場合に比べて、よりシビアーな条件を考えなければいけないわけでございます。第一に動揺の問題、動揺に耐えなければならぬ、こういう観点から設計しなければならぬことは当然であろうと思います。なお軍艦の場合につきましては、エンタープライズの内容はわれわれつまびらかにすることは当然できないわけでございますけれども。戦闘状態にあります場合は、当然一般商船用の原子炉の場合よりもさらにシビアーな振動なり激動なり、そういうことに耐え得るように設計されることは想像にかたくないわけでありますし、推進と操舵装置というものは、軍艦の場合に最も心臓部に当たるわけでありますので、ほかの部分が相当にこわれた場合でも、最後まで存続するという観点からの設計がなされることは、常識的に当然考えられる事柄だとわれわれは考えておるわけであります。
  96. 藤尾正行

    藤尾委員 いまのお話で、大体安全であるということのようでありますけれども、そうはいっても、このエンタープライズが何か間違いを起こしはせぬかということで、お疑いの向きもあると思うのであります。そういう傾向に対して科学技術庁とされても、入ってくる前の十二分の調査をされて、あるいは入っておる間のさらに調査をされるとか、あるいは出ていったあとについての調査をされるとかいうような追跡調査もせられまして、できるだけそういったものの安全度は何ら心配ないのだということに万全を期していただいて、ここに、こういう点に手落ちがあったではないかということがあっては万々なりませんので、十二分の御注意をいただいておやりをいただきたい。それはどうですか。
  97. 藤波恒雄

    藤波政府委員 相手が軍艦の中身のことでございますので、原子炉規制法の審査の対象にもならぬわけでございますけれども、原子力委員会といたしましても、入港した場合の回りの住民に不安があってはならないという観点から、いろいろな検討をいたしたわけであります。中身についての直接の詳細な審査ということはできませんので、外交交渉を通じまして、原子炉の安全性とかあるいは運行操作等に関します条件の約束を取りつけるということに重点を置いてやったわけでございますが、その結果は米国側から声明書ないしは口上書といったような書類で、その点を明らかにしてまいったわけでございまして、その内容を検討いたしまして、それが十分満足されるものであれば安全は十分確保されると判断をする、こういうことになったわけでございます。  御指摘の、実際入ってきた場合の、放射能に影響を与えたかどうかというような確認調査をやるべきであるということにつきましても、われわれといたしましては、軍艦が入港する前と、出ていったあとと、それから停泊中の場合につきまして、環境濃度が、アメリカ側が保証しておりますように、ほんとうに環境自然放射能濃度を変動させていないかどうかを確認する調査をいたすことにいたしております。そのためには、平常時から佐世保、横須賀につきましては自動記録装置を持ちました装置も置きまして、市当局に依頼いたしまして、常時放射能水準調査もやっておりますが、なお入港の前後につきましては、ボートに測定器を載せまして、海上保安部のほうに依頼いたしまして、まわりの空気中あるいは海水、それから事後におきましては海底等の砂の採取までいたしまして、影響したかいなかということを確認するつもりでございます。これにつきましては、従来二十回程度入りました原子力潜水艦の場合も同様なことを行なっておるわけでございまして、従来の実績におきましては、潜水艦の入港によりまして、この付近の環境放射能レベルが変動したという事実はございません。
  98. 藤尾正行

    藤尾委員 最後に、非常に重要な問題について、これは国務大臣としての長官にお伺いをしたいのでありますけれども、今度のこのエンタープライズの入港を目しまして、一番初めは大体原潜が入ってきて、これは二十回くらいやった、今度は原子力空母であるというようなことで、だんだん日本国民自体の核に対するある種のアレルギーといいますか、そういったものをできるだけ脱却させようという意図が政府にあって、インテンショナルにそういったものを組み上げていって、エンタープライズを今日この段階において入港させるのではないかというような疑いを持つ、国民の一部にはそういった方々もおられるわけであります。私は、こういう入港の時期の問題につきましては、かりにいま、これはお互いに非常に不幸なことでありますけれども、とにかくベトナム戦争とか核兵器とかいう問題につきまして非常に立場の違った国民がこの日本という国内にある。われわれは、別にどうということではないじゃないか、いままでのいろいろの質問を通じましても、いろいろなものを読んでみましても、そういう感じがするのでありますけれども、しかしながら、そうでない立場の方々は、こういうことを漸次やっていくうちに、日本人の核に対する警戒心、そういったものが薄らいでいって、やがてはポラリスになっていくのではないかというような考えをお持ちのようであります。しかしながら、そういう方々の場合には、いつ何どきエンタープライズが入ってまいりましても、それには反対であるということで、強い反対の意思表示をされるんだろうと思う。今日この時期にエンタープライズが入るということは、別に核アレルギーというものを早く国民の中から脱却させなければならぬという政府の意図がこれに加わっておるんではないんだというように私は判断をいたしますが、政府の閣僚として、政府立場では、このいまの時期を選んでエンタープライズ寄港してくるということは、国民の核アレルギーを少しでも緩和しようというような意図はないんだということを言えるかどうか。もし言えるならば、この際明確に国民の前に私はそれを御表示をいただきたいと思いますが、ひとつ閣僚としての長官の御意見をお伺いしたい。
  99. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本人にいわゆる核アレルギーがあるのは当然でございまして、これは自民党といわず各党といわず、全国民が核の洗礼を受けておりますから、被害者のわけであります。全世界三十二億の民衆に向かってわが国一億の民衆が、核というものはおそろしいものなんだということを呼びかけるべき立場である、こう考えております。そういう意味合いにおきまして、行政府も核三原則というものを堅持しておるわけであります。そこで、従来入った原子力船というものは原子力推進潜水艦でございまして、ポラリスのごとき核兵器を備えた、しかも原子力駆動の潜水艦ではないわけであります。でありますから、その入港は許しました。今回の航空母艦も、原子力推進だけであって核兵器は備えていないということで、佐世保に入港することを許したわけでございまして、だからといって核三原則を破るということになると非常な飛躍でございまして、漸次核アレルギーを解消して、そうして核に対して麻痺した状態になるということを政府は絶対に意図いたしていないことをこの際明瞭にいたしておきます。
  100. 藤尾正行

    藤尾委員 それで私は非常に国民皆さま方もこの論議を通じてよくおわかりいただいたと思いますけれども、私個人の見解から言わしていただきますならば、核のアレルギーというようなものはあってはいけないことなんで、むしろ核兵器に対するアレルギーというものはあっていい。ですから、中共が核爆弾を何回か実験をして開発していく、水素爆弾を開発していくということについては神経過敏であってよろしい。その原子力というもののアレルギーと核兵器に対するアレルギーというものは、これは明確に違うのであって、むしろ核爆弾、水素爆弾を含みます核爆弾の開発というようなことについては極度にアレルギーを持っていただいて、そうして今後とも世界の核兵器の軍縮、あるいはそれが使われないように、あるいはできれば全部破壊できるようにというところまで問題を持っていくということがわれわれの態度でなければならぬ、かように思いますので、最後に一点、この点にもお触れいただいて、そのお答えをいただいた上で私の質問を終わりたいと思います。
  101. 増田甲子七

    増田国務大臣 藤尾さんのお説のとおりでございまして、核兵器にはアレルギーを持つのは当然だと思っております。しかし、核そのもの、たとえば核拡散防止条約といたしましても、平和利用をするという場合には核並びに原子力――原子力発電をしたその残滓からも核ができるようでございますが、その平和利用の余地は残しておけという世論もあるわけでございまして、すなわち平和利用に徹する、こういう意味と藤尾さんの御発言を私は解釈いたしまして、われわれは、原子力は平和利用に徹するのであって、核兵器にはアレルギーを持っておる。ただし核そのものは、平和利用という場合も将来はあり得る。五年間というような期限をつけて、その以後は自由だというようなことを、米ソで核拡散防止条約の草案をつくっているようでありますが、平和利用以外は絶対反対、こういうことをこの機会にさらに明瞭にいたしておきます。
  102. 藤尾正行

    藤尾委員 それでは私の質問を終わります。しかし、例の警備に関するいろいろな問題につきましては、これは警備局長来たけれども、非常にお忙しいので、きょう十二分に御質問ができませんでした。非常に残念だと思いますけれども、事態やむを得ないと思います。今後もしそういう機会がございましたならば、ひとつその問題についての質問は留保をさせていただきまして、私の質問を終わらせていただきます。
  103. 三池信

    三池委員長 大出俊君。
  104. 大出俊

    大出委員 長官が食事をされたところで元気が出たようですから、ひとつはっきり御答弁いただこう、こう思うわけです。  先ほど来幾つか質問が出ておりますが、どうも二日あたりに西海岸を出たエンタープライズが、七日ぐらいまでハワイあたりでのんびりしておったのじゃないか、だから何日もたたないのに佐世保に入ってきて、兵員休養だの、あるいは補給だのといってみても、これはおかしいのじゃないか、したがって理由なき入港なんだ――これは表向きです。理由なき入港、こういう論評が朝日、毎日、読売から始まりまして、各新聞の解説記事を含めてのほとんどの論評です。すべて世論をつくっておられる、あるいは代表される各紙の論調です。しかも社説等の中にもそれらのことがいろいろ触れられているわけです。したがって、またそれらの各紙の取り上げ方というのは、ナショナルコンセンサスを求める、国民的合意を求める、こうしきりに佐藤総理は言ってきておるけれども、合意を求めるどころの騒ぎではなくて、なぜ一体理由なき入港といわれるにもかかわらず入ってくるのかということ自体説明をしないということでは、国論はますますもってみぞを深めて離れてしまう、こういう結果となるではないかという指摘をおのおのしているわけです。そういう当面の客観的な国内情勢というものを背景にしてこの委員会が開かれているわけですが、それでもなおかつ長官としては、まさに通り一ぺんの休養なり補給なりという、こういうことをさっきから言われているわけでありますが、だれが考えても、十分休養もとり補給修理もしてあるエンタープライズが、同じ目的を持って佐世保に入ってくるとは思っていないわけであります。ほんとうにその理由なき入港なる理由、これはあなた言えないのかどうか、冒頭にひとつはっきり承っておきたいわけであります。あなたは国論を合意に導こうという閣僚の一員でございますから、そのためにもひとつ明らかにしていただきたい、こう思うわけです。
  105. 増田甲子七

    増田国務大臣 エンタープライズができましたのは、御承知のとおり一九六一年、昭和三十六年でございまするが、わが国寄港するのは初めてでございます。そこで、西海岸を出たときはよく存じませんが、ハワイから出たのは九日前後と聞いております。私はやはり休養補給であると思っております。その航続距離等は四十万マイル、地球を二十周するくらいございますけれども、野菜、生鮮食料等の補給はおそらく四日ぐらいで、あとは冷凍物になってしまいはせぬか、やはり長崎、佐世保の、日本の一番よいところの新鮮なる野菜等によってビタミンCを補給するというようなこと、また一面、軍人の休養等のことも考えて、友好国である日本寄港したいということは、受け入れるのがしかるべきことである、こう考えておる次第でございます。
  106. 大出俊

    大出委員 そういう理由にならぬ理由を答弁されるところに、ますますもっておかしいのだということになるわけであります。  そこで、少し過去の経過というものをひとつ踏まえてみたいと思うのですが、このエンタープライズ日本に入ってくるということで、非公式なやりとりは過去にもありました。これは公になりましたのは私の質問のときなんです。これは四十一年に私が質問をいたしましたが、四十年の十一月二十六日に、アメリカの海軍筋から、エンタープライズあるいはフリゲート艦のペインブリッジあるいはロングビーチ等が第七艦隊に編入されたので、したがって、それは将来日本寄港することがあり得るということを、駐日米大使から外務省に連絡があった、こういうわけです。これは二月の九日から――外務省の方は御存じだと思いますが、これは四十一年の二月九日から浅尾安全保障課長がアメリカに行っておりまして、アメリカのいろいろな筋の諸君と打ち合わせをしておった、こういう前段があるわけであります。そこで私は、浅尾さんにここへ来ていただいて、松野さんが防衛庁長官時代に御質問を申し上げた。その前に、二、三これに類する質問があったのでありますけれども、そういう事実はないと言わんばかりの答弁になっておりましたが、浅尾安全保障課長の答弁で、実は昨年の十一月二十六日に、駐日大使から外務省に、エンタープライズ並びに随伴艦を第七艦隊に編入したので、将来日本寄港することがあり得るという連絡があった、その連絡というのは、公文書か、それとも非公式なものかという質問をしたら、半ば公文書だという説明でありました。半ば公文書という公文書というのが一体あるかと言ったら、いや公文書でございます。こういうことになった。これは新聞にも載ったところです。ここから始まりまして、同年の十二月二日、エンタープライズがペインブリッジと一緒にベトナム戦争に初参加をした。これは四十年十二月二日であります。これが最初であります。それから四十一年分一月十二日になりまして、年を越しましてから、ハイランド中将、第七艦隊司令官が、佐世保にも横須賀にも入れたい、こういうことを公式に、沖縄だと思いましたが、発表いたしました。それ以来、入る入るということが積み重ねられましたけれども、諸般の事情、政治情勢、たとえば四十一年の一月二十七日に佐世保の市長が政府に対して、エンタープライズ核兵器持ち込み反対、安全性の点が明確でないというふうなことで、入れてもらっては困るという申し入れ新聞に発表されております。二月の十四日には佐藤総理が参議院の決算委員会で、安全性が確認されればエンタープライズ日本に入れるのだ。その際、横須賀か佐世保かという質問が出ておりますが、そのどちらでもいいのだという答弁をいたしまして、これはもう政府の責任ある方の答弁、総理の答弁でありますから、世の中にこれはますます明らかになったわけであります。四十二年の四月二十二日に外務省は、米国から正式に寄港要請があれば、安全性を確認の上で、日米安保条約に基づいて寄港を認めるという表明をされたわけです。そのときも、すぐ入るという情勢がいろいろと出てまいりましたが、これまた諸種の政治情勢ということを判断をして延ばした。ところが四十二年の九月七日になって――私はこれも、東郷さんてありますけれども、この席で質問を申し上げたわけであります。官房長官にもこれはすぐ質問をしたわけでありますけれども、官房長官の発表から始まりまして、オズボーン駐日臨時米大使が外務省に、米政府原子力空母工ンタープライズなど原子力艦艇を乗り組み員の休養、兵たん補給目的日本寄港させたい、口頭でこれは正式に申し入れがあった。口頭ですね。間違いないですね。そして十月の二日に、この安全性の問題とからみまして、エンタープライズ日本寄港は四十三年二月以降になるだろう、こういうふうなことが表に出てまいりました。先ほどお話がございました十一月の一日、二日という段階のところで、これは二階堂科学技術庁長官の閣議における発言によりまして、総理が十二日に出発するというので、ここのところは非常に政治的な外務大臣科学技術庁長官のやりとりでありますが、大体七、八日ごろまでに寄港を認めたい、科学技術庁の長官のほうから、それならば二日までに原子力委員会のほうで、これは臨時招集でありますが、安全性の確認をする文書をつくる、こういうところまで閣議でやりとりをした。したがって、どうもこれはてっぺんの政治情勢に基づいて原子力委員会もきめたのだといわれてもしかたがない事情にある。これはすべてまことに政治的な動きでありまして、今回の場合でも、二十日という一応の目安があったものを、国会の開会等と合わせまして滞在期間五日というようなことでありますが、新聞によると、早めてくれということを政府のほうでアメリカ側にものを言っている。しかも今度は早まって、さて十八日確定だ、こういうことになったところが、世の中はそう思っていないようでありますけれども、どうも積載量満載のときに八万五千トンもあるたいへんな船がしけでおくれるという。ところが、私の手元にあるのでありますけれども、神奈川新聞というのは非常に関心を持っている新聞でありまして、すぐ気象庁予報部の話を聞いた。「寄港、十九日にずれそう、原子力空母〃シケ〃で遅れる」とあって、すぐ横に「大シケでない、気象庁予報部の話」。たいしてしけちゃいない。これを見てみると、風速までみんな書いてある。ときおり陸上で十メートルぐらいの風があり、季節風が低気圧の関係で流れ込んでいる。そういう海上の状態で、エンタープライズがこの付近をもしも――硫黄島の付近、この付近まで低気圧の関係による季節風域が伸びているそうです。それでも海上の風速というものは二十メートルなんかない。そうすると、硫黄島の近辺に、もしそこにいたとしても、排水量八万五千トンの巨船の航行に何ら差しつかえないということをちゃんと並べて書いてある。だから私は、しけでおくれるというのは、佐世保がしけでおくれるのだろうと思っているわけであります。佐世保のしけでまた一日おくれた、こういうわけであります。事ほどさように実は政治的に入る入らない、出たり入ったりまた出たりということを政府がいってこられた、その寸前になって、またしけでおくれたということになる。そうなると、これは長官が幾らビタミンCの補給だなんと言っても、そういう三百代言みたいなことを言っても、世の中みんな納得しない。だから一番根本になるところをずばりものを言い、説明しなければならない。佐藤総理は一体国会で何と言ったか。核アレルギーなんというのは直さなければいかぬと言っておる。私はそういうものの言い方は不見識だと思うのですけれども、それでも一国の総理が、国民にほんとうに考えているところを言うならば私は認めたいと思う。そういう意味で、理由なき入港ということを各紙が、どこの新聞も全部、ねらいが三つぐらいに分けられているのだといっておるでしょう。その辺、あなたのようなビタミンCの補給日本に寄るなんて答弁はない。もう一ぺん答弁してもらいたい。
  107. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもは、兵たん補給と申しましても軍需品を補給するわけではございませんし、結局生鮮食料その他であると考えております。そこで冷凍食料品、ビタミンCということは少し具体的に言い過ぎましたけれども、やっぱり生きが悪くなる。そこで佐世保、長崎等の生鮮食料を入れるということは意味があることだと私は考えております。それから休養ということもやはり意味があることでございます。それからなお原子力推進核兵器とは違うということは、もう皆さん先刻から御承知でございまして、非常にありがたく思っておりまするが、国民の相当の方々は原子力推進核兵器とを混同しているきらいがございますが、きょうの午前中の社会党の皆さん、また民社党の吉田さん等の関連質問によって明確になっているわけであります。これはもとより明確でございますが、もちろんのことでも明確にならないことがございますから、明確になって非常にけっこうだと思っております。さらに、午前中つけ加えましたが、新聞社の皆さまにも見ていただく、こういうことで、本日あたりは飛行機によって着艦をいたす、そういうことをいたしております。とにかく原子力推進航空母艦というのは世界にただ一つだけでございまして、それを見ていただく。この次にできるのは、一九六九年に第二はい目ができるわけでございます。そういうわけで、国会議員も相当本日あたり見てもらっておりまするが、やはり国民の耳目となる方々が見ていただくということも非常に有意義である。  それから藤尾さんの御質問に対して重ねてお答えいたしましたが、スカイホークとかファントムとかいうものは、原子力駆動の航空母艦でなくても、普通の航空母艦でも幾らでも載っているわけでございます。それがエンタープライズにも載っておる。これだけのことで、特別にむずかしい問題ではないということも、これまた午前中の御質問並びに関連御質問に対する私の、当然過ぎるかもしれませんが、当然なる御回答で明確になっておる。これらのことがいよいよ佐世保寄港によって私は明瞭になるという機会を与えられるものと思っております。新聞社の論説子あるいはその他のお書きになった点も御指摘になりましたが、だんだん寄港して、皆さま指導者各位がごらんになれば、その点がいよいよ明確になる、そういう意義も休養補給以外にあると私は考えております。
  108. 大出俊

    大出委員 あなたは、質問をしていないことにだいぶ親切にお答えになるくせがあるのですけれども「またいろいろ資料を並べて英語でお答えになりそうだけれども、前に私があなたにエンタープライズ質問をしたときに、どうもこの点に関して私は、大出さんあなたのほうがお詳しいようなので、何とか御了解願いたいということで、私があなたのほうより詳しいことになっておる。あなた認められておる。その私に何もいまさらそういうことを言う必要はないので、質問に答えてもらわないと困る。  そこで、あなたはビタミンCの補給が必要だ、こういうことだけれども、エンタープライズの艦長さんがそう言ったのですか。だれがそう言ったのですか。あなたしきりに自信を持って、長崎で生鮮食料品を補給することがどうしても必要だ、こう言っておるのだけれども、あなたはそれをどこから、だれから聞いたのですか、はっきり言ってください。
  109. 増田甲子七

    増田国務大臣 私の常識としてお答えしたことで、要するに補給休養のために寄港する。その補給といえば、結局兵器の補給ではなかろうということで、だんだんそういうような話になったわけでございまして、私はあなたの質問に対して正面からお答えしておるつもりでございます。
  110. 大出俊

    大出委員 先ほども警察庁の方その他といろいろやりとりしましたが、あまりどうも常識で答えられたんじゃ困ることばかりで、増田個人の常識、で答えるというんじゃなくて、やはり国務大臣防衛庁長官としてお答えいただいているのですから、だからビタミンCの補給で、四、五日たったから切れたから、それを入れるのだろう――それをアメリカがそう言ったというなら私は承りますが、公式の席ですから、それを個人――防衛庁長官国務大臣なる個人増田甲子七かもしれぬけれども、個人増田の考えでそう思いますというのでは、これは御答弁いただきかねます。  そこで、いまあなたのお答えになったのは、米軍がそう言っているわけでもなければ、アメリカ大使館がそう言っているわけでもない。全くあなた個人の常識的な判断だということですな。いいですか。
  111. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは、人格というのはなかなか分けにくいのでありまして、防衛庁長官国務大臣増田甲子七と、こういうことでございます。  そこで、向こうさまが言っていることは、休養補給ということだけは明瞭に言っている。そこで、自分で解説を加えるわけでございますが、つまり、兵器の補給ではあるまいということになると何か。食料の補給ということになるだろう。こういうことでだんだんと生鮮食料品になりやせんかということまで、親切に答えたかもしれませんが、これが常識であると、こう考えております。
  112. 大出俊

    大出委員 日本に入ってきて、生鮮食料品が切れたからと、あなた言うのですが、これから冷凍になる――これから冷凍になるか、一週間先に冷凍になるかはわからぬ。そういう不見識な答弁は、これは質問に対する答弁じゃない、こう私は考えますので、そこのところだけひとつ明らかにしておきます。  ところで、私、長官に承りたいのは、まず、いろんな理由新聞ではあげられておりますけれども、それはあとから申し上げますが、一つ事前協議という安保条約六条にかかわる交換公文がありますが、この交換公文の文面からいたしますと、ここに六法の交換公文がございますが、「合衆国軍隊の日本国への配置における重要な変更、同軍隊の装備における重要な変更並びに日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての日本国内の施設及び区域の使用は、日本政府との事前の協議の主題とする。」これが交換公文ですね。この交換公文の文字づらから解釈をする限りは、いつの間にか日本核兵器が持ち込まれておったとしても、いけないとは言えない。なぜならば、この中に核兵器という文字は一つも書いてない。交換公文の中には書いてない。そうすると、いわゆる核持ち込みの事前協議といっているもの、あるいはタスクフォースなどという、機動部隊なんといっているもの、これはどこかに細部の取りきめがなければならぬことになる。かつて長官は、人の質問でございましたが、この席でお答えになっている。したがって、細部の取りきめ、了解とあのとき言っておられたけれども、どういうものがあるか、お知らせいただきたい。あなたお答えになったですよ、この前。
  113. 増田甲子七

    増田国務大臣 細部のことは防衛局長からお答えいたしますが、配置の変更、これは御承知のとおりでございます。それから「装備の変更」というのは、おそらく核兵器なんかを装備する場合だと私は考えております。それから、日本の基地における施設並びに区域を使用して作戦行動に極東に向かって出る場合、この三つが事前協議の対象でございまして、いつの間にか知らぬ間に、事前協議なくして装備の重要なる変更が行なわれておる、核兵器が現在日本にあるというようなことは、将来いずれにしてもあるであろうということはございません。
  114. 大出俊

    大出委員 ございませんと言われるけれども、それもまた常識的な解釈になる。いま私が申し上げたように、公に両国間の取りきめとなっている文書と申しますのは、交換公文と名がついている、いま読み上げた、ちゃんと六法に載っかっているこれしかない。あとはどこにも何もない。そうだとすると、何にもない限りは、持ち込まれてみたって、この文書の上に装備の変更とは載っているが、それは核兵器であるとか、核兵器でないとか、何も取りきめてない。したがって、別に取りきめがなければ、ございませんと言ったって、これは国民一般が納得する次第でもないし、法律事項でもない。だから、それは一体どういうものですかと私は聞いているんで、質問お答えいただきたい。
  115. 増田甲子七

    増田国務大臣 でございますから、細部のことは防衛局長からお答えさせますが、私が言わんとするのは、そういうことがあれば明瞭なる、条約に付帯する交換公文違反になって、許されないことでございます。
  116. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 ただいまの御質問の点は、この交換公文の中の「装備における重要な変更」という点だと了解いたします。この点に関しましては、お話のとおり、交換公文には重要なる変更としか書いてございません。ただ、前から政府側からいろいろお答えしていると思いますが、この重要な変更に対しての解釈については、日米間に、この装備に関する重要な変更というものは、核弾頭の持ち込み、それから中長距離ミサイル並びにその基地建設というようなものと解釈するということが、日米間の了解になっております。これは前からたびたびお答えしていると思います。ただし、お話しのとおり文書にはなっておりません。
  117. 大出俊

    大出委員 佐藤さん、あなた前条約局参事官をやっておられたわけですね。だから、あなたが条約にたんのうでないなどと私は思ってない。私は三つ申し上げた。あなたは一つお答えになった。つまり、それは重要なる装備の変更とは一体何か。配置の変更がもう一つありますね。それから戦闘作戦行動でございますね。三つとも防衛庁長官立場で先般お答えになっておるけれども、あらためて条約局長からあと二つ追加してお答えになっていただきたい。
  118. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 先ほどお話が核弾頭の持ち込みのお話だったものですから、装備の重要なる変更の点だけ御説明いたしたわけでございますが、同じくこの配置の変更に関しましても、これもたびたびお答えしていると思いますが、配置の変更というのは、陸上部隊については大体一個師団程度、それから海上部隊についてはタスクフォース一つというようなことが、日米間に、これも口頭の了解でございますが、そういう了解がついております。
  119. 大出俊

    大出委員 この口頭の了解というのはいつごろのものですか。
  120. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 これは、私当時おりませんでしたから一何月何日というふうに申し上げるわけにはいきませんが、新安保条約をつくりましたときの了解だと存じます。
  121. 大出俊

    大出委員 新安保のときの了解ね。このころは藤山さんが答えておられたり、当時高橋条約局長がおりますね。岡田春夫さんが質問しておりますね。ところで、この口頭の了解、そこから先質問しないですね。これは非常に重要な問題が落ちていると思いますが、実は藤崎条約局長が、事前協議の私の質問に対していろいろかつて答弁をしておる。既定の事実みたいなものがあるとお答えになったから、しからばそれを出してくれといったら、持ってないという。持ってないというから、私は、苦心惨たんして初めからたいへんな時間をかけて全部調べてみた。だから、岡田春夫さん、高橋条約局長、藤山さんが外務大臣――ところで問題は、ここから先のやりとりというのはないのです。ただ一つあるのは、この了解事項というのは外交的な条約と同等のものだという政府答弁があります。いまでもそう理解していいのかどうか。つまり、口頭了解であっても交換公文と同じような効力を持つものであるという解釈ですね、そう了解をすべきものであるかどうか、承りたい。
  122. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 形式的に申しまして、交換公文と申しますのは、これは形式的な取りきめでございますから、そういう意味での御質問でございましたら、口頭了解と形式的な取りきめとは効力が違うと申し上げるよりほかにいたし方ないと思いますが、日米間で了解をつけております。両方ともこれを守るということを言っておりまして、日米間の信頼関係においてこれは守られているということにおいて、それに違反するということはわれわれは考えておりません。
  123. 大出俊

    大出委員 そうしますと、これは法律的にはどういうものになるのですか、あらためてもう一ぺん聞きたい。いまのお話だと、口頭の了解というのは、どういう権利義務をお互いが法的に負うのですか。
  124. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 先ほど申し上げましたとおり、ここに書いてあるから――書いてあるものに対して違反したということはいえないと思います、書いてないのでございますから。しかし、口頭で了解しておりまして、両方ともそれを守るということを約束しているわけでございますから、そういう意味では、何と申しますか、日米間において法律的に拘束される、紙によって拘束されるということはいえないのでございますけれども、ある意味ではジェントルメンズアグリーメントと申しますか、紳士協約といいますか、そういうふうな意味での拘束力というものは当然あると思います。
  125. 大出俊

    大出委員 そうすると、二人の人物がおって、片方がアグリーと言った、片方もアグリーと言ったということなんですな、そういう意味ですな、いまのお話は。  そうすると、これは法律的には効果があるものですか、ないものですか、違反した場合に。
  126. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 いまの日米間の話といたしまして、たとえば向こうがこれに違反をしまして持ち込みをした。そういうふうなときに、こちらから、この間の了解と違うじゃないかということは当然言えることだと思います。
  127. 大出俊

    大出委員 そうしますと、だれとだれが一体いつどこでそういうアグリーと、こう言った、いつどこでそういうことにしたのかということが明らかになりませんと、おまえさん違反したじゃないかと言えない。そらでしょう。いっどこでだれが一体安保のときにジェントルマンリーアグリーメントでしょうな、こういう了解をこしらえ合ったかという点はどうなりますか。
  128. 東郷文彦

    東郷政府委員 新安保の交渉を通じまして、核兵器の問題をどうするかというのが一つの問題であったわけでございます。その結果、藤山大臣と当時のマッカーサー大使とその問題をいろいろ話し合いまして、実質は要するに、アメリカがかってに持ち込むことは日本としては認められない、何らかの理由でそういう事態が生じた場合には、アメリカのほうからあらかじめ日本側に相談して、日本側がいいと言った場合にのみそういうことが起こり得るんだ、こういうのがその話し合いの実質でございまして、それを事前協議の交換公文の第二の問題としてまとめたわけでございますが、その間双方の交渉当局におきましては、「装備における重要な変更」という意味が何であるかということは、そういう交渉の経過を通じましても、何ら疑いがなく、はっきり了解されておったというのがその経過でございます。
  129. 大出俊

    大出委員 これはかつて重光外務大臣のときに、アリソン大使との間に重光・アリソンのジェントルメンズアグリーメントみたいなものがあった、これは議事録にありますね。これはたとえば交換公文と同じような効力があると政府側が力説しているのがありますね。似たような意味で、これはほかのところをどう調べてみても、藤山・マッカーサー両氏の間のこういうものだという、いつどこでということをきめた明確な政府側の答弁というのはないのですよ。そこで、私はいま念のために、古いことにさかのぼるようだけれども、確かめておきたくて聞いたのですが、これは何のたれべえと何のたれべえが話したといっても、どっちかが欠けて世の中においでにならぬようなことになったときに、これは議事録でも残っておればいざ知らず、そうでなければこれはなかなか明らかにならない。きわめて不明確なものになってします。価値あるものとはいえない、こう思っていま承ったのですが、前向きで、当時の藤山外務大臣とマッカーサー大使との間でこういう取りきめが行なわれたというのですが、この間の議事録みたいなものが何か記録にございますか。
  130. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 いまのお話の点についての議事録というのは存在いたしません。ただし、全然このもとがないものかというようなお話になりますと、やはり交換公文には「重要な変更」という字が出ておるわけでございます。したがって、この「重要な変更」、「重要な」というものの解釈についての了解でございますから、これはたとえば核持ち込みをアメリカがやるというような場合には、この「重要な変更」に当たるのだということをわれわれは主張できるわけでございます。そういう意味で、全然もとがないと申しますか、手がかりがないものではないのでございます。ただ、その了解事項というような議事録その他の文書というものはございません。
  131. 大出俊

    大出委員 そうしますと、ここでいうところの核弾頭、中距離ミサイル、核基地の建設などが装備の重要な変更だ、こういうさっきの御説明ですね。それから配置の変更というのは、陸上でいうならば一個師団程度、海上でいうならばタスクフォース、つまり一機動隊と申しますか、そういうことを当時の藤山外務大臣とマッカーサー大使の間でやりとりをして、この交換公文をつくるときに了解事項として口頭了解をしておる、こうまとまるわけですね。  ところで、この一機動隊という点について、一機動隊と申しますと、これは当時の一機動隊といまの一機動隊とは非常に大きく違う、たいへんな違い方ですね。第七艦隊のたとえば第七十七機動隊は、攻撃用空母五隻を中心とするかっこうにいまなっていますね。おのおの数隻の護衛艦がついておるから、当時と比べますと、これはたいへんな違いであります。そうすると、当時の状況は、今日のこのような緊迫した状態というものが想定されていない、ベトナム戦争などが予想されていないのですから、今日エンタープライズ号というものは一体どういうものかというと、これは第二次大戦当時のアメリカの第七艦隊全体の戦力にも匹敵する、こういわれておるわけですね。専門家はみんな言っておる。そういうものを単に第七十七機動隊に編入したんだということだけで――一機動隊か単位だからというこの了解事項関係ですね。つまり、エンタープライズ以下数艦がくっついている原子力海上艦、この戦力と申しますものは出時の第七艦隊全体くらいに匹敵する、こういわれておる。そうだとすると、それがいま形式的なタスクフォース、一機動隊といわれているもの、それよりもはるかに大きなものが七十七機動隊に入ってきたことになる。その戦力たるや、明らかにタスクフォースといっているものを越えている。当時の七十七機動隊どころじゃない、全戦力に匹敵するのですから。そういうものをタスクフォースと見ない。これは一体どういうことなのかという点ですね。ここのところをひとつお答えいただきたい。
  132. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 タスクフォースの大きさがどの程度であるかというような点は防衛庁のほうからお答え願いたいと思いますが、今度のエンタープライズ及びあと二艦ついているようでございますが、これ自体の日本への入港に関しましては、実はその配置に関する重要な変更――配置という点において、日本の中に配置されたというふうには考えておらないわけでございます。これは先ほどからいろいろお話がありますように、補給休養のために入港したというお話でございますが、そういうふうな形で日本に入ってきたことは、配置という観念には入らないと私は解釈しております。ある程度の期間日本におりまして、日本の中でいわゆる戦力として動いているというような形が配置だというふうに考えております。
  133. 大出俊

    大出委員 そうしますと、第七艦隊の基地というのは、日本において横須賀、こう考えていいのですか、悪いのですか。
  134. 島田豊

    島田(豊)政府委員 第七艦隊の基地といたしましては、日本では横須賀、佐世保ということ、これはいわれております。ただ、先ほど来の御議論の交換公文の適用に関しまして、配置という問題になるかどうかということについては、これはそういう意味でのいわゆる母港的な性質のものではございませんので、ただいま条約局長からお話がありましたように、配置における重要な変更というふうな条項には該当しないと考えております。しかし、基地がございまして、この基地には若干の基地部隊がおります。小型の艦艇も持っておりますし、それから陸上の基地部隊も若干おります。そういう意味で基地でございまして、ただ、第七艦隊のタスクフォースあるいはタスクグループが佐世保一つの母港といたしまして、それを中心にして一つ行動を起こすというふうな意味での基地ではないと考えております。
  135. 大出俊

    大出委員 そこが問題の焦点ですがね。当時の想定でこういう了解を取りつけたのだと思うのでありますが、該当すべきものが何もないのに取りきめるはずがない。そうなりますと、当時の横須賀というのは、やはり官房長がおっしゃるような意味での母港云々ということになるとすれば、その意味では違ったところではない。そこで、タスクフォースというものを一つの基準にしたということは、そんなに意味があるのです。もしいまあなたが言われたことだとすれば、一機動部隊なるものが日本に常時いるというような、そんなばかなことはない。船ですから、出たり入ったりするのですから、ない。そうだとするなら、こんな了解事項、あってもなくても一緒なんだ、初めから日本にそんなものがずっと常駐することはないのだから。そうでしょう。そうすると、基地が横須賀である、あるいは佐世保である、これは第七艦隊の基地である。となると、第七艦隊は、あなた方が常に口にするように、当然の権利としていついかなるときにも通常艦と同じように日本の港に入れるのだ、あなた方はこう言っておる。今度だってそうだし、原潜のときだってそうですよ。共同コミュニケ読んでごらんなさい。いつだって入れるのだけれども、日本人が心配するから、こういって共同コミュニケの中で書くのだ、こう言っておる。つまり、そうなると、法律的には随時いついかなるときでも、第七艦隊に編入をされている以上は日本の港に入ってこれる、こうなる。つまり、その港の対象となる艦隊というものは第七艦隊である。そうなると、この第七艦隊の中において、かつての第七艦隊の戦力に匹敵するようなものが加えられた、編入をされた、だから、そうなれば法的にいつでも入ってこれる。あなた方の主張からすれば、そうでしょう。そうだとすると、それに対して事前協議の対象にしない、ならないという筋合いというものはあり得ない、こういう理屈になるじゃないですか。
  136. 島田豊

    島田(豊)政府委員 配置における重要な変更につきまして、先ほど来の御答弁のように一つ了解ができておる。その場合、たとえば陸軍につきましては一個師団以上、空軍につきましては航空師団以上というような一つ了解があるわけでございます。海軍につきましては一機動部隊、これを英語で言いますとタスクフォースに該当するというふうになるかと思うのでございますが、この配置というものについての解釈というものがあるわけでございまして、先ほど基地と申しましたのは、第七艦隊日本の施設及び区域を利用する、これは六条に基づきまして利用できるわけでございますが、その場合の基地といいますのは、第七艦隊艦艇が入港いたします場合に、それにつきましてのいろいろな補給をやる、あるいは修理をやる、そういう場合の一つの基地部隊としての部隊がいなければならないわけでありまして、それは現に横須賀なり佐世保にいるわけでございます。しかしながら、一つのいわゆるタスクフォース、艦艇勢力といいますか、艦隊勢力としてのそういう実働部隊が、日本にタスクフォース以上のものが配置されるというふうな場合におきましては、これは事前協議の対象になるというのが従来からの解釈でございまして、私が基地と申しましたのは、そういう第七艦隊のいわば補給修理の基地、こういう意味でございまして、そういう機動部隊を配置する、これは横須賀、佐世保中心にしまして絶えず作戦行動を行なうというような意味での配置ではないということを申し上げておきたいと思います。
  137. 大出俊

    大出委員 この事前協議というものには日本側の合意が必要だということ、これは当時のハーター国務長官、フルブライト氏その他がアメリカ議会で論争している。数々出てきますね。したがって、明らかに拒否権なるものが日本にある。その点もつまり相手方は認めた上で、しかし、それは説得できないものではないということでアメリカ議会を説得しておりますね。これはアメリカ議会の議事録に明らかなとおりです。そうすると、当時日本の国会でしきりに政府側が強調したのは、この事前協議というものが、日本日本関係のない国際紛争に巻き込まれる危険を防ぐという意味の歯どめになるのだということを、私も藤崎さんにそういう言い方をされたので調べてみた。日本では政府が安保の当時に何回もしている。この事前協議というものが唯一絶対の歯どめだと言わぬばかりの答弁です。これがあればこそ、日本以外の、日本関係のないところで紛争が起こった、したがって、アメリカは一タスクフォースならタスクフォースというものを入れてきたい、あるいは中長距離のミサイルの基地をつくりたい、あるいは核兵器を持ち込みたい、こういう場合に、この事前協議というものが有効に働いて、今日平和な日本国が国際紛争に巻き込まれることを防ぐ歯どめなんだ、だからだいじょうぶなんだということが、繰り返し政府側から議事録を読むと述べられている、こういうわけです。そうすると、今日この段階で、この歯どめであるべき事前協議条項というものを皆さんの立場で一体どう受け取っているかという問題ですね。いいかげんなことではこれは済まない。これは厳密にとらえて、歯どめになるべき事前協議というものを使う、そうして日本が紛争に巻き込まれることを防ぐ、こういう意味がある。いまあなた方はほんとうにそう考えているかどうかということなんですな。新聞が筆をそろえて書いておりますのは、エンタープライズなんという、タスクフォース以上のたいへんな大きな戦力が入ってくる、しかもこれは限定された局地に対する集中的な核戦力を持っておる、そういう意味の核抑止力を持っておる軍艦が入ってくる、空母が入ってくる、にもかかわらず、事前協議というものをなおざりにしてほうっておくということは、国民に納得を求める説得力がないということに通じているということを各紙が筆をそろえて書いておられる。ここらあたり、あなた方一体、当時の認識に立って非常に強くこの事前協議というものをとらえておられるのかどうか、いままで事前協議をしたことがありますか、この二つをあわせてお答えいただきたい。
  138. 東郷文彦

    東郷政府委員 事前協議の交換公文の重要性につきましては、その作成当時と今日とわれわれの見方は少しも変わっておりません。なお、過去七年、八年の間、事前協議条項の問題としていわば提起された事例はございません。
  139. 大出俊

    大出委員 そこで、一つ念を押したいのですが、アメリカ側から提起がなければ事前協議が求められないという了解になっておりますか。
  140. 東郷文彦

    東郷政府委員 その点は、アメリカ側は、事前協議条項に該当する措置をとろうとする場合には、必ずアメリカ側から日本のほうへ事前協議をしてくる、こういう規定になっております。したがって、アメリカ側からそういう措置をとるということでない場合に、こちらから事前協議を持ち出すということは、あの条項に関する限りは考えられないわけであります。
  141. 大出俊

    大出委員 そうすると、これは、当時はまだそういう客観情勢がなかったから、当時の議事録を読んでみても、論議が非常に甘いと私は思いますが、たとえて言えばこの事前協議の問題をめぐりましても、当時船についてはほとんど論議がない。空、陸なんというのは論議は一ぱいある。当時の議事録を見ると、船についてはほとんど論議をしてない。しきりに藤崎さんは空母についてはどうのこうの言うけれども、当時の議事録を見たってそんなものはない。つまり、当時はそういう情勢ではなかった。だから、案外簡単に通っている。しかし、いまならそうはいかない。これは向こうからの一方的な一方通行で、こっちは何も言えない。そうすると、サブマリンロケットというものをスヌークならスヌークという名前の原子力潜水艦が積んできたって、これは核爆雷だと言い切っておられるのだから、国会で認めておられるのだから、明らかにこれは事前協議の対象、いまの論議からすれば。ところが、相手方から何も言わない。何も言わない限りは積んであってもわからない。それでおしまい。積んであるなと思っても、こちらから文句は言えない。そこでおしまい。そうすると、幾らエンタープライズの船腹に隠されておっても、こちら側から事前協議だ何だということに引っかけてものを言う権限がない。相手が言わないからそれきり、こういうことになりますね、この事前協議というものは。そう理解せざるを得ない。そうなりませんか。
  142. 東郷文彦

    東郷政府委員 事前協議の交換公文の書き方は、アメリカがそういう措置をとる場合にはあらかじめ事前協議を申し出るということになっておりますので、アメリカがそういう措置をとる意思がないのにかかわらずこちらから事前協議条項の問題として持ち出すというのは、事前協議条項のつくり方からいって起こり得ないことなのでありますが、ただ、いまおっしゃるような一般的な問題といたしましては、事前協議の問題としてではなくして、むしろ午前中問題になりました第四条の協議とか、まあ、ほかにいろいろ方法はあるわけでございますが、ただ、事前協議条項の問題としてそれがわが方から出ていくというのは、条項のつくり方からして予想されない形でございます。
  143. 大出俊

    大出委員 そうすると、核持ち込みというのは事前協議なんですよ。いまのところ核兵器日本に入ってないんだから、少なくとも入ってないということになっておるんだから、そうすると、あなたは四条の随時協議の話をされるけれども、核兵器については四条は関係ない。核兵器日本にこれっばかりでも入ってくるとすれば、これは必ず六条の交換公文、それ以外にないでしょう。そうだとすると、それに対して向こうが持って入ってきたって、向こうで言わなければそれはどこからいってもわからない。長官が持ってこないと言ったって、これはわからない。わからないでしょう。わかりますか。わからないことを認めなさい。どうですか。
  144. 東郷文彦

    東郷政府委員 事前協議条項の約束の内容は、およそアメリカが持ち込むというような場合には、必ずあらかじめ日本政府の同意がなければそういうことはしない、こういうことでございます。
  145. 大出俊

    大出委員 だから、アメリカが持ち込むと言わない限り日本からは何とも言えない。持ち込むから協議したいと言わない限りは、日本側からは、持ち込んでいるんじゃないかということをこちらから言って、事前にその入ってくるんならばどっかで歯どめのために――かつて官房長官と私は論議したことがあるのですけれども、積んでないか積んであるか、じゃ見せてくれというふうなやりとりはできない、こういうことですか。
  146. 東郷文彦

    東郷政府委員 同じことを繰り返して恐縮でございますが、要するに、アメリカが持ち込もうとする場合には、事前協議条項によって協議をする。それ以外の場合に何らか問題があれば、それは事前協議条項の問題としてではなくして、日米間の協議という問題になろうと思います。
  147. 大出俊

    大出委員 したがって、結論は、相手方から申し出がない限りは事前協議というものは行なわれない、こういうことになる。これは間違いないですね。
  148. 東郷文彦

    東郷政府委員 事前協議条項の運用はそのような形になります。
  149. 大出俊

    大出委員 つまり、相手方が黙って持ち込んだ場合には、これはわからない、こういうことになる。協議の場所がないわけであります。  そこで、次に、このいまの問題と関連をして聞きたいのですけれども、そうなると、いま四条の話が出ましたが、協議とからみますので承っておきたいのですが、四条にいう、あるいは六条にいう極東というものについて、極東の範囲、これもいろいろ議事録を読んでみました。いろいろあります。ありますが、今日の時点でどう解釈をするのが正当なんですか。あらためてひとつ、ベトナムの問題がありまして、エンタープライズベトナムに行くんだそうでありますから、したがって、ひとつ極東の範囲というものをこの時点で明確にしていただきたい。
  150. 東郷文彦

    東郷政府委員 安保条約に申します極東の範囲は、条約締結のころと今日と変わっておりません。いま私正確な表現は忘れましたが……。
  151. 大出俊

    大出委員 それでは、私から聞きますが、統一見解が出されたあとまた多少変動がありますが、ここに統一見解なるものがありますから、読み上げましょう。最初答えたのとだいぶ色が変わってきておりますが、岸さんが最初答えた中身もここにあります。先に政府がおとりになったのは、「新条約条約区域は『日本国の施政の下にある領域』と、明確に定められている。他方、同条約には『極東における国際の平和及び安全』ということもいっている。一般的な用語として使われる『極東』は、別に地理学上正確に画定されたものではない。しかし、日米両国が条約で言っておるとおり、共通の関心を持っているのは、極東における平和及び安全の維持ということである。この意味で、実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍が日本の施設及び区域を使用して、武力攻撃に対する防衛に寄与し得る区域である。かかる区域は、大体においてフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれている。」これが当時、いろいろな議論の結果として、政府が一九六〇年二月二十六日の衆議院安保特別委員会で極東の範囲の確定的な解釈ということで発表した中にある。アメリカの上院、下院等の議会では、ソビエトが入っているのかいないのかという論議がずっと続けられておりますが、これはその論議の基礎になっている。この限りでいくと――これでいいのですか、まずそれから聞きましょう。
  152. 東郷文彦

    東郷政府委員 そのとおりでございます。
  153. 大出俊

    大出委員 ということになると、この四条にいうところの極東、六条にいうところの極東、この中で、六条にいうところの極東の範囲、これは六条が地位協定の基礎になっているわけですから、施設提供、基地提供というのはここから始まっているわけですね。そうなると、いまの極東という解釈のワク内でいくと、ベトナムというのは一体どういう関係になるか。これも論議もあり、議事録もあり、皆さんの解釈もあるわけですけれども、表に出しておく意味で私は聞いておきたいのだが、ベトナムというのは、これとの関係で一体どうなるのかということをここで聞いておきたい。
  154. 東郷文彦

    東郷政府委員 ベトナムは、その関係におきましては、いわゆる極東の周辺ということで、その周辺の状況は極東自体の情勢に直接的な影響がある地域である、こういうふうに解釈しております。
  155. 大出俊

    大出委員 つまり、条約そのものの解釈からすれば、極東にはベトナムは入らない、入らないが、しかし、極東の安全保障というものにとって緊切な関係がある、きわめて切実だという意味ですね。緊切という字を議事録上は使っておりますね。きわめて緊切な関係にある、つまり、四条、六条にいうところの極東というものの範囲に直接は入らない、入らないけれども、その極東の安全保障に緊切な関係にある、こういう解釈ですね。お認めになりますか、そうなっておりますよ。
  156. 東郷文彦

    東郷政府委員 そのとおりでございます。
  157. 大出俊

    大出委員 そういたしますと、本来基地提供義務そのものずばりではありません。四条、六条を厳密に解釈すれば、基地提供義務というのは何かといいますと、ベトナムを含んでいない。しかし、緊切な関係にあるから、日本は協力義務をあえて認めていく、こういう立場ですね。これは外務委員会その他の論議にもあります。こう解釈をすべきである。いかがですか。
  158. 東郷文彦

    東郷政府委員 そのとおりでございます。
  159. 大出俊

    大出委員 そうだとすると、防衛庁長官しきりに英語の本を読んでおられるけれども、いまお聞きになっておったかどうかわからぬが、あなたの直接の問題にからむので、私は前置きをいましておるわけでありますが、条約上の義務だから入ってくるのは当然だという表現をあなたもされる。しかし、厳密に条約上の義務なるものを追っていきますと――いまの安保条約当時の会議録を全部読んでみましたが、追っていきますと、そうならない。つまり、いま御確認をいただいたように、この安保条約上の基地提供義務は、この極東という字句からいけば、ずばり言えば、さっき申し上げた定義のとおりになる。つまり、ベトナムはその周辺であって、ずばり極東の範囲に入らない。ところが、極東の安全保障に緊切な関係があるからということで、日本条約上の義務を受けていこうということである。入ってくるからあたりまえだというのじゃない。ベトナム戦争に行こうというエンタープライズである。さっき質問して明らかになっている。ベトナムに行く。となりますと、これはベトナム戦争に行くエンタープライズに何がしかの形で基地提供をしている。そうなると、これは安全保障条約六条のたてまえからいくならば、極東の外になる。なるけれども、日本は緊切な関係があるから基地提供義務を認めるという立場。なぜそこが分かれているかというと、日本関係のないところの国際紛争に日本が巻き込まれては困る。そこに事前協議の問題があったり、極東の解釈の問題がやかましく論ぜられたりして、かつて政府も統一見解まで出しているわけです。つまり、巻き込まれては困るというところに問題点がある。だから、日本の国内で起こっているいまの状態というのは、トンキン湾に出かけていく、ヤンキーステーションに行って、飛行機を飛ばす、爆撃をする。そこに行くエンタープライズ日本に寄っていくということが、一体どこにぶつかるかといえば、アジアのアメリカ側に立つ国でないところからながめれば、ベトナム戦争に積極的な支持をしている、よりそれが強まった、こういうかっこうになるという視点、そういう角度、これが一つ大きくあるわけです。条約ずばりそのものの対象地域内での紛争、これはアメリカの議会における論議の中にもたくさんある。その場合に、おれのところの国は関係ないからといって日本がけ飛ばしたらどうするのだという議論がたくさんある。その場合に、アメリカのハーター国務長官いわく、われわれが十分説得できると思うと言っておる。だから、日本は説得されて、緊切な関係にあるからといって、ベトナム戦争に協力の形を基地提供という形でとっているというにすぎない、こう見ていかなければならない。そうすると、入ってくるから条約上の義務でございますと言って簡単に片づけられる筋合いのものじゃない。そこのところを、防衛という立場に立たれる、かつまた閣僚の一員という立場に立たれる増田長官、どういうふうにお考えになりますか。
  160. 増田甲子七

    増田国務大臣 まず第一に、防衛庁という立場におきまして、今度のエンタープライズというものは、航続距離はなかなか長うございますし、在来型の航空母艦に比べて艦載機の機数は相当多いです。しかしながら、艦載機の種類は他の航空母艦と同じであります。別に変わったものとは考えておりません。第七艦隊にはタスクフォースが五つございまして、そのタスクフォースの中にタスクグループが五つある。五、五、二十五分の一という単位としては多少大きいものである。われわれは機動群と考えておる。機動部隊とは考えておりません。  それから第二に、事前協議の問題として向こうさまが相談しなかったらそれまでじゃないかとおっしゃっていますけれども、国際条約はすべて信義の関係に立っておるのでございまして、信義に反することは許さないし、また信義に反することはしないということを固く信じて、国際関係につきましても、条約関係にいたしましても、あるいはわれわれのお互いを律する法律、道徳にいたしましても、信義の原則に立っておりまするから、われわれは、核兵器等を積載する場合には事前協議が必ずあるもの、事前協議がない場合には核兵器がないもの、こう考えております。信義に反することは絶対許さないという主体的立場をわれわれはとっておるということを御承知おき願いたいと思います。  それから、機動群であっても――第七艦隊か五つの機動部隊に分かれ、五つの機動部隊の一つの機動部隊が五つの機動群に分かれておる。その機動群は一つの空母と五つの護衛艦でございます。そのうちの二つの護衛艦だけが駆逐艦でございます。二つの駆逐艦一つの空母、空母としてはわりあいにランウエーも長い。多少長い。十メートルか二十メートル長い。それから積載能力も二十機、三十機多いということはございまするが、圧倒的に第七艦隊にかわるものということを大出さんおっしゃいますけれども、そういうことではないということをこの際やはり防衛庁の立場から明確にしておきたいと思っております。まあ、どういうことであろうとも、いま条約局長ないし北米局長の申しました事前協議の対象たる岸・ハーター交換公文の中にある配置の変更というふうには考えていないということは、大出さんも御了承のとおりでございますから、私はさらに明確にする意味において申し上げておきます。  それから、ベトナムが極東ではないということは、外務省の両局長も申し上げました。ただし、極東の利害関係に緊切なる関係のある周辺であるということは、これは事実でございまして、そこで、極東の周辺であるベトナム日本の基地である施設ないし区域が作戦行動として直接使われる場合にはどうするか、それは許さないということでございます。われわれは、極東の範囲に対して、日本の基地である施設並びに区域が直接にアメリカ軍の作戦行動として何か行動を起こす場合には事前協議がある、その場合には相談に乗ります。しかし、極東の周辺は、われわれは絶大なる関心は持っておりますが、おそらく事前協議の対象でもないし、また、なったところでそれは間接のことにしてください、こう言えば大出さんおわかりでしょうが、間接でなければ許さない、こういうことです。
  161. 大出俊

    大出委員 たいへんそこのところは明確になったと思うのでありますが、このアメリカの議会のやりとり、秘密会議が中にずっと入っておりまして、知る由もない面もございますが、表に出ておることだけを読んでみましても、これはハーター国務長官が答弁をしております。フルブライト氏等が質問をしておりますが、この中に、極東のつまり条約対象地域であれば、これは当然日本事前協議の申し入れをして合意を得る。で、非常に関係があるけれども、ソビエトなんというところをあげておりますが、日本はソビエトと言ってない。入ってないと言っているというようなことから論議が発展をいたしまして、極東の周辺、そっちのほうで問題が起こった、日本が、おれのところには関係がないといって認めなかったという場合にはどうなんだ、アメリカの軍隊が、空あるいは海、陸が日本に駐在しておっても使えないではないか、日本がここを基地としては困るというのだから使えないではないか、合意ということをハーター氏、あなたが認める限りは――それは事前協議は合意でございますと言ったから、それじゃ日本に駐在のアメリカの軍はたいへんな不利益をこうむるではないかと言ったら、日本関係がないからといって認めないということもあり得るとすれば、それは移転をすればいいのだ、つまり、日本の施政権下からほかに持っていけばいいのだ、だから、極東の範囲ということになるとすれば、そういう意味で日本に駐在する軍が不利益をこうむるということでなくて、持っていってやればいいのだ、少なくとも極東の範囲である限りは日本が直接関係があるはずなんだからという、こういう答弁で説得をしているわけです。だから、いま長官がおっしゃったとおり、その周辺については認めない、これはなかなか明確にしていただけなかったわけですけれども、たいへんこれが明らかになって、その点はいまの時点としては前向きに明らかになった答弁だというように理解をするわけであります。それだけに、いま長官のおっしゃるように、条約対象地域、極東の先のほうであるそこに、日本の基地を何がしかの形で基地提供の形をとって補給なりあるいは兵員の慰安、休憩なりという形のもとに、先ほどの話にございましたように、エンタープライズベトナムに行くわけでありますから、そうだとすると、これは条約上の当然の受け入れをするのだという言い方というのは、私はいささかもって見当違いではないか。なぜならば、長官がいま言われる、なぜ一体ベトナムに直接日本から作戦行動をやる、こう言ったら認めないと言うか。それはそういった条約外の国際紛争に日本が巻き込まれることについて好ましくないから、これに私は尽きると思う。違いますか。おそらく長官の言っておられることはそうだと思う。だとすると、エンタープライズベトナムに行くのである限りは、条約上の義務をこえたところに行くのである。そこで戦争する。確かに緊切な関係はある。地域が続いているのですから、ある。あるけれども、日本立場というものは、いま一番とらなければならないのは、いかにして国際紛争に巻き込まれないかということだと私は思う。ここにおいておそらく長官と私の立場が違ってくると思うのだけれども、だとすると、エンタープライズをこの時期に日本寄港を認めたということ、これ自体が先ほどおっしゃっている筋からすると、どうもそこまで積極的に受け入れなければならぬものであるかどうかについてつじつまが合わないことになる。質問趣旨はおわかりいただけたんではないかと思うので、その辺のところを長官に承りたいと思います。
  162. 増田甲子七

    増田国務大臣 ベトナムエンタープライズが行くかどうか、大体行くようなふうに政府側も政府委員も答えておりますが、これはおそらく想像上そういうふうに大体なるであろうということを言っておりますが、防衛庁としてはこれはよくわかりません。あるいはグアムに行くかもわかりません。沖縄に行くかもわかりません。ハワイへ引き返すかもわかりませんけれども、要するに、私は、よくわからないというのが一番責任ある答弁じゃないかと思います。  それからその次に、外務省政府委員お答えしておるのは、かりにベトナムのほうへ参りましても、作戦行動というのは、具体的に作戦をいたすそのときから作戦行動に移るのであって、横須賀あるいは佐世保の基地を補給基地といたしたり補修基地といたしたり、あるいは兵たん基地といたしたり休養基地といたしたりすることは、日本の基地における施設並びに区域を発進地とした作戦行動であるというふうには考えていないということを外務省政府委員がよく答えておりますが、私もそういう考えでございます。
  163. 大出俊

    大出委員 二つに分けて承りたい。  基地の問題で一つ。ここに戦時国際法の解釈があります。戦時国際法という意味で、何人かの先生の国際法の教科書を読んでみると、「たとえ中立国の領域であっても、交戦国のいずれか一方の軍事基地となり、戦争のために使用される場合には、その範囲内において交戦区域になり、戦闘が行なわれても国際法上文句が言えないことになっているのである。」したがって、アメリカが極東のどこかで戦争する場合に、わが国が基地として使用されることになると、その限りにおいてわが国は交戦区域になり、全く戦争の圏外に立つということは許されなくなる、これは法律上の解釈です。こんな大きなものをあげましたが、これはほかの学者も何人も同じ解釈です。通説だそうであります。  そこで、問題になるのは、ここで言うところの、つまりいま長官の言った――二つに分けると申し上げたのは、あなたの頭の中で答えておられる中に、直接軍事基地という種類の言い方をする。つまり、直接作戦行動に行く、それから兵員補給休養というものが何か別にある、こういうふうにお考えになって言っておられるけれども、そこのところをそうならそうでひとつはっきりしてください。
  164. 増田甲子七

    増田国務大臣 私はそういうふうに考えております。たとえば日露戦争のときに、カムラン湾をフランスが提供し、あるいはマダガスカルをパルテック艦隊に提供しましたが、パルテック艦隊寄港いたしまして二週間もおりましたカムラン湾は、作戦区域に入ったというふうに私は考えていないのでございます。
  165. 大出俊

    大出委員 そうすると、長官がいつもおっしゃるように、いろいろなことを予測しなければ防衛は成り立たないわけですね。将来あるべきこと、こういう攻撃があるかもしれない、あるいはこういう脅かされるケースがあるかもしれないということが想定をされて防衛というものが成り立つとなりますと、先ほど来の論議の中にありますように、いまわからぬとおっしゃるのだからわからぬという前提でものを言って、もしもエンタープライズ号が直接作戦行動といわれるような形でベトナムに出かけて戦争をやった、こうなると、日本はいま長官が言われるカムラン湾のほうじゃないところの直接軍事基地、こういう解釈になると思うのでありますが、そこのところは、もしもエンタープライズが直接作戦行動日本の基地から行くとなりますと、エンタープライズなどはもう軍艦でありますから、これは直接軍事基地、つまり、中立国の圏外に立つことはできなくなる、日本の基地施設や基地が戦闘区域であるという認定をされるのもいたしかたがない、こういう解釈になるわけですな。
  166. 増田甲子七

    増田国務大臣 詳しいことは国際関係条約局長お答えすると思います。  まず、航空母艦について言いますと、従来の政府側の答弁は、航空母艦から発進して作戦行動に出たとき、そのときが作戦行動航空母艦が入ったときである、こういうふうに解釈しているわけでございます。
  167. 大出俊

    大出委員 これは藤崎さんがかわっちゃって、佐藤さん、いまあなたに言うのは恐縮ですが、私が前にこの席で質問した。外務省東郷さんもみんなおられた。管理しているんじゃないからアメリカの艦船がどこへ行くかわからないとおっしゃるから、私が、それは日本からヤンキーステーションに行って戦争することがあるんじゃないかと言ったら、それはあるかもしらぬ。ヤンキーステーションとなると一体何に該当するんだ、事前協議の中の直接戦闘行動になりはせぬかと言ったら、答えていわく、エンタープライズ航空母艦でございますから、飛行機を載っけて運んで行きます。ヤンキーステーションまで運んでいって、そこから飛行機が飛んでいく、飛んでいった飛行機が爆撃するから、これは戦闘作戦行動でしょう、しかし、その飛行機がある発進基地がエンタープライズの甲板でございます。こう藤崎さんが答えられた。それは三百代言だと言ったら、聞いている記者の方は笑った。そこで、それは一体どこにそういう根拠があるのかと聞いたら、それは安保のときの通説だと答弁をされたから、じゃその資料に基づいて答えてくれと言ったら、資料がない。ないから、私は調べてみると、さっきちょっと申し上げたように、そんな答弁はしてないのです。つまり、船のほうの質問というものはほとんどないのですよ。安保のときには空、陸ばかりで、そういう世の中だった。ただ一つあるのは、戸叶里子さんが外務委員会質問されたのがある。それには私が言ったのと同じような答えがある。それはもっとずっとあとのことです。三十五年当時のことじゃない。藤崎さんがいれば、あなたはまさに三百代言じゃないかと言えるが、かわられたからやめるけれども、もし藤崎論法でいえば、じゃボンバー、爆撃機なるものが弾倉に爆弾積んで行って落としてくる、こんなことは戦闘行為じゃないかと言ったら、爆弾載っけて運ぶだけなんだ、おっことすところまで運ぶだけで、そこから爆弾が落ちていく、それを運ぶ飛行機の発進基地になるのは航空母艦だ。そうでしょう。そういうばかげたことは世の中でなかなか通らぬですよ。いわんや長官、あなた藤崎論法でそんなことを言ったけれども、藤崎論法の出典なんか、調べてみると安保のときにはない。おっしゃるようなのはそれからずっとあとの戸叶里子さんの質問のときに答えているのです。だから、じゃ的確に安保のときのものを出せと言ったらない。そういうものの解釈だから困る。これは私はここで明確に指摘しておきますよ。そう簡単に藤崎流をとって、藤崎流を増田流にすりかえたって通用しない。それはだめです。  そこで、さっきの質問に返って答えてくださいよ。直接日本からエンタープライズが戦闘作戦行動といわれるケースで行ったとしたら、防衛は予測の上に成り立つんだから、そうすると、それは軍事基地か、あなたが言っている二つのうちの一つかと、こう聞いているわけですよ。
  168. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は別に藤崎流で言っているのじゃなくて、従来答えておることが、やはりここで答えていることは公の答えでございますから、その答えを踏襲したまでのことでございます。
  169. 大出俊

    大出委員 答えを踏襲したと言われるけれども、答えていないんじゃないですか。そうすると、航空母艦というものは、日本の基地から直接どこかへ出かけていったって、母艦である限りは戦闘作戦行動ではないとおっしゃるのですか。
  170. 増田甲子七

    増田国務大臣 ベトナムのことを考えられていろいろおっしゃるようでございまするが、航空母艦というものは、原子力推進のものは非常に長いのですから、世界を二十周もするのですから、どこから発進したからと、そこをとがめられてもやりきれないんじゃないかと私は思います。
  171. 大出俊

    大出委員 そこをごまかしちゃいけないのですよ。それはいまから沖縄に行って、あるいはフィリピンのスビック湾に行くのかもしれない。なぜならば、私はいろいろ考えている。ロングビーチもついていない。ロングビーチやペインブリッジはいつもついてタロスを積んでいるから、ついていなくちゃ困る。そうすると、ロングビーチはスビック湾くらいで待っているかもしれない。そうすると、あなたの言うように、いきなり行かないかもしれない。わからないですよ。ただしかし、午前中の質問で、外務省の皆さんから、東郷さんのほうから、ベトナムに行くという答弁があった。これは推定ですが、そういう推定をされておる。だから、その推定の上で午前中論議があった。あなたは用心されておるようだが、それはもう済んでいる。確言をしたのだからいい。新聞にそう載るのだから、いいです。そんなことは防衛庁長官が一生懸命外務省答弁を否定しなくてもいいです。午前中済んじゃってみんな帰っちゃった。だからそれはそれでいいです。東郷北米局長が、ベトナムエンタープライズが行く、これは推定だけれども、行くと言った。そう言っているのだからいい。それは済んだ。あなたは用心して、どこへ行くかわかりません、防衛庁の立場でおっしゃった。外務省立場では、推定で行くと言った。防衛庁の立場でさっき言った。防衛庁の立場では、どこへ行くかわからぬと言っている。だから、どっちかわからぬが、ベトナムに行くのだといったような場合に、日本の基地というものはどっちになるのですかと聞いている。日本からトンキン湾のヤンキーステーションに出かけていった場合に、日本の基地の国際法上の解釈は一体どっちになるのですか、あなたは二つ分けられたのだから。
  172. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は、国際法の学説というのは、またよく前後を読まないとそれはわかりませんが、ちょっとあらゆるところで発進すれば、そこが基地になって、そこが作戦地域になるというようなお説が通説だとは考えられません。ことに航空母艦については、従来政府も答えております。すなわち、航空母艦から戦闘機等が発進した場合には、その航空母艦が作戦行動に入った。航空母艦が基地だと言っているわけじゃない。その航空母艦が作戦行動に入ったのだ、それまでは横須賀なり佐世保なりを使いましても、それは補給基地である、補修基地である、兵たん基地である、休養基地である、こういうふうに考えております。
  173. 大出俊

    大出委員 けさの新聞にも出ておりますように、日本ベトナム戦争の背後基地であるということである限りは、中国もベトナム戦争の北のほうの側の背後基地である、こういうところから始まって中国の発表が載っております。あなたはいろいろ言われるけれども、そういう国際法的な解釈でいけば、日本がだんだん積極的にベトナム戦争への協力姿勢を強めていく。基地の性格がますます強くなっていく。これは法律解釈ですから、いろいろ意見の相違も争いもありましょうが、通説もある。そうすると、エンタープライズ日本への寄港というのは、それが推定であるとおりベトナムへ行くのである限りは、ますますもってベトナム戦争への協力姿勢を強める、基地のウエートが高まる、こうなってくるわけですね。そうすると、やがて中立――いまもそうかもしれない。中立的な立場というものは成り立たない、日本の場合に。これはもうすでに、かつて椎名さんもそう言った。私の質問で、全く中立というわけではございませんと言った。そういう頭があるから、あなただってそう言った。それはなぜかといえば、背後基地に間違いないからだ。私はそこが焦点だと思うのですね、今日の混乱の。ベトナム戦争に日本から出かけていく。前二回もすでにヤンキーステーションから爆撃してきているエンタープライズ、これが出かけていく。これはアメリカの威力の象徴なんです。しかも集中的な核戦力が発揮できる船なんです。エンタープライズについては私はあとから論議します。だから、それが日本に来るということに――あるいは佐藤さんが国会等で核アレルギーの治療であるとか言う。湯川秀樹さんに言わせれば、逆にそれが正しい核感覚だと言っている。それを失うようでは困ると言っている。そこに焦点一つある。あるけれども、しかし、そのことは、次にポラリスがそのうちに入ってくる。成田質問のときに、私も予算委員会におりましたけれども、どうしても総理はそこだけは答えない。小笠原は、核兵器があるとすればどけてもらう。じゃ一体沖縄はと言ったら、それは言えない、とうとう言えないと言う。川崎君の質問に、いま私が沖縄核つき自由使用だなんて言ったらたいへんなことになるでしょうなと答弁された。そうでしょう。そうだとすれば、やがてこれはポラリスになり、さて核つき自由使用に沖縄がなっていくという方向へ進んでいく筋合いだというものの考え方を相当なたくさんの方々がしたとしても、特に若い世代に強くそれが響いたとしても、ふしぎはない。だから、それがいけないというならば、あなたが言うように、私の家族も不認識だったなんて、核基地と原子力推進の船は違うのだと幾らここで言ってみたって、あなたは避けて通ろうとするけれども、ポイントが違うのだから受け取れない。だから、ベトナムにやがて行くのだとするならば、それはほんとういえば入れないというのがたてまえです。事前協議じゃどうしても言ってこないというなら、随時協議、四条をつかまえたってものを言うべきだ。あなた方言わない。また、ここで質問しても答えない。なおのこと、万国旗か何か張っちゃってお祝いをやるのだとあなた答弁するのだから。そういうばかなことを――記者の皆さんにも来て見てもらう、国会議員にも行ってもらう、そういうことを言った。増田さん相当御年輩になったから、とぼけるのもうまくなったので、適当なことを言うということでいよいよもってあぶないということになる。だから、あなたもナショナルコンセンサスをお求めになるならば、もうちょっとそこのところに意を使っていただかないと困る、こう私は思うのですが、そう受け取られることについて各紙に書き方を変えてもらうなんといったって、それができますか。
  174. 増田甲子七

    増田国務大臣 大出さんも、私の言わないことまでおっしゃっちゃ困る。私は万国旗なんて何も言いやしません。プレスの方を招待をして、そうして原子力推進航空母艦を見てもらうのだ。見てもらうということは、軍人の休養と兵たんの補給以外に意義があるであろう。大体休養と生鮮食料ばかりじゃなかろうと言いますから、私もいろいろ苦労しまして、そして船田先生以下をまたきょうも呼んでいらっしゃるわけで、これはやっぱり百聞は一見にしかずというわけで、見たほうが、あなたも相当兵器のことも調べていらっしゃいますけれども、調べないときよりは調べたほうが有益なんです。そういう意味でございまして、万国旗を張ってどうこうということは言いやしませんから、それはお取り消しを願いたい。  それから、日本アメリカと友好関係である、だから、何らかの関係でわれわれが純中立的立場ではないということを椎名さんが言ったとすれば、それは私も認めます。日本は昔のことばで言えばアメリカと軍事同盟の関係にあるのです。ただし、守ってもらうだけで、いわゆる相互安全保障条約ではないのです。ただ、作戦基地として、極東を守る場合に日本の基地としての施設並びに区域を使う場合には事前協議の対象になる。また、そういう場合に備えて日本の基地がアメリカの軍事基地になるのである。その範囲だけで、大体において片務的なものでございます。片務的であるということにおいては、アメリカの国会においても大問題になっているくらいでございまして、しかしながら、一種の軍事同盟である。そういう意味合いにおきまして友邦でございます。その友邦が南ベトナム政府に頼まれまして、北ベトナム政府軍の侵略に対するリアクションとして北爆をしておる。そのことにつきまして、われわれは何しろ早く紛争をやめてほしい。いろんな方式もございまするが、三木方式というのもございまするが、私は私なりに、北ベトナムが使節を派遣しておる各国がございます。たとえばラオスなんかそうでございますが、そこに日本の使節もまた行っております。その使節同士が連絡をしてそうして話をするほうがよかろうということをしばしば三木外務大臣にも話をしているわけでございまして、何もポーランドだけで会うのがただ一つの拠点ではない。そういうところがたくさんあるわけでございまするから、われわれが一生懸命考えておるのは、早く紛争が停止されて、しかも世界じゅうに軍国主義的な膨張主義がないようにいたしたい。つまり、平和が招来されること、どこからも侵略というものがないようにいたしたい。  それから、佐藤さんを特別弁護するというわけじゃありませんが、ジョンソン・佐藤会談においてアメリカ立場を支持したというのは、アメリカが早くベトナム紛争を平和裏に解決したいというアメリカ立場を支持したと、こう書いてあるわけでございまして、日本は純中立とはいえないかもしれませんけれども、しかし、世界平和のために非常に苦心をしておるということは大出さんもお認め願いたいと思います。
  175. 大出俊

    大出委員 万国旗の件は、私のミスでございますから取り消します。いま聞いてみたら、万国旗じゃなくて、飛行機だそうで、私向こうで聞いておりましたから、万のほうと飛のほうと、あとのほうは「キ」ですから一緒になりましたが、なかなかさっき景気のいい話なんで、どうもこれは満艦飾でもしてお祭りでもやるのかと思って聞いたんですけれども、飛行機だそうでございますから、飛行機に訂正いたします。  ところで、相互保障方式などと三木さんが言っているいまの時点で、あるいはベトナム戦争問題のまじめな解決の方向を求めようとする努力、これはいかなる立場にある国であっても努力をすべきだと私は思うのでありますが、そういう時点だからなおさらのこと、これは記者の方々が大阪で三木さんに質問をされております。けさの新聞に出ておりますが、そういう時期に、ますますもっておかしいじゃないかと質問したら、それとこれとは別だとか答えているけれども、しかし、国民の側から見れば、それは見えない。てっぺんのほうで、政府の要路の方々がそういうことを言っているときに、片方のほうは、エンタープライズが入ってきて、世の中にあれだけ大きな騒ぎを起こしている。ああいうふうに言っているけれども、ますますもってこれはどうもおかしいじゃないかなどということになりかねない。それだけに私は、いまから言ってもしかたがないけれども、なぜ一体こういう時期に入れたのかということについて、各紙が述べておりますような疑惑はなお深まるばかりであって、国民的な合意を求めようとする立場とは逆になっていくというふうに私どもは考えているわけであります。もっと慎重に、このエンタープライズの問題は、政治的に、冒頭に言いましたように、いろいろありますけれども、もっと時間をかけて国内的な各種の論議が必要であったのではないか、こう考えておるわけでございます。  ただ、しかし、いまの点で明らかになりましたのは、極東の範囲との関係で、ベトナムは緊切な関係にはあるが、その周辺である、だから、日本を戦闘作戦行動の基地にするのであれば、これは断わる、こう言っておるわけです。だから、残る問題は、エンタープライズ日本から直接ベトナムに行くことが戦闘作戦行動の範疇に入るのか入らないのかという問題が残っている、これはあなたと私の意見の分かれるところである、こういうことであります。  次に、核との関係について数点承りたいのであります。  核を持ち込まない、こういうのであります。そう言ったというのでありますけれども、これは、いつ、どこで、どういうことで、アメリカの側から皆さんのほうに、核は搭載していない、持ち込まないということを、このエンタープライズ寄港について明らかにしたのですか。
  176. 東郷文彦

    東郷政府委員 十月二十日の本件に関しますアメリカ側とのエードメモアールの中に、事前協議に関する事項に関しては米国政府日本政府の意に反して何もしない、これが本件に関します、核問題に対するアメリカ側の公式の意思表示でございます。
  177. 大出俊

    大出委員 そうしますと、それは、先ほど増田長官がしきりに核は持ち込まないと言ったというのだけれども、それは何も珍しいことじゃないのですね。いまの点は、「合衆国原子力軍艦寄港問題関係資料」、四十二年十一月二十九日、原子力局、ここに全部ある。原子力潜水艦の来た三十九年当時のことから全部ある。しかも三十九年、ここで私は質問を申し上げている。あのときの、つまり資料もここにありますが、それと変わったものじゃないですね。別に一つも変わってない。同じことを繰り返しているだけ。つまり、ここでいっておりますのは、日本政府の意に反することをしないということだけなんですね。一つは前に共同コミュニケの形で出ていますね。これは一九六〇年一月十九日付の日米共同コミュニケに述べられているのですね。この中で、日本政府の意思に反して行動する意図はない。意図はないというこのことを皆さんが解釈をして、それは核兵器は持ち込まないということなんです、と言っているわけです。私は、直接この条文について、原潜寄港のときに、この席で質問をした。たしか防衛庁長官は小泉さん、愛知さんが科学技術庁の長官だったと思います。椎名さんが外務大臣。私はここで質問した。そのときに、そう答えているわけです。そうすると、明文で核兵器を持ち込まないという文章をよこしたわけではない。日本政府の意に反するようなことはしないということ。もう一ぺん確認したいのですが、長官、あなたはさっき核兵器は持ち込まないと言うんだけれども、書いたものをよこしたのか。それとも日本政府の意に反する行動はしないという文章をよこしたのか、エードメモワールなのか、そこを明らかにしてください。
  178. 増田甲子七

    増田国務大臣 外務省から答えたほうが適当と思いますが、私は日米安全保障協議委員会等にしばしば出ております。そういうときには核の三原則等の話を持ち出しております。ということで、日本政府の意図に反しないということは、日本政府の核の三原則を十分了解しておるという前提である、こう考えておるわけでございます。砕いて言えば、こまかに言えばそういうことでございます。
  179. 大出俊

    大出委員 そうすると、アメリカのほうは、日本政府の意図に反することはしないということを言っているだけと解釈をしなければなりません。その点は確認をされたとおりであります。  ところで、心配はますますつのるわけでありますが、一月十七日の東京新聞の夕刊、ワシントン十六日発、これは森田特派員が書いておりますが、「米国務省当局者は十五日、今週末に入港が迫っている空母エンタープライズなど、米原子力艦隊佐世保寄港について非公式に「近く入港する艦艇の安全性はこれまで入港した原子力潜水艦同様に心配はなく、反対勢力との衝突事故の可能性については、日本政府警察の努力で未然に防止されることを望む」と言明した。同当局者はまたこれらの艦艇が原子炉装置のほか、核兵器を積載しているかとの質問にたいし「米政府が公式に発表する以外にいうことはない」と回答を避け」たという。同じなんですね。あなたもさっき核兵器は持ち込まないといったと言うのだけれども、日本政府の意に反することをしないと言ったにすぎない。直接核兵器は持ち込まないのかという質問に対しては、ここでも回答を避けたいという。そうでしょう。そうすると、これは疑うわけではないが、佐藤さんはああ言っているけれども、やがて三年もたったら、いい潮どきだ、沖縄は核つき自由使用、こう疑えばきりがないけれども、それが日本のほんとうの腹だということになると、日本政府の意に反するととはしないといっても、日本政府のほんとうの意のほうは、いいじゃないか、そろそろといった考えがあっては事だから。そうでしょう。だから、ことば、文字づらだけではうまくないと言っておる。そう疑う人もなきにしもあらず。だとすると、核兵器は持ち込まないというのではなくて、日本政府の意に反することはしない、こう言っているのですね。だから、出先の記者の方々がずばり核兵器はどうなんだと言ったら、答弁を避けた。こうなると、どうも気になる点がたくさん出てくるわけなんですが、そこらのところはどうなんですか。皆さんのほうで、日本政府の意に反することはしないとアメリカさんに言うておると言うけれども、核兵器は持ち込まないということをちゃんと書いてよこせと言ったことはないのですか。
  180. 東郷文彦

    東郷政府委員 米国政府は、現実に核弾頭をどこに置いてあるかということは一切発表いたしません。したがって、いまの新聞から御引用になりましたような問答は、おそらくそのとおりだったのだろうと思います。  事前協議の問題に関しましては、先ほども申し上げましたように、交渉の経緯、当時の了解からいたしまして、装備における重大な変更というのは、核弾頭、長距離ミサイルの持ち込み、基地の建設、こういうことであるという点は、全く疑いもなく了解されておるわけでございまして、先ほど申し上げました十月のエードメモワールに関しましても、事前協議にかかわる事項につきましては、日本政府の意に反して行動することはしない、それが向こうの表現の形でございまして、いま申しましたように、核兵器、核弾頭の配置については一切発表しないということ、並びにこの事前協議の文章に関する了解、このような両方の点からしまして、米国政府の公式の立場はエードメモワールにありますような表現になるわけであります。
  181. 大出俊

    大出委員 したがって、そのいまの答弁は、直接に核兵器の持ち込みはしないなどということを明らかに書いて日本政府のほうに外交文書でよこせと言ったことはありますかと私は言ったのですが、そういうことはないのだというのですね。つまり、アメリカのほうの表現としては、日本政府の意に反することはしない、これが外交的な文章の使い方である、こういうことになるということなんですね。ちょっとくどいようで恐縮だけれども……。
  182. 東郷文彦

    東郷政府委員 その核兵器の問題は、当然今回も問題になることでございまして、そういう問題に対する米国の回答の表現はエードメモワールのような形になって、すなわち、これは搭載しておらぬ、実質はそういう意味になるわけでございます。
  183. 大出俊

    大出委員 なかなかそこのところが歯切れが悪いというか、どうも私は外交官育ちでないのでわかりませんが、ずばり記者が聞いたら、積んでないくらいなことは言って、ほんとうに積んでないなら積んでないということを言ったらいいじゃないかということになる。世間一般の常識からいったらそうでしょう。そうしたら、エードメモワールも、現在質問するなと言わんばかりのことで質問を拒否するとなると、これは常識からいくとどうもおかしいじゃないかということになる。そこで私は質問したのだけれども、どうもこれは明らかにならないという結論なんです。  そこで、ジェーン年鑑、つまり一番新しい号、そう、いまから二週間ぐらい前に日本にきたもので、トラクストンなどずっと載っておりますが、いろいろ装備を調べてみました。この中でエンタープライズのほうから申しますと、その中に積んである皆さんの言われる核、非核両用兵器、それからトラクストンのほうに積んであるこれまた核、非核両用兵器、こういう中身があるわけでありますが、ここで、トラクストンのほうでいう対潜ミサイル、アスロックがますあります。それから艦対空ミサイル、テリアがありますね。テリアを私はずっと調べてみましたが、テリアの改装型というのは核、非核両用兵器でございます。古い型は非核兵器であったわけであります。したがって、艦対空ミサイル、テリア、これも今日核、非核両用兵器であります。それからアスロック、これは大体八連装のアスロックだろうと思いますが、これも核、非核兼用の兵器である、こういうことになるのでありますが、搭載している。これらの点について、艦載機を除きまして、皆さんのほうはどういうものがあるというように受け取っておりますか。
  184. 島田豊

    島田(豊)政府委員 私どもの出典もジェーン年鑑で、おそらく先生の御認識と一緒だろうと思いますが、エンタープライズにおきましては艦対空ミサイルその他ミサイルを積んでおりません。航空機を八十機ないし百機積んでおります。それからトラクストンにつきましては、艦対空ミサイルのテリアを積んでおります。それからアスロックを積んでおります。このテリアがはたして改良テリアであるかどうかということについては、私ども正確な知識は持っておりません。従来からテリアは非核といわれておりましたけれども、改良テリアの中には両用のものがあるということでございます。
  185. 大出俊

    大出委員 改良テリアの中には核、非核両用のものがあるということをお認めになっておるわけですね、弾頭を積んでおる、積んでないということは別にいたしまして。  それから、飛行機のほうでございますけれども、この中身をいろいろ私も前からおりに触れて調べてまいりまして、第百二戦闘機中隊というのがますありますね。これがさつき長官が口にされておったF4Bファントム、これが十六機以上、こうなっておりますね。これは母艦防衛の迎撃機部隊、こういう注釈がついております。北ベトナムの爆撃の際に護衛戦闘機として使われる、こういうわけですね。それから第三十二戦闘機中隊、こういうのがあります。これは音速の二倍に近いスピードのF8Uクルーセーダー十六機、これも十六機以上ですね。これは護衛戦闘機中隊ですね。それからA4Eスカイレーダー、これは中心機ですね、六十四、六十六、六十七攻撃中隊に所属いたしますから。あともう一つ、第七重攻撃中隊、これがA5ビジランティーといわれている海軍機であります。  ここでまず長官に一つ承っておきたいのは、長官はかつて私の質問に答えて、アメリカの海軍機には核装備は一切ないのだと言っております。どこで言っておるのだと聞いたらはっきりしない。その後、私八方手を尽くして聞いたけれども、どこにもアメリカがそう言っておるという証拠はない、これが私の調べた結論であります。したがって、ここでもう一ぺんアメリカの海軍機は核装備はしていないというその根拠をお知らせ願いたい。
  186. 増田甲子七

    増田国務大臣 私はちょっとそのことの記憶はございませんが、アメリカの海軍の飛行機に核装備はないということを言ったとすれば、それは取り消します。核の爆弾も搭載し得るし、それから非核の爆弾も搭載し得る、こういうことでございます。
  187. 大出俊

    大出委員 このA5ビジランティーについて、当時島田防衛局長は――いまは官房長になりましたが、そのお答えによりますと、これは偵察機であるという。その後、これはいろいろ調べてみました。みましたが、やはり特殊弾倉を装着していることに間違いない。ただ、常時これを必要としないので、偵察用任務をときにあわせ持たせているという程度であります。だから、エンタープライズの攻撃隊編成としては第七重攻撃中隊に入る。これは間違いない。偵察隊ではない。これは明らかです。いろいろ調べてみました。そうなると、A5ビジランティーといわれるもの、これも明らかに核搭載可能な飛行機であるということになる。この点、島田さんどうですか、今日防衛局長じゃないので申しわけないけれども。
  188. 島田豊

    島田(豊)政府委員 A5Aビジランティーにつきましては、核装備可能の飛行機でございましたが、その後改装せられまして、現在ではRA5Cという形で主として偵察に使う、こういうことでございます。これは先生御指摘のとおりに、核装着のできる装置を持っておりますので、有事におきましてはこれが核を装置いたしまして行動するということはあり得ると思います。ただ、現在のこの時点におきましては、Rとしての、リコネイサンスとしての使用をしております。
  189. 大出俊

    大出委員 スカイレーダーなんかの場合は、ここに書いてありますけれども、これでいきますと、これは去年の四月号ですから、一昨年になりますね、一昨年の六月に、カリブ海でアメリカの海軍が演習をやっておる。その演習の中身というのは、核兵器投下訓練ですね。このときに同じ型の飛行機が模擬原爆を海中に投下したということがアメリカの発表の中に明らかです。したがって、現にこれは核の投下訓練をやっている飛行機ですね、同じ型のものは。したがって、問題は、ここにいまあげました幾つかの飛行機のほとんどが核装着ができる飛行機である、こういうことが言える。さっき長官もちょっと口にしておりましたが……。となりますと、これはテリアも改装型がある。これも核、非核両用である。アスロック、対潜魚雷――八連装だと思いますが、これも同様である。特にアスロックというものは、これは調べてみると、核のほうが重点ですね。ただ、それだけではもったいないから、非核のほうも使えるということになっているけれども、重点は核のほうにある。これは理由がある。  そこで、私は、今日皆さんに承りたいのは、もう時間がないので、一々質問してということでなくて、まとめてものを言いますけれども、サブロック論争のときに石橋さんと私と分けて質問をした。ところが、防衛庁長官はじめ皆さんは、一生懸命核、非核両用だ、核、非核両用だと言って否定して、今日日本に入ってくる攻撃型原子力潜水艦が積んでくるのは通常弾頭なんだ、通常火薬なんだと言っていた。ところが、石橋委員がずっと詰めていきまして、ソビエトのウラジオストックにある百隻からの潜水艦の中に二十隻前後の原子力潜水艦があることを認めるかと言ったら、認める。それはどうできているかわかるか、少なくとも二重甲板型になっておって相当大きなものではないのか、そうすると、これは通常兵器で、爆雷を落としたとしても一体どれだけの影響があるのかというところまでいった。そうしたら、海原さんが当時防衛局長で、立ち上がって、サブロック、サブマリンロケットなるものは核爆雷でございます。核爆雷オンリーでございますということを言った。これはその前の年の十二月にアメリカ海軍が発表しているのですよ。そこまで言おうという道順で進んでいったら、言わない先に言ってしまった。あなた方のほうは協議をされて、核爆雷オンリーだということを明らかにされた。そうでしょう。そうすると、この攻撃型潜水艦が積んでいるとすれば、これは核爆雷なんです。だから、原潜スヌークだのあるいはスキップジャックなど、入ってくるやつは今日は積んでないということになっておる。積んでいたとすれば、これは全部核爆雷なんだから。そうでしょう。そうすると、今日、米ソ戦争が起こるわけでもなければ米中戦争が起こるわけでもない。ベトナム戦争でそういうことが起こるはずはないと言い切るならば、攻撃型潜水艦のサブマリンロケットなるものは通常爆雷だと言っていいのだ。そんなものは積んでいたっていいのだ。そうではなくて、常時核爆雷を積んで日本の周辺を動いているという事実、津軽海峡、宗谷海峡、対馬海峡を任務として働いているという事実。そうだとすると、アスロックならアスロックというものは、八連装で対潜水艦戦争をやるのですよ。そのときに、二、三十隻の原子力潜水艦があり、これが出てきたという場合、通常火薬では全く損傷をこうむらない。したがって、船腹のどこか知らぬが、あるいはどこか上のほうか知らぬけれども、核の用意などがないということは、八連装のアスロックが核を使用する用意がないということは、常識で考えるほうがおかしい。あると考えることが常識なんです。そうでなければつじつまが合わないでしょう。攻撃型潜水艦のサブロックを見てごらんなさい。そうでしょう。それをそう簡単にあなた方のほうで、核は搭載しておりませんと言うたからといって、その言い方を、日本政府の意に反するようなことをしないと言うたからといって、それでいいといって済ましておられる根拠を私は知りたい。
  190. 島田豊

    島田(豊)政府委員 米軍におきましては、核兵器の管理ということにつきましては、きわめて慎重を期しておるわけでございます。これは西独におきます核戦略の運用等を見ましても同様でございまして、ただ推測されますのは、米大陸に展開しておりますミニットマンその他のICBM、それからポラリス潜水艦、それから常時対空警戒をやっております若干のB52、これは核装備をしておるものじゃないかということを一応われわれ推定いたしておりますが、それ以外の場合につきまして、おそらく非常に厳重な管理統制をやっておるというふうに考えますので、平時の行動におきまして、そういう装置可能ではありましても、現に核兵器を装着しているということはちょっと考えられないというふうにわれわれは考えております。
  191. 大出俊

    大出委員 確認をしておきたいのですが、ポラリスは核兵器を間違いなく持ち得る。ミサイルA3かA2か知りませんが、積んでいる。ミニットマンなるものは一千発といわれるものを積んでいる。タイタン2型、おそらく五十六くらいあるのですが、これも積んでいるのは間違いない。それから、いまB52は六百機ならば、半分は向こうへ行っている。これは積んでいる。こうなる。そうすると、核用意が全部整っているわけで、限定戦争のときに集中的核戦力を持つからこそ、これが示威行動の矢面に立てられるエンタープライズです。日本佐世保に入ってきたことについては、ソビエトもものを言っているし、中国もものを言っている。各新聞がみな書いている。それはなぜかというと――しかも皆さんの自衛隊の制服幹部諸君が言っている。名前があがっていないからしかたがないけれども、何を言っているかというと、朝鮮の三十八度線紛争がある、台湾の金門、馬祖、いま下火だけれども、やっぱりある。そうでしょう。中国の核実験がある。そうすると、エンタープライズは集中的核戦力を持っている。だから、極東の各地域に対する、台湾なり韓国なり同盟地域に対する安定感、向こうに対する示威ということが一つある。理由なき入港といわれる入港目的の中にそれがある。しかもベトナムのヤンキーステーションで動いている空母のうち、攻撃に参加しているのは常に三隻です。残りは参加していない。なぜ参加していないか。核戦力を備えて米中戦争という形のもの、これは中国国境を攻撃している、あるいはラオス、カンボジアまで攻撃しているのだから、米中戦争の危険がある。その場合には、ここに集中的に核戦力を持っているエンタープライズがいるのですよ。こうなっているのは常識じゃないですか。現地の新聞記者の方が書いている。この中に詳細に書いてある。そういう世の中に、皆さんのほうで、いまあなたの認めているB52は常時積んでいる。ミニットマンが控えている。ポラリスが常時控えている。そういう中でエンタープライズは何のためにつくったかという目的がある。ヤンキーステーションに行く目的を持っている。だからこそ、事前潜水艦特殊攻撃部隊が全部掃海をして、敵の潜水艦全部調べてから動くでしょう。佐世保に入ってくるときもそれをやるでしょう。そうなると、それに核装備あるいは核用意がないと考えておられるというその根拠がわからぬと私は申し上げておる。
  192. 島田豊

    島田(豊)政府委員 先ほどB52につきまして、私、一部の飛行機が核を搭載していると推定されると申し上げましたが、これは御承知のとおりに、一部に対空警戒をやっているB52のことを言っておるのでありまして、グアムにおりますB52が装着しているとは考えられない。ことにベトナム戦争におきまして、マクナマラ長官あるいは国防総省、あるいはラスク長官がしばしば国会等において証言しておられますが、その中には、ベトナム戦争において核使用をする必要がないのだということを非常に強調しておられるのでございます。そういう現在の段階におきまして、核使用の必要がない場合、こういう統制管理が非常にむずかしい核兵器を第七艦隊の航空機なりあるいはミサイルなりが装着しているということはちょっと考えられない。グアムにおりますB52は、もちろん核攻撃をやったということは一ぺんもございませんし、いまの情勢下におきましては、少なくとも核兵器を装着しているというふうなことは、むしろ考えにくいという判断をわれわれはいたしております。
  193. 大出俊

    大出委員 時間をかけたくありませんから打ち切りますけれども、いまの論議でいきますと、それもやはりそう推測をしたい、あるいはそう推測をする、こういうばくたる御答弁ですね。これはあなたお読みいただくとわかるのですけれども、七百二億ドルか何かに削られた例の本年度のアメリカの予算の中の国防費あの論議の中に出ているのですよ、確かにあなたがおっしゃるように、ベトナム核兵器の使用の必要がないということは。ところが、そのために何もミニットマンや、あるいはB52水爆パトロールや、あるいはポラリス潜水艦が、常時攻撃型潜水艦も含めて核装備しているわけじゃないです。ベトナム戦争は発展段階にあり、エスカレートしてきている。四十四段階あるエスカレート作戦のうち、都市破壊の攻撃段階というものは三十九番目です。それはハーマン・カーンと言う核戦争の敷居ですよ。そうでしょう。どんどんエスカレートしているのですから。米中戦争の予測はブルラン作戦の中に出ています。いまの段階はそういう段階にきている。あの論議の中にありますのは、もしもソビエトが先に攻撃をしたらどうなるか。アメリカの核の用意は、一千発のミニットマンから始まって五分の一残ると明確に言っている。その五分の一が残れば、相手方も、工業地域の三分の一、都市の五分の一、これは完全に破壊ができる。だから抑止力になっているのだと答えている。そうでしょう。そういう核戦略体制の中におけるエンタープライズの位置づけというものは非常に高いものです。だから、アジアなりあるいはソビエトなり中国に対するアメリカが誇る大きな抑止力という意味が出てくるのでしょう。そういうところに寄港目的一つ隠されており、先ほど申し上げたベトナムとの関連、もっと日本ベトナム戦争に協力したという姿が、客観的に出てくることをアメリカが必要とすることはあたりまえなことです。だれが考えたってそうでしょう。日本の側からすれば、佐藤さんの言い分からすれば、核アレルギー治療でもあるのでしょう。やがて沖縄への関連もあるでしょう。世の中がそう受け取るのは、今日の国際情勢からあたりまえなんです。そこに学生諸君行動が出てくるわけでしょう。角材など使ってやったことはけしからぬですよ。だが、その意図するものは、九州大学の関係のない学生だって、デモをやりながら意に感ずるところがあると言っている。そういうところに今日のエンタープライズ入港の問題点がある。そのことをもっとあなた方の立場で掘り下げて――長官に聞きたいのだけれども、掘り下げて国民にものを言うという、そして対話を求めるという努力をしなければ、ナショナルコンセンサスなんというものは生まれてこない。それを一切やろうとしないで、何かといえば上から押っつけてしまうというかっこうでは、ある人の体質であまり威勢つけちゃうから、おまわりまで張り切っちゃうのかもしれない。そういうところを私は申し上げたい。もっとそこのところを国民に言わなければ、国民の皆さんはかみ合う議論をしようにもできないでしょう。島田さん、あなたが幾らそう言ったって私はとらない。そころのところを、長官、最後に、もう少し国民の皆さんに、なぜもっと虚心たんかいにあり得べき姿というものを、事前に説得力を持つものの考え方というものを国民の皆さんに明らかにしないか、こう私は言いたいわけであります。いかがですか。
  194. 増田甲子七

    増田国務大臣 まず、いま官房長がお答えいたしましたが、潜水艦の問題はこれはあと回しにいたしておきます。この航空母艦に搭載しておるファントムとかスカイホークとかあるいはイントルーダーあるいはクルセーダー、スカイレーダー、ビジランティー、それからホークアイとか、それからあとは救難用のヘリコプター等を搭載しておりますが、これらのものは問題ではございません。要するにスカイホーク、イソトルーダー、ビジラソティー、ファントム、これは核を搭載し得るというわけでございます。そのことは、しかしながら、ほかの原子力推進でない航空母艦にも搭載し得る足の短い攻撃用の戦闘機でございます。このことをやはり大出さんに対するお答えを通じて国民皆さまの前に明瞭にしておきたいと思っております。  原子力推進しないほかのたくさんの航空母艦アメリカにございまするが、どの航空母艦も、大体において十メートルから十五メートル、ラソウエーの長い短いの相違はございまするし、搭載機の機数の二、三十機の少ない多いはございまするが、出力もほとんど三十万キロワットで似ております。ほかの普通型の航空母艦も。ただ燃料を補給しなければならぬという点が違います。それから搭載機は少し違いますけれども、とにかく搭載する飛行機は、いま申し上げましたあなたの御存じの、ファントム以下スカイホーク、イントルーター、クルーセーダー、ビジランティー――ビジラントという字が明瞭なとおり、ただ偵察してくるだけでございますから、搭載し得るかもしれませんけれども、ほとんど搭載不可能でしょう。搭載するかどうか、そこはボーダーだと思っております。それらのものは搭載し得るが搭載しておりません。今度のエンタープライズには搭載いたしていない、このことを国民の前に明瞭にいたしたいと思っております。  そこで、全世界にあるアメリカ側の――ほかの国のことは私はよしておきますが、アメリカ側の核兵器というものは現在どういうふうになっておるか。これは二六時中待機の姿勢にあることはもとよりでございます。それはまず第一にICBMでございます。MRBMのほうはあまり力を入れていないのでございます。それからポラリスでございます。ポラリス四十一隻、これは常時七つの海を俳回しておる。そうして一たん事があるときに備えておるのでございましょう。それからB52が核兵器を搭載して、一たん事あるときに備えておる。しかしながら、これは西太平洋においてはございません。グアム島のB52も全然ないのでございます。何もマクナマラの国会における証言をまつまでもなく、核兵器を一発先に使うというようなことをもし民主国家であるアメリカがすれば、もう民主国家の国家組織の根本がくずれてしまう。それから連鎖反応を呼びまして、いろいろどっちがやられた、どっちが生残する、その残った力でどっちがやるというようなことは、これはもう問題にならないのでございまして、世界の破滅であるし、人類の破滅である、文明の没落である、こう考えております。  ただ、B52は北海等に近いところで核兵器を搭載して警戒中で、毎日空中を飛んで歩いておる。これはもう大出さん御存じでございますが、この三つだけでございます。もっともポラリスはポセイドンというもっと有効なものにかえるという説もございまするが、まだそこまでいっておりません。これだけのものでございまして、あとはいまエンタープライズが来ようが、あるいは、トラクストンもこれは原子力推進駆逐艦でございます。このトラクストンのほうをあまり問題にしないのは少しおかしいと思っております。つまり放射能の害があるという点がもしあるとすれば、エンタープライズでもトラクストンでも同じでございまして、この二つは、やはりわれわれは注意、警戒をいたしております。  そこで、先ほど科学技術庁からもお答えしたとおり、放射能測定をいたしておるわけでございます。機械もそれぞれ備えつけてやっております。要するに、蒸気のかわりに、あるいは重油のかわりに原子力を用いているだけなんだということをぜひ全国民にわかっていただきたいと思います。  それから最後に、佐藤総理以下この内閣、またこの内閣をささえる与党におきましては、ベトナム紛争が早く平和的解決をもたらすようにということで一生懸命であるということを申し添えておきます。
  195. 大出俊

    大出委員 最後です。  核兵器の問題は、島田さん先ほど来お答えになっておりますが、防衛局長をおやりの時代からいろいろ論議してきているところですけれども、これはあなたのほうも推測なんですね。私のほうも推測なんです。その限りでは似たようなものです。一生懸命調べてみたけれども、なかなか確たる証拠がない。アメリカも言わないそうなんだから。そうするとこれは両方推測なんです。ただ、その間に何が違うかというと、今日の情勢の分析、把握が違う。だから、当然あることが常識だという私の言い分と、ないのだというあなたのほうの言い分が出てくるだけなんです。その間でアメリカは何を言っているかというと、日本政府の意思に反することはしないと言っている。これだけだ。だから国民の疑惑も消えないということです。だからそこをアメリカにものを言って、もっと明らかにすべきではないか。先ほど私はワシントン特派員の方の記事を引用いたしましたが、そう言ったかもしらぬという東郷さんの話もありましたが、ああいうことを見のがすのじゃなくて、やはりそこのところは日本政府の側から国民にものを言う、そうしないと疑惑が深まる、論議がかみ合わない、こういうことになると私は思う。  とにかく、ことしは明治百年だというので、佐藤さんが国会でしきりに、日米共同声明以降、新しいナショナリズムみたいなことを、国を守る気概だなんということを持ち出すものですから、これは私どもだけでなくて、皆さんの側だって、どうなんだい、これは。しきりに国を守る気概だとか、防衛意識の高揚だとか、灘尾さんみたいに、またああいうことを持ち出すということになると、これは新ナショナリズムの台頭ではないかということになりかねない世の中です。そういうものと符節を合わせて、エンタープライズ――あえてトラクストンと申しましょう。長官、これも危険でしょう。トラクストン、ロングビーチといったって、タロスというようなものもありますから……。だから、そういうものが入ってくる、しかも片方では、三木さんが相互保証方式と言っているさなかに。だから、そうなると、ますますもって問題が出てくるので、そこらのところを、私はくどいようだけれども、真相を明らかにする責任が政府にあるわけですから、時の為政者にあるわけですから、もう少し焦点がはずれないように、ずばり国民の皆さんに言うべきところは言っていただかなければ困る、私はこう思います。  あとのこともありますので、安全性の問題は、前回の経験で政治的に今回はきめさせられたようなことになっている。原子力委員会はたいしたことをやっちゃいない、こう思っておりますから、これは非常に危険であるということだけ申し添えまして終わります。
  196. 三池信

  197. 木原実

    木原(実)委員 今朝来だいぶん長官以下の御答弁を開いたわけですけれども、なお基本的な問題については、だいぶ不確定な要素が多いという新たな不安を持っております。したがいまして、時間もだいぶ経過いたしましたので、簡潔にやりたいと思いますけれども、一体、核兵器というのは何なんですか。どういう範疇の兵器を核兵器と称しておるのですか。その辺からひとつお伺いしたいと思います。
  198. 増田甲子七

    増田国務大臣 あと政府委員から補足させることを前提としてお答えいたします。  まあ、ウラン二三五を主体とする原子核、それに水爆とかあるいはコバルトとかいうものが加わればなお威力は大きくなりますが、その融合反応によるエネルギーを利用して人を殺傷する兵器である、こう考えております。
  199. 木原実

    木原(実)委員 そうしますと、日本が持たないという核兵器もその範疇に入るわけですね。
  200. 増田甲子七

    増田国務大臣 さようでございます。
  201. 木原実

    木原(実)委員 そうしますと、戦闘任務につく水上軍艦、そういうものは一体兵器じゃないのですか。
  202. 増田甲子七

    増田国務大臣 戦闘任務につく軍艦、私どもは護衛艦といっておりますが、そのうちの支援艦なんかはその辺の艪櫂でも行き得ますから、そういうものは別といたしまして、直接戦闘行動に一われわれは防御的の戦闘行動でございますが、その戦闘行動に従事するものは兵器であると考えております。
  203. 木原実

    木原(実)委員 そうしますと、問題のエンタープライズは、軍艦そのものですから、これは兵器ですね。
  204. 増田甲子七

    増田国務大臣 兵器でございます。
  205. 木原実

    木原(実)委員 そうすると、ここには当然二つの問題が出るわけですけれども、その兵器がいわば長官の言われる核によって推進をされておる、核動力を持っておる、こういうことですね。これは、そうすると、ことばの上の問題ですけれども、核の兵器ということに相なりませんかね。
  206. 増田甲子七

    増田国務大臣 原子核の融合反応による強大なるエネルギーを用いて人あるいは物を殺傷する。プロペラやスクリューを回すということじゃないですから、先ほどの定義に完全に除外されるのがエンタープライズ――原子力駆動の航空母艦、その範囲の原子力航空母艦は兵器でございまするが、その原子力核兵器ではないのでございます。
  207. 木原実

    木原(実)委員 そうしますと、推進力は核であっても、これは核兵器と呼ばない、こういうことなんですが、そうしますと、核動力によるあるいは核推進力による水上艦艇、こういうものは、一体、兵器であることは間違いないわけですけれども、核戦力と言い直していいですか。
  208. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本でも、木原さん先ほどいらっしゃいませんときにお答えいたしましたが、原子力商船を現在つくっておるわけでございます。そこで、そういうものは、石炭をたいて蒸気を起こしてスクリューを回すとか、重油をたいてスクリューを回して推進するというようなことと同じで、原子力によって水蒸気を起こして、その水蒸気の前後左右に動く関係で、ちょうど蒸気機関車と同じようにスクリューを回す、これだけのものでございます。
  209. 木原実

    木原(実)委員 その核の利用の範疇のことにつきましては、いろいろあるわけでございますけれども、私のお尋ねしたいのは、エンタープライズは、一面では核の動力だという点、これは確かでございます。このことについては、別に安全性の問題があるわけであります。しかしながら、核推進力を据えることによりまして、たいへん機能の高い兵器になっているということは事実でございますね。その上に、先ほど来質疑応答のありましたいわば非核両用の兵器を積んでおる、こういうことになるわけです。そうしますと、そういうものを積載をしておるエンタープライズ以下の艦艇は、これは広い意味で核戦力だ、こういう判定はできるわけでございますね。
  210. 増田甲子七

    増田国務大臣 それを先ほどだいぶくどく申し上げておるのですが、つまり普通の重油をたく航空母艦と同じ艦載機を載せておる。その艦載機はときに核兵器を搭載し得る。普通搭載しておりませんけれども……。それだけのことでございまして、非常に強力なる核兵器としての原子力航空母艦ということは言えないのでございます。ただ、原子力推進航空母艦であって、石炭力推進航空母艦とちょっと違うというだけのことでございます。
  211. 木原実

    木原(実)委員 私のお伺いをしたいのは――そのことは私もよくわかりました。わかりましたけれども、じゃ別の観点からお伺いしますけれども、非核両用の核兵器であって、核弾頭は現につけていない。しかし、一たん有事の際には核弾頭をつけ得る能力を持っておる兵器である。これは一体核兵器じゃないのですか。
  212. 増田甲子七

    増田国務大臣 これはアスロックとかあるいはターターとかいうものを積み得る。それから戦闘機にも核兵器を積み得る。そういう範囲としては普通の航空母艦と同じでございまして、ただ核燃料は五年間も補給しないでもよろしい。それから、物資の方面は別でございますよ。あるいは休養関係は別でございまするが、一ぺん出港すれば、能力としては――実際ためしたことは五万キロくらいしかないようでございまするが、七十五万キロくらい航行し得る。地球を二十回も回り得るという点が、推進力としては石炭や重油よりもはるかに強大であるということは言えます。
  213. 木原実

    木原(実)委員 実はそのことをお伺いしたのではなくて、両用兵器であって現に核を積んでいない兵器、これは何と呼ぶのですか。これもやはり核兵器でしょう。そのことを伺っておるのです。
  214. 島田豊

    島田(豊)政府委員 ICBMあるいはIRBMのように本来的に核を装着しておるのは、これは核兵器でございます。両用の場合におきましては、核弾頭を装着していない場合には核兵器と呼んでおりません。装着している場合に核兵器と呼んでおります。
  215. 木原実

    木原(実)委員 その解釈の根拠も聞きたいところだが、たばこがあって、それに火をつけなければたばこでないという、これは長官御愛用の常識の世界では通らないとかねがね考えていたところなんです。しかし問題は、今度のエンタープライズの問題は、先ほど来話がありましたように、非常に巨大な一つの核戦力が日本にやってくるのだ、こういうことに集約できると思うのです。その辺に心配があるのです。先ほど来同僚委員から質問がありましたように、確かに核は積んでいないという保証もないわけです。積んでいないだろうという解釈で入港を許した、こういういきさつになっておる。しかし、そうでありましても、エンタープライズという艦艇、あるいはまた、それが両用兵器を含めて核搭載可能な兵器を積んでおる。これは全体ひっくるめて言えば巨大な核戦力、もう一つ言えば潜在的な巨大な核戦力が日本にやってくるのだ、こういう判断はこれは正当だろうと思うのですが、どうですか。
  216. 増田甲子七

    増田国務大臣 それは木原さんのおっしゃり方が正当ではないのでございまして、ただ原子力によって駆動されるというだけの相違でございます。その原子力というのは、一ぺん積めばあとは五年間も燃料を積み直す必要がない。ただし、一時間に三十五ノットなんというのは、通常ほかの航空母艦も三十五ノット出ます。でございまするから、まず大体地球を二回りも三回りもするというようなことはございませんから、ただ燃料を積み直しをしないでもよろしいという点が違うだけでございまして、他の一般の通常燃料による航空母艦とほとんど同じであるということを、私はこの際明瞭にいたしておきます。
  217. 木原実

    木原(実)委員 ちょっと観点を変えますけれども、繰り返しておりますけれども、それでは、どういう条件のもとでも日本政府核兵器は導入をしない、三原則は守る、こういうことは、先ほど来おっしゃっておりますけれども、確約できますか。
  218. 増田甲子七

    増田国務大臣 先ほど大出さんもそのことを御質問でございましたが、核兵器を積み得る戦闘機がございます。これが航空母艦に載っておるわけでございまするが、その航空母艦核兵器を積んだ場合には、いかなる小さい核兵器といえども、核弾頭といえども、積んでおるならば入港を許しません。
  219. 木原実

    木原(実)委員 それは、たとえばたいへん状況が変わる可能性があるわけです。現に戦争が行なわれておるわけですからね。そういう場合に、かりに多数国民がそれを承認をするというような事態になっても核は入れない、こういうことでございますね。
  220. 増田甲子七

    増田国務大臣 日本の国は、ほかの国が許そうと許すまいと、われわれは許さないというのが三原則でございます。
  221. 木原実

    木原(実)委員 さらにお伺いをいたしますけれども、今度のエンタープライズその他の艦艇の入港、これは日本防衛当局にとりまして防衛上何らかの利益がありますか。
  222. 増田甲子七

    増田国務大臣 ほかの航空母艦をある程度日本も知っておりまするし、原子力推進による航空母艦を見るというようなことは、日本海上自衛隊としても、航空自衛隊としても意味がある。百聞一見にしかず、見学という意味におきまして、われわれは入ってくることは意義がある、こう思っております。  それから、先ほど来、原子力駆動の航空母艦なり原子力商船なりと核兵器とは違う違うと言って、そんなことはわかっていらっしゃるということをずいぶん皆さまからおっしゃいますけれども、そのことがどうも区別ができない、国民に何らかの不安があるような――どこからか知りませんけれども、そんなことぐらいわからぬ者はないと、こうおっしゃいますけれども、そこがわかってないようなふうに印象さしておるとすれば、われわれ与党の責任でもありまするが、野党の諸君にもぜひ御協力を願いたいと思います。
  223. 木原実

    木原(実)委員 それは、長官おっしゃいますけれども、そういうことじゃないわけですよね。少なくともエンタープライズあるいは過去に入港してまいりました原潜にいたしましても、単に原子力の動力を持っているのだ、推進力を持っておるのだというだけのことではないわけですよね。これは機能の上からいってもたいへん巨大なものであるし、特にエンタープライズの場合なんかは、事実上、何というかアメリカの威力の象徴だといわれるくらいのたいへんな艦艇なわけですね。だから、私が冒頭に質問いたしましたのは、現に長官おっしゃるように、この船が単なる原子力の駆動力を持っておるだけであって、核弾頭、核兵器その他は積んでいない、こういうことが断定をされたにいたしましても、これはたいへんな潜在的な核戦力であるのだ、こういうことは間違いないというふうにわれわれ考えるわけなんです。その辺について、先に戻ったようでありますけれども、これはもう潜在的な核戦力であるということは間違いないわけなんですから、むしろその辺をひとつ長官に御確認をいただきたいと思うのです。動力のことを言っているわけではないわけなんですね。
  224. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は木原さんにお答え申し上げますが、従来二十回ばかり原子力駆動のポラリス以外の単純なる潜水艦が入りましたときも、実は核兵器であったなどということをおっしゃいますけれども、それは何かのお聞き違いじゃないでしょうか。それで、われわれの調べたところでは、原子力駆動による潜水艦は二十回ばかり入っております。佐世保が一番多くて、それから横須賀、この二つの港だけでございますが、放射能害というものは検出されていないのでございます。そこで、燃料を使った場合の残りかすというものは、それぞれのタンクに入れておきまして、それぞれ持って帰ってまたほかの方面に利用できるわけでございますから、むやみに海に散らすのはこれはたいへんな損害でもある。損害というのは経済的に見てです。あるいは魚族あるいは人類に対する非常な被害を与えますから、そういうことは完全に外へは出さないしかけにいたしております。  そこで、核兵器であったということは木原さんがおっしゃったわけじゃないでしょうけれども、過去十数回の原子力船は何も核兵器ではないわけです。原子力推進潜水艦でございます。今度のエンタープライズということで、ずいぶんびっくりされておりますが、それは原子力推進航空母艦としては世界一のものでございますから、その世界一ということでは相当皆さまびっくりされておると思いますが、しかし、われわれが、何と申しますか、防衛科学の見地から見ますと、単純なる航空母艦とたいして変わらない、機能においても、スピードはことに同じでございます。たいして変わらない、こら考えております。
  225. 木原実

    木原(実)委員 まあ、その辺、これはもうかえってどうも長官が何か問題をそらすようなんですが、この問題につきましてはもう議論しません。そうではなくて、私どもが一番心配をするのは、それは確かにおっしゃるように、他の航空母艦であってもそうなんです。しかし、この空母は、たいへんな威力を持っていて、両用兵器その他潜在的な核兵器を積んでおる。あるいは核戦力を積んでおる。だから、これ全体がたいへんな核戦力じゃないのか、こういうふうに世間では判断をいたしておるわけなんですね。単に動力の問題だけではないわけです。それをあえてそうではないというふうに別の問題を出されるから、よけいわれわれも不安を感ずるわけです。ただ、この問題は時間がありませんからこれでおきます。  先ほどの問題に返りますけれども、エンタープライズが入ってきた。日本防衛当局としても、百聞一見にしかず、見学その他の機会もあるのでその点では利益だ、こうおっしゃるわけなんですが、これはまるでエンタープライズが展示船になって来たようで、たいへんのどかな話です。しかしながら、日本防衛は、これはかつて長官おっしゃいましたけれども、言うまでもなく安保体制を前提にし、それからもう一つの問題としては、現にベトナムであれだけの動乱が起こっておる。こういうことを前提にして日本防衛方針あるいは防衛政策あるいは防衛の実施、こういうことが行なわれておるわけです。そういうところに、これだけの政治的な反応の中でエンタープライズを迎えるわけです。そういう状況と、それからまた、そういう政治的な状況の中にエンタープライズが入ってくるということをあわせて、日本防衛当局として、エンタープライズの入港というものが、これからの防衛方針の上に何らかの影響を及ぼすのかどうか、少しも影響がないものかどうか、その辺を少し明確にしてもらいたいと思います。
  226. 増田甲子七

    増田国務大臣 今度第七艦隊に再び転属されたようでございますが、第七艦隊とあるいは西太平洋における米軍、それから在日米軍と日本の自衛隊との関係は緊密に提携しなくちゃなりませんから、そういう意味におきまして防衛上の威力が――これは実は前からあるわけでありますが、今度来たからというわけではありませんが、一つの威力である、こう考えておる次第でございます。
  227. 木原実

    木原(実)委員 あわせて伺っておきますけれども、もし今度入港が行なわれた。そうしますと、その安全性が確かめられ、核兵器も積んでいないということが確認された、こういうことになりますと、将来の問題ですけれども、将来横須賀にも入ってくるということは可能性があるわけですね。
  228. 増田甲子七

    増田国務大臣 今度佐世保に入りまして、その状況で、これは私は防衛庁だけとしては何とも申しかねるわけでありまして、国務大臣という立場で申し上げますが、治安上の関係もございますし、この有力なる原子力推進航空母艦が入ったことを契機にして、何か騒ぎを起こしたいという連中がえたりかしこしとして騒ぎを起こす、これは国会を代表する与党のみならず野党の各位も、不法行為はいけないということを厳粛に宣言されておりますが、そんなことを意としないで、全然違った意図のもとに、治安を撹乱するというような機会にはなはだしく悪用されるというような場合には、またもう一ぺん考え直すということもあるでしょう。しかしながら、順調にいった場合には――私は日本人は文明人だと思います、そこで原子力駆動の商船も昭和四十六年にはできるわけでありますから、それと同じものだな、それが兵器として使われておるのじゃない、日米共同防衛ならば日本へ来ることは歓迎だというような空気に学生諸君もなってほしいと思います。黒船なんかも、最初警戒しましたが、黒船は木の船よりよいということはいまではわかっておりますから、そういうふうにだんだんなってほしいと思います。
  229. 木原実

    木原(実)委員 これは長官、確かに、おっしゃるように極東の波がたいへん静かで、万国旗でもひるがえしてエンタープライズがやってくるというときなら、全学連諸君を含めてだれも騒がないと思うのです。現にベトナム水域を含めて、ベトナムではあれだけの戦争がきわめて長期にわたって行なわれておる。しかもいつ果てるかわからない状態になっておる。従来日本の姿勢がベトナム戦争に対して中立的であったのが、だんだん中立的でなくなってきたとか、たいへん差し迫った政治状況があるわけです。そういうところに船が来るから、これは心配するのが当然なわけです。それを、政府のほうでは、心配ないのだ、心配ないのだと、あまりにも証拠のないことで言いくるめようとするから、逆に不安を増しておる、こういう姿があるわけです。だから私はお伺いしたいのは、従来もそうでありました。原潜のときもいろいろな問題がありましたけれども、これが佐世保から続いて横須賀に入ってくる、こういうことが積み上げられてきたわけですね。だから、今度の場合にも、原潜が二十回近く入ってきた、おそらく少し核アレルギーもおさまっただろう、そして今度エンタープライズが入ってくる。第一次は佐世保だ。この次は横須賀だ。これは既定の事実のような感じがするわけなんですが、そのことも踏まえて、将来アメリカのほうから、佐世保にも無事入港ができた、続いて横須賀にどうだという要請があった場合には、これは断わられませんか。可能性はあるわけですね。いかがでしょう。
  230. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは午前中藤尾さんにもお答えいたしましたが、原子力アレルギーだけは全国民がぜひやめていただきたいと思うのです。ことに真理の探求に従事しておる学生なんかが、ただむちゃくちゃに反対しておるということは、日本原子力商船をつくっておるということすらおそらく知らないのじゃないかと思うのです。佐世保へ行った連中に、いま日本原子力商船をつくっておるということを話してもらったら、びっくりしてしりもちをつくのじゃないかと思うのです。ただし、木原さんのおっしゃるとおり、核兵器アレルギーは私はあっていいと思うのです。われわれはそのために三原則をつくっておりますし、広島、長崎の唯一の被害者でございますから、全世界に向って、一発でもこれを――長崎、広島のときは、後続部隊がなくて終戦になりましたが、いまは後続の核はあるのですから、もうたいへんな連鎖反応を生むと思います。でございますから、核兵器を開発した五つの国、その指導者は、ことに理性と良識と分別を働かす必要が今日ほど大なるときはないと私は考えております。
  231. 木原実

    木原(実)委員 しかし、長官はそうおっしゃいますけれども、沖縄の問題につきましては少し話は別でございましたね。佐藤総理もそうでございましたけれども、長官も昨年の十月ごろでございましたか、沖縄には核基地があることが望ましいのだと、こういう御発言がここであったわけなんです。ですから、いつもわれわれは三原則は持っているのだと総理も強調をされます。そういう点では、われわれも含めて国民的合意は核兵器については成立をしていると思うのです。ところが、沖縄問題になってくると、核基地がついたまま戻ってくるようなことが望ましい、あるいは核基地の問題については、三原則の問題について何もはっきりしたことをおっしゃらない。こういうことになりますから、核についての三原則それ自体もたいへんあやふやなものじゃないかという心配も起こるわけなんです。ですから、私がお伺いをいたしたいのは、そういう既成事実を積み上げていって、そして遠からず、おそらくことしじゅうか、来年になるかわかりませんけれども、再度横須賀に入港をしたい、こういう要請があった場合には断われないということは確かでございますね。いかがでしょう。
  232. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は沖縄の現状をお話ししましたけれども、望ましいということを言った記憶はございません。速記録を調べてみまして、もし望ましいというのでしたら、それは訂正をいたします。現在あるのだ。つまりメースBがあって、その数は三十六基ございます。そして到達距離は二千二百キロでございまして、北のほうは北海道の道南のほう、それから沿海州、それからずっと向こうへ行きまして、瀋陽の向こうのほう、ハルピンのところまでは行きませんが、それから重慶と成都の間、それから広西省、それからミンダナオ、この辺までを含むのだということをある機会において言っております。これは公平に申すために自由諸国も共産諸国も含めて言っておるわけでございまして、わが国も含めて言っておるわけでございます。そのことを言っただけでございます。それから、あとナイキハーキュリーズとホークがございますが、そのナイキハーキュリーズは核、非核両用で向こうはやっているようでございます。いま施政権が向こうにありますから、向こうとかりに言わしていただきます。ということをお話ししただけでございます。  それから、それがおそらく核の抑止力として幾ぶん役立っておるということを申したと思いますが、望ましいというような、何かぜひ来てくれといったような意味の発言はいたしておりませんから、これはお取り調べ願いたいと思います。これは核戦争の抑止力として幾ぶん役立っておる――幾ぶんというのは、相当古い型のものでございますし、ことに有翼ミサイルでございまして〇・九マッハしか出ないという、ほかの飛行機でも撃墜できるというようなものでございますから、だいぶ古いものであるということは申したと思いますが、望ましいということばでは申しておらないと思います。ただ核の抑止力には役立っておると思います。いまでも若干役立っておると思います。しかし、将来の形につきましては検討中である。その検討の三原則は、総理大臣も三木外務大臣も私も申し上げておるとおりでございます。  それから、将来横須賀に来る場合には拒否できるかどうか。私どもは、いろんな治安の現象その他のことも考慮いたしまして、いまは何とも申し上げられません、こういうことを申しておるだけでございます。
  233. 木原実

    木原(実)委員 長官の御指摘になる推進力の問題につきましても、当委員会でいままでいろいろ議論がありました。  これは長官でなくて科学技術庁のほうにお伺いをいたしたいわけですけれども、今度のエンタープライズの入港にあたりまして、原子力委員会の安全審査、その辺の何か経過はおわかりでございますか。
  234. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お答えを申し上げます。  今度のエンタープライズの場合につきましても、原子力潜水艦の場合にやったと同様な経過でございますが、すなわち、相手が軍艦の設備であります関係上、日本の原子炉規制法の適用はないわけでございますし、それから設備の内容の詳細について説明を求めることも不可能でございますので、原子炉の設備の安全性とかあるいはそれの操作の条件ということにつきまして、アメリカ側に外交交渉を通じましていろいろと質疑をし、意見を言い、約束を取りつける、こういう方法で検討をいたしたわけでございます。その結果、アメリカ政府が言っておりますとおりであれば、安全は確保できるもの、こういうぐあいに判断をした、こういう経過になっております。
  235. 木原実

    木原(実)委員 それもこの前伺ったことでございますけれども、いずれにしましても、向こうさんの言い分を信用するということで、客観的なデータはなかった、こういうことでございますね。
  236. 藤波恒雄

    藤波政府委員 アメリカ側がはっきり文書で約束をいたしております点の内容は、たとえて申し上げますれば、原子炉の安全設計につきましては、アメリカ原子力委員会の中にあります原子力安全審査諮問委員会というのがございます。これは国立的な非常に権威を持った機関でございますが、そこの安全審査を経て合格したものであるとか、それから原子炉の操作あるいは廃棄物の処理等の基準は、同じくアメリカ原子力委員会で認められた方法によっておる。それの基本的な裏づけとしては、手本は、現在日本でもそれを手本にいたしておりますところの国際放射線防護委員会の勧告基準というものによっておるといったようなこと、あるいは操作につきましては、たとえて申しますれば、放射能で汚染されたイオン交換樹脂といったようなものは日本の近海では処理しないとか、燃料の取りかえばもちろんアメリカの国に帰ってやる。それから、排水につきましても、まわりの自然放射能環境に影響を与えるような排水はしない、こういうような内容のことを約束しておりますので、一応そのとおりであればよかろう。それで、ほんとうにその環境放射能に影響を与えるような排水はしないかどうかということにつきまして、入港前後あるいは停泊中に日本側において測定をすることは妨げない、こう言っておりますので、午前中御答弁申し上げましたような方法によりまして私ども常時測定をし、入港時につきましてもやるつもりでおるわけでございます。
  237. 木原実

    木原(実)委員 少し急ぎたいと思いますので、これは北米局長東郷さんにお伺いしますけれども、事故のあった場合、今度のエンタープライズの入港につきまして事故補償の問題や事故対策の問題について、アメリカのほうと何かお話がありましたか。
  238. 東郷文彦

    東郷政府委員 事故のありました場合には、これは安保条約の地位協定の規定に従って処理することになっております。具体的に申しますと、万一何か事故がありまして、人的損害があった場合には、これは地位協定の規定、すなわち自衛隊の場合と同じ方式によって損害賠償その他の措置をとる。物的損害につきましては、これも同じく地位協定の規定に従いまして、小規模の事故については地位協定の通常の規定で処理する、より大きな事故の場合には、これは究極的には外交交渉で完全な補償が得られるようにする、こういう取りきめになっております。これは前の原子力潜水艦の場合と同じ了解をいたしております。
  239. 木原実

    木原(実)委員 昨年の十二月に、これは原子力船じゃなかったわけですけれども、佐世保で御案内のようにアメリカ艦艇が事故を起こしました。このときは、通報があったとかなかったとかということが問題になっておりますけれども、この種の扱いはどうですか。
  240. 東郷文彦

    東郷政府委員 ちょっと、ただいまお話しの、昨年の事故というのはどの事件をおさしになっておりますかわかりませんが、いずれにいたしましても、原子力船の場合でも、また通常の艦船の場合におきましても、米国の艦船によって生じた損害に関しましては、ただいま申し上げたような損害賠償の方式がございます。どういう事故か、いまちょっとわかりませんが、いずれかの手続によって処理されていると思います。
  241. 木原実

    木原(実)委員 これは日本側に被害があったかどうかその辺がはっきりしませんけれども、昨年の十二月二十三日、佐世保アメリカの空母キアサージ、第七艦隊対潜船隊の旗艦といわれる船ですけれども、その中で死者三、負傷二という事故が起こっておりますね。これは佐世保の港内で起こった事故ですね。相次いで事故が起こっているわけですけれども、これは直接日本に被害があったのかなかったのか、われわれはっきりしないわけですけれども、この種の事故は、これまたおっしゃったようなことで対象にするわけですか。
  242. 東郷文彦

    東郷政府委員 ただいまの事故は、米国軍艦上で起こりましたことでございまして、その結果わがほうに人命、漁業その他に被害があったということは聞いておりませんが、万一あったとすれば、地位協定の規定によって処理されると思います。
  243. 木原実

    木原(実)委員 原子力局長に再度お伺いしたいのですけれども、今度の入港にあたって、外交上の問題はそうですけれども、いわゆる事故というのは予測しがたいところに起こるわけなんで、何か事前に特別な事故対策というものはお考えになっておりますか。
  244. 藤波恒雄

    藤波政府委員 アメリカ原子力委員会で安全審査をする場合は、日本の上安全審査が行なわれた場合と同じように、通常は考えられないような条件で相当シビアな悪条件のもとにおける仮想事故というものを設定をいたしまして、その場合に若干漏れ出てくる放射能が付近の住民に影響を与えるかいなかという試算をいたすわけでございます。その内容はわれわれのほうに知らされてはおりませんけれども、世界的に認められている基準に基づいてやった結果、十分周囲の安全を確保できる、こういう旨の確約は受けているわけでございます。したがいまして、われわれといたしまして、周囲の港の住民に対して、たとえば待避命令を出すといったような想定のもとの体制というものは必要ないと考えております。もちろん、事故がかりに起こった場合には、当然通報を受けるということになっておりますし、それによりまして、こちらからその軍艦にもう少し遠くへ離れてくれといったよらな要求がし得るように通報を受ける制度はつくっております。そういうことでございます。
  245. 木原実

    木原(実)委員 そうしますと、日本側では、日本側の立場からの事故対策というものは何もないというわけですね。向こうさんの通報どおりで、向こうさんで処理をすると、それだけですか。
  246. 藤波恒雄

    藤波政府委員 われわれが日本原子力船開発事業団法に基づきまして日本でつくっております原子力第一船の審査、あるいは原子力商船でありますサバンナ号の、審査をいたしました経験から申しまして、現在入ってまいりますエンタープライズが、庵崎に停泊するようでございますが、停泊することについて、われわれの経験から申しまして、付近の住民に対して被害を与えるということは考えられないというふうに思っております。
  247. 木原実

    木原(実)委員 もうこれで終わりますけれども、安全の問題につきましても従来から何回かここで問題になりました。いまお伺いをいたしましても、これはほんとうにアメリカの側でいろいろとやっておる、それに依存をする面が圧倒的に多いわけですね。そうしますと、日本が今度の場合寄港を許すにあたりまして、安全性の問題につきましても、それから核の搭載の有無につきましても、言ってみれば、一方的な通告でもって、条約に基づいて信頼する以外にないのだという前提ですね。したがって、こちら側の判断もそれ以上のものはないわけなんで、しかもいまのような状態の中で原子力空母を受け入れるのだ、こういうことに集約できようかと思うのです。そうなりますと、やはり今朝来いろいろ御質問の答弁があったわけですけれども、依然としてやはり不確定な要素が残っておると断定をせざるを得ないわけなんです。そうしますと、先ほど話がありましたように、今度のエンタープライズの入港はきわめて政治的な配慮に基づく入港である、こういうふうに私どもとしては断定をせざるを得ないわけです。  そこで、長官に最後にひとつお伺いをいたしておきたいわけですけれども、私どもはそういうふうに考えるわけなんです。ですから、これからの問題としまして国民が一番心配をいたしておることは、同僚委員が尋ねましたように、ベトナム戦争の中に直接参加をしていく、こういう船が入ってくるわけですから、どうしても日本の政治的な姿勢が、ベトナム戦争に、アメリカの側に立って一歩踏み込んでいくのだ、こういう大きな契機を形づくろうとしているわけですね。そういう状態を踏まえて国内にいろいろな反応が起こっておるわけなんです。ですから、これに対して長官いろいろお答えがございましたけれども、日本防衛上これからベトナム戦争に対処していく対処のしかた、そのことについてこれからやはり変更があり得るのかどうか、その辺についての御見解をひとつ聞かせていただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  248. 増田甲子七

    増田国務大臣 木原さんが非常に御心配になっておる点はある程度わかりますが、しかし従来、佐世保あるいは横須賀等において巡洋艦、駆逐艦航空母艦原子力駆動でないそういうものの修理もいたしております。そこで出発してまいりますけれども、どこかに寄港してそれからまいる。やはりワンステップおいて行くのじゃないか。今度の航空母艦は、従来外務省政府委員の答えておりますとおり、作戦行動というものは、艦上から攻撃機が発進した場合、こういうことでございまして、従来の普通の重油あるいは石炭による航空母艦と形態は同じでございます。御心配はわからぬわけではございませんが、さらに一歩進んでベトナム戦争に深く入ったというふうには考えていないのでございますから、どうぞ御安心願いたいと思います。われわれは、ベトナム戦争を早く平和に解決したいという熱意においては、あなた方に劣るものではございません。ことに政府を担当している与党でございますから一生懸命でございます。
  249. 木原実

    木原(実)委員 終わります。
  250. 三池信

    三池委員長 吉田之久君。
  251. 吉田之久

    吉田(之)委員 だいぶいろいろな論議が行なわれましたので、なるべく重複を避けながら二、三御質問をいたしたいと思います。  ただ、その質問の前に、実は私この十五日に佐世保に行ってまいりました。市内へ入りますと、あらしの前の静けさと申しますか、すでに異常な事態が至るところで感知されました。特にわれわれ民社・同盟系が約一万人の集会を開いておったわけなんですけれども、そこへ一見右翼と見られる人たちが、たくさんのバスや自動車を連ねて、そうして明らかに妨害行為を積極的に続けてくるわけであります。しかも、その車の横には安保繁栄と書いてあります。しかもマイクを通じてがなり立てることが、アメリカ兵が上陸してきても佐世保の水は飲ませるな、佐世保のめしは食わせるな、反対はおいらにまかしておけ、おまえら赤旗立ててくるのが間違いなんだ、日の丸党にまかしておけ、こういうふうなことでがみがみ妨害をやってくるわけであります。私は、この状態を見て、佐世保の一角に、日本の一角に、いま非常に異常な混乱が起こりかけておる、異常な事態がますます拡大しようとしておる。一体こういうことを、なぜこの時期に政府がその原因をつくろうとしておるのか。言うまでもなく、それは世界最大原子力空母であるエンタープライズが、この時期に、しかも明らかにベトナムに出動する準備の一環として佐世保に立ち寄るのではないか。そういうことが、原因となって、いま日本の若者同士が、それぞれのグループに分かれて激突しながら佐世保でいろいろな混乱を投げかけておる。こういうことでは日本の国家の将来というものは非常に暗たんたるものがあるではないか。あるいは国務大臣である増田防衛庁長官は、正しい意味においての核アレルギーを解消したいというふうな意味もあって、この原子力空母エンタープライズを受け入れようというふうな御意図があるのかもしれませんけれども、事志と違う結果になりっっあるのではないか。このようなことで、ますます思想が混乱し分裂するということは、あなたは日本の国は日本人の手で正しく守らなければならないのだということを絶えず強調しておられるわけでございますけれども、むしろそのこととは違った方向に走り出していくことになりはしないかという感を深めたわけでございますけれども、昨今のいろんな新聞やテレビを通じて報道されておりますこの状態を見て、国務大臣としてのあなたは、一体このエンタープライズ寄港問題をどう考えておるのかということからまずお聞きしたいと思います。
  252. 増田甲子七

    増田国務大臣 吉田さんがエンタープライズ寄港を憂えられまして、佐世保にこの十五日にわざわざいらしたということに対して、私は敬意を表するものでございます。その視察談として、一見右翼と見られる団体が何か策動しておったということでございまするが、私も初めて伺いました。安保繁栄というのは私は賛成でございますが、安保繁栄というかたわら、アメリカ兵に一ぱいの水も飲ませない、一ぱいの御飯も食べさせぬ、どういう意味だか、まるで矛盾はなはだしいことでございまして、私は左右両翼を問わず、暴力団体というものは民主国家を育てるゆえんではない、こう確信しております。  私は過去のことは一切触れないことにしておりまするが、国策によって戦争に入りまして、そうして戦後の苦難をなめ、主権それ自身さえ相当の制限を受けて、完全独立国家とはいわれない時代もあったわけでございまして、過去のことは言わない主義にいたしておりまするが、ほんとうの意味の自由主義というものがわからずに、左右両翼のほうへ分かれてしまっておるというふうに、これは表面的かもしれませんが、日本の姿が見えることは、お互いに非常に悲しいことでございます。日本の民主主義というものは、やっぱり小は町村議会から始まって、大は国権の最高機関である国会に至るまで、議会制民主主義でございまして、これを徹底させる、これをまた命をかけて守るということではなくて、実力行動に出る、ことに暴力に出るというようなことはたいへんなことでございまして、これは左右両翼とも私は大きらいである、断固排撃してまいらなければいけない、こう考えております。
  253. 吉田之久

    吉田(之)委員 長官の一番きらいなことが、今後ますます激しく起ころうとしておるのです。やはり選ぶ時期が早過ぎたのではないか、非常に時期がまずかったのではないか、また、いろいろなすべき、認識を国民に深める手だてが不十分だったままにエンタープライズが入ってくるというところに、私は一つの大きな問題点があるんじゃないかと思いますので、これはひとつ今後大いに長官自身が反省をしていただきたいことであるということをまず申し上げておきます。  それから、先ほどの論議で、長官が絶えず力説しておられますけれども、われわれは、原理として原子力推進力とする艦艇あるいは商船その他を何ら問題としているわけではございません。ただし、先ほども木原委員が御質問になりましたように、別にこれは原子力空母ではなかったけれども、ごく最近十二月の二十三日に、同じ佐世保において対潜空母キアサージ号が火災を起こして五人が死傷しておる。また二十五日には、駆逐艦リンデ・マコーミック号で二人やけどをしておるなど、最近完璧を誇るべきアメリカ艦隊が、しかも、ところもあろうに佐世保でいろいろな事故を続出した直後ではないか。こういう点について、やはり原子力そのものの推進力の利用としての原理は認めながらも、今日なお安全性の問題においていろいろと危険をはらんでおるのではないか。こういうことに対する国民への説明、あるいはアメリカヘの交渉、あるいはその具体的な保障の手だて、こういう点が十分なされないままに入ってくる、これだけは確かに問題があると思うのです。だから、長打は、原子力で走る航空母艦であるからといってなぜ悪いというふうなことを大いに力んでおられますけれども、われわれは、原子力で走る艦船そのものが問題ではないけれども、なおその安全性においては幾多の検討すべき課題が残っているはずだ、そういう点について、政府は今日までどれほど真剣にこの問題と対処してきたのか、こういう点につきまして、先ほど来、若干の説明がございましたけれども、さらにひとつ科学技術庁のほうから御説明を願いたいと思います。
  254. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お答えいたします。  先ほども申し上げたことでございますが、吉田先生御存じのとおり、日本には原子炉等規制法というのがございまして、日本の電力会社等がつくります発電所、あるいは船でありますれば原子力商船といったようなものにつきましては、安全性に関する審査を、原子力委員会の中にあります安全審査会で行なうわけでございます。原子力第一船の建造にあたりましても、同様なことをやったわけでございます。各電力会社が現在やっておりますものについても同様でありますが、先ほども申し上げましたように、原子力軍艦につきましては、その法律の適用も及ばないわけでございますので、それと同様な程度の審査は不可能であるわけであります。しかしながら、できるだけその安全に関する検討を、先ほど申し上げましたような方法によりまして、アメリカ側からの約束を取りつけるというようなことで行なったわけであります。
  255. 吉田之久

    吉田(之)委員 この点でも、長官お聞きのとおり、いかに原子力推進力としておる空母であるからといって、まだまだ手放しに楽観はできない。まして日本の法律の及ばないところであり、外国のしかも最新式の軍艦なのですから、そういうことについての国民の不安というのが確かに残るという点だけは、ひとつあなたもこれからいろいろとこうした問題に取り組んでいかれる責任者として、原子力推進することがなぜ悪い、こんなものに反対するのは認識が不足なんだというふうなことだけでは、事は済まされる問題ではないということを御確認しておいていただきたいと思うのです。  しかし、一番大きな問題は、何と申しましても事前協議の対象となるべきではないかという国民の疑問でございます。事前協議の対象につきましても、先ほどからいろいろと論議がなされましたけれども、特に戦闘作戦行動わが国佐世保の港から直接出るのではないかということに対する国民の疑惑は全く晴れません。特に私は、この問題については、一九六〇年において、この国会においていろいろと検討、論議がなされているわけなんでございますが、そのときに、当時の藤山外相が、戦闘作戦と補給の間には中間の関係があるが、それらのものについても、戦闘作戦に直結している場合には事前協議の対象になるということを、一九六〇年二月六日の衆議院予算委員会において答弁されているわけなんです。ところで、長官は、いや、佐世保を出たってすぐにベトナムに行くとは限っていないし、われわれのあずかり知らないところだというふうなことを先ほど申されました。しかしながら、同じ国会におきまして、藤山外相が、沖縄に移動した部隊の行動事前協議の対象にはならないと答えております。また、日本の基地から直接戦闘作戦行動へ参加するための移動ならば事前協議の対象になるとも述べております。要するに、この辺の論議は、もしか佐世保を出たエンタープライズがそのまま直ちにベトナムに直行した場合には、これは明らかに日本から戦闘作戦行動をとったことになるということの一つの裏づけになる説明であると私は解釈するのです。  それで、もしかこのエンタープライズがあすにでも寄港して、そして適当な休養期間を終わって、直ちにベトナム作戦に参加した場合に、あなたはアメリカに対して、あれならば当然事前協議の対象となるべき事項であったのではないかということを申される意志がおありでございますか。
  256. 増田甲子七

    増田国務大臣 これは従来外務省政府委員が答えている点と、全然私は同じ意見でございます。すなわち、外務省政府委員は二つに考えておるのでございまして、第一に、作戦基地として施設もしくは区域を利用するために今度入港したわけではない、休養あるいは補給のためである、外務省政府委員の言っていることはこれが第一でございます。それから第二に、今度直接ベトナムに行くにしても、航空母艦から戦闘機等が発艦した際に、そのときに初めて作戦行動をとったのであって、それまでは航海である、こういうふうに答えておりますが、それも大出さんその他の方にお答えをしばしばいたしましたが、そのとおりでございます。
  257. 吉田之久

    吉田(之)委員 その論議は、先ほど大出委員との間にかわされましたのをわれわれも聞いておりましたけれども、それほど問題をはぐらかしたふまじめな考え方というのは、いかに常識の世界でも通用しない。もしもそういうことがいえるのであるならば、たとえばミサイルを発射した場合に、その先端につけてある核弾頭だけが核兵器であって、あとはそれをただ運んでおるにすぎないのだ、というふうな論議にまで今日の常識において無責任に広がっていくのではないですか。航空母艦がある基地を発進して戦闘行動に移っていく場合に、その甲板から飛行機が出るときに初めて戦闘作戦行動に入るのだというふうなことを説明でき得る防衛庁長官というのは日本だけじゃないのですか、どうですか。
  258. 増田甲子七

    増田国務大臣 よく研究されております吉田さんに対して反駁して恐縮でございますが、たとえ話というのはたいてい当たらないのです。航空母艦についてはこうである、こういうことを申し上げただけでございます。
  259. 吉田之久

    吉田(之)委員 それでは、航空母艦から飛行機が発進するときに初めて戦闘行動に入るのだ、駆逐艦から魚雷を発射するときに初めて戦闘行動に入るのだ、これは同じ原理ですね。そのようになるのですか。それが今後の日本防衛論における重大な一つの定義になるのかどうか、ひとつこれははっきりしていただきたい。航空母艦から飛行機が発進する場合と駆逐艦から魚雷が発射される場合と、私も海軍出身ですが、全然原理は変わらないと思いますが、どういうことですか。
  260. 増田甲子七

    増田国務大臣 すぐたとえてもらうと困るのです。たとえばということにしないで、駆逐艦のことはまた御質問があればあらためて私のほうも外務省と一緒に研究いたしましてお答えいたします。要するに、佐世保を基地として来訪する。駆逐艦のような足の短いものがしょっちゅう来訪して、あそこへ帰投したり、またあそこからいかりを揚げたりすることがあれば、これは考えものじゃないかと思います。それは事前協議の対象になるのじゃないか。でございますから、たとえ話というのはあまり当たらないのでございまして、一つ一つについて、ケース・バイ・ケースで私に御質問を願えれば、私のほうでもたくさん政府委員が控えておりますし、これで即答しろと言われても困りますが、研究してまじめにお答えをいたしたいと思っております。
  261. 吉田之久

    吉田(之)委員 それじゃ、これはいずれあらためて一つ一つやりますが、それまでに私は長官にひとつ要求しておきます。次の内閣委員会までに、あなたは日本防衛をつかさどる一番の責任者ですから、特に、まず艦艇の場合に、どの種類の艦艇がどういう行動をとるときに初めて作戦行動に入った起点であるということを、全部一覧表を出していただけますか。飛行機の場合、それから陸上の場合、陸上でただ運んでいる場合だけは作戦ではない。いよいよ配置について小銃を撃ったとき初めて作戦に入った、それを一ぺん一覧表にして私どもに提示してください。問題はそれから論議します。そうでないと、日本の国会の権威ある論議として、われわれは航空母艦から飛行機が発進したときに初めて戦闘行動が始まるだけでございます。どこまでいこうと、どんなに準備をしまうと、それは何ら作戦とは関係ございません、というふうなことが言い得るのかどうか、われわれはこれだけは断じて了承することができません。われわれも準備をいたしますから、あなたもぜひ次の内閣委員会までにこれを詳細に、あなたの判断から、この種類の攻撃の兵器については、この起点から先の物理的な作用を作戦行動というのだというふうな増田メモというものを、われわれに提示してくださらなければこの論議はできないと思いますが、その点はどうですか。
  262. 増田甲子七

    増田国務大臣 航空母艦についての問答からあなたのたとえ話になって、それからたとえ話はたいてい出たらないと言ったところが、今度は全部表にして出せという話でございますが、全部表を出していわゆる増田メモをつくるということは、いまのところ非常に時間もなんですし、しかし権威ある国会の御質問でございますから、いろいろ研究はいたしますが、増田メモを出し得るかどうかというところまでは答えかねるわけでございます。  ただ、私が抽象的にお答えしているのは、佐世保なり横須賀を基地として、しょっちゅう来往して、それで戦闘行動して、すぐまた帰投する、それからいかりを抜いて向こうに行くというようなことをやっておるならば、これは基地としての施設並びに地域を極東の平和と安全のために使ったんだということになるのではないか、ますその辺で御了承願ったらどうでしょうか。航空母艦のことは、前条約局長が非常に勉強した結果申したことで、私も大体において、あれほどの足の長い航空母艦は、なるほど攻撃機なり戦闘機が甲板から発進したときに作戦行動に入ったのであるという説には感心しておる一人でございます。
  263. 吉田之久

    吉田(之)委員 あえて論議を拡大しようと私は意図しているわけではございませんけれども、あなたのような御説明が成り立つとするならば、航空母艦というものはしょせん輸送船と何ら変わらないんだ。ただ積んであるものが飛行機であるか食糧であるかの違いだけなんだということにまず一つなります。いま一つは、航空母艦一つこつ然と戦場におもむくわけではないのです。そこには必ず巡洋艦なり駆逐艦というものが随伴して作戦行動を展開するわけなんです。その一番中心であるエンタープライズが、これだけは何ら戦力でもないし、戦闘行動にも参加していないんだ、そのようなことは、今日詭弁としてしか受け取れないであろうし、そのような説明をなさるから、国民の思想はますます混乱してまいりまして、佐世保の問題がいよいよ大きな国民的な混乱として、これから広がっていくのではないか。まず政府が責任ある答弁をする。そして、これは確かに一つの戦力でありますから、したがって、今回はいたしかたなかったけれども、今後はひとつ事前協議の対象事項に入れてもらうべくアメリカに話を持ち出していきましょう。事前協議の申し出は向こうからしかその権能はないわけではありますけれども、しかし、相手国であり、最もよきパートナーの国である日本防衛庁長官がそういう考え方を本気で披瀝していかれるならば、アメリカとしても、いま問題になっております事前協議の問題について、さらに扱い方を若干変えてくるのが可能なのではないか。そういう問題が解決しない限り、これから日本の各基地に向こうの艦艇が入ってくればくるほど、日米間の問題というものはいよいよ深刻に、しかも不信的な感情がつのっていくのではないかということを私は考えざるを得ません。したがって、どうしてもあなたは、航空母艦は輸送船と変わらないとおっしゃるのかどうか、この点だけははっきりと政府側の答弁――あなた自身の答弁でなくてもけっこうでございますから、政府側の御答弁をいただきたいし、その上で、なおかつ長官としてどうお考えになりますか、もう一度私におっしゃっていただきたい。
  264. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は外務省政府委員と申しましたが、政府一つの統一意思を持っているわけでございまして、それに賛成だ、こういうわけでございますから、この際の御答弁は条約局長から答えていただきたい、こう思っております。
  265. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 長官からお話しのとおり、航空母艦についてのたとえでお話しすればそういうことになるんじゃないかと思うのでございますが、抽象的に、この事前協議に関する交換公文自体の戦闘作戦行動というものはどういうものだというふうに、そういうふうな形でとらえてみますと、われわれの考え方、解釈といたしましては、やはり直接に戦闘を目的とする作戦行動日本から発進した場合と、そういうふうに解釈するのが妥当じゃないかと思っております。したがって、いまの航空母艦の例にとりますと、直接戦闘を目的とした作戦行動というものは、おそらくそのベトナムならベトナム近辺を遊よくしているときに、そこから出ていったときの作戦行動がそういうふうに考えるべきではないかということが、長官のお話じゃないかと思います。
  266. 吉田之久

    吉田(之)委員 この論議は、われわれもきわめて不満でありますので、大いに論議をしたいと思いますが、何せ時間を制約されております。ひとつ次の委員会等におきまして、一度こういう問題にしぼって、あらゆる角度から各党とも論議をしてみたいと思います。  そこで、私は先ほどからいろいろ聞いておりまして、事前協議の問題の一つとして、重要なる装備の変更という項目がございます。これはもうはっきり、裏返して言えば、核兵器を持ち込む場合には、日本事前協議事項として相談を持ちかけるということであろう、この辺の解釈までは全部一致したようであります。ところで、この事前協議というのは、アメリカ側からしか日本申し入ればないということもはっきりいたしました。同時に、アメリカが、いま核をどの場所で持っております。搭載いたしておりますというようなことは、めったにその所在を明らかにしないでありましょうということを、先ほど北米局長がおっしゃいました。そうすると、核の所在を軍事上の重要なる機密としてアメリカが一切これを明らかにしない以上、アメリカ日本に重要なる装備の変更の点で事前協議の申し入れをしてくることはまずあり得ないのではないかというふうな気がするのでございますけれども、この点で長官はどのようにお考えですか。  念のために申します。あなたは、断じて日本には核兵器は持ち込まさないということを先ほど断言なさいました。そのことはわれわれもよく確認をいたしました。断じて持ち込まさないと言っているけれども、向こうは断じて核の所在を明らかにしないであろう、核の所在を明らかにするときにしか、彼らは事前協議の申し入れをしてこないであろう。ここに大きな問題点がひそんでくるわけなんです。長官はこの辺のところをどう説明なさいますか。
  267. 増田甲子七

    増田国務大臣 事前協議の対象が三つございまして、その一つは、重要なる装備の変更である。これは交換公文でございます。私は、政治家という立場において、国際条約の中の一つでございます交換公文というものは、ただ批准を経るか経ないかは別として、それは信義の原則の上に立つわけでございまして、私は重要なる装備の変更、すなわち、日本において駐留米軍に核装備をするという場合には、必ず相談があるものと考えております。
  268. 吉田之久

    吉田(之)委員 だがそれは、世界でとうとう核戦争が始まるまで、絶えずそう願望しながら、しかも結局は一切相談されないことであろうとしかわれわれは考えられないのです。私はそこで、この事前協議の三つの項目の一つのまず配置の変更、これはアメリカはめったに一々日本に相談たさらないでしょう。特に第二の問題についてはいま申しましたとおり。第三の問題については、あなたは、エンタープライズというふうな大きな航空母艦が、しかも百機の艦載機を載せておっても、それが現地で飛行機を放つまでは直接作戦行動ではないんだ、あなた自身がそうおっしゃる限りにおいては、事空母に関する限りは、アメリカは断じて今後事前協議の対象にはいたさないでありましょう。このようなことであるならば、どこまでいっても、事前協議という交換公文は、しょせん日本にとっては空文にすぎないのではないだろうか。いつの間にか随所に核兵器がそのまま持ち込まれておっても、彼らは持ち込んでいないと言えば、それで知らぬ顔の半兵衛ではないか。そのようなことでは、日本は、ついに核戦争が始まったときに直ちに攻撃目標として粉砕されてしまうではないか。日本のすべての国民の人たちの考え方はここから出発している。多くの青年の考え方もここから出発して、このエンタープライズの問題を心配しているわけなんです。  そこで私は、どうしてもこの国民の不安を払いのけるためには、この際政府一つの英断を示すべきである。決意を持つべきである。どういう決意を持つべきであるか。それは日本アメリカの間に核兵器持ち込みの禁止協定をはっきりと結ぶ以外にない。断じて日本には核は持ち込みません。どこにあるとかないとかということはともかくとして、日本アメリカの間には、いまのあいまいなる事前協議制よりも、さらに一歩進んだところの核持ち込み禁止協定というものをはっきりと締結する以外に、いまの疑惑を少しでも晴らす方法は出てこないのではないかという考え方を持っている次第でございますが、そのことにつきましてはどのようにお考えになりますか。
  269. 増田甲子七

    増田国務大臣 私どもが通常兵器による局地的侵略を防ぐだけの自衛隊しかつくっていないのは、これは永久にそういう考えでございます。というのは、一たん有事におきましては、核のかさといわれるのが私は大きらいでございまして、アメリカの核の抑止力に依存しておるわけでございます。そこでその核の抑止力というものが、その存在によって核兵器が使われない、人類が滅亡の惨禍に見舞われないで済むことである、こう考えておる次第でございます。しかし、万々一ということがあるわけでございまして、万々一の場合には、核の抑止力に依存いたしておるということに対して、核の抑止力は困るということの条約は日米安全保障条約を空洞化するものである。私どもは、行政府の方針として三原則は堅持しておりまするが、核の兵器持ち込み禁止条約というものまでつくって――条約というものは憲法と同様な力のあるものでございますから、そこまではまだ考えられませんし、答弁はいたしかねる次第でございます。
  270. 吉田之久

    吉田(之)委員 最後に、いま伊能先生からもお声が出ておりましたけれども、ともかく、われわれは世界に向かって核軍縮を訴えなければならない。日本はその能力に応じて、ほんとうに自主的に、しかもみずから日本を守るということについてそれぞれ考えるべき段階に入ってきた。しかし、いかに日本を守ろうとしても、日本は核に関する限りは一切装備しないのだ、なぜならば、これは攻撃の兵器であるから。しかも日本は、歴史的に見て、核の悲惨な惨禍を受けた唯一の民族である。したがって、アメリカも、あるいは将来ソ連も、中国も、日本に関する限りは、一切核は持ち込まないという協定を、まずアメリカから取りつけていくべきではないかというふうにわれわれは考えております。この辺の問題を一つ一つこれからはっきりしていくべき段階なのではないか。このことなくしては、今後アメリカ艦艇やいろいろな部隊が日本寄港したりあるいは駐留したりするたびごとに、こういう問題がますます際限なく広がっていく、それが日本の国論をますます分裂させていくということを、特にひとつよく防衛庁長官は御確認いただきたいと思います。  一応時間の関係できょうの質問はこれだけにしておきたいと思います。
  271. 三池信

    三池委員長 伊藤惣助丸君。
  272. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 現在佐世保においては、北爆の任務をする第七縦隊の主力である原子力空母エンタープライズ、またトラクストン日本寄港をあすにして、反対派と警察当局の間で大きなトラブルが起こっております。そしてまた重軽傷者多数を出しておる報道もいまあるそうであります。このように国民の多くの反対のもとに日本寄港するその目的は何か。また、先ほど来いわれておりますように、高速で補給なしに地球を二十回以上も航行するところの足の長いエンタープライズがつい十日ほど前にホノルルを出たわけでありますが、その目的休養補給であるといわれております。しかし、このような状態の中に寄港するその必要性はどこにあるのか。その点、防衛庁長官の見解をお伺いいたします。
  273. 東郷文彦

    東郷政府委員 今回の寄港目的兵員休養補給、維持、こういうことになっております。第七艦隊の個々の軍艦がどういう動き方をするかということは米軍自体の問額でありまして、その一つ一つ行動に、あの船はこっちに行けとか、行きに寄ってはいかぬ、帰りにしか寄ってはいかぬということは、われわれのほうから言うべき筋合いの問題ではない。今回米軍がエンタープライズ寄港させるのは休養及び補給のためということでありますので、われわれのほうもそのように解しております。
  274. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 五番目でありますので、いろいろ重複するところもありますし、また答弁も多少簡単でけっこうだと思いますが、いずれにしても、以前外務省では、いわゆるアメリカの核戦略の一環として日本寄港もさせないし、また配置されるものではない、こういうことを外務省当局が言ったことがあります。この寄港を認めるということは、先ほど来ありますように、日本ベトナム作戦への間接直接の軍事協力になるのではないか、このように感ずるわけであります。その点についてお伺いいたします。
  275. 東郷文彦

    東郷政府委員 原子力空母は、先ほど来しばしば防衛庁長官も言っていらっしゃいますとおり、動力が原子力であるという点を除きましては、ほかの通常の空母と同じようなものでございます。今回わが国原子力空母の入港を認めたからといって、わが国ベトナム戦争に対する態度とか、さようなことには全然影響がない問題でございます。
  276. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 先ほどからありますので私は進めますが、今度のエンタープライズトラクストン寄港承認理由、こういう理由寄港承認したということ、そのことを項目的にちょっとお伺いいたします。
  277. 東郷文彦

    東郷政府委員 米側から寄港申し入れがあります前に、先刻大出委員よりお話がありましたように、一昨々年の秋に、原子力空母エンタープライズが第七艦隊に配属になった、他日わが国寄港を希望することあるべしというお話があった。そこでわがほうは、そのころからこの問題を研究いたしまして、原子力推進力になっております関係上、原子炉の安全性、並びにこれはほかの軍艦も同様でございますが、核兵器の問題これらの点に関して日本政府の意向に反しない、政策に反しないのであるならば入れることは差しつかえないという、いわば原則的な態度はたびたび明らかにしていたわけでありますが、昨年の九月に、やがて寄港させたいという申し入れが正式にございました。政府といたしましては、安全性の問題並びに核弾頭の問題これらの点に関して米側と意見を交換しました結果、いずれも差しつかえなしということになりまして、十一月二日に、以上の二点について問題がない以上は、安保条約のたてまえからしても当然のことであるということで、寄港差しつかえなしという返事をしたわけであります。
  278. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 安保条約上の義務からでも当然である、こういうお話がございました。先ほどからも事前協議の対象にすべきである、こういうことについて、はっきりとそのことの回答が聞かれないわけでありますが、核兵器を搭載可能、または軍事専門家の間においては、常識として核兵器が搭載されている、このように断定しているわけでありますが、そういう疑惑のある寄港等については当然事前協議の対象にすべきではないか、このように思うわけであります。また、たとえば装備をしておっても、その弾頭がなければそれは核持ち込みにならないというならば、たとえば、その理論はポラリス潜水艦に当てはめてみた場合でもそのように考えられると思うのですが、その点の長官の見解を伺いたい。
  279. 増田甲子七

    増田国務大臣 いま外務省政府委員お答えいたしておりますとおり、原子力によって推進されている以外には他の一般航空母艦と同じものがエンタープライズでございます。そこで、今度はたとえを変えられまして、ポラリスが入ってきたときどうするか、核弾頭を全部抜いてきたらどうするかということでございます。それはそのとき考えますが、ポラリスは御承知のように一メガトンのポラリスミサイルを八基ずつ十六基積んでおりまして、その射程は四千六百キロあるわけでございます。そういうものでございますから核弾頭を抜いてきた場合でも、おそらく事前協議の対象になると私は考えるわけでございます。しかし、たとえをつくってお聞きになってもちょっと困るのですが、おそらくポラリスが核弾頭抜きで遊よくすることはないのじゃないかと思いますけれども、せっかく設問とされておられますから、私も想定問答のような形でお答えをしますが、そのためにのみ存在する核弾頭を四千六百キロも水中から飛ばすための潜水艦がポラリス潜水艦でございますから、核弾頭を抜いてきても、核三原則に照らして事前協議をしてもらいたいということを日本政府としては言うべきではないかと考えております。
  280. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 原潜から原子力空母、そしてその次には当然ポラリス型潜水艦が入港するのではないか、このように考えられるわけです。今後の問題といたしまして、たとえたまを抜いて入ってきたとしても、それは事前協議の対象にするということでありますが、この点はそのように実行していただきたいと思うのです。  その事前協議の件でございますが、先ほどいろいろと出ましたので、特に安保条約の使命ということについてよく読んでみますと、「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、」こういうふうにいわれておりますね。そのために世界最大エンタープライズが、いろいろな意味で日本を守る、または寄港するということになっておるのではないかと思うのです。しかし、そのエンタープライズは明らかに北爆に参加しておりますし、過去二度にわたってその作戦に参加しております。そしていまや動く強大な基地として作戦に参加しているわけでありますが、こういうことを考えてまいりますと、戦略上から見ますと、一つは前進基地と後方基地といいますか、二つに分けることができると思います。もしかりに北ベトナムが、最近言っておりますように、義勇軍を出すようなことがあればあるいは頼むかもしれない、こういうことを北ベトナム首相は言っておりますが、そうなった場合、どこかの大国が北ベトナムを応援するとした場合、戦略上から言えば前進基地よりも後方基地をたたくということが考えられるわけです。基地においてもいろいろ階級がありまして、補給給与ならば基地の中でも非常に低いほうの基地だと思いますが、そうなりますと当然日本も戦争に巻き込まれてしまうということが考えられるわけです。そんなことは絶対ないかもしれません。しかしながら、戦争はそういう常識のある人が行なうのではなくて、非常識な人が突然そういうことを始めるというふうにいわれております。したがって、そういうことも考えてみた場合に、日本寄港ということについては非常に問題がある。そういう意味で私は特に長官に、あす入港することにもうすでに外務省においては通告を受けているわけでありますが、どうかそういう点を踏まえて、アメリカのそういう人たちに事前協議等を通してやっていただきたい、このように思うわけですが、長官の見解を伺いたいと思います。
  281. 増田甲子七

    増田国務大臣 伊藤さんの御質問は、私にはわからない点もございますが、北ベトナムの義勇軍というのがちょっとわからないのですが、大国がもし直接応援した場合に、それを南ベトナムあるいはアメリカ等がたたくという場合があれば、日本が戦争に巻き込まれる危険があるかもしれぬ、こういう御質問のように思います。であるから注意せよという、私は伊藤さんの御発言は注意を要する点ではないか、こう考えております。ただ、いまの段階におけるエンタープライズ寄港事前協議の対象にはならない、こう考えておる次第でございます。
  282. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 結局、考えてみますと、日米安保条約の上においてやむを得ないことであるということの考え方があると思います。しかし、ただそれだけの理由で、専門家の間においては、当然将来核持ち込みにつながるような、そういうおそれのある艦艇については事前協議すべきではないか、こういうことを言っている人たちもいるわけでありますので、その点の考え方、そしてまたそのような中から、いわゆる国民を納得させるだけの政府からの説明、またはそういう疑点を晴らす方法を考えていくべきである、このように思うわけです。その点の見解を伺いたいと思います。
  283. 増田甲子七

    増田国務大臣 いまの御質問もちょっとわかりにくいのでございますけれども、日本日米安保条約上泣き寝入りをしているがごとき御発言でございますが、日米安保条約上やむを得ないとは考えていないのでございます。事前協議に該当するならば事前協議を要求いたします。今度のエンタープライズ寄港事前協議に該当しないと思いまするから、通告を受けただけで了承いたしておるわけでございます。
  284. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 学生が必要以上に、ある程度暴力的な騒ぎを起こしているその根底には、いまも言ったように、一つは核持ち込みの疑いがある、その疑点があるからやめろと、こう言っているわけです。結局は事前協議の対象にならないと言いますが、専門家筋が、大出さんの質問にもあったように、また当然持っているというふうに考えられる、このようにも言われているわけなのです。したがって、そういう面からも当然事前協議の対象にすべきではないか、このように思うわけです。事前協議については何回も出ましたので、このくらいにしてやめますが、いずれにしても原子力艦艇の入港に対してすら事前協議の対象にならないというならば、あの第六条の交換公文はまさに空文である、いままでも一回もその対象となったことがないあの交換公文は有名無実であると私は思うわけです。  次に、安全性についてでありますが、その安全性についてはアメリカ側の説明をそのままうのみにして安全である、このように言われておりますが、事実、イギリスにおきまして二年ほど前にホリー・ロッホという原潜の寄港地で、海水中に人体に及ぼさない程度の核反応が抽出されたことがあります。そのことが新聞に報道されまして、この問題を専門家に依頼してそのことを調べてまいりましたところが、海水の汚染はなくとも、さらに何回となく寄港することにおいて、その微量のいわゆる死の灰というのが海水の中に生息するところの貝類だとか海藻類に長い間かかって付着する、蓄積される、その可能性がある、そしてまた、それを食べることによって人体にも害毒を与える、そういうことがいわれております。  エンタープライズは、原子力潜水艦の原子炉が一基に対して、航空母艦は八基もついているという面から考えてみましても安全性が確認されない。確かに原子力の平和利用、また原子力商船等による開発についてはわれわれ賛成でありますが、このような安全性――自分の目、自分の手で確かめたところの安全性でなくて、人の話を聞いた中において絶対だいじょうぶであるという主張、その考え方は問題ではないかと思います。そういう点での長官のさらに一歩進んだ答弁を願いたいと思います。
  285. 藤波恒雄

    藤波政府委員 お答えいたします。  アメリカ側の言い分だけをうのみにして判断したのではないかとおっしゃられるわけでございますが、検討のやり方は先ほど来申し上げておるとおりでございまして、原子炉の設計内容等はこちらに明らかにされませんけれども、アメリカの原子炉安全審査諮問委員会でやります審査は大体われわれのほうも承知いたしておりまして、わが国でやります安全審査と同様、国際的に通用される方法であると承知いたしておるわけでありまして、その結果の結論を向こうは声明しておるわけであります。この結果につきましては、われわれが国内の原子炉の安全審査をやりました経験やその結果から照らしてみまして非常におかしなところがある、あるいは非常識に思えるということがあれば問題でございますが、そういう点はないわけでございますので、その点は信用していいのではないかということが一つ。  それからもう一つ、先ほどイギリスの潜水艦基地におきまする放射能異状があることをあげられましての御質問につきましては、こういうことが言えると思います。今度のエンタープライズの入港に際しましては再三にわたりまして外交折衝を通じまして確認をし、かつ約束を取り付けた線は、日本の港におきましては燃料の取りかえ操作はもちろんいたしませんし、それからイオン交換樹脂等の放射能でよごれたものの廃棄等はいたさないということを確認しておりますし、それから、排水につきましても、付近の放射能濃度を変化させるような排水はいたさないということを約束しておりまして、その確認をわれわれの手で測定をするということを向こうは認めておりますので、そういうことによって確保いたしますので、先ほど例示にあげられましたイギリスの潜水艦母港におけるような事態はないように考えておる次第であります。
  286. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 全く安全であるというふうには言い切れない現状であります。したがって、万一放射能による汚染が見られた場合にはどのように対処するか伺っておきたいと思います。
  287. 藤波恒雄

    藤波政府委員 われわれの手で行ないます放射能調査によりまして付近の放射能に異状を認めたような場合には、もちろん相手側に通告をいたしましてその原因を確かめるばかりでなく、同時に、たとえば軍艦に港外に立ちのいてもらうといったようなことも要求しなければならぬかと思っております。そういったような事態はまああるまいと思いますが、もちろん測定をするその趣旨はそういうことでございますので、その状況に応じまして対処いたしたいと思います。
  288. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 今度の寄港目的は、いわゆる休養ということがあげられております。確かに沖縄等においてもアメリカベトナム帰りの将兵が休養に来ておるということを聞いております。そういう一つのことを考えてまいりますと、非常に風紀上の問題がある、こういうふうにいわれております。まして五千人近くもの人たちが上がって休養するわけでありますので、非常に風紀紊乱等が発生するのではないか、またそういう場合はどのように対処していくのか、これも心配であります。その点についての見解を伺っておきたいと思います。
  289. 東郷文彦

    東郷政府委員 これは私の直接所管の問題ではございませんけれども、今回佐世保でいろいろ混乱があるという事情は、むろんアメリカ側も知っております。いわんやこういう時期でございますから、上陸の時期並びに上陸後の水兵の行動等につきましては、通常ももちろんそうでございますけれども、通常以上に慎重にするようにという点は、米国側にも繰り返し話をしております。なるほど水兵が上陸すれば、これは佐世保でなくてもどこでもいろいろなことがあり得ることでございますが、不祥事のないようにわれわれも希望しておるような次第でございます。
  290. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私はこの際に長官及び政府に対して、いままで数々ございました問題を含めまして、私の見解を話して終わりたいと思うのです。  私は、今回の寄港に際しては、国民が知らない間にアメリカ核兵器の基地として日本の港が利用されることになりはしないか、またそのような巧妙ななしくずしの既成事実が進められておるのではないか、こういう点において大きな疑問を抱いております。また、原子力艦艇日本寄港を積み重ねることによって日本国民の間にある核アレルギーをほぐす効果をねらっているのではないか、このようにもいわれております。私は、この際、日米間においてさらに友好を深めようと思うならば、現在の佐世保にあるような数万のデモ、そしてまたあのような激しい学生運動の中に無理して寄港することをすべきではない、また寄港せずに済む艦艇でもありますので、いたずらに国内におけるところの対立をあおってはいけないのではないか、そういうまたあおるような寄港を認めるべきではない、このように思います。さらに、寄港をさせることによって北爆を支持するような、そのようなことをまた思わせるような、ベトナム参戦の直接間接の戦争協力になるようなことは避けるべきである。また、先ほども言いましたけれども、戦略上から見れば確かに後方基地の任務を果たすことが考えられます。そしてまた、先ほども申し上げましたように、わが国への核の持ち込みがなしくずしに行なわれていく、このように考えられるわけです。  私は、この日本にあって、最近非常に経済大国として成長してまいりましたが、その日本の国の平和と安全を守るというならば、特にアジアの中における平和の使者としてその主役を果たすべきである。そのためには平和のためのあらゆる努力をしなければならない。核持ち込みを、またその疑いのある点を積み重ねるのではなくして、できるならば、平和のための手段として、ジュネーブのあの十八カ国軍縮会議に参加することや、またスウェーデンの核探知クラブに参加することや、非核保有国の結成をはかるなど、さらに核兵器の不使用宣言を国連に提起するなど、そういう点を日本政府考えるべきである。また長官は、強く国連に、そして政治の上に用いることが大事ではないか、このように思います。  したがいまして、今回のエンタープライズの入港、トラクストンの入港については断固反対するものであります。  以上で終わります。
  291. 三池信

    三池委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二分散会