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1968-04-12 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十二日(金曜日)    午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 奥野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 細谷 治嘉君 理事 山口 鶴男君    理事 折小野良一君       青木 正久君    亀山 孝一君       木野 晴夫君    辻  寛一君       中尾 栄一君    永山 忠則君       藤田 義光君    山口シヅエ君       井岡 大治君    太田 一夫君       河上 民雄君    華山 親義君       三木 喜夫君    山本弥之助君       依田 圭五君    門司  亮君       小濱 新次君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         自治政務次官  細田 吉藏君         自治省財政局長 細郷 道一君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      秋吉 良雄君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         専  門  員 越村安太郎君     ――――――――――――― 四月十日  委員青木正久辞任につき、その補欠として宇  都宮德馬君議長指名委員に選任された。 同日  委員宇都宮德馬君辞任につき、その補欠として  青木正久君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員井岡大治辞任につき、その補欠として華  山親義君が議長指名委員に選任された。 同日  委員華山親義辞任につき、その補欠として井  岡大治君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十日  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第五八号)(参議院送付) 同日  地方公務員定年制法制化反対に関する請願  (大橋敏雄紹介)(第三七二八号)  同(石田宥全君紹介)(第三八三五号)  同(枝村要作紹介)(第三八三六号)  同(大出俊紹介)(第三八三七号)  同(勝澤芳雄紹介)(第三八三八号)  同(角屋堅次郎紹介)(第三八三九号)  同(川村継義紹介)(第三八四〇号)  同(河野正紹介)(第三八四一号)  同(神門至馬夫君紹介)(第三八四二号)  同(田原春次紹介)(第三八四三号)  同(田邊誠紹介)(第三八四四号)  同(多賀谷真稔紹介)(第三八四五号)  同(堂森芳夫紹介)(第三八四六号)  同(中谷鉄也紹介)(第三八四七号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三八四八号)  同(原茂紹介)(第三八四九号)  同(細谷治嘉紹介)(第三八五〇号)  同(松前重義紹介)(第三八五一号)  同(八木昇紹介)(第三八五二号)  同外一件(矢尾喜三郎紹介)(第三八五三号)  同(山田耻目君紹介)(第三八五四号)  地方公務員定年制反対等に関する請願外三件  (依田圭五君紹介)(第三七二九号)  地方税青色申告事業専従者完全給与制適用  に関する請願外三件(佐藤觀次郎紹介)(第  三七三〇号)  同外七件(佐藤觀次郎紹介)(第三七七四号)  同外四件(佐藤觀次郎紹介)(第三八五五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五一号)      ――――◇―――――
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出にかかる地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
  3. 河上民雄

    河上委員 先般のこの委員会におきまして、地方公営企業に対する政府のお考えを承ったわけでありますが、その際明らかになりましたように、下関市長に対する通達などにはっきりと示されておりますように、自治省においては――地方公営企業、特に水道の問題を私はやっているわけでありますけれども、地方公営企業に関しまして、その危機突破のための対策として、合理化ということを非常に強調しておられる。こういう通達が出た以上は、終始そうした形で地方公営企業をいろいろチェックされるのであろうと思うのでありますが、政府では、一体合理化というものを具体的にどういう形で行なおうというふうに考えておられるのか、その点を念のためにお伺いしておきたいと思います。
  4. 細郷道一

    細郷政府委員 それぞれの企業によって特殊性がございまして、いろいろ企業ごとに違うと思います。一般的に言えますことは、給与制度の改善、合理化あるいは徴収事務委託でありますとか、あるいは検針事務委託でありますとか、こういうようなものはわりに共通的なことでございます。
  5. 河上民雄

    河上委員 ということは、人件費の全体の中で占める割合を圧縮しよう、こういうふうにお考えになっているように思うのでございます。その背景にある思想は、赤字原因は年々高騰していく人件費にあるというような考え方を持っておられるのではないかというような気がいたすのでございますが、その考え方が正しいかどうかにつきましては、われわれとしては異論があるわけですけれども、それはさておきまして、一体自治省では人件費の占める割合が大体何%ならば健全な経営である、自治省のいうところの合理化は達成せられたというふうにお考えになっておられるのか、その点を伺いたいと思います。
  6. 細郷道一

    細郷政府委員 一律に人件費割合がどれくらいであればよいかということは、立地によってもいろいろ違うと思います。地域内に水源が安易に得られるところもございますし、遠くから引っぱってこなければならないというところもあるわけでございます。一律なことは、私ども申し上げられないと思います。ただ、全国的な平均を見てみますと、費用に対する人件費割合は三五%前後である、こういうことであります。
  7. 河上民雄

    河上委員 いまの三五%前後というのは、現状という意味でございますか。
  8. 細郷道一

    細郷政府委員 実績でございます。
  9. 河上民雄

    河上委員 それでは、一般地方公営企業と申しましてもいろいろあると思いますけれども、水道の場合は大体三五%前後、こういうふうに自治省でも言われておるわけですけれども、それでは一般的に民間企業人件費の占める割合が何%ぐあいならよいというふうに考えているかということとの比較も、この際参考にすべきだと思うのでございます。自治省では大体どういうふうに考えあれておるかわかりませんが、ごく常識的に見まして、大体人件費が四〇%ぐらいであれば、一応国間の場合健全な経営であるというふうに考えられていると思うのであります。そういうふうに民間との比較をしてみますと、水道の場合、すでに人件費割合はかなり低くなっておる。しかも、あと統計を参照したいと思いますけれども、給与費割合はむしろ下がっているくらいであります。そのように考えてみますると、この三五%という数字は、これ以上の合理化はむしろサービス低下を来たすという限界になっておるのではないかという見方も成り立つと思うのであります。自治省では、この人件費割合がすでに三五%であるということについて、民間との比較において一体どういうふうに考えておられるか、これを承りたいと思います。もし、ただ合理化合理化といって、人件費費用に占める割合を圧縮することだけを念頭に置きますならば、これはサービス低下ということになりますし、ことに水道の場合は、健康、生命を預かる重要な事業であります。そういう業務でありますし、さらにこれは二十四時間、われわれが水道のじゃ口をひねれば必ず水は出るわけです。二十四時間のサービスを行なっている業務であります。そういうようなことを考えてみますると、いたずらに人件費を圧縮するという考え方は、はなはだ危険なものであるというふうに言わざるを得ないのであります。自治省のほうでは、こういう問題につきましてどうい今ふうに考えておられるか、お尋ねしたいと思います。
  10. 細郷道一

    細郷政府委員 民間企業比較してとおっしゃやられましても、水道は御承知のように九十数分までが公営でございますので、水道事業に類似する民間企業との比較は非常にむずかしいと思うのでございます。一般的に民間企業と申しましても、工業から製造業、商業、いろいろございますし、その人件費比率というものをどれと比較するかは、水道事業の場合なかなか適当なものがないように思うのでございます。ただ、御承知のように、最近におきましても、民間企業において常に企業合理化する場合のコストダウンの要素としては、必ずと言ってもよいほど人件費をどう合理化するかということが民間企業競争条件一つのように私ども承っておるわけでございます。したがいまして、何%ならばよろしいといったような公式的な考え方ではなくして、やはり個々の企業においてくふうをしていくべきものであろう、こういうふうに思うわけでございます。先ほど申し上げました三五%と申しますのは、全国的なそういった実績平均がそうなっておる、それよりも高かったらば、どこに自分のところの水道事業として高い原因があるのか、また、しかるべき合理的根拠があるのか、そういうようなことを個別に検討していただく一つの指標として私ども申し上げておるわけでございます。三五%ならばよろしいとか、それを割ってさえおれば常に健全である、こういうふうな考え方には立たないように個別にひとつ研究をしてもらおう、こういう態度でおるわけであります。
  11. 河上民雄

    河上委員 私が申し上、げたのは、そういう三五%というような数字を基準にしてものを考えるというようなことではございませんので、ごく大ざっぱに考えましても、特に水道事業の場合、人件費が、赤字といいますか経営危機の主たる原因であるという考え方が、この一事をもってしてもすでに非常に根拠の薄いものだということを強調しなくてはならないと思うのです。同時に、自治省のほうで、これは一通りの目じるしだというような形で通達を出されましても、現在の力関係から見まして、地方公営企業体としては、何か人件費の圧縮だけが合理化であるという見方に傾きがちでありますので、そういうことが水道事業業務の上に非常に危険な影を投げかけるのではないか、そういうことを私はおそれておるわけでございます。そのような意味におきまして、いたずらに合理化合理化ということを通達の中で強調することは、私ははなはだ危険であり、自治省としては十分に留意していただきたい、こう思っておるのであります。特に、先ほど業務民間委託ということをその構想の一環として述べておられるのでありますが、一体この委託の中にはどういう業務内容が含まれてくるのか。また、先ほど料金徴収というようなことばがございましたが、もし徴収されるといたしますならば、一体これはどういう根拠に基づいてやっておられるのか、やれというのか、この点を確かめておきたいと思います。
  12. 細郷道一

    細郷政府委員 事務委託といった場合、水道事業で一般的に考えられますことは、先ほど申し上げましたように、検針事務委託でありますとか、料金徴収事務委託というようなことが考えられるわけであります。地方公営企業法の第三十三条の二によりまして「公金徴収又は収納委託」は「私人委託することができる。」ような規定もございますので、それに基づいてやるべきものと考えております。
  13. 河上民雄

    河上委員 料金徴収についてはあるいはそれによってやれということであるかもしれませんが、この検針一体どういう根拠に基づいてやっておられるのか。また検針という業務水道事業の中でどういう役割りを占めておるかということを考えてみますると、これはかなり固有事務に属することだと思うのであります。一体どういう根拠に基づいておるのか。
  14. 細郷道一

    細郷政府委員 徴収事務一環として考えられておるわけでございます。
  15. 河上民雄

    河上委員 検針というのは徴収事務の一部というふうに理解しておられるといたしますと、一体それはどういう根拠に基づいておられるのか。地方公営企業法あるいは地方自治法その他いろいろ考えまして、そうはっきりとしたことが裏づけられておらないように思うのであります。その点をお伺いいたします。
  16. 細郷道一

    細郷政府委員 料金徴収ということは、料金徴収根拠調査決定並びにその収納、こういうことでございますので、先ほど申し上げた条文基礎を置いておるものでございます。
  17. 河上民雄

    河上委員 それでは、水道事業地方公営企業として規定する場合に、一体どこまでが固有事務になるのか、それを承りたいと思います。
  18. 細郷道一

    細郷政府委員 ちょっと御質問の趣旨がわかりかねますが、固有事務と申しますことが水道事業本来の事務ということであれば、それは供給をするということであろうと思います。
  19. 河上民雄

    河上委員 もし民間委託というものが、いまおっしゃったようなことでだんだん拡大していくことができるといたしますと、およそ水道事業全体もそうしてもいいわけでありますし、へたをいたしますと、地方行政全体も民間委託したっていいわけでございます。昔、元総理大臣石橋湛山氏が、行政でも民間委託をして大蔵省何とか組と何とか会社に入札さして、どちらのほうが能率的かということで国民に選ばしたっていいじゃないかというような議論もあったくらいでございます。何か地方公営企業と申しますか、地方自治体としてやる固有の仕事というものは、何かある一つのけじめというものがなくてはならないと思うのです。ただ、ここまではいいんだ、ここまではいいんだ、これは条文には書いてないけれどもここまで含めることができるんだということになりますと、私は非常に問題があると思うのであります。ことに水道事業は、水道法などによりますと、検針は大陽が出てから没するまでの間自由に住宅、住居の中に入って検針することができるわけでございまして、そういう権限を持った者に対して、責任の主体というものがいま言ったようなことですと、何か宙に浮いてしまうような感じがするのでございます。そういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。
  20. 細郷道一

    細郷政府委員 事務委託するにあたって条件をつけることによってそういうことは防げることと思います。
  21. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷君の関連質問を許します。細谷治嘉君。
  22. 細谷治嘉

    細谷委員 いま財政局長答弁でたいへん重要な発言があったわけですから、このまま見のがせませんから……。  検針というのは徴収事務ですか。あなたのいまの答弁では、検針というのは徴収事務だと言うのです。二十六条の四、「管理者は、地方公営企業業務に係る公金徴収又は収納事務私人委託したときは、」これは委託できるんですね。これは、法律は三十三条の二「管理者は、地方公営企業業務に係る公金徴収又は収納事務については、収入の確保及び住民の便益の増進に寄与すると認める場合に限り、政令で定めるところにより、私人委託することができる。」検針というのは徴収事務なんですか。
  23. 細郷道一

    細郷政府委員 それも含むものと解して立法が行なわれておるものと思います。
  24. 細谷治嘉

    細谷委員 税の場合には賦課徴収と言いますね。検針というのは、検針が済みますとあとは機械的に料金が出てくる。これは賦課ですよ。徴収事務じゃないでしょう。徴収というのは金を集めることです。どこそこの家から幾ら取るということが調定された上でそれを集めるのが徴収でしょう。これはあなた、そんなことでやったら、いま河上さんが質問するように、そんな拡大解釈しましたら、検針まで徴収事務なんだ、こういうことになったら切りがないです。これは料金決定ですよ。検針というのは、水道の場合は、あとは機械的に出てくるわけですから、重大な料金決定ですよ。賦課ですよ。それを徴収事務だということで広義に解釈するということになると、これはたいへんな問題です。これははっきりさしてください。
  25. 細郷道一

    細郷政府委員 税金賦課とは私は違うと思います。税金賦課課税要件というものを調査決定していくことが含まれているのでございます。この場合は水道を使ったら幾ら払うということはあらかじめ単位価格がきまっておるわけでございます。したがいまして、税金賦課の場合とは性質が違うと思いますが、この徴収ということば収納ということばを実は使い分けておるわけでございます。徴収ということばには、いま申し上げましたように、検針も含む、こういうふうに解しておるわけでございます。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 それはあなたのほうの解釈ですか。それは確かに賦課徴収ということは料金の場合書いてありませんよ。あなたのほうの解釈ですか。検針から料金の計算、それから集めていくこと、それが全部徴収なんだ、これはあなたのほうの解釈ですか。
  27. 細郷道一

    細郷政府委員 そういう解釈できておるわけであります。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 それは独断的な解釈ですね。そんなことは許されませんけれども、関連ですからこの問題は留保しておきます。
  29. 河上民雄

    河上委員 いまの問題は非常に重要でございますが、ここで押し問答いたしましてもあれでございますので、留保して先に進めてまいりたいと思います。  サービス低下ということはまた目に見えない面でもいろいろあると思います。われわれは現在徴収に来られた人に、水道局から来たということでついでに水漏れなど、あるいはその他の故障の修繕を頼んだりいたしますと、快くやってくれたり、あるいは連絡をとってくれたりするのでございますが、民間委託の場合になりますと、はたしてそれがやってもらえるかどうか、そういうような目に見えない面でのサービス低下ということもかなり市民としては心配になるのではないかと思う。伺うところによりますれば、現在水道局料金徴収員は常にポケットにパッキングを幾つか入れて回っておる。これはどういう規則によってなっておるのか、それとも習慣として職業的な倫理観にささえられてやっておるのか存じませんが、そういうことを聞いております。しかし民間委託になりました場合には、はたしてそういうかゆいところに手が届くような市民サービスが行なわれるかどうかということについてかなり市民は不安を持っておると思う。そういう点について自治省としてはどういうふうに考えておられるか、ちょっと伺っておきたいと思います。
  30. 細郷道一

    細郷政府委員 私は、委託をしたならばしゃくし定木のことしかしないとは思わないのでございまして、それは委託を受ける人と申しますか、委託先の人の選択のしかたにもよるだろうと考えるわけでございます。この点だけですぐいま例をあげられましたようなサービス低下になるかどうか、これはむしろ反対の場合すらも予想される場合もあり得るわけであります。一がいには言い切れないものだろうと思います。
  31. 河上民雄

    河上委員 いま言われたことによりますれば、特別な対策ということは用意されておらないように受け取れるのでございます。要するに民間委託ということ、それから実質的な配置転換あるいは首切りというようなことが合理化一つ内容であるように承るのでありますけれども、私がいま申し上げましたように、法制的にも非常に問題がありますし、また、ものの考え方といたしまして、人件費の占める比率を下げればいいということではない。ことに水道事業の場合は、許される限界まで常にきておるのではないか、さらに目に見えない市民サービス低下という心配もありますし、それに対する確実な保証、それに対する確実な歯どめということは、いまのところお考えでないように私は承ったのであります。しかしいま申し上げましたように委託検針の問題につきましても非常にはっきりとしない面がありますが、留保いたしまして、先に話を進めてまいりたいと思います。  現在、市民の間で水道問題あるいは交通問題という場合にすぐ考えられますことは料金の問題でございますが、それに対しまして政府対策は、独立採算制の名のもとに、料金値上げをやるということで対処しておられるようなのでありますが、そういう場合に、一体料金算定基礎というものはどういうものでありますか心地方公営企業下水道法あるいは水道法、そういうようなものを背景にいたしますと、これは一種の原価主義に立っているようなふうに受け取れるのでございます。一体原価というものの内容はどういうふうに考えておられますか。自治省のお考えを承りたい。
  32. 細郷道一

    細郷政府委員 料金決定考え方としましては、御承知のように地方公営企業法第二十一条にあるのであります。「料金は、公正妥当なものでなければならず、かつ、能率的な経営の下における適正な原価基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならない。」こういう考え方に立っておるわけであります。それで、その原価と申しますのは、人件費でありますとか、あるいはいわゆる費用に当たるものにつきまして、それぞれ課目ごとの積算をいたす、こういうことでございます。
  33. 河上民雄

    河上委員 原価というのは職員の給与費、それから減価償却費、あるいは支払い利息というようなおおむね三つのエレメントからなっているように思うのです。あらゆる資料を拝見いたしますと、いわゆる俗にいう借金の元利償還水道事業経営に対しまして非常に大きな重圧になっているということは疑いないところだと思うのでございますが、自治省ではその点どういうふうにお考えになっておられますか。
  34. 細郷道一

    細郷政府委員 これは先日も御議論がございましたように、最近におきます水道事業赤字一つ要素としては建設費の増大ということがあろうと思います。したがいまして、いま御指摘のような減価償却の問題、それから利子負担の問題、さらに企業債償還減価償却期間ズレによる資金運用の問題、こういったような問題があるだろうと考えております。
  35. 河上民雄

    河上委員 自治省でお出しになった昭和四十一年度の「地方公営企業年鑑」の第十四集でございますが、それを拝見いたしますと、「水道料金とその原価の状況」という統計が出ております。それによりますと、昭和三十七年の指数を一〇〇といたしまして指数を立てますと、資本費というものの上がり方というのは年々非常な勢いで伸びておりまして、また、それに伴って費用総額というものも非常に伸びておるわけでありますが、その伸び率というものは給与費比較いたしまして非常に高いわけでございます。資本費給与費を加えたものが費用総額というふうに理解いたしますが、この資本費給与費費用総額というもの、この三つの計数の伸び方を見てまいりますと、資本費伸び方が非常に高いわけでございます。昭和三十七年をそれぞれ一〇〇といたしますと、資本費昭和三十八年には一〇七・二、三十九年には一三〇・二、四十年には一五五・八、四十一年には一七三・二となっております。つまり資本費昭和三十七年に比較いたしまして、四十一年では七割三分も上昇しているわけであります。それに対しまして給与費の場合は、三十七年を一〇〇といたしますと、三十八年には一一〇・七、三十九年には一一八・三、四十年には一二七・一、四十一年には一二八・一というふうになっておりまして、昭和三十七年を一〇〇といたしますと四十一年には一二八・一、二割八分しか上がっておらないのでございます。この間物価上昇というようなことを考えますと、これはほとんど上がっていないにひとしいようなものであります。したがって、二つ合わせまして費用総額にいたしますと、昭和三十七年を一〇〇といたしまして、四十一年まで飛ばして、四十一年を見てまいりますと、一四二・四、四割二分ほど上がっておる、こういう数字になっております。この数字から、つまりこれは自治省が出された数字でございますが、この数字から見ましても、給与費物価値上がりの元凶と見るという考え方がいかに事実と反しておるか、つまり人件費の占める割合を圧縮することが合理化であるという考え方が、いかに事実に反しているかということを自治省の資料自体がはっきりと物語っているように思うのであります。したがって、こういう数字自体から見ましても、水道料金問題の核心がどこにあるかということはすでに明らかであるように思います。こういう点につきまして、政務次官はいかにお考えになりますか、お尋ねしたいと思います。
  36. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ただいま資本費給与費の年々上がっておる数字についてお話しがございました。そのとおりで、自治省の資料のままでございます。資本費は非常によけい上がっておって、人件費給与費のほうが少ししか上がっておらないから、これはもう給与費にしわが寄っておるという議論には必ずしもならないと思います。ただ費用の中で資本費の増高が非常に著しい状況である。水道公営企業の大きな圧迫になっておるということについては、そういうこともあると思います。人件費については四十二年度の一二八・一がいいかどうかという問題は、これは人件費の問題として考えなければならぬ、かように思うわけでございまして、私の言わんとするところは、したがって、人件費だけでいろいろなものを解決していくというような考え方は、お説のように絶対間違いである。むしろ問題は資本費にあるということは認めるわけでございますが、ただ数字比較だけでは、これは水道事業の実態を先般来申し上げているような形であらわしているわけでございますから、これがために人件費のほうは非常に低過ぎるのだと、この比較数字で言うことはいかがか、かように思っておるわけでございます。問題は、したがって料金につきましては、資本費のほうに大きなウエートがかかっておるということはおっしゃるとおりだと思います。
  37. 河上民雄

    河上委員 いまの政務次官のお答えは、問題の核心にたいへん的確に触れておられる部分と、少し避けておられる部分があるような感じを受けたのでありますけれども、政務次官も、いわゆる資本費というものが水道事業に非常に大きな重圧になっておるということだけはお認めになったわけでございます。といたしますと、緊急な解決の方向は当然そこへ向けられなければならないというふうに私は思うのであります。それには、最初に私が問題を提起いたしましたように法制的な制約というものがかなりあるのじゃないか、こういうように思うのであります。その点につきまして、政務次官はどのようにお考えになりますか。
  38. 細田吉藏

    ○細田政府委員 独立採算制につきましては、前回も私お答えいたしたのでございます。経営合理化ということについては、これはもう徹底的にやらなければならぬ、血のにじむような合理化をやることが必要だ、しかしながら、いまの公営企業の実態は、もう幾らやってみても――これはもちろんサービス低下を来たさないという限度においてやること、これは当然のことでございますから、いろいろなくふうをこらし、あるいは新しい技術を導入し、いろんなことをやるでございましょう。しかし限界があるのではないか。結局、公営企業の大部分が大都市でございまして、大都市の状況が変わってきておるために、新しい資本の投下が必要である、この資本費の増高による圧迫が大きい。そこに私は、独立採算制というものについては、従業員の努力は独立採算、あるいは管理者の努力は独立採算でいかなくてはなりませんが、かなり限界があるのじゃないか、そういう点については考えていかなくてはならぬじゃないか、どこまでを独立採算でやっていくかということについて十分にきわめる必要がある、かように考えております。
  39. 河上民雄

    河上委員 ただいま政務次官からたいへん重要な御発言があったように思うのであります。もちろんその御発言だけでは、具体的にどういうことをおやりになるということはおっしゃっておらないわけでございますけれども、先般のジョンソン声明くらいの意味はあるかもしれないと思うのでございます。つまり地方公共団体あるいはそこで働いておる職員にとっては、ともかく合理化をやってほしい、努力をしてほしい、しかし自治省としては、そういう資本費の圧迫というものを取り除くために種々努力する、大蔵省ともかけ合うし、また法制的な是正も行なう、むしろ自治省の責任はそっちのほうにあるというような御答弁と承ったわけでございます。ひとつ、何ぶん格段の御努力をお願いしたいと思うのでございます。  なお、先ほどあげました自治省の資料によりますと、元利償還料金収入に占める比率というものはものすごい高いようでございまして、これはもうぜひ国民全般に広く知らせる必要があろうと思うのでございます。ことに政務次官は、事務次官ではなくて政治家としてその地位におられるわけでございますので、世論喚起の意味からいっても、こういう事実は広く国民に知らせられる必要があろうと思うのです。  これによりますと、大体平均して四〇%前後、つまり元利償還料金収入に占める比率というのは四〇%くらいになるのでして、これはたいへんな比率であるように思うのであります。ことに、調べてみますと、都市の規模別の数字が出ておりますけれども、これで見ますとかなり差があるようでございまして、そういうようなことも放置できないような感じがいたします。  七大都市について見ますと、料金収入に対する比は四六・三%、十五万以上の都市については三〇・五%、十万以上十五万未満の場合は二四・九%、五万以上十万未満の場合は二八・六%、三万以上五万未満の場合は二七・五%、一万五千以上三万未満は三八・一%、一万五千以下は三七・一%、こういうふうになっておるのでございまして、この数字を拝見いたしますと、どうも七大都市と小都市のその比率が高くて、まん中がくぼんでいるような感じがいたします。これを見ましても、おそらく大都市の場合はふくれ上がる人口増に対処するために、そして小都市の場合には、ようやく都市化しようとするようなことから、それに対処するために、あるいは文化的な生活様式に対する農村的都市の要求が高まってきたためにというふうに考えられるわけでございますが、自治省ではこういう事実をどういうふうにお考えになっておられますか、政務次官にお尋ねいたします。
  40. 細田吉藏

    ○細田政府委員 ただいま御指摘がありましたとおりだろうと思うのですが、大きな都市は人口のふえ方が大きい。それから水道の施設を新たに設ける際にいろいろな困難な事情があるということによりまして、大きな数字が出てくる。それから地方の小さいところについては、水道をやる以上はやはり一定の規模の投資が必要である。人口がちょうどいいかげんなところのほうが割合がまだいい、小さいところで水道を始めるといたしましても、ある程度の資本費がかかる、最小限度の資本費はかかるわけでございます。こういうことが数字に端的に出ておるものと、御指摘のとおりに考えております。  なお、資本費の圧迫、あるいは利子を払ったりあるいは元金を返したりすることが非常に大きな負担になっておることをもっとPRすべきじゃないかという御指摘がございましたが、そのとおりだと思います。また、私は、私の承知しております限りでは、関係の公共団体におきまして、それぞれかなりPRはいたしておると思いますけれども、こういう点については、私どもも十分この実情については御納得いただき、そして適正な料金というものはどこにあるべきかという点について考えてまいらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  41. 河上民雄

    河上委員 私がPRする必要があると申し上げましたのは、やはりそういう認識を一般の市民の方々にも持っていただくと同時に、そうした市民の理解と要望を背景に、自治省としては大蔵省とかけ合っていただく、大蔵省に対する交渉力を高める意味で大いにPRする必要がある、こういうふうに申し上げたのでありまして、ただ市民にがまんしてほしいという意味でPRする必要はないと思うのであります。  そこで出てまいります問題は、じゃどうしたらいいかというごとだと思うのでございますが、その場合のもう一つの方法として、やはり国庫補助という問題があると思うのであります。国庫補助が望ましいということはすでに多くのところから指摘されているわけでございまして、ことに私どもがふしぎに思いますのは、工業用水の場合には大幅の国庫補助が認められておるにもかかわらず、一般上水道に関しましては、これは全く認められておらない。のみならず、法制的に禁止されているにひとしい状態でございます。一体これはどういう根拠に基づいているか、おそらく市民の方に御納得いただく場合には、これは最大の障害になるのではないか、こういうように思うのであります。政務次官はこの点についてどういうようにお考えになっておられますか。
  42. 細田吉藏

    ○細田政府委員 もちろん自治省といたしましては、そういう方面にいろいろ努力はいたしてまいっておりますので、現在の状況、なお当面の考え方について、一応事務当局から先にお答えさせたいと思います。
  43. 細郷道一

    細郷政府委員 私は、やはり水道事業については、いま御指摘のようないろいろな費用の増高する原因がございますので、適正なる料金というものをどの程度に考えるのかということが第一に考えられるべきことではないだろうか、こういうふうに思います。ただ、私はそれが大原則だと思いまするけれども、水道につきましては、特にその立地条件によってその地域内に水源が得られない、あるいは水源があってもそれでは足りないといったような問題もだんだん起こっておるわけでございます。そこで、それらにつきまして、経営の規模というものを一体どういうふうに考えるのかということがやはり残された問題点だろう、私どもはこういうふうに思っております。いきなり国が補助することがいいのかどうか、これは私は水道というものの生活に占めます地位その他から考えまして、十分研究を要する問題であろうと思うわけでございます。  私どもは、いままず適正なる料金、それには経営自体を能率的な経営ができるということを前提として適正な料金ということを考え水道事業の指導を実はいたしておるわけでございます。しかしながら、先ほど表によっていろいろお話しがございましたように、かなり大規模なところ、水原が非常に遠くにあるところ、こういったようなものにつきましては、私のほうからお答えする筋かどうか別といたしまして、昨年度から国において補助金を出すという道が開かれております。それから非常に小規模なところで料金が高くなっているというものにつきましては、私どもは今回、いきさつにおいてはいろいろな手を考えましたが、結論的には借りかえということによって、特に公営公庫から借り出しております資金を借りかえ、かつそれを低利にする、七分の金利のものに借りかえるというようなことによってそれに貢献をしていきたい、こういうふうな考え方にいま立っておるわけでございます。もちろん私どもとしては、先ほど申し上げましたような、もっと進んで、水道事業というものをいつまでも行政の区域内のみの問題にとどめておくかどうか、行政区域を越えてでも経営の規模をつくっていかなければならぬじゃないか、そういったこともあわせて考える必要があろうと、今後の検討にいたしております。
  44. 大橋文雄

    大橋説明員 水道の補助金につきましては、従来簡易水道と申しまして、小規模な農山漁村を対象にいたしております水道につきましては補助金がございまして、財政力の状況に応じまして四分の一ないし三分の一の補助率の国庫負担制度をとってございます。議論されておりますように、上水道事業につきましては原則として独立採算制だということで、従来はその建設財源を主として起債に依存しておりました。しかし最近水道におきましては、その水の需要の増大等によりまして、独立採算の範囲内に水を求めるということに非常に困難性が認められまして、昭和四十二年度から、先ほど財政局長が申しましたように、ダムとかあるいはそのダムの水を導水路と申しまして非常に大規模に遠くから引っぱってこなければいかぬというもの、あるいは広域水道と申しまして、水源を広く広域的に求めまして、大きな範囲内でそれを対象にしてやるというふうな水道水源開発あるいは広域水道の整備に対しまして補助金が認められました。昭和四十一年度を初年度といたしまして、四十三年度継続してこの補助金が認められております。  工業用水道の補助金につきましては、これは通産省の所管になっておりますので、私が答えるのは適当じゃございませんけれども、私の知り得る範囲では、地盤沈下とか地域開発の促進、産業政策的な意味から補助金が出されているというふうに承知しております。
  45. 河上民雄

    河上委員 いま御説明になりましたのは、要するにこういうふうになっているというようなお託しでございまして、私がお尋ねいたしましたのは、国庫補助というものが、いまや時代的な趨勢と相まちまして非常に緊急必要なものであるということについては、皆さま方も同意されたわけでありますが、私がお尋ねしておりますのは、一般上水道と工業用水道との取り扱いの違いの根拠でございます。何ゆえ工業用水道の場合は国庫補助が認められて、一般上水道の場合は法的にこれを禁止する――といってはことはが適当でないかもしれませんが、禁止するにひとしいチェックを行なっておるか、その法的な根拠あるいは思想的な根拠についてお尋ねしているわけでございます。この点につきまして自治政務次官並びに大蔵省――先ほどから大蔵省の方もせっかく来ておられますので、大蔵省のお考えもここで伺いたいと思います。
  46. 秋吉良雄

    ○秋吉説明員 地方公営企業法の改正法案の御審議の際に、工業用水道と上水道とのバランスの問題、いろいろ御議論がなされたことは御承知のとおりでございまして、そういった議論等も参考にいたしまして、四十二年度から新たに、先ほど水道課長が申し上げましたように、国庫補助の制度を復活したわけでございますが、私ども上水につきましては、先ほど給与費あるいは資本費の御指摘がございましたが、要は、やはり能率的な独立採算の運用がなされることが望ましいわけでございますが、それはそれといたしまして、上水の特殊性にかんがみまして、いろいろのきめこまかい施策を講じておるわけでございます。たとえて申しますと、元利償還償還期限の延長を逐次はかってきておるとか、あるいは四十一年からは公営公庫の貸し出し金利七分三厘を七分に引き下げるとか、それに基づく補給金を公営公庫に補助するとか、いろいろの措置を講じておるわけでございまして、四十二年度からは新たに厚生省の所管で補助金の復活を認めたというようなことの措置もいろいろ講じておるわけでございます。問題は、やはり私どもは、こういった問題は受益者負担でいくか、あるいは租税負担でいくかといういろいろのむずかしい問題にぶつかるわけでございますが、私どもの立場といたしましては、やはり本質的にはなるべく受益者負担でまかなっていくという考え方に立つのが至当じゃないか。それはそれといたしまして、先ほど工業用水の御指摘もございましたが、そういったバランスも考えまして、今回四十二年度から新たに七億の補助金を認め、また四十三年度においては約十二億近い補助金を計上している、こういう次第でございます。
  47. 吉川久衛

    吉川委員長 華山君の関連質問を許します。華山親義君。
  48. 華山親義

    華山委員 一昨年公営企業法が改正されましたときに、工業用水についても独立採算制をとろう  と自治省がなされた。ところが、この面におきまして、財界あるいは自民党の商工業の部会でございますか、そういうふうなところの、ことばが過ぎるかもしれませんが、いろいろな圧力によって自治省は断念せざるを得なかった。このことは、その当時のもう明白なことでございますし、またそう言っていられた。そしてその際に、前の財政局長は、自治省はこれらのことをあきらめているのではない、現在工業用水道のために至るところの県が、あるいは市町村が繰り入れをしている実態であります。その点について、あきらめたことではないので、今後もこの問題については、通産省とも十分協議を続けていくというふうに言われたわけであります。その後一年有半たっておりますが、通産省との工業用水における地方財政の負担の関係、そういうことはどういうふうにお話は進んでおりますか。自治省の方のお話を承りたい。
  49. 細郷道一

    細郷政府委員 工業用水道事業もやはり独立採算をたてまえとすべきだという考え方に私も同意をいたすものでございます。いまでもそういう気持ちで、何とかその実現をはかりたい、こう思っております。昨年も――昨年と申しますか今回と申しますか、今度の予算の折衝にあたりましても、そういう独立採算を前提といたしまして、そうして赤字の工水については措置をしよう、こういうような予算要求をいたしました。大蔵当局も、その過程においては私どもの考え方に非常に同調されました。同調されましたが、どうしても関係省の話がつかないために、ことしも十分な成果をあげることができませんでしたが、さらに進んでまた来年もこれにぶつかっていこう、こういう考えでおります。
  50. 華山親義

    華山委員 関係省というのは通産省のことでございますか。
  51. 細郷道一

    細郷政府委員 主管省は通産省でございます。
  52. 華山親義

    華山委員 なお一そう、こういう不合理なことは、政府のほうでは、受益者負担ということについても私は問題がありますけれども、受益者負担の原則を立てて、そして水道については強く受益者負担という線を出して、そして工業用水道にはそれを出さない、私は非常な矛盾だと思いますし、この点、至るところの県でこのための財政負担をせざるを得ない実態でございますので、どうしてもこれは筋を通して実現をしていただきたい。また工業用水道にそういうふうな受益者負担の原則が貫けないということがあるならば、民生的な水道についても独立採算制のことを堅持することなく、先ほどの次官のおっしゃったとおり、どこまでが受益者負担なのか、その原則を工業用水道と同じような原則に立って検討していただきたいと思います。委員長、私関連ですからこれでとめておきます。
  53. 河上民雄

    河上委員 ただいま自治大臣お見えになりましたので、私がいま提起いたしまして、同僚議員の関連質問もあり、論議をいたしております一般上水道と工業用水とにおける国庫補助の取り扱いの相違という問題につきまして、いま局長からもお話があり、さきに次官からもお話があったのでありますけれども、大臣よりこの問題についての自治省のお考えを明らかにしていただきたいと思います。
  54. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まあ水は天与の資源であって、人間の生活には言うまでもなく欠くことのできないものであります。普通飲用水は、これもやはり望むべくは、日本は水のいい国ですから、ただで飲んでいただきたいのはやまやまですけれども、やはりそれには施設に費用がかかりますので、住民としては水道の水を飲むからには何がしかの負担がかかることは、これはやむを得ないことであると考えます。工業用水の場合は、国の産業政策全体から割り出されてあることでございますので、いま受益者負担という話も出ましたけれども、そういう大局的な見地からの一つのにらみ合わせもあるものでございますから、これは特に自治当局でどうこうと一がいに言える筋合いではございませんけれども、飲用水のほうは、できるだけ飲む人の負担を軽減するという立場に立っていろいろな施策を行なうことは当然であると考えます。これは私どもの省で多くこれに触れておりまするので、やはりこの建設費が不当に高くかかった場合には、何とか全国の平均水準にまで近づけるようなくふうをいろいろいたしておるわけでございます。
  55. 河上民雄

    河上委員 まあ大臣の御答弁あとのほうはやや積極的なお立場が出ているように思うのでござ  いますが、先ほどからちょっと借用いたしております自治省の資料に基づいてこの問題を考えてみますと、昭和四十一年度だと思いますが、一般の水道事業の場合、一般上水道の場合、財源のうち内部資金というのが百四十四億で全体のパーセンテージ九・五%になっておりまして、外部資金千二百三四億でございまして八一・三%、その外部資金のうち企業債というのは千百三十五億で七四・八%を占めておるのであります。ところが、工業用水のほうを見てまいりますと、全体の財源三百十一億のうち内部資金が二十四億で七・七%、外部資金が二百七十七億で八九・一%でございます。ここまでは一般上水道と同じでございますけれども、外部資金の内訳を見てまいりますと、企業債というのが百七十二億で五五・五%、国庫補助が六十一億で一九・八%となっております。つまり一般上水道の場合には企業債が七四・八%も占めておるのに対しまして工業用水の場合は五五・五%であります。そして国庫補助が約一〇%もそこに入っておる。そういうことが直ちに料金にはね返ってまいりまして、工業用水の場合は非常に安いのに対しまして一般上水道では一トン当たりかなり高くなっておるということになるのではないかと思うのであります。その点、もちろん一般上水道のほうは、浄化するのにいろいる費用がかかるとかいうような御意見もあるかもしれませんけれども、どうも一トン当たりの料金がかなり格差があるように聞いておるのですが、その数字等を見ましても、この国庫補助のあるなしというものが非常に大きなファクターになっているということがいまの数字で非常によくわかるし思うのです。この点について自治省一体どうお考えになっておるのか。
  56. 細郷道一

    細郷政府委員 おっしゃるとおり現在工水には補助金が出ておりますので、どうしてもその現状を反映した実績の分析においてはおっしゃるような数字になることは、これはまあやむを得ないことだと思うのです。問題は今後どうするかということだろうと思うのでありますが、それにつきましては、先ほども申し上げましたように、もうすでに皆さん御承知でございましょうから詳しいことは避けますけれども、工水事業のあり方というものにつて、どうしても私は再検討すべきものであろうと考えるわけでございます。やはり独算制をたてまえにしながらやっていく、そうでないと、同じ事業の中でも工水を使っているものと上水を使っているもりに差があるといったようなこともございますので、そういう点についてはさらに一そうの努力をいた、したいと思います。  ただ先ほどの両方の分析の結果を通じて共通に見えますことは、現在のような料金体系でございますると、なかなか内部資金が大きなウエートを占めるということは困難でございます。そういった問題は、私は両事業とも共通の問題としてかかえているのではないだろうか、こういうふうに思います。
  57. 吉川久衛

    吉川委員長 細谷治嘉君の関連質問を許します。
  58. 細谷治嘉

    細谷委員 いま補助金の問題が出ましたが、大橋さん、おととしですか、あなたのところの舘林局長がこの委員会に見えられた際の答弁で、上水道の補助というのは簡易水道と同様、水道法四十四条を改正して実現をしたいと思う、必要だ、こういう答弁をなさったのです。ところが、見ておりますと、その答弁があった翌年の四十二年度で、ダムあるいは広域水道のあれで合計七億、ことしは十二億弱という補助金でごまかされておるわけですね。それもけっこうでありますけれども、焼け石に水ですよ。ですから上水道について、昔もあったことでありますが、四分の一程度の国庫補助を、いま工水道にもやっているわけですから、厚生省として大蔵省に要求する御意思があるかどうか、これをお尋ねしたい。
  59. 大橋文雄

    大橋説明員 水道の補助金についてでございますが、現在行なわれております水道の補助金が――やはり水道は原則として独立採算制であるというたてまえをとっております。したがいまして、独立採算制ではやっていけない、それを上回るいろんな施設というものに対して、これを財政的に国の補助金でめんどうを見ようということで、二年目に入っておるわけでございます。そういうことではなくして、将来工業用水と同じように、一律に何分の一というふうな補助率でもって、上水道を簡易水道と同じような考え方でいくかいかないかという御質問かと思いますが、それは現時点におきましては非常に困難であろうというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  60. 細谷治嘉

    細谷委員 四十三年度として予定されておる計画で、かりに四分の一としますと、概算三百六十億円ですよ。工水道にもやっているわけですから。いまのことばは、おととし、かなり前向きのあなたのところの局長の答弁とだいぶ違っているのです。やはり、どうやら七億と十二億に肩がわりしちゃった、こういうふうにわれわれ理解しなきゃいかぬのであって、おととしの舘林答弁とあなたの答弁では食い違って、たいへん不満ですよ。再考の余地ありませんか。かりに四分の一としますと三百六十億円ですよ。もう一ぺんお答え願います。
  61. 大橋文雄

    大橋説明員 おととしの舘林局長の答弁と私の答弁が食い違っておる、こういうことでございますが、そのときの舘林局長は、水道法の中の補助規定というものを改正してということで、その内容が、いま御説明いただきましたような内容であるかどうかは少し疑問だと思います。いずれにしましても、われわれはただいまの補助金の方法でもって最良の方法というふうには必ずしも考えておりませんので、今後とも、こういう補助金につきましては検討を加えてまいりたいというふうに思っております。
  62. 細谷治嘉

    細谷委員 あなた先ほど独立採算ということをおっしゃった。それがたてまえである、こういうことでありますが、先ほど政務次官のおっしゃった、独立採算についても現状では限界がある、これをお認めになりますか。
  63. 大橋文雄

    大橋説明員 現状においては限界があるということについては同感でございます。
  64. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、一例ですが、あなたのほうでも、限界があるということについて解決しなければならぬものが解決できないでおる。そういう場合には、そういうものについてでもやっぱり補助はしていかなければいかぬでしょう、どうですか。原則的なものを申し上げている。答弁いかんによっては具体的に例を申し上げます。一般的な四分の一の補助については問題があるというならば、どうしてもその限界はあるわけだから、その限界を解きほぐす、そして原則的には独立採算で運べるように体制を整えてやる努力を当然国としてしなければいかぬ、主管省である厚生省としてしなければならぬと思う。それができるまでは、やはり補助してやらなければいかぬでしょう、どうなんですか。
  65. 大橋文雄

    大橋説明員 現在の上水道の補助金が、独立採算制の原則を上回る、限度をオーバーするというものに対して取り扱いをいたしておりますので、それ以外に具体的な方法が今後考慮されるとすれば、当然それは考えてまいりたいと思います。
  66. 細谷治嘉

    細谷委員 いま水道というのは、一般の上水道と簡易水道と専用水道というのがあるでしょう。たとえば炭鉱等で鉱害が起こりますと、水が出なくなりますから、会社で鉱害のための補償水をやりますよ。復旧していきますと、水は大体飲めないのですけれども、補償でただであったものが、だんだん料金を取りますよ。そういうものをあなたのほうは専用水道として、会社の事業として認めているでしょう。場合によっては専用水道連合体なんというものを認めているでしょう。言ってみますと、ある重要なたくさんの団地には、かつては鉱害地であったために会社の専用水道がいっていますよ。それを通り抜けて、大きなパイプだけ引っぱって、遠方のほうに公共用の上水道を引かなければならぬ。まるっきり一つの団体なら団体、一つの区域に二つも水道があるようなものですよ。これで独立採算がやっていけるのですか。それでも独立採算制料金を上げてやりなさい、こういうふうに指導なさるのですか。そういうものを解決してやるべきじゃないですか。それを解決しないで、独立採算であります、料金を上げなさい、労働条件を切り下げなさい、こういうことでは、先ほど政務次官が認めた限界というものを認めながら、事実上否認しているということじゃないですか、どうなんですか。
  67. 大橋文雄

    大橋説明員 そういう具体的な事例につきましては、今後検討してまいりたいというふうに考えます。
  68. 細谷治嘉

    細谷委員 いまの水道法ができたのは何年ですか。
  69. 大橋文雄

    大橋説明員 昭和三十二年でございます。
  70. 細谷治嘉

    細谷委員 そうです。十年以上たっているのですよ。十年以上たって、いままでそういう形でやっているのについては伏せておいて、限界があります、しかし事実上は知らぬふりをして、ネコババをきめておって、そうして独立採算制を押しつけておる。それをいいことにして、また自治省がやっているわけだ。きょうは幸い政務次官の、限界があります、こういうことを聞いたから、私はその限界を具体的に解決するために努力しなければならぬと思って、一るの望みを持っているのですけれども、いままでの自治省の指導の方針なんというものは、あなたのほうを受けて、独立採算制でございます、料金を上げなさい、足らなければ労働条件を切り下げなさい、これ一点ばりじゃないですか。あなたのほうが、もとが悪いのですよ。関連でありますからこれだけにしておきますが、政務次官、そういうのがあるのですよ。十二年間ほっておいて、そういう限界について解決の努力もせぬで、地方団体に押しつけてばかりおつたってだめです。
  71. 細田吉藏

    ○細田政府委員 誤解があるといけませんから、もう一ぺん私の考えを申し上げたいと思いますが、独立採算制というのはたてまえであると思います、企業でございますから。公営企業法にも書いてあるとおりだと思います。したがって、何でもかんでも賃金を低く押える、人を減らす、料金を上げるというところにしわを寄せてはいけないということはわかるのですけれども、しかし毎々申し上げておるように、市民サービスは落とさないという範囲における企業合理化は徹底的にやらなければいけない、これは当然だと思います。料金についても、何が適正かということについては、原価をどういうふうに見るかという問題ば、経済学的とか経営学的に言うといろいろやかましい問題だと思いますが、私は適正な料金でなければいけない、何でもかんでも料金を上げなければならぬということでないことは申し上げるまでもないと思います。さらに、これは独立採算制の問題だと思いますが、先ほど財政局長がお答えいたしましたように、借金というものの質を改善していく、こういう努力もなされなければならぬ。借金をするのも独立採算制の中だと思います。ですから、これが金利とかあるいは期間の問題とか、こういうものについても徹底的に考えなければならぬ。それでもなおかつ限界があるのではないか。このような人口の移動、こういう現在の状況下においては、こういう限界があるのじゃないか。こういう点については、徹底的にいま申し上げたような独立採算の問題について検討した上でこれを処置すべきもの、考えなければならぬもの、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、私は、いまおっしゃったような点、また私が申し上げたような点を十分検討の上で、これについては国として考えていかなければならぬのじゃないか、かように思っておる次第でございます。大体同じ意見じゃなかろうかと思うのですが、そういうふうに考えておりますが、何かあとのほうだけが非常に強調されますと、誤解があるといけませんので、申し上げた次第でございます。
  72. 河上民雄

    河上委員 いまの質疑応答のやりとりの中で非常にはっきりとしたことは、水道問題についての政府の態度には、かなり原則的にいろいろ矛盾がある。政府みずから現状では非常に矛盾が多いということを認められておるわけです。また限界があるということについても認められたと思うのでありますが、にもかかわらず、さてそれではどうするかということになりますと、既存のワクというものに縛られて、ただあれよあれよと見ているという感じになるのです。先ほど次官が適正な料金のことを言われたのですが、念のために一般上水道と工業用水というものは、いろいろあろうと思いますけれども、一応一トン当たりどういうふうになっているか、水道課長、いかがですか。
  73. 大橋文雄

    大橋説明員 水道料金の全国平均と申しますか、いまのわれわれの調べでは、大体月に二百四十円くらいといことになっております。
  74. 河上民雄

    河上委員 工業用水は……。
  75. 大橋文雄

    大橋説明員 工業用水の料金につきましては、私の所管ではございませんので、私が答弁するのは非常に不適当なのでございますが、通産省お見えになっておりませんので、この際、私の知っておる範囲で申しますと、私の先ほど申しました二百四十円というのは十トン当たりでございますから、工業用水十トンに換算しますと、四十五円から五十円、最高でも六十円くらいと承知しております。
  76. 河上民雄

    河上委員 いまのお話で、上水道と工業用水を比較してみますと、適正な価格という観念が、聞いておるだけで混乱してしまうわけです。先ほど、工業用水については政策的にこうしているのだというお話がありましたが、一体こういうのが政府がいまとっておる政策というものなんでしょうか。大臣はどうお考えになりますか。
  77. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 政府の政策でございます。
  78. 河上民雄

    河上委員 いや、政策的というのは、こういうことをやるのがおたくのほうの政策的意味ですかということを聞いておるのです。
  79. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほどの御議論を途中から拝聴したわけでございますけれども、大体給水原価という問題になっていると思うのですが、普通の上水道と申します飲料水のほうは、これは工業用水とは全然別個なものだという考え方に立っている。これはこれでやはり給水原価が、不適正と申しますか、全国平均より上回る。それにはやはり建設費なんかが大きな関係がある。そうすると、この企業債の金利の負担なんかもやはりかかってくるわけでございますので、いまの段階では、自治省といたしましては、やはり企業債の借りかえなどをいろいろ準備いたしまして、多少でもこの給水原価が減るようにという努力はしているわけです。これとは別に工業用水は、言うまでもなく工業の原動力は水であり、電力であると言われているわけでございまして、目的が全然違う。ですから、これは政策面で一つの計算がなされていることは言うまでもないところでございます。ただ、われわれとして非常に注意しておりますことは、人口の移動が激しいために新しい水源がどんどん求められるわけですけれども、御案内のとおりに湖は、もともと大なり小なり権利がつきまとっておりますので、一つの工業用水が取水されておりますために、上水道がさらに遠回りして水源を求めなければならぬというようなことが起こりますと、非常にやっかいなことが出てくる。それが常に料金にはね返りますので、そういう問題については、全国的にいろいろな考慮を先を見てしているわけでございますが、飲料水、つまり上水道と工業用水は根っこから考え方が違うという判断に立っているわけでございます。
  80. 河上民雄

    河上委員 ただいまの御答弁はたいへん不満であります。  そこでちょっと出てまいります問題は、一つは、受益者負担という考え方であろうと思います。もう一つは、いままで国庫補助のことを取り上げたわけですけれども、起債についての条件の改善という問題があろうと思いますが、受益者負担のことに先立ちまして、起債についての条件の緩和について若干お尋ねしたいと思います。  いま水道事業について政府債あるいは縁故債はどういう割合になっているか。また政府債、縁故債の利率あるいは償還年限、そういうようなものにつきまして、論議の前提として教えていただきたいと思います。
  81. 細郷道一

    細郷政府委員 四十三年度で申しますと、計画でございますが、水道のための起債は千四百四十五億、そのうち政府債が七百五億、それ以外の公募債が七百四十億、こういうことでございます。  条件については、政府債は御承知のように六分五厘の三十年、公募債といいましても、そのうちの公営企業金融公庫の出しておるものにつきましては、旧債はともかく新しいものは七分、二十三年、その他の公募、縁故債は、いろいろあると思いますが、七分三厘程度が多いのではなかろうか、こういうように思います。
  82. 河上民雄

    河上委員 自治省では政府債の割合をふやすか、そのほかそれぞれの利率を下げるとか、あるいは償還期限を長くするとか、いろいろ方法はあろうと思うのでありますけれども、先ほど、起債の面でも内容的に改善したいというお話があったわけですが、自治省として今後具体的にどういうふうな方針を持っておられるか、ビジョンを持っておられるかを伺いたいと思います。
  83. 細郷道一

    細郷政府委員 一つは、低利の政府債のウエートを高めたいということ。ここ二、三年の実績を見てみますと、政府債のウエートが四十年では四三・八%、四十一年では四六・六%、四十二年では四七・二%、今度の計画では四八・八%、こんなようなことになっております。たいへん微々たるものでございますが、若干なりともやっておるつもりでございます。  それからなお、公庫の水道のための条件も、前は年数の短かったのを二十三年にいたしました。また貸し出し金利も、七分三厘あるいはそれ以上でごさいましたのを、だんだん下げて七分――今回は、先ほどお話し申し上げました上水道料金の地域に対します借りかえ債について、特に七分の借りかえというような措置をとっております。   〔委員長退席、大石(八)委員長代理着席〕
  84. 河上民雄

    河上委員 ほんの少しずつそういうパーセンテージが改善の努力をされておることは、政府債の占める割合からわかるわけですが、何としても、特に取り上げるほどのこともないようなことだと思うのであります。これは、たとえば政府債がせめて六割とかそういうようなことにでもなりますれば、条件はかなり変わってくると思うのであります。四十三年度はともかくといたしまして、四十四年度あるいは四十五年度とか、さらにはもっと長期的な見通しというようなものは、この面についてはお持ちになっておられないのでしょうか。
  85. 細郷道一

    細郷政府委員 いま申し上げましたのは全体的な数字でございますが、水道事業の規模の大小によっても、いろいろくふうをこらさなきゃいけないと考えております。いま手元にあります数字を見てまいりますと、中小分についての政府債のウエートは、四十二年度の実績でいきますと六一・七%、ただいま計画しております四十三年度のは六三・三%にするというようなことで、いまおっしゃったような、中小の分についてせめて六割くらいは維持していきたい、できるだけもっとふやしていきたい、こういう気持ちを持っております。
  86. 河上民雄

    河上委員 全体として、まぜてせめて六割ぐらいにして、ひとつ何ぶんの努力を願いたいと思うのです。  これはこの辺にして、先ほどからいろいろ議論の交錯するポイントになっておりますのは、受益者負担という考え方だと思うのです。先ほど自治大臣が、水は天与のもので、本来ただで差し上げたいけれども、当今ではそういうわけにもいかぬというようなお話でしたが、そういう答弁は、明治三十年代の大臣であればそれでも話は済むと思うのですけれども、現在はだいぶ時代もたっているわけでございまして、もう少し受益者負担という問題に光を当てて、詳しく洗い直していただくということを希望したいのであります。いまの大臣のお答えで明らかなように、水道というのは地方自治体の固有事務ではないかと思うのであります。水道法十五条の第二項などを見ましても、固有事務という表現は使われておりませんけれども、そういうふうに理解すべきものではないかと思うのであります。また、逆に住民の側からいいますと、これは一種の人権でありまして、人間としての権利であるというように考えてよいのじゃないかと思います。そういう場合に受益者負担という考え方が大手を振ってまかり通るということ自体に、何か割り切れない感じを私は持つのであります。特に工業用水の場合と比較いたしますと、これは本来地方自治体がやらなくともいい仕事であるにもかかわらず、いろいろな政策的な考慮で特別なサービスとしてやっているというふうに理解すべきでありまして、受益者負担ということをもし言うなら、工業用水の場合にこそ受益者負担があるべきであって、一般上水道については、これは自治体からいえば固有の義務であり、住民からいえば固有の権利であるという問題として理解さるべきではないか、にもかかわらず、先ほどの国庫補助の問題について言われた政府の態度というのはちょっとさか立ちしているのではないか、こういうふうに思うのでございますが、この受益者負担という考え方について自治省ではどういうように考えておられるか、大臣並びにその担当官のお答えをいただきたいと思います。
  87. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 水については明治三十年ごろの政治家の感覚だということがございましたけれども、明治三十年ごろ屡井戸を掘りさえすれば水は出てきたわけでございまして、これだって井戸掘り賃だけでそれは何の不自由のない時代もあったわけでございます。しかし、だんだん昭和四十三年時代になりますと、東京では井戸を掘ってもなかなか水も出ないし、また、そういう水くみ作業なんかよりはやはり消毒された飲用水というものをつくって飲んだほうがいいというのが、歴史のいまの段階における全住民の希望でございます。そうすると、やはりこの水をただで飲ませるのが一番いいにはきまっておりますけれども、やはりそういう井戸水よりも上等の水を飲みたいのだというからには、受益者として、地域住民としては何がしかの負担をするという考え方があってもいいではないかというように私は思う次第でございます。ただ、農業用水だとか工業用水だとかとなりますとよほど話が違うわけでございまして、先ほどから私は、上水道は上水道として別の考え方に立たなければならぬのだということを申し上げておるわけでございます。
  88. 河上民雄

    河上委員 何かいまのお話ですと、昔なら井戸水で自分かってに水を飲めたのに、いまは地方公共団体が特別にサービスをしてやっているから、それに対して当然の受益者負担はあるべきだというような考え方のような気がいたしますが、これはちょっと問題があると思うのであります。この水の場合は、その他の公営企業と違いまして、今日においてはいわば代替がきかないわけであります。電車ならば、乗りたくなければ乗らないで済むという場合もありますけれども、水の場合には、飲みたくなければ飲まないでいいというわけにいきませんし、しかも安全な水を飲まなければならぬ、そういうようなことをいろいろ考えてみますと、この水道というものは、地方公営企業体としての当然の責任ではないかと思うのであります。そういう点でもう一度大臣に、いまのようなお答えでははなはだ不穏当でございますので、自治省のお考え並びに厚生省のお考えをもう一度伺いたいと思います。
  89. 細郷道一

    細郷政府委員 受益者負担ということばは非常に多岐に使われますので、非常にあいまいであろうと思うのでありますが、少なくとも水道事業はいま企業として行なわれておると思うのでございまして、水を供給するその反対給付として料金を払う、こういう考え方でございまして、非常に厳格な意味での受益者負担ではないのだろうと私は思います。
  90. 大橋文雄

    大橋説明員 自治省財政局長答弁と同じでございます。
  91. 河上民雄

    河上委員 それじゃ道路も同じようなものでございますね。
  92. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど申しましたように、受益者負担の範囲が非常にあいまいでございますので、受益者負担ということばだけで比較することが困難ではなかろうかと思います。少なくとも水道についてはそういう考え方でございます。道路の場合は多少性質が違うんじゃなかろうか、こういうふうに思います。
  93. 河上民雄

    河上委員 それではそういう原則的な議論は、押し問答いたしてもいたし方がありませんので、もう少し別な角度からお尋ねいたしますが、水道料金は、先ほど私がちょっと申し上げました資料に基づいて考えましても、日本各地でかなり違うわけでございます。料金の格差というものはかなりはなはだしく、同じ六大都市でも最高と最低では倍近く違いますし、規模別によりましてもかたり違うわけでございます。同じ規模でありましても、一万五千人以下の市町村の場合、最高は五行九十円で最低は百円というような数字がございまして、大体同じ水であるにもかかわらず六倍の料金の格差があるわけです。同じ日本国民でありながら、このように料金が違うというのは、先ほど言いました地方自治体の固有事務といいますか、水道法十五条二項に基づいても、地方自治体としては水を常時供給する義務があるというたてまえから見まして、また、水道法二条に「水道法国民の日常生活に直結し、その健康をまもるために欠くことのできないもの」とあるように、住民から言うと、これは当然の権利であるという立場から見まして、これは非常に大きな問題であろうと思うのです。こういうことはごくあたりまえのことだというふうに見過ごされておるわけでありますけれども、こういう点につきまして自治省並びに厚生省はどういうように考えておられるか。
  94. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど来出ておりますように、水道はどうしても水源が必要でございますから、水源の有無あるいは水源の遠近によって料金に格差ができることは、私はやむを得ないことだろうと思います。しかもいまの水道料金のきめ方は自治体にまかせられておるわけであります。御承知のように、昔は全部国の認可をとっておったのでございますが、十数年前に、水道というものは本来地方団体のやる仕事なんだから住民が相談をして料金をきめるべきである、それに国が介入するのはおかしいんだというので、実ははずしたわけであります。そういうような経緯から見てまいりますと、私は全国統一の料金であるべきだというのは少し行き過ぎであろうと思いますし、そういうことになってまいりますと、経営規模も全国一体であるべきだ、地方団体の経営規模からだんだん離れていくのではなかろうかというような心配も実はいたすわけでございます。したがいまして、水道はそういった自治体が本来きめられる体制になっておりますから、そこへ持ってきて、先ほど申し上げますような、いわゆる自然環境、条件の違いによりて料金の格差がある程度あることはやむを得ないことだろう。ただこの中で見てまいりますと、御承知のように、具体的には申しませんが、あまりにも低きに過ぎる料金を維持している団体も多くある、やむなく高い料金を取っているところもあるというようなことから、実は今回資本費その他から見て、高いところについては借りかえというような措置をとってまいりたい、かように考えておるのでございます。やはり先ほど来出ておりますような適正なる料金は何だということを、企業体自身がもう少しく直剣に考える必要があろう、こういうふうに思います。
  95. 大橋文雄

    大橋説明員 御指摘のように、現在日本の水道料金は非常に格差があるということでございます。これはただいまの答弁にございましたような地域的な差、あるいはつくられました水道の年次的な差、非常に古くつくられたもの、新しくつくられたもの、一般論で申しますと非常に古くつくられた水道水道料金は安いし、最近になってつくられたものは非常に高い。なお一般論としましては、規模が小さくなればなるほど非常に料金が高いというのが現実の姿でございます。それに対しまして、いろいろ議論されておりますように、国の補助金とかあるいは起債の問題だとかいう手当てをしておりますし、なお自治省がお考えになりました補給金制度というようなものがございますが、必ずしもこれをもってしてもいまの格差の是正に完全を期せられるものではございません。しかし、われわれといたしましても、この補助金の今後の使い方というようなものによりまして、少しでも将来に向かっての格差是正をはかってまいりたいというふうに考えております。
  96. 河上民雄

    河上委員 格差があるということは認められたわけです。また、格差をある程度なくそうというようなお考えがあるわけですが、私は別に全国統一の料金にせよ、こう言うわけではありませんけれども、やはり公営企業である以上、ことに水は一つの生活水という一面を持っております以上、おのずからそこに妥当な線というものがあってしかるべきではないかと思います。たとえば、交通料金などは、御承知のとおり都市によって多少値段の違いはございますけれども、しかし北海道と九州で市電の料金が六倍も違うというようなことはないのでございまして、あるべき姿というか、大体みな同じことであると思うのです。そういう点から見まして、いまの格差は常識から見ますと少し離れ過ぎている。それが結局独立採算制という本質に由来するものであるということは否定できないと思うのでございます。いま格差をなくすという気持ちを持っておられると言いましたが、それは国庫補助などの方法によってやられるおつもりでしょうか、自治省からお答えをいただきたい。
  97. 細郷道一

    細郷政府委員 私は立地その他によります事情から、格差ができることはある程度やむを得ない、いまこの実態を見てまいりますと、無理に高くしているところはないだろう、こう考えます。しかし、低いほうについては、それが独立採算に合っていて低くしているのかどうか、疑問のところもあるわけでございます。したがいまして、適正な料金というものについてやはり考えていただかなければならぬだろう、こういうふうに申し上げたのでございます。  なお、やむを得ず高くなっているところにつきましては、先ほど御指摘がございましたけれども、今回借りかえ措置をとろう、こういうことでございます。
  98. 河上民雄

    河上委員 受益者という場合に、受益者という概念自体非常にあいまいでございまして、たとえば工業用水なんかの場合、水を売ることによって明らかに何らかの利潤を生み出す事業を営んでいるわけであります。そういうような工業用水については受益者負担という観念が非常に薄くて、生活用水、生活水と規定さるべき一般水道のほうが受益者負担が課せられておるということは非常に矛盾であろうと思います。  それからまた、受益者といった場合に、水道を布設することによって地価が高くなったりいたします。そういう上昇分はまさに受益者であろうと思うのですが、そういうことについては固定資産税として一般会計に入るのかもしれませんけれども、こういう受益者について必ずしも適切な手は打たれておらないと思うのです。さらにまた、最近幾つかの都市におきましては、水道を新しく布設する場合に分担金を取るというような例も出ておるわけでございまして、こういう水道布設費が住民負担としてまかなわれていくということは非常におかしいんではないかというふうな気がいたすのであります。  そういうふうにあれこれ考えますと、この受益者負担という概念は非常にあいまいであって、ときには受益者たるべきものにはその負担がかからなくて、権利として要求してよい人たちに受益者負担がかかってくるというような、非常に矛盾した姿が出ているわけなんですね。こういうような問題につきまして、こういう問題を踏まえてもう一度、受益者負担という考え方自治省としてどういうふうに受け取っておられるか。これは非常に重大なことでありまして、いまの料金体系、そういうものはすべて受益者負担という概念で律せられておるわけですから、その点どういうふうにお考えになるか、自治大臣並びに当局のお考えを伺いたいと思います。
  99. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 受益者負担という概念を言われましたけれども、この料金との関係、これは私先ほど受益者負担というお尋ねについて、やはり水道料金もそのうちの一環をなすものだといった頭から申し上げたわけですけれども、実際この水道は、言うまでもなく、ただで水くらいは供給するのはあたりまえですけれども、しかしいかに人間生活の上に必要なものだといっても、遠く離れたところの部落へ、水がないからどこからでも引いてこいなどと国が言っても、実際問題としてなかなかやれぬことでもありますし、ですから一応地域住民が、これだけの人口が集まったんだから水がほしいという場合に、やはり国のほうでも手をかして、そして統一ある給水をするということを考えますし、地方団体ももちろんそういった方向で計画を立ててやると思うのです。ですからやはり私らが一番心配いたしますことは原水のコスト、つまり先ほど申しましたとおり水には大なり小なりそれぞれ権利がからまっておる。しかもその地方団体だけで水がまかなえるわけではありませんので、多くの地方団体では他の府県あるいは市町村、違った地域に水源を求めなければならぬ場合が非常に多い、そういったときに原水コストがいつでも問題になるわけなんです。その点と、それから今度は給水面だと、給水原価ということになりますと、パイプを引いたり、いろいろ水を飲む人には便宜があるわけでございますので、そうすると受益者と申しますか、料金と申しますか、そういうものは何がしか負担をして、そうして文化生活を享有するということは私は当然のことじゃないかと思うのです。ただ給水原価そのものが異常に高いということは、これは生活に不可欠の水という問題でございまするから、これは何としてでもやはり地方団体、もちろん国のほうでも配慮しなければならぬ問題となりますので、そういった点につきましてできるだけ資本費その他を軽減するという意味でいろいろな措置をしているということは、いま財政局長申したわけでございます。基本的には、ただで水を飲んでいただくのは当然のことですけれども、やはりそういった面に手を加えますと、料金といったようなものにはね返らざるを得ないわけでございますので、私どもといたしましては、全国平均の給水価格というものを中心に、とにかく異常な高料金のものはやはりその段階まで引き下げるような研究努力をするということ、こういうことにいま特に力を入れてやっておる段階でございます。
  100. 河上民雄

    河上委員 せっかくの御答弁をいただいたわけですが、なおばく然とした点もあるので、逆に幾つかの点をお尋ねしたいと思うのですけれども、いま大臣は、水源確保に要する投資部分といいますか、そういうようなものについては別に考慮しなければならぬ。要するに、これは大臣のお考えをもとにして申し上げるわけですけれども、給水管その他直接住民につながっている部分については、受益者負担というものを考えておるというようなお話であったように思うのです。もしそうだといたしますと、それ自体いろいろ問題がありますけれども、もしそれを是認いたしたといたしました場合に、水源確保に伴う投資部分というのが水道事業に非常に大きな負担になっておるわけでございます。その部分についてだけは国庫補助といいますか、簡易水道に国庫補助が認められておりますが、あの国庫補助の考え方を大胆にこの際取り入れていく。それが先ほど次官が言われた限界を打ち破る道ではないか、こういうように思うのであります。その点についてのお考え一つ。  それから第二に、水道だけではございませんけれども、われわれの日常生活でよく聞くことは、水道が布設される、ガスが布設される、あるいは地下鉄が延びる、こういうことになりますと、地価が著しく上がるわけでございます。そういう場合、これこそまさに受益者であろうと思う。受益者負担というわけじゃありませんが、受益者であろうと思うのですが、こういう受益者に対して、そこに住む人は水を飲むのは当然の権利である。何もそんな遠いところに住みたいわけでも何でもないわけで、都市政策の貧困からそういう事態を引き起こしているわけで、受益者どころか、むしろそこに住む人は被害者であろうと思うのです。受益者から取らないで、被害者から取るというのが現在の状態であろうと思う。そうなってまいりますと非常に矛盾があるわけでございまして、もちろんここにいう受益者からは、固定資産税として一般会計に入るわけであろうと思うのですが、三年とか、時期がずれるわけでございます。必ずしもこれを捕捉しがたい。だといたしますと、逆にこれは一般会計から水道事業に繰り入れる一つ根拠になるのではないか、こういうように私は思うのであります。  第三点といたしましては、布設費に分担金がかかるということは非常に問題があろうと思います。これは地方自治法の二百二十四条ですかあるいは二百二十八条ですかによって許されているような感じもしますし、そうでもないような気もするのでございますけれども、一体どういう根拠に基づいて許しておられるのか、その点を第三点として承りたいのであります。  それから第四点といたしまして、下水道でございますけれども、最近、下水道が厚生省の共管から建設省に一元化するに伴いまして、維持管理費ではなくて、建設費の段階からすでに住民負担の考え方を導入しておるのでございますけれども、こういうことは不当ではないだろうか、こういう点について私どもとしては疑問を感ずるわけでございますけれども、水道からいきなり下水道に話が入りまして恐縮ですけれども、受益者負担という考え方を確かめたいために、いまいった四点をお尋ねしたいと思います。
  101. 細郷道一

    細郷政府委員 水源確保のダムの補助金の問題は昨年から始まったわけでありますが、今後もこうしたものはやはりふやすべきであろう、こう考えます。  第二の被害者か受益者かという問題でありますが、特に工水と上水との関係においていろいろ御議論がございましたが、工水については、私どももやはり河上さんとある程度同じ立場に立っているんじゃないかと思うのです。工水のいまの料金体系のあり方については非常な疑問を持っておりますので、なお、今後も検討してまいりたい、こういうふうに思います。  第三点は、固定資産税としてはね返るから一般会計から入れていいじゃないかという御議論だと思いますが、これは、固定資産税は、その基礎を応益性というのに求めておりますが、その応益性は非常に広い意味での応益性でございますから、固定資産税は、広い範囲での応益性で得られたものを一般財源として使うというところに税制としての意味があるのだろうと思います。したがいまして、それをすぐ水道に結びつけるということはいかがか、こういうふうに思います。
  102. 大橋文雄

    大橋説明員 水道の受益者負担金の問題につきましては、この負担金というものと水道との関係につきましては、実態いろいろございますので、その辺を正確に、詳細に把握いたしました上で、自治省及び関係方面とも統一的な見解を出そうといたしまして、目下検討中でございます。
  103. 久保赳

    ○久保説明員 下水道事業にかかわる受益者負担金の問題でございますが、先ほどから受益者負担ということばにかなり広範囲な使われ方をしておるわけでございますが、下水道事業にいっております受益者負担金は、下水道事業を都市計画事業として実施する場合に限っておるわけでございますが、都市計画法の第六条によりまして、都市計画の事業を実施することによって著しく利益を受ける方から、受益の範囲内で受益者負担金としてその施設の建設の段階で負担を課する、こういうことでやっております。  なお、下水道事業につきましては、下水道法によって認可を受けるわけでございますが、下水道法第五条によりまして認可のときに予定の排水区域というものを確定をいたします。どこからどこまでを下水道の予定の排水区域にするかということを認可の事項として確定をいたします。それからさらに、工事が実施されました場合には、下水道法の九条によって予定排水区域の中から確実に排水ができるようになった区域を排水区域として公示をして明らかにいたします。そうすることによりまして、下水道事業を実施することによって明らかに利益を受ける者がはっきりいたしますので、その受益者に対して分担金を課しておる、こういう仕組みでございます。
  104. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 さっき国庫補助のことを申されましたが、原水コストが高過ぎてどうにも全国平均並みの給水ができかねるというふうなものについては、今度厚生省で予算がついて、これは国庫補助の道を逐次開いていくという方向に進んでおります。何でもとにかく補助を増額して、飲み水をただにしてしまうという方向にはなかなかまいりませんけれども、国庫補助の道は開こうとしております。
  105. 河上民雄

    河上委員 先ほどから、受益者負担という非常にばくたる概念を少しでも明らかにしたいということで、四点ほど御質問申し上げたわけでございます。私はなぜこんなことを申すかといいますと、こういう受益者負担というばく然たる概念が魔法のつえのようにいろいろ使われまして、最終的には市民の負担になるというところに問題があると考えたからであります。いま大臣の御答弁がございまして、国庫補助の道も開いているというお話でございましたが、工業用水の場合には、四十一年度ですでに六十億から出ているわけでございまして、そういう点はそんなことで満足せずにひとつ格段の御努力を願いたいと思います。  それからなお、建設省の方からお話がございましたが、どうも私は、下水道の建設段階における受益者負担という考え方は十分に理解できないのでございます。そのあとまた維持管理費で受益者負担という形でとられるような気もするのでございまして、この点、法理論的に何か問題があるような気がいたします。今後なお御検討をいただきたい、こういうふうに希望したいのであります。   〔大石(八)委員長代理退席、委員長着席〕 ことに、先ほど著しい受益ということがございますけれども、はたしてそこに住む市民が、ただ下水道が通るというだけでそんなに著しい利益を受けるというふうな範囲に入るのかどうか、その点も非常に問題があると思いますので、ひとつ今後もう少し検討していただきたいと思いますし、また、私どもも研究して、この問題性あとに残していきたいと思います。  すでに時間もだいぶたちましたので、いま緊急の問題として、交付税の問題が論じられておる間にひとつ明らかにしておかなければならない問題がございますので、これに触れてみたいと思うのであります。  それは皆さん御承知のところであろうと思いますが、公営競技に関しまして、昭和四十三年度、競馬法の附則による指定市町村の開催権が消滅することになっているわけであります。少なくとも現状におきましてはそうなっておるわけでございます。そういたしますと、市町村といたしましては、予定しておりまする収入がここに突然なくなるわけでございまして、これは非常に重大な問題であろうと思うのであります。われわれは別に公営競技を推進せよというような意味ではないのでありまして、あくまでこれはなくしていかなければならないのでありますけれども、しかし、この競馬法に関するいままでの取り扱いから考えまして、またその国会におけるいろいろな論議から考えまして、今回のように突然当てもなくやめてしまう、そこに混乱が起きるという事態は避けなければならないというふうにいわれておったわけでありますし、すでに三年もその対策考える余裕は十分あったはずでありますのに、こういう事態になりましたことは、自治省として非常に政治的な責任ではないかと思うのでございます。  そこで、まずこの開催権消滅に伴って起こる収入減をどのように見ておられますか、それをお尋ねいたします。
  106. 細郷道一

    細郷政府委員 補てんしろとかなんとか、そういうことの御質問かと思いますが、私どものほうではそれをいま補てんをする考えはございません。それぞれの団体で収入を見込んだところもございますし、見込まないところもございますが、まだ年度初めのことでもございますので、この一年を通じた財政の執行の過程において処理をすべき問題であろう、こういうふうに思います。
  107. 河上民雄

    河上委員 自治省としては、絶えずあらゆる地方の公共団体の運命に関して非常に深い配慮、考慮をしておられるはずの自治省答弁としては、はなはだ意外な感がするのでございます。議論のまず前提として私がちょっとお尋ねいたしましたことをもう一度お答えいただきたいのですが、収入減をどういうふうに見ておられるかとうことです。
  108. 細郷道一

    細郷政府委員 附則七条によっていままで行なっておりました団体の四十一年度の実績は約八十億でございます。したがいまして、四十二年度はさらに百億ぐらいになっておろうかと考えます。
  109. 河上民雄

    河上委員 百億というとこれはなかなかばかにならないものでありまして、地方自治体のどうのこうのということで適当にやれ、さたのあるまで適当にやれということでは、地方団体としては非常に困るんではないかと思うのですが、自治省はとういう事態を引き起こしたことについてどういう責任を感じておられますか。
  110. 細郷道一

    細郷政府委員 私どもは、昨年の秋ごろから、公営競技全体について収益の均てん化をすべきであるという立場から立法を試みたわけでございますが、どうしても政府の中におきまして話がまとまりませんで、今回どうも提案がむずかしくなったわけでございます。  なお、いまお話しのございました収入減をどうすべきかというのは、ちょっと御質問意味がよくわからないのでございますが、少なくとも現行法によりますればこの三月三十一日で切れるわけでございまするから、四十三年度の予算の計上にあたっては、現行法を十分頭に置いて予算の計上をすべきもの、こういうふうに一般的には考えております。
  111. 細谷治嘉

    細谷委員 関連財政局長、たいへん無責任な答弁ですよ。あなたのほうは、三月三十一日までには地方財政法の一部を改正する法律案を出し、そうして均てん化の方向でやる、こういうことを冒頭言っておったわけですからね。地方団体もむろんそういうつもりでおりましたよ。それを、あなた、三月三十一日に切れることは法律で明らかになっているのだから、これは地方団体の責任なんということをいまごろ言うのはけしからぬですよ。これはあなたのほうの責任ですよ。われわれのほうは、法律を最初予定したものを何ら出さない責任を追及しようとしているのだから、それを、いや地方団体がわかっていることを当てにするのはけしからぬなんということばはだめですよ。
  112. 細郷道一

    細郷政府委員 まあ、いささか冷ややかなお答えを申し上げたのかもしれませんけれども、少なくとも予算を計上するにあたっては、現行法によることを基礎とし、かつ十分確実な見込みを持ってやるというのが本来のたてまえだろうと思うのであります。私どもが法律を出したいと思ったことは事実でございまして、それが政府の中においてうまくまとまらないために成案を得られなかったということについては、私も非常に残念に思っております。しかし、そういった動きも見た上で、それぞれの団体で御判断をいただく以外にないものと考えております。
  113. 太田一夫

    ○太田委員 関連でお尋ねします。  これは大臣にお尋ねしたいと思うのです。これは昭和四十年三月二十四日の本国会におけるところの農林水産委員会に、当時の吉武自治大臣が御出席になりましての話であるわけですね。それはよもやお忘れではないと思いますが、その自治大臣がおっしゃったことは、これははっきりと、三年後についてはやめたいということをおっしゃりながら、激変緩和の対策をその間に立てるということをおっしゃったのですよ。これはできるだけ早くこれを廃止していきたいという気持ちでございますので、三年後には何とかしたいというようなことに、だんだんと参議院に参りますと吉武大臣の言い方が弱くなってきた。弱くはなってきましたけれども、それはどういうことかというと、三年以内に激変緩和の対策を講ずることを考えますということを衆議院で言うてしまった。ところが、言うたことが見通しがないので少し弱くなったのでございますけれども、それだけに、それは少なくとも、吉武大臣は少し弱くなったけれども、当時の自治大臣としては、三年以内に何かの財政対策を講じてやめさせますということを約束なさったのだから、その三年間に、四十年からいままでの三年間に何か出なければまずいじゃありませんか。それは大臣としておっしゃったことが食言ということになるわけだから――その方はいらっしゃいませんからあれでございますけれども、責任ある政府の一閣員としておっしゃったことがそういう話であった。それを、いま細郷さんのおっしゃったように、切れるものが切れたから、当然予算の中に入れるべきものじゃないんだから、入れて考えておるならけしからぬという話は、少し責任を他に転嫁し過ぎていませんか。大臣としてひとつ答弁してください。
  114. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 私も当時の吉武君と同じ心境でございまして、私どもは選挙区に公営競技などというものはございません。大体公営ギャンブルは必要悪みたいな形で戦後生まれまして、しかも、これもやはりいろんな公共施設などの面の復興に非常に役に立ったことは事実でございます。しかし、この公営ギャンブルというものがやはり地方財政の一つの乱れの原因にもなりますし、また、それが行なえない地方団体というものもたくさんあるわけでございますので、こういう公営ギャンブルというものは将来に向かって廃止の方向に行くべきものである、しかし、そこにいきますためには、やはり激変緩和措置を講じませんと、開催しております地方団体は当然非常に混乱をするわけでございますので、御案内のとおりに、そういった含みで一つの計画というものを起案をしたわけでございますけれども、いろいろ事情がございすして、ことしはすぐそういう踏み切りができなかったわけでございます。決してやっておったところへ責任を負わせるというわけではございませんけれども、しかし、いままで公営ギャンブルと申しますか、そういう施設を利用しなかった町村にしてみれば、あたりまえのことだというくらいの考え方を持っておるかもしれません。ですから私どもは、そういった方向で、近く激変緩和の措置というものを十分考慮しながら、次第に消していくという方向をたどりたい、こういうふうに考えております。
  115. 太田一夫

    ○太田委員 しからば、その激変緩和の措置をこれから講ずるとするならば、もうすでにその法律は過ぎてしまっておるのですから、手おくれであるということになりますね。これは現在いらっしゃる柴田次官が当時政府委員として、参議院の三月三十日の委員会に御出席になりまして、こういうことをおっしゃっていらっしゃるのですね。「幸いにこの措置が講ぜられました暁におきましては、」三年間延長するということですね。「期限の終期までに、計画的に責任を持って新法に移行できるように財政的な措置の万端を講じてまいるつもりでございます。」万端を講じてまいるつもりであります、いささかの手ぬかりもない対策を講ずるということをおっしゃったでしょう。これはどうなんですか。
  116. 細郷道一

    細郷政府委員 そういったこともございましたので、均てん化案というのを実は考えたわけでございます。ただ、本年度の成案が、政府の中のまとめがおくれてできなかった。しかし、私ども詳しいことは承知しておりませんが、伝え聞いておりますところでは、いまなお国会与野党の間でも、いろいろこの激変緩和についての御議論をなさっていただいておるようでございますから、そういったものの趣旨もよく見た上でやってまいりたいと思います。
  117. 細谷治嘉

    細谷委員 いま言った大臣の答弁、それからいま太田さんが言った当時の財政局長答弁、これは自治省が万端の体制を整える、三月三十一日までにできておらないといかぬわけだ。そこまで言っておりながら、今度その法律が出せなかった。そしてあなたのほうは、いまになってみると対岸の火災視しておりますよ。そうでしょう。そうして、いわく、あなたのほうの財政課長の一月二十八日の内簡でも、これは三月三十一日でやめになるかもしれませんなんということは一言も書いてないでしょう、歳入見込みなり何なりに。そうして、いまあなたがそういうことを言いますと、これはたいへんな問題ですよ。それまではっきり国会で答弁しておるんですから、自治省の責任において解決しなきゃいかぬ。いまになって、他省との間に話がつきませんでした、三月三十一日で法律が切れるのがわかっているのに、地方団体がそれを歳入に見込んだのが誤りだ、こういうことを四月になって言ってはたまらぬです。無責任です。これはだめだ。
  118. 細郷道一

    細郷政府委員 この前、法律ができまして後も、ギャンブルについてのあり方というものをどうすべきであろうかという基本問題に連なって検討をしたことは事実でございます。しかしながら、地方財政全体として見てまいりますと、四十年、四十一年、いずれも他の原因によります非常に大きな問題があったわけでございます。四十二年になりまして、私どもとして具体的にこの対策としての案を実は考えたわけでございます。私どもは、別に今回十分でないといって、この均てん化すべきであるという考え方を捨ててはおりません。なお今後とも引き続いてそういう措置をとっていくべきであろうと考えておりますが、この国会には、そういうことでどうしても出なかったものですから、先ほどのようなことを申し上げたわけでございます。
  119. 太田一夫

    ○太田委員 それではこれは大臣にお尋ねをいたしますが、本院におけるところのその当時の附帯決議というのがありますね。競馬法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議、これはまさかお忘れじゃないと思いますが、念のためにもう一回読み上げてみます。「競馬等は、本来社会的な娯楽の健全化の方向で規制さるべきであるが、政府は、指定市町村の財政を速やかに確立して期間中に競馬法第一条の趣旨にもとづき、指定廃止ができるよう極力努力すべきである。右決議する。」これに対しましては、舘林政府委員は、「ただいま御決議になりました附帯決議の趣旨につきましては、政府といたしましては、十分に尊重いたしまして、御期待に沿いたいと思っております。」こう答えておるわけです。この附帯決議も、財政のすみやかなる確立をして、期間に指定廃止ができるようにしなさいという附帯決議だ。それを尊重するという約束をしておきながら、いろいろな事情はあったかもしれませんが、今日になってそれができておらなければ、これにかわる何らかのことをあなた方は、――百億の金が入らないことになった、それは予算の中に入れるなというようなそんな話じゃなくて、とにかく対案をお示しになるのが至当でしょう。たとえば秋吉さんが百億出す、そういう話ができておるから心配するなとおっしゃるなら、われわれはこの話はやめます。どうなんです。
  120. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 どういういきさつになっているか、地方行政の皆さんベテランですから、腹のうちでは十分御承知になっておると思うのです。それは、われわれといたしましては、ちゃんと激変緩和の措置まで考えまして、こういうものを提案するという準備段階にありましたころ、もうすでに開催地方団体では、それを気にしていろいろ問い合わせもあるし 御研究もあったときがありました。しかし、最近なかなか難航して、もうやめたということではありませんけれども、やっております反面、やはり開催団体としては、予定された収入が入らぬということになると、四十三年度はたいへんであろうということはよくわかるわけです。しかし、一方、それで地方財政がくずれるかというと、私はそういうものではないと思う。現にやっていない地方団体はたくさんあるわけでして、それはそれなりにちゃんと健全な財政運営をやっておるわけでございます。ただ開催団体は非常にいいことをいたしました。これはそういう特別の収益がありましたので、いろいろな施設面ではずいぶんそれが役に立って内容を充実させることができたわけでございます。ただいま申しましたように、かといって、ことし難航いたしておりまして、終末はどうなるかいまのところまだわかりませんけれども、かりにこれが提案されなかったからといって、公営ギャンブルの上がり分が組んであったその金額を、国の別の財源で埋めるということは非常に無理がある。ただ、そういった事態が発生する可能性が十分あったのにかかわらず、指導に手落ちがあったということは、あるいは私は認めなければならぬと思いまするけれども、しかし、いまの段階では、もうやめにしてしまったわけではございませんので、いろいろ苦慮しながら、自治省としても決して対岸の火災視しておるわけではございません。わがこととしていろいろ政府また党内で調整に努力しておるわけでございます。
  121. 太田一夫

    ○太田委員 やめてしまったわけじゃないとおっしゃるなら、どういうことになっているのですか。これは農林水産委員会にも競馬法の改正案は何も出ておらないじゃありませんか。こちらにも財政に関する特別措置法も暫定措置法も出ておらないじゃありませんか。お出しになるならお出しになる概要をここで説明してほしい。何も百億というものはたいした金じゃないなんということは、責任ある政治当事者としては私は不穏当なことばだと思いますが、いかがですか。
  122. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 最近の農林水産関係の内部事情、いまの瞬間をつまびらかにしておるわけではありませんけれども、やはり問題は、均てん化ということにつきまして、主催団体でそれぞれ苦情なり陳情なりあったわけでございまして、そういったことを考えていろいろ調整につとめておる最中ではなかろうかと思う。私どもといたしましては、先ほどから申しますとおりに、こういう公営ギャンブルの上がりというものは、これは府県または一部の方には全国的に均てんさせるというお話もございまするけれども、やはりそういったことにつきましては、われわれといたしましてはちゃんと計画を立てておる次第でございます。ただ、その提案がなかなか難渋いたしておりまするのは、何といっても政府・与党との間で十分調整しなければなりませんので、この点でいろいろ難儀をしておるところでございます。
  123. 太田一夫

    ○太田委員 計画を立てているならば、その計画の概要をお示しいただきたい。今日のこの段階において、交付税、地方財政計画というものをあなたたちは一日もすみやかに上げよう上げようとおっしゃる中に、百億が抜けている。その百億を、そんなのはどうでもいい金だというようなお話は、私は少なくとも責任ある立場の方からは聞くべきことば、おっしゃっていただくべきことばではなかろうと思うのです。もししっかりした計画があるとおっしゃるなら、その計画をお示しいただきたい。均てん化でもよろしいし、何でもよろしい。それなくしてどうして財政計画政策ができますか。
  124. 細郷道一

    細郷政府委員 先ほど来のお答えを繰り返すことになると思いますが、私のほうとしましては、公営競技の収益を均てん化しながら激変緩和をしていきたい、こういう考え方一つの案をつくったわけでございます。まことに遺憾ながら政府の部内で話がまとまりませんで、そこで私どもとしては、この考え方をなお捨ててはおりませんけれども、この国会に提案することは非常にむずかしくなっているのではないか、こういう判断をいたしておるわけであります。
  125. 太田一夫

    ○太田委員 しからば、たいへんじゃありませんか、とにもかくにも、現実に皆さんはそういう必要性があるというので、四十三年三月三十一日まであのたくさんの、百を余る団体にこれを認めておいたでしょう。それは当然いままで教育振興であるとかあるいは福祉施設の増強であるとか、文化、スポーツ等の諸施策にこれを投入することをあなたたちは認めていらっしゃった。それができてしまったからもうよろしいということならまた話は別です。しかし、そうじゃないでしょう。ただ、いま財政が窮屈になっておる今日において、これを基準財政需要額に入れるか入れぬかという問題は別にしまして、百億の金がそれらの団体に入るというのをいま横目で見ながら話をしておったけれども、われわれはこう考えたが、向こうは聞かなかったから流れてしまいました。水道議論になっておったから水に流れたか何に流れたか知りませんが、流れてしまいました、しかたがありません、この国会では間に合いません、無責任きわまるじゃありませんか。
  126. 細田吉藏

    ○細田政府委員 地方財政法の一部を改正して収益を均てん化する、激変を緩和する、この問題のいきさつは、財政局長が申し上げたとおりでございます。  その後の動きを率直に申し上げたいと思いますが、競馬法は国会の意思として昭和四十三年三月三十一日でやめるということになったのは、申し上げるまでもございません。附則で明確に書いてありまして、しかもその質疑の過程を見ますると、これは今後絶対に延ばさないのだな、こういうような御質疑もあり、関係大臣から、農林大臣、自治大臣等からも確言されておるということも御承知のとおりでございます。  そこで、しかしながらいま太田委員のおっしゃいます点、また皆さん方のおっしゃいますように、急激にこういうものが――ほんとうは三年前にわかっておったといえばわかっておったのだが、附帯決議のこともあれば何だが、とにかく急激な変化はいかぬじゃないか、こういうことでございまして、とりあえずそれでは競馬法の一年延長はどうか、こういうことでございますが、政府といたしましては、前回いろいろつけたりのことはございましても、これ以上は延長いたしませんというのが言明になっておるわけでございますので、政府提案は農林省としては非常にむずかしい、こういうことでございまして、一時議員立法でやろうというような話があったということも承っております。ただいまの時点では、いまおっしゃいますように影響が大きい、大きいからすぐ財政計画をどうこうということでなく、何らかこれにかわる方法はないだろうか。そうして、この一年間なら一年間、附則はなくなるけれども、期限が来るけれども、同じ状態ないしはそれに近い状態に何とか法律改正なり、あるいは政令改正なり、あるいは行政指導なり、そういうもので方法がないかということで、せっかく与野党の間で、また政府の中でも、いろいろ検討いたしておるわけでございます。依然としてこれは私は一種の社会問題だと思います。一挙にこれがなくなるということは、失業者も出てまいるでございましょうし、また地方財政も大きな影響がございますから、これは何とかしなければならない問題だと思います。いま実はそういうふうに進行いたしておるわけでございまして、この進行の状況がどうなるかによっては、いまおっしゃいますように、百億なら百億というものがぽっかり穴があいてしまって、府県なりあるいは所在地の団体以外のいままでやっておった団体はなくなる、その際にどういたすかということは、先ほど財政局長がお答えしたように、今後の状況を見て考えなければいかぬ。ただ、いまの段階ではそういう状況をなるべく来たさないように、せっかく国会の中でもいろいろ御議論をしていただいておるというふうに、また政府の中でもそういうふうにいろいろやっておりますので、その点については、もう四月の半ばでございますから、早急に結論をお出しいただきたいというふうに私どもは考えておるようなわけでございます。率直に申し上げるとそういうことでございます。
  127. 太田一夫

    ○太田委員 それは農林省が三月の中旬において一つの態度を、考え方をきめておりますね、それを私、拝見をいたしました。経過期間の再延長という問題についてこういうことを言っておりますよ。同法案の成立により、政府は、三カ年の期間中に指定市町村の財政を確立して指定廃止ができるよう極力努力をすべきであるとの附帯決議がなされており、政府もこれを尊重し、趣旨に沿うよう努力する旨の答弁をしておることから、再延長は政府怠慢のそしりを免れない。だから農林省としては、何も変える意思は全然ございません――何もないのだ。だから政府の怠慢だ。それに対するあとのことができておらぬということは政府の怠慢だ。そのあと、いわば地方財政なら自治省の怠慢だ、こう言っておる。あなたたちは、それに対して、いま時分になってから、国会の中に何か動きがあるなんて、他人まかせ、人まかせは何事ですか。あなたたちの怠慢だ。農林省はそう言っておる。農林省と自治省のけんかに私は介入して軍配をどちらにあげるというつもりはありませんが、あなたたちの怠慢だ。責任ではありませんか。国会の中に動きがある、そんな他人まかせのことでこの場を何とか――間に合うか間に合わぬかわからぬ。間に合わないときにはしかたがありません。それでは政府は要らぬじゃないか、自治省は、財政局は要らぬじゃないか、あなたを最後として財政局をやめてしまえ。大臣の所信を伺いたい。どうするのです。
  128. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  129. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。
  130. 細谷治嘉

    細谷委員 いまのお話を聞きますと、地方財政上のたいへんな責任がありますから、三年間に解決する、こういうことを国会で約束した自治省が努力したことは認めます。そして地方財政法の一部改正ということでこの問題を解決しようと努力したことは認めます。しかし、遺憾ながらその努力は実を結ばなかった。そして三月三十一日という、もう年度が過ぎてしまったわけです。そして、いま太田委員から質問がありましたように、地方財政上重大な問題を内蔵しているにもかかわらず、言ってみますと、大臣を中心として自治省はこれにノータッチですよ。どこで進んでいるが私どもわかりません。新聞で書かれてあるのを見ますと、何か競馬法の一部を改正して、政令で定める基準か何かで地方団体にもうけ金を分けてやるんだ、こういうことでありますが、一体どういう法律根拠に基づいてその金を分けようとするのか、これもわれわれにはわからない。今度、一条の問題に基づいて都道府県と所在市町村とができなくなるわけでありますから、その場合に東京の二十三区と、そうでないところが、これまた差別を受けてくる、こういうことでありますから、どれも財政上のたいへんな問題を内蔵していると思うのであるが、さらに、どうもギャンブルそのものについての取り組む姿勢というものが、私どもは、いまのような姿でありますと、縮小の方向どころか、将来は民営なんという要素が加わって、これはギャンブル拡大の方向を歩むのじゃないかということも心配しておる。そういうことでありますから、自治省があれだけ約束したのに、この問題について対岸の火災視しておる。どこか国会で動いているんでしょう、あるいは与党のほうでまだ努力しておりますと言いながら、あれだけ大みえを切った自治省が、ノータッチのごとく見受けられる答弁をしておることは納得できない。しかもまちまちです。だから委員長、この問題については自治省一体どうするのか、ひとつきちんとした姿勢をまとめていただいて、早急に理事会なら理事会を開いていただいて、そうしてその対策について処理していただきませんと、地方財政計画を承認することはできない。地方交付税も通すことはできない。こういう重大な内容を含んでおりますから、処理していただかないと私はいかぬと思います。動議ということではありませんけれども、委員長の善処をひとつ要望いたさなければ、ただ単に委員長の保留してくださいということだけでは私はいかぬと思うのです。
  131. 吉川久衛

    吉川委員長 委員長があえて先刻申し上げましたようなことは、ただいま細谷委員の御主張のような内容を持っておることを御理解いただきたい。そういう意味で、政府の統一見解が出たときには、それを聞く理事会なり理事懇談会を開いて御相談をいたしたいと思っておりますから、さように御了承を願いたいと思います。したがって、その問題は保留をいたしまして、河上委員質問を続行されたいと思います。河上民雄君。
  132. 河上民雄

    河上委員 私が先ほど触れましたのは、すでに三月三十一日が過ぎて、しかも事態はどんどん進んでおりますのでお尋ねしたわけでございます。いま委員長も言われましたが、自治省の見解がまとまるまでしばらくその問題を、細谷委員が言われたような意味において留保するという形で私の質問を少し先へ運んでまいりたいと思います。  私が自分の質問の間に申し上げましたのは、非常に緊急性があると考えたからでございますので、その点を頭に入れて処置していただくようにお願いしたいと思います。  先ほど私は下水道の問題について受益者負担の考え方根拠をお尋ねしたのでありますけれども、なお、それに関連いたしまして建設省にお伺いしたいのでありますが、私の法律の読み方が悪いのかどうか知りませんが、下水道に関する国庫補助は――建設省の方は帰られたようでございますが、――ではちょっと待ちます。
  133. 吉川久衛

    吉川委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  134. 吉川久衛

    吉川委員長 速記を始めて。
  135. 河上民雄

    河上委員 下水道の問題について質問を二、三続けたいと思いましたが、担当者の方がおられなくなったようでございますので、この問題はあとに残しまして、きょうの私の質問はこれで終わりにいたしたいと思います。
  136. 吉川久衛

  137. 折小野良一

    ○折小野委員 私は、地方交付税法の一部を改正する法律案に限って御質問を申し上げます。  今回のこの改正案におきまして、災害復旧費の繰り上げ償還というのが大体二百五十億、この繰り上げ償還をするにつきまして、災害復旧債というふうに特定をされたその理由をお伺いいたしたいと思います。
  138. 細郷道一

    細郷政府委員 災害復旧債につきましては、団体によって偏しておるということが一つございます。いま一つは、前向きの起債でない、要するに出戻りの起債である、そういう借金であるという意味から優先して扱ったものでございます。
  139. 折小野良一

    ○折小野委員 一応一つ考え方といたしまして、繰り上げ償還をやる場合に、何を償還するかというのは、やはりそれぞれ自治体のいろいろな事情があろうと思っております。もちろん災害復旧債を繰り上げ償還しようという考え方も、これはございますでしょうし、また、中には、この際将来の運営その他を考えれば、企業債の一部を繰り上げ償還しておいたほうがいい、こういうような考え方もございましょうし、そういう面については、やはり自治体のある程度の自主性というものを考え償還考えられなかったかどうか、これをお伺いいたしたいと思います。
  140. 細郷道一

    細郷政府委員 そういった考えもないではございませんでしたが、災害復旧債につきましては、いま申し上げましたように、起債の質の違いがございますのと、いま一つは、毎年度交付税の措置において、その大部分を財政需要で措置をいたしておるというようなこともございます。したがいまして、年度間で調整をするのが最も適当であろう、こういうふうに考えたわけでございます。
  141. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで、今度の交付税法の一部改正におきまして、昨年ございましたいわゆる出世払いとか、こういうあいまいな不明朗な状態を解消いたしまして、はっきり法できめる、こういう自治大臣のいろいろな御配慮に対しましては、私どもその労を多といたすわけでございますが、結果から見ますと、貸して借りて、そして借りて返してと、こういうような非常にややこしい状態を法律できめていく、こういうことがはたしていいことであるのかどうか。もっとこういう面は、いわゆる合理化、簡素化と申しますか、そういうようなことですっきりすべきではなかろうかというふうに考えるわけでございます。貸して借りて、借りて返してと、こういうような操作をどういうふうにお考えになっておりますか、大臣にお伺いしたいと思います。
  142. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 地方財政の内容の健全化ということは、しょっちゅう私たちも気を配っているところでございますが、やはりいつかは整理しなければならぬものの対象に古い災害債があったわけでございます。たまたま勘定してみますと、二十七年から三十七年までの公共災害復旧事業債が、交付団体、不交付団体合わせて二百六十七億、さらに不交付団体分は約二十九億でありますが、特定団体に偏在しておりますので、その約半分程度を償還させるといったこと、そういういろいろな計算をいたしますと交付団体分が二百三十八億、不交付団体分合わせて大体二百五十億となるという計算も一応出てくる。そういういろいろな方法を考えたわけですが、やはりこういうふうに、こげつきではございませんけれども、古いばらばらと出ております災害債というものを一応整理して、そうしてこれを生かして使うということは決して無意味ではございませんし、地方財政の健全化に寄与する点だと考えましたので、少し複雑ではございますが、こういう方法を考えたわけでございます。
  143. 折小野良一

    ○折小野委員 今後のことでございますが、やはり地方自治体の財源にもいろいろ変動がございましょうし、また税の収入も変わってくるわけでございます。したがって、交付税も額がふえたり減ったりということもございましょう。そうした場合に、現実に今後それぞれの年度年度でまた借りたり返したりというようなことが出てくるかと思いますが、そうした場合に、やはり年度年度で法の改正ということで今後持っていかれる、こういうようなお考えでございますか、お伺いいたします。
  144. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 将来そういうことはいたしません。これは今年限りの特別な措置としていたしたわけでございますので、今後交付税を減らしたりふやしたりと言われましたが、ふやすことはあるかもしれませんが、そういう意味で減らすということはないと考えております。
  145. 折小野良一

    ○折小野委員 今後こういうようなことがないということでございますならばけっこうでございます。  ところで、今度の改正によりまして給与費というものをふやしてあるわけでございます。その中には昨年度のベースアップの平年度化によってふえたものもございます。また、本年度は給与改定が予想される、こういうことによりまして計上をされておるのもあるわけでございます。昨年度のベアの平年度分ということで今度増額されましたものと、本年度予想される改定によって増額されましたものと、その金額をちょっと教えていただきたいと思います。
  146. 細郷道一

    細郷政府委員 昨年の給与改正の平年度かによります増は総額で千四百七十四億円であります。それから、本年度分につきましては、まだ人事院勧告も出ておりませんので、本年度についての額の予想はいたしておりません。今後年度内に起こるであろうという追加需要の見込み額として八百五十億を財政計画に計上いたしております。
  147. 折小野良一

    ○折小野委員 八百五十億のうち、大体七百五十億くらいが予定される給与財源だ、こういうふうに考えて差しつかえないわけですね。
  148. 細郷道一

    細郷政府委員 八百五十億と申しますのは、今後起こり得るものとして、給与の改定も起こるでありましょうし、また、例年のように災害もある程度起こるであろうというようなことから考えたものでございまして、そのうちのどの部分が給与改定であるかということは、実はそこまで中身を詰めておりません。
  149. 折小野良一

    ○折小野委員 表向きそういうふうな御答弁をされるのは無理ないとは思います。しかし、今度の改正で一応八百五十億を算定いたしました裏には、当然算定の基礎というものがあるだろうと思います。もちろん、給与改定そのものは、現在決定もされておりませんし、また、人事院の勧告がありましたあとで、そしてまた政府がどの程度それを採用するか、こういう決定があったあとで具体的に決定される問題でございますから、当然、それを予測するということは非常にむずかしいわけでございましょうし、また、予想したにいたしましても、当然これは予想なんでありますから、ことしのベースアップをあらかじめきめてしまうというわけにはまいりませんでしょう。しかし、一応の算定の基礎というものは当然あるはずだと思うのであります。大体どういうような程度に予想をして算定されたか、一応お伺いをいたしておきたいと思います。
  150. 細郷道一

    細郷政府委員 実はなかなか算定の基礎がないわけでございます。一応は昨年におきます給与改定所要額というものを基礎考えております。
  151. 折小野良一

    ○折小野委員 当然これは今後の経過によって年度内に確定をする問題でございますが、当然そこには過不足という問題が出てまいります。で、この面の調整をどうするかということは一つの問題であるわけでございますが、不足をいたしました場合、これはあくまでも仮定でございますが、そうした場合の調整については、大体のお見通しとして、どういうふうなお考えをしておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  152. 細郷道一

    細郷政府委員 正直言って、どういう程度になるかは実はなかなかわからないわけでございます。したがいまして、対策を、こういう場合はこうというふうにあらかじめ立てることもできないでおるというのが実際の姿でございます。ただ、一般的に言えますことは、地方財源を確保するという立場から見れば、不足した場合どうしたらいいだろうかという問題が一つございます。不足をした場合にどうするかというときに、その不足の度合いによっていろいろ対策が立つのではなかろうか。従来においでもいろいろ不足をしましたときに、いろいろな対策を立てております。必ずしも一律的な対策でない場合もございますし、かみ合わせた場合もございます。したがって、国家公務員の給与改定の内容が実際にきまりました際に、それに準じて地方も行なおうとした財源措置をその際適切に考える、こういうふうに思っております。
  153. 折小野良一

    ○折小野委員 当然その際考えていただかなければならないわけでございますが、この国会が始まりました当初の、国の予算に対する質問に対しまして、政府答弁はまちまちであったのでございますが、田中総務長官の御答弁によりますと、不足いたしました場合には補正の用意があるということを本会議ではっきりおっしゃっております。もちろん、これは直接には国家公務員の場合であろうと思うのでございますが、当然それに準じて地方公務員の給与の場合も出てくるわけでございます。したがって、そのような状態になりました場合におきましては、地方公務員の場合におきましても補正をされる用意がある、こういうふうに考えておってよろしいのでしょうか。
  154. 細郷道一

    細郷政府委員 国家公務員について、人事院勧告をどういうふうに取り入れるかということがきまりますれば、地方公務員については、それに準じた措置が地方で行なわれるものとして、それに必要な財源の確保をはかる。その方法につきましては、先ほど申し上げましたように、いろいろな方法があろうかと思います。その際の状況に応じて判断をしてまいりたい、こういうふうに思うわけでございます。
  155. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは先へ進みます。  この改正によりまして、過密過疎対策、こういう面について、さらに傾斜配分の財源を増加していただいております、特に、その中で過疎対策についてちょっとお伺いをいたしたいのでございますが、先般の御答弁によりまして小中学校の経費とか、あるいは農業の経費、こういうものをふやして、そして、総額二百億というものを過疎対策として考えておるということでございますが、そういう面の経費の増額で現実の過疎対策がはたして進むかどうかということでございます。広く考えてまいりますと、この交付税制度が現実に即応するかどうかというような問題にも関連をいたしますが、とりあえず過疎対策について申しました場合に、農業費をふやしていただくことは、過疎地域というのが大体農村地帯でございますから、それはそれなりで効果があろうと思っております。しかし、そういう農村地帯におきましても、平地部の農村と、特に山間僻地における農村、こういうものに対する農業費の扱いというものは当然変わってくるんじゃないか。また、同じ農業に対して見た交付税の効果というものが、そういうような平地部の農村と山村地帯とは違った効果が出てくるんじゃなかろうか、こういう点が考えられるわけでございます。  それからまた、過疎現象ということで具体的にいろいろ問題になってまいっておりますことは、たとえばそういう地域におきましては医者が来ない、医者がいつかない、こういうような問題がありますし、あるいは交通機関がだんだん不採算路線になってまいりますので、間引きをしていってしまう、あるいは極端にはこれを廃止していってしまう。こういうようなことで非常に困る、こういうようないろいろな事情もあるわけでございます。そういうような面の現実の過疎現象というものを十分とらえた過疎対策がはたして考慮されておるのか、こういう点についてはいろいろ疑問に感ずるわけでございますが、こういう面についてお考えをお尋ねいたしておきたいと思います。
  156. 細郷道一

    細郷政府委員 今回考えております二百億の大まかな内訳を申し上げますと、道路関係で五十億、小中学校等の教育費で約五十億、農業関係で五十億、その他人口の急減の激変緩和で五十億、大まかなラウンドで申し上げますと、そんなような見当でございます。  いま申し上げましたように、この経緯から見てまいりますと、最初は道路関係で過疎対策をする。それからまた、人口が減るので過疎対策をするというような経緯をとってまいったのでありますが、一般の声といたしましては、やはり農業行政費に力を入れてほしいということでございましたので、昨年来農業行政費の充実をはかってまいりました。さらに今回は、その農業行政費の需要の増を充実をはかると同時に、林業漁業あるいは鉱業等の従事者数の全従業者に占める比率を取り入れることにいたしまして、その他の産業経済費においても、その需要増の充実をはかってまいろう、こういうようなことを実は新しい試みとして入れたわけでございます。  それから、そのほかは学校の教育費の充実あるいは学校統合によります減についても、数値の急減補正をして充実をはかる、こういうような手を実は考えておるわけでございます。  なお、医者につきましては、隔遠地補正という補正の方法によりましてそういうものを間接的にとらえていこうという努力をいたしております。昭和四十二年でございますと、それによって十三億ほど実はやっております。今後もそれを続けてまいりますほか、さらに診療所の経営費の不足を補うという意味で特別交付税におきましても措置を若干いたしております。
  157. 折小野良一

    ○折小野委員 過疎地域のいろいろな問題につきまして特別の御配慮をいただくことは、まあ過疎地域の住民にとっては非常にありがたいことでございます。しかし、なかなかそれが実態に沿わない。本来国の行政のあらゆる面におきまして、むしろ過疎地域は切り捨ててしまったほうがいいんじゃないか、こういうような考え方の施策が各地で非常に行なわれております。したがって、せめて過疎地域の対策として、交付税の充実その他の配慮をお願いしなければならないわけでございますが、一つの例といたしまして、きのうおとといでございましたか、この間の委員会のときに手元に配られました保育所の資料がございます。これは厚生省から出ておるのでございますが、これなんか見ましても、たとえば僻地保育所というのが出ておりますが、千九百七十三カ所に対しまして四億二千百三十八万九千円ですね。これは平均して見ますと、二十一万三千五百円、こういうような金額にしかならないはずだと思うのです。普通の保育所からいたしますと、僻地であるがためになかなかこういう面も十分恵まれない、こういうところに対しまして、せっかく僻地保育所というのがあるのでありますが、それに対する助成はこのように非常に少ない。したがって町村の手出しが大きいか、あるいは住民の負担が大きい、こういうような形が出てまいっております。  それから、次にあります季節保育所のごときは五千六百七十カ所、しかもこれはわずかに金額二千万円、平均いたしますと一カ所に対して三千五百円という数字なんです。三千五百円やって、そして農繁期に季節保育所を開設せよ、こういうことでございます。これもおそらくその地域の町村の手出しが非常に大きいか、あるいは住民負担が非常に高い。こういう僻地保育所とか季節保育所がありますところは、これは当然山間僻地でありますし、いわゆる過疎地帯であります。こういうような過疎地帯に対する行政がこういうような形の中に行なわれておる。したがって、過疎地域に対する対策は、交付税のほうでいろいろ見ていただいておりますが、なかなか現実に即した対策の効果をあげていない、こういうようなことでございます。こういう点につきましては、ただ単に交付税だけでなしに、あらゆる政策面で御配慮をいただかなければならないと思うのでございますが、将来のこの過疎対策についてもさらに十分考えていただきたい。私ども強く要望いたすわけでございますが、こういう面に対する今後の考え方、こういう面をお聞きしておきたいと思います。
  158. 細郷道一

    細郷政府委員 やはり私どもは、交付税というものは、地方債の面でいろいろ後進地の財政対策をいたしておるわけでありますが、後進地につきましてはもっと根深い問題があるのだろうと思います。最近出かせぎ等の実態等も調べてみておるのでございますが、どうしてもそういった社会、文化、経済の各般にわたってのいろいろな要素が重なり合って後進地という状態が生じておるのだろう、かように考えておるわけでございます。したがいまして、単に財政政策というだけでなくて、もう少し幅広く、政府各省を通じましていろいろな施策を講ずべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。わが自治省としましても、行財政の面においていろいろくふうをいたしておるのでございますが、特に財政面におきましても、後進地帯から出ていく人口をなるべく近くの地帯に引きとめることによって、地域的な発展をはかる。いきなり大都市に行かないで地域的な発展をはかる、こういうような考え方で、まだ具体案がまとまっておりませんけれども、地域ごとの圏をつくる、そこに中心となる都市を育てるような方策を、行財政の両面から考えるべきではなかろうか、ただいま検討いたしておるような段階でございます。
  159. 折小野良一

    ○折小野委員 なお、これに関連いたしまして、先般決定をいたしました地方税法の本年度の改正によりまして固定資産税を一・七%以上取っております町村につきましては、自治大臣のほうで、届け出を受けてこれに対して指示をする、こういう新しい制度ができました。こういうような町村はほとんどが山間僻地、いわば過疎地帯にある町村である。したがって、いろいろな事情はございましょうが、そこに大きな企業があって、そして大きな固定資産を持っておる、そういうところにわりあい高い税率の固定資産税をかけて、少しでも僻地に対するいろいろな施策をやっていこう、こういうことでございますが、もし将来、この面で財源的に制約を受けます過疎地帯の町村に対しまして、交付税の立場から何らかの措置をお考えになっておるかどうか、お伺いいたします。
  160. 細郷道一

    細郷政府委員 超過課税につきましては、現在、御承知のように、交付税の要素に入れておりません。標準税率で計算をいたしております関係上入れていないわけでございます。したがいまして、もっぱら交付税の面では、需要の面で後進地帯をどういうふうにとらえていくかという問題になるわけでございます。需要の点は、先ほど申し上げましたようないろいろな方法を使っておりますが、なお特別交付税の際にも、そういった地域に対する措置はできるだけとってまいりたいというふうに思っておるわけでございます。現在でも、冬期の分校があった場合でありますとか、あるいはスクールバスを設けた場合でありますとか、あるいは離島とか、航路が長いとか、僻地の診療所とか、僻地、離島全般について地理的条件の悪いものといったようなものにつきまして、四十二年度でも七十億ほどの特別交付税を交付いたしておるような状況でございますので、そういった面をもう少し充実することによってさしあたっての措置をすべきであろう、こういうふうに考えております。
  161. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは進みます。  これは起債との関連でございますが、小中学校の建設につきまして起債の充当率が減っております。そのかわりに交付税のほうには事業費補正というものができておるわけでございますが、考え方といたしましてはどちらがもとになっておるのですか、起債がもとでそれを交付税で補っておるのですか、あるいは交付税で措置したのに対して、それを配慮して起債がきめられるというようなことになっておるのですか、取り扱いとしてどういうふうにお考えになっておるのか、お伺いしたいと思います。
  162. 細郷道一

    細郷政府委員 基本的には一般財源によって学校が建てられるということが望ましいと思っております。特に大きな団体でございますれば、学校の数も多うございますので、現在建物の償却費計算で需要の測定をいたしておりますので、何十校、何百校もあるようなところでありますれば、毎年何校か分はそれによって措置ができるという考えでいくべきであろうと思います。しかしながら、小さい団体でありますると、何年かに一ぺん学校を建てるというようなところもございますので、そういう財政状態のところではどうしても起債にたよらざるを得ないだろう、いわば年度間の資金繰りという意味で起債にたよらざるを得ないだろうというふうに考えておりますので、学校の建築につきましては一般財源でやるのが本則とはいいながら、弱小の市町村に対してはどうしても起債を充てなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。  今回、義務教育費の起債につきましては、従来の充当率九割を七割五分に引き下げをいたしました。これは率は昭和四十年度までは七割五分であったわけでございますが、それを四十一年度に例の特別事業債を出しましたときに引き上げたのでございます。四十二年度の特別事業債の問題が根本的な解決が得られませんでしたので、そのまま引き続いておって九〇%であったわけであります。今回特別事業債そのものにつきましてはああいった措置ができましたので、この分につきましても、ほぼ従来の充当率に戻したわけでございます。しかし、せっかく上がったものが戻ったのでは、先ほど申し上げたような学校の事業でございますので、財政上困るというように考えまして、今後はその団体ごとに事業費補正というか、現実の事業費を取り入れまして、そうしてその足りない分充足率の下がった分を交付税需要で見ていくというふうな措置に切りかえたものでございます。
  163. 折小野良一

    ○折小野委員 この場合に、交付税の面で事業費補正ということで見ていくのと起債の面で見ていくのと、国の地方行政という立場におきましては、はたしてどちらにおもな目標を置いておられるか、すなわち、起債を押えるということに目標を置いておられるのか、あるいは事業費補正を見ることによって、幾分なりとも財政の豊かでないところにおいては交付税でその財源を見るということに主眼を置いておられるのか、どちらなのか、お伺いいたしたいと思います。
  164. 細郷道一

    細郷政府委員 やはり一般財源で建てられるのが一番望ましいというので、たてまえとしてはそういうたてまえをとりたいわけでありまして、先ほど申し上げましたように、団体の規模によってどうしても地方債を必要とするものがあるし、また、それを認めなければならぬものがある。ただ、今回の措置によりましたのは、起債によってその充当率の下がりました部分について事業費補正という形でいたすわけでございますから、財政的に見ますれば、将来支払うべき負担がそれだけ落ちるという意味では方向としてはいいのではなかろうかというふうに考えております。
  165. 折小野良一

    ○折小野委員 事業を実施いたします地方団体の側におきましては二つの考え方があります。交付税で見てもらうのは、なるほどこれはあとで返さなくていいんだからそれだけ有利であるという見方ももちろん一つございます。しかしまた、一面、それが額において十分でない、したがって、事業をやるためには将来返さなければならないから多少困るけれども、やはり充当率の高い起債で見てもらったほうがいまここで何とか事業ができる、こういう二つの考え方があるわけであります。もちろん、おっしゃるように、一般財源でやっていけるところは問題はないわけであります。しかし、なかなかそういう団体はそうたくさんございません。多くはやはり事業はやりたい、しかしやりくりをして何とかやっていきたい、こういうような状態にあるわけでございます。そういうような地方団体に対しまして、はたしてどちらがより有利に事業がやっていけるか、そうして住民に対する行政サービスができるか、こういう面を考えていただく必要があるのではないかと思います。私どもは、当面の問題といたしましては、事業費補正にあげていただくことはたいへんけっこうでございますが、しかし、地方団体の当面の期待からいたしますと、この起債の充当率を下げたということは非常に痛いのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、自治省としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  166. 細郷道一

    細郷政府委員 今度引き下げましたものはまるまる事業費補正で見ていく考えでおります。今後もことしと同じ状態でありますれば、事業費補正をずっと採用することにしてまいりたいというふうに思っておりますので、むしろ地方団体のほうとしては、財政的にはわずかでありますがプラスになるのではないかというふうに思っております。
  167. 折小野良一

    ○折小野委員 まるまる見ていただくということでございますならばけっこうでございます。  そこで進みますが、今度の改正におきまして、これは諸物価の値上がりその他があるのですから当然だと思いますが、この単位費用の改定につきまして、市町村関係のその他の土木費と、それから都道府県並びに市町村の徴税費、たしか三項目だけだったと思いますが、これについて単位費用が昨年からいたしますと減になっております。この理由をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  168. 横手正

    ○横手説明員 市町村分のその他の土木費の単位費用が減になりましたのは、従来市町村のその他の土木費において算定をいたしておりました都市計画の事務費を市町村分の都市計画費のほうへ移しかえたことによります事務的な減でございます。  それから、徴税費の面につきまして、県分、市町村分ともに減になっております。これは実は、いずれも標準団体における、県の場合にありましては、個人事業税を測定単位として使っておりますが、この個人事業税の標準団体における額の伸びを見込みましたために、一般財源所要額につきましては増額措置をはかりましたが、単位費用の面においてはかえって減になる、こういう結果になっております。市町村分につきましても同じでございまして、測定単位といたしましては、市町村民税中の個人分をとらえておるわけでございますが、それのほぼ標準団体における個人分の実額が非常に伸びておりますので、そうした関係もございまして、測定単位の置きかえを行なっております。こうした結果、単位費用が減になっておる、かような結果になっております。  いずれも多少技術的な結果によるもので、意識的に落とすというようなことをしたわけではございません。
  169. 折小野良一

    ○折小野委員 この交付税制度全体について考えました場合、それぞれの項目項目に非常にこまかにいろいろな計算がなされておる。確かにりっぱにできた交付税制度であるというふうに考えるわけでございますが、しかし、だんだんこの交付税制度が交付税そのものとして巧緻精妙になってまいります反面、全体としての地方財政の中におけるその調整的な機能、こういう面がだんだん欠除してきつつあるんじゃなかろうか。いわば交付税制度というものが硬直化してきつつあるんじゃなかろうか。現実に即しないというような形になってきつつあるんじゃなかろうか、こういうような気がするわけでございますが、自治省御自身としてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  170. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税の需要算定にあたって常に言われておりますことは、それが実態に合わないという点からの批判が多うございます。いろいろ中身は精緻であるけれども、結果において実態に合わないとか、あるいは、関係各省から見ますと、自分のところの関係の行政経費の実態に合わないとか、そういった批判が非常に多うございます。しかし、地方団体の関係者、財政運営関係者としては、むしろ税収との関係でこれをどうとらえていくかということに関心があるように私どもは見ておるわけでございます。で、いまお尋ねのように、そういう意味で、こまかくだんだん計算をしていくという意味では、ある意味での硬直化ということが言えるかもしれないと思います、だんだんルールがこまかくなっていくわけでございますから。しかしながら、反面におきましては投資的経費等において事業費補正の導入といったようなことによって、かなり弾力的に実態に合わせるような措置も講じておるわけでございまして、そういう意味から言いまして、消費的経費はどちらかといえば標準経費を理論的になるべくとらえていこう、投資的経費はどちらかといえば実態に合わせていこうというのが、現在の交付税の姿になっております。そういう意味で私は、改善をすべき点は多々あろうと思いますけれども、必ずしも硬直化しておるというふうには考えていないのでございます。
  171. 折小野良一

    ○折小野委員 いま私どもは、硬直化しないように、本来の調整的な機能を十分果たし得るように今後の運営をお願いしたいわけであります。しかしながら、現実の財政実態と合わせて見てまいりますと、交付税で計算をしてとらえております基準財政需要額というものと、現実の自治体の財政というものが非常に大きく開いてきつつある。それは、ただ単にワクだけじゃございません。そのワクでありましでも、もうこれは半分以下、それくらいにしか基準財政需要額ではとらえられておらないわけです。したがってきわめて技術的になっておりますが、先ほどちょっと申し上げましたように、この徴税費あたりが数字の上で昨年からすると落ちてくる、こういうような現実に沿わないような形が出てまいっております。こういう面がだんだん現実に沿わなくなり、したがって、硬直化してくる。たとえば地方税の中における固定資産税の評価、こういうものあたりが、やはり十年以上も運営されております間にそういうような形になってきたわけであります。やはり交付税においても、そういうようなおそれなしとしないと私ども考えるわけでございます。こういう点につきまして十分御配慮いただかなければならないと思っておりますが今後の問題についてそういう点をどういうふうに考えていこうとされておるのか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  172. 細郷道一

    細郷政府委員 交付税の需要算定の方法については、私もかなり今後改善、くふうをすべき点があると思っております。何といっても、大きな意味では財政調整制度であり、財源の保障制度でございますので、個々の木を見て森を見ないようなことになってはいけないだろう、こういうふうに思うわけでございまして、合理化をはかると同時に、簡素化も常に考えていくことによって、ほんとうにこの経費が財源調整的に働くようにすべきではなかろうか、大局的にそうなるべきではなかろうか。こまかに経費の一つ一つをあれこれあげつらうのはむしろ間違いではなかろうかというぐらいにさえ思っておるのでありますが現実には御承知のように、先般も申し上げましたように関係各省の行政が非常に技術的にこまかくなっておりまして、現在はそれを国の立場において財源を保障しようといたしますと、勢い需要額の算定になってくるというようなことから、ややこまかくなり過ぎているきらいがございます。しかし、これも地方財源総量が将来どうなっていくかということによって漸次その辺のいい道が開けてくるんじゃないだろうか。額が小さければ小さいほど、こまかく言って、自分のところの行政の分野を拡充させよう、こういうきらいがございますが、だんだん総額のウエートが上がってまいりますと、そういった問題の解決もしやすくなるのではないだろうか、こういうふうに思っております。
  173. 折小野良一

    ○折小野委員 この問題に関連いたしまして、一つだけ具体的な問題をお尋ねしておきたいと思いますが、ある面につきましては非常にこまかに計算をされ、こまかに配慮されます。しかし、ある面につきましては、ことさらに目をそらしておられる、こういうような面が多いのであります。その目をそらしておられる面につきまして、現実に問題になりますのは、いわゆる地方財政の中におきます用地費という問題だと思うのです。これは、多くの場合、国庫補助その他の対象にもなりませんし、また、非常にこの需要というのは波がございます。ところが、現実の自治体におきましては、この用地費という問題は非常に困る問題です。しかも、多くの場合に、事業をやりますについて、用地が解決すれば八割から九割は解決したと同じだ、こういうふうに言われております。それぐらい用地というのは、今日事業を行なっていく上におきまして非常に大切な問題でございますが、国の施策におきましても、この用地に対する考え方というのが非常に薄い、こういうふうに言わざるを得ないと思うのであります。こういうような面について、今後財政の実態に即するという立場から、交付税制度の中においていろいろ御検討になる御意思がありますかどうか、お伺いをいたしておきたいと思います。
  174. 細郷道一

    細郷政府委員 用地費の財源を何によってまかなうかということは、非常にむずかしい問題でございます。国のように単一の団体でございますればわりに簡単でございますが、地方のように三千五百もある団体でございますと、いろいろ規模も違いまするし、その年の事業も違いますものですから、用地費を普通交付税の需要に一般的に、共通的に見込んでいくということについては、非常になじみにくいものを持っているのではなかろうか、こういうふうに基本的に思います。ただ、現在問題になっております人口の急増地帯における義務教育施設、これは非常な問題になっておりますので、いまでも実は人口急増補正によって小中学校については用地費を多少見ておるのでございます。そのほか、そういった地帯に対する措置として、義務教育の起債の中で、特に政府資金による用地費を本年度は二十億起債で見るといったようなことでまかなっておるわけでございます。しかし、それ以外の各種の公共施設の用地費の問題については、どうしても個別の問題になってまいりますので、その団体の個別の需要に応じて、先行取得起債というようなことでこれを処置してまいりたい、こういうふうに思います。  なお、先行取得の用地費については、今後先行取得をした場合には、その土地をたとえば道路敷にするといったときに、公共事業の中にその間の金利分を値上がりとして見込むというような措置も、実は関係省との間に話ができておりますので、いよいよ先行取得債の活用が今後はかられることになろうと思っております。
  175. 折小野良一

    ○折小野委員 御説明にありましたから、それに関連して一言申し上げておきたいと思いますが、先行取得債の問題です。これは非常にけっこうな制度だと思います。しかし、現在の額ではまだまだ不足するというふうに考えます。そして、もう一つ運用上お願いしておきたいことは、年度初めに計画を立てて自治省に手続をする、その際には、もうすでに相手方はいろいろ調査その他をやっておるからわかっておるのであります。それから起債の決定まで約一年かかる。年度末になって、起債が決定した、さあそれから交渉に入ります、ということになりますと、その一年の間にもうすでに値は上がっているのであります。場合によっては、四月のころからいたしますと、倍にも、あるいはそれ以上にも上がる、こういうようなことがあるわけであります。したがって、先行取得債の決定につきましては、現実の財源はこれはあとでもいいと思いますが、決定だけはひとつ四月なら四月、年度の最も早い機会に決定をしていただいて、そうしてそれぞれの団体が執行できるような体制をとっていただく、こういうような運用をやっていただきたいと思うのであります。これは運用でやっていただけると思いますし、地方団体は金は何とか操作できるのであります。その辺をひとつお伺いをしておきたいと思います。
  176. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 まことにもっともなお尋ねでございますのでやはりそういう方向で検討いたしたいと考えます。
  177. 折小野良一

    ○折小野委員 交付税制度にいたしましても、その他の財政制度にいたしましても、自治体の活動が十分確保され、それによりまして住民へのサービスがより向上する、こういうような立場から、ひとつ今後十分御配慮をお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
  178. 吉川久衛

    吉川委員長 本会議散会後に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。   午後二時十五分休憩      ――――◇―――――   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕