運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-05-14 第58回国会 衆議院 商工委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十四日(火曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 海部 俊樹君 理事 鴨田 宗一君    理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       内田 常雄君    小笠 公韶君       大橋 武夫君    岡本  茂君       神田  博君    木野 晴夫君      小宮山重四郎君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    始関 伊平君       島村 一郎君    田中 六助君       二階堂 進君    丹羽 久章君       橋口  隆君    武藤 嘉文君       岡田 利春君    金丸 徳重君       久保田鶴松君    佐野  進君       楯 兼次郎君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    三宅 正一君       塚本 三郎君    吉田 泰造君       近江巳記夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君  出席政府委員         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤一郎君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         通商産業省公益         事業局長    井上  亮君  委員外出席者         警察庁保安局外         勤課長     井口 孝文君         警察庁交通局交         通指導課長   綾田 文義君         法務省刑事局参         事官      木村 栄作君         農林省農地局管         理部長     中野 和仁君         建設省河川局次         長       多治見高雄君         専  門  員 椎野 幸雄君     ――――――――――――― 五月十四日  委員遠藤三郎君、久保田鶴松君及び松本忠助君  辞任につき、その補欠として、武藤嘉文君、金  丸徳重君及び近江巳記夫君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員金丸徳重辞任につき、その補欠として久  保田鶴松君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  砂利採取法案内閣提出第一〇〇号)  電気用品取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第二九号)(参議院送付)      ――――◇―――――
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  内閣提出砂利採取法案並びに内閣提出参議院送付電気用品取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、これを許します。永井勝次郎君。
  3. 永井勝次郎

    永井委員 大臣にお尋ねをいたします。  砂利ということばから受けるわれわれの印象は、経済的には非常に原始的なものだ、あるいは社会的には汚職という暗い印象を受けるわけであります。そういうような一般的な印象から見ましても、砂利というものが従来は非常に粗末に扱われておる。最近になってようやく砂利重要性が問題になってきておるのでありますが、しかし砂利の持つ重要性に比較いたしましては、その位置づけが、全体の企業の中で、あるいは産業の中で、まだそのレベルに達していない、こう思うのでございます。今回の法案提出にあたりましても、内容公害対策というのがその性格でありまして、砂利企業というものに対する取り組み方が弱いと思うのであります。大臣砂利というものに対してどのような位置づけをされておるのか、また砂利対策についてこの法案で十分である、こういうふうに考えておるのか。この法案一つの飛び石として、さらに展望しているあるいは計画しているコースに砂利を発展させていこうとしているのか、それらの点について、もしそういう将来の展望があるならば、これにあわせてお答えいただきたいと思います。
  4. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 建築資材としてきわめて重要な地位を占めるに至っておるのが現状でございます。なおこの砂利需要がどんどん高まっておる関係上、これの採取場所がだんだん需要地と離れてきておる。これに関連して運輸の問題、運搬問題等交通災害の起こっておる現段階においてかなり問題になっておるのでありまして、あるいは船で韓国のほうから運ぶ計画などもあるということを私は耳にしておりますが、戦後の建設が非常に激しくなってくるに従って、骨材としてきわめてその重要性が認められつつあると私は考えております。
  5. 永井勝次郎

    永井委員 それはわかるんですが、いま提出している法案で十分にしてかつ完全である、こういうふうにお考えなのか。これでは当面の交通災害なり、あるいは採取場におけるところの災害なり、そういうものを防止するという応急措置であって、砂利企業を安定し発展させ、骨材の重要な需要にこたえていく供給面としての整備はさらにどの点が必要である、どういうふうにしなければいけない、こういうふうな考えがあるのかどうかということを聞いているのです。
  6. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 以上私が申し上げた点からいいまして、将来安定供給ということが非常に問題になってきておる。同時に、これによってかもされる災害の防止ということも問題になってきておるのでありまして、今回の改正によって、当分これらの懸案を解決するのに十分であるかどうかという点につきましては、私は必ずしもこれで十分だとは考えておりません。ということは、自然の、河川砂利だけではなかなか需要に応じ切れない。したがって、砕石砂利と申しますか、陸砂利のほうにだんだん移行していかなければならぬ情勢にございますので、砕石事業等に依存する情勢がだんだん増大してまいりますので、これらの推移によりましては、またさらに適切なる対策を必要とするのではないかということを考えております。
  7. 永井勝次郎

    永井委員 そうしますと、この法案では不十分であるから次の立法措置考えておる、こういうふうに理解してよろしいわけですか。もし立法措置考えているとすれば、その内容はどういう性質のものであるか伺います。
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 当面の対策といたしましては、ただいまの採石法、そういうようなものの運用によってまかなっていけると思いますが、これが相当長い将来にわたってこれでいけるということは非常に疑わしくなりますので、これらの点は情勢推移にかんがみて大いに考究をしてまいりたい、こう考えております。
  9. 永井勝次郎

    永井委員 情勢推移展望から、今後問題とするならばどういうことが問題になるのか。
  10. 吉光久

    吉光政府委員 先ほど来お話しございますように、骨材の持ちます地位というのは、非常に大きなものを占めておるわけでございまして、現在まで砂利相当分、八十数%は砂利に依存いたしておるわけでございますけれども、総合的な骨材対策というものが当然に必要になってまいるというふうに考えておるわけでございまして、その第一は、砂利砕石、その他人工骨材等供給体制をどう確立してまいるかという点が、一番大きな問題であろうかと思うわけでございます。  さらに第二の問題といたしまして、そういう供給源をどのように確保してまいるかという点が問題であろうかと思うわけでございまして、先生御存じのとおり、これが天然の資源中心にいたしております関係上、まだ未開発資源といたしまして、全国にさらに相当量骨材関係というものが賦存いたしておると判断いたしておるわけでございますけれども、それらの未利用資源につきまして積極的に利用してまいる道を開いていくということが必要であろうかと思うわけでございます。  さらに第三点といたしまして、人工軽量骨材ウェートは現在非常に小さいわけでございますけれども、最近の事例に見られますように、あるいはボタ山活用等によりまして、人工軽量骨材というものにつきましても、積極的な供給体制考えるべきではないであろうかというふうに考えるわけでございます。ただいま申し上げましたのは、骨材全体としての供給体制の問題でございますけれども、さらにそれらの中で、たとえば拠点開発主義と申しますか、そういうふうな構想も導入することによって、コストを下げてまいるというふうな方策も必要であろうかと思うわけでございます。同時にまた供給力の増強という面が、他面に災害あるいは広い意味での公害問題を伴います関係上、それとうらはらになります公害対策につきまして、今回の法案で抜本的な改正を企てたわけでございまして、いまの供給体制をささえます企業体自身についての体質強化も、もちろんこれと並行して取り進めていかなければならない重要な事項であるというふうに考えておるわけでございます。
  11. 永井勝次郎

    永井委員 この法案は、砂利採取について公害が起こっておる、あるいはその運搬の過程においていろいろな交通事故が頻発しておる、そういう点から問題をとらえて、それの応急措置を講じておるというのが法案内容だろうと思うのです。それだけではこれはいけないのでありまして、いま局長の言ったような資源をどういうふうに開発していくかという積極面、あるいは需要面におけるところのいろいろな転換であるとか、需給とあわせたいろいろな対策、そういうものが講じられなければならない。そういう面が法案内容として何も出てきていない。多くの場合、砂利の問題は長い歴史の中で、ほとんど行政措置でやっておる。立法措置が講じられない。そして行政措置というものはそのときどきの考え、あるいはその当局の主観的な判断によって振り回される、こういう危険性があるので、やはり問題の考え方というものを安定させ、そしてそれがよそから見て、積極的にこういう基準でやるんだという基準が確立されていませんければ、主観的に行政措置で、ときどきの考え方で変わっていくことは迷惑だろうと思うのです。そういう点において、この法案は積極的な取り組みが足りないと思うのです。骨材供給面において、大臣韓国からの輸入考えておる、こういう話でありましたが、国内資源の確保と海外からの輸入補てんという関係とは、どういうウェートにおいて考えておるのかお示しを願いたい。
  12. 吉光久

    吉光政府委員 何と申しましても国内資源を最優先的に確保してまいるということが第一に考えるべき事項であろうかと思うわけでございます。ただ、先ほどお話ございましたように、砂利供給地点がだんだんと遠隔地になる。山村僻地と申しますか、というふうに輸送距離がだんだんと長くなるに従いまして、コストアップ要因というふうな問題も出てまいりますし、あるいはまたそれに伴います交通公害というふうなものも出てまいるわけでございます。と同時に、もう一つは、いわゆる河川砂利といわれておりますところの資源がだんだんと少なくなっておる。もちろん、これは積極的に開発してまいる、そういう責務があるわけでございますけれども、現状におきましては、だんだんと砂利資源枯渇化状況というふうなものもあらわれ始めておるわけでございます。したがいまして、そこらの問題を全体的に判断いたしました上で、安い砂利が、もし近隣諸国から輸入可能であれば、場合によっては、それも供給の中に取り入れざるを得ないのではないであろうか。ただ、いつの時点から、また何千トンというふうな問題につきましては、いろいろと見方もあると思います。基本的な考え方といたしましては、やはりあくまでも国内資源を有効に開発して利用していく、こういう基本線にのっとって考えながら、どうしても足りない場合に、安いものが入りますときに、それを一部補てんしてまいるということも、あわせ考えざるを得ない事態が来つつあるのではないであろうか、このように考えております。
  13. 永井勝次郎

    永井委員 砂利採取法成立いたしましたのは昭和三十一年。このときは議員立法でこれが決議を見ておるのであります。政府最初政府提案の予定のようでありまして、内部でいろいろ作業を進めたが、各行政官庁間の調整がつかないので、それを議員立法の形において当面を糊塗するような法案ができたと思います。当時われわれはこの法案を決定するにあたりまして、いろいろ当局とも接触をし、各党との話し合いで、そういうふうに進めてきたわけでありますが、そういうようなところから、やはり今後の問題については、各行政庁関係調整という問題、話し合いが十分にいくかいかないかという問題が、法案成立経過から見まして、供給面においても需要面においても、今後ともいろいろ問題を含んでくると私は思うのであります。今度は政府提案でありますけれども、これが実際の運用面に入りますと、いろいろな問題が出てくる、こう思うのであります。そこで、通産省あるいは建設省関係から、この法案作業の中において、各省関係調整の問題をどのように論議し、どのようなまとまりをしたのか、あるいはどの部分はまとまらなかったのか、その内容を明確にしていただきたい。
  14. 吉光久

    吉光政府委員 この法案は、御指摘のように関係する省庁は非常に数多いわけであります。先ほど来お話ございますように、砂利採掘に伴いますところの広い意味での公害問題、災害問題が非常に各地で起っておるわけでありまして、昭和三十一年にこの法律提案いたされました段階におきましては、いずれかといいますと河川砂利中心にした供給体制であったわけでございますけれども、昨今におきます砂利公害の圧倒的多数が、山砂利陸砂利中心にいたしましたものに集中いたしておるわけでございます。そういう災.害の問題に対しまして、関係省庁としてどういうふうに対処していったらよいかという点につきまして、十分に各省庁間協議を重ねたわけでありますが、この法律におきましては、いわゆる河川砂利供給体制とそれに対する監督体制及び山砂利陸砂利体制監督体制というものを一本化することが必要であろうという結論に達しました。実はこの砂利採取法案は通産、建設両省共同提案になるものでありまして、両省庁間で緊密な連絡をとりまして、この法案を作成いたしたわけでございます。もちろん運輸省あるいは農林省、それぞれ関係の向きがあるわけでございますが、この法案につきましては意見を一致いたしました上で、提案いたしたようなわけでございます。したがいまして現在各省庁間におきまして、特に懸案事項として問題が残っておるというふうな事項はありません。
  15. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。ただいま通産省のほうからお答えいたしましたとおり、この法案提案にあたりましては、建設省といたしましても通産省と十分協議いたしまして、建設省のほうで従来やっておりました河川砂利採取に伴う、河川法に基づく種々の監督等について、新しい法律十分所期の目的が達成できるように、法律の中に盛り込んでいただきまして、法案を作成いたした次第でありまして、今後の法律の施行につきましても、十分両省緊密な連絡をとりましてやってまいるつもりでございます。
  16. 永井勝次郎

    永井委員 それでは伺いますが、三十一年成立した砂利法については、砂利法そのままではこれは抽象的な分野が多くて、具体的な対策にはならない。決議にあたりましては、この法案根拠として各都道府県に通牒し、それぞれの地域に適応した条例を各府県でつくるように、こういうことが決議したときのいろいろな話し合いの中でまとまった意見であったと思う。ところがこれが商工委員会決議された。そうしてこの成立については建設省はそっぽを向いていたというような関係から、地方庁では建設関係は、河川関係についてはその必要なし、まだそんな状態ではないというので、具体的な条例をつくることにそれぞれの地方庁で反対をした。積極的でなかったということで、当時具体的にこれを進めることを要請してやったにもかかわらず、地方庁における条例のきめてあるというところはほとんどないようであります。これらについて両局長から答弁をわずらわしたいのと、それぞれの地方庁において、この十三年間にわたって砂利についての条例を決定したところはどこどこあるか、それを示していただきたい。そういう具体的なことが運ばれないために、問題をさらに傷を大きくしてきておる、こういうふうに思われるのであります。その点について両局長から、この期間の経過について、なぜできなかったということを明確にしていただきたい。
  17. 吉光久

    吉光政府委員 御指摘いただきましたように、過去の砂利に対する各関係行政庁の取り組み方について、いささか消極的なところがあったのではないであろうか、こういうことでございます。私どもといたしましても、その点につきましては深く反省をいたしておるわけでありますが、何分にも砂利供給源の大宗が、河川砂利中心にして供給されておったわけでございまして、したがいまして河川砂利に対する監督指導と申しますか、そういうふうなものと、それから山砂利陸砂利というふうなものが、それぞれ別個の法律体系によりまして処理されてまいっておったというところに、基本的な問題があったのではないであろうかというふうに考えるわけでございます。したがいまして、以上のような反省に立ちまして、新砂利採取法案の中には、河川法関係砂利採掘許可に関する問題等を一緒にひっくるめまして、山砂利陸砂利と同じような体制取り締まりをやってまいろうというふうに決意いたしたわけでございます。  なお、従来都道府県条例をつくっておるところはどこがあるか、こういう御質問でございますが、現在条例ができておりますのは千葉県だけでございますけれども、東京都あるいは埼玉県、京都府等におきましては、砂利につきましての採取指導要綱というものを定めまして、それに従って指導を行なっておるというのが現状でございます。
  18. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  ただいま通産省のほうからお答えがございましたように、従来建設省といたしまして、砂利の問題は、河川砂利だけに限って都道府県知事に対する指導監督をいたしておったわけでございますが、御承知のとおり、その根拠法規河川法でございまして、河川砂利につきましては一応河川砂利採取許可その他を知事が実施しておりますが、やはり考え方といたしましては、河川管理を第一義に考えておるという傾きがございまして、さらに、陸砂利等につきましては、河川法関係のない面もございまして、そういった面につきましては従来消極的な面もあったかと考えられます。そこで、今回の法案の立案に際しましては、実はそういった面も含めまして、河川管理と同等に河川砂利採取についても新しい法案によって積極的に取り組もうということでやってまいるつもりでございます。
  19. 永井勝次郎

    永井委員 いままでの砂利採取実態は、川に資源がある、それをとるにまかせていた。もちろん河川監守なり河川管理の条項はあったでありましょうが、それに対して、業者の採取にまかした、被害が出てきて初めて問題にしている、あるいは、河川のほうが取り締まりがきつくなってきたので、これが山へのぼった、おかへ上がった、そこにまた問題が出てきた、こういうことでこの法案が出てきたのでありましょうけれども、そこには砂利に取り組む基本的な政策というものがない。したがって、こちらでしぼり出せばそちらのほうにふくれていくというような自然発生的な採取状況にまかせていたのがいままでの砂利採取企業実態ではなかったか、私はこう思うのです。局長は、資源が不足してきて非常に困難な状態にある、需給のアンバランスができた、こういうことでありますが、そういう状況の中で、いかにこの砂利資源を開発し、あるいは安定的供給の量を確保していくか、こういうことが一つ政策であります。遠くなれば遠くなっただけに、輸送の面において、コストの面においていろいろ出てくると思うのでありますが、いままではほとんど政策がなかったといっていい。この法案を基点にして総合的な政策というものを立てて、そうしてそれの年次計画によって具体的に進めなければいけないと思うのであります。その意味においては、河川局では河川砂利関係通達集であるとか、あるいは通産省におきましても「今後の骨材政策進め方」こういうようなものを委員会等において討議決定をしておりますことば、私は一つの進歩であると思うのです。そして「今後の骨材政策進め方」の内容は、一応われわれも肯定できるわけでありますが、ただ、これを具体的にどういうふうに進めていくか、これをどういうふうに具体化していくか。ただ問題の提起にとどまる部分が非常に多いのでありまして、これをどう具体化していくかということについては、各省間の調整については何か機関を設けるのでありますか。またその中において年次計画をどういうふうに立てていくのか。たとえば需要はこれだけあるという計算はここに出ておりますけれども、それにこたえていく、河川は具体的にどこから、あるいは山砂利はどうである、あるいは陸砂利はどうであるというような具体的なものはほとんどありません。そういう政策具体化をどのような機関でどのように進めていき、そうしてそれを実行する企業の形をどういうふうな構想で持っていくのか、あるいはそれに必要な資金関係その他はどういうような裏づけがあるのか。政策でありますから、総合的な面における具体化内容をひとつ明確にしていただきたい。
  20. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどお話がございましたように、通商産業省にございます産業構造審議会の中に骨材委員会というものを設けまして、そこで四十年、四十一年と二年間にわたりまして、今後の骨材政策進め方について議論をしていただいたわけでございます。もちろんこの小委員会には関係省庁も入っておるわけでございますが、そこで将来のあり方につきましての基本的方向と申しますか、そういう点について明示を受けたわけでございます。先ほど御指摘いただきました具体的な問題として、しからばそれをどう促進してまいるかというふうな観点でございますけれども、現実に着手いたしておりますのが通産省建設省運輸省の三省庁によります連絡会議、月二回程度やっておりますけれども、これは特に需要の多い東京、大阪、名古屋等の周辺を中心にいたしまして、骨材供給にからみ合います諸問題を具体的な立地について現在検討を始めておるわけでございまして、これは長期需給観点に立ちまして、現在未利用資源でありますところのものを開発いたしました場合、当然にこれは輸送ルートの問題とからみ合うことが多いわけでございます。同時にまた、要するに、事業協業化あるいは共同化等によりまして進めます場合に、陸上の場合におきましてはどうしてもある一定のストックポイントと申しますか、そういうふうな場所を設定する必要も出てまいりますし、あるいは陸上輸送貨物輸送、要するに自動車輸送がいいのか、列車輸送がいいのかというふうな問題もございます。あるいはまた海上輸送にいたしました場合において、専用埠頭というふうなものも必要になってまいるわけでございまして、そういうふうな専用埠頭というものをどこに設けてどういう手段でやったらいいかというふうな点等につきまして、現在関係省庁でそれぞれ具体的なポイントにつきまして御相談を申し上げておる段階でございまして、そこら結論が出ましたならば、それぞれ関係省庁の持ち分におきまして、たとえば運輸省におきましては港湾の問題あるいは鉄道によりますところの貨車輸送の問題、建設省におきましては道路輸送の問題、そしてまた通産省におきましては企業体協業化共同化というふうなことでそういう作業に従事してまいるというふうなことで、具体的なポイントにつきまして、それぞれの問題点を摘出しながら作業を進めておる状況でございまして、先ほどお答え申し上げましたように、それに基づきまして関係省庁でそれぞれ具体的な手を打ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  21. 永井勝次郎

    永井委員 この中にありますたとえばダムにたまった砂なり砂利をとり、これを資源の対象にする、こういうふうなことをここに書いてみたところで、その場所が非常に上流であり、あるいはそういうダムのできておるところでありますから道路その他も十分でない、こういう問題もありましょう。書いてみたところで、それを市場に持ち出して実際の骨材として活用する段階にはいろいろな問題が、ネックがあろうと思うのであります。そういう問題をただこう羅列的に書いても現実の政策として生かされないのでありますから、そういう関係を明確にしていくべきだ、そうして、そうは言いましても、これは東京であるとか、大阪であるとか、名古屋であるとか、北九州であるとか、現在骨材資源の枯渇している地域に問題が多発していると思うのでありまして、それらの地域に当面ダムのそういうものをどのくらい開発できるか、あるいは陸砂利をどういうふうに開発し、道路の関係はどうするとか、いま言った港の問題等は相当の時間がかかると思うのでありますが、長期の時間がかかるものと短期で対策が可能なものと、そういうものを組み合わせてタイムラグのないような政策を具体的に組み合わせるのが、これが政策であろうと思うのです。ただ、ここにはこれがある、これをやるにはこういう条件が前提条件になるという問題提起だけでは私は問題にならないと思いますから、それらの主要な地域における、これから進めていく具体的な年次計画というものをひとつ伺っておきたいと思います。
  22. 吉光久

    吉光政府委員 そういう個別具体的な計画が必要でありますことにつきましては、まことにお話しのとおりでございまして、先ほどお答え申し上げましたように、そういう特に需要の大きい、しかもだんだんと輸送距離が長くなっておりますところの地域、特にこれは東京周辺でございますとか、大阪周辺でございますとかあるいは名古屋周辺でございますとか、そういう地域につきまして、実は先ほど申し上げましたように建設省運輸省通産省、三省で共同いたしまして、具体的な供給確保の方策、安全輸送の方策等につきまして現在案を練りつつあるわけでございます。現在すでにこれとこれとこれをこういうふうに開発するという段階までは至っておりませんけれども、できるだけ早い機会にその具体的なプランをつくりまして、それに基づきましてさらに積極的なそれに対する裏づけの作業と申しますか、これをやってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  23. 永井勝次郎

    永井委員 この法案では、公害に対する責任を企業者に負わせて、こういうことをしてはいけない、ああいうことをしてはいけないという禁止規定が多いのでありますが、これはそういう公害の原因をつくらないように予防するということが最善の方法である。予防しますためには、資源を確保して、こういう地区の山ならば、これは砂利採取しても災害が起こらない、一定の指導のもとにやれば災害が起こらない、あるいは陸砂利ならば、この地区ならばどのくらいの深さに掘っても災害は起こらない、あるいは川砂利ならば、川砂利における稼働計画でありますとか、そういうものも一つの流れの中において計画というものが、いろいろ実情に応じて動いてくるべきものだ、天井川のようなところは自然の川に返すほうが沿線においては災害防止にもなる。ただ、その河床を下げる場合に、堤防とかあるいは水を引くとか、そういう関係の問題が起こってまいりますから、それはまたそれとして、総合的にやらなければならない。相当の時間がかかるわけでありますから、この川においてはこれだけ河床を下げることができるのだという計画を立てて、そうして関連するいろいろな問題を処理しながら計画を進めるのでなければ、私は計画にならないと思うのであります。そのためには、まずどこの河川はどういうふうな計画で進めることが技術的に可能であり、実際的にできるのだ、こういうことを確保させて、そして安心して企業がそれに取り組むことが必要だ。そのときどきにやるのをまかしておいて、災害が起こったらそこはだめだ、こういうようなやり方、そういう逆算方式のやり方はいけない。予防措置を講ずる、それには資源を確保してこの地区ならだいじょうぶだという、この資源確保がまずこの計画を健康な形で進める上の出発点になる、こう思うのでありますが、その点についてどのようにお考えになるか、河川関係河川局長から、陸砂利あるいは山砂利については化学工業局長から、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  24. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  お話のありました中の河川砂利につきましては、私どものほうで従来河川法に基づきまして規制をいたしておりますが、ただいまお話のございましたように、従来は要するに河川管理を第一義に考えまして、河川から生じます砂利需給につきましては、あまり計画的に採取の規制をするというようなことはやっておらなかったというのが実情であろうかと存じます。それが最近になりまして砂利の資材としての問題もクローズアップされてまいりまして、また、河川の賦存量等についても相当枯渇を来たしておりますので、昭和四十一年に私どもといたしまして、やはりただいまお話のございましたように、各河川についてそれぞれ賦存量を調査いたしまして、その賦存量をもとにいたしまして、河川管理の面も考え合わせて、砂利計画的な採取をやるという方針を定めまして、一級河川につきましてはそれぞれ私どものほうの地方建設局、二級河川につきましては都道府県知事が管理しておりますが、それぞれ通達を出しまして、それぞれの管理しております河川について砂利採取の基本的な計画をきめなさいということを、通知をいたした次第でございます。それに基づきまして、現在、それぞれの管理者において管理をする河川ごとの砂利採取の基本計画というものを逐次定めておる段階でございます。数字的に申し上げますと、一級河川につきましては、現在までに約六十河川についてそれぞれの河川ごとの砂利採取基本計画というものをきめまして、その計画にのっとって、砂利採取の許可をいた一ておるという実態でございます。二級河川につきましても、同様にそれぞれ知事が各河川ごとの採取基本計画をきめていきつつあるという段階でございます。それで、先ほどお話ございましたように、現状河川管理状況採取できるという量を前提として現在の基本計画をきめておりますが、お話のございましたように、最近の河床の状況が相当変化してまいりまして、河床の低下しております部分、あるいは天井川になって非常に河床の上がっております部分、いろいろ河川ごとの状況が違っておりますが、これらを全部調査いたしまして、河床の状態をどうすれば一番河川管理上も理想的であり、かつ砂利採取にとっても都合がいいかという調査を現在実施いたしておりますが、この調査の結果をまちまして、あらためて河床計画をきめまして、この河床計画がきまりましたら、新しい河床計画に従いまして、さらに砂利採取の可能量等を訂正いたしまして、基本計画の作成をやり直しまして、長期的な砂利採取計画を立てたい、こういうふうに考えておる段階でございます。
  25. 吉光久

    吉光政府委員 お話しいただきました点、そのとおりでございまして、私どもといたしましても砂利産業というものが国内資源に足をおろしておる産業と申しますか、そういう産業でございますだけに、資源の賦存状況というふうなものにつきまして的確に把握しておくことが必要であろうというふうに考えるわけでございます。ただ、先ほど河川局次長のほうからお話しございましたように、河川砂利につきましては、国があるいは国の委任を受けました都道府県知事が全面的にその土地自身を管理いたしておりますので、わりあい資源の賦存量がつかみやすいわけでございますけれども、山砂利陸砂利というふうなことになりますと、その土地がほとんど多くの部分が私有地でございます。そういう関係上、どこにどれだけのものが賦存しておるかという点につきまして、調査の必要性は私ども痛感いたしておるわけでございますけれども、その調査方式というふうな点につきましていろいろと問題がございますので、現在実はその専門の方々と御相談申し上げておりまして、一番いい調査方式が見つかれば、これに基づきまして、ラフなところでもいいから何らかの形でそこらの賦存状況をもう少し的確に把握いたしたい、こういうことで現在せっかく努力をいたしておるところでございますけれども、最初御指摘いただきましたように、現状におきましては非常に不十分な体制にある、こういう状況でございます。
  26. 永井勝次郎

    永井委員 たとえば河川における資源確保の問題にいたしましても、いまの時点でこれはいけない、河川管理の立場にウエートを置いて問題を判断すればこれはいけないということでありましても、砂利資源が非常に重要性を持つものだというような時点に立てば、また違った側面から問題の価値評価が出てくる。したがって、今後は、自然に賦存している砂利というものは、掘っていけばそれだけだんだん減っていくわけです。減っていくが需要はだんだんふえていく。それに適応させていくためには河川を現在のままで手をつけないで、ただ安全に管理するというだけでなくて、砂利資源を確保しながらなおかつ川の管理が向上していくのだ、あるいは心配がないのだ、こういうことで積極的に取り組んで、その面から評価をし対策を立てていかなければならないと私は思うのであります。その点について砂利に取り組む河川局長のお考えを伺いたいと思います。
  27. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  河川砂利採取に対する河川管理者としての気がまえと申しますか、全くただいまお話しのございましたとおりでございまして、やはり従来は河川管理を第一義に考えておりまして、河川管理に支障のない範囲で河川砂利採取の許可をするというのがたてまえでございましたが、今回の法案によりまして採取計画というものを認可するということになって、砂利需給についてもある程度河川管理者としても考慮を払ってその計画の認可にあたっては考えなければならぬという立場になったわけでございまして、また周囲の条件等も従来の砂利需要とは関係なしに、ただ河川管理の面だけから必要量を、河川管理上支障のない範囲の採掘を許可するというだけでは済まなくなったということは、河川管理者としても今回の法案を契機といたしまして十分考えることになるわけでございまして、その面において、この法案成立いたしました場合は、一歩前進して河川砂利需給についても河川管理者も積極的に取り組んでいくということに相なろうかと存じます。われわれといたしましても、そういうつもりでこの法の実施に当たりたいというふうに考えております。
  28. 永井勝次郎

    永井委員 次は化学工業局長にお尋ねいたしますが、先ほどの答弁のように、陸砂利なり山砂利というのは所有が個人所有だ、したがって資源を把握することもなかなか困難であるし、採取についても困難な問題がある、こういうお話でありますが、私はそれはそのとおりであろうと思う。そのとおりでありましょうが、川にしろおかにしろ山にしろ自然の条件を変えていくわけでありますから、これは単に私企業の恣意的な企業にまかしておくべき性質のものではない。自然の条件をいろいろ変えていくわけですから、したがってその企業の性格をもっと公的な性格を持ったものにして、企業の面から問題をとらえていく。この砂利採取というものを、資源をでたらめに恣意的にやるのでなくて、その企業の性格を公的にして、そうして自然を破壊しないように、そうしてまた骨材需要にこたえていくように両全の方法をするのには、どうしても私は企業形態の問題に触れてこなければ正しい運営は不可能であろう、こう思うのであります。その点についてはどのようにお考えでありますか。
  29. 吉光久

    吉光政府委員 特に資源の賦存が最近の砂利のように奥地のほうにだんだん入ってまいりますと、どうしても私企業のベースで奥地開発をやるということがだんだん困難になってくる事態というものが出てまいるであろう。これはいますぐという意味ではございませんけれども、ある年月たちますとそういうふうな問題も当然起こってまいるであろうというふうに考えられるわけでございます。ただその場合に、企業自身をすぐに、たとえば砂利開発公団でございますとかというふうな、そういうふうなものとしてそこらの奥地開発をやるのがいいか、あるいはまた特別に私企業自身に対しましてちょうど林道補助が出ておると同じような形で、砂利業者には、奥地に道路をつくります場合にそれに対して何らかの助成措置を講ずる形によってやるほうがいいか、いろいろ問題もあろうかと思うわけでございますけれども、そういう特に奥地開発というふうな問題になりますと、やはり事業のあり方、どういう形で開発すれば一番よろしいかというふうな事業形態論の問題も含めて判断をせざるを得ないのではないであろうか、このように考えております。
  30. 永井勝次郎

    永井委員 政府の打つ手は、行政措置というのはこれはあまり先走りしてもいけないでありましょう。しかし事柄が具体的にあらわれてからそれに対するこう薬ばりの仕事をやる。でありますから、いつでも後手後手に回るのであります。砂利などというものは都市周辺で需要が大きいのでありますから、その周辺で取り尽くしたらだんだん奥地に入っていくわけであります。奥地に入っていけばコストの問題も出てくるでありましょうし、あるいは道路の問題も出てくるあるいは河川がだめならおかへ上がる、山へ上がる、こういういろいろな問題が出てくるのでありますから、私は最初からそういう河川という問題あるいは山を掘るという問題、これらにしましても、単に砂利資源としてこれを見るのではなくて、一面は骨材という資材供給としてこれを価値づけなければなりませんが、また一面においては自然の形を大切にしていく、国土の自然の形を大切にしていくのだ、風致の問題であるとかあるいは産業の問題であるとかあるいは企業から起こるところのいろいろな公害問題等は、私は時代の進むにつれて非常に多角的な災害、多様的な公害というものが出てくる、こう思うのであります。そういうものにあらわれてからこう薬ばりの対策を立てるのではなくて、こうなればこうなるであろうと想定のできる問題については、それをあらかじめ手を打っておく、こういうことが必要であろう。そういたしますと、先ほどのように政府資源的にこれを確保できるならば別でございますが、資源的に確保できない、こういうのであります。しかし、それならば放任しておいてよろしいのかといえば、放任しておいてはいけない、こういうことならば企業の面からそれが実行できるような企業形態というものを考えていかなければならないのではないか。今日のように企業を乱立させて、そうして過度の競争の中からむちゃくちゃなことをやっていく、そういう結果として公害が出ているわけでございますから、そういう過度の競争をなくする、そうして資源、国土を大切にしていく、そういう一つ企業によって連鎖反応的な災害というものが波紋を描かないような、そういう措置を講ずるのにはこの企業の形態を考えていかなければならない、私はこう思うのであります。  そこで、農地管理部長がお見えでありますからお尋ねをいたしますが、河川からあがった砂利採取業者は、この川のそばの農地の砂利をいま盛んに掘りあげておるわけであります。これは水田その他としては、下が砂利のところは水漏れがひどい。したがって、土地改良の面からすれば下の砂利をとって違った土を下に埋めて、そうして土地改良をしたほうが最もよろしい。ただ、砂利をどのくらいの深さに掘ればいいかということについては、それぞれ監督官庁の基準もあるでありましょうが、そういうことで、いまこれを部分的にあるいは無計画的に砂利採取という面からだけ問題が進められておるのであります。これは一つ砂利資源としての面からこれをつかみ、もう一つは土地改良という側面からこれをつかまえて、そうしてこの地域はこういう工法によってやれば土地改良ができて、そして下に眠っている砂利資源化、価値化することができるのだ、こういう両全の道を積極的に土地改良の面からとらえてはどうか、こういうふうに思うのでありますが、現在行なっている川の沿線における砂利採取の一方的なやり方から何か農耕の面に弊害が起こっているかどうか、また、私の言うように計画的な土地改良の一環として、そこから砂利資源を生み出していく、こういう土地改良と結びつけたやり方が広い地域にわたってできないものであろうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  31. 中野和仁

    ○中野説明員 お答え申し上げます。  ただいまのお話、私直接そのほうの担当ではございませんけれども、先生御指摘のように、耕土はそう深くなくてよろしいわけでございます。したがいまして、その下のほうに砂利がございますれば、それを取ってほかの土を入れてりっぱなたんぼにするということはできるかと思います。ただ、いま農林省におきまして組織的にそういうことをどうやってやるかということにつきましてまだやっておりません。いまの御指摘もございましたので、今後関係部局に連絡をいたしまして研究を進めてみたいと思っております。
  32. 永井勝次郎

    永井委員 砂利資源として、材料として骨材が確保されればそれでいいというのではなくて、コストの問題も、それから時間的にも十分に需要にこたえていくという条件を満たさなければならないのでありますから、この資源が奥地へいく、遠くなれば遠くなるほどいろいろ問題が出てくると思うのです。その問題をどういうふうに現実的に処理するかということが政策でありますが、まず資源的に申しますならば、砂利需要が第二・四半期の後半から第四・四半期が需要の最盛期だ。したがって不需要期は第一・四半期あるいは第二・四半期の前半、第三・四半期、こういう時期が不需要期だ、こういうふうに見られておるわけでありますが、その不需要期に平均して採取していく。そしてそれをどこかのセンターがあって、そこへたくわえておく、近いところにたくわえておく、こういうような方法を講ずる必要があるだろうと思うが、そのような必要をお感じになりませんかどうか。もしその必要がありとするならば、そういう方式は私企業的な計算では私はなかなかむずかしいと思う。その期間における賃金や代金の金融の問題もありましょうし、金利の問題もありましょうが、ある程度公的な性格のものでなければ、これはコストを下げていく、そして需給の安定をはかっていく、そういう基本には遠くなるわけでありますから、そういう関係砂利のターミナルをつくる。それはある程度公共性を持ったものにする、こういうような考えはどのように理解されるのでありますか伺いたいと思います。
  33. 吉光久

    吉光政府委員 お話しのとおりでございまして、土木建築工事に一応の季節性がございます。したがいまして、その基礎材料でございます砂利につきましても季節性を持っているというのが現状でございます。お話しのように、冬場におきます供給、掘採と申しますのは、地域によりましては非常に困難なところもあろうかと思いますけれども、やはり供給自身がある程度平均的に行なわれるという意味におきまして、これは価格安定にもつながる問題でございます。あるいはまたダンプ暴走等の問題等とも関連する、これを防止する対策でもあるわけでございますけれども、適当な地域にストックポイントと申しますか、砂利集積場というふうなものを設けまして、これを一つの拠点にして問題を解決してまいるというのも一つの方法であろうかと思うわけでございます。ただ、この拠点をつくります場合に、拠点の主体をだれにするか、いろいろと考え方があろうかと思います。お話しのように、私的な機関ではなくて公的な機関あるいは準公的な機関というふうな考え方もあり得るわけでございまして、現在私ども関係省庁と相談いたしておりますのは、それをまずつくる場所について、一つ専用埠頭的なものができればいわば埠頭倉庫的な形でそこにストックポイントができる。この事業主体をその地域におきます砂利事業協同組合というふうな形で主体として設置させるということも一つの方式ではなかろうか。もちろんこれだけしか方法がないというわけではないと思うわけでございますけれども、いまの専用埠頭等の問題につきましては、そういう運営方式も一つ考え方ではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ陸路におきますストックポイントというふうな問題につきましても、同じような方式が採用できますし、あるいは場合によりましては、そこに国有財産のあいた土地があれば、そういうふうなものを有効に活用させてもらうということと結びつけました事業協同組合の運営方式というふうなことも考えられるのではないであろうか、このように考えておるわけでございますけれども、ただいま御指摘のございましたような、いわば公的色彩を強めた形でのストックポイントの運営というふうな問題も含めましてさらに検討させていただきたい、このように考えます。
  34. 永井勝次郎

    永井委員 今度の政正案によりますと、企業を行なおうとする者は登録しなければいけない。そして砂利採取業務主任者をつくらなければいかぬ、砂利採取業務主任者は国家試験を通った者でなければならない、そうして採取計画について認可をする、こういうふうな一つの制限、だれでもかってにやれるのだというのではない措置をとろうと、こういうふうに改められましたことは、従来の事後届け出制でない、ただ、だれでもやろうと思えばやれるというものでなくなったことは、一つの進歩だと思いますが、しかしこれだけの条件でありますと、これはもうだれでも、従来と同じで無制限に、ただ手続があるというだけで、これを過度の競争にならないように適正な業界をつくっていくという、そういう条件からは効果をあげることはできない、こう私は思うのであります。そういう点について何か、先ほど局長が言ったように、乱掘が起こる、あるいは公害が起こる、あるいはダンプの暴走がある、こういうようなことも、単価の問題、コストの問題に原因している。そういう企業の環境を整備しないで、ただその企業にだけ問題をしぼってどんなに追及いたしましても、経済的な条件に支配される関係においては、これはどうしても無理が起こるのであります。暴利はいけないけれども、適正に運営できる環境整備は必要であろう、そういう意味から、過度の競争にならないように、また企業が乱立しないようにという整理はある程度配慮しなければならない問題であると私に思うのでありますが、この改正によってそういう考え方はとらないのかどうか。まあ自然発生的にだれでもやってけっこうだ、こういう条件さえ整えばいいというような考えなのか、あるいは砂利が、その資源にいたしましても、その輸送にいたしましても、その販売の関係からいたしましても、私企業の範囲に放任しておいては健全に育たないということは、先ほどの局長の答弁でも明らかでありますから、それぞれの作業段階において国がある程度めんどうを見る、あるいは地方公共団体がめんどうを見る、あるいは企業に公共性を持たせる、こういうようなことをしますためには、そういう企業体の整備ということが先決条件だ、こう私は思うのであります。その点についてどのようにお考えになりますか。
  35. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどお話ございましたこのたび採用いたしております事業の登録制でございますとか、あるいは採取計画の認可制でございますとか、この運用にあたりましては過当競争防止という観点は入っていないわけでございまして、むしろ積極的に砂利災害を防止しようというふうな意図から出ておるわけでございますけれども、ただ、この砂利災害を防止いたしますためには、どうしても砂利企業自身が健全な姿で成長してもらうことが必要になってまいるわけでございまして、これはうらはらの問題であるというふうに了解いたしておるわけでございます。したがいまして、この法律の第一条の目的におきましても、災害の阻止と同時に、あわせまして砂利採取業の健全な発達をはかるということを目的といたしたわけでございまして、これらの具体的な採取業の健全な発達をはかる方法、方策等の問題につきましては、特に今回の中で、宣言規定ではございますけれども、関係行政機関の長は積極的に砂利採取業者に対して指導その他の仕事をするものというふうな規定が置かれましたのも、砂利採取業自身の健全な発達をはかってまいりたい、こういうところから出ておるわけでございまして、具体的な問題で申し上げますれば、結局零細な企業体が非常に数多く存立しておるというところに一つ問題点もあろうかと思うわけでございますので、今後の問題といたしましては、そういう企業体に対する先ほどお話し申し上げましたような協同組合方式でございますとかあるいは事業協業化方式でございますとか、具体的に現地に合った形でのそういう組織化問題というふうなものも並行的に積極的に進めてまいる必要があるのではないか、このように考えておるわけでございます。
  36. 永井勝次郎

    永井委員 砂利採取業は一部の大手を除きましては、ほとんど零細企業形態だ。そして砂利需要の八〇%は生コンである。これは三菱なり住友なり浅野なり、こういう大手である。そしてこの企業実態はだんだん距離は遠くなるし、資源はただの砂利ではなくて、金をかけなければ買えない砂利だというふうに企業の条件は悪化していく、売り先は八〇%が大手の生コンである、こういうことになりますと、この砂利採取企業というものに何らかの形で自立して大手需要家と対等に取引できるような条件を考えてやらなければなりませんし、あるいは資源確保について局長の言うように企業体が健康でなければ事業が健康な状態に運ばないことは議論の余地がないのであります。そこで、私は最初から申していますように、資源はこれは自然に賦存している。それをどう掘ってどう生かすかということは、主として砂利採取業の仕事である。そして需要の面においてはコストをできるだけ安く、こういうふうに申します。問題の所在というものははっきりしているのでありますから、最初から企業の運びというものを頭に描きながら、青写真を持ちながら、それぞれの企業がそれぞれの段階で健康な形で育てられるという、そういう条件を整備することが必要だ、私はこう思うのです。このままで放任いたしますと、資源の面でたたかれ、需要の大手のところでたたかれ、その間にはさまって砂利企業というものは気息えんえんであり、ダンプの暴走はもっと激しくなるだろうし、砂利採取のやり方もそろばん以外に過当な条件を刺激してくる、こう思うのであります。こういうことはもう常識的に判断、推理できるわけでありますが、局長は生コン等の需要家に対してどのように対応させようと考えておるのか。十分に独立した企業段階として砂利採取業が生コンに対抗できる条件があるのかどうか。それから資源に対してこれらの業者がどのように正しく取り組める経済的条件があるのかどうか。これをひとつ、私企業でよいとするならば、私企業のほうが経済効率があがるのだ、こういう理論づけを明らかにしていただきたいと思います。
  37. 吉光久

    吉光政府委員 お話の中にもございましたように、砂利業界はきわめて零細業者が多いわけでございます。大企業はほんの〇・何%というふうな数字でございまして、あとは全部中小企業、しかもその中で零細企業が圧倒的に多い業界でございます。したがいまして砂利業界が一対一の形でなまコン業界等の需要者に対応いたしておりましたのでは、どうしても零細企業者のほうが競争力において負けるということになるわけでございまして、そこらのしわ寄せが、実はいわゆるダンプ規制法等をつくらざるを得なくなった背景にあったのではないであろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、最も適当な手段として、まずさしあたり急いでやらなければならない問題は、やはりそういう零細砂利業界の組織化の問題であろうかと思うわけでございます。現にいろいろな形で協同組合ができておるわけでございます。この協同組合の運営状況等を反省しながら、さらに、いま御指摘いただきましたような大手需要業界に対抗し得る――これは何もここで大手需要業界とけんかをするという意味ではないわけでございますけれども、組織的に対抗し得る手段をさらに強固なものにしていく必要があるのではないであろうか、このように考えるわけでございます。  お話がございましたように、砂利業界は非常に零細業者が多い関係上、従来から中小企業の近代化資金助成法のほうの体系で近代化設備について相当の貸し付けも行なわれておるわけでございますけれども、そういう組織的に仕事をやってまいるという面をさらに一段と促進いたすために、新しい振興事業団の対象にもなるような組織性を持つような形のものになっていただくことが一番いい方法ではないであろうか、このように考えておるわけでございます。
  38. 永井勝次郎

    永井委員 砂利需要はどんどん多くなっていく、そしてその需要に対応していく砂利採取業が育っていくためには、一千二百億内外の資金手当てが必要だ、こういうふうに言っておるのでありますが、法案によると、ただ健康に発展させるという宣言字句が入っているだけで、具体的な内容はありません。今度の法案は単に公害に対する対策という性格の法律でありますからそういう内容は入っていないのでありますが、いま言ったように、いつでもこうしなければならない、ああしなければならないというふうに、中小企業対策についての政府の答弁は宣言的であり、希望的であり、抽象的である。その中身は何かというと、少しも具体性がない。実行の段階になると何もないといってよろしい、こういうことであります。共同化の問題についても、政府の検討の中にも、零細業者でありながら、何か独立した企業であるという意識が強くてなかなか共同化ができない、またそういう零細なものであり、企業意識からいっても低い意識の層をまとめていくというのはなかなか容易ではない。需要者の側からいえば、そこに乱売、ダンピングをさせるという条件をつくっておいて各個たたいて買う、こういうほうが便利でありましょうが、私は、今後の骨材という近代化の非常に重要な資材を扱う部面の業態としてそれを放任できない、こう思うので、どうしても私企業でやっていくならば、協業化なり共同化を促進して、そして共同の力で対応させなければいけないし、共同の力で近代化を進めていかなければならない。そのためにはやはり資金の関係、税金の関係あるいは機械化その他に対する技術の助成、こういうふうなものが伴わなければ私はできないと思うのでありますが、その点について裏づけとなる資金対策などはどのようなものがあるのか。税制についてはどうなのか。機械その他の開発についてはどのように考えておるのか、これを伺いたいと思います。
  39. 吉光久

    吉光政府委員 お話しいただきましたとおりでございますが、現在措置されております援助体制についてお答え申し上げます。  まず第一は、中小企業近代化資金等助成法によります近代化資金の貸し付けでございます。これは対象設備といたしまして、破砕装置あるいは運搬設備等の設備が対象になっておるわけでございまして、これはちょっと古くて恐縮でございますが、昭和四十年のこれによる貸し付け実績でございますけれども、貸し付け総額として三億七千六百万円が貸し付けられております。それからいわゆる中小企業金融公庫による一般的な貸し付けでございますけれども、この四十年における貸し付け額が二十一億八千七百万円というふうに報告が出ております。  それからさらに機械のほうの関係でございますが、租税特別措置法による合理化機械等の特別償却の適用を受けておりまして、現在対象機械として掘さく機あるいは水洗いの選別装置、破砕機というふうなものがこの特別償却の対象になっておるわけでございます。もちろんこれだけで十分だとは考えていないわけでございまして、この新法成立を機会にいたしまして、災害防止関係について相当多くの負担を事業界自身にしていただくということになるわけでございますので、それに対応して、現在あります諸制度の内容についてさらに拡充のために努力してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  40. 永井勝次郎

    永井委員 十二時三十分までということでございますから、あわせてお尋ねをいたします。  砂利採取業というふうな業態に対する融資措置は、私はなかなかむずかしいと思うのです、担保となるものがないのでありますから。建物があるわけではない。あるのは機械くらいのもので、それもそうどこにでも使えるという機械ではない。それだけに、砂利採取業というものの重要性なりその位置づけ政策的にとられて、そしてそれを健康に育てるという立場から政策的に融資措置なり助長政策をとらないと、私はなかなか金融べースには乗らないと思うのであります。でありますから、古い数字でありましても三億とか一億とか、この程度ではもう問題にも何にもならない、こう思うのであります。  さらに、骨材重要性というものの位置づけの上から、法案の中に単に宣言的な字句が入ったからこれでいいのだということでなくて、この法案以外に砂利採取企業についての法規定というものを、あるいは法規定がなければ、政令なり何なりでもっと明確なものを出すべきだと思うのでありますが、これについてどう考えるか。  それからその次には、事業担当者の国家試験を行なうというのですが、これはたいへんぎょうぎょうしくて権威があるようでありますが、一体経過措置としてはこの国家試験はどのような程度に行なうのか。現在やっておるものを経過的には認めていくのか、あるいは正確な国家試験としては、いつごろからどのような内容で発足するのか、これらの点をお伺いいたします。  もう一つは前回、砂利採取法を制定いたしましたときにも問題になったのは、川の沿線なりそういうところで農家が自家用に砂利をとる、あるいは個人が庭に敷く砂利をとる、一体そういうものまでも対象にするのかどうかということが問題になったわけでありますが、今回の改正にあたりましても、この法案の対象とするものはそれぞれの市町村の公営的なもの、あるいは個人的なもの、そういうものは対象から除外するのかどうか、それらをあわせてお尋ねをいたします。
  41. 吉光久

    吉光政府委員 お尋ねは三点あったと思います。  第一の、従前の融資措置等に満足すべきではなくて、さらに零細企業者あるいは砂利採取業者に対する助成措置等について積極的に考えるべきではないか、こういう御質問だったと思います。私ども全く同感でございまして、従前の措置だけでははたして今度の新しい負担に耐え得るかどうかという点で、相当の問題があろうかと思うわけでございますので、やはり従前の措置に加えますに、さらに現実の新しい負担に耐え得るような特別の措置と申しますか、たとえば汚濁槽等につきましての積極的な融資あっせんその他につきまして、それぞれ具体的な問題といたしまして検討し、拡充していかなければならない面というものが非常に多いのではないか、このように考えておるわけでございます。ただ具体的に当面の問題といたしましては、先ほど大臣お話しございましたように、すぐに追っかけまして、砂利採取業者自身につきましての法案と申しますか、健全な発達をはかるために必要な法案というふうなものについては、ただいま準備していないわけでございますけれども、さしあたりの問題といたしまして、災害をいかに防止するかという点に焦点を置きまして、したがいまして、砂利採取業の健全な発達という点につきましては、先ほど御指摘を受けましたように、非常に抽象的な規定が入っておるのみでございまして、その抽象的な規定をてこにいたしまして、積極的な、具体的な措置というふうなものについて検討さしていただきたい、このように考えておるわけでございます。  それから第二にお尋ねございました、業務主任者の国家試験の関係でございます。すでに御存じのように、現行の砂利採取法におきましても業務主任者の制度はあったわけでございますけれども、ただこれは制度がございましても、資格等については何らの制限がなかったわけでございます。したがいまして、最近の砂利採取業の起こしております災害公害問題等考えました場合に、やはりここに的確な判定力を持つ業務主任者というふうなものが置かれますことが、企業災害問題等につきまして積極的に働き得るもとができるのではないであろうか。要するに、災害に対しますところの企業の認識というものも相当改まってまいるのではないであろうかというふうなことから、実は登録制の条件といたしまして、業務主任者につきましては国家試験、あるいはまたそれに準じますところの都道府県知事の認定というふうなものに合格した人にやっていただくということにいたしたわけでございます。ただ、これができまして、できるだけ早く施行いたしたいというふうに考えておりますので、短期間のうちに完全に非常に高度の知識を持った主任者というふうなものを充足することは、きわめて困難でございます。さしあたりの問題といたしまして、この試験の内容等の問題、現在具体的に検討を加えておりますけれども、大体レベルといたしましては、新制の高校卒程度の知識と申しますか、そういうものを中心にいたしまして、特に基礎的な事項としての関係法令に関する基礎的な知識、あるいはまた土木工学等に対するところの基礎的な知識、災害防止等についての基礎的な知識と申しますか、そういうふうなものを前提にしてこの試験を実施してまいりたい、このように考えておるわけでございまして、さしあたり問題といたしましては、試験も公布から施行の間に準備をいたしますけれども、同時に認定制によりまして、現に従事しておられる方々で、これに認定されるという方が相当多いのではないだろうか、このように考えておるわけでございまして、過渡的に遺憾のないように措置いたしたい、こう考えております。  それから第三の御質問でございますけれども、農家自家用あるいは個人等の問題でございますが、今度の砂利採取法におきまして、現行の砂利採取法と変えました点は、現行の砂利採取法においては、営業目的で砂利採取するということに限定いたしております点と、それから国、公共団体等は、砂利採取法の適用からはずされておるわけでございます。今回は営業を目的としておるかどうかということは問わないことにいたしました。それが長期的に自家消費である、たとえばなまコン業者が自分のなまコンをつくるために砂利採取するというふうな事項もございますし、自家消費といえども一応法律の対象にいたしたわけでございます。同時に国、公共団体等も、この適用を原則的に受けるということにいたしたわけでございますけれども、先ほどお話しがございましたような、個人が自分の庭に、あるいはまた農家が自分の何にというふうな形で、非常にその範囲が小さいというふうなものにつきまして、そこから公害問題が起こる見込みも全然ないというふうな、そういう企業形態につきましては、政令で適用除外規定ができるということにいたしておるわけでございまして、いま御質問いただいたようなそういう業態のものであれば、おそらく適用除外になるというふうにお考えいただきたいと思うわけでございます。
  42. 永井勝次郎

    永井委員 最後に、資源の確保については、なお問題をもっと掘り下げなければならぬと私は思います。それから需要の面については代替品の開発とかいろいろあろうと思います。また価格の関係については、現在の砂利コストの六〇%以上が輸送費でありますから、輸送費の合理化が一番コストに影響する問題であると思うのでありまして、距離が遠くなれば遠くなったで、そのコストヘのはね返りが相当多いと思うのでありますが、これらについては官公需が大きな需要者でありますから、設計単価その他の関係が相当問題になってこようと思います。砂利採取業の構造改善あるいは共同化その他については、なおいろいろ問題があるだろうと思うのでありますが、時間がありませんので省略いたします。  いずれにいたしましても、砂利というものは資源が自然に賦存しておるというところから、あまりこれを重要視しておらない。そしてただ掘って砂利かというような扱いにされておるのが現状だと思いますが、資源的に考えても、量と質から考えましても、重要な資材になりつつありますし、また現在は行政措置の領域が非常に多い。役人の主観的な考えが相当に実際に影響する。末端などへ行ってみますと、河川監守や何かが現場でいろいろ個人的な愛憎好悪で問題を処理する点が多くて、問題がいろいろあります。そういうことで、行政措置で主観的にものを左右するのではなくて、客観的な基準を明確にして、だれでも安心してその線に沿うてやれるような諸体制の整備が必要である。砂利としてばかにする資材ではない、こういうふうに思うのでありまして、今後さらに法規制を明確にする。そうして政令その他、通牒等を出す場合には、それらはひとつこれの裏づけとなり、肉づけとなる性質のものでありますから、われわれの委員会に必ずそういうものははっきりと示してもらう、こういうことを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
  43. 小峯柳多

    小峯委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ――――◇―――――    午後一時五十分開議
  44. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  砂利採取法案並びに電気用品取締法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。中谷鉄也君。
  45. 中谷鉄也

    ○中谷委員 砂利採取法案の審議にあたりまして、砂利採取に伴う種々の被害の防止、このことが法改正の大きな柱になっているわけでありますけれども、何と申しましても被害の中で最大なものは人の命であろうと思われるわけであります。  再び水遊びのシーズンに入ってまいりましたが、五月十二日のたんぼの穴が坊やをのみ込んでしまった、「無謀じゃり取り」「遊びに来て深みへ」という新聞の記事を最初に引用いたしまして、このできごとの問題点がどこにあるのか、これらについてどのように措置をされるかについて関係の方々にひとつお尋ねをいたしたいと思います。記事の内容は次のとおりであります。伊丹市の春日丘に住んでいる調理士の岩佐さんという方の次男坊の正二君、小学校の四年生でありますが、工務店の所有のたんぼ、大きさはほぼ千六百平方メートルあるそうであります。その中にできてしまった水たまり――その大きさは千三百平方メートル、深さは四メートルあるそうです一にあきカンを浮かべて友だちと一緒に石をぶつけて遊んでおった。あきカンが岸に近寄ったために土手をおりたこの少年が手を伸ばしてあきカンをとろうとして足をすべらして水たまりに落ち込んで、みんな大騒ぎをしたけれども、結局人工呼吸もかなわずに死亡してしまった。現場のたんぼというのは道路のすぐわきにある。一応道路に面した部分約十メートルに四段の有刺鉄線が張ってあるけれども、隣のたんぼや民家の庭先などから入ることができる。道路から水たまりまでは約七十メートルあるが、採取あとの周囲には立て札も防護さくもつくられていない、こういうふうな状態であります。  そこで最初に、すでにこういうふうに子供さんの命がなくなった、こういうできごとでありますので、警察庁にお尋ねをいたしたいと思います。伊丹市のできごとであります。警察庁のほうではこの事件についてどのようにお取り計らいになっているか。伊丹署では、これから水遊びをする子供がふえるので、現場周囲にさくを取りつけるよう同工務店に警告を発したということの記載がある。しかし、はたしてそういう警告を発しただけで本件は足りるのだろうかどうか。刑法二百十一条等の問題について衆議院、現在参議院において本日も盛んに審議をされておるけれども、本件はこの種の問題としてむしろ理解さるべき問題ではなかろうか。これらの点についてひとつ警察庁の見解を承りたい。子供さんが砂利のとりあとにはまり込んで死ぬという報道が毎年いまごろになると同じように繰り返されておる、そういう記事を毎年見なければならぬことについてまず警察庁の御見解を承りたい。
  46. 井口孝文

    ○井口説明員 ただいま御指摘になりましたように、例年春から秋にかけまして、いわゆる水遊び中の事故が非常に多いわけでございます。至るところに、あるいは管理者の管理の不徹底とか、あるいは保護者の監視の不十分といったような原因が伴いまして、非常に危険な個所がたくさんあるわけでございます。警察といたしましては、全国に毎年指示を出しまして注意事項をこまごまと出しておるわけでございます。特別に規制の方法というのはございませんので、ただいま御指摘がございましたように管理者に警告をしてしかるべき施設をさせるとか一般の注意を喚起しているというやり方をしているわけでございます。  ただいまお話しになりました伊丹市の事件につきましては、私どもまだ報告を聞いていないわけでございますが、この実情につきましてさっそくよく調査をいたしまして、もし刑法上の違反が成り立つ、犯罪になるということでありますならば、十分捜査をいたしました上で適切な処置をしたい、かように考えております。
  47. 中谷鉄也

    ○中谷委員 警察庁に対する質問をまとめていたしておきたいと思います。  一体、水遊びのシズーンが近づいてきて、かわいい子供が水におぼれて死ぬ、こういうふうな水難事故があとを断たないわけでありますけれども、特に最近顕著な傾向としては、川で、砂利採取あとが十分に復元されておらないためにその深みにはまり込んで死亡するという事故がかなり多いようであります。これらの予防的な措置として警察庁では例年どの程度の警告を川砂利採取業者に発しておられるか。これが一点。  なお同時に、本件のできごとは、たんぼで砂利採取をして、その採取あとが深さ四メートルという池になっておった。ここにはまり込んで死亡したできごとであることは、先ほど私が引用したとおりであります。ある道路に面した部分にはさくを張ってあったけれども、その余の部分については全然さくが張ってない。あるいは立て札等の表示もない。警察庁としては現場の額に汗を流して勤務をしておる警察官の良識にそれらの問題についての指導をまかしておるというのか。それともこういうふうなあぶない池についての防護措置等について警察庁独自の立場から何らかの行政通達等をお出しになった、そしてまた、そういうふうな通達をこれらの業者にされたという事実はあるのかどうか。これは五月十一日のできごとでありますけれども、現在の砂利採取業の乱掘の状態からいいますと、おそらくこの種事故というものは、ことしは相当数がふえるのではないかということで、私はりつ然たらざるを得ない。そういうような意味で、予防的な措置として警察庁はどのような措置考えられているか。先ほどの御答弁の中では、こういうものについては警告されるということであったけれども、具体的にどのようなかっこうで警告を発しておられるかということについて、ひとつ、御答弁いただきたい。
  48. 井口孝文

    ○井口説明員 ただいまお話がございましたように、この種の、いわゆる水におぼれて死ぬという事故は非常に多いのでございます。実は内容としていろいろな内容があるわけでございまして、海水浴場で死ぬ者あるいは河川で魚とり中におぼれて死んだりする者あるいはただいまおっしゃいましたような、知らないうちに池ができておって死ぬという者、こういうものが非常に多くて、年間通じますと、三千何百件というような昨年あたりの数字になっておる次第でございます。非常に原因が多うございますが、毎年五月のちょうどいまごろに全県警に指示をいたしまして、いろいろな原因をあげまして、原因別の統計等を示しまして、具体的な指示をするように指導しておるわけでございます。ただ実態が非常に千差万別でございますので、個々の業者に対する指導その他につきましては、各県警にまかせておるというような事情でございます。
  49. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に農林省にお尋ねをいたしたいと思います。  私がいま引用いたしました例、五月十一日のできごとです。岩佐というおうちの正二ちゃんという小学校の四年生が死亡したというできごと。問題はたんぼ、農地を昨年六月からブルドーザーを使い始めて掘り始めた。すでに一年近くになっておる。結局そういうことで、近所の人たちは、砂利を売るために掘っているのではないかというふうに疑っておる人が多い。そこで経営者のほうは、「雨水やわき水がたまるとじゃり採取のじゃまになるうえ、事故を防止する意味もあり、毎日ポンプで水をかい出している。しかし水のたまるのが早いため追いつかない」と弁解をしておる。こういうことなんです。しかし農林省の立場からいって、こういう大きな、深さ四メートルの池ができて、しかもそこに水が一ぱいたまっておる。こういうふうなことが予想されて農地の転用許可がされていいのかどうか、こういう問題。そうして農地転用許可にあたって、あるいは転用許可の基準に際しては、こういう農地が池になってしまって非常にあぶない、子供さんの生命等に危険を生ずるような池になるんだというような、災害防止というよりも被害防止について、農地転用許可の場合には判断基準一つ内容になるのかどうか、これらの点。この種の事故を防止するためにはどのような措置考えられるか、引き続いてこの点ひとつ御答弁をいただきたい。
  50. 中野和仁

    ○中野説明員 ただいまの事件は非常に痛ましい事件だと農林省としても考えるわけであります。農地転用の関係でございますが、転用の場合にもともと少し砂利を取りまして埋め戻す場合には、一時転用の許可というのをやっております。永久に農地にしない場合には農地転用になるかと思います。ちょうどこれと同じような事件が昨年の夏ございました。それを機会に通産省と相談をいたしまして、その結果、従来の農地転用の取り扱いに加えまして、こまかい法律が新しくできますまでの間の当分の措置といたしまして、新しく去年から一つの取り扱いをきめたわけでございます。それによりますと、いま申し上げましたように、今後は一時転用の扱いにする、したがって、所有権以外のものの権利の設定、移転というものだけに限るということにいたしまして、それから採取後に埋め戻しが行なわれて農地に復元させることを確実にするために、申請がありますときに、回復に関します事業計画を明確にさせる。そしてそのことを農地の転用許可の許可条件にいたしますということにいたしまして、その際審査基準といたしまして、従来の基準のほかに新しく砂利採取場における人身事故、あるいは砂利運搬トラックによる交通規制の違反、それから砂利の洗浄の汚濁水による水道用水等の汚染等の発生の防止措置に関する事項についても審査をするということにいたしたわけであります。その場合に、包括的な砂利業者の監督通産省でございますので、われわれのほうといたしましては、あらかじめ農地転用の申請がございましたら、所轄の通産局の意見を求めて、その意見を尊重しまして許可または不許可にするというふうに手続をきめたわけでございます。そのことを県知事並びに地方農政局長に通達いたしまして、地方通産局と連絡してやるというふうに現在運用しておるわけでございます。
  51. 中谷鉄也

    ○中谷委員 御答弁になりましたのは、おそらく砂利採取に伴う農地転用処理要綱というふうなことで、昨年神奈川県で事故が発生いたしまして、そしてその事故について建設委員会等において質疑がありました。同時に産業公害特別委員会においても、砂利採取の問題について昨年の五月十七日ごろ、農林省の方の出席を求めて、建設大臣以下の御答弁を求めたことを私自身も記憶いたしております。  そこでお尋ねをいたしたいと思うのですが、こういうふうな農地転用の許可を受けたといたしましても、結局掘りあとがため池化しておるというふうな例はどの程度あるんだろうか。われわれの住んでおる付近にずいぶんそのような例を見るわけなんですけれども、そういうような点について農林省は把握しておられるんだろうかどうだろうか。先ほど御答弁がありましたところの転用許可の条件の中に、埋め戻しについての条件を特に入れられた。この条件については、期間を定めて埋め戻しをしなさいということであっただろうと思うのですけれども、そういうふうなことが現実に行なわれていない例というものもかなりあると思うのですけれども、それについての監督の機構、監督体制というものは十分なのかどうか、これらの点についてひとつ御答弁をいただきたいと思います。  なお前提としての御答弁といたしまして、砂利採取を目的としての、農地転用の許可というのは現在どのくらいあるのか、これもひとつお答えをいただきたい。と同時に昨年から問題にわれわれいたしましたのは、そういうふうな農地転用の許可を受けずに、ことばをかえて言いますならば盗掘をしておる。無許可で掘っておるという場合に非常に私は危険だと思うのです。これらの例がどの程度あるかということについての推定の数は把握できるのか、この点についてはいかがでございましょうか。
  52. 中野和仁

    ○中野説明員 ただいまのお尋ねの転用許可はどの程度あるか、それと無断転用はどのくらいかということでございますが、転用統制をやっておりまして、きちっと全体の数字、それから宅地、工場用地、公園あるいは山林に転用する、そういうことでは把握しておりますが、砂利のためにどうなったというような統計をとっておりませんので、はなはだ残念でございますが、正確な数字はわかりません。  以上でございます。
  53. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に通産省にお尋ねをいたしたいと思います。局長からひとつ御答弁をいただきたいと思います。  その前にひとつ警察庁にいま一度事実関係でお尋ねをしておきたいと思いますが、先ほど事故の数について、ほぼ三千件というようなことの御答弁があったように私は承りましたが、これは水難事故全体についての件数であろうかと思います。そうするとその中で、いわゆる水難事故が、保護者の責任に全く帰せられるような事故、あるいはまた被害者自身の責任として大部分見なければならないような事故、そういうようなものもあると思うのですが、そうではなしに、いわゆる事故の原因の中で、そういうふうな主観的な責任はともかくとして、砂利の掘りあとというふうなものにはまり込んだ、こういう事故の件数は一体どの程度あると推定されますか。本日は砂利の問題について審議をいたしているのですから、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  54. 井口孝文

    ○井口説明員 先ほど水難事故全体として警察庁といたしまして、いろいろな原因がございますので、それに対応する措置をとるようにということで指示をする、その対象になる水難事故というのは三千件余りあるということを申し上げたわけでございます。昨年一ヵ年のそういう意味の水難、これはあらゆるものが入るわけでございます。三千八百八十五名なくなっておるわけでございます。ただ、この中でいわゆる砂利の掘りあとによる事故というのは、ごくわずかであろうと推定されるわけでございます。三千八百件あまりのうちではごく少ないと思うのでございますが、ただこれにつきましての統計というのを特に取り分けてとっておりませんので、詳細はよくわからないというのが実情でございます。
  55. 中谷鉄也

    ○中谷委員 事故の問題について警察庁と農林省に対する私の質問はこの程度です。農林省に対しましてはあとで農地の関係についてのお尋ねがありますが、警察庁についての私の質問は、外勤課長さんの関係ではこれだけです。  そこで通産省にお尋ねをいたしたいと思いますが、いま農林省と警察庁のほうから御答弁をいただきましたが、この砂利採取法案についての責任の当局であるところの通産省として、先ほど私が引用いたしましたような事故の防止、要するにかわいい子供さんが池にはまり込んで死ぬというふうなことの防止のためには、どのような措置がとられるべきだというふうにお考えになりますか、この点についてはいかがでしょうか。
  56. 吉光久

    吉光政府委員 最近の砂利採取の形態が、河川砂利から山砂利陸砂利という方向に相当ふえてまいっておりますので、したがいまして従来予想しなかったような公害あるいは災害問題というものが、現在各地で起こっておるわけでございます。お尋ねいただきましたのは、深掘りのあとそのまま埋め戻しをしないで、水がたまってそこに坊やが落っこちてなくなった、こういう痛ましい事件でございます。従来の砂利採取法におきましては、砂利採取事業に着手しました後に、事後届け出の制度をとっておるわけでございまして、私どものほうといたしましても、何らかの事故が起こりました後に初めて事実を知るということが多かったわけでございまして、そこらの根本的な仕組みを改める必要があるのではないであろうかというふうに考えまして、このたび御提案申し上げております砂利採取法におきましては、事業者の登録制あるいはまた採取計画につきましての事前認可制、あるいはまたその認可行為を通じまして認可された内容についての順守義務と申しますか、そういうものを業者に課するというふうなことにいたしておるわけでございまして、できるだけ事前にチェックできるものはチェックいたしたい。と同時に、またその掘り方等の内容が常に明らかになっておることが必要であり、それがまた原状回復への道を早くさせるもとであるというふうに考えたわけでございまして、新しい法案によりますれば、そこらの点につきましては相当程度徹底した取り締まりができるのではないであろうか、このように考えておるわけでございます。なお、先ほどの伊丹の事件でございますけれども、現在の砂利採取法におきましては、営業目的で砂利採取する業者についてのみ規制が行なわれておるわけでございますが、今度の新しい改正案におきましては、それを、営業目的のみならず業として反復継続事業としてやるという形態であれば、営業を目的としているかいなかを問わないで、この取り締まりの対象になるということになっておるわけでございまして、先ほど新聞を拝見いたしました伊丹の事件は、砂利業者であるかどうかという点につきまして、現行法の砂利採取法でどうなるかという点につきましては、いささか疑問があるかと思いますけれども、新しく提案しております採取法におきましては、そういうものも含めて取り締まりの対象にするというふうな方向で考えておるわけでございます。
  57. 中谷鉄也

    ○中谷委員 通産省にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、砂利災害等の発生状況であるとか、原因別災害等の発生状況あるいは主要災害等の発生状況を被害種類別等で拝見をいたしましたが、そこで私がお尋ねをいたしたいのは、原因別災害等の発生状況の中で、洗浄汚濁水の排出によるものというのが非常に多いようであります。それから土地の掘さくによるもの、水たれ運転等によるもの、廃土のたい積によるもの、盗掘によるもの、飛砂によるもの、沈でん池の決壊によるものというふうに原因別災害がなっておる。そこで、これは何と申しましても災害は大事なことなので、私はこの機会に指摘をしておきたいと思いますけれども、そういうふうな原因と災害状況とが必ずしも結びつかないわけですね、この表を拝見いたしましても。そこで分析していただきたい。洗浄汚濁水の排出によってどのような被害が生じたのか、土地の掘さくによるものでどのような被害が生じたのか、水たれ運転等によるものの被害が七件とあるけれども、これで一体どのような被害が生じておるのか、こられの原因と、そうして災害が発生したところの被害との結びつきを、この機会に明確にしていただきたいと私は思うのであります。と申しますのは、(2)の原因別災害等の発生状況というのを拝見いたしましても、それが主要災害等の発生状況の被害種類別とは必ずしも結びついていかない、これをひとつ明確にしていただきたい。なお私が質問の冒頭に引用いたしましたのは、昨年もあった、ことしもあった、こういう子供さんの命がなくなったという痛ましい事故なんです。これらの事故がいわゆる砂利災害として通産省の統計資料の中に把握されておらないとするならば、これは非常におかしいことだと私は思う。この種の事故は通産省の被害としてここに出ておるんだということで拝見をしてよろしいでしょうか。これは、昨年の神奈川県の事故なんかここに出ておるんだということで、明確にしておいていただきたいと思います。以上であります。
  58. 吉光久

    吉光政府委員 原因別の災害の発生状況と主要災害の発生状況の相関関係の問題でございますけれども、最近の特徴といたしまして、洗浄汚濁水の排出によるものというのが一番大きなウエートを占めておるわけでございますが、結局これは先ほどお答え申し上げましたとおり、河川砂利から山砂利陸砂利という方向に砂利採取形態が変わってまいりまして、山、おかで採取いたしましたものにつきましては、必ず洗浄行為を伴うものでございまして、これは河川砂利と形態の違っておるところだと思うのでございますが、そういう洗浄汚濁水の排出によりまして、これは被害のほうで申し上げますと農業に関する被害、汚泥等を農地の中に運んでまいりまして田んぼに被害を与えるというふうな問題、あるいはまた次に河川汚濁という被害件数が載っておりますが、農業に関する被害あるいは河川汚濁に関する被害、あるいは水産業に関する被害というふうなものは、おおむねこの洗浄汚濁水の排出による結果として、そういう被害が起こっておる、この表につきましてそういうふうなことで結びつけておるわけでございます。それから土地の掘さくによるものでございますが、土地の掘さくによって一番大きく被害が出てまいりますのは、主として公共施設に関する被害でございまして、道路でございますとか堤防の損壊でございますとか、そういう公共施設に対する損害を与えておるものが多うございます。ただし、土地の掘さくによりまして、隣のたんぼ等についてこれを破壊させるというふうな農業に関する被害も一部ございます。  それからさらに、この土地の掘さく自身が、深掘りによりまして付近住民に対する被害といたしまして井戸水を枯渇させる。地下水の変更でございます。井戸水を枯渇させるというふうな被害もこの土地の掘さく、特に深掘りに起因しているものがございます。  それから水たれ運転等によるものでございますけれども、これは主として道路に対する問題と住民被害の問題としてあらわれてきておるわけでございます。  それから廃止の堆積でございますが、これは堆積いたしました廃止の管理が悪いためにそれが汚濁水の問題として河川を汚濁してまいるというふうな事例が多うございます。  それから盗掘によるもの、これは実は被害からまいりますとどの分類というふうなことを的確にはお答えできないわけでございますけれども、これは山砂利陸砂利のみならず、すべてを含めておりますので、どの分類に入っておったか、私いまさだかでないのでございますけれども、考えられまするのは、盗掘によりまして公共施設、道路、堤防等に損壊を与えるというふうな事例ではなかったかと思っております。  それから飛砂によるもの、これは実は砂利によりましては石を砕きまして小さな砂利にする。その際に住民に被害を与えるというふうな問題、これは粉じんでございます。粉じんの問題として住民に被害を与えるというようなことでございます。  それから沈でん池の決壊によるもの。この沈でん池の決壊によるものの中には、これも昨年の事例で申しますと、公共施設の損壊関係と、付近住民の民家をこれでこわしてしまったというふうな事件が発生いたしております。  なお、先ほど最後に御質問ございました幼児の死亡の問題でございますが、これは原因別で申しますと土地の掘さくでございます。それから主要災害等の発生状況の中に「その他の被害(交通危険等)」こう書いてございます。この中に昨年の神奈川県の事例が入っております。
  59. 中谷鉄也

    ○中谷委員 警察庁の交通関係の方にお尋ねをいたしたいと思いますが、いま私が指摘をいたしましたいわゆる原因別災害等の発生状況の中に「水たれ運転等によるもの」というのがあるわけでございますね。そこで、これは盛んに論議されていることでございますけれども、いわゆる砂利を運んでおるダンプカーなどの違反件数については、とにかく常に問題が指摘されております。そこで、積載違反等が中心であろうと思いますけれども、水たれ運転、要するにそれらの事案、違反件数というのは一体どの程度警察庁において把握しておられるか。これらの問題をひとつこの機会に――砂利採取に伴うところの、警察から見られたところの、被害を発生しやすいような状況だと思うのです。水たれ運転や積載違反等の違反件数等について、ひとつこの機会に御答弁をいただきたいと思います。
  60. 綾田文義

    ○綾田説明員 ダンプカー等につきまして、昨年、昭和四十二年中に取り締まりをいたしました総件数は約十万六千件でございます。その中で最も多い件数はただいま中谷先生のお話のように積載重量でございまして、これが約三万三千件、それからその次がスピード違反、これが約二万七千件でございます。その他もちろん無免許、酒酔い、追越し、割り込みその他の違反もございます。それからその他ということで約一万五千件の件数がございますが、水たれ運転はその中に含まれていると思います。これにつきまして、御参考に京都の城陽町付近におきます関係で、京都府警が四十二年の一月から四十二年の十一月十五日までに取り締まりいたしました検挙件数を申し上げますと、二千百四十七件でございまして、その中で最も多いのが積載でございます。七百四十五件。それからその次に多いのがスピード違反で三百八件でございます。それから第三に水たらし、その他三百三十件という件数がございます。
  61. 中谷鉄也

    ○中谷委員 そこで、私は通産省にお尋ねをいたしたいと思うのですけれども、われわれが実際に住んでおりまして砂利採取によって受けておるところの被害というものは、もう四六時中そういうような被害を受けているような感じがあるわけです。たとえば川で砂利採取したために取水口が上に上がってしまって上水が不足をした、時間給水をしなければならないけれども一体どうしたらいいだろうというふうな苦情が、住んでおる町ではもうしょっちゅうあるわけなんです。そういうふうなことを考えてみまして、先ほど御答弁いただきました統計資料というものをあらためて見てみました。先ほど警察庁の御答弁によりましても、一地区であるところの京都の水たれ運転の違反件数というのは三百件を上回っておる、そうでございますね。それが原因別災害等の発生状況の中で水たれ運転等によるものが七件ということに相なっております。これは水たれ運転イコール直ちに災害の発生ではないだろう。水たれ運転によって災害が発生したんだということの表ではあろうけれども、水たれ運転によるところの、たとえばブレーキがかからないで追突をしたというふうな事件というものはずいぶん多い。また水たれ運転によって道路が非常なぬかるみ化しておるというような状態もかなり多いと思うのです。この通産省のいわゆる原因別、主要災害の被害種類別の統計というのはどのようにしてこのような被害事実、被害原因というものを確認されましたか。逆に言うとこれは一体、通産省が独自に役所の努力で資料を集められたという表なのか。それとも申告があって、そういうあったものを被害として表として、お出しになったのか。水たれ運転については少なくとも私は監視の上でもずいぶん違うと思いますけれども、これはいかがでしょうか。
  62. 吉光久

    吉光政府委員 先ほど警察庁のほうでお答えいただきましたのは、それが法規に照らしまして違反した件数を数字としておあげになったものと了解いたしております。私どもで調査いたしましたものは、実は水たれ運転で道交法違反等の件数が積み重なりましてそこに一定の災害、被害が起こっておるというふうなものを一件として計算いたしておるわけでございます。ただこの一件と申しますのは、実はたとえば城陽町の場合につきましても、ある一定期間同じ被害が続いておるというようなものを一件として計算いたしております。これは災害のほうの、被害が起こっておる現実の姿のほうから調査いたしたわけでございまして、この表は実は通産局を通じまして関係都道府県のほうに申告されております数字をそのまま集計したわけでございまして、現実には、まだ私たちの目の届かない被害というものがまだまだ起こっておるであろうというふうには判断いたしますけれども、これはその当時の段階といたしまして調査し得る手段で調査いたしました被害の総数でございます。
  63. 中谷鉄也

    ○中谷委員 次に通産省にお尋ねいたしますが、四十一年の一月から四十二年の十二月ごろまでのほぼ足かけ三年にわたる被害について、いろんな統計を拝見いたしました。そこで、これら被害がどのようなかっこうで住民の立場からいって解決をされたか、このことについては私はやはり注目をいたします。こういう被害があったということと、その被害がどのような形において、住民の被害を救済する形において解決をされたか、解決されずに泣き寝入りで済んでいるのか、あるいは役所にこういうふうな被害がありますという陳情に行っただけで、何ら処置されていないというようなことであれば、私は非常に不都合なことだと思います。これらについての資料はお持ちでしょうか。この点についてお答えいただきたい。  警察庁はお帰りいただいてけっこうです。
  64. 吉光久

    吉光政府委員 具体的な被害の問題につきまして御相談を受けました場合には、実は先ほどお答え申し上げましたように、現行法自身の監督手段が非常に範囲が狭うございます。したがいまして、具体的な命令権の発動等によって処理される場合はほとんどないという状況でございます。現実の問題といたしましては、たとえば先ほど例が出ました城陽町の問題にいたしましても現地に担当者を派遣いたしまして、現地で解決できる問題として、それぞれ国の地方の出先機関がいるわけでございますけれども、たとえば建設省の方でございますとか、県の方でございますとか、あるいは農地関係でございますれば農地関係の部局の方でございますとか、そういう方と一緒に被害に対しますところの対策協議会というふうなものをそのつどそれぞれの場所に設けまして、そこで具体的な問題を検討いたしました上で、地元業者自身が特別の被害軽減のために措置をとらなければならないというふうな場合には、事実上の指導監督というふうなことで、あるいは池の堤防を強固にさせたり、あるいは別に水路をつくらせたり、あるいは道路の復旧を一部持たせてやらせるというふうなことで、現場、現場で具体的な解決をはかっておるわけでございますけれども、何ぶんにも非常に強制権力を伴わない形で行政指導という形でやっております関係上、必ずしも御満足のいただけるような最終的な解決策は出ていない。もちろん行政指導だけで解決いたしておるところもございますけれども、必ずしも全部が全部解決いたしておるとは思わない、このような状況ではないかというふうに判断いたしております。
  65. 中谷鉄也

    ○中谷委員 厚生省にこの機会にお尋ねをいたしたいと思いますが、汚水であるとか悪臭、ばい煙、それらの問題については公害防止基本法を中心として、これを補完するための特別法としていろいろな法律が制定されている。そして公害防止基本法の補完法としてなお現在成立を見ているわけではないけれども、おそらく公害というものについての被害者救済の法律というものも、近い将来に私はできるだろうと思う。そういう中で先ほど通産省局長の御答弁は、これらの砂利採取に伴うところの被害については適切な措置をそれぞれして、そういうものの発生源をとめる、こういうことについての努力をしているという趣旨の私は御答弁のように思う。要するにそれまでに被害を受けた、あるいは被害を受けている状態についての補償というふうなことについては、ほとんど泣き寝入り、そういう状態が除去されたことで、もういいとしているような状態が、私は現実の姿ではないかと思うのです。一体この砂利採取に伴う、現在盛んにいわれているところの被害というものは、私は悪臭であるとか汚水であるとか、あるいはばい煙等のいわゆる公害基本法にいうところの公害として、公害の範疇に、やはり砂利採取に伴うところの公害というようなものも考えていいのではないか。公害基本法にいうところの公害ではないとしても、公害対策の一環として砂利採取に伴うところのもろもろの被害というものを考えていいと私は思うのですが、この点についてひとつ基本的な御見解を承りたいと同時に、この種砂利採取に伴う被害については、どのようにして被害者救済をはかっていくべきだろうか、これらの点について、公害というものが認められるならば、それらの観点からひとつ見解を承りたい。
  66. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 お答え申し上げます。  公害に関します被害者の救済問題につきましては、現在中央公害対策審議会や政府部内でいろいろ検討しておるわけでございますが、先生御指摘の悪臭であるとかあるいは大気の問題その他の問題についての問題を総合的に私どもは取り上げたい、かように考えております。現在国会で御審議を願っております大気汚染防止法、それから騒音防止法等では具体的に和解の仲介という制度を設けております。それから水質保全法等におきましても、和解の仲介という制度を設けておりますが、先生御指摘の砂利採取に伴ういろいろな問題が水質あるいは騒音、振動、そういったことに関係してまいりますれば、当然その問題につきましては総合的に将来の紛争処理の法律で取り上げていきたい、もちろんその点につきましては通産省建設省と十分打ち合わせていきたい、かように考えております。
  67. 中谷鉄也

    ○中谷委員 厚生省に引き続いてお尋ねをいたしますけれども、厚生省のほうとしてはこの砂利採取に伴う種々の被害の実情等についてはどの程度把握していただいているのか、この点はいかがでございましょうか。特に公害関係の方に来ていただいて非常に恐縮ですけれども、厚生省全体としての問題の中にいわゆる児童の保護、こういうような中で砂利採取等に伴うところの子供さんが死亡するというような問題については、ずいぶん厚生省としては配慮して、昨年からずっと努力を継続しているわけです。これらの問題についてももしお答えいただけるようでしたらあわせて御答弁をいただきたい。
  68. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 先ほどから児童の問題につきましていろいろ御意見がございました。私直接の担当じゃございませんけれども、私のお答えできる範囲でお答えさせていただきます。  最近児童の遊び場というものが非常に少なくなってまいりまして、子供は非常にかわいそうなわけでございますが、しかしまた、子供というのは非常に変わったところが好きな性格を持っておりまして、たとえばこういう砂利採取あとのような変わったところへとかく行きたがるという傾向は、これは否定できないわけであります。こういう点にかんがみまして、先ほどから建設、農林、通産省でそれぞれ、あるいは警察等で対策考えておられるようでございますけれども、監督官庁でいろいろ御指導いただくのもこれは非常に大切なことであると思いますけれども、やはり業者の方が採取をした場所については社会的な責任を持つということが一番必要ではなかろうか、かように考えますので、そういう方面につきましても業者の指導あるいは関係官庁の御指導をお願いしたい、かように厚生省としては考える次第でございます。  それから砂利採取に伴いましていろいろな公害問題が起きておりますが、その中でも一つの大きな問題は、先ほど先生もお触れになりましたように水道の水源の枯渇問題がございます。それから河川の汚濁問題がございます。この点は水道を担当する部局といたしましては一つ問題点でございまして、この点この法律によりますと採取計画につきましてはいろいろな施設を命じているようでございますので、汚濁の点につきましては従来以上の期待ができるのではないか、かように考えております。それから伏流水等を水源といたしております簡易水道等につきましては、この認可の際に市町村長に御連絡いただけるようになっているようでございます。その点につきまして簡易水道等を引いております市町村にとりましては、砂利採取によります水道の枯渇ということは重大問題でございますので、やはり認可の際には、関係市町村に十分御連絡をとっていただきたい、かように考えております。その他先ほど触れられました砂利トラックが走りまして、いろいろほこりだとか、あるいは騒音を発するという問題につきましては、関係当局でいろいろ御指導いただきたい、かように考えております。
  69. 中谷鉄也

    ○中谷委員 厚生省の方に対してお尋ねしたのは一言だけですけれども、これで私の厚生省に対する質問は終わります。  次に法案内容について入っていきたいと思います。砂利採取業者の登録制の問題について局長にお尋ねをいたします。本件については、その登録制ということについて考えられるその余の制度としては、免許制とか、あるいは許可制というふうなものがあると思うのですが、要するに、登録制ということにしたことの意味。逆にいうと、砂利採取業というものの社会的な意味考えて、免許制とか許可制にすべきではなかろうかというふうな意味もあり得ると思うのですが、この点登録制ということにされたそのことの理由、これについて、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  70. 吉光久

    吉光政府委員 砂利採取業を業として許可制にする、あるいは免許制にするという点につきましても、検討をいたしたわけでございます。ただ、現実に災害防止という観点から考えました場合に、事業を許可制にするのがいいのか、あるいは現実に掘採いたします掘採行為を許可制にする、そこで完全なチェックを行なっていくというふうな形にするのがいいのかというふうなことで、あれこれ比較、考量をいたしたわけでございます。現実に起こっております災害は、やはり掘採行為が公害防止の観点から不十分であるがために起こってきておるのが非常に多いのではないであろうかということで、行為のほうを許可制にいたしたわけでございます。ただ、しからば砂利採取業を野放しのままでいいかという点になりますと、行為規制に加えまして、やはり砂利採取業者が災害防止につきまして、一つの自覚を持つと申しますか、と同時にみずからを戒める制度を採用しておくということがいいのではないであろうかというふうな意味から、特定の業務主任者を置いておるものについてのみ、業として登録する、こういう制度を併用いたしたわけでございます。ただ今回の法案におきましては、いろいろの命令規定を相当程度拡充いたしておりますので、この命令違反の場合に、最終的には事業の登録が取り消されるというふうな制度もございますので、それによって、さらに取り締まりの効果をあげていくことができるであろうというふうな意味から、事業につきましては登録制を採用した、こういう事情でございます。
  71. 中谷鉄也

    ○中谷委員 登録の期間については定めがないということだと思いますが、要するに有効期間を設けるべきではなかっただろうかという議論はあったと私は思うのです。この点について、どのように立法過程の中でお考えになったか。ひとつお答えをいただきたいと思います。
  72. 吉光久

    吉光政府委員 登録制をしいておりますので、登録について有効期間を定めるということも一つの方法であると思っております。ただこの法案におきまして、有効期間制を採用いたさなかった一番大きな理由は、先ほどお答えを申し上げましたように、採取計画についてそのつど認可をしてまいる。同時にまた、計画内容が現実の実情に合わない場合には、これに変更命令が出せるというふうな、具体的な行為のほうにつきましてきびしい規制ができ得るという体制になっておりますので、一々事業者自身を、登録に有効期間をつけることによりまして、再チェックするよりか、計画自身の内容をチェックしていまりたい、こういうふうに考えた次第でございます。
  73. 中谷鉄也

    ○中谷委員 今度の法案の中で一つの注目点としては、砂利採取業務主任者の問題があると私は思うのですが、この資格試験でございますね。結局災害防止技術だとかいうふうなことについて試験をされるのでしょうけれども、一体その技術だとか、それから経験年数だとかいうふうな基準を、どの程度のところに置くのか。これはやはり関係の人たちもこの点については関心があるだろうと思うので、ひとつこの機会にお答えをいただきたいと思います。ことに認定については、認定の方法として講習をして、それでもう認定にかえるというようなかっこうのやり方もあるというふうに聞いておりますが、そういうやり方でいいのかどうか。それから試験とか認定というものの基準は全国一律に行なうのかどうか、それともそれはところによって違うのかというふうなことも、ひとつこの機会にお答えいただきたい。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕
  74. 吉光久

    吉光政府委員 現行法におきましても、業務主任者制度があるわけでございますけれども、ただ制度としてございまして、業務主任者の資格につきましては、何らの規制がなかったわけでございます。したがいまして今回新たに業務主任者の資格について規制を加えることといたしたわけでございますけれども、お話ございましたように国家試験による方法と、それから認定による方法と、二つの方法があるわけでございます。国家試験のほうで考えております大体の基準でございますけれども、大体新制高校卒程度の学識を一応前提にいたしまして、その中で特に基礎的事項といたしましては、関係法令特に砂利採取法でございますとか、河川法でございますとか、海岸法、砂防法その他いろいろの砂利採取に関連いたします法律がございます。そういうふうな法律についての基礎的知識は、少なくとも知っておいていただきたいという点。それから第二に砂利採取に関する事項でございますけれども、原土石の採取に関する事項といたしまして、掘さくのしかた、あるいは掘進の方向、降雨時におきます流水の方向その他いろいろ砂利採取の責任者として少なくとも基礎的に知っておいていただきたい技術的事項というものがあろうかと思うわけでございます。それからさらに砂利の洗浄に関する知識等につきまして、やはり汚濁水の処理方式あるいは放流水の処理方法等基礎的な土木工学に関する知識というふうなものは、承知していただく必要があるのではないであろうか、このように考えておるわけでございます。なおその他いろいろ技術的事項があるわけでございますけれども、あくまでも砂利災害あるいは広い意味公害の防止という点についての、初歩的な土木的技術的知識というふうなものについて試験をいたしたい、こういう考えでございます。ただこの試験問題等につきましては、建設省ともよく相談いたしました上で、処理いたしたいと思っておりますが、これは各都道府県知事が試験ないし認定を行なうことになっておりますけれども、問題等は全国的に統一いたしまして実施いたしたい、このように考えておるわけでございます。
  75. 中谷鉄也

    ○中谷委員 先ほどから御答弁の中にも出てまいりました、いわゆる採取計画の認可の問題でありますけれども、この点についてお尋ねをしておきたいと思います。  要するに認可基準というのは法に定めてあるけれども、その十九条の解釈の内容にかかわるような具体的な判断基準というのは、これはひとつ政府のほうでそういう基準あるいは準則というふうなものをきめる必要があるのではないだろうか。結局知事の認可であるけれども知事の判断にすべておまかせしていいのかどうか、こういうような点について私ははっきりお答えをいただきたいと思うのです。たとえば先ほど厚生省から答弁がありましたけれども、厚生省の立場から言えば上下水道あるいは生活環境等の問題について認可すべきかすべからざるかということについて一つ考え方があるだろうと私は思うし、同時に運輸省の立場から言いますと交通事情であるとかダンプ規制というような問題があるだろうと思う。建設省の立場から言いますと道路との関係のかかわり合いが一体どうなるのだろうか、あるいはまた河川汚染という、これは一番大きな問題についての問題があるだろうと思うのです。そういうふうな中で、一体認可基準についての各省のそういう意向、見解、あるいはそういう希望というようなものが、この認可の条件の中でどの程度取り入れられるのか、これらについて知事の認可に相なっておりますので、この点についての御答弁をひとついただきたい。
  76. 吉光久

    吉光政府委員 採取計画の認可は非常にむずかしい問題であると思うわけでございますけれども、やはり個別、具体的に採取場の立地ポイントあるいはその周辺における土質、周辺の環境等によりまして、それぞれ公害防止の手段、方法等は違ってくるであろうというふうに考えるわけでございます。したがいまして、法律上はまず具体的に判断の第一といたしまして、砂利採取にあたりまして土砂くずれが発生しないような、そういう掘さく方法を採用しているかいないかというふうな点も一つの問題になろうかと思いますが、特に最近は砂利採取場の近隣の農地や道路というところで崩壊するといった事例が多いわけでございますので、そういう被害の防止についても十分に配慮をしながら、まず掘さくの方法等について審査をいたす。それからさらに第二に砂利の洗浄を行なっています場合に汚濁水の排水によりましていろいろの公害問題を起こしておるわけでございますので、この汚濁水の排出につきまして適当な防護措置が講ぜられておるかいなかという点も大きな審査のポイントになろうかと思うわけでございます。以上の場合におきましては沈でん池を設けさせるということを原則といたしたわけでございますけれども、その沈でん池の構造あるいは位置、使用のしかた等につきましてもやはりチェックする必要があろうかと思うわけでございます。さらに第三には、先ほどお話がございましたように、採取あとに幼児が転落するというような事例が見られるわけでございますので、その採取あとにつきまして埋め戻しあるいは整地、あるいは沈でん池等に対するこういう転落の防止施設と申しますか、そういう点につきましてもチェックする必要があろうかと思うわけでございますが、さらに具体的にはそれぞれの現地に応じてそれぞれ具体的に審査していただくことになると思います。ただ、どういう点に着眼し、こういう場合にはこういうふうにというふうな、先ほどお話がございました指導基準と申しますか認可基準につきましては、さらにより具体的にいたしたものを各都道府県知事のほうに連絡申し上げたい、こう考えておるわけでございます。  それから第二の御質問のございました各省庁との関係でございますが、これはこの被害の防止という点につきましてはやはり関係省庁のいろいろな知識と申しますか、そういう点について御意見を伺いながらやる場合が非常に多いと思うわけでございますので、この法律の中には関係市町村長への連絡あるいは関係市町村長から処理要請と申しますか、そういうふうな要請権を与えておるわけでございますが、現実の行政といたしましてはやはりそれぞれの出先におきます関係省庁と十分密接な連絡をとりながら、この処分を進めてまいりたい、このように考えております。
  77. 中谷鉄也

    ○中谷委員 認可の問題について都道府県知事に認可権があるために、一体その具体的な認可のための判断基準、認可基準等について政府がどのようにしてこれについて関与できるかということについてお尋ねをしたわけですが、今度は逆に市町村の立場からお尋ねをいたしたいと思うのです。  要するに、先ほど一例をあげましたけれども、砂利採取が非常に深く掘り下げられたために水が出にくくなったとかいうふうな苦情、こういうものをしばしば聞きます。あるいはその他地域住民のほうから苦情が出てくるという場合、そういう苦情を一番受けるのは砂利業者であると同時に市町村長であろうかと私は思うのでありますけれども、そういう砂利採取計画の認可に際して何らかの形において市町村長がその認可に関与できないだろうか。要するに市町村長の意見に基づくとかあるいは市町村長の同意を求めるとかいうふうなことがあって私はしかるべきだと思うけれども、そういうようなことは法のたてまえから見て複雑であり少し繁雑だというふうなことで退けられるんだろうかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  78. 吉光久

    吉光政府委員 お話のとおりでございまして、この法案の中におきましてもその点の調整考えておるわけでございます。第一に、認可申請書が都道府県知事または河川管理者のほうに出されました場合に、その写しを関係市町村長に送付することにいたしておりますと同時に、関係市町村長はその内容について、これは申請の段階でございますけれども、意見があれば措置請求を都道府県知事または河川管理者にすることができるような規定を置いておるわけでございます。同時に、認可いたしました後におきまして、やはり市町村の問題として具体的災害等が起こりますあるいは起ころうとしておりますときには、市町村長は認可権者に対しましてあるいは命令権者に対しまして必要な措置を講ずべき旨の請求ができるというふうにつないでおるわけでございまして、地元市町村との密接な連絡のもとに行政を進めてまいりたいという角度からこの法案が構成されておるわけでございます。
  79. 中谷鉄也

    ○中谷委員 農林省関係でお尋ねをしておきたいと思いますが、先ほども若干お尋ねしましたが、ひとつ整理をしてお尋ねをしておきます。  要するに砂利採取による農地の被害の実態というものはどの程度あるのだろうかということについて、もし本日お答えがいただけないようでしたらお手元で資料を整理してお出しいただいてもけっこうですから、私は次のようなことをお尋ねいたします。  要するに被害の実態農林省で把握しておられる件数、それから原因、そして山砂利であるとか川砂利であるとかいう砂利別の状況、それは被害金額に見積もってどの程度のものだろうかというようなことについて、ひとつ農地被害の実態を御準備いただきたい。それから砂利採取のために農地転用の許可を申請した件数というのがもし容易に把握できるようでしたら、これをひとつお答えをいただきたい。それからその許可した件数、申請に伴って許可を受けた件数とその面積は一体どの程度のものになるだろうか。全体の農地の中でどの程度のものが砂利採取に転用されているんだろうかというようなことも知りたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。そうして先ほどこの法案との関係においてもお答えをいただいたのですけれども、これをひとつこの機会にお答えをいただきたいと思いますが、今後の農地転用許可の方針、ことに都道府県あるいは市町村等に対する転用についての指導は一体どのようにされるか。ことに砂利採取を対象とする転用についてどのような指導方針をもって臨まれるか。この点についてはひとついまお答えをいただきたい。  それから同じく資料として御整理いただいてけっこうでございますが、農地転用のその許可なしで砂利採取が行なわれた違反事例というのは一体どの程度の件数があるのだろうか。これは推定としてこの程度あるというようなことについてお答えいただきたい。現在までそのような違反事例について、なお現に違反事例としてそういうようなものが摘発された、そういう件数についてもひとつお答えをいただければ幸いです。  以上について農林省にはひとつお尋ねをしておきます。  なお、この機会に、建設省に最後に一点だけ私のほうからお尋ねをしておきます。  冒頭の質問に戻りますが、要するに五月十一日に子供さんが死亡した。これは、先ほども申しましたとおりに、農地を深掘りをして、そうしてため池状態になったところにはまって死んだ、こういう事案でありますけれども、すでに何べんも指摘をされておりますように、川砂利砂利採取業者が川砂利採取をしたあとの始末をしない、要するに埋め戻しをしないというふうなことで、川遊びをしておった子供さんが深みにはまって死んだ、こういうふうな事例が数多くあるというふうに私は聞いています。毎年新聞の地方版にも、一夏に二件や三件こういう記事が載ります。こういうことを防止するために、ことにそういう子供の被害を防止するために、建設省としては、特に原状回復、埋め戻し等についてどのような努力を今日までしておられたか、こういうような点についてひとつお答えをいただきたい。
  80. 中野和仁

    ○中野説明員 先ほどお答えいたしましたように、申請件数、許可件数等ないかもしれせんが、さっそく調べたいと思っておりますが、現在農地転用の許可は、二ヘクタール以下は知事の許可、それ以上は大臣になっております。本件の場合は、おそらく知事の場合が多いと思います。全国にわたっておりますので、やや時間を要するかと思いますが、調べてみたいと思います。   〔鴨田委員長代理退席、委員長着席〕  それから、今後の転用許可の方針いかん、こういうお尋ねでございますが、これにつきましては、御承知のように、農地転用につきましては、一般農地は原則として許可しないというところから、いろいろな基準を設けております。この点を末端に指導いたしますと同時に、特に、今度の法律ができますれば県知事の許可になるわけでございます。したがいまして、砂利を担当する部局とそれから農林関係の部局とが事前に相談を十分にするようにして、その後の連絡をとりたい。それからまた、末端におきましては、現在知事に転用申請をいたします場合には農業委員会意見書をつけることになっております。その点も、引き続き当然意見書をつけるわけでございますから、その点につきまして十分指導をいたしたいというふうに考えております。
  81. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  先ほども御質問がありましてお答えいたしましたように、建設省といたしましては、昭和四十一年に河川砂利基本対策要綱というものを定めまして、河川砂利の基本的な対策を策定いたしましたが、その基本要綱の方針に従いまして河川砂利採取に関する許可の基準を作成いたしまして、各河川管理者にそれぞれ通達を出して、河川砂利採取の許可に際してはこの準則に従ってやるということになっております。その準則の中に、それぞれ許可をいたします場合の条件を列記してございますが、ただいまお話のございましたような危険の防止につきましても、その許可準則の第六に、掘さく等の許可の条件といたしまして、許可をする場合には、必ず土地の掘さくをしている期間中には見やすい場所河川管理者がきめた標識を立てておくこと、それから、掘さくが終わりましたあとは必ず危険のないように整地をしておくこと、それから、そのほかの土地の掘さく等に伴って生ずるおそれのある危険については、必要な防止措置を十分にとれということを準則で定めまして、河川管理者が砂利採取の許可をいたします場合にはこの準則に従って実施をいたしております。
  82. 小峯柳多

    小峯委員長 堀昌雄君。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 最初に通産省に伺いますが、砂利は、いろいろ小さな砂みたいなのから少し大きなのまでいろいろなものがありましょうし、砕石によるものもありましょうから、何か例示をしてもらっていいのですが、一般的に砂利というもののトン当たりの価格は、現在一体どのくらいで、過去はどのくらいであったのか、ちょっと最初にそれから伺いたいと思います。
  84. 吉光久

    吉光政府委員 最初に現在の価格についてお答え申し上げます。  これは、砂利は何ぶんにも輸送費が非常に多くかかるものでございますので、地方地方によって値段の開きがある程度ごごいまして、おもな地方におきます価格を申し上げますと、二十五ミリの標準もので、札幌におきましては立米当たり千八百五十円、仙台におきましては千六百円、東京におきましては二千四百五十円、名古屋におきましては二千四百円、大阪におきましては二千四百六十円、広島で千九百円、これが現在の実勢価格でございます。ごらんいただきましたように土地土地によって、大体東京とか大阪というふうな需要の非常に強いところで、ある程度遠隔の地から持ってまいるというところが、砂利価格としては高いようでございます。  それから、価格の趨勢でございますけれども、いまの東京の場合のみをちょっと例示さしていただきたいと思いますが、先ほどと同じ二十五ミリの洗った砂利で、立米当たり価格でございますが、四十一年の一月におきまして、これは東京持ち込み価格でございますが、千七百九十五円でございます。四十二年の一月、二千二百七十三円、四十三年の一月、二千五百七十五円――先ほどの最近の二千四百五十円とちょっと違っておりますが、いま申し上げました価格は実は日銀調べのほうでございまして、先ほどの実勢価格というものといささか違っておると思いますが、大体の趨勢はそういう状況でございます。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 さっき永井委員がお話しになっておりましたところでも、確かに砂利の価格というものは輸送費がかなりだろうと思うのですが、これは元の価格、河川か海かどこかわかりませんが、元のとるところに原価があるはずで、その原価と、トラックに積みあるいはよごれておるものなら洗うことの、要するにそういう経費と、それから輸送費と、大ざっぱに分けるとこの三つになるだろうと思うのですが、いま例示をされた中で、どの部分でもいいですが、これは地域によって多少違いがありましょうけれども、標準的なところでけっこうですが、一体原価が幾ら、経費が幾ら、輸送費が幾らということでちょっとお答えいただきたいと思います。
  86. 吉光久

    吉光政府委員 ちょっと数字が古うございますけれども、大体全部合わせまして千九百円程度のときでございますが、総原価――これは砂利を掘っております元地での原価でございますが、七百五十円、それに輸送費といたしまして、これは平均輸送キロを七十キロと見ておりますが、平均輸送キロ七十キロの場合の輸送費が当時千百五十円でございまして、これを合わせました千九百円でございます。したがいまして、先ほど永井委員のほうから御指摘がございましたように総原価全体に対しまして輸送費は約六〇・五%と非常に大きなウエートを占めております。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで法務省にお伺いをいたしたいのですが、実は私がこれをいま問題にいたしておりますのは、今度この法律に基づいて砂利採取業者が登録制になり、いろいろな違反については罰則がつく、こうなってきたわけですけれども、現在は砂利採取法かなんかがありますが、私どもがよく見かけますのは、河川で、ここでは砂利をとってはいけないという河川管理者の標識があるところヘトラックが入って、白昼堂々と砂利採取しておる例を私どもしばしば付近の河川を歩いていて見かけるわけです。そこでちょっとお伺いをしたいのは、刑法二百三十五条に言う窃盗というのば「他人ノ財物ヲ窃取シタル者ハ窃盗ノ罪ト為シ十年以下ノ懲役に処ス」とこうありますが、これは告発なりいろいろなものがなくても、他人の財物を窃取した者がわかれば、これは窃盗の罪として十年以下の懲役に処す、こういうことになるのだろうと思うのですが、ちょっとそこからお答えをいただきたいと思います。
  88. 木村栄作

    ○木村説明員 お答えいたします。  ただいまの点は御意見のとおりでございます。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、今度は河川局の方に伺いますが、河川法第二十五条に、「土石等の採取の許可」というのがあって、「河川区域内の土地において土石(砂を含む。以下同じ。)を採取しようとする者は、建設省令で定めるところにより、河川管理者の許可を受けなければならない。」云々、こう書いてありますね。そこで私河川法をちょっと調べてみたのですが、罰則はいろいろあるけれども、この二十五条については罰則がないようですね。どうなっておりますか。
  90. 多治見高雄

    多治見説明員 お話しのように、二十五条の許可の違反につきましては罰則がついておりません。
  91. 堀昌雄

    ○堀委員 そこでもう一つ河川局に伺いたいのは、一級河川というものの所有は建設省の行政財産だろうと思うのですが、どうでしょうか。
  92. 多治見高雄

    多治見説明員 建設省で所管いたします国有財産でございます。
  93. 堀昌雄

    ○堀委員 あわせて二級河川都道府県が所管しておりますから都道府県の所有のものである、こうなりますか。そこを一つ
  94. 多治見高雄

    多治見説明員 二級河川につきましても国有財産でございます。
  95. 堀昌雄

    ○堀委員 法務省に伺いますが、そうしますと、要するに河川の砂というのは国有財産法に定めるところの行政財産であって、いずれも国有財産である。ですから、国有財産である以上は、他人の財物をトラックを持っていってとるやつは、国ではない場合には明らかに窃盗罪ということになるわけですね。どうでしょうか。
  96. 木村栄作

    ○木村説明員 お答えいたします。  ただいまの点非常にむずかしい問題があるわけでございまして、窃盗罪と申しますのは、他人の占有する財物をその意思に反して奪うことでございます。したがいまして、その本質は所有権の侵害なのか、占有権の侵害なのかという争いがございます。かりに最近の判例の趣旨に従いましてこれは占有権の侵害であるということを考えました場合に、河川敷の砂利等が占有、すなわち事実上の管理支配をしておる財物と言えるかどうか、ここに争いがあるわけでございます。  それで、ここに持ってまいりましたのは、昭和三十二年十月十五日の最高裁の第三小法廷の判決でございますが、判例になっております。これによりますと、これは一審は窃盗で有罪にしたのでございます。二審のほうは管理支配がないというので無罪にした。こういう事案につきまして、河川敷の管理は、なるほど見回り等はやっておるけれども、「その管理は公共の利用を確保するため等の行政的措置にほかならないのみでなく、これらの砂利等は流れの変化に伴い移動を免れないので、その占有を保持するため他に特段の事実上の支配がなされない限り、右事実だけでは刑法の窃盗罪の規定によって保護されるべき管理占有が地方行政庁によってなされているものと認めることはできない」そういう判旨で、これは窃盗罪を構成しないという判例が出たわけでございます。これの解釈でございますけれども、この判例で言っておるのは、河川法の適用のある河川について、それから何らの工作も加えていない砂利等についてでございますので、「その占有を保持するため他に特段の事実上の支配がなされない限り、」こういう文言の反対解釈として、何らかの事実上の管理支配を確保する手段を講じておけばなお窃盗罪の成立する余地があるのではないかというふうに考えられますけれども、その後これに該当する事案が出ませんので、いまのところこの最高裁判例がいわゆるリーディングケースになって、窃盗罪につきましては一応消極に解するというような考え方に立っておるわけでございます。しかし、ただいま申しましたように条件つきでございますので、なお窃盗罪の適用がされる場合もあり得るのではないか、かように考えております。
  97. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私がいま申し上げたのは、砂利の価格が千九百円という標準的なものをとってみたときに、その総原価なるものが一立米当たり七百五十円。ところが、河川法では許可がなければとってはいけないとなっておるけれども、こちら側にはり罰則がない。今度はこれによって、業とするものは許可を受けなければならぬ、こういうことになますけれども、これまでですと、要するに、一級河川ヘトラックをざっと乗りつけておいて、どんどんそこの砂をとって、そうして運びさえすれば、輸送料の千百五十円で、七百五十円の原価はただですから――砂といえどもやはり国の所有だと思うのです。国有財産という規定があるならば、財産権というものは、もしそういう場合に管理ができるかできないかということによって、侵害があるかないかということになるならば、国有財産の中で、国有林を切れば盗伐ということで明らかに罰則を受ける。少し土を持っていったらどうなるか。土ならいいんだということになりますね。おそらく山土をざっとくずしてトラックで運んでしまってもこっちのほうは無罪だ、木を切ったら有罪だ。しかし、同じようにそのものは売れば金になって戻ってくる。いま私がこの問題を提起しておるのは、これまでそういうように河川で砂をとっておるものが罰則に触れないということになっておるにもかかわらず、このような法律がはたして法律として担保できるものかどうかということに根本的な疑問があるわけです。大臣、どうでしょうね。私がいま申し上げておるように、いままでは砂利採取業者の中にはトラックをどんどん河川に持ついって、特に、それもここではとってはいかぬと立て札が立っておる。これはさっき言われるところの占有権を表示したものだろうと思うから、これなどは明らかに窃盗だろうと思うけれども、しかし、それでもなおかつそんなものは大目に見られて、これまでいまの最高裁の昭和三十何年かの案件くらいで、犯罪として処分された例がないでしょう。そういう、河川から砂を黙ってとってきて売った場合には犯罪として成立したことはないのではないかと思うのですが、どうでしょうか、法務省。
  98. 木村栄作

    ○木村説明員 お答えいたします。  先ほど御紹介しましたた昭三十二年の最高裁の判例以前には、窃盗罪で処断をした例はございます。たとえて申しますと、大正九年という古い大審院判例におきましては、山林の土地といえども一たん土地を分離した以上は窃盗罪の対象とするという考え方、離しますと、それによって財産的価値が出てくるんだという考え方をとりまして、窃盗罪を認めております。それから高裁におきましては、最高裁判所から判例の出ます前には、許可条件が、期間が過ぎた以後の採掘につきまして窃盗罪の適用を認めたものもございます。
  99. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。大臣、どうでしょう。いまの話ですが、私ども、法律というのはやはり国民の常識に基づくものであるべきだと思うのです。そうすると、まず第一に、私は、この問題の中では、確かにいろいろな罰則が今度つきました。第三条の登録、それから第十二条第一項の登録の取り消しについて、第二十三条第一項、第二項、これは災害防止のためのいろいろな緊急命令その他の関連について、第二十六条の認可の取り消し等について、第十六条の採取計画の認可等の関係、二十一条の採取計画についての順守義務、いろいろついているわけです。そうして、こういうふうにしなければならないということは、私はたいへんけっこうだと思うのですけれども、しかし、その根本にあるところのいまの河川法のほうは、第二十五条では、「河川管理者の許可を受けなければならない。」という訓示規定だけがあって、こっちのほうは実は罰則がないんですね。だから、訓示規定で罰則がないんだから、無許可でとってもいいんだ――それはとっちゃいかんでしょうけれども、とったところで罰則がないんだから、裏返して言えば、とってもいいんだという感じに私は理解をする。だから、無許可でとったものというのは、言うなれば違法行為を二つ重ねているような感じが私はするわけだ。第二十五条の違反になる、これは罰則がないからしようがない。それからまたそいつが砂を持っていってよそで販売すれば――私は、まあわれわれの世の中で空気だけはちょっとこれをとっていってどこかで販売するというわけにはいかないと思うんです。しかし、ほかのものは大体においてあらゆる地球上の物質というものは、要するにおおむね商品として販売の対象になることが多いんじゃないか。ですから、私は、商品として販売するものの対価というか、対価を受け取れるものに該当するものをどこかから持ってきて売って利益を生じる行為は、その相手方が個人ならば非常にはっきりしていますね。個人の所有、私的所有なら全部犯罪である。公的所有なら犯罪にならない。これは私は何も最高裁判所と論争するつもりは一つもないけれども、どうも国民常識からすると何だか割り切れないような感じがしてしかたがない。  そこで通産大臣、いま私が言っていることは、私的なもの――個人であろうと法人であろうといいけれども、私的な財産をとったら全部窃盗罪だが国の所有にかかわるものをとったら窃盗罪にならぬ、どうも私はおかしいような気がするのですが、大臣どうですか、あなたの常識で。あなたは法務大臣じゃないのだから、通産大臣の常識でひとつ答えてください。
  100. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 今度の御審議をいただいておる法律によって、無登録の事業をした者は一年以下の懲役または十万円以下の罰金、それから無認可……
  101. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、それは調べてわかっています。そうじゃないのです。私は、今度の法律でこういうふうに規定をされたことは、たいへんけっこうだと思っているのですよ。ただ、そのもう一つ裏側にある問題として、ともかくこれまでは、ここに大企業、中小企業というので六千七百三十ぐらいの砂利採取業者があるようです。業者というように名前がついているなら、私は問題がないと思うのですが、裏返して言えば、ダンプカーが一台あれば、許可も受けないで河川へ行って砂利をとってきて、売れるのですよ、いまの法律の定めの範囲だったら。そうして、それは買ったやつがあれば臓品になるかといったところで、窃盗でないのだから臓品にならない。どんどんそいつから買っていいのですよ。買うことには何ら違法性はないわけだから。今度の法律も、違法なものから買ったものを罰することになっているかといったら、それは罰することになっていない。そうすると、そういうやみ業者というやつが出てきてどんどんやることについては、これはチェックができない。やみのやつがチェックできないということは、裏返して言えば、もしこの諸君が逸脱した処理をしたときに、はたしてチェックができるかどうかについて、法律が担保されておるかどうかについて、私はちょっと疑問を持ったから、そこらはやはり土台をきちんとしてもらわなければ、この法律はきちんと守られないじゃないかという疑念を持ったから、実はこの論議を始めたわけです。  だから、大臣に私は伺いたいのは、私的なものをとったら窃盗になって、国の所有にかかわる砂をとっても、売って金もうけをしても、窃盗にならないというのは、国民の常識としてはおかしいのじゃないかと言っているのです。最高裁は、大きな条件がついているけれども、窃盗にならぬという判決を下しているのですが、私は最高裁と論議をするのじゃない、これは立法の問題で考えればいいことですから、立法でそこをふさいでおかないとまずいのじゃないか。そうしないと、これがほんとうに生きてこないのじゃないか。だから、裏返して言えば、河川法二十五条と罰則をつけるとか、あるいは国の所有にかかるもの、土でも砂でも、何でも窃取したるものは、これは窃盗の罪と同様にするというようなことを刑法でどこかに書くべきだろうし、過失傷害なんというもので大騒ぎするよりも、こういうことのほうがずっと重要な問題だ。それが刑法の中で抜けておるのじゃないかという気がするわけです。ここは法務委員会じゃないから刑法の論議をする気はないけれども、常識論としてどうもおかしい、大臣そこをどう思うかというのです。大臣の答弁をいただきたい。
  102. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 結局、この法律成立した場合には、ただとっていくわけにはいかぬ、こういうことになると思うのです。
  103. 多治見高雄

    多治見説明員 私の先ほどのお答えがちょっと足りなかったかもしれませんので、ちょっと補足させていただきますが、二十五条の「土石等の採取の許可」につきましては罰則がございません。これはお話のとおりと思うのでございます。この点につきましての窃盗罪の成立云々につきまして問題があるような御意見も一部にございます。ただ河川管理上の実態といたしましては二十七条のほうに「土地の掘さく等の許可」というのがございまして、これには罰則がついております。したがいまして砂利採取等についてお話しのような違法な採取というような事態がありました場合には、河川管理者といたしましては二十七条のほうの掘さくの許可という条文に対する違反ということで罰則を適用していただくように、現在も実施上はやっております。二十五条と二十七条の罰則の関係は、窃盗という刑罰につきましてはいろいろ御議論があろうと存じますが、河川管理上の実態としては現在事実上は支障なくやっております。できるだけ違法の行為を押えられるということで現実にも押えているというふうにわれわれ考えております。
  104. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、二十七条違反で罰則に触れた例というのはどのくらいありますか。
  105. 多治見高雄

    多治見説明員 実際に河川法の罰則の適用を受けたという事例につきまして、ちょっと数字を持っておりませんが、最近この砂利問題の問題化に伴いまして、河川管理者といたしましてもそういう盗掘については非常に注意をいたしておりまして、警察等とも緊密に連絡をとってこれが取り締まりを実施いたしておりますので、最近非常に二十七条違反についての告発という件数はふえてきております。
  106. 堀昌雄

    ○堀委員 私ばなぜそういう問題を提起したかといいますと、だんだん砂利の原資は減ってくるわけですね。特に都会地の周辺の砂利の原資というものは減ってくる。ところがさっきのお話のように砂利の原価というのは六割が輸送料となれば、まずこの輸送料を短縮することがもうかる一つですね。輸送料を短縮して、もし原価がただなら、これほどうまい話はないわけです。実は私は阪神間で武庫川の川原をちょいちょい歩くわけだけれども、あの武庫川の川原にちゃんとここで砂利をとってはいかぬという県のあれが出ておるにもかかわらず、白昼公然とダンプを入れてとっているわけです。われわれもそれをとっているからといって、一々それをちょっと電話をかけにいくわけにもいかぬしするからそれをそのまま見ているけれども、そういう公的なものの管理が不十分なためにそういうことが実はかなり行なわれておると私は思うのです。そうして河川法のほうではそうだとしても、これがもし窃盗ということになれば、買ったほうが臓品で場合によっては処分ができるようになると思うのだけれども、いまの法律では、これは買ったほうは安いに越したことがないということになると、そういう違法な行為が実際は相当に行なわれておるという事実があると思う。だから私は今度のこの法律が実行されれば確かにかなり処理されると思うけれども、これまでの河川砂利や何かの問題の処理が必ずしも厳格に行なわれていないということになると、私はこの法律自身の施行がほんとうに厳格に行なわれるのかどうかについて非常に不安がある。特にこれの罰則は、懲役一年以下ですよ。片一方は窃盗ということになると十年以下だからだいぶばしっと影響力があるけれども、一年以下ということになっているから、そこらのことも含めて、通産大臣河川局のほうも法務省も、黙って見のがすのでなく、これに反して国の砂をとったやつは窃盗で罰せられるくらいのことを考える必要があるのじゃないかと思うのですが、通産大臣、どうでしょうか。ルールに従っておる者はこれでいいのですよ。ところが世の中というのは、これからだんだん砂の値段が上がってくると、ルールに違反してやるやつが必ず出る。これは悪いやつが出ないほうがいいけれども、しかたがないですよ。そういう者が出たらこうするぞというようなものがあれば、みながワクの中で行儀よくやりましょうということになると思うので、どうですか通産大臣、その点は政府で少し検討してみる余地がありませんか。
  107. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 刑法上の点から言うと無罪、しかし砂利の管理という点ですか、そういう行政罰から言うと無罪放免というわけにいかない、こういうのでつじつまは合うわけでありますけれども、しかし刑法上無罪で、ただ秩序罰としてこういうことがあり得るということは、何か非常な矛盾を感ずることはいなめないと思うのです。そういう点で、これはひとつその筋によく研究してもらわなければならぬことだろうと思います。
  108. 堀昌雄

    ○堀委員 最高裁でそういう判決が出る以上は、これは立法のほうで措置をしなければむずかしいのじゃないか。しかし参事官もお聞きのように、私も刑法に詳しいわけでも何でもないのですけれども、一般の国民的常識できょうは伺ったわけですが、どうも割り切れない。というのは、それが売らないというのならいいのですよ。持って帰って自分のところの庭に入れたくらいならたいしたことはないけれども、それを販売して利益を得て、なおかつそれが――私は国のもの他人の財物だろうと思うので、どうもちょっと割り切れないのです。そこらは抜け穴がなくなるように、ひとつ政府として検討していただきたいと思います。  終わります。
  109. 小峯柳多

  110. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 砂利採取法のことにつきまして一、二点お伺いいたすのでありますが、私は時間をなるべく節約する意味において、いきなり、私が地元でいろいろ痛感いたしておりますことの二、三をあげてお尋ねいたしたいのであります。  しかしその前に、私が本法案を拝見いたしまして、確かに非常な公害が、目に余るものが起きておりますものですから、この辺において抜本的なる対策を講じなければならないということにつきましては、全く何らの疑いなく御同感であります。しかし、いま日本の建設、開発を取り上げる上において一番ネックになっているものは何かと考えてみますと、一つは確かに土地問題、もう一つ骨材ではないかと思われるのです。しかもこの骨材が両三年来ますます逼迫を加えてきたというような意味におきまして、実は率直に申しますと、取り締まり法規を考える前に、そのもとになるところの骨材供給源をもう少し根本的に、総合的に立て直してかからないと、せっかく公害取り締まりあるいは指導法律をつくってみても、もとがくずれていくゆえに実効があがらないのではないかと思いまして、したがって何とかして本とから正すといいますか、もとを直すことについて政府がどういうふうな根本策をお持ちになって本法案をお出しになられる気になったのか、それからひとつお伺いいたしたいと思うのであります。
  111. 吉光久

    吉光政府委員 まことに御指摘いただきましたとおりでございまして、骨材は土木建築材料の基礎原材料でございます。これが安定的に確保されるということが日本の土木建築の仕事自身に重大な影響を持つわけでございますので、お話のとおりだと私どもも思っておるわけでございます。  この骨材の安定的な供給を確保いたしますために、従来骨材中心をなしておりましたのは河川砂利でございますが、その河川砂利山砂利陸砂利等を含めまして、昨年度で大体八〇%強の砂利供給源であったわけでございます。あと二〇%程度のものにつきまして、いわゆる岩石砕石と申しますか、あるいは人工軽量骨材その他の骨材が用いられておったわけでございます。基本的には、そういう供給につきまして砂利、岩石砕石等の総合的な供給計画が必要になってまいるということであろうかと思うわけでございます。同時にまた、砂利にいたしましてもだんだんと需要地から遠隔の地で開発されてまいる、いわゆる奥地開発の問題でございますけれども、そういう奥地開発に伴います輸送距離が長距離化いたしますとか、あるいはまた道路の問題でありますとか、あるいはさらに流通の問題にも一部入るかと思いますが、砂利の大きな集積場と申しますか、そういうふうなもの、そこらのものが一貫され、さらにまた輸送網といたしまして、道路輸送、鉄道輸送、それに海上輸送というふうなものが総合的に把握されまして、初めて骨材の安定的な供給ができるものである、こういうふうに考えておるわけでございます。  実は通商産業省に置かれました産業構造審議会骨材委員会におきまして、それぞれの学識経験の方にお集まりいただきまして、四十年、四十一年とまる二年かかりまして、この問題についての基本的な考え方につきまして整理をいたしたわけでございまして、昨年の初めに答申をいただいたわけでございますが、基本的な骨材問題に対する認識のしかた、まことに先ほど御指摘いただいたとおりでございます。
  112. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 基本的にはずいぶん検討を進められておるように承りました。その点も私は安心いたすのでありますが、ただ、いまお答えの中で、いままでその供給の大宗であった河川砂利がだんだん枯渇してきて、山砂利陸砂利といいますか、そういう方向に進まざるを得ず、さらにこれはちょうだいした資料によりますと、輸入砂利さえも四十三年度においては百万トンが予定され、四十六年度においては六百万トンにも及ぶものが予想されるというような状況でありまして、これからますます需要が増してくるであろうところの骨材がこういうような状況になりますことは、まことに憂うべきことだと思うのでありまして、現行法が施行されました三十一年当時におきましては、大体年額七千万トンといわれておった。それが、いまや砂利だけでも三億五千万トンというふうにこの表ではあらわされておるのであります。実は私が先年建設委員会において建設大臣にお伺いいたしたときには、わが国における河川砂利の総数量はおよそ六億トンであろう、当時年額二億トンの需要があるので三年きりもたない、あとのことについては相当考究しなければならない深刻な問題があるんだ、こういうようなお答えでありました。まことにそうだと思っておったのでありますが、しかし同時に、私は考えるのであります。はたしてこの河川砂利というものはもう全くとり尽くし、もしくはだんだん減る方向にいっているのでありましょうか。わが国の治山治水というものは、それほど整備されておるとごらんになっておるのでありましょうか。わが国の国土は、もはや河川砂利にはたよるほどの資源がない、整備されているとごらんになっておるのでありましょうか。私はどうもそうは思われません。まだ河川砂利は相当ある、相当たまっておると見てよろしいんじゃないかと思います。ただこれをとる方法なり政策なりがそれに集中してまいりさえすれば、なおここに資源ありと言い得るのではないかと思うのでありますが、これらのことについてはどういうふうな見解を持ってお進みになっておられますか。
  113. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  河川砂利需給関係につきましては、先ほどお話がございましたように、建設大臣建設委員会で申し上げましたように、一応現状で六億トン、したがいまして、ここ数年来の採取を続けますと、近い将来に枯渇するという見通しで現在おるわけでございます。しかし、これを現在のままで採取を続けていくということは、われわれとしては考えておらないわけでございまして、先ほど御説明申し上げました河川砂利基本対策要綱の中でも、新しい砂利のとり方というものも考えておりまして、たとえば河川にあります玉石とか転石を砕石いたしまして砂利にして使う、あるいは貯水池とかダムにたまっている砂利、そういったものを積極的に開発して使えるように持っていきたいということで、こういった従来とっておりませんでした砂利について積極的に開発を進めまして、そこから砂利供給をさらに増大していきたいということで、そういった方策も逐次検討いたしております。  それからさらに賦存量についてでございますが、現在、本年度一千万円程度の調査費をいただきまして、河川砂利の賦存量につきまして徹底的に調査いたしたいということで、調査を実施することになっております。その際われわれとして考えておりますのは、現状の河床で、現状の川の状態でとって差しつかえない河川砂利の数量、それからさらに加えまして、河川の基本計画を変えまして、河床の状況その他急速に河川ごとに調査いたしまして、さらに河床の低下をはかっていける河川がございました場合には、そういった河川計画を検討いたしまして、河床の低下対策を十分にやった上で、さらにもっと砂利をとれる状態に持っていきたいということで、そういった調査とあわせてやっておりますので、必ずしも現状採取量そのままで進むつもりじゃございません。したがいまして、今後の需給につきましては、まだ調査の必要がございまして、はっきりした数字は出ませんが、今後の計画の検討の結果、相当量採取可能の砂利が出てくるのではないかという希望は持っております。
  114. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 希望を持って調査をお進めになるということでありますが、実はもう数年前から建設省では相当これに注目し、重大な関心を持って調査を進めておられたと思います。ただ、いまおっしゃるように、河川政策、治水政策の根本にまで触れて、つまり、いままでは川砂利というものはあまり重大視することなく、ただいたずらに疎水し、いかに災害を少なくするか、それに経費が少なくてできるかというようなことで進められてきたと思います。これではいまの骨材問題を解決するための河川政策のねらいは違っておるわけであります。今度はただ単に治水ということではなくて、いままでたまった川砂利が日本の建設のために重大な役に立つという意味において、川砂利にあらためて重点を置いて河川政策を編み直す、改定し直すということでなければ、この急場はしのげぬのじゃないかと思うのであります。そういう方に考え方を改めて御計画の立て直しをなさるそうでございますが、これは一体いつごろまでかかるのでありましょうか。こうした法案を出すについて間に合うことでありましょうか。十年も二十年もかかるということであってはいけないように思うのでありますが、お見込みはいかがでございますか。
  115. 多治見高雄

    多治見説明員 お話の趣旨はよくわかりますし、河川砂利の問題は非常に重大であるということはわかりますが、河川管理者といたしましてはやはり治水、利水という点から河川管理は第一義的に考えていくということについては変わりはなかろうかと考えられます。ただ、治水、利水の河川管理の面から支障のない限度において砂利採取するというたてまえは従来どおり変わらないかと存じますが、その中で、先ほど申し上げましたように河床の計画その他治水、利水面から検討いたしまして、さらに低下し得るというものがあればそれを活用して砂利需給に資するというたてまえであろうかと存じます。しがいまして、本年の調査の結果いかなる結論が出ますかちょっと予想できませんが、本年の調査が終わりましたらある程度の見通しはつくかというふうに考えております。
  116. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 もちろん河川行政の最高責任持っておる立場からしますれば、治水、利水に重大な支障を来たすというようなことになってはいけないわけであります。ことに治水などにつきましては生命、財産にも重大な影響を及ぼすことでありましょうから、それはもう第一に考えなければならないことはよくわかります。よくわかりますけれども、この際やはり竿頭一歩を進めて、いままで治水、利水、特に治水についておくれておったがゆえに、たまったところの砂利というものには重大な関心を持って、これの利用策なり何なりを考えていかなければならないときがまいった、こう思うのです。近き将来においては骨材は年額五億トンにものぼるということが予想される。五億トンといいますと、あらためて申し上げるまでもありませんが、私はたいへんなことだと思うのですよ。かって終戦直後に、燃料問題としての石炭対策が国策の最先端をいった、最重要事項といわれたのですね。そのときには、言うところの傾斜方針までとって、そこに力が入ってきた。さればこそあのときの非常な経済上の危機などもそういう方面から救われてまいって、わが国の経済の伸展がはかられたのであります。そのときの石炭の採掘量なり何なりはどれくらいあったと思いますか。おそらく数千万トンでしょう。それが今度は五億トンの砂利を要するということになってまいっておる。もし、これがないならば、その終戦直後における燃料の不足がわが国経済の発展を阻害したかのように、この砂利の不足、骨材の不足というものが国策の進展上非常なじゃまになるのじゃないか、障害を来たすのじゃないかと思いますので、あのとき傾斜政策をとったと同じような考え方に立ってこの問題に取り組まなければいかぬのじゃないか、間に合わないのじゃないかと思うのです。そして五億トンというものの採取は、それが川砂利であれ山砂利であれ陸砂利であるにいたしましても、採掘にも相当の資金も施設も要するでありましょうし、同時に運送にも、当時石炭に向かって輸送や資金その他あらゆる面において国の重点がつぎ込まれたと同じようにこの際やらなければならないのではないか。そういう意味において私は、そういう立場から河川行政といいますか、河川対策というものも練り直してもらわなければ困ることになりはしないか、こう思うのであります。いかがでありますか、もう一度ひとつ決意のほどを承っておきたいと思うのであります。
  117. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  砂利需給全般につきましては通産省のほうでお答えがあると存じますが、ただいまお話しのような砂利需給状態というものは、われわれといたしましては十分認識いたしておりまして、これは先ほどもお答えいたしましたように、昭和四十一年にこういった砂利需給の緊迫化に伴いまして、建設省といたしまして基本対策要綱というものを策定いたしまして、各地方出先機関及び都道府県知事に通達をいたした次第でございますが、その中にもこういった需給体制を十分認識して河川砂利の新しい資源の開発――先ほど申し上げました、従来利用されておりませんでした河川に関する砂利の開発をやる。それから砂利の使用につきましては用途を規制いたしまして、大事な用途にだけ砂利を使う、あるいは砕石への転換を積極的に進めていくというようないろいろな方策をこの基本対策要綱の中ではっきり示しまして、砂利全般の需給について河川砂利としてはでき得る限りの協力をするということで現在努力いたしておる次第でございます。
  118. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 いま政策につきまして、通産省のほうでは特に輸送あるいは設備の資金助成などについてはこれからどんなふうなお考えを進めていかれますか。
  119. 吉光久

    吉光政府委員 先ほどお話がありましたように、骨材供給につきましての総合的な計画の立案ということが第一に必要になってくるのであろうかと思うわけでございまして、砂利にのみたよっておりました骨材の大宗を、さらに岩石砕石その他人工の軽量骨材、そういう多方面の供給形態に切りかえていくことが非常に重要であろうかと思うわけでございます。ただ砂利でなくてはできない一つの機能を持っておりますので、そういう点につきましては、河川砂利のほうで補っていただくことが必要ではないだろうかと思うわけでございますが、さらに先ほどお話がございましたように、だんだんと奥地開発ということになってまいりますので、ともすれば輸送費等につきまして相当大きなものがかぶってくるということになるわけでございますので、この輸送のしかたあるいは貯蔵――貯蔵と申しますか置き場のあり方の問題、そういったものを含めましていろいろと検討すべきことが多いのではないだろうかと思うわけでございまして、現実具体的な問題といたしましては、現在東京周辺あるいは大阪周辺、名古屋周辺等、特に骨材の逼迫いたしております、あるいは需要の非常に強い地域を中心にいたしまして、そこにどういうふうな開発体制輸送体制骨材を運べばよいかという点につきまして、運輸省あるいは建設省通産省関係官庁相寄りまして、毎月二回協議会を持って具体的な問題として検討を進めてまいっておるのが現状でございます。
  120. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこでこれは建設省にお伺いするのでありますが、先ほどのお話によりますと、重大な決意を持って新しい河川対策に取り組むことになる、こういうことのようであります。私はぜひそれを進めていただきたいと思うのでありますが、ただ具体的にはたしてそういう方向に実際問題として向いておられるかどうか、一つの例をあげてお伺いするのであります。  私は山梨県であります。山梨県は県民は砂利王国だなどと言っておりますが、これは残念な表現であります。それほどに治水がおくれておりまして、県土は荒れております。もっともあそこの盆地は大体が扇状地帯であります。扇状地帯は砂利、どろの堆積によってできたわけでありましょうから、そういう意味においては至るところ砂利、砂の埋没集積というものがあるわけです。それを砂利王国などと言っているのかとも思うのであります。そういう意味において見てみますと、さらにあそこの川は私から申し上げるまでもありません、河川局の方はよく御承知のとおり非常に土砂が堆積しておりまして、そうして土手が一般の土地よりも十メートルも二十メートトも高く積み上げられておる。そして川は上のほうを流れている。これを称して天井川といっておるのでありますが、天井川どころか私どもは屋根むね川などと酷評しておるような状況でありまして、もしおたくのほうでお考えになるように、これから強力に進められるというように、川の強力なる新しい体制河川行政というのが、ただ単に川をつかまえてそっと流すということじゃなくて、なぜこんな天井川ができたかということに着目されて、かって天井川がなかったような状態にまで復旧するということになりますというと、あの大きな土砂の堆積というものは消えてなくなっていいわけです。もとなかったのですからいいわけです。それが怠り怠られて、積もり積もってああいうことになったわけですから、もし新しい河川体制をこの際とられるとするならば、そういう方向で天井川などは根本的になくなすという強力なる政策が進められることによって、あそこにたまっておるところの玉石の砂利も砂も、目下一番大事な砂利政策の上に大きく貢献していくんじゃないか、こう思うのであります。私は、たびたび建設委員会においてこれを要請いたしております。ことしの予算委員会におきましても、私は強いお願いをいたしておったのであります。なかなかこれが思うようにいきません。といいますのは、たいへん根本的に直すのですから、これは当然の結果として多少金がよけいかかるわけです。ただ単に修復をするということでなくて、根本的に直すということでありますから金がかかる。しかし金がかかるにいたしましても、その金は堆積した砂利がいまの世に利用されるという意味においては私は十分償い得るんじゃないかと思うのであります。こういうことについては、どういうふうな御観察を持っておりましょうか。
  121. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  お話しのように、山梨県の川は、日本の中でも非常に特殊な川が多うございまして、お話しのように天井川あるいは非常に砂利、砂の堆積しておる川というのが多うございます。それでわれわれといたしましても、御承知のように本年から新しい五ヵ年計画でこれらの河川の改修に取りかかることになっているわけでございますが、もちろん砂利の問題と切り離しましても、山梨県の川につきましてはできるだけ根本的にこの改修を実施いたしたいということで、今後とも努力するつもりでございます。  ただ、砂利の問題という点から見ました場合に、あの天井川の解消ということが直ちに砂利供給に結びつくかということになりますと、その点は若干さらに検討を要するいろいろな問題点があろうかと存じます。たとえば運搬問題等ございまして、川の底にございます砂利を掘れば、直ちにそれが砂利として活用されるかどうかというには、運搬経路の改良の問題等河川関係のない条件をさらに整備するという問題がございますので、われわれといたしましては、お話しのように、現状河川の改修という点については根本的にやるつもりでございますが、それが直ちに砂利需給について好結果を来たすというふうに断定はちょっとできないというふうに考える次第でございます。
  122. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういうふうな観察をされておりますというと、実は現地においてとくと検討を願わなければならぬわけでありますが、あの富士川という日本三大急流の一つ、その中には、これは無限といってもいいくらい有用なる最も良質の砂利、砂がたまっております。ことに三十四年の伊勢湾台風に次いだ一つの大きな台風のときには、あそこだけでもって八万立米の砂利、砂があの盆地に流れ込んだということを当時県の当局は発表し、これは中央にも報告しておるような状況であります。年々相当なる砂利、砂が流れ下っておるのであります。そして富士川の上流の釜無川は川幅何百メートルにも及んでおる。それがほとんど砂利、砂の堆積なんです。これはもう何年も前からこの砂利、砂の採取については各業者が注目して盛んに入り込んでおります。ところが最近それが採取がとまっております。なぜかというと、これは建設省の方針でとめたというのであります。そのとめておる理由というのは、護岸、堤防を守らなければならぬとか、あるいはまた下流のほうの水位の関係もあるからあまり掘るわけにはまいらないというようなことであります。私はその話を聞いたときに、あそこには御承知のように禹の瀬というネックがある。例の角倉了以が幕末においてわざわざあそこに出てきて、幕命によって少し掘って、そしてようやくあそこの盆地の水をはいたという、これは一つの歴史的な大きな土木工事であります。その角倉了以がもう三メートルなり五メートルなり、そのネックをもう少し掘っておきますといまのような天井川というものはできなかったかもしれなかった。それをそのままおいたものですから、ああした状況がだんだん積もり積もって出てきたので、いまわれわれの願うところは、もう一度建設省に角倉了以になってもらって、距離は短いのですから、底を掘り下げてもらいますと、全体の水位が下がる。したがって川にたまった砂利、砂はこれを掘り取ることができるのであります。これはしろうとがざっと計算しても一億トンぐらいの砂だと思います、砂利だと思います。しかもこれはほとんど洗浄を要しない。ごらんになればわかるわけでありますけれども、ただ、ふるいにかけて大きな石、小さな石を仕分けるだけで、そのまま京浜地区に持ち込んでいって建設土木に役立っておるのであります。残念ながら、それがそうしたちょっとした根本の支障がのけられないばかりに川にたまったままにしておるのであります。もう一度角倉了以の工事をやってもらうための経費というものは、何か二十億とか三十億とか計算されております。当時、二、三年前でありますが、二十億、三十億という金は大きいものであったかもしれない。しかしいまこの砂利問題に取り組むときになって、一億トンとかあるいは数千万立米に相当する砂利、砂が取れるとしますならば、二十億、三十億の工費というものは私は決して高いものでなはいと思うのです。計算しても高いものではない。かつて砂がただだったという時分には、それはだめだったかもしれませんが、いまやもう相当な金になっておる。ですから県ではいま立米当たり五十円もしくは六十円の採取料を業者から取っているくらいなんであります。これはもうほんとうの権利料みたいなものであります。ですから、もっと計算しますれば、その場で一トン百円なり二百円なりの値打ちがある。何ら手を加えずしてなる。もしこれが一億立米ということになりますと、たちまち二十億や三十億の金は砂利、砂の金だけで出てくるはずなんであります。こういうことを勘案されまして、いままでは砂利、砂にあまり重点を置かれなかったから河川計画にも若干の手心を加えなければならないような事態もあったかもしれません。いまや砂利、砂こそが大切だということになりますれば、そういう工事についても思い切ってこの際力を入れるべきじゃないかと思うのでございます。  これは実は私のほうの地元のことばかりになるようでありますが、全国的にそういうことはたくさんあると思います。  もう一つの例は、やはりその支川に戸川という川があります。これは建設省の方針においてつけかえました。つけかえましたから、一本の旧河川は天井川のまま廃河川同様になっております。これにも相当の土砂がたまっていると思う。改修工事が完成してからもうやがて十年になるのでありますが、そのままになっておるのです。この砂利、砂は全部が砂利、砂というわけにはまいりません。土手にはどろもございましょう。しかし相当な玉石などが埋まっていることを私はこの目をもってよく見ております。そういう方向でものを考えてもらいますと、ここに私は大きな砂利問題についての解決点が出てくるのではないかと思うのでございます。何も奥地の山の谷の底に目をつけるまでもなく、道は実は近きにあり。問題は、河川政策の竿頭一歩を進めた決意といいますか、対策というものこそがこの際大切ではないかと思うのであります。いかがでありますか。
  123. 多治見高雄

    多治見説明員 お話の御趣旨は、全体として全くお話のとおりだとわれわれも考えます。それで、例にあげられました河道をつけかえましたために廃川敷になった部分にあります砂利等につきましては、先ほど申し上げました調査の中に含めまして、そういった事例については極力調査を進めておりますので、結果のでき次第、そういったものの処理についての方策も立てられようかと考えております。  それから富士川の例でございますが、あの川は非常に特殊な川でございますが、お話しのように、ちょっと手を加えるだけで採取できるような砂利の賦存している場所もないわけではございませんが、全体といたしまして、一ヵ所河床を低下して掘るというのは川全体に影響いたしますので、先ほど申し上げました基本要綱の中で河床計画の検討ということまで実は考えているわけでございますが、これは一言で申しますと、河床計画の検討ということで簡単なようでございますが、河川管理者といたしましてはこれは非常に重大な問題でございまして、河床の計画を一センチでも下げるということは、川全体について、その河川管理施設全部を再検討して洗い直さなければいかぬという問題でございますので、なかなか簡単に結論を出すということに至っておりませんが、そういった大きな決意を持ってこの問題に臨んでいるということだけは御理解願えるのではないかと考える次第でございます。
  124. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 こういうことについてあまり押し問答的くどくどしさになってはいけませんから、ただもう、河川局方面における重大な決意の中で新しい方向を見出して、一つには治水に役立たせると同時に、また一つには、この重大な問題について大きく貢献していただきたい。皮肉を言うようでありますけれども、河川対策の怠慢が、今日あるいはこの砂利によって貢献することによって、罪滅ぼしになるかもしれない、このようにも思うのであります。と言ってこれを見ておったのじゃ一つも罪滅ぼしになりません。これは見ておらぬで、世に出してほんとうの罪滅ぼしをしてもらったらば――私は、目の前にそうした事実を見ておりますし、同時に先般来、全国的に天井川は発達しつつありなどという建設白書の報告によりまして非常に感ずるところもありましたものですから、あえてこれを強調してお願いをいたしておるのであります。  そこで、時間がだんだん過ぎますから、法案の点につきまして一、二お伺いいたしたいのでありますが、第十六条、これは私は今回の法案の中の一番の眼目だと思います。採取計画というものを厳重に審査されて認可、不認可をきめる、こういうことであります。私はこれは非常に大切なことだと思います。ただ、この場合におきましても、山砂利でありますとか陸砂利でありますとかあるいは海岸砂利でありますとかというものについては、比較的、採取計画の審査なりあるいは採取計画そのものについても簡明直截に表示もできるでありましょうし、計画の良否を見ることもできると思います。ただ問題は、やはり河川砂利だと思うのであります。河川砂利採取計画はどういうふうな標準で御審査なさるのでありましょう。たとえて申しますると、一本の河川一つ計画としてごらんになるのか、あるいはこれを幾つか部分的に切ってこれをごらんになるのか。立てるほうにつきましても、そういうふうな立て方を奨励なさるのかどうか、いかがでありましょうか。
  125. 多治見高雄

    多治見説明員 採取計画の認可の基準につきましては、陸砂利等を含めまして、全体の基準政府内部で関係機関協議してきめるということで先ほど通産省のほうから御答弁ございました。したがいまして、建設省といたしましても、その通産省その他と協議いたしましてきめた基準に従って認可をするつもりでおりますが、河川は御承知のようにその特殊性からいいまして、どうしても上流、下流にそれぞれ影響いたす問題でございますので、できるだけ河川を一本として基準をきめていきたいというふうに考えております。
  126. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 できるだけ一本で考えてやらなければいけない。もちろんそれは本流、支流というような区別もあるでありましょう。これもまた例になっていけませんけれども、富士川では先ほど申しましたような一つのネックがありまして、そのネックの下流と上流とで確かにこれは分けてみてもいいくらいにさい然と区別されておりますが、ただそうしたはっきり区別してもいいようなもの以外は、やはり一本で計画を立てておきませんと、上流で掘っても下流がだめになったとかあるいは下流ばかり掘って上流にかえっておかしな現象を来たすこともあるでありましょう。だから一本の計画の中で十分に審査なさる、そしてそれについての災害防止のための指導なり助言もなさるということは、私はたいへん適切だと思うのでありますが、さてしかし実際問題におきましては、そういっておらぬのです。現行法が施行せられて以来十一、二年になります。その間現実には一つの川についてずたずたに切られまして、幾人かの業者にまかされておるようなことであります。もちろんそれについては、建設省の出先は十分目を光らしておるのでありましょうけれども、そうした幾つかにこま切れにすることによって計画がうまくいきませんし、もしかするとそこからある場合には非常な行き過ぎも生ずる、またある場合には縮こまりも生ずるでありましょう。ほんとうにいい計画をスムーズに効率的に進めるわけにはまいらぬような現象をたびたび現実の面として私どもは見ております。今度この法改正によって、これらについてはどういうふうな考えを持ってお進めになりますか。
  127. 多治見高雄

    多治見説明員 お話しのように、河川につきましては河川の流れを一本としてとらえまして、その全体の計画に従ってそれぞれの個所において掘さくを許可していくというのが理想的な形でございまして、この法案成立にかかわらず、建設省といたしましては、昭和四十一年に先ほど申し上げました砂利基本対策要綱をきめまして、その要綱に従いまして、それぞれの河川ごとに砂利採取の基本計画をきめなさいということで、別途通達を出しまして、それぞれ各河川管理者は川ごとに砂利採取の基本計画というものをきめております。したがいまして、個々の採取の許可につきましては、その基本計画にのっとりまして、その基本計画に従った採取だけを許可するということで、現状は逐次一本で計画的な採取を実施するという体制にすでになっております。
  128. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 現状はそうなっておるというお答えでありますけれども、現状は、事実はそうなっておらぬ。届け出る形としてはそうなっておるかもしれませんけれども、現実にはなかなかそうなっておらぬのを私は聞いてもおります。またそういうことによっていろいろいざこざを起こした例も承知しております。ですから、今度のはそういうことを抜本的になくなす方向へ持っていきませんと、せっかくりっぱな、現行法から見ますれば整備された法案ができましても、現実には旧態依然たりということにならざるを得ないのであります。この点はどういうふうにお進めになられますか。もちろん中小もしくは弱小企業者の多い現状なものですから、思い切って一本の河川も全部ある業者にまかせるとかなにかということにはなかなかまいらないかもしれません。しかし方針としては、どうしても総合的に根本的に効率的に進め得るような体制をつくり、もしくはつくらせる方向へ進みませんと、せっかく仏つくっても魂入らぬような法律になりはしないか、こう思うのであります。問題は非常に急ぐわけであります。ことに輸送量なんかで、砂利による公害が交通問題にまで及んでおるということからいたしまして、やはりなるべく近いところから、なるべく交通のいいところから目をつけてやるという意味におきまして、私のところなんかは非常にそういう方面において宝庫だと思っております。そういう意味において、末端において支障を来たさぬような体制指導方針を立ててもらっておかないといけません。けさほど私は永井委員の御質問を聞いておりまして非常に同感をしたのであります。やはりこれについて、通産省方面において強力なる企業指導なりをやってもらわなければいかぬのじゃないかと思うのですが、通産省のほうとしてはいかがでありましょうか。
  129. 吉光久

    吉光政府委員 まことにお話しのとおりでございまして、砂利採取に関連いたします公害防止の観点からいきますと、それぞれ具体的な個所個所に応じましていろいろと違った方法があろうかと思うわけでございます。たとえば河川、山、おか、海岸、それぞれによってそれぞれ違った防止計画があるわけでございますけれども、ただ、ここらにおきます指導基準は必ずある一本の線ではっきりしたものでなければならないという点につきましてはまことにお話しのとおりだと思うわけでございます。
  130. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その点は時間も進みますからおきまして、次に、ちょっと迂遠なお尋ねになるかもしれませんけれども、第四十一条、ここには「指導及び助言」ということをうたっておられます。「指導及び助言に努めるものとする。」こう法律が強くうたっておりますが、具体的にはどういうことをねらっておられるのでありましょうか。ただ口先だけの指導や文字どおりの助言というだけの考えじゃなしに、何かこれに裏づけるものを考えておられて、この四十一条一項になっておるのでありましょうか、その点をお伺いをいたします。
  131. 吉光久

    吉光政府委員 この法案の主としてねらっておりますのは、災害の防止でございますけれども、ただ災害を防止いたしますためには、やはり砂利採取業者自身が健全な企業体質でなくてはならないということになるわけでございます。したがいまして、両方の意味合いから「関係行政機関」――これは国のみならず地方公共団体の関係行政機関も含めて書いておるわけでございますけれども、何ぶんにも砂利採取業者は非常に零細企業が多うございます。したがいましてほんとうに懇切な技術指導と申しますかあるいは経営指導と申しますか、こういうものをやりながら、同時にまたそこに持ってくる施設等につきまして資金的なあっせん等、できるものについて努力するということでございまして、特に零細企業者でございますだけに、いろいろな融資の制度等ございましても、それを存じていないというふうなこともございますので、そういう角度から関係行政機関はすべてそういう採取業者の健全な発達のために指導及び助言につとめるということをここにうたってあるわけでございます。
  132. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 ここに「指導及び助言」というのは決して口先だけではなくて、やはり何か実効ある方法をとりたいのだ、こういうふうに承りました。非常に重大な仕事でありますから、口先で小言だけ言うということでなく、ぜひそういう方向でやってもらいたいと思うのであります。  さらに第二項のほうにいきますと、末行に「河川等の管理その他公益の保持に支障がある場合を除き、砂利採取業の運営を考慮してこれをするものとする。」これはいろいろの制限、許可の条件というようなことに関連してのようでありますが、これはどういうことをねらっておられるのであるか、真意はどういうところにあるのでありますか。
  133. 吉光久

    吉光政府委員 この四十一条の第二項の規定は、実は現行砂利採取法にあります規定をそのままここに持ってまいったわけでございます。この条文の意味いたしておりますところは、やはりこういう公害問題等砂利採取業者が注意しなければならないことは当然でございますけれども、砂利採取業の健全な発達という点から考えますと、やはり河川法その他の許可をいたします場合に、そこいらの砂利採取業者の運営と申しますか、事業運営の問題も頭に描いていただいた上で、これは何も公害防止施設が中途はんぱであっていいという意味ではございません。許可の範囲の問題あるいは時期の問題、そういう点についてこれが公益の保持に支障がある場合を除きましては、最大限砂利採取業者の運営を考慮してもらいたい、こういうことをいっておるわけでございます。
  134. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 旧法にあったからそれをそのまま持ってきたという御返事であります。そういうこともあろうかと思うのでありますが、これが何かしらぬなまぬるい。砂利トラその他による公害などが非常に多くなっておる今日、あるいはこの法律にもうたってありますような、いままで予想されなかったような公害的事象が多くなってくる、深刻になってくるというこの時点においては、旧法にうたってあるこのことが、せっかくのこの法律をえらいなまぬるいものにしてしまうような感じを受けたものですから、お伺いをいたしたのであります。決してこれはなまぬるく扱うものではない。指導するものは十分指導し、助言するものは十分助言し、助成するものは十分助成して、しかしながら、いま世間に問題になっていることについては厳重に注意を払わせしむる。そうしてまた、さっき問題になりましたような刑罰などにつきましても、それらしい実効あるものの体制を整えるということであると私も理解したいのであります。その点はそういうことでよろしゅうございますか。
  135. 吉光久

    吉光政府委員 お話しのとおりでございます。
  136. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私はこれで終わりますが、ただ私は大臣に一言、繰り返すようでありますが、私どもこの砂利問題につきましては数年前から、枯渇する状況などを想像いたしまして、建設省にも砂利、特に河川砂利についての対策を要望いたしておきました。それに、根本策が出る前に、実は取り締まり法といいますか、砂利採取法、これは取り締まり法みたいなものですが、このほうが先に出てしまったので、いささか本末転倒しておるのじゃないかという心配さえも持ったのでございます。しかしながら、先ほど私申し上げましたように、実のことを言いますと、石炭問題以上に重大な事態に直面しておるように思いますから、通産大臣はこの取り締まり法規とあわせ、根本策について率先ひとつ各省庁を動員して対策を練っていただきたいと思うのでありますが、いかがでありましょうか。それが実は治山治水にもかえって効果がある結果をもたらすのじゃないか、こう思うからお願いいたすのであります。いかがでありますか。
  137. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 前々からお話し申し上げておるとおり、最近の建設の忙しさからいいましても、骨材の問題が非常に重要な問題になってきておりますので、これの開発につきましては、今後ともあらゆる努力を払ってまいりたいと思います。
  138. 小峯柳多

    小峯委員長 本日の議事はこの程度にとどめます。  次回は明十五日水曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十分散会