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1968-03-15 第58回国会 衆議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十五日(金曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 齋藤 憲三君 理事 田澤 吉郎君  理事 坪川 信三君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 金丸 徳重君 理事 山花 秀雄君    理事 小沢 貞孝君       内海 英男君    小渕 恵三君       加藤 六月君    金丸  信君       羽田武嗣郎君    大柴 滋夫君       中井徳次郎君    森本  靖君       中野  明君    田代 文久君       古内 広雄君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   三熊 文雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営         主幹)     野村 忠夫君         参  考  人         (日本放送協会         放送総局総務) 藤根井和夫君         参  考  人         (日本放送協会         監事)     門田 重武君         専  門  員 水田  誠君     ————————————— 三月十四日  委員安宅常彦君及び田代文久辞任につき、そ  の補欠として山内広君及び谷口善太郎君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員山内広辞任につき、その補欠として安宅  常彦君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員安宅常彦君、石橋政嗣君及び谷口善太郎君  辞任につき、その補欠として平等文成君、森本  靖君及び田代文久君が議長指名委員に選任  された。 同日  委員平等文成君及び森本靖辞任につき、その  補欠として安宅常彦君及び石橋政嗣君議長の  指名委員に選任された。     ————————————— 三月十三日  お年玉つき郵便葉書及び寄附金つき郵便葉書等  の発売並びに寄附金の処理に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出第六九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、  を求めるの件(内閣提出承認第二号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。山花秀雄君。
  3. 山花秀雄

    山花委員 前田会長が参っておりますので、一言お伺いいたしますが、日本ではラジオテレビアメリカと同じようだといわれております。それは朝から晩まで、深夜にわたってやっておる。一言で言いますと、世間では一億総ばかの製造元だというふうにもいわれておりますが、外国の関係においてアメリカ日本だけだ、こういうふうに私は知らされておるのでありますが、その他の国においてはどういうような放送時間になっておるか。これは会長でなくても、専門の人に聞かしてもらえばいいと思います。
  4. 川上行蔵

    川上参考人 いまお話しがありましたように、アメリカにおきましては、大体朝の五時ごろから次の日の朝の二時ごろまで放送いたしております。南米系統もそのような傾向になっております。欧州関係におきましては、それよりも少なくて、朝の七時ころ、あるいは国によりましては六時ころから大体午後の十二時ころまで放送いたしておるという形でございます。それから欧州各国ではカソリック系の国々におきましては日曜の朝、何か多少教会の関係なんかもございまして、開始時間が八時になったり九時になったり、そういう国も二、三ございますが、しかし、ほとんどの国も大体終日放送と申しますか、朝六時くらいから十二時ころまで、次第に施設を充実したり、あるいは予算を拡充できるその限界に応じて一日放送いたしておる、そういう傾向にございます。  その傾向一つの原因は、単に娯楽を提供するということだけではなくして、一日じゅう社会の活動に応じまして二十四時間、いかなる事態に際しましても緊急事態放送できる、あるいは社会の動きに応じてニュースを提供できる、そういう機能を充実させていっておる、そういうような関係にあると思います。
  5. 山花秀雄

    山花委員 小林郵政大臣にちょっとお聞きしたいのですが、人間生活基本は、八時間働いて、八時間修養、娯楽に費やして、八時間は安眠すれば一番健康体で、人間生活においては最上のものだというようなことをわれわれは子供の時分から、また世間一般ではそういうようにいわれております。戦後、日本労働時間は労働者を守る労働組合法その他いろいろ法規ができまして、最近では拘束大体八時間というのがおおむねの事業所では守られておりますが、こういうものの考え方、八時間働いて八時間教養あるいは勉学、娯楽、八時間は寝る。こういう考え方大臣、いかがに考えておられますか。
  6. 小林武治

    小林国務大臣 私は、それがきわめて適当な考え方だ、かように思います。
  7. 山花秀雄

    山花委員 そこで問題になるのは、先ほどNHKのほうにお尋ねいたしました早朝から深夜にわたって、一般的にはこれは一億総ばか傾向があるというくらいじゃんすかじゃんすか一日中やっておるのでありますが、欧州関係においては相当時間が制限されておる。まあ、アメリカ南米関係ではわりと時間が長い。特にアメリカ日本よりももっと長い間テレビなどの放送をやつておるということを聞いておりますけれども、いま大臣のおっしゃった八時間、八時間、八時間が最適ということになりますと、これは民放関係もあると思いますが、放送は十時に打ち切るというようなことになりますと、大体八時間睡眠する時間が一般に与えられるという、そういう傾向になりますので、そういう法規上の改定と申しましょうか、という意思——これはNHKがやろうといたしましても、民放関係もありますので、監督立場にある郵政大臣にそういうお考えがいまおありでありますか。それともまた考慮されるというふうにお考えになるか、この点、一点お伺いしたいと思います。
  8. 小林武治

    小林国務大臣 まあ、世論としても、いまのようなほとんど終日に及ぶ放送はどうかと、こういう世論はありますが、しかし、国民生活がだんだん複雑になってくると、その八時間・八時間の使い方が全く違った人々が出てきておるわけでありまして、通常の場合は昼間八時間働くというのがこれは普通の場合でありますが、そうではなくて、夜八時間働く、こういうふうな者も出てきておる、こういうわけでありまして、やはりこれは深夜放送などについては聴視者がある、こういうことで、需要があるからしてやはり供給がある、こういう関係にありますので、社会生活がいま非常に多様になってきておる。こういうことからいって、一がいにどうもいま時間を十時までに制限しろとも言いがたいのでありまするが、私はいまの方法が必ずしもいい放送時間であるとは思っておりません。しかし、これからはやはり世論によってひとつこれらの行く先をきめるべきだ、かような考え方でありまして、いま直ちにこれらを法的に規制したらよかろう、こういうふうな用意はいたしておりません。
  9. 山花秀雄

    山花委員 国民生活が多様化しておるということは、私ども別に否定はいたしません。ますます複雑多岐国民生活実情だと思うのであります。しかし、それとこれとは同一には考えられないと思います。朝六時から晩十時まで大体十六時間のぶつ通しになりますが、そのくらいの規制をしてもいいのではないかと私は考えます。まあ世論動向によって大臣意思もきめたい、こういうお話でございましたが、世間ではあまり長いので、たとえば子供のあるいはその他あすの仕事、こういうことを考えてまいりますと、やはり十時ごろをめどとして打ち切ってもらいたいという世論のほうが大きいのじゃないかと私は考えておりますから、そうしたらいかがかと質問しておるのでありますが、この点は、ひとつ十分今後検討をしていただきたいと思います。  なお、NHKのほうの予算が上程されておりますが、予算規模は本年度赤字になるような規模で出されておりますが、赤字解消の意味から申しましても、十時までに打ち切りますとこれも解決するのじゃなかろうか、こういうふうに考えておりますが、ひとつ前田会長さん、どういうようにお考えになっておられますか。
  10. 小林武治

    小林国務大臣 私から念のためにもう一度お答えしておきますが、私どもはいまのお話の問題、やはり検討に値する問題だ、かように考えてそういうふうなことをいたしたい、こういうふうに思っておりまするし、まあ、それぞれ家庭内においては自分で統制はできる。聞かないで済ますことができるが、いまのようによそから聞こえてくる放送その他に非常に迷惑をしておるということはいま事実でありますから、家庭内でそれぞれの受信機統制ができても、それだけではやはり解決がつかない、したがって、いまのような問題は検討しなければならない問題である、かように考えております。
  11. 前田義徳

    前田参考人 私は、考え方としては、私自身も従来から、将来そういう傾向になり得るかどうかという点については非常な関心を持っております。ただ、現状においては、日本社会生活あるいは職域の複雑性ということばかりでなしに、やはり国民生活必要性という点から見て、とにかく供給はいつでもできる、いま小林大臣がおっしゃったように、そういう体制をつくっておくこと、今日の場合にはまずそのつくることに専念いたしておる状態ではないかと思います。しかしこれが、たとえば、私の想像でございますが、すべての波が開放されて、そうして、放送事業というものがただいま先生が言われたような見地からも検討を加えられる時期に至れば、私は自然にそういう状態も起きるのではないかというようにも考えられますし、それからまた同時に、商業放送公共放送というもののあり方についても新しい時代が始まるであろうというように考えているわけでございますが、今日においては、私どもから申しましても、また皆さんの御要望、支局その他との関連から考えましても、まだその時期には至っていないかの印象を持っておるわけでございます。
  12. 山花秀雄

    山花委員 一応、これは十分検討を要するということで受けとめていただきたいと思います。  新しい受信料についてお伺いしたいと思いますが、NHK前田会長は、従来、当委員会において再三にわたり、カラーテレビ別建て料金制はとらない方針である、また、二カ年間は現行受信料を維持するようつとめると言明されておりましたが、前日の委員会で、中井委員質問に対して突然豹変した。開き直って、昭和四十三年度からカラーテレビの別建の受信料を設定したのは、いままで当委員会の審議におざなり的なことをやっておられたんじゃないかというふうに私ども考えるのでありますが、今度大きな事情変化でもできたのか、従来の委員会の言明が突然豹変したのは、前日の委員会でも君子豹変なんというようなやじが飛んでおりましたが、やはり一応事情説明の上で、こういう事情で従来の考え方が違ったのだ、こういうふうにひとつ親切な答弁を願いたいと思います。
  13. 前田義徳

    前田参考人 全くそのとおりだと思います。誤解を生むような発言をしたとすれば、私としても不用意であったと考えます。  私は当委員会で御発言のあったような表現をいたしました。その当時におきましては、日本国内社会情勢であるとか、あるいは海外の放送事業との関連における一般情勢、そういうものの大変化が起こるか起こらないか、また同時にNHK放送法の示す根本的な責務を遂行していくために、その料金でやっていけるかどうかということにつきましては、私はそのような意思も同時に表明してあったと思います。これらについて結論的な説明のしかたはしていなかったかと思いますが、いずれにいたしましても、そのままでいけるかどうかという検討を、実は四十二年度予算案を御承認いただきました直後から始めました。  私どもとしては、ただその瞬間的な情勢ということに主眼を置くのではなくて、今後どういうような事態が私ども周辺に起こるか、また、放送事業という点から、将来どういうような変化があり得るかということを考えたわけでありますが、この点については、当面の問題としては、たとえばこの四月一日から、額のいかんを問わず、まずラジオ料金無料になるという問題があるわけであります。それからまた、今後数年間の国内放送事業というものを考えるときには、やはり最後放送に残されている波の国策的な決定があり得る。  その一つは、すでに毎年度郵政大臣の御承認をいただいて予算に計上しておるFMの実験ないし実用化試験局の拡充、これはやっておるわけでありますが、このFMの波もおそらくそう遠くない時期に国策として基本的決定が与えられるであろうという点、それからまた、前国会でも一部郵政大臣決定によって実施に移されつつあるUHFという、テレビジョン放送にとっては最後の波になるわけでありますが、その波についての最終国策決定もあり得るであろうという点、それと同時に、科学技術の異常な進歩によりまして、もういまや私ども立場から申し上げるならば宇宙中継時代に実際的に入ってきたというような点、それから、今日の、国内はもちろんでありますが、各国動向を見ますと、白黒時代からカラー時代相当テンポを早めて進んでいくという情勢が、ここ四、五年間に全世界的に決定的な結果をもたらすであろうということ、さらに、NHK自体から見すまと、たとえば国の仕事、具体的に申し上げますならば、選挙放送等においても、将来はやはりテレビジョンを中心として行なわれることは明らかであるというような点、それからまた、私ども学校放送その他を従来三十数年にわたって行なっておりますが、これらについての地方的な問題に私どもすでに当面しているわけでありますが、これらに関連しても処置を行なわなければならないということ、これらの問題を検討し、同時に、六年以前から六年間かかっていわゆる第二次六カ年計画最終年度として、私ども皆さんの御支援をいただいて達成している事実との関係、簡単に申しますと、そのうちの一番大きな問題は、放送センター建設、これと関連して全国的な番組の制作及び技術運用に至るまで機械化するその方式が、実はいよいよことしの六月に完成する。この段階において、先ほど申し上げた幾つかの、およそ五つあるわけでありますが、この新しい内外発展に即応して、そうして、われわれが合理化と申しますか、新しい意欲を持って土台をつくったその実情を勘案して、今後どのような資金をどのくらい必要とするであろうかということをまず検討したわけであります。  もちろん、私どもとしては特殊法人格を与えられておりますから、その上にあぐらをかくという気持ちは毛頭ございません。したがって、聴視料というものは、事業計画があって聴視料決定するという過去の考え方ではございますが、お金という面から見れば、これは今日、ことにNHKはすでにこの三月末日でその契約総数は二千万世帯をこえるという現状において、私はやはりいまの経済的な激動から見ましても個人的負担は少ないほうがよろしいということを同時に考えるわけでございます。と同時に、先ほど申し上げたような環境からカラー時代が始まるという前提においては、これに対してやはり一つの方策を生み出すべきである。劈頭に私はラジオ料金無料になるということを申し上げましたが、これは金高の問題よりも、むしろNHK料金基本的性格関連する問題になるわけでございます。すなわち、NHKを通じてラジオを聞き得る人がお金を払わなくてもいい。これは社会的生活が非常に困難な方については、ラジオはもちろんのこと、テレビに対しても郵政大臣の認可を経て広範な免除を行なって今日に至っているわけでございますから、残されたラジオ受信者というのは、実はこれらとは違った社会環境の中で生活しておる方々であります。これに対して受益者負担原則を捨てなければならない。公共的料金としては、やはり当然利用される方の負担という観念も含まれるわけでありまして、こういう原則を、この際やはり将来発展するカラー料金の中でこの本格的な性格をさらにあらためて明らかにいたしたいという考え方も含まれたわけであります。  こういう検討をしました結果、NHKから見ますと、実は二種類の料金を取るということは、非常に労働力が増すと同時に、その処置はきわめて困難になります。したがって、これと関連する職員は最大の努力を払わなくては、実はその把握は困難であります。したがいまして、従来甲料金乙料金という経験を経ておった私としては、実は、将来料金はできれば一本化しておきたいという考え方を当時持っていたわけでありますが、るる申し上げた諸般の情勢及び実情及びNHK性格との関連における検討の結果、私としては、今回郵政当局ともお話合いの上、いま御審議いただくような形に料金体制を踏み切ったわけであります。  一般的印象としては、この料金体制は値上げであるという印象を与えておるわけでありますが、もちろん、カラー追加料金百五十円を取るという点においては、取らなかったのに比べてその分だけふえるということは事実であります。しかし、全体的に考えますと、同時に、大衆料金と申しますか、少なくとも二千万世帯に近い契約者は従来の三百三十円が三百十五円になるわけであります。この総額はおおよそ三十六億円になります。したがいまして、御審議いただきます明年度予算は三十六億円の聴視料軽減しておるということになります。それに、先ほど来たびたび触れましたラジオ料金無料となりますので、この点においても最低七億円の負担軽減ということになります。合計四十三億円の聴視者に対する軽減でございます。  これに対しまして、百五十円の捕捉の数とその金額はどうかと申しますと、大体四月から契約を開始するといたしまして、現状おおよそ百万をこえるカラー受像機が出回っているということは事実でありますが、しかし、それは在庫もあり、あるいは輸出の部分もあり、したがって、契約対象となるものは、今年度内においては調査の時期は一月ばか最終調査はずれておりますが、大体六千万から九十万の家庭あるいは営業用、そういったカラー受像機契約対象となり得る、それからまた、電子工業界その他の計算から見まして、明年度、四十四年の三月末までには市場に出回った総数は二百万をこえるということは十分予想されます。しかしながら、四月一日から三月三十一日までに個別的に契約を結んで、そうして収入対象となるものは、実は、そういう概算的な生産量であるとか、そういうものによっては私どもとしては計算の基礎とはなし得ないのでありまして、契約がとれるというものを対象として御審議いただく明年度予算では、その捕捉を百四十万世帯考えているわけであります。その総額が、収入としては、百五十円分が十三億円になるというのが事実でございまして、これは御審議いただくわけでありますが、そういたしますと、この百五十円の追加料金は、明年度といたしましてはさらに九十一万世帯を開発したいという考え方からいいますと、二千九十一万世帯の中で百四十万世帯が百五十円を払っていただく対象であるというわけでありますから、これを総じて結論的に申し上げて、はっきりと料金負担軽減の政策をNHKとしては打ち出しておるということを御了解いただければ幸いだと思います。そういうたてまえに立って、しかも、将来に望みを嘱して、新しい内外放送事業界発展にいつでも応じ得る機動的な地歩を固めておく、その初年度予算が御審議いただいておる四十三年度のものでございます。
  14. 山花秀雄

    山花委員 五つ、六つ質問をしたいと思っておったのですが、懇切丁寧に御答弁なさるので、きょうは三人で大体二時間程度ということになっておりますので、残余の質問は、他と重複するような点があると思いますから捨てますが、ただ一言だけ聞きたいと思いますことは、カラーテレビがだんだんふえてまいりますと、本年度は若干の赤字でも来年度から黒字になると思うのであります。  そこで問題になりますのは、やはり公共的性格を持ったこういう事業でありますから、公平の原則を打ち立てていただきたいと思います。その公平の原則というのは、たとえば飛行場周辺においてはなかなか映らない。それから、最近高層住宅がずっと建ちますので、ビルの谷間というようなところでは映りが非常に悪い。そういうところでは軽減をしてもらいたいという運動がずいぶん起きてきておるわけなんです。それらについて、若干いま飛行場の近所では軽減しておるところもございますけれども、そういう映りが悪いところは技術の開発によってだんだんよくなると思いますが、実際映りの悪いところは軽減する意思を持っておられるかどうか、この点お伺いしたいと思います。
  15. 前田義徳

    前田参考人 NHKは従来、御承知かと思いますが、簡単に申し上げますと、十四項目の免除基準と申しますか、そういうもので社会政策的な面ではきわめて積極的に、社会的な弊害からくる受信の問題あるいは聴視料の問題を解決してまいるという方針を持っております。そのうちで、ただいま御質問飛行場周辺であるとか、あるいは、これと関連する問題につきましては私ども考えを率直に申しますと、これはNHKだけの問題ではないという考え方を持っているわけではございますが、いろいろな環境で、われわれのカでなし得るものは、いろいろな行政方針、あるいは皆さん考えにも御協力申し上げるというたてまえはとっております。ただし、この問題を最終的に解決するにあたっては、私どもとしては、私ども以外にもやはり関係方面の御理解と御協力をいただきたいという考えで、せっかくこの御質問の問題については新しい方向で検討中でございます。
  16. 山花秀雄

    山花委員 監督立場にある郵政大臣はいかがでしょうか。
  17. 小林武治

    小林国務大臣 私はいまの御質問の趣旨はしごくごもっともだと思います。その聴視の効果が十分に得られない場所に対してはある程度のしんしゃくをすべきだ、こういうことでございます。  御承知のように、従来は、全国的に十数カ所ある基地周辺テレビラジオについてはさような措置がとられておる。最近においては大阪の国際空港が非常にそういう被害が大きいからこれを救済すべしという意見があるのでありまして、私も、これもごもっともだと思います。NHKが主となってこれらのことに対処すべきである、こういう意見を持って、NHKにも私はそのことをお願いをしておる、こういうことでありますし、また、ビル関係の障害についても、聴視者としてはまことに御迷惑な話でありますので、これらについては、それぞれの具体的事項についていまNHKと建築業者あるいは建築主というものとの間に特別なアンテナを立てるとか、そのほかいろいろの方途を講じておりますが、これもまだ十分の目的を果たしておらぬ。したがって、これらについても、あるいは法制的にも何か考えるべきではないかということで検討をしてもらっておる、こういうことでございます。
  18. 山花秀雄

    山花委員 いま大臣がいろいろ説明をされておりましたが、私はその説明に満足するものであります。具体的に、住宅街に最近高層建築の五階建て、六階建てというのが御承知のようにできておりまして、場所によっては全然聞こえない、見えない、画面が乱れるというところが出て、それに対して署名運動なり何なりで大衆運動化しておる。そういう運動が起きてきた場合には、ひとつ十分調査をされまして、確かに公平の原則を欠くという点が明瞭になりましたら、適切な措置をひとつとっていただきたい。  それからもう一つお尋ねしたいことは、ラジオは全然お金が要らなくなったということは、ラジオだけ持っておられるところは、率直に申し上げまして低所得の方だろうと思いますから、これは非常にいいことだと思うのであります。  テレビの徴収は、承るところによりますと、いわゆるテレビ一つ幾らでなしに、戸数で一つというようにおきめになっておる。たとえば一軒のうちに二つあっても、白黒とカラーがあるとカラー料金だけ、あるいは白黒を、野球の好きな者と芝居の好きな者とで家庭争議をやめるために二つ、三つ備えておるのがありますが、そういう場合にテレビ一つ料金で、他は付随的に免除されておるというふうに承っておるのですが、そういうようになっておるのですか、どうですか。
  19. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 全くそのとおりでございます。
  20. 山花秀雄

    山花委員 そこで、問題になりますのは、一軒のうちにテレビがかりに何個あってもいいのか、これは多少制限があるのですか、五個以上だったらだめだとかいう……。
  21. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 原則的には、一世帯に複数のテレビジョンセットが何台ございましても一契約でけっこうでございます。ただ、大きな商店等を経営いたしておりまして、従業員が別むね等に数十人生活をいたしておりますようなところにつきましては別個ちょうだいする場合もございます。
  22. 山花秀雄

    山花委員 そういたしますと、かりに大きな商店で従業員が別むね一これは端的に申し上げますと、旅館なんかは一つのむねにたくさん、居室に全部置いておりますが、これは営業用ということになります。これはどういう扱いになっているのですか。
  23. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 先ほど来、同一世帯で複数のセットがございましても一契約と申しましたのは、いわゆる普通のしもた屋でございまして、ホテル、旅館等の営業用に居室等に設置したものは、その別契約受信機の台数に応じていただいております。
  24. 山花秀雄

    山花委員 そうすると、かりに旅館にテレビが二十個あると二十契約という形で契約を結んでおる、こういうように理解していいですか。
  25. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 ただ、実際問題といたしましては、部屋の回転率というようなものがございまして、三百六十五日、四六時中必ずしもお客がおるわけではございません。したがって、熱海なら熱海というような地域の旅館業組合とお話し合いをいたしまして、大かた、その部屋の熱海地域においての回転率を八〇%と見ますれば、二十台に対する八割、十六台というような契約をいたす場合が多々ございます。もちろん、全国的に立地条件が非常に異なりますので、十分お話し合いの上で、その部屋の回転率を六〇%ないし七〇%というふうに見る地域もございます。
  26. 山花秀雄

    山花委員 これは皆さんも旅行をされてたびたび経験されておると思いますが、おおむね、一台安いところで百円、それから二百円、これは宿泊費以外にテレビ料金として旅館業者は取っておるわけであります。それを割り引きずるのは少しけしからぬと考えられますが、そういう点はどういうようにお考えになっておりますか。
  27. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 先ほど原則的な御説明をいたしました以上にただいまの個別的な御発言に対しましての適切な答弁ができかねる点もございますが、先ほど来御説明いたしましたように、部屋の客が占拠をする比率を六〇%ないし七〇%という形で当方は捕捉をいたしまして、先ほど来御説明したような受信契約捕捉のしかたをいたしておりますので、旅館の経営の中で一回一回その支払い料金をそういう形で取るというところまで個別的には若干追いかねております。
  28. 山花秀雄

    山花委員 最近は全部、大体私の経験したところによりますと百円ないし二百円を取っておりますから、その客間が月に二十日ということになりますと、十日あいても、百円だと二千円、二百円だと四千円、ある意味からいうと中間搾取のような形になっておるのですが、こういうところはもっと検討する必要があるのじゃないか、ひとつ検討していただきたいと思います。  ちょうど三分の一の時間が終わりましたから、残余の質問はたくさんございますが、またの機会に質問することにいたします。
  29. 古川丈吉

    古川委員長 小沢君。
  30. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 NHK予算の審議にあたって、時間がないようですが、最初に、若干基本的な問題、それから、この予算の内容についてお尋ねいたしたいと思います。  大臣意見書の中に「受信料の額については、今後のカラーテレビジョン放送受信者の増加状況等を勘案のうえ、国民の受信料負担軽減という見地から、これが適正化についてさらに考慮すべきである」こういう意見書がついているようであります。  問題点を冒頭から申し上げますが、ただいま山花先生の御質問に対する会長の御答弁を聞いておりますと、ラジオで七億円無料にして、それだけ国民の負担軽減をはかった、それからテレビのほうは三十六億円の軽減で、都合四十三億円の軽減をはかった、そういうことから料金負担軽減の施策を今回は打ち出したのだ、こういう御答弁に聞えるわけです。ところが、これは経時的な変化というものを考えてないわけです。ラウンドナンバーで申し上げると、毎年大体五十億円ずつNHKは増収になっていくのではないか。そうすると、ことしだけ五十億円増収になるのをストップして四十三億円の減収をはかった、こういうように言われても、来年からはまた毎年五十億円ずつ増加していく、こういうように私の判断では考えられるわけです。だから、経時的なそれを見ないと、ことしだけの単年度の視野で見ると四十三億円の軽減で、なるほどと思われるのだけれども、必ずしもそうではないのじゃないか、こういうように考えるわけです。したがって、六カ年計画が四十二年度で終わった、これからは何カ年計画を立てられるか、長期構想があろうと思うんだけれども、その長期構想を御提示願わないと、今日の時点において、ことしだけ四十三億円の軽減をしたということがはたしてりっぱな施策であるかどうか、こういうことが実はわからないわけです。だから、そういう基本的な立場に立って若干御質問をいたしたいと思うわけです。いまの抽象的な問題について、一言ずつ大臣会長からお答えいただいて、それから若干計数的な問題を事務当局にお尋ねをしたい、こういうように考えます。
  31. 小林武治

    小林国務大臣 ただいまの御意見、ごもっともでございます。  要するに、NHKは何をするか、こういうことを毎年きめて、何をするにはどれだけ要るか、こういうことで結果的に料金が出てくるということでございます。したがって私は、いま申されるようなある程度の長期計画は必要である、長期計画に対してまた長期収入計画というものも出てくるべきであろう、こういうふうに思うのであります。  ただ、いまの意見書の問題でございますが、これは一応将来の受像機の増加というふうなものを見越して、そしてこれだけの収入があるだろうということになりますから、その受像機の見込みがときによって非常に違う、こういうことがあり得るわけであります。実は、第二次長期計画におきましても、テレビの受像機は当初に比べて最終年度においては百何十万台というふうな相違が出てきたことは事実であります。したがって、第三次においても、たとえば、NHK昭和四十三年度は百四十万台という見込みであるが、それが変わってくるかもしれぬ、変わってきて、これが意外にふえればまた余分な収入が当然出てくる、こういうふうになると、この料金計画がはたして適正であるかどうかということは、結果的にも必ず証明されてくると思う、その際は、何も現在の料金に固執する必要はないんだ、こういう趣旨を申し上げておるのであります。  要するに、NHK自体受信料というものは何のために取るかというと、NHK仕事をしていく上において必要なだけ取ればいい、余分なものは要らない、利益配当も要らなければ、そういうふうな税金も要らぬ、余分なものは要らぬから仕事に合う受信料だけ取ればいい、こういうことになるから、受信料というものは長期固定化すべきものじゃないというふうに私は考えておる、こういうことを申し上げたいわけであります。
  32. 前田義徳

    前田参考人 たてまえとしては、郵政大臣と全く私も同じ考え方でございます。  ただ、現実の問題としては、私どもが御審議いただく明年度予算でいたしました計算は、百四十万台は世帯契約ができるというたてまえに立っているわけでございますが、もちろん今後の動向については、私どもとしては最短五カ年間の構想を検討しながら実はこの積算をいたしたわけでございます。私ども考えております五年目の総数は、大体六百五十万を下らないだろうという契約数を予想しているわけでございますが、そういう段階で考えますと、大体昭和四十五年あるいは六年ごろに初めてこの付加料金がものを言い出すかというような予測を実は立てております。ただ、NHKとしては株式会社ではございませんし、御承知性格を持っておりますので、事業計画に対して収入が多過ぎるという場合には当然低減すべきであって、NHKの歴史は四十三年になりまして、戦前は放送法に基づくものではございませんが、戦前二回、戦後は明年度予算を入れて二回の低減をはかっているわけでございます。
  33. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 基本的なお話を聞きました。だから、私たちのとれるところによれば、どういうようにカラーテレビがふえていくかというようなこととも関連があったり、いろいろの情勢変化等もあったので、必ずしも長期的な展望に立って見ることも妥当であるかないかということについては疑義があると思いますが、これは少なくとも料金を変えよう、こういう時期なのですから、私たちにも、一体その長期の契約者の増加はどうなるであろうか、それからまた、そういう間における投資はどういうようにやらなければならないであろうか、そういうような時代事業計画はどうやらなければならないであろうか、こういうような問題について、少なくとも五カ年なり何なりの計画というものを御提示願わないと、ことしの段階だけで料金はこういたしますと言っても、これはことし限りで、来年になればまた料金を変えるというようなことならばいいが、そうたびたび変更するわけにはいかぬと思うわけです。だから、そういうものについて若干事務当局に私お尋ねをいたします。  いま会長も言われたように、四十七年度、五カ年後には六百五十万台になるであろう、こういうように言われておりますが、その間における契約者の増加、大体の予想でけっこうです。それから、料金は一体どういうようになるか、私、急いでおって時間がないので、まずその二つの数字だけひとつ発表していただきたい。
  34. 志賀正信

    ○志賀参考人 まず、受信者の今後の伸びの問題につきまして最初にお答えをいたします。  大体白黒の普通テレビジョン受信者につきましては、この期間中に——五カ年間を一単位としていま構想を考えているわけでございますが、この期間中に四百二十万新しく受信者がふえるというふうに考えております。それから、カラーのほうにつきましては、明年度中に百四十万のカラー契約を獲得したいというように考えておるわけでありますが、それが五カ年中には六百五十万の白黒からカラーへの移行によりましてカラー受信者の契約を獲得したい、こういうように考えております。
  35. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 受信料がどうふえるかということがおっこっているな。
  36. 志賀正信

    ○志賀参考人 受信料収入の伸びの問題でございますが、大体いま想定をいたしておりますのは、カラーにつきましては、明年度は、付加料金分だけでございますが、十三億円の収入があると思われます。とにかくこれが、ただいま申し上げたように、この期間中に六百五十万までカラー化するといたしますと、総額で五カ年間には二百六十億円のカラーの付加分の収入があるというふうに計算をいたしております。また白黒につきましては、順次カラーへの移行がございますが、白黒分だけでいきますと、この期間中には四千九十九億の総体の収入があるというふうに考えております。
  37. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 こういうように理解していいですか。私、冒頭に申し上げたように、四十三年度は別としても、四十四、四十五、四十六、四十七、この五カ年間に二百六十億円ですから、毎年大体五十億円ずつふえるんだ、大まかに言って五十億円ふえるんだ、こういうように理解できるわけです。それはいいですね。
  38. 志賀正信

    ○志賀参考人 収入の面からだけ申し上げますと、ただいまの白黒の増加と今後の増加の見込みでありますが、増加とカラー分、この両方を含めまして、四十四年度には五十億円はまだ割りますが、とにかく先生のおっしゃるように、各年度五十億円前後の収入があるというふうに考えていいかと思います。
  39. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 急いで答弁をしていただきたいと思いますが、そういうことになると、私はきょうここへ出てきてこの膨大な資料をいただいて「長期構想の概要」こういうのを見せていただきました。まあ、料金のほうはわかりました。五十億円ずつ大体ふえるでしょう、こういうことはわかりました。  その間における事業計画で、事業費はどういうようになるだろうか、投資はどうなるであろうか、こういうことは私たちにはかいもくわからないわけです。ちょっと二、三年過去から振り返ってみると、この四十年度は投資が百八十四億円であった。これは決算かな。四十一年度は百八十億円、四十二年度は百九十億円、ことし出されているものは百五十八億円です。だから四十二年あたりがどうもピークに見えるわけなんですね。こうずっと上がってきて、ことしは百五十八億円ということで下がって、これが下がったのは、料金が押えられたから下がったのかもしれませんが、四十四年以降の投資計画はどうなっていますか。
  40. 志賀正信

    ○志賀参考人 四十四年以降は大体年間百七十億円程度で進めたいというふうに考えております。
  41. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それは、どういうものにどういうように投資しようかというような大まかな積算があってやっているわけですか。四十四年以降は百七十億円毎年ということですか。
  42. 川上行蔵

    川上参考人 それでは、私たちが考えております長期構想について……。
  43. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 イエスかノーかにしておいて、こまかいことはあとで資料をいただきますから。大まかな計画については、積算をされてやっていられるかどうか、そういうことです。
  44. 川上行蔵

    川上参考人 ございます。
  45. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それから、これもまた非常に重要なファクターになると思いますが、減価償却が非常に、多いと私は思います。これはわれわれが民間企業を見ている感覚とこういう特殊な法人を見る感覚とは変えなければいけないかもしれませんけれども、ことしの予算の中には約百二十億円近い減価償却ということですから、ずいぶんこれは減価償却をやるものだな、技術革新時代だからこういう減価償却をやらなくてはいけないんじゃないかと思いますが、過去からずっと振り返ってみると、四十年が八十一億円、四十一年が百二億円、四十二年が百六億円、ことしは百十八億円ということで、来年以降はどういう減価償却になりますのか。四十四年、四十五年、四十六年、四十七年。
  46. 志賀正信

    ○志賀参考人 ただいま概算をいたしておりますのは、四十四年度は百二十二億円台でございます。それから以下百二十八億円、百三十三億円、百三十七億円というふうに、この五カ年間は若干ずつ増加いたすものと思っております。
  47. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこで、事業計画というものは、この投資あるいは減価償却と、こういう大きなファクター、それに私は、人件費も大体いまの状勢でいけば、なかなか政府の思うようにいかないから、これは二十億円かそこらずつ上がっていかざるを得ないし、ことしもまた去年と比べて二十億円くらいふやしてあると思いますから、大体十五億円から二十五億円くらいなペースでこの五カ年間ふえていくであろう、これもまた動かしがたいファクターになる。こういうことになりますから、そうすると、事業計画というものはどういうふうに制約されるであろうか、こういうことなんです。
  48. 志賀正信

    ○志賀参考人 事業計画全体といたしましては、減価償却費も含めまして、この五カ年間の将来の見通しにつきましては、おおよそ五%ないし六%の上昇というものはあるというふうに見ております。
  49. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それから、重要なファクターとして、宮澤経済企画庁長官の発言内容を二月二日の朝日の夕刊で拝見したわけです。いろいろありますから、時間があればあとで聞きますが「NHKの経理にゆとりがあり過ぎることを指摘」云々、こういうようなことがあって、終わりのほうに  「大会社が公表を義務づけられている有価証券報告書のようなものはNHKにはなく、経理内容の監査は、監事が口頭で経営委員会に報告する程度になっている。」その前ですが、「放送債券の発行額に対して、その償還用の積立金が三分の一もあり、剰余金の中から百億円も資金積立てに回すなど、非常にゆとりがある。」こういう発言が出ておりますから、ここで私は、負債、借り入れ、放送債券、そういうものと償還計画というものがこの五カ年間にわたって大体のことが明らかにされなければならないんではないか、こう考えますが、それについては五カ年間どういう状況になるのでしょうか。それで、最初に、ことしの末とか何かの放送債券の残額、毎年どんな残額になっていくであろうか。
  50. 志賀正信

    ○志賀参考人 御承知のとおり、建設費につきましては、一部減価償却、その他の分につきましては、一時仮り入れないしは放送債券の発行を行ないまして、順次受信料から平準化しながらそれを返還をしていくという方式をとっておりますので、この期間中にもいわゆる債務の償還費用というものがございます。いま一応見通しをつけておりますのは、この期間中に百五十一億円程度の返還の費用が必要だというふうに考えております。  それから、いまお話しの減債積み立て金につきましては、現在約七十億円を擁しておりますが、これは放送債券の償還のために、各年度年度末におきまして残高の十分の一を積み立てるという法律がございまして、それに従いまして過去積み立ててまいりましたものでございまして、今後六年間の債券の返還費用に全部充てられるものでございます。今度お示ししておりますこの予算書につきましても、そこから取りくずしをいたしまして返還をする費用が三十七億円計上してあるわけでございます。  その返還のしかた、取りくずしのしかたにつきましては、いろいろ郵政省とも御相談をいたしまして、いろいろくふうをいたしまして、ことしは三十七億円そこから取りくずすというふうにいたしてございます。一部の新聞等に出ております経済企画庁の意見として、これが非常に積み立てが多くて、また余裕があるからではないかというような新聞の論評になっておりますが、これにつきましては、法律に基づきました形で現在まで実行してまいりましたものでございますが、それの取りくずしにつきましては、今後のくふうをいたしまして、両三年の間には残高の約十分の一程度まで圧縮するという計画にいたしてあります。
  51. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そういう大体の構想ができていたらば、われわれの審議のしやすいように、どうしてこの長期構想という場合にこんな抽象的な文字だけを——その「長期構想の概要」というのはきょう出してもらった資料の三三ページに載っておりますけれども、これは抽象的な文字しか載ってないわけです。ほんとうに私が申し上げたように、長期的な借金、償却、事業計画、人件費の増、こういうような大まかなことでけっこうです。  それから、放送債券の積み立て残高、これに対する償還なり何なり、こういうような大まかな計画ぐらいは当然これはつくられてしかるべきであるし、またそういうものを提示して一緒に審議するということにならないと、ことしの受信料の上げ下げの問題についてわれわれが審議することはなかなか困難である、こういうように考えます。  そこで、いま口頭で言っていただいたことを委員長からもひとつあれしていただきたいが、五カ年間の事業計画、償還計画放送債券、それから受信料の伸びというようなものについて、ひとつ委員会へ提示をしていただきたいと思いますが、それはいいでしょうか。
  52. 前田義徳

    前田参考人 提出いたします。
  53. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 提示をしていただいた後にまた質問をしたいと思いますが、いまのような、私が質問した程度のことをもとにしてお尋ねを若干したいのですが、投資というものは大まかな百七十億円をずっと続けていくということだけでも、受信料に対する投資の割合——ことしあたりまでは非常にその投資が多かったわけです。ところが、今度はだんだん軽減されていくと思います。いまお話をいただいたことだけでちょっと過去にさかのぼってみると、受信料でもって投資額を割るわけです。四十年のときには二七%ばかりでした。四十一年のときは二五%ぐらいでした。四十二年度は二五%、ところが四十三年以降になると、ことしは百五十八億円の投資ですから二〇・六%、来年が二〇・七%、四十五年度が一九・五%、四十六年度は一八・五%、四十七年度は一七・五%というように、この投資がだんだん軽減されていくんだ。非常にラフなことなんですがね。受信料が伸びていくわりあいにしては投資が少ないということですから、投資は非常に減っていくんだ、こういうように理解できます。  それが一つと、もう一つは、私はたいへん償却が多いように感じますけれども、この償却の推移、投資に対して償却がどのくらいできておるだろうかということをこのいただいた償却の計画で見てみると、だんだん償却費が投資額に近づいてくる。絶対値が一に近づいてくるわけです。つまり、投資したのと同じ額を償却する、こういう傾向にあるようです。四十年ごろからの実績やいまの構想を聞いたのを見てみると、投資額で減価償却費を割ってみると、四十年は四四%、四十一年は五七%、四十二年は五六%、これは決算だか予算だかちょっとわかりませんが、ことし、四十三年度は七四%、四十四年は七二%、四十五年は七五%、四十六年は七八%、四十七年は八〇%、大体投資しようとする額と同じ額が償却されるような傾向になっていくと思います。  こういうことはどういうことを意味するかというと、ことし百億投資しましょう、過去の償却を百億しましょうという数字に、一に近づいていくわけです。こういうことは、私は経理的なことはよくわからないけれども、長期的に見ても経理に非常に余裕があるということを意味しているのではなかろうか、こう思います。つまり、投資するだけ毎年償却していこうというわけですからそういうことになろうかと思いますが、どうでしょう。大体の経営的立場で、私が判断するようなことになるでしょうか。
  54. 志賀正信

    ○志賀参考人 ただいま先生がおっしゃるように、投資額に対しましての減価償却費の率は漸次減少いたしまして、投資額の中で占める減価償却費の額が増大をしてまいっております。経営が安定期に入りますれば、新しい投資を考えなければ、過去に設備をいたしましたものの取りかえとか、そういうものが主になってまいりますので、これは、できれば減価償却費の範囲内で建設をやっていくのが経営としては安定した形だと思われます。しかし、先ほども申し述べましたように、今後五カ年間にいろいろ計画を持っておりますので、やはり減価償却費を上回った投資をいま計画いたしております。これがまた今後のNHK発展のためにどうしてもやらなければならぬと考えておるわけでございます。  一方、受信者の伸びと申しますのが次第に全世帯数に対して飽和点に達してまいりまして、今後年々の増加というものが、先ほど説明申し上げました程度以上には期待できないわけでございます。これも勘案いたしまして、減価償却費と投資額との関連及び受信料の今後の見込みというものを勘案いたしまして、年間百七十億円程度、この期間中には八百五十億円程度の建設に押えておるという考え方でございます。
  55. 小林武治

    小林国務大臣 私はいまこれをお聞きしておりまして、大体小沢さんの意向のようなのが正しい見方である。したがって、このままでいけば、受信料からは投資を出す必要はない、こういうような時代も来るということになると、受信料に非常に大きな影響が出てくる、こういうことでありまして、お考えのようなことは、NHKとしても十分これから考えていくべきであると私は思っております。
  56. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私もそう思いましたが、そう言おうと思ったら、大臣が早く言ってしまうので……。  そこで私は、また質問をしたいわけです。そうすると、償却は定率償却ですね。
  57. 志賀正信

    ○志賀参考人 定率法によってやっております。
  58. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 こういう現象が出てくると思います。償却は済んでも、財産の価値があるものがNHKの中にはごろごろしているという状況が出てくる。私専門家でないからよくわかりませんが、償却は済んでしまいましたが、これは売ればまだ価値があるということになれば、こういうことを含み資産というのでしょうか、含み資産が増大する、こういうことになろうかと思いますが、経理の専門屋さんどうでしょう。
  59. 志賀正信

    ○志賀参考人 償却は、機械類は四年ないし五年でやっておりますが、償却が済みましてもまだ若干使えるというものも中にはあるわけでございます。それから、電波の精密機械になりますと、償却期限のこないうちに取りかえるというようなものがいろいろ混在するわけでございますが、先生のお話しのように、償却期限がきて償却を終わりまして、なおかつ使い延ばしのできるものにつきましては、償却が済んでおりますから、あとでそれを処分いたします際には、その処分代金はそれだけ増益ということになるわけでございます。しかし、一般に土地とかそういうものは別といたしまして、放送関係で使用しておりますものは特殊な機械が多うございますのであまり一般性はございませんので、あとではほとんどスクラップ程度というのが実情でございます。
  60. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ただこの予算書を見ただけで、あまり詳しく検討していないのでわからないけれども、実は私の心配していることがことしの予算にも若干芽を出しているのではないかと思いますが、先ほど会長が言われたように、ことしも普通だったら五十億円伸びる、来年も伸びる、再来年も伸びる。こういうのをことしは料金体系で一時ストップされた。過去も五十億円伸びてきた。ことしだけは料金変化でストップだ。来年から伸びるということですから、ことしの予算の編成には若干苦しい点もあったのではなかろうかと思います。そういうことの一つとして、ことしは突如として約十億円に近い固定資産売却代というか、要らなくなった資産の売却というのが九億円載っているわけです。去年の予算をちょっと見ると三千万円くらいしがなかったものが、ことしは九億円載っている。こういうことを見ると、今後そういう含み資産的なものがだんだん増加してくる。特に、四十七年度末にいけば膨大な含み資産になる、こういうふうに理解できます。  そこで、ことしの九億円の固定資産売却、それはどういうものがどういうふうに売却されるのか。  これは委員長にもお願いいたしますが、去年は三千万円しかなかったのが、ことしは突如として十億円近く固定資産の売却がふえた、その大まかな理由を言っていただいて、詳細なことは、あとでひとつ資料を出していただきます。
  61. 志賀正信

    ○志賀参考人 お答え申し上げます。  売却固定資産代金と申しますのは、お話しのように、資産を処分いたしました代金の回収費でございます。本年度九億円計上いたしましたおもなものは、地方の会館の建設を行なっておりまして、場所を移転して新築をいたしておりますのが順次完成しております。その古いものにつきまして土地及び建物を改修いたしますものが、山形とかあるいは佐世保とかいうようなところで数局ございます。そういうものをできるだけ早期に資金化しようということを考えて計上いたしておるものでございます。
  62. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 オーソドックスな、償却がふえるから含み資産がふえるということ以上に、いまの御発言を聞くと、過去もNHKは都心部のいいところを占拠しておった。改築になって今度は郊外に出ていくということになると、都心部のいいところのほうが高く売れるということなので、いよいよもって含み資産の増大というものは加速されるのではないか、こういうこともひとつプラス要因に入るのではないか。いまの御答弁を聞いてそういうふうにも理解できますので、これはひとつ資料を出していただいて検討さしていただく。長期計画で、いままで都心部にあったNHKがどこかよそへいく、こういう計画があるならば、その都心部の土地はぐんと飛躍的に上がっているから、これも含み資産の中にプラスされる要因ではないかと思います。これもまた五カ年間の構想を出していただいて、そういう含み資産がたくさんあるならば、料金の問題についても、ここでまたあらためて審議をしなければならない、こういうことになろうと思いますので、これはひとつ資料を出していただきたいと思います。
  63. 前田義徳

    前田参考人 資料は、先ほど来申し上げておりますように提出いたします。  ただ、この際に私ども考え方を簡単に申し述べさしていただきたいと思いますが、一般のいわゆる含み資産というものは、これは定義のいかんですが、私どもにはございません。従来建設計画が非常に躍進的であった理由は、たとえばオリンピックであるとか、国家的要請に従って建設をしなければならないという義務的な面がかなり多うございます。放送法においても、難視聴地域をなくするために建設せよということが実は前提になっているわけでございます。それからまた、八年前にNHKの財政の再検討が行なわれた際、その方面の御慫慂、並びに前国会の附帯決議によりまして、その方針に従って財政計画の実施をしておるわけでございます。ことに、その年度受信料をもって一部建設費に充当すべしというのは、実は八年前からのわれわれの関係方面、はっきり申しますと、政府当局からの御慫慂もあったわけであります。その結果として今日のような形になっておりますが、同時に、第二次六カ年計画から、いわゆる近代化と合理化を進めてまいりまして、たとえば放送センターの建設等につきましても、巷間非常に御批判をいただき、われわれもそれを尊重しておるわけでありますが、これがこの六月に完成する、それならば、従来外に求めておった、あるいは借りておったものをこの際一気に解消する、たとえば明年度の資産の売却の中でも、大阪大電力が要請によってつくられ、その旧地所を売却するとか、すべてそういうものでございます。それから同時に、一般株式会社その他と異なって、私どもとしては、財産と申しますか、資産の完全保有等、その責任を与えられております。  御承知のように、放送法は、最終段階においてNHKの財産はすべて国家が引き継ぐということになっておりますので、借金政策であるとか、そういうことでもって当面の運営の中心とせよという一般的な営利事業の目標とわれわれの立場は全く異なっているということを、この際つけ加えさしていただきたいと思います。
  64. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 前田会長基本方針をお聞きしまして、全くそのとおりだと私は思います。前田会長がそういうように言われるならば、NHKの経営委員会あるいは理事会、これはやはり社会的責任を負うように運営をしていただかなければならないのではないかと思います。  どうしてそういうことを言うかというと、放送についてはなるべく政府や政党が干渉すべきものでない、放送の番組編成その他については、これは独立していきたい、これは確固たるわれわれの考えです。いまも近代化、合理化、そういうことについて努力しているということですが、経営面、事業運営面、こういう面については、去年の夏ごろの決算の質問で、収入であるべき予定のものがさらに利息の運営でふえてしまった、それから、借り入れのことか何かで払うべき利息が少なかったということで、年間約十億くらい金利だけで浮かしている。毎年十億ばかりずつ浮いている状況も私、見ておりますが、経営の面、事業の面、こういうものについて、私は、番組だけ中立でいきたいという意欲はいいのだけれども、そっちの面についていささか欠ける面がありはしないか、こういうことを常に憂えているわけです。おまえ逓信委員じゃないか、理事じゃないか、NHKの経理状況については幾らか追及しろよ、これはよその雑音かどうか知りませんけれども、ずいぶん聞くわけです。  先ほど会長がりっぱなことを言われたが、それでは、こういう事実はあったわけですか。カラーテレビは四百八十円にいたします、白黒は三百三十円据え置きでありますという計画を政府に出した。ところが、郵政大臣か何か知らないがそこでチェックをして、十五円引きなさい、三百十五円にしなさい、四百六十五円にしなさいということで国会へ提案をした、そういうことになっているわけです。そうすると、先ほど来聞いている長期構想の中で、三百三十円、四百八十円というNHKが郵政省に出した原案であるならば、一体この長期構想はどうなるだろうか。さらにさらに余裕金が出てしまってどうにもならぬ、これでは持てる金の使いように困るような事態になりはしないか、こういうふうに考えるわけです。そういうことをみずから律することがNHKではたしてできることであろうか、こういうことを実は私は憂えるわけです。  そこで、数字で言ったほうが観念的な対話よりいいと思いますから申し上げますが、三百三十円、四百八十円ぺースで五カ年計画をやっていったならば、一体先ほどの収入プラスどうなりますか。五十億円ぺースで伸びていくんだ、三百十五円、四百六十五円でそういうように伸びていくんだ、これはわかりました。それを三百三十円、四百八十円ぺース、NHKで要求したとおりのぺースでいったら、毎年どのくらい伸びていくか、一年間百億円も伸びはしないと思うが、その辺、数字を聞かしてください。
  65. 前田義徳

    前田参考人 NHK明年度予算編成にあたって、三百三十円と四百八十円で原案を提出した事実はございません。最初に郵政大臣の意向をお伺いした私の原案は、三百二十円前後と百五十円という案でございます。
  66. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣、そうですか。どうも大臣の功労で下げたように発表したが、大臣の功労じゃないのかね。
  67. 小林武治

    小林国務大臣 いま会長の言われるとおりです。
  68. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そのいきさつについてはわかりました。  私は放送法の問題が検討されるやにちらちら聞いておるわけなんですが、先ほども申し上げたように、番組の編成については、絶対不偏不党、中立であってほしい、権力の介入を許さない。経営についても、国民の税金なんだから、いま少しだれかが何とか言える場があるか、あるいは料金そのものを国会で議決するか、何らかの方法があってしかるべきではなかろうか。これは個人的な考えで若干そういうことを考えるわけです。そういう立場に立っていま御質問を申し上げました。  そこで私は、この次に資料を出していただくときに、さらにいまの問題の長期構想について検討を続けさしていただきたいと思いますので、これは実はたいへんこまかい資料で恐縮ですが、去年の夏ごろ私決算でちょっと気づいたところがあったのですが、昭和三十九年のときには、雑収入六億四千万円で計上したら、実際決算には十一億一千万円で、雑収入が四億六千万円残った。支出のほうでは、金利をうまくやって、三十二億円の支出の予定であったのが、これは関連経費の二十七億円で済んで、これは四億四千万円浮いた。都合、両方で浮いた額は約九億円だった。こういうのが三十九年の決算だったと思います。四十年の決算は、雑収入の六億円を予定したら、いまと同様な方法で十億七千万円入って四億七千万円残った。支出のほうの関連経費は、四十年の三十一億七千万円が決算では二十八億六千万円になって、三億一千万円節約できた。都合約八億円浮いた。同様にして、四十一年度も雑収入のほうで四億六千万円浮かして、支出のほうで四億八千万円というと、合計約九億四千万円だ。私は過去の予算措置にずさんな点があるのじゃないかと思って当時質問したんだが、三十九年から四十一年まで見ると、金利や何かで毎年十億円前後の予算と決算額の相違が出て、そのことは前田会長から、金利を効率的に運用することにつとめてやりましたという御言明をいただいたのですが、まだ若干四十二、四十三年度について私はそういう問題について疑問を持つのですが、四十二年、四十三年においては、このもとになる計画を見ないと、またまた十億円ばかり浮いてしまうのじゃないかという疑念を私は持つのです。  だから、四十二年、四十三年については、金利がどういう状況になるかという点について、ひとつ款項目だか目の下だか何だか知りませんけれども、われわれにわかるように四十二、四十三年について御提示をいただきたい。これは資料要求です。委員長、お願いします。
  69. 前田義徳

    前田参考人 提出いたします。
  70. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 時間が参りましたので、私はいろいろ資料を出していただいた後にひとつさらに質問をさしていただきたいと思いますが、放送法の九条の二項で外郭団体みたいなものをつくってもよろしい、こうなっていますが、それについても、経理的な内容をわれわれが判断できるように——NHKはどうも資料を出したがらないでいけないんだ。何か隠しているように見えてしようがないが、ひとつ、われわれに経理的な内容が判断できるような資料を出していただきたい、こう思います。どうもさっきから見ていると、経理的には、悪いことばかもしれませんけれども、何か楽な企業運営の上にあぐらをかいているみたいに見えますから、それと、そういう関連企業だとか、悪いことばで言うと、天下り的なことをやって、適宜やっているところがあると思いますから、それについて、どういうような経理内容か、その人事の内容、これは一部は出ているようだけれども、それについてもひとつ資料を出していただきたい、こう思います。
  71. 前田義徳

    前田参考人 誤解を解くためにも、私のほうが出す必要があると感じて伺っておりました。出します。
  72. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そういう資料を出していただいて、またさらに質問をさしていただきたいと思いますので、きょうは時間もないし、まだ質問者もありますから、これで終わりたいと思います。
  73. 古川丈吉

  74. 田代文久

    田代委員 まず、前田会長にお尋ねいたしますが、NHK会長を任命制にするというような、うわさか何か知りませんけれども、そういうものが電波に乗ってきておるわけですね。ですから、NHK会長を任命制にするというような問題について、会長はどういうお考えを持っておられるか、ひとつ簡単に……。
  75. 前田義徳

    前田参考人 私自身が会長をやっておりますので、はなはだデリケートな御質問ですが、客観的に私が第三者として申し上げると、その方法には多少の疑問があると考えております。
  76. 田代文久

    田代委員 多少の疑問というのは、非常に小さく、慎重に発言されているようですけれども、これは多少の問題ではない。NHKという組織、これは一億の国民を代表した組織なんですね。これは申すまでもない。それが、とにかく何らかの形で、任命するとかしないとかいうようなことがかりにあれば、これは許されない。ですから私は、もう少しNHK会長は、多少の疑問とかというのではなくて、事実そういうことがあれば、一億の国民の聴視者を代表して、そういうことに対しては断固として絶対反対である、許さない、それは放送基本精神にも反するということをはっきり明言されなければ、私たちには会長はたよりないですよ。どうです、その点。
  77. 前田義徳

    前田参考人 ただいまの御質問そのものとの関連では、まだそういう事実があるという確認は私はいたしておりません。ただ、根本問題としてそれがいいか悪いかという点については、数年前、臨時放送関係法制調査会が開かれまして、その席上、私は私の考え方を求められたことがございます。そのときにおきましては、私は現行放送法はまことにじょうずにできている、会長はやっぱり現行制度において選ぶべきであるという意見をはっきりと申し述べております。
  78. 田代文久

    田代委員 そういうことと、全部が、現在マスコミなり放送なりというのは、私たちから言えば非常な危険な方向に、ということは、言論統制、そういう放送法を無視しあるいはこれを無力化するという方向に進みつつあるような危険を感じますので、特にその点ははっきり腹をきめてかからなければいけないというふうに思っておるわけですが、それと関連いたしまして、教育番組センターの設立準備というのがございますね。これに対してNHKとしては支出をされるつもりであるのか、あるいは、そういうことをなさっておるのかどうか、これをひとつお伺いしたい。
  79. 前田義徳

    前田参考人 私どもといたしましては、教育番組の制作と放送はわれわれの基本的使命の一つでありますから、すでに三十数年にわたってこれを実施しております。現在この問題に関連しては、私自身は、民放の方々がそれを必要とされる場合には協力するというたてまえで考えております。
  80. 田代文久

    田代委員 財政的な何か協力費とかいうような、そういうものを考えられたことはございませんか。
  81. 前田義徳

    前田参考人 民放界が、いま申しましたように、そのような仕組みを持つことが必要だとお考えになれば、われわれとしては、最小限度の技術的、人間的、あるいはそれに必要な経費の一部をさいてでも御協力申し上げてもよろしいという考え方を持っております。
  82. 田代文久

    田代委員 NHKが大体二億円程度のそういう支出を決定される、そういうことを考えておられるということが伝えられておりますが、そういう事実はありませんか。
  83. 前田義徳

    前田参考人 それは総額どのくらいが集まるか、これとの関連の問題でありまして、最終的に二億円を支出するという決定はいたしておりません。
  84. 田代文久

    田代委員 そうすると、大体最終的に何億何千何百万ということはないけれども、大体それくらいの額の腹づもりはある、こういうことなんですね。
  85. 前田義徳

    前田参考人 一方的にNHKだけが金を出すという考え方は全然持っておりせまん。一体、できるのかできないのか、できる場合に、民放関係が幾らお出しになるのか、それを承らなければ、われわれは一体幾ら出せるかという問題の決定は不可能だと考えております。
  86. 田代文久

    田代委員 大体、私が会長任命制についてお話ししたのに、会長は不用意にしっぽを出してしまったんじゃないかと思うのです。というのは、教育番組センターをつくるということは、これは非常に危険をお感じにならないのですか。結局、教育センターをつくるということは、いわゆる言論統制ですね。そういう中心をつくって、政策なり教育なりというものがだんだん反動的な方向に向かおうとしておりますけれども、これはそういう組織的なあらわれじゃないですか。ですから、会長はそういう民主的な放送法の精神をどういうことがあっても守るという立場をとられますならば、こういう問題に対して、とにかくすでにそういう予算を幾らか出す腹づもりだというようなことは全く言えないはずであるし、それは矛盾しております。ですから、われわれ聴視者立場からいって、NHKとしてはそういうことはやるべきではないと考えますが、どうですか。
  87. 前田義徳

    前田参考人 おことばを返すようですが、私自身は、実は矛盾しているとは思っておりません。  ただ、御発言の御趣旨が、おそらくそういうものが、特別の何かの目的を持って番組をつくる場合には、それが、あるいは先生のおっしゃるような面も含まれる場合には特に危険だということについては同感でございます。ただ、私が承っておりますのは、商業放送の、ことに地方局等におきましては、教育、教養的番組をつくるにはなかなかお金がかかる、したがってローカル放送の質を高めるためにそういうものをつくる必要がある——これは官製ではなくて、商業放送全体がそういう空気になれば、われわれも放送事業者の一部として応分の協力をいたす、ただし、NHKだけが金を出して、NHKの施設でそれをやるというようなことは不可能であるというような考え方を申し述べております。
  88. 田代文久

    田代委員 この問題は非常に根が深いですから、いずれいろいろの機会にしますけれども、私はNHK考え方、したがって前田さんの考え方をやはりはっきりさしておいていただきたいと思うので申し上げますけれども民放が相当そういう方向に行けばこっちも乗っていこうというのでは、これはあぶないです。民放がそういう方向で——民放というのは、これは非常に弱い点を持っていますから、そういう方向の言論統制でも何でも受け入れる、そういう現実も事実あるのです。もうそういう方向に進みつつある。そういう場合に、NHKこそは、これは一億の代表のそういう組織なんだからやらないというき然たる態度を持っていただかなければならないと思うのです。  ですから、それはきょうここで議論しようと思いませんが、そこで小林大臣にお尋ねしますけれども会長任命という問題についての、政府なり小林さんの真意を伺いたいと思います。
  89. 小林武治

    小林国務大臣 いろいろの意見があることは当然であります。会長を任命制にしたらよかろうという意見もある。したがって、われわれとしては、あらゆる場合を検討する必要がある、こういうことでありまして、そういう検討をいたさせたこともあります。しかし、先般予算委員会でも質問がありましたが、いまわれわれが考えておる改正案には入れてない、こういうことをはっきり申し上げておきます。
  90. 田代文久

    田代委員 いま小林さんは、あらゆる場合を検討するとおっしゃいましたけれども、そういうことは政治じゃないのですよ。どろぼうするかしないかということも、これはあらゆる場合になりますね。そういうことはわれわれとして問題にならない。とにかく放送なり、あるいはそういう言論の自由、そういうものを統制に持っていくということは非常に危険だということは、この前の戦争なり、過去の一切の日本の政治的な歴史に明確になっておるのです。そういう段階において、統制の方向へいくにおいのするような問題をあらゆる場合の一つとして考えておるということ自体が、非常に危険であると考えざるを得ないのです。ですから、いまの大臣お話の腹づもりでは、なり国民代表がぼやっとしておれば、とにかくそういう方向に行く可能性というものがこれは非常に感じられるわけです。ですから、任命制というような、そういうことはやらないということをはっきり御答弁できるかどうか、発言願いたいと思います。
  91. 小林武治

    小林国務大臣 ただいま会長お話しのあったように、かつてそういう意見を求められたことも会長自身がある、こういうことであるから、世間にもそういう声があるということは、これは事実でありますが、私がいま申し上げたように、私どものいまの改正案には入っておらない、こういうことでひとつ御了解願っておきます。
  92. 田代文久

    田代委員 残念ながら了解できない。それはいま現実に問題になっていないからということですが、そういうことではなくて、とにかく日本の運命に関する、ほんとうの民主主義をどう守るかという問題については、いまとにかくそれが出ておるとか出ておらないとかいう問題ではないのです。  きょうは時間の関係でそれはよしますが、ここでひとつNHK前田さんにお伺いしますが、今度の国会が始まりまして、NHKはしばしば放送討論会を主催されておる。ところが、共産党は一つもこれに出ないですね。一つも出ないというと語弊がありますが……。(「少数だ」)冗談じゃないですよ。いま少数という発言がありましたが、何が少数だ。冗談じゃないですよ。私のところには決して言ってきません。何千というはがきはきておるのですよ。共産党あたり、議会で発言しないのですか、NHK放送で、もう共産党の代表が何とか発言するだろうと思っておるが一つも出ない、何回も耳をすますけれども、とにかくちっとも出ない。あれは何ですか。あなたは居眠りしているのですかとくるのですよ。何千枚というのがきておるのだから、見てごらんなさい。  ですから、そういう放送番組の決定をなさる基準をどこに置いておられるか、その基準をお伺いしたい。
  93. 赤城正武

    ○赤城参考人 ただいま御質問のあったことは、国会討論会あるいは政治討論会の問題にしぼられて御質問があったように思いますが、この番組だけを問題にすると、あるいは共産党の出方が少ないというふうな御印象もあると思います。しかし、これの編集方針としましては、そのときどきに起こる問題を中心にしまして各党の方々に御出席いただくわけでございまして、たとえば、今度の通常国会に臨む各党の態度というような国会討論会をやっておりますが、それには共産党の代表の方も出ていただいておるわけでございます。それから、たとえば倉石農相問題が起きた場合には、これは社会、民社、公明の各党と与党側の自民党が交渉の中心になっておりますので、こういう場合は、その各党の代表の方々と、政府代表という形で官房長官に出席していただく、そういうふうに、問題別にしぼりまして放送しておるわけでございます。これは国会討論会と政治討論会の問題でございますが、国会中継などにおきましては、もちろん各党の代表質問を全部入れるという根本的な方針をもって放送しておりますし、あるいは、各党のいろいろな意見がありましたときには、その党の御意見は十分ニュースの中でこれを消化していく、そういうたてまえで全般的な番組の編成に当たっておるわけでございまして、そういった意味で、われわれはあくまでも不偏不党、公正な立場で番組を編成していくというふうに原則的に考えておるわけでございます。
  94. 田代文久

    田代委員 あなたはほんとの腹でそれをおっしゃっておりますか。ほんとの腹じゃないですよ。明らかに共産党を排除するという考えがとにかく出ていることは間違いない。放送番組を組む基準は何です。これは放送法放送番組を組む基準でしょう。そうですね。倉石発言の問題に共産党が何ゆえに出席する資格がないのです。天下の常識としても五大政党ということが明確になっておるじゃないですか。また、世界の資本主義国では共産党が持っておる機関紙なんか最大ですよ。日曜版なんか百数十万、読者何百万とおるのですよ。そういう支持者がなぜ共産党の意見を聞いてくれないのかと言ってくる。それを忠実に番組に組むのが最も放送法に基づく精神じゃないですか。たった一回か二回入れたということでは放送法に忠実であるということは絶対に言えないです。どうです。
  95. 赤城正武

    ○赤城参考人 われわれはそうは考えておりません。放送法に書かれておる不偏不党、公正という立場で、あらゆる問題について、あるいは自民党と社会党だけしか出ない国会討論会もございます。そういうふうに、問題別にしぼってわれわれは編成しているのでありまして、単に数字的な、形式的な考えによって少ないとか多いとか、そういうことは考えておりません。
  96. 田代文久

    田代委員 冗談じゃないですよ。数字的な、形式的なといって、数字が実際どのように民主主義を表現するかの内容じゃないですか。しかも、倉石発言問題なんかという問題——あなたは問題別にと盛んに言われる。かりに一歩譲って——あらゆる機会に同じ政党を同じように出せということは、これは当然そうでありますが、一歩譲るとしましても、あまりに出し方が少ないじゃないですか。これは許されますか。私のところになぜそんなに共産党の発言の機会はないのですか、共産党は眠っておるのかというたくさんの国民の、聴視者の声、民主的な声、これをNHKは反映させないのですか。NHK放送法基本の中には、たとえ少数の意見といえども、反対の意見といえども、これは公正に取り上げる、そうして国民の全体の判断にまかせるというのが放送法の精神じゃないですか。あなたのいまおっしゃるようなことは明確に放送法に違反している。私は今後注意していただきたいと思うのです。もしこういうことが続けられるならば、徹底的に私はやらなければならない。NHKというものは一体だれの機関かということを言わざるを得ないのです。——もういいです、答弁は時間がありませんから、いずれこれはNHKともう少し徹底的にひとつやりましょう。  次にいきます。これはやはりNHKにお伺いするのですけれども、きょうこの予算書をいただきましたが、さっき外郭団体に対する助成金ということで小沢さんの発言がありましたけれども予算の中で助成金式のものはどこに出ていて、総額は大体幾らか、どういう内容になっておるかということをひとつお願いしたいと思います。
  97. 志賀正信

    ○志賀参考人 外部団体に対しましての助成金の内容でございますが、まず、御承知NHK交響楽団というのがございます。これに対しまして、四十三年度におきましては二億四百万円を助成することといたしております。それから、NHK厚生文化事業団というのがございまして、これに対しましては二千四百万円の助成をいたすことになっております。それから、日本放送協会学園通信高校をやっておりますが、学園に対しましては二億九千三百万円の助成をいたすこととしております。  以上でございます。
  98. 田代文久

    田代委員 この交響楽団に対する二億四百万円というのは、これは一番大きいわけですね。
  99. 志賀正信

    ○志賀参考人 ただいま三つ申し上げましたが、三番目の日本放送協会学園に対しましての助成が二億九千三百万円でございまして、これが三つのうちでは最高の額でございます。
  100. 田代文久

    田代委員 そういたしますと、NHKとしては放送劇団の運営会というのがございますね。そういう団体といいますか、組織といいますか、これに対しては幾らくらい出しておられるのです。
  101. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 運営会に対しては約二千万円ほど出しております。
  102. 田代文久

    田代委員 それは何年間にですか、毎年ですか。
  103. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 これは毎年楽団からの申請を受けまして、その内容を種々検討しまして毎年決定して出す性格のものでございます。その総額は二千万円です。
  104. 田代文久

    田代委員 そうすると、これはおっしゃるとおり運営会というのは一つのあれではなくて、たくさんのあれがあるわけですね。
  105. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 御指摘のとおりでございまして、運営会と申しましても、全国一本ではございません。本部をはじめ各中央局それから管弦楽団、合唱団、劇団に全部分かれておりまして、全部で十数団体になります。一本ではございません。それぞれに対して助成をしておるわけであります。
  106. 田代文久

    田代委員 そうすると、その運営会で、名古屋放送局が、放送劇団運営会ですね、これに対して幾ら出されたか御報告願いたいのです。
  107. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 名古屋の劇団でございますか。
  108. 田代文久

    田代委員 名古屋の放送局、NHKですね。NHKが運営会に幾らそういう助成をやっておるかという質問です。
  109. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 名古屋につきましては、管弦楽団については百万円ほどの助成をしております。同じく合唱団につきましても百万円の助成をしております。
  110. 田代文久

    田代委員 そういたしますと、大体そういう同質の団体に、あるいは組織に対しては、NHKとしては当然しかるべく助成するというたてまえを堅持されておるわけですね。
  111. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 御指摘のとおりでございますが、誤解のないように申し上げたいと思いますが、この運営会と申しますものは、技能向上を目的といたしまして、三十八、九年ごろから楽団ごとに逐次結成されたものでございまして、その技能向上を目的として結成された団が毎年助成を申請して、その内容を詳細検討するわけでございますが、各年度に出しておるという性格のものでございまして、こういった団体に対しては、例年、三十九年ごろからずっと行なっておるということでござ一います。
  112. 田代文久

    田代委員 そこでお尋ねしますが、日芸労という組織がございますね。日芸労関係に対して、これは実際の事業なりその内容としてはそういう運営会と全く同じことをやっておるようですけれども、幾ら助成をしておられますか。
  113. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 日芸労の方々が結成されておるグループについては、私どもから助成はいたしておりません。また、これにつきまして助成の申請も別に出ておりません。
  114. 田代文久

    田代委員 まだ申請が出てないのですか。そうしますと、申請をかりにされますと、これはそういう助成をなさるということになるのですね。
  115. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 先ほどから何回も申し上げておりますように、その申請の内容を検討いたしまして助成をするということでございまして、内容としましては、技能向上を中心とする事業に対する助成でございます。そういう形でまだ申請も受け取っておりませんし、したがってまた検討したこともございません。ただ、申請した場合にどうするかという御質問に対しましては、先ほど申し上げましたように、その内容を十分検討して出すということでございます。
  116. 田代文久

    田代委員 私たちがあれしたところによりますと、日芸労の方々は全く互助会の方々と同じ立場でずっとやっておられることがはっきりいたしました。これはかりに申請があれば、これを排除するようなことでなくて、はっきりやるということにしていただくようにお願いをしておきたいと思うのです。  では、次にお尋ねしますが、昨年の十一月に滋賀県あるいは長野——実はこれをいま私がお尋ねするのは、大阪の労働委員会の甲二八号という資料、これを入手しましたので、これでお尋ねするわけなんですけれども、昨年の十一月十一日、これは滋賀それから長野というふうになっておりますが、これが演奏会をやられる、これにはNHK放送管弦楽団演奏会という、これは主催者の名前でしょうね、その下にNHKシンフォニーオーケストラ、これは英語で横文字ですけれども、書いてやっておりますね。私たちはこれを見ましてから、当然これはNHKのシンフォニーオーケストラと、それから放送管弦楽団が一緒にやったのか、あるいはNHKがやったのか、そういう気がするのですけれども、この内容御存じですか。
  117. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 詳細は存じておりませんが、大体存じております。
  118. 田代文久

    田代委員 そうすると、これは主催はどこなんです。
  119. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 主催は放送管弦楽団でございます。
  120. 田代文久

    田代委員 そうすると、これはNHKの名前を使っていいことになりますが、どうですか。
  121. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 実は放送管弦楽団と申しましても、これは通称でございまして、そういう団体の実体があるわけではございません。通称としてわれわれはそういうように呼んでおるわけでございまして、それをまた認めておる。それから番組に出ます場合に、NHK管弦楽団という通称をもって、出演者の名前を全部羅列することをそれをもってかえるというような意味で使っておるわけでございまして、通称として使うことを私どもは認めております。
  122. 田代文久

    田代委員 そうすると、この団体に演奏会をやっていただいて、大体どれくらい助成金をお出しになるのですか。
  123. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 先ほど私、あまりこまかいことは存じないと申し上げたのですが、おそらくそれは、先ほど申し上げましたように、運営会は各団ごとに技能向上を目的とする事業助成を受けておりますので、その事業助成の計画の中で技能向上を目的として開かれた演奏会であろうというふうに私ども考えております。ですから、その演奏会自体にそのつど幾ら助成するというようなことはいたしておりません。年間を通じての計画、技能向上の計画に対して助成するという形をとっております。
  124. 田代文久

    田代委員 それは食い違っていやしませんか。これは大阪の労働委員会でのあれのようですが、業務部長の三井主管という人が、この放送のあれについて四十万円の助成をしたということを言っていますね。そうすると、あなたがいまおっしゃるのと食い違いやしませんか。
  125. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 食い違っていないと存じます。もちろん、その事業助成をします場合に、これはどこで行なわれるかということは別でございますが、その中の項目としまして、技能向上のために演奏会を開くというような項目がもちろんございます。ですから、そういった項目に対しては、それを含めて全体の事業助成をしておるわけでございまして、その中での一つの要素として、あるいは計算すればその演奏会に三十万円——向こうの計画が幾らであったか私詳細存じませんが、そういった計算一つとしてあるいは三十万円という数字が出てくるかもしれませんが、私どもとしましては、あくまで助成は全体の助成でございます。
  126. 田代文久

    田代委員 しかし、実際、この三井主管の発言は、これについて四十万円の助成金を出したということを言っておるのです。ですから、あなたのおっしゃることとその点で私は食い違っておると思うのです。いずれにしましても、こういうことが起こっております。  そこでお尋ねするのですが、NHKとしては、この日芸労を労働組合としてお認めになっておるのかどうか、これを質問したいと思います。
  127. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 私どもは、日芸労の方々が結成されておるものを労働組合というふうに称されていることについては存じておりますが、これが労働組合であるとかないとかというようなことを判定する立場にはございません。ただ、私どもは、そのグループの方々の結成されておるものは、私どもと雇用関係にある労働組合というようには解釈しておりません。
  128. 田代文久

    田代委員 とにかく、いまのお話では、労働組合ということにはっきり認めておるわけではないというような御答弁のようですが、これは大阪の地方労働委員会が四十二年の七月二十七日に日本放送協会芸能員労働組合に対して、これははっきり労働組合として確認するということを確認して、そういう審査決定書というものを出している。これは、したがってかりにこういうことがあろうとなかろうと、憲法に保障された団体として労働組合というのはどんどん幾らでもつくられるし、また、つくられなければならぬものです。まして、これは正確にそういうことの公的な地方労働委員会が認定を下しておる。明確なんですよ。これは厳然たる労働組合ですね。それは間違いないと思います。その点はひとつはっきり考えておいていただきたいと思います。  そうしますと、この労働組合とNHKは、これは昨年も問題になったようでありますけれども、等級を上げるとか、給料の問題とか、いろいろ条件の問題について問題が山積しておる。これについて、話し合いなりそういうことをおやりになりましたか、また、なっておられるかどうか、お尋ねいたします。
  129. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 私どもは、日芸労の方々も含めまして、回数出演契約の方々とのいろいろな話し合いは、契約の当事者が行なうということをたてまえといたしておりまして、また、それは当然そういった方々に出ていただきますのは、本部並びに各中央局の番組に密接に関連してくるわけでございます。したがって、そこが契約の当事者になっておるわけでございまして、先ほど話の出ました運営会の方々あるいは日芸労の方々、契約している出演者の、グループの方々とは、各中央局ごとにお話し合いをいたしております。
  130. 田代文久

    田代委員 一種の逃げみたいなお話ですけれども、事実、この日芸労を組織しておられる方々、これはNHKとの関係において給料その他の条件が制約されるし、あるいはまた、きめられるということになっておるわけですね。ですから、当然そういう正規の労働組合がNHKと話し合いをやるとかということは当然であるし、また、私が昨年も聞いたところによりますと、これは慣行的にやっておられたわけでしょう、話し合いなりその他の条件についての話し合いなどは、それを全然いまくずされておるんじゃないですか。
  131. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 そういうことはございません。ただ、私どもは、先ほど申し上げましたように、NHKと日芸労の方々との関係を雇用関係とは考えておりません。あくまでこれは出演契約というように考えておりますので、そういう出演契約考え方に基づきまして、出演者のグループの方々とは従来も行なってきましたし、今後も十分話し合いはしていくというたてまえはとっておるということを申し上げたわけであります。
  132. 田代文久

    田代委員 大体結論を申し上げますけれども、どうも実際上の問題として運営会に組織をされておられるとおっしゃいますけれども、天下の公器であるNHKがそっちのほうには非常にばく大な援助も出し、いろいろとそういう組織の代表とはお話しになっておるというようなことをやりながら、日芸労に組織されておるこういう人たちに対しては、申請がないというお話もありましたけれども、申請があればこれは処置してもらわなければなりませんけれども、そういう点では非常に差別が出ていることは明らかですね。これは日本の全体の芸能の向上、文化的な水準を上げるという意味において私はマイナスだと思うのです。ですから、そういう点は私は非常にNHKの御答弁は納得できないですけれども、この問題点をはっきりつかんで対処してもらいたいと思うのです。  最後にお願いしますけれども、その運営会に出しておられる三十九年以降の支出の明細、先ほどあるとおっしゃいましたね。これをひとつ出していただきたいと思うのですが、どうですか。委員長、いま即刻でなくていいです。
  133. 藤根井和夫

    ○藤根井参考人 提出いたします。
  134. 田代文久

    田代委員 それでは、これで質問を終わります。
  135. 古川丈吉

    古川委員長 次回は、来たる十九日開会することとして、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十四分散会