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前田参考人 全くそのとおりだと思います。誤解を生むような
発言をしたとすれば、私としても不用意であったと
考えます。
私は当
委員会で御
発言のあったような表現をいたしました。その当時におきましては、
日本の
国内の
社会情勢であるとか、あるいは海外の
放送事業との
関連における
一般情勢、そういうものの大
変化が起こるか起こらないか、また同時に
NHKの
放送法の示す根本的な責務を遂行していくために、その
料金でやっていけるかどうかということにつきましては、私はそのような
意思も同時に表明してあったと思います。これらについて結論的な
説明のしかたはしていなかったかと思いますが、いずれにいたしましても、そのままでいけるかどうかという
検討を、実は四十二
年度予算案を御
承認いただきました直後から始めました。
私
どもとしては、ただその瞬間的な
情勢ということに主眼を置くのではなくて、今後どういうような
事態が私
どもの
周辺に起こるか、また、
放送事業という点から、将来どういうような
変化があり得るかということを
考えたわけでありますが、この点については、当面の問題としては、たとえばこの四月一日から、額のいかんを問わず、まず
ラジオ料金が
無料になるという問題があるわけであります。それからまた、今後数年間の
国内の
放送事業というものを
考えるときには、やはり
最後に
放送に残されている波の
国策的な
決定があり得る。
その
一つは、すでに毎
年度郵政大臣の御
承認をいただいて
予算に計上しておる
FMの実験ないし
実用化試験局の拡充、これはやっておるわけでありますが、この
FMの波もおそらくそう遠くない時期に
国策として
基本的決定が与えられるであろうという点、それからまた、前国会でも一部
郵政大臣の
決定によって実施に移されつつあるUHFという、
テレビジョン放送にとっては
最後の波になるわけでありますが、その波についての
最終国策の
決定もあり得るであろうという点、それと同時に、
科学技術の異常な進歩によりまして、もういまや私
どもの
立場から申し上げるならば
宇宙中継の
時代に実際的に入ってきたというような点、それから、今日の、
国内はもちろんでありますが、
各国の
動向を見ますと、
白黒時代から
カラー時代に
相当テンポを早めて進んでいくという
情勢が、ここ四、五年間に全世界的に
決定的な結果をもたらすであろうということ、さらに、
NHK自体から見すまと、たとえば国の
仕事、具体的に申し上げますならば、
選挙放送等においても、将来はやはり
テレビジョンを中心として行なわれることは明らかであるというような点、それからまた、私
どもは
学校放送その他を従来三十数年にわたって行なっておりますが、これらについての地方的な問題に私
どもすでに当面しているわけでありますが、これらに
関連しても
処置を行なわなければならないということ、これらの問題を
検討し、同時に、六年以前から六年間かかっていわゆる第二次六カ年
計画の
最終年度として、私
どもが
皆さんの御支援をいただいて達成している事実との
関係、簡単に申しますと、そのうちの一番大きな問題は、
放送センター建設、これと
関連して全国的な番組の制作及び
技術運用に至るまで機械化するその方式が、実はいよいよことしの六月に完成する。この段階において、先ほど申し上げた幾つかの、およそ五つあるわけでありますが、この新しい
内外の
発展に即応して、そうして、われわれが
合理化と申しますか、新しい意欲を持って土台をつくったその
実情を勘案して、今後どのような資金をどのくらい必要とするであろうかということをまず
検討したわけであります。
もちろん、私
どもとしては
特殊法人格を与えられておりますから、その上にあぐらをかくという気持ちは毛頭ございません。したがって、
聴視料というものは、
事業計画があって
聴視料が
決定するという過去の
考え方ではございますが、
お金という面から見れば、これは今日、ことに
NHKはすでにこの三月末日でその
契約の
総数は二千万
世帯をこえるという
現状において、私はやはりいまの経済的な激動から見ましても
個人的負担は少ないほうがよろしいということを同時に
考えるわけでございます。と同時に、先ほど申し上げたような
環境から
カラー時代が始まるという前提においては、これに対してやはり
一つの方策を生み出すべきである。劈頭に私は
ラジオ料金が
無料になるということを申し上げましたが、これは金高の問題よりも、むしろ
NHKの
料金の
基本的性格と
関連する問題になるわけでございます。すなわち、
NHKを通じて
ラジオを聞き得る人が
お金を払わなくてもいい。これは
社会的生活が非常に困難な方については、
ラジオはもちろんのこと、
テレビに対しても
郵政大臣の認可を経て広範な
免除を行なって今日に至っているわけでございますから、残された
ラジオ受信者というのは、実はこれらとは違った
社会環境の中で生活しておる方々であります。これに対して
受益者負担の
原則を捨てなければならない。
公共的料金としては、やはり当然利用される方の
負担という観念も含まれるわけでありまして、こういう
原則を、この際やはり将来
発展する
カラー料金の中でこの本格的な
性格をさらにあらためて明らかにいたしたいという
考え方も含まれたわけであります。
こういう
検討をしました結果、
NHKから見ますと、実は二種類の
料金を取るということは、非常に
労働力が増すと同時に、その
処置はきわめて困難になります。したがって、これと
関連する職員は最大の努力を払わなくては、実はその把握は困難であります。したがいまして、従来
甲料金、
乙料金という経験を経ておった私としては、実は、将来
料金はできれば一本化しておきたいという
考え方を当時持っていたわけでありますが、るる申し上げた諸般の
情勢及び
実情及び
NHKの
性格との
関連における
検討の結果、私としては、今回
郵政当局とも
お話合いの上、いま御審議いただくような形に
料金体制を踏み切ったわけであります。
一般的印象としては、この
料金体制は値上げであるという
印象を与えておるわけでありますが、もちろん、
カラーの
追加料金百五十円を取るという点においては、取らなかったのに比べてその分だけふえるということは事実であります。しかし、全体的に
考えますと、同時に、
大衆料金と申しますか、少なくとも二千万
世帯に近い
契約者は従来の三百三十円が三百十五円になるわけであります。この
総額はおおよそ三十六億円になります。したがいまして、御審議いただきます
明年度予算は三十六億円の
聴視料を
軽減しておるということになります。それに、先ほど来たびたび触れました
ラジオ料金が
無料となりますので、この点においても最低七億円の
負担軽減ということになります。合計四十三億円の
聴視者に対する
軽減でございます。
これに対しまして、百五十円の
捕捉の数とその金額はどうかと申しますと、大体四月から
契約を開始するといたしまして、
現状おおよそ百万をこえる
カラー受像機が出回っているということは事実でありますが、しかし、それは在庫もあり、あるいは輸出の部分もあり、したがって、
契約の
対象となるものは、今
年度内においては
調査の時期は一月
ばかり
最終調査はずれておりますが、大体六千万から九十万の
家庭あるいは
営業用、そういった
カラー受像機が
契約の
対象となり得る、それからまた、
電子工業界その他の
計算から見まして、
明年度、四十四年の三月末までには市場に出回った
総数は二百万をこえるということは十分予想されます。しかしながら、四月一日から三月三十一日までに個別的に
契約を結んで、そうして
収入の
対象となるものは、実は、そういう概算的な
生産量であるとか、そういうものによっては私
どもとしては
計算の基礎とはなし得ないのでありまして、
契約がとれるというものを
対象として御審議いただく
明年度予算では、その
捕捉を百四十万
世帯と
考えているわけであります。その
総額が、
収入としては、百五十円分が十三億円になるというのが事実でございまして、これは御審議いただくわけでありますが、そういたしますと、この百五十円の
追加料金は、
明年度といたしましてはさらに九十一万
世帯を開発したいという
考え方からいいますと、二千九十一万
世帯の中で百四十万
世帯が百五十円を払っていただく
対象であるというわけでありますから、これを総じて結論的に申し上げて、はっきりと
料金負担の
軽減の政策を
NHKとしては打ち出しておるということを御了解いただければ幸いだと思います。そういうたてまえに立って、しかも、将来に望みを嘱して、新しい
内外の
放送事業界の
発展にいつでも応じ得る機動的な地歩を固めておく、その初
年度の
予算が御審議いただいておる四十三
年度のものでございます。