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1968-05-15 第58回国会 衆議院 商工委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十五日(水曜日)    午前十時四十四分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 海部 俊樹君 理事 鴨田 宗一君    理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       大橋 武夫君    岡本  茂君       木野 晴夫君   小宮山重四郎君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       始関 伊平君    塩谷 一夫君       島村 一郎君    田中 六助君       二階堂 進君    丹羽 久章君       橋口  隆君    武藤 嘉文君       粟山  秀君    岡田 利春君       岡本 隆一君    久保田鶴松君       佐野  進君    多賀谷真稔君       楯 兼次郎君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    三宅 正一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      宮澤 喜一君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      宮澤 璋一君         外務政務次官  藏内 修治君         外務省経済協力         局長      上田 常光君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業政務次         官       熊谷太三郎君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省貿易         振興局長    原田  明君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         通商産業省公益         事業局長    井上  亮君  委員外出席者         農林省農地局管         理部長     中野 和仁君         通商産業省化学         工業局窯業建材         課長      竹村  豊君         通商産業省公益         事業局施設課長 和田 文夫君         建設大臣官房地         方厚生課長   稻本  年君         建設省河川局次         長       多治見高雄君         自治大臣官房参         事官      皆川 迪夫君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         消防庁予防課長 高田  勇君         専  門  員 椎野 幸雄君     ――――――――――――― 五月十五日  委員神田博君、多賀谷真稔君及び千葉佳男君辞  任につき、その補欠として粟山秀君、岡本隆一  君及び稻村隆一君が議長指名委員選任さ  れた。 同日  委員粟山秀君、稻村隆一君及び岡本隆一君辞任  につき、その補欠として神田博君、千葉佳男君  及び多賀谷真稔君が議長指名委員選任さ  れた。     ――――――――――――― 五月十四日  北海道地下資源開発株式会社労働者処遇に  関する請願井上普方紹介)(第五二五三  号)  同(石川次夫紹介)(第五二五四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第五二五五号)  同外九件(江田三郎紹介)(第五二五六号)  同外八件(枝村要作紹介)(第五二五七号)  同(小川三男紹介)(第五二五八号)  同(千葉佳男紹介)(第五二五九号)  同(堀昌雄紹介)(第五二六〇号)  同外八件(稻村隆一君紹介)(第五三〇五号)  同(板川正吾紹介)(第五三〇六号)  同(岡田利春紹介)(第五三〇七号)  同外一件(山本政弘紹介)(第五四〇七号)  川内市に原子力発電所建設に関する請願(池田  清志君紹介)(第五四一五号) 同月十五日  北海道地下資源開発株式会社労働者処遇に  関する請願外九件(中谷鉄也紹介)(第五四  七一号)  同(井上泉紹介)(第五六〇四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  中小企業対策に関する陳情書  (第三四七号)  中小企業信用保険法施行令の一部改正に関する  陳情書(第三  四八号)  米国の輸入課徴金対策に関する陳情書  (第三四九号)  工業所有権制度改善に関する陳情書  (  第三九四号)  中小企業振興事業団に係る金融施策強化改善  に関する陳情書  (第四  一八号)  中小企業金融対策に関する陳情書  (第四一九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  砂利採取法案内閣提出第一〇〇号)  電気用品取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第二九号)(参議院送付)  海外経済協力基金法の一部を改正する法律案(  内閣提出第六四号)      ――――◇―――――
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  砂利採取法案並びに電気用品取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。岡本隆一君。
  3. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 砂利採取法がいろいろ公害発生やその他諸般の状況に基づいていよいよ実現の運びになりましたが、この砂利採取法改正のねらいはどこにあるか。こういう点について通産省の御理解をこの際ひとつ明確にしておいていただきたいと思うのでございます。
  4. 吉光久

    吉光政府委員 すでに先生御承知のごとく、最近の土木建築工事が非常に発達いたしたわけでございまして、その工事量の急激な増大に伴いまして、いわゆる骨材、その大宗を占めておりますところ砂利需要が非常に急激にふえてまいっております。他方、従来その主たる供給力原動力でございました河川砂利のほうにつきましては、河川管理上の制約と申しますか、そういうことのためにだんだんと供給地域が制限されてまいるというふうな状況に立ち至っておりまして、供給の主力がだんだんと山砂利陸砂利方向に向かいつつあるのが現状でございます。したがいまして、従来考えておりませんようなそういう形態での災害公害等発生するに至ったわけでございます。それで、現在の砂利採取法昭和三十一年に制定されたわけでございますけれども、当時におきます供給力大宗をなしておりましたのは河川砂利でございました。先ほど申し上げましたような山砂利陸砂利等が相当量供給されるということが前提になっておりません状況で立案されましたので、したがいまして、これに対する公害対策と申しますか災害対策という面につきましていささか不十分な点があるのではないだろうか、このように考えまして、この際むしろ災害防止観点から抜本的に現行法を見直してみたい、こういうことで御提案申し上げたわけでございます。
  5. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 従来の砂利採取法がどちらかといえば業者の保護あるいは奨励といった形をとっておりましたのに対しまして、今度は災害防止、したがって国土保全の形でもってこの砂利採取の問題と取り組みたい、こういうような御意向のように思います。したがいまして、今度は相当、いわば奨励法から取り締まり法に性格が変わる、こういうふうに理解すべきであると思うのでございますが、それでようございますか。
  6. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘いただきましたとおり、災害防止という観点から立案いたしておるわけでございますけれども災害防止でただ単に取り締まりを強化するというだけではほんとう意味災害防止ということにならない面もあろうかと思うわけでございまして、そのためにはやはり砂利採取業者の健全な発展というふうな、体質改善と申しますか、そういうことが伴いまして初めて災害防止手段が確保できるということになるのではないかと思っておるわけでございます。しかし、ねらいはあくまでも災害防止に置いておるわけでございまして、したがいまして、このたびの法案の第一条におきましても、災害防止を先にうたって規定いたしておる次第でございます。
  7. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この砂利採取法改正が問題になりましたのは数年前からでございます。ことに私のほうの地元では、阪神方面砂利需要の非常な増大に対しまして川砂利が底をついてまいりましたので、どんどん山やおかを掘り始めたというところ原因しているのでございますが、昨年の七月に西日本の豪雨と一緒に、たいへんなどろ水によるところの水害が発生したり、いろいろの大きな問題が出てまいりましたので、たいへん大きな住民運動まで起こってくるというふうなことから、この砂利採取が問題になり、そして昨年の秋には住民が大挙して、バスでもって徹夜で東京へ陳情に上京するというような運動まで起こってまいりました。そのことが通産省をも相当動かしたようでございます。  しかし、これに対しまして、すでに昨年の夏の災害発生に伴って衆議院建設委員会の中でも、従来のような砂利採取法では困る、だから、これを治山治水あるいはまた国土保全見地から砂利採取をとらえて、そしてそれをそういうような法体系に変えていく必要がある、こういう観点で、衆議院建設委員会でも砂利採取法全面改正を実は計画いたしまして、すでに法律案も大体要綱まではつくっておったのでございますが、しかし通産省あるいはまた院内の商工委員の諸君から、従来の砂利採取法を全面的に建設委員会の案も取り入れて改正の案をつくるから、ひとつこちらにおまかせ願いたい、こういうような話もございましたので、私どもはそれでは通産省に従来どおりおまかせしよう、こういう経緯があるのです。  したがいまして、この砂利採取法につきましては、今後運営にあたりましては国土保全見地というものを相当重要視していただかなければ困る、こういうふうに思うのでございますが、その点について、いま局長から、一応国土保全のことも考えておるが、しかしながら業者の健全なる発達という二本立てで考えておるということでございますが、これはそういう経緯もあり、したがってまた、国会内の認識国土保全というものを非常に重要視してきているということを十分御理解の上、今後の運用に当たっていただきたい、こういうふうに思うのでございますが、これはひとつ大臣にかわって政務次官お出ましのようでございますから、政務次官から政府としてのはっきりした今後の方針についての御見解を承っておきたいと思います。
  8. 熊谷太三郎

    熊谷(太)政府委員 ただいまの御意見どおり災害防止のみならず国土保全という立場からひとつ十分に法案の実施に当たってまいりたいと思っております。
  9. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そこでお尋ねいたしますが、この法律案の中に、知事もしくは建設大臣砂利採取業者から砂利採取をやりたいという申請が出てまいりました場合に許可をする「(認可基準)」というのが十九条に書いてございます。それによりますと、他人に危害を与えたり、あるいはまた公共施設を損傷したり、他の産業の利益を損じたり、公共の福祉に反するというようなことがない限り認可を与えなければならぬ、こういうことになっておりますが、この認可基準についての考え方でございますが、そういうふうな認可に際して配慮しなければならない大きな柱は四つでございますが、四つ事項というものは現在及び将来にわたって、そういうことがあってはならない、こういう理解の上に立っておられるのか、あるいは現実にいまそういう支障がなければそれでいい、こういうふうに考えておられますのか、この十九条の精神をひとつはっきりこの際押えていただきたいと思うのです。
  10. 吉光久

    吉光政府委員 お話のございましたうちの前者でございまして、現在及び将来にわたりましてそういう事項があってはならない、こういう趣旨で立案いたしております。
  11. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうことになりますと、損害を与えた場合、これはやはり何らかの責任をとらなければならぬと思うのです。その責任をとるのはだれですか。その砂利採取業者でありますか、それとも認可を与えた人でありますか。現在及び将来について起こったところ事故に対する責任はどちらが負うことになりますか。
  12. 吉光久

    吉光政府委員 一般的に申しまして、業者責任の問題になると思うわけでございます。このたびの法案におきましては、事前チェック制及び事後のチェック制というふうなもので監督制度を相当強化いたしておるわけでございますけれども、ただ監督——現場現場に応じまして、それぞれ土質関係等、これは掘採を続けていくうちに変化することもございますし、あるいは思わない大洪水ということに遭遇することがあるわけでもございますし、その状況に対応して災害を起こさないという精神をもって採掘業をやってまいるというのが、そもそも砂利採取業者に与えられた任務であろうかと思うわけでございます。細心の注意を払って掘採をやっていくということが採取業者に与えられた任務であろうかと思うわけでございます。これは具体的な事例で判断しないと出てまいらないケースもあろうかと思いますけれども、一般的には砂利採取業者責任によって処理されるべきものである、こういうふうに考えております。
  13. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 一般的には砂利採取業者責任だ。しかしながら、この砂利採取という行為が問題になっておるのは、非常に大きな地形変化を起こすということです。その次には、その地域土質に非常な変化を及ぼすということなんです。だから、それによって起こるところ災害というものは、その採掘をやっておる期間だけの問題ではない、地形変化を起こすのですから。非常に長期の後に、数年後にその結果が出てくるということも十分あり得るし、悪像される。その場合に砂利採取業者責任だ。しかし、数年後でしたら、その砂利採取業者はどうなっているかわからぬ。法人ならつぶれているかもしれぬし、個人なら死んでいるかもわかりません。また廃業してしまっているかもしれない。そういう場合に、長期的な展望に立っておるところ責任をそういう業者がとれるかとれないか、どうしてとらせますか。
  14. 吉光久

    吉光政府委員 最近における砂利採取形態が非常に大規模化いたしておりまして、特に山砂利の場合におきましては、一つの山を全部掘りくずすというような非常に大きな規模にまで及んでおる例が多いわけでございます。したがいまして、いま御指摘いただきましたような御懸念が出てまいるというふうに考えるわけでございますが、このたびの法案におきましては、あくまでも事前チェック制を完全にしてまいるということでやっておるわけでございますけれども、それは限られた区域における採石業と申しますか、それを前提にして、それがその周辺土地、森林でございますとか、農地でございますとか、その他の土地にどういう影響を与えていくかという点につきましては、事前チェックの段階で詳細な判断をいたすことになると思います。できるだけ事前にそういう事態を押えたいというのがこの法案のねらいでございます。ところが、実際に掘り始めますと、掘り始めます過程におきまして、先ほど御指摘いただきましたような土質形状等変化、あるいは大きな洪水が来ることによって地形状況が相当変わってまいるというふうな事態が出てまいることも考えられるわけでございます。したがいまして、そういう事態に対応いたしまして、変更命令等手段を考えておるわけでございますけれども、そういう土質が変わってまいったとか、周辺状況がこうなったというようなことを一番よくわかる立場にございますのは、当該採石業者自身ではなかろうかと思うわけでございます。変更命令の出るのを待つまでもなく、自分計画変更の手続をとるべきであるということば、当然であろうかと思うわけでございます。そういうふうな何と申しましょうか、みずから責任を持って山を掘る、そういうふうな態度というものがこの法案によって一そう強く要請されてまいるということになるわけでございまして、私どもこの法案のねらいといたしましては、自分責任を持って掘る、これは賠償責任等を含みます、そういう態度採取事業をやってもらいたいというのがこの法案のねらいでございます。したがいまして、先ほど御懸念のありましたような、数年後の姿も、やはり砂利採取業者自身自分でまず第一義的に判断すべき事項である、このように考えておるわけでございます。
  15. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 あなたお話は非常に紳士的なお話ですね。砂利採取業者自分判断に基づいて安全な工事をやるべきである、こういう御意向でございます。私どもの従来の経験から申しますなれば、砂利採取業者がそのような人格を持ってやっておりましたら、今日の砂利採取法改正問題は起こっておらないと思うのです。むしろ、砂利採取業者無法性というものに対する非常なふんまんというものが地元住民運動となって起こってきて、むしろ、それらの業者との戦いの中から今日のこの成果は生まれてきたということなんです。業者がめったやたら山を堀る。そのためにどんどん、いわゆるヘドロといいますか泥土が流し出される。農家はもうそれに困り切って、公害対策闘争本部というようなものを設けて、業者と対抗する。そうすると今度は、来るなら来てみろということでスコップを持ってかまえるような姿勢になる。片一方はくわを持ってかまえるような姿勢になって、激しい農民と砂利採取業者との戦いになる。あるいはまた、山をどんどん掘る、そのために鉄砲水が出てくる、どろの流れに豪雨のときには何回も襲われる、そういうことから、住民砂利は堀らさないというのでバリケードを築くというようなところまで戦いが発展して、その中から、今日の町民をあげての砂利採取法改正運動というものが起こってき、その結果、いま法律改正が行なわれようとしておる。したがって、その法律改正の動機となる経緯というものは、これは——砂利採取業者には、中には健全な人もるでしょう。しかしながら、その多くがきわめて不健全な人たちである。そういう不健全な運営に対するところの非常な怒りが爆発して今日の状態になっておる。そういうふうな体質改善はこれからでしょう。いま法律がぽんと変わったからといって、そんなに一ぺんに業者体質が変わるわけでもない。そういうことになれば、やはりそれらの業者が、いま言ったような、そういうふうな悪徳行為ができぬような、めちゃ運営ができないような形の法律改正でなくてはいかぬ。にもかかわらず、あなたは、いや本人が自己の責任において、遠い将来のことも見通して安全な操業をやる、安全な作業をやる、こういうふうな御説明でございますが、そんな御説明なら、そんなふうな考え方砂利採取法改正なら、今後そういう気持ち運営されるなら、これはわれわれ非常に不安です。不安にたえられない。そういうあなたの考え方なら、この砂利採取法改正案そのものがそういう精神で貫かれるとするなら、これはだめですよ。あなた方にもう一ぺん再検討して持ってきてもらわなければ困ります。
  16. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘の中にございましたように、砂利採取業者姿勢が悪かったということがこの法律改正をさした原動力になっておることはお話しのとおりでございます。したがいまして、今度の新しい制度の中におきましては、まず砂利採取業者人的側面をチェックいたします意味登録制というものをしいたわけでございます。と同時に、物的側面もまたさらに厳格に規制してまいるという意味で、採取計画認可制という制度を採用いたしたわけでございまして、実は、砂利採取業者自身は、このたびの制度によりましては、がんじがらめに縛られていると申しますか、要するに、そういう制度の中で新しくいろいろの命令等ができる、監督ができるというふうな体制になっているわけでございまして、基本的な考え方におきまして、採取業者姿勢が正しかったら、こういうふうな事態は起こっていないという点につきましては全く同じ意見でございまして、先ほど御指摘いただきました気持ちの上で新しい法案を立案いたしたわけでございます。決して、砂利採取業者がすべて善良であるという前提に立っているわけではないわけでございます。ただ、そういう善良な業者もありますけれども、すべてがすべてそうであるという前提には立っておりません。したがいまして、この際抜本的に、そういう観点から、登録制認可制というふうなものを考えたわけでございます。
  17. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この砂利採取法改正の動きが出てまいりましてから、砂利採取業者相当自粛の実は示しておるようでございます。したがって、今後そういう方向へ進むように十分指導をしていただくように、この機会にお願いをしておきたい。しかしながら、認識は、あくまでもやはり、従来の砂利採取法があまりに寛大であった、そのためにむちゃのやりほうだい、こういうことであったということが大きな原因だということの理解の上に立った運営を将来お願いしておきたいと思います。  そこで、もう一つお伺いしておきたいのでございますが、それでは、いろいろな地形変化に基づくところ災害が起こってまいりました場合、それは業者補償義務があるはずでございます。しかし、業者が、いま言った補償の実を果たせない場合には、これはだれが責任を負ってくれるのか。認可を与える基準は、出してまいりました採取計画を見て、これなら安全だと思ったら知事認可するというたてまえになっております。そういたしますと、その業者ほんとうに良心的にやった場合、あるいはそうでなかった場合、それはやはりその人格を信じて認可をしたのですから、安全な工事をやるというたてまえに立って認可したのであります。したがって、その業者が直接に補償責任に当たらなければならないが、しかし業者補償できないような事態は、これは幾らも予想できるわけです。その場合には、認可を与えた者に責任がありはしないか。認可を与えた者が責任をとらなければならない。市町村だけが、あるいはまたその地域住民だけが被害の受けっばなしということでは困る。だから、そういう点での補償責任はどこにあるかということをもう一度明確にしておいていただきたいと思います。
  18. 吉光久

    吉光政府委員 非常に厳重なチェック制度をとってまいります関係上、いま御指摘いただきましたようなケースの場合に、国の行政責任が出てまいる場合もあろうかと思うわけでございます。その場合の補償の問題でございますけれども、現在の国家賠償法等の要件になっております国の義務自身に怠慢などがあったことがはっきりしているというふうな場合におきましては、いまの原因がそういうことになっているという場合におきましては、国家賠償法の適用におきまして、国の損害賠償問題というケースも出てまいる場合があろうかと思うのでありますが、個別具体的なケースにつきまして、具体的条件に応じて判断すべきものではないか、このように考えます。
  19. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうあいまいなことでは困るのですよ。業者は安全な工事をやらなければいかぬ。したがって、出してきているその計画を十分見て認可をした、そうすると、その計画そのものは安全な内容である、こういうことでしょう。また、そう認定したんでしょう。認定したから認可するんでしょう。安全な工事がそのとおり行なわれればあるいは事故は起こらなかったかもしれぬ。しかしながら、工事計画どおりにやるという業者に対するところ信頼をやはり知事は持った。その上に立って認可をした。その信頼が裏切られたときには、信頼した知事が悪いのでしょう。認可をした者が悪いのでしょう。だから、業者がやれば、業者がどこまでも責任を負ってやれば、もうそれで問題は済みます。あなたは業者は当面の責任者だと言われるのだ。業者責任を負えば問題は済みます。業者がそれを処理しなかった場合には、認可をした人はちゃんとどこまでもしりをふくんだ。この人間は、この業者は必ずそれだけの責任をとるという認定の上に立って認可しているんでしょう。その認定に誤りがあったら、認定を誤った者が責任をとるべきでしょう。だから、一つ一つケース・バイ・ケースで行政担当者が自分責任を十分果たしておったか、果たしておらぬかということの上に立ったところ判断で、補償の義務が出たり出なかったりする、そんなものじゃないでしょう。いかなる場合でも、業者がしりがふけなかったら、そのあと始末は認定をした者に責任がある。あと始末をしなければならぬようなことがそもそも起こらない——万一起こった場合には、あと始末がその人間ならできる、そういう認定の上に立って認可したものであれば、この認可に基づいた責任というものは、認可をした者が責任をとらなければならぬ、こう考えるが、政務次官いかがですか。これは大きな問題ですよ、そこをはっきりしてもらわなければ困る。
  20. 熊谷太三郎

    熊谷(太)政府委員 お答えいたします。ただいまのお話ば、認可した場合に認可どおりやる、あるいは認可したとおりやらなかったためにそういう損害が生じた、その場合に認可された者がその損害の補償をやれば差しつかえないわけであるが、やれない場合には、やはり認可した者が責任があるのではないか、それをどうするかというお尋ねのようでございますが、そういうことはめったにないと思いますけれども、もしありました場合に当然認可した者に国家的な行政責任があると思いますから、そういう方法をとらざるを得ないと考えております。
  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 非常にはっきりした御答弁でけっこうです。  それでは業務主任の問題でございますが、業務主任が違反をやったとかミスがあったとかいうふうなことの場合、その責任業者がとるのですか、業務主任がとるのですか。
  22. 吉光久

    吉光政府委員 お話でございました業務主任者の仕事の上でのミスと申しますか、指導が間違っておった、計画が違っておった、あるいは指示が間違っておったということのために、掘採計画認可どおりに行なわれていない、あるいはまた他の異常な事態発生させる原因になったというふうな場合におきましては、事業自身が実は基準に違反した事業ということになるわけでございまして、その違反の責任の追及は、この法案の段階での考え方では、その事業者自身の違反を追及する、こういう形をとっておるわけでございます。  あと、事業者と業務主任者との関係というのはまた別途問題が出てこようかと思いますが、第一次的には事業者自身が違反の責任を負う、こういう体系をとっております。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうすると、そういうふうな違反をやったり、しばしばミスをやるような業務主任については、免許の取り消しということが法律案の中にはないように思うのでございます。そういうことは当然なければならぬと思うのでありますが、どこでそればチェックされますか。
  24. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘いただきました問題は、実はこういうふうに了解いたしておるわけでございますが、いまのようなケースの場合におきましては罰則の規定が適用になるということになるわけでございます。罰則の規定が適用になりますと、両罰規定がございまして、その両罰規定によりまして使用者、従業員等につきましても同じく罰則がかかるようになっておるわけでございます。いまの場合には、まさに業務主任者自身の責任の問題というふうなことになるわけでございますので、使用人の、しかもそれは重要な地位を占めておる使用人のそこでございますので、当然にこの規定が働いてまいるということになるわけでございます。そうなりますと、これは実は次の、これによりまして登録の要件のほうにははね返ってまいりまして、不適格業者というふうなことになるわけでございます。したがって、業務主任者自身としてはそれとしての制裁を受けるということに、ちょっと回りくどいのでございますけれども、そういう仕組みになっておるわけでございまして、実際の問題として、業務主任者がそういうふうな事故を起こす原動力であったというふうなことになりました場合には、そういう事業ができないというふうな制裁を受けることとなっておるわけでございます。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 業務主任というのは試験を受け免許を受けるのでしょう。一つのその人の身分的なものになる。そういたしますと、あるAならAの業者で業務主任をやっておる、大きなミスをやった、どうもこれは業務主任として不適格だというふうな事故をやった場合、なるほどその事故責任については業者が持ちます。だから、いまおっしゃるような処分を受けて、登録の取り消しを受けるとか、あるいはまた認可の取り消しを受けるとかいうふうなことのために砂利採取業をやれない。それはいいです。しかし、そんならそこを首になったらまたよそへ行って、その資格を持って他の業者のもとで業務主任になるということも可能であろうかと思う。だから、そういうふうな無責任な業務主任というものは排除していかなければならぬというふうに考えるのでございますが、この法律案の中にははっきりそういうことがうたわれておらない。しかし、政令ででもそういうことがもし行なわれておるとするなれば、そういう点も明らかにしておいていただかないと、業務主任がいなければ業務が営めないのだから、医者を雇わなければ医療機関が経営できないのと同じことですね。業務主任は重要な技術者ということになっておるのです。その技術者が非常に不適格な人であっては困る。だから、その技術者をどうするかということをはっきりしておいていただく必要があると思うのです。
  26. 吉光久

    吉光政府委員 業務主任者の免状の取り消しと申しますか、そういう制度についても研究いたしたわけでございますけれども、これは現在、立法例でまいりますと二つの方法がございまして、そういう制度を置いておるものとそうでないものとあるわけでございます。この法案におきましては、先ほど御説明申し上げましたように、業務主任者に非違がありました場合には罰金以上の刑に処せられるということになっておりまして、そういう罰金以上の刑に処せられました者自身は業務主任者として不適格である。それが、罰金以上の刑に処せられて業務主任者として不適格であるということで、業務主任者を置いておるということにはならないというふうな組み合わせをとっておるわけでございます。したがいまして、いま御指摘いただきましたような事例の場合には、その業務主任者は少なくとも最低二年は業務主任者としての仕事につくことはできない、こういう構成をとっておるわけでございます。
  27. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この法律改正のねらいは公共の安全ということなんです。これは非常に重要な任務を持った技術者なんですね。だからこそ免許です。そんなことなら登録でもいいのですよ。試験をしてそれだけの資格を与える。そういう重要な技術者が、たまたまいろいろな知識は持っておった、しかし人格的にルーズで、その業務主任者の自覚において十分作業に当たらない、事業の運営に当たらない。こういうことであれば、そういう不適格な人は生涯業務主任者になってもらっては困ると思うのです。だから、やはりはっきりと免許取り消しということがなくてはならない。しかし業務主任をきめられるについては、これは政令に譲られている事項がたくさんございます。だから私は政令の中にそういうことがはっきりとうたわれておるというふうに理解しておったのでございますが、どうもそのようでもない。それならこの機会に私は要求したいと思うのですが、やはり違反行為をやり不適格性のある業務主任については免許を取り消す、こういうことで政令の中に盛り込んでいただきたいと思いますが、これは政務次官いかがですか。私の言うこと間違っていると思いますか。——こんな重要なことをそんなに相談していたらあかぬ。
  28. 熊谷太三郎

    熊谷(太)政府委員 なかなかむずかしい問題でございますが、 (岡本委員「むずかしいことないですよ、あたりまえのことですよ」と呼ぶ)お答えがむずかしいということですが、監督をぜひひとつ厳重にいたしまして、いま御趣旨のとおりに政令にあらわせるかどうかちょっとお答えしにくいと思いますが、御趣旨に沿ったような案をひとつ考えてみたいと思っております。
  29. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 政務次官、それはちょっと歯切れが悪過ぎますよ、もう少し歯切れのいい答弁をしなさいよ。あなた、政治家として考えなさいよ。これは非常な地形変化を起こし、地質の変化を起こすようななことなんですよ。それがまた将来公共の安全に非常な影響がある。そういう仕事をやるのに、いかにも無責任体制でやるというような業務主任があった場合、そんなのを業務主任にしておけますか。免許の取り消しをしてあたりまえじゃないですか。そんな無責任なあいまいな歯切れの悪い議論では、その場のがれということですよ。
  30. 熊谷太三郎

    熊谷(太)政府委員 お説のとおりにひとつ考えさせていただきます。
  31. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうふうに答弁していただきましたら、非常にスムーズに進みます。  もう一つは、どうもこの内容を見ておりますと、採取計画の申請をやる場合に業務主任の氏名を書くようにはなっておらない。業務主任は一つ業者に一人あれば、その業務主任をもって幾十の作業場を持ってもいいのかどうか。私は、事業をやっておる場所ごとに業務主任が置かれなければならない。もっとも非常に小さなところにまで置けという意味ではございませんが、そんなことは政令できめていただいてもいいと思うのでございますが、ある程度の規模以上の事業場におきましては必ずそこに業務主任が一人張りついていなければならない、こういうふうに理解するのでございます。そういうことになりますと、こういう業務主任をもってこういう面積の採取をやらせます、こういう形の申請でなければならないと思うのでございますが、そういうふうにはなっておりません。どうもそれがふに落ちない。一人の業務主任がおれば、あとはもうその下にまた適当な現場主任を置きさえすれば二十でも三十でも担当させることができる。そうすると、人間の一応の能力からいって、物理的に、十分な責任体制をとることができない、こういうことになってまいると思うのですね。したがって、一人の業務主任が担当し得るところの採取現場の規模はどの程度だ、だからその範囲において業務主任を充当していく、こういうふうなはっきりした指導方針がなければならないと思うのでございますが、これも政令か何かにあるのか、あるいは全然そういうことを考えておらないのか、その点はっきりしていただきたいと思います。
  32. 吉光久

    吉光政府委員 業務主任者を置きました目的が、あくまでも災害防止についての責任のある人を必ず置いていただくということでございますので、その災害防止の問題に照らしまして、先ほど御質問の中にございましたような作業場の大きさ、数等に応じまして、そこに、現場で業務主任者が必ず監督できる、こういう体制の中でそれぞれの人数をきめてまいる、こういうことにいたしたいと考えておるわけでございます。したがいまして、業務主任者は一人だけであるということではないわけでございまして、そこらの規模の状況に応じましてそれぞれの数がきまってまいる、実際上災害防止責任体制がとれる、こういう体制で運用さるべきだと思います。したがいまして、省政令等の段階におきましては、御指摘の点も十分に考慮をいたしながら判断いたしてまいりたい、このように考えております。
  33. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この二十三条には緊急措置命令の項がございます。市町村長は災害防止のために必要な措置を講ずべきことあるいは砂利の採取を停止すべきことを命ずることができる、こういうふうになっております。この災害防止に対するという、発生した災害の形でございますが、これは非常災害に限られておるのか、慢性的な、びまん的な、持続的な形の災害もこれの中に含まれるのかということでございます。たとえて言えば、認可基準の中には、他産業に影響を与えるというふうな場合は認可してはならないということになっておる。ところが、ヘドロを排出して、農家が非常に困っておるとか、あるいはどんどん洗浄用の水をくみ上げるために、付近の井戸がすっかり枯渇してしまうとか、あるいは学校のそばで採掘をやっておったために、児童がそこへはまって水死したというふうな事故が起こりましたが、そうするとそういうふうな水死するような、自然に水がたまっておるような深さまでどんどこどんどこ遠慮会釈なしに掘っていく。そうすると、ただ浅い範囲、水がたまらないというような範囲であればまだけがが限度でございます。しかしながら、その中に相当な水深の水がたまるというふうな状況にまできますと、これは水死の原因になる。道ばたの畑をどんどこ掘って、そういうふうな危険な場所をつくるというふうなことになると、これはやはり災害防止というふうな意味においては、それを埋めるとか適当な措置を講じさせなければならぬというふうに思うのでございますが、この点、たとえて言えば、豪雨があった、そのために山くずれが起こった、あるいはヘドロの洪水がどんどん流れ出たとかいうふうな非常災害の場合をさしてこの規定があるのか、あるいはそういうふうな慢性の、びまん的な災害防止のためにもこの緊急措置命令が発動できるのか、その辺を明らかにしておいていただきたいと思います。
  34. 吉光久

    吉光政府委員 災害防止のために緊急の必要がある場合でございまして、したがいまして、洪水とか大雨とかいうものがあったということだけを前提にいたしておるわけではないわけでございます。災害防止のため緊急に、すぐにその事業を停止をさせて、ある工事をさせない限りはだめだというふうな、そういう事態発生を予定いたしておるわけでございます。
  35. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 非常に明快な御答弁で、けっこうです。  それではもう一つ、そういうふうな措置だけでなしに、今度は次の項に、掘ったあと埋め戻したりあるいはその他災害防止に必要なことを命令することができるというこの二十三条の二項でございますが、これをやらなかった場合はどうなるか、こういうことでございますが、先ほどの答弁中に、最終的にはこれは知事あるいは政府責任を負うんだ、こういうことのようでございますね。しかしながら、一応砂利採取業者の経営規模——あなたは先ほど、いや、その責任においてやるんだ、やらせるのだ、こういうことでございましたが、なかなかそうはいかないほど零細業者が多い、こういうふうに思うのでございますが、一体砂利採取業者の経営規模の全体的な展望といいますか、それはどうなっていますか。
  36. 吉光久

    吉光政府委員 私どもで調査いたしたところによりますと、現在の砂利採取業者の数は全国で六千八百八十程度ございます。そのうち公共企業体関係でやっておりますのが百五十でございますが、あと組合関係が六、個人経営でやっておりますのが二千六百七十四、全体の四〇%弱が個人経営でございます。法人経営でやっておりますのが四千五十でございまして、全体の六〇%弱というところが法人経営でございます。  なお、企業規模別にこれを見ました場合には、先ほどの公共企業体を除きまして、全体で六千七百三十あるわけでございますけれども、そのうち〇・二%が大企業でございまして、あとの九九・八%が中小企業、こういう構成比になっております。
  37. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 九九%が中小企業、その中には相当零細業者も多い、こういう模様でございますが、そういう場合には、ちょっと大きな災害発生した場合にはとてもその補償ができない、そういうことになってくると思うのでございます。その場合、最初の案としては保証金を納めさせるというふうな制度はどうだろうというようなことが頭を出しておったようでございますが、今度の中身はそれが姿を消しております。私はその保証金制度は、せいぜい十万や二十万納めさせておいてもしかたがないじゃないか、何のささえにもならないじゃないか、そのお考えには賛成でございます。そうであります。しかしながらそういうことになれば、これは補償の保険制度といったものを考えていくべきではないか。砂利採取認可をとる場合にはある程度の保証金を納めなければいかぬ。その保証金は掛け捨てです。ちょうど建設業の建設に伴って前払い保証金の制度がありますね。あの前払い保証の制度と同じような保証制度をつくって、ある程度の保証金を納めさせて、それを積み立てておく。それで業者によってどうにも補償ができない場合には、その保証金でもってそれを支弁していくというふうな業者業者の連帯責任におけるところの保証制度、こういうものですね。これは保証と補償と二つあるのでちょっとわかりにくいかもしれませんが、少なくとも何かそういった保証制度でもってやるというふうなことですね。こういうふうな制度を考えられる必要があるのではないかと思います。熊谷さんも前払い保証制度のことなんかはよく御承知でございまし、そういう制度をこの中に取り入れることによって、あとに発生するところのいろいろな問題の処理の一助に役立たせる。全部には役立たないと思いますが、一助に役立たせる、そういう制度を発足させるべきである、こう考えますが、これは検討事項にはなってくると思いますけれども、いかがでございましょう。
  38. 熊谷太三郎

    熊谷(太)政府委員 ただいまの御意見もたいへん傾聴すべき御意見であると考えます。ひとつ前向きに積極的に検討いたしたいと存じます。
  39. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 自治省にお尋ねをいたしたいと思います。こういう場合完全な補償が行なわれない。そうすると、結局国のほうも何とかかんとか言って言いのがれをして、簡単に最終的な責任をとってくれそうにもなかなか考えられませんが、結局一番被害を受けるのは自治体なんですね。それから地域住民なんですね。そういうふうな場合、自治体はどういう形でいつもこの砂利採取業によって損害を受けておるかといえば、まず第一に、ダンプが一日に何千台と走るものでございますから、町村道がものすごく荒れるわけでございます。その修理、維持費に相当食われる。あるいはまたヘドロの水を流すために、たんぼに入っては困るから、それを川に流すために別な水路を設けるとか、あるいはヘドロがたんぼに入ることを防止するためのいろいろな工事をやらなければならぬ。あるいは建物がいたんでくる。どろで一ばいほこりが立つので文句が出るから、どうしても舗装を促進しなければならぬ。あるいはあまりほこりが立つと散水もやらなければならぬ。あるいは農業用水がうまく取れるように考えてやらなければならぬとか、あるいは子供の安全をはかるとか、あるいは砂利採取がもとでたびたび出水する、こういうことになってまいりますと、水防活動をやらなければならないというふうに、地方自治体の財政負担というものが非常に重くなってまいります。そういうふうな砂利採取が付近に行なわれておる、これに伴うところのいろいろな地方財政の負担がある。これについては現在のところ何ら法律的な財政補助の道がございません。これは自治省としては何かそういうふうな点をお考えになっておられるか。たとえて申しますならば、先ほど陳情ありました京都の田辺町あるいはその隣にありますところの城陽町ですね。ここらになりますと、京都にあるところの三十幾社の陸砂利採取業のほとんどがこの二つの町に集まっているわけなんです。だからそこでは非常な山砂利公害に悩まされておる。ところがそれについての財政負担については格別の援助はないということになっておりますが、しかもこれはどんどん万博そのもの及びそれに伴うところの関連工事をやるために砂利採取砂利の補給源になっております。川砂利がだめだから全部、この地方が非常に良質な砂利が出るということでもって、これから三、四年の間にもうこの辺の山はすっかり姿を変えるのではないかと思われるほど山が掘られていくのではないか。それに伴うところ公害、それを防除するための財源、地方財政負担、これを自治省としてはいかがお考え願えますか、お伺いいたしい。
  40. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 砂利の採取に伴う地方負担の問題でございますが、私たちとしましては、その行なう行政の中身によりましては、公共事業に取り上げてもらえるものもあろうかと思います。それ以外にも、御指摘になりましたような小さな累積された事業が相当あるところも出てまいるかと思います。一般的には少額の負担であれば、それぞれの地方団体で自己財源の中で処理をする、これは必ずしもこういった砂利採取に限らずあるわけでございます。ただ特定の場所に集中して多額の負担を伴うというような場合には、その団体の財政事情も勘案をいたしまして、現在は特別交付税で措置をする、こういうたてまえにいたしておりまして、お話のありました城陽町、田辺町については四十二年度も特別交付税を交付した次第でございます。
  41. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 特交で見てやろうということでございますが、しかし小さなものは網の目から漏れてくると思うのです。したがって砂利採取業に対して砂利採取税として考えていいかどうか、現在徳島県かどこかでそういうところがあるやに聞いておるのでございますが、そういう砂利採取税を徴収しているところがあるかどうか。あるとするならば、どういうふうな課税方法をとっておるか。そしてまた砂利採取税を取ることによって財政負担の緩和を地方自治体がはかるということについて、自治省としてはどういうお考えを持っておられるか、これを承っておきたいと思います。
  42. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 税の関係は担当でございませんので、調査をいたしまして後刻御答弁申し上げたいと思います。
  43. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 どういうことをお尋ねになりますかということで、こういうことを聞くのだ、砂利採取税のことを聞くのだ、こう言っておいたのだから、電話ででも担当の方に聞いていただいてお答えを願いたいと思います。  時間がなくなってまいりましたから急ぎますが、今度は非常な土質の変更、地質の変更を起こすということにヘドロの問題があるのですね。それで、いま砂利採取をやっておる実態を見ますと、もう深さ十メートル、十五メートルというような深さに掘りまして、そこで砂利採取をやります。やって今度はその掘ったあとは砂利を洗ったヘドロを流して沈でん池に充てておる、これがヘドロ流出防止の方法としてとられておるわけなんです。しかしこういう方法でヘドロの流出防止をやられたのでは、今度は至るところにヘドロの大きな池といいますか、沼ができる。しかしながら自然に数カ月のうちには乾燥いたしまして、上のほうは大体かたく固まっております。しかし底はヘドロのままのようでございます。これから砂利採取をやると必ず流れたヘドロ、洗ったヘドロは全部そういう形で見えざる沼として至るところにできてくる。そういたしますと、かりに非常な長雨が続く、じびじびしみ込むということになってまいりますと、それはもう一ぺんヘドロの沼に復元するわけです。ところが乾燥したところには草もはえてます、あるいはまた木もはえます。雑草、雑木がはえてきます。わからなくなる。数年、十数年あるいは二十年、三十年後には、そこはもうそんなヘドロの沼であるということを知らない人がたくさんできてくる。いつの間にやらそれがだれかに買われて、そこが宅地に開発される。いつの間にやら長雨が続く間に家がだんだん沈んでしもうたというふうな災害が、これはおそらく発生してくると思うのです。あのヘドロの沼を見ておりますと、この中にはまったらたいへんだな、かりにあの中にはまってずぼんと沈んだら、映画か何かに出てくる底なしの沼と一緒です。絶対に上がれません。それだけでなしに、底に沈んでしまったら姿も見えない、さがすこともできません。完全に行くえ不明になります。そういうふうなヘドロの沼がこれから後至るところにつくられていこうといたしておりますが、この始末を政府はどうされますか。どう処置されるおつもりでございますか、それを承りたいと思います。
  44. 吉光久

    吉光政府委員 現在、国の機関あるいは地方公共団体の研究機関等で、ヘドロの積極的活用法につきまして研究開発が進められているわけでございますけれども、これが一番いいというふうな意味での、これは経済的な価値の問題にもからみ合ってまいりますので、ところまでまだ至っておりませんけれども、各種試験研究機関でこの種の研究を続けているようでございます。したがいまして、一方積極的にはヘドロのそういう有効利用と申しますか、積極的開発、技術を早く開発するという点が積極的方策であろうかと思いますが、第二にヘドロを含みました沈でん池の、将来これが残地として残りました場合の有効利用の方法という点についても、積極的な研究が進められているわけでございますが、そのあと地が農地となる場合、あるいはまたあと地が宅地となる場合等によりまして、その埋め戻しの内容も変わってまいるということになるのではないかと思うわけでございます。現在あと地を宅地にいたします場合には、コンクリート塊で埋め立てるとか——コンクリートのかたまりでございます。コンクリート塊で一部埋め戻していくというふうなこと、あるいはまた土壌の安定剤を一部入れまして、それを利用して、さらにその上に普通の埋め立て方法をとっていくというようないろいろな方法があるようでございますけれども、こういう意味での積極的利用の面につきましてさらに技術的開発を進めていく必要があるのではないだろうか、このように考えまして、現在私ども国内でこういう関係の研究をしておられる公的あるいは私的研究機関に対しまして、いろいろの各種の資料をお願い申し上げている次第でございます。そこらを待ちました上でさらに積極的な利用方策を考えてまいりたい、こう考えます。
  45. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういうことでありますと、残地の有効利用ということを考えられるとするならば、ヘドロの埋め戻しについて一定の、何と申しますか、あとそういう危害を残さないような方針というものを明らかにし、その方針に従ったところの埋め戻しを業者に要求するというふうな法律的な規制をひとつ考えていただきたいと思うのでございますが、そういうことをこれから実施していただけますか。
  46. 吉光久

    吉光政府委員 お話の線に沿いまして積極的に検討を進めてまいりたいと考えます。
  47. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この三十八条によりますと「聴聞」という事項がございます。十二条の一項の登録の取り消しまたは六カ月以内の業務の停止あるいは二十六条の認可の取り消し、こういうふうなことをやる場合には一定の期間をおいて公開の聴聞をやらなければならぬ、こういうふうになっております。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 しかしながら、この認可の取り消しを受けたり、登録の取り消しを受けるというふうな人たちは、これは相当命令違反をやって、罰金以上の刑に処せられたり、そういう悪いことをやっているのです。これは法的にきれいに処分されている。そういうような人を認可の取り消しをやったり、登録の取り消しをやるのになぜ公開の聴聞をやらなければならないのか。弁明の機会は、すでにもう処罰をされるときに一応法廷で弁明の機会を与えられておる。そういう人に対してなぜこの聴聞をやらなければならぬのか。聴聞などというこんなまどろっこしいこと、そんなことをしていたら何ぼでも違反行為を続けますよ。だからぴしゃりと先に取り消しをしておいて、それから不服の申し立てを受け、その不服の申し立ての期間中にその聴聞をやるというのなら話はわかります。しかしながら、予告をして聴聞をやって、その上でなければ取り消しできないということであれば、順序が逆だと思うのですが、これはいかがですか。
  48. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどの認可の取り消しあるいは登録の取り消しという場合の聴聞規定でありますけれども、一応こういう取り消し事項というものが関係者に対する不利益処分であるというふうなことから、実は手続を慎重にいたしたわけでございまして、何もこれによって砂利業界を不当保護しようというふうな意図はないわけでございまして、先ほどのお話にございましたような違反事実があれば、これは聴聞がはっきりと確認されるということになろうかと思うわけでございまして、この種の立法例は数多くあるわけでございまして、通産省所管の中にもございますし、たとえて申し上げますと、建設省所管の中では建設業法あるいは宅地建物取引業法というふうな中にも規定されておるわけでございまして、そこらの不利益処分の場合における一定の手続方式をそのまま採用いたしたというわけでございまして、それによりまして決して砂利業界を不当に保護しょう、こういう意図ば全然ございませんので、御了承いただきたいと考えます。
  49. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 岡本君、いま、皆川大臣官房参事官が先ほどの質問に答弁漏れがあるそうですから、お聞きを願います。
  50. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 砂利採取税を法外税として起こすことの可否の問題でございますが、お話にありました徳島県の例は、旧法時付に町でつくりました条令が生きておりまして、現在ば動いていないようでございますが、新しい税法のたてまえでは、まだそういうものを創設した例はないのでございます。税の理論上、たとえば二重課税の問題とかいろいろございまして、なお検討の余地はございますけれども、私たちとしては前向きで検討していきたい、こう思っております。
  51. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 砂利採取については非常な地型の変化を及ぼし、さらにまたたいへんいろいろ公害がある。それに対するところの財政負担はあなたのほうは先ほど来特交で見る、こういうことでございますが、しかしながら、なかなかそれによって埋め尽くされない住民の損害はたくさんございます。たとえばほこりをかぶって掃除をしなければならぬだけでも住民にとったらたいへんな苦痛です。また事故が起こらぬように子供を保護するためにも日々たいへんいろいろな配慮をしなければならぬ。さらに、たとえて言えば、幼稚園児などは、登園それから帰るときなど、やはり特段の保護が要ります。そういうようにいたしまして、物的あるいは精神的に、いろいろな面でたいへん住民も負担を受けておりますが、それと同じように地方自治体も負担を受けておるのですから、これはやはり砂利採取業者が話し合いである程度寄付するというふうなこともあるようでございますが、しかし、そういう寄付にたよるというふうなことでは、いろいろまた問題がありますから、これははっきり砂利採取業者は、砂利を採取する場合には、一立米について幾らかの納税をするというふうな形にしておけば、地方自治体はそれでもってそういう措置に必要な費用に充て得る。特別に大きな損害の補助については、自治省のほうで特別のめんどうを見てもらう、こういう  ことにしていただいたほうがいいのではないかと私は思いますので、自治省としても、そういう方向で御検討をお願いいたしておきたいと思います。  いまの聴聞でございますが、どうも特別の保護をしていない、こうおっしゃいますが、あるいはそれは建設業法にもあるということでございますが、しかし、ほかの法律にあるからそれがいいのだということは言えないと思うのです。ほかの法律にあるのが悪ければそれも一緒にやめていけば  いいのです。そうして私が冒頭に申ましたように、これを取り締まり法と見るかどうかという点で、これは非常に重要な関係があります。だから、そういう緩慢なことではどんどん掘っていく、日々山はくずされていく、公害のもとがどんどんつくられていく。そういうふうな持続的な行為が行なわれておる最中に、片や認可の取り消しとかいうようなことをやる場合に、聴聞をやってからでなければならぬということは、これははなはだどうかと思うのです。不服申し立てをして、その不服申し立てに基づいて聴聞をやる、どうもその認可の取り消しは不服だということであれば、その不服の申し立てを聞いてやるのに、それじゃ広く意見を聞きましょうというようなことで関係者を集めて意見を聞くということでいいと思うのです。順序が逆ですよ。これは逆に直しなさいよ。逆に直さなければだめですよ。
  52. 吉光久

    吉光政府委員 先ほど申し上げましたように、これによりまして砂利採取業者を保護しようという意図はないわけでございますが、何ぶんにも登録が取り消されますと、採取業ができないというふうな地位に立つわけでございますので、したがいまして、行政庁の独断で処分をしたということを避けますために、利害関係者でございますので、被害者の方ももちろんここで発言をされるわけでございますし、そういう意味で不利益処分について聴聞規定が置かれておるということであろうかと思うわけでございます。したがいまして、先ほどお話のございましたような悪質のケースのような場合におきましては、これは手続規定が一部あるというだけでございまして、結果的には、まさに先生の御指摘になったのと同じ結論が当然に出てくるものだというふうに考えておるわけでございます。と同時に、いまの「相当な期間」でございますけれども、「相当な期間」と申しますとちょっと長いように聞こえますけれども、実はこういう聴聞につきましては、東京でやるかどうとかではなくて、現場に近いところで行なうということになりますので、非常にスピードアップされて、短時日の間に聴聞は終わるということも考えられるわけでございまして、したがいまして、この手続をとることによって相当長期間処分が保留のままになってしまうというふうなことばおそらく今回のケースの場合にはないのではなかろうか、このように考えております。
  53. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そうしますと、この三十八条にいうところの「相当な期間」というのは、数日間と、こういうふうに理解してようございますか。
  54. 吉光久

    吉光政府委員 当該利害関係人に事案の内容が周知できる、こういう期間でございまして、影響の範囲が非常に小規模である、   〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 小規模と申しますか、一市町村内部だけであるというふうな問題の場合には、これはまさに数日間ということで「相当な期間」になろうかと思うわけでございます。
  55. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 その次に、この第三章の採取計画認可を出す場合に、私は、市町村長の意見を一応聞く必要がある、できれば同意を得るというふうにしていただく必要があるのではないかと思う。これは砂利採取が行なわれて、そのことのために一番被害を受けるのは当該市町村であり、同時にその地域住民なんですね。ところが、その意見も何も聞かぬで、ぼっと認可してしまう。認可したら通知する。それで通知を受けて、文句があったら言うてこい、こういうふうなことで、先に意見も聞かずに認可が出されてしまう、こういうことになる。これもまさに逆だと思うのですね。認可をする前には、どうや、こういう申請が出てきているが、おまえのところはそれでいいか、いやけっこうでございます。認可してやってくださいということで、その認可をするという手続が知事もしくは国によって踏まれなければならぬと思うにかかわらず、そういうふうな規定にはなっておりません。先にもう、いわば切り捨てごめんです。ぱっと認可してしまって、文句があったらあとから言うてこい、こういうことでは、これは地元住民の意思を完全に無視していると思うのですが、いかがでしょう。
  56. 吉光久

    吉光政府委員 書類上の手続の関係でございますけれども、この法案の構成いたしておりますのは、都道府県知事その他の認可権者に認可申請がございました場合に、申請書を受理いたしましたならば、直ちにその写しを関係市町村のほうに送付いたしまして一これは申請書が出てきた段階でございます。そしてその申請書の写しが関係市町村のほうに参りますと、市町村長のほうでは申請書の内容をチェックされまして、そのチェックされた上で都道府県知事その他の認可権者に対しまして、こういうふうな措置をとってもらいたいという意味の要請ができる規定が入っているわけでございます。したがいまして、認可しましたあとで市町村長のほうに御連絡するということじゃなくて、認可前に、申請書が出てまいりました場合に、すぐにその写しを市町村長のほうにお送りするというふうにきめましたのは、やはり市町村長のほうで重大な利害関係をお持ちであるという前提で考えております関係上、その意見提出を待って具体的な処分が行なわれるということになると思っております。
  57. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それはちょっと不親切ですね。そういうような申請が出てきたときに、申請を送るだけでいいんでしょう。そうしてそれを認可してもいいんでしょう。だから、送るぐらいなら意見を聞くということにしてやったらどうですか。送るだけでよろしい、別に意見は聞かなくてよろしい、文句を言うてきたら受けましょう、こういうことなんでしょう。非常に一方的ですよ。一方通行ですよ。下部機関と上部機関との間の意思の疎通をはかるというふうな規定になっていない。上からばっさりというふうな考え方で終始している、こういうように思うのですがね。
  58. 吉光久

    吉光政府委員 この法案におきましては、地元の市町村長の御意見を十分にいろいろな処分等の内容に反映さしたい、こういう気持ちで実は立案いたしておるわけでございまして、条文上の読みにくさと申しますか、不親切と申しますか、そういう点につきましておしかりをいただいたわけでございますけれども気持ちから申し上げますと、実はそういう点につきまして十二分に市町村長の御意見を反映さしていただきたい、こういう気持ちで立案いたしておりまして、したがいまして決して切り捨てごめん的な運用をやるというふうなことは考えておらないわけでございます。と同時に、市町村長から認可権者等への要請の規定にいたしましても、これは地元でございますので、災害発生のおそれがあるという事実認定をいち早く判断できる立場にあられると思うわけでございまして、そういう場合にも積極的に具体的措置をとることを要請することができるというふうな形でいたしておるわけでございまして、決して切り捨てごめんではなくて、むしろ立案者の気持ちといたしましては、やはり市町村と都道府県と協調いたしましてこういう災害防止について万全を期していただきたい、こういう気持ちで立案いたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  59. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この法律案のその間の手続に関する表現は非常に不明確でございます。したがって、私どもはもっとそういうあなたの、市町村の意思を無視するものでないという御意図がはっきり出るように、これを修正なり、改めてもらいたいというふうに考えますが、会期末でもございますし、委員会の審議も非常に急いでおられるようでございますから、私は特にこの点については委員長にお願いしておきたいと思うのですが、附帯決議でもつけて、必ず通知をするということ、通知をして、認可をする、こういうふうな表現の中には、通知をして、意見を一応受け取る、どうだ、こういうふうな申請が出ておるが、これでよいなということを確認する、確認の上に立ってオーケーが出て、その認可をする、こういう手続を踏むのだということをはっきりさしておいていただきたい。そうしませんと、それはいろいろな場合がございます。市町村長と知事との間が非常に円満にいっておるのもあれば、また円滑にいってない場合もあります。これは保守、革新の対立だけでなしに、また保守党同士の対立というふうなものもあって、市町村長と知事との間柄というものが必ずしも円満にいってない場合もある。そんな場合には、同意を得ないものでも、かまうことはない、どんどんやったほうがいいということでやらぬとも限らぬ。そういうふうなことがないとも限らぬ。だから、手続的にそういう同意を得るというような順序を踏むのが当然でございますが、法律の表現はそうなっておらない。しかしながら、運営は必ずそうやるのだということですね。そういうことをこの機会に政務次官からも明確にしていただき、同時に附帯決議をもはっきりさしていただくように委員長にお願いしておきたいと思うのですが、いかがですか。
  60. 熊谷太三郎

    熊谷(太)政府委員 ただいまの御指摘の点、ごもっともであると存じますので、あらゆる方法を通じまして、そういういま申されましたような趣旨が徹底するように取り計らいたいと思いますから、御了承をお願いいたします。
  61. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 次に、三十四条の立ち入り検査でございますが、現在事実上砂利採取業は立ち入り検査がほとんど行なわれておりません。さらにまた、この法律が成立しますと、立ち入り検査を厳密にやっていただけることになるのではないかとも思うのでありますが、しかしながらやはり人的構成の面でなかなかそういうことも困難ではないか、こういうふうに思うのであります。ところが、これが野放しになりますと、一番迷惑するのは先ほど申すように市町村であり、地域住民ですね。だから、ここはひとつ立ち入り検査の事項を政令等で市町村長に委任されてはいかがだろうか、そうして市町村長が絶えず不当な砂利採掘をやらぬように監視する、地域住民に監視させる、こうした形をとるべきではないかと思うのでございますが、その点いかがお考えになりますか。
  62. 吉光久

    吉光政府委員 立ち入り検査の権限、都道府県知事までははっきり規定いたしてあるわけでございますが、市町村長の立ち入り検査権限はいま明記いたしてないわけでございます。これはいろいろと実は立案の過程におきまして検討いたしたわけでございますけれども、機関委任事務として都道府県知事に権限が委任されております場合には、必要に応じまして、地方自治法の規定によりまして都道府県知事が市町村長に権限の一部を委任することができる、こういう規定もあるわけでございまして、現実の問題といたしましてそういう必要性の強い場所、そうでない場所いろいろとあろうかと思うわけでございまして、したがいまして、自治法の運中の用で具体的にどこについてはどうというふうなことがきめられるのが一番いいのじゃないであろうかという意味で、ここは機関委任事務として都道府県知事というところまで規定をいたしておるわけでございます。必要が非常に強いところにつきましては、それぞれの都道府県でさらに御判断をいただくということも考え得るわけでございます。
  63. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 そういたしますと、砂利採取が行なわれておる、どうもあぶなっかしそうだ、地域住民が非常に迷惑を受ける心配がありそうだ、こういう場合には町村長が立ち入りの権限をひとつまかしてもらいたい、こういうふうなことを知事に申請すれば、知事はそれではひとつ調べてくれというふうにしなければならない、こういうふうに理解してようございますか。そういうふうな法の運用をしていただける、こういうふうに理解をしてようございますか。
  64. 吉光久

    吉光政府委員 都道府県知事と市町村長との間の事務委任の形式でございますので、したがいまして、恣意的にそれが行なわれたり行なわれなかったりというふうなことにはならないと思うわけでございますが、実際の事務処理上そのほうがその県においては便利である、また同時に実際にマッチするというふうなことであれば、そういうふうな委任事務が行なわれるということになるのではないかと思っておるわけであります。
  65. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 大体これで終わりたいと思いますが、最後にもう一点お尋ねをいたしておきたい重要な問題は、この砂利採取法改正は、川砂利の採取がだんだん陸へ上がってしまった。砂利採取がだんだん陸へ上ってしまったというところに基づくものであります。しかしながら、陸砂利の採取というものは非常な地勢の変化あるいは地質の変化を起こすことであって、こういうことに本来ならば行なわるべきことではない。したがって、砂利採取法改正できたからといって、砂利はどんどん山からとればいいのだ、こういう考え方に立つべきでない、むしろ陸砂利採取ということはだんだん禁止する方向に進むべきである、私はこのように思っております。だから、それには骨材対策というものを真剣に政府としては考えてもらわなければならぬ。ところが治水を骨材対策とはお互いに相反しておるのですよ。治山が進みます。治山が進めば砂利はおりません。あるいはダムか何かができて流量調節がどんどん進んでまいります。あるいは利水設備ができます。そういうことになりますと、どんどんダムの上に砂利が堆積してしまって、下流には砂利がおりてこないのです。信州のほうは、私も去年かおととしでございましたか、黒四に参りました。黒四から何という川ですか、ずっと大町のほうへ川がおりてきますが、何と砂利もったいないな、こんなところにたんとと思うほど、砂利が道路と同じくらいの高さにまで堆積して、砂利はとにかくどうにもならぬほど山の上、上流にはある。しかし下流はもう砂利が不足しておりましてというのが今日の現状ですね。ダムができますと砂利はもうなかなかおりてこない。だから、やはり新しい骨材の開発ということをほんとうに真剣に考えていただかなければならぬと思うのでございますが、骨材の開発について政府がどういう方針をとっておられるか、またその現状はどうであるかということをこの機会に御説明願っておきたいと思います。
  66. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘ございましたように、骨材対策が総合性を持たなければならないという段階にすでにまいっておるというふうに考えておるわけでございます。私どもの付属機関といたしまして産業構造審議会というのがございますが、四十年と四十一年の二カ年にわたりまして今後の骨材政策の進め方について専門の方に御検討をいただいたわけでございます。その中で指摘されました第一の大きな問題は、やはり資源開発について、資源の有効利用という点についての方向でございます。この資源の有効利用の中に、砂利がだんだん枯渇化いたしました場合に、砂利の用途の規制と申しますか、基礎的な素材として使う場合、砂利でなくて砕き石でもよろしいというふうな場合には、砕き石を積極的に用いるというふうな用途の問題について検討すること、それからまた積極的に岩石砕石の開発の方途について検討すること、骨材の中で現在砂利が圧倒的多数を占めておるわけでございますけれども、将来の姿といたしまして、岩石砕石によるウエートと申しますか、地位をある程度大きくする必要があるのではないかというふうなこと、さらにまたいわゆる人工軽量骨材というふうなことで、工業生産の過程でつくられるものがございます。ヨーロッパ、アメリカ等でも一部これで補強いたしておるわけでございますが、その人工軽量骨材産業を早く育成する必要があるのではないかというふうなことで、骨材供給につきましての総合の確立ということが強く要請されているわけでございまして、私ども実は関係の省庁でございます建設省、あるいは輸送関係につきましての運輸省、あるいは農地との関連のございます農林省等々とそれぞれ連絡をとりまして、そういう根本策につきまして現在具体的な検討を進めておる段階でございまして、お話ございましたように、将来の骨材の内容の変更という問題を加えました上で総合対策の立案が必要である、このように考えて検討を進めておる状況でございます。
  67. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 これから後どんどん日本の建設事業が進むと一緒に、骨材需要がますます大きくなってまいりますから、早急に積極的にこの問題は取り組んでいただきたいと思うのであります。  もう一つ、私の日ごろ考えておることでございますが、こういうことは夢のようなことなのか、あるいはやはり検討の対象としていただくべきことなのか、一つ意見としてお尋ねしてみたいと思うのでございますが、ダムを見に参りますと、ずいぶん埋まってしまっておるダムがございます。あれは恵那川でございますか、中流で全く完全に埋まってしまった発電ダムを見てきました。とにかくダムがどんどん土砂によって埋まっていく傾向があるわけでございますが、こういうことによるダムの機能の喪失ですね、これは流量調節機能も落ちますし、あるいは発電用水その他のかんがい用水等の貯水能力も落ちてくる。だからそういうふうなダムを再生させる必要があるのではないか。つくる必要もありますが、埋まったダムを再生させる必要があるのではないか。だからそういう意味では、ダムの上流に堆積してきたあるいはダムの湛水地域の中まで堆積してきた土砂を——土砂というよりも岩と砂利ですね、それはしゅんせつをしてどんどんおろしてやればどうか。下までトラックで運ぶということになればたいへんでございますが、しゅんせつ船でもってダムの下へどんどんおろす方法を考えていけば、あとはまた洪水が下へ運びますから。そういう形でもってダムの再建をはかりながらいろいろな骨材の補給の道を考えていくというふうなことも、これはダム保全ということから考えても、一つのやらなければならぬことになってくるのではないか。こういうこともいまでは経費の面その他で採算がとても合わないかもしれませんが、しかしながら、新しい骨材を検討したりいろいろなことをやっていく過程の中では、ひとつそういう問題も含めて考えてみる必要があるのではないか、こういうふうに思うのでございますが、そういう点、建設省ではどう考えておられるか。通産省では電力ダムその他の管理をやっておられますが、どう考えられておられますか、そういう点についての御意見を承っておきたいと思います。
  68. 多治見高雄

    ○多治見説明員 骨材の需給全般につきましては、先ほど通産省のほうからお答えがございましたように、全国的な視野で需給計画を立てるということで、建設省といたしましては、この全体計画に沿いまして、河川生産物としての砂利について計画的に採取をやっていこうということで現在方針を立てております。  お話しのダムに堆積しております砂利、砂等の問題でございますが、これは今回の砂利の問題と別に治水、利水の面からもわれわれとしては一つの大きな問題であるということで、従来ともこの堆積土砂の排除の問題についていろいろ検討を進めております。ただダムにもいろいろございまして、一がいにこういった方法を適用するのが一番いいという決定的な方法はまだ見つからないようでございますが、将来ともその点についての検討を続けていきたいということで鋭意努力はいたしております。それで、その立地あるいは運搬方法等の関係で堆積している土砂を直ちに砂利に活用できるという面もなきにしもあらずということで、特殊な例ではございますが、そういった面で直ちに活用できるダムもあるというふうに考えておりますので、そういった面については積極的にやっていこうということで検討を進めております。
  69. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。先生もおっしゃいましたように、水力ダムサイトにはやはり相当の堆積物が長年たちますとあるわけでございますが、いままでそれにつきまして砂利採取等の問題が起こらなかったわけでございます。それは私の聞くところによりますと、やはり御承知のように水力ダムば概して非常に山奥にございますので、運搬その他がきわめて不便であり、先生も先ほどおっしゃいましたように、採算的にもなかなか問題がある、そういうような点から従来あまり問題にされなかった。しかし先生のお話のように、今後砂利採取の問題、一種の資源的なものとして大事だというような観点になってまいりますと、これもまた今後やはり検討していく必要があろう、こう考えております。ただ、これまた先生十分御承知のことでございますが、やはり水力ダムを建設いたしますときには、ダムサイトにつきましては洪水の危険だとかいろいろな問題もありますので、電力業者としましても相当巨額な金もかけて建設いたしておりますので、ダムサイトを砂利採取のために破壊されるというようなことがありますと、また水の被害の問題等も起こりますので、そういうことのないような形で、しかも発電に支障のない形で行なわれますれば、関係の電力業者関係砂利採取業者との円満な話し合いで可能だ、こう考えております。しかし、やりますときには、ただいま申しましたような点を慎重に御配慮いただきたい、こう考えております。
  70. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 いまのお話ですが、電力会社と砂利採取業者とが共同でそういうふうなダムの保全をはかれという意味で私申し上げておるわけではないのです。またそういうことは不可能だと思うのです。ただしかしながら、せっかくつくったダムが上からの堆積土砂でどんどん埋まっていくというふうなことではもったいないから、やはりそのダムの保全のためには堆積土砂を排除する必要があるのではないか。そしてまた、なるほどダムサイトでもってそういうようなものをどんどん落とせば、それは危険でございます。しかしながら、ダムの近くまでしゅんせつ船で持ってきて、そこから先コンベアに乗せて、ある程度安全な距離まで運んで下流に落としていくというふうな方法、これは研究されれば私は可能ではないかと思うのです。ただ私が申し上げておるのは、たとえば泰阜ダム、球磨川にあるところの一番下流から上がっていった最初のダム、荒瀬ダムですか、名前をいまちょっと忘れましたが、球磨川のダムにいたしましても、これはダムができれば、その上流ばずっと堆積土砂のために河床が上がって洪水常襲地帯になってくるのですよ。だからダムがダムの機能を喪失するだけでなしに、ダムがその上流におけるところ洪水常襲地帯をつくっていっているわけなんです。ですから、こういう洪水常襲地帯についてはまたその他の防災の方法はあるでしょうが、しかしながら河床を下げてやるというのは一番もとの形に復元するのですから、本来のあるべき姿なんです。ですからダムの維持と一緒に、ダムの上に土砂がたまってどんどん洪水が起こってくるという地域については、その土砂をしゅんせつして下流に落としてやり、下流がそれによって骨材の資源にも使うことができれば一石二鳥じゃないか。またそういったところのダムがこれから後も至るところにつくられてくるのではないか。たとえて言えば京都で建造中の高山ダムにいたしましても、あれができたら淀川の骨材資源はなくなりますよ。だから淀川の高山ダムの下流はどんどん深く掘り下げられていく。しかも高山ダムの上流には土砂がどんどん堆積していくということが将来予想されるわけです。そういうふうなことになれば、そういうダムのしゅんせつということが、今後ダムの保全並びに河川の機能の正常な維持のために考えられるべきではないか、検討すべきではないか。これは単に採算が合うとか合わないとかいうような問題を離れて、治水、利水並びに日本の資源確保といったような各方面からのことを考えて、特にここへはかりにある程度の予算を投入してでもそういう方向に進むべきではないか。  ちょうど大臣がお見えになりました。初めの話はちっとも聞いていただけなかったけれども、いま言ったような骨材対策並びにダムの機能保全というような面について、大臣としてある程度の国の経費をそこに投入してでもそうした治水、利水といった形のダムの機能保全ということを考えられるべきでないかと思うのでございますが、最後に大臣からお答えをいただきたいと思います。
  71. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。ただいまの問題、全くお話しのとおりでございまして、われわれの中の治水の専門の技術者にも同様な考え方でいろいろ検討しておる者もあるように聞いております。そういった方向でわれわれとしても検討いたしたいと考えております。御了承願いたいと思います。
  72. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ダムが古くなると埋まるということを言われておりますが、結局底へ砂利がたまって埋まるのだろう。そこでダムを若返らせるという点からいっても、また骨材の枯渇状況からいっても、これを開発するという点からいいましても、御指摘のような問題はだんだん取り上げてしかるべき問題であろう、こういうふうに考えております。
  73. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは非常に長くなりましたが、これで質問を終わらしていただきます。  最後に、大臣にお願いしておきたいことは、これはいろいろ災害が出てきたために、もう少し取り締まりを強化して国土保全をはからなければいかぬのじゃないか、こういう観点からこの法律改正の運びになったという点を十分認識されまして、この法律の運用をうまくやっていただくようにお願いいたしたいと思います。
  74. 小峯柳多

    小峯委員長 塚本三郎君。
  75. 塚本三郎

    ○塚本委員 私は、災害防止意見がずいぶん出ましたので、反対にこの砂利資源というものをいかに確保するか、こういう立場で御質問してみたいというふうに思っております。  自由経済のもとにおきましては、何と言っても需要供給のバランスがくずれるところから無理が生じて、そこから多くの問題が発生するというふうに思うわけでございます。今日砂利資源の需要というものが急速度に伸びてきております。したがいまして、いかなる手段を講じてもやはり需要に対して供給は応じていかなければいけない。これはもう絶対的な条件に今日ではなっております。したがいまして、この需要供給のバランスをくずさないような方策をとっていかなければ、幾らあらゆる手を打ってみても、これは自然後手後手に回ってしまう、こういうふうに思われるわけでございます。したがって砂利資源の開発につきまして、先ほどちょっと述べられたようでありますが、もっと具体的にどうすべきかということに対して根本的な考え方をいま一度述べていただきたい。
  76. 吉光久

    吉光政府委員 砂利需要が急速に伸びておりまして、供給需要との関係にアンバラの事態が出るのではないか、こういうふうな御質問であったわけでございますけれども、まさにそういう事実が現実にあらわれつつあるわけでございます。したがいまして、先ほどお答え申し上げましたように、骨材供給対策につきまして、砂利のみに依存をするというふうな体制に検討が加えられてもいいのではないかという角度から、先ほどお話し申し上げました産業構造審議会の骨材委員会におきまして、その置きかわりがどういう形にまでなら可能であるかという点の作業をしてみたわけでございます。現在骨材の中で、これは河川砂利陸砂利山砂利を含めまして、砂利が大体の構成の中の八割程度を占めておるわけでございますけれども、だんだんと総需要がふえていくに従いまして、この砂利供給は大体横ばい程度というふうに、——新しく増強されてどんどん掘られるというふうな体制にないわけでございます。したがいまして現状の数量で横ばいに推移してまいる。と同時に、これを埋めますのは結局岩石砕石というものにたよらざるを得ないのではないだろうかというふうに考えるわけでございまして、大体四十六年くらいの想定といたしまして、岩石砕石による供給砂利による供給が大体同じくらいの数字——岩石砕石はちょっと少のうございますけれども、同じくらいのウエートまで岩石砕石のウエートが上がってまいる。それにさらに人工軽量骨材等の人工のもの、これはだんだんと技術開発が進んでおりますので、もう少し値段が下がれば砂利並みの価格までまいるわけでございます。したがいまして、こういうものの生産でさらにそのギャップを埋めてまいるというふうなことで、骨材の内容の変化というものを当然に伴った形で需給をバランスさしてまいるということが検討されておるわけでございます。
  77. 塚本三郎

    ○塚本委員 この法案の四十一条に、「国及び地方公共団体の関係行政機関は、砂利採取業者に対し、砂利の採取に伴う災害を防止し、又は砂利採取業の健全な発達を図るために必要な指導及び助言に努めるものとする。」こういうふうな条文が書き込まれております。「健全な発達」とか「必要な指導及び助言」というのは具体的にどこまでのことを考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
  78. 吉光久

    吉光政府委員 砂利採取業者は圧倒的多数が中小企業者、ほとんど全部といってもいいくらいが中小企業者でございます。その中小企業者によって営まれております砂利採取業がまた全国至るところ災害問題を巻き起こしておる、こういう状況にあるわけでございます。したがいまして、災害問題につきましてこれを抜本的に処理いたしますためには、どうしてもそういう災害の関連の施設をつくるにふさわしい砂利採取業者であるということが必要になってまいるわけでございます。残念ながら現状におきます砂利採取業者は、圧倒的多数と申しますよりかほとんど全部が中小企業者でございまして、同時にまた、そのうちの大きな部分がいわゆる零細企業者という中に入っておる業者でございます。したがいまして、この目安といたしまして、やはり砂利を採取する限りにおきましてはこの法律上義務づけられております災害防止施設を設置できる、そういう主体性を備えた者でなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。しかし、一企業が単独の力ではなかなかそういうところまでまいるということは困難であろうかと思うわけでございまして、したがいまして、一方におきまして、そういう中小零細採取業者につきましての、あるいは協同組合方式によるもの、あるいはまた共同排水処理施設等をつくりますそういう共同的な動き、あるいは事業の共同化によりますところの協業組合への動きというふうなものを、その立地立地に応じまして具体的に指導してまいりたい。と同時にまた、技術的にもまだ未熟の向きもございます。したがいまして、そういう技術的な点につきましても指導あるいは助言をしてまいる。と同時に、いろいろな意味におきまして、現在の金融制度等につきましてもあまり十分に承知していないというふうな向きもございますので、そういう具体的なプランニング、組織づくりの積極的な指導のほかに、さらにあわせまして、それに付随いたしましていろいろの金融上の優遇措置等につきましても指導助言し、一緒になって努力してまいりたい、こういう思想でこの規定が置かれたわけでございます。
  79. 塚本三郎

    ○塚本委員 しかし、見通しとしては、だんだんと砕石のほうに移らざるを得ない。ところが、圧倒的にいわゆる零細企業である。そういたしますと、零細企業が砕石のほうに移るということは今日の段階では全く望みが薄いというふうに判断せざるを得ないのでございます。そういたしますと、当局としては協同組合あるいは協業組合等の組織化をはかり、金融、税制等の処置を講じて大型化して、それらの力で砕石のほうにも手を伸ばし得るような、そういう指導をする、こういうふうな判断に立っていいわけでございましょうか。
  80. 吉光久

    吉光政府委員 砂利採取業者の実際の事業形態といたしまして、砂利採取業専業のみであるという経営者と、それから砂利採取業と岩石砕石とを兼業いたしております事業者、それから砂利採取業とその他の土木建築工事業を兼業いたしております採取業者、いろいろの形態があるわけでございます。したがいまして、一番問題が残りますのは、砂利採取業の専業メーカーのほうでございまして、岩石砕石と兼業いたしておりますものにつきましては、同じようないわゆる採石——石をとって売るというふうな行為が継続するわけでございます。と同時に、同じような機械設備を使ってその事業ができるということになるわけでございますので、これは砕石転換への問題として一緒に、同時に把握して問題を解決しなければならない、こういう業界であろうかと思うわけであります。それから一番零細企業者でございまして、砂利採取業だけしかしていない者、これは数にいたしましてそうべらぼうに多いというわけではないのでございますけれども、こういう部類につきまして、実は立地的には大体砂利の有望地点というところにそういう事業者が多いわけでございますので、地域別に組織化問題を通じて体質の健全化をはかってまいるということが必要ではないだろうか。決してこれによりまして零細企業者を征伐してしまおう、こういう意図は全然ないわけでございまして、むしろ積極的な方策によりまして、要するに組織化による企業体質の強化ということをやはり一番の眼目として進めてまいるのが妥当  ではないか、このように考えます。
  81. 塚本三郎

    ○塚本委員 日本の産業構造の体質として、いま局長の話を聞いておりまして、私は共通したものがあるというふうに思うわけでございます。これがだめならば、次に新しく手っ取り早く科学的に何かできるものを目をつけていこうということでございまするが、実はそれよりも前に、もっと日本の天然資源というものを開発をする、こういうことにもっともっと意を用うべきではないか。たとえば、これは全然部門が違いまするが、繊維問題についても、日本でもかつて絹というものは衣料品としては相当の市場を占めておりました。それがいまはほとんど化学繊維に変わってしまったというふうな形で、もはや絹というものはよその国に頼らざるを得ない、こういう形になってきましたが、同じように河川の砂利の問題でも、部門は違いまするが、まだ天然の砂利というものは、政府が手を施せば相当に可能性があるというのが業界の一致した見方でございます。先ほど岡本委員からも同様な発言が最後にあったようでございますが、それを手っ取り早く大型化することによって砕石のほうに集中してしまうということでもって、いわゆる河川砂利というものを開発するということが私はもっともっと日本の産業全般の立場から、河川全般の立場から言いましても必要なことなのだ。したがって、四十一条におきまする「健全な発達」だとか、指導、助言ということは、いわゆる方向転換の道を講ずることも一つの方法であるにすぎなくて、根本的には天然の砂利を開発でき得るような道を開く、開発の手段を講ずるということが、私は大前提としてなければならないというふうに考えますが、どうでしょうか。
  82. 吉光久

    吉光政府委員 考え方といたしましては、全くお話のとおりだと私どもも思うわけでございます。ただ、現実問題といたしまして、だんだんと河川砂利——これは開発すべき河川砂利につきましては、建設省のほうでさらにどの程度の埋蔵量があるかどうかという点につきまして具体的に御調査いただいておるわけでございます。同時に山砂利陸砂利等につきましても、これは埋蔵量の調査ということが山砂利陸砂利の場合には非常にむずかしい面もあるわけでございますが、現在どの程度の山砂利陸砂利、これはほんとうの概数になろうかと思いますけれども、埋蔵されておるものかどうかの推計をいたしたいと思っておるわけでございますが、現にある国内の資源というものが完全に有効に利用されるということが、特に資源産業にも近い産業でございますので、一番必要なことであるということは全くお話のとおりでございます。私どももその線に沿いまして、さらに計数的に問題を見直してみたいというふうに考えておるわけでございます。
  83. 塚本三郎

    ○塚本委員 後手後手であとからあわてて手を打ちまするから、実は採掘が不可能になってしまう、こういう形にさせられておるのではないかというふうに思うわけです。逆に、たとえば私どもが各地を回ってみましても、どこへ行きましても、こんなに砂があるではないか、こんなに砂利があるではないか、こういうことでしろうと目にも、もう砂利がないなんというようなことば、私どもではとうてい考えられないわけです。しかし専門家の立場から見ますると、いや、それをとればいわゆる護岸があぶなくなるのだ、こういうことでございます。それならば護岸を先に補強しておいて、そうしてもっととったらどうなんだ。高い河床のところへ築くから、もっと根固めすることを考えて、そうしてどんどんと流れてくるところ砂利を手ごろにとり得るように先に根を固めておいて、護岸を補強しておいてとるという方法だって考えられないではないというふうに思いますが、建設省どうでしょうか。
  84. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。河川砂利につきまして、先ほど通産省のほうからお答えがございましたように、われわれといたしましても、現在の砂利採取状況はもちろん調査いたしておりますが、さらに積極的に河川砂利のうちの未利用の部分について開発を進めて、さらに河川砂利を活用したいということで、御承知のように四十一年に、河川砂利基本対策要綱というものを定めまして、各河川管理者に通達を出しまして、その面の指導をいたしておりますが、その中にはっきり未利用資源の開発につきまして、貯水池の砂利あるいはダムに堆積している土砂等につきましても、これが積極的活用をはかれということで、方針といたしましては、その方向で進んでおります。  ただ現在、河川に賦存いたしております砂利の数量というものは、まだ的確につかむところまでいっておりませんので、現在調査費を計上いたしまして、河川生産物調査ということで、本年も調査を継続いたしておりますが、それと並行いたしまして、川の治水の面からの河道計画の調査というものも一面進めております。この両方の調査の結果を待ちまして、ただいまお話のございましたように、護岸その他の河川管理の面からの施策、それと砂利需要に対する対策としての施策、これを総合的に考えまして、さらに各河川につきまして砂利の採取についての基本計画というものをきめて、この川からばどれくらいの砂利がとれるということを一本一本計画的にきめてまいりまして、今後の河川砂利の採取についてのめどをきめていきたいということで目下調査を進めておりますので、御了承を願いたいと思います。
  85. 塚本三郎

    ○塚本委員 最初に申し上げましたように、絶対量というものは、これは節約するわけにいかない。どんどん需要があるわけであります。だから、なければどこかに手を出さなければいけない、こういう形になっております。もうすでに運賃がすべてだといわれておりまするこの砂利が、韓国から、あるいは台湾の花蓮港から持ってこようという計画が進められておりますときに、山奥のところに処理に困って処置しょうもないというような状態で幾らでもある。こういう形の中で建設省が、調査を進めております。あるいは何やら審議会だと、こんなことをやっているうちに値がどんどんつり上がってくるというような形で、値がつり上がってきて採算に合うようになったときに、業者は山奥へと手を伸ばす。こんな状態になっておって、言ってみれば、そこに全く政治がないという——失礼な話ですけれど、そういう形で後手後手に回っております。なぜもっと具体的にそういうことをなさらぬのか。たとえば河川に対する砂利の採取料というのがございますね。業界に言わせるなら、あれを何倍かに上げ得る。その金で業界が責任を持って、いわゆる護岸の補強をさせてもらおう、なおかつ、そこでとっても採算が合うはずだ、りっぱな河川堤防をその採取料の中から生み得るはずなんだということを業界の中では言っております。その声が建設省に入っておるかどうか知りませんけれども、具体的に申し上げますならば、全くただみたいな値段で実は採取しておるようでございますね。ところが、それが売る場合には何十倍と言いたいけれども、そういうふうな値段で売られるわけでございますね。だったら、もっと高い値段で、その金を払ってもけっこうなんだ。その金を目的税にして、そうして護岸のほうにその金をつぎ込んで、どんどんと流れてきたところ砂利を採取するということだって考えられないことはないというふうな判断が一方にあるわけでございます。こういうことをお考えになったことがあるでしょうか。
  86. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。ただいまお話ございましたように、河川の砂利を採取する者に対しまして相当の料金を課して、その金で河川の工事をやるというような考え方が一部に相当あるということは伺っております。われわれといたしましても、そういった御意見がいろいろございますので、その面の検討は十分やっているつもりでございます。そこで、その考え方でございますが、われわれが検討いたしておりますのは、現在の河川の管理といいますか、治水の責務といいますか、そういったものはやはり国が第一義的に負うものであるというたてまえでやっておりますが、やはり特殊な河川の工事につきましては、受益者負担ということも考えられますので、そういった制度も実は現行法でもある程度取り入れることができるようになっております。ただ、砂利の場合につきまして、検討はいたしておりますが、なかなか結論が得られませんのは、砂利の採取者の受益の限界と申しますか、受益の程度、その砂利を採取したために起こります河川工事の範囲、御承知のように河川の一部を掘りますと、その影響する範囲は河川全体に及ぶわけでございまして、長い川のことでございますので、この河川の砂利を掘った人の受益と、それからその河川工事の必要性の範囲、これはなかなか一致しない。河川工事には非常にばく大な費用がかかりますので、そういういった点のどこまでが受益でどこが負担すべきかという点については、なかなか困難な問題が現在あるようでございます。そういった点の問題はございますが、何かそういった点でも考える余地があるんではないかということで、目下積極的に検討はいたしておりますが、まだ確とした結論を得ておらないという状態でございます。
  87. 塚本三郎

    ○塚本委員 護岸堤防を補強するならば、なお年間一億立米ないし二億立米は毎年とり得る、そういうことが専門家の中で言われておりまするが、ただ護岸堤防があぶないということでもって、それがとれないというふうな意見がございますが、これは建設省はどういう判断をしておいでになりましょうか。
  88. 多治見高雄

    ○多治見説明員 いまのお話でございますが、護岸堤防があぶなくなるからとれないというお話でございますが、もちろん砂利を採取いたしました場合は、当然護岸に影響がございます。したがいまして、現在採取の許可をいたしております量は、一応現地の護岸を前提といたしまして、これに影響のない範囲でしか砂利の採取を認めておりません。したがいまして、これ以上とれば護岸があぶなくなるという場合は、これは許可しないというたてまえでやっております。
  89. 塚本三郎

    ○塚本委員 たしかいま各地方、府県におきましては一立米大体六十円くらいだそうでございますね。そして、その金が県の収入の雑収入の中に入っておるという。こんなに建設にとりまして大きな予算をかけております。いわゆる建設予算の中の大きな部分を占めるべき砂利のいわゆる採取料が、府県では雑収入に入れられておってわずか一立米——たとえばこの一立米にそのほかに目的税として三百円かけたとして、一億立米とれるといたしますと、年間三百億円を実は護岸堤防補強のために使える。二億立米年間出るといたしますると、六百億という、護岸の根固めだけで完ぺきなものができるではございませんか。そして、業界はとにかく町のまん中をダンプで飛ばして、そして交通の安全を脅かしておる、こういうときに、しかも一般に売られておりますところ砂利の値段は、おたくのほうの通産省から出ておりまするところの金額からいきますると、東京におきまして二千四百五十円でございますね。六十円でとれたものが二千四百五十円で消費地に渡っておる。これは全く人命を無視した危険な運転方法によって、こういう値段につり上げられておる。だから言ってみるならば、このいわゆる目的税を設定いたしまして三百円か五百円になっても、決して業界では痛くもかゆくもないと言っております。その金を、完ぺきにすることによって、交通安全の最も悪魔と言われておりますダンプカー、ようやく規制法は設けられましたけれども、これを避けて国内の天然ものを使うという方向に導き出していくならば、よしんばわずか一億立米でありましても五百円をとっておけば年間五百億という金が、いわゆる護岸堤防補強に使われれば、これは全く洪水知らずの河川ができ上がるのではないか。しかも業界としてばこれほど安定した採算がとれることはないと言っております。だからそういうことはなぜ根本的に考えて——いま検討するというような御意見で一年延ばしになされておるという行き方、しかも砕石にいたしましてもだんだんと距離を延ばしておる状態でございますね。消費地は大都会へどうしても向かってくるということになりまするならば、もはやこの問題は、私はやはりそういうところを変えるよりも、方法を、天然を生かすということがいかに大切か。先ほどちょっと繊維の問題を申し添えましたけれども、一番大切な国内のそういうものを伸ばすということがみんな忘れ去られて、それは常に行政が後手後手に回っておるからこういうことになるので、先回りしてそういうことをしていただくならば、私はどれだけ業界も助かるか知れないし、みんなこれが生きてくると思うわけでございます。どうでしょうか。
  90. 多治見高雄

    ○多治見説明員 確かにお話しのように、現在、砂利につきましてその採取についての目的税というような考え方もございます。そしてわれわれ治水の関係者といたしましては、そういった点も含めまして、治水事業にとっても確かにその方向で検討すればプラスになることば間違いないので、われわれとしてば希望的に考えて検討しているわけでございますが、御承知のように目的税その他についてはむずかしい問題もございます。税法上の問題あるいは骨材全般の価格の問題等ともからみますので、河川工事だけの面からこの制度を結論的に採用できるかどうかという判断はできませんけれども、ただわれわれといたしましては、そういった方向で考えること自体非常に河川事業のプラスになるというように考えておりますので、先ほど申し上げましたように、現在河川の生産物の調査等もやっておりますが、そういった結果もあわせて検討いたしまして、そういった方向でできるだけ考えたいというふうに思っております。
  91. 塚本三郎

    ○塚本委員 もう一つは、上流における採取の方法でございますね。これはほんとうにもったいないほどたくさんあるわけです。これもいまや韓国や台湾から持ってこなければならぬようなことを考えるならば、これまた目的税と言うとちょっとこれは語弊がございまするが、有料道路にして——そんなことて採算に合うかどうかわかりませんけれども、ともかく上流から砂利を採取すべき道路をつけてやるということが、私は最も大切だと思うわけです。道路さえつけてやるならば、これは河川に対してもどれだけいわゆる安泰であるかもしれないし、ダムも埋めずに済むということになろうかと思います。業界ではかってにそれができません。だから言ってみるならばいわゆる砂利採取のための特別の道路を設けるということも、今日この埋蔵量を開発するという意味におきましても、私は大きな一つの開発の道だということになると思います。そういうことができないものだから、町のどまん中やあるいはまたたんぼの中を掘り返して、そして先ほどから議論になっておりまするような補償の問題からいわゆる汚水の問題等が大きく議論にならなければならぬ。そんなことを考えるんだったら、いわゆる人家と直接関係のないような、山に、上流に道路をつけてやるということをもっと先回りをして早く実現させてやるならば、これまたいまの需要くらいならば十分満たし得るということが悪定されるわけでございまするが、どうでしょうか。具体的にこれも砂利採取の目的を持って道路をつけるということ、目的税というとこれもおかしいのでございますが、何らかの形で——彼らはいま申し上げたように運搬に対してはばく大な費用と犠牲を払ってこれをなし遂げておる。原価わずか六十円、こういうことからいきますると、私は、これも政治としてこれを生かしていくならば、十分になし得ることであり、河川にとっても、それは最も健全な方向であると判断されまするが、どうでしょうか。
  92. 多治見高雄

    ○多治見説明員 問題は非常に多岐にわたりますので、河川局だけの立場から全般についてお答えできないかと存じまするが、ただ河川の現状を見ますと、確かにお話しのように、上流部に相当砕石等がございますので、これを開発すれば、砂利供給について相当プラスになるということばはっきりしております。これをどう開発していくかという問題になろうかと存じますが、お話しのように、そこに砂利運搬の専用の道路をつくるということも一つの方法であろうかと考えます。お話しのように、砂利のコストがほとんど運搬費でございますので、河川管理の面からだけただいまは検討しておりますが、奥地のほうに、直ちに採取可能な砂利が賦存しております場合も、たいていの場合は運搬費の問題で採算がとれないというのが現状でございます。賦存量があることは間違いございません。これの開発手段として、もし道路をつけることが非常に有効であり、経済的にもプラスであるということになりますれば、その点もあわせて検討すべきであるというふうにわれわれとしては考えております。
  93. 塚本三郎

    ○塚本委員 上流を開発するためにぜひとも道路が必要である。このことはすでに先ほども岡本委員からの御発言にありましたが、いわゆるダムの湖底の問題でございます。底からさらえるという問題、さらに先ほどお話がありましたように、ダムの底がもう埋まってしまっておるダムが相当あります。業界では、すでに具体的に、たとえば横山ダムのごときは、すでに自分の力でもってその湖の底をさらえるという努力までしておるわけでございます。遺憾ながら、それを運ぶときに、先ほどのように外へ洪水で流すというのは、これはちょっと、まだまだ相当のあれがあると思いますが、これは取りつけ道路をつくるならば、もはや業界では採算に合うと言っております。だから、平均八十何キロから九十キロの運搬をしなければならぬとするならば、二十キロや十キロ地点にまだたくさんあるはずでございます。しかも、これは全くダムにとっても健全化の方向であり、そして河川にとっても、河川としての本来の機能を果たさせる上において最も必要なことだと思うわけでございます。したがって、この問題は、一はかかって取りつけ道路にあると思うわけで、上流の問題、ダムの底の問題、私はやはりこれらの問題——いつかはダムの底をさらえなければならぬと思っております。そういうときに、道路さえつけるならば、もはや幾らでも底をつかんであげるところの機械はできておるそうです。道路さえできるならば採算が合うということでいま業界は腐心しておるという状態でございますね。だったら、これは建設省におきましても、あるいは通産省におきましても、具体的にそのことを何かの形で採算に合うような——何も国費だけで全部道路をつける必要はないと私は思っております。もともとがただみたいに安いのでございますし、しかも売り値がすばらしく高いのでございますから、その間の利益を考えてみるならば、何らかの形で目的税的なあるいは目的料金的なものを対象にして道路を建設して、需要を満たすということ、これは私は当然行なわれていい問題ではなかろうかというふうに思いますが、この点、政務次官どうでしょうか。
  94. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 先ほど河川局次長から答弁がありましたが、問題が、通産省、建設省相互に相談をしなければならぬ問題に関係がございますが、御趣旨の点はよく理解ができます。ただ、どういう形でこれを進めていくか。公共投資を、道路をやって、そして業者にこれを採算ベースに乗させてやらすという、このやり方ですね。これにもいろいろくふうが要ると思うのです。問題は、砂利不足の解決、しかもそれがむしろ河川保全にも役立つ、こういう観点からの御指摘でございますので、十分検討さしていただきたい、こういうふうに思います。
  95. 塚本三郎

    ○塚本委員 これは、政務次官、すでに行政があと回しになりまして、そしてもうそんなところまで行って、待っておれないから、山の中やおかの中やたんぼの下をほじくり返して、そうしてでも持ってこよう、これは需要があるのだからいたし方がないという状態でございますね。だから需要供給のバランスをとってやるところに、いわゆる政治の最も大きな道があると私は思うのです。立法も、全部、いわゆる被害あるいは公害を防ぐためにあとからあとからこう薬が張っておるような方式になっております。だから私は、最初に、この四十一条の「指導」だとかいうのは、どうなされるのかということをお聞きしたようなことでございまするが、私は、政治はいまの段階では先回りをすべきではないか。あの名神高速道路ができてみたり、東名高速道路ができてくる。採算が合わぬといって、私は、たしか三十五年、あの当時に建設委員会でそんな議論をさせていただいた覚えがありますけれども、いまは、無理につくったあの東名高速道路がどれだけ生きておるかということを考えますと、特に建設というような仕事は、採算に合わぬことを先回りをして、採算に合わせるという形が私は建設事業だろうと思うのです。だから、それを常に通産のベースだけで考えると、あと回しあと回しになって、とんでもないおかを掘り返すというようなことが行なわれてきておる。だからダムの底をさらえるということでも、上流をとるということでも、あるいはまた護岸のふちをとるということでも、私は、先に補強しておいて、そういう形で、先手先手を打つことが政治だと思うわけでございます。単なる各省間にわたる調整や話し合いだけでは私は問題にならないと思うのです。だから、もっと具体的に勇気を持ってそのことをしていただかないと、もういかなくなってしまって、そうして「指導」とは何だと言いますと、いわゆる共同化、協業化というようなことになって、その人たちを実は砕石の方向に向けるということになる。そうして、それについていかれないところのいわゆる小さい業者人たちを、自然にそういうふうな問題を引き起こすべき方向にやって、それの安全の措置をとれということになりますと、採算が合わないからというような形が出てまいって、弱い者いじめという形が結果として起こってしまうと思うわけでございます。これらの問題につきまして、いわゆる検討から具体化させる方向に向かって進んでいただきたいというふうに思いまするが、もう一度、大臣おいでになりましたけれども、最初聞いていただけなかったから、政務次官のほうからお答えをいただきたいと思います。
  96. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 御趣旨の点はよく了解をいたしました。ただ単なる検討でなくして、御趣旨の線に沿うて、ひとつ骨材としての砂利需要、これが及ぼす公害、諸般の問題点からして、早急に検討いたしたい、このように思います。
  97. 塚本三郎

    ○塚本委員 もう最後の結論を出させていただきますが、これと同時に、私は、やはり業界の声として、これはほとんど建設に必要な必需品でございまするが、いま建設業界を見てみますと、あまりにもピンはねをする段階が多過ぎるのでございますね。おそらく最終段階までには、道路建設にいたしましても、あるいは一般の大きな建築にいたしましても、十段階ぐらいピンをはねられているそうなんでございますね。だから直接に資材を供給すべきところが一割ずつ取られても倍になる、こういう形になってしまう。こういうひどいような、言ってみますならば、くぎ一本持っていないような建設会社が堂々と国会に出入りをしておる、こういうふうなばかげたことが建設業界の常習になっておるということでございます。だから、資源供給ところが、おのずから予算の名目の中には、あるいは設計の名目の中には、いわゆる業界としてやっていき得るような単価が明示されておりまするが、現実に受け取るべき金はそれからきわめて圧縮をさせられる、やはりこの砂利採取の中にも、採算をどうしてもとらなければならないというところからいわゆる無理がきておる、こういうふうに察せられるわけでございます。  そこで私は建設省にお尋ねをしたい一点は、この際、少なくとも官公需の発注だけは建設事業の単価で取らずに、砂利は幾らと、直接に砂利だけは砂利として、いわゆる砂利業界からあるいは砂利業者から直接に納入させることをするということが彼らに無理させなくて済むんではなかろうか。それを建設費の中で一緒くたに入れられてしまいますから、どうしても設計の見積もりから実際には二割くらい低くしかもらっていないということを彼らは言っております。だから、おのずからそれがいわゆる採取のほうに無理がきてしまうということで、まあそれがすべてではありませんが、そういう摩擦が公害のほうにあらわれ、いわゆる原料を取るときに手を抜いてしまう、こういう形になってくるというふうに思われるのですが、全くこの事業量は大きい金額になると思います。そうして、わずか手心を加えるだけです。人件費やそういうもののほうにこれが食われてしまったり、元請のほうに取られてしまうという形が、実は建設業界の常例になっておるそうですか、せめて国が行なういわゆる大きな事業だけは、砂利は幾らあるいは石は幾ら、砂は幾ら、こういうようなことを直接にそこへ発注をするようなことを考えたら、これももう少しゆがみが直ってくるんじゃないか、こういうふうに考えられますが、どうでしょうか。
  98. 稻本年

    ○稻本説明員 ただいまの先生の御指摘のような点もあろうかと思いますけれども、実は建設省におきます直轄工事におきましてもつい最近まで、一部材料、資材等の官給もいたしてまいったわけでございます。しかしながら、年々事業量が増大してまいります一方、欠員不補充といったような問題もございますし、最近に至りましては大体建設工事だけの契約件数も一万件を突破する、その事業量も非常に膨大になってまいりまして、この職員が十分に補充できないというようなところから、どうしても事務の簡素化あるいは能率化というような点が最近非常に大事な問題になったわけでございます。一方、建設業者の側におきましても、必ずしも資材等を官給いたさなくても、この資材の納入にあたります検査等、品質管理を十分にすれば、工事のほうは十分できるというふうな事情もございまして、業者の自主性にまちまして、この直轄の事業を推進するというふうなことで、四十年以来原則としてこの資材等の官給は中止いたしたような次第でございます。
  99. 塚本三郎

    ○塚本委員 建設省の立場からいうと人件費を省く。そのようにして簡便であるかもしれませんが、それがために実はこういういわゆる下の業者等が泣いておるんだということが、おたくのほうの耳に入っておりませんか。
  100. 稻本年

    ○稻本説明員 そういうふうな話もときどきちらちら聞くわけでございますが、ただいまも申し上げましたように、私どもの人件費の節減というよりも、政府全体としての欠員不補充というような関係で、いわば事務の簡素化もどうしてもやらなければならないというような事情もあるわけでございますので、この点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  101. 塚本三郎

    ○塚本委員 時間がございませんから、最後に一点だけお聞きしておきますが、当面、いわゆる汚水処理と公害を防止すべき手段をこれから強く指導なさり、あるいはまた勧告をなさることになると思いますが、この施設等、小さい業者にとってはたいへんなことだと思うわけです。これに対する何らか特別の、たとえばそういう施設に対する固定資産税の減免等、具体的にはそういうことはどの程度考えられておりますか。
  102. 吉光久

    吉光政府委員 お話しのとおり、この公害防止に関しますいろいろな設備をつくるには非常に多くの資金を要するわけでございます。したがいまして、この制度と並行的に現在進めておりますところの近代化促進に関する融資制度の活用でございますとか、あるいは公害防止施設に関する現在の融資制度の拡充の問題でございますとか、これを並行的に進めたいと思っております。同時に固定資産税の問題につきましては、いろいろと議論があったわけでございますけれども、さらにこの法案の成立をまちました上で積極的に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  103. 塚本三郎

    ○塚本委員 最後に通産大臣に、私、最初からいろいろとお尋ねしておりますように、問題点は、需要供給のバランスがくずれるところから無理が生じてきて、そうしてそこから多くのいわゆる事故等が発生してくる、これは自由経済の鉄則であろうかと思っております。そういう意味で、今日建設がこれだけ需要が多くなってまいりますると、砂利も必需品としてもう急速に伸びてきておる。だからこれと並行すべきいわゆる開発をしていかなければならないということで実は議論を展開したわけでございます。あとからこうしてはならない、この被害はどうするんだ、どう補償するんだというふうな、実はあと始末の内容が強いわけでございまするが、しょせんそれは私はあと手の方法になってしまって——それと並行して、いや、それより一歩先んじて、実際にその資源が必要なんだから、しかも日本の国の中にはまだ相当量ある、だから先回りをして、実はその資源を開発をすべきだという議論を展開しておりましたが、検討中検討中という御返答が非常に多かったわけでございますが、どうぞこの点、実は河川砂利にいたしましても、上流になればまだたくさんあるというようなことを検討いたしまするとき、あるいはまた護岸さえもっとしっかり固めて補強さえするならば、手元にはまだ砂利等は相当量毎年これを採取することができる、こういう問題を実は積極的に取り組んでいただきまして、いま手元にありまするところの資源を十分に開発でき得るような施策をとってほしい。こういうふうに最後に御質問と御要望を申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  104. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ごもっともでございます。関係各省と十分に協議をいたしまして、積極的に骨材の開発に今後つとめてまいりたいと思います。
  105. 小峯柳多

    小峯委員長 午後二時から再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時十八分休憩      ————◇—————    午後二時七分開議
  106. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  砂利採取法案並びに電気用品取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。玉置一徳君。
  107. 玉置一徳

    ○玉置委員 まず政府当局に御質問申し上げたいと思います。  砂利採取法の第一条に「この法律は、砂利採取業について、その事業を行なう者の登録、砂利採取計画認可その他の規制を行なうこと等により、砂利の採取に伴う災害を防止し、あわせて砂利採取業の健全な発達に資することを目的とする。」こうなっておりますが、はたして砂利の採取に伴う災害防止が重点なのか、その次に書いておる「砂利採取業の健全な発達に資することを目的とする。」というのが重点なのか、これは今後の質疑に影響いたしますので、まず冒頭そのことをお伺いしたいと思います。  それから、あわせまして「砂利採取業の健全な発達に資する」というのは、どこかに何らかの財政的なあるいは税制的な便益を供するようなところがこの法案の中に入っておるのかどうか、その点もお答えをいただきたいと思います。
  108. 吉光久

    吉光政府委員 先ほど御指摘をいただきましたように、第一条の中に「砂利の採取に伴う災害を防止し、」ということをうたっておるわけでございまして、直接的にこの法律が目的といたしておりますのは、災害防止でございます。ただ、災害防止に伴いまして、「あわせて砂利採取業の健全な発達に資する」というふうにいっておるわけでございまして、これは災害防止をやるにふさわしい砂利採取業者というふうに体質が強化されませんと、なかなか実効を伴わない場合が多いというふうに考えましたので、あわせて採取業者の健全な発達に資するというふうにいっておるわけでございます。  具体的な措置といたしましては、四十一条に、砂利採取業者に対しまして、「採取に伴う災害を防止し、又は砂利採取業の健全な発達を図るために必要な指導及び助言に努めるものとする。」というふうに、宣言的ではございますけれども政府並びに関係機関がそれぞれ積極的に砂利採取業の発達に必要な指導、助言というものをやりまして、その裏づけといたしまして、現在いろいろの金融上の諸制度がございますけれども、それによって砂利採取業を応援してまいりたい、こういう考え方でございます。
  109. 玉置一徳

    ○玉置委員 あくまでも災害防止が重点でありまして、そのことが、ひいては健全な砂利採取業の育成強化ができればということだと思います。そこで、そうなれば、この法案の中には書いてはないけれども、行政措置として健全な発達育成を強化するような意味の何らかの措置を講じようとしておいでになるかどうか、あるいはいままでに講じておいでになるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  110. 吉光久

    吉光政府委員 砂利採取業者の現状は、何と申しましても、ほとんどすべてといっていいくらい中小企業者でございます。同時にまた、その中小企業者の中でもいわゆる零細企業者というふうにいわれるものが半分くらいを占めておるわけでございます。したがいまして、まず第一は、採取業者に対しますところの共同化あるいは協業化の組織づくりをすることが必要であろうというふうに考えるわけでございます。そのために、現在それぞれの地域に応じまして組織づくりについての指導をやっておるわけでございますが、まだ不十分な面が多うございますので、さらに一そうこの観点を強化してまいりたいというふうに考えております。  同時に、これとうらはらの問題といたしまして、先ほどお答え申し上げましたように、中小企業関係のいろいろな資金援助の方途があるわけでございます。あるいはまた災害防止施設についての資金援助の方途がございます。したがいまして、そこらの具体的な措置につきまして内容不十分なものにつきましては、さらにこれを拡充さしてまいるという方向で積極的な助成努力をいたしたい、こう考えます。
  111. 玉置一徳

    ○玉置委員 川砂利採取の場合に、川砂利の規制にあいまして山砂利に転換をする者には、それぞれの資金的な裏づけをしてあげるように確かになっておると思うのでありますが、この場合におきましても、採取計画その他のところで入ってまいりますけれども、あまりにも零細な企業そのものだけではこの計画が確実に実行でき得るというめどが立ち得ないときもあり得ると思うのであります。したがって、そういう人々の協業化というものを進めていくという考えは、私は非常にけっこうだと思いますし、また転廃業その他によって何らかの資金援助をしなければならないようなこともあり得ると思いますので、その節は十分な対策をしてあげていただきたい、かように思います。  そこで、次に質問を移します。第二条におきまして「この法律において「砂利採取業」とは、砂利の採取を行なう事業をいう。」こうなっておりますのは当然でありますが、採石によります被害というものも世間では間々問題になっておるように思います。御承知のとおり採石そのものにも問題がありますし、大きくかぶっておる土をのけなければならない、そこに必然的に同じような様相を呈することもあり得るわけでありますが、これについては通産省はどのような措置をしておいでになりますか。
  112. 吉光久

    吉光政府委員 お話しございましたように、採石につきましてもやはり公害問題を起こしておるわけでございます。実は採石法につきましては、現行の砂利採取法に比べまして公害防止の具体的な規制措置と申しますか、これが法律の体制でも一歩前進いたしておりまして、たとえて申し上げますならば、現行砂利採取法におきましては事後届け出制でございますけれども、採石法におきましては事前の届け出で、同時にまた事前に届け出られた計画書の内容によりまして、ここでは公害発生しそうであるというおそれが多い場合におきましては、公害防止の方法を定めましてそれを認可するという制度をとっておるわけでございます。したがいまして、砂利採取法の今度の規制方式と少し違った点はございますけれども現行法上の公害防止の方法をさらに強化いたしまして、その制度をさらに強化することによって公害問題に対処いたしたい、このように考えておるわけでございます。
  113. 玉置一徳

    ○玉置委員 今回の砂利採取法によりまして、いままでの事後届け出制を事前の許可制度に改めた。ただし、内容は御案内のとおり登録制であり事業認可という形になっておるわけであります。  さて、第四条の登録の申請でございますが、第二項の砂利採取業務主任者、この業務主務者というものに非常に比重がかかっておりまして、会社の経理的な基礎というものを、資本金その他系列というようなものをあまり見ておいでにならぬように見ますが、この理由を御説明願いたいと思うのでございます。
  114. 吉光久

    吉光政府委員 砂利の採取法に関連いたしまして、その災害を防止いたします手段といたしまして、まず第一に、人的な側面についてチェックする必要があるであろうということと、第二段目に物的な側面、その二つの面、それにいまお話しございました資金経理的な面、いろいろなチェックの手段があると思うわけでございます。このたびの登録制におきまして考えましたのは、人的な条項につきまして、砂利採取業者としてふさわしい人的側面というものがあるのではないかということから、特に特定の欠格条項の問題と同時に、砂利採取の業務主任者という者を必ず置かなければならないというふうなことをこの登録必要要件にいたしたわけでございます。したがいまして、この登録につきましては、砂利採取業務主任者、資格を持った業務主任者を置いているかいないかということば非常に重要な意味を持つわけでございますけれども、いまの経理的な側面につきまして、実はこの砂利採取業者の経営規模というものは全く千差万別でございます。いろいろの経営規模があり得るわけでございまして、これは特に現実の実態がそうでありますと同時に、やはりそれぞれの地点に応じまして、採取業者の資本金の額が必ずしもあるレベル以上でなくても事業ができるというふうな面もあるわけでございますので、したがいまして、登録の要件といたしましては、経理基礎等は一応問わないことにいたしたわけでございますが、現実に採取計画に基づきまして認可いたします場合に、その採取計画の採取量に対応した公害排除施設というものができるかどうか、そこらについての資金手当てはどうなっておるかというふうな問題につきましては、具体的な問題として資金の裏づけを要求し、そしてそれのないものについては採取計画の規模を小さくさせるとか、そういうふうな方法で対処いたしたい、こう考えておるわけでございます。
  115. 玉置一徳

    ○玉置委員 これは登録の場合に採取業務主任者を置くことが必須条件でありますが、採取計画の場合はどうでありますか。
  116. 吉光久

    吉光政府委員 採取計画認可申請書の中には、業務主任者の氏名というものが出ていないわけでございますけれども採取計画提出いたしますのは登録を受けた砂利採取業者でございまして、したがいまして、必然的に業務主任者はだれであるかということがわかるような仕組みになっておるわけでございます。したがいまして、認可されました後に、たとえばその作業場に標識を掲げるというふうな場合には、業務主任者の氏名等は必ず明示させるというふうなことにいたしておるわけでございます。
  117. 玉置一徳

    ○玉置委員 そうすると、大臣登録を受けました場合に、登録には採石業務主任者は書いておりますけれども、いよいよ事業認可の場合に京都府ではこれをやる、滋賀県ではこれをやる、あるいは京都府でも南山城の城陽町ではこれをやる、田辺町ではこうやる、それが同じ業務主任者でいいのかどうか。業務主任者というのはその会社なり経営体に一人でいいのか、事業場所ごとに一人ずつでいいのか、あるいは零細な方々が三企業お集まりなすって一人持っておってもいいのか、ひとつ具体的にお教えをいただきたいと思います。
  118. 吉光久

    吉光政府委員 砂利の採取業務主任者を設けました理由が、業務主任者の制度を通じて災害防止に役立てたい、こういう趣旨に出ておるわけでございます。したがいまして、その業務主任者の守備範囲と申しますか、これにはおのずと限度があるわけでございまして、その採取場の大きさあるいはまた個所等によりまして事務所の数も当然にふえてまいるというふうなことにもなりますし、と同時に、これはそういう非常に大きな責任を持っておりますので、したがいまして、いまから作成してまいります下部政省令等の命令の段階におきまして、その点は具体的にはっきりさせるつもりでおりますけれども、少なくとも、責任を持って砂利採取場−現場のほうです、現場のほうを巡回できるような意味での人数というものは必ず要求されるべき筋合いのものであると考えております。と同時にまた、一人の業務主任者が数個の採取場を兼務するというふうなことにつきましては全然考えておりません。
  119. 玉置一徳

    ○玉置委員 考えておりませんということは、よくない、こういうことですね。  そこで、それほど重要な砂利採取業務主任者は、先ほどの質問もございましたでしょうけれども、ちょっと私にはわかりにくいところもございましたので、具体的にどの程度の学力と、どの程度の経験と、どの程度の資格を備えておるものを想定されておるか、具体的にひとつお教えをいただきたいと思います。
  120. 吉光久

    吉光政府委員 理想から申しますと、非常に高度の技術的知識のあることが望ましいのでございますけれども、新たに始める制度でございますので、そう非常にむずかしいことを申しておったのでは、業務主任者の試験に合格する人がなくなるというふうなことにもなりますので、だんだんと資格は高めていくというふうなことで考えまして、現在スタート時におきまして考えております業務主任者の試験の基準と申しますか、あるいはその試験基準に基づきまして認定基準も出てまいるわけでございますけれども、一応現在の新制高校卒程度で、しかも砂利その他の、これは河川法もございますれば海岸法その他関係法律がたくさんございます。そこらについての基礎的知識をまず持っておること、これは基礎的知識でございます。と同時に土木工学に関します基礎的な知識、そのほかに具体的な問題といたしまして、たとえば掘さくの方法でございますとか、あるいはまた洗浄汚濁水の処理のしかたの問題でございますとか、これはいずれかといいますと、工業高校と申しますか、卒程度の知識は少なくとも持っていてもらいたいというふうなことでございまして、現実に現場に従事している人にとりましては、大体従前とも業務主任者制度はあるわけでございます。資格の制限はございませんけれども制度はございます。そういう仕事に少なくとも五年以上くらいの実務経験を持っていらっしゃる方、そういう方で、実際問題といたしまして、通産省と建設省と共同いたしまして、毎年砂利採取のそういう技術者に関する講習会をやっております。この程度の講習会に出席してそこを修了いたしておるというふうな資格は最低限必要になろうというふうに考えておりまして、そういう方向で、現在省令の内容につきまして検討を加えておる状況でございます。
  121. 玉置一徳

    ○玉置委員 ここは私は非常に大事なところだと思いますのは、ほんとうにこの法案の一番かなめをここに置いておるような感じがするのです。したがって新制高校程度だと、これもいいんでしょうけれども、あなたがおっしゃった採掘なりあるいは築堤なりあるいは諸般の土木については、大体昔の中学校卒業程度の、ことに技術の中学校卒業程度の方が十年ぐらいの経験を持っておられる程度の経験はぜひとも必要じゃないだろうか。いま御承知のとおり、現在八割ぐらいは新制高校へ行っておるのでありまして、その率はもっともっと伸びてまいりますので、新制高校程度というのは、われわれ終戦後いろいろな要件のときに使いましたけれども、いまではそれはもうそれ以下の者を見つけるのが困難なくらいでありまして、この大事な主任者の問題をどうこれから扱っていくか、一番初めが、法の走り出しのときが肝心じゃないだろうか。それが一ぺん認可を与えてしまいますと、あとでなんというのはそんなに起こる問題じゃございません。いまの時点をどう改めるかということでみんなが必死になっておるときでありますので、兼業の問題その他がございますから、兼業をあまり好まないというようなことでございますけれども私はむしろ二、三の兼業をやってもそういう資格の、しっかりした人格の、だれもが認められるような者を主任者として持ってくるほうがあるいは実情に合うんじゃないかとすら思うくらいであります。そういう意味で、もう一度具体的にこの点だけはどういう者を一体想定しているんだということをずばっとひとつおっしゃっていただきたいと思います。
  122. 吉光久

    吉光政府委員 災害防止の具体的な責任者になります関係上、この資格要件が非常に重要でありますことにつきましては、御指摘のとおりだと思うわけでございます。したがいまして、その内容につきましては十分に慎重に検討する必要があるというふうに考えるわけでございますけれども、先ほど私申し上げましたのは、基磯的な知識におきましては少なくとも新制高校卒程度の知識を持っておることということでございまして、特別の専門分野、いまお話しございましたような築堤でございますとか汚濁水の問題でございますとか、これはそういう新制高校で教わったというふうな知識ではございませんで、そういう問題につきましては、さらにそれにふさわしい資格要件と申しますか、そういうことが必要になってまいるであろうというふうに考えておるわけでございます。ただ、これを非常に高くいたしますと、試験合格者がほとんどいなくてこの業務主任者を置くことにいたしました制度全体に響いてくる問題もございますので、やはりこういう新しい制度でございます関係上、と同時に現在全国で七千程度、あるいは個所にいたしますとそれ以上に砂利採取業が営まれておりますので、そこらに経過的な混乱を与えないような角度で、同時にまた災害防止に大いに役立つ、その両者の面をあわせ検討いたしまして、具体的基準を設定してまいりたい、こう考えます。
  123. 玉置一徳

    ○玉置委員 もう一度聞いておきますが、二、三の同業に兼職することは好ましくない。ただし、協業化が進められたような場合、事業協同組合のような形をとった場合には、一業務主任者で当然いいと思いますが、その点はどうでありますか。
  124. 吉光久

    吉光政府委員 協同組合法上の事業協同組合として、一事業としてそれが協業化された上で事業が行なわれてまいるという場合におきましては、その作業場が一つしかないというふうな場合におきましては一人でけっこうだというふうに思います。ただ、作業場が非常にたくさん広範にわたってあるというふうなことになりますれば、それに応じた数の人が要求されてまいる。したがいまして、一業者ずつであればそれぞれ各一でありますものが、それが協同組合方式である作業について、ある特定の作業場についての作業管理が行なわれておるというふうなことであれば、これは一名でもかまわないというふうに考えます。
  125. 玉置一徳

    ○玉置委員 先ほどの問題、これは非常に実際問題としてこれから行なわれる問題ですから、もう一つ突っ込んで言うておきますが、非常に零細な者が多い、そのために非常な弊害が起きておる。したがって協業化を進めるんだ。協業化を進めるということになれば、これは事業を持っておる者が集まれということなんですから、採取事業場がたくさんあるわけですよ。それを一緒になれ、強くなれ、こういうわけです。五つなら五つ持っておる者が寄って事業協同組合をつくった場合に一人でいいのか。その横っちょにずっとあります目の届くところに、目の前に五つあるやつは五人要るのか。その点をひとつ御説明いただきたい。
  126. 吉光久

    吉光政府委員 作業場の数だけに拘泥いたしておるわけではないわけでございますけれども、一作業場の大きさが非常に大きいというふうな場合、あるいはまた一作業場が非常に小さいものがたくさんあるというふうな場合等におきまして、こういう災害防止の基本的な責務を負っておるわけでございまして、その責任が完遂できる範囲というものは、おのずとそれらの立地条件等によってきまってまいるだろうと思うわけでございます。したがいまして、一作業場に必ず一人、あるいは二作業場をこえてはならないというふうなことが、現実に監視の目の行き届きます非常に近隣周辺にありまして、毎日巡回指導が両方できるというふうな場合でありますと、これは一人でもけっこうでございますが、巡回指導がそうできない、一週間に一回くらいしかそこに行けないというふうな体制では、この作業主任者を置きました意義がなくなるわけでございますので、そういう現実の事態に即しまして、そこらの人数がきまってまいるというふうに考えてまいりたいと思っております。
  127. 玉置一徳

    ○玉置委員 局長は城陽町をごらんになりましたか。ごらんになってないんですね。説明員という形であの現場を見られた課長は、いま私が局長に質問をしておった点、一体どのように判断されるか。
  128. 竹村豊

    ○竹村説明員 昨年末に私も現場をつぶさに視察いたしまして、非常に公害と申しますか災害の激しいのに驚いた次第でございますが、業務主任者等につきましての問題につきましては、先ほど局長が答弁されたように私も考えております。
  129. 玉置一徳

    ○玉置委員 なかなかむずかしい問題でありますが、現場現場に応じて考えなければいかぬことはただいまのお話のとおりであります。しかしながら、協業でこれをどういうようにして組織化し、それで適正な、堅実な砂利採取の軌道に乗せるかという点と、公害防止オンリーでものを考える場合とで、重点の置き方がちょっと違ってくると思います。その辺これ以上質問することはやめておきますが、ひとつその点非常に重要だと思いますので、十分御検討いただきたいと思います。  それからこの業務主任者というものは、この法案の中でこれほど重点を置いているわけでありますが、十四条以下の業務主任者の義務、こういう砂利採取法そのものに違反した場合、だれが責任者になるのか、だれが処罰を受けるのか。いわゆる会社経営の代表者なのか、業務主任なのか。ものによっては会社経営者も処罰を受け、そして業務主任も処罰を受けるのか、この点をどうお考えになっておりますか。
  130. 吉光久

    吉光政府委員 会社の中におきます職制上の責任者といたしましては、業務主任者になろうかと思うわけでございますけれども、この法律の規定に基づきますそれぞれの命令違反等の問題につきましては、会社責任者がこの法律上の責任者でございます。したがいまして、この法律に違反いたしまして罰金その他の刑に処せられます場合には、会社責任者ということになるわけでございますけれども、同時にこの罰則の規定の中に、併科制度がございまして、たとえば業務主任者の指示に間違いがあった、あるいは業務主任者の僻怠にその根本原因があるというふうな場合におきましては、業務主任者もあわせて処罰を受ける、こういうふうな体制になっておるわけでございまして、法律上順守の第一次的な責任者は、やはり会社の責任者そのものでございます。
  131. 玉置一徳

    ○玉置委員 質問を次に進めたいと思います。  第十七条でありますが、採取計画、「前条の採取計画には、次の事項を定めなければならない。」こうなっております。その一つ目は砂利採取場の区域であります。区域の大きさを一体どのようにお考えになっておるか。つまり現時点におきます城陽町の場合を見ますと、非常に狭いところに二十数社という事業場ができております。そして狭いものでありますから、山を平地のところまで、平地ということはおかしいのですが、その山の近所の平地のところまで採取をしておいて、それを平地にしておいて次へ移るとかいうふうな幅、広さを持ってないわけであります。したがって、片一方を掘り起こしますと片一方へ捨てて、逆にまたそれが済んだらやっていかざるを得ないというような、場所というのは変でしょうが、事業場の対象範囲が非常に狭いということが言えると思うのですが、適正規模というものをお考えになっているかどうか。
  132. 吉光久

    吉光政府委員 ここで規定いたしました区域でございますけれども、この採取計画認可という制度を採用いたしましたのは、本来災害の防止という観点から、採取計画につきまして事前チェック制度というものを採用いたしたわけでございます。したがいまして、経済的合理性のある区域というふうなことも一つの角度でございますけれども、あくまでもその次に出てまいります、そこでどれだけの数量、どれくらいの期間かかって掘るかということに対応いたしまして、それに対する災害防止設備がどのように組み立てられ、またそれが近隣産業、たとえば一番端的な例は農業、林業でございますけれども、どういう影響を与えるかというふうな災害防止観点から、その事業体として適正な規模というふうなものがおのずと出てまいろうというふうに考えたわけでございまして、経済的な採算単位としての区域というふうな把握のしかたというよりか、むしろ災害防止観点から、それだけの区域についてそれだけの数量ということが、防止設備とのうらはらの形におきまして確保できるかどうかというふうなことも頭に描きました上で規定いたしたわけでございます。したがいまして、ここで頭に描いておる合理的な区域というふうなものは、実は経済的、合理的区域というふうなものはあまり念頭にないわけでございまして、あくまでも災害防止観点から、その企業体として合理的に掘り得る範囲というふうなものがここで求められるべきではないかというふうに考えております。
  133. 玉置一徳

    ○玉置委員 話はわかりましたけれども災害防止的な見地から見る合理的な採取計画というものは、勢い経営の合理的な見地とも同じことになると思うのです。そういう点をよくお考えいただきたいと思います。  そこで、埋め戻しは、初めから採取の方法その他の計画にお入れになるかどうか。それから先ほど申しました、ことばは語弊がございますけれども、畑地等の平地までを採取することにとどめようとお思いになっておるのか、いまのようにものすごい深いものまで掘ってかまわぬと思っておいでになるのか。その場合には埋め戻しはどういうようにお考えになっておるか。
  134. 吉光久

    吉光政府委員 掘りっぱなしにいたしまして、そこに穴があきっぱなしになっておるということのために起こってまいる災害が多々あるわけでございます。したがいまして、原則的にはほとんど埋め戻しを伴うという採掘が一番多いと思うわけでございますけれども、場合によりましては、そこは平坦地になるというだけでございまして、あえて平均化運動は要らないというふうな場所の場合におきましては、これはもう埋め戻しは最初からなしということになると思いますが、一般的にはやはりそこに穴を掘って、穴が残るということが一番いけないことでございます。原則的には埋め戻しの措置をとらせる場合が圧倒的に多いというふうに考えます。
  135. 玉置一徳

    ○玉置委員 その埋め戻しは、隣の山を掘ってまで埋め戻すということはちょっとないと思いますので、しかもどろどろの、俗にわれわれヘドロと申しておりますが、それでもって埋められた場合に、もしも間違ってその上に登るようなことがあれば、人間はその中に埋没するのです。埋め戻しというのは一体新しい土で埋め戻すのか、少なくともそういう危険のない程度に埋め戻さなければならないのか、この点も明確にしておかなければならないと思うのです。それによって、先ほど申しましたように、平地以下非常に低いところまでいまのように採掘をしていることがいいか悪いかという問題も起こってくると思いますが、そこまでお考えになっているかどうか。
  136. 吉光久

    吉光政府委員 普通原則的に考えます場合には、そこを掘ります前のその土地土質、形状をもとに戻すというのが普通の考えであろうかと思うわけでございますが、ただこういうふうに砂利を採取いたしまして、たとえばこれが農地の開拓事業的なものとして行なわれるというふうなことになるといたしますと、埋め戻した後が農地としての効用を持つように埋め戻す、あるいはまたそれを宅地として埋め戻す、その場所の置かれました条件に応じまして、それぞれ違った埋め戻しの態様がとられる、これは土質でございますけれども、こう思うわけでございます。一般的に申し上げれば、土地をもとの状況にかえす、したがいまして、ヘドロ等で埋め戻すということは埋め戻しにはならないというふうに考えております。
  137. 玉置一徳

    ○玉置委員 ヘドロ処理というものが、それを運搬してどこかへ捨てなければならないとすれば、あの業態は全部成り立たないのです。だから、いまの局長のおっしゃったことは非常にけっこうでありますが、現地を見ればとうてい不可能に近いことでありますので、この辺でおいておきますけれども、次の細目をおつくりになりますときは必ず現地を見られまして、全責任者が現地を見て、ひとつ御検討いただきたい、かように思います。  そこで、これに関連しまして農林省に一言聞いておかぬといかぬと思うのですが、自分の山の地点ぎりぎりまで切り取られますと、あとに切ったてができまして、残った山が自然崩壊をするわけです。そういう場合に、ある程度の間隔を置いて傾斜をうんとゆるくするか、あるいはそれに山腹砂防を施すというようなことをしてもらわなければ困るんだということをひとつ申し入れになるかどうか。だれかおわかりの方ひとつ……。
  138. 中野和仁

    ○中野説明員 お答え申し上げます。ただいまお話しのありましたこと、農業から見まして災害が非常に起きやすいことに対しまして、どういうふうに扱うかということでございます。今度法律ができました場合に、もしそこが農地であれば農地転用ということもあわせて許可制がかぶってまいります。その場合に、片一方の採取計画認可農地転用の許可と、両方あわせて事前に都道府県の部局で相談をさせるということにいたしたいと考えておりますが、その際農地なり農業施設に被害がこうむらないような施設は、農林サイドとしましては当然要請をしたいというふうに考えております。
  139. 玉置一徳

    ○玉置委員 私がいま申し上げておりますのは、山腹砂防を必要とするような傾斜の非常に強いものが多いですから、その点もひとつ法案が通りましてからよく御検討いただきたい、かように思います。  そこでもう一点、採取計画ところにいろいろな点がございますけれども、非常に目につきますのは、ある一地点に自動車が一日三千台近く、あるいはそれ以上集中をするわけであります。そうすると、勢い近隣の畑、町村道、あるいはそれを通るいろいろな車もしくは人、そういうものが非常に危険度を感じるわけであります。それからこの運搬計画、運搬道路ということが相当重要な部面になると思うのですが、こういうものはどこにも載っておりませんけれども、十分配慮していただいて、一方交通にするとか、いろいろな点を考えなければならないと思いますが、これについての所見をお伺いしたいと思います。
  140. 吉光久

    吉光政府委員 お話しのとおりでございます。したがいまして、この採取計画認可申請者の添付書類の中に、そういう付近の交通図等についての図面を添付して提出させるということにいたしたいと思うわけでございます。砂利採取業者が守らなければならない事項、運搬業者が守らなければならない事項、いろいろあるわけでございます。したがいまして、少なくとも従来道路に関しましては、道路交通法でございますとか、あるいは道路法でございますとか、今度の輸送関係につきましてのダンプ規制法でございますとか、いろいろの法令があるわけでございますが、砂利採取場を起点として、そこでどういう仕事がどう行なわれ、しかもそれが付近の道路に対してどういう影響を与えるかというふうなことにつきましては、地元のほうも非常に利害関係をお持ちであるわけであります。したがいまして、いまのような図面等がついてまいりました採取計画認可申請書の写しを、すぐに関係の市町村のほうにお送りしまして、そこで交通問題一般もあわせて御検討いただくというふうなことにいたしたいと思っておるわけでございます。
  141. 玉置一徳

    ○玉置委員 ここでちょっと砂利採取の経営問題につきまして質問をしておきたいのですが、一つは、名義人と出資者と違う場合が間々あるわけであります。したがって先ほどの時点で申しますと、埋め戻しの済みました後に被害の追及をする場合に、事実上もう収拾つかない場合が非常に多うございます。この点を一体どこで選別し、どこでそういうととのないようにしようと思っておるか。  二つ目は、採取すると採取をして自動車でもって運搬して売りに大阪なりどこなり需要地に運んでおる人、そうじゃなしに、採取はしておるけれども、そういう自動車を一ぱい持ちまして、そこへ買いに来て運ぶ人、これが相当多うございます。これのほうが多いのかもしれません。それからそれの混合、この三つの形態があるわけでして、採取業者に町村から文句を言うてまいりましても、それは私のほうとは関係ございませんという場合が間々あるわけでありますが、こういうものをどういうように規制しようと思っておいでになるか。それはどこで規制をされるのか、お示しいただきたいと思います。
  142. 吉光久

    吉光政府委員 ただいまの御質問二点あったわけでございますが、最初の名義人、出資者の関係でございます。この法律砂利採取業を営む者というふうに言っておりますので、現実に砂利採取業を営んでおる人、普通は実態と名義が一致いたしておると思いますけれども、陰にかくれておる人ではなくて、現実に砂利採取業を営んでおる人が、この場合の採取業者に当たるわけでございます。それから第二の、これはいまも申し上げましたように、採取業者でございますので、砂利採取業を営んでいない、ただ運搬事業だけを営んでおるというふうな者につきましては、この法律の規制からはずれておるわけでございます。ただ運搬事業だけしか営んでいない、こう申しましても、現実に山元と申しますか、砂利の採取場で処理できるというふうな事項につきましては、これは採取業者のほうの義務の問題といたしまして処理いたさなければならない面もあるかと思うわけでございますが、それはたとえて申しますと、水たれ運転と申しますか、水切り施設というふうなものは、採取場は必ず設備しなければならない。これは運搬者の立場でなくて、採取場で必ず水切り施設をつくるということは、砂利採取業者がやはりかむるべき問題である、このように考えておるわけでございます。
  143. 玉置一徳

    ○玉置委員 大臣が御用事がありますので一言だけお伺いして、参議院に行っていただきたいと思うのですが、先ほどお伺いしておりましたこの法案の第一条でありますが、「この法律は、砂利採取業について、その事業を行なう者の登録、砂利採取計画認可その他の規制を行なうこと等により、砂利の採取に伴う災害を防止し、あわせて砂利採取業の健全な発達に資する」こうなっております。  そこで、御存じのとおり河川砂利というものが除々に規制しなければならないような様相になっております上に、近く行なわれます万博等の関係もありまして、年々砂利需要増大してまいります。そこに山砂利の問題が起こり、大きな公害問題が起こっているわけであります。土地の効用そのものは、どういうふうに利用してどう効率をあげるかということは別でありますが、これは国土のやはり一部分であります。これをどんなことがあっても公害を起こしてはならない。そのために今回こういう法案提出がなされたわけでありますが、と同時に健全な発達ということも、これは通産大臣としては片一方どうしても考えなければならない点だと思うのです。こういう二つの相反する問題を処理していく非常にむずかしい問題でございますけれども、絶対に公害を起こさない、その上に立ってこの砂利需要公共事業の需要に応じていくということについて、どういう決意をお持ちになっているか、お聞わせいただきたいと思います。
  144. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 骨材需要にかんがみて、その需要を充足するということももちろん重大なポイントでございますけれども、とにかく公害を起こさないということをやはり重点としてわれわれとしてはこれを処理してまいりたい、こう考えております。
  145. 玉置一徳

    ○玉置委員 大臣もうけっこうでございます。  二十一条の順守義務でありますが、これに違反した場合に、先ほども申しましたが、その違反の様相によって会社の経営者を罰するのか、主任者を罰するのか、どういう問題の場合に併科するのか、御説明をいただきたいと思います。
  146. 吉光久

    吉光政府委員 二十一条の順守義務は、あくまでも砂利採取業者の順守義務でございます。しかし砂利採取業者が順守義務を持ちますということは、同時にこの業務主任者の任務自身が、やはり砂利災害防止についてその職務を忠実に行なうということが砂利採取業務主任者の任務でございます。したがいまして、第一義的には砂利採取業者がこの順守義務を負うわけでございますけれども、内部的には業務主任者がやはりその義務を実質的には負担するということになるかと思うわけでございます。したがいまして、たとえば業務主任者はこの順守義務を忠実に守って作業をやることを主張いたしましたにもかかわらず、砂利採取業者がその意見を無視いたしまして、そして順守義務に違反したというふうなことになれば、これは砂利採取業者だけがその順守義務違反になる。しかしそうではなくして、いずれもこの順守義務を守らなかったというふうなことになれば、お互いにこの義務違反の問題として罰則を受けるということになるわけでございます。
  147. 玉置一徳

    ○玉置委員 第二十二条によりますと、「都道府県知事又は河川管理者は、認可採取計画に基づいて行なわれている砂利の採取が第十九条に規定する要件に該当することとなり、又は該当することとなるおそれがあると認めるときは、その認可を受けた砂利採取業者に対し、当該認可採取計画を変更すべきことを命ずることができる。」ということになっております。その次の二十三条に緊急措置命令、「砂利の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきこと又は砂利の採取を停止すべきことを命ずることができる。」こうなっております。それから同じく第二項に、「採取跡の埋めもどしその他砂利の採取に伴う災害の防止のための必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」いずれも変更命令から緊急措置命令、停止命令も出し得ることになっておる。しかもそれが「該当することとなるおそれがあると認めるとき」これが今度の法案一つの柱でありますが、こういうものを変更命令が出ましたときに、それを平気で行なった場合はどうされますか。どうなるのですか。
  148. 吉光久

    吉光政府委員 変更命令に従わないでそのまま作業を続行しておるということでございますと、むしろもとの認可されました採取計画自身についての取り消し命令が行なわれる、あるいはまた一時事業の停止を命ずることもできるというふうになっておるわけでございまして、それをそのままの形でそのまま掘り進めるということは認められないし、また認めてばならないものだというふうに考えております。
  149. 玉置一徳

    ○玉置委員 それをまた平気でやった場合はどうされますか。その場合がいままでは非常に多いのです。で、重ねて聞くのですが……。
  150. 吉光久

    吉光政府委員 さらにそれが平気で行なわれております場合におきましては、やはり事業者として適格性を欠く、人的適格性を欠くという意味で事業登録を取り消しまして、同時にもちろん、これは前の段階でもそうでございますけれども、当然に法令違反者として告発さるべきものだというふうに考えますが、行政措置といたしましては、事業者としての適格性を欠く人といたしまして事業登録を取り消すというところまで処分すべきものであるというふうに考えます。
  151. 玉置一徳

    ○玉置委員 取り消しても平気でやった場合はどうするか。非常にたくさんあるのですよ。だから念を押して聞いておるのです。
  152. 吉光久

    吉光政府委員 行政措置といたしましては以上まででございますけれども法律違反といたしまして少なくとも摘発され、刑罰の適用を受けるべきものである。同時にまた、取り消しました限りにおきまして再度事業はできない、要するに登録の申請はできない形になっておりますので、したがいまして、そういうものにつきましては刑罰をもってこれに対処するということになるかと思いす。
  153. 玉置一徳

    ○玉置委員 そのときに埋め戻し等をやらないでそのままになった場合はどうされますか。
  154. 吉光久

    吉光政府委員 埋め戻し命令につきましては、これは無登録業者であれあるいは無認可業者であれ、すべて埋め戻しの命令が出せるようになっておるわけでございます。こういう埋め戻しの命令が出たにもかかわらずそれを履行しないというふうなことになるといたしますならば、これは行政代執行法によりまして国または地方公共団体みずから埋め戻しを行ないまして、その費用を関係人から徴収するということになると思います。
  155. 玉置一徳

    ○玉置委員 事業は登録制があり、許可制がありますから、そう間違いは少ないと思いますが、従来はこの場合にほとんどの方々が逃げてしまいまして、これは代執行のあと金を払ってもらった場合はほとんどございません。そういう場合はどうされますか。
  156. 吉光久

    吉光政府委員 代執行によります費用の追求は、国税滞納処分の例によってやることになっておりますことは御説明するまでもないことでございますけれども、その例によりましても徴収できないという場合、要するに、国税徴収と同じ形で徴収いたしましても徴収できないという場合は、代執行法の執行過程におきましては間々あることかと存ずるわけでございますが、事実上できなかった場合でございますけれども、できないということで、実際問題としては、代執行としてやりました行為の効果だけが残ってまいるということになろうかと思います。
  157. 玉置一徳

    ○玉置委員 そういうことのないように、ひとつ十分に御配慮をいただかなければいかぬわけですが、そこでもう一つ、緊急の場合に町村長あるいは府県知事、ことに町村長の場合が多いと思いますが、消防団、水防団等をもって、事故の起こらないように応援をせざるを得ない場合が多いと思います。こういう非常災害の場合の町村の協力というものは、どこで費用が補償されるか、払われるのか。
  158. 吉光久

    吉光政府委員 大洪水、集中豪雨等によりまして、そういう消防団あるいは水防団等の出動の場合もあり得ようかと思うわけでございますが、実は、この砂利採取法には、それらにつきましての特別の規定を置いていないわけでございまして、あるいは水防法あるいは消防法等によりましてとられる措置が、そのままの内容になろうかと考えます。
  159. 玉置一徳

    ○玉置委員 水防法、消防法というのは原因者負担ということですか。
  160. 吉光久

    吉光政府委員 現実の災害形態が、私が先ほど申し上げました例示は、集中豪雨でございますとか大洪水とか、予想しなかった災害、異常災害と申しますかが生じました場合に、堰堤が決壊する、あるいは温水するという事態に対応して申し上げたわけでございますけれども、そうではなくて、実際に堰堤自身が弱くて決壊するというふうな、事業者自身の責めに帰すべき事由によってこれが決壊するというふうなことでございますれば、これは当然に事業者がその損害の補償に任ずべきである、このように考えます。
  161. 玉置一徳

    ○玉置委員 町村長が、緊急の場合の立ち入り検査をぜひやれるように、ひとつ直していきただきたいという要望が多うございましたが、これは委任を受ければやれぬことではないということと別に、包括的に話し合いさえしておけば、事実上としてはいつでも入り得るということで、私はある程度いけるのじゃないかという感じがしますが、そのように理解しておいてよろしゅうございますか。
  162. 吉光久

    吉光政府委員 普通の場合におきましては、こういう立ち入り権限がなくても事実問題として出入りできるわけでございますけれども、がんこ者がおりまして、どうしても立ち入り検査証を示せ、そうでない場合においては入れないというふうな者がいました場合における伝家の宝刀と申しますか、そういう相手の意思いかんにかかわらず入れるというところに、この立ち入り調査権の意味があるわけでありまして、したがいまして先ほどのお話のように、地元の市町村が非常に関心をお持ちでございます。したがいまして、そういう意味でおそらく地元市町村の責任者の方が出入りされることについて、拒否権を発動するような事業者はいないと思いますけれども、万万一というようなことであれば、機関委任事務でございますので、委任が行なわれていなければ、知事のほうに要請していただいて、そして知事のほうの立ち入り検査の発現になり、同時にまた日ごろの制度といたしまして、町村長等に権限の一部が委任されております場合は、それを正当に行使していただくということになろうかと思います。
  163. 玉置一徳

    ○玉置委員 建設省にお伺いしたいのですが、こういう場合にやはり一番国土を守るのに強いのは、砂防法的というのもおかしいのですが、砂防法に掲げておるところが一番守りやすいと思うのです。ところが、御承知のように砂防法そのものもずいぶん昔のものでありますので、私は建設省の砂防課長と四、五年前からこの話をしておったのですが、なるべくすみやかに新しい事態に適応するように改正すべきところ改正したい、しかしながら何しろ膨大な法律なので、各面のあれに関係があるものでありますから、急速にできないので弱っているのだというふうな話がございましたが、砂防法も改正する御意図があるのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  164. 多治見高雄

    ○多治見説明員 私から御説明申し上げるまでもなく、先生十分御承知のように、砂防法は非常に古い法律でございまして、罰則の罰金の額等を端的な例として見ましても、現状に合わない点がございますので、早急に改正する必要があるということで検討いたしておりますが、御承知のような事情でなかなか成案を得がたい面もございまして、目下できるだけ早い機会に改正したいということで検討いたしておりますので、御了承願います。
  165. 玉置一徳

    ○玉置委員 農林省の方に一言お伺いしておきたいのですが、こういう砂利採取に伴う農地被害がございました場合、被害が直接、間接いろいろな様相を呈しておりまして、具体的にその被害被害に応じてでないと判断でき得ないと思いますが、農民保護の立場から、できるだけ積極的な取り組み方をお願いを申し上げたい、こう思うのですが、どういう態度でこの砂防法の改正に臨んでおいでになるか、一言所見を承っておきたいと思います。
  166. 中野和仁

    ○中野説明員 所管が林野庁なものですから、直接詳細には存じませんけれども、いおのお話よく林野庁のほうに伝えたいと思います。
  167. 玉置一徳

    ○玉置委員 それでは最後に通産省に要望を申し上げておきたいのですが、先ほどいろいろな問題で、災害の防止が一番重点ですかということをお伺いし、それから採取方法のところで経営規模の問題をお伺いしましたのは、実際は現在行なっておる様相を見ますと、お話のとおりいずれも零細な企業主が多うございまして、たとえば何と申しますか、十万坪のところで逐次掘り、逐次整地をしというような様相ではございません。ある砂利の質のいい地点に集中、密集いたしておりまして、先ほど申し上げましたとおり三千台、五千台という自動車が、一日にある場所に集中するというようなことでございまして、この法案ができましても、府県知事並びに町村長にしてみれば、この書いてある文言を具体的にどういうふうに進めていくかということは、非常に苦心の存するところじゃないか。国は国でこういうふうにやりなさいということでやればいいわけでありますが、いよいよ住民の保護の立場と、業者というものもそう簡単に営業の自由をつぶせないというような、衝に当たる方々にしてみれば、実際問題としてはこれからがむずかしい大きな問題に入っていくのじゃないか、こう思います。  そこで、これは前の事後届け出制と比較すればよほど前向きに進んだ法案であるから、一日も早く法案を上げてもらいたいという要望が多うございますので、われわれいろいろな点がはたしてうまくいくであろうかというような不審を抱く点もなきにしもあらずでありますけれども、やってみなければわからぬことでありますので、私は、これを施行後、施行の細目にわたるときには、ひとつ十分現地の事情とそれから現地の人々の意見を取り入れていただきたい。その次は、やってみて、なお足らざるものは次に改正するのにやぶさかでないように、みんなでこの法案をよいものに一日も早く仕上げていくというような方向でものを考えていきたい、こう思うのですが、それにつきまして所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  168. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘いただきましたとおりだと思うわけでございます。いろいろと、基準の問題にいたしましても、これが全国ばらばらで行なわれるということは非常に好ましくないことでございますので、関係省庁、非常に範囲が多うございますけれども、現在もすでにいろいろの連絡をやっておりますが、さらにこれを急ぎまして、この法案成立の暁におきましては、これができるだけ早く施行できますように、各省で、統一的な基準と申しますか、これを準備いたしまして、この統一的基準に基づきまして、現地におけるそれぞれの法律の運用ができるという体制を一日も早く準備いたしてまいりたいと考えるわけでございます。  なお、これを施行してみました場合に、さらにいろいろと問題が生じました場合のことについての御配慮をいただいたわけでございますが、もちろんこれは恒久法の形をとっておりまして、現実に私どもはこれで対応できるというふうに思っておりますけれども、もし現実の事態が違った動き方をいたしました場合におきましては、それに対応してこの法律を運用してまいりますことにつきましては、決して異存があるわけではございません。
  169. 玉置一徳

    ○玉置委員 質問を終わります。
  170. 小峯柳多

  171. 中谷鉄也

    中谷委員 電気用品取締法改正案についてお尋ねをいたしたいと思います。  今度の国会では、割賦販売法の改正案から、砂利採取法改正案、そうして本案につきまして、いずれも消費者保護、住民保護という立場で質問をいたしたいと思うわけでございます。  そこで、法の第一条に、「粗悪な電気用品による危険及び障害の発生を防止すること」がすでに目的として明定されておりまして、今回の改正案は、それらの目的をより一そう効果的に果たそうとするものであるということに相なっております。  そこで、次のような点について事実関係を明確にいたしたいと思うのであります。  すなわち、まず粗悪な電気用品を除去するという目的から、最初に法三条によって、現行法は登録の制度を設けております。そこで、五十七条第一項第一号に基づく「登録を受けないで電気用品の製造の事業を行なった者」が一体どのくらいの件数存在をするのか。これについてひとつ現在までの統計をお示しをいただきたい。  次に、同じく二号の「〔登録製造事業者に係る電気用品の型式の認可〕又は〔輸入事業者に係る電気用品の型式の認可等〕の規定に違反してこれらの認可を受けた型式の電気用品以外の電気用品を製造し、又は販売した者」、いわゆる製造の違反は一体どの程度あるのか、販売の違反はどの程度あるのか、これをひとつお示しをいただきたい。  なお、これは五十七条の一項一号ないし二号違反の事実と、それが現実に五十七条一項一号、二号の罰則の適用を受けた者とに仕分けてひとつ御答弁いただきたい。  同時に、これらの違反事実はどのような形で監視し検挙されたものか、すなわちそのような事実を組織的に究明をする、摘発をするという体制が十分確立されておるのかどうか、このような点について冒頭お尋ねをいたしたい。
  172. 井上亮

    井上(亮)政府委員 まず、お尋ねの第一点でございますが、登録を受けた者が製造できるという規定になっておるわけですが、登録を受けないでやった者はどの程度あるか、いままでに私ども確認いたしました——これは立ち入り検査等の形を通じましたり、あるいはその他事故がありましたときに検査して発見したというようなものが六件ほどございます。   〔委員長退席、宇野委員長代理着席〕  なお、罰則の適用を受けました者につきましては、いままでにすでに罰則の適用を受けましたものが二件、現在告発しておりますものが三件ございます。その内訳を少し御説明申し上げますと、特に最近告発しましたもの三件は、東海地方で一件、広島地区で一件、近畿地区で一件、この三件でございます。  なお、監視体制の問題でございますが、私どもといたしましては、一応役所が立ち入り検査によりまして製造業者、販売業者監督するということのほかに、役所の予算によりまして市販品を買い上げまして試験するという制度がございます。それからもう一つ、民間の団体でございますが、電気協会という機関がございます。その中に電気安全委員会というのを置きまして、この電気安全委員会は消費者、学識経験者あるいは機械メーカー等をもって構成いたしておりますが、予算を持ちまして買い上げ行為をやっており、買い上げ行為を通じまして、その試験の結果不良品を発見するというようなことで監視をいたしております。
  173. 中谷鉄也

    中谷委員 お尋ねをいたしたいと思います。  昭和三十九年度の商業統計表によりますと、全国で、たとえば卸売り業、小売り業の合計は四万三千二百十七ということになっておるわけであります。  そこで先ほどの私の質問のあとのほうの質問でございますけれども、二号の「販売した」ということの違反件数は一体どのくらいあるのだろうか。一体それについて罰則等の適用を受けた者があるのだろうか。しかも、それは万全の、十分ないわゆる監視体制というものが立てられておってそのような件数が検挙されたのだろうか、こういう点について私はお尋ねをいたしたいと思うのであります。  たとえば、先ほど御答弁になりました立ち入り検査の件でありますけれども、電気用品の製造事業者数というのは一体どの程度に相なるのでありましょうか。昭和四十年度の工業統計表によりますると、全国の計はたしか四千八百四十六だろうと私は資料で拝見をいたしました。といたしますと、立ち入り検査についての実績表が昭和四十一年度についてはすでに資料があるようでございます。といたしますと、その立ち入り検査工場数というのは、たしか昭和四十一年度で三百三十一ではなかったでしょうか。といたしますと、立ち入り検査の結果、そのようなものが発見されたということだとすると、この立ち入り検査は一体登録した製造業者についてはどの程度立ち入り検査をし、登録していない業者についてはどの程度立ち入り検査をしておるのか、これらについての一つの仕分けも明らかにされなければならないと思うのです。いずれにいたしましても、私がお尋ねをいたしたいのは、法の五十七条は罰則の規定ではありまするけれども、粗悪品追放ということは、登録を受けないで、あるいはは型式の認可を受けないでものを製造したり販売したりするということは、消費者に多大の迷惑をかける、そのようなことは追放されなければならない、取り締まらなければならないという立場に立ったところの法文であろうと思うのです。それらのものについて、ただ単に立ち入り検査の機会にそのようなものが発見された、あるいは何らかの民間の団体の、いわゆる偶然の機会におけるところの努力の結果、検挙され、摘発されたということは、消費者の立場からはなはだ不安であります。これらの点についていま一度明確な答弁をいただきたい。
  174. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。まず最初のお尋ねの販売事業者の数でございますが、電気用品の販売事業者は、卸業者が約六千、小売りが三万六千というような数字になっております。なお、製造事業者の数は、私ども指定いたしました甲種の電気用品の業者の数が三千三百六十三ということになっております。その他は大体乙種と見ておりますが、乙種と私ども予定しておりますのは千四百八十三くらいあります。ですから、ただいま登録いたしております甲種が大部分を占めておるというように考えております。  それから、次のお尋ねの立ち入り検査の実態でございますが、最近の事例をまず申し上げてみたいと思います。昭和四十一年度におきましては、立ち入り検査といたしましては登録製造事業者、これは二千六百七十七、このうち検査をいたしました件数が三百三十一件でございます。その結果、違法とわかりましたのが非常に多うございまして、違法個所を発見したというのが三百件、なおその工場のうち、違法であると認めましたものは百二十八件、約三分の一程度を発見いたしたわけでございます。これに対しまして、私どもといたしましては、業務の改善命令等の処分をいたしましたり、あるいは公文書による戒告等をいたしたわけでございます。  なお、四十二年度、昨年度におきましても、大体同数の三百二十八件の検査をいたしました。その結果、違法工場数は百二十五件、そのうち私どもといたしまして業務改善命令等をいたしましたものは、戒告が八十件にのぼっております。そのほかは口頭戒告というような形で善処いたしております。
  175. 中谷鉄也

    中谷委員 昭和四十一年度立ち入り検査実績表、いま御答弁になりましたように、違法工場数百二十八、公文書戒告七十五、口頭戒告五十三、違法個所件数三百三、検査工場数三百三十一、こういうふうな御答弁どおりの資料でありますが、私がお尋ねをいたしておるのは、この違法工場数百二十八、昭和四十二年度において百二十五というのは、登録をしていないという工場がこれだけあったというわけではないわけでございますね。  さらにまた、型式の認可を受けないで電気用品の製造をしておったものが一体幾らなのか。百二十八の内訳は一応明確にされなければならないだろうと思うのです。消費者の立場から一番おそろしいのは、登鉄を受けない業者について、これはとにかく隠れてやっているのですから、なかなか摘発することはむずかしいと思うけれども、どの程度のものがどのような組織的な形において調査され、摘発されようとしておるのか、この点をもっと明確にしていただきたい、こういうことです。同じことを三回ばかり聞いて非常に恐縮ですが、お尋ねをしておきます。
  176. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。先ほど私がお答えいたしました検査工場数あるいは違法の工場、これはすべて登録を受けました企業でございます。法律のたてまえからいたしますと、登録を受けた企業について立ち入り検査するということになっております。登録を受けないものは製造できないということになっておりますので、一応市販します電気用品をつくりますメーカーは、全部登録を受けなければいかぬというたてまえでございます。しかし、先生お尋ねのように、たてまえはそうかもしれぬけれども、かりに登録を受けないで製品をつくって市販した場合がおそろしい、まさにお説のとおりだと思います。これにつきましては、対処策といたしましては、私どもやはり違反品を買い上げまして、買い上げ検査あるいは市販品についての監視体制、これを強化する以外に道はないのではないか、このように考えております。
  177. 中谷鉄也

    中谷委員 そこでだんだんの順序を追ってお尋ねをしておきますが、無登録あるいは無認可型式というふうなものが出されておる。それらは当然摘発の対象になる。その次に問題になるのは、登録され、型式の認可を受けているけれども、現実の電気用品が型式に違反している、あるいは電気用品の技術上の基準を定める省令に適合していない、これらの問題については、当然店頭検査、買い上げ検査という問題が生じてくる。  そこで、店頭検査並びに買い上げ検査の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。あくまで消費者の立場から、かなり消費者保護という観点を強く打ち出した尋ね方をいたしますが、販売業者の数あるいは製造業者の数等については、先ほど御答弁があったとおりであります。販売業者の数だけをとりましても、膨大な数に及ぶ。たとえば昭和三十九年度の商業統計表によりましても、小売り商は三万六千六百八十四ということに相なっておる。といたしますと、昭和四十一年版の「電気事業の現状」、昭和四十二年版の「電気事業の現状に」ついて、昭和四十一年版につきましてはその一九四ページ、同じく昭和四十二年版につきましては二六五ページを検討してみますと、店頭検査さえもすべてのお店にわたってされているという調査結果には相なっていないと思うのです。一体この店頭検査の調査件数ですけれども、何件に何件ぐらいの割合で店頭検査の対象に小売り商の場合には当たるのでしょうか。しかも、その電気用品を販売している小売り商の店先に並べられておるところの品物の数、その種類というものは、おそらくばく大な数に及ぶだろうと思うのですが、そればさておいて、何件に何件ぐらいが一体店頭検査の対象になるのか。無登録、無認可型式、こういうようなものが一日も早く追放されなければならないという観点からお尋ねをいたしますが、ひとつその点についてお答えいただきたい。
  178. 井上亮

    井上(亮)政府委員 概括的にお答えいたしまして、十件に一件くらいの割合になっておるようであります。
  179. 中谷鉄也

    中谷委員 なお、昭和四十二年度の店頭検査並びに買い上げ調査の結果について、消費者としては非常に疑義を感ずるだろうというような問題について、私のほうからお尋ねをしておきたいと思います。  買い上げ調査というのは、品物を買い上げて、それを試験される、そういうふうな調査であろうと理解をいたします。そうしますと、いわゆる団地などに住んでおる一般の国民、そういうものにかなりなじみが深いと思われるもの、たとえばアイロンのプラグというふうなものが、昭和四十一年度は十二買い上げられております。そうして、そのうちの不良数が十ということになっている。そうすると不良率は一体幾らか、八三・三%であります。さらに防水ソケットなどは七十七お買い上げになって、六十四が不良であるから、不良率は八三・二%、要するに五〇%を上回る不良率というふうなことば、たいへんなことだと思うのです。そのことは粗悪な品を売っておるということで、粗悪ということは法の規定によれば、災害を起こしやすいということである。逆にいうと、あるいは命にかかわるかもしれませんよということである。こういう調査をされてそれだけの数のものが出た場合に、これはさらに追試というか、これらの品物については相当多数買い集めるということで、さらに買い上げ検査をされることがあってしかるべきだと私は思う。そういうことをおやりいただいているのだろうかどうか。あとまた例を引きますけれども、防水ソケットとアイロンプラグ、その二つについてとりあえずどういうことであるのか、お答えをいただきたい。
  180. 井上亮

    井上(亮)政府委員 まさに先生がおっしゃいましたような試験の結果でございまして、私も、買い上げ試験の結果、ある特定の品目ではございましても、その結果、不良品の割合が八割に達するというようなことは言語道断なことだ。しかし、それがゆえにまたこの取り締まり体制を強化しなければいかぬ。やはり取り締まり体制の強化の道といたしましては、先生もたびたびおっしゃっておられますように、店頭にありますものを買い上げるとか、あるいは監視するとかいうような体制を強化する以外にない、こう考えております。
  181. 中谷鉄也

    中谷委員 そこが、同じくこの表だけを分析の対象としてお尋ねする質問に相なってしまいましたが、われわれにかなりなじみの深いと思われる電気髪ごて、これは六個買い上げられて、そのうち不良が五つであって、八三・三%であったという。これは課長さんのほうからでも御答弁いただいたらけっこうだと私思いますけれども、電気髪ごてなどというものは、一体年間どの程度生産されているものなんでしょうか。そして六個のうち五つ、逆にいうと十個のうち八個までとにかく不良品だ。これはとにかくこの表だけ見れば、不良ということがイコール粗悪、粗悪ということがイコール災害災害ということがイコール身体生命の危険をも招来するというふうに理解していくと、これはまさに非常におそろしい数字だと私は思うのです。それから同じく電気こんろ——電気についてはしろうとでありますが、これくらいのことだったら理解ができる。そういう電気こんろが十二のうち九、七割五分まが不良品だ。これなんかも私は率としては非常に高いと思うのです。こんな電気こんろは一体どのくらい出ているのだろうか。これでは百貨店に買いものに行っても、小売店に買いものに行っても、みな不良品を買っているという疑問を感じますし、不安を感じます。こういうことについて何か抜本的な型式違反、あるいは法に定めておるところの技術上の基準を定める省令の違反があったんだろうと思いますが、どういう対策をおとりになるのか。  一体その買い上げ検査ですけれども、電気こんろの十二であるとか電気ハンダごての八であるとか、電気髪ごての六などという数字が、いわゆる統計的な数字として意味があるのかどうか。それは結局電気こんろが幾らつくられておるか、電気ハンダごてが幾らつくられておるか、電気髪ごてが幾らつくられているかということとの比較において理解しなければならないと思います。たとえば何十万とつくられているとなれば、そしてそれと同じこの買い上げ調査が信用ができるものとすると、同じくらいの率で、一万あればそのうちの八千までは粗悪品だということになってくればたまったものじゃない。一体この数字はどの程度信用できるのか、この率で、つくられた製品が不良品としての推定をさるべきものなのか、こういう点についてもひとつお答えをいただきたいと思います。   〔宇野委員長代理退席、委員長着席〕
  182. 和田文夫

    ○和田説明員 お答えいたします。買い上げ調査の結果はいま先生おっしゃったとおりでございますが、おもに違反個所といいますのは、先生おっしゃるような技術上の基準に違反する違反でございます。それで電気こんろあるいは電気髪ごて等につきましては、詳細な生産数量はいま把握しておりませんが、相当の、数十万というような大台に達しているかと思います。ただ技術上の基準と言いましてもいろいろありまして、たとえば温度上昇が、具体的の例で申し上げますと、六十度というような規定をしているところがありますが、それがたとえば六十二度でも一応不良のほうにあげてある、そういうことであります。それから特に店頭で買い上げる場合に、これは安全委員会でやっているわけでございますが、おもに不良と思われるようなものを選んで買い上げているような実情もございますので、この違反率をもって直ちに全製品の違反率というふうにはならないと思います。電気製品のほんとうの違反率はもっとはるかに少ない、こういうふうに考えております。
  183. 中谷鉄也

    中谷委員 そうすると、この買い上げ調査の買い上げ着目品といいますか、それについての若干の推定材料としても数も非常に少ないし、いまお答えになったような動機で買われる、いわゆる摘発的な意味をもって買い上げしてくるということになると、率が高くなるのは当然だろうと思うのですが、そうすると、全製品の中のいわゆる不良イコール粗悪というふうなもののパーセンテージ、どの程度あると推定されますか。はるかに少ないということはよくわかりました。しかし十台に一個あってもこれはたいへんなことですね。どの程度あるものなんでしょうか、課長さんのほうから。
  184. 和田文夫

    ○和田説明員 お答えいたします。これは私の全くの想定でございますが、いろいろな結果から想定いたしまして、一〇%から二〇%台の間くらいはあるんじゃなかろうか、こういうふうに思っております。  それからさっき先生のおっしゃいました買い上げ数量が非常に少ないじゃないか、そうおっしゃること、われわれもそのとおりだと思っていますが、今年度から役所のほうの予算あるいは安全委員会のほうの予算も増額してもらうような心組みでおりますので、その数量も相当飛躍的に拡大できると思っております。
  185. 中谷鉄也

    中谷委員 非常に電気についての知識が足らない委員が質問して恐縮ですが、先ほど私のほうから若干申し上げましたが、電気用品の技術上の基準を定める省令の点について触れました。そうすると、たとえば御答弁の中に温度上昇について、六十度について六十二度でもこれは違反だというふうにして認定をしているんだというお話がありました。  そこで全く素朴な質問をいたしますが、電気用品の技術上の基準を定める省令の考え方、これは一体どういうところに基本的な根拠があるのでしょうか。要するにこれは私自身の感じを申しますと、粗悪品、すなわち災害の除去、防止、こういうふうなものから私は技術的な基準というものが導き出されてくるだろうと思うのです。そうすると、たとえば先ほどの温度上昇、上昇温度ですが、六十度、これは一体その安全度というふうなものとのかかわり合いにおいて、どこまでその限界を突破した場合に危険であるか。六十度に押えたのは安全の上にも安全というものをとってそこに押えたんだということだろうと思うのですけれども、しかしそういうふうなものが一体どこかにその基準、まさに基準なんですから、その基準の合理的な根拠、ことに人命尊重というものとの関係においての根拠というものがあるだろうと思う。二度出ておるものでもやってしまうんだということで、何か違反しているんだけれども、たいした違反じゃないんだよというふうに片一方でおっしゃられると、これは非常に私はおかしいと思うのですよ。だからもうそういう基準というものが明確に厳格に守らるべきものだという前提があるなら、これはやはりだからこそ表に出しておられる、そういう立場をくずされておらないと私は思うのですけれども、御答弁としてもやはりそういうふうな御答弁があってしかるべきだと思うし、それは消費者の立場として、そういうこととして要望いたしたいと思うのです。いかがでしょうか。
  186. 和田文夫

    ○和田説明員 お答えいたします。省令の基準といたしましては、先生のおっしゃるように安全の面を主として考えまして、諸外国等の例も参考にいたしまして定めております。たとえば、いま具体例でお話がありました温度上昇が六十度という規定がありますれば、われわれといたしましては、メーカーさんがおつくりになるものはいろいろばらつきがあるのなら、そのばらつきの最上段が、一番悪い方向にばらついたものが六十度におさまる、そういうふうな目標でおつくり願う、そういうことを考えて基準をつくってあります。ですから違反は違反でございます。
  187. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで政務次官にお尋ねをいたしたいと思います。  先ほど担当の方のほうから若干御答弁がありましたけれども、いずれにいたしましても、私が本日質問の冒頭に申しました店頭調査とか買い上げ調査というのが、非常に予算の面においても、買い上げの対象品目においても私は少ないと思うのです。私はこういうようなことがはたして消費者保護につながるかどうかについて非常に疑問だと思う。したがって、消費者保護ということでこの電気用品取締法改正案をわれわれはいま審議をしておるわけですが、こういうふうな法律改正と相待って今後店頭調査、買い上げ調査というものを大規模に組織的にやる必要があると思う。一体いつからどの程度の予算をもってこれらの問題にお取り組みになる予定か、ひとつこれらの点について通産省の御見解をお示しいただきたい。
  188. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 取り締まりの予算がはたしてこれで十分であるか、四十三年度はどのようなかまえでいくつもりかというお尋ねでございますが、このたびせっかく法律改正を御審議願っておるわけでございまして、その趣旨に沿うて予算の裏づけもされなければならぬ、当然のことでございまして、実は本年度の予算におきましては昨年度よりもふえ率は相当ふえておる。元金が実はいままで貧弱でございまして、昨年度は百五十万円でございました。それをことしは二百二十万円、このように約五〇%、七十万ほど上げておるわけでございますけれども、これではまだ十分とは言えませんので、これは一応予算がすでにきまっておりますからこれで進むといたしまして、その補強工作として、実は先ほど局長からお答えをいたしました電気安全委員会、これにおいて不良電気用品の取り締まりのために去年は百十万円の予算を計上いたしたわけでございまして、これは企業局が総括して予算を持っておるわけでございます。この予算の配賦はこれからでございますので、これをひとつ思い切って法律改正の趣旨に沿うような予算措置をいたしたい、このように考えておるわけでございまして、このようなことによって大いにこの不良品の追放をやると同時に、消費者の側の電気用品に対する知識の向上、PR、こういった点も安全委員会と相協力して積極的に推進をいたしたい、このように考えております。
  189. 中谷鉄也

    中谷委員 政務次官のほうからただいま御答弁をいただいたわけですが、大臣からもひとつお答えをいただきたいと思います。  どういうことを先ほどからお尋ねしているかと申しますと、電気用品について毎年実態調査というのをやっているわけです。店頭の調査とか買い上げの調査というのをやっている。そういう調査をやっておっても不良率というものが非常に高い品物がある。これらについてはさらに調査を徹底すべきではないか、今後全体にわたって調査を拡大すべきだ、こういう趣旨の質問をいたした。  そこで、消費者保護という基本的な姿勢として問いたいのだけれども、四十一年度の調査の中で、丸打ちゴムコードというのが、二本買い上げて全部不良、一〇〇%不良という数字が出ているわけです。これはもちろんそういう不良なものを見込みをつけて買ったといえばそれまでですけれども、そういうものが出ている。同じくタイムスイッチ、これも四個買い上げて四個全部不良、これも一〇〇%不良、こういうことの統計が出ている。全部アウトだということになれば、これは何らかの形において、こういうふうな店頭調査というもの、買い上げ調査というものが意味があるとしてなされているならば、直ちにそういうふうな調査結果に対応して、さらにタイムスイッチについては徹底的な調査をするとか、あるいは丸打ちゴムコードについては大規模な調査をするというふうなことが行なわれたという御答弁がなければ、私は消費者保護に徹底していると言えないと思う。どうもそういう事実はないらしい。したがって、今後この種の調査について徹底をされるかということをひとつ大臣から御答弁をいただきたい。
  190. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 従来検査をやっていないということはございません。やっておりますが、十分に成果をあげておらなかったということになることは、これはどうも御指摘のとおりだと思います。したがって、今後こういう方面の検査をもっと強化いたしまして、いやしくも需要者に不測の損害を与えないようにつとめてまいりたいと存じます。
  191. 中谷鉄也

    中谷委員 消防庁、おいでいただいているでしょうか。——お尋ねをいたしたいと思います。  同じく実態についての質問に入っていきます。消防庁の昭和四十一年度の火災年報によりますと、出火原因別件数というのがありますが、電気による発熱体、こういうふうなもののいわゆる出火原因の件数というのは、全国的に見て、昭和四十一年度でどの程度あるものでしょうか。これらの点について簡単にひとつお答えをいただきたい。
  192. 高田勇

    ○高田説明員 お答え申し上げます。昭和四十二年度の状況につきましては、いまだつまびらかでございませんので、四十年と四十一年の状況について申し上げますと、全体の火災件数は四十年が全体で五万四千、それから四十一年が四万八千でございます。そのうちお尋ねの電気によります発熱体に基因する火災件数といいますのが、四十年で七千八百四十二件、全体の一四%、それから四十一年におきましては、六千百七十九件で全体の一二・八六%、こういうふうになっております。
  193. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、この種の資料については、通産省のほうにおいてもすでに把握をしておられる。法のたてまえは次のようになっているというふうに理解をいたしております。すなわち俗なことばで言いまして、電気工事に関するところのものを原因としたものは電気工事士法によって取り締まろうとする、そういう考え方、そうしていま一つ、電気用品そのものの欠陥については、電気用品取締法によってそれを防止しようという考え方、そしていま一つは、先ほど政務次官のほうから御答弁がありましたけれども、消費者の取り扱い上の不注意というものについては消費者教育、消費者に対するPRというものをしていこう、こういう考え方のように理解をいたしておる。だとするならば、出火原因等について、あるいはさらに通産省のほうにおいてすでに把握をしておられる一般需要家の感電事故件数、電気事業法による電気事故統計の中にすでに明らかでありまするけれども、これらについて、いわゆるわれわれしろうとのことばで言う電気回りによるものを原因としたのは一体何件か、その消費者、需要者の取り扱い不注意によるものが一体どれだけあるのか、さらにまた電気用品それ自体の欠陥に基づくものがどれだけあるのかということが分析、解明されなければ、どこに今後の電気による火災、あるいは感電事故に対するところの防止の力点を置くかということがかなり明白にならないと思う。しかし質問のたびにしゃべってみると、どうもこれらについての原因解明がいまだできていないように思うけれども、できているならばお答えいただきたい。できておらないとすれば、その理由はどうか、この点をお尋ねいたします。
  194. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えいたします。感電事故死の問題でございますが、私どもはこの実態を電気事業法の統計で把握いたしております。先生お話しのように、たとえば例をとってみますと、  一般需要家の感電事故件数を見てみますと、電気工作物の不良によるもの、これで死亡いたしました者が昭和三十九年度で二十九名、四十年度で二十三名、四十一年度で二十名というふうになっております。これを原因別にどうなるかというお尋ねでございますが、これは電気事業法の事故統計ですから、率直に申しまして、原因別までは的確に把握できません。しかし私どもいろいろこういう件数がありますごとに、これ全部についてではありませんが、大数観察いたしますと、大体七割程度が取り扱い不注意、それからそのもの自体による欠陥、これが大体三割くらい、これは大数観察でございますが、そのような把握をいたしております。
  195. 中谷鉄也

    中谷委員 質問が三分の一くらいしかいきませんけれども、あと一点で終わります。  そこで、取り扱い不注意に基づくものが七割だ、こういうふうに言われるわけです。それで私は次のような疑問を持ちますので、局長から御答弁をいただいて、もしそれで私自身が何らかの形でこの問題が納得がいくようでしたら、私は大臣の御見解を承りたいと思うのですけれども、本来通産省考え方は一体どうなんだろうかということをお尋ねいたしたいのです。  何をどうお尋ねするかと申しますと、いわゆる技術上の基準というのは、安全すなわち災害防止というふうなことが一つの根拠になっているということは伺いました。ところが現に取り扱い不注意によるところ事故というのが七割ある。そこで一つは消費者教育、需要者教育というものを徹底していくことによって、取り扱い上の不注意をなくしていこうという考え方、そういう考え方は私正しいと思うけれども、一面考えてみると、取り扱い者がどんなに不注意をしても、どんなにおろそかな注意義務しか払わなくても、災害が起こらないような電気用品があれば、事故は起こらないじゃないかという考え方もあるじゃないかという疑問を私は持っておる。そういうふうに言えば、それは極端なんですけれども、電気用品を使うにあたって、普通の人が非常に高度の注意義務を払わなければならないような電気用品というのは、はたして適当なのだろうかどうか。要するに今後の電気用品というのは、きわめてささやかな、きわめて程度の低い注意義務をもってしても災害を生じない、そういう用品であるべきではないか。そうすると技術上の基準というものも、そのような観点からつくらるべきだろう。しかしそういうふうないわゆるささやかな注意義務でいいのだということになれば、おそらく型式その他の面において機能上の欠陥というものを非常に生じてくるだろうという問題も私はあると思うのです。そうすると取り扱い者の注意義務違背が七割を占めておるという現実に対処するのは、単に消費者教育というだけでいいのだろうか。いわゆる消費者が注意義務を果たさなくても、と言えば言い過ぎになる。しかし需要者が最小限度の注意義務を果たしたならば、あるいはまたときとして最小限度の注意義務を果たさなくても、極端な場合以外、まあ言ってみれば放置しておいても——一週間放置したらだめだけれども、二日くらい放置しても事故が起こらないというふうな品物をつくる努力というものを、電気用品一般の考え方として放棄してはならないんじゃないかというふうにも思うし、消費者教育というのはそういうことではないかと思う。取り扱いに注意をしなさいという教育だと思うけれども、このかね合いを局長は一体どうお考えになるか、お答えをいただきたい。
  196. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。先生のお説のように単に取り扱いの注意が悪いから事故が起こったということでは、私ども取り締まりの体制としては済まされない、やはり根本は、そのもの自体が完全に安全なものであるということが私は一番大事だと思います。したがいまして、私ども技術上の基準をつくりますに際しましては、品目によってそれぞれ角度が違うと思いますけれども、幼児が家定の中でさわりやすいというようなものとか、あるいは電気洗たく機のようにおとなが使うというような、物によっては、技術上の基準の程度も、さらに注意義務をしなくても安全が保たれるというような基準にするように努力していかなければならぬ、こう考えております。ただしかし、これは商品でございますから、非常に安全度を高くすれば私できると思いますけれども、通常の注意義務をもってすれば、十分安全に耐えられるというようなことでありますれば、やはり経済的な問題もあろうと思いますから、お値段との関係もありましょうから、その辺のところは価格とのかね合い、注意義務とのかね合いという問題があろうと思います。しかし先ほども申し上げましたように、幼児等がさわりやすく触れやすいものについては、相当高度の技術上の基準をつくる必要がある。長くなって恐縮ですが、先般も電気蚊とり器で幼児が感電事故を起こしたわけですが、こういうものにつきましても、私どもその後技術上の基準をさらに強化するというような措置をとっておる次第でございます。
  197. 中谷鉄也

    中谷委員 そこで、次はこういう点だけをお尋ねしてほんとうに終わりたいと思いますが、電気用品の型式の認可を受けたものについてはマークをつけますね。逆の三角形であれは〒と書いてあるんですか、とにかくそういうマークをつける。このマークがどうも拝見をいたしましても、あまり消費者の立場から見ても、デザインの面からも好ましいもののようには思えないわけなんです。聞くところによりますと、このマークは逓信省が電気用品等電気関係を所管しておられた昭和十年当時のものだというふうに聞いておる。JISマークというのは各製品にかなり目立ったところにつけている。このテーマークというのはむしろ電気用品の目立たないところへつけている。しかし、電気用品取締法というのは単に取り締まりのための法律ではなしに、消費者保護のための法律だとするならば、この逆三角形の〒というマークは堂々とつけられなければならないけれども、何となくマークがよろしくない。あまりデザインがよろしくない。ひとつこの機会に新しい装いを凝らしたところのマークをつけてしかるべきではないか、こういう感じもいたすわけなんですけれども、いかがなものであろうかという質問が一つ。  いま一つは、消費者保護という立場から四十一年六月にたしか追加の指定があったと思いますが、そろそろ相当多数追加指定をさるべき時期がきているように私は思うけれども、どうだろうか、それが一つ。  この二つだけをお尋ねして質問を終わります。
  198. 井上亮

    井上(亮)政府委員 逆三角形のテーマーク、これは先生ただいまおっしゃいましたように、相当長い歴史を持ったマークでございますので、相当これは理解されておるわけでございます。しかし電気用品等にこまかく小さく出ておりますから、なかなか目立たないという点はあろうと思いますが、私どもその表示のしかたにつきまして、目立たない点をもっと目立つようにするという指導は今後してまいりたい。逆三角形のテーマークをもう少し別の表示にしたらどうかという点でございますが、何も私は逆三角形テーマークに固執するつもりはございません。したがってこういった点につきましては、私どもは消費者等との定期的な懇談会もございますので、そういう機会に意見を聞きまして善処いたしてまいりたい、こう考えております。  さらに品目追加の問題でございますが、この法律が通りました暁におきまして、私ども政令によりまして、甲種につきまして相当多数の品目についてさらに追加指定をいたしたいというふうに予定いたしております。  それからもう一つついでに申し上げすと、この法律が通りました暁において、これは国会で話をしないほうがいいのかもしれませんが、大々的な買い上げ試験、あるいは立ち入り検査を、計画的に積極的に実施したいというふうに考えております。
  199. 中谷鉄也

    中谷委員 終わります。
  200. 小峯柳多

  201. 近江巳記夫

    ○近江委員 まず砂利関係についてお聞きしたいと思います。先ほどから各委員を通じて、砂利の乱掘によるいろいろな被害の状況等の問題がここであげられたわけでございますが、私の聞いておる範囲におきましても、特にその災害の顕著な例として、千葉県あるいは埼玉県の飯能、熊谷、それから京都の城陽町、それから陳情にあがられた同じく田辺町等、各所でそうした災害が見られるわけであります。私は特に京都の城陽町を中心にしてお伺いしてみたいと思うのです。この城陽町の砂利の採取の状況というものは、特に万国博の会場を近くに控えております関係でしょうが、最近は特にそうした乱掘が行なわれておるわけであります。したがって、その掘ったあとに大雨等が降りますと、非常に危険がまた感じられます。地元からの陳情も再度にわたって来ておるわけでありますが、特にこの地方は、木津川の採取制限が強化されたために、長池、青谷地区に業者が集中しておりまして、約三十社が山砂利の採取に当たって、日本でも有数の採取場となっておるわけです。時間がありませんので現況をずっと言っておきますが、一日に大体六千台くらいのダンプが朝四時から夜十時ごろまで行きかっておる。全く無制限な状態にいま置かれておるわけです。またさらに、この砂利の洗浄によるどろ水の流出というものは、田畑や道路に大きな被害を及ぼしております。さらにまた交通事故等いろいろとあげれば幾らでもあるわけでありますが、こうした問題について、この前の建設委員会でわが党の小川議員がこの問題を取り上げたわけでありますが、この点、建設省として調査に行かれましたか。まずその点をお聞きしたいと思います。
  202. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。建設委員会の御質問の内容、お答え等伺っておりますが、私、当日委員会におりませんので詳細存じませんが、城陽地区につきましては当時大臣からじきじき現地に行って調査しろという御命令がございまして、それぞれ河川、道路の担当官が現地に参りまして、詳細な調査をいたしてまいっております。
  203. 近江巳記夫

    ○近江委員 調査に行ったのですか。ちょっと聞きにくかったのですが、行かれましたのですか。
  204. 多治見高雄

    ○多治見説明員 はい、参りました。
  205. 近江巳記夫

    ○近江委員 その状況の特に報告しておかなければならない重大な問題だけについて、簡単に、明確にひとつ報告をしてください。
  206. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。山砂利の採取に伴います問題で、建設省の所管事業に関係いたします部分を簡単に申し上げますと、川と道路両方ございますが、河川につきましては先ほどお話がございましたように、山砂利採掘に伴いまして、ヘドロの流出その他河川に対する影響が非常にございまして、そのための災害が起こっておりますので、これに対する手当てといたしまして、まず現地には一級河川といたしまして、青谷川、長谷川、古川、こういう三つの川がございますが、それぞれ青谷川、長谷川につきましては災害の起きました際に、災害助成事業を実施いたしまして、改修を実施いたしております。それから青谷川につきましては相当土砂が堆積いたしまして、河床が上昇しているという現象がございましたので、これの排除につきまして私どものほうの事業といたしまして現在実施いたしております。それから古川でございますが、古川は昭和四十年度に一級河川として新しく指定いたしまして、この古川の内水排除の問題が相当問題になっておりますので、この点の調査を現在進めております。  それからこういった一級河川のほかに今池川、あるいは嫁付川、大谷川等の普通河川がございますが、これらにつきましては同じく府の単独事業としての補助をいたしまして、改修を行ないたいということで検討いたしております。  以上でございます。
  207. 近江巳記夫

    ○近江委員 この三月二十二日の建設委員会の議事録を見ますと、仮谷政務次官は、十分調査し、善処したい、このように答弁されておるわけです。まあ建設省として調査にも行かれたが、その席上、関係各省とも連絡をとり相談する、このように答弁もなさっているわけです。いま河川の報告は確かに聞きましたが、問題になっているのは山砂利なんです。その点通産省とか、どういう話し合いをしましたか。
  208. 吉光久

    吉光政府委員 京都府におきます城陽町、田辺町に関します砂利採取は非常に規模の大きなものでございまして、従来からいろいろと現地におきまして、関係業界、市町村あるいは建設省の出先のほう等々、その他ダンプ運転等の問題もございますので、地元警察署も含めまして、数回協議会を開きまして、そこで具体的な処理方針というものを相談してまいっておったわけでございます。いま現実の問題といたしまして、一番大きな問題になっておりますのは、ダンプによります道路の損壊、あるいは水たれ運転、あるいはまた河川に対しますところの先ほどお話がございました汚濁水の放出と申しますか、ヘドロの放出と申しますか、そういうことによりまして、河川が汚濁し、それによって起こっております公害等でございます。したがいまして、昨年来、通産省のほうも直接本省からも、あるいは担当いたしております大阪通産局の商工部長その他、すでに数回現場におきまして対策協議会を開いておるわけでございます。地元業者に対しまして、いまのヘドロの問題につきましては、さしあたりなし得べき措置といたしまして、還流式の、いまの汚濁水を貯槽する装置をつくりまして、その池の中にさしあたり全部入れさせるというふうな手段を講じましたほか、さらにまた土堰堤を築かせるとか、あるいはまた側溝を設けさせるとかいうようなことで、関係業者の負担におきまして具体的な計画をして、関係市町村あるいは府の方も入っていただき、計画を練りました上で、その計画に基づいた具体的なそれぞれの措置をとらせつつある状況でございまして、最近におきましては汚濁水の問題を除きまして、あるいは水たれ運転等ダンプの問題を除きましては、施設的にはおおむね完成いたしておるように報告を受けておりますけれども、ただ洗浄汚濁水の問題につきましては、現行法がそこまで監督命令が及ばないということになっておりますので、さらにこの新しい法案を通じまして、この成立を見ました上でさらに厳重な監督、規制を行ないたい、かように考えておるわけでございます。
  209. 近江巳記夫

    ○近江委員 建設省の三浦建設専門官がそのときに、山砂利採取あと地にプールができ、豪雨が降った場合いろいろと心配されると述べておられたわけです。そうして改善命令を出し、業者に直させるようにした、このように言っておられるわけですが、具体的にどのような処置をとらせましたか。またどの程度改善されたか、そ点のをお聞きしたいと思います。
  210. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。建設委員会においてお答えいたしました改善命令を出すということでございますが、これは山砂利採掘に伴います災害の防止についてのあらゆる措置を含んでお答えしたのだと思いますが、御承知のように、山砂利の採取に伴います災害の防除について第一義的に勧告いたしますのは通産省のほうでございますので、御質問の堰堤を設けるあるいは排水溝を設けるというような、採取場に直接施します防護措置については通産局のほうと協議いたしまして、通産局のほうからそういった措置の命令を出していただいているという実態でございます。
  211. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろな弊害については、政府委員の皆さんも一番よく御存じと思いますけれども、特に昨年の九月においても保育園帰りの園児がはねられて即死しておる。そうした交通事故等の問題も起きておるわけです。道路にしても、一たん雨が降れば、もうそれこそ車も通れない。あるいはかわけば砂ぼこり、あるいはその周辺の畑も非常な被害を受けている。こうした公害災害というものを見ていきますと、これは非常に緊急に措置しなければならないことばかりです。ここでいろいろと言っておっても、これは水かけ論になるわけであります。そこで結局、そうした被害を受けた人々に対する補償というものは、今度の新法に盛られているのですか。
  212. 吉光久

    吉光政府委員 被害者に対します損害補償の問題につきましては、この法律では直接触れていないわけでございますけれども、この法律のねらいといたしておりますところは、被害を未然に防止したいという点に重点を置いておるわけでございまして、現実に被害が生じました場合における損害賠償の問題につきましては、これは原因者負担と申しますか、現実にそういう災害を起こしました事業者が直接負担すべきものである、このように考えております。
  213. 近江巳記夫

    ○近江委員 あなたは考えるだけであって、法の上においてそれをなぜ盛らなかったか。その点を再度お聞きしたい。
  214. 吉光久

    吉光政府委員 この法律取り締まり法律として立案いたしまして、ただいま御質問がございましたような損害賠償問題につきましては、民法の一般原則によって解決すべきもの、このように考えまして、この法律の中には内容として盛らなかったわけでございます。
  215. 近江巳記夫

    ○近江委員 新法が施行されて以後のことばそれでわかりました。そうすると、現在、いま被害を受けておるところについてはどうしますか。
  216. 吉光久

    吉光政府委員 現実の、田辺町あるいは城陽町等につきましては、まず先にそういう被害が二度と起こらないような、先ほどお答え申し上げましたような、あるいは上堰堤を設置いたしますとか、あるいは側溝を掘りますとかいうふうな、具体的な工事を先行さしておるわけでございまして、現実にそれぞれの個人の負われました被害につきましては、これはやはり原因者がその損害を賠償すべきものであるというふうに考えますので、したがいまして、そういう意味での損害賠償について、何らかの形であっせんする必要があるとするならば、これはやはり私どももその中に立って、そういう被害の救済に当たらなければならない、あるいはまた積極的に努力すべきである、このように考えます。
  217. 近江巳記夫

    ○近江委員 いま城陽町の例を出されたわけでありますが、埼玉県の熊谷地方の陸砂利の採取、これも非常にひどい状態になっておるわけです。特に玉井あるいは原島、そうした地点でありますが、農道などはめちゃめちゃにこわされておる。結局水路も断たれて苗しろづくりもできない。しかも、地下十メートルないし、ひどいところは数十メートルまで掘ってある。そうした農地も、結局埋め戻しもされずにそのままの状態で放置されておる、当然それから公害あるいは人身事故等の危険が考えられるわけです。きょうは農林省の方も来ていらっしゃいますのでお聞きしますが、農林省は、このような農地の無断転用あるいは砂利採取による農地の損壊等に対して、どのような態度で今後進んでいかれるのか。この点お聞きしたいと思います。
  218. 中野和仁

    ○中野説明員 いまの熊谷お話でございますが、私たちのほうもその点よく承知しておりまして、この件につきましては、かなり悪質だというふうに思われますので、現在県知事が告発を準備をしております。ただしかし、告発するだけが能ではございませんで、昨日も申し上げましたが、農地転用にあたりまして農業に被害を及ぼさないように、事前にいろいろ調整をするというふうにいたしまして、昨年七月から砂利採取に伴う農地転用の処理要綱というものを新しくつくりまして、現在やっております。今後とも被害ができるだけ食いとめられるように、農林省としては積極的にやっていきたいというふうに考えております。
  219. 近江巳記夫

    ○近江委員 先ほどから建設省だ、あるいは通産省だ、農林省だ——別に皆さん方が責任を転嫁されるとは私は考えておりません。しかし、こうした砂利の採取を考えたときに、通産省砂利法案を取り扱うこと自体、別に私は悪いとは言ませんが、なぜ建設省でせずして通産省でやったか。もとの次元に戻るわけでありますが、この点もう少し前後の関係を知りたいので聞かしてもらいたいと思います。
  220. 吉光久

    吉光政府委員 砂利採取の業に対します監督権は、従来通産省のほうで施行いたしておったわけでございますが、結局これは骨材というものにつきまして、砂利もございますし、あるいはまた砕石もございますし、最近わずかではございますけれども、人工軽量骨材というふうなものも出てまいっておるのでありまして、したがいましてそこらの生産、需給を通じました、ある一つの統一的な官庁が必要であるというふうなことから、通産省におきまして砂利採取業に対する監督を行なうということになっておったというふうに考えるわけでございます。ただし、いままでの砂利採取法におきましては、そこらの所管関係につきまして非常に不分明な問題があったわけでございますので、したがいまして今回の改正を機会にいたしまして、通産、建設両省の共同提案でこの砂利採取法案を出したわけでございますが、供給大宗をなしております河川法の適用を受けます河川砂利関係につきましても、この砂利採取法の中に、体制的に一元化いたしたわけでございます。したがいまして、先ほど来お話の出ております農地関係において起こります砂利災害の防止につきましては、今後はこの砂利採取法の中で防護措置が講ぜられるということになるわけでございまして、もちろん従前どおり農地委員会におきますところ農地転用許可というものは、当然に前提条件になるわけでございますけれども砂利災害を防止するという観点からのチェックは、今度はこの法律の施行によりまして、都道府県知事ところで一元的に処理されるということになったわけでございます。したがいまして従来幾分か不分明でありました部分を、この新法案の中におきまして、明確に砂利採取に伴う災害防止につきましてはこの砂利採取法でやるという姿をはっきりさせたわけでございます。
  221. 近江巳記夫

    ○近江委員 いろいろと業者に対するそうした規制という問題は、人命あるいは公害の点から、私は非常に大事だと思うのです。しかし先ほどから話が出ておりましたが、ほとんど零細業者、したがってこれからの骨材を求めるためにそれではどうしていけばいいかというような問題になってきますと、これはどうしても国土開発の総合的な見地に立たなければならない。広い視野に立たなければならない。そういう点からこれは建設省で所管すべきである、私はこのように思うのですが、通産省としてはこの点はどう考えていますか。
  222. 吉光久

    吉光政府委員 私どもこの砂利採取法の立案に関連しまして、いわゆる権限争議的なものは全然なかったわけでございますけれども砂利災害を防止するという防止のしかたによりまして、御指摘のように国土の保全という面が相当強くなってまいると思うわけでございます。ただその場合の国土保全の内容といたしまして、やはり農地に対する保全措置あるいは森林に対する保全措置、いろいろな内容をも含んでおると思うわけでございまして、従来通産省、建設省あるいはその他の農林省、運輸省、お互いに話し合いをしながら進めてまいっておりました砂利行政というものにつきまして、この際通産、建設両省で共同提案の形で一本化いたしまして、こういう新しい法案を御提出申し上げたわけでございまして、機構的に見ましたならば数歩前進が行なわれたというふうに私どもは考えております。
  223. 近江巳記夫

    ○近江委員 共同提案であるにしても、通産省でありますから、きょうはおもそういった問題にしぼっていきたいと思いますが、結局そのように資源を新たに求めて開拓していかなければならない、こういうような問題になってきますと、業者の規模という問題でありますが、特に九九・八%までが中小企業である。しかも五〇%近くは従業員十人以下の零細企業である。こうした規模の点、資本の点から見ていきますと、このような零細な企業の状態では、今後当然そうした資源の点においても奥地に求めなければならないし、砕石等の問題にしても、今後のそうした近代化といいますか、そういうものがからんでもきますし、コストも高くなってくる。現実として非常に無理な面があるのではないか、こういうように思うわけです。勢いどうしても手軽なところで掘らなければならない。ひどいときには盗掘というようなことも考えられるわけです。そこで、要するにこのような規制をきびしくしていく、これは消費者保護の立場からいいわけでありますが、こうした零細業をそのままにして、今後そうした骨材資源というものは十分まかなえるかどうか。通産省として企業形態においてどのように考えていらっしゃるのか、この点をひとつお聞きしたいと思う。
  224. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘いただきましたように、砂利採取業者はきわめて零細規模の企業者が多いわけでございます。したがいまして、現状のままでこれだけの災害防止義務を負担するということは、相当大きな負担になるというふうに考えられるわけでございまして、こういう災害防止に関する措置が義務づけられますのと並行いたしまして、こういう零細砂利採取業者に対しまするところの事業の共同化あるいはまた協業化というふうな組織化を通じまして、具体的な災害防止対策に耐え得るような、そういう企業体になるよう指導してまいりたいというふうに考えるわけでございます。具体的な問題といたしましては、それぞれいろいろと困難な事情があるかと思いますが、現にそれぞれの土地状況あるいは資源の賦存状況等に対応いたしまして、協同組合等がすでにできつつあるわけでございます。したがいまして、この方向をさらに促進助長してまいることによりまして、健全なる砂利採取業として成長してもらうことを願っておるわけでございます。
  225. 近江巳記夫

    ○近江委員 協業化あるいはまた共同化の方向に持っていく、その点は私はけっこうだと思うのです。それではそれを具体的にどう進めていくか。砕石業には近代化促進法の適用がなされている。ところがこの天然砂利の採取業には近促法が適用されていない。当然この近促法の適用があれば、税制上の優遇措置にしてもあるいはまた中小企業の近代化資金の融資、そうしたいろいろな措置があるわけでありますが、この点に対していま局長が協業化あるいは共同化を進めていく、そういう点になれば当然これは考えなければならない大事な問題だと私は思う。この点についてどのようにお考えになっていますか。
  226. 吉光久

    吉光政府委員 お話しのとおりだと思うわけでございます。いままでのところ、事後届け出制によりまして砂利採取業の業態を把握いたしておるわけでございますけれども、新法が成立いたしました後におきましては事業登録制ということになりますので、したがいまして、事業の内容につきまして従前以上に詳細な資料が集まることとなるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、最初の登録をいたしますと、それによりまして砂利業界の実態というものがいままで私どもが届け出を通じて把握いたしておりました以上に、より明確なものになろうかと思うわけでございます。したがいまして、それらの登録されました事業者の業態内容をしさいに分析いたしまして、いまお話しございましたような近促法の指定業種のほうに持っていくように、その実態を分析してみました上でそういう方向に持っていくよう努力いたしたい、このように考えております。
  227. 近江巳記夫

    ○近江委員 私は、登録をしてから業界の実態をつかむというような内容にも聞いたわけでありますが、法案をつくるときに一たん登録をさせてからつかむというようなことはおかしいですよ。この法案は、実態をよくつかみ、あらゆる分析をした上でできたのと違うのですか。あとの時点で、なってからそれを考えますなどというのは、これはおかしいですよ。その点、もう少し説明してください。
  228. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどお答え申し上げましたのにちょっと舌足らずの点がございましたので、あわせて補足させていただきます。  もちろん業界の実態というものは常時把握されておるべきものであるわけでございます。私どもが現在持っております数字は、現行の砂利採取法に基づきまして事後届け出のあったものについての数字、それから昨年砂利業につきましての実態調査をやりまして、その報告書の提出を求め、報告されたものに基づきまして内容を分析いたしたわけでございます。いま申し上げましたのは、近代化促進法の指定対象業種ということになりました場合におきましては、さらにその近代化への基本計画、具体的な年次計画というふうなもの々作成する必要があるわけでございまして、そういう意味で現在持っております資料以上にいま申し上げましたようなそういう計画を組むにふさわしい資料と申しますか、そういうものをさらに詳細に得まして、その上で近代化促進法の指定業種として指定してもらうということを考えておるわけでございまして、決してこの法律ができた後に初めてスタートしょうという意味で申し上げたわけではなかったわけでございます。要するに、私どももいま御指摘いただきましたように近代化促進法の指定業種に早く指定するということが必要な業種であるということにつきましては、御指摘のとおり同じ意見でございます。
  229. 近江巳記夫

    ○近江委員 もう少し聞きますがね、それじゃなぜいままで指定の適用の対象にならなかったかという問題なんです。先ほどの答弁でも若干わかります。だが、私はこういうような問題にも、結局建設省だあるいは通産省だ、そういうような責任転嫁じゃないにしても、あいまいでぼけておった、そういう犠牲がこの砂利業者なんです。こういう点をひとつそのとおり認めて、そして一日も早く近促法の適用を受けるようにやっていかれる意思があるかどうか。将来はそうであるにしても、法案がもうこれは上がる。この法案の規制を受けていく。さっそくそのことについてやっていかなければならぬ問題だと私は思う。将来の問題としては私は非常にぼけておると思うのです。そういう点でいつごろその実施に向かって進んでいくか、その点をお聞きしたいと思います。
  230. 吉光久

    吉光政府委員 一日も早く近促法の指定業種の指定を受けますよう、私たち最善の努力をいたします。
  231. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから業者に対する指導でありますが、第一条において「あわせて砂利採取業の健全な発達に資することを目的とする。」このように規定しております。第四十一条に砂利採取業者に対する指導等の一で「又は砂利採取業の健全な発達を図るために必要な指導及び助言に努めるものとする。」このようにあるわけですが、この指導及び助言というのは具体的にどういうことを言っているのか、その内容というものを明確にしていただきたいと思います。
  232. 吉光久

    吉光政府委員 先ほど来の御質問の中にもありましたように、砂利採取業者の実態がきわめて中小企業者が多く、しかもその中で零細企業者が多いわけでございます。したがいまして、そういう事業者をそのまま放置いたしておきました場合には、これだけの災害防止についての義務負担もむずかしい、こういう事態にもなりかねないわけでございます。したがいまして、先ほど来お答え申し上げております採取業者の組織化の問題、これを急速に進めることが一方において必要でございますと同時に、あるいはまた他の面におきましては、技術的な面におきましても指導助言ということも必要になってまいる面も非常に多いかと思うわけでございます。そういうふうなことで、この新しい砂利採取法に基づきますところ災害防止の義務を負担し得るにふさわしいような、そういう企業体というものを頭に描いておるわけでございまして、そういうふうな形で積極的に組織あるいは設備投資につきまして指導助言いたしますと同時に、さらに他方それに必要な金融面等のお世話というふうなものにつきましても、積極的に指導助言につとめてまいりたい、こう考えておるわけでございます。
  233. 近江巳記夫

    ○近江委員 本法案の中で結局業者に対する指導を明記した条文というのは四十一条しかないと私は思うのですが、先ほど近代化促進法の適用をはかっていく、こうした方向づけというものはここで十分に指導もなさっていくわけですね。この点をもう二度確認しておきます。
  234. 吉光久

    吉光政府委員 そのとおりでございまして、そのように努力いたしたいと思います。
  235. 近江巳記夫

    ○近江委員 実際、陸砂利山砂利いろいろあるわけですが、もう一、二点建設省に聞いておきたいのですが、この河川砂利の場合でありますが、一応建設省の基本要綱でその処置というものは規定されておるわけでありますが、はたしてその監督体制というものが十分であるかどうか、その点を、人員の点、予算の点等から、もう少し具体的にお答え願い、さらに今後どのように持っていかれるか、そうした点までお答え願いたいと思います。
  236. 多治見高雄

    ○多治見説明員 河川砂利の採取につきまして、従来盗掘その他いろいろ問題がございましたので、最近の砂利問題の緊急性にかんがみまして、われわれといたしましても河川の砂利についての監視体制というものをできるだけ強化したいということで努力しているということは御承知のとおりでございますが、最近の体制といたしまして、現況を申し上げますと、河川には河川法七十七条に基づきまして河川監理員というものがございますが、これに河川を常時監視する体制をとらしているわけでございまして、現在国の管理いたします河川につきましては、約五百人の監理員が常時河川を監守いたしております。都道府県知事の管理いたします河川につきましても、同様に河川監理員として全国で約四千人を置いてございまして、この河川監理員の下にそれぞれ現場を巡視して回る河川巡視員という制度をつくりまして、これが常時河川を巡視して現場を監督していくという体制で目下努力しているわけでございますが、人員、予算等の制約もございまして、なかなかわれわれの考えております理想どおりの監視体制というものにはまだ至っておらない面もあるかと存じますが、今後ともこの面の強化につとめまして、監督措置を十分とってまいりたい、こういうふうに思います。
  237. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうなさってください。  それで、河川の再調査という問題でありますが、実際上砂利の資源としてどのくらい期待が持てるものであるか、河川の再調査ということをされたかどうか。されたならば、その実態、そして今後の河川砂利の見通し、それをひとつお聞きしたいと思います。
  238. 多治見高雄

    ○多治見説明員 河川の現在の砂利の賦在量につきましては、約六億トンということで、従来もそういうふうにお話し申し上げておると存じますが、御承知のように四十一年七月に出しました基本対策要綱におきまして、現在採掘の対象となっております河川砂利以外にまだ活用できる砂利があるのじゃないかということで、これの活用についての方針を定めております。この方針に従いましてその後河川生産物の賦存量調査というのを四十二年、四十三年引き続き実施いたしておりまして、経費といたしましては、四十二年度に約一千万円、四十三年度八百万円でございます。これによりまして河川の砂利の賦存量を調査いたしまして、さらに開発できる砂利の数量を確かめたいということで目下調査を進めております。結論は本年度調査が終わりましてから出ると思いますが、現在の段階でさらに何億トン程度採取可能なものがあるかという点につきましては、まだしっかりした数字を持っておりませんので、調査の終わりました段階でまた御報告できるかと存じます。
  239. 近江巳記夫

    ○近江委員 この法案が出るという時点において、当然こうした資源というものは重大な問題になってくる。前年度でも予算だって減っている。これで積極的に取っ組んでいる態度と言えますか。その点は、どういうわけでそうなったのですか。
  240. 多治見高雄

    ○多治見説明員 賦存量だけの調査につきましては、ただいま申し上げた金額でございますが、これは二年間で全部調査を終わりたい、そういう計画で調査しているわけでございまして、金額が減ったというわけではございません。計画でやっておるということでございます。
  241. 近江巳記夫

    ○近江委員 今度は通産省にお聞きしますが、今後の問題として砕石技術の開発ということが大きな問題になってくると思うのです。将来実際にコンクリートに使えるような砕石にまで加工していかなければならないのじゃないか、このようにも私は将来の方向として思うのですが、砕石業というものをどのように位置づけていらっしゃるか、その辺をお聞きしたいと思います。
  242. 吉光久

    吉光政府委員 将来の骨材需要の見通しから申しまして、砂利資源の一定の供給力の限界を考えますと、どうしても砕石業者の持つウエートが大きくなってまいるであろうというふうに考えておるわけでございますが、現状におきましては、大体河川その他の砂利陸砂利山砂利含めまして、砂利供給骨材の大体八〇%くらいを占めておるわけでございますけれども、四十六年あたりになりますと、おそらく砕石のほうでカバーしなければならないものが骨材の総需要量のうちの約半分近い数字にまでなるのではないであろうか、このように考えておるわけでございます。したがいまして、砕石業につきましてもやはり砂利採取業と同じように体質改善対策が必要になってまいるわけでございますが、いまお話のございました砕石につきましても、砂利と同じような機能の発揮できるような砕石というふうなこと、これは非常に重要になってまいるわけでございまして、砕石業につきましては、四十一年におきまして近代化促進法の指定業種に指定いたしたわけでございますが、この近代化促進法の中に指定されました結果といたしまして、この基本計画の中で最も重点を置いておりますのは、いま御指摘いただきました砕石自身の規格の向上と申しますか、品質の向上という点でございまして、すべての砕石が砂利と全く同じまでというふうなことまでは要求されるわけではないわけでございますけれども砂利と同じような、セメントにまぜ込んでコンクリートができるというふうな砕石の開発ということは非常に重要な事項でございまして、これは国の研究機関におきましても、また業界のそれぞれの団体の持っております研究機能を動員いたしまして、すみやかにそういう方向に到達してもらうよう現在研究が続けられておる状況でございます。
  243. 近江巳記夫

    ○近江委員 そのようにさらに指導の点をよろしくお願いしたいと思います。  それから輸送の問題でありますが、現在私の聞いておる範囲で、需要家渡しで一立方メートルについて千九百円、東京、大阪では大体二千五百円くらいになるのではないか、このようにも聞いております。そのうち大体運賃というのが千百五十円、大体七十キロくらいの範囲らしいですが、そういうような点を見てきますと、輸送の運賃というものが非常に大きなものになると思うのです。将来さらに資源を当然辺地に求めていくようになると思いますが、さらにそうした高騰というものが考えられる。輸送という点に対して、通産省としてどのように考え対策を練っていらっしゃるか、その点をお聞きしたいと思います。
  244. 吉光久

    吉光政府委員 砂利、砕石等骨材供給地点がだんだんと需要地から遠隔の地方に移りつつあるというのが現状でございまして、御指摘いただきましたような輸送の問題というものが骨材対策の中で相当大きく位置づけられつつある状況でございます。他面この輸送の問題は、同時に企業の単なるコストダウンという問題を離れまして、交通災害対策という面からも非常に大きな問題となりつつあるわけでございます。これは輸送の問題でございますので、具体的に輸送施設を整備いたします運輸省あるいは建設省と実は定例の会合を現在持っておりまして、具体的にそれぞれの地域に応じましてそれぞれの地域における輸送網の整備、及び道路輸送がいいか、鉄道輸送がいいか、あるいはまた海上輸送がいいか、またそういう場合におきますところのいわゆる砂利置き場と申しますか、大きな砂利の集積場が必要になってまいるわけでございまして、その場合埠頭の問題とあわせまして、あるいはまた陸上におきますそういうストックポイントと申しますか、置き場の問題等につきまして、現在具体的な地点、特に一番大きく問題になりつつあります東京都を中心とした関東地域、それから名古屋を中心はいたしましたあの周辺地域、それから大阪を中心にしました地域、これは周辺地域が全部入ります。そういうふうな三つのグループに分けまして、先ほど申し上げました関係省庁との間でいまの輸送対策協議会というものを設けまして、具体的な開発地点、それに対応する具体的な輸送手段というふうなものにつきまして、現在具体的なプロジェクトとして検討を進めておる状況でございます。
  245. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは、その段階でありますから、後日その計画を私に提出してもらいたいと思います。  それから骨材の種類別の用途という問題でございますが、なるほど砕石及びその加工において、将来は砂利にかわるべきものを生産していくというその方向ばわかったわけです。しかしなかなかそこまで技術的にも短期日の間には到達しない。それまでの間——現在道路には砕石を使用しております。砂利は御承知のとおり建物とかそうしたコンクリートに使うわけです。ところが、そうした貴重な砂利を道路に使われている場合もよくあるわけです。したがって、砕石の加工技術がそこまで進むまで暫定の対策として、用途別のそうした規制を行なうような意思はないか、こうした点をお聞きしたいと思うのです。
  246. 吉光久

    吉光政府委員 骨材の需給の見通しにつきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、そういう状況前提にいたしまして、現在法令による取り締まりという意味で用途別規制というところまでは考えておりませんけれども、実際にこれを需要されます大口需要者、先ほどお話ございましたように道路でございますとか、港湾あるいは鉄道というふうに、官公需に依存している面も相当あるわけでございますので、特に建設省のほうともよく御相談申し上げまして、いまのように砕石で済むところは砕石で済ませるというふうな方向でお考えをいただいておるわけでございまして、これは建設省のほうからお答えいただいたほうがいいと思いますが、現実に建設省のほうでも具体的な指導基準をお出しになって、それに基づいていま御指摘ございましたような方向で具体的施策が進められておる、こうういう状況でございます。
  247. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。ただいまの問題につきまして、建設省といたしましては、河川砂利につきましては採取許可を与える河川管理者の面から現在すでに、先ほどお話ございました基本要綱で河川砂利の用途規制を実施いたしております。したがいまして、河川砂利の採取の段階でできるだけコンクリート用骨材として活用されるようにということで、その用途を考えて採取の許可の際やっていけということで通達いたしておりますので、その面からの用途規制は実施いたしております。  それからもう一つ公共工事として砂利を利用する側の立場としての建設省として申し上げますと、先ほど通産省のほうからお答えがございましたように、極力砂利から砕石への転換をはかりたいということでいろいろ研究をし、その方策を講じておりますが、御承知のように、砂利の性質あるいは砕石の性質等いろいろ問題がございますので、直ちにこれを全面的に転換するというところまではいっておりませんが、現在、昭和四十一年の五月に砕石コンクリートの配合設計方法というものを建設省の土木研究所で研究いたしました結果を応用いたしまして、暫定的に、現状で砕石を利用できる配合方法というものの基準をきめまして、これを出先機関その他公共事業を主管いたします機関に連絡いたしまして、極力利用できる範囲で砕石を利用していけという指導をいたしております。さらに研究が進みまして砕石をもっと利用できるという技術的な基準ができましたならば、現在やっております基準をさらに改定いたしまして、もっと砕石を利用できるという方向でやっていきたいと考えております。
  248. 近江巳記夫

    ○近江委員 建設省ではそのように用途規制というものがある、通産省ではない。私は先ほど、通産あるいは建設のそうしたばらばらといいますか、そういう点を言っておるわけです。法案だけの問題ではなくして、実際のそうした点にまで通産、建設が力を合わせて取っ組んでいかなければならぬ、私はこう思っておる。  ここで骨材行政の一元化という問題でありますが、結局そういうようなばらばらの問題においては、今後の資源開発は何と言ったってこれは大きな期待ができない。ここにおいて当然不足してくることはわかっておるわけです。また、それに対する対策等々につきまして、骨材行政の一元化をどのようにしていくか、そういう考えを持っておるか、この点をお聞きしたいと思うのです。通産大臣にお聞きします。
  249. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 今度の砂利採取法、これによって所管官庁ではございませんが、この法律を中心にして関係省の間に協議連絡を密にするという組織ができるわけでございますが、さらに砕石の方面にもだんだん及びまして、そうして関係省の間に連絡協調を密にして、あたかも一元化したと同じような実績を得るようにつとめてまいりたい、こう思います。
  250. 近江巳記夫

    ○近江委員 確かにこの法案によっていろいろな点で私は一歩前進すると非常に期待もしております。しかし、先ほど申し上げたように、この骨材の安定供給の問題、さらには未開発砂利資源の開発利用、あるいは河川改修計画砂利資源開発との調整、あるいは生産及び技術の開発、あるいはまた砕石設備の計画的拡大、あるいは採石権の安定化、骨材企業基盤の充実、流通機構の合理化、いろいろと問題をあげれば相当な問題が出てくるわけです。そういう点で総合的、計画的に充実したものにしていかなければならない、改善していかなければならない。これは幾らこの規制をしていっても、やはりそういうところに問題を広げていったときには、私はいまのような体制であってはならない、このように思うから言うわけです。十分な効果というものは、そういうような背景が整備されてこなければならない。そういうような点で、今後の長期的なそういう発展計画、方法づけ等を私は明確にしなければならないのではないか、このように思うわけです。最後に、そうした今後の方向というものを局長、通産大臣にお聞きして、砂利については終わりたいと思います。
  251. 吉光久

    吉光政府委員 お示しいただきましたように、将来におきますところ骨材行政というものは常に総合的なものでなければならないという点につきまして、私どももよくそれを総合的なものとして把握した上で、先ほど行政機構の問題もございましたけれども関係省庁とも緊密な連絡をとりながら、その総合性にそごが起こらないように処理してまいりたい、最善の努力を尽くしてまいりたい、このように考えます。
  252. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 私の考え方局長がすでに申し上げました。あのとおりでございます。
  253. 近江巳記夫

    ○近江委員 それでは電気用品について、できるだけ簡単に済ませていきたいと思います。  先ほども何回も話があったと思いますが、事故件数であります。まず電気用品による事故件数の概数をひとつ最初にお聞きしたいと思います。
  254. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。事故件数は、需要家の感電事故の件数とそれから火災と、大きく分けますと二つに分かれると思います。最初に感電事故のほうから申し上げますと、昭和三十九年度の死亡事故、負傷事故、これについて申し上げますと、死亡は九十二名、負傷が十一名でございます。昭和四十年度には、死亡は七十五名、負傷が十名、昭和四十一度には、死亡が九十一名、負傷が十八名。それから、なお火災の事故件数、これは消防庁のほうでお調べいただいたわけですが、その年報によってお答えいたしますと、昭和三十九年度には六千件、四十年度には六千四百件、四十一年度には六千百件でございます。
  255. 近江巳記夫

    ○近江委員 この数を聞けば、まとまればこれだけの大きな数になるのか、実際、国民も驚くと思うのです。この事故原因にもいろいろあるわけでありますが、まず使用者の責任か、あるいはまた器具自体の不備から起きた事故かということでありますが、それの分析はなさっていますか。
  256. 井上亮

    井上(亮)政府委員 一応最初に申しましたのは、電気事業法による統計でございまして、したがいまして、あの件数について正確に不注意とかあるいは器具によるものとか、申し上げるわけにまいりません。しかしながら、私ども先生お尋ねのような関心を持っておりまして、事故がありますと、私ども把握できます限りにおきまして調査いたしたところによりますと、いわば抜き取り的な大数観察になりますけれども、大体七割程度が不注意、三割程度が器具そのものの欠陥によるものというような大数観察的な把握をいたしております。
  257. 近江巳記夫

    ○近江委員 実際の正確な数をつかんでいらっしゃらないという点については不満でありますが、これは現状からなかなかたいへんと思いますし、まあしかたがないとは思いますが、じゃ、そうしたこの七割、三割の原因に対してどういうような対策をとっていかれますか。器具自体の不備等については今回の法案でわかりますが、結局使用者の責任というのが七割、こうした問題についてはどうしますか。
  258. 井上亮

    井上(亮)政府委員 ただいまお答えいたしましたように、不注意の件数が相当多いわけでございますけれども、私どもの電気用品を取り締まる立場から申しますと、不注意を私ども責めるつもりはございませんし、むしろ私どもといたしましては、できる限り技術基準等を強化いたしまして、そのもの自体の安全性を確保するという努力をしてまいりたい。ただしかし、そうは申しましても、やはり経済性等の関係がありますから、どうしても取り扱いについても問題になる。その点につきましては電気安全委員会等におきましてパンフレットを作成するとか、あるいは主婦連とも連携をとっておりまして、主婦連等にも連絡をとりまして、各家庭にそういった電気器具の取り扱いについての知識の普及をはかる、あるいはメーカー自体ができるだけ使用についての注意の宣伝をするというようなメーカーに対する指導、それから私ども自身といたしましては、本年度そういったPRの意味合いから映画等もつくって、できるだけ多くの人に理解していただくような、取り扱いについての注意をしていただくような努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  259. 近江巳記夫

    ○近江委員 そういった程度なら、いままでの踏襲と私は思うのです。年間これだけの数の事故を起こしている。したがって、従来と何ら変わりがないような方法であっては事故は減らない。いますぐにといっても案がないと思いますし、この点についてはさらにどういうようにPR等について対策をとったか、その計画というものを後日提出していただきたいと思います。   〔委員長退席、天野(公)委員長代理着席〕  それから、本法案の施行にあたって、これが消費者の価格に影響をしてくるのではないか。さらに実際の電気メーカーを見てみると、中小企業、零細企業というものが下請として非常に存在するわけです。そうした点の影響についてはどういう対策をとっていらっしゃるか。この二点をお聞きしたい。
  260. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えいたします。価格についての影響は、大体二つの問題があろうと思います。一つはやはり安全性を強化するために技術上の基準を強化するというところからのコストアップ要因と、もう一つは手数料を今度上げますが、これの影響があるかないかという問題があろうと思います。  最初の技術基準の問題につきましては、私どもやはり人命に対する、あるいは火災等に対する安全性を第一に考えておりますので、この点につきましては、若干割り高になりましても、これはむしろどちらかといえば消費者の利益でございますので御理解いただける、しかし、これも法外にそれによって便乗値上げをするというような点は、私どもとして関係メーカーに対して十分の注意を喚起しなければいかぬ、こう考えております。  それから、手数料の値上げにつきましては、これは先ほど来いろいろ問題になっておりますが、新しい品目がどんどん電気用品については出てまいっております。相当大型のものもありますし、複雑なものもございます。これは原価方式によって手数料をきめるという方式にいたしておりますが、かりにカラーテレビ等につきまして型式認可を受ける際に、型式認可の手数料が十万円かかったといたします場合に、カラーテレビがかりに一万台ということであれば——一万台以上の生産がされると思いますけれども、相当多数の生産をされますので、一台当たりのはねっ返り、影響はきわめて少額なもの、価格にはほとんど関係ないといって差しつかえないと考えております。
  261. 近江巳記夫

    ○近江委員 消費者に特に関係のある点をもう一点ほど聞いてみたいと思うのですが、特に修理の問題ですけれども、これは町の電気屋さんで修理をしてもらう、案外そうしたところから事故が起きている場合もよくあるわけですね。そうした修理業、修理という問題に対する何らかの対策を考えておられるのか、この問題なんです。その点はどうですか。
  262. 井上亮

    井上(亮)政府委員 修理業につきましては、電気用品取締法では、一応対象にはなっておりませんので、その点は法律的な取り締まりはできないわけでございます。したがいまして、私ども、実際問題といたしましては、先ほど申しましたような電気安全委員会というのを全国に置いておりますが、こういうようなところで、修理業等に対して十分な注意とか指導とかを行なうというような活動で善処いたしておるというのが実情でございます。
  263. 近江巳記夫

    ○近江委員 それもいままでの踏襲なんですね。さらにそうした点も、どのように消費者に迷惑のかからないような対策をとっていかれるか、後日またいろいろと検討なさった場合に——検討してもらわなければならないわけですが、それをまた早急に私のほうに資料として提出を求めておきます。  それから、甲種、乙種の二本立てになさっているわけですが、特に甲種の場合、従来対象の決定に際して、それぞれの立場の違いがありますから、その対象となるかいなかの決定に相当な時間もかかっている、こういうことも聞いているわけです。そうした点、今後どのように改善をなさっていかれるか、この点をお聞きしたいと思います。
  264. 井上亮

    井上(亮)政府委員 私ども、この法案を通過さしていただきました直後に、相当数の品目追加をいたしたい。最近新しい品目が出ておりますので、そういった品目を追加いたしまして、取り締まり体制を一段と強化いたしたい、こう考えておりますが、手数はそうかからないと思います。ただ、公聴会等をやらなければいけませんものですから、その手順、手数等がかかりますけれども、それ以外の点では、事務的には特におくれる理由はございませんので、できるだけ善処いたしたい、そう考えております。
  265. 近江巳記夫

    ○近江委員 型式認可の有効期間の問題でありますが、諸外国の例をずっと見ていきますと、アメリカではUL制度をとっているわけです。通産省としては三年以上七年という期間を設けていらっしゃるわけですが、このUL制度等と比較をして、どういう点にプラスをもってこうした期間をつけられたか、その点をお聞きしたいと思います。
  266. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。御指摘のように、アメリカではUL機関でいろいろな検査をいたしておりますが、日本と違います点は、アメリカでは型式認可という形をとりませんで、むしろ工場における抜き取り検査という形式でやっておりますために、日本の制度と比較しがたい点があるわけですが、ヨーロッパ関係におきましては、日本とほぼ同様の型式試験をやっております。これらの国々との関係では大体同じ程度の年数を各国ともに考えております。従来、私ども現行法におきましては七年ということにいたしておりましたが、最近の電気用品の進歩あるいは改善等が行なわれておりますので、できるだけそれに合わせまして年限を短縮いたしたい、そう考えております。
  267. 近江巳記夫

    ○近江委員 今回のこの法案によって規制対象の範囲というものが非常に拡大されるわけでありますが、現在公の機関として財団法人の日本電気用品試験所がありますね。これは東京、大阪で大体四十人程度と私は聞いておるわけでありますが、これではたして処理できるのかという問題、あるいはもしそれが不備であるとするならば、この検査機関の充実をしなければならない。どういうような対策をもってやっていかれるか、また財政上のそうした裏づけ等についてまでお聞きしたいと思います。
  268. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。まず電気用品試験所の問題でございますが、いま検査員四十名とおっしゃいましたけれども、実際には六十五名でございます。私どもこの六十五名で今後品目追加をいたしますと、やはり人手不足の問題が起こるのではないか、そう考えておりまして、さらに人間につきましては二十名程度ふやそうかということをいま関係責任者と打ち合わせをいたしております。  それから予算的、財政的な基礎の問題でございますが、現在東京、大阪に試験所がございますが、建物を含めまして大体三億五千万円くらいの機械設備を据えつけまして検査に当たっておるということでございます。さらに品目を近く数十品目追加いたしたい。それに対応いたしまして、さらに八千万円程度の機械設備の増設をいま考えて計画いたしておりまして、これは年内からそういう据えつけに入りたいというふうに考えております。
  269. 近江巳記夫

    ○近江委員 これは一つの部門の話でありますが、従来国内向けの電気音響製品というのは、この試験制度の対象に入ってなかったのですね。どうして試験制度がなかったかという問題。それから今回の範囲の拡大で対象に入るのではないか、私はかように思いますが、そのために当然新設備というものが必要になってくる。それに対する財政的な裏づけがあるか。聞くところによると、電力会社が設備を寄付してくれるようなことになっているということも私はちょっと聞いておるわけです。そういった形でいいのかどうかという問題なんです。この点どうです。
  270. 井上亮

    井上(亮)政府委員 最初のお尋ねの点につきましては、お説のような問題がありましたけれども、近く品目追加をいたしたいと考えております。  それから次の機械設備の充実等の問題でございますが、これは先ほど申しましたように、法律の指定機関は、財団法人日本電気協会が一応そのバックアップの態勢をとりまして、電気用品試験所のいろいろな財政的なめんどうを見ておるわけでございます。これは直接の利害関係者でなくて、やはり電気協会1これは電力業界と機械業界から構成されている団体でございますが、こういうところから客観的な財政援助を受けて施設の増強をはかりたい、こう考えております。特に電力業界の立場になりますと、やはり自分が発電いたしまして配電いたします電気について、よしんばそれが機械業界がつくりました機械から起こりました事故でありましょうとも、やはり間接的な関連はあるわけでございます。そういった意味で、直接的な関係はないという立場から、できるだけ電力業界等の財政的な応援を得たいと考えております。ただそれで十分かと言われますと、私ども資金的には相当それで十分にいくと思いますけれども、何と申しましても、やはり法律による指定機関でございますから、政府としてはもちろんこれに対して十分な監督を今後ともいたしていきたいと考えております。  それからさらに、いろいろ今後品目の追加をいたしますに際して、特に弱電部門の品目追加が相当予定されておりますので、単にこの指定機関は電気用品試験所だけでなしに、日本機械金属検査協会、これは財団法人でございますが、こういうところも指定機関にさらに追加して、そこの人材なり設備なりをフルに活用するような態勢もとってまいりたいと考えております。
  271. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに、法において規制するわけです。それは若干のそうした寄付等も現制度として考えられないことはありません。だけれども、ほとんどそれにたよっていくというようなことは、政府考え方としては実際もう情けないと思うのですよ。こうやって法規制する以上は、通産省でそれだけの準備をしましようと、私はそこまで財政的な裏づけもちゃんとするのがあたりまえだと思うのですよ、結局そのような寄付を仰いだとしても、それはどこかに、一般消費者にも下請にも全部しわ寄せがくるわけですよ。ですから、そういうような点において根本的にさらに政府として財政的な裏づけ等も今後強化していくのかどうか、その点をもう一度ただしたいと思います。
  272. 井上亮

    井上(亮)政府委員 現在私ども政府の資金といたしましては、競輪資金から一千万円余りを検査所に支出しております。しかし、先ほど言いましたように、全体の設備は現在三億五千万円ほどの設備を持っておる。それに比べますと、政府の資金は非常に少ないわけでございますから、私どもといたしましても、さらに予算的な措置につきまして十分努力し、善処してまいりたいと思います。
  273. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから外国の制度と比較した場合、わが国のそうした制度というのは非常におくれを感じるわけです。確かにアメリカ等と比べてみると、制度の違いという点はあるわけでありますが、量産過程において常に追跡調査というものをやっているわけです。結局抜き取り検査等が行なわれて、最初の検査品と同一製品であるかどうかということが監視されているわけです。わが国の場合も通産省でやっておられると思いますが、立ち入り検査制度ですね。しかし、実際にこの立ち入り検査というものがどのぐらい行なわれているかという問題なんです。制度があってもどこまで運用されているか、実態をひとつ聞かしてください。
  274. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えいたします。立ち入り検査といたしましては、一応四十一年度、四十二年度の実績につきまして御報告申し上げますと、四十一年度には一応検査工場は三百三十一でございます。なお、ちなみに登録製造事業者数は二千六百社、そのうち三百三十一社を四十一年度に実施いたしました。四十二年度には同じく三百二十八社の工場を対象にいたしまして立ち入り検査を実施いたました。
  275. 近江巳記夫

    ○近江委員 それで十分とお考えになるのですか。今後そうした検査についてどういう決意といいますか、通産省として考えを持って臨んでいかれるか、またその対策をお聞きしたいと思います。
  276. 井上亮

    井上(亮)政府委員 この検査件数は、私どもとしては必ずしも十分でないと考えております。先ほどもお答え申し上げましたように、二千六百工場のうち、大体年間三百二、三十社ということでございますから、七、八年に一ぺん回るだけということでございまして、私どもとしましては、この立ち入り検査件数をさらに強化いたしたいと考えております。  それからなお、そうだからといいまして、立ち入り検査を二千六百社を毎年実施するわけにもまいりませんので、国がやります立ち入り検査のほかに、実際の市販品の買い上げ調査、買い上げからメーカーを追跡していく調査、これに力点をあげてまいりたい。両々相待ちましてできるだけ万全を期すという方針でいきたい。特にこの買い上げにつきましては、予算につきましても昨年から本年は相当な増額になっておりますが、さらに電気安全委員会等の予算も本年度は在来よりも数倍ふやしまして、特にこの法律施行を機会に大々的な全国的な検査をいたしたいという計画をただいま立案いたしております。
  277. 近江巳記夫

    ○近江委員 ではもうこれで時間もありませんので終わりますが、通産行政でありますから、こうした制度がどうしてもできてくるのはそれはしかたがないとは思うのでありますが、あのJISマーク等に見るごとく、そうした許認可をめぐって汚職が非常に発生している。特に通産省はいままでに数多くそういう問題が出ている。そういう点の心配がこれでまた一つふえたわけです。そういう点において、国民は非常にJISマーク等においても不安を持ち、また、それだけに信頼度というものは落ちてきておるわけです。電気用品についても、私はもしもそういうようなことが発生したとするならば、国民のそういう信頼というものは著しく落ちると思うのです。こういう点において、今後さらに通産行政として、大臣としてどういう決意で法案施行にあたって臨んでいかれるか、また全般の通産行政についてどういうようにそうしたことに対して決意をしていらっしゃるか、その点をお聞きして終わりたいと思います。
  278. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 JISマークの件については返す返すも遺憾でございますが、電気用品の検査制度を拡充するにつきましては、かようなことのないように十分の戒心をしてこの問題に当面したいと思います。
  279. 近江巳記夫

    ○近江委員 それじゃ終わります。
  280. 天野公義

    ○天野(公)委員長代理 中村重光君。
  281. 中村重光

    ○中村(重)委員 関係省の出席が、砂利のほうが多いようでございますから、簡単に二、三の問題点をお尋ねをしてみたいと思います。  同僚委員から二日間にわたって詳細に質問がなされたわけですけれども、私はこの法律案を見まして、条文そのものは、十分と言えるかどうかは別として、相当検討された条文であるということはわかるのですけれども、はたしてこれが実行可能かどうかということに対して、質疑応答を通じて感じておる点があるわけです。  そこで、この砂利採取法案はさきの特別国会で提出をされるということを伝えられておったわけですが、それが特別国会において提案の運びに至らなかった、その点はどういうことであったのか、一応伺ってみたいと思います。
  282. 吉光久

    吉光政府委員 砂利から起こりますところの特に山砂利陸砂利を中心にして起こります災害問題というものが非常にひんぱんになりまして、しかも、全国至るところ、と申してはちょっとオーバーでございますが、相当全国的に広い範囲にわたりまして起こってまいったわけでございます。したがいまして、この砂利採取法災害防止観点から全面的に見直すという必要性が非常に痛感されたわけでございまして、私どもといたしましてもできるだけ早く国会に御提案申し上げ、御審議をいただきたいというふうに考えておったわけでございますけれども、何ぶんにも災害防止観点から全般的に見直しました場合に、これに関係いたしますいろいろの法律制度が現在あるわけでございまして、そこらの関係におきますところのこの砂利採取法案の位置づけをどうしたらいいかという点につきまして、それぞれ関係省庁との間でいろいろと意見の調整をいたしました。最終的に、現在提案を見ております砂利採取法案という形で最終意見として取りまとめたわけでございますけれども、いま申し上げましたように、関係省庁の範囲が非常に広いということと、それから同時にまた、これが従前の砂利採取法と違いまして、災害防止観点から相当幅広く新しい制度も採用いたしております関係上、そういう法律的な意味での秩序づけと申しますか、位置づけと申しますか、そういう意味の検討にも日にちを要した次第でございまして、特別に関係省庁の間に利害の対立があっでおくれた、そういう状況ではなかったわけでございます。   〔天野(公)委員長代理退席、委員長着席〕
  283. 中村重光

    ○中村(重)委員 特別な対立がなかったとおっしゃるのだけれども、農林省あるいは建設省その他関係各省からいろいろ問題点が提起されて意見が一致しなかったということば事実なんだから、それで、そのことは各省それぞれこれに関連をするような法律があるわけですから、それが強化されてくるということになるのではないか。そのことがそれなりに行政を進めていく上について障害になる。悪い意味でいえばなわ張りとかなんとかということになるのかもしれませんけれども、これは私はそういうことではない、あくまで善意に考えておるわけです。そこで意見の調整ができて、提案の運びになったというのですけれども、各省間に非常に問題が多かった法律というものは、実際にこれを執行していく上において障害があるわけですよ。えてしてそれがざる法という形になってくるのですね。私はその点を問題にしておるわけですから、別にあなたに、そうしたいろいろなごたごたがあったじゃないか、けしからぬじゃないか、そういう意味でお尋ねをしているのじゃございません。ですからそういう形で妥協はしましたが、問題点はどこであったのか。実際の運用をしていく上についてこれをどう消化されていくのか。そしてこれがざる法にならないでほんとうにいい法律として働いていくという形になるのかどうか、私はそういう意味でお尋ねをしておるわけでありますから、あなたもそういった考え方で、問題点はこういうことであったのだ、これはこういう形に消化される、克服したのだから運営は支障はないならないという形で具体的にひとつお答え願いたいと思うわけです。
  284. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、災害防止という観点から現行の砂利採取法を全面的に見直したわけでございます。現行の砂利採取法におきましては、すでに御承知済みのように、監督権の発動態様と申しますか、そういう点につきましては、それぞれ砂利の採取等行為につきまして許可を要する地域につきましては、監督権の発動態様から現行砂利採取法ははずされておるわけでございまして、それぞれの母法によって監督命令を出すというふうな形になっておるわけでございます。ところ砂利災害の防止という観点から考えました場合には、こういう監督権限の行使はできるだけ一元化されるほうが好ましい。それがある土地につきましてはある主務省、ある土地につきましてはある主務省というふうな形でばらばらに運用されましたのでは、ほんとう意味での砂利災害防止ということにならないのではないであろうかということで、現在それぞれの行政機関でそれぞれ監督いたしております態様になっておりました監督命令等につきましては、この法律で一元化の方向をとったわけでございます。したがいまして、そういう意味関係省庁が非常に多かったわけでございますが、最終的にはこの砂利採取法案で一元化するということにつきまして御了承を得たわけでございます。  なお現行法におきましては、処分等の命令権の発動者につきましても通商産業局長というふうにになっておるわけでございますけれども、こういう行政を一元化いたします場合に都道府県に一元化するほうがより適当ではないであろうかということから、機構的にも実は相当、いままでやっておりました通産局行政を都道府県知事のほうに具体的な監督の態様をやっていただくということに改めたわけでございます。したがいまして、そういうふうな現行法律自身が持っておりますいろいろな矛盾点を克服いたしております間に実はある程度の時間を要した、こういう状況でございます。
  285. 中村重光

    ○中村(重)委員 なかなか話がつかない。そこで何というのか都道府県に移していくということになってくると、どちらにも偏しなかったからいいじゃないか。そのことが、都道府県が迷惑を受けない形であるといいわけですけれども、都道府県にある種の権限を与えていくということは、自治権を大いに尊重していくという意味においてはわかるのだが、それなりに財政的な負担が十分行なわれるのかどうか。妥協の産物みたいでありがた迷惑だということになったのではどうにもなりません。また、申し上げたように、そういうことでお互いに譲り合ってきた。かっこうはいいのだけれども、実際はこの法律がうまく働いていかないということになりがちだと思うのですよ。それらの点を心配するのですが、どうでしょうか。農林省、建設省、自治省、それぞれおいででございますが、特別国会で提案する運びに至らなかったことについての問題点、私がいま申し上げたようなことについて、これで支障はないのかどうか。それらの点についてそれぞれ簡単でけっこうですから、お答えを願いたいと思います。
  286. 多治見高雄

    ○多治見説明員 ただいまお話しの点につきまして、建設省は河川砂利関係で一番関係が深いと存じますので、建設省についてお答え申し上げますと、今回のこの法案の策定にあたりまして、先ほど通産省のほうから御説明ございましたように、時間を食いましたが、われわれといたしましては、別に権限争いその他そういった御心配のような面での問題は、この法案に限ってはなかったというふうに考えております。  時間をとりましたのは、砂利の採取に伴いまして、建設省の所管で申し上げますと、この採取行為の規制をいたしております法案が幾つかありまして、たとえば海岸法、砂防法、地すべり等防止法といったように、地形の変更を伴う砂利の採取につきましては、それぞれの規制を行なっておる法律がございます。こういった法律と、一元的に砂利の採取を規制していく本法との二重規制の弊をどうして避けていくかという点が、一番調整に時間を要した点でございまして、いろいろ検討いたしました結果、河川法につきましては現在提案いたしておりますような法案の内容になっておりまして、この点の調整は十分ついておりますので、今後の施行につきましても全然問題はないというふうに考えております。先ほど申し上げましたような法案につきましても同じような考え方で実施上問題はないという結論に達しておりますので、法案の成立いたしました暁には、この施行については御心配のような点は何らないというふうにわれわれとしては考えております。
  287. 中野和仁

    ○中野説明員 農林省の立場といたしましては、農地あるいは農業施設に対する被害をどういうふうに防止するかという観点からでございます。現在農地転用の面からだけの規制をしているというような感じでございます。実際は無断転用あるいは許可条件違反というようなことがかなりあるわけでございます。したがいまして農林省としましては、農地転用の面からと同時に、業者のほうからの規制あるいは指導監督が一刻も早く望ましいというふうに考えておりましたので、早く法案が成立することを希望したわけでございます。
  288. 中村重光

    ○中村(重)委員 次は、この法案の性格なんですが、第一条「砂利の採取に伴う災害を防止し、あわせて砂利採取業の健全な発達に資することを目的とする。」こうあるわけですが、これは砂利の採取に伴う災害を防止するということと、砂利採取業の健全な発達に資するということとの結びつきはどうなのかという点が疑問点として出てくるわけですけれども、その二つとも目的である、こういうふうに、「あわせて」ということになってくる、それから「資することを目的とする。」とありますから、これ自体が目的であるというふうには受け取られるわけです。ですけれども、そうなってまいりますと、業法的な性格を私は帯びてくるような感じがいたします。業法なのかどうかということです。業法だということになってまいりますと、この条文をずっと見てまいりますと、いわゆる業法的な内容というものはありません。四十一条に「砂利採取業者に対する指導等」というので「国及び地方公共団体の関係行政機関は、砂利採取業者に対し、砂利の採取に伴う災害を防止し、又は砂利採取業の健全な発達を図るために必要な指導及び助言に努めるものとする。」、二項目あるわけですけれども、これ自体、きわめて抽象的でして、実は業法的な性格のものではない。そうなってくると、第一の目的というものは何かアクセサリーみたいなものになってくるのですね。先ほど来同僚議員からそれぞれ問題提起があったわけですね。そこで業法的なものであるならば、中小採取業者というものもありましょうから、登録制をやる、それから続いて具体的な認可というものがなされてくることにずっとなるわけですけれども、この登録の基準というものはどういうことなのかということを見てみますと、この条文に関する限りは、それぞれの資格のあるものを置くことになっておるにすぎないということです。だから、これ自体を見ると、別にいわゆる小さい採取業者を切り捨てるという形にはなっていない。なっていない反面、私がいま申し上げましたように、それらの業者というものをどう保護していくのかというような点も明らかではないのですね。目的がここではっきり明らかにされておるのですから、それならそれなりに、業法的なものならば業法的なものとして、この目的の一つに合致するような内容というものを当然盛り込んでいく必要があるのではないかということ、具体的な近代化資金の問題等に対しましても、そういうことは必要なんだから考えていきたいというような、そういう努力目標を明らかにされたにすぎないわけであります。この点に対しては政府としてどうお考えになっていらっしゃるのか、この法律の性格というものが必ずしも明らかではないということです。
  289. 吉光久

    吉光政府委員 この法律の立案に至りました経緯が、砂利の採取業から起こってまいります災害を防止するという点に主たる趣旨があったわけでございます。したがいまして、この法律のねらいは、第一義的にはあくまでもこの第一条に書いてございますように、砂利の採取に伴う災害を防止するということが第一義的な目的でございます。ところが、砂利の採取に伴う災害を防止いたします場合には、やはりその災害防止の義務を負担する採取業者が、それにふさわしいものになっていただく必要があるというふうなこと、同時に、この災害防止自身をやることによりまして、砂利採取業者は健全な発展を遂げるわけでございますけれども、同時にまた、政府並びに関係行政機関といたしましても、これに耐え得るように砂利採取業者自身を育成してまいる必要があるというふうな判断に立ったわけでございまして、あくまでもこの法律の主たる目的は、採取に伴う災害を防止するということでございまして、「あわせて砂利採取業の健全な発達に資することを目的とする。」、並列的なようでございますけれども、「あわせて」以下のほうは「健全な発達に資する」というふうなことで結んでおりますように、いわゆる砂利採取業法というふうなことで、業者に対しますところのいろんな保護育成と同時にどうこうするというような、いわゆる完全な意味での砂利採取業法という形をとりませんで、砂利採取法というふうなことで、災害防止を主たるねらいにいたしておるということを実は宣明いたしたわけでございます。
  290. 中村重光

    ○中村(重)委員 わかったようなわからないような感じですがね。砂利の採取に伴う災害を防止するその結果としてということになるのか、それを防止すること自体がどういうことをねらいとしなければならぬかということになってくると、安全確保の問題がありましょう。人命尊重、災害防止ということは、人命、財産を尊重していくことになりますね。それから地域が、災害が起こりますと荒廃化してまいります。そういうことを守っていくということになるでしょう。その他いろいろあげてまいりますとたくさんあろうかと思います。そういういわゆる災害を防止してこういうことになるんだと、いま私があげましたようなことがここにさっと書かれておるならば、これは確かに災害防止立法であるということに受け取れるわけですよ。ところがそうでなくて、「あわせて砂利採取業の健全な発達に資することを目的とする。」と書いていらっしゃるので、これだけを読むと、やはり目的の一つなんだから、それならば業法的な性格を持つのではないかというのです。業法的な性格を持つのだったら、災害を防止すること自体がこの業者の健全な発達に資することになる。それは広い意味においては確かにそういうことになろうと思います。しかし私はそれは目的に持っていくべきではないと思うのです、そんなに広い意味において健全な発達をはかるというようなことであるならばですよ。そうではない。それから登録制をとることにおいて健全な発達をはかっていくのだ、こういうこともいまおっしゃいましたが、それじゃ登録制をとることにおいて、どうして健全な発達をはかるということになるのか。登録についての基準というものは少しもここに出ておりません。しいて出ておるとするならば、砂利採取業者はいわゆる業務主任者を置くのだという規定がここに明らかにされているのにすぎません。主任者というのは資格を持っておる人ですから、それはそれなりの、何というのですか、この採取業を登録するものはこういう要件が要るんだぞよというだけであって、そのことが健全な発達をはかることになるのだといってここに大きく目的に持ってくる、これではいわゆる業法的な性格というものは出てこないではないか。企業合同の問題その他どこを見ても何もないわけですよ。これはしごくあいまいだ。私は当初これをお配り願いました際に、どうも第一条がはっきりしないから、これをひとつ明確にしてもらいたいということを御注文申し上げた。ところが、いや、こういうことだといって御説明においでになったのですけれども、どうもやはりいま正式にこの審議の中においてお答えを願いましてもわかりかねるんですね。私の疑問というものはどうも解消しない。私が間違いなのかどうか、その内容に何かそうした業者の健全な発達をはかるというようなところが、具体的な形で条文に三、四カ所でも出ておるとわかるのですけれども、先ほど申し上げましたように、四十一条にきわめて抽象的に出ておるにすぎない、こういうことですね。不十分ではないかというような感じがいたしますが、同じような答弁の繰り返しになりましょうか。
  291. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、最初からこれを立案いたしました趣旨と申しますか真意は、あくまでも災害の防止という観点から立案いたしたわけでございます。したがいまして、この砂利採取業者登録制の採用にいたしましても、いわゆる事業法的な意味での登録というふうな形では考えなかったわけでございまして、災害防止観点から見ました場合に、人的な欠陥があっては困るという意味から、要するに人的な欠陥と申しますのは、砂利採取をするにしてはふさわしくないというふうな、そういう人的欠陥があるものについては困るという意味から、特定の欠格条項を設けますとともに、業務主任者というものを置くことによりまして、災害防止の完全さを期してまいりますと同時に、さらに命令違反等の違反行為をやりました業者につきましては、この登録された地位を剥奪することによりまして、継続して事業ができないというふうな体系を考えたわけでございまして、あくまでも主たるねらいは災害の防止というところにあるわけでございます。御指摘ありましたように、事業の健全な発達に資するという意味の条文につきましては、第四十一条に指導、助言につとめるという宣言的な規定があるのみでございまして、したがいまして、御指摘いただきましたような疑問が残るというふうなことであろうかと思うわけでございます。ただあくまでもこれは業法と申しますよりか、あるいは採取業者の主体、あるいは採取行為等につきまして災害を防止するという観点に焦点を当てました上で立案いたしたわけでございます。
  292. 中村重光

    ○中村(重)委員 実は賛成をしようと思って、それで疑問点がありますから何か話してもらいたいと思ってお尋ねしているんですよ。疑問が残ったままでは、賛否を委員長から問われました場合に、どうも立つのが立ちにくくなってまいりますからね。内容的にでも何か迫力のあるような——声を大きくすることが迫力と申し上げるのじゃないのですけれども、内容ある答弁というものがなされると非常によろしいわけですが、先ほど来同僚委員がいわゆる業法的な健全な発達をはかるというために必要な諸施策をいろいろお尋ねしておったのに対しましても、きわめて抽象的な答弁に終始しておられたものですから、それで私もお尋ねをしなければならなくなったわけでございます。  そこで、いかがでしょう河川局次長さん、この点に対しては。ひとつあなたのほうのお考え方を聞かしていただけませんか。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  293. 多治見高雄

    ○多治見説明員 お答えいたします。私どものほうで、御質問の採取業者の健全な育成をはかるという点について、はたして十分の措置を講じているかどうかという点については、ちょっと適当なお答えができないかと存じますが、現在河川砂利の採取につきまして、河川法上の規制をいたしておりますが、その規制の際、四十一年に制定いたしました基本要項の中でも、はっきり業者の健全な業務の運営ということを掲げておりまして、具体的には先ほど来御説明のありました零細業者の協業化、共同化等を促進するということで、業界の健全な発展をはかりたいということで現在実施しておりますが、業界の積極的な育成という面でわれわれが実施いたしておりますのは、大体そのようなことでございます。
  294. 中村重光

    ○中村(重)委員 大臣、いまお聞きになっておわかりだと思うのですけれども、この第一条は災害を防止するということがこの法律案の目的である。だけれども結果として砂利採取業者の健全な発達に寄与していくんだということでもない。やはり目的の一つである。そうなってくると、業法的な性格を持ってこなければならないですね。内容は何もないということです。四十一条にいわゆる宣言的な規定があるにすぎない。これは法律案の不備という形では簡単に片づけられない。いろいろと冒頭に私がお尋ねをいたしましたように、各省間において、特別国会の当時に提案しようということに対して、いま私が申し上げたことが中心となって意見調整という形になったのではないと私は思いますけれども、やはりそれらの関連もなきにしもあらずということになってくると思います。そうなってくると、私が憂えますように、ざる法的なものに終わっていくのではないかということを考えるわけでございます。ひとつこの際大臣の見解をお聞かせ願っておきたいと思います。
  295. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 そういう点では確かに事業法的な性格があるかと思うと、どこにもあまり該当するなにがない。ただ四十一条にそのことが書き添えてある。こういうことで、主たるねらいは災害の防止ということになるんだが、この法律を施行する上において業界の協業化であるとか、共同事業その他の業界の健全化のために既存の制度というものに、何と申しますか、一つの付帯的なものとしてこれに加える、そういう衣を着せると申しますか。そういうことをあわせて行なうことを必ずしも排除する意味じゃないというぐらいに解釈すれば、そう潔癖に考えぬでもいいのじゃないか、こう思いますがね。
  296. 中村重光

    ○中村(重)委員 別に潔癖に考えているわけじゃございません。目的というのは非常に重要でございます。目的によってその条文というものがっくられてこなければならないわけであります。そういう意味で申し上げているのでございまして、これはどうも法律の態様としておかしい、こういうことを申し上げておるわけでございますけれども、これはそれぞれの考え方がございましょうし、お答えになっていらっしゃるようなことも、いや、それは間違っているということで片づけられない。やはり私が申し上げておることも、なるほどとうなずかれる点もなきにしもあらずと思うのでございます。ですけれども、かといって、いま議論されておることが直されないからといって、これに反対しなければならないというものでもないと思います。したがいまして、要はどうこれを運用されるかということが中心でございましょうから、質問を進めてまいりたいと思います。  この登録を受けた業者が、ある地域によって認可を受けて採取業務をやる、こういうことになってまいりますが、この目的にこういうことを強く出してまいります以上は、やはりこの登録の場合にただ業務主任者を置くということだけでよろしいのかどうかですね。何か経営能力の問題等、チェックしていく必要があるのではないか。そうなってまいりますと、まあ零細と申しますか、経理能力にいたしましてもあるいは資本力にいたしましても、弱い採取業者というのが締め出されてくるということになってまいります。ですからこれも何とかしてそういう形にならないようにしなければならない。かといって、どういう業者にやらしてもよろしいということは、目的の災害防止という点から避けていかなければならぬ。おのずから答えとして登録であるとかあるいは認可をする場合に、その基準というものが問題点として出てこなければならない。そういう場合に、弱い業者を締め出さないためには、やはり企業合併であるとか合同であるとか、あるいは協業化を強力に進めていくとか、そういう形において目的を十分達成するような方向に、この法律を制定されましたならば運営をしていかなければならないと私は思うのでございますが、それらの点に対してはどのようにお考えになりますか。
  297. 吉光久

    吉光政府委員 御質問の中にもございましたように、こういう災害防止を確保する手段といたしまして、事業者の人的能力を審査する問題、それから経理的条件等を審査する問題、それにさらに具体的な場所に設置いたします工作物等、物的な面についてチェックいたしますような制度、いろいろと組み合わせがあろうかと思うわけでございます。砂利採取業の現実の実態から申しますと、採取規模の大小に応じまして、経理的資金的能力等につきまして、一義的には決定し得ないような非常に広範な、非常に幅の広い範囲で現在事業主体があるわけでございます。   〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、そういう経理的能力というふうなものも、事業者の事業登録という段階では審査いたさないことにいたしたわけでございまして、先ほど申し上げました三つのポイントのうち、人的能力という面に着眼いたしまして登録制度を採用いたすことといたしたわけでございます。その経理的な面等につきましては、具体的な採取計画認可というふうな段階がございますので、その認可申請書に記載された事項を、必要な資金力をもって実際に実現可能であるかどうかというふうなことにつきまして、具体的な、そういう防護施設等の設置義務とからみ合いました形での資金調達力等についての見込みというふうなものは、審査いたしたいというふうに考えておるわけでございますが、事業登録の段階におきましては、資金的能力というふうなことは、実は審査の基準の中に入れなかったわけでございます。
  298. 中村重光

    ○中村(重)委員 ですから、具体的な審査の際にやはり問題が出てまいりましょう。その審査に当たる人によって、判断が広くもなるし、狭くもなってまいりますね。それをきびしくしていくということは、能力が非常にある業者になってまいりますから、災害防止という目的を達成するには非常に都合がよろしい。ところが、採取業者というものは、無数の中小零細業者がいるわけですね。そういう人たちが、きびしい審査のために締め出されてくるということであってはなりませんから、それをどう調整をしていくかということ、これはやはり重要な問題点として考えていただかなければならぬと思います。だから、これがあまりきびしくなりますと、これは企業整備法という形になってまいりましょう。そうではないとあなたはお答えになるであろうと思います。それならば、将来そうした零細企業者の問題を考えていくということですね。いろいろな諸施策をもって、健全な発展を採取業者がなし得るように育成していかなければならぬのではないかというように思います。その点に対して、具体的な構想というのがございましたら、お聞かせ願いたいと思います。
  299. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘いただきましたとおりでございまして、公害防止処置というものがきびしくなればなりますほど、企業といたしましてはその負担に耐えかねるというふうな事態になるわけでございまして、この法律によりまして企業整備を断行していこうというふうな気持ちは考えておらないわけでございますので、こういう災害施設等の負担に耐えるような企業体になるということが、採取業としては非常に重要な問題となってくると思うわけでございます。したがいまして、現在すでに、採取業者につきまして事業協同組合あるいは協業組合等への動きが現にあるわけでございますけれども、さらにこういう公害防止施設等をつくることを通じまして、そういう組織化への問題につきましては、一段と努力をいたしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。同時に、そういう組織化、協業化、共同化を通じまして、そういう組織でやりますところのいろいろの災害排除施設等につきましては、現在中小企業関係のいろいろの金融措置によりまして助成措置を講じておるわけでございますけれども、この法案一つの拠点といたしまして、さらに積極的に、現在進めております融資措置等につきまして努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  300. 中村重光

    ○中村(重)委員 時間の関係がございますから、これで終わりたいと思いますが、ともかく一度登録をされますと、自分砂利採取業者になったという気持ちになるのがあたりまえなんですね。事業をやるための、いろいろな諸設備をやってくるでありましょう。ところが実態の認可にあたっての、認可をするかしないかということを審査される際に、これはだめなんだ、認可はできないという拒否の態度をおきめになるときもあると思う。ところが、その採取業者は、自分は登録されておるのだということで、あの山を採取したいと土地所有者との間にもう契約してしまって、そうして形式的な手続のみをやってくるというようなことで、そのためにはいろいろな人たちの協力を求めて、認可をしてもらいたいというような活発な動きをしてくる業者もたくさんあると私は思います。そういう場合に、何というのですか、業者の能力という点からいってどうも問題はあるけれども、もうすでに土地も契約されてしまった。こういったいろいろな人たち認可に対するところの活発な動きもある。これはやむを得ない、まあしっかりやりなさいよ、こういうことで認可をせられるという形も起こってくると思いますから、そこらはやはり慎重にやってもらいたいということが一点であります。  ところが一応認可をした。認可をしたけれども実際の採取の業務に携わってみたところが、どうもうまくいかない、そういう場合にはこれは認可を取り消しさせなければいけないという事態も起こってくると思います。これに対しましては、一たん認可をいたしますと、これを取り消すということはなかなかできるものではない。その間に災害発生するというような、業務を続けていく上についていろいろ問題点というものも多々出てくるのではないかということが、具体的な問題として考えられるわけでございますから、それらの点に対しては、十分ひとつ関係各省庁と地方自治体と緊密な連絡をとって、この法案の運用にあたっては対処していただきたい。そしてこの目的達成に遺憾なきを期していただきたいということを強く要望いたしておきたいと思います。  大臣のお答えと局長の御答弁を願いまして、この法律案に対する審議を終わりたいと思います。
  301. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 御指摘のとおりでございます。
  302. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘いただいたとおりでございまして、この法案の意図いたしておりますところは、あくまでも災害の防止にあるということでございます。したがいまして、この災害の防止という法案の意図がくずれないように、先ほどお話ございましたように認可にあたりましては慎重に、同時に違法行為に対しましては厳格にと申しますか、この法律の運用を実施してまいる、同時にそれらの問題につきましていろいろ関係省庁とそれぞれ意思そごのないように、あくまでも災害防止観点に立った上でこの法の運用をはかってまいりたい、このように考えます。
  303. 中村重光

    ○中村(重)委員 次は電気用品取締法改正案についてお尋ねいたします。  井上局長のお考え方としては、現行法は十分生かされてきたというふうに思っていらっしゃいますか。御承知のとおりに電気は非常な伸びを示しておりますね。そして電気用品というものは非常に普及をしてまいりました。そこで現行法では間に合わないということから、一部改正案を実はお出しになったというふうに思います。なるほど一部改正案の内容といたしましては、指定を広げていって甲種と乙種にするとか、あるいはその基準をきめていくとか、あるいは輸入製品に対しての型式は従来もやっておりましたが、さらにこれをきびしくしていくとか、いろいろな柱はあるようであります。ところがここで局長もお考えにならなければいかぬことは、いままでのこの法を運用してまいりました中において十分であったのかどうか。これに関係する各省庁をはじめといたしまして、その他の諸団体というのが安全確保のためにほんとうに積極的な取り組みをやってきたのかどうかという点は、評価と反省が必要ではなかろうかと私は思います。それなくして、いかに法律の内容を強化し、これを拡充いたしましても、その姿勢を改めない限り、仏つくって魂入れずの結果に終わるであろうと思うわけであります。あなたは今度公益事業局長になられて、何か目新しいことをやらなければならぬという気持ちもなきにしもあらずでありましょう。しかしそれがアイデアマンになっては相ならぬと私は思います。だからしてこの法律改正しようというので改正案をお出しになったわけでありますから、従来の評価、反省という点は、どういうあなたのいわゆる結論が出ておるのか。それらをひとつお聞かせ願いまして具体的な問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  それから委員長、建設省とそれから農林省その他の砂利採取法関係をいたします方々は御退席を願ってけっこうでございます。
  304. 小峯柳多

    小峯委員長 建設省、農林省の皆さんはけっこうでございます。
  305. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えいたします。私ども従来の電気用品取締法、この施行にあたりましては全力をあげて実施に当たってまいりましたが、先ほど来お答えを申しましたように、三百件の工場の検査に対しまして百二十件の不十分な工場があったというような実情でございますので、さらにこの点につきましては私ども取り締まり体制の強化につきまして、お説のように重大な反省をいたしております。今回この改正法案を出すに際しましても、取り締まり体制の強化という点を大きな目的にいたしておりまして、さらにこの取り締まりの強化に全力をあげたい、こう考えております。ただことばだけではなしに、実行がお説のように大事だと思いますので、この法律が通りました直後におきまして、全国的な大きな立ち入り検査あるいは買い取り等の措置を実施いたしたい、そう考えております。
  306. 中村重光

    ○中村(重)委員 評価と反省の答弁としては不十分でございますけれども、時間の関係もございますから、これから具体的な問題としてお尋ねをしていく中で、ひとつ不十分な点は満たしていただきたいと思います。  あなたのほうからいただいております資料を見ますと、災害がずっとふえている。しかも死亡災害というのが非常に大きいわけですね。これは電気の災害事故という点からいたしまして、負傷事故と比較して死亡事故が非常に多いということは、これはわかるような気がいたします。それにしても、あまりにも死亡事故というものが多過ぎるじゃないか。どうしてこういった災害が多いのか。なかんずく死亡事故が多いということに対する反省としてはどういうことでございますか。
  307. 井上亮

    井上(亮)政府委員 私どもの電気業法によります調査によりますと、毎年九十名程度の方が電気のために死亡しておられます。この数字は私も決して少ない数字とは思いません。そういう意味で私どももさらにこういった事故のないように全力をあげてまいりたい、そう考えております。
  308. 中村重光

    ○中村(重)委員 事故がないように考えていただくということはけっこうでございます。それでなければならないのですけれども、やはりそうした事故発生をする原因の究明というのは私は非常に重要だと思います。原因の究明なくして事故の防止ということはあり得ないと思います。ですからその点に十分ひとつ原因究明、そしてまたいろいろな問題に対しての追跡調査という点には重点を置いていただきたいものだと思います。  それから災害事故が起こってまいりますと、事業者の無過失災害事故補償でございますね、そういうのが必ずしもあるとは言えない。そうなってまいりますと、従来の災害事故に対して事業者補償というものがなされた件数がどのくらいあり、どういうケースで事業者補償というのがなされたのか、その額は大体どういう程度なのか。それからいろいろと償補するかしないかということで責任があるとかないとかということによって紛争というものの起こった事例も多いであろうと思います。そういう事例はどういうものであったか。結果はどういう結果になったのか。これは時間の関係がございますから、実は一つずつお尋ねをしていくべきでございますけれども、以上の二、三点に対しては一応まとめてお答え願いたいと思います。
  309. 井上亮

    井上(亮)政府委員 事故が起こりますと、やはりいろいろ火災の問題にしましてもあるいは死亡事故におきましても大きな問題になるわけでございますが、過去の例といたしましては、やはり原因が取り扱い者自身の不注意という場合が大体七割程度と多いわけでございまして、器具そのものによる器具の不良品、それに基因する事故というものが三割程度というような実情でございまして、例を申し上げますと先年電気蚊とり器で幼児が感電死亡したケースがあります。この際にやはりメーカーがその幼児の死亡に対しまして見舞金をもっておわびをしたという実例がございます。
  310. 中村重光

    ○中村(重)委員 事故の件数とかそういうものは、ここへ資料としていただいているのですが、私がいまお尋ねいたしましたような点は非常に重要な点じゃないでしょうか。事業者がこの事故に対してどういう責任を持ったか、紛争は起こらなかったか、起った結果はどうなったか。そういうことはこの後こうした法律改正をして、そうして災害防止に取り組んでいこうとなさるならば、それらの点にあなたは相当重点を置いた調査をしていかれる必要がある。そしてこの後この法律の運用と相まって遺憾なくその行政力を発揮して対処していく必要があるのではないかと思います。おやりになっていらっしゃらないような点も多々あるでありましょう、御就任になってまだそう長い時間がたっておるわけではございませんから。何というのですか、ひとつあなたの行動力を発揮して、不十分な点は十分調査する、ひとつそういうことで取り組んでいただきたいものだと思います。  それから局長、私はこの点が一番問題点であると思います。いま私が指摘しましたことは、これは政府関係の団体の責任の問題になってくるのであろうかと思いますが、いま一つ、いわゆるメーカーであるとかあるいは販売業者であるとか、あるいは電気を供給する供給業者というものが、電気の事故を起こさないというためにどれほど積極的な取り組みをしたのであろうかということです。安全確保のために、事故防止のために先頭に立って積極的な取り組みをする責任があるであろうし、またそれをさせる義務も役所にはあるのではなかろうかと思います。ところが私どもテレビのスイッチをひねっても、十二チャンネルの中に、NHKを除いてはコマーシャルでいやな感じがするわけです。しかしこれはいたし方はございますまい。電気製品等に対しては、売らんかなという商魂たくましく相当な金をかけて宣伝をいたしておりますけれども、電気の事故を防止するための啓蒙的なものは何がございましょう。そういうところ業者にもっと力を入れさせなさい。PR活動というものにもつと取り組みをさせなさい、それなくしてはほんとう意味事故防止ということは期待できないのだ。その責任の欠除、それをひとつ大きく反省をさせていくということでなければならぬと思うわけでありますが、それらの点に対しては大臣はどのようにお考えになるのか。担当局長のお考え方もひとつあわせてお答えを願いたいと思います。
  311. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 御指摘の点はごもっともな点でございまして、大いにさような線に沿うて業界を指導したいと考えます。
  312. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お説のとおりでございますので、メーカー、販売業者等に対しましては、その安全性についてのPRにつきまして万全の責任を持つような体制を指導してまいりたいと考えております。特に安全委員会がそういう機関にもなっておりますので、そういった機関を通じまして徹底いたしたいと考えております。
  313. 中村重光

    ○中村(重)委員 おっしゃるように、電気協会であるとか安全委員会とかいろいろな機関があるのですね。これと国との関係というのは、助成措置としてどういう形になっておるのかよくわかりません。試験所であるとか検定所であるとかいろいろな機関があるわけですよ。ところが、それらの機関がほんとうに十分な取り組みをやっておるのかどうかということについては若干疑問なきにしもあらずです。私は、ふやすものはふやすべし、個所にいたしましてもあるいは人にいたしましても、ふやすものはふやす、そして何よりも大切なことは、災害事故を防止する、人命を尊重するということを何よりも優先してこなければならぬと思います。そういう点に十分真剣に精力的に——いまの短い答弁ではございますけれども、中身のある、その答弁を実際の実施という面において生かしていただきたいということを強く要望いたしておきたいと思います。  それから、今度乙種指定というものがなされるわけでございますが、この乙種指定の対象になるような電気用品についていままでどの程度の災害事故があったのかということです。それなくしては、ただ観念的に電気屋全部を指定して検査の対象にしょうなんというようなことであってはならぬと思います。こういう災害があったのだから、どうしてもこれを指定して取り締まりを強化していくというのでなければならぬ、そうした説得力のある提案でなければならぬと思いますが、その点はどういうことになっておりますか。
  314. 井上亮

    井上(亮)政府委員 今回追加いたします乙種の電気用品——乙種と申しましても、これは甲種以外は一応すべて乙種といたしたい、ですから非常に網羅的な指定になるわけでございますが、乙種によります事故は、いままでの事故件数の大体半数近いものと理解しております。
  315. 中村重光

    ○中村(重)委員 あなたのほうからいただいております災害事故の件数の資料には乙種のものはないのですよ。これは全部甲種になるのですよ。全部じゃないかもしれない、乙種のものも若干あるのかもしれませんけれども、ほとんど甲種なんです。これが半分だということになってまいりますと、いままでどうしてこれが問題にならないでおったのだろうか、そしてまた、その運用の問題として、何かそういうことに対する取り締まりというものがなされるべきであったのではないかと思うのですが、そこらあたりはどうですか。あなたが、大体半分くらいだろうというようなことで感じとしてお答えになったのなら、それなりにけけっこうです。ほんとうにそういうことでしょうか。
  316. 井上亮

    井上(亮)政府委員 提出いたしました資料の中でも乙種の製品がだいぶ入っております。たとえば電気火災事故件数等について見ましても、消毒滅菌器とか映写機とか螢光灯というようなものは乙種の品目でございまして、一応入ってはおります。  しかし、いずれにいたしましても、電気用品の種類によりまして、特に身近なところで使う製品とか、自分のからだにつけて使う、たとえば電気かみそりとかあるいは水けの多いところで使います電気洗たく機というようなものにつきましては非常に感電事故の件数が多いわけでございますので、こういうものにつきましては甲種にいたしておりますが、そうでないものにつきましても、取り扱いいかんによっては火災になる場合もありますし、感電する場合もありますので、したがいまして、軽微なそう強い注意をしなくてもいいと思われるものでも今回乙種の品目に指定いたしたい、そうして取り締りを強化いたしたいという趣旨でございます。
  317. 中村重光

    ○中村(重)委員 消防庁、いまお聞きのとおり、あなたのほうの調査によってこの資料ができておるようなので、あなたのほうは一番おわかりだと思うのです。まあ事故が非常に多い。その中で配線工事による事故というのが相当数にのぼっておるのですね。  御承知のとおりに電気事業法が制定をされました。ところが、屋内配線に対する責任というのが供給業者からはずれまして、今度はいわゆる施工者の責任ということになってきたわけですね。ところが、どうも、責任を明確にしなければならない、そういうことから、電気事業法のいわゆる業法制定の動きもある。調査室の資料を見ましてもそういうことが書いてある。あたかも業法がないから事故が起こるかのごとき、そういう法を制定しなさいということを示唆するような問題点というのが実は提起されておる。私は必ずしもそうだとは思わない。これは業法がつくられないからそういう事故が起こってくるということではない。問題は、そういう事故が起こった場合に、その責任というものを明確にしていく必要があるのだというところ等々に業法の制定という動きが実は出てきたというように思うわけです。問題は、配線工事がよかったのか、配線工事というものがほんとうに正しく行なわれたのかどうか、不備はなかったか、使われたところの機器というものがほんとうに粗悪品でなかったのかどうかというような点、それのよしあしというものが事故原因になったのではないかというように実は思うわけであります。ですから、そういう場合はこれをどうしたらよろしいのか、いわゆる使うところのそうした機器の検査というものをきびしくしていくのか、あるいは電気工事士法というのがございます。これは登録されておるそういう工事士の試験の内容が現状のとおりでいいのかどうか、それらの点についてメスを入れていく、それでなければならないというように思っておるわけです。  これをあなたにお尋ねをするということはどうかと思いますが、この配線工事に伴うところ災害事故発生ケースというものはどういうことに比率としてはなっておるのか、不備な点はどういうところにあるのかということについてひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  318. 高田勇

    ○高田説明員 四十二年の分の数字はちょっと明らかにいたしておりませんが、四十一年でございますと、全体の火災件数が四万八千件でございます。そのうちの六千百件、約一二・六%というのが電気器具によります火災でございます。いわゆる移動可能式な器具によりますものとかあるいは固定式のものというものを全部統計を分類してとっておりますけれども、そのうち、いわゆる移動可能式の器具によりますものが三五%を占めておる、それから御指摘のような配線によりますスイッチあるいは開閉器、あるいはスパークというようなことに関連する事故というものも、それほどの数ではございませんが起きております。私どもといたしましては、そういう電気器具から生じます火災につきましては、全体のうちの六千百件のうちの二千百件、いわゆる三五%というものがそういう器具から起きておりますので、非常な関心を持っておるわけでございます。  したがって、その点につきましては、事故がどこにあるかということを常に検討しておりますが、一般的に申しまして、器具そのものの構造によるというものは比較的少なくなっております。それよりもやはりその取り扱いによります事故というものが、取り扱いの不適あるいは故障——故障といいますよりも、取り扱い方によります不備からくる事故というものが比較的ふえております。しかし、そうは申しましても、やはり一般的な人が使うものでありますだけに、一般的な扱い方においても事故が起きないというような方向においてこれを措置していただきたいというのが、消防の側といたしましては非常に念願をいたしておるところでございます。
  319. 中村重光

    ○中村(重)委員 それから、井上局長考え方を聞いてみたいことは、いまの点もあなたの見解も問いたいのですけれども、時間の関係がございますからこれはよろしゅうございます。  ただ型式の認可、これに対して、製造販売ということに対しての規制があるわけですね。それだけでは不十分ではないかという気がいたします。修理、これの規制というものも同時に必要ではないかという感じがいたしますが、この点は必要ないという見解に到達をされたわけですか。
  320. 井上亮

    井上(亮)政府委員 修理の問題につきましては、この法律では一応対象にいたしておりません。先ほどお答えいたしましたように、修理の問題につきましては、安全委員会等、全国にあります組織を通じまして指導するという方針でやっておるわけでございます。  修理につきまして、いろいろ先生お尋ねのような考え方をもちまして検討したこともございます。あるいは消費者等の私ども持っております懇談会におきましても議論いたしたことがございます。しかし、この修理業というのは非常に広範、多岐、多数にわたりまして、これを一律的に押えることはなかなかむずかしい。したがいまして、むしろ部品関係につきましての取り締まりをこの法律の施行を通じまして強化して、できるだけ安全性の確保に資したい、そう考えております。しかしながら、修理の問題は確かに一つの問題点でございます。今後も単なる行政指導でいいかどうか、この点につきましてはもう少し時間をかけて検討させていただきたいと考えております。
  321. 中村重光

    ○中村(重)委員 私が修理の規制をする必要があるじゃないかということについては、いろんな私自身が知っておりますようなケースでもって、こういうことも修理規制という形の中で解決し得るのではないかというように考える点があるわけです。しかし、その問題に触れますとたいへん時間がかかりますが、ともかくメーカーが次から次に製品をつくりましょう、それは型式認可によってあなたのほうは検査をして認可をするわけですね。その試験をするときに、ほんとうに性能というものが違うのか違わないのかというようなことも、認可をする上についてのチェックする要件になるのかどうかという点も実はわからないのですけれども、それも伺ってみたい。これはまあたいへんむずかしい問題であろうと思うのです。メーカーが、ちょっとどこか形を変えるだけでなくて、これは性能が違うんだということを言っている。そうすると、どこか違うかもしれない、それを認めるということだ。それをどんどん、たいして変わらないのだけれども、新製品としてたくみに宣伝をして売り込んでいく、そうすると、現在持っている品物を買いかえるというような動きがその売り込みの中に出てくる。たいして修理をする必要もないけれども、あそこが悪いこっちが悪いといって、修理が必要であるかのごとく言って修理をさせるということだってあるわけです。まあ、善意の消費者というものは何にも知らないんですね。専門家が言うんだから間違いないんだろう、しかたがない、泣く泣く多額の修理費を出さなければならない。その修理費が大きければ、修理をするよりも、これを下取りに出して、新品を、あるいは新しい製品を買ったほうがよろしい、こういうことになるのです。  ですから、いまの検定所だとか試験所だとかあるいはその他のサービス機関等において、そこがやれるのかやれないのかということは、これはわかりません。わかりませんけれども、安全確保、災害事故防止という観点と同時に、そうした善意の消費者を守っていくというような、そういう観点にも立っていろいろと措置していただく必要があるのではないかというように感じるのでございますが、その点はどのようにお考えになりますか。
  322. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えいたします。ただいま私どもがやっております取り締まり体制は、安全性を中心にやっておりまして、性能までは、率直にいいましてやっておりません。しかしながら、先生ただいまおっしゃいましたように、それが消費者の利益に通ずる、それからまた、ひいては安全性にまで関連するという場合には、そういった問題につきましても今後検討してまいりたいと考えております。
  323. 中村重光

    ○中村(重)委員 今度は、検査をいたしますと不良品がある、その不良品が、抜き取り検査をやるのでしょうから、たいして不良品が出なかったという場合は、その不良品だけを不合格にして、そしてほかは全部合格という形でパスするのだろうと思うのですね。ところが、抜き取り検査をしました場合に不良品が多かった、だから、これは全部を不合格にしなければならぬという形で処理されるということもあるのだろうと思うのです。それがそうなのかどうか、それをひとつお答え願って、それから生じてくる問題についていま一点お尋ねをしてみたいと思います。
  324. 井上亮

    井上(亮)政府委員 型式試験の問題だと思いますが、型式試験をするに際しましては、その電気用品を全部分解いたしまして、それぞれ絶縁性能を調べるとか、あるいは耐久力を調べるとか、あるいは温度上昇等についての程度を調べるとかいうような検査をいたしておりますが、これは一つの新しいタイプができましたときには必ず型式試験を受けなければいかぬ、それに合格しなければならぬということでございまして、あと抜き取って不良品があった場合にどうというのでなくて、型式試験は、新しい型式ができるつど試験を受けさせる、合格しなければそれは認可しないというような制度で運用いたしております。
  325. 中村重光

    ○中村(重)委員 だから、ただ一つ何か試験的につくって認可を受けるのではない。だから、その認可を受けますと、製品全体が合格するか不合格になるか——いわゆる不合格という形になりますと、それがそのまま廃業されればよろしいのですけれども、廃棄されないで不合格品が市場に出回るという形になってまいる。なるほど、それにはきちっとこれを捕捉する制度はこの中にも考えられておるようでございますけれども、なかなか限られた人員をもってしては十分な調査というものは行なわれない。そうすると、不良な品物が市場に出回るということは、安全に重大な影響をもたらしてくるということになってまいりますから、それらの点に対しては十分な配慮というものが必要であろうというように思うわけでございます。  時間の関係がございますから、それはあとでまとめてひとつお答え願うことにいたしますが、わずかな時間ではございましたけれどもいろいろとお尋ねをしてまいりました。先ほども触れましたように、どういう法の整備をやり、制度をつくりましても、要は、これをどう運用していくかということに一番重点というものが置かれなければならないというように思うわけでございます。今度はこの指定が多くなってくるということになってまいりますと、当然都道府県の業務というものもそれだけけ多くなってまいります。そうすると、いまですら都道府県の保安関係の職員というものは非常に少ない。まして今度は業務がふえてくるということになってまいりますと、当然増員をしなければならぬ。それだけの準備が都道府県にあるのかどうか。増員をいたします場合においては、都道府県の責担を軽減するための措置がどう考えられておるのかということに対しては、自治省のお考え方も聞かしていただきたいと思いますし、それから消防庁にお尋ねしたいことは、どうもこういう法律をつくる、そうしてこの法の運用をやります場合に、関係各省庁、消防庁と通産省その他の関係省あるいは都道府県との関係の連絡が必ずしも密ではない。そこに無数の取り締まり法がある、そういうものが錯綜して、かえってそれが間隙となって災害を引き起こすというようなことも多いと私は思います。  したがいまして、消防庁としましては、いままでいろいろと防火にあるいは消火につとめてこられたという立場から、この法のあり方として、災害防止のあり方として問題点はどういう点にあるとお考えになっていらっしゃるか、それから、これをどういう形に、進めていくことのほうが災害事故を防止していくことに大きく役立ってくるとお考えになっていらっしゃるのか。いまいる人の問題、それらを含めてひとつお答えを願いたいと思います。井上局長並びに消防庁、それから自治省のお答えを願いまして、最後に、以上質疑がかわされたことに対して、通産大臣としてのこの法律の運用をどう生かしてこの目的達成につとめていこうとお考えになっていらっしゃるのか、それをお答え願いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  326. 井上亮

    井上(亮)政府委員 お答えをいたします。先ほど型式試験のお話を申しましたが、私ども、御指摘のように型式試験で合格する、それだけでは安全性は確保できませんので、さらにその上に今度は新製品が出回りましたときに技術基準適合義務というものを課しておりまして、適合していなければこれは改善命令を出すとか、あるいはひどいものになりますれば業務停止命令というような強権を発動してまいりたいと考えております。なお、技術基準適合義務とかそういうようなことを守らせるためには、やはり立ち入り検査をもう少し強力に実施してまいりたい。  それから次には買い上げの試験をやっておりますが、市販されておりますものを買い上げまして、それを検査する、そうしてメーカーまで追跡するというような制度を一段と強化してまいりたい、そう考えております。先生のおっしゃいますように、問題はこの運用にありまして、私どもその点は十分そのように心得ておりまして、要は、実行として、先ほど来申しましたように、この法律が通りました暁において全国的な立ち入り検査等を実施してまいりたいと考えております。  それからもう一点、都道府県との関係でございますが、これは都道府県に関係いたしますのは販売業者に対します立ち入り検査が関係するわけでございますが、この点につきましては、都道府県とも十分に連絡をとりまして遺憾のないように私どものほうからも十分応援いたしまして善処いたしてまいりたいと考えております。
  327. 高田勇

    ○高田説明員 所管されておられます通産省において人的、物的に十分手当てをされていると伺っております。ただ、私どもといたしましては、これは一たん発生いたしました場合には、火災の現象として常に身を挺して対処してまいらなければならない立場でございますので、その消防としての見地から、それなりに見出しました今後の対策については、必要に応じましては私どもからも意見は事実上申し上げてまいりたい。しかし消防としては、その所管において十分その点の予防の対策は講じておいていただきたいと考えております。
  328. 横手正

    ○横手説明員 お答えいたします。保安職員の充実の関係でございますが、地方財政は、先生も御承知のようにその硬直化が非常にきびしいものがございます。したがいまして、個々の都道府県におきましては配置転換その他いろいろの方途を講じてまいることになろうと思われます。なお、地方交付税の算定を通じましては、関係職員の合理化といった面につきましては極力努力してまいっておるところでございます。
  329. 中村重光

    ○中村(重)委員 交付税をめんどうを見るのかどうかというような点ですよ。人をふやさなければいけない。
  330. 横手正

    ○横手説明員 なお、今回の措置によりまして、なるほど都道府県の事務量も増加いたしてまいりますが、都道府県の場合におきましては、先ほど通産省のほうから御答弁がありましたように販売業者にかかるものでございますので、極端な事務量の増加というものは予想されないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。したがいまして、その他の高圧ガスの取り締まりその他ひっくるめまして、保安関係職員の合理化の面でございますが、現在の積算基礎におきましては、御承知のように多少標準を下回るような感じがいたしますので、その改善と合理化といった面につきましては考えてまいっておるところでございます。
  331. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 新制度の実施は、国民一般に非常な利害関係、また日常生活の安全の上に至大の影響を持つものでございますので、これらの制度を実施するにあたっては、取り締まりを十分に強化するとともに、メーカーあるいは販売業者、それから消費者等、関係方面に広くPRをいたしましてこれに対する十分な知識を与える等、制度の施行に万全を期してまいりたいと存じます。
  332. 中村重光

    ○中村(重)委員 ともかく、いまの立ち入り検査にしましても、年一回ということを考えておるようです。そういうことであってはならぬのですね。  それと、いままでの間に実態調査ということを通産省がやったのかやらぬのかということも明らかでない。婦人団体とか消費者団体からアンケートをとったということも私どもは承知していない。むしろ婦人団体なんかは、通産省のやり方がなまぬるい、こういうことであってはならぬというのでみずからいろいろとアンケートをとって、こういうことなんだというので通産省にみずからアンケートをとったのを提出をする、そしてけつをひっぱたかれておるというのが現状です。そういうことであってはならないと私は申し上げるわけです。  いま通産大臣がお答えになりましたように、ともかくPRも徹底的にやる、それからそうした業者が、先ほど触れましたように、売らんかなという商魂たくましくする前に、ともかくみずからの責任というものを十分痛感をして、保安の確保が物を売る上においても一番重要な点であるというような認識を持たせる、そういうことに十分な指導監督をやっていただきたいということを強く期待をし、要望いたしまして質問を終わります。
  333. 小峯柳多

    小峯委員長 おはかりいたします。  両案の質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  334. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、両案の質疑はこれにて終局いたしました。
  335. 小峯柳多

    小峯委員長 これより両案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決いたします。  まず、砂利採取法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  336. 小峯柳多

    小峯委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
  337. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、ただいま可決いたしました本法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。千葉佳男君。
  338. 千葉佳男

    千葉(佳)委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    砂利採取法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点につき万全を期すべきである。  一、砂利採取計画認可その他本法の運用にあたり、公共の安全を確保する見地から、関係各省の緊密な連絡のもとに適確な運用基準を定めるとともに、将来とも実態に即応して改善を加えるよう努めること。    なお、採石法の運用についても同様に配慮すること。  二、砂利採取を目的とする農地転用の許可について慎重を期するとともに、無断転用に対する取締りを強化すること。  三、骨材の需給見通し及び資源賦存状況の調査に努めるとともに、骨材の安定供給体制を確立するため、骨材資源の開発とその有効利用、骨材の運送流通体制の整備、骨材企業の基盤の充実等、諸般の対策を樹立し、早急に実施すること。  以上でございます。  第一点の運用基準、第二点の農地転用、第三点の骨材政策確立、いずれの問題も法案の質疑を通じまして明らかにされた点でありますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  339. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  340. 小峯柳多

    小峯委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議について通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。椎名通商産業大臣
  341. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ただいま御決議のありました砂利採取法案に対する附帯決議につきましては、その内容を十分尊重いたしまして、御趣旨に沿って善処いたす所存でございます。
  342. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、電気用品取締法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  343. 小峯柳多

    小峯委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
  344. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、ただいま可決いたしました本法律案に対し、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者から趣旨の説明を求めます。佐野進君。
  345. 佐野進

    ○佐野(進)委員 電気用品取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表し、趣旨の御説明を申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    電気用品取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   電気による火災並びに感電事故等が多数発生している現状にかんがみ、政府は、本法施行にあたり、次の諸点について万全の措置を講ずべきである。  一、電気用品の使用者に対し、その取扱方法につき常時適切な指導を実施するとともに、製造事業者、電気事業者等に対し、卒先して災害防止活動を行なわしめ、保安に関する責任を明確にすること。  二、立入検査及び電気用品に関する実態調査を広範囲に実施し、不良用品の出廻りを極力防止するよう努めること。  三、消防庁をはじめ関係各機関との連けいを密にし、災害の絶無を期すること。  以上であります。  内容につきましては、すでに質疑において御承知であろうと存じますので、省略さしていただきます。  何とぞ各位の御賛同をお願い申し上げます。
  346. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  直ちに採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  347. 小峯柳多

    小峯委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、本附帯決議について通商産業大臣から発言を求められております。これを許します。椎名通商産業大臣
  348. 椎名悦三郎

    ○椎名国務大臣 ただいま御決議のありました電気用品取締法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その内容を十分尊重いたしまして、御趣旨に沿って善処いたす所存でございます。     —————————————
  349. 小峯柳多

    小峯委員長 おはかりいたします。  両案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  350. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  351. 小峯柳多

    小峯委員長 内閣提出海外経済協力基金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案は、去る四月十六日提案理由の説明を聴取いたして、おります。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、これを許します。橋口隆君。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  352. 小峯柳多

    小峯委員長 速記を始めて。橋口君。
  353. 橋口隆

    ○橋口委員 私は、本日議題となりました海外経済協力基金法の一部を改正する法律案について、若干の質疑を試みたいと思います。  本件は今国会における最重要法案一つで、すでに衆議院の本会議あるいは衆参両院の予算委員会あるいは決算委員会等において相当突っ込んだ質疑もなされているのでございます。それで多少重複するかもしれませんけれども、本件を中心といたしまして、広く海外経済協力一般について、経済企画庁長官をはじめ関係各省にお伺いしたいと存じます。  まず初めに、念のためお伺いしておきたいのでございますが、海外経済協力の目的とするところ、あるいは理念を明らかにしておいていただきたいと思うのでございます。今日、世界経済の最大の課題は先進国と後進国との間に非常に大きな格差があるということでございます。そのためには、先進国が後進国に経済的な援助をするということが一つの国際的な義務でもございます。しかし、これは単に国際協調あるいは友好親善というような抽象的な目的にいずるものではなくて経済的な実益を先進国にももたらすものでなければならないと思うのでございます。いわば、先進国が後進国に経済援助をしてその経済発展を促し、それがまた貿易を通じて先進国の製品の増出を促して経済発展に寄与する、こういうような過程を経なければならないと思うのでございます。この点は、これからの海外援助について最も明確にしておかなければならない点だろうと思います。  それからもう一つは、この海外経済援助がほかの国の圧力によるものでなくて、わが国の独自の創意によって、自発的な決意によってその援助がなされるものでなければならないと思うのでございます。これにつきましても多少の疑念がいままではさまれておりますので、そういう点につきまして、まず経済企画庁長官にお伺いしたいと思います。
  354. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御指摘のように、わが国は憲法によりまして戦争を再度起こさないということを世界に宣明いしておるわけであります。と同時に、このことは、いわゆる第三次大戦のような紛争が起こることも、わが国としてはもとより犠牲を払ってでもそれをとめなければならない立場であるというふうに考えるのでありますが、現在、いわゆる南北問題——先進国と発展途上国との格差が相当大きいということは、ともすれば世界紛争の原因になりやすうございます。したがいまして、平和憲法を持つわが国といたしましては、特にそれらの格差解消のため、決して国力が豊かではございませんけれども自分の力の許す限りで援助をしていくということは、平和憲法の理念を現実に具体化するための一つの政策である、かように考えております。もちろん、このような援助は他国から強制されるべきものではございませんしいたしますが、先進国の間ではいろいろなグループ、あるいはときとしてコンソーシアムというようなこともございまして、なるべく共同の立場で相手の利益になるようなことをやろうということは常に心がけておるわけでございます。  なお、それが援助をいたします国、援助をする側にどういう影響があるかということを考えますと、世界にこれだけまだ発展途上国があるということは、世界経済がなお成長し得るということを意味しておるものと考えますので、もとより援助は人道的な立場でありますけれども、その結果として、将来また援助を与える国自身、わが国の場合でありますとわが国でありますが、裨益する結果になるであろうということも同時に申せると思います。
  355. 橋口隆

    ○橋口委員 外務省の立場から政務次官にひとつ……。
  356. 藏内修治

    ○藏内政府委員 外務省の立場から、海外援助に対しまする見解をごく概略にまとめまして申し上げてみたいと思います。  現在やはり世界の最大の問題として考えるならば、一つは核の問題であり、一つは南北問題であろうかと思っております。  この南北問題は、もう御承知のとおり開発途上国といういわゆる後進国は、人口が先進国に比べて増加率が非常に激しい、それに反比例いたしまして経済基盤が非常に脆弱である。そういうところに、国家として非常に不安定であり、またそこの民族としても非常な不満がうっせきをする。そういうものに特定のイデオロギーであるとか、また武力というようなものが介入してまいりますと、世界の平和に対して非常に重大なる脅威を招来することはもう御承知のとおりでございます。したがいまして、国際的な安定、平和という観点からも南北問題はどうしてもゆるがせにできない問題で、海外援助はどうしてもゆるがせにできない問題でございます。  しかしながら、何といいましても、経済援助は国力との見合いということでございます。したがいまして、わが国の国力との見合いにおきまして、可能なる限りこれを果たしてまいりますことは、特にアジアの地域、アジアからアフリカにかけての地域にかけましては、その地域の先進国としてのわが国の立場からは絶対欠くことのできない政策であろうと外務省としても考えておる次第でございます。
  357. 橋口隆

    ○橋口委員 この海外経済協力法は昭和三十六年に制定されたわけでございますが、今回特に改正をしなければならない点、これにつきましては昨年のインドネシア援助の問題でいろいろと問題があったようでございますが、この改正のきっかけ、その動機というものについて簡単に御説明いただきたいと思います。
  358. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 発展途上国の中には相当民生が不安定である国がございます。それらは、一つには消費物資がきわめて欠乏しておる、その結果インフレーションが起こっておるというような状況の国がございます。したがって、それらの国に対しては、当面の援助は商品を与えることが先方としては非常に望ましい。しばしばそういうことを求めてまいります。そして。先ほど申し上げましたコンソーシアムで他国と一緒に援助する場合が多いわけでございますが、その場合、わが国の援助条件というものが、国内の事情もありまして、ほかの国に比べてかなり辛い、きついわけでございます。しかし、コンソーシアムで一緒に仕事をいたしますためには、それをもっと緩和しなければ、わが国だけで別の条件を出すことができない場合が多うございます。それから、DACなどでも、この点はわが国の条件が辛いということがしばしば問題になっております。  両方のことをあわせて申し上げますと、商品援助をする必要がある、しかもそれをかなりゆるい条件でしてやらなければならない、こういう問題が具体的にぼつぼつ起こってきておるわけでありまして、昨年インドネシアとの関係でそういう問題が起こりました。しかしながら、現在の法制では、協力基金では商品援助を与えることができないことになっておりますし、輸銀では援助条件が非常にきついということになっておりますので、この際、その点を主眼にいたしまして法律改正をお願いいたしたい。昨年はやや処置に窮しまして、一般会計からある程度のグラントをした。これはやや法令が許しませんでしたために考えつきました方法でございますけれども、何もそうせずとも、むしろ法令を改廃すればそういうことが自然な形で行なえる、こう考えたわけでございます。
  359. 橋口隆

    ○橋口委員 わが国の海外経済協力は、六五年に四億八千五百万ドル、六六年に五億三千八百万ドル、そして六七年に六億六千万ドル、こうなっておりますが、六八年、今年度の総額は幾らと予定されておりますか。これは調整局長にひとつお聞きします。
  360. 宮澤璋一

    ○赤澤政府委員 まだDAC等に資料を提出する前でございますので、六七年の数字もそれ自体確定をいたしておりませんが、大まかに申し上げますと、全体でもって約六億六千万ドル程度ということに相なっております。六八年度につきましては、まだこれからの問題でございまするし、民間ベースの援助もあるわけでございますので、その辺、まだ幾らかという見込みは立っておりません。
  361. 橋口隆

    ○橋口委員 その経済協力のうちで、今回のインドネシア向けの商品援助は幾らときまっておりますか。
  362. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点は先般来インドネシア及び関係国と協議をいたしておるのでございますけれども、最終決定に至っておりません。と申しますのは、一つには、国会で法令の改正をお許しいただけないといたしますと、ゆるい条件で商品援助を送ることができないのが現状でございますので、国会の御決定を待って私どもとしてはできれば最終的な交渉に入りたい、こう考えておるわけでございます。
  363. 橋口隆

    ○橋口委員 新聞の報ずるところによれば、六千万ドルと一応予定されておるようでございますが、それをさらに上回ることもあり得るわけでございますか。
  364. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私ども海外経済協力基金の予算要求をいたしましたときの積算の根拠としては、一応インドネシアを六千万ドル分と考えて積算をいたしました。しかし、こればこれからの交渉事でございますので、国際交渉を考えますと、ただいま恐縮なことでありますけれども、わが国の立場を悪くするようなことは差し控えさせていただきたい、こう考えております。しかしながら、同時に六千万ドルというのは積算の基礎になった数字でございますので、交渉にあたっては、相手方のあることでございますから、多少の弾力性は持っていなければならないだろう、こう思っております。
  365. 橋口隆

    ○橋口委員 今年度のインドネシアに対する援助額は総額三億二千五百万ドルというふうに発表されておるようでございますが、そのうちアメリカは幾らぐらい出す予定でございましょうか。ジョンソン大統領が二月八日の下院に出した海外援助特別教書によりますと、日本もそれと同額くらいを出すであろう、こういうことを言明しておるようでございますが、アメリカ側の数字をお聞きしたいと思います。
  366. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これは過般もロッテルダムで議論があったようでございますので、もし詳しいことがお入り用でございましたら外務省からお聞き取りいただきたいと思いますが、三億二千五百万ドルという数字は、一応従来伝えられておりながらなお確定したものではないような雰囲気でございます。これはAIDがありますとか、あるいはプロジェクトが可能でありますとか、内容がかなり複雑でございますから、全体の数字としては確定していないのが現状であると思います。  なお、アメリカは一応六千万ドルまでをコミットをいたしまして、そうしてあとはコンソーシアムの他国が協力するならばアメリカもなおそれ以上の協力をする用意がある、こういう立場のように承知しております。
  367. 橋口隆

    ○橋口委員 この援助は昨年十一月、アムステルダムで開かれましたインドネシア債権国会議で大体の数字がきめられて、その後、ことしの四月でございますか、そのときのロッテルダムの会議で大体数字が内定をしたわけではないのでございますか。
  368. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 インドネシアにはIMF当局が経済再建のためにいろいろ加勢をしておるわけでございまして、そういう人たちの考えた数字は三億二千五百万ドルというのは確かにあったようでございました。昨年そういうことがコンソーシアムの会議のときにアムステルダムで話題になった。その話題になり方でございますが、どうも今回のロッテルダムの会議の結果を聞いておりますと、必ずしもそれは各国が合意したという数字ではない、わが国も合意はしていない、そういう数字が一応みんなの間で議論になったということらしゅうございます。それは一つは、わが国のように最終的な態度を確定できない国がおりますために、結局総体の数字は各国に割り振らなければなりません。その割り振りができないということも関係しておるように思います。
  369. 橋口隆

    ○橋口委員 今回のインドネシアの援助は、全部商品援助でございますか、それとも開発援助も含まれるのでございますか。
  370. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それば先方の希望にもよることであると思いますが、多くの部分が商品援助であることはほとんど間違いないと思います。なお、先方がプロジェクトを希望しておる点もございますし、また、場合によりまして食糧を一部援助するということも必要になるかとも思っております。
  371. 橋口隆

    ○橋口委員 そういたしますと、商品援助あるいはプロジェクト援助をこれからするわけでございますが、従来このインドネシアの援助には非常に問題があって、すでに衆参両院でもその点を指摘しておるようでございます。そこで問題は、インドネシアの政治経済の事情が、はたしてそういうような援助をするにふさわしいものであるかどうか、それによって経済効果が期待できるかどうかということが一番大きな問題になると思うのでございます。  その点で、インドネシアの政経の実情につきましては、もうすでに御承知と思いますけれども、九・三〇事件以後二年半の混乱が続いている。これは一般的な批判を申し上げるわけでございますが、そういう批判にひとつお答えいただきたいと思います。そういう混乱が続き、また新政権がつくられてから一年たって、それでもまだ新体制の名に値するような体制ができていない。また、再建計画も具体化されないし、国家予算は三分の一を西側の援助に大体仰いでいるような状況である。そしてまた、物価上昇率は最近やや低下しているようでございますけれども、昨年の暮れからことしの初めにかけてルピア貨の自由相場がかなり下落している、そして昨年は輸出が目標に達しないで生産も横ばいである、そういうようないわば非常に悪条件がわが国では伝えられました。それが一般の批判の的となっているようでございますが、その間の政治経済の実情について、ひとつ十分納得のいく御説明を承りたいと思います。
  372. 藏内修治

    ○藏内政府委員 御指摘のとおり、一九六五年の九月三十日にいわゆるクーデターが発生いたしまして、これが六カ月間の空白期間をもちまして、一九六六年の三月からいわゆるスハルト政権というものが次第に定着をしたという状態でございます。以後約二年を経過しておりますが、その間種々の困難を包蔵しておりまして、必ずしも平たんな路線ではないことはもう御指摘のとおりでございますけれども、スハルト政権のいろいろな努力、それから友好国の援助等が漸次効果を発揮いたしてまいっておりまして、非常に緩慢ではございますが、いまお話しのような漸次安定の方向に向かっておることだけは事実でございます。  その一つの例を申し上げますと、たとえば物価上昇率も八倍ほどになっておりましたものが、現在では大体二・数倍というところに安定をしてまいりました。国際収支も、ことしに入りまして、わずかではございますが黒字に転換した、こういう実情にございます。だからといって手放しで安心をするわけにはまいりません。安心をするわけにはまいりませんが、漸次安定化の方向に行きつつある。また、インドネシアの国内の政治情勢を見ましても、いま直ちにスハルト政権にかわるべき政権、スハルトにかわるべき人が発見できない現状にございまして、スハルト政権のもとで当分の間はインドネシアも努力を続けていかなければならぬ状態にあろうかと判断をいたしております。
  373. 橋口隆

    ○橋口委員 この間の政治、経済の実情につきましては、ことしの四月二十二日から二十四日に開かれましたロッテルダムの債権国会議において、詳細にインドネシアの政治、経済の実情を分析するというようなことが伝えられておりますけれども、その結果はおわかりでございますか。
  374. 藏内修治

    ○藏内政府委員 お答えを申し上げます。インドネシアの経済情勢についてIMFの評価でございますが、IMFによりますと、IMF代表の評価では、一般的に非常に昨年度から改善をされてきたということが第一点でございます。  ただ、第二点としましては、昨年末から本年にかけては外国からの援助の一つの端境期に遭遇いたしましたために、それと昨年の夏から秋にかけまして非常な干ばつがございました。そういうことのために、これは橋口委員御承知のとおり、昨年の秋に、十一月でございますが、緊急援助一千万ドルをやらざるを得ないという情勢に立ち至ったわけでございます。こういう不時の不幸なる状態があった、そういうことで、鎮静しかかっておりました物価もまた一時若干の高騰を見た、こういうような情勢がございます。こういうものはございますが、大体いま申しましたとおり、大勢としてはIMFなどでも安定化の方向に向かっておるという判断をしておるようでございます。
  375. 橋口隆

    ○橋口委員 次に、今回のインドネシアの経済援助でございますが、それについては再検討したらどうかという批判がすでに十分かわされているようでございます。  その論点は、もう御承知と思いますが、過去の援助効果に対する反省が欠けておる、そして将来に向けては長期的な展望と計画性に欠けている、またインドネシア側、あるいは特にアメリカ側の強い要請のもとにそれをしいられている、こういうような批判がございます。また、この協定の決定にあたっては、正式なルートを通じないで私的な交渉が裏側で行なわれたとか、いろいろなことがかわされておるようでございますが、   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 こういうような疑惑が漂っているのは非常に遺憾であると思います。そういう意味において、ひとつこの疑惑を一掃する意味で、政府側の説明を求めたいと思います。
  376. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 過去においてインドネシアに与えました援助が非常に有効に使われたかどうか、また、その間に好ましくないできごとがあったかどうかということにつきましては、確かに、かなりの問題があるのではないかというふうに考えております。ただ、そのうちどの部分が先方の責めに帰すべきものであり、どの部分がわが国にも関係があるかということについては必ずしも明確でございません。かりにまた、ある程度明確であるといたしましても、先方の政権についてあまり批判的なことを申すべきではなかろう、こう考えております。ともかく問題がやはりあったということは、これは顧みて反省をしなければならないことだと思っております。  そこで今回は、インドネシア側の体制がそういう援助を有効に活用でき、また好ましくないできごとが起こらないように、体制が立て直ったかどうかということにつきましては、先ほど外務政務次官からお話がございました。  いずれにいたしましても、いわば先進国でないので援助が入り用だということでございますから、わが国のような非常なきびしいものさしで全部をはかるということは、あるいは酷であるかもしれませんが、一応、外務政務次官の言われますように、政権も安定化の徴があり、また経済再建のために五カ年計画の骨子についてはすでに、何という名前か存じませんが、議会のようなところである程度合意ができておるというらしゅうございます。ことに今度の場合にはIMF当局が相当真剣に経済再建を援助しておるということでもございますので、十分戒心をいたしますならば、わが国に関する限り、過去のようなやや好ましくない風説が立つというようなことを防げるのではないであろうか、またインドネシア側もそうであってくれることを期待をいたすわけでございます。
  377. 橋口隆

    ○橋口委員 それではお伺いいたしますが、インドネシアにはすでに一九五七年以来ことしで十一年目でございますが、賠償がずっと行なわれておる。そのほかに贈与あるいは円借款、長期信用供与あるいは技術協力等、ばく大な援助がなされているわけでございますが、それについて目に見えた経済効果があったかどうか、その点をお伺いしたいと思います。これについては少しもプラスになっていないという批判がございまして、極端に言えば、これは国会で使われたことばでございますが、どぶに金を捨てるようなものであったというような、そういう批判すらあったようでございますが、、この点についての経済効果をお伺いしたいと思います。
  378. 藏内修治

    ○藏内政府委員 インドネシアに対しまする経済援助は相当長期間にわたって行なわれてきたことは御指摘のとおりでございまして、まあスカルノ政権時代、すなわち一九六五年の九月までの分は、非常に政局の不安定、国内情勢の不安定等のために一、二問題になろうかと思うようなものもございます。これらの点については、もちろん十分私どもも反省をいたしております。ただ、政権がスハルトに移りましてから安定いたしました分については十分民生上の効果をあげつつある。それが先ほど申しましたような、ごく顕著なと申すと語弊があるかもしれませんが、漸次効果をあらわしつつある、そういう状態でございます。
  379. 橋口隆

    ○橋口委員 そういう経済効果をねらって援助を続けるとすれば、明年からインドネシアの経済開発五カ年計画が始まるそうでございますが、それにマッチしたわが国の経済援助計画というのができておりましょうか。
  380. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 実は、その五カ年計画が基本的にあちらの議会でございますかで合意ができたというだけで、まだ具体化いたしておりません。ただ、方向といたしましては、この商品援助というようなものは、本来与えるほうも受けるほうもそういつまでもやっているべきものではなくて、やはりプロジェクトに移行していくのが本来であろうと思いますので、おそらくはこの五カ年計画はやはりプロジェクトが中心になるであろう、そういたしますれば、わが国はその線に沿いましてプロジェクトの応援をしていきたい、こう考えております。
  381. 橋口隆

    ○橋口委員 そうしますと、今回のこの商品援助でございますが、貸し付け条件、すなわち金利あるいは償還期限というのはどういうふうにお考えになっておりますか。
  382. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この点はコンソーシアムの総額がきまり、また各国の分担がきまりますときに決定をいたすことになると思いますが、わが国の場合、経済協力基金で考えられます一番いい条件と申しますと、やはり三%程度で二十年程度ということになろうかと思います。
  383. 橋口隆

    ○橋口委員 今回のインドネシア援助によって向こうに輸入された物資はどういうふうに処理されて、そうして、その資金はどういうふうに使われることになるか、いわばボーナスエクスポートと申しますか、その制度はどういうふうに両国間で協定ができているか、その間の事情についてお伺いしたいと思います。
  384. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 せんだってインドネシアの大統領以下、関係閣僚が見えられましたときに、私の聞きましたところでは、輸入権を政府が売るわけでございます。そうして、その売り上げ代金を財源にして財政をやっていくということでございますから、想像いたしますのに、わが国の見返り資金のかつてやりましたああいう方法にかなり似たものであろうと思うのでございます。そこで、私その節、老婆心ながら申しましたことは、売り上げ代金をきちんと区分をして、それを有効に使ってもらうことがわが国の経験から見ても非常に必要だと思う、その他二、三点のことを申しましたが、大体そういうふうにやるようでございます。
  385. 橋口隆

    ○橋口委員 この資金は、去年は一般会計に繰り入れられたそうでございますが、ことしも同様でございますか。それとも経済開発その他に使われるのでございますか。
  386. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その際聞きましたことは、今年からは別途区分をして、これを開発の財源にする、こういうことを申しておりました。
  387. 橋口隆

    ○橋口委員 インドネシア経済でこれから一番生きてくるというのは、さしあたっては商品援助でございましょうが、一番本格的な問題はやはり開発援助だろうと思います。その中でも最も力を入れなくてはならないのは後進国の農業開発ではなかろうかと思います。  その意味で、これは外務省の経済協力局長にお聞きしたいと思いますが、いわゆる三Kダムといわれる東ジャワのカランカテス・ダム、それからカリコント・ダム及び南カリマンタンのリアムカナン・ダムが計画どおり完成をして、洪水調節あるいは発電あるいはかんがい等に十分役立てる、それが一番効果的ではないかと思うのでございますが、そういうような農業開発用の建設というものは現在どういうふうに進んでおりますか。
  388. 上田常光

    ○上田(常)政府委員 お答え申し上げます。   〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕 いま先生のおっしゃいました三つのダム、三Kダムでございますが、この三Kダムは遺憾ながらまだ完成していないのでございますけれども、この三Kダムをなるべく早く完成したいということは、これはもうインドネシア側からも随時言っておりますし、また、私どもといたしましても、いま先生がおっしゃいましたように、今後のインドネシアの経済再建を考えますと、やはり最も優先的に資金をここに充当しなければいかぬものだと思っております。したがって、まだ実は本年度の援助の総額その他がきまっておらないものでございますから、この問題についても早く話を進めたいと双方で思っているのでございますけれども、まだその点は決定してはおりませんが、援助の話が決定次第、これはインドネシア側も日本側も双方ともプライオリティーを置いてまっ先にこれを完成したいと考えておる次第でございます。
  389. 橋口隆

    ○橋口委員 これに関連いたしまして、経済開発の重点の問題でございますが、基金が設立されましてから、発展途上国に対する援助資金の実績は、対象事業別に比率はどういうふうになっておりましょうか。公共事業、工業、あるいは農林水産業と……。
  390. 宮澤璋一

    ○赤澤政府委員 お答えいたします。本年三月末までの実績で申しますと、業種別の投融資の実績でございますが、マイニングの鉱業関係が十五件、金額にいたしまして五十七億六千四百万円でございます。それからインダストリーの工業、これが二百九十九億円、公共事業関係が三百九十二億円、農林水産が約四十億円でございまして、一番大きな比率を占めておりますのは公共事業、いわゆるインフラストラクチュアの関係でございます。
  391. 橋口隆

    ○橋口委員 いまの数字によりますと、公共事業、工業、あるいは農林水産というものが非常に多くて、わが国にとって一番大事な鉱物あるいは農林水産に対する比率が非常に低いと思うのでございます。それをこれから転換して、ほんとうにインドネシアの経済開発、あるいはその他後進国の経済開発を進めることが大事だと思うのでございますが、その重点の置き方について今後方針を修正なさるお考えはございませんですか。
  392. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私が聞いておりますその五カ年計画方向というのは、やはり御指摘のように農業というものに主力を置いて、そうしてあとはいわゆるインフラストラクチュアでございますか、交通、通信、港湾等に手をつけていきたい、こういうことのようでございます。農業から経済再建を築き上げるという手法は、やはりこれが一番じみちな方法であると思いますので、そういうふうに先方が決定するといたしますれば、それは歓迎をすべきことであって、わが国としても、それに沿っていってやりたいと思っております。
  393. 橋口隆

    ○橋口委員 この海外経済援助は、わが国のように国際収支もあまりよくないし、財政も硬直化しているその中から国民の血税を払って援助するわけでございますから、ひとつ日本経済に十分プラスになるような、そういうやり方をこれから御検討いただきたいと思います。  まだいろいろ質問したい点もございますが、時間もございませんので、本日はこれで終わります。
  394. 小峯柳多

    小峯委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十七分散会