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1968-03-06 第58回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月六日(水曜日)    午後零時四十六分開議  出席委員    委員長 堂森 芳夫君    理事 鹿野 彦吉君 理事 田中 六助君    理事 西岡 武夫君 理事 野田 武夫君    理事 岡田 利春君 理事 多賀谷真稔君    理事 池田 禎治君       佐々木秀世君    篠田 弘作君       中川 俊思君    石野 久男君       田畑 金光君    大橋 敏雄君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君         労 働 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         通商産業省石炭         局長      中川理一郎君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君  委員外出席者         労働省職業安定         局失業対策部長 上原誠之輔君     ――――――――――――― 二月二十七日  石炭鉱業経理制臨時措置法廃止期限等を変更  するための法律案内閣提出第二七号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二日  石炭産業安定対策に関する陳情書外一件  (第  一〇五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石炭鉱業経理規制臨時措置法廃止期限等を変  更するための法律案内閣提出第二七号)  石炭対策に関する件(石炭対策基本施策、太  平洋釧路炭鉱及び大夕張炭鉱の事故に関する問  題)  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 堂森芳夫

    堂森委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、石炭対策基本施策について、椎名通商産業大臣並びに小川労働大臣からそれぞれ説明を聴取いたします。  まず、椎名通商産業大臣
  3. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 第五十八回通常国会におきまして石炭対策特別委員会の御審議をいただくにあたり、一言ごあいさつを申し上げます。  石炭鉱業につきましては、石炭鉱業審議会答申及びその趣旨に沿って行なわれた閣議決定に基づきまして、本年度から石炭鉱業の安定、保安確保鉱害復旧産炭地域振興等に一そう強力な施策実施してまいったのであります。  しかしながら、その後、自然条件悪化労務者不足等をおもな原因とする出炭不振と、これによる資金経理状況悪化により石炭鉱業は従来にも増してきびしい環境下に置かれているのが現状であります。  このため、政府といたしましては、生産体制整備経営基盤強化長期需要確保等をはかり、石炭鉱業長期安定生産体制確立を期するとともに、保安確保につきましても引き続き人命尊重基本に立って施策推進し、その万全を期する決意であります。  また、鉱害対策につきましては、鉱害復旧事業規模増大鉱害復旧体制強化等により、その処理促進をはかり、産炭地域振興対策につきましては、新産炭地域振興実施計画を基礎として対策強化をはかる所存であります。  なお、これらの措置実施につきましては、所要の立法措置及び予算措置について本国会において御審議をいただくこととしておる次第であります。  さらに、このような施策推進と並行いたしまして、今後、出炭及び企業経理状況等分析及び予測を行ない、石炭鉱業の長期安定のための基本的方策をできるだけ早く検討することとし、真に石炭鉱業再建がはかられるよう努力してまいる決意であります。  本特別委員会は従来から石炭対策につき熱心に御審議をいただき、また心強い御指導御鞭撻をいただいておりますが、本国会におかれましても、一そうの御協力をお願い申し上げる次第であります。
  4. 堂森芳夫

  5. 小川平二

    小川国務大臣 石炭鉱業に関する当面の労働諸問題について、一言所信を申し述べ、各位の御理解と御協力を得たいと存じます。  最近における石炭鉱業の動向を見ますと、閉山合理化は予期以上に進行しつつあり、今後もなお相当数離職者が発生することが予想され、その前途は、なおきびしいものがございます。これが対策につきましては、累次整備を見た炭鉱離職者臨時措置法中心に、従来の経験を十分に活用して、今後とも万全を期してまいる考えであります。  石炭鉱業における労働災害防止につきましては、労働者保護の見地から重大な関心を持ち、努力してきたところでありますが、最近においても、美唄炭鉱におけるガス爆発等重大災害が続いており、まことに遺憾な状態にあります。  労働省においても、石炭鉱山災害に伴って発生するおそれのある一酸化炭素中毒症に対する対策について、いわゆるCO法の順守を徹底せしめる等、所管事項について万全の措置を講ずるとともに、通商産業省との連携を密にし、石炭鉱業における労働災害防止に、一そうの努力を重ねてまいりたいと存じます。  なお、石炭鉱業最低賃金につきましては、石炭鉱業における労働条件の改善をはかるために、今般中央最低賃金審議会答申に基づいてこれを改正し、その最低賃金額の引き上げを行なったところであります。石炭鉱業に働く労働者労働条件につきましては、今後とも、なお一そうの努力を重ねてまいる所存であります。  以上、当面の諸施策について所信の一端を申し上げた次第でありますが、今後とも各位の御意見を十分拝聴しつつ行政の推進に一そう力を尽くしてまいりたいと存じます。何とぞよろしくお願いを申し上げます。      ————◇—————
  6. 堂森芳夫

    堂森委員長 次に、去る二月二十七日付託になりました、内閣提出石炭鉱業経理規制臨時措置法廃止期限等を変更するための法律案を議題といたします。
  7. 堂森芳夫

    堂森委員長 政府より提案理由説明を聴取いたします。椎名通商産業大臣
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 石炭鉱業経理規制臨時措置法廃止期限等を変更するための法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、わが国石炭鉱業は、エネルギー革命の渦中にあって憂慮すべき状況に置かれており、政府といたしましても、昭和三十七年の第一次石炭鉱業調査団答申以降、数次にわたり対策強化を行ない、右炭鉱業の安定をはかってまいりました。  石炭鉱業経理規制臨時措置法及び臨時石炭対策本部は、ともに昭和三十七年の第一次答申に基づき、石炭鉱業合理化計画の円滑な推進をはかるものとして、一は経理適正化経営合理化をはかるために制定され、他は産炭地域振興対策労務者対策等につき現地の実情に即した石炭対策推進するために九州に設置されたものであります。両者は、これまで石炭鉱業合理化推進に大きく寄与してまいりましたが、当時の合理化計画目標年度昭和四十二年度とされていたため、ともに本年度末をもって終了することとされております。しかしながら、石炭鉱業は、なお深刻な不況の中にあって今後とも強力な国の施策を必要としており、現在昭和四十五年度目標とする合理化安定対策が講じられているところであります。  したがいまして、石炭鉱業経理規制臨時措置法及び臨時石炭対策本部も、これらの対策の円滑な推進をはかるため、新たな合理化計画目標年度である昭和四十五年度まで存続させる必要があります。  本法律案は、このような考えのもとに、石炭鉱業経理規制臨時措置法廃止期限及び臨時石炭対策本部存置期限昭和四十三年三月三十一日から昭和四十六年三月三十一日まで三年間延長しようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  9. 堂森芳夫

    堂森委員長 これにて提案理由説明聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  10. 堂森芳夫

    堂森委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  昭和四十三年度通商産業省所管石炭関係予算概要について、政府より説明を聴取いたします。中川石炭局長
  11. 中川理一郎

    中川政府委員 お手元に「昭和四十三年度石炭対策特別会計予算要求額」という横長の三枚とじの資料一部と、一枚紙で「昭和四十三年度石炭関係財政投融資要求額」とございます資料をお届けしておるはずでございます。これに従いまして御説明をいたしたいと思います。  石炭対策につきましては、昨年七月の石炭鉱業審議会答申及びこれを受けて行なわれました閣議決定に示された基本的方向に沿って合理化安定対策推進しておるところでありますが、先ほど大臣からもございましたように、出炭の思わぬ不調等もありまして、現状はさらにきびしさを増してきておるのでございます。このような情勢にかんがみまして、四十三年度石炭対策は、四十二年度において実現を見た諸施策を引き続き実施するほか、従来の趣旨に沿いましてその拡充強化をはかることとして考えてまいった次第でございます。  最初の表に従いまして御説明いたしますと、炭鉱整理促進費補助金でございますが、御承知のように、合理化事業団石炭鉱業を廃止するものに対して閉山処理費用として交付する交付金及び離職者に対して交付する離職金の支払いに要する経費の八〇%を補助するための補助金でございます。四十三年度は、交付金四十六億八千万円、離職金二億一千万円を要求しております。これによりまして、二百二十五万一千トンの整理を行なうことといたしております。なお、このほかに非能率炭鉱整理円滑化をはかるための整備資金確保することといたしまして、石炭鉱業合理化事業団に対して十億円の財政融資要求いたしております。これは財投の表のほうに含まれております。  それから石炭増加引取交付金は、御承知のあとに出てまいります電発出資金とともに、石炭長期安定需要確保するためのものでございます。増加引取交付金は、電力鉄鋼業界に対しまして、一定量以上の石炭を引き取るものに対して、重油または輸入弱結炭との価格差を補償することによりまして、石炭増加引き取りを要請するものでございます。四十三年度は、四十二年度下期の増量引き取りと四十三年度上期の増量引き取りにつきまして、交付金を交付するというものでございます。この計算のもとになっております数字といたしましては、九電力分で四十七億九千万円、常磐共同火力分で一億六千万円、電発分で五億円、鉄鋼分で二十六億九千万円、合計八十一億四千万円としております。量といたしまして、これに見合いますものは、九電力では四十三年度分といたしまして、二千二百万トン、常磐共同火力で五十二万トン、電発では二百十四万トン、鉄鋼で千五十万トンを考えておりまして、現在需要業界と交渉を進めておる次第でございます。  また電発出資は、発電コストの安い石炭専焼火力発電設備建設促進して、石炭長期安定需要確保するというものでございます。四十三年度において二十億円を要求いたしております。  石炭鉱業元利補給金は、従来のとおりでございます。一千億の肩がわりの四十三年度分でございます。  安定補給金は、諸般の施策によってもなお安定を期しがたい企業に対しまして交付するものでございますが、四十三年度は、中小炭鉱及び再建会社に対しまして、トン当たり百五十円を交付することとし、二十三億一千万円を計上いたしております。ちなみに、これは四十二年度では名目百二十円、実質百三十二円ということに相なっております。  坑道掘進費補助金は、最近の出炭不振等にも関係のある基本的な先行的な坑道展開促進するための制度でございます。安定的な生産体制確立に非常に資する次第でございますので、四十三年度主要坑道三十二億八千万円、一般坑道二十五億三千万円、計五十八億一千万円に増額いたしまして、当面の出炭不振に対処することにいたしております。一般坑道につきましては従来以上に対象坑道を拡大いたした次第でございます。  次に、石炭鉱業合理化事業団に対する出資金でございますが、これは坑道掘進費補助金等と相まって、近代的な高能率炭鉱造成をはかるものでございます。四十三年度は四十九億五千万円を要求しておりまして、この内訳は、石炭坑近代化資金に十四億八千万円、保安設備資金に十二億五千万円、流通合理化資金に四千万円、開発資金に十二億八千万円、機械貸与に九億円となっております。石炭坑近代化資金石炭坑近代化をはかるための設備資金融資するものでございますが、四十三年度は従来の融資比率四〇%を五〇%に引き上げまして、貸し付け規模も三十二億四千万円から三十八億五千万円に増額しております。  流通合理化資金につきましては、四十二年度まではストップをいたしておりました石炭専用船をあらためて取り上げまして、二隻を建造して、石炭輸送費の軽減をはかることといたしております。このためには船舶整備公団に対し二億四千万円の融資を行ないます。  次に開発資金でございますが、これは原料炭開発のための資金でございます。四十三年度は二十五億七千万円の融資を行ないます。  機械貸与につきましては九億円に増額いたしました。最近の労働力不足に対応する措置として考えておるわけでございます。  そのほかの主要項目といたしましては、増加坑内水揚排水費補助金一億円を要求しております。これは周辺鉱山終閉山によりまして著しく坑内水増加し、経営を圧迫しておるという炭坑に対して揚排水経費の一部を補給するものであります。  以上が石炭鉱業関係予算でございます。これに保安確保対策費三億四千万円を加えまして、石炭鉱業合理化安定対策費は四百十三億五千万円となっております。  次に、鉱害対策費について御説明をいたします。  これにつきましては、四十三年度におきまして鉱害基金と四つの鉱害復旧事業団を統合いたしまして、公害事業団を設立いたしまして、新たに総合的、計画的な復旧を行ないたいということを考えております。また、鉱害紛争に関する裁定制度整備するというようなことも考えております。そこで予算といたしましては、鉱害復旧事業資金等補助金を六十七億七千万円に増額いたしまして、事業規模として九十五億五千万円の復旧事業を行なうことを考えております。事業団補給金の一億円は、新しい鉱害事業団賠償資金貸し付け利率を引き下げるための利子補給金でございます。また、鉱害事業団出資金一億円は、財投のほうで出てまいります融資十九億円と合わせまして、三十億円の鉱害賠償資金及び防止資金低利融資を行なうための資金でございます。ともに鉱害の円滑な処理をはかることを目的としております。  産炭地域振興対策につきましては、新実施計画の円滑な実施推進するため、産業基盤整備企業誘致施策の基幹として対策を進めることといたしております。このため四十三年度におきましては、産炭地域振興事業団に対しまして三十億円の出資を行ない、これと財投のほうにございます四十二億円の資金によりまして、進出企業に対する融資、この内訳は、設備資金が三十八億円、運転資金五億円でございます。これと産炭地域振興事業、綿織業の製造事業に対する出資五千万円、それから土地造成事業として二十七億円及び工場貸与事業として一億五千万円、計七十二億円の振興対策事業を行なうことといたしております。このほか産業基盤整備の一環として、産炭地域市町村等の行なう産炭地域小水系開発事業に対しまして補助金を交付することといたしまして、一億二千万円を要求してございます。四十三年度では四事業考えております。  以上、石炭鉱業合理化安定対策費鉱害対策費産炭地域振興対策費について御説明いたしましたが、このほか事務処理費九億一千万円、炭鉱離職者対策費五十億九千万円及び予備費十二億四千万円を加えまして、石炭対策特別会計総合計は五百九十六億八千万円と相なっております。  予算に関連しましたところで、財投のほうも御説明いたしましたが、若干重複するかもわかりませんが、財投自身といたしましては、四十三年度におきましては、さきに御説明いたしました合理化事業団に対する十億円、鉱害事業団に対する十九億円、産炭地域振興事業団に対する四十二億円のほかに、開発銀行に対しまして百十億円の融資を行ない、石炭鉱業合理化推進することといたしております。  なお、亜炭鉱業に対しましては、特別会計の外で、一般会計におきまして、安定生産体制確立をはかるため、新たに炭層探査費補助金、坑道掘進費補助金、合わせまして約千四百万円を要求いたしております。  御説明を終わります。
  12. 堂森芳夫

    堂森委員長 次に、鉱山保安局関係予算概要について説明を聴取いたします。西家鉱山保安局長
  13. 西家正起

    西家政府委員 鉱山保安関係予算につきまして御説明をさしていただきます。  鉱山保安関係予算につきましては、石炭特別会計一般会計とが入りまじっておりますので、鉱山保安関係だけを特別に抜き出しまして、お手元の一枚の紙の昭和四十三年度鉱山保安関係予算一覧表にまとめて書き上げたような次第でございます。この表につきまして御説明を申し上げたいと思いますが、特に四十三年度重点を置きました事項につきましては、まず第一に鉱山保安監督検査強化、それから炭鉱保安専用機器整備開発促進、それから保安教育強化、こういう点に重点を置きまして要求をいたしておるような次第でございます。  お手元の表で、まん中からちょっと下のほうに線が引いてございますが、その線から上の部分が、昨年度まで一般会計要求をいたしておりました事項でございまして、線の下の部分が、従来から石炭特別会計要求をいたしておりました事項でございます。今年度は、一番右側の二つの欄に書いてございますように、従来一般会計要求をいたしておりました分の中から、石炭関係のものにつきまして石炭特別会計に一部回して要求をいたしておる、かようになっておる次第でございます。  項目別に簡単に御説明申し上げますと、第一に、鉱山保安国家試験費でございますが、これは保安技術職員国家試験事務費でございます。  二番目の鉱山保安監督検査費、これは旅費庁費合わせまして九千七百十七万四千円、若干の増加要求いたしておりまして、内容といたしましては、旅費につきましては、検査回数検査日数増大等を見込んでおりますし、庁費におきましては、検査機動力の充実ということで検査用のワゴンを要求いたしておるような次第でございます。  三番目の保安教育強化拡充費二千七百八万七千円でございますが、特に今年度は国が保安技術講習所内容強化をいたしまして、保安センター等設備を利用いたしまして救護訓練等を特にやるという形で約一千万円、そのほかに災害事例集等を作成いたしまして、災害防止につとめる。こういうことで増加をいたしておるような次第でございます。  四番目は鉱山保安技術対策費でございまして、これも二千五百二十九万九千円でございまして、若干の増加要求いたしておりますが、増加のおもな内容は、ガス突出防止対策、将来向かうべき海底の採掘認可基準坑水水質汚濁調査に対する委託費がおもな増加原因でございます。  次の中小鉱山保安指導費、これは大体従来どおり。  それから、鉱害防止対策費につきましては、これはおもに金属鉱山関係鉱害防止関係の金額が増加をいたしております。  それから七番目は、じん肺防止対策費、これは大体横ばいでございます。  その次の鉱山災害要因分析費につきましては、落盤等災害をカードで分析するということで、大体昨年並みでございます。  それから保安不良実態調査費は、これは来年は落ちますのでゼロ。  それから十、十一、十二、鉱山保安協議会費司法捜査費鉱山保安試験審査会費、いずれも事務費でございまして、特に鉱山保安協議会費につきましては、地方協議会強化するという意味で増額要求いたしておる次第でございます。  この欄を合わせまして、要求額の全額は一億六千八百八十三万六千円でございますが、そのうち一般会計では八千百八十二万四千円、特別会計八千七百一万二千円の要求でございまして、昨年度に比べまして一四・六%の増加率になっておるわけでございます。  次に、おもな保安政策の面に関係する点が次の石炭特別会計以下四つございますが、第一番目の鉱山保安センター設置費につきましては、昨年度に引き続きまして、新しく常磐中心とする東部に保安センターをつくるということを含めまして、一億三千四十一万三千円でございます。建設費の総額は九州、北海道、常磐合わせまして四億二千万ということでございまして、その三分の二を災害防止協会補助金として出すという形にいたしております。昨年度の残りの分につきまして本年度要求をいたしておるわけでございます。  二番目のぼた山災害防止対策費につきましては、これは長期計画に基づきまして、やはり四十三年度におきましても長崎県、佐賀県につきまして一億五千六十六万七千円を要求いたしておりまして、これはやはり工事額の三分の二を地方公共団体補助金として出すものでございます。なおことしから、防止工事を完了いたしましたぼた山につきましても、その維持管理費に対する補助金を新しく含むことにいたしております。  三番目の炭鉱保安専用機器整備費につきましては、これは昨年度補正予算から一酸化炭素マスクが加わりまして、四機種につきまして鉱業権者に対しまして二分の一の補助金を出すということで、二千六百二十六万円を計上いたしている次第でございます。  四番目の炭鉱保安専用機器開発費につきましては、やはり別の新しい四機種につきまして、石炭技研に対しまして二分の一の補助金を出し、そうして新しい炭鉱保安専用機器開発するということで、千七百九十四万円を計上いたしている次第でございます。  次に、事務費の六百万円余りを加えまして、合計三億三千百三十一万八千円、この分だけを見ますと、大体昨年度の八・一%アップということに相なるわけでございます。  合計いたしまして、鉱山保安関係予算は、一般会計特別会計含めまして五億十五万四千円、大体昨年度の一〇・二%の増加、こういうことに相なるわけでございます。  以上で説明を終わります。
  14. 堂森芳夫

    堂森委員長 次に、昭和四十三年度労働省所管石炭関係予算概要について、政府より説明を聴取いたします。上原失業対策部長
  15. 上原誠之輔

    上原説明員 昭和四十三年度石炭対策特別会計予算の中で、労働省が所管いたしております炭鉱離職者援護対策費につきまして御説明を申し上げたいと思います。お手元資料を配付してございますので、それによって御説明を申し上げます。  炭鉱離職者援護対策費は、昭和四十三年度予定額といたしましては五十億九千五十万二千円計上いたしてございまして、前年度に比べまして五千七百四十四万七千円の増額となっております。  その一つは、炭鉱離職者緊急就労対策事業費補助金でございまして、三十億四千七百万円を予定額といたしております。一日の平均吸収人員は五千百人、それから事業費単価一人当たり二千三百円であります。  次に、炭鉱離職者就職促進手当でございます。この関係では七億一千六百二十五万一千円を計上いたしておりまして、四十二年度に比べまして二億二千九百七十二万九千円の減であります。これは援護対策対象となります人員の減に伴う減でございます。就職促進手当の日額につきましては、最高限度額を四十二年度の六百十円から四十円を引き上げまして、六百五十円ということで出しております。平均額は六百円であります。  第三番目は、炭鉱離職者援護事業費補助金でございます。これは雇用促進事業団を通じまして炭鉱離職者援護事業を進めるための経費でございますが、十一億四百九十五万二千円が予定額でございます。これも支給対象人員が減ります関係で、九千二百四万八千円の減額となっております。  次は、炭鉱離職者職業訓練費補助金であります。これは炭鉱離職者につきまして、都道府県の一般職業訓練所におきまして職業訓練をいたします場合の管理運営費につきまして補助をいたすものでございますが、五千五百六万三千円を計上いたしておりまして、昭和四十二年度に比べまして三百七十五万二千円の増額となっております。  あとは事務費でございますが、炭鉱離職者援護対策事務費につきましては一億六千七百二十三万六千円を予定いたしております。これは前年度に比べまして一億六千六百十九万二千円の増でございますけれども、これは主として炭鉱離職者の就職促進指導当たります職員の人件費を、一般会計から特別会計に移しましたために増となるものでございます。なお炭鉱離職者対策協議会補助金につきましては、一応特別会計の中から整理をいたしまして一般会計でこの分に見合うものを出しております。  以上簡単でございますが、労働省所管分の説明を終わります。      ————◇—————
  16. 堂森芳夫

    堂森委員長 この際、美唄炭鉱爆発事故の実情調査を行ないました派遣委員より報告を聴取いたします。田中六助君。
  17. 田中六助

    ○田中(六)委員 現地調査の報告をいたします。  去る一月二十日、北海道美唄炭鉱で発生いたしました爆発事故についての現地調査の結果を概略御説明申し上げます。  当調査に参加いたしましたのは委員長堂森芳夫君、多賀谷真稔君、田畑金光君、大橋敏雄君と私田中六助の五名であります。私ども一行は二月五日午前九時三十分千歳空港に到着、直ちに災害美唄炭鉱に向かい、途中美唄市役所におきまして約二時間にわたって札幌通商産業局、同鉱山保安監督局及び北海道労働基準局より災害状況等について、それぞれ説明を、また美唄市長より要望を聴取いたしました。その後、災害が発生いたしました美唄炭鉱二坑坑口に参りまして、犠牲者の御冥福をお祈りいたしました後、美唄鉱業所におきまして会社側、労働組合及び職員組合よりそれぞれ説明並びに要望を聴取いたしました。  帰途、すでに夜に入っておりましたが、美唄労災病院に立ち寄り、入院中の罹災者坂口氏に対しお見舞いを申し上げたのでありますが、当時坂口氏は酸素欠亡症のため意識不明のまま病床についておられましたが、炭鉱災害の悲惨さを身をもって感じ、災害防止の重要性をあらためて認識いたしてまいった次第であります。  以上が一行の日程の概略でありますが、次に、美唄炭鉱現状につき御説明申し上げます。  美唄炭鉱昭和四十年六月、三菱鉱業株式会社より分離し、美唄炭鉱株式会社として発足したもので、現在は立て坑、常盤坑の二坑を有し、約二千九百人の鉱山労働者によって、年間約百万トンの出炭をしている炭鉱であります。  なお、常盤坑は新坑区域と二坑区域とに分かれ、今回の災害が発生いたしましたのは二坑区域でありまして、二坑区域では日産約八百トンの出炭をいたしております。  また、当炭鉱の生産炭は一般炭でありまして、その販路は約半数の四五・九%が電力用、次いで一般暖房用が一五・二%、パルプ八・八%、国鉄七・七%、その他二二・四%となっております。これらは全部三菱鉱業を通じて販売されております。なお生産能率は年々向上し、現在月産一人当たり四十八トンであります。  在籍鉱山労働者は昨年末現在で二千九百十名で、その内訳は直轄夫二千二百二名、請負夫四百七十名、職員二百三十八名となっており、平均年齢は三十九歳強であります。  次に災害の概況を申し上げます。  災害は、去る一月二十日十八時十五分ごろ常盤坑二坑坑口より約二千メートル、深度マイナス三百メートルの下九番層左三片坑道引っ立て付近において発生し、死亡十六名、負傷四名、計二十名の罹災者を出したのであります。災害当日二番方では二坑区域に百三十一名の労働者が入坑しており、そのうち災害個所に関する区域には請負夫九名を含め二十三名が配番されておりました。  災害原因につきましては、鋭意調査中でありまして、ここで論ずることは適当ではないかもしれませんが、災害後のガス状況、火炎の範囲、罹災者の状況、崩落状況などについての関係者の説明からみて、ガス爆発によるものと考えられます。  爆発の火源については、掘進延び先のハッパのほか、キャップランプなどの電気関係または裸火などが考えられておりますが、現在までの調査段階ではハッパの際着火したのではないかと推定されております。いずれにいたしましても今後の対策樹立のためにも早急に原因が究明されるよう望んでいる次第であります。  なお、災害発生後の処置についてでありますが、災害が発生いたしますと、直ちに会社をはじめ各関係機関において救護隊、調査班等を組織し、罹災者の救助探検、遺体の収容などに専心努力するとともにあわせて、災害原因調査を開始したのであります。また、災害当時の入坑者並びに救出作業に従事した者全員に対し健康診断を行なった結果、CO中毒患者の発生は全く認められなかったことを申し添えておきます。  次に現地における陳情などのおもなものを申し上げます。 一、ガス、炭塵管理の基準強化及び規則化、保安監督官の増員、ガス自動警報機の採炭、掘進切り羽、全面設置に対する行政指導、自己救命器の個人携行の義務化、保安教育の徹底など、国の炭鉱保安対策を積極化されたい。 二、一酸化炭素中毒患者と症状の酷似している酸素欠亡症患者についても炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法の適用が受けられるよう法改正をされたい。 三、炭鉱災害による遺家族の援護に万全を期するとともに、身体障害者及び未亡人の就労についても特段の方途を講ぜられたい。 四、災害復旧資金及び保安設備強化のための資金につき、長期低利の資金融資されたい。 五、石炭鉱業に対する労働力の確保をはかるため、さらに一そうの施策を講ぜられたい。等々でありました。  最後に、今回の調査に関連して、次の諸項目についての善処方を強く政府に要請をいたしておきたいと存じます。 一、今回の災害を契機として、人命尊重の意識をさらに高揚し、労使はもとより関係各機関あげて保安の万全を期すべきである。 二、離山ムードを排除し、石炭鉱業に対する労働力を確保するため、石炭鉱業の安定化につき再検討するとともに、労働環境の整備改善等につき格段の措置を講ずべきである。 三、鉱山保安確保につき、財政上、法制上の措置を積極的に講ずるとともに、関係政府機関を拡充し、強力な炭鉱管理体制を確立すべきである。 四、今回の災害が、平素よりガスが少ないとされていた個所で発生したことにかんがみ、今後の鉱山保安のあり方について再検討を加えるとともに、早急に全炭鉱の保安状況についても再点検を実施すべきである。 五、可燃ガス自動警報機、自己救命器等の保安機器を拡充整備するとともに、機器の取り扱い、退避、訓練の実施など、保安教育の徹底を期すべきである。 六、坑道掘進、ハッパ作業の坑内作業の実施につき、慎重に検討し、合理的な作業を行なうよう強く指導すべきである。 七、遺家族の援護については万全を期するようつとめるべきである。  以上で美唄炭鉱災害調査の報告を終わります。(拍手)
  18. 堂森芳夫

    堂森委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。      ————◇—————
  19. 堂森芳夫

    堂森委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  太平洋釧路炭鉱並びに大夕張炭鉱の最近の事故について政府の報告を聴取いたします。西家鉱山保安局長
  20. 西家正起

    西家政府委員 本年に入りまして重大災害が相次いで発生をいたしておりまして、まことに申しわけなく存じておる次第でございます。太平洋釧路炭鉱の落盤災害並びに大夕張の炭鉱のガス爆発災害につきまして御説明を申し上げたいと思います。お手元に簡単な資料を配付してございますが、資料に基づきまして御説明をいたしたいと思います。  太平洋釧路炭鉱の落盤災害でございますが、災害の起こりました炭鉱名は、太平洋釧路炭鉱春採坑でございます。所在地は、釧路市春採二百六十、鉱業権者、太平洋炭鉱株式会社社長寺山朝、災害発生年月日は、昭和四十三年一月三十一日十時二十分ころでございます。災害発生個所は、同坑の東益浦左一片卸八号九番目抜きでございます。災害の種類は、落盤でございます。罹災者は、係員一名を含めまして死者三名、重傷者は係員一名を含めまして三名、軽傷者一名、合計七名でございます。いずれも直轄の方でございます。当炭鉱の鉱山労働者数は、全部で四千二百四十四名でございまして、出炭は、一日当たり七千四百トン程度でございます。  災害の概況でございますが、災害発生個所は、春採坑の連れ卸坑口から七千三百二十メートルの位置でございまして、東益浦区域にございます。災害の起こりました当坑道は採炭準備卸坑道でございまして、間隔二十五メートルをもってベルト卸と材料卸の平行する本連れ卸の二つの卸からなっておりまして、掘進法といたしましては、材料卸を先に進めておりまして、目抜きは七十メートルから九十メートル間隔にベルト卸から約四十五度の角度で掘進して材料卸に貫通させるような方法をやっておるわけでございまして、貫通した後には引き続き材料卸を先に進めておるようなやり方でございます。以上のような採掘を行なってきましたところが、九日抜きの貫通個所におきましてこの災害が発生したのでございます。  三十一日の朝の七時ごろに、前日の三番方の機械係員より左一片卸八号九日抜き前が崩落しているという報告がございまして、上席係員でございます係長が、すでに入坑しておりました当部内の担当係員一名と坑員十名を急遽番割りを変更いたしましてそちらに向けたほか、他の現場から応援のためにやはり係員一名と坑員六名を招集いたしまして、当該崩落個所の山固め、仕繰りの作業に従事さしたわけでございます。八時ごろから他の上席係員、もう一つ上の区長が総指揮をとりまして、九日抜き側の一部を含めすりばち状に崩落している個所につきまして——ちょっと最後に図面がございますが、崩落個所がまん中に書いてあるわけでございます。この崩落個所の三方、すなわち左のほうの目抜きと書いてございますほうからと、上のほうの材料卸と書いてあるほうからと、それから奥のほう、いわゆる下のほう、この三カ所からそれぞれ七名、五名、四名がかかりまして、この個所の山固めに取りかかったわけでございます。そのほかに一人仕繰りの担当係員が応援にかけつけまして、この仕繰りの担当員と二、三名の坑員とが長材——レールをかさ木の上に乗せようといたしましたときに二回目の崩落が発生いたしまして、この山固め作業に従事いたしておりましたうち七名が埋没罹災したのでございます。すぐに救出作業に取りかかりましたけれども、三名の方が遺体として収容されたような次第でございます。  災害原因といたしましては、この仕繰り作業にあたっての状況判断の甘さか、または作業手順の誤りか、いずれかによるものと考えておるわけでございますが、なお詳細につきましては、罹災者、けがをされた方の供述も完全に終わっておりませんので、確実なところはまだわからないわけでございますけれども、大体以上のような原因というように考えておる次第でございます。  続きまして、大夕張炭鉱のガス爆発災害につきまして御説明させていただきます。  鉱山坑口名は、大夕張炭鉱大夕張坑、所在地、夕張市鹿島、鉱業権者、三菱鑛業株式会社、発生年月日は、昭和四十三年二月二十八日十六時ごろでございます。発生個所は、奥部第二立て坑の本坑底付近でございまして、特免区域にはなっていない地域でございます。罹災者の数は、死亡者一名、重傷十五名——大体火傷の二度ないし三度の重傷者十五名、計十六名の方々であります。十六名の中には、二名の直轄係員、一名の請負組係員、十三名の請負組夫の方、こういう内訳になっております。労働者の数は、当炭鉱では四十二年十一月現在で千八百十七名、出炭量は月五万七百トン程度でございます。  災害の概況及び原因でございますが、災害を発生いたしました第二立て坑は、内径六メートルの人気立て坑でございまして、この人気量は毎分四千五百立方メートルでございまして、従来採掘あとを流送充てんするための材料を一番下の三片坑道を経由して坑外まで搬出しておったのでございますが、昨年昭和四十二年の十一月二十三日に発生した自然発火の処置といたしまして、十二月五日に三方坑道を水没いたしましたために、立て坑底における同施設の使用が不可能になっておりますので、新たにその立て坑の上のほうのいわゆる木片坑道地並みの立て坑内にチップラーを設置する作業を実施しておったのでございます。  災害当日は、このチップラー据えつけ作業に三名の係員——この三名の方のうち二人は直轄、一人は組の方でありますが、三名の係員の監督指揮のもとに請負組夫一三名——これは北宝建設十一名、北菱建設二名、この十三名の方が従事をいたしておりまして、チップラーの防じんカバーの取りつけ、キブルガイドの取りつけ、チップラー下部の座張り、ロープカプラテンションウェイトの取りつけ等の作業を行なっておりました際に、突然ガス爆発がございまして、前記の十六名の方が罹災したのでございます。  原因につきましては、目下夕張保安監督署長以下五名の監督官により調査中でございますが、溶接作業中の火花か、あるいは赤熱いたしました鉱粉によって座張り下の停滞ガスに引火した疑いが濃厚でございます。  災害後の罹災者に対する処置でございますが、二十八日夜、美唄労災病院から院長以下三名、また北大から皮膚科教授以下二名の計五名の医師の来援を請うとともに、美唄労災病院より高圧酸素室を輸送、罹災者の治療に当たったのでございます。  次に略図がかいてございますが、この図面のまん中のちょっと右のほうに第二立て坑と書いてございます。この立て坑のところが災害個所でございます。この立て坑は人気になっておるわけでございまして、先ほど申し上げましたような相当量の風が坑外から直接この立て坑を通って入っておるところでございます。そこに黒い坑道がかいてございますが、この黒い点はいわゆる特免区域となっておりまして、ガスその他の施設の緩和をしていい地域でございます。その他の白い地域は特免にはなっていない地域でございます。  さらに最後の図面でございますが、最後の図面は、災害個所をやや詳細にかいたものでございますが、左のほうが当該立て坑の図面でございます。一番下のほうに三片と書いてございますが、この坑道を通じて従来ズリを搬出しておったのでございますけれども、これは自然発火のために三片の坑道の天盤から九メートル上まで水没をさせておるわけでございます。これは昨年の十一月二十三日の災害の際に水没させたものでございます。したがいまして、この坑道を、その上のほうに本片と書いてございますが、本片の坑道から坑口に搬出させようということで、この本片の坑道の交わっておるところに、チップラー、鉱車をひっくり返す装置と、そのひっくり返されて出たものを搬出するキブルの設置をいたしておったところでございます。その部分を上から見ましたところが右のほうの図面でございまして、大きなまるが立て坑でございますが、そこに鉱車を持っていきまして、チップラー室がございまして、チップラーのところで鉱車を手前のほうにひっくり返して、ホッパーを通して小さいまるのキブルの中に入れる、こういう設備でございます。さらにこれを横から見た場合がその右下のほうに図面がかいてございまして、チップラーからホッパーを通ってキブルに入る状況がかいてあるわけでございますが、ここでこの設置作業の際に——それから一つ忘れましたが、この左のほうの図面の本片坑道から七メートル下のところに線がございます。そこに座張りがあるわけでございます。この下のほうにおそらくガスがたまっておりまして、その上でチップラーの溶接作業をやっておりましたときの火花か、あるいは鉄粉が落ちましてガスに引火したのではないか、こういうように考えられるわけでございます。  以上で説明を終わらせていただきます。      ————◇—————
  21. 堂森芳夫

    堂森委員長 これにて政府の報告は終わりました。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。
  22. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 初めに三菱美唄の災害のその後の原因調査でありますけれども、作業個所の係の従業員が全員死亡しておりますから、なかなか原因の究明は困難とは思いますが、一応今後の保安対策の見地から、どういうことを想定をしてこの原因の究明に当たっておられるか、その点についてまず伺いたいと思います。
  23. 西家正起

    西家政府委員 災害原因といたしましては、当初はハッパか電気関係ということで想定をいたしまして、ガス検定器あるいはハッパ器、安全灯等の鑑定を資源技術試験所の北海道支所のほうに依頼をしたわけでございますが、その結果異常がないということが判明いたしております。  それから爆雷、火薬等についての鑑定結果につきましては、現在これを依頼中でございまして、四月の末になる模様でございます。  それから、その他ガスの湧出状況あるいは停滞状況等につきましては、一部北海道大学等に対して研究を依頼をいたしておりまして、爆発の強さ等あるいはガス量の停滞については依頼をしておるわけでございますが、その後、現場を取り明けて調査した結果、監督局としては一時的な異常ガスの湧出があって、それにハッパをした際に引火して爆発したものと推定しております。
  24. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大体、ほぼハッパによる災害である、私は別に原因を断定的な考えで述べるわけでありませんけれども、これからの炭鉱保安の見地から言って、ハッパの場合に、二回に分けてハッパがかけられたのか、一度にハッパがかけられたのか。現場はミリセコを使っておりますから、そういう意味では、ハッパ施行前のガス検定が十二分に行なわれた。しかし、二回に分かれてハッパが施行されたとすれば、ハッパとハッパ間の中で多量のガスが湧出をした。これに検定が十分行なわれないでガス爆発が起きるということも考えられるでしょうし、もし一斉ハッパをかけてガス爆発が起きたとすれば、ミリセコそのものに対する重大な再検討をしなければなりませんから、そういう意味では、今後の保安対策上非常に重要な問題点ではないか。したがって、別に原因を断定する断定しないという問題ではなくして、そういう見地からこの問題については十分ひとつ実験等を重ねて、爆発の起き得る可能性というものはこういう場合にあるのかないのか。特にミリセコの場合はそういうことが一番重要かと思いますので、この点について十分配慮を払って検討を続けてもらいたい、こう思うのですが、見解はいかがですか。
  25. 西家正起

    西家政府委員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、現在のところ、ハッパは二回に分けてやった形跡が非常に強いわけでございます。したがいまして、できるだけ検定の励行ということを、どうしてもこれはやらなくちゃいかぬ問題かと思いますけれども、なお検定につきましては連続的にガスの検定、ガスの量を知るというものではございませんので、その間に、非常に短時間の間に異常のガスが湧出したような場合には、やはりそれだけでは十分にわからなかったという見地もあるかと思いますが、われわれといたしましては、連続的に知り得るようなガス自動警報器等の設置につきまして、設置基準を現在よりも厳重にいたしまして、もうすでにこれを実行させるような段階に入っておるわけでございます。  先生御指摘のハッパの問題でございますが、この点は非常にむずかしい問題でございまして、従来われわれといたしましては鉱山保安局の中でハッパ部会というものを設けまして、各その道の権威の方々にいろいろ火薬の安全性等につきまして十分検討して——最終結論は出ておりませんけれども、現在検討中でございますが、ミリセコンドにつきましては、従来から百ミリセコンド以内におさまるものでございましたならば安全である、こういうことにされておりまして、大体これは世界的にもそういうことになっておりますので、いままでは実はあまりミリセコにつきまして疑問を持っていなかったわけでありますが、ただいま先生御指摘のように、こういう点につきましてもさらに十分に検討を加えまして、もしミリセコにつきまして遺憾なような点がございましたならば改良する必要がある、かように考える次第であります。
  26. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 太平洋釧路炭鉱の落盤事故ですが、これは私は非常に珍しいケースだと思うわけです。と申しますのは、崩落をして、私の調査によりますと、すでに添えワクをし、中間立ち入りを行なって、しかも区長の仕繰り担当の係員が指揮をしながら作業中に第二次崩落で災害が起きた、こういう経過でありますから、普通一般常識であれば、添えワクをし、立ち入りをし、山固めをして作業にかかれば、あと監督者が直接指揮をしておるという条件ではこういう重大災害の発生というものは私は非常に珍しいと思うわけです。ただ総じて言えることは、この地域は太平洋の炭鉱でも天盤の状況が益浦地区では非常に変わっている。こういう面における天盤の状況変化による死荷重の計算、判断、こういうものが結局甘かったのではないか、こういうことが端的にこの事故の場合に私は考えられると思うのです。ただ問題は、太平洋の場合、いままでの集約採炭から非常にスピード化した採炭方式に転換しているわけです。掘進等はコンティニュアスマイナー、一日一方四十メートルくらい伸びる、また採炭切り羽についても十数メートル優に伸びる、非常にスピード化されてきているわけです。そういう大型坑内機械を使い、スピード化されてきた場合の天盤保持、坑内支保というものについて、そのスピードに合わせた態勢をとることが、まずこの災害の経過からかんがみても、非常に検討されなければならぬ点ではないか、こういう気が実はするわけです。それと同時に、おそらくこれは回しワクで、また、かつがせワクの入っていないところだと思うのですが、そういう点に対する支保の鉄化、こういう点、これからの集中採炭をしていく炭鉱近代化要求として、そういう技術開発というものが必要ではないか、こういう気がするわけです。こういう点について特に見解がありましたら、伺っておきたいと思うわけです。
  27. 西家正起

    西家政府委員 災害の直接の原因につきましては、崩落はかなりの個所で起こっているわけでございまして、その崩落個所を仕繰りをする場合の方法につきまして若干まずい点があったのではないか、あるいはそのときの状況判断についてまずいところがあったのではないかというふうな点で先ほど原因を申し上げたような次第でございますけれども、さらにこれを突っ込んで考えます場合には、先生御指摘のとおり、その第一次崩落がもともと起こるというところに原因があるわけでございまして、この第一次崩落を防止するということから考えた場合にはコンティニュアスマイナ一等、新しい大型機械を使った場合の掘進方法並びにそれにマッチするような支保につきましては、御指摘のとおり今後とも十分に研究していく必要がある、かように考える次第でございます。
  28. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 大夕張炭鉱のガス爆発——普通私どもはガス燃焼、こういっておりますけれども、統計上はガス爆発でありますが、これまた非常に珍しいケースで、私の記憶にも、こういうケースの災害というのは、実は初めてなわけです。  ただ一点お伺いしておきますのは、座張りですね。結局水没をさして自然発火を食いとめて、座張りをしていた。この座張りの条件は、これはガスが抜ける可能性のあった座張りなのか、それとも相当密閉といいますか、そういう座張りの条件であったのか、その点お伺いしたい。
  29. 西家正起

    西家政府委員 座張りにつきましては、厚板でやっておりましたのですき間が現実にあったようでございます。ただ、その上に平素は岩石のくず等が乗っておりまして発見ができなかったようでございますが、それを掃除したような場合には十分すき間がございまして、下から上に上がってくるような状態であったわけであります。
  30. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 普通メタンガスは、座張りの間に目があれば大体流出をしてしまうんだと思うわけですよ。しかし、溶接中火花が散ってガスに引火したということは、われわれはどう考えてもわからぬわけです。保安局で、こういう災害についてそういうケースがあったら、理解できますか。
  31. 西家正起

    西家政府委員 保安局といたしましても、非常に珍しい災害というふうに考えております。要するに、爆発をいたしましたときにガスがあったことは間違いないと思いますが、先ほど御説明申し上げましたように、立て坑で相当量の風が左右に別れて入ってきておるということから、上からくることはまずない。また両側の坑道からガスがくるということもないわけでありますが、下のほうは三片が水没しておりまして、水没している水面から本片までの間は両側が全部岩盤でございまして、炭層が全然ない。そういう点から、この立て坑の側壁からガスが流出するということもあまり考えられない。したがいまして、われわれ現在考えておりますのは、この三片のはるかに遠いところに自然発火があって水没したのでありますが、その三片の立て坑底から非常に離れたところから何らかの形でガスが水で溶けてこちらのほうに回ってまいりまして、少量でございますが、そのガスが水面から立て坑を伝って上に上がり、鉱石等で詰まっておりました座張りの下に一時的にたまっておったものに引火したのではないか。こういうことで、はたして長距離の間水の中を溶けたメタンガスが水平に移動するものであるかどうかにつきましては、現在試験をやっておるわけでございまして、その結果によってこういうことがあり得るということになりますれば、それ以外にはないんじゃないか、かように考えております。
  32. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 ここも特免区域ではないわけですけれども、特免区域でない個所で溶接作業をしておった。この点については、特に届け出があって認可を得てやられておったと思うのですが、それに間違いありませんか。
  33. 西家正起

    西家政府委員 特免区域でなくても保安管理者の指示を受けてやる場合には、保安規則上これは合法的ということになっておりますが、当日ここでは、現場から火器使用許可願いというものが保安技術管理者に対して提出されておりまして、保安技術管理者がこれを許可しておった場所になっております。
  34. 岡田利春

    ○岡田(利)委員 最近の重大災害あるいはこういう災害を見ますと、マイニング技術の常識外の事故が出ているわけです。マイニング技術の常識外の災害に対処するわれわれの態度というものは、これまた非常にむずかしいと思うわけです。したがって問題は、特にガスの場合には、滞留しているガスをわれわれはいかに発見をするか、また人間は、ガスが普通ないところはないという徹底した観念になっているのが常識なわけです。したがって、人間がそういう環境になれている場合に、ともすれば間違いも起こしやすい。あるいはガスの検定等も、これはガスのないところというのが常識なわけですから、検定もあえてしない。こういうのが普通一般に考えられる問題だと思うわけです。  そういたしますと、人間のそういう間違い、こういうものをいかに防ぐか、ガスがないと思うところをいかにガス検定をするか、ここに対策を立てる以外に、こういう災害に対処するしかたというものはちょっとむずかしいのではないか。すでに坑道ができ上がっておるわけですから、そう考えてまいりますと、こういう災害にかんがみて原因を究明することも大事でありますけれども、そういう装置についてやはり検討すべきではないか。これはぜひひとつ——この災害は中央保安協議会あるいは地方保安協議会にも報告されると思いますので、そういう点について人間の判断の誤りや、常識的にこれはもう万全であるという場合であっても、こういう災害が起きるということは、念には念を入れるというか、間違いなくガス検定ができるような仕組み、管理の方法、こういうものを何らかの装置でやる方法が絶対に必要になってきているのではないか、こう私は判断をするわけです。そういう点について、いまここでどうのこうのということにはならぬと思いますけれども、ぜひひとつ中央鉱山保安協議会地方鉱山保安協議会で課題として検討してもらいたいというのが第一点。  それから第二点の問題は、炭鉱災害近代化合理化が進んでおるのにかかわらず減らない、むしろ災害は増発をしているという点から考えますと、何といってもやはり炭鉱災害を防ぐためには自主保安体制というものを強化していく。そして徹底したそういう保安思想というものを、坑内に働いておる係員も労働者も、保安確保の連帯性の上に立って自主保安体制というものを質的に、組織的に高めていく、あるいはそういう体制をつくり上げていくということがなくては、もうどうしても炭鉱災害防止できないと思うわけです。そういう意味において、これも労使あるいはまた学識経験者が中央鉱山保安協議会地方鉱山保安協議会の構成メンバーになっておりますから、何らかの形でそういう自主的な保安体制、さらにまた保安思想を質的に高めるということについての方針といいますか方向といいますか、こういうものを議論して打ち出して、これを徹底させる、こういう措置をひとつぜひとってもらうようにお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思うわけです。
  35. 西家正起

    西家政府委員 先生の御指摘の点、十分沿いますように措置をとりたいと思います。
  36. 堂森芳夫

    堂森委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二分散会