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1968-05-10 第58回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月十日(金曜日)    午前十一時十分開議  出席委員    委員長 山崎 始男君    理事 天野 公義君 理事 小山 省二君    理事 丹羽 兵助君 理事 橋本龍太郎君    理事 河上 民雄君 理事 島本 虎三君    理事 本島百合子君       大石 八治君    塩川正十郎君       砂田 重民君    地崎宇三郎君       葉梨 信行君    藤波 孝生君       古屋  亨君    山村治郎君       加藤 万吉君    工藤 良平君       佐野 憲治君    浜田 光人君       折小野良一君    岡本 富夫君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         厚 生 大 臣 園田  直君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         厚生政務次官  谷垣 專一君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         通商産業省鉱山         局長      両角 良彦君         通商産業省鉱山         保安局長    西家 正起君         運輸政務次官  金子 岩三君         建設政務次官  仮谷 忠男君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         運輸大臣官房参         事官      内村 信行君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     犬丸 令門君     ――――――――――――― 五月十日  委員伊藤宗一郎君、河本敏夫君、塚田徹君及び  和爾俊二郎辞任につき、その補欠として大石  八治君、山村治郎君、砂田重民君及び古屋亨  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員大石八治君、砂田重民君、古屋亨君及び山  村新治郎辞任につき、その補欠として伊藤宗  一郎君、塚田徹君、和爾俊二郎君及び河本敏夫  君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  大気汚染防止法案内閣提出第一〇五号)  騒音規制法案内閣提出第一〇六号)  産業公害対策に関する件(水質汚濁対策)      ――――◇―――――
  2. 山崎始男

    山崎委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本(富)委員 重要法案に入る前に、緊急といたしまして、イタイイタイ病質問をいたしたいと思います。  最初厚生省にお聞きしますけれども、五月八日に発表されました中で公害認定なさったというわけで、住民もまた一般の方も、今度の厚生大臣のこの勇断を非常に喜んでおりますけれども、この中で、対照地域として調査した他の水系及びその流域ではカドミウムによる環境汚染や本病の発生認められなかった。したがって、神通川のみにその病気発生しておる。対照河川の河水あるいはまたその流域の水田の土壌中に存在するカドミウムというものは非常に少なくて、自然界はこれとあまり大差がないというように出ておりますが、こう解してよろしいでしょうか。
  4. 谷垣專一

    谷垣政府委員 いま御質問のございました点につきまして、対照河川と称しておりますのは、この神通川と対比するというとあれですが、要するに神通川でない、神通川に対比すべき河川という意味でございます。その近辺の川あるいは鉱業所のございますよりも上流の地点というようなことを意味いたしております。  元来、カドミウムというものは自然界には、ごく微量でございますが、存在いたしております。そこでいま申しましたような神通川の、問題になっておる川以外の、一例を申しますれば、その横に流れておる井田川でありますとか、その他のところを調べましてやった、こういうことでございます。当然、神通川の中には自然界に存在する微量なものがございます。つまり鉱業所排出物以外にそういうようなものがごく微量あるわけでございます。しかし、それは通常状況にあるものと同じであるということを言っておるわけでございまして、したがいまして、それ以外のものは鉱業所から流れ出しておるものだ、こういう断定をいたしておるわけでございます。詳しくは担当のほうから申します。
  5. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そういたしますと、要するに通常、大きく言えばこの地球上にありますカドミウムというものは――放射能やいろいろなものがありますけれども自然界に存するというものはごく微量である、そういうものはもう病原にならないと解すると、このイタイイタイ病発生原因は、神通川上流三井鉱業所に限る、これであったら、こういうように断定できるわけでありますが、どうでございましょうか。
  6. 谷垣專一

    谷垣政府委員 私たち発表いたしましたことば表現から申しますと、「神通川上流三井金属鉱業株式会社神岡鉱業所事業活動に伴って排出されたもの以外にはみあたらない。」という表現をとっております。つまり、先ほど申しました、普通の自然界に存在いたしますごく微量カドミウムのほかのものは、今度の調査の結果はっきりいたしましたのが、鉱業所以外には見当たらないということでございますから、鉱業所がその原因であるということになると思います。
  7. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題は、私どものほうで取り上げまして、やっとここまできたわけでありますが、いま現地の人たちが一番困っておりますのは、去年年末から、いろいろ救済をしてもらっておりますけれども、なお、この病気につきましては、相当な栄養剤あるいはまたいろいろな病気原因になっているものを確めて、そして地元萩野博士がやっておりますけれども、ここで公害病認定されたわけでありますから、これについては早急に――もちろん、これは神岡鉱業所責任でありますけれども、それまでの期間、このイタイイタイ病患者救済してやっていただきたい、やらなければならない、この思うですが、この救済法について具体的にお答え願いたいと思います。
  8. 谷垣專一

    谷垣政府委員 現在この患者数七十三名、その疑いがありまして観察を必要といたします者が百五十名、約二百二十三名の人たちがその対象になっておりますが、その人たちに対しまして、実はこの一月から、関係市町あるいは富山県が、これらの医療対策に対しまして施策を講じております。厚生省のほうからは、いわばちょっと異例でございましたが、公害調査費の中から、これらの県に対しまして若干の委託費を出してお願いをいたしている、こういう状況になっております。今回公害認定がなされましたので、この公害医療研究費補助金の中から、特別の医療研究をいたすということにいたしまして、先ほど申しました方々の医療につきましては十分に、負担のないように考えてやれるような対策を講じていくことにいたしております。
  9. 岡本富夫

    岡本(富)委員 すでに、このイタイイタイ病患者の状態というものは、厚生省でつかんでおると思うのですが、いま富山県では幾らかあるいはどこで幾らというものは出ておりますけれども、なおその上に救済ということは、すでにあなたのほうでは二千万の予備費というようなものを持っているわけですから、さしあたって、そのうちで、あとどれくらい充ててやるとか、こういう大体のめどができておりますか。
  10. 橋本道夫

    橋本説明員 いま御質問のございました公害医療研究費補助金は、今年度より設定されました新しい予算でございますので、執行につきましては、大蔵省とまず最初に協議しなければならないということがございます。そういう点で、金額の明示は現在の段階ではしかねますが、従来このめんどうを見てまいりました調査研究委託費ということのほか、もう少し研究を深く進めて、予防と治療についてのさらに深い、広い研究を進めたいというような点につきまして、もう少し手厚い形にならないものだろうかということで考えております。そういう意味で、従来のものよりも幅は広がるということは当然考えられますが、金額については、現在の段階ではまだ不確定でございます。
  11. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題については、地元萩野博士の長年の研究によって、すでにもう結論らしきものが出ているわけでありますから、ただ研究研究というよりも、実際に地元人たちが安心できるように、早急にひとつ手を打っていただきたい、これを要求しておきます。  このイタイイタイ病について、もう一つの点を申しますれば、次に起こるべきイタイイタイ病の問題を考えて、地元では水道の布設を非常に望んでおりますけれども、この経費が約一億くらいかかるのじゃないかというようなこともいわれておりますが、この問題については、ただ「四十三年度よりその設置に着手するよう取り図らいたい。」というような簡単なあれでありますが、すでにこれはこの設計もできて、そしていろいろな予算関係もできておるのかどうか。厚生省の案としてはできておるのか、これをお聞きしたいと思うのです。
  12. 橋本道夫

    橋本説明員 水道の件につきましては、すでに水源の調査を終わりまして、本年度着工することは明らかでございます。ただここに問題がございますのは、その補助率という問題がございまして、個々の自治体の財政指数でいきますと、大体四分の一というところでございますが、この点につきましては、より優遇措置がとれないものであるかということにつきまして、大蔵省当局と折衝をするということで、現在、水道課のほうが、そういう方向で検討、努力をいたしておるところでございます。
  13. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これは地元のほうは非常に貧村なんですから、ひとついま話があったように、優遇措置をきちっととってもらいたい、これを要求しておきます。  そこで、通産省にお聞きいたしますけれども通産省は、私がこの前、通産大臣に、商工委員会において、イタイイタイ病厚生省結論が出るならば、それは通産省として認めるかどうかとただしたのに対して、この点について、その原因は必ず認めます、こういうように通産大臣からはっきりと答えをいただいておりますけれども、今度のこの新聞報道を見ると、西家鉱山保安局長は、「厚生省見解原因一つと決めていないはずだ。神岡鉱業所にも責任がある、としているだけだ。」こういうようにあなたが発表したということが出ておりますけれども、それはほんとうでしょうか。
  14. 西家正起

    西家政府委員 私あとで新聞を読みましたのでありますが、私の申し上げた真意を必ずしも伝えていない、こということでございまして、われわれといたしましては、厚生省がいろいろ研究された結果、公害というふうに認めて、積極的に被害者対策に乗り出すということに対しまして、異論を差しはさんだものではございません。
  15. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうしますと、通産省としても、このイタイイタイ病原因神岡鉱業所であるということを、はっきり認めるわけですね。
  16. 両角良彦

    両角政府委員 三井金属鉱業神岡鉱業所からカドミウムが出ておるという点は事実でございます。それが今回の厚生省発表によりまして認定を受けました以上、企業責任があるということは、当然われわれとして考えております。
  17. 岡本富夫

    岡本(富)委員 このイタイイタイ病原因神岡鉱業所にあるのだ、こういうように、通産省のほうでもはっきりお認めになりましたけれども、今後通産省として、この神岡鉱業所に対してどういうような手を打っていくか、あるいはまたどういうような勧告をするか、これについてお聞きしたいと思います。
  18. 西家正起

    西家政府委員 ただいまの御質問のうち、今後の予防対策という面につきまして私からお答え申し上げます。  予防につきましては、この題問発生以来、再三にわたりまして、現在もよく調査をいたしておりまして、その点につきましては、厚生省とも全く同じ見解でございますが、現在のものは問題がないということでございますけれども、事、人命に関する問題でございますので、なお厚生省と共同で予防のための調査を行ないまして、その結果によりまして、さらに今後万全の措置をとりたい、こういうように考えておる次第でございます。  なお、被害者対策につきましては、鉱山局長からお答え申し上げます。
  19. 両角良彦

    両角政府委員 御承知のように、現在、損害賠償につきまして訴訟が提起されておるわけでございますが、被害者救済が迅速を要するという見地から、訴訟とは別個に、できるだけ早く当事者間の話し合いが行なわれるよう、われわれとしましても、地元県当局とも協力をいたしまして、あっせんを申し上げたいと思います。もとより企業側賠償の範囲というものは、その原因発生との間に、相当因果関係というものが法律認められなければならないわけでありまして、その限度における企業責任というものは、最終的には裁判所の判決に待たざるを得ない。ただ、それとは別個に、事実上の救済措置の促進ということをはかってまいりたい、こういう趣旨でございます。
  20. 岡本富夫

    岡本(富)委員 イタイイタイ病については通産省も、厚生省発表どおり、その原因神岡鉱業所の排水によるのだということをお認めになったと思います。さらに、この被害者救済について、ひとつしっかりした対策を立てて、一日も早く被害者救済をやっていただきたい、これを要望いたしまして、イタイイタイ病につきましては、時間がありませんからこれで終わります。      ――――◇―――――
  21. 山崎始男

    山崎委員長 大気汚染防止法案及び騒音規制法案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  22. 岡本富夫

    岡本(富)委員 引き続きまして、このたび提出されておりますところの公害法案のうちの大気汚染防止法案について、厚生省に御質問いたします。  最初厚生省公害部で、大気汚染防止法案要綱というものをおつくりになりましたが、その中には、「公害対策基本法精神にのっとり」云々とありますけれども、今度の法案では「この法律は、工場及び事業場における事業活動」ということになって、いままでのばい煙規制法と何ら変わりなくなっている。すなわち、公害対策基本法精神から大きく後退している。その一点は、公害対策基本法を制定したときには、目的のところで、「公害対策総合的推進を図り、もって国民の健康を保護するとともに、生活環境保全することを目的とする。」、こういうようにありまして、「経済の健全な発展との調和」というのは二項におろした。すなわち、この公害対策というものは、国民健康保護をもって第一義とするというように、公害対策基本法できちんと明示されたわけでありますが、今度の法案目的を見ますと、すでにこれが後退いたしまして、「国民の健康を保護し、あわせて産業の健全な発展との調和を図りつつ」というように、公害対策基本法から後退しておる。これはいかなる理由かをお聞きしたいと思います。
  23. 谷垣專一

    谷垣政府委員 基本法に基づきまして、この法律ができております。したがいまして、若干の技術的な――表現の方法が、いわば実施法の場合には、条文を別の条文にしないで合わせて書いておりますけれども精神は変わりはございません。本法にありますように、「大気汚染に関し、国民の健康を保護し、あわせて」、こうなっておりますので、その辺の趣旨は、ここでうたったつもりでございます。
  24. 岡本富夫

    岡本(富)委員 ばい煙規制法目的の第一条にも――これは三十七年六月二日に立法されまして、三十九年に法改正されておりますけれども、「この法律は、工場及び事業場における事業活動に伴って発生するばい煙」と、「生活環境保全産業の健全な発展との調和」、こういうように出ておりまして、この大気汚染防止法案目的と何ら変わっていません。ここでは若干ことばをかえておるわけであって、公害対策基本法の前の法案と何ら変わらないんじゃないか、こういうふうに思われるわけですが、あなたのほうで最初要綱をつくられたときには、この法律は、公害対策基本法精神にのっとり――国民が要望しておる公害対策基本法精神にのっとってもらいたい。これは大きく後退しておる。私どもは、公害対策基本法はまだまだ非常に不満だったのですけれども、一歩前進の意味で、この前に審議して賛成したわけですけれども、それより後退するということは、もうほんとうに失望せざるを得ない。どういうわけでこれが後退したのか、なぜ公害対策基本法精神にのっとりということをこの第一条のところに入れなかったのか、ひとつこれをお聞きしたいと思います。
  25. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 基本法から今回の大気汚染防止法が後退しておるのではないか、というお話でございますが、その点ば全くございません。たとえば、ばい煙排出規制等に関する法律目的をごらんいただきますと、「生活環境保全産業の健全な発展との調和を図り、」ということで、旧法では「生活環境保全産業の健全な発展との調和を図り、」というニュアンスのことばになっておりますけれども、今回の大気汚染防止法では、いま政務次官から御説明がありましたように、基本法と同じ趣旨で、「健康を保護し、あわせて産業の健全な発展との調和を図りつつ生活環境保全する」こと自体が目的である。まず第一に、国民の健康を保護する、その次に調和をはかって、生活環境保全する。前の旧法では、生活環境保全産業の健全な発展との調和そのもの目的のような書き方になっておるわけでございまして、先生の御指摘のように後退したのではないかということよりも、むしろ基本法精神どおりに前進しておるわけでございます。
  26. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それは詭弁だとぼくは思うのです。なぜかならば、あなたのほうで、最初厚生省案で、この法律は、公害対策基本法精神にのっとり、事業活動その他の人の活動によって生ずる大気汚染防止のために必要な規則その他の措置を講ずることにより、公害防止をはかることを目的とする――これならすっきりしている。したがって、この国民健康保護あるいはまた生活環境保全する、これが第一義であって、産業の問題もありますから、産業の健全な発展との調和というのは第二項目におりている。これならすっきりした目的になりますけれども、いまのこういう書き方ですと、だれが見ても、国民の健康の保護とあわせて、産業の健全なる発展ということは並列になっている。これはもうこの前の公害対策基本法をつくるときにもずいぶん論議したわけです。これがなぜこういうように目的が変わったのか。どういう圧力があったのか。報道されるところによりますと、大なたをふるわれて、厚生大臣がずいぶん困ったというような報道も出ておりますけれども、この目的は、あなた方が出された「公害対策基本法精神にのっとり、」と明確に入れたほうが、まぎらわしくなくていいのではないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  27. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 先生のいま御朗読になりましたのは、私どもが当初つくりました要綱の中の字句を引用されたのだと思います。私どもは、法律をつくる段階で、これを条文でどういうふうに具体的に書いていくかということについては、法制局ともよく相談いたしたわけでございますが、大気汚染防止法では、先ほどから政務次官や私からお話ししておりますように、公害対策基本法に基づきましてこの法律を制定しておりまして、旧法との比較等も、私から重ねて御説明したような次第でございます。  なお、今度の大気汚染防止法理由をごらんになりますとわかりますように、まず最初に、「公害対策基本法精神にのっとり、」云々ということでこの法律全体は、公害対策基本法精神にのっとってやるのだということが理由にも書いてございます。なぜ二項に分けたのを一項に合わせたのかという御指摘につきましては、先ほどからの御説明のように大体、実施法等につきましては、目的は一条で書き流すのが通例でありますし、その点は、私どもも気をつけまして、「大気汚染に関し、国民の健康を保護し、」ということをまず第一に書きまして、「あわせて」というふうに二段がまえで、この「産業の健全な発展との調和を図りつつ生活環境保全する」ということを書いたのでございまして、これはまあ法律ことばの整理でこうなった、というふうに御理解していただきたい。精神基本法どおりでございますし、かつまた、現行のばい煙規制法目的と照らしていただきますと、この法律のほうがより前進的であるということは、おわかりいただけるであろうと思います。
  28. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私の言っているのは、せっかくこういうように公害対策基本法ができたわけでありますから、その精神にのっとるという一項が入っていない限り、これは後退したものと解するわけです。  時間がありませんから、その次の問題にいきますけれども、この中に「工場及び事業場における事業活動に伴って発生するばい煙」だけであって、なぜほかのものにまで――大気汚染防止法なんですから、工場及び事業場だけが大気汚染をしているのか、ほかの原因によって起こってくるものはこの大気汚染防止法ではどうしようもない、こういうことになるのか、その見解についてひとつ……。
  29. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 大気汚染防止法ばい煙規制法から発展的に前進した理由一つといたしまして、一つは、自動車排気ガスをこの法律で取り上げたことで、これは提案理由の中で詳しく書いているわけでございます。それから、もちろん先生指摘のように、公害対策基本法では「事業活動その他の人の活動に伴って生ずる」云々とありまして、事業活動以外の人の活動、いわゆる一般住民生活から出てまいりますさまざまの問題につきましても、基本法は、御指摘のように触れておるわけでございますけれども、昨日も御質問がありましたときに御説明いたしましたように、たとえば、一般民家から排出されるいろいろのばい煙等についても、大気汚染防止法で取り上げるべきではないかという御趣旨の御質問がございました。この点は、一般住民の家庭から出るばい煙そのものにつきましては、日常生活のことでもございますし、直接取り締まり対象にするということについては、この大気汚染防止法では触れておりませんけれども先生承知のように、札幌におきます集中暖房制度のような制度を、やはり将来は寒冷地帯においては考えざるを得なくなってくる傾向にあろうかと思います。そういう場合には、いわゆる法律対象よりも、そういう援助策によって、この大気汚染防止をはかっていく、こういうことになろうかと思います。したがって、今回の大気汚染防止法では、主として現在の日本の大気汚染状況からいたしまして、工場事業場の問題、それから自動車排気ガスに対する問題等を、直接的な法規制目的としたわけでございます。
  30. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それでは、ぼくは一般民家ということは、あまり問題にしてないのです。
  31. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 問題にしていないというわけではありませんけれども個々取り締まり対象にするということはいろいろの問題がございまして、取り上げていないということでございます。しかしながら、先生承知のように、公害対策基本法では、環境基準というものをきめるようになっております。環境基準というものがきまりますれば、当然その地域母家からの排出のいろいろの汚染物質を含めて、環境基準の数値がきまるわけでございますので、そういう点につきましては、そういうものも含めて総合的な政策が進められる。ただこの大気汚染防止法から直接民家取り締まりをやるというのじゃなくて、環境基準というものをきめて、そうしてそれに基づいて、その地域における住民も含めての健康管理ということを考えて、事業場あるいはその他の自動車排気ガス等も規制していく、こういうことになるわけであります。
  32. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私の言っているのは、大体、大都市においては――北海道の集中暖房は、あれば今度入りましたけれども、ああいうものでなくして、一般の大都市においては、民家からばい煙を出すということは非常に少ないと思うのです。そうでなくして、たとえば駅の操車場のあの機関車の問題、あるいはまた、港に着くところの汽船のばい煙の問題、こういうものが、いま現実に私視察してきまして、あちらこちらを見て、その問題でやはり住民が困っているわけです。そうすると、この法律から見ると、工場及び事業場における事業活動として、そういうものが省かれてしまうんじゃないか、こう思うのですがどうですか。
  33. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 この法律対象といたしますのは、工場事業場で、主として工場のようなお答えをいたしましたけれども、現行ばい煙規制法でも、都会における大きなビル等は当然対象になっております。御指摘の汽車は、最近はみんな煙を吐く汽車はほとんど少なくなっておりますが、一部に御指摘のような、汽車の問題あるいは汽船の問題等がございますけれども、これは非常に特別な公共性の高いものでございますし、また移動性等もございますので、この法律対象にしたわけではございませんけれども、運輸省のほうで、十分その点はたいへん注意しておられるようでございます。詳細につきましては、運輸省のほうからお答えになられると思います。
  34. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ、この問題、運輸省から、ずいぶん住民から苦情を聞いてきましたので、お答えいただきます。
  35. 金子岩三

    ○金子政府委員 スチームエンジンの汽車と汽船ですか、これは非常に最近少なくなっておるのでございますが、運輸省でそういったばい煙、いわゆる汽車、汽船のスチームエンジンのばい煙をどういう措置公害防止しようとしておるか、私ははっきり聞いておりませんが、参事官が見えておりますから、参事官からお答えいたします。
  36. 内村信行

    ○内村説明員 ただいまの御質問は、ばい煙というものの中には、交通機関の発生するばい煙、あるいは汽車であるとかあるいは船であるとか、そういったばい煙がたくさんあるだろう、そういったものの公害防止ももっとはかったらいいじゃないか、そういう御趣旨かと思います。御存じのとおり、船につきましては、現在は石炭をたいて煙をもくもく立てるということではなくなっております。そういったことは、ディーゼル等で、あるいは石炭だきの船がなくなってまいりましたので、逐次そういった船によるいわゆるばい煙の弊害というものはなくなってくるかと存じます。また汽車につきましても、全体的に電化をはかるとかディーゼルカーを走らせるとか、そういった方向によって、車体そのものからそういうものの発生を排除していきたいというふうに考えております。
  37. 岡本富夫

    岡本(富)委員 非常に少ないのじゃないかという話ですが、事実引き込み線のあるところでは、そこに工場があって、引き込んでいっておる。そして荷物を操作するときに、ほとんど一日じゅうでもありませんけれども、相当な時間を区切って絶えず入ってきて、その付近の干しものやあるいはまた窓を非常によごしておる。その苦情がずいぶんきておる。私は、この大気汚染防止法ができたならばこれは何とかなるのだから、というような考えを持っておったわけですが、いま見ると、この法案からは除外されておるということは、将来やはり野放しになるのじゃないか、こういうように思うのですが、運輸省のほうは、この点について、この大気汚染防止法案の審議にあたって、将来どうする、あるいはどういうように規制するのだということをはっきりしてもらいたいと思います。
  38. 犬丸令門

    ○犬丸説明員 国鉄は、第三次長期計画におきまして、動力の近代化を強力に進めております。運輸省といたしましても、その推進について努力いたしておるわけでございます。蒸気機関車は、終戦直後において約五千両ございましたが、ただいま二千三百両程度に減っておりまして、四十八年度をもって、蒸気機関車は全く姿を消すことになるわけでございます。  なお、入れかえ等につきましては、大きな蒸気機関車によりますところの入れかえ作業というものは、非常に非能率でもございますし、燃料のコストの点等から考えまして、極力ディーゼル動車化いたしておるわけでございます。四十八年度を待たず、除々にただいま減少しておる状況でございます。
  39. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それでは、この問題はこれぐらいにしておきます。  あと、この大気汚染防止法案関係で、公害防止の基本的施策であるところの環境基準、政府はその設定の責務を履行するというのが公害基本法精神でありましたけれども、今度の法案を見ますと、それがないように思われるのですが、この点について……。
  40. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 先生指摘のように、公害対策基本法の第九条で環境基準をきめることになっております。基本法が成立いたしましてから、厚生省といたしましては、問題になっております亜硫酸ガスにつきまして、まずいま鋭意作業を進めておりまして、いま最後の段階になっておりまして、昨日の御質問のときにもお答えいたしましたように、SO2につきましては二十四時間値〇・〇五、一時間値〇・一という数値を、どういう頻度なりあるいはどういう地域に考えていくかというようなところまで現在きておりまして、近いうちに、いずれ政府部内としてきめ得ることと思います。したがいまして、この環境基準と、大気汚染防止法なりその他の法律との関係でございますが、いわゆる環境基準は、行政上の政策の目標でございまして、これをもとにして直接的な規制をやるというような趣旨のものではございません。大気汚染防止法案の中の四条二項をごらんになりますと、汚染状況がひどくなりそうな地域については「特別の排出基準を定めることができる。」つまり汚染状況が悪いところには、一般的な基準よりも強い排出基準をきめようという趣旨の規定がございます。これが今回の大気汚染防止法の中では、現行のばい煙規制法よりも強化される一つの点でございますが、そこに「政令で定める限度をこえる」云々とございます。たとえばこういう場合に、環境基準をこえるおそれがあると認められるような地域には、特に、排出基準を、新しい施設についてはきつくするということはわれわれ考えております。現在、数値そのものがまだ確定しておりませんでしたので、直接法律上には出せませんでしたけれども環境基準を維持するにとって一番重要な要素の一つであります排出基準等についても、関連づけを考えておる次第でございます。
  41. 岡本富夫

    岡本(富)委員 一般住民大気汚染から守られようとするには、どうしても環境基準が必要になってくる。現実の問題を見ますと、尼崎に行ってみましたのですが、たとえばここに久保田鉄工とか、あるいはまたほかの会社がありますけれども、その排出基準というものは、現在きめられたものによってやっているという話ですけれども、これもだれもチェックはしてないわけです。会社のほうで調べたものを、そのままうのみにしているような状態でしたが、ところがその付近の環境、要するにその付近の亜硫酸ガスの量を調べてみますと、ものすごい。いまあそこでは、要するに四日市の日永肝炎のような肝炎が起こりかけておるというような状態なんです。それでいまあなたのお話の中で、今後新しい施設についてはという一つの話がありましたけれども、現在すでに稼動しておるところの事業所、これに対しても、付近の環境基準をきめて、そうして一本一本について、いままでの排出基準はこういうようにきまっているけれども、ここまで下げろというような指導が、この法律でできるのかどうか、また現実にだれがやるのか、この点についてお答え願いたいと思います。
  42. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 排出基準は、第四条の一項で、厚生大臣通産大臣が、指定地域ごとにきめるわけでございまして、したがって、現在、二十ほどの地域につきまして排出基準がきめられております。その中でも特に汚染度の強いような地域については、三ヵ所ほど排出基準をきつくやっております。したがいまして、一般的な問題としましては、指定地域ごとに排出基準をきめることができるわけでございますので、実情に応じまして、その地域排出基準を改定することは可能でございます。その場合に、従来の旧法では、もちろん実質的に地方公共団体の御意見等は聞いておりましたけれども、新しく四項を起こしまして、関係都道府県知事の意見をお聞きして排出基準をきめよう、また変更する場合にも、そういうふうにいたそうというふうに考えておる次第でございまして、一般的には排出基準を強化することは可能でございます。
  43. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それで、この排出基準をきめるのは厚生大臣及び通産大臣となっておるのですけれども、主になるのはどっちなんですか。厚生大臣がやるのか、通産大臣がやるのか、これははっきりしていない……。
  44. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 どちらが主、どちらが従ということはございませんで、両方が主でございます。
  45. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それでは、現実の問題を私申し上げますと、一番国民みんなが希望しているのは、現実の問題で、机上計算じゃないのです。そうすると、ここに十工場、十企業ある。そこから十本の煙突が立っている。そこの亜硫酸ガスの環境基準がきまっておる。そしてすでにこの排出基準で各工場はできておる。ところが許容限度よりも非常にオーバーしているという場合、一企業ずつに、これをどういうように計算して割るのか知りませんけれども、おまえのところはもう一%下げろ、君のところはよけい出ているから二%下げろ、こういうようにして指定して、排出基準をきめるのか。それは厚生大臣がやるのか、通産大臣がやるのか。これははっきりしておきませんと、いやこれは通産大臣がやるようになっているというので、通産大臣のところに行くと、これは厚生大臣がやることになっているということで、こういうように、一元化されておりませんと、責任の所在がないわけです。それでいつも国民は困るわけです。向こうへ行くと、あっちへ行け、あっちへ行くと、向こうだ、こういうことで、くるくるくるくる回っているわけです。それについてお聞きしたい。
  46. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 一般的に排出基準をきめますのは、法律上は両省協議をいたしましてきめておるわけでございます。もちろん改正前からも、関係都道府県知事の御意見を聞いておりますが、きめる場合の仕事の分担といたしましては、厚生省が主として環境の測定等の責任を持ってやっております。通産省は、工場そのもののボイラーその他の御専門家が多うございますので、あるいは燃料事情その他で主として工場側の事情を聴取されまして、両省で協議してやっているわけでございます。具体的に監督はどういうふうになっているかと申しますと、それは都道府県知事がやっておられまして、十七条をごらんになりますと、都道府県知事が、スモッグ警報等につきましては、いろいろ工場等の指導を直接やっているということで、都道府県知事において、現地の取り締まりは一元化されているわけでございます。  ついでながら、十七条を御説明いたしますと、今度新しく、大量のばい煙発生施設の企業につきましては、事前にばい煙の減少措置の計画をつくらせる。昨日も御質問がございまして、通産省のほうから詳しく御説明がございましたけれども、そういうものを知事に届けさせて、都道府県知事が一定の悪い状態が発生した場合におきましては、その計画を参酌して、いろいろ減少のための勧告をするということでございます。  なお十七条の、どういう場合に緊急時としてやるかということについては、今後、両省でさらに運用上の問題について検討を重ねていきたい、かように考えております。
  47. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この許容限度、要するに環境基準というものは、いまあなたから話がありましたように、これは厚生大臣がきめるのだ。確かに保健所やいろいろなところから監視して、そしてどうなるということをきめるのは厚生大臣だと思うのですよ。厚生大臣がきめる。したがって、今度は一本一本についても厚生大臣のほうで、大体こうしないとだめだ、このときに、通産大臣の意見も聞かなければならぬということになっているならば、ぼくは話がわかると思うのです。ところが、何で通産大臣が表へ出てきているのか。いつも私は厚生省の弱腰といいますか一そうすると、今度はこのうしろに出てくるところの自動車排気ガス、この基準をきめるときは、これは運輸大臣がきめるというのですね。そのときは厚生大臣の意見を尊重するというのです。これは全くあべこべですよ。そうすると、全部この法案というものは企業が中心であって、厚生省のほうはただ意見を言う、大体そういうように見える。だから、この第四条で、厚生大臣は「指定地域ごとに排出基準を定めなければならない。」、そして、今度のこの環境基準もきめる、それに対して通産大臣の意見も尊重する、こういう法案になってこそ、はっきりすると思うのですがね。この点について、通産省の意見を聞きたいと思うのです。どうですか。
  48. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 いま先生のお話を伺っていますと、この法律の実際のところについて、私どもの御説明が若干足りなかったのではないかと思うわけでございますが、排出基準というのは、一応その地域一本でもってきめるわけでございまして、その地域における一本一本の煙突について、個別にきめるわけではないわけでございます。したがいまして、通産大臣にしろあるいは厚生大臣にしろ、この当該地区の一つ一つ工場の個別的な指導なり監督というものは関係ないので、そういうものはあげて都道府県知事にあるわけでございます。それが一点でございます。  それから、先生が御心配になっている、たとえば尼崎の非常に環境の悪いところの問題は、おそらくは、先ほど厚生省公害部長から話した、十七条の緊急時の措置に関連するものではないか、先生が御心配になったようなところは、一般のところよりも非常に大気汚染して、したがってこの緊急時の措置に近いのではないか。そういう場合におきましては、この十七条が運用されまして、それは都道府県知事が、それこそ一つ一つ工場ごとに、現在でも行政指導をやっておりますが、この新しい大気汚染防止法におきましては、特に第二項、第三項が入りまして、その行政指導の結果というものを、それこそ一本一本煙突ごとに、ばい煙減少のための具体的措置を、計画を出させてやらせるわけでございますが、これはあげて当該地区の都道府県知事の仕事になっておるわけでございます。ですから、先生御心配の、通産省厚生省がどうのこうのという問題はないのではないかと私は思っております。  それからなお付言して申し上げますが、四条の一項の排出基準をきめる際、従来通産省厚生省が一緒でやっておりますが、そのことについて、特に意見が対立したりトラブルがあったということはないわけで、両省とも、通産省を含めて、前向きにやっておる次第でございます。
  49. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いままでのばい煙規制法ですか、これではざる法みたいになって、現実にあちらこちらに一ぱい公害が起こっているわけです。そしてそのために、大気汚染防止法をここでつくらなければならぬ状態になった。そこで、取り締まりに府県知事が実際にやる。そうすると、その付近の環境を測定したりするのは、これは厚生省の仕事です。そうすると、ここに十本あってその基準をきめるというのも、厚生省の仕事でなければならない。そうすると、前り締まりは府県知事ですから、そこへ来て、厚生省のほうからこうだからひとつやってくれ、こういうふうになれば、通産省が口出しする必要はないわけです。厚生大臣及び通産大臣ということで、こういうところへ通産大臣が入ってくるのがおかしい。通産省というのは大体加害者側だとか、こういうようなことを人がよく言いますけれども、この面を見ますと、厚生大臣が人命を預かっているわけですから、それで測定することもできるわけですから、そうすると、排出基準というものも厚生省できめて、それを守らしていく、これがほんとう法律のたてまえであり、またそれでこそ大気はきれいになると思います。通産大臣がここへ入ってくるということは、いままでトラブルはなかったと言いますけれども、トラブルはあった。たとえば、現実の問題として、亜硫酸ガスの濃度が非常に高くなった、その場合に、燃料の切りかえをしてもらいたい、あるいはここをこうしてもらいたいというようないろいろなチェックは、やっぱりそれを取り締まっているところの厚生省管轄でやらなければだめにきまっている。だのに、これはあとで質問しようと思いますけれども、燃料に対してまで厚生大臣が口入れをするということはおかしいじゃないかというような話があったということも出ておりますけれども、そういうことを考えると、こういうところへ通産大臣の名前が出てくるということは、これは通産大臣の意見を聞く、すなわち公害対策基本法精神であるところの人命が第一義、あわせて産業発展、こういうことになりますと、やはり今度は第二次的に通産省の意見も聞き尊重する、こういうことになってしかるべきじゃないか、ぼくはこう思うのです。これについて厚生政務次官からお答え願いたいと思います。
  50. 谷垣專一

    谷垣政府委員 岡本先生の御趣旨は、私はもっともな点が非常に多いと思います。ただ発生源に対しましてのいろいろな指導力というものは、これは何と申しましても、いままでの関係から申しまして、通産省に実際の指導力があると思います。厚生省のほうといたしましては、国民の保健衛生の上からの主張をなすべき役所でございますので、実際の行政の運営は、方々の大気汚染の度を監視いたしておりますような測定施設その他を整備いたさなければなりませんし、また保健所等の活動を促進しなければなりませんが、とにかくそういうようなことをいたしまして、実際の行政面では、いまのような場合、まず注意を促したり働きかけていきますのは、厚生省側がもっと積極的にやらなければならぬ、こういうことになろうかと思います。地方の現実におきましては、これは都道府県知事が、あるいはその市町村長等との関係におきまして、主体になっていただきますから、そこで一つになりますが、全体の行政のバランスから申しますと、やはり厚生省のほうがより積極的にやっていくような役割りをいたさなければならぬと思います。ただし、排出基準その他が守られていきまする、そのことの確保をいたします段階になりますと、これは従来の行政の分野等から考えまして、やはり通産省に有力な指導をしていただかなければならぬ、こういうことになろうと思います。行政でございますので、それぞれの分野がさい然と分かれておるようでもあり、かつまたお互いに重なり合っていき合う必要があろうかと思いますが、要は、この法律趣旨が、生きてまた動いております、現在の公害の蔓延しております状況から、これを完全にうまく運営していくような対策をとっていく必要がある、こういうふうに考えております。御趣旨の点は、私たち厚生省といたしまして、十分よくわかっておる点がございますが、しかし実際の行政運営をいたします際に、こういうやり方で十分やっていき得るものだ、私はかように考えておる次第であります。
  51. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これは厚生省は非常に態度があいまいであり、姿勢が弱い、こういうように私は思う。都道府県知事に一任をしておりますけれども、確かに一つ一つ企業というものは、大企業になればなるほど、府県に対するところの意見を入れるところは大きい。これは固定資産税あるいは税金の問題だと思いますが、あるところでは、その町ぐるみを企業が動かしておるといわれるような市もある。したがって、通産省にこのことをまかせたほうが意見がはっきりして強い、こういうあなたの意見ですけれども、事、人命を預かるところの厚生省のほうがしっかりしませんと、どうしても企業擁護のほうの線が強くて、いままでは大気汚染防止はされていなかった。ほんとう厚生省でもって強い姿勢で、こういう通産大臣の力を借りなくてもやってみせるというならば、私はいままでのばい煙規制法でもできると思う。法律ばかりつくってみたって、必ずこういうように企業側の大臣が入っていて、それがやるのだということになれば、これはまたしり抜けになってしまう。したがって、あなたはいまいい答弁をなさっておりますけれども、現実は、厚生省としては、この大気汚染防止法に対しては、厚生大臣通産大臣の意見を聞いて、そして企業がこわれないような調整をとりながら防止策をとっていく、これがほんとうではなかろうかと私は思うのでありますが、これはここでほんとうのことは言えないでしょうけれども、あなたのほうの態度といいますか、あるいはまたいままでのようななまぬるい考えでは、何んべん法律をつくってもだめだ、私はこう思う。ですから、企業側に対しては通産省のほうが圧力が強いから、通産省にやってもらうのだ、そんななまぬるい考えの法律だったら何にもならない。ですから、厚生省は保健所もあるのですし、またあちらこちらに監視の測定するところもつくっておるのですし、また県や市には衛生局もあるのですから、そこから、ばい煙防止について、あるいはまた大気汚染について、もっと強力な指導が必要だと思うのですが、もうすでに一番最初の根本のところで、通産省と同列になっておる、むしろ通産省に依頼をしようとしておる、そういうことではぼくはだめだと思う。ひとつここでもっと強い決意と、それから、変えられる必要がありますね。厚生大臣は指定地域ごとに排出基準を定め、あるいは環境基準をきめる、こういうふうにしたほうがぼくはすっきりすると思うのですが、どうですか。
  52. 谷垣專一

    谷垣政府委員 厚生省国民の健康を守っていくということを役所の目的にしております以上、行政をいたしてまいります態度としては、ただいまの岡本委員のお説のとおりあるべきものだと私は考えております。そういう態度で行政を進めてまいりまして、そして力の及ばざるところは、またそれぞれの関係省の御助力を仰ぐ、こういうことでいくべきであろうと考えておりますので、行政の態度といたしましては、岡本委員と同感でございます。
  53. 岡本富夫

    岡本(富)委員 行政は立法に基づいて行なわれていくわけですから、最初に、この立法に、ここへ通産大臣を持ってくるということは、ぼくは考えが非常に違うと思うのです。ですから、通産大臣の意見を尊重すべし――これは産業の健全なる発展調和ですから、こういうようにしていいのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  54. 谷垣專一

    谷垣政府委員 現在の行政のそれぞれの分野あるいはそれぞれの問題に対しまする従来のやり方等から考えますと、私は、両方の共管でいって十分に本法の目的は達せられる、かように考えております。
  55. 岡本富夫

    岡本(富)委員 最近、特に国民の要望として、行政の一本化、これがばらばらですと、どうしても行政がうまくいかないというわけで、非常に熱望されておるところであります。したがって、この問題をひとつここで考えていただきたい。  そこで、電気、ガス事業が適用除外された。これでは、また従来のばい煙規制法と何ら変わらなくなっていく、こういう声もあるし、私もそう思う。どういうわけで電気、ガス事業が適用除外されたのか、これについて矢島さんからお答え願います。
  56. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 電気工作物、ガス工作物、その他発電所等、そういうものに、もちろんばい煙発生施設があるわけですが、そういうものには、それぞれ電気事業法、ガス事業法というものがございまして、その体系によって、ばい煙排出規制を十分行ない得るような体制になっておるわけです。それて、この供給義務を伴う公益事業――ガス、電気は供給義務を伴う公益事業でありますが、その円滑な遂行という目的のもとに、ばい煙発生施設以外の電気工作物――ボイラーがはい煙発生施設といたしますと、それ以外のそれにくっついているタービンなり発電機、そういうものの保安の問題がありますが、そういうものは、保安の維持とあわせて統一的に規制することが行政上最もいいという考えで、現行のばい煙規制法においても、排出基準の設定、緊急時の措置、和解の仲介というものは除きまして、それ以外の具体的な排出規制に関する規定は適用除外となっております。そしてこの電気事業法、ガス事業法の体系のもとで規制することになっておるわけですが、本法においても、基本的にその考え方を変える必要はないということで、この考え方を踏襲しておるわけでございます。
  57. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いままでは、この電気、ガス事業に対して、立ち入り検査もできない、また大会社であるがために、その付近の都道府県知事からの命令と申しますか、勧告も非常に聞かない。何かその企業に限って通産省がカバーして、これはおれの分野だというように、非常に自分の分野を確保しているように見受けられるわけです。すでに電気、ガス事業の事業法があって、それでもって取り締まることができれば、この大気汚染防止法の中でも適用除外する必要はないと思うのです。さらにそれ以上にオーバーすることもあるかもしれません。あるいはまたあなたのほうで取り締まりをやっておると言うけれども、そこにミスがあるかもわからない。したがって、この大気汚染防止法というのは、もう全般のものを含めた――国民が非常に熱望しておるわけですから、これもこの中に別に一項目入れて適用除外するという必要はないと思うのです。適用除外しなくても、現在すきっとしておればいい。何ぼ法律をきめても、現実に問題が解決しなければ何にもならない。法律がきまっても、現実に問題が解決しておれば必要はない。そうでしょう。たとえば犯罪を犯したらどういう刑罰を科するというような法律がきまっておっても、犯罪を犯さなければいいわけです。そうすると、この電気ガス事業は適用除外ということをしないでもいい。なぜそういうことをしたのか。これは、すでにいま電気事業法、ガス事業法でもってちゃんときれいになっているのだから必要がないというのか、それともあなたのほうで、これはわしの分野だから厚生省かまってくれるな、こういう考えなのか、これについてお答えを願いたい。
  58. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先ほど説明いたしましたように、電気ガスにつきましては、電気事業法、ガス事業法という非常に監督の権限の強い法律で一貫して規制をやっているわけでありまして、この大気汚染防止法も今回相当強化されているわけでございますが、電気事業法、ガス事業法はもっと強い規制がありまして、発電所をつくる計画の段階から全部入る。もちろんこれは設置は認可制でありまして、認可するに際しましては、詳細にその公害防止を含めまして、保安の面その他で十分なるチェックを行なった上でもって、これが設置を認可する。認可後におきましても、こんなに厚い保安基準というものがありまして、その中に公害を含めまして、そして一貫して厳重な規制をやっているわけでございます。したがいまして、この大気汚染防止法に織り込まなくても、十分に公害防止の実をあげることができるわけでございますので、適用除外しているわけでございます。  これを大気汚染防止法に入れれば一貫するのではないかということでございますが、これは電気事業法、ガス事業法の面から見まして、二重行政になるわけでございまして、いままでちゃんとやっているものについて、特にこの際また大気汚染防止法に織り込むという必要はない、かように思っております。現実問題といたしましても、こういう厳重な規制の結果、使用燃料等についても、行政指導と相まって、電気工作物、すなわち発電所等から排出しているばい煙などは、実質上規定を見ますと、ばい煙規制法排出基準よりもはるかに低いものとなっておりますが、これは現実問題として、問題がないように十分処置しているわけでございます。
  59. 岡本富夫

    岡本(富)委員 あなたのほうでは、今度の大気汚染防止法よりもさらに強力なものでやっているから差しつかえないのだ、こういうことでありますけれども、それでは適用除外というような一項目を入れなくてもいいわけです。たとえば、小さな網でもってかけておる、その上に一緒に大きな網がかかるとした場合、その大きな網をここだけかけなくていい、こういう項目を入れる必要はない。いまあなたのおっしゃる電気事業あるいはガス事業はその法律でもってかっちりやっているのだ、こういうならば、どういう法律ができたってかまわないじゃないですか。そういう面を考えると、二重行政だといいますけれども、それがかっちりしておれば、行政というのは、きれいになっておるところに対してさらにきれいにせいなんていうのじゃないのだから、したがって、適用除外ということは私は必要ないと思う。矢島さんは、もう絶対私のほうは間違いないのだ一ところが現実に各地を視察しますと、その付近の亜硫酸ガスの濃度が非常に大きくなっているわけです。その場合に、地方公共団体のほうから、燃料の切りかえをしてもらいたい、こういう連絡があるわけです。そうすると、私も見ましたところが、いままで重油であったやつを石炭に切りかえるとか、こういう装置があって、確かに地方公共団体の、都道府県からこうしてもらいたいということに対して、いま協力しているような状態なんです。今度この適用除外をはっきりされたら、この大気汚染防止法案でもって、おまえのところはこうしてくれといった場合に、適用除外じゃないか、こう言われてもしようがないじゃないですか。したがって、この適用除外というものは除外すべきだと思います。厚生省の意見はどうですか。政務次官、ちょうど帰ってこられたから……。
  60. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 しっかりやっているから、さらに、行政は運用であるし、かぶせたままでいいじゃないか、こういう御指摘だろうと思います。基本法実施法関係でございますと、あるいはいろいろ、二十九条とか三十条とか、国の援助なり研究の推進なり、両方多々ますます弁ずで、かぶっておりますけれども、やはり具体的な実施方法の関係になりますと、責任問題その他の問題がございますので、やはり法律上の制度としては、仕組みをきちっとしておかなければ、責任分野がはっきりしないということでございますので、やはり法律適用の問題として、適用さるべきことだろうと思います。なお、しかしながら、先ほど矢島部長からお話がありましたように、いままでは全部はずれておりましたけれども、今回は、緊急時におきます際の検査とか、あるいは報告徴収とか、そういう点につきましては、都道府県知事もタッチできるようになっておりますし、その点では従来以上の関連がとれております。これもやはり環境基準というものがあって、それを統一的に知事さんがながめていくという将来の構想を考えて、やはり空気は流通しております関係上、知事が、そういう場合には、その管轄区域にあるすべての事業場をチェックできるという仕組みが必要であるという観点から、ここに基本法の成立と同時に、この電気、ガスについても一部改正を、従来以上に強化したわけでございます。
  61. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題はまたさらに研究し、また考えてもらわなければならぬと思うのですが、時間がありませんから次に行きます。  第十七条に、都道府県知事は、指定地域にかかる大気汚染が著しく激しいときは、その指定地域内におけるばい煙排出する者に対し、ばい煙排出量の減少について協力を求めなければならない、これは何の権限もない、こういうように思うのですが、どうですか。この問題については、厚生政務次官からお聞きしたいと思います。
  62. 谷垣專一

    谷垣政府委員 そこのところ、私にもよくわかりませんので、部長から……。
  63. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 これは現行のばい煙規制法の二十一条に相当する規定でございまして、現行では、一般的な協力要請を詳しく省令できめておりますが、気象庁により濃霧注意報が行なわれているときとか、あるいは気温の逆転現象が認められているときとか、そういうものが省令できめてありまして、亜硫酸ガスが一定の状況になりましたときに、一般的に知らせまして、ばい煙排出者に協力を要請する規定でございます。今回はこれを十七条の一項と並べまして、二項、三項というもので、さらに強力な規定を置いたことは、先ほど説明した次第でございます。なお厚生省令なり通商産業省令で定める場合も、現行よりももう少し強化すべきではないか、すなわち人の健康をそこなうおそれがある場合をもう少し広げるべきではないかという意見もございますので、その点については、両省でいま検討している次第でございます。
  64. 岡本富夫

    岡本(富)委員 午前中は、最後の一点だけお聞きして、午後からまたお聞きしたいと思います。  第四章の中で、和解の仲介の申し立てについて、この中で仲介者の候補者としまして「一般公益を代表する者及び産業又は公衆衛生に関し学識経験を有する者のうちから、委嘱」するということになりますと、公益代表というのは、これは中間だと思うのです。それに対して、今度産業界からも入る、ところが被害者のほうからはだれも入っていない、仲介員候補には入らないというような仲介の姿というものは、どう考えておるのか。これは三者の代表、要するに被害者と加害者があって、そしてそこに公益を代表する者がおって調停していくというならば、話はわかるのですけれども被害者のほうは入っていない、こんな片手落ちな仲介員をつくって、はたして和解ができるのかどうか。すでにいままでばい煙規制法でもこういうような問題がありますけれども、聞くところによると、いままで三件しか仲介の申し立てがないということは、これは何にもならぬということなんです。この点についてどうですか。
  65. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 和解の仲介制度の構成員のことでございますが、先生は、加害者の産業代表が入っていて、被害者の代表が入っていない、これはすこぶる片手落ちではないか、こういう御意見でございますが、これは仲介をする人でございますので、一般的に当事者が入ること自体はおかしいわけでございます。それから、しいて被害者を――いわゆる「公益を代表する者及び産業又は公衆衛生に関し学識経験を有する者」というのは、いわゆるどちら側を代表するというようなニュアンスで選ぶわけではございませんで、やはりこの大気の問題についての学識経験がある範囲を一応示したわけでございます。したがいまして、たとえば産業といっても、当該産業の方を選ぶわけではなくて、一般的に技術的に知識、経験の高い方を産業界から選ぶという趣旨でございますし、公衆衛生の問題は医学上の専門家を選ぶ、しいて言えば、公益を代表する側に、いわゆる国民なり庶民を代表する方を選ぶ、こういう趣旨でございまして、決して、これはどちらを立ててどちらを軽く見るという趣旨ではございません。  それから、御指摘のように、大気の問題についての和解の仲介が非常に少ないのは事実でございます。水の場合は三十数件ございます。この和解の仲介制度については、御指摘のように、制度そのものをどうして利用されないのかという一般的な議論がございます。この点につきましては、現行の紛争制度との関係で、公害の紛争処理をどういう制度できめるのが適当であるかということを、現在政府部内並びに中央公害対策審議会のほうで合同で検討を行なっておりますが、その際に、この和解の仲介制度というものをそのまま存続せしめるか、あるいは少し改正するか、あるいはほかの新しい制度に切りかえるか、いろいろ検討が行なわれておるわけでございまして、その点、なお検討さしていただきたいと思います。  やはり、大気というのは、いわゆる住民の感覚でとらえて汚染状況がわかるというような問題でなくて、健康障害までいかないとなかなか住民から自発的に問題が起きてこないような実情もございます。しかしながら、騒音問題につきましては、おそらく和解の仲介制度というような問題は一番なじみやすい問題ではなかろうかと思います。なお、この和解の仲介に持ち込まれます前に、いろいろ行政当局で相当の努力が行なわれておりまして、統計を見ましても、相当数の解決が行なわれておるわけでございます。
  66. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これで、午前中の質問を中止しまして、あとでまた続いて行ないたいと思います。
  67. 山崎始男

    山崎委員長 小山省二君。
  68. 小山省二

    ○小山(省)委員 同僚議員から、連日にわたって、各条項ごとに詳細な質問がございましたので、私がお尋ねするような事項も少ないわけでございますが、二、三の点に関しまして、私からこの機会にお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  騒音規制法のほうを先にひとつお願いしたいと思います。この第一条に、国民の健康を保護するという事項が欠けておるというような点が、各委員からしばしば指摘されております。これは、わが党においても同様な考えもありますので、この条項については適当な機会に修正をして、このような考え方を法令の中に強く打ち出しておく必要があるというように、私ども考えております。本件につきまして、厚生省のほうとして、どういうお考えでありますか。この点、この機会にもう一度お聞きいたします。
  69. 谷垣專一

    谷垣政府委員 この第一条に、きのうもお話がございましたように、健康の保持と申しますか、そういうような表現がないのはおかしいじゃないか、こういう趣旨の御質問でございます。ここで問題がありますのは、一体騒音の場合に、健康に支障があるという程度をどう見るかという問題でございます。ここに「生活環境保全する」ということを書いて、健康の保持ということを書かなかったのは、私たちの常識といたしましては、健康に害があるというその騒音は、相当に激しい騒音である。それよりも、「生活環境保全する」ということのほうが、もっと騒音を防止する基準から言うと、きびしい基準を保てということになるのではないだろうか。これはいろいろ議論があろうと思いますが、ここに私たちがこういう表現をいたしましたのは、そういう趣旨でございますこれは、騒音がどれだけ健康をそこねるかという測定は非常にむずかしい問題でございまして、私たちがここに健康の保持を書かずに、「生活環境保全する」という表現をいたしましたことの趣旨は、健康がそこなわれるような騒音というものはたいへん大きな騒音であり、また不快な騒音が続く。その他生活環境保全という場合には、そこまでいかないような程度の低い騒音でも、なおかつ規制してしかるべきじゃないか、そういう常識的な考え方から、ういう表現にいたしておりますので他意はございません。
  70. 小山省二

    ○小山(省)委員 私も、趣旨についてはよく理解ができるのでありますが、しかし騒音そのものを法によって規制しなければならぬというようなのも、これは一つの時代の趨勢と申しますか、国民的要求でもあります。したがって、この騒音が国民の健康に決して無関係であるとは断定しにくい面もありますので、しいて私は、これを排除するほどの理由もないというふうな考え方から、できれば、そういう問題をあわせてひとつ、この騒音規制の中に、十分当局が考慮しているのだという考えを打ち出す意味においては、やはり加えたほうが、結果においてはいいんじゃないかというような考えを持っておるので、この点強く御指摘だけ申し上げておきたいと思うのです。  それから、今回この法案の中で、和解の仲介の制度が設けられたということは、大きな一つの前進であるというふうに私は考えております。しかし内容を見ますと、きわめてばく然と、その効果をある意味においては疑わざるを得ない程度の、言うなればあっせんの労をとりますというだけのことであって、したがって、こまかい点については、おそらく政令に譲るというお気持ちであろうと思うのですが、その際ひとつ十分政令の中でこの趣旨が生かされるように、また国民にとってこれがほんとうに最大の恩恵である、こういうふうな感じが持たれるように、十分ひとつ遺憾なきを期していただきたい。これは希望でありますが、つけ加えて希望を申し上げておきます。  それから、第二条の、「著しい騒音を発生する施設であって政令で定めるものをいう。」という、この特定施設でありますが、この特定施設の中に、私ども関係では、入るまいと思いますが、御承知のとおり、繊維産業など相当日常、織機の音が激しくするわけであります。こういうものが、政令の中でこの特定施設として入るものであるかどうか、この機会にちょっとお尋ねをいたします。
  71. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 特定施設を政令できめるわけでございますが、その中身について、まだ完全に成案ができていないわけですが、御指摘の繊維に関しましては、大体一メートルの位置における騒音が八十五ホン程度くらいのものを考えておるわけでございまして、先生指摘の織機でございますか、織機については、その点で検討いたしたいと思っております。
  72. 小山省二

    ○小山(省)委員 この法案をつくるまでに、相当長期間にわたって十分な事前調査がなされたということでありますから、おそらく日本におけるそういう繊維産地というものは、こういう規制の対象になるかならぬかということは、あなたのほうでも十分御調査になったと思うのであります。したがって、その調査の結果、これは入るというふうに考えられますか。言うならば、日本の大きな繊維産地といえば、丹後であるとか、あるいは桐生であるとか、十日町であるとか、八王子であるとか、そういう産地における中小の工場というものはこの対象になるかどうか。そういうことは一応調査の結果、何ホンですか、五十ホンですか、六十ホンですか、これはもちろん条例によって、都道府県自体がその条例の中で基準をきめるものと思うのですが、大体いままでのあなた方の御調査の中では、それは規制の対象に入るべきようになっておるかどうか、その辺調査の結果について、ひとつお聞きしたいと思います。
  73. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 御承知のとおり、この騒音規制は地区を定めてやるわけでございまして、工業専用地区、商業地区、住宅地区その他四つくらいに分けてやるわけですが、工業専用地区あるいは工業地区等につきましては、これはむずかしいかと思いますけれども、その他の地区については、最終的にきまっておりませんが、入るべきものと考えております。
  74. 小山省二

    ○小山(省)委員 ちょっとよくわからないのですが、簡単に言って、そういう適用される中へ入るのですか。
  75. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 一応対象にするつもりでございますが、地区によりましては、工業専用地区、住宅なんかのないところでございますね、そういうところについては、 これは入れるか入れないかは、別途検討いたしたいと思います。
  76. 小山省二

    ○小山(省)委員 従来の家庭工業的な繊維工場地帯というものは、おそらく一定の特殊な工場地帯として存在していないと思うのであります。したがって、対象に入るとすると、当然防音施設のようなものをしなければならなくなってくると思います。この附則の中には、近代化資金助成法ですかの一部を改正して、できるだけこの恩恵に預かれるような処置が講ぜられておるようでありますが、従来基本法の中にも、しばしば中小企業に関しては特に考慮する、特別の措置を講ずるようにという指摘をしておるのですが、今回のこの立法にあたって、そういう対象が相当広範囲にわたって行なわれるということが事前に十分わかっておる。したがって、当然これに対する金融の面もいろいろと論議をされたと思うのです。したがって関係機関とも相談して、たとえば国民金融公庫法なり中小企業金融公庫法なり、そういう面の改正を行なって、当局においてそれらに対処できる十分な用意があるかどうか、そういう話し合いというものを大蔵当局とされたかどうか、その辺の事情について、この機会にお知らせ願いたい。
  77. 谷垣專一

    谷垣政府委員 いま小山議員の御指摘の、いわば小規模な業者の方々の対策が一番騒音の場合は問題の多い、また行政的にも相当に考えなければならぬ考え点だと思います。御存じのように、第十三条に、わざわざその問題について条文を起こしまして、その趣旨のことをうたっておるのでありまして、法律的には十分な考慮を払うべきだという趣旨が明らかでございます。具体的にいま御指摘になりました金融あるいはその他の優遇措置あるいは保護措置と申しますか、それをどうするかという問題につきましては、担当のほうからお答えさせます。
  78. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生指摘の近代化資金については、すでにこの法律の附則に書いてあるとおりでございまして、これによりまして償還期限を延長するというようなことで、最もいい条件を適用することにいたしておりますが、それ以外に、中小企業金融公庫からの低利貸し付け制度の実施、これはもう現実に手配しておりますが、さらに特別償却、これにつきましても、いずれ改正する租特法による指定を行なうということによりまして、実施する。それから地方税関係におきましては、固定資産税の非課税を現在話し合いを進めておりまして、いずれこれは実施するものと思っております。それから、申し忘れましたが、公害防止事業団につきましても、その運用によりまして、所要の措置を講じたいと思います。
  79. 小山省二

    ○小山(省)委員 それでは、次に第四条の二項でありますね、二項に、「指定された地域」、この地域、「定められた規制基準によっては当該地域住民生活環境保全することが十分でないと認めるときは、」、そういう地域というものはどういう地域意味しているのですか。
  80. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 いま考えておりますのは、住宅専用地域、それから住宅地域、それから商業地域と準工業地域、それから工業地域、大体この四つの地域に分けて、現行条例では、それぞれ昼、夜、朝、夕というような時間帯を分けて、規制基準がきめられておりますので、そういう地域に分けて、それぞれの音の規制をきめたい、かように考えております。これは、しかしながら必ずしも都市計画法に定められた地域そのものをそのまま引用するということではなくて、やはり先生指摘のような特別の事情のある地域については、都道府県知事が、その実情に応じて、その地域をきめていくということにしたい、かように考えております。  それから、四条二項につきましては、「市町村は」云々とありまして、特に住民生活環境保全したいというような地域については、知事がきめた基準とは別に基準をきめたい。たとえば、一例をあげますと、同じ商業地域でも、非常に静かな商業地域をつくりたい、こういう市町村の意思があった場合には、ほかの市町村とは違った規制基準を条例できめればできるということを、この二項できめているわけでございます。
  81. 小山省二

    ○小山(省)委員 要するに、知事の定める条例以上に強い規制をしたいという意味において許されたこの条項で、知事がきめた条例を、その地域に限ってもっとゆるめていいというようなことも、この中に含まれておるのかどうか。
  82. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 大体のねらいは、やはり国民生活環境を守るという観点からこの条項を置いたわけでございまして、一例を申し上げますと、たとえば工業地帯であっても、従業員の宿舎が相当あるような地帯があるいはあろうかと思います。そういう場合には、夜間の工業地帯の規制基準というものも、工業地帯の一般並みではなくて、やはり準工業地帯あるいは住宅地帯と同じような規制基準を適用して、従業員の夜間における環境を守ろうというようなことも、これによってできるということをねらっておるわけでございます。
  83. 小山省二

    ○小山(省)委員 趣旨はよくわかりました。  それで、十三条の小規模事業者に対する「勧告または命令の内容について特に配慮しなければならない。」、この「特に配慮」という点はどういうことですか。
  84. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 小規模事業者に対して規制を行なう場合、騒音防止の方法の改善等を勧告し、あるいは命令する場合があるわけですが、その場合、小規模事業者の資力、経営内容を十分勘案いたしまして、その小規模事業者の事業活動が著しく阻害されないよう、勧告あるいは命令の内容、あるいは実施期限等について、特に配慮することを考えておるわけでございます。たとえば実施の期限を、普通だったら一年以内にやれというのを、若干弾力的に考えてやる、こういうような趣旨です。
  85. 小山省二

    ○小山(省)委員 趣旨は大体よくわかりました。  次に、十六条「特定工場等において発生する騒音又は特定建設作業に伴って発生する騒音による被害」に対する和解の申し立てができる、こうなっておるのですが、これは特定工場以外でも、和解の申し立てができるわけでしょう。これはどうして特定工場において発生する騒音に限るのですか、この和解の申し立てというのは。
  86. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 やはり、この騒音規制法で対象にしておりますものについて、和解の仲介を行なう、そういう趣旨でございます。
  87. 小山省二

    ○小山(省)委員 ですから、この条文で読めば、「特定工場等において発生する」、「等」というのがそういうものに限定されるのか、そういうものにこだわらずに、騒音によるそういう被害についてはすべて、こういう紛争が生じたときは、「当事者は、政令で定めるところにより、都道府県知事に和解の仲介の申立てをすることができる。」ということは、特定工場というものに限定されるのか、そういうものにかかわらず、紛争の仲介の申し立てをすることができるのか、それを……。
  88. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 特定工場等といいますと、前に定義に書いてありまますところで、したがいまして、この法律対象にしております、特定工場による騒音と特定建設作業に伴って発生する騒音だけでございまして、法律対象にしていないものについては、この十六条によって和解の申し立てをすることは、一応法律のたてまえとしてはできないということでございます。したがいまして、おそらく先生の御趣旨はそれ以外のいろいろな問題について、やはり積極的に紛争の処理をやるべきではないか、こういう御意見だろうと思います。この点につきましては、先ほどから申し上げておりますように、紛争処理につきましては、現在政府部内で、こういう問題も含めて、幅広く、たとえば苦情の処理等も含めて、いろいろ検討を行なっておるわけでございまして、先生の御指摘の点につきましては、そういう問題も十分検討いたしまして、根本的な制度の確立をはかりたい、かように思っております。ただ、現に二、三の府県で条例等で調停委員会等をあらゆる公害について設けておられる地方公共団体もございますので、そういう面の条例で、紛争の処理ということは当然できるわけでございまして、国の法律で一貫した完全な紛争処理制度ができるまでは、あるいは地方公共団体のほうで、条例でそういう特別の制度をおつくりになることは一向差しつかえない、かように考えております。
  89. 小山省二

    ○小山(省)委員 従来、都道府県が条例によっていろいろなそういうことを定めておるかもわかりませんが、やはり法律ができると、従来あった条例はその法律によってある程度制約を受けるわけでありますから、この法律趣旨が特定工場に限りそういう紛争の和解を申し立てることができるんだというふうに限定されると、むしろ弾力的に従来扱っていた都道府県の条例というものは、ある意味においては制約を受けるようになると私は思う。やはり特定工場に限定しないで、できるだけ幅広く、公害による紛争というものをある程度和解の道によって解決できると、そういう道を開くほうが、むしろ今後、こういう問題が一つの社会問題になりつつあるときだから、私ばけっこうな方向ではなかろうかというふうに考えております。それらの問題については、将来ひとつ十分検討をして善処していただきたい。  それから、近代化資金のこの助成法の一部改正については、先ほど次官からもお話がありましたとおり、将来そういう方向についていろいろお考えをいただいておるということでありますから、できるだけひとつ拡大の方向で善処していただくことをお願い申し上げておきたいと思います。
  90. 谷垣專一

    谷垣政府委員 特定工場という表現が非常に狭い感じで、それだけではまずいんじゃないかという先ほどの御趣旨は、私もごもっともだと思います。ただ、御了解を願わなければいけませんのは、この法律最初のたてまえが「著しい騒音を発生する施設」、これは政令できめるわけですが、その施設を持っておる工場というのが特定工場でございますので、かなり政令のやり方によっては、広い範囲のものが特定工場という名称で、この法律では読まれるということに相なるかと思います。ただ、御指摘になりましたように、そのために従来条例等でやっておったものが省かれていくというようなことになるとまずいじゃないかというような御趣旨は、私どもも十分考えて指導していかなければならぬと思います。  金融その他の点につきましては、御指摘のとおりであろうと思います。
  91. 小山省二

    ○小山(省)委員 それでは、大気汚染防止法について二、三、ちょっとこの機会にお尋ね申し上げておきたいと思います。  第四条では、先ほど同僚議員からもしばしば御質疑があったようでありますが、「厚生大臣及び通商産業大臣は、指定地域ごとに排出基準を定めなければならない。」というふうに、両大臣の責任において善処するようになっておるのです。しかるに、いま一番問題になりつつある自動車排気ガスの規制については、運輸大臣は厚生大臣の意見を徴さなければならないということになっておりますから、一応意見を聞くという範囲にとどまるわけで、あくまでも運輸大臣の責任において、これらの基準を定めるということに、当然――厚生省の意見が入らないわけではありませんが、そういうふうに、特にこの自動車排気ガスについて、一般ばい煙規制と区別をした理由ですね。要するに自動車排気ガスに関する規制というものは、技術的にまだそういう規制をする段階までに至ってないのか、技術上の純然たる問題に基づくものであるかどうか、もう一度ひとつこの機会にお聞かせを願いたい。
  92. 谷垣專一

    谷垣政府委員 昨日来いろいろ御指摘がございましたように、確かに、法律の形式的な形から申しますと、通商産業関係と比較いたしましておかしいじゃないかという御意見が出るのも、ある程度もっともだと思います。しかしながら、これは御存じのように非常に流動しております。またそれぞれの車両の数等も違います。また運転手等の心がまえの問題、あるいは道路、交通条件の問題、いろいろそういう問題がつけ加わる状況でございますので、そういうような技術的な問題に対しまして、こういうような表現をとることになったわけでございます。しかし、先般来お答えをいたしておりますように、これは当然に非常に強い意味で、この意見を、運輸大臣といたしましても参酌されるものであるというふうに、私たちは行政上考えておる次第でございます。
  93. 小山省二

    ○小山(省)委員 今回の公害法案が出まして、私は何といっても前進は、先ほどもちょっと申し上げましたが、和解の仲介が都道府県知事においてなされるということでありまして、今回の法案の中では「毎年仲介員候補者十五人以内を委嘱し、その名簿を作成しておかなければならない。」、それから仲介員の候補者の資格というようなものが規定されておるわけでありますが、もう少し和解の制度に、法の上で具体的な問題をなぜできないのか。確かに政令にゆだねべきような事項も多いと思いますが、この辺は、公害問題に関心を持つ多くの人々が、公害以上に深い関心を持って、当局の意図が那辺にあるのか、いろいろ考慮しておる問題でもありますので、私は仲介制度というものをもう少し具体的にはっきりと法の上において示し、言うならば、単にこの仲介員が解決案あっせん案を示したとしても、そのものが受け入れられない、あるいはまた、そういう問題に国がどれだけの責任を持つか。そういうような国の責任の分野あるいは事業主の責任の分野、そういうような基本的な線をもう少し明確にしておくほうが、私は一般国民がこの問題に非常に信頼をしてくるのではないかというふうに考えるのですが、どういう意図で、この程度の条文にとどめたか、その点お聞かせいただいて、質問を終わりたいと思います。
  94. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 この和解の仲介の制度は、結論を申しますと、両者の和解が成り立って初めて意味があるわけでございます。そういう前提でございますので、いわゆる内容的なものはすべて和解の内容としてきめられるわけでございます。したがいまして、詳細のいろいろな手続は政令に譲ったわけでございまして、先生指摘のような問題につきましては、将来の紛争処理制度の中でこれを検討していきたい、かように考えております。
  95. 小山省二

    ○小山(省)委員 総理がお見えになりましたから、一応私の質疑はこれで打ち切ります。
  96. 山崎始男

    山崎委員長 島本虎三君。
  97. 島本虎三

    ○島本委員 いま騒音規制法案大気汚染防止法案、これがいよいよ重大な段階に来ておるわけであります。もちろん、総理はもう御存じのように、公害基本法にかかる実施法でありますから、この中には、公害にかかる紛争の処理及び被害の救済制度について、公害基本法にもすでにこれを規定されておったのであります。最近は特にその必要の度合いがずっと高まってきておること、私が言わなくても御存じのとおり。本制度については、中央公害対策審議会で検討中でありまして、厚生大臣も、被害者救済の重要性から、本法案だけはぜひ次の国会に出したい、そのために努力する、こういうふうに言明しておるところであります。イタイイタイ病カドミウムによるところの公害調査結果の結論も出ました今日、水俣病患者救済をあわせて、おそきに過ぎるうらみがございますけれども、可及的すみやかに、これは出すべきである、出す義務がある、こういうように思いますが、総理の決意を伺いたいと思います。
  98. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 お説のとおりでございます。
  99. 島本虎三

    ○島本委員 それは次期には必ず出すという厚生大臣の考えと同じ意味でございますか。
  100. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 御承知のように、わが国の公害立法がたいへんおくれておりますから、できるだけ早く、かような意味でございます。
  101. 島本虎三

    ○島本委員 できるだけ早くというのは、厚生大臣は、次の国会に間に合うように出したい、そのために、もう努力は一生懸命にしておる。あえて言うと、次の国会に出すのだとまで言明しておますので、期待に沿うというのは、厚生大臣が言明したとおりであるかどうか、念のために伺っておきたい。これは重要な点です。
  102. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 準備でき次第、また厚生大臣が――これは予算措置も必要だろうと思いますので、それらのことを勘案して、できるだけ早く出すように、私は申しております。
  103. 島本虎三

    ○島本委員 次に、いろいろ公害発生しております最近の状態の、その原因ともなるべき水質の汚濁によるところの著しい公害発生、これはもう御存じのとおりなんです。そうしてそれを規制するためにも、総理、公共用水域のこの水質の基準をきめて、その維持のためには、排水基準をきめる必要があるということは、もうすでに論を待たないのです。その大もとであるし尿処理施設や斃獣処理場、屠畜場、こういうようなものの事業場から排出する水、こういうようなものを新たな規制の対象にすべきである、こういうようなこととあわせて、水質の管理体制の強化のための整備が必要である、こういうようなことでございまして、公共用水域の水質の保全に関する法律の一部改正法案、これは経済企画庁で検討中であり、これも次期国会に間に合わせて提案するよう努力中である、こういう言明があったわけでございます。現にこの問題は、まことに両法案とも、公害実施法として重要な法案でございますので、現在起こりつつあるいろいろな問題と救済策とをあわせて、その決意を伺っておきたいと思います。
  104. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 所管大臣がお答えしたことを総理大臣はバックアップする、支援しますし、支持する、かように御了承いただきたいと思います。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 総理のうまい答弁では、そのまま信ぜざるを得ません。所管大臣の答弁したとおり、総理もそのようにするということ、それが決意だと承っておきますが、よろしゅうございますか。
  106. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 一応、ただいまのように、所管大臣の決意を総理は支持する、したがいまして、所管大臣が早く出すと申しておれば、さようにその額面どおりお受け取りいただきたい、かように思っております。
  107. 島本虎三

    ○島本委員 次に、いま出されております騒音規制法案大気汚染防止法案、この中の重要な、いま尋ねておきたい点三点をお伺いしておきたいと思います。  その一つは、公害対策基本法目的であります。この目的は、すでに総理のほうが、提案しておりますから、私が言わなくても御存じのとおりでありまして、「国民の健康を保護するとともに、生活環境保全することを目的とする。」、こういうようにはっきりうたってあるわけであります。ところが、大気汚染防止法案の第一条の目的を見ますと、それまではっきりうたっておらないのであります。ことに騒音規制法案になりますと、これが基本法の定めたこの目的、これより数等退歩しておる、こういうふうなことが明らかに見られるわけでございます。すなわち、「産業の健全な発展との調和」、これをまっ先にうたっておるわけであります。そういたしますと、基本法より大気汚染防止法は一歩後退し、それよりもまた騒音規制法が一歩後退しておる、こういうように考えられるわけなんです。それで、総理は、実施法については、特に公害基本法が出されました際に、企業責任の面と、無過失賠償責任の問題と、被害者救済策、こういうようなものをあわせて十分考慮する、こういうように言ったはずでありますけれども、その出された法案を見ますと、第一条の目的は、その決意よりだいぶ退歩しておるように見受けられるわけです。これがほんとうであるとすると、基本法できめた精神が、ここで完全にぬぐい去られてしまった、こういうふうなことを思わざるを得ません。そうであれば、これはとんでもないことだと思いまするけれども基本法にうたった精神実施法精神目的、これはもう離れてはいけない問題だと思います。したがって、どうして大気汚染防止法案騒音規制法案の中に、この基本法より退歩した目的を掲げたものであるか、これをお伺いしておきたいと思います。
  108. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 この基本法精神が、実施法で曲げられるとか、それがまた後退するとか、そういうふうなことがあっては、基本法意味をなさないのですから、政府はさようなことは絶対にするものだとは思いません。ただいま書いてあります表現のしかたその他について、あるいは解釈上で、いま島本君の御指摘になるようなことがあるかわかりませんが、しかし二つの目的を持っていて、そうしてどこまでも人間尊重の立場から、公害基本法が運用される。その基本法の定むるところ、それは忠実に守るはずであります。したがいまして、ただいま中央公害審議会等も、そういう点について十分意見を練っておるはずでありますから、ただいまのような御疑念がありましても、一応実施の状況で、またさらにただいまのような御批判がはたしてあればですよ、ひとつ、政府何事だと、おしかりを受けたいと考えます。
  109. 島本虎三

    ○島本委員 いままで数日間これを審議してまいりました。いま総理の来る直前までこれを審議しておりました。その中でも、問題の点は、第一条の目的、こういうようなことであったようであります。総理の意見はそのまま私はちょうだいいたしたいし、そうすると、この騒音規制法と大気汚染防止法は、これは目的の点だけでも手直しをし、修正をしなければならない、こういうようなことになります。この点等も十分お考えでございましょうか。
  110. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 この立法技術は法制局に十分検討させましたが、私は手直しする必要はないのじゃないか、かように思います。いまどういう点を指摘なさるのか、それはひとつもう少し具体的におっしゃってください。私ども、そのほうの専門の技術屋に法案を制定させたのですから、そんな矛盾はないと思います。
  111. 島本虎三

    ○島本委員 それは具体的な問題として、その懸念は十分あるということで、いままでの質問が展開していたわけです。総理にお伺いいたしたいのは、大気汚染防止法案の中では、ばい煙排出の規制の問題や、指定地域ごとの排出基準の決定、その公示、変更、廃止、またばい煙排出規制地域の決定及びその政令の制定、改廃、こういうものについては、厚生大臣通産大臣が主管することにはっきりうたわれておるのであります。しかしながら、自動車排出ガスによる大気汚染防止、その許容限度の決定については、運輸大臣だけというふうになっている。片や通産大臣厚生大臣、片や運輸大臣だけであって、これは許容限度をきめる場合には、厚生大臣の単に意見を聞かなければならない、こういうようなことになるのです。そうすると、意見を聞くということは、とりもなおさず聞き捨てということもあり得るわけでございまして、その点もやはり十分考慮しなければならない問題じゃなかろうか。なぜ運輸大臣と厚生大臣と並べられないか。それとあわせて、意見を聞く義務だけでなく、同意を得る義務にしたほうがベターじゃないか。はっきりこういうように指摘できるわけであります。この内容であります。こういうように改めて、これは十分この効果を発揮すべきだと思いますが、総理、いかがでしょう。
  112. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 よくわかりました。どういう点かと思ったのです。まず、自動車の問題、これはただいま運輸大臣の専管事項であります。今回の公害防止に関しまして、いろいろ法律の制定にかかってみますると、どうも共管事項が非常に多い。今後の行政の単純化というか簡素化に逆行するような問題が非常に多いのです。したがいまして、この場合も、ただいまの事柄については運輸大臣の専管にする。しかし関係の最も深い厚生大臣の意見は聞かなければいかぬ。意見を聞く以上、書いてはありませんけれども、同意する、それを尊重しなければならぬ、これは当然であります。ただ同意ということにいたしますと、これは両省が共管ということになる。こういうことはできるだけ避けよう。これはともかく単純化する。これは一つの問題で、皆さんのうちからも出てきているように、こういうものをできるだけまとめたらどうかという御意見もあるようであります。それほど、実は権限争いをしないようにしたいのです。これは私自身が官僚の出身ですから、その辺のことを知っておりますが、ちょっとひっかかりがあると、そこらで非常な文句をつける。そういうことでは、事務の処理上非常に困る、かように私は思います。そういう意味で、これは特に同意ということばは使わない、意見を聞く、かように申しておりますが、意見を聞く以上、尊重しないわけにはいかない、かように御了承いただきたい。
  113. 島本虎三

    ○島本委員 終わります。
  114. 山崎始男

    山崎委員長 河上民雄君。
  115. 河上民雄

    ○河上委員 せっかく総理がおいでになりましたので、二つほど……。  この法案が、ただいま二つあるわけですけれども、成立いたしまして、施行に伴いまして生ずる問題として、両法案と、すでに施行されております条例との関係がございます。御承知のとおり、公害問題が人々の注意を引きまして政治問題となりましたのは、地方からでございまして、各地方の中には、非常におくれておるところもありますけれども、また公害問題担当者の熱意と住民の激しい運動の貴重な成果として、非常にすぐれた条例があるわけでございます。その中には、こういう二つの法案の成立によりまして、すべて制約を受けるわけでありますが、非常に進んでいる条例の中には、本法よりも、いろいろの面でむしろ高い水準を持っておるものもあることは事実でございます。そこで、こういう問題に対しましては、もっと弾力的な公害行政を推進するという意味から、すでに施行されている条例については、その地域の実情と成果を尊重し、適切な運営指導を行なうことが必要だと考えるのでございますが、総理のお考えを承りたいと思います。
  116. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいまのお話は、一応筋の立ったことで、全然わからないわけでもありません。しかし今回のこの公害防止法その他基本的な立法を国でいたすことになれば、地方の条例、これは一応廃止になるものだ、かように私は了解するのです。また国会の皆さん方の御意見も、なるほど地域社会の特別な事情によって、それぞれそれに適応した条例が必要だということはわからないわけではありませんけれども、こういう基本的な人権に関する問題は、やはり国がつくるべきだ、これが本筋だろうと思います。したがいまして、ただいまのようなお話も、地方の実情、それに即したものが特に必要な場合に、どういうような例外規定ができるか、これはまた別でありますけれども、私はおそらくこの基本法並びに各種立法は、例外規定はあまり設けないだろうと思います。したがいまして、そういう特殊事情等をも全部含ましてまかない得るような立法が必要だろう、かように私は思います。しかし、地方自治体が公害に関しまして特殊な関心を持っておるものでございますから、そういう意味では、財政的支出その他等におきまして、特別なこともあわせて考えていくだろう、かように私は思います。
  117. 河上民雄

    ○河上委員 いまの御答弁を、この問題によって、いままでの成果が逆戻りするということのないように、総理も弾力的に運営していくというお考えというふうに、私ども理解しておきたいと思うのであります。  第二に、先ほど来、公害行政あるいは公害認定問題などについて、各省間の調整に手間どり、肝心の公害が放置される、あるいは救済が放置されるということは非常に多いわけでございますが、こういう問題について、アメリカなどでは、厚生省が専管して非常な成果をあげているわけでございます。こういうような事実も参酌し、一元化について一そうの努力をせられるよう、われわれは希望したいわけでございます。この機会を借りて、総理から総理の御決意を承りたい。
  118. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 先ほど、立法の運用にあたって、弾力的な運用を政府がするものだ、かように理解する、かように言われましたが、弾力的に運用というのが、誤解がなければたいへんしあわせです。私は、法律ができれば、それがあまり弾力的に伸び縮みしては困るだろうと思います。私の申すのは、地方の自治体の特殊性があるから、その特殊性に対応するようにこの法律を適用しろ、かような意味ですし、それ以上に、あまりやってもやらなくてもいいように考えられると、これは弾力的運用にならないから、その辺をひとつ誤解のないようにお願いしておきます。  それからもう一つの問題、これはできるだけ行政を単純化する、こういう意味におきましては、関係省は、できるだけそういうもの、自分たちの権限を出し合って、そして公害に関する問題が一つにまとまればたいへんしあわせだと思います。先ほどの島本君の御意見も、二つの共管にすることにはあまり賛成ではないが、できるだけその中心を置けというような、そういう意味で、ただいまの河上君の話と同じだろうと私は理解いたしますが、いままでの役所の関係から見まして、各省にあるもの、それから公害に関するものだけを抽出して、一つの局、部をつくるということは、これはまずできないことなんです。それよりも、各省が持っておる機能、これを総合的にうまく調整をとって、そして運営していくことがいいのではないか、これが行政の実態に合うのではないかと思って、ただいまのような方法をとっております。しかしながら、いま河上君が指摘されますように、調整に手間どって、大事な立法がおくれるとか、あるいは処置がぼけてくる、かようなことがあってはなりませんから、協議会等が中心になりまして、意見はまとめますけれども、できるだけ早く――調和のできないものについては、上級官庁、結局私どもがそこらで指示する、こういうようなことでもしなければならないだろう、かように私は思っております。そういう意味では、内閣自身が各省の関係に立ちまして、内閣官房長官等が調整をばかりますから、そういう意味で一応御了承いただきたいと思います。
  119. 河上民雄

    ○河上委員 以上で終わります。
  120. 山崎始男

  121. 折小野良一

    ○折小野委員 きょうからバードウィークが始まるわけでございます。しかし私どもの周囲には小鳥の姿もなく、声も聞こえません。よほどの郊外に行かないといない、こういうような世の中になっておるわけでございますが、こういうような状態につきまして、まず総理の率直な御所見をお伺いいたしたいと思います。
  122. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 折小野君の言われますように、大気汚染し、いろいろな施設のために自然の鳥も来ない。いま一番問題になっておりますのは、東京湾における渡り鳥の、千葉県、あの付近に集まってきているもの、その地域をぜひとも保存したい、政府もそういう意味で力こぶを入れております。しかしその付近の埋め立て工事がどんどん進む、少なくともその隣あたりは工業地帯になる。これはいつまでそういうことが保護できるかわかりませんが、少なくともわれわれの時代は、自然をひとつ守ろうじゃないか、こういうことで、建設省あるいは運輸省あるいは厚生省等とも相談をいたしまして、自然を守るようにする、しかしこれは一局部の問題です。全体から見れば、ただいま言われますように、都市集中化が行なわれている最近の傾向から見れば、たいへんな大気汚染だと思います。また騒音もたいへんな状態だと思います。しばしば安眠できないというような苦情も聞く、こういうような状態でありますから、御指摘になります点は、文明が進むにつれて曲がった方向に行っておる、ずいぶん不便な状況になっている、かように私も思います。
  123. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいま総理のお話のように、大気は非常に汚染いたしております。もちろん降下ばいじん量等につきましては、燃料革命というようなこともございまして、漸次減ってまいっております。しかし最近の資料によりますと、再びこれがふえつつあるような傾向もございます。それから一番問題になっております亜硫酸ガス等につきましては、これは濃度が非常に濃くなってまいっております。そしてその範囲が広がってまいっておる。やはりこういう時期には何とかしていかなければならない。これにつきましては、何といっても公害対策の推進をはかっていかなければならないわけでございますし、昨年公害対策基本法ができましたのも、そういう政治の姿勢を示すということだというふうに考えるわけでございます。ところで、ことしはその基本法に基づきまして、いろいろな実施法ができて、具体的に対策が進むということを多くの国民が期待しておったのでございますが、なかなかいろいろの問題がございまして、期待するほどにはいってないと、こういうことでございます。こういう点につきましては、ここにいろいろ問題があろうと存じておりますが、ひとつ関係各省を督励していただきまして、政府の公害対策をぜひ進めていただき、そうして公害国民の周囲から追放していただく、こういうことが非常に大切な時期に参っておると思うのでございますが、この点についての総理の御決意を承っておきたいと存じます。
  124. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 人間尊重、人命尊重、これは私の表看板の政治の目標でございます。したがいまして、ただいま言われますような点は、もちろん熱意をもって進めてまいりますが、社会開発をいち早く唱えたのも、そういう点からでございます。したがいまして、なお各党の御鞭撻をいただかないと、立ちおくれた公害防止立法でございますから、なかなか国民の期待にも沿いかねるだろう。この上とも、ひとつ各党から激励、鞭撻を賜わりますよう、お願いしておきます。
  125. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで、今度の国会におきましては、おそまきながら二つの法案が出まして、現在審議されておるわけでございます。大気汚染防止法案におきましては、自動車排気ガス等が加えられまして、従来の法制からいたしますと、確かに一歩前進をいたしております。しかしながら、寒冷地等における暖房用ばい煙の規制、こういうようなものが一応対象外に置かれておるということでございます。また騒音規制法につきましては、これは従来国の法制がなかったのでございますから、これは非常な前進であるということが申せますし、また地方の条例等におきましても取り上げられなかった、建築作業場等の騒音の規制を加えられておるというようなことで、私ども敬意を表しておるわけでございますが、しかし私どもの周囲にあります騒音の中で非常に大きな面を占めております、自動車その他の交通機関の騒音等、未規制のものも非常にございます。また両法案をまとめられるにつきまして、いろいろ困難な事情というものがあることば、私ども承知いたしております。そういうような点から、なお多くの欠陥を持っておる、改善を要する面が非常に多い、こういうふうに考えます。一歩前進ではございますが、やはり国民は二歩前進、三歩前進をこそ期待をいたしておるのでございまして、、このような法案につきましても、将来一そうの改善について努力をしていただきたいと考えるわけでございますが、そういう点に対する総理の御熱意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  126. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいま言われますように、騒音防止にいたしましても、自動車がまず対象になり、さらに汽車も大きな対象になっておりますし、航空機がまだ残っておる。これなども一番大きな公害を巻き起こしております。ことにジェットエンジンになるとか超音速の航空機となると、それは騒音というようなものじゃない、たいへんなことだと思います。そういう意味で、これらについても、さらに積極的にいろいろのものを考えていかなければならぬと思います。運輸省あたりでも、汽車、列車の騒音は、防止じゃなくて、騒音自身巻き起こさないような科学的な技術上の進歩はないだろうか、そういうような苦心をしておるようであります。またいまの家庭暖房だとか、北海道あたりにおいてもそういうようなものが問題になる。また機械装置によります振動、そういうようなものも一つ問題になる。この公害を引き起こしておるその部門は非常に広いと思います。そういうものとさらに取り組んでいく、これは絶対に必要だ。今回は手始めとして一応のものを考えた、かように私も了解しておりますし、皆さん方の御要望もそういうところにあると思いますので、どうかそういう意味でこの問題と取り組みたいと思います。
  127. 山崎始男

  128. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私は時間が限られておりますので、簡単に質問いたします。  およそ民主主義というものは、自由、平等、尊厳と申しますけれども、この尊厳について、総理は人命尊重が表看板だ、こういうようにおっしゃっておりますけれども、いままでの施策を見ておりますと、人間尊重、これが目的であって、あとの経済活動そういうものは手段である、これがほんとうの民主主義でないかと思うのです。  そこで、このほど公害対策基本法が昨年の八月に制定されまして、その後、実施法について非常に国民は熱望しておった、ところが今日に至っていよいよ審議の時間もなくなった、こういうふうに非常におくれた理由について、総理は、公害対策会議の会長として、どういう努力をなされたのか、それをお聞きしたい。
  129. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 あまり過去を追わないで、前向きでものごとをやりたいと思います。ただいままでおくれたことは、ただいまたいへん残念だ、かように言われますが、私もさように思っております。関係者が非常に多い、その間の調整をはかる、これはずいぶん骨の折れることであります。一人だけでものごとをきめるようにはいかない、この辺が主たる問題でありましょう。  それから、ただいま御指摘になりましたように、経済発展にいたしましても、何ごとも最終的には人間にかかるというか、人間を目標にして、人のために経済発展をする、経済繁栄をもたらす、こういうように生活に直結しなければならない。ただいまの状況では、その生活に直結する前に人間の生活をこわす、そういうような状態でございまするから、それのないようにする。ひとつそのために、関係各省とも非常な熱意をもって、ときに熱意があるがゆえに話がまとまりにくい、こういう場合もありますので、その辺をひとつ御了承をいただきたいと思います。
  130. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これは戦時中の遺物と申しますか、人間の健康、生活妨害なんというものは顧みないというような現代の産業界の姿のゆえに、結果、こうして日本の国の大気汚染ができたと思うんです。したがって、総理はいまおっしゃったように、ほんとうの民主主義に立つということは、人間尊重、人間の生命を大事にする、これが一番の主眼点になったいろいろな経済活動ということを、公害対策会議の、要するに各閣僚に強くひとつ要求をし、そうすれば私はこういう問題も早く解決するんじゃないか、こういうように思うのですが、過去のことを言うなと言いますけれども、未来を知らんとすれば過去をもって論じなければならない、したがって、今後どういう決意であるか、これをまずお聞きしたいのです。
  131. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 先ほどから、私の今後の決意を実は申しております。そこで二、三の例について、これをひとつ考えてみていただくとよくわかるのですが、労働災害というものがしばしば起きている、炭鉱災害が起きている、きょうも新聞を見ていると、三名死んだ、四名死んだ……、一体何のために炭鉱で炭を掘っているのか。これはお互いの生活にエネルギー源を与えよう、そのためなんです。そのためにただいまのような生命を断つというような犠牲が出る。これなどは私どもは耐えられない。だから、こんなばかな話はないじゃないかといって、労働災害といま取り組もうとしておる。ところが過去においては――これは私は資本主義の悪だとは思いませんけれども、こういう点において、全体のために一部の犠牲はやむを得ないんだというような議論が出たり、あるいはまた、技術上の対策が立てられないままに、そういう災害の起こることはやむを得ないんだ、これは必要なものを生み出すために一つの悪がつきまとうんだ、こういうようなあきらめがあったと思います。けれども、さようなことではいかないというので、いま真剣に公害あるいは労働災害というものと取り組んで、われわれの経済行為の真の目的はどこにあるのか、また政治活動の真の目的はどこにあるのか、そういう目的をはっきりさして、そこであらゆる知恵をしぼっていこう、科学技術の進歩もそういう方向へ動員しようじゃないか、これがいまのわれわれの立っておる姿でございます。そういう意味で、過去を追うなというわけでもありませんけれども、とにかく、よほど世の中が変わっていくんだ、そしてその変わった場合に、目的をはっきりさせて、その目的のためにあらゆる衆知を集めていく、こういうことでありたい、かように私は思っておるのであります。まだ、これはいま始まったばかりでありますから、これから幾つも問題があるだろうと思います。そういう意味では、できるだけ広い範囲からお知恵も拝借いたしまして、りっぱなものをつくっていく、一足飛びにはなかなかできない、着々とその方向に進んでいきたい、こういうことでありたいと思います。
  132. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そこで、この二法案以外に、救済法案が非常に要望されておるわけでありますけれども、将来の法案をつくるについて、現在は一歩前進したということになるのでありますから、次また一歩前進するときには、現在ある法律にとらわれない、こういう姿勢であるか。  これを一つ例を申し上げますれば、今度ばい煙防止法の中に和解の仲介ということがありますが、仲介員候補者、これが十五人をもって委嘱するというように出ておりますけれども、この代表としては、公益を代表する者、それから産業、公衆衛生に関して学識経験を有する者、こういうようにありますので、被害者のほうを代表する者は候補者の中に入っていない。大体、労働委員会ですと、公益を代表する者がいて、それから財界と労働者の代表、そして和解をやるわけですけれども、これを見ますと、若干片手落ちである、こういうように思うのです。こまかいことについては総理は知らないと思いますので、今後こういうような不備な法案は、救済法について改革を必要とするときは改革する用意があるか、これをひとつ聞きたい。
  133. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 改善、改良することに、決してやぶさかでございません。勇気を持って改善してまいります。
  134. 山崎始男

    山崎委員長 午後三時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一瞬五十四分休憩      ――――◇―――――    午後三時九分開議
  135. 山崎始男

    山崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。島本虎三君。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 先般、私が、提出されております大気汚染防止法案騒音規制法案に関連していろいろ質問した際に、航空騒音について、基地騒音が問題化しておる今日、千歳市の柏台にある旧海軍防空砲台あと、ここは米軍の接収地内にあるために、それが十分行き届かないまま、青少年の非行の温床になっているという地域があるわけであります。その場所は千歳空港の玄関先にある場所で、見苦しいばかりではなく、滑走路の進入表面下にあるため、パイロットもいやがっておる事実もあり、千歳市では、数年前から財務局を通じて、撤去要求を出しているが一向にはかどらないという事件なんです。私はこの点についての責任の所在と、あわせてこの対処のしかたにつきまして、先般もいろいろ問うたのでございましたが、具体的な結論がございませんでした。それで、今回はあらためて具体的な結論についてお伺い申し上げたい。  これは旧海軍航空隊、海軍航空廠があった二十年以上になる建物で、地下一階、地上二階の廃墟でありまして、奇怪な姿をしているだけではなくて、三十八年の六月には、当時九歳の少年が地下の水槽に落ちて死亡したという事件さえも起こった場所であります。したがって、非行青少年のたまり場になるおそれもあり、その撤去方については、以前から十分申し入れてあった場所であります。この点について、二十年間何ら手を加えておらない、この事実が明らかになってわけであります。財務局のほうでは、これは米軍の施設であるから、当然これはわれわれの手の及ばないところにある。米軍の許可がこないから手がつけられない。しかしながらこのままにしておいてはどうにもならない。青少年の悪の温床になる。したがって、国費によるこの撤去がぜひとも必要だという段階に追い込まれておるわけであります。この問題の解決は焦眉の急を告げておる問題でございまして、このままに放置できません。ことに青少年関係を預かる厚生大臣としても、これはただ単に事件として見過ごされない問題でありますので、ひとつこれは施設庁のほうでどのように考えておられますか、明確なる御意見を伺いたいと思います。
  137. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 お尋ねの千歳基地にございますところの旧砲台は、地位協定によりまして、現在米駐留軍に提供しておるものでございますが、この砲台あとの施設が千歳飛行場の進入表面下にありまして、航空機の離発着にあたりまして、パイロットに若干の心理的な影響を与えるということも考えられまして、自衛隊におきましても、本物件があるということは望ましくないというふうに聞いております。ただこの問題、この施設をどういうふうに処理するかということにつきましては、何ぶん先ほど申しましたとおり、現在提供中の財産でございますので、かりにその施設だけを処理するということになりましても、米側から返還を受けまして、そして処理しなければならない、かように存じておりますので、今後この取り扱いにつきましては、大蔵省当局とも十分協議いたしまして、なるべく早い機会に処理いたしたい、かように考えております。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 これはせっかく厚生大臣もいらっしゃいますから、なんですけれども、千歳市は青少年健全育成都市宣言をした市なんです。そのそばに二十年来、こういうようないわば非行青少年の悪の温床と思われるような施設がそのまま放置されてあるということは望ましいことではない。これはいままで市が幾ら陳情してもどうにもならなかった問題である、こういうようなことになっております。それがいわば防衛施設周辺の整備等に関する法律、これができておっても、その進入口のま下ですから、いろいろな点でこれがいやがられておる。駐留軍は、借りたままで施設をそのまま放置してある。大蔵省の財産だと思っているんですけれども、これは向うの許可がない以上どうにもできない。そうしてそのままにしておいたならば、これはとんでもないことになるという場所であります。それがまた、東京から行って一時間で着く千蔵の空からの入り口になっているわけです。こういうようなことはもう少し真剣にこの問題と取り組んで、早くこれを撤去することが必要であり、撤去する部分については、これは旧海軍の施設のあとですから、完全に、これはそういうようなことはしてやれないことはないじゃないか、こう思われます。この国費による撤去、これはぜひ必要だと思いますが、これはどうしてもできませんか。できるならば、これはぜひやってほしいと思います。
  139. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 何ぶん当該施設がベトンづくりでございまして、この撤去につきましても相当の経費がかかるのではないかということで、その面につきまして検討させておりますが、一方、千歳市当局で、かりにこの施設を再生するというような御希望がもしあるとするならば、土地ぐるみ米側に返還してもらうことができるかどうか、そういうこともあわせて並行的に検討してまいりたいと思っております。
  140. 島本虎三

    ○島本委員 これは土地ぐるみ、施設ぐるみ返還してもらっても、そのまま受け取ってくれといったら、それをかかえて、これを撤去するのにおそらくは四、五百万もかかるのではございますまいか。そういうような施設をそのままやってくれというのも、あまり虫がよ過ぎるのではないか。これはやはり何か手を施さなければならないと思います。これは施設庁のほうで、この問題に対して、やるならば撤去してやる。撤去しないで、そのまま受け取ってくれ、こう言っても、なかなかこれは市としてはできがたい。こういうような問題であり、そのままにしておけない問題ですから、ぜひこれは施設庁のほうでやるべきだと思います。そうして関係市長と話をして、この問題の解決のために急いでやってもらいたいと思うのですが、これはどういう御意向でしょう。
  141. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 たびたび申しますように、四、五百万の経費がおそらくかかるのではないかということが考えられますので、その面について、まず財政当局とも協議いたしまして、善処いたしたい、かように考えております。
  142. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはりぜひ善処をしてもらいたい。これはもう近々中に現地の市長とも話をしてもらいたい。それと同時に、大蔵当局とも話して、払い下げまたはこの撤去、これに必要な部分については善処してやってほしい、こういうふうに思います。その意見を入れて交渉に当たられたいと思いますが、よろしゅうございますね。
  143. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 その線に沿って努力してみたいと思います。
  144. 島本虎三

    ○島本委員 次に、先般同じ騒音規制法案を審議している際、航空騒音の問題が問題になりました。その際、民間における飛行機の発着、これは公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、こういうようなものによって処理しているわけなんであります。しかしながら、これもまだ十分ではない。十分でないままに、せめてテレビの受信障害、これもまだ結論を得ないけれども、近々これもなくしたい。乳児院や保育所、この面まで十分手は伸ばしておらないけれども、法的にこれをはっきりと補助の対象にしてまいりたい、こういうようなことをはっきり言明されておるわけであります。そのほかに、身体障害者更生援護施設、助産施設、乳児院、それから精神薄弱児通園施設、虚弱児施設、有床診療所、有床助産所、こういうようなもの等につきましても、これは現にある法律に準拠いたして、またその直接当たるものは直接適用して、こういう措置については補助または政令によるところの援助、こういうようなものは十分にしていきたい、これが民間関係、いわば運輸省の答弁になっておるわけであります。この点については、残念ながら、これは防衛施設周辺の整備等に関する法律の中にははっきり盛られていないのじゃないかと思うのです。若干あるものはあるかもしれません。政令でやっているものもあるかもしれません。しかしこの辺までは、やはり民間であろうと防衛庁の基地であろうと、それは受けるのは国民ですから、これは同じような補助、こういうようなことにしておかないと、差別があっては困る。この辺に対するはっきりしたお考えがございましたならば、この祭、言明しておいていただきたいと思います。
  145. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 飛行場があることによりまして、周辺に騒音の被害をもたらす、この障害の防止につきましては、かねてからその対策といたしまして、その騒音そのものの発生をいかに軽減するかということと、第二に、発生しておる騒音の周辺住民に与える影響をいかにして緩和させるかということで、従来検討してまいったわけでございますが、第一の、騒音の発生そのものの防止、軽減措置、これにつきましては、市街地をできる限り避ける飛行の方法とか、あるいは深夜、早朝等の運航を極力避ける、あるいはジェットエンジンの試運転の問題につきましても、消音器によってこういう騒音を軽減するというような、いろいろな手段を講じてまいっておるわけでございます。  問題は、第二の、発生騒音の周辺の住民に与える影響をいかに軽減し緩和するかということにつきましては、一昨年制定されました防衛施設周辺の整備等に関する法律によりますと、この第三条の二、「学校教育法第一条に規定する学校」教育施設、それから「医療法第一条第一項に規定する病院」、それと「前二号の施設に類する施設で政令で定めるもの」というふうに明定いたしておりまして、この法律の三条を受けまして、政令で、この学校教育に類する施設といたしましては、児童福祉法によりますところの保育所あるいは教護院、こういったものを防音工事の対象にいたしております。さらに医療施設に関するものにつきましては、医療法によるところの診療所、それから生活保護法によりますところの救護施設、それから老人福祉法によるところの特別養護老人ホーム、こういう施設につきまして、防音工事補助金対象にいたしておるというのが現状でございます。
  146. 島本虎三

    ○島本委員 それはわかりました。  いま私が読み上げたものは、それからなおかっ漏れておる。しかしながら、これはいま言いましたような学校教育法、医療法、それから第三番目の「前二号の施設に類する施設で政令で定めるもの」、この政令の中にこれを十分盛り込んで、民間も防衛庁の基地もともにそろえて、同じようなレベルで、補助その他騒音の被害を排除するために当たっていただきたい、こういうようなことで、理の当然なもっともな質問です。そのとおりやりますと言えば、それで終わりです。
  147. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律、ここにおきましては、精神薄弱児施設を対象といたしておりますが、ただいま先生の御質問の向きは、現在、防衛施設周辺の整備等に関する法律の政令では、これを取り上げておりません。したがいまして、その面についてどうするのだという先生の御質問かと思いますが、この防衛施設周辺の……。
  148. 島本虎三

    ○島本委員 念のために……。取り上げておらないのはわかっているのです。だけれども、政令の中に今後取り上げて、これを措置しなければならないし、そうすると言っているから、あなたのほうもそうしたらいいじゃないかと言うのです。
  149. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 この種施設が現に騒音に悩まされているというような事態が今後招来いたします際は、十分検討の上、これまた善処いたしたい、かように考えます。
  150. 島本虎三

    ○島本委員 あわせて一般人家への補償、こういうようなものに対しては現在どうなっておりますか。また、いろいろとそれに対して苦情はありませんか。
  151. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 先生質問の向きは、一般の住宅の関係かというふうに了解いたしましたが、この一般の周辺の皆さまがいろいろ騒音に悩まされておるということにつきましては、かねてから相当陳情を受けております。したがいまして、十分そのことはわかりますが、現段階におきましては、まず公共施設を整備するということに努力を置いておりますので、一般民家につきまして防音工事を施すということは非常に困難な事情にあります。ただ、この救済措置といたしましては、先ほど申し上げました整備法の第五条によりまして、滑走路の延長上進入表面の直下で約千メートルまで居住しておる人が、騒音でもうるさくてしかたがない、どこかへ移移転したいというような陳情があります際には、当該家屋の移転補償あるいは敷地の買収、こういうことで逐次処理して、そういう皆さまの御希望に応じておるというのが実情でございます。
  152. 島本虎三

    ○島本委員 一言お伺いいたします。  二十年間こういう施設が放置されたままになっておったり、防空壕がそのままになっておったり、どうもしょうがないようなものが町の中にごろごろあるわけですね。そういうような旧軍事施設についての責任、並びに現在の管理はどこでしているのですか。
  153. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 米駐留軍に提供しておる施設はどうなのかというふうに私は伺いましたのですが、それは現在、おそらくほとんどが大蔵省所管の普通財産であろうかと想像されますので、かりに国有地上にそういう施設があるといたしますれば、その処理につきましては、従来は大蔵省の所管でございます。
  154. 島本虎三

    ○島本委員 そしてまだそのままにして残されてある防空壕や待避壕、こういうような、施設外にあるもの、これの責任はどっちなんです。
  155. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 施設外にありますところの普通財産は――もし普通財産てありますならば、これは大蔵省の所管の問題だと思います。
  156. 島本虎三

    ○島本委員 そういうような軍のものに対しては、そのままでは普通一般国民は使えないわけですね。まして防空壕だとかまた砲台あとというようなものに対しては、無用の長物であって、どうにもできない。地上二階、地下一階、悪の温床であるこの砲台のあとというようなものは、なおさらこれはどうにかしなければならない。しかしながら、そのままにしておいて、保管の責任を完全に果たした、ういうようなことにはならぬのであります。これは防衛庁のほうで、旧日本軍の施設であるから、そのまま引き受けて何らか措置すべきなのか、大蔵省のほうでそのままただ持っておって、国民に被害を与えてもいいはずの財産なのか、そうは思われませんけれども、これはどうもそのままに二十年間放置しておくということの事態は理解しかねるわけです。これはもう皆さんの職務怠慢ではございませんでしょうか。この点は私ども解しかねます。戦後は終わっていないですから……。
  157. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 重ねて申し上げますけれども、提供施設外にありますところの普通財産は、残念ながら当庁の所管でございませんので、御希望に沿うようなことはできない、こういうことでございます。
  158. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、いままでずっと質問したものは、施設内にあるもの、米軍がその土地を使用中のもの、こういうようなことで、使用しなくても、米軍が借りておるものであります。こうなりますと、いろいろな点で問題はありましょうけれども、そのままで放置はできないものです。これはよく相談の上で、そうしてどうするなり、早く決着をつけるべきである、こういうふうに思います。大蔵省それからおたくさん、それから現地の市、こういうようなものとよく話し合って、そうしてもうすでにそういうよう、な遺物に対しては完全に処理すべきものであり、処置をするべきものである、こういうふうに思います。こういうようにひとつ努力してもらいたい。厚生大臣も、悪の温床になるようなこういう場所ですから、防衛庁を厚生大臣が督励をして、そうして大蔵省に対しても協力を求めて、大いに善処してやってほしい、こういうように思います。ついでに厚生大臣の決意も伺っておきたいと思います。
  159. 園田直

    ○園田国務大臣 まず第一番は、千歳基地周辺の問題でありますが、私、偶然に千歳の基地に勤務しておりましたので、その場所も現物もよく存じております。あの付近は、御承知のとおりに米軍の借り受けておるものとそうでないものとの地域があいまいであったり、それから、いまの場所は、借りておるが使っていないので、子供が中に入ったりして、いろいろな問題を起こしていると思います。この撤去の問題は、事務的にうるさいことはございませんが、なかなかめんどうだというのは、結局撤去の予算を要求する場合に、それを要求するとほかの予算が削られるなどのことから、なかなかやらぬというようなことで、そうなっておると思いまするが、御指摘のとおりでございますから、私からも、防衛庁長官、大蔵大臣、直接話をしまして、この問題は、施設部長がいま言われましたから、早急に解決できるように、私も協力申し上げたい。  なお、全般的な問題につきましても、同様にいたしたいと思います。
  160. 浜田光人

    ○浜田委員 委員長、関連。  ただいまの防空壕問題に関連して質問いたしますが、いま発言をされたように、旧海軍なり、陸軍なりで、特に軍港地、こういうところに軍の命令によって防空壕がたくさん、むろん国有地のところもあるいは民有地のところにも、掘らしておるわけですね。それが御指摘にもあったように、確かに都会ではいま子供の遊び場もないから、防空壕の中で子供が遊ぶようになって、先日も、広島県では、子供がそれで二人死んでおるのですね。あるいは、海軍工廠が旋盤なんか入れるのに、どえらい大きな防空壕を掘っておる。そうすると、二、三百メートル離れている学校の校庭で、どえらい穴が陥没するのですね。若干、今日では手当が自治体には出ておりますが、焼け石に水です。しかも昨年の七月のあの災害なんかは、との防空壕の手入れがしてないから、それが原因で民有地なんかもずいぶん災害が拡大しているのです。そういう点を、厚生大臣は民生安定の面から――さっきも御指摘になったのですが、戦後は二十三年たっても終わっておらぬ。これこそあなた、実力者の大臣は、民生安定――民有地なんか特にそれくらいしか手の施しようがないのです。そういう点で、政府はこれらをすみやかに手当てをして、そういう民生安定の対策を講じなければならぬと思うのですが、それに対する所信をひとつお伺いしたいと思います。
  161. 園田直

    ○園田国務大臣 いまの全般的な問題については、確かに各所にそういう施設がございまするし、しかも民有地、国有地に分かれておるし、所管がはっきりしておりませんので、放任されていろいろな問題が起こっておると思いますから、これはあらためて、私、閣議の問題として提案をいたしまして、どういう方向でやるか、あるいはどういう所管でするか、早急にやりたいと考えております。
  162. 浜田光人

    ○浜田委員 それだけ、強く要望しておきます。
  163. 山崎始男

  164. 岡本富夫

    岡本(富)委員 先ほどに引き続きまして、騒音問題について、騒音規制法の中で、新幹線それから空港、自動車の騒音をはずした理由、これを運輸省のほうからお聞きしたいと思います。
  165. 内村信行

    ○内村説明員 今度の騒音規制法の中から、あるいは航空機の騒音、それから新幹線の騒音、それから自動車が抜けておる、この理由いかんという御質問でございますけれども、まず航空機の騒音につきましては、五十五特別国会におきまして成立いたしました、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律という法律がすでにございまするので、その法律にゆだねることにいたしまして、本法案からは除いたわけでございます。  それから、新幹線につきまして申し上げますと、これはなお今後環境基準の設定等に関連いたしまして、検討を要すべき問題があるということ、これが一つ。それからさらに騒音の発生源というものが、ほかの一般工場騒音と異なりまして、不特定多数の発生源ではなくて、国鉄という単一の明確な法人によって発せられるということでございますので、特段の法律措置を要しませんでも、運輸省ないし国鉄のほうで、特に指導監督というような方法によって、こういった騒音防止ができるのじゃないかという、この二つの理由を主といたしまして、今回の規制法には盛っておらないということが実情でございます。
  166. 岡本富夫

    岡本(富)委員 新幹線騒音につきましては、この前、私この委員会におきまして、新たにこの騒音規制法の中に入れておかないと、これから新しく出てくるところの新幹線の土地買収、そういう面についても非常に問題が起こる、予防の上から、この騒音規制法の中の入れておいたらどうだというふうにあなたにお話をいたしましたところが、あなたは善処しますと言うたまま、何の善処もない、これが一点。  それかわ、空港に対する飛行機の騒音に対する防止法がありますけれども、大阪伊丹飛行場の姿を見ますと、滑走路から千三百メートルですか、そこまではその法案の中に入っておるけれども、そこから向こうの状態を見ますれば、高芝地区というのがありますが、これは全然入っていない。そうすると、騒音規制法案の中にも入らない、また飛行機の騒音防止法の中にも入らない、そういう盲点ができるわけですが、それをどういうようにあなたは考えておるか、運輸省としてどういうふうに考えておるか、これをお聞きしたいと思います。
  167. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま先生からお話しのございました国鉄新幹線につまましての騒音、これは今回の法律には盛っておらない、これに対してどういうふうにするか、盛ったらどうかという御意見がございました。それに対して、先ほども申し上げましたような理由からとともに、今後いろいろな技術的な改良であるとか、あるいは防音壁の設置とか、そういった方法によりまして、防音をはかってまいるということを申し上げたわけでございますが、そのほかに、特に先生が御指摘になりましたのは、山陽新線の問題、この点を特に個別的な問題として御指摘だと思います。私が善処すると申し上げましたのは、後者について善処するというふうに申し上げたかと記憶しておりますが、それにつきましては、現在山陽新幹線の建設に伴います西宮地区からのいわゆるグリーンベルトの設置、こういうような要望に対しまして、国鉄は、沿線に側道を設けるとか、あるいは都市計画の際に一緒に考えてもらうとか、そういったようなことで対策を進めております。逐次話し合いもできてきているように承知しております。
  168. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうしますと、新幹線の騒音問題については、新しく規制を設ける考えであるというのが一つですね。要するに、新幹線の騒音の問題については、どれくらいということを運輸省できめるのが一つですね。それからもう一つは、空港の盲点になるところに対する法律も考える、この二つですか、どうですか。
  169. 内村信行

    ○内村説明員 私どもの申し上げておりますのは、新幹線の騒音対策といたしましては、今後とも防音壁設置とか技術的な改良であるとか、そういうふうなものを進めてまいるわけでございますけれども、なお、さらに環境基準というようなことも考えられますので、その点につきましては厚生省当局とも十分連絡をとりまして、その上で環境基準というものができた場合には、そういう点に基づいて必要な措置をとりたい、こういうことでございます。  なお、飛行場の関係につきましては、飛行場管理課長のほうから御答弁申し上げます。
  170. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では、新幹線並びに空港のこの騒音規制法から除外された分に対しては、厚生省環境基準をきめたときにそれで取り締まる。またそれで解決するという考えを持っているわけですか。これは厚生省に……。
  171. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 環境基準をきめるきめないにかかわらず、この問題は重要でございますので、十分運輸省と相談いたしまして、両省で善処いたしたい、かように思っています。
  172. 岡本富夫

    岡本(富)委員 運輸省に言えば、厚生省と相談して、それで善処します、厚生省に言えば、これは運輸省と相談して善処します――はっきりしておかないと、この法律は無理ですよ。ただ善処しますじゃなくして、次に新しくたとえば環境基準をきめるときに、それがたとえ航空機の騒音であっても、騒音防止法の中に入れて取り締まる、こういうんならば話はわかりますけれども、ただ善処しますというのでは、これはちょっと話にならぬ。
  173. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 この騒音防止法を立案するときにも、この問題を両省で十分検討いたしたわけでございますが、なお技術的に残されている問題もございますし、予算等の問題もございますので、この法案には盛ることができませんでしたけれども、なるべく早い機会に、この問題につきましては、法的措置を講ずること等、両省で前向きの姿勢で検討いたしたい、かように思っております。
  174. 岡本富夫

    岡本(富)委員 では次に、この騒音規制法の中にも、和解の仲介というのがありますけれども住民側に立ったところの、苦情、陳情を受理するところの規定が明確にない。したがって、住民の声を反映するところの場が規定されていないということを考えますれば、これは片手落ちではないか、こう思うのですが、この問題について、厚生省……。
  175. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 公害の中でも騒音が一番苦情が多いわけでございますが、四十一年度の自治省の調べによりましても、騒音問題は七千六百件ございます。そのうち一応処理されたものが五千八百件でございまして、いろいろ苦情については、それぞれの処理が行なわれております。その中で、騒音がこういう和解の仲介制度には最もなじむではないか、こういうことで、この制度をつくったわけでございます。苦情処理の問題につきましては、それぞれ地方公共団体におきまして、いろいろの窓口をつくりまして検討されておりますが、現在検討中の紛争処理制度の中でも、こういう苦情処理の問題につきまして、できれば法的にも全国的、統一的な制度を考えたい、かように考えております。
  176. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまあなたが、五千何件解決しているということ、これは地方の条例で苦情を受け付けてやったと思うのですけれども、実際にいま各所を回ってみますと、地方公共団体では非常に弱い。たとえばその企業の社長がそこの地方公共団体の公害委員なんかやっておりまして、全然その問題を処理する力がない、したがって、今度のこの騒音規制法ができると同時に、その問題も解決できるようにひとつやっていきたい、こうやっていかなければならぬ、こう思うのですが、それに対する意見あるいはまた決意を伺いたい。
  177. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 騒音問題は近隣問題が非常に多くございまして、解決についてはなかなかやっかいな問題はございますけれども、地方公共団体等を督励いたしまして、騒音問題の紛争処理につきましては、十分前向きの処理をいたしたい、かように考えます。
  178. 岡本富夫

    岡本(富)委員 最後に厚生大臣に……。この二つの法案を見ますと、最初あなたの出された法案から見ると非常に後退して、骨抜きになっているということになっております。したがって、今後これを施行するについて、また新しく、先ほど総理にも言ったように、現在の法案にただ拘泥するのではなくて、さらに一歩前進、二歩前進の改正案も出していこう、そういう決意があるかどうか、また施行についても前向きの姿勢でやっていくかどうか、その決意のほどを伺っておるわけであります。
  179. 園田直

    ○園田国務大臣 この法律案が、当初私が考えておりました原案より、各省との間に調整されたことは事実でございます。しかしながら、いままでの質疑の過程において申し述べましたとおりに、許可制が届け出制になっておりますが、それについては、計画の変更あるいは廃止の命令もできることになっておりますし、かつまた、自動車排気ガス等についても、こちらの意見を聞いてとなっておりますが、これは各省の連絡会議の上で、十分その実効をあげるようにいたしております。しかしながら、御指摘のようなことがあってはなりませんから、行政運営上十分注意をして、この二つの法律案の趣旨公害基本法精神をそこなわないようにやる所存でございます。  なおまた、これにつきましては、準備しておりましたが間に合わなかった紛争処理、救済の問題、あるいは各省で持っております水質の保全に関する問題、立地規制に関する法律、こういうまだ準備されておる法律案もございますから、これを第一歩といたしまして、御指摘のとおりに、逐次法律を整備をして、公害防止の万全を期したい、こう考えております。
  180. 山崎始男

    山崎委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  181. 山崎始男

    山崎委員長 ただいま委員長の手元に、橋本龍太郎君より、大気汚染防止法案に対する修正案並びに騒音規制法案に対する修正案が、それぞれ提出されております。  両修正案の趣旨説明を聴取いたします。龍太郎君。
  182. 橋本龍太郎

    橋本(龍)委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、大気汚染防止法案並びに騒音規制法案に対する両修正案について、提案の理由を御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    大気汚染防止法案に対する修正案  大気汚染防止法案の一部を次のように修正する。  第一条中「産業の健全な発展との調和を図りつつ」を削り、同条に次の一項を加える。2 前項に規定する生活環境保全については、産業の健全な発展との調和が図られるようにするものとする。     …………………………………    騒音規制法案に対する修正案  騒音規制法案の一部を次のように修正する。  第一条中「保全するとともに」を「保全し、国民の健康の保護に資するとともに」に改める。  以上でありますが、両修正案の趣旨につきましては、案文のうちに尽くされておりますので、説明は省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  183. 山崎始男

    山崎委員長 両修正案について御発言はありませんか。     ―――――――――――――
  184. 山崎始男

    山崎委員長 なければ、次に、大気汚染防止法案及びこれに対する修正案、騒音規制法案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより採決に入ります。  まず、大気汚染防止法案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  185. 山崎始男

    山崎委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  186. 山崎始男

    山崎委員長 起立多数。よって、大気汚染防止法案は、橋本龍太郎君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  187. 山崎始男

    山崎委員長 次に、本案に対し、橋本龍太郎君、河上民雄君及び岡本富夫君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を聴取することといたします。河上民雄君。
  188. 河上民雄

    ○河上委員 私は、自由民主党、日本社会党及び公明党を代表いたしまして、大気汚染防止法案に対する附帯決議を付すべしとの動議について御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    大気汚染防止法案に対する附帯決議企(案)  政府は、本法施行にあたり、次の事項について措置を講ずべきである。 一、ばい煙発生施設の設置の届出制について具体的規制力を失わしめないよう充分な措置をすること。 一、自動車排出ガスに係る許容限度の決定にあたり、厚生大臣の意見は充分尊重すること。 一、ばい煙排出基準について常に意を用いその強化につとめること。 一、重油脱硫について研究促進を行ない燃料の規制等に対しても特段の配慮をもって指導につとめること。 一、測定網の整備その他広域汚染対策強化のため国は進んで必要な措置を行なうこと。 一、本法適用除外にかかる電気事業法及びガス事業法に定めるばい煙発生施設又は特定施設において発生するばい煙又は特定有害物質については、主務大臣及び都道府県知事は緊急時のみならず相互に緊密な連繋の下にその公害対策に万全を期すること。 一、本法施行の際すでに施行されている条例については、その地域の実状を尊重し、適切な運営指導を行なうこと。  以上でありますが、この動議の趣旨につきましては、案文のうちに尽くされておりますので、省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  189. 山崎始男

    山崎委員長 以上で説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  190. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。     ―――――――――――――
  191. 山崎始男

    山崎委員長 次に、騒音規制法案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  192. 山崎始男

    山崎委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決をいたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  193. 山崎始男

    山崎委員長 起立多数。よって、騒音規制法案は、橋本龍太郎君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  194. 山崎始男

    山崎委員長 次に、本案に対し、橋本龍太郎君、河上民雄君及び岡本富夫君より、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を聴取することといたします。河上民雄君。
  195. 河上民雄

    ○河上委員 私は、自由民主党、日本社会党及び公明党を代表いたしまして騒音規制法案に対する附帯決議を付すべしとの動議について御説明いたします。  まず、案文を朗読いたします。    騒音規制法案に対する附帯決議(案)  政府は、本法施行にあたり、次の事項について措置を講ずべきである。 一、飛行場騒音については、早急に対策の強化を計ること。 一、交通機関等の騒音対策について特に意を用い、国においても充分考慮すること。 一、市街地の交通騒音対策について、これを強化し、かつ、必要に応じ、関係法の整備を計るとともに、深夜騒音について地方公共団体の指導の強化を計ること。 一、本法施行の際、すでに施行されている条例については、その地域の実状を尊重し、適切な運営指導を行なうこと。  以上でありますが、この動議の趣旨につきましては、案文のうちに尽くされておりますので、省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  196. 山崎始男

    山崎委員長 以上で説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のごとく決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  197. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に附帯決議を付するに決しました。     ―――――――――――――
  198. 山崎始男

    山崎委員長 この際、政府当局より発言を求められておりますので、これを許します。園田厚生大臣
  199. 園田直

    ○園田国務大臣 ただいま両案について議決されました附帯決議につきましては、政府といたしましては十分これを尊重し、その御趣旨に沿って、公害対策を推進いたしていく覚悟でございます。
  200. 山崎始男

  201. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 ただいま議決されました附帯決議につきましては、政府といたしまして、ただいま厚生大臣から述べられたとおり、十二分に意思を尊重して、御趣旨に沿うて公害対策の推進に万全を期したい、こう考えております。
  202. 山崎始男

    山崎委員長 ただいま議決いたしました両法案に関する委員報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  203. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ―――――――――――――   〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  204. 山崎始男

    山崎委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日に、これにて散会いたします。    午後三時五十九分散会