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1968-05-23 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十三日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員   委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 亀山 孝一君    理事 塩川正十郎君 理事 藤田 義光君    理事 古屋  亨君 理事 細谷 治嘉君    理事 山口 鶴男君 理事 折小野良一君       青木 正久君    辻  寛一君       永山 忠則君    太田 一夫君       河上 民雄君    柴田 健治君       三木 喜夫君    依田 圭五君       門司  亮君    小濱 新次君       谷口善太郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省選挙局長 降矢 敬義君         消防庁長官   佐久間 彊君         消防庁次長   山本  弘君  委員外出席者         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 五月二十二日  保岡武久君が議長指名委員補欠選任され  た。 同月二十三日  委員井岡大治君及び松本善明辞任につき、そ  の補欠として柴田健治君及び谷口善太郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員柴田健治辞任につき、その補欠として井  岡大治君が議長指名委員に選任された。 同月二十三日  理事奥野誠亮君及び和爾俊二郎君同日理事辞任  につき、その補欠として亀山孝一君及び藤田義  光君が理事に当選した。     ————————————— 五月二十一日  地方公務員定年制法制化反対に関する請願  (林百郎君紹介)(第六四二三号)  (同中澤茂一紹介)(第六五三九号)  同外八百五十一件(八木昇紹介)(第六八一七  号)  地方公営企業危機解消に関する請願(林百郎  君紹介)(第六四二四号)  同(島上善五郎紹介)(第六六三九号)  地方公務員定年制反対等に関する請願赤路友  藏君紹介)(第六五三三号)  同(佐野進紹介)(第六五三四号)  同(島上善五郎紹介)(第六五三五号)  同(長谷川正三紹介)(第六五三六号)  同(松本善明紹介)(第六五三七号)  同(山口鶴男紹介)(第六五三八号)  特別区の区長公選に関する請願宇都宮徳馬君  紹介)(第六五四〇号)  同(加藤勘十君紹介)(第六五四一号)  同(川村継義紹介)(第六五四二号)  同(河野密紹介)(第六五四三号)  同外二件(長谷川正三紹介)(第六五四四号)  同(原茂紹介)(第六五四五号)  同(帆足計紹介)(第六五四六号)  同(山本政弘紹介)(第六五四七号)  同(山本弥之助紹介)(第六五四八号)  同(大柴滋夫紹介)(第六五四九号)  同(神近市子紹介)(第六五五〇号) 同月二十二日  地方公務員定年制法制化反対に関する請願  (中野明紹介)(第七〇四四号)  同(松本善明紹介)(第七〇四五号)  特別区の区長公選及び自治権拡充に関する請願  (鈴木一紹介)(第七〇四六号)  特別区の区長公選に関する請願本島百合子紹介)(第七〇四七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出第八四号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任についておはかりいたします。  理事奥野誠亮君及び理事和爾俊二郎君から、理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、理事に、亀山孝一君、藤田義光君を指名いたします。(拍手)      ————◇—————
  5. 吉川久衛

    吉川委員長 参議院から送付されました内閣提出にかかる消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。柴田健治君。
  6. 柴田健治

    柴田委員 消防法及び消防組織法の一部改正関連して、時間がないようでございますから簡潔に質問申し上げたいと思いますので、御答弁願う側のほうもひとつそのつもりで、簡潔に要領よく御答弁を願いたいと思います。  今度の法改正の要点は、理解できる点もございますけれども、これで十分であるとわれわれは考えていないのであります。たとえば、消防学校関連して、教育訓練ということについて今度消防庁基準をきめる。どういう基準をきめるか、まだ理解できませんが、しかし、今日まだ全部の都道府県消防学校設置されていないとわれわれは解釈いたしております。いまどの程度できておるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  7. 佐久間彊

    佐久間政府委員 現在四十一都道府県設置されております。設置されておりませんのは京都府、奈良県、和歌山県、鳥取県、島根県。それから指定都市では、横浜市、北九州市を除いた四指定都市設置されております。
  8. 柴田健治

    柴田委員 消防学校は順次設置が督励されまして、だいぶんできてきておるわけでありますが、しかし、この内容の運営については非常にまちまちである。各都道府県ごとの講習の内容、また訓練内容というものがばらばらである。どういう方法消防庁は今日まで指導してきたのか、われわれはちょっと疑問を持っておるところです。たとえば、三カ月間学校に入れてみっちり訓練しているところもあるが、三泊四日ぐらいで訓練をやっているところもあり、一週間ぐらいでやっているところもある。これは自治消防であるから、ある程度弾力性は認めざるを得ないのでありますけれども、やはり団員なり消防職員の質の向上、また今日の科学消防としての素質というものを十分身につけさせるためには、一定の訓練基準というものがなければならぬと思うのです。そういうことについて、消防庁は今日までどういう指導をしてきたのか、われわれはちょっとふしぎに思っているのでありますが、この点についてどういう見解を持っておられますか、お尋ねをしたいと思います。
  9. 佐久間彊

    佐久間政府委員 消防任務がだんだんと加重されてまいっておりますので、これを担当する職員教育訓練内容につきまして充実改善をはかっていかなければならぬということは、私どももそのとおりに考えておるわけでございます。実情はいま御指摘のありましたように、四十一都道府県にあります消防学校の、たとえば初任教養をとってみましても、六カ月やっているところは二県、また一カ月未満のところもあるということで、まことにばらばらでございます。私どものほうは、一応の基準といたしまして、初任教養は六カ月をやるようにという目標は指導によって示しておりますが、実情はいま申しましたとおりでございます。そこで、今回の改正は、各府県それぞればらばらにしておいたのでは、教育訓練内容につきまして府県によりまして非常に格差ができる、これは好ましいことではございませんので、消防庁が示す基準を確保するように努力しなければいかぬという努力義務を課した規定を今回設けることにいたしたわけでございまして、今回これによって、私どもとしても、法律に基づいた基準をきめまして、その基準にできるだけ早く到達するように強力な指導をやっていきたいという考えでございます。
  10. 柴田健治

    柴田委員 今後大いにやっていただきたいということを強く要望しておきたいのですが、それに関連して、長官にひとつ研究してもらいたいことは、いま基準財政需要額で、交付税の中で、消防団員出動手当は、出動回数をきめて今年度は五百円だということで算定されておるようでありますが、消防学校に入れて訓練をされる場合に、学校に入れたら、何名かは、その団なら団で、十名なら十名、二十名なら二十名入り、一カ月なら一カ月訓練を受ける場合の訓練費は、出動費の中で十分見るべきではないか。ただ普通の訓練に出るとか、火災出動したということでなしに、団員教養訓練というものは重要なのでありますから、これらの換算を市町村なり都道府県について学校訓練教養費の中でもっと見るべきではないか、こういう気がするわけですが、この点についてはひとつ十分研究を願いたい。これは答弁はよろしいが、ひとつ研究してもらいたい。  次に、消防庁の管理している消防学校都道府県学校との連係というものを深めていかないといけないのではないかという感じがしますので、都道府県消防学校と国の消防学校との連係を密にして、教養内容等も十分理解させていくようにつとめてもらいたいと思いますが、この点はいかがですか。
  11. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先生の御指摘の点は全く私どもも同感でございまして、実は昨年の消防組織法改正の際に、消防学校地方消防学校教育訓練内容及び方法について必要な技術援助を行なうという任務法律の上に規定をいたすことにいたしたわけでございます。従来は、消防学校担当者消防学校に集めましてお互い連絡協議会どもやっておりましたが、法律の上ではっきり消防学校にかような任務のあることを明記いたしまして、今後地方消防学校教育内容向上消防学校が相当積極的に力を入れていく、こういうような体制をとったわけでございます。
  12. 柴田健治

    柴田委員 今後大いに、そういう点をひとつ努力してもらいたいと思います。  今度の法の改正で、立ち入り検査等で、防火管理者を含めて、高層建築地下街等の事前の火災予防処置としての関連を持っておりますが、消防職員の場合は、立ち入り検査をされても十分知識も持っておるし、指導性もある。ところが、常設消防といいながら非常勤にひとしいような消防団員立ち入り検査等をする場合には、よほどの知識を持っていなければならぬ、そういう点をわれわれは痛感をいたしておりますので、この立ち入り検査等を強めていく場合には、特別な指導が私は必要だと思うのです。これらについても、やはり消防学校において十分研修をさして、そして一般大衆の中に、それだけの自信と信念を持って立ち入り検査ができるような、そういう教養訓練をすべきではないか、こう思うわけです。その点についてもあわせて十分御理解を願って指導してもらいたい、これを含めてお願いしておきます。  次にお尋ねしたいのは、いままで高層建築立ち入り検査等をやっている。いろいろ公共施設等をやるわけですが、消防団員にとってはいろいろ平素の訓練が必要なんですね。現地訓練机上訓練と二つの方法訓練をやる場合があります。その場合に、現地訓練については、その建物、たとえば公共施設なら公共施設に出向いて行って、どこに水利があって、どこに危険物があって、どこにどういう電気施設がある、ガス施設がある、ガス管布設状況なりを実地に見て訓練をやる場合、これはやれるわけです。農村においては、そういう施設が少ないために現地訓練のほうが手っとり早い。ところが都市の場合は、机上訓練をやらざるを得ない。たとえば午前三時、四時の交通量が少ないときに現地訓練ということは、なかなか毎日できるものではない。やはり都市の場合は、交通等考え机上訓練にどうしても力を入れざるを得ない。机上訓練をする場合に、東京なら東京で、たとえば例を申し上げると、あそこのデパートから火災が発生した場合にはどうなるということを机上訓練をやるわけです。ところが机上訓練をする場合に、そこの建物の中の特に危険物施設電気ガス等施設状況がわからない。やはりそれぞれの管内の消防署に、それぞれの建物構造内容電気ガス管の配線の状況等資料として備えつけておいて、机上訓練をする場合にはそれに基づいてやっていく、こういう訓練方式をいまとっておると思うのです。ところが、そういう建物の側から言うと、所有者のほうに——法的には第四条ですが、資料提出を求められる。けれども、またその資料たるや、まことに不備な点がたくさんあるし、それから建築基準法で認可をもらうときに一応正式な書類をこしらえているのだが、そのとおり守っていない場合がある、そういう不備な点が出てくるわけですね。そういう点からいって、これからやはりそういう指導の面で、資料提出については、求めてその提出をさせるというのではなしに、半ば義務づけていくというような方法をとったらどうか、こういう考え方を持つのですが、その点について長官どうですか。
  13. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御指摘のように、だんだんと複雑な構造を持ちました建築物がふえてまいりましたので、それらの予防施策等につきましても、まれそれに対する防火訓練につきましても、従来よりは新しいくふうをしていかなければならぬ点が非常に多いと思っております。  ただいまお話しの、資料提出を義務づけるというような問題につきましても、それら全体の防火管理体制強化するという問題の一環として検討をしてみたいと思います。
  14. 柴田健治

    柴田委員 その点、ひとつ御研究を願いたいと思います。  それから、われわれが第一線でやっていると、ある町に高層建築ができる。人口十万なら十万、二十万なら二十万の都市高層建築ができた場合に、いま高層建築物基準からいうと三十一メートル以上です。三十メートル以下は高層建築にならない。地方では三十メートルはみな高層建築のように言っておるのです。大体東京におる人と地方農村におる人と小都市におる人と、建物構造についての考え方が多少違っているのです。ところが、高層建築ができることによって消防力に非常な影響を与えている。いままでの消防力で取り組んできた、ところが、たまたま高層建築ができたために、消防力強化ということで、いろいろの点でいままでの不備を近代化していくように整備改善しなければならない、それだけ消防財源が必要だ。こういうことからいって、一つの会社の高層建築のために全体の消防力強化するための財源が必要なのだから、高層建築をする場合は、高層建築をする側から実は固定資産税を取ってくれ、こういう声も冗談に出るわけです。それから消防財源影響を与えるような施設については、国ももっと考えざるを得ないのではないか、もっとそういう点に目を開いたらどうかという意見も出るわけですよ。高層建築ができることによって消防力強化改善をする場合には、これからの施設補助についても国は考えるべきではないか、この点についての見解はどうですか。
  15. 佐久間彊

    佐久間政府委員 いまお話しのように高層建築物ができますと、いろいろな点に影響が出てくるわけでございますが、しかし、都市がある程度高層化するということは必然の傾向かと思うわけでございます。そこで、固定資産税のお話でございましたが、私、所管外でございますのでその点はよくわかりませんけれども消防力につきましては、高層建築物がたくさんできますれば、それに対応した消防力を整備していかなければならぬ、かように考えております。具体的には、たとえばはしご自動車でございますが、このところ年々補助金のワクもふやしてまいりまして、希望のありますところについては、最近の実情では、ほとんど例外なく希望に応ずるというような体制をとっております。それに伴いまして、なお消防職員教養訓練の上にも指導強化していかなければならぬと思っておりますが、それらの問題も、今後さらに検討してまいりたいと存じます。
  16. 柴田健治

    柴田委員 消防機関整備充実ということについてはいろいろ申し上げたい点もございますし、何としても危険物の問題なりその他いろいろ関連をしてまいりますけれども、時間がございませんから省略いたしますが、水利の問題でちょっとお尋ねしたいのです。  消防水利消防団独自で設置をしていく。ところが、いま交通量がひんぱんになってまいりまして、駐車禁止というものが十分できない。消防水利施設とその駐車禁止というものと関連して問題が出てくるわけです。道路交通法から締め出される駐車禁止、その道路交通法による禁止を一々警察連絡をとってしてもらうということはこれまたたいへんなんで、消防団消防水利として、ここだけはぜひ駐車してもらいたくないという標識を立てる場合に何とかならないか。こういう連絡調整というものを上のトップクラスでやってもらう。たとえば、消防庁警察庁話し合いをして、消防水利駐車禁止をその団の考え方によってきめる場合には、そこは大目に見てくれとかなんとか話し合いをしてくれたらどうかという意見が末端では強いわけです。この点についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。
  17. 佐久間彊

    佐久間政府委員 そのような御要望が地方にありますことは私どもも伺っておりまするし、まことにごもっともなことと存じますので、警察庁のほうとも事務折衝もいたしておりましたが、警察庁のほうでも、次の機会道路交通法改正いたします際には、指定消防水利付近駐車禁止の場所として規定するということにしてよかろうというような大体の意向を伺っておりますので、ぜひさような方向で実現をするようにいたしたいと思っております。
  18. 柴田健治

    柴田委員 時間がないから飛び飛び申し上げますけれども、もう一つは、消防団員出動の場合の災害補償関連をしているのですが、消防団任務というものは法的に明確になっている。ところが地方では、長い間犠牲的団体として、いずれの場合でも消防団第一線にかり出されることが一つの慣例になっている。たとえば伝染病が発生した、すぐ消毒に消防団がかり出される。何かというと、使いやすいものですから、何でもかんでも消防団を使うわけです。そういう場合に、たとえば交通事故バスが転落をした。たまたまその下が、集中豪雨というか、大洪水までいかないけれども普通洪水程度まで水位が高まって、そこにバスが転落した。バスが転落したら交通事故だ。ところが、今度川へ流れたというと、水防の関係ということで消防団が出た。ところがその犠牲者が出た。それで死体の捜索だとか交通事故犠牲者、けが人の収容を手伝った。ところが、その作業でたまたま消防団員がけがをした場合に公務災害にならない。警察も知らないというし、市町村のほうも知らないというし、どこに持っていっていいかわからないという、そういう事例が出てきて問題を起こしている町村もあるわけであります。こういう点についても、もっと法的に交通事故等に対して消防団員として出動した場合には全部公務災害が適用できるような、そういう法の改正をしてやるべきではないか、こういう考え方を私たちは持っておるわけです。この点について十分ひとつ検討を願いたい。これは答弁はよろしいから検討を願いたいと思います。あまり言うと長くなりますから、省略させていただきます。  それから次に危険物の問題です。乙種の危険物取り扱い主任試験というか、これは法的にやるのですが、これは経験年数二カ年を基礎に置いて受験資格ができるわけです。しかし、年齢をきめていないから、この人間は二カ年の経験がありますという証明がつきさえすれば、それが親の証明であろうと何であろうと、証明がつきさえすれば十五歳でも十六歳でも試験が受けられる。こういうことではたして危険物取り扱い主任試験というものがいいのかどうかという疑問を私は持っておるわけです。これはもうそういう経験年数よりか年齢で制限すべきじゃないか、二十歳なら二十歳、これにおいて受験資格を持つ、二十歳を限度としていく、こういうことでないと、十五歳や十六歳で試験を受けている。はたしてこれが十分社会的に責任を持つものだろうか、国家試験としていいんだろうか、こういう気がするわけです。この点についてお考え願いたいことと、それからもう一つは、試験科目はいま三科目の中で一つ科目が通ったが、あとの二科目が通らないため落ちた、その場合、この次にまた三科目なら三科目全部試験を受けるというんじゃなしに、三科目のうちある科目が通ったら、その次には通らなかったものだけ受けるという方法がとれないものだろうか、いつも新しいもとの線に返って、三科目受験をしなければならぬという一つの不合理というか、受ける者からいえば不合理というようなことになってくるんじゃないかという気がするのですが、この点についてもお考えを願いたいし、お考え方を聞かしていただきたい、こう思うわけです。  それからもう一つ消防法別表危険物の品名を明記されておるのですが、この中で、ぜひ取り除いてもらいたいという気がするものがあるわけです。その点は、第三類に入っている生石灰危険物かどうか。これはどういう試験の結果生石灰危険物に入ったんだろうか、この点についてもひとつ研究をしてもらいたい、こう思うわけですが、この点についてお考えを願いたい。  それから、引き続いて言いますが、いまの消火器類の中で消火弾があまりにも粗製乱造というか、業者が多いというのか、いまの社会制度の中ではいたし方ないと思いますけれども消火弾を製造する業者が多過ぎて、そのためにあまりきめこまかく宣伝が行き過ぎて、消火弾だけ備えつけておけばもうだいじょうぶなんだ、こう過信するようなPRが多過ぎるわけで、消火弾だけ買うたら、あと消火器は要らないのだ、こういうことで、消火弾を備えつけることによってかえって災害を大きくするというような傾向がある。そこで、特に消火弾に対する検定を消防庁はもっときびしくするとか、消火弾の力というものをもっと住民に知らせる必要があるんではないか、消火弾効力というものはこの程度しかないんだということをですね。業者消火器よりも消火弾のほうがいいんでしょうけれども消火器一台二千八百円、三千円で買わないでも、消火弾四百円とか五百円で五つほど備えつけておけばだいじょうぶですということで、消火器よりも消火弾のほうが優位性があるような、そういう宣伝をして売っておる。それに目がくらむほうも悪いのですけれども、やはり消防に対する知識の低い地域についてはそういう傾向が出てきておる。  それから、消火器に対する考え方をもっと消防庁は明確にすべきではないかということと、それから、消火弾はこれは気圧の関係、気流の関係効力が違ってくると思う。たとえば霞が関ビルの地下で使う消火弾と三十六階の上で使う消火弾と違いますよ。そういう点をよく考えて、高層建築に使う消火弾の備えつけは、何階から下は有効だが、何階から上はだめだ、こういう基準消防研究所試験をやってもらって、もっと明確にしてもらいたい。この研究もぜひ明らかにしてもらいたい、これも要望しておきます。お考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
  19. 佐久間彊

    佐久間政府委員 第一に御指摘のございました危険物取扱主任者試験に関する点でございますが、これにつきましては、お話しのような、年齢が非常に低い者で合格している事例もあるようでございますが、これらの点については、試験科目の点とあわせまして今後なおよく研究してみたいと存じます。  それから生石灰の点でございますが、これは私どもの部内の技術者の話を聞いてみましても、現在これを危険物としておくことについてはどうだろうかという意見もあるようでございますので、別表全体を再検討いたします機会には、この点を十分検討してみたいと思います。  それから消火弾についてでございますが、御指摘のように、消火弾について一般に誤解を与えるような向きの売り込みが行なわれておるということを私どもも耳にするわけでございます。そこで、これはありのままに、消火弾はこの程度消火能力があるのであって、決してそれ以上の能力があるものじゃないということを知らせる必要があるであろう、かように考えまして、昨年消防研究所でもいろいろ研究もいたしました結果、私どものほうの予防課長名で地方に通達を出しまして、その主たる点は、消火弾六個をもって水バケツ八リットル以上のもの三個と同等の消火能力があるのだということで、御承知のように、消防法施行令の別表第四で水バケツが規定されておりますが、その水バケツに大体対応するものとして、この程度の消火の適応性があるのだ、こういうことを連絡いたして、誤解のないように指導するようにいたした次第でございます。この点については、なおまた今後、その実情を見まして適切な指導をしてまいりたいと存じます。
  20. 柴田健治

    柴田委員 同じ危険物でも、この間の十勝沖地震で火災が起きたところからの報告によると、薬局から火災が出たというところが三、四件あるのですね。あれは相当劇薬を持っておるし、危険物も持っておると思うのです。この点について、今度防火管理体制強化する場合、やはり薬局に対する指導というものをきめてもらいたいと思って、すでに地元から非常に強い要望がございますので、ひとつ研究願いたいということをつけ加えておきます。  それから、大臣見えましたから、大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、この間、私林業問題でお尋ねしたときに、山林火災についての大臣の答弁、こうあるのですよ。「多数の消防要員の計画的な出動、」、指導体制確立ということで「地域防災計画」——途中読みませんが、「関係市町村に対しましては小型動力ポンプの補助金」を十分考えておる。こういう答弁なんですが、その「多数の消防要員の計画」というのが、私にはよくわからない。「消防力基準」というのは御存じだろうと思うのですが、消防力基準を読んでいただければ、山林火災の場合に、その個々の該当市町村における山林面積は一つも加味してないのですよ。たとえば人口、建物の坪数というか、それから消防ポンプの台数によって、大型のポンプなら七名だとか、小型なら五名だとか、また三輪なら六名だとかいうことで基準をきめてある。それに合わせてその団員の員数もきまっておる、町村の人口一万の団員の……。そういうことで、消防力基準からいって、山林火災消防力基準というのは一つも明記されていないわけです。これは「消防力基準」を読んでもらえばわかります。私は、山林火災に対する大臣の見解がちょっとよく理解できなかったものだから……。「多数の消防要員の計画」といっても、山林火災に対する消防団員基準一つもない。たとえばAの町村は国有林が何ぼ、民有林が何ぼで、二千ヘクタール山林面積を持っておる、その山林面積に対する消防力基準に、たとえば百ヘクタールに対して消防団員を五名なら五名、十名なら十名見ておるなら、この論理が言えると思うのです。その付近の山林の町村の応援体制を求めて、個々の市町村と応援協定を結んでおるから、応援要請をして多数の消防要員の派遣ということが成り立つわけです。ところが山林には一つ基準がない。それなのに、なぜこんなことを言ったのだろう、この点、ぼくはふしぎに思うのですが、どうですか。
  21. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 柴田さんはこの道の専門家であるということを承っております。私も戦争に二回応召した間で、地場で警防団長を長くやりました。実際その衝に当ったものでございますが、この間の地震、その前に大臣をいたしましたときに新潟の地震に際会いたしまして、平時の防災計画がいかに大事かということをいまさらながら痛感したわけでございます。  災害基本法では、やはり平時から地域の防災計画を立てておくべきものである、各都道府県市町村にあるはずであると私は一応考えておるわけですけれども、きのうの全国の消防会議に出まして、そういうようなものは皆さんのところでつくってあると思うけれども、一ぺんその中身を拝見したいとまで私は言ったわけなんです。  ただいま山林消防のことをおっしゃいますが、山林と申しましても、非常に急峻な山もあれば、あるいはなだらかな山もあるし、実際山林火災が起こりましたときの消火を考えてみました場合に、それぞれの条件は違っておる。単に山林の面積で基準をきめるということが何ほどその効果があるかどうかということは、研究してみなければわからぬと思います。しかし、言い得ることは、あなたみたいな専門家は、こういうものをつくるときにはやはり中に参加していただくような道を開いておけば、こういうことで質問をされることもなかろうと思います。早い話が、いま建築基準法に触れられました。私もっともであると思う。ただ、これは、建築基準法をいま一部改正するどたんばにあるわけなんですけれども、今国会には残念ながら間に合わない。今度の消防法改正とあわせてやりたかったけれども、どうも建設省はもう一回おくらしてくれということでございますので、この高層建築物についての基準等につきましては、だったらできるだけ急いでやってくれと言ったわけでございますけれども、そういう面でも柴田先生なんかの御意見というものは十分尊重するという形にものは運ばれるべきものだ。立法過程で、消防庁にいろいろなベテランもおりますけれども、しかし実際は、長年地方団体の消防活動の実態を身をもって体験しておられる方の知恵というものは、十分私は参酌しなければならぬ。  先ほどの防火ということについての道路交通とのからみ合いの話ですが、道交法というのは国家公安委員会の所管でございまするので、その問題について、かねて消防庁にも意見もありますし、国家公安委員会でも、なるほどそれは一応そういう措置をとる必要があるのだという議論も述べられておりまするけれども、やはりこれから遠慮なく意見を吐いていただく機会を必ず私つくりますから、そういう際に、改正の骨組み等については、ひとつ十分御検討をお願いいたしたいと思う。  先ほどの御質問ですけれども、山林火災というのは全くどこから手をつけていいか、単に基準をつくるだけでは私はどうかと思うのです。きのう申しましたことは、とにかく新鋭のポンプその他、いま補助云々がありましたが、ポンプを一台やると、それには常備消防が何人、そういうことで、事が逆になっている面があるのではないか。ポンプをほしがるけれども、それは消防体制が一応確立して、自分の管内における消防活動の全きを期するためにはこれだけのことは最低限必要なんだというのに合わせて、いろいろな機材なんかも支給するということがほんとうじゃないか。何でもポンプをもらいさえすればいいということでは片はつきませんし、また、山林なんかの場合はなおさらだと思うのです。だから、山林だといってヘリコプターをくれ、科学消防もくれ、薬品もくれと各町村で言われても、なかなかそういうわけにはまいりませんけれども、実際地べたに足のついた防災計画、消防計画というものを平時から立てて、それに即応するような予算措置などをすることは私は最も大事なことだと思いますので、いまだけでなくて、これからひとつ積極的な御意見を述べていただきまして、それを基準に、また法改正もいたしたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  22. 柴田健治

    柴田委員 まあ大臣はすなおに、率直に考え方を言われたので、今後の取り組みの姿勢に楽しみというか、一つ希望を持っていますが、消防力基準で町村合併をやる。ところが広域消防だのなんのといいながら、消防の人員、定員を、町村長はなるべく金を出したくないものだから、この基準団員の定数を何名にしよう、何名にしよう、こういうわけです。われわれはそうじゃないんだ。水防で、たとえば大臣、今後建設大臣と話し合ってもらいたいことは、河川でも、河川の護岸とか海岸堤防でも、全国各河川ごとに危険個所を発表するわけですね。何々河川には何カ所危険個所がある。危険個所だけは指定して発表するけれども、当該市町村の団には、これは何年に改修するから何年までをひとつそこの消防団は十分管理してくれとか、このところは要注意してくれとかいうことは何にも言わない。それで水害といったら消防団がひどい目にあっちゃうんですね。そういうふうに、建設省は建設省でかってに危険個所だけを発表するけれども、当該都道府県なり市町村には何にも言わない。これでは何かつんぼさじきに置かれて、まさかのときだけはかり出されてどろんこになって復旧作業をしなければならぬというようなことは、同じ人間で、心理的に与える影響というものは、大臣この点は十分理解して、今後建設省についても十分やかましく言ってもらいたい。それと、この河川の危険個所は示したけれども、これは何年計画の中で改良は終わるのだ、それまではひとつ当該消防団の水防活動として十分注意してくれとかなんとかいう誠意ある姿勢がわれわれはいただきたい、こう思うのですね。まあ、これは余談になりましたけれども、たとえば水防の問題でもそうだし、山林についても、われわれは現地の第一線部隊の訓練をやりたいと思っても、定員をなかなかくれない。うちの町は山のほうが多いんじゃないか。山林の資源確保という面から見ても貴重な資源であるから、山林火災が起きた場合どうするかという訓練をしたいといっても、消防力基準には何にも山林のことは考えていない。ただ山林で示されておるのは警報の——昔大臣も御承知だろうと思うのだが、警報だけが山林火災にはあるだけですよ。示しているのは警報だけですよ。山火事の場合には何ぼサイレン、鐘をたたきなさい。それだけある。あとは何にも示していない。半鐘を鳴らすことだけを山林火災では示している。あとは何にも計画がない。こんなことで日本の山林保護、山林資源の保護をやっているというふうなこと、これはうそだといわざるを得ない。第一線団員のほうから見ても、何だ、国は何にもやっていないじゃないか、何にも示していないじゃないか、こう言われるのですよ。団長は非常に困るのですよ。一方、町村長のほうは、消防の管理者だけれども、まあ、金を、財政をまず基準考えてやりますから、そんなことは金が要るから、そうやってくれなくてもいい、基準がないから、こういうことになる。だから、将来消防力基準改正する場合には、この点を十分考えて考慮を願いたい、こうお願いしておきたいと思う。  それから、先ほど大臣は消防審議会のことを言われたのですが、消防審議会は現在十五名おられて、みなりっぱな人だと思いますけれども、もう少しふやして、専門部会をこしらえて、もう少し専門的に研究して、たとえば、この次建築基準法改正されようとする——建設省の管轄ですが、この建築基準法改正についても、どんどん消防消防の立場で、建築基準法改正の要点を明確に出していくという、それだけの強い姿勢があってほしいと思うのですね。この点について大臣なり長官のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  23. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど、私ことばを費やしてそういう意味のことを申したつもりでございます。いま柴田委員の御指摘の問題は当然のことでございますので、そういう姿勢で取り組みたいと考えます。
  24. 柴田健治

    柴田委員 それからもう一つ消防任務として近年加わった救急業務に関連するのですが、高速道はどんどんできていくし、あるいは道路公団で有料道路をつくるが、公団のほうで救急業務をやれといっても、これは法的にできないし、やはり当該市町村がそういう高速道の救急業務を受け持たなければならない。公団のほうは有料で金をもうけてしまって、交通事故市町村消防が財政のないのに負担しなければならぬという、そういう点で住民感情というか、その点についていろいろ消防職員消防団員のほうから、国のやっていることは何だ、有料道路で料金を取って、交通事故を起こしているけれども、救急業務だけは市町村がやらされる、こういうことではいけないので、やはり公団とのつながり、公団がある程度の救急業務の経費ぐらいは出すべきじゃないか、こういう気がするわけです。これが第一点。  もう一点は、今度交通安全対策で、反則金を都道府県なり市町村がもらう、その反則金によって救急業務に関する経費を今度は市町村が持つわけです。その中で、救急車にいままで国が補助を出していた。これの補助は今度は出さない、反則金で今度は買いなさい、こういうことになった。ところが市町村の場合は、市町村長は公選だから、はなばなしい選挙をする場合には、どうもややもすればじみちな方向に金を使わないで、はでな方向に金を使うという可能性がある。そうすると、消防は置き去りにされて、古い救急車でがまんをして、交通事故はどんどんふえるし、急病人はふえるし、こういうことで、救急業務の十分な役割りが果たせない、支障を来たす。これはこれからのことですから、やってみないとわかりませんけれども、そういう心配を全国の救急業務をやっておる当該市町村の幹部の諸君はしておるのですよ。今度は地方で、反則金でそうした救急業務に必要な機材器具についての予算をもらえるということになるのだけれども、はたして市町村当局がそれだけ理解してくれるかどうかという一つの不安を持っておるわけです。この点については、行政指導の中で、救急業務についてはほかの安全施設以上に予算を出せ、十分見ろ、こういう指導をいまからしでいかないと、置き去りを食う可能性が——いままで消防の予算は基準財政需要額で自治省が見ましたぞ、こう言っても、十分消防に使わない市町村もある。基準よりはるかに下回って消防予算を組んでおるという市町村が全国にたくさんあるわけです。そういうことから推測していくと、反則金を今度は市町村がもらうようになったが、はたして救急業務に対して予算を十分つけてくれるかどうか、こういう不安が出てくると思うのですけれども、この点について、長官のほうも、大臣のほうも、ひとつその行政指導の中で、今度の反則金による交通安全対策費では救急業務については十分見ろ、こういう指導をしてもらいたい、これが第二であります。  それで、また救急業務をする場合、一つの車に対して三・七人か四人かの基準があるのです。これでは十分できないということと、それから救急業務の自動車の基準というものが、人口五万を基準にして救急業務ができるようにしてあるわけですが、今度一万ぐらいでもやれるように幅を広げた。こういうことで、拡大されてきたことはわれわれも非常にいいと思うのですけれども、ただ人口だけで救急車の台数をきめるというのは、これまた不合理があるのではないかということなんですね。それはやはり交通量も基礎に置かなければならぬだろうし、いままでの交通事故の発生件数というものもすべて総合的に勘案をして救急車の台数をきめるべきではないか、こういう気もするわけです。この点についての考え方を聞かしていただきたいと思います。
  25. 佐久間彊

    佐久間政府委員 第一点の、高速道路における救急業務実施の場合の公団の経費負担の点でございます。これは御承知のように、高速道路上における救急業務も、原則として市町村が実施を担任するというのが法律のたてまえになっておるわけでございますが、公団もこれについてそれ相応の援助をすべきであると考えておるわけでございまして、現実には、救急車の無償貸与をさせるということに公団と私どもの間で協定をいたしておりまして、東名、中央道、両方合わせまして十二台救急車を無償で提供するということに相なっておるわけでございます。それから個々の市町村が、高速道路上の他市町村の区域にわたってまで業務を担任する、こういうような場合におきまして、その特別な財政需要につきましては特交で考慮するということも財政局との間で了解を得ておるわけでございます。なおまた、実施の状況を見た上で、公団からさらに何らかの経費負担をさせるかどうかというふうな問題は、今後の研究課題であろうと思いますが、これらの点もあわせて検討はしてまいりたいと思っております。  それから第二番目の、交通安全対策特別交付金の問題でございます。これはあの交付金ができました際に、救急車も交付金の対象にするということにいたしたわけでございますが、現実の問題といたしますと、御指摘のように、市町村の中で、救急車を買うか他の交通安全施設にその金を充当するか、これは市町村当局の判断の問題になるわけでございますが、私どもといたしましては、救急車の必要な市町村においては救急車に優先的にこれを回すというような指導はしてまいっておるわけでございます。ただ、いろいろ計算をいたしてみますと、小さい市町村におきましては、交付金がそれほど多くいかない。そこで救急業務を義務づけはいたしましたが、救急車を買わせるのにどうも非常に無理があるというような市町村が起こることも予想されまするので、その辺のところは実情を見まして、場合によりましては補助金で調整をするというようなことも、今後の問題としては考慮してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、救急車の標準団体三名というのは少な過ぎやせぬかということでございますが、これは四十三年度から七名ということに改定をいたしました。  なお、人口だけで救急業務を義務づけ、また救急車の台数をきめることは適当でないのじゃないか、交通量も加えるべきじゃないか、こういう御指摘でございます。この点ごもっともなことだと思いますが、従来は、都市におきまする救急業務も大体人口に比例しておるものじゃなかろうか、かような考え方でおったわけでございますが、高速道路なり国道なりが通っておりまして、交通の非常に頻繁なところで、交通事故も多いというようなところにつきましては、御指摘のように特別な配慮をしていかなければなるまいと思っております。どういう方法でその配慮をするかということは、なおよく検討してまいりたいと思います。
  26. 柴田健治

    柴田委員 長官、道路公団のほうから救急車が十二台もらえるということはけっこうなことですが、あれは自動車だけではぐあいが悪いのです。救急車というものは自動車よりも備品のほうが高くつくのです。たとえばサイレンの施設をつけるとか、無線機をつけるとか、酸素吸入器をつけるとかすると、かえって自動車よりは付属品のほうが案外高くかかるという可能性が出てくるので、自動車のからだけもらわずに、全部備えつけたものを十二台もらわなければ長官だめですよ。あとの備えつけのほうが自衛隊の財政負担が多いということでは困るので、その点はよく折衝してもらうように強く要望しておきます。救急車というものはいろいろな備品が要るのです。備品のほうが案外高いので、この点も細心の注意を払って交渉してもらいたい、こう思います。今後、そういう高速道における交通事故に対するものも、ただ自動車だけもらったらいいのだということではなくして、もっと財政的に折衝する必要があるのじゃないか。やはり有料道路の道路維持管理費の中には、そうした交通災害対策費も何%か道路公団が見なければならぬはずなんですね。そこに日本の高速道に対する道路公団の考え方に非常に誤りがある、交通災害はもう少し工事費償還の中で何%は見るというぐらいに考えるべきではないか、こう私は思っておるわけです。今後ひとつ検討願いたいと思います。  次に、消防施設の中で防火水槽の補助基準です。二十立方、大型の四十立方といろいろありますが、これからは大型よりも二十立方程度のほうがいいのではないかという気がするのです。土地価格も上がるし、またいろいろ水利の使い便利、初期防火という立場から見ると、小型の防火水槽をどんどんつくらしていくほうがつくりやすいし、また初期防火にも非常に役立つ。また防火体制から言うと、小型の防火水槽のほうを地方では好んでおる。また消防団のほうも、補助金もらって——補助金というのは三分の一ですから、ほんとうに資材、セメントや鉄材、骨材というものが買えるか買えないか、あとは全部土地も寄付だし、労力も寄付だというようなやり方をしているわけですね。それでも土地の寄付というのが、いままでなかなか奇特な人が少ないので、どうしても土地代を払わなければならぬ。ところが、四十立方以上の大きい水槽をつくる場合には、相当町村の財政にしわ寄せを食うという可能性が出てまいりまして、土地の交渉というものがなかなかうまく成立しない。消防には理解をしてくれておるようだけれども、やはり人間というのは欲がございますから、消防施設のことだから安くしてあげたいけれども、これ以上でなければ分けるわけにいかないというように、価格でなかなか難航するところがあるわけです。小型のほうが、少しの面積で消防に役に立つのなら安く提供しましょうとかということで、土地の取得の面からいっても小型のほうがやりやすい。それからまた初期防火、消防の初期動作から言うと、小型のほうが使い便利がいい。こういうこともいえるわけで、そういう点も、補助を出す場合の考え方を多少弾力的に変えてもらいたいという気がいたすわけでありますので、お考えを願いたいと思う。  もう一つ長官に聞いておきたいのは、消防職員の質の向上というものはぜひやってもらわなければならないのですが、そのために人事交流を考えたらどうか。長年の懸案で、法的にも地方都道府県の長は、要するに知事ですが、知事はあっせんをし、また、めんどうを見ることに法的な根拠はあるのですが、ところが、二十人、三十人の消防職員が、同じ人間で栄進の道もあまりないし、人間というものは、やはり希望と将来の楽しみというものがぜひ必要だということは言えるわけですね。そうすると、人間の修養もまた消防職員としてりっぱな職員になるには武者修業というものも必要じゃないか。国も都道府県へ派遣して、自治省の職員をみな何県へ派遣して二、三年武者修業をして帰ってこられると同じように、やはり消防職員の人事交流というものが必要じゃないか。そのために道が開かれておるのですけれども、実際問題として知事があっせんしたことを聞いたことがない。制度としてはあるけれどもやらない。なぜそれができないかというと、宿舎も何もない。一方、そういう受け入れ態勢、交流するすべての条件というものは一つも整備されてない。一つ指導してない。こういう点が私は人事交流のできない最大のガンではないか。知事があっせんしようとしても、法的にはできることになっておってもできない一つの悩みがあるのじゃないか。この点について今後どう取り組んでいかれるのか、聞かしていただきたいと思います。
  27. 佐久間彊

    佐久間政府委員 防火水槽の問題でございますが、確かに小型の場合には御指摘のような利点がいろいろあると思います。ただ現在、政府全体といたしまして、零細補助金の整理ということが大きな方針として打ち出されておりまするので、正直のところ、この予算折衝の際におきましても、零細補助金の例としてこの防火水槽がよく取り上げられておるわけでございます。  それから、現在四十立方メートルという基準をきめておりますのも、これはそれなりの合理的理由があってのことでもございます。しかし地方実情は、お話しのような事情でもございまするし、ただいま申しましたような補助金全体の国の方針もございますので、それらの点を全体よく勘案いたしまして、今後なお研究課題とさせていただきたいと思います。  それから、人事交流の点でございますが、確かに、御指摘のように法律にあっせんの規定ができましたけれども、現実には実効をあげていない実情でございます。しかし、人事交流の必要は御指摘のとおり私どもも痛感をいたしておるわけであります。いろいろ事情を聞いてみますと、いまお話しのように、宿舎等の受け入れ態勢が整備されてないという点もございまするし、それから、一番大きいのは給与の格差の問題のようでございます。小さい市町村の幹部として中都市あるいは大都市から出向させるわけでございますが、給与の点でいろいろな差があるというようなことで、なかなか行きたがらないというような事情もあるようでございます。しかし、人事交流の必要なことは、関係者ひとしく認めておるわけでありますから、やる気になれば何とか相当程度進むのじゃなかろうか。県当局の熱意の問題、市町村側のこれの受け入れ態勢の問題、これらの点については十分今後努力をしてまいりたいと存じます。
  28. 柴田健治

    柴田委員 いま長官が言われた給与の問題は、交流ができるようになればすぐ調整ができるのじゃないか。ただ問題は、宿舎というか、官舎というか、そういうものが足らないので、これは早急に、たとえば半ば消防施設というような解釈によって起債を重点的に認めて建設を奨励していくか、何ぼか補助を出して官舎等を建ててやるとか、何とかそういう方法で大蔵省との折衝で早急にそういう道を開くべきではないか、こう思うのですが、その点どうですか。
  29. 佐久間彊

    佐久間政府委員 いわゆる待機宿舎でございますが、この点はかねがね当委員会から御鞭撻をいただきましたので、昨年、四十二年度から国庫補助の対象にいたすことにいたしまして、とりあえず大都市を対象にいたしまして、四十二年度、三分の一補助で五千万、それから本年度も同額のものを計上いたしております。したがって、大都市におきましては、その補助金を活用いたしましてだんだんと宿舎ができつつあるわけでございますが、なお、先生のお話の点からいたしますと、県内の人事交流のためということになりますと、そういう一定規模の大きなアパート式の宿舎というよりも、個々の個人個人の住宅というようなものが必要になろうかと思います。その点については、まだ私のほうで補助とか助成とかいう道は講じておりませんけれども、今後の問題として研究さしていただきたいと思います。
  30. 柴田健治

    柴田委員 二十人、三十人の小さい、人口五万か十万程度の市のほうから言うと、どうも国のいろいろな施設に対する補助基準であるとか、いろいろ施設基準であるとかいうのは、政令都市というか、七大都市というか、そういう大都市の代表者を集めて、大都市の代表者の意見をおもに尊重して、人口十万や二十万の小さい市のほうの考え方が十分反映できないのだ、こういう意見が出てくることを、われわれは中国圏の会議へ出てもいろいろな会議へ出てもよく聞くのです。だから、将来そういう点についても、やはり人事交流という点については、大都市だけでなしに、小さい県なり県内の五万、十万の都市の人事交流も早急にできるように、これは強く要望しておきたいと思います。  それから、時間が参りましたから——私は順次言おうと思って、四時間やろうと思ったのですけれども、時間がないので遠慮をして飛び飛び申し上げておるのですが、消防団員の待遇というものは、いま順次改善されておることはわれわれも認めておりますし、ある面から言れば感謝もいたしておるのですけれども、まだ十分とはいえないのです。退職団員の報酬制度も順次改善はされておりますけれども、まだこれができて日が浅いために、また町村合併に伴って退職団員がにわかに出て赤字だ、それで支払いがもう二年も三年もおくれておるといった不平を聞いておる。ぼくらも文句を聞くのですが、そういうことも順次改善してもらいたいと思います。  それから、いま全国で消防団員犠牲者というものは警察官よりは多いのです。警察官は年に四、五十名の犠牲者です。消防団員の場合は、五名でも十名でも二十名でも一年間のうちに生命を落としておる率はそれよりはるかに多いのです。それからまた、比例してけが人も多いわけです。そういう身命を賭して一生懸命やっているのに、公務災害の補償額も、今度は二百万ということになっておるようですけれども、それではまだ十分でないのです。警察のほうは四百万も五百万もある、消防団は半分以下だ、こういうことで、やはり比較検討して、日本人で同じ社会機構の中で、任務がそれぞれ違っておっても、その地域社会に奉仕し、犠牲を払うことにおいては同じなんです。だから、あまり差をつけられると、そういう団体の運営というものは、やはり不満が出てくると足並みがそろわない、融和というものがとれない、こういうことで、和を保つためにも、あまり差をつけないように今後やってもらいたい、こういうことをお願いして私の質問を終わりたいと思います。  委員長、ありがとうございました。
  31. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ちょっと御質問の中であるいは多少誤解なさっておられる点もあろうかと思いますので申し上げておきますが、公務災害補償につきましては、警察との間でこちらが不利だというようなことはございません。消防団員の一番若い人の補償額は、地方公務員になりましてから大体五年くらいたったところに基準を合わせておりますから、その点では警察官になりたての人よりはむしろいい。ただ、警察官の場合は、階級がございますので、階級の上の者につきましては、それ相応に多くなるというようなことがございます。  それから、補償額の点でございますが、これは警察官も消防も昨年度から最高額二百万ということで歩調を合わせております。
  32. 吉川久衛

    吉川委員長 青木正久君。
  33. 青木正久

    ○青木委員 消防法及び消防組織法の一部を改正する法律案につきまして若干のお尋ねをしたいと思います。  消防の問題は、一口で申し上げますと、何といっても消防力充実ということが最も大切なことだと思いますけれども、具体的には大災害の際の消火の問題、さらには、都市構造の変化に伴って、それに対応するような新しい消防体制、さらに中小市町村消防力充実ということがポイントではないかと思います。柴田委員からも詳しく御質問がありましたので、具体的に幾つかの点についてお伺いしたいと思います。  第一に、大災害の際の消火の問題でございますけれども、これは消防に関する小委員会の報告によりましても、大震災等の非常災害に対する調査研究体制をすみやかに整備するというのがございます。最近起こりました十勝沖地震でもたいへん火事が起こっている。ああいう過疎地帯でございますからあの程度でおさまったと思いますが、これがもし東京の付近で起こったならたいへんな災害になる。これは新聞、テレビなどでも指摘されておるとおりであります。  そこで、東京並びに大阪——東京でけっこうでございますけれども、十勝沖地震と同じような地震が起こった場合、火事による人命の被害あるいは災害というものは一体どのくらいあると推定されておりましょうか。もし推定されておりましたら、その予想を示していただきたいと思います。
  34. 佐久間彊

    佐久間政府委員 その点につきましては、東京の防災会議の地震部会で数年来研究をされてまいりまして、昨年の六月十六日にその研究の結果の発表されたものがございます。これはあくまでも一つ研究でございますが、もし関東大震災と同様程度のものが冬の夕食事に起こったといたしますと、東京都特別区で七百三十二件、三多摩で六十二件の火災が発生するであろう、そのうち関東大震災のときの状況から判断いたしますと、六〇%程度は都民がすぐに自分の手で消しておる、残りの四〇%が延焼火災を起こしておる、こういうようなことになりますので、そういうことからいたしますと、ただいまの数字で四〇%といいますと、大体三百二十六件くらいの火災になるのではなかろうか、かようなことが述べられておるわけでございます。しかし、これはあくまでも一つ研究の案ということと思います。
  35. 青木正久

    ○青木委員 そういうあれが出ていますと、その対策というか、特に避難のことにつきましての指導ということは具体的にされておるのでありますか。
  36. 佐久間彊

    佐久間政府委員 東京都の防災会議の地震部会で研究されましたものにおきましては、避難につきましても一つの案が示されておるわけでございます。東京都内におきまして、避難場所として適当な場所を別表で何カ所かあげておるわけでございます。ただ、それではその避難場所にどういうように住民が安全に避難できるかというような問題になってまいりますと、なおいろいろな観点から検討を要する点が多いように存じます。
  37. 青木正久

    ○青木委員 やはりこういう十勝沖地震が起こったような際、これを機会に、過密地帯の避難対策というものをもう少しPRして、混乱のないように指導していただきたいと思います。  次に、超高層ビルあるいは地下街という新しい都市構造の変化、これに対応する施策でありますけれども、これは今度の改正案にも頭を出しておりますけれども、超高層建築物及び地下街の防災対策に関する昨年の暮れに出た答申によりますと、いろいろなことがこまかく規定されているわけでありますが、まだそこまで法律ではなっておらない。そこで、この法制上の具体化についてどのようなことを考えておられるか、それを御説明願いたいと思います。
  38. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お手元に御配付申し上げてございます昨年の十一月の消防審議会の答申でございますが、この中にいろいろなことが書かれてございますが、今回のこの答申を実現いたします場合の法的措置といたしましては、一つは、消防法令の改正でございます。いま一つは、建築基準法関係の法令の改正でございます。  そこで、先ほど大臣の御答弁の中にもございましたように、これを実現いたしますにつきまして、建設省のほうと建築基準法関係改正につきましても、いろいろと打ち合わせをいたしてまいっております。大体この答申に盛られております内容につきましては、建設省当局のほうも、次の改正機会にこれを織り込んでいきたいというように申しております。私ども関係では、この内容検討いたしました結果、法律改正を必要とするものにつきましては、今回の消防法改正の中に取り入れたわけでございます。  一つは、八条の二の改正で、これは一つ建物の中にいろいろな管理権原が分かれたものが入っているという場合に、総合的な防火管理体制をつくるということでございます。いま一つは、八条の三で防炎処理に関する規定でございます。それからいま一つは、答申の趣旨をくみまして、防火管理者の権原の強化をはかるという八条の改正でございます。そのほかの問題につきましては、消防法の政令で処置できるものが非常に多いわけでございまして、これらの点については、この法律が成立をいたした暁におきまして、関係政令の規定の整備を行なってまいりたいと思っております。
  39. 青木正久

    ○青木委員 いま御答弁にありましたけれども、やはり都市構造都市建築の様相が変わってきたために、どうしても建設省側の協力と申しますか、協調と申しますか、これをさらに緊密にしていく必要があると思うわけでございますし、何か定期的と申しますか、もう少し固まったようなそういう建設省側との打ち合わせを考えておられますか。
  40. 佐久間彊

    佐久間政府委員 建設省では建築基準法改正案を当初は本国会に提案する予定でいろいろ検討されておりました。その中には、この答申にございます建築物構造に対する規制——(3)に書いてございますが、ここに述べられております趣旨を大体取り入れる。なお、この規定の表現上の問題、いろいろ技術的な問題はございますけれども、趣旨といたしましては、ここに書かれておりますことは大体取り入れるというようなことで、ある程度どものほうとも条文の打ち合わせもいたしておったわけでございます。  ただ、建築基準法は、この超高層、地下街の問題以外に、もっと幅広くいろいろな改正をお考えになっておったようでございまして、それらの点につきましては、国会に御提案するまでにはなお検討、準備を必要とするものが多かったようでございまして、今回は見送りになったわけでございますが、できるだけ早い機会におそらく建築基準法改正が提案されるものと期待いたしておる次第でございます。
  41. 青木正久

    ○青木委員 超高層ビルにつきましては、わが国もだんだんふえてきたわけでございますけれども、やはり諸外国が先輩だと思うわけであります。私もロンドンあるいはニューヨークに住んでおりまして、現実に火災経験したことがございますけれども、完全消火というのはなかなかむずかしい。そこで、外国のいわゆる超高層ビルの火事の実例、それから、はたしてどのくらい被害があったかどうか、その点おわかりになったらお示し願いたいと思います
  42. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ただいま手元に外国の火災の例は持ち合わせておりませんが、最近の例といたしましては、昨年、ベルギーのブラッセルで百貨店の火災がございました。これは七階か八階でございましたので超高層というわけではございませんけれども、やはり問題点といたしましては同様な例でございました。私どものほうから技官を派遣をいたしまして実情を調査させてまいりましたが、イノバシオン百貨店でございまして、これは発火いたしましてからきわめて短時間にほとんど全階に煙が充満してしまって、そこで逃げおくれて相当多数の死者を出した例でございます。特にこの四階に食堂がございますが、その食堂におりました二百六十名が死亡をいたしております。これは全部煙に巻かれて窒息死してしまった、こういうような状況でございます。  なお、この建物は窓その他の開放部が非常に少ない。それから階段の部分でありますが、これは下から上まで吹き抜けになっておりまして、火災が発生いたしますと、それが煙突のような状況になりまして被害を大きくした、こういうような状況でございました。  そこで、この例と同様ないろいろな問題点がおそらくわが国の高層建築物の場合につきましても起こるんじゃなかろうか、注意していかなければならないんじゃなかろうかということで、非常に参考になった例でございます。  なお、もし詳細が御必要でございますれば、調査いたしましたものがございますので、御提出さしていただいてもけっこうかと思います。
  43. 青木正久

    ○青木委員 いまのお話にもございましたけれども、食堂でたくさん窒息死した。今度のこの答申にも、高いところにはなるべく劇場とかあるいは百貨店などをつくらないようにというのがありますけれども、そこにできました霞ケ関ビルの一番上のほうにはやはりレストランがあるわけです。こういう点をどうお考えになりますか。
  44. 佐久間彊

    佐久間政府委員 私どもの立場からいたしますと、超高層部分におきましては、百貨店とか劇場とか不特定多数の者を収容するような施設は設けないということが望ましいことであると思っておるわけでございまして、建設省のほうにもこの点申し入れをいたしております。建設省のほうでもその趣旨は了とされておりますが、どういうような形で建築基準法の上にこれが取り入れられますか、その点まだ話を詰めておりませんが、その点は同感であります。ただ、普通のレストラン程度のものにつきましては、それほどの危険もないのではなかろうか、また、そこまで気にする必要があるかどうだろうかという点は、実はこの審議会の審議の際にも問題になりまして、ここでレストランまでは入れていないというような経緯なわけでございます。
  45. 青木正久

    ○青木委員 改正案を見ますと、具体的にはどんちょうとかあるいはカーテンの防災の問題、それだけしか触れてないわけでありまして、答申など読みますと、スプリンクラー方式ですか、これに一番たよっておるような気がするわけでありますけれども、このスプリンクラー方式なるものも完全じゃないと思うわけであります。故障もあると思うのであります。実際に三十階なり三十二階なりに火災が起こった場合に、どう措置されるのか、具体的にどういうふうに消火活動をされるのか、それを教えていただきたいと思います。
  46. 佐久間彊

    佐久間政府委員 お話のように、スプリンクラーは消防設備といたしましては非常に重視をいたしております。現行法によりますと、防火区画をつくりました場合とスプリンクラーとどっちかやればいいという考え方でできておりますが、今回の答申におきましては、高層建築物の場合は必ずスプリンクラーを全部やるのだということに決定させておるわけでございます。  それから、一番問題になるのは煙の問題でございますが、これは霞ケ関ビルなどの場合におきましてはスモークタワーを設けさせておりまして、その排煙に注意をいたしております。  なお、避難の点につきましては、いろいろ過去の事例経験上、ベランダを設けるとかいうようなこと、避難階段を外部に設けるというようなことが有効でございまするので、それらの点も勘案いたしておるわけでございます。  なお、そのほか他の建物につきましてはいろいろな配慮をいたしておりますが、これは東京消防庁なり私どものほうもその際いろいろ相談にあずかって、大体消防側の希望いたしました点はよく取り入れていただいておるものと思います。  それから、この法律には防災処理しかないではないかというお話でございましたが、ただいま御指摘のありましたスプリンクラーの問題とか、あるいは私の申し上げました排煙設備とかいうようなものは、これはいずれも消防法の施行令の改正で措置ができる部分でございますので、これは法律が成立いたしましたときには、法律の施行と時期を合わせまして政令改正をいたす予定にいたしております。
  47. 青木正久

    ○青木委員 霞ケ関ビルができたわけですけれども、これから五年十年のうちに浜松町の前とか、あるいは皇居の前とか、どんどんできると思うのです。この際やはりきちんとした超高層の火災対策というものを立てておかないと、これからたくさんできていくビルに対する教訓にならないわけであります。万々の措置をとられていると思いますけれども、実際に火災が起こった場合はやはり相当な混乱をすると思うわけです。それを防ぐのにはやはり実地の演習が必要だと思うわけでございますが、あの三十六階のビルで実際の演習といいますか、そういうことをまだやったことはないと思うのですが、そういう御計画があるかどうか。
  48. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この間演習は東京消防庁でいたしましたが、なお、お話しのとおりに、かりに建築構造の点で一つの規制をし、あるいは消防設備の点で義務づけて、それらが具備されておりましても、結局、いざというときに、それが有効に働かなければ被害が出るわけでございまするので、それらの点につきましては、今後も十分指導をしてまいりたいと存じます。
  49. 青木正久

    ○青木委員 先ほど申し上げましたとおり、やはり超高層ビル対策は外国に学ぶ点が多いと思うわけでありますけれども、諸外国のこういった問題に対する立法措置、それとわが国の場合と比較して、何か御説明があれば……。
  50. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ごく大ざっぱに申しまして、今回の霞ケ関ビルなどでとっておりまするいろいろな防災上の配慮というものは、諸外国の高層建築物と比べてみまして劣っておりませんで、むしろいろいろ外国の例を専門家が研究いたしまして、いいところをみなこちらに取り入れて、完全を期しておる、こういうような状況でございます。  先ほどベルギーの百貨店の火災の例を申し上げましたが、そのとき調査に行った者の報告を受けましても、ベルギーありたの百貨店の規制は、日本よりも相当おくれておったというような報告も受けております。
  51. 青木正久

    ○青木委員 それから、地下街のほうですけれども、これも問題が多いと思うわけですけれども、ひとつお伺いしておきたいのは、結局避難の問題です。諸外国の例を見ますと、避難の表示というものがあるところが多いと思うのですが、日本の場合、表示を義務づけるようなそういう措置が必要ではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  52. 佐久間彊

    佐久間政府委員 その点御指摘のとおりでございます。私も、むしろこの超高層ビルよりも、地下街の場合の避難の点が一番心配になっておるわけでございます。表示の点につきましても、現在指導ではやっておりまするが、なお十分ではございませんので、これも消防法の施行令の改正で今回義務づけるようにいたしたい、かような考え検討いたしております。
  53. 青木正久

    ○青木委員 次に消防力充実でございますけれども、特に市町村消防力、これの増強が必要だと思うのです。現実に消防財政を見ますと、市町村消防費は、昭和四十年度の決算を見ましてもたいへん少ない。一般会計の決算額に対する割合が四%に満たないという数字が出ているわけでありまして、この点やはり消防財政というものを充実するために、自主財源強化あるいは国庫補助金の増額、さらには起債額の拡大そういった問題があると思うのですけれども、その点を大臣に最後にお伺いしたいと思います。
  54. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 あなたのおとうさんの青木正先生の時代からずいぶん消防の増強ということにつきましては努力してまいりましたけれども、まだここまでしか至っていないことは、私どもも遺憾に考えております。しかし、機会のありますごとに、御指摘のとおり、消防カの増強には重点をかけて、今後とも充実してまいりたい、かように考えます。
  55. 青木正久

    ○青木委員 終わります。どうもありがとうございました。     —————————————
  56. 吉川久衛

    吉川委員長 この際、赤澤自治大臣から発言の申し出がありますので、これを許します。赤澤自治大臣。
  57. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先日、選挙の啓発活動についての細谷委員の御質問の中で選挙局の職員が「選挙」という雑誌に寄稿いたしましたものについて、その内容が少し不穏当ではないかという御指摘がありましたが、その記事を実は私は見ておりませんでしたので、よく内容検討した上善処いたしますという約束をいたしました。  あとでよく調べてみたわけでございます。その中に「金のかからない選挙は、制度的に小選挙区制の実施、選挙運動の制限、選挙公営制度の拡充などによっても近づくことができるであろうが、」云々という記事は、金のかからぬ選挙の実現の方法に関する意見紹介したものでありまして、根本は個々の候補者の心がまえにあることを締めくくりとして述べておるものでございます。また、記事の中に「これら運動に当って特に参考とすべきことは、戦前に行なわれた選挙粛正運動であろう。……これが、後期に至って、大政翼賛運動の翼賛議員推せん運動に吸収されることとなったのである。我々の実践的運動は、この教訓を生かし、」云々という記事がございます。これは選挙粛正運動が選挙啓発の一大国民運動として非常に効果的であった点に着目し、これが翼賛運動によってその本来的趣旨を失うに至ったことを述べて、再びその轍を踏むことがないよう「この教訓を生かし、」という結びとして、あくまで真の国民運動となるよう住民の盛り上がる総意に基づく運動とすべきことを強調しておるようでございます。  さらに、いずれにしても、政府の方針を紹介する場合には、細心の注意をもって行なうべきことは当然でありまして、表現上不十分な誤解を生じないようにすべきであることは言うまでもありません。そのときに、いろいろ冒頭申しましたお約束をいたしましたけれども、まあこれは何も翼賛運動を礼賛したものでも何でもありませんし、よくお読みいただければあながち書いた者が何かにとらわれて書いたものでもないわけでございまするので、この点は御了解をお願いいたしたいと思います。
  58. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷治嘉君。
  59. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いまの大臣のことばによりますと、五月十二日に新聞に書かれたことと全く同じことです。新聞にはこう書いてあるわけですね。「自治省当局は問題の原稿が出ている資料を引っぱり出したり、本人を呼んだりの大騒ぎ。結局、表現が不適切で、社会党の抗議は誤解に基づくものとわかり、ほっと胸をなでおろしていた。」いまの大臣の説明によりますと、これはやはり私どもが誤解をしておる、そういうことを釈明したにすぎないわけですね。この「選挙」というのを読んでみますと、これは翼賛選挙の謳歌ですよ。読んでみましょう。「これら運動に当って特に参考とすべきことは、戦前に行なわれた選挙粛正運動であろう。この運動は、昭和十年から十七年までの間、一大国民運動として展開されたものである。その運動の目標は、買収、供応等による腐敗選挙の防止等選挙の「粛正」にあった。その運動の方法は、各市町村の選挙に当り、候補者の選出上注意すべきこと、例えば「定職がなく日頃悪いことをしている者は選挙しないように」と呼びかけるなどし、さらには、候補の推せん運動を大々的に展開する等であった。」ことばはきわめてうまくつづってありますけれども、翼賛選挙でしょう。政府の気に入り、時の東条内閣の気に入る以外の人は候補者にしなかったじゃないですか。それ以外のことは定職がないとか、日ごろ悪いことをしておるのだ、こういう者は選挙しちゃいかぬ、こういうことで選挙の候補者の推薦運動も政府のきめた形でやったのが翼賛運動でしょう。表面だけの問題です。その内容というものは、これは民主主義を完全に否定したものですよ。そういう翼賛運動、翼賛選挙の内容というものをわからぬで、「これが、後期に至って、大政翼賛運動の翼賛議員推せん運動に吸収されることとなった」そういう本質を持っておったわけですね。「我々の実践的運動は、この教訓を生かし、」というのですから、翼賛運動に吸収された大政翼賛運動を生かしていくということでしょう。ですから、時の権力の意のままになるような人、それ以外はすべて国家の利益にならないのだ、こういうことで排除していった翼賛選挙でしょう。これは、ことばはうまくつづって、表面上はうまいように責任をとられないように言っておりますけれども、本質は翼賛選挙を謳歌したものにほかならないわけですよ。いまの答弁では、文字どおり、記者団が言っていることは、社会党の誤解に基づくということを繰り返したにすぎない。ほかにもありますよ。さらにあとのほうを読みますと、これはもう町内会を再編成してそして特定の政党の選挙運動を選管にかわってやる、こういう内容を持っておることも明らかですよ。いまの答弁では絶対承服できない。
  60. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 新聞の記事を一々お取り上げになっての御質問のようですが、私どもは、いまの時代に、しかもわが省に当時の翼賛体制あるいはは翼賛選挙を謳歌して、その時代に返れなどということを考えておる者は一人もないと信じてもおりますし、そういう意味ではないということをいま申し上げたわけでございます。これは何もその文書はないわけではございませんので、みなの目に触れておる。私たちは、こういう御指摘を受けてあわてふためいた事実は全然ございません。冷静に判断いたしまして、そして文意はここにあるという結論を得まして、そして、ただいま率直に私ども考え方を申し上げたにすぎないのでございまして、新聞がどういうふうにとろうが、そういうことは私たちの責任の限りではない、かように考えております。  なお、こまかいことに関しては選挙局長が十分検討いたしておりますので、お聞き取りを願いたいと思います。
  61. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 ただいまの御質問でありますが、大政翼賛会運動を今度新しい自治体の世の中で推進しようというような考え方は、初めから毛頭ございませんで、その述べられた趣旨も、要するに昭和十年から始まりました粛正運動というのは、御案内のとおり田川先生を中心に民間運動として盛り上がってきたわけでございます。そのときに、いろいろな腐敗防止のための方法として、ここにあげられたようなことをやったわけでございます。ただその運動が戦時の末期になりまして大政翼賛運動に吸収された。したがって、そこではもう民間運動でなしに、御指摘のように官製運動というかっこうで行なわれたことでございます。そこで、この本人も、こういうような官製運動ということではなしに、市民としてもあくまでも真の国民運動となるよう、住民運動となるよう、住民の盛り上がりによる総意によってやるということを特に注意すべき点だということを述べておりまして、冒頭御指摘がありましたように、官製運動的なものを現在の世の中でさらにこれを推進していこうというようなことではございませんので、その点特に申し上げたいと思うのでございます。ただ、表現上いま御指摘のような読み方というようなものがとり得るとすれば、それはまことに適切でございませんので、今後とも十分留意させるようにいたしたい、こう思っております。
  62. 細谷治嘉

    ○細谷委員 いま大臣から、あわてふためいたという事実はないと言うが、新聞には、自治省はあわてふためいたと書いてあるんだ。事実がないなら取り消さぬですか、事実と違うわけです。  それから、いまも選挙局長おっしゃいましたが、この文章はどうにもとれるわけです。「大政翼賛運動の翼賛議員推せん運動に吸収されることとなった」、われわれは「我々の実践的運動は、この教訓を生かし、」というのですから、この教訓を生かすというんですよ。「あくまで真の国民運動となるように」というのですから、これは両方にとれるわけだ。しかも大政翼賛会、あの翼賛選挙の本質というのは、皆さんもはっきり知っていることだ。どっちにもとれるようなことばが書いてある。誤解でもなんでもないですよ。われわれは大政翼賛会、翼賛選挙というのがたいへん悪いものだという過去の歴史の中から、こういう書き方がいかぬのであって、社会党に誤解を生ましたその原因というのは、誤解とあなたおっしゃるならば、この記事は直させなさいよ。あなたのほうはあわてふためいておらぬと言うのですから、これについては誤解を抱かせるような文章に原因があるのですから、これは書き直させていただかなければいかぬ。そうでなければ、これはおさまらぬですよ。書き直さぬと言うなら、書いた人を何とかしてもらわなければならぬ。
  63. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 新聞の記事につきましては、私たちほんとうの意味において関知しておらないということをいま冒頭に申し上げておきます。  それから、もう一つの先生のような見方を生じたということで御指摘をいただいたわけでございますが、ただここでも書いておりますとおり、翼賛選挙と違いまして、住民の盛り上がりによる総意ということに基づく運動ということを特に留意しろということを強調しておるのでございまして、翼賛選挙は盛り上がりではなくて上から押しつけた官製運動であったことは御案内のとおりであります。したがいまして、いま前に申し上げましたようなところがこの文章の真意であって、翼賛運動のようなかっこうで啓発活動をやるというふうなことではないように私たちは思っておるわけでございます。
  64. 細谷治嘉

    ○細谷委員 翼賛運動の粛正運動、選挙粛正だというのは表面上だけだ。それは吸収されたというけれども、あの当時の選挙から翼賛運動、翼賛選挙になった経過というのは、これがたいへんなものであったということは御承知のとおりです。そんな記事をここに書いて、それを教訓にする、そして、そういう点を指摘しますと誤解だというのは、これは文字どおりたいへんなものですよ。ですから、新聞のように、あわてふためいた事実はないのだ、あるいは、金のかからぬのは小選挙区だとか、あるいは、翼賛運動の教訓を生かすんだとか、ということは、翼賛を取り入れるということですよ、さらに書いてある。どうもやり方としては公費を使った選挙運動というけれども、その実は一党一派に偏することになるような、こういう書き方については直していただかなければならぬ、改めていただかなければならぬ、私はそう思うのです。それを読んだ人の誤解だ。しかも新聞では、社会党の誤解だなんという、そんなことで片づけられちゃたまりませんよ。はっきりしてください。
  65. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 新聞のことは、私たちから申し上げることはございません。それで、ただいま御指摘のような見方ができるとすれば、それは適切でないということを前に申し上げたわけでございます。ただ、ここの真意ということであるので、御了承いただきたいということを率直に申し上げているわけでございます。
  66. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷君、委員長はいま質疑を伺ってはおりましたが、その雑誌を精読いたしておりませんので、私にも精読させていただいて、理事の皆さんとあとで御相談をいたしたいと思いますから、ひとつあとに譲らしていただきます。
  67. 細谷治嘉

    ○細谷委員 委員長の処置でいいですが、私はいまの答弁では承服できませんから、後ほど委員長のような形で処理するかどうかについては委員長におまかせしますが、いまの自治省当局の説明は、全く無責任な態度だ、こういうふうに言わざるを得ません。問題を残しておきます。     —————————————
  68. 吉川久衛

    吉川委員長 小濱君。
  69. 小濱新次

    ○小濱委員 佐久間長官にお尋ねしますが、去る十六日に北海道、東北地方を中心に起こった大地震は、マグニチュード七・八、関東大地震のときには七・九、これに匹敵する災害が今度あったわけでございますが、私がお尋ねしたいのは、消防庁関係の被害程度について説明をお願いしたいと思います。
  70. 佐久間彊

    佐久間政府委員 北海道におきまして、火災は函館、札幌、室蘭、日高で計六件発生をいたしております。被害は、全焼一、半焼一、部分焼四でございます。原因はほとんど石油ストーブの転倒による出火でございます。  青森県でございますが、火災の発生件数は、青森、八戸、十和田、三沢、七戸、野辺地で計十九件発生をいたしております。被害は、全焼十一むね、半焼十むねでございます。原因は石油ストーブ、薬局、学校の薬品等からの出火が多かったのでございます。  岩手は、火災の発生はございませんでした。
  71. 小濱新次

    ○小濱委員 震源地が相当離れて海中にあったために被害が少なかったわけでございまして、いろいろと戦後の地震の起こった年をたどってみますと、相当に大きいもので三年に一回ぐらいずつ発生しております。二十三年に福井に始まりまして、二十七年にやはり十勝沖、三十六年に日向灘、三十九年新潟、四十一年松代、それから九州のえびの地震、さらに四月の日向灘の地震から今回と、大きいものでもこういうふうになっているわけです。これは地震国日本の宿命というふうになるのであろうと思います。  こういうふうにたどってみますと、私どもが体験した四十五年前の大地震のあの災害、そういうこともいままざまざと脳裏に浮かんでくるわけであります。本所の被服廠のあと、あそこで、大体都内で起こった死傷者の三分の二の人が死んでいるわけであります。それから浅草のひょうたん池、あるいはまたそのほかの、そういう避難をしたところが、非常にたくさんの荷物が持ち込まれたために、それに火の粉が飛んで火災発生となって、逃げ場を失ってなくなっていった人たちがたくさんいるわけです。そういうことからも、これは人ごとではなくして、今回の地震を教訓としなければなりませんし、あらためてわれわれの身辺を見直す必要もあるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。したがって、大地震への備え、これは当然佐久間長官考えていかなければならない。その対策の責任があるように私どもは感ずるわけでございますが、ひとつその備えはどうかということでお答えいただきたいと思います。
  72. 佐久間彊

    佐久間政府委員 地震時における防火あるいは避難の状況を、今回の十勝沖地震の実情を報告を受けてみますと、幸いにして火災につきましては、地震のありました時刻が食事と食事の間の時期でございましたために被害が少なくて済みましたが、一般的に考えてみますと、今回の火災の原因が石油ストーブの転倒であるとか、あるいは薬品の流出というようなものによるものが多かったわけでございますので、これらの点については、さらに一般に周知をはかって備えをさせる必要があるというように存じております。  それから、避難の問題でございますが、どういう時期にどういう場所にどういう方法で避難するかというようなことでございますが、これは市町村の防災計画の中で規定をいたすことになっておりますが、この市町村防災計画をつくっていないところも若干今回の被災地にもございましたし、つくってありましても、内容が十分検討されていないというようなものもございました。特に三陸沿岸におきましては、津波に対する経験はいままでもたびたびあった地域でありますので、津波に対する点は防災計画の中にもかなりよく織り込んであったように伺っておりますが、地震の点については、なお不十分であったようでございます。これらの今回の教訓からいたしまして、全国的にも地震時における防火上の心得なり、あるいは避難方法指導なり、さらに市町村防災計画を完全なものに検討させて、そしてその防災計画に基づいて、必要によって訓練も行なうというようなことは一そう指導強化してまいりたい、かように思っております。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕  なお、消防水利の問題でございますが、今回の火災の場合におきましても、水道が断水をいたしましたので、防火水槽が非常に役に立ったわけでございますが、そういうようなことも、地震に備えて今後私どもさらに留意をしてまいらなければならない点であろうと思っております。  それから、災害無線等の通報連絡の点が、いろいろ欠陥も出てまいりました。火災につきましても、一一九番が役に立たなくなって、かえって望楼などで発見したというようなものもあるようでございます。これらの点もさらに今後の検討事項かと思っております。  以上、いろいろ申しましたが今回の地震を教訓といたしまして、全般的に、さらに指導のやり方につきまして検討をし、努力をしてまいりたい、かように存じております。
  73. 小濱新次

    ○小濱委員 津波の訓練は一応やった、そういうことがある。それから、ついせんだっては海面火災について消防庁が中心になってやられた。地震のことについては行なわれていない。防災会議は、先ほどの話ですと、東京都を中心にして行なわれているようですが、当然四十五年以前の大震災の当時とは、これはもうだいぶ違ってきております。そういう点で、いまの時点に立って、やはりその備えについて訓練方法等も新たに考えて実施していかなくちゃならないと思うわけです。私どもがしろうとで考えましても、いまの一一九番が使えなくなるということですが、そうしますと、高層建築も相当被害を受けるでしょう、あるいはまた、地下街も当然被害を起こすようなことになるでしょう。いま東京都内に約百万台以上の車がありますが、これが避難のために使われるようになって、ひしめき合うであろう。そういうことで、もう夜間ともなれば、電灯はまっ暗になっていきます。あちこちで火災が起こってまいりましょう。私どもしろうとで考えましても、いろいろな被害が起こることが予予想されるわけです。地震に対する備えについては、まだあまり対策を練ってないということでありますが、もうすでにこういう被害も起こっておりますし、戦後二年半に一回ぐらいずっと大きな地震が起こっております。四十五年たって、大震災以後は東京は無事にまいっておりますけれども、やはりこの辺で備えを新たにしていかなければならないであろうと思うわけです。いまのお話ですと、まだそれだけの決意に立ってないように思えたわけであります。  そういう点で今度の教訓から佐久間長官が特にお感じになって、これからの抱負といいますか構想等もお持ちになっておると思います。ほんとうに概略でけっこうですが、今後どういうふうに対策を練っていかれるのか、その備えについてもう一ぺんお聞かせ願いたいのです。
  74. 佐久間彊

    佐久間政府委員 先ほどは十勝沖地震に関連しての御質問でございましたので、   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 ああいう地方におきまする地震一般について、十勝沖地震からの教訓をもとにいたしまして、今後私ども指導上留意してまいりたい点を申し上げたわけでございますが、ただいまのお尋ねは、特に関東大震災のような大規模な地震が東京地区に起こりました場合の備えというような点に重点を置いてのお尋ねであったかと思いますが、それにつきましては、先ほど青木委員の御質問についてお答えいたしましたように、東京都におきましては、東京都の消防庁が中心になりいろいろ検討してまいりましたものが、昨年東京都の防災会議の地震部会で一応取りまとめて発表されたわけでございます。ただ、これは一応の研究でございまして、なおいま御指摘のございましたように、いろいろな点で検討してまいらなければならない問題が多いように思います。これはただ東京都だけの研究にゆだねておくべき問題ではなくて、中央政府のレベルにおきましてもこの問題について研究体制を整えていかなければならぬ、かように思いまして、実は私のところに消防審議会という諮問機関がございまするので、ここに関係の学識経験者にお集まりをいただいて、ここで、消防関係のものが一応中心になろうかと思いまするけれども、関東大震災のようなものがまた東京に起こりました場合にどのようになるのだろうか、どのような対策を考えていかなければいけないだろうかというようなことを諮問をしてまいるようにいたしたい、かように存じまして、実は大臣にも御報告申し上げまして御了解をいただきましたので、国会でも終わりましたならば、そのような段取をとりたい、かように思っておる次第でございます。
  75. 小濱新次

    ○小濱委員 先ほど自治大臣のお話の中で、きのうですか、消防関係会議があって出席されました。そこで防災対策の中身を拝見したい、こういうような積極的な意見を出されたようでありますが、防災会議東京都がやっていることは承知しておったのですが、全国的に、総合計画といいますか——この前の大震災のときには、東京でございましたけれども、横浜等も全滅しておりまして、焦土と化しております。そういうこともあって、この防災対策としての総合計画も、これは国が中心でやるべきではないだろうか。ということは、あまりにも被害の想定が大きくなりますので、そういうふうにあるべきではないとか考えるわけですが、いかがでございましょうか。
  76. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 国全体の防災計画というと戦争のときみたいな感じを受けるわけですけれども、しかし、それぞれ地方公共団体には防災計画を立てることを義務づけておるわけでございまして、私は一ペん拝見したいと申しましたことは、やはりそういうことはよく調査して、そして総合的な計画が国にあってもいい。これは御案内のとおり総理府が一応所管しておりまして、そういった計画につきましても常時職員がおって検討は加えておるわけでございますが、私、消防長の会議に臨みましたときに申したことですけれども、実際私らの体験からしても、関東の震災は、私の若い時分でしたが、その後も大きな震災がずいぶんあった。私らも体験してきております。  それにつけて思うわけですが、戦争の末期に、二十年の二月に、東京は焼夷弾攻撃を受けた。私は東京の防空主任将校として、いまの防衛庁のところへ陣どっておったわけなんです。その経験から考えましてもそうですし、地震などで大火が起こりましたときは、電気はもちろん消える、水道は全然使えない。消火活動に必要なそういったものが全部ストップしてしまって、その上で一体消火をどうするか、また住民の避難をどう指導するかとかといった、予想される状況というのは非常に悪いわけですから、そういう際での万全の措置を考えておく必要がある。これはいま御指摘になっておる点であろうと思うのです。  私ちょっとこの間の閣議でも申しましたが、関東の地震には六十九年の周期説というのがある。その前に、運輸大臣が、地震の予知ができる段階になったらとも言っておった。それはそれとして、歴史的にもやはり六十九年ごとに繰り返されておるのだ。学説的に一つの根拠があるといわれておりますが、ただ、そういうことをあらかじめ申しますと、住民にむだな不安を与えることになりますから、これは慎まなければなりませんけれども、中央にあってはやはりそういうことも十分に計算に入れて、ひそかにしかるべき作戦計画は——戦ということばが悪ければ、それに対応する措置というのは考えておかなければならぬと思います。それは災害対策基本法の中には、中央防災会議もありますし、それぞれ都道府県市町村に全部防災会議を置くことになっておりまして、これがどうもやはり平時は案外なおざりにされておるのではないだろうか、私は、自分の体験から申しましても、そういったものはやはり常時みな備えをしておかなければならぬということでございますので、ぜひそういったものがどういう状況でこの計画が立てられておるものか見たいと申しておる。ということは、当然それは国にもあるべきものであるということは私は同感でございます。
  77. 小濱新次

    ○小濱委員 この前も大臣にお尋ねしたことがございましたが、川崎の臨海重産業地帯、石油化学コンビナート地帯ですが、ここにはわが国最大の規模があるわけです。石油あるいはその他のいろいろな油類が五千三百カ所もあそこには施設ができているわけです。五万トンくらいのタンクもございますが、五百トン以上のタンクが約二千二百個立っている。そのほか、東京都内でも約二千カ所からの給油所があるわけです。それから、百万台以上の車にはみな油が積んであるわけです。また、家庭にもプロパンガス等のあるところも、相当そういう地域もあるわけでございまして、そういう点で、通信網もとだえ、水も断水になり、あるいはまた圧力がなくなっていく。これじゃ火災対策はもうお手あげです。消火剤だってそうはないでしょうから。そういうことからやはりこれは被害が大きくなることが想定されまして心配するわけであります。  この間も川崎へ行って少し聞いてきたんですが、タンクを持つ会社としては、地震の結果タンクがどういうふうにゆれ動いて、あるいはまた亀裂ができて油が漏れていくのか——タンクが一ぱい油が入っているときは、たとえば機関銃等でそのタンクを撃ち抜いたとしても、これは火災にはならぬそうですが、漏ることが一番こわいと言っていました。漏れた油がどこへ流れていくか、器物が大きいだけに非常に心配だと言っておりました。こういうことから、一番被害を受けるのは羽田から京浜地帯、こういうふうになっていくだろうと思うのですが、それは特殊なそういう油火災ということで、もう想像できないような被害が考えられるわけです。そういうことで、何とか被害を最小限度にしなくちゃならぬということで、消防力強化について私は何とかそういう方向づけを一段と強化していただきたいという意味でいま質問を申し上げているわけであります。どう考えても、この間のあの地震の震源地がこの東京であったならばお手あげとならざるを得ない。ですから、今後のためにひとつ一段と努力をしていただきたい、こう思っておったわけです。  そこで、ひとつお尋ねしたいんですが、昨年の七月十八日でございますが、この地方行政委員会において決議が行なわれました。八項目にわたって行なわれましたが、今度こういう災害が起こりましたので、私は一応この中の何点かだけ、その成果について確認をしておきたいと思いますが、佐久間長官、お願いいたします。  第一のところで、いままでの話のような状態の被害が起こったときにその消火作業、防火作業をどういうふうにやるかというと、いままでの話ですとお手あげであります。そこでいろいろと人への被害も想定されますが、何とかその消火作業に当たる方法を講じていかなくちゃならないわけですが、この決議の中で、「ヘリコプター等の科学消防施設」ということが第一に載っております。このことについては、その後予算なり、あるいはまた計画なり、あるいはまたその成果についてどういうふうに進まれたか、お答えいただきたいと思います。
  78. 佐久間彊

    佐久間政府委員 ヘリコプターといたしましては、御決議もいただきましたので、四十三年度におきましては一台国庫補助の対象として計上いたしまして、これは東京都に交付をすることにいたしておりまして、現在都のほうでも予算に計上して準備中でございます。  それから、その他の科学消防施設でございますが、化学車、はしご車、消防艇、いずれも前年度より、さらに増額を、国庫補助でございますが、いたしました。
  79. 小濱新次

    ○小濱委員 たいへんな金額になりますので、そう容易には希望どおり設備をされないと思います。今度災害がありまして、私はヘリコプターについていろいろと持ち主と電話で照会いたしてみましたところが、二人乗りのあの小さいやつで一時間五万円だそうです。青森までと言ったら、約四十万円いただきましょう、こういうことです。そういうことで、じゃあるのかと言ったらば、全部新聞社にとられました、予約済みでございます、ない、と言う。そういうことになると、今度はヘリコプターを使って都内の火災に対する対策を練りたくても、ヘリコプターはおそらくとられてしまってないだろう、予約済みだそうです。災害が起こるとみんな予約でとられてしまう。われわれが申し込んでも借りられない。借りられても膨大な金がかかるわけです。こういうことですから、これはどうしてもやはり消防庁として準備していかなくちゃならないであろう、こういうことでございますが、これからも努力していただきたいと思います。  それから、都内でも、この近県でもそうですが、非常に高速道路ができているわけです。これがどういうふうに被害をこうむっていくかということで、これは当然救急業務の必要性が起こってくるであろうと思うわけです。私はきょうは質問しようと思って用意してまいりましたが、きょうは時間がありませんのでこの次に譲りますけれども、インターチェンジを持っておるところの都市はこういうことでは困る、これは国の問題として取り上げてもらえないかということを言っておりますが、こういう被害も今度は大きく想定されるわけですね。どういうふうにやっていくのかということですが、そこで四番目の、「救急業務実施市町村の指定基準をさらに引き下げ、」という問題人数の問題、この問題もやはり大いにこれからは検討していかなくちゃならない問題であろうと思うわけですが、この点についてはどういうふうになったでしょうか、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  80. 佐久間彊

    佐久間政府委員 この点につきましては、四十二年度におきまして、従来人口十万以上の市に設置を義務づけておりましたのを、五万に引き下げましたが、四十三年度におきまして、さらに人口四万に引き下げることにいたしまして、すでに関係の政令も公布をいたしました。  それからなお「現在任意に実施している市町村に対して所要の財源措置を行なうこと。」という御決議の点でございますが、これもその基準に達しないところで任意に実施しているところにつきましては、四十二年度におきましては特交によりまして措置を行なっていくということにいたしました。
  81. 小濱新次

    ○小濱委員 あと五番ですが、この五番の「行政の一元化を推進する」という問題については、どういうようになったでしょうか。
  82. 佐久間彊

    佐久間政府委員 これは通産省が主管の法律でございますが、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律が昨年の臨時国会で成立をいたしました。その法律の中に消防として必要な関与を、大体私どものほうから要望どおり入れることにいたしまして、それによって、従来液化石油ガス関係の保安につきまして消防が権限がなかったわけでございますが、今回は必要な関与をするということになりまして、御趣旨の行政一元化という方向が一歩前進をはかったわけでございます。
  83. 小濱新次

    ○小濱委員 次に七番の石油コンビナート地帯についてですが、これも非常に自主消火を各会社ともやっておるようでございまして、この間行ってまいりましたところが、やはりあの原油も燃えるそうであります。それが今度はその隣に大きなタンクがあって、そちらへ精油されたものが渡っていくわけです。それから今度は、左のほうにまたそのでき上がったものが山になっている。そういうことで、各会社が立ち並んでそういう状態になっているわけでありますが、確信を持ってその対策には努力をしております、こう言っておりましたが、東京を取り巻く近県の大都市にはこういう施設がたくさんあるわけでありまして、こういう点では地上からの消防にはもう限度があると思います。そういうことで、どうしても空中消火法の必要性が起こってくるであろうと思うわけでありますが、この八番の「大震火災等の非常災害に対する調査研究体制をすみやかに整備するとともに、空中消火法等の技術開発に対し、十分な予算措置を講ずること。」こういうふうになっております。これは赤澤自治大臣のほうに当然なっていくと思いますが、これはただいまもお話があったように、非常に多額の予算を必要といたしますので、これは大臣のほうで勇気を持って力を入れていただきませんとできないであろうと思うわけですが、この空中消火法の技術開発について、大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  84. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 いろいろむずかしいことを御想定の上の御質問ですけれども、実際を申しますと、まあ悪いことばかり想像すれば、とにかく国費を全部消防に投じても足りないということになると思うわけでございまして、実は十勝沖の地震から始まりましたが、あそこも行ってみますと、三陸沖にこんな万里の長城を築いてどうするのだと言って地元で笑った人たちが、なるほどありがたかった、あの防潮堤のために三陸沖の津波が押えられたわけですから。これにも高額な国費が投じられてある。そこで、小濱先生非常に関心を持っておられる、あまり世間に出ておりませんけれども、あそこでこの間実は航空機用の高オクタンのガソリンを満載した船が座礁して油が流れ出た。それが爆発すればたいへんな事故になるというので、中和剤をさがし回ったけれども、宮古という町にはそれがなかったわけでして、しかし時間はかかりましたけれども取り寄せて、どうにか爆発だけは防いだといったようなことも実はあったわけなんです。新潟の地震のありましたとき、私はまっ先に行ったわけですけれども、あのときも、もっと手早く空中消火をしたら、あの昭和石油のタンクの火災は消えていたであろうと言われておったけれども、それだって薬剤を東京から運ぶのだってずいぶん時間がかかったわけです。そういうことのために化学消防のことがやかましくなりましてこういう法改正もお願いすることになったわけでありますが、さらにその上に空中消火のためのヘリコプターとおっしゃると、まだそれまでにやらなければならぬことが実はたくさんあるのじゃないか。それを逐次片づけながら、御指摘のとおりに、ヘリコプターで火災のまっしんにぽんと消火剤を落としますと、すぱっと消えるということも実はあることは百も千も承知しておりますけれども、なかなか全国に消防用のヘリコプターを配置するところまで実は予算措置も進んでおらぬわけでございます。しかし、御指摘の、私たちが一番心配しております石油コンビナートなどの所在地には、可及的すみやかにそういった施設を完備することが望ましいと考えておりますので、予算の許す限りそういった施設をつくりたい、かように考えておりますので、いましばらくお待ちをいただかなければならぬと考えております。
  85. 小濱新次

    ○小濱委員 自治大臣が長年その要職にあったわけではありませんので、赤澤自治大臣の全責任だと私は申し上げませんけれども、やはり現在そういう重職にある立場から、現時点で対策を練ってもらわなければならないわけです。やりたいことはたくさんある、それはそうでしょう。しかし、一つの例をあげてみますと、川崎のような重産業地帯、あそこにタンクとかそういう施設が五千三百カ所も群がっておって、消防艇は一隻です。横浜には三隻あります。しかしこれは二はいは小さいので表に出られない。東京には十隻ありますが、三ばいは使えない。七隻が規模の小さいものですが動いている。そういう状態です。これはもう被害が起きればやはり私ども委員会の大きな責任になることは当然でございますので、そこでひとつ大臣に努力をしていただいて、予算措置をしてもらってその対策を練ってもらいたい、こういうことで申し上げるわけでありますから、やりたいことはたくさんあるのだ、そんなことを言ったら消防関係に全予算を投入しなくちゃならぬではないか——それじゃ大臣、身もふたもないではないですか。
  86. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まあ、いきなりヘリコプターから始まったものですから、順序を追っていたしますということを申し上げたわけでして、申すまでもなく金出したって切りがないじゃないかということではなく、やはり端から、しかも皆さんのいろいろの御意見も承りまして、最も有効適切なものから選んで十分な措置をしていかなければならぬ、かように考えております。
  87. 小濱新次

    ○小濱委員 それじゃ、あとがまだあるようでありますので、今度の災害で週刊誌あるいは新聞あるいは社説等で大きく取り上げられているのは、もしも東京に大地農が起こったならばということで、みんなこれは関心を持って読んでおります。やはりこれは一つの教訓として今後対策を練っていかなければならないと思いまして、きょうはちょうど幸い消防委員会でありましたので質問をさせてもらったわけであります。いま突然ヘリコプターから始まったということですが、大臣が何か所用で出られた間に長官と話し合っていて、ちょうどヘリコプターが飛んできたところにあなたが出てきた。そういうことでヘリコプターから始まってしまったわけですが、ひとつ了解していただきたいと思います。  やはり大地震は突然起こってくるわけです。そういう災害に対しては不断の努力、準備——備えあれば憂いなしで、私どもとしてはでき得る限りの努力をして万全の体制を整えておかなくちゃならない、こういうふうに決意をしておるわけでございまして、大臣の一段の御努力をお願いいたしまして私の質問を終わりたいと思います。
  88. 吉川久衛

  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 十勝沖地震が発生をいたしまして、われわれに対していろいろな教訓が与えられたわけでありますが、その中で私は大きく分けて二つあると思いました。その一つは、火災の発生の原因が薬局あるいは学校等の薬品から発生したものが多いということです。二番目は、函館大学あるいは八戸の学校等いわゆる公共建物、しかも建築間もない四年ないし五年程度しか経過していない公共建物の倒壊が多かったということ、しかも救急はしご等が倒壊をして非常に危険な状態が起きたということは、私ども教訓として十分考えなければいかぬだろうと思うのであります。  しかも、先ほど小濱委員もお尋ねをいたしておりましたが、東京を中心とする臨海工業地帯あるいは名古屋を中心とする、大阪を中心とする臨海工業地帯はますます大きくなっていくわけです。一年間の民間の設備投資は四兆ないしは五兆といわれておりますが、相当多くの部分がこれらの臨海工業地帯に投下されているという状況から考えましても、可燃性の物質が非常に多量に特定地域に集中をしていくということが、これからますます急激にふえていくのではないだろうかと思います。また、これらの地域には、公共建物はじめ民間の巨大な建物も、やはり都市でありますから集中をする傾向がございます。しかも、かつて当委員会で議論をされたのでありますが、この臨海工業地帯、石油コンビナート等は数多くのノーハウを持っている。そのために会社が、商業機密というような観点から、消防の活動についても、立ち入りは困るというようなことが起きたということも議論をされたわけであります。その上、大臣の説によりますと、大地震が六十九年に一度起きる。関東大震災から何年目かと数えてみましたら四十五年目です。したがって、あと二十一年程度のうちに、赤澤学説が正しいとするならば、この臨海工業地帯は、そのころになれば、二十一年たてばさらに巨大なコンビナートが各地にできるでしょう。また京浜、京葉の工業地帯の石油コンビナートなどもさらに拡大発展していると思います。そういうときにマグニチュード七・八あるいは七・九というような十勝沖地震ないしは関東大震災クラスの地震が起きるということになれば、これは非常に大きな危険を私ども想定をしなければならぬと思います。  この点について議論をいたします時間もありませんが、私はせっかくこの十勝沖地震が起きましたときに、赤澤自治大臣が、科学的であるかないかは別として、六十九年説というものを唱えた。しかも大きな災害を発生する客観的な条件というものは、関東大震災よりも非常に大きくなっている。そういうときに、たまたま自治大臣であり国家公安委員長であります赤澤さんがそういう説を唱えたわけでありますから、そういう説をお唱えになった以上は、その六十九年目の学説がもし正しいとしても、それに対処できる用意というものをいま赤澤大臣も進められつつあるだろうと私は思うわけです。したがいまして、せっかく大臣がそのような学説を披露されたわけでありますから、それに対応する措置と申しますか、備えあれば憂いなしと申しますが、その備えをいまから進めていただきたいということをまず強く要望をしておきたいと思います。大臣どうですか。
  90. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 六十九年説というのは、地震専門の学者が過去の状況を調査してその分析から出された年数であります。これは理論的な根拠もあるようでございますが、その理論が当たっている当たっていないは別として、何せ地震多発国のことでございますから、そういった災害に対しては万全の準備をすべきことは当然のことである。  そこで、東京では防災会議でいろいろ御検討もあるようですが、単に東京でやっているからということでまかせでおくということでなくして、私は、中央の段階でこれにまっ正面から取り組むべき時期に来ておるということを、この間閣議の席でも発言をいたしました。いま総理府が所管いたしております中央防災会議は、人数もわずかでございますし、寄せ集めと言っては悪いのですが、やっている仕事に非常に不安を感じるものですから、関係各省のしかるべき者で編成した一つのスタッフをつくって、まっ正面から取り組むべきであるということを、この間閣議で発言をいたして了承を得たわけでございます。それには厚生省は厚生省で一つの計画を立てておる。また、文部省には文部省の計画があるようでございます。そういったものを各省ごとにやるということは正しくないのじゃないかということを申したわけでございます。  ただ、さっき申しましたように、間もなく地震があるという予言めいたことを言いますと、それが流言飛語になったら困りますので、慎重に扱わなければなりませんけれども、いまも御指摘のとおり、備えあれば憂いなしということがありますので、そういう心がまえは常にしておかなければならぬことになると思います。私の在任なんというのはすぐ終わりになるかもしれませんけれども、素地だけはぜひつくっておきたいと考えております。
  91. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 災害基本法も当地方行政委員会が議論してきめた法律です。したがいまして、いま大臣の積極的なお話を伺いましたが、ぜひとも中央防災会議等を拡充強化し、さらにまた、関東大震災よりももっと悲惨な状態を現出する客観的な要素というものがますます多くなる今日でありますから、ぜひとも御努力をいただきたいと思うのです。昨年附帯決議をつけたらヘリコプターが一機だったというようなことはいかにも残念でありますので、そういうことでないようにもっと積極的に予算の面でも力を入れていただきたいと思います。  そこで、消防関係の財政面についてお尋ねいたしたいと思うのです。  まず昭和四十三年度基準財政需要額の中に占める消防費の基準財政需要額は一体幾らぐらいと試算されますか。また、昭和四十二年度におけるそれは一体幾らぐらいでございましょうか、お尋ねをいたします。
  92. 横手正

    ○横手説明員 ただいまの比率を出しておりませんので、即刻調べまして……。
  93. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 額でけっこうです。
  94. 横手正

    ○横手説明員 消防関係基準財政需要額でございますが、昭和四十二年度におきましては、再算定後におきまして約八百十六億程度になっております。それから四十三年度におきましては、一千億をやや上回る程度基準財政需要額による見込みでございます。
  95. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 八百十六億から一千億にふえた、約百八十四億円ほど増加をしたということだと思いますが、まあ額としては若干ふえておるようでありますが、先ほどからの委員会の議論から言いますと、どうも十分ではないのじゃないか。全体の率では一体どうですか。おおよその全体の地方財政計画の伸び率から言いまして、今回の伸び率は一体どのくらいになりますか。
  96. 横手正

    ○横手説明員 市町村分の四十三年度の基準財政需要額総額でございますが、約一兆二千億前後になろうかと思われます。したがいまして、そのうちの約一千億、こういうことになりますので、八%ちょっとということになろうかと思います。  なお市町村分の基準財政需要額の対前年度当初との伸び率を見ますと、総体で約二二%前後の伸びになろうかと思われまするが、消防費について申し上げますと、これがおおむね三〇%近い伸び、こういうかっこうになっております。
  97. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それは三〇%というのはおかしいのじゃないか。
  98. 横手正

    ○横手説明員 先ほど八百十数億と申し上げましたが、これは再算定後の需要額でございます。したがいまして、対当初の比率で見ますと、おおむね三〇%、こういうことになるわけでございますが、その場合の四十二年度の消防費の需要額は七百八十六億程度でございます。
  99. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ことしは補正なし予算と言っておるのですから、国の場合は一千二百億予備費がございますが、地方財政計画では予備費的性格のものは八百五十億でしょう。しかも、八百五十億のうち七百五十億は、去年の給与改定でそれだけ要しておったわけですから、災害の予備費的なものは百億しかない。先日、本会議では、赤澤自治大臣は幾らでも金を出すというような非常に大みえを切ったのでありますが、私は地方財政計画の予備費的な額が百億しかないという段階では非常に心配だと思うのですよ。どうなんですか。ただいまの点は、またそれに関連して聞きますけれども、大臣、今度の地方財政計画の予備的な性格、災害に対する百億、十勝沖地震、さらに今後の台風時における災害等、予想されるものがあると思いますが、これで一体足りますか。
  100. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 災害というものはなかなかつかみにくいわけでございまして、ですから、予備費などという便利なものは地方財政にはありませんから、やはり必要やむを得ない措置として一般行政経費の中に若干のもの、五十億何がしのものを例年組んでおるわけでございます。  今度の十勝沖の災害の手当てをいろいろ私も考えまして、実はある大蔵省の首脳と議論いたしました。よく世評で、何かの省の人たちが、いやとにかく激甚災害が適用にならなくとも特交で何とかまかなうなんて、自治省をさておいた発言をしておるけしからぬ事実がございますので、そのことを指摘しく私は激しい議論を実はもうすでに展開しておるわけでございます。だから、いま御指摘の点の、非常に不安、それに対してこういう説をなすものがある。ただいま六十九年周期説を申しましたけれども、一方、このほうこそ論拠はないと思うのだが、昭和になってからは奇数年には災害は起こりませんというつまらぬことを言って、奇数年は起こりませんからことしはないでしょう、ばかなことを言うなと言って私はおこったわけです。しかもいまは年度当初でもありますし、私は、ことしは実は案外災害の年じゃないかという気がするものですから、いまからずいぶんそれを気に病んでおるわけでございます。  いま、たった百億の引き当ての予備費で足りるかとおっしゃいますとまあ窮するわけですけれども、しかしこれは交付税だけでまかなうべき性質のものでもありませんし、不時の災害が起こった場合のためにこういう特交などという制度もあるわけでございますから、十分活用はいたしますけれども、これは私、国全体としてこういった問題については十分配慮すべきものであるというように考えておるわけでございます。
  101. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、百億予備費的なものを一般行政経費の中に組んでおりますね。あの十勝沖地震でこの百億に見合う経費が一体何億ぐらい必要だという算定を自治省はやっておりますか。
  102. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まだ被害のほんの表面にあらわれた概算だけでして、私はまだふえると考えておりますけれども、かりに百億といたしましても、国費の部分が大部分でして、それにかりに例のかさ上げ分だけを特に見るといたしましても、その部分はそう大きな金額ではない。それを二年で復旧というわけではありませんので、三年、四年で割ってみますと、三年にいたしましても初年度にどれだけ要るかという見当は実はついておるわけでございますけれども、もとの金額がまだはっきりしておりませんので、ここで推計——私の腹にあるものを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、まあ十勝沖だけの問題にしてみれば、まかなってまかなえぬことはないと思いますけれども、そういう発言をすることは、ことしはまだ年度当初の災害ですから非常に危険だ。しかし、ただいま申しましたように、これは国全体でやはりそれぞれ配慮すべき災害であるというふうに考えております。
  103. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 もちろん、この災害対策には日にちもかかるでしょうが、あとで自治省のほうで、この予備費百億に見合う経費で十勝沖地震に対して何ぼ必要になったかということは、あらためて資料を作成し得る段階になったら作成して当委員会に出していただきたいと思います。これは要請しておきます。  それから、そうしますと、大臣も非常に懸念されておるようなんですが、どうも私は、この地方財政計画、ことし補正なしでいくということは、特にこの百億に注目をして議論するならばこれは私は困難だと思いますよ。しかし大臣のほうは、どうだ、その場合補正組まなければならぬだろうと私が問い詰めても、まだ年度当初ですから、大臣も、いや確かにそうです、これは補正をしなければならぬと、まあお答えはここまできておっても、お答えできない立場に大臣はおるのじゃないかと思いますから私は聞きません。しかし、すでにこの十勝沖地震、さらには今後予想せられる災害というものを考えた場合に、地方財政計画の補正なしという原則は、私はすでにもうこれは崩壊しつつあるということだけここで指摘をしておきたいと思います。  さて、そこでまた交付税課長にお尋ねするのですが、とにかくことしは補正なし予算ということを前提にして財政計画組んだのですから、補正前のものとことしの一千億を比較したってだめなんで、補正後の八百十六億と一千億を比較したら一体何%伸びておりますか。
  104. 横手正

    ○横手説明員 消防費につきましては、昨年が補正後といいますか再算定後で八百十六億余りでございます。これが一千数億の伸びになろうと思いますので、的二百億近いものが伸びるかと思います。したがいまして、おおむね比率にしまして二五%程度のものになろうかと思います。  なお、市町村分の基準財政需要額総額でございますが、昨年度が再算定後おおむね一兆でございます。したがいまして、これがおおむね一兆二千億程度ということになりますので、総額では二割の伸び、こういうようなかっこうになっております。
  105. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 市町村基準財政需要の伸び二割、これに対して消防費の伸びが二割五分というので、全体の伸びから見れば若干は伸びたということは了解をいたします。ただ個々の数字に入ってまいりますと、私は非常に不十分なものが多過ぎるのじゃないかということを感じます。  時間もありませんから簡単にお尋ねしたいと思いますが、救急業務政令指定の基準を昨年は五万に引き下げ、ことしは四万にさらに引き下げたようであります。これに対して、昨年五万に引き下げて政令指定いたしました百八十八市に対して三人という基準でもってその二分の一を見る。去年指定したものの後年度分という意味でしょうが、救急業務に従事する人は、運転手が一人要るだろうし、また看護の素養を持っておられます方が二人は要ると思うのです。そうしますと、この三人の方が常時活動するということは不可能でしょう。当然予備を考えなければならぬ。少なくともこの救急業務一台に対して六人というものは当然私は見る必要があるのじゃないかと思いますが、それに対して三人、しかも、ことし人口四万に引き下げて百三市を指定する。この場合、二人しか見てないんじゃないですか。二人のしかもその半分をとりあえず今度は見て、来年またあとの半分を見る、こういうことのようですが、この二人で見て、しかもその半分というのは一体いかなる基準ですか。お答えいただきましょう。
  106. 横手正

    ○横手説明員 先生おっしゃられましたのは、あるいは地方財政計画の積算上の扱いではなかろうかと思います。地方財政計画におきましては、従来から救急車あるいは消防自動車一台当たりにつきまして必要人員の二分の一というような見方をいたしておりますが、これは初年度におきましては年度当初から人が入らないのではないかというようなこともございまして、そういう見方をいたしております。ただ交付税上の措置が御承知のとおりでございまして、年度当初から必要人員を見る、こういうことにいたしております。  なお、実は四十二年度におきましては救急隊員が総数六十三人の中何人かというのは、明白に表に出ていなかったわけでございますが、四十三年度には消防吏員を六十七人にまで標準団体においては規模是正を行ないますとともに、この中で救急隊員が七人あるいは予防職員の面につきましてもはっきりと三人というようなことをいたしております。したがいまして、ただ本来の消防士のほうがそれだけ少なくなっておるんじゃないかということにもなろうかと思いますが、予防職員あるいは救急隊員は、ある程度本来の消防活動にも兼務で活動できる面もあるんじゃなかろうかというような面がございます。現実に救急隊員の実態を見ますと、平均しますと一隊当たり三人くらい、あとは兼務の人でまかなっておるというような状況でございますので、交付税上の措置につきましては、四月当初から必要人員は認める、こういうかっこうになっております。
  107. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 しかし、それにしても見方が不十分であることはいなめないと思うのです。しかも、今度特殊勤務手当を新設して、救急出場手当一日六十円というのですね。いまどき一日六十円というような手当はもう時代錯誤もはなはだしいじゃないかと思うのです。せっかく手当を新設するというものであれば、時代に適合した額にしたらどうかと思うのです。そういうところにも消防基準財政需要の算定というものが何か非常にみみっちい感じがするのですが、この六十円はどうなんですか。
  108. 横手正

    ○横手説明員 救急の出場手当の一日単価六十円でございますが、これは他の職種の特殊勤務手当というものを勘案されまして一応きめられたわけでございます。したがいまして、この手当単価をきめます場合には、私どもの省の給与課の御意見なり、あるいは大蔵省の国家公務員としての特殊勤務手当の状況、こうしたものを参考として一応きめたわけでございます。
  109. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 もう少しこういうものも時代に適合した改善をする、どうですか大臣、一日六十円というのは、大臣に聞いてもどうかと思いますが、やはり六十九年説をもとにして大いに消防を拡充強化しなければならぬというときに、せっかく手当を新設しながら一日六十円、それは他との振り合いということを言うのですが、どういう振り合いで六十円が出たのか知りませんけれども、その振り合いの議論をしますと時間がかかりますからやめますが、ともかく、こういうものはもっと時代に適合した額に改める、こういう前向きな姿勢が必要だと思うのです。いかがでしょうか。
  110. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 防災体制を固め、消防力を増強すると申しました手前もありまするし、私、全く同感であります。やはりこういった問題につきましては、十分前向きで取り組むべきものと考えております。
  111. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それから今度五万から四万に引き下げましたね。昨年は五万以下で現に救急業務を実施しております市町村に対しては特別交付税でもって措置した、こういうことです。今回四万に引き下げましたが、これでもなおかつ四万以下で現に救急業務を実施している市町村というものがあろうかと思います。それに対しては、昨年と同様特別交付税でもって措置をする、こうしなければ筋が通らぬと思いますが、いかがでしょうか。
  112. 横手正

    ○横手説明員 原則といたしまして、特別交付税でそうした市町村の財政需要は見てまいることになろうかと思います。ただ、ただいま検討いたしておりますのは、高速自動車道、これにかかる救急業務の市町村の財政需要、この実態は、交付税で算定いたしておりましても、通常ベースのものでございますので、特定の団体に特定の経費がかかるといったようなこともございます。これらのものにつきましては、第一次的の責任体制をどう考えるかというようなこともあわせて目下検討中でございますが、こうしたものもあわせて必要がある場合には特別交付税で措置される、こういうことになると思います。
  113. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これは検討中でも困ると思うのです。やはり現に救急業務を実施しております市町村、それからいまお答えございましたような、高速道路がございまして特別に需要のかかります市町村についても、私は当然見るべきだと思うのです。大臣、この点はどうでしょうか。従来、藤枝自治大臣が当委員会において、これは特別交付税で措置いたしますという御答弁があって、昨年は五万以下のものについては措置をされました。あわせてひとつ大臣の明確なお答えをいただきたいと思います。
  114. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これも同じように当然前向きで措置、検討しなければならぬ案件でございますので、昨年どおりにいたしたいと考えております。
  115. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 さらに、非常備消防の問題でございますが、これも出動手当が昨年は四百二十円、今回五百円に八十円上げたというわけでありますが、しさいに検討しますると、人員が減っておるのですね。昭和四十二年度の場合は四百二十円でありますが、九回出動して人員が四百二人ですから、人員については合計が三千六百二十七人という計算ですよ。これは標準団体でありましょうが、百五十二万三千三百四十円。昭和四十三年度の場合は五百円に上がりましたが、人員のほうを三千二百人に減らしました。したがって、全体の金額は百六十万にしかなっていないのですね。だから、金額ではほとんどふえておらぬのですよ。ですから、これは見かけだけよくして内容は落とした。これからあとで観光地のことも聞こうと思いますが、ちょうど観光地のみやげと同じことであって、箱だけは大きいが上げ底であるというようなことと同じではありませんか。
  116. 横手正

    ○横手説明員 実は今年度の積算にあたりましては、市町村の実態というものを検討してみたわけでございます。そうしまして、消防統計年鑑、こうした資料をもとにしまして標準団体でどの程度消防団出動延べ人員があるのかということを検討いたしてみますと、実は三千二百人よりももう少し下回ろうかと思います。ただ、統計資料が少し古い資料でございますので、その後の伸び等も考慮いたしまして、一応四十三年につきましておおむね八回程度、延べ三千二百人程度、こういう見方をしたわけでございます。したがいまして、実働延べ人員につきましては実態とあまり変わらないもの、むしろ従来のほうが少し見込み過ぎであったのではないかと、かように思っておるわけでございます。
  117. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 実態に合わせて数を三千二百人にした、こういうことでありますが、それならば、もう少し出動手当の五百円を上げる努力をすべきじゃないですか。結局、全体として百五十二万三千三百四十円が百六十万円になったというわけで、金額としてはほとんど伸びていないのですから。それは統計を使って実態に合わせる努力はいいと思いますけれども、それならばもう少し金額で市町村にいく消防の経費を充実してやるという観点からやらなければ、うしろ向きだという御批判はやむを得ないと私は思うのですよ。  この点もたいへん問題だと思いますし、それからまた、もとへ戻りますが、消防職員六十七名、その他の職員二名ですから六十九名ということになりますが、標準団体に対してどの程度消防職員が要るかという基準はこれは消防協会その他で学識経験者をお集めになって基準というものを設定しておられますね。この基準は一体何名ですか。  それから、同じく交付税では自動車の台数を七台と踏んでいるそうですが、これも消防協会の基準ではもっと多いと聞いておるわけです。同じように、救急業務に従事いたします職員、いまのお答えでは七人と三人でありますから、十人ですかに対して基準はもう当然設定しておられると思うのですね。救急の自動車についても同様だと私は思うのです。交付税の単価と基準、どう違いますか、ひとつお答えをいただきます。
  118. 横手正

    ○横手説明員 消防力基準でまいりますと、標準団体の人口十万におきまして、まず消防関係でございますが、大体十台ということになります。これに対しまして交付税上の措置は七台、こういうことになっております。したがいまして、この十台を基礎にいたしまして、基準どおり十万人の市で必要職員数を出しますと約百四十人、こういうことになってまいります。それで、なお、現有施設状況といいますか、現状を申し上げますと、消防自動車の関係で約四台平均というようなことになっております。それから職員数は、大体平均しまして五十二名というようなことでございまして、施設、人員、おおむね実態は基準の四割というようなかっこうになっておろうかと思います。交付税上におきましては、この消防自動車の台数を七台といたしまして、これによって人員をはじいておりますが、従来六十五人というようなことで、多少圧縮ぎみでございました。これを本年度規模是正を行なっておりますので、消防自動車七台ということを前提に置けば、人員についてはかなりの算入率になっていようと思います。  それからなお、四十一年度の決算額と基準財政需要額を比較してみますと、決算額で一般財源額はおおむね六百六十億使っておる、このほかに交際費が二十四、五億余りあるんじゃないかと思います。これに対しまして交付税上の措置は六百九十億程度でございます。したがって、決算額と需要額とを比較いたしますならほぼ実態はまかなっておるというかっこうになっております。ただ、これは総額の計算でございますので、これの大都市都市、町村別あるいは地域別の分析が必要になってまいろうかと思います。私ども見ましたところ、北海道、東北地区、こうした面の市町村がいわゆる交付税の充当率がやや悪い感がいたしますので、四十三年度におきましては寒冷補正の強化、こういったようなことによって市町村間の均衡も考えてまいるという考え方でやっております。
  119. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 消防庁長官にお尋ねいたしますけれども、この基準ができましたのは三十二年ですか。
  120. 佐久間彊

    佐久間政府委員 三十六年です。
  121. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 すでに七年を経過しているわけですね。しかも交付税はその基準に対して四〇%程度のものしか人員については見ていない。自動車については七台と十台でありますから七割しか見ていない。交付税課長の言いわけは聞きましたけれども、せっかく基準を設定しておるのですから、消防庁長官、もっとこれは積極的にがんばって、この基準に合わせるような交付税の算定をかちとらなければいかぬと思うのですが、どうでしょうか。
  122. 佐久間彊

    佐久間政府委員 御趣旨はそのとおりと思いますので、努力はいたします。  ただ、消防力基準につきましては、昨年消防委員会でもいろいろ御議論がございましたが、現在の実情考えますと、なお検討、手直しを要するような点もございますので、現在検討をしております。
  123. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 今度新たにLPG立ち入り検査旅費というものもできたようでございますけれども、二百円掛ける六十カ所、五分の一、二千四百円というような単価のようであります。こういうものも、この金額を見ますとたいへん不十分ではないかという感じもいたします。時間もありませんから次を申し上げたいと思うのですが、最近の火災状況を見ますと、都市におきましては、もちろん大震災等予想した場合は非常に不備でありますが、ある程度消防力が後進地域に比べれば充実しつつある。ところが、後進地域と申しますか、農村におきましては、まだまだ消防力充実がはかられていない。交付税課長は、実態を盛んに交付税算定の根拠にされますが、結局これは市町村財源もない、消防力充実されていない、そういう中で実態が低いんでしょう。それを引き上げる努力を私はしなければいかぬと思うのですね。そういう意味ではうしろ向きだと思うのです。火災一件当たりの被害額を見ますと、都市よりも農村のほうが四倍から五倍の被害を出している、こういうのですね。といたしますと、私は、もちろん大都会における消防力強化は緊急の問題だと思いますが、あわせて農村地域の消防力充実、しかも交付税課長は、そういった低い実態をいつも交付税算定の根拠にされるようでありますから、私はやはりこういう地域の充実を期すためにがんばってやっていただきたいと思う。  それから、いま一つ観光地帯の火災が非常に多いようですが、昼間人口と夜間人口が非常に違うわけですね。こういう夜間人口と昼間人口の著しい差のあります観光地域については、当然消防施設等の基準に夜間人口をとっていく、こういうことが必要だと思うのです。あわせてお答えをいただきたいと思います。
  124. 佐久間彊

    佐久間政府委員 農村地域の消防力充実強化しなければならぬという点、全く同感でございまして、私どももさような心組みでいままでもやってまいりましたし、今後さらに努力をいたしたいと思います。観光地域につきましても、先生のおっしゃった御趣旨に同感でございます。そこで、どういうふうに観光地域の特殊な財政需要を反映させるかということでございますが、一つ消防力基準におきましてこれを反映させるということも検討してまいりたいと思います。それから、現実には消防本部署の政令指定をいたします際に、観光地域につきましては特別な配慮をするというふうなことでまいっておりますし、この方針は今後も続けてまいりたい、かように思っております。
  125. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣、どうですか。きょう私いろいろこまかい数字をあげて議論をいたしましたが、昨年に比べて消防基準財政需要の伸びは二五%だといいますが、中身をしさいに点検すれば——時間がないから落としたところもたいへんありますが、まだまだ不備だと思います。そういう意味で、一つには、消防施設税の創設という点では、私は自治省ではもっと前向きの努力をすべきじゃないかと思います。あわせて、この基準財政需要の算定にあたっては、消防力強化という面で前向きの御検討をいただきたいと思うのですが、大臣の御決意を承りまして、質問を終わりたいと思います。
  126. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 消防施設税につきましては、先般私、自治省におりましたときもこの問題を十分研究いたしましたけれども、まだ最終的な結論は出ておりません。これはなかなか大蔵省なんかも強い意見がありますので、思うようにはかどっておりませんが、全体といたしましては、ただいま御指摘の点もありますし、この問題については前向きで十分検討して、御期待に沿うような措置をしなければならぬと考えております。      ————◇—————
  127. 吉川久衛

    吉川委員長 地方税に関する小委員長奥野誠亮君から小委員長辞任いたしたいとの申し出がありますので、委員長はこれを許可し、同小委員長亀山孝一君を指名いたします。  この際、暫時休憩いたします。    午後一時五十二分休憩      ————◇—————  〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕