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1968-02-06 第58回国会 衆議院 大蔵委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和四十二年十二月二十七日) (水曜日)(午前零時現在)における本委員は、 次の通りである。    委員長 内田 常雄君    理事 小沢 辰男君 理事 金子 一平君    理事 原田  憲君 理事 毛利 松平君    理事 吉田 重延君 理事 平林  剛君    理事 武藤 山治君 理事 竹本 孫一君       足立 篤郎君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    菅  太郎君       鯨岡 兵輔君    小峯 柳多君       河野 洋平君    笹山茂太郎君       砂田 重民君    永田 亮一君       西岡 武夫君    坊  秀男君       村上信二郎君    村山 達雄君       山下 元利君    山中 貞則君       渡辺美智雄君    阿部 助哉君       只松 祐治君    中嶋 英夫君       野口 忠夫君    広沢 賢一君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       村山 喜一君    八木  昇君       山田 耻目君    春日 一幸君       永末 英一君    田中 昭二君       広沢 直樹昭和四十三年一月二十七日  内田常雄委員長辞任につき、その補欠として  田村元君が議院において、委員長選任され  た。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十三年二月六日(火曜日)     午後五時四十三分開議  出席委員    委員長 田村  元君    理事 金子 一平君 理事 原田  憲君    理事 毛利 松平君 理事 山中 貞則君    理事 吉田 重延君 理事 渡辺美智雄君    理事 只松 祐治君 理事 平林  剛君    理事 村山 喜一君 理事 武藤 山治君    理事 竹本 孫一君       大久保武雄君    大村 襄治君       奥野 誠亮君    鯨岡 兵輔君       小山 省二君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    砂田 重民君       西岡 武夫君    古屋  亨君       坊  秀男君    村上信二郎君       村山 達雄君    山下 元利君       阿部 助哉君    井手 以誠君       佐藤觀次郎君    中嶋 英夫君       広沢 賢一君    広瀬 秀吉君       岡沢 完治君    河村  勝君       田中 昭二君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 水田三喜男君  出席政府委員         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省主計局次         長       海堀 洋平君         大蔵省主税局長 吉國 二郎君         大蔵省理財局長 鳩山威一郎君         大蔵省証券局長 広瀬 駿二君         大蔵省国際金融         局長      柏木 雄介君  委員外出席者         大蔵大臣官房財         務調査官    近藤 道生君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 一月八日  委員堀昌雄君、八木昇君及び山田耻目君辞任に  つき、その補欠として平岡忠次郎君、佐藤觀次  郎君及び井手以誠君議長指名委員選任  された。 同月二十六日  委員足立篤郎辞任につき、その補欠として田  村元君が議長指名委員選任された。 同月二十七日  委員内田常雄君、小沢辰男君、菅太郎君、小峯  柳多君及び永田亮一辞任につき、その補欠と  して小山省二君、四宮久吉君、地崎宇三郎君、  古屋亨君及び大久保武雄君が議長指名委員  に選任された。 同月二十九日  委員春日一幸君及び永末英一辞任につき、そ  の補欠として河村勝君及び岡沢完治君が議長の  指名委員選任された。 二月五日  委員広沢直樹辞任につき、その補欠として石  田幸四郎君が議長指名委員選任された。 同月六日  理事小沢辰男君一月二十七日委員辞任につき、  その補欠として山中貞則君が理事に当選した。 同日  理事吉田重延君、平林剛君及び武藤山治君同日  理事辞任につき、その補欠として渡辺美智雄  君、只松祐治君及び村山喜一君が理事に当選し  た。     ――――――――――――― 一月三十一日  昭和四十二年産米穀についての所得税及び法人  税の臨時特例に関する法律案内閣提出第一号) 二月二日  中小企業に対する国民金融公庫の融資制度改善  に関する請願外一件(松前重義君紹介)(第三八  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二日  売上税創設反対に関する陳情書外二件  (第九号)  同(第四八号)  揮発油税引上げ反対に関する陳情書  (第四七号)  共済事業育成助長に関する陳情書  (第四九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  小委員会の設置に関する件  国政調査承認要求に関する件  昭和四十二年産米穀についての所得税及び法人  税の臨時特例に関する法律案内閣提出第一号)  財政金融基本施策      ――――◇―――――
  2. 田村元

    田村委員長 これより会議を開きます。  この際、一言あいさつを申し上げます。  私は、このたび諸君の御推挙により大蔵委員長に就任いたしました。つきましては、諸君の御協力によりまして職責を全うしてまいりたいと念願いたしております。  何とぞ諸君の御指導と御鞭撻を心からお願い申し上げまして、一言あいさつといたします。(拍手)      ————◇—————
  3. 田村元

    田村委員長 次に、理事辞任の件についておはかりいたします。  吉田重延君、平林剛君及び武藤山治君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。  引き続き、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいまの主君の辞任による欠員のほか、先般理事でありました小沢辰男君が委員辞任されましたので、現在理事が四名欠員になっております。その補欠選任につきましては、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。それでは、山中貞則君、渡辺美智雄君、只松祐治君及び村山喜一君を理事指名いたします。      ————◇—————
  6. 田村元

    田村委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  国の会計に関する事項  税制に関する事項  関税に関する事項  金融に関する事項  証券取引に関する事項  外国為替に関する事項  国有財産に関する事項  専売事業に関する事項  印刷事業に関する事項  造幣事業に関する事項の各事項につきまして、今会期中、国政に関する調査を行なうため、議長に対し国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 田村元

    田村委員長 財政金融基本施策につきまして、大蔵大臣より説明を聴取いたします。水田大蔵大臣
  9. 水田三喜男

    水田国務大臣 今後における財政金融政策の基本的な考え方につきましては、先般の財政演説においてその骨子を明らかにしたところでありますが、本委員会において関係法律案の御審議をお願いするにあたり、重ねて所信の一端を申し述べ、御参考に供したいと存じます。  まず、最近におけるわが国経済情勢について申し述べます。  一昨年以来、日本経済は、急速な拡大を続けてまいりましたが、国内需要の堅調を反映して、国際収支の不均衡が次第に顕著となり、昨年秋以降、一連の引き締め措置が講ぜられ、景気抑制がはかられるに至りました。  しかし、いまだ引き締め措置の効果が経済の各分野に十分に浸透したとは言いがたく、国際収支は、依然として大幅な赤字を続けております。  鉱工業生産は、昨年秋以降も、その上昇テンポにさほど衰えを見せておりません。企業設備投資活動は、現在までのところ、引き続き活発であり、企業在庫調整も本格化してきたとは言いがたく、消費も依然堅調であります。このような根強い需要動向を反映して、卸売り物価も強含みに推移してまいりました。  国際収支均衡回復を目ざして引き締め政策を遂行しているわが国にとって、海外の経済情勢がきびしさを増したことは、特に重視すべきであります。  昨年十一月の英ポンド平価切り下げに続き、本年初頭には米国の国際収支改善対策が発表される等、国際経済情勢は、流動的な様相を強めてまいりました。今後の展開いかんによっては、ようやく上昇に向かいかけている世界経済の順調な足取りが乱れるおそれもあるのであります。  私は、昭和四十三年における財政金融政策課題は、次の二つであると考えます。  第一は、景気調整であります。  国内需要抑制し、国際収支均衡を回復することは、当面緊急の政策目標であります。本年初めには、公定歩合の再引き上げも行なわれたのでありますが、政府は、引き続き、景気調整に確固たる決意をもって当たる所存であります。このため、財政政策金融政策との間に緊密な連係を保ちながら、十分、抑制的に政策を運営する考えであります。  第二は、財政等の本質の改善であります。  わが国経済均衡のとれた発展を遂げていくためには、財政が、その景気調整機能資源配分機能とを十分に発揮していかなければならないのであります。  しかしながら、最近、法律上、制度上、義務的に支出しなければならない経費の毎年の伸びは著しく、これのみで年々財政規模をかなりの速度で増大させる勢いにあります。このような財政体質を放置するならば、景気抑制的に財政を運営する必要がある場合にも、容易にこれを行なうことができず、財政景気調整機能を有効に発揮させることが困難となるのであります。また、このような状況のもとにおいては、財源政策的意図をもって適正かつ効率的に配分する余地に乏しく、財政資源配分機能の適切な発揮も期待できないのであります。しかも、今後は、税収が常に従来のように高い伸びを示すものとは考えがたく、いまにしてこのように硬直化した体質改善し、安易に財政に依存する傾向を是正しなければ、将来、財政政策の行き詰まりを招くおそれすらあるのであります。  昭和四十三年度の予算編成にあたっては、財政体質改善のために特段の努力を払いました。しかし、財政硬直化打開という課題は、短時日の間に一挙に解決できる性格のものではありません。解決第一歩は、このたびの予算編成において踏み出されたのでありますが、さらに引き続いて問題の根本的解決をはからなければならないのであります。  今日、体質改善という課題は、ひとり財政のみに課されているわけではありません。経済国際化進展、労働力不足の本格化等、長期的基本的な条件変化を前にして、金融面その他経済の各分野にわたり、従来の制度、慣行にとらわれることなく、その効率化をはかっていくことが必要であります。  昭和四十三年度予算は、ただいま申し述べました財政金融政策基本方針にのっとり編成いたしました。  まず、財政規模抑制公債発行額の圧縮にできるだけの努力を払いました。  すなわち、一般会計予算の総額は、前年度補正後予算額に比べて、二・八%の伸びに押えました。  また、財政投融資計画の前年度当初計画に対する伸びは、一三・〇%に押えました。これは、昭和三十四年度以来最も低い伸び率であります。  一般会計における公債発行額は六千四百億円、財政投融資計画における政府保証債発行額は三千六百億円にとどめました。この結果、一般会計歳入中に占める公債発行収入割合を、一〇%台まで引き下げることができたのであります。  また、新たに総合予算主義のたてまえをとることといたしております。  予算内容の更新をはかり、補助金整理合理化を一そう推進することにも留意いたしました。  さらに、国家公務員の定員の縮減につとめ、各省庁の部局、公庫、公団の新設は一切行なわない等、行政の効率化に格段の配慮を加えております。  予算内容につきましては、社会保障充実社会資本重点的整備、文教の充実科学技術振興中小企業及び農林漁業近代化物価の長期的安定、輸出振興対外経済協力推進等、当面の緊要な施策について、相互均衡をはかりながら、限りある財源の中で、できる限りの配慮を加えることといたしました。  本年は、公債発行を伴う財政政策が、歳出面税制面公債政策の各分野において、十分、抑制的に運営され、その真価を実証すべき年であります。  公債政策弾力的運営につきましては、すでに、昭和四十二年度において、国債政府保証債発行予定額を減額する方針を決定いたしましたが、これに引き続き、本年二月以降発行される国債政府保証債について、発行条件改定を行なうことといたしました。  昭和四十三年度予算は、きわめてきびしい内容のものとなっておりますが、私は、これが結局、物価の安定にも役立ち、国民福祉の向上に寄与する最善の道であると信ずるのであります。  次に、税制等改正について申し上げます。  昭和四十三年度におきましては、中小所得者負担の軽減が急務であることにかんがみ、平年度千二百五十億円の所得税減税を行なうことといたしました。他面、間接税等につきましては、所得及び物価水準等状況に応じた負担調整を行ない、歳入の充足をはかることといたしました。  なお、当面の経済施策に即応し、租税特別措置について所要改正を行ない、また、必要な整備をはかることとしております。  以下、これらの具体的な内容を申し述べます。  まず、所得税につきましては、基礎控除配偶者控除扶養控除及び給与所得控除について引き上げを行なうことといたしました。夫婦と子三人の給与所得者課税最低限は、年収八十三万円程度まで、約十万円引き上げられることとなります。また、障害者控除老年者控除寡婦控除等につきましても引き上げを行なうこととし、特に重度障害者障害者控除につきましては、大幅な引き上げを行なうことといたしております。  次に、間接税等について申し上げます。  まず、酒税につきましては、その税率所得物価水準変動にかかわりなく、定額に据え置かれているため、税負担が相対的に低下を来たしている事情にかんがみ、清酒特級及び一級、ビール並びにウイスキー類税率引き上げを行なうこととしております。  物品税につきましては、昭和四十三年中に、合計十品目に適用される特例措置の期限が到来することとなっております。このうち、六品目につきましては、特例措置の延長を行なわないこととし、他の四品目につきましては、一部税率引き上げ等を行ない、特例措置を延長することといたしております。  たばこにつきましては、その小売り定価は、昭和二十六年以来据え置かれてまいりました。昭和四十三年度におきましては、所得物価水準変動等を考慮し、一部の下級銘柄を除き、紙巻きたばこパイプたばこ及び葉巻きたばこについて、それぞれ小売り定価改定を行なうことといたしております。  租税特別措置につきましては、輸出振興をはかるため、輸出伸長に特に貢献したと認められる企業に対して、輸出割り増し償却特別割り増しを認める等の措置を講じました。  また、技術開発の促進をはかるため、現行試験研究費特別税額控除制度を拡充し、試験研究費増加割合の大きい場合に、高率の控除を認める等の措置を講ずることとしております。  さらに、中小企業構造改善等に資するため、一定の条件のもとに、機械設備について五割増しの割り増し償却ができる制度を創設することといたしました。その他、当面の経済施策に即応して制度の拡充を行なっております。  一方、価格変動準備金積み立て率を引き下げる等、経済情勢変化等を勘案し、既存の制度整備を進めることといたしました。  現行国際通貨体制の基軸をなす米ドル及び英ポンドをめぐり、最近、相次いで注目すべき措置がとられるに及んで、国際通貨問題の重要性はいよいよ高まってまいりました。  安定した国際通貨体制は、世界経済交流をささえる基盤であります。国際経済交流発展なくして、わが国経済の健全な成長は実現しがたく、各国の理解と協力とによって、国際通貨体制安定強化が達成されることが切に望まれるのであります。IMFの特別引き出し権制度も、このような協力一つの成果として、その早期実施が期待されます。  わが国は、国際経済社会の一員として、国際通貨体制安定強化にできる限りの協力を行ない、世界経済拡大発展に積極的に貢献したいと考えております。このような協力をすることこそ、わが国経済発展それ自体をささえるゆえんであると信じます。  世異経済拡大発展を遂げていくためには、各国国際経済の自由な交流を促進する努力を続ける必要があると考えます。  本年は、世界貿易の一そうの拡大発展に資するため、各国における関税一括引き下げ実施ダンピング国際協定発効等が予定されております。政府は、このような国際動向及び最近の内外経済情勢変化に即応するため、関税について、所要改正を行なうこととしております。  経済国際化進展につれ、国際競争がますます激しくなることは覚悟しなければなりません。これに耐え、これにうちかっていくためには、国内における条件変化に適応しながら、経済効率化をはかっていく必要があります。このため、企業体質強化金融効率化とが切に要請されるのであります。この要請にこたえるためには、もとより産業界及び金融界の自主的な努力にまつべきものと考えます。政府も、資本市場育成をはかるほか、金融制度全般にわたり再検討を行ない、競争原理の導入をはかる等、金融効率化を進めるため、環境の整備につとめる所存であります。  その第一歩として、昨年十月、金融制度調査会から提出された中小企業金融制度のあり方についての答申に沿い、中小企業金融につき制度整備改善につとめ、また、異種金融機関相互間の合併及び転換について法律上の道を開く所存であります。  本年、わが国を取り巻く世異経済動向がいかなる展開を示すかは予断を許しがたく、このような情勢の中で、国際収支均衡回復という目標に到達するには、多くの困難が予想されます。  しかし、私は、各位の御協力を得て、ただいま申し述べました方針に基づき、財政金融政策を事態の変化に応じて機動的、弾力的に運営することによって、この難局を乗り切り、将来の発展への地固めをすることができるものと確信いたします。  本国会において御審議を願うべく予定しております大蔵省関係法律案等は、昭和四十三年度予算に関連するもの十四件を含め二十二件でありまして、その全部について、本委員会の御審議をお願いすることとなると存じます。何とぞ、よろしく御審議のほどをお願いする次第であります。(拍手)      ————◇—————
  10. 田村元

    田村委員長 次に、昭和四十二年産米穀についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案議題といたします。     —————————————
  11. 田村元

    田村委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。倉成大蔵政務次官
  12. 倉成正

    倉成政府委員 ただいま議題となりました昭和四十二年度米穀についての所得税及び法人税臨時特例に関する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明申し上げます。  この法律案は、昭和四十二年産米穀につき、事前売り渡し申し込み制度の円滑な実施に資するため、個人及び農業生産法人が、その生産した同年産米穀事前売り渡し申し込みに基づいて政府に対し売り渡した場合には、昭和四十一年産米穀と同様に、その米穀にかかる所得税及び法人税について、売り渡しの時期に応じ、玄米換算正味百五十キログラム当たり千百円ないし千七百円を非課税とする措置を講じようとするものであります。  これが、この法律案を提出する理由及びその概要であります。  何とぞ御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  13. 田村元

    田村委員長 本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  14. 田村元

    田村委員長 先刻の水田大蔵大臣所信表明に対しまして、質疑の通告がありますのでこれを許します。武藤山治君。
  15. 武藤山治

    武藤(山)委員 ただいま大蔵大臣から財政演説が行なわれたわけでありますが、なかなか政府都合の悪い点は数字などを隠して、都合のいい点だけは減税数字を入れたり、まことにこまかい配慮をなされた説明であります。大臣はその中でで、本年の財政金融政策課題を大きく二つに分けておられます。景気調整がその一つだ、調整という耳ざわりのいいことばを使っておりますが、これは調整にあらずして、国民にはたいへんな犠牲をしいる本年の予算案であるとわれわれは断定をいたしたいのであります。私は、この四十三年並びに四十三年度を通じて特徴的にいえる点が四、五点あると思うのであります。私は、その点をちょっと指摘をして、大臣に見解をただしたいのであります。  まず、何といっても本年の特徴軍事強化軍事経済への第一歩を踏み出し、非常に軍国主義的色彩が強くなってきたということがことしの特徴一つであると思います。第二は、増税の年、徴税強化される年だ、こういう特徴を持っていると考えられます。第三は、金融引き締めで不景気な年、中小企業が未曾有の倒産をされるありがたくない年。第四は、政府の発表する程度にあらず、物価騰貴は異常な水準になるであろう。すなわち、物価高騰受益者負担がふえる年、農民や勤労者大衆不在の年であるといわなければなりません。第五点に、アメリカの世界的威信が低下して、佐藤内閣の人気も下落をする年であると断定してやや間違いない。これらの特徴を指摘できると思うのであります。  この五つの本年の私の指摘した特徴に対し、いやそれは違うのだ、いい特徴があるのだ、そう大臣の考えられる四十三年並びに四十三年度の特徴のいい点はこれなんだということをひとつお示しを願いたいのであります。ちょっとお尋ねいたします。
  16. 水田三喜男

    水田国務大臣 御承知のように、国際収支の壁にぶつかって景気調整まで行なわなければならぬという年ですから、どう考えてもあんまりいい年とはいえないと思います。しかし、いまおっしゃられたような年ではございません。  まず第一に、ことしは軍事力強化の年というふうに言われましたが、今年度の予算編成におきまして、防衛費につきましては、この伸び率から見ましても、他のたとえば社会保障費そのほか全体に比べまして特に多い率ではございませんで、九%程度伸びということは、どう考えても他の予算均衡を害した伸びではございませんので、日本がことし軍事力強化する年であるということは、今年度の予算からは全然言えないことであろうと思っております。  その次に、増税の年だ、徴税強化の年だと言われましたが、この点は、景気調整をやって、国民の総需要を押えて調整をしようという年でございますので、大きな経済成長率を期待するという年ではございませんし、もしたがって、景気をそういうふうに調整するためには減税を少なくとも多くやる年ではございませんので、私どもはその点を非常に今年度の予算編成では苦心したつもりでございますが、一応実質減税偶然になしというようなところへ落ちついてはおりますが、本来なら、各国施策を全部見ましても、日本がことし国際収支の問題にぶつかっていながら減税をして、しかも経済成長を促進するという年でないことは確かでございますので、そういう意味から見ましても、昨年、一昨年に見られたような減税の年ではないということは言い得ると思います。  その次は、中小企業云々ということでございましたが、引き締め政策をやるということは、もうこれは何といっても中小企業にとっては非常に問題のある政策でございますので、私どもはそうならぬように、先般も申し上げましたように、非常な苦心をしております。引き締め政策をやる目的は、結局設備投資もほどほどにして、そして国民の総需要を調節したいということからでございますが、御承知のように、いま大企業の手元資金というものは非常に余裕がある、こういうことでございますので、公定歩合を引き上げるとか、そのほかの金融措置によってすぐにその効果を見るということはできません。非常にひまのかかる、時間のかかる仕事でございますが、その問において中小企業への影響のほうが先にくるということでございますので、私どもは一定の目的のために引き締め政策をやっていながら、特に中小企業についてはいろいろ引き締めの対象から中小企業の行なっておる事業をはずしたり、あるいは年末においても特に第四・四半期における金融の大幅な増額をやったりというようなことで、引き締め政策とは一見反対なことも現在やっております。このために若干調整がおくれておるというような問題もございましょうが、しかし、そのために中小企業に犠牲を負わせるということのほうがまだ悪いということから、あえてそういう特別の措置中小企業にはとって、そして年末をできるだけ穏便に越すようにということについてもいろいろ考慮を払っておるという次第でございます。  物価問題、これはまたむずかしい問題でございますが、私は公共料金の値上げを、あるべき姿に値を上げるということは物価問題から見たら決してぐあいの悪いことじゃない、むしろこれをしないで、そして一般の負担にこれをかけるというようなことをすることがいろいろな経済のひずみを起こして、そうしてそういう不健全な非効率なやり方が全体の物価に対して悪影響を及ぼすということを考えますと、私は今度のような理屈のある公共料金の値上げというようなものは物価問題にとって本質的に悪いことではないというふうに考えています。それにしても公共料金は、たとえば電話の料金とか、大学の授業料とか、一部は今度はやめましたが、しかし、今度行なった程度のものは、財政の健全化——これによって公債の発行は明らかに削減しておるのですから、そういう意味から、財政の健全化によって物価問題には私はむしろいい影響を与えているんじゃないかと考えております。
  17. 武藤山治

    武藤(山)委員 私がただいまあげた五つの本年の特徴と申しますか、私の感ずる特徴点をあげて、大臣がさらに長所と思われるいいところをひとつあげてみてくれんかという私の注文だったのですが、いいところは一つもないのですか、どうですか。これこそは自信を持って、大蔵大臣として本年のいい特徴はこれなんだというものが何かありますか。
  18. 水田三喜男

    水田国務大臣 本年度はいわゆる景気調整の年であると同時に、地固めの年といわれておりますが、この国際収支の不均衡というものの是正に踏み切る、これを踏み切ることができたら、私どもは日本経済は今年度非常な、次に飛躍する地固めができるということを考えますので、これを踏み切ったら、私は、新しい日本経済成長のこれが土台になるというふうに考えますので、この点は非常にいい特徴じゃないかと思っております。
  19. 武藤山治

    武藤(山)委員 私、きょうの持ち時間が三、四十分ですから、ただいまあげた五つの特徴点を一つ一つ証拠をあげて全部の項目にわたって申し述べる時間がありません。したがって、まず一、二点の問題点を取り上げて、ひとつ大臣に反省を求めたいのでありますが、あなたはただいま、本年は軍事強化の年だというのは当たらぬ、こうおっしゃいましたけれども、食管会計関係の問題、それから公務員の給与アップの問題、この問題についてはことしはもう補正予算は組まぬのだ、こういう答弁を予算委員会か、あるいは参議院の本会議で答えたようであります。補正予算を組まないで、五%以内で人事院が勧告をしても、もう賃金の引き上げは認めないんだ、こういうような犠牲を公務員にかけて、また農家には、政府の責任からのがれた形にして、消費者と農民で対立をさせるような手だてをして、総合予算主義、まことに耳ざわりのいい表現で、内容は農民と消費者を対立させ、けんかをさせて、政府は知らぬ顔をして、米価が上がれば消費者米価も上がるんだという仕組みに切りかえていく。そういうような伸び率を見ると、いろいろな項目について全部申し上げる時間はありませんが、たとえば公共事業費について見ても、四十一年が一八・九%、四十二年が一四・三%予算伸びたのに、四十三年度は七%である。半減である。さらに国鉄の工事規模は一%しかふやさない。電電公社は六・四%に切り詰められる。普通道路に至っては五・七%の成長。公共事業の中でかろうじて九%維持できるのは治水治山事業だけである。しかるに、財政硬直のおりだからといってすべてを公平に伸びを切るならば公平でありますよ。ところが、防衛費はいかがですか。第三次防衛計画二兆三千四百億円には全くメスを入れない。この予算についてはすんなりそのまま認める。しかも閣議において重要なことを決定したのは、この第三次防衛五カ年計画予算で、国内でナイキやホークをみな生産をするのだ、いよいよ軍事生産経済日本は突入をしていくのだということが特徴じゃありませんか。こういう予算のアンバランスな伸び方を大臣おやりになって、本年は軍事強化予算ではない、他と公平で、財政硬直化の犠牲を公平に全部に効率的に予算配分をしたなどとは、まじめな正直な大臣のことばでは出てこないはずであります。私はこの一点をまず指摘して、防衛費をなぜこういう要求どおり認めているのですか。しかも私は政府がけしからぬと思うのは、四十三年度予算説明書を見ると、いろいろ文教だ、社会保障だというのが書いてあって、防衛の防の字一字も書いてない、予算を出したことばに。これは意識的ですよ。こういうような数々の点から私は、この一年間の特徴の第一点に、軍事強化の年である、軍国主義への道を進みつつある予算であるときめつけたわけであります。もし反論があったら大臣ひとつ反論してください。
  20. 水田三喜男

    水田国務大臣 防衛費予算には手を触れないというようなお話でございましたが、第三次防衛計画によって四十三年度本来のあるべき予算というものを計算しますともう少し大きい額になりますが、私どもは、少なくとも防衛費には百三十億円程度の削減の措置をとっているというふうに考えております。
  21. 武藤山治

    武藤(山)委員 ほかはうんと切られて、防衛費だけは要求した中のちょっぴりしか切らないで、伸び率はさっき申し上げたものと比較をしても、大衆には受益者負担をどんどんふやし、税金は実質減税ゼロで、逆に物価調整をしないで増税で、防衛費だけは手をつけぬで三百三十億円の増額をはかったというこの姿勢、このものの考え方が私たちはどうも片寄っている、公平ではない、こう指摘をいたしたいのであります。  時間がなくなりますから次へ進みます。  第一の景気調整が、とにかく第一に本年度最も重要な課題だと指摘をしている。そのとおりだと思います。そこで、これからの国際収支改善するために景気調整していくそのめどは一体いつごろが大体終着点になるのか、その終着点に着くまでの過程の中でどういう特徴的な現象が起こるのか、まずその調整のめどはいつごろに置かれていらっしゃいますか。
  22. 水田三喜男

    水田国務大臣 景気調整策は明年度の予算でとるわけではございません。すでに今年度いろいろの調整策をとっております。その効果がいつあらわれてくるかということでございましたが、ようやくここにきてこの調整の効果のきざしが出てきているということが言えようと思います。  まず、第一に、先行指標である機械受注とかあるいは建築受注というようなものから見まして、大体頭を打ってきている。これはこれから相当ダウンしてくるという傾向が先行指標の中にあらわれてきているということ、これはおそらく半年ぐらいを経過するとはっきり出てくると思います。それからまた、一月の輸出の信用状というものを見ますと、いままでと違って輸入が相当減ってきて輸出伸びるという傾向が一月の信用状にあらわれてきておりますので、これは三、四カ月後にははっきりとそういうものが出てくるのじゃないか。といいますと、昨年来の、それから本年初頭にとった調整策によって、今年六月、七月ごろには私はいまわれわれの所期している基調の変化がはっきり出てくるというふうに考えますが、しかし全体として見ますと、これが国際収支をどれだけ改善させるかということになりますと、やはり来年の三月ごろまで、大体下半期のしまいごろには均衡という状態が来るだろう、その前はやはりいずれにしても国際収支の赤字は免れないということから、三億五千万ドル程度の赤字で本年を終わらせたいというのが、いま私どもの大体の見通しでございますが、私は、ことしの六、七月以後にいま私どもの考えている調整の効果というものが出てくるというふうに考えております。
  23. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうすると、四十三年度は大体三億五千万ドル程度の赤字を見込む、昭和四十二年度は七億ドル程度の赤字になりそうだ。そうなりますと、四十三年度末の外貨準備はどのくらいになる予想ですか。
  24. 水田三喜男

    水田国務大臣 これは、国際収支の赤字分が即外貨の減少ということになるわけではございませんので、ここの辺はとにかく資金繰りに困らないあらゆる措置を私どもはとるつもりでございますので、この点はいまこれぐらいになるだろうということを明確に申し上げることはできません。
  25. 武藤山治

    武藤(山)委員 しかし、大臣財政演説で、本年の最も重要な課題なんですよ。この政策目標を掲げているんですね。それが大体どの程度になるかわからぬ、大体の見当は言えるわけですよ。たとえば十七億ドル台ぐらいだとか、あるいは十八億ドル台に落ち込むだろうとか、その程度のことは私が大蔵大臣になっても答えられるような気がしますけれども、大臣、ほんとうにわからないのですか、意識的に答えないのですか。
  26. 水田三喜男

    水田国務大臣 非常に影響のある問題でございますので、まだ国際情勢の未確定な要因が多過ぎるときでございますので、大体この程度になるだろうというようなことも言うことを差し控えたいと思っております。
  27. 武藤山治

    武藤(山)委員 もうしかたありません。その次にいきます。  四十二年度の——あなたも当時閣僚の一人で、経済見通しを立ててそれに賛成をしてつくられたわけでありますが、その当時は国際収支とんとんということをこの大蔵委員会でも説明されたわけですね。ところが、国際収支とんとんどころではなくて、十一月ごろ改定をしたらそれがだめで、五億何千万ドル程度の赤字と見込んだのをまた直して、今度は七億ドルの赤字だというのであります。国民がこれを見ておって、一体政府の言うことを信用できるだろうか。ますますこれは佐藤内閣の威信にかかわると思うのであります。  そこで、そのことの責任を責めてもしかたがありませんが、なぜとんとんの国際収支が七億ドルも赤字になったとお考えですか。その原因の最たるものは何であると大臣御認識でございますか。なぜ七億ドルの赤字になったのだろうか、その原因の一番最たるものはこれだというものを発表してください。
  28. 水田三喜男

    水田国務大臣 やはり原因の一番大きいものは日本経済の力の問題でございまして、私どもは相当の抑制策をとったつもりでおりますが、さっき申しましたように、公債を発行する以前は金融政策がとられると景気抑制にわりあいに早く効果を発揮したのでございますが、国債発行後は資金の流れも変わっておりますために、金融政策だけではなかなか効果を早く期待するということはできない。前回の場合ですらもう六、七カ月かかっておるという状態でございますので、この金融政策の効果というものは非常に長くかかるということがまず言われると思います。  それともう一つは、国際環境の変化ということでございますが、私どもの考えたよりもなかなか日本経済はとにかく勢いを持っておる。少しくらいの引き締めではそう簡単にきかないで、時間をかけなければきいてこない。一月ごろまでには私どもは効果を発揮するだろうという予想でございましたが、これがまだ延びておるというような事情でございますので、したがって、当時もう少し早く引き締めの効果があらわれるだろうと見た数字に狂いが出ておるのだと言えようと思います。  それからもう一つは、それならばそういうふうにすればいいじゃないかと言われるかもしれませんが、一方金融引き締め政策をやっておっても、未曾有の豊作で米の買い入れ数量が非常に多かったというために資金の放出が多い、こういうようなものが引き締め政策のやはり一つの抜け穴になっておるというような問題もございますし、それから大企業に直接響いてこない間はやはり中小企業一本やりで締めていくわけにはいきませんので、これをゆるめるというようなことも若干しなければいかぬというようなことが効果を少しおくらせたのだというふうに思っております。  ですから、見通しに狂いがあっても、むしろ狂いがないように運営するためにもつときついことをやって経済に犠牲を負わせる政策のほうがやはりぐあいが悪い。おくれはしましたが、やはりこれくらいの配慮を持って引き締めには臨むほうがいいんじゃないかとすら私自身は考えております。
  29. 武藤山治

    武藤(山)委員 いまの大臣の発言の中で後段はいただけないですね。すなわち後段は、個人消費が旺盛だから、特にそれは農民に責任があるようなことを言っている。しかし、個人消費の見積もりは、当初の経済見通しで見積もった個人消費の数字改定をしてからはそう変わっていないのですよ。変わったのは何かというと、民間設備投資ですよ。民間設備投資が、大体今日積算をしてみますと、見積もりと結果が一兆億円狂ったでしょう。一兆億円、設備投資が民間投資でもって狂いが出る。一兆億円狂うということは、これは大臣たいへんな狂いですよ。だから、ここに私は最大の政府の見通しを狂わせた原因があると思うのです。したがって、犯人は民間設備投資である。間違いでしょうか。大臣いかがですか。そう見ちゃ間違いですか。
  30. 水田三喜男

    水田国務大臣 犯人は民間設備投資というよりは、私は犯人はやはり全体的な日本経済の強さだったと思います。
  31. 武藤山治

    武藤(山)委員 水田さん流の答弁で、どこが言いたいことだかよくわかりませんが、いずれにしても、一兆億円の民間設備投資の狂いが生じたということは、政府の言うことを企業家がすなおにまじめに受け入れないということじゃありませんか。それは、政府がいつもいいかげんな適当な経済見通しを立てて、結果はいつも狂うから、もう企業家が佐藤内閣の言うことを信用しない証拠じゃありませんか。だから、たいへんなことになるんだから金融引き締めをやりますよ、協力してくれよと言っても、シェア競争で、なに政府の言っている逆をやらぬとたいへんなことになるという考え方が、まだ企業家の中には一ぱいあると思うのです。これは佐藤内閣の信用度にも関係があると私は思うのです。ほんとうに国の言うことに協力しよう、政府の言うことをやらなければ、たいへんなことになってしまってはたいへんだから協力をしようと、企業家が本気になってくれば、去年の公共事業繰り延べの二千二百二億円やったときに、もうかなり企業家は政府協力をし出しますよ。したがって、政府のふだんが、オオカミが出たらたいへんだと大騒ぎをするような態度だから、うそばかり言っていたから、今度はほんとうに出てきたときにはどうにもならぬという、小学生で教わったようなことを繰り返しているから、民間投資が一兆億円も狂いが出てくる。協力しないという態度がここに出ているわけじゃありませんか。したがって、おそらく今度の四十三年度の見通しもあまり信用できない。特に私は、国際収支改善しなければならない、輸出輸入の問題で本年の見通しはうんと狂うと思うのであります。  まず、そこで、もう時間がいよいよまいりますから簡単に短くお尋ねいたしますが、ロストウ国務次官が日本に正月二日の日においでになりましたね。そのときに水田さんお会いになりましたね。そのときのお話の内容を支障のない範囲内で、アメリカ側はどういうことを日本のさいふを預かる大蔵大臣に望んだのか、ちょっと発表を願いたいと思うのであります。
  32. 水田三喜男

    水田国務大臣 もうその点は、御承知のように、一月一日の大統領の声明の趣旨を説明に参りました。日本だけではなくて、手分けして欧州諸国、さらに日本、豪州というところにアメリカが説明して回るということで、ロストウさんがおいでになりました。したがって、あのときのお話は、私どもはこの説明を全部聞いたということでございます。そのときに、もちろん、アメリカ側が今後こういうことも考えておるということで、いわゆるボーダータックスの問題も出ましたが、私どもはそれはこうだという反対の意見をそのとき述べたことはございますが、それはもうごくわずかな時間で、大部分はこの米国の説明に終始したということでございます。
  33. 武藤山治

    武藤(山)委員 その場合、ジョンソン大統領が声明をした五つの問題というのは大臣どういうことですか。何も原稿がなくとも、これは重大なことだから覚えているでしょう。アメリカがやらんとするドル防衛対策の五つの柱をちょっと言ってください。
  34. 水田三喜男

    水田国務大臣 アメリカの対外投資を制限するということ、それからいわゆるガイドラインについての制限も行なうということ、海外の軍事費の支出をやはり節約する、削減するということ、それから海外旅行についての制限を行なうというようなこと、それから貿易の改善というようなことで、三十億ドルぐらいの節約をしたいというのが説明の骨子でございます。
  35. 武藤山治

    武藤(山)委員 その際に、大臣、全く意見を述べない、聞きっぱなしだとおっしゃいましたが、しかし、日本大臣でしたら、アメリカがなぜ今日かくもドルというものを防衛しなければならなくなったかということはよく認識しておりますね。アメリカは十年間国際収支が赤字で、しかもその赤字の最たるものはやはり海外への軍事援助、特に低開発国やあるいは自由主義陳営を守るための軍事予算、こういうものがやはり国際収支を赤字にしている大きな原因ですね。貿易の面においてはアメリカはずっと黒字ですからね。そこで、赤字の最大の原因をとにかくチェックしていくためにはベトナム戦争をやめなさい——四十二年一カ年間でベトナムに二百四十億ドル、八兆六千億円の金を使っているのですね。一般教書を読んでみると、四十三年度はベトナム戦費に二百五十七億ドル使う。これは九兆三千億円ですか、膨大なお金であります。こういう戦争を片方では続けていて、そうして日本に対しては、正月早々、ドル防衛五つの柱をひとつ大蔵大臣聞いてくれといってくるような虫のいいことでは、なかなかこれはドルの威信というものは私は持続できないと思うのであります。大蔵大臣はそういうベトナム戦費がアメリカのドル不安というものを今日大きくしているのだということをロストウさんに注意しなかったのですか、いかがですか。
  36. 水田三喜男

    水田国務大臣 まあ、アメリカ側の説明に対しては、いろいろ私どももそれについて意見を述べたり、いろいろのお話はしました。
  37. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは大臣、具体的にお尋ねいたしますが、直接投資の抑制改善目標十億ドル、対外融資の削減五億ドル、海外旅行制限で五億ドル、輸出の促進をはかって五億ドル、武器の購入促進、低開発国の肩がわりで五億ドルというような、ドル防衛のために具体的な政策をアメリカはいま実行しようとしておりますね。これは間違いではありませんね。そうなりますと、日本にそれがどういうマイナスにはね返ってくるか、これは今後の国際収支改善する上で、あるいは景気調整する上で重要なファクターなんですね。したがって私は尋ねているのでありますが、どのくらいこのアメリカの強力なドル防衛対策というものが日本経済にマイナス面で作用するか、その積算をおそらく大蔵省はやっていると思うのでありますが、ひとつそれを聞かしてください。
  38. 水田三喜男

    水田国務大臣 アメリカが今度とる措置日本にどういう影響を与えるかということでございますか。
  39. 武藤山治

    武藤(山)委員 そうです。いまの五つの政策をとられることによって、日本にどういうマイナスが具体的にどう出てくるかということです。
  40. 水田三喜男

    水田国務大臣 まあ、アメリカが海外に対する投融資を制限するということになりますと、やはり世界の金利の上昇傾向というものを当然起こしてくるということでありますから、これは世界的に国際経済拡大ということを阻害するいろいろの作用をしてくると思います。したがって、日本に対する影響は、一面輸出に影響することと、長短期の資金を日本に取り入れる、ということについての影響というものはある程度あると思われますが、しかし、それによって今後国際経済がほんとうに縮小するかどうか、縮小に働く作用はしますが、しかし御承知のように、昨年はOECD諸国の経済成長は大体三%だった、ことしは四・五%以上になるだろうということが言われておりますし、世界貿易も昨年の五%から七%くらい拡大するだろうというふうに言われていまして、アメリカ、イギリスのとった措置が縮小のほうへ働く力よりも、やはりいまのところは世界経済が全体にこの四十三年度は上向くだろう、この力のほうが強いというふうに私どもは見ておりますので、この差し引きの影響がどうなるかということはいろいろの角度から検討はしておりますが、金額的に見てこれくらい影響があるだろうということはいまのところ簡単に言えません。
  41. 武藤山治

    武藤(山)委員 国際金融局長にちょっとお伺いしますが、いま大臣は、数学的に具体的なそういう検討は全くできないようなことをおっしゃいましたが、三和銀行などは一応積算したものを発表しておりますね。知っておりますね。そういう三和銀行などが、いままでの日本のシェアなり、日本に与えた影響というものを、過去何年かの実績を勘案して、アメリカがこれだけの制限をしてくれば、ドル防衛を強化してくれば、日本にこの程度のパーセントで、こういう影響が出てくるだろうということの計算は全然できないものですか。
  42. 柏木雄介

    ○柏木(雄)政府委員 一例をアメリカの投資規制にとりますと、これは世界を三つに分けまして、低開発国、それから先進国のうちで特にアメリカ資本市場とのつながりの深い国々、それからアメリカとの資本関係が薄い国々という三つに分けておりまして、その三つのグループの中では、後進国向けの規制は基準年次の一〇%アップに規制する、先ほど申し上げました日本とかイギリス、カナダのようにアメリカとの資本関係の深い国々におきましては基準年次の三五%ダウン、それからその他の国々、主としてヨーロッパのEECとか先進諸国でありますが、これらの諸国は一切新規の投資は認めない。ところが、それぞれの規制はグループによってやっておりまして、対日投資そのものを幾らに規制するというワクになっておりません。アメリカの各企業がそれぞれのグループの中においてどの国に投資するかは自由にまかしてあります。したがって、日本に対する投資が幾ら減るかという点につきましては、もし平均にして申しますれば三五%減るというふうになります。しかし、そういうふうになるかどうか、これは各企業のビヘービアの問題でございますので、その辺をどう推定するかどうか、非常にむずかしい。私どもは三五%が平均としましても、日本に対するアメリカ企業の投資意欲から見れば、それほど響かないのではないか、平均率よりは響き方が少ないのではないかというふうに考えております。  それからもう一例を観光旅行にとってみましても、これはアメリカ人の日本における旅行のうち、幾らが観光旅行で、幾らが業務旅行かよくわかりませんが、業務旅行のほうは制限しない、観光は制限するといった場合に、今度のアメリカの措置が具体的にどういうふうに響いてくるかということの推定は、実はきのうですかおとといですか発表されたアメリカの観光制限のための税制改正をどういうふうに評価するかという問題で、むしろこれからの判断の問題かと存じます。  したがって、事務的に申しまして、アメリカの措置の影響がどういうふうに出るかということの推定は、非常にむずかしいと思います。ただ、概観して申しまして、さっきの投資規制といい、観光の問題といい、直接の影響はさほど大きくないと存じます。むしろ問題は、先ほど大臣がいろいろ申し上げました間接的な影響として、世界経済の今後の発展世界貿易伸びにどういうふうに響くか、その辺の問題が一番の問題かと存じます。
  43. 武藤山治

    武藤(山)委員 それでは国際金融局長に伺いますが、三和銀行がそういう推計を新聞に発表されているので、これは世間を惑わしますから、大蔵省のペースで、この三和銀行が出しているようなものは事実ファクターがいいかげんなもので、これは全く信用できないのだ、できないならできないような根拠、もし大蔵省としてやれるなら、大蔵省で最大限やれるのはここまでの積算だ、しかしこういう誤差が生ずるのはやむを得ない、そういうものを資料としてあとで集めて出してください。一応検討してみてください。できないものはできないと報告してください。  時間がないので、あと大臣財政硬直化の問題と自民党の責任、あるいは物価騰貴国民の怒り、いろいろ質問をしてみたかったのでありますが、もう私の割り当ての四十分になりますから、私これでやめますけれども、大臣に私がきょう五点あげた最後のおさらいでありますが、軍事強化予算徴税強化の年、引き締め強化で不景気の年、物価騰貴受益者負担で大衆を苦しめる年、アメリカの威信が下がり佐藤内閣の人気が下がる年にならないように、大臣これからひとつこうすればならないのだという政策を、この次の委員会でまたお尋ねをいたしますから十分御検討しておいていただきたいと思います。  以上で終わります。
  44. 田村元

  45. 只松祐治

    ○只松委員 先に武藤委員が本年度末の外貨準備の問題についてお尋ねして、いろいろ微妙な影響があるから答えられないという答弁がありました。よく私は言うのですが、大蔵省当局発表とか談話とかなんとかかんとか、そういうものはぽんぽん出るわけですね。ところが、肝心の国会の論議において、のらりくらりとなかなかお答えにならない。こういうところにも一つは政治への不信なり何なりというものの一端があるのではないか。まさか秘密会というまでは要求いたしませんけれども、ここで言えないけれども何らかの機会に示すというなら別ですけれども、微妙だからこの国会の場において論議できない、言えないということは、私はいささかおかしいのではないか、ここで明確にするか、何らかの機会にあらためて発表するか、ひとつ大臣のお答えをいただきたいと思います。
  46. 水田三喜男

    水田国務大臣 せっかくのお話でございますが、いま外貨準備がどういう変化をし、どうだろうかというような数字を出すというようなことは、従来もやっておりませんし、これは一国の経済にとって非常に大きい影響のある問題でございますので、こういう問題は公表しないのが原則であるというふうに考えております。
  47. 只松祐治

    ○只松委員 しかし、私がさっき言ったように、——お聞きでなかったようですが、新聞や何かにはぽんぽんと発表になるではありませんか。何なら切り抜きを持ってきても——ぼくは切り抜き持ってきてませんが、年度末どうのとか、いろいろな大蔵当局談というのが出ておりますよ。一応の本年度予算を組むためにも、そういう試算なり概算をしなければできないわけですからね。ここで発表できなければ何らかの機会に、とにかく国民の前に発表できなければ、どこで発表するのですか。秘密政治ですか。そうじゃないでしょう。国民の前に明らかにするということは、国会で明らかにするということなんです。新聞が正規のあれじゃない。国会が正規の国民の代表機関の場としてあるわけですから、ここで発表しないということになれば、極端に言えば秘密政治、こう言ってもいいわけですよ。行政機構だけでやって国民は相手にせず、まさかこういう考えではないだろう。だから私は、きょうここの場でだけ発表しろと言っているのじゃない。別の機会を設けてお知らせになりますか、こういうことを聞いている。
  48. 水田三喜男

    水田国務大臣 新聞に発表されているという話でございますが、そういう事実はございません。あるいは新聞でそういうことを推定して書いた新聞があるかもしれませんが、政府側から外貨の準備の見通しというようなものについての数字を出したことはございません。
  49. 只松祐治

    ○只松委員 だから、何らかの機会に、きょうじゃなくても、国民の前にアウトラインといいますか、あるいは計画といいますか、プランといいますか、そういうものを出す意思がありますか、全然ないのですか。それは絶対しない、こういうことですか、どうですか。
  50. 水田三喜男

    水田国務大臣 これはもう只松さんが御承知のとおり、昔から、たとえば公定歩合の上げ下げというようなことは、事前にこれを発表したりなんかしないというのが原則でございますが、これはそういう性質のものでありましょうし、また、一国の経済の外貨準備がどう動くかというようなものを発表しないということも国際常識のことでございまして、これはやはり発表すべきものじゃないと思います。
  51. 只松祐治

    ○只松委員 時間がありませんから、押し問答をしてもしようがありませんから、次に話を進めます。  一つだけ大きなことを聞いておきますが、こうやって日本は資本主義国家群の中の一員であるわけですが、御承知のとおり、社会主義国家というのがいま地球上で一定の人口、地域その他いろいろ勢力を持っております。学問の場ではそういうことが論議されますが、国会の場ではそういうことが論議されることが少ないわけですけれども、やはり社会主義国家の誕生、それからその地域なり影響力の拡大、こういうものが今日資本主義国家、その経済にいろいろな意味で影響を及ぼしてきつつあると私は思う。今日の一つのポンドショックあるいはドル防衛の問題、直接にはベトナム戦争というものそれ自体が、やはり社会主義国家対資本主義の一つの問題である。しかし、これは直接経済の問題でありませんけれども、これが資本主義国家の経済に及ぼしてきておる面というものは非常に大きいわけです。そういう面について、日本の立場から、これがたいへんに影響を及ぼしている、あるいはベトナム戦争が中止になる、停戦になるということにでもなれば、社会主義国家はいまでも相当消費物資を生産し始めておりますけれども、もっと消費物資を生産してくるということになれば、そういう影響というものは別な面で大きく出てくる、私はこういうように思うのですが、輸出の競争というものはますます激化してくるだろう、そういうことを一つ想定しながら、どの程度日本に影響を及ぼしてきつつあるか、またくるだろうか、ひとつ大臣の構想、お考えを聞かしていただきたいと思います。
  52. 水田三喜男

    水田国務大臣 むずかしい問題ですが、これは影響は相当あると思います。
  53. 只松祐治

    ○只松委員 きょうは多少そういう問題を論議しようと思ったのですが、何かお疲れのようでございますし、私はそういうことはやめます。それでまた別の機会に、大臣の元気のいい日にやりますけれども、ひとつ御検討をお願いいたしたい。  次に、予算に対応して歳入という問題がうらはらになってくるわけですが、本年度総合予算が組まれまして、したがって税収を、一ぱい一ぱいに伸びる、こういうふうに伸びを見ておられますね。補正予算を組まないということをたびたびおっしゃっておるのはそういうことだと思うのですが、当初五百五十億円の減税分がなければ、大体本年度の自然増収は九千五百億円、これくらいになるわけです。これは私は、ある面からすればもっとふえるのではないか、こういうふうに思います。ふえるか減るか、これもなかなかおっしゃらないでしょうが、かりにふえるとするならば、これが相当大幅に自然増収があるとするならば、その場合でも補正予算というものは絶対組まない、ふえた分はそのまま次年度の繰り越し金に充てて補正予算は絶対組まない、こういうふうにお考えでございますか、どうですか。
  54. 水田三喜男

    水田国務大臣 ことしの税収はもう目一ぱいに私ども見積もったつもりでございます。いま心配しているのは、本年度景気調整下においてほんとうにこれだけの税収の確保ができるかどうかということを、いま実際は心配しているところでございまして、かりにというお話でしたが、かりにもこの見積もりの税収がふえるということは、私、本年度はまあないというふうに考えております。
  55. 只松祐治

    ○只松委員 あった場合でも補正予算というものはお組みになりませんか。相当大きな自然増収が出てきた、こういう場合でも補正予算をお組みになりませんか。
  56. 水田三喜男

    水田国務大臣 かりにあるとしても、もうこれはきわめてわずかな増収があるかどうかということでございまして、いまのところ、とてもそういうことをかりにも考える情勢ではございません。
  57. 只松祐治

    ○只松委員 それから、ことし所得税を一千五十億円減税して、間接税、特に逆進性の強い酒、たばこというものを引き上げになりました。時間があれば、私は、たばこを十年間値上げしてないとおっしゃるけれども、これはインチキな話であって、新しい品物、新製品を出して、その過程を通じて安いたばこをなくして高級たばこを出している、値段の高いたばこを出している。こうやって平均すれば、年間一円、十年間に十円確実に上がってきております。一つたばこの値段を上げてない、こういうのは一つのトリックであり、うそであって、実質上は新製品を出すことによってたばこの値段というものは引き上がってきております。こういう問題をはじめとして私は論議しようと思っていたのですが、時間がありませんから、またたばこの値上げや何かのときにやります。やりますが、大臣はたびたびおっしゃっておるように、直接税から間接税中心に税制を移行というか、持っていきたい、こういうお考えをお漏らしになっておるのですが、そういうお考えでございますか。
  58. 水田三喜男

    水田国務大臣 私が前に申しましたのは、こういう間接税といいますのは、物品税とかあるいはたばことかいうものではございませんで、法人税というものがいいのか、いわゆる売り上げ税あるいは付加価値税というようなものをもう少し税体系の中に取り入れる必要はないかという問題は出しましたが、このことを間接税移行と言ったのでございまして、この問題はいま税制調査会でも研究してもらうという課題になっていまして、相当時間はかかると思いますが、いま検討してもらっておるという問題で、なかなか簡単には結論がつかないと思いますが、あのとき申した間接税移行ということと、今回のような措置をとったこの行き方というのは、別にこういう行き方を称して言ったわけではございません。
  59. 只松祐治

    ○只松委員 それは手段、方法はいろいろあって、今度は酒、たばこではなかったかと思います。そのときも私は執拗に、酒、たばこは来年度上げるのではないかと言ったところが、目下その意図はありません、ありませんということを言ってお逃げになっている。とうとう上がったわけですね。そういう手段とか方法を聞いておるのではなくて、形はいずれにしろ、広告税とかいろんなことがきょうあたりの新聞にも出ておりますが、とにかくそういう間接税を中心に進める。これは間接税、直接税でも一つの論理というものはあるわけですからね。それはそれといたしまして、大臣のお考えを聞いておきたい。
  60. 水田三喜男

    水田国務大臣 私はやはり、西欧諸国のとっておるような付加価値税というようなものを日本税制体系の中に取り入れるというようなことは、将来の方向として考えるべき問題だというふうに、私個人としては考えております。
  61. 只松祐治

    ○只松委員 そういう中の具体的なものとして、たとえば広告税というようなものをきょうあたり税調あたりでも論議されておると聞いておりますが、それとか、私たちの言っておる交際費というようなものにもつと課税をきびしくしていく、こういうことを言っておるわけですが、そういうものも含んで間接税というものをお考えになっておられるわけですか。ひとつ具体的な問題を一、二お聞かせいただきたいと思います。
  62. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま申しましたように、私の言った間接税というのは、そういう広告税とかあるいは交際費というようなものではございません。
  63. 只松祐治

    ○只松委員 次に、証券の問題を若干お尋ねいたします。と申しますのは、証券市場というのはやはり資本主義社会においては一つ経済のバロメーターであるわけでございます。一時たいへんに落ち込みまして、あとで聞きますが、山一証券問題や何かが出てきたり、共同証券や保有組合ができて、今日かろうじて証券市場というものがささえられておる。しかし、今年度は新免許制度が施行される、こういう年にあたっており、かつては一千軒からあった証券会社が、おそらく今度許可を申請するのは二百五十軒、四分の一前後ではないか、こういうことが言われておりますけれども、大臣は現在の証券市場というものを、健全なものである、あるいはこのままでいい、あるいは現在は相当上向いていると言っちゃなんですが、一時よりもたいへん回復してきて、とにかくいい方向に成長しつつある、こういうふうにお考えでございますか。証券市場に対するお考えを聞いておきたい。
  64. 水田三喜男

    水田国務大臣 もう証券市場は御承知のようにいろいろな問題がございますが、何といいましてもやはり証券業者の体質の問題が一番根本的でございますので、この点についてのいろいろの規制、指導を過去やってまいりましたが、ようやくこの問題の決着がつくというところへまいりましたので、今後はそれを土台にして、証券市場についてはまだ解決すべき問題もたくさんございますので、それらの問題に取り組んでいくというつもりでございます。
  65. 只松祐治

    ○只松委員 だいぶお疲れで答弁もだんだん簡単になってきましたけれども、まあ何とかするということですが、新免許制度をめぐって具体的に何かその対策をお持ちでございますか。たとえばまだ保有組合、共同証券に相当膨大な——共同証券に十六億からの株、保有組合も十億からの株というものが保有されておりますね。ほんとうは相当立ち直ってきておるという考えならば、当然に免許制度等抜本的な対策が進められる。これと関連して何とか保有組合、共同証券くらい手を打つということが、私は当然なされることが考えられなければならないのじゃないかと思いますけれども、ただ何とかよくなってきている、こうおっしゃっても、本来ならば解散すべきはずのこういう組合がそのまま残されて、しかも評価益というものが膨大に出てきておりますね。共同証券で昨年七月でおそらく三百七十五億、保有組合で四百八十八億という膨大な評価益が出てきておる。こういうこともそのままにほうかぶりされたまま放置されておるわけでございますけれども、私はこういうことは健全なことではない、あまりにも放任、無責任過ぎはしないかと思いますけれども、大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  66. 水田三喜男

    水田国務大臣 私は、保有組合にしろ共同証券にしろ、手持ちの株式を放出する時期は、あれ以後一度くらいはあったというように考えております。しかし、これは株式市場の現状から見まして相当大きい影響を与えることでございますので、なかなか簡単にいかず、これは慎重にやるべき問題でございますので、時期を、一ぺんあったと思うのですがあのとき失したために、また再び一番悪い時期にぶつかっている。現状を私はそう見ます。したがって、もう少し情勢を見て、この次の機会をつかんでこれをもう少し大量に放出して、合理的な解決をはかっていくということをすべきであって、まだまだ私は若干時間がかかる仕事だろうと思っております。
  67. 只松祐治

    ○只松委員 まあ幾ら市場の健全化なりあるいは育成するといっても、こうやっていわば腐った分というか、うみと申しますか、たな上げされた株がこれだけあって、そして証券市場そのものを健全化しようといったって、なかなかこれは容易じゃないと私は思う。  いま一つ、たとえば山一証券の問題にいたしましても、これは旧会社とは全然異なった新会社設立になっておりますけれども、依然としてその負債というものは膨大な、直接の七百二十五億、あるいは預かり証券の八百五十三億、こういうものが残されたままになっておる。しかもその当時の再建見通しは、一億何千株でしたかが株式市場で売買される、こういういろいろな計画に基づいてなされた、それはそのとおりにはきておりませんね。だからずばり言うなら、こういう山一に新免許を与えられるかどうか、与えるためにとにかく新会社をつくったわけですけれども、しかしこういう状態のままでは、前回のときも堀君が聞いておりましたけれども、おそらく配当というものはなかなか新山一はできないだろう。配当も当分望みがない。そういうものに、一種の信用機関である山一に新免許を与えるということは、これは重大な問題だと思うのです。そういう個々の問題は、私はきょうは論議いたしませんけれども、そういう問題等、この証券対策にはいろいろな問題が山積をいたしております。ただ国会でああこう言っただけで済まされる問題ではないと思います。そういうことに対して、相当抜本的な対策をおとりになる方針というものはあるわけですか。きょうは一般質問でございますから、基本方針だけをお聞かせをいただいておきたいと思います。
  68. 水田三喜男

    水田国務大臣 いま申しましたように、共同証券の持ち株というようなものは、結局株式の需給のアンバランスを解決するためにとった非常措置でございますので、そういう状態が解消したらすぐに解散すべきものというふうに、当初はそう考えて出発したのでございますが、株式市場にこれを放出することによって、需給のアンバランスは必ずくずされるという情勢が続いておりますために、その目的のためにああいうものをつくったのですから、なかなかこれを放出する機会がないというのが実情でございますが、これはいまの日本経済の持っている問題が解決して、国際収支の黒字基調というようなものが出てくるというふうに、経済情勢変化が起こりましたときには、こういう問題の解決の機会が必ずあると私は考えますので、そういう際に、この慎重な配慮をもって解決していきたいと思っております。山一の問題は、これは当初予定したよりも多く日銀に返済されているというふうで、業績は順調にいっておりますので、この点の心配はないと思っております。
  69. 只松祐治

    ○只松委員 何かそれは、政府をあずかっておるからそう言わなきゃならぬでしょうが、日本経済も非常に順調な発展をしている、ちょっと返済があると、順調に返済をしていって云々、こうおつしゃいますね。しかし、そういうことを言うなら、共同証券なり保有組合のこの黒字株はすぐ放出したらどうだ、全部一ぺんにできなくてもある程度したらどうだということになりますと、いやいやどうも、とこうなる。要するに、マクロではありませんが、資本主義の一つのバロメーターというべき、寒暖計というべき証券市場に、こういう基本的な大きなネックというか、あるいは腐敗部分というか、そういうものをかかえている。  あるいは、今度は一番末端のほうをとりましても、大臣は、中小企業の倒産も順次減ってきて本年度は景気が立ち直ってきている、こういうことを施政方針でなさいましたね。しかし、きのうきょうのあれを見ましても、本年度一月中のは非常に倒産件数が減るわけです。しかし、依然として中小企業の倒産は続き、一月の倒産件数というものは、前年度に比して四十何%の大幅な増大をしている。幾ら資本主義社会といえども、こういう具体的に出てくる科学的な数字というものを否定するわけにはいかないわけです。したがって、こうやって末端の中小零細企業というものも非常に苦しんでおる。  しかも、本年度の予算をいろいろおっしゃっておるが、中立型予算、こう規定いたしましても、これは大企業なり何なりには中立型の予算であるかもしれないけれども、中小零細企業者にとりましてはなかなか中立型予算ではなくして、金融引き締めその他からくる非常にきびしい予算だ、こういうふうに私は思っておるが、その現実がすでにこうやって一月になっても倒産が増大をしてきておる。おそらく二月、三月にいくに従って急速に、またこの中小企業の倒産件数はふえると私は思っております。これをもってして順調に伸びておると言うが、それはある特定の面、特定の層をとれば順調に伸びておる面も確かに日本経済にはありますね。しかし、こうやって中小零細企業者なり、特に庶民の立場というものを——きょうは具体的な税制の問題や何かは論議しなかった。いずれしますけれども、そういう面を見れば、国民の生活が楽になってきたり、中小企業者が何かよくなってきて中立型予算であるとか、景気が順調に回復をしてきておる、こういうことはいささかオーバーだと私は思う。時間がありませんから私もこれでやめますけれども、大臣は、そういう部分的なあるいは一方的な見方ではなくして、時の政府をあずかっておるわけですから、ぜひ全体的な視野——特に政治というものは、そういう中小零細企業なり政治の手の届くものを必要としておる。全部必要としましょう。しかし、力ある者や強い者は必ずしも政府の手がなくとも、これはやっていける。ところが、零細中小になるほど、庶民になるほど、そういうものの力を必要とする。そこに政治というものが必要になるわけでありますから、本年度におきましては、そういう苦しいきびしい予算だと思いますし、財政経済だと私は思いますが、ぜひひとつ大臣は、そういう面に特段の御配慮をしていただくようお願いいたしまして、きょうはお疲れのようでございますから、私の持ち時間もまだ余っておりますけれども、これでやめます。
  70. 田村元

  71. 河村勝

    河村委員 大蔵大臣予算委員会のあとお疲れのところたいへん恐縮でありますけれども、二、三質問をさせていただきます。  昭和四十三年度予算の編成過程を見ておりますると、どうも一般的にいって政府自体の責任は他に転嫁しておる印象を強く受けるわけであります。それは一方ではポンドの切り下げ、ドル不安というようなことから国際経済環境が非常に悪くなって、そのために国際収支が悪化をしたのだということをにしきの御旗にして、片一方ではいわゆる財政硬直化打開ということを旗じるしにして、それによって予算規模の圧縮と国民生活に耐乏をしいるようなかっこうの予算になっておるような気がいたします。ところが、実際にいままでの経緯を見ますると、国際収支の大きな赤字にしましても、現実に国際環境が悪くなったからということによる影響というものはごくわずかであって、そのほとんどが昨年の政府経済政策——私からあらためて申すまでもないことでありますけれども、景気の過熱をそのまま放置しておいたための国際収支の逆調でございます。財政硬直化の問題にいたしましても、結局これは現在社会資本の遅れを取り戻すために計画的に社会資本充実をはかっていくと同時に、片一方で社会保障を進めていけば当然計画的な経費というものは要るわけでありますから、ある程度硬直化するのはあたりまえであって、そこにはとどまるところを知らない行政機構の膨張、いま一つは食管会計の根本問題というようなものはございます。しかし、それ以外について言うならば、実際問題としてむしろ公債があまりにも大幅に予算の中に組み込まれてしまったための弾力性を喪失したというところが一番大きな原因だろうと思います。  そういう意味で、私はこの政府公債政策とそれから経済政策の基本的な態度についてちょっとお伺いしたいと思うのであります。  そこで、公債発行額につきまして、予算全般に対する国債依存度を問題にするのももちろんでありますけれども、それ以上に切実に感ぜられることは、財政法四条できめておりますいわゆる建設公債であるということからくるワクですね、公債発行対象経費のワクに対する公債発行割合を見ますると、昭和四十一年度は九五・四%ですね。昭和四十二年度が九二%です。その内容は、御承知のように公共事業費、出資その他でありますから、ほとんどが計画的に毎年ある程度ふえていくものでありますから、そういうものが大きくなっていきますれば、九五%をこえる公債というものは、これはもう弾力性を喪失させることはあたりまえであって、フィスカルポリシーどころではなしに、これは動きがつかぬようになるのは当然でございます。昭和四十一年度は、一応不況対策のための予算でありますから、まあ一応いいとしましても、昭和四十二年度になりますれば、これはもう景気に対して中立型の予算だという政府の御説明でありますから、そういう場合ですら九二%の割合であるということは、これは異常でございます。  昭和四十三年度については、まだ私、計算しておりませんが、かなり圧縮はされたでありましょうけれども、一体どのくらいの割合になっておるのですか。
  72. 近藤道生

    ○近藤説明員 御質問のございましたとおり、かなりこまかい数字でございますので、私からお答えいたします。
  73. 河村勝

    河村委員 パーセンテージだけでけっこうです。
  74. 近藤道生

    ○近藤説明員 公債部門が四九・四%、特定財源が三〇・七%、合わせまして八〇・一%になっております。
  75. 河村勝

    河村委員 いま、景気抑制を主たる目的とする来年度の予算であって、なおかつ八〇%をこえる公債の発行であるというのは、これはほんとうに異常だと言わなければならない。まあ今回、一〇%台に国債依存度を押えるということは、たいへんな努力であったでしょうけれども、しかし、これほどに建設公債というワクの中で占める割合が八〇%をこえるということであれば、とても今後の弾力性を保つことはできないはずだと思います。これをもって、予算を強引に圧縮してでも、他に財源を見つけてでも、少なくとも半分ぐらいに押えるべきだと思うのですが、その点、大蔵大臣のお考えはいかがですか。
  76. 水田三喜男

    水田国務大臣 私も同じような考え方で、なるだけ早い機会に五%程度の依存率までは縮める必要があると思っております。
  77. 河村勝

    河村委員 私が申しましたのは、四十三年度について申し上げたのですけれども、一方、公債の消化の面から、需給の面からちょっとお伺いしてみたいのです。  ことしは、言うまでもなく、景気抑制の時期でございますから、市中消化の原則はあくまで貫くべきだと私は思います。これについては御異存はないと思いますが、市中消化の原則を貫いて、はたして六千四百億の公債を消化する自信がおありでございますか。
  78. 水田三喜男

    水田国務大臣 公債の発行額は、シンジケート団とも相談してやることになっておりますので、今年度も相談いたしましたが、六千四百億のうち、資金運用部の引き受けが五百億円ありますので、市中消化は五千九百億円ということになっておりますが、これだけは消化するという見込みの上に決定した数量でございますので、私は、これは必ず消化されると見ております。
  79. 河村勝

    河村委員 今回、公債と、それから政保債、その他の発行条件改定されて、公債については二月発行債から改定されるわけでありますけれども、そういう対策を勘定に入れて消化可能だ、そういう意味でございますか。
  80. 水田三喜男

    水田国務大臣 大体そうでございます。
  81. 河村勝

    河村委員 実際、今度の発行条件改定というのは、確かに公社債市場のプライスメカニズムを生かしていくという意味で、公債管理制度としては一つの前進ではあろうと思いますけれども、実際のいまの公社債市場の実態というものは、それほど甘いものではなさそうに思われます。実際、いまの状況を聞いておりますると、大体金融引き締めがだんだん強化されるに伴って、現在では、都市銀行を中心に金融機関からの公社債の売却がふえております。大体公債に押し流されて、それで金融債その他の一般の公社債がどんどん公社債市場に流れてきて、そのために実勢レートがどんどん上がる。そのために国債の値くずれが起きるという事態がきているように思われるので、これでは多少の発行条件改定があっても、とても消化不可能になるという実態にまできているように思われるのですけれども、大臣のお考えいかがでございますか。
  82. 水田三喜男

    水田国務大臣 公債の発行量は、また一面、政府の保証債の発行と関係いたしますが、御承知のように、政府保証債も、昨年よりも千五百億の削減をするという方針をとりましたので、これを二つ合わせてみますと、大体金融界の消化能力の中に入るという見通しでございますので、これは消化されると思います。
  83. 河村勝

    河村委員 昨年の十二月の初めに日銀で、証券市場向けに百億の買いオペレーションを行なったはずでありますが、それに対して当大蔵委員会で、社会党のどなたかの質問が日銀総裁にあった際、政府からの圧力でやったんじゃないかという質問に対して日銀総裁は、決してそういうことはないんだ、それは決して国債支持であるとか、証券会社に対するめんどうを見るとかいうことではなくて、「全くオペレーションの対象は市場操作のためにやるわけでございます。」こう言って、言い直して「市場操作というか、金融調節のためにやるわけでございます。」こう言っておられるわけですね。市場操作と金融調節じゃまるっきり違うわけでありますが、市場操作ということになりますれば、中央銀行の本来の金融調節の目的でやられるということに相ならないで、結局は、国債の価格支持をやったということに相なるだろう、私はそう考えるのですが、お考えはいかがでありますか。
  84. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 日銀総裁のおっしゃったことは、オペレーションということは、やはりそのオペレーションのやり方につきまして国によっていろいろ違いますけれども、証券市場を通したオペレーションというようなやり方をとっている国もありますし、そういう意味でいえば、本来の債券の売買をやります場合に、それはまた、市場操作ということと金融の調節ということとはそれほど矛盾したことではないと思います。ただ、それが市価の維持とかいうような目的をもってやられるかどうかというところにあるので、その市場価格自体の価格でもってこのオペをやるということに現在は徹しておりますので、日銀がオペをやるということが価格の支持に直接なるということは、目的としてないわけで、ただ、間接において、国債の価格というものは、ほかの債券、たとえば事業債等々と比べまして、やや値下がり幅が少ないといったようなことは、そういったオペレーションの対象になっているということ自体が影響していると思います。それは、その結果でございまして、市場操作のため、価格操作のためにやるのではない、そういう市場を通じた金融の操作をやる、こういうふうに私ども理解いたしております。
  85. 河村勝

    河村委員 だいぶ強弁みたいでありまして、「市場操作のためにやるわけでございます。」と言ったら、これは価格支持のためにやったということを白状されたと私は考えるわけなんですが、今後ともにこういう純粋な市場操作のためにやるようなことは、これは日銀がおやりになることですから政府は直接関係がないのかもしれませんが、そういうことは考えられないということは断言できるわけですか。
  86. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 これは価格操作とおっしゃったのではないと思います。債券市場の状況を見て中央銀行が出動するということは、各国とも中央銀行の重要な使命としてやっておることでありますので、それは価格操作の目的のいかんによって、市場価格でもってオペレーションをやるということに非常な意味があるのだろうと思っております。
  87. 河村勝

    河村委員 大臣にお伺いいたしますが、けさの新聞で、経団連の財政金融部会ですか、これでもってきめたことの中に、公社債市場の需給関係が悪化しているということに関連をいたしまして、「公社債市場が軟化し続けているので政府、日銀は流通金融を量質ともに拡充するよう配慮してもらいたい。」こういうことが書いてありますね。新聞の報道が事実であれば、これはいずれ政府のほうに話があるでありましょうけれども、この流通金融を量質ともに拡充するということは、一体どういう意味だとお考えになりますか。
  88. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 金融の逼迫に伴いまして、各種債券類の相当な価格の下落が行なわれておりまして、これにつきまして、事業債等の条件改定をどうするかということがいま問題になっていると思います。この際に、この事業債につきまして、現在の市場価格が非常に低落をしておりますので、その市場価格並みにこの条件改定いたしますと相当な高金利になり、これからの設備投資その他が非常に国際競争力上どうかという問題がございますので、そういったものはなるべく金利のコストの上昇は好ましいことでないということから、その条件改定は早急にもっと検討をした上で考えるべきであって、それまでに金融措置を考えろ、こういう趣旨だと思うのでありますが、証券流通につきまして、従来いろいろな金融措置が行なわれておりますが、これが現在の状況から見て必ずしも十分でないということは問題になっておると思います。これらにつきまして、いろいろ各界から、証券界あるいは産業界全体といたしましても、そんなような要望が強く出ておるのだ、こう解釈いたします。
  89. 河村勝

    河村委員 どうも実際は、現在われわれが考える以上に、証券会社の手元に未消化のままに残っている国債を含めた公社債は多いようでありますけれども、それをどういう形の流通金融かわかりませんけれども、買いオペに近いようなかっこうで滞貨を一掃してもらいたいという印象を受けるんですが、さようなことは政府としては決してやらせないということは断言できますか。
  90. 鳩山威一郎

    ○鳩山政府委員 ただいまお尋ねのような問題は、日本銀行の金融調節の主要な問題でありますので、大蔵省としてそれをとやかくいろいろな指示等を行なうようなことはやってないわけでありますが、おそらく日本銀行といたしましても、ただいまのところ、国債または政保債を通じましてオペレーションをやっておりますので、今後ともそういった方向で行なうのだろうと思います。事業債あるいは金融債というものにつきましては、なかなか直接そういうオペレーションという形はやらないのじゃないかと私どもは推測をいたします。
  91. 河村勝

    河村委員 たぶんそういうような御返事になるだろうと思とますが、やむを得ません。  時間もありませんけれども、国際収支のことをちょっとお伺いしますが、四十三年度の政府経済見通しを見ますると、GNPであるとか、あるいは企業設備投資、鉱工業生産指数、消費者物価、こういうようなものの指数は、大体経済社会発展計画の平均値とそう大きな狂いはないわけですね。ところが、国際収支だけが異常に違っております。輸入を八%で押えて、輸出を一五%に伸ばそうというわけですから、ここだけが非常に違うわけですね。物価はまあ同じだといっても、実際は去年から持ち越しの三・三%のげたをはいておるわけですから、ほんとうはもっと高くなるべき筋合いのものですけれども、それはきょうは議論をいたしませんが、大体この経済社会発展計画で整理した指数、経済指標というものは、少なくともマクロモデルを使ってシミュレートしたものですから、お互いに相関関係があり斉合性があることだけは間違いないと思いますね。そうしますと、ほかのほうが大体同じくらいであって、貿易収支だけが異常に違うということになりますと、もし特別な、輸出を伸ばし輸入を押える政策手段があるか、そうでなければ企業設備投資、鉱工業生産指数をこの見通し以下に相当きつく押えなければ、この国際収支の逆調を政府の見通しの程度に回復することができないはずだと思いますが、その辺の御見解はいかがですか。
  92. 水田三喜男

    水田国務大臣 輸出入の見方につきましては、これは政府部内にも各関係経済省の間で最初意見の違いがございましたが、いろいろ検討の結果、一応各省の折り合った数字があのとおりでございますが、これは非常にむずかしい問題でございます。  まず第一に、輸出を伸ばして輸入の伸びを押えるということをするためには、何としても第一次は国内財政経済政策の問題でございまして、総需要が押えられて輸入が減ってくる、そうして輸出圧力がかかってくるということを前提にしなければ、この国際収支改善はできませんので、今度の予算がそういう目的のために引き締め予算をとられたということでございまして、今度の予算の執行、金融政策の執行によって、まず輸出伸び、輸入が押えられるという現象が出てくるだろうという国内政策から見た見方と、それからもう一つは、国際情勢がどうなるかという見方でございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、スエズ運河の開通がいつになるかということによっても違いますし、ベトナム戦争がどうなるかということによっても情勢は違う。不確定な要因をたくさん持っておりますが、そこに一定の前提というものを与えて、そうして推定するのですから、なかなかむずかしい問題でございますが、先ほども申しましたように、やはり英米のとったああいう措置国際収支拡大を押えるという方向へ働くとしましても、いまの国際情勢の現状を見ましたら、ことしは国際経済が去年よりは相当伸びるというのが実情だろうという推定のもとにいろいろ思索しまして、いままでの貿易に占める日本の弾性値というようなものを勘案して計算しますと、十四、五%の輸出伸びというものは不可能ではないというのが大体の結論でございまして、特に経済官庁であって輸出を主管している通産省あたりの見方というものは、まだまだ、積み上げ計算、いろんなことをやりまして、この数字よりも多いというくらいのものでございますが、私どもは、国際環境がきびしいときにこれ以上の輸出を期待するをいうのはなかなかむずかしいというので、大体あの程度を予想するということでございます。
  93. 河村勝

    河村委員 どうも私の質問に対する御答弁になってはいない。国際収支一つだけが独立して伸びたり縮んだりするのではなくて、いろんなほかのものとの相関関係にあるわけですね。ほかのほうを据え置いておいて、そうして国際収支だけよくするというのなら、何か特別な強力な政策手段というものがなければ、こういう見込みは立てられないはずです。それがおありかどうかということを聞いておるわけです。
  94. 水田三喜男

    水田国務大臣 それは、さっき言いましたように、鉱工業生産を見ましても、私どもが昨年度の経済成長率よりもはるかに落としている見方で、その中の国際収支の問題の見方で、決して無関連の問題ではございません。
  95. 河村勝

    河村委員 そうおっしゃると、話はほんとうはおかしい。それは昨年に比べれば落としておりますよ。それはあたりまえの話ですけれども、しかし、経済社会発展計画をつくるときには、実際いろいろなたくさんの資料をマクロモデルにかけてためしてみたでしょう。お互いに関係があるでしょう。それを一つだけ切り離して、伸びを大きくしたり小さくしたりするなら、それ相当の手段が何かなければならぬはずだ、私はそういうことを申しておるわけです。
  96. 水田三喜男

    水田国務大臣 そういういろいろなものの引き締めをやって、これを落としていればこそ、輸出の増大が期待されるという関係にあろうと思います。
  97. 河村勝

    河村委員 これはコンニャク問答でだめですから、時間がきたからやめますが、最後に一つだけ、最近のいろいろな報道で、大手の電機、鉄鋼その他のメーカーが、金融引き締めがだんだん強化されるのに対処して、インパクトローンを導入するという空気が非常に強い。計画で見ると、十億ドルくらいにのぼるのではないかということをいっておりますが、事実でありますか。事実であるとすれば、それに対して大蔵大臣はどういうように対処されるつもりでありますか。
  98. 柏木雄介

    ○柏木(雄)政府委員 昨年の秋以降の金融引き締めの効果は漸次浸透してまいりまして、国内の資金も詰まってまいりますと、企業は外国から金を借りるということをしようかとだんだん考えるわけでございます。十億ドルという数字は私は存じません。そんなに大きい数字は私ども承知しておりませんが、昨年の十二月来、漸次インパクトローンの要請はふえております。
  99. 河村勝

    河村委員 それに対する考え方を……。
  100. 柏木雄介

    ○柏木(雄)政府委員 私どもといたしましては、長期の安定外資というものはやはりなるべく入れていくということがよろしいと思っております。したがって、筋のいいインパクトローンでありますれば、これを歓迎するという方向で考えております。
  101. 河村勝

    河村委員 時間がありませんから、これで終わります。      ————◇—————
  102. 田村元

    田村委員長 小委員会設置の件についておはかりいたします。  税制及び税の執行に関する調査金融及び証券に関する調査並びに財政制度に関する調査のため、それぞれ小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、設置することに決しました。  なお、各小委員の員数は、それぞれ十四名とし、小委員及び小委員長選任並びにその辞任補欠選任等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 田村元

    田村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  では、後刻委員長において小委員及び小委員長指名し、公報をもって御通知いたします。  次回は、明七日水曜日、午後五時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後七時四十五分散会