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石野委員 中国の場合、実際にいまわれわれの理解しているところでは、
金額では八〇%、それから品目では四五%くらいですね。国定税率が適用になるというのは。
金額二〇%、品目五五%というものについてのこの内容は、いま言った交渉の口種をつくっておくのだということ、それからもう
一つは、国内産業を守るんだということなんですが、はたしてその国内産業を守れるような実態になるのかどうか、このところ特に私は
考えてもらいたいと思うんです。たとえば今度のケネディラウンドを適用されて、そして税率の
改正が行なわれる品目で、しかも中国と取引する品目の中に直接結論が出てくる問題があるわけですよね。それがはたしていま局長が言われるように、国内産業を守る面にいい面が出てくるのか、逆にそれが
日本にとっては損になる面が出てくるのかということをわれわれは
考えなければいかぬですよ。たとえば第二類の魚類
一つ見ると、一〇%の税率が五%になるわけですね。普通は。ところが、中国から来る生鮮のものは一〇%そのままでくるわけですね。そういうことになれば、これはとても入りっこありません。もちろんこれに対して、いま近国からそれにかわるべきものは入るのかもしれませんけれども、たとえば昨年一年だけで十四億円のものが入っております、中国から
日本に対して生鮮魚類が。これらのものがもしそのままではこれはとても入れない。韓国とかなんとかから入るんでしょうけれども、あるいはまた、中国のものを香港で仕入れて、仲買いをして、とにかく五%の差がありますと、これをやはり中間で中継ぎしてここへ持ってきても売れるそうですよ。十分仕事ができるそうです。それからまた、第五十類にあるところの絹糸のごときものを見ましても、これは昨年一年で中国から約五十億円の輸入がありますが、ケネディラウンドによる格差がつけば、その分はイタリヤとか韓国なんかの糸が入ることになるわけですね。ところが、これは実際に香港を通じて入れば、一五%が七・五%で中国は生糸を出すことができるわけですよ。そして香港を通じて同じように中国のものは
日本に入ってきておるのですよ。その場合にどういう結果が出てくるかというと、同じ中国のものが香港を通じて
日本に入ってくると、香港を通じて入ったものについては見返りがないですよ。中国のものであれば、今度の覚書交渉によってバーターでいきますから、向こうから入っただけのものは
日本から輸出できるんだ。ところが、香港から入ったものはそうはいかないでしょう。だから、こういうような問題はもう少し真剣に
考えるべきだと思うのですよ。また、たとえばブラウスなんかでもそういうことがいえるんじゃないですか。いま中国からブラウスが一
年間十億円入っているというのです。これは六一・〇二ですね。この女の子あるいは
子供なんかが着ているブラウスというものは、中国から入っている。これが三〇%ですね。それが今度ケネディラウンドによって二二・五%と二一%になるんだそうだが、九%の差があると、これは香港で中国のものを受け取って、それを
日本に持ってきてりっぱに商売できるそうですよ。その場合、かりに十億円のものがそうなったとすると、中国との間の取引なら、十億円のものは見返りとして
日本は買った分を出すことができるが、香港との取引でしたらそうは簡単にいきませんよ。そういうことを
考えると、いまおっしゃられるような国定税率の
改正という問題で適用されておる大豆とか銑鉄というような大ものだけはやっておりますけれども、この五五%の品目、二〇%に相当する
金額というものは、非常に
日本の貿易量の上においては重大な問題を持ってきます。もちろん
金額そのものはたいしたことはありませんけれども、約三百六十何種類という種目というものに関連する商社筋というものは、徹底的につぶされてしまうのですよ。中国と取引している商社は。だから、こういうようなことを
考えました場合に、私はやはり中国のものを、便益関税とは言いませんが、国定税率によって結果的には五条の適用が行なわれる結果が出る、そういう扱いをするなら全部やるべきだ、やらないなら全部やらない、それをはっきりすべきだと思うのです。
ここで問題になるのは、
大臣に聞いてもらいたいことは、関税政策というものは、結局
日本の貿易を拡大する——もちろん国内産業も保護しなければいけませんけれども、しかし、主として今日の段階ではやはり輸出を増大させるために論議されているものだと思います。今日定率法の一部
改正の問題は、やはり一〇〇%輸出増強のために論議されてきておるものだ、こう見て間違いないと私は思います。そういう観点からして、今度自民党の古井君や田川君たちが取りまとめてまいりました日中覚書貿易協定というものの意義と関税定率法の
意味するものとのかね合いを、
政府として統一させなければいけないだろうと思うのです。私は、今度のこの定率法の
改正によって、そして関税定率法が準用される形で出てくる結果としては、この二〇%の
金額、五五%に匹敵する品目に関しては、これに関連する商社筋は、ばたばたと倒れていくだろうと思います。ことに、それに見合う
金額というものは見返りがつかない貿易量となって、第三国が中間にこれを扱うことになってきて、日中貿易の側面からいいますと、逆にいわゆる定率法の中における差別待遇が行なわれるという結果が出る。相手は差別待遇と見ます。だから、中国がそう見てまいりますと、日中貿易の側面からいって、いわゆる互恵平等といいますか、その精神というものは全く踏みにじられてしまうことになるのじゃないかと思うのです。だから私は、この際、
大臣にひとつ今度の定率法の
改正に伴う政令につきましては、これらの点を十二分に勘案してやってもらわないと困るんじゃないか。だから、これを品目別で差別するというふうなことではよろしくないので、できることならば、第五条は国または品目ということになっているわけですから、その国の指定は全面的に指定すべきじゃないか。これは、いま中国は国交がないからというようなことで、国の指定はできないという
理屈はないと思うのです。それはたとえば渡航の問題でも何でも、これは中華人民共和国というものを
政府は
認めてやっておるわけでございますから、いわゆる国交のない国だからというので貿易ができないわけじゃございません。
ことに私は、もう
一つ真剣に
考えなくちゃならぬ問題として申し上
げたいのは、非常に差別待遇をしているところ、たとえばアルジェリアとの貿易は、
日本に対しては非常に差別待遇をしているけれども、
日本の輸出をふやすために、
日本ではいわゆる便益関税を適用しているわけでしょう。こういう実例もあることから
考えると、今度の日中貿易に対する自民党の古井、田川君たちの
努力、そしてまた、
政府自身が日中貿易に対して真剣に
考えている態度からしても、今度の定率法の
改正に伴う日中間の扱いについては、全面的に、一〇〇%やはり便益関税に相当するような国定税率を適用すべきではないか、こういうふうに思うのだが、ひとつ
大臣の所見を聞かしてもらいたい。