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1968-03-08 第58回国会 衆議院 地方行政委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月八日(金曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 吉川 久衛君    理事 大石 八治君 理事 奧野 誠亮君    理事 塩川正十郎君 理事 古屋  亨君    理事 和爾俊二郎君 理事 細谷 治嘉君    理事 折小野良一君       青木 正久君    伊東 隆治君       亀山 孝一君    木野 晴夫君       辻  寛一君    野呂 恭一君       山口シヅエ君    河上 民雄君       山本弥之助君    小濱 新次君  出席国務大臣         自 治 大 臣 赤澤 正道君  出席政府委員         警察庁長官   新井  裕君         警察庁警備局長 川島 広守君         自治大臣官房長 宮澤  弘君         自治省財政局長 細郷 道一君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         専  門  員 越村安太郎君     ————————————— 三月八日  委員谷口善太郎君辞任につき、その補欠として  林百郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 三月七日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  四五号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第五一号)  地方財政に関する件(昭和四十三年度地方財政  計画)  警察に関する件(佐世保事件に関する問題)      ————◇—————
  2. 吉川久衛

    吉川委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件について調査を進めます。  昭和四十三年度地方財政計画について、政府から説明を求めます。赤澤自治大臣
  3. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 このたび、昭和四十三年度地方財政計画策定いたしましたので、その概要を御説明申し上げます。  昭和四十三年度におきましては、内外のきびしい経済情勢及び国、地方を通ずる財政環境にかんがみ、地方財政においても、国と同一の基調により行政経費使用重点化に徹し、節度ある行財政運営を行なう必要があります。  地方財政については、かねてからその構造を改善し、地方行政水準を向上させるため諸般の措置を講じてまいったところでありますが、明年度地方財政につきましては、住民負担軽減合理化をはかりつつ地方行政水準の向上を促進し、将来にわたる財政健全性を確保するため所要措置を講ずることといたしたのであります。  昭和四十三年度地方財政計画策定方針及びその特徴について申し上げますと、第一は、地方税負担現状にかんがみ、個人住民税個人事業税等について負担軽減を行なうことであります。これらの減税総額は七百四十二億円となるのでありますが、地方税総額は、前年度に比して四千六十二億円増の二兆三千二百六十八億円となる見込みであります。  第二は、財源の適正かつ効率的な配分につとめ、地方経費使用重点化を徹底することであります。そのため、道路目的税として自動車取得税創設し、道路交通安全施設の設置の財源として交通安全対策特別交付金百二億円を交付するほか、社会経済情勢進展に対応する財政需要の変化に即応するため、いわゆる過密地域後進地域にかかる事業等に要する地方債を重点的に増額するとともに、地方交付税配分合理化を推進することとしております。  明年度地方交付税総額は、前年度に比し二千百九十二億円増の一兆一千百十三億円となっております。  第三は、財政運営効率化を進めるとともに、財政秩序を確立し、地方財政健全化を促進することであります。その方策として、行政機構改善定員管理合理化をはかるとともに、既定経費を節減し、また、昭和四十三年度に限り、地方交付税繰り入れ額法定額から四百五十億円減額して翌年度以降に繰り越すとともに、交付税及び譲与税配付金特別会計において二百五十億円を借り入れ、地方交付税に加算するほか、二百五十億円の地方債について繰り上げ償還を行ない、一定の特別事業債にかかる元利償還金財源として特別事業債償還交付金九十億円を交付することとしております。  なお、いわゆる超過負担の問題につきましては、国庫補助負担金改善等措置を講じ、解決をはかってまいる所存であります。  第四は、地方公営企業の経営の健全化をはかることであります。このためには、一般会計との負担区分に基づく一般会計からの繰り出しに必要な財源を確保するなどの措置を講じております。  以上の方針のもとに、昭和四十三年度地方財政計画策定いたしました結果、歳入歳出規模は、五兆六千五十一億円となり、その前年度に付する増加は、八千三百三十七億円、一七・五%となるのであります。  以上が昭和四十三年度地方財政計画概要であります。
  4. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、補足説明を求めます。細郷財政局長
  5. 細郷道一

    細郷政府委員 お配りしてございます「昭和四十三年度地方財政計画説明」によって御説明を申し上げます。  最初の一ページは策定方針でございます。ただいま大臣から申し上げましたような趣旨が書いてございます。  そこで、三ページに歳入表が載っております。これについて見ていただきますと、地方税では二兆三千二百六十八億、前年に比較いたしまして四千六十二億円の増、増減率といたしましては二一・一%、こういうことでございます。  地方交付税は一兆一千百十三億円で、前年の当初に比べまして二千百九十二億円の増、二四・六%。この交付税は、先ほどの説明にございましたような減額分借り入れ分を含めてございます。  それから五番、六番は、それぞれ特別事業債償還交付金あるいは交通安全対策特別交付金という新しいものでございます。  それから国庫支出金が一兆五千三百二十一億円、前年に比しまして千五百六十三億円の一一・四%の増となっております。その中で(ア)(イ)(ウ)とございますが、公共事業関係補助負担金といたしましては七千二百四十五億円、前年対比で七百二十二億円の増一一・一%となっております。  普通建設事業分は、伸びとして一〇・五%、こういう数字になっております。  それから、地方債は二千三百三十九億円で、前年対比では三十八億の増、一・七%の伸び、こういうことでございます。総じて一般財源伸びがございますので、地方債を従来よりは圧縮をいたしております。  それから、四ページにその歳出関係があがっております。歳出では、一番上の給与関係経費といたしまして一兆九千七十五億円、前年対比で二千五百四十七億円、一五・四%の伸びとなっております。その中には御承知のように昨年の八月から実施せられました給与改定の平年度化分、そのほか例年見ております定期昇給退職手当、そういったようなものが含まれております。  なお、明年度におきましては、この新規の増員といたしまして、警察官の六千人の増員、そのほか全体で一万二千六百二十七人の増員と相なっております。反面、定員合理化によります減といたしまして、警察官、教員、消防職員等を除きました部分につきまして一%の合理化をはかっております。  それから、ことしの財政計画策定にあたりましては、実態のうちで、財政計画に取り上げるべきものと思われますものを取り上げてまいりました。その一つといたしまして職員数規模是正をいたしております。その数が三万四千六百六十九人、こういうことでございます。そういった計数につきましては一六ページのところに一覧表としてそれぞれ費目ごとにあがっております。  それから、一般行政費。もとの四ページの表に戻っていただきます。一般行政経費といたしまして一兆一千七百二十一億円、前年に対比いたしまして二千百三十八億の増、伸びは二二・三%でございます。そのうち国庫負担金を伴いますいわゆる社会保障関係経費につきましては国の施策に合致しておるわけでございます。(イ)とございます国庫補助負担金を伴わないいわゆる単独と称するものが五千六百六十六億円、前年対比千六百四十一億円、四〇・八%の伸びとなっております。ほかの伸びに比して大きくなっておりますのは、ここに本年度におきます年間の追加需要と見込まれますものにつきまして八百五十億ほど計上をいたしておるためであります。  それから、三番目に公債費として二千三百九十五億円、前年対比で六百六十三億、これも三八・三%と伸びておりますが、これには先ほど提案理由にもありましたように、二百五十億の繰り上げ償還分というものが含まっておるために、例年よりは大きく伸びております。  それから、投資的経費につきましては二兆六億円、こういうことで前年に対比いたしまして二千百六億円の増、一一・八%の伸びとなっております。そのうち国庫補助負担金を伴うものにつきましては一兆一千八百七十五億円、前年対比で千六十四億円、九・八%の伸びということでございます。  公共事業につきましては、国の場合は全体としては九・八%、そのうち公共事業普通建設事業というものにつきましても同じく九・八%という伸びになっておるわけでございます。  それから、国庫補助負担金を伴わないものといたしまして、いわゆる単独事業でございますが、これは七千三百九十一億円、前年度対比で九百九十二億円、一五・五%の伸びとなっております。  その内訳といたしましては、その下にございますように、一般事業費につきましては四千三百七十四億円で、前年対比九・八%、いわゆる国の公共事業並み伸びにいたしておりますが、長期計画事業、いわゆる道路あるいは治山、港湾、下水といったような長期計画事業のものにつきましては二千六百八十二億円で、四百五億円の増、一七・八%という伸びを示しておるわけでございます。また、交通安全対策事業費も新しいものとして計上いたしました。まあ、単独事業は全体として十分でないわけでございますが、その中でそういうものについて重点的に施行するようにという考え方をここにあらわしてございます。  あとは、公営企業繰出金は、それぞれ地方公営企業法並びにその施行令に基づきます負担区分による部分でございます。  なお、最後に、交付税の不交付団体における平均水準をこえる必要経要として九百十六億円計上してございます。本年度におきます税収の伸びというものを交付、不交付に分けてみた場合の姿としてこういうものになったわけでございます。  そうして五ページをごらんいただきたいと思いますが、そうやってできました結果の費目別構成比がそれぞれあがっております。  上のほうは歳入関係でございます。いま申し上げましたようなことで、去年の構成比率と比較いたしますと、地方税地方交付税でそれぞれ二%あるいは一%の伸び。逆に国庫支出金地方債ということでそれぞれ二%あるいは一%減る、こういう姿になっております。  それから、歳出のほうにつきましては、これも前年と比較をいたしますと、給与関係経費で一%減り、反対に行政経費で一%ふえる。あと投資的経費で一%の減になっておりますが、不交付団体分で一%の増、こういうような姿になっております。  あと六ページ以下につきましては、いま概要を御説明申し上げましたものの中身をそれぞれ書いてございますが、説明としては省略をさせていただきたいと思います。
  6. 吉川久衛

    吉川委員長 以上で昭和四十三年度地方財政計画説明は終わりました。      ————◇—————
  7. 吉川久衛

    吉川委員長 内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案、及び地方交付税法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、政府から順次提案理由説明を聴取いたします。赤澤自治大臣。     —————————————  地方税法の一部を改正する法律案  地方交付税法の一部を改正する法律案   〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  8. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま議題となりました地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由内容要旨を御説明申し上げます。  昭和四十三年度地方交付税については、地方団体行政経費増加に対処するため地方交付税単位費用改定するとともに、新たに特別事業債償還費を設ける等基準財政需要額算定方法を改め、あわせて昭和四十三年度から昭和四十六年度までの各年度地方交付税総額特例を設けるほか、昭和四十三年度から昭和五十六年度までの各年度について特別事業債償還交付金交付する等の必要があるのであります。以上が、この法律案を提出いたしました理由であります。  次に、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  その一は、地方交付税算定方法改正であります。  道路整備計画等各種長期計画進展による公共事業費等増加分生活保護基準引き上げ等に伴い増加する社会保障関係経費給与改定の平年度化等により増加する給与関係経費、その他制度改正等によるものを基準財政需要額に算入するため、関係費目単位費用改定をはかるほか、新たに、道府県分及び市町村分基準財政需要額に、特別事業債償還費を加え、従来の人口急減補正を拡充して、人口、学校数等が急激に減少した地方団体にかかる補正特例を設ける等、算定方法合理化をはかるとともに、算定の全般を通じて、過密地域及び後進地域における所要財源に対する適切な配慮を加えてまいりたい所存であります。  その二は、地方交付税総額特例であります。  昭和四十三年度分地方交付税総額については、現行法定額から四百五十億円を控除した額に、別途交付税及び譲与税配付金特別会計に借り入れる二百五十億円を加算した額とすることとし、これに伴って、昭和四十四年度から昭和四十六年度までの各年度分地方交付税総額を、現行法定額にそれぞれ百五十億円を加えた額から昭和四十三年度において交付税及び譲与税配付金特別会計に借り入れた借入金の償還所要相当額を減額した額とすることといたしております。  その三は、特別事業債償還交付金交付に関することであります。  特別事業債償還交付金は、特別事業債償還にかかる経費基準財政需要額に算入することに伴い、昭和四十三年度から昭和五十六年度までの各年度に限り、普通交付税配分方法に準じて交付することとし、その総額は、昭和四十三年度分にあっては九十億円、昭和四十四年度以降の各年度分にあっては当該年度分にかかる特別事業債償還額のうち普通交付税交付を受ける地方団体にかかる分として政令で定める基準に従い予算で定めることといたしております。  以上のほか、地方団体昭和四十四年度以降における地方債昭和四十三年度に繰り上げて償還する場合における必要経費基準財政需要額に算入するため、災害復旧費測定単位及び単位費用について特例を設け、その他関係法律所要改正を加えることといたしております。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  続いて、ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、その提案理由内容大要を御説明申し上げます。  地方税につきましては、地方財政の状況を考慮しつつ、極力負担軽減合理化をはかってまいったのでありますが、なお個人住民税等については、負担現状にかんがみ、その軽減につとめる必要があると存じます。他面、地方財政の基盤をつちかい、その健全化を進めていくためには、地方独立税源の一そうの充実をはからなければならないと考えられるのでありますが、特に、最近における地方道整備緊急性にかんがみ、この際地方道路財源を充実することがぜひとも必要であると考えられます。  このような実情を考慮いたしまして、明年度地方税制改正にあたりましては、いわゆる課税最低限引き上げによる住民税減税事業専従者控除額引き上げによる中小事業者住民税及び事業税減税等を中心として可及的に地方税負担軽減合理化をはかるとともに、他面、地方公共団体、特に市町村道路目的財源を付与するため自動車取得税創設することとし、所要改正を行なうこととしたのであります。  次に、以下順を追って地方税制改正概要について御説明申し上げます。  第一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。  個人道府県民税及び市町村民税につきましては、夫婦子三人の給与所得者課税最低限を十万円程度引き上げることを目途として、昨年の所得税法改正に伴う給与所得控除引き上げのほか、基礎控除配偶者控除及び扶養控除の額をそれぞれ一万円引き上げることといたしました。また、障害者控除老年者控除寡婦控除及び勤労学生控除の額についても、一万円ずつ引き上げることとし、特に重度障害者に対する障害者控除の額については三万円引き上げることといたしたのであります。なお、中小事業者負担軽減をはかるため、専従者控除限度額青色申告者については五万円、白色申告者については三万円引き上げることといたしました。  このほか、障害者未成年者老年者及び寡婦についての非課税の範囲を、年所得二十八万円まで拡大することとしております。  第二は、事業税についてであります。個人事業税につきましては、中小事業者負担軽減をはかるため、専従者控除限度額を、青色申告者については五万円、白色申告者については三万円引き上げることといたしました。  第三は、不動産取得税についてであります。不動産取得税につきましては、事業協同組合等公害防止事業団から産業公害を防止するための共同建物の譲渡を受けた場合における不動産取得税について課税標準特例を設ける等、負担軽減合理化をはかることとするほか、農地等を生前贈与により取得する場合における不動産取得税納期限延長適用期限を五年間延長するとともに、課税価格基礎控除額以下であることにより贈与税が課されない者についても同様の措置を講ずることといたしました。  第四は、たばこ消費税についてであります。たばこ消費税につきましては、別途たばこ小売り定価改定が予定されていることに伴い、たばこ売り渡し本数が減少することが予想されますので、売り渡し本数の減少に伴う減収が生ずることのないよう、課税標準算定に用いる売り渡し本数について補正を行なうことといたしました。  第五は、固定資産税についてであります。固定資産税につきましては、電気事業者都市計画区域内において新設した特定配電用地電線路につき、課税標準特例を設ける等の措置を講ずることとするほか、一の納税義務者が所有する固定資産に対する固定資産税課税標準額当該市町村固定資産税課税標準総額の三分の二をこえる場合において、当該市町村が百分の一・七をこえる税率固定資産税を課するときは、その旨を自治大臣に届け出なければならないこととし、この場合自治大臣当該市町村税率について指示することができるものといたしました。  第六は、軽自動車税についてであります。軽自動車税につきましては、原動機付自転車及び特定小型特殊自動車に対する月割り課税制度を廃止し、税務行政簡素化をはかることといたしました。  第七は、電気ガス税についてであります。電気ガス税につきましては、ガスに対する電気ガス税免税点を八百円に引き上げ負担軽減をはかるほか、無水フタル酸等品目及び三年間の非課税期間が満了する二酸化マンガン等品目にかかる電気に対する電気ガス税非課税とすることといたしました。  第八は、自動車取得税創設についてであります。自動車取得税道路に関する費用に充てるため、道府県目的税として、次の要領により創設することといたしました。  まず、自動車取得税は、自動車取得に対し、自動車の主たる定置場所在道府県において、その取得者に課するものといたしましたが、所有権留保つき売買が行なわれた場合には、買い主に課するものとしております。  次に、自動車取得税課税標準は、自動車取得価額によることとしておりますが、無償でされた自動車取得、交換による自動車取得等特別の事情がある場合につきましては、通常の取引価額によるものといたしております。  また、自動車取得税税率は百分の三、免税点は十万円とし、その徴収方法申告納付方法によるものといたしました。  なお、道府県は、市町村に対し、自動車取得税額政令で定める率を乗じて得た額の十分の七相当額交付するものとし、特に指定市を包括する府県は、このほか、自動車取得税額政令で定める率を乗じて得た額の十分の三相当額に、指定市内に存する国道府県道延長及び面積指定府県内の国道府県道延長及び面積に対する割合を乗じて得た額を、指定市に交付することといたしております。  第九は、国民健康保険税についてであります。国民健康保険税につきましては、本年一月から全市町村につきまして被保険者の一部負担金割合が三割となったことに伴い、国民健康保険税標準課税総額割合を改めることといたしました。  第十は、税制簡素化についてであります。税制簡素化につきましては、国税においてとられる措置とも対応して、地方税課税標準額及び延滞金各種加算金等確定金額についての端数計算単位引き上げるとともに、分割法人修正申告等に基づく住民税及び事業税納付額が少額のときは、次の納付期限までその徴収を猶予することといたしました。  以上のほか、所得税法改正に伴う関係規定整備等所要規定整備を行なっております。  以上の改正により、昭和四十三年度増減収額は、個人住民税におきまして七百七億円、個人事業税におきまして二十八億円、電気ガス税その他におきまして七億円、合計七百四十二億円の減収が見込まれますが、一方、自動車取得税創設により三百八十九億円、国税改正に伴い四億円の増収が見込まれますので、差し引き三百四十九億円の減収となります。  以上が地方税法の一部を改正する法律案提案理由及びその大要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、あわせてすみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  9. 吉川久衛

    吉川委員長 以上で両案に対する提案理由説明は終わりました。  次に、地方税法の一部を改正する法律案について、補足説明を聴取いたします。松島税務局長
  10. 松島五郎

    松島政府委員 お手元にお配りしてございます資料の新旧対照表によって御説明を申し上げます。  新旧対照表のまず五ページをお開きいただきます。  第十五条の四の二の改正は、税制調査会簡素化に関する答申に基づきまして、分割法人にかかる住民税事業税につきまして修正申告が行なわれた場合、その税額が僅少でありますときは、次の納付期に合わせて納付することができるように徴収猶予規定を設けたものでございます。  次は、一〇ページ、第二十条の四の二の規定改正でございますが、これは課税標準額等につきましての端数計算簡素化改正でございます。すなわち、課税標準額を計算いたします場合に、従来百円未満端数または全額が百円未満であります場合は、これを切り捨てることといたしておりましたのを、千円未満端数または全額が千円未満であるときは切り捨てることにいたしたものでございます。  それから第四項は、滞納処分費につきまして、従来十円未満端数切り捨てを行なっておりましたのを、百円未満端数切り捨てに改めようとするものでございます。  第五項は、延滞金過少申告加算金等各種加算金につきまして、確定金額については従来十円未満端数を切り捨てておりましたのを百円未満端数に切り上げる。さらに、全額が従来は百円未満でありますと切り捨てておりましたのを、今回は五百円未満のものは切り捨てるというふうに改めるものでございます。  次は、二三ページの第二十三条でございますが、償還差益に対します法人税割りの計算の規定でございますが、償還差益に対します所得税額は法人税額から控除いたすことになっておりますけれども、住民税ではこれを控除しない。すなわち償還差益に対する所得税額を含めたものを法人割りの課税標準額にするという改正でございます。  次は一四ページでございます。二十三条の七号の改正でございますが、控除対象配偶者の要件の緩和の規定でございまして、従来は、前年中の所得が五万円以上のものにつきましては、控除対象配偶者にならなかったわけでございますが、今回、給与所得、事業所得、退職所得、雑所得等で、主として勤労によって得られます所得を有するものにつきましては、十万円までのものにつきまして控除対象配偶者になし得るという改正をいたそうとするものでございます。  それから、次は一六ページの二十三条八号でございますが、これは扶養親族の範囲に里子を加えようとするものであります。  次は一九ページの第二十四条の五、第三号の改正規定でございますが、障害者未成年者老年者または寡婦に対します非課税限度額を従来の二十六万円から二十八万円に引き上げようとするものでございます。  次は、二三ページから二四ページにかけましての、第三十二条第三項の規定改正でございますが、これは青色専従者控除額を十二万円を十七万円に引き上げようとするものでございます。  次は、二五ページから二六ページにかけましては、白色専従者控除額の改正規定でございまして、従来の八万円を十一万円に引き上げようとするものでございます。  二七ページ、第三十四条の四号の改正は、小規模企業共済掛け金につきまして、第一種共済契約に基づきます掛け金を所得控除の対象にしようとするものでございます。  同じく二七ページの第三十四条の第五号は、生命保険料控除の引き上げでございまして、二八ページにございますように、従来一万五千円をこえる金額につきましては、その金額が一万五千円をこえ三万円までの分につきましてその二分の一を控除することになっておりましたのを、一万五千円をこえるときは、一万五千円をこえ三万五千円までの金額について二分の一を控除することと改めるものでございます。  次は、二九ページの第三十四条六号、七号、八号、九号の改正規定は、障害者老年者寡婦、勤労学生等につきましての控除額を、それぞれ一万円引き上げて六万円としようとするものでございます。なお、重度障害者につきましては、五万円を八万円に引き上げるという改正でございます。  同じく二九ページの第三十四条の十号の改正規定は、配偶者控除の控除額を八万円から九万円に引き上げようとするものでございます。  三〇ページの第三十四条十一号の改正規定は、扶養控除の額を四万円から五万円に引き上げようとするものでございます。  同じく三〇ページの第三十四条第二項の改正規定は、基礎控除の額を十万円から十一万円に引き上げようとずるものでございます。  同じく三〇ページの第三項の規定は、控除対象配偶者がない場合におきます扶養控除の控除額を、第一人目の扶養控除の控除額を七万円から八万円に引き上げようとするものでございます。  次は六七ページへ参ります。第七十二条の十八第二項の改正規定は、専従者控除額につきまして、青色申告者につきましては十二万円を十七万円、白色申告者につきましては八万円を十一万円に引き上げるという改正規定でございます。  次は七六ページへ参りまして、七十二条の四十六第三項の規定は、不申告加算金の計算方法につきまして、端数計算の関係もございまして規定の明確化をはかろうとするものであります。この同じ改正規定が各種の税につきまして以下出てまいります。  次は八九ページの七十三条の二の改正規定は、年金福祉事業団その他政令で定めるものから資金の貸し付けを受けまして、これを従業員等に譲渡いたします場合は、その譲渡が六カ月以内に行なわれます場合は、事業主等に対しましては不動産取得税を課税しないことにしようとする改正規定でございます。  九一ページ、七十三条の四、第十六号の改正相定は、産炭地振興事業団が工業用水道施設の取得をいたしました場合に不動産取得税非課税としようとするものでございます。  九二ページの七十三条の十四、第五項の改正規定は、事業協同組合等公害防止事業団から譲渡を受けます公害防止施設——工場アパートと普通いわれておるものでございますが、それにつきましては、融資相当額不動産取得税課税標準から控除しようとするものでございます。  次は、九八ページでございます。  百十四条の五、第二項及び第三項の改正規定は、従来旅館におきます飲食につきましては、一般の飲食店等におきますと同じような六百円未満のものにつきましては免税点規定の適用がございましたが、従来の規定では、ただし「宿泊に伴う飲食を除く」とされておりましたところから、宿泊に伴う一切の飲食を除くの趣旨であるか、あるいは宿泊について別途免税点の定めてあります一泊二食に相当する分についての飲食を除くかについて疑義がございましたが、今回宿泊についての免税点の定めのある飲食にかかる分を除くものであることを明確にいたしますとともに、一泊二食以外の宿泊者にかかる旅館における飲食につきましては、一泊ごとに合計したものをもって六百円以下であるかどうかによって免税点規定を適用するかどうかをきめる、こういう規定の明確化をはかったものでございます。  次は一〇一ページ以下、すなわち第二百九十二条以下市町村民税に関する改正規定がございますが、市町村民税に関する改正規定は県民税と全く内容が同様でございますので、説明は省略さしていただきます。  次は一四八ページの三百四十八条の二項の二の三号の改正規定は、産炭地振興事業団が工業用水道施設のために取得しました家屋及び償却資産に対しまして固定資産税を課さないことにいたそうとする改正でございます。  次は一五二ページの三百五十条の第二項及び第三項の改正規定は、先ほど提案理由説明にもございましたように、一の納税義務者が所有する固定資産に対して課すべき固定資産税課税標準の額が当該市町村固定資産税課税標準総額の三分の二をこえるような場合におきましては、百分の一・七の税率をこえて課税しようとするときは、あらかじめ自治大臣に届け出を求める、自治大臣はその場合に税率について指示をすることができるという改正規定でございます。  それから一五三ページの四百四十五条の二、軽自動車税改正規定は、原動機つき自転車等小型のものにつきまして、月割り課税制度を廃止しようとするものでございます。  一五四ページの四百八十九条の改正規定は、新たに非課税品目の追加を行なおうとするものでございまして、天然の石こう、金属マンガン、二酸化マンガン、溶接フラックス、クロロプレン、再生ゴム、木材チップ、こういうものを加えようとするものでございます。なお三年間の非課税といたしまして、一五六ページにございますが、新たに無水フタル酸を加えてございます。  一五七ページの四百九十条の二の改正規定は、ガス免税点を七百円から八百円に引き上げようとするものでございます。  次は、一六三ページの自動車取得税改正規定でございますが、自動車取得税は、六百九十九条にございますように、「道府県は、市町村に対し道路に関する費用に充てる財源交付するため、及び道路に関する費用に充てるため、自動車取得税を課する」という目的税であることを明らかにしておるものでございます。  なお、自動車取得税納税義務者は、六百九十九条の二に規定してございますように、自動車取得者に課税をすることを原則といたしております。  ただ、六百九十九条の三に規定いたしますように、自動車取得者が原則でございますけれども、所有権留保つき割賦販売等が行なわれました場合には買い主に課税をするということでございます。また、その割賦販売中の自動車について、買い主の変更がありました場合には、新しい買い主に課税をするということを規定いたしております。  六百九十九条の四は自動車取得税非課税規定でございますが、国、地方公共団体に対する自動車取得税は原則として非課税でございますが、公営企業で政令で定めるものに対しては課税をすることといたしております。なお、第二項以下に相続あるいは法人の合併、分割等、いわゆる形式的な所有権の移転といわれておりますものについては、自動車取得について課税をいたさせないことにいたしております。  次は、一七五ページの自動車取得税課税標準でございますが、自動車取得税課税標準は、自動車取得価額といたしております。ただ、一定の場合には取得価額によることが適当でないと考えられますので、その場合には通常の取引価額によるものによって課税をすることにいたしております。すなわち、無償で自動車取得が行なわれた、あるいは親戚縁者等から自動車取得が行なわれたというような特別な事情がある場合、さらには代物弁済、交換、負担つき贈与というようなことで財産の移転としての自動車の得取が行なわれた場合、こういうような場合には通常の取引価額によって課税をするということにいたしております。  自動車取得税税率は、一七六ページ、六百九十九条の八にございますように三%でございます。  免税点は、六百九十九条の九に規定してございますように、十万円といたしております。  次は、自動車取得税の納付方法でございますが、自動車取得税徴収申告納付方法によるものといたしておりまして、この手続は六百九十九条の十一以下に規定してございます。すなわち、原則といたしましては、「道路運送車両法第七条の規定による登録」、これが普通いわれますいわゆる自動車の登録でございます。「又は同法第九十七条の三の規定による届出」、軽自動車につきましては登録の制度がございませんで届け出の制度になっておりますので、届け出がなされた場合には、その届け出の際に申告納付をしていただくというものでございます。  「道路運送車両法第十三条の規定による登録」と申しますのは、移転登録でございます。移転登録につきましては、道路運送車両法によってその事由が発生した日から十五日以内に登録しなければならないこととなっておりますので、その際に申告納付を求めることといたしております。  それ以外の自動車取得の場合といたしましては、中古車を販売業者等が取得をいたしまして、これを自分の名義に一たん登録をいたします。それを割賦販売等をいたしますと、所有権の移転が割賦が済みますまで行なわれませんので、その間登録ということはございません。そこで、その場合には自動車の検査証の記入事項の変更という規定がございますので、その際に申告納付をしていただくことにいたしております。  次は、一八一ページに自動車取得税の納付方法規定してございますが、いま申し上げましたように、申告納付方法によることといたしておりますので、自動車取得税税額に相当する証紙を申告書に貼付して納付をしていただくことを原則といたしております。ただし、必要の場合は現金納付することもできるようにいたしております。  二一八ページに、この自動車取得税市町村に対する交付並びに使途についての規定がございます。六百九十九条の三十二は市町村に対する交付規定でございまして、自動車取得税額政令で定める率、徴税費を控除した率ということを考えておりまして、現在大体九五%程度を予定いたしております。その率を乗じで得た額の七割を、市町村道路延長面積に応じて案分をして交付するということにいたしております。  なお、大阪等のいわゆる指定市におきましては、その地域内の国道府県道指定市が管理をいたしておりますので、いま申しました市町村交付する七割を控除した三割の額のうちから、指定市内国道府県道延長面積とその指定市を包括する府県内の国道府県道面積及び延長割合に応じまして指定市にさらに交付をすることにいたしております。なお、いま申し上げました道路延長面積につきましては、交通事情等を考慮して自治省令で定めるところにより補正することができることとなっております。  二二一ページの六百九十九条の三十三は、自動車取得税の使途に関する規定でございまして、道路に関する費用に充てなければならないことを明記をいたしておるものでございます。  次は二二七ページの第七百三条の三第二項の改正規定は、国民健康保険税につきましての標準課税総額割合を改めようとするものでございます。全市町村につきまして七割給付が行なわれることになりましたことから、従来の計算率を改めまして、従来の百分の七十五を百分の六十五に改正をしようとするものでございます。  次は二三三ページの附則第六十九項及び附則第七十項の改正規定は、県民税及び市町村民税につきまして、所得税において源泉分離を選択いたしました配当所得につきましても、従来から住民税におきましては総合課税をとってまいりましたが、その総合課税は所得税におきまして分離課税が租税特別措置法によって期限が定められておりましたので、その期限に対応するように定めておりましたものを、所得税では御承知のとおり昨年その期限の延長を行ないましたので、住民税におきましても総合課税をするという規定の期限の延長を行なおうとするものでございます。  二三四ページから二三五ページにかけまして、附則第七十一項及び附則第七十二項は、肉用牛の販売所得に対します免税規定でございます。七十一項は県民税、七十二項は市町村民税でございます。  次は二三七ページ附則第七十三項の改正規定は、石炭鉱業合理化事業団が取得いたしました合理化機械につきまして固定資産税課税標準特例を設けようとするものでございます。  次は二三八ページの附則第七十四項は、電気事業者が設置いたします都市計画区域内におきます地中電線路につきましての償却資産に課税標準特例を設けようとするものであります。  次に二三九ページの附則第七十九項は、贈与により農地及び採草放牧地を取得いたしました場合の不動産取得税納期限延長に関する規定でございますが、これが期限がまいりましたのでさらに延長しようとするものでございます。なお、従来課税標準額が四十万円以下であることによって贈与税が課されないものにつきましては不動産取得税につきましても延長措置が講ぜられておりませんでしたが、今回これを改めまして、課税標準額が四十万円以下であることによって贈与税が課されないものにつきましても、不動産取得税につきましては延長措置が講じられるような改正をしようとするものでございます。  以上でございます。
  11. 吉川久衛

    吉川委員長 以上で補足説明は終わりました。      ————◇—————
  12. 吉川久衛

    吉川委員長 次に、警察に関する件について調査を進めます。  佐世保事件に関する問題について質疑の申し出がありますのでこれを許します。山本弥之助君。
  13. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 新聞によりますと、一月十一日の定例国家公安委員会におきまして、警察庁から、エンタープライズ佐世保寄港に関連いたしました警備計画が報告されて、翌日十二日には赤澤国家公安委員長から閣議に報告したという記事が載っておりますが、これは事実でございますか。
  14. 新井裕

    ○新井政府委員 間違いございません。
  15. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 その内容につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  16. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 今回の佐世保事件につきましては、先般も当委員会におきましてお答え申し上げましたように、いわゆる三派系全学連が、昨年末からいわば第三の羽田事件を佐世保において起こすのだということを公然と宣言いたしまして、年末からきわめて勢力的に各大学に対します動員のオルグ活動を展開いたしておりました。しかも、御案内のとおりに、羽田事件であのような不法行為を行なったわけでございますが、量的にもまた質的にもこれを上回るようなことを彼らは考えておったわけでございます。そのようなことで、相手方、いわば学生の動員等につきましてもかなり大規模のものが予想されますことと、もう一つは、現地佐世保の警備をしなければなりません個所が数において多かったこと、さらに加えまして、御案内のとおりに、佐世保の基地と申しますのは、非常に延長線が長い、いわば警戒線が長い場所でございますので、そういうようなことをあわせ考えまして、現地長崎県警の警備力をもってしましては、十分なる警備ができないというような判断の上に立ちまして、全九州の各県及び関西の一部府県、中国の山口、広島というような一部府県からの応援体制を組みました。おおむねのところ、全体として五千八百名程度の大規模な警備体制をしくということが第一点でございます。  それから、基本的な警備の方針といたしましては、これはこの前にも御報告いたしたわけでございますけれども、一応四点を今回の警備の重点目標に掲げたわけでございます。  そのまず第一は、今回の一般の参加者の集会、デモにつきましては、あくまでも自主統制に期待をするということが第一点でございます。  第二は、先ほど申しましたように、非常に警戒線の長い基地ではございますけれども、基地へは絶対に不法侵入を許さない。さらに上陸米兵に対しましてのトラブルを絶対に防止をするというのが第二点でございます。  第三点は、先ほど来申し述べましたように、三派系全学連の事前の彼らの準備等から考えまして、羽田以上の不法行為に及ぶことはきわめて明らかでございました。そういうようなこともございましたので、集団による暴力事犯につきましては、きわめて強い規制をもってこれに当たる。さらに現場において大量の検挙をはかるということを第三の警備の眼目にいたしております。  第四点といたしましては、警察官を含めまして双方にけが人を出さないということが第四の警備の基本方針でございます。  おおむね以上のようなことで、細部にわたりましては警備本部の構成でございますとか、そういうようなことを一応報告をしたという経緯でございます。
  17. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ただいまの警備方針等につきましては、警察庁で決定なさったわけなんでございますか。
  18. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 これは現地の長崎県の県警本部においてつくりました。それを報告受けまして公安委員会に報告いたしました、こういう経緯でございます。
  19. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、現地の長崎県警の警備方針、あるいは応援についての警察庁に対する援助要請等に関連いたしまして、警察庁でこれを容認して公安委員会に報告をし、あるいは閣議に報告をした、こういうことでございますか。
  20. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 そのとおりでございます。
  21. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 方針の一つは、現地においては、暴力行為については大量検挙主義で臨む、こういう方針でございますね。それから、新聞には、警察官にもデモ隊にも、双方に死傷者を出さないということが出ておりますが、これもさっきの重点の報告の中に入っておるわけでございますね。そうしますと、応援を要請せられて決定をせられたのは、長崎県警に対してだけで五千八百人という警察官になるわけでございますか。
  22. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 これは全部合わせてでございます。長崎県警の警察本部を含めまして申し上げましたような数であります。正確に申しますと、長崎県警以外の、いわば援助要請を受けまして派遣いたしました数は、三千九百八十五名に相なっております。
  23. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 長崎県警以外にも、佐世保事件に関連いたしまして、相当の警察官の動員が行なわれたようでございますが、それを府県別にお知らせ願いたいと思います。
  24. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいま申しました三千九百八十五名の内訳でございますが、福岡県警が……。
  25. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 その内訳ではなくて、長崎県警以外に、警視庁あるいははその他の県で、この事件に関連いたしまして動員せられた警察官の数をお聞かせ願いたいと思います。
  26. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 応援派遣でございますか。
  27. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 具体的に申し上げますと、福岡県でも相当な警察官の動員がなされたし、警視庁でも行なわれたようですが、それらの数をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 主として佐世保事件を契機にいたしまして、警備実施を必要としました府県は、いま先生御指摘の福岡県及び警視庁が大部分でございますけれども、それ以外に、いわば問題雲仙・西海号の車中におきましていろいろな不法行為に及ぶようなこともございまして、途中の沿線におきまして次々学生が乗り込んでまいりました。そのようなことで、犯罪の事前防止のために駅頭に配置しましたような県もございます。その県は、たとえて申しますれば、静岡県でございますとか、あるいは愛知県でございますとか、大阪府警でございますとか、岡山県警でございますとか、主としてそのような府県がそれぞれ関係をいたした、こういうような次第でございます。
  29. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 警視庁と福岡県、これらの動員をなさいました警察官の数はおわかりになっておりませんか。
  30. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 警視庁では一月の十八日に、例の社学同が明治大学から出まして、無賃乗車で有楽町のほうにあらわれて、日活国際会館から日比谷公園付近において規制を受けましたいわゆる日比谷事件というのがございましたが、この場合の警察官の動員数は三百名でございます。それから、次いで十九日にも同じように、新聞等で御案内のとおりに、外務省の中に侵入しました外務省侵入事件というのがございましたが、これに出動しました警察官の数は二百名であります。それから福岡県警におきましては、十五日の朝、主として十六日が大部分でございましたが、十六日の朝、先般当委員会においても問題になりましたあの事件に関しまして出動しました警察官の数は、全部で八百七十名でございます。その他翌日等につきましても、いわゆる二百名程度の機動隊がそれぞれ博多の駅なり、あるいは九大の付近なりに出動した経緯はございます。
  31. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 十五日のいわゆる飯田橋事件といわれております際の警察官の動員数は幾らでございましたか。
  32. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 全部で四百名でございます。
  33. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 派遣警察官は機動隊でございましょうか。
  34. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 機動隊を含んでおりますけれども、機動隊はいま全国で五千七百名しかございませんので、一般の警察官も編成をしまして派遣した次第でございます。
  35. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 五千七百名というのは各県に設置せられております機動隊の総数でございますか。
  36. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 さようでございます。
  37. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと、長崎県に派遣せられた警察官は機動隊が大部分なわけでございましょうか。
  38. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 先ほど申しましたように、県外からの派遣人員は三千九百八十五名でございます。ちょっと正確な数字をいま手元に持ってまいりませんでしたけれども、私の記憶では大体千名強の機動隊員が派遣されておったと考えております。
  39. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、今回の警備実施に関連いたしましてどのくらいの経費がかかっておりましょうか。
  40. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 総額で申しますと、一億二百万円、内訳を簡単に申しますが、警察官の出動宿泊、それから運賃、旅費でございますが、それが八千二百万円、それから車両の燃料費でございますとか、あるいは車両の借り上げ料でございますとか、その他資器材等の経費が二千万円、こういうふうな内訳でございます。
  41. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 その負担区分につきましてあわせてお聞きしたいと思います。
  42. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 大部分は国費でございますが、補助金もございますので、よろしければまた調査しました上でお手元にお届けしてもよろしいかと思います。
  43. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、今回の佐世保事件に関連いたします経費、出動に関連いたします経費全額国費でまかなっておる。長崎県その他の県におきましての県費負担というものはほとんどないわけでございますね。
  44. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 いま申しましたように大部分が国費でございます。長崎県の県費で負担した部分もかなりあると思いますが、数字の詳細につきましてはまだ承知しておらないわけでございます。
  45. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 この種警備経費というのは総額どのくらいあるわけでございますか。
  46. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ちょっと手元に資料を持ってまいりませんでしたので、後ほど調べまして……。
  47. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 警察の経費につきましては、府県警察の分と、それから国費支弁の分、あるいは府県警察に対します補助金と、先般説明を受けましたけれども、いろいろ不明な点が多いわけでございまして、府県警察の支弁総額、あるいは警備に関する国費支弁の経費の項目別内訳、あるいは補助金の使途、それらにつきまして詳細な資料を提出願いたいと思います。この点につきましては、いろいろお聞きしたいことがあるのでございますけれども、時間の関係もございますので、いずれあらためてお聞きしたいと思います。今日警察はいわば府県警察がたてまえになっておるわけでございます。経費支弁の件につきましては、いろいろ国費支弁があり、あるいは補助金がありというふうに、警察の運営に関する費用の点につきましては、私ども十分承知いたしておらないわけでございまして、警察法並びに施行令に関連いたします項目別につきまして、詳細な資料を御提出願いまして、その後にまたいろいろお聞きいたしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
  48. 新井裕

    ○新井政府委員 できるだけおわかりいただけるようにいたしたいと思いますが、大ざっぱに申しますと、警察で使っている費用は、国費、地方費合わせまして二千億余りでございまして、そのうち国費の予算というのは三百億程度でございます。そのうちの補助金が国費から——ちょっと正確な数字は覚えておりませんが、四分の一程度出ております。それから、二千億の予算のうち大体八割程度は府県費——八割というより八割五分ぐらいは府県費でございます。活動費につきましては、いまお尋ねのありました警備実施に要する費用は国費で直接支弁いたしますけれども、長崎県の警察官が出動をして超過勤務手当をもらうということになりますと、これは完全なる自治体たる県の負担ということになっております。したがいまして、いま申し上げましたようなことで、大部分費用は県費の負担でまかなっている。ごく一部の特殊の費用、警察のいまおあげになりました政令の中に書いてあります費用が国費でまかなわれる、あるいは補助金でまかなわれるということでございます。
  49. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 いずれ資料の御提出を願いまして、その上でいろいろさらにお聞きいたしたいと思います。  先ほど、今回の警備実施につきましては、警察法のたてまえに従って、長崎県警が自主的に警備体制を樹立して、警察庁その他各県に援助の要請に従って装備あるいは必需要員を派遣されたというお話でございましたが、エンタープライズ号の入港が決定いたしましたのは昨年の十月のことでございます。私、今回の警備実施の状況から見まして、警察庁のほうでは、この警備体制の作成につきましては、事前に相当準備されたのではないでしょうか。警視庁から一連の長崎の佐世保事件に至る関連から考えますと、長崎県警自体の警備方針の決定、あるいは警備計画というよりも、警察庁みずから各県にまたがる一連の警備体制を、いわば自主的に計画をせられたというふうに想像せられるわけでありますが、この点いかがでしょう。
  50. 新井裕

    ○新井政府委員 いま御指摘になりますように、一月になりましてから急に長崎県から計画が出てきて私どものほうが審査したということではございません。長崎県としても、いままでの経験から考えまして、いろいろな案を立て、われわれのほうもいままでの経験からいっていろいろな案を立て、現地へ持ち寄って相談をした上できめたということでございます。したがいまして、われわれも相当早くから助言をいたし、あるいは相談にも乗り、あるいは先方が必要とする警察官の数につきましても、先方の希望をわれわれが見て動員可能な数との突き合わせ等をいたしております。
  51. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今後の警備体制におきまして、今回の佐世保事件に関連いたしまして、警察庁といたしましては、この種の治安体制について、将来どういうふうな体制をおとりになるか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  52. 新井裕

    ○新井政府委員 お尋ねの趣旨にあるいははずれるかもしれませんが、われわれといたしましては、ただいま御指摘になりましたように、長崎県に今度ああいう大きな経費を要するような事態が起こりましたけれども、これはめったに起こるわけではございませんので、したがいまして、ふだんからそういう用意を県がしておくというわけにはまいりません。したがいまして、そういう特殊な事態が起こるたびごとに、われわれも相談にあずかり、各県にも応援をお願いをして、集中的に警備実施を行なうというのは今後も行なわれるであろうと思いますし、また、警察法はそういうことを予想してつくられておると理解をいたしております。
  53. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 警察法の第二条によりますと、警察の運営につきましてはできるだけ府県警察が中心となる、治安警察もそうでございますが、特定の場合について警察庁が関係をするというふうなたてまえになっておりますが、これはどうでございましょうか。
  54. 新井裕

    ○新井政府委員 二条は警察の責務を抽象的、一般的にあらわしておりますので、御指摘の点はおそらく五条であろうと思いますが、たてまえはまさにそのとおり、府県警察が原則として日常行なっておりまして、それで十分でないところについて国がアドバイスをし、あるいは調整をし、あるいは直接統括をするというたてまえでございます。
  55. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういうたてまえを警察庁といたしましては堅持せられるおつもりでございましょうか。
  56. 新井裕

    ○新井政府委員 われわれは、いまの警察法のたてまえをたてまえとして今後ともやっていくつもりでございます。
  57. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今回の佐世保事件に関連いたしまして、長崎県の公安委員会はどういう役割りを果たしたのでございましょうか。
  58. 新井裕

    ○新井政府委員 県の警察は県の公安委員会の管理のもとに行なわれておりまして、十分に公安委員会にもおはかりをいたしまして、本部長が実際の仕事を行なっておる。したがいまして、公安委員会にはかった上、また、私のほうも、国家公安委員会にはかった上、随時連絡調整をしていくということでございます。
  59. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 公安委員会は、私ども見ますときに、従来、定例的に会合いたしまして警察本部長から報告を聞く、あるいは保安警察や風俗警察等の許認可の事件を取り扱うにすぎないという印象を受けるわけでありますが、警察法のたてまえから言いますと、今日の警察を民主的に運営するということにつきましては、公安委員会が重要な役割りを果たさなければならぬ、かように考えるわけでございますが、今回の佐世保事件につきまして、長崎県の公安委員会は、その警備実施の基本方針あるいは基本計画等につきまして、本部長は公安委員会に十分話をし、いろいろ公安委員の意見を尊重するという体制をとったのでございましょうか。
  60. 新井裕

    ○新井政府委員 いまお尋ねのような詳細につきまして、私、必ずしも全部承知はいたしておりませんけれども、公安委員会にはかるべき重要な事項でございまして、本部長も、何回も十分御相談の上、御了承を得た上でやったものと了解をいたしております。
  61. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 公安委員会は、この種治安警察につきましてはいろいろ政治に関連が深いわけでありまして、公安委員会のいわゆる民主警察を確立する上からいきましても、将来とも公安委員会の警備方針あるいは警備計画等の大綱につきましては、ただ単に警察本部長が国家公務員であるという性格上、警察庁との連絡のみによってこの事件を遂行するということではなくて、公安委員の意図を十分体するということが必要ではないかと存じておるわけでございますが、これに対しましての長官の御見解はいかがでございましょうか。
  62. 新井裕

    ○新井政府委員 御指摘のとおりでございまして、実は公安委員会制度を初めて取り入れますときにも、いろいろ問題がございました。それで、日本の公安委員会制度をつくったのはまさに占領軍当局の示唆に基づくものでありますけれども、いままでのアメリカ自身の経験が必ずしもこれについていい例ばかりではないから、一番模範的な公安委員会のあり方というものを日本で確立してほしいということを、わりあいに率直に占領軍当局も言っておりました。これは、私自身当時その問題に関与しておりましたのでよく承知いたしております。したがいまして、いつも公安委員会の法律上の性格とか規則上のことをいろいろ議論されますけれども、私は、この二十年の経験で、日本に公安委員会制度というものが定着したというふうに考えております。御指摘のように、民主的な警察運営をやる上におきまして、国家公安委員会及び各府県公安委員会は非常に重要な役割りを果たしておると思いますし、私個人といたしましても、いま御指摘のようなつもりで、今後とも公安委員会の管理のもとに仕事をしてまいりたいと思っております。
  63. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 先ほども長崎県における警備方針の重点項目をお聞きしたわけでありますが、長崎県の決定いたしました警備方針の中で、暴力行為については、きびしくいわば大量検挙主義で臨むというようなことにつきましても、十分公安委員会との連携をとった方針だったわけでございましょうか。
  64. 新井裕

    ○新井政府委員 先ほどお答えいたしましたとおり、警備計画の根本については、全般について十分御報告をし、御承認を得てやったものと理解いたしております。
  65. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、装備につきましてお伺いをいたしたいと思いますが、今回の警備体制におきまして、警察といたしましてはどういう装備をなさったわけでございましょうか。
  66. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 主たる装備についてお答え申し上げますと、御案内のとおり、長崎県警自体におきましては、先ほど長官からお答えいたしましたように、県警自体の装備力では、予想される事態に十分対処し得ないというようなことでございましたので、警察官の人員増加の要求と同時に、装備等につきましても、関係府県からの応援を依頼、要求したわけであります。そういう意味合いで、主たるものは大型の警備車でございます。それから放水車等は長崎県警にはございませんので、これを警視庁、大阪、福岡等から合計七台、それから警視庁が持っております防石警備車が三台、それから投光車、これは光を出すもので夜間に出る場合に使われますが、これが三台、それから、長崎県警自体では、石を防ぎますための等身大の大きなたてを全然保有しておりませんので、これにつきましても警視庁から三百七十個、以上のようなことでございまして、そのほかにも輸送車でございますとか、あるいはパトカーでございますとか、あるいはトイレットカーでございますとか、そのような車両を含めまして、合計いたしまして使いました車両が全部で大小おおむね三百台でございます。その他折りたたみ式のバリケードでございますとか、あるいは石を防ぎますための防石網でございますとか、あるいは照明灯でございますとか、そのような警備に必要なる種々の装備について、現地に応援派遣をしたというような次第であります。
  67. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今回の事件に関連いたしまして、学生、警察官あるいは一般市民その他の負傷者の状況を承りたいと思うのでありますが、おもだったところの飯田橋あるいは博多駅、佐世保の何日間の総計につきましてお伺いいたしたいと思います。
  68. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 まず十五日の飯田橋の負傷者は、警察官の側に二十九名、それから学生の側に十三名でございます。それから、博多駅におきましては、学生の側には負傷者は出ておらないようでございますが、警察官の側に四名の負傷者を出しております。それから、佐世保事件につきましては、一月の十七日から二十三日まで全部締めて御報告いたしますと、警察官の側が総計で三百四十四名、学生の側が締めて百四十名、それから報道関係者の方々に十二名、それから鉄道公安官が七名、その他というようになっておりますから、全部で五百二十五名の負傷者を見ておるような次第でございます。
  69. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 お話を承りますと、警察官の負傷者は正確に、報告あるいは勤務状況の関係があるから把握できると思います。負傷者の状況は、飯田橋、博多駅、これは警察官四名ですからたいしたことはないわけでありますが、佐世保を通じまして警察庁の把握せられておるところは、一般人を含めて学生よりも警察官の負傷者が多いというふうに把握せられておるわけですか。
  70. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 御指摘の警察官の負傷者が多いということは、これはもう事実でございますけれども、学生その他の負傷者につきましては、あとう限り所在の病院等にくまなく出向きまして、御協力を得て、どのような治療をされたかということを実はお尋ねをして集計をしているわけでございます。したがいまして、けがをしたけれども病院に行かないというような者でございますとか、その他の者につきましては——もう先生も御案内のとおりに、病院に参りましても、学生等は黙秘権を使って全然住所も氏名も言わない、こういうのが通例でございます。したがいまして、私どものほうとして、ここにあげております数は、実はあくまでも警察がいま申しましたような方法で努力をした上で把握をした数でございます。したがいまして、在来もそうでございますが、学生側のほうでは、学生側のほうでこれだけのけがをしたという発表をすることもございますけれども、私どものほうでは、あくまでいま申しましたような方法によって努力をした上で把握をした数というふうに御理解をいただきたいと思います。
  71. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、学生側あるいは一般を含めましての負傷者の数が非常に少ないというふうにお聞きするわけでありますが、社会党の議員団の現地調査団の報告によりましても、佐世保だけでも千名をこえる負傷者を出しておるというふうな報告を聞いておるわけでございます。催涙ガス入りの放水によりましての負傷といいますか、これらにつきましても治療を受けておる者が相当おるということでございまして、だいぶ数字が食い違っておるというふうに考えられますが、いかがでございましょう。
  72. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 佐世保の病院、特に市民病院でございますが、いま御指摘の点と関連をいたすと思いますが、ガスを浴びまして洗眼に参りました数が、ラウンドナンバーでございますけれども、七百名というふうに病院側のほうでも言っておられるようです。これは別にカルテを書いたわけではございません。ただ、要するに目を洗ってくれというので洗った数が七百名に及んだ。これは警察官ももちろん入っておる数でございます。したがいまして、そういうような数字をあげますと、おそらく千名ということに相なるかもわかりませんが、再々申しておりますように、私どものほうでつかんだ数は以上のようなことでございます。したがって、いま申しました数につきましては、たとえば知り得る限度においてでございますけれども、一体どのような原因でけがをしたのかというところまで、私どものほうとしても詰めて調査をした次第でございます。
  73. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は今回の警備に関連いたしまして、学生を含めての負傷者が非常に少ないという警察側の把握しておることについては、将来の警備体制について危惧の念を持つわけでございます。これは他の犯罪事案等につきましては、あるいは学生同士の学園内における暴行事件等については、警察は犯罪捜査の見地から全力をあげて捜査せられておると思うのであります。この種警備体制は、負傷者を出さないということを、ことに治安警察としては十分配慮しなければならぬと思うのであります。したがって、非常な大事件として取り扱われましたこの種事件の学生側の負傷者の数が、お聞きするところによりますと、警察官の負傷の数よりも非常に少ないという把握、これはおそらく警察側といたしましても、今後の警備の体制におきまして、あるいは警備の反省の上から考えてみましても、相当の負傷者を出したという見地に立つ警備体制、これは警察側といたしましては、いろいろくふうもし、慎重な配慮をする資料になるわけであります。負傷者の数が少ないという判断に立つ警備の体制は、今回の警備体制が、各方面から行き過ぎである——具体的に違法であるかどうかという問題は二の次といたしましても、相当行き過ぎであるという判断をしておる今日、負傷者の把握の数によりましては、今後の警備体制を適法な、あるいは最小限度の警備を実施するのだという警察の体制、姿勢、現実に警備を実施する警察官の心がまえ、これらにつきまして非常に関係の深い問題だと私は考えておるわけであります。これらをもう少し正確に把握願いたい。打撲傷その他を受けておる者も百名をこしておるという調査資料を私どもは受け取っておるわけであります。洗眼その他は負傷者の数の中に入らないのだという計算をとりましても、非常に少ない把握、そちらの資料もございましょうけれども、故意に負傷者の数を少なくするという配慮であってはならない。これは国の将来の重要な治安警察の体制を整える上からいきましても、どの程度の負傷者が出たかということの正確な把握の上に立って警備体制をしくべきではなかろうか。負傷者が少ないのだという判断のもとに今後警備の実施が行なわれるということは、本来信頼を得なければならない警察体制が、国民の信頼から離れていくというふうな印象を受けるのでございまして、十分調査すべきではないか、これは警備の体制の将来の問題からいっても、十分把握願いたい、こう考えておりますが、いかがでございましょうか。
  74. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 御趣旨のとおりで、われわれも全く同感でございます。先ほど申しましたように、ここに出ております負傷者の数と申しますのは、これは警察官が職務執行によりましてけがをした者だけの数ではもちろんございません。さらにまた、特に今回の佐世保の場合におきましては、御承知のとおりに、いわゆる三派系全学連が線路から運んだところの石の投石によるけが等が相当多いわけであります。いずれにいたしましても、いま山本委員が御指摘なさいましたように、われわれといたしましても、負傷者をなるべく少なくしたいと考えておりますが、あのような状態で一人の者を逮捕いたします場合でも、あのように激しい抵抗がございますので、そのための抑止として、考えようによりましては、擦過傷程度のものが起こるということは、現在の三派系全学連のあの不法行為の実情から申しますれば、避け得ないことではなかろうかとも思いますけれども、いずれにいたしましても、御指摘のことにつきましては、全くわれわれも同感でございますので、将来につきましても、これらの数を正確に把握する、その上に立って警備体制をつくるということは、いま山本委員が御指摘のとおりだと考えております。
  75. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に、各主たる警備地点における逮捕者の数と起訴された者の数、その罪名、なおこれに関連しての出動警察官の数、そのときの警備対象学生の数をお聞きしたいと思います。飯田橋、博多駅、佐世保と、こう関連してお聞かせ願いたいと存じます。
  76. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 まず最初に飯田橋でございますが、一月十五日の飯田橋は、御承知のとおりに約二百名を若干上回る学生の数でございます。検挙しました数は百三十一名でございます。そのうち、現在まで起訴されました者が五名でございます。家裁へ送致いたしました者が三十四名、処分がまだ決定いたしておりませんのが九十二名でございます。起訴されました五名につきましては、公務執行妨害罪及び凶器準備集合罪でございます。  それから、博多駅につきましては、一月十六日の日に問題の雲仙・西海号から下車いたしました学生が全体で三百三十名でございますけれども、そのうちで逮捕されました者が四名、四名のうち起訴されました者が一名、家裁に送致されました者が二名……(山本(弥)委員「罪名」と呼ぶ)罪名は公務執行妨害罪でございます。  それから、佐世保でございますが、逮捕しました者が、これは通常逮捕も全部含むわけでございますけれども、全部で七十五名でございます。そのうち、起訴されました数が現在までのところ二十一名になっております。そのおもなる起訴罪名でございますが、公務執行妨害罪及び凶器準備集合罪がつきましたのが二名、それから公務執行妨害と道交法違反の者が全部で九名でございます。それから暴力行為によります者が四名、それから刑特法及び公務執行妨害罪が二名、そのほかに公妨だけの者が四名、合計二十一名が起訴でございます。
  77. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 先ほどの方針の中に、警察官、学生双方にけが人を出さないというたてまえをおとりになったということはまことにけっこうだと思うのでありますが、現実には相当の負傷者を出しておるわけであります。この方針に対して警察としてはどういうふうな配慮をなさったわけですか。
  78. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 このことにつきましても、山本委員もせっかく御案内のとおりに、第一次、第二次羽田、二つの事件を通じまして、警察官の負傷者が千四百四名の多くにのぼっているわけでございます。それから、これまたいま山本委員が御指摘のように、学生の把握の数字が少ないのでございますけれども、私のほうでできる限りの方途を講じて把握しましたが、百三十五名の学生がけがをしている。いずれにいたしましても、千四百名に及ぶ重軽傷者を出しましたということは、まことにわれわれといたしましても遺憾なことでございまするし、いわゆる警備力の維持という面から申しましてもそうでございまするし、さらにまた、今後の警察官の士気の面から申しましても、どうしても避けなければならない命題でございます。そのようなことで、今回の佐世保事件につきましては、いわゆる直接規制ということをなるべけ避けるということ、したがっていわゆる遠隔規制——私どものほうではそういうふうな表現を使っているわけでございますが、あとう限り間隔を置いたところにおいて規制をする。言いかえますならば、放水あるいはやむを得ざる場合ガスというような手段をもちまして、あとう限り相手方の不法なる意図を挫折させるというふうな方法をとる。それでもってなおかつ相手方の意図の挫折が認められません場合でも、相手方の気勢をそいだ上で制圧なり検挙を行なう、こういうような基本方針を立てたのでございます。特に羽田事件、あるいは遠くは砂川事件の例もございますけれども、学生たちは、御承知のとおりに、次第に用います——彼らが言っております武装闘争と申しましょうか、武器というものは、量においても、あるいは質におきましても、次第に、いまはやりのことばで申しますればエスカレートしておるというのが現状でございます。特に、御指摘がございませんでしたけれども、成田におきましては、いわゆる農薬、たいへんな毒性の強い農薬を実は十種類程度使われたことは事実でございます。その内容につきましては目下鑑定中でございますけれども、今後将来に向かって、何とかして負傷者を少なくしたいというようなたてまえから、装備の面につきましてもそうでございますが、実際の規制につきましては、将来とも佐世保でとりましたような遠隔規制ということをあとう限り基本としてやってまいりたい、こういうふうに実は考えております。  その他いろいろ装備の面では、羽田事件が起こりました後に実は考案いたして開発しましたのが、あの石を防ぐためのフォークリフト車のところへ金網をつけまして、そのうしろに一個小隊程度の警察官が石を避けながら前へ出れるというものも実は考え出した次第でございます。今後ともそのような防護のための装備につきましては、なおいろいろ専門家の意見等もお聞きいたしまして開発してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  79. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、負傷者を出さないということについては、ただいまの遠隔規制ということはまことにけっこうだと思うのであります。問題は、できるだけ警察官と学生を衝突させない、こういう態勢をとることが必要だと思うのでございます。こういうことにつきましてはどういう配慮をなさったか、お聞かせを願いたいと思います。
  80. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 今回の佐世保の事件につきまして具体的に申しますと、今回の佐世保におきますいわゆる反対のための集会もしくは集団的示威運動というようなものにつきましては、砂川、羽田の例に徴しましても、学生が、ともかく彼らみずからが言っておりますように、起爆薬となって、要するにショック療法——一般の市民あるいはそういうふうな集会に参加する者に対してショック療法をもって味方に引き入れるのだということを彼らは常々公言しているわけでございます。したがいまして、一般の善良なる、いま申しましたような市民の方々と学生とを分離するという、これは在来もそうでございまするけれども、将来にわたりましても、この分離規制というか、分離方針を堅持してまいることが最も必要だろう、こういうふうに考えております。  さらに、学生に対しましては、これは私どものほうで、先ほども申しましたように、あとう限り直接事前に警告をするというようなことを在来も極力やってまいっておりまするけれども、将来にわたりましては、さらにこの面については精力的にやってまいるつもりでございまするし、さらにまた、いま申しましたような行事が行なわれます場合でも、主催者の方々に大きな努力をしていただくような期待も、また、もっと事前のお願い等も、今回の佐世保の場合にも実はいたしたわけでございます。たとえて申しますれば、十八日の統一行動の日、あるいは二十一日の統一行動の場合におきましても、全国実行委員会並びに中央実行委員会の主催者の責任者の方々とは事前に何度も実は打ち合わせをいたしまして、学生の介入、学生をこの種大衆運動に対しまして参加させないというようなことについて話し合いはいたしました。それは両実行委員会とも御了解をいただいた。しかしながら、学生のほうは、いま申しましたような統制には服さないということが従来の例でございますので、そのような万が一の場合におきましては、デモコースも変更するということを両実行委員会とも御了解をいただき、さらに、道交法の七十七条によります道路使用の許可証をお渡しする場合にも、そのことを実ははっきり明文として打っていただきまして、さらにまた、主催団体のいわば副指揮と呼ばれる方々が、あの佐世保のデモコースの主要な個所にそれぞれ警察とペアで立っていただきまして、そして警察官と団体の双方がその状態を見て、もうこれ以上学生の介入があると混乱をするだけであるからデモコースを変えろという措置を、両者の責任においてやっていただく、実はそういうような経緯に相なっております。したがって、将来とも、このようなことで主催団体の責任者の方々との間によりよい関係を保持して、いま申しましたようなことで無用なる混乱、無用なるけが人を出さないように、今後ともやってまいる方針でございます。
  81. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 博多の九州大学における池田教養部長が開門をいたしまして学生を構内に入れたという事件につきまして、警察当局としてどういうふうにお考えになりますか。
  82. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 福岡県警本部から、そのいきさつについては詳細に報告もまいっておるわけでございますが、この問題につきましては、先ほど来山本委員のお話にもございましたけれども、昨年の年内にもうすでにこのことが予想されたわけでございます。しかもまた、三派系全学連のほうでも、もっぱら……。
  83. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 川島警備局長、池田教養部長の措置に対する警備上の観点からのお考えをお聞かせ願えばいいのです。大学当局の経緯はけっこうでございます。
  84. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ちょっと、私のほうの見解を述べさしていただきます前に一言だけお答えさしていただきたいと思いますが、福岡県警と大学当局との間では、数度にわたりまして、このことを予想して実は打ち合わせを何度もやってきた経緯がございます。その中で、九州大学とされては、現に十五日——あの十六日の朝大ぜいの学生がおりたわけでございますが、十五日の日は、私の報告を受けた限りでは、学校当局側は百五十名の教職員を配置して入れないということを決定になり、また百五十名の教職員が実際に入門を阻止するための態勢をおとりになった。さらにまた、  一方、九州大学の中には、御案内のとおりに、共産系いわゆる民青系の学生は、三派系の学生は絶対入れないということを決議をして、それなりの準備をとっておったわけでございます。  そういうようなこともございまして、そのまま三派系学生が乱入をいたしますれば、おそらく民青系との間にもトラブルが起こることも予想されましたし、また、教職員が、いま申しましたように、前日の十五日は、学生は絶対に入れないということでおやりになった。それをまた、御承知のとおり、裏門からへいをよじ登って入った、それが十五日、雪の降った日でございます。池田教養部長が開門をなされたということについては、警備的な点から申しますれば十六日以降二十三日までの間、九州大学が文字どおり佐世保事件のいわば宿泊拠点になったわけでございますから、警察といたしましては、あくまでも宿泊していただきたくないということを強く何度も学長はじめ関係者の方々に要望してまいった経緯がございますので、私としましては、はなはだ残念なことだと思っておる次第でございます。
  85. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、池田教養部長の措置によりまして、学生が構内に入ることによって、警備の基本方針であるところの、警察官と学生との衝突を避けて負傷者を出さない、きわめて適切な措置であるというふうに判断しております。もしあの際開門がなされなかったというふうな事態があれば、当時の私ども議員団の調査報告にも、駅から静粛に九州大学に向かう学生に対して、終始警察官が追尾をしておった。相当の部隊で追尾をしておったという情勢の中で、開門が行なわれなかった場合は、おそらく佐世保におけるような流血の事態を発生したろうと思う。いわば警備方針の基本である両方に負傷者を出さないということにつきましては、池田教養部長の措置はきわめて適切な措置があった、いわゆる教育的に学生に対処したというふうに私は考えております。  そこで、今回の警備体制につきましては、新聞で報道せられておるところによりますと、警備の広域出動としては空前の規模であったというふうに報道されておりますが、これはどうでございましょうか。
  86. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 空前という表現は、長崎県内における事件としましてはもちろん初めてでございます。しかし、私の記憶が間違いなければ、第一次安保のときにはかなりの警察官が警視庁に応援した経緯もございまするので、数その他において空前というのが当たるかどうか、ちょっと私も……。
  87. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 時間もございませんので、飯田橋事件その他につきましては、すでに委員会等でも質問がされておるわけでございまして、いずれまたの機会に御質問いたしたいと思っております。  私は、今回の佐世保事件は、警備の究極の目的であるところの三派系全学連を中心とするデモ隊の米軍基地突入を許さなかった、また、上陸する米兵とデモ隊との衝突も防ぎ得たというようなことにつきましては、警備の目的を達成できたということが言えると思うのでありますけれども、一般学生にも、警察官にも、また報道陣、一般市民を含めて、当初の基本方針であるところに反しまして、相当の負傷者を出したということにつきましては、まことに遺憾に存じておるところでございます。今回の警備方針を通じまして、警察側として、今後の警備体制について、警察は重大な職責を持っておるわけでありますが、しかも適法かつ最小限度の警備体制をとらなければならぬということが、警察に課せられた使命であるというふうに私は考えておるわけでありますが、この機会に、今度の事件を通じまして、警察側でどういうふうに反省をせられておるか、あるいは全般的に行き過ぎはなかったというふうな答弁を何回も聞いておるわけでありますが、しかし何らかの反省があってしかるべきである、また将来のこの種事件に対しまして検討をすることが必要ではなかろうかと思うのでありますが、それらの点につきまして、時間の関係がございますので簡単でけっこうですからお聞きいたしたいと思います。
  88. 新井裕

    ○新井政府委員 ただいまいろいろ御指摘がありましたように、警備実施のたびごとに負傷者が出るということは、たいへん残念でありまして、まだ負傷者の数の掌握のしかたが足りないという御指摘でございますけれども、掌握された限りの数字を見たって決して少ない数だとは思っておりません。したがって、今後ともけがをさせないといいますか、けがをするそういう事態を未然に防ぐということが一番大切だと思います。たとえば、いまその方法として御指摘になりました、九州大学の門を開いたから負傷者がなかったとおっしゃいますけれども、あの場合は、学生側も角材を持っておりませんでしたから、もしそこで衝突がありましても、平瀬橋のようなことにはならなかったと思います。そういうことを申しますと、むしろあそこに入ったために平瀬橋の事態が起こったというふうに実はわれわれ見ておるわけでありまして、できるだけ学生が、いきり立った形で現場で警察官に襲撃を加えるという事態を防ぐ方法を考えたいというのが私どもの一番のねらいでございます。この間、依田委員にもお答えいたしましたけれども、全学連は警察隊と衝突することを第一目標にするという行動原理を持っておりますので、ともかくそれをそらさなければ、正面に対峙すればどうしてもそういうけが人が出る事態は避けられませんので、そういう意味でわれわれは、今後もやり方を技術的にくふうしてまいりたいと思っております。したがいまして、佐世保事件のみならず、警備実施の大規模なものをわれわれやる場合に、十分に検討すると同時に、あとでも検討を加えまして、そういう衝突の場面が少なくて済むような方法、角材を持っていよいよなぐりかかるまで手をこまねいて見ているということではなくて、その前に制圧をすることによって先方の意図をくじき、実際にそういう角材を振り回すという事態を防ぐことが一番望ましいのではないかというふうに実は考えております。それだけでございませんけれども、警備の実施につきましては、佐世保につきまして申し上げました点は、ほかの場合でも全部通ずることでございますので、できるだけ国民にも心配をかけない、あるいは非難を招かないような方法を今後も研究、努力をしてまいりたいと思っております。
  89. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私は、いまの新井長官の御答弁によりまして、たとえば九州大学の構内に入れなかったら佐世保の状態がある程度まで変わったのではなかろうか、あるいは角材がわりのプラカードその他につきましても、これを持たさないという配慮、これらは今後の警備体制について違法もあえて辞さないというふうな印象を受けるのでございまして、これらにつきましては、相当警察として反省すべきではないか。適法かつ最小限度の警備を行なうということを堅持しながら、治安警察として警備実施をするということが、警察が国民の信頼をつなぎ得る基本でなければならない、私どもはこういうふうに考えております。安易な警備体制によりまして、逮捕できる機会があればこれを逮捕して将来起こり得る事態に備えるとか、あるいは違法ではないけれども適切な処置をとるということを、警備警察あるいは治安警察の基本的な考え方にするところに、将来非常に憂慮すべき事態が起こるというふうな感じを私どもは持っております。  この機会に申し上げておきたいと思うのでありますが、今回の佐世保事件につきましては、羽田事件を通じまして世論の支持を受けない暴徒という判断に対しまして、三派系全学連の暴力行為は、彼らが鋭敏に、国際関係あるいは国内政治に対して反応をしていくという熱情はわからないわけではないわけですけれども、その暴力行為は私どもは是認いたしておりません。これは適法な警備によってこれに対処しなければならない、かように考えておるわけでございますが、そのことに重点を置くあまり、警備警察があるいは彼らを挑発して法規を適用する、あるいはあらかじめ予定せられた法規によって処置をするという安易な考え方になることを非常におそれるわけであります。このことが本来の民主警察の確立に非常に——治安警察から、警察が国民に信頼されるという体制がくずれてくるのではないか、こういうふうな考え方が想像されるわけであります。ただいまの長官のお考え方は、飯田橋事件におきましても、不必要な挑発あるいは法規をこじつけるというふうな考え方、博多駅におきましても、警察官が学生が改札口に出てくるのを待機する、こういうあり方のようであります。  私、今日申し上げたくないと思っておったのでありますが、府県警察の問題で、最近こういう事件が起きたわけであります。昨年末の年末闘争で、大船渡の郵便局で、団交の過程におきまして、郵便局長以下当局側との話し合いの結果、ことしの一月十三日に突如として九名の組合役員が、重い者は免職、停職処分、減給というような、懲戒処分としてはきわめて過酷な取り扱いが行なわれたわけでありますが、これは、当局側の挑発、あるいはふだんなら行なわれないような行政命令をひんぱんに出すことによって彼らを挑発するという態勢、それによって暴力的行為があった、本来の労使の関係、労働運動の本質を離れた暴力的行為があったということで、そういう厳重な懲戒処分に付されておるわけであります。これにつきましてわが党の議員が調査団を組織いたしまして、処分は一月の十三日でありますが、二月の五日に調査に参ったわけであります。調査団が仙台の郵政局に、さらに郵政局の見解をただすべく参りましたあと、六日に大船渡警察署は、これら処分を受けた者を、処分を受けない者一名を含めまして逮捕いたしております。私はこの事件はきわめて小さな事件であると思っております。しかし、今回の博多の事件と符節を合わせるかのごとくに——本来学生は博多駅におりて九大に平穏に向かうという意図を持っておった。これに対しまして千数百名と週刊誌その他では報道せられておりますが、先ほど警備局長からお聞きいたしますと八百何十名だったそうであります。それが博多駅に待機いたしまして、改札口に出てくる学生に異常な圧力をかける。これに対して公安警察官の一隊が監視しながら退去命令を出す。それによって警職法違反を犯すような所持品の検査という事態を起こしているわけであります。事の大小は違いますが、不必要に彼らを挑発し、違反を犯すことによりましてこれを逮捕するという考え方、これは私は非常に危険な考え方だと思うのであります。今後司法警察等におきましても、警職法二条によりまして所持品検査ということをどんどん強行されますか。そういった考え方に立ちます限りにおいては、今後の警察全般の民衆処遇というものに対しまして、法規に違反して、すべての場合に法規の許さないところの所持品検査をするという事例が起こってくることを、私は非常に心配するわけであります。事はきわめて小さな事件との関連でありますけれども、これらにつきまして長官の御意向もお伺いしたいと思うのであります。  私は、時間がございませんのでさらに続けて申し上げたいと思うのでありますが、警察は将来の展望に立たれて、ことに七〇年の安保闘争のデモということに対して非常に過剰意識を持っておられるのではないか。今回のエンタープライズ号の入港等に関連いたしましてその成果をあげるということを急ぐのあまり、本来の民主警察の立場を堅持するということをお忘れになりまして、私どもの最も心配しておる権力警察の立場に立って、適法かつ必要最小限度の措置をとることを誤ったのではないかというふうな印象を受けるわけであります。新井長官もかつての警察を御承知だと思うのでありますが、かつての警察は、治安対策上はあらゆることをしたわけであります。軍部独裁政治時代におきましては常にその足並みをそろえまして、むしろ権力の先端に立って警察が活動したということは、長官にも記憶があられると思うのであります。私どもはこういう暗い時代を再現したくない。警察法の精神であるところの民主警察の確立を治安警察の立場からくずしていきたくない。そのことがまた若い警察官を適正な公務に邁進させる体制をつくり上げるんだという信念を持っておるわけでありますが、これらにつきまして長官のお考えを承りたいと存じております。
  90. 新井裕

    ○新井政府委員 私ども警察法の精神にのっとった警察をつくることは当然でございまして、法規にないことまでやろうというつもりは毛頭ございませんけれども、何回も何回も同じような乱暴な事件を繰り返しておる者に対しまして、だれかがけがをしなければ措置ができないということは、結局負傷者をふやす、双方興奮させて予想以上のけが人が出てしまうという原因じゃないかというふうに実は考えております。プラカードと俗称言っておりますけれども、むしろこん棒に板を打ちつけたと言うほうが適切なものをこのごろ持つようになりました、太さあるいは長さにおきまして。そういうことをやりまして、ことに第一次の羽田事件でそれによってたいへんな数の負傷者が警察官に出ております。これは掌握のしかたが違うという先ほどの御指摘でありましたけれども、この間の成田事件あるいは第一次羽田事件なんかを通じて見ますと、明らかに警察官のほうがよけい負傷をいたしておりまして、こういうことは、われわれ幹部といたしまして、第一線の警察官がいたずらに負傷をするのを手をこまねいて見ているわけにまいりません。したがいまして、できるだけそういうことの及ばない前に——われわれ何もデモそのものを否定しておるわけではございませんが、デモにこん棒あるいは石が必要であるとはわれわれ思いませんので、そういうものは早期に排除するというつもりで、法規に定められた条件に従ってやるということでございます。最小限度という御指摘でありますけれども、この間も御質問がありましたときに中村委員にお答えいたしましたように、われわれは常に防御的な立場にございますので、それ以上のことをするつもりは毛頭ございません。  ただ、ぜひ山本委員に御理解願いたいことは、去年の砂川あるいは羽田以降の三派系全学連というものは、中の派閥争いが外のエネルギーにふくらみまして、何にもしないでは帰れない、何か衝突をしなければ来たかいがないというような、そういう気分でおる状態でございますので、こういう実績のあるものに対しては、実績のあるもののようにあらかじめ法律を用意しておるとおっしゃいましたけれども、彼らの行動の形態が十分に予想されますので、そういう行動があればこういう法律を適用しようというのは、法律の執行官として私は当然であろうと思っております。  それからまた、いま戦前の警察についてお尋ねがございましたけれども、戦前の警察といまの警察とは権限が全く違います。たとえば違警罪即決処分というようなものはございませんし、あるいは行政執行法というものはございませんので、そういう心配は私はむしろ全くない。また、そういうもとに返ろうなどという気持ちは毛頭ございませんので、この点は十分御了解をいただまして、このような何回も実績を重ねて不法を行なっておる団体というものは、この間も、暴力団というのかというお尋ねでありましたが、われわれが言っているいわゆる暴力団とは若干違うかもしれませんが、暴力的な団体であることは間違いございませんので、それを念頭に置いた上でわれわれとしても対処しなければならないということを、十分に御理解をお願い申し上げたいと思います。  最後に、私どもは、警察法の精神に基づいて日本の新しい警察の行き方を今後も貫いていきたいと思っておることを、重ねて申し上げます。
  91. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ただいまの新井長官の御答弁、私きわめて不満に感じます。通り一ぺんの御答弁であるわけです。いずれ、飯田橋事件だとか、あるいは博多の事件等につきましては、告訴、告発等もありますし、人権擁護の申し立て等もあるわけでありまして、その具体的なことが進むと思うのでありますが、また、私も機会があれば御質問いたしたいと思うのでありますけれども、私はそういう通り一ぺんでなくて、警察の今後の治安対策につきまして、対象はともかくといたしまして、警察はこうあるべきだ——私は強いことに一向反対はいたしません。しかし、あくまでもお話がありました新しい警察制度のもとにおける、新しい憲法上における警察の立場、精神、いろいろなくふうによって国民の自由と権利を守るというふうな、そういう国民のための警察という立場を堅持しながら治安警察に対処願いたい、そういうことをくふうしてもらいたい、堅持してもらいたいということを要望したいのであります。  先般の奥野委員の質問に、議会制民主主義と三派系全学連との関連を、議会制民主主義と暴力革命とを対置する中からとらえておるような御発言があったのでございますが、私はそれに反対でございます。わが国の今日の体制に暴力革命の土壌はないと私は確信しておるわけでありまして、そういう観点でお考えになるところに、今後の治安対策に大きなあやまちをおかすのではないかというふうに私は考えておるわけであります。  佐世保事件におきましても、砂川事件におきましても、全学連の暴力行為はあったわけでありますけれども、やはり佐世保市民の世論の前には謙虚にこれに従っておる。砂川事件でも、反対同盟が中間に坐り込むことによりまして全学連が後退したというような事態。さらには学徒として学園から追放することではなくて、学園の中において根気よく彼らに対話を続けていくというところに、治安警察の非常にむずかしさと重要性があると思うのであります。  今日の背景は、エンタープライズの入港につきましても、自民党の代議士の中にも、その時期を考えなければならない、なぜ国民の感情を無視してまでも入れなければならないのかというふうな議論がなされているわけであります。こういった将来の国際政局に対する危惧の念は政治家の中にもあるわけであります。したがって、私は右傾化する佐藤内閣は国民の支持を失っていくのではないかというふうな感じがいたしておるわけでありますが、そういう国の政治に、警察が昔のような治安警察の面から先兵的な役割りを果たす、りっぱに警備をやってのけたのだというふうな考え方からだけ考えますと、本来の警察の、国民の信頼を得なければならない、民主的な運営をしなければならぬという大局を見失う。全学連も鋭敏に考える。警察も鋭敏にこれに反応するということによって、将来の治安警察そのものの大局を見失うというふうな感じがいたしておるわけであります。  その辺のことにつきましては、いずれまた機会がありましたらいろいろお尋ねいたしたいと思うのでありますが、時間がないのでこの辺で打ち切るわけでありますが、私は、いろいろな問題を投げかけ、また、いろいろな問題をはらんでおるというふうに考えます。いわば今後の警察が民主警察を確立する方向に向かうか、あるいは司法警察も含めて、警備警察あるいは治安警察の面からまたあと戻りするというふうなことがあってはならない。それは絶対に許されない。そういうことを心配いたしますので、今後の善処を新井長官にお願いをし、また、公安委員長にも、私は直接公安委員長としての所見をお尋ねしたいと思ったわけでありますが、おいでになりませんので、またの機会に譲りますが、私の気持ちをお伝えおき願いたいと存じております。  ちょっと一言答弁をお願いして打ち切ります。
  92. 新井裕

    ○新井政府委員 ただいまいろいろ御意見ございましたけれども、私どもは、いまのやり方があと戻りの警察になるとは毛頭考えておりません。いろいろいま、われわれが刑事警察なり外勤警察なりで苦労しているということをお話し申し上げれば、十分御理解いただけると思いますし、先ほどから何回も申し上げますように、われわれは法律のもとにおいてやるのでありまして、戦前のようなああいう行き方になるとは、そういう条件が私どもにあるとは考えておりませんが、御指摘の点は御忠告として十分受け入れてやってまいりたいと思います。
  93. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私どもは第一線の警察官の苦労はよくわかっておるわけです。第一線の警察官がいかに苦労しておるかということは、私ども十分存じております。しかし、その苦労が、警察運営の衝に当たられる方々の政治的判断、あるいは十分なる体制、指揮ということによって、むだな苦労をさせるということのないように、いわば第一線の苦労が国民に認識をされるような警察の確立に首脳部自身が苦心をしていただきたい、そういうことをお願いしておきたいのであります。どうぞ十分御配慮願いたいと思っております。
  94. 吉川久衛

    吉川委員長 折小野君。
  95. 折小野良一

    ○折小野委員 時間の関係もございまして御迷惑をおかけいたしますが、短時間に二、三の問題を御質問いたします。  羽田あるいは佐世保、そういう一連の問題において、表面に出ております三派系全学連の諸君と警察官との間のいろいろな紛争、暴行、こういう事態を、警察の立場におきましてはどういうふうにお考えになっておるか。一般的に申してですが、たとえば緊急避難あるいは正当防衛、こういう立場でお考えになっておるのか、あるいは警察としての行動として当然許されておるものだというふうにお考えになっておるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  96. 新井裕

    ○新井政府委員 あるいは的はずれなお答えになりましたら、また再答弁いたしますが、私どものこの間うちやりました警備実施は、すべて警察として当然やるべきこと、やらなければならないことをやったというふうに考えております。ただ、個々の事態におきまして、それを法理的に正当防衛と理解すべきものであるか、あるいはは緊急避難として理解すべきものがあるかどうかというお尋ねなのかどうか、ちょっと私も理解できないのですけれども、全般としてはそういうことだと考えております。
  97. 折小野良一

    ○折小野委員 全般としては、警察の活動として当然に許される行動として行なわれた、その中で緊急避難あるいは正当防衛という立場で考えられるような問題がございましたかどうか、あるいはあったと御判断になっておるかどうか、お伺いいたします。
  98. 新井裕

    ○新井政府委員 ただいまの、たとえば警察官が襲撃を受けまして、死にそうになって、正当防衛として反撃をしたというものがあったかどうかということでございますけれども、実は私ども、そこまで考えておりません。全般として、いまお話しいたしましたように、正当な警察官の行動であったというふうに見ております。
  99. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは次に、警察といたしましては、予想されるいろいろな事態に対しまして、いろいろな準備その他をやられたわけでありますが、その中に装備その他があるわけなんです。石が投げられるということを予想して網をつくるとか、あるいはこん棒でなぐられることを予想してたてをつくるとか、こういう面は、別に私ども、考えても差しつかえないと思うわけですが、いわゆるガスを使う、あるいはそれを放水に混入してやる、こういうような用意のしかたにつきましては、どの程度の根拠をもってこれをお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  100. 川島広守

    ○川島(広)政府委員 ただいまのお尋ねの点につきましては、先ほどもお答えしたことと関連いたすかと思いますが、今回の警備の方針は、先ほど山本委員の御質問にお答えしたとおりでございます。そこで、いま御指摘のございました放水でございますとか、あるいはガス及びガス水というようなものの使用でございます。これはあくまでも、法的な根拠から申しますれば警職法五条の制止でございます。制止でございますけれども、われわれ内部規制といたしましては、ガスを使うという場合は、他にとるべき手段がないというような場合でございます。具体的に申しますれば、警職法七条の本文に武器を使います場合の使用要件というものがございます。したがって、実際に使います場合には、警職法七条本文の使用要件を満たした場合だけしか使わないわけであります。したがいまして、平瀬橋事件等に徴して御理解がいくかと思いますけれども、あのような場所、非常に狭い場所でございます。しかも、橋を渡られますと、直ちに両側が基地になっております。したがいまして、いわゆる警備の阻止線といたしましては、橋及び橋の西詰めのところでこれを阻止いたしませんことには、警備の目的を達成せられないわけであります。そういう意味で、今回使用いたしましたガス等につきましては、いま申しました警職法七条の使用要件を満たすという判断の上に立って実はあらかじめ準備をした、こういう次第でございます。
  101. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろの考え方はあろうと思いますし、また実際、それを使った場合の判断というものもあろうと思っております。そういう立場から考えて、今回の一連の事件にそういうようなものを使われた。それが警職法で許されております限界、この限界にもいろいろな判断のしかたがあろうと思います。いろいろな状況の中における限界ということになっておりますけれども、そういう面から見まして、今日までの警察の行動、これは許される限界の範囲内、こういうふうにお考えになっておりますか、あるいは、場合によっては限界をこえたものもあるというふうにお考えになっておりますか、お伺いします。
  102. 新井裕

    ○新井政府委員 いまお尋ねの趣旨から申しますと、その限界の中にあるというふうに理解いたしております。
  103. 折小野良一

    ○折小野委員 今回の一連の事件を見てみまして、国民は国民なりにいろいろな判断をいたしております。また、見る角度もいろいろ違ってこようと思います。警察庁のほうでは全体として行き過ぎはなかった、こういうふうにおっしゃっておるわけでございますが、しかし、いろいろな報道あるいは見た人の目、これによりますと必ずしもそうではない、あるいは部分的にそうではないものもあるやに考えられるわけであります。私どもが見る範囲は、結局新聞その他による、あるいは個々の部分をテレビとかそういうもので見ております。こういうことなんですが、そういうもので見た場合に、全体としては行き過ぎはなかったにいたしましても、個々には一部の行き過ぎというものはあったんじゃなかろうか。もちろん、警察官といえども人間ですから、興奮のあまりやってしまう、あるいはときの勢いで限度を越える、いろいろな事態があるでしょう。そういうような一部の行き過ぎ、こういうものにつきましては、どういうふうにお考えになっておりますか。
  104. 新井裕

    ○新井政府委員 お尋ねのように、私ども全般としては行き過ぎはなかったと考えております。ただ、こちらも部隊、先方も集団、そういうものでぶつかり合っておりますので、そのぶつかり合った瞬間、瞬間を静止してとらえてみれば、いま御指摘のような批判があることを私どもよく承知いたしております。いたしておりますけれども、部隊全体、集団全体としての行動を考えれば、これはやむを得ない行為があったというふうに実はわれわれ考えております。ただ、何としてもわれわれ残念に思っておりますのは、第三者にけが人が出たということであります。これはわれわれとしても文句なくたいへん残念なことだと思っております。
  105. 折小野良一

    ○折小野委員 そういうような一部の行き過ぎがあっても、まあやむを得ないことである、もちろんそういうふうに考えられる事態も多いんだと思っております。  私がこれを申し上げるのは、何もその個々の人をとらえて、個々の事例をとらえてこれを処分するとかなんとか、そういうことを申しておるのじゃありません。ただ、そういうような一部の行き過ぎ等がございましたら、やはりそれに対してただ単にやむを得なかったんだということでなしに、指導とかその他当然善処する方法はとらざるを得ないんじゃないか、また、とらなければいけないんじゃないか。たとえば、そういうような人が本来警察官として適当でない性格の人であったということがあるいはあるかもしれません。あるいはそういう場面に置くのに適当でなかったということもあるかもしれません。あるいはもっともっと警察官の心得、任務、こういうものについて指導をすべきであった、こういう面もあるかもしれないと思うのであります。したがって、こういうような現象につきましては、ただ単に、やむを得なかったということだけでなしに、今後、より民主的な、より国民に期待される警察になり、また警察官であるために、やはりいろいろな指導その他を十分行なわれることが必要ではなかろうか、かように考えますが、長官の御意見をお伺いします。
  106. 新井裕

    ○新井政府委員 それに対しましては、先ほどからしばしばお答えをいたしておりますように、警備実施のやり方そのものを、なるべくからだと接する、ぶつけ合うというようなことを避けて、遠隔規制を行なって、相手方の意図を放棄させれば済む、そういう方法がないかというので、放水あるいはガスを使ったわけでありますけれども、今後、いまもっと突っ込んで、たとえば警察官の個々の適性その他をどう思うかというお尋ねでありますけれども、その点は十分に考慮して採用をしておりますし、採用した後の配置についても、その点は十分考慮し、またいろいろくふうも各県でいたしております。  それからもう一つは、部隊の行動そのものにつきまして、実は一個分隊というものが十人余りあって、そこにただ一人の長がいるというよりは、むしろ一個分隊というものを五人程度にしたほうが、われわれの仕事からいえば監督が適切にいくのじゃないかというようなことも、実は一つの例として検討いたしております。警備実施そのものができるだけ冷静に沈着に行なわれるということが望ましいわけでございますので、その方向に持っていくようなくふうはないかといろいろ検討いたしております。
  107. 折小野良一

    ○折小野委員 お互い人間でございますから、完全な人間を期待するということはなかなかむずかしいことでございます。警察官といえどもその面においては変わりはないと思っております。決して直ちに完全な警察官を期待するということはできないでございましょう。したがって、あらゆる方法でお互いに努力をしていくということ以外にないのではないかと思っております。  それに関連いたしまして、三派系全学連と警察、特に機動隊とが対立をする、にらみ合う、そしていろいろな行動に移る。まことに国民から目まして不幸な、また遺憾な現象がそこに出てきておるわけなんですが、そういう場面に当たりました警察官、特に若い警察官に対する心理的な影響といいますか、こういう面についてはどういうふうにお考えになっておるか。もう少し具体的に申しますと、特に機動隊に所属しておる警察官というのは、三派系全学連とほとんど年の上においても変わらないような若い人たちだと思うのです。場合によっては片一方は親の仕送りを受けて学生生活をやっておる。そういう意味においてはいわば恵まれた人です。片一方は大学にいかれない人もありますでしょう。いずれにしても警察官という職務をやる、しかもその中でそういうような学生と対立しなければならない。そういう場面を経て、若い警察官がどういうふうに考えるか、その心理にどういうふうな影響があるのか、こういう面につきましては、やはり指導される幹部の方々としては、十分判断をして、適切な指導というものが行なわれなければいけないのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。そういうふうな面の考え方というものを聞かれたことがあるのか、あるいはそれを聞いてどういうふうな指導をしようとしておられるのか。そういうような面について御答弁願いたい。
  108. 新井裕

    ○新井政府委員 全国的にそういう調査をした資料はございませんけれども、各県ごとに、いま折小野委員がおっしゃいました点は、われわれも必はり心配でございますので、思いつく点を機会あるごとにアンケート調査というようなもの、あるいはもっとひざを交えて個別的に相談をするもの、そういうことを繰り返しておりまして、その報告が随時われわれのほうにまいっておりますが、全般的に申しますと、大学生に対する反感というものは、われわれ学生であったときのことを考えると、いまのほうがずっと薄いという感じがいたします。一つは、大部分の巡査諸君は、いまは高等学校を出ておりますので、そういう点もあるいは関係があるのかもしれませんけれども、われわれが前に感じておったよりはそういう点は少ないようでございます。それと同時に、もう一つは、われわれとしてもしんぼうする訓練というものを初任科の当時からやっておりまして、そういう心ないばりざんぼうを浴びせられたときも、動揺しない訓練、これはほかの国の警察でも同じような訓練をしておるようなところがあるようでありますけれども、そういう訓練をいたしまして、たとえば、すぐ出る税金どろぼうというような悪口に対しましては、いま折小野委員がおっしゃいますように、税金どろぼうはむしろ学生だという気持ちが確かにあろうと思いますけれども、そういうものに単純な反応を示すということのないように訓練をいたしております。そういう心理的なある程度の調整はやっておりますから、われわれが心配するほど若い人たち同士の反目という気持ちは比較的少ないんじゃないかというふうに思います。しかし、これはもう何といっても個別指導を要する問題であり、基本的には自分の仕事というものに対する義務感を中心としての職業的しんぼうというものが中心にならねばなりませんので、何回でも反復して教養を実施してまいりたい。学校で教養する以外に、機動隊みたいなところに入ります者については、機動隊の中でそういう教養を反復実施いたしております。
  109. 折小野良一

    ○折小野委員 そういう点についていろいろ御配慮のようでけっこうでございますが、もうちょっと前でございますが、たしかNHKが調べた世論調査、その中で、私どもはたから見ていますと多少異様に感じたのですが、最近の国民の職業観、そういうものを調査した資料が発表されたことがあります。その中で警察官に対する国民の期待がわりあい大きい。警察官に対するその職務の重要性といいますか、そういうものに対して国民が非常に高い関心を持っておる、こういうような数字が出ておりました。私どもはたから見ますと、少し異様には感じたのですが、そういうような面から考えますと、やはり国民は警察に対して非常に大きな期待を持っておる。また、警察という職務に対しても非常に高い評価を与えておる。こういうことが一応言われるんじゃないかと思います。といたしますと、警察官といたしましては、当然そのような国民の期待にこたえ、また、より高い使命感の上に立って職務を完全に遂行していただかなければならないわけでございます。そういうような点から、ひとつ特に若い警察官の教養指導、こういう面については十分な御配慮をいただきたい、こういうふうに考えるわけであります。  ところで、こういうような事件が次から次に起こるということは、まことに不幸なことでございます。こういうような事件が起こらないことこそ私どもは念願をするわけです。ですから、こういうような事件が未然に防止されれば非常にありがたい。まあしかし、先ほど来の長官のお話によりますと、相手は三派系全学連で、大体そういうことを目的にしてやってくるんだから、これはしようがない、こういうようなお話でございます。また、警察の立場といたしましても、非常にむずかしいと思っております。しかし、今日までの一連の事件を経てきた反省と申しますか、そういうような面から、特に国家公安委員会あたりで、このような事件を未然に防止するためのいろいろな方策、こういう面について御検討になっておりますか。技術的ないろいろな検討はなされたというふうに先ほどの御答弁では伺っておりますが、もっと高い立場から、こういうような暴行事件的なものがなくなるように、少しでも減るように、こういう立場でいろいろな検討をされたことがありますかどうか。ございましたら、その内容についてお聞かせ願いたい。
  110. 新井裕

    ○新井政府委員 具体的に、いま申しましたようなことについて、結論を出したことはございませんけれども、公安委員会のたびごとに、そういうことは議題になり、委員さん方おのおの御意見を開陳なさいます。しかし、これは警察だけの立場ではなくて、警察を離れた立場あるいは警察よりもっと次元の高い立場における対策をとらなければ、警察的な措置だけでこういうものが終結をするとはどなたもお考えになっておらないようでありますし、われわれ自身も、全学連が警察だけの問題だというふうなとらえ方をしていることをたいへん残念に思っております。われわれは、現象に対してそういう処置をしておるだけにすぎないのでありまして、基本はやはり自治会というもののあり方をどういうふうに持っていくかとか、あるいは学生自体の気持ちをどういうふうに補導するか、たとえば高等学校を出て大学一、二年に入った教養学部の教養がたいへんつまらない、それがいまの学生をああいう一種の絶望的な行動にかる原因だということを、たとえば茅誠司先生なんかが指摘しておられます。そういう点の対策をもっととっていただかなければ根本的には片づかないというふうに思います。そういう意味では、われわれの対策はあくまでも切り張りこう薬の役割りでしかないと私どもは思っております。しかし、その間におきましても、依田委員もおっしゃいましたが、何回も変な悪循環を連続してやるということは知恵のない話でございますので、先ほど来御意見のありましたように、できるだけ直接衝突をしないで解決できる方法を考えてまいりたいと思いますが、その場合にも、折小野委員が御指摘になりましたように、われわれのほうは防御的なものはいろいろ考えますけれども、強力な道具をこの際もっと使おうなどという気持ちは毛頭ございません。たとえば放水のごときものは、ヨーロッパなりアメリカの放水はもっとノズルが大きくて気圧も高いようでありますけれども、これは非常に危険性があるますので、われわれはとるつもりは毛頭ございません。やはり日本は日本に適した方法があるというのがわれわれの考え方で、根本的にはいまのたてまえを根気よく繰り返してやってまいりたいと思っております。
  111. 折小野良一

    ○折小野委員 これで終わります。
  112. 吉川久衛

    吉川委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。   午後一時二十七分散会      ————◇—————