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1968-04-19 第58回国会 衆議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十九日(金曜日)    午前十時二十二分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 齋藤 憲三君 理事 志賀健次郎君    理事 田澤 吉郎君 理事 坪川 信三君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 金丸 徳重君    理事 山花 秀雄君 理事 小沢 貞孝君       小渕 恵三君    加藤 六月君       金丸  信君    上林山榮吉君       佐藤 孝行君    根本龍太郎君       中井徳次郎君    堀  昌雄君       森本  靖君    山口 鶴男君       中野  明君    田代 文久君       古内 広雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    八塚 陽介君         通商産業省公益         事業局長    井上  亮君         郵政政務次官  高橋清一郎君         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         郵政省郵務局長 曾山 克巳君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   大泉 周蔵君         日本電信電話公         社理事         (施設局長)  北原 安定君         日本電信電話公         社理事         (計画局長)  井上 俊雄君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  中山 公平君         日本電信電話公         社技術局長   緒方 研二君         日本電信電話公         社職員局長   山本 正司君         日本電信電話公         社厚生局長   今井 一郎君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         日本電信電話公         社保全局長   橋本 真澄君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 四月十八日  委員森本靖辞任につき、その補欠として柳田  秀一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。 同月十九日  委員江田三郎君及び栗林三郎辞任につき、そ  の補欠として堀昌雄君及び山口鶴男君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員堀昌雄君及び山口鶴男辞任につき、その  補欠として石橋政嗣君及び栗林三郎君が議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 四月十八日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願外二  件(瀬戸山三男紹介)(第四一五六号)  同(内海清紹介)(第四二五六号)  同(菅太郎紹介)(第四二五七号)  同(中垣國男紹介)(第四三一九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公衆電気通信法の一部を改正する法律案(内閣  提出第三八号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私は、限られた時間の中で、この設備料値上げに関連して、公社経理の若干の問題について御質問をいたしたいと思うわけです。  この前、予算分科会で、時間がなくてわずか発言をしただけですが、必ずしも納得できるような答弁ではなかったというように考えているわけです。私は、公社予算を拝見して、一体、支出が何でこう膨大になっていくかというそのウエートを見ると、人件費が約三割近くになっているということがまず第一と、それから減価償却費が三割五分くらいに達している。その減価償却費が一番多く含まれている資本費が四割五分くらいになっている。だから、三割と四割五分、七割五分というものは人件費資本費である。しかもまた、これが年々増大していく、ここに、来年に予定されるようだが、何か、料金を引き上げなければならない、今回提案になっている設備料を上げなければならない、こういうような根本問題があるように考えるわけです。きょうは、主としてその二つの問題について御質問をいたしたいと思うわけです。  最初に、減価償却の問題についてお尋ねしたいと思うのですが、ゆうべあたり資料を出していただいたのを拝見すると、減価償却費の推移を見ると、三十五年の四百十億から、四十二年度の予算においては二千百億、ことし、四十三年度においては二千七百億——二千七百億ということは、三十五年の四百十億から比べると、四、七、二十八、約七倍に償却費がふえているわけです。私は、この償却費ふえ方に問題があろうか、こういうように考えるわけです。  そこで、この技術革新の中で、なるべく償却を早くして、そして設備機械を更新しなければならない、こういうようなことから、耐用年数を短くし、定額法ではなくて定率法償却をする、私はこういう意図はわかるわけなんです。しかし、それにしても、民間企業やその他では考えられないような膨大な償却をやっておる。この償却方法さえ変えるならば、私は、何も来年値上げしないでも済むんじゃなかろうか、ことし設備料を上げないでも済むんじゃなかろうか。だから、償却を早くしなければならないという要因な、私は認めるにやぶさかでないわけです。技術革新がある、早く古い機械を新しい機械に取りかえ、設備を更新する、これはもう技術革新時代要因だと思いますから、そのこと自体は私はいいと思うんだけれども、しかし、それにしても、限度があまりにもあり過ぎやしないか、こういうように考えるわけです。  そこでお尋ねしたいことは、最近、償却定額法定率法に変えたとか、あるいは、最近になって耐用年数を短縮したとか、そういうようなことがあったら、大まかな点をひとつ説明をしていただきたいと思うわけです。とにかく、昭和三十五年は四百十億です。それが三十六年から五百二十四億、六百六十九億、八百三十一億、ずっと上がってきて、昭和四十二年に二千百二億、ことしの予算では二千七百億というのですから、三十五年から考えてみれば、四、七、二十八、約七倍に償却費がふえているわけなんですね。そういうことと関連して、最近、耐用年数を変えるとか、あるいはまた定額法定率法に変えたとか、いろいろ項目によって違うんじゃなかろうかと思うのですけれども、最近どんなぐあいに変更をしたかを説明していただきたいと思うわけであります。事務当局でけっこうです。
  4. 中山公平

    中山説明員 ただいま御指摘減価償却の点でございますが、三十五年度から比べましてかなり倍数が大きくなっているという点をまず御説明申し上げますと、あとでいろいろ申し上げますように、償却方法あるいは耐用年数改正、こういうものがあったわけですが、資産簿価で見ましても、昭和三十五年度には有形固定資産が八千五百億円程度でございましたものが、四十一年度末になりますと、簿価で二兆三千億円弱というふうに、非常に伸びております。こういうことも、大まかに申し上げまして、償却費が増大する一つ理由でございます。  次に、減価償却方法でございますけれども昭和三十五年度までは甲種固定資産、いわゆる電気通信機械及び線路施設、それから乙種固定資産建物工作物、これにつきまして定額法でやっておりましたが、三十六年度から甲種については定率法に改めたわけでございます。
  5. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 甲種というのは何ですか。
  6. 中山公平

    中山説明員 甲種というのは、電気通信関係事業固定資産の大部分を占めるところの電信電話機械電信電話線路設備でございます。その際に、耐用年数につきましても、甲種固定資産におきましては、三十五年度までは二十一、二年というところでございましたけれども、十六・一二年というぐらいのところまで短縮をいたしております。そこで、その後この償却方法耐用年数でやってまいったわけでございますけれども、最近に至りまして、御指摘のごとく技術革新が進行いたしまして、設備の取りかえということがどうしても起こってまいるということと、なお、都市計画とかあるいは道路計画とかいったふうなものとの関連で、主として線路設備でございますけれども、社会的な他の要因からの取りかえをまたひんぱんに行なわざるを得ない、こういうことも相まちまして、十六・一二年という耐用年数では実態に即しない、こういう調査結果があらわれてまいりました。調査をいたしまして、いま言いましたような、過去の要因が反映いたしましたデータから耐用年数のあるべき姿というものを求めまして、昭和四十二年度の予算から、主として甲種固定資産機械関係について改正を行ないました。それによりまして、総合耐用年数が十四・八、九年ということに相なりました。なお、残る主として線路につきましては、調査を続行いたしまして、四十三年度の予算からこれを改正いたすことにいたしまして、それによりまして、総合耐用年数は十三・三二年ということに相なります。これを、郵政大臣の御認可を得た上で実施をいたしたい、かように考えております。  なお、乙種固定資産でございますけれども、これにつきましては、四十二年度の予算からこれも定率法に改めていただきましたけれども耐用年数につきましては、なお従前のとおりにいたしております。  次に、第三点といたしまして、減価償却費増高が短期間に著しい要因として御説明申し上げたいのは、電電公社投資額というものが、四十三年度の予算は別でございますけれども、それまでは、前年度に比較いたしまして年率一七、八%の伸びで投資をいたしてまいる、こういうことからいたしまして、新しい財産のふえ方が非常に多いわけでございます。大体、売り上げ高の七〇%くらいの投資を毎年いたしておる、また、前年度末の固定資産に比べまして、それの非常に大きなウエートを占める投資をやっておる、こういうこともございまして、減価償却費増高がやむを得ないものとして出てくる、こういう次第でございます。
  7. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの御答弁からいろいろお尋ねしたいのだが、まずお尋ねしたいことは、償却をしなければならない資産の毎年の償却額は何%をしているか、ちょっと年次別に言ってくれませんか。ここに三十五年から額だけの資料はあるが、これは一体償却しなければならない資産の何%を償却しているか、残った償却資産の額は一体……。
  8. 中山公平

    中山説明員 償却率を申し上げます。  三十六年度が七・六〇%、三十七年度が八・〇二%、三十八年度が八・五四%、三十九年度が八・九九%、四十年度が一〇・二一%、四十一年度が一一・一七%、ここまでが決算で出た数字でありまして、四十二年度はまだ決算が完了しておりませんので、予算でまいりまして一一・二七%、四十三年度が、予算でまいりまして一二・六二%の予定でおります。三十五年度は七・二二%でございます。
  9. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 昭和三十五年度には、償却すべき対象資産の七・二二%を償却した。ところが、いま四十三年度を聞くと約一二%を償却した、こういうことです。だから、一三%近い償却ということは、いまある資産を七年か八年でみんな償却してしまおうということなんでしょう。建物工作物機械、みんな合わせて百億あれば、そのうち十三億は償却をしようというわけでしょう。そうすることは、いまある電電公社資産というものを七年か八年でみんな新しくしていこう、償却してしまおう、こういうことだろうと思う。率が、昭和三十五年大体七%のものが、ことしの予算では二二%近くやろう、こういうことになる。これは、耐用年数を短縮したことや、定額法定率法にしたことや、こういうことが原因だと思う。電電公社資産というものは、こんなに一三%も毎年償却していかなければならないものか。私は最初認めておるとおり、技術革新時代に、早く償却をし、設備を更新しなければいけないということはわかるんだけれども、一三%もやらなければいけないのですか。一体民間は何%になりますか。民間の何倍ということをやっておるんじゃないですか。
  10. 中山公平

    中山説明員 日銀主要企業経営分析によりまして調べてみますと、民間は、昭和四十一年度におきましては余産業で一二・三四%、電電公社のそのときが、先ほどお答え申し上げましたように一一・一七%でございます。なお、民間会社通信業五社、これは民放及び国際電電でございますが、これが四十一年度一五・五八%、日本放送協会が一四・七九%、こういったところでございまして、先ほど小沢委員から、一二・六二%というようなことでは、八年くらいで償却してしまうのではないかという御指摘がございましたけれども、これにつきましては、やはり償却が終わりますのは、先ほど申し上げましたように、甲種で申しますならば、総合耐用年数十三・三二年というところで終わるわけでございまして、ただ、御指摘のごとく定率法をとっておりますので、定率法の場合にはどうしても前半期償却が多く出てまいる、後半期には、定額法に比較いたしまして償却が少なく出てまいる、こういうことによるものでありまして、特に、先ほど申し上げましたとおり、新しい資産というものが投資の増大によってどんどんふえてまいるというようなことから、定率法を用いておりますと、償却率ということにおいてはこういう数字が出てまいるのでございます。
  11. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 あなたの言っている数字は違いはしないか。民間が自分の持っている資産の、これは何とか通信機が一五%をやっておりますが、原価の中に占める割合を、言っているのでしょう。あなたのところの原価の中で占める割合は、資本費で四割五分いっておる。四割五分に相当するものが、ここでは日本放送協会の一割五分ですよ。だから、対象償却資産の何%をやっているかというと、いま言った数字の一二%というのは、ほかの企業——あなたのいま言っておるのは、原価の中に占める償却の率を言っているので、もしそういうことで比較するならば、電電公社は三割五分も四割もやっているのだ、そういうことですよ。
  12. 中山公平

    中山説明員 御指摘ではございますが、そうではございません。これは、統計数字に基づきまして、償却対象になる資産額に対する償却費割合を御説明申し上げたわけでございます。
  13. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、電電公社の四割、三割五分に相当する原価の中に占める償却割合は、ほかの企業はどのくらいいっていますか。それでは、一五%もやっているNHKは五割も六割も償却費であり、何とか通信機の一六%に相当するくらいのところは七割ぐらいが償却費ということですか。
  14. 中山公平

    中山説明員 統計が四十一年度のものしかございませんので、それによりますと、昭和四十一年度が、電電公社の総費用に対する減価償却費比率が三一・三%でございます。それに対しまして、先ほど申し上げました国際電電で一九・八%、ちょっと統計が違いますので、民放その他はございませんけれども……。(小沢(貞)委員「いや、一般民間会社でいいのだ。」と呼ぶ)民間会社で、電気事業で一九・五%、ガス事業で一五・〇%、民営鉄道業で一〇・四%、こういうことです。
  15. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうでしょう。それはコストの中に占める償却費割合ですよ。一五%、一九%に相当するものを、電電公社は三割二分、三割三分、ことしは三五%、こういうようにやっているということですよ。資産対象になるパーセントを一割三分なんてやっているところはほかにはないだろうと私は言っておる。電電公社だけがどうしてこんなに償却しなければいけないのでしょう。
  16. 中山公平

    中山説明員 御指摘ではございますけれども、先ほど私が申し上げました数字は、償却すべき資産に対する減価償却費比率でございまして、それは、たとえば電力を例にとりますと、先ほど申し上げましたのは、総費用に対して減価償却費比率は、四十一年度一九・五%でございますが、償却率は七・四六%、それからガス事業に至りますと、総費用に対して占める割合が、先ほど申し上げました一五・〇%で、償却率は一四・一五%ということでございまして、その間に両方取りまぜておるということは、私の説明では言ってないつもりでございます。
  17. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは、いつまでやっていてもしかたがない。たとえば、電力事業が総コストの中に占める割合は一九%だ、おたくのほうは総コストの中に占める割合は四割近い償却費だ。電力会社の倍なんですよ。だから、資産対象の率でいうならば、電力会社の七・四六%に対して電電公社は一三%をやっているのです。みんな倍じゃないですか。だから、電電公社償却が特別高いのだ、そういうことだけ認めなければいけない。三十五年は七%しかやらないものを、ことし何で一三%も——資産対象ですよ。原価の中で占める割合でいうならば、減価償却費が五割近くも占めてきている。だから、他企業に比べて飛躍的に高くしてきたのです。耐用年数を、いま言うように三回も変えてきた。二十六年を十六年に変え、十六年を十三年に変え、耐用年数を半分にしてきた。償却法定額法定率法に変えてきた。こういうようなことをして、昔は対象資産の七%しか償却しなかったものを、いまはどうしてその倍の一三%もしなければいけないか。民間企業のみな倍ですよ。原価の中に占める償却費ウエートも倍だし、資産対象の率に対しても倍です。大体のところ、平均そうなっておる。これを否定するわけにいかぬと思う。
  18. 小林武治

    小林国務大臣 私もちょっと意見を申し上げておきますが、これは小沢委員の言われるとおり、償却が他に比べて高い。これは収入もよいから償却に回す金もある。ただ、私これを認めておるのは、この事業は、むろん利益配当もやらなければ、税金も要らない。したがって、償却を多くすることが、脱税というようなことばを使ってはいけませんが、税にはあまり関係がない。したがって、できるだけ償却しておくほうが、いまの技術革新時代には適当であるから、要するに、税法上その他の弊害があまりない償却費用建設勘定に繰り入れてすぐに使える、こういうことだから、そこに入れておくことが、民間企業と違って、そう大きな弊害はない、こういうことで認めておるのでありますが、他企業に比べて非常に償却が高いということは、仰せのとおりでございます。
  19. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま大臣の言うように、もうよそに比べて倍ですよ。しかも、倍にするために、率を変え、耐用年数を変えてきたわけです。そういうことは、収益が下がった下がったという口実にこれを使っておる。もう一つは、来年だかことし電話料金を上げようとするためにこういうことをやってきている。これは私は、含み利益というか、利益を隠していることだと思う。耐用年数を短かくしたり、償却法を変えたりして、とにかく四割近いような原価の中に占める償却費割合を出すということは、出るべき利益を隠そうということが一つ、そうして、ことしからだか来年から値上げをしようとする口実に使おう、こういう意図的なように見えてしようがない。これを定率法にもとどおり返せ、耐用年数を昔どおりに戻せと私は言わない。適当な耐用年数にして、一般民間に準ずるぐあいに償却を変えていったら、私は値上げ要因も何も出てこないと思う。値上げ要因をつくろうとして、こういうように償却を一三%もやるようなことをしてきたのではないですか。原価の中の四割近くを占めておるのです。どうです、電電公社
  20. 秋草篤二

    秋草説明員 先ほど経理局長説明した固定資産に対する償却率の問題につきましては、確かに、私ども償却率というものは低いとは存じません。しかし、るる御説明いたしましたように、固定資産に対する償却率は、日銀統計等を見ましても、一般民間企業、特に、通信関係といっても国際電電民放くらいが多少類型的な産業だと存じますけれども、これに比較しての償却率というものは、そうとっぴなものではないということを申し上げておるのであります。  しかし、後段におっしゃられた、経費の中に占める償却率割合とこれは別問題でございます。これは産業によりまして、固定資産を重点とする産業とか、あるいは商品の活動による商事会社、こういうものに比べれば、これは全経費に占める償却費用割合というものは非常に違います。ですから、私どもでは、電力とかガスとか水道上か、これでも業態は非常に違いまして、電力ガスのような大きな固定資産産業であっても、これにはやはり、あるいは石炭だとか重油だとか、非常に大きな消耗品もございます。したがいまして、かなり固定資産に対する償却率は高うございましても、経費の中に占める割合は、電電公社は抜群に高くなるのは当然だと思います。なぜならば、私ども事業は、刻々に、固定資産だけで自動化、自即化、非常にそういう方向にきております。原材料というようなものはほとんど要りません。そういう関係では、私どもは、将来また、固定資産の占める割合は、全経費に対してはまだ増高するのはやむを得ぬのではなかろうか、こういう理論を持っております。  それからもう一つは、この前も大臣が理論的な御説明を申し上げたように、償却費に対しましては、確かに、収支関係においては大きく変わってまいりますけれども電電公社は、配当とかあるいは課税というものがございませんので、社外に流出するというおそれはございません。したがいまして、先生がおっしゃいますように、償却を低く下げれば、利益は出ます。出ますけれども、その利益は全部建設に投ぜられます。償却を上げれば、利益は減ります。減れば、逆に償却内部留保建設に投じられます。償却を高くしても低くしても、びた一文も、建設費に投じられる額には関係ないのでございます。その点につきましては、償却率を上げることによって、あるいは下げることによって、料金値上げをするとかしないとかという点については、資金論としては関係のないことだと存じます。ただ、収支状況という点におきましては、やや黒になったとかあるいは赤に近づくとか、そういう問題は、どうしても表面的には出るということは存じております。
  21. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 だから、利益が少なくなったことを値上げ理由にすることはできないんですよ。それはわかるですね。これは私は確認しておきたいと思うのです。利益がこんなに下がってしまいました、したがって値上げをしましようという理由はないわけです。普通の一般会社と同じように償却をしておれば、償却費が少なくなって、利益はたくさん出る、ところが、利益が出ても建設勘定にいく、償却でも建設勘定にいくということは、私はわかっているからいいのです。だが、利益が少なくなったから値上げをしますという理由を、そういうことから言うならば、以後書いちゃいけませんよ。昭和三十五年のときは、全資産に対する償却率は七%、いまは一三%もやっているんだから、毎年、たとえば八%なり七%くらいに下げたとするならば、膨大な利益が出ますから、利益が少なくなったから値上げをしなければなりませんという理由——その部分だけです。利益に関する部分は、今後言っていただきたくない。あなたの説明のとおり、みんな建設勘定にいく、それはけっこうです、償却を高くしても低くしても。だけれども利益がなくなったから値上げをしなければいけないという理由は以後だめだ、私はこういうように考える。  それから、大臣が行かれるそうですから、まだこの償却資産の問題について若干お尋ねしたいと思うのだが、私は電電公社予算を見て、一番最初に申し上げたように、人件費償却資本費、これが七割から七割五分も占めておるんじゃないか、こう思います。だから、人件費に対する考え方、私の手元にある資料でゆうべ調べてみたら、昭和四十三年の設備料だけしか上げられないときの予算と、料金値上げするときの予算と二つあって、そこの人件費だけ見てみたわけです。これは予算分科会のときも申し上げたけれども、二二%料金値上げしてもらえば、そのときの要員計画は一万四千九百九十二名ふやします、こう言う。約一万五千人ふやします。ところが、その料金値上げが延ばされてしまって、設備料だけ認められたといって提案された予算においては八千五百二十二人です。二二%料金が上がれば要員が一万五千人になって、そうでないと、いま出されておる予算は八千五百人になる。  私のうちの電話をとってみると、一万円であるとすれば、二二%上げるといたしまして一万二千二百円に上がるということと、要員が一万五千人から八千五百人に、約半分になる、これはどういう関係があるだろう。電電公社の経営の基本の中に、この人件費のふえていくことを平気で考えているところがある。これは民間企業においては、私はたびたび申し上げるけれども、およそ考えられない。生産性が上がり、売り上げが上がって、しかも人が減っていく、そのかわり設備資金、資本のほうは十分かけてやる、これは一般企業、日本じゅうどこへ行ったってそうです。ところが、電電公社の基本で一番びっくりぎょうてんしたのは、これなんです。料金が二二%上がったら人員は一万五千人ふやす、それが、上げることが認められなければ、今度は急に八千五百人になる。だから、要員をふやす、人をふやすということを平気で考える。ここに私は、労働力不足経済時代に対処する電電公社の経営理念というものが全然欠如している、こういうように考えられてしかたないわけです。いままで要員のふえてきたのを見ると、毎年約一万人ずつふえてきている。昭和三十五年以来、ずっと八千人から一万人ずつふえている。もしことし電電公社のおっしゃるとおり上げれば、また一万五千人ふやそうとしている。この感覚というものは、私はいても立ってもいられないような、電電公社に憤りを感ずるような気がするのです。いま民間企業で人一人集めようということはたいへんなことなんです。それほど労働力はとうといものであって、労働の生産性を上げるということに経営理念の一番のポイントを持っていかなければならない、こう思う。  大臣帰られるそうなので、こういう問題についての大臣の考えをひとつお尋ねをしたいと思う。
  22. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話しのような欠点が私もあると思います。ことに、電信電話については一番生産性の上がっている仕事でありますから、機械設備がふえたからといって、それに応じて人が全部ふえていく、こういうようなことについては、十分注意しなければならぬと思っております。計算上のことについては、また公社からお答えがありましょうが、そういう感を持っております。
  23. 米澤滋

    ○米澤説明員 こまかい数字経理局長から述べますが、総括的にお話しいたします。  ただいま、最初に概算要求として出した数字と、それから実際成立した予算の中に盛られておる要員と非常に違っておるのじゃないかという御指摘がございました。  これにつきましては、最初に概算要求を出しましたときには、百九十万の電話をつけるということで人数をはじいたのであります。実際成立いたしましたのは、農集も入れまして百七十三万であります。このいわゆる工程の違い、それから、投資規模におきまして、最初に概算要求を出しましたときには、現在の景気の状態と概算要求を出しました時点とでは違いまして、二四%の建設投資の伸びを予定いたしたのであります。成立いたしましたときには、六・五%の伸びに建設投資額が押えられたという、いわゆる建設投資額の差ということ、これが一つございます。それと、工程におきまして百九十万でございましたのが百七十三万になった、この二つがまず表に出てまいります。それからもう一つは、これは公務員のほうもそうでありますが、公社の全体の人間を一%削減いたしました。二十五万おりましたが、一%削減いたしまして、二千五百人という人数をまず頭から四十三年度におきまして減らしましたので、そこで二千五百人という差が出てまいりました。それからもう一つは、要員の中に建設に伴う要員というものが含まれておったのでありますが、これがほとんど認められなかった、こういった工程の違い、投資規模の差、それから二千五百人を節約したということ、それから最後に申し上げた問題、これらを含みましてこういう差が出てきたのであります。  その点、数字はまだ経理局長のほうから申し上げるとして、大局的に見ますとそういうことでございまして、決して膨大なものをふっかけたということではございません。ただ、われわれといたしまして、要員のふやし方というものについては、今後一そう重要視していかなくちゃならない。といいますのは、現在、生産性というものが毎年一三%ぐらい上がっておるのでありまして、そういう企業というのは、日本にはそうないのじゃないか、毎年二二%物的生産性が上がっている企業というものは日本にはあまりない。しかし、それにいたしましても、なお要員問題については慎重に考えていきたいと思っております。
  24. 中山公平

    中山説明員 総裁からも御説明申し上げましたように、電電公社の要員の要求は、設備の増によってふえるところの保全要員を増に立てまして、設備自動化によりまして減っていくところの運用要員等は減に立てまして、その差し引きをもって要員要求をいたしておるわけでございまして、ふやすものだけをふやし、減らすものは減らさないで要員要求をしておるというようなことではございません。
  25. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 総裁もみんなうまいことを言うのだけれども、これは、ちょっと古いのでたいへん恐縮ですが、「公社・公団等の改革に関する意見」、臨時行政調査会です。公社の経営というものは寄生虫的な経営能力であり、寄生虫的な経営感覚でやっている。そして、人件費のことは何を言っているかというと、予算獲得だけなんだという意味のことを言っている。たいへんいやなことばを使っているようですが、「予算編成において少しでも支出権限を増やそうとし、少しでも収入見込を減らそうとすることに努力が集中される。この結果トップの努力は」——これは総裁理事です。「トップの努力は予算の編成に注がれ、作られた予算の実施については「勝ちとったものを自由に使う」という意識しかなくなる。」人件費の項にはこう書いてある。「以上のことは人件費についても同様であって、人件費(給与総額)は費用としてではなく、支出限度−支出権限−としてしか意識されていない傾向がある。つまり獲得した人件費は賃金管理、要員管理上からの顧慮を殆ど払うことなくすべて支出されようとし、」云々といろいろ書いてあるけれども、これは私が言っておることじゃないのです。臨時行政調査会が電電公社を監査した結果、経営者の意識の中にはこういうものしかないんだ、こういうことを言っているわけです。だから、二二%料金値上げ予算編成といま出された予算を見ると、人員増のことについては、ここに書いてある以上のことが平然と行なわれているように数字があらわしていますから、それをいかに理屈で言おうとだめだと思う。数字があらわしていると思う。  だから私は、経営理念というか、経営感覚というものをそういうふうに切りかえていかなければいけないんだということから、続いてお尋ねしたいと思うのだけれども、やはり二二%料金値上げをしようという意図を持っているなら、いまの置かれている国内の経済社会情勢にこたえるだけの努力というものを経営者の最高幹部はしなければいけない。言うならば、私はこの間の予算分科会でもちょっと言ったけれども、われわれひまがないからちらっと見ただけですが、電電公社の経営の中には、民間ではおよそ考えられないようなことを平気でやっているんではなかろうか。私は時間があったらここで指摘してもいいと思うのですが、たとえば修理場を自分で持っている。私は病院の経営についても意見があるけれども、時間があったらあとでお尋ねします。あるいは本社、通信局、通信部、現場の四段階制を私は廃止しようとは言わないけれども、どこかの部門でやれば、どこかの部門はやらないで済むというようなぐあいに、組織上の合理化を検討するなり、国民に二二%の値上げを要求するには、みずからこれだけの合理化努力、これだけの経営努力をやったんだという姿を国民に見せなければ国民は納得しないんじゃないか、私はこういうように考えるわけです。これは大臣にも関係があるのだけれども、その問題については、電電公社みずからの中からはそういう要因が出てこないというならば、私は外からそれをやらなければいけないと思う。いま言えるのは、国会議員だけかもしれません。民間企業ならば、資本の自由化だとか貿易の自由化だとか何とかの自由化だとか労働力不足だとか、こういうような国際的な幾つかの要因でもってやらざるを得ないようになって、自分でやっているわけです。電電公社の経営者のトップの中にそれがないならば、外から何か機構をつくってそういうことをやらせるかしなければいけないと思います。私は、電電公社予算をべっ見しただけで、そういうことを痛感をするわけです。私は、これによって人を減らすことにならないと思う。ふやす率を減らすということですから、これは労働問題にも何にもならない、何も摩擦なくしてできることだ、こういうように考えるわけです。  だから、料金値上げ問題はどういうようになっておるか知りませんけれども、そういうことと関連して、電電公社の合理化、近代化というものについて、郵政大臣としてはどういうふうにしたらいいだろうか、あるいは電電公社としては何をせんとしているか、こういうことについてお答えをいただきたいと思います。
  26. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほど申し上げましたが、私たちも、公社の経営につきまして、特に要員問題というものが今後非常に重要な問題であり、生産性を上げて、そうしてできるだけサービスをよくしていく、この点につきましては日ごろ考えておりますけれども、なお、料金修正等を四十四年度に政府に要請する際におきましては、さらにこの問題について一そう検討を深めていきたいというふうに考えております。  数字につきましては、また御質問がありましたらお答えいたします。
  27. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま私の言っているようなことについて、電電公社みずからの中でそういうことを検討しなければいけないという組織とか、何かありますか。何か、経営調査室みたいなところで十年後のビジョンを出したりしているようです。十年後、十五年後などというビジョンを出している。あるいは、事務近代化ということについては、こうやって書くのはテープコーダーか何かでそういうことをやっているだろうが、私がちょっと言っているような近代化、合理化ということについて、電電公社の組織そのものの中にそういうものをやる場があるか、機関があるか、こういうことなんです。
  28. 米澤滋

    ○米澤説明員 公社が発足いたしましたときには、電話の数は百四十万で、そのときの人の数が約十五、六万で発足いたしました。ですから、百四十万の電話に対して十五、六万の人、ところが、現在は電話の数が一千万になりまして、人が約二十六万おります。ですから、百四十万と一千万の差と、それから人間が十万ふえた、この問題につきまして、総括的に言えば、過去、特にこの十年間に約五万人の配職転をやってまいりまして、われわれとしては努力はいたしたというふうに考えておりますけれども、それは十分であるかどうか、これについては、確かにまたいろいろ御意見があると思います。  いまの機構問題につきましては、やはり機構というものは長期的に考えなければいけませんので、将来の長期的な機構につきましては、経営調査室というものがありまして、また、機構については総務理事の一人をその担当に充てております。それからもう一つは、個々の機構につきましては、文書課というようなものが一応やっております。それで、長期的に見ますと、たとえば検査事務などというのは、私、非常に合理的にいっている一つの例じゃないかと思うのであります。この十年間、ほとんど人間をふやしておりません。矛の間に拡張の規模はおそらく三倍ぐらいになっているかと思うのでありますが、三倍拡張規模がらえても、物品の検査等はいろいろ合理化したり、新しい品質管理方法等を入れまして、約三倍になった物品量を同じ人間でやっているというふうに、いろいろくふうをこらしてやっております。  それからまた、事務近代化につきましてちょっと御意見ございましたが、これも七、八年やっているのでありますが、これをコンピューター等を便って、新しく事務要員をふやさないで、いまいる事務要員を合理的に使っていくというような事務近を含めて公社の経営上のいろいろな問題を考えていきたい。たとえば、いま御指摘ありました本社、通信局、通信部、それから現場という四段階の問題につきましても、実は公社が、形は同じでありますけれども、かなり激しい分権方式をとっておるのでありまして、その証拠には、一つの例をあげますと、通信部あたりで、たとえば埼玉通信部とかいうところの電話の架設量というものは四国通信局全体に該当するとか、そんなような場所もできておるわけでありまして、それにつきましては、本来なら機構はもっと大きくなるのを、通信部の中のいわゆる分権ということをやって、そして権限と責任とを下部段階におろしてやるということをやってきているというつもりであります。しかし、私はいまのやり方自身が一〇〇%十分だとは決して思っておりませんので、それにつきましては、事務近のいわゆるコンピューターを使う最近のマネージメント・インフォメーション・システム等の行き方も十分考えて合理化をはかる必要は認めておりますけれども、過去においてはある程度やってきたんじゃないかということを申し上げたいと思います。
  29. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 償却から話がこっちへ飛んできてしまったのですが、ついでですからお尋ねをしますが、工作場が通信局に十ばかりあるのですね。きのう聞いてみると、その人員が二千名とか何千名いられるようです。電話機の修理や何かを自分たちのところの職員でやっているんだ、こういうことをこの前もお聞きしました。だが、そういうことでわれわれすぐぴんと感ずることは、民間においてはそういうことをやっているところはありません。いままで、七、八年か五、六年前はやっておりましたけれども、そういう非能率的なことを民間でやっているところはどこにもないわけです。これは技術革新が激しいという反論があるかもしれませんけれども、たとえば東洋高圧というようなああいう石油化学の会社でも、現場のこまかいものを補修するとか、そういうことを含めて東洋エンジニアリングという別会社が別の独立採算性をもって、そうしてみずから研究をして、その研究成果は世界じゅうに出ている、こういうことなんです。だから、こういうものを一つ持っているのを見て、私はちらっと見ただけで、これは経営感覚というのはずいぶん古いのじゃないかな、もっとそういうことについてシビアーに第三者なり民間人なりに——国際競争の中で民間は激しく変わっている、その中で、電電公社はそういう意味においては非常におくれているのだ、こういうように私は感ずるわけです。これは、具体的にどうしろと言っても、いろいろの歴史と伝統があるでしょうからあれですが、私はちょっと見ただけで、こんなものを持っているのはおかしいことだ、こういうように感ずるわけです。  あるいは病院というのは、どういうようになっているか。私は急にきのう気がつきだして調べてみたらば、電電関係の病院、診療所を経営するのに、収入が二十一億で支出は三十一億だ、こういうことです。これは郵政の病院と、規模といい何といい、どうも同じようなんです。郵政のほうは五十億ぐらいな、要するに、仕事といえばおかしいですが、仕事をやって、電電のほうは三十億だ、こういうのです。同じ病院の数、同じ人員ぐらいの規模、どうも二つ分けたらしいからそうだと思うのだが、私はちょっと、こういう比較をしていいかどうかわからぬが、これでいいのかな、こういうように考えました。  これはちょっと郵政の方にお尋ねするのだけれども、病院のことがわかる人はだれかおりますかな。——私は郵政のほうの病院と電電公社の病院を見たら、いまちょっと資料がどこかへ行っちゃって、時間もないからあれなんだが、電電のほうは一点単価八円でやっているのだそうです。民間は一点単価十円。電電公社の病院は、一点単価八円でやって、電電の職員が来ても一点単価は八円であります、郵政職員が来ても一点単価は八円であります、こういうことなんです。それは、電電はいいわけですね。
  30. 今井一郎

    ○今井説明員 そのとおりでございます。
  31. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 だからこれは、一般の健保や民間が十円でやっているところを、電電公社だけは一点単価八円で経営しているということなんですよ。郵政省のほうで見たら、まだそれより悪い。郵政省のほうに来れば、電電公社の職員が入院しても診療しても、郵政省の職員がやっても一点単価は五円です。民間が十円でやっている半額でやっているのです。これは企業のその経営方針に基づいてやっていることだからわれわれ何とも言えないけれども、これは、民間の一般の健保や病院は一点単価十円でやっているところを、郵政省は何で五円でやっているか、こういうことです。
  32. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 ただいま主管の者がおりませんので確実なことはお答えできませんが、いま一点単価五円というのは、薬価との関係があるのじゃないかと思います。薬品のほうは、たしか実費で持っていただく、そうして、一点単価というのは技術料のほうの関係じゃないかと思いまして、結果的には電電とそう違わないのじゃないかと思います。  それからお尋ねの件は、それによって収支が合わないということだと思いますが、郵政事業で行ないます場合は、ある程度従業員の厚生的な面も含めて行なっているという形でもって、事業の中の金をその中につぎ込んでいくという考え方のもとに経営しているというふうに考えられます。
  33. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それはわかった。  それでは、郵政省の病院の経営は、概略収入が十億、支出は五十億だと聞いている。そうするとあとの四十億というものはどこからどういう金でやっているのですか。
  34. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 御承知のように、郵政事業特別会計の中のいわゆる収入は、郵便それから貯金、保険、そのほかに委託業務収入でございまして、それらの収入を勘定別に使用しておりまして、その中の、ちょっと科目の名前は忘れましたが、結局、それぞれの事業から得た収入でそういう病院とか厚生関係のほうに使っております。
  35. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 簡単に言えば、われわれの郵便料金でやっておるということでしょう、四十億というものは。そういうわけですね。
  36. 溝呂木繁

    ○溝呂木政府委員 郵便、貯金、保険等の事業収入によってまかなっているということでございます。
  37. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 郵政省のそういう問題については、また後日、ここは電電公社予算の問題ですから……。  そういうことと比較すれば、電電公社のほうは二十一億くらいな収入を得て、支出が三十一億だというんですから、一点単価も八円で、われわれの電話料金でまかなっているのは十億だ、こういう意味においては、私は郵政省よりはいいのじゃないか、こういうように考えます。考えますけれども、この中の十億なり何なりというものは、われわれの料金から払っていかなければいけない、そういうことだと思うのですよ。こういうものを独立採算なり何なりにしていかなければ、企業の近代化、合理化——これで一般の保健なり何なりの管理に使うというのは、電電公社予算から補助金を出してやるという、こういう経営体系に持っていかなければいけないのじゃないか。これは経営の方針なんですがね。
  38. 今井一郎

    ○今井説明員 ただいまの問題につきましてお答え申し上げます。  ただいまおっしゃられましたように、確かに、病院を持っておりますことによりまして、そこへ入ってまいります収入が全部で二十一億で、支出が全体で三十一億でございます。ただ、この三十一億の中には、いわゆる労働基準法できめられております健康管理、こういったものの費用も入っておりますから、いわゆる病院そのものにかかります経費は、その中から約九億が引かれました二十二億くらいになるわけでございます。それで、先生がいま御指摘になりましたように、分離独立させるということになりますと、これは病院の従業員も公社の職員でございますので、なかなかむずかしい問題も出てきますし、それから分離独立させますれば、一点単価は、八円ということではなくて十円にならざるを得ません。同時に、現在こういったものは共済組合のほうから金が出ておりますが、今度は病院を公社が持たないことになりますれば、一般の健康保険というものと同じようにならなければならぬと思います。そういたしますと、公社の負担金もいまよりも相当支出増になると思います。それから、われわれのほうの病院は、治療のみならず、健康管理の面を非常に大きく分担しております。早期に発見いたしました者を、早く高度の診療をやって回復させて職場に復帰させ、絶えず明るい笑顔でサービスができるようにしむけているわけであります。そこで、分離させますと、そういった健康管理の充実という面で非常な穴があくだろうと思います。そういった面からいたしまして、今度従業員の欠務というものもふえるのじゃないか、それをまた埋めますために、別に財政硬直化的な人件費もふえてくる、いろいろなことを考えますと、現状のほうが、公社事業を運営してまいります上において妥当であろうというように考えます。
  39. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そんなこまかいことを私言おうとしているんじゃない。そういう近代化や合理化をしていく中の一つの例として、たとえばそういうものはやはり独立会計としてやって、健康管理のためにいいなら、そこで補助金を出してすっきりさせて、そうすれば、人員も公社全体として少なくなるでしょう、工作場も分離独立さして、そこでまた経営能率をあげてやっていくようにすれば、全体の人員は少なくて済むでしょう、あるいはその四段階のものも検討すれば、廃止しろとは言わないけれども、ダブってくる仕事はなくなるでしょう。ちょっと私が外から考えただけでも、経営の近代化その他についてはやるべきことがありはしないか。こういう一例からだんだん入ってきてしまったのですけれども、そういう問題を私たちが見れば、民間においてはあたりまえのことをあたりまえにやっておるのを、みそもくそも一緒にして、そういうものを電電一家のごとく経営をしなければならないという感覚を持っておるならば、新しい時代の経営感覚ではないんだ、そういう問題について検討しなければいけない、私はこういうことを言おうとしておるわけなんで、明るい笑顔でサービスを、それはいいわけですから、一点単価が十円になるかならぬかということは別問題で、近代化をやろうということになれば、普通ならば、病院というものは独立会計にしてちゃんとやっていきます、それから、必要な経費は補助金として一般会計から出します、電電公社へ、そういうことがあたりまえのことなんです。修理場は独立会計で請負契約でやって、そこはそこで発展させていく、これがいまの経営としてはあたりまえのことなんです。そういうことを私は言っているのです。だから、そういう非近代的な電電公社一家みたいなことも行なわれてやしないかと言っておるわけですから、それに対して、合理化、近代化を何かの組織をつくって、社内でもって推進していかなければならない、こういうように私は思うわけです。どうでしょう。
  40. 米澤滋

    ○米澤説明員 マネージメント・インフォメーション・システムのようなものを積極的に入れていくということが、今後の問題として非常に大事なことだと私は思っております。  ただいま具体的におあげになりました病院の問題につきましては、この病院は郵政省と電電公社と両方で共通に使っているという点がありますので、ちょっと問題は、うちの病院はまた郵政省も使う、それから郵政省の病院はまたうちの職員も使うというので、これはちょっと公社だけでいかない面もあります。  これは別にお話しすることといたしまして、総括的に申しますと、いわゆるコンピューター等を入れます最近のマネージメント・インフォメーション・システムのようなものを電電公社の中に積極的に入れまして、経営管理というものをもっと合理化していく、分権ということでだいぶ進めたのでありますけれども、先ほど申し上げましたように、公社が発足いたしましたときに、電話が百四十万で十六万の人がいた。いま一千万になって二十六万人でやっているということ、あるいはアメリカのATT、あるいはまた英国の郵政省、それからドイツの郵政省とか、そういうところの電話事業とわれわれ絶えず比べまして、私は、大体ヨーロッパ並みには電電公社がいっているのではないかと思いますけれども、しかし、この点は、病院問題といいますか、経営管理というものをもっと徹底さしていく、そして合理化をはかっていくということは私は必要だと思います。しかし、具体的ないまの工作場あるいは病院等につきましてもいろいろ意見がございますので、あまり長くなってはいけないと思いますが、総括的には、いま外国の企業、日本にはちょっと比較する企業がないのでありまして、国際電電がありますけれども、これは規模が非常に違いますし、確かに、これまでいろいろやってまいりましたが、特に最近のマネージメント・インフォメーション・システム等が入ってくると非常に問題があると思います。そういう点で努力はいたしたいと思います。
  41. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは時間がないので、最後に、最初の償却の問題、三十五年の七%ぐらいから四十三年度の予算の一三%に資産に対する率を上げたわけです。これを定額法にするとか、耐用年数を一部変えて、総資産に対するパーセントを、三十五年の七%とは言いません、八ないし九にする、あるいは一〇近くにする、こういうことをしただけで一体何億の利益が出るか、そういうことを検討し、それから、いま言うように、人件費の増に対して、年々一万人ふやしているのを、ふやす量を減らせというのです。私の言うのは、五千人なら五千人の増くらいにしておく、こういう人件費増を、一万人ペースでふやしているのを半分の五千人ペースにしたらどうだろうか、そういうことと、一三%という膨大な償却をしないで、三十五年度、ちょうど半分くらいの八ないし九あたりの償却にするならばいいですが、料率二二%を上げて出てくる七百何十億くらいの増収に匹敵するものは出てくるのじゃないか。私は、努力によって出てくるのだ、こういうように考える。これが私の質問のきょうのポイントなんです。そういうようになるはずだ、こういうように考えるので、もし今後、料金値上げその他を出してくるならば、私のそういうようなことについての電電公社の必死な努力というものが前提にならなければ、私は、安易に審議はできない、こういうように考える。  これは、最後に総裁の御答弁を聞いて、質問を終わりたいと思います。
  42. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほど公社の側でいろいろ答弁いたしましたが、私、この減価償却問題はパーセンテージがいろいろ問題になりましたが、現在の技術革新の点、それからまた資産の実態から見て、いわゆる償却の総合耐用命数と残存価値の問題、この二つがポイントになると思います。したがって、公社といたしましては、実は、総務理事を中心にいたしまして、ここ三年くらい前から実際の財産除却の状態というものを正確に、個々の、たとえば磁石式電話機はどうだとか、あるいはラィン・スイッチはどうだとか、搬送はどうだ、電柱はどうだ、マンホールのふたはどうだとか、個々の一品一品についてその状態を調べさしたのです。ただ経理局でいきなりぽんと数字を一二・六にしたらいいんだというわけではないのでありまして、一品一品全部つかまえまして、これは何百とありますけれども、それの代表的なものを調べまして、たとえばマグネットの電話機なんかどうだ、磁石式の交換台ならどうだ、マンホールのふたはどうだというようなことを一つ一つ調べて、そしてそれによって償却のいわゆる実用寿命というもの——物理的寿命はまた別ですが、経営上から見た実用寿命はどうだということをここに積み上げていく結果といたしまして、その積み上げた耐用命数というものを、たとえば、先ほど経理局長説明が不十分だったかもしれませんが、他の国際電電とかあるいは放送会社等と比べてまいりますと、電電のほうがその耐用命数というものを長くしておる、そういうふうに実態からごらんになっていただきたい。  それから財産除却の問題、これは電電の場合少し違いますのは、最近道路関係の工事が非常に多いのでありまして、公社としてはまだ移転したくはないような線路を移転しなければならない、そうすると、そのために管路——管路は一ぺんほじくって動かしますと、置いてあるならまだもつのが、もたなくなる、鉄管が使用できなくなる、そういう他動的な道路工事等によって起こってくる移転という問題が起こってくる、そういうものを別々にみんな積算いたしました結果、十三・六年という数字が出てまいった次第でありまして、それにつきましては相当資料を準備してあるわけでございまして、個々の一品一品について、施設局長から御説明してもいいのでありますが、ちょっと時間がありませんので、そういうふうにして、ただ頭から何年にしたというわけじゃありません。積み上げ作業があったということだけ御説明いたしまして、そこは時間がございましたら、一品一品についてよく説明できると思います。
  43. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 希望だけ一言。  十三・六年とか言っておられるのですが、総裁、全償却をする対象資産に対して一三%の償却をしておるということは、おたくの公社資産というものを七年七分にして全部償却してしまうということです。建物工作物線路その他、償却をする対象物の全部に対して一三%の償却をしておるということ、そういうことは七年なり八年に全部一ぺんにかえちゃうということです。そういうことじゃないですか。だから、私はこの率は重大だというのです。
  44. 中山公平

    中山説明員 先ほど総裁からお答え申し上げましたように、一品一品技術のほうで十分調査をしまして、それをきめて、そのときの資産構成によって、甲種の場合で申しますならば、総合耐用年数が十三・三二、それで償却率が、その年度においては先ほど申し上げました一二・六%になるということでございまして、これは定率法をとっております場合には、どうしても前半期償却が多く出てまいりまして、後半期は定額法よりも少なく出てまいるということでございまして、ここにきめられた耐用年数だけはかからないとやはり償却は終わらない、こういうことでございますので一二・何%あれば七年で終わるというようなことではないことは、御承知のとおりだと思います。
  45. 古川丈吉

    古川委員長 中野明君。
  46. 中野明

    ○中野(明)委員 過日来、この電気通信法の一部改正についてはるる議論が出ておりますので、極力重複は避けたいと思いますが、基本的なことを確認の意味でお尋ねしながら、二、三要点を聞いてみたいと思います。  今回の改正案の提出理由として、加入電話増設の必要性にかんがみ、その設置に要する費用の一部に充てるため、加入電話の設備料の額を改定する必要がある、このようになっております。電話増設の財源を設備料の大幅引き上げに求めなければならなかったそのいきさつについて、いま一度御説明を願いたい。
  47. 井上俊雄

    井上説明員 お答え申し上げます。  公社では、すでに前年をもって第三次五カ年計画が終了いたしました。相当な拡張、サービス改善の努力をしたにもかかわらず、電話の需給はますます悪化の一途をたどっておるのであります。したがいまして、公社といたしましては、本年度から始まります第四次五カ年計画期間中に、どうしても現在よりもまず電話の需給の改善をはかり、さらに、国策としてすでに決定されておりまする経済社会発展計画の線にも沿って、経済の効率化あるいは地域社会の格差の是正、生活の安定、充実等々の仕事をやらなくてはならない社会的な義務と責任があるわけでございます。  その観点から、四次計画としてどのようなサービス拡充、改善をなさねばならないかということにつきまして、去年の八月の末に、すでに御案内の第四次五カ年計画の大綱というものを発表いたしまして、大づかみな四次計画の計画規模を策定したのでございます。この計画規模も、さらにその時点におきまして、その二年前にすでに答申の出ておりまするいわゆる佐藤調査会の報告の線にも沿うものとしてつくられたものでございます。そのようになってまいりますと、建設投資規模といたしまして、どうしても三兆五千億余りを必要とする、一方、この投資規模が、はたして公社として容認されるであろうかどうかという問題も、さらに側面的に十分検討を加えたのでございます。  すなわち、経済社会発展計画において、公社のワクといたしまして示された四次計画の二兆六千六百億、公社の四次計画は四十三年度から四十七年度まででございますので、一年間の期間的ズレがございます。そこで、経済社会発展計画の四十六年度の時点におきますところのいろいろな経済指標の計算の手法等を吟味いたしまして、そのものを使いまして、いわゆるデフレーターというものから一年間だけシフトいたしまして、四十三年度から四十七年度の時価に換算いたしますと、公社の試算といたしましては、公社の割り当てられたワクの二兆六千六百億が大体三兆三千億くらいになろう、こういう試算をいたしました。公社としては、三兆五千億はやや上回るのでございますけれども、この程度のことはぜひやらしていただきたいという心づもりでその投資規模を策定し、その線が一応妥当でもあろうということでまいったのであります。  一方、その投資の計画を円滑に遂行するために、その資金をどうやって手当てするかという問題でございます。  それは、収支の計算見積もりから出てまいります収支につきましては、収入の相当多い時点である四十一年度の決算につきまして、収入と支出につきましては、必要な経費を見積もりまして、収支の状況をチェックし、さらに、現在の法律制度のもとで得られる諸資金をも勘案いたしますと、どうしても一兆三千億ばかりの不足資金が出てまいる、これを利子負担、償還負担のない資金で調達しませんと、四十七年度の時点あるいはそれに至る過程におきまして非常に経営内容の悪化を招く。現在約一兆三千億をこえる借金がございますが、もしこれを借り入れ金でこの投資規模を実行するといたしますと、四十七年度末における借り入れ金が三兆七千億にも達するという問題がございますので、どうしてもその最小限の不足資金というものを利子負担、償還負担のないものでやりたいということから、それにつきまして設備料料金でお願いいたしたい、この設備料料金でどのように案分するかという問題につきましては、たびたびいろいろ御議論をいただいておりますが、現在の加入者のサービス改善に使われておるということもあり、かつ、佐藤調査会におきまして、その手法のもとに、ある配分比率的な工作が加えられておりますので、これらも総合勘案し、さらに、現在の新規の加入者の実質負担というものを過去の拡充法制定当時の状態と比較したといったような点も総合勘案いたしまして、いまお願い申し上げておるような線で設備料料金との関係を勘案し、設備料だけをとりあえず四十三年度にお願いしておる、こういういきさつでございます。
  48. 中野明

    ○中野(明)委員 時間があまりないようですから、尋ねている要点だけお願いしたいと思います。  いまのお話によりますと、この設備料、利子負担のかからない分で何とか建設資金を、というところからというようなお話なんですが、この設備料の引き上げ幅ですが、これは電信電話調査会の報告書を見ましたが、この報告書の中に出ている額と一致しているわけでございます。  そうしますと、今回のこの備設料の改正は、調査会の料金改定案というものを全部のみ込んで実施しよう、そういうふうにしているもののように受け取れるわけですが、その点、どうですか。
  49. 米澤滋

    ○米澤説明員 公社といたしまして、電信電話調査会の答申を尊重いたしまして、その後、経済社会発展計画が経済審議会できまりましたので、それも同時に中身を受けまして、骨子、大筋におきましてはそのとおりでありますが、ただ時間が少しずれておりますので、設備料についてはその数字そのままを採用いたしましたが、ほかの問題につきましては、たとえば料金体系の合理化というようなものをも考えに入れていきたいというふうに考えております。
  50. 中野明

    ○中野(明)委員 郵政大臣も、提案理由説明では「加入電話の架設に対する国民の要望」に対して「加入電話の増設を円滑に行なう必要があります」このように述べておられまして、今後の電話増設計画について、公社の五カ年計画を一応了承しておられるように思います。  それにつきまして、先日も議論がなされておったようでありますが、大臣といたしまして、今回は一応設備料値上げでことしはまず済まして、そうして、来年度からは、当然この計画を実施しようとすれば、調査会の答申に基づく料金改定を基本的に考えていかなければならない、このようにお考えになっているのじゃないかと私たちは想像しているわけなんですが、この辺、大臣のほうからもう一度……。
  51. 小林武治

    小林国務大臣 これは毎々申し上げておりますが、たとえば、来年の工程がきまるとすれば、その工程をこなすための資金量というものは出てきますから、その資金量をどういう方向で調達するか、こういうことになるわけであります。その資金はいろいろの方法があることは、もう毎々申し上げておるのでありまして、料金の問題もその一つには違いないのでありまするが、あるいは財政投融資とか縁故債とか借り入れ金とか、いろいろの要件がありますから、これらを彼此勘案してきめる、こういうことになりまするからして、来年は必ず料金問題についても考えなければならぬというふうには考えておりません。全体として考慮して、これらの資金をどういうふうに配分して調達するか、こういうことになりますので、必ずしもそういうことを結果するということをいまから申し上げ得る段階ではございません。
  52. 中野明

    ○中野(明)委員 これは当然、本年も資金調達さえ可能であれば、設備料値上げその他を考えないでもいけるわけでしょうけれども、そういうことを私たち考えますと、どうしても来年は料金の問題が出てくるんじゃないか、そういうふうに非常に危惧いたしますから重ねて聞いているわけですが、その問題は、また来年のことでございますから次に進みたいと思います。  現行の規定でいきますと、設備料はすべて一律に一万円となっておりました。今回改正にあたってこれを三種類に分けられた、その理由説明していただきたい。
  53. 武田輝雄

    ○武田説明員 今回設備料改正をお願いいたしておりますのは、先ほどからお話がございましたように、多数の積滞申し込みをかかえておりまして、この電話架設を促進するという趣旨でございます。  それで、いま御質問の点でございますが、この額につきましては、単独電話と共同電話あるいは多数共同電話とを比較いたしますと、創設に要します線路費もだいぶ違うわけでございますし、また、電話の利用価値、効用といった面でも差がございます。そういった創設費の点、それから利用価値、効用、そういった点を勘案いたしまして三段階にいたした次第でございます。
  54. 中野明

    ○中野(明)委員 その問題については後ほど触れていきたいと思いますが、いま一点、この法案が通過しますと、いろいろまた具体的な問題で議論が出てまいるような気がしますので前もって聞いておくわけですが、単独から共同に変わった場合に、当然今後の問題として出てくるわけですが、単独で三万円の設備料を払っておった人が共同に変わってする場合に、その差額を一体どういうふうに考えておられるか、また、その逆の場合、それをお願いしたい。
  55. 武田輝雄

    ○武田説明員 単独電話は三万円、二共同電話は二万円、多数共同電話一万円というふうにきめられておるわけでございますから、たとえば二共同から単独電話に変わりました場合には差額をいただくということに考えております。  なお、単独電話から共同電話へ変わった場合はどうかということでございますけれども、単独電話から共同電話に変わるという例はほとんどないと思いますし、また、これは料金としていただき切りのものでございますからそういう例はないと思いますが、万一、単独から共同電話に変わるというようなことがありましても、差額は返還をしない、こういうことにいたしております。なお、単独電話から共同電話になりましたものにつきましては、また単独電話への種類変更を認めるようなことにしております。そのときにはいただかない、こういうことになります。
  56. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、資金の調達の点でもう一度確認していきたいのですが、原則として、公社建設資金というものは、減価償却の引き当て金だとか収支の差金、そのほか債券とか借入金、あるいは外部資金、こういうことで求めてこられたのが基本であったようですが、最近財政事情が窮屈になってきたというのですか、今回の設備料の引き上げのように、簡単に加入者の負担に依存するというようなことになってまいりますと、基本的にいままでの電話経営の理念というものが変わってきたような気がするわけです。  それで、今後五カ年計画にのっとって大規模な建設計画をなさるわけですが、いままでと資金調達を基本的に違った方向を考えてみる必要があるのではないか、このように思うわけです。これは、建設をするのに当然資金の問題は一番大きな問題ですから、そういう点について、いままで調達してこられた以外のことについて何か検討を加えられたことがおありかどうか、その点を伺いたい。
  57. 中山公平

    中山説明員 今後の資金調達の問題でございますが、従来とも、電信電話事業における建設資金の調達にあたりましては、自己資金を確保するということのほかに、財政投融資等の低利かつ安定した長期資金をもって充てるということ、それから受益者負担にかかわる資金、これら三つのものをそれぞれ調和を保って調達をしていくということにいたしておったわけですけれども、単年度でながめてみますと、それぞれその年の財政事情等によっていろいろと影響されるところも多かったわけでございます。  今後の問題でございますけれども、今後は従来を上回る建設投資が必要でございますので、資金需要もまた多くなってまいります。その際に、現在の経営状況から見て考えなければなりませんのは、債務償還あるいは利子負担が非常に多くなってまいっておりますので、今後これ以上この種の資金源をふやしていくということにつきましては、長期に安定した経営ということがはかりにくくなる、したがいまして、拡充計画も円滑に推進することができない、こういうふうな関係もございまして、これらの点については、やはり自己資金の充実ということと、債務償還あるいは利子負担というものがなるべく少なくなるような資金の調達方法を考えてまいらなければならないかと存じております。
  58. 中野明

    ○中野(明)委員 いまおっしゃることはよくわかるわけなんですが、財政投融資のほうが多く望めないというような状況が非常に強くなってまいりました。利子負担のかからない財源を求めようとすれば、当然料金のほうにはね返ってくる、こういうことになってくるわけです。  それで、私がいまお尋ねしているのは、結局、他の方法——これは公社側というよりも、大臣にお尋ねするわけですが、利子というものが非常に大きな問題になってきているようですが、将来、民間から大きく出資を求めて、そうして、矛の利子補給を国のほうでする、そういうふうにしていけば、ある程度料金へのはね返りも違ってぐるのじゃないか、こう思うのですが、こういう点、大臣のほうでどの程度までお考えになっていらっしゃいますか。
  59. 小林武治

    小林国務大臣 電電公社経理状況から見ますれば、まだ当分政府が利子補給等を考えなければならぬような事態にはならない、こういうふうに考えております。
  60. 中野明

    ○中野(明)委員 結局、そうしますと、料金にはね返ってくるおそれがあるわけです。ですから、料金にはね返ってまいりますと、広く大衆の人たちに影響があるわけですから、そこら辺を考えると、それじゃもっとほかに、料金を上げないで公社を経営していくという解決策を大臣としてはどうお考えになっているか。
  61. 小林武治

    小林国務大臣 公社の経営につきましては、民間企業でありますれば、新規投資というものを主として料金に求めるなどということはあまり考えられないことであります。最近の物価安定推進会議等においても、これらのものは後年度に負担の残るような方法でやるべきで、いまの利用者料金をもってなるべくまかなうべきでないというような答申も出ておるのでありまして、ある程度、簡単に言えば、できるだけ新規投資は借金政策でよろしい、そうしてそのものは償却でもって、償却を結局料金のほうに反映させればいいのだ、こういうことが一般の経営方針であります。ことしも六十何億も料金の差額が建設投資になる、こういうことになって、それは経営そのものの健全性からいけばまことにけっこうでありまするが、こういうふうな投下資本の多い経営は、そちらのほうにおける重点をなるべく軽くすべきであるという議論が行なわれておるのでありまして、したがって、ずっと先になりまして、借金が多くて返せないとか、利息がどうこうというふうな問題になれば、またその時点において考えるべきでありますが、いまはそういう答申までいただいておる。来年度の予算についても、こういうようなことは大きく反映してくると私は思うのでございます。したがって、いま、たとえば国鉄においてもあれだけの赤字経営において、ことしようやく政府の利子補給というものが初めて出てきた。こういう事態もわれわれは考えていかなければならぬと思います。
  62. 中野明

    ○中野(明)委員 では、次に進みますが、電話の現在までの積滞台数の内容でございますが、大きく事務用と住宅用に分ければ、大体どれぐらいの比率で積滞されているのか、公社のほうから…。
  63. 武田輝雄

    ○武田説明員 四十三年の二月末の数字で申し上げさしていただきますと、事務用が七十一万八千、全体の三〇・五%、住宅用が百六十三万四千、六九・五%でございます。
  64. 中野明

    ○中野(明)委員 架設の順位というものがきめられているようなんですが、この順位をいま一度、たしか六段階と聞いておりますが、説明していただきたいのです。
  65. 武田輝雄

    ○武田説明員 電話の優先設置基準は、公衆法の規定に基づきまして、郵政大臣の認可を受けて定まっておりますが、簡単に申し上げますと、第六順位までございまして、第一順位は、国とか地方公共団体、国会に議席を有する政党、新聞社、病院等の大事務所、並びに国会議員の住宅に設置します電話、それから設置場所の変更、種類変更——すでに電話をお持ちの方の設置場所の種類変更でございます。  第二順位は、通話が非常にふくそういたしておりまして、話し中が多いというような場合に、ふくそうを緩和するために設置する場合、または加入申し込み、そういう場合でございます。  第三順位は、長期にわたって承諾をしていない加入者、具体的に申し上げますと、現在では、事務所につきましては二年、住宅につきましては三年経過したものを第三順位といたしております。  第四順位は、普通の第一順位以外の事務所並びに第一順位に該当いたしますものの住宅に設置する電話でございます。  第五順位は、第四順位以外の住宅でございます。  第六順位は、既設の電話を有しておりまして、利用度数が非常に低いと認められるようなところでございます。
  66. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのお話でもわかりますように、どうしても事務用よりも住宅用が積滞数が多い。これは数字ではっきり出ておりますが、そうしますと、公社としましては、事務用に比べて住宅用の電話は利用度が当然低いというのが実情でありますが、建設費関係で採算の面もあるのでしょう。住宅電話の架設はいままできわめて消極的であったわけであります。この数多い積滞された電話希望者、この人たちが今回の改正で結局一番影響を受けるわけです。  で、そういう点について何か考えておられるのかどうか。相当、数年も前から申し込んでつかないというのは全国至るところで耳にする苦情であります。ところが今回設備料が三倍にもなる。そうすると、普通、順序よくいけば当然ついておったはずなんだけれども、住宅用であったためにおくれておる、そういう人も、この比率から言うと七割近い、現在の積滞の七割近い人がそれである、そういうことになるわけです。その点について、公社のほうとしてどこまで考えておるのか、そういうことです。
  67. 武田輝雄

    ○武田説明員 住宅に設置いたします電話につきまして、これをできるだけ充足していくということは、いま御指摘のとおり非常に必要なことだと思います。  したがいまして、公社といたしましては、三十一年に第三順位というものを設けまして、長期にわたって積滞になっておるものの順位を繰り上げる措置を講じておるわけでございます。また、農村地帯に対しましては、農集という制度を設けまして住宅の需要に応じよう、また、団地等におきます住宅につきましては、団地自動電話という制度をつくりまして、その集団的な利用に全面的に応じていこう、こういった制度の面で、できるだけ住宅の需要を充足していく措置を講じてまいったわけでございます。  また、第四次五カ年計画として考えております場合でも、九百三十万のうち五百五十万は住宅用につけるというようなことを考えておりまして、できるだけ住宅用の充足に力を入れたい、こういうふうに考えております。
  68. 中野明

    ○中野(明)委員 私がお尋ねしているのは、前から申し込んでおって、そうしてつかなかった人、この人が今回値上げになってそれからつく、こうなると、普通の感情からいいましても、公社の一方的な都合で延ばしておって、そうして、上がってからつく、こういうようなことを思っているわけであります。事実、そのとおりだと思うわけです。  そこで、そういうふうに三年も四年も前から正式の手続を踏んで申し込んでおった人たちに対して、どういうふうな考え方を持っているのか。結局、どこかに線を——もちろん、この法が施行されれば、そういう人たちも一律に取り扱われるようになっているようですが、それでは少し不公平じゃないかということを私は言わんとしているわけです。この点、大臣のほうはどのようにお考えになっているでしょうか。前から、ずっとしんぼうして待っておって、結局つかなかった、しかも、優先順位というものがあるからどんどん、あとから申し込んでも優先順位の人が先についていった、ところが、ここで急に設備料が三倍になっちゃった、もう上げたんだから、あなたは、電話がつくようになりましたが、三倍納めなさい。ここにちょっと、相当の非難の声もあるように私は思うわけなんですが、何とかこれは便法を設けて——まあ一例をあげれば、この設備料の値上がりが表にあらわれてくる以前に申し込んでおった人と以後に申し込んでおった人というふうに、どこかに線でも入れて考慮する、そういうようなことは考えられないものか、こういうことなんですが、大臣、いかがですか。
  69. 小林武治

    小林国務大臣 常識的にいえば、中野委員の言われるような何らかの特別の配慮をすべきじゃないか、そういうことで、私どももこの点はいろいろ検討してもらったのでありますが、結局、線の引きようがない、どこでやっても、とにかくその境目は不公平の問題が必ず出る、こういうことで、この際としては、そういうふうな気持ちは十分あるが、実際にこれをあらわすことは困難である、こういうふうな結論になっておるのであります。
  70. 中野明

    ○中野(明)委員 線を入れるのは困難だとおっしゃっているのですが、そこまで議論されて考慮を払われたならば、何かの形であらわれないと、結局、事実は同じことなんですから、考慮した、あるいはそういうことは一応考えたのだけれどもどうすることもできなかったということでは、初めから何も考えなかったと同じような結果になるわけでして、これは相当大きな市民感情になると思うのですが、これは、ほかのものが上がるのと違いまして、前々から——もちろん、公社のほうでいけば、正式の手続をとっても、こちらからつけますということでなければ効力は発生しないというようなお話も聞いておりますが、しかし、申し込んだ人たちとしては、一応申し込んだことが正式の手続をとった、いわば、それで一応自分としては、順番でいえばかなり前のほうの順番になっているということを了解しております。それが、三年も四年も積滞しているところはたくさんあるわけです。これはちょっと何とか考えてあげないと不平が出るし、そうしてまた議論もあると私は思うのですが、そこのところ、大臣のいまの答弁では、ちょっと考えたのだけれどもどうすることもできないというようなお話なんですが、公社のほうはどうでしょうか。その点、大臣のほうとお話しになったと思いますが、何かいい方法で割り引きするとか、そういうようなことはできないものかどうかということです。
  71. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御質問がございましたが、確かに、そういう感情といいますか気持ちは、私は理解はできるのでありますけれども、先ほど大臣答弁されましたけれども、実際問題といたしまして、この問題をうまく処理する事務的な方法というものは不可能だということに、結局、結論としてなったわけでありまして、しかし一方、これは別に理屈がございますが、二共同の場合には二万円にする、あるいは農集の場合には一万円でやるというように、種別によって差ができておりますし、住宅電話で二共同の場合には、一万円の設備料が二万円だ、一万円の差であるというようなことにもなっておるわけでありますので、この点は、そういうことで御理解願うしか方法がないのじゃないかというふうに考えております。
  72. 中野明

    ○中野(明)委員 事務的にむずかしいということをいまおっしゃっているのですが、申し込みの日にちは、受付の日にちははっきりきまっていると思うのです。ですから、何月何日というふうにすれば、了解をできぬ人もそれはできるでしょう。その線を入れられると、そのまわりの人はどうしても文句を言うわけですが、しかしながらそこまで考慮に入れたということで、この法律が施行された日よりもずっと前に線を入れて、何月何日以前に申し込んだ人はこうでございますと、このようになれば、同じ反発が出ても違うのじゃないか、ここまでは考えてきたんだということになると思うのですが、そこのところ、もう一考される余地はないですか。もう一度……。
  73. 小林武治

    小林国務大臣 これはもうほんとうに国民感情としてはお話しのとおりだとわれわれも思って、私からも強く、何とかやれないか、こういうことを指示をいたしたのでありますが、結局、現在実は二百二十万も積滞がある、こういうことになると、線の引きようによっては、ことしは値上げがさっぱりなくなってしまう、こういう結果さえ出てくるわけであります。それから、どこで線を引いても、とにかく不公平が必ず生ずる、こういうことでありまして、もういろいろ検討してもらったが、どうもやむを得ませんということで、私もがまんしてこれを了承した、こういうことでございます。
  74. 中野明

    ○中野(明)委員 どうも私は、そこのところもう一つ納得できないわけなんですが、時間がありませんので次に進みます。  これは設備料と関連して当然私も議論してみたいと思って、過日大臣にもお尋ねしました。先日も社会党の委員の方もおっしゃっておられましたが、基本料金の問題でございます。  大臣は、この基本料金の等級制については自分も満足してないということで、改めて、いきたいというようなお話もお伺いしましたが、特に東京の二十三区の基本料金の問題について、その後経済企画庁の長官から何だかんだといままで意見が出ておったようなんですが、長官と大臣、お話しになられたことがおありでしょうか、どうでしょうか。
  75. 小林武治

    小林国務大臣 話をしておりまして、まだこれで結末がついたというところまで行っておりません。まだ話をしておる、こういうことでございます。
  76. 中野明

    ○中野(明)委員 私たちも、大臣の一応前向きになって真剣に検討しようと言われている姿勢については、非常に期待を持って、結果を見守っておるわけでございますが、先日もこの席で公社側のほうから、ちょっとそれは困るんだというような理由を言われておりましたが、あらためて総裁からその理由説明していただきたい。
  77. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま東京のお話が出ましたけれども、実際、昨年におきましては、公社の直轄局が約三百局、それから委託局で約四百局、七百局くらいを毎年やっておるわけでございます。現に、また一昨年におきまして約七百局、したがって、公社の立場といたしまして、東京だけをまず特別にするというわけにはいかないのであります。もしやるならば、全部を一緒にやらなければならぬという問題になると思います。  それから、本年度の予算が先般国会で議決されましたけれども、その予算の中におきまして、東京の級局改定をやりました場合に約二十億くらいの収入を見込んでありますし、それから、その他の七百局につきましても、単金の中でやはりその収入を見込んでおりますので、もしこれをやるといたしますと、収入欠陥を生ずる、それからまた債券におきましても、同じように級局が上がることによって債券収入を見ておる、公社としては、とにかく本年百七十三万個の電話をぜひつけたいのでありまして、そのために、そういう収入欠陥が明確なものを、いまの時点においてけっこうであるということは申し上げられないというのが、まず第一点であります。  その次に、これをやることにつきまして、私はこの東京等のものが上がっていく、これは、いわゆる料金値上げというよりも、むしろ自然に上がるものだというふうに考えます。いわゆる級局が変更されてきたために起こっているわけでありまして、公衆法におきまして級局を指定するというふうに書いてあるのも、私はそういう意味だと思います。したがって、たとえば級局が上がるということは、現に設備投資がふえるわけでありまして、ある場合には六数字の電話が七数字になるという場合がありますし、今回の東京の場合には、もうすでに七数字になっておりますから、八数字にするということはございませんけれども、中継線を実際にはそれに応じて引っぱっているわけでありまして、加入電話がふえますと、その加入電話の事情で設備投資がふえてくるということ、いわゆる設備投資の面から見て、いわゆる上がるということにはやはり合理性があるということで、私は公衆法が現在のように規定されているというふうに考えております。ただ、その際に、電話のことというのは、なかなか一般の国民の方にわかりにくい点がありますので、先般中野委員から御質問がありましたときにも、公社としては積極的にPRをする必要があるんじゃないかということを申し上げたわけであります。  もう一つは、級局の絶対値がどうであるか、たとえば東京の場合に、今度、一般の加入電話の場合に七十円、それから事務用では百円上がるわけでありますが、現在の十五万円の公債から見ていきましても、利子負担だけで月九百円要る、そうすると、その九百円の利子負担、それからまた減価償却利子まで入れまして、オペレーティングコストがゼロであるといたしましても二千六百円金がかかるということからいたしましても、基本料の絶対値というものもむしろ低いんじゃないかというふうに考えておりますので、それらを総合的に考えまして、やはりこの前、公社としては困るということを答弁いたした次第であります。その考えは現在も変わっておりません。
  78. 中野明

    ○中野(明)委員 先日何か、前々からもずっと、去年なら去年等級が変更されたほかの局、そういうところに過度の不公平もできるし、長い間それをずっとやってきたんで、というようなことも困る理由にあげておられたのですが、それもそうですか。
  79. 米澤滋

    ○米澤説明員 そのとおりでございます。
  80. 中野明

    ○中野(明)委員 結局、いろいろ理由をこの間も私聞いておったのですが、そういう考えを持っておられたら、これはいつまでたっても、ものごとの改革というものはできないわけでして、歳入欠陥ということも申されましたが、前年度の決算が大体見通しがついてきていると思いますが、それも、相当予定よりも黒字が出ているということも、先日この席で答弁があったわけです。そういうことを考えますと、歳入欠陥のほうは、私、何とか埋め合わせできるんじゃないかというような気もしているわけであります。そういうことで、この底に持っておられる公社の考え方が、長年そうしてきたし、級局の変更をしたところに対して非常に申しわけない、そういうような考え方では、これはいつの場合でも法の改正はできないと思います。やはり、一たん最も妥当だという考え方で進めば、当然そこに法の改正が出てくるわけでして、それじゃ困るという反対の理由に、この間改定したところが文句を言うだろうというようなことを心配されておったんでは何もできない、私はそう思うわけです。  ですから、歳入欠陥の問題は、決算が予定より黒字が多く出てきておる、そんな点から考えても、埋め合わせがつくんじゃないか。そういう点で、何とか、公社のほうからこの点について前向きの姿勢になって、もう一度検討される必要がないんだろうか、私たちはそのことを強く思っているわけです。そしてまた、反対される理由の中に、そういう理由は付されないでいいんじゃないか。局を変えたところが文句言うだろうとか、また、局を変えたところだから、東京から始めるということは困る、そういうふうなことではいつまでたっても始められぬわけですから、いつかは改正するのならば、線を入れなければならぬわけです。そういう点を私思いますと、公社そのものがこの点にも非常に消極的になって、何とか時をかせいで、そうなっていきたいというような姿勢——先日も私申し上げましたように、いま設備料の問題がありますが、同時に、この間うちからの審議を通して、公社のほうとしては、どうしても答申の線に沿って来年度は料金値上げをお願いしたい、そういう空気ですし、大臣のほうは、まだそこまでは考えておらぬ、そのときにならぬとわからぬとおっしゃっておりますけれども、これはおそらくそうせざるを得ぬだろうというような周囲の情勢であります。そういうやさきであるだけに、私は東京都の基本料金ということについて一応考えていただくということをお願いしたわけですけれども、ちょっと何か、考え方が消極的で、何とか時をかせいでおられるような気がしてならぬわけです。これはまだ経企庁のほうとも結論的な話もできておられないようですけれども、これは相当尾を引く。私が一番心配しておりますのは、前にも言いましたように、来年の料金改正に大きな反発となって出てくるんじゃないか、こういうことを非常に心配したわけです。それで、もう一度検討をお願いしたい、こう思うわけです。  それから、大臣にお尋ねしたいのですが、この公衆法改正のときに、これは私がお尋ねしたから大臣はそうおっしゃったんじゃなしに、前々から基本料金のことについては大臣もお考えになっておったようなことでありますので、今回のこの設備料改正のときにどうして一緒にお出しにならなかったのだろうか、大臣の日ごろ思っておられることを織り込んで級局の簡便な改正をやられなかったんだろうか、私はそう思うわけなんですが、そこに何かわけがあるのでしょうか。(「気がついてなかったんだ。」と呼ぶ者あり)
  81. 小林武治

    小林国務大臣 これは気がついておったわけでありますが、公社料金値上げの概算をお出しになったその際、いろいろ検討の結果、私は、料金値上げなどということより、もっと早くに料金体系を合理化してもらいたい、いまの級局別も非常に不合理である、それから市外通話料なんかでもいろいろこの際直してもらわんならぬ、こういう全体の体系を直すことを公社にお願いしておるので、それをひとつ一緒に出しましょうということでこの際には入らなかったわけでございまして、次の機会では、とにかく私は、料金全体が非常に古い制度がそのまま継がれてきておる、こういう状態であるから、そのほうをひとつぜひ考えてもらいたいということを申しておるのであります。  それから、いまの基本料の問題は、私はぜひともこの基本料の簡単化と申しますか、これをしてもらいたいと思いますから、したがって、その上のほうの天井などをどういうふうにするか、十二級局以上をなくするという考え方もあり得るわけでありますし、そういうふうなことも私は公社にも言うております。  何とか私も世間のそういう要望にこたえたいと思っておりますが、いままでのところ、公社はいまお答えになったような状態でありまして、政府部内としては、これを無理にどうということもなかなか考えにくい。  それからもう一つは、こんなことをいま申してははなはだ恐縮ですが、設備料は五月一日に値上げすることになっておりますが、この国会で五月一日に間に合うかどうかということが一つの問題としてある。そうすると、設備料がまた相当減収を来たす心配がある。これもいまの問題と同じで、こういうことをいま私が申すのは、これは答弁になりませんけれども、その心配が非常に多い、こういうこともわれわれとしては一考をしなければならぬということでございます。
  82. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃ、時間があまりありませんので次に行きますが、設備料の性格が、公社側の説明で相当変わってきたということは、私たちも大体この間の議論からわかってきたわけですが、もう一度確認をしておきたいと思います。  設備料の定義ですが、これはどういうふうにおきめになっているか、もう一度お願いしたい。
  83. 柏木輝彦

    ○柏木(輝)政府委員 定義でございますが、いろいろ御議論がございまして、せんだって郵政大臣から統一的な見解としてここでお示しいただいたわけでございますが、それを繰り返させていただきますと、設備料は、加入電話の新規加入の際に工事をして電話の利用ができるようにするための料金であって、新規架設工事に要する必要の一部に充当するものである。このように、設備料は公衆電気通信役務の料金であるが、基本料、度数料等の一般料金とはその性格を異にし、物価に及ぼす影響は少ないものと考える、こういう御答弁をしたわけでございます。
  84. 中野明

    ○中野(明)委員 以前と少し定義が変わってきたように思います。  そこで、それとどうしても関連がございますのでお尋ねするわけですが、個人が引き受ける公債がございます。これの関係はどのように考えたらいいか……。
  85. 小林武治

    小林国務大臣 これは非常にむずかしい問題でありまして、私は、とにかく工事費の一部に充てるものとすれば、なぜその加入の債券を減らさないか、こういう質問もいたしたのでありますが、要するに、負担金的な金であるとするなら、どうせ内金だ、全体の工事費の内金だ、こういうことで、これだけひとつ増加してもらいたい、こういうお話であるから、私は、その公債、債券は減らしたらいいじゃないかという議論もしたことがありますが、公社側はそういう議論で、これだけの、単なる利息のつかない金を純増でひとつ増してもらいたい、こういうことで、私もお話しのような意見を強く持ったのでありますが、結果はこういうふうになったのであります。
  86. 中野明

    ○中野(明)委員 これは、大臣もおっしゃっているとおりに、二重になるような感じを受けるわけです。ですから、当然ここでは、値上げをした分だけ公債を減らすべきだ。公債を減らしても公社としては得なんです、利子の出るお金がそれだけ減ったわけですから。ですから、公債をそのままにしてこれだけ上げるという理論は少し通らないような気がするわけです。大臣もせっかくそのようにおっしゃっておられるのですから、さっきからお話を聞いておりますと、大臣は相当勢いの強い人だと思っておったのですが、全部公社のほうの言いなりに押し切られてしまって、何もかも、設備料の件もだめですし、いまの基本料金のほうもどうもあぶなっかしいし、それから、いまの公債の問題も全部——大臣も私たちと同じ意見をお持ちになっておるのに、結果的には全部押し切られまして、というようなことになっているようですが、もう少しそこのところは、大臣として強くこの問題についても……。(発言する者あり)いま森本委員からもお話が出ておりますから、次の機会に森本委員からもお話が出ると思いますが、これは私たちとしても、ぜひ公債は減らすべきだ、そうしないと筋が通らない、私たちはこう思っているわけです。  その点、大臣のほうは、もう一度公社のほうにもそうしろというふうに強く要請されるお気持ちがあるかどうか、お尋ねしたい。
  87. 小林武治

    小林国務大臣 これはみな押し切られてしまって、まことに弱くて恐縮でありますが、その料金値上げというものが、二二%と強く主張されてきたことは御承知のとおりであります。だからして、それはまあ押えたということは、はなはだ恐縮でありますが、これは撤回をしてもらった、こういうこともありますので、そこをやはり、多少妥協と申しますか、ゆとりがそういうところで出てきたのでございまして、いまそのほうをあらためて減らせ、こういうことを申すことはできないと思います。
  88. 中野明

    ○中野(明)委員 それから、設備料に効用という考え方が強く出てきております。これは、先ほども利用価値とか効用ということの答弁があったようですが、そうすると、電話の級局によってもやはり効用ということは問題になってくると思います。これはいま大臣のお話の中でも出ておりましたので、ダブるようになると思いますが、今度は、効用ということを主体に考えますと、設備料にも級局別に段階をつくる必要が生まれてくるのじゃなかろうか。効用ということが言われるということになりますと、これは同じ電話でも級局の別によって効用はずいぶん違ってまいっております。その点、どう思われるか。また、検討されましたでしょうか。
  89. 小林武治

    小林国務大臣 その点は積極的に検討いたさなかったのでありますが、私は、十分検討に値する問題だ、こういうふうに思います。
  90. 中野明

    ○中野(明)委員 この設備料の結論としては、先日来、非常に苦しい設備料の理論づけと説明に終始しておるわけですが、いっそのこと、それならば、基本料金なんかを含めて、料金の抜本改正をここでお出しになったほうがすっきりしたんじゃないか、そういうような気がするわけです、早晩その議論が出てくるならば。ですから、いま設備料の問題と基本料の問題と、次に来たるべき料金の問題で、そういうことを含んで、もやもやして、しかも設備料の理論づけに非常に苦しい答弁をなさっておったように私は感じます。ですから、なぜこういうようなことで一寸延ばしのような形をされたのか。結局、料金改正をどうしてもしなければならないのだったら、早くここで抜本的なものをすぱんと出されておったほうが、あとあとのためにすっきりしたんじゃないか、そういうような気がしたんですが、その点は、大臣としてはどこまでお考えになったのか、お聞きしておきたいのです。
  91. 小林武治

    小林国務大臣 これはもうお話しのように、はなはだすっきりしない形でありまして、ことに、設備料などの説明も、従来とある程度変わってきておるし、説明が非常にむずかしい、おかしい。これは確かにおかしいことも私はここで申し上げたのでありますが、これらはなかなか一度にすっきりするということができかねたものでありますから、この際はこんな妙ちきりんな形で、非常にすっきりしないものを出しまして恐縮をいたしておりますが、時期的にやむを得ない、こういうことでございます。
  92. 中野明

    ○中野(明)委員 時間もないようですが、これはいま大臣からお話がありましたので、そのことについてはこれ以上申し上げませんが、最後にお尋ねしたいのは、電話の地域格差の問題です。  先日、武部委員がお話しになっておりましたが、私も現地に行ってみまして、非常に不公平を特に強く感じます。公社事業は、公平ということ、そうしてサービス、そういうことについては当然のことなんですが、東京、大阪等の大都市の周辺の場合の不均衡が特に目立っております。特に三多摩地区の格差というものは、これは相当一般でも大きな問題になってきておりまして、これは電話のみじゃございませんが、特に三多摩地区の電話の料金とサービスの問題、大きく言えば料金と需給の状態と、それから交換方式、こうなってくると思いますが、この東京都二十三区内と大きな隔たりがあります。これについて、先日から答弁があったようですが、どうもそれを聞いておりまして、あまり積極的なように感じません。  それで、時間がありませんのでこちらのほうから申し上げて進みたいのですが、三多摩の一つの例をあげてみますと、小平市の例を見ましても、市内に十文字に加入区域の境界線が置かれております。そして小平、小金井、国分寺、田無、この四つの局が入っている。一分間七円の単位料金区域というものがつくられておるようですが、田無はこの中にも入っておりません。そういうことで、同じ市内でありながら他局との通話は五十秒で七円ですか、ほかは一分間七円、そういうようなことで高うなっております。また、花小金井付近は四局が集まっておりまして、隣へ電話するのでも市外にかけなければならないという不便があります。だから、行政区域と一致しない加入区域の境界は三多摩全域にある、こういうふうに言える状態であります。しかも、電話の番号簿も、同じ小平市内でありながらほかの三局が載っていないというようなことで、まことに不便であります。それに比べて、東京都内は非常に便利がよくできておるということで、これは大きな問題になっております。  この点、地域の発展事情を考えながら、隣接地区からでも東京都区内の扱いに漸次やっていくことができるのかどうか、その点をどこまで考えておられるのか、そういう点をもう一度お聞きしておきたい。
  93. 小林武治

    小林国務大臣 いまの中野委員のお尋ね、まことにごもっともでございまして、私もここで答弁を聞いておると、はなはだ公社当局が不徹底であって、私が従来話を聞いておるよりか、もっと後退したような答弁をここでしておるようでございます。しかし、これはもうどうしてもお話しのように直さなければならないので、公社はもっと真剣に取り組むべきだ。ことに北九州のごときは、料金改定がなければもうやれない、こういうことを主張されておりましたが、とにかくことしは改定がなくても北九州をやってもらうことになったのでございまして、東京の足元の状況をいまのような状態に放置すべきでないと思いますので、私もひとつ真剣にこの問題に取り組んで、公社を督励して、早くにこれを解決したい、かように思っておりますことを申し上げておきます。
  94. 中野明

    ○中野(明)委員 いま大臣からそういうふうに御答弁がありましたので、公社のほうも、当然その意を了とされて努力されると思いますので、一日も早くその格差の是正につとめていただきたい、こう要望いたしまして、私の質問を終わります。
  95. 古川丈吉

    古川委員長 田代文久君。
  96. 田代文久

    ○田代委員 先ほど積滞数の二百二十万のうちに、事務用、これは専用になるのですかね、これが三〇・五%というふうな御説明でしたね。その内訳はどんなふうになっていますか。簡単に答弁してください。
  97. 武田輝雄

    ○武田説明員 この二月末の積滞は、先ほど申し上げましたように、事務用で七十一万八千、住宅用で百六十三万四千でございます。  なお、順位別の内訳を申し上げますと、第一順位が一万一千、第二順位が三千、第三順位が七万九千、第四順位が五十五万五千、第五順位が百五十五万一千、第六順位が十二万四千、そのほかに団地等、優先順位適用外のものが二万九千あります。
  98. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、二百二十万の積滞を解消するために、大体どのくらいの経費がかかりますか。
  99. 井上俊雄

    井上説明員 現在、一加入当たりの平均投資額が三十五、六万円ですから、それに二百二十万をかけると、単純計算で大体七千数百億円ということに相なります。
  100. 田代文久

    ○田代委員 いまのそういう計算は、当然市外も全部入っておるわけですね。——ところが、いま特に問題になっておるのは、住宅用の七〇%余り、つまり中小の零細企業とか一般の市民、こういう人たちの声が非常に大きな基礎になっておるのですよ。そうしますと、こういう市外専用なんていうものは非常に金がかかるんだからして、そういういま国民の大きな声になっておる、また公社のほうで宣伝をされて、申し込めばすぐつくというようなことを盛んに大宣伝をやられておりますけれども、そういう対象になっておるのは、むしろそういう市内の人の声が大きいのですね。そうしますと、おそらく七千億というような金は当然要らない、はるかに低い金で可能であるということが結論として出ますね。これは認められるのですね。
  101. 井上俊雄

    井上説明員 現在の加入者の増設にあたりましては、その加入者からの発着信は日本じゅうどこでもつながるというのが、電話の本来の姿になっております。実際問題としての通話の交流状況を見ましても、市外通話のフォローというものが相当ございます。たとえば第三次五カ年計画期間中におきまして——最近五カ年間で住宅電話は全体の中で四〇%でありました。その前は住宅電話が二五%でありました。建設費といたしましては、むしろ上がってまいっております。加入者の組み合わせもふえておりますし、市外のフォローというものも相当ありますので、平均的には大体三十五、六万円はかかるということは間違いないと思います。
  102. 田代文久

    ○田代委員 その結論は、時間をかければ勝つ自信がありますけれども、三十数万もかからない。そういうことは市民は要求してないということを申しますが、そうしますと、とにかく第四次五カ年計画によって、四十七年度末には——大体この計画では三世帯に一個、いつでも申し込み次第引ける電話ということになっておりますが、四十七年度末には、大体こういう計画で積滞が全然なくなるというお見込みですか。そういうことができますか。
  103. 井上俊雄

    井上説明員 四十七年度末には、計算上、目下百二十万程度の積滞を見込んでおります。
  104. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、もうすでに公社自身、初めから計画にそれだけの積滞が残る。ところが、三戸に一個はつく、申し込めばいつでもできますというようなPRをじゃんじゃんやりながら、公約違反じゃないですか。  ところで、お尋ねしますが、公社は、外国にも例のない債券負担を加入者に強制する。外国にこういうように債券を加入者にどんどん買わせるというようなことをやっておる例はない。しかも、今度さらに三倍というような設備料を取ろうとしておるが、私どもは簡単に調べたのですが、日本の加入者負担というものは、諸外国に比べて異常に高い。その高いのをまた高くしようとしているのですよ。東京で引く電話の一本分の費用で、アメリカでは六十四本が引ける、イギリスでは三十二本、西ドイツでは三十七本、フランスでは十本、つまり日本で引く電話というものは、アメリカの六十四倍、イギリスの三十二倍、西ドイツの三十七倍、フランスの十倍、こういうふうに、ばく大な異常な経費がかかっている、こういうことなんですよ。先ほどの大臣答弁あるいは公社答弁によりますと、収入が非常に多い。収入が多いということは認めておられる。だから、収入が多いんだから減価償却に持ち込むのはあたりまえだとおっしゃるのですね。私たち国民の考え方は、公社的な性格からいって、そんなに収入が多い、減価償却にそれほどどんどんつぎ込む金があるというなら、なぜ政府なり公社なりは、そういう世界的にも異常に高い加入費を下げるという方向に計画を立てられないのか。そういう考慮がなされているかどうか。この計画なりこの法案によっては全然そういうことを無視されているということがはっきりいたしております。  したがってこのことは、政府の責任でもありますけれども、政府みずからは、現在の高物価政策は、これはたいへんだ、こういうことをやってはいかぬということで物価政策を非常に強調されておる。けれども、こういう法案を通し、また、こういう公社のひどい計画を承認されるということは、高物価政策の音頭を政府自身、郵政省自身がとっているということにならないですか。この点について、政府並びに公社が、こういう計画はそういう高物価政策に拍車をかける、その音頭をとるということになるから、これは考慮しなければならないというふうにお考えになるかどうか。郵政省並びに公社の、そういう基本的な日本の物価政策からいっての御答弁を願いたいと思うのです。
  105. 小林武治

    小林国務大臣 これはお話しのとおりでありますから、いろいろそういう要請があっても、ことしの予算はいわゆる料金値上げがなくてやっておる、そういうことでございます。
  106. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま数字をおあげになりましたけれども、私、その数字を見まして、そのいわゆる負担という場合に、たとえば東京の場合には、債券十五万円をいただいておりますが、もしそれを売却いたしたといたしますと、従来二万円くらいでついておるわけであります。設備料が今度三万円に上がりますと、結局四万円ちょっとの負担になるというふうに理解しております。  外国の場合でありますけれども、外国にもいろいろありまして、設備料をわりあいに取っていない国もありますし、それから日本と同じように取っている国もある。しかし、非常に違っておりますのは、いずれの西欧諸国あるいはアメリカ等におきましても、基本料が非常に高いのでありまして、大体ヨーロッパ諸国あるいはアメリカ等ではすでに相当普及しておりまして、住宅に電話が普及してしまっております。したがって、料金体系そのものの中において住宅というものの利用度数をある程度考えに入れた、いわゆる原価主義的な料金ができております。基本料の占める割合が大体六〇%くらいを占めております。日本の場合にはそれが非常に低い、こういう点の違いもあるということをやはり理解する必要があるのじゃないかというふうに考えております。
  107. 田代文久

    ○田代委員 いまの御説明には納得できません。けれども、時間の関係がありますから、先に、値上げ法案なり値上げの姿勢というのは非常に不当であるという点で、他の面から質問いたします。  公社の膨大な資材の購入の発注先は、線材については、古河とかあるいは住友、藤倉というたった三社で全体の五〇%を占めている。あるいは器材については、日本電気あるいは沖電気あるいは富士通信機というたった三社で六五%というような独占をやっている。全くこれは大企業に集中しているのですね。しかも、何兆というようなばく大な投資に対して、そういう基本資材であるものが、三社ぐらいに独占されてどんどん納入されるということは全く驚くべきことですよ。これは、こういう大企業にとっては全く親方日の丸で、不景気知らずのもうけほうだい、損知らず、こういうことを私たちははっきり考えなければいけない。そういうおそるべき膨大な建設資金が独占企業に流れて、ばく大な独占利潤を保証しておるというのが実態であるし、そのために、今度の計画を見ましても、データ通信計画というのが非常に強調されておるが、それはこれらの電機メーカーの圧力です。電機メーカーは、自分でつくった機械をどんどんこういう親方日の丸のほうに押し込めば、それだけもうけになるのですから、必要以上に技術革新を旗じるしにして、むだな投資計画、あるいは、これを露骨に申しますと、八百長計画を立てるというようなことにもならざるを得ないわけです、もうければいいのだから。ですから、減価償却とかなんとかいうことで、一応ことばでは理屈づけされておりますけれども、これは企業家からいえばそういうふうにならざるを得ない。しかも、たった二、三社の独占企業によって何兆という膨大なる資金のえじきを目当てにしているということなんですよ。したがって、これはちょっと古いようですけれども、一九六四年の大蔵省の決算と監査などによりますと、一件で九百万円も高いものを買わされているとか、あるいは一件で二千二百万円の工事費の不経済をやっておるというようなデータも出ておるのだ。こういうことがされ得る条件というものが温存されている。  したがって、こういう点から申しましても、いつでもすぐ引けるとか、安い電話がいつでも入るとかいうようなことをPRされておりますけれども、こういうこと自体が、安い電話がいつでも引けるということを阻んでおる原因になっている。物価高の中に、どこから見ても、政府なり公社が率先して一万円を三万円に上げる必要は何もないということをはっきり申し上げることができると思いますが、そういう点から考えて、大企業技術革新とかいうようなことをうたい文句にしてやっていることに対して、それは不当であるか、それとも、いまやられていることが正当であると確認されますか、御答弁を願います。
  108. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  最初に、電電公社建設というか、資材の納入でございますが、これはいわゆる網の目のような通信網を建設していくということでございます。たとえば、自動車を購入するとかあるいは汽車を購入するというのと違いまして、ちょうど汽車や自動車のほうにたとえますと、個々の部分品を購入するということでございます。したがって、その全体の回線網というものは非常に完全なものでなければならない、そのためのいわゆる部品を購入いたしましてやっているわけであります。  たとえば、戦後私たちも非常に困ったことがあるのでありますが、東京と札幌の間で三十六ボーの印刷電信をやろうといたしましたところが、うまく通らない、したがって真空管のソケットを全部ハンダづけした、それでもやっと三十六ボーしか通らないという例もありますし、ケーブルが非常にいたんで、一ぺん雨が降ると、当時の東京の少ない電話でも三万も障害が起こるというようなことがありまして、品質の確保ということが非常に大事なことなのであります。同じ資材といいましても、たとえば電話機もありますし、スイッチもある、それからまた搬送機械もあり、マイクロもあるといったふうで、それらの技術をこなすところでなければならなかった。それで、日本の技術はもうすでにヨーロッパを抜きまして、アメリカと対等というところまでいってしまったのでありまして、公社といたしまして、何も新しい会社の入ることを拒んでいるわけではないのでありますけれども、すでに技術水準が高いのですから、外国から技術を持ってきて、日本で工場をつくって物を入れようと思っても、日本のほうが高いものですから、外国から技術が入らないというような、そういうことでございます。  しかし、また一方、この価格につきましては、われわれは厳正な原価計算方式をとっております。したがって、そういうことでありますから、私は、現在の資材の購入等におきましても、すでに計算いたしまして、この原価計算方式をやっておるので八百五十億円くらい——こまかい資料はまたございますけれども、いわゆる技術革新による節約、これは三次計画で約四千億円でございますが、そのほか資材購入だけでも八百五十億円の節約をしておるということでありまして、その点は十分効果があがっておるんじゃないかと思います。
  109. 田代文久

    ○田代委員 いろいろ説明がありましたが、時間の関係から、なんですけれども、データ通信とかあるいは集合電話というようなことは非常に傾斜的に重点的に、この計画にもう第一番に書かれておる。そういうこと自体か——一般の国民のいわゆる積滞量が非常にふえる、むしろ、考え方としてもそっちのほうを重点になぜやらないか。いろいろ関係はあります。ありますけれども、実際において、そういう新しい技術のデータ通信とかあるいは集合電話というようなものは、直接に火のついたような形で一般の市民にはほとんど関係はないのです。全然ないということは言えぬと思いますが、ばく大な金のかかるそういうことを何で急ぐかと言うんです。そういう点をもう少し考え方を変えてもらいたい。二百二十万の積滞なんか、とにかく解消するという考え方があればできぬわけはない、私はこのように考えます。  時間の関係で次に移りますけれども、米軍の電電の施設、終戦処理費でやられた支弁施設ということになっておりますが、これの料金の未回収という問題がございます。  米軍の電電の施設について、財産評価は大体幾らになっていますか。
  110. 中山公平

    中山説明員 ただいま御指摘の施設は、終戦処理費支弁のものと安全保障諸費支弁のものであろうかと推察いたします。合わせまして、帳簿価格で、四十二年十二月末で二十五億五千万円でございまして、減価償却を済ませました正味価格は八億九千万円と相なっております。
  111. 田代文久

    ○田代委員 大臣は急がれているようなので、大臣にお尋ねしますが、この問題は参議院の分科会でもちょっと問題になったようですが、大体二十七年から四十一年の現在までで七十四億六千万円の未回収があるということになっているのですが、政府あるいは郵政省は、この問題についてどういう対処をされておりますか。
  112. 小林武治

    小林国務大臣 これは両者の解釈が全く違っておりまして、米軍側は、それはもうその土地についた定着物であって、支払いの義務がない、日本側は、そういう役務に供しておる施設だから専用料を払ってもらいたい、こういうことで、両者の見解が違うわけであります。したがってこの問題は、日米合同委員会でいろいろ協議をしておりますが、協議が進まない。しかし、われわれの考えはわれわれの考えとして、これを実現させたいということで、外交ルートで交渉をしておる、こういうことでございまして、非常におくれておりますが、とにかく話し合いがつかない、こういう状態になっております。
  113. 田代文久

    ○田代委員 話し合いがつかないというお話でございますけれども、話し合いは大体いつつきますか。なお、これはこの間参議院で問題になって、それからもう約十日になっておりますが、この問題は非常に急がなければならない問題ですね。というのは、十数年にわたった問題ですからね。したがって政府は、こういう議会で問題になっておる、これを一刻も早く解決しなければならない、責任を明らかにしなければならないが、どういうふうな手を打つというようなことを、これは閣議で絶えず問題になっておりますか、どうです。
  114. 小林武治

    小林国務大臣 まだ閣議で問題としておりません。私はまだ出しておりません。
  115. 田代文久

    ○田代委員 政府は、実際においてそういう姿勢だと思うのです。料金値上げするという問題があるんですよ。当然取るべき金を取らずにおるということで問題を放置しておいたような形において、国民に対して三倍に料金を上げるとかなんとかというようなことを言えますか。それは七、八十億はたいした金ではないというふうにはおっしゃらないでしょうが、たとえ一億であっても、しかも、そういう国際的なものは、日本の国民にとって何千万円にしろ重大な金です。そういうものを明確にせずして、われわれ国民に対して設備料を一万円を三万円に上げるとか料金を二二%上げるというようなことは、これは納得できないです。実は、私は政府の怠慢だと思うのですが、その点、どうです。
  116. 米澤滋

    ○米澤説明員 この問題につきまして、詳しく申し上げますといろいろ経緯があったわけでありますが、ただ、公社といたしまして、米軍関係のほかの施設につきましては、専用料をきちきちともらっているわけであります。これについては、いわゆる終戦処理費、それから安全保障諸費でつくったものを電気通信省時分に公社が引き受けて、あるいはまた、電電公社の発足のときに一部買っている、こういう種類のものであります。したがって、これは未収金というよりも、公社の中では紛争料金というふうな形で処理しておるわけであります。そして、その詳しい内容は、たとえば、このうちの設備の一部につきましては実費はもらっている、補修費はもらっているというようなものもありまして、非常に中身は複雑なんでありますが、いままでたびたび郵政省にもお願いしておりますので、郵政省、外務省を通じて外交ルートでなるべく早く解決していただく、ただ、いわゆる未収金という問題ではなくて、紛争料金というふうに理解していただきたいと思います。
  117. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、いずれにしましても、これは公社の財産ですね。そうでしょう。そうすると、これは米軍の中で回線が幾ら、長さもわかっておりますね。施設の内容を、これははっきりわかっておりますね。これはひとつ、資料として提出していただきたいのですが、できますか。
  118. 緒方研二

    ○緒方説明員 お答え申し上げます。  米軍基地内の電話交換設備は約三十カ所でございます。基地を結ぶケーブルは終戦処理費の支弁施設が約三十区間でございまして、安全保障諸費支弁施設が約十区間でございます。
  119. 田代文久

    ○田代委員 それは、関係の書類をひとつ資料として出してくださいませんか。秘密でも何でもないでしょう。
  120. 大泉周蔵

    ○大泉説明員 これは、電話の個々の利用者の方々の通信施設がどれだけあるか、区間がどこで、どういうことをしておるかということは、できるならばごかんべん願いたいという考えでございまして、大体の概略で御了解願いたいと思う次第でございます。
  121. 田代文久

    ○田代委員 ごかんべんを願いたい、そんなばかな話があるか。国家でわれわれに料金値上げをするということをきめているのです。その負担はだれになるのですか。公社のあなたが払われますか。全国民の負担になるんじゃないですか。納得がいくかどうかを調べておるのに、ごかんべんを願うとかなんとかいう問題じゃないです。これは、われわれは内容が明確にならなければ払うわけにいかぬじゃないですか。それを納得させずに、強引にあなたたちは料金値上げもやるし、あるいは設備費も上げる、こういうことがやれますか。そういうことは許されない。どうですか。ごかんべんを願う根拠はどこにあるのですか。
  122. 武田輝雄

    ○武田説明員 従来の公社としての考え方は、通信の秘密につきましては、通信の内容だけではなくて、だれからだれへ通信があったということは、通信のあれとして公表いたさないことにしております。したがいまして、専用線につきまして、ある社がどの区間とどの区間に専用線を持っているということも、これと同じような考えで、一般にお出ししないということにしております。
  123. 田代文久

    ○田代委員 それはおかしいですよ。その通信の内容——私は何もアメリカ軍が何をかけたかということを聞かしてくれと言っているのじゃないのです。その中でどういう施設がどうなっておるか、それがわからなければ、この回線数の長さが幾らで、どうなっているというようなことを言ったって、われわれは信用できぬじゃないですか。国会に対しても、それは明確にできませんか。それはどうですか。
  124. 森本靖

    森本委員 関連。  それはどこからどこまでということでなくて、総額で七十何億という未収金がどういうようになっている、それについては、専用回線が何ぼで、終戦処理費のやつが何ぼで、幾らのやつが幾ら、そういういままで出してきた資料は当委員会にも出してきているわけですから、そういういままで出してきた資料は、当然私は出せると思います。ただ、どこに何がある、かにがあるということは、ちょっとしたあなた方の意見があるかもしれませんが、総額が幾らで終戦処理費が幾らで、何が幾らという資料は出せるでしょう。
  125. 大泉周蔵

    ○大泉説明員 ただいまおっしゃいました趣旨で、資料として出します。
  126. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、さっき言われたような七十四億余りというような非常に長期にわたったばく大な金、しかも見通しがつかないというのは、収支決算書にはちゃんと出ておりますか。書いておられますか。
  127. 武田輝雄

    ○武田説明員 これは総裁が申しましたように、紛争料金でありまして、公社としては、ただ計算書を向こうに提出しているというだけでありまして、料金として調定しているわけではございませんから、収支決算書にはあげておりません。
  128. 田代文久

    ○田代委員 そういうことが許されますか。私たちに、公社の財産が幾らあって、そして、この計画をこうしてこうするから値上げしなければならない、こういうようにあなたたちは承認を求めているのでしょう。ところが、これは当然公社の財産で、しかも請求はしているかもしれぬが、われわれが聞かなければわからぬじゃないですか。なぜはっきり収支決算書に、たとえそういう名目がついているにしても、名目をちゃんと出して、累積が幾らになる、こういうことを発表しないのですか。そういう決算書が許されますか。
  129. 中山公平

    中山説明員 公社の会計規程及び会計事務規程によりますと、請求書を発行する前に徴収役がその内容を調査決定する措置が必要なのでありますけれども、本件の場合には、この料金のことについて両当事者の間に意見の食い違いがございますので、徴収役におきましてはその調査決定ができないわけでございまして、そういうことから、先ほど営業局長が申し上げましたように請求書も出しておらない、ただ、他日のこともございますので、計算書をつくって先方へ通知をいたしておる、こういう次第でございます。
  130. 古川丈吉

    古川委員長 田代君に申し上げますが、時間が五分超過しておりますから……。
  131. 田代文久

    ○田代委員 それはごまかしですよ。そんなばかな収支決算書はないですよ。はっきりしてください。そんなものがやれなければ、われわれは料金値上げに応ずるわけにはいかない。  それからもう一つ……。
  132. 古川丈吉

    古川委員長 田代君、時間が……。
  133. 田代文久

    ○田代委員 委員会で発言するのに、何でそんなに制限するのですか。まだ三十分でしょうが。
  134. 古川丈吉

    古川委員長 理事会の決定に従っていただきませんと運営できませんから、御承知願います。
  135. 田代文久

    ○田代委員 これは公社総裁にお尋ねしますが、昨年の六月二十四日に目黒の電電局の石原節という人が懲戒処分を受けて、これはいま総裁相手に係争中だそうです。ところが、この処分の理由が、この石原さんが胸にベトナム侵略反対というワッペンをつけておったということでこれは処分されたというのです。そして、これがいま裁判にかかっておるというのですが、胸にワッペンをつけたということで処分していいのですか。これは驚くべきことなんだ。処分されてしまった。ですから、なお申しますが……。
  136. 米澤滋

    ○米澤説明員 免職じゃないですね。戒告です。
  137. 田代文久

    ○田代委員 とにかく処分です。戒告であろうと免職であろうと、ひどいじゃないですか。胸にワッペンをつけたといって戒告するというようなばかなことがありますか、いまの世の中に。昔はゼッケンもつけた。いまでもまだつけているでしょう。ちゃんとそういうことがやられている。  そこで、これはうんとけんかしたいのですけれども、時間がないから申し上げますが、こういう不当な処分、事件のために裁判中の者に対して、公社は、もう盆も近寄るのですけれども、今度の夏期手当などについて差別をつけるというような処置をとられるかどうか。もちろん、これはつけるというようなばかなことはあり得ないと思いますけれども公社は非常識なことをやるので、念のためにお尋ねします。
  138. 米澤滋

    ○米澤説明員 私、詳しいことを実は聞いていない、いま初めて伺ったような次第でございます。
  139. 山本正司

    ○山本説明員 ただいまの件は、いまお話しのとおり、ベトナム侵略反対、米軍立川基地拡張反対というワッペンをつけまして戒告処分に付したわけでございますが、夏期手当の調整につきましては、これはそれぞれの機関の長に、勤務成績の優良の判定をさせて調整をすることになっておるわけでございまして、その調整の内容につきましては、すべてそれぞれの機関の長にまかしておるわけでございます。したがって、裁判に係属中であるということ、そのものをもって勤務成績を判定することはできないと思いますけれども、疾病……。
  140. 田代文久

    ○田代委員 そこだけでいい。いわゆる裁判中であるからといって、夏期手当などに差別をつけるというようなことはいたさない、こういうことですね。
  141. 山本正司

    ○山本説明員 それだけの理由で差別をつけるということはございませんが……。
  142. 古川丈吉

    古川委員長 本会議散会後再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時九分休憩      ————◇—————    午後五時四十六分開議
  143. 古川丈吉

    古川委員長 これより再開いたします。  公衆電気通信法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。山口鶴男君。
  144. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しぼってお尋ねをしたいと思いますが、第四次五カ年計画の大綱というのを拝見いたしました。これを見ますと、いろいろ数字を並べておるようでありますが、現在までの電話ないしは拡充計画というものを拝見しますと、どうも住宅用の電話というものが軽視をされておるんじゃないかという感じがいたすわけであります。  そこで、私ども各地へ参りましていろいろ実情を聞きますと、現在各地域におきまして住宅団地というものが建設をされています。東京周辺の首都圏におきましては非常な人口急増地帯というものがあります。また、大阪周辺でもそうでしょうし、名古屋周辺でも同様であります。また、そういった著しい人口急増地帯でなくても、各府県の県庁所在地を中心にして、相当な人口の急増傾向というものが見られるわけであります。そういう中で、政府としましても、きわめて不十分でありますが、昭和四十一年を初年度とする住宅五カ年計画というものを策定をいたしまして現在仕事を進めておることは、大臣も御案内のとおりです。六百七十万戸を五年間につくる。しかし、そのうち民間に依存するのが四百万戸であって、公的資金では二百七十万戸である。そういう意味では、言うならば、きわめて不十分な計画でありますけれども、とにかくそういう計画がある。  そこで、私お尋ねしたいのですが、こういった住宅五カ年計画と、現在電電公社において電話の拡充五カ年計画を進めておられる。政府が策定をする計画でありますから、住宅ができれば公共施設というものは当然付帯してできるものだと私は思います。上下水道もそうでしょうし、その他の社会資本も同様であります。いま、現代社会においては、電話というものは、もう近代的な施設として忘れることのできない重要な施設だと思います。そういう意味で、この住宅五カ年計画と電話の拡充五カ年計画とは、一体どういう関係でその関連を密にしておりますのか、この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  145. 井上俊雄

    井上説明員 お答え申し上げます。  電電公社における住宅世帯に対する電話の普及対策といたしまして二種類を考えておるわけでございます。  圧倒的に多いのは一般の分離住宅でございますが、これはさておき、まとまった団地形式の集団住宅に対する電話の普及の問題につきましては、ただいま御指摘のとおり、昭和四十一年から四十五年までの五カ年に、建設省で一世帯一住宅を提供するという目標のもとに住宅五カ年計画ができております。さらにそれを受けまして、経済社会発展計画で四十六年度までの住宅建設計画が用意されております。そこで、公社といたしまして、さらにそのテンポが一年間延びると予定いたしまして、四十七年度までの住宅建設計画というものに基づきまして、それをそっくりそのまま母集団として、その上でおおむね二百戸以上まとまった集団住宅はどのくらいあるか、これをサンプリングで調べまして、その結果、百二十三万七千戸、おおむね百二十四万戸がこれに該当する、こういうことでございます。これに対しまして団地住宅電話をサービスする、こういうふうにいたしまして、その団地住宅電話の建設計画を織り込んでおる、こういうことでございます。
  146. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 お話としてはお聞きいたしましたが、現実に私が住宅公団に問い合わせてみました。住宅公団でたとえば団地をつくります場合に、電電公社一体具体的にどういう協議をされておるのかと言いましたら、ほとんど協議というものはされていないというのですよ。ですから、いま御説明がありましたが、お話としてはそういう気持ちかどうか知りませんですけれども、現実に住宅公団がそれぞれ——もちろん、団地は、住宅公団が建てるものばかりでなくて、自治体が建てます公営住宅、あるいはそのほか千里のニュータウンとか、会社がつくります社宅もございますね。そういうものもありますけれども、とにかく大きな団地ができる中心になりますのは住宅公団、そこと住宅公社側が具体的な協議もされていない、こういうのですから、いまの話は話として聞きますけれども、現実に、住宅に対して十分な電話の配慮がされていないということになるのじゃないですか。
  147. 武田輝雄

    ○武田説明員 いま御指摘のようなことがございましたが、昭和三十九年七月に団地自動電話制度をつくったわけでございます。そして、団地における集団的な電話需要に対処していこうということでこの制度をつくったわけであります。この制度をつくりますときには住宅公団等と十分打ち合わせをいたしまして、こういう制度の内容でいくということで、この制度の内容等につきましては、十分住宅公団とも連絡をとった上でつくったつもりでございます。  それからなお、いま申し上げましたように、これは三十九年度からやったわけですが、たとえば四十一年度は三万の予算でございましたが、四十二年度は八万、四十三年度は十万というような予算になっておりまして、現在四十二年度末で大体十六万の団地自動電話がついておる、本年度は十万を予定しておりますが、大体これで本年度は間に合うのではないかというふうに考えております。なお、具体的なことにつきましては通信局段階で技術上の問題として十分打ち合わせを進めている、こういうことでございます。
  148. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 住宅公団に聞きましたら、いまのお話の集団電話、これは評判が悪いというのですね。結局、交換か何か置いてやるわけでしょう。もちろん自動のやつもあるかもしれぬが、問題は、住宅個々に一般の電話をつけたいという需要がたくさんあるわけですね。そちらの需要がなかなか満たされないというのが現実なんです。そういう団地ができる、ここの電話の需要というものがこのくらいある、それに対して、公社としては一体これにどう応ずるかという意味での具体的な協議がなければ、私は不満というものは解消しないと思いますが、その点はどうですか。
  149. 武田輝雄

    ○武田説明員 団地の電話需要に対応いたしますために、集団住宅電話という制度が三十四年からできておりまして、これは手動式のものでございまして、団地にお住まいになっている方々が組合をつくられて、手動式の交換設備を置いて、そして自分で線路設備並びに電話機までやられる、公社としては、電話機を置いて、手動の交換台生で線を引っぱっていく、それによってサービスを提供する。確かにこれは、サービスの上におきましても、また、組合がやられるという面におきましても、きわめて不便なものでございまして、また、自動化の趨勢にも合わなかったわけですが、当時の電話事情からしてやむを得ずそういう制度をやったわけでございます。三十九年に至りまして、そういう方式では時代の趨勢に合わないということで、自動方式の団地自動電話、これは公社が直接つけます一般の秘話装置の自動電話と何ら変わらないものと考えていただけばけっこうですが、そういった団地自動電話制度をつくりまして、それによって現在の団地の集団的電話需要に対処しておる、こういう実情でございます。
  150. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、私聞きたいと思うのですが、結局、住宅建設五カ年計画、これによりますと、さっき言いましたように、五カ年間に公的資金による住宅が二百七十万戸ということになっていますが、四十一年度の建設戸数は四十万四千戸、それから四十二年度の建設見込みが四十五万二千戸、こういうわけですね。こういうふうに新しい公的住宅ができていくわけです。そうしますと、片や、おたくのほうでは拡充五カ年計画というものがある、そうして住宅の年々の建設計画、それに対しておたくのほうでは、最後は三世帯一電話程度にする、こういうのでしょう。とすれば、新たにできていきます公的住宅に対して、これに見合った計画というものが当然公社のほうであってしかるべきだと思うのですが、その点はどうでしょう。
  151. 井上俊雄

    井上説明員 ただいまお尋ねの、現実問題として住宅がどんどん造成されつつあるものに対しまして、公社の住宅電話の普及対策としてきわめて不適切ではなかろうか、こういう御指摘だと思うのでございますけれども、まず、集団的住宅団地に対しましては、そういう地域につきましては、むしろ、現在の計画ではおおむね百世帯に六十世帯程度電話を普及させる、こういうことで、いわゆる団地自動電話の計画を持っておるのでございます。それから、一般の住宅造成地で、いわゆる分離住宅等を中心といたします非常に多くの住宅電話につきましては、住宅電話の需要というものを把握いたしまして、それから三世帯に一電話ということでそれをカバーしていこう、こういうことに、二つにグループを分けまして拡充計画を用意しているわけでございます。
  152. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ところが、住宅公団のほうの総務部長ですかに問い合わせて、具体的に電電公社との協議というものはどうなっているかといっても、計画を策定して実施する場合の十分な協議というものがなされていないと、相手側のほうは言っているのです。  そこで私は、住宅公団ばかりではなしに——きょうも都市計画法が衆議院を通過しましたが、都市計画が進む、また住宅計画というものも進むと思います。そういたしますと、これを施行していきます都道府県なり市町村、こういったいわゆる地方自治体というものと電電公社というものが、一体どういう関連で仕事を進めていくかということが問題だと思うのです。  御案内のように、いま地方行政連絡会議という機関がございます。これに対して、国の出先機関は、これは当然それに構成員として入るということになっていますが、国有鉄道なり電電公社というものは、義務的に加入しなければならぬというものではなく、これは委嘱する形になっておりますね。現在各地に行政連絡会議がありますが、これに対して、電電公社はどの程度、各十五ばかりございますこの連絡会議の中に委嘱の形で入っておりますか。当然各地域の通信局が入る形になるだろうと思いますが、その状況はどうでしょうか。
  153. 米澤滋

    ○米澤説明員 私、詳しい数字ははっきり覚えておりませんけれども、各地域の通信局長というのが、全国で、東京を除きまして十一ございまして、通信局長が、たとえば信越であるとかあるいは北陸とかあるいは東海とか、そういうところに入っていると思っております。数は正確には覚えておりません。大体通信局長が入っているというふうに思っております。
  154. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 みな入っていますか、各行政連絡会議全部に。
  155. 米澤滋

    ○米澤説明員 全部入っているかどうか、私は、そこはちょっとはっきりいたしません。それは後ほど調べまして申し上げます。
  156. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私は、こういった行政連絡会議等を活用する必要があると思うのですね。そして、入っていないところがあれば、これは指導して、みな入れるようにしてください。そして、当然この行政連絡会議の中で、当該地域の都市計画、これに伴うところの住宅建設計画というものと見合って、いまお話がありましたような形で、二百戸以上のものについては集団自動式の電話を入れて、これが六割の状態で電話がつくとか、あるいは二百戸以下のもの、あるいは縦割り住宅等については三世帯に一電話という形で進めていく、当然そういう配線も行なわれる。ところが実情を聞くと、配線の関係でなかなか特定の住宅について電話がつかぬということが多いんじゃないですか。やはりそういうことを連絡会議等を通じて、住宅計画があるならば、それにおたくのほうが合わせるような配線計画も立てるということをやっていく必要があるんじゃないかと思うのですが、その点はいかがでしょう。
  157. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま御意見ございましたけれども公社といたしまして、十分、住宅建設計画、ことに団地のようなまとまった建設計画に対しまして、これに対応できるような電話設備を準備いたしたいと思っております。ただ、問題になりますのは、その団地ができる場所が都市や何かと、既設の電話局と非常に離れている場所がいろいろあるのでございまして、そういう場合には、早目にその計画を知りまして、それに対する対応をする、この点が私はきっと不十分なのじゃないかと思うのでございまして、大都市のそば等にできるものにつきましては、先ほどの団地自動電話が四十三年度予算でも十万用意してございますから、それは相当役に立つと思います。しかし、既存の電話局から相当離れたところにできる団地に対しましてのそのあれがたぶんうまくいってないんじゃないか、そういうふうに思いますので、そういう点は、なお実際の五ケ年計画の具体的なものを今後通信局段階あるいまは計画局の段階でやらせる場合に、十分それに対応していきたいというふうに考えております。
  158. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いま一つは、最近町村合併が進行いたしまして、行政区域がこうなっていますが、私は、こういう問題も行政連絡会議等を活用して、そして何といいますか、町村合併に基づきまして、同一市町村の局等を統一していただきたいとかいう希望があると思いますが、そういう問題についても、地方自治体といいますか、地元住民の要望にこたえるような姿勢というものが必要じゃないかと私は思います。この点はいかがでしょうか。
  159. 米澤滋

    ○米澤説明員 同一市町村内の加入区域の合併につきましては、本年度予算で北九州のようなところは取り上げまして、それから政令都市につきましては、本年度と来年度の二カ年の計画で実施するようにいたしております。いままで大体四キロの範囲をまず合併いたしまして、その次に六キロをやってまいったのでありますが、その範囲ではまだ不十分と考えるので、この第四次五カ年計画の大綱の中で、この際自動改式を必要といたしますので二千七百億の経費を予定いたしまして、そして、その際加入区域の合併を進めるように計画しておりますが、いま御指摘がありましたように、これは、地元の要望といいますか、そういうものもやはり十分考えて、計画的にやはり順序を追っていく必要がありますので、そういう点も十分やりたいといま思っております。
  160. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 都市の場合もそうだと思いますが、そういった過密地帯と別に、過疎地帯がありますね。農山村でありますが、こういうところは、現在まだ郵便局に委託をしております手動局というのが四千六百ばかりあると思います。そういった局の場合を考えますと、同一市町村が幾つもの、いわば委託局というのですか、そういうものに分割をされている、こういうものについても私はやはり見のがすことはいけないんじゃないかと思うのです。  そういった地域の地元住民の要求に対しては、どういう形でこたえようとされておりますか。
  161. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほどお答えいたしました四キロの範囲をいままでやり、さらに六キロの範囲を続いてやって、今後さらにそれを広げていくという地域は、大体いまお話がありましたような政令都市じゃない農村のほうが多いのでありまして、ただ、その際に、委託局の場合には、それが手動局等の場合には、これはやはり自動改式しないと合併が困難でございます。したがって、われわれといたしましては、自動改式計画とこの合併計画というものを関連させて、場合によっては同時にやっていくということにいたしますので、そういう過疎地域に対しますものも含めて二千七百億を考えている、こういうふうになるわけでございます。
  162. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間もあれですから、この問題につきましてはこれで終わりたいと思いますが、とにかく、各地域へ行きまして、住宅団地等に対してなかなかこの要望にこたえられない。何か電電公社の計画は、いろいろ表等も拝見をいたしましたが、建設計画を見ますと、住宅電話に対しては一三%程度しか建設投資額を予定していない。何か住宅電話は粗末に扱われているのではないかという感じがいたしますのですが、ぜひともこの点については行政連絡会議等を通じて地方自治体との関連を密にする、住宅公団等との連絡を密にする、そういう中で、住宅建設計画に見合った電話の配置というものが行なわれますように、強くこれは要望いたしておきたいと思います。  それから次に、大臣にお尋ねしたいと思うのですが、郵政事業について、公社化を大臣はお考えになっているということをお伺いをいたしました。私は、信書の秘密という面からいって、いわゆる信書に関して公社化をするということはいかがか、憲法の規定にも信書の秘密というのがございますが、こういった意味で、信書を含めて全般的に公社化ということは問題があるのではないかというふうに思っておりますが、この点、大臣の構想というものは一体どういうことなんでしょうか。
  163. 小林武治

    小林国務大臣 この信書の秘密ということが昔から非常な大事なことだということで、郵便だけは、世界じゅうどこの国でもみな官営でやってきたのでありますが、電話あるいは無線その他の発達が非常に顕著になりましてから、多少そういうことが昔ほど厳格に解釈されないようになってきているのではないか、傾向としてですね。こういうことでありまして、実は、イギリスなどにおきましては、もうこれを公社化するという国策の決定がありまして、これについての法律案が国会に出る、こういうことでありますし、アメリカやカナダなども同様な検討をしておる、こういうことでございますので、私どもがもうこうするのだということでなくて、外国でもそういうことを検討しておるが、日本もこの点はどうだ、いまの官庁機構でこういう公企業をやることが、非常に硬直しておるために不適当である、こういう面もあるから、外国の例等も勘案してひとつ検討してみよう、こういうことでありまして、こういうふうにしようという方針のもとにやっておるというわけではありません。いずれがよろしいかということをひとつ研究してみたい、こういう段階でございます。
  164. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これから検討してみたいということで、まだ固まった案があるわけではないということですね。それならば、それ以上お尋ねすることもないと思うのですが、もし、かりに公社化ということを考えました場合に、信書の秘密の問題で、郵便は別、あるいはこれもするのかどうか、その辺は検討中ですからわかりませんが、各郵便局に電話を委託していますね。それが公社化されるということになれば、昭和四十七年末五カ年拡充計画が終わる時点でもまだ手動局は二千六百局くらい残るわけですね、委託しているところが。そうすると、郵政が公社化される、そして、片や電電公社もあるといいますと、公社がまた公社に委託をするという形になる、それはたいへんおかしいのじゃないかという感じがしたのでありますが、その点は検討中ということですから、この問題がどうなるかということも将来まだわからぬわけですから、明確なお答えはないと思いますけれども、もし、かりに郵政の公社化が進んだ場合に、しかし、なお四十七年末に手動局が相当数残るということでは、たいへんおかしな形になるのじゃないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  165. 小林武治

    小林国務大臣 電信電話についても、法律上通信の秘密を確保しろということは、はっきり書いてあります。そういうわけでありますから、かりに公社に郵政がなるにしても、私は、公社公社に委託するという関係は、別段そう支障ないんじゃないかということをいま考えてはおります。
  166. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それでは、いまはまだ計画がまとまっておらぬようでありますから、この点はやめておきたいと思います。  最後に、先ほど申し上げましたように、あくまでも住民の期待にこたえる。ですから私は、公衆電話もそうじゃないかと思うのですが、住宅計画に見合って公衆電話の十五万個ですか、しかも、赤電話のように夜使えぬというものじゃない、青電話と申しますか、終日使えるような公衆電話についても、十分住宅計画に見合った設置というものを考えていただきたいと思います。この点はどうでしょうか。
  167. 井上俊雄

    井上説明員 御指摘のとおり、いわゆる一般の公衆電話は夜間でも自由に使えますし、非常に公益性の高いものでございます。四次計画の中では三万八千個の一般の普通公衆電話を設置しよう、こういうことでありますが、三次計画期末、前年度末の状態で全国で二万九千個ございます。明治二十三年でございましたか、公衆電話が始まって以来、いままで二万九千個のものが全国に設置されておりますが、その量よりもはるかにまさるものを四次計画の中では整備していきたい、こういうことでございまして、公社といたしましては、これからの五カ年計画は、特に住宅電話、民生上の問題等に相当なウエートを傾けて整備していこう、こういう覚悟でございます。
  168. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わります。
  169. 古川丈吉

  170. 堀昌雄

    ○堀委員 私、初めて逓信委員会へ参ってきょう質問をさしていただくわけでありますが、この前の十日の日の大出さんの質問をずっと会議録で拝見いたしまして、今度の設備料問題の中の一つの側面について非常にいい質問をしておられるのを拝見をいたしたわけです。  そこで、最初に公社総裁にお伺いいたします。私、この前予算分科会でも伺ったわけでありますが、大体、電電公社はだれのためにあるかと私が伺ったのに対して、総裁は、国民のために公社はある、こういうふうにお答えをいただいたと思うのでありますが、きょうはそれを最初に確認をして論議を進めたいと思います。
  171. 米澤滋

    ○米澤説明員 そのとおり考えております。
  172. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、いまちょっと待っておりましたのは、通産省の公益事業局長に来てもらいまして、電電公社電力事業会社との対比の中で少し問題を明らかにしてまいりたい、こう考えておるわけです。  まず最初に、いろいろな資料を拝見をいたしまして、今度の設備料は、施設の一部負担金である、大体そう説明がされておるのでありますが、その点は間違いがありませんね。
  173. 武田輝雄

    ○武田説明員 電話架設の費用に充てるためにいただきます料金でございます。
  174. 堀昌雄

    ○堀委員 電話の線の架設に充てるための費用、こういうことであります。ですから、その点は、私は電力会社の場合の工事負担金と同様なものだ、こう考えるのでありますが、工事負担金というのは、やはりそういう施設の一部を負担する、こういうことですね。ひとつ、通産省のほうで答えてください。
  175. 井上亮

    井上(亮)政府委員 そのとおりでございます。
  176. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、電力会社というのはきわめて公的な企業でありますから、民間会社ではありますけれども、いろいろな規制がされております。ここにこの前お触れになっておりますように、電気事業法第十九条でその料金については規制がされておりますね。  そこで、その規制と、規制に基づく省令で、一体利益、利潤というのはどのくらいに見ておるかを通産省のほうにお伺いいたします。
  177. 井上亮

    井上(亮)政府委員 利潤と申しますか、電力原価計算の方式は、先生も御承知のように、一応利子とか配当とか、そういったものに該当しますものとして、真実かつ有効な資産に対して報酬率という考え方で処理しておりますが、その報酬率は、原価計算上八%程度ということで見ております。
  178. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、そのいまの報酬の八%の中身は大体何ですか。
  179. 井上亮

    井上(亮)政府委員 これは結局、具体的にそれの積み上げ方式ではございませんで、御承知のように、真実かつ有効な資産に対する報酬率ということでやっておりますが、それをばらした考え方をしますれば、やはりその中には利益、利潤、配当もありますし、それから各種借り入れ、社債、金利等に該当するものも入りましょうが、そういうものをすべて入れました意味で報酬率という概念をとっております。
  180. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、いまの話で、電力会社の場合における公正報酬率というのは大体八%だ。その公正報酬率の中身というのは、主として設備投資その他をするための増資をした場合の配当金、その設備投資をするための借り入れ金に充てる利子が実は八%の主たる中身である、こういうことになっておりますね。  電電公社昭和二十八年に法律を改正になって、そのときの、要するに公正報酬に相当するものの率は、昭和二十八年には一体どのくらいの率だったんですか。
  181. 武田輝雄

    ○武田説明員 公衆電気通信法には、合理的な料金で、ということになっておりまして、そして公社の場合は、電話の場合は使用料金は全部法律できまっております。したがいまして、電気あるいはガスのような料金設定原則というものが法定されておらないわけでございますが、昭和二十八年に料金値上げをいたしました場合には、損益の赤字はございませんでした。それで、当時の電話の拡充の緊要性にかんがみまして、特に電話事業というものは、たとえば磁石式から自動式になるといったようなこと、あるいは待時から即時になる、即時から自動即時になるといったように、拡充資金の中には、加入者の改良といいますか、利益に回る部分が非常に多い、のみならず、新規に架設された加入者につきましても、その加入者と旧加入者はお互いに通話をし得るようにしなきゃならぬ、そういうようなことで、旧加入者に、拡充資金のうち何らかの形で還元するものの建設費が全体の約三分の二だというようなことで二割の料金値上げが行なわれたわけでございます。したがいまして、公正報酬といったような概念ではございませんが、電話の特殊性に基づいて、二割の料金収入を建設勘定に入れるということが認められたわけです。  なお、これは電話につきましての特殊事情でございまして、たとえばアメリカ等におきましても、年によって違いますけれども、一九%程度、二割程度のものが利益金でまかなわれておりますし、イギリスにおきましても一六%程度のものが利益金でまかなわれておる、こういった事情でございます。
  182. 堀昌雄

    ○堀委員 アメリカやイギリスの話をいましてないのです。実は私は、日本の電力会社電電公社の話をしているのです。  そこで、いまの話をずっと聞いておりましても、確かに、電力会社電電公社には相違があります。相違がありますけれども、要するに二〇%の建設費料金によって先取りをしたということは間違いないわけですね。昭和二十八年にそれだけ損益勘定に黒が立って、それを建設勘定に入れるということは、料金という形で将来における建設勘定の資金を先取りをした、こういうことになりますね。
  183. 武田輝雄

    ○武田説明員 将来におきます建設資金を先取りしたというよりは、料金からあがったもので改良資金の一部に充てた、こういうことであります。
  184. 堀昌雄

    ○堀委員 まあいいです。  そこで、電力会社の場合には、料金の中にそういう先取り的な建設費が入っていますか。
  185. 井上亮

    井上(亮)政府委員 入れておりません。
  186. 堀昌雄

    ○堀委員 民間企業である電力会社が、そうして電話もなるほどわれわれの生活については非常に便益の必要がありますけれども、われわれの国民生活の順位からするならば、今日、電力が欠けたらわれわれは一日たりとも生活はできない。それだけ現在電力と国民生活というものはきわめて密着をしておる。その非常に重要な電力設備投資というものは、現在料金の中では考えられていないのです。そうして、これが公的な機関ではなくて、民間の会社なんです。民間会社が、電力というきわめて国民生活に重要なエネルギーを供給するために設備投資をするのは、借り入れ金でまかなっておる。その借り入れ金なり増資によってまかなった原資を、あとで公正報酬率ということで返していっておる、これが現在の日本の電力企業の実態です。  国民のためにあることについては、どちらかというと、電力会社民間の経営でありますから、公的なものではあるけれども、本来的に言うならば、株主の利益を代表するのが、これが私は企業としてのあり方ではないか。しかし、その企業としての株主の利益を代表すべきものが、より多く国民的な立場に立って国民に奉仕をしておるときに、最初、総裁が国民のためになるとおっしゃった電電公社が、一体公的な企業でありながら料金設備投資を先取りしておるというこの情勢というのは、私は、ものの考え方として非常に一考を要する問題があるだろうと思います。私がこの問題をそういう角度で取り上げておりますのは、やはり来年おそらくまた料金値上げというものが出てまいるでしょう。その料金値上げをする場合に、またもや二〇%というような大幅な料金の先取りをすることは——私は、二十八年当時はまだいろいろと戦後の復旧の場合で、ある程度やむを得ない情勢があったかと思いますけれども、今後の電話の充足問題というのは、あの時点とは非常に異なってきておるのじゃないか。そうすると、考え方としては、今日の物価政策の観点から見ても、少なくとも電力会社に近い方向の処置をしなければならない問題が、私は料金問題の基本的なところにあるのじゃないか、こう考えるわけです。  そこで、いまの問題について、ひとつ国民生活の立場から宮澤経済企画庁長官に、要するに、今後の電信電話公社料金のあり方は、はたしていまのような二〇%というようなことが許されていいのかどうか、物価のこういう情勢の中で、さらに、電話の普及の今日のこの情勢の中でそういうことが許されていいのかどうか、電力会社との関連においてひとつお答えを願いたい、こう思います。
  187. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このたびのこの設備料値上げについては、私は、こういう設備というものは、長期借り入れ金によるとか、あるいは受益者負担によるとかということがいいのだと思いますので、今度のことについては私は御同意をしたわけでございますが、いま堀委員のお話を承っておりますと、確かに、一つの問題点を指摘しておられるように——実は、私は全然公社経理を存じませんので、自分の目で調べて申し上げることができないのでございますが、一つの問題点を指摘しておられるように思います。あるいは、電電公社のほうに、またお考えなり、なるほどという御説明があるのかもしれません。どうでございますか、ちょっとその点は私はわかりかねます。
  188. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほど営業局長もちょっと申しましたが、私は、電信電話事業、ことに電話事業というものが電力事業と非常に違っているという点を申し上げたいと思います。  それは、結局、電電公社料金を立てる場合に、いわゆる現場の取りかえ法というようなものは採用しないで、減価償却法でやっている、しかも、その減価償却の場合に、建設勘定の中で設備の取りかえをやる、それからまた、自動式の改式、たとえばマグネットの局を自動にいたす場合に、既存のマグネットの局が五百の加入があったとします。そこに新規に二百をプラスするときには、七百の局を一ぺんに自動にしてしまって、五百分というものがマグネットから自動にかわる、それからまた、従来手動式でつながっていたものが今度は自動になる、そういたしますと、従来一つの県内にしかかからなかったものが全国的につながるようになる、そういうようにして、質の改善というもの、それからまた、設備のライフがきたものを取りかえるということが建設勘定の中で行なわれる、これのために改良費というものが全体の約四〇%を占めております。  それからもう一つは、既存の電話と新しい電話とが接続される、たとえば、いままで百万ありました電話に対しまして二十万プラスになりますと、その百万と二十万との相互の間というものが接続されなければ効果が発揮されませんから、そういたしますと、その間の中継線、いわゆる線路が必要になってまいります。それからスイッチもふやしていかなくてはならない、そういうように、接続に要する経費というものが大体二五%くらいになっておる、したがって、建設投資額一〇〇という中において、先ほど言いましたけれども、改良あるいは取りかえというものに接続に要するものを加えますと、約三分の二というものがそちらのほうに回ってくる。この点がいわゆる普通の電力の場合、あるいは水道の場合、ガスの場合と電話が非常に違うのじゃないか、いわゆるネットワークとしての効果を発揮する、この点が違うのでありまして、二〇%という数字昭和二十八年に認められたのでありますが、二〇%がいいかどうかについては確かに議論がありますが、そういう性質的に違っているということは、やはり理解をしていただく必要があるのではないかと思います。
  189. 堀昌雄

    ○堀委員 私も、同じだという議論はしていないのですが、ものの考え方ですね、ものの考え方として見ると、設備投資というのは、本来借り入れ金で処置をして、借り入れ金についての利子その他を後年度の人たちが徐々に負担をしていくというのがやはり筋道ではないか。料金というのは、本来は経常収支に関するものであるというのが、私の考え方の基本にあるわけです。  ですから宮澤さん、その点はどうですか。大体一般論なんですけれども、国鉄なんかを見てみますと、国鉄はその経常収支すらまかなえない線が非常に多いわけです。だから、そういう企業的な問題というのは、まず経常収支料金でまかなうべし、新しい設備というものは借り入れ金でまかなって、その設備投資が生んできた果実を含めて徐々に返していく、これが私はそういうものの原則だろうと思うのですが、長官、どうでしょうか。
  190. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 国鉄のように悪くなっても困るのでございますが、私は、一般論としては、堀委員のおっしゃることには非常にもっともな点があると思います。
  191. 堀昌雄

    ○堀委員 ですから、私はただ原則だけでものを言うつもりはありませんけれども、今後の料金をもしかりに上げるとしても、それはやはりできるだけ小幅なものであるべきで、大幅に上げて、長くそのままに固定をしようというのではなくて、私は、料金というものは、どうしても必要があれば上げていいと思っておるのです。ところが、どうも一ぺん上げたらなかなか次が動かせないからというので大幅に上げるということは、いまの物価政策の観点からすると再考の余地があるし、もう一つ、いまの電電の実は借り入れ金の状態から見ますと、まだ私は、すべてを料金でまかなうというのではなくて、借り入れ金処置についてはやや弾力がある、こう私は判断をしておるわけですが、これは判断の問題ですから……。  そこで、設備料のもう一つの側面を伺いたいのですが、工事負担金は、電力会社はどういう取り扱いになっていますか。
  192. 井上亮

    井上(亮)政府委員 電力会社は工事負担金をやはり取っております。おりますが、企業会計上の処理といたしましては、収入にはいたしませんで、負担金を、たとえば、これは一つの例でございますが、一億なら一億工事がかかる、そのうち工事負担金が三千万円だ、自分の持ち出しましたのが七千万円、こう仮定いたしますと、一応七千万円が帳簿に載るという形、したがいまして、償却やその他もその七千万円について行なう、三千万円につきましては、要するに帳簿上は出し入れなし、収入も立てないというような形を一応とっております。
  193. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのは、要するに三千万円入ってきたものは、預かり金として一応は立っておると思うのです。預かり金として立っておるけれども工事が終わったところで、そこで圧縮記帳をして、これで表と裏とで損金に落とすからこれはゼロになる、ゼロになったあとで、そこの圧縮をされた根っ子から、そこから減価償却をする、こうなっておるわけですね。電電公社のほうも、いまの施設負担金的な工事負担金と同じようなかっこうですね、今度の設備料というのは。それはいまあなたのほうで確認をしたわけだから、性格としては同じになっておる。——ちょっと、もう一ぺん確認しましょう。工事負担金に見合うものだ、施設に対する負担金だから、そうでしょう。——あなたのほうはこれを資本剰余金に積んでおる、こうなっておるわけですね。  これが実は少し論争のあるところですが、時間がないから簡単にいきますけれども、実は、商法ではこの問題は資本剰余金に立つようになっていない。そうでしょう。ちょっとそこを答えてください。商法では資本剰余金には入らない。
  194. 中山公平

    中山説明員 そのとおりでございます。
  195. 堀昌雄

    ○堀委員 じゃ一体、なぜ資本剰余金に立てておるかというと、これは企業会計審議会の企業会計原則「注解」の7に、一応工事負担金というのは、資本剰余金だという書き方がしてあるし、それから「税法と企業会計原則との調整に関する意見書」の第二の七でもそういうことを言っておる。ところが、これは企業会計基準審議会がそういうことを出しておるだけで、実は法律的にオーソライズされておるものじゃない。論争はあるけれども、実はこれはオーソライズされていない。オーソライズされているのは、法律的にいえば商法なんです。電電公社が商法に定めなきものを——「税法と企業会計原則との調整に関する意見書」であるとか「注解」であるとかいうのは、それは企業会計審議会の意見ではあるけれども、宮澤長官、こういう場合に、一体商法によるのか、そういうオーソライズされないものによって国の機関が処理をするということが適正かどうか、ちょっと伺いたい。
  196. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 その点も、いま伺った限りでは、堀委員の言われることが私にわかるような気がいたしますが、これも何か電電公社に御説明があるかもしれないと思いますから、それをまず伺いたいと思います。
  197. 中山公平

    中山説明員 ただいま堀委員から御指摘のあった点はそのとおりでございますが、法令等の関係におきましては、証券取引法に基づく大蔵省令の財務諸表規則というものが、企業会計原則をとりまして、資本剰余金説を規定の上においてとっておるわけでございます。この点におきましては、税法あるいは商法とは趣を異にしておりますので、私ども考えますに、やはりこの設備料あるいは負担金というもので設備をつくりました際に、それが取りかえの際において、また再び設備料あるいは負担金をいただくことができるとか、あるいは、その設備が老朽化した場合には、もう再び取りかえをしなくて、そのままでいいという場合におきましては、これは減価償却の必要もないわけでございますけれども、電話のように、設備料は初度一回限りの負担でございまして、一たび電話をおつけいたしまするならば、お害さまのほうで永久にお使いのできるように私どもは維持をしていかなければならない義務がある、こういう場合におきましては、やはり減価償却費を立てまして、取りかえの際の準備をしておく必要があるのではないかというふうに思っておりまして、この点につきましては、もう一つ会計学者の間におきましても、資本剰余金説をとることが妥当である、およそいかなる資金源によるにかかわらず、設備ができたものを圧縮記帳によって固定資産に計上をしないということは、企業経理を正確に表示するものではないという説が有力でございまして、この点もあわせ考えまして、私どもは資本剰余金に立てまして、固定資産にはそれをあげて減価償却費を計上いたしておる、こういう次第でございます。
  198. 堀昌雄

    ○堀委員 小林郵政大臣に伺いますが、要するに、証券局が何かやっている。これは私、ちゃんときょう企業財務課の第二課長から話を聞いております。事情はよく知っております。私も大蔵委員ですからね。しかし、国の機関が、法律の定めを優先しないということは、これは重大ですよ。商法は資本剰余金として認めてないのですよ。もしほかのこれに対抗する法律があったら出してもらいたいですね。それはないのです。いいですか、公社が、もしこれに対抗する法律があれば言いなさい。なければ、郵政大臣答弁を求めます。
  199. 小林武治

    小林国務大臣 いまの問題は、ここでも前から論議されておりまして、先ほどの料というものは、収支勘定ですか、経常費ですか、それの中へ対応すべきものだ、だから、観念的に相当な混乱がある、こういうことをこの席でも私は申しておるのでありまして、いま言うように、これは公社の考え方では他人資本になっておる。そして、いまのような資本剰余金にしておる。それは、料というものがそういうものになるかどうかというふうな問題もあるわけで、私は、観念的にもこの問題はひとつもう一ぺん考え直して見る必要がありゃせぬか、こういうことを私もこの席で申しておるわけでありまして、堀委員の言われるような欠陥と申しますか、変なところがあるのでございます。
  200. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、これは、要するに法律論議だけでものをきめようということではありませんけれども、大体会計学というものの立場は、一体どちらの立場に立っておるかといいますと、会社側の立場に立っておるのです。商法は、ややそういう意味では株主の側に立っておるわけです。ですから、ここのところに私非常に問題があると思っているのですよ。なるほど会計的に見ますと、どういうことになるかといいますと、これは利益剰余金というような性格にしないで、資本剰余金として別にしておいたほうが、会計上の出入りの関係では非常にはっきりするわけです。だから、要するにそれを外から判断をして、その企業の会計状態がどうなっておるかというためには、資本剰余金に立てることが外から見るのには都合がいい。その会社の財務状態がどうなっているのかということを見るのには非常に都合がいい。これがもし、たとえば利益剰余金という性格になっておりますと、それは一体どうだということが全体の中に埋没をするものだから、ややそれは性格が違うではないかというのが、私は会計学者のものの考え方だと思うのです。しかし、商法はそういう考え方に立っていないわけです。これはやはり利益剰余金の側の考え方に立って、利益剰余金であるから、これは株主の側に還元されるべきではないのか、こういう発想に実は立っておるわけですから、そこら辺に、私は、最初に国民のためにということであるならば、まずそれはその企業会計——要するに、証券局の企業財務課がやっておりますのは、そういう企業財務というものを見て、その企業がいいか悪いかを判断するための資料にするためにはそれでいいんですけれども、私が申しておる国民の側から見た場合に、それがいいかどうかというのが一つ問題があるわけです。  それからもう一つは、いまの電力会社の場合には圧縮記帳をいたしておりますから、さっき公益事業局長が言いましたように、七千万円について償却をするわけです。そうすると、これが永久にいかない場合には、確かに償却不足になります。この面については、私は償却不足になると思います。圧縮をしてそれだけになってますからね。取りかえがあった場合には、取りかえ分というのはふところから別途に出さなければならぬ、こういうことになりますね。ところが、公社のやり方はちょうど裏側をいっていて、施設負担金として金を取ったら、あなた方、いま電話局から家庭までの六万円の中の三万円取ったというわけですね、そこで償却されているわけですよ。最初の一回目の施設については三万円は償却をされて、残っておるのはあとの三万円から先が減価償却対象になる。そうして取りかえをした二回目からはまるまる全部減価償却していいけれども、少なくとも耐用年数の最初の——今度あなた方は線路耐用年数の短縮をやって十三年にしたのですか、十三年に圧縮をして、その上にまた設備料を三万円取る。二重取りをするわけだ、そこの部分だけでは。三万円該当分ではすでにもう負担金で金をもらっちゃったんだから、その分は償却されておる。しかし十三年たつとまた取りかえなければならない。そこから先は必要ですからね。だから、そこから先の分については減価償却を私は認めるべきだと思うけれども、ここの間は二重取りになっている。どうですか、公社で見解があるでしょう。
  201. 秋草篤二

    秋草説明員 ただいまの堀委員のような問題も、私ども研究いたしました。しかし、おことばですけれども、確かに、三万円に関する限りは無利子のお金をちょうだいしているわけであります。しかしそれは、国有財産ではございませんけれども、私どもは、国有財産に準ずる公社の財産として、建設すればやはりその日から財産は財産であって、金利は永久にかかりません。しかし、財産の維持という減価償却の理論からいえば、やはり資産、資本を維持する、あるいは経費の予定配賦という意味からいえば、この点だけは私はダブっていないのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  202. 堀昌雄

    ○堀委員 これはちょっと皆さん、いま私の言っているのをよく理解してください。  いいですか、要するに三十六万円の施設の中の六万円——どもが三十六万円本来は負担しなければならないんだけれども、それは料金先取りの中で払うことになっているから、将来的にはそれで済むんだけれども、その六万円の中の三万円は、つけてもらうときに私ら金を出してあるのでしょう。金を出したということは、そこで一応公社は金を負担していないわけだから、その部分は、最初の分だけは減価償却は済んじゃっているわけですよ。それが十三年目になりますと、そこから取りかえなければいかぬからね、そこからあとの分は減価償却をしていかなければ、さっきの中山局長のように永久にやるんだから、それは必要だと思うんだけれども、私は、どう考えてもそこはダブっていると思う。  宮澤さん、ひとつアンパイアの立場でどうでしょう。
  203. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 まあ、先ほどから堀委員の御指摘になっていらっしゃることは、適正とか不適正とか、適法だとかいうことではなくて、おそらくは電電公社の会計には、ことに電力会社なんかと比べればかなり余裕のある経理が行なわれているんではないか、そういうことをおっしゃっていらっしゃると思います。確かに、公共料金でもございますから、ことに将来の問題もあるといたしますと、私ども電電公社、郵政省とも御一緒によく研究をしなければならぬ点があるんじゃないか。郵政大臣もそう言っていらっしゃいますから。  ただ、もう一つだけ御酌量いただきたいのは、こういう席で御質問に御返事をするということは、私どもでもなかなかふなれでございますから、いわんや、公社のお方なんかは、いろいろ相対で話をすれば、なるほどといったことも、あるいはあるのかもしれませんから、その点は、まあ後日、よく私どもひざを突き合わせて研究してみたいと思います。
  204. 堀昌雄

    ○堀委員 私がいま申しておるごとは、やはり商法との関連にあるわけです。ずっと一連のことなんですよ。  だから、一連のものの考え方の中で私が申しておることは、電電公社は、まず国民の側の利益を先に考えてもらいたいということなんです。電電公社利益はあとでいいじゃないか。要するに電力会社すら、工事負担金を取った場合には、それは圧縮記帳にするかどうかというのは税法の問題もあるけれども、しかし、償却については、それが料金にはね返る償却については民間の会社である電力会社はそれを除いた分を償却している。民間の会社であるから、株主たちに対して実はこれは非常にまずいことをやっているわけですよ、実際言うならば。しかし、国民の利益のためにそういうことをやっておるときに、電電公社は、株主というのは国民ですからね、にもかかわらず株主である国民に電力会社以下のことをやって、そこを二重取りしたりすることは、私は考え方として許せない、こういうことですよ。  だから私は、最初に総裁に、一体電電公社はだれのためのものか、電電公社の株主はだれか、これは国民ですから、国民の側に立ってもう一ぺん再検討をする必要があるんじゃないか、こういう問題提起をしておるわけです。小林郵政大臣ひとつ……。
  205. 小林武治

    小林国務大臣 私は、この委員会でこういうことを申し上げたことがあります。堀委員と同じでありますが、少なくとも、三万円に関する部分については料金に反映せしめてはならぬ、これでもってお返しができるんだということで、やはり償却なり利子なりは料金の中に入れてはいけないんだ、こういうことを私はこの席で述べたことがありますが、同様な考え方でございます。
  206. 堀昌雄

    ○堀委員 ですから、これはいまここで詰めたことをきめるわけにはいきません。いま宮澤さんのお話しのように、十分ひとつ郵政省、企画庁、公社とひざ突き合わして——どうも会計原則をどうするかというようなことは、これはそういうところでなしに、私は、やはり商法に準じるということが、いまの法治国家である限り、国の機関が商法の定めに反したことをやるなどということは、形式的にも問題があるし、実態的にも問題があるということを申し上げて、まずこの問題はここで終わります。宮澤さん、ありがとうございました。  そこで、実は、データ通信というのが私に与えられておるテーマなんです。そこで、データ通信というのは、ことしの予算でデータ通信施設百二億円、加入データ通信サービス三局、東京、大阪、名古屋ですね。個別データ通信サービスは九システムと予算に書かれておるのですが、この九システムというのは、どことどこですか。
  207. 北原安定

    ○北原説明員 お答えいたします。  個別データとしては、現在進行しております地方銀行協会のもの、それから群馬銀行、地方銀行の中の自行網と称します十二の銀行の近代化のもの、それから運輸省の自動車関係、それから万国博覧会の会場管理、それから現在話を進めつつありますものに、鳥取農協、それから静岡銀行、東京都信用金庫協会、それから世界貿易センターのもの、以上でございます。
  208. 堀昌雄

    ○堀委員 数がそうであると、予算はどれだけになっているのですか。いまのお話だと、九つよりだいぶオーバーしていませんか。
  209. 北原安定

    ○北原説明員 ただいま申し上げたとおり、九つになっております。
  210. 堀昌雄

    ○堀委員 群馬銀行というのは、どうなっているのですか。
  211. 北原安定

    ○北原説明員 いま申し上げましたように、地方銀行の次に群馬銀行と申し上げました。
  212. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、新しい地方銀行協会の個別データ通信サービスはいつから実際に開始しますか。
  213. 北原安定

    ○北原説明員 ただいま工事が進行しておりまして、予定の線に沿って着々と整備されております。したがいまして、六月三十日時点におきまして、私どもの工事側から見ますとサービスできる状態になるものと考えております。しかしながらこれをユーザーのほう、すなわち協会のほうが即刻使うかどうか、いろいろと職員のなれ、ふなれ、いろいろな問題があると思いますから、具体的にサービスに入る時期は、今後公社と協会側とよく十分に相談した上で実施されるものと考えております。
  214. 堀昌雄

    ○堀委員 それは大体いつごろを予想しておりますか。
  215. 武田輝雄

    ○武田説明員 大体契約を結びますのは、十月一日から通信契約を結びたいと思って、いま考えておるところであります。
  216. 堀昌雄

    ○堀委員 十月一日から、実際に動き出すとすると、それまでにデータ通信料金の各種のものがきまらなければいけませんね。  現在どういう点がきまっているのでしょうか。
  217. 武田輝雄

    ○武田説明員 データ通信の料金につきましては、郵政省に認可申請をしなければならぬわけでございますが、まだ認可申請を出しておらない段階でございます。データ通信につきましてもいろいろございますが、地銀協の場合は、公社が現在考えておりますのは、データ通信の料金につきましては独率採算でいく、こういうたてまえを大原則にいたします。  そこで、いま大体公社として考えておりますのは、地銀協の場合、設備といたしまして各銀行に置かれます端末施設、それから中央に置かれます——三原橋の電話局ですが、中央に置かれますコンピューター並びにそれを結ぶ回線、その三つの部分から成り立つということになります。  料金といたしましては、端末設備につきましては、普通の端末施設と同じような方式で実費を計算し、それに適正利潤を加えてやっていく、回線につきましては、現在の専用料金のまま適用する、コンピューター部分につきましては、時間と扱い件数——為替でございますから、時間と扱い件数によってこれを回収していくというふうに考えております。
  218. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとよくわからないのは、そのコンピューターを使用する時間、それでいきますね。それから端末の施設は、これは一種の賃貸的な要素として借りる。ところが、それをつなぐオンラインの部分は、距離がいろいろ違いますでしょう。あらゆる条件が非常に違うのだけれども、全国の地方銀行がやるわけですからね。これは一体どういうかっこうでその部分はやるのですか。
  219. 武田輝雄

    ○武田説明員 現在のところ、区間区間、長さによりまして専用料金が違うことになっております。たとえば、東京から鹿児島に適用される専用料金、それから東京から広島に適用される専用料金、それらを合計いたしまして地方銀行協会に請求をする、こういうふうに考えております。
  220. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、オンラインの部分は、どこがどう使おうとも、それは関係なくて専用料金ですということですか。
  221. 武田輝雄

    ○武田説明員 専用料金ということではございませんが、料金額は、現在のところ専用料金額相当額を料金としていただきたい、こういうことでございます。
  222. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、あなた方予算要求をしたときには、これは一体いつから収入が始まるということで計算をされたのですか。
  223. 中山公平

    中山説明員 予算におきましては、地方銀行協会のほうは四十三年度中に九カ月施行になるであろうというつもりでおりまして、群馬銀行と地方銀行の自行網につきましては六カ月の施行になるであろう、こういう予定のもとに要求をいたしております。
  224. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの予算が五億一千百万円要求していますね。だから、積算の基礎があるはずなんです。ちょっといまの営業局長が言ったようなジャンルで一ぺん積算基礎を出してください。
  225. 中山公平

    中山説明員 予算要求の時点におきましては、先ほど営業局長もお答え申し上げましたように、料金関係については具体的にいまもきまっておらないわけでございますので、私ども予算としての見積もりは、まず支出のほうを出しました。これは創設費を出しまして、この創設費に対しまして減価償却費、それから利子、それから保守費、これをおのおの一定の率で算定をいたしましてこれを出しました。この総支出を収支率九〇%になるように、いわゆる支出九〇に対して収入一〇〇になるようにということで収入を出して施行月数をかけた、こういうことでございます。
  226. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、いま電話をわれわれが申し込むと、御承知のように債券を買わされますね。これは一体どうなるのですか。こういうのは非常にやはり電話回線を使用するわけだし、当然新しい加入をやるとなれば、あなた方のほうは今年度百二億円ここへ投資をするのですから、料金収入として予算上は五億一千百万円しかことし入らない。ずいぶん差が立つわけですね。だから、その差は一体どこからくるかというと、独立採算はわかりましたよ。独立採算はわかったけれども、やはり独立採算である以上は、少なくともこれは債券を相当買ってもらうことにならないと筋が通らない。そこはどうなっていますか。
  227. 中山公平

    中山説明員 加入者債券については、端末部分の物品費相当額をお引き受けいただく額として十二億九千万円を計上いたしております。
  228. 堀昌雄

    ○堀委員 私どもいま電話をつけてもらうときに、実質的には、皆さんのほうでは農集を除いて一単位三十六万円、そこで今度はその中で三万円先取りされるから、大体三十三万円、現在東京その他では債券十五万円買うのじゃないですか。幾らですか。
  229. 中山公平

    中山説明員 十五万円でございます。
  230. 堀昌雄

    ○堀委員 債券を十五万買う。そうすると、あと残り、公社がいろいろなところでまかなってくるのは三十三万円から十五万円だから、十八万円がどこかから——これまでのものでやっていく、こうなるわけですね。ところが、いまのこれを百二億円かけて、そうして料金収入が五億一千百万円、わかりませんが、まあ大体そこらでしょう。そして十二億九千万円の債券を買ってもらう。だからこれは十七億円ですね。十七億円を引くと八十五億円というのは、公社が自分のところから持ち出すわけですね。
  231. 中山公平

    中山説明員 私の説明が不十分で申しわけございませんでしたが、いま申し上げました十二億九千万円は、今年度サービス開始をいたしますところの地方銀行協会、群馬銀行、自行網の三つのシステムでございまして、百二億円というデータ通信に対する建設投資額というものは、このほかの個別データ通信施設における六システム、それから加入データ通信システムについての三局、これを含んでおります。その点、御了承願います。
  232. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、もし加入データ通信サービスのほう、これは幾ら加入者があるのかちょっとまだわからないけれども、この加入データ通信サービスを、あなた方が考えられたように債券を取って、そうしてあとの六つもさっきのあれでいったとして、いま私が言っている電話の三十六万円の中の債券十五万円、それから公社の持ち出し分十八万円、比率でどうなりますか。そういう比率になりますか。
  233. 中山公平

    中山説明員 全体につきましての計算はいまいたしておりませんけれども、いまの三つのシステムにつきましての投資額とその債券のお引き受け額、これを比べますと、ほぼこれによって資金はまかなえる、若干足りませんけれどもまかなえる、こういう関係になっております。
  234. 堀昌雄

    ○堀委員 資金はまかなえるというのは、そうすると、裏返して言うと、いまの三つの分は十三億くらいしかかからないということですか。おそらくそうじゃないでしょう。要するに、資金をまかなえるといったって、どこからか持ってくるのじゃないですか。いま電話の場合を私は例示しているわけですよ。  ですから、私が言いたいことは、新しく独立採算だといってデータ通信をつくるなら、少なくとも現在電話加入者が負担しておるよりも安い負担でそんなものができるのだったら、電話のほうから金を持っていくことになるじゃないかということを言っているわけです。資本剰余金にしろ何にしろ、公社にある資産というのは、これは電話の加入者によって積まれている資産ですから、少なくともそれをいまここで流用することになるのじゃないか。流用してもいいけれども、しかし、あとで必ず取り返しますということなのか、そこらのところがはっきりしないと、いまの独立採算との関連の話ではちょっと納得できない。
  235. 武田輝雄

    ○武田説明員 加入データ通信と申しましても、個別データ通信と加入データ通信とがございます。特に加入データ通信は四十五年度からということになるわけです。これによりますと、端末の数が相当多くなると思います。したがいまして、端末についていただく債券額は、はっきりは申せませんけれども、いま御指摘になりましたような比率に近いものになるだろうと予想しております。
  236. 堀昌雄

    ○堀委員 なるだろうなんて、ちょっとおかしいでしょう。あなた方がそういうふうにするのじゃないですか。自然になるのじゃないでしょう。だから、割合を皆さんがきめる、幾ら持っていただきたいということからそうなるのであって、なるだろうなんて、あしたは雨が降るだろうということじゃこれは困るのですよ。
  237. 武田輝雄

    ○武田説明員 加入データの場合には、コンピューターは相当の余力、能力がございます。それで、加入者が相当多くなれば債券部分も非常に多くなる、こういう形になるわけで、われわれがいま需要調査をやって予想しております段階におきましては、いま御指摘のようなパーセントになるものと考えております。
  238. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、このデータ通信というのは、私も少し資料をいただいていろいろ調べてみたのですが、これの料金というのは、私は実にたいへんなことになるのじゃないかと思う。それは皆さんの資料で「データ伝送と処理」というのでも、遠隔一括処理、制御用データ通信、情報収集、情報検索、ファイルの維持、TSS計算サービス、それから教育、翻訳、教育や翻訳に関する通信、こんなものがいろいろあって、その下にまた一ぱいあるわけですね。要するに、情報の中身というのは非常に千差万別、だから、この料金について、これは非常に重要な問題になると思うのですが、どういう基本的な考え方なのか。そこを、ひとつちょっとお答えを願いたい。
  239. 米澤滋

    ○米澤説明員 堀委員は、たしか昨年の大蔵委員会でもこの問題で御質問がありました。私は、データ通信については独立採算制でいきたいということを申し上げました。  これを二つに分けまして、一つは、建設の問題、もう一つは、損益勘定の問題、いわゆる営業の問題になります。特にその際申し上げましたのは、営業について適当な企業収益率を考えに入れて料金をきめたい、こういうふうに申し上げました。ですから実費をいただくというのではなくて、公社としての適正な企業収益率を予定いたしまして、それらを入れたものをいただく、それから、建設について先ほど加入者の三十六万円という問題、これは建設の負担のほうの問題でありまして、営業局長が言ったのでありますが、むしろ基本になります営業収入については、そういう考え方でいっております。それから建設につきましては、これが他の電話のほうを圧迫しないように、たとえば縁故債でもらうとかなんとかいうことでいきたいと思っております。
  240. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの総裁答弁で了解いたしました。あとはひとつ、そういうことに合うような設定をしてもらいたいと思います。  それで、時間がありませんから最後に、実は、料金問題のことについては、郵政大臣が、佐藤調査会の答申は、これに関しては非常に不適当な答申だ、こうおっしゃっておる。私もやはり、もしこの次に料金改定をするならば、その料金のあり方は、かなりものを考えなきゃならぬと思うのです。その料金のあり方の中に、皆さんのほうに「電信電話料金制度概要」といって、皆さんのところの、公社の職員の教育用になさっている文書があるのですね。ここにたいへんいい文章があるので、ちょっと少し、一応読んでおきたい。  たとえば、そば屋の電話と住宅の電話とは加入者の料金負担力の点で相当な差があると考えられる。そば屋では電話を商売道具の一つにしており、電話なくしては十分な営業活動ができない。つまり生産財として電話が使われているわけで電話の基本料が少し位い高いことはあまり意にかいすものではない。   ところが、住宅につけられている電話はもっぱら消費支出ばかりで、家計の収入増大の一助になるようなことはないのである。したがって、そば屋の電話の基本料と同じくらいに住宅の基本料を高くしておいたのではさっぱり住宅の加入者は増加しないようなことも考えられる。しかし、そば屋は住宅からの電話によって商売が繁盛するわけで、住宅に電話が増加することはそば屋のねがうところでもある。こう考えてゆくと、住宅の基本料を少しぐらい、そば屋などの商売を営む店で負担しても電話が普及してくれればその方が有難いとも考えられる。また、商売をする店や企業などと住宅とを電話で結びつけることによって、一層の電話事業の発展も図られることになる。 と、たいへんいいことがここに書いてある。  そこで、次に料金を考えるときの問題ですけれども、私はかねがねここで言っておるのですが、最近尼崎市で水道料金値上げをする問題が出てまいりました。そこで、社会党の市長である私どもの市長が提案をいたしましたのは、十トンまでの水は、これまで百九十五円で実は住民に出しておりましたのを、十トンというのは生活用水ですから、十トンの百九十五円は、ひとつ据え置きしましよう。そこからあとは少しずつちょうだいをします、それから大手の会社だけは少したくさん御負担ください、こういう提案を実はしたわけです。こういう考え方が、やはり電話料金の問題についても今後考えられていいのじゃないか。これは基本料の差別の問題ですね。しかし、料金にもそういう意味では多少差別があっても私はかまわないと思う。片一方はいまのそば屋ですから、ともかく料金が、そば屋のほうがかけるのにもし十円要ったとしても、住宅からかけてもらうことによってそば屋はもうかるのだから、そば屋がかけるほうは十円だって、これは問題ないと思うのですね。住宅のほうは、電話をかけたからといって収入がふえないのだと、ここにちゃんと書いてある。確かにそうですよ。住宅用電話でおべっか使ったからといって、給料上がりませんからね。これは行かなければ失礼だということで、逆に月給下がるくらいです。電話はそういうことになっていない。  ここにたいへんいいことが書いてあると思うのですが、郵政大臣、どうですか。今後の料金体系を考える場合に、そういう一つの流れですね。要するに、片一方はそれによって収入をあげられるというもの、そして、私はしょっちゅう言っているが、これは税法上では経費で落ちるもの、片方は税金を払った中から払うもの、ずいぶん違うのですね。だから、今後料金を考える場合には、基本料だけではなしに、何らかそういう配慮があってしかるべきではないか。これについてひとつ郵政大臣の感触を……。
  241. 小林武治

    小林国務大臣 いまの料金法でも、住宅と事務用は基本料は区別をつけてあるのですが、そのきめ方がどうか。いまのそば屋が事務用になるのか、いろいろありますけれども、お話しのようなことは非常にむずかしい問題でありますが、しかし、筋としてしんしゃくすべきだろうというふうに思います。
  242. 堀昌雄

    ○堀委員 ですから、まずそういう意味で、その原則をひとつ公社総裁——それはどの程度に反映するかという問題は、また別の問題だと思う。ずっと前にやはり予算委員会分科会で、加入者債券の持ち方について、最近あなた方が受益者負担の思想ということをかなり前に出してきている、受益者負担及び応能負担という考え方が債券というものには入っていると思うので、それならば、債券問題についてもやはり住宅用とそうでないものには格差が少しあっていいのじゃないか。そこで、あなた方のほうは、差別料金ということの中に、ここに価値の問題が導入されておるわけですね。  これは私もきのう一日読んでみて、なかなかいいことがたくさん書いてあります。少し間違っていることがある。それは、いまの設備料のことが間違っている。四十二年のもので、最近はこれで教えているのだろうと思うけれども設備料というのは、これは消耗品的なものだ、こう書いてあって、ここはちょっと訂正しておいたほうがいい。決して悪い意味ではないのですけれども、念のために申し上げます。要するに、料金設定の考え方の中には原価と価値と政策というのがある、こう書いてあるのですね。それでいくと、原価の問題については確かに別だけれども、価値と政策という点では、郵政大臣、いまの考え方というものは当然差を設けるようになっていますね。私はそう思うのです。政策と価値という点から見て、三つのうち二つはそういうことに比重がかかっていると思うので、ひとつ料金の考え方については考えていただきたい。  さらに、総裁原価の方向に向けていきたいとおっしゃっています。原価の方向という中には、部門原価というのは非常にむずかしいと思う。総合原価という方向でものを考えるというのがやはり適正であろう、こう考えておりますし、料金体系はずっと調べてくると、最近のはいろいろいわれておりますが、明治の体系そのままで、いろいろちょっとやられているだけです。明治百年ですからね。ここらでひとつ昭和の体系で、国民の納得する体系の料金の問題というのをいまからひとつ十分検討していただきたい。  どうも公社のそういう料金に対する対策が少し甘いような気がいたします。なぜかというと、六月一日から実施するデータ通信、いま四月の終わりでしょう。あなた方の初めの予定では、あと五月、一カ月しかない。にもかかわらず、まだ料金について具体的なことが国会で答弁できないなんていうのは、私は、全く料金に対するかまえが不十分だと思うのです。ですから、料金問題、いつ上げるかは別としても、それについては十分ひとつ検討して、その全貌を次の臨時国会くらいにまず国会に出して、そうしてひとつわれわれ国民が納得するかどうか——それは金額じゃないですよ。ものの考え方、そういうところを、あなたたちはひとつすみやかに、もっと真剣に取り組んでもらいたいと思いますが、公社総裁、どうでしょうか。
  243. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいまいろいろ御意見がございまして、独立採算というのですか、原価主義のほうに近づけていきたいというふうにお答えいたしました。また、料金体系につきましては、従来の古い体系を改めて、合理化するということで検討いたしたいと思います。ただ、機械の問題がありますので、その現在ある機械といいますか、設備のほうからくる要請ということもやはり現実問題として起こってまいりますから、その点は、やはりそちらのほうで問題になってくると思います。  ですから、体系と現在の設備と両方考えて、ただ観念だけでは体系はできないのでありまして、やはり現在の設備にマッチするものでなければならないとこの点は思います。
  244. 小林武治

    小林国務大臣 堀委員のお話はまことにごもっともで、いまの電話の原価というか、価値とか効用とかいう問題が、いまの住宅用とか事務用とか、それに入ってくるが、設備料についても、二百万の東京と五十や七十の加入局のところでは、設備料自体にも効用を反映せしめる必要がありはせぬかという議論がこの委員会でも出たのでありまして、これらもやはり考えなければならぬことだと私は思っています。
  245. 堀昌雄

    ○堀委員 そこのところが出てくると、もう一言だけちょっと私伺っておきたいことがあるのです。  実は、この資料を拝見しておりまして非常におもしろいことが出ておるのは、だんだん級局が上がってきたら、エリアが非常に広くなるのだから、通話回数はふえるだろうと思っていましたら、この中の資料で見ると、そうなっていないのですよ。この資料は「昭和三十九年五料金月調」となっておるのですが、これで見ますと、単独電話(事務用、住宅用)、構内交換電話、二共同電話(事務用、住宅用)、こういうふうになっておりまして、要するに使用度数のピークがありますのは、事務用ですと十級局がピークになっておるのです。それから構内交換電話ですと、そのピークは十一級局になって、数として書いてあるのは二万三千九百四十七回ですかね。ちょっと単位がよくわからないのですが、要するに、平均をすると、そのピークは十一級局へいって、十一級局が六百五・八、十二級局が四百八十九・八、こうなっておる。だから、十四級局になったら料金上げるといういまの郵政大臣のお話——基本料が上がるのでしょう。基本料が上がると言うけれども、使用頻度が逆に減ってくるという状態で基本料が上がるというのはどうも——私は常識的に頭の中では、だんだん電話がふえてきたら度数というものはふえるだろうと思っていたら、あにはからんや、そうでなくて、それよりずっと下のところにまだピークがあって、上へいくと下がるのだ。これはどういうふうに説明がつきますか。
  246. 井上俊雄

    井上説明員 その資料を実はよく拝見しておりませんのでわかりかねる面がありますが、一般的に呼量の状況を分析いたしますと、一定エリア内において加入者がふえますと、そのふえる要因というのは、低利用の住宅用電話がふえておるわけであります。低利用の住宅用電話はどうしても発着信呼数が少のうございますので、全体が薄められて単位当たりの総呼量が減る、これが統計的に出ておりますので、そういうことだと思っております。
  247. 古川丈吉

    古川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十四分散会