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1968-03-05 第58回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月五日(火曜日)    午前十時十五分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 小沢 辰男君 理事 佐々木義武君    理事 竹内 黎一君 理事 橋本龍太郎君    理事 藤本 孝雄君 理事 河野  正君    理事 田邊  誠君       齋藤 邦吉者    澁谷 直藏君       中野 四郎君    中山 マサ君       増岡 博之君   三ツ林弥太郎君       箕輪  登君    粟山  秀君       渡辺  肇君    枝村 要作君       加藤 万吉君    後藤 俊男君       島本 虎三君    西風  勲君       平等 文成君    八木  昇君       山田 耻目君    山本 政弘君       本島百合子君    大橋 敏雄君       伏木 和雄君    關谷 勝利君  出席国務大臣         労 働 大 臣 小川 平二君  出席政府委員         郵政政務次官  高橋清一郎君         郵政省郵務局長 曾山 克巳君         郵政省人事局長 山本  博君         労働政務次官  井村 重雄君         労働大臣官房長 石黒 拓爾君         労働省労政局長 松永 正男君         労働省労働基準         局長      村上 茂利君         労働省職業安定         局長      有馬 元治君  委員外出席者         専  門  員 安中 忠雄君     ————————————— 三月二日  委員井上普方辞任につき、その補欠として西  風勲君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員伏木和雄辞任につき、その補欠として浅  井美幸君が議長指名委員に選任された。 同日  委員浅井美幸辞任につき、その補欠として伏  木和雄君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月一日  日本沿岸沈没艦船に関する請願大橋武夫君  紹介)(第一八七六号)  せき髄損傷障害者援護に関する請願外十件(  小林信一紹介)(第一八七七号)  同(平林剛紹介)(第二〇六三号)  外傷性せき髄損傷障害者援護に関する請願外  八件(小林信一紹介)(第一八七八号)  同(佐々木更三君紹介)(第一九七三号)  同(北山愛郎紹介)(第二〇六一号)  同(平林剛紹介)(第二〇六二号)  バーテンダー資格法制定に関する請願坪川信  三君紹介)(第一八七九号)  クリーニング所適正配置に関する請願(田中  榮一君紹介)(第一八九六号)  同(羽田武嗣郎紹介)(第二〇六八号)  各種福祉年金併給限度撤廃に関する請願(上  林山榮吉紹介)(第一九七〇号)  同外十一件(久保田円次紹介)(第一九七一  号)  満蒙開拓死没者遺家族援護に関する請願(小  坂善太郎紹介)(第一九七二号)  ソ連長期抑留者の処遇に関する請願外十二件  (地崎宇三郎紹介)(第一九七四号)  同(浦野幸男紹介)(第二〇五九号)  同外三件(原田憲紹介)(第二〇六〇号)  柔道整復師法制定に関する請願井原岸高君紹  介)(第一九七五号)  同(永末英一紹介)(第一九七六号)  同(谷川和穗紹介)(第二〇六四号)  日雇労働者健康保険廃止反対等に関する請願  (山本政弘紹介)(第一九七七号)  老齢福祉年金増額に関する請願藤井勝志君紹  介)(第二〇六五号)  老齢者生活保障に関する請願藤井勝志君紹  介)(第二〇六六号)  老齢福祉年金増額等に関する請願丹羽喬四  郎君紹介)(第二〇六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正  する法律案内閣提出第四二号)  労働関係基本施策に関する件(郵政省におけ  る労働問題及び雇用対策に関する問題)      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出駐留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案議題とし、審査を進めます。     —————————————
  3. 八田貞義

    八田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。労働大臣小川平二君。
  4. 小川平二

    小川国務大臣 ただいま議題となりました柱留軍関係離職者等臨時措置法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  駐留軍関係離職者につきましては、昭和三十三年五月駐留軍関係離職者等臨時措置法制定以来、同法に基づき、これらの者の生活の安定をはかるため、その対策強化につとめてきたところであります、しかしながら、駐留軍関係離職者は今後もなお相当数発生するものと予想され、これらの者の再就職促進することが必要でありますので、昨年十二月に出された駐留軍関係離職者対策審議会の答申の趣旨に沿ってこれらの者の再就職援護対策強化するとともに、駐留軍関係離職者等臨時措置法有効期間を延長し、あわせて身体障害者その他の労働者就職を援助するため、この法律案提出した次第であります。  次にこの法律案内容の概略を御説明申し上げます。  第一は、駐留軍関係離職者に対して雇用促進事業団が行なう援護業務拡充であります。雇用促進事業団は、従来の援護業務のほか、新たに駐留軍関係離職者の再就職促進及びその生活の安定に関し必要な業務を行ない得ることとし、離職者実情に適応した業務を適時適切に行なわせようとするものであります。また、これに関連して、今回新たに支給することとする自営支度金に相当する給付金については、従来の自営支度金と同様これを標準として租税その他の公課は課さないこととしております。  第二は、駐留軍関係離職者等臨時措置法有効期間の延長であります。駐留軍関係離職者等臨時措置法は、本年五月十七日以降効力を失なうこととなりますが、駐留軍関係離職者発生状況にかんがみ、有効期間をさらに五年間延長することとしております。  第三は、雇用促進事業団が行なう一般業務拡充であります。雇用促進事業団は、労働者雇用促進するための業務を行なっておりますが、身体障害者その他の労働者一般についても、駐留軍関係離職者対策と同様、労働者実情に応じて従来の業務のほか就職の援助に関し必要な措置を適時適切に行ない得るようにするものであります。  以上この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げました。  何とぞ慎重に御審議の土すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。      ————◇—————
  5. 八田貞義

    八田委員長 次に、労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、 これを許します。島本虎三君。
  6. 島本虎三

    島本委員 私いまここで質問しようと思いますのは労働省並び郵政省についてでありまして、その概要は、最近発生、勃発しておりますところの郵政関係不当労働行為類似の事件、それに対しましての官側態度、これを法的にあるいは行政的に解明してみたい、こういうふうに思うわけでございますから、これはある場合には具体的になりますけれども、的確にお答え願いたいと思います。  まず郵政省にお伺いしたいと思います。最近の郵政省当局の傾向を見ますと、全逓との労使の関係をわれわれが調査に行く場合、地方郵政局側では、何かしら国会議員に対して故意に避けようとするのか、または礼を失すると思われるようなことが一再ならずあるわけでございまするけれども郵政省としては、この全逓関係とのいろいろな問題の調査に対して、特に国会議員に対しては、思い当たること、または意識することがあるのでございますか。まずこの点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  7. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 大臣予算委員会に出ておりますので、お許しを願いたいと思います。  いやしくも国会議員各省視察の場合、特にいまお話ございましたように、郵政省におきましては、国民生活と密接不可分な日常業務を行なっておりますので、その事業内容、特に労働組合、いわゆる全逓との友好といいますか、日常の密接な関係を強く保持いたしまして遺憾なきを期したいということにつきましては、両方とも当然強く認め合っておる実情でございますことは御存じのとおりでございます。したがいまして、そうした業務内容について、その事象事象をとらえまして、事あるごとに国民の代表である国会議員が歴訪し、つぶさにその間の実情を踏査しようというようなおもんぱかりのもとに出張され、御視察賜わります等の場合には、懇切丁寧に応答するということは当然とるべき態度であります。私、寡聞でございますけれども、今日までは、先生お話しのような事実、いやしくもこの常任委員会の席上においてお述べになりますような内容は、存知いたしておりません。事務当局で事前に打ち合わせて、本日いろいろ御質問に相なる内容等につきましても、ちょっと聞いてまいったのでありまするけれども、われわれとしましては、全然知らない、現地等からの情報も入っておらないということを、わきまえておる次第でございます。
  8. 島本虎三

    島本委員 そういうことはないと思います。去年の夏、大阪郵政局へわれわれが参議院の人と一緒に参りましたが、外が喧騒であるからということで会わないことが一回ありました。これは郵政省当局で十分知っているはずです。また今回、二月の五日に仙台郵政局へ参りました。行く前には、山本人事局長曾山郵務局長それぞれを通じまして、事大事であるから局長にもおっていただきたいということを念達して参りました。しかし行ってみますと、局長はじめだれもおりません。ただ一人人事部長のみがおったわけであります。そうすると、こっちから言ってあることを守らないのか、言わないのか、われわれを軽んじているのか、いずれかでございましょう。そういうことがないといったってあったのですから、これはどういたしましょう。
  9. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 いまおことばの中に、曾山郵務局長という名前が出ましたので、そこに同行しておりましたとするならば、その間の実情についてある程度知っていることがあると思いますから、、じかにその場におりました局長のほうからお答えさせたいと思います。
  10. 山本博

    山本(博)政府委員 私どものほうが所管でございますので、私よりお答え申し上げます。  ただいまお話がありました全逓との関係におきまして、いろいろ率直に申し上げましてトラブルが起こることがございます。トラブルが起こりました後に、この問題について国会議員の、特に野党の先生方がこれを調査に行かれることがございます。私のほうが地方に対しまして指導いたしておりますのは、正式の国政調査という形で出向かれる場合と、それからそうでない場合と、これはおのずから区別がございます。ただいま御指摘になりました場合は、大体後者でございます。したがいまして、地方連絡をいたしますときには、国会議員の方々が行かれるのであるから、礼を失することのないようにということについては、十分連絡はいたしております。行き違いがないように、資料提出とか、あるいは視察をされるときの郵便局あるいは郵政局の中の勤務時間中の調査のしかた、そういうものについて、私のほうからのいわばお願いというようなことは、あらかじめ窓口を通じて申し上げてあるのでございます。  いま、大阪の場合あるいは仙台の場合、御指摘ありましたけれども、結果といたしまして、大阪の場合は、多数のデモ隊の包囲のさなかでございましたので、これは礼を失しないしかたでお断わりを申し上げたと思っております。仙台の場合は、これはなるほど郵政局長が、表彰式がございまして、そちらに出向いておった、代理といたしまして人事部長が残っておった。この点につきましても、あらかじめ窓口を通じて御連絡を十分申し上げたつもりでございまして、それが十分徹底いたさなかったということでありましたら、これはまことに遺憾なことだと思います。
  11. 島本虎三

    島本委員 こういうようなことはあまり申し上げたくはないのです。しかしながら、やはり行く前に私どものほうでそれを通じて言っているのだから、もしもそういう事情があったならば、直接私どものほうに言っていただきたいのです。それを間接にどなたかに言ったって、こちらには通じない場合もありましょう。そういうやり方でやったからいいのだ、もしこういう考え方だとすると、それは国会議員を侮辱したことになります。それはいけません。それはやはり本人が言ったなら本人に返すのがあたりまえじゃありませんか。私は聞いておらないのです。  表彰式があったといいますが、その表形式はどこであったのですか。
  12. 山本博

    山本(博)政府委員 郡山でございます。
  13. 島本虎三

    島本委員 郡山に間違いありませんか。飯坂温泉ではございませんか。
  14. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいまの私の発言は、飯坂だそうでございますので、門違いであります。
  15. 島本虎三

    島本委員 そういうようなことはいけません。飯坂温泉表彰式があるために会えないというのですか。郵政省では表彰式温泉でやるようなことになっているのですか。
  16. 山本博

    山本(博)政府委員 原則といたしましては、そういうことになっておりません。したがいまして、仙台以外の郵政局では、全部郵政局所在地で行なっていると思います。ただ仙台の場合は、従来淡彩をするのに適当な場所といたしまして、仙台市内を用いないで飯坂を用いていた例が間々ございます。私は、その従来の例をもって飯坂でやったというふうに聞いております。
  17. 島本虎三

    島本委員 それに郵政政務次官も出る予定になっておったということを聞いておりますが、出ましたか。
  18. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 緊急の用がありまして出ませんでした。
  19. 島本虎三

    島本委員 私どものほうでは、表彰式に対して云々言うのではありません。やはりその場合には、誠意を持ってこれは念達するなり答えるなりしてもらいたい。そういう事態のために会えない、また会った人もわれわれの聞くことに対して不十分な答弁しかできない、これではまさに侮辱されたと同じではございませんか。これは私どもとしてば不愉快です。今後こんなことのないように十分注意していただきたいと思います。  それともう一つは、四十三年二月五日ですけれども、八時四十分ころ、私ほか参議院議員森勝治村田秀三北村暢渡辺勘吉鈴木力さん、これらの人と一緒調査に参りました。その際、郵便局長室の中でわれわれに対して八ミリのカメラを向けて一人一人撮影したのですが、これは何のために撮影したのですか。
  20. 山本博

    山本(博)政府委員 それは、平常郵便局では名士の方があまりおいでになりませんので、名士の方がおいでになるときには写真をとる、それで後ほど郵便局長室アルバムに入れておくということを、従来一般郵便局ではいたしております。たとえば本省の課長が行ったとか、局長が行ったとか、あるいは郵政局長が行ったとか、そういうときには全部アルバムの中に納めてございます。これは決して他意があっていたしたことではないと存じます。
  21. 島本虎三

    島本委員 失言です、それは。他意があってやったのでなければ、敬意を表して撮影するのに、何のために撮影したのだと言われたら、それを全部焼いてしまったじゃありませんか。ほごにしてしまったじゃありませんか。敬意を表して撮影をするのに、何のためにやったのだと言ったら、理由を説明しないですぐそれをほごにしてしまうのは、これはどういうことですか。敬意を表してやったのじゃないです。われわれをもう犯罪者とみなして、そのための撮影じゃないのですか。そういう考え方じゃないのですか。現場ではこういうことをしているのです。そうしてそれをやらしたのが郵便局長じゃないのです。仙台から行った人事部課長補佐です。こういうような人がやらしているのです。郵便局長の上にまた仙台郵政局のほうからそれを指導する職制はあるのですか。
  22. 山本博

    山本(博)政府委員 写真をとることについては、何も職制上の権限もございません。もしあるといたしましたら、単なる助言にしかすぎないのであります。
  23. 島本虎三

    島本委員 厚真をとるのはわれわれだけじゃないのです。郵便局員のほうにも、ちゃんと作業をする一人一人に向けて、一人に六回くらいとった事実も発見したのです。わかったのです。それは何だ。従業員監視労働だと言っているのです。  労働省に伺いたいのですが、監視労働は認められていますか。
  24. 村上茂利

    村上(茂)政府委員 お尋ねの監視労働意味がちょっとわからないのでございますが、たとえば労働基準法上の問題といたしましてどのようなことに当たりますか、具体的でございませんとちょっとお答えいたしかねます。
  25. 島本虎三

    島本委員 労働省もそういうようなことじゃだめです。もうすでに事務次官のほうと私のほうでは、私この問題を聞いて十分調べてあるのです。これは労働基準法第五条にありませんか。この中には、「使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。」とあるのです。強制してはならないのです。精神的なものでもだめだということにたっているのです。うしろから撮影をして、少しでも働かなければ処分だぞという、これがいわゆる監視労働に通じないのですか。山本人事局長どうですか。
  26. 山本博

    山本(博)政府委員 私も、監視労働という御指摘内容がどういうものか、ただいまはっきりいたしませんが、大船渡郵便局でもしごらんになった例といたしますと、実は大船渡郵便局は、八月十三日の処分発令後はもちろんでございますが、処分発令以前から、これは他の郵便局に比べまして著しく業務困難の局でございまして、開局以来郵便物の帯留が絶えたことがございません。郵政局としても、かねていろいろな面で指導をいたしたりあるいは実地に調査をいたしまして、ほんとうに集配区が妥当であるのか、定員の配置が妥当であるのか、こういうことについて随時調査をいたしておりましたが、滞留物数が特に多くなりました最近におきまして、そういう実情を調べる意味で局の中に郵政局員が出向いておるということはございます。そういう点、うしろ作業状況を調べるというようなことはあったと思いますが、監視つき労働させるということではないと思います。
  27. 島本虎三

    島本委員 監視つき労働じゃないのなら、うしろから声をかけて、仕事をしなければ処分だぞ、このばかろう、こういうようなことはどういうような意味ですか。精神的な圧迫を与える言動ではありませんか。もしそういうようなことをやっていたとすると妥当だと思いますか、局長
  28. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいまおっしゃったようなことをそのまましておるとしますと、妥当ではございません。
  29. 島本虎三

    島本委員 妥当じゃないのです。そうして労働者に対してデンスケろうということばを使っているんです。どういうような状態であっても、従業員または組合員に対して、上司が、このデンスケろうばかろう、こういうようなことは使うことばですか。使ったとしたならば、いままで事実知らなかったんですか。知っていて黙っていたんですか。これをまず伺っておきたい。
  30. 山本博

    山本(博)政府委員 確かにいまおっしゃったようなことばを吐いたということを承知いたしております。その発言をした状況を調べてみましたら、それ以前に従業員側からもっと激しいいろいろなことばがたくさん発言されておりまして、それに対して、いまおっしゃったようなことばをいわば反射的に吐いたというようなことでございます。しかし、ただいま御指摘になりましたように、従業員側がどういうような発言をいたしたにせよ、管理者側がそういうことばを使うというのは穏当でございませんので、これは郵政局を通じて注意をいたしております。
  31. 島本虎三

    島本委員 これはほんの一、二の例ですが、当時の言動を全部調べあげますと、これ以上のことばもあります。しかしながら、やはり誘発されたと思われる点もありますからそれは伏せておいて、このデンスケろうばかろうは、これは使うべきことばじゃありません。管理者としての欠格条件一つになるのじゃありませんか、こういうようなことばを使うことは。そういうようなのが管理者として現存しているということは、これは許せないと思います。  大船渡ば最近まで慢性遅配局だ、こういうようなことを聞いておるのですが、いまもそのとおりですか。
  32. 曾山克巳

    曾山政府委員 去年の年末まではさような状況でございました。また処分が行なわれました以降は平静化いたしまして、ただいまのところ目立った遅配はないようでございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 処分を行なったあとはたいした遅配はない、こういうようなことですか。
  34. 曾山克巳

    曾山政府委員 そのとおりでございます。
  35. 島本虎三

    島本委員 処分をしなければ慢性遅配局であるということですか。
  36. 曾山克巳

    曾山政府委員 いろいろ先生方お話はございますけれども大船渡郵便局は、過去数年にわたりまして非常に成績の悪い局でございました。また昨年の年末におきましても、御承知のように全国年賀郵便物元旦持ち出し率はほとんど一〇〇%であったのでございますが、大船渡郵便局元旦配達すべき郵便物の七五%しか配達しておらないという状況でございます。
  37. 島本虎三

    島本委員 いまの答弁の中で、私としてはまことに聞くにたえないことばがあります。委員長はこれをどう聞いたかわかりませんが、処分をしたらこれが慢性遅配局でなくなった、こういうような印象を私は受けました。もしそうだとすると、これは取り消さなければ、これだけの問題で私は追及しなければなりません。(「だめだ、だめだ、ちょっと待て」と呼ぶ者あり)委員長、この問題許されません。
  38. 八田貞義

    八田委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止
  39. 八田貞義

    八田委員長 速記を始めて。  ただいまの郵務局長答弁誤解を招いたようでありまするから、委員長として再答弁を求めます。
  40. 曾山克巳

    曾山政府委員 私の答弁が簡単でありまして誤解を招いたことをおわびいたします。  先ほど申し上げましたのは、私の趣旨といたしましては、最近におきましては、管理者並び従業員ともども相協力いたしまして、国民のために郵便物配達の完全な運行をはかろうということで、協力一致いたしましてよくなってきているということを申し上げたわけでございます。さような趣旨に御理解願いたいと思います。
  41. 島本虎三

    島本委員 私はいまの答弁ならば、あえて次のことを参考として申し上げておきたいのです。これはあなた十分知っているはずです。  大船渡郵便局、これは昭和三十六年に統合されて集配局になった局です。そうしてこれがその時点から慢性的な郵便遅配発生しておるのです。そして当局は、増員三名、もっぱら労働強化、こういう方法で配送につとめておったわけです。三十五年のあのチリ地震津波、これで郵便関係資料が流出しているのです。それでも局員の人は自分の勘や足にたよって配送につとめてきて七年間、管理者居住者名簿をつくりましたか。郵便配達地図をつくりましたか。音別区分表をつくりましたか。三段式カードをつくりましたか。こういうような官制が当然やらなければならないのを、七年間もほったらかしてあるのです。そしてもっぱらうしろから強制的に、労働せい、労働せい、働け働けと、いわゆる監視労働と呼ばれるようなやり方に終始してきたのです。しかしやはりこれじゃだめだということで、この四つをいま協力の上でつくり上げたじゃありませんか。だからなくなってきつつあるじゃありませんか。七年間やるべき仕事をやらなかった局長責任はどうなるのですか。まず私ば曾山さんにこの点をお聞きしたいのです。これは責任をとられなくてもいいものなんですか。
  42. 曾山克巳

    曾山政府委員 おっしゃいますように、三十六年以降、管理者並び従業員ともども努力をしたわけでございます。私どもといたしましては、全国的並び仙台管内ほとんどの局におきまして、ただいま先生が御指摘になりました配達関係の諸資料の整備につとめてきたわけでございますが、ただ残念なことに、大船渡並びに他の数局におきましては、その点が今日まで完全でございませんでした。それは、チリ地震におきます諸資料の散逸ということのほかに、いろいろな困難な事情があったようでございます。ただ、さように申しましても、やはり管理者としましては、そういう困難な労務事情があろうとも、万難を排して諸資料の整備につとめるべきことはもちろんでございますので、さような線におきまして私ども管理者も従来もつとめてまいりましたが、今後も努力してまいりたいと思います。先生指摘になりましたように、最近におきましては両者の協力によりまして、そういうような資料の整備も着々できつつあることは事実でございます。
  43. 島本虎三

    島本委員 こういうような状態で慢性遅配がなくなったのは、労働組合労働者との協力のたまものじゃありませんか。それをもう処分したから云々というような考え方にもし立つとすると、これは重大な間違いになるのです。その考え方は改めなければいけません。これは労使間の信頼感、こういうようなものがおそらくはもう失われた結果発生した事態じゃないかと思いますが、こういうような点はありませんか。まず曾山さん。
  44. 曾山克巳

    曾山政府委員 率直に申しまして、過去におきましては、先ほど人事局長からもお話がありましたが、私どもといたしましては、管理者の手だけではどうすることもできないいろいろ困難な事態があったことは事実でございます。ただ、最近におきましては、先生指摘のとおり、せっかく努力をしようという管理者従業員との一致した協力が芽ばえつつございますので、それをさらに伸ばしていきたい、業務責任者といたしましてはさように考えておる次第でございます。
  45. 島本虎三

    島本委員 こういうような信頼感を欠かせるようなやり方官側がとっているということは、私は遺憾にたえないと思います。そういうような事実が一、二あるのです。しかし、こういうようなことでは正常な業務の運行を期し得られないと思います。  あのチリ地震津波の際いろいろ苦労されたその労苦に対して三万円、これは昭和三十六年の四月二十日の逓信記念日に現地に送ってありますが、こういうような記念すべき日に表彰された従業員、こういうようなものの使途がうまくいっておりますか。
  46. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいま御指摘のございましたチリ地震の際の三万円の件でございますが、これは郵政大臣が、チリ津波の際に、この郵便局は非常に適切な処置がとられたということで団体表彰をいたしたわけでございます。その際の賞金が三万円あったわけでございまますが、当時局長と組合との間に、この三万円の使途につきまして意見の一致を見ませんでした。組合のほうの主張は、これはすべて組合に一任すべきであるという主張でございました。局長のほうは、郵便局という立場もありますので、いろいろ協力をしてもらっている町の人々も含めてこの金を使いたいということで、意見が一致を見ないまま、結局局長の側、いわば郵便局側は、付近の各方面の方々、特定局長も含めまして、郵便局業務に協力をしてくださっておられる方々を招待いたしまして祝賀会を開いたということでございます。その費用が約半分かかりました。残りの半分は組合側に渡したという結果になっております。これは両者が一致してできなかったということば残念でございますけれども、その当時の事情としてはそういうことになった次第でございます。
  47. 島本虎三

    島本委員 こういうようにして表彰を受けたその功労金、こういうようなもので労使ともに一致しないなんということは、全国的に他の局にありましたか。これは知っていたならばちょっとお聞きしたいのですが、そういうことは私はあり得ないと思うのです。なぜこれがあったのか、問題はその辺にあるのじゃないかと思うのです。ほかの局で、表彰を受けたその賞金の使途で労使意見が一致しなかったというようなことはありますか。
  48. 山本博

    山本(博)政府委員 私は全国全部調べたわけではございませんが、話をお互いにいたしまして、大体どちらかの意見にどちらかが同調する、あるいは両方で話し合いをして、どちらかが歩み寄ってきめるというのが通例でございまして、こういう例はそんなにたくさんはないと存じます。
  49. 島本虎三

    島本委員 これは大船渡以外にはないと思います。そうたくさんないと言われるが、大船渡以外にはないのです。こういうことこそ阻害の原因の一つなんです。話し合いを十分つけて——そのために一カ月、二カ月待ったって、利子はふえても減る理由はないのですから、なぜ話し合いの努力をしないのです。自分らだけでやってしまう、あとは業務命令を出して働かせればいい、こういう犬やネコを使うような考えでもしやるとしたならば、こういう結果が発生するのは当然じゃありませんか。そして一万五千円、これはもうすでにおまえらにやったからかってに使え、半分はわれわれが使うのだ。そして中には関係がなかったと思われる人まで連れてきて飲んだ、この印象がまた悪くなっているじゃありませんか。こういうようなやり方をして、これで円満な業務をやろうとする局長考え方は、私は円満な善良な管理者としての欠格条件を備えていると思うのです。それを黙って指導してきたのはどなたなんですか。仙台郵政局ですか。私は、そういうような点が今回いろいろ処分を生む原因の一つになっておる、こういうように思ってまことに残念なんです。そしてこれは円満に解決しておりますか。
  50. 山本博

    山本(博)政府委員 このチリ地震の関係につきましては、局側と組合側とではその後話をいたしまして、円満に事が済んでおるはずでございます。
  51. 島本虎三

    島本委員 では円満に済んでいるのですね。そうであるならば、もう質問はこれでやめます。
  52. 山本博

    山本(博)政府委員 円満に話がついておると私は報告を受けております。
  53. 島本虎三

    島本委員 それは円満に話はついていないと思います。ただ一方的によこしたから、それを通帳に組み入れてまだ保管してある。こういうような状態です。円満に解決をしたという報告はどこから来ましたか。
  54. 山本博

    山本(博)政府委員 仙台郵政局から受けました。
  55. 島本虎三

    島本委員 だから、その郵政局の報告の、円満に解決したかどうかを調べましたか。ただその報告どおりに、あなたはもうこの神聖な国会のほうに、円満に解決をしたということを報告するのですか。
  56. 山本博

    山本(博)政府委員 仙台郵政局に、大船渡連絡をしましてこの問題について報告を求めさせました。それで、それについての真偽を十分確かめさせた上で、私のほううに報告を出させました。私はその報告をそのまま申し上げる結果になります。もし間違っておりましたら私の責任でございます。
  57. 島本虎三

    島本委員 これはもう一回調べて、私はその結果を報告してもらいたいと思います。電話もあることですし、すぐやって、質問が終わるまでの間にこれを報告してください。私はまだこれは終わっていないと思います。  私は次に、処分された問題について少しお伺いしたいと思うのです。今回のこの処分はどういうような処分でございますか。
  58. 山本博

    山本(博)政府委員 今回の処分と申されますのは大船渡の問題だと存じますが、大船渡郵政局処分いたしましたのは、これは昨年末に全逓の年末闘争がございました。そのおり大船渡郵便局で、これは私は労働組合運動というものではなくて、むしろ個々の職員が管理者との間に起こしました傷害事件だととっておりますが、その傷害事件に対して処分をいたしたのが内容でございます。
  59. 島本虎三

    島本委員 これは中には懲戒免、こういうのもあるようですけれども、少なくとも免職にする以上、その理由等については十分納得の上で、本人にも納得させてそれをやったのじゃないかと思いますが、そういう手続は十分してありますか。
  60. 山本博

    山本(博)政府委員 処分を発令いたしますときには、本人に事前には了解を求めるということはいたしておりません。処分発令の際に、その内容理由というものを本人に伝達をするという形をとっております。
  61. 島本虎三

    島本委員 本人にこれは十分伝達いたしましたか。
  62. 山本博

    山本(博)政府委員 本人に、本人処分理由というものを説明する書類を渡してございます。
  63. 島本虎三

    島本委員 書類を渡しただけで本人は納得したかどうか。また、本人の家族にこういうようなことを十分知らせるような努力をしたかどうか。これが私は知りたいのですが、どうなんですか。これを送ってやっただけで首ですか。それとも、こういうわけですよというふうに言ってやったのですか。これは首ですよ、重大な問題を、一片の紙を送ってやって、これであとはいいんだというような考え方に立つならば、私は納得できない。これはどういうふうな方法でしたか。
  64. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいま申し上げましたように、本人処分理由の説明書を渡す、あるいは本人が受け取りを拒否いたしますと郵送をするという形で処理いたしております。家族に対しましては、特段の措置をその際するということはいたしておりません。
  65. 島本虎三

    島本委員 現地では、家族が、どういう理由ですか、こう聞きに行ったのに対しても、局長は全然会っていませんが、なぜ会わないんですか。なぜ説明できないのですか。
  66. 山本博

    山本(博)政府委員 そこの付近の事情を私つまびらかに存じておりませんが、たとえばこれは私の推測で、あるいは間違いであるかもしれませんので間違いであればこれは取り消しますが、本人が一人で局長に面会に来られて、事情の説明ということを求められたなら、私は局長は当然それに応ずべきであると思います。ただ、いわば抗議活動という形で、非常にたくさんの方と一緒郵便局に押しかけてこられるというようなときには、お一人でおいでくださいという形で御返事をするのじゃないか。その場合はあり得るというふうに存じます。
  67. 島本虎三

    島本委員 そういうような場合、お一人で来てください、また何時に来てください、こういうふうな方法を用いましたか。
  68. 山本博

    山本(博)政府委員 そこまで調べが行き届いておりません。
  69. 島本虎三

    島本委員 これは重大なんです。家族が会いに行っても会わないのです。本人が行っても本人にも会わないんです。ただこれをやったから、これでいいんだ、こういうような考え方なんです。また、その中に書いてある理由は、納得できないような抽象的な理由なんです。だから本人がそれを聞きに行ったら会わない、こういうようなやり方はまさに悪代官の標本みたいなやり方じゃありませんか。もっと親切にこれは教えてやれないのですか。家族にもこれは言えないのですか。家族ですよ。家族はどういたします。局長のところに、おろおろして聞きに行っているんです。どうなんですか。おまえに会う必要はない、これがいわゆる局長態度でいいのですか。もし喧騒にわたるのだったら、時間をきめ、または特定の一人、二人、これを指定してなぜ会えないのです。なぜこれをはっきり言えないのです。このやり方郵政省としては正しいのですか。労働省に私は聞きました。そういうようなやり方は、少なくとも首にするような場合には妥当ではない。労働省では、もちろん妥当じゃないから、そう言うのはあたりまえだと思います。そういうふうに言っているんですが、郵政省ではこれが普通のやり方なんですか。
  70. 山本博

    山本(博)政府委員 一般論として申し上げますと、本人並びに本人の家族に、平常な状態において十分説明をすべきだと思います。
  71. 島本虎三

    島本委員 一般論としてはといったって、首切って一般論じゃないのですか。一般論でもこれはやらなければならないのに、こういう首切った特別な事態に対してはやらなくてもいいという考えなんですか。これは重大ですよ。どうなんですか。
  72. 山本博

    山本(博)政府委員 先ほど申し上げましたように、非常に多数の方々でいわば抗議活動という形で郵便局に押しかけてくるという形の場合には、これはさっき申し上げたような形でお断わりをするということもあり得ると存じます。しかし、一般的な平常な状態におきましては、当然そういう努力もすべきであるというふうに考えております。
  73. 島本虎三

    島本委員 何回言ってもあなたはわかりませんね。その場合には、管理者として自分がちゃんと言ってやれるような条件を付せばいいじゃありませんか。何時に何人で、場所は局じゃだめだからこことか、またいろいろ方法はあるじゃありませんか。一般論ならいいけれども、これはやらなくてもいい——これは特別やらなくてもいい例なんですか。重大ですよ、これは。もしこれを第三者機関に持ち込んで争うとしても、人事院で二年はかかるでしょう。結審するまでには普通四年以上かかるでしょう。その間何が何だかわからないで首切られておいていいんですか。説明もしないでおいていいんですか。まして家族、これはどうなんです。これが愛情ある郵政省当局やり方だとは考えられないのです。いま私の言ったこと、どこか無理なところがあるでしょうか。これはちょっと困るのですが、政務次官、こういうふうな実態なんですが、これはまともでしょうかね。
  74. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 なるほどこうした場合においては、免職者に対する手続、取り扱い等について長年にわたる慣習等の問題がありまして、粗末千万であるというような印象を与えられるような処置がとられることがありましょうとも、私といたしましては、これは個人感情でありますが、今後の指針も与えなければならないと考えおりまするけれども先生のお示しにありましたようにやはり親切な態度で、要請いたしました場合につきましては、特に家族については懇切丁寧にして、その間の事情をよく説明するだけの処置をとるべきものであると考えます。
  75. 島本虎三

    島本委員 政務次官のほうではそういうふうに言っているんです。これはもう各局長十分わかっただろうと思うのです。あなたの部下はそれをやってないのです。暴力的事実があった、こう言うのですが、これはどういう事実があって首になったのですか。郵政大臣からの発令ですから、首にする以上、これはちゃんと知ってやったんだろうと思います。これはどういう暴力的な事実があったのですか。それを解明してもらいたい。
  76. 山本博

    山本(博)政府委員 暴力的行為もございましたが、その懲戒処分にいたしました二名につきましては、ただそういう暴力的行為のみならず、平常その他の業務上の阻害あるいは秩序の紊乱、業務命令に対する拒否、そういうようなものを総合的に全部勘案をいたしまして処分を発令いたしましたわけでございます。細々の一人一人につきまして内容をというお話でしたら、それは別に申し上げますが、暴力的行為だけでなくて、全般的な業務運行上のいろいろな問題ということを含めまして処分したということでございます。
  77. 島本虎三

    島本委員 この辞令の中に、暴力的行為または集団的な示威とか、いろいろ書いてあるんです。その一つ一つ理由ではないのじゃないのですか。一つ一つ理由、それが効力を発生して総体的にこれは解雇、こういうふうなことに相なるのではないかと思うのですが、これは一つ一つ理由はない、ただ総体的にこれは首だ、こういうふうな意味なんですか。
  78. 山本博

    山本(博)政府委員 処分を発令いたしますときは、これは一つ一つのケースが、しさいに調べますと千差万別でございます。大きな意味での類型というものはございますけれども一つ一つ調べますと、そのときの状況というのが全部違います。したがいまして、こういう場合はこうというような判定というものは、あまりしゃくし定木なものさしというものは、なかなかできにくうございます。したがいまして、個別、個別の事例というものを全部取り上げて、それで前例にも合わせますけれども、そういうものかただ一つの場合、あるいは二つの場合、同じことを二度繰り返した場合、あるいは暴力的行為以外のものが付加された場合、そういうものを一つ一つについての重要さといいますか、重さというもののほかに付加されるもの、単独でとった場合は——単独の場合はまたどのくらいというようなものもございますけれども、そういうものが総合されて幾つかの事案というものが一緒になりますと、やはりその重さというものが個別、個別の場合よりも重くなるということはございます。
  79. 島本虎三

    島本委員 暴力的行為の事実を調べました。ところが傷害はないのです。もちろん診断書もないのです。物的証拠はないのです。転倒した事実もないのです。だけども、傷害を、暴力的行為を受けたと言うのです。ただ、それが証拠なしに受けた、証拠なしにそういうようなことをやられた、こう言ってきたならば、うのみにこれを信じなければならないのですか。じゃ暴力行為に対しての具体的を証拠はありますか。
  80. 山本博

    山本(博)政府委員 私のほうといたしまして、職員を処分をいたしますときは、これは当然のことでございますけれども、行き過ぎた処分あるいは間違った処分、こういうもののないように慎重に配慮いたしております。特に暴力的行為というようなことがありました場合には、決して単独の人間の現認あるいは主張だけでは、採用いたしておりません。複数以上の人間がこれを現認いたしまして、それはそういう事実があるという証言——先ほどお話かありましたように、これは第三者機関にもかかり、あるいは訴訟にもなるケースでございますので、決して軽率なことのないように指導は十分いたしております。それからいま申し上げましたように、特に暴力行為の場合は、現認者が他に複数以上いるということを条件にいたして考え、対象にいたしております。
  81. 島本虎三

    島本委員 これは暴言を吐いたということも載っておりますが、この暴言ということは、むしろ、デンスケろうだとか、ばかろうと言うのは、これは暴言じゃありませんか。これは管理者が吐いているのです。そして、それに対して抗議をすると、暴言だと言われている。抗歳をすると暴言で、デンスケろうばかろうと言われるのが正常なことばなんですか。この暴言の意味を、これにはっきり書いているのですから、これもお聞かせ願いたいのですが、どうですか。
  82. 山本博

    山本(博)政府委員 いまお示しになったような事案につきましては、私のほうが暴言という表現を使っておりますのは、ただ、ばかであるとか、あるいはデンスケであるとかいうような表現のものは、いわゆる暴言としての対象にいたしておりません。これは管理者の場合ではございません。一般職員に対しての場合は暴言としてはおりません。ただ、非常に脅迫的な内容を含んだもの、こういうものについては、行き過ぎであると考えてこれは採用いたしております。
  83. 島本虎三

    島本委員 これでまた不可能な事実があるのです。これは管理者側が腕を組んで押してきて、おまえが押せば暴力だが管理者がやれば何でもないのだぞということを公言しながらやっておるのです。そしてやってくると、現認した、現認したということばだけ発するのです。それが証拠だと言うのです。現認、現認ということばがあれば、何ものにもまさる証拠なんですか。あとそういうような物的証拠は何にもない。これも首になる理由になってしまう。一体こういうばかげた解雇がありますか。むしろこういうようなことをやる場合には、人の命にもかかわることですから、慎重に現地まで行って調査すべきではありませんか。ただあがってきたこういうふうな事態をもとにして首にしてしまう。これが私としては愛情ある措置だとは思われない。まして、この中に載っておる一つ一つの事態は、つくり上げるために言っておるような事態が多いのです。腕を組んで管理者側がやると、これは何でもないのだ、おまえらがやれば暴力なんだ。そうしてそれをやると現認したと言うのは管理者だけです。管理者が現認すれば竹になる。東條内閣よりももっとひどいやり方ではありませんか、こういうふうなやり方は。そしてこの理由一つも明らかにしない。第三者機関で明らかにしなさい。そうして、やられて二年、四年と待たなければならないのです。こういうようなやり方が普通だ。こういうような考え方のほうがよほどどうかしていませんか。私どもとしては、こういうようなやり方で一人一人首になるというようなやり方は、黙視するに忍びないのです。あなたは十分調査したと言う。調査したと言うから、われわれが行ってみたら、こういうような新しい事実が次から次と出てくる。それで首切られた人は、四年間も理由を知らされないままに泣き寝入りしなければならないのですよ。そしてよく見たら、七年間も郵便の遅滞を生むような状態をそのままつくり上げていたのは当時の局長であった。組合員のほうでは、自分の勘や足にたよって、自分の記憶をたどってただ配達しておる。したがって、その人が休むとたまる、たまるから慢性になる、これでは科学的でないじゃありませんか。管理能力がないじゃありませんか。罰するのは組合員ではありません。局長を罰すればいいのです。手続が全然逆です。  そうして年休をとると、病気になった人でも電報で呼び出しているのです。年休は、病気になった人でも呼び出して働かさなければならないのですか。付与できないのですか。これは重大です。人事局長
  84. 山本博

    山本(博)政府委員 年休につきましては、これは本人の申し出がありまして、それを管理者側が承認をするという形をとっておりますが、平常の状態の場合は、承認をしましたらそのまま休むのが当然であります。おそらく御指摘になったような場合は、年末年始の非常に繁忙な時期に年休請求があったときに、いま忙しい時期だから日にちを少し差しかえてくれないかという意味で、命令とかなんとかいうことじゃなしに、業務に協力を求めるという形で話をしておるというケースではないかと思います。
  85. 島本虎三

    島本委員 協力を求めるだけではありません。業務命令だとして働けと言っておるのです。そして病気の事実がわかった、それならばよろしい——どうなんてすか、この年休は。いわゆる業務命令によって、一方的に本人がほしいというのを拘束することができるのですか。これは局長考え方をまず聞いておきたいのです。こういうようなことによって罰せられたらとんでもないことになります。労働省もいることですからはっきり聞かせてください。
  86. 山本博

    山本(博)政府委員 具体的な事例を調べてみませんとどういう状況があったのかわかりませんが、一般的には、これは何事も両者の間にトラブルが起こるはずはございません。もし電報で呼び出したというようなことがございますと、これは具体的事例でございませんから、従来あり得た例を申し上げますと、郵便局が非常に忙しい時期にまとまってたくさんの人が年休の請求をするという事例がございますと、管理者側では、一度にそれだけたくさんの人が休まれることは、業務に支障が出、また同時に、請求が非常に差し迫った時間に行なわれますと、あとの処置、たとえば非常勤を急に雇うとか、こういうようなことの措置が間に合いませんので、そのときには本人をよく説得しまして、たとえばあした休むというのを来週のどの日かに振りかえてくれないかというようなことで説得をし、協力を求めるということはいたしております。
  87. 島本虎三

    島本委員 四十二年の十月十一日に、これは東京地裁民事十一部、駒田裁判長から、この年休の正当性についてはっきり判決が出ておりますね。これは御存じでしょう。これによって、もうすでに労働省が二十七年七月十二日に、「年休は休息であり、正常な労働関係が前提とされた労働者の権利である。したがってストの場合は正常な労働関係とは言えず、年休申請を拒否することもでき、事後であっても取り消しができる。」こういうような通達を出しておったのが全部御破算になったのです。それは、「年休は労働基準法で定められた労働者の権利であり、いかなる目的、用途に利用するかは労働者の自由である。さらに、労働者には利用目的を使用者に知らすべき義務はなく、使用者もその利用目的いかんにより年休の許諾を左右すべきでない。」これが最も新しい判決なんです。そうすると、そのあとにこれが行なわれておるのです。無効じゃありませんか。こういうようなやり方はおかしいじゃありませんか。いいんですか。
  88. 山本博

    山本(博)政府委員 具体的事例をよく調べてみたいと思います。
  89. 島本虎三

    島本委員 具体的事例を調べるといっても、ちゃんと載っているじゃありませんか。この首になる理由——こういうような、調べなければわからないような理由のために首になった人の身になってごらんなさい。私は、こういうようなことからして、今回のこの大船渡の事件に対してはほんとうに残念に思います。こういうようなことは二度、三度繰り返されていい問題じゃありません。私は、こういうようなはっきりしないままに首になったり解雇されたり処分を受けたりした者は、即刻取り消すべきだと思うのです。そうして、少なくとも納得できない問題があるなら納得できるまで、誠意を持ってこれらの本人に話すべきだと思うのです。それがいわゆる労使の慣例じゃありませんか。これをいつでも、監視労働をつけてやれば何でもできる、こういうような前時代的な考え方の上に立って業務を遂行しようとすれば、いつでもこういうようなトラブルが起きます。私は、今回のこの処分の半分以上は、これは官側においても、管理者側においても考えてもらわなければならない問題が多いと思います。これは政務次官、御意見を承っておきたいと思います。
  90. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 郵政省の争議の面におきましての一つの歴史はあります。しかし、各個それぞれ事象が異っております。けだし今日まで人事局等におきましても、こうした争議の面において、それぞれ一つ一つが至れり尽くせりの姿で結果において出てまいりますことが望ましいのでありまするけれどもも、たまたま本件につきまして、大船渡の件でございますけれども先生指摘の、非常な御不満をお訴えなさいまする面もございますというような事例も出てまいりました次第でございますので、今後におきましても、先生お話しのような労使協調と申しますか、国民生活と密接な関係を持っておりまする郵務事業遂行の面でございまするだけに、官側におきましても、いわゆる管理側におきましても、組合側におきましても、ともども与えられた使命の達成ということに邁進をしていかなければならぬと思うのでありまするが、少なくともこうした面につきましては、特に処分の場ということにつきましては、あとう限り慎重にも慎重を重ねるという意図で取り扱いをしませんことにはいかぬということを、いまさらのごとく痛感いたしたような次第でございます。今後におきましては、先生の今回お与えいただきました御指針あるいは御参考を十分そんたくいたしまして、善処いたしたいと考えます。
  91. 島本虎三

    島本委員 これで終わらしてもらいますが、今回この処分ついても、われわれとしてはほんとうに納得できない。調べれば調べるほど作為的な点が多くて、これをもってしても、今後の一つの見本にすることはとうていできません。これを是正するのでなければなりません。もしもう一回次官のほうで調べて、これは少し行き過ぎだ、重きにすぎる、これはすべきじゃない、こういうような点がおそらくあるはずですが、十分調べて、この処分についてはもう一回考え直す必要があろうかと思います。これは次官、どういうように措置いたしますか。
  92. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 十分検討いたします。なお場合によりましては、大臣ともによく相談してみたいと思います。
  93. 島本虎三

    島本委員 終わります。
  94. 八田貞義

    八田委員長 西風勲君。
  95. 西風勲

    ○西風委員 いま島本委員が質問いたしました大船渡与件の処分の問題について、いま政務次官は質問の趣旨を尊重して善処したいということですが、善処したいというのはどういう具体的内容意味しておるのか、明らかにしてもらいたい。
  96. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 私もここに参りまして、大船渡事件につきまして、諸先生の御意見等あるいは事件の内容等につきましてもつまびらかにいたしました。したがいまして、はたしてしからば、諸先生の御指摘になりましたような分野のものが相当あるかどうかというようなことも、過ぎ去った事件ではございますけれども、なおかつ再度私は私なりに勉強させていただきまして、御指摘の面等、多々それではというような面がございました場合については、政務次官の微力ではございますけれども、立場を利しまして御趣旨に沿うように善処いたしたい、検討再度というような気持ちでございます。
  97. 西風勲

    ○西風委員 政務次官、ここは政務次官の勉強の場ではないんですね。国民のためにたとえ部分でも全体でも利益になるような結論を出す、本委員会の村議が郵政事業を国民と直結させる、推進していく上で具体的な意味を持つということ、あるいは労使の関係について従来よりも前進した部分が出てくる、信頼関係が回復する、これは精神訓話ではいけないわけです。精神訓話でだまされ続けておるから問題が起こっておるわけで、そういうわけで、いまあった大船渡事件で善処するというのは、処分したことについて再検討するというふうにとっていいわけですね。
  98. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 そういう意味ではなくして、いろいろ御指摘になりました内容につきましては、今後処分、処断をするというような面も、絶無を願っておるのでありますけれども、おそらく全然あり得ないと保証するわけにもまいりませんけれども、そうした場合におきましては、いわゆる処分善処というような諸先生の御意向を十分そんたくいたしまして、今回の事情もございますので、再検討を——おそらく私だけではありません、担当の局長等もずっと並んでおりますから、こうした場合においては行き過ぎだ、こうした暴言あるいは具体的内容をいろいろ御指摘になったのでありますけれども、ある程度これは範疇に属さないとか、この程度は容認しなければならぬとかいう面も出てこようという参考資料をお与えいただいたという面において、建設的な御意見を拝聴した。私は今後処分についてはそれを十分参考資料にしたいという意味で申し上げたのであります。
  99. 西風勲

    ○西風委員 そういう答弁は、町から来た陳情の人をちょろまかすようなことなら役に立つが、本国会の正式な委員会でやる発言を——あなたは非常に人柄のいい人ですから、そういう点を信じて、人柄は具体的行為によってさらに立証されるわけですから、そういう点で、いまあなたが言われた善処という点については、それはあなた方の立場から見て、善処するという約束をしても、かつて処分したとおりのほうがよかったという点もあるし——あなた方の立場でですよ。あるいは反省しなければならぬという二つの立場が出るわけですから、あなたがここで約束したから、直ちにそれは単純に取り消せと言っておるのではなしに、処分内容について再検討を加えて——あなた方に非がないということは絶対にない、またわれわれが全部正義ということでもない。正義、不正義は、具体的な事実の認定について客観的な評価が定まったときにきまる。だから、そういう点で、そういう客観的な評価についてもう一回慎重に検討したいというように、あなた非常に善意の人ですから、そういうような善意、そういう具体的な内容というように解釈していいかどうかということを聞いておる。そういう考え方をしていいかどうか、単純な答えでけっこうです。
  100. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 私のいままで申し上げました内容は、正面に申し上げますが、陳情客に対して、それぞれ諸先生国会議員の立場で同じでございますが、国会議員の立場において適当にしかるべくという意味でここで私は申し上げているのではないのです。もちろん、ここに出てまいりました以上は、政務次官の職掌において御答弁し、真摯な気持ちでお答えしておると私は考えております。でありますけれども、ただ不幸にして最高権力者である大臣の立場でもございませんし、御存じのように、その補佐役にすぎない政務次官の立場において、すでに発表せられました処分内容を撤回しますとか、是正しますというのは、これはおこがましい次第でございますので、私は私の立場においてあとう限りのことを申し上げたにすぎないのであります。
  101. 西風勲

    ○西風委員 私はあなたに理を尽くして申し上げているように、ここで処分を撤回する約束をせいということを言えば、あなたの職務権限以上のことを要求することになりますから、したがって、あなたが先ほど述べられた事実について、大臣あるいは人事局長——人事局長だって、いままで調べたことが全部正しいというようには言えないと思うのです。問題によっては、正しくない場合もあるのですよ。だからそういう点で、あなたに先ほどからたびたび言っているように、直ちに処分撤回について約束せいということを言っているのではなくて、局内のそれぞれの機関の人々とともにもう一回再調査して調べる、こういうふうに理解していいかどうかということを言っているのです。いいならいいと言えばいい。長いことはけっこうですから。
  102. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 欠くるところがあるかどうかということについて検討いたしたい。勉強いたします。それから関係者を呼んで私は私の立場において審査いたしたいと思います。
  103. 西風勲

    ○西風委員 それでは、人事局長に西成郵便局の事件についてお尋ねいたします。  ほんとうは私どもはこういう一つ一つの問題を取り上げて、こういうところでやりたくないのです。社会労働委員会というのは、少なくとももっと大局的な観点において問題を処理するようにしたいのですけれども、しかし、こういうような小さな病気も積もり積もれば、ガンになり、命をとるということにつながりますから、そういう点で、ほんとうはもっと大局的な問題をやりたいのですけれど、やむを得ずそういう立場でお伺いをしたいと思う。  去年の七月に、扶養家族の扱いの問題で、これはやったほうが正しくなかったのですけれども、西成郵便局処分が行なわれております。処分は、これは扶養家族の問題で、みんな同じ件であります、同じ質の内容の事件であります。この事件について、全逓の支部長は減俸、全郵政の副支部長は訓告、中立も訓告、その他の全逓組合員は減俸であります。同じような扶養家族の違反の内容について、全逓委員長ば減俸で全郵政の副支部長は訓告というのは一体どういうわけですか。どういう理由でこういうことが行なわれているか、明らかにしていただきたい。
  104. 山本博

    山本(博)政府委員 率直に申し上げますと、実は、きょうの御質問は一月十三日の処分の問題だと思いまして、そちらをよく調べてまいりましたが、いま御指摘になりました件については十分存じておりませんので、一回調べさせていただいてお答え申し上げたいと思います。
  105. 西風勲

    ○西風委員 西成事件は突如として起こったんじゃなしに、西成郵便局長が犯した数々の悪業の結果出てきた氷山の一角なんです。したがっていままで西成郵便局長がどういうことをやってきたかという内容を十分点検した上で、これが具体的に立証されることが必要なんです。だからそういう点で、調査するというのでなくて、いまのこの事実について、西成郵便局長のやったこと——西成郵便局長だけでやったんじゃないでしょうけれども、こういうことがあったとしたら、正しいかどうかということです。
  106. 山本博

    山本(博)政府委員 処分をいたします立場といたしまして、本人がどの組合に所属しておるかというようなことを処分内容で差をつけるということは、局としては絶対あり得ないと思います。もしそのことが原因で差がついておるといたしましたら、これは間違いでございます。
  107. 西風勲

    ○西風委員 このときに、当時全逓組合員であった鳴神君というのがおりますが、この鳴神君に対して、局長は、おまえの処分が重いのは全逓に加入しているからだということを公言しております。同時に、この局長はたいへんな人でして、西成郵便局の中に丹波橋参りということがあります。この局長の住んでいるところが丹波橋でありますが、丹波橋参りというのがありまして、この丹波橋で夏、暮れにつけ届けをする者は非常に優遇される。あるいは郵便課長局長が結婚式で不在になる日に子守りに動員された。子守りに行っております。私どもがこの前面会に行きましたときにも、ちょうど本人は病気でおられなかったのですが、電話をかけてきまして、私があなたに会いたいというふうに言いますと、あなたは不法占拠しているのだから直ちに出ろ、出なければ警察を呼ぶと言う。病気のはずだったのですけれども、非常に元気な声で私に電話してきまして、不法占拠だからあなたは直ちに退去しなさい、退去しなければ警察を呼びますと言う。私は警察にやっかいになることは好きじゃないのですが、おそれる必要もなかったのであります。おまけに私どもは不法占拠でも何でもない。案内されて局長室に入っているのです。礼を尽くして、社会常識に従って人っているのに、こういう態度をこの局長はとるのです。こういう人は、管理者として模範的な管理者ですか。こういう管理者のもとにある局は、労使の慣行が正しくなるというふうに判断できるかどうか、お尋ねしたいと思います。
  108. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいまいろいろ申されたことを前提にいたしますと、模範的な管理者ではないと思います。
  109. 西風勲

    ○西風委員 さらに、この局長の勤務態度は、西成郵便局の郵政の仕事を推進することよりも、労働問題を中心にして組合員との間にトラブルを拡大するというような仕事やり方をしております。たとえば常にスパイ活動をやっている。スパイ、尾行、家族調査というのを局長が先頭に立ってやっている。これは具体的な事実は幾らでもありますよ。そういうようなことを数々やっているようなことがあります。たとえば四十二年の五月から六月にかけて、全逓の支部長である梅村という人がおりますが、この梅村という支部長は、大阪郵政局管内で三本の指に入る保険の有能な練達の士であります。研修所の講師をやってもらいたいという——講師という名前かどうか知りませんが、職名は違っておるかもしれませんが、そういう非常に有能な保険の勧誘員であります。先ほど申しましたように、郵政局の広い管内で三本の指に入る非常に有能な保険の勧誘員でありますが、この男が、たまたま道ばたで友人と会いまして、喫茶店に入ったのです。喫茶店へ入ったといっても、これは保険の勧誘の業務一つです。そのために喫茶店に入った。そうすると、知らない間にこれに尾行がついておりまして、その尾行が電話をかけて、郵便局長が先頭に立って係員を連れて喫茶店のドアを押しあけて入ってきて、おい、おまえば何をやっているのだ、おまえは勤務違反である、規律違反である、現認せよというような扇動をしている。非常に先走った、三派全学連と言うと問題が起こりますから言いませんけれども、この人は、あなた方の省におけるそういうような人である。この局長は、そういうようなことをやる局長であります。こういう行政のしかたは、あなた方の指導による結果かどうか、お尋ねしたいと思います。
  110. 山本博

    山本(博)政府委員 先どもいろいろ事例をあげられましたが、ちょっと私の常識の外の問題でございます。かねて私のほうでは、そういうように自宅に人をつけ届けに来させたり、あるいはそのために優遇したりするというようなことについては、これは他の官庁に比べましても非常にきびしい指導をいたしております。もしそういうことが事実といたしましたら、私も適切な処置をとりたいというふうに考えております。  また、いまあげられました事例でございますけれども、これも、私はその前後の事情を総合的につかんでおりませんので、なぜ喫茶店の場面でそういうことが起こったかということも、いろいろな事情があったと思いますが、あるいは本人の平常の勤務態度その他の問題があったのではないかと思います。けれども、それについては一度よく調べさせていただきたいと思います。
  111. 西風勲

    ○西風委員 大体、この郵便局長は逆上性何とかという性癖があるのです。何か私どもが、そういうことをやっちゃいかぬじゃないかとちょっと言うと、ぐわあっと上がるのですね。ところが、それが郵政省の中では、出世がしらの筆頭だそうであります。世の中の常識と郵政省は違うらしい。たとえば脱退届け——圧力をかけられての脱退届け、これを一つ読みますと、百合田さんという人の脱退届けですが、今般職務上長年お世話になった組合を脱退しなければならなくなりました。私は入院中組合にたいへんお世話になったことは一生忘れることはできません。しかし、どうか御理解くださいますようお願い申し上げます。これが全逓の第一組合に対する脱退届けであります。その他ここにもありますが、これは赤井さんという人の脱退届けでありますが、組合にたいへんお世話になりました。感謝のほかはありません。職務上脱退をすることについてはたいへん申しわけないと思います、というようなのが、ここに幾つもあります。全部全逓の組合にはあなた方が前に出された指導要綱に従ってやっているのでしょうが、組合を脱退することは、お世話になってまことに申しわけないけれども、職務上組合を脱退させていただきますというのが大体の内容であります。時間がありませんから全部読みませんが、職務上組合を脱退しなければならないことがあるのですか。いま言ったような理由で、組合にお世話になった、組合を離れたくないけれども職務上——これは局長が圧力をかけておるのですけどね、そういうふうに全逓組合員であるために職務が執行できない、たとえば主事とかなんとかというものですね、そういう組合員の範疇に入っている職制が、組合員であるためにできないということがあるのですか。
  112. 山本博

    山本(博)政府委員 これは前のこの委員会でも申し上げましたが、郵政省といたしまして、第一組合、いわば全逓を脱退するような指導を下部にいたしておることは全くございません。ただいま職務上云々というお話がございましたが、その人の置かれている職務の内容が、たとえば全逓がストの指令を出したときに、自分の職務上、そういう違法なストに参加したくないという悩みを持つであろうというポストはございます。たとえば主事とか主任とか、こういう人たちは、いわば管理的な機能も持っておりますので、この人たちは郵便業務あるいはその他の業務の正常運行ということについて、職務上の責任を持っておることは確かでございます。したがいまして、そういうときに非常に悩みを持つであろうということは、これは当然のことでございます。したがいまして、そういう意味で、自分の立場が職務上非常に苦しいとか、悩みが多いとかというようなことで、そういう表現になったのじゃないかと思いますが、職務そのものが、いまのような多少矛盾といいますか、立場上二つの立場があるということはございますけれども、絶対にそうでなければならないというものではないと思います。
  113. 西風勲

    ○西風委員 いまのあなたの答弁は、非常に重大な内容が含まれておりますよ。たとえば主事の場合には、組合がさまざまな闘争をやったときに、その闘争に参加する上で、官側に対して精神的に非常に申しわけない、職務上申しわけないというような気持ちになる場合はあるでしょう、こういうお話ですけれども、それならあなた方は、主事とかそういうふうな人々は組合を脱退させるか、非組合員の範囲に入れるか、あるいは第二組合に入れるか、そういうことを積極的に期待している、まああなたは非常に遠慮して言われているから、そういうことばは使っておりませんけれども、積極的にそのほうが望ましいというふうに解釈せざるを得ない答弁です、いまの答弁は。  どうですか、労働省もこの点について、いまのような答弁が正しいのかどうか。それが労使の慣行の上で、あるいは労働組合を保護している労働三法の上で、あるいはいままで行なわれた慣行の上で、ああいう考え方は正しいのですか。それが前提にたっておるわけです。
  114. 松永正男

    ○松永政府委員 労使関係法上におきまして、労働組合に入ることが適当でないものの範囲は、御承知のように公労委できめまして、告示できまつております。その他につきましては、結社の自由があるわけでございますから、それぞれの組合員たるべき人の自由な心証によって、どこに入るかということはきめらるべきが筋と思います。
  115. 西風勲

    ○西風委員 この問題については、あとで田邊委員から別個に追及があるようでありますから、次の問題に移ります。  この三家本という局長は、職制を集めました集会の席で、私は大阪郵政局なんか相手にしていない、郵政省直轄であるということを言っております。さらに、総評の一万や二万来てもびくともしない、これを迎え撃つのは男子の本懐である、こういうことを日常的に発言している人であります。このような郵政直轄というものがあるのかどうか、こういう発言はあなたとして適当だと思われるかどうかお聞きしたいと思います。
  116. 山本博

    山本(博)政府委員 郵便局長は、すべて郵政局長の指揮下に入っております。本省の直轄ということはございません。  また、いまおっしゃったような内容は、本人が言ったかどうか私にはわかりませんが、これは本人の気持ちだけの問題だと存じまして、私のほうが批判すべきものではないのではないかと思います。
  117. 西風勲

    ○西風委員 それは、私があげただけでもこれほどあるのです。三時間か四時間ぐらい局長の言ったことをあげられるほど材料があるのです。それはあなたのほうから見たら誇張があると見るかもわからないが、全部事実でないことは絶対ありません、事実ですからね、これは。そういうふうな局長であります。  この局長が、いわゆる暴力事件ということで本田という全逓組合員処分の上申をしたわけであります。この人は常に組合と戦闘的に対決するということを信条にしている。したがって、今度起こりました紛争は、組合に対して戦闘的に対決するという西成郵便局長の信念から起こった事件である。できるだけ大きな事件を起こすということであります。しかも、これは暴力事件ということで処分が行なわれているが、処分されました本田君は、当日、オーバーを着て、ポケットの右に二つ、左に三つパンを入れて、手でこういうふうにしっかり握っていた。そして肩にカメラをかけて、総評の腕章か何かをはめて出勤して、そのまま局長と対話したわけです。この状態の中で暴力をやれますか。手品師か何かなら別でありますが、ポケットから絶対に手を出していない。これは現認されております。こういう状態で局長に対して暴力行為を行なうことが、現実可能かどうかということをまずお聞きしたい。
  118. 山本博

    山本(博)政府委員 暴力をふるったことは事実でございます。そういう報告になっております。
  119. 西風勲

    ○西風委員 暴力をふるうといったって、ポケットに手を入れて、右肩にカメラをかけてどうして暴力をふるえるのでしょうか。あなたやってみなさい、ここで実演してみなさい。しかもこの局長は、すでに来ていた警察に対して、この事件のすぐあとで、私はこういうふうに押されて、ここでこういうようにころんだのだという実演をやっている。しかも、ころんだために通院五日間という診断書が出ているだけであります。ごくわずかであります。この程度の事件で——最近はやっていることばで言いますと、人間一人の命は地球より重い。職場で働いている労働者の首切りは、まさに死刑であります。人間の命を失うことであります。ある意味ではそうであります。職場の中で首を切られるということは、地球より重いという内容の行為であります。その行為、その内容のものに対して——たった五日間の診断書しか出せない。自分でこけた、多少トラブル、押し合いがあったようであります。しかし、手をポケットに突っ込んだままでそういう押し合いが行なわれてこけた。五日間の診断書を取った。これだけで首を切るというようなことは、郵政事業にとってプラスなのかマイナスなのか、あなたのお考えを聞きたいと思います。
  120. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいまお話がございましたように、確かに両手は出しておりません。両手は出しておりませんが、本人局長と比べますと非常にからだの大きい人である。たとえば体重は約九十キロでありますし、身長は百七十五センチ、非常に大きい人であります。かねがね自分の力のあることを誇示しておる傾向のある人でございます。過去においても、再三暴力事件にあわやなりそうなということがあったのでございます。この際、確かに手はポケットに入れておりましたけれども、この人にからだごとぶつけられますと、小さな局長がひっくり返るくらいの力がございます。これは意識的に二回にわたってからだごとぶつかってきたということで局長がひっくり返ったということになっております。
  121. 西風勲

    ○西風委員 三月何日かの組合との団体交渉で、暴力は使っていないということを西成郵便局長が正式に言っておりますよ。まず第一に、暴力は使っておりません。やられておりません。ただし、こけたときに、挑発するのかというふうに言ったときに威嚇を感じましたという二つの点で明確な答弁をしていますよ。ちゃんとテープにとった記録がありますよ。いま言ったような内容処分の首切りになりますか。局長が明らかにそういう答弁をしていますよ。
  122. 山本博

    山本(博)政府委員 私のほうといたしましては、局長が転倒をさせられた。本人は、あまり力を入れたつもりはなかったかもしれませんけれども本人の体格あるいはその場の局長との状況、そういうものから見まして——局長が、暴力は受けなかったと本人が証言したとしますと、これはまた違った話になりますが、私のほうが受けております報告、それからその他調査を依頼しまして調べさせた結果におきましては、本人が大きなからだで、二回にわたって局長に体当たりを食わせたというふうになっておりますので、そのように取りはからった次第であります。
  123. 西風勲

    ○西風委員 あなたの言っていることは、全然事実ではないわけですけれども、時間がございませんから押し問答するわけにいきませんが、これは本人を呼んで事情を聞きましたか。本田君本人を呼んで、処分される人事局でそういう事情を聞きましたか。
  124. 山本博

    山本(博)政府委員 本省といたしましては、聞いておりません。
  125. 西風勲

    ○西風委員 あなた、首切られるということは、その人の人生航路にとってたいへんな結果になる。そんなことをあなたに言わなくてもあなた御存じのように、たいへんな問題ですよ。これは最後は第三者機関その他に入るにしても、こういう性癖のある局長のもとに起こったそういう事件に対して、首切る場合に、本人から何ら事情聴取もしないというようなことは、人間を大事にするいまの日本の社会風潮の中で、一体正しい手続だったかどうかお聞かせ願いたい。
  126. 山本博

    山本(博)政府委員 おっしゃるように、処分をいたしますときには、私どもも決してこれは一時的に感情的に処分すべきことではないと思います。特に免職にする人の場合については、私たちもこれを決してあだおろそかにするつもりはございませんので、非常に慎重にしておるつもりでございます。したがいまして、私のほうがじかには調べませんけれども、現地の郵政局につきましては、懲戒免職にするときには特に慎重に、間違いのないようにということは指導いたしておることは、先ほど申し上げたとおりでございます。ただ、すべて事情に応じまして、本人にそれを聞いておるかということでございますが、これは場合によりまして非常に客観的に明白な状況が現認されておるものにつきましては本人に聞いておりません。しかし、証拠が非常に薄弱でありまして、たとえばこちら側も一人だけしかそういう現認がないというので上申が来たような場合には、あらためて該当する人に事情を聞くというようなことはいたしております。
  127. 西風勲

    ○西風委員 現認といいましても、同じ利害に立つ人が現認したのではこれはあかぬわけですわ。人事局長さんのところでトラブルが起こったときに、人事局の次長、課長三人が現認しても、これは現認ではなくて、そういうものを、西成郵便局ことばで言えばでっち上げですね。本田君というのは、からだは大きいけれどもおとなしい。あんなにからだが大きくておとなしい人は珍しいということは、西成郵便局の中では常識になっている。そういう点で破廉恥な行為で処分される場合に、たとえば郵便物を抜き取ったとか、あるいは金を使い込んだとか、そういう社会通念上破廉恥な行為で処分される場合には、それを一々本省で呼び出してやるというような必要はないと思います。私もあなたと同じ意見であります。しかし組合が非常に信頼されているといわれる人事局長は、全逓の組合とできるだけ話し合いをして郵政事業を守りたいというのが、信頼にこたえる人事局長の方針でなければならないはずです。全逓の中で、あなたに対して非常に信頼感が厚いわけですね。そういう点で、その信頼感をさらに伸ばして、全逓の組合と郵政省との間の労使慣行を、もっと他省の模範になるようなものにするためには——少なくともこの事件については、組合とはなはだしい見解の差があるわけであります。また私は、西成警察にもちょいちょい行きますけれども、警察も、あそこの郵便局長は、はしがころんだようなことがあってもすぐ電話をかけてくる。あそこは、西成の直轄の警察ではない、担当警察ではない。また、西成郵便局のあの局長はふざけているということを、警察の警備担当係官が言うほど、何かというとすぐ警察に電話をして、事件にして、その事件を契機にして、それを大きくして第二組合と第一組合の紛争を起こす。局長が威嚇を加えて退職させるというのが常套手段です。事件は幾らでもあるのです。そういう札つきの局長であります。おまけに大阪全逓中央本部は、この局長を追放するまで戦いをやろうということ言っている。そういうことをやることは、郵政事業及び国民にとって利益ではありません。そういう点で政務次官にもお聞きしたいのです。さっきの事件と同じであります。事情をよく調べて善処するということを約束していただけますか。
  128. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 人事局長は、いままでの処分内容、いわゆる視認二人以上という原則を固持しているようであります。いろいろなこうした処分内容を発表せられる時点におきましても、正直に申しましていろいろこまかいところにつきまして、こういう場面が出てこないことを期待もしておりましたし、常に一人ではやめております。必ず二人以上の現認者を得ておるということを聞きまして、まあまあそれならばと、私といたしましては至れり尽くせりとは申しませんけれども、皆さま方からかれこれ言われる、いわゆる熱意の欠如というようなものはあり得ないというような確信のもとに処してまいったわけであります。したがいまして、いろいろ御指示賜わりました中には、今後におきましてもずいぶん反省もしなければならぬ。取り調べにあたりましてもより以上の熱意を持ってあれこれ検討しなければならぬ。そのいい結論を、納得せられるものを得るというようなところまでの努力を払うべきだというようなことを、よく承知いたしました場面でもございますので、今後微力ではございますけれども、人事局長もおりますし、それぞれひとつこうした面につきましては特に留意をする、熱意を持って配慮をするということに方向づけたいと思います。
  129. 西風勲

    ○西風委員 大船渡事件と西成事件については、事情を調べて善処する。善処するというのは、先ほど言いましたように、直ちに単純に取り消しとか、そういうことを一般的に言うておるのではない、調査して善処するというように受け取っていいですか。
  130. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 よろしゅうございます。
  131. 西風勲

    ○西風委員 それでは人事局長にもいまの問題を確認しておきます。
  132. 山本博

    山本(博)政府委員 処分そのものは、確かに常に正しいとは思っておりません。したがいまして、これは組合とも数日前に交渉を持ちましたが、その際に具体的に郵政省側に瑕疵がある場合にはどうだという話がありました。私は瑕疵があった場合には取り消す、こういうふうに申しております。具体的事例を組合のほうからも持ってくると思いますから、その暁に調べまして、間違っておりましたら取り消しますが、間違っておりませんければそのままということにいたしたいと思います。
  133. 西風勲

    ○西風委員 間違っておらなければそのままとかそういうことを言わずに、善処するかと聞いておるのだから、善処する、こういうふうに答弁してください。
  134. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいま申し上げました意味で善処いたします。
  135. 八田貞義

    八田委員長 田邊誠君。
  136. 田邊誠

    ○田邊委員 ただいま大船渡、西成の問題を中心として、鳥本、西風両委員から具体的な指摘がございましたが、このよってきたるところは、やはり郵政省の労務管理といいましょうか、労働政策といいましょうか、そういうところに大きな誤りがあるということを私どもは感ぜざるを得ないわけです。  時間がございませんから前置きは抜きにいたしまして、以下端的に労務管理、労働政策に対する基本についてお開きをいたしたいと思います。  先ほど政務次官は、あくまでも労使間は協調をはかってこれらの運営をはかるべきである、こういう御答弁がございました。まことにそのとおりだろうと思うのです。そういう観点で、昨年の年末の問題がございましたけれども、この年末闘争を終結するにあたって、労使間の正常化をはかるために、郵政省全逓の組合と何らかの申し合わせをいたしておると聞いておるわけでございまするけれども、その内容を明らかにしていただきたいと思います。
  137. 山本博

    山本(博)政府委員 御指摘がありましたとおり、——まあ郵政省全逓との間には長い歴史かございますが、必ずしも常に両者間の意思疎通あるいは関係が、円満にいっていたわけではございません。しかし、そういう状況が好ましくないということは、私たちも率直に感じております。これは、私たちの努力が足らなかったという点も認めますが、と同時に私は、労働組合側も大いに反省し、協力をしてもらうということ、これは両方それぞれ努力すべき目標があるのじゃないだろうかということで、年末時の闘争妥結のときに、両者でそういう方向に努力をしようということについての申し合わせをいたした点がございます。
  138. 田邊誠

    ○田邊委員 お話がありましたとおり、いままでのいわば正常化といいましょうか、紛争が起こりがちな労使の関係を、できるだけ正常にするために、いま御答弁のような、今後に向けてのお互いの努力をしようという、こういう申し合わせをなされたことを承知いたしました。まあその内容は、具体的には、やはり労使の関係の一番重要なことは、何といっても団体交渉、話し合いを十分進めることでございまするし、そういった点で労使関係の安定をはかる、あるいはまた、組合側が常に言っておる、郵政省は組合ないしは組合員に対して、不当な処分あるいは不当労働行為、こういったものをするというように言っておるわけでありまするけれども、こういった不当労働行為なり不当な処分をすることは、省の方針でない、当然組合の組織を認めながら、今後できるだけひとつ省としての正しい運営をはかっていく、こういうことであるというふうに私は聞いておるわけでありまするけれども、大体、ことばは別として、その趣旨でございますか。
  139. 山本博

    山本(博)政府委員 これは従来ともそうしてまいったわけですが、不当労働行為、これは法律に禁止されておることでございますから、当然私たちはこれを自分たちの組織、郵政省の指導方針とするわけではございません。こういう点は今後ともそういう方針でまいるのは当然でございます。  また、不当処分というようなこと、これは先ほど申し上げましたように、ほんとうに内容に瑕疵があれば、これを取り消すにやぶさかでございません。決して私たちは不当な処分を意図的にするつもりはございません。ただ、郵政省自身の持っております国民に対する責任、あるいは内部規律、そういうものから見て、法あるいは規則、そういう法令の示す基準に従って行なう処分は、これは私たちの責任といたしてやっていかなければならないと思います。しかし、そういう問題がありましても、労使間がやはり共通に郵政事業を守っていくという地盤の上で両者ができるだけ話し合いをして、両者ができるだけ協力をし合って関係を円滑にしていくというのは、これは私たちもそのとおり目標を持って、組合とそういう関係は保っていきたいということは念願しております。
  140. 田邊誠

    ○田邊委員 年末闘争妥結の際にもその趣旨のことを話をした、申し合わせた、こういうことですね。
  141. 山本博

    山本(博)政府委員 具体的には団体交渉の問題、あるいはその他いろいろな個別の問題が取り上げられましたけれども、総体的には、労使間で今後できるだけ話し合い、あるいは意思疎通、そういうものを円満に、円滑にしていく、労使間の関係というものを、安定したものにしていくということが基本線でございます。
  142. 田邊誠

    ○田邊委員 労働政務次官、先ほど、全逓の組合を脱退する郵政職員が、自分としては組合を去るのは忍びがたいけれども、またたいへんお世話になったという好意的な感情を抱きながらも、職務上私はやむを得ないのだ、こういう脱退届けを実は出しているのをお聞きになったと思うのであります。これを受けて山本人事局長は、これは主事、主任というような——現場の中間管理者と称しているそうでありますけれども、これらの人たちは、いわゆる職務上の悩みを持っているのではないか、こういう話がありました。私は、ことばはいずれであっても、この答弁の持つ意味、そのニュアンスは、かなり重要なものを実は含んでおると思っておるのであります。労働組合に入っている者が、いわばそういう職制上の悩みを持って、これが組合の脱退の一つのきっかけ、要素になるという、ここに実は郵政省の持つ労働政策、いわば中間管理名を含めての職制上に対するいろんな圧力といいましょうか、いろんな指導、こういったものが、労使間の正常化を阻害している一つの要因ではないかと私は思うわけでありますけれども、これに対して、労働省としてはいかなるお考え方をお持ちでございますか。
  143. 松永正男

    ○松永政府委員 ただいまの御質問、たいへんデリケートな御質問であると思います。先ほど私御説明申し上げましたのは、労働組合法上のたてまえといたしまして、どのような仕組みで監督その他使用者の利益を代表する者というものの範囲か認定されておるかという法制上のたてまえを申し上げたわけでございますが、実際の問題におきましては、管理監督者と目される者と、さらにこれが全く一線を画して、業務上断層があるというものではございませんで、一定の組織におきまして仕事が行なわれるという状態で連続をしておるわけでございますので、その線をどこに引くかということは非常に微妙な問題がございます。しかし、法制上はそのようなたてまえでございますし、一方におきまして、労働組合組合員が参加をするということにつきましては、加入も脱退も全く自由であるべきであるという大原則があるわけでございます。それと同時に、やはりその会社なりあるいはその職場における労使関係の実態というものも、組合員の心理といいますか加入脱退について微妙な影響を与えるのではないかというふうに考えるのでございますが、法制上のたてまえとしては、あくまで自由に、そして自分の考えに基づいて、他からの干渉なしに加入し、そして脱退することということかあくまでも法のたてまえというふうに私どもは考えております。
  144. 田邊誠

    ○田邊委員 実は、これが持つ意味合いというのは非常に微妙ですから、ここでもって私はすべてを尽くすわけにいかないのです。しかし、組合の脱退が、主としてやはり職務上ということを職員が感じてその組合から脱退する、こういう傾向に現在あることだけはいなめない事実なんです。このいわゆる職務上の悩み、先ほど人事局長に言われたけれども、この悩みというものを心理的に与えている労務政策、ほかの理由じゃないのです、職務上のことでもって組合にとどまることはできない、こういう心理状態に追い込むこの労務政策、私は、ここに郵政省の労務政策の長年にわたる問題が存する、こういうふうに実は考えるわけであります。このことは、具体的な事象とからみ合わせながら問題を解明しなければなりませんけれども郵政省にぜひ考えてもらいたいことは、職員が、常に労働組合の中でもいろいろ職場上の職制に属している人たちがあります。しかし、それらを踏まえながら、現在の日本の労働組合の組織というものが公労法上の問題は公労委でもって実はきめておる。これがいわば一つの線だ、常識である。ところが、その中に、組合に属している人たちの中でも主事、主任というような人たちが、職務上の悩みに追い込まれて組合を脱退していく、こういう状態、これは実は自由な意思というふうに——その瞬間はそうかもしれませんけれども、長い間における心理状態というのは、そればかりとは言い切れない。そこに何としても郵政省の労務政策の大きな影があると私は実は考えざるを得ないわけでありまして、この点ひとつ……。私はあえて政務次官に御答弁は求めませんけれども、私の言っておる意味がおわかりだろうと思うのでありまして、ひとつ深く考察をされて、今後に対処してもらいたい、こういうふうに思うわけであります。  次の問題に移りますが、郵務局長、昨年の年末特の繁忙というのは、これは年末闘争が十二月の五日に妥結をいたしまして、その後の繁忙処理は例年に比べていかがでございましたか。
  145. 曾山克巳

    曾山政府委員 例年になく労使関係の安定を早く見たものでございますから、その後の状況はきわめて円滑でございました。したがって、年末並びに年始におきます郵便業務配送の成績は、好調でございました。
  146. 田邊誠

    ○田邊委員 それでよくおわかりになっていただけたと思うのでございます。十二月一日から三六が無協定になって郵便物の滞貨があったことは前回の委員会で政務次官が言われたとおりでありますが、しかし五日の年末闘争妥結によって滞貨が急速にさばかれ、年末時の繁忙はいま郵務局長が言われたとおり、例年に比較をしてきわめて好成績、正月における年賀郵便配達等も、短期間に一〇〇%の配達ができたという状態であることは、私はいま御答弁をいただいたのです。こういう状態で実はことしを迎えました。大体年末時繁忙というのは、普通に約どのくらいの時期を言うのですか。
  147. 曾山克巳

    曾山政府委員 十二月上旬から一月の上旬にかけてでございます。
  148. 田邊誠

    ○田邊委員 大体十二月十日前後から一月十日前後が年末時の繁忙だということであります。これがスムースにいった、大体そういったことで好成績を残した。ところがどうですか、その直後の一月の十三日に三千名以上に及ぶところの処分を発表しているのです。ここに私は一つの問題が残ったのではないかと思うのです。例年よりも年末時になってスムーズにいって、全従業員の中には、いわば労働組合側から見れば、かなりの全逓労働組合その他の労働者がおったわけであります。この人たちの、いわば仕事に熱中をされ協力をするという立場でもって年末時を乗り切ることができた、その直後に大量の処分を発表した、これはタイミングとしてはいかがでございますか政務次出目。
  149. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 処分発表のタイミングといたしましては、先生お示しになりましたように、うまくいっておる、あるいはそのとおりだというような印象を与えるようなふうにはまいらぬことについては、正直に申しまして残念しごくに思います。しかし御存じのように、非違な行為に対しまして処断をしなければならぬという規律厳正な、職場のいわゆる規律保持ということについて専念してまいりました以上は、郵政当局におきましては特に国民生活と密接な関係を持っておりまする事業内容でありますだけに、なおさらのことでありますが、そういった面について今日まで郵政当局といたしましては、与う限り——これらの処分をえてしてという感じでは全然おらぬのでありますけれども、非違行為に対しましては処断をしなければならぬという確固たる今日までの趣旨でもございますので、やむを得ざる処分内容の発表、そしていま申しましたようにタイミングが合わぬような気はしたのでありますけれども、やむを得ず十三日というような事情になりましたことをお認め賜わりたいと思うのであります。
  150. 田邊誠

    ○田邊委員 いま政務次官が言われたとおり、年末繁忙処理は非常にうまくいった、それが終了した直後において大量処分の発表というのは、これはまことにタイミングとしては合わぬ、残念しごくだ、これはもうそのとおりだと思うのです。私は政務次官の率直な御答弁、そのとおりだと思うのです。  処分内容についてこまかくお聞きをすることは時間の関係で避けますけれども、そういたしますると昨年の年末は、全逓の組合はたしか十二月の一日から五日まで、法に示された三六が無協定であって超過勤務をしなかったということで、それ以外の組合員の指令によるところのいわば実力行使というものはやられたのですか、やられないのですか。
  151. 山本博

    山本(博)政府委員 その間東京を中心にいたしまして、不承認欠勤というものが非常にたくさん出ました。全逓の発表で約一千万以上、郵政省自身の確認いたしましたところで数百万の郵便物が滞留したという事実がございます。
  152. 田邊誠

    ○田邊委員 私の答弁に正確にお答えいただきたいのですが、組合の指令によって、三六の協定は、これは結ぶ結ばないは労働組合の権利でございますね、それによって滞貨が出たという場合はわかりましたが、それ以外にいわば時間内食い込みの実力行使とか、そういう組合指令による実力行使というのはなかったのですかあったのですか。
  153. 山本博

    山本(博)政府委員 ただいま私が申し上げました約毎日三割前後の職員が不承認で欠勤をする、こういうのは組合の戦術でとられたわけであります。
  154. 田邊誠

    ○田邊委員 従前とられておる時間内食い込みの実力行使等の、いわば組合指令一本によって全国で行なうという実力行使というものはなかった、これはもう事実である。そこでいまいろいろとお話がありました点はあとでお聞きをいたしますけれども、その大量の処分を出した最大の理由は何ですか。
  155. 山本博

    山本(博)政府委員 これは名目では、なるほどストというような名目はうたっておりませんけれども、実質的に組合の指導によりまして約二割の人間が不承認のまま欠勤をするわけであります。これは郵政省といたしまして違法な実力行使というふうに考えて、そういう処置をとったわけでございます。
  156. 田邊誠

    ○田邊委員 現場長からこの処分に対する現認書、報告書というのは、いつの時点を区切ってこれをお出しになりましたか。
  157. 山本博

    山本(博)政府委員 これは十二月の五日、妥結前までの書類を集めまして処分いたしました。
  158. 田邊誠

    ○田邊委員 処分の基準は、一体どこにそのもとを置いでいるのですか。現場長の現認、現場長のいわば考え方、これが基礎でございますか。
  159. 山本博

    山本(博)政府委員 これは各懲戒の内容によりまして、郵便局長に委任されておる部分と、郵政局長が留保しておる部分とございます。したがいまして、郵便局長の権限の範囲内のものは郵便局長郵政局長の権限の範囲内のものは郵政局長、こういうふうにしてそれぞれ量定をきめておるということでございます。
  160. 田邊誠

    ○田邊委員 しかし郵政省として、それぞれの懲戒処分のランクに、どこのランクに当てはむべきかということについては、当然一つの基準なり規範なりというものがあるだろうと思うのであります。そのいわば基準に基づいて今回の処分がなされたというふうにはどうしても見受けられない数多くの事例があるのです。中には、ひどいところは東京の芝のように訓告を含めて百二名、実に芝の郵便集配部門の九〇%以上が処分に当たっている。ところが、芝が他の局に比べて、著しいあなたの言う行為があったのかどうかというように見ますると、私はそうとも言い切れないような感じがするわけです。そういういわば現場長の主観、現場長の考え方、これによって処分が出されているところに、私は処分の中身が非常にまちまちな事例が浮かんできているということを実は指摘をせざるを得ないのです。あとでお聞きをしますけれども)……。  ちょっと問題がはずれますが、私は以前から取り上げている問題ですから、この際一言だけお聞きをしておきたいのですが、いわば停職以下の処分は、国家公務員法八十二条でございますね。
  161. 山本博

    山本(博)政府委員 国家公務員法の八十二条には戒告から免職までございます。
  162. 田邊誠

    ○田邊委員 ちょっと私誤りました、免職からありますが、そうしますと、これはもちろん公務員としての懲戒基準に基づくものでありますが、労働組合の幹部としていわば機関責任を問う場合はどうでありますか。
  163. 山本博

    山本(博)政府委員 機関責任を問う場合には、大体これは公労法を用いて解雇にする場合がございます。しかしそのほかに、公務員法の八十二条に該当する内容があれば、そちらも適用するということになります。
  164. 田邊誠

    ○田邊委員 八十二条に該当する主要なものは一体何ですか。いわゆる現場にたとえば組合の役員などが行っておって指導し、何かいろいろ問題を起こした、こういうことがあるわけですね。
  165. 山本博

    山本(博)政府委員 たてまえとしては、そういうやり方をいたしております。
  166. 田邊誠

    ○田邊委員 東京地方本部の米山副委員長は、どういう理由で減給八カ月にしていますか。
  167. 山本博

    山本(博)政府委員 資料を見ますからちょっとお待らください。——失礼ですけれども、年末の職場闘争関係でしょうか。年末の職場闘争関係では、いまおっしゃった名前の者が見当たらないのですが……。
  168. 田邊誠

    ○田邊委員 では米山君の場合は年末闘争ではなくて、昨年の小包集中処理の問題でもって処分をされたわけですね。「同地方本部副執行委員長として同組合中央本部の発出した違法なストライキ実施指令に基づき、昭和四十二年九月一日東京中央郵便局ほか二局においてストライキを実施し、多数の組合員をこれに参加せしめる等したものである。」処分理由ですね。
  169. 山本博

    山本(博)政府委員 公労法の規定でまいりますと、これは解雇一本しかございません。したがって、同じく内容が機関責任といたしましても、解雇をする内容とは——私のほうですベてが解雇だとは判断いたしておりませんので、その情におきまして解雇に当たらないものは懲戒で、停職とかあるいは戒告とかというようなものに当てはめて処分をすることがございます。
  170. 田邊誠

    ○田邊委員 労働組合の純然たる機関責任を追及する場合は、これは私はILO八十七号条約の批准のときに、特別委員会で法制局とヤリ合いをしたのでありますけれども、そのときの確認でも、その者がやはり専従者であります。それでしかも純然たる機関責任の追及というのは、やはり公労法上からいってもみだりに行政処分をすることができないというところに、いわば労働組合労働者の権利を守る立場からこれが規定されておるのです。もちろん実行行為、具体的な現場における指導等は、これは私のほうとしては意見がありますけれども、国家公務員法のいわば懲戒処分ということで意思統一をされておるようであります。しかし米山君の場合は、いま申し上げたようにいわば純然たる機関責任であります。それ以外の人たちについては、何月何日どの局に行って、多数の組合員を指導したというようなことが全部載っておるのですね。ところが、米山副委員長の場合だけはそれがないのです。すなわち、いわゆる現場指導というのはない、純然たる機関責任である。とするならば、これは公労法上のやはり十七条違反なり十八条による解雇以外にない。みだりに組合の役員なり組合員処分することはできない、こういうところに実は公労法の意味があるわけであります。いわばそれ以外についても、専従者について国家公務員法を併用しているという、こういう悪弊がだんだん出てきたことについては、私たちとしては非常に遺憾に思っておりますけれども、少なくともいまの場合は純然たる機関責任以外にないのであります。労政局長、どうですか。
  171. 松永正男

    ○松永政府委員 純然たる機関責任についてどういうことかという法的な性格でありますが、たとえば公労法の面と国家公務員法八十二条の懲戒との件につきましては、われわれの解釈といたしましては、両方併用もあり得るという考え方を持っております。ただ機関責任の場合に、たとえばその方が役員の立場におられましても、その行動を決定いたします際に、たとえば病気で長く休んでおって参加していないというような場合には、もちろん除外されるべき筋合いのものだと思いますが、公労法と国家公務員法と全然別個であって、併用ということはあり得ないというふうには考えておりません。
  172. 田邊誠

    ○田邊委員 とすれば、いわば公労法十八条というのは必要なくなるのですよ。すべて国家公務員法八十二条でもって処分ができるとすれば、もう解雇なんて要らない。首を切るのは免職があるのですから。そうでなくて、これはやはり労働組合の争議として責任を追及される。しかも、現場指導等をしていない、こういう場合は、純然たる機関責任を追及すると——これはあとでもって調べてください。この場合は、政府の統一見解でも、公労法によらざるを得ない。それがたとえば非専従者であるとか非専従者であっても現場に行っていろいろ指導しているとか、そういう実行行為に加担をした、個人として行動した、こういう場合があれば、これは国家公務員法の併用もあり得るというふうに政府は統一見解をしているはずです。これは私は何回も質問しているのですから。そういったことですから。そこに引っかけたがるのは私は非常に残念に思うけれども、政府の統一見解だというから、われわれとしては非常に不満だけれども一応それはそれとして認めるが、純然たる機関責任で、現場の指導をしてない者に対して、一転をして公務員法の適用でもって懲戒処分をするということは、これはどうしてもあり得ないのです。
  173. 松永正男

    ○松永政府委員 ただいま先生指摘になりました政府の統一見解という点につきましては、私いまはっきり承知をいたしておりませんので、後刻調べましてまた御答弁、御説明申し上げたいと存じます。
  174. 田邊誠

    ○田邊委員 それでは、その点は質問を保留いたしまして、次に移ります。  今度の処分の中に、刑事罰にかかって裁判確定した者に対して処分を発令をしておる、こういうのがあると思うのですが、時間がございませんから、従前裁判で罰金刑の場合は、それに基づいて大体どういう行政処分をやっていますか。
  175. 山本博

    山本(博)政府委員 罰金刑の内容によると思いますが、一般的には罰金刑だけですと免職にはしていないのが実情でございます。
  176. 田邊誠

    ○田邊委員 それではひとつ、都城の局でもって昭和三十三年でしたかに起こった問題で、今回裁判確定による処分が免職というものがあるはずでありますので、これが従前の例と違う理由について、あとでひとつ文書でお届けいただきたいと思います。委員長、お願いいたします。
  177. 山本博

    山本(博)政府委員 けっこうです。
  178. 田邊誠

    ○田邊委員 一体今回の処分内容、たとえばどういう理由処分をしたかというのです。これはいろいろあると思うのでありますけれども、分けますると一体どういうことになりましょう。
  179. 山本博

    山本(博)政府委員 非常に類型がたくさんございまして簡単には申し上げられませんが、大きく分けますと、これは一月十三日の処分理由といたしましては、組合の闘争手段として年休闘争が行なわれた。先ほど申し上げましたように、不承認欠勤という戦術をとりました。これはあとで本人に全部聞いてみましたら、本人自身の病気とか、本人自身の都合とかでなくて、組合指導で休みましたという署名をした者だけしか処分をいたしておりません。  それから業務命令拒否、その他指導者の指導あるいは命令に、はなはだしく違法な形でこれを拒否をしまして業務の正常な運行を阻害をした、またこれに対する指導者の責任、こういうものが大きなワクであります。
  180. 田邊誠

    ○田邊委員 処分内容をいろいろ検討いたしますと、非常に多様にわたっているようですけれども、その中で、私は一つだけ申し上げますが、これはやはり現場の長の一つの主観、感じ方、あるいは組合に対する一つの憎しみというか、そういったいわば感情むき出しの処分というものが非常に多いのであります。したがって一つ例をとってみても、その内容は非常にまちまちである、こういう事例が出ておるのであります。たとえば上司の命令を無視してかってな作業をした、こういう処分内容があります。これは大体中身は同じであります。どういう形でもって処分をしているかといいますと、大体いま申し上げた上司の命令を無視してかってな作業をした回数が、一回であるとか二回であるとか、いわばそういう形でもって処分をしているようであります。  ところで、私が例を三つあげますからひとつお答えをいただきたいのでありますが、いまの上司の命令を無視してかってな作業をした者は、神田局の郵便課、一日ないし二日、これに該当する者が戒告。一日間これに該当する者が訓告。京橋局郵便課、集配課、二日間、これに該当する者が戒告。一日間、これに該当する者が訓告。葛飾新宿局集配課、二日間、これに該当する者が減給一カ月。一日間、これに該当する者が戒告。こういうふうになっているのであります。この差は一体どこから出ておりますか。
  181. 山本博

    山本(博)政府委員 一つ一つ調べないと的確なお返事はできないと思いますが、業務命令に違反するという内容に実は二つございます。たとえば、一つは、いわば取り扱い規定にきめられておる仕事のしかたをしておりますけれども、上司が、その作業はここでやめて、別な作業に移るということを指示したにもかかわらず、前の作業をそのまま続けておる。したがって、適切な郵便物全体の流れに応じた配置ができないというような事例がございます。これは私のほうの考え方としては、同じ業務命令違反でも比較的軽いほうと考えます。ところが、上司が、こういうやり方業務をするようにという指示をしているにもかかわらず、全然取り扱い規定に書いてない方法、自分の判断で作業をして、正規の仕事のしかたをしない。こういうのは、同じ業務命令違反でも質が違うのではないかということで、内容において差をつけておることは事実であります。そういう意味の差がいろいろな形で出てきているのではないかと思います。
  182. 田邊誠

    ○田邊委員 発令をされた処分の中身は全く同じなんだ。それがその局、局によって、かくも差があるのです。これはあなた方の処分の中では一番単純な処分内容なんです。これはもうやはり本省としては、一つの統一した指導をしなければならぬ中身だろうと私は思うのであります。そうすると、これはどういうことなんですか。これは現場長の考え方でもって、いまのは処分のできる事項ですか。
  183. 山本博

    山本(博)政府委員 権限といたしましては、現場の局長に委任してございます。しかし、いま御指摘がありましたように、労働問題というのは、全国的な基準で考えたほうが適当だという問題が多うございますので、労働問題に関しましては、処分をするのは本省が一つの基準というものを示しています。そういう基準によって、各現場現場で処分を考えるということでございます。
  184. 田邊誠

    ○田邊委員 したがって、同じあなた方の処分内容に当たっておっても、この処分は、これほど実は違う内容なのです。非常にまちまちなのです。これは一つには、やはりその現場の長のその人の主観、感じ方、こういったものに非常に左右されているというふうに私としては思わざるを得ないのです。  もう一つお聞きいたしますけれども、同じ処分内容であって、処分のいわば量刑に差がありますか、同じもので……。
  185. 山本博

    山本(博)政府委員 全く同じであれば差はございません。
  186. 田邊誠

    ○田邊委員 葛飾新宿局に、あなた方の発令している処分内容が全く同じものであって、一方は減給六カ月、一方は減給一カ月というものがある。なぜ、それじゃそういうふうに差がついたのか、  一方は主任であります。一方はいわゆる職務上の肩書きがない。そうすると、主任のほうはあれですか、職務上の何か中間管理者の立場であるから、同じものであっても、これは処分は重くて、一般の者は処分が軽い、こういうかっこうになりますか。
  187. 山本博

    山本(博)政府委員 主任であるか、平の職員であるか、そういうことは処分に全く関係ございません。いまあげられました事例として考えられるのは、もし、どちらかが組合の役員として指導的な立場にその局であったかどうかの違いがあれば、そういうものは出てきます。
  188. 田邊誠

    ○田邊委員 そういうことは書いてございませんね。集配課主任として勤務した者であるが、こういうことで、それ以外は同じであります。組合の役員だからという意味じゃございません。そういうことは指摘してございません。これは明らかに、やはり一方は主任であるという立場、一方はそうでない立場というものでいわば処分の差をつけた、私は主要な原因ではないかと思うのであります。葛飾新宿局の集配課の荒井三郎君、渡辺亀吉君、減給六カ月、それ以外の集配課の組合員、減給一カ月、お調べをいただきまして、もしその中身について——減給六カ月と一カ月ですからね。差がありまするならば、ひとつそれを具体的にお示しをいただきたいと思うのです。いかがでございますか。
  189. 山本博

    山本(博)政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、回数の違いによってこういう差が出てくる場合もございますので、なお念のために調べて御報告いたします。
  190. 田邊誠

    ○田邊委員 私がいま調査をいたしましたところても、先ほど言ったように——回数の差というふうに人事局長言われたけれども、同じ処分の、いわば中身であっても、ときに訓告であり、ときに戒告であり、減給であると、こういう状態であります。ひとつ、先ほどの三局の例についても、お調べをいただきたいのでありますけれども、調べるまでもなく、いわばこれは現場長のそういった感じ方、中にはさっきの西成局のような局長がありますると、これはもうとたんに処分は重くなるという、こういう形では、きわめてこれは感情に左右された私は処分ではないか、こういうふうに思わざるを得ないのです。その他業命拒否、あるいは業命に従わないと主張した者等についても、停職から訓告まで、かなりのいわば中身に、処分に差があるのであります。一つ一つの事例は、幾らかでも違いはあるとあなたはおっしゃるかもしれません。しかし大筋においては、処分一つの基準があるとすれば、あまりにもこれは差のある処分ではないか、こういうふうに私は考えざるを得ないのです。そういった点からいきまするならば、今回の処分一つ一つをとってみたときに、大きな問題がその中に含まれておる、こういうふうに感ぜざるを得ないわけですけれども、過去何年かの間に行なわれた郵政の処分と比較をしてみても、今回の処分は量刑においてきわめて重い処分をしておる。こういうふうに思わざるを得ないのです。たとえば年末闘争ではなくて、昨年の夏の小包み集配処理に関する闘争についても、東京地本の鈴木豊君、高木繁治君両君に対して解雇の処分をいたしておりまするけれども、これも厳格な意味において、いわば実力行使をやり抜いたという状態ではない。たしか九月一日に、これは実力行使を中止している。こういういわば話し合いによる一つの時点があったはずであります。そういう点から見まして、この処分の中身というのは、いわばその量においてもきわめて重い処分をしたということに非常に大きな特徴があると私は考えざるを得ない。しかも処分はまことにまちまちで、現場長の感情に左右された処分がある。その代表的なものが大船渡であり、西成である、こういう状態であろうと思うわけでありまして、私は先ほど政務次官が言われたとおり、やはり処分をすることが本旨ではないと思います。年末闘争が、労働組合との間における一つの申し合わせ、条件と申しましょうか、そういうことがあったということを先ほど御報告いただいておるわけでありますから、そういう点から見て、この処分についてはきわめて遺憾である。あるいは組合員に対する、いわば先制攻撃をかけた一つの省の強硬な労務政策のあらわれではないか、私はこういう感じがするわけであります。  政務次官、お聞きになっていて、おわかりであろうと思うのでありますけれども、私どもがはたから見て、いわば処分内容というのが第三者が見ても、これはなるほどと思うものでなくてはなりません。同じ処分の中身において、結果がまちまちであるというようなことは許されるべきものではないと思うのであります。  そういった点から見て、私がいま指摘申し上げて、あとでひとつ当委員会に御報告いただくことになりました数多くの事例か存在するわけでございまするから、先ほど善処をいただくというお話がありましたけれども、この際、いま私が申し上げたような指摘もあるわけですから、この処分を撤回するしないということでなくて、処分の中身、処分のいわば対象、そして処分の結果について、ひとつ全体的に検討されて、その結果に対して、また私どもに御報告をいただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  191. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 いろいろ処分の量刑の内容において欠くるところあり、均等を得ていないという印象を与えるような処分結果を得ること自体、私はよろしくないと思います。  御指摘になりましたような点、今後そういうような心配が出てくることのないように、こういうような場において、そうした御指摘を受けるような場面の二度とないように十分検討をいたしまして、いわゆる善処をとりたいと存じます。
  192. 田邊誠

    ○田邊委員 一月十三日の処分について、私は省がメンツがあるから、この場所でもって再検討するということばを吐けないということは、これはやはりいかがかと思うのですよ。具体的な事象の中でもいろいろと検討してもらわなければならない点が出て、御報告をいただくことになっているわけですから、これらを含めて、やはり謙虚に処分の中身について再検討してもらう、こういうことはぜひ必要じゃないかと思うのですが、そういうことでよろしゅうございますか。ひとつお答えをいただきたいと思います。
  193. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 先ほど人事局長のほうから申し上げました、あとで御報告申し上げますという分野につきましては、仰せのとおりにいたします。局長もそのつもりでございますし、あとう限り御趣旨に沿うような御報告内容にしたいと思います。
  194. 田邊誠

    ○田邊委員 私は、年末闘争妥結の際に、省が話し合いをされた、今後の労使関係については、団体交渉を含めて十分正常な歩みをし、組合に対して不当労働行為等をしないという、これが基本でなければならぬと思う。そういった意味合いで、今回の処分はきわめて遺憾であるというふうに考えるわけでありまして、その時期等がタイミングが合わなかったという政務次官のお話がありましたけれども、そればかりでなくて、今後も労使関係に大きなひびを入れさせるような形ではなかったかと私は思うのでありまして、あくまでも年末闘争妥結の際における労使間の話し合いというものを、その基本において、今後ひとつ運営をはかっていただきたいと強く念願をするわけでございますが、政務次官からひとつお答えをいただいて質問を終わりたいと思います。
  195. 高橋清一郎

    高橋(清)政府委員 いろいろ御指摘賜わりました。今後事務運営にあたりまして、参考になりました点多いことをむしろ感謝申し上げます。御趣旨のほどを十分体しまして、今後の運営に当たりたいと存じます。
  196. 八田貞義

    八田委員長 烏本君。
  197. 島本虎三

    島本委員 労働大臣来ておりますか。先ほど来ておられないので、この問題、質問できませんでしたから、一つだけ最後に締めくくりとして質問いたします。  それでは、いままでいろいろとここに質疑が繰り返され、また答弁がありましたが、しかしながら、その内容等においてもまたほぼ明らかになったわけでございまして、この内容等、いわゆる年休の問題、いわゆる業務命令の問題、その他いままでに出た最新の裁判所の判決、こういうようなものに照らしてもこれは当たらないという判決が出されたものも中に含まれているのであります。そういうふうになりますと、暴力行為云々、抗議云々という理由もありますが、これも労働組合法上認められている行為であるという判決さえも最近出されておるのであります。こういうようなのも理由になっておるとすると、今回の処分そのものは、郵政省が出した処分であるには間違いないけれども労働慣行を通じて見ると、やはり若干行き過ぎの点ないわけでもない。また、今後当然これの是正があってしかるべきだ、こういうようなことが考えられるわけでございます。したがって、労働大臣として、労働者保護の立場から十分関連を密にして、そして指導すべきは指導して、是正させるべきものは是正して、そして現在を是正し、今後のためにも、よい労働慣行をつくるようになすべきではないか、こういうふうに思うわけでございまするけれども労働大臣の所感を聞いておきたと思います。  なお、この点についても、あらためて郵政政務次官の説明がほしいのでございますけれども、前の説明で了解いたしましたから、労働大臣のこれは対するはっきりした見解を承りたいと思います。
  198. 小川平二

    小川国務大臣 御発言の御趣旨はしかと承りました。私どもこい願っておりますことは、民間の企業体であると公共企業体であるとを問わず、健全な労働組合運動の発展、労使の関係の権立ということでございます。  いろいろ先ほどから出ておりまする個々の具体的な案件につきましては、権限を持つ第三者機関が最終的には判定すべき問題だと存じますが、労働省といたしましても、必要に応じて相談にも応じ、また助言もいたして、円満な解決に資したい、かように考えております。
  199. 八田貞義

    八田委員長 大橋敏雄君。
  200. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 私は、いままでの質問者の質問と趣を変えまして、最近、数年前から、産業界の労働力、いわゆる人手不足の問題が非常に深刻になってきておりますので、この問題についてお尋ねしたいと思います。  産業界では、特に今春学園を巣立っていく中学、両校、あるは大学の各学卒者に対しまして、いわゆるねらい撃ちをかけて、去年ごろから激しい争奪戦が演じられているとも聞いております。そこで、この人手不足に対する政府の対策をお伺いするわけでございますか、順序立てて尋ねますので、大臣ないしは安定局長等から御答弁をお願いしたいと思います。  まず、人手不足現象をあらわす目安というものは、一般労働市場での労働力の需給関係に示されると聞いております。終戦後ずっと過剰労働力といわれてきたものが、最近では求人超過現象だというふうに変わってきておりますが、一体、この現象はいつごろからこのような姿に変わってきたのか、そういう点、大ざっぱでけっこうですから、まずお答え願いたいと思います。
  201. 小川平二

    小川国務大臣 最近における労働力の需給逼迫の実情につきましては、もとよりよく御承知のことと存じますが、求人が求職をこえるという現象は、実は、昨年になって初めてあらわれてきた現象でございます。具体的な数字等につきましては、ただいま安定局長から説明をいたさせます。
  202. 有馬元治

    ○有馬政府委員 大体昭和三十年ごろには、中学、高校のいわゆる学卒者の求人倍率は一前後でございましたが、これがだんだん倍率が高まってまいりまして、三十五、六年ごろから二倍から三倍近くにはね上がりまして、最近では、四十二年の三月実績で、中学が三・四倍、高校が三・二倍。それから、これはことしの三月の卒業者の見込みでございますが、倍率は、中学が四・九倍、高校が二・八倍、こういうふうな倍率で、最近は倍率が非常に高くなっております。  これと同時に一般労働市場における学卒者以外の需給につきましても、だんだんと求人求職の倍率が一に近くなりまして、全体としては非常に労働力の不足というような事態に立ち至っておりますが、ただ、年齢的に見ますと、やはり荷年齢君が求職倍率が高いといいますか、就職難である。たとえば、五十歳以上の年齢だけをとってみますと、三十五年当時、求職倍率が一五・二、すなわち求人一に対して、求職者が一五・二人ございました。これはだんだん改善されまして、下がっておりますが、最近四十二年の実績におきましても、やはり四・七倍というふうな倍率で、年齢が荷いと就職は必ずしも容易ではないというような状態になっております。
  203. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いま、大臣の説明によりますと、去年ごろから、とみに求人難になったというふうなお答えがありましたが、私が調べたところによりますと、三十六年以前は求職者が求人を上回っていた。ところが、三十七年以降になって、それが逆転したんだ、いわゆる買い手の労働市場から売り手のそれに変わったんだ。このように大きな分岐点は三十六年ないし七年のそこにあったんだと聞いておりますが、この点はどうでしょうか。
  204. 小川平二

    小川国務大臣 申し上げましたのは、求人が求職をこえるという現象が初めてあらわれましたのが昨年だ、かように申したわけです。労働力需給逼迫の傾向は、御指摘のとおりもっと早くからあらわれてきておるわけでございます。
  205. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、求人超過現象、特に中卒者、高卒者にあらわれているといわれておりますが、中卒者での求人倍数は、三十年ごろと今日——今日といっても四十一年でけっこうだと思いますが、どのくらいに高まってきたのか。もう一度お願いします。
  206. 有馬元治

    ○有馬政府委員 三十年は、中学で例にとりますと、求人倍率が一・一倍、要するにバランスがとれておったわけですが、四十二年になりますと、これが三・四倍にはね上がっております。
  207. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 中卒者の求職者というものは、進学率の向上のために非常に急減してきていると聞いておりますけれども、この四十三年度の中卒者の求職希望者は、全体の何%ぐらいで何人ぐらい見込まれているのか、お尋ねします。
  208. 有馬元治

    ○有馬政府委員 四十三年の正確な数字がまだ出ておりませんが、四十二年の実績で申し上げますと、中学につきましては進学率が七一・二%、就職者が四十四万六千人で就業率は二二・九%、これは必ずしも進学と就業率を足して一〇〇%になりませんけれども、そういう状態でございます。
  209. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 これは新聞などの情報で知ったわけでございますが、四十三年度の中卒者の就業、就職希望者は、全体でわずか一五%ぐらいだと見ました。それから人数で三十八万人。いまの御説明によりますと、昭和四十二年七一・二%進学して、あとそうでない人が二二・九%ということになったということですが、昨年から比べますと大体一三%ぐらい落ち込んでいるのではないか、こういうふうに考えるのですけれども……。
  210. 有馬元治

    ○有馬政府委員 この三月の卒業生についての見込み調査しか現在のところございませんが、これによりますと、卒業見込み者数が百八十三万人ございます。そのうち、十月一日時点での調査数字でございますが、雇用労働者として就職する希望を持っておる者が二十七万七千人、これは御指摘のとおり卒業見込み者総数に対する比率は一五%でございます。しかし、この希望者二十七万七千人というのは、やはり卒業が済んで五月時点で実績で出てくる数字とは若干開きがございまして、これは昨年の就業者四十四万と直ちに比較するわけにはいきませんが、若干この希望者数は進学その他の理由で毎年ふえておりますので、これは同じ時点の数字で比較しなければ正確な数字は出ないと思います。
  211. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それじゃ高卒者のほうも中卒者の状況とほぼ似たような状態であるかどうかということですが、大体同じような傾向でしょうか。
  212. 有馬元治

    ○有馬政府委員 高卒者は、倍率の点では中卒を若干下回る程度でございますが、進学率は御存知のように四十二年度で二三・七%というふうに、これは大学に進む関係で進学率は中卒者と比べると非常に低くなっております。就職者の数は中卒者よりも非常に多くなっておりまして、昨年の実績は九十四万一千人、ことしの三月の見込みで申しましても、高卒者は卒業見込み者が百六十万人ございまして、そして、先ほどと同じように雇用労働者として就職を希望する者が、そのうち八十四万七千人、約半分を上回る希望者がございます。したがいまして、中卒と高卒と比べてみますと、倍率は同じように高まってきておりますけれども、実数は高卒が非常に多くなっておる。すなわち、労働力の供給の大宗をなすものは高等学校の卒業者であるということになっております。
  213. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、なぜこのように中卒ないし高卒等に企業が殺到するのでしょうか。政府という立場からどのようにそれをとらえておられますか。大まかでけっこうですから、これもお答え願いたいと思います。
  214. 有馬元治

    ○有馬政府委員 日本の企業は、これは伝統的に学卒若年労働者に需要が偏在するというふうに従来からいわれておるのでございますが、今日におきましてもその傾向は依然として続いております。この理由はいろいろございまするけれども、やはり年功序列型賃金の雇用慣行の中では、初任給が割り安である、また職業に対する適応性が非常に強い、いろいろな利点がございますので、企業の側から見ますと、やはり学卒若年労働力がある限りにおいては、ここに需要が偏重するという傾向はやむを得ないと思うのです。これに対して私どもとしましては、学卒者が絶対数においても漸次これから減ってまいりますので、この需要の偏在を中高年ないしは身体障害者、あるいは中年の家庭婦人といった方向に需要の転換をしていかなければならぬ。これにはいろいろむずかしい問題がございまするけれども、それぞれの援護措置、指導措置を通じながら、この矛盾を解決してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  215. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 それでは、三十年以降の雇用状況の推移といいますか、それを説明していただきたいと思いますが……。雇用者の姿ですね、どのように変わってきたか。たとえば三十年には何万人あるいは何千、数字をあげてお願いしたいと思います。
  216. 有馬元治

    ○有馬政府委員 三十年に全産業の雇用者数が千七百二十七万ございました。途中飛ばしますが、三十五年には二千三百六万、四十一年には二千九百二十四万というふうに増加いたしております。
  217. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 じゃ、四十三年はどのように見込まれているか。
  218. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これは経済運営の見通しからはじき出しておるわけですが、四十三年度の見通しとしましては、雇用者の総数が三千二十万と推定しております。
  219. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いまの数字から見てまいりますと、昭和三十年から今日まで、年間約百万人もふえ続けてきたという計算になるように思われます。この大幅なふえ方に対して、雇用供給源として従来労働省は、学卒者がいるじゃないか、あるいは家庭婦人などの非就業者の採用がある、あるいは農業、商業など自営業者やその家族の就業化などがあるのだというふうに発表してきておったようでありますが、最近の人手不足が叫ばれ出したそのことについて、政府としてはどうそれをとらえておられるか、お願いします。
  220. 有馬元治

    ○有馬政府委員 これは新聞等でもすでに御承知かと思いますが、 この正月に私どもとしましては、現状の分析の上に立って今後の労働雇用政策の基調をどういうふうに考えるかというふうな基本的な見解を発表いたしたのでございますが、この場合に労働力の不足ということが一般にいわれておりまするけれども、ほんとうに不足なのかどうかということが一応一番重要な問題になったのでございます。いろいろな角度から検討いたしまして、結論としては、やはりまだ本格的な労働力不足ではないという結論のもとにこの対策を講じておりますが、しかしこの不足の状態は、漸次高まってきて、現在ヨーロッパ諸国が当面しておるような不足の状態というものが近い将来に生ずるであろう、こういう予測のもとに対策を講じたわけでございます。
  221. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 いま局長がおっしゃるように、わが国の労働雇用問題は、人手不足のその内容というものは、西欧諸国のように完全雇用下のいわゆる絶対的な人手不足ではなくて、まだその力があるのだ、あるけれども、政策の不備からそういう欠陥があらわれているのだと、このようにも受け取れるわけでございます。  それではお尋ねいたしますが、それに対して政府として長期雇用あるいは年次雇用計同等が立てられているかどうかということです。
  222. 有馬元治

    ○有馬政府委員 政策の不備から云々というような御発言がございましたけれども、これは別に政策の不備ということではなくて、今後経済成長が続けられるとするならば、漸次不足の度合いが高まってくるということを申し上げたのでございます。  そこで、長期計画があるかというお話でございますが、これも昨年三月に五カ年間の基本計画を閣議決定いたしました。この計画の副題としましては、「完全雇用への地固め」というねらいをつけておりますが、四十六年までの五カ年間に雇用対策の基本としてどういうことを考えたらいいかという基本的な方向を閣議決定いたしましたので、この長期計画に基づいてそれぞれ年次計画を展開していきたい、かように考えておるわけでございます。
  223. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 その長期雇用計画ないしは年次雇用計画の資料は、後日でいいですが、いただけますか。
  224. 有馬元治

    ○有馬政府委員 提出いたします。
  225. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 完全雇用は国も義務を負い、あるいは企業側にも雇用の義務を明確化することが肝心だと私は考えるのですけれども、いわゆる義務化していくこと、これについてどのような考えをお持ちでしょうか。
  226. 有馬元治

    ○有馬政府委員 雇用を義務化するということは、そういう意見はございまするけれども、私ども法律上義務づけるという考え方は、今日のところとっておらないのでございます。雇用と申しましても、雇用関係を役務づけたらどうかという意見が一番強く出るのは、身体障害者雇用だと思いますが、これについても、やはり各国いろいろな事例がございまして、雇用を義務づけるということについては、いろいろな弊害もございますので、私どもとしましては、義務化しなくても、努力目標で雇用率を設定することによって、行政指導を加えつつ、所定の目標を達成したいというふうに考えておりまして、義務化の問題は、現在のところ考慮しておらないという状態でございます。
  227. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 先ほどの、大幅にふえてきた雇用供給源としての労働省の基本的な考えが、現在すでにくずれてきた状態にあるわけです。というのは、学卒者も、いままでの話のとおりに、もう頭打ちというところまできたような感じを受けますし、農商業、特に農業に従事している家庭の若年労働者というものは、都市などにどんどん出ていってしまう、こういうようなことから、ここには何かやはり義務づけるべきものがなければ、ほんとうの雇用政策にはならないのではないか。  そこで、お尋ねしますが、日雇いあるいは臨時工、社外工あるいは組夫、こういう不安定労働者に対して正常雇用に転化させるような何らかの法的措置を講じられていく考えはあるかどうかという問題です。
  228. 有馬元治

    ○有馬政府委員 御指摘のような就労形態につきましては、雇用自体がきわめて不安定であり、労働条件が非常に悪いというふうな雇用形態でございますので、私どもとしましては、この不安定な雇用状態を改善すべきであるという考え方で、先ほど申しました雇用基本計画におきましてもこのことを特に指摘いたしまして、重要な項目として取り上げまして、この改善策を考えておるのでごいまいます。いろいろ具体的な内容はございまするが、その中で一番大きな問題としましては出かせぎ就労形態にありまするいわゆる出かせぎ者の問題、これにもいろいろな種類がございまするが、私どもとしましては出かせぎ者の中で正常、通常の通年雇用ができる者については、できるだけ通年雇用のほうへ持っていこう。そうして通年雇用ができない者について明るい出かせぎ体制を確立していこう、こういうふうな政策をとっております。それからまた石炭等に見受けられまする組夫につきましても、石炭措置法その他によりまして、これの使用を厳重に規制しておりますので、できるだけ正常雇用一般労働者によって石炭を掘るようにしむけていっております。こういうふうなことで御指摘のような不安定雇用は漸次改善をしてまいりたい、かように考えております。
  229. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 時間が来たようでございますので、最後にもう一つお尋ねしたいのですが、若年労働者はいわゆる引っぱりだこでありますけれども、それにかわりまして中高年齢層の、特に高齢者の就職の問題が出てくるわけであります。これはいまもさっぱり改善されていないという状況ろうと思いますが、中高年齢層の失業者に対しては、国の責任において再雇用を実現せねばならないと私は考えるのであります。そこで、実際これに対してどのような対策が講じられているか。また労働省では最近全国の十三カ所の職安に高年齢者コーナーというものを設置なさったということを聞いておりますが、それはどのような動きをしているか、お願いします。
  230. 有馬元治

    ○有馬政府委員 中高年の雇用対策につきましては、私ども一番重点を入れておるところでございますが、その内容は多方面にわたっておりますが、御承知のように第一点としましては、三十五歳以上の中高年を対象にいたしまして、就職促進措置という特別な促進措置を講じております。これには訓練手当あるいは指導手当というふうな手当を支給しながら、就職促進をはかっていくということを考えております。  その他御指摘のように、高齢者のコーナー、あるいは相談コーナーというようなものを主要な安定所に設置いたしておりますが、これの最近の実績を見てみますと、求職の相談件数といたしまして、昨年の四月から九月までの半年間にわたりまして二万九百六十九件ございます。また市役所あるいは区役所等に設けておりまする相談コーナーにおきましても、これは数字は、件数は少ないのですが、全体で二百六十一件というふうな実績がございます。このほか御承知のような人材銀行を東京、大阪、名古屋というふうに開店をいたしております。来年度はさらにこれに加えて福岡、広島というふうなところに人材銀行を新たに設けていく、かような具体的な措置を通しまして、中高年齢者の就職促進をはかっておるという状態でございます。
  231. 大橋敏雄

    大橋(敏)委員 最後に、大臣にお願いでございますが、特に石炭産業はいま非常に逼迫して閉山が予想され、またそこから当然起こってくる失業者が、ばく大な数が予想されているわけでございますが、特にこのような失業者に対する雇用政策に全力をあげていただきたい。この雇用政策に対する大臣の所信を一言聞いて終わりたいと思います。
  232. 小川平二

    小川国務大臣 石炭産業の当面のきわめて深刻な状況につきましては、私も知悉いたしておるつもりでございます。離職者に対しましては従来からさまざまの特別の制度が講じられておりまして、再就職を円滑ならしる政策を進めてきておるわけでございます。実情に応じてこれから先も、あとう限りこれを拡充してまいりたい、かように考えおります。
  233. 八田貞義

    八田委員長 次回は明後七日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十七分散会