○中村(重)委員 またもとに戻りますけれ
ども、ひとつ企画庁が総合的に、強力な発言力を持って
計画にタッチし、またその推進役も担当する必要があるのではないかと思う点で、一つの干拓の問題を
考えてみたいと思うのです。
御承知のとおり、干拓がどんどん行なわれています。その干拓地の三分の一は干拓目的に使っていない。他の用途に転換する、あるいはこれを遊休地として遊ばしている。これはたいへんなむだでしょう。このくらい国のむだはありません。ところが、そういうことをやっておいて、今度はまた新たな干拓を進めていく。私
どもは、農地の拡大、国内農業の
発展ということを党としても
基本的な方針にいたしておりますから、干拓とか開墾そのものには反対もしない。しかし、そういう無
計画的な干拓ということは問題がある。これもまた具体的な例として参考になるから
お話しをするのですが、長崎に約六千ヘクタールの長崎干拓という
計画がある。これに十二の漁協がある。この漁協の中で三漁協が絶対反対。ところが、そうした漁民の説得がなかなかむずかしいということから、
経済性がないということから、四条の三項を適用して、漁民の同意をとらないで強権でもって公有水面の埋め立てをやろうとしておる。いわゆる市町村の同意を求めることにしたけれ
ども、条件闘争で、補償金その他の条件によっては賛成をいたしましょうという
態度をとっておった他の九つの漁協が、これに猛然と抵抗して、全部が反対した。その後いろいろ説得をして、六漁協か七漁協は、賛成ではございませんが、県や国の
計画にも協力をしなければならない、私たちは生活が保障されるならば何とか
考えましょうというので、条件的に踏み切っているのが、いま申し上げた六つか七つ。ところが、その残り、五つか六つの漁協は依然として反対である。これは反対の根拠はあるのです。ノリの養殖漁業が
中心で、いままでノリをつくれ、品質改良だというので盛んに指導奨励をしてきた。ところが、それによって今度はとたんにやめろ。しかも、一漁業者が年間三百万以上の収入を上げておる。だから十億ぐらいになるであろう。農地の干拓をいたしますと、もっとそれ以上の
計画は立てておるようでございますけれ
ども、ほんとに農地に使うのか、あるいはそうでなくて、多目的な用地としてこれを使用していくのかということ、それすらもまだはっきりしていない。それははっきりしているという説明を農林省はするかもしれませんけれ
ども、必ずしもはっきりしていないという根拠がたくさんある。そういう問題でいまたいへんな混乱に実はなっておりまして、先般三百名の漁民があの長崎のはしから上京してきて、ここで総決起大会を開くというような場面が実はあった。私
どもは、地元の問題でございますから、与党自民党の議員とも話し合いをやって、何とかして県あるいは農林省と漁民との接触をするようにやっていこうということでつとめてきた。そこでこの漁民の人たちから、いま私が申し上げた干拓地をほんとうに使っていないじゃないか、そういうことをしておきながら、自分たちの生業、生活権を奪ってしまって、ただ補償金を渡せばいいという
態度はけしからぬと言って、憤慨をして反対をしておる。私はうなずける点が多々あると思う。やはり国自体が干拓というような問題に対して、ほんとうに
国民が
納得し、同意をするようなことを
考えなければいけない。それから干拓の場合に、どこであってもよろしいということではならぬ。ほとんど収入の上がらないような
地域で干拓をやっているところがある。そして長崎の例のような、現在の漁業というものによって相当な収入が上がっていく、
経済にも貢献をしているというところは、慎重に
考えていかなければならない。そういうことが農林省、水産庁だけにまかされておるというところに問題がある。そして農林省、大蔵省で予算をつける、つけない、もう四年目なんです。これまでの予算はいままで執行していない。そして繰り越し、繰り越し。
委員長は決算
委員会におられたのでおわかりでしょうが、私はこの問題を取り上げて、水田大蔵
大臣に、三年間予算の執行もしないでおいて、また新しい予算をつけていくというやり方は、決算の面からいってもけしからぬ話だ。やめるのか、補償額等を明らかにして、漁民を土俵に上げるのか、こういうことでなければならぬと申し上げたことがあるのですが、これは私が先ほど申し上げた、いわゆる総合的な
地域開発の
一環というようなことも、その中では
考えてみなければならないのではないかと思うのであります。そうしたいろいろな問題に私が自分でぶつかって、その矛盾を感じておるものだから、これはやはり企画庁が総合的な
計画を立て、これにタッチしていくということでなければならないのではないか、そういうことで申し上げたのですが、非常に具体的な問題でございますから、これに賛成とか反対とかは別として、あり方ということに対して、
長官はどのようにお
考えになりますか。