運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-02-28 第58回国会 衆議院 商工委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年二月二十八日(水曜日)    午後零時三十五分開議  出席委員    委員長 小峯 柳多君    理事 天野 公義君 理事 宇野 宗佑君    理事 鴨田 宗一君 理事 島村 一郎君    理事 中川 俊思君 理事 中村 重光君    理事 堀  昌雄君 理事 玉置 一徳君       小笠 公韶君    大橋 武夫君       海部 俊樹君   小宮山重四郎君       坂本三十次君    櫻内 義雄君       塩谷 一夫君    田中 榮一君       田中 六助君    橋口  隆君       武藤 嘉文君    岡田 利春君       佐野  進君    楯 兼次郎君       千葉 佳男君    中谷 鉄也君       古川 喜一君    三宅 正一君       吉田 泰造君    近江巳記夫君       岡本 富夫君  出席国務大臣         通商産業大臣  椎名悦三郎君         国 務 大 臣 宮澤 喜一君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     山田 精一君         土地調整委員会         委員長     黒河内 透君         経済企画庁長官         官房長     岩尾  一君         経済企画庁長官         官房会計課長  財前 直方君         科学技術庁研究         調整局長    梅澤 邦臣君         農林省農地局長 和田 正明君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業大臣官         房長      大慈彌嘉久君         通商産業省化学         工業局長    吉光  久君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君         中小企業庁長官 乙竹 虔三君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         農林省農政局参         事官      田所  萠君         専  門  員 椎野 幸雄君     ————————————— 二月二十七日  昭和四十三年度韓国のり輸入に関する請願(中  垣國男君紹介)(第一八一三号) は本委員会付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二五号)  中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する  法律案内閣提出第二六号)  日本万国博覧会準備及び運営のために必要な  特別措置に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第四〇号)  金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法  律案内閣提出第四九号)  金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案(  内閣提出第五〇号)  通商産業基本施策に関する件  経済総合計画に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件  鉱業一般公益との調整等に関する件      ————◇—————
  2. 小峯柳多

    小峯委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  すなわち、中小企業振興及び金融に関する問題並び貿易振興に関する問題について、それぞれ参考人から意見を聴取することとし、参考人の人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 小峯柳多

    小峯委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  4. 小峯柳多

    小峯委員長 通商産業基本施策に関する件、経済総合計画に関する件、私的独占禁止及び公正取引に関する件及び鉱業一般公益との調整等に関する件について調査を進めます。  宮澤経済企画庁長官から、経済総合計画についての所信を承ることにいたします。宮澤経済企画庁長官
  5. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 本年度わが国経済は、前年度に引き続き大幅な拡大を示し、実質一一・六%程度成長を遂げるものと思われますが、国際収支面では七億ドルに及ぶ大幅な赤字が見込まれます。しかしながら、昨年秋以来の景気調整措置効果は、金融面中心として、徐々にあらわれ、今後次第に経済全体に浸透し、国内経済は、鎮静化に向かうものと思います。  他方わが国をめぐる国際経済環境は、英国のポンドの切り下げ、米国のドル防衛策強化など不安定な要因が生じつつあり、わが国国際収支改善の前途には険しいものがございます。  今後の経済運営にあたりましては、国際収支改善物価の安定をはかり、あわせて中小企業の安定と高度化流通近代化産業及び企業体質改善等を重点的に推進し、わが国経済体質強化して長期にわたる経済社会発展基盤整備してまいる所存でございます。  このような目標のもとに、財政金融政策中心とする経済政策の適切な運用により、四十三年度わが国経済成長率は、実質で七・六%程度に、鉱工業生産伸び率は九%程度になるものと考えます。  国際収支につきましては、現在の赤字基調は、なおしばらく継続するものと思われますが、国内経済活動鎮静化海外景気の立ち直りによって、おそくとも明年一−三月期には国際収支の均衡が達成できるものと期待しております。しかし年度間では本年度に引き続きなお三億五千万ドル程度赤字は避けがたいものと考えます。国際収支をこの程度改善するためにも、格段の努力が必要であり、政府といたしましては、輸出の振興をはかるため、税制面金融面などから特段配慮をいたすこととしております。一方、発展途上国に対する経済協力は、ますます重要となっておりますので、わが国としては、国力に応じ今後とも経済協力推進していく必要があると存じます。このような観点から、経済協力に重要な役割を果たしている海外経済協力基金業務範囲拡大をはかるため、目下海外経済協力基金法について所要改正検討いたしております。  当面、問題となっております消費者物価につきましては、本年度は四・五%の上昇範囲内におさまる見込みであります。しかしながら、昨年秋以降、物価の騰勢は強まっておりますので、明年度におきましては、年度中における上昇最小限度に押えるようにつとめ、四・八%程度上昇にとどめたいと考えております。  他方卸売り物価につきましては、本年度は一・五%程度上昇が見込まれますが、今後、景気調整措置効果が次第に浸透し、明年度においては一%程度上昇になるものと考えます。  政府といたしましては、今後とも生産性の低い部門の近代化流通機構改善労働力流動化などの構造対策、公正な価格形成のための競争条件整備など物価安定のための諸施策を一そう強力に推進してまいる所存でございます。また、物価の長期的な安定をはかり、経済の健全な発展を期するためには、その背後にある旧来の制度、慣行に再検討を加えることが基本的に重要であると考えます。政府は、財政体質改善のための第一歩を踏み出したのでありますが、新しい時代に即した新しい制度を確立するため、今後、真剣に取り組んでいかなければならないと考えております。  国民生活を脅かしているのは、物価上昇のみではありません。  わが国経済社会は、昭和三十年代における高い経済成長成果を享受し、国民所得水準は大幅に上昇し、消費生活は急速に多様化高度化しております。しかし、その過程において、住宅をはじめとする生活環境施設整備の立ちおくれや、国民生活の安定をはばむ公害交通事故など各種障害が表面化しております。  政府といたしましては、これらの障害をできる限り除去するよう今後とも国民生活向上のための施策充実につとめる所存でございます。特に、消費者行政につきましては、消費者保護のための各種の法令や制度改善強化をはかるとともに、消費者啓発活動を一そう進めてまいりたいと存じます。  次に国土開発について申し上げます。  国土の均衡ある発展をはかるため、政府地域開発施策推進努力しているところでございますが、特に、地方における工業開発拠点として新産業都市工業整備特別地域建設整備につとめております。一方、離島、山村など開発のおくれている地域については、その地域の特性に応じた産業振興社会開発推進のための施策を進めております。  内閣総理大臣は、先般の施政方針演説において、長期的な展望に立った重要な政治の課題の一つとして、都市化の進展に伴う地域社会変化に対処することの必要性を述べておられますが、政府といたしましては、今後の地域開発推進の指針とするため、四十三年度中に新しい全国総合開発計画を策定することといたしております。これとあわせて計画の実効を確保するため、地域開発制度体系的整備充実について、今後とも積極的に検討を進めてまいる所存であります。  産業発展及び都市人口の増加に伴い、水資源確保並び水質保全必要性がますます高まってきております。  すでに利根川、淀川、筑後川、吉野川の各水系については、水資源開発基本計画に基づいて開発を進めており、木曽川水系につきましては、目下基本計画を策定中であります。  さらに、今般、特殊法人整理の一環として、愛知用水公団水資源開発公団に統合するため、所要法的措置について準備を進めております。水質保全につきましては、従来から水質調査及び規制水域指定水質基準の設定などに鋭意努力しておりますが、公害対策基本法制定に関連いたしまして、目下、公共用水域水質保全に関する法律改正について検討を進めております。  以上、経済企画庁の主要な施策について申し述べました。本委員会及び委員各位の御支援と御鞭撻をお願い申し上げまして、私のごあいさつといたします。      ————◇—————
  6. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、去る十二日付託になりました内閣提出中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案、同じく中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案並びに去る十九日付託になりました内閣提出日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案並びに去る二十四日付託になりました内閣提出金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案、同じく金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案を議題といたします。
  7. 小峯柳多

    小峯委員長 まず、各案について順次その趣旨説明を求めます。椎名通商産業大臣
  8. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 ただいま提案になりました中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近の中小企業を取り巻く経済環境は、長期的には労働需給逼迫発展途上国に対する特恵関税の供与、資本自由化等の問題をはらんでいる上に、当面、昨年九月以来の金融引き締め措置影響を受けて、特段のきびしさを加えておることはすでに御承知のとおりであります。  このような事態に対処するため、政府は、各般の施策を鋭意推進しているところでありますが、特に中小企業金融については、政府関係金融機関を通じて中小企業者に直接政府資金貸し付けを行なうとともに、信用補完制度によって民間資金中小企業に誘導し、もってその円滑化につとめているところであります。  しかるに、昭和四十二年度においては、信用補完の第一線にある信用保証協会代位弁済が急増し、これが中小企業信用保険公庫保険金支払いに反映し、当公庫保険準備基金が大幅に減少するに至ったのでありますが、昭和四十三年度に入ってもこの傾向はなお継続するものと予想されます。  政府は、このような状況に対処して信用補完事業の一そうの充実をはかるため、昭和四十三年度において中小企業信用保険公庫に対し九十五億円を出資することとし、そのうち二十五億円を保険準備基金に充てることとして、もって保険事業の円滑な遂行に遺憾なきを期する所存であります。  このため、本法律案は、中小企業信用保険公庫法改正して、当公庫に対する政府追加出資に関する規定及び基金に関する規定整備し、あわせて役員の欠格条項に関する規定整備を行なおうとするものであります。以上がこの法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、中小企業投資育成株式会社法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  中小企業投資育成株式会社は、中小企業自己資本充実させ、その健全な発展をはかるための特殊会社として、中小企業投資育成株式会社に基づき、昭和三十八年十一月東京、名古屋、大阪の三都市に設立されたものであります。  申し上げるまでもなく、資本取引自由化発展途上国製品の進出あるいは労働力需給逼迫等わが国中小企業を取り巻く内外環境にはきわめてきびしいものがあり、これに対処するため中小企業の経営の基盤強化する必要に迫られている現状におきまして、中小企業に対する投資育成事業重要性は一段と強まっております。  幸いにして、中小企業投資育成株式会社事業は、設立後四年余りを経過し、ようやく充実してまいりましたが、他面、業務拡充に伴い、その業務運営に必要な資金を調達するとともに経理的基礎を固めるため、資本金を増額する必要が生じてまいりました。  このような実情にかんがみまして、今回中小企業投資育成株式会社資本金を増額するため、中小企業金融公庫が引き受ける優先株式発行価額限度額を三億円増額し、十億五千万円といたしまして、中小企業投資育成事業の一そうの強化拡充をはかろうとするものであります。  以上が本法律案提案理由及びその概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、日本万国博覧会準備及び運営のために必要な特別措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  昭和四十五年三月から六カ月にわたって、大阪千里丘陵において開催される日本万国博覧会は、アジアで、初めて開催される世紀の大祭典でありまして、その有する意義は、まことに大きなものがあります。このため、政府といたしましても会場建設関連施設整備等の諸般の準備に万遺憾なきを期しておるところでありますが、とりわけ外国政府及び国際機関参加状況いかん日本万国博覧会の成否を決する重大なかぎであると考えられますので、今日まであらゆる手段を講じて、海外招請活動を積極的に推進してまいりました。その結果、現在までのところ二十四カ国が公式に参加の意向を表明しており、参加することが、ほぼ確実と見込まれる国を含めると、参加予定国は三十カ国以上になっております。このほか、なお多数の国が参加方向検討中であり、今後、出そう強力かつ効果的な招請活動推進することによって、モントリオール博の六十一カ国を上回る数の外国参加を得ることが期待されております。  このような外国政府及び国際機関参加に伴って、その展示館建設運営のため相当数建設技術者職員等外国人従業員の来日が予想されますが、このような外国人従業員に対して、宿舎その他の点で十分な便宜をはかる必要があります。このような配慮は、同時に、今後の外国政府等参加を促進する上にも大きく寄与するものと考えます。とりわけ宿舎につきましては、生活様式相違等から、適切な対価による大量の宿舎民間に求めることは著しく困難な事情にあります。  その解決策として、日本住宅公団会場付近建設する住宅財団法人日本万国博覧会協会が一時借り受け、外国人従業員に提供することが最も時宜にかなった方法であると考える次第であります。  そのため、この法律案においては、日本住宅公団法規定する同公団業務のほかに、本来の業務遂行に支障がない範囲内で外国人従業員住宅を提供することができるよう所要規定を設けることといたしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正する法律案提案理由及びその概要をご説明申し上げます。  金属鉱物探鉱促進事業団は、金属鉱産物貿易自由化わが国鉱業に及ぼす影響に対処して、その国際競争力強化に資するため優良資源確保をはかることを目的として、昭和三十八年に設立され、探鉱資金貸し付け広域調査及び精密調査を行なって、国内探鉱に大きな成果をあげてまいりました。  この間、政府及び民間努力により、わが国金属鉱業合理化が進められ、また鉱産物国際市況が高水準に推移したこともあって、貿易自由化は順調に実施されてまいりました。しかるに、最近において、わが国経済が本格的な開放体制へ移行し、また経済成長に伴って鉱産物需要が年々著しく増大するなど、わが国鉱業をめぐる情勢は大きく変わりつつあります。このような情勢にかんがみますと、今後は金属鉱業国際競争力強化とともに、鉱産物の安定的かつ低廉な供給確保をはかることが鉱業政策基本的方向となるものと考えます。  すなわち、わが国金属鉱産物供給現状を見ますと、増大する需要に対して、国内資源的制約により海外からの供給に依存する度合いが逐年増加している状況にあります。このことは、基礎資材である金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給確保見地から重大な問題であり、近年におきましても、銅など主要金属鉱産物需給価格が国際的に逼迫した際にはわが国経済も大きな影響を受けましたことは記憶に新しいところであります。  かかる現状にかんがみますと、金属鉱業国際競争力強化金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給確保するためには、国の内外における探鉱を促進し、優良な資源確保に一段と力を入れることが喫緊要務であると申さねばなりません。  従来、政府といたしましては、金属鉱物探鉱促進事業団中心として国内における探鉱推進を行なってまいりましたが、以上申し述べました見地に立って、今後はさらに国内における探鉱を積極的に充実してまいるとともに、海外においてもわが国みずからの手による金属鉱物資源開発推進することがきわめて必要であると痛感している次第であります。このためには、金属鉱物探鉱促進事業団業務海外にまで拡大することにより、国の内外にわたる資源開発体制の確立をはかることが最も適切な方策であると存じます。  かかる趣旨にかんがみ、この法律案は、金属鉱物探鉱促進事業団が、従来の国内業務に加えて、海外における金属鉱物資源開発に必要な業務を行ない得ることとする等の改正を行なおうとするものであります。  次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明いたします。  第一に、目的改正して、事業団は国の内外における金属鉱物探鉱資金貸し付け等業務を行なうことにより、金属鉱業国際競争力強化金属鉱産物の安定的かつ低廉な供給に資することを目的とするように改めることであります。  第二に、事業団業務海外における金属鉱物探鉱に必要な資金貸し付け及び地質構造調査海外における金属鉱物採掘等に必要な資金にかかる債務の保証ならびに海外における金属鉱物資源開発に関する資料または情報の収集及び提供の業務を追加する等の改正を行なおうとするものであります。  以上、この法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。  次に、金属鉱業等安定臨時措置法を廃止する法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  金属鉱業等安定臨時措置法は、昭和三十八年に金属鉱産物貿易自由化金属鉱業等に及ぼす影響に対処して、鉱産物生産費の引き上げを促進するとともにその生産及び価格を安定させる等金属鉱業等国際競争力強化するための措置を講ずることにより、わが国金属鉱業等の安定をはかることを目的として制定された法律であります。  政府といたしましては、同法に沿って合理化計画を策定し、合理化目標を達成するため、必要な資金あっせん等の援助をすることにより、わが国金属鉱業等計画的な合理化推進してまいりましたが、民間努力も相まって合理化相当程度成果をあげてまいりました。また、この間、非鉄金属価格が国際的に高水準に推移したこともあり、同法制定趣旨でありました鉱産物貿易自由化による金属鉱業等の混乱の回避という目的は一応達成されるに至ったと考えられるのであります。  今後は、わが国経済開放体制への移行や、鉱産物需要の著しい増大などわが国鉱業をめぐる情勢変化にかんがみ、内外優良資源開発を促進することにより、わが国鉱業国際競争力強化鉱産物の安定的かつ低廉な供給確保をはかることがわが国金属鉱業に課せられた喫緊要務であると考えられるのであります。政府といたしましては、かかる課題の達成のため、別途金属鉱物探鉱促進事業団法の一部を改正し、同事業団中心とする探鉱開発体制充実を進めていくこととしている次第であります。  以上申し上げましたような事情にかんがみ、また金属鉱業等安定臨時措置法は、五年間の限時法として制定されたものであり、本年三月三十一日までに廃止することとなっておりますので、このたび同法を廃止することといたしたものであります。  以上、この法律案提案理由及びその概要を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  9. 小峯柳多

    小峯委員長 以上で提案理由説明は終わりました。各案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。      ————◇—————
  10. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、公正取引委員会委員長から公正取引委員会業務概況について説明を聴取することにいたします。山田公正取引委員会委員長
  11. 山田精一

    山田政府委員 昭和四十二年におきまする公正取引委員会業務の概略につきましては、かねてお手元に資料をお届け申し上げたのでございますが、そのうち主要の点につきまして本席をもって御説明をさせていただきたいと存じます。  まず昭和四十二年には、本委員会で御審議いただました私的独占禁止及び公正取引確保に関する法律の一部を改正する法律が施行されまして、高松地方事務所の設置、定員二十九名の増員などによりまして公正取引委員会事務局機構も漸次拡充されてまいった次第でございます。  次に私的独占禁止法の施行に関する業務といたしましては、まず国際契約等届け出は八百七十六件にのぼりましたが、企業合理化をはかるための技術導入契約がその大部分を占めておる現状でございます。  また、会社合併、営業譲り受け等の届け出はそれぞれ九百四十六件、二百八十六件となっておりまして、その内訳を見ますると、中小規模会社が、近代化合理化のために合併等を行なうものが大部分でございまして、私的独占禁止法上問題となるものはございませんでした。  再販売価格維持契約制度につきましては、物価対策見地から、その規制強化をはかることといたしまして、規制すべき問題点検討外国立法例及びその経済的育景調査検討並び現行指定商品契約実施状況及び法的要件の適否につきまして検討を行なってまいりました。  なお、昭和四十二年における再販売価格維持契約成立届けは十四件、累計百五十四件となっておりまして、また新たに契約を実施いたしました製造業者の数は八社で、十二月末現在八十九社が契約を実施しておる次第でございます。  次に、不況カルテルにつきましては、景気の回復につれて漸次減少いたしまして、四十二年三月三十一日をもって廃止されました外装用ライナーを最後としてすべての不況カルテルはなくなりました次第でございます。  合理化カルテルにつきましては、マーガリン、ショートニングなど五品目につきまして、いずれも実施期間の延長を認可いたしました。  不公正な取引方法に関する業務といたしましては、不当な歩積み・両建て預金につきまして昭和四十二年五月末及び十一月末の二回にわたりまして、貸し出し先の中小企業者を対象に、その実態を把握するためアンケート調査を実施いたしましたが、五月末現在におきましては、従前に比べまして相当改善のあとがうかがわれましたものの、まだ十分満足すべき状態ではございませんで、また十一月末の結果につきましては、ただいま集計中でございまして、追って御報告できるものと考えております。公正取引委員会といたしましては、調査の結果を慎重に検討いたしまするとともに、大蔵省の行政指導の成果をも勘案いたしました上、適切な措置をとってまいりたいと考えております。  私的独占禁止法違反被疑事件につきましては、昭和四十二年中に百六十七件につきまして審査を行ない、そのうち法的措置をとりましたものは、審判開始決定四件、勧告九件、審決四件となっておりまして、牛乳、プロパンガス等の価格協定事件、家庭電器、清涼飲料の再販売価格維持事件などがそのおもなものでございます。このほか家庭電器製造業者によるテレビジョンの価格協定事件など十二件につきまして審判を行なっております。  次に下請代金支払遅延等防止法の施行に関する業務といたしましては、昭和四十二年中に、下請代金の支払い状況中心に五千八十八の親事業者の事業所に対しまして調査を行ない、そのうち十件につきまして法第七条の規定に基づく勧告を行ない、四百三十一件につきましては行政指導による事態の改善措置をとりました。また、手形期限の短縮を促進いたしまするため、主要業種ごとに標準的な手形期限を設け、関係団体の協力を得て、その周知徹底をはかってまいりましたが、昭和四十二年中には、機械工業、紡績業、化繊工業、鉄鋼業、非鉄金属工業について手形サイトの標準を定めました。  不当景品類及び不当表示防止法の施行に関する業務といたしましては、第三条の規定に基づきまして、事業者に対する景品類の提供に関する事項の制限、トマト加工品業における景品類の提供に関する事項の制限を告示いたしまして、第六条の規定に基づき過大な景品つき販売を行ないました販売業者二名、不当な表示を行ないました販売業者、宅地建物取引業者など二十七名に対して排除命令を行ないました。そのほか、カレーこしょう業など四件について公正競争規約を認定いたしました。  また、同法の運用に資するため、消費者モニターを選定いたし、景品つき販売、不当表示の意見を求め、これを公正取引委員会の行なう消費者行政に反映させるようにいたしました。  このほか、昭和四十二年中における経済実態の調査といたしましては、企業間信用調査、管理価格調査、主要会社百社及び系列会社の資本、営業利益及び付加価値の集中状況調査等がそのおもなものでございます。  最後に、昭和四十三年度公正取引委員会の予算案でございますが、本国会にお願いいたしております公正取引委員会の予算は、総額四億一千四百九十七万一千円でございまして、昭和四十二年度と比較いたしまして五千六百三十万一千円の増額となっておりまして、事務局定員五名の増員、独占禁止法施行経費、不当景品類及び不当表示防止法施行経費の増額がそのおもなものとなっておる次第でございます。  今後、公正取引委員会業務は従来にも増して繁忙の度を加えるとともにその重要性を増すものと考えておりますが、皆さま方各位の御支援を得まして重責を果たしたいと思っております。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願いいたしまして私の説明といたします。     —————————————
  12. 小峯柳多

    小峯委員長 次に、土地調整委員会委員長から土地調整委員会の事務処理の概要について説明を聴取いたします。黒河内土地調整委員会委員長
  13. 黒河内透

    ○黒河内政府委員 ただいまからお手元に配付してあります昭和四十二年土地調整委員会事務処理の概要に基づきまして、かいつまんで御説明を申し上げたいと思います。  当委員会の所掌事務を大別いたしますると、第一は鉱区禁止地域指定等に関する事務であります。第二は鉱業権の設定その他鉱業、採石業または砂利採取業に関する特定の行政処分に対する異議の裁定に関する事務であります。第三は事業認定、収用裁決等、土地収用等の関係の行政処分に対する不服審査関係の主務大臣に対する意見の回答に関する事務であります。第四は、以上三種に属しないその他の事務でございます。これらに関する処理案件は年々増加の傾向にありまするが、ことに昭和四十二年はその傾向の著しいものがありました。  以下、これらについて、ただいま述べた四つの種類ごとに総括して説明申し上げたいと思います。  第一に、鉱区禁止地域指定等についてでございますが、昭和四十二年中に当委員会で処理手続を進めましたものは十三件でありました。いずれも鉱区禁止地域指定請求事案であつて、その解除の請求はありません。その請求理由は、ダム関係のものが十一件で大部分を占めておりまして、その他は、水道水源、景観、文化財、観光地等の保護に関するものであります。請求者別に見ますと、建設大臣四件、農林大臣三件、都道府県知事六件でありまして、請求面積は最小のものでも百二十五ヘクタール、最大のものは二千四百三十ヘクタール、平均千ヘクタール余となっております。このうち処理を了したものは四件で、そのうち一件については一部処分がありますが、他の九件とともに目下審議中であります。  なお、その指定に際し、通商産業局長に対して鉱業権の取り消し等の勧告を行なった事案はありませんでした。  第二に、異議の裁定についてでありますが、昭和四十二年中当委員会に係属した事案は六件で、これらの事案は、鉱業に関するもの四件、砂利採取に関するもの二件であって、鉱業法の規定による通商産業局長の処分に対するもの及び河川法の規定による河川管理者の処分に対するものそれぞれ二件、海岸法の規定による処分に対するもの及び森林法の規定による県知事の処分に対するものそれぞれ一件であります。そのうち一件については申請の取り下げがあり、また一件は請求の理由が不適法なものとして却下の決定をいたしました。他の四件のうち二件は公開審理を了し、他の二件は目下継続審理中であります。  第三に、土地収用等の不服審査等に関する意見についてでありますが、昭和四十二年中に当委員会で処理手続を進めましたものは二十件で、いずれも建設大臣が意見を求めてきたものであります。  これらの事案は、道路関係十一件、地方鉄道、空港関係四件合計十五件が交通関係でありました。そのほかに電力関係、住宅関係各二件、その他一件となっており、その約半数は東京都と大阪府に集中しております。  これらの事案はすべて収用委員会の収用裁決を不服とするものでありますが、実質的には事業認定に対する不服をも包含しているものが相当ありました。  これらの事案のうち十三件については回答済みであり、一件は審議中取り下げがあって処理済みとなりましたが、その他の六件については引き続き検討中であります。  第四に、その他の事務についてでございますが、当委員会関係の法令の整備を進めましたこと以外には、この際特に申し上ぐべきものはありません。  以上をもちまして、はなはだ簡単でございますが、当委員会昭和四十二年中の事務処理の大要を申し述べさせていただいた次第であります。  なお、土地調整委員会設置法に定められた所掌事務処理状況の報告書を目下準備中であります。近く所定の手続を経てお手元にお届けいたしますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。     —————————————
  14. 小峯柳多

    小峯委員長 この際、昭和四十三年度通商産業省関係予算につきまして、説明を聴取することにいたします。大慈彌通商産業大臣官房長
  15. 大慈彌嘉久

    ○大慈彌政府委員 昭和四十三年度通商産業省関係予算案及び財政投融資計画について御説明申し上げます。  まず、通商産業省所管の一般会計予算案につきましては、総額八百六十八億六千五百万円でありまして、前年度当初予算に対し一六・一%の増、補正後予算に対し一二・二%の増となっております。  次に、重点事項別に予算案の内容を見てみますと、企業体質強化産業構造改善の促進につきましては、一般会計では繊維工業構造改善事業推進に必要な予算を計上いたしており、中小企業振興事業団による織布業設備近代化融資のための資金を含め織布業構造改善事業全体計画の一六%相当分の事業を行なう等のため前年度比七二%増の九十三億一千七百万円を計上しております。  中小企業対策の拡充強化につきましては、前年度比一四%増の二百七十三億七千五百万円を計上しており、二年目を迎えました中小企業振興事業団事業規模の拡大をはかるため、共同工場、団地等に対する融資規模につきまして前年度比一八の増、織布業設備近代化融資につきまして、前述のとおり全体計画の一六%相当分の資金確保し、同事業団事業運営費として前年度比三八%増の百六十二億七千五百万円を計上しております。  また、中小企業の技術開発力の強化をはかるため、公設試験研究機関の試験研究の助成に一億三千六百万円、国立試験研究機関が行なう中小企業関連試験研究に三千九百万円、さらに、中小企業者自体が行なう試験研究の助成を一段と強化することといたしまして、従来からの補助金を九千七百万円に増額いたしますとともに、新たに、業界団体が行ないます共同研究所設備に対しその設備費を助成することといたしまして、四十三年度は玩具及び印刷合わせまして五千二百万円を計上しております。このほか、技術指導事業費等を含めまして中小企業技術振興対策として前年度比二六%増の七億五千二百万円を計上しております。  さらに、指導事業充実を期するため、商工会、商工会議所、中小企業団体中央会の指導員、補助員のベースアップをはかりますとともに、新たに期末手当一カ月分を補助するほか、中小企業総合指導所の全府県設置を完了することといたしております。  なお、小規模企業対策の一環として、機械類貸与事業拡充することといたしております。  技術開発の培養と技術的最先端産業振興につきましては、前年度比一七%増の百七十億一千八百万円を計上しております。  まず、大型プロジェクト研究開発につきましては、前年度比十二億三千五百万円増の三十九億円を計上し、既存四プロジェクトの充実を期することといたしております。
  16. 小峯柳多

    小峯委員長 大慈彌さん、ちょっと待ってください。資料がありますので、説明を省略して会議録に載せていただくようなことで便宜計らいたいと思います。  通商産業省と経済企画庁の予算の説明は、資料がございますから、これを会議録に載せることにして説明を省略いたしますことでよろしゅうございますか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 小峯柳多

    小峯委員長 異議なきものと認め、さように計らいます。      ————◇—————
  18. 小峯柳多

    小峯委員長 通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。古川喜一君。
  19. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 私に与えられた時間が三十分でございますので、イタイイタイ病に関係する問題で二、三質問を申し上げたいと思います。  最初に大臣に一点伺いたいのですが、あなたは富山県に起きておるイタイイタイ病の状態を御承知であるかどうかということを伺いたいのであります。
  20. 椎名悦三郎

    椎名国務大臣 病気にかかられた御本人が上京をしまして、そしてお目にかかったことがあります。
  21. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 政務次官のほうはどうですか。
  22. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 御地元からの御陳情も受けましたし、一応心得ておるつもりであります。
  23. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 大臣は患者から陳情を受けた点だけを御承知のように思いますが、これは機会あるごとに申し上げておりますように、昨年までに患者数は二百五十名、死亡者は百二十名といわれておりますので、この人的被害から申し上げますと、日本における最大の公害といわれておるわけであります。でありますから、もっと詳しくこの点を理解をしておいていただきたいと思います。  昨年の十二月十四日の衆議院産業公害対策特別委員会でも私たちが質問を申し上げましたし、さらに昨年の十二月十五日、参議院産業公害及び交通対策特別委員会参考人を呼んでいろいろ論議をしておられますので、その議事録を読んでいただければ十分理解していただけると思います。さらにまた、局長のほうでもその点詳しく大臣並びに次官に説明をして理解を深めておいていただきたいと思います。  そこで御質問申し上げますが、昨年の第五十七回国会の産業公害対策特別委員会で、私の質問に答えて、西家局長は、「私どもこれから調査をいたしたい——もうすでに一部始めておりますが、」「過去の水のデータがないものでございますから、これを類推するために、いろいろ当時の採鉱、選鉱、製錬状況あるいは記録等によりまして、また今後現実に堆積物の分析等、あるいは厚生省の行なっておられる調査結果等を参考にいたしまして、原因追求をやってまいりたい、」と述べておられるわけでありますが、その後どの程度調査が進んでおるのか、お聞かせ願いたいと思います。  さらに、私から、戦時中軍の要請により乱掘した時代が問題じゃないかと思うので、その当時の状況調査し、資料を提出していただきたいというお願いを申し上げてあったはずであります。昨日、調査をいただきました。それは戦争中の生産状況調査でございまして、私の質問しているのは、その当時乱掘したための処理が問題でないか、どのようにそのかすが処理されておったかということを調査していただきたいということをお願い申したわけであります。その二点について御答弁願いたいと思います。
  24. 西家正起

    ○西家政府委員 第一の点でございますが、鉱山保安局といたしましては、過去の資料を洗いざらい一応ある限りのものを集めまして、目下整理をいたしておる段階でございます。大体まとまった段階でございます。  過去の資料につきましては、先生も御承知のとおり、またこの前の臨時国会で申し上げましたように、なかなか、特に戦時中の資料が全部ございませんので、いろいろほかの資料から集めまして、戦時中の生産状況、それからそのときの選鉱方法、製錬方法、それからそれに伴います鉱害防止施設の状況等につきまして大体取りまとめを終わっております。ただ、どのような形で廃滓物が流れたか、あるいは処理されたかという点につきましては、目下のところ資料がどうしてもございませんので、明らかではございません。ただ、そういういろんな資料をもとにいたしまして、戦時中がどうあったかということにつきまして、いろいろ類推を進めておるような状態でございます。  それから私どもは、過去の鉱山の坑廃水あるいは堆積物と現在の神通川におきますカドミウムとの因果関係につきましてできるだけ調査いたしたいということで、そういう書類の調査のほかに、昨年の秋ごろから科学技術庁におきまます特別研究促進調整費というのをお願いをいたしまして、できるだけ鉱山から出るカドミウムがどういう態様で神通川に入るかという点につきまして、理工学的な見地から研究をいたしたいということで、ことし予算が大体とれまして、厚生省と一部共同ということで調査をすることによりまして、鉱山のカドミウムがどういう形で害を及ぼしておるのかということにつきまして検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。  この調査につきましては、ちょうど本日から予備調査に入っておるような段階でございまして、大体研究そのものの主体は三月中に終わりまして、あと分析、報告等が若干、二カ月ばかりおくれるかと思いますが、そういう状態で、できるだけそういうことを調査いたしまして今後の予防対策ということにも用いたい、こういうように考えておる次第でございます。  それから第二点でございますが、戦時中の資料の件でございますが、先ほど申しましたように、生産量、それから当時の製錬方法、選鉱方法、それから鉱害防止施設、こういったものにつきましては大体取りまとめが終わっていますが、どういう形でどれだけのものが流れたかといったような点につきましては、現在つかめていない状況でございます。
  25. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 まあ戦前のことでございますから困難ではあろうと思いますけれども、参議院の産業公害及び交通対策特別委員会参考人の言によりますと、すでに御承知と思いますが、石崎教授は「私の推算では、二十数年前ですか、そのときのことを証拠立てることは非常に困難であろうが、可能である、可能性は十分ある。」というふうに述べておられるわけであります。さらにまた小林教授も、戦前の処理した選鉱と現在ためられている堆積物、それから昭和三十年からりっぱな堆積物処理場ができた、そこに積まれておる量からしても、相当の量が流出しているものと思われるということをはっきり言われているわけですから、そこが一番やはり通産省としては調査をしてもらいたいところであるというふうにわれわれは考えておるので、その点十分ひとつすみやかに調査を進めてもらいたいと思うのであります。  そこで、科学技術庁の特調費がついたわけでございますが、今後どのような意図でどういう調査をやっていこうとしておられるのか、その時期あるいはスタッフなどはどうなっておるのか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  26. 西家正起

    ○西家政府委員 過去の堆積物と生産量との関係によりまして、神通川に流出したであろうと想像される堆積物の量につきましては、私どもも、現在大まかな計算はいたしております。ただ非常に精密なことはわかりかねるような段階でございますので、なおできるだけ正確な資料を出したい、こういうふうに考えております。  それから今回の科学技術庁の特調費によります研究の内容でございますが、これはイタイイタイ病の医学的な原因究明、さらにカドミウムの由来につきましては、これはもう現在厚生省において調査をやっておられます。このたびの厚生省との共同研究では、理工学的な見地から、鉱山施設からどういうメカニズムによってカドミウムが神通川を汚濁しておるか、こういうことを究明することによりまして、その結果、工学的な予防対策を講じる、こういうことを目的といたしまして研究を始めたような次第でございます。  その研究の第一のテーマでございますが、これはカドミウムが川の中に入りました場合に、どういう形態でたとえば酸化物になるとか硫酸塩になるとか、どういう形態でカドミウムが流れるか、こういうことを追求することによりまして、効果的な予防対策を考えたいということが第一の研究でございます。  第二は、カドミウムの汚染の研究でございまして、廃水処理、これは鉱山は神通川に沿いましてたくさんカドミウムを出す場所でございます。それぞれの排水施設ごとに、それからまた上流の鉱山に関係のない地域、そういうところから出ますところのカドミウムにつきまして、これを絶対量として押えまして、どの施設がどのくらい川を利用しておるか、こういうことを把握することによりまして今後の予防対策の充実を期したいということでございます。  第三の研究は、これは簡単な研究でございますが、堆積物からどういう形でカドミウムが浸出をして川に入るか。これは堆積物は古いものと新しいものとございまして、古い場合は相当高圧な圧力を受けまして固まっておるわけでございます。また古いものにつきましては、カドミウムの含有率が多いのでございますが、こういうものがどういう形で川の中に溶けて入るかというそういう機構を研究することによりまして、将来堆積場の管理の面で対策を立てたい、こういうことにいたしておるわけでございます。  それでは全然その原因究明に関係ないかと申しますと、一部やはり現在厚生省でやっております原因究明に参考になる点はあるかと思いますが、その点につきましては十分両省連絡を密にいたしまして実施をしていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。  研究の日程でございますが、すでに三つの研究のうち二つにつきましては、予備の委員会を終わりまして、さっそくきょうから現地の予備調査に入っております。大体三月の中旬に先生方による現地調査を行ないまして、三月二十日過ぎに第二回の委員会を実施をいたしまして、二十四日から現地で研究を始め、三月三十一日までには終了いたしたい、かように考えておる次第でございます。  委員会の構成メンバーでございますが選鉱関係の権威でございます東京大学の今泉教授を委員長といたしまして、東大の冶金学科の後藤先生、それから同じく東大の理学部の分析の教授でございます浜口先生、それから東大教養学部の地学の教授でおられます片山先生、それから埼玉大学理工学部の教授でございます嶋先生、それからこれは通産省でございますが、資源技術研究所の山田産業公害部長と木内鉱物部長、それから日本工業用水協会の蔵田さん、この人たちによりまして、三つのうち二つのテーマにつきまして研究をしていただく予定にしております。  それからもう一つの厚生省との共同研究でございますカドミウムの態様の研究につきましては、これから日程をきめまして研究をいたす予定にしておる次第でございます。
  27. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 わかりましたが、新聞報道によりますれば、厚生省は病気と鉱山との関係を究明する研究ならば、通産省と共同でやる意思は全くないというふうに書かれておるわけであります。したがいまして、いままでの日本の役所のなわ張りということに対して苦い経験を持っておる一般国民は、盛んに先ほどから厚生省との共同研究ということばを述べておられますが、中身が全然違っているんじゃないか、共同だなんて言っておられるけれども、全然共同体制はできておらないんじゃないかというふうに理解をしておるわけですが、どのように考えておられるのですか、承りたいと思います。
  28. 西家正起

    ○西家政府委員 新聞等の報道によりますと、私の説明が不十分でございまして、あたかも現在やっております原因究明のやり直しであるかのごときことばが出まして、非常に誤解を招いたことにつきまして申しわけなく思っておるわけでございますが、事実は先ほど申しましたようなことでございまして、医学的な探求並びにカドミウムの由来につきましては、厚生省が単独で原因調査をやっておられます。その間、水とか堆積場の分析につきましては、われわれも一緒に参加をいたしましてやっておるわけでございます。それで、今回の調査はあくまでも予防対策に重点を置いたものでございまして、かねてから厚生省とは密接な連絡をとっておりまして、新聞等にいわれておりますような意思の不疎通、対立等はないものと私たちは考えておる次第でございます。
  29. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 では伺いますが、一般には通産省は企業側の代弁をするものというふうに受け取られておると思うのであります。その事実は新潟の阿賀野川の流域水銀中毒事件でも、厚生省が工場廃水が原因であるというふうに発表する。そのあと通産省がそれと全く反対の結論を出したような印象を国民に与えている。したがって、いまだにはっきりとした政府の見解が出ておらないという、こういう事実からいたしましても、いまほど私が質問をしたことがぬぐい去ることができないわけなんです。  ここではっきりしておいていただきたいのは、通産省の調査はあくまで重金属の坑廃水あるいは堆積物による流出など、すなわち、同鉱業所の技術的なミスあるいは放漫な保安対策によるものかどうか、あるいは昔からの乱獲によるものかどうか、あるいは大昔から鉱床があって自然流出した重金属があのような結果をもたらしておるのか、などの点について行なわるべきであるというふうにわれわれは理解しておるわけなんです。ところが、いまことばを聞きますると、予防対策ということばが出てきておるわけですが、もちろん予防対策は大切です。しかしながら、いま起きておるイタイイタイ病というものに通産省の果たす役割りは、原因は神岡鉱業所から流れてきたのじゃないかといわれておる、それが事実かどうかということに重点を置いてもらいたいと思うのです。いわゆる戦争中乱獲したその堆積物の処理がどうであったかどうか、それが明らかに神通川に流出しておった結果こうなったんじゃないかとかいうそういう事実調査をひとつやってもらいたいと思うのです。  そこで重ねて申し上げますが、いまのイタイイタイ病と鉱山の関係を通産省が調査するのじゃなく、通産省はあくまで、先ほど三つ申し上げました同鉱業所の技術的なミスとか、あるいは放漫な保安対策が悪かったんだとか、あるいは昔からの乱獲がどうであったとかいうような、堆積物がどのように処理されておったかという事実調査をすみやかに進めていただきたいと思うのであります。その点どのように理解しておられるか。
  30. 西家正起

    ○西家政府委員 先生の御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましては、あくまでも医学的な面につきましては、知識もございませんし、調査を現在もちろんしていないわけでございます。  それからカドミウムと鉱山との関係につきましては、私ども坑廃水に対する監督を常時やっておるわけでございまして、たまたまカドミウムに対する調査というのが、昔よくわからなかったものでございますから、最近になってそういう問題が起こりましたので、最近そういう点に焦点を合わして監督してまいっておるわけでありまして、カドミウムの現状調査ということにつきしては、すでに三十八年以来三回水流に沿いまして調査を行なった次第でございます。現在のところは、大体問題は一応ないんじゃないかというようには考えているわけでございます。  なお、単に神通川だけの問題でございませんので、もしカドミウムに病気が基因するといたしました場合には、こういうものに対する予防という点につきまして技術的な面での対策は講じなくちゃいかぬ、こういうことで今回の研究も始めたようなわけでございます。  なお、先生御指摘のとおり、過去の堆積物はどうなったであろうか、あるいは過去の坑廃水がどうなったかということにつきましては、資料等を通じましてできるだけ明らかにいたしたい、こういうように考えております。ただ、先ほども申しましたように、戦時中の資料等はほとんどございませんので、非常にむずかしい点があるかと思いますが、できるだけ綿密なことをいたしまして推定をいたしたい、かように考えている次第でございます。
  31. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 そのとおりやっていただきたいと思うのです。ただ先ほどもちょっと申し上げましたように、阿賀野川の水銀中毒問題のように、厚生省が工場廃水が原因であるというように発表すると、通産省がそれと全く異なった発表をするというようなことがあっては、やはり国民が迷惑をするわけなんです。イタイイタイ病と鉱山の関係を調べるつもりなら、もう先ほどから繰り返して申し上げておりますように、厚生省がやっておるわけですから、その点の責任分担を明らかにしてやっていただきたいと思うのです。でなかったら、厚生省は三月の上旬までには何とか結論を出したいといっている、それで結論が出てくると、また通産省はそのあとで違った結論を出すようなことになれば国民が迷惑する。また、そんなつまらないことで税金を使ってもらっても困るから、その点は分担を明らかにして調査をしていただきたいと思います。  以上で通産省関係は終わりまして、厚生省のほうにひとつ御質問いたしたいと思います。  イタイイタイ病の患者は、昨年十一月に第三次検診をやりましても新しい患者が出ましたし、今年度に入りましても二名新しい患者が出たといわれておるわけであります。そこで、いろいろ通産省なり厚生省なり、あるいは県当局で予防対策を講じておられるわけでありますが、当面重点施策として、やはり飲料水の問題があるわけであります。そこで、富山県厚生部からはイタイイタイ病発生地区、婦中町熊野地区の簡易水道計画が提出されておるのは御存じのとおりと思います。同病の特殊事情からいたしまして、国庫補助の引き上げ要望をしてきておるわけでありますが、この点についてどのように考えておられるか承りたいのであります。
  32. 大橋文雄

    大橋説明員 お答え申し上げます。富山県婦中町に簡易水道の計画があるということは県を通して私のほうも承知をしておるわけでございますが、簡易水道につきましての現行の制度では補助率が四分の一ということになっておりまして、実施の段階で市町村の財政力指数——財政力指数を平たく申しますと、その市町村の財政事情が非常に悪いという場合にはこの数字が低い、逆の場合にはこの数字が高いという一つの指標でございまして、この財政力指数を用いまして、この財政力指数が〇・三以下のものについては三分の一、したがいまして、それを上回るものにつきましては、四分の一ということになっております。婦中町の場合の財政力指数は、過去三年のものを見てみますと、平均〇・六六でございまして、現在の補助の方針からいたしますと四分の一に該当するということになるわけでございますが、町及び県当局は目下水源その他施設計画につきまして計画中でございまして、まだ正規の申し込みは私のほうにまいっておりませんが、採択する場合には、この特殊な事情を勘案いたしまして、優先的に取り扱いたいというふうに考えております。
  33. 古川喜一

    ○古川(喜)委員 先ほども言いましたように、新しい患者の発生を見ておりますので、水の問題を解決するのは急務中の急務になっておるわけであります。  そこで、いまおっしゃいましたように、本来なら神通川の伏流水もしくはそれを水源地とした簡易水道を布設すれば距離も一番短いわけなんでありますが、不幸にしてそういう河床の水であるから、遠方から持ってこなければならない。さらに、そこの地区の人たちにすれば、われわれは公害を受けておるんだということで、普通の人たちが簡易水道を引こうじゃないかという考え方と多少違うわけなんです。われわれは被害者なんだ、だから自己負担というものは、国なり町なり県なりでやるべきだというふうな考え方があるから、町としても困っているわけなんです。御存じのように、約一億三百万という膨大な金を一つの町が住民の健康管理のためにやろうとしておるわけですから、その点を十分勘案してその国庫補助の増額、いわゆる赤字地方団体には先ほどおっしゃいましたような三分の一の補助という道も開いてあるわけですから、そういう点を拡大解釈をしていただいて、できるだけ地元の要望にこたえて、その新しい患者の発生をこれから防ぐように努力をしていただきたいということを要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。  よろしくお願いいたします。
  34. 小峯柳多

    小峯委員長 関連して楯兼次郎君。
  35. 楯兼次郎

    ○楯委員 関連をいたしまして二点ばかりお聞きしたいと思います。  いま古川委員は、現在患者が発生しておる個所を代表して質問をされたわけでありますが、実は私の地域にも、この神通川の川沿いに住む人たちあるいは神岡鉱山の人たちが数万おるわけです。だからテレビ等で放送されるイタイイタイ病を見ると、見ておるわれわれの骨が痛いような感じがするわけです。それで医学上から見た原因というものはまだ判明しておらない、こういうようなことは聞いております。厚生省では、これは政府の機関として調査をされておるのですが、三月中には医学上から見た結論が報告をされる、こういうことを聞いておりますので、カドミウムが原因であるという前提に立って議論を進めることはできないとは思いますけれども、もしカドミウムが原因であるならば、現在の状態では、これら工場に働く人たちあるいは川沿いに生活しておる数万の人たちに対しては、もしカドミウムが原因であると前提をした場合に、現在安全であるかどうか、こういう点をひとつお聞きしたいと思います。
  36. 橋本道夫

    ○橋本説明員 ただいまの御質問の初めのカドミウムが原因であるかどうかわかっておらないということでございますが、医学研究班の四十二年一月の報告によりまして、低蛋白、低カルシウムを基盤としたカドミウムが原因として起こったものであるということで、カドミウムが原因であることはわれわれは認めております。そのカドミウムがどこからきたかということにつきましては、四十二年度調査研究では、現在究明をいたしておる最中でございまして、その点につきましては調査研究の結果を待ってから結論を出したい、こういうことでございます。  それから現在の時点ですぐ起こるおそれがあるかどうかということでございますが、少なくともいままでの水にあらわれた数字、食品にあらわれた数字からは、われわれは危険だとは思っておりませんが、慢性蓄積性のものでございまして、二十年、三十年の単位で起こってまいるものでございますから、現在は改善されていたと仮定いたしましても、あとで起こる危険が完全に払拭しきれないということは医学的に申せるかと思っております。
  37. 楯兼次郎

    ○楯委員 どうも前提にして話を進めていいかどうかわかりませんが、カドミウムが原因である、しかしその発生の現場がわからない、わからないといいながら、大体神岡鉱山の敗戦前後のあるいは戦時中の乱掘の残滓の放出といいますか流出じゃないか、こういうことに常識的にはなっておるわけですね。そうだと仮定をすると、それが原因であると前提をすると、現在数万の人たちがその地域におる。私はしろうとですが、一体カドミウムというものは水からのみ、水の媒介によって人体に害を流すのか、あるいはほこりが出て、そういうものは害にならないのか、これはしろうと談義ですが、そういうこともわからない。したがって、もし戦時中のあるいは敗戦前後の多量のカドミウムの流出によるものであるとするならば、現在は安全であるか、それを前提とするならば、現在数万の人たちは安心して仕事をやり生活をすることができるかどうか、こういう点で、くどいようですが、もう一回ひとつ……。
  38. 橋本道夫

    ○橋本説明員 現在の時点で安全であるかということでございますが、現在の時点で得られた井戸水あるいは簡易水道の検査からはカドミウムは出ておりません。そういう意味で、その水を飲む人は、別にすぐさま心配をしておるとはわれわれは思っておりません。  それからもう一つは、食品のほう、土にかなり出てまいりますから、食品を介して出るということはございますが、現在の食品のレベルでは心配するものではないということは、一応中間的な、口頭的な話としては聞いております。そういうことで、現在お住まいの方は非常に御心配なさる必要はないというぐあいにわれわれ思っております。
  39. 楯兼次郎

    ○楯委員 それから私は、この議論が起きてからその原因の探求も必要であるけれども、まず患者の救済が第一じゃないか。確かに、しろうと考えですけれども、人体はいろいろな要素によって構成されておる。ところが、かかった患者のグループといいますか人たちの指導と観察から、いわば、何か人体の構成要素がアンバランスになって起きておるのだ、こういうようなことも察知をされるわけです。したがって、患者救済、予防措置といいますか、そのほうが優先すべきじゃないか、こう思うのですが、通産省、厚生省、あるいは原因がわかってから県の予算その他を使って救済に努力はしておるようでありますが、まだ何か奥歯にものがはさまったような、あるいは責任のなすり合いといいますか、そういうようなことが感じられてならないわけです。したがって、現行法規を最大限に活用するなり、あるいは救済の法律がなければ、これはつくったっていいと思うのです。そうしてまず患者を救済し、予防措置をとってから、原因の探求は多少日がかかってもやってもらいたい、こういうぐあいに思うわけですが、その辺の政府の関係官庁の解釈。  それからもう一つは、先ほど答弁がなかったのですが、水にのみよって媒介をするのか。あるいはこういう工場がまだ日本各地にはあると思うのです。そういうところも私は常識論からいけば心配だと思う。そういうところの予防措置は、今後どういうような措置によつて解決をしていかれるのか。関連質問ですから、この二点だけお伺いして終わりたいと思います。
  40. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 前段の御質問に対してお答えを私のほうからさしていただきます。御承知のように、この公害というのは、発生源と被害との因果関係がなかなか究明できないという特殊な事情が多い。したがって、その原因が究明されないままにじんぜんと日を過ごすということは、これは私は政治の姿勢として許すべからざることだと思います。私はまだ日が浅いわけですが、就任早々そのことを特に強調いたしまして、やはり何といっても本人の不摂生でなくしてこの病気が起こった、歴然とイタイイタイ病が起こっておる、こういう事実ははっきりしておりますから、それに対していわゆる加害者側である産業関係一般が、ひとつこれに対して何とか応急措置を考えてもらえるようなつなぎの体制もひとつ考えたらどうか。これはどの会社から出すということになると責任がそこへ結びつきますから、金を出して責任までとらなければならぬということはいやがることは当然のことであります。そういうことでなくて、産業界全体がそういう仕事を通じて被害を及ぼすという関係においてひとつ考えてもらおうではないかということで、目下そういう方向に向かって検討を急いでおります。同時に私は、やはり本筋は、政府が、厚生省が中心になって、一般的な援護措置について国が財政的な責任を持つ、こういうことが急がなければならぬ。特に、ことし昭和四十三年度予算において、二千万円が公害医療研究費という名前において計上されております。これは被害者に対する医療措置というところに直接は結びつきませんけれども、間接援護といいますか、そういう形で、被害を受けられた府県、地域に、国は二千万円をもってこれが応援体制をつくる、こういうことができようかと思うのであります。御趣旨の点は私も全く同感でありますから、大いに努力いたしたい、このように思います。
  41. 中谷鉄也

    ○中谷委員 関連してただいまの政務次官の御答弁について一つお尋ねをいたしたいと思います。  要するに、企業責任——公害基本法の審議の際にも特に力点を置いて問題にされたのは無過失責任という問題であったと思うのです。といたしますと、一〇〇%発生源と被害との結びつきが明確である、すなわち通産省、厚生省のことばをもって言えば一般的究明ではなしに、特殊的究明が全く明白になされたというのではなしに、ある程度の蓋然性を持っておるということになったならば、そのような企業というのは責任をとるべきじゃないか、こういうように私は考えるわけです。そういう前提からいたしますと、先ほど政務次官が御答弁になった二千万円のいわゆる来年度計上された予算などというのは、西には四日市ぜんそくの訴訟があり、あるいはまた阿賀野川の訴訟があり、そしてさらにこのイタイイタイ病についても本年三月初旬訴訟を提起しようとしている。さらに水俣問題についても多くの不満を残して被害者は泣き寝入りをしている。和歌山にもそのような問題がある。全国至るところに問題がある。したがって被害者に対するところの救済というものを、政務次官が善意で産業界一般に負わそうという、そういう考え方も一つの方法だけれども、何といっても第一次的な責任というのは、私はその発生源と目されているところの企業にあると思う。企業が被害者を救済する、企業の社会的責任においてそのような賠償をするということを通産省としても指導さるべきではなかろうか。個人対個人の問題ではないと私は思うのです。そういうふうな被害者救済をしたことが責任を認めさせることになるというような考え方は、隣組のAという人とBという人の訴訟とか争いの場合にはあり得るだろうけれども、社会的な責任を持ったところの大企業の問題としては、そのような発想、そのような考え方、そのような配慮というものは私は適当でないと思う。すでに無過失責任ということが問題になっている以上、そのような問題についての被害者救済は、まず第一次的な責任を負うべきところの企業に、そのような働きかけをさるべきだと思う。このような前提に立って、たとえば阿賀野川の問題について、通産省は被害者救済の問題について、特に被害者がこのような状態の中で放置されておることは決して好ましいことでないので、すみやかにそのような点については措置をはかるべきだと私のほうは思うと言っておられる。これは通産省として、そのような発生源と目されておる企業に対しても、そのようなことを通産省自身の善意と責任で働きかけるということを含んでおるのかどうか。訴訟というのは、訴訟十年ということが最近いわれております。十年も被害者は待てない。十年もしんぼうしてやっと訴訟を起こして、さらに十年もその訴訟のために結果を待たなければならぬ、そういうことはしんぼうできないので、そういうふうな努力を通産省としてもさるべきだと思う。このような点についてひとつ御答弁をいただきたい。  同時に、厚生省のお立場をひとつお伺いいたしたいと思うのですけれども、被害者救済法案等についての考え方は、おおむね私も承知いたしておりますけれども、この阿賀野川の問題にしろイタイイタイ病の解決にしろ、少なくとも明確な責任を云々する以前に、訴訟を取り下げさせるとかなんとかいうことでなしに、加害者と目れておるところの企業に対して、その社会的な責任を負わせるように厚生省としても御努力さるべきではないか、こういう点について、ひとつ通産政務次官とそうして厚生省の御担当の方の御答弁をいただきたいと思います。
  42. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 私から申し上げるまでもなくすでに御承知だと思いますが、鉱害紛争処理のしかたは、当事者間の和解話し合い、それからいわゆる和解の仲介による方法、第三番目は司法的な手段、で、鉱業法によると、刑事的な問題でなくて民事的な関係でございますから、やはりはっきり結論が明白にならない以上は責任がない、こういうことは言えないと思うのです。私の政治的な常識からいっても。鉱業法においては無過失責任制度、こういうのがあるわけですが、しかし同時にまた、鉱業法の賠償の義務者というのは原因が明らかになった場合という、こういったことも百九条でうたわれておるわけでございますから、問題は、私が先ほど申し上げたのは、その原因がはっきりしない間、現実に困っている被害者に対してはひとつ何とか手を打つべきではないか、人道的な観点から、とりあえず暫定的につなぎをやるべきではないか、こういうことで私のほうは私見を述べたわけでございまして、やはり法的な結論としては時間がかかる実情でございますから、暫定的な措置として、産業界全般の責任、公害を起こしやすい産業界全体に呼びかけて、当面の被害者に対する援護措置を進めるべきではないか、こういう考えなんです。決して公害による処理を法律上おろそかにするという考え方ではございません。
  43. 中谷鉄也

    ○中谷委員 一点だけ……。私は楯委員への答弁を前提としてお尋ねしたのです。二千万というふうな金じゃ問題にならない。産業界一般というようなことで出される金なんかについてもたかが知れているだろう。まず第一次責任というのは加害者と目されている企業にあるんだ、そうすると、いわゆる特殊的究明というものは一〇〇%なされないとしてでも、灰色の状態、蓋然性を持っているという状態、さらにその点が社会的にどうなのか、発生源ということがこれほどまでに叫ばれているというような状態、少なくとも、そのようなことが疑わしいというふうな状態においては、疑わしきは罰せずではなしに、そのような疑わしい状態を前提として、第一次責任である企業に、通産省が行政指導の一環として、メンツだとかそれが民事的な責任を前提とするかということでなしに、社会的な責任として被害者救済を進めなさいということを行政指導したからといって、通産省はほめられこそすれ、けなされることはないじゃありませんか。そのようなことをおやりになる御意思はありませんか、ぜひやってもらいたい、こういうことをお尋ねしたわけです。
  44. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 御質問の趣旨は私も十分わかりますが、しかし結論は相手のある話で、私どもは、結果的に最後司法的な解決という手段に企業側は出るという想定も十分立つ、そうすると結局時間が長引いて、気の毒な目にあうのは被害者である、そのためにとりあえず応急臨時措置を考えたらどうか、こういう考えで申し上げたのです。(中谷委員「それを企業主にやらしたらどうかと聞いているのです。」と呼ぶ)これはやはり法的に束縛する、あるいは司法的手段をとらなければどうにもならないというのですから……。
  45. 中谷鉄也

    ○中谷委員 終わります。
  46. 小峯柳多

    小峯委員長 岡本富夫君。
  47. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 このイタイイタイ病につきましては、先国会も当委員会で私が質問いたしましたので、時間の関係で簡単に質問いたしますから、率直にお答え願いたいと思います。  それで、昨年末には緊急に厚生大臣から見舞い金あるいはいろいろな名目で患者に対していろいろ救済をいただいたことを非常に敬意を表するものでありますけれども、ただいまこの新聞の報道を見ますと、科学技術庁ですか、これが六百万円の研究費を出して、厚生省と通産省が研究をやっておる。これにつきましても先ほどおのずから研究目標というものは違うんだというお話がありました。  そこで、厚生省がすでにこのイタイイタイ病の原因はカドミウムによるものであるとはっきりと断定を下しておりますけれども、通産省としてはそれをお認めになりますか。これを聞きたいと思います。
  48. 西家正起

    ○西家政府委員 厚生省のほうから発表されておりますのは、中間報告として承っているわけでございますが、私どもといたしましては医学的な点が全然しろうとでございますので、カドミウムであるかないかにつきまして実ははっきりわからないというのが実情だと思います。
  49. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そうすると、通産省の鉱山保安局はこういうものに対してはしろうとであるから、このイタイイタイ病はカドミウムであると断定されてもしかたがないわけですね。厚生省の意見に従うわけですね。この点をはっきりしてください。
  50. 西家正起

    ○西家政府委員 厚生省とよく打ち合わせをいたしまして、事実知識がないものでございますから、そうであるということになれば、われわれもそれに従わざるを得ないと思います。
  51. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 なぜ最初にこれを念を押すかと申しますと、ちょうどこういう話があるのです。甲と乙の二人がしめし合わせて酒を飲んで、酒屋でけんかをした、そして二人でけんかをしてそのあげく一人が逃げて一人が追っかけていった、あとはそのままになった。すなわち通産省と厚生省というお二人がその手を使うかどうか。すなわち前の阿賀野川の問題、あるいはまた熊本県の水俣病の問題も、結局結論としては出ないでそのままになってしまった、被害を受けた国民が一番困っておる、こういう状態でありますので、きょうは特にその点について、厚生省がはっきりとこれはカドミウムであるということを断定された場合は通産省としてはっきりと従うかどうかということをきょうはまず聞きたいのであります。どうですか。
  52. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 鉱山廃水の中に含まれているカドミウム、こういったものによるのだと原因がはっきりすれば、通産省としては一応このような鉱害紛争処理の方法としての和解、仲介こういったあっせんの労をとらなければならない。それで話がつかなければ、最後は司法的解決ということになろうと思うのでありますが、この鉱山の廃水によるということにはっきりなれば、われわれはとりあえず仲介の労をとりたい、こういうふうに考えております。
  53. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 仲介の労というより、私どもが言っているのは、鉱山の廃水だ、そういうことを言っているのじゃなくして、イタイイタイ病はカドミウムによって起こった病気であると、厚生省で中間発表では一応断定しておりますけれども、三月になれば大体はっきりする。そのときには通産省として、イタイイタイ病はカドミウムによるんだということは認めますか、こう聞いておるんです。
  54. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 厚生省の結論が出る、その結論が客観的に公正なものであるということになれば当然われわれはそれを認める、こういうことになります。
  55. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 客観的にそれが公正なものであれば認める。しかし、客観的に見て厚生省は公正でない、こういうときは認めないわけですか。ことばじりをとらえるようで悪いですけれども、この点はっきりしていただきたいと思います。
  56. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 これはたいへん大切なところでございまして、厚生省も神さんでないので、どういう結論を出すか、やはり客観的に各方面の意見を聞いて、なるほどと、できるだけ納得のいける結論を受け入れなければならない、このように思います。もちろん厚生省がその中心的な立場であるということは常識的にもわれわれ理解できることでございますから、厚生省の御意見を十分尊重していかなければならぬ、このように考えます。
  57. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 だいぶニュアンスが変わってまいりましたね。なぜかならば、先ほど西家さんはそういう病気について私どもはしろうとである、ですから、これは厚生省から出されたら、その意見に従わざるを得ぬ、こういう話だった。いま政務次官は、今度は客観情勢、すなわち客観的に見てという。病気というのは医者が大体よく見るものです。ところが、げた屋さんや魚屋さんが見てこれは病気でないと言うたら、医者の言っているのは間違いか、こういう論法になります。だからこの点をきょう私ははっきりしておきたい。ですからいまおっしゃったのは、客観的に見て厚生省のほうが間違いがなければ間違いない、客観的に見て厚生省のほうが結論が間違っておれば間違いである、こういうんですか、どっちですか。この点はっきりしてください。
  58. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 これは表現のしかたといいますか、また受け取り方、いろいろありますが、これは私は、やはり客観的に見て適正なものであればということは、当然そういう前提で考えなければならぬ。ただし、厚生省はおそらくや客観的に見て正しい給論を出されるであろう、私はこう期待する、こういうことなんです。
  59. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 厚生省は客観的に見て正しい意見を出すであろうと私は期待する、それでいいと思いますが、厚生省は人命を扱うところの省でありますから、たとえばお医者さんの立場でありますから、お医者さんが、これはカドミウムであるこういうように断定した場合は、通産省として、これは確かにカドミウムである、こう結論を下しますか。これをもう一ぺん聞きたい。
  60. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 いまお答えしたことで十分意は尽くしておると思うのですが、カドミウムであると厚生省が言われる。そのほか、過去の経緯においてこの問題についていろいろ意見があるやに私は聞いております。これを反論する意見もあるわけでございますから、おそらくそういったことも十分勘案されての結論が出るというふうに思いますが、ずばり、厚生省の結論は即客観的にも正しい結論であるということを、私がこの場で前提してお話し申し上げるということは、時期がまだ早い、このように思います。
  61. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 厚生省が、一メートルは百センチである、こういうように結論を出した場合はそれを認めますか、それと同じでありますから、厚生省から、このイタイイタイ病の原因はカドミウムである、こう結論が出たら、これは通産省としても認めるべきである。これはちょっと公式の場でないのですけれども、イタイイタイ病の一つの原因として栄養失調があった。あるいはまた厚生省も昔そういう話をしたこともありますけれども、当時の状況を見ますと、終戦後というのは日本国じゅう全部栄養失調であった。また男性ホルモンを打てば患者が非常によくなってくるということは、男性ホルモンを打つと、骨がしっかりしてくる。こういう面から見れば、いまさらここで、カドミウムでない、あるいはほかの原因であろう、こういうのは私はおかしいと思う。しかも、厚生省というのは国の官庁です。この国の、しかも人間の一番大事な命を預かっているところの厚生省が出した発表に対して、そうではないと、通産省が裏づけをほかから持ってきてするのは、おかしいと思う。その企業がどこからか持ってきてするのだったら話はわかりますけれども……。だから、この新聞に「イタイイタイ病研究は宙に浮く、厚生、通産両省が対立」と、ちゃんと書いていますけれども、いまを見ましても、やはりこれはほんとうでなかろうか、こういうように私は疑わざるを得ないわけです。したがって、そんな何か心配そうなことを言わぬと、国民がはっきり安心するように、やはり日本の国の厚生省がきちんと結論を出したら、それに同調するのがあたりまえです。こういうように答えるのがあたりまえじゃないかと思うのですが、どうですか。これは通産政務次官のほうは言いにくいでしょうから、ひとつ鉱山保安局長、どうですか。
  62. 西家正起

    ○西家政府委員 鉱山保安局長といたしましては、先ほど申しましたように、医学的な知識がないものでありますから、なかなかこれ、もちろん否定もできないわけでございますが、肯定するだけの知識もないということに相なるかと思うのでございますが、これを総合判断いたしました場合には、先ほど政務次官御答弁のとおりだと考える次第でございます。
  63. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 こうやっていると時間がたってしまいますけれども、何の知識もないけれども総合判断をする、これは一体どういうことなんですか。鉱山局長どうですか。
  64. 両角良彦

    ○両角政府委員 ただいま政務次官から申し上げましたように、厚生省の結論が公正かつ客観的なものでございましたら、それを受け入れるのは当然と考えますが、それは単に通産省が受け入れるのみならず、国民の全部がそれを受け入れるような答申なり結論が出されることをわれわれとしては期待をいたしておる次第でございます。
  65. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 通産省は、前に置いて悪いですけれども、いま三人が三人ともはっきりしないと思うのです。なぜかならば、国民が納得すれば私たちは納得します。要するにイタイイタイ病の原因はカドミウムによるんだ、その死因というものはカドミウムによるんだということは厚生省が言っている。中間報告が三月に出たら、要するに、通産省においてはそれを調べるだけの、反論するあれがないわけです。そうでしょう。要するに、先ほど鉱山保安局長が、私のほうはしろうとでございますから人体に対することはわかりません、こう言ったんですから、これはお医者さんのほうにまかす以外にないんじゃないでしょうか。どうですか、西家さん。
  66. 西家正起

    ○西家政府委員 はなはだはっきりしなくて申しわけないと思いますが、確かに医学的な知識がないのでございますから、いろいろな観点から客観的に妥当であるかどうかということを判断いたしまして、その結果によりまして、カドミウムであるということを確認いたしたいと考えております。
  67. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 なぜ私がこのことについてこだわっているかと申しますと、かつての新潟の阿賀野川問題の、あの水銀中毒事件がありましたが、それについて最後の結論として、科学技術庁のほうにその結論を出してもらいたい、こういうようにいってきております。梅澤研究調整局長来ていますね。——聞くところによりますと、厚生省のほうでは、これは水銀中毒である。ところがそのあとの結論が出てこない。いま科学技術庁では、通産省あるいは各省との意見の調整ができないので発表ができない、こういうように聞いたんですが、ほんとうでしょうか。
  68. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいま各省の御意見をいただいておりまして、それで現在科学技術庁のほうで取りまとめを進めておるところでございます。したがいまして、まとめようができないということではございませんで、いま十分まとめている、相談を進めている段階というところでございます。
  69. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 じゃ、どんな相談を進めておるのですか。
  70. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 四省がこれに関連しておりますが、御存じのように、三省からは大体この調査でいいだろうという御返事がきておりました。それから通産省からも御返事がきておりましたが、その問題点がそこに出ております。したがいましてその問題点についての技術的見解というものをわれわれはわれわれなりのところで固めて、そうしてちゃんとしたもので報告を出したいというところにいま進めておるわけでございます。
  71. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そうすると、この問題がなかなか解決しない、いよいよ訴訟問題まで起こってこよう、こういうような非常に大きな問題になっているのに対して、科学技術庁がはっきりとこの問題を解決しないというのは、あなたのほうの責任になるわけですね。どうですか。
  72. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 阿賀野川の問題でございますか。
  73. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 そうです。
  74. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 阿賀野川の問題につきましては、私たちが技術的な見解をどうしても出さなければならないということになっております。
  75. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 じゃ、科学技術庁では、そういう水銀中毒あるいはまたイタイイタイ病、こういうものをちゃんと調査し、そして証明づけるところのそういう機関を持っているのですか。どうですか。
  76. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 前々から私たち国会で申し上げておりますように、現在までいただきましたデータがございます。その範囲内で、一部は専門的な御意向をお伺いする場合もございますが、現在ございますデータの中で、十分そこの範囲内で考えていきたいというところで現在進めております。
  77. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 いつごろその結果が出るのですか。
  78. 梅澤邦臣

    ○梅澤政府委員 ただいまうちの大臣から早急に結果を出せということで、現在一日も早く出したいというところで進めております。私たちいまここでいつ——できるだけ大至急に出すというところで御了承いただきたいと思います。
  79. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 梅澤さん、みんな被害者は待っているのです。それで大臣からも早く出せと言われているという。一日というのは二十四時間しかないのですから、それがまだわからないとかというのでは怠慢であろうと私は思うのです。大体いつごろ結論がつくか、ここで言いにくいならば、時間がございませんからあとで返事してください。
  80. 近江巳記夫

    ○近江委員 関連。先ほどから通産省の意見を聞いておりますと、非常にはっきりしないわけです。先ほどから岡本委員も言っておりますが、あなた方として、要するに厚生省の研究班の出す原因究明の結論に不十分な面がないとは言えないので、それに備えるため特別研究を行なうのだ、こういった態度でこられておるわけです。要するに十分な知識を持って、あなた方はそういう態度でこられたと思うのです。ですからそれはどういうような根拠でそうおっしゃっているのですか。私たちはしろうとで何の知識もないからとあなたが言っていることと全然矛盾するわけですよ。
  81. 西家正起

    ○西家政府委員 新聞の記事かと思うのでございますが、私が申し上げた点でございますが、実は私の説明が非常に不十分でございまして、確かに誤解を招いた点もあるかと思うのでございます。私の申し上げました。真意は、医学的な面につきましては厚生省がやっておられる、それからカドミウムの由来につきましても厚生省がいま原因調査をやっておられる、これに関係なく、われわれは実際の鉱山から出るカドミウムがどういう害を川に及ぼしているか、どういう実態で川に入っておるか、こういうことを技術的に調べたいということで今度新しい共同研究をやることになったわけでございまして、不十分であるからやると言ったのは私の真意ではございません。今度やります研究につきましても、厚生省と密接に連絡をいたしましてやることにいたしておるのでございます。そういうことでございますので、厚生省の研究に対して不十分なことがあるとかなんとかいうことは目下のところ考えていないわけであります。
  82. 近江巳記夫

    ○近江委員 要するに通産はこれだけイタイイタイ病で苦しんでいる人の立場に立つのか、業者側に立つのか、どっちですか。はっきりしてください、政務次官。
  83. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 決して業者側、企業側に立ってものを言うということはさらさらございません。ただ原因、犯人がだれかということをはっきり追及をしなければならない。公害の処理は、申し上げるまでもなく、事態の真実をはっきり把握するという前提が必要だと思う。そのためには、時間的に相当経過をしておる被害を受けた方々の気の毒な状態に対しては、私は、別途対策を急がなければならぬ、このように考えます。
  84. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 いま科学技術庁のほうに話したのは、そっちへ戻るために話したのです。なぜかと言いますと、あなたのいまの説明は、このイタイイタイ病の共同研究については、人体に対するところの影響度、これに対しては、これは厚生省がやる、しかし今度は、経路については私のほうでやるのだ、こういうお話でしょう。違いますか。
  85. 西家正起

    ○西家政府委員 医学的な面と、それからどこからカドミウムが出てきたかという由来につきましても、現在厚生省の予算でやっておるわけです。
  86. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 原因究明については私のほうはタッチしません、要するに、イタイイタイ病がカドミウムによった病気であるということに対しては、私のほうはそういう知識も何もありませんからタッチしません、ただ私のほうは、鉱山の中で、どういう経路で流れてきたか、そっちのほうの研究をする、こういうように二つに分かれているわけでしょう。しからば、カドミウムによったイタイイタイ病であるということを厚生省が結論を出した場合には、これはあなたのほうでそれをやっていないのだから従わざるを得ないのじゃないですか。どうですか、保安局長
  87. 西家正起

    ○西家政府委員 確かに先生のおっしゃいますように、医学的な調査研究は私のほうでやっておりません。やっておりませんので、科学技術庁の報告が出ました場合には、医学的にわれわれしろうとでございますので、それに対していまのところどういうことを言うかということにつきましても、全く白紙の状態、ほとんど言うことはない、こういうように考えております。ただ通産省といたしましては、やはり厚生省の報告書をよく読んでみて、それから、それに対してどういうふうになる、そういうことに基本的に相なると思いますが、これはしかし、大体において当然厚生省が責任を持ってお出しになるものでございますので、実際問題といたしましては、そう対立するようなことにはならない、かように思っております。
  88. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 何か口の奥に物のはさまったような状態ですが、大体いまのあなたの答弁では、人体に対するものは厚生省でやっているんだから、まして国の機関だから、そのとおり受け取るよりしかたがない、こういうようなあなたの御意見だと思います。そうですね。私は経路じゃなくして病気の原因を話しているのですよ。その点はっきりしてください。
  89. 西家正起

    ○西家政府委員 厚生省の結論を十分読ませていただきまして、はっきりいたしたいと思います。
  90. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 西家さん、あなた医学的に何のあれがないのです。しろうとなんです。それが、医者が出してきたものに対して、これを見てから病気を判断しますというのは間違いじゃないですか。だから、どこまでもカドミウムによる病気であるというのなら、そのカドミウムがどこから流れてきたか、それは別ですよ。そこまではいかない。そこで、これはカドミウムが原因でこういうイタイイタイ病になったのだ、こういうように厚生省から出てくれば、それは認めないわけにいかないじゃないですか。どうですか。
  91. 西家正起

    ○西家政府委員 私、正直なところ、大体先生の考えと同じだと思いますが、医学的な研究をいたします場合でも、たとえば今度の場合も、動物実験ではそういうことが行なわれたと思いますが、そういう場合にカドミウムの溶液を使ってやる、こういうことになると思いますが、どういう溶液でどういうふうに実験されたか、全体的なことはよくわかりませんけれども、そういうような判断をする過程につきまして、若干われわれのほうとも関連がございまして、その点につきまして十分厚生省と相談をいたしまして、十分納得のいくようなことであればこれは従いたいと考えております。
  92. 近江巳記夫

    ○近江委員 被害者側が特別調査班をつくって、そしてカドミウムがどうだという場合なら、それはなるほどあなたの立場としてチェックする必要があるでしょう。厚生省も通産省も政府でしょう。したがってそこで引き出される結論というものは、これはもっと厳正なものです。そうでしょう。そういうわけで、厚生省としてもすでにこれは公衆衛生の部長が、カドミウムが原因ですと公式見解を出しておるわけです。どこから流出したかということも、この調査班が四月中に結論を出すと言っておるわけです。厚生省としては、いまさら原因究明などやる必要はないとはっきり言明をしておるわけです。そうであるなら、ここは謙虚に、通産省が要するにいままでそうした公害対策について、抜本的な対策を講じていなかった、そしてこれだけの死亡者、重症者を出しておるということについて、えりを正して謙虚に、今後はこういうことについて万全の対策をいたします。そう言うのが私はほんとうだと思う。それをああでもない、こうでもないということは全くけしからぬと思う。あなた方答弁できなかったら、大臣を呼びなさい。委員長、大臣を呼んでください。こんなはっきりしない話はないじゃないですか。その点要求します。
  93. 小峯柳多

    小峯委員長 大臣はいまおりません。それでは日をあらためましょう。  岡本君、結論を急いでください。大体お約束の時間です。
  94. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 じゃ、あらためて大臣に聞くことにいたします。  今度は経路の問題でありますけれども、現在はりっぱなダムができておる。この経路については、いまから行ってみたところでなかなかわからない。そうすると、その当時そこにいた人、あるいはまたそれを目撃した人。この間参議院の公害対策委員会に出てきた、岡山大学の小林教授あるいは萩野博士の意見を尊重するかどうか。あなたもあのときに聞いていたはずですが、保安局長さんとすれば、保安局というのは、要するに鉱山を保安して、人体に影響ないようにする役目のあるところだと思う。そうすると、そういう人たちの意見を謙虚に聞く考えがあるかどうか。これをお願いします。
  95. 西家正起

    ○西家政府委員 私どもといたしましては、確かに鉱害の予防という点の職責を持っておるわけであります。可能性のある場合でも、はっきりしない場合でも、できるだけそれが起こらないような方向で、今後予防対策を講じたい、かように考えておる次第でございまして、そういう意味から参考人の先生方の御意見は、非常に参考になったかと考えております。ただ、一言一句参考人の先生の、たとえば数字的な問題につきましても肯定するというわけではございませんけれども、先生方の考えておられる方向で、鉱害防止に今後も努力をしてまいりたい、かように考えております。
  96. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 いままであなた方は見たこともない。それを目撃した人、あるいはそういう人が何人か証明した。そしてその調査にあたっては、それを尊重し、また農業被害についてもこれもよく意見を取り入れて調査し、適切にやっていく。予防、予防と言いますけれども、予防はいまできておるのだから、六百万も予防の研究にあなたは使うと言ったのですから、たかがその半分の三百万くらいでも先に被害者に対して少しでも厚生省のように手を打ってあげたらどうか。これを私は要望して、きょうの質問は終わりたいと思います。
  97. 小峯柳多

    小峯委員長 次回は、三月一日金曜日午前十時十五分理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十分散会      ————◇—————