○
水田国務大臣 御承知のように、
国際収支の壁にぶつかって
景気の
調整まで行なわなければならぬという年ですから、どう考えてもあんまりいい年とはいえないと思います。しかし、いまおっしゃられたような年ではございません。
まず第一に、ことしは
軍事力強化の年というふうに言われましたが、今年度の
予算編成におきまして、
防衛費につきましては、この
伸び率から見ましても、他のたとえば
社会保障費そのほか全体に比べまして特に多い率ではございませんで、九%
程度の
伸びということは、どう考えても他の
予算と
均衡を害した
伸びではございませんので、
日本がことし
軍事力を
強化する年であるということは、今年度の
予算からは全然言えないことであろうと思っております。
その次に、
増税の年だ、
徴税強化の年だと言われましたが、この点は、
景気調整をやって、
国民の総
需要を押えて
調整をしようという年でございますので、大きな
経済の
成長率を期待するという年ではございませんし、もしたがって、
景気をそういうふうに
調整するためには
減税を少なくとも多くやる年ではございませんので、私どもはその点を非常に今年度の
予算編成では苦心したつもりでございますが、一応
実質減税偶然になしというようなところへ落ちついてはおりますが、本来なら、
各国の
施策を全部見ましても、
日本がことし
国際収支の問題にぶつかっていながら
減税をして、しかも
経済成長を促進するという年でないことは確かでございますので、そういう意味から見ましても、昨年、一昨年に見られたような
減税の年ではないということは言い得ると思います。
その次は、
中小企業云々ということでございましたが、
引き締め政策をやるということは、もうこれは何といっても
中小企業にとっては非常に問題のある
政策でございますので、私どもはそうならぬように、先般も申し上げましたように、非常な苦心をしております。
引き締め政策をやる目的は、結局設備投資もほどほどにして、そして
国民の総
需要を調節したいということからでございますが、御承知のように、いま大
企業の手元資金というものは非常に余裕がある、こういうことでございますので、公定歩合を
引き上げるとか、そのほかの
金融措置によってすぐにその効果を見るということはできません。非常にひまのかかる、時間のかかる仕事でございますが、その問において
中小企業への影響のほうが先にくるということでございますので、私どもは一定の目的のために
引き締め政策をやっていながら、特に
中小企業についてはいろいろ引き締めの対象から
中小企業の行なっておる事業をはずしたり、あるいは年末においても特に第四・四半期における
金融の大幅な増額をやったりというようなことで、
引き締め政策とは一見反対なことも現在やっております。このために若干
調整がおくれておるというような問題もございましょうが、しかし、そのために
中小企業に犠牲を負わせるということのほうがまだ悪いということから、あえてそういう特別の
措置を
中小企業にはとって、そして年末をできるだけ穏便に越すようにということについてもいろいろ考慮を払っておるという次第でございます。
物価問題、これはまたむずかしい問題でございますが、私は公共料金の値上げを、あるべき姿に値を上げるということは
物価問題から見たら決してぐあいの悪いことじゃない、むしろこれをしないで、そして一般の
負担にこれをかけるというようなことをすることがいろいろな
経済のひずみを起こして、そうしてそういう不健全な非効率なやり方が全体の
物価に対して悪影響を及ぼすということを考えますと、私は今度のような理屈のある公共料金の値上げというようなものは
物価問題にとって本質的に悪いことではないというふうに考えています。それにしても公共料金は、たとえば電話の料金とか、大学の授業料とか、一部は今度はやめましたが、しかし、今度行なった
程度のものは、
財政の健全化——これによって公債の発行は明らかに削減しておるのですから、そういう意味から、
財政の健全化によって
物価問題には私はむしろいい影響を与えているんじゃないかと考えております。