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1968-03-21 第58回国会 衆議院 逓信委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十一日(木曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 齋藤 憲三君 理事 志賀健次郎君    理事 田澤 吉郎君 理事 坪川 信三君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 金丸 徳重君    理事 山花 秀雄君 理事 小澤 貞孝君       小渕 恵三君    加藤 六月君       金丸  信君    佐藤 孝行君       内藤  隆君    根本龍太郎君       羽田武嗣郎君    水野  清君       中井徳次郎君    森本  靖君       中野  明君     —————————————  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         郵政政務次官  高橋清一郎君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君  委員外出席者         運輸省航空局飛         行場部管理課長 梶原  清君         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   三熊 文雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   野村 達治君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営         主幹)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         放送総局総務) 坂本 朝一君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 三月二十一日  委員石橋政嗣君辞任につき、その補欠として森  本靖君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森本靖君辞任につき、その補欠として石橋  政嗣君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。森本靖君。
  3. 森本靖

    森本委員 昭和四十三年度のNHK予算案に関しまして、社会党を代表して若干の質問を行ないたいと思いますが、残念ながら、大臣が参議院の総括質問でおられませんので、大臣に対する質問については、一応大臣がおるときにやりたいとは思いますけれども、このごろ政務次官は、副大臣として大臣の代行をすべて行なうということを政務次官会議あるいは閣議でやかましく言うというふうに再三言われておりますので、政務次官にまず聞いておきたいと思います。  と申しますのは、大臣は非常に放言癖がありまして、放送問題に関しましても、きょう言ったこととあす言うことが全く違うというふうなことの放言が非常に多いわけであります。そういう点について、大臣政務次官というものは緊密に連絡をして、そうして発言をするというのが通常であります。そこで私は、大臣発言をした内容について政務次官がどの程度知っておられるか、試験的にというと語弊がありますが、一応若干聞いてみたいと思いますので、もしおわかりにならなければけっこうでございます。大臣がおるときに聞きますので、そのつもりで遠慮なしに、思っておることをずばりお答え願いたい、こう思うわけであります。  まず第一番目は、いま一番中心になっておりますところの例の教育センター構想であります。この教育センターについては、民放、財界、NHKと、あらゆる方面の援助を求めて教育センターをつくる、こういうふうなことを大臣は言っておるわけでありますが、これはきわめて重要な案件でありまして、これについての大臣構想を、もし政務次官が聞いておられるようでしたらお答え願いたい。もし聞いておられぬようでしたらけっこうでございます。
  4. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 教育センターの問題につきましては、間々、週二回行なわれます省議等の場で大臣大臣なりの立場におきます構想等を述べられるところをかたわらで聴取いたしました経験を持っております。でありますが、ほんとうの腹づもり、腹案等についてどこまで徹底した感覚を持って臨まれるかというところまでについては、不敏にして承知いたしておりません。
  5. 森本靖

    森本委員 それでは、この件は、いずれまた大臣が来られたときにお聞きします。  NHK会長にお聞きいたしますが、この件について、大臣から会長には何か話があったと思いますが、その点、どうでしょうか。
  6. 前田義徳

    前田参考人 ございました。
  7. 森本靖

    森本委員 どの程度の話でございますか。
  8. 前田義徳

    前田参考人 二回ございます。  一回は、何と申しますか、年始に際して、在京民放の四社長が大臣、次官をお呼びするという恒例のものに私も呼ばれまして、その席上、きわめて概括的にこの問題の意見の交換を行ないました。第二回目も大体そういう形の中で、一体金が集まるものかどうか、集まるとするならば、NKHも応分の協力ができるか。それで私としては、NHKはすでに学校放送及び教育番組はすべて本来業務として三十数年にわたっているので、NHK自体がそれに積極的であるということは考えられないが、しかし、放送事業界のために必要であり、民放がこぞって協力されるならば、放送事業者として協力するにやぶさかでない、そういうお話をしてあります。
  9. 森本靖

    森本委員 具体的にどの程度の出資と、それからどういうふうな教育センター構想というふうなところまでの話はまだいっておりませんか。
  10. 前田義徳

    前田参考人 きわめて具体的な話はまだ固まっておりません。
  11. 森本靖

    森本委員 金額も三億五千万円とか三億円程度NHKに出してくれというような話は出ておりませんか。
  12. 前田義徳

    前田参考人 民放が五億くらいまとまる場合には、NHKも二億くらいどうであろうかというような話は伺いました。
  13. 森本靖

    森本委員 この問題はきわめて重要な問題でありますので、いずれ大臣出席をいたしましたときに、もう一度会長にもあらためてお聞きをいたしますので、先へ延ばしていきたいと思います。  それから、FM音楽放送局申請者は現在どの程度あるか、さらに、今日までFM放送局として申請をしておったものが、急速音楽放送申請の書きかえをして申請をしてきたものが何ぼあるか、これは一応事務当局でけっこうですから、お答え願いたいと思う。
  14. 石川忠夫

    石川政府委員 FM放送申請全国で二百二十八社、四百九十九局ございます。最近音楽専門局として提出されました申請は三社ございます。それから、最近内容音楽専門局に訂正いたしました申請が二社ございます。  以上でございます。
  15. 森本靖

    森本委員 東京でこの音楽放送専門局申請をしているものと、切りかえたものとは何社ですか。
  16. 石川忠夫

    石川政府委員 最近音楽専門局として提出されましたうち、東京にありますものは二社でございます。それから、最近内容音楽専門局に訂正いたしましたものは三社、全部が東京でございます。
  17. 森本靖

    森本委員 そうすると、全国で五社しかないのですか。
  18. 石川忠夫

    石川政府委員 音楽専門局として出ているものは以上の五社でございます。
  19. 森本靖

    森本委員 それは全部東京ですか。
  20. 石川忠夫

    石川政府委員 大阪が一社ございます。
  21. 森本靖

    森本委員 その申請音楽だけの申請ですか。
  22. 石川忠夫

    石川政府委員 音楽並びに音楽の評論とか、要するに音楽に関連した放送のみでございます。
  23. 森本靖

    森本委員 ニュースあるいは気象というようなものは全然入っておりませんか。
  24. 石川忠夫

    石川政府委員 音楽ニュースというものはあるそうでございますが、一般のニュースというものは入ってございません。
  25. 森本靖

    森本委員 音楽ニュースとはどんなものですか。
  26. 石川忠夫

    石川政府委員 実は、申請書に書いてある事柄を申し上げたので、中身についてはまだはっきりしておりません。
  27. 森本靖

    森本委員 申請を受け付けるときに、内容がわからぬで受け付けるやつがあるからね。音楽ニュースと書いてあったなら、その申請を持ってきたときに、この音楽ニュースとはいかなるものであるかということを申請者に聞いて申請書を受け付けるのがほんとうでしょう。内容がわからぬで、申請書を持ってきたからといって受け付けるのであったら、これはでくの坊でもできるわけですよ。
  28. 石川忠夫

    石川政府委員 いままでのところそういうことについて十分審査してございませんので、内容についてはわかっておりません。
  29. 森本靖

    森本委員 審査していないいっても、これから先こういうものの申請があった場合、ただ受け付けるというのではなしに、その内容について、どういうものであるかということをやはり一応全部聞いて、そうして受け付けぬ限りは、こっちで審査する方法がないでしょう。  だから、いま初めて出てきたことばだけれども、NHKにちょっと参考に聞きますが、あなたは古いほうだが、音楽ニュースというふうな専門語がありますか。
  30. 前田義徳

    前田参考人 専門語として社会的に安定したということは聞いておりませんが、音楽部門の中で、音楽と関連するあらゆる面でのニュースというものはあり得るかと考えます。
  31. 森本靖

    森本委員 それで、一応概観的には、これはいま言ったように、いまの報道ということでなしに、要するに音楽に関する情報交換というか、ニュースというか、そういうものであろうというふうに想像はいたしますけれども、しかし、これは取りようによっては幾通りにも取れるのです、日本語というものはややこしいですから。だから、今後あらゆる申請が出てくると思うんだが、そういう申請については、十分にひとつ気をつけて申請を受け付けるときにやってもらいたいと思います。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、こういうものの申請をしておって、その申請内容の書きかえというものは簡単にいくものですか。放送内容申請書の書きかえが簡単にいくかどうか。
  32. 石川忠夫

    石川政府委員 いままでは届け出によりまして受け付けております。
  33. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、かりに、申請をしておった、今度はこういうような放送内容にしたいというふうな申請の書きかえは、その申請届け出によって申請としての効力を発する、こう解釈をしていいですか。
  34. 石川忠夫

    石川政府委員 そのとおりでございます。
  35. 森本靖

    森本委員 それから次に、現在有線音楽放送というものが東京では非常に盛んになっておるわけでございますが、この現状はどういう現状になっておりますか。これは電気通信監理官の回答を求めたいと思います。
  36. 石川忠夫

    石川政府委員 有線放送でございますので、私のほうから一応調べた点をお答えいたします。  有線放送設備音楽を送っておりますミュージックサプライというものは、有線放送業務告知放送に属する、こういうふうに解釈しているわけでございまして、こういったミュージックサプライの数は、現在のところ全国で百八十施設くらいございます。その形態から申し上げますと、株式会社が約十社、他はおおむね有限会社形態をとっております。でありますが、大部分は、実質的には個人経営でございます。その経営状況からみますと、大体加入者から、これはそれぞれ相当異なっているわけでございますが、三千円から四千円程度会費を取って経営しているのが多いようでございます。加入者の数から申しますと、三百以上の加入者をとっているものもありますけれども、そういうものはごくわずかでございまして、他は百程度からあるいは二百程度というようなことで営業を行なっておるようでございます。  それから収益につきましては、実ははっきりしない点もございますが、大体会費の三割くらいはもうけているのではなかろうかという憶測でございます。
  37. 森本靖

    森本委員 東京で一番加入者の多い有線放送会社はどのくらい入っておりますか。
  38. 石川忠夫

    石川政府委員 三百以上の加入者がございますが、三百幾つかということははっきり調べてございません。
  39. 森本靖

    森本委員 だから、この問題は私のほうから通告してあった。君に聞くよりも電気通信監理官が答えろ、こう言っておるわけです。この所管電気通信監理官でしょう。電波監理局長じゃないでしょう。
  40. 石川忠夫

    石川政府委員 有線放送につきましては、電波監理局所管でございます。
  41. 森本靖

    森本委員 それじゃ、有線放送電話が結局電気通信監理官であって、この有線放送電波監理局かね。
  42. 石川忠夫

    石川政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  43. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、もっと詳しゅう知っていなければならぬはずだが、大体東京における音楽有線放送最高加入者はどのくらいあるか。たとえば、いま銀座のバーあたりは全部有線放送になっている。だから相当の数になっていると思うが、どの程度になっているか。
  44. 石川忠夫

    石川政府委員 調べてございませんので、後ほど調べてお答え申し上げます。
  45. 森本靖

    森本委員 だからぼくはあらかじめ個人的にでもせよ、通告してあった。だから、本来ならば、詳細に調べておかなければいかぬわけです。もう一度詳細に調べてみてください。なぜかというと、これは将来FM音楽放送局ができるとするならば、やはりこれと関連性も出てくるという気もしてしかたがないわけです。そういう点から、これは大体どの程度もうかっておるものだろうというふうな点も考えてみて、場合によっては、FM放送よりも有線放送というようなやり方でやったらどうなるだろうかという気もするわけであります。これはひとつ保留しておきますから、十分もう一ぺん御調査を願いたいと思います。  それから、この有線放送ラインは何を使っておりますか。担当技術課長はおりませんか。
  46. 石川忠夫

    石川政府委員 技術課長が来ておりませんので、中身については十分わかりません。
  47. 森本靖

    森本委員 実はこのラインのことが非常に大切でありますが、だれか技術関係がわかる者はおらぬかね。技術関係がわからぬとここから質問に入れぬが、それではNHK技術担当に聞こう。しょうがない。  NHKあたりでこの、ミュージック有線放送ライン自分で引いておるのか、それとも特別の現在のラインを使わせてもらっておるのか、そのことを知りませんか。知っていなかったら、あなたのほうの任務でないから知らぬでけっこうであります。
  48. 三熊文雄

    三熊参考人 私は知りません。
  49. 森本靖

    森本委員 それでは、もう一点技術的な問題を聞きますが、現在の電話線を使って有線テレビ放送することは理論的に技術的に可能ですか。
  50. 三熊文雄

    三熊参考人 これは理論的には可能と思います。
  51. 森本靖

    森本委員 いまそういうふうに話が出たわけでありますが、きょうは電電公社はおらぬかな。——では、電気通信監理官東京都内でいま電話加入者がどの程度ありますか。
  52. 柏木輝彦

    柏木(輝)政府委員 現在約百九十万ちょっと、間もなく二百万に近くなると思います。
  53. 森本靖

    森本委員 将来、この電話ラインを使って商業有線テレビ株式会社ができたときに、法的にどうなりますか。
  54. 石川忠夫

    石川政府委員 法的に可能であるかどうかということは、FM放送をやる放送会社放送を再送信することについてその放送事業者の同意を得れば、これはできる……。
  55. 森本靖

    森本委員 違う、違う。質問趣旨をよく聞いてください。  有線テレビ放送株式会社東京都内にでき上がったときに、法的根拠はどうなるか、こう聞いておるわけです。
  56. 石川忠夫

    石川政府委員 有線放送業務の運用の規正に関する法律によってできると思いますが、現実の問題としてはまだ検討いたしたことはございません。法律上はできると思います。
  57. 森本靖

    森本委員 もしそういうものができた場合には、現行法律においてはこれを規制する方法はないでしょう。
  58. 石川忠夫

    石川政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  59. 森本靖

    森本委員 そこで、電気通信監理官にお聞きいたしますが、この電話ラインをその有線放送テレビ会社に貸す貸さぬということについては、電電公社の権限として、電電公社がかりに損をしないということであるとするならば、貸すことは法的に可能ですか。
  60. 柏木輝彦

    柏木(輝)政府委員 まだ具体的な検討をしたことはございませんが、電話というものは、いつどこからでもかかってきて、それを疎通してやるのが公衆通信業務でございますので、常時継続的にそういうサプライ業務ミュージックを流しておるということは、たいへん……。
  61. 森本靖

    森本委員 ミュージックじゃない、テレビだよ。
  62. 柏木輝彦

    柏木(輝)政府委員 テレビ電話線を使って、ということは、いまの電話線テレビを伝送するだけの基準の回線としては不十分であると思います。現在、電話回線を使って、テレビ電話ということで電電公社のほうで実験はいたしておりますが、これをもって、有線テレビ共同聴視設備あるいは放送を行なうということについては、現在の設備のままでは不十分であろうと考えます。
  63. 森本靖

    森本委員 現行設備では、おそらくそれはあなたのおっしゃるとおりでしょう。しかし、一応理論的には周波数を変えて伝送すれば、先ほど三熊技師長が言ったようにでき得るでしょう。どうですか。
  64. 柏木輝彦

    柏木(輝)政府委員 これは経費の問題と関連する問題だと思いますが、技術的に全然不可能というものではないと思います。
  65. 森本靖

    森本委員 あなたは技術屋かね。
  66. 柏木輝彦

    柏木(輝)政府委員 私は技術屋ではございません。
  67. 森本靖

    森本委員 私は、これは一応技術的には可能だと思います。ただ、そのラインをどうする、その施設をどうする、設備をどうする、どれだけの設備になるということを考えていかなければならぬと思いますが、理論的にはこれは技術的に可能になると思います。  そこで、いま言ったように、有線放送音楽放送が毎月三千円ないし四千円会費を取っても入会者が相当たくさんおって、そうしてこれがもうかっておるということになるとすれば、東京に二百万の電話加入者があるうちの二十万でも三十万でも加入するということになれば、あるいは電話の場合には、千代田区とか、それぞれ違うわけですから、一つの電話局の区内だけでも加入するということになれば、これは当然成り立っていくわけであります。しかもこれはコマーシャルが全然入らないという放送になります。そういうことも不可能ではない。ただ、これは法的に規制する方法がない。私は自分がそういう会社を持ってやろうと思っているわけじゃありませんが、これはやはり法の欠陥、不備という点もあるし、技術的な問題もあるので、郵政省電電公社NHK、この三者あわせて、一度検討をしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  68. 石川忠夫

    石川政府委員 御趣旨の線に沿ってこれから検討したいと思います。
  69. 森本靖

    森本委員 それから、FM放送音楽放送について、やるやらぬといっておりますが、FM放送エリアについては出力によって違いますが、どの程度エリアを持っておりますか。
  70. 石川忠夫

    石川政府委員 FM放送とそれから中波放送電波の伝わり方が異なるということは、いまさら申すまでもないと思います。
  71. 森本靖

    森本委員 中波を聞いていない。FM
  72. 石川忠夫

    石川政府委員 FM、たとえば空中線電力一キロワット、平野の場合でございますが、超短波放送局送信空中線の高さは百メートル、それから実効輻射電力を五キロワットと仮定した場合に、FM放送でまいりますと四十五キロメートルぐらい到達するということでございます。
  73. 森本靖

    森本委員 一海里というと、何キロになるかね。
  74. 石川忠夫

    石川政府委員 一・八キロでございます。
  75. 森本靖

    森本委員 そこで、これは特に今後問題があると思いますが、英国、デンマークあたりで非常に問題になっているわけでありますが、かりに日本外国船をチャーターして、銚子沖FM放送局を船舶によって三海里以上で放送するということになった場合、どうなりますか。
  76. 石川忠夫

    石川政府委員 規制の方法はむずかしいと思います。
  77. 森本靖

    森本委員 これも大臣がいないとたいへんだめなことでありますが、これは政務次官、どうなんですか。FM放送がいまものすごい申請者が出てきておる。なぜものすごい申請者が出てきておるかというと、FMというのは、これは端的に言うと、設備投資費が非常に少なくて済む、そのわりにテレビと違って効果が非常に多い、だから案外利潤が多い、こう見ておるわけなんだね。そこで申請者がいま言ったように全国で三百幾つ出てきておる。東京でも数社出てきておる。そうすると、東京に波が一波か二波しかない。やり方によっては相当とれますけれども、電波監理局は一波しかない、こう言っている。大臣はそれを本気にしておる。それはいいんですが、とにかく一波しかない。こういうことになっておるわけでありますが、いま言ったように、それじゃ海賊放送局ができて、海賊放送局銚子沖から放送するということになった場合、一体どうなるか。これは私はけっこう採算がとれると思う。
  78. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 この問題も、正直申し上げまして、大臣、非常にいろんな角度から勉強されておるということはほんとうでございます。しかし、あなたも専門家でいらっしゃいますが、大臣部内出身者でございますので、もう並みたいていの方とは少しは違うはずでございます。それらの点で非常に頭を悩ましておりまする事情であることだけは確かでございます。目下鋭意勉強中だということだけしか申し上げることはできません。
  79. 森本靖

    森本委員 これは政務次官、たいへん失礼しましたが、いずれこれは大臣が来られたときに大臣の所見を聞いてみたいと思います。  それでは、私はこれからNHKの具体的な予算内容に入って聞いてみたいと思います。  まず最初にNHKに聞いておきたいと思いますことは、毎年NHKから出てくる収支予算、これについて普通の予算と違うところは、国会議員の方々もみな気がついておると思いますが、収入合計支出合計がない。だから、自分でそろばんをはじいてみて、収入の総合計支出の総合計をやってみぬと総計がわからぬ形になっておる。これは放送法施行規則によってやり方が一応きまっておるわけです。  これは非常に不便だというようにお考えになりませんか、NHK当局は。これは会長じゃなくてけっこうです、会計担当の人で。
  80. 志賀正信

    志賀参考人 現在の予算の立て方が、ただいま先生から御指摘のとおりに、放送法施行規則できまっておりますのでこういう形で御提出を申し上げておりますが、お話しのように、収入総額支出総額というものが一覧になっておらないことは多少不便なところもあるかと思います。また、受信料収入から建設費に回したり、あるいま……。
  81. 森本靖

    森本委員 簡単でいいんだよ、不便かどうかということを聞いているわけだから。
  82. 志賀正信

    志賀参考人 多少不便もあるかと思います、私どもはなれておりますので格別の支障はございません。
  83. 森本靖

    森本委員 それは、NHK当局は毎年自分でやっておる人だからあたりまえですよ。しかし、初めてあがってきた国会議員がこれを見て、収入支出合計がさっぱり——自分でそろばんをはじいて、しかも一千四億何ぼですよ、それをいわゆる二百億、二百六十三億、一番小さいやつは五億、これを足してやってみなければ収支合計が合わぬのだ。これを全部そろばんをはじいて足してみて、そうして収入支出合計が出てくるわけだ。こんな予算書は国会の予算書には全然ないんだ。だから、こういうやり方は、それはNHKはなれておるからいつでも見えるけれども、少しどうかと思う。郵政省、どうですか、電波監理局長
  84. 石川忠夫

    石川政府委員 施行規則の改正につきまして、今後検討していきたいと考えております。
  85. 森本靖

    森本委員 これは、施行規則検討して、十分見やすいようにひとつ予算書というものを一たとえば、電電公社の場合には資本勘定、建設勘定、損益計算書と、こう出てくるわけですね。そうすると、これはたいがいの者が一目りょう然に電電公社の経理というものはわかる。これは、はっきり言って前年度の収入支出でしょう。たったこれだけで一千四億でしょう。しかも、この収入の部、支出の部で込み入って、こっちに入っているものがある、あっちに入っているものがある。これではこの予算書を相当詳細に見た人でなければ、ほんとうのこの収支の内容というものは明らかにならぬ。本来いったら、いま言ったように、国会に各公社が出してきておるように、郵政事業特別会計のように資本勘定、建設勘定と損益計算書に明らかに分けて国会に提出をしたならば、これはだれでもわかる。そういうふうにするのがほんとうじゃないか。  郵政省としては、そういうふうに検討いたしましょう、こういう回答をいたしておるわけでありますが、NHKとしては、なお、これは見やすいからこのほうがよろしいというふうに固執をするのかどうか、ひとつ志賀君に聞いておきたい。
  86. 志賀正信

    志賀参考人 実は、おっしゃるとおりでございまして、かねてそういう御意見もございましたので、いま郵政省にも、先生のお話しのような形で、もっとさらに見やすいものということで御相談を申し上げているところでございます。  大体、資本収入に対しましては資本支出、事業収入に対しては事業支出、それぞれの往復がわかるようにいたしたいというふうに考えております。
  87. 森本靖

    森本委員 それでは次に、具体的なこの予算に入ってまいりたいと思います。  まず最初に聞いておきたいのは、いわゆる今度のこの予算書を見た場合に、受信契約制度の改定の趣旨としては、国民の受信料の負担の軽減と公平を期するため、こういうことが明確にせられておるわけですね。ここで、この負担の公平ということとそれから軽減という意味が、ラジオ契約の廃止ということ、これはむろん国会が法律できめたんだから、この点はNHKに責任はないわけですが、国民の受信料の負担の公平という趣旨からいって、今度のこの新料金制度というものはどう解釈をせられておるのか。要するに、カラーと白黒の場合は、カラーのほうがある程度高くつく、だからこれは一応高く取った、白黒のほうは三百三十円を三百十五円に安くしたということですね。  この三百十五円と四百六十五円の問題についても問題はあるけれども、このラジオ契約の問題と公平の負担原則という点についてどういうふうに解釈をせられておるのか、聞いておきたい、こう思うわけです。
  88. 前田義徳

    前田参考人 これは前国会でも申し上げたかと記憶いたしておりますが、簡単に申しまして、いまやラジオ料金、テレビ料金という区別の観念を乗り越えなければ、国会でおつくりになった法律の精神を完全適用ができないというような考え方が内在いたしております。したがいまして、今回の場合の料金は放送料金である、放送料金のうち、白黒テレビジョンを中心とするものを普通料金と称し、カラーテレビジョンを含むものをカラー料金と称する、これは聴視者との関係で、便宜上も、また概念の中で混同を来たさないためにもそのような区別が必要である、このように考えているわけでございまして、この形において、今後、簡単に言いますと、原価主義と申しますか、そういうところに立脚して負担の公平を期してまいりたいという考え方でございます。
  89. 森本靖

    森本委員 会長の言われることも一応わかりますが、私が聞いているのは、今後はFM放送がさらに強化されてくるということになる。むろん、これは国会がきめたんだから、これについてはあなたに責任がないわけですが、しかし、公平の負担の原則ということからいった場合に、今後の料金というものは、テレビについては、FMであろうが、中波であろうが、それはすべて無料である。要するに、結局白黒テレビとカラーテレビとの料金の二本立てである、こういうことですね。
  90. 前田義徳

    前田参考人 FM放送NHKの実験放送としての役目を果たすことになり、自来、それが実用化試験局という形になっておるわけでありますが、放送法上、中波FMの関係が数年前その部分だけ改正を受けております。しかし、経営の面で数年前までは、私どもは大きな社会経済上の変化のない限り、ラジオの放送料については、FMをも含めて、もとより廃止には反対でありましたけれども、これを変更する意思はないということは申し上げてあります。
  91. 森本靖

    森本委員 その法律はこっちでつくったわけですからね。だから、今後の解釈というものは今年度は新しい料金のいわゆる創設ですから、今後のNHKの料金というものは、要するにラジオについては、FMであろうが、中波であろうが、短波であろうが、料金は一切取らない。料金は白黒テレビとカラーテレビだけである、こういう原則である——根本の問題ですからしつこく聞いておるわけです。だから、あなたのほうの意思がどうあろうとこうあろうと、法律が一応きまったんだから、その法律がきまったことによって今回のこの料金が出てきておるわけでありますから、あの法律がなかったら、ラジオの料金もここに出てくるわけです。しかし、あの法律がきまった以上は、ラジオについては、中波であろうが、短波であろうが、FMであろうが、これは無料である。今後のNHKの料金体系というものは、白黒テレビとカラーテレビの二本立ての料金体系である、こうではございませんか、こういうことです。
  92. 前田義徳

    前田参考人 現状においては、私どもは先ほど御説明申し上げた立場をとっておりますが、それが公平の原則と照らして、FMというような特別の波がいよいよ本放送となった場合、それがいかなる影響を及ぼしてくるかという問題については、現在のところまだ研究にも至っておりません。
  93. 森本靖

    森本委員 これは郵政大臣の所見を求めておかぬと、FM放送の本放送ということは、大臣放言からするならば、もはやもう今年中ですからね。そうすると、いまのNHK会長の言からいくとすれば、これは非常に重大な問題になってくるわけです。だから、われわれはあの法律を通したときに、FMであろうと、短波であろうと、中波であろうと、ラジオは全部無料であるという解釈のもとにあの法律を通しておるわけなんだ。だから、今後のNHKの料金というものは、われわれの解釈としては、今回のこの料金体系では、カラーテレビと白黒テレビ、この二本立てで今後のNHK料金はいく、こう解釈をしておるわけです。  その解釈の方法NHK郵政省とで違ったのでは、いまでも仲が悪いのがよけい仲が悪くなって、しょっちゅうけんかするということでは——これははっきり言うと、委員長にも申し上げておきますが、今回のこのNHK予算の審議がこの年度末のまぎわになってもめているということは、これがもっと早く政府部内とNHKとの間における話——まあこれは話はほんとうはする必要はないんだけれども、しかし、もっと早くこれを提案をしておけば、本来ならばこんなまぎわになってあわててやらぬならぬことはないわけだ。そういうところにも、このNHK予算の審議が大詰めになってすったもんだするところの一つの原因があるわけだ。これは社会党にはちっとも責任はない。少しもない。これは全く政府・与党の内部におけるいろいろな話し合いの進行がおくれてきた結果が原因しているわけだ。  話は横道にそれたが、その問題はその問題として、いまの料金体系の解釈について、ひとつはっきりしておいてもらいたい、こう思います。
  94. 石川忠夫

    石川政府委員 放送法三十二条の解釈につきましては、いま御指摘のありましたとおりと思います。
  95. 森本靖

    森本委員 会長、それでいいですか。これは会長会長がいかようにお考えになろうとも、一応法律法律として、会長の意見によって改定せられれば別ですけれども、しかし、現行においては私が言ったような解釈をとらざるを得ないでしょう。
  96. 前田義徳

    前田参考人 三十二条の法的解釈と、それによって決定される料金の高とは別の見地から考えるべきだということを私は考えております。
  97. 森本靖

    森本委員 それはどういう意味になりますか、会長。これはやはり統一解釈をしておいてもらわぬと、郵政大臣NHK会長との意見が全く違うということではこの審議はできませんよ。
  98. 前田義徳

    前田参考人 この三十二条は「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者」云々でございますから、これをどう捕捉するかという問題は、ことしの四月一日までは、たとえばテレビとラジオという形で捕捉しているわけです。それから四月一日以降は放送料金という形で、そうして内容的にはラジオがなくなるという形になるわけであります。したがいまして、この原則そのものの変更はございません。ただし、予算の審議の中で、それでは額が幾らになるかという問題になりますと、これは別の条項によって事業計画と三十二条に基づく受信料の額が決定される、私としてはこのように考えるわけであります。
  99. 森本靖

    森本委員 三十二条によって料金の額がきまるということは、現行の規定のとおりですね。ただし、そのことによって、ラジオ料金は四月一日以降廃止するということを法律できめたわけですね。そうでしょう。だから、四月一日以降のNHKの料金というものは、ラジオについては、FMについても、短波についても、中波についても無料である、カラーテレビと白黒テレビで、二本立てでいくんだ、こういう解釈ではないか、こう言ったら、郵政省は、そのとおりでございます、そう言っているわけです。会長は、将来はFMが本放送になったら少しは考えにゃいかぬというような意味の答弁があったわけですが、私は、NHK会長としては意見を持つことは自由だと思います。しかし、法律がそういうことである以上は、そういう意見を持っておっても、解釈については私が言った解釈のとおりです、こういう御返事をするのが、私は、NHK会長としての予算審議における回答だ、こう思います。だから私は、会長の答弁を再度求めておきたいと思うわけです。
  100. 前田義徳

    前田参考人 説明のしかたがおそらく複雑過ぎたと思います。  原則的にはそのとおりであり、この点については、前回の国会でも私どもの見解を述べさしていただいておる、このように考えております。
  101. 森本靖

    森本委員 郵政省はこの点、NHKとよく意思疎通しておるかね。
  102. 石川忠夫

    石川政府委員 この点は最近議論したことはございませんが、前国会でこの問題が問題になったときには十分意思疎通をしておりまして、ラジオの受信機のみを持っておる方にかけないということでございまして、現在の受信料の中にラジオが入っていないとか入っているとかいうことではございませんで、そういった議論からすれば、私は、ラジオも入っておる、こう言わざるを得ない、かように考えておる次第でございます。
  103. 森本靖

    森本委員 そうすると、今度のこの予算総則ではどうなっておりますか。
  104. 小野吉郎

    ○小野参考人 この予算総則の中には、ラジオ料金も徴収をすることにいたしております。ただし、先般の法律できまっておりますラジオのみしか聴取しておらない向きに対する料金は入っておりません。これは当然でございまして、法律の四月一日からの施行によりまして、FMでありましょうと、中波でありましょうと、これは従来すべてラジオ料金として一括しておったものでございますが、中波であれ、FMであれ、あるいは両方合わせたものであれ、テレビを持たないでそれだけをお持ちの者については、収入としては当然総則の中には入っておりません。ただし、テレビと併用いたしております向きに対しましては、中波FM料金、すべて三百十五円の中に、四百六十五円の中にも一括入っておるわけでございます。
  105. 森本靖

    森本委員 そうすると、この予算総則の「放送の受信についての契約を締結した者から徴収する受信料の月額は、カラーテレビジョン放送を含まない受信の契約にあっては三百十五円、カラーテレビジョン放送を含む受信の契約にあっては四百六十五円とする。」ということについては、これは白黒のテレビとカラーテレビという意味ではないのですか。
  106. 小野吉郎

    ○小野参考人 そういうことではございません。白黒テレビ、普通料金の契約のほうは、白黒テレビ料金。プラスラジオ料金でございます。カラー放送を含む料金四百六十五円のそれは、カラー料金プラスラジオ料金でございます。
  107. 森本靖

    森本委員 そうすると、三百十五円の中にラジオ料金が幾ら入っておる、それから四百六十五円の中にラジオ料金が幾ら入っておる、どういう積算根拠で入っておる、これを全部説明してください。
  108. 志賀正信

    志賀参考人 ラジオの料金といたしましては、テレビジョンの料金に、すなわち三百十五円と四百六十五円の中にそれぞれ原価といたしましては五十三円五十七銭が入っております。
  109. 森本靖

    森本委員 それでは、五十三円五十七銭という原価は、どういう積算根拠で出してきておるか。
  110. 志賀正信

    志賀参考人 ラジオの運営費につきましては、総体の運営費が八百八億でございますが、そのうちラジオの運営費に要する費用は、四十三年度におきましては百三十一億かかっております。それをテレビジョンの全受信者で負担をいたすわけでございまして、それが五十三円五十七銭でございます。
  111. 森本靖

    森本委員 百三十一億円というのは、四十二年度の分ですか。
  112. 志賀正信

    志賀参考人 四十三年度の分でございます。
  113. 森本靖

    森本委員 四十三年度の一千四億という数字の中で百三十一億というものがラジオにかかった全部の料金と、こういう意味だね。
  114. 志賀正信

    志賀参考人 さようでございます。
  115. 森本靖

    森本委員 そうすると、その場合に、給料それから光熱費、放送費、施設費、それを全部厳密に分けておりますか。
  116. 志賀正信

    志賀参考人 全体といたしまして、ラジオに直接かかる経費がわかるものは、それを抜き出しましてラジオの直接費といたしておりますが、おっしゃるように、光熱費とかあるいは建物とかいうものは両方にまたがっておりますので、これはそれぞれ直接費の比率によりまして分計計算をいたしております。
  117. 森本靖

    森本委員 その分計計算は、どういう分計計算をしておるか。
  118. 志賀正信

    志賀参考人 直接にかかりますもので、はっきりいたしておるものがございます。ラジオ、テレビの区分ではっきりいたしておるものがございます。その比率をとりまして、共通関係の費用につきましては、その比率をもって分計いたしております。
  119. 森本靖

    森本委員 これは非常に重大なことですから、これの五十三円五十七銭というその積算根拠をひとつ詳細に出してもらいたいと思う。おそらく私の考えでは、下部のほうにおける積算根拠というものはごちゃごちゃになって、できないと思う、いまの放送の実態からいくとするならば。それはなぜかというと、放送記者というものは、末端のほうへいけばラジオもテレビも全く同じなんだ。それをテレビとラジオの放送の分野によって分けるなんていったって、それはできっこないのだ。机上において計算上はできるかもしらぬけれども、それは厳密にそういう積算根拠を分けるということは不可能に近い。もしあなたに自信があるとするならば、完全な資料を出してください。もう一回ここで質疑応答をやってみるから、それで詰まったら、この予算通らぬぞ。
  120. 志賀正信

    志賀参考人 ただいまおっしゃいますとおりに、テレビ、ラジオのそれぞれはっきり区分できますものにつきましてはその区分を採用いたしておりますが、放送記者の費用とか、それから電力料とか、建物の維持費とかいうものにつきましては、ラジオで幾ら、テレビで幾らという区分は、おっしゃるとおり明確には出ておりません。それにつきましては、テレビ、ラジオの直接かかっております明確なものにつきましての比率を案分いたしまして、それで推定をいたしております。
  121. 森本靖

    森本委員 ようやくわかってきた。だから、まあまあそれは予算だからその程度でよかろうとは思うが、大体、これは厳密にそういう原価計算というものはできるはずがない、現にいまの放送体系を見た場合に。だから、たとえばテレビでどの程度、ラジオでどの程度というものが、いわゆる番組をつくるときにこの程度かかった、そうであれば、その比率をその下にかけていって、それで出してくるというよりほかに計算の方法がないのだ。まあしかし、それでも一応これは非常に重要な解釈でございますが、そういたしますと、この三百十五円と四百六十五円というものの中にはラジオの料金も入っておると解釈しておるわけだね。
  122. 志賀正信

    志賀参考人 さようでございます。
  123. 森本靖

    森本委員 それでいいかね、郵政省は。どっちにしても、はっきり統一しておいてもらわぬと困るから……。
  124. 石川忠夫

    石川政府委員 そのとおりでございます。
  125. 森本靖

    森本委員 政務次官、いまのことはいいですね。
  126. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 きょうのいきさつについては、大臣にも報告をいたします。
  127. 森本靖

    森本委員 次に、いままではNHKは六カ年計画、五カ年計画ということでやってまいったわけですね。今度これは新しい計画になったわけですが、今後は何カ年計画を考えておるわけですか。
  128. 川上行蔵

    ○川上参考人 五カ年構想を立ててやっております。
  129. 森本靖

    森本委員 その五カ年構想の計画については、どこかの資料に出ておりますか。
  130. 川上行蔵

    ○川上参考人 先日、不完全でございますけれども、お手元に差し上げました資料でございます。先生の資料、小澤先生の資料、両方ございます。
  131. 森本靖

    森本委員 この五カ年計画の資料では、これは全く私じゃわかりません。これはよほど頭のいい人でないと、宇宙通信くらい想像をたくましゅうしてやらぬことには、この資料でしたら、私もきのう一生懸命勉強してみたのですが、これじゃとてもわかりません。だから、新しい五カ年計画、もう一つ緻密な五カ年計画を私はいますぐ出せとは言いません、そういう無理なことは。しかしながら、こういうふうに新しい料金がこの国会でかりにきまっていくとするならば、会長、新しい五カ年計画なら五カ年計画というもの、もう少し緻密な計画というものをひとつつくって、これは内外に発表ができるというような体制を私はとってもらいたい、こう思うのですが、会長、どうですか。
  132. 前田義徳

    前田参考人 まことにお説のとおりでありまして、現在のところ、われわれ自体の構想——計画がやはり国策との関連で決定の時期の想定のできない問題等もございますので、一応の計画というよりも、むしろ構想というたてまえで実はこの明年度予算の編成の基礎といたしたわけでありますが、少なくとも四十四年度ないし四十五年度の予算編成にあたってははっきりした緻密な計画を立てるべぎだというように考えております。
  133. 森本靖

    森本委員 それから次に、これは非常に大切なことでありますが、この間、宮澤経済企画庁長官がああいうふうな発言をしたということが新聞に載っておって、実際はいろいろ論議をせられた。ところが、経済企画庁長官の答弁によると、これは参考までに閣議で言ったことであるというふうなことで一応ケリがついたわけでありますが、現行の放送法については、この分だけは私は絶対に守るべきであるというふうに考えておる。いわゆるNHK予算については、あくまでもNHKにこれははっきりと予算の編成権がある、同時に、これは経営委員会にかかるわけでありますから、経営委員会の自主性によってこれはきめる、この原則は絶対に守っていくべきである、これはNHKのいわゆる不偏不党、中立性というものを確保するという意味から、この条項はこれはあくまでも通していかなければならぬということは、私は昔から言っておりますように、全く同感であります。  ただそこで、しかし、今後われわれが考えていかなければならぬこと、NHKとしても考えなければならぬと思いますことは、やはりいろいろな点で摩擦を多くするということについては、NHKもあまりかんばしくないと私は思う。ということは、一千億円をこすというふうなことになってまいりますと、日本の経済そのものについても全然影響がないということにはなりません。私が最初当選をしてきたときに審議したときには、NHK予算はわずかに六十八億円でした。しかし、今日物価の値上がりその他がありましたけれども、一千億円をこすという予算になってまいりますと、これは国家経済全体の立場から見る場合も、ある程度必要になってくると思います。そういう点において、結局NHKのいわゆる自主性によるところの予算編成権というものと、国家的な見地における経済的な条件というものの見方、そういう面におけるところの料金の決定というものの調節をいかようにとるかということについては、やはりこれは重大な問題だと私は思います。そうかといって、そのことによって、政府がこのいわゆるNHK予算編成権に容喙するということがあっては絶対にならぬ。絶対にあってはならぬけれども、NHK当局自体も、こういうところの経済的な問題については勘案をしながら、ある程度そのときのいわゆる経済情勢を勘案しながら考えるということも、ある程度NHKが自主的に考えていく必要もあろうかと思います。その辺の呼吸のあうんというものが、これは非常にむずかしい問題だと思いますが、この点についてひとつ会長の見解を聞いておきたい、こう思うわけです。
  134. 前田義徳

    前田参考人 この点についても、私といたしましては全く同感でございます。したがいまして、今回の予算編成等につきましても、私どもは、社会的責任という点と放送法の原則という点とを関連させて、ただいま御審議をいただくような料金制度というようなものも考え出したわけであります。したがって、この問題については、私どもも第一次五カ年計画を御審議いただいて以来、この考え方を実は根底として持っているわけでございまして、したがいまして、この点については、今後一そうそういう関心を部内的にも高めてまいりたい、このように考えております。いろいろな関係方面の御意見も伺ったり、またいろいろな関係の部外の御意見を伺う場合にも、私どもとしては、いま申し上げたようなたてまえでものごとを判断してまいりたい、このように考えております。
  135. 森本靖

    森本委員 大体この意見については、私も会長と同意見です。この放送法に基づくいわゆる予算の編成権というものがNHK並びにNHKの経営委員会に自主的にあるということは、はっきり守っていかなければならぬと思います。ただ、しかしその場合にNHKが自主的に各方面の意見がどういうものであろうということを聞きに回ることはかまわぬと思います。それをとるとらぬはこっちのかってでありますから……。だから、会長はかなりまじめな人であるけれども、同時に私はかなり政治家だと思っている。だから、そういう点については、やはり各方面の意見を十分に、それぞれ自分が自主的に出ていって聞いてみるということは何ぼやってもかまわぬと思います。それをとるとらぬはあなたのほうのかってであります。何ぼそんなことを言われても、私のほうの放送形態からいってできませんと言うことはかってでありますが、一体各界各層がどういうふうな意見だろうということくらいは聞いてみてもいいんじゃないかというふうに思います。賢明なる会長でありますから、今後それはおそらくいろいろの手を使うと思いますが、ただし、私は、この予算の編成権のNHKの自主性ということはあくまでも守っていってもらいたい。同時に、そういうトラブルが極力起こらぬような形のものをやっていってもらいたい。そのほうがNHK百年の大計のためにも得である、また国民も得である、こう考えておるわけであります。この点は、これ以上言わなくとも、賢明な会長でありますからわかっておると思いますので、今後のやり方の場合にはひとつ十分に参考にしていただきたい、こう思うわけであります。  それから、小さな問題でありますけれども、今度の新しい受信料の制度は、四月一日から施行せられるということになった場合、これはかなり国民の皆さんに周知宣伝をしなければなかなか困難だ、こういうように思うわけでありますが、これは十分に考えておりますか。その内容でなくていいのですが、NHKは十分に考えておられますか。
  136. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 周到なる用意を進めております。
  137. 森本靖

    森本委員 これはひとつあらゆる周到なる計画を進めてもらいたいと思いますが、たまたま人権じゅうりんになるようなやり方をやらぬように、特に私は厳重に注意をしておきたいと思います。  私の知った近所の人で、これはどういう人か知りませんけれども、奥さんが来られて、私はNHKの関係の者ですが、おたくはカラーテレビがありますかということを聞かれたとかいうことだが、いまから調査しておるというのは、どうもこれはNHKのどういう人かわからぬのですが、何か、NHKでそういう一般の人に委託をして調査をしておるということをやっておりますか。
  138. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 そのようないたし方はとっておりません。
  139. 森本靖

    森本委員 そうすると、職員の中で気のきいた人がそれを聞きに行ったかもしれません。とにかく、この新料金の取り方については、私は現実になかなかこれはむずかしいと思います。そうかといって、これは予算が通った以上は、やはりカラーを持っておる人全部から取ってもらわぬことには、それこそ負担の公平を欠くことになるわけでありますから、その点については、十分に人権侵害のないように、そうしてひとつ、じょうずに周知宣伝をしてやっていただきたいというふうに考えます。  それから、これは田代君の要求した資料の四十三年度の売却固定資産代金、これは小澤君も要求したと思うのだが、この資料を見てみると、これでは、内容はわかりますけれども、大体どの程度の金額かということがさっぱりわからぬ。だから、売却固定資産代金の内容については、ひとつもう一回詳しいなにをお出しを願いたい、こういうように思うわけであります。  それから、まだこれはたくさんありますが、それじゃ、基本的なことだけやっていきましょう。  今度のいわゆる昭和四十三年度のサテライト局の建設計画では、大体対象人口というものがどの程度まで下がってきておりますか。
  140. 三熊文雄

    三熊参考人 テレビジョンのほうのカバレージの世帯数は五百世帯に考えております。
  141. 森本靖

    森本委員 それ以下の、サテライト局でない小微電力というようなものについてはまだ完成をいたしませんか。
  142. 三熊文雄

    三熊参考人 前国会のときにもお話をいたしまして、ただいま五カ所ほど小電力の実験をやりつつあります。来年度の四十三年度では、それを実地としまして二十カ所その方法でやりたい、こう考えております。
  143. 森本靖

    森本委員 それは大体成功しましたか。
  144. 三熊文雄

    三熊参考人 その五カ所はただいま実験中でございます。
  145. 森本靖

    森本委員 内容は……。
  146. 三熊文雄

    三熊参考人 内容は、ただいまやっております送信機の一部分を使いまして、いわゆるミリワット級というものなんですが、その一部分を使いまして五カ所で実験しつつありますので、もうしばらくしますとデータが出ると思います。
  147. 森本靖

    森本委員 これから先は、やはり小微電力局をかなり設置をしていく、そうして、サテライト局はもう大体終わりに近いというふうに私は考えるのですが、この小微電力であれば、これは七、八十万くらいでいくんじゃないですか。
  148. 三熊文雄

    三熊参考人 ただいまのところ、七百五十万というのが来年度の予定なんです。それがしばらく続きまして、大体、でき得れば二百万くらいにしたい、こう思っています。
  149. 森本靖

    森本委員 それよりも、私が言っておるこの微電力というのは、もっと簡単な、電柱にそのまま引っかけてやれるという、これなら六、七十万でできるわけですね。ああいうやり方は考えてみたことはありませんか。
  150. 三熊文雄

    三熊参考人 おっしゃるとおり、送信機自体はうんと安くなると思います。ただし、受信のポイントがなかなか、電波の届かないところで受けるものですから、受信のほうに相当金がかかっておりまして、それを両方合わせると、いまお話しいたしましたとおり、まあ二百万とかいうような台が出ると思います。
  151. 森本靖

    森本委員 送信の場合はこれだけの金額でいきますが、受信の場合は、いまの共聴と同じように、とれるところから引っぱってくればいいわけですね、はっきり言うと。それで小さな微電力の送信機を置けばいい、こういうことになるわけですが、私の考え方では、山をさがし当てればもっと安くいくんじゃないかと思うのです。今後こういうことをやらぬと、この日本の山国においてこれ以上のカバレージをやろうとするならば、もう金が要ってしようがないと思うのですけれども、もう少しこの点についてはひとつ研究を早急にやっていただきたい、こう思うのですが……。
  152. 三熊文雄

    三熊参考人 お説のとおり、一生懸命にいま研究をやっておりますので、でき得れば、もっともっと安い方向に持っていきたい、こう考えてます。
  153. 森本靖

    森本委員 それから、研究の設備費ですが、今度これは四億円くらいふえていますが、そのおもな内訳はどんなものですか。これも資料が出ておりますけれども、その資料ではわかりにくい点がありますので、この研究関係についてのもう少し一これは予算委員会の防衛庁の研究費みたいに秘密事項はないわけですから別に心配ないわけでありますが、ひとつ内容を詳細に資料としてあとで出していただけませんか。
  154. 三熊文雄

    三熊参考人 内容を詳細にお出しいたします。
  155. 森本靖

    森本委員 それからもう一点聞いておきたいと思いますのは、NHKの技研で研究をして、そうして特許権をとったようなものはありませんか。
  156. 野村達治

    野村(達)参考人 ございます。
  157. 森本靖

    森本委員 その場合の特許権の権利はどうなっておりますか。
  158. 野村達治

    野村(達)参考人 NHKに所属いたしております。
  159. 森本靖

    森本委員 そうすると、それを研究した人に対しては特別の賞与とかなんとかいうことはやりませんか。
  160. 野村達治

    野村(達)参考人 特許権の譲渡を受けます際にある程度の褒賞をいたしております。それから、特許権の実施がございまして、その結果特許料収入がありました分は、その一部分を研究者に配分することにいたしております。
  161. 森本靖

    森本委員 いや、その特許権はNHKとしての特許権をとるのでしょう。——個人としてとるのですか。
  162. 野村達治

    野村(達)参考人 NHKとしてとります。
  163. 森本靖

    森本委員 だから、NHKとしてとるわけですから、個人としての特許権の売買はできないわけでしょう。
  164. 野村達治

    野村(達)参考人 さようでございます。
  165. 森本靖

    森本委員 だからその場合に、せっかく個人が研究をして特許権をとる、そうすると、その個人的な人に対しては、NHKとしてはかなりの謝礼をしておるかどうか。私は、これは大いに奨励の音心底においてしてもいいと思う。
  166. 野村達治

    野村(達)参考人 その点につきましては、まず第一に、特許権の譲渡を個人からNHKがしてもらうわけでございます。それに対しまして、ある程度の褒賞をいたしております。それが第一でございます。それからもう一つは、特許が……。
  167. 森本靖

    森本委員 ちょっと待ってください。最初、特許権はKHKかどうかと私は聞いたでしょう。それなら、最初の特許権は個人がとって、それをNHKに譲るのですか。だから初めに私が聞いたでしょう、特許権はだれが持っておるかということを。
  168. 前田義徳

    前田参考人 特許権はNHKのものであります。したがって、研究員の褒賞については、特許権の設定のときに褒賞を与え、かつ、特許権が第三者によって使用された場合に、さらに第二次の特別の考慮をしているということでございます。
  169. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、第三者に渡った場合には、NHKにその収入は入ってくるわけですね。
  170. 前田義徳

    前田参考人 そのとおりであります。
  171. 森本靖

    森本委員 そういうものは全部雑収入の中に入っておりますか、志賀君。
  172. 志賀正信

    志賀参考人 雑収入に計上いたしております。
  173. 森本靖

    森本委員 それは大体年間どの程度でありますか。
  174. 志賀正信

    志賀参考人 大体五百万円ぐらいでございます。
  175. 森本靖

    森本委員 少ないな。もう少し馬力をかけて研究をして、いいものをどんどんつくるようにせぬと、この技研をつくったなにがないので、ひとつ技研が、これは私は日本放送界の中心であろうと思うので、ひとつ馬力をかけてやってもらいたいと思いますが、大いにそういう方面の奨励はひとつ考えてやっていただきたいと思うのです。これは激励の意味で私は申し上げておきます。  次に、メキシコ・オリンピックが本年行なわれるわけでありますので、これについてちょっと聞いておきたいと思いますが、その前に、今度のグルノーブルの冬のオリンピックですね、これに関連をしてNHKとしてどの程度の総経費を使っておりますか。
  176. 志賀正信

    志賀参考人 グルノーブルの冬季オリンピックにつきましては、費用といたしましては六千七百万円でございます。
  177. 森本靖

    森本委員 六千七百万円程度というのは、これは派遣費その他の費用一切入れてのことですか。
  178. 志賀正信

    志賀参考人 さようでございます。
  179. 森本靖

    森本委員 そこで、今度のメキシコ・オリンピックの場合に、一応これは前田会長が行って交渉したようでありますが、結局、今度の放送権が六十万ドルですか、そういたしますと二億一千万円程度になりますか、この放送権料は、民法の場合との関連はどうなるのですか。
  180. 前田義徳

    前田参考人 この放送権料に基づいて、民法が放送する場合には一応お金をいただくという約束ができ上がっております。
  181. 森本靖

    森本委員 その場合、民放との大体のその値段その他についての話し合いができておりますか。
  182. 赤城正武

    ○赤城参考人 現在話し合いの中でまだ最終的決定にはいっておりません。
  183. 森本靖

    森本委員 これは会長は高いとは言わぬだろうが、私から見ると、この六十万ドルというのは少し高過ぎる、こう思うわけですけれども、まあその問題についてはまたいずれ別の機会に言うことがあろうと思いますが、ただ、私が心配するのは、民放との話し合いを早くつけておいてもらいたい、まぎわになってああでもないこうでもないということになると、また非常に混乱をするということがあるので、ひとつ、この点については民放との話し合いを十分に、早急につけていただきたいというふうに私は考えますが、その点、いいですか。
  184. 前田義徳

    前田参考人 正式調印というものはまだ行なわれておらず、したがって、その立場で赤城総局長はお答え申し上げましたが、折衝の過程はすでに固まっており、金額についても大体固まっております。
  185. 森本靖

    森本委員 これも簡単な答弁でけっこうですが、この六十万ドルは高いと思いますか、安いと思いますか。
  186. 前田義徳

    前田参考人 日本的に見ますと高く、国際的に見ますと非常に安いと思っております。
  187. 森本靖

    森本委員 なかなか会長の国際人らしい答弁でありますが、これは確かに日本人から見ると高いというのが私は常識だと思います。だから私は、NHKはそういう説明のしかたがへただと思う。やはりあなたがいま言ったような内容をいま少し国内に向けて説明をする必要がある、こう思う。そういうところのものが足らぬか、らいま言ったような会長の答弁があまり一般国民には受け入れられない、こういう感じがするわけであって、これも明敏な会長ですから、今後は気をつけてやられると思いますが……。  それから、このNHKの今年度の予算で、メキシコ・オリンピックでこの六十万ドルの放送権料以外にどの程度の用意をいたしておりますか。
  188. 志賀正信

    志賀参考人 総額で七億六千万円でございます。
  189. 森本靖

    森本委員 その七億六千万円の内訳を、ひとつあとで資料でけっこうでございますからお出しを願いたい、こう思うわけであります。  それから、あとはこれは全部大臣質問することになりますので残しますが、ただ、資料の点でちょっと聞いておきたいと思います。  田代文久委員、小澤貞孝委員の要求のあった提出資料の中の八ページの「長期財政見通し」という項のアの項と九番目の項の事業収入の違うという意味はどういう意味ですか。これはわからぬから、お教えを願いたいと思うのですが……。
  190. 川上行蔵

    ○川上参考人 長期構想を立てましたときの収入と、それから先ほど会長が申し上げましたようないろんな外部の情勢あるいは聴視者の負担ということを考えまして現実に今回提示いたしました料金改定、その金額との差がこういうように違ってきております。
  191. 森本靖

    森本委員 そうすると、この長期構想というものの見通しの場合には、これは幾らの料金の設定ですか。
  192. 川上行蔵

    ○川上参考人 三百三十円と百五十円、そのように考えて一応最初の数字をつくっております。
  193. 森本靖

    森本委員 それは、それならそうと親切に書いておかなければ、これだけ数字が違うのだから……。どういうわけだろうと、ゆうべ一晩考えてみたけれどもわからぬ。  そういうことなら、この資料は、そうすると、最初のNHKの希望しておった三百三十円と、三百三十円プラスいわゆる百五十円の案がこの上の案だ、現実に今回予算に出てきたいわゆる三百十五円と百五十円のプラスの案がこれだと、こういうことですね。
  194. 川上行蔵

    ○川上参考人 さようでございます。
  195. 森本靖

    森本委員 はい、わかりました。  その次に、一0ページでありますが、この各放送管弦楽団の運営会に出しておる経費であります。この中で、松山放送管弦楽団が四十二年度以降ゼロになっておりますが、これをちょっと説明願いたいと思います。
  196. 赤城正武

    ○赤城参考人 松山放送管弦楽団からの提案がございませんで、こちらにそういう……。(森本委員「提案がないならば、では、くれということがないのだな。」と呼ぶ)はい。
  197. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、ここに出ております東京放送管弦楽団以下松山放送管弦楽団に至るまでの三十九年から四十二年に至るまでの、この楽団の運営の決算をとれれば資料としてとっていただきたいと思います。あとでけっこうでありますので……。
  198. 赤城正武

    ○赤城参考人 相手方があるものですから、早急にとりたいとは思いますが……。
  199. 森本靖

    森本委員 いや、早急でなくてもいいのです、とれますか、とれませんか。
  200. 赤城正武

    ○赤城参考人 とれるだろうと思います。
  201. 森本靖

    森本委員 とれるだろうと思いますじゃない。そういうあいまいな返事ではいけません。とれますか、とれませんかと聞いておる。とれなければとれないで、質問がありますから……。
  202. 赤城正武

    ○赤城参考人 とるように努力したいと思います。
  203. 森本靖

    森本委員 とるように努力いたしたいと思いますでは、私は納得いたしません。補助金を出す以上は、少なくともそれがとれなければならぬはずであります。その運営の内容がわからぬようで補助金を出すなんてずさんなやり方はないと思う。そんなあいまいな答弁だったら、私はこんな金出す必要はないと思う。向こうが、こうこうこういう経理の内容で、これだけ足らぬからこれだけ助成をしてもらいたい、こう言ってこなければ、金を出すはずがない。そうでしょう、会長
  204. 前田義徳

    前田参考人 まことにお説のとおりで、赤城総局長の答えは、日本語がまずかったと思います。
  205. 森本靖

    森本委員 それじゃひとつお出しを願いたいと思います。  それから、このたくさんもらった資料でありますが、傍系機関の非常勤職員で、要するに兼任をしておるのが非常に多いのですね。たとえば、外部団体のうちでNHK交響楽団、これは会長理事長ですね。こういうのは、何も兼任をしなくてもいいのじゃないですか。
  206. 前田義徳

    前田参考人 私の場合について申し上げますと、私は、会長就任以来理事長をやめたいと言っておるわけでありますが、楽団員がどうしてもなってくれと言うもんですから、モラル的になっております。
  207. 森本靖

    森本委員 そこへもってきて、これは赤城君も非常勤になっておるのですがね。非常勤ばかりおって、実際に常勤が二人しかおらぬ。このくらいの楽団だからまあ無理ないと思うが、私は、これは無理に非常勤役員として名を連ねなくとも連絡は十分とれるのじゃないかと思う。向こうは連絡をとらなければやれない人ですからね。これは今後すべてに出てきます。厚生文化事業団、あらゆるものに……。これはひとつ検討してくれませんか。かりに兼任をするにしても、一人程度兼任をすることにして連絡を十分にとればいいわけでありますから……。その辺どうですか。
  208. 前田義徳

    前田参考人 ここ数年来そういう方針でおりまして、これはできるだけ整理してまいりたい、このように考えております。
  209. 森本靖

    森本委員 しかし、これはまだ全然その整理ができていないので。ひとつお願いしたいと思います。  それから、資料の七ページでありますが、「生活困窮者等に対する巡回診療」、これはやらぬよりはましですが、九回やっておる。一般八回、北海道一回、これはどういう巡回診療をやっておりますか。
  210. 川上行蔵

    ○川上参考人 「歳末たすけあい」とかそういう機会、それから身体障害者の児童の相談なんかは毎月一度ずつ会館を使っていたします。
  211. 森本靖

    森本委員 いや、そうじゃございませんよ。七ページにありますところの「生活困窮者等に対する巡回診療」ですよ。
  212. 川上行蔵

    ○川上参考人 「歳末たすけあい」運動の際にこれは取り上げ、その機会にその付近一体を巡回診療する、診療車も持っていく、そういう形をとっております。
  213. 森本靖

    森本委員 それじゃ、その診療はラジオ、テレビの診療ですか。人間の診療じゃないのですか。
  214. 川上行蔵

    ○川上参考人 人間の診療でございます。
  215. 森本靖

    森本委員 人間の診療というのは、この場合は一般のお医者さんを雇って、そうして無料診療させるわけですか。
  216. 川上行蔵

    ○川上参考人 NHKテレビあるいはラジオの出演で医療相談を担当しておられる方などにその機会にお願いしてやっている、こういうことでございます。それから、NHKの診療所の専属の医者なんかもあわせて動員いたしております。
  217. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、その経費は「歳末たすけあい」運動の中の経費ではなしに、これはNHK予算の中からその経費は出すわけですね。
  218. 川上行蔵

    ○川上参考人 一部はこの文化事業団の経費そのものから出します。同時に、それが放送に出るという形につきましては放送料金のほうから出る、こういう形になっております。
  219. 森本靖

    森本委員 そうすると、こういうのをNHK厚生文化事業団にやらすということは、NHK厚生文化事業団の収入というものは、一体おもに何に求めておりますか。
  220. 川上行蔵

    ○川上参考人 NHKの助成並びにこの文化事業団の趣旨に賛同しまして、たとえば香典返し、そのほかの費用等をこちらに充てていただく、それと同時に、もう一つこの数年来非常に大きな要素を占めてまいりましたのが大相撲の協力によりましての慈善興行、これもこの中に入っております。
  221. 森本靖

    森本委員 この内容は私はよくわかりませんけれども、悪いことじゃないのです。この仕事はできるだけ発展をさせていきたいと思う仕事ですが、ただ、収入のほうがこれはあまりないということでありますので、ひとつこの収入の確保という点についてはいま少し考えてみたらどうか。同時に、この「生活困窮者等に対する巡回診療」なんというものは年に九回で、北海道がたった一回で、一般が八回ということになると、とてもこれは四国あたりじゃやったことがないと思いますが、せめて地方放送局あるいは県庁所在地で放送局があるところは一回ぐらいやるというぐらいに事業を拡張してもいい。それから、この場合にはNHKという名前を使ったほうが、はっきり言って私はいいと思います。だから、そういう点を十分今後勘案をしながらひとつやっていただきたいと思います。  次に、この資料の一0ページにありますところの健康保険組合の診療施設の運営のうちの療養所十カ所、それから療養施設の運営のうちの療養所六カ所、六十床、専用病床七カ所、十四床、この内容をひとつ詳しく資料としてお出しを願いたい、こう思います。これも時間の関係上、全部資料で要求しますが、よろしゅうございますか。
  222. 川上行蔵

    ○川上参考人 御提示いたします。
  223. 森本靖

    森本委員 それから、三一ページでありますが、三一ページのこの集金人の九百二十人というのは、これはほんとうですか。
  224. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 これは定員的に実際の数字でございまして、むしろ若干の欠員が現在ございます。
  225. 森本靖

    森本委員 そうすると、これは直轄の集金人ですか。
  226. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 職員でございます。
  227. 森本靖

    森本委員 そうすると、郵政の委託集金は総額の何%ですか。
  228. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 いまお尋ねの件は、収納の比率の問題でございますか。
  229. 森本靖

    森本委員 そうです。
  230. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 大体私の記憶ですと、全収入の一九%になっておると思います。
  231. 森本靖

    森本委員 一九%になって、それでは郵政省に収金委託料としてNHKから入る金額は幾らですか。
  232. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 本年度の年度末が迫っておりますので、決算的に申しますと九億一千万円になると思います。
  233. 森本靖

    森本委員 本年度でなく、この予算のことをやっているんだから、四十三年度のものを……。
  234. 志賀正信

    志賀参考人 四十三年度の予算で予定をいたしましたのは八億六千八百万円でございます。これが郵政省へ委託しております収納費でございます。
  235. 森本靖

    森本委員 八億六千八百万円というのは、カラーと白黒との単価は違いますか。
  236. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 その点につきましてはただいま折衝中でございます。
  237. 森本靖

    森本委員 一件単価は幾らになっておりますか。向こうとの折衝中だというからそれは聞きませんが、この積算根拠はどうなっていますか。
  238. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 先ほど私が申し上げましたように、四十二年度の決算九億一千万円になりますということは、年度の初め、ことしで申しますれば八億二千万円方の収納経費でございますが、その後、春先になりまして郵政省関係の給与の改善等によりまして、これが年度末にベースアップして換算し直されるということで、年度末にまた八千万円方の追加が支払われる、年々こういう形式を伴っております。したがいまして、この三月の終わりますただいまの時点では、一件当たりの収納費——私、詳細な数字を持っておりませんが、四十三円五十銭かと記憶いたしております。
  239. 森本靖

    森本委員 それはラジオですか、テレビですか。
  240. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ただいまの数字はテレビでございます。
  241. 森本靖

    森本委員 ラジオは。
  242. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ラジオはこれより二十銭方安いかと思います。
  243. 森本靖

    森本委員 この八億六千八百万円というものについては、本来ならば、この単価についてはもう折衝が済んでここに上程してくるというふうに、この次の予算からはそうしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  244. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 実は総体的な管理費をも含めた経費を逆算し直す形で一件当たりの数字に直しておりますので、いま先生のおっしゃるようなことは、平常時ならばこれはできると思いますが、ことしは特にカラーの契約並びに収納ということが付加されて若干この折衝がおくれているということで、御趣旨のような立て方は今後留意したいと思います。
  245. 森本靖

    森本委員 一応郵政省予算は衆議院を通ったわけです。参議院でどうなるかわからぬけれども、一カ月すればはっきりと成立しますから、その予算とこの予算がちぐはぐになるということになってはならぬわけであって、そういう点からいくとするならば、できれば、事前に折衝して話し合いがついて、そうして出すということが一番正しいやり方であると考えておるわけであります。これは意見です。  それから、一九%ということになりますが、それでは、九百二十人が収納するところのいわゆる料金は、今年度のこの予算書にありますところの受信料収入の中でどの程度に見ておるわけですか。
  246. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 まことに申しわけないのですが、いつも携行いたしております資料を、ちょっと洋服を着がえて失念いたしてまいりました。ただ、私の記憶ですと、九百名の直接集金員の収納比率は、たしかこれまた二0%強、そのように記憶いたしております。
  247. 森本靖

    森本委員 受信料が大体七百七十三億円ですね。だから、その七百七十三億円のうちでこの九百二十人が何ぼ収納するか、こういうことであって、洋服を着がえて知らぬというのでは答弁にならぬ。これは予算の審議なんだから、そのときにそういうことに対する回答ができないというふうなことは、これは予算の審議にならぬわけです。ここで一番大きな問題は、この七百七十三億というところの受信料の使い方、これの収納のしかた、これが一番の根本になる。それから、その上の放送債券、長期借入金、売却固定資産代金、減価償却引当金、こういうものがおもなるものの、結局予算の審議の対象になるわけであって、あとの事業支出については、大体間違った支出がなければよろしい、この放送計画が順調にいくという形において組まれておる予算ならばそれはよろしいという形の審議をしていっておるわけです。ここで一番重要なところは、七百七十三億の受信料というものがどういうふうに収納せられていくのかということ、これが一番大きな問題なんです。しかし、洋服を着がえてこられて、なければ、これはもうしようがないですからそれ以上は聞きませんけれども、なおこれは留保しておきます。ここでいいかげんな答弁をするとまた困ると思いますので、ひとつこの九百二十人だけではなしに、七百七十三億というものについての、要するに集金のしかた、委託集金それから本集金、さらに別途の委託集金があるわけであります。別途の委託集金が、都会地それから非都会地、そこでその単価がどうなっておる、それから保証金を積んでおる、その保証金がどうなっておる、そういう詳細なことを、ひとつ次の質問までにぜひ調べてきてもらいたい。いま志賀君から答弁を聞いてもいいのですが、さらにそれを突っ込んで聞いていって、また詰まったのではみっともないから、全部調べておいてもらいたい、こう思います。  次に、三三ページであります。これは会長得意のところでありますので、会長に聞いてみたいと思いますが、「長期構想の概要」の中における「国際的視野にたった番組の制作につとめ、番組の国際交流を積極的に」云々と、こういうことがあるわけでありますが、この意味は、たとえば、いまの各国の報道取材番組ですね。これは非常に好評です。こういうふうなものをうんとやるというふうな意味なのか、これは具体的にどういう意味なのか、この説明を会長に聞きたいのです。
  248. 前田義徳

    前田参考人 私どもとしては、たとえば、従来も海外放送局との合作番組等を考えたわけでありますが、この構想はそういうものではなくて、NHKの番組自体の海外頒布ということを目標としたものでございます。したがいまして、海外取材番組はもちろん含まれておりますし、それから日本独特のもの、たとえば「自然のアルバム」あるいは「日本の芸能」といったようなものにも国際性を与えてまいりたいと考えております。その他幾つかの項目を考えながら、従来は単に番組交換の原則でバーターシステムでいくというものを、実はサービスセンターの中にNHKインターナショナルという部門をつくっていただきまして、将来は積極的に、番組バーターシステムのほか、これを必要とする海外放送局に対してはこれを売り渡すという方向まで前進いたしたい、このように考えておりまして、これと関連して、将来の宇宙中継、これによる各国との番組交流をもその中に含めまして、NHKの必要による宇宙中継の利用ということ以外に、各国の放送局の必要による宇宙中継との関連でこれに協力しながらこの面も開発してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  249. 森本靖

    森本委員 どうも会長の説明は、わかったようで、妙に国際的でわからぬところがあるわけです。しかし、要するに国際的な番組交流というものを大いにやろう、と同時に、向こうからとるだけでなしに、日本のものを向こうに大いに紹介しようという意向でありますので、これはけっこうであります。こういう点について、私は将来も大いにひとつ日本NHKとしてやっていただきたいということを特に申し上げておきたいと思います。  それから、あとは全部大臣に対する質問でありますので、大臣に対する質問として保留をいたしますが、一つだけ最後にNHKに聞いておきたいと思います。  今度のNHKの事業計画では、教育番組の中で、地域社会に直結をした教育番組の充実をはかるということがあるわけでありますが、これは、具体的に言うとどういう意味の教育番組になるわけですか。
  250. 赤城正武

    ○赤城参考人 教育関係番組をローカルでやろうという考えをいま実際に持っております。
  251. 森本靖

    森本委員 違う。そう書いてないよ。教育番組の充実をはかると書いてある。
  252. 赤城正武

    ○赤城参考人 たとえば、教育委員会関係の行事あるいは教育関係のいろいろな催しごとがありますが、そういうローカル的な教育委員会のそういうものを中継をもってローカルでやっていこうという計画を持っております。
  253. 森本靖

    森本委員 赤城さん、具体的にどういう意味ですか。要するに、NHKの事業計画に、地域社会に直結をした教育番組の充実をはかると、こうあるわけだから、そういうのはどういう意味か、こう聞いておるわけですよ。
  254. 川上行蔵

    ○川上参考人 たとえば四国地方でありましたら、中国、四国地方特有の農事、農作物関係の、肥料の使い方、いろいろあると思います。そういう研究大会ということで青年大会を開くということになりましたら、その青年大会を中継するとか、あるいは、北海道であれば、北海道の僻地を中心とした特殊教育の研究会議を開く、教育委員会主催であれば、その行事、大会を中継してその地域に協力する、そういうふうに考えております。
  255. 森本靖

    森本委員 そうすると、これは学校教育放送というようなものとはだいぶ音心味が違うということですね。そのつど、いわゆるローカル行事的な教育というようなものを、要するにその地方に極力紹介していく、こういう意味であって、学校放送教育とは意味が違うわけだね。
  256. 川上行蔵

    ○川上参考人 そのとおりでございます。
  257. 森本靖

    森本委員 それでは、大臣質問を保留して、終わります。
  258. 古川丈吉

    古川委員長 中野君。
  259. 中野明

    ○中野(明)委員 大臣がおられませんので、私もその質問はあとに残しまして、防衛庁、来ていますか。
  260. 古川丈吉

    古川委員長 施設部長がいます。
  261. 中野明

    ○中野(明)委員 現在米軍が申し入れて、電波障害の制限区域がしかれておるわけですけれども、その地区はどこどこでしょうか。
  262. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 現在米軍から電波障害緩衝地帯を設けたいという要求が参っております。  地区は十二でございまして、その十二の施設を北のほうから申し上げますと、稚内の通信施設、キャンプ千歳、三沢飛行場、柏通信所、大和田通信所、それから厚木海軍飛行場、キャンプ渕野辺、横須賀海軍施設、岩国飛行場、雁ノ巣空軍施設、佐世保海軍施設及び崎辺地区、以上でございます。
  263. 中野明

    ○中野(明)委員 それは現在制限区域の指定になっている地域ですか。
  264. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 この十二の施設につきましては、すでに昭和三十三、四年ごろからこの通信施設の周辺がだんだん都市化されてきた。それに伴いまして、通信施設の運営に支障を来たしてきて困っておるという話が断片的に米軍からあったわけでございます。この十二の施設につきましては、日米合同委員会を通じまして、昭和四十年の七月以降四回にわたって要求があったわけでございまして、この米側の要求につきまして、これを受け入れるかどうかということは今後の課題になっておりまして、この要求につきまして、日米合同委員会の下部機構といたしまして電波障害に関する特別委員会なるものを設置いたしまして、今後この委員会におきまして日米双方協議、検討の上、決定するという方針でおります。  なお、この決定につきましても、この十二の通信施設の米側の要求内容検討いたしまして、その要求の必要性と申しますか、妥当性と申しますか、まずその必要性について検討いたしまして、どうしてもある施設についてはそういう制限区域を設けることがやむを得ないという結論に到達した場合には、さらに米側が現在要求しておりますところの要求内容につきまして、極力緩和してもらいたいという折衝も行ないたい、かように存じておりす。
  265. 中野明

    ○中野(明)委員 では、いま言われたところは、まだ最終的な結論は出ていない、そういうことですね。
  266. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 そのとおりでございます。
  267. 中野明

    ○中野(明)委員 現在はっきり制限されている、米軍に許可を与えている地域、それはどこどこですか。
  268. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 これは神奈川県にございますところの上瀬谷通信施設がその例でございます。
  269. 中野明

    ○中野(明)委員 そのときに防衛庁側では、この制限区域に入った住民の人たちに、一方的な通告ではなしに、ある程度説明はしておると思うのですけれども、どういうふうな説明をなさるわけですか。
  270. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 この上瀬谷通信施設におきますところの制限、昭和三十七年の一月に日米合同委員会で決定いたしましたその制限措置といたしましては、当時電波法等の改正を行なって措置しようかというような面も検討されましたけれども、この問題は技術的になかなか困難であるということから、制限措置といたしまして、各土地の所有者等と話し合いによりまして、いわゆる自由意思によるところの民事契約によってこれを設置したいということで、神奈川県当局あるいは地元の皆さまの協力を得まして、民事契約によってこの制限を措置しておるわけでございます。  内容を申しますと、これを四つのゾーンに分けまして、第一ゾーンと第二ゾーンにつきましては、建物等の建築についての不作為の契約を結んでおります。それから第三ゾーン、第四ゾーンにつきましては、そういう建築物を建てる際に、届け出てくださいという届け出義務を内容といたしましたところの契約を締結しております。かような状況でございます。
  271. 中野明

    ○中野(明)委員 現在新たに先ほど言われました十二の地域に対し電波の制限を要求してきているということについて、それぞれの地元で非常に大きな反対運動が起こっておりますことは御承知だと思います。それにつきまして、現在上瀬谷地域の人たちが、結局だまされたということを感じているわけです。そして、反対運動をしている人たちにもそういうことを言っているわけです。  具体的な内容についてどのような制限があるのか。話に聞きますと、テレビなんか、もちろん全然見えない、そして、自動車も一時間に五台以上通ってはいけない、あるいは電気器具は一切、テレビはもちろんのこと、小さな電灯線から引く動力、そういうものも使えない、生活が成り立たぬというような状態と私たちは聞いているわけですけれども、米軍のほうから示しているその制限、これを具体的に説明してもらいたい。
  272. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 十二の施設の制限内容につきましては、今後、先ほど申しましたとおり、電波障害に関する特別委員会におきまして、その必要性の有無ないしはその条件の緩和等につきましてこれから日米双方で折衝する過程にございまして、まだ一般に公表する段階に至っておりませんので、ここで申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、上瀬谷の電波障害の制限内容について申し上げますと、だいぶ事実以上に曲げられて一般の皆さまに言い伝えられておるという面がございまして、たとえば自動車の交通整理につきましても、実際上は何ら制限は行なわれておりません。それから家庭における電気器具の使用につきましても、先生おそらく御承知だと思いますが、一般家庭におきましては、大体三十キロボルトアンペア程度のものが使用電力としましては最高だと思いますが、この米軍との取りきめにおきましては、最大使用電力量というものは百キロボルトアンペア以下であってほしいということでございます。したがいまして、ラジオ、テレビを使用するというようなことにつきましては何ら制限は行なわれておらないわけでございます。   〔「第一ゾーンではだめだ」と呼ぶ者あり〕
  273. 中野明

    ○中野(明)委員 それはだめですよ。
  274. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 第一ゾーンにつきましては、現在建築物の制限が行なわれておるわけでございますが、その建築物を建設する際に、たとえば建設といいますか、増設、従来の建物に増設する際に、そういう部屋の中に螢光灯は使用しないでほしい、白熱灯を使用してほしいという条件つきで、日米双方でかくかくしかじかの建物については建設しても差しつかえないという話し合いによって、個々の建設について認めておるというのが実情でございまして、現在住宅があって、その中でラジオ、テレビが使えないというような問題はございません。
  275. 中野明

    ○中野(明)委員 電波の障害があって、全然テレビなんかも見えない、そういうのが現地の人たちの声であります。あなたもただ形の上でそうおっしゃっているわけですけれども、こういうことについて、きょうわざわざ来ていただいてNHK予算でこのことを申し上げるのは、きょうは会長もおられるわけですが、そういうふうな制限が、将来も大きく全国十二カ所に広げられようとしておる。それに対して、いま折衝中だから何とも言えない、こういうお話なんですが、NHK会長がそういう実情についてどこまで掌握なさっているか、そして当然会長としては、テレビ、ラジオをあまねく全国民に聞かし、あるいは見せる責任を持っておられます。そういう段階ですから、これは現在相当大きな神奈川県全体の運動になっております。非常に住民も不安に思っております。上瀬谷地区はとてもひどい現状であるということは、ある程度お聞きになっておると思います。こういうことについて、どこまで会長として掌握されて、そして今後のことについてどうお考えになるか、お聞かせ願いたいと思います。
  276. 前田義徳

    前田参考人 私といたしましては、そういう話を私個人は聞いております。ことに、最近の国際状勢から非常に強力な電波が二十四時間じゅう出ている、これによる受信障害がかなり顕著になってきているということは、私、個人的に聞いております。  これについては、私といたしましては、まず、たとえば、いま施設部長から伺っていたわけですが、この小委員会がいかなる方式を出すか、それからまた、これと関連して、私どもも一応調査をしておく予備的な、準備的なことが必要ではないかというようにも考えておりますが、私自身はまだ決定いたしておりません。と申しますのは、御承知のように、実はNHKもその点においては被害者となっているわけでありまして、したがって、NHKが自主的にこれを解決し得ない環境にあるということを考えるからであります。
  277. 中野明

    ○中野(明)委員 上瀬谷地区の現在指定を受けている地域のテレビ、ラジオ、そういうことについての障害の程度は、どの程度まで掌握なさっておりますか。
  278. 前田義徳

    前田参考人 ただいま申し上げましたように、NHKの組織に対してこれを調査せよと言ったことはございませんが、各地の、私が関連している新聞、通信等の方々から、私個人としては、同時に会長ですが、あの地区ばかりでなしに、横須賀方面等についてもいろいろな話を聞いております。
  279. 森本靖

    森本委員 関連して、防衛庁の方に。  これは向こうが障害があってテレビとラジオが映らないというわけじゃないのですよ。あなたも御承知のとおり、テレビとラジオがあったならば、向こうの通信施設が微弱な電波を受けておるから、テレビとラジオの自己発振によって迷惑をするからテレビとラジオはいかぬ。こういうことなんだ。その点を会長も勘違いしないようにしなければならぬ。これは普通の飛行場の障害の問題ではない。上瀬谷にある通信基地というのをはっきりいえば、プエブロなんかもあすこで訓練を受けた。それで、あすこにはいわゆるアメリカ軍の通信基地があるわけなんだ。そのアメリカ軍の通信基地というものがどういうものか、われわれは内容は知らぬけれども、おそらく私の想像では、あらゆる各国の電波をあすこで受けておるわけだ。そこで微弱な電波あるいは潜水艦にいく電波まであすこで全部受けておる。そこで、そういう微弱な電波を受けるところの通信基地としては、いわゆる螢光灯なり、あるいは自己発振をするというふうなテレビ、ラジオがあるとするならば、第一ゾーンの場合には非常にこれが困難になる。ですから、そういうものはなるべくならのけてくれというのが米軍側の要求なんです。日本側としてはなるべくそれを少なくしたいというふうに折衝しておるというのが現状でしょう。だから会長、それは飛行場のものとだいぶ違うわけですから、その点をひとつ勘違いのないように願います。
  280. 前田義徳

    前田参考人 勘違いいたしておりません。私のところにはあらゆる種類の投書、電話、通報がございまして、大体そのことは承知いたしておりました。
  281. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 ただいま森本先生のおっしゃったとおりでございまして、ただ、内容といたしましては、ラジオ、テレビを取りつけてはいけないという制限までは参っておりません。
  282. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、会長に重ねて要望をかねて申し上げたいのですが、おそらく多年にわたっての米軍の要望ですから、当然近々結論は出てくるかもしれません。そうなりましたときに、テレビを見たい人たちも非常に制約を受ける。これはいま森本さんからも関連して話がありましたように、テレビを持っておって映らぬのじゃなしに、テレビをつけちゃいかぬというような制限が出てくる。これはNHKとしても会長としても無関心でおられない、そういう問題になってくると思うのです。  それで、この問題について、会長として大臣と善後策についてお話しになったことがあるかどうか。そして、先ほどお話しになりましたように、今後調べておきたいとか、資料を集めておきたいというような弱いことでなしに、あなた御自身も、全国民にテレビを見せるという、そういう責任を持っておられる以上は、しかるべき人たちを通されて、なるべくそういうことのないようにということをお話しになったって、あなたの権限の上からいっても間違ったことじゃないと私は思うわけです。その点についての今後の会長の決意、そして、大臣とそういうことについてどこまで真剣にお話しになっておるか、それをお伺いしたい。
  283. 前田義徳

    前田参考人 まず第一点、大臣とこの問題について話し合ったことはございません。しかし、私はかなり重要な問題として重大な関心を持っております。したがいまして、私としては、答えとしてはきわめて消極的かもしれませんけれども、成り行きを見ながら、われわれのとるべき措置についてできるだけのことをやってまいりたい、このように考えております。
  284. 中野明

    ○中野(明)委員 政務次官のほうはいまのこと御承知になっておったのですか、どうでしょうか。
  285. 石川忠夫

    石川政府委員 郵政省といたしましては、合同委員会の下の特別分科委員会に委員を出しまして、技術的な面でお手伝いをする、こういうことになっております。
  286. 中野明

    ○中野(明)委員 防衛庁にお尋ねしますけれども、先ほどのお話では非常にあいまいでしたが、  これは地元ではもうすでに去年の十二月二十三日、あるいはことしの二月二十五日、一万人決起大会とかいうふうに相当大きな運動になっております。これが波及して、全国的に十二カ所の周辺では当然そういう運動も起こってくる可能性は多分にございます。こういうことについて、どういう考えを持っておられるのか。全面的に米軍の言うことを受け入れなければならないように思っておられるのか、それとも、強く折衝して、こういうことをしてもらわないように、そこまで考えての折衝なのか、非常にみな関心を持っているわけです。おそらく防衛庁あたりにも陳情書がたくさんいっていると思いますが、そういう点についての今後の考え方を一応もう一度示していただきたい。先ほどのお話では非常にあいまいなところがございました。
  287. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 この問題の取り扱い方につきましては、先ほど申し上げましたように、今後電波障害に関する特別委員会におきまして折衝いたしまして、折衝の内容といたしましては、先ほど申しましたとおり、この必要性の有無、それから米軍が現在使用しておりますところの電気通信機器そのものの改善をやることができないかどうか、そういうことをまずもって折衝いたしまして、どうしてもある施設については制限区域を設けなければならないといった場合には、現在米側から要望しておりますところの内容について極力緩和方を折衝する、こういうつもりでおります。
  288. 中野明

    ○中野(明)委員 非常に弱々しい話で、こういうことを地元の関係の人が聞いたら、また騒ぎが大きくなるのじゃないかと私は心配するわけです。今日、電波の恩恵を受けなければ生活できないというような時代に、この電波に制限を受けるということは、これはもう国民生活も支障を来たします。憲法で保障されている国民の権利というものにも触れてくる問題になってくると思うのです。そういう点をもっともっと強く折衝していただきたいし、同時に、これは郵政省のほうも、それからNHK会長さんはそういう点では私は非常に信念のある人だと伺っておりますので、やはり自分の責任をもって、全国民にあまねく放送を聞かせる、そういう上ではあなたの職責をおかされることにもなるわけです。ですから、そういう点についても会長自身も積極的に働きかけていただいて、いま折衝中だからなんといって、遠慮しおって、きまってしまったのでは、現時点においてはどうすることもできないような日本現状になっております。それで、われわれも非常に歯がゆいものを感じているわけですから、結論が出るまでに、あらゆる関係の人たちが大いに積極的な姿勢になって、それは困る、こうこうこういう理由で困るのだということで、どしどし意見を述べていただく、主張していただくということは大事なことじゃないか、私はこのように思ってきょう御質問申し上げているわけです。もちろん、これが大々的に範囲を拡大されて、それで指定をされるということになりますと、やはり今度のNHKの聴視料にも影響してくる問題ですし、すべてに関連がございます。そういう点で、会長御自身が今後、いま防衛庁にも申し上げましたが、NHK会長の立場で積極的な働きかけを要望したい、こう思うわけですが、もう一度。
  289. 前田義徳

    前田参考人 全くお説のとおりでありまして、私どもの立場は御理解いただけるものと思いますが、やはり被害者であるという点もございます。しかし、何かの形でこれを打開する、あるいは技術的にも検討して、思いつきを申し上げますならば、無線を有線にするとか、幾つかの方法もあり得るかとひそかに考えておりまして、できるだけ努力はいたしたい、このように思っております。
  290. 中野明

    ○中野(明)委員 いま会長は被害者とおっしゃったわけでありますが、被害者であるだけに、より積極的になっていただきたいのです。被害者であるから消極的になっておったのでは解決のしようがございませんので、NHKは重大な被害者だ、このようにおっしゃるのは、私はよくわかります。ですから、被害者であるから、けしからぬ、そういう観点に立って、積極的な姿勢であらゆる方面に話し合いを進めていただきたい、陳情もしてもらいたい、そうして、国民生活に及ぼす影響、それを背景にして会長の立場を堅持してもらいたい、このように私は申し上げておるわけですから、よろしゅうございますか。
  291. 前田義徳

    前田参考人 御趣旨はよくわかりますし、私も可能な努力をいたしたい、このように思います。
  292. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃ、委員長、あとは大臣質問になりますので……。
  293. 森本靖

    森本委員 関連して、防衛庁にこのことについて大事なことで聞いておきますが、地位協定の中に、日本の関連法規内においてこれを処理するということがあるわけです。ところが、いまこの関連法規内においては民法上の争いになるわけですから、なかなかこの問題はむずかしくなる。そうすると、政府部内において、場合によっては特別立法を行なわなければならないという意見が出てくる。ところが、この協定には関連法規内において行なうということがはっきりあるわけですから、日本政府としてはあくまでも関連法規内においてこれを処理する、この原則を曲げないでほしい。これを曲げて、特別立法になるということになるとたいへんなことになると思う。このことだけは、私は防衛庁長官代理者としてあなたに聞いておきたいと思いますが、あくまでも日本の関連法規内において行なうということだけは守ってもらいたい、こう思うのですが、どうですか。
  294. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 いま森本先生から御質問の地位協定三条二項後段に書いてございますが、この制限措置につきまして、上瀬谷のときにも、先ほど申し上げましたとおり、いろいろ特別立法するかしないかというような問題も当時検討されたわけでございます。技術的な面、あるいは影響するところ大であるということで、当時は閣議了解に基づきまして、これはやはり自由意思による民事契約によって処理しようではないかということが決定されました。今後の十二施設の取り扱いにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、米側と折衝しまして、どうしてもある施設については米側の制限要求を満たさなければならないという結論に至った場合でも、現在特別立法でこれを措置するということは考えておりません。やはり上瀬谷と同様に民事契約によってこれを処理したい、かように存じております。
  295. 古川丈吉

    古川委員長 この際、暫時休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ————◇—————    午後五時四十四分開議
  296. 古川丈吉

    古川委員長 これより再開いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を続行いたします。中井徳次郎君。
  297. 中井徳次郎

    ○中井委員 前回私がお尋ねいたしましたときに、少し時間が足りませんでしたのと、それから、そのときペンディングになっておりました問題、二つございましたが、この二つだけ、それを中心にきょうお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一番の問題でありますが、いわゆる通信衛星の関係の御答弁がこの間少しありましたけれども、世界商業通信衛星組織に関する暫定的制度を設立する協定というものに関連をいたしまして、これは条約であるから国会の承認を得るべきでないか、こういう私の質問に対しまして、大臣は直接答弁はいたしませんでしたけれども、担当の者から、国会にかける必要はありませんというふうな御答弁がありました。(「これはNHKに関係ない」と呼ぶ者あり)これはNHKに関係がないと、いまどなたかから不規則発言がありましたが、たいへんな認識不足でありまして、通信衛星がNHKに関係がないというふうなお考えでは私も非常に残念であります。非常に影響のある問題であると私は思います。将来NHKが世界的な放送網の中にあってそれをやるためには、これはたいへんなことでありまして、そういう関連もあり、かつはまた、これは国際電電がサインをいたしておりますが、それは国際電電が、たまたまおまえのところでやれといってサインしただけでありまして、私はその後調査をいたしましたら、やはり基本的なものは、政府の代表でありまするアメリカの日本政府の出先がサインをいたしておるのであります。それを受けて、国際電電が実施部門としてサインをしておる、こういうことでありまして、これは非常に重要な協定でありまするから、私は、やはりどうしても国会の承認を要する条約ではないか、かように思いまするので、あらためてこの点につきまして政府の見解を伺いたい、かように思う次第であります。
  298. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは正式には外務省の所管でございますが、私、この前中井委員からの御質問を受けまして外務大臣と相談をしたのであります。  この答弁は外務省がされるのが当然ですが、私がかわって申し上げますと、暫定協定そのものは政府が当事者として調印をしておるが、この協定そのものは、新たに国民に権利義務を課するものでもないし、また、政府が財政的負担も負わない、こういう関係で、行政当局だけでこれに署名をして国会にお出ししなかった、こういう事情の説明を受けたのでございます。ただ、この問題は、昭和四十五年の一月一日からは新しい本協定にかわるということが暫定協定の中にできておる、その際については、あらためてひとつ内容によって国会にお願いするべきであるかどうか、こういうことを検討することにしたい、こういうことでございまして、前回の暫定協定は、いまのような事情で行政協定として処理した、こういうことでございます。
  299. 中井徳次郎

    ○中井委員 大臣は私と同じ程度に、条約の問題はいわばしろうとじゃないかと思います。そういうあなたのきょうの答弁ですが、この前もそれに似た答弁がどなたかからありましたから、私もそうかいなと、そのときは思いました。しかし、帰って、どうもこのような重要なことを国会の承認を得ないということはやはり国会軽視でないか。それで少し調べてみました。  学者の通説などを調べてみましたら、確かに財政負担はありませんけれども、国会にかける条約——条約と名のつくものはみなかけなければなりませんが、それ以外でも、協定でも実質的に条約になるようなものについてはかけております。これは安保のときでもいろいろ議論がありまして、こまかく、それの附属協定まで全部かかったのでありますが、そういう観点からいたしますと、国際法上の通説として、また、日本の憲法のたてまえからいいまして、国会にかけねばならぬものとしましては、いまのように、あなたのおっしゃったように、予算及び財政負担をかけるものはこれはかけなければならぬ、国民の権利義務に関するものはかけねばならぬとありますが、もう一つの理由に、政治的利害に関係するもの、将来にわたって政治的な非常な利害、政治的な判断に待たねばならぬようなもの、これは必ずかけねばならぬ、これがむしろかけねばならぬ第一の項目に上がっておる、これは通説であります。私も、研究をしておる二、三の人に尋ねてみましたら、みんな、それはそうですと言う。この条約、協定はどうですか、こう言いましたら、これは内容を拝見するとどうしてもかけねばならぬ、こういうふうな御意見であります。  いまお話しの中で、暫定だからいい、再来年の一月一日からは本条約だからこれは考えていく——考えていくということは、かけることだろうと思うのですが、それはまた法律的にはだめなんです。時限立法でも何でもそれはかけねばならぬ。だから、四十五年の一月一日ですか、本協定のときにかけるなら、筋としてはこれも必ずかけねばならぬ、そういうふうなことになるのです。私は、自民党の諸君もついうっかりしておられたんじゃないかと思うのですが、私どもも実際うっかりしていました。私もうっかりしておりました。内容を調べてみると、たいへんなことじゃないか。この間、アメリカの大使が佐藤総理に会って進言をしたというものとの関連で私ちょっと調べてみました。そうしますと、これはたいへんなことだ。  大体、宇宙時代、宇宙時代といって、日本国におきましても、そういう関連の科学技術関係で各種の委員会をつくったり、また予算を組んだりやっておりますが、防衛的な、いわゆる憲法九条を持っています日本といたしましては、軍事というものを考えない。それで、実利のある、月の土地を百円で買うとかなんとかいうような、そういう楽しい夢物語は一応おきまして、人間生活に実利としてほんとうに密接になるものはこの通信衛星、気象衛星ですね。こういうもの以外に一応ないわけですね。そうして、それに関する協定なんです。ですから、これはどうしてもかけねばならぬ。そして、これはサインを済ましまして、国際連合に届け出の義務までちゃんとあります。十四条に「この協定が効力を生じたときは、アメリカ合衆国政府は、これを国際連合憲章第百二条の規定に従って国際連合事務総長に登録するものとする。」これはもう国際条約であるということなんです。ですから、こういうものをかけないというのは非常に怠慢であった。外務省のごく二、三の行政官が、うるさいからこれはやめておけというようなことでなかろうか。といいますのは、それは国民生活に関係あるとか、いろいろいいますが、たとえば南アフリカにこのごろ新興国がたくさんできます。その新興国に大使館を置く、これまで公使という名前であったものを大使にするというようなことでも一々外務委員会にかかりまして、私ども、本会議で、ああまたそんなふうになったんかなという一これは国民の権利義務と関係あるといえばあるでしょうけれども、名前が変わるくらいのものまでかけておきながら、こういう実質上のものをかけないというのは、政府の非常な怠慢じゃなかろうかというふうに考えるのであります。それからまた、国民生活に直接関係ないといいましても、国際電電のやっております仕事はみんな国民生活に直結した仕事でありますし、また、この間も、香港との関係において国際電電が料金等の改定などもいたしておりました。そういうものもやはり通信衛星との収支の関係もございましょうし、ここへ二%近い六億程度のもの、一・七五二八九九%というものを、金額にしまして百五十五万三千七百ドル、五億五千九百万円というものを国際電電が出しておるわけでありまして、これは私はどう考えても国会にかけてもらわねばぐあいが悪いんじゃないかと思うのであります。  そこで、いまからでもおそくない、政府はぼんやりいたしておりましたら、これはやるべきです。いまからでもおそくないというふうに思います。  それから、これはへ理屈になりますが、まあまあそれは国際電電にやらしておけというふうなことだったんでしょうけれども、そもそも、こういう将来性のある重大なる通信の一つの形態ができるわけですから、たとえば国際電電がアジア諸国に向かってこの間から海底ケーブルの計画があります。台湾からジャカルタまでいくやつがございます。これについてもしばしばこの国会で議論になっておる。私は海底ケーブルなんかやめて、もう通信衛星にしたらどうかなんという意見を言うたこともございますが、そういう関連からもいたしまして、どうしてそういう計画のために——特に使用いたしますのは、運輸省の気象関係もありましょう、またNHKもございましょう、あるいは民放も私はあると思うのであります。したがって、このために特別の会社をつくったらどうだ、アメリカの組織は、これは新しい一つの組織であります。それに対応して、日本だって何も国際電電にやらす必要はありません。気象もあり、NHKもあり、何もあるのだから、そういうものの連合体なり何なりで、政府が音頭をとってやってもいいことなんでございまして、私は、非常に重要な内容を含み、将来にわたって通信業界の、通信界といいますか、電気通信界のほんとうに最大課題といいますか、まん中にこうすわっていく問題でございます。それを、何かこれは政治的なことじゃなくて行政的なことだから、外務省の役人がサインをしてちょこちょことやったというわけには私はいくまいと思います。  どうですか、郵政大臣、国務大臣として、これはやはり当然かけるべきものだ、実はかけるべきものだ、ただ、どうも簡単に考え過ぎて、というふうな御答弁ぐらいはあなたがなさる必要があるのではないかというふうに私は思うのです。私は強要するわけではありませんけれども、筋として、これは研究すればするほどどうもおかしい。こんなものをほおかむりしていったら、政府の非常な怠慢であるというふうに考えます。ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  300. 小林武治

    ○小林国務大臣 いろいろ中井委員のお話を承ればごもっとものようなところも私も感じますし、もう一度外務省——これはもう御承知のように窓口は外務省がおやりになっておりますから、私どもの意見も中井さんの意見も十分お伝えをして、そうして話し合いの上で、また適当な御返事を申し上げることにいたします。
  301. 中井徳次郎

    ○中井委員 大臣も立場がありましょう。ありましょうから、この委員会へ外務大臣を一ぺん呼んでください。私は外務大臣出席を要求します。  たとえば、通信関係では国際通信会議がたくさんございますが、ちょっとしたものでも全部かかっていますよ。それを国会で一々否決したりしたことはありません。しかし、全部これはかかっておりますよ。ここ二十年ばかりの日本の逓信行政の中で、外国との関連で一番重要なやつはこれじゃないのか、そんなものをかけないでおいて何だというのが私のほんとうのたんかですよ、ことばはやわらかいですけれども。国会の立場から考えてごらんなさい。自民党の諸君は、宇宙通信なんというのは何か特別委員会をつくっているじゃありませんか。そういうところで大いにやってください。  きょうは、小林さんは、十分研究して、また外務省と打ち合わせてと言いますから、あなたの腹のうちはわかったからもうそれ以上私は言いませんけれども、ひとつ、外務大臣に来てもらって、正式にここではっきりとした政府の意思をお尋ねをいたしたい。それまでこの問題は保留にいたしておきます。  次に、NHK電波障害の問題です。  去年私はこの委員会から派遣されまして大阪に参りまして、伊丹空港の周辺の各都市の市長、宝塚の田中君が会長であったと思いますが、二時間にわたりまして陳情を受けました。前の委員長の松澤君と一緒でございました。それで、この問題は三年ほど前から議論を当委員会でしばしばいたしまして、NHKのほうは、NHKの責任でありませんから、金はよそでもらわなければいかぬし、そうただにするわけにいかぬ、こう言いまするし、運輸省のほうでは、どうも範囲が不明確であるし、だれが金を出すかはっきりしないし、というふうなことであります。郵政省のほうは、何か規則はございまして、その規則には、自衛隊やアメリカの駐留軍の関係のものについては規則の中に免除規定があるけれども、民間の飛行場については、ないからまけるわけにいかぬし、NHKもそういうものがないからまけるわけにはいかぬ。同じジェット機の騒音で、アメリカさんのやつやら自衛隊のやつがぶんぶん飛んだら、それは気の毒だというてNHKはまける、民間はまけない。聴視者にとりましては、軍の飛行機であろうが、自衛隊の飛行機であろうが、民間の飛行機であろうが、そんなことは同じでありますが、まことにどうも、これは非常に悪平等的な一つの典型的なものであるというふうに考えて、当委員会としてはほんとうに各党派とも一致して何とかしろということであります。先般、公害対策特別委員会におきまして私は、たまたま新任をいたしました中曽根君に、運輸大臣はこんな問題どうして片づかぬのか、君は張り切っておって、若い大臣で、こんなものは簡単に片づけたらどうだという質問をしたら、私はもう五十歳で、そう若くはありませんと言っておりましたが、すぐ何とかいたしますと、こういうことだ。張り切っていましたから、すぐ何とかするだろうと思って、それから四カ月たっているのですが、一向どうもはっきりいたしません。どういう方向に進んでいらっしゃるか。おそらく、何か解決方法のきざしがあるんだというふうなこともちょっと聞いておりますので、私は締めくくりの意味で、こういう方向でいく、こういうことでいくということをひとつきょうはお尋ねしたいと思うのであります。  きょうは私、汽車の中で、そういう質問をしたいと思って、二時間ばかりありましたので週刊誌を買いましたところ、週刊朝日に「“初の騒音対策”をめぐって、利害対立する大阪空港周辺」というので、やはりずっと書いてあります。これはしかし、テレビやラジオのことは書いてありません。ですから、その中で私が陳情を受けましたのはやはりこのグループでございまして、空港周辺の伊丹、川西、宝塚、豊中、箕面、池田、尼崎、西宮——大阪府と兵庫県の間の各市であります。私の聞いたところによれば、テレビの映像が見えなくなったり、騒音で聞こえなくなるというのが大体二万二、三千だというふうに私は聞きました。二万二、三千でありますと、たとえば、これは半額にするといたしますと、月に大体三百六十万円ですか、月四百万円ぐらいのものです。一年五千万円ぐらいのものです。たいしたことじゃありません。そういうことで考えますと、こんなことでなぜ二年も三年もぐずぐずしておるのか、かように存じます。  さらにまたつけ加えますが、その自衛隊関係のものは、何でも、NHKがまけたるというようなことで、泣いた。それは困ったことで、自衛隊からなぜ取らぬか、駐留軍からなぜ取らぬかと私は思いますが、そういうこともからめて、この問題について答弁を願いたい。どなたでもけっこうです。どういうふうにいたしますというまとまった答弁をお願いしたいと思います。
  302. 梶原清

    ○梶原説明員 先生御承知のとおり、最近におきまして航空機がジェット化し、回数が多くなるにつれまして、国際空港、特に大阪国際空港周辺につきましての騒音問題が非常に大きくなっております。このために、第五十五特別国会におきまして、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、これを通過、成立させていただいたわけであります。この法律に基づきまして、航行の方法の指定なり損失補償の措置等を現在進めておるわけであります。ところが、問題のテレビの受信障害につきましてのみ現在まだ実現を見るに至っていない、こういう実情にあるわけでございます。  先ほども先生御指摘のように、防衛庁または米軍の特定の飛行場——これはジェット機の飛んでおります十六の飛行場でございますが、その周辺につきましては、NHKさんのほうにおきまして、放送法第三十二条第二項の規定によります免除基準に基づいて半額の免除をされておる、このようになっております。  同じように飛行機が飛んで同じように影響を受けながら、民間空港につきましてはそういう減免の措置がしてないということにつきまして、御指摘のとおり周辺八市の市長から非常に強くこの実施方を要請されておる、かような実情にございます。したがいまして、私どもとしましては、大臣以下、熱意を持ちまして関係各省との折衝もさせていただいて、これを実現するように努力をしておる最中でございます。まだ遺憾ながら実現を見るに至っておりませんのですけれども、一応の考え方といたしまして、減免という方法ではなくて、実質的にこの周辺の受信者の方の負担を軽減する方法を考えてはどうか、かような考え方から、航空会社からの拠出金、そのほか地元の公共団体、NHKさんに御協力をちょうだいして、できるだけ防衛庁あるいは米軍の基地に実施されておるのに近い措置を講じたらどうだろうか、かようなことで努力をしておるところでございます。ただ、残念ながら地方公共団体の協力を得るということが非常にむずかしい状態にございますので、何か新しい案をつくりまして、政府部内、NHKさんと今後折衝を続けさせていただきたい、かように考えておる次第でございます。  一応概況だけ御報告をさせていただきます。
  303. 中井徳次郎

    ○中井委員 いまのお話ではまだ全然入り口だな。公共飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というのは去年通ったとあなたいまおっしゃったわけですが、これを何ぼ読んでみてもテレビやラジオのことは出てない。抜かったんですか、連絡不行き届きか、郵政省電波局が横を向いておったのか何か知りませんが、まず怠慢だな、これは。それから、私はちょっと何か解決方法が出てきておるように聞いておるのですが、まだというようなことではどうなりますかね。こんなことで、二年も三年も国会でもうしばしば問題になって片がつかぬということは、一体どういうことですか。  NHK会長に伺いますが、金額はたいしたことではないのですが、これどうです。こんなもの免除したらどうです。金額にしまして一億くらいのものだ。羽田もありましょう。全国にして二、三カ所ありましょうか、絶対額として、たいしたことじゃありません。どうですか。
  304. 前田義徳

    前田参考人 私どものたてまえは、先生のおっしゃる意味も十分理解しておりますが、たとえばアメリカ軍基地、この問題と商業空港の問題は、やはりたてまえとして異なると思っております。  きわめて率直に申し上げます。外国の例を見ましても、こういう商業空港におきましては、それぞれの関係当局が協力して一つの新しい方式でこれを解決している。日本においてはすべてNHKにしわ寄せされる。実は、この被害者の中にはNHKもあるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、安保条約及びこれと関連する問題につきましては、やはり国民の機関でございますので、そういう意味では、私は、従来やらなかった一つの免除の基準を第二十四号というのでつけ加えたわけでありますが、商業空港につきましては、やはり商業行為を営む方々、内外の航空会社を中心として、私どもは、もちろんそういう方針がきまれば、これと関連して応分の協力をするというたてまえをとっているわけでございます。したがいまして、金額的な問題で、一億余りだからただにせよとかいうことは、よって立つNHKの聴視料の原則が根本的にくずれるおそれがある。たとえば、大臣もおられますが、すでに国会の議決を経て法律となっておりますが、ラジオ料金は七億円くらいだからこれをただにせよとか、そういう安易な考え方では、私としてはものの判断の基礎にはできない。しかし、協力にはやぶさかでない。したがって、筋道の通った方法で協力する道を開きたい、こういう考え方で、運輸当局におかれても非常な御苦心をされて、一応の形と案というものはでき上がっております。ただ、その協力を求められる団体が、その中で——おそらくただいまの御説明は、私の想像では、全部がイエスとまで言っておらないというところに問題点が残っているのではないかと思いますが、私の立場としては、NHK会長としては以上のような考え方を持っております。
  305. 中井徳次郎

    ○中井委員 前田さんの御意見は、私はもっともであると思います。筋は通さなければならぬ。しかしながら、具体的な話し合いということになると、歩み寄るということもありましょう。筋を通しておいて、天下のNHKだからまあ少しということで、金額の点その他はあると思いますが、そういうふうにしてNHKが待っておるのに、私に言わすと、運輸省関係がどうしてそういうあうんの呼吸で片づけないか。あるいは、発着料とかなんとかいうものも取っているのでしょう。だから、金額の多寡じゃなくて筋道だ、こういうわけだ。去年もこういう問題のときに、新幹線の沿線の聴視者、これも困るだろう、そうなるとたいへんな数になる。たいへんな数になってもいいじゃないかと私は言うわけです。これはたとえ二千万円のうちの一割にそれがなりましても、総合的な判断の中において、見えないものや聞こえないものから金を取るというのは、国民の側からいったらあくまでひどいわけですから、それを総合調整するところに一つの経営の基本的な理念がある。その意味で、前田さんが、自分の原因じゃないんだ、営業としてやっておる民間航空その他のために自分たちが被害を受けるのだから、その何%かは負担すべきである、これは正しいと思うのです。それの世話を運輸省がやる、それは積極的にやってもらう、こういうことでしょう。だから、それをいつまでもほっておかれるところにどう……。  去年実は、これはちょっと脱線をしますが、あなた、運輸省の関係のほうに聞いておいてもらいたいのだが、油による海水の汚濁防止に関する条約というのがあったのです。これは十四年前にロンドンでサインをしたものです。しかし、それをやると、たとえば東京湾で油を少しでも流したら罰則を食う。あるいは茅ケ崎だとかあんなところの海岸に、去年もおととしもずいぶん流れてきました。ああいうものの原因ですが、それは困るというような一部の業界、商船会社、タンカーその他の運動で、とうとう十三年ほおかぶりをして、去年、私の質問でそれがわかって、それをまた国会にかけるかかけないか、何をしているのだというようなことで、それこそ国会が承認していないから効力が発生しないというようなことがありまして、非常に怠慢ですね。ですから、こんな問題は、前田さんが言うように、私も実際は金額の問題よりもまず初めのことでありますから、たてまえの問題であろうと思うのですが、どうですか、もっと早く解決してもらったら。小林さん、あなたも総合的な調整をやるお立場にあられると思うのですが、こんなものをそう長くほっておきましても、金額も小さいし、私どもにも毎年毎年猛烈に陳情がございます。何か筋道を立ててそれを実行するということにしなければいけないと思うのですが、大臣として、たとえばことしじゅうならことしじゅに何とかしますというふうな御答弁があってしかるべきように思いますので、ちょっと見解を伺っておきたいのです。
  306. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは御承知のように、全国の十四の基地がいまのような扱いをされておりまして、商業空港については、いまこちらから答弁がありましたが、私もああいうことをやっておったのではできない、これは要するに迷路に入り込んでしまっておる、運輸省も妙なことを言い出してしまっておる、こういうふうに私は思うので、これを解決するには、みんなが——加害者かどうかわかりませんが、関係者が金を出し合うということはけっこうなことだから、私は、まずNHKがほかのように半額免除して、これをどうやって埋めるか、こういうふうな考え方をすれば早くなると思うのであります。これはみんなが負担するということ、まずNHKがほかの基地と同様に半額免除をして、その補てんをひとつ運輸省が適当に考えてもらったらいいのではないか。非常に手間がとれるかもしれませんが、早くしてもらう必要があります。そういうふうにすれば、とにかく一応の目的が果たせるのではないか、私はこういうふうに考えて、NHKにもいまのようなことを申し上げておるし、郵政省事務当局もそういうふうなことを考えて、とにかく一応関係者の納得のいくような行為をとったらどうか、こういうふうに思っておりますし、またそのことを、ここで申し上げたように続いて申そう、こういうふうに思っております。
  307. 中井徳次郎

    ○中井委員 いまの大臣の答弁そのままですと、またNHKさんにおかれてもいろいろ言いたいことがあるかもしれませんけれども、しかし、先ほど会長は、たてまえを通してさえもらえばというようなことでございました。私もそうだと思いますし、大臣のほうも、そういうたてまえの中において、天下のNHK自分でもってまず率先して犠牲になるというこの気持ち、これであればというような御意見でありますから、何かその辺で調節があるように思います。どうぞ極力進めていただきたい。  それで、運輸省にものを申しますけれども、これもさっきから言うたてまえですから、運輸省のほうは何にも知らぬというふうなことであってはならぬと思うし、それから諸外国の例がたくさんあると思います。そういうことくらいはひとつ勉強してもらって——私はロンドンの空港の話を二年ほど前に聞きました。ちゃんと研究してもらってそしてあの空港ですか、飛行場の会計は特別会計ではなくて一般会計でしょう。一般会計であるならば、できたら、国からも多少のそういうものが出ればいいと私は思うのです。現に、小学校は騒音で聞こえないといえば、二重窓にするとか、いろんなことをやっておるのですから、それを私は、やはり国としても、そういう飛行場運営ということの中で、ことに日本は人口が稠密でありまして、飛行場も狭隘であるというような関係から、これは想像以上にひどいものがありまするので、もう次の通常国会にまたこういう質問を私どもにささぬでいいようにひとつ対策を練っていただきたい。あなたのところの大臣にもよく言っておいてください。片づけると言って、一向に、半年たってもまだ片づいておりませんから、この辺のところを進めるように願いたいと思うし、また、NHKさんにおかれても、これは前田さん、あなた、たてまえで、金額じゃないと言うが、金額のほうからいうてもたいしたことじゃない。これはやはり何としても経営者として金のことが問題になるし、将来は、これは私はほかにも波及すると思います。飛行機だけじゃありませんで、新幹線だ、鉄道だ、何だと波及すると思います。波及してもやむを得ないと私は考えておるのです。実は数年前にカーラジオの免除の問題でずいぶん皆さんにお尋ねしたのです。あれなんか、その当時何百万とあるわけですから、いまでもあるのですから、取れば相当な収入になるが、いろんな関係でとうとうラジオは全部免除になってしまったわけです。  そういうことで、あまりきれいごとを言わずに、やはり実際に即した飛行場の騒音問題として片づけていただきたい。これを私は強く要望いたしまして、さっきの通信衛星の問題に対する質問をペンディングとしまして、一応これできょうの質問を終わります。
  308. 古川丈吉

    古川委員長 中野明君。
  309. 中野明

    ○中野(明)委員 大臣もおいでになりましたので、私は、公明党を代表しまして、四十三年度のNHK予算について、過日来各委員の方からある程度質問が出ておりますので、極力重複を避けまして、ただし重要なことは重複するところがあるかもしれませんが、それに対しましては、党としてお尋ね申し上げているので御返事をお願いしたい、このように考えております。  まず、質問の前に第一点お尋ねしておきたいことは、きょうはすでに二十一日でございます。NHKのこの予算の審議をするにあたりまして、時間的な問題でございますが、非常に時間がございません。それで、この次の委員会というのは、定例でいえば水曜と金曜ということになりますと二十七日というようなことになります。そういうふうな段階で、私ども審議をするほうにとっては非常に困るわけであります。言いかえれば、非常に不親切な提案のしかたじゃなかろうか、こういうふうに私どもは思います。  そこで、どうしてこの予算を国会に提案するのがおくれたかということにつきまして、いろいろ世間ではいわれておりますが、私どもそういうことでは承知できませんので、この機会に、前田会長から予算提出の経過について説明をしていただきたい、このように思うわけであります。
  310. 前田義徳

    前田参考人 私どもといたしましては、大臣と密接な連絡をとりまして、二月の八日に、正式に郵政大臣NHK予算書を提出いたしました。
  311. 中野明

    ○中野(明)委員 大臣にもそのことについてお尋ねしておきたいのです。その間のおくれた理由でございますが、いま、NHKのこの予算につきましては、最近非常に予算も大きくふくれ上がってまいりまして、国民の中でも非常に関心を持っております。そういう審議にあたりまして、私どももできるだけ時間を与えていただいて、十分審議をさしていただきたいという気持ちを持っておるわけでございますが、本年のようなことでは時間的に非常に無理かと思います。そのために私どもも、最終的に手元にいろいろな資料が届きましたのが二日前でありますが、そういうふうなことで、はたしていま数々疑問に思われているNHK予算を責任を持って審議できるかどうかということをいま申し上げているわけです。ですから、そういう事情について、大臣のほうからもその間のいきさつを説明していただきたい、こう思うわけであります。
  312. 小林武治

    ○小林国務大臣 これはもうお話ごもっともでありまして、NHKからは二月八日に郵政省提出されておる、国会に政府から出したのは三月十二日、こういうことでありまして、非常に提出がおくれておる、そして審議にも御迷惑をかけておることはお話のとおりでありますが、ことしは、御承知のように料金の改定などがありましたために、これがいろいろの議論の対象になった、こういうことでこの問題につきましても政府部内ではいろいろの意見が出たのであります。したがって、これについては、いつものような意見書ではなくて、相当実質にわたる意見を郵政大臣に付して国会に出す、こういうことになったのでありますが、この意見書の内容について政府あるいは与党との調整等に相当手間がかかった、こういうことのために、遺憾ながら非常に時期を失しておる、こういうことでありまして、私どももこの点は深く遺憾に存じておる次第でございます。
  313. 中野明

    ○中野(明)委員 話に聞きますと、郵政大臣のほうが、今回の予算について非常に積極的に賛成できない、そういうふうな意見を出されたようであります。それが途中でまた変更になって、そうしておおむね良好というような結果になったように聞いておりますが、そこら辺はどうなんでしょうか。
  314. 小林武治

    ○小林国務大臣 詳細な経過は申し上げることを差し控えますが、お話のようなことも、いろいろ政府部内においてもあるいは与党との調整においても問題があって、そのために手間がかかった、こういうことは事実でございます。
  315. 中野明

    ○中野(明)委員 もう一点お尋ねしておきたいのですが、最初聞いておりました範囲では、テレビの受信料が、白黒が三百三十円、そしてカラーが四百八十円、そういう計画でおられたということなんですが、これが変更になった理由、その点について大臣から……。
  316. 小林武治

    ○小林国務大臣 実は、もともとカラーテレビには相当に、普通の白黒に比べて平均しても三倍程度の経費がかかる、こういうことになると、カラーを進めるということは、従来の白黒の受信者の料金の犠牲においてカラーが進められてきた、こういうふうに申されるのでありまして、私は、負担の公平の原則からいけば、カラーにそれだけ金がかかるならカラーとしてこれを負担するのが適当ではないか、こういうふうなことを考えておったのであります。ことし、たまたまNHKがカラーのために百五十円の付加料をひとつ取ることにしたいということになれば、当然、従来白黒が負担しておった料金が相当程度減額せらるべきである、こういうことは、私もそのとおり確信をしておるのであります。したがいまして、従来の三百三十円をそのままで据え置かれるということは、私には了承できない。そういうことで、NHK当局にもその話を前々からいたしておったのでありまして、かれこれ相談の結果、白黒から十五円差し引くことでひとつ話し合いがついた、こういうことで、結果的にはこういうふうな料金についてここに審議をお願いしておる、こういうことでございます。
  317. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、大臣としましては、カラーテレビを一挙にここで百五十円の値上げ、この是非については一応了承された、ただ、白黒の場合、いまのお話によりますと、NHK現状のままでカラーだけ上げてほしい、そういうふうな話だったけれども、白黒だけは下げさせた、こういうことですか。
  318. 小林武治

    ○小林国務大臣 NHKのほうも、ただ付加料を百五十円余分に取るということについては多少疑念があった、こういうことで、われわれに対する内話においては、これは十円くらいは下げてよろしいということを前から受けておったのでございます。それをまたいろいろの面において二十円下げろ、三十円下げろと、いろいろの議論があったことは事実でありますが、結果的には十五円下げ、こういうことに内定をしたのでございます。
  319. 中野明

    ○中野(明)委員 私はこれからいろいろ疑問点をお尋ねするわけですけれども、カラーテレビをここで百五十円値上げをするということについては、私は非常に不満足なんです。反対の気持ちが非常に強いわけです。それで立ち入って質問をしているわけですが、現在、新聞その他でもすでに公表されておりますが、NHK予算は非常に均衡のとれた予算である、そして黒字経営である、こういうことがいわれております。だから、料金を値上げしてまで新しい建設資金をつくる必要はない、よそから借りてきて一向差しつかえないのではないかというような意見が宮澤長官のほうからも出たようでありますし、そして経企庁の考え方も、そこまでしてカラーテレビをどんどん伸ばす時期ではないじゃないか、そういう必要はないのじゃないかという意見も出ておることが新聞紙上でも報じられております。そういうふうなことにつきまして、同じ部内で経企長官のほうからそういう話も出ておる。そういうことについて大臣がどこまでお考えになっていまのような結論をお下しになったのか。いま申し上げたNHKの黒字経営、非常に均衡のとれた財政である、そういう中で、はたして料金を余分に取ってまでカラーをやらなければならないか、これは確かにだれしも持つ素朴な疑問だと思います。この点について大臣にお尋ねしたい。
  320. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは関連の問題でありまして、私は、大きく見て、国民負担をできるだけ軽減をしたらよかろう、しかし、カラーが現実に余分な経費が要るならば、それに対して付加料を取ることはやむを得ない、そのかわり白黒の料金をできるだけ引き下げて、全体として国民負担を軽くしたらよかろう、私はこういう考え方でありまして、私どもとすれば、十五円の引き下げが適当であったかどうか、こういうことでございまして、要するに私は、付加料は取ってもよいから、そのかわり白黒をできるだけひとつ引き下げをしてもらいたい、こういう考え方をしておったのでございまして、経済企画庁がいまお話しのような御意見があったことも事実でございます。
  321. 中野明

    ○中野(明)委員 カラーテレビの特別料金につきましては、わが党の樋上議員も、昨年の七月ごろだったと思いますが質問しておりますが、そのときには、そういうことは考えておらないというようなNHKの答弁でございました。ところが、その答弁が済んだすぐあとくらいに、カラーの特別料金の計画、立案というものがどんどん進んで、十一月ごろにはもうすでにどんどん世間にも公表されておるというような段階になって、私どもも、カラーテレビのことについては、案外急に思いついてやったんじゃないかという感じを受けておるわけです。そしてまた、過去にも、いまの会長専務理事だった当時でしょうが、はっきりと、四十年を目標にラジオの無料と、また四十二年の六カ年計画が終わればテレビの値下げを考えるというようなことを言明しておられるということも聞いております。そういうふうなことから考えますと、NHKの計画というものは非常に順調に進んで、何でもかんでも予定どおり進んでおるという段階において、昨年の七月ごろはそういうことは考えておらないと言われておったことが、今回急にカラー料金の値上げというような話になって出てきたということが、私たちはちょっと納得いきかねるわけであります。その点について会長から御説明を願いたい、こう思うわけであります。
  322. 前田義徳

    前田参考人 まず第一に、結論的なところから御説明申し上げたいと思いますが、私が昨年の当委員会において、できればNHKの料金というものは変えたくないということを申し上げたことは事実であります。しかしながら、料金の問題については、部外者の意見も聞きながら、特別の委員会のようなものをつくって研究してみたいということも申し添えてあります。第二次六カ年計画の過程の中で、御承知のように、オリンピックの東京大会というものが非常にテレビの普及に役立ったわけでございます。したがいまして、第二次六カ年計画の実施の中では、われわれの予想を越えて普及率が非常に高くなった。ところが、日本全体の世帯数を見ますと、この普及率は現在のところすでに八0%をこえており、これからの問題はどうなるかという観点に立って考えますと、少なくとも今後五カ年間にわれわれが期待し得る聴視料との関係で、世帯数の把握というものはせいぜい四百十万程度であろうということが予想されるわけです。このことは、六年前と今日の情勢は、そういう世帯数という点においても全く別のものになってきておるという点が第一でございます。しかしながら私どもとしては、現在の経済情勢からいっても、個人の経済生活という点から申しましても、聴視者に負担をふやすような方向でこの問題を考えるべきではない。したがいまして私は、事務当局あるいは部外者の研究を待って、私が最終的にやむを得ないと考えた第三の理由は、今後五カ年間に、日本電波との関連での放送事業はどうなるかという点と、国際的に見て日本放送事業はどうなるかという二点でございます。  第一点につきましては、私といたしましては、少なくとも今後五カ年間に幾つかの重要問題が決定の時期を迎える。その第一は、現在NHKとしては、郵政省の指示に従って実用化試験局として過去数年にわたって建設を続け、かつ、放送内容を改善してまいっておるFM放送が、やはり最後の国策決定を待ってここに新しくスタートを切ることになるであろうという点。  第二は、すでに郵政大臣によって、私たちとの関連においても、いままでなかった高松、佐賀等においてUHFの親局の免許を受けたわけでありますが、これと関連して商業放送局も各所にできたわけであります。しかしながら、現在のところはUHFに関する最終的国策決定はございません。しかし、少なくとも私どもの考えるところでは、今後五カ年間のどの時期かにこの波の国策的最終決定もあり得るであろう、これが第二でございます。  第三は、カラーの問題でありまして、私どもはすでに数年間にわたってカラー放送を続けてまいっておりますが、これを国際的に見ますと、いまや、全世界的にカラー時代になりつつあります。御承知のように、アメリカは三大ネットワークが全時間カラー放送でございます。それから、一番いい例はイギリスでございますが、二週間前イギリスのBBCの技師長が私を訪問いたしまして、現在は週三十時間でございますが、明年からは週七十時間の放送をするということを言っております。これに対してウィルソン内閣は、従来の白黒料金の五ポンドのほかにカラー料金として五ポンドを取ることを許しております。しかし、BBCとしては、逆に白黒料金を一ポンド増しにして、その上にカラー料金の五ポンドを要請しておりまして、これに対しては、白黒の値上げはしてもらいたくない、そのかわり、イギリス政府としては非常な経済、財政の難局に立っておりますけれども、二百万ポンドの補助金を出すという内諾を与えております。これはごく最近の例です。しかも、世界的な番組交換、交流という点からいいますと、宇宙中継の番組すらカラー化されるという現状において、せめて私どもが放送法によって規定された使命の先駆者となるべきである、しかも、それももちろん最小の時間を考えるというような意味で、やはりカラーの増強はしていかなければならないということを考えたわけでございます。  さらに、その次の問題点としては、教育放送等におきまして、ことに辺地の教育を考えるとき、小学校、中学校等のいわゆる辺地の実験室の整っていない学校のために、化学ないし物理番組をカラー化するということはかなりの必要性があるのではないかということも考えました。  それからさらに、私どもとしては、やはり従来からも問題になっているわけでありますが、衆参両院を通じて、将来の選挙放送テレビによって行なわるべきであるという考え方を持つわけであります。その場合には、やはり全国的な、少なくともわれわれは一応形式的には県別放送と申しておりますが、選挙区を中心とする放送が完全に行なわれない限りこの問題の解決はあり得ない。  以上申し上げた諸点を五カ年間の構想の中に組み入れて考えるときに、私としては、前国会等で考えていた考え方をこの際、君子ではありませんが豹変して、これを改める必要がある、こう考えたわけであります。したがいまして、この構想が固まって間もなく、先ほど大臣も言われたとおりに、この考え方について大臣の御意見を承って、その結果として、ただいま御審議いただいている予算書の作成となったわけでございます。
  323. 中野明

    ○中野(明)委員 いま会長のおっしゃることは、これはNHKの使命として当然だろうと思います。しかし、最初に戻りますが、カラーの料金を値上げしてまでという、財政的なゆとりがあるわけですから、そこで私たちは少し考え方を異にするわけです。  特にいただきました資料の三四ページの算定の根拠のアに、カラー放送実施のために、受信料公平負担の見地から云々ということがございます。それで、付加料として百五十円を加える、こういうふうにおっしゃっているわけですが、これはだれしも感じるごく素朴な意見でございますので、この点、納得のいくように御説明願いたいわけですが、カラー放送はカラー放送としてやっている、白黒は白黒でやっている、こういうのならば、そして受けるほうが別々に受けているというのならばそれはわかるわけです。しかしながら放送はカラーでやっている、それで、その放送を受信するほうの受信機の都合によりまして、白黒に見える人とカラーに見える人とに分かれている。ですから、これは放送の問題じゃなくて、受信機の性能の問題だ。だから、当然そこには性能の違いがあるんだから、白黒テレビとカラーテレビは物品税その他ででもちゃんと差別はしてある。それをNHKのほうでは、受信機の性能の問題を云云しなければならないことを放送の料金のほうへ振りかえてきているんじゃないか、これは納得できない、こういうほんとうにしろうとが考えた素朴な疑問だと思うのですけれども、これはたいていの人が持っていると私は思います。  この点について、会長のほうから納得のいくように説明をしてもらいたい、こう思うわけであります。
  324. 前田義徳

    前田参考人 詳細の点についてはそれぞれの担当理事から説明してもらいたいと思っておりますが、現在日本で使用している受信機は、先生も御承知のとおり、また御指摘になりましたとおり、コンパティブルシステムでありまして、カラーであっても白黒であっても同様に受け得るというものでございます。  この際、それではなぜカラー料金を追加しなければならないかという問題でございますが、これは先ほど来大臣の御意見にもありましたように、大体、従来の白黒を中心としてカラーの実験的放送並びに本放送に移って以来の経費を計算いたしますと、少なくとも従来の範囲でのカラー放送においては十円内外のカラー部分が含まれておる、したがって、そのようなことを勘案しながらただいまの白黒料金の算定ができたわけでございますが、同時に、今後カラーの番組を五カ年間に、きわめて徐々でございますが、現在すでに七時間半の放送をしておりまして、御審議いただいている予算書の年度末において一日十時間にしようという考えでございますから、それによって五カ年間を想定いたしますと、大体百五十円を多少上回る原価計算になる、しかし、この場合には、やはり百五十円の追加をお願いすることが、いわゆる負担の公平の原則をある程度明らかにできるという考え方を持ったわけであります。先ほどの先生の御質問の中に、建設費と関連してこの問題が取り扱われたわけでありますが、建設費においては、最終的には、もちろんあらゆる借金はすべて受信料以外にこれを支払う財源はないわけですが、当面の問題としては、建設費はこの追加料金の中からは支出しないというたてまえでございます。そういうたてまえで計算いたしまして百五十円——現在申し上げますと、カラーの受像機を持っておられる家庭の総数は、大体現時点では九十万世帯と概算されます。それからまた、電子工業界等の明年の出荷台数の予想、これらを含めますと、およそ二百五十万くらいにあるいは相なるかもしれないと考えます。しかしながら、NHKの捕捉する対象は受像機の台数ではございません。世帯数でございますので、将来一世帯複数の場合もあり得るわけで、しかしながらNHKの場合は一世帯だけである、そういう意味で、私どもとしては明年度百四十万軒の獲得を目ざしているわけでございます。そういたしますと、白黒の世帯数は、おそらく明年世帯数の把握の伸びを九十万軒と考えまして、二千九十数万軒のうち百四十万軒が百五十円の対象であって、その他はすべて値下げの対象になるという点から考えますと、これは総合的に見て完全な値下げであるという考え方にも立ったわけであります。もちろん、同時につけ加えますが、先生のおっしゃる、私の理解した御意図と関連して、私は、東京、大阪の各受像機の大メーカーの社長との懇談会を開きまして、大体コストダウンを強く要望して今日に至っております。
  325. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのお答えでは、私たちは、すりかえたのじゃないかということについてはもう一歩釈然としないのですが、いま御返事の中にありました、現時点においては値下げをやった、いまそういうふうなお話も出ましたが、これはいよいよ目先だけのことをお話しになっているのでありまして、私たちはそうは受け取っておらぬわけです。長期的に見ますならば、これは完全な値上げだ。  と申しますのは、この白黒テレビができまして、そして今日十年余りたったわけですが、だれが今日のような発展を予測したでしょうか。考えてみれば、おそらく考えておられたとしてもごくまれだろうと思います。それくらいにテレビは普及いたしまして、すでに今日ではもう生活必需品になっております。一時は、生活保護世帯ではテレビなんかぜいたく品だからというのでしかられたのですが、最近では生活保護世帯でもテレビは認められている。そこまで伸びました。また、時代の流れから見まして、テレビが伸びること、カラーテレビが伸びることはもう自明の理です。そうなりますと、いまここできめられた価格がそのまま近い将来はテレビの基本料金となって、そしてカラーテレビがどんどんふえ、そのまま値上げになっている、そういうふうに私どもは受け取るわけであります。それは、いま会長はことしだけのことを言えば値下げじゃないかと非常に強調されますけれども、ちょっと長い目で見たら完全な値上げだ。だから私たちは、時期としてまだ値上げについては納得できない、こういう考えを持っているわけです。その点について、もう一度会長のほうから……。
  326. 前田義徳

    前田参考人 私どもも、その点については、将来の問題はやはり受信料を調整すべきであるという考え方に立っております。しかし、少なくとも私どもの五カ年間の予想では、五年目の把握の総数は六百五十万世帯、こう考えております。したがいまして、いま先生がおっしゃる意味の根本的調整の時期は必ずしも早くないという考え方を持っております。それから、保護世帯その他につきましては、NHKは一00%免除の措置をいたしております。それから、戦後の受信料の取り扱い方といたしましては、NHKは実は二回値下げを行なって今日に至っております。三百八十五円を三百三十円にし、それから今回三百三十円を三百十五円にいたしております。NHKは、戦前は法人の骨格が違いますが、NHKの歴史は、戦前において二回、戦後において二回値下げをしているということは事実であります。ただ、先生の御結論の部分については、当然将来これを調整すべきであるという考え方を持っており、その時期が来れば、やはり総体的な値下げになるだろうということも予想されるわけでございます。
  327. 中野明

    ○中野(明)委員 それから、いまの答弁の中でも値下げのことも出ておりますが、値下げについては、もう私どもは何も異議もございませんし、大賛成でございます。そしてまた生活保護世帯のこともお話しになりましたが、これは少し誤解されておられるのじゃないかと思いますので言っておきますが、私はそこまで普及している、聴視料金のことじゃなしに。ですから、おそらく将来においてカラーテレビももうわれわれが予想している以上に伸びていくということを申し上げているわけです。ですから、その点を誤解なさらないようにお願いしたいと思います。  なお、設備のことについても、NHKが現在カバレージを努力している。このことから考えましても、白黒テレビの場合を見ましても、過去五年間、増加受信者の一人当たりの経費はもうウナギ登りに上昇しております。それほど努力をなさっておるわけです。すなわち、三十八年度には五千四百円であったのが三十九年度に一万円、四十年度は一万一千二百円、少し端数があります。四十一年度に一万三千二百円、四十二年度は一万七千円、一台のテレビ当たりの建設施設費ですね。これが三倍以上投資をなさっても、あらゆる人にテレビを見せるというこの放送法の精神に従って真剣な努力をなさっておる。そういうことを考えますと、だからといって、それじゃ五年前にテレビが初めて見えるようになった地域といま初めて見えるようになった地域と三倍も投資があるわけですから、テレビの聴視料金を三倍にするか、そうはいかないと思うのです。  そういうふうに考えていきますと、料金を値上げしてカラーの推進をするという考えではなしに、どこまでも経営を最高に合理化して、そうして、いままでテレビの難視聴地域にもどんどん努力をしておられるような真剣な努力がNHKに課せられた大きな使命じゃないか、私たちはこのように考えているわけであります。だから、あえてカラーテレビの料金をいま付加料として取る必要はない、NHK自体が努力をなさって、そうしてがんばっていただくのが一番いいのじゃないか、私たちはこのような考えを持って申し上げておるわけです。その点をもう一度会長のほうから……。
  328. 前田義徳

    前田参考人 おっしゃるとおりでありまして、私は、先生の実に真剣で、愛情こもった御説明には別に異論があるわけではございません。ただ、現実から申しますと、NHKの合理化と申しますか近代化は、第二次六カ年計画の成果として、この夏からすべて全国的に技術も番組み制作も機械化されます。この結果として、実はそれを考えなかった場合にはこれはいろいろな御異論もあるかと思いますが、現在のNHKの職員の総数はおよそ一万八千名をこえたろうと思います。ただ、これを逐次部門別に実施してまいりました結果、現在およそ一万五千名で足りている、したがって、この人件費の割合も、実はここが非常に健全過ぎるではないかと言われるかもしれませんけれども、普通の事業会社に比べますと非常に低い率になっております。私どもとしては、もちろん、できれば安いに越したことはないし、それからまた、できれば料金の改定というようなことは手をつけるべきでない、これは前回の国会でも申し上げた私のほんとうの気持ちであります。ただ、現状からいって、そのような体制もできた上で、それでは内外の放送事業界の情勢をどう判断するかという問題であり、現在、簡単に申しますと、ここにもあるいは御異論があるかもしれませんが、少なくとも二千万をこえる大衆は、百四十万を予想する世帯よりも経済生活の中身が多少異なるであろうということが想定されるわけであります。そのミニマムをここでとることによって、一時いろいろな意味で受益者負担の原則が危うくなったものをここで再びその原則を打ち立てたいという考え方もございます。ただし、これからの運営につきましては、もちろん、先生のおっしゃるように、さらに一そう近代化、合理化を考えながら、これらの問題を聴視者との関係において、また国会、当委員会の御方向に従ってできるだけ早く調整する機会がくることを期待いたしております。
  329. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃ重ねてお尋ねしておきますが、いまNHKが立てておられる五カ年計画、これはいま会長からもお話がありましたように、四十三年度は百四十万、四十四年度は二百三十万、四十五年度は三百五十万といきまして、最終、四十七年度で六百五十万、このような長期の見通しを立てておられるようでありますが、これが私たちの考えでは、もうこれを上回ることは必至だ。これはもちろん先のことですから、その時点がこなければ大きなことは言えないと思いますが、私たちはそのように現在は直観的に感じているわけです。そのときに、この計画を上回った場合には直ちに値下げをする、そういう考え方を、先ほどからそういうニュアンスはお聞きしているのですが、そういう決断をお持ちかどうか、もう一度はっきりお伺いしておきたいのです。
  330. 前田義徳

    前田参考人 これが、たとえば税金でありますと、額の決定によって年間どのくらいの収入があるかということは非常に簡単に予想できると思います。ただし、NHKの場合は一軒一軒契約を結ばなければなりません。したがいまして、一般的感触と異なって、簡単に言いますと、われわれ同僚の努力次第によって、ミニマムを確保できるかあるいはさらに伸び得るか、同時に、経済環境がこれを——個々の聴視者の方々の経済環境が許す場合にはこの伸びはかなり早くなるであろうということが予想されます。しかし、少なくとも五カ年間にかりに一千万になった場合に、私どもとしては、それは当然ちょうど半分になるわけですから——半分近くになるわけですから、その場合にはおそらく御期待の方向にいけるかもしれないという予感は持っております。  ただ、申し上げたいことは、何年何月にどのような処置をとるかということについては、私としては責任ある答え方としてはそうはっきり申し上げられない。ただ、御趣旨の方向には従ってまいるということでございます。
  331. 中野明

    ○中野(明)委員 時間もどんどん経過するようですから次の問題に入りたいと思います。  次に申し上げたいことは、時の焦点としまして小笠原の本土複帰が大きな問題になってまいりました。この四十三年度の予算の中でも沖繩のテレビ施設に三億五千万一応計上されておりますが、この是非は、これは議論のあるところだと思います。これは後に譲るといたしまして、沖繩は、現在のところはまことに同胞として残念ですけれども、まだアメリカの施政権下にあります。ところが、小笠原はもうこれは近々日本の本土になります。そうなりますと、当然NHKの使命として、ここにテレビ放送、これが問題になってくると思います。ラジオは、現地に行った人の話を聞きますと聞こえているようであります。これにつきまして、どういう計画をお持ちになっているか、どういうお考えを持っておられるか、また、この予算にどれだけ組んでおられるか、それをお尋ねしたい。
  332. 前田義徳

    前田参考人 小笠原については、御審議いただいております予算面ではあらわれておりません。ただし、小笠原はテレビの場合はマイクロ回線の利用その他が非学に困難だという実情がございます。しかし、すでに研究は始めております。私自身の素朴な考え方は、いわゆるリレー放送、中継放送が困難な場合には、あるいは現地に非常に簡単な放送局をつくって、同時放送は困難であっても、何らかの形で番組を輸送することによって、その現地において放送も可能ではないかというようなことを考えておりますが、いま技術を中心としてせっかく検討中でございます。  もしこういうことが実現する場合に、それではその財源をどこに求めるかということがあると思いますが、建設費については、それほどスケールが大きくなければ建設費の内部調整によってこれを処置できるのではないか、また、それが不可能である場合、番組関係をも含めて、これはやはり予備費の支出にまたなければならぬであろう、このように考えております。
  333. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃ、それだけの用意はお持ちになっている、そういうことですね。  それで、この問題については大臣にもお伺いしておきたいのです。いまの小笠原の復帰が六月ごろだというような話が聞こえてまいっておりますので、大臣としてどうお考えになっておりますか。
  334. 小林武治

    ○小林国務大臣 小笠原の復帰について一番大事なのは通信施設をする、こういうことで、無線電信回線とかあるいは無線電話とか、こういうことについては日本電信電話公社のほうでそれぞれ準備をいたしております。  放送についても必要でありますが、要するに、現地における需要、こういう問題が起きますと、どれだけ小笠原の人口がふえるか、こういうことにも関連して考えていかなければならぬと思いますが、いまのような必要がすぐとは言いませんが、やがて出てくる、そういう場合にはひとつNHKに適当な処置をとってもらわなければならぬ、かように考えております。
  335. 中野明

    ○中野(明)委員 じゃ、次に移ります。  本質的な問題でお伺いしておきたいですが、NHKの経営委員会と会長との関係、そしてまた、番組審議会と経営委員会並びに会長との関係と使命ですね。わかりやすく説明していただきたいのです。非常に素朴な話で申しわけないのですが、お願いします。
  336. 前田義徳

    前田参考人 経営委員会は、放送法上、また放送法に基づくNHKの定款上最高の機関となっております。放送法は、経営委員会が行なうべき仕事の範囲と性格を規定しております。  私自身が考えておりますのは、この経営委員会の一番大きな任務は、経営委員会は会長を任命する点にあるということを私自身は感じております。したがって、経営委員会は、執行機関の長としての会長を任命すると同時に、放送法は、NHKの代表機関は会長であるということになっております。その意味におきましては、私は、現行の法律制度に基づく経営委員会はきわめて忠実に、また、その法律の本旨に従っていろいろな会議を開いておられる、同時に、一般的に、経営委員会は個人の経営委員がその個人的考え方を会長ないし執行機関に強要するようにはなっておりません。経営委員会は全員の会議体でありまして、したがって、会議を通じて私を任命し、会議を通じてNHKの基本方針を検討するということになっております。  番組審議会は、これは大体三十五年かと記憶しておりますが、放送上の一部改正によって放送法上つくられたものでございまして、中央番組審議会と、それからそのほかに中央局を中心とする八つの地方番組審議会がございます。中央番組審議会の委員の任命においては経営委員会の承認を経ることになっており、地方番組審議会の委員の任命は経営委員会の了承をいただくことになっております。この番組審議会は会長の諮問に答えるということになっておりまして、その意味で非常に活発な活動を続けております。また、審議会の成果については、私どもは経営委員会に一々報告いたしております。
  337. 中野明

    ○中野(明)委員 わかりました。  そこで、大臣にお尋ねしたいのですが、これは過日来問題になっておりますことをもう一度、大事なことでありますので私も大臣の見解を求めておきますが、大臣が、会長の政府任命ということについて考えたらどうかという検討を命じられたということ——いまはそういうことはこの次の改正にはもう入れてない、撤回しておられるようでありますが、そういうふうな考えをどうして持たれたのか、その辺の心境をお伺いしたい。
  338. 小林武治

    ○小林国務大臣 考えはもう至るところにあるので、私が考えた、こういうことで、世間でもそういうことを考えるし、私にそういうことを申し出る方もあった、こういうことでありまして、そういうことの是非をひとつ事務的に考えてもらいたい、こういうことを言うたことはあります。
  339. 中野明

    ○中野(明)委員 いや、大臣がそれを聞かれたときに、一応現在の——いま、先ほど会長の話では非常に合理的な一番いいやり方だと私は思いますが、そういうことを大臣自身がお聞きになって、これはいいことかもしれぬというようなお考えがあるから検討されたのじゃないかというふうに私たちは受け取るわけです。そんなこと、話にならぬ、こういうことなら、別に検討される必要はさらさらないのじゃないか、私はこう思うわけです。それでお尋ねしているわけでして、考えは、それはいろいろあります。ありますけれども、現在の一番合理的な納得のいくやり方、これに対してまっこうから、うしろを向くようなそういう考え方は、それはおかしいじゃないかというふうに大臣個人が思われたら、当然、そんなことを検討しろとか、検討しようじゃないかというふうに取り上げられない、私はこのように思うわけです。それでなければ、あまりにも自主性がなさ過ぎると思うのです。だれかがそこらで何か言いよるから、おい、検討しろ、そういうふうなことでは、これはほんとう大臣としては困ると思うわけです。そこのところを……。
  340. 小林武治

    ○小林国務大臣 私はそういうふうに思わないのであります。いろいろの意見というものは、あらゆる場所また場合において検討してみる値打ちがある、こういうことに私は考えております。たとえば電電公社の総裁も政府任命をしておる、こういうことでもありまするし、また、こういう考え方もあるならば、やはり検討に値する、こういうことでございます。   〔「もうやめたんだよ」と呼ぶ者あり〕
  341. 中野明

    ○中野(明)委員 それは一応撤回なさったのですからいまさら議論するのもおかしいようですけれども、私は、そういうことが大臣から出るということを心配しているわけです。これがほかの人が言うなら何にも思いません。だけれども、現職の郵政大臣がそういうことを検討に値すると言われるということは、これは非常に大きな問題になるわけです。それで、あまり問題が大きいから引っ込められたのではないか、波紋が大きかったから引っ込められたのではないかというような気もするわけですが、このようなことが大臣の口から出るということが、私は少し考え過ぎかもしれませんけれども、大臣なりあるいは政府が、NHK会長を任命する経営委員会というもの、経営委員会そのものを信頼しておらぬのじゃないか、そういうふうな気がするのです。これは思い過ぎでしょうか。
  342. 小林武治

    ○小林国務大臣 それはまたいろいろな見方があります。経営委員会の機能あるいは現在の働き方がほんとう法律に書いてあるようにかなっておるかどうかということについても、世間にいろいろな批判があるわけでございます。したがって、それで法律にいわれておるように十分な機能を発揮しておるということになれば、これもまたけっこうなことである、そうでなければ、またこれについても考えなければならぬ、こういうことでございます。
  343. 中野明

    ○中野(明)委員 いやしくも経営委員会の委員は国会で承認をしているわけです。ですから、それを現職の大臣が云々されるということは、国会の決定をやはりある程度軽視しているのじゃないかというような考え方も持てるわけであります。そういう点で私が申し上げているわけであります。  いま一点、経営委員の報酬ですね。これも何か、政府から出したらどうかというようなことを検討しているというようなことなんですが、このことも同じことが言えると思うのです。この国会で承認した経営委員そのもの、そしてまた経営委員会そのものを信用できぬというようなことが裏にあるのじゃないかというふうに私たちはとるわけです。それはもうこちらの思うのは自由だと大臣言われるかもしれませんけれども、大臣がそういうことを了解の上で検討させられようとするということになると、われわれとしてはそう思わざるを得ない。それが、大臣でない人がああだこうだ言うているのなら私たち別に気にもとめません。問題にもなりません。だけれども、現職の大臣がそういうことを言われるから問題にしているのであり、また問題になる、こういうことを言っているわけなんです。この経営委員会の報酬のことについてはどうなんですか。
  344. 小林武治

    ○小林国務大臣 これは世間でも考え、私自身も、とにかく政府が任命をしておる、そして任命をしておりながら、それの報酬、手当等については何も処置しておらぬということは、必ずしも適当でないというふうに考えております。
  345. 中野明

    ○中野(明)委員 当然、これはどこから報酬をもらおうと、委員の人たちは別にそのことによって左右される人じゃないと思うのですけれども、そういうことを言い出されると、また給料でも報酬でも政府のほうから出して、そして、やはりそこに発言力を持とうとしておるのではないかというような疑いが出てくるわけです。だから問題になっているのです。これも、何も大臣がそういうことを言われなければ別に私たちはこの問題について取り上げて云々する必要はさらさらないわけです。  いつもこの委員会でも問題になっておりますように、ときどき大臣があっちこっち行かれたときにいろいろ言われる。それが新聞に出る。そして物議をかもし出しているわけです。そして要らぬ心配をしてみたり、がたがたするようなことになっているわけでして、そういうことは、もう一歩突き進んで考えますと、そういう、大臣が何の気なしにおっしゃっている。これは悪くいえば放言とういことになるかもしれませんが、そういうことが知らず知らずのうちに無言の圧力のような形になって、NHK放送態度とかあるいは取材態度にあらわれてくるような姿になったらこれはまずい、私たちはかように思うわけです。特にNHKは不偏不党ということが大原則にある機関でございますが、しかし最近非常に、何かNHKの取材態度とかあるいは放送態度というのが不愉快だ、どこかに片寄っているのじゃないかというような声もちらほら聞こえてくるようなことがございますので、私は大臣のそういう一連の放言というのですか、発言が知らず知らずのうちにNHKのほうに影響を与えているのじゃないか、そういうふうな心配をしている一人であります。  この点、今後大臣がそういう点については、極力発言をよく考えてしていただきたいということ、それからNHK会長さんには、たとえどうあろうとも、いまもそうだと私は確信しておりますが、不偏不党の立場から、厳正に報道放送の公平という点について信念を貫き通していただきたい。重ねて私は要望を申し上げたい、こう思うわけでありますが、大臣、いかがですか。
  346. 小林武治

    ○小林国務大臣 中野委員は私が種々放言をするとおっしゃいますが、私は放言したつもりはありません。放言ということは、言うたことが一つも実現性のないことを言うのがこれが放言だろうと思いますが、私は、皆さんの批判なり御意見を聞こう、こういうことで少し早くものを言っておるので、いままで少なくとも私が言うたことで——NHK会長制の問題については、これは事務当局検討してもらいたいと言うて、そのことはいまこの改正に入っておらぬ。しかし、そのほかで私が言うたことで、いわゆる放言、あれは何にもできなかったということは一つもない。私は一つ一つ勘定してもよろしゅうございますが、私が申したことは、まずそういうことで、世間の御意見をお聞きしたりして大かたこれは実現しておるのであって、これは私は放言とは思っておりません。そのことだけはっきり申し上げておきます。
  347. 中野明

    ○中野(明)委員 私はもちろん大臣発言、あるいはこれを世間では放言と言うかもしれないというふうに言ったわけですけれども、それでは、大臣NHK会長の政府任命というものはやはり本気で考えておられるのですか。
  348. 小林武治

    ○小林国務大臣 いま申し上げたそのことは、私はいま考えておらぬから、これはあるいは世間で言う放言になったかもしれない。
  349. 中野明

    ○中野(明)委員 それでは、大臣はいま、私はもう一つ一つ数えてもいいと言って、えらいたんかを切られたのですけれども、それは放言として扱ってよろしいのですか。
  350. 小林武治

    ○小林国務大臣 それは、実現をしないということなれば、できないことを言うた、こういうことになるかもしれません。
  351. 中野明

    ○中野(明)委員 それは放言でしょう。
  352. 小林武治

    ○小林国務大臣 そうおとりになってけっこうでございます。
  353. 中野明

    ○中野(明)委員 そういうことで議論をしてもつまりませんが、大臣発言されることが非常に影響力が強くなっております。それだけに、気をつけて発言をしてもらいたいということを私は言いたかったのです。
  354. 小林武治

    ○小林国務大臣 その点は了承いたしました。
  355. 中野明

    ○中野(明)委員 それから最後に、先ほど申し上げました会長の今後の決意をもう一度はっきりお聞きしておきたいと思います。
  356. 前田義徳

    前田参考人 私は、放送法の原則を形式的にもモラル的にも守ることを要望されて経営委員会によって任命されていると考えております。ただ、世界が非常に分裂しているときには、その出てくる形については、いろいろな方が、ただいま大臣が言われたようにいろいろな見解をお持ちになるかもしれないと思っております。ただ、私はその原則は貫く、原則を貫く方式は何かといえば、やはり常識であり、そして、その常識の上に立って国民的共感を得ることにある、こういうふうに考えておりまして、少なくともこれが不可能であれば、私は別に会長でなくともよかろうというところまで実は考えております。
  357. 中野明

    ○中野(明)委員 最後に、私は先ほどからの質疑を通じましていろいろ答弁もいただきました。それで、自分でまだ整理できてない面もございますが、頭を整理していろいろ考えてみたいと思っておりますが、カラーテレビの現時点における百五十円の値上げということについては、きょう大臣なりあるいは会長から答弁をいただいたことをもう一ぺん私は整理して考えてみたいと思っておりますが、どこまでも疑問を持っている一人でございます。そのことだけ最後に申し上げて、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  358. 古川丈吉

    古川委員長 次回は、来たる二十六日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十四分散会