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1968-03-05 第58回国会 衆議院 商工委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十三年三月五日(火曜日) 午前十時三十三分
開議
出席委員
委員長
小峯
柳多君
理事
天野 公義君
理事
宇野
宗佑
君
理事
鴨田 宗一君
理事
島村
一郎
君
理事
中川
俊思君
理事
中村 重光君
理事
堀 昌雄君
理事
玉置 一徳君 内田 常雄君 遠藤 三郎君 小笠
公韶君
大橋 武夫君
岡本
茂君 海部 俊樹君
小宮山重四郎
君 坂本三十次君 櫻内 義雄君
始関
伊平君 塩谷 一夫君
田中
榮一君
田中
六助君 橋口 隆君 武藤 嘉文君
久保田鶴松
君 佐野 進君 多
賀谷真稔
君 楯 兼次郎君
中谷
鉄也
君
永井勝次郎
君 古川 喜一君 三宅 正一君 吉田 泰造君
近江巳記夫
君
岡本
富夫君
出席政府委員
通商産業政務次
官 藤井 勝志君
通商産業省貿易
振興局長
原田 明君
委員外
の
出席者
参 考 人 (
日本商工会議
所会頭
)
足立
正君 参 考 人 (
三菱商事株式
会社副
社長
)
寺尾
一郎
君 参 考 人 (
日本貿易振興
会理事長
)
駒村
資正
君 専 門 員 椎野 幸雄君
—————————————
三月五日
委員中谷鉄也
君
辞任
につき、その
補欠
として岡
田春夫
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。 同日
委員岡田春夫
君
辞任
につき、その
補欠
として中
谷鉄也
君が
議長
の
指名
で
委員
に選任された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
通商
に関する件(
貿易振興
に関する問題) ————◇—————
小峯柳多
1
○
小峯委員長
これより
会議
を開きます。
通商
に関する件について
調査
を進めます。 本日は、
貿易振興
に関する問題について、
参考人
から
意見
を聴取することになっております。
参考人
として
日本商工会議所会頭足立正
君、
三菱商事株式会社
副
社長寺尾一郎
君、
日本貿易振興会理事長駒村資正
君、以上三名の方に御
出席
を願っております。 この際、
参考人各位
にごあいさつを申し上げます。
参考人各位
には御多忙中にもかかわらず本
委員会
に御
出席
をいただきまして、まことにありがとうございました。 申し上げるまでもなく、現在の
わが国
を取り巻く
経済情勢
は、まことにきびしいものがあると存じます。この機会に、
貿易
の
発展
に御尽力願っております
参考人各位
より、
貿易振興
に関する問題について、それぞれのお
立場
から忌憚のない御
意見
を承り、もって本
委員調査
の
参考
に資したいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 なお、御
意見
の開陳は、お一人おおむね
十分程度
におとりまとめ願いまして、その
あと委員
からの質疑をお受けいただきたいと存じます。 それでは、
足立参考人
にお願い申し上げます。
足立参考人
。
足立正
2
○
足立参考人
意見
といたしましては、最近の
貿易情勢
と
国際収支
、その次が四十三年度の
貿易収支
と
国際収支
の
見通し
、次が
アメリカ
の
輸入課徴金
の問題、それから四番目が
輸出金融措置
、五番目が
中小貿易関連企業
への
配慮
、それから
貿易振興運動
、これだけを申し上げることにいたします。 第一の、最近の
貿易情勢
と
国際収支
。 大蔵省が一日に発表しました
国際収支統計
によると、一月の
総合収支
は二億八千万ドルの
赤字
で、記録的な
赤字
であります。
貿易収支
、
貿易外収支
、
資本収支
とも
赤字
であります。
貿易収支
は、
輸出
が六億五千万ドル、前年同月に比べまして一五%の
伸び
でありましたが、
輸入
が七億九千万ドル、前年同月に比べまして、一八%の
伸び
を続けたために、一億四千万ドルの
赤字
となりました。 次に四十三年度の
貿易収支
と
国際収支
の
見通し
を申し上げます。
政府
の四十三年度の
国際収支見通し
によると、
輸出
は一五・二%の
増加
を続け、
輸入
を八・六%の
増加
で押え、
貿易収支
で二十億ドルの
黒字
を出して、この
貿易収支
の
黒字
で、
貿易外収支
の
赤字
十二億ドル、
資本収支
の
赤字
九億五千万ドル、
移転収支
の
赤字
二億ドルなどの
赤字
を埋めるわけでありますが、結局、
総合収支
で三億五千万ドルの
赤字
となる
見通し
になっております。
輸出
を前年比一五・二%の
増加
で、百二十一億五千万ドルの
目標
を達成するには、
官民一体
となって非常な
努力
をしなければならないと存ずるのであります。 次に
アメリカ
の
輸入課徴金
問題。 このようなときに、
アメリカ
の
ドル防衛
の
一環
として
輸入課徴金
問題が起きたわけであります。
日本商工会議所
では、これまで
アメリカ
の
保護貿易主義的政策
について、
アメリカ
の
民間業界
として
反対
するよう、
全米商業会議所
に
協力方
を依頼し、友好的な回答を得たので、このたびもさっそく
全米商業会議所会頭
に対し、
課徴金制度
のような
措置
は、数年にわたる
国際的協力
によって得られた
自由貿易
の基調を乱すものであり、
日米貿易
に対する
影響
もきわめて大きいので、
反対
してくれるように打電いたしました。 また、
日本商工会議所
が
日本貿易会
、
ジェトロ
と協力して運営をしております
貿易振興推進本部
の総会において、
日本政府
に対し、
アメリカ政府
に対して強力に
反対
の働きかけをするように決議をしました。
輸入課徴金
は
アメリカ
における
日本品
の
競争力
が非常に弱まることはもちろんでありますが、比率によっては相当な
打撃
を受ける
業界
もあります。 また
発展途上国
は
輸入課徴金
を免除されると伝えられております。後進国関税特恵問題が憂慶されておりますおりから、さらに
打撃
が加わるわけであります。 また
在米日系商社
が
日本
の
輸出
に果たしています
役割り
は非常に大きいので、
輸入課徴金
を払うとなると、たいへんな出費となるわけであります。
対抗措置
として、
業界
では、この際
輸出所得控除制度
を復活してほしいという
意見
が出ていますが、もっともなことと存じます。
ガット
との
関係
もあるというが、一国の
国際収支
の
重大危機
に当面すれば、
アメリカ
でも思い切ったことをやるのでありまするから、
日本
としても
十分国益確保
の
立場
に立って、税制問題を考慮してほしいと存るのであります。
輸出金融措置
。
輸出振興
のためには
輸出金融措置
が最も大切であります。現在、
輸出
の七〇%近くが
重化学工業品
であるから、
重化学工業品
の
輸出
を伸ばすことが
輸出増大
のために特に必要でありまするが、そのためには
輸銀
の
利子据え置き
とその
資金
の
確保
が必要であります。 四十三年度の
輸銀
の
資金量
は、昨年の三千二百五十億円から三千三百五十億円に
増加
するという
予算
で、このうち財投からは百億円
増加
するというわけでありますが、この
資金
には
利子
を払わねばならないので、
輸銀
の
貸し出し利子
を上げたいという
意見
があるそうであります。
輸銀
の一番安い
利子
は四%くらいとのことでありまするが、つい最近にフランスは、
海外諸国
へ
輸出拡大
のため、
政府
が三%から三・五%の低
金利
でしかも十五から二十年の
長期借款
に踏み切ったという新聞の
報道
を見ております。
利子
の引き上げはどうしても防がねばならないが、そのためには
政府出資
を
増加
しなければならぬ。前年と同額では
政府
の
輸出振興
への
努力
を評価できない。何とか
政府出資
の
増加
を考慮していただきたいと存ずるのであります。 ついでに申し上げたいが、きびしい
国際競争
が行なわれておる中で商売しているのでありまするから、他国が出した
条件
を伺って
日本
がまねするというようなやり方では
競争
には勝てない。
決済条件
などは、規制を弾力的にして、業者が自主的にきめることができるように計らっていただくべきものと存ずるのであります。 次に、
中小貿易関連企業
への
配慮
。
日本
の
中小企業
が
輸出
に占める比重は、
重化学工業
で三二%、軽工業で七四%であるという数字がありますが、
中小企業
は、
資本
の
自由化
、引き続き
技術
の
自由化
、さらに
特恵関税供与
、今度の
輸入課徴金
問題で、
先進国
と
発展途上国
の双方から
はさみ打ち
にされているような窮境に立っております。
中小企業対策
については特に積極的な
政府
の
施策
と指導を希望する次第であります。 次に、
貿易振興運動
。 最後に一言申し添えたいのは、
政府
はもとより、
業界
、
国民
こぞってこの際
貿易立国
の気がまえを強力に打ち立てる必要があると存じます。
日本商工会議所
では、
日本貿易会
、
ジェトロ
と一緒になりまして、
貿易振興推進本部
というものをつくって、
政府
から若干の
補助金
をいただきまして、
貿易振興国民運動
を
全国各地
で行なっておるのでありますが、少し
国際収支
がよいと、もうやめてもよいではないかというような話が出てくるのでありまして、
政府
としてもこのような
運動
を今後とも十分御支援を願いたいと存ずるのであります。 とりあえず私の
意見
を申し上げました。(
拍手
)
小峯柳多
3
○
小峯委員長
ありがとうございました。 次に、
寺尾参考人
にお願いいたします。
寺尾一郎
4
○
寺尾参考人
寺尾
でございます。
社長
の藤野が目下静養中でございますので、かわりまして
商社
の
立場
から申し上げたいと存じます。もちろん、
輸出振興
の問題についてはいろいろございますが、ただいま
足立参考人
から、また後ほど
駒村参考人
からるる
お話
があると存じますので、私は当面問題でございます
アメリカ
の
輸入課徴金
及び
輸出金融措置
について申し上げたいと存じます。御聴取願います。
米国
の
輸入課徴金
問題につきましては、現在、
米国財務省
、商務省及び
議会
の
関係委員
の間で論ぜられているところでございまして、ただいまもお聞き取りのとおり、種々の
報道
が流れておりまするが、いずれもまだ公式のものではございません。しかし、
現状
での判断といたしましては、どうやら
輸入税
と
輸出
戻し税の組み合わせによる
国境税方式
は採用せず、五%前後の
輸入課徴金方式
が採用される
可能性
が濃厚でございます。 われわれといたしましては、これまで
国境税
にしろ、
課徴金
にいたしましても、
世界貿易
の
発展
を大きく阻害しかねないといたしまして、あくまで
実現阻止
を
米国側
に要請してまいったのでございますが、
課徴金
の実施が避けられないとなりますれば、むしろカナダ、
英国
の先例にならって、
商品別
ないしは
地域別
に何らかの軽減を獲得するという
条件交渉
に持ち込むべき
段階
に来ているのではないかと
考え
ております。このためには、通常の
外交ベース
を越えまして、場合によっては
政府ベース
、
民間ベース
、あるいはその混成による強力な
交渉団
をワシントンに派遣することが必要ではないかと思います。また、
米国
では、
本件
は
議会関係委員
の間におきまして相当に議論されている
模様
でありますし、
わが国
におきましても、
国会
の
ベース
で
本件
の
重要性
を十分御認識いただきまして、その
対策
についても真剣に取り上げて御討議いただきたいと存ずる次第でございます。
米国
の
景気
は、どうやら四十二年の
ミニ不況
を脱しまして、昨年第四四半期より上向きになってきております。ことしの
米国
の
経済成長率
は
名目
で七%前後、
実質
で四%ないし四・五%くらいになるものと予想されております。
米国
では通例、
名目経済成長
が七%
程度
に達すると
輸入
は一〇%以上の
増加
を示すものとされておりますし、現に昨年末から一月にかけての
米国
の
輸入
は一一%
増程度
の
水準
に達しております。この場合、従来の経験によりますれば、
日本品
に対する
需要
は一〇%をさらに上回るものと想定されます。最近の
米国経済
について注目すべきファクターといたしまして、
賃金
と
物価
の
悪循環
という問題が生じておりますことは御
承知
のとおりであります。この結果、主要の
産業分野
におきまして
賃上げストライキ
が避けられない
状況
になっております。すでにこうした
ストライキ
を前提にした仮
需要
ないし
見越し買い
が生じておりまして、われわれの現在の
成約状況
から見まして、本年前半の対
米輸出
は前年比一三ないし一五%
増し
の
水準
に達しております。
既契約
は
わが国
全体で約十四億から十五億ドルに達しているものと推定されます。 もし
課徴金
が五月一日から、あるいは六月一日から実施されることになりますれば、この
既契約分
の処置がまず大きな問題となります。
業界
といたしましては、種々陳情につとめてはおりまするものの、対
米輸出契約
は多くの場合デューティーペイドの形で
契約
が取りかわされているので、追加される
課徴金
のほとんどは
日本側
において
負担
せざるを得ないことになる
見通し
でございます。もし五%が一律に適用されることとなりますれば、おそらくその額は七千ないし七千五百万ドル、二百五十億ないし二百七十億円に達するわけでございまして、
業界
の
負担
の
限度
を越えることともなり、
輸出保険制度
における
拡大措置等
、
政府
の善処が要請される次第でございます。 次の問題は、五%前後の
課徴金
が実施されたといたしまして、本年の
わが国
の対
米輸出
がどうなるかという点でございます。本年一月から六月の対
米輸出
は確かに昨年に比べまして一三ないし一五%
増加
ということになるかもしれませんが、七月から十二月、つまり後半にはおそらくこの
増加
がなくなりまして、さらには前年の
水準
を下回る
可能性
すらなしとしないのであります。 われわれは、前述の
景気回復
にかんがみまして、四十三年度の対
米輸出
を前年度比四億ドル以上の
増加
と予想しておりましたが、もし前年度
並み
、ないしは
微増程度
にとどまることとなりますれば、対
米輸出総額
は
政府見通し
の約一五%
増し
、すなわち百二十三億五千万ドルに達することはとうてい困難だと存じます。 このような
情勢
に対処いたしまして、
わが国
として何をなすベきかということが問題になります。
報復措置
ということは
考え
られないことはありませんけれども、これはむしろ避けたい。
最小限度
の
対抗手段
をさしあたり
考え
なければならないと存ずるのでございます。
日本
が
米国
同様の
課徴金制度
をもし採用するといたしますれば、
わが国
の
輸入
の六〇%以上が原材料でございますることから
考え
まして、
国内物価
を高め、
物価
、
賃金
の
悪循環
を招来する
可能性
もありますし、ひいては
国際競争力
にマイナスの効果を与えることになりかねないと存ずるのであります。したがいまして、むしろ
輸出奨励
のための
具体的施策
を
実現
に移していくよりほかはないと
考え
るのでございます。
国際収支
の
危機
に臨んでいる
わが国
にとりまして、六月ごろには
外貨資金繰り
が行き詰まり、円の不安が起こるのではないかとさえうわさされていることは、御
承知
のとおりでございます。したがいまして、何といたしましても
輸出
をふやさなければならないのであります。 この緊急時に際しまして、四十三年度
予算政府案
の
国会提出
時期ではございますが、
財源
がないからいかんともしがたいということではなく、何とか
輸出振興措置
を
災害対策費並み
に取り上げてお
考え
直し願いたい。
財政資金
の
輸出
への配分について、あらためて深甚な御
配慮
が望まれる次第でございます。 具体的には、
輸出入銀行
への
原資増額
を行ない、
プラント類
の延べ払いに対する
輸銀貸し付け金利
の
上昇
を食いとめることこそ、まず第一に必要なことじゃないかと
考え
ます。 さらに、
財源面
での新たな
措置
を講じていただきまして、
輸出面
への何らかの報奨、リベート的なものが実施されることが必要であると
考え
る次第でございます。 また、
ガット
に対する顧慮からさきに廃止されました
輸出所得控除制度
をこの際復活すること、あるいは別途
輸出奨励
のための
減税政策
など、
税制面
からの
施策
につきましても、切に御考慮をお願いしたいと存ずるのであります。 なお、先ほど
足立会頭
からも
お話
がありましたが、
民間
では、
政府
と合同で、二月以来、
産業別輸出会議
を開催いたしまして、
輸出振興
について熱心に検討しておりますが、
国会
がこの上ともこのような
民間
の盛り上がりをバックアップしていただくことを切に切に希望いたしまして、私の陳述を終わります。(
拍手
)
小峯柳多
5
○
小峯委員長
ありがとうございました。 次に、
駒村参考人
にお願い申し上げます。
駒村資正
6
○
駒村参考人
貿易振興会理事長
の
駒村資正
でございます。
わが国貿易
の
現状
と
振興策
について申し上げます。 四十二年度の
輸出
は、
最高輸出会議
において、百十一億六千万ドル、前年の一二%
増し
の
目標
を設定いたしたのでありますが、現在の
見通し
では、百七億五千万ドルにとどまりそうでございます。これは前年の七・九%
増し
の
模様
でございますが、残念ながら
目標
を大幅に下回っております。これに対しまして、四十三年度の
輸出目標
は百二十三億五千万ドルで、前年の一四・九%
増し
となっております。 四十二年度
輸出
の不振の原因を
考え
てみまするに、まず第一に、
わが国
の
経済活動
が
過熱化
の傾向を持っておって、そのために
輸出品
の
品不足
という現象を生じたことであります。 また、第二には、
欧米
の
景気
が悪かったこと、とりわけ
わが国輸出
の三分の一を占める大
市場
である
米国
の年初の
景気後退
が同国の
輸入
を縮小せしめましたがために、
米国
の
輸入増加率
は四十一年度二〇・二%であったものが、四十二年度はわずか五・一%となったわけでございます。大体この二つが最大の要因であったと
考え
られます。特に北米は
日本
にとって三割
市場
であるだけに、その
増加率
が低かったことが
わが国
の
輸出総額
に最も大きな
影響
を与えたものと
考え
られます。 しからば四十三年度の
輸出環境
はいかがであるか。 本年になりまして、
わが国
の
景気動向
について申しますと、
財政支出
の削減、
金融引き締め等
の適切な
対策
によりまして
景気
の
鎮静化
が
実現
されつつあるようでございます。また
一般
に、強い
輸出意欲
が各
業界
に認められております。 一方、
欧米
の
景気
について申しますと、
米国景気
はようやく
上昇機運
になってまいりました。六八年の
国民
総生産も
名目
七・八%、
実質
四%以上に
増加
するだろうと予測されております。また欧州におきましても、独、
仏とも
に大規模な
景気振興策
がとられることとなり、
英国
は
ポンド切り下げ
を契機として新たに
経済活動
を始めたわけでございます。このような次第で、全般的に
世界景気
はこれから
回復
の過程に立ち向かうものと
一般
に観測されております。 このように
内外
の
景気情勢
の新展開に加え、より重要でまた私どもの非常に心強いことといたしておりますることは、現在
わが国
が
輸出
いたしておりまする諸
商品
の
品質
、性能が近来飛躍的に向上しつつあることでございます。また新しく
輸出商品
として多くの
商品
が成長してまいっておることでございます。
日本商品
の
品質向上
の点につきましては、たとえば「リーダーズ・ダイジェスト」の本年の二月号に、「メード・イン・ジャパン」という題目のもとに、いかに最近の
日本品
のすぐれておるかということにつきまして、べたほめと申してよいほどのほめ方の記事が載っております。また、後者の
輸出商品
といたしまして最近成長してきたものの中では、特に乗用車を
中心
にテープレコーダー、
カラーテレビ
、腕時計、
工作機械
、
ガスライター等
といった
商品群
がございます。 しかしながら、一方、
海外市場
の
動向
を個別に検討してまいりますと、
英国
における
ポンド
の
切り下げ
とか、
米国
における
ドル防衛
とか、後進国特恵関税問題とか、
わが国
の
輸出
にとってその
環境
は決して楽観を許さないものがあるようでございます。この中で特に注意を要しますものは、
米国
における
各種
の
輸入制限
的な動きがあることであります。
保護貿易法案
。 すなわち、昨年は繊維、鉄鋼、雑貨、
食品等
に関する多数の
輸入制限法案
が
議会
に提出され、中には下院を通過して上院に送付されたものもあるのでございます。このような
保護貿易風潮
は、
わが国
にとってきわめて遺憾なことであり、
ジェトロ
といたしましても、これを阻止するため
全力
をあげることとし、
在外施設
を動員して極力
情報
の収集につとめるとともに、あるいは
各種
の現地の
機関
を利用して
反対運動
を展開いたし、あるいは
わが国
の
業界代表
を派遣して、先方の
関係者
と直接折衝してもらったり、あるいは
米国
の著名なジャーナリストを招いて、
わが国
の
実情
を見聞せしめたりする等、広範な
活動
を行なっておる次第であります。
ドル防衛法案
。 これらの
輸入制限法案
は、幸いに今日までのところいずれもまだ成功するに至っておりませんが、これにかわって最近では、
ドル防衛
の
一環
として、
米国政府
の側から
国境税
または
輸入課徴金
の問題が打ち出されておることは御
承知
のとおりでございます。現
段階
ではまだ具体的な
米国
の
考え
方が不明でございますが、これが
実現
いたしました場合には、
わが国
の対
米輸出
に容易ならざる
打撃
を与えることが予想されますので、
ジェトロ
といたしましても、
全米
の
施設
に指令いたしまして、
本件
に関する各
方面
の
情報
を細大漏らさず収集することに
努力
をいたしております。
政府
におかれましても、
全力
をあげて
本件
の
実現阻止
につとめられますとともに、万一不幸にして
実現
を見た場合には、
わが国
の
関連商社
、メーカーの
負担
を極力軽減するような強力な
輸出振興策
を講じられますよう切に希望する次第でございます。 次に、四十三年度の
輸出
のための
努力
。
内外
の
情勢
は決して容易でありませんが、官民一致して
輸出
のために総力を結集し、
民間
における
自己努力
と相まって、
政府
におかれましても強力な
輸出振興策
を講じていただくならば、一四・九%
増し
という四十三年度の
輸出目標達成
は決して不可能ではないと確信いたす次第でございます。
ジェトロ
は
輸出振興
のための
機関
として設立された
特殊法人
であります。毎年多額の
国庫補助金
をいただいております。及ばずながら、その責務の
重要性
を十分に自覚し、
輸出振興
のため
全力
を傾ける所存でございます。
ジェトロ
の
輸出振興策
。 これをやや具体的に申し上げますと、四十三年度において特に
重点
を置く
事業
といたしましては、まず第一に、
中小企業
の
輸出振興事業
並びに
市場開拓事業
を
強化
することであります。
わが国
の
輸出
に占める
中小企業
の
重要性
にかんがみ、また特恵関税問題を控えて急速な
体質改善
を求められておる
中小企業
に対しまして、より一そう充実した
輸出振興対策
をきめこまかく実施してまいりたいと存じております。 そのためには、
海外市場
の
動向
について基礎的な
調査
を進めるとともに、
国際経済環境
の変動に対応した
情報
をより適確かつ迅速に集め、
広報活動
の場あるいは
情報サービス網
などを通じて
関係方面
に周知させていく
方針
であります。また
商品別
の
マーケッティング調査
、
市場開拓
のための
特殊市場等
を
拡充
させるほか、秩序ある売り込み、及び各国の
輸入制限
の
動向
に対応した
輸出秩序維持対策
にも特に本年は力を注ぎたいと
考え
ております。 また別に、きめこまかいPRを実施いたしまして、新しい販路の
開拓
をはかるとともに、
展示会
、
専門見本市
の
開催等
を通じまして、
わが国
の
輸出商品
を着実に
相手国
の
流通ルート
に乗せていくように
努力
いたす
考え
でございます。 また
地方支部
、
相談所
の
拡充
をはかりまして、
貿易あっせん業務
の
強化
を行ないますとともに、東京及び大阪の
資料センター
の充実をはかり、
中小企業
に対する
情報サービス
の
拡充
を行ないたいと存じております。要しまするに、それぞれ性格を異にいたしまする
海外市場
の
実情
に即した
輸出体制
の確立、未
開拓市場
の
開発等
、
ジェトロ
の機能を十分発揮いたしまして、
輸出目標達成
のため貢献いたしたい
考え
でございます。 次に、近年ますます顕著になっております
輸出構造
の
高度化
、すなわち
機械化
の方向に対応いたしまして、
機械
の
輸出振興事業体制
を整備することを
重点事業
の一つと
考え
ております。そのため、本年二月開きました
豪州メルボルン
・
センター展示室
の
強化
及び
技術担当職員
の
派遣増
を行なうほか、
東ヨーロッパ圏市場
を主としてウィーンに
機械中心
の
展示場
を有する
センター
を設置する
方針
でございます。 次に、
資本取引
の
自由化
が本格化するに伴い、
わが国中小企業
に密接な
関係
を有する
海外
の
企業
及び
業界
について詳細な
調査
を行ない、その結果を外資
情報サービス
として広く国内の
企業
、
業界
に提供することを新たに実施いたします。その他、
中小企業
に対するデザイン改善のための
事業
、
発展途上国
の一次産品を展示して、その片
貿易
是正のための
事業
等、
ジェトロ
の
事業
は各
方面
にわたっておりますが、以上申し述べたような
重点事業
について、今後
政府
、
業界
と密接な連携を保ちながら、その要請に応じるとともに、各
事業
の効率を高めるよう格段の
努力
を傾注して、
輸出振興
のため邁進したいと存じておる次第でございます。(
拍手
)
—————————————
小峯柳多
7
○
小峯委員長
ありがとうございました。 以上で
参考人
の御
意見
開陳は終わりました。
小峯柳多
8
○
小峯委員長
これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
田中
六助君。
田中六助
9
○
田中
(六)
委員
足立
、
寺尾
、
駒村
、三
参考人
、本日はお忙しいところを私どものために御
出席
くださいまして、まことにありがとうございます。 私のまず質問したいことは、現在国の
内外
で非常に問題になっております
アメリカ
の
輸入
付加税、つまり
国境税
と
課徴金
の問題でございます。
課徴金
は、
寺尾参考人
がいま申しておったように、
国境税
のほうは別といたしまして、
輸入課徴金
制度というものがほとんど十中入、九——五月からになるか六月からになるかは明らかではありませんが、大体実施される公算のほうが強い現実でございます。実は、きのう、
アメリカ
大使館のある者に聞いたら、やはり
輸入課徴金
のほうは
実現
の
可能性
がきわめて強いようでございます。しかし、
わが国
といたしましては、まずこれを阻止すること、これが第一点。それから第二
段階
といたしましては、これができたらどうするか、こういう二つに分けて
考え
なくちゃいかぬと思います。 これを阻止するためには、
足立参考人
も
寺尾
さんも言っておりましたように、強力なる
交渉団
体を編成して、早い機会に
米国
に行くとかというようなことをしなくちゃいかぬのじゃないかと私どもも感じております。しかし、EEC諸国などの
アメリカ
との交渉などを見ましても難航しておりますし、これは何とか抵抗して、これをまず阻止することに
全力
をあげなくちゃいかぬのですが、しかし
アメリカ
の自国のやることでどうにもできないという場合が起こってくると思います。これは仮定の問題ですが、もしこれができたらどうするか。 まず、
寺尾参考人
にお聞きしたいのですが、この
輸入課徴金
がたとえば五彩とした場合に、
わが国
の
貿易
に十億ドル前後響くことは巷間伝えられておりますが、どの品目にどの
程度
一番強く響くかということをお尋ねしたいと思います。
寺尾一郎
10
○
寺尾参考人
お答えいたします。一番こたえるのは繊維、それから雑貨
関係
と存じます。ほかの品種におきましては、もしこれが五%となると、やはり甚大な被害を受けますけれども、二%
程度
である場合はある
程度
までアブソーブ、吸収することができるのじゃないかといわれております。大体繊維の
打撃
は、もう新聞でも御
承知
と思いますが、二億ドル
程度
になるのではないかといわれております。先ほど申し上げましたように、五月ないし六月一日から
課徴金
五%
程度
が実施されるといたしますると、ことしの一−六月——これはカレンダーイヤーで、一月−六月はほとんど
影響
ないのではないか。しかし七−十二月、後半におきましては、約二億二千万ドル
程度
の減少を来たすのではないかと存じます。これが行なわれないといたしますれば、むしろ前年比一億八千万ドル
程度
の
伸び
が見込まれる次第でございます。
田中六助
11
○
田中
(六)
委員
特に繊維に響く。それから私は、まあ軽工業部門だけじゃなくて、重工業にも当然響いてくると思いますが、いままでこれを阻止するために
業界
では具体的にどういうようなことを自主的におやりになってきましたか。
寺尾一郎
12
○
寺尾参考人
先ほど
足立会頭
から
お話
がございましたように、
アメリカ
の各
関係
機関
及び
関係者
に対しましてあらゆる手を打ってきておるのでございます。また最近も、先ほど
足立会頭
から
お話
がございましたように、経済団体連合会、
日本商工会議所
、
日本貿易振興
会、三団体が対米
貿易
合同
委員会
というのをつくっておりますが、この
輸入課徴金
制度の再考を強く要請するという文書を各
方面
に出して、官民合同でこれに対処して阻止の
実現
をはかるという
運動
を着々やっておりますし、ことに、先ほど
足立会頭
がお触れになりましたように、先月の二十二日に
全米商業会議所会頭
のアラン・シバース氏に対しまして、その善処方を要請する電報を打ちました。これに対しまして
足立会頭
あてに三月の四日、昨日返電が参っております。 朗読いたします。
全米商業会議所
シバース会頭不在につき、米 合衆国の
国境税
あるいは
輸入課徴金
制度の設定 の
可能性
について懸念をのべられた貴電に対 し、我々は以下の通り回答いたします。 我々は貴電に同感であり、事実、去る二月二 十二日に開催いたしました
全米商業会議所
の役 員会において米合衆国はもちろん他の
関係
貿易
国もそのような人為的な
貿易
抑制策をとること に対し、
反対
であるという声明を承認いたしま した。 我々は、
貿易
に対しそのように不当な抑制策 を課した場合に起るであろう世界各国の報復措 置を認識し、双方とも損害を受けることになる 「
貿易
戦争」をどちらの国からも起さないよう 我々も希望する次第であります。 以上。
田中六助
13
○
田中
(六)
委員
これは何とか阻止しなくてはいけませんが、私は、
政府
と
民間
が強力に
アメリカ
に——まあ下田大使を通じてやっておるのですが、現地に乗り込んでやるということになると、またかなり
影響
があるというふうに信じております。というのは、
アメリカ
の国際
環境
が、ベトナム戦争を控えまして、特に
日本
とのいろいろな問題で必ずしも
日本
に不利ではない。これは有利、不利をそういうものに結びつけるとちょっと語弊がございますが、いずれにいたしましても、必ずしも
アメリカ
がこれを一本に押し通すということを阻止できないということには感じておりません。あなたたちも自分の商売のことですし、
日本
も
貿易立国
ということから、これは
官民一体
でやらなくちゃいかぬと思っておりますが、第二にこれができたらどうするか、この
対策
というものを
寺尾
さんもそれから
足立参考人
も述べておりましたが、
輸出入銀行
のファンドの拡大とかあるいはプラント
輸出
類の
金利
の引き下げ、あるいは
輸出
リベート、それから
税制面
からの優遇
措置
などの具体的な対抗策の裏の面を言っておりましたが、このほか
考え
られる対抗策の具体案がありますか。
寺尾一郎
14
○
寺尾参考人
適確な
対策
はなかなかない。しかし経済協力の面で、従来
アメリカ
から
輸入
していた原材料を開発途上国からの開発
輸入
あるいは経済協力によってシフトするというようなことは、やはり
アメリカ
に対する若干の牽制になるということです。これは先ほど申し上げました
輸出入銀行
の原資の増額による
金利
の引き上げ回避、それから
ガット
を顧慮いたしまして廃止された
輸出
所得控除のあの制度の復活、さらには他の
措置
による税制上の優遇
措置
、いわゆる
輸出
すればもうかる、
国際収支
も外貨獲得によってなおる、こういう面から
輸出
マインドにメーカーも
商社
もあげてなるように御
措置
願うことが必要だと
考え
ます。
中川俊思
15
○中川(俊)
委員
関連。ちょっとお尋ねいたしますが、いま
全米
会議
所から来た電報を御朗読願ったのですが、向こうでも非常な関心を持っておるということがみんなにわかったわけです。そこで、私は先ほどから
足立
さん、それから
寺尾
さん、
駒村
さんの
お話
を伺っていて、非常に御
努力
願っておることを感謝するのですが、さらに百尺竿頭一歩を進めて、あなた方
アメリカ
へ行かれたらどうですか、特に商工
会議
所は。
アメリカ
に行って大いに
実情
を吐露していただいて——もし
アメリカ
が今回のような
措置
を講じますと、私は日米間にひびが入りはしないかと思うのです。これは
アメリカ
が一番いまおそれておるところじゃないかと思います。ですから、そういう見地から言いましたならば、たいへん御足労でございますが、特に
足立
さんあたりにおいでいただいて、
日本
の
政府
にたよっていたってだめですから——
政府
はだめなんです。私も通産省におったのですが、あなた方御存じですけれども、
予算
に第一制約されます。それから役人というのは自分の首ばかりなでておって、積極的な仕事はやりません、実際問題として。うっかりやって、下田君のようにつまらぬことを言ったりなんかすると、
国会
で野党からすぐ責められますから、なかなか役人は積極的によう動かないです。これは私も役人の
立場
を了承しておりますが、実際は動かなければいけないのです。この問題は単に通産省だけの問題じゃありません。これも外務省あたりがどんどんやらなければならぬ。外務省を通じて、おまえの国で
日本
に対してそういう
措置
を講ずるのなら、
日本
もおまえの国の極東政策に協力しないぞ、このくらいなことを外務省がやらにゃだめなんですよ。ところが外務省の役人は腰抜けばかりですから、そんなことをやるやつは、実際問題としておりはしない。こんなことは私が言わぬでも、
足立
さんや
寺尾
さんや
駒村
さんは百も御
承知
なんです。ですから、
日本
の
貿易
が今日まで伸展したのは、
政府
の力じゃない、私は
民間
の力だと思っている。経済が
発展
したのも同じだと思う。
寺尾
さんあたりが非常に
努力
された。それはあなたのところは
努力
されればマージンも入るからいいというわけじゃ実際ない。非常に
努力
された。それは私が商工
委員長
時代も南アフリカのほうへ行ってみまして、実際女がおるわけじゃなし、あの殺風景なところへ各
商社
が命がけで
商品
を売りさばいておる。それだけの
努力
をしたから、私は
日本
の経済が
伸び
、
貿易
が今日
伸び
てきているのだと思うのです、実際問題として。ですから役人にたよっておっても、役所にたよっておってもだめだということは、私が言わなくても、もう皆さん御存じだと思うのです。ですから、たいへん御迷惑でございますが、せっかく
アメリカ
にそういう空気が台頭してきておるのですから、このチャンスをのがさないで、商工
会議
所なんかばっと行ってごらんなさい。電報でやりとりしておってはだめですよ。そんな手ぬるいことをやっておってもこの問題はなかなか解決しない。そこまでやるということは
アメリカ
もたいへんな問題でございます。友好国の
日本
に対してそういうことをやるということは、
アメリカ
もよくよくのことだと私は思うんです。ですからそれを打破するのには、電報でやりとりしたり、手紙でやりとりしたり、それから
駒村
さんが
ジェトロ
の向こうの方を使って一緒にやっていらっしゃるのはよく了承しますが、そのくらいなことではなかなか解決しない。結局、このままでまいりましたならば、私は
アメリカ
は既定
方針
どおり、この
課徴金
の問題は、
日本
に対しても諸外国と同じようにやってくると思います。ここで先輩に対してかってなことを申し上げてたいへん失礼でございましたけれども、そのくらいな
努力
をお
考え
を願いたい。質問じゃございません。私はこのことをお願いを申し上げておきます。
田中六助
16
○
田中
(六)
委員
時間もございませんので、私あと二点ぐらいお聞きしたいと思います。
輸出
の振興ということが
わが国
の至上命題でございますが、私ども毎年外国に行って聞くのですが、
日本
の
輸出入銀行
はむしろ
日本
輸出
入阻害銀行だというようなうわさも聞くんです。ただいま
参考人
の方々から
輸出入銀行
のファンドの拡大あるいは
金利
の
現状
維持並びに引き下げ、アップはいけない。もちろん私どももそう思いますが、いま四%
程度
の
金利
、これは国際的に見ますとそう高い
金利
ではございませんが、といって、だんだん貸し出しが累積してきますと、それをカバーする意味でどうしても四・二とか四・五に
金利
を上げようとする動きもあることは問題であるということは私も十分知っております。
輸出
入阻害銀行だといわれておる。必ずしもそうじゃないかもわかりませんが、たとえば融資
条件
あるいは
輸出入銀行
の人的な構成の問題あるいは
条件
審査などの問題についていろいろ御
意見
があろうと思いますが、この点について、三人の
参考人
の方々、簡単に答えていただきたいと思います。
寺尾一郎
17
○
寺尾参考人
それでは、お答え申し上げます。いま、
輸出
入阻害銀行ということはないと思うのですが、むしろ非常に奮闘
努力
されております。ただ、いかんせん、原資が、われわれも一生懸命にお願いしたのですが、ついに七百三十億ドルをくっつけていただくのすら
実現
しないのです。それで結局私は、これは少し
政府
批判になるかもしれませんけれども、財政配分が少し間違っているのじゃないかと思うのです。先ほど
田中
委員
から
お話
がございましたように、
日本
の
輸出振興
というのは、もう至上命題なんです。外貨を獲得しなければ、原材料の
輸入
ができないのです。したがって、
政府
がほんとに
輸出
を振興させたいという
考え
があるならば、
財政資金
の配分の率を、もっとこれら
輸出
関連の面にお出し願うことを
政府
の姿勢として
考え
ていただきたいと存じます。それが問題だと思います。
田中六助
18
○
田中
(六)
委員
時間がもう過ぎたという
委員長
の御注意でございますので、これで終わりますが、ただ、
条件
でいろいろ問題があるでしょうが、ときどき頭をかすめるのは、
商社
側の過当
競争
という問題なんです。国内でもそうですか、外国においても、
日本
の
商社
が働くのはいい。確かに網の目のようになった白人の中を
日本
の
商社
が必死になって、血みどろになって
わが国
の
貿易
の
発展
のために働いていることはわかるのですが、それが過当
競争
化してむだなことがあり、あるいはそのために、とるべき
商社
の談合も妙にくずれ去ったというようなことも聞くわけであります。したがって、こういう点の御
配慮
を
関係者
の方々が十分頭に置いて、いまより以上の効果をあげることを望みまして、私の質問を終わりたいと思います。
小峯柳多
19
○
小峯委員長
永井勝次郎
君。
永井勝次郎
20
○永井
委員
最初に、
寺尾
さん、
足立
さんにお尋ねをいたします。
課徴金
の
見通し
ですが、これはいろいろな
運動
もあるでしょう、あるいは各国の反応もあるでしょうけれども、
見通し
としては、結局は実行されるのではないか、こう思うのですが、その点はいかがでありますか。 それから第二点は、先ほど、
日本
の
輸入
は原材料が六〇%だ、したがって
報復措置
は
日本
にとって損だ、だからその
課徴金
の補完は国内的な
措置
でやるべきだ、こういう御
意見
であったと思うのですが、もしそういう
措置
を国内的に行なっていくというやり方でまいりますと、国の
関係
から申しますと、これは
ドル防衛
に対する間接協力、こういう結果で、直接援助は直接援助で表通りでやって、裏では国内
措置
で間接援助だ、こういう結果にならないかどうか。 それから、一方でケネディラウンドなり特恵関税なり、あるいはUNCTADというような
会議
がずっと進んでおる。そして全体としては
貿易
自由化
、
資本
自由化
の方向をずっとやりながら、
アメリカ
でもイギリスでも逆な方向をとってくる。そして国際経済の指導的な
役割り
を果たしておる。これらの地域でそういうことの方向に動くといたしますならば、国際
貿易
の
自由化
の基調は転換する。これはまたもとに戻るというよりは、違った形の反
自由化
の方向に動いてくるのではないか。その場合に、従来の
貿易
のパターンと、今度新しく、こういう
条件
の
自由化
の
運動
の動きの中から転換してくる反
自由化
のパターンとは、どういうふうな違いがあるのか、どういう展望を持ってこれから善処すればいいのか。まずこの三点についてお伺いいたします。
寺尾一郎
21
○
寺尾参考人
なかなかむずかしい問題でございます。しかし、第一点、これはおっしゃるとおり
実現
の
可能性
きわめて大です。 それから第二点、その場合、国内処置でこれをアブソーブするということは、間接援助になるじゃないか。確かに一応は表面そうなります。しかし一方におきまして、これによって外貨はよけい入ってくることで、この外貨の獲得という面のメリットも、やはり
考え
なくちゃならない。あわせて、私は
対抗措置
ということばを使って、これに対する
報復措置
ということばは使いたくない。これは、われわれ
商社
や
民間
が軽々に用いることばであってはならないと思うのでございます。これは、大きく国の政策を遂行される
政府
、
国会
の問題だと思います。この点は、私発言を差し控えたいと存じます。 それから第三点、こういった
貿易
の
自由化
をとうとうとやっているのに、それに逆行するじゃないか、そして、みんなまた国境をこさえて、保護政策をやるようになったら一体どうなるか。さっきのシバース会頭の返電の中に、こういう
措置
をとって各国が
貿易
戦争に入るということは絶対に避けなくちゃならない。これは
全米商業会議所
の会頭の名において、やはり同様の懸念を十分お持ちであるということが、率直にあの電報の上にあらわれておるのでございます。したがいまして、かりにベトナム戦争遂行、
ドル防衛
という点から、一時的にやむにやまれずやるかもしれませんが、これはきわめて短期間の——こっちのほうにもいろいろ関連することがありますが、私は永続的なものでは絶対にあり得ないというふうに感じております。したがって、こういうものが出て、各国が
貿易
戦争に入るようになったときにはどうするかという御質問でございますが、これはいま軽々に申し上げられない大きな問題で、われわれもそういう事態の出現を考慮いたしまして、十分これからも検討を続けてまいりたいと存じております。 以上、お答え申し上げます。
永井勝次郎
22
○永井
委員
長期展望は無理といたしますならば、重ねてお伺いしたいのですが、一九六八年の
国際収支
の
見通し
は、こういう
情勢
の変化はまだこれから動いていくでしょうから、いまの時点で的確な
見通し
は立たないと私は思うのですが、少なくとも昨年の暮れに
政府
の立てた
国際収支
とは、もうすでに違ってきておるわけです。そこで
見通し
をお伺いしたいのですが、経常収支はいかがですか。それから
貿易外収支
、これはベトナムの特需が多くなっていますから、まあ好転はしていると思いますが、これもそう安心できる
条件
ではない。それから長期
資本収支
あるいは短期
資本収支
、これらに対していまの時点でどういう分析をし、把握し、そして現実にこれから
貿易
戦争を担当される皆さんですから、どういう戦略、戦術でこれからを乗り切っていくか、ひとつ四十三年度の
貿易収支
についての個別的、項目別な
見通し
を伺いたい。
寺尾一郎
23
○
寺尾参考人
永井先生御指摘の
政府
の
見通し
、これは一月二十六日発表の
政府見通し
の数字はお持ちのことと存じます。先ほど私申し上げましたように、五月、六月のころから
輸入課徴金
が五%
程度
課せられるようになりますると、一−六月はこれはもう変わりませんと存じますが、七−十二月の
輸出
は二億二千万ドル減ということになります。したがいまして、一月二十六日
政府
御発表のこれから二億二千万ドルをお引き願いますると数字は出ると思います。
永井勝次郎
24
○永井
委員
これは
見通し
の問題ですから、いま議論してもなにですからあれしますが、
貿易
自由化
といっても、現実には、それぞれの地域に個々的ないろいろな
条件
があって、必ずしも自由ではなかった。
貿易
障壁がそれぞれの地域にあることは、ヨーロッパのほうにはやはり対日差別があり、あるいは
アメリカ
には反ダンピング・コードがあり、いろいろ障壁があるわけですが、ことにこういう新たな
条件
の中で、どういう障壁がそれぞれの地域に出てくるということが予想されるか。それをひとつ低開発国はどうだ、こういうような御
意見
を伺いたい。 それから第二は
貿易外収支
の点ですが、これらについては運輸の面あるいは保険の面、旅行の面、投資収益の面、
政府
取引の面、これらについて、ひとつ
見通し
を伺いたいと思います。
寺尾一郎
25
○
寺尾参考人
第一点が非常にむずかしいのですが、しかしあれでございますね。そういったようないろいろな障害は、今度のこういった
アメリカ
の政策によって倍加するとかなんとかいうことじゃないと思います。むしろまだわれわれの
伸び
ていない面を伸ばす着意が必要だと思うのです。私は中東四カ国を二十日余回りまして二十九日帰ってまいりました。いわゆる中東の産油国です。サウジアラビア、イラク、イラン、クウェート、これらを回ってまいりました。ここらにはまだまだ、われわれが
考え
ていた以上われわれが進出しなければならない地域であることを現地に参りまして非常に痛感してまいりました。これからだんだん各
方面
ともまた御相談して、これらへ少し、いままでのただ物を売るという観点からもう一つ高い次元で進出することを
考え
なければならない。それに十分値する。また金は幾らでもあるのです。油の利権収入、また石油収入、ですからこれを
開拓
したいと存じております。これは一例でございますが、そういう面を官民あげてひとつ力をいたしてまいりたいと存じております。 それから、御指摘の
貿易外収支
。幾らわれわれが一生懸命になって外貨を稼ぎましても、こっちでざるみたいにどんどん海運収支の赤なんというのがこう出てまいりましては、まことに残念なんです。あのノルウェーあたりはわずか人口六百万、それで造船所もたいしたものはありませんし、それから運輸物資だって、あそこじゃ自分の国としてはもう微々たるものなんです。これに比べて、
わが国
の保有船舶量はまだかれらに負けているという
実情
、まことに残念だと思います。しかも積み取り比率が
輸入
で四三、四%、
輸出
では三八%くらいでしょう。この世界に冠たる造船工業を持っている、しかも海上輸送物資は
日本
はおそらく
アメリカ
、ソ連、もうおそらくソ連を抜いていやしないか、それだけの力、物資を持っているのです。なぜもっと船をつくって保有船舶量をもっと大きくして、しかも今度は積み取り比率を上げて、これらの流出する外貨をセーブすることを
考え
ないかということを、これはちょっと
貿易
以外なんですけれども、常日ごろ
考え
ているところでございます。その他の面も、ソ連にしましても、もうみんな着々やっております。したがいまして、こういうせっかく稼いだ外貨を食ってしまう、流してしまうような面、これはひとつ
国会
でも大いにお取り上げ願いたいと思います。
永井勝次郎
26
○永井
委員
伺いたいことがいろいろあるのですが、時間がございませんから最後に……。一つは、いまのお答えのように、
貿易
というのは単に品物を取引するだけじゃなくて、もっと立体的に構造の
体質改善
の中で分野を
開拓
していかなければならぬ、ごもっともだと思うのです。ことにそういう見地から、私は共産圏の
貿易
の
伸び
率が、金額は少なくとも、
伸び
率は年率で非常に高いわけです。LT
貿易
にしましても、日ソの
貿易
にしましても、あるいは東欧各国の
貿易
にしましても、
アメリカ
のほうを向いて、
業界
の人たちはびくびくしながら隠れた会社をつくって、そしてこそこそやっておるというようなところがあって、少しへっぴり腰じゃないか。もっとそういう面を強調しなければいけないと思うのですが、その点についてはいかがですか。それが一つ。 それから、特に
足立参考人
に伺いたいのですが、私は木材
関係
ですが、詳しくおわかりだろうと思うのですが、木材の
日本
の現在の
需要
は六千六百万立方、そのうち
輸入
の量が二千六百万立方、実に四割近いものが
輸入
材でまかなわれておる。ことにその
輸入
もソ連材
関係
は前年に比べて二五%の値上げ、あるいは
アメリカ
においてはこの間も
会議
をやったようですが、現地の業者が
日本
であまりに高く買ってもらって迷惑だ、困る、何とか調整してくれというほど過当
競争
で原木を値上げしてどんどん買う、こういうようなことについてもう少し調整がつかないものかどうか、そういうことが一つ。それから四割近いものが外材に依存しておる。そうしてこれからはもっとどんどん依存率が高まっていく、こう思うのです。そういうようなときに国内
需要
の四割近い量をノーズロースで
輸入
するということは少しおかしいのではないか。それから国内で切っている国産についても、人工造林の地帯から切っているものは十万ヘクタールにすぎません。いま切れるような木の人工造林というものはその当時はあまりやっていなかった、こういうのですから、原資はどんどん切り込んで生長率を食っていく、こう思うのです。そういうようなときに、二千六百万立方からの
輸入
があるのですから、これに関税をかけるということはいけないにいたしましても、国内における流通税をかけて、そこからあがる収益を
日本
の山に還元していったらどうか。あるいは国内だって木引税その他があるわけです。国内には木引税があるのに、
輸入
材は全く手放しで入れておる。 〔
委員長
退席、鴨田
委員長
代理着席〕 こういう
関係
を、もっと取引税を課徴して、その原資を投資不足になっておる山に還元していって、できるだけ早く
輸入
材に対抗できるよう国産の増強をはかるべきでないか、こういうふうに
考え
るわけですが、これはもう
足立
さん専門でありますから、そういう
関係
の御
意見
を伺いたい。
足立正
27
○
足立参考人
非常にむずかしい問題で、私はほかのことならば御答弁できますけれども、材木のほうは非常にしろうとでありますが、ただ、いまの
現状
でいくということはどうも当分はしかたがないのではないかと思います。いま
お話
しのように、これから植林するにいたしましても三十年、四十年かかる問題ですから、これはむろんやらなければならぬことですからやることはけっこうなんですが、しかし、それに依存するというわけにはいかないわけですから、どうしてもソ連なり
アメリカ
から、もしくは南洋
方面
から持ってこなければ現在の
日本
の
需要
はまかない切れぬ。それで私はソ連との間の経済の
立場
でこの間からも話をしておったのでございますが、しかし、これはまとまらずに、もう少し研究しようということで別れております。別れておりますが、結局はサイベリアを開発するのならば、これから少し割安な木を持ってこれたらば、私はそれが一番便利じゃないかと思います。ところがロシアはなかなか辛いのでして、そう安々とは持ってこれないと思います。それですから、やはり南洋のほうなんかをあさってみて、それで埋め合わせをしていくより現在の行き方では方法がないと思います。この問題はまたお教えを願って、できるだけ勉強したいと思います。
鴨田宗一
28
○鴨田
委員長
代理 佐野進君。
佐野進
29
○佐野(進)
委員
私は、いま
参考人
の方々から
お話
を聞きながら、あるいはきょう
お話
があるということでいろいろ調べておったわけですが、特にその中で一致したというか、
貿易
を振興する場合における問題点として非常に心配なことがやはりお三方から強調されておるという点について、質問したいことの大部分が終わったわけですが、せっかくの機会でございますので、二、三御質問してみたいと思います。 第一点は、いろいろ
お話
ございましたが、結局
輸入課徴金
の問題にしろ、あるいは
貿易振興
についての将来の展望にしろ、いろいろな面で一番大きな
影響
を受けるのは
中小企業
者である。特に七四%を占める軽工業生産が
輸出
の
中心
であり、そしてまた
輸入課徴金
の
措置
によって、繊維、雑貨等を含めていわゆる軽工業に属するものが一番大きな
影響
を受けるということが強調されております。また事実そのとおりだと思うわけでございますので、そういう点について二つばかりお聞かせをいただきたいと思うのです。 その一つは、いわゆる
発展途上国
、低開発国と申しましょうか、この
方面
におけるところの軽工業生産、特に繊維
関係
の生産というのは非常に急速に
伸び
を示しておる。したがってこの
伸び
というものと、低開発国におけるいろいろな政治上の問題と関連して、御
承知
のように特恵関税問題等があらわれてきておるわけでございますが、そうした場合、
アメリカ
の
輸入課徴金
の問題と関連して、この低開発国との関連が
日本
の産業、なかんずく
中小企業
に対してどのような
影響
を与えるのか、それに対してどういうような取り組みをしていかなければならないのか、この点についてひとつどなたでもけっこうでございますからお答えを願いたいと思います。
寺尾一郎
30
○
寺尾参考人
お答え申し上げます。これも御指摘のとおりほんとうにむずかしい問題です。繊維にしても雑貨にしても、香港フラワーあるいは台湾の綿製品の
輸出
の
動向
等から見ましても、
日本
としてはこれから受ける
打撃
というものは非常に大きいことはお説のとおりでございます。ことにそれが
お話
しのとおり
中小企業
に最も大きくしわ寄せせられるということは、これは事実でございます。これは御当局でも非常に
考え
ておられると思うのでございます。単に
中小企業
金融ばかりじゃございません、いろいろ指導
センター
とか、あるいはこれらの業務提携あるいは統合合併というようなこと、それと同時に近代化、合理化の追求というようなことでこれらに
対抗措置
を
考え
て、着々
施策
を進められておるのでございますが、何せ
日本
には非常にばく大な
中小企業
が存在いたしておりますので、これらの成果を見る過程におきましても、いろいろ問題が起こりつつあることは御指摘また御
承知
のとおりでございます。 われわれの側では、いまこれをどうするということはなかなかむずかしいのですが、しかし下請
企業
的のものの育成、支援
強化
ということについては、これは同甘共苦的の
立場
にございますので、一生懸命にそういう面に力をいたしておる
実情
でございます。これ以上はなかなか、私はそういう面ばかりにあれしておりませんので、お答えいたしかねることを遺憾に存じます。
佐野進
31
○佐野(進)
委員
お答えできないということでございますのに答えろということも無理だと思う。これはわれわれが研究しなければならぬ課題の一つだと思っておりますが、特にこの際お聞きしておきたいことは、
輸入課徴金
の問題は先ほど来強調されておりますけれども、こういう低開発国の
日本
に対する特恵関税、特に繊維、雑貨等、後進国において直ちに工業化し得る部門と、
日本
経済なかんずく
中小企業
者との競合について、政治的と申しましょうか、いわゆる政策的に皆さんの
立場
ではどのように判断しておられるかということを一言お聞きしたい。
寺尾一郎
32
○
寺尾参考人
これにつきましては、特恵関税問題でも、
輸入
ばかりじゃなくて、広くこういう面の開発途上国からの
輸出
と競合し、それによって阻害を受ける
わが国
の特殊事情をUNCTADでもOECDでも大いに強調して、私どもの最近
承知
しているところでは、大体
関係
各国ともこの
日本
の主張を承認したように聞いております。これが
中小企業
関係
に大きな
影響
、いい
影響
をもたらすものと私は存じております。 〔鴨田
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
佐野進
33
○佐野(進)
委員
そこで
ジェトロ
にお聞きいたしたいのです。
中小企業
の
貿易振興
をはかるということになると、大
企業
はそれぞれの持つ独自な
調査
機関
その他いろいろな
資金
関係
等においてそう心配は要らないと思うのですが、
中小企業
の場合には、どうしてもそのよりどころを
ジェトロ
ないしそれにかわり得るようなところに求めなければならないという形があるわけです。したがって、
ジェトロ
の持つ
中小企業
貿易振興
に対する
役割り
をわれわれは高く評価しておる次第であり、いままでの実績に対してもこれを評価するにやぶさかではないと思う。ことしはそういう面において、先ほど
輸出振興事業
に対して
市場開拓事業
を
強化
するというような形の中においていろいろ御説明をお伺いいたしたわけですが、
ジェトロ
の持つ前身的な組織からするならば、いわゆる
貿易
のあっせん、見本市あるいは
海外市場
調査
、あるいは
貿易
の直接的な振興というような、
中小企業
の人たちが一番待望しておることをその
役割り
としておるわけです。こういう事態に対処して、抽象的な
輸出振興事業
、
市場開拓事業
を
強化
するという毎年出ておるようなことでなく、現実当面する問題、前年度いわゆる成長力が予想どおり
伸び
なかった、ことしも後半非常にむずかしいのではないかという
見通し
の中で、具体的に
中小企業
、特に繊維をはじめとする軽工業の人たちに対する
対策
として、
政府
の
予算
措置
との関連の中で希望するところをお聞かせ願いたいと思います。
駒村資正
34
○
駒村参考人
先ほど申しましたが、ことしの
予算
にいたしましても、先年に比べまして二割四分か二割五分ほど
増し
まして、いま先生からおっしゃいました従来の
中小企業
の育成のための仕事を進めております。またこういう際でございまして、いろいろとむずかしい問題の起こっていることは御
承知
のとおりでございますので、なるべくわれわれのところに御相談に来られるように、まずそれが第一だ。今日まで比較的遠慮しておられた先があるような気もいたしますので、なるべくそういう行き渡った方法でもって理解していただくように
努力
をし、またきめこまかに仕事仕事のたちをよく検討して、その仕事に向くような指導
方針
で進んでいきたいというふうに
努力
いたしております。
佐野進
35
○佐野(進)
委員
私は、
ジェトロ
が力が足りないからできないんだということを申し上げておるのでなくて、いま
お話
しのような形、いわゆる
中小企業
の方々が進んで喜んでということで相談にいけるということは、なかなかその仕事をやっておる本質からいってもできないと思うのです。したがって、
ジェトロ
のほうで
日本
における
中小企業
のいわゆる
輸出
に
関係
する業態、業種というようなものは一読して判明し得るような
調査
が行き届いておるかどうか。そうすれば、その業種別にあるいは業態別にそのときどきの国際的な
情勢
の変化に対応して、そういうような
業界
や業態に対して、指導なりあるいは通知なりを出すことによって国際的な変化に対応できる
日本
の
中小企業
の
貿易
体制というものができていくんじゃないか。それをやってやらなければ、あとになって、倒産してから、おれのところに相談に来ればよかったというような、あとで、何か人が悪いような形の中における
措置
だけに終わってしまう、こういうような気がいたしますので、そういう点についてのお
考え
を一点お伺いしたいと思います。 時間がありませんので、引き続いて御質問を申し上げておきたいのですが、もう一つの仕事の中で、いわゆる見本市というものの
役割り
、特に、今日の
貿易振興
における見本市の果たす
役割り
というのは私ども相当高く評価しておるのでありますが、
ジェトロ
がこれに対して、
日本
の見本市はもちろん、
海外
の見本市に対して果たしておる
役割り
、今後
日本
においてどの
程度
の中核的な組織を
ジェトロ
は持っておるのか、これも業務の
中心
の一つでありますね。これには地方に見本市協会とかいろいろありますが、
ジェトロ
がそれらに対してどういう関連をもって指導しておられるのか、あるいは関連をもって提携しておられるのか、その
関係
について一点お聞きしておきたいと思います。
駒村資正
36
○
駒村参考人
第一の問題でございますが、われわれはこの国内にも二十二カ所
相談所
を設けております。各地で、各県でといいますか、二十二カ所の
相談所
で
中小企業
の方にも御相談に応じておるわけであります。ところが現実を申し上げますと、各府県おのおの独自の産品について、たとえば塗りものであるとか瀬戸ものであるとか、あるいは民芸品であるとか、そういうようなものについてやはり
貿易
の対象になるよう御相談に応じているわけであります。各地方のいろいろな産品を紹介して
中小企業
の
貿易
あっせんを行なっていくというふうなことをやっておりますが、少し高い
段階
から見ますと、各県でおやりになっておること自体が非常にまちまちといいますか、統制がとれない、また非常に重複もしておるようなかっこうにもなることが往々あるわけであります。私らも時間を得ますれば、各地を回りましてそういうふうな状態を見て、この品物はおやめになったらどうか、むしろこれをお出しになることは他の県とも競合するし、こことも競合するし、しかもこのような品物はもうすでにあまり人気のないものだからというふうなことを、現実においては、各地方の
中小企業
の方に対しては、その構造といいますか、あり方を非常に強く指導していかなきゃならぬということでありまして、もちろん
中小企業
におきましても、大きな会社との関連のある、いわゆる下請
事業
をやっておられる方と独自でおやりになっておる方との間で非常に
考え
方も行き方も違いますが、その独自でおやりになっておる方のほうに、ただ
貿易
さえやれば何とか県でも見てもらえるとか見てもらえないというようなことの弊害が各地に起こっておる。これはやはり一応整備していかねばならぬし、整備した上で、一つのまとまったものに対してわれわれとしてはできるだけの御援助を
相談所
を通じてやっていくということにいたしておるわけでございます。この上ともPRいたしまして、十分われわれの存在と仕事を理解していただくように
努力
をしていきたいと
考え
ております。 次に、見本市なりEXPOの
関係
でございます。これはただいま大体
日本
の
政府
の
関係
しておられますものの実施の面をいろいろとやっておりまして、最近におきましては、いろいろな
方面
で経験も積んでまいりまして、まず大過なくといいますか、平穏にスムーズに仕事が運ばれるようになりまして、これが
一般
の
貿易
界に与える
影響
その他のことにつきましても、非常に私自身といたしましては有意義に進展していると思います。御
承知
と思いますが、一昨日マニラへ参りまして、
日本
の工業の生産部門の
商品
を主として
展示会
をいたしまして、大統領夫妻も来ていただきました。非常に喜んでいただき、また、先ほどちょっと申し上げましたように、非常にわれわれの心強いのは、最近
日本
の
商品
のバラエティー、しかも非常にいいものが展示されておる。われわれと同じ地域に住むアジアの
日本
でこういうものをこしらえておるのだ、フィリピン人もよくこれを見習わなければならないじゃないかというような演説をマルコス大統領が開会の席でせられたようなわけでございまして、非常にこの見本市なりEXPOは有効に働いておるというふうに
考え
ております。
佐野進
37
○佐野(進)
委員
いまの見本市の問題については、これができる限り数多く開催されることはもちろん望むべきですが、非常に数多く開催されるということのために内容がそぐわないということであってはいけないと思いますし、そういう点については、特に
展示会
、
専門見本市
の
開催等
、ここに書いてございますけれども、その内容等についても十分なる御
配慮
があってしかるべきではないか。さらに、その面においては、まぎらわしいと言っては語弊がありますが、いわゆる
ジェトロ
が責任を持って指導し——責任を持ってということばは適切かどうかわかりませんが、いかなる場合においても誠意をもって
努力
をされるということがいいことではないか、私の感じとしてはそういうぐあいに
考え
ております。 それからもう一つ、それに関連するわけですが、私も
ジェトロ
の
海外
展示場
等も何カ所か見た経験を持っておるわけですが、近時
日本
の
商品
が高度の
技術
をもって
海外
に非常に評判のいいということも私は認めることができるわけですが、これらについては、それぞれの
海外
の諸都市において形式的に展示するということでなくて、
展示場
における内容の充実あるいはその都市における特徴と対応した形の中で、やはりただ
日本
の店があるのだということだけでない
配慮
が必要ではないかということも感じました。特にそういう面で感ずることは、
ジェトロ
の出張員でありながら、
日本
の国産品を使うのでなく、いわゆるその国の品物も使えないという、財政的な面における脆弱性かどうかわかりませんが、具体的に言うならば、車にしてもその他のものにしても、やはり
ジェトロ
出張員である、駐在員であるということに誇りを持って、その国の、
日本
の国の品物が堂々と使えるような
配慮
がやはり
日本
の国の
貿易
を伸長する上に必要じゃないかということも二、三のところを回ってみて私は感じましたので、今後運営の上で、
ジェトロ
当局において十分な
配慮
をしてしかるべきではないか、こう
考え
ましたので、
意見
を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
寺尾一郎
38
○
寺尾参考人
ちょっと佐野先生に。いまの
お話
に関連いたしまして、巡航見本市船の効用というものを十分御認識願いたい。これは世界各国に類例を見ないのです。これは外務省から出ている高官でも、これの果たす
役割り
の大きいことについて十分
承知
されているはずであります。私も昨年見本市船の団長で、
アメリカ
及びカナダに使いいたしました。至るところで非常な成果をあげております。いま私の聞いているところでは、いまのさくら丸よりももっと大きな船をつくって、もっと積極的にやりたい。これは一カ所でもって固定しているのより、こっちが回って、向こうから来なくてもどんどん——また実によく配列その他
考え
てあって、これは
アメリカ
の商工局長なども絶賛しておりました。これをお見のがしなく、これらの問題が出ましたときにはひとつ大いに
国会
でもバックアップしていただきたいと存じます。
駒村資正
39
○
駒村参考人
だいぶ話が出たあとでおかしいのでございますけれども、
アメリカ
の
課徴金
ができたときにこうもしなければならぬ、ああもしなければならぬということよりも、現時点におきましては、どうしても食いとめなければならぬということに邁進すべきである。中川先生がおっしゃいましたように、
民間
から出ていけということも一つの方法でありますが、先年繊維の問題が起こりましたとき、 ロバート・ケネディがこっちへ来た。国をあげて
国会
で問題にしていただいて強く
反対
していただいた。こういうことが
アメリカ
の政策の変更を来たす一つの大きな原因になるのであります。御
承知
と思いますが、
アメリカ
は、最高国防
会議
できまらなければ、大きな問題はそういうところで最後にいろいろ変更を起こしたりきまったりするようなことがある国なので、国をあげて、
国会
でいえば各党が協力、全会一致でこれに
反対
するということをひとつぜひやっていただきたい。大統領の教書の中にも、いろいろなことを
考え
れば、
ドル防衛
の
一環
としての
対策
によって世界各国に大きな
打撃
を与えるようなことはしないつもりである、十分顧慮するつもりであるということを言うておられるはずであります。そういうこともあるので、
わが国
に与える
影響
が大きい。これはどうしてもわれわれの国にあっては耐え忍べぬものであるし、また先ほどから
お話
が出ておりますけれども、
自由貿易
に逆行するのではないか。ケネディ・ラウンドのことが妥結しましたあとで、すぐに非関税障壁のことが起こってくるようでは、われわれはどうしてやったらいいかということを大きくうたってもらって、国全体の声としてやっていただけば
対策
として望ましいのでないか、そこまでやっていただきたいというふうに思います。
小峯柳多
40
○
小峯委員長
堀昌雄君。
堀昌雄
41
○堀
委員
いまずっと
お話
を聞いておりまして、実は私も皆さんとたいへん同感なのは、
政府
が
輸出振興
ということにほんとうに真剣でないということです。最近では、三十六年から引き締めをやりまして、三十七年は御
承知
のような状態。三十九年に引き締めをやりまして、今日引き締め。いずれも外貨
危機
に問題があるわけであります。外貨
危機
をどうやって切り抜けるかといえば、
輸出
を振興する以外には道はないわけです。もし
輸出
が振興しておるならば、
日本
の経済成長はもっとなだらかに大幅に伸長して、
国民
生活ははるかに豊かになるべきであるにもかかわらず、こういう天井があるために、そのたびに非常に不用意な引き締めをやって、産
業界
はもとより、
中小企業
に多数の犠牲者を出すということが何回も繰り返された。大体子供が火ばちでやけどをしましたら、たいてい子供というのは二度と火ばちに手を出さないのですが、
日本政府
は性こりもなくこれを繰り返してきておるというのが実は
現状
でありまして、その点においては、私はもう皆さんの
意見
に全く賛成なんです。 そこで、それではことしの財政計画なり経済
見通し
はどうか。いま
予算
審議の最中でありますから、
政府
は、この
課徴金
問題が出た時点では、先ほど皆さんのお答えにありましたように、財政を組み直してでも対処をしなければ、さっきちょっと
お話
が出ましたけれども、円の
切り下げ
が起こる危険なしとしないと思っているわけであります。いまの
政府
の
考え
方はやや甘過ぎるというふうに私は判断しております。 なぜかといいますと、三十七年は経済成長を
名目
五・四、
実質
五・四と見て、ようやく問題は一応解決をしました。三十九年は
名目
九・七、
実質
七・〇という経済成長をもくろんだわけでありますが、これは多少ずれ込みましたけれども、まあまあ何とかなったわけです。ところが今度のほうが、過去の二回に比べると、実ははるかに対外的客観
情勢
は悪いのです。御
承知
のような
ドル防衛
の問題があり、あるいは
ポンド
の問題があり、周辺はきわめて問題がある。そこにまだ特恵関税の問題がこれから出てこようとする中で、
名目経済成長
率を一二・一%、
実質
七・六%というような経済
見通し
を立てておることは、実は非常に問題があると思っています。実はこの経済
見通し
——皆さんとは別のことでございますけれども、
民間
の設備投資が二七・五%ことしは
伸び
たのを、九・七%にしたいのだという。なりません、こんなことには。継続投資がずっとあるものを一ぺんに三分の一に減らすなんという
考え
られないような計算がこの中には入っておる。さらに
輸出
入の
見通し
につきましても、
輸入
を七・三%ですか、減らすわけですが、いま鉱工業生産がこれまで一九%増くらいできておるものを、半分の九%に減らすというのは、なかなかたいへんです。ですから、
輸入
がここまで下がるかどうかということについても非常に疑問がある。そして
輸出
は
お話
しのように出ていかないということになりますから、財界の皆さん、もうちょっと力を合わせて——自民党
政府
は一番弱いのは財界ですから、財界が力を合わせて
予算
の組みかえをしたらどうか。いま皆さんが
対策
をいろいろおっしゃる中には、
輸出入銀行
に出資するといえば、いま予備費は千二百億円あるのですよ。何も補正
予算
を組まないなんてがんばることはないのです。必要があれば補正
予算
を組めばいいのですから、この中から必要な原資を
輸出入銀行
に出せばいいのです。あるいは
輸出
税制の問題についても、今度の税制改正は、
輸出
割り
増し
償却なり、それから
海外市場
開拓
準備金の積み
増し
とを合わせて、わずかに初年度二十五億円しか見ていない。平年度で百三億円しか組んでいない。これがいまの
日本政府
の
輸出
対策
のすべてだということは、私は、皆さんもう少し声を大にしておやりにならなければいけないのじゃないか、こう思うのですが、その点について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
寺尾一郎
42
○
寺尾参考人
私、先ほど開陳いたしました
参考人
としての
意見
の中に、その点について触れたつもりでございます。いわば、
輸入課徴金
のごときは、これは災害
対策
費に比すべきものなんですよ。われわれが何かしてそれが起こったのではない。ぽかっと降ってきた台風あるいは地震等に比すべき問題だと思うのです。したがって、堀さんのおっしゃることはまことにごもっともです。何とかそういうふうにしていただきたい。ただ、財界と自民党がどうとかいうのは、これは私どもよく存じませんので、御了承願います。
堀昌雄
43
○堀
委員
それは角度の問題でありますが、しかし冗談はさておき、私、
政府
は真剣さに欠けると思っております。だからこの点は、ぜひひとつ商工
会議
所なり、あるいは
商社
を含めて、これこそ経団連とか同友会とかずいぶんいろいろあるのでしょう。これが歩調を合わせて、
政府
に、ともかく予備費でも使いなさい、そうして、財政がゆとりがないから
輸出振興
なんということになっていないということを、ひとつ皆さんここではっきりお答えいただきたい。ひとつそういうのを財界で申し入れる。財界と言ったら聞こえが悪いのですが、
日本商工会議所
で
日本政府
に対して申し入れるということを御答弁いただきたい。
足立正
44
○
足立参考人
よろしゅうございます。やります。
堀昌雄
45
○堀
委員
もう一つの問題は、
振興策
の中身でございますが、
輸銀
に出資をしたからといって、さっき
お話
しの七千万ドルないし七千五百万ドルの
負担
になる、これはストレートにはね返らない。あるいは
輸出
税制上
ガット
に問題があろうとも、
輸出
所得控除をやってみても、いずれも税制上の問題でありますから、非常に間接的に、先のほうで多少はね返ってくるのでして、即効性のメリットはあまりない。
ガット
なんかに峯まり遠慮しておるから、よそは
ガット
なんかほったらかして、イギリスもカナダも
課徴金
やってけっこうですと言って
貿易収支
を改善してきておる。
アメリカ
なんというのは、
貿易収支
は大幅の黒であるにもかかわらず、
課徴金
なんというのはもってのほかなんです。ほかの手でやるべきなんです。私のほうに言わせるならば、ベトナム戦争をやめればいいのです。何でもない。一ぺんに三十億ドル、四十億ドル収支改善できる。そういうことをやらないで、
黒字
のしにさらにウェーバーを出そうなんというのはもってのほかでありますから、
輸出
所得控除なんかやるべきだ。そういう課税処置だけでよろしいかどうか、その点ひとつお尋ねいたしたい。
寺尾一郎
46
○
寺尾参考人
もうおっしゃるとおりなんです。確かにわれわれ、もちろん国策——いま国策というのはあんまり用いませんけれども、国策に殉じて一生懸命外貨をかせぐことをやっている。しかし、それは商売でやっているのですから、もうからなきゃだめなんです。したがって、いまの堀さんのおっしゃることも、もうかるようにしてほしいということに尽きるのです。それ以外の何ものでもない。ところが、現にいろいろ
政府
でもって、
輸出
割り当て制なんというのをつくろうとしてやっておられますが、メーカーさんが
輸出
して損するのじゃ長続きしないのです。もうかるように
環境
を整えていただけば、みんな一生懸命
輸出
します。だからそこが問題なのです。さっき永井さんおっしゃったように、間接援助になるじゃないか、あるいは見方によってはある点まで間接援助になるかもしれません。しかし、それによって至上命題の外貨獲得が可能になるのですから、間接援助でメリットが若干あっても、外貨の獲得によるメリットと、これまた比較考量する必要がある。いま
駒村
さんから非常にいい
意見
があったのですが、幾ら向こうにわれわれみんな出かけていってやっても、それは効果ないとは言いません。しかしそれよりも、
国会
がほんとうに全会一致でこれに対して
反対
ののろしを上げたら、これはジョンソンさん相当こたえます。したがって、ぜひそういうふうなムーブメントを起こしていただきたいということを切にお願い申し上げます。
堀昌雄
47
○堀
委員
いまの点は私ども明日の
理事
会でひとつ各党と話し合って、本
会議
において
課徴金
反対
の決議をぜひ上程をして、
日本
の
国会
の意思を明らかにいたしたい、こう私ども
考え
ておりますけれども、われわれがやはりこの際
考え
ていかなければならないのは、税制とかいろいろなものがありますが、これはみんなずれてシフトするわけです。問題はそんなことでなくて、やはりそれはそれとして、ことしの下期にさらに二億二千万ドルも
赤字
がふえれば、
見通し
があるいは三億五千万ドル、これは私は決してからいと思わない。そのくらいは当然出そうでありますから、合わせると五億七千万ドル。とても下期に収支改善なんていうことにはなりませんから、ことしは七億ドル、来年が六億ドルなんということでは、
日本
の外貨の状態というものはたいへんなことになりますから、どうしても多少問題があっても、
輸出
だけはやっていただかなければならない。どこかで多少リスクを補てんする問題は、これはこの際
政府
で
考え
なければ、前段で申し上げたように、これは国内をデフレに追い込むだけになってしまいまして、
国民
生活全体がデフレになることは何も賛成じゃないわけでありますから、その点については私ども十分
考え
ていきたいと思いますが、
商社
の皆さん、
貿易
関係
の皆さんも、ただそろばんだけでやっていただくようなことでは、これはたいへんなことになりますから、その点も当然だと思いますが、要望いたしておきたいと思います。 その次に、いまちょっとお触れになったのですが、ここまできますと、たとえば鉄鋼も原材料を買って
輸出
しなければならぬものですし、たとえば綿糸にしたって原材料を買って
輸出
をしなければならない。化学製品にしても、
日本
の場合に
輸出商品
というものは、それが一次産品になるか二次加工品になるか、三次になるか別としても、全部要するに原材料を買って出さなければいけないわけですから、ある
程度
の
輸出
リンク制といいますか、特に鉄なんかについては、設備投資をたいへん御熱心におやりになるのですが、ある
程度
そういう設備投資等含めて、
輸出
にリンクしたかっこうでやらないと、要するに
輸入
はどんどんするわ、それの値段が高ければ国内にだけ売っていればいいということでは問題があろうかと
考え
ますが、
輸出
リンク制、割り当て制といいますか、こういう問題については、皆さんはどういうふうにお
考え
になっておるか、ひとつ
寺尾
さん、
駒村
さんからお答え願いたい。
駒村資正
48
○
駒村参考人
御説のとおりに、先ほども問題が出ましたけれども、
日本
の国柄として、原材料を六割以上も
輸入
しておるわけであります。
貿易
の収支その他のことに関しましては、ある
程度
の原材料の
輸入
をチェックすれば、すぐにもとへ戻る非常に便利な国になっておるわけです。しかし産業といたしましては、綿
業界
にいたしましても、鉄鋼界にいたしましても、原材料を何カ月持つのが適正原材料の保有であるかということが一つの大きな問題であります。そのうち、いま
政府
でも非常にやかましく熱心にお進めになっておるように、つまり
輸出
と内需とのパーセンテージを一応きめたようなかっこうをして、どうしても
輸出
はある
程度
の
輸出
をしなければならぬというような
考え
方でメーカーもやっていただいて、それに見合った設備をし、そして何カ月分を持つのが適正な保有原料であるかということを、これは非常にむずかしい問題でありますがきめていただいて、そして最後の場合においては、私は
輸出
に
補助金
を出すとかいうようなことに対しては、いろいろ国際的な会合その他で問題があるので、
輸入
のコストを安くするような方策を
日本
として大きく立てたらどうか。六割以上も原材料を持ってきて、またそれを加工して出す
日本
の国柄ですから、原材料をより安く買い付けすることができるということになれば、そのコストは正確に勘定すればそれだけ安くなる。
輸出奨励
金を出すようなかっこうをしないで、
輸入
の面で、物を買うときに、
日本
の
政府
が、こういう国柄であるから、これに対してこれだけの援助を与えておるということになれば、世界の各国としても、向こうは売るほうですから、それに対してあまり大きな文句は出ないのじゃないかというふうな気がいたしております。これもよく調べていただかなきゃ、まだいろいろむずかしい問題があるかもわかりませんが、私は、
日本
の国柄に対して、
輸出
よりも
輸入
の点で、少し大きく
考え
てみたらどうかという構想でおるのでありまして、いま先生のおっしゃいましたリンクするといいますか、もちろんそういう場合には、原材料の
輸入
にミートした相当数の
輸出
量が前提として行なわれていけば、わりあいにうまくいくのじゃないかと思います。
堀昌雄
49
○堀
委員
最後に一つだけ。今度KRが実施をされまして、
日本
もこれに伴った関税定率法の改正を今回出しておるわけですが、その中で、対中国の問題でございます。実は銑鉄と大豆は除外しまして、中国といえどもKR
並み
の関税定率法の引き下げにしているのですが、生糸が、かなりウエートが高いにもかかわらず疎外をされておるわけですね。この問題は、それでは生糸の関税率が、結局よそに比べて高くなるわけですから、もし中国が、関税が高いからということで、これを香港へ出して香港ルートで入ってくるということになりますと、中国
貿易
の場合バーターですから、これは
日本
の
輸出
がそれだけ減るということが起こるわけですね。私は昨年西欧経済を見ておりますと、西欧経済といえども、実は
輸出
が非常に
伸び
悩んだけれども、西欧諸国が、それを東西
貿易
でカバーしたというのが六七年の
現状
でございます。さっき永井先生もお触れになりましたけれども、私どもはもうそういうイデオロギーの問題を離れて、西欧諸国がやっておることは、当然われわれも東西
貿易
を広げることによって、先進諸国間の
貿易
の下がった部分を補わなければならぬときにきておるのにかかわらず、いまの生糸が、銑鉄、大豆と特別に異なった方法で、今度KRの処置をされているのがいま提案されているのですが、そんなことはたいして問題じゃないので、やはり生糸も銑鉄や大豆
並み
の取り扱いをすべきではないか、こう
考え
ておるのですが、それについて
寺尾
さんのお
考え
をひとつ伺いたい。
寺尾一郎
50
○
寺尾参考人
お答え申し上げます。これは堀先生、結局農林
関係
にひとつ
お話
しくださいませ。私も関税率審
議会
に席を持っておりますが、そういう点で矛盾を感ずるのですけれども、これはもうわれわれが言ってもだめですね。この前のバナナなども、あれはずいぶんやったのですけれども、きめて今度は
国会
に提出されるまでの間に、一ぺん活字を消してペンで直したのが、また元の活字に戻るというようなことになりますので、おっしゃるとおりだと思いますが、これはちょっと力及ばずでございます。どうぞあしからず。
堀昌雄
51
○堀
委員
終わります。
小峯柳多
52
○
小峯委員長
吉田泰造君。
吉田泰造
53
○吉田(泰)
委員
きょうは
参考人
の方々、ほんとうにお忙しいところをありがとうございました。貴重な時間でございますし、また質問時間もあまりございませんので、二、三点にしぼってお伺いを申し上げたいと思います。 先ほど
駒村参考人
から、リーダース・ダイジェストに
日本商品
が
海外
に非常に声価を高からしめておるという話を聞いたのでありますが、それと逆に
米国
、ヨーロッパ並びに豪州等で、
日本
の
商品
のボイコットが起きておるということですね。この最大の原因は過当
競争
で、
日本
商社
間の過当
競争
に基因したものが非常に多いと思うのであります。そういう
実情
をお伺いしたい。もちろん
資本
主義経済の原則として
競争
は当然でございますが、
日本
の場合、外国と
競争
するのではなくて、
日本
の
商社
問がお互いにどろ仕合いをしておるということが非常に多いのではないか。一部の人は、いまおっしゃったように非常に
日本
の
商品
が高く売れるにもかかわらず、国内
商社
がどろ仕合いをするおかげで高く売れない。また同一
市場
に
日本
の特定
商品
がはんらんしており、そうして
輸入制限
の口実を与えてしまうというようなことが非常に多いと思うのであります。そういう問題につきまして、
競争
からくるマイナスの要因が各地で非常に起こっておりはせぬのか。そういう
業界
の最高の首脳者であられる
参考人
の方々でありますので、こういう点について皆さん方の御
意見
をひとつお伺いしたいと思います。
寺尾一郎
54
○
寺尾参考人
まことに遺憾でございますけれども、ないとは言えないのです。しかし私ども、戦前
アメリカ
におりましたそのころから見ますと、いまのところはそういう現象はずいぶん少なくなっております。また、いま先生のおことばにもあったように、過当
競争
、過当はいけないのです。しかし公正
競争
は、これはもうぜひ必要なことでございまして、それは先ほど永井先生も
田中
先生もおっしゃったと思います。それから中川先生がまたおっしゃっていただいたと思うのですが、砂漠の中を、ちゃんともうかばんを持って、みんなあごひげはやして回っている。
競争
心がなければそんなことはできない。酒も飲めないところで、砂漠の中をそうやって高い
日本品
の販売に
努力
している、この
努力
の渕源は何かというと、やはり
競争
です。ただそれが過当になりますと、お互いに足の引っぱり合いなんかして、いま先生のおっしゃったように、外国と
競争
ならいいけれども、国内の
競争
になるのですね。これはよく
商社
性悪説などと言いますが、何でもかんでもみな
商社
がしょわされるのですが、そのうしろにあるものをよく御認識願いたい。このごろは四社連合で
日本
としては一本の札を入れるとか、非常に協調ムードで、
競争
より協調という面にわれわれ一生懸命になっておる。しかしながら若干やはりあとのほうから、バックシートドライバーがおりまして、これがそれ売れ、それ売れ、売るのはこれだけ出してやるからそれ売れ、こういう面があるわけですね。もう一つ掘り下げますと、そのうしろには銀行さんがいる。そういうわけで心ならずも
競争
している面必ずしもなしとしません。しかしこれはもうあれですな、戦後
貿易
自由化
時代から、お役所の指導
方針
もそこにありましたし、われわれもこれを受けて、いろいろ
商社
間の会合など持ちまして、お互いに親睦をはかり、そうして一つの線にまとめていくような
努力
をずっとやっております。あるいは
商品別
に、あるいは
地域別
に過当
競争
の弊を除去することには一生懸命にやっているのですが、これはなかなかむずかしいです。
国会
の野党四派の協調がどうとか、自民党と何とか、よく新聞で拝見いたしておりますが、これと同じような面がありはせぬかと思います。
吉田泰造
55
○吉田(泰)
委員
非常に手痛い御回答でございまするけれども、私が申し上げたいのは、最後に、
貿易
、
輸出
の秩序ということに触れてまいりたい、その前段の質問として二、三さしていただいておるわけでございます。大体御意向もよくわかりますし、
業界
の実態をそういうふうに把握なさっているというのはそのとおりだと思います。ただ角度を変えて、
貿易
業者が非常に乱立しているのじゃないか。これは通産省の
貿易
業態の統計表によると、年間
輸出
入取り扱い額百億以上、これを扱っている大規模な
商社
は全
商社
四千百八十七
企業
のうちわずか一%、三十九
企業
にすぎない。
輸出
入取引額では
輸出
の六九%、
輸入
の八〇%を扱い、大
商社
に対する集中度は非常に高い。このうち
日本
商社
を代表する大手
商社
十一社は
輸出
の五二%、
輸入
の六七%を扱っておる。一方、小規模、これは年間
輸出
入取引高十億以下、従業員十人前後ですね。こういうところは三千八百七十四
企業
、
日本
の
商社
の九二・五%を占めている。取り扱い額に占める比率は
輸出
が一五・一%、
輸入
が六・五%を占めているにすぎない。 こういう統計を見てみますと、
貿易
業者のほとんどが非常に小規模な業者である。また取り扱い額のほとんど大部分が少数の大手
商社
に握られておる。こういう、いわゆる
貿易
業界
の二重構造、こういうものが乱立した結果で悪い過当
競争
、適当
競争
でなくて過当
競争
に拍車をかけておるんじゃないか。こういう問題について、これはたびたび——もちろんいま四社協定とかいろいろなことで非常に協調をとっておやりになっているというような話でございますけれども、過当
競争
について、何か
業界
でそういう指導的ないろいろな会を持たれたり、あるいはそういう指導をなさっている現実のそういう
機関
がございますかということをお伺いしたいと思います。
寺尾一郎
56
○
寺尾参考人
確かに、たとえば
日本貿易会
とかいうようなところで、また商工
会議
所あるいは経団連も若干これに関連いたしますが、やってはおりますけれども、これはなかなかむずかしいのです。たとえば、御記憶かと思いますが、前に
商社
登録制をやろうという御指導があったのです。登録制さえできなかった。これはもう憲法で保障されているのだといって電話一本、それから女の子一人、三人でも
貿易
商社
は成り立つ。したがいまして、これはもう一番通産御当局の頭の痛いところだと思います。これを整理するとかいうことは、さっきの
中小企業
問題にも関連してまいりますが、なかなかできない。そこで、
中小企業
指導所とか
技術
指導
センター
とかいうようなことで、これからもなかなかたいへんなんです。
中小企業
のほうが御案内の雇用
関係
が非常にむずかしくなっておる。先ほど堀先生も御指摘になったが、倒産ですね。いまは倒産のおそらく半数は
資金
面で倒産するんじゃないですよ。結局労働
関係
で倒産している。労働倒産ということばがこのごろできているのです。これはみな
賃金
の高騰のために製品のコストが上がって、あるいはもう今度は雇用できないのです。せっかく設備をいたしましても、それに要する従業員の半数も集まってこない。また集まっても、それがどんどん高給が取れるところに逃げるということから、
契約
の不履行あるいは今度は
資金
繰りの悪化、これによって倒れるといったような労働倒産が起こっている、こういつたような
実情
でございます。しかし、だからもっと整理統合していきたいと思っても、幾らお役所でそういう指導をなさっても、なかなかそこへ行けないのが
現状
でございます。だから、それを整理していく、少数化していくという適確な
施策
を行なう
機関
、こういった
機関
は一応できますけれども、実効あがらざる
現状
であります。
吉田泰造
57
○吉田(泰)
委員
貿易
、
輸出
入の業者が、いま
輸出
なんかの場合一番問題になっているのはいわゆるコミッションセールス、これに問題があるのではないかと言う人が一部おるのですが、それはなるほど
日本
の場合、取引量を増大してコミッション率が非常に低くなった、過当
競争
でますますそれに対し利益率が下がっていく。大手
商社
、いまの
寺尾参考人
も三菱のあれでございますが、そういうおたくなんかの会社の場合、実際の収益率を見ると非常に低い。〇・二から〇・六くらい。大手
商社
がそういう
状況
で収益率が非常に低い。したがって、取引の増大をはかっていく、ますます利益が低下していく。ということは、大手
商社
なんかの利益率の低下による過当
競争
に拍車をかけることに結果的になっておるのではないのか。コミッション
ベース
による商売の場合、これは「
輸出
戦略」という豊永さんの書いたものがございますけれども、やはり
商社
がメーカーと独占的な
契約
を結ぶとか、あるいは外国
市場
を独占する
商社
同士がカルテルを結成する、お互いにそういう
条件
を充足しなければどうしてもいけないのではないかというような
考え
方が言われておるのでございますが、そういう問題についてあくまで低マージンで——
資本
主義の体制下にあるなら
競争
というものが当然の権利であるといって片づけながら、ますますそういう状態の
悪循環
を
日本
の
輸出
入業者が繰り返そうとするのか。あるいは何らかの意味でそういう協調をしようとする意思があるのかないのか。そういうことはできないから放棄するのか。そういう
考え
方をひとつ明示願いたいと思うのです。
寺尾一郎
58
○
寺尾参考人
非常にむずかしい問題だと思います。しかし、これが
限度
を越えればまいっちゃうんですよ。だからそこに限界があると思います。ただ、これは吉田先生などよく御
承知
だと思うのですが、
アメリカ
だとか、まあ
アメリカ
が一番はっきりしますが、各国のマージンというものは非常に大きいのです。ところが
日本
では、これはやはり小さな島に一億の民がいてお互いに食わなければならないから、
日本
ほどこんなに卸と小売りの値幅の狭い小さいところはありませんね。それと同じ原理がやはり働いているのでございます。したがって、初めて
アメリカ
から来たような
アメリカ
のメーカーさんとかあるいは
商社
、これなど
日本
に来て驚くんですよ。したがって、この間うちから盛んにやかましく言われております
資本
の
自由化
に伴う外国
企業
、
商社
の
日本
上陸なんというのも、言うほどすぐ
実現
しないのは、あけてびっくり玉手箱というやつですか、そういうことです。われわれだってやはりほんとうは利益を追求しているんですからね。幅のあるところを念願しているんですけれども、それをそうさせない経済機構と申しますか、流通・消費機構と申しますか、そういう
日本
独自の形態があるために、われわれもこんな低マージンで甘んじていなければならない。これはさっき吉田先生がおっしゃったように、四つのカテゴリーのどれかに、ぱっととうふを切るようにうまくいけばいいのですけれども、おそらくこれはそうはまいらないと存じます。
吉田泰造
59
○吉田(泰)
委員
いまの
参考人
からの御回答で、大体の
業界
の
状況
は、なるほどむずかしいこともあるだろうし、たいへんな難問題だと思うのでございます。ただ、そういう問題で
輸出
秩序を確立するということの前段のために御質問をさしていただきます。そういう秩序を確立するためにアウトサイダーを規制して
輸出
入取引法を改正するとか、そういうものの
考え
方、もちろんこれは
国会
の仕事でございますが、
業界
の最高の指導者でおられる
参考人
の方々でございますから、そういうようなアウトサイダーを締め出して、
輸出
入の秩序を正しくしようじゃないか、そうして
国際競争力
をつけようじゃないかというような
考え
方がおありかどうか、同時に、いわゆる専門
商社
、専門化したようなものの
考え
方、これは通産省もそういう意味でいろいろ整理統合ということを
考え
ておるようでございますが、たまたま日経のおととしの新聞で水上達三さんの提案でございますけれども、これはその原文のままでございますけれども、「それは
市場
別、
商品別
の専門
商社
を育成することである。
欧米
には十年一日のごとく同一
市場
向けの、同一
商品
を手がける専門
商社
が多い。これが責任ある
輸出
をすればそこに信頼が生まれ、採算の合う安定
輸出
の素地ができる。専門
商社
は当然小ツブとなり、
市場
調査
などには外からの手助けが必要」で、それをカバーするために
ジェトロ
の
海外
調査
網と有機的に結びつける。それによって総合
商社
との調整もスムーズになれば「百億ドル
輸出
時代の
輸出
秩序確立に大きく貢献するであろう。」こういう一つの論文が日経に載っておったのでございますが、そういう問題を、そういう
業界
の最高の指導者でおられる方々でございますので、お
考え
になっておられると思うのですが、実際できない、へたるまで何とか〇・二%、〇・六%——三菱さんはたいへんな財閥でございますからそれでいいと思いますが、そのままでいかれて、これから工業立国で、
輸出
でめしを食っていかなければならない
日本
の将来を
考え
る場合に、はたしてそういうことで
業界
の人はいいのかどうか。非常にむずかしいけれども、何らか抜本的な政策を困難があると思うが打ち出すべき時期にきているのじゃないか。したがって、いまの水上さんの論文じゃございませんけれども、確かに専門化して利益率を上げていく、そういうことによって過当
競争
を防いでいく、そういうことが目下の急務になっておるのじゃないかというような気がするのですが、そういうお
考え
に対して再度お
考え
を承りたいと思います。
寺尾一郎
60
○
寺尾参考人
いまの水上君のあれは、当時
政府
というか御当局からもそういうあれが出まして、非常に
考え
ていた。ただむずかしいのは、これは経済的には非常に望ましいことですが、しかし社会的に
考え
たらどうでございましょうか。おまえのところはもういけないぞ、ちっぽけなことをやっちゃいけないぞ、おまえのところはやめろと言ったら、これは経済政策としてはいいかもしれませんが、社会政策としては非常な問題が起こると思います。これが一点。 それから、もう一つの、一つの
商品
を十年にわたって一地域でもって大いにやっておる、これはおそらく
先進国
で、もうある
程度
まで
伸び
たところ、たとえばドイツだとか
アメリカ
だとかあるいはイギリスだとか、そういうようなところであろうと思います。はたしていまの
日本
の
輸出
量がもを限界に、かれらのそこまでいっているかどうか、そこまでいってからだったら、今度そういう保守的のそれで利益を増大する政策を当然とるべきだと思います。しかし、いまその
段階
にまで来ているかどうか、これが問題だと思います。したがいまして、前者に対しましては、経済政策としては非常にけっこうであるが、社会政策上はたしてそういうことが可能であるかどうか。第二点におきましては、
日本
の
現状
で、
日本
は満足していいのかどうか。満足できる状態でないとすれば、あるところまでいくまではまだそういう退嬰的な、と言っちゃ語弊がありますかな、方策はとるべきではないのではないかというふうに
考え
ます。
吉田泰造
61
○吉田(泰)
委員
寺尾参考人
の御
意見
もっともでございますが、経済的に許されて社会的に非常に許されないならば、
中小企業
の、現在の国内産業を見てみますと、だんだんいわゆる
事業
団がつくられたり、いろいろな
体質改善
、構造改善ということが一番大切なことであり、非常に急がなければいかぬということで精一ぱい取り組んでおるというのが
現状
でございます。したがって、
貿易
商社
にそれができない、社会問題としても取り上げることもできないというような体質でもなかろう。ほかの
業界
、もっとそういうところの低い次元の
業界
でも構造改善の必要性が叫ばれておる、そういう方向に向いておるという現在の時点をとらえまして、経済的に非常に高能率を発揮できるかもしれませんけれども、社会的にやりにくいというような
考え
方を首脳者の間で一変をしていただきまして、御認識をしていただいて、何とかいわゆる構造改善の方向に
貿易
業界
が向いていっていただくように、そういう御指導をお願い申し上げたいと思います。 なお、時間がございませんので、もう一点だけ最後にお伺いいたしますが、現在、大手
商社
が信用状なしの自由取引を非常に要求し、望んでおる。中小の
商社
は、それは
海外
に支店もありませんし、また代金回収とかいろいろな点でも不利になるので
反対
しておる。こういう信用状のあるのとないのと、大
商社
の場合の
貿易
の比率はどのくらいになっておるかということ、いま御質問申し上げたようなそういう動きがあるのかということと、それに対する
考え
方、信用状についての
考え
方、そういう点を最後に御質問を申し上げたいと思います。
寺尾一郎
62
○
寺尾参考人
これは私いま持っておりませんで、はっきり申し上げられませんけれども、私は、数年以前から総合
商社
は
貿易
デパートになれということ、つまり中小業者、中小
商社
ですね、これは向こうに支店を持ってないので駐在員もいない。
ジェトロ
がその補完をしておるのですが、むしろこういうところは優秀な品物であるならば、総合
商社
を使って、総合
商社
の信用を利用してやられたらいいのじゃないか。要するに、総合
商社
は
貿易
のデパートメントストアというふうに活用されることが望ましいという
意見
をいつか私は新聞に書いたことがあるのですが、これは一部できておりますが、しかし、まだわれわれの満足するようなところまでいっておりません。しかし、先生のおっしゃるとおり、構造改善なり何なりについては及ばずながら御協力申し上げてやっている
現状
でございます。 これではたしてお答えになるかどうかと存じますけれども、以上御回答申し上げます。
小峯柳多
63
○
小峯委員長
岡本
富夫君。
岡本富夫
64
○
岡本
(富)
委員
参考人
の方にはおそくまでお食事もなさらずにたいへん御苦労さまですが、もう私一人ですからよろしく……。 大体いろいろとお聞きしたいことは尽きましたので、もう一つお聞きしたいことは、最近、日中
貿易
、LT
貿易
についてやかましく言われておりますし、また、
政府
もそういうような方向に向きたいということを言っておりますけれども、これについていまいろいろ
お話
を伺っておりますと、大体、対
米輸出
のほうが非常に多かったと思うのです。これについての御見解なり、あるいはまたどうしたらもっと
伸び
るだろうか、こういうことについて、これは会頭さんにお願いしたいと思いますが……。
足立正
65
○
足立参考人
こちらのほうが専門ですから……。
寺尾一郎
66
○
寺尾参考人
お答え申し上げます。たまたま
輸出振興
に関する現下の問題というので
輸入課徴金
の問題から対米
関係
が特に本日の話題になったのでございますが、われわれ決して対米一辺倒でやっておるわけではございません。しかし、少なくともいままでの
現状
は
日本
の
貿易
量の三分の一、これが
アメリカ
、三分の一が東南アジア、三分の一がその他の欧州並びにアフリカ、こういうようなかっこうになっております。それで過去二、三年の
輸出増大
にわれわれの一番指向いたしました地域は欧州並びにあちらのアフリカ、中東
関係
、これに指向しておりました。それでだいぶふえてまいりましたが、この面は今後とも大いにやっていかなくちゃならぬ。それから共産圏各国、ソ連、東欧、それから中共、こういったところも協力いたしておりまして、ここにございますが、
輸入
におきましては、中共が四十一年には三・二%
日本
の
輸入
の中で占めておりましたが、これが四十二年は二・三%に減っております。それから
輸出
は三・二が二・八にこれも減っております。しかし今度は、ソ連圏につきましては、四十一年の三・二が四十二年には三・九にふえておりますし、
輸出
は逆に二・二が一・五に減っております。東欧圏は
輸入
の〇・五%が〇・九%にふえ、
輸出
におきましても、〇・六が〇・七にふえております。そんなようなあれで、
地域別
に見ますと、むしろ
アメリカ
からの
輸入
は二七・九から二七・五に微減、それから
輸出
も三〇・四から二八・九に微減しておりますし、先ほど申し上げましたように、西欧各国につきましては、
輸入
が九・一から一〇・四にふえておりますし、
輸出
も一三・三から一三・七にふえております。 われわれの指向しておるところは着々実効があがっておるわけでありますが、先生のさっき
お話
しになりました中共
関係
のほうは、例のLTの
関係
やら、それから例の毛・林の台頭で若干ごたごたしまして、それで若干減っておりますけれども、まあ今度はLTがOLになるかどうか知りませんが、何かまたそこに妥結がつきますれば、必ずしもこんなことではないと
考え
ております。
岡本富夫
67
○
岡本
(富)
委員
もちろん
アメリカ
のこの
課徴金
に対しては私どもは
反対
でありますし、
日本
はどうしても
輸出
にたよらなければならない国情でありますけれども、いまお聞きしたのは、今後の日中
貿易
に対する、いまいろいろ
現状
を
お話
しいただきましたけれども、これからの促進の方向についてお聞きしたいと思ったんです。 それで、
ジェトロ
は、そういう中共に対してどういうような活躍をしておるのか、ちょっとお知らせをいただきたい、こう思います。
駒村資正
68
○
駒村参考人
お答えいたします。
ジェトロ
は、いま直接LT
貿易
にも
関係
いたしておりません。で、高碕事務所には
ジェトロ
を通じて出しております。事務的にはいろいろと
ジェトロ
が直接高碕事務所の仕事をやっていますが、まあ局外者のようなかっこうで相談しております。
岡本富夫
69
○
岡本
(富)
委員
将来こちらのほうにも
輸出
入の振興をしていかなくてはならないと思うのですが、では将来はやっていくようなお
考え
でしょうか、また
現状
維持か。
駒村資正
70
○
駒村参考人
政府
のおきめくださることで、やれと言われれば明日からでも
関係
いたします。そういう
関係
でございます。中共から見ましても、やはり
日本
というこれだけ
発展
した産業国を無視するというわけにはどうしてもいかない。
日本側
から
考え
ますと、いま
輸出入銀行
の
資金
に非常に制約されて、どうしてもそれを使わなければいかぬというような
考え
方で交渉しておられると思われます。その問題が気軽く片づくような——
資金
コストとしては、中共から見ても必ずしも
輸銀
の
資金
コストよりも高いというものでなく、われわれ同等もしくは以下でもやれるような場合があっても、やはりどうしてもその問題にかじりついていろいろな難問題が発生しているように聞いておりますが、何とかして中共とも経済的にもっともっと交流を進めていきたい、こう
考え
ております。
岡本富夫
71
○
岡本
(富)
委員
この問題は、時間がありませんからそのくらいにいたしまして、今度ケネディラウンドに基づいて関税の一括引き下げというような
意見
が出ているわけですけれども、そうしますと、この日中
貿易
の促進面から対中共の
輸入
の関税も引き下げるべきであるか、それとも現在のままでよいか、これについてちょっと、
駒村
さん。
駒村資正
72
○
駒村参考人
これは相対的に国と国とのこともやっておられるわけでございますので、中共との間の問題が出ておらなければ、おそらくケネディラウンドの利益といいますか、かりに下がることが利益とすれば、利益はお互いに受けられないのではないか、こう
考え
ます。
岡本富夫
73
○
岡本
(富)
委員
ちょっと理解に苦しむのですけれども、これに対する御
意見
がございましたら、今後の私どもの法案の審議にいろいろとまた
参考
にしたい、こう思いますので、ひとつお願いいたします。
駒村資正
74
○
駒村参考人
ただいまの
お話
はむずかしい問題でございまして、関税なんかお互いの国でいろいろと話し合いすれば、必ずしも——もちろん最恵国条款とかというものもありまして、それに
影響
するという点もございますが、まだ国交が正式に
回復
しておらない国との間でありますから、その問題はやはり個々に解決していくよりしようがないんじゃないか。
一般
の各国の内容をそれにあてはめて、均てんしていくということはできないんじゃないかと私は思っております。
寺尾一郎
75
○
寺尾参考人
中共との関税のあれは、中共が
ガット
に加盟していないのですよ。ですからその意味で、いまその爼上に乗ってこないのですよ。そういうことです。
岡本富夫
76
○
岡本
(富)
委員
最後に、国内問題について……。 実は私は兵庫なんですけれども、大阪とか神戸に零細な
貿易
業者がございますが、
状況
によってはすぐ倒産して大きな
影響
を受ける。これに対して、倒産するのはしようがないんじゃないかというのじゃなくて、何か育成法と申しますか、こういう業者の育成等で何かいい御
意見
がございましょうか。
駒村資正
77
○
駒村参考人
中小企業
の育成法というものに対しましては、もちろん非常にむずかしい問題でありまして、
中小企業
庁でもいろいろとおやりになっておるわけであります。合同さしたりあるいは転業さしたり、いろいろなことをして、体格の
強化
ということを非常にうまくやっておられるはずでございます。今日は、私の了解しておる限りにおいては、必ずしも
資金
の問題じゃなくて、先ほどもいろいろな話がありましたような雇用の問題とか、つくっているものが売れないというようなことがございますが、そういうようなことで結局うまくいかないんじゃないか。
業界
によっては、特に零細
企業
の中には非常に過当
競争
があるので、これを何とかひとつまとめていこうという
考え
で、いろいろと
政府
でも指導しておられるはずでございますが、やはり小さくても一城のあるじというようなこともあり、メンツもあり、なかなか一緒になっておやりになるということもなく、この問題は非常にむずかしい問題で、何とか組合をこしらえてやっていくとか、少し各個人の基盤を固めていくといいますか、体格を固めていくというふうなことができなければ、いまのままでは
現状
のようなことが続いていくのじゃないかというような気がいたしております。
岡本富夫
78
○
岡本
(富)
委員
時間もあれですから、もう一点だけ……。 実は最近東南アジアあるいはまた台湾とか韓国で非常に工賃が安く、いろいろなものができる。これに対して今後の
日本
の行くべき道として、一つはそれよりもいいものをつくる、こういう面がありますけれども、ほかの面で
日本
の
中小企業
の生きていく道、こういうものの何か
参考
の話がございましたらひとつお願いいたします。
寺尾一郎
79
○
寺尾参考人
御案内のとおり、ほんとうに台湾なり韓国なりは非常にチープレーバーで、まあ一時いわれたように
日本
が安かったのが、今度はまた向こうでそういう問題が起こっている。もう御
承知
と思いますが、しぼりや何かは京都から韓国へ出しまして、韓国でもってしぼりをやって、また返ってきて売る。つまり、向こうへ出ていく、そのほかに、向こうへそういう工場を持っていく。そうしてそれと合弁する。それでそれをまた
日本
へ持ってくるなり、そこから今度
輸出
する。その
輸出
は、最近はもう独自でどんどんおやりになりますが、この間までは、そういう販路とかあるいは
輸出
のいろいろな手続、方法等をあまりよく御
承知
にならないので、それらをわれわれの
中小企業
あるいはわれわれでもこれらを売って差し上げる、こういったような相互扶助、これを眼目にして
企業
進出あるいは経済協力という面を生かしているわけです。それからまた、これらの安い品物には対抗するに処置がないです。ですから、先生おっしゃったように、今度高級のものをつくって、その上をまたいくというような、そういったようなことを
考え
、実施しております。これに伴って関税問題や加工再
輸入
の問題とか、そういった問題点が発生してきておりますが、これは両国の商工
会議
所とか、あるいは業者間でおのおの各国の該当
機関
にアプローチしまして、そうしてこれの是正、調整をはかるというのが現況でございます。
岡本富夫
80
○
岡本
(富)
委員
どうもありがとうございました。
小峯柳多
81
○
小峯委員長
参考人各位
には、長時間にわたり貴重な御
意見
をお述べいただき、たいへんありがとうございました。
委員会
を代表して厚く御礼申し上げます。 次回は、明三月六日水曜日午後零時三十分
理事
会、午後一時
委員会
を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時二十八分散会