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1968-05-15 第58回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十五日(水曜日)    午前十一時十八分開議  出席委員    委員長 堂森 芳夫君    理事 鹿野 彦吉君 理事 田中 六助君    理事 中川 俊思君 理事 野田 武夫君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君       大坪 保雄君    篠田 弘作君       西岡 武夫君    岡田 春夫君       中村 重光君    八木  昇君       田畑 金光君    松本 忠助君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省石炭         局長      中川理一郎君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君         労働省安全衛生         局長      大野雄二郎君     ――――――――――――― 五月十五日  委員始関伊平君、石野久男君及び大橋敏雄君辞  任につき、その補欠として池田正之輔君岡田  春夫君及び松本忠助君が議長指名委員に選  任された。 同日  委員岡田春夫君辞任につき、その補欠として石  野久男君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 五月十四日  石炭産業安定に関する陳情書外五件  (第三六  五号)  石炭鉱業国有化に関する陳情書外二件  (  第三六六号)  同(第三九九号)  日鉄有明炭鉱早期開発に関する陳情書外一件  (第三六七号)  同(  第三九八号)  石炭年間五千万トン確保に関する陳情書  (第三六八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  石炭対策に関する件(美唄炭鉱災害に関する問  題)  石炭鉱山保安確保に関する件      ――――◇―――――
  2. 堂森芳夫

    堂森委員長 これより会議を開きます。  去る十二日、北海道美唄美唄炭鉱災害により犠牲者が出ましたことは、まことに痛哭のきわみであります。  本委員会といたしましては、この際、議事に入るに先立ちまして、犠牲者の御冥福を祈り、一分間の黙祷をささげたいと存じます。各員御起立を願います。   〔総員起立黙祷
  3. 堂森芳夫

    堂森委員長 黙祷を終わります。      ————◇—————
  4. 堂森芳夫

    堂森委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  去る十二日発生いたしました美唄炭鉱災害について政府報告を聴取いたします。藤井通商産業政務次官
  5. 藤井勝志

    藤井政府委員 五月十二日夜、北海道美唄炭鉱坑内火災が起こり、入坑中であった労働者うち六名死亡、七名が行くえ不明という悲惨な災害発生いたしました。美唄炭鉱では、去る一月にもガス爆発事故により、十六名の死亡者を出しており、たび重なる災害発生を見ましたことは、まことに遺憾にたえない次第でございます。  私は大臣の命を受けまして、去る十二日夕刻、北海道美唄市にある美唄炭鉱において発生した災害について、その状況調査及び諸対策推進をはかるため、同日設置された美唄炭鉱調査団の団長として、鉱山保安局石炭課長を同行して十三日現地におもむき、すでに現地に先行していた鉱山保安局所属鉱務監督官と合流し調査を行ないましたので、その状況を御報告申し上げます。  調査団は十三日午後美唄炭鉱に到着いたしまして、直ちに炭鉱事務所において札幌鉱山保安監督局長より災害状況を聴取、引き続いて会社労働組合及び職員組合よりそれぞれ事情を聴取いたしましたが、災害状況は、十二日公休作業として二坑区域には二十七名が入坑いたして、主として坑道の仕繰り作業に従事しておりましたが、十七時五十分ごろ二坑区域下六番層左四片坑道において突然山はね現象と推定される事故が突発し、引き続いて起こった坑内火災により火災現場風下にて作業しておりました十三名が行くえ不明となったものであります。  災害発生後直ちに鉱山救護隊を招集し、行くえ不明者救出作業に当たりましたが、坑内ガス状況等の悪条件がありまして、二次災害発生危険性が考慮される状態となりました。また、たまたまの暴風雨で低気圧の関係もございまして、行くえ不明者救出作業がきわめて困難となり、調査時においてはいまなお十三名の行くえ不明者確認すらできない状況にありました。  以上が調査時点での災害の概要でありますが、詳細は後刻鉱山保安局長より報告させます。  次いで私は、二坑坑口において、行くえ不明十三名の方々の御無事を祈願いたしました後、集会所に集まっておられました家族およそ三十名、救出作業をかたずをのんで待っておられる方々にお目にかかりまして、丁重にお見舞いと激励のことばを述べまして、救出作業最善を尽くすことを約してお別れをいたしました。  その後、翌十四日、調査団札幌市において関係官公庁と今次災害に関する合同会議を開催して種々検討いたしました結果、札幌通産局長世話役として、関係官庁よりなる美唄炭鉱災害対策連絡会議札幌市に設置し、今次災害による入院者及び行くえ不明者家族に対する医療並びに援護等の諸対策連絡推進に当たらせることとしましたが、会議終了後、行くえ不明者救出作業指導に当たらせるために同行いたしました鉱山保安局石炭課長を残留させて、昨夕帰京いたした次第でございます。  以上、簡単でございますが、調査結果の御報告をいたします。  なお、十五日五時、行くえ不明者中六名の方の遺体坑口に収容したとの報告がありましたので、あわせて御報告いたします。
  6. 堂森芳夫

  7. 西家正起

    西家政府委員 政務次官の御報告に引き続きまして、やや詳細に御報告させていただきます。はなはだ恐縮でございますが、お手元ガリ版刷り資料に従いまして御説明させていただきます。  災家の起こりましたのは昭和四十三年五月十二日の十七時五十分ごろでございまして、美唄市の美唄にございます美唄炭鉱常盤坑でございます。鉱業権者美唄炭鉱株式会社、社長は近角真観でございます。災害発生いたしました場所常盤坑の二坑区域下六番層左四片坑道でございまして、災害の種類は坑内火災でございます。鉱山労働者数美唄炭鉱全体で二千六百二十九名でございまして、出炭量は月八万四千トン全体で採炭いたしております。現在まで判明しております羅災者状況は、死亡者六名、行くえ不明七名、入院患者四名でございます。  災害状況でございますが、操業の概況につきましては、美唄炭鉱の中の常盤坑、当坑は、鉱山労働者約千三百名で、月産四万二千三百トンを出炭いたしておりますガスのある甲種炭坑でございます。坑内構造は新坑と二坑の二つの部内に大別されておりまして、今回災害発生いたしましたのは二坑部内でございます。一月に爆発のありました区域——区域は非常に広いのでございますが、同じ部内でございます。鉱山労働者はその部内で五百名でございまして、月産二万一千トンを出炭いたしております。通気は二坑の立て入れ坑道から別のほうの新坑から、さらに二片連絡坑口の三つから人気が入っておりまして、それぞれ千二百立方メートル、千四百立方メートル、五百立方メートル毎分、合計いたしまして三千百立方メートル人気が入っております。この人気から入りました空気坑内の各作業場に給気されまして、一番端の人事卸に設置してございます主要扇風機によりまして外に排気されておるのでございます。  災害当日はちょうど公休日でございまして、二番方に三十一名が配番されました。そのうち坑内に勤務いたしておりましたのは二十七名でございます。主として坑道の仕繰り作業に従事いたしておりましたが、十七時五十分ごろ、二坑坑口から千五百メートルのところにございます二坑下六番層左四片坑道におきまして、大きな音とともに山はね現象というものが起こりまして、その直後に坑内火災発生いたしましたために、入坑いたしておりました二十七名のうちで、十四名は自力で脱出したのでございますが、坑内火災発生個所より風下にあたる個所にて作業に従事いたしておりました十三名が行くえ不明となったほか、脱出者の中にも四名の入院患者が出たような次第でございます。災害発生後、直ちに鉱山救護隊を招集いたしまして行くえ不明者救出作業に当たったのでございますが、途中ガス等事情がございまして、十三日十三時に一時救護隊が全員引き揚げたのでございます。同日夜八時になりましてまた救護活動を再開いたしまして、十四日の二十一時三十分に左五片坑底において六名の遺体を発見いたしまして、十五日の五時に坑外に収容いたしました。残りの七名の方々につきましては引き続き捜索中でございます。  災害原因でございますが、何ぶんにも現場にまだ監督官が入って調査できるような状態でございませんので、はっきりしたことはわかっておりません。引き続きまして、行くえ不明者救出作業と並行して調査をいたしておる次第でございます。  政府のとりました処置といたしましては、災害発生と同時に札幌鉱山保安監督局長以下十四名の監督官現地に急行させまして、行くえ不明者救出作業の指揮に当たるとともに、並行して災害原因究明に当たっておる次第でございます。通産省としての処置としましては、先ほど政務次官の御報告にあったとおりでございます。  なお、災害当時の入坑者に対しましては、災害後直ちに一酸化炭素中毒に対する検診を行ないました結果、ごく軽傷のCO中毒患者は出たようでございますが、現在問題はないような状態でございます。  一番最後のページに簡単な略図がかいてございますが、まん中に大きく採掘跡と書いてあるところがございますが、その上のところに三名という斜線の入ったところがございます。その三名おられたその坑道災害発生いたしました左四片坑道でございまして、これが左のほうの四片連絡坑道から通気が入りまして、その左四片坑道を左から右に通気が通りまして、右のほうから、さらに二坑のほうから入ってまいります通気一緒になりまして、今度は逆にその下を通りまして、採掘跡の下を通りまして、左のほうから上に上がって、採掘跡の上を通って排気をされた、こういうような状態になっております。当時配番されておりました作業者位置斜線がかいてございます左四片坑道の中央の辺に三名、それから左のほうに四名、それから左下のほうの坑道の下六番層左五片にバツじるしがかいてありますが、六名の方々が配番されておったわけでありますが、その位置におられました六名の方々遺体となって収容されたような次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、御報告を申し上げました。
  8. 堂森芳夫

  9. 大野雄二郎

    大野政府委員 労働省のとりました措置について簡単に申し上げます。  資料に従いまして御説明いたしますが、お手元に差し上げました資料は、たいへん恐縮でございますが、新しい情報を入れておりません。一番最初に書いてあります坑内に閉じ込められた十三名のうち六名死亡ということ、またこれに関連する記載が印刷の関係で書いてございません。  労働省のとった措置につきましては、まず第一に、坑内火災の場合における一酸化炭素中毒症に関する健康診断実施及び労災医療対策でございます。第二が労災補償の問題でございます。災害直後直ちに現場労働基準監督署、次いで北海道労働基準局担当官現場に急行いたさせまして、健康診断指導をいたさせたわけであります。自力脱出をいたしました十四名につきましては、御承知のとおり、出坑後坑口において健康診断をすることができました。その中で一番急を要し、かつ徹底的なヘモグロビン検査をいたしたわけでございます。その結果は別紙として二枚目のうしろに出ているとおりでございます。一酸化炭素ヘモグロビンの反応が出ている者は、合計八名でございます。その中で一〇%以上の者は三名ございます。残りは九・六%というのが一名、二%以下が四名ということになっております。このCOヘモグロビン一〇%をこえた程度が軽度な一酸化炭素中毒でございます。十四名のうち、この軽度な一酸化炭素中毒にかかっております四名を含めた六名の者が頭痛を訴えまして、炭鉱病院に仮入院し、手当てを受け、軽快いたしましたので、一名を除きまして、今明日中に退院の見込みでございます。残りの八名もヘモグロビンは二%以下あるいはゼロでございまして、自宅で静養中でございますが、心配はないものと思います。  また救護隊員につきましては同じように検診を行なっておりますが、CO中毒の疑いはございません。  なお、そのほか坑内に閉じ込められました十三名の方々救出に備えまして、坑口に医師と看護婦を待機させ、またそばの労災病院においては高圧酸素タンクの整備をし、待機をいたしておりました。うち六名は残念ながら先ほど御報告のように死亡確認されまして収容を終わりました。死因は、うち五人が外傷性の即死と報告されております。残りの一名につきましては現在のところまだわかっておりません。健康診断実施等については本省からも労働衛生課長を派遣いたしまして、北海道労働基準局長等とともにその指導に当たらせている次第でございます。  なお補償につきましては、残念ながら死亡者が出て補償の問題が起きましたので、労災補償の迅速、円滑な支給を行なうようにいたしております。  その他先ほど通産政務次官から御報告のございました関係官庁対策会議には本省から労働衛生課長北海道労働基準局長出席をいたさせまして、検診医療体制あるいは救護体制等全力をあげて努力いたしている次第でございます。
  10. 堂森芳夫

    堂森委員長 これにて政府報告を終わります。      ————◇—————
  11. 堂森芳夫

    堂森委員長 この際、質疑の通告がありますので、これを許します。篠田弘作君。
  12. 篠田弘作

    篠田委員 去る一月二十日、ガス爆発によりまして十六名のとうとい犠牲者を出した美唄炭鉱第二坑において、五月十二日再び山はね現象によってただいま西家保安局長から報告されたように死亡六名、行くえ不明七名、入院患者四名というそういう罹災者で出ておることはまことにお気の毒であり、また遺憾にたえないと思う次第でございます。  第一番に保安局長にお伺いいたしたいのでありますが、聞くところによりますと、二月に現在の場所で山はね現象らしいものが発生して会社側では北大磯部教授調査を依頼した、その際に、磯部教授回答で、学問的にはよくわからないという回答があったということは、これはほんとうですか。
  13. 西家正起

    西家政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、二月二十七日に同じ左四片の先のほうの場所に山はね現象が起こりまして、一名の死亡者を出しております。その直後山はねの問題というものは非常にむずかしい問題でございますので、北大磯部教授に見ていただきまして、その結果といたしましてはなかなかむずかしい問題でございまして、ただいま先生おっしゃいましたような、完全に原因究明できない、こういうふうなことになっておるわけでございます。
  14. 篠田弘作

    篠田委員 山はね現象は、聞くところによるとソ連等においてもときどきあるそうであります。また炭鉱災害は、海外においてもあるわけでありますが、その回数とその被害の大きさは、回数において日本が三倍、被害の大きさにおいて外国平均の約六倍ということを聞いておりますが、実際問題として日本炭鉱災害というものは、国際的に見てそういうものであるかどうか、ひとつお伺いします。
  15. 西家正起

    西家政府委員 山はね現象日本におきましても非常にまれな現象として起こっておることは事実でございますが、山はね現象に伴って死亡災害を出しました災害と申しますのは、非常に数が少なくございまして、美唄におきましては二月に出たのでございますが、その以前ずっと私のほうでいろいろ調べてみたのでございますけれども、大きな災害といたしましては、昭和二十九年ごろに三池炭鉱三川鉱で山はね現象を起こしておりまして、死亡者二名を出しております災害のほかは、私のほうといたしまして、死亡災害を伴った山はねにつきましては、最近におきましては記憶はないような次第でございます。ただ、外国におきましても、こういうことが論議をされておりまして、ただいま先生の御指摘になりました外国等の単位につきましては、残念ながらいま資料を持っていないのでございますが、死亡災害を伴わない山はねという現象につきましては、もう少し回数日本におきましても多くあるのではないかという感じがいたしております。
  16. 篠田弘作

    篠田委員 そうしますと、まだ山はね現象というのは、日本におきましても、外国を見ましても、それほど多発的な現象ではなくて、学問的にも十分な究明が行なわれておらないという段階のようでございますが、しかし、現にこういったような山はね現象によってとうとい犠牲者を出しておる。しかもその山はね現象は、去る二月そういう徴候があったところで再び起きておるというようなことから、そこに私は学問的に究明されないとしても、実際的には何らかの対策というものが監督官庁並びに会社労働組合、全体としてこれに対して必要であろうと思いますが、特に現在山はね現象を起こしておる美唄に対して、鉱山保安局といたしましてどういう考えを持っておられるか、伺いたいと思います。
  17. 西家正起

    西家政府委員 確かにただいままで山はね現象というものの回数が、あまり多くなかったのでございまして、したがいまして、これに対する取り組み方が、実は個別に学識経験者意見を聞いて処理をする、こういったようなことをやっておったようなわけでございますが、今回の災害にかんがみまして、山はね現象に特に造詣の深い全国の有識者を集めまして、技術対策委員会等を早急に開催いたしまして、これらにつきまして究明をいたすようにいたしたい、かように考えております。
  18. 篠田弘作

    篠田委員 次に、藤井通産政務次官に対して御質問したいと思います。  あなたは、今回の美唄炭鉱災害発生と同時に、大臣の命令を受けられまして地元調査におもむかれまして、先ほど御報告になったようなきわめて適切な措置を講じてこられたことは、まことに御苦労さまであるといわなければなりません。ただ、けさ美唄市長からの電話によりますと、あなたが記者会見で述べられたのか、あるいはまた他の係官が記者会見で述べたのかわかりませんけれども、通産当局意向として、美唄は廃山を前提として対策考えるという新聞記事が出たようであります。私はまだ新聞は読んでおりませんが、北海道北海タイムスという新聞にそれが載りまして、そこで地元では、まだ死体が六体しか見つかっておらないで、残り七体も坑内にあり、家族全市悲しみに沈んでいるときに、通産当局が、月産八万四千トンも出す山の廃山を前提として善後策考えるなどということはとんでもないということで、全市非常に激憤の空気に包まれておる、そういうことはないと自分たち考えるけれども、山元でも労働組合が集まっており、市内でも市民が非常に憤慨をしておる、その実際を究明してもらって、通産当局から、はっきり言えば大臣でありますが、そういうことはないのだという声明あるいは取り消しの談話でも発表してもらわなければおさまらない、こういう電話がけさありました。ゆうべも地元の有志から電話がありまして、非常な大騒ぎをしているらしい。もちろんこれは騒ぐのがあたりまえですが、藤井通産政務次官がそういうことをおっしゃったとは私は思いません。また、これだけ石炭問題がやかましいときに、通産省石炭関係者の中に、美唄炭鉱の廃山を目途として善後策を講ずるなんと言う人は一人もないと思いますけれども、しかし、こういうときには往々にしてデマが飛ぶし、あるいはまた小さなデマでも非常に大きく響くということがありますから、あなたがそういうことを言われたか言わないか、同時にまた通産当局にそういう談話を発表した者があるのかないのか、それをはっきりしてもらって、そうでないならばないということ、同時に、そういう災害の最中に、最も重要な炭鉱を廃山を目途として善後策をするなどということは通産大臣としてもお考えになっておらぬと思いますから、大臣の口からも一言それについてお話を願いたい。
  19. 藤井勝志

    藤井政府委員 ただいま御指摘の点、地元にそのような混乱と心配を与えておるという事実に対してはまことに申しわけなく、また御心配をかけた点について心からおわびを申し上げる次第でございます。  先ほど御報告をいたしましたように、十四日の連絡会議におきましても、私は最後の締めくくりとして、特に救出作業に当面全力をあげてもらいたい、その作業の際、特に二次災害の誘発を起こさないような最善の配慮をしてもらいたいということも申し述べ、救出作業を終わった直後は調査最善を尽くしてもらって、保安確保に積極的なかまえをこの際やってもらうことがこの災いを生かすゆえんである、こういうふうなことを強調いたしたわけでございます。その際私は、生産第一主義という考えでなくて、人命尊重という保安確保を優先すべきであるということを話したわけでございまして、それがあるいは誤解を生んだことばの源になっているとするならば、これはとんでもない、私の真意と違うことでございまして、この時点に立って閉山をするなどという、こういつた非常識な意見を述べる筋合いのものではさらさらない、これはとんだ誤解でありますから、この場においてあらためてはっきりとそのようなことのないことを言明させていただきます。
  20. 篠田弘作

    篠田委員 政務次官の御意向はよくわかりましたが、大臣からもこれについて御意見をひとつ。
  21. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 鉱山保安の問題は基本的な問題でありまして、災害の起こる起こらないにかかわらず、人命尊重を優先して考える、これは不動の基本的な考え方でなければならぬと思うのであります。  したがって、美唄について今回の災害が起こった際に、特にこの問題を藤井政務次官から強調したことは、これは当然のことでございまして、これに特別の意味をつけて、そうしてあるいは閉山というようなことになるかもしれぬというようなことを気を回して考えた人があるかもしらぬが、毛頭そういう趣旨をもって話したものでないということを私は確認をいたしております。  かようなことがあるないにかかわらず、常に鉱山保安の問題は絶対優先、そういう考え鉱山の行政に当たるべきものである、こういう考え方でございまして、こういうことがあるからないから、そういうことが閉山の問題につながるというようなことを特に考えるのは、少し問題の取り扱い方を誤っておる、こういうふうに考えております。
  22. 篠田弘作

    篠田委員 通産当局の御意向は、藤井政務次官椎名通産大臣お話によって私は十分了解いたしましたが、しかし、こういう人の悲しみの最中にそういう誤報がどうして行なわれたかという問題については、通産省記者会見の席上において誤解が生じたようでありますから、その点を通産省として責任を持って十分に原因を調べておいてもらいたいということが一つ。  最後に、これは石炭政策の問題に関連をするわけでありますが、事務的には石炭局長、政策的には大臣にお伺いしておきたいと思います。  先ほど来議論になっております人為的な保安欠陥によるのか、あるいは不可抗力によるのか、これは今後の研究の課題といたしますが、いずれにいたしましても、石炭労働者というものは一生をその危険の多い職場に勤務するように運命づけられておる。そういう表現は決して不当ではないと思う。言いかえれば、交通事故のように突発的に起こるものではなく、常にそこに自然発生的であるかあるいは保安欠陥によるか、原因は別問題といたしまして、そういう危険にさらされ、しかも日本におきましてはその災害が非常に頻発しておる。  私、しばしば炭鉱合同葬儀に参列して若い未亡人が目を泣きはらし、あるいは小さな子供がおかあさんと一緒葬儀場に参列する姿を見て涙なくしてはおれないわけでありますが、炭鉱全体に対する対策とともに、こういういわゆる犠牲者に対する対策、遺家族の救済に対する対策というものをもうちっと何とか法制化するなり、あるいはもっと適切な、会社だけにまかせないような一つの方法というものはないものであろうか。これは人間的にだれしも考えることでありますが、そういう研究が通産当局として行なわれているかどうか、あるいは何か具体化されたものがあるかどうか、具体化されたものがないとするならば、こういう人道的な問題同時に産業的な欠陥から生ずる問題について、主務官庁である通産省の事務当局並びに大臣は、これに対する将来の対策というものについて何かお考えはないかどうか、ないとするならば、これから対策を立てられるお考えがあるかどうか、それをひとつお話し願いたい。
  23. 中川理一郎

    中川(理)政府委員 御存じのように私どもが担当しております石炭政策の基本的前提として保安確保ということがあるわけであります。石炭鉱業の存続のためにも保安確保というものがまず解決されていなければならない基本的前提である。ただいま御指摘ございました点は、そのような努力にもかかわらず、不幸にして災害が起こった場合に、遺族の補償その他でもっと制度的に何か考えるべきものがあるんではないか、こういう御指摘だと承知いたします。  この点につきましては、どちらかと申しますと、制度的には労働省関係の所管でございますけれども、一つには、会社が従業員の遺族に対してどれだけの手当てができるかという問題がより大きな問題としてございます。前者のほうは、おそらく一般的な制度でございますので、石炭の場合と他産業の場合とを、労働省の所管になる場合でも、そう大きな分け隔てはできないのじゃないかと思います。産業の特有な問題として、保安をめぐっての災害があるという性格から見ますと、石炭産業はまさにその事柄に着目して遺族補償その他について万全の措置がとられるように会社側として態勢をとるべきものだと私は存じております。残念ながら、篠田先生も御存じのように、実は石炭産業がここに参りますまでには非常に苦しい経営を続けてきておりますし、昨今また一段とその苦しさが強まってきたわけでございます。何と申しますか、経営の安定度を大きく失いつつあるという状況でございまして、私どものほうといたしましても、過日石炭鉱業審議会に大臣から諮問をいたしまして、この石炭産業、あるいは石炭企業と申しますか、これについての安定策というものをいまあらゆる個所からひとつ検討をしようという努力を続けておるところでございます。在来の石炭政策の批判ということで私ども率直に反省をいたしておるわけでございます。たとえば、生産について無理な、あるいは非常に希望的な見通しを持ち、あるいはそういう計画を立てるということになりますと、それがあるいは保安に支障を来たすことが出てくるかもしれませんし、あるいはまた、これだけ出炭できるという前提で努力目標的なものを大きく掲げ過ぎたために経営的な、経理的な破綻を来たすということもあろうかと思います。それらの点をわれわれもやはり率直に反省いたしまして今回審議検討を加えております。今後の石炭政策といたしましても、そういう無理でないものをひとつ考えてまいりたい。企業がある程度安定をいたしますならば、いま篠田委員から御指摘がございましたような石炭産業の特性にかんがみまして、遺族補償等について十分な手当ができるような経営的な基盤をまずやりたい。それができました上で、なお労使間に問題があって、不十分なようなことがございましたならば、通産当局としても当然にこれについて指導を加えるという考えでございます。
  24. 篠田弘作

    篠田委員 現在の石炭産業の状態等につきましては、私たちもよく承知しておるわけであります。したがいまして、事務的な解釈だけでは私の希望は達成されないし、石炭企業の内部の力をもってしても達成できないことはよくわかっております。  そこで大臣に一言お伺いしておきたいのでありますけれども、所管は労働省だそうでありますが、もちろん労働省通産省は同じ政府の中であります。実は私はこういう経験を持っておるのであります。私が国家公安委員長のときに、従来犯人逮捕の場合に、警官に協力して死亡した者には三十万円の謝礼を出すということになっておりました。それを私は国家公安委員会会議にかけまして、命がけでそういうことをした人に、わずかの三十万やそこらでは気の毒ではないかということで百万円に値上げしたことがある。これも労働省の所管、通産省の所管といって、所管争いをしておったのでは解決はつきません。通産大臣と労働大臣との間で十分に協議をされまして、いかに炭鉱災害が多いといいましても、年に何千人といって出てくるわけではありません。そこで、未亡人であるとか遺家族の数というものは、全体としてみればきわめて少ないものであって、これを両大臣が誠心誠意、人情をもって解決してやろうということになるならば、私のいまの百万円の問題とは違うかもしれませんが、しかし、私は解決の道は幾らもあるのじゃないか、こういうふうに考えます。通産大臣と労働大臣が十分に話し合いをされまして、そういう少数な犠牲者、しかも一生を災害の多い炭鉱で暮らさなければならないというそういう人々のために、何らかの道を開くということをお考えくださるかどうか、また、それに対して努力していただけるかどうか、それをひとつ答弁をしてもらいたい。
  25. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 石炭鉱業労働というものは危険でないということに持っていくのが一番いいと思いますが、しかし、ただいまの状況では、はるかにかような理想から遠ざかっております。そこで、何と言っても危険な労務である、こういうことでございますから、これで命を落としたような場合には、十分にこれに対して報いなければならない、こう思うのであります。これはどうも考えてみると際限のないことでありまして、しかし、実際問題としては、やはり程度の問題となるとは思いますけれども、現状において決して十分ではもちろんあり得ないのであります。これを国の手で補って、そうして危険かもしれぬけれども安んじて働け、こういうことは無理な注文であります。かりに万一そういう場合においても、遺族に対して路頭に迷わしめないような方法を十分講ずる必要がもちろんあろうと思います。そういう考え方については全然同感でございますから、これにつきましては所管庁としてはいろんな制約もございますが、これに対する十分な努力をいたすつもりでございます。
  26. 篠田弘作

    篠田委員 他産業の関係もあり、現在そういう法律も慣例もないということははっきりわかっております。ただ、他産業の場合は多くは偶発的な災難が多いが、石炭の場合は初めから坑道の中にいつ爆発するかわからない災害が秘められておるということでありますから、いま椎名大臣の言われた十分な連絡と、それから人情と申しますかをもって、ひとつ研究していただくことをあらためてお願いいたしまして私の質問を終わります。
  27. 堂森芳夫

  28. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いま自民党の篠田委員からの質問がありましたので、できるだけ重複を避けたいと思いますけれども、これは非常に重大な問題で、現地ではいま大混乱を起こしておるわけであります。そういう点についてだけ若干質問をいたしておきたいと思います。  私は昨晩ほとんど徹夜のように実は美唄のほうから連絡を受けております。と申しますのは、私は美唄の出身でありまして、そういう状態であるだけに現地の情勢をつぶさに実は連絡を受けておるわけであります。昨晩のテレビ、ラジオ並びに本日の朝刊で——朝刊の場合には一つの新聞だけだったようでありますけれども、ほとんど一斉に報道されたのは、通産省の方針がこのように決定されたというような藤井調査団長の記者会見であった。このようにということはこういうような報道になっているそうであります。それは人命尊重のたてまえから労使に対して協議をする、会社側と組合側に協議をして、閉山の方向で指導したいということを通産省考え方として大体きめた、こういうように記事並びに昨日のテレビあるいはラジオのニュースで一斉に報道しているということになりますと、これは先ほども御質問のありましたように、事まことに重大であって、現地においてはまだ救出作業も行なわれておらないときに、通産省がこのようなことを言うということは何事であるということで、現地の山元における炭鉱労働組合の諸君も激高して、組合の事務所あるいは会社のほうにも相当多数の人が集まっているという状態であります。それでありますだけに、先ほど篠田氏の質問に対して御答弁がありましたけれども、この点ははっきりしておいていただきませんと、通産省の方針が、先ほどから御答弁の方針と一般の受ける印象は本来転倒してしまって、救出の問題は考えないで、今後の処理の問題として閉山考えているというような印象を与えるような空気現地では非常に流れております。美唄の町は人口が六万五千ありますが、その問題が全市的な問題になっておりますことは先ほどお話しのとおりでありますので、そういう字句の報道があったけれども、そういう事実がなかったらなかったと、その報道の内容、こういう点をひとつ明確にしておいていただきませんと、いろいろと誤解も招くし、混乱も激化するということでありますので、もう一度政務次官からはっきりそこの点を御答弁を願っておきたいと思います。
  29. 藤井勝志

    藤井政府委員 ただいま岡田先生からお話がございました点、地元の出身だけに一そう御心配をかけていることについて衷心からおわびを申し上げたいと思います。  ただ、事柄は、先ほど篠田先生にもお答えをいたしましたように、この時点でだれが考えても救出作業全力を尽くすということが基本でございます。そのような現場の要請にこたえてわれわれが最善を尽くす、この時点に立って山を閉じるなどという考え方通産省がきめて指導するんだということはとんでもない考え方の違いと申しますか、誤解を生じておるわけでございまして、この点は再度あらためてそういうことが断じてないということを申し上げておきます。  ただ、美唄の場合、御承知のごとく一月の二十日に十六名のあたら犠牲者を出し、二月にはまた山はね現象という事故によって一名の人命を失い、またここに三回目の災害を起こした。これはともかく人命尊重ということが優先すべきである、保安確保が優先すべきである、生産第一主義は否定すべきである、こういった考え方、同時に現在の経営状態においてはたして十分完ぺきを期せられるか、こういった点も念頭を去来したことは事実でありますけれども、この時点においてそういう発言をするなどということは非常識きわまる、御指摘のとおりでありまして、そういったことはさらさらないということをはっきり言明いたしまして、御了解を得たいと思います。
  30. 岡田春夫

    岡田(春)委員 政務次官の真意のほどは大体それでわかるのでありますが、ちょっと気になることをお話しになっておるのです。これは大臣にもはっきりしておいていただかなければならないのだが、こういう保安の問題が起こったので、今後の問題としてというようなことがお話に——いまはなかったんだけれども、今日の時点として云々、こういうことになると、今後はこれが原因閉山ということが考えられるというような印象を多分にいまの答弁でまた与えるわけです。  私は、実は保安の問題と経営上の問題、いわゆる閉山するかどうかの問題というものは、これは本来的に別個の問題であって、今日の時点ではということをことさらに強調されることになりますと、何か今後はこれが一つの原因になって閉山ということを考えておるんだという印象を与えますだけに、そこの点は大臣からはっきりと、保安の問題は保安の問題である、閉山するかどうかの問題というのは経営上の問題でありますから、これとは全く別の問題である、この点ははっきりしておいていただかなくちゃならないし、おそらく通産省としては閉山の問題をいま少なくともこの問題で何かどうするというような検討が行なわれているとは私には全然考えられないわけです。したがって、閉山の問題などは考えておらない。それは経営上の今後の問題としてはあれですが、そこの点は大臣から明確に答弁していただくことによってこの誤解を一掃しようじゃありませんか。この点をはっきりしておいていただいたほうが大臣よろしいと思いますので、その点をはっきりしておいてください。
  31. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 おっしゃるとおり、山を閉ざすかどうかということは経営の問題であって、経営の衝に当たっている美唄炭鉱がまずその気になるかならぬかという問題だと思います。  通産省といたしましては、月々八万六千トンですか、年産百万トンの山、そしてりっぱに経営しておるのでありますから、これを閉山するなどということは通産省側としても全然考えておりません。どこまでもこれと災害とは別個の問題であって、災害の問題は、あらゆる場合に、四六時中とにかく人命尊重の見地に立って災害を未然に防止するということは当然のことなんで、今後とも十分に気をつけてやってもらいたい。そうしてこれはりっぱな山なんですから、これはひとつ今後地方開発のため大いに栄えてもらいたい、そういう気持ちでございますから、まず誤解のないように……。
  32. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私もいろいろ質問があるのですけれども、この問題は一番重要な問題で、いま通産大臣の御答弁のありましたように、通産省としては閉山の問題は考えておらない、しかも今後大いに栄えてもらいたい、こういうことまで答弁されておりますので、一応この点は誤報であったということでわれわれは了解をいたしたいと思いますが、しかも、大臣並びに調査団長であった政務次官も、今後記者会見の機会もあろうと思いますので、そういう国会の答弁の趣旨をできるだけお話しいただいて誤解を避けるようにひとつ御尽力をお願いしたいと思います。この点はよろしゅうございますか。
  33. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘の点、全く私もそのとおりだと考えます。特に私が調査団長として参りまして記者会見をしたことから誤解を生じた責任者といたしまして、そのようなことのないよう、ただいま大臣の御答弁された線に沿うて誤解の一掃にも積極的に努力いたしたい、このように考えます。
  34. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これで私は終わりますが、あとは専門家の岡田利春君のほうからやっていただきますけれども、若干いまの質問の中で、これは前の篠田委員の質問に関連してですが、何か山はねが確定的であるかのごとき質疑応答が進んでいるような感じなんですが、この報告書を見ると、原因はまだ不明である、こういうことになっておるのですが、一体この点はどうなんでございますか。これは保安局長が見えておりますからひとつ。  それからもう一つは、質問時間を制限しまして簡単に重ねてやりますけれども、第二点は、たとえば山はねであったという場合には、先ほどの御答弁の趣旨などを聞いておりますと、どうも山はねについてはいままであまり例がないようであるからして、あまりそれに対する保安対策を十分にやっておらないような印象を私は受けました。こういう点について具体的にどういう措置をとっておられるのか、こういう点が先ほどの答弁では必ずしも明らかでないと私は思います。  それから第三点は、先ほど団長であった藤井政務次官は、救出全力をあげている、こういうお話でございましたが、これは今後坑内状況その他によって救出の時間、あるいはどういうようになるのかというような点も若干お答えいただきませんと、ただ全力をあげておるということだけで、六名が見つかったが、これは残念ながら遺体であったというようなことだけではめどがつかないわけであります。こういう点について、これは局長御自身からの御答弁でもけっこうですし、調査団長であった政務次官でも、これはどちらでもけっこうですが、この第三点。  それから第四点は、労働省関係に伺っておきたいのですが、これは治療の関係ですが、法律に基づいて当然一酸化炭素の調査をされたわけだろうと思いますが、四名の人は、重症と言わないまでも相当まだ治療を要する関係になっておるのですが、こういう人の問題は、もちろん法律の適用を受けて今後万全の措置をとられるのだろうと思いますけれども、ここら辺の点をもう少し詳しく伺っておきたいと思います。  この四点を伺っておきたい。
  35. 西家正起

    西家政府委員 第一の災害原因の点でございますが、ただいままで私のほうで把握いたしておりますのは、山はね現象という現象があったことは一応認めております。ただ山はねが起こりましたあとにどうして坑内火災が起こったかという点につきましては、もう少し現場に入りまして詳しく調べなければわからない、こういうような状況でございます。  第二点の、山はねについて従来十分な監督をしていなかったのではないか、こういう御質問でございますが、ほかの災害防止対策が非常に明確になっております種類の災害に対する防止対策と比べますと、確かに御指摘のように山はねに対する有力な防止対策というものを確立していなかったことは事実でございますが、何ぶんにも山はね現象というものは、ある個所に応力が集中いたしまして、岩石の強度をかなりこすような大きな荷重がアンバランスな状態でかかっておるのが、何らかのショックで急激に押し出してくる、こういうような種類のものでございますので、なかなか現在は予知することがむずかしいわけです。しかしながら、その周辺の採炭工法あるいは坑道の切り方ということで、従来の経験に照らしまして、学識経験者等の意見によりまして、できるだけの措置を講じてまいったのでございますけれども、何ぶんにもこれを完全に防止するような状態には至っていないという状況でございます。  第三点の救出全力をあげておる点でございますが、これはまさに現在救出全力を注いでおるのでございますけれども、何ぶん災害発生しました四片坑道というところは、まだ火源がございまして、ガスの変化とにらみ合わせながら救出作業をしなければ、二次災害が起こるという可能性もございますので、絶対に二次災害を起こさないという前提のもとに非常に困難な作業を継続しておるような状態でございまして、ガスが非常に良好な状態が続きますならば、比較的早急に残る七名の救出ができるかと思うのでございますけれども、その点でガス状況変化によりましては若干おくれることもあり得る、かように考えておる次第でございます。
  36. 大野雄二郎

    大野政府委員 先ほど御説明いたしましたように、六名が入院しておりますが、一酸化炭素中毒の症状は最も軽い段階だと思います。これはセイヤー・ヤント氏の区分というのでございますが、それによりますと八つのカテゴリーに分けておりまして、これの最も軽いところでございます。その症状といたしましては、頭痛とか胸痛、そういうところでございます。一名を除いては今明日中と先ほど申し上げましたが、四名は今日退院ということでございまして、重症のおそれはないといまのところ判断いたしております。
  37. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは私これで終わりますが、ちょっと一問だけ。  この山はね現象に関連して、地圧の関係、バランスの問題、そこでひょっと思い出すことですが、二月のときの山はねの場合にも今度の場合にも、あの地帯における地震がやはりその前後にあったということになりますと、そのバランスがくずれるということは、やはりその当時の地震と非常に関係があったというように、最終的な結論は出ないにしても、技術的に考えますとこれが推定をされておられるのでございますか、そこら辺はどうなんですか。その点が一つです。  それからもう一つ、労働省は一人だけを除いて非常に軽いというのですが、その一人も全治の見通しは当然あるわけでございますね。そこの点も伺っておきたいと思います。この二つだけ終わります。
  38. 西家正起

    西家政府委員 新聞等の報道によりますと、地震と関係があったとかなかったとかいわれておるのでございますが、正直なところ現在地震と直接関係があるかないか、全く不明でございます。したがいまして、この点も今後の研究に待ちたい……。(岡田(春)委員「しかしその時期に地震があったことは事実でしょう。」と呼ぶ)地震計等によりまして震動を把握したことは事実でございます。(岡田(春)委員「前のときもそうですね。」と呼ぶ)前の二月のときも今回も、地震の震動をキャッチしたことは事実でございます。しかしこれが今度の山はねと関係があるかどうかということについては、目下のところわかりません。
  39. 大野雄二郎

    大野政府委員 遺憾ながら一名を除くというその一名について、名前は明らかでございませんが、COヘモグロビンの量は、最一局が一二・三でございますので、いずれにせよ過去の経験からいたしますれば心配はないと思われます。
  40. 堂森芳夫

    堂森委員長 岡田利春君。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんから二問だけ質問いたします。  第一点の質問は、山はね現象と推定をされるが、しかし、今度の災害は山はねそのもので死亡したのではない、山はね現象が起きて、おそらくケーブルが燃焼したことによって炭壁あるいは坑木に着火をした。この火災現象によっていわば十三名の方々が生命を——行方不明もございますけれども、そういう原因であったと思われます。そういたしますと、二月に山はねがあり、今回山はね現象と推定されることによってこういう災害が起きたとすれば、こういう事態に対するいわゆる保安器具、特に火源となる電気施設、こういうものの装置について考えなければいかぬのではないか。私は炭鉱災害は、たとえば三井三池の場合でも、結局火源があったから爆発する、炭じんであろうがガスであろうが、火源がなければ爆発はしないわけです。そういう点で、いわゆるこの対策は、いずれにしても作業につくようになるわけですから、まずその対策としては、この火源であるものに対して、それに対応する対策をやはり早急に立てるということが一番手っとり早い対策ではないかと私は思うわけです。この点についてどういう見解を持っておられるか。  それと同時に、先ほど篠田委員が質問いたしましたけれども、わが国の炭鉱災害は、私の記憶では、統計は若干古いかもしれませんがヨーロッパの炭鉱に比べて災害率は二・七倍ないし三倍、こう私は記憶いたしておるわけです。さらにまた死亡率については六倍以上に達している。私はこういう記憶をいたしているわけですが、そういう国際比較でその理解をしてよろしいかどうか、この点についてお聞きいたしておきます。
  42. 西家正起

    西家政府委員 第一の点でございますが、先生指摘のとおり、確かに今回の罹災者を出しました直接の原因坑内火災でございまして、山はねの結果どういうことで坑内火災が起こったかということにつきましては、まだ現在原因調査中でございます。坑内火災が起こりましたと考えられます原因といたしまして、先生もちょっと例をあげておられましたように、たとえばケーブルを切って、そのために出火をして炭壁あるいは支柱等に燃え移る、こういうことも考えられますけれども、現在の段階では電気施設に確定することもまだちょっと早いのではないか。もしそういう電気施設に確定した場合には、それが燃え移らないようなことを当然考えなくちゃならぬと思いますし、ほかの原因でございました場合には、その、ほかの原因を排除することによりまして、こういう坑内火災発生しないようにやることが必要だというふうに考える次第でございます。したがいまして、この点は原因究明を待ちまして早急に対策を講じたい、かように考えておる次第でございます。  それから外国との比率でございますが、ヨーロッパのフランス、イギリス等に比べますと、たとえば昭和四十年の死亡率で見た場合には千人当たり日本が一・七〇、これに対してフランスは〇・七七、イギリスは〇・六二ということでございまして、この調査で見る限りフランス、イギリス等に比べまして、二倍ないし三倍というのが日本死亡率というようになっております。ただアメリカ合衆国になりますと、死亡率といたしましては二・四ということで、かえって日本よりも高い、こういうようなことになっております。アメリカの場合には、非常に出炭量がばく大に多いという点が関係しているかと思いますが、そういうようなことでございまして、確かに同じような炭層条件その他から見ましたヨーロッパと比較いたしまして、やはりただいま申しましたように程度が高くなっておるということは事実でございます。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 いずれにしましても、先ほど答弁がありましたように、山はね現象そのものの直接の動機によって死亡するというのは非常に少ないわけですね、一面、あるいは重傷者が出ることは。問題は、そのことによって坑内火災発生をする、あるいはガス爆発が起こる、炭じん爆発が起こるということによる災害が多数の人命を奪っているわけです。専門的な研究でも山はね現象を解明するということには相当時間がかかる。だからそれよりもむしろそのことによって炭じん爆発坑内火災が起きる、これをどう防ぐか、この対策はやる気であれば早急にできる、こう判断するわけです。したがってこういう点について、特にまずそういうすぐできる面からひとつ対策を立ててほしい。  なお災害率の問題は、災害は率としてとる場合には、いま千人当たりでとりましたけれども、百万トン当たりでとればまたがらっと変わってくるわけでございまして、そういう面から見れば、まだいま発表になった以上に死亡は高率になるということは当然なわけです。したがって、私がここでお聞きいたしたいのは、今度通産省石炭鉱業の長期安定のための再編成を含み、その答申を鉱業審議会に諮問いたしたわけです。私はその点について第三次答申の中でも、保安問題というのはきわめてむずかしい面もございますけれども、いわゆる抽象的に触れられているわけです。私は炭鉱保安確保なくして石炭産業の長期安定というものはないと思うわけです。したがって、長期安定策の答申を受けるにあたって、特に炭鉱保安の問題についても同様答申を受けるべきではないか、こう考えるわけです。ただ問題は、鉱業審議会のメンバー構成を見ますと、保安問題というのは、いうなれば学識経験者、労使で構成している中央鉱山保安協議会に諮問するというのが通例でありますから、そういたしますと、この長期安定策を受けるにあたって、中央鉱山保安協議会に対しても、長期安定のための保安の面は一体どうなのか、どうあるべきかということも同時に通産大臣が諮問すべきではないか。そうしてそういうものを並行的に扱って長期安定策を確立するのが当然だ、こう思うのですが、この点について、政務次官からお答え願えれば幸いだと思うわけです。
  44. 藤井勝志

    藤井政府委員 御指摘の点は私も全く同感に存じます。特に災害地を視察した直後の私の心境といたしましては、美唄市の市長からも切々と訴えられましたが、安心して働ける職場をひとつぜひつくってもらいたいということでございました。一般的な人手不足という、こういう次元の話だけでなくて、やはり人命尊重という面からも、長期石炭対策にあたっては保安確保という大きな柱を一本ぜひ立てるべきだということを、今次の災害調査をいたしまして痛切に感じ、きのうさっそく石炭局長にもその由を私の意見として申し述べて、この処置方を頼んでおる、こういう状態でございます。
  45. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  46. 堂森芳夫

    堂森委員長 田畑金光君。
  47. 田畑金光

    ○田畑委員 時間の関係もありますので、一、二点だけお尋ねします。  一月の災害については、ガス爆発原因はハッパによるものであろう、こういうような推定がなされていたわけでありますが、その災害調査原因の結論がどうなっておるかということが第一。  第二にお尋ねすることは、あの災害のときに現地調査に参りましたが、札幌鉱山保安監督局としては、この災害発生にかんがみて、今後の対策として幾つかの点を取り上げて約束しておるわけです。たとえば「昭和四十二年十一月より昭和四十三年三月までの期間を定めガス炭じん爆発防止運動を展開して防止対策の再点検を指示しているが、引き続き労使一体とした総点検を行なわせる等により自主保安の確立をはかる。」以下具体的な「保安センターの活用」「発破作業の改善」「実戦的退避訓練の実施」等々、いろいろなことをこの教訓にかんがみてやるということを約束してまいっておりますが、これらについてはどのように実行されて今日に至っておるか、この辺をひとつまず伺いたいと思います。
  48. 西家正起

    西家政府委員 まず最初に、一月二十日に起こりました美唄炭鉱ガス爆発原因でございますが、その後調査の結果、ハッパであるというふうに大体最終的の返答が参っておりまして、ハッパであることは間違いないという段階にまでまいっておる次第でございます。  それから、その際、これは札幌鉱山監督局並びに鉱山保安局におきましても、この災害にかんがみましていろいろ対策を立てたわけであります。まず札幌監督局におきましては、確かに昨年の秋から引き続きまして、冬季のガス爆発に対しまして一斉点検ということをこの前からやっておったのでございますけれども、この災害後に鉱山保安局から全炭鉱に対しまして、一斉点検をやらせまして、これはそのとおり各炭鉱におきまして完了をいたしております。  それからガス爆発原因となりますいろいろなハッパの作業の改善方法その他につきましても、たとえば使います爆薬の安全度の問題等につきましても十分検討をいたし、結論として水タンパーを使う、こういうような結論を出しまして、そういう方向で、災害が起こりました美唄ばかりではなくて、ほかの炭鉱に対しても指導をいたしてきております。  また爆発の際の自動ガス警報機、これにつきましては、比較的ガスの少ないところには従来つけなくてもいいという指導をしておったのでございますけれども、今度は比較的ガス爆発の少ないところで一月に起こったものでございますので、そういう点につきましても、近くに炭層があってガスの可能性のあるところには全部一応つけさせる、こういうようなことで切りかえまして、目下これはそれぞれ各炭鉱にやらしておるわけであります。  そのほか退避訓練等につきましても、いまの場合には規則上六カ月に一回ということになっておりますけれども、これを三カ月に一回というようなことでやらしてまいっておりまして、ガス爆発を中心といたしますその後の監督指導につきましては、極力力を入れて現在までまいっておるような次第でございます。  保安センターにつきましては、これは今年度の予算で建設が終わるのでございまして、札幌につきましてはようやく着工の段階に入ったような次第でございまして、そのほか福岡、平等につきましても着工を始めまして、大体ことしじゅうに建設を終わりまして、来年の一月から運営に入りたい、その中で十分に係員、労働者を含めた保安教育というものの強化をはかりたい、かように考えます。
  49. 田畑金光

    ○田畑委員 昨年の炭鉱事故による死亡者は二百四十八名で、明治三十二年以来最低の率だというようなことで保安の面でも充実したというような印象を与えておるわけでありますが、しかし、これは実際炭鉱労働者がそれだけ減ったということであって、百万トンの割合からするとむしろこれはふえておるというのが最近の災害の実情じゃないか、こう見ておりますが、統計上はどうなっておるのか、これを聞かしてもらいたい。
  50. 西家正起

    西家政府委員 昭和四十二年におきます炭鉱における死亡者の数は、絶対数は二百四十八名でございまして、明治四十一年以来最低の数でございます。絶対数はもちろんそういうことでございますが、稼働数に対する死亡率をとりましても、昨年四十二年におきましては六・幾らでございまして、ちょっと端数は忘れましたが、六コンマを若干こしておるような数字でございまして、これは近来やはり最近の十カ年をとりましても非常に低い数字でございます。ただ、ことしに入りまして、当初美唄炭鉱で十六名という死亡者を出しました。二月末現在までは昨年をかなり上回っておると思うのであります。その後これまた三月、四月とだいぶ挽回をいたしまして、五月十日現在で昨年よりもさらに六名も死亡者が少ない、こういう状態になっておったわけでございますが、残念ながら今回の災害によりましてまたこれを上回った、かような状態になっておる次第でございます。
  51. 田畑金光

    ○田畑委員 今回の美唄炭鉱でもそうでありますが、四十年の山野炭鉱あるいは四十二年の空知炭鉱、こういう災害発生の山を見ますといずれも第二炭鉱であり、分離炭鉱であるというところに特色が出ておるわけです。したがって、問題はこの辺にあるのではないか。元来大手の山で経営上あるいは生産条件から見てやれない、切り離さなければならない、そういう背景のもとに生まれながらのハンディキャップを持ったままできた第二炭鉱であり分離炭鉱である。そこに災害が頻発しておるというのが最近の特色ではないか、このように見ておるわけでありますが、事実今回の美唄炭鉱を見ましても、本年一月の災害当時を見ますと、出炭の実績が昭和四十二年一月から十一月まで月産十万トン余、そうして昨年十一月の実績だけでは十万五百トンにのぼっておるわけです。在籍労働者が昨年十二月のときに二千九百十名であったわけです。ところが、今回の災害時点における調査によりますと、出炭量月産八万四千トン、労働者数は二千六百二十九名、約三百名減っておるわけです。三百名減ったことが即出炭の総量において減ったということにもなるでありましょうが、現に人手不足、離山ムードが出ておる最近の炭鉱の実情を見たときに、昨年の災害からこの災害に至る間に三百名が離山しておるということ、出炭も大幅に減っておるということ、しかも分離炭鉱、第二炭鉱災害が起きておるという状況をかれこれ考えてみたときに、先ほど政務次官が、胸中に去来した、こういうようなことで経営をやっていけるであろうかという疑問を持ったと告白されたわけでありますが、あなたの胸中に去来したこと、また、たまたまこういうことでやっていけるかという疑問を持ったというようなことが私は新聞などでああいう形で取り上げられたんだなという印象を強く持つわけです。したがって、私は局長にお尋ねしたいことは、最近の炭鉱事故率というものは第二炭鉱に多いのではないかどうか、統計の率から見て多いのではないかどうかという問題、したがって、第二炭鉱の問題等については経営の問題、生産の問題、保安の問題一体としてどう安定させるかという問題こそこれから一番重要な問題ではないかと考えておるわけでありますが、この点については政務次官にお尋ねをしたいと考えておるわけです。ことに先ほど岡田委員からも質問がございましたが、今度石炭鉱業審議会にもう一度石炭のあり方について諮問を現在投げておられるわけでありますが、やはり労働力の確保あるいは人員の充足という面から見た場合に、この保安の問題と切り離してとうてい今後の石炭産業のあり方というものは考えられないわけでありますが、この点について、この災害を教訓に——これは大臣にお尋ねするのがほんとうでありますが、通産省としては今回の審議会の答申とも関連いたしましてどのような方針を持って対処される準備があるのかないのか、この辺を明確に承っておきたいと考えるわけです。
  52. 藤井勝志

    藤井政府委員 先刻岡田委員の御質問に対してお答えをしたわけですが、私はこの引き続く災害考えた場合に、やはり人命尊重保安確保ということが石炭政策の基本的な政策のかまえでなければならぬということをいまさらながら痛感をいたしております。したがって、いま先生からいろいろ御指摘になりました問題まさに私は同じような問題点を頭に浮かべて生産第一主義を否定するというようなことがつい誤解を生じた原因でございまして、この時点においてあまり深入った議論をすることはまた誤解誤解を生んでもいけませんので、その点はただいま御質問をされました先生自身よく御理解いただけると思うのでございまして、ともかく今度の長期石炭政策においては保安確保ということを一本筋をはっきり通すということを絶対に強く手配してもらいたいということを石炭局長にも言いますが、大臣にも、実はまだまとめて報告を十分しておりませんので、後刻この問題については私の現場で受けた印象を、考え方を強く反映したい、このように考えております。
  53. 西家正起

    西家政府委員 第二会社災害の問題でございますが、ことしに入りましてから特に美唄炭鉱がたくさんの死亡者を出しておりますので、おもにこれは美唄が大部分を占めておるわけでございますが、そういう意味でことしに入りまして第二会社死亡率のほうが高くなった。昨年までの状態を申しますと、必ずしも第二会社死亡率が高いということにはなっておりません。しかしながら、こういう点は、われわれといたしましても十分警戒をいたしまして、今後とも監督をいたしまするとともに、ただ第二会社であるがために今度の災害が起こったかどうかという因果関係につきましては、今後とも十分調査をいたしまして監督いたしたい、このように考えております。
  54. 田畑金光

    ○田畑委員 終わります。
  55. 堂森芳夫

    堂森委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  56. 堂森芳夫

    堂森委員長 速記を始めて。  岡田利春君。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣に一点だけ、先ほど来質問しておりました内容で御答弁願いたいと思います。  それは石炭鉱業の長期安定策を立てるために、石炭の再建策を含んでその対策石炭鉱業審議会に諮問しておるのでありますが、長期安定はやはり石炭産業の保安確保がなければ石炭産業は長期に安定をしないわけですから、そういう意味で、保安確保についても同様これを諮問すべきではないか。もちろん専門的には中央鉱山保安協議会がございますが、そういう形で、同時にやはり保安確保の答申を求めて、あわせて石炭産業の長期安定策の確立をすることが最も肝要であると思うのでありますが、この点について大臣の見解を承っておきたいと思います。
  58. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 御指摘のとおり、長期安定は保安確保ということなしには究極においては達成されない問題であります。でありますから、その専門機関である中央鉱山保安協議会の意見を反映させまして、そうして両々相まって石炭の長期安定を期することに努力してまいりたいと存じます。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 意見を聞くということは、同じく中央鉱山保安協議会は大臣の諮問機関でありますから諮問するという意味ですね。
  60. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 さようでございます。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。      ————◇—————
  62. 堂森芳夫

    堂森委員長 岡田利春君より石炭鉱山保安確保に関する件について発言を求められておりますので、これを許します。岡田利春君。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、四党共同提案にかかる石炭鉱山保安確保に関する決議を提出し、皆さんの御賛同をいただきたいと存じます。  まず最初に案文を朗読いたします。     石炭鉱山保安確保に関する件(案)   わが国における石炭鉱業石炭鉱業審議会の第三次答申に基き、その政策を実施してきたが、大日本炭鉱の倒産及び、大辻、日吉炭鉱等の閉山が相つぎ、政府は石炭産業再編成を含みその長期安定策について石炭鉱業審議会に諮問した。   一方石炭鉱山における災害は、最近においても三池、美唄、大夕張、雄別炭鉱と続き、五月十二日再び美唄炭鉱において重大災害発生を見るに至った。   石炭鉱山の重大災害は、数多くの人命を失うばかりか、炭鉱労働者に不安と動揺を与え離山ムードを一層増大し、労働力不足に拍車をかけ、再建途上の炭鉱経営に救い難い打撃をもたらしている。よって石炭鉱山保安確保のため政府は、次のことを実施すべきである。  一、全国炭鉱の緊急保安総点検と、保安態勢についての調査のための保安調査団を編成し、その調査を行い、以て保安対策の確立を期すること。  一、災害による遺家族の援護については万全を期すること。  一、保安施設及び機器の整備を一層促進し、その予算を優先的に確保すること。  一、保安監督行政の強化と監督官の増員、報告届出義務の内容強化等必要な措置を再検討して速かに実施すること。  一、保安教育の徹底と保安センターの運営強化を図ること。  一、自主保安確保のため体制の整備及びその運動を強力に進めるよう積極的に指導すること。   右決議する。  次に、簡単に提案の趣旨を御説明申し上げます。  第一点は、最近の災害の頻発にかんがみまして、全国の炭鉱の緊急な保安確保調査を行なう必要があることを私どもは痛感をいたしておるのであります。特に炭鉱経営は、経理が非常に悪化をしてきたという中で、今日の炭鉱は出炭した石炭を売却し、その得た代金によって金繰りをしなければならない、こういう形に追い詰められているというのが今日のわが国炭鉱会社の経営の実態であろうかと思うのであります。そういう点で、残業、公休出勤等による出炭強化ということが経営上特に必要な実情にあることは申し上げるまでもありません。そういう面から考えまして、生産第一主義にともすればおちいりやすい傾向を持っておるのでありまして、人命尊重の意味から、まず今日の炭鉱のそういう実情の中で保安が一体どのような状態にあるのか、こういう点を総点検をしてその対策を立てるべきではないか、また保安の問題については実情がケース・バイ・ケースになってまいりますので、その点を十分調査をする必要がある、こういう意味で調査団を編成してその対策をより綿密、確実に進めることが肝要であると思うのであります。  第二の問題は、災害による遺家族の援護について、今日まで労使間でもいろいろ話し合いがなされておりますけれども、特に今日の労使間の争点の一つにも遺族の補償の問題があげられておる実情であります。したがって、遺族の援護については災害の起こるたびに遺家族対策についての万全を誓っておるのでありますけれども、より一そう遺家族の援護についてはその対策を強化すること。  第三点は、保安施設及び機器の整備でありますが、施設更新を伴う状態にあっても今日なかなかその思い切った設備更新を行なうことができないという実情があるわけです。そういう点にかんがみまして、特に保安の施設と保安の機器——ガス、炭じんの多い坑内作業でありますから、機器の整備なくして災害を防ぐことはできませんので、その整備を一そう促進するために予算を優先的に振り向けてもらいたいというのが第三点であります。  第四点は、保安監督行政を一そう強化をする。特に現在、報告届け出義務の問題については、その内容をより一そう強化しなければならない。さらにまた、届け出についてもより追加すべきものがあると私どもは考えているわけです。そういう点を十分ひとつ再検討されて、炭鉱保安のあり方が常に監督行政の中で把握でき得る体制を確立をし、的確な行政指導が行なわれる体制を整備することが至当であるという点であります。  第五点は、保安教育の徹底の問題でありますが、特に保安センターが北海道の場合に起工式が行なわれたと同時に今度の美唄災害が起きておるという皮肉な現象にあるわけです。そういう意味からも保安教育の徹底をはかるために、保安センターの構想を今日実施をいたしておるのでありますが、この保安センターの運営強化をより充実をして保安技術職員あるいはまた有資格、指定鉱山労働者、一般炭鉱労働者保安教育の徹底をさらに進めるべきであるという点であります。  第六点は、炭鉱保安は単なる行政指導やあるいはまた規則の強化だけで確保できるものではありません。したがって、生産の接点におります技術職員あるいはまた炭鉱労働者、さらにまた保安管理者、三者一体になって自主的に保安確保するという気がまえと、そういうふだんの努力が必要であると痛感をいたすわけです。したがって、そういう自主保安確保のために体制の整備をより一そう進めること、さらにまた、そういう自主保安確保のための運動を随時展開をさせていく、こういう意味において、行政指導の面で積極的にこれらの指導をすることが肝要であるという点が提案の趣旨の内容であります。  ひとつよろしく御賛同の上、この決議を可決していただきますようお願いをいたしまして、提案の説明にかえる次第であります。(拍手)
  64. 堂森芳夫

    堂森委員長 ただいま岡田利春君より石炭鉱山保安確保に関する件について決議をされたいとの動議が提出されました。  本動議について議事を進めます。  岡田利春君外七名提出の石炭鉱山保安確保に関する件を本委員会の決議とすべしとの動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  65. 堂森芳夫

    堂森委員長 起立総員。よって、動議のごとく石炭鉱山保安確保に関する件を本委員会の決議とすることに決しました。  ただいまの決議について政府の所見を承る二とにいたします。椎名通商産業大臣
  66. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 保安確保は、石炭鉱業存続のための基本的前提であり、政府といたしましても、ただいまの御決議の趣旨を体しまして保安確保に万全を期してまいる所存でございます。
  67. 堂森芳夫

    堂森委員長 なお、本件の政府への参考送付等の手続きにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 堂森芳夫

    堂森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  69. 堂森芳夫

    堂森委員長 委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  去る十二日発生いたしました北海道美唄炭鉱災害につきまして、本委員会から現地委員を派遣し、その実情を調査するため、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 堂森芳夫

    堂森委員長 御異議なしと認めます。  また、派遣委員の人選、派遣期間等につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  71. 堂森芳夫

    堂森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、今回の委員派遣に際しましては、往復とも航空機の使用をいたしたいと存じますので、この点も議長に申請するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 堂森芳夫

    堂森委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来たる二十二日水曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時七分散会