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1968-03-13 第58回国会 衆議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十三日(水曜日)     午前十時十七分開議  出席委員    委員長 古川 丈吉君    理事 齋藤 憲三君 理事 田澤 吉郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 金丸 徳重君    理事 山花 秀雄君 理事 小沢 貞孝君       内海 英男君    小渕 恵三君       加藤 六月君    金丸  信君       佐藤 孝行君    内藤  隆君       根本龍太郎君    羽田武嗣郎君       水野  清君    武部  文君       中井徳次郎君    八百板 正君       森本  靖君    中野  明君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 小林 武治君  出席政府委員         郵政大臣官房長 溝呂木 繁君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         郵政省郵務局長 曾山 克巳君         郵政省電波監理         局長      石川 忠夫君  委員外出席者         郵政省電波監理         局放送部長   左藤  恵君         会計検査院事務         総局第五局長  小熊 孝次君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   大泉 周蔵君         日本電信電話公         社総務理事   井田 勝造君         日本電信電話公         社理事         (計画局長)  井上 俊雄君         日本電信電話公         社理事         (経理局長)  中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   武田 輝雄君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   三熊 文雄君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   竹中 重敏君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     川上 行蔵君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     志賀 正信君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     佐野 弘吉君         参  考  人         (日本放送協会         経営企画室経営         主幹)     野村 忠夫君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社社長) 大野 勝三君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社副社         長)      八藤 東禧君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     板野  學君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     清田 良知君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     甘利 省吾君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社常務取         締役)     黒田 義晴君         参  考  人         (国際電信電話         株式会社取締         役)      新川  浩君     ————————————— 三月十二日  委員安宅常彦辞任につき、その補欠として畑  和君が議長指名委員に選任された。 同日  委員畑和辞任につき、その補欠として安宅常  彦君が議長指名委員に選任された。 同月十三日  委員石橋政嗣君及び八百板正辞任につき、そ  の補欠として森本靖君及び武部文君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員武部文君及び森本靖辞任につき、その補  欠として八百板正君及び石橋政嗣君議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 三月十二日  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号) 同日  簡易郵便局受託範囲拡大等に関する請願(宇  野宗佑紹介)(第二四一一号)  同外一件(金丸信紹介)(第二四一二号)  同外三件(上林榮吉紹介)(第二四一三  号)  同外一件(久保田円次紹介)(第二四一四  号)  同外七件(櫻内義雄紹介)(第二四一五号)  同外二件(關谷勝利紹介)(第二四一六号)  同(徳安實藏紹介)(第二四一七号)  同(中尾栄一紹介)(第二四一八号)  同(野田武夫紹介)(第二四一九号)  同外五件(本名武紹介)(第二四二〇号)  同(山下元利紹介)(第二四二一号)  同外八件(池田正之輔君紹介)(第二五一六  号)  同外二件(小川平二紹介)(第二五一七号)  同外一件(上林榮吉紹介)(第二五一八  号)  同(世耕政隆紹介)(第二五一九号)  同(田中六助紹介)(第二五二〇号)  同外六件(竹内黎一君紹介)(第二五二一号)  同外一件(渡辺栄一紹介)(第二五二二号)  同外一件(上林榮吉紹介)(第二六〇二  号)  同(中川一郎紹介)(第二六〇三号)  同(野田卯一紹介)(第二六〇四号)  同(坊秀男紹介)(第二六〇五号)  FM東海等の存続及び実用化試験局の本免許切  替えに関する請願外二件(兒玉末男紹介)(  第二五八八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出承認第二号)  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出席要求の件についておはかりいたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、本件審査が終了するまで、随時参考人として、日本放送協会当局出席を求めることとしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  なお、参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 古川丈吉

    古川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。      ————◇—————
  5. 古川丈吉

    古川委員長 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、審査に入ります。
  6. 古川丈吉

    古川委員長 まず、提案理由説明を聴取いたします。小林郵政大臣
  7. 小林武治

    小林国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和四十三年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  これら収支予算等についての概略を申し上げます。  まず、収支予算につきましては、その規模は、収入におきましては九百九十八億五千百万円で、昭和四十二年度に比べますと二十五億六千三百万円の増加支出におきましては一千四億五千百万円で十一億六千三百万円の増加となっており、このほか、前年度からの繰り越し金六億円を収入として予定しております。  収支予算内訳といたしましては、前期繰り越し収支剰余金六億円、資本収入二百十一億四千五百万円、事業収入七百八十七億六百万円、資本支出二百二十八億円、事業支出七百七十二億五千百万円、予備金四億円となっており、前期繰り越し収支剰余金及び事業収入のうちの十億五千五百万円は資本支出に充当することとなっております。  次に、事業計画につきましては、そのおもなものは、テレビジョン放送全国普及のための放送局置局促進放送番組充実刷新受信料体系の設定に伴う受信契約者開発維持等となっております。  なお、受信料体系につきましては、ラジオのみの放送受信についての契約は廃止し、協会の行なう放送受信についての契約を、カラーテレビジョン放送を含まない受信契約と、カラーテレビジョン放送を含む受信契約の二種類に改めることとし、四月一日から実施する予定となっております。  郵政大臣といたしましては、これら収支予算等につきまして検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元にお配りいたしましたとおりの意見を付して提出いたした次第であります。  何とぞ御審議の上、御承認くださいますようお願いいたします。
  8. 古川丈吉

  9. 前田義徳

    前田参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和四十三年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして御説明申し上げる機会をお与えくださいましたことに対して、厚く御礼申し上げます。  協会は、昭和三十七年度を起点とする第二次六カ年計画を策定し、その実現に努力してまいり、予期以上の成果をあげることができましたが、これも、ひとえに委員各位の御支援のたまものと厚く御礼申し上げます。昭和四十三年度事業運営につきましては、この第二次六カ年計画成果を基礎といたしまして、事業経営長期的構想のもとに、テレビジョンラジオ放送全国普及早期達成につとめますとともに、すぐれた放送を実施して、国民の要望にこたえ、国民生活充実向上に資するよう努力する所存でございます。  まず、協会事業運営の根幹となります受信料体系について申し上げます。  協会は、国民受信料負担の軽減と公平を期する見地から従来の契約体系及び料金を改め、普通契約カラー契約の二種類料金体系を設定し、料金の月額を、普通契約においては三百十五円、カラー契約においては四百六十五円とすることとしております。また、ラジオのみの契約については、これを廃止することといたしております。  次に、おもな計画について御説明申し上げます。  まず、建設計画から申し上げますと、テレビジョンにつきましては、総合教育とも全国放送網早期完成をはかるため、総合教育テレビジョン局とも百四十局の建設を完成し、百二十局の建設に着手することといたしております。これらにより四十三年度末におきましては、総合教育テレビジョン局とも八百一局となり、全国世帯に対するカバレージは、両放送網とも九六%となる予定であります。  一方、ラジオにつきましては、放送受信困難な地域の解消をはかるため、大阪大電力放送局建設を推進するほか、第二放送四局の増設を実施することといたしております。また、超短波放送普及をはかるため、四十局の建設を行なうことといたしております。  これらによりまして、四十三年度末の全国世帯に対するカバレージは、第一放送九九・七%、第二放送九八・六%、超短波放送八九%となる予定であります。  また、かねて建設を取り進めてまいりました放送センター第二期工事を完了いたしますほか、テレビジョンラジオ放送設備充実改善研究用施設業務合理化のための機器の整備等を実施することといたしております。  このほか、沖繩関係技術施設整備を実施することといたしております。次に、事業運営計画につきまして申し上げます。  まず、国内放送につきましては、テレビジョンラジオとも番組内容充実刷新につとめることといたしておりますが、テレビジョンにおきましては、総合放送は、広く一般対象として、番組の各分野にわたり調和のある編成を行なうとともに、佐賀、香川の県域ローカル放送を充実することとし、教育放送は、学校放送通信教育番組を中心に編成を行なうとともに、新たにローカル放送による教育番組を実施することといたしております。  また、カラーテレビジョン放送につきましては、ニュース及び教育番組など、カラー放送に適した番組対象に順次拡充することとし、放送時間を一日平均十時間とすることといたしております。  ラジオにおきましては、第一放送及び第二放送全般にわたり番組刷新をはかり、受信者聴取態様に適合した効果的な番組編成を行なうとともに、超短波放送におきましては、ステレオ放送拡充、高度の教養番組充実等、その特性を生かした番組刷新強化をはかることといたしております。このほか、報道取材体制強化放送番組利用促進等の諸計画を実施することといたしております。  また、国際放送につきましては、一日三十六時間三十分の規模により放送を実施することといたしておりますが、各地域特殊性に即した番組編成するとともに、国際放送周知強化等により放送効果増大をはかることといたしております。  次に、受信契約者普及協会事業周知につきましては、新しい受信料体系の確立と相まって、受信者開発につとめるとともに、受信者の理解と協力を得るよう協会事業周知受信改善を積極的に行なうことといたしております。特に、大都市圏における総合受信者対策UHFテレビジョン普及テレビジョン共同受信施設に対する助成等により、極力、受信契約者維持開発につとめ、あわせて受信料の収納につきましても、一そう確実を期するよう努力することといたしております。  調査研究につきましては、国民世論調査テレビジョン及びラジオ番組聴視状況調査並びに意向調査放送衛星開発に関する研究カラーテレビジョン改善研究等を積極的に実施することといたしております。  経営管理関係につきましては、事業規模拡大に伴う業務増大に対処いたしまして、業務全般にわたり効率化を積極的に推進し、経費の節減につとめますとともに、業務全般機械化及び職員に対する教育訓練実施等により企業能率向上をはかることといたしております。  また、給与につきましては、社会水準に比し、適正な水準を維持し得るよう改善をはかる所存であります。  最後に、これらの事業計画に対応する収支予算につきまして申し上げます。  まず、収入といたしましては、資本収入において二百十一億四千五百万円でありまして、このうち、外部資金の借り入れにつきましては四十六億三千万円であります。また、事業収入において七百八十七億六百万円であり、このうち、受信料収入につきましては、昭和四十三年度における受信契約者の増減を、普通契約においては、年度初頭二千九万一千件に対し、カラー契約への変更により年度内四十九万件の減少、カラー契約においては、年度内百四十万件の増加、合わせて契約者総数において、年度内九十一万件の増加を見込み、七百七十三億一千万円と予定いたしております。このほか、年度からの繰越金六億月を予定いたしております。  これに対する支出といたしましては、資本支出において二百二十八億円でありまして、このうち、建設計画に要する経費は百五十八億五千万円であります。また、事業支出において七百七十二億五千百万円であり、これが内容につきましては、国内放送費に二百四十一億一千四百万円、国際放送費に七億一千二百万円、業務費に六十五億二千六百万円、調査研究費に十五億六千七百万円、管理費に九十四億六千七百万円、給与に二百四億九千二百万円、減価償却費に百十八億二千万円、関連経費に二十五億五千三百万円であります。このほか、予備金として四億円を計上いたしております。  以上、昭和四十三年度日本放送協会収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べさせていただきましたが、わが国経済文化の発展、国民生活向上放送の果たすべき使命がますます重要となっていることに思いをいたしまして、従業員一同総力をあげ、この責務遂行に努力する所存でありますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援お願いいたし、あわせて、何とぞすみやかに御審議、御承認を賜わりますようお願い申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
  10. 古川丈吉

    古川委員長 これにて提案理由説明は終わりました。  この際、森本靖君から資料要求に関し発言を求められておりますので、これを許します。森本靖君。
  11. 森本靖

    森本委員 これだけの予算書ではなかなか審議しにくいので、膨大な資料になりますけれども、資料を要求しておきますので、早急にお出しを願いたいと思います。  まず第一番目に、NHKの代表的なドラマ単価。これは、たとえば「竜馬がゆく」というようなのは白黒でありますが、これのいわゆる単価、それから「歌のグランドショー」、これなんかはカラーテレビの代表的なものでありますが、そういうものの単価、それから四十五分間のいわゆるNHKドラマ、そういうものの単価、それからいわゆる海外取材番組、こういうNHKの代表的な番組単価をひとつお出しを願いたい。  それから「紅白歌合戦」の総決算、これがどの程度かかるか、ひとつお出しを願いたいと思います。  それから、NHK傍系機関の資産、決算業務内容、役員、これをひとつお出しを願いたい。  それから、これはこの予算には直接関係ありませんけれども、NHKに非常に関係がありますので、NHK共済会施設状況。  それから、従業員業種別人員、それから男女別。  それから次に、例の軽井沢山荘の四十二年度における利用状況。  それから、NHK長期構想概要。  それから次に、新受信料算定根拠、これは普通契約カラー契約算定根拠積算根拠。  長期負債の現状。  それから、昭和四十三年度政府交付金内訳。  昭和四十三年度助成金内訳。  それから、テレビ共同受信施設に対する助成計画。  受信契約状況及び受信料免除状況。  それから、カラーテレビジョン受信機及びUHFテレビジョン受信機普及状況。  それから、超短波受信機普及状況。  それから、技術研究費内訳、さらに、NHK技術の現在の事業内容、それからいま研究しておる内容。  それから次に、雑音障害発生状況及びその措置状況。  昭和四十三年度テレビジョン・標準及び超短波放送網置局候補地名、これはむずかしければ大体のところでけっこうです。この点はおまかせをいたします。  それから、現在の放送センター概要、それから、放送センターに付随するところの傍系機関。  それから、日本放送協会学園の現在の状況。  それから、沖繩関係技術施設内訳。  それから次に、カラー番組のいわゆる拡充計画、これを具体的に。  それから、これはこの間中野委員が要求いたしましたけれども、さらにあらためて経営委員委員名、職業、選出地区会議開催状況、それから委員の報酬。  以上、相当膨大な資料でありますが、これだけの資料がないとこの予算書ではなかなかわかりませんので、ひとつ次の委員会までにはこの資料を正式にお出しを願いたい、こういうことです。
  12. 前田義徳

    前田参考人 提出いたします。      ————◇—————
  13. 古川丈吉

    古川委員長 この際、逓信行政に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。中井徳次郎君。
  14. 中井徳次郎

    中井委員 私は、郵政関係、それから電電公社関係NHK関係国際電電関係等につきまして約二時間ばかりかかると思いますが、郵政大臣及び関係皆さんにお尋ねをいたします。  ただ、実は民放の皆さんにきょうお出かけをいただきますように委員会を通じてお願いをしたのでございますが、何か、きょうは総会か何かおありでございまして、都合が悪いという御返事が質問者の私に委員部からございましたので、これはひとつ、委員長のほうにおかれまして、都合のいいときに時間をなにしてお願いをしたい、この点だけひとまず保留をさせていただきたいと思うのであります。  ごく一般論でございますので、そのおつもりでお答えを願いたいと思うのですが、まず第一に、郵政関係につきましては、これは小林さんが言われたのかどうか、私、その点は正確ではないのですけれども、日本官業の中で、電電公社、国鉄、専売などがいわゆる公社という形でございます。それ以外に五現業というのがありまして、郵政関係郵便事務とか、そういうものが五現業の中に入っております。公社も発足いたしましてからおのおのもう十数年経過をいたしまして、相当な実績をあげておるわけでございます。また、諸外国の傾向などを見ますと、この郵政仕事は非常にじみで、間違いがあってはいけないことではございますけれども、最近のこの人間生活一般的な非常な向上だとか、非常に世界が狭くなった。いろいろのコミュニケーションの複雑化とか高度化とかスピード化とか、そういうものとからみ合わせまして、郵便事業など、いまは官業ということになっていますが、将来はむしろ公社というような考え方をしてみたらどうか、そういうことについて小林大臣が、二、三カ月前でございましたか、そういう意向を漏らされたということをちょっと聞きましたので、、郵政事業公社化といいますか、現業部門管理部門とを切り離しまして、そういうことについてどうお考えになっておるのか、また、将来どうでありますのか、その辺ちょっと伺っておきたいと思います。
  15. 小林武治

    小林国務大臣 ただいまのお話でございますが、御案内のように、郵便というものは、人間意思伝達手段として、以前はもうほとんど唯一のものであった、こういうことで、信書の秘密、これらの関係からして、世界各国、どこでも郵便だけは国が直営でやってまいったのでありますが、その後、この意思伝達手段が電話とか無線とか、いろいろな方面にこれらが用いられるようになりまして、郵便に対する考え方が多少世界的に緩和されてきたのではないか、こういうことでありまして、まずイギリスがこれに先べんをつけまして、明年四月からこれを公社に移行する、こういうふうな法律が通っておるのであります。アメリカも諸般の事情から公社化、こういうふうな意見が出てまいりまして、いま委員会等をつくって検討しておる、こういうところでございます。そのほかの国においても同様な問題が起こっておる。日本におきましても、もう鉄道も専売もまた電電もすでに十数年前に公社に移行して相当な成績をおさめておる。そうして、大きな現業事業として国営に残っているのは、いま郵便事業だけである、あるいは全林野とか、アルコールとか、いろいろなものがありますが、大きな現業としてはこれだけである、こういうことであります。日本官庁も、よく硬直化してきておるといわれておりまして、こういうふうな一種の純粋な事業そのものはもう企業である。こういう企業をいまの官庁組織で経営していくことが適当であるかどうか、こういうことについて非常な疑問が持たれておるのであります。ことに、これらの仕事は、相当長期の展望に立って、長期計画のもとに運営さるべきものであるのに、いまの官庁組織では、郵政大臣等も、長く在勤をしてこれらのことに取り組むことができない、こういう非常に大きな欠陥も生じてきておりますし、また、事業としてこれが独立採算制であるとはいいながら、しかもなお国営企業であるために、どうも従業員に対してもほんとうの企業という観念が徹底しない、そして、ややもすれば一種の日の丸産業というふうな考え方が残っておって、経営というものについてのほんとうの企業としてのやり方が徹底しておらぬ。特別会計ができてからすでに二十年余もたっておりまするが、自分の収入と自分の支出、あるいは自分の給与というものについての直接の関連性についての認識がまだ欠けておる、こういう実態でもありますので、私どももやはりこの際ひとつ真剣に公社問題に取り組むべきである、こういう考え方を持ちまして、昨年暮れだと思いますが、郵政省の中に郵政事業経営形態調査室というものをつくりまして、外国のいまの各種の法令、あるいはやり方等についての検討を進めるとともに、国内においても、公社化といまの官営組織との是非得失、こういうようなものをひとつ検討するように、こういうことでいま検討をさしておるところでございまして、まだ結論的にどちらがよいということにあるわけではありませんがこれは真剣に検討すべき時期にきておる、そして、非常に大きな行政機構の改革になりまするが、日本のためにこれがよいというならば、ひとつその方向に向かって断行すべきではないか、かような考え方をいま持っておるのでございます。
  16. 中井徳次郎

    中井委員 大臣の気持ちはよくわかりました。  そういたしますると、結局、あなたは経営形態調査で調べさしてはおるが、大臣としてはできるだけ積極的にこれを取り上げていきたい、こういうふうに判断をしてよろしゅうございますか。
  17. 小林武治

    小林国務大臣 さようなことでございます。
  18. 中井徳次郎

    中井委員 この問題は大問題でありまするから、私ども社会党といたしましてもまだ結論を出しておる問題ではございません。ですから、私が申し上げるのは個人的な見解になりまするけれども、私といたしましても、一委員といたしましては、いまの大臣の考え方に賛成をいたしたいというふうに思います。  そこで私は、この際こういうものを積極的に大いに取り上げて議論をしていただきたいのだが、それと関連をいたしまして、郵政関係といいまするとしょっちゅう議論になりまする、いわゆる特定局というりがある。特定局の世襲制とか、身分制とかいうふうなことにつきましては、労働組合のほう、従業員の側は絶対反対、なるべくなくせと言いまするし、特定局長さんの側は、これは温存しなければならぬというふうな、機構論といいまするか、組織論といいまするか、そういうことで過去十数年議論をしておるのでありまするが、こういうものは、公社というふうなものの考え方の中でそしゃくさるべきものである。私は、こういうものをそしゃくするために公社をやれなんて、そういうけちな、本末転倒のことを言っておるわけではありませんけれども、公社というものの中でこういう問題をそしゃくすべきでありまするから、したがいまして、今度何か、もう提案理由説明があったのか、なかったのか、私はしばらくサボりまして申しわけありませんが、簡易郵便局、特定郵便局ですか、何かそういう制度が出るらしいのですが、そういうものも、こういう大問題を審議いたします過程の中で私は整理さるべきものであると思う。そうなれば、非常に簡単に——簡単というと語弊があるかもしれませんが、解決できるというふうなものの考え方をいたしておるのですが、この辺の見解を伺っておきたいと思います。
  19. 小林武治

    小林国務大臣 これはもうお話しのとおり、そういう大問題の際には当然付随して出てくる問題だと思いますが、私ども郵政省としましては、できるだけ、ほんとうに小さな部落、津々浦々まで郵便の窓口の利便を提供したい、こういうことのためには、ああいう制度を早くやりたい、こういうことで今度もお願いをいたしておるのでありますが、これらの問題も、公社問題等がもし具体化してくれば自然に解決すべき問題であるということは私考えております。
  20. 中井徳次郎

    中井委員 したがいまして、社会党は今回出されました法案について反対をいたしておりますが、何と申しますか、もう少し時期を待って一挙にそういう問題を片づける、そういうものの考え方をむしろ推進すべきである、こういうふうに考えておるわけです。大臣とされましては、そこまで待てない、いなかのそういう不便なところをどうしてもやらなければならぬ。これは見解の相違になるかもしれませんけれども、私といたしましては、この際、ここまできております。もっと率直に言いますと、地方におりまして、たとえば国鉄あるいは電電仕事のしぶり、あるいは職員の待遇、その他万般を勘案いたしまして、やはり何か官業の方は非常にじみであるし、また待遇等におきましても、ほかの公社の職員に比べて何か気の毒なような、少し何か落ちるような感じ——戦前はそういうものについては、また別に官吏としての、武士は食わねど高ようじ式なものがあったと思うのですけれども、戦後はそういうものも払拭されておる今日でありますので、ぜひこの点はもっと高所から公社問題を取り上げていただいて、そして毎年繰り返されます摩擦というふうなものもこの際払拭されるように、私はその点を期待をいたしまして、公社問題はこの程度にいたしておきます。  次に、ちょっと通信衛星のことで伺ってみたいと思います。先般、郵政省が音頭をとりまして通信衛星の開発推進本部というものをつくられたようでございますが、これは性格的には、政府の正式な機関でありまするのか、あるいは民間の一つの組織なのか、あるいは財団のような形になさるものであるのか、どういうものでございますか。
  21. 小林武治

    小林国務大臣 これは御承知のように、宇宙開発の一元化、こういうことが非常にやかましく言われておるのでありますが、通信衛星につきましては、いわゆるロケット方面とはむろん関連はありますが、別にそれだけの開発が可能である、すなわち、衛星の本体は郵政省を中心としたものでそれができる、こういうことで、従来郵政省、NHK電電公社国際電信電話、この四社でこれらの連絡協議会というものを持っておったのでありますが、もっと強力にひとつ一緒になって仕事をして、お互いの予算の重復とか、むだとか、こういうものをなくして、そしてお互いに分担をしてやると申しますか、こういうふうなスピードを早めるためにも、従来のようなゆるいものではうまくいかないだろう、こういうことで、先般みんなで協議の上で開発本部というものを置くことになりましたが、これ自体は郵政省の完全な機関というわけでなくて、要するに四者の共同機関、こういうふうなつもりで郵政省が中心になって世話をする、こういうつもりでやっておるのであります。
  22. 中井徳次郎

    中井委員 その本部の性格はどうなんです。政府機関なんですか。何なんでありますか。
  23. 小林武治

    小林国務大臣 これはもうわれわれは政府機関とは考えておりません。四者が一緒になって、ひとつわれわれが、郵政省が中心になってこの仕事協力したい、こういうことであります。
  24. 中井徳次郎

    中井委員 任意団体ですか。
  25. 小林武治

    小林国務大臣 申せば、そういうことでございます。
  26. 中井徳次郎

    中井委員 そういたしますると、この通信衛星についてはずいぶん私は問題があると思うのですが、もうどんどん上がっておりまするし、アメリカも上げているし、ソ連も上げているし、何か、あとフランスもイタリアも、方々の国で上げるとかなんとかいうことになっておるようでございます。  一体、日本はいつこれを打ち上げるつもりであるのか。それから問題は、電電公社NHK国際電電郵政省も関係があるどころじゃない。これは非常に影響されると思います。また通信衛星そのものは、もう日本の技術をもってすれば、今日においてもできるのじゃないか。問題は、打ち上げである。この打ち上げ技術が全然だめだというふうに私どもは判断しておるのですが、その辺のところはどうなんですか。
  27. 小林武治

    小林国務大臣 これはいまの郵政省を中心とするところにおいては、四十五年までにはそのことが可能である、衛星そのものは開発ができる、こういうふうな考え方をいたしておりますが、これを打ち上げるロケットがそれに合うかどうかということについての疑問がいま出ておるわけであります。
  28. 中井徳次郎

    中井委員 そんなにのんきなことを言っておっていいのですか。たとえば国際電電はインテルサット、商業通信の暫定制度の協定についてこれに加盟して、分担金まで出しているわけですね。このインテルサットというものと、あなた方が開発推進本部でやろうといっているものとの関連は第一どういうふうになるのですか。
  29. 小林武治

    小林国務大臣 いまのインテルサットは御承知のように昭和四十五年から従来のいわゆる暫定協定を廃して恒久的な協定にしたい、その協定をする際において、各国がシェアと申しますか、発言権と申しますか、こういうものを確保するためにそれぞれの国において通信衛星を開発する、こういう努力をいたしておるのでありまするが、私どもの日本においてもそのつもりでこれを開発することによってこれらに対する発言権を強めよう、こういうことでありまして、いまのインテルサット利用についてのいわゆるシェアを多くする、そのためには、どうしてもやはり国産のそういうものを上げておく必要があるということで各国とも努力をしておる、こういうことでございます。
  30. 中井徳次郎

    中井委員 ちょっと私、原則的なことを聞きますが、暫定協定はどうなんですか。国会の承認は得ておりますのですか。得ておりますならいつ批准を受けたか、ひとつ伺っておきたい。
  31. 小林武治

    小林国務大臣 これは暫定協定としてできて、日本のKDDもこれに参加している、分担金も若干払っている、こういうことでございますが、このこと自体が日本国民に新しい権利義務を与える、こういうものではないということで会社間の協定にして、そうしてこれを政府が了解している、こういうことでございます。
  32. 中井徳次郎

    中井委員 これは国会の承諾を得なくてもいいという根拠をどなたか御存じだったら、なぜ得なくていいのか、これはどうなんですか。いかに暫定といえども、日本の国策会社が金を出している。三十九年です。いまから三年ほど前に出しておる。どうして国会の承認を得ないのか。暫定だからいいのですか、本ものの協定ができたときもネコババでいくのですか、どうです。
  33. 柏木輝彦

    ○柏木(輝)政府委員 ただいまの協定は、昭和三十九年八月二十日にワシントンにおきましてわが国を含む十一カ国が署名しております。現在六十一の加盟国を要しているわけでございますが、この協定はこれによりましてわが国民に新しい権利義務を設定するものではないという解釈でございまして、また、政府といたしましても特に財政的な負担を負うということはございません。それで、立法府の承認を求めないで、行政府限りの協定として締結したわけでございます。なお、国際電信電話株式会社が締結しております協定は、この協定とは別の附属協定でございます。
  34. 中井徳次郎

    中井委員 これはけしからぬことだな。何を言ってますね。国民に金をかけないとかなんとかいって、大臣、あなたも御存じなかった。私も二、三日前まで知らなかった。調べてみたら協定となっているから、ちょっと調べたら国の会社です。ちゃんと国が署名している。あなたのさっきの御説明の中に四十五年なんて言っていましたけれども、四十四年だ。来年の一月一日に本協定にせんならぬ。あと半年くらいしかない。この点どうです。
  35. 柏木輝彦

    ○柏木(輝)政府委員 四十五年の一月から本協定になるということで暫定協定をやっております。
  36. 中井徳次郎

    中井委員 いずれにしましても、これを国会の承認を得ないというのはけしからぬと思うのです。けしからぬです。ですから、きょうはこの質問だけしますが、本協定になる。それから世界六十一カ国と言っていますが、はっきり言いますと、ソ連圏のやつが入っていないが、それを入れるか入れないかということが政治的な大問題になる。現に、国際電電の社長が、感想か何かの中でソ連圏も入れなければならぬと、ちゃんと書いている。ですからこれは、こんなことをほおかぶりでやられたのでは、実際国民は迷惑しますし、私は、通信衛星というものはそんなに遠慮せぬでどんどん日本で上げたらいい。おととしもさきおととしもそういう質問をいたしました。上げる技術が問題になってくるということになりますと、先般、去年の暮れでございましたか、ジョンソンアメリカ大使が佐藤総理に会って、そうしてこれについて援助しようというふうな申し入れがあった。その一週間か二週間前にソ連がやはり同じようなことを、日本政府が相手じゃありませんけれども声明をしている。直ちにそれを受けてジョンソン大使が首相に会って、ロケットを貸してもいいというふうなことを話したとか話さぬとかいうことを私は聞いております。この援助をするということは大々的に新聞に報道されましたが、その内容がどういうものであったか、これをひとつ、大臣聞いていらっしゃるなら、この席でお話しを願いたい、私どもに御説明が賜わりたい、こういうふうに思うんです。どうですか。
  37. 小林武治

    小林国務大臣 正直に申して、私はその書面は見ております。しかし、その内容については、私どもがここで申し上げる自由がないようでございます。
  38. 中井徳次郎

    中井委員 これは通信衛星で、商業通信衛星ですからやはり何か秘密があるのですか。秘密があるのなら、こういうところで、秘密があるからこうだとか、あるいは、秘密保護法なら秘密保護法というようなものがいま日本にないから日本においてそういうものをつくれというのか、その辺のところ、どうなんですか。そういう形のものか。  それから、私は技術屋じゃありませんから概念的にずっと知っている程度でございますが、打ち上げるということになったら、日本国内から打ち上げないといけないのですか。その辺のところも、私素朴な疑問を持ってるわけなんですが、どういうことになるか。  それから、フランスやイタリアはどういう形で打ち上げておるのか。ソ連はどうか。これは大臣が御存じなければ関係皆さんでけっこうですが、その辺のところを説明願いたい。それから、大臣は秘密があるから言えないというのでは、これはちょっと秘密会にしていただくか何かしないと困るんですが、この辺のところどうですか、二つに分けて……・。
  39. 小林武治

    小林国務大臣 いまの問題これは外務省のお話でございますから、お話の向きはひとつ政府部内と相談してみたい、こういうふうに思います。  また、打ち上げそのものについては、私はよく存じませんが、日本でも打ち上げられるし、アメリカでも打ち上げれば打ち上げられる、こういうことだそうでございます。
  40. 中井徳次郎

    中井委員 これはひとつ真剣に政府でこの辺のところを議論してもらいたい。これが発表できないというふうな形の中で、実際問題として日本の通信衛星を打ち上げるわけにいきませんでしょう。それはやはり国会も了解しなければいかぬ。そういうことですから、これは非常に重要だと私は思うのです。通信衛星の衛星そのものについては、私は通信衛星をつくる部品などは、むしろ日本の中小企業の弱電界の皆さんからアメリカへそういうものを送っているという話は前から聞いております。したがいまして、通信衛星の組み立てそのものについてはそうなにはない。結局打ち上げにしぼられる。打ち上げにしぼられると、開発推進本部というようなもので親戚同士が集まってわあわあ言ったところで片がつきはしません。これはやはりそちらのほうの大学とか科学技術庁とか、そういうふうな全般の問題としてこれを取り上げてもらわぬと、皆さんは推進本部だから、本部でけっこうでしょうけれども、それだけではいけないというふうに私は思うし、それから、これはさらに勘ぐって申し上げて恐縮だけれども、これをやるためには、何といってもやはりNHKなり電電公社なり国際電電の資力というものがものを言うと私は思うのです。政府がその予算を組んで、それがどこの予算、何の予算、それを総理府がどうだ、科学技術庁がどうだと言っておったのではこれはおくれる。先ほど伺えば、私は来年の一月と思ったが、再来年一月だというのですが、その間に打ち上げができない、打ち上げられないというふうなことになると、どうなるんですか。これはインテルサットとの関係はどうなるんですか、おそくなってもかまわぬのか。どうなるんですか。発言権なり使用権、たとえば国内通信にでも使えると思います。いまはこれはインターナショナルのものでありますけれども、国内通信にも盛んに使わなければならぬし、また使うべきであるという判断からして、こういうことについての相関関係をだれか総体的に答弁願いたい。大臣でなくてもけっこうです。
  41. 柏木輝彦

    ○柏木(輝)政府委員 ただいまの御質問は、日本でつくります人工衛星をどのような利用の形態を考えていくかというところに大きい問題があるかと存じます。  この考えられる用い方といたしましては、もちろん国際通信用、国内だけに使う通信用、あるいは西欧のグループで考えておりますような地域衛星というような、たとえば東南アジア関係を中心にしました利用を考える、あるいはその他公衆通信以外の目的に使う気象衛星でありますとか、航行用衛星でありますとか、いろいろな利用の方法はあるかと存じます。また、そのほかにも放送用の衛星として利用する研究開発も進められておりますので、これらの用途、目的を考えまして、日本としましてどういうようなものに主力を置いて今後この研究開発体制を進めるかということを現在検討を始めるところでございまして、先ほどお話がありました通信衛星の開発本部につきましても、近くこの問題につきまして調査を進めるように伺っておる次第でございます。
  42. 中井徳次郎

    中井委員 私はそんなのんきなことを言ってはいないんだ。放送に使う、電信電話に使う、気象に使う、そんなこと、調査せぬでも議論せぬでもわかっていますよ。あと、どの程度かの事務的な問題だけが残っているので、使うところの方法だとか何だとかいうことではない。第一、考えてごらんなさい。テレビ一つにしましても、世界で二番目の受信の台数になったとかなんとかいいながらテレビ用の衛星が一つもないわけですから、これで二、三年たつと全部アメリカさんから買うて、高い料金を払うてこれをやっていく。NHKは金持ちだからいいかもしれませんけれども、そういうようなことになる。それからまた、前にこの通信衛星は幾らだと言ったら、ずいぶん高いというようなことであったが、こんなものは量産すれば安くなるにきまっている。何も、一つこしらえたらなんですけれども、そういうもので、地下ケーブル、海底ケーブルより高いとかなんとか、場当りの答弁をしておりましたが、そんなことを言うている間にもっと研究を進めて、早くたまを上げてくださいよ。たまか四角のものか私は知らないが……。何をしてるんだというふうなことを私は感じます。  それで、ジョンソン大使から話のあったこの通信衛星の問題は、ジョンソン大使から首相に話があった内容、これが日本に受けられるか受けられないのか、受けるためにはどうするんだというような問題それから、基本的なこの協定そのものが国会の承認を経てないというふうなべらぼうなことですね。こういうことについては、私、また委員長の許可を得てひとつこの次に質問させてもらって、きょうはその点は保留をいたします。このことだけでも言うてればまた一時間二時間かかるから保留をいたしますが、ひとつ、大臣におかれましてはその辺のところをなお督促されまして、まとめていただいて、協定は、こんなものをいまごろ出してきたから社会党は反対だということはあるかもしれない、はっきり言うと。しかし、初めにすっと出せば、こんなのだれも反対しなかったと思うのです。こういうものも、多少反対があり賛成があるにしても、とにかくこれは出さないことにはいけないことじゃないかというふうに考えております。  それでは次に、電電公社のことで、電電公社はここ一、二年ときどき三カ月に一回か半年に一回料金値上げするというような発表をする。そうして、この点は小林大臣はまだ早いと言っておる。私は小林大臣のほうが烱眼だと思うのですが、一体どうなんですか。料金の値上げの問題、自民党の諸君は来年の四月からならいいだろうというようなことを言うたというふうなことが——自民党の通信部会がそういうふうにきめたというふうなことが新聞に出ておりましたが、一体電電公社料金問題についてどう考えておるのか。実は、戦後電気通信のうちで一番発達をいたしましたのが、日本におきましては電話の数でございまして、もう一千万を突破するようになっておる。そうなっておりながら、私に言わすと、料金体系その他が全く明治二十年か三十年のころの形そのままで、そうしてそれをただ上げよう、こんな知恵のない話はどこにあるのかと思うのです。  そこで総裁に伺いたい。経理屋の副総裁でもけっこうですが、電電公社の経理をどういうふうに考えておるのか、これをちょっと伺いたい。
  43. 米澤滋

    ○米澤説明員 いま御質問がありましたので総括的にお答えいたしまして、なお数字につきましては副総裁から答えさせます。  電電公社といたしましては、先ごろ、といいましても昭和四十年九月に電信電話調査会、これは佐藤喜一郎氏を会長といたしまして、いろいろ公社の経営の基本的な問題、あるいは将来に対します拡充計画、電信事業合理化、こういった問題を審議していただきまして、そこで答申をもらいました。それからまた、昨年、木川田氏を会長といたします経済審議会で経済社会発展計画というものが答申されておりまして、その二つを受けて第四次五カ年計画の大綱というものを公社として経営委員会においてきめたのでございます。これは、一つは、経済の効率化日本の産業経済の効率化をはかっていくこと、第二が、地域開発とその地域の格差を是正していくこと、第三が、生活の向上と近代化をはかっていく、大体いまの需要を考えますと、四十七年度末には三世帯に一つ電話がつくであろうと予想しております。第四は、同一市町村内の市内通話区域の統合拡大による地域社会の発展、この四つのことを目標といたしまして、長期拡充計画、五カ年間の計画の大綱というものをつくった次第であります。  ところで、現在の公社内容を御説明いたしますと、積滞が約二百二十万、いまあります。本年度予算でも一般加入電話百四十七万をつけることに予定されておりますけれども、この計画を実施いたしましても、最近の電話の需要が、ガス、水道、電気と同じようにいわゆる生活必需品に化してきた、こういうために、おそらく積滞というものはなおふえるというふうに予想しております。  それで、この計画をやりました場合に、大体どのくらい四十七年度末で積滞が残るのかというのを予測してみますと、大体百二十万くらいの積滞がなお残るという状態でございます。公社といたしまして最近は特に技術革新が非常に激しいのでありまして、これを積極的に取り入れることによりまして、たとえば県庁所在地相互の問をダイヤル即時にするというようなこと、あるいはまた、自動化によりまして、従業員の職員の一人当たりの受け持つ電話数というものは毎年一二%から一三%物的生産性が上がっておる。それから、十年間で建設費約四千億円を節減するということで努力いたしてまいりました。しかしながら、現在電報は収入が一〇〇に対しまして支出が五五〇、すなわち百億円の収入に対して支出が五百五十億円です。これは結局配達等に人件費がかかるのでありまして、この場合、先ほど電話については生産性が毎年一二%から一三%上がったと申し上げましたが、電報につきましては、大体人件費が七〇%以上を占めておりまして、結局この赤字というものをどうしても体質的に持っておるということ、それから、電話がだんだん普及してまいりますと、現在いわゆるビジネス電話を含めまして、全加入者の平均の収入が月に五千円であったのに対しまして、今後利用度が少ない農村であるとか、あるいは住宅に電話が普及するようになってくる、すなわち月の収入が大体千五百円ぐらいのところにどんどん普及するということ、それから、これまでに投資いたしました減価償却費あるいは利子というものがかさんでまいりまして、いわゆる自動化によって経営は確かに合理化されてまいりましたけれども、借金が四十三年度末になりますと一兆五千二百億円になり、その債務償還が四十三年度が約四百三十一億円、四十四年度が約五百億円、四十五年度になりますと、これが飛躍いたしまして約千四百億円の債務償還が必要になり、利子負担は、四十三年度が九百五十四億円、四十四年度では約千二百億円に達する、こういうふうな状態でございます。  そこで、公社といたしまして、この機会にいわゆる受益者負担の原則というものを打ち立てること、合理的な料金体系をつくるということ、この二つが経済審議会の答申の中に出ておりますので、その二つを受けまして、料金修正、それからまた設備料一万円を三万円にするということで、昨年の八月末に四十三年度概算要求を郵政大臣に提出すると同時に、これを郵政大臣に要請いたしたのであります。  それから、もう一つ電話の場合に非常に大事なことは、建設費の約三分の二は既設の電話を持っている方のサービス改善に使われている。これがガス、水道、電気と非常に違うところでございまして、たとえば建設費の中で約四〇%はこの改良費に使われている。この点はいままで各方面に御説明したのでありますけれども、なかなか理解していただけない点であります。こういうふうにいたしまして、純粋の改良費が約四〇%を占めている。それから、既存の電話を持っている方と新しい電話との相互の接続に対しまして約二二、三%かかる、三分の二が既設の加入者のサービス改善に使われている、この点が非常に違ってきております。したがって、実は昨年そういうことを経営委員会できめまして、四十三年度のときに料金修正もあわせてお願いいたしたのでありますが、設備料だけ認めていただいたのでございます。  先ほど御指摘がございましたが、料金体系につきましても、私たちはこの際直さなければならないというふうに考えております。先ほど御指摘がありましたように、過去においてつくっておりましたのは、市外につきましても共電式のいわゆる手動式のものを基本にしてできている料金体系でありまして、最近のように自動が非常に普及してくる、市外に対しましてもダイヤル即時化してくるにつきましては、それに応ずるような体系が必要である、そういう点につきましていま具体的な検討を始めておるところでございます。経済社会発展計画でも述べておる受益者負担の原則、合理的な料金体系、この二つを受けて四十四年度の概算要求を出す前に公社としての案をまとめていきたいと思っております。
  44. 中井徳次郎

    中井委員 時間の関係で、自民党の田津さんから、答弁を簡単にしてもらったらどうかということでありますから……。  だんだんといま承りましたが、これから簡単にひとつお伺いしたいと思うのでございます。  いま御説明をいただいたのですけれども、何といたしましても、電信電話、それは一加入ふえれば局からずっと線が要るというふうな理屈はありましょう。しかし、今日、二千、三千の局が無人局で経営をいたしておるとか、あるいはまた、減価償却費が二千七百億もありまして、人件費は二千億であるとか、そういうふうな経済の仕組みの形の中で、収入のほうは昔のままであるというこ  とは、私はどうも納得できない。いまあなたのお話があったごとく、たとえば、いなかの電話の基本料が一番安いので二百円くらいなのがあるのじゃないかと思うのです。東京だとこれは千円ですか、今度二百万をこえる千二百円になるというのですが、電話が非常に貴重で便利でというようなことで、いなかではあまりかける範囲が広くないからそうだということでしょう。それが自動化になりました今日、そういう意味の基本料に五倍も相違があるというふうなことは、私どもにはどうも納得できない。東京のテレビは五百円で、北海道のテレビは三百円というわけには私はいかない。ですから、地方によりましても、自動局になりますると、東京の郊外の電話と地方の電話とちっとも変わらぬわけですね。通信というのものからは変わらない。全然変わらない。ただ料金が高いか安いか、それは市外通話をかけたときということだけでありまして、電話の基本料がそんな五倍も差があるというふうなことは非常に矛盾じゃないかと私は思うのです。そういう矛盾をもっとどんどん説明なさって、そうしてPRが済んでから改定をなさるならわかりますが、ただ、ちょっと金がない、特にこの二、三年の皆さんの答弁を聞いていますと、資金繰りだ、資金繰りで増設はせにゃならぬが金がありませんからと言う。これほど人をばかにした答弁はないと私は思うのです。  でありまするから、きょうはもうあまりこまかいことに入りませんけれども、まず第一に、そういう料金体系を直すということ、それから、私はこだわるのですけれども、この減価償却費をきのうも関係の者に来てもらって説明を聞きましたが、それは非常に甘い。たとえば電話機などは寿命が九年だそうでありますが、こんなものは九年でだめになるのでしょうか。あれは五千円か六千円するのですが、私は二十年くらいもっと思う。九年と二十年で、倍違いますと、たいへんな相違だと思うのです。そういうものの考え方——何も私は放漫財政をやれとかなんとか言うのではありません。もっと事実に合ったことを、公社公社に勤めておりまする皆さんだけの判断ではなくて、国民の側から見て判断してもらいたいというようなことを強く感じました。きのうも実はそういうことで二時間ほど御説明を受けましたけれども、わかったところは償却費、これは定率制になったそうでありまして、他の産業との区別などを言うておりましたけれども、製造会社、そういうものと違います。これは独占会社で、電信電話はなくなるわけではないので、いまのうちにもうけて他産業に転換するという必要も何もないのですから、もっと堅実にがっちりと私はやってもらいたいというふうに思います。そういう意味で、やはり率が高過ぎると思います。技術が日進月歩だという、そんなことはわかり切っておりますが、にもかかわりませず、一三%とか一四%、財産が来年あたり三兆になるのですか、ことしはまた二兆五千億ですか、それで減価償却が二千七百億、これはけっこうなことです。国鉄と比べてごらんなさい。国鉄は減価償却が五百億くらいです。これは違いますよ。国鉄は保守というものがありますからそういうものと違いますけれども、いかに違ってもこれはちょっとえらいなということであります。  それから、電信電話の調査会、こういうものが最近はやりますが、これはやはりしろうとさんの集まりでもありますし、まあまあ皆さんがおつくりになった案を、そんなものでしょうね、というて分かれるのが調査会の本質でもあるのですから、この点で、調査会というふうなことをもっと突き抜けた案をひとつ立てていただいて、しかもそれは、きょう立てたからあしたやる、これがいけないと思うのです。きょう立てたからあしたからやるというのではなくて、やはり利用者の納得を得るまでの期間を置いてもらいたいというふうなことを強く感じますので、その辺を申し上げておきたいと思います。  次はNHKです。いま承りましたが、前田さん、私は、前回の委員会で、去年でしたか、あなたの在任中NHK料金を変えたりなさらぬでしょうねと言ったら、胸を張ってしませんというお話だった。そうかというて、終わったのですけれども、今度は、改定じゃなくて変更ですか。どういうことですか。その辺のことをちょっと伺いたいと思います。
  45. 前田義徳

    前田参考人 豹変したわけでございます。   〔「君子豹変か」と呼ぶ者あり〕
  46. 中井徳次郎

    中井委員 君子豹変については、きょうはそういうことにしておきます。  しかし、ずっと拝見をしますと、なぜこんなこまかい三百十五円、これはどうなんですか。三百十五円、四百六十五円、あなたの関係のほうの説明を聞いたら、何か、ことしはあれをやることによって赤字になるそうでございます。そんなにまでしてやらぬでいいじゃないか、少し一、二年延ばしていただいたらいい。あなた方の原案は何ぼだったと言ったら、原案は三百二十円だと言っておりました。三百二十円と四百七十円ですか、それにも私は反対です。何で三百円と五百円とかにしないか。日本じゅうの料金です。テレビは白黒は三百円、カラーは五百円だ、東京発の新幹線は八時と九時と十時だというふうに。私が少し乱暴なことを言うように皆さんお聞きになるかもしれませんけれども、一億の国民全般に影響のある料金です。そして毎月変わるのではありません。それは、国鉄は行く場所によって違うのだし、電信電話だって一回幾らで月々計算するのに、あなたのところは取り切りだ。何も関係ありはせぬですから、もっとラウンドナンバーで単純にいかぬものか。二、三年前も私お尋ねしました。一回きりの料金をどうしてきめぬのだと言いました。テレビを買ってきて、帰りにNHKに五万円納めたら一生ただだという制度をなぜ考えないか。一年分の前払いですか、それで一割引いておりますなんという返事をしておりましたが、そういうことと違うのです。水と電気とガスというふうなことで、テレビというものは幾らだ。そして、一ぺんきまったら十年も二十年も変えないというふうなことがほんとうに望ましいのではないでしょうか。そういう意味で、なぜ三百十五円とか四百六十五円とか、ことしは赤字になりますが、やりますだとか、その感覚ですね。いまやらぬとカラーテレビの値上げはできないのですか。その辺のところです。いまは六十万なら六十万のカラーテレビの聴視者である。したがって、いまなら金持ち階級だからそれは出すだろう、五年もたったら、なかなか大問題になるからいまのうちにやっておけ、こういうのであるのか、その辺のところをひとつ聞かしてもらいたい。
  47. 前田義徳

    前田参考人 御指摘の点をすべて考慮いたしまして、NHKの本質から申しまして、たとえば五万円なら終身というようなわけにもまいりませんので、NHK放送法の原則に従いまして、まず受益者負担の原則をあらためてここで再確認いたしたいということを考え、それから、同時に個人生活に直結する社会環境というものを考えまして、コスト計算を土台といたしまして、今回御審議いただくこの予算書の中では、白黒テレビを含む放送料については三百十五円、カラーテレビを含む放送料については四百六十五円という数字を出したわけでございます。  この数字は、私どもの立場で申し上げますと御理解をいただくことはかなり困難かと思いますが、第一に、聴視者の負担軽減を目標としたものでございます。NHKは戦前の社団法人の時代におきましても二回値下げを断行いたしております。放送法に基づく公共放送という人格を与えられた以後におきましても、昭和三十七年度には値下げを断行いたしております。今回の御審議いただく聴視料も、私どもの立場で考えましたのは、やはり聴視世帯が二千万をこえるという現況において、まず原則として聴視料負担の軽減をはかるべきであるという考え方に立ちまして、したがって、NHKの歴史から申しますと、戦後においては第二回目の値下げということになるわけであります。社団法人時代を通じては第四回目の値下げになります。  その問題と関連しまして、カラー放送を含む料金の問題ということになるわけでございますが、御承知のように、戦前戦後−戦前はラジオだけでございますが、ラジオとテレビという時代におきまして、すでに郵政大臣からも提出の趣旨の御説明の中で、また、私自身が捕捉的な御説明を申し上げた際も、実は、事業としてはテレビとラジオと両建てでございますが、ラジオ料金は四月一日からお取り申し上げないということもここではっきり打ち出してきたわけであります。  したがいまして、このカラー放送を含む料金のカラー部分の百五十円は何であるかという御質問をいただくことは当然かと思いますが、現在この予算書にも掲げてございますけれども、白黒テレビを中心とする受信者の総世帯は二千万をちょっとこえました。そして、明年度中には世帯全体を九十一万開発いたしたい、こう考えているわけであります。そういたしまして、カラーの捕捉は百四十万でございます。そういう環境から申しますと、従来のカラーの経過を考えて、少なくとも十円内外のカラーのコストが従来の放送料金の中に含まれているという点をまず排除いたしまして、同時に、それを基礎として、私どもはこれからのカラーの発展、またNHKがやらなければならないところの、聴視者の御要望にこたえ、国内においても、国際的にも、先ほどお話も出ましたような宇宙中継時代というようなことを考えたときに、カラーのセットをお持ちの方について、やはり壁頭に申し上げた受益者負担の公平性というものを土台にして、少なくとも今後五カ年程度のコスト計算と申しますか、それを土台として百五十円ということを考えたわけでございます。  総体的に申しますと、これはひっくるめても値下げでございまして、しかも、NHK放送法の義務から申しましても、聴視者の負担の公平、受益者負担の原則をここで再び確認し、貫きたいという考えでございます。御審議いただく明年度予算につきまして、従来と比べて、あるいは収入の非常に減る部分があるという点を、おそらく赤字という形で世俗的な御説明を申し上げたと思います。その部分は、一世帯十五円値下げするということは、二千万世帯一カ年分を総計いたしますと三十六億円になります。したがいまして、この部分では三十六億円の値下げでございます。ラジオについては四月一日から無料となるわけでありますが、カラーを予想しない場合に比べて、カラー料金を取るというたてまえでここ数年まいってきた。それらを考慮に入れますと、ラジオ料金の面ではおおよそ七億円の減収となるわけであります。合計いたしまして四十三億円の負担軽減をはかっておる。これに対して、カラー料金収入の予想は十三億円、百四十万世帯で四月一日から契約を取っていくという形をとるわけでありますから、明年度内十三億円の収入がございます。これを相殺いたしますと、大体三十億円が普通でいけた場合とは異なる形になる。これの説明をどのようなことばを使ったかというところに先生のような御疑問が出ると思います。  しかし、一般的に申しまして、原則はいま申し上げたとおりであり、それから内外の激しい経済情勢これに対処する個人の生活というものを考えまして、実はわれわれ自身としては、先ほど御説明の中に申し上げた第二次六カ年計画の最終年度の効果が、たとえば放送センターの完成あるいは全国機械化の完成という形ででき上がる。この際、やはり節減すべきものは最大限度に節減し、合理化すべきものは最大限度に合理化して、従来と異なった体系のもとで聴視者負担を軽減してまいりたいというのが私どもの考え方でございます。
  48. 中井徳次郎

    中井委員 この皆さんが国会に出されました予算案で、四百六十五円と三百十五円でいきまして、カラーが一千万になりましたときにはどれくらいの増収になりますか。概略でけっこうです。——もう一ぺん言い直しましょう。全テレビ聴視者の半分、一千万というときには、また白もふえておるかもしれない。半分がカラーになったときどれくらいの増収になりますか。
  49. 前田義徳

    前田参考人 ただいま私は、明年度内で、百四十万で十三億円の収入と申しておりますので、大体その八倍未満、これはいま計算したわけではありませんが、印象的に申しますとそういうことになるかと思います。六倍くらいでしょうか。いま計算ができたそうですから……。
  50. 志賀正信

    ○志賀参考人 ただいま五カ年間の構想で考えておりますのは、六百五十万にいたしましたときには二百三十一億円のカラー分だけの収入があるというふうに考えておりますが、これがお話しのように一千万になりました場合にはさらに百二十億円くらいな増収があるかと思われます。
  51. 中井徳次郎

    中井委員 二百三十一億円というのは、これは増収ではなくて、全収入でしょう。
  52. 志賀正信

    ○志賀参考人 カラーテレビの付加分につきましての全収入の実収入でございます。
  53. 中井徳次郎

    中井委員 そうなりますと、三百五十億円ぐらいの増収になるということになれば、その時点にきますと、やはり白をさらに下げるというふうなことになりますか。たとえば、現在ラジオを無料にしました。それと同じような考え方で、カラーがどんどんふえてくると白を下げる。下げるということはどうですか。
  54. 前田義徳

    前田参考人 私も計算は不得手のほうですが、将来の世帯数の伸びというものを考えますと、少なくともこの数字をはじく私どもの基礎として考えたのは、五年後に二千三、四百万世帯という考え方です。そのときにわれわれが捕捉できるカラーの総数は、ただいま志賀理事からお答えしたように、六百七十万前後ということが考えられるわけですが、その後の世帯数の伸びというものは漸次停滞していくというように考えられます。  その場合に、これは仮定の問題ですが、かりに二千五百万世帯のうち一千万世帯がカラーになった場合に、それと比例して、そうでない部分を減額できるかどうかという問題は、大筋としては、NHK事業の将来性というものを考えて、その傾向にいくべきであるということは私は申し上げられますが、その時点において、はっきりと無料にするとか、それから、その額については今日ただ類推するだけですので、私としてもはっきり申し上げられないのを遺憾に思います。
  55. 中井徳次郎

    中井委員 NHKにつきましては、もう二、三お尋ねしたかったのですが、きょうは民放の方がいらっしゃいませんので、それとの関連のことでございますから、恐縮ですが、そのときはもう一度お出かけをいただきたいというふうに思います。  私は実は二時間ほど時間をいただいたつもりで出てまいりましたら、いま理事に聞きますと、一時間だという、欠席裁判でございます。こういう委員会で一時間で終われなんということは、これは委員長及び理事、はなはだ酷で無礼千万、実際、一日くらいはやらせてもらいたい。ところが、いま理事の話によれば、法案の審議の際にまたぜひやれというふうなじょうずなことを言いますので、はなはだ残念でありますが、NHKはその程度にしまして、あと国際電電のことにつきまして一、二お尋ねをいたしまして、もう一人御質問の方がいらっしゃるようでありますので、御迷惑かけてはいけませんので、他日に譲りたいと思います。  国際電電の方には小さい問題でございますが、一つだけ……。  何か、国際電電が近ごろ本社をどこかへお移しになって、それから国際電気通信網を、将来、できれば東京を中心に一本にまとめていきたい、こういう構想のように承るのでございますが、それはどういうものを根拠に、どういうお考えでそういうことをおやりになるのか、この際ちょっと伺っておきたいと思います。
  56. 大野勝三

    ○大野参考人 御承知のとおり、弊社におきましては、現在関門局としまして東京、大阪、長崎、この三つの関門局を通じまして海外諸国と各種の通信サービスのやりとりをいたしておりますが、そのうち長崎の関門局につきましては、新しく新潟県の直江津とシベリアのナホトカの間に新型の同軸海底ケーブルを引くことによりまして、これが来年の五月以降くらいにはできる予定でございますが、これによりまして、日本とヨーロッパ諸国、共産圏、西欧諸国を含めまして、それらの諸国と日本との間の通信のハイウエーにしよう、こういうわけでございますが、これができますと、長崎の関門局というものは、これまた御案内のとおり、シベリアのウラジオストックと長崎との間の細い、ごく古い二本の海底電信線の端局になっております、そういうことでの関門局でありますが、これは日本海ケーブルの新しいのができますとそちらに移ります関係で廃局になります。そうすると、残るのは東京と大阪ということになります。ところで東京と大阪の両関門局は、十五年前に弊社が発足をいたしました当時、当時は国際通信の手段といたしましては短波一本やりでございました。短波無線一本やりという時代でございまして、関西方面にも送受信所があり、関東方面にも送受信所があり、それらの送受信所をそれぞれ結ぶセンターとして東京と大阪に中央局を設けてまいったのでございますが、将来も東京中央局、大阪中央局は存置していく考えでございます。どちらを廃止するということは考えておりません。ただ、御案内のとおり、短波無線一本やりの時代から、いまや広帯域の非常に品質の高いケーブル回線、あるいは衛星回線というものがむしろ国際通信の主役として登場してまいりました。こういう広帯域の通信幹線のネットワークができますことによって、国際通信のサービスも飛躍的に向上することができましたし、また、いままでは思いもよらなかったような、テレビの国際なま中継も可能になるという時代になったわけでございます。そういたしますと、一方、国内でも電電公社でいろいろと御努力になりまして、ほとんど全国くまなく電話はダイヤル即時というサービスが可能になりましたように、将来は国際通信の面におきましても、できるだけ自動化という線に向かって進めていかなければなりません。各国の例もすでにそういうふうになっております。  そこで、国際電話につきましては、すでに先年来大阪の電話局は交換をやめまして、東京の国際電話局に集中いたしまして、ここで全部東京を起点として、海外の諸国と電話——ただいまはダイヤル即時とまではまいりません。半自動と称しておりますが、つまり、こちらから送ります場合には、私どものオペレーターが加入者の人にかわってダイヤルをする、そうすると直接向こうの加入者を呼び出すことができます。向こうからまいります場合には、直接日本側の加入者の方の電話が向こうのダイヤルで信号を鳴らして通じる、こういうことができるようになっております。それは国際的には将来は半自動でなく全自動、つまりダイヤル即時に持っていかなければなりませんが、そういうことの研究を目下着々進めておりますのも、一つには、先ほど申しました広帯域の非常に信頼度の高いケーブル、衛星回線が自由に使えるようになったということでありますが、そういうネットワークの集中点といたしましては、東京は、国際のいろいろな会合でみな了承されておるのでありますが、日本はもとより、アジア地域のセンターの交換局になる、俗にCT1といっておりますけれども、そういうアジア地域の中央の交換局になるということに指定されております。そうしますと、現在は国内の加入者の方々は、これは全部電電公社さんのネットワークに依存いたしまして、電電公社のネットワークを通じて加入者の方に届くということになっております。つまり、海外への出口あるいは海外からの入口といたしましては、東京をその集中関門局にいたしまして、そして、それから国内向けのほうは全部電電公社のネットワークに依存する、こういう形で非常に理想的に通信の疎通がはかられるということになりつつあるわけでございます。  そういたしまして、一方、機械化あるいは自動化の機運は非常に進んでおりますので、私どもがいつまでも手動あるいは待時式の、いわば非常にサービスのおくれた前近代的な状態にじっととどまっておることは許されませんので、先年来、もう一つ別の大事なサービスであります電報とそれから加入電信、この二つのサービスにつきましても自動化あるいは機械化を進めていくということを検討いたしまして、逐次それを実行に移しつつあるのであります。  そのうち、電報につきましては、これは昭和三十七年以来専門家を集めまして検討を重ねまして、昨年じゅうに大体結論を得まして、電報の中継事務の機械化ということを進めることにいたしました。電報の中継事務と申しますと、非常におわかりにくいかと存じますが、現在中央局におきましては、お客さまから発信の電報を受け付けますと、そこでいろいろ受付上の処理事務をいたしまして、そしてテープにさん孔いたします。五単位の符号で穴をテープに打ちます。そのテープを気送管なりあるいは電子的な装置で受付席からそれぞれの手続ルートを通りまして、いよいよ外国へ向けて発信する外国通信席のほうへ持っていきます。そこで、その外国通信席に持っていかれたものが最終的に各送受信所あるいは二宮中継所といったようなところを通して相手局の指定されたあて所に発信される、こういう手続になりますが、その局内において受け付けてから以後、それぞれの中継所なりそれぞれの送受信所のルートに乗せるまでの間が局内作業でございますが、その局内作業をいまは人手、あるいは気送管なりその他を使っておりますが、大体その局内の作業が人手でございます。その人手であるところを機械化していこうというのが電報中継機械化ということの実は眼目でございますが、その大体を申しますと、発信の場合、つまり受付の作業が終わってテープが打たれますと、あと、そのテープを大型の電子計算機を中心といたします電報中継の電子的なシステムの中に入れます。そうすると、それは機械的にすぐあて名、つまりテープに載っておりますあて名のところの回線を機械が選びまして、そうしてすっと即時に先方へ送り出す、あるいは、もしもその回線がふくそうしておりますれば、一時電子計算機の中でためておきまして、その間に最も至急報となるものは最先順位、普通報がその次、あるいはあと回し電報というものはさらにその次の順位というふうに、それぞれ順位を電子頭脳が読み分けまして、そうしてどんどん秩序よくそれを送り出す、こういうような操作をさせることになるわけであります。向こうから入ってきます場合も同様でありまして、入ってきました電報をいまの機械がそれぞれ読み分けまして、あて所に配達する窓口といいますか、端のところといいますか、そこのところまで機械が全部送っていきまして、そこからまた、御承知のように人手によって読み分けて配達するとかあるいは託送するとか、そういう手続になるわけでございます。  たいへんくどくなりましたが、つまり電報の中継機械化はそういうふうな局内作業の、現在非常に人手を要しておりますところを機械によってスピードを早め、また誤謬を少なくし、正確に、秩序よく、高品質のサービスとしてこれを消化していくというのがねらいでございます。  ところで、こういう機械化になじみますのは、やはり先ほど申しました広帯域の通信幹線の利用できる範囲でございます。つまり短波無線の場合、これはこれからまだたくさん残りますし、また、新しくこれから発展途上の国との直接連絡などには短波無線を大いに活用していかなければならないわけでありますが、その面にはこの機械化はなかなかなじんでまいりません。ですから、これはあと回し、あるいは当分機械化をあきらめるというよりほかはありません。そこで、機械化をいたしますのは、そういう広帯域の通信幹線と直接つながるところを第一の目標にしてすると、それは現在ほとんど東京に集中しております。広帯域幹線が東京に集中しておりますから、自然その機械化は東京を中心にしてやるということになりますが、この場合でも大阪の関門局はまだ関門局としての機能をますます発揮してもらわなければなりませんから、やっぱり電報の扱いは大阪の関門局で扱われる部分が相当あるわけでございます。そういうわけでございますから、これは廃止するわけにはまいりません。  いまのは電報でございますが……。
  57. 中井徳次郎

    中井委員 簡単でけっこうです。  電信のことなど、昔やったことがありまして、久しぶりに承ったのであります。だんだん機械化ということでございましょうが、答えを簡単にいただきたいのですが、その電報関係と電話関係が、東京におきましては同じ建物の中にあるのかないのか。それから、さっきの、本社が三十六階のあそこにかわられること、それは事実であるのか。それから東京と大阪の二つの拠点でやるということは、当分それでいくのか、そういうことについて簡単に御答弁願います。
  58. 大野勝三

    ○大野参考人 先ほど申し上げましたとおり、東京、大阪二つということは、おっしゃるとおりであります。それから、現在の局舎の中に電報と電話と、両方の国際局が一緒におるのかというお尋ねは、そのとおりでございます。それから、そのほかにもいろいろな機械設備が全部現在の局舎の中にあります。それが非常に急激に増加をいたしまして、ほとんど余席がなくなりましたので、事務部門を主としました本社が外へ出ることになりまして、かっこうな建物といたしまして、いま御指摘の建物に移ることを予定いたしております。
  59. 中井徳次郎

    中井委員 電信電話をできるだけ一カ所に集めるというふうなことについては、いろいろ議論もありましょうけれども、私は、国際電信電話でありますから、特に公共機関として、災害の場合、あるいは地震とか、そういう場合、また、世界状勢の変化によりましてどういう事態が起こるかもしれない、そういう場合に備えての対策というふうなものもあわせて考えていただく必要があるのではないか。国際電信電話はたいへんいま経営状態がよろしいのでありますから、やはりそういう面にまで気をつけてやってもらいたいということを私は強く要望いたしておきます。  もう一つ、これは小さいことですが、皆さんの送信所や受信所が各地にございますが、それを保管しております番人と申しますか、守衛と申しますか、そういうものがほとんど臨時雇いだそうでございまして、これは、何十億という予算で非常に公共的な性格の強いものの保守や警備なんかを臨時雇いでやっている、そのほうが安くつくというふうなものの考え方は私はどうかと思うので、その辺のところも、私は国際電電の経営の面から考えて、非常にいま成績がいいのですから、そこまで何かどこかの株式会社のまね、一般の民間の、特にアメリカ式じゃないかと思うのですが、保険はよけいかけておられるかもしれませんが、そういうふうなことははたして日本的であるかどうか、ほんとうにいまの現状に合っているかどうか、こういうこと、この点はまことに小さいことのようですけれども、皆さんの会社運営に対する心がまえの基本の問題に関係すると私は思う。そこで通信なども、できたらもちろん副ルートもつくるという、いざというときのなにもおありでありましょうけれども、早急にそういうことについて割り切っていくのもけっこうです。けっこうですけれども、その辺のところは緩急よろしきを得ないと困るのじゃないかというふうな感じがいたしますので申し上げているわけですが、いまの財産の保管等についての社長の見解をちょっと承っておきます。
  60. 大野勝三

    ○大野参考人 お話しのとおりに私ども考えておりまして、現在できております送受信所あるいはその他の営業等につきましても、警備の要員はすべてそれぞれ適格者を試験の結果選考採用いたしまして、社員として採用し、警備員とかあるいは守衛とかいう職にしましてこれを担当してもらっております。  ただ、最近にできましたいわゆる遠隔操縦の送信所、受信所、これが関東では北浦に一カ所、関西では三重県の上野にございますが、これは実は昨年まだ建物ができて一部の機械が入ったばかりというところで、現在まだ盛んに機械の移設等で工事を進行しておるところでございます。いわば形だけはでき上がりましたが、ほんとうの意味では完成というまでに立ち至っておらないもの、これにつきましては、北浦にいたしましても上野にいたしましても、実は私どもいま初めてそういう局所をそこに設けまして、あまり土地とのなじみもございませんし、そういう工事がまだ進行中でどさくさしている際でもありますが、やはり付近が大体山林地帯でございますから、不用意なことで山火事でも起こって不慮の損害を受けても困ります。その他盗難ということも考えなければなりませんので、いろいろ土地の事情に明るいような人あるいは土地になじみの深い人をとりあえずのところ警備のような仕事を受け持っていただくので、これが嘱託あるいは臨時というような形で御協力を願っております。しかし、そこに非常に重要な機能を持った施設や財産があるわけでございますから、ただいま仰せのとおり、やはり将来はしっかりした適格者を入れましてこの保全の万全を期したい、かように考えます。仰せになりましたことは全く私ども同感でございまして、やや過渡期に、アメリカ流でなくてむしろ日本流の考え方を入れてそういう暫定的なやり方をいたしておるわけでございます。
  61. 中井徳次郎

    中井委員 これで終わりますが、インテルサットについての協定の問題、それから、ジョンソン大使の総理との話し合いの問題、それから、民放の皆さん参考人として出てきてもらう問題、この三つの問題を宿題といたしまして、私の質問を終わります。  たいへんどうもあとの人の時間をとりまして御迷惑をかけました。      ————◇—————
  62. 古川丈吉

    古川委員長 引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行ないます。水野清君。
  63. 水野清

    ○水野委員 ただいまの日本放送協会予算の問題につきまして質問をしたいのでありますが、最初に放送法の問題でございます。  NHKのあり方について、NHK受信料収入を唯一の財源としている放送機関で、一般に聴視者である国民の公共放送といわれておりますが、私は国民放送だと思うのであります。このNHK予算NHKで自主的に編成され、さらに、これを国会において審議するという基本原則が現在の放送法になっております。この予算の裏づけとして、当然予算編成に関連して受信料の額も同時にこの委員会及び国会で審議されるわけでありますが、この方法は私は適切だと思うのでありますが、最近政府部内で放送法の改正というような問題が一部出ているやに聞いて、新聞紙上をいろいろにぎわしておりますが、私は、この問題については非常に現実を無視した動きであるというふうに思っております。  こういう問題を控えた中で昭和四十三年度予算についていろいろ伺いたいのでありますが、何と申しましても、今度の最大の特徴は、放送受信料の、いわゆる白黒の値下げ、カラー料金の新設という二つの問題であると思う。  最初に、会長からまずお話を伺いたいのですが、去年の四十二年度予算審議の際に会長は、NHKは東京オリンピックのころをピークにして受信料の伸びが頭打ちとなり、さらに乙料金も廃止される、財政的に非常に苦しくはなるが、あと二年間は何とかこれまでのいわゆる現行料金で持ちこたえて値上は避けたいというふうに、明確に答弁をしておられるわけです。しかるに、一年後の今日、この料金改定に踏み切らざるを得なかったということについて、その経過を伺いたい。また、現行料金を続けますと、NHKの財政がそれじゃ今後どうなるのかという問題も比較して御説明を願いたいと思います。
  64. 前田義徳

    前田参考人 お話しのとおり、私はその当時、できればNHK料金体系に手をつけたくないという考え方を持っておりました。その後われわれの同僚にかなり長期にわたって検討してもらいましたが、ただ、発展といいますか、聴視者サービスあるいは放送法の精神に基づいてやらなければならない幾つかの問題を停滞させる場合においては、ある意味においては一、二年持ちこたえうるという考え方もあったわけでございますが、その後のいろいろな社会生活、それらを勘案いたしますと、私としては、まず幾つかの問題点を考えました。  第一の問題点は、NHK料金は、放送法の精神から申しますと、まず、ラジオであろうとテレビジョンであろうと、NHK放送を聞き得る設備を持っておられる方、また、聞いておられる方には公平な負担をお願いする、これが第一原則であります。  第二は、この公平な負担に相当する中身を持たなければならない。したがって、非常に形式的な表現でございますが、国会の御審議も、事業計画を土台として、そして、収入がどうあるべきか、支出がどうあるべきかということを御検討願うというのが放送法の示すところだと私どもは考えております。  こういう見地に立って現状検討の結果、現状を考えますと、私どもとしては、まずこの第一の原則の中のラジオの問題については、われわれが予想しなかった状態が起きてきたということが言えると思います。したがって、これは、ただ印象的に、あるいはまたそのときどきの社会の変転に応じて料金をきめればいいのじゃないか、したがって、世俗的にいえば、消費ブームのときは消費を刺激しないようにやればいい、あるいは物価統制の現況の中では、せめてNHKぐらいは引き下げたらどうかというような議論、いゆわる周辺の印象論のほうが強くなっている。このことは、放送法に従って事業を遂行すべき義務を与えられ、責任を与えられるという私としては、この際やはり放送法の原則を再確認して、そうして聴視者の皆さまに御理解をいただくことが絶対に必要だといり見地に立ったわけであります。私は、先ほどの御質問に対しても、そのあとで豹変したと一語で申し上げたわけでありますが、しかし、その内容はいま申し上げるとおりでありまして、したがって、今回は、われわれが今後五カ年間に何をなすべきかという問題をまず検討いたしまして、それからまた、内外の社会的方向がどの方向に行くかということも勘案し、同時に、現在の国民生活、大衆生活のふところぐあいということも考えまして、一方において三百三十円を三百十五円に引き下げ、この部分は、四十三年度におきましては総世帯数の大部分がこの部分に属する、簡単にいいますと二千万がその部分になる。それからまた、カラーテレビジョンを楽しみ得る経済力を持っておられる方の総数はおおよそ百四十万くらいであるという点から見まして、私どもは、現実に即して、しかもその事業計画というものを確立した上でコスト計算をした結果として、カラーテレビジョンを含む放送料金については百五十円の追加をいただく、ただし、そうでない方方、大衆の二千万世帯に対しては十五円安くするという方針を打ち出したわけであります。したがいまして、大きな環境の波の中で、放送法の原則を守りつつ、同時に、これは一部の方々の御意見のみでなく、聴視者との契約NHKが直接いたすわけでございますから、二千万世帯との直接の契約の中で二千万世帯の方々がこれを認めてくださるかどうかということが、私どもには最も大事な問題であって、そういう意味では、時に、印象論に対しても、私どもは私どもの意見を申し述べなければならない場合もございますが、そういうこと、それからまた、前回の当委員会でも申し上げましたように、この点はあまり論じておられないようでありますが、今後の料金の問題については、私としては聴視者代表の懇談会的なものをつくって、そこで聴視者を中心として検討してまいりたいということも一言申し上げてあります。その形は昨年来つくりました。そして全国的にその会合を開きまして、その結果として、私どもは四十三年度事業計画の中でいま申し上げたような聴視料の体系を改める、そうして、その額は以上のようなものであるということを考え、それぞれ関係方面の御理解もいただいて本日ここに御審議対象に提出したわけでございます。
  65. 水野清

    ○水野委員 そうしますと、先ほどの中井委員の話にもございましたが、一口に言って、来年度予算を通ずる聴視料の改定というのは、値上げがあるのかあるいは値下げがあるのかということを端的に伺いたいのでございます。
  66. 前田義徳

    前田参考人 これは全体から申し上げまして、完全な値下げでございます。
  67. 水野清

    ○水野委員 そうしますと、これは会長でなくてけっこうですが、NHKの来年度予算のバランスシートのことを伺いたいのでありますが、先ほど中井委員に対する説明にもありましたように、赤字予算になるというようなお話でありますが、これを財務的に数字をもって御説明いただきたいのであります。
  68. 志賀正信

    ○志賀参考人 お答え申し上げます。  お手元の予算のバランスシートの問題でございますが、大別いたしまして、一般事業収支の関係建設事業関係、この二つに大別できるかと思います。  まず、一般事業収支の関係につきましては、カラーの業務も含めましての事業計画の費用と、それから旧来の債務の償還の費用と、この二つに大別できるわけでございます。  事業支出につきましては、お手元にございます予算にも七百七十六億五千万円というふうに計上してありまして、これは事業運営費と減価償却費関連経費及び予備金の四億円を合計いたしまして七百七十六億五千万円となります。  これに対しまして、債務償還費用が、放送債券及び借り入れ金等、過去に借り入れましたものの返還費用、及び放送法に基づきましての債務償還のための積み立て金がございまして、これを合わせまして六十九億五千万円が必要でございます。この事業運営費と六十九億五千万の債務償還の経費と合わせまして、八百四十六億円が事業収支関係費の明年度必要な額でございます。これに対しまして、収入のほうは、受信料が、先ほど御説明申し上げましたとおり昨年度に比べましてはわずかに二億七千万円の増収しかございませんが、七百七十三億一千万円の収入でございます。さらに、交付金と雑収入を合わせまして十四億円でございます。これの2つの合計が七百八十七億一千万円に相なります。そのほかに四十二年度から現在明年度に繰り越しの確定しておりますものが六億円ございますので、これも予算に計上してございます。それから、債券の償還のために一たん取りくずしをいたしまして、過去に積み立てましたものを取りくずしをいたしますので、この分が三十七億九千万円ございますが、これを合わせまして、先ほどの必要額八百四十六億円に対しまして八百三十一億円が財源として捻出できるところでございまして、差額の十五億円につきましては、受信料を急激に減少させました結果、どうしても本年度は不足いたしますので、この五カ年計画の後半におきまして順次これを返還するという考え方で十五億円の借り入れをいたしてバランスシートをつくっておるわけでございます。  それから、第二番目の建設関係につきましては、総額を百五十八億五千万円というふうに計上いたしてございます。昨年度は百九十億円でございまして、約二割の圧縮をはかっておりますが、この財源といたしましては、減価償却引当金が百十八億二千万円予算に計上いたしてございます。それから、腐朽資産の処分につきまして九億円を捻出をいたしてございまして、これを合わせまして百二十七億二千万円でございますが、さらに不足いたします三十一億三千万円につきましては、外部からの借り入れということで、放送債券と銀行からの借り入れを予定をいたしまして、百五十八億五千万円の建設につきましてのバランスを合わせておるわけでございます。  以上でございます。
  69. 水野清

    ○水野委員 カラーテレビ料金算定根拠といいますか、百五十円プラスという、それを御説明いただきたいのです。簡単にひとつお願いいたします。
  70. 志賀正信

    ○志賀参考人 今回新たに付加料金として設定をいたしました百五十円につきましては、長期の見通しを立てまして、五カ年間の今後のカラー放送計画を立てまして、これに要する費用を算出いたしましたものでございます。人件費等も全部含めまして、一応五カ年間に二百七十四億円という総経費を算出いたしてございます。これに対しまして、先ほどもお話が出ておりますように、五カ年末までには六百五十万のカラーの受信者を獲得したいということを計画いたしておりますが、この六百五十万の五カ年間の総数をもちまして、この二百七十四億円の五カ年間のカラーの総経費を除しましたものがおおよそ百五十七円三十二銭ということに相なります。この総平均いたしました百五十七円三十二銭をもとにいたしまして、料金といたしまして百五十円というまるい数字にいたしまして、今回これを付加料金といたしまして設定をいたしたものでございます。
  71. 水野清

    ○水野委員 そうしますと、現在のカラーテレビの台数、全国の聴視台数というのはどのくらいありますか。
  72. 志賀正信

    ○志賀参考人 おおよそ九十万くらいは出ておるかと思います。
  73. 水野清

    ○水野委員 そうしますと、そのカラーテレビを持っている人たちの国民所得が、先ほど会長から受益者負担であるというようなお話もありましたし、富裕階級だというお話もありましたが、国民所得の点からどのくらいの階層にあるかということを、企画庁あたりの数字か何かでわかるようなことがありましたら、ひとつ伺いたいのです。
  74. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 率直に申しまして、いま正確な統計的なものがございません。ただ、今回御審議を得まして四十三年度の四月一日からカラーの料金の設定ができますればということで、それに備えて、ただいま全国的に事前調査をいたしておりますが、これの集計ができますれば、ある程度ただいまの御質問に該当するお答えができるかと思いますが、いませっかく進行中であります。
  75. 水野清

    ○水野委員 そこが少し私は問題があると思うのです。カラーテレビを持っているのは、確かに富裕階級も持っておりますけれども、たとえば個人商店その他飲食店なんかで、わりあいに所得が低くて、これも接待用というようなことになれば別でしょうが、必ずしも富裕階級である、全部がそうであるということは、私は言い切れないと思う。逆に言えば、NHKの今後の聴視料を取るという業務の中から、カラーテレビの所有者の貧富の階層の調査を進めていただいて、やはりそこに基本的な論拠というものを確立してもらいたいと思うのであります。
  76. 前田義徳

    前田参考人 ごもっとものお話だと思います。いわゆるカラーテレビを備えている方々には、いろいろ理由は幾つかございますが、概して白黒テレビを持っている方よりも融通性のある社会生活ができているという点でございます。したがいまして、観念的な富裕階級というような考え方は持っておりません。それからまた、たとえば公民館であるとか学校であるとか、そういうところに対しては、従来どおり、白黒テレビで処置した免除の可能性もあるわけでございます。したがいまして、特別の環境あるいは特別の目的のカラー受像機以外の受像機を捕捉の対象とするという考え方を持っているわけでございます。
  77. 水野清

    ○水野委員 ただいまのお話だと、学校、公民館等には白黒料金でいこうというふうに考えておられるわけでありますか。
  78. 前田義徳

    前田参考人 免除基準によりまして、学校等においては聴視料をいただいておりません。公民館、図書館等も同様であります。それから、特殊の公共的性格を持つ、社会的性格を持っている病院に対しても同様でございます。
  79. 水野清

    ○水野委員 次の質問に移りますが、二千万世帯の大部分がこの四月から十五円の値下げになるわけでありますが、その減収は幾らでございますか。簡単に数字だけでけっこうでございます。
  80. 志賀正信

    ○志賀参考人 十五円分の減収は、明年度三十六一億二千万円でございます。
  81. 水野清

    ○水野委員 そうしますと、これは将来そのカラーテレビ普及するということを期待して値下げに踏み切ったというお話でありますけれども、NHKは今後そのカラーの普及の見通しについてどういう見解を持っておられるか。見込み違いというのがあれば、NHKの財政を根本的に狂わせるわけでありますし、一方、一部の郵政当局の方方の御意見によると、NHKの見込みよりはるかに早くカラーテレビ普及するであろう。私どもも、カラーテレビの製造メーカーの話などを聞いておりますと、ばかにカラーテレビがよく売れているというような話も聞くのでありますが、また逆に、さっきの五年後に六百五十万世帯ですか、そういうふうな見通しに達しない場合もあり得る。これからの不況を控えて逆に伸び率が悪いということもある。その辺について、算定の根拠、見通しの根拠といいますか、伺いたいと思います。
  82. 前田義徳

    前田参考人 お説のとおりでありまして、巷間いろいろな見方がございます。しかし、私どもは、まず第一に、やはり私どもの仕事は一つの計画性を持って、そうして最大の安定性を持たなければ聴視者に対する奉仕は不可能である。私どもは営利会社ではございません。したがいまして、最も確実な予想を立てることが必要であります。その意味におきまして、先ほど来御説明申し上げておるように、五カ年間で六百五十万世帯を捕捉するという考え方でございます。  それからもう一つは、このただ市場に出回っている台数、これにもいろいろありまして、在庫品もございますし、輸出されるものもございますし、ただ生産量だけでは、私どもの立場では問題は解決できないのであります。ことに、われわれの制度は、御承知のように一軒一軒と話し合って契約をするということが主眼でございますから、したがって、ただ台数の計算によって契約は成就したというような安易な考え方は持てないわけであります。これは番組内容等とも関連してくる問題でありますが、われわれの番組が聴視者に理解されないものであるならば、台数が幾らあっても契約は不成立に終わるというのが現行放送法でございます。したがいまして、私どもといたしましては、最も安全確実だという線で予算を組むのは当然でありまして、したがいまして、もしこれが非常にその予想を上回る場合にはそれに対する調整が当然あるべきであって、ただ、明年度だけを通じ、あるいは五カ年間の予想を前提として、あるとかないとかということは、理論としては成り立っても、少なくともNHKを経営するという実際的な立場においては、必ずしも皆さんの御意見どおりにはまいらぬ点があるということを申し上げたいと思います。
  83. 水野清

    ○水野委員 カラーテレビのただいまの生産量のみではわからないというお話もありましたが、それじゃそのカラーテレビ受信者をどうして把握するか。現在も白黒のテレビがあってアンテナが出ておるわけです。うちは白黒であってカラーテレビではないということを受信者が言った場合、これは家の中に踏み込んで入る捜査権もないわけでありますから、いかにして把握をするかということを、ちょっと技術的なことかもしれませんが……。
  84. 佐野弘吉

    ○佐野参考人 多少説明が長くなるかもしれませんが、お答えいたしたいと思います。  四十三年度で例をとりますと、先ほど来出ておりますように、百四十万の契約をとりたい、こう思っております。先ほどお答えが一部ありましたように、現在九十万くらい出ておりまして、四十三年度におそらく国内向けの出荷台数としては百五、六十万台出るだろうと推定されております。これは電子工業会、あるいは電子工業会を形成いたしております受信機メーカーあるいはブラウン管のメーカー等の需要予測で大体間違いのない数字かと思っております。したがいまして、二百四、五十万台、出荷台数としては来年の三月三十一日にはその数字になるということでございますが、当然、来年の二月、三月くらいの生産出荷したものは直ちに契約には至りませんので、自動的にそういうものも目減りがしていく、そういうものを含めて流通在庫数が三、四十万はあろうと思うのです。したがって、NHK契約体制というものは、やはり二百十万台前後になろうかと思っております。  先ほどお答えいたしましたように、いま御心配をいただいたようなことがありますので、現在、NHK自身で全国的な事前の調査をいたしておりますし、また、実際にこれから契約、収納ということになりますれば、現在NHK全国に持っております約四千の集金取り扱い者、あるいは郵政委託三千七、八百になりますが、それからまた契約を専門に取り次いでいる者が全国に四百名ほどあります。これらの者を動員いたしまして契約を達成いたしたいと思うわけでございます。したがって、百四十万という数字は、先ほどの契約対象者で契約化の可能な数字に対しまして大体七〇%くらいの契約達成率になるわけでございます。それは少し低いじゃないかというようなお説もあろうと思いますが、大体、来年百五十四、五万の契約をいたしまして、そしてまた来年一年間に十四、五万の廃止がある、それを相殺いたしまして、大体百四十万の契約化ということでございます。  先ほどお話のありましたように、立ち入り調査権等がないということでございますが、過去四十三年のNHK国民の中におきます信用と申しますか、現在、たとえば全国的な収納も九九%というようなかなり確固たる収納体制を持っております。これらのものを基盤として、さしあたり来年は、たとえば現在では百軒の白黒を持っておる世帯のうちでおそらく三、四軒がカラーであろうと推測されますので、カラーを発見し契約を願うということは相当の手間ひまがかかりまして、初年度では、来年度七〇%前後でありますが、先ほど来出ております四十七年、六百五十万という数字は、全国カラーテレビジョン普及に対して大体九〇%の捕捉率に達し得る、こういう計算でやっております。  まずこれを成就するために、四月から五月、これを第一期と申しておりますが、それから第二期の六月、七月というようなところで百四十万のかなりの早期契約を達成し得るかどうかということが、NHKの経営の運命を卜する、大げさに言いますとそういうような意気込みで、今日その調査なり収納、契約の体制の整備を急いでおるということでございまして、先ほど来会長が申し上げましたように、協会といたしましては、このやや堅実な数字というものは達成し得るという確信を現場でも持っております。
  85. 水野清

    ○水野委員 先ほど会長の御説明のところで、NHKは五カ年計画を考えておられるということでございますが、その内容について、簡単でけっこうでございますから御答弁を願いたいと思います。
  86. 前田義徳

    前田参考人 これは最終的なものではございませんので、したがって私どもは、今回、第一回、第二回と異なって、大体計画という、さっき私が申し述べたかもしれませんが、一応暫定的な構想という私どもの間では呼び名を使っているわけでございます。この五カ年間の構想、これは何を目標として立てたかということが第一の問題かと思いますが、これは国策と直結する問題でございますので、われわれだけでは処置できない問題もありますが、大まかにいって、テレビの最終の波であるUHFの国策がこの五カ年間の間に決定されるであろうということが第一点でございます。  第二点は、すでに十年余り実験もしくは実用化試験放送としてわれわれが国策の先端に立ってまいったFM放送が、やはりこの期間に国策として終最的な決定があるだろう。この二つが一番大きな問題点でございます。  第三の点といたしましては、内外の情勢、国内ばかりでなく、世界各国がカラーに踏み切ったという点から考えまして、将来の放送はカラーが中心になることは非常に明らかであるという点でございます。  それから第四の問題は、宇宙時代に即して、やはり宇宙中継というものが、従来の短波放送であるとかあるいはほかの輸送形態で行なわれてきた番組交換の形式を一変するであろうということを予想するわけでございます。  第五の問題点は、NHK放送法によって全国あまねく視聴できるようにせよ、あるいはまた、NHKは商業放送と異なって、全国民的責任と義務を与えられている。これに対して私どもは、やはり電波を出し得ない地域に対して電波を出す方針を確立すべきであるということを考えるわけでございます。  これらの問題は、先ほど来申し上げましたように、国策の最終決定と関連する問題もかなりございます。はっきり申し上げて、この五つの中で、三つは国策の最終決定と関連する問題でございます。したがいまして私どもは、この五カ年間の構想の中で、国策に抵触するようなものについては一方的には成熟はできませんので、したがって、これは大体第三年目以降に考えるという考え方をしているわけでございます。しかし、同時に、それ以前に国策の決定があり得るに場合には、いつでも機動的にこれに即応できるという態勢をも内在さしているわけでございます。  そういう見地に立って、その初年度ともいうべき四十三年度においてはまず何をなすべきかということを考えたわけでありまして、構想のあらましは以上のとおりでございます。
  87. 水野清

    ○水野委員 少し番組関係のことを伺いたいのですが、カラー料金を設定して新しく出発するにあたりまして、NHKは今後カラー放送に力を入れるということは当然だと思いますが、来年度からどういうふうな具体的な番組を考えておられるか。特に番組の名前ということでなくて、それを貫く思想を伺いたい。
  88. 赤城正武

    ○赤城参考人 カラー化問題につきましては、長期的な見通しを立てまして、技術、器材、あるいはその他のもので相当費用がかかりますので、漸増計画を立てておるわけでございます。現在、大体一日七時間半のカラーの放送をしておりますが、これは総合教育三十六時間放送の中で、来年度は平均して十時間、約二時間半の増加をはかりたいと考えております。  その内容を申し上げますと、現在でもお昼あるいは夜のニュースをカラー化しておりますが、これも来年度は全部カラー化したい、それから海外取材番組等、一部いまはほとんどカラー化しておりますが、こういうものも全部カラー化したい、さらに、視聴好適時間の娯楽番組の一部を来年度はカラー化したい、それからさらに、教育テレビのほうでは現在幼児向けの番組をカラー化しておりますが、さらに学校放送の中で低学年の科学番組、これはカラー放送をすることによって非常に効果をあげ得る番組なので、そういうものを漸次カラー化していこう、最終的に年度内平均十時間程度のカラー化をしたい、ことに来年はそのほかに、御承知のようにオリンピック大会がメキシコでございますので、この中継は全部カラーで放送したい、こういう計画を立てておるわけでございます。
  89. 水野清

    ○水野委員 外国のカラー放送事情を少し伺いたいのですが、各国の時間とか、どういう番組に重点を置いているかとか、料金の問題、イギリスの料金とかいうことをお伺いしたい。
  90. 川上行蔵

    ○川上参考人 現在世界各国カラー放送いたしておりますおもな国は、アメリカ、イギリス、フララス、西ドイツ、ソビエト、オランダ、カナダという国で、この中でアメリカ、カナダ、日本がかなりの量を放送いたしております。それからイギリス、フランス、西ドイツ、ソビエト、オランダ、これらは最近、昨年の十月あるいは昨年の十二月くらいから本放送を始めております。ただ、アメリカ、カナダが先行いたしておりますが、この一、二年の傾向を見ますと、西欧関係が非常に猛然として努力を重ねてまいっております。そういう形で、アメリカは現在三つの商業放送の大きなネットワークがございますが、これが一〇〇%カラーで放送いたしております。朝の大体五時から次の日の朝の二時過ぎまで、ほとんど二十二時間分近くをカラー放送いたしております。それから、カナダは一九六六年、一昨年の九月から放送いたしておりますが、このカラー時間は大体週間四十四時間半というように、大体去年あたりのNHKと同じ程度のことをいたしております。それから、イギリスは昨年の七月一日から実験放送を開始いたしまして、去年の十二月二日から本放送を開始いたしております。それが週間およそ三十時間を放送いたしております。それから、フランスは昨年の十月一日から本放送を開始いたしております。これは週間二十四、五時間、西ドイツは昨年の八月から放送いたしまして、およそ週間七、八時間、それからソ連は昨年の十月から本放送を開始いたしまして、これはまだ少なくて週間五、六時間、それからオランダは、昨年の十月から放送を開始いたしまして、週間七、八時間というところでございます。  それで、アメリカ、カナダ、こういうところは大体娯楽番組が中心でございます。あと、ニュースとか、幾つかのドキュメンタリー、教養番組を組んでおります。イギリスはニュースとかスポーツ、ドキュメンタリー、こういうところにかなり力を入れてまいっております。フランスはドラマとか映画とかニュース、西独のほうは海外取材番組、それからクイズショー、ドラマ、ソ連のほうは現在まだ劇映画だけ、オランダは海外取材番組あるいはフィルム中心、カナダはアメリカにならいまして娯楽番組というところが中心でございます。それぞれの国のいろいろな国情なり、あるいは国民の要望なりをかなり考慮して、あるいは放送の歴史にも根ざしてやっておるようであります。  それから、料金につきましては、アメリカは御承知のように商業放送になって、受信料制度はございませんで、すべてスポンサーの負担あるいは局自体のサスプロという形でやっております。イギリスはいままで白黒で年間五ポンドでございました。それが今度カラーの本放送を始めましたので、その倍額の十ポンド、ですから、カラー料金として新しく五ポンド足すという形になっております。フランスのほうはまだ料金を正式に取っておりませんけれども、一昨年、テレビの受信料を八十五フランから百フランに上げております。十五フランふえたわけでありますが、その際の説明として、カラーの実験を始めておるからということを一つの大きな理由にしております。それから、西独はまだ料金を取っておりませんが、これも近く取るように検討いたしております。現在、ラジオ、テレビが月額六百三十円のところを、カラー料金として百二十円を新しく付加して取りたいということを提案してやっておるわけであります。それから、カナダは現在公共放送でございますけれども、収入は国庫資金と国庫交付金と、両建てになっております。国庫交付金額が、カラーを始めたことによって前年度に比べて二五%ふえておる、その原因の大きな一つとして、やはりカラーの放送を始めるということをうたっております。  そういう現状でございます。
  91. 水野清

    ○水野委員 実は、去る二月二日でありますけれども、宮澤経済企画庁長官が、記者会見でNHKの経理がずさんだという発言をされた。そのことについて二、三承りたいと思います。  最初に、NHKの会計検査をやっておられる会計検査院の第五局長さんに、NHKの経理について御意見を聞きたい。何かずさんな事項があったか、あるいは指摘事項などがあったかということ……。
  92. 小熊孝次

    ○小熊会計検査院説明員 NHKの会計検査並びにその検査の結果について申し上げます。  会計検査には書面検査あるいは実地検査がございますが、四十一年度について見ますと、書面検査については、計算書十二冊、証拠書類三百六十七冊について検査を実施しております。それから、実地検査といたしましては、本部その他含めまして八カ所について延べ百二十一人で実地検査をいたしております。  検査の着眼点といたしましては、放送会館等の建設工事経理、あるいは放送用機器の調達及び管理というような点に留意しながら検査を実施しております。  検査の結果を申し上げますが、検査の結果につきましては、質問を発したもの、あるいは検査報告に掲記したものはございませんでした。  以上でございます。
  93. 水野清

    ○水野委員 そうすると、指摘事項その他ないということですね。
  94. 小熊孝次

    ○小熊会計検査院説明員 検査の結果、不当として指摘したものはございません。
  95. 水野清

    ○水野委員 宮澤企画庁長官の発言がほんとうなのか、いまの会計検査院の報告がそのとおりなのか、これは問い詰めてみてもしようがありませんし、長官がいるわけじゃありませんから、NHK事態として一方的な裁判にかけられても気の毒ですから、NHKの立場から、宮澤発言について会長でもお答え願えますか。
  96. 前田義徳

    前田参考人 私も、経済企画庁もしくは経済企画庁長官の御批評は間接的に承っているだけでございます。したがいまして、私の見解もその意味での見解でございます。  いろいろ巷間伝えられ、あるいは新聞の報道、記者会見等における経済企画庁の考え方は、根本的に、NHKがいかなる法体制の中で、いかなることを目標として存在を認められている企業体であるかということについての御認識は、ほとんどお持ちでないのじゃないかというのが第一点でございます。  それから第二点は、NHKの経理の計数的分析が、第一点と関連して、全く事業会社の分析と同じ方式をとっている、したがって、これも私にとっては問題にならない御批評ではないかというように感じます。  第三点の私の印象は、これらの経済企画庁を通じて批判の中で発表されている数字というものは、全体の物価政策の中でいわゆる統計的にパーセンテージを幾分でも下げる方向に問題点を集中されているのではないかという印象でございます。したがいまして、私どもは、もちろん国民の一人として、また二千万世帯対象とするわれわれの事業である限りにおいては、聴視者の負担は低きに越したことはないという精神は、私どももはっきりと持っておりますけれども、同時に、放送法が志向する最小限度の事業は、やはり内外の発展に即応してやるべきであるという考え方を持っております。特に私は、この際、たとえば放送債券の積立金というのは、放送法によって率がきまっておるわけでありますが、この点についても、利益と計算されているという点等については、私としてはまことに同意しがたい御批評であるというように考えております。
  97. 水野清

    ○水野委員 宮澤長官の記者会見——最近記者会見がいろいろはやっております。これは大臣がそのまま言ったことかどうかわかりませんが、日本経済新聞の二月二日の記事を見ますと、第一点は、先ほどの経理内容がきわめてずさんである、第二は、経理内容はきわめて楽だ、設備投資と料金の値上げなど経常収入でまかなうことは適当でないなどの意見を述べた。これに関連して、小林郵政相も経理面のずさんなことを認めた。——これは新聞でありますから、このとおりかどうかわかりませんが、電波監理局長、これに対してどうですか。
  98. 石川忠夫

    ○石川政府委員 私どもが大臣を通じて伺っておる点は、これも直接伺ったわけではありません、大臣を通じてでございますが、NHKの経理につきましては、しろうとわかりがしにくい点があるから、そういう点をもう少し、公共的な機関であるNHKの経理内容がだれでもわかるような方式にする必要があるのじゃないか、こういうことを言われた、こういうふうに聞いております。こういう点につきまして、今後私ども慎重に考究検討してまいりたい、こういうことでございます。
  99. 水野清

    ○水野委員 ただいま前田会長の御説明にもありましたけれども、放送債券の償還積立金の問題でありますが、法的根拠は放送法にあるということでありますが、来年度予算の関連で数字で説明をしていただきますと——時間がないので続けて伺いますが、四十三年度におけるNHK放送債券及び長期借入金の状況、それを放送債券の場合と、これは発行手数料その他含めてですが、財政投融資の場合、さらに銀行借り入れ、それの条件を比較していずれが有利であるかということを御説明いただきたい。
  100. 前田義徳

    前田参考人 詳細な数字については志賀担当理事から答えてもらうことにいたしますが、この放送法規定されたいわゆる減債基金の活用の問題につきましては、私は実は従来、放送関係法制等を改正する調査会に対しても、この通用について私どもの意見を述べてまいりました。同時に、小林郵政大臣に対しまして、昨年春以来、この問題の処理について御相談申し上げ、したがって、法の範囲内で御審議いただく四十三年度予算の中では、先ほどもちょっと触れたかと思いますが、三十数億円にわたってこれの活用を考えているわけでございます。  それから、放送債券につきましては、私どもの考え方は、放送債券が金融市場その他の関係で、市中銀行からの借り入れが困難な場合も従来は何年か継続してあったわけでありますので、そういう意味で、放送債券というものは依然として尊重すべきであるし、また同時に、利率のいかんにかかわらず、この放送債券を聴視者に買っていただくということによって、聴視者とNHK関係を一そう密接にし得るという考え方で、私どもは放送債券というものに非常な価値を認めているわけでございます。  ただ、金融状勢一般から申しますと、低金利時代においては、放送債券の利回りは非常に高額でございます。したがいまして、数年前皆さんの御審査をいただきまして、借り入れ金を行なう場合には、放送債券または市中銀行からの借り入れというように、数年前にこの予算書の総則を直していただいたことがございます。それから、NHKが当初お借りした財投のお金については、当時は一般金利よりもかなり低額でございました。最近の財投は、放送債券の利回りと全く同じでございます。  そういう意味で、私どもとしては、この問題はもう数年前から検討をする必要があると考えていた問題でございます。  数字については、志賀理事からお答え申し上げます。
  101. 水野清

    ○水野委員 時間がありませんから、数字は資料としてあとで提出していただければいいと思います。数字を言われても私のほうはあまり頭に入りませんから……。  それから最後に、ただいま電波監理局長から、NHKの経理内容が非常にわかりにくい、また、その結果が国民周知をしていないというふうな意見もあるわけでありますが、これについてどのような手を打っているか。また、今後さらにどういう点で努力をしたいと思っておられるか。会計検査院のたとえば検査結果ですね。こういったものを含めて、何か、さらに国民大衆といいますか、全聴視者にNHKの経理内容がよくわかるような徹底的な方策をどう考えておられますか。
  102. 前田義徳

    前田参考人 原則的には、先ほど申し上げましたように、NHKの経理規定というものは、放送法に基づいて、また同時に郵政省との関連で、施行細則その他との関連で特別の計算のしかたになっておるということは、これは当然だと思うのです。その点が、先ほど申し上げましたように、株式会社の経理とは経理が異なるのは当然でありまして、私は、その異なるゆえに非常にわかりにくいということであるならば、まず放送法関係法規を御勉強の上、経理を検討していただきたいというように思うわけですし、それからまた、これらの内容の公表につきましては、NHKは従来も万全の方策をとっております。たとえば、ここ足かけ七年になりますけれども、全国に聴視者懇談会というものをつくりまして、私をはじめとして、幹部は必ずだれかがそれに出席し、年間おおむね数百回にわたって全国津々浦々まで聴視者の代表の方とお会いしてすべての内容を御説明申し上げております。そのほか、放送を通じ、あるいは経営委員会を通じ、あるいは先ほど申し上げた昨年秋につくった経営懇談会等を通じ、あらゆる方法をもってこれを公表する、いわゆる形式的な公表でなくて、実質的な公表、それに対する印刷資料等も全国的に配布しておるわけでございます。  私どもは、この点については契約獲得と同じ重みを持っておるわけでありまして、契約は、単に皆さんの御承認をいただいたからそれで契約ができるというものではございませんし、NHKに対して聴視者のすべての方が血のつながった関係を持たない限り、NHKというものは私は経営できないと思います。そういう意味で、私どもは印象的な批評とは全く正反対に、一年三百六十五日、この問題で聴視者と接触しているということは事実であって、その事実を御存じのない方が、会社法その他に従っておかしいぞとおっしゃっているのではないかと私は感じているわけでございます。
  103. 水野清

    ○水野委員 これで質問を終わりますが、もう一つ、いま株式会社、いわゆる会社法の話が出まして、株式会社のたてまえとNHK特殊法人のたてまえの違いのお話であったのでありますが、聞くところによりますと、NHKの竹中専務は銀行出身の方でNHKに入っておられるということで、だいぶお入りになる前からNHKの経理にむだがあるんではないかという印象を持ってNHKに入ってこられたということでありますが、竹中専務から、ひとつ前田会長に遠慮しないで、NHKに入ってこられてからの、外から見ていたNHKと中のNHKとのいろいろ違いもあるでしょうから、感想といいますか、特にその経理面からの感想を伺いたい。資金運用その他についてのむだがあるかないかというようなことを、重ねてでありますが……。
  104. 竹中重敏

    ○竹中参考人 せっかくの御質問をいただきましたので、私の感じます点を率直に述べさせていただきたいと思います。  御質問の趣旨は二つあるのではないか。その第一は、NHKの経営の姿勢はどうであろうかという問題と、いまの財務制度についてどう考えるかという御質問ではないかというふうに私理解いたします。  第一の経営の問題でございますが、正直申しまして、私、民間におりますときには、テレビやラジオは見たり聞いたりいたしておりましたけれども、その実態がどうであるかということについては、はなはだ不勉強で、存じ上げなかったわけであります。経営の問題につきましては、三つの事柄を感じておるわけでございます。  その第一点は、NHKに働きます職員の意識の問題でございます。NHK国民のものである、NHKの財産は国民から委託された財産である、おれたちはこの財産を大切に守らなくちゃならぬ、そういった意識は全職員に徹底しておるというふうに私は確信いたします。  第二点の経営の姿勢の問題でございまするが、これは、私から申し上げるまでもなく、NHKの財源は受信料でございます。この受信料は、先ほどお話が出ましたように、公共放送事業体としてのNHK受信料は総原価補償というたてまえのもとに、国会の場において予算と同時に受信料を決定するという仕組みに相なっておるわけでございまして、その意味におきましては、国民の側から申しますれば、受信料は安きに越したことはない、したがって、NHKの経営に対してきわめてシビアーな態度が要求されるということも、これは当然であろうと思うのでございます。これを受けまするNHKの経営のサイドのことを申し上げますると、先ほど会長からお話がございましたように、NHKの社会的な責任を遂行するために、どうしても経営の合理化なり運用の効率化というものは絶対に必要である、その義務意識は非常に強いのでございます。これは過去においてもそうであったと思いまするし、現在もまたそうであり、将来もそうであると思いまするが、経営陣並びに管理職の経営の合理化、運用の効率化についての努力は、一般事業会社には決して劣っていないというふうに私は感得いたしておる次第でございます。  具体的に申しますると、営業部門におきましても、また管理部門におきましても、一般企業においては非常な機械化が進んでおるわけでございまするが、NHKも決してこれにまさるとも劣らない、そういう企業努力をしているということを私は認識いたしたわけでございます。また一般の製造会社におきまして、要するに、生産のプロセスについてはたいへんな合理化が行なわれておるのでございます。NHKにおきましては、ちょうどこれが、番組の制作というのがそのプロセスに当たるわけでございますが、この点につきましては、過去六年にわたってこういったことをやった前例も類例も世界的にないのでございます。非常に困難な機械化の問題に番組関係の人が取り組んでおりまして、その効果がことしの六月から結実の段階に入ろうとしておる。そういうことを見ますると、経営サイドのいわゆる合理化の体制、企業運営の効率的運用という点から申しますると、非常に前向きで強い姿勢が出ておるということが第二の印象でございます。  第三の印象といたしましては、一般事業会社におきましては、経営の合理化とか効率的運用ということは、即損益の面に反映するわけでございます。しかしながら、NHKの場合は営利企業体でないために、NHKの損益計算だけをもってその効率云々ということは当たらない、こう考える次第でございまするが、先ほど申し上げましたように、国民の財産をもとにしてその社会的な責任を果たすという角度から申しますれば、その効率化ということは絶対の要件である、その意味におきまして、経営陣あるいは管理職は懸命の努力を払ってはいるけれども、なおこれを一般の職員にまで、いわゆるビジネスマインドを徹底させることが必要ではないか。これは一般の大会社においても、その経営の根本理念と申しますか、経営の態度、経営のトレーニングということを末端まで徹底することはなかなか困難なことでございます。困難とはいいましても、NHKの場合にはこれを実行することが必要であろうというのが、私の率直な意見でございます。
  105. 水野清

    ○水野委員 終わります。
  106. 古川丈吉

    古川委員長 次回は、来たる十五日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十一分散会