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山田政府委員 昭和四十二年におきまする
公正取引委員会の
業務の概略につきましては、かねてお手元に
資料をお届け申し上げたのでございますが、そのうち主要の点につきまして本席をもって御
説明をさせていただきたいと存じます。
まず
昭和四十二年には、本
委員会で御
審議いただました
私的独占の
禁止及び
公正取引の
確保に関する
法律の一部を
改正する
法律が施行されまして、
高松地方事務所の設置、定員二十九名の増員などによりまして
公正取引委員会事務局の
機構も漸次
拡充されてまいった次第でございます。
次に
私的独占禁止法の施行に関する
業務といたしましては、まず
国際契約等の
届け出は八百七十六件にのぼりましたが、
企業合理化をはかるための
技術導入契約がその大
部分を占めておる
現状でございます。
また、
会社の
合併、営業譲り受け等の
届け出はそれぞれ九百四十六件、二百八十六件となっておりまして、その内訳を見ますると、
中小規模の
会社が、
近代化、
合理化のために
合併等を行なうものが大
部分でございまして、
私的独占禁止法上問題となるものはございませんでした。
再
販売価格維持契約制度につきましては、
物価対策の
見地から、その
規制の
強化をはかることといたしまして、
規制すべき
問題点の
検討、
外国の
立法例及びその
経済的育景の
調査、
検討並びに
現行指定商品の
契約実施状況及び
法的要件の適否につきまして
検討を行なってまいりました。
なお、
昭和四十二年における再
販売価格維持契約の
成立届けは十四件、累計百五十四件となっておりまして、また新たに
契約を実施いたしました
製造業者の数は八社で、十二月末現在八十九社が
契約を実施しておる次第でございます。
次に、不況カルテルにつきましては、景気の回復につれて漸次減少いたしまして、四十二年三月三十一日をもって廃止されました外装用ライナーを最後としてすべての不況カルテルはなくなりました次第でございます。
合理化カルテルにつきましては、マーガリン、ショートニングなど五品目につきまして、いずれも実施期間の延長を認可いたしました。
不公正な取引方法に関する
業務といたしましては、不当な歩積み・両建て預金につきまして
昭和四十二年五月末及び十一月末の二回にわたりまして、貸し出し先の
中小企業者を対象に、その実態を把握するためアンケート
調査を実施いたしましたが、五月末現在におきましては、従前に比べまして相当
改善のあとがうかがわれましたものの、まだ十分満足すべき状態ではございませんで、また十一月末の結果につきましては、ただいま集計中でございまして、追って御報告できるものと考えております。
公正取引委員会といたしましては、
調査の結果を慎重に
検討いたしまするとともに、大蔵省の行政指導の
成果をも勘案いたしました上、適切な
措置をとってまいりたいと考えております。
私的独占禁止法違反被疑事件につきましては、
昭和四十二年中に百六十七件につきまして審査を行ない、そのうち
法的措置をとりましたものは、審判開始決定四件、勧告九件、審決四件となっておりまして、牛乳、プロパンガス等の
価格協定事件、家庭電器、清涼飲料の再販売
価格維持事件などがそのおもなものでございます。このほか家庭電器
製造業者によるテレビジョンの
価格協定事件など十二件につきまして審判を行なっております。
次に下請代金支払遅延等防止法の施行に関する
業務といたしましては、
昭和四十二年中に、下請代金の支払い
状況を
中心に五千八十八の親
事業者の
事業所に対しまして
調査を行ない、そのうち十件につきまして法第七条の
規定に基づく勧告を行ない、四百三十一件につきましては行政指導による事態の
改善措置をとりました。また、手形期限の短縮を促進いたしまするため、主要業種ごとに標準的な手形期限を設け、関係団体の協力を得て、その周知徹底をはかってまいりましたが、
昭和四十二年中には、機械工業、紡績業、化繊工業、鉄鋼業、
非鉄金属工業について手形サイトの標準を定めました。
不当景品類及び不当表示防止法の施行に関する
業務といたしましては、第三条の
規定に基づきまして、
事業者に対する景品類の提供に関する事項の制限、トマト加工品業における景品類の提供に関する事項の制限を告示いたしまして、第六条の
規定に基づき過大な景品つき販売を行ないました販売業者二名、不当な表示を行ないました販売業者、宅地建物取引業者など二十七名に対して排除命令を行ないました。そのほか、カレーこしょう業など四件について公正競争規約を認定いたしました。
また、同法の運用に資するため、
消費者モニターを選定いたし、景品つき販売、不当表示の意見を求め、これを
公正取引委員会の行なう
消費者行政に反映させるようにいたしました。
このほか、
昭和四十二年中における
経済実態の
調査といたしましては、
企業間信用
調査、管理
価格の
調査、主要
会社百社及び系列
会社の資本、営業利益及び付加価値の集中
状況の
調査等がそのおもなものでございます。
最後に、
昭和四十三
年度の
公正取引委員会の予算案でございますが、本国会にお願いいたしております
公正取引委員会の予算は、総額四億一千四百九十七万一千円でございまして、
昭和四十二
年度と比較いたしまして五千六百三十万一千円の増額となっておりまして、事務局定員五名の増員、独占
禁止法施行経費、不当景品類及び不当表示防止法施行経費の増額がそのおもなものとなっておる次第でございます。
今後、
公正取引委員会の
業務は従来にも増して繁忙の度を加えるとともにその
重要性を増すものと考えておりますが、皆さま方各位の御支援を得まして重責を果たしたいと思っております。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたしまして私の
説明といたします。
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