○桑山
説明員 御
説明いたします。建設業者の倒産の問題につきましては、最近倒産の件数が非常にふえてまいっておりますことは先生の御
指摘のとおりでございまして、建設省といたしましても、その事実につきましては非常に憂慮をいたしておるわけでございます。
倒産の原因につきましてはいろいろ考えられるわけでございますけれども、過去数年間建設
投資の継続的な増加にもかかわりませず、中小建設業者が非常にふえてきた、また乱立したというふうに申し上げてもいいかと思いますけれども、その結果、受注競争が一段と激化したというようなことによりますところのいわゆる
構造的な要因というものが実は考えられるわけでございます。この点につきましてはまたそれなりの
対策が必要でございますが、倒産原因の中には建設業者内部に原因する問題もあろうかというふうに実は考えておるわけでございます。したがいまして、建設省といたしましては、これが
対策といたしましては、まず中小零細業者のいわゆる
経営能力の向上をはかる必要があろうじゃないかというような問題を押えまして、この
経営能力の向上という問題につきましては、いわゆる
中小企業近代化促進法というのがございますが、この近促法に基づきまして、土木工事業につきましてはもうすでに近代化計画を策定いたしまして、
実施の運びに至っております。
それから建築工事業についてでありますが、現在実態調査を終わりまして、近代化計画の策定を実は進めておる
段階でございます。四十二年度におきましては、さく井工事業を近促法の指定業種といたしまして実態調査をいたしておる、こういうような作業を進めておりまして、いわゆる中小建設業者の
経営能力の向上ということをまず大きく指導する必要があろうじゃなかろうかというわけで、
努力をいたしておるわけでございます。
もう一点は、いわゆる中小建設業の
一つの合理化、近代化という問題をとらえます場合に、やはり
経営規模の適正化というのがこの要諦だろうというふうに考えておるわけでございまして、そういう意味では、中小建設業の組織化の推進をはかる必要があるのじゃないかというようなことで、
中小企業等協同組合法に基づきます組織化を推進する、そういう
中小企業等協同組合の設立等に上りまして
経済行為の効率化をはかり、さらに金融の確保をはかっていくというふうな組織化を推進するということで指導をいたしておるわけでございます。
また、最近協業組合という形のものも実は新しくできてまいっておりますので、そういう意味での協業組合化への指導というようなことも実は考えておるわけでございます。
さらに、そういうふうな
構造的な改善をはかりますと同時に、中小建設業が立ち行くためには、やはり仕事を与えなければならないということでございますので、従来から建設省に付属機関として設置しておりますところの中央建設業審議会の勧告に基づきまして、発注調整ということを実はやっているわけでございます。入札なんかを希望する業者につきまして、契約予定金額に相応する等級別の区分をしまして、実際に発注するにあたりましては、契約予定金額に相応する業者から原則として
指名をいたしまして、特定の階層の業者に工事が片寄ることがないように実は指導いたしているわけでございます。
さらにまた、工事が非常に大型化する
傾向にもございますので、中小建設業の受注機会の確保をはかりますためには、やはり施工能力の向上をはかる必要があるというような観点から、ジョイントベンチャー等を指導いたしまして、大規模の工事にも、ジョイントベンチャー方式で施工能力を
増進させ、受注の機会を与えていくというような、共同請負制度も実は指導をいたしておるわけでございます。
それから、最近倒産の原因になっております人件費の高騰によりますところの採算性の限界というようなこと等も考えまして、技能労務者の養成、確保ということが非常に喫緊の要務になっておるわけでございます。この点につきましては、関係省といたしましての労働省の公共職業訓練制度、あるいはまた事業内の共同訓練制度というものにつきまして助成をいたしますと同時に、建設省直轄として
実施いたしておりますところの産業開発青年隊、これの拡大をはかりまして、オペレーターとか測量関係の技術者の養成とか、フォアマン的ないわゆる現場職員の確保というようなこと等に関しますところの技能労務者の養成、確保に
努力をいたす等々の
対策を実は進めてまいっておるわけでございます。
それから第二点の、中小建設業者に対するいわゆる直轄工事等の
対策はどうか、発注にあたっての考慮が払われているのか、特に官公需等を念頭に置きましての中小建設業者に対するところの受注確保の
施策はどうやっているかという先生の御
質問でございますけれども、先ほど、いわゆる発注調整をいたしまして、特定の階層の業者に工事が片寄らないような
措置を実は従前から講じているというふうに申し上げましたけれども、中小建設業関係業者の間から、そういうふうに指導はしておられても、必ずしもそれが守られていない、特に第一線におきます発注機関におきましてはこれが必ずしも守られていないというような声もございまして、建設省といたしましてはこれをもう少しきめのこまかい指導をする必要があろうじゃないかということで、四十一年の三月七日付で事務次官通達を出しまして、中小建設業者に対しまして受注確保をはかる
措置を講じたわけでございます。その通達の
内容を御
説明いたしますと、やはり発注標準を厳格に守って、みだりに小規模の工事に大きい業者を入れないようにしてほしい、あるいはまた、地元建設業者を活用するような方策を講じてほしい、あるいはまた中小建設業者の施工能力の向上をはかって受注機会の確保をはかろうじゃないかというようなことで、ジョイントベンチャーを積極的に指導をしてほしいというようなことで、もちろん建設省の直轄工事につきましては指示をいたしておりますけれども、指示権の及ばない主要な発注機関に対しましても建設省からこの趣旨を要請いたしまして、中小建設業者の受注確保につきましては特段の
配慮を払っておる次第でございます。