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1968-03-01 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月一日(金曜日)     午後六時五十分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 渡辺美智雄君 理事 只松 祐治君    理事 村山 喜一君 理事 竹本 孫一君       大久保武雄君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    河野 洋平君       小山 省二君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    砂田 重民君       地崎宇三郎君    西岡 武夫君       古屋  亨君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       吉田 重延君    阿部 助哉君       佐藤觀次郎君    中嶋 英夫君       平林  剛君    広沢 賢一君       岡沢 完治君    田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局次         長       相沢 英之君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         国税庁長官   泉 美之松君         食糧庁長官   大口 駿一君  委員外出席者         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月二十九日  委員河野洋平君及び岡沢完治辞任につき、そ  の補欠として藤山愛一郎君及び西村榮一君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員藤山愛一郎君及び西村榮一辞任につき、  その補欠として河野洋平君及び岡沢完治君が議  長の指名委員に選任された。 三月一日  委員岡沢完治辞任につき、その補欠として西  村榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として岡  澤完治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月二十九日  関税定率法等の一部を改正する法律案内閣提  出第三一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融  通特別会計法を廃止する法律案内閣提出第一  五号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第二二号)  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三二号)  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第四七号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定基づ  き、税務署の設置に関し承認を求めるの件(内  閣提出承認第一号)  国の会計に関する件  税制に関する件      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  国の会計税制に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。阿部哉君
  3. 阿部助哉

    阿部(助)委員 おそくなりましたし、大臣もお疲れだと思うので、簡潔に御答弁を願います。  まず第一に、このたびの予算総合予算主義ということでだいぶ宣伝をしておられますが、総合予算主義とは一体どういうことなのか、簡単にひとつ御答弁願います。
  4. 水田三喜男

    水田国務大臣 総合予算主義とは、別にむずかしいことではございませんで、むしろこれが予算編成の正しい正常な姿だというふうに思っております。財政需要を一応全部並べて優先度をきめ、各施策間の均衡をとるということによって経費配分をするのがほんとうでございますが、従来は、年度中途に予想される大きい補正要因を残しながら、そのまま当初予算を組むということをやってきました。これができたのは、結局成長期でございましたので、年度中途補正するだけの財源自然増というものが、いままで期待できたということから、この方式が普通のようになっていたわけでございますが、御承知のように、食管赤字人事院勧告による給与の増額、こういうようなもので補正予算の規模が三千億になるというようなことになってまいりますと、四十三年度予算からはとても年度中途でこういう補正をやる財源というものは得られない。三十年代と違って成長が鈍化したときに、年度の途中でこういうことはもうできないということがはっきりいたしましたので、もう目一ぱい歳入を当初において見て、そうして予算配分をするということをやったわけでございますが、これが普通の編成主義でありながら、いままでが異常でありましたために、今回やったことが特に別なことをやっておるようでございますが、そうじゃないと私は思うのです。いままでのものが初めて本来の姿に戻る予算編成を今度やったというふうに考えております。
  5. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いままでも自然増が見込めれば、見込める時点においてはそれを見込んで年間の予算を立てるというのが当然だと思いますし、いまの大臣のおことばもそういうことだと思うのですが、いままでそれをやっておらなかったというところに問題があると思います。いま自然増があるからないから総合予算を立てる立てないんじゃないんだ、本来、これがほんとうの姿だ、こういうことですね。しかし、いまここで総合予算という形で今年発足しても、いろいろな要因が出てくれば、財源があるないにかかわらず、どうしても必要だという経費が出てくれば、やはり補正というものを組まざるを得ないと思うのですが、その点はどうですか。
  6. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは先ほどの予算委員会でも出ましたが、特に大きい災害とかいうような特別なことが起これば、当然そういうような予算の組みかえを中心にした補正というような必要もあるいは起こるかもしれません。これを、絶対そういうことはないんだということを否定するわけじゃございません。
  7. 阿部助哉

    阿部(助)委員 補正を組まないわけではないということでありますので、その点はわかりましたが、昨年の予備費は七百億、今年は千二百億の予備費を組んでおりますが、この予備費の中に、公務員のベースアップに必要な金が組んである、こういうことでありますが、この五百億というのは給与として見込んでおるわけでありますか。
  8. 水田三喜男

    水田国務大臣 予測しない予算の不足を満たすための予備費でございますので、これは給与幾らとか災害に対して幾らというような、この予備費の中にはその区別をつけていない。全体としてそういう起こり得る事態に対処する予備費でございますので、何が幾ら、何が幾らという区別はしておりません。
  9. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすれば、予備費は五百億だけが給与に回るということではなしに、人事院勧告が出、それに必要な額というものはそこから出していく、こういうことでありますか。
  10. 水田三喜男

    水田国務大臣 まだ人事院勧告がわかりませんので、いつから実施するかとかあるいはどういうベースアップをやるかという勧告が出たときに、この予備費の中で人事院勧告を十分実施できるように最大限努力をする以外には方法はないだろうと思います。その場合に災害がどうなりますか、他の財政需要と比べてそのときに最大限努力をするというよりほかにはしかたがないだろうと思います。
  11. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうしますと、念のためにもう一度お聞きしておきますが、いま、人事院勧告がどういう形で出るかわからない、そういうことでありますが、一応予想されますのは、今年の物価はもうすでに出発当初から三%以上のげたをはいて出発するということになれば、当然四十二年度物価以上に上がるだろうということは政府も認めておるところであります。そうすれば、昨年以上に大きな給与関係の金が要るだろうということになってくると思うのでありますが、その場合やはり必要があれば補正を組むという点をもう一度確認しておきたいと思います。
  12. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、この予備費の中で対処し得るというふうに考えております。もし予備費の充実をやっておかなかったら、来年度あたりは人事院勧告が出てもどうにもできないという事態になることが予想されますので、大幅な予備費をここでとっておいたということによって、人事院勧告については最大限努力をすればこの予備費の中で対処し得るというふうに私はいま考えております。
  13. 阿部助哉

    阿部(助)委員 この中で対処し得ると言うけれども予備費は予側しがたい災害というものもあり得るわけですし、常襲災害国だといわれる国であります。昨年七百億組んだ。それでいろいろと災害が起きてくる。また今度四十三年度に起きないという保証はない。そうすれば、昨年に比べて五百億くらいで足りるはずがないじゃないですか。いまのお話のように、この予算予備費に組むことによって、何か人事院に暗黙の圧力を加えるという感じがしてならないわけでありますが、人事院勧告は尊重するというお考えでありますか。
  14. 水田三喜男

    水田国務大臣 もう経済成長がそう期待できない、むしろ調整をしようという政策をとっているときでございますから、当初予算におきまして相当の予備費を準備しておくということのほうが人事院勧告に対処し得る態度をとっているということで、これをやらないほうが、人事院勧告に対して私どもが制限を加えているというようなことになるんじゃないかと考えておるわけであります。
  15. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だけど、これは人を使っておれば、当然人事院勧告を尊重するというたてまえでいくべきなんであって、それが人事院勧告が出た時点でもし予備費で足らなくなれば補正組むということをおっしゃっておるんだから、まず人事院勧告は尊重するということははっきりここで御答弁を願うのが当然だと思うのですが、何かいまのお話だと、これで間に合うつもりだ、こうなると、先ほど言ったように、何か人事院でこのワクの中で操作をしろというようにしか受け取れないのですが、その辺どうですか。
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 ことしの歳入は私ども目一ぱい見てありますので、その歳入がいま当初予算で予定したものより多くあるかどうかということは非常に来年度は疑問なときであると私ども考えております。したがって、あらゆる努力をしてこの予算範囲内で対処するという考えを持っていなければ、これは実際問題としてむずかしいのじゃないかと思っておりますので、私どもはこの予備費の中において最大限努力をするというつもりでおります。
  17. 阿部助哉

    阿部(助)委員 政府は、当然増がふえて財政硬直化したと——時間がないから私のほうから申し上げますが、この当然増の中身としては法律的な、制度的な当然増、もう一つ計画増の上からくる当然増、あるいはまた自民党の圧力からくる増という形にあると思うのですが、ほんとうならば計画増のほうを切り詰めるべきだったんじゃないのですか。法律制度できまっておる金を切り詰めて押えつけていこうという考えは間違いではないんですか。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 当然増は、法律制度、慣行によって当然増加しなければならない義務的な経費でございますので、当然増はもう当初予算においてほとんど全部の項目にわたって削減しておりません。
  19. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それではこの問題はあとに回しまして、まず食糧庁長官にお伺いをいたしますけれども、今度の四十三年度生産者米価というのは何に基づいてきめられるのですか。
  20. 大口駿一

    大口政府委員 米の生産者価格は、四十三年度に限らず、従来から食糧管理法規定基づいて決定されておりまするし、本年度もその方針には変わりございません。
  21. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすれば消費者米価もやはり食糧管理法四条基づいて決定する、こう了解してよろしゅうございますか。
  22. 大口駿一

    大口政府委員 そのとおりでございます。
  23. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いま、大蔵省のほうから農林省のほうに向かって、今度の生産者米価消費者米価決定についての何か御相談あるいは申し入れというようなものがございましたか。
  24. 大口駿一

    大口政府委員 生産者米価消費者米価決定は、先ほど申しましたように、食糧管理法規定基づいて決定をするわけでございますが、まだ決定をいたす時期はだいぶ先のことでございますので、基本的な方針として法律基づいて決定するということは申し上げましたが、まだ大蔵省当局とも事務的にその問題について御相談をする時期ではないと思います。
  25. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それでは大蔵大臣にお伺いしますが、生産者米価消費者米価食管法三条四条基づいてそれぞれ決定する、しかし大蔵大臣は、今度は、四十三年度総合予算主義をとったということ、また、補正財源を必要としない方式確立を期することといたしておりますと、こういうことを前提に予算が組まれ、いま予算委員会審議がされておると思うのでありますが、そうすると、この新しい方式とは一体どういうことを大蔵大臣はお考えになっておりますか。
  26. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは結局主管庁米価審議会の諮問も経て、きめる事項だと思います。私のほうは、財政当局としましては、来年度食管会計にどれだけの繰り入れワクを準備しておけばいいかということから、二千四百十五億円という金額を当初予算で組み入れておいたということでございまして、今後この米価をどう決定するかというようなことにつきましては、私どもはこれで予算補正をしなくても済むような合理的な方法確立を期待するということであります。
  27. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私の聞いていることと全然違うのでして、新しい、必要としない方式とは、一体どういう方式なんだ、こういうことを聞いておるわけです。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは結局主管官庁が今後米価をどう扱うかということによってきまる問題だと思います。
  29. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大蔵大臣財政演説の中で、大蔵省で、こういう形で、補正を必要としない方式確立する、こう言うのは、少しおかしいのではないですか。こうなれば、何か消費者米価生産者米価スライドするというか、片方を上げれば片方も上げざるを得ないということに当然なってくる、いわゆるスライド制をとらざるを得ないというところへはまると思うのですが、そうではないですか。
  30. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういうことも考えられますでしょうし、いずれにしろ財政当局としては、そういうことを私のほうできめるわけではございませんで、そういう方式確立を期待するということで、いろいろの方式が今後考究されるだろうと考えています。
  31. 阿部助哉

    阿部(助)委員 それでは、もう一度食糧庁長官にお伺いしますけれども食管法三条四条のたてまえは、私はこれは、米は一つの品物でありますから、片方の買う値が上がれば売る値も上がるということが、普通であれば当然考えられるところであります。だけれども、そういう形にスライドをしてはいけない、こういうことで特にこの三条四条規定があると思うのでありますが、その点はどうですか。
  32. 大口駿一

    大口政府委員 現在の食糧管理法三条は、生産者米価をきめまする場合の法律上の基準としまして、生産費物価その他の経済事情参酌をして、再生産確保を旨として決定をするということになっておりますと同時に、第四条におきましては、米の政府売り渡し価格をきめます場合に、家計費物価その他の経済事情参酌して、家計の安定を旨としてこれを定めるということになっておるわけでございます。したがいまして、私どもは、この条文理解としましては、生産者米価をきめる場合の最小限度基準は、再生産確保を旨とするということが基準となっておると思っております。それから、消費者米価あるいは政府売り渡し価格決定いたしまする場合には、家計の安定を旨としてということを上限として考えていくということを意味しておるものと思っております。  そこで、両米価基準となる条文根拠がそれぞれ違っておりまする関係で、これは完全なる二重米価であるというふうに理解をしておられる考え方があることは私も承知をいたしております。私どもは、現在の生産者米価は百五十キログラム当たり一万九千五百二十一円、消費者米価は、いまの生産者米価よりも石で五百十五円安い価格になっております。私ども三条四条がそれぞれ違った配慮をしてきめらるべきものであるということは理解をいたしておりまするが、いまのような価格関係食糧管理法並びに食糧管理制度が当然に予想しておる姿とは思いにくいのではないかというふうに考えておりまするので、今後は両米価関係をできるだけ正常化する、しかしながら両条文には忠実に米価決定していくべきものと、かように考えております。
  33. 阿部助哉

    阿部(助)委員 その正常化というのはどういうことですか。もう一ぺん具体的に言ってみてください。
  34. 大口駿一

    大口政府委員 現在の生産者米価よりも消費者米価が石で五百十五円安いということは、現在の財政負担が、いまの価格差政府経費の全額と、それから政府が売り渡したあと販売業者のマージン、実はこれらを全部負担をするという価格関係になっておるわけでございまして、これは現在の食管法なり食管制度が当然に予想している姿とは考えにくいのではないか。したがって、より正常な姿のほうが望ましいのではないかという趣旨で申し上げたわけでございます。
  35. 阿部助哉

    阿部(助)委員 その正常ということが私にはよくわからぬのですが、この法律が間違っておるということになれば、合わないということになれば、食管法を改正して出直すべきだ、私はこう思うのですが、変える意思はない。条文ははっきりと、生産者米価は再生産を償う、消費者米価家計、生活というものを考慮してきめる、こうなっておれば、たまたまそれがきまる時点で、価格が非常に接近した価格できまるということもあり得るでしょう。だけれども、きめる段階ではこれは違う考え方できめざるを得ないのじゃないですか。その点はどうです。
  36. 大口駿一

    大口政府委員 三条は、再生産確保を旨としてという最低限度基準が書いてございますが、具体的にその範囲内でどこできめるかということにつきましては、「物価其ノ他ノ経済事情参酌シ」てきめるというふうに規定されております。消費者米価根拠条文である四条は、上限としては、家計の安定を旨としということで上限をきめておりますが、具体的にどこできめるかということについては、やはり「物価其ノ他ノ経済事情参酌シ」ということになっておるわけでございますので、両条文最小限度基準に忠実でありながら両米価関連性を何らかの形で配慮するという余地は、現在の食管法規定のままででき得ることではないかというふうに考えておるわけでございます。
  37. 阿部助哉

    阿部(助)委員 そうすると、食糧庁長官の御意見は、そういう条件はあるけれども物価その他の事情を考慮してスライド制をとる、こういうことですか。
  38. 大口駿一

    大口政府委員 スライド制ということばは非常に意味が不明確でありますし、スライド制ということばはとかくの誤解を生じますので、むしろ両米価の関連づけということばのほうが適当ではないかと私ども考えております。
  39. 阿部助哉

    阿部(助)委員 これが法律用語科学用語でないかわからないが、結局は関連づけてこれをきめるということになると、食管法の精神であるところの生産費の問題、家計費の問題というものが非常にぼけてくると思うのですが、食糧庁長官、農民の、また消費者の大切な問題であるこの米の最高の責任者として、そういう考えでよろしいのですか。
  40. 大口駿一

    大口政府委員 私が先ほどから答弁をいたしておりますからと申しまして、生産者米価をきめます場合に、再生産確保という法律上の基準をゆるがせにするという考え方は全然持っておりません。
  41. 阿部助哉

    阿部(助)委員 大蔵大臣、いまお聞きのとおりでありますが、一応たてまえとしては多少関連づけるといたしましても、生産者米価消費者米価決定のしかたはそれぞれ違うわけであります。ところが、ここで大臣はもうはっきりと、補正財源を必要としない方式確立と言っておられるので、そうすれば、いまの総合予算補正を組まない方針だ、こう言っておられるたてまえからすると、この方式というものをもう相当程度コンクリートされたところの具体的な案というものをお持ちでなければ、これはおかしいと思う。それがなければ、実際いま予算委員会をやっておるけれども、この予算審議それ自身がおかしいのではないか。私はもうこの方式というものを示して、これの裏づけをして、それで予算審議というものに入るべきだ、こう思うのですが、いかがですか。
  42. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっきから申しておりますように、まだその方式をいま政府自身がきめているわけではございません。
  43. 阿部助哉

    阿部(助)委員 だから、きめてないのが私はおかしいと思うのです。というのは、総合予算主義ということを言い、現実にもう四十三年度予算審議をし、これが間もなくきまるわけです。ところが、食糧庁長官が言っておりますように、一応のたてまえからいえば、二重米価制度をとっておる。たとえば今年の米はまあ豊作だったからということでありましょうが、九百七十何万トン、大体九百八十万トンの買い入れ米になろうとしている。ところが、来年度食糧庁では八百万トンちょっとですね。八百五万トン程度の予定をしておる。それで、いまのままでいけば、両方一緒スライドしたとしても、現在の消費者米価生産者米価の差からいけば、トン当たり大体三万円の赤字になってくる。この八百五万トンが、幸いにもう少しできがよければ、九百七十万トン、八十万トンまでいかずとも、九百万トンいった時点では、すでにこの食管繰り入れをふやさなければならないという段階に入るわけです。そうすれば、いま大蔵大臣補正を組まない総合予算主義だとかなんだとか言ってみたところで、それはすぐくずれるのではないですか。そうすれば、いまその方式というものをきっちり明示をして、それで予算審議に入るというのが普通ではないのですか、いかがですか。
  44. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま食管はあらゆる意味で危機に瀕していると私は思います。およそ制度は、存在価値があって制度があるのですから、この食管制度を置くか置かないかというような問題にまで来ておるときに、やはり食管制度は置くということを基本としました以上は、食管制度が崩壊することを防ぐことは当然考えなければなりません。今年度においてもすでにこの問題を考えなければいかぬところへ来ておりますが、しかし、そう簡単にこの問題の解決はできませんので、去年のように九百何十万トンという、米の買い入れが始まって以来の大きい買い入れをやったときの赤字、これだけを当初予算で私どもは準備する、そうして今年度買い入れはもう少し低いようでございますが、これもまだはっきりはわからないといたしましても、昨年のこれに基づいて、そうしてこれからの米価をどうきめていくかという、食管制度をこわさない範囲内においてこの両米価の関連づけを今後努力してやろうということでございますので、これから政府としてはこの方式についての検討をするということは少しも矛盾ではないと思っております。
  45. 阿部助哉

    阿部(助)委員 いまのような答弁をしておれば、これは水かけ論でありますが、私は、食管制度というものを変えるとか変えないとかいうよりも、いまのような形で、この新しい方式確立を期するとかいろいろなことを言いながら、だんだん食管制度というものが、あるいはスライド制をとられたりする中で、この三条四条の二重米価の性格というものがくずれていくのではないかという心配をしておるから聞いておるのでありますが、大臣の話ではさっぱりそれが出てこない。これは水かけ論になっておるようでありますが、ほんとうにこの予算を国民のために慎重に審議をしようとするならば、当然大臣が言っておる補正をしない方式というものを明示して、こういう方式でやるのだから補正予算は組まない総合予算なんですということがなければ、これは何にも裏づけのない発言になるのじゃないか。むしろ逆に心配なのは、こういうことによってスライド制に移行させる、米価審議会圧力をかける、あるいはまた農林省圧力をかけるということになりゃせぬのかという点を心配しておるから聞いておるのでありまして、この段階でまだきめるのは早いとおっしゃるのは、私は合点がいかぬのでありますが、この予算審議の前にそれをはっきり示すべきだという考えを持つのですが、これは間違いでしょうか。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 さっきから言いましたように、両米価正常化をはかるということによって、この食管会計に当初予算繰り入れを予定した額を土台にして、これを補正しなくても済むような方式をここで確立したいというのが政府考え方でございますが、どういう方式かといいましても、これは米審に諮問もしなければなりませんし、今後これから主務官庁がこの点についてこれを研究していくということでございまして、少しも矛盾はないと思います。
  47. 阿部助哉

    阿部(助)委員 私とあなたの考えが違うのでありまして、主務官庁がきめるなら主務官庁はこの方式を明示をして、私は予算審議に入るべきだと思う。ただ大臣は、給与の場合もお話がありましたが、場合によれば、その必要が出れば補正も組む、こういうことでありますから、その点はやむを得ないと思いますが、いままで給与の問題あるいは米価の問題を見ますと、——今度の予算の場合に財政硬直という宣伝をなさった。私は当然こういう食管であるとか給与であるとかという問題は補正を組むとか、あるいはそのまま行なうべきであって、むしろ第三次防衛計画であるとかというような計画的なものは、これは政府の裁量で削ることができるんだから、こういう金を削るべきだ、こう思うのでありますけれども、いまのお話から見ても、この予算を見ても、これは全く逆でありまして、防衛費や何かの計画増はどんどん認めていく。そうして法律上また制度上むしろつけざるを得ないところを、給与の面で押えよう、あるいはまた食管の面を押えよう、あるいはまた結核の療養所をとにかく独立採算制にして、独立会計のほうに移そうというような残酷なことをやっている。そうすると、これはやはり食管のなしくずしと、もう一つは所得政策に移行するのじゃないかという不安を持つわけでありますが、そういう点はどうなんですか、大臣
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 所得政策とは関係しておりません。おっしゃられることを聞きますと、食管は、たとえばこのいまの食管制度を維持するためには、もう何千億か赤字分をとっておけというようなことにも聞き取れるのですが、やはりこれは食管制度を維持するための限度というものがございましょうし、いままでにおける最大の買い入れ量によって生じた赤字のところをめどにして、まず当初予算に織り込んでおくというくらいのことが、私はこれは一番堅実な方針であって、何かこれ以上に膨大なものを準備しろというようなことだとすれば、これこそ少し財政問題としては不健全な措置じゃないかというふうに考えます。
  49. 阿部助哉

    阿部(助)委員 しかし、これは法律というものがある限り、なるたけそれに忠実であるということは当然のことなんで、その考え方であればやむを得ない点があるわけであります。むしろ計画増というものを私はより切り詰めていくべきではないか、こう考えておるわけでありますが、時間が来たという催促がきびしいのでこの辺で終わります。
  50. 田村元

    田村委員長 田中昭二君。
  51. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私は、まず、ことしは災害が起こっておりますが、ほんとうに悲しいことでございます。この災害につきまして大蔵省としてその救済対策、特に税金の面においてどのようにすればよいか、その基本的な考え方をまず大臣からお伺いしたいと思います。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 不幸なことかもしれませんが、日本はもう災害の常襲国でございますので、過去において災害対策についての訓練というものは実に行き届いておる国でございまして、災害が起こった場合に対処するしかたというものがもうきまっておって、平素からむしろ待機しておるという状態になっておるのが実情でございます。   〔委員長退席、渡辺(美)委員長代理着席〕 したがって、こういう災害が起こったときに税についてはどういう対策をするかということも大体きまっておりまして、地域が広範な場合には、申告、納付というものについての延期とかをはじめとしまして、一応の方式がきまっておりますので、これについては十分罹災者に御心配のないように対処できると考えております。
  53. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 不幸なことが起こりますからこそ、行政をあずかる者としてはそれに対するあたたかい救済の手を考えておかなければならぬ、もちろんのことでございます。  それで、いま大臣からお話を聞きまして、税金の面においては申告の延期とかそういうものを考えておるということでございますが、その救済の方法としてどういうものとどういうものとどういうものがあるか、簡単でけっこうでございますから、その表題だけでもけっこうでありますから、もう一回お伺いしたいと思います。
  54. 泉美之松

    ○泉政府委員 先ほど大臣が原則をお述べになりましたように、まず第一は、災害が起きました場合に、申告、申請あるいは納付する場合にその期限を延長する措置でございます。たとえて申しますと、先般地震のございました南九州のえびの地区につきましては、去る月曜日に国税庁の告示を出しまして、二ヵ月間、申告及び納付を延期する措置をとりました。これが一つ。  そのほか災害被害者に対する所得税等の減免措置に関する法律がございます。したがって、その法律基づきまして、災害の程度に応じまして所得税の減免をはかることになります。これは、所得の金額が一定の金額以下の場合には全部、それから少ない場合には二分の一あるいは四分の一、こういうような軽減をすることになっておるわけでございます。  それから間接税等の場合に、災害によりまして課税された物件が亡失したというようなときにおきましては、その亡失の数量を確認いたしまして、そして還付の手続をとる、こういった種類のそれぞれの減免があるわけであります。  それから災害被害者に対しましては、以上の減免措置のほかに、所得税のほうにおきまして、資産に受けました損害、特に家屋なんかの、あるいは田畑等に受けました被害につきましては雑損控除の適用がある、こういったことになっておるわけであります。
  55. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それじゃ大臣にまたお願いしますが、いま長官の説明がありましたが、私はもう一つあるのじゃないかと思います。というのは、災害によりまして受けた損害、特に今度のえびの地震につきましては、悲惨な状態でございます。そういう災害に対しましては、いま長官がおっしゃった救済措置以外に、もう一つあると思うのです。それは、お忘れになっておるかと思いますから、私のほうから申し上げますが、純損失の控除というのもあるかと思います。税法といえば、国民ば特にこわがるといいますか、冷たい感じを受けるようなことが世間でもいわれておりますが、そういう法律規定するものだけで救済の措置が最大、最高の効果をあげるものかどうかということにつきまして、大臣からお願いしたいと思います。
  56. 水田三喜男

    水田国務大臣 税としては、法に従った措置をとるということで、それ以外にもということは、税としてですが、そのほかの……。
  57. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 税としてです。その方法にもあたたかい——法律規定以上にそれを運用する場合いに……。
  58. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは法に基づいてやりますが、基づいてやるそのやり方に、罹災者に対しては温情を持てということだと思いますが、そういうことは当然やりたいと思います。   〔渡辺(美)委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの大臣のおことばで、私も安心いたしました。温情を持ってその法律を運用しなければならない。法律というものは、その運用する人によって冷たくもなりますし、過酷にもなります。政府は、国民からは血の出るような税金を吸い上げておる反面、このような災害のときには、最大限のあたたかい手を差し伸べるという方向が確認できましたから、私は申し上げたいと思いますが、まず、先ほどの長官の説明ありました減免措置の適用をかりに考えてみた場合に、その損害額が半分以上の損害を受けていなければならない。また所得金額においても百万、百五十万、二百万——二百万以上の所得者は、損害かあっても減免の措置が受けられない。かりに百万の所得者が、その当年に一万円の税金を納めることになっておれば、そうしてその家屋が全壊し、災害が大きい場合には、その一万円だけを減額するというような、冷たいこれは規定なんです。次に雑損失もそうでございます。こまかい内容は私よりも長官のほうが御存じです。そのような規定、また純損失という損害の適用もございますが、この分については、当然この純損失の適用もしてもらわなきゃならない。  そこで、私が申し上げたいのは、そのような法律規定を、国税庁並びに現場の税務署は、その災害にあった人にどのように教えたか。徴収するときにはどこまででも行って徴収します。そうする反面、このような災害のときには、そのような規定があるなら、当然現場に行ってでも、そういう救済の方法があるということを知らせるのがあたたかい救済の手である、私はこのように思うのです。その現場に私も行ってみましたが、徴税のほうは、県の方たちも一生懸命になって災害発生後罹災地の現地に行ってそのような現場での活動をしております。ところが、私が行ってその後の状況を見ましても、そのような税務署のあたたかい救済の手は差し伸べてないようでございます。こういう問題について大臣、いま温情ある手を差し伸べようとするならば、減免適用よりも、それよりも雑損控除、雑損控除よりも純損失を適用していくならば、その災害によって何年間も——最大三年間の繰り越しもできますし、救済することができると私は思うのですが、そのようなことについて、大臣としては、いまやってないとするならば、これをどのように進めていけば温情ある政府の施策になるか、承りたいと思います。
  60. 水田三喜男

    水田国務大臣 ちょうどここに国税長官おられますから、国税長官から各管轄税務署に対して、十分温情をもって当たるように、これは徹底させたいと思います。
  61. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ひとつ、いま申し上げた点を間違いなくさっそく指示していただくようによろしくお願いします。現場の状況は私が言うまでもなく、あの寒さにおびえても自分の家には入れない。そうして日に何百回という余震に恐怖を感じております。私も現場に行くまでは、たいしたことはないと思っておりましたが、現場において夜あの余震を受ける、地鳴りを聞いてみますと、ほんとにこわいことなんです。自分の家にもおれない。商品は家の中に山積みしておりまして、ネコ一匹いない。電灯もまつ暗です。あのような災害のときには、大臣がおっしゃったように国税庁に命じ、国税庁は現場の税務署にその趣意を徹底してもらいたい。よろしくお願いします。  次の問題でありますが、昨年起こりましたところの源泉還付にまつわる不祥事件であります。これについて私は再三質問してまいりました。ところが、年も改まって新しい国会の審議も始まったわけでございますが、幸いにも大臣も御再任なさっておりますし、この問題についての結末と大臣のお考えを明らかにしておきたいと思うわけでございます。  これは所得税法による雑所得について損益通算の規定があり、政治家の受ける政治献金等は雑所得であるとの当局の指示により、給与所得、いわゆる歳費と政治献金等の雑所得を合算して申告したが、その雑所得は必要経費が多くて赤字となった。その超過した赤字分をその他の給与所得から差し引いて、すでに月々納税した源泉所得税の還付を受けたのであります。ここで問題になりましたのは、その赤字部分を給与所得に影響させることが、現在の所得税法に規定する取り扱い上妥当でないとの解釈で、税務署はその還付税金の払い戻しを、計算に従って再度徴収したわけであります。以上の結果より見れば、一ぺん返した税金は、法の正しい解釈、取り扱いによれば間違いであった。すなわち、その間違いを起こしたのは税務署であり、その根本原因は国税庁の指導に誤りがあった。国税庁は所得税法に反して申告をさせたことは、これはその時点においては明らかに法に違反するものなんです。私は最初からこのように主張してまいりましたが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。違法であるかないか、その結論も出まして、ここまで結果が出れば、まさかそうではないとは言えないと思いますが、この問題につきまして、私がここで申し述べるまでもなく、税金は法律に従って正しく申告、納税されてこそ、すべての人が納得し、不平も言わずに、その法の精神、また規定に従っているのであります。この問題は明らかに、その法が間違って解釈されたのです。これが逆に一般の納税者であれば、脱税としてきびしく追及されるのであると思うのですが、その点について大臣、どのようにお考えなのか。返してならないものを返したというその時点においては、法に反しておったというその点を再度確認しておきたいのでございます。
  62. 水田三喜男

    水田国務大臣 昨年、この委員会で指摘されましたときに、私は、おそらくこれは指導の誤りであるとあのときに申しましたが、やはり指導の誤りである、誤りがあったと思いまして、これを全部また返してもらうという形で一応昨年の問題は解決いたしました。
  63. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 解決したことはいいことなんですが、しかし、大臣も間違っておった、こうおっしゃっておりますからそれ以上の追及はいたさないことにいたします。この源泉還付の問題の解決は、最終的には適法に処理されたものと思っておられるのですか。事務当局の処理が、迷惑を受けた当事者、ここにおられる委員の方々並びに国民の納得するものであるかどうか、お尋ねしたいと思うわけでございます。
  64. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま申しましたように、指導に誤りがあったということは確かでございますが、事後の処理はもう適正にいたしました。
  65. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 その事後の処理が法の精神に従い適法であったかどうかということに、私は問題を置いているわけでなんです。しかし、適正ということによって、それじゃ適法に処理されたと解釈してよろしいですか。
  66. 水田三喜男

    水田国務大臣 適法に処理したと思っております。
  67. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 適法に処理されておりません。ここでこまかくこの内容は申し上げないことにしておきます。また次の機会もあると思いますから、次の機会になぜ——大臣は適法に処理されたとおっしゃる、私は適法でないと言っている、これは明らかに正反の相違でございますから、よく大臣国税庁長官なりまたほかの職員にお聞きになって、どのような経過をし、どのような処理をしたのか。私はまだ言いたいことはたくさんあります。かりに同じ給与所得で、そうして源泉還付をしたものが、今度は再徴収するときには片方は少なく返してもらう、また片方は多く返してもらう、そういう事実も、私が調べた範囲内ではあります。そういうことを言いますと、全部その還付したものを出してもらわなければならぬ、見せてもらわなければわからない、そこまでは私はきょうはやりたくないと思うのです。  次に移りますが、現在ちょうど昭和四十二年分の申告の時期になっております。再度このような間違いを起こさないためにもお聞きしておきたい。このたびの政治資金収入申告にあたっては、赤字申告がなされた場合、その必要経費は他の収入との案分計算によるしかないとの結論で処理されたと聞いております。この処理の方法にも多くの疑問が残るのでありますが、私はこの委員会においてその誤った方向についてはたびたび審査を与えてきた。事務当局の、この方法で処理した責任者である泉国税庁長官の説明もあったわけでございますが、はなはだ不要領で私も納得がいかない。そこで、私は、最高責任者である大臣は、わりあいその当否については、また今後の正しい方向の考え方については、正しい意見をお持ちになっておると思いますから、大臣からお答えをお願いしたいと思うわけでございます。  また、もう一つお聞きいたしておきますが、この新しい計算の方法は、最終的にだれが指示したのか、最高責任者である大臣が適当であるとしてなされたものであるならば、その指示されたのは水田大蔵大臣と解釈してよろしいか。  以上のことにつきまして、お伺いしたいと思うのです。
  68. 水田三喜男

    水田国務大臣 いずれにしろああいう計算方法で一応処理しなければならないというふうに考えて、国税庁の報告を受けまして、私もそれでよかろうと言いました以上、これは最終的には私の責任でございます。しかし問題は、こういう処理によって、事後この政治家の所得についての課税というようなものは、また一段と研究すべき新しい問題が出てきていると思いますが、一応過去のこの処理はこういう形で処理するのが私は適当じゃないかというふうに判断して承知しましたので、私の責任であります。
  69. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そこで、これは長官でもけっこうですが、それじゃやりました方法ですね。案分計算といいますか、その方法は大体聞いてもおりますが、もう一回ここではっきりしておきたいし、簡単にその筋道だけを教えていただいて、また問題は、そのような法の解釈が普通の場合は通達というものも出されております。ところが、この問題については通達も何も出てない。もしもその通達があるとするならば、四十二年分の申告についても私はその方法によってやらなければいけない、こう思うのですが、ちょうど申告の時期でもありますし、その案分方法によってやれば、本年申告する四十二年分の申告の場合、給与所得、政治資金があった場合、どのような方法でやるのか。二、三の例を具体的に数字をあげて説明していただきたいと思います。
  70. 泉美之松

    ○泉政府委員 政治家の方が政治活動に伴って費用を出しておられる。そういう場合に、政治家として雑所得の収入がある場合、その支出した経費が必要経費として認められるかどうかという問題になるわけでございます。一番はっきりいたしておりますのは、その収入に対応する必要経費というものがきわめて直接的に結びついて明確になっておる場合、この場合にはその収入に対応する必要経費としてその収入からその必要経費を引くことができるわけです。しかし、一般的に申し上げますと、政治家の方々の雑所得の収入とそれから政治活動に伴う経費の支出との間に、直接関係のない場合が多いようでございます。  そこで、昨年の還付のときの考え方にいたしましても、また、本年の四十二年分の所得税の申告につきましても、そういった政治活動に伴う必要経費につきましては、政治家としての収入に応じて経費の案分をする。したがって、政治家としての収入というのはまず国会の歳費等がございます。これに非課税の通信交通費がございます。したがって、歳費額と非課税の通信交通費の額、さらに雑所得でございます政治献金等の収入、それから政治家としての顧問料などがある場合に、顧問料も入れまして、そういった収入に対してそれぞれ必要経費を案分する。したがって、たとえば政治献金が五十万円ある、しかし必要経費は百万円あった、こういう場合におきまして、もう五十万円の収入に対して百万円の支出はそれをこえているから、五十万円を消す、赤字として他の所得と通算するということではなしに、その百万円の支出を五十万円の雑所得の収入と歳費、まあこれは通常の場合五百万をこえる五百八万円ぐらいになると思いますが、五百八万円、それから非課税の通信交通費が百八十万円、それからそのほかの顧問料等の収入がございますれば、そういったものに百万円をそれぞれ収入額に応じて案分するわけでございます。そういたしますと、雑所得の収入の五十万円から引ける必要経費というものが、いまの例で申し上げますと、五百八万と百八十万と五十万、したがって七百三十八万円になります。したがって、七百三十八万分の五十万を百万円にかける、その出てきたものを五十万円から控除する、こういうことになるわけでございます。
  71. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま聞いておりましても、なかなかはっきりしないのでございます。これは、ほかの議員の方にも、国会議員として必要なことでございますし、あとでけっこうでございますから、今度の申告にあたって、こうこうこういう雑所得がある場合にはこういうふうになるのだ、そういうことをメモ程度でけっこうでございますから、書いて出してもらいたいと思いますが、どうでしょうか。出していただけますか。
  72. 泉美之松

    ○泉政府委員 先般、理事会の懇談会のときにお渡ししたと思っておりますが、御必要でございますれば差し上げます。
  73. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私が言っておるのは、四十二年分の申告にあたって、歳費と、それからそのほかの所得がこうこうこういうふうにあった場合にはこういうふうにするのだ、それは文章で書いたものはございますけれども、文章で書いたものはなかなかわかりにくい。まあ頭が悪いものですからよくわからないのですが、そういう点、できましたら、メモでもけっこうですから、私に届けてもらいたいと思いますが、いいでしょうか。
  74. 泉美之松

    ○泉政府委員 そういう計算で、御必要でございますれば差し上げます。
  75. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いずれにしろ、今度のこの還付事件は、国税庁のほうのいわゆる第一線の税務署から見れば、上司の間違った指示によってこのような問題を起こした、先ほど述べるとおりでございますが、このことによって一番困ったのは、私は、第一線の税務職員であろうと思うのです。長官もそのことは大体お認めになったと思います。そうするならば、その間違った仕事をさせた償いはどうすべきなのか。聞くところによれば、第一線の職員は、自分の仕事に自信が持てなくなった、こういうことをその当時言っております。そうであるならば、今後の仕事の上にも大きな影響もあるかと思いますし、税務職員はいまでも人手が足らないというようなことで大きな問題ともなっております。そういうことはよく御承知のはずであります。このような重大な問題とも関係がありますから、職員の能率向上のためにも、ぜひひとつそういうことのないように、はっきりした線を発表していただきたい。  いずれにしろ、いままでの経過から見まして、国税庁の説明、また態度というものは、私はまだまだ納得のいかない点がある。私がその仕事に当たる人に電話をかけて聞いてみることと、ここでこのように話すこととがだいぶん食い違いがあります。それを一々言えば、また問題がこまかくなりますし、やめておきますが、そのような食い違いがあったり疑問を持つというようなことが多くこれは含まれておるのです。そういうことを考えますと、私はこの大蔵委員会も侮辱されたような気持ちもするのです。また、正しい方向を述べる者が、何かそれを悪いとかだますというような、そのような気持ちにさせられるときがあるのです。また、昨年一年間、この委員会におきまして、税法改正等についてはいろいろな、ほんとうに誠実な意見も出ております。提案もされ、審議もされましたが、その中でほんとうに現実に立った、たとえば所得税の控除の問題、またその控除を判定する場合の基準とか、そういうものにはほんとうに現実に立脚した事実が述べられておりますが、その事実が改正税法になかなか反映しない。その改正のための意見も全然取り入れられない。そういうことによって、私は、公平であるべき税法がなお不公平になったように思うのです。そういう点が多々あります。いつも問題になる利子配当のあの特別措置の問題にしろそうでございます。このようなことであるならば、私は、政府考えておることは、本質的に正しいことを聞いても、その解決をはかろうとしていない姿勢じゃないか、このようにも思うのです。どうかそういうことのないように今後していかなければならぬ。また大臣も、こまかいことでほんとうにたいへんだと思います。けれども、私は、その方向に賛成していただくのかどうか、その点だけお聞きしたいと思います。
  76. 水田三喜男

    水田国務大臣 十分承知いたしました。
  77. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後に、もう一つ大臣にお尋ねしておきますが、昨年の六月、私が、この委員会であったと思いますが、お尋ねしたときに、ここを読んでみますと、この問題は「税制調査会にそういうものも含めた諮問をするというふうに考えておりますので、この答申を待って善処したいと思います。」このような発言があったわけなんです。この発言のとおり大臣税制調査会にそういう諮問をされたのかどうか、またその答申をまって善処されたのかどうか、その点についてお伺いしておきたいと思います。
  78. 水田三喜男

    水田国務大臣 税制調査会にはいま研究をしてもらっております。まだ答申が参っておりません。いま検討してもらっております。
  79. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そうしますと、ちょっとおかしいことがあるのです。これは、今度予定されております所得税法の改正の中には、大臣のそのような発言が忠実に行なわれて、今度の所得税の改正、雑損控除の規定が変わっておるのではないか、私はそう思っておりましたが、いまのことばによりますと、そういうことは関係なしに、まだしていないのだ、まだ考えておるのだ、このようなおことばだったのですが、この議論につきましては、また所得税法が提案されたときに行ないまして、よくそういう点のいきさつを——大臣がお考えになっておることとやったこととが、食い違ってくるのですね。私が去年の六月お伺いしたときには、税調にも諮問をし、その答申をまって善処する、そうおっしゃったのです。ところがいまは、まだそれは善処している途中なんだ。それはそれでいいのですが、その段階で、途中で改正された税法が出てくる、これは私はもう少し時間をかけてゆっくり話さなければならぬ問題だと思いますが、一応そういう問題があるということを大臣に知ってもらえばけっこうだと思います。  以上で私の質問を終わります。      ————◇—————
  80. 田村元

    田村委員長 この際、経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案日本開発銀行法の一部を改正する法律案、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件、以上の各件を議題といたします。     —————————————     —————————————
  81. 田村元

    田村委員長 政府より提案理由の説明を聴取いたします。倉成政務次官。
  82. 倉成正

    ○倉成政府委員 ただいま議題となりました経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案外四案につきまして、提案の理由及び概要を御説明申し上げます。  最初に、経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案について申し上げます。  経済援助資金特別会計は、経済的措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定により、わが国の工業の助成その他本邦の経済力の増強に資するためにアメリカ合衆国から贈与を受けた資金約三十四億円につきまして、その運用に関する経理を明確にするため、昭和二十九年度に設けられたものであります。  また、余剰農産物資金融通特別会計は、農産物に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定によりアメリカ合衆国から借り入れた約三百八十億円に相当する外貨借り入れ金を財源として、電源開発、農地開発等のために行なう資金の貸し付けにつきまして、その経理を明確にするため、昭和三十年度に設けられたものであります。  しかしながら、これらの協定成立後十年以上を経過した現在では、両会計は、いずれも当初の貸し付けを終了して回収金の再投資を行なっている段階であり、毎年度の貸し付け原資も少なく、これらを独立の会計として存続させる意義が失われていると考えられるのであります。  この法律案は、以上のような事情にかんがみ、両会計を昭和四十二年度限り廃止してその権利義務を産業投資特別会計に引き継ぐことにより、産業投資関係の特別会計を整理統合して国の会計経理の簡素化をはかろうとするものであります。  次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案について申し上げます。  この法律案による日本開発銀行法の改正の内容は、日本開発銀行の借り入れ及び債券発行の限度を自己資本の四倍から五倍に引き上げることであります。  日本開発銀行は、昭和二十六年四月に設立されて以来、長期資金の融通により、わが国経済の再建及び産業の開発の促進につとめてまいっているのでありますが、昭和四十三年度の財政投融資計画においても、同行の貸し出しは、二千五百十億円と予定されており、これに債務保証を加えますと、昭和四十三年度末の同行の貸し付け等の残高は、一兆六千五百九十一億円に達すると見込まれております。  このように、四十三年度においては、同行の業務量の一そうの増加が見込まれているのでありますが、日本開発銀行の貸し付け等の残高につきましては、日本開発銀行法において、自己資本の額と借り入れ金等の限度額との合計額をこえてはならないことと定められておりますので、現状のまま推移するとすれば、四十三年度中に、同行の貸し付け等の残高は、この限度額をこえることとなります。  したがいまして、この際、同行の借り入れ金等の限度額を自己資本の四倍から五倍に引き上げ、これにより、貸し付け等の業務量の限度を拡大し、もって、同行の業務の円滑な運営をはかろうとするものであります。  次に、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  アジア開発銀行は、アジアにおける経済成長及び経済協力を助長し、この地域内の開発途上にある加盟国の経済開発の促進に寄与することを目的として、昭和四十一年末に発足したのであります。わが国は、二億ドルの出資をもって同銀行に加盟し、同銀行は、最近、本格的業務を行なう体制を整えるに至っております。  また、アジア開発銀行は、出資金を財源として通常の業務を行なうほか、各国の拠出による特別基金によって特別業務を行なうことを予定しております。この特別基金の制度は、特別基金への拠出国の意向を反映した資金運用を可能ならしめることによって、各国の資金拠出を容易にしようという趣旨で設けられたものであります。  政府といたしましては、同特別基金への拠出を行なうため、アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正することとし、その法律案の成立をまって、アジア開発銀行との間で取りきめを結びたいと考えております。  次に、この法律案の概要について申し上げます。  第一に、アジア開発銀行の特別基金に充てるため、予算で定める金額の範囲内において、政府は、同銀行に対し、本邦通貨により拠出することができることといたしております。  第二に、当該拠出については、本邦通貨にかえて、その全部または一部を国債で行なうことができることとし、この国債の発行、償還等に関する事項は、同銀行に対する通常の出資に充てるため発行することができることとされている国債の場合と同様とするよう定めております。  また、昭和四十三年度における特別基金への拠出金額は、七十二億円と予定し、昭和四十三年度予算案の予算総則で拠出限度額を七十二億円と定め、別途御承認をお願いしている次第であります。  なお、昭和四十三年度の拠出は全額を国債で行なうことを予定しております。  次に、交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。  今回、政府においては、国及び地方を通ずる財政運営を円滑化し、あわせて地方財政の健全な運営に資するため、昭和四十三年度から昭和四十六年度までの各年度における地方交付税の総額の特例を設けるほか、昭和四十三年度から昭和五十六年度の各年度について特別事業債償還交付金を交付することとし、別途、今国会に地方交付税法の一部を改正する法律案を提案いたしておりますが、この地方交付税にかかる特例措置に伴い、交付税及び譲与税配付金特別会計法について所要の改正を行なおうとするものであります。  すなわち、その一は、昭和四十三年度において、地方交付税交付金の財源として一般会計からこの会計繰り入れる金額を、所定の額から四百五十億円を控除した額とし、他方、昭和四十四年度から四十六年度までの三年度において繰り入れる金額を所定の額に毎年度百五十億円を加算した額とするものであります。  次に、昭和四十三年度においては、この会計負担において二百五十億円を限り借り入れ金をすることができることとし、この金額を昭和四十四年度から昭和四十六年度までの三年度間にわたり償還ができるよう措置いたしております。  さらに、昭和四十三年度から昭和五十六年度までの各年度に交付することとされた特別事業債償還交付金に相当する金額を予算で定めるところにより、一般会計からこの会計繰り入れることとするものであります。  最後に、地方自治法第百五十六条第六項の規定基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件について申し上げます。  最近における経済の発展に伴い、都会地の税務署では、管内の納税者及び課税物件等が年々増加しておりますが、一部の税務署におきましては、事務量が過大となり、税務指導等、納税者に対するサービスや事務管理の面で支障が生じようとしております。  このような事情に対処いたしまして、札幌国税局において、札幌中税務署の管轄区域を分割して、札幌市の西部の地域を管轄する札幌西税務署を、また、名古屋国税局において名古屋東税務署の管轄区域を分割して、千種区を管轄する千種税務署をそれぞれ設置し、納税者の利便と税務行政の円滑な運営をはかろうとするものであります。  以上が経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融通特別会計法を廃止する法律案外四案の提案の理由及び概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  83. 田村元

    田村委員長 この際、水田大蔵大臣より発言を求められております。これを許します。水田大蔵大臣
  84. 水田三喜男

    水田国務大臣 ただいま五案件につきまして政務次官より提案理由の説明をいたしましたが、何とぞ御審議のほどお願いいたします。
  85. 田村元

    田村委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、来たる五日火曜日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時十分散会