○大野
参考人 御承知のとおり、弊社におきましては、現在関門局としまして東京、大阪、長崎、この三つの関門局を通じまして海外諸国と各種の通信サービスのやりとりをいたしておりますが、そのうち長崎の関門局につきましては、新しく新潟県の直江津とシベリアのナホトカの間に新型の同軸海底ケーブルを引くことによりまして、これが来年の五月以降くらいにはできる
予定でございますが、これによりまして、
日本とヨーロッパ諸国、共産圏、西欧諸国を含めまして、それらの諸国と
日本との間の通信のハイウエーにしよう、こういうわけでございますが、これができますと、長崎の関門局というものは、これまた御案内のとおり、シベリアのウ
ラジオストックと長崎との間の細い、ごく古い二本の海底電信線の端局になっております、そういうことでの関門局でありますが、これは
日本海ケーブルの新しいのができますとそちらに移ります
関係で廃局になります。そうすると、残るのは東京と大阪ということになります。ところで東京と大阪の両関門局は、十五年前に弊社が発足をいたしました当時、当時は国際通信の手段といたしましては短波一本やりでございました。短波無線一本やりという時代でございまして、関西方面にも送
受信所があり、関東方面にも送
受信所があり、それらの送
受信所をそれぞれ結ぶセンターとして東京と大阪に中央局を設けてまいったのでございますが、将来も東京中央局、大阪中央局は存置していく考えでございます。どちらを廃止するということは考えておりません。ただ、御案内のとおり、短波無線一本やりの時代から、いまや広帯域の非常に品質の高いケーブル回線、あるいは衛星回線というものがむしろ国際通信の主役として登場してまいりました。こういう広帯域の通信幹線のネットワークができますことによって、国際通信のサービスも飛躍的に
向上することができましたし、また、いままでは思いもよらなかったような、テレビの国際なま中継も可能になるという時代になったわけでございます。そういたしますと、一方、国内でも
電電公社でいろいろと御努力になりまして、ほとんど
全国くまなく電話はダイヤル即時というサービスが可能になりましたように、将来は国際通信の面におきましても、できるだけ自動化という線に向かって進めていかなければなりません。各国の例もすでにそういうふうになっております。
そこで、国際電話につきましては、すでに先年来大阪の電話局は交換をやめまして、東京の国際電話局に集中いたしまして、ここで全部東京を起点として、海外の諸国と電話——ただいまはダイヤル即時とまではまいりません。半自動と称しておりますが、つまり、こちらから送ります場合には、私どものオペレーターが加入者の人にかわってダイヤルをする、そうすると直接向こうの加入者を呼び出すことができます。向こうからまいります場合には、直接
日本側の加入者の方の電話が向こうのダイヤルで信号を鳴らして通じる、こういうことができるようになっております。それは国際的には将来は半自動でなく全自動、つまりダイヤル即時に持っていかなければなりませんが、そういうことの
研究を目下着々進めておりますのも、一つには、先ほど申しました広帯域の非常に信頼度の高いケーブル、衛星回線が自由に使えるようになったということでありますが、そういうネットワークの集中点といたしましては、東京は、国際のいろいろな会合でみな了承されておるのでありますが、
日本はもとより、アジア
地域のセンターの交換局になる、俗にCT1といっておりますけれども、そういうアジア
地域の中央の交換局になるということに指定されております。そうしますと、現在は国内の加入者の方々は、これは全部
電電公社さんのネットワークに依存いたしまして、
電電公社のネットワークを通じて加入者の方に届くということになっております。つまり、海外への出口あるいは海外からの入口といたしましては、東京をその集中関門局にいたしまして、そして、それから国内向けのほうは全部
電電公社のネットワークに依存する、こういう形で非常に理想的に通信の疎通がはかられるということになりつつあるわけでございます。
そういたしまして、一方、
機械化あるいは自動化の機運は非常に進んでおりますので、私どもがいつまでも手動あるいは待時式の、いわば非常にサービスのおくれた前近代的な状態にじっととどまっておることは許されませんので、先年来、もう一つ別の大事なサービスであります電報とそれから加入電信、この二つのサービスにつきましても自動化あるいは
機械化を進めていくということを検討いたしまして、逐次それを実行に移しつつあるのであります。
そのうち、電報につきましては、これは
昭和三十七年以来専門家を集めまして検討を重ねまして、昨年じゅうに大体結論を得まして、電報の中継事務の
機械化ということを進めることにいたしました。電報の中継事務と申しますと、非常におわかりにくいかと存じますが、現在中央局におきましては、お客さまから発信の電報を受け付けますと、そこでいろいろ受付上の処
理事務をいたしまして、そしてテープにさん孔いたします。五単位の符号で穴をテープに打ちます。そのテープを気送管なりあるいは電子的な装置で受付席からそれぞれの手続ルートを通りまして、いよいよ外国へ向けて発信する外国通信席のほうへ持っていきます。そこで、その外国通信席に持っていかれたものが最終的に各送
受信所あるいは二宮中継所といったようなところを通して相手局の指定されたあて所に発信される、こういう手続になりますが、その局内において受け付けてから以後、それぞれの中継所なりそれぞれの送
受信所のルートに乗せるまでの間が局内作業でございますが、その局内作業をいまは人手、あるいは気送管なりその他を使っておりますが、大体その局内の作業が人手でございます。その人手であるところを
機械化していこうというのが電報中継
機械化ということの実は眼目でございますが、その大体を申しますと、発信の場合、つまり受付の作業が終わってテープが打たれますと、あと、そのテープを大型の電子計算機を中心といたします電報中継の電子的なシステムの中に入れます。そうすると、それは機械的にすぐあて名、つまりテープに載っておりますあて名のところの回線を機械が選びまして、そうしてすっと即時に先方へ送り出す、あるいは、もしもその回線がふくそうしておりますれば、一時電子計算機の中でためておきまして、その間に最も至急報となるものは最先順位、普通報がその次、あるいはあと回し電報というものはさらにその次の順位というふうに、それぞれ順位を電子頭脳が読み分けまして、そうしてどんどん秩序よくそれを送り出す、こういうような操作をさせることになるわけであります。向こうから入ってきます場合も同様でありまして、入ってきました電報をいまの機械がそれぞれ読み分けまして、あて所に配達する窓口といいますか、端のところといいますか、そこのところまで機械が全部送っていきまして、そこからまた、御承知のように人手によって読み分けて配達するとかあるいは託送するとか、そういう手続になるわけでございます。
たいへんくどくなりましたが、つまり電報の中継
機械化はそういうふうな局内作業の、現在非常に人手を要しておりますところを機械によってスピードを早め、また誤謬を少なくし、正確に、秩序よく、高品質のサービスとしてこれを消化していくというのがねらいでございます。
ところで、こういう
機械化になじみますのは、やはり先ほど申しました広帯域の通信幹線の利用できる範囲でございます。つまり短波無線の場合、これはこれからまだたくさん残りますし、また、新しくこれから発展途上の国との直接連絡などには短波無線を大いに活用していかなければならないわけでありますが、その面にはこの
機械化はなかなかなじんでまいりません。ですから、これはあと回し、あるいは当分
機械化をあきらめるというよりほかはありません。そこで、
機械化をいたしますのは、そういう広帯域の通信幹線と直接つながるところを第一の目標にしてすると、それは現在ほとんど東京に集中しております。広帯域幹線が東京に集中しておりますから、自然その
機械化は東京を中心にしてやるということになりますが、この場合でも大阪の関門局はまだ関門局としての機能をますます発揮してもらわなければなりませんから、やっぱり電報の扱いは大阪の関門局で扱われる部分が相当あるわけでございます。そういうわけでございますから、これは廃止するわけにはまいりません。
いまのは電報でございますが……。