運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-22 第58回国会 衆議院 商工委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十二日(金曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 鴨田 宗一君 理事 島村 一郎君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       遠藤 三郎君    小笠 公韶君       大橋 武夫君    岡本  茂君       海部 俊樹君    神田  博君      小宮山重四郎君    坂本三十次君       櫻内 義雄君    始関 伊平君       塩谷 一夫君    田中 榮一君       田中 六助君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    岡田 利春君       久保田鶴松君    佐野  進君       多賀谷真稔君    千葉 佳男君       中谷 鉄也君    永井勝次郎君       古川 喜一君    三宅 正一君       塚本 三郎君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席政府委員         内閣法制局第四         部長      角田礼次郎君         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         大蔵政務次官  倉成  正君         大蔵省証券局長 広瀬 駿二君         通商産業政務次         官       熊谷太三郎君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      岩瀬 義郎君         参  考  人         (東京中小企業         投資育成株式会         社社長)    江沢 省三君         参  考  人         (東京証券取引         所理事長)   森永貞一郎君         専  門  員 椎野 幸雄君     ――――――――――――― 三月二十一日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として岡  田春夫君が議長指名委員に選任された。 同日  委員岡田春夫辞任につき、その補欠として中  谷鉄也君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員中谷鉄也辞任につき、その補欠として佐  々木更三君が議長指名委員に選任された。 同日  委員佐々木更三君辞任につき、その補欠として  中谷鉄也君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十一日  地方中堅都市総合開発推進に関する陳情書  (第一三一号)  中小企業対策に関する陳情書  (第一三二号)  日本万国博覧会事業推進に関する陳情書  (第一三三号)  電気工事業を営む者の営業所登録等に関する  法律早期制定に関する陳情書  (第一三四号)  中小企業保護育成に関する陳情書  (第一五二号)  工業立地適正化法に関する陳情書  (第一六六号)  下請取引適正化に関する陳情書  (第一六七号)  倒産防止のための緊急融資制度制定に関する陳  情書外三件  (第二〇五  号)  水道用電力料金の軽減に関する陳情書  (第二〇八号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第二六号)      ――――◇―――――
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  内閣提出中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案を議題として、審議を進めます。  本日は、本案審査のため、参考人として、ただいま東京中小企業投資育成株式会社社長江沢省三君が出席されております。  なお、十二時から、東京証券取引所理事長森永貞一郎君が出席される予定になっておりますので、御了承願います。  参考人におかれましては、御多用のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  これより質疑に入ります。質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武藤嘉文君。
  3. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 先日来信用保険の法案の関係で、中小企業の問題につきましては相当いろいろの論議が尽くされてまいりましたが、私といたしましては、この中小企業の問題で、先日来お聞きしておっても論議になっていなかった点もございますので、いま少し承りたいと思います。  資本取引自由化だとか、あるいは後進地域の進出、あるいは将来は特恵関税の問題だとか、あるいは最近は、できるかできないかわかりませんけれども、アメリカの課徴金の問題、また国内においては金融の引き締め、あるいはまた労働力が足りないという点から人件費が非常に上がってきておる等、いろいろと中小企業が苦しい立場に追い込まれておりまして、そのために毎月毎月倒産件数増加をしてきておる、こういうことでございますが、しかしながら、今日のようなこういう情勢というものは、前から予測されておったことじゃなかろうか。と申しますのは、昭和三十八年に中小企業基本法制定をされましたときに、いろいろと基本法の中におきまして、今日のような事態、たとえばそういう国際競争力を高めるためだとか、あるいは中小企業構造自体を合理化しなきゃいけないとかいうようなことは前文にもうたわれておりますし、あるいはまたその基本法の第三条で、国の施策といたしまして、いろいろのことをやらなければいけないということもうたわれておったわけでございます。しかしながら、今日になっても依然として毎年毎年の中小企業対策において同じようなことが言われておる。ということは、裏を返しますと、私、思いますのに、中小企業振興というお題目は唱えられるけれども、実際に国の施策としては、中小企業の核心に触れた抜本的な改革案というものがなされていないんじゃなかろうか、極端にいえば、その場だけの、おざなり的に中小企業対策を進めていけばいいという考え方がなきにしもあらずではなかろうか、こういうふうに私は考えております。たとえば三十八年度から四十三年度まで、いわゆる基本法が生まれましてから今日までの国の予算におきまして、通産省所管一般会計予算に占めます中小企業対策予算、この割合を見てみますと、三十八年度で一九・六%、三十九年が二二・五%、四十年が二四・四%、四十一年が二五・三%、四十二年が三一・八%、現在審議されております四十三年度の予算が成立いたしますと、三一・二%、こういう率になっておるわけでございまして、そういう点からいうと、毎年少しずつ増加をいたしておりますが、その増加率は非常に微々たるものであり、また全体に占める割合もやっと昨年から三〇%台になった、こういうようなことでございます。そういう点から考えて、たとえば石炭対策費などを例に取り上げますと、これは中小企業対策と比べると相当大幅な予算が組まれておるわけでございます。また今日までの日本経済政策産業政策というものが、税制面金融面も含めまして、どちらかというと大企業中心にとられてきた、それが今日の中小企業対策にあらわれ、結果的には日本経済の特徴でございます二重構造というものが生まれてきたんじゃないか、こういうふうに考えております。今後国際競争力をもっともっと高めていかなければならないという時期において、大企業のほうはどうにかこうにか現在世界第三位の工業力を有するまでになってまいりましたから、もうこれはほっておいてもいいと思いますけれども、しかしいま申し上げるように、二重構造であるがために、たとえば自動車産業にいたしましても、あるいは造船業にいたしましても、幾ら大企業のほうが優秀になりましても、その相当部分の部品をつくっておるところの中小企業が合理化され近代化されなければ、最終的には日本工業力というものは世界に伍していけない、こういうことになるんじゃなかろうか。そういう意味からいたしまして、今後はもっと思い切った抜本的な改革というものを中小企業対策にとらなければいけない。極端にいえば、少なくとも通産省関係予算などは、私は将来においては半分くらい中小企業に使ってもいいんじゃなかろうか。あるいはまたその他の面で、たとえば税制の面におきましても、中小企業同族会社であるがための留保課税だとか、そういうような点においてもいろいろ問題がございます。また昨年臨時国会のときにおいても、私も質問の中で御指摘を申し上げたと思いますが、中小企業金融に対しましても、最近の中小企業金融というものはわりかし窮屈な、ひどい目にあいつつある。こういうことを考えますときに、ほんとうに思い切った対策を今日なさらないことには、これはたいへんなことになる。こういうふうに考えておりますが、その点につきまして中小企業庁長官と、お願いでさましたら大蔵省主計官にこちらに来ていただいて、長官並びに主計官から考え方を承りたいと思います。
  4. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 武藤先生から、いま日本中小企業の占めております地位、また国民経済上の重要性、それに対しまして政府施策必要性について御指摘がございました。私、長官といたしまして、まことにおっしゃるとおりであるというふうに存じます。この中小企業問題につきまして、基本法制定以前から政府としては取り組んできたわけでございますが、この中小企業問題は非常に重大な問題である反面、実にまた困難な問題でありまして、その困難性はそもそも日本経済のひずみに問題が発生しているわけでありますけれども、また現に中小企業者自身が非常に数が多い、したがいまして政策浸透がはかりにくい、数が多いのみならず、組織化が非常にむずかしい、またさらに、農業者も数が多いのでございますけれども農業に比べますと中小企業者業種が非常に複雑でございまして、業種ごとに持っております問題は、共通問題もある反面、おのおのの業種に根ざす別々の問題を持っておる、こういうふうなことでございまして、せっかく私たちとしても努力をしたのでございますが、御指摘のように遺憾ながら必ずしも十分なる政策浸透を見ていなかった現状でございます。ところが、御指摘のように、中小企業問題が持っております重要性は、ここ一、二年、特に本年に入りましてから緊迫の度を加えてまいりまして、御指摘のような海外の諸条件、すなわち自由化を迫られておりますことでありますとか、特に発展途上国の追い上げ、また先進諸国におきます輸入制限、特に米国のドル防衛の諸対策、こういうふうなこと、また国内的には労働事情の変化、労賃の高騰、中小企業がよって立っておりました農富低廉なる労働力という存在の基盤が失われつつある、こういうふうなところから、中小企業問題は非常に緊迫の度を加えてきたわけでございます。私たちこの緊迫の度を真正面に受けておりまして、ただいまやるべきことは中小企業政策について抜本的根本的な対策を考えることであるということで、過日から国会に御報告申し上げてございますように、中小企業政策審議会を開きまして、根本的な対策検討をやっておるわけでございますが、今年度予算におきましても、財政硬直化のおりではございますけれども財政の許す限りの予算を計上したわけでございます。ただ、先生指摘のように、確かに依然として一般予算の比率は通産省所管の中で三分の一弱という数字にとどまっておるわけでありますけれども、今後せっかく、この問題の緊迫度を考えまして、この予算の有効な使用に努力をしてまいりたい。ただ財政投融資のほうにおきましては、国全体の財投額の一三・二%ということになっておるわけでございます。
  5. 岩瀬義郎

    岩瀬説明員 先生指摘中小企業対策費石炭対策費というものの比較でお答えをいたします。今年度の石炭対策費は約五百九十五億円でございますが、それに対しまして中小企業対策費と称せられるものは三百八十二億円でございます。しかし中小企業対策費に対しましては、そのほかに財投中小金融機関中心といたしまして相当の金が出ております。金額にいたしますと、三千五百六十八億といろのが中小企業対策として向けられております。ただいままでの中小企業に対する考え方といたしましては、どちらかというと業種全体、企業全体というとらえ方のほかに、企業に対する保護自立体制というものを中心金融面の配慮というものが相当加えられておったと思います。したがいまして、今後それを業種別にあるいはもっときめこまかくどういうふうに取り上げるかという点が一つあるかと思いますが、たとえば織布業対策とか、今度、昨年できました中小企業振興事業団、こういうものによって企業の協業化とか、そろいうかっこうでかなりの国際競争力強化のための一つ手段というものがだんだん取り上げられてきたということでございます。石炭金額だけで比較いたしますと、ちょっと一般会計だけでごらんいただきますと、石炭特別会計でございますけれども金額中小企業対策費のほうが少ないようでございますが、従来の経緯からいきますと、財投と両方含めて御比較いただければ、石炭よりははるかに大きな金が中小企業対策としてとられておるということが言えるのではないかと思います。
  6. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 いまの中で、長官の言われました抜本的な改革をぜひともこの際やらなければいけない、こういうことで検討をしておる段階だということでございます。ことしの予算も近いうちに成立をするわけでございますから、四十四年度の予算においては私はぜひとも相当思い切った対策をとっていただきたい、こういうことをお願い申し上げたいと思いますし、主計官にもそのようなお気持ちでやっていただきたい。また、確かに財投等を含めれば、中小企業対策と申しますか中小企業に対する措置はとられておる、こういうことは確かに数字をそれだけ合算いたしますと、そういうことになるかと思いますけれども、しかし中小企業自体の現在の状況、これはもうよく言われておりますように、全国の企業数の九割何分までが中小企業でございますし、その分野というものは非常に広いわけでございます。そういう点からいけば、まだまだ私は、今度の財投などの内容にいたしましても、特定のものには相当いくと思いますけれども、なかなか中小企業全体にこれが及ぶわけではないのじゃなかろうか。あるいはまた、中小企業振興事業団相当の金を出していただいておりますけれども、これにいたしましても、その恩恵を受けるというか対象になるのは、中小企業全体から比べれば非常に狭められた範囲である。これは間違いのない事実じゃなかろうか。そういうことを考えまして、私といたしましては、しかし決して保護をしろということじゃなく、前向きで中小企業というものを育て上げていかなければいけない、こういう考え方に立っていただきたい。そういう点からいって、私は決して石炭対策費をやめろという議論を言うつもりはございませんけれども、たとえば石炭対策費というのはどちらかといえばうしろ向きじゃなかろうか。やはり今後の通商政策というものは、大企業に対しては相当これまでやられてきたから、今後は前向きで中小企業対策をとっていっていただきたい、こういうことでございますので、来年度以降の予算においては少なくともそういう考え方でお進みいただきたいということをお願いを申し上げまして、次に進みたいと思います。  そこで、いま申し上げたように、中小企業を育てるよう前向きでひとつ中小企業対策をやっていっていただきたいということをお願い申し上げましたが、逆に今度は、中小企業の中で私は押えてもらいたいというものも正直言ってあるわけでございます。それは最近の労働力の動きを見ておりますと、第三次産業に非常に労働力増加してきておる。これは先進国のスタイルとしてこういう形になるのは当然かと思いますけれども、第三次産業の中において、あるいは商社関係その他のものもございますけれども、たとえばキャバレーだとか、あるいは、パチンコ屋だとか、あるいはトルコぶろとか、少なくとも健全と思われないレジャー、こういうものが非常に最近ふえてきております。またそういうものが私どもの目に映るのでもだんだんゴージャスな感じを持ってきておる。こういうことにおいては相当こちらへも、どういう金かわかりませんけれども中小企業金融に充てるべき金がそちらへ流れておるのじゃなかろうか、こういうことを考え、あるいはまた一方においては、労働力が足りなくて人件費が上がってきておるその一つの原因をなしておるものが、やはり若い労働者をそういう方面に高い給料で吸収をしておるから、必ずしも大企業に吸収されておるから労働力が足りないのじゃなくして、同じ中小企業の中でも不健全な中小企業に案外労働力が吸収されておるのじゃなかろうか。こういうことを考えますと、私は、イギリスで行なわれたそうでございますけれども雇用税を考えるとか、あるいはまた、少なくともそういう不健全な企業に対する融資というものを押えるとかいうような指導、あるいは新しい税金の設置というようなことは、一つの今後の中小企業対策として私は考えていってもいいのじゃなかろうか、こういうふうに思いますけれども、その点について長官からひとつお答えを願えればと思います。
  7. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 直接具体的には労働省行政範囲かと思うのでございますが、私たち中小企業行政に従事しております者として、さしあたり一番の大きな問題は労働力不足でございまして、労働確保ができないために、国民経済上、先生指摘のような非常に不可欠な中小企業が、輸出産業としての中小企業が、あるいは機械産業等成長産業の底辺である中小企業が、肝心の完全なる操業ができない、十分なる企業運営ができない、こういう事態に追い込まれてきているわけであります。したがいまして、私たちは、労働問題につきましては、つとに労働省と密接な連絡をとり、また労働省に対しても種々要請をしておるのでございますが、一番端的なやり方、つまり英国雇用税のようなやり方、これにつきましてはいろいろ非常な無理もあるようでございます。英国におきましても必ずしも成功もしていないようでありまするし、なかなか無理もあるようでございます。そういうふうな直接的な強制手段にはよらずして、しかもまた憲法の保障しております職業選択の自由が侵害されない、こういうことはもちろん大事なことでございますけれども、極力労働力を、特に清新の気に燃える若い労働力というものを国民経済上特に必要とされる部門に振り向けていくという努力を、労働省と手を組んでやっているわけでございます。そのやり方といたしましては、まず福利厚生施設充実でございますとか、あるいは特に職業紹介におきましても、このごろ相当傾斜をつけた紹介労働省でしております。そういう点でございますとか、さらにまた必ずしもいま緊急欠くべからざる方面でない面に先生指摘のように金融が流れるという点につきましては、むしろ逆に必要不可欠な方面中小企業金融が流れますように、中小企業機関金融を拡充いたしますとか、あるいは市中金融機関の誘導をはかりますとか、そういうふうな手を打っておるわけでございますが、この労働問題につきましては、非常に大事な問題でございますので、むしろ教育なり、また一般国民の世論なり、こういうところに期待する面も非常に大きいのではないだろうかというふうに思い、その方面に対するPRと申しますか、世論喚起といいますか、こういうことについても努力をいたしたい所存でございます。
  8. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 そういうことで労働省ともひとつよくタイアップをされまして、労働力の面において必要な産業への確保ということをぜひ御努力願いたいと思いますが、ただ、いまもお話のございましたように、福利厚生の面ですでに各企業、特に中小企業でも苦しい中をやっておる企業相当あります。しかしながら、そういうところから案外労働力がいま申し上げるような方面へ流れておることも事実でございますので、必ずしもその施策をやったから、その設備をやったからというわけにもいかないと思います。いまお話しのように、いろいろ教育の問題もあろうかと思いますが、私どももこれは責任があると思っておりますが、ぜひ中小企業庁におかれましても、その辺をひとつよく労働省と御協議を願って進めていただきたいと思います。  それから金融の面では、いまいろいろお話ございましたが、たとえばこの二月からでき上がりましたところの各地区協議会と申しますか、日銀、大蔵省通産省で御協議を願って中小企業金融確保しよう、こういうことをやっていただいておるわけでございますから、たとえば各地区のそういう協議会などでは、そういう方面へ少なくとも市中銀行の金が流れていないかどうか、あるいは相互銀行なり信用金庫のそういう金が相当流れていないかどうか、そういうことはぜひひとつ御検討をいただくように御指導を願いたいと思います。  そういうことで次に質問を進めさせていただきますが、先ほど申し上げるように、中小企業保護政策であってはいけない、育成政策でなければいけない、こういう点から申しまして、私はこの投資育成会社というものが、その第一条で、中小企業自己資本充実をさせ、そうしてその健全な成長発展をはかるために中小企業に対する投資を行なうんだ、こういう点において私は非常に意義はあるものと思っております。そこで、その第八条の第二項に中小企業投資育成会社中小企業会社新株を引き受ける場合においては、そこの投資を受ける会社新株発行後の資本の額が一億円をこえることとなるとき、あるいはその転換社債を引き受けた場合、その転換社債の全部が株式に振りかわったとした場合に、その資本の額が一億円をこえたとき、そういうときは新株あるいは転換社債を引き受けてはいけないということになっておりますけれども、私、これは想像いたしますのに、この法律ができ上がりました当時は、投資育成会社というものは、あくまで将来株式を上場するという希望を持っておる、そういう気持ちを持っておる会社投資をして、そうして上場するまで育てていこうという考え方があり、しかもその当時の二部への上場の基準というものが資本金一億円以上でなければいけない、こういうことになっておったというところから私はこの第八条第二項の規定ができておるんじゃなかろうか、こういうふうに思うのでございますけれども、その辺お考え方どうでございますか。
  9. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御指摘のように、中小企業投資育成会社のねらっておりますところは、中小企業自己資本充実いたすことが健全な成長発展のためには絶対に必要である。ところが融資方式につきましては、国もいろいろ助成組織制度を考えておるわけでありますけれども融資助成では限度がある、自己資本充実するためにはどうしても資本金の拡充をしていかなければいけない、ところが、その資本金が、中小企業者はどうしてもほんとうの自分の身近な同族でございますとか知人でございますとか、この辺から金を集めざるを得ない、そうすると、ある限度に来る、中小企業がさらに成長いたしますためには、いわゆる社会資本と申しますか、一般世の中の金を資本金に動員する必要がある、このつなぎをしていこうというのが、御指摘のようにこの投資育成会社制度のポイントである、根幹であるというふうに考えております。そういたしますと、この世の中の金を動員するためのしかけとして一番典型的な国の設けた制度が、証券取引所制度でありました。御指摘のようにこの法律を考えました当時は、東京、名古屋、大阪の三取引所とも資本金一億になれば上場できるということもございましたので、この法律立法当時には一億というものを一応上限にしたわけでございますが、遠からずしてその後取引所の実際的な基準に変更があり、引き上げがあったものでございますので、投資育成会社法のその後の改正によりまして、先生指摘の第八条の第二項にカッコを入れまして、通産大臣の承認のあった場合には一億以上にのぼるまで新株の引き受けができるというふうに改正をしたわけでございます。
  10. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 確かにおっしゃいますようにカッコ書きが、昭和四十年でございますか改正になりまして、つけ加えられておるわけでございまして、大臣の承認を得られればその承認額の範囲まではよろしい、こういうことになっておるわけでございます。そこで、私この間資料に基づきまして、投資をされておる会社資本金が一番大きなのが幾らかと調べてみますと、現在二億円が一番最高になっております。しかもその二億円はただのまだ二社でございます。現在株式の引き受けをされておる企業数字で見てみますと、五千万円以下が三十八社、五千万円が三十一社、五千万円をこえて一億未満が五十三社、一億の資本命のものが三十社、それから一億をこえて二億未満のものが十二社、それからいま申し上げます二億円のものが二社、こういうことでございまして、確かにそれぞれ大臣の承認を得れば三億なら三億まで、あるいは名古屋の市場でございますと二億でございますから、名古屋の関係でございますれば二億まで、めんどうは見切れるということがありますけれども、もしこれらのいま申し上げたような、少なくともいますでに投資をしておる会社株式あるいは転換社債を引き受けておる会社、これを上場するまでめんどうを見ていこうということになりますと、これは相当金額が、計算するだけでも要るわけでございますが、その辺はどうお考えになっておられますか。
  11. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 当初、この法律立法当時のゴールと申しますか、到達点の一億という線が先へいったわけでございますので、したがって、会社としては現在育成しております投資先の中小企業をさらにもう一段育て上げていくということが必要であり、また会社といたしましてはせっかくここまで育て上げてきたわけでございますし、また上場できるほど育て上げることが、やはり中小企業者に対する社会資本の動員としては一番正攻法であり、いい方法でございますので、そのように努力してまいりたい。おそらく会社としてはされるし、中小企業庁としてはそのように会社指導いたしたいと思うわけでございまするが、ただ、先生指摘のように、そういたしますと、まだあと数年かかる——最初のころは、新株を最初に引き受けまして五年程度はぐくめば一人前にできるというものを大体見込んで拾い上げたといいますか、投資対象にしたのでございまするが、さらにあと四、五年はどうもかかるということになりそうであります。その場合の金がどの程度要るかということでございますが、これは次々に卒業させていけばいいわけでございますので、それほどばく大な金がかかるとは思っておりませんけれども、しかし、どうも二億なり三億なりの資本金まで育て上げることは無理である、一億の資本金に育て上げることは会社も希望したし、客観情勢も、会社の成長性もあったけれども、これは二億なり三億なりの資本金までに育て上げることは無理であるというものも出てまいるかと思うのでございます。その場合には、そういう上場することが困難であるというふうに見込まれました場合には、この株式の処分をするというふうにこの会社の業務方針はきまっておりますので、その場合には必要な対策会社としても講じ、また役所としても相談に乗っていかなければならないと思います。そのやり方といたしましては、いろいろなことが考えられるのでございまするが、おそらくその当時となりますと、中小企業の経営者はじめ株主も相当力がついてきておりましょうから、そういろ株主に売り戻すということも考えられましょうし、あるいはまた取引先の金融機関にはめ込むということも可能かと存じます。あるいはさらに、取引関連業者と申しますか、取引先にはめ込むということも可能ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  12. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 そういう意味からまいりますと、最初この法律ができ上がりましたときの、一応上場するまで、いわゆる株式を公開するまでのめんどうを見ようという考え方は、上場基準が変わりました今日においては多少後退をした。いわゆる三億まで、あるいは名古屋関係でありますと二億までめんどうを見るということになると、これはなかなかたいへんだ。いまおっしゃるように、確かに金は回ってまいりますけれども、先ほど私が申し上げましたように、まだ相当小さい会社を現在投資をされておるわけでございますから、それを全部一応金が回るまでいますでに投資をされておる会社に対してめんどうを見るだけでも金額相当要りますから、そういう点においてはなかなかそれはたいへんだ。だから、できるだけそうしたいけれども、必ずしもそういう場合だけではないのだ、こういうふうに私いま承りましたが、そういうことでございますと、最初の考え方というのは、そういう意味においては多少違ってきた、こういうふうに解釈してもよろしゅうございますか。
  13. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 投資育成会社に動員し得る資金力と申しますか、これは先生御承知のように、国のつぎ込んでおります資金力は、全体の資本金の中で十数%で、ごく一部でございまして、地方公共団体でございますとか民間金融機関等の出資が主力でございますが、今後この育成会社に対しまして、国を含めましてどの程度の資金力が動員できるかということによりまして、一つには現在保有しております会社株式の公開の問題、あるいは今後会社が引き受けます中小企業者株式の処分の問題、これらは相当左右されるかと思うのでございますが、しかし大体の原則は、何を言っても社会資本を動員いたします一番オーソドックスな方法は、証券取引所に上場することでございますので、これを目がけていく。しかし、ある程度やはり弾力的に考えていく必要もあるというふうに私は考えます。
  14. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 そういうことでありますと、理想としては上場するまでめんどうを見ていきたい、しかしながら場合によればなかなかそういう理想はむずかしい場合もある、こういうふうに私は解釈さしていただきたいと思いますが、そういうことでございますと、これからもう少し考え方を広めていただいて、いまのような資金量でございますと、確かに国から出資をしておるのに応じて地方公共団体も出資をしておりますし、民間からも相当金が出ておりますが、しかし地方の公共団体からは、まだ出資をしていない県もある、こういうことがあるわけでございますから、なお一そうこの出資額がふえるように努力は続けていかなければいけないのじゃないか、こういうふうに考えておりますが、一方投資対象ももう少しその選定基準のワクを広げていただきまして、必ずしも上場するという気持ちがいまなくても、その中小企業会社国際競争力をつちかっていく上においても、あるいはまた大企業の下請として、より脱皮していかなければいけないというような意味においてもこの際資本が必要だ、しかも同族関係においてはもう限度があるというような会社は、やはりこの際拾い上げていただいて、そしてその新株なりあるいは転換社債を引き受けていただく、こんなふうに持っていっていただいて、そしてもちろん、いま申し上げるように、理想としてはそれが上場するまでいくのだ、しかしながら上場するまでということになるとなかなかその会社もたいへんだというような場合には、これは先ほどお話しのように、非常に金融関係においても信用がふえておるわけでございますから、金融機関なりあるいはその会社の株主あるいは従業員にも渡して処分をしていくというような方向にいっていただいたほうがいいのじゃなかろうか、こう思いますけれども、その点いかがでございますか。
  15. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 これは先ほどちょっと申し上げましたように、政府一存でお答えを申し上げることはちょっとむずかしい問題でございまして、会社とよく相談をしていかなければいけない将来の運用方針になるわけでございますけれども、私といたしましては、先ほど申し上げましたように、この投資育成会社に動員可能な資金力はどの程度であるであろうかというふうなことを一面には踏んまえ、また一面には、中小企業の一本立ちになります施策として金融方式が原則であると思うのでございますが、さらに例外的に、強く資本金の片棒までかつぐような力こぶの入れ方というものは、どういう方面に力こぶを入れていったら限られた資金量の場合に最も有効であるかというふうなことも考え、またもちろんこの投資育成会社は商法上の民間の会社でございますので、会社の収益と申しますか、企業としての存立の基礎が脅かされるようなことになってはいけないという点も考えなければならないと思うのでございます。そういう諸点を考えました場合に、いかようなことになりますか、まあ最初お答え申し上げましたように、上場をねらうのを原則とするという方向は現在のところ一応維持していく、しかしそれ以外の方式も勉強していくということをいま考えておる次第でございます。
  16. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 いまおっしゃるように、あくまで商法上の民間会社でございますから、役所として強制はできないということはよくわかるわけでございますが、しかしながら、その性格としては非常に公共的な性格を帯びた会社でございますから、その点は十分会社と御協議を願いたいと思います。その点につきまして、簡単でけっこうでございますが、せっかく参考人として江沢社長お見えになっていただいておりますので、東京会社のお立場でけっこうでございますので、いまの点ひとつお答え願えたらと思います。
  17. 江沢省三

    江沢参考人 武藤先生お話まことにごもっともで、また乙竹長官の御答弁、これまたたいへん適切な御答弁だと思います。私ども企業庁の御指導によりまして、そういう方向でひとつやっていきたい。  重ねて申し上げますれば、法律に最初きめられました上場ということは、これは最終の目標でございますけれども、なかなか情勢が変ってまいりまして、上場基準も変わる、また経済も高度成長から安定成長に切りかわるというふうなことでございますので、その間やはり弾力的な扱いもせねばなるまい、こんなふうに存じております。それでお答えになりましたかどうか……。
  18. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 それから、先ほどちょっと私触れましたけれども、地方公共団体からの出資が、二十一県でございますか、まだ行なわれていない。これは一つには、いままでのその投資先が、たとえば東京都が三十八社、愛知県が三十五社、大阪府が五十社、こういうように、どちらかというと先進地域に集中して行なわれてきた、こういうきらいがあるんじゃなかろうか。そのためにやはりギブアンドテークの考え方からいきまして、なかなか地方の各県が出資というものに協力でき得ないのじゃなかろうか。そういう面ではこの投資育成会社の資金源をふやす意味において、いままだ出資をしていない県に対しては強力に働きかけていただきたいと思いますが、同時に、投資育成会社に対しましては、今後は日本の国土の開発ということも全体の立場から考えなければいけない、こう言われてきておる今日でございますし、また今日までの地域格差を解消する、こういう意味からいたしましても、今後はもう少し地方の各企業にまで目を及ぼしていただいて、そうして株式を引き受けていただくなり、あるいは場合によれば転換社債を引き受けていただくなり、そういう方向に進んでいただきたいと思うのでございますが、その点はいかがでございますか。
  19. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 ただいまの点につきましては、実は四十一年の三月にこの法律の改正が行なわれましたときに、当委員会におかれまして決議をいたされまして、われわれに御指示を賜わった点でございます。で、この四十一年三月までの実績を見ますと、確かに御指摘のように、東京におきましては投資先四十五社の中で二十五社が東京都でございます。百分率で申しますと五五・六、それから名古屋におきましては三十五社中十九が愛知で五四・三%、大阪におきましては三十八社中二十五社ということで六五・八%ということで非常に集中をしておったわけであります。これは中小企業の数も実は非常にこの三地区に多いという点も根っこにあるわけでございますけれども、また会社の開店早々でございまして、PRも十分でなかったという点があったわけでございます。御指示のような決議をいただきまして、その後会社におかれましても、また私たちにおきましても、いろいろ努力をいたしまして、県や通商局、商工会議所等を通じて説明会をやりますとか、特に、この四十年の下期からは中小企業金融公庫の各支店、出張所にこの投資育成会社の相談窓口を設けまして御相談にあずかるとか、あるいはまた、ときどきこの投資育成会社の連絡会議中小企業庁で開きますとかいうふうなこととか、特に投資育成会社におきましても、投資先の開発担当部門というのを設けられまして、鋭意地方の投資先の開拓啓蒙に当たられたわけであります。その後、たとえば東京の育成会社におきましては、東京以外の投資先も相当ふえてきておりまして、四十一年の四月から四十二年の十二月までの成績では、新規の投資先が四十五社、その中で東京は十二社ということで、パーセンテージで申しますと二六・七というふうなことで、非常に東京の比率が下がっておる。大阪も同様にだいぶ下がっております。ただ名古屋は、これはどうも愛知県に投資先が片寄っているらしくて、相当他県の開発を努力されておりますけれども、パーセンテージは変わっていない、こういうことでございますが、相当たち会社努力をしておる次第でございます。
  20. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 それから、民間からの出資が国並びに公共団体以上に多いわけでございます。ほとんど金融機関がその大半を占めておられるわけでございますけれども、今後こういう民間からの資金を導入するということは実際問題としてなかなかむずかしいんじゃなかろうかと思います。特に何か第三条第二項によりますと、国の場合は優先株式になっておるわけでございまして、そういう意味からもなかなか今後民間の資金を導入することはむずかしいと思いますが、その辺の見通しはいかがでございましょうか。
  21. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 御指摘のように、国の株式が優先株式で、これは議決権がないことになっておりますが、その趣旨は、極力地方公共団体と民間で自主的に運営されるように、こういうのが立法の趣旨であったと思うのでございますが、何せその後育成会社が店を開きましてから時間もたっておりませんし、実はこの育成会社の適正投資規模と申しますか総資金所要量と申しますか、これはいろいろはじき方があるわけでございますが、現在七十数億、これは借り入れ金を入れましてあるのが、やはり倍以上の所要資金と申しますか、これがなければならない、資本金もしたがって倍以上にふくれ上がる必要がある、こう思うわけであります。こうなりますと、積極的にやはり民間の資本の動員を考えるということが必要でございますし、しかしまた民間の資本を動員いたしますためには、この会社が一人前になります間の過渡期であると思うのでありますけれども、この一人前になります間は国としてもできる限り資金的な応援をするという必要があるというふうに思います。  なお、政府資本金に対します出資は、三分の一頭打ちということになっておるわけでございます。現在のところは政府の出資分は全体の中の一二%ということで、はるかに少ないわけであります。しかし、今年この予算案も成立し、法律も成立した暁におきましては、おそらくこの政府出資の三億というものが非常に有効な誘導手段になりまして、来年度におきましては民間から相当の出資が期待されるというふうにわれわれは考えております。
  22. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 参考人江沢社長に承りたいのでございますが、われわれ常識的に考えまして、片方国からの出資は優先株式で、配当があれば優先的に取れる、あるいは残余の財産は優先的に配分される。それに対して、民間側から出資されるものに対しては、よほどのことがない限り見返りがない、こういうことになると、なかなか出資をする気持ちになれないのじゃなかろうか。いま長官のおっしゃいますように、三分の一しか国は持てないことになっております。しかしながら、資金量はたくさん要る、こういうことになると、出資を渋られては資金量がなかなか確保できない。私は、そういう点で優先株式というものがかえって将来一つのガンになるのじゃなかろうか、こういうような気持ちもするのでございますが、実際に育成会社をおやりになっておって、出資を受けておられる方々と御折衝になっておるお立場から、その辺の感触をひとつ承りたいと思います。
  23. 江沢省三

    江沢参考人 この出資の関係は非常にむずかしい問題でございます。最初法律ができましたときは、先ほど長官がおっしゃいましたように、政府はだんだん手を抜いて、民間にまかせる、こういう御趣旨だったかと思います。しかし、その後経済も高度成長、安定成長を続けた、それから剰余金も一億から三億になる、こういうように情勢が変わってまいりました。この当時は、おそらくこの法律と同時に非常なキャピタルゲインを予想いたしまして、民間出資は楽々と導入できる、こういうふうな考えであったかと思います。情勢がこう変わりますると、キャピタルゲインを取ることは非常に困難である、しかも長期にわたって資金が固定するおそれがあるというふうなことでございまして、最初予想いたしましたように、借り入れ金でこれをやっていくということには非常に無理がある。借り入れ金は、長い借り入れ金にいたしましても年賦の償還があるわけです。それから金利もそう安い金利を要求するわけにはいかない、こういうことになりますると、その収支と金繰りと両方の面から相当困難がある、どうしてもこういう相当長く育成しなくちゃならぬという事業は、当方も自己資本でやるというのが本筋ではないか、こう思うわけであります。そこで、従来の法律による借り入れ金によるよりも、むしろ自己資本充実という形で投資先の育成を比較的ゆっくりと、安心して見ていくといろのが本筋ではないか、こう思うわけであります。投下資本は見てあげる、しかし、途中で借り入れ金の返済期限が来た、これはひとつ返してもらいたい、こういうことでは何の育成かということになるのであります。私ども投資、いわば新株の引き受け、社債の引き受け、こういうのは投資でございまするが、こういう投資の形によりまして、これを通じて中小企業を育成する、そうして借り入れ金ばかりにたよって、ちょっと風が吹けばがたがた倒れるというような情勢がないように財務体質を改善するということが一方大事だ、こう考えておるのでございまして、育成の方針はやってまいりたい、こう考えております。そういたしますと、情勢の変化によりまして、資金的にいいましても、簡単に引き上げるということはなかなかできないということがございます。ですからここで先ほど申し上げましたように、自己資本によってこれはまかなうのが本筋だ。しかも自己資本を集めますにいたしましても、武藤先生がおっしゃいましたように、非常に危険の多い、しかも長期でしかもなかなか利益が予期できない、また利益をあげるようでは育成に十分な力を注げないということになるわけであります。ですから十分な利益は期待できない。ことに民間資本が喜んで入るということはなかなか想像できないわけであります。そこで政府が十分腰を入れてこの仕事をやるんだ、政府の出資も三分の一という限度があれば、少なくもそのくらいはひとつ自分のほうでめんどうを見よう、こういう心があって初めて民間の出資もついてくるのではないか、こういうふうに思います。  もう一つは、民間の出資は——政府の出資については毎年償還があります。それからまた毎年六分五厘の配当をするようなことになっておるわけであります。民間はそういうような特権がないということになっておりますので、そういうふうな非常に危険な仕事、また長くかかる、そういうものに対して政府の出資が相当程度多く入る、しかもそれが民間出資と同順位に入るということだと、これはついてくると思いますが、いまの法律できめられた状態では、情勢が非常に変わっておりますので、民間出資を集めることはなかなか困難だろうと事実上私は思わざるを得ないわけでございます。それで、商工中金その他で適用されておりますような政府出資は民間出資の配当のあとで取る、危険は政府である程度カーバーするというふうなことがあって、初めて民間資本相当導入し、これを、中小企業の育成という非常に大事な仕事と思いますが、その方面に十分活用できるということになるのではないか、私はこう思います。
  24. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 非常にいいお話を承りました。私も同意見で、確かに国の金を使う側からいけば、国の金に対しては優先的に配当をもらうのがいいのでございますけれども、広い大きな立場から中小企業を育成していくんだという観点に立てば、やはり相当の資金量が要る。そのためには、国がいまの話で三分の一ときめられておれば、やはり民間の金も集めなければやっていけない。そういうことになると、民間の金を集めるために国から出る出資よりはハンディキャップがあるようなことではなかなかこれは集まらないのではないかという点において、私は今度のこの法案の改正で改正していただきたいとは毛頭申しませんけれども、将来の問題としては、優先株式の問題は真剣にそういう点で考えなければいけないのではないか。国としては、やはり中小企業投資育成株式会社を通じてそういう優良な中小企業を育成するのだという考え方からいけば、この優先株式の条項というものは再検討していいのではなかろうか、こういうように私は考えております。  時間もございませんので、次に東京投資育成会社の件で一、二ちょっとお尋ねしたいのでございます。  決算書を私ども見せていただいておりますと、毎年減ってはきておりますけれども、まだ有価証券を四億以上お持ちになっておられます。そしてコールローンに六千万円回っておるわけであります。その点について、これはいわゆる利用のためにやっておられることか、あるいはまだ投資対象が完全に固まっていないために、余裕の金が残っておるからやっておられるのか、その辺どうしてこういうものがあるのか、ちょっとお尋ねします。
  25. 江沢省三

    江沢参考人 いまのお話ごもっともと存じますが、私どものほうの資金の運用といたしましては、すべていつでも動員できるという形に置いております。動員できるようにしておいて、しかも最も有利な形でということでやっておりますので、一部は有価証券に回す、残しておくというふうな形——金融債でございます。それともう一つは預金、コール、こういうもので、これは要望が非常に集中してくれば、それをすべて動員してやるという形にしております。固定したものではございません。
  26. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 そうすると、非常に流動的なものである、しょっちゅうこれは変わっておるんだ、こういうふうに考えておっていいわけですね。
  27. 江沢省三

    江沢参考人 はい。
  28. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 それから、これは経営者といたしまして、こういう非常に利の薄いものであり、しかも国からきておる分に対しては優先的に配当をして消却をしていかなければいけないというような、非常に苦しい、また非常にむずかしい会社の経営だと思うのでございますが、そういう意味におきまして、できる限りむだを省いて、そうして経費を節約して、より効率的に金を回していかなければいけない、こういうふうに私は思います。そこで、ほとんど経費というのはないわけでございますけれども、私、決算書を見ておりますと大きく目に入りますのが、一般管理費でございます。これが東京と大阪と名古屋とちょっと私、比較をいたしてみますと、一昨年の三月までの第三期、これが東京が一億一千五百八十八万、大阪が七千七百三万、名古屋が七千二百十二万、それから昨年の三月までの第四期、これが東京が一億三千七百六十三万、大阪が八千六百八万、名古屋が八千二百七十九万、こういうふうになっております。そこで、東京と比べて大阪、名古屋がわりあい少ない、東京が多い。これはもちろん仕事量にもよると思いますけれども、その点の問題が一つ。  それからもう一つは、私ども、実際に中小企業投資育成会社から投資を受けている、株式を持ってもらっておる人たちの話を聞きますと、最近の例といたしましては、投資育成株式会社からの投資とそれから中小企業金融公庫からの融資、こういうものを一緒にやっておられる会社が、私ども聞いておるとわりあいあるわけでございます。そうすると、そういう人たちの実感といたしましては、たとえば中小企業投資育成会社からも御調査に来られる、中小公庫からも御調査に来られる、しかも同じような調査をおやりになる。しかも、私はっきりわかりませんが、そういう金融機関から出向しておられる職員も実際にあるやに承っております。そういう方はお互いに顔なじみで、しかも顔なじみでありながら、別の法人格でありますために、別々に来て調査をしなければいけない。今度受ける側も同じようなことを二度お答えしなければいけない。そこにもむだというものがあるのじゃなかろうか。東京、大阪、名古屋の問題もございますが、全体の問題といたしまして、今後そういう調査などをする場合には、たとえば中小公庫の借り入れを一緒にやられるようなところは、お互いに分担し合って調査をしていけば、これでそこにむだというものが省けるのじゃないか、こういうように思うのでございますが、その辺どうでございましょうか。
  29. 江沢省三

    江沢参考人 管理費の問題についてお話がございました。管理費の大小というのは、私どもの考えからいたしますると、いかに育成に力を入れるか入れないかということにかかると思います。私どものほうは、私どもの性格上きびしく日常の経費は詰めております。人件費、物件費等も詰めておりますが、しかし、投資先の方々の相談相手になるということでなければこれは役に立ちませんので、それで内部職員の育成、これも相当やっておるわけです。五年、六年の若い方ではとうてい私どもの仕事には使いものになりませんので、それで外から出向を仰いでおるわけでございますが、これに対してもある程度の報酬を出さぬことにはいい人が来てくれません。そういう意味で将来に大きな成果を結ぶために、育成のほうにある程度の資金をつぎ込んでおる、こういうことは申せようかと思います。  そのほか、さらに部外にコンサルタントの優秀な者を頼みまして、私どものほうの手足としてお礼を出しておるというふうなこともやっておりまして、極力合理的に動かすということには日夜私ども努力しておるところであります。  それからもう一つお話のありました、調査について二重になっている部分はないかということでございます。これは私ども、公庫からもだいぶ出向を仰いでおりますので、そういうことのないように平素注意しております。いまお話にございましたのは具体的にどういうことでございますか、あとでひとつお聞かせいただければ、またよく調べて、今後そういうことの起こらぬようにやりたいと思います。よく連絡をとりまして、公庫の調べました基礎のもとに、私どもはまた別の観点から——公庫のほうは担保をとった融資でございます。私どものほうはその企業の成長性というものを診断するわけでございます。診断が違いますから、全部そのままとるというわけにはいきませんけれども、ダブらぬようにやるということは、私ども平生心がけておる次第でございます。
  30. 武藤嘉文

    武藤(嘉)委員 私、あとでまたそういう具体例についてはお話し申し上げるといたしまして、確かに片方はいわゆる安全性、片方は成長性、これは見る観点は違うと思います。しかし、その調査の段階で重複するものも相当あるようでございます。そういうものを私はぜひ分担をし合ってやっていただきたいということでございますので、その辺はそういうことでよろしくお願いしたいと思います。  それじゃ時間が参りましたので、私の質問はこれで終わらせていただきます。
  31. 小峯柳多

    小峯委員長 暫時休憩いたします。  直ちに理事会を開きます。そのままでお待ちください。    午前十一時五十七分休憩      ————◇—————    午後零時六分開議
  32. 小峯柳多

    小峯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。堀昌雄君。
  33. 堀昌雄

    ○堀委員 先ほど武藤委員の御質問の中に、実はたいへん重要な御発言があったと思います。その重要な御発言というのは、実はこの投資育成会社というのは上場を予定しておるところが対象になる。規程で申しますと、規程の第五条には(1)として、「相手方が将来その株式を証券市場に公開する意向を有していること」、これは非常に重要な投資育成会社の規程だと思うのでありますが、これについて武藤委員は、少し弾力的に考えたらどうかという御発言がありました。中小企業庁長官の答弁は、ちょっとそこのところははっきりしていなかったわけであります。  政務次官にお伺いをいたしますが、現行の法律のたてまえは、この規程にあらわされておるとおりだと私は考えるのでありますが、今日の時点で、この部分を改正する意思があるのかどうか、意思があるとすると、この投資育成会社というものの性格がだいぶ根本的に変わってくるわけでありますから、きわめて重大なポイントだと考えておるわけでありますが、政務次官、これについてはどのような御判断なのか、改正する意思があるのかないのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  34. 熊谷太三郎

    ○熊谷(太)政府委員 まだそれを変更する考えは政府としてはございません。
  35. 堀昌雄

    ○堀委員 変更の意思がないということでございますから、考え方としては「相手方が将来その株式を証券市場に公開する意向を有していること」ということになるわけであります。  そこで、この投資育成会社ができてまいりました経緯の中で、五千万円以下の中小企業株式を保持することによって——上場できるという見通しは実は二部市場に対しての上場という考え方だと思うのであります。御承知のように、大蔵委員会で、昭和三十六年当時、株式の店頭集団取引に端を発して、これは取引所類似行為ではないのか、問題があるという提起がありました結果、ここに、昭和三十六年十月でございますか、二部市場というものが設けられることになったわけでありますが、当時は五千万円から実は上場ができるという形で、規約としては一億となってきたわけでありますけれども、まあ一億というのが目安でありましたから、その一億を目安として実はこの法律は書かれておると思うのであります。さっき武藤委員がお尋ねになった、法律のカッコ書きの関係の問題、第八条の二項の問題もたいへんはっきりとここでは規定してあるわけであります。ちょっと読みますと「会社は、前項第一号若しくは第二号の規定により新株を引き受ける場合において、当該引受けに係る新株の発行後のその株式会社資本の額が一億円をこえることとなるとき、又は同項第一号の規定により転換社債」云々「とすればその株式会社資本の額が一億円をこえることとなるときは、その新株又は転換社債を引き受けてはならない。」という、きわめて明快な禁止規定が実はここに設けられているわけです。先ほど長官がカッコのただし書きの話をされておるわけでありますけれども、私はこのカッコのただし書きというのは、法律の条文としてはかように書かれておるかと思うのでありますが、どうもこのカッコのただし書きの条文というものと本文との関係というものは、書き方から見るとまことにどうも不十分なような感じがするのです。「(会社がその株式会社自己資本充実を促進するため特に必要があると認める場合において、通商産業大臣の承認を受けたときは、その承認を受けた金額)」と、こうあるわけですけれども、これはそういう自己資本充実を促進する必要があると認めるということではなくて、要するに上場の基準が三億円ということになったために、その間の資本充実ということなのではないのか。だから、そういうことになると、私は、やはりこの法律をこういろ書き改めをする、改正をしたときに、これはもう根本的な考え方で書き直すべきではなかったか。してはならないといった例外規定が、実はその他のような目的によって置きかえらえておるような印象がしてならないわけでありますが、この点については政務次官、どうですか。直ちにいまの法律に付帯をして修正をしろというわけではありませんが、ちょっとこれは現状に適しないんじゃないでしょうか、この法律の書き方は。
  36. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先生御承知のように、このカッコがこの前の改正で入ったわけでございますが、その改正のときの御審議を勉強いたしてみますると、先ほど武藤委員との御質疑で申し上げましたようなことでこれは入ったことは聞違いございません。ただ、どうも条文は、ほんとうに虚心たんかいに読んでみますると、文章の書き方についてはどうも若干問題があるように考えます。
  37. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私は、現在の二部市場及び将来のあるべき二部市場と、この投資育成会社の問題というのがきわめて密接な関係がありますので、本日は東証の森永理事長にも御出席をいただいたわけでありますが、ちょっとそれに先立って江沢参考人にお伺いをいたしたいのは、この規程のほうで第五条の二項に「相手方の事業が成長発展する見込みがあること」というのが対象になる企業の条件なんですが、それはその最初に投資をするときには成長発展する見込みがあるけれども、五年たっても依然としてあまり成長発展しないという場合にはこれは一体どういうことになるのか、この点をちょっとまず最初にお伺いをしたいのです。
  38. 江沢省三

    江沢参考人 私どものほうで新株の引き受けをしたときには成長発展の見込みがあった、五年たった、ところがどうもその見込みがなくなったという場合はどう処置するか、こういう御質問かと思います。それは具体的に適切な手を打つということしかないわけでございますが、いつまでも資金を固定化させるということが非常に不都合であるという場合には、先ほど長官からもお話がございましたような、第三者に肩がわりするとか、あるいは株主、従業員、こういう方面に持ってもらうというような措置を講じまして、私どものほうは手を抜く、こういうふうなことになることもあろうかと思います。なるべくならば長く私どもはそのお世話をしたいのでありまするが、資金の関係で必ずしもそうはいかぬという場合にはそういうふうな措置をとらなければならぬ場合もある、こう存じます。
  39. 堀昌雄

    ○堀委員 もう一つお伺いをしておきたいのは、実はその三項に、「相手方が過去二ないし三期(当該相手方の決算期間が一年であるときは二期、半年であるときは三期とする。)にわたり配当率年一0%以上の配当をし、または資本金利益率年三五%以上の利益を掲上していること」、なるほど投資をする最初はそういう基準に当てはまっておったのでしょうが、その後にはいまの成長の見込みがなくなるような企業は配当率も下がらざるを得ない、利益が下がってくる。そうして一0%は割れてくる、三五%も割れてくる、こういう問題が具体的に起きてくると思うのですね。そうなりますと、実は上場基準のほうは、その点やはり前二カ年なら前二カ年の配当率が一0%以上であること、あるいは利益率について資本金別にこまかい規定が実はあるわけですね。ですから上場の側と、いまの問題が当初のままでずっと行っていれば、やがてどこかでは行きますが、初めに投資を始めたときは上場基準の方向に向いていたけれども、それがだんだん下がってきつつあるという場合に、これはもう先ほど私が申した見込みがなくなるわけですから、現在要するに東京の場合伺いたいのでありますが、投資をしていらっしゃる中で一0%の配当率を割っておるのは何社くらいございましょうか。
  40. 江沢省三

    江沢参考人 いまお話がございましたように、投資いたしました当時は一0%の配当をしておった、だんだん周囲の情勢によって中小企業が非常な影響を受けますので、まじめに経営しておってもだんだん力が弱くなって、それで無配になるという場合もあるわけであります。親企業の事情等非常に影響を受けやすい、そういう場合も、私どもといたしましては、見通しとしてごく短期に回復し得るという場合には、極力それを育てるという方面に現在力を注いでおります。そのために無配になったのがまた有配に戻ったというふうな会社も出てきておるわけであります。これが私どもの大事な仕事である、こう存じておるわけでございます。  それから先ほど申し上げましたように、どうしてもいかぬというのは、私どものほうから見まして、経営者がどうもあまり信用ならぬことをやる、これは幾ら私どものほうで力を尽くしても、とうていこれはうまくいかぬのじゃないかというふうな場合もあるわけでございます。こういう場合には、それは指導してもどうしても私どもの手に負えぬという場合には、これは何か第三者に処分をする、あるいは従業員に持たせるというふうなことで、それで私どもは手を引かざるを得ないという場合も今後出てくることもあるかと思います。
  41. 堀昌雄

    ○堀委員 お伺いしているのは、すでに一0%の配当率を割っておるものが現在投資何社中何社あるかということをお伺いしたのです。
  42. 江沢省三

    江沢参考人 失礼しました。こういうことは営業の機密に属しますので、あまり……。(堀委員、「名前はいいです、おたくの内輪の数」と呼ぶ)私どものほうで新株を引き受けまして——私どものほうの頭に残っているだけで申し上げますと、無配に転落しましたのが五社ございます。五社ございますが、いずれも私どものほうが手を入れて指導いたしました結果、漸次上向方向にきておる。ですから、いまところ資産内容についてはそう心配のものはない、こう申し上げていいかと思います。
  43. 堀昌雄

    ○堀委員 実は最初に私が申し上げたように、会、社が心配ないとかあるとかということは、これは私は実は二の次じゃないか。投資育成会社の場合、もちろん心配があっては困るのですが、心配があるなしではなくて、この目的が上場を目的としておる以上は、常にやはり上場の基準に合うような経営ができていない、会社は心配ないという、そういうことではちょっと問題があろうかと私は思うのです。無配の前に、一割配当からすぐ無配になるのではなくて、やはり七分なり八分なりになる場合もあっただろうし、あるいは五分の配当をされたときも——五分以下というのはあまりないかもしれません。ですから、私がいまここで申し上げておることは、要するに上場が目的という関係がどこまでシビアーに理解されて行なわれておるかという点をちょっと伺ってみたわけであります。  そこで、証券局長も入りましたから、森永理事長にお伺いをいたすのでありますけれども、現在の二部市場の功罪というものは、これはいろいろ判断をする角度があろうかと思います。ただ、私は実は三十六年当時も大蔵委員でありましたから、当時の論議を承知しておるわけでありますが、店頭集団取引のやり方が市場類似行為であるから、何か適切な処理をしろという国会側の要求に対して、実は二部市場が唐突の形で出てきたわけであります。今日私の承知しておる範囲では、二部市場ができましたので、ごく一部の例外的なものはありますが、一般的なオーバーザカウンターの取引というものは、大蔵省指導のもとにやらないようにされておるように私は理解をいたしておりますが、取引所ではどういう理解をされておるのでしょうか、オーバーザカウンターについて。
  44. 森永貞一郎

    ○森永参考人 一部、二部を通じまして、いわゆる上場銘柄につきましては市場集中ということで、店頭取引はないというのがたてまえになっております。
  45. 堀昌雄

    ○堀委員 いえ、私が申したのは、上場株以外のもののオーバーザカウンターの現状でございます。
  46. 森永貞一郎

    ○森永参考人 上場以外の銘柄につきましては、登録銘柄と称しておりますが、証券業協会で一定の条件のものを登録いたしまして、その登録銘柄につきましては若干の店頭取引が行なわれておる、そういう状態であると心得ております。
  47. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと証券局のほうに伺いますが、いま登録銘柄というのがあって少しやっているわけですが、店頭取引、要するにオーバーザカウンターをやらないということになると、いまの投資育成会社というのは、大体五千万円からスタートしますと、まあまあ二億ぐらいまでというのが精一ぱいの限度だと思うのですね。片や三億なんです。最近の上場基準というのは約三億。一億ほど差があるのですが、これはいまの時点の話ですね。これは最近の状態から見ると、二部市場というものはさらにレベルアップをされる必要が出てくるのではないか、要するにいまの通貨価値の問題あるいは経済の成長の問題等から考えて、いわゆる上場株というものは漸次レベルアップをされていくのが筋道じゃないだろうか、私はこう思っておりますから、そうすると、その間がだんだん開いてくる。投資育成会社のほうはようやく二億まで追っていったと思ったら、今度は上場基準がかりに五億に上がってしまうとしますれば、片一方が追いかけていっても、先はだんだん先へ行くという現象が起きかねないわけですね。そうすると、その間を埋めるのは——業務規程書にこういう表現があるので、そこを含めて考えていらっしゃるのかと思うのですが、業務規程書の九条に「本会社は、前条第一号の場合においては、その保有する株式を入札の方法により適正な価額で処分するものとする。ただし、当該株式について市場価格が形成されているときは、これによるものとする。」とあります。そうすると、市場価格が形成されるというのは、上場のされていないものの場合のことを書いてあるわけだから、オーバーザカウンターで価格ができているということをさしたのではないかという感じがしておるわけですが、その点、育成会社のほうの規程ですから、育成会社ではどういうことを考えてこれをお書きになったのでしょうか。
  48. 江沢省三

    江沢参考人 第九条に、お話しのように、「入札の方法により適正な価額で処分するものとする。ただし、当該株式について市場価格が形成されているときは、これによるものとする。」と、こうありますが、これはどういう状態で市場価格が形成されておるかという問題があるわけですが、第二部市場に上場されるというのもそうでしょうし、それからその株について売買が行なわれたというふうな場合には、その売買の価格をある程度参考にして私どものほうで考えるということもあり得る、こういうふうに考えております。
  49. 堀昌雄

    ○堀委員 これは処分が二つありまして、上場された場合の処分もありますから、そのことはいまおっしゃるようなことになると思うのですが、要するに私はこれを見ておりますと、上場されるまでは何か非公開であるというような発想が土台にあるんじゃないのか。しかし公開という問題は、上場イコール公開ではなくて、さっき私が申し上げたような店頭取引に出られるようになれば、これは公開になるわけでして、上場でなくても公開という問題が実はその前に一つあるわけです。ですから、私は証券局長に伺いたいのは、今後のあなた方の考え方の方向としては、これは法律に基づいているわけではありませんから、行政指導範囲の問題ですから、行政指導範囲としては、だんだん上場基準が上がるにつれて、やはり優良株の店頭取引というものが、現在アメリカで行なわれておるようにフェアに行なわれるということになるならば一やり方の問題は別個でありますが、フェアに行なわれるということになるならば、検討の余地があるんじゃないか、いまのようなやり方ではなく。それまでには、要するに店頭取引、オーバーザカウンターのものであったのを全部一応二部に入れたから、当分こっちはないんですよということは、私は二部市場ができた当初は当然だ。今日の三億は、三億にまで上げてなってきた経緯の中では、日本資本の状態というのは、小さいところがいきなりぽっと三億になったかというとそうではないのですから、当然その中間的なオーバーザカウンターがあっていいんじゃないかというのが私の一つのものの考え方なんですが、局長はその点について——アメリカは市場取引にそういうことをやっておる。上場銘柄以外はオーバーザカウンターが相当に多く行なわれておる。ただ、やり方はフェアでやっており、SECがちゃんと監視してやっているから問題はない。こうなっておるんですが、その点はどうなんでしょう。
  50. 広瀬駿二

    ○広瀬政府委員 いまのお尋ねは、現在の三億円の基準がだんだん上がってくるんじゃないかということをおっしゃっておりますが、その辺につきましては、この三億円というのは、本則では本来一億円となっておるわけですが、これを四十年十月二十六日に取引所理事会の決定をいたしまして、三億円に引き上げた、と申しますのは、当時二部に上場されているわりあいに小さな資本会社の中で、倒産するものがかなり出たということでそういうふうになった、というふうに私は聞いております。  そこで、今後どうなるかということでございますが、上場会社の信用を高め、投資者を厚く保護するという見地からするならば、かなり上げていくという方向があるかと思いますけれども、一方、これを上げますことは、中型企業資本用達の場のほうに障害を生ずるということもございますので、いまのところこれを上げるという方向は出ないんじゃないかと思っております。
  51. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、私は方向としては、いま上げるとは言ってないんです。ただ、これまでの一億が三億になった経過、通貨の状態、経済の全体の広がりから見て、これがずっとこのまま三億ということではなくて、やがて上がっていくのではないのか、方向としてですよ。というのは、一部の上場基準だって、初め一億だったものが今日十億になっておるわけですから、だから、それはやはり日本経済と物価との関係から見て当然のことではないか。しかし、すでに三億であっても、投資育成会社でさっきから問題になっておりますように、一億円以上の資本金になっておるものは現実にわずかしかないわけですね。ましてやこれから五千万以下の入れるやつから三億円までのものはこういう投資会社だけで育成をしようなんといことは、私はたいへんむずかしいことだと思うのです。それなら、いまあなたの触れた中堅企業資本充実の問題というのを考えていこうとするならば、こういうものと上場との間に、優良なそういうものが売買されて流通がないところでは公開の原則は成り立っていないわけです。だから、そこで、流通したときに初めて公開の原則が成り立って、他の投資家もそこへ参加をしてくる。その参加をしたものがだんだんふえてきて、一般的に、要するに取引所として責任が持てるようなものになったときに上場する、こういうふうになるのでないと、高いところがあって一ぺんに踏み段から二階へ飛び上がらなければならないような上場の基準のあり方は、少なくとも中小企業資本充実という発想からするならば、ややそこの間がギャップになるのじゃないか。そのギャップをフェアに埋める方法としては、いま私がいう店頭取引というものをやるやり方はアメリカの方式その他を検討すればいいけれども、もう少し弾力的に考えて処理をすることが必要ではないかという考えを持っているわけです。  いま政務次官にお入りいただいたから、これはやや政治的な判断も入りますが、いまちょっと申し上げたように、いま上場基準というのは第二部は三億円なんです。投資育成会社というのは、スタートは五千万円から以下のものにやろうということなんです。五千万円以下のものを三億にするのは、実はなかなかたいへんなんです。だからもしこの三億が固定をしていて、そうしていまのオーバーザカウンターというものがかりにもしできないとするならば、逆に、ひるがえって、私は投資育成会社というのは再検討しなければいかぬと思うのです。どっちかを考えなければいかぬ問題だと思っているわけです。だから投資育成会社をこのままにしていこうというなら、上に少しゆとりがあるものを設けるということでないとおかしいし、これはどうしてもだめだというなら、投資育成会社を考え直す。これは発想源というのは、投資育成会社は三十八年にできたわけです。これは三十五、六年ごろの株式ブームの中で発想が具体化したことなんで、客観情勢が全然違うことなんです。だからそこらで再検討の必要が出てきている。この問題をどっちか整理しておきませんと、ただ単に国が一億出した、二億出したというだけでは解決する問題じゃないと私は思っております。そこで方向として、中小企業を育成していくというなら、そのオーバーザカウンターをひとつ考えるということが必要になってくるのじゃないかということが、きょうの私の一つの問題提起なんですが、政務次官はどうでしょうか。その方向で御検討いただけますか。
  52. 広瀬駿二

    ○広瀬政府委員 事務的な判断のこともございますので、先に私から申し上げておきますが、先ほど森永理事長がお答えになりましたように、店頭取引のものは登録になっておりまして、これにつきましては発行会社側の申請に基づいて登録するというふうに聞いております。その申請は現在のところあまりないようでございます。それを広げる方向が政策的にあるかということのお尋ねがあったと思うのですが、その辺は政策的な政務次官の御判断も要ると思うのですが、私ども従来事務に携わっている者としましては、それを広げる方向を考えたことはないということであります。
  53. 堀昌雄

    ○堀委員 だから私が伺っているのは——じゃ、ちょっと理事長のほうにお伺いいたしますが、取引所の立場として、現在、日本の将来の企業のあり方というものは、いまの千社余りの上場会社だけが対象になっていると私は思っていないわけです。日本の場合には中小企業というものが非常にすそにたくさんありまして、その中の優秀な企業は、やはり国際競争力の立場から見て、だんだんと中堅企業になり役に立っていってもらいたい。しかしいま、そういう意味では、中間に断絶したところがあることは、実はよくおわかりだと思うのです。そうすると、これを連続させることが、日本のそういう流通なり発行市場を発展させていく面から見て、国民的利害として必要ではないか、こう考えているわけです。ところが、いろいろ経緯がありますから、そういう店頭集団取引がやや行き過ぎの感があったものですから、国会で取り上げて、これはおかしいではないかということで、それがもう少し十分検討されて行なわれていれば問題なかったのですが、当時の大蔵省はちょっとあわてまして、そうしていきなり指導した結果が二部市場ということになって出てきた。当初の二部市場の指導のあり方でよかったかというと、非常に問題があった。取引関係者の間にも非常に意見があったけれども、ああいうものが出てきて、出てきたものがどうなったかというと、倒産企業が続出して、委員会に東証及び大阪取引所理事長に来ていただいて、上場基準を上げるべきだ、こんな粉飾決算をやっておいて倒産するようなものをなぜ上場するのだと私はだいぶ詰めて、実はだんだん上場基準も上がってきた。だから国民が安心して投資のできる、そういうことの意味では上場株には非常にきびしい限度が要るけれども、それだけではちょっと問題があるのではないか、やはりその中間を少しつなぐものを制度的に考えるべきだ、こう思うのですが、取引所の立場としてはいかがでございましょうか。
  54. 森永貞一郎

    ○森永参考人 現在の二部市場の沿革その他につきましては、いろいろ問題がございますことは御指摘のとおりでございますが、私どもといたしましては、一部、二部を通じまして上場物件の純化と申しますか、内容をよくして投資家に御迷惑をかけないようにという点を一番中心に考えておる次第でございます。その意味で二部上場の基準が現在三億円に上げられたわけですけれども、私はそれは当然の措置であったと存じます。ただし問題は資本金だけではないと存じます。そのほかにも経理の内容その他いろいろな問題があるわけでございまして、その意味で今後の措置として三億円をすぐに上げることは考えておりません。しかし、ただいま御指摘がございましたように、三億円と、たとえば投資育成会社でいま融資せられておる最高の資本金のものがおそらく一億円くらいでございましょうか、その間の中小企業資本調達の面でほうっておいてよいということでもないと存じます。店頭取引を活用したらどうかという御意見でございますけれども、確かにそれは一つの御意見だと存じます。ただ、いまの登録銘柄というのは、取引所に上場しておりましたものが、いろいろな事情で落ちましたようなものが中心になっておりますので、その辺にいまの登録銘柄がすぐそういう中小企業の育成強化にお役に立つかどうか。中には、そういう落ちた銘柄でなくて発生した銘柄もあると存じますが、その辺のところはいろいろ検討しなければならぬかと存じますけれども、証券市場における公開は取引所に上場することだと思うのでありますが、公開そのものには若干の弾力性があってもいいのではないかという感じが私はいたしております。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 いま理事長のおっしゃったように、私もあれもこれも店頭でやれ、こう言っておるのではないですよ。ただ投資育成会社が三億になるまで持っていなければならぬということでは、ごく少数の特定のもののところに資本が集中してしまって、本来の中小企業対策とはならない。もう少し幅広くやってレベルアップをし、そこから自力でやりなさいということでなければ、中小企業投資育成会社をつくっても意味がないことだと思うのです。さっき法律改正のところをちょっと触れたのですが、一億円以上になったら投資をしてはならぬと本文は書いてある。本文はこれは実情に合わぬから修正したのですが、この修正を取り消してしまって、一億円以上は投資をしてはならぬという内容の本法のほうを生かして、一億円以上になったら卒業生にする、その卒業生はオーバーザカウンターで引き受けていけるものでなければ困るのですが、信用もあるし、十分なものだということになって、それがそういう店頭取引を通じて増資もできるようになって、三億になって上場されていくというコースを考えない限り、投資育成会社としてはちょっと問題があると思うのです。このことは単に中小企業庁なり通産省の問題でなくて、やはり日本の証券市場に連なっておる流通市場、発行市場関係の問題でありますから、大蔵省としても、何でもかんでも店頭取引にしろと私は言っておるわけじゃないので、そういう優良企業を新たな登録制にしたっていいでしょう。それについていまの理事長のお話のように、落第したものは落第したので別にあっていいでしょうが、また新入生を受け入れる店頭取引の立場というものが今後の見通しとして開かれていいのじゃないか。その点について、きょう開きますという答弁もできないだろうけれども、ひとつ政務次官、前向きに検討してもらって、三カ月くらい後に大蔵委員会に行ったときでもいいですから、正式にその検討の成果を伺うということでもいいのですが、どうでしょう。
  56. 倉成正

    ○倉成政府委員 私も議論の途中から伺いましたので、はっきりしたことはわかりませんが、大体森永理事長からお答えされましたように、いまの店頭取引というのが、いわば自然発生的に出てきたもの、これについて証券会社から申請しまして、登録銘柄にしているということであります。ですから、堀委員のおっしゃるお気持ちはよくわかります。いわば入学試験の前の予備校というか、そういうのをつくって、そこで十分体質を鍛えた上で、二部に上場するものは上場していいじゃないかというお話でありますけれども、ただこれが行き過ぎますと、せっかく市場を設けた意義がなくなってくるということにもなりますので、やはり自然発生的なものについて、ある程度オーソライズして高値、安値を明らかにするという、登録銘柄の制度というのがいま生まれてきておると思うわけでありますから、その辺のところを、これを広げるという意味では、なかなか御賛成いたしかねるわけでありますけれども、しかし、いわば一億から三億までの間の資本調達をどうしますかという意味でいま行なわれておる制度を含めて検討してみようということであれば、ひとつ前向きで検討いたしてみたいと思います。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 実は、アメリカの制度は、上場以外のものが、相当そういう特殊な証券会社がありまして、オーバーザカウンターの取引がされているわけですね。私、ふしぎなのは、上場されるのは三億になって、その三億になるまでは一体どういうことでやってきているのか。これは投資育成には関係ないのですが、最近の状態は——時間がありませんから私のほうからちょっと申し上げると、三億になってから実はすでに十二社上場されているわけですね。十二社上場されて、最初には三億から五億が七つ、五億から七億が二つ、十億から二十億が三つというふうに二部に新たに上場されてきて、それで現在はそのうちで三億−五億というのはもう四社になってどんどん大きくなりつつあるわけですね。そういうことを見ると、一体三億になるまでは投資育成会社の手を経なくてもなっているのが実はあるのだから、そこに一つ問題がありますけれども、私はそういうのは、突然として同族から公開になっているのか、そこらを調べてみなければわかりませんけれども、やはり私は、そういうアメリカで行ない得ることは日本でもすみやかに行なうことによって、そういう中堅企業を育成する場を少し考えたらどうだろうか。   〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 資本金だけの問題じゃありません。さっき、理事長がおっしゃったように、資本金だけの問題ではありませんが、やはり現在の日本の場合には資本過小の状態ですから、資本金というのはある程度やはり目安として重要視しなければならぬと思いますから、現状を見ると、二部で一億から三億までというのは、わずかに二0%であって、八0%は二部上場といえども現状で三億以上なんですね。それから五億以上を見ますと、大体五六%くらいが五億以上ということになっているわけです。これは私、だんだん動いていくだろうと思うのです。二部の中でも当然資本はふやすべきものでありますから、だんだんそうなってくると、私は将来の方向としては、必ずしも二部市場をつくったのが適切だと思っていないものですから、将来の方向としては、私はやはり、あるべき証券市場は、全部一部になるようなかっこうになる、私はこういう気持ちなんですよ。そうなってきたときに、またレベルアップのために二部市場をつくらなくて、一部に上場銘柄というものはだんだんレベルアップをしてくるけれども、その間をつなぐものが当然ある形になってくるのが望ましいし、それがそのまま過当投機その他を誘発するのでなくて、フェアな処理方法によって行なわれるという指導が行なわれるならば、私は日本中小企業の増資や流通その他に対して、非常に役に立っていくのじゃないかと思うのです。だから、中小企業対策というものは、何か通産省は一生懸命中小企業庁でやっておるけれども、案外大蔵省のほうはそれに無関心、とは言いませんが、金融くらいの問題だけで済んでいるということでは、ちょっとまずいのじゃないだろうか。やはり証券問題を含めて、大蔵省側としても、そういう形から中小企業を育成していくのだということについても配慮していく必要があるのじゃないか、こう考えますので、この点はいまの御答弁でけっこうですが、ひとつ私の例の方式によって、それについての大体の目安はいつごろになったら御答弁いただけますか。検討の結果はいつになったら明らかになりますか。それをちょっと倉成政務次官にちょっと伺いたい。
  58. 広瀬駿二

    ○広瀬政府委員 また事務的な立場で申し上げますが、ただいまのお話は、登録された店頭取引の制度的な整備を考えたらどうかというお話だと思いますが、これはなかなかむずかしい問題だと思います。私もきょうお話があるまで十分勉強しておりませんでしたが、この店頭取引のほうの管理は証券業協会のほうでやっております。証券業協会について管理と申しましても、値段を公表するということによりまして、まあ投資家大衆の保護ということにはなりませんけれども、参考に資しておるというのが精一ぱいの段階でございまして、したがいまして、これを公正な価格形成が行なわれる、あるいは流通の円滑をはかるという意味では、つまりそれはもう市場に上場と同じ意味になると思いますが、そこまでの制度的なものを考えるということは、非常にむずかしい問題ではなかろうか、ことに現在の証券会社の能力、あるいは証券業協会の能力等からいいまして、ただいま先生いつごろまでとおっしゃいましたが、ちょっとその辺は事務的に一おそらく政務次官から私のほうに御下問があると思いますけれども、われわれ事務の者の立場といたしまして、時間的お約束はなかなかできないように思います。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 私が言っているのは、いつまでにやるかということを聞いておるのではないのですよ。私はいつも質問をしますときには、いつまでに返事を出しなさいと言っているのです。だめならだめでいいんですよ、やるならやるでいいんですよ。私は委員会で言いっぱなしをしないのですから、必ず締めくくりをつけるのです。その答弁が、次に検討し考えた結果、返事ができる時期はいつか。だから、だめならだめでいい。やるならどういう方法でやるか、再検討するならどういうところを再検討するか。要するに、ここで言ったことを言いっぱなしにして、あなた方のほうは話は聞いたけれども、たなの上に上げておけばいいんだということは、私は好まないのだから、ここで必ず締めくくりをつける、委員会でつける。それは大蔵委員会でもいいが、私のこれまでの約十年間の主義ですから、そこで、その返事はいつできるかということをまず聞いておきたい。だから、その検討の期間ですよ。
  60. 広瀬駿二

    ○広瀬政府委員 そういう意味のお尋ねでございましたら、いま私が申し上げたようなことで、すぐそういうことにつきまして制度的にできるということは、ちょっと申し上げられない。おそらく何というんですか、はっきり申せば、そこまでは証券局の立場としての問題を越えているんじゃないかというふうに考えております。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 証券局としての立場を越えているという御答弁、まことに私、ちょっとおかしいと思うのは、いまともかく登録という制度を認めてオーバーザカウンターを認めているでしょう、認めていないのですか。——じゃ少しきっちり詰めていきましょう。
  62. 広瀬駿二

    ○広瀬政府委員 認めております。  いま私のことばが悪かったかと思いますけれども、証券局の立場と申しましたのは、投資保護という立場という意味でございまして、中小企業育成というのは、また別の立場だということでございます。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 私も長年証券問題をやっておりますから、投資保護のないようなことを私が言うはずはないわけですよ。だから投資保護をするために、一体どういう手だてをすればいいのかという問題を検討してもらうのであって、いまのままでいったら、できるかどうかなんという議論を私はしているわけではないのです。アメリカだってちゃんとオーバーザカウンターがあって、あなた方よりさらにきびしいSECがにらんでいて、問題がないから行なわれているわけですよ。アメリカでどうオーバーザカウンターをやって、SECがどうやってその監視をしているかということをつまびらかにしないでおいて、できますとも、できませんとも、あなた方がここで答弁されるのは、あなた方の不勉強だと思う。だから私の言っていることは、いまあなた方が法律のワクの中で、法律に基づいて登録したものはオーバーザカウンターを認めている。登録したのはやはり主として落第生ということだったでしょう。いま理事長がおっしゃったように、落第生は認めているけれども、新たに出てくるものは認めないということは、判断の基準としておかしいんじゃないですか。どうですか、そこは。
  64. 森永貞一郎

    ○森永参考人 先ほど、取り消されたものが大部分であるように申し上げましたが、取り消されたものがそこへ落ちてまいりますけれども、大部分はそうでない自然発生的な銘柄のほうが多いようでございますので、その点ちょっと訂正いたしておきます。
  65. 広瀬駿二

    ○広瀬政府委員 いま理事長がおっしゃったのと同じことだと思いますけれども、落第生ばかりではないのであります。  それから、アメリカの登録その他につきまして勉強しないで、というおしかり、まことに恐縮でございます。局といたしましては、いろいろ勉強していて、私自身がまだ未熟でございますために、十分ここで御説明申し上げられない状況でございますが、アメリカのようなかなり進んだやり方、これにつきまして、十分参考にして勉強しなければならないというふうに思っております。先ほど私が申し上げた言い方と違っておるかもしれませんが、登録の制度が少しでも投資保護に資するように持っていけという御質問でございましたならば、そういう方向の勉強もいたしたいと思っております。
  66. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、何もないところに新しい制度をつくれと言ってないんですよ。いま登録でオーバーザカウンターを認めているんだから、優良なもので、そして登録をして、その登録が過当になるときには、これまでと証券会社が違うんですから、オーバーザカウンターといったって、これまでの登録制の証券会社がオーバーザカウンターをやるんじゃないんですから、免許にして権威を持たせた証券会社がオーバーザカウンターをやるということは、要するに、ことしの三月三十一日以前と以後ということは、発想をあなた方は変えなければいかぬですよ。免許制になった証券会社をこれまでと同じ証券会社と思うこと自体に問題があるのです。少なくとも政府として権威を与えた証券会社がオーバーザカウンターをやるについては、おのずからそこに限度があってしかるべきで、その限度を越えてやるならば、その証券会社は免許を取り消すべきですよ。いいですか、私が言っているのは、行政があまり先に行かないで、要するに、取引所なり証券業協会の自主性に基づいて、中小企業で優良なものを登録の申請ができるようにして、したものについては、証券会社が責任を持って、過当取引の起こらないようにそういう処置をしていくということなら、この制度をもう少し広げてもいいではないか、と言っているわけです。私は、何もないところに新しい制度をつくれと言っているわけではないですし、その程度の検討ができないというならば、そんなことくらいできない証券局なんか要らないと思うのです。私は、証券局ができるときからずっといたわけだから、証券行政については、今日までの証取法についてはいろいろな意見を述べてきた。私は、おおむねそれでいいと思っているだが、しかし、この問題を契機にして考えてみると、少し問題をこまかくきびしく考え過ぎてはいないか、投資保護もさることながら、同時にやはりそういう中小企業の育成という側面も考えて、あわせて両立する方法があるではないかということが、私の問題提起なんです。そこらの検討ができないというんなら、証券局なんてあってもなくてもいいじゃないかと私は思う。行政整理、改革で証券局をつぶして、苦みたいに理財局に合併したっていい。それぐらいの熱意を持って前向きに検討する考えでやってもらわなければ困ると思うのですが、どうでしょうか。
  67. 倉成正

    ○倉成政府委員 証券局長のことばが足らなかったと思いますが、いまの店頭取引の問題ですが、これは、もう少し実態を明らかにすることが必要でございます。ちょうど税法その他いろいろな仕事に非常に追われておりますので、本来、直接金融と間接金融のあり方なり、また先ほど森永理事長もお話しになりましたように、一部、二部の循環の問題、そういう問題を含めまして、いまの問題は考えるべき問題ではなかろうかと思います。したがいまして、いろいろ関係方面の御意見も聞いたり、あるいは実態をもう少し勉強いたしまして、証券局または大蔵省としての意見を二、三カ月の間にまとめていきたいと思っております。
  68. 堀昌雄

    ○堀委員 時間がきたようだから、倉成政務次官はけっこうです。  取引所の森永さんにお伺いをいたしますが、いまのお話のようなことで、私は、いま登録されている店頭銘柄が必ずしも日の当たる場所での取り扱いになっていないように思うのです。そういうことはやはり問題があろうかと思いますので、取引所も、会社も、四月一日から心を新たにして発足をしていただくような条件になっておるわけでありますから、この際、そういうものを含めて、売買その他の管理を十分に気をつけていただいて、もっと大手を振って取引ができるような方向に持っていく必要があるのじゃないだろうか、私はこう思いますが、どうでしょうか、理事長。
  69. 森永貞一郎

    ○森永参考人 私どもが商売いたしておりますのはもちろん上場証券だけでございますけれども、上場に至らない証券につきましても、たとえば登録制度等のもとに——集団取引では困ります。取引所の中での集団取引では困りますが、店頭売買が行なわれて、次に、そういうことによって企業が育成されていくということはむしろ自然の姿でもあるのじゃないかと考えておるわけでございます。私もまだ、証券業協会による登録取引の実情をそれほどつまびらかにいたしておるわけではございませんが、今後ひとつよく検討いたしまして、取引所として何か意見を申し上げるようなことがございますれば申し上げることにいたしたいと存じております。
  70. 堀昌雄

    ○堀委員 せっかく森永さんがおいでくださっでおりますから、実はこの案件に関係がないのですが、二、三点だけお伺いしておきたいのですが、四月一日からいよいよ免許制の会社が発足するわけですが、免許会社に会員と非会員と二つあるということはまことにおかしいというのが私のかねてからの持論なんです。しかし、現実は、そういうものが残されたままで四月から免許制というものが実質発足をしていくわけです。そこでお伺いしたいのですが、取引所としてごらんになれば、取引所は会員だけのものですから、非会員の取引についてみれば、アウトサイダー関係がないようなものでありますが、私どもから見ますと、免許業者というのは何か同じであるべきなような感じがしているわけですね。経過として、この前、連合証券でありますか、かつて非会員の方々を集めて会員にしたという問題もありますから、今後の方向としては、現在非会員である方たちを何らかのかっこうでそういうふうにプールして、会員として登録されるような方向になれば、免許業者イコールすべてが会員で、公平平等の立場で取引ができて、そのほうがこういう資本市場の育成強化のためには望ましい姿ではないか、こういうふうに私は思うのですが、その点について理事長のお考えを伺いたい。
  71. 森永貞一郎

    ○森永参考人 たてまえといたしましては、免許を受けました有価証券業者の中のある者が取引所をつくる、そういう法制上のたてまえになっておりますので、すべてが会員になるということは制度としてはちょっと考えられないことでございますが、しかし、実際上の推移としては、非会員業者の数がだんだんに減ってきている、その非会員業者につきましても、いろいろなルートを通じて取引所とのコネクションがついてきつつある、そういう実情にはあるわけでございます。制度として、会員だけということにはなかなかなりかねないのじゃないかというふうに考えます。
  72. 堀昌雄

    ○堀委員 証券局はその点どうなんですか。まだはっきりしていないのでしょうか。非会員で免許になるものがあるといいますね。私は、かねてから、免許した者が同じ上場株を取引するのに、手数料が片方と片方が違うということはたいへんおかしいと思っているのです。だから、本来ならば、免許をしたら、それは会員になるくらいのことがやはり望ましい。これは強制できることじゃありませんが、望ましいと思っていたのですが、指導の方向としてはそういう方向に指導していく意思があるのかどうか。格差がついていることは、収益その他の面で非常に格差がつくわけですから、免許した以上は、同じものになるようなふうに助成指導するのがやはりいいのじゃないかと思うのですが、その点はどう考えますか。
  73. 広瀬駿二

    ○広瀬政府委員 ただいまの御質問、免許をざれた会社のすべてが会員になるようにレベルアップをすべきじゃないかといろお尋ねでございますが、それぞれの証券会社としての能力がそれにふさわしいものになることはもちろん望ましいと思いますけれども、会員と非会員との区別ということはやはり現在やっておりますし、すべて会員に持っていかなければならぬというような指導をやっておるわけではございません。また、今後もそこまで、証券会社即会員というところまで制度として持っていこうということを考えていることはございません。
  74. 堀昌雄

    ○堀委員 いや、制度はそうなってないのですよ、法律のたてまえが。いま森永さんおっしゃったように、取引所というのは、会員のうちのある者が集まってつくる、こう法律に書いてあるわけですから、私はそれを直せと言っているわけじゃないのですけれども、ただ、免許をしておるものの中に手数料が違うということは、おのずから条件の悪いものがあるわけでしょう。だから、これが同じ条件になるようにしたほうが投資家のためにもいいわけですからね、安定して、いいわけだから。制度はともかく、そういう人たちが自発的に何社か集まって、そうして取引所の株を買って、そういう廃業した人たちの株を買うなり何かしたときに——かつて例があるわけですよ。連合証券とかいう例があるわけだから、そういう方向でなるようには考えていないのかどうかということをちょっと聞いたのです。
  75. 広瀬駿二

    ○広瀬政府委員 ただいまのお尋ね、突然でございまして、私まだそこまで勉強しておりません。そういう方向について考えているということをいま申し上げる段階でございません。
  76. 堀昌雄

    ○堀委員 では、検討事項としてひとつ御検討ください。  あと質問を続行いたしますが、森永参考人にはけっこうでございますから、どうぞひとつ……。  それでは、少し角度を変えてお伺いをしたいことがありますのは、この投資育成会社は、投資をする会社株式を一五%以上、五0%までは持ってよろしい、こういうことになっておるわけですね。そこで、ちょっと法制局にお伺いをしたいのですけれども、独禁法の十一条に、「金融業を営む会社は、国内の会社株式をその発行済の株式の総数の百分の十をこえて所有することとなる場合には、その株式を取得し、又は所有してはならない。」こういうふうに規定されておりますね。これはなぜこういう規定があるのでしょうか。
  77. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 十一条で金融業を営む会社を特記して規定いたしましたのは、これは十条の規定との関連もあると思います。十条におきましては、一応いわゆる産業会社といいますか、一般会社についての株式の取得、保有についての一般的な制限をいい、特にそういう金融業を営む会社金融関係を通じていわゆる産業会社を支配をする、こういうことが独禁法のたてまえの上から反するということで、特別に十一条の規定を設けたのじゃないか、そういうふうに思います。
  78. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、要するにこの十条は一般会社のことを書いてあって、ただここで書いてあることを受けて十一条があるということになるならば、十一条そのものの中には、金融業が事業を支配するとかなんとかということは一つも書いてないわけですから、要するに事業を支配するとかどうとかということが明記されていなくて、金融業は大体株を持てば事業を支配するという前提ですか。
  79. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 法律的に直ちにそれが言えるかどうか、ちょっとあれだと思いますが、十一条の規定の趣旨は、やはりそういう条件を抜きにして、とにかく百分の十という一定限度において押えているわけですから、十一条の規定の背後にはやはりそういう考え方があるのじゃないかと思います。むろんただし書きによって認可を受けるというような道も開かれているわけでございますが、金融業を営む会社は常にそういうものであるというふうにまで法律が断定しているとはちょっと言いがたいかもしれません。
  80. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私はそれを裏側から見ているわけですけれどもね。要するに、金融業なら必ず一0%以上持てば支配をすることになるという前提がなしに一0%という規定を設けているというのなら、私はちょっとよくわからないのですよ、一0%という規定は一体何に由来をしておるのかということが。だから、もし金融業というものは支配するものだというある程度の慣習というか、前提というか、そういうものがあるとするならば、これはもう話は別です。そういうものが一0%以上持ってはあぶないぞということになるのですね。ところが、私はどうも、金融業というのは金を貸して利益をあげることが主たる目的であって、必ずしも金融業が会社を支配することを主たる目的とするはずはないと思うのですね。一般論としてはそうだと思うのです、政策的に見ますと。そうすると、ここの十一条でいっていることで、金融業者というもの、これは免許業者ですね、金融業というのはかってにできるわけじゃありませんから。今度証券も免許になりましたから、ここでいう広範囲金融業というのはほとんど免許を受けるようなものになっておるわけです。そういうものが本来の目的でないことをやれば、現行法ではその他の法律によってまた影響を受ける立場にあると思うのですね。ところが、では投資育成会社のほうはどうかというと、これは普通法人で、五0%まで株を持ってよろしい、こういうことになっているわけですね。しかし、この九条は、国内の会社の事業活動を支配することを主たる事業とするのが持ち株会社だから、そうすると、それを主たる事業としなければ、株は持つけれども持ち株会社ではないという考え方も、法制局ではあるわけですか。
  81. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 まず御指摘の九条三項では、「株式を所有することにより、国内の会社の事業活動を支配することを主たる事業とする会社をいう。」と定義してあるわけです。非常に広い意味と申しますか、あるいは法学上持ち株会社という場合に、いわゆる株式投資会社を含むというような考え方もあり得ると思います。あり得ると思いますが、一方、現実の投資育成株式会社法の目的あるいはその業務範囲というものとこの九条三項というものを引き比べてみますと、九条三項では「国内の会社の事業活動を支配することを主たる事業とする会社をいう。」というふうに書いてございますから、主たる事業とする会社でないのみならず、また九条三項全体の趣旨からいって、事業活動を支配するというようなことは、現在の投資育成株式会社法のもとにおける育成会社としては考えられないというふうに考えます。
  82. 堀昌雄

    ○堀委員 だから、私が聞いていますのは、確かに九条からいきますとこれは持ち株会社でないから、独禁法の除外だと、こうなるわけですね。それはそれでいいのですが、金融業へくると、ここに書いてある第九条の趣旨であるならば、それがイコール、あなたが前段で答えたように、金融業も株を持ったら支配をするのだという前提なら、これは私、おかしくないと思うのです、一0%で制限しようと。しかし、私はいまちょっと申し上げたように、金融業というものが、ちょうどこの投資育成会社と同じように定款もあり、法律に基づいてつくられておるものが一0%の規定で押えられておるにかかわらず、ここだけ五0%まで認めているというのは何かおかしいのじゃないかという感じがしているわけですね。金融業というのは、いまの前段であなたの言われたようなものだと私は思ってないわけですよ実は。会社を支配することを目的とするのなら、これはもちろん一0%以上持っちゃいけないというのは当然だと思うのですが、そうなっていないと思うのですよ。金融業の定款か何かでそういうものがあるのを、あなたは御承知ですか、会社の事業を支配することも入るというように理解できる定款があるのを。
  83. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 確かに御指摘のように、定款なりあるいは法律、さらにさかのぼって法律の目的、そういうものからいえば、会社を支配するというようなことが取り上げられていないという点においては、金融業もそれから投資育成株式会社もやはり同じだと思います。その点は先生指摘のとおりだと思います。もしそういうことをやれば定款に反するとかあるいは法規に反するというような問題が生ずるという御指摘は、そのとおりだと思います。ただ、これは多少政策的な問題でございますけれども法律の規定の趣旨を推測いたしますと、やはり現実に過去のいろいろな経緯から見て金融業がそういう産業支配をしてきたといろ、そういう実情というものを踏まえて十条二項、十一条の規定ができたのじゃないか、こういうように考えます。中小企業投資育成株式会社の場合には、そういうことを初めから、法律の趣旨の上からいっても、また現実の活動からいっても、多種多様の中小企業、また多数の中小企業について資本充実するといろ目的を持って分散的に投資しているわけですが、そもそもそういう事業活動を支配をするというようなことがまず考えられないというようなことから、まあ五〇%というのは、法律の規定の上じゃなくて事業規程の上からだと思いますが、そういうようなことが認められている、そこに多少実質的な考え方の差というものがあらわれているのじゃないかと推察いたす次第でございます。
  84. 堀昌雄

    ○堀委員 私は、少なくとも独禁法十一条がこういう規定を設けているなら、この中小企業投資育成株式会社法に、少なくともそういう免責条項が法律的に書かれるべきじゃないだろうか。この中小企業投資育成会社というものが、独禁法の関係からいって、要するに九条、十条、十一条には該当しない特殊なものであるから、これについては独禁法の適用は除外をするということになっているのなら話はわかるのですが、これは普通の法律なんですよ。普通の法律で、法律の中には、いまあなたのお触れになったように、何%まで株を持つなんということは一語も書いてない。そして規程の中だけで、規程を申請して、通産省がそれを一方的に認めているわけでしょう。私は、法律体系から見て、これだけがそういう特別な取り扱いを受けるということについてはやや問題があるのじゃないか、こういうことを言っているわけです。だから、いま中身の問題として見れば、私も、何も中小企業投資育成会社が支配を目的としていないと思うが、しかしそのことは、金融業だって支配を目的としているわけじゃないわけですから……。しかし金融業には一0%という規定をここにきちんと課しておいて、きびしく励行さしておるわけです、現実の問題としては。きびしく励行さしておるから、たとえばどういう事態が起きておるかといえば、かつて共同証券が相当持ち株を持った、一0%をこえてきたときにはこれは売らせておるわけですよ。共同証券だって支配する目的で設立されたものでなくて、こっちは前向き、共同証券はうしろ向きだけれども、どっちにしたってやはり一種の変形持ち株会社ですよ。片方は金融業という適用を受けてそういうきびしい処置をしておるのにかかわらず、こっちだけが抜けるというのなら、少なくともその程度のことは法律に書くのが正しいのじゃないか、こう思うのですが、法制局として、その政策論議は別として、法律体系の問題としては、やはり免責条項を入れるのが正常ではないですか、こういう関係から見たら。その点どうでしょう。
  85. 角田礼次郎

    ○角田政府委員 その前提として、法律的に投資育成株式会社がいわゆる独占禁止法の金融業に当たるかどうかという問題をまず考えなければいけないと思います。ここでは、十一条の金融業とは、十条の二項に金融業の定義がございまして、銀行業以下の限定した形で金融業というものが書いてあるわけですから、そういう意味ではこの十条二項の金融業を営む会社投資育成株式会社が当たらない限り、十一条の一0%の制限は当然かかってこない。そこで、そういう意味では、わざわざ十一条の規定を排除するような規定を投資育成株式会社法に設けるということは必要はないというふうに考えております。したがって、そういう意味では、法律の体系というものはでき上がっているということがいえる。ただし政策論ではなくという仰せでございますけれども、十一条の規定の趣旨というものと実質的に投資育成株式会社のその規定とを比べてみて、片一方は一0%の制限があり、片一方には法律の上には少なくとも制限がないということであれば、そういうものについて十一条と同じような必要というか、そういう趣旨がもし立法論的に育成株式会社についてもあるならば、そういう規定を設けるというのが、これまた当然十一条との関連において法律的にはつながるというふうに考えます。
  86. 堀昌雄

    ○堀委員 公正取引委員長にお伺いいたしますが、要するに、もしいまのような形であるならば、そこの第十条の「会社は、国内の会社株式を取得し、又は所有することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、当該株式を取得し、又は所有してはならず、及び不公正な取引方法により国内の会社株式を取得し、又は所有してはならない。」こういう規定は、この十条に該当していなければ、普通法人が他の会社の株を幾らどういうかっこうで持っても、結果としては持ち株会社みたいになりますが、自分のところの資金でどんどん持っても、それは差しつかえないことなんですか、その点は……。
  87. 山田精一

    ○山田政府委員 九条に該当いたしません限りにおきましては、十条に照らしまして判断しまして、実質的に支配関係がなければよろしい、かように考えております。
  88. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、独禁法では実質的な支配関係というのは、本来からいえば、五0%以内なら実質的な支配関係は成り立たない、それは形式的には筆頭株主になるかもしれませんが、実質的には五一%持たない限り実質的支配は成り立たないわけですから、そうすると、いまの考え方からするならば、その会社の実質的な支配というその行為の中身と形式とありますから、そこはちょっと複雑ですけれども、形式的に理解するならば、要するに株主権の行使が、四九%しか持ってないなら実質的な支配にならないから、四九%まではいまのかっこうでは持ち株会社はできるということになる、こういうことですね。
  89. 山田精一

    ○山田政府委員 パーセンテージだけで判断をいたすのはいかがかと思います。先生も御指摘のございました、たとえ三0%でございましても実質的に支配関係があれば、そしてそれが主たる目的であれば、持ち株会社と考えます。
  90. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、実質的支配というのが、ではどの程度からが実質的支配か、こういうことになると思うのですが、実は私、投資育成会社のほうを見ますと、取締役の選定の問題からかなりいろいろなことが介入できることになっているのですね。ですから、いまの形式は別として、実質的な問題というものは、これは投資育成会社がもしその気になればできる可能性が十分あると思うのです。だからそこは、いまの形式と実質の問題を一体どこで処理をするのか。形式的には非常にすっきりしますね。五0%以下ということは、形式的には免責になると私は思うのですよ。しかし実質というのは、ここに書かれておる業務内容の問題から、いろいろこれは国の費用を出資したことに対する担保を規定したわけですが、この担保の規定というものはかなり実質的な支配だと理解するのですが、ここに書かれておるものは、そういう場合には、この程度のところまでは実質支配ではない、こういうふうに公正取引委員会は理解されているのでしょうか。
  91. 山田精一

    ○山田政府委員 さように理解をいたしております。
  92. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、その他の民間の会社が、株を幾ら持つかは別として、ここに書かれておる範囲のことを持っておる会社に対して権力として行使をする場合には、それは実質的支配でない、こういうことになりますね、前例として。よろしゅうございますか。
  93. 山田精一

    ○山田政府委員 そのほかの一般会社の場合におきましては、そのほかの諸般の事情、競争関係にございますほかの会社とか、その他もろもろの事情を勘案して判断をしなければならないかと存じます。この中小企業投資育成会社の場合には、ただいま申し上げました範囲において判断ができ得るかと、かように考えております。
  94. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、中小企業投資育成会社というのは、普通法人であるけれども特別に判断をする。これは特殊法人か何かになっていれば、もちろんこんなことは議論の余地のないことですが、これは普通の商法上の法人なんですね。法律に書かれておる。ここには特別に変わったことは書いてないのですよ。中小企業投資育成株式会社法の中身のほうには書いてない、普通のあれで五〇%株を持ってそういうことをするということが。何か特殊な条件があって、独禁法の例外規定になるという感じなら、私もすなおに感じられるのですが、どうもその他の一般会社とこの会社との間に、ここに書かれておるだけの範囲から見たら、実はあまり差がないように思うのですよ。それじゃどこに差があるのでしょうか。公正取引委員会として、この投資育成会社を多少特別な角度で見ていらっしゃるのはどこでしょうか。
  95. 山田精一

    ○山田政府委員 なるほど投資育成会社法律の形式は普通会社ではございますけれども、主務官庁がございまして、また法律には当該法人の目的がはっきり明記されておりまするので、一般会社とはかなり違うのではないかと考えます。ただし私どもの取り扱いといたしましては、第十条の規定によりまして、毎年度末におきましてその所有の有価証券の内訳の報告は聴取をいたしております。
  96. 堀昌雄

    ○堀委員 わかりました。私の感じでは、何かもう少しきちんとした法律上の取り扱いがあっていいのではないかという感じがいたしますけれども法律で普通会社のことをこういうかっこうで定めた例というものはあまりないのじゃないかと思いますけれども、まあ例外的なものとしてあるのでしょうから。投資育成会社自体が私も独禁法に違反する行為をするとは思っていないのですよ。ですから、いま議論しているのじゃなくて、法律体系として見て、片方で一0%というものを金融業に課しておきながら、それも片方は免許で、法律で明記をされておる。片方は、投資育成会社というこれは免許じゃないけれども法律の定めた会社ですが、まあ似たようなものですよ。似たようなもので、片方は五0%、片一方は一0%というのは、何かちょっと私としては割り切れない感じがあったものですから。一0%にしたのでは、とても投資育成会社の目的は達成されませんけれども、裏返していうならば、そういう意味からいきますと金融業の一0%というのはやや酷なのではないか。それも金融業といっても普通の銀行が持つなんてことは別ですけれども、たとえ共同証券のようなものができて——これは法律に基づいてできたわけじゃないけれども、四囲の情勢からああいうものができた。このものについては、支配する意思は全然ないにもかかわらず、公正取引委員会の一0%条項が機械的に自動的に働くというようなところは、私とすると取り扱い上やや奇異な感じがするので、いろいろきょうは問題を提起をしたわけであります。投資育成会社側については、いまのところ法律的な問題として、私はやや問題があるという感じはいたしておりますが、本日はこの問題についてはこの程度にしておきたいと思います。  時間がもうありませんから、最後に少しだけ伺っておきたいのですが、これは中小企業庁のほうの関係になるのですが、三億ということになりますと、さっき私が伺ったように、ずいぶんありますけれども、現在依然として五千万円内外に停滞といいますか、そのままになっておるところがかなりたくさんあるわけですが、将来の見通しとして、一応投資育成会社が管理をするようになってから——この規程のところに保有期間というのがやはり書かれているわけでありますけれども、この保有期間というのは時間では書かれていないわけですね。そこで皆さん方は一体何年したら卒業生にし、何年したた落第生にするかという大体のめどがあるのかどうか。さっきのオーバーザカウンターの問題というのは今後の問題になりますから、それはそれとしまして、当面は大蔵省の答弁が出るまでは、何しろ三億円にならなければどうしようもないのだ、こういうことになるわけですね。私は、もし三億円とたとえば一億円の間がつなげないのならば、これは一ぺんもとへ返って投資育成会社というものの再検討も必要なのではないかという感じが実はするわけです。というのは、これが発足したときは、私が最初申し上げましたように五千万から一億ということで、結果としては一億になりましたけれども、今日も規定としては一億なんですが、要するに申し合わせ事項のようなことで三億に上がっているわけです。これは実質三億になっておりますから、もう規定と同じ効力を発生していると私は思います。第二部上場の基準も上向方向に向かっておる。そうすると、要するに三億まで資本金をふやすことを手伝わなければならぬ。国がそこまで責任を負ってやらなければならぬかどうかという点については、私はややこれは問題があるところにきておるのではないか。だから、これは大蔵省側が、オーバーザカウンターのようなもので、一億以上になったものは少し下げて、少し規制できる条件をつくりましょうということならこれは別として、そうでないということならば、投資育成会社は再検討を要する問題になる。国が三億今度出資をするということのようでありますが、私はさっきの武藤さんの問題のように、なるほど中小企業に対しての協力が必ずしも十分だとは思っておりません。十分だとは思っておりませんけれども、しかしそれにしても国民の税を三億投資をした以上、それが有効に働かないで本来の目的に役立たないのなら、これは非常に問題があろうかと思っておるわけですが、今後の中小企業投資育成会社のあり方についてどういうふうに考えておられるか、少し御答弁をいただきたい。
  97. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 率直に申し上げまして、この法律が最初誕生いたしましたときと証券市場の上場基準が変わっておる、そこで相当の無理ができておるということは、率直に私たちは認めざるを得ない、非常にそれは頭の痛い問題であります。しかし一面、先生が先ほど非常に強く御指摘くださいましたように、中小企業者の身内また身近の資本だけではもうどうにもならぬので、何とかこれを育てあげて、資本調達を社会の場で行なわせるという必要はどうしてもあると思います。特に成長産業の中に非常に重要な中小企業が幾つもいまございますので、これに対して相当の手を打っていかなければ、中小企業行政としては、からの中に閉じこもっておる中小企業を立ちぐされにさせる危険性があると思います。したがいまして、私たちとしては現在ある手がかりとしては、この制度を何とか活用をしてもらいたいということで苦慮するわけでございますが、先生指摘の業務規程の中の「相当期間」ということでございますが、これは当初は約五年を予想いたしたわけでございます。また当初どおりの上場基準でございますならば、現在発足以来五年近くになっておりまするけれども相当の卒業生を出し得る段階にあったわけでありますが、基準のほうが高くなりましたので、上場いたすとなりますと、あと数年これを持って育成する必要がある。実は八年ないし十年の間には卒業させなければならない、また卒業させ得ると思っておりますが、これは先生指摘のように政府からの出資もございますし、自己資本が調達できなくて、背伸びしたいにかかわらず資本がなくて非常に困っておる、いわば入学を待ちこがれておる中小企業者もたくさんあるわけでございますので、その人たちにチャンスをできるだけ早く与えてやりたい。しかしそれが上場までということになりますと、最初投資したときから、新株を引き受けたときから八年ないし十年は保有するということはやむを得ないのではなかろうかというふうに考えます。
  98. 堀昌雄

    ○堀委員 いまの上位の三十社ほど、それは可能性が非常にあるのですが、ここが増資をしまして、一億のところが三億になるためには、あと二億円資金が要るのですね。それの五〇%を見ようということになると、少なくとも一億円は投資育成会社が見なければいけないですね。今度要するに三億出資をふやすわけですね。三億出資をふやしたら、一億の会社を三億にするためには三社しか使えないわけですよ。一体これで中小企業対策が一たった三社のために三億金を使えるかというと、私はちょっと問題があるのじゃないかと思うのです。発想の土台が一億だったから、五千万円以下の会社を一億にするためには、一応出資をすればかなり幅広く使えるだろう、こういうような発想だったと思うのです。今度三億になってまいりますと、五千万円を三億にするためには二億五千万円をふやさなければならぬ。一社当たり一億二千五百万円ですか、一億二千五百万円は国というか出資のほうが一社当たりに要るわけですよ。ところがこれは地方銀行なり都市銀行が出資をこれまでしてきたと思うのですよ。さっきの武藤さんのお話のように、実はあまりペイする投資ではないですね。転換社債などが出ている面から見て、投資育成会社というところは、いま法制局との議論で、金融機関であるないの議論があったのですけれども、私はこの投資育成会社というのは変形した金融機関のように見ているのです。なぜかというと、転換社債を持つということは、これはなるほど形式としては株ということになりますが、これはやはりローンなんですから、長期的ローンをやっているにすぎないのですから、そういう形になってきたら、銀行側としてこれからもどんどん出資をしましょうということにはそう簡単にならないのじゃないかと私は思うのです。だからそういうことを考えるならば、いまのように一社当たり一億二千五百万円ずつ——いま二百五十社ぐらいあるのですか、そうすると三百億ぐらいの資金がないことには、この分を全部卒業生にはできない。とてもじゃないが、いまの見通しからいけば、投資育成会社に国の資金を三百億もつぎ込めるかどうかというと、あと五年間つぎ込んだとしても、年率三十億ずつ入れていかなければならぬ。そんなことには私はとうていなり得ないのじゃないかと思う。いまの財政硬直化なり全般の情勢からして、なり得ないのじゃないか。ですから、ここらで投資育成会社の問題というのは、さっき私が指摘をした要するにオーバーザカウンターの問題とあわせて考える以外には、もう投資育成会社のレーゾンデートルはないのじゃないだろうか。ここらで一ぺん中小企業庁は証券局とも十分御相談になって、やはり数字的に可能な見通し、それは上場できるようにするにこしたことはないけれども、いまちょっと私が申し上げたように、多額の資金を必要とする。それは国というか、出資分だけですからね。その出資分だけの中身のいまのウエートから見て、もし銀行がいまのウエートだけ出すといたしましても、やはり国の負担というものはばく大なものに今後もなってこざるを得ないし、そういうことがいまの情勢で可能かどうかというと、私はそう簡単に可能だとは思えない、こう思うのです。だからそこらを含めて、この法案のきょうの出資の問題は、この問題としてありましょうけれども、私に言わせれば、せっかく出資をする以上、それが国民の費用である以上、効率的に使われて、本来の所期の目的が果たされなければ、これは私は予算のむだ使いになってしまうのじゃないか、こう思います。結局、一将功成り万骨枯るではないのですが、中の二つか三つは上場できたけれども、あとはとうとうそのままで、投資育成会社は持ち切れないということで、あと協力してもらえないならわれわれとしてもとてもだめですということで、結局そこでそのまま停滞をするということになったのでは、私はこれをつくった意味がなくなると思いますので、そこらを含めて少し再検討の段階にきているのじゃないか。だからこの点についてはひとつ大蔵省ともよく相談をされて、大蔵省側との関係なんですから、そっちに道が開けるのなら、さっき申し上げたように一億で切って、一億にして、そこで卒業生を出していく、一億にするのなら、五千万円で一億ですから、かなり幅広いものについて私は協力ができるだろうと思いますね。そこらについての中小企業庁側の考え方を承りたいと思います。
  99. 乙竹虔三

    乙竹政府委員 先生からまことに的確な御指摘をいただきまして非常にありがとうございます。私たちといたしましては、確かに率直に申し上げまして、あくまでも二部上場に全部持ち上げるということは相当な無理がやはりどうもあると思います。と申しまして、この制度そのものは、やはり社会資本の動員のオーソドックスな場は株式証券市場であるということ、私はしろうとでよくわかりませんけれども、これは確かに間違ってないのだろうと思いますが、それを踏んまえた制度でございます。しかし一面、非常に多額な金が要り、その多額な金は一面では国家資金、納税者、一面にはまたその恩恵を非常に待ち望んでいる中小企業者を考えた場合に、これはよほど効率的に考えなければいかぬということになりますと、私たちしろうとでございますが、よく大蔵省にもお願いをいたしまして、先生指摘のような制度を考えますか、あるいはまた、ちょっと武藤先生お答えの中に申し上げておきましたのですが、数年間持ちますれば、——新株引き受け当時は経営者ないし身内の株主も資力がなかった、しかし会社も、育成会社が引き受けることになりまして、実はこれは実績が出ておるのでございますけれども、非常に社会的信用も増加し、金融機関から本信頼されていっているという会社が多くなってまておりますので、おそらく身近の株主も相当資力が出ておるものもあるのじゃなかろうか。そういたしますと、また同族会社のからに閉じ込めないという配慮は非常に大事だと思いますけれども、その辺を考えながら相当程度売り戻してやるということを考えることも一つの方法ではないかというのが第一。  それから第二には、金融機関のことを申し上げましたが、これもどうもしろうとでよくわかりませんが、金融機関株式保有については、一部上場の株式が主のようでございますが、一面また資本金一億ないし三億程度の中小企業のためと申しますか、中堅企業株式につきまして、育成保有というふうなかっこうで金融機関が特に投資し、これから自分らが特に育成したいという企業株式を保有しておられるところもあるようでございますが、こういう点、金融支配にならないという点を十分配慮しながら、この辺につないでいくということも一つの方法ではなかろうか。あるいはまた、成長の中小企業会社というのは、おそらく機械産業ないし大きな鉄鋼業等々の、大きな会社の系列といいますか、関連企業が多いかと思いますが、こういう場合に、親と申しますか取り引き先企業相当程度引き受けてもらうということも考えてみる必要があるのじゃないかと思います。  いずれにいたしましても、御指摘の点、私たちのほうは前々から実は非常に苦慮しつつある問題でございますし、大蔵省のほうにも特にお願いをし、密接に連絡をとりながら検討を進めてまいりたいと思います。
  100. 堀昌雄

    ○堀委員 私も、何もこの制度をこわしたほうがいいと思っていないのです。ひとつせっかくできた制度ですから、できたものはやはり可能性があるようにしませんとね。どうもいま見たところで、できたときと条件が変わってきたために、非常に可能性が薄くなっておる。だからそれは、やはりもう少し可能性があるようにすべきではないかと思うし、同時にそのことは、投資育成会社のほうも、やはり可能性がないのを一生懸命やれと言われても精が出ないのじゃないかと思いますから、それは会社の皆さんの立場というよりも、中小企業庁なり通産省なり大蔵省で配慮してもらわないことには、実はあなたのところだけではどうにもならない問題だと思いますから、その点はひとつ政府は十分配慮してもらいたいことと、あわせてもう一つ申し上げておきたいのは、一ぺん投資育成会社の対象になったものは何か非常に恵まれるわけですね。その他とに非常に差ができるのですが、私はやはりその中のあり方は少しきびしくあっていいのじゃないか。少なくとも何期かにわたって無配が続くようならば、これはせっかくですけれどもひとつお引き取りを願って、そうして次の、手を上げて待っている人たちに門戸を開放するということにならないと、なっちゃったものはなるたけもうずっと持っていくということでいきますと、入ってくる人が制限をされてくるわけですね、資金にワクがあるわけですから。だからそこいらは、私はかねてからよく言うんですが、競争原理といいますか、さらにいいものが前へ行って、停滞をしたりうしろへ下がっていく人については、それは一期だけ無配になったからすぐもうおまえはだめだというわけにはいきませんが、やはり何期か無配が継続しておるのにもかかわらず、もう入っちゃったのだからしかたがないということじゃなくて、そこらはやはり指導よろしきを得て、新しく入る人たちに道を開く方向にひとつ積極的に考えていただきたいと思います。この点は投資育成会社の運営上も問題があろうかと思いますので、その点を特に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  101. 鴨田宗一

    ○鴨田委員長代理 本日の議事はこの程度にとどめます。  江沢参考人には次回の委員会におきまして再び御意見を賜わりたいと存じます。御多用のところまことに恐縮でございますが、よろしくお願い申し上げます。  次回は、来たる二十六日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散会