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1968-02-27 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十七日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 只松 祐治君 理事 村山 喜一君    理事 竹本 孫一君       大久保武雄君    大村 襄治君       奧野 誠亮君    鯨岡 兵輔君       河野 洋平君    小山 省二君       笹山茂太郎君    四宮 久吉君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       西岡 武夫君    古屋  亨君       坊  秀男君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       吉田 重延君    阿部 助哉君       井手 以誠君    佐藤觀次郎君       中嶋 英夫君    平林  剛君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       武藤 山治君    岡沢 完治君       河村  勝君    田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         食糧庁長官   大口 駿一君  委員外出席者         国税庁税部長 川村博太郎君         食糧庁総務部長 小暮 光美君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 二月二十六日  委員西岡武夫辞任につき、その補欠として上  林山榮吉君が議長指名委員に選任された。 同日  委員上林榮吉辞任につき、その補欠として  西岡武夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員岡沢完治辞任につき、その補欠として西  村榮一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員西村榮一辞任につき、その補欠として岡  澤完治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十日  経済援助資金特別会計法及び余剰農産物資金融  通特別会計法を廃止する法律案内閣提出第一  五号) 同月十二日  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第二二号) 同月十四日  アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提出第三二  号)  地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、  税務署設置に関し承認を求めるの件(内閣提  出、承認第一号) 同月二十四日  交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第四七号) 同月八日  中小企業に対する国民金融公庫融資制度改善  に関する請願松前重義紹介)(第三一一  号)  同外四十九件(岡沢完治紹介)(第三九九  号) 同月十三日  ガス器具及び石油器具物品税減免に関する請  願(村山達雄君外一名紹介)(第六八二号) 同月十六日  東北地方の公共事業繰延べ措置緩和に関する請  願(鈴木善幸紹介)(第七九六号) 同月十九日  中小企業に対する国民金融公庫融資制度改善  に関する請願穗積七郎紹介)(第一一七三  号) 同月二十二日  国立医療機関特別会計制反対に関する請願  (中嶋英夫紹介)(第一三一六号)  同(広瀬秀吉紹介)(第一三一七号)  同(横山利秋紹介)(第一三一八号)  同(平等文成紹介)(第一三九四号)  同外一件(村山喜一紹介)(第一三九五号)  同外一件(依田圭五君紹介)(第一三九六号)  同(阿部哉君紹介)(第一四七四号)  同(井手以誠君紹介)(第一四七五号)  同(島上善五郎紹介)(第一四七六号)  同外五件(村山喜一紹介)(第一四七七号)  同(山花秀雄紹介)(第一四七八号)  同(山本政弘紹介)(第一四七九号)  同(依田圭五君紹介)(第一四八〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十二年産米穀についての所得税及び法人  税の臨時特例に関する法律案内閣提出第一  号)      ————◇—————
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年産米穀についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。佐藤觀次郎君。   〔委員長退席金子(一)委員長代理着席
  3. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 きょうは予約減税の問題で、大臣も出席されておりませんが、私は例外として認めて、質問をいたしたいと思います。  農林次官も来られませんけれども大口長官にひとつ聞いてもらいたいと思うのですが、実は私どもの記憶に新たな問題として、大正七、久年に、寺内内閣のときに米騒動というのがありまして、これは御承知のように、その当時農商務大臣仲小路廉という人でしたが、米が四十八銭になって非常に問題になったのでございます。そこで、こういう問題を思い出すと、米価というのはいかにむずかしい問題かということがわかるわけです。そこで、倉石さんは首になりましたけれども米審というものが非常に重要だということは、これはもう長官は知っておられると思うのです。きょうは、ほんとうは安倍さんか農林大臣に聞きたいのですけれども、おられないからしかたありませんので言いませんけれども米価審議会あり方について、この間、農協大会政府として変な話を出しておられましたけれども米価審議会というもののあり方というのは、これは非常に重要なことなんで、特に米は、御承知のように政府が値段を統制しておる関係上、やはり生産者の声を聞かぬというばかなことはないと思います。  そこで、これは長官にお尋ねするのですが、中立委員ということを盛んに言っておられますけれども一体中立委員というのはどういう委員の役をやっておられるか、あなた、これは大臣のかわりになって答弁してもらいたいと思います。
  4. 大口駿一

    大口政府委員 米価審議会は、農林省設置法に基づきまして、「米価その他主要食糧の価格の決定に関する基本事項を調査審議する」機関ということで設けられておる機関でございます。  従来、米価並びに麦価を決定いたします際に、米価審議会に対しまして農林大臣諮問をいたし、その答申を得て決定をいたしておるということになっておる事情は御承知のとおりだと思いますが、この法律に基づきまして、米価審議会委員は、学識経験者二十五名以内をもって構成するということになっております。したがいまして、法令的には、米価審議会委員学識経験者ということになっております。従来、米価審議会発足以来学識経験者ということで、国会先生方もお入りいただき、また、農業団体なりあるいは労働団体なりの機関代表者が入っておるわけでございます。中立委員ということばは、新聞等では私どももしょっちゅう見ております。しかし、役所として中立委員というものに対して定義を下したことはございません。ただ、世上一般にいわれておる中立委員というものの意義をそんたくいたしますと、いわゆる生産者団体なり消費者団体なり、そういう機関の意思を代表するという任務を持って委員に参加しておられない方というふうに私は理解をいたしておりますが、法令上の根拠はございません。
  5. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 あなたに詰め寄ってもしようがないと思うのですけれども、どうも学識経験者といえば、たとえば大蔵省河野次官、いま日本相互銀行の社長をしておられますが、あの方は大蔵省ひもつきだと思います。もう一人の小倉さん、あの方は専門家でありますが、これはあなたのほうの農林省の出身です。そういうひもつきの人を入れております。それから新聞社がなかなかうるさいから、各新聞社論説委員をずっと入れてやっておられるわけですが、こういうやり方は、だれが考えても、米をつくっている者や消費者には非常に納得ができないという声が出ると思うのです。私は、食糧庁長官がどこまでこの問題についてタッチされているか知りませんが、こういうやり方がいわゆる官僚的なやり方です。しかも、これはこの間農協大会があったときからもいろいろ聞きましたけれども、もう二、三日待ってくれ、話し合いをしようというのに、急にぱっと発表してしまって、いろいろ世論がやかましくなっても、一たんきめたことはどうやってもやり切るというような官僚的なやり方それ自体が、私は非常に危険な状態になっているのじゃないかと思うのです。いま二十五名のうち二十二名とかなんとか言っておられますけれども、私たちは、納得がいけるようなそういう人選があれば、あれほど問題にならなかったと思うのです。これは、いずれ今週中にはあなたのほうで、自民党さんのほうからそのことについては結論が出るようでありますが、どういう形になるかわかりませんけれども、こういうやり方が国民に、生産者農民に非常な不信感を与える、こういう感じを持つわけです。私は決算委員のときに、大口さんにもいろいろ農業問題について質問をいたしましたから、あまり詳しいことは聞きませんけれども、理想的な形——役所消費者の問題は第二として、少なくとも米をつくっている農民納得するようなそういうやり方ができなかったかどうか、またどういう方法が理想的であるかということを、ひとつここで意見を述べていただきたいと思うのです。
  6. 大口駿一

    大口政府委員 生産者米価並びに消費者米価は、食糧管理法の第三条並びに第四条にそれぞれこれを決定する際の根拠となるべき基準が明定されているわけでございまして、従来も政府としましては、食管法規定に基づいて米価決定いたしてまいったわけであります。ただ、最近二、三年の傾向といたしまして、米価決定いたします前に米価審議会を開催して意見を求めているわけでありますが、結果においては答申がまとまらないという事態が最近二、三年間続いていることは御案内のとおりであります。私どもとしましては、米価決定いたします際に、その米価決定によって直接の利害を受ける方々意見を全然聞かないで米価決定するということが適当でないということはもちろん承知をいたしております。しかし、またそれぞれの立場があって、主張されておられる方々意見を十分聞いた上で最終的には公正な立場でものごとが決定さるべきであるという立場も一方においてあるわけでございます。今回の米価審議会構成に当たりましては、過去の無答申という事態十分反省をいたしまして、米価審議会委員構成に当たるとともに、直接の利害関係を有する方々の御意見は十分聞いた上で最終的な米価決定に取り運びたいという気持ちは十分持っておるわけでありまして、米価審議会委員を先般発令をいたしました際に、特に農林大臣として談話を発表いたしまして、その談話の中で、いま私が申しましたような趣旨を申し述べておられるのであります。したがいまして、米価決定というものに直接の利害関係を有する方々の御意見を全然聞かない姿勢を示したんだというふうにはお受け取りいただきたくないわけでありまして、私どもは、何とかしてあらゆる立場方々の御意見を十分伺った上で、最終的な結論がすべての方々納得の上で出されることが一番望ましい姿ではなかろうか、かように考えております。
  7. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 いま大口さんはそう言われるけれども、それなら米価審議会で、去年もことしもきまらなかった。きまったとおりにおやりになったことは一ぺんでもありますか。いままで米価審議会できまったとおりに米価をきめられたことがありますか。
  8. 大口駿一

    大口政府委員 昨年並びに一昨年は生産者米価に関しては答申が得られなかったのでありまして、政府といたしましては、答申は得られなかったのでありまするが、米価審議会会議を通じまして各委員から述べられました御意見十分念頭に置きまして最終的な米価決定されたものと私は理解いたします。
  9. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 答申どおり米価決定したことがありますかということを聞いておるのです。
  10. 大口駿一

    大口政府委員 最近数年間は、米価審議会に御意見を拝聴する諮問の形といたしまして、具体的に何万何千何百円ということで諮問をいたさない。むしろ、米価決定に関して基本的に心得べき事項ということで諮問をいたしておりまするので、形式的には米価審議会答申最終決定米価とが食い違っているということにはならないと思います。
  11. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 それはことばのあれでございますね。米審のあれがいままできまらなかったという議論で、これは前の農林大臣もそう言っておりましたけれども、そういうことで中立委員だけにしたということは、これは理屈にならぬと思うのです。いままできまらなかったその過程があって、いまあなたが言われるように米価審議会決定はしなかったけれども過程があって、米価をきめて予算に計上しておるわけですから、私は、そういう点ではそういうことはへ理屈だと思うのです。少なくとも私たちは、そういうような考え方でやられるから問題が起きるわけで、これはあなた方のやっておられるそういう考え方がいろいろな問題をむずかしくしておると思うのです。だから、私はものをつくるのに、ものをつくった人の意見も聞かずにこの決定をするというようなことは、これは不都合きわまる。特に米作農民のために、これはあまりにひど過ぎるやり方だ、こう思うのですが、あなたは食糧庁長官として、米のいわゆる最高責任者としてそういうことを考えられませんか。あたりまえだと思っておられますか。
  12. 大口駿一

    大口政府委員 私が先ほど来申し上げておりますることは、米価決定をいたしまする際に、米価決定に直接の利害関係を有する方というふうにことばを使いましたのは、生産者米価の場合には生産者消費者米価の場合には消費者というふうに考えております。したがいまして、これらの方々の御意見を一切伺わないで米価決定することが適当であるというふうには考えておりません。
  13. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そういうようなことを言われる。それはへ理屈なんですよ。私は、あなたを責めてもしようがないから、大臣がおられぬから言いませんけれども、御承知のように、私は外国へ昨年行ったのですが、パリへ行きますと非常にはでな生活をやっておる。しかし、パリははでだけれどもフランス農村が堅実だからしてもっておったということがいわれております。そのフランスでも農家がどんどん減りまして三割を割っておる。それから日本でも、この二十年ぐらい前までは農業人口は半分ぐらいだったのですけれども、最近は農村は三割を割ってくるような形になってきた。それだけやはり農村が疲弊しておると思うのですね。そういう点では、何といっても日本は米どころですから、どこへ行っても米をつくるところが一番多いと思うのですね。そこで、きょうあたりの日経なんかでも盛んに議論になっておりますけれども、米というのは非常に重要な問題であって、しかもあなたは責任者食糧庁長官である以上は、もう少し米をつくる人に対して同情があってしかるべきだと思うのです。私はこの前決算委員会でもあなたにいろいろ話を伺ったのですが、もう少しそういう点の思いやりをあなたが持たないから、この間、ああいう倉石君のように米審はどうでもいいということになってしまう。あなたは補佐官として、農家に対して冷たい人だ。食糧庁長官農民立場理解もしないで米をつくる人に理解がないということでは、これは私はあまりひど過ぎると思うのですが、あなたはそれを一体どういうふうに考えられますか。少なくともそういう点では私はあなたは冷酷無比だと思う。そういう点で、私は、あなたは大蔵省と違うのだから、百姓立場に立って、米をつくる人に対してもう少し同情があってしかるべきだと思うのですが、あなたはこの問題に対してどのくらい熱意がありますか。
  14. 大口駿一

    大口政府委員 米価決定につきましては、先ほど来るる私ども気持ちを申し上げておるわけでありまするが、農林省といたしまして農家のことを考えないで行政をしておるのは一人もおりません。私は食糧庁長官といたしまして、生産者米価についていろいろ事務的な検討なり、また上司を補佐いたしまする場合に、米価というものが生産農民にとって非常に重大な問題であるということは十分認識をした上で行政をいたしておるつもりでございまするが、先ほど来いろいろな御注意もありまするので、今後一そうその気持ちを引き締めてやってまいりたいと思います。
  15. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 どうも口先だけで引き締めたって、あなた米作農民に対して愛情がないですよ。いかにも人ごとのようなことを言っておるでしょう。あなたは少なくとも食糧庁長官として、大臣がどうあろうとも、自分はこういうような気持ちでおるというくらいのことを言ってもしかるべきだと思うのです。私は百姓じゃありませんけれども、あれだけの農民が中央にあれだけ自分たち意見を言うというのは、私は、相当せっぱ詰まった問題だと思うのですよ。そういう点で、農林省たらい回しで、あなたがどこから回ってきたか知りませんけれども食糧庁長官といえば、米のことでは最高レベル大臣以外には最高レベルの人ですよ。その人が、いかにもこういうようにきまったのだからしかたがないというような言い方では、私は、あまりに米をつくる農民に対しては気の毒だと思うのですよ。私はそういう態度がやはり米審にあらわれておると思う。大臣はかわってもあなた方はかわらない。あなたは農林省におそらく三十年くらいおられると思うけれども、そういう人はもう少し農家に対して愛情があってしかるべきだということを、あなたの答弁から、私は正直に言って、しみじみ感じました。だから、反省ぐらいではなく、もう少し熱情を持ってこういうふうな問題に当たっていただきたいということをまずお願いしておきたいと思います。  それからもう一つ、私はめったにおこったことないのですけれども、このごろ非常に世の中が異常になってきておりますから、いろいろおこりたいことがふえたのでありますが、この間、理事会田村さんが委員長で泉さんがあやまりに来たそうでありますけれども、私は、大蔵省川村直税部長にひとつお伺いしたいと思う。  あなたは、一月三十一日に、これは好意的なことではありますけれども通達を出しております。これはどういういきさつでこういう通達を出しておられるのか。これは私は非常に国会無視だと思うのです。あらかじめそういうような通達——これは悪意ではありません、善意なことでありますけれども、まだきまりもしないことを先に出してしまう、こういうことを平気でやられるということについて、ぼくは川村直税部長よく知っておりますから言いたくないけれども、どういうわけでこういうことになったのか、ひとつ説明をしていただきたい。
  16. 川村博太郎

    川村説明員 ことしの一月三十一日付で「昭和四十二年産米穀予約減税について」という国税庁税部長から各国税局の直税部長あて書簡が出されております。これは正式の長官名通達というようなものじゃございませんで、いわば直税部長書簡と申しますか、事務連絡の性質を持つものと考えられます。  この書簡を出しましたいきさつでございますが、御承知のように、二月十六日から三月十五日までが所得税申告期間になっております。全国五百の税務署におきましてこの申告指導事務が円滑に行なわれるということが、国税庁といたしましては非常に深甚の関心を持っておるところでありますし、また、これが円滑に進むか進まないかということが、ひいては納税者皆さま方に非常に重大な影響を及ぼすものと考えられる次第でございます。実は、一月三十一日に国会提出されました予約減税法案が、当時の状況におきまして、二月の初めにはおそらく成立するであろう、従来の経緯から考えまして成立するであろうということを一応予測いたしまして、申告指導事務が円滑にいくように、この本年出されました予約減税法案の昨年との違い、それからその内容等につきまして詳しく説明した上で、各税務署申告指導にあやまちなきを期したいというのが、これは私の切なる願いであったわけであります。ところが、その内容に、文言等若干誤解を招くような内容がございましたので、その点、私としても非常に申しわけなく思っております。もとより法律が通らない前に通達で処理ができる筋合いのものではございません。その意味では、通達というものが事務連絡のためのものであるということは十分承知しておったわけでございますが、文章等でやや軽卒な文面が中に入りましたために御迷惑をかけたことを申しわけなく思っておりますが、国会を軽視するというような考えは毛頭ありませんし、申告指導ができるだけ円滑に進められるようにというような考え方でやったものでありまして、そういう点御了承いただきたいと思います。
  17. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 川村さんにもう一度お伺いするのですが、この文章、最初の文章、こんなに長い文章センテンス一つしかない。だから、一体どういうことを書いているのかわけがわからない。これは一ぺん読んでもらうとわかるのですが……。吉國主税局長に言いたいのですが、あなた方は非常にむずかしい文章を書いて——あなた方はおそらく下僚に書かせるからいけない。吉國さんや川村さんが書けば、こんなへたな文章を書かない。税務署末端にいくと、むずかしくて何が何だかわけがわからない。私は短いセンテンスがいいというわけじゃありませんけれども、もう少しわかりやすい文章——これを読んでごらんなさい。何が何だかわけがわからぬですよ。川村さん、あなたが書いたんじゃないでしょう。少なくともこれを読んで、これは活字もはっきりしておりませんけれども末端にいけば、税務署の下へいくと、どんなに間違って伝えられるかわからない。吉國主税局長は、頭はいいけれども、どうも文章がへたです。大体大蔵省文章がへただ。そういう点で、あなた方が税金をやるときにいつでも問題になるのは、非常にわかりにくいということです。私どもも、収入の面などを書くときに、わかりにくいところがたくさんあるのですよ。こういう点をあなた方は一体どう思っておられるのか。これに関連して、川村さんもあやまられたから、私は追及しませんけれども、少なくとも私たちはこういう書き方自体——下の者に書かして上に上がってくる。だから福田幹事長は、下から上がっていって大蔵大臣になって幹事長になったものだから、頭の狂ったようなことを言い出す。これは官僚の一番悪いところです。大蔵省官僚の人は非常に頭がよくて賢過ぎるからこんなことになる。私はいろいろよその省へ行きましたけれども大蔵省が頭のいいことはよくわかります。答弁なんか非常にうまいです、頭がいいから。だけれども、頭のいいのは大蔵省の役人だけであって、末端の者はあなた方ほど頭がよくない。だから、税金を納める人が非常に困っていると絶えず私は言われておる。これはたまたま川村さんが通牒を出したからわかったのでありますが、こんな文章書いたら、雑誌なんか一冊も売れません、こんなむずかしい文章。少なくとも私はこういう点で、もう少しあなた方が——これは川村さんはたまたま親切にやったのだと思います。予約減税をなるたけ百姓の人に早くわかるようにと思われたのだけれども、何が何だかわけがわからない、私はここで読んでみましたが。そういう点を一体取る側の主税局長が考えたことがあるかどうか、一ぺんこの際ついでにお聞きしておきたい。
  18. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございましたとおり、税法の文章等が非常にに難解であるということは、私どももしばしば耳にもいたしておりますし、私ども自身反省をいたしておりまして、これを改善すべくいろいろ努力いたしておるわけでございます。たとえば前塩崎主税局長時代に、税制調査会の中にわざわざ税制簡素化部会というものを設けまして、税制をわかりやすく、しかもできるだけ公平を害さない範囲においては簡略化するということを主眼にいたしまして、いろいろ審議をいたしました。それによって二つの答申を得て、それを去年も実施いたしましたし、ことしも法案に織り込んで御審議をお願いしておるわけでございます。もちろん現在の段階でもなお不十分でございますし、私どもも知恵をしぼってさらにわかりやすい税制をつくり上げるということが必要であると痛感をいたしておりますので今後とも十分御叱正をいただきたいと思う次第でございます。
  19. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ついでにといっては悪いけれども、ぼくは大蔵省の役人の人が、主税局の人が、税金を納める側に立ったことがあるかどうかということだと思うのです。あなた方は押しつけてやる。もう一つは、上のほうの人が自分文章を書かないで、自分が判こを押して回すだけだ。吉國さん、読んでいないでしょう。あなたは主税局長だから、泉さんが読んで、大蔵委員会であやまらなければならないようなことをやるのは、これはやはり下の人にまかしてやるからいかぬ。こういう重要なことは、当事者そのものが処理に当たらなければ、こういう問題が起きると私は思うのですよ。少なくともこれは好意的にやったのだけれども、私はこの中に官僚の悪いところがあるし、それからいま日本の国は官僚の国でありますから、あなた方が実際盛んにやっておるわけです。特に、大蔵省の人は日本の政治を支配しているといわれておる。それだから、福田赳夫さんのような幹事長が思い上がって、何か自分が天下を取って、総理大臣になったようなことを言うけれども、それは間違っておると思うのです。少なくともそういう点で、予約減税に関連していろいろ調べてみると、大蔵省考え方の中にはやはり非常に独善的なところがあると思うのです。吉國さんはいばったことはない人だと思うけれども、心の中にどことなく民衆をべっ視したり、あるいはやっていることの中には国民の気持ちがわからないところがあると思うのです。せっかくこういうような、川村さんが好意をもって、それで予約減税をやるという中には、これは国会無視の精神が入っておるでしょう。それは間違いだと言われるかもしれぬけれども、どうせ国会議員なんかというような腹がありはせぬかというような危惧を持たれるわけです。私は特にこういう問題が起きたから言うのではなくて、平素税金を取る側の主税局が、国民のわからないような文章を書いて、そして押しつける、そして文句があれば税務署の署長なんか形なしにおこるけれども、納める大衆はあなた方のように頭がよくない。あなた方は東大の秀才で、二番か三番の人であるんだろうけれども、国民はそんなにえらい人はいないんですよ。選ばれた人はあなた方だけだ。私は正直いってこの文章を読んで何が何だかわけがわからない。読んでみんなに笑われますよ。私はそういう点で、もう少し親切心があったら、もう少しあなた方が理解を持って、これを受ける側に立ってひとつやっていただくことが大事だと思うのです。そういう点について、そういうことを直接やらぬでもいいけれども、もう少し国民の側に立って、税金を納める側に立って主税局が考える必要があると思うのですが、この点は吉國さん、どういうふうに考えますか。
  20. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 御指摘の点はまことにそのとおりだと思います。私もそのために、税金を納める側に立たなければならぬと思いまして、実は昭和二十六年以来ずっと申告をいたしておりますが、大体申告書は自分で持ってまいりまして、税務署の相談係に聞いて、書いて納めるようにしております。実際行ってみますと、なかなか納税者の皆さんは、申告書がわかりにくくて書けないという状況も、実は私も見ております。しかし、同時にまた、最初からあきらめて、税務署からお送りした封書をそのまま封を切らずおいでになる方もあるようでございます。しかし、税務署がこのごろ非常に丁寧に努力していることは事実だと思うのでございます。ただいまお話しのございましたように、主税局といたしましても、善意の納税者気持ちというものを前提にして税制を立案していることは、主観的にはまさに疑いないところでございますが、能力あるいは態度等においてまだ主観的な態度が十分でないという点でございますれば、今後とも反省をいたしていきたいと思っております。  ただいま御指摘のございましたこの直税部長通達は、実は先ほど川村直税部長から申しましたが、部内の事務進行のために出した通達でございます。御承知のとおり、普通法律は、今度もお願いしておりますように、年度の初めに成立しているようになっておるわけでございますが、この予約減税法律だけは年度の終わりに、しかも申告期限の開始直前に成立するものでございますので、現場では、たとえば農業については、御承知のとおり従来から農業標準率というものをつくっておりますが、こういう作業をいたします場合に、こういう制度があるかないかで非常な違いがございます。したがいまして、毎年隷下の税務署に対しましては、今度はこういう法律を出しておる、その内容はこうであるということを示しております。法律、政令案が成立いたしますまで、全部税務署に送るわけにまいりませんので、そういうことから国税庁としては事務に支障を来たさない範囲内で内容を示すことが必要であったわけでございます。たまたま今回は御指摘のように文章はなはだ不適当な点でございまして問題になりましたが、いわば第一線が混乱を起こさないよう、また質問等がございました場合に、こういう法律が出ているから、これが通ればこうなりますということは、先ほどお話しの深い愛情から出た仕事でもあると思うのでございます。その点御了察をお願いしたいと思います。
  21. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 同僚の武藤委員からもいろいろ質問があると思いますから、ぼくはもう時間がありませんからあんまり言いませんけれども、もう一つ思い切ったことをひとつ吉國さんにお尋ねしたいのですが、米のために農家税金というものは全体とすればたいしたことないと思うのですよ。これはどのくらいあるかということ。それからもう一つは、そういう米の税金だけは思い切ってただにしたらどうかと思うのです。ほかの方法はあります、地方税の問題が出てきますからたいへんだと思いますが、そういう抜本的なことをやるお考えがあるかどうかといった点。あなたは政治家じゃないから返答できないかもしれません。しかし、そういうような場合にどういう不都合なことが起きるかという問題——これは一部には米が高過ぎていかぬというような声もあります。それは外国と比べれば、米価が高いことは事実だけれども、これは日本のいわゆる米作農民の宿命的なものだと思うのです。そういう点から、日本の食糧というものはある程度保護してもやはり育てていくべきだという考えを私は持っておりますからそういう観点に立つのですが、この米の問題がやかましくなるのはやはり税金の問題とか、いろいろ米をつくるための犠牲というものが何ら認められないというところに、ぼくは農民の不平があると思うのです。そういう点を考えて、一番やりやすいのは、五十億からの予算、今日においては米の税金というものはたいした税金じゃないと思うのですが、その点について、当局者としてあなたは、主税局長としての御意見を伺って、私武藤さんに譲ります。
  22. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 お尋ねの米の税金につきましては、米だけ分離しておりませんので、農業所得だけでございますと、現在四十二年度で約五十二億程度でございます、所得税でなお予約減税でことし免税になる見込み額は、ことしは非常に豊作でございましたので、国税で十一億程度かと思います。地方税で二十一億程度、これが免税になっております。   〔金子(一)委員長代理退席、委員長着席〕  ただいまお話しのように、米の生産については非課税にしたらどうかというお尋ねでございますが、これは私は事務的にお答えしょうがないのでございますが、御承知のように、現在の所得税は所得の内容によっていろいろな区別をつけるというよりは、所得の金額を総合いたしまして、そうしてその量によって所得の強弱を判断いたしまして累進課税をいたしております。したがいまして、所得の内容がこうだからそれをどうするという扱い方はしてないわけでございます。そういう意味から申しますと、個々に、この所得は、この所得はということをやってまいるのが特別措置として、現に米の問題がございますけれども、全体の所得税の体系としては、これはやはり所得がある以上はやむを得ない、また現に米価決定にあたりましても、所得補償方式とか、あるいは再生産補償方式とか、所得ができるように保障しているわけでございます。そういう意味では、ほかのものが再生産をなし、あるいは所得を得ていると同じことでございますので、その量が少なければ少ない課税で済みますし、量が大きくなればやはり同じように課税しなくちゃならない。さらに、もう一つ問題は、兼業農家がございますので、そのほかに所得があって、米だけ抜けるということになりますと、これもまた非常に不公平なことになる。そういう意味では、事務的に申しまして、やはり所得税の体系としては、米の生産を除外するということは不可能である、不可能と申しますか、非常に体系として困ると申し上げざるを得ないと思います。
  23. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後に、倉成政務次官にお願いしておくのですが、御承知のように大蔵省の役人は非常に頭がいいんです。これは私らもいろいろな委員会に行ってみると、答弁のうまいのは大蔵省の役人がうまいのです。その中に入って、あなたはおとなしい農林の専門家の人でありますが、こういうような頭のいい人はどうしてもうぬぼれて、やはり人を人と思わないような傲岸不遜なような感じのするような点があるのですが、そういう点で省内のあなたは政務次官でございますからひとつ民衆と、非常に関係の深い大蔵省の役人に対して、もう少し思いやりのある親切な——頭がいいだけでは世の中は渡れませんから、ひとつそういう点で十分に注意してやっていただきたいことをお願いしておきまして、私は終わります。
  24. 田村元

    田村委員長 武藤山治君。
  25. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 私は、割り当て時間約三十分程度というのでありますから、答弁はひとつ簡潔に要点だけをお答え願いたいと思います。  まず第一に、食糧庁長官に、世界の食糧需給見通しと申しますか、長期的なもの、短期的なもの、現状から触れて、食糧というものと人口増というものがどういう形に発展していくだろうか、どういう関係になっていくだろうか、こういう点からまず世界の食糧の需給状況をちょっと御説明願いたいと思うのであります。
  26. 大口駿一

    大口政府委員 どうもあまり大がかりな御質問で戸惑うわけでありまするが、私は世界の、大体二つに分けまして、先進国とそれから発展途上国というふうに分けた場合に、先進国におきましては人口の自然増加率が相当以前から下降もしくは停滞傾向、日本もその例外ではない地位に立ち至っていると思います。これに反しまして、いわゆる発展途上国と称せられる東南アジア並びにアフリカ諸国におきましては、依然として人口の自然増加率が相当に高いという状態でございます。ところが、食糧の生産面から見ますると、先進国で主として生産をされます小麦につきましては、先般の戦争直後に著しき不足時代を経験いたしましたあとはむしろやや過剰傾向の時代があったと思いますが、最近ではその状態も解消いたしまして、ほぼ均衡がとれたような態度でございます。  それから発展途上国の主たる生産である農産物、ことに食糧農産物としてかりに米をあげますると、生産の伸び率というものは、技術が依然として非常におくれておる、その他の関係もございまして、人口増加率をはるかに下回っておる。現に東南アジア諸国におきましては、米というものは大体過剰物資であるという時代が一時あったのでありますが、最近では米はむしろ不足物資である。したがって、アジアに位する先進国たる日本の役割りとしては、これらの諸国の食糧生産の伸びをいかにして増強させるか、技術並びに資本でこれをいかに手伝うかということが問題になっておることから考え合わせましても、今後の世界の食糧需給というものはいまの人口増加率と技術並びに資本の投下量というものとにかかっておると思いまして、決して楽観は許さないというふうに考えております。
  27. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 世界の食糧と人口というものを検討した際には楽観を許さぬ。したがって、日本の食糧関係を担当する食糧庁としては、日本の主食は自給体制という観点からこれを推進すべきであるか、それとも工業立国として進むためには自給体制というものをある程度放棄してもやむを得ないと考えて施策をやるのか、食糧庁としてはどちらをとりますか。
  28. 大口駿一

    大口政府委員 農産物全体、ことに食糧農産物の自給をどうするかという問題は、個々の場合によっていろいろ事情が違うと思いまするが、米に限定をして申し上げますと、米は二千年来日本民族の主食として非常に重要農産物でございますので、少なくとも米に関する限りはできるだけ内地産のもので自給をするという目標でやっていくべきものと考えております。
  29. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 日本人の今日の米の消費量というものは、推定実収高一千四百四十万トンですか、それに対して、年間どうしてもこれだけは消費量として必要だという、その数値はどのくらいになるわけですか。
  30. 大口駿一

    大口政府委員 日本人全体の食糧の所要量は、いろいろな統計の方法があると思いますが、大体食糧用として約一千百万トン前後、そのほかに加工用がございますが、一千百万トンと二百万トンの問ぐらいというふうに私どもは把握をいたしております。
  31. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そういたしますと、昭和四十二年産米がもう超豊作であったと見ても一千四百四十五万トン程度、これは一年間の消費量から見れば二百万トンくらいしか多くないわけですね。そういたしますと、二百万トンの米というものはいま国民の食べておる量から見て何カ月分に該当いたしますか。
  32. 大口駿一

    大口政府委員 先ほど私が申しました千百万トンないし千二百万トンという消費量は、農家もそれから消費者も含めての日本人全体の数でございます。そこで、昨年産米が豊作でありましたことの結果、食糧庁が管理をいたしておりまする政府の手持ち米が、大体ことしの米穀年度末で二百三十万トンないし四十万トンぐらいになろうかと思います。したがいまして、この二百万トンが政府が持っておる二百万トンということになりますると、政府が配給をいたしておる対象人口をもとにいたしますると約四カ月分。それから、ただ二百万トンが大体どのくらいの数量かということになりますると、先ほどの、年間が千二百万トンということになりますると、大体六分の一でございますから二カ月分、こういうふうに計算上出てまいります。
  33. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そのわずか全国民の二カ月分の食糧程度が過剰になって倉庫に入ったからという一時的な現象をとらえて、日本の米の需給関係というものは大きく変わった、そういう判断に立って、もう米の生産意欲を国が指導する必要はない、したがって予約減税制度なんというものは廃止するのだ、こういう税制調査会大蔵省主税局の見解に対して、食糧庁長官はどう思いますか。率直にひとつ意見を聞かしてもらいたい。
  34. 大口駿一

    大口政府委員 まず需給の見通しの問題でございまするが、私どもとしましては、米の一人当りの消費量は少なくとも最近二、三年間は漸減傾向をたどっておる。それから、農村地帯における一人当たりの消費量も、最近においては漸減傾向があらわれております。他方、生産の面からいたしますると、農地のいろいろ壊廃をする一方、農地の造成をいたしまして、全国的な耕地面積はほぼ横ばい。反収は、技術の進歩に伴って、徐々ではございまするが、今後伸びるだろうと思います。ただ、この耕地面積は、地方別に見ますると、日本の米の生産の主力を占めておりまする主として東日本におきましては、耕地面積は最近きわめて堅実に伸びてまいっておりまするので、米の生産というものは、すでに、平年作で千三百万トン台は確保できるというようなところまで技術が進歩したというふうに考えております。  現在の手持ち量が、すでに将来に向って需給が決定的に緩和をしたというふうに考えられるものであるかどうかにつきましては、私はにわかにここに断定をいたしません。しかしながら、米の全体の生産と消費との関係からいたしますると、少なくとも相当苦しかった時代とは明らかに様相が違っているのではないかという認識は持っております。  それから、予約減税との関係を申し述べられたのでございますが、予約減税制度は、御案内のとおり、昭和三十年に、いわゆる予約制度が発足をいたしました際に、この制度の円滑なる推進を果たす役割りの一翼をになう制度として発足したと了解をいたしております。政府に対する米の集荷を促進をするという目的だろうと思いますが、国全体の需給問題につきましては、先ほど申しましたように、にわかには将来を断定し得ないとは申しまするものの、政府に対する米の集荷というものは、最近、生産の若干の豊凶にかかわらず、非常に順調な足取りで伸びておりますので、予約制度の円滑なる推進という役割りで発足したこの制度は、おおむね役割りをすでに果たしておるのではないかという認識も私は成り立ち得ると思っております。
  35. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 おおむね役割りを果たしたと思うということは、もう農民に対して予約減税は廃止されても、事情から見るならばやむを得ない段階だ、こういうあなたの認識ですか。それとも、予約減税は、やはりあることによって、こういう米の政府管理というものが非常に好ましい状態にまで発展をしたのだということで、今後も持続すべきだとお考えになるのか。その辺を明らかにしてもらいたい。
  36. 大口駿一

    大口政府委員 予約減税制度が発足をいたしましたときの予約減税制度に期待いたしておった役割りは、すでに果たしたというふうに私は考えております。また、予約減税制度というものを税制の面でいかなる評価をすべきかという問題は、私は門外漢でございまするから、私からお答えすべきでない問題と思いまするが、やはり税の体系の問題としては御検討がなされるのではなかろうかというふうに考えております。予約減税制度が発足したときにこの制度に期待した役割りは、おおむね完了したものというふうに私は認識しております。
  37. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そのおおむね目的は果たしたということは、ほかに原因があると思うのですよ。それは、やはり価格が、生産者米価がやみ米との格差を縮めてきて、もう自分のところへしまっておいて端境期になって売るよりも、事前売り渡しで売ったほうが、農民としては手間もかからぬし保管も必要ないし、売り渡したほうがいい。それにはもちろん減税というものも早く売れば含まれているから、争ってひとつ国に売ろう、こういう裏表になっているわけですね。したがって、私は、この制度をやめた場合に、しかも凶作というようなものに遭遇したときに、やはり、ああこれは早まったという後悔をするのではないだろうか。廃止をした場合に、そういう心配をするわけですが、そういう心配は全くないと長官はお考えになりますか。
  38. 大口駿一

    大口政府委員 この予約減税制度に対する評価のしかたなり今後の問題については、いろいろの角度から今後検討されてしかるべき問題と考えております。私が先ほどお答えをいたしましたのは、予約減税制度が発足をいたしまする際にこの制度に期待をいたしておりました役割りというものは終了したのではないかというふうに限定をして申し上げているつもりでございます。
  39. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 主税局長、四十三年度の税制改正に関する答申の中に、「最近における米穀管理の実情等にかえりみ、昭和四十三年以降に生産される米穀にかかる所得については、特例措置は講じないこととする。」こういう答申に対して、さらに主税局は税制改正要綱の中でその点を受けて、「昭和四十三年以降に生産される米穀にかかる所得に対する課税の特例については、打切りの方向で検討することとする。」というふうに要綱に説明をいたしているわけです。この点については、大蔵省内では、与野党から強く要請があっても、また農業団体から強く要求があっても、この本年の要綱の中に書かれた趣旨というものは貫くのだ、そういう強い意思を表明したものなのか、それとも、本年の凶作であるか豊作であるか等の事情というものを十分勘案をして、本年の暮れあたりに十分検討した上で態度を明らかにするのか、その辺の詰めば大蔵省としてどういうところまで検討したわけですか。これは副大臣ともどもひとつ答弁を願いたいと思うのであります。あなたは大臣のかわりとして非常に政治的な決断を必要とする取り扱いであろうと思いますから、副大臣の見解もひとつ聞かしておいていただきたい。それから主税局長の見解を聞きたいと思います。
  40. 倉成正

    ○倉成政府委員 予約減税の廃止するかどうかという問題は、税制調査会答申もございますけれども、私どもとしましては四十三年度からは廃止をしたい、こういう考え方でございます。
  41. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいま政務次官が申されましたとおり、今度は要綱に備考へ掲げましたのは、今回の改正要綱は今国会法律改正を書くものでございます。したがって、備考にいたしましたわけで、ただ、先ほども申し上げましたように、この制度が単独法で、しかも年度末に出ますので、あらかじめ四十三年産米からは廃止をするという意向を明らかにしておかないと、あとでそれが予定されておったということでも困るという趣旨で書いたものでございまして、そういう意味でまさに政務次官の申されたとおりで、四十三年産米からは廃止をしていきたいという気持ちでございます。
  42. 武藤山治

    ○武藤(山)委員政務次官 あとで後悔しないように。ことしは六月に参議院選挙があるのですからね。自民党の大蔵政務次官がはっきり、ことしできる米はもう予約米減税は認めないのだ、しないのだということをここで言明したことは、全国の農民はこれはえらい関心を持ちます。私ども社会党は、参議院選挙で徹底的に農民に知っていただきたいと宣伝いたします。いいですね。いかなる凶作があっても、いかなる米の本年の生産状況に変動があっても、四十二年産米には予約減税はもう認めない、こういう強い態度ですね。よろしゅうございますか。
  43. 倉成正

    ○倉成政府委員 私がお答えしましたのは、四十三年度の予約減税は廃止したい、そういう大蔵省の考えを明らかにしたわけであります。したがいまして、武藤委員が非常に特殊な場合を想定して、まあとにかくとんでもない大凶作が起こるとかいろいろなわれわれが常識的に考えられないようなことを前提としてお話しになるのであれば、そういう場合にはまた違った角度からこの問題は検討さるべきだと思っております。
  44. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それだったら、やっぱり政務次官、初めから、それはひどい凶作になったときにはその事情というものも勘案をする、事情変更の原則というものもある程度は考えるのだ、そう柔軟な答弁をするならまだ話はわかるのですが、先ほどのあなたの答弁は、もう四十三年からは断固廃止じゃという非常に四角ばった答弁でありますから、これは与党のためにもまた倉成さんのためにもあまり好ましくない答弁ではなかったかと私は思うのであります。  次に、食糧庁長官、きょうの日本経済新聞を見ますと、中国から輸入できる限度は大体六万トン程度だろうということが新聞に書かれているわけでありますが、あなたは直接の相談にあずかったかどうかはわかりませんが、経済閣僚がそういうことをしゃべっているという点から、六万トンぐらい中国から輸入するということは、国内の米生産に影響がないという判定からなのか。何を基準にして六万トン程度ならばということが出てきたのか。特に主食の管理を扱う食糧庁として何かこれに対する御感想、あるいは相談にあずかっているとするならばその計算をはじき出した根拠、そういうものをひとつちょっとお示し願いたいと思います。
  45. 大口駿一

    大口政府委員 食糧の需給計画といたしましては、昨年産米が御承知のような豊作でありまするので、米だけの純然たる需給上は外国から米の輸入はゼロにしても差しつかえないだけの手持ちを持っております。しかしながら、御承知のように現在の配給制度におきましては、内地米と徳用上米と徳用米というふうに三段階に分けております。ことに、昨年の秋の消費者米価の改定の際に徳用上米並びに徳用米につきましてはほとんどその値段を引き上げないという措置をとりましたことの結果、徳用上米につきましてもそれぞれたとえば特殊嗜好飲料その他で固有の需要がございますが、私どもは、一方において内地米の豊作を念頭に置きまして、準内地米の総輸入量は今米穀年度においてほぼ二十万トン程度というふうに例年よりも著しく縮小をいたしたのであります。現在準内地米の輸入ソースといたしましては、台湾、中国並びにアメリカが考えられるわけでありまするが、それぞれ品質並びに価格等を勘案した上でそれぞれのソースから輸入量をきめてまいるべきものと考えておりますので、品質、価格等について全くめどがない間は、ほぼいま申しました総輸入量をそれぞれ三等分して考えるのが大体常識ではなかろうかということが、その六万トンということを、私ども公式に申しておりませんが、一般に伝えられている根拠ではなかろうかと思っております。しかし、やはり物を買います場合には、品質並びに価格等が他のソースと比較していかがかということをきめた上で数量は判断さるべきものというふうに私ども立場としては考えております。
  46. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 この二十万トン予定の輸入米というのは、消費者に直接配給する量が多いのか、それとも酒造米とかお菓子とかそういう面に向けるほうが多いのか、この二十万トンの消費割り振りというのはどんなぐあいになるのですか。
  47. 大口駿一

    大口政府委員 加工原料用といたしましては別に砕米等の輸入の予定をいたしておりまするので準内地米二十万トンというものは主として食糧用として配給する予定の数量でございます。
  48. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それから長官、いま日本の人口が非常に伸び率はわずかしかふえていない。しかし、最近労働力不足の問題や日本のこれからの工業立国としての大きなにない手である労働力確保という面から、いまのこの産児制限というものがある程度違った方向に進むのではないかという、これは遠い見通しでありますが、そういう点を考えてみると、これから十年先あるいは十五年先というものの日本の人口を推定して、その場合にいまの米の生産量でまかなっていけるのか、これから何年先ぐらい一千三百万トンぐらいの収量で人口をどの程度まではこれで自給ができるという、そのちょうど接点は何年くらい先になりますか、いまの人口増から見て。どういう見通しをされておりますか。
  49. 大口駿一

    大口政府委員 米の生産量と消費量とがどういうふうな関係になるかという問題は、ただいま御指摘になりました人口増の見通しの問題とからんで一人当たりの消費量、これはカロリーあるいはでん粉質食糧等にも関係してまいると思います。人口増加がありますと同時に、国民所得の水準の向上に伴って、最近見られておりまするように、でん粉質食糧が逐次その摂取量が減少している傾向が、どういう形でどういうテンポで進むかという問題もあわせて考える必要があると思います。農林省部内におきまして、米の需給の今後の見通しというものは、現在鋭意いま申しましたような点を十分詰めました上で検討をいたしておる段階でございますので、いまここで何年先というふうにはちょっと的確にお答えできませんが、しかし、農林省としましては、先ほど申しましたように、日本国民の主食である米だけは何とか自給体制を完成するという目標でいくべきであるという考え方で現在進んでおることを申し上げておきます。
  50. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 しかし、長官、あなたはもう長い間農林省におるんですから、いま国会が始まったからこの段階で検討しているんだというようなことじゃなく、いまの人口成長率からいって、大体生産量はこの程度しか、そう幾ら肥料をやったって——開田がどんどんふえれば別ですが、しかし、やはり収穫逓減の法則があるのですから、幾ら窒素、燐酸、カリをくれたからといって、一反歩から十五俵も二十俵もとれる農業というのはないのですから、したがって、大体一千三百万トンくらいのいまの生産量というものを基準にして考えた場合には、いまの成長人口増からいったら何年後がちょうど需給とんとんの接点にいきますか、それはわかるでしょう。そのことはいまの人口増で計算した場合……。
  51. 大口駿一

    大口政府委員 先ほど申し上げましたように、最近の日本人全体の米の消費量が年間で大体千百万から千二百万トン程度とつかんでおりまするので、その意味では、もし千三百万トンというものの平年作が毎年確保されるとすれば、そういう計算上はすでに自給が達成しておるということになるわけでございまして、むしろ人口増加の問題よりも今後の農業生産がどの程度に平年作というものを下回る年があり得るかどうかという問題にかかってくるような感じがいたしまするが、一応千三百万トンが必らず毎年確保されるということになりますれば、ほぼ食用並びに加工用の米の需要はまかない得るのではなかろうかというふうに私どものほうでは見ております。さらに精密な作業をした上で今後の見通しは詰めるべきものと思っております。
  52. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの答弁ははなはだまだ不満足で納得できませんが、あとで詰めた数字をお見せいただいて、人口増と食糧の問題がどういう関係に発展をするかということはひとつ資料としてお示しを願いたいと思います。  次に、主税局長にお尋ねをいたしますが、主税局長昭和四十一年と四十二年の農業所得の実績額はどのくらいになりますか。実績でひとつ示してもらいたいのですが……。
  53. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 昭和四十年度は、農業所得といたしましては千三百八十四億円、それから四十二年度といたしまして千七百七十二億円と見績もっております。四十二年度は見込みになります。
  54. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 そうすると、四十年の実績はどうですか。
  55. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 千二百五十四億でございます。
  56. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 税額をちょっと言ってください。四十年、四十一年。四十二年はいま申告しているからわからぬでしょうが。
  57. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 四十年は税額にいたしまして三十六億円、四十一年は三十九億円、四十二年の見込みといたしましては五十二億円程度と見込んでおります。
  58. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 もしこれは予約減税なかりせばと計算をしたら、一体どのくらいの金額になりますか。四十年、四十一年、四十二年は。
  59. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 四十一年は予約減税による減収額は約九億でございますので、四十八億程度になるかと思います。四十二年度の見込みでは、先ほど申しましたように十一億程度と見ておりますので、六十三億程度になるじゃないかと思います。
  60. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 これだけの農民に対する恩恵というものを——さらにこれに地方税が加わりますから、かなりの金額になろうと思うのであります。私自身百姓をやっておりますから、いかにこの予約減税というものが農民の関心の強いものであるかということを実は実感を持っておるわけであります。たとえばもみすり機——とにかく早く出せばこれだけの減税になるというので、わせをとにかく二反歩無理をしてでもつくろう、九月三十日までに何とかひとつ一俵について六百八十円でも、これは農家にとったらたいへん大きな金額である。そこでたいへんなもみすり機の引っぱりだこで、実は私も近所に貸したり何かしているのを経験をしている一人であります。そういう関係から、主税局が考えている以上に、農民はこの予約減税の恩恵というものをはだで感じているのですね。したがって、これはそう簡単に、昭和四十三年からもう廃止するのだというようなことを打ち出すということは、農民に対してほんとうに冷淡な仕打ちだという受けとめ方をするわけですよ。だから私は税制調査会が米の予約減税はもう廃止するのだということを、全く米をつくった経験のない人たちが集まって、簡単にこう処理をしようとしているけれども、もし農民にだけそういう犠牲を負わせるなら、他のものについても四十三年からかっきりひとつやりますよ、配当の分離課税ももう一切廃止します、総合累進課税のいまの所得税制というものを完全に守りますよ、あるいは医者の控除も、これもひとつ公平という原則からいくならば、あるいは所期の目的からいくならばこれも果たしているだろうから、これも整理しますよ、すべてを見渡して、公平にそういう措置というものを取り払うならば、私はまだ農民はがまんできると思うのであります。しかし、団結のできない個々ばらばらな非常に数の多い農民であるから、主税局がやろうと思えば、そう抵抗がなく廃止ができるという、そういう階層にだけまつ先に目を向けようとするこの政治の姿勢は、どう見ても私は冷酷非道な農民いじめの態度といわなければならぬと思うのであります。ですから、私は主税局がどういうわけで来年からは予約減税は廃止するのだということを言っているのか、その真意がわからないのであります。公平化のためなのか、そういう点を少し率直に、偽りのない、他との振り合い、バランスというものを十分考えた上で答弁主税局長からひとついただきたいと思うのであります。
  61. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいま御指摘がございましたように、予約減税の問題も、これは租税の特別措置一つでございます。しばしば御指摘がございますように、租税特別措置というものは、一つの政策目的を持っているという面と、それによる税制の公平が一部害されるという面と両面を持っておりますので、絶えずその実情を再検討して洗いがえをしていかなければならぬ、これはもう仰せのとおりであると思いますし、現に私どももそれに心がけているわけであります。  この予約減税の制度は、御承知のとおり、従来超過供出奨励金あるいは早場米奨励金についての免税制度が当時の米穀事情として政策的に必要であったということから、それを事前売り渡し申し込み制度に変わったときに換算をいたしてつくった制度でございます。その当時は、御承知のとおり全農家のうちの米作課税農家というものは大体一四・五%でございましたし、売り渡し農家のうちの課税農家というものは実に二六・七%もあったわけであります。ところが、その後累次の減税が続きまして、現在ではその数が、一五%あったものが四・一%、さらに売り渡し農家のうちで課税農家というものが二六%あったものが六・五%程度に下がっております。したがいまして、従来から毎年のように税制調査会でこれが問題になったという趣旨は、単に他の所得者との問の不均衡という問題ではなくて、農家相互間においても非常に不均衡がある。さらに、この措置を受けている者の間でもこの制度の不可避的な現象といたしまして、地域によって非常な不均衡がある。早場米地帯とその他とでは全く不均衡があるということはしばしば言われております。そういう意味で、昨今になってこれを廃止するということを税制調査会が言ったわけではございませんで、前からこれは言っておったわけであります。そういうような意味で、最近の状況を見ますと、全農家という観点から見ますと、これはわずかに五%程度のものだけが恩恵を受けるという結果でございますので、その不均衡というものはむしろ農家そのものの中にあるという点から、しかも予約減税がその事前売り渡し申し込み制度の補強策として役に立っておるかと申しますと、最近では事前売り渡し申し込みよりもこの減税の適用のない、それを越えた供出といいますか、売却、これが非常に多いのです。たとえば、ことしなどでは御承知のとおり予約した数量は八百十万トン程度でございます。実際に供出されるものは九百万トンをこえると思います。そういう実情で、先ほど食糧庁長官が言われましたように、この制度の目的としてはもう十二分に達してしまって、これはすっかり地についている。予約売り渡し制度は地についた、こう見られるということから、この際廃止をしよう、こういうことを言ったわけでございます。  ほかの特別措置につきましても、同じようにその効果等を考えて廃止すべきものは廃止する。たとえば、本年の税制改正におきましても、価格変動準備金の率を下げている。なぜ下げたかと申しますと、この価格変動準備金というものは前に税率を上げたときにそれの代替措置としてある程度認められたものでございます。したがいまして、四十年、四十一年と法人税率を下げました。それに応じて今度切り下げをした、そういうようなことをやっておるわけでございます。配当について御指摘がございましたが、この配当利子につきましても、御承知のとおり、昨年源泉徴収税率を引き上げまして、自後三年という期限をつけて現在その実効を見守っておる最中であります。  そういうように、私どもとしては米だけを措置するのではないのだ、税制調査会もそういう態度でこの措置に当たっておることを申し上げたいと思います。
  62. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 いまの主税局長のお話の中で、五%程度しか恩恵を受ける農家がないというその根拠はどういうことですか。全農家数が幾らで、米作農家が幾らで、予約売り渡し農家が幾ら——大体五%程度だからもう恩恵者が幾らもいないというような説明をしておるのだけれども、私気に食わないですよ。あとで反論しますが、ちょっとその積算の事実を説明してください。
  63. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 これはもうすでに御要求で資料を出しておりますので、御承知と思いますけれども、全農家数は四十二年度で五百五十一万九千世帯でありますが、このうち米作農家が四百九十二万二千世帯、それに対しまして、米作をしていて課税農家が二十二万四千軒でございます。それで、五百五十一万で割りますと二十二万四千軒が四・一%、それから四百九十二万で割りますと四・六%ということで申し上げたわけでございます。
  64. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 それ以外に、これによる減税というものは、地方税はほとんどの農家が所得割りを取られておるが、その所得割りを計算する場合の市民税、県民税の基礎に、予約減税のこの恩恵は全部受けるんですよ。農協から証明書をもらってくれば全部受けるのです。ですから、この制度の恩恵を受ける農家のパーセントは四・一%どころではないですよ。ただ所得税に限ってはこうかもしらぬ。しかし、この制度自体によって恩恵を受ける農家のパーセントというものは、三百四十六万二千戸の農家が、ほとんど大半市民税、所得割りや何か納めておるのですから、そういう人たちは大体かかるんですね。地方税の課税最低限度の低いのをあなたは知っておるでしょう。四十二年度は四十三万三千円ですから、だからそういうような地方税に対してもこれはかなりのメリットがあるわけです、農民にとっては。ですから、そう軽々とこれは四・一%だからはずしてもいいのだということで片づけられては百姓はたまったものではない。まことに自民党政府農民に対して血も涙もないと委員長に言いたいですね。委員長もかぶりを振っておりますが、だから、これは委員長や与党の良識ある委員が、この年度間を通じて予約米減税の廃止はできないというような、自民党としてもおそらく配慮をせざるを得ないのじゃないかと私は推察をいたしておるわけでありますが、そういう農民の実態をもっと考えてもらいたい。  それからもう一つは、農業という仕事は営利を追求してもうかる他の商売と本質的に基本的に違うのだということの認識が大蔵省に足りないような気がするわけであります。他の産業だったら、資本を投下し設備を増大すればどんどん大量生産ができる。しかも一個のもうけは少なくても、大量生産、薄利多売の競争でうちかつものがどんどん利益をあげることが可能であります。一反歩のたんぼを地上五階、六階建てのビルをつくって、機械を入れ、千五百坪にも二千坪にも他の産業なら利用ができます。しかし、農業という職業は地下二階、地下三階をつくって、日の当たらない地下三階にアスパラガスやウドをつくり、一番上に米をつくるなんというそういう技術革新もあるいは土地の高度利用もできない。おまけに一生懸命肥料をくれ、資本を投下して手だてをしても、台風がやってくれば一朝にして百日の説法へ一つですよ。しかもその生産されるものは人間の生命を維持する、人間生活に欠くことのできない最も根幹な重要なものをつくっておる職業なんです。ですから、単なる営利追求の商売と農業というものを同列に考えて、所得のあるところ必ずこれを捕捉し課税するというその原則だけで農業をながめるということは、私は、大蔵省としてはこの辺で少々農業というものに対する見方を変えていただきたいと思うのです。大量生産、薄利多売の競争で勝てない商売なんですから……。そういう点についての配慮をすることは税法からいったら越権である、税法はもっと冷たいものである。自民党の代議士が本会議でかつて、税というものは冷たい顔をしておるものであるという演説をぶちましたが、その冷たいものだけでこういう特殊な職業についてまで一律に取り扱おうとする主税局の態度というものは、この辺で少し改めてもらいたいと私は思うのであります。主税局長の御見解はいかがですか。農業を幾らか知っておるのですか。
  65. 吉國二郎

    吉國(二)政府委員 ただいま仰せのとおり、農業の所得につきましては地方税がかかっておりますが、この地方税の税収額は先ほど申し上げましたように二十一億程度ですが、課税農家数等はいま調べて、ある機会に申し上げたいと思います。  いまおっしゃいました農業の特殊性の問題、これは税制の上では全体としては考えられておると思います。たとえば事業税というものにおきましては、農業を除外しておることは御承知のとおりでございます。所得税は先ほど申し上げましたように、そういうものから出てくる諸経費をすべて控除した残った所得でございますので、所得の量というもので差別をつけて課税をするというのがたてまえでございます。累進課税等も所得別に区別をつけますと、累進課税、総合課税というものは不可能になりますので、所得税の面あるいは住民税の面では農業の所得も他の所得と同じように考えなくちゃならぬ。また、土地に制限がある点は確かでございますが、同時に、たとえば手に生産手段をあまり必要としないサービス業というものもそういう意味では同じような面もあるかと思います。そういう所得の質を差別できないというか、差別しないというのがいまの所得税のたてまえだと思いますので、この点は御了承を願いたいと思う次第でございます。
  66. 武藤山治

    ○武藤(山)委員 持ち時間が終わりますからやめますけれども、いずれにしても主税局長、農業というものは立地条件だけじゃないですよ。それは化学食糧でも発明されて、窒素、燐酸、カリとたんぼのどろをまぜたら米ができる、豚ができるといううまい時代はこないのですよ。それは星の世界に人間が到達するようになっても、食糧というものは営々努力して、おてんとうさまと気温と風のぐあいで、農民はとれるかとれないかわからないものを一生懸命生成して、災害にあえばそれでパアなんです。したがって、商人に貸し倒れ準備金や価格変動準備金を許すように、農民に対しても、病害虫損害引き当て金とか、あるいは災害引き当て金というようなものを農業所得に対して新たにこの際検討すべきではないかと思うのであります。それからもう一つは、農家がどんどん三ちゃん農業になって、じいちゃん、かあちゃん、ばあちゃんになってしまって、日本の食糧自給というものは、将来長い展望を持つならばたいへん不安もある。そういう問題を主税局も十分考えるならば、農家の主人に対してある程度控除を別に認める。いまの基礎控除十五万とは別に、農業をやる者には、その主人に対してさらに、十五万の農業従事者控除というものをひとつ認めてやる。そのくらいな、二つくらいな制度を主税局長がこの際新たに打ち出すならば、まさに吉國主税局長として後世に名が残るであろうと思う。農民に対して——非常にウエートの少ないわずかな税金、主税局の仕事から見ればほんの小さなウエートしか占めないでしょう。しかし、頭数の多い営々努力しておる、しかも採算の非常に悪いその職業にぐちをこぼさずにかせいでいる農民気持ちを、税制の面からも十分私は検討していただきたいということを強く要求をして私の持ち時間を終わりたいと思います。ひとつ十分御検討のほどをお願いいたします。
  67. 田村元

  68. 岡沢完治

    岡沢委員 最初に、昨年の十月から米の消費者価格の値上がりがございました。この一四・四%の値上げ実施に関連して新旧の差益金が生まれるはずでございますが、その差益金についてお尋ねいたします。  大体どのくらいの金額が差益金として出ますか、お尋ねいたします。
  69. 大口駿一

    大口政府委員 消費者米価の改定をいたしました際に、改定をいたしました当日、販売業者が手持ちをいたしておりまする米につきましては、ただいま御指摘のとおり差益が発生をいたすわけでありまするが、私どもは、一方において配給の円滑なる実施ということから、一定数量のランニングストックというものは当然あるべきであるという考え方を持っておりまして、その当然必要とするランニングストックをこえる部分につきましては、これは契約に基づきまして販売業者から政府に納付をさせるという措置をとっております。  昨年の十月の消費者米価の改定の際に、政府に差益として徴収をいたしました金額は、総額七千七百三十三万三千円でございます。
  70. 岡沢完治

    岡沢委員 長官は私の質問に対して答えておられない。私はその十月一日実施の時点において差益金はどれくらい生じておると推定されるかと聞いておるので、幾ら徴収したかと聞いていないのです。まずその問いに対して答えていただきたい。
  71. 大口駿一

    大口政府委員 たいへんどうも失礼いたしました。差益金の発生額の合計は一億三千七百十八万七千九百円でございます。
  72. 岡沢完治

    岡沢委員 その数字に間違いございませんか。何を根処にしてそういう数字を出しておられるか。
  73. 大口駿一

    大口政府委員 どうもたいへん単位を間違えて非常に恐縮でございました。卸売り業者並びに小売り販売業者合計十三億七千百八十七万九千円でございます。単位を一つ間違えて申し上げました。失礼いたしました。
  74. 岡沢完治

    岡沢委員 ほんとうに残念でございます。私は初めて本委員になったというのでなめられたかも  しれませんけれども質問に対して二回とも間違った答えをされた。しかも一けた間違えられる。食糧庁長官が一億と十億と間違えられるというの  は私は大きな問題だと思うのです。  関連いたしまして、では、そのうちに卸売り業者がどれくらいあるいは小売り業者がどれくらいの利得を得たか、お答えいただきたい。
  75. 大口駿一

    大口政府委員 いまの合計十三億七千百八十七万九千円の卸売り販売業者分は九億九百九十二万七千円、小売販売業者四億六千百九十五万二千円でございます。
  76. 岡沢完治

    岡沢委員 そのうち小売業者からは幾ら差益金を徴収されましたか。
  77. 大口駿一

    大口政府委員 私どもは、卸売り販売業者のランニングストック分というものを一定数量控除いたまして、その残った数量に応ずる金額から契約に基づいて徴収をいたしておりまするが、小売り販売業者からは差益を徴収することは、従来から非常に技術的にむずかしい問題がございまするので徴収をいたしておりません。卸売り業者だけから徴収をいたしております。
  78. 岡沢完治

    岡沢委員 この問題について会計検査院から、昭和二十九年十二月、そしてまた三十八年十一月、それぞれ勧告があったはずでございますが、その勧告の御趣旨を御答弁いただきたい。
  79. 小暮光美

    ○小暮説明員 当時会計検査院から御指摘ございましたのは、米の政府売り渡し価格の改定にあたって販売業者に新旧価格の差益を生ずるので、これについてたばこその他専売物資等の例も参酌しながら食糧庁においてこれをどのように措置するのか研究すべきである、こういう御趣旨の御指摘であったと思います。
  80. 岡沢完治

    岡沢委員 いまお答えがあったように、専売品であるたばこや酒については、値上げの場合に明らかに差益金を徴収しておられる。同じような意味での統制品、統制価格をきめられておる米について、一方で消費者は値上げという大きな負担をし、また納税者という立場からしますと、たいへんな食管会計の赤字を背負っておる結果、その値上げの瞬間に、一部の卸売り業者あるいは小売り業者が利益を得ることは、どうも納得できない点がある。そういう意味からこそ、私は、会計検査院から二度にわたって指摘があったと思います。現に酒、たばこについては差益金が国庫に徴収されておるのに、どうして二回のせっかくの指摘があったのに、この米に限ってそういうことを実行されないのか、どこにその隘路があるのか、お答えをいただきたい。大口政府委員 私ども会計検査院の御指摘を待つまでもなく、消費者米価の改定に伴いまして、不当に差益が販売業者の手元に残るというかっこうは、公平の原則から申しましても、また、ただいま御指摘になりました食管会計の健全化の問題からいたしましても、十分検討をしてこれをできるだけ適正にもっていきたいという気持ちは根本的に持っております。  そこで私ども、たとえば十月一日から米の値上がりの予定がありまする際に、その前の段階で米を卸売り販売業者に販売をいたす際のわれわれの心がまえといたしましては、できるだけ正常なる配給に必要なもの以上の買い受け希望につきましては、これは十分審査をして、適正なランニングストック以上のものは売らないということを現にやっておるわけでございまするが、何ぶんにも主食のことでございまして、ある一定の期間だけは差益を生ぜしめないために在庫をゼロにするというようなことも、なかなか実際問題としてはできませんし、また、各販売業者ごとに在庫調べを全部しらみつぶしにやるということも、なかなか現実的にはむずかしい。専売公社がどのようなかっこうでやっておられるか存じませんが、たとえば、在庫調べをやっておるときには、お客さんにほかのたばこ屋に行ってたばこを買ってもらうということも、たばこの場合ならあるいは許されるかもしれませんが、米の場合はなかなかそれができないということから、その後いろいろ事務的にも検討いたした結果、いまのような方法をとっておるわけでございます。今後ともなおより適正な方法はどういう方法であるかということは、絶えず私ども研究を進めてまいるべき問題であると考えております。
  81. 岡沢完治

    岡沢委員 食糧庁長官は、いまの食糧庁がとっておられる態度が適正でないということを原則として認めながら、しかもこれはいま始まった問題じゃなしに、昭和二十九年以来、現に会計検査院からも二度の指摘があった問題について、ちっとも改善されておらない。十億というような金額を非常に軽くなめておられるのじゃないか、また、ほんとうに国民感情というものを無視した態度ではないか。米の卸売り業者といいましても、わずか四百軒足らず、小売り業者を合わせましても六万足らずで、必ずしもたばこやその他の規模からいたしましても、むずかしい数字ではないし、また、制度自体から私は在庫を調べるということが不可能だとは思わない。そういう点につきまして、ほかにまだ隘路があるのか、それとも単に実情把握がむずかしいから、あるいは米とたばこは違うからということなのか、重ねてお尋ねいたしたい。
  82. 大口駿一

    大口政府委員 実は、私が先ほどお答えしましたのは、現在私どもがとっておりまする方法が適正ではないというふうに申し上げたわけでございませんが、なお今後改善すべき余地があれば改善をいたしたいという気持ちを持っておるわけでございます。  それからなお、現在のような差益金徴収の方法は、昨年の十月のみならず、一昨年、その前もいたしたわけでございますが、これらの徴収方法も会計検査院の指摘を受けましたので、私ども鋭意改善の努力の一端としてやってまいったわけでございます。私どもはいまの段階においては、技術的にでき得る範囲はこの程度だと思っておりまするが、しかし、なお研究、くふうを重ねてまいりたいという気持ちを先ほど申し述べたわけでございます。
  83. 岡沢完治

    岡沢委員 それでは、いまの制度は適正であるとお思いなんですか。
  84. 大口駿一

    大口政府委員 米の流通形態という特殊性並びに技術的な限界等を考えますると、現在の時点では、この程度というふうに考えております。  なお先ほど御指摘のような公平の問題とか、あるいは金額の問題等についても、私ども反省をすべき問題があると思いまするので、なお今後改善の努力は進めてまいりたいというふうに考えております。
  85. 岡沢完治

    岡沢委員 それでは、会計検査院の値上げに伴う差益金を販売業者の利益に帰するのは不当利得とも考えられておかしいという見解については、どうお考えですか。——長官からお答え願いたい。
  86. 大口駿一

    大口政府委員 ただいま御指摘になりました不当利得という考え方でございますが、米は最終受け渡し価格を物価統制令によって押え、また、米屋のマージンも一定の金額で押えておりますることの関連で、強制的な立法措置等によってこの差益を徴収するということでなく、契約に基づいて徴収するという方法をとっておるわけでありまして、この点については会計検査院も、現在のとり方については事務的に連絡をした上で、了解の上で、現在のような徴収方法をとっておるわけでございまして、徴収をしてない部分が不当利得であるというふうにまでは考えにくいのではないかと考える次第でございます。
  87. 岡沢完治

    岡沢委員 契約に基づいて徴収しているとおっしゃいますけれども、小売り業者からは徴収しておらぬのですか。
  88. 大口駿一

    大口政府委員 米は政府が売却をいたしましたあと、卸売り業者を通して小売り販売業者が配給をいたしておるわけでありまするから、私どもはそのもとになりまする卸売り販売業者と契約を結んで徴収をいたしておるのでございます。
  89. 岡沢完治

    岡沢委員 結局、小売り業者については全然徴収しておられない。卸売り業者についても、きわめて少ない部分しか徴収されようとする意欲がない。私は納税者立場、あるいは先ほど申しました米の消費者立場としての国民感情からいっても、このまま放置されることはどうかと考えます。これは法律上不可能なのか、事実上不可能なのか、その点について長官の明らかな答弁をいただきたい。
  90. 大口駿一

    大口政府委員 法律論から申しますると、現在の米の末端消費者価格は物価統制令に基づく価格でありまするので、最高価格ということに、法律的にはそういう性格を持っておるわけでありますから、理論的にはそれ以下の価格で配給してもいいという実はたてまえになっております関係上、法律的にこれを徴収するという法律構成がなかなかとりにくいということだと思います。私が、現在差益を生じておる金額に関して徴収をいたしておる限界は、現在の程度しかいき得ないというのは、主として先ほど来申し上げておりまするように、毎日の主食の配給で一定の数量のランニングストックを持たざるを得ないということと、たなおろし等について、実際上なかなか現在量をつかみにくいという事実上の制約があるというふうに私は理解いたしております。
  91. 岡沢完治

    岡沢委員 私は、たばこや塩については巖然と差益金の徴収が可能であるのに、米についてのみ非常に業者に有利なといいますか、業者に迎合的といいますか、国民の税金を使う立場をお忘れになったような態度については納得できないものがあります。確かに法律上不当利得であるかどうか、民法七百三条に該当するかどうかについては疑問があると思いますけれども、国民感情からいたしますと、この問題は放置すべき問題ではないと考えるわけであります。専売法等では、法律的には徴収の裏づけがあるわけであります。私は立法的にもこの問題を考えたい。事実上、ぜひまた、本年も米の値上げ等も考えられないことはないというような政府の態度のようでございますから、ことさらにこの問題をいま指摘させてもらって、今後重ねてこういう問題について質問する必要がないようにお願いいたしたいと思います。  次に、最近の米穀管理の実情、ことに昭和四十二年度米穀の需給状況について、先ほど来佐藤委員、武藤委員にもお答えをいただきましたので、きわめて簡単でけっこうですが、追加して、あるいはふえんしてお答え願うことがあればお答え願いたい。
  92. 大口駿一

    大口政府委員 昨年の十一月一日から本年十月三十一日までの昭和四十三米穀年度の需給につきましては、供給の主体になりまする昭和四十二年産米が千四百四十五万トンという、作況指数で一一一という史上まれに見る豊作を受けまして、政府の集荷量も最終的には九百八十万トンの集荷量になる予定でございます。一方、需要につきましては、先ほど来御説明をいたしておりますように、最近の米の一人当たりの消費量が微減をいたしておるという傾向から、全体としては微減をいたしておるわけでありまするが、ただ、政府が配給をいたしておりまする対象人口は、農家人口の移動に伴いまして人口はふえております。したがいまして、政府の売却に関する限りは、前年よりも若干増加をいたしておるわけでございまするが、しかし、一方に九百八十万トンという供給内地米がございまするので、本米穀年度末において四十二年産米はおおむね二百三十五万トンの持ち越し量になる予定でございまして、この数量は、現在政府が受け持っておりまする配給所要量からいたしますると、約四カ月間の数量に相当するということでございます。
  93. 岡沢完治

    岡沢委員 現在もなお、やはり米については、通常の感覚として、まだやみの売買があると思います。農家が供出米として政府に売り上げるときの価格と、そういう正規のルートでなしに、いわゆるやみ的な立場生産者が売る場合の価格と、それとあわせまして、そのやみのルートで流れた米が消費者に渡る価格と、正規のルートによっての配給米価格との格差と申しますか、実情について、もし資料がありましたらお答え願いたい。
  94. 大口駿一

    大口政府委員 最近の調査で、農家の庭先でのやみ売り価格、つまり政府以外に売っておりまする価格、これを玄米で申しますると、全国ほとんどの地域で政府買い入れ価格よりも低くなっておりまして、特に東北、北陸の米の主産地におきましては、十キロ当たりで百円ないし百五十円程度下回っております。また、関東、東海、近畿地方では三十円ないし五十円前後安く取引されております。それから次に、消費地のやみ米価格でございまするが、今度は精米で比較をいたしまするが、政府が配給いたしまする価格と消費地におけるやみ価格との開きでございまするが、これはやみ価格のほうが高いわけでございまするが、東京、大阪等の消費者価格の一番高い甲地では、十キロ当たり約二百円前後、埼玉、静岡等、つまり都市近郊の乙地では約百円前後、それぞれ高く取引をされておるわけでありまするが、東北地域では、消費地においても政府の配給価格より六十円程度安く取引されております。
  95. 岡沢完治

    岡沢委員 先ほど武藤委員質問にお答えになったことでもありますけれども予約減税の本制度の適用を受ける農家数の推移について先ほどお触れにならなかった範囲、たとえば、組織規模から見まして、大農、中農、小農、いずれの農家に適用される場合が多いのか、あるいは地域別に、ただいまどの府県の農家が一番この制度の恩恵に浴しておるのか、そういう点について、もし資料がありましたらお答えいただきたいと思います。
  96. 大口駿一

    大口政府委員 予約減税適用の農家数の資料がここにございますので申し上げますと、昭和三十年、すなわち事前売り渡し申し込み制度発足当初、予約減税適用農家数は七十万七千戸となっておりますが、その後逐次年を追って減少いたしまして、昭和四十二年の数字では、推定でございますが十九万二千戸ということになっております。  ただいま御指摘のこの農家の階層別分布並びに地域別分布につきましては、ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんが、現在の予約減税やり方内容から勘案をいたしますると、主として米の生産地帯にこの農家数が多い、階層別に見ますると、大農のほうがこの予約減税の恩典を受けている、こういうふうに常識的に考えておりますが、地域別のこまかい数字につきましては、ちょっと手元に持っておりませんので、御了承いただきます。
  97. 岡沢完治

    岡沢委員 これで最後の質問にいたしたいと思いますが、幸い大蔵大臣もお見えになりましたので、先ほど武藤委員も御質問になった点ではございますが、いま私が聞きました米穀の需給事情、特に庭先におけるやみ価格と生産者の売却した価格とでは、むしろやみ価格のほうが安いというような実情等から考えて、本制度について、来年度のあり方を先ほど次官からはお答えいただきましたが、重ねて大蔵大臣から、たとえば、税制調査会では、「最近における米穀管理の実情等にかえりみ、昭和四十三年以降に生産される米穀にかかる所得については、特例措置は講じない」というようなことをうたっておるわけでございますが、これについて大蔵大臣の見解を特に私伺いたいと思います。
  98. 水田三喜男

    ○水田国務大臣 税制調査会審議でもこれは毎年問題になる税制でございまして、やはり来年度からはこれはやめるのが至当ではないかというふうに私は考えております。
  99. 岡沢完治

    岡沢委員 終わります。
  100. 田村元

    田村委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  101. 田村元

    田村委員長 本案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  102. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  104. 田村元

    田村委員長 次回は、明二十八日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会