運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-26 第58回国会 衆議院 社会労働委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月二十六日(火曜日)     午前九時五十八分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 小沢 辰男君 理事 佐々木義武君    理事 田川 誠一君 理事 竹内 黎一君    理事 橋本龍太郎君 理事 藤本 孝雄君    理事 河野  正君 理事 田邊  誠君    理事 田畑 金光君       大坪 保雄君    海部 俊樹君       齋藤 邦吉君    世耕 政隆君       田中 正巳君    増岡 博之君       箕輪  登君    渡辺  肇君       枝村 要作君    加藤 万吉君       後藤 俊男君    島本 虎三君       平等 文成君    八木 一男君       山本 政弘君    本島百合子君       和田 耕作君    大橋 敏雄君       關谷 勝利君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 園田  直君         労 働 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    島 四男雄君         総理府人事局長 栗山 廉平君         行政管理庁行政         監察局長    諸永  直君         北海道開発庁総         務監理官    馬場 豊彦君         厚生大臣官房長 戸沢 政方君         厚生省医務局長 若松 栄一君         労働政務次官  井村 重雄君         労働大臣官房長 石黒 拓爾君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省安全衛生         局長      大野雄二郎君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君         建設大臣官房長 志村 清一君  委員外出席者         参  考  人         (北海道地下資         源開発株式会社         取締役)    矢島鋼次郎君         専  門  員 安中 忠雄君     ――――――――――――― 三月二十三日  委員三ツ林弥太郎辞任につき、その補欠とし  て賀屋興宣君が議長指名委員に選任された。 同月二十六日  委員後藤俊男君及び島本虎三辞任につき、そ  の補欠として堂森芳夫君及び八百板正君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員堂森芳夫君及び八百板正辞任につき、そ  の補欠として後藤俊男君及び島本虎三君が議長  の指名委員に選任された。 同日  理事竹内黎一君同日理事辞任につき、その補欠  として田川誠一君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月二十二日  最低賃金法案小平芳平君外一名提出、参法第  九号)(予) 同日  満蒙開拓死没者遺家族援護に関する請願外四  件(井出一太郎紹介)(第二八七七号)  医師、看護婦の増員に関する請願木原実君紹  介)(第二八七八号)  同(實川清之紹介)(第二八七九号)  同外一件(阿部助哉君紹介)(第二九一八号)  同(神門至馬夫君紹介)(第二九一九号)  同外二件(木原実紹介)(第三〇〇七号)  老齢福祉年金増額等に関する請願神門至馬  夫君紹介)(第二九二〇号)  ソ連長期抑留者の処遇に関する請願小泉純也  君紹介)(第二九二一号)  せき髄損傷障害者援護に関する請願多賀谷  真稔君紹介)(第二九二二号)  外傷性せき髄損傷障害者援護に関する請願(  多賀谷真稔紹介)(第二九二三号)  戦傷病者に対する障害年金等の不均衡是正に関  する請願藤本孝雄紹介)(第二九二四号)  戦傷病者等の妻に対する特別給付金の不均衡是  正に関する請願藤本孝雄紹介)(第二九二  五号)  社会福祉事業法等の一部改正に関する請願(藤  本孝雄紹介)(第二九二六号)  戦争犯罪裁判関係者見舞金支給に関する請願  (受田新吉紹介)(第二九七九号)  登録医制度反対等に関する請願本島百合子君  紹介)(第二九九二号)  クリーニング所適正配置に関する請願齋藤  邦吉紹介)(第三〇〇八号)  管理栄養士養成施設卒業者国家試験制度確立  等に関する請願田中伊三次君紹介)(第三〇  〇九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  参考人出頭要求に関する件  労働関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  この際、理事辞任についておはかりいたします。  理事竹内黎一君から理事辞任申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次に、その補欠選任を行ないたいと存じますが、委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、理事田川誠一君を指名いたします。      ――――◇―――――
  5. 八田貞義

    八田委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  去る二十二日、労働関係基本施策に関する件、特に北海道地下資源開発株式会社に関する問題について、北海道地下資源開発株式会社社長南好雄君に参考人として御出席を願うことに決しましたが、南参考人から都合により出席できないとの連絡がありましたので、本件調査のため、本日、北海道地下資源開発株式会社取締役矢島鋼次郎君に参考人として御出席を願い、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  7. 八田貞義

    八田委員長 次に、労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。
  8. 河野正

    河野(正)委員 先般来、北九州市立病院におきます病院給食民間委託する、この問題についていろいろ御見解を承ったわけでございますが、この問題については、一つには医療法二十一条に違反しないかどうか、さらには職業安定法四十四条、その施行規則四条違反ではないか、こうい     それからもう一つは、かねがね保険局長通達がございますが、保険局長通達趣旨にもとるのじゃないか、こういうような三つ観点から、この北九州市立病院給食施設民間委託する点について、いろいろと大臣見解を承ったわけでございます。結論的に申し上げますと、大臣も、以上私が申し上げました医療法二十一条の問題、それから職業安定法四十四条違反の問題、さらには保険局長通達の問題、こういう諸点からいろいろ問題があるので、一月二十二日に厚生省自治省に対してこの民間委託はよろしいという回答はしたけれども、その一月二十二日の厚生省自治省にいたしました回答についても再検討を加える、こういうふうな御見解が示されたわけでございます。  そこできょうは、まずもって、御検討の結果、どういうふうな結論に到達したか、その点についてひとつお答えをいただきたい。
  9. 園田直

    園田国務大臣 先般から御指摘のとおりに、病院経営管理指導要領指導事項については、関係諸法令、諸規則との間にいろいろ疑義もあり、誤解を生ずる点もありますので、関係省との協議を済ませて早急に改めたいと考えております。  なお、北九州市の給食の一部委託については、関係法令とも照らし合わせ、これに抵触しないよう慎重に指導していくつもりでございます。
  10. 河野正

    河野(正)委員 この給食施設民間委託については、先ほども申し上げましたように、何といっても病院給食というものは治療一環でもございますし、治療一環であるとするならば、医療法二十一条との関連がどうなるか。さらには、この厚生省が出しておりまする病院経営管理指導要領内容によりますると、要領どおりに実施をいたしますれば、明らかに職安法施行規則の四条に違反することは当然の理でございます。したがって、そういう職業安定法違反疑いは――厚生省が示されたこの要領どおりにやれば、明らかに職業安定法違反になるわけです。  さらにまた、昭和三十三年八月二十五日発の厚生省保険局長通達でございますが、この通達の中にも給食は原則として当該保険医療機関直営であるということが示されておるわけでございます。したがって、いまのように、改善をするんだというような抽象的なことばでは率直にいって納得できません。大臣は少なくともこの前の委員会では、以上申し上げました三つの点から、なるほど自治省にはそういう回答をしたけれども、その回答については再検討に値するいろいろな問題がある、そういうことで御見解発表があったと思うのです。いまの発表は、おそらく事務出局がいろいろ知恵をしぼってごまかそうというような案文大臣読みになったかどうかわかりませんけれども、そういう案文では納得できません。私は事務当局に対してここで申し上げたいが、少なくとも私に対する報告とは、その内容というものは非常に隔たっております。  そこで私は、きょう短時間で済ますつもりでございましたけれども、いまのようなお答えでは短時間で済まされない。徹底的にここでやりたいと思います。御見解を承りたい。
  11. 園田直

    園田国務大臣 いまの北九州給食の問題でありますが、医療法趣旨からして、ただいま発言されましたとおりに、医療一環としての給食でありまして、病院直営がこれは当然でございます。しかしながら、万やむを得ず委託する場合といえども、その内容の適正を期するためにも、しかも給食医療の一部であるという本質からも、その委託先が本来営利を目的とするものではなくて、公益法人であることが適当であると考えております。
  12. 河野正

    河野(正)委員 そういうようなお答えをいただくと、私ども納得するわけですけれども、当初お読みになった案文については、私どもはいささか大臣お答えとしては心外だったわけです。いま言うように、北九州が考えておりますのは、一般営利企業委託しようという考え方で、すでに契約の案文等についても検討をいたしておるようでございます。このような営利を求めるような民間委託の形というものが、医療本質から非常に問題がございますことは、これは当然のことだと思うのです。したがって、いま大臣お答えになったように、原則的には直営であるということ、さらに万やむを得ず委託する場合には、公益法人ということが適切であるということでございますから納得いたします。したがって、大臣としてもこの御発言については責任を持って指導をしていただくように、大臣の御見解をひとつ承っておきたいと思います。
  13. 園田直

    園田国務大臣 一般論についてもそうでありますが、北九州についてはいろいろこちらの手違い等もございまして、具体的に問題になったことでございまするから、いまの方針方針として、市当局も招致して、具体的にいろいろ協議してみたいと考えております。その際にはまた各位の御意見も承るつもりでおります。
  14. 河野正

    河野(正)委員 協議するということと、そのように指導することではおのずから違うと思うのです、本質的に。ですから、やはりそういう方針であれば、そういう方針が実行されるように強力に指導していただく、こういうことでなければだめだ。
  15. 園田直

    園田国務大臣 いまの協議ということばは適切でありません。指導に切りかえます。
  16. 八田貞義

  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 きょうは労働省関係、特に最近問題になっております職業病じん肺問題について政府側見解をただすと同時に、たいへん産業界で問題になっているこの種問題についての行政指導について御意見を求めたいと思います。  実は労働者災害の問題をいろいろ調査をしている間に、たいへんなことに気がついたのであります。それは、最近の職場におけるいわゆる職業性疾病率は全般的に減少をしております。私の調べたところでは昭和三十九年には職業性疾病率は〇・八%、さらに四十年には〇・七%、四十一年には同じく〇・七%というふうに漸次減少傾向にあるわけです。これは非常に好ましい傾向であります。ところが、この職業性疾病のうちのじん肺問題について取り出して調査をしてみますると、昭和三十九年におけるじん肺発生件数は一万三千六百九十人、以下昭和四十一年に至っては一万五千九百三十七人、有所見者の率は昭和三十九年から四十一年にかけて増大を実はしているのであります。いわゆる職業性疾病率が全般的に下降現象にあるにかかわらず、事、じん肺に関する限りは上昇の傾向にある。一体この状態はどこから生まれているのかということは問題にしなければならないと思うのであります。  実はきょうは関西の兵庫県におきましては、このじん肺問題をめぐって労働者が連帯的なストライキを行なっております。日本の労働運動で、沖の保護を求めるために、当該労働者でない労働者が、同一の連帯のストライキを行なうというのは、近年まれな事件であります。労働者相互はそれほど、ストライキをやらなければならないほど問題が深まって、しかも拡大しているというふうに見るのが私は正しいと思うのであります。  そこで、これは安全衛生局長にお伺いをいたしますが、一体職業性疾病率が低まっているにもかかわらず、じん肺増大をしているという原因は那辺にあるかということをまずお聞きしたいというふうに思います。
  18. 大野雄二郎

    大野政府委員 御承知のようにじん肺関係は、その原因がありますとすぐ生じるというものではなくて、多年その職場に働くことによりまして発生する疾患でございます。これは単にけい肺に限らず、鉱物性粉じんの場合には一般に生ずる現象、また溶接とかそういう関係でも生じてまいります。したがいまして、鉱物性粉じんあるいはヒュームというものを使用する職場が多くなってまいりますと、自然この発生が、放置すれば増大する傾向にあろうかと存じます。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私がお聞きしているのは、じん肺が起きる原因を実は聞いているんじゃなくて、最近の傾向としてふえている原因は一体どこにあるんだろうかということを実は聞いているわけです。いま一ぺん御答弁をお願いします。
  20. 大野雄二郎

    大野政府委員 一つには対策の不十分ということが、私はこれは端的にいってあると思います。それからもう一つは、そういった粉じん職場がふえるということ、それがある年数たってくると発見されていくということ、それからもう一つは、これは本質的にふえるのではなくて、医学が進んできて発見率が高まってきた。昔においては肺結核といわれたようなものがじん肺であるということが、国学の発達に連れて明らかにされてきた、こういった複合原因だと思います。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 まさに私はそのとおりだと思うのです。いわゆる対策の不十分、それから粉じんを伴う生産機構増大、それから発見率の問題、私はいま答弁のあった、四点ばかりありますが、その四点が起きている原因は、いまの問題は直接的な原因ですけれども、私はもう少し根深いところに問題があると見ているのです。といいますのは、じん肺が最近ふえているのは、じん肺職場が、じん肺を起こす生産職場が、対策の不十分を生じなければならない職場だ、言うならば石炭とかあるいは金属鉱山の場合には、比較的大企業がそれぞれ対策をやっておりますけれども、最近の傾向として、粉じんを伴う生産機構が、大企業から中小企業におりているところに一つ問題が私はあると思うのです。いわゆる、いうところのきれいな仕事は大企業の面で、そして粉じんを伴ったり、あるいはけい肺を伴う等々の生産工場下請中小企業におろしている。しかもその中小企業なり下請が、それの対策を立てるほどの企業の、何といいましょうか、健康管理にいたしましても、あるいは職場管理にいたしましても、それができ得ないような状態にある、ここにやはり職業病、特にじん肺発生率が高まっていると見るのが私は正しいと思う。ちなみに、私は先回の予算委員会でも申し上げましたけれども基準法適用事業場は、いま昭和四十一年で二百三十七万ですね。そのうち百人以上の規模が三万です。ところが九十九人以下になりますと二百三十四万。その二百二十四万のうちの六人以下の基準法適用事業場は何と百七十六万です。もう圧倒的にいわゆる中小企業事業場が多い。そこに粉じんを伴う製品の生産を行なわしめていますから、その結果としてその予防対策が進んでいかない。しかも監督行政からいくならば、その監督をするだけの労働省基準監督署の能力、あるいは人的なもの、これが伴っていないところにこのじん肺問題がこれほど増大をしている、こういう傾向が私はあると思うのです。  先ほども申し上げましたように、一般疾病率は全般的に下がっているわけですから、これは結局のところ大企業労働者対象人員に置いていますから、総体的には減るわけですね。ところがじん肺になりますと中小企業労働瀞が非常に対象になりますから、総体的には率が高まる、こういう私は、この労働省のいろんな資料を拝見して、結果としてそういう意見に落ちついたわけですが、どうでしょうか、この見解はおおむね当たっているような気がいたしますが、局長はどういうようにお感じでしょうか。
  22. 大野雄二郎

    大野政府委員 マクロ的に見ればそういった傾向は否定できないと思います。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そこで私は、いま御回答がありましたように、そういう傾向というものは否定できない、しかも先ほど回答がありましたように、対策が不十分である、あるいは粉じんじん肺を起こしやすい生産点増大をしている、こういう観点から見て、この問題は労働衛生行政の面できわめて重視をしなければならない傾向ではないかというように思うわけです。最近労働災害予防基本計画答申がありましたけれども、この中でも一般疾病率の低下については相当な努力が払われてはいるが、事、じん肺問題については、もっと労働省側は積極的な政策をとるべきであるといういわば答申が出ているわけでありますから、ぜひそれはひとつ、いま言いましたような観点からも、じん肺対策という問題を真剣にお考え願いたいと思うのです。  そこで私は、今回兵庫県で統一ストライキを行なった一番原因になりました播磨カーボンという株式会社じん肺の問題を取り上げて、これが一般的な中小企業の分野における衛生あるいは人的管理だということを指摘をしたいと思うのです。  この播磨カーボンという会社は概括申し上げますと、三十名前後の企業規模であります。つくっているものは社名が示しているようにカーボンであります。この会社労務管理があるいは生産点管理が非常に悪いために、組合側からアピールをしまして、昭和四十一年に、私の職場はどうもじん肺傾向があるのではないか。したがって、姫路の基準局に対してアピールを行なったわけです。その結果、会社はいわゆる健康診断を行ないました。ところが局長も御存じのように、じん肺法に基づきますと、三年に一ぺんは実はじん肺指定職場は特別に健康診断を行なわなければならないことになっているわけですね。この会社昭和三十五年のじん肺法の成立と同時に、適用事業場でありますから、本来ならばその労働者アピールのある前に健康診断が行なわれなければならなかったのでありますが、ところがやりませんでした。じん肺法ができて初めて昭和四十一年の暮れに健康診断を行なったのであります。その結果、いわゆる結核と思われる患者が二名ほど出まして、会社結核と見たわけです。ところが、これの診断に断たった診療所は、じん肺であると認定をいたしました。じん肺であると認定をしますと、これは本人に通知をしなければなりません。御承知のようにじん肺法の十四条は、その罹病に対して本人に通告する義務を法ではきめております。会社はそれを行ないませんでした。その結果、重症であろうと見られた結核患者の人は、ついに一人が一月に死亡したのであります。心臓麻痺という診断であります。手元に本人レントゲン写真を持っておりますが、これは局長専門家かどうかわかりませんけれども、見ていただきたいというふうに思います。その高田という人の当時のレントゲン写真であります。それが死亡した人のレントゲン写真であります。渋谷さんという方はあとで述べますけれども、いわゆる四であります。専門家のお医者さんが見れば、そのレントゲン写真は一目りょう然、じん肺であるという認定ができるそうであります。私どもしろうとでありますから、お医者さん方にいろいろ聞いてはおりますけれども、白い部分が非常に拡大をしておる。そこで会社結核診断をし、死亡のときには心臓麻痺でありますから、労災の認定にはならないわけです。いわゆるじん肺認定にはなりません。組合は、再び基準局アピールしました。これだけの症状を、診療所ではじん肺指定をしておるのだから、当然基準監督署はもっと積極的に行政指導を行なうべきじゃないかというアピールを再びしたのであります。基準局はそれに基づいて会社への勧告を行ないました。そしてその後基準局は、四名の特別に悪いといわれた、会社が言っている者の健康診断を行なった結果、悪くないという返事を会社が出しまして、そのままに実はしたのであります。私はこの四十一年の十月段階に、もし基準局アピールをした労働者側の申告が、じん肺懸念があるという疑いでいわゆる高圧レントゲンによる診療、診察、診断、こういうものが行なわれたならば、その高田さんという人は翌年死亡することにはならなかったと思うのです。そのほか、その間幾多の変遷を経まして、基準局に何回も参りました。基準局は四十一年の十一月の五日、十二月の十二日、四十二年の二月の十八日、五月の十日、それぞれ現地にいわゆる視察に来たのでありますけれども労働者側の代表ないしは労働者と会うことをいたしませんでした。結果、じん肺適用労働者が多数あるということを事実上組合、ないしは診療結果では明らかになりながら、それに対するじん肺法適用を受けることはできなかったのであります。そして四十三年、すなわちことしになりまして、初めて現場視察が行なわれるという結果になったのであります。労働者側アピールして何と一年四カ月。初めは結核一般診断であります。そしてようやくいわゆるじん肺法に基づく健康診断が行なわれたのが四十二年の十二月であります。結核診断の結果、六名の患者発生しているということがわかりました。そこで六名が結核診断によってじん肺懸念があるという疑いが出たものですから、あわてまして、今度はじん肺法による精密検査を行なったのであります。その結果、六人がいわゆるじん肺であるということが明らかになったのであります。私はこの問題について二つの側面があると思うのです。  一つは、企業の側の責任であります。いわゆるじん肺患者が出たということを企業は当初はひた隠しにしたのであります。その結果、本人結核であり、死亡診断の結果は、心臓麻痺ということで一人はなくなってしまいました。私は、したがって、企業がその時点でじん肺法に基づく精密検査を行ない、またその後の治療方法というものを企業の側が行なったならば、犠牲者はもちろん、いまの渋谷という方ですか、もうよろけて動けないそうでありますけれども、そういう状態は私は起きなかったと思うのです。いわゆる企業の側の労働者管理の面できわめて無責任な、社会的に指弾をされる条件があったということが第一であります。  第二には、当初述べましたように、中小企業でありますから監督行政が相当強められていかないと、当面の労働力確保のためにじん肺を隠蔽してしまって、粉じん発生現場企業の側は押えることをしないわけです。改善の措置をとらないわけです。私は、一年数カ月にわたる姫路基準監督署あるいは兵庫県の基準監督署のとった行政指導の措置について、きわめて遺憾の意を表さなければならないと思うのであります。事前に、労働省側に本問題について本委員会で取り上げる経過を通告してありましたから経過についてはもう申し上げませんが、この場では、企業責任よりむしろ姫路なり兵庫の労働基準監督署がこの間にとられた措置について、労働基準局長ないしは安全衛生局長意見を賜わりたいと思います。
  24. 大野雄二郎

    大野政府委員 監督署側のとりました措置につきましては、私どもの調べておりますところといささか異なっております。粉じんの問題が取り上げられましたのは、御指摘のとおり四十一年の十月でございます。十月の五日定期監督を行なっております。それから六日にも、このとき使用停止をした部分がございますので、再監督をやっております。十二月十二日も同様でございます。このときは全体換気装置、それから粉じんマスクの問題を指導しております。翌二月十八日に定期監督を行なっております。その際におきましては口頭指示いたしましたところの全体換気装置、それからマスクの点が一応整備されている状況を確認いたしております。それから五月十日、これも定期監督、それから昨年の十一月三十日、またこれは監督いたしております。それから本年に入りましても二月十四日、これは問題が起きてから定期監督を行なっている次第でございます。  それから、私専門家でないのでわかりませんが、ただいまレントゲン写真を見た限りにおきましては、なくなられた方のレントゲン写真は、これは私、しろうとでございますからその点お許し願いたいと思うのですが、しろうと目に見ましても、じん肺レントゲン写真とはかなり形を異にしておるように思います。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 いま基準局で現場に行かれたというわけでありますが、たとえばマスクを粉じん現場で使用しておることを確認したと言いますが、実は現場に入って確認しておるのじゃないんですよ。会社側の意見を聞いて確かにつけておることを確認しておるのです。ところが、これは現場に入ってもらわなければわかりませんけれども、あそこは亜鉛を便っておるのです。その結果、マスクを長時間かけておることができないんですよ。そういう現場なんですよ。炎症が起きますから、このマスクのまわりに。したがって、マスクを取りはずして実際は作業しておるわけです。このことが私は問題だと思うのですよ。基準監督官が行かれて、そして現場に入らずに表面を見ますと、そのときは確かにマスクをつけておるわけですね。労働者意見を聞いてみると、九時間労働のうちで一時間、一時間半かけたらもう苦しくなって、あるいは炎症を起こしてはずさなければならぬ、こういうわけですね。そういう現場環境なんですよ。問題は、それを直さなければだめなんですよ。マスクをかけておること、もちろん先ほど換気装置の問題もありましたけれども、実は私どもの得た内容は、いろいろな話なりあるいは組合員の意見では、この間基準監督官がやはり現場に来て、現場の労働者と、あるいは組合と話し合ったことはないと聞いているわけです。私はあとでも申し上げますけれども、基準監督行政が、実は表面的なものを見ていきますと、特に最近のように化学製品を多量に使用する生産点における職業病ですね、この場合には相当の知識、科学的な知識ですね。衛生科学的な知識、これを持ち合わせて現場の監督を行なわないと、いま言ったような、たとえば機械にカバーがかかっていればこれで安全だという認識と同じような認識になってしまうんじゃないでしょうか。  それから私はいま一つ聞きたいのは、再勧告が何回も出ているのですね。一体再勧告を何回もするというこの事態はどうお考えになりますか。
  26. 大野雄二郎

    大野政府委員 確かにあそこのところでは、塩化亜鉛を使っております。マスクの点につきましては、マスクを長くかけていると作業に支障があるというのは御指摘のとおりでありますが、それはマスクの性能による問題もありますけれども、マスクの洗浄といいますか、それが非常に不十分であった。マスクをかけた場合には、かげない場合と違いまして仕事がしづらくなることは当然でございますが、長時間使用いたしますとますます空気抵抗が強くなってくる。そこで洗わなければならないわけです。その点についてこの会社でははなはだ管理不十分な点があった。そういうことで勧告を何度も重ねている次第でございます。ただマスクだけにたよってやるということは困難な点がありまして、根本的な問題といたしましては局所の密閉それから局所排気でございます。局所排気の問題は、かような点につきましては非常に技術的にむずかしい問題があります。全体換気は簡単でございますが、局所排気につきましては、まだああいった問題について定説といいますか、技術的な指導が十分できないのでございます。残念ながらそういう状況でございます。したがいまして、今年度におきましては、そういった点につきまして十分現場において実験し、有効な局所排気によってかような問題を片づける。はなはだあるいは迂遠というおしかりを受けるかもしれませんが、科学的な対策をとる場合には若干の時間を要することはいたし方ないと存じます。かような委託費もことし予算に計上いたしておりまして、局所排気の問題について格段の前進をいたしたいと心がけている次第でございます。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 基準行政のあり方については、あとでまた意見を述べて見解を聞きたいと思いますが、この企業会社に働く労働者は、いろいろな経過を経ましたけれども一般健康診断結核健康診断、そしてその中から生まれたじん肺疑いのある、いわゆるじん肺法に基づく診断、これが行なわれたのはじん肺法制定からちょうど八年目です。私は当初申し上げましたように、じん肺患者が総体的にふえているという原因は実はここにあると思うのです。健康診断を行なうのが四年過ぎたわけですね。四年三カ月か四カ月ですね、じん肺法ができて以来。健康診断だけでもですよ。その間やっていないのですから。そしてアピールをして監督署から勧告があり、いろいろ指示があったにもかかわらず、なおじん肺法に基づく診断を行なったのは八年目です。私はこういう監督行政のあり方たいしは企業健康管理のあり方、この改善処置左考えない限りは、当初申し上げましたように、じん肺発生率というものはあるいは有所見者は非常に拡大するのではないかというふうに実は思うわけです。したがって私はこの際に、一つ企業の側に、いま少し本問題に対する社会的な責任、道義的な責任、これを監督署側からもう少しその処置をとられるように再指導、再勧告をされるべきではないかと思うのです。  先ほど、八年後ようやくいわゆる行政指導が行なわれましたけれども、この内容を見てみますと、立ち入り禁止が一件、使用停止が三件、是正勧告が一件、改善処置が十件、指導指標が十一件、これをずっと見てみますと、立ち入り禁止、使用停止のところはいわゆる機械の安全なんですよ。そうして粉じん発生の現場に対しては、是正勧告、改善勧告、ないしは指導指標なんですね。したがって、企業の側ではあるいは基準局の側では、身体上の安全ということについては非常に配慮を払っているけれども粉じんからくる衛生管理上の問題は、私はどうしてもファクターが、基準監督官のとらえる度合いがどうも薄い。これはあとでまた問題として提起しますが、私はいま企業の側に監督署が、あるいは兵庫監督署が、姫路の監督署が行なわれることは、この粉じん発生現場のもっと強い指導、どういうことになりましょうか、たとえば粉じん発生機械の改善までの一時使用停止、そういうことを行なわれるべきではないか、同時に一方ではじん肺患者発生したということは事実でありますから、したがって一つ事業場がその患者に対する入院治療の処置を早急にとることが必要でなかろうか、さらに労災法あるいはじん肺法に基づく審議会への申請を早急に行なわれるべきではないか、三番目には、そういういわゆる違法的処置をとってきた企業の側の罰則といいましょうか、責任を罰をもって加えていくという処置がこの段階では必要ではないかというふうに私は思うのですが、局長見解をお聞きしたいと思います。
  28. 大野雄二郎

    大野政府委員 この職場粉じんカーボンでございます。けい肺につきましては昔からその危険性というものが十分認識せられていたわけでございますが、鉱物性粉じん一般、炭素というものについての認識は比較的世間のほうも低かった、これが実情だろうと思います。それから監督いたします監督官のほうも目で見る危険のほうに対してより目が向くということは、これは私は否定できないと思います。したがいまして、こういった方面については、私どものほうはより一そうの努力を今後尽くしていく必要があると思います。  ただその場合に、ただあぶないあぶないと言うだけ、それによって使用停止をするというだけでは私は問題は解決しないのであって、やはりその予防対策というものと、企業活動を継続しつつ予防体制をする、その場合に十分な局所排気ができるまで、あるいはマスクというものによってしのいでいくよりほかない場合もあろうと思います。  それから密閉ができるところは密閉をする。それから御存じのように、あそこは非常に粉じんの多いところでございますが、その粉じんの第一段階はおがくずと私は考えております。このおがくずは現在のじん肺法には入らない性格のもので、そういう点になかなかのむずかしさがあります。  健康診断の点を怠っていたという点については確かに問題がございますが、一昨年ですか、その問題が起きましてから四人健康診断をやっております。この四人がはなはだ不十分であったと思いますが、法律の別表に列挙してあるような最低限ぎりぎりというようなところで、精神としてははなはだ遺憾な点があったと思いますが、法律の読み方、それからおがくずの関係から、その点を一刀両断で切りつけるというのがなかなかむずかしいのではないか。もうちょっとこれを調査してみなければ十分なお答えにはならないと存じますが、私は、現在のところではそういう感じを持っております。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)委員 もうちっとと言いますけれども先ほど言いましたように、一年数カ月ですよ。だから、もうちょっとなんという時間は、十分過ぎて余りあるのですよ。四人の診断を行なったといいますけれども、前のときはいわゆるじん肺の疑義の薄い人を企業は選んでやったわけですね。あとで、四十二年の十二月に行なったときに、初めて全員の結核健康診断を行なった結果、じん肺患者が、前記の二人を入れて今度は六名にふえたわけです。これはひとつ、局長、いま少しこの間の事情を調査していただきたいというふうに私は思います。  同時に、先ほどレントゲン写真によってじん肺患者とはちょっと見られないという高田さんの問題の御指摘がありましたけれども、この診断を行ない、レントゲンをとった医師は、あるいは診療所は、明らかにじん肺だと言っているわけですね。これは、じん肺死亡ということになりますれば、当然労災法の適用が問題になってきますから、いずれ審査委員会に問題の提起がされると思いますけれども、この辺の事情ももう少し明確に御調査を願いたいと思うのです。ただ、監督署側としては、私ども一生懸命やったけれどもという、いわゆる言いわけ的要素が本省のほうに率直に言ってあがっているのではないでしょうか。いまの私とのやり取りを聞いておりまして、どうもそんな感じがしてならないわけです。  そこで、この播磨カーボンの問題については、そういう意味で、本省の側からいま少し重視をして――そのために起きている今日の労働者の連帯ストライキなどということは、めったにない労働者の法の保護を求める行為でありますから、そういう意味では、本省の側で、いま少し重視して本問題の調査、審査に当たっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  30. 大野雄二郎

    大野政府委員 異存ございません。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そこで、私は一つの例をあげました。会社じん肺指定個所が非常に多いということで、生産の半分をやめるということをいま言っているそうです。そのために人員整理が起きる可能性があるわけですね。現在ストライキを継続中でありますが、同様のケースが実は宇山カーボンというところにもあったのです。じん肺患者が出ますと、会社はその責任を負うという意味で会社をやめてしまうんですね。宇山カーボンの場合には韓国カーボンへの投資等を含めて、会社の閉鎖をしようという意図がうかがわれるのです。いわゆる社会的責任を、ぼくらの言う企業の擬装的な縮小といいましょうか、という形でのがれようとしているわけです。これは衛生行政ではございませんけれども、いわゆる労働者職場という問題から、じん肺職場指摘をすればするほど、その職場をやめてしまって、擬装的に閉鎖して、他の企業に資本の投資を行なうというきわめて悪質な社会的な忌避だと思いますけれども、この点は労働行政の面で、労政局長なり、あるいは基準局長は頭に入れておいていただきたいと思うのです。この問題は、労使間の紛争になっているわけですから、いずれその場での問題の発展があろうかと思いますけれども、そういう観点もひとつ頭の中に入れて行政指導に当たっていただきたいと思います。  そこで、私は、この一つの例を引き出しながら、全般的にこのような点について、労働省はどう考えるか、ひとつお聞きしたいと思うのです。  まず、私どものいろいろな調査の範囲では、じん肺指定事業場あるいはじん肺法に基づく診断の結果、あるいはじん肺指定工場であるということを労働者に周知徹底させる方法、こういうものについて監督行政がきわめて不十分だと私は思うのですが、先ほど申し上げましたように、じん肺患者がふえているという経過から見て、早急に労働者側に周知徹底させる。同時に、基準監督署では、兵庫のほうでは三百人以上のじん肺指定工場、あるいはそれの健診の結果、労働者の台帳といいましょうか、そういうものを最近作成するというようなことを聞いておりますけれども、的にこういう処置をとられる必要があろうかと思いますけれども、これは基準局長にお伺いしますが、いかがでしょうか。
  32. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 じん肺そのものにつきましては、安全衛生局で所管いたしておりますけれども、先生御指摘の問題については、きわめて重大な問題でございまして、安全衛生局長が申し上げましたように、労働衛生の面につきましては、労働基準行政全体の面から考えましても、さらに一そう強く推進する必要があるということを私どもかねてから考えておるところでございます。しかも、じん肺につきましては、じん肺法が制定せられまして、労働者保護のために法的体制を整備されているにもかかわらず、有所見者の数がそう減ってまいらないということにつきましては、私ども、その点を特に重視いたしまして、今後問題を処理していかなければならない。そのためには、いま先生が御指摘のように、労働者みずからが、自分の働く職場粉じん職場だ、そしてじん肺発生しやすい、ということの認識を持ってもらうということは非常に大事な前提要件でございます。予防その他につきましていろいろ問題がありましょうが、そういった点につきましては私どもも共感を覚える次第でございます。これをどう具体化していくかということにつきましては早急に検討いたしたいと存じておりますが、いずれにしましても、そういった点に今後十分留意いたしまして、行政の面にあらわしていきたい、かように存じます。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 時間がありませんから、項目的に私は申し上げますから、この項目についてどうかという御回答をひとついただきたいと思うのです。  第一に、じん肺指定事業場が、今日、じん肺法に基づく三年に一ぺんの健康診断を行なっているかどうかという点を確かめて、もしも、その実施が行なわれていないところがあったならば、直ちに実施をするように行政指導する意思があるかどうか。これが第一であります。  それから監督官の問題についてお考えをお聞きしたいと思うのです。  私が予算委員会でも申し上げましたように、最近の産業はたいへん化学的にいろいろなものが結合されて製品がつくられますから、監督官の研修制度というものを非常に強めなければいかぬと思っているのですよ。たとえば、三井ポリケミカルの千葉工場の爆発のときに、千葉の監督官が現場に入れなかった。それはいろいろの面があるでしょう。高圧ガス取締法で、通産省の所轄ですから入れなかったという問題もあるでしょうけれども、私などから見れば、むしろ工場で、どこでどういうものが爆発してくるかわからないという意味で入れないという面も、率直に言ってあったのではなかろうか、こういうふうに思うのです。そういう意味で、監督官の研修制度を相当強められる必要があると思いますが、この点はどうでしょうか。  三番目に、私もこれは初めて知ったのでありますが、監督官の人日制というのですか、所長は一カ月のうちで一日外へ出ていいとか、あるいは課長は五日であるとか、監督官は八日から十二日であるとか、そういう指導がなされておるというように聞いているのですが、勤務基準をこの際廃止をされて、現場の監督官がフリーに問題と事件の発生によってはフリーに動けるようなそういう制度に改められる必要があろうかと思いますが、これはどうでしょうか。  いま一つ監督官あるいは労災防止指導員を各省の固定配置をやめて、各県別に産業別に配置をしたらどうかと思うのです。先ほど私が指摘いたしましたように、機械の操業安全については非常にたけている人があるのです。ところが、機械の操業安全にたけておっても、さて化学の、それもいま言ったような職業病発生する現場については、衛生管理の面で、まあその面の能力はあまりすぐれてない。したがって化学産業の監督官、あるいは機械産業の監督官、あるいは鉱山の監督官というように、各省の固定配置をやめて、各県で産業別に配置をしたらどうか。そうすれば化学産業にはたけてくるし、あるいは金属産業についてはその能力を高め、その能力に応じた適応性ができるようになるのじゃないか。こういうことについてどういう所見をお持ちでしょうか。  以上四点について、これからの監督官のあり方、行政指導のあり方について、基準局長、安全衛生局長から御意見を聞きたいと思います。
  34. 大野雄二郎

    大野政府委員 第一点、第二点、第四点についてお答えいたします。  第一点については、御指摘のとおり努力いたしたいと存じます。  第二点の監督官及び安全衛生専門官の研修につきましては、その重要性に対する認識は全く同じでございます。私どもことしからその研修を格段と強化いたすように予算も組んでありますし、計画も立てております。具体的な数字はただいまちょっと見つかりませんのでお許し願いたいと存じます。  第四点の配置の点につきましては、まさにそのとおりだと思います。   〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕 具体的な方法はいま考慮中でございます。最も効率的に配置いたしたい。ことに人員が十分でございません関係もございまして、そういうような点につきましては、配置の妙によって補うということから、御指摘のような方法は十分考慮に値することと思って、せっかく検討中でございます。
  35. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最後に、これは基準局長にお聞きをしますが、基準局職業病の専門官というのがきわめて少ないそうですね。全国でも五大局といわれているところぐらいしか配置はされてないのじゃないかというように私は聞いているのですが、先ほどから指摘をしましたように、じん肺を含めて職業性疾病が非常に多くあるわけですね。したがって、基準局職業病専門官をもっと多数必要とされると思いますが、いかがでしょうか。  それからじん肺に限らずに、いわゆる労災認定について、最近いろいろたとえば保険の面で制約を受けたり、企業の側の安全運動という面から制約を受けたりという形で、労災の認定がきわめてむずかしくなっている状況が全国的にあります。そこで御承知のようにILO条約では反証なきものは業務上の疾病であるという原則があるわけです。この原則に沿っていわゆる反証なき業務上疾病と見られるものは、反証なきものはいわゆる労災認定を行なうべきである。そのために必要な財源とかあるいは保険料とかいう問題はありましょうけれども、それはこれからいろいろ検討することとして、いわゆる労災認定というものをそういう角度でとらえることが必要ではないかというふうに私は思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  36. 大野雄二郎

    大野政府委員 御指摘のとおり、職業病について十分の知識を有するお医者さんというものを私ども十分かかえておりません。衛生専課を置いている局は七局でございます。その欠を補いますために、ことしから嘱託医制度を置きまして、そういった専門家のおられない局十一局をいま予算上計上いたしておりますが、に専門家に来ていただきまして、その点の遺憾なきを期そう、こういうふうに考えております。また、これはそこにいるだけではなかなか把握がむずかしいので、職業病モニターというものを百人ぐらいお願いいたしまして、そこでいろいろの職業病に関する情報、対策というものを発見するアンテナにいたしていこうと考えておる次第でございます。
  37. 加藤万吉

    加藤(万)委員 時間がその意味ではきわめて少なかったので、これ以上申し上げる必要はないと思いますが、兵庫地区は御承知のようにいろいろな面で粉じん事業場が非常に多いのですね。したがって、この播磨カーボンは全般の一部分だと私思いますけれども、そういう意味では播磨カーボンのこの問題を今後どう取り扱うかということは、あの地域に住む労働者にとっては職業病あるいはこのじん肺に限らず、非常な関心と監督行政の行くえを見守っているわけですから、そういう意味で播磨カーボンの処置については格段の配慮をお願いしたいと思います。  なお、職業病全般についても申し上げましたように、最近の新しい産業の再編成の中できわめて多角的に職業病発生しているわけですから、そういう意味ではより一そうこの面に対する労働行政のあり方を深くしかも広く検討していただく、このことを私は強く要望して質問を終わりたいと思います。
  38. 藤本孝雄

    藤本委員長代理 枝村要作君。
  39. 枝村要作

    ○枝村委員 私は建設省の現在とっている労務政策の基本について伺っておかねばならぬ問題点がたくさんございますので、関係者にいまからそれぞれ答弁を求めていきたいと思います。また、建設省関係の不当労働行為、暴行事件が最近ひんぴんとして起こっております。この一連の事件は、正常な労使関係指導し樹立するという労働行政の基本に反する諸行為であると思います。まことに憂慮すべき事態といわなければなりませんので、一つ一つの問題をとらえて質問いたしまして、本来の正しい姿に立ち返らせる方向に関係者の努力を求めていきたいというふうに思っております。  最初にお尋ねしたいのは、建設省労働組合、全建労といっておりますが、この組合が国家公務員法のいわゆる職員団体として認められておる組合であるかどうかという点についてひとつ確かめていきたいと思います。これはどなたがお答えになるのですか。これは人事院ですか。
  40. 島四男雄

    ○島政府委員 建設省の労働組合が、はたして適法な組合であるかどうかという御質問でございますが、この二月末現在におきまして全建労の職員団体のうち、人事院のほうに登録されております団体は、本部と、それから各地本が九つでございます。それから支部段階では八十四、合計九十四の団体が登録団体として登録されておるわけでございます。これらの団体が公務員法上適法な団体であることは申すまでもないところでございますが、それ以外の団体のうち、職員団体がどの程度あるかということについては私のほうは必ずしも確認しておりません。
  41. 枝村要作

    ○枝村委員 それでは全建労は、この法の規定に反する団体ではないということで、正式な登録も完了しておる。と同時に、法人格も備えておりますね。と同時に、交渉する地位を持っている団体でもある、こういうふうに確認してよろしゅうございますね。
  42. 島四男雄

    ○島政府委員 そのとおりでございます。
  43. 枝村要作

    ○枝村委員 そうなりますと、いわゆるアウトサイダーの組合、職員団体でありませんので、百八条の七の不利益取扱いの禁止の条項にもし触れるような行ないを当局がした場合、これは明らかに違法行為として判定ないしは認定することができるわけでございますが、いまからいろいろ質問いたしますが、もしそういう事実行為があるとするならば、それに対してどのような措置を人事院はするか、これはいまのところ仮定の問題でございますが、事実がもし発見されたならばどういう措置をとっているかということを、ひとつ質問に入る前にお尋ねしておきたいと思います。   〔藤本委員長代理退席、委員長着席〕
  44. 島四男雄

    ○島政府委員 公務員法の百八条の七は、いわゆる職員が職員団体に加入しているとかあるいは結成したこととか、あるいはその他職員団体として正当な行為をしたことのゆえをもって不利益な取り扱いをしてはならない、こういう趣旨の規定でございます。  ところで、そのような事実があった場合に、人事院としてどのような措置をとるかということでございますが、一般的には各当局のほうに、人事院のほうとしましてはそのようなことが行なわれることのないことを十分そのつど御注意申し上げておりますが、現実問題として、そのようなことがあるかないかという事実の確認がなかなか困難でございますので、そのような訴えがありました場合には、たとえば具体的な不利益処分が行なわれる場合には、不利益処分に関する審査の請求という手続によって人事院に訴える道がございます。また、あるいは不利益な取り扱いについては措置要求制度という制度によりまして、人事院に訴える道がございまして、そのような手続を経て、人事院が具体的な調査の結果、もしかりに百八条の七の規定の趣旨に反するような行為が行なわれた事実がありました場合には、それぞれ判定をもって人事院の見解を示す、このような手続を経て従来行なってきているわけでございます。
  45. 枝村要作

    ○枝村委員 そのお考えはわかりました。いままでそういう申請により、人事院が積極的に、たとえば現地調査を行なって、そして判定を下した例がありますか。ごく最近のものでいいですが、ありますればひとつ説明していただきたいと思います。
  46. 島四男雄

    ○島政府委員 最近の例といたしましては、昭和四十二年一月六日の判定でございますが、これは全建労の関東地本の執行委員長から、職員団体に対する団結阻害行為の排除に関する措置要求、こういう要求が出されておりまして、その中で、たとえば組合を脱退すれば配置がえに応ずるとか、あるいは寄宿舎に入るについて、特に組合からこの際脱退してはどうかという勧奨が行なわれたという事実、その他のいろいろの事実を訴えておりますが、人事院といたしまして、その調査の結果、当局の行為の中で、二、三その種のいわゆる組合員に対する不利益な扱いといいますか、そのような事実を認めまして、当局に対して今後そのようなことが行なわれることのないよう注意してくれという意味の判定を出しております。
  47. 枝村要作

    ○枝村委員 それは事実でございまして、ところがこの判定がもし守られないという場合の、それに対する措置というようなものがあるのでありましょうか。それとも、ないしは判定を守らせるために、いろいろその後点検したり調査をしたりするという、そういうことは人事院として行なっておらないのかどうか、この点お伺いをいたします。
  48. 島四男雄

    ○島政府委員 一般論として申しますと、たとえば不利益処分の審査請求でございますと、判定そのものは、いわば形成的な効力がございますので、判定そのものによって別段の措置を必要とせず、判定によって直ちに効力が発生するわけでございますが、措置要求についてはそのような法律的な拘束力というものはございません。したがって、措置要求の判定が出された場合に、人事院としては一体どういう態度をもって臨むのか、こういう御質問でございますが、いままで人事院発足以来、数多くの措置要求の判定をしたわけでございますが、おおむねその判定の趣旨は当局によって守られております。ただ、一がいに措置要求の判定と申しましても、その判定の中でいっております判定の趣旨をそのまま実現するためには、予算なり、定員なり、そういうものをふやさなければできないというものもございますので、当局としては可能な範囲において人事院の判定をそのまま尊重していただいているというのが実情でございます。  ところで、ただいま申し上げました判定について、人事院はどのようなことをしたかということになりますと、この問題は過去においてそのような管理者のやや行き過ぎた行動があったということについて御注意申し上げているわけでございまして、たとえば一定の施設なり、あるいは具体的な措置を必要とするものではなくて、個々の健全な労使関係のあり方というものについて人事院としては御注意申し上げているわけでございますので、当然その判定によって当局としても今後そのようなことが行なわれることがないということを人事院としては十分信じております。また現に、その後当局のほうからいろいろ御報告を聞いておりますところによりますと、そのようなことはその判定以後絶対にないというお答えをいただいておりますので、人事院としてはそれ以上この問題について特に具体的に現地に行って調査するとかいうことはしておりませんが、そのような判定の趣旨は当局によって十分尊重され、守られているというふうに確信しております。
  49. 枝村要作

    ○枝村委員 そうすると、人事院がそういう要求に基づいて判定を下した場合、ほとんどがそれによってそのあやまちをさとって、以後そういう不当労働行為とかいうようなものをやらないと信じておるし、やっていないと思っておる、こういうふうにあなたはおっしゃったのですが、私もそれを信じたいと思います。もししかし、そういう判定が行なわれて以後も依然としてそういう不当労働行為、差別待遇が行なわれるとするならば、そういうところあるいはそういう役所の指導部、指導者は、あなた方からいえばきわめて適当ではない高級公務員だということになるわけでありますが、そういうふうに私は確認してよろしゅうございましょうか。
  50. 島四男雄

    ○島政府委員 もしかりにそのような場合に、なおかつそのような違反が行なわれた場合、一体どういうふうに人事院は考えるのか、こういう御質問でございますが、ただこの不利益取扱いの禁止の規定については、特に罰則の規定がございませんし、現実にそのような法の趣旨というものは、あくまでも一種の不当労働行為を禁止したものというふうに考えておりますが、実際問題として、そのようなことが当局によって行なわれるということは、人事院としてはもちろん信じておりませんし、もしかりに、といっても、具体的にそのような事実があるかどうかということをなかなか確認することが困難でございます。もしまた、なおかつそういうような訴えがございますれば、また法に定められた手続によって調査し、さらに再び判定をもって人事院の見解を示す、こういうことになろうかと思います。
  51. 枝村要作

    ○枝村委員 時間がありませんので、それはもし事件が――あるとするならば最後に締めくくりでもう一度お尋ねしたいと思います。  そこで建設省にお伺いいたしたいと思います。  建設省はどなたが来ていらっしゃいますか。――それじゃ官房長にお伺いしますが、大臣官房の中に所属ですか、調査官、これは制度か何か知りませんけれども何か置かれておるようでありますが、調査官の業務の内容は一体何かということをお尋ねするわけです。詳しく言わぬでもいいですから、何かそういうような規定でもあればそれに基づいて置かれておって、どういう仕事をするということを簡潔にひとつお答え願いたいと思います。
  52. 志村清一

    ○志村政府委員 お答え申し上げます。  官房の調査官は建設省組織令に基づきまして設置されております。業務の内容は、大臣官房の仕事のうち一部を所掌することになっておりますので、命により職員の団体に関することをつかさどっております。
  53. 枝村要作

    ○枝村委員 何人おるのですか。
  54. 志村清一

    ○志村政府委員 調査官は一人でございます。
  55. 枝村要作

    ○枝村委員 中央はそうでしょうが、地方にもそういうものが置かれておるのですか。
  56. 志村清一

    ○志村政府委員 地方にも各地建に調査官が一名置かれております。
  57. 枝村要作

    ○枝村委員 わかりました。  きょうは大臣が来ておりますれば、建設大臣のいわゆる全建労に対するいろいろ基本的な姿勢、態度の問題についてお伺いしたいと思っておりましたが、ちょうど都合が悪いようでありますから、ひとつ官房長から、建設省の全建労に対する労務政策、といったらおかしいのですけれども、基本的な態度、姿勢というものをどのように持っておるかということをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  58. 志村清一

    ○志村政府委員 職員団体が、勤務条件の維持改善等をはかることを目的といたしまして、適法に組合活動を行なうことは当然でございます。私どもといたしましても、適正な要求事項については、組合と十分よく話し合ってまいりたい、かように考えている次第でございます。
  59. 枝村要作

    ○枝村委員 これは参考になるわけなのですが、昭和四十二年七月十九日の衆議院の建設委員会でわが党の福岡君が質問に立って、当時建設大臣西村英一氏が次のように答えております。もしこれに対していまの建設省、大臣として異議があるならば異議があると言っていただきたいし、この西村建設大臣の答えが今日の建設省、大臣の意向と全く合っておるならばイエスでよろしゅうございますからそういう返事をしていただきたいと思います。一応読み上げてみます。「仕事をする場合に労使間の協調もちろんでございます。労働者を抜きにして仕事は絶対できるものではございません。その場合にいろいろなことがございましょうが、まあおよそ常識というものがあるので、何と申しますか、指導者はやはり良識の人を当てたいと私は思うのです。良識の人がおれば、決して労働者の間に、立場の相違はありましても、そう無用の紛争はないものと考えます。」「私はまた第二組合をつくるために勧誘したとかなんとかいうようなこともいろいろ聞きまするが、労使間の問題につきましては正々堂々とやはりやるべきだ。」こういう答弁をしておるのです。こういう答弁に対して今日の建設省、それから大臣の考え方が異議を差しはさむ何かお考えがあればひとつ答えてもらいたい。なければ、そのとおりでありますと答えてもらいたい。
  60. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいまお伺いしましたお話、私どももごもっともだと存じます。
  61. 枝村要作

    ○枝村委員 そうすると、主として建設省の労務対策は一人の調査官がやるわけでありますが、この大臣の所信と違って、不当労働行為にわたるようなことは、したがってやってはいないし、やるべきでないということでありますが、そのとおりに今日も実行されていらっしゃいますか。
  62. 志村清一

    ○志村政府委員 不当労働行為に類するようなことをやってはならぬというのは、これはもう当然の心得でございますので、そのとおり進めてまいりたいと思っております。
  63. 枝村要作

    ○枝村委員 そこで、私の手元に不当労働行為―その内容にはたくさんございますが、事実が報告されております。また、その事実行為は建設省と全建労の間で今日まで、まあ一回と聞いておりますが、交渉の場面で明らかにしておるようであります。ですから、あなたはよく知っていらっしゃると思うのです。しかも、きのう私の質問の内容について照会がありました際に、私もきわめて懇切に、こういう事件が私の手元に届いてきておるということを知らしておきましたので、その事項を私いまから申し上げます。この事件一つずつをあなたと私の間でいろいろやりとりしておりましても、これは時間の関係でどうにもなりませんので、そういう事実が、内容は別にしてあったかどうかという返事だけでけっこうであります。それからあとの問題については、今度正規の交渉を開いて徹底的に労使の間で話し合いを進めていって、ひとつ解決の糸口ないしは解決をしていただくようにお願いしたい、そういう意味で質問いたします。  まず第一でありますが、これは差別の扱いです。高崎工事事務所に起きた事件でありますが、植原君という人は現在行政(一)の七等級の十二号俸である。彼の後輩、これは三年か四年あとに入った者もすでに六等級になっているが、それは何の理由かというと、植原君が分会役員であったから昇給させなかったのだ、こういうふうに申請されております。その証拠には、そこの鈴木所長が言ったことで明らかでありますが、奥さんのためにも考え直す必要があるのではないかと暗に組合脱退をほのめかしております。そうして彼はことしの一月にとうとうそれに耐えかねて全建労を脱退した、こういう事件であります。  それから二つ目は、山口工事事務所の防府国道維持出張所に勤務する吉次君のことでありますが、これは勤続二十年で、現在行(二)の三等級十四号でありますが、彼の後輩はもうすでに二等級に昇格しておる。これも昨年三月に分会で出張所長に昇格を要求いたしましたが、十月の昇格時にも昇格から除外された。理由として機械課長が説明するところでは、君は仕事をよくやることは聞いている。昇格問題よりも行(一)へ職転の話が以前からあった。正直に言うと君は上司に意見を堂々と言う。いまの機構では機械屋が土木屋の下になっている。ぼくらも言いたいことがあっても控え目にしている。建設省ってそんなところじゃないですか。もちろん今回の昇格について君のことも出ましたよ、と言っておることを見ましても、明らかに昇格についても全建労に所属しておるということで、あるいは平生から上司に対しても思ったことを正直に言うという人に対する差別の取り扱いの例だと思うのです。  それから特別昇給の制度がございますが、これを利用してやはり差別扱いをしておるところが二、三件あります。  その一つは、北陸地建の富山工事事務所小杉国道維持出張所の出村所長は、昨年の特別昇給の発令前に職員を一人一人呼んで、特別昇給は組合脱退が条件となっているがどうかと聞き、脱退しないと答えると目の前で名簿にかけじるしをつけた。いわゆるおまえさんは特別昇給の対象にしないということだろうと思いますが、かけじるしをつけて抹殺した。  それから二番目に、中国地建倉吉工事事務所の湯浅庶務課長などは、リボンをつけたら勤評に影響させるし、特昇もさせない。全建労を脱退しなければ特昇させないとおどしたということであります。十月九日に発令された特別昇給者は十七名でありましたが、全建労の組合員は一名もいなかった、こういう事実がはっきりとしております。  それからその次に、全建労に対する不当な干渉がしばしば行なわれておる。その一つの例として、所内報で全建労を徹底的に批判する。これはどこのところでも行なわれていることでありましょうけれども、とりわけ建設省の内部における批判はきわめて猛烈な、特に全建労が共産党に支配されておるとか、赤とかいう、そういう攻撃が猛烈に、しかも堂々と、いろいろなPRをされておる、こういうことでありますが、これはここにも出ておりますけれども、ここでは申し上げません。  さらに、スパイ行為がまた堂々と行なわれておるということであります。  その一つの例として、関東地建の江戸川工事事務所当局は、ことしの一月二十九日に非組合員をも含めて、酒を飲む会をやったところ、当局は会場のまわりに庶務課長、職員係長などを見張らして、翌日に参加者を宿直室へ時間中呼び出し、だれが参加したか聞き出そうとしたということ。  それから二つは、北上下流工事事務所の副所長は、十二月十一日、庶務分会の分会長のキャビネットを無断であけて調べておったということを発見されております。こういうことなどが出されております。  それからまた、脱退工作がひんぱんに行なわれておる事実があちこちからたくさん出されております。  その一つは、関東地建利根川上流工事事務所八斗島出張所の高橋所長は、昨年九月七日寿盛事務官に、子供の立場を考えて組合を脱退しろ――子供さんは、長男は足利出張所の事務係長であるそうでありますが、と言い、寿盛事務官は子供は子供、おれはおれの考えがあると答えたら、その後副所長が長男にそのことを話して、長男からおとうさんに対して脱退するよう説得されたという事件もあります。  それから二番目に、同事務所の利水調査課長は、昨年十一月ごろ永井事務官に、中沢副所長に言われたが、転勤する場合は組合を扱けたほうがよい、本局に転勤する場合は組合をやめることを慣例にしたいので、脱退届けを出してほしいと言われた。君も若いのだから自分で考えてやったほうがよいだろう、こういうふうなことを言っております。  その他たくさんありますけれども、もう時間がありませんのでやめますが、こういう事実があるわけなんであります。ですから、これはいま言いました点、それからきのう内容について調査に来られた方に私が話しました点をひとつ十分交渉の中で煮詰めて、もしそれが誤解であるならば誤解を解くような努力をするし、事実であるならば、これは全くけしからぬことでありますので、再びこのようなことが起こらないように、それからもしそれが事実であったならば、その人たちに対して責任の所在を明らかにして、責任をとるような方向でしてもらいたいと思います。ですからいま言いましたこの点について、これは全然内容について事実かどうかということは別にして、そういうことが起こったという点について、今日まで調査された中からどうかという点を一曹だけ答弁いただきたいと思います。
  64. 志村清一

    ○志村政府委員 ただいま御指摘ございましたような昇格の問題とか、あるいは特別昇給の問題、所内報にからむ問題、あるいは組合の脱退にからむ諸問題、こういったことについていろいろな問題のあることは承知いたしております。今後ともこういうことにつきましては十分考慮をしてまいりたいと思っております。
  65. 枝村要作

    ○枝村委員 その次に、これはあとから締めくくって申し上げますが、暴力行為事件がやはり最近非常に起きておるわけであります。その点についてひとつお聞きしてみたいと思います。これも四、五件ありますが、時間の関係で一点、二点だけをしぼって申し上げます。  昭和四十三年の三月七日午後八時二十分ごろですが、中部地方建設局の盤田工事事務所の河川管理課長の横道長幸という人が、相当量の酒を飲んで守衛室に入り込んで、宿直をしておった鈴木計という人に事務所長官舎の電話番号を尋ねて、鈴木さんが番号を調べていると、まごまごするなと言って前後五回にわたってけ飛ばしたりあるいは突きころばしたりした。同君は突きころばされるたびに泣いてあやまった。来合わせた洪水予報係長の伊東君という人と小渋工事事務所から出張で来ていた飯島技官と二人でこれをとめた。鈴木君は腰を強打して現在も完全に回復していないという、こういう事件が起きているのですが、知っていますか。
  66. 志村清一

    ○志村政府委員 御指摘ございましたことしの三月七日の夜起きました不祥な問題につきましては、河川管理課長が退庁後酒を飲みまして、それからさらに所用があるということで再び事務所に戻って、ただいま御指摘のありましたように守衛に対して依頼をし、その応待が云々ということで、酒に酔ったせいもありまして、同守衛の胸を何回か押したというようなことがございました。管理者として決して好ましい行為ではないのでございますので、直ちに事務所長から同課長に対しまして、厳重な注意を行ないまして、また同課長からも守衛の自宅を訪れまして、酒に酔ったあげくのこととは言いながら、まことに申しわけないという謝罪をさせたように聞いております。
  67. 枝村要作

    ○枝村委員 それは謝罪だけでありまして、いわゆる措置というものはされていないわけですね。これはけがをさしておるんですがね。
  68. 志村清一

    ○志村政府委員 事務所長から同課長に対して厳重注意をいたしております。
  69. 枝村要作

    ○枝村委員 ところが、建設省の方針とすれば信賞必罰ということで、悪い者は悪い、いい者はいいということで措置をしなくてはならぬという方針が、あなた方が出しておりますいろいろなPR文書に出ておるわけなんです。これはあとから申し上げますが、長岡事件が起きた直後にやはり同じところでそのような事件が起きております。それは組合員が係長をなぐったということでこれは逆なんですけれども、その場合にその組合員は直ちに戒告かなにかの処分を受けておるようであります。そうなりますと、それよりひどい、いわゆる管理者にあたる人が、部下の職員を何の理由もなくなぐりつける、しかも酒の上でという最も卑劣な行為なんですけれども、やったその人に対してはただ厳重にしかりおくという程度の処分でやるということは、これはだれが見ても片手落ちな措置ではないかと思うのですが、どうですか。
  70. 志村清一

    ○志村政府委員 私ども承知している範囲内では確かに先生御指摘のような事件があったわけでございまして、調べましたところ、胸を何回か押しまして、本人がいすに倒れかかるというふうな事態はあったようでございますが、いわゆるなぐるとかけるとかいうような暴力行為にまで至っていない、かように考えまして厳重注意という処分にいたしたわけでございます。
  71. 枝村要作

    ○枝村委員 ここではそのことでいろいろ押し問答してもいけませんが、時間がありませんから言いませんが、私のほうの報告にあるように、ほんとうになぐるける、そして腰を強く打って今日でも回復しないというのですから、相当強くやられたと思うのです。その事実をあなたのほうで調査して、もし事実がほんとうの事実であったならば、これは厳重に処分せねばならぬ問題だと思うのですが、そういうふうな方向でいまから調査いたしますか。
  72. 志村清一

    ○志村政府委員 御指摘がございました案件につきまして、先生のお調べのところと私のほうと違うようでございますので、後ほど調査させていただきたいと存じます。
  73. 枝村要作

    ○枝村委員 それでは、長岡事件についてお尋ねいたします。  これは私がいまさら言うまでもなく、当局も一生懸命調査されているようであります。一つの結論が出されております。これは北陸建設局が出しております「管理情報」第三号ですか、四十三年二月三日に出されている「管理情報」であります。この中に、長岡事件についての経緯、そうして当局のいわゆる見解、これがある程度詳しく書いてあります。これに代弁されているとは思うのですけれども、一応官房長からこの長岡事件に対する当局がとった措置、それからこれに対する責任をどのように感じたか、これらについて簡潔にひとつお答え願いたいと思います。
  74. 志村清一

    ○志村政府委員 いわゆる長岡事件でございますが、暴力行為が行なわれたことはまことに遺憾に存じているわけでございます。建設省関係の土木の仕事というのはわりあい気の荒い仕事でございまして、しばしば、工事がある程度できた、あるいはこれから着工するのだとかいうふうな折り目折り目に酒を飲んで祝う、仕事が屋外の非常に男性的な仕事なもんでございますから、たまにそういったいろいろな事件が起こるということが土木関係の仕事には多いわけでございますが、それだけにわれわれといたしましては暴力行為の今後の絶無を期したいとかねて考えているわけでございます。  北陸の長岡工事の事件につきましては、昨年の十二月の暮れに、機械課で御用納めのときに一ぱい飲んだわけでございますが、一応打ち上げをしまして後、何名かの方が――酒の好きな人はいつも若干残るのが普通でございますけれども、この場合もやはり数名が居残って酒を飲んでいろいろ話をしておった。ところが五時前後ごろに職員間の中で口論が始まるというふうなことから、同所の機械課長である清水が仲裁に入ってまいった。ところが、その間いろいろ行き違いもございまして、機械課長が課員である水内技官を一回殴打したというわけでございます。ところが、課長はそのまま帰るのも気がかりのために引き返しまして、また同職員水内君に話しかけたところ、またそこで言い争いになりまして、再びかっとなって同職員を何回も殴打した、こういう事件のように承知しておるわけでございます。  冒頭に申し上げましたように、どんな場合、どんな理由であろうとこういった暴力行為のあることはまことに遺憾でございますし、土木の仕事はとかく暴力行為が多いというふうなことをいわれておりますからには、なおさらわれわれとして自戒せねばならぬということで、まことに遺憾に存じております。今後かようの事態の発生しないようにきびしく指導してまいるつもりでおります。  この問題といたしましては、御用納め後のいわば酒を飲んだ上での偶発的な事件でございますが、それにいたしましてもまことに適当でない事柄でございますので、被害者の御親戚の方から和解をしたい、示談をしたいという申し出もあったようでございまして、そのあっせんを何回かやったわけでございますが、その後なかなかととのわないようでございますので、しばらく置いておるという状況でございます。  なお、機械課長はかような事件を起こしていろいろ御迷惑をかけて申しわけないというような意向もございまして、私どものほうといたしましても退職勧奨をいたしまして、職務を辞しておるような状況でございます。
  75. 枝村要作

    ○枝村委員 あなたのいまの説明によれば、「管理情報」あるいは「管理者ニュース」といって大臣官房の人事課から出されておるそういういわゆるパンフに書かれておるものと大体同じような内容であります。言ってみれば、これは偶発的に起きた単純な事件である、こういうことが第一の言いわけになっております。  それから二番目には、本人のこともいろいろ考えて示談で話を済まして円満に解決させよう、当局がこういう努力をしたにもかかわらず、いまあなたは言いませんでしたけれども、全建労という組合が中に入ってきてこれをぶちこわしてしまいました、こういうふうに当局としては考えておるわけであります。ところが、私どもはいろいろこのことを調べてみました。それとは全く反対であります。いろいろな深い原因があって起きた事件でありますので、単に酒を飲んでの突然起きたというようなものではないというように私ども見ますし、当局でいろいろ行なったいわゆる示談の工作も、これは早くいえばもみ消しを一生懸命やった。しかし、もみ消しをやるというその前提になるのは、水内君のためを思ってではなく、なぐった清水課長の将来、身分を考えてのもみ消し工作であったという事実が明らかにされております。しかし、どうもきょうは時間がありませんので、そのことについてここでいろいろ私のほうから説明して追及していくことができないようでありますから、大まかにいってその二点について、具体的にはいきませんけれども、もう少し私のほうから話をしてみたいと思います。  しかし、その前提になるのは、何といっても清水課長が水内さんをぶんなぐったという事実は、これは否定のしようがありませんのであなたもお認めになりました。しかし、その中にちょっと気にかかるのは、お互いに口論した、こういうふうになっております。それと、第一回目にばっくりなぐってその場から出ていかれて、そして第二回目に入るときに、清水課長は、やはり前におれがなぐったのは悪かったからあやまろうと思って入ってきた。ところがいきなり、あんたは私をなぐったねと言われたから、どうせ一つなぐって悪いのなら、二つも三つもなぐってやれということでなぐったと言っておりますが、一回目になぐったとき自分が反省しておるのなら、二回目に入ったときには――私、直接見たのじゃありませんけれども、その反省の色を見せて二回目に入ってきたという、そういう事情ではなかったようであります。初めから、くそっという気持ちで二回目も入ってきて、そしてかっかなっておるところに、あなたは私をなぐったねと水内さんから言われたために、そういうかっかなった上にまた火を注がれたような結果になって、そしてああいうきわめて強い暴力行為が行なわれたというように私どもは見ておるわけです。でなかったら、反省の色が少しでもあったら、ただそういうことを言ったからといって、六回も七回もなぐるというようなことはないはずです。ですから、そこには清水課長は一片の反省も良心もなかったというように私どもは断定をしていいのではないかというように思います。  それと、なぐったときに受けた負傷は、あなたのほうの情報によれば、ころげた拍子に机で頭を打って、それが原因ではなかろうかというようなことがこれに書いてあります。これも全くうそでありまして、机越しになぐっておりまして、机にころげて頭を打つというそういう状況には全然なかった。ただ、初めなぐられた拍子にのけぞったために、うしろのガラス窓に頭が当たって、ガラスが割れたという事案はあります。しかも、本人はきわめて無抵抗であります。清水課長は、自分の心が錯乱したか、頭が錯乱したか知りませんけれども、しまいには、このやろう殺してやるということまで口ばしったということ、これは他の証人もたくさんおりますのではっきりしております。そういうきわめて常識では考えられない暴行を働いたということは、単に酒を飲んで偶発的に起きたものではないというように私どもは考えます。それは何か自分の中に、あるいは清水さんを取り巻く環境がそういうふうにさしたのだ、こういうふうに私ども考えます。あなた方が出した「管理者ニュース」の百六十八号の中に、これはこんなものを出していいか悪いかわかりませんが、りっぱなものであると私は言いませんが、「職場と酒の問題について、酒の上での問題行動を防止するために」と題して、こういうパンフが出ている。これは事実でしょう。これは出されたでしょう。そのとおりですね。まあ建設省がこういうことを出さなければいけぬようになっておるということになると、ぼくらもなかなか考え直さなければいかぬのですけれどもね。その中に一つだけいいところがあるのです。あとは大体感心できぬ内容ですけれども、「ふだんの意思疎通」というところで、「酒に酔ったからといって、誰でも問題を起こすわけではない。そこには必ず何らかの原因があるはずである。」これは確かに真理をついておるのです。しかし、あと書いてあるのは、それは平生の不平不満とか小言、そういうことなんです。だから、管理者は平生からよく部下に酒を飲まして言いたいことを言わして、そうして人間関係を深めていけということなんですけれども、あとの内容はあまりお粗末ですけれども、しかし、この初めに書いてあるのは真理なんです。やはり清水さんがああいうふうに暴力行為を行なったということは、何か自分の心の底あるいは清水さんを囲むいわゆる職制の中におけるやはり責任感ですか、そういうものが、やはりあの人を知らず知らずに支配して、そしてひょっとした何かにひっかかって、それがきっかけとなってああいう暴力行為が起こったというように私どもは見ていくのが正しい見方ではないか。この事件を将来ほんとうに再び起こさせないためには、その原因を徹底的に究明することによってこそ、初めて実が実っていくというように考えます。そこで、私どもの見方は、これは根強いものがある。それは今日の建設省の労務対策というものが、やはりこの下部の末端におけるそういう職制へまで影響を与えて、そしてついにああいう事件になったんだと思います。それはいろいろたくさんあります。きょうは時間がありませんから、言いません。その中の一つは、結局いわゆる気の荒いとあなたもおっしゃいましたけれども、そういう一つの条件もありましょうけれども、上級の幹部の命令に対しては、部下は問答無用、これに従わなければならぬという昔の軍国主義はなやかなりし時代のやはり思想、こういう態様というものが今日建設省の職場の中につちかわれておるのじゃなかろうか。しかも、それを助長する方向に上層部の皆さん方がやはりやっておるということの一言に尽きていくのではないかと思うのです。その例はたくさんあるのです。ありますけれども、きょうは言いませんけれども……。そして先ほど言いました不当労働行為、これは、出たのは単に氷山の一角でありますけれども、無数に起きておると思うのです。そういうのが数重なって一つの問題として長岡事件がクローズアップしたんだというように――ですからぼくは清水課長その個人を責めようとは思わない。ただ、悪いことは悪いのですから、これはそれこそ信賞必罰で、勧奨退職みたいなことをせぬと、あなた方、あれは悪いことは悪いと、きちっと百を切ればいいのですけれども、それもせぬ。そのこと自体も信賞必罰でなくして、いわゆる何かの政治的意図によって、その人の身分取り扱いをする、こういうことになった。何から何までみな、むしろ個人の責任ではなくして、そういう建設省当局の労務管理、労務対策の結果発生した事件であるというように私どもは考えます。ですから結局もみ消し事件も、古川調査官などが行って、まるきり脅迫的なことばを吐きながら、示談を強要しておる。こういう事実があらわれてきておるのです。しかも古川さんは、現地に行ったときに、柏森北陸地本の委員長に対して、おれの労務管理だからこのくらいで済んだんだが、こういう暴言を吐いておる。ですからもし古川調査官の労務対策、逆に言えば、何ですか、少しきつくやったら、人を殺したと同じような結果になってもしかたがないというように受け取れてくるわけなんです。おれがこういう労務管理やっておるからこのくらいで済んだというのは、そのようにも受け取れますし、とにかく常識では――他にもいろいろ各公労協あるいは公務員の労働組合、当局の間、問題が紛争しておりますけれども、建設省ほどのような、ちょっと見て常識では考えられないようなことが行なわれておるということは、これは非常に重要な問題であるように私どもは考えるわけであります。  ですから、時間もありませんので、あまり言いませんが、一つだけここで指摘しておきたいことがあります。それは、不当労働行為の問題、暴力行為の問題は、すべて、先ほど私言いましたような、当局のやり方に基因して起きたと言っておるのですが、その明確な証拠がここにあるわけなんです。これだけひとつよく聞いておいてもらうし、できればこれを見てもらっていいですけれどもね。これは宇都宮国道工事事務所長にあてて、そこの春日部出張所の所長が報告をしております公文書です。その中に、「労務管理上の今後の課題」というやつで正式に報告されておる。これを免れば、当局がいかに本気に、真剣になって、あるいは点数かせぎですか、当局の管理者の勤評ともいうべき、それに血道をあげてやはり下部の職制が一生懸命になっておるというやつが出てきておる。そこではこう書いてありますよ。一月には何人、それから二月には何人、三月には何人といって、ちゃんと予定を組んで、その月にはだれだれを脱退させるようになっておる。したことを報告するならいいのですけれども、報告するときの日にちより後の月に対する計画ですね、計画をも報告しておるのですから、これは明らかにもう不当な労働行為であるし、脱退工作を当局が血道をあげてやっておる。こういうことなんです、この文書は。これをちょっと見てください。そこの辺、だから組合は、そういう工作を行なって、ついに三月の末には三十四人おった組合員が、彼らの猛烈なそういう肩たたき工作に破れて、これも労働者としては情けない話でありますけれども、破れて、二人しか全建労は残らない、こういう状態になっておる。そうすれば、そこの所長さんの桜本は非常に点数を上げたということになるわけなんですね。これはここだけですが、こういう一つのやり方が至るところの建設省の他の職場では・いま行なわれておると見てもあまり間違いないと思うのです。そういう事実があることを一応示しておきたいと思います。これをちょっと見てください。これはだれか偽造したやつではないでしょう。あなたのところの、その事務所、出張所の公文書であることについて間違いありませんか。
  76. 志村清一

    ○志村政府委員 この書類、私初めて見させていただきましたので、一応調べさしていただきたいと存じます。
  77. 枝村要作

    ○枝村委員 調べていただいて、そうして、これは間違いはないと私は思っておりますから、事実でありましたならば適当な処分をするなど、われわれのほうも適当な措置をとっていきたいと思います。と同時に、この問題については留保して、いずれ何かの機会を見て、あらためて質問していきたいと思います。  もう非常に限られた時間でありましたので、よく当局との間で話し合いをして、改めるべきところは改めていく。これがあまり十分でなかったようでありますが、結局最終的に申しておきたいのは、先ほどもちょっと触れましたように、すべての点で、どうも私どもとしては感心できないいろいろなやり方が、いまの建設省の中ではこの数年来行なわれておるようでありますから、これは何とかして改めていかなければ時代におくれる労使関係にあると思いますし、そのこと自体は、建設省に勤務する従業員の不幸であるのみならず、それの管理監督者である上層幹部のその行ないを他から批判されるということになっていくことでありまするから、十分ひとつ気をつけていただきたいと思います。  そこでいままでの話を通じて、徹底的にその真相を究明するというところまでいきませんでしたけれども労働政務次官いらっしゃいますので、何かしら一般の労働行政の上における労使の間の問題におけることとは異なったような感じを受けられたと思うのですが、ひとつ所見をお伺いいたしたいと思います。
  78. 井村重雄

    ○井村政府委員 民間であろうと公共企業体であろうと、およそ不当労働行為というふうなことは、もちろんあってならないことでございます。いままで聞いておりましたところでは、およそ現時点においてさようなことがあり得ないのだ、あってならないのだと、私は驚きをもって聞いておりました。おそらく事実がはっきりと究明されるであろうと存じます。今後とも、労使双方ともお互い相信頼して、もっとよりよい慣行をつくっていきたいものだと存じております。
  79. 枝村要作

    ○枝村委員 質問を終わります。
  80. 八田貞義

    八田委員長 矢島参考人には、御多忙のところおいでいただき、ありがとうございます。  質疑を続けます。島本虎三君。
  81. 島本虎三

    島本委員 まず、開発庁のほうに特に質問をしておきたいと思いますが、一九六八年二月七日、社会党の中央執行委員長の勝間田清一より、この地下資源開発株式会社廃止についての二つの要件を質問しております。文書によって回答すると、このように開発庁の長官が申しておりましたが、これに対する返答が具体的になされたかどうか、なされたとするならばその内容を御発表願いたいと思います。
  82. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 いまの、社会党からの木村長官に対する申し入れ書は承知しておりまして、その返答は、事務的には長官にその後申し上げておりますが、長官のほうから社会党へ返事をするということで、なされたかどうか、まだ確認しておりません。
  83. 島本虎三

    島本委員 馬場さんも、本日は政務次官が入院中でどうしても来れない、長官が参議院の総括質問でどうしても来れない、したがってそのかね合いを十分了解の上で責任ある答弁をするということできよう来てもらっているわけです。これは少なくとも、長官自身が文書による回答をいたします、このように約束された問題なのであります。これはやはり文書による回答をして、そのあとにいろいろな手段並びに手を打つというのがあたりまえです。正式にこれもやらないで、もしその間に廃止の法案を出したりその他のいろいろな行政的な手段を尽くしたとするならば、これはまことに許しがたい違法行為だと思うのです。道義的な問題です。それをやったかどうかわからないという人を代表にしてここで答弁を求めることは、まことに困るのです。これはほんとうに困るのです。出したかどうかくらいわかるでしょう。その内容を立案したというならば、その内容はやはり発表してもらわないといけません。この点ははっきりしていただきます。
  84. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 先ほどお答えしたように、いまだ確認しておりませんので、長官とよく連絡をとって御返事するようにいたします。
  85. 島本虎三

    島本委員 では、質問の時間は限られておりますが、いますぐ終わるわけではありません。本質問を展開しておる間に調べて、そして出したか出さないか、出したとすればその内容、これを本委員会で明らかにするようにしていただきたい、これを要請しておきたいと思いますが、その要請がいれられるならばこのまま質問を続けてまいりますが、委員長、いかが取り計らいますか。
  86. 八田貞義

    八田委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  87. 八田貞義

    八田委員長 速記を始めて。  追って、理事会において協議いたしまして、善処いたします。
  88. 島本虎三

    島本委員 なお、開発庁に重ねてお尋ねしておきたいと思いますが、前回長官が答弁されたこと、並びに馬場さんもこの席からはっきり答弁されたこと、この点については、全部一致しております。この点についての具体的な方策を現在考えられましたか。いままでの間、約一カ月ほどこの問題に入ってからの時間があるわけであります。そういたしますと、首切りは一切しない、政府関係のいわば特殊法人のほうに希望者はそのまま配転さしてもよろしい、そしてやめる人に対しては十分手当てをしてあげましょう、この三つの条件が長官からはっきり申し渡されたのであります。もしそうだとすると、十分それに対する具体的な措置もはかられていなければならない、こう思いますが、いままでこの点についてどのようにしてまいりましたか。進捗状況について発表願いたいと思います。
  89. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 この前、長官から答弁があったこと、その方針は、そのまま受け継いで、いま努力中でございます。詳しい成案は段階を追っていきますので、御承知のように民間改組に対する政府案がきまりまして、その案に基づきまして、なお次の段階の準備を進めているところでございます。
  90. 島本虎三

    島本委員 では、もうこの際ですから、次の質問を具体的にお伺いしておきます。  民間改組のいわゆる具体案ができていた、こういうようなことでございますけれども北海道地下資源開発会社の廃止法案、これはもうすでに国会に提出しました。これに伴う民間改組の具体案というようなものが、もうすでにできているものである、こういうように思うわけです。具体案もなしにただ廃止案のみを提案する理由はないからであります。その目六体案をお示し願いたいと思います。
  91. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 民間改組の具体案、政府で考えました案でございますが、簡単に御説明いたします。  まず、累積赤字を解消するために減資を行なう。減資の要領は、政府出資と民間出資を平等に減資するということでございます。  なお減資後の資本金の額、これは正味資産といたしまして、廃止法案が施行になりましたときの評価額としまして、退職金等、債務として引いたものを正味資産とする予定でございます。  次に、いまの会社は機械、事務所等の諸設備の貸与を含む会社に改組いたします。資本金は約二億一千万円の見込みでございます。職員は最小限度の人数とする予定でございます。  また、現会社の子会社といたしまして、試錐会社と物理探査会社を新設したいと思います。試錐会社の概要は、資本金八千万円、試錐業を行ないます。物理探査会社は資本金五百万円、物理探査業を行ないます。  それから現会社の従業員に対する待遇でございますが、子会社に採用された職員には通常の退職金を支払う予定でございます。また子会社に採用されない職員、これは退職金に特別の配慮を加えるものとしまして、またその再就職のあっせんを政府として極力いたします。それから役員の退職金は減額をして支給する予定でございます。  次に、必要資金の手当てでございますが、退職金は、親会社の資産売却によって手当てをする予定でございます。子会社の運転資金は、市中金融機関などから借り入れる予定でございます。  なお、減資をいたしましても政府出資金が残りますので、この出資金の扱いは直ちに改組後回収することはいたしませんが、局間企業という改組の趣旨に沿いまして将来適切な指貫を講ずる予定でございます。  以上が具体案の骨子でございます。
  92. 島本虎三

    島本委員 北海道地下資源開発株式会社矢島鋼次郎取締役が来ておりますが、私は、ただいま北海道地下資源開発株式会社のいわゆる改組案の概要が発表されたわけでありますが、これによって今後、いままでの経験に照らしまして十分やっていける見通しがあるのかないのか、これは具体的に御意見を承りたいと思います。
  93. 矢島鋼次郎

    ○矢島参考人 私も、民間移行の決定以来その計画につきまして、開発庁のほうの御指導を得ましていろいろ検討いたしておりました。特に資金的な面その他ございまして、まあここいら辺が会社内部ではどうにもならぬということで、これを何とか外部のほうからてこ入れをお願いしたい、そういうことでいろいろ検討いたしておりましたが、最近の情勢ではなかなかそれはむずかしい、そういう状態でございます。  それで一方地下資源会社がどうなるのか、そういうお得意さんの関係が、会社がどうなるのかはっきりしないために、ことしの四十三年度の工事につきまして、注文を、とてもおまえのほうにはやれぬ、そういうような状態で、四十三年度にどれくらいの工事がとれるか、そういう見通しも、現時点に至りましてはあまり多くを期待できない、そういうような状態になりまして、こういう状態ですと、実は一月、二月には何とかつくり上、げなければいかぬ、そういうことでいたしておりましたが、非常にいまはむずかしい状態に立ち至っております。
  94. 八田貞義

    八田委員長 山本政弘君。
  95. 山本政弘

    ○山本(政)委員 関連して。矢島さんにお伺いしますが、一つだけ、この原案、再建案ですか、民間改組についての案については、北海道開発庁のほうから御相談があったのかなかったのか。  それから北海道開発庁の馬場さんにお伺いいたしますけれども、私はよくわかりませんけれども、試錐会社とそれから物理探鉱会社と、二つ子会社をつくるというのだけれども、この業務内容というのはどういうふうになっているのか、その二つをひとつお示し願いたいと思います。
  96. 矢島鋼次郎

    ○矢島参考人 会社のほうでボーリング会社と、それから物理探鉱関係会社、これは物理探鉱関係のほうはボーリング関係と相当異質のものである、いろいろないきさつから別会社でやっていこう、そういうようなことになりまして、別々の会社検討しておったわけでございます。なおボーリング関係につきましては、これはボーリングだけでなくて、全社員を引き連れていろいろな商売をひとつ検討してみよう、そういうことで検討中ではございましたが、なかなか現在のところはボーリング――まあボーリングに類した仕事はいろいろ考えておりましたが、それ以外のたとえば商事部門とか、そういうような部門につきましては、まだ成案ができていない、そういう状態であったわけです。
  97. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 山本先生の御質問の中に、試錐業と物理探査業の業務内容ということがございます。  まず試錐業はボーリングが主体でございますが、機械を相当持っておりますので、この機械を他に貸すことも内容として含めて業務を行ないたいと思います。  それから物理探査、これは地質の内容を、私も専門家でないのでよく知らないのですが、物理探査という、専門語でやる業務だと心得ております。
  98. 山本政弘

    ○山本(政)委員 一つだけ答弁が漏れているのですけれども、矢島さんに……。  この改組案の概要をつくられるときに、あなたのほうに連絡なりあるいは意見を聞くというようなことがあったのかどうか、それが一つでございます。  それからもう一つは、私はしろうと考えでよくわかりませんけれども、ボーリングをやれば結局そのボーリングの結果というものは、何といいますか、顕微鏡で見るのか何か知らないですけれども、ともかくも検査をするわけでしょう。要するにボーリングをした鉱物というものは、物理的にというのですか、検査をするはずなんです。何で分けたのか、その辺が非常にあなたの答弁ではあいまいなんですよ。その辺をひとつはっきりお聞かせをいただきたい、こう思うのです。
  99. 矢島鋼次郎

    ○矢島参考人 先ほど開発庁のほうから御説明のありました民間移行案につきまして、その内容につきまして、ごく最近にお話を伺いました。もちろん、その以前からいろいろ御指導は受けておったわけですが、資金的な問題で、いろいろ開発庁のお話でも事務折衝したけれども、外部からの資金云々という問題はなかなかむずかしい。会社といたしましても、そういう状態ですと、会社の手持ち資金というものが非常に逼迫しております関係上、これでは非常にむずかしいんじゃなかろうかと、そういう御意見は一応申し上げておったわけです。  それからいまのボーリング関係と物理探査関係を分けた、これは実は物理探鉱関係は仕事の性格も違う関係で、当初はできれば事業団関係に吸収してもらえぬだろうか、そういう話で進んでおりまして、ボーリング関係のほうは、これは事業団の中に吸収ということはなかなかむずかしいんじゃないか。それでボーリング関係のほうは、当初から民間移行の線で何とかできないものか。そういうスタートが違っていた関係で、その後物理探鉱関係もなかなか、事業団への吸収というのは現段階では非常に問題がある、むずかしい、そういうことで、まあスタートの時点が違ったためにそういう状態になったんじゃないか、そういうふうに思っております。
  100. 山本政弘

    ○山本(政)委員 馬場さんにお伺いするのですけれども、ここに三月十九日に北海道地下資源開発株式会社社長南好雄という名前で北海道開発庁長官に出ているものがあるのですよ。いま矢島さんのお話でしたか、ごく最近という話が出たけれども、三月十九日の日付で「この間、会社側に一度の弁解の機会も与えずまた現状の問合せもなく、協議指導は勿論のこと民間改組についての基本方針すらなく、ただいたずらに会社を苦しめただけであった。」こう書いているのですよ。会社の社長さんが、北海道開発庁長官にそういうことを出しているんですよ、「当社の民間改組について」というので。何ら連絡がないということになるじゃありませんか。一方的に開発庁のほうが出したとしか理解ができない。これは二十四日の新聞ですが、この新聞の中には、「行政改革では模範を示すべき立場にある行政管理庁ですら、廃止する統計基準局長を統計主幹に置替えており」と、こういうこともある。しかもここには「実効望み薄の一省一局削減」こう書いてある。あなた方がただ単に強権を発動してやれるというところについては、かってに一方的に具体案か何か知らないけれども出してきておる。しかし、力の及ばないといいますか、なかなか抵抗の強いところについては、これは四十四年を待たなければならないだろう、新聞の報道だけれども、こう出ているんですよ。こういう点についていま先ほどの話から見てみても、連絡も何にもやってないというようなのから見ても、あなたたちの具体案というものが非常に速成的なものだとしか私には考えられないのですよ。しかも、民間改組についてのこんな簡単な、あなたのおっしゃるような簡単な概要で、現実に百何十名かの人が救えますか。あなたのほうで断言できますか。首を切りません、仕事は保証します、こう言っているのです。だけれども、こういう簡単なことで――簡単なといいますか、非常に速成的な案で、あなた方はきちんとして将来の保障を働いている人にやることができますか。金融引き締めもある。そういうときに、機械を担保にして金を借りろとか売却をしろとかいうことが、現実にあなた方はできるとお考えになっているのですか。その点をはっきりしてください。
  101. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 政府でつくりました改組の具体案に対する御批判でございますが、私どもとしましては、十二月に改組の方針がきまりましてから会社意見も聞きましたし、政府間各省の意見も聞きまして、なるべく早くと思ったのですが、時間がかかりましたが、ごく最近、先ほど説明した骨子がきまったわけでございます。  なお、南社長から長官あてに書類が出ているということでございますが、その内容につきましては、私もまだ詳しく読んでおりませんが、ちっとも会社に対して明示がなかったとかいわれているそうですか、そういうことはなかったと思います。私どもとしても、まことに専門的知識が乏しいものですから、少なくとも専門知識を求めるために会社にはいろいろ御意見を聞いております。  それからなお、今後こういう粗末な案でできるかというお話でございますが、私どもとしましてはいろいろ会社の御意見を聞いて、さらに政府関係各省の意見を聞いて、一番いい案をつくったつもりでおります。もちろん民間移行でございますので、民間でこれを引き受け手がないというようなことにもしなりますれば、前提がくずれてしまうわけでございますが、いまの段階ではこの案に沿いまして、民間移行の趣旨に沿って会社側にも協力を求めるし、従業員にも協力を求めるという段階でございます。
  102. 島本虎三

    島本委員 それで、ただいままでのいろいろな答弁ございましたけれども、なお私はこの改組案について、もう一回矢島さんにはっきりしたことを伺いたいのです。  いままでいろいろないきさつがありました。おそらくは出すにも出せないような状態も、われわれわからぬわけじゃございません。しかし、やはりこういうような改組案が出て、今後これを基本にしてやっていけるのか、やっていけないのか。これはやはり重大な問題なんです。それでいま開発庁のほうで、こういうような案、いわば改組案を出してきた。ところがこれに対しては、いままでやってきた専門家の皆さんが、その経験によってでも、これでやっていけるかいけないか、いけなければどの点だ、これははっきりと指摘できるはずです。それを聞いたのですけれども、はっきりした答弁がございません。いまこの案によって、いろいろ馬場さんから説明がありましたが、ひとつ具体的にこれでやっていける確信があるのかないのか、矢島さんに伺いたいと思います。
  103. 矢島鋼次郎

    ○矢島参考人 先ほども申し上げましたように、今後民間移行するにつきまして、退職金も全員に払わなくてはいかぬ、それから会社の運転資金も用意しなければいかぬ。それが資金的な逼迫から、会社のさいふの中だけではどうにもならぬ。そういうことが一つと、それから現時点ではだいぶ時点が経過いたしまして、四十三年度の受注関係が非常に見通しが暗くなってきている。その二点から現在では非常にむずかしい状態になっております。
  104. 島本虎三

    島本委員 無理して出しても改組案ではこれからやっていくのにむずかしいというようなことは予想されるし、考えられている。やはり今後はいろいろな点で労働省関係にもなりますから、次官、労政局長に最後には十分この件についての御意見も伺っておきたいと思います。  まず、資金と赤字の処理は、馬場さん、どういうふうにこれを解決しようとしているのですか、この改組案によって。
  105. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 先ほど御説明いたしました。が、赤字処理につきましては、減資という行為でいままでの累積赤字を解消いたしまして、新しい発足するであろうところの民間会社の負担にはしない予定でございます。それから資金手当は、退職金は先ほどの親会社の資産売却、それから子会社の運転資金は市中金融機関などからの借り入れでまかなう予定でございます。
  106. 島本虎三

    島本委員 現在の会社の正味資産は幾らですか。
  107. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 正確なる正味資産は、段取りといたしまして第三者の審査員をつくって評定したいと思っておりますが、いまのところの見込みでは約三億あると考えております。
  108. 島本虎三

    島本委員 じゃ、おっしゃった三億のうち、換金可能な資産は幾らあるのか、直ちに換金できるかできないか、この点二つを伺いたいと思います。
  109. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 この資産の内訳は、いま現金があるということではございませんで、換金の可能性でございますが、この案でいきますためには、必要な資金を要求されるときに換金しなければいけないわけです。建物を売却したり土地を売却したりするような内容も予定しておりますので、これから努力するので、いまの時点でいつという目当てはございません。
  110. 島本虎三

    島本委員 一応三億あるといっても、土地、建物以外は、まずスクラップ程度のものしかないんじゃないか、こういうふうに考えるのは失礼かもしれません。確実にするためです。そうすると、子会社の事実を継続していくために必要な資産というものは、こういうようなものについてはやはりあっても売却はできないことになるじゃありませんか。やはりそういうのは残しておかなければだめだ。そういうふうにして、これをいま言った、正味資産三億あるといっても、それをいろいろ分けたならばほとんど残りがなくなってしまう、こういうような資産状況じゃないかと思うのです。それでまたこれを資産として十分消化してやっていける、こういうふうなことであるならば、いま言ったようにして事務所、倉庫、アパート、寮、こういうふうなものを含めて資産のうちからどれだけは残してやる、どれだけは換金できる。これも明らかにすべきじゃないかと思うのです。大ざっぱに、ただ三億ありますじゃ、これはわかりません。この点分析報告できますか。
  111. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 資産内容について、おっしゃるとおりでございまして、ただスクラップ同然というお話もありましたが、そういうものはさような見込みで三億を計算しております。あと政府案で考えております今後の動き方で要らない資産が若干出ておりますので、そういうものを優先的に売却をして資金を生み出すというつもりでおります。
  112. 島本虎三

    島本委員 あまり時間がないので、こまかく言うのは少し時間が惜しいのです。しかし、やはりその中でも、要らない資産が若干あるというようなのは、これはどういうようなことですか。私はやはり土地、建物、構築物、それから機械装置、車両、工具、器具・備品、すべてこれは再建するためにも、また換金するためにも、正味資産としては必要な資産なんですが、この点の考え方が少し私は理解できないのです。これはどういうような点が要らない資産になりますか。
  113. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 ちょっと説明が足りなかったと思いますが、要らない資産と申しましたのは、今後の民間運営のときに、いま持っている資産のうちで不要だと思われる資産でございます。たとえば材料置き場等よけいに持っておりますので、さようなうちの一部は今後も不要になるという見込みでございます。
  114. 島本虎三

    島本委員 再建資金の中で、これには簡単にただできるという報告ですけれども、市中金融機関から借り入れる、これはまことに困難な状態になっているのではないか、これを可能ならしめろためには、やはり政府のほうで相当バックアップしないとだめなことになります。そういたしましても、資産を売却すると今度は担保がなくなる、こういうような関係で、せっかくあって、三億といいますけれども、これをやったならば残すものを残し、またいろいろ売り払う、こういうことになったら二、三千万円ぐらいしか残らぬのじゃありませんか、この辺の資産の区分、こういうものをはっきりしてからでないと、再建資金の点なんかだったらおそらく言うことが不可能ではないか、こういうふうに私は思うわけです。この点について会社側ではどのようにこの再建案のうち再建資金の具体策について考えられたか、考えないといえばそれまでですけれども会社側の意向を聞いておきたいと思うのです。参考です。
  115. 矢島鋼次郎

    ○矢島参考人 会社のほうで、この第二、第三会社と申しますか、そういう民間移行の会社について現金として運転資金合わせて九千万円、これが必要である、そういう考えを持っておりまして、それからあと退職金といたしまして、これは会社規定の普通退職金等払いますと、八千万ぐらい要るんだ、その資金手当がなかなかできない、それで現段階でも退職金の手当は、不動産と申しますか、不要の不動産を処分してということでございますが、これが時期的にはたして間に合うかどうか、それとどの程度確保できるかどうか、そこらにつきまして、やはりいろいろ、もうちょっと御援助いただかぬとむずかしいのではなかろうか、さように考えている次第でございます。
  116. 島本虎三

    島本委員 やはりその点でも経験に徴して、これでは運転、運営のほうが困るのではないか、こう思われます。なお、仕事をどのようにして確保していくのか、いま二つの部門は説明がありました。今後の仕事を確保する具体策をひとつ馬場さん御発表願いたいと思います。
  117. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 仕事の確保でございますが、これは民間移行の方針が出まして以来、なるべく動揺しないで、少なくとも従来やっておりました仕事量は確保するようにということで、会社にもお願いをして、新しい年度の受注をとるように言っておりましたが、やはりかようなことがございますと、なかなか従来よりも新しい仕事をとるのは困難な模様でございます。ただ現段階でも、これからとれるものは少なくとも新しい会社のためにとりたいと思いまして、もちろん開発庁でできることはお世話をしておりますし、会社のほうにもさような方針で受注をとるように指導をしております。
  118. 島本虎三

    島本委員 やはりそれじゃ仕事の確保の面でも、これはいまの場合ははっきりした確信がないようですが、これは通産省なり、開発庁なり、その他内閣が――きょうは官房長官おらぬので困るのですけれども、全面的にバックアップするのでないと、いまも仕事の確保ができないような状態ではありませんか。いまでも、現在ない、先行き不安だ、こう言いながら、これできたから今度は天から慈雨が降るように、それをすべてうるおして、また限りなくいろいろと仕事がわいて出てくる、こういうような問題じゃない。全然そうじゃない。したがって、この事業計画、事業内容、こういうようなものをはっきりして、それで各省の、官庁の協力を得られない点については、また特別な手を打つなり、いままでより強力なバックアップがない以上、これは成功する可能性なんかありません。それをただ一片のこういうような文書みたいなやつを出して、これでやっていけます、こう言っても、もうすでに仕事がないじゃありませんか。もうすでにあるやつは、ほかのほうにみんないっちまっているじゃありませんか。まして今度、民間業者を圧迫しないようにして採算がとれる、こういうような考え方であるならば、私はそのような妙手を示してもらいたいほどなんです。今後は、民間業者とのかね合い、圧迫することは当然なんだということで、じゃんじゃんやるのか、いままでの基本線を守って、民間業者を圧迫しないようにして、これは採算を保っていくのか、この具体的な方法をひとつお聞かせ願いたい。
  119. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 新しい年度の受注は、先生おっしゃるとおり時間の問題でございまして、だんだん時がたつに従って、予定された仕事がほかのところへいってしまうというようなことはございます。ただ、まだ四月以降に残っている仕事ももちろんございまして、そういうものをなるべく取りたいということと、それからなお政府間で、通産省関係の仕事を従来もやっておりますが、かような仕事はもちろん確保することで通産省の了解をとっております。
  120. 島本虎三

    島本委員 ついでに馬場さんに、この際ですから伺っておきたいのです。  南社長が就任した際に、東南アジアの開発も含めた地下資源開発公団を新設して、そして既存の地下資源開発に関係した特殊法人をこれに吸収する方向を明らかにして、これによってひとつ一元化構想のもとに出発しようということが皆さんの手元に打ち出されたということを聞いているのです。これにはおそらく従業員の人たちも、みな賛成したということも聞いているのです。こういうような構想がなぜだめで、いまあなたがおっしゃったような民間業者を圧迫しないようにして採算をとっていくようなこのやり方、こういうように小さくして考えるのがベターなのか、私はどうもこの点理解できない。むしろそうであるならば、国策会社として、当然いままであったそれ以上りっぱな基礎の上に立って、仕事があるのですから、これに当然やらすべきじゃなかったのか、こう思うのです。それによって、いまのような赤字を背負わなくても、十分これに対処できたんじゃないか、こうも思われるのです。これを切った理由、そしていまここにあらためて民間改組案というのが出されてきた、こういうようになりますと、どう見てもこれを対比してみて、皆さんの場合には、ただ単に感情的か、そうでなければ何か長官が出したから、しゃにむにこれに従わなければならない、こういうような意識過剰のもとに、これが二百人の従業員にしわ寄せされる結果になった、こう思わざるを得ないじゃありませんか。前にこの構想が出たときに、皆さんがどうしてこれに賛意を表さなかったのか、この辺のいきさつをはっきりしていただきたいと思います。
  121. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 南社長の提唱された海外にも事業範囲を伸ばすというお話は、私も聞いております。民間改組を検討する段階に、そういう話も各省間でしてはみたのでございますが、何ぶんにもそういうことになりますと、通産省あたりの御意見が強くて――もちろんそういう仕事が悪いということではございませんが、まだすぐにそういう体制に入れないということなので、今回の改組案に盛り込めなかったわけでございます。
  122. 島本虎三

    島本委員 通産省の意向が強くてこれを盛り込めなかった、今度もやはり民間改組案が出ても、通産省のバックアップがなければ、これはやっていけないじゃありませんか。どのみちそっちのほうなのに、同じような状態なのに、これはどうしていまの改組案がよくて、前のあの構想がだめなんですか。そういうなときに、皆さんがほんとうに国策会社、これを思うならば、なぜ一歩前進させなかったのですか。こういうようなところに皆さんのだらしなさがあるんじゃありませんか。私は、この点では納得ができないんですよ。いまのような、あの案が悪くて、そして改組案がいい、この具体的な点をひとつ示してください。
  123. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 いまの改組案を通産省がバックアップしないということはございません。もちろん政府間でまとめた案でございますので、いまの改組案は通産省のバックアップする案でございます。  代構想については、ちょっと私でお答えできないと思います。
  124. 山本政弘

    ○山本(政)委員 馬場さんにちょっとお伺いしたいのですが、馬場さんが三十九年におられたかおられなかったか私は知りませんけれども、三十九年の九月に臨調の答申民間移行が打ち出されましたね、そのときには、行管は特殊法人として存続しなさいという方針で進んでおった。それが三年後の昭和四十二年の八月には、行管の答申の事業団への統合に対して、今度は逆に行管庁は廃止ということになったわけです。そしてこの法案のあれを見ると、最近の北海道における地下資源の開発に関する諸事情の変化にかんがみ――私は、二階堂前長官は存続を主張しており、木村長官は廃止だ、しかも三年の間にそれだけの百八十度の転換がなされる理由が、ただ最近の北海道における地下資源の開発に関する諸事情の変化ということでは納得できないですよ。要するに、どんなにそれが差し迫った地下資源の開発に関する諸事情の変化があったのか、その辺が私にはなかなか理解ができないのですが、それをひとつ納得できるように説明していただきたいと思います。
  125. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 三十九年当時、私はおらなかったのですが、臨調の答申がありまして、おっしゃるとおりだったそうでございます。私もさような答申があって、前の長官のときには、存続という方針でこの会社を盛り立てていくことであったことも聞いております。ただ情勢の変化ということでございますが、その後の情勢の変化が―存続方針でやりましたときには、赤字を解消しろということで、それに努力して四十年、四十一年とやってきたわけでございますが、努力した結果、また累積赤字がかさむ傾向にあるということと、自主探鉱が本来でございまして、その業務の範囲でも、さような方面に臨調答申を受けて努力したわけでございますが、やはり思わしき成果をあげなかった、かようなことが重なりまして、十二月に新しい改組方針がきまったのだと思います。
  126. 山本政弘

    ○山本(政)委員 四十一年まで赤字が出てきている、四十二年も赤字だということは諸事情の変化ではないんですよ。四十二年に黒字になったから、これで安心だから民間に移行するというなら話はわかります。しかし、あなたのおっしゃったように、諸事情の変化というものが赤字の累積だったら、諸事情は変化しておらないことになるでしょう。どこに諸事情が変化したというのですか。だから、特殊法人として存続させる必要があるというなら話はわかるんですよ。三十九年以来、四十年、四十一年と赤字だ、四十二年も赤字だというなら、諸事情の変化ではありませんよ。黒字になったというなら、諸事情の変化の一つの要因になり得るかもしれない。だけれども、赤字だからということでは、あなたのおっしゃるような理由にはならないですよ。
  127. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 黒字は三十九年、四十年。四十一年からまた赤字になった。これを事情の変化がなかったとおっしゃいますが、赤字解消のためばかりで改組をするということでなくて、その他の事情もかみ合わせて改組方針がきまったのだと思っております。
  128. 島本虎三

    島本委員 ちょっと馬場さん、そのまま聞いてください。二十三日の北海道議会で、今度は知事をはじめとして民間改組案に反対だ、特殊法人として存続すべし、こういうようなことを明確に答弁し、議会の意思として固まっているのです。そうすると、上と下とは北海道開発の面でばらばらになっているじゃありませんか。これが出資者でもあるのです。これでやっていけますか。どうしてここをよく調整し、意見を聞いて、そして慎重にやらぬのですか。いま北海道議会は、知事をはじめとして、執行部も民間改組に反対ですよ。知っていますか、それを。今後どういうふうにしてやるのですか。出資者でもあるのですよ。
  129. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 北海道庁の御意見は、非公式に何回か聞いておりますが、その二十三日の議会の様子は、まだ詳しく聞いておりません。北海道庁は、やはり新しい会社が健全にいくならば賛成だというようなことを、われわれのほうへ連絡が来ております。
  130. 島本虎三

    島本委員 これは議会で、議会答弁としていまの前提条件はありません。国策会社としてこれは民間移行には反対で、いままで以上に強力にやるべきであって、廃止すべきではないというのです。よくいったならば賛成だと、だれが言いましたか。もし言ったとするならば、言った人をちょっと念のために知らしていただきたい。
  131. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 何回か道庁と打ち合わせました過程でそういう御意見を承ったので、正式に言われたのではございません。
  132. 島本虎三

    島本委員 じゃあ正式じゃないじゃありませんか。事務的な打ち合わせでそういうようなことがあったというだけじゃありませんか。何か小さいことにおびえてこそこそやっているような態度はだめです。これがほんとうに必要だと思ったら、行管の意向だって、間違いだってあるじゃありませんか。またその態度でも、柔軟性もあるじゃありませんか。また、なければそうさしてもいいじゃありませんか。何かきめられたならば、それだけ守らなければならないという宿命にあるかのような、こういうような行動は納得できません。現に私は、はっきり聞きますけれども、開発庁の民間改組案で会社を運営していけるかどうか。これは皆さん関心を持っているのです。そしてこれじゃだめだ、これは会社側でもいまはっきり言いたいのですけれどもことばは濁しているけれども、これでやっていけないという意味でしょう。しかしながら、はっきりこれに対していま二百名の従業員の人が、もう自分の生命、生活がかかっているのです。アンケートを見た場合に、民間改組について実施した場合には、そっちへいきますか、いきませんか。二百名に対して、ただ十一名だけ参加してもよろしい。これはたった一人を除いて全部事務系統だというのです。ほとんどの人は、先細りで、心配で、どうにもならない、特殊法人の同じようなこういうような形態のほうへ自分は就職したいという希望を出したそうじゃありませんか。いま馬場さん、第三の、私が言った問題の中で、希望者があるならばこれは配転に協力するということになっていました。百十三か、いわば政府関係の特殊法人もあるでしょう。同じ形態のものは五十近くあるじゃありませんか。もし従業員をこういうような不安定なところへやらないで、一人ずつとっても全部これはもう解消する問題二人ずつとったならば余る、こういうような状態だったら、すべて責任は政府にあるのですから、政府のほうでそういうような措置をとってやるのも一つの便法だと思うのです。また便法どころか、解決案だと思うのです。いざとなったら責任を持ってやるべきだ、こう思いますが、その方面は十分決意していますか。
  133. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 まだ、会社意見もはっきり聞いてない改組案に対する段階でございまして、さような意見、それから株主等にもまだ明瞭に聞いておりませんので、さようなことを詰めて、できるだけ現段階では政府案でできるように努力したいと思います。  なお、従業員の他の公団への転出の問題でございますが、これもそういう時点になりましたならば、もちろん考慮をしてわれわれのできることは配慮したいと思います。   〔田邊委員「木村長官がこの間言ったじゃないか」と呼ぶ〕
  134. 島本虎三

    島本委員 いま田邊委員がちょっと申しましたが、前回の委員会で、木村長官が明確に三つの点を出して、やると言ったことなのです。この前あなたもこの場所でやると言ったのです。その意味は――詰められれば今度それは考慮する、こういうような考え方ではだめです。委員会を侮辱するような態度です。いけません。
  135. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 ちょっとことばが足りなかったかもしれませんが、もちろんやらないということじゃありませんで、ただ一人一人各公団に配るというようなことについて申し上げたのでございます。
  136. 島本虎三

    島本委員 これはまことに大事な問題で、いわゆる二回、三回となってくるとだんだん答弁が変わってくるということは、私は了解できません。木村長官がはっきり言明しました。前回は、馬場さんもこの点はっきりしています。今度の場合は、やはり改組案が出たならば、その点が少しずつぼけるということは、これは許されません。私はもう一人でも完全にしてやらない以上、改組案はこれは首切り案になるのです。こういうようなことではだめなんです。そういうような点から――二百名の人をかかえてこれは重大な問題なのです。長官の言明をそのまま実施させるのでなければなりませんし、これはもうすでに職を失う問題になってきたら、労働省だって黙っておるわけにいかないと思います。せっかくそこにおって、いままでのいきさつを全部知っている労働政務次官、こういうような重大な段階にきておりますので、この点労働省としての事、労働基本権に関する問題にもつながりますので、十分この点は見ておいてもらいたいと思います。  なお、政務次官の意見をこの際開陳してもらいたいと思います。
  137. 井村重雄

    ○井村政府委員 現時点において、労働省としてまだ発言する立場にはございませんが、しかしながら、私の感じではまだ話が十分煮詰まっていたいと存じております。おそらく開発庁でも、あるいは会社関係においても、これからの段階ではないか、十分まだ労使ともに話し合いをする余地があるだろうと存じます。しかし、木村長官が、決して不当なことはやらない、退職金等についても十分考慮する、また再就職についても、その他の政府機関へ配置転換をするというふうなことも十分考慮すると言っておられるのだから、これは信じられてけっこうだと存じます。
  138. 山本政弘

    ○山本(政)委員 次の質問者がおるようですからあれですけれども、次回に保留さしていただきまして、最後に馬場さんにお伺いしたいのですけれども民間改組、民間改組といっても政府資金が入るのですよ。公社とか公団ではないのですね。そうして政府が出資をして民間会社にするというのが、そういうものが法律的にあり得ますか、改組法によって。この点どうなのです。
  139. 馬場豊彦

    ○馬場(豊)政府委員 その点は検討いたしましたが、あり得るということでございます。
  140. 島本虎三

    島本委員 先ほど理事会における決定、これもございます。それとあわせてこの処置の問題、また木村長官との答弁のいろいろな相違もあるようです。私はこの問題に対して、結論を次回まで留保しておきたい。そうして次回にまたはっきりそろったところでこの結論を出してもらいたい、こう思いますので、私の質問を留保したまま終わります。
  141. 八田貞義

    八田委員長 矢島参考人にはいろいろ御意見をお述べいただき、ありがとうございました。  次に、田邊誠君。
  142. 田邊誠

    ○田邊委員 つい最近、群馬県の職安事務所で起こりました一連の汚職事件について、この際労働大臣以下の所信を承っておきたいと思います。  事件の概要は、時間の都合もございまするし、すでに新聞等で報道されておりまするから御案内のとおりでありますが、一職安事務所の若い所員が、旅行先で暴行事件を働いたということが端緒でありましたが、きわめて不幸でありまするけれども、私が予測したとおり、これが職安の汚職事件に発展をいたしました。しかも当時は、個人の暴行事件であるような印象を世間に与えておりました県の職安あるいは当該の職安事務所長等も、その後二転三転、その言明をひるがえしてまいっておる状況でございます。しかも、渋川職安事務所の中之条出張所だけの汚職事件と思っておりましたところが、昨日はついに前橋の職安事務所、沼田の職安事務所のそれぞれ課長が、収賄の容疑で逮捕されるという事態に立ち至りました。まことに遺憾きわまりない事件でございます。このまま発展をいたしますると、底なしの状態でこれは発展をするんじゃないかといわれておるのであります。地元の新聞等では、これは群馬県だけではなくて他の県にも波及することが必至であろうと実は報道いたしておるのでありまして、私どもがこのまま見のがすわけにいかない事態になってまいりました。しかも、近年求人難でございまして、いわば中小企業、零細企業の経営者は、若年労働力の不足から、中学卒業生や高校卒業生を求めることが非常に困難な時代である。こういう求人難につけ込んで、第一線の職安の担当官がその中小企業の経営者から金をもらうという事実が明らかになった今日において、私どもは、このことを労働省が黙っているわけにはいかないと思っておるわけでございますが、この事件に対して、一体大臣はいかようにお考えでございますか。もちろん、あとでどのような措置をとられるかについてはまたお伺いをいたしまするけれども、とりあえずこの事件に対して、あなたは一体どのようにお考えでありますか、所信を承りたいと思います。
  143. 小川平二

    ○小川国務大臣 今回の事件は、まことに遺憾に存じます。釈明の余地のない事件でありまして、責任を痛感いたしますると同時に、世間に対してまことにお恥ずかしく思っておるのでございます。  いまおことばにございましたように、最近においては労働力の需給がとりわけ逼迫いたしておりまするので、これに伴って当然各種の誘惑を受ける機会がふえてくるに違いない、かようなことが想像されましたので、今日まで機会あるごとに、あるいは通達により、あるいは各地の安定所長の会議等の機会に、あるいはまた職安では御承知のようにテレックスを使っておりますので、そのテレックスによりまして趣旨の徹底に努力をしてきておったのでございます。しかるに、今回のような事態を生じましたことはまことに遺憾でございます。申しわけなく存じておる次第でございます。
  144. 田邊誠

    ○田邊委員 これはいま司直の手で具体的な捜査をされておる段階でございますから、私はその内容について一つ一つ究明することはこの際は避けたいと思うのであります。ただ当初、労働省なりあるいは出先の県の職業安定課長あるいは渋川職安所長等は、いわば米山勝の単なる個人の暴行事件である、しかもこれは慰安旅行先で起こった、たまたま鐘紡の新町工場長以下と出会いをした、その中から起こった暴行事件である、実はこういう言いくるめをしておったのであります。もちろんこの慰安旅行自身も、事件が三月二日に発生いたしまして、まだ旅館の支払いが済まされておらない段階でありましたから、応急の措置として、職安側が約六万、鐘紡側が約六万、合計いたしまして約十二万、十一人で十二万、この金を払ったというふうに労働省からの資料を見ますとなっておるのでありますが、これもいまとなってはつじつまを合わせることだったというふうにわれわれは思わざるを得ないのであります。しかも中之条から渋川の職安へ、そして昨日は前橋と沼田の職安の各課長へ、こういうふうに波及してまいったのでありますが、一体職安局長、あなたは、この事件が起こりましてから――部下を信頼するという立場はもちろんけっこうでございましょうけれども、事実として起こりつつあるところのこの汚職に対して、具体的にどのような調査とどのような指示を下部に与えたのですか。
  145. 有馬元治

    ○有馬政府委員 今回の群馬の事件につきましては、先ほど大臣から御答弁がございましたように、まことに遺憾に存じております。三月二日に暴行傷害事件が起こりまして、これに端を発しまして御承知のような事件に発展しておりますが、これを機会に、三月六日には全国の職安機関に対しまして、綱紀の粛正について厳重な注意喚起の通達を出しております。さらに十二日におきましても同様な通達を出しまして、最近二十二日には全国の課長会議を招集いたしまして、綱紀の粛正についてとくと下部職員に浸透するように、そして二度とかかる不祥事件が起きないようにということを厳重に申し渡しました。現在、各県の職安課長が中心になりまして、安定所長以下の職員に趣旨の徹底、それからこういった不祥事件が起きないような予防措置をとるようにということを徹底させておる段階でございます。
  146. 田邊誠

    ○田邊委員 あなた、そういうことをおっしゃるけれども、あとでお聞きいたしますが、群馬行政監察局からの報告が行政管理庁に届いておるはずですけれども、その中には、自粛通達は回覧だけで済ましておるという報告がきておるのです。確かに六日なり三月十二日に庶務課長名をもって綱紀粛正に関する通達が出ておりますが、通達自身が回覧でもって回っているような状態では、それは綱紀粛正が徹底しているとはどうしても思えない、こういうことになると思うのであります。しかも、この中における群馬県の事件というのは「出張所職員と業者が、費用折半で合同レクリエーションを行ない、新聞紙上に大きく取り上げられたもの。」というふうになっておるのでありまして、その後事実は刻々変わっておるのでありますから、こんな通達を出しただけで事が済むと思ったら間違いだ、私はそう思うのであります。したがって、この種の問題が起こってたびたび通達が出ているようであります。さきに四十年の二月二十七日に同じく庶務課長通達で綱紀粛正についての趣旨が下部へいっておるわけですけれども、その通達がいま言ったような状態であることを行政監察局から報告をされているという事態。大臣、もう一片の通達だけでこの種のものが根絶されると思ったら間違いです。私は、部下を信用されるしないにかかわらず、いま事実問題としてこういう事態になっておるとすれば、これはやはり大臣自身が下部に対して、この問題に対して厳重な綱紀粛正の範を示す措置をとるべきじゃないか、こういうように思いますけれども、いかがでございますか。
  147. 小川平二

    ○小川国務大臣 綱紀の粛正につきましては、従来からも意を用いてまいったつもりでございますが、いま御指摘のようなまだまだ十分でない点があったかと存じます。今回のことを契機といたしまして、この際この趣旨を十分徹底させるために、いかなる方法をとったらよいか十分研究をいたしまして、効果のあがる方法であるという結論を得てこれを指示しなければならない、かように考えております。
  148. 田邊誠

    ○田邊委員 行政監察局から管理庁に報告が参っておると思うのですが、中身を新聞等で報道されておるので大略は承知しておるわけであります。いま時間がございませんし、大臣とのお約束もございますから、私は中身について一々御報告を求めることは避けますけれども、その第一番目は、労働省の人事管理上に欠陥がある、こういうふうに指摘をされておるのであります。監督権が知事にあり、人事権が労働省と県の職安課長にある、こういう形の中にいわば監督の不徹底というものがあるのではないか、こういう趣旨の報告がなされたと思うのですが、そのとおりですか。
  149. 諸永直

    ○諸永政府委員 実はけさ、その報告書が群馬行政監察局から到着いたしました。いろいろ書いてございますが、その原因と申しますか、行政上の欠陥に基づく問題点の一つとして、いわゆる地方事務官制の問題があげられております。
  150. 田邊誠

    ○田邊委員 労働省の職安局の課長談話という形で新聞に出ておるのを見ますと、この人事管理上の問題が汚職を生んだ原因ではない、現制度ではかえって労働省と知事が二重に職員を監視できる仕組みになっている、人事権を地方に移譲する考えはいまのところないという発言をしておるわけでありますけれども、群馬県の知事は非常に慎重な人なのであります。ところが、この神田知事ですらも、今度の事件を通じて、いわば人事権がなくて監督権だけであるという、このところに実はやりづらい点がある、私自身もひとつ労働省なり政府に対して、この制度上の欠陥に対する検討を願わなければならぬ、こういうきつい発言を実はいたしておるのであります。いわゆる現実に監督をしておる知事が、人事権を持たない監督権なんというのは、いわば半身不随なのであります。そういう状態監督が徹底をしない、こういうことを実は憂えておるのでありますけれども大臣いかがでございますか。もう数多くの職安があるわけですけれども、実際にそういった面における監督権、人事権、こういった問題の、いわば現在のような状態の欠陥というのを管理庁でも指摘をしておるわけですけれども、これについて再考を願わなくちゃいかぬ、こういうふうに思っておるわけですが、いかがでございますか。
  151. 小川平二

    ○小川国務大臣 職業安定行政が、ただいまの労働力需給の逼迫の状態を目の前にいたしまして、ますます全国的な規模で、統一的な企画のもとに展開されなければならないという、そういう必要性と関連いたしまして、私どもは現行の制度を直ちに改廃することは、よほど慎重でなければならないと考えておるわけでございます。ただいま御指摘のありました点につきましては、今回の事件にかんがみまして、ひとつ十分検討をしてみなければならない問題である、かように考えております。
  152. 田邊誠

    ○田邊委員 これは政府全体の問題でありますから、にわかにここでもってそれの是非について私は大臣に結論を求めようといたしませんけれども、いずれにいたしましても、現在の末端における職員の動向に対して、大臣あるいは職安局長がこれを把握できない、こういう状態というものは何らかの形で改善をしていただくことを私はぜひお願いをしなければならぬと思うのです。  それから、第二番目の監察局の報告は、所長の職員に対する指導監督の不徹底、こういうことをいわれておるわけであります。さっき申し上げた自主通達は回覧だけ。所長は職員の業務を常時見ておらない。求人求職の受理、職業紹介の事務処理は窓口の職員にまかせっぱなし。所長の決裁はきわめて形式的な事後承認、こういう形であることがいわれておるのであります。  第四番目にいわれておる、所長の研修が行なわれなければならぬにもかかわらず、群馬県は出張所を含めて十二の職安がありますけれども、現在所長の研修を行なっておるのは四人しかない、こういう状態だということなんであります。これはどうも労働省が知らぬのじゃないですか。  時間がございませんが、引き続き報告の第三番目に、職業安定監察官の業務について書いてございます。この職務権限等私は実はお聞きをしたかったのでありますが、これは省きます。ところが群馬県の監察官はたしか一名配置だと思うのです。ここ数年間実質的な活動をしていないというのであります。労働省から指示された監察事項を現地調査もしないで、電話で問い合わせて本省に報告しておるわけであります。四十一年度には県の職安課長がかわって報告をしておる、こういうのであります。一体何のために監察官というのは置いておるのですか。今度の事件が発生してから、県の職安課長なりこの職安監察官というのは一体どういうふうな対処をされたんですか。報告が来ておりますか。
  153. 有馬元治

    ○有馬政府委員 職安課長並びに監察官につきましては、今回の事件を中心といたしまして、第一線の安定所の業務の運営につきまして、特に失業保険金の管理運営等につきまして監察をいたしました。私どもの手元にも報告が逐次参っております。
  154. 田邊誠

    ○田邊委員 その内容はいま申し上げたようなことなんであります。ですから大臣にお聞きします。大臣、お聞きになっておわかりのとおり、県の職安の責任者、それから各職安の事務所長等を通じて、実はいままでの仕事というものがいかにもルーズであり、いかにもいわば監督が不行き届きである、こういうことが行政管理庁からいわれておるわけでございまして、これはけさ報告があったようでございますから、大臣も見ておらないかと思いますので、ひとつぜひこれを見て十分な検討をしていただく中で、現在の機構の中でも、県の職安課長なり各所長なりが十分日常業務を正常に運行され、部下の監督が行き届くように特別な配慮が至当であろう。この職業安定監察官の仕事に対しても、私は、その機能を十分発揮しなければならぬ、こういうように思っておるわけでございまして、大臣の所見をひとつ承っておきたいと思います。
  155. 小川平二

    ○小川国務大臣 御指摘のございました諸点については、まことに私もお恥ずかしく存じます。その点十分反省をいたすつもりでございます。
  156. 田邊誠

    ○田邊委員 時間もございませんので、実はこの問題、突っ込んで質問する時間がたいへん少ないので恐縮でございますが、もう一点だけお聞きをします。  中之条の新井所長、浅見事務官が逮捕されまして書類が押収をされましたところが、この中之条の出張所でもって、失業保険の不正受給に対する返納金の処理がなされておらない、こういう事実か判明したようであります。二十六件、十九万七千円のものが金庫に保管中である。しかも昨年十月九日の事務監査を受けた当日に納入をしてから以後、納入した形跡がない。御案内のとおり、これは最高三千円以内のものであっても十五日以内に国庫に納入しなければならない、三万円以上だった場合には翌日に納入しなければならない、こういう形になっておるわけでございますけれども、これが半年にわたって国庫に納入された形跡がない、こういうことがいわれておるわけでございまするけれども、一体これに対してどういうような事務処理を現在までとってきたんですか。
  157. 有馬元治

    ○有馬政府委員 御指摘のように、中之条の出張所におきまして、二十六件、現金十九万七千百四十円、これが警察の手で押収されたのでございますが、これは失業保険の不正受給にかかる支給金の返還金でございまして、手元にこのような多額の金額が残っておったということは、これは非常に遺憾でございまして、会計規程上は翌日ないし翌々日には国庫へ払い込むという手続をとらなければなりませんところを、手元にかかる大金が保管されておったということはたいへん遺憾でございます。私どもとしましては、さっそく返還命令と支給台帳との照合をいたしまして、一件一件これを点検いたしたのでございますが、この二十六件、十九万七千瀞四十円につきましては、全部各人別の封筒に入っておりまして、領収の年月日もわかっておりますので、この件についての不正は私どもはないというふうに見ておりますが、このほかにあるのではないかというふうな観点から、再度調査をいたしまして、この事案については徹底的に究明いたしてみたい、かように考えております。
  158. 田邊誠

    ○田邊委員 汚職は起こる、事務処理はなっていない、内外ともに言うところないですね、これは。しかもこれが中之条だけに限って行なわれておったのなら、まだ私は申し開きも立つと思うのですよ、国民に対して。いまや群馬県内各地にこの問題が波及している、こういう事実が明らかになりました。私は、行政管理庁の局長がわざわざお見えで、きょう実は逐一報告を承りたかったのでございますが、時間がございませんでたいへん恐縮でありましたが、ぜひこの報告に基づいて管理庁としてとるべき措置として、労働省に対して、勧告なり指示なりあるいは要請なりをしてもらいたいと思っておるわけでございまして、そういう措置をとっていただくものと確信をいたしますが、いかがでありますか。
  159. 諸永直

    ○諸永政府委員 本日報告書を受け取りましたので、中央のほうといたしましても十分検討いたしまして、なお、労働省とも十分協議をいたしまして、適切な措置をとりたいと考えております。
  160. 田邊誠

    ○田邊委員 局長、それで、時間もございませんから、ひとつ私、この群馬行政監察局からの報告書を委員長を通じて御提出を願いたい、こう思いますが、いかがですか。
  161. 諸永直

    ○諸永政府委員 後刻提出いたします。
  162. 田邊誠

    ○田邊委員 この事件の内容についてよりも、この事件の意味するもの、これは私は非常に重要だろうと思うのです。何といっても、全国各地でもって、零細な企業を相手にして求職、求人を取り扱う、その立場の者が、こういうような事件を起こしていることに対して、私はまことに嘆かわしい次第だろうと考えるわけでございまして、この際ひとつ労働省なり職業安定局なり、これを一つの警鐘として、今後絶対にこの種のことが起こらないような万全の措置をとってもらいたいと私は思うのです。私も、こういう資問を再び繰り返すことがあることは非常に遺憾に思いますので、ぜひひとつ大臣とも協議をされて、それぞれの措置をとっていただくことを希望して、その状態を、またできるならば逐一御報告を賜わりたいと考えるわけでありまして、即刻の御処置をひとつお願いいたしまして、きわめて簡単でありまするけれども、質問を終わります。
  163. 八田貞義

    八田委員長 次回は明後二十八日午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。午後一時三十七分散会