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1968-05-08 第58回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月八日(水曜日)    午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 山崎 始男君    理事 天野 公義君 理事 小山 省二君    理事 丹羽 兵助君 理事 河上 民雄君    理事 島本 虎三君 理事 本島百合子君       久保田藤麿君    塩川正十郎君       地崎宇三郎君    葉梨 信行君       加藤 万吉君    工藤 良平君       佐野 憲治君    浜田 光人君       折小野良一君    岡本 富夫君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 園田  直君  出席政府委員         厚生政務次官  谷垣 專一君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤琦一郎君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         運輸政務次官  金子 岩三君         建設政務次官  仮谷 忠男君  委員外出席者         経済企画庁水資         源局参事官   宮内  宏君         大蔵省主計局主         計官      福島 譲二君         大蔵省主計局主         計官      辻  敬一君         大蔵省国有財産         局国有財産第三         課長      市川広太郎君         運輸大臣官房参         事官      内村 信行君         運輸省航空局飛         行場部長    梶田 久春君     ――――――――――――― 五月七日  大気汚染防止法案内閣提出第一〇五号)  騒音規制法案内閣提出第一〇六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  大気汚染防止法案内閣提出第一〇五号)  騒音規制法案内閣提出第一〇六号)      ――――◇―――――
  2. 山崎始男

    山崎委員長 これより会議を開きます。  大気汚染防止法案及び騒音規制法案議題とし、順次提案理由説明を聴取いたします。園田厚生大臣。     ―――――――――――――
  3. 園田直

    園田国務大臣 ただいま議題となりました大気汚染防止法案について、その提案理由を御説明申し上げます。  近年、わが国における産業発展、人口の都市への集中等には目ざましいものがありますが、このような急激な経済的、社会的変動の過程において、大気汚染による公害が各地で発生し、国民の健康や生活環境上に問題を生じていることは、御承知のとおりであります。  このような事態に対処して、政府としては、昨年、公害対策基本法を制定して、公害対策に関する基本的な考え方を示し、国民の健康と生活環境を守る立場に立って、公害問題と積極的に取り組んでいくことを明らかにしたのでありますが、本法律案は、基本法に基づく施策具体化の一環として、大気汚染防止対策を総合的かつ強力に推進するため、これに関する施策拡充強化をはかろうとするものであります。  大気汚染防止については、昭和三十七年以来ばい煙排出規制等に関する法律に基づき、工場及び事業場からのばい煙等排出規制中心とした施策が講じられてきたのでありますが、現行法におきましては、その規制工場及び事業場において発生するばい煙等に限られていること、予防的な見地からの規制が行なわれてはいるものの十分でないことなど、必ずしも十全とはいいがたい面があるのであります。  このような状況にかんがみて、政府としては、公害対策基本法によって明らかにされた基本的な方向に沿って、ばい煙排出規制等に関する法律に抜本的な再検討を加え、排出に関する規制強化予防的な規制実施等により、工場及び事業場におけるばい煙等に関する規制強化するとともに、自動車交通量の著しい増大に伴い、自動車排出ガスについても本法において許容限度を定めることとする等、新たに大気汚染防止のための総合的な規制法として整備拡充することとした次第であります。  以上が、この法律案提案した理由でありますが、次に、この法律案現行ばい煙排出規制等に関する法律に対し、規制強化し、あるいは新たに講ずることとしている施策のおもなものについて、その概要を御説明申し上げます。  第一に、ばい煙発生施設が集合して設置されることが予想される地域指定地域として指定し、そのばい煙排出予防の観点から規制するものとしたことであります。  第二に、排出基準について、ばい煙排出量等を考慮してその設定方式合理化をはかることとするとともに、これに都道府県知事意見を反映させる方途を講ずることとしたのであります。  第三に、環境基準をこえるような著しい大気汚染が生じている地域に新設されるばい煙発生施設については、一般の排出基準を上回る特別の排出基準を適用することができることとしたことであります。  第四に、スモッグ警報時における措置強化をはかり、一定規模以上のばい煙発生施設について、あらかじめばい煙排出量減少のための計画を届けさせ、都道府県知事は、スモッグ警報時にはそれを参酌して勧告を行なうことができることとしたのであります。  第五に、本法において、自動車排出ガスにかかる許容限度を定めるとともに、これによる汚染状況に関する都道府県知事の測定について定めることとしたのであります。  以上がこの法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に議題となりました騒音規制法案について、その提案理由を御説明申し上げます。  戦後わが国産業経済発展の成果として、国民生活は目ざましい向上を見ることとなったのでありますが、その反面、主要工業都市中心として、各種の公害発生国民生活環境に予期せざる問題を投げかけているところであります。  これらの公害問題については、政府といたしましても、ばい煙等規制工場排水規制等中心対策を進めてきているところでありますが、大気汚染水質汚濁に次いで大きな社会問題となっている騒音問題については、国の手による一元的な法律上の規制措置は講じられないまま、今日に至ったのであります。  政府としては、昨年、公害対策基本法を制定し、公害対策に関する基本的な考え方を示し、国民の健康と生活環境を守る立場に立って、公害問題と積極的に取り組んでいくことを明らかにしたのであります。本法律案は、公害対策基本法の精神にのっとり、騒音問題に対処して、工場及び事業場における事業活動並びに建設工事に伴って発生する騒音についての規制措置を講ずることにより、生活環境保全をはからんとするものであります。  以下この法律案のおもな内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、工場及び事業場騒音についてでありますが、その規制については、都道府県知事都市の市街地及びその周辺地域指定し、指定地域内に設置される著しい騒音発生する工場及び事業場について、指定地域土地利用状況に応じて規制基準を定めて、所要の規制を行なうこととしたのであります。そのため、これらの工場及び事業場における施設設置について、事前届け出制をとるほか、規制基準に適合しない騒音発生することにより周辺生活環境がそこなわれると認めるときは、騒音防止方法等に関し、改善等勧告あるいは命令を行なう等の措置をとることとしたのであります。  第二に、建設工事に関する規制についてでありますが、著しい騒音発生する建設作業対象に、指定地域のうち、住居の環境の良好である区域、病院、学校等周辺区域で行なう場合に、事前届け出を行なわせるほか、一定基準に適合しない騒音発生することにより周辺生活環境がそこなわれると認めるときは、騒音防止方法等に関し、改善等勧告または命令を行なうことができるものとしたのであります。  第三に、騒音にかかる紛争についてでありますが、この種の紛争解決に迅速を要し、また専門的知識を要すること等から、騒音による被害について見事上の紛争が生じた場合について、都道府県知事による和解の仲介の制度を設けることとし、騒音にかかる紛争の円滑適正な解決に資することとしているのであります。  第四に、飲食店営業等にかかる深夜騒音等については、地方公共団体が必要に応じ規制措置を講ずるようにしなければならない旨を定めるとともに、この法律地方公共団体騒音規制に関する条例との関係を明らかにすることといたしました。  なお、以上のほか、市町村長に対する事務委任について定めているほか、騒音規制の実効を期する見地から、騒音防止に関する国の援助、研究推進等について規定をいたしております。  以上がこの法律案提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 山崎始男

    山崎委員長 以上で両案の提案理由説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 山崎始男

    山崎委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。塩川正十郎君。
  6. 塩川正十郎

    塩川委員 まず、私から両法案に対しまして質疑をいたすことになったのですが、ごく簡単に質問いたしますので、お答えも簡単明瞭にひとつお答え願って、審議の促進に御協力賜わりたいと思います。  そこで、まず最初にお尋ねいたしたいのは、公害対策基本法ができまして、それ以降、政府といたしましては、公害対策行政一体化を強力に進めてこられたと思うのでございます。そこで、基本法の制定後、政府がこの公害行政一元化及び一体化というものにつきまして、どういう努力をされてきたかという経過を、まず最初にお尋ねいたしたいと思います。
  7. 園田直

    園田国務大臣 公害が、御指摘のとおりに、水質大気騒音とも各省にまたがっておりまして、これの規制対策等種々不便がありますので、これをできるだけ早く一元化しよう、あるいは運営の一元化をはかれという御意見でございましたが、社会が複雑になりまして、それぞれ行政担当面等もありますので、政府としては公害対策会議をつくって、総理大臣がその長となって、これに関係各省大臣その他の幹部を入れ、その下に幹事会等をつくりまして、とりあえずは公害責任所管庁厚生省として、これを中心に、御指摘の面に沿うように、ただいまとりあえず努力をいたしておるところでございます。
  8. 塩川正十郎

    塩川委員 なお一そうの一元化を、強力にひとつ御推進願いたいと思うのでございますが、ついては、その基本法から、提案されておりますところの大気汚染防止法なりあるいは騒音規制法というものが具体化してきたと思うのでございますが、そこでまず最初に、大気汚染防止法につきまして、二、三お尋ねいたしたいと思います。  実はこの大気汚染防止法の以前に、ばい煙規制法というものがございましたが、これをより強化し、公害防止予防措置といたしたい、こういうことが提案理由の中にもございました。ところが、この法案を見ますと、一番大事な点であると思われますところのばい煙規制許可制届け出にされた。法案で申しますと七条のところで、「ばい煙排出する者は、」云々と書いてございますが、この法案によりますと、これを届け出によるということになっております。届け出によって、行政指導をして万全を期せられる御予定だろうとは思いますが、ついては、許可制をしかないで届け出制にしたという一つ理由と、さらに、届け出制によってもこのように行政指導をしていくという具体的な方策等につきまして、ひとつお答え願いたいと思います。
  9. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 ただいま、届け出制では不十分ではないかというような御指摘でございますが、この点につきましては、現行ばい煙規制法でも、届け出制度をやっております。御指摘のように、この法律立案段階許可制の問題が起きましたけれども、政府といたしましては、公害の原因となります施設設置規制の問題につきましては、土地利用計画等規制とも関連を持つ問題でもございますので、どのような形でそれを取り上げていくかということにつきましては、なお検討いたすということで、大気汚染防止法では、そのままばい煙防止法規定と同じように届け出制をとっておりますが、御承知のように、届け出につきましては、計画変更命令あるいはその他建ちましてからは改善命令等規制を十分にかけられる仕組みになっておりまして、現在でもこの運用によりまして効果をあげているわけでございます。なお、そのほか、現行ばい煙規制法によります排出規制というものを今後強化いたしますとか、あるいは排出基準合理化いたしますとか、あるいは指定地域の拡大をはかりますとか、あるいは特別の地域には特別のきつい基準を設けますとか、あるいは緊急時におきます都道府県知事措置改善をはかりますとか、いろいろ新しい強化策を考えておりまして、これらの新しい強化策によりまして、十分効果をあげ得るもの、かように考えております。
  10. 塩川正十郎

    塩川委員 ばい煙のそういう規制なりあるいは指導というものと同時に、より以上に関心を持って対策をしていただかなければならないと思うものは、そもそも燃料に対する規制というものが大事だろうと思うのですが、こういうものに対する措置といいますか、対策というものは、具体的にどのようにされて、考えておられますか。
  11. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 御指摘のように、燃料規制の問題は重要な問題でございますけれども、燃料規制の問題と関連いたしまして、やはり燃料供給という問題が一つございます。この法案自体といたしましては、十七条の二項、三項の問題でございますが、ばい煙排出者でありまして、いわゆる大量のばい煙発生いたします施設企業者は、緊急時におきますばい煙減少のための計画をあらかじめ作成して、都道府県知事届け出るという規定がございます。これは通常の場合におきます燃料を、たとえば緊急時におきましては、より良質燃料を準備するということを前もって計画させるわけでございまして、それに基づきまして、三項によりまして、都道府県知事緊急事態が起きましたときには勧告をするというような仕組みになっております。この点につきまして、先生指摘燃料のいわゆる改善ということについては、相当の配慮をいたしたつもりでございます。
  12. 塩川正十郎

    塩川委員 燃料規制をされるとおっしゃいますが、これは実際上、相当民間産業に与える影響は大きいということでございますしいたしますので、そういう良質燃料というものの開発、これは現在政府においても鋭意研究を進められておるということでございますが、要するに、そういう硫酸度の少ない重油を使うということでございます。  事のついでに、その計画概要、あるいはどの程度までそういう研究が進んでおるかというようなことにつきまして、簡単でけっこうでございますから、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
  13. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 低硫黄の重油供給というものは、御指摘のように非常に大事なものでございまして、すでに一昨年来、当委員会の御決議その他もありまして、通産省中心として、鋭意その研究開発を進めておるわけでございます。  簡単に申し上げますと、直接脱硫間接脱硫――直接脱硫のほうが能率もいい、すなわち脱硫率もいいし、コスト的にもいいということでございますが、これにつきましては四十二年度から研究を進めまして、大体四年ちょっとでもって完成する予定で、今年度は第二年度に当たっております。通産省におきましては、いわゆる大型プロジェクトという予算の項目のもとに研究をやっておりまして、おかげさまで相当程度予算がついております。そのいわゆる直接脱硫は四十五年度には完成する段取りになっております。それから若干能率が悪いのですが、間接脱硫のほうは、これはすでに外国の特許その他を入れまして、関係石油会社研究開発をやらしておりますし、現にその設備も逐次つくらせておるわけでございます。  大体、研究開発現状は以上のようなことでございます。
  14. 塩川正十郎

    塩川委員 ばい煙規制をきびしくしていくと同時に、肝心のそういう燃料体制というものを十分に良質にして、しかもたいして負担のかからないようないいものをつくり出すようにひとつ努力する、これが相まってはじめて、ばい煙規制効果があがってくると思うのですが、その点につきまして一そうの努力をひとつお願いしておきます。  次に騒音関係でございますが、騒音規制法大気汚染防止法とを比較いたしまして、この中で感じますことは、まず、これを所管する自治体は、いわゆる大気汚染につきましては、都道府県をほとんど単位として考えておられるように思います。ところが騒音のほうは、どうもこの法案から感じますことは、市町村長権限に移行さしていくような感じもなきにしもあらずというような感じがいたしますが、そこで公害全般の問題として、公害問題はすべて広域行政の中において進めていかなければならない、私はそう思います。そうした場合に、ばい煙規制府県単位で、比較的広域処理を考えておられるのでございますが、騒音については、この法案の中で、市町村長にその権限の一部を委任することができるということが書いてあるだけに、私は、これを市町村長段階におろされるのじゃなかろうかというような懸念もありますが、ついては、騒音につきましての直接の事務責任者と申しますか、何かそういうものをひとつ明確にしておいていただきたいと思うのです。ということは、これを簡単に市町村長に委任されました場合には、これは非常に困る問題が出てくる。ということは、どういうことが起こってくるかと申しますと、ある地域におきましては、たいして騒音感じない、同程度の、しかも同質の騒音が、ある地域におきましては、非常に健康と生活環境の阻害をもたらすというようなことがしばしばございます。であるだけに、こういうものは決して市町村長段階において処理されるべき問題じゃないと思っておりますが、その点につきまして、ひとつ考え方をただしておきたいと思います。
  15. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 いわゆる公害行政担当責任地方公共団体をどこにするかというのは、先生指摘のように、大気については現在都道府県にやらしておりまして、一部を、届け出等を特別の市にゆだねておりますが、この新しい騒音規制法におきましては、たてまえとしては都道府県知事がすべてをやるような仕組みになっております。ただ、御指摘のように、法律市町村長権限を委任するような仕組みになっておりますが、御承知のように、現在、都道府県では、二十四の府県騒音条例をつくっております。それから、指定市では二つの指定市が騒音条例をつくっておりまして、あと全国では三十三の市町村条例をつくっておる状況でございます。したがいまして、騒音といいますものが非常に地域的な問題であるということからいたしますと、あるいは市町村自体にすべてをまかせるのが筋ではないかという御意見もあるわけでございますけれども、しかしながら、基準をきめますとか、あるいは地域をきめますとか、あるいは仲裁をするとか、そういうふうに、やはり統一的に処理をするのが望ましい問題は、市町村におろすのは不適当かと思いますが、しかし騒音自体地域的な問題でございますので、やはり広域地方公共団体であります府県よりも、実施事務を一部市町村におろすのも適当ではなかろうか、かように考えております。
  16. 塩川正十郎

    塩川委員 その実情をよく御承知いただいた上で、いたずらにこういったものを市町村長権限に移さないように、ひとつ十分御指導願いたいと思います。  さらにもう一つ地方団体との関係ですけれども、そもそも公害問題の改善と申しますか、あるいはこれが排除という努力は、最初地方団体が主としてやりました。これは住民の不平不満中心となりまして、その窓口が当然市町村なりあるいは府県に持ちこまれるところから、地方公共団体がこの問題にやむを得ず取り組んできたというようなかっこうから発生してきたものであります。しかしながら、それが年を経て、だんだんと範囲が広がると同時に、この公害の質も変わってまいりましたので、国の中で取り上げられてくるというような経過で、今日来ております。そこで問題は、早くからこれを公害問題として、騒音なりあるいはばい煙なりあるいはさらには水質というようなものを地方公共団体が取り上げておった段階、これが現在国の中で取り上げられるということになってまいりますと、そこに考え方の相違が若干出てくることは、これはやむを得ないと思いますが、これらの調整について、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。  これを具体的に申し上げますと、実は水質の問題もあるわけですが、何も水質だけじゃございませんが、まず第一に水質の問題を取り上げますと、現在企画庁で水質規制をやっておられる。その考え方からいきますと、まず第一に対象事業というもののしぼり方が違う。ということは、具体的に申しますと、これは大阪府の問題でございますが、大阪府が最初水質規制をしていましたときには、その対象事業というものは、産業分類でいきますと、中分類でやったのでございます。ところが実際水質保全考え方から出てきた経済企画庁のほうでは、これは小分類になって規制されておる。そういたしますと、せっかく地方団体がそのようにして積極的に取り組んでおるものと、国が今度これを指導する場合に、そこに食い違いが若干出てきておるというようなことがあるわけでございます。そういうことがあっては、地方自治体としては、非常にやりにくいし、またいままでの規制の方針をある程度修正されるというような事態が起こらないとも限らない、こう思います。  そこで、今回の騒音規制でございますが、これなんかでも、それぞれの地方団体が持っておりますその条例を一番普遍的なものの中に置いて、これを規制されたとは思いますけれども、その条例との関係というものを十分考慮された上であるかどうか。もちろん考慮されておると思いますが、それをどのようにして法案の中に盛り込まれたかというような経過と、それから現状について、ひとつただしてみたいと思います。
  17. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 先生指摘のように、水質問題につきましては、御指摘のような点がございますので、騒音規制法をつくる際にも、現行騒音条例というものを十分検討いたしまして、一部の府県あるいは一部の市町村で、せっかく、いままでその地域に合った条例規制が行なわれていたにもかかわらず、法律をつくることによって混乱を生ずるということがないように十分配慮いたしまして、たとえば騒音規制法で申しますと、第四条で規制基準知事がきめる場合には、主務大臣騒音について基準をきめるわけでございますが、こういう場合には、現行規制基準を十分参酌いたしまして、ある程度の幅を持って、主務大臣基準をきめるようにしたい、かように考えております。それからまた四条の二項をごらんになりますと、市町村は、特別の事情がある場合には、特別の規制基準条例できめることができるというように市町村自主性も認めております。それからまた、条例との関係で、この本法できめられていること以外に、別の見地から、条例で必要な規制を定めることを妨げるものでないというような規定を入れております。それから第二十八条では、従来拡声機等騒音問題あるいは交通騒音等についても、条例でこまかく規定しておりますけれども、そういう点についても、より積極的に条例規定していただくように、二十八条を設けております。そのように、現在地方公共団体では、特定工場等、つまり工場中心といたしまして、その他広告放送あるいは交通騒音等についての条例規定がございますが、そういう点についても網羅的にこの法律で取り上げるとともに、現在条例規定しておりません特定建設作業、これは先生承知のようにいろいろと全国的に地域住民の間で多少のトラブルがあっている問題でございますが、こういう点を積極的に法律で取り上げた、こういう経緯でございます。
  18. 塩川正十郎

    塩川委員 次にもう一つ地方公共団体との関係でお尋ねいたしたいと思いますが、実は大気汚染防止法、これに伴いまして、行政を府県が進めていきます場合にも、行政的経費、これは当然かかってくる。騒音規制も同様でございます。ましてや大気汚染を十分規制しようと思いましたならば、そこで当然、監視センターというものもつくって具体的に進めなければならない。そこで問題は、そういう投資的経費を要する事業につきましては、これは政府も積極的に支援の方法はついておるだろうと思っておりますが、しかしながら、一般行政費として見た場合に、公害関係に対する地方自治体の固有財源というものはもう乏しいのだから、これに対する財源措置というものが何らか国において措置を講じなければ、十分に推進できないのではないか、私はそう思うのです。ついては、これは自治省との間におきまして、こういう公害行政全般についての、たとえば起債措置であるとか、あるいは交付税においてこれをどのように見ていくかというようなことにつきまして協議されたかどうか、またその協議の内容が具体的にどういう点まできておるかということを、ひとつお聞きいたしておきたい。
  19. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 御指摘のように、いろいろ法律その他で、地方公共団体にいろいろの公害問題についての指導をやっているわけでございますが、財政的な裏づけがないと、地方公共団体も十分なる活動ができないわけでございます。現行ばい煙規制法では、いろいろの補助金等を組みまして努力しているわけでございますが、騒音等につきましては、現在そういう補助金制度はございません。しかしながら一般的に普通交付税で措置が行なわれておりますが、本年度の交付税の細目については、現在自治省と交渉中でございます。
  20. 塩川正十郎

    塩川委員 交付税で点数を見ておりますか。
  21. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 公害一般といたしまして、見ております。
  22. 塩川正十郎

    塩川委員 それでは、そういう交渉を現在やっておられるのですか、それとも大体話し合いがついて、交付税でその点数を見るということになったのですか、そのいずれでしょうか。
  23. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 現在でも交付税で見られておりますが、なおこれの増額方について、いま自治省と交渉中でございます。
  24. 塩川正十郎

    塩川委員 その場合に、どういう点においてこれを見るかということ、すなわち投資的経費において、そういう態容補正をしていくという方法で見ていかれるのか、あるいは一般行政費として、いわゆる維持管理費、この点に重点を置いて交渉されるのか、いずれに重点を置かれるか。
  25. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 一般的行政費として現在交渉を進めております。
  26. 塩川正十郎

    塩川委員 それから、騒音につきまして、これは法案とは直接関係ございませんが、飛行場の騒音ですか、これは現在空港の周辺に対しまして、特に基地対策等でよく見られるのですが、ジェット機の騒音に対しましては比較的そういう措置がよくとられております。特に自衛隊機が発着しますところの基地周辺に対しては、非常によくめんどうを見ておられるわけですが、ヘリコプターに対しましてはわりあいに冷淡なように思うのですが、これはいかがでしょうか、ヘリコプターは、場合によってはジェット機よりも滞空時間が長くて、しかもあの音は実はジェット機よりも悪質のように私は思うのですが、ヘリコプターに対しましても十分な措置がとられるものかどうか、これをひとつ最初にお聞きいたしたい。
  27. 梶田久春

    ○梶田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のヘリコプターの音でございますが、なるほど非常にうるさいという感じを非常に与えるのでございますが、私ども昨年成立いたしました飛行場周辺における航空機等の騒音防止に関する法律におきましては、政令で定めます特定飛行場というもの、これは御承知のように主としてジェット機の離発着の回数がきわめて多いところに限定いたしておりまして、今度できます新東京国際空港それから現在運行をいたしております東京並びに大阪の両国際空港という飛行場に特定いたしております。将来ヘリコプターの問題についても、いろいろ問題があろうかと思いますが、なお検討をいたしたい、かように考えております。
  28. 塩川正十郎

    塩川委員 その際、大蔵省と折衝される段階で、ヘリコプターの問題は除外してジェット機だけにしぼろうという話があったんですか、それはどうでしょう。
  29. 梶田久春

    ○梶田説明員 私どもは、ジェット機だけということではございませんで、当該飛行場に航空機の離発着いたします回数というものを主として適用の基準にいたしております。ただ御承知のように、ジェット機は非常に金属音で、人間の感情を非常に刺激するというような、きわめて悪質と申しますか、そういった音でございますので、現実にジェット機の離発着のかなり大きいところというものに限定したわけでございまして、法律にもごらんのとおり、ジェット機だけということではございません。
  30. 塩川正十郎

    塩川委員 それじゃ飛行場部長さんにひとつお願いしておきたいのは、ジェット機だけを対象にしないで、ヘリコプターも航空機である以上は、これもぜひともひとつ対象にして取り上げていただきたいと思います。  それで、問題は次に移りまして、産業廃棄物といいますか、工場事業場等から排出いたしますところの廃棄物の処理についての方針をひとつお伺いいたしたいと思います。現在清掃法等で規定されております汚物というものの中に、産業廃棄物と申しますか、事業場等から出てくる廃棄物、かすでございますか、そういうものは処理対象に入っておりません。ところが、これは地域によって違うでしょうが、工場地帯等をかかえております地域におきましては、家庭のごみ処理というようなものは、実はこれは産業廃棄物から比べましたら微々たる問題でございます。実際に一番困っておるのは、こういう事業場から出てくるところのいわゆるかす、メッキ工場等から出てまいりますどろのようなスラッジですか、ああいうものであるとか、あるいは建築物を取りこぼって出てまいりますところの残滓、そういうものの処理が実際はついておらない。道路を美しくしろとか、あるいは町の清潔を保つ、こういうことを申しましても、そういうところでは、家庭のごみというものはたいして公害問題を起こしておりませんで、そういう不愉快な問題を起こしておるのは、ほとんどがこういう事業場から出てくるもの、あるいは建築関係から出てくるもの、こういうものでございます。  そこでまず第一にお尋ねいたしたいのは、通産省等におきましては、一般的に申しますところのそういう産業廃棄物というものに対する処置について、具体的に行政指導をしておられるかどうかということが一つ。それから建設省等におきましては、建築業者に対しまして、家を取りこぼちあるいは建物を建設する過程におきまして出てくるところの残滓あるいは汚物、こういうものに対する処置につきまして、行政指導をされたかどうかという点をひとつお聞きいたしたいと思います。
  31. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 御指摘のとおり、産業廃棄物の処理は問題となっておるわけでございますが、これらの産業廃棄物は普通埋め立て地に埋めたり、外洋投棄などを従来やっておるわけでありますけれども、その関係でいろいろ問題が起こるので、最近ではこういうものはむしろ乾燥したり、焼却したり、あるいは場合によっては中から有害物質を回収するというふうにして処理するのが正しい方法じゃないかと思います。それにつきまして、通産省といたしましては、そういうよそに迷惑を及ぼさないような処理技術の研究開発、これが第一、それから次にそういう研究開発が逐次実現していきましたならば、この処理施設を各工場に普及させるために、金融上あるいは税制上の優遇措置を講ずる、この二つを対策として推進しているわけでございます。具体的には通産省に試験研究所とかあるいは発酵研究所――バクテリアなどによる処理というのはこの発酵研究所でやっておるわけでございます。そういういろいろな研究所がありますので、そういう通産省の直轄の試験研究所で、相当額の研究費を計上して、この処理技術の研究開発をやっておりまして、逐次成果があがりつつあるわけです。それから同時に民間の研究機関に対しましても、補助金その他の措置によりまして、この研究開発を行なっているわけでございます。それから第二番目の金融、税制上の優遇措置については、現在においても若干の措置はございますが、さらに一そうそれらの対策を進めていきたい、かように考えております。
  32. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 建物を取りこわしたあとの、いろいろなものの片づけといった問題だと思いますけれども、実はおしかりを受けるかもしれませんが、特別そういったことが問題になったことも耳にいたしておらぬようでございまして、したがって、特に指導をして取り片づけをさせるといったようなことは、どうも事務的にもいままでやっておらぬように思います。そういった面は、今後十分注意しなければならぬ問題だと、実は思っておるわけであります。
  33. 塩川正十郎

    塩川委員 実際、町をよごし、またよごすだけじゃなくして、何人もこの処理ができないのは、実はそういうものなんです。工場から夜陰ひそかに川原にほうって、捨てておくとか、あるいは建築屋が工事から出てくるものをこっそりと道ばたに捨てておく、これに実は非常に住民が迷惑しております。これは公害問題としてまだ正式に取り上げられておりませんけれども、当然公害の部類に入ってくるものだと思うのでございます。つきましては、ひとつこういう方面に積極的に取り組んでいただきたい。  そこで、そういうものを処理するのは、現在では当然地方公共団体――都道府県なりあるいは市町村の仕事のようになっておるわけでございますが、しからば、現状から申しましたら、いっそのことこれをはっきりと制度的なものにして、そういうものに対する規制をつくる、規制をつくると同時に、それに対しまして、規制を遂行する中で処理をするということも考えなければならぬので、処理をするためには、具体的にそういう特別の焼却場をつくるとか、あるいは埋め立て地を特設するとかいうようなことをしなければ処理できません。ところが、現在そういうものをしようにも、自治体といたしましては財政がないし、何らかの国の援助等を期待しておろうと思うのですが、こういうものにつきまして、ひとつ制度として、そういう施設をできるようにしていただきたい。  そこで、ひとつ実力者でございます厚生大臣にお願いいたしたいと思うのですが、これはいろいろな各省関係があろうと思います。そこで、公害問題の窓口となっております厚生省にお願いいたしまして、厚生省がひとつ音頭をとっていただいて、産業廃棄物を処理する施設、こういうものを地方公共団体が積極的に建設しようとした場合には、その投資的経費なり自後の維持費、管理費というものにつきまして、国からぜひこれを補助、援助するというような制度を検討していただきたいということをお願いいたしたいのですが、これに対しまして、大臣、ひとつお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  34. 園田直

    園田国務大臣 廃棄物その他については、現在では清掃法でやっておりますが、清掃法の中でも、廃棄物のいろいろ変わった品も出ておりまして、これは相当な問題でありますので、御指摘のとおりに、清掃法と別個のものを考えて各省計画をしながらやっていきたいと考えております。なおまた、各種の公害に対する費用が、一般行政費の交付税に組まれておるということは、これはきわめて過渡的なやむを得ざる情勢でありまして、御指摘のとおりに公害防止事業団を中心とする事業の推進であるとか、あるいは起債であるとか、あるいはさらに進んで、国から助成その他の方法も講じなければならぬことは当然でありまして、今後この問題はどんどん広範囲に広がっていくと考えられますので、その点につきましては、御指摘のとおり、その方向で検討してまいりたいと考えております。
  35. 塩川正十郎

    塩川委員 そういう基本方針で、ひとつお願いいたしたいと思いますが、つきまして、その中の非常に具体的な問題を申し上げて恐縮でございますが、こういう問題がございますので、あわせて検討していただきたいと思うのですが、埋め立てを簡単にいたすといたしましても、当然これは海に投棄していくのが一番簡単なわけですし、無限に埋め立てができるわけでございます。ところが、その埋め立てをしようといたしました場合に、まず埋め立てを予定する区域に対しまして、海の中でさくをしなければならぬ。いわゆる防波堤のようなものをしなければならぬ。そういたしますと、そこへ何百万トンというものの投棄が可能でございます。そういうものを、実際に自治体におきましては研究もし、要望も近くすると思うのでございますが、こういうような要望がもしありましたら、それに対して、ひとつ積極的にお願いいたしたいということをお願いしておきます。  最後に、もう一つだけお尋ねいたしたいと思いますのは、騒音大気汚染、この問題が出ておりますが、臭気の問題、におい、これが実はまた公害問題として非常にやっかいな問題でございます。と申しまして、臭気はこれを規制すると申しましても、何をもって臭気であるかという基準がむずかしいだろうと思うのですが、臭気に対する規制というようなものは、現在具体的に考えておられましょうかどうか、最後に一つお尋ねしておきたいと思います。
  36. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 臭気の問題は、先生指摘のように非常にむずかしい問題でございまして、現在臭気についての条例がありますのは、北海道の函館に臭気条例というのがあるのだけが一つの例でございます。その他の、工場等でいろいろ臭気が出る問題は、これは通産省のほうがお詳しいのでございますが、生産工程の中でいろいろくふうをするとか、あるいは排水をする場合に、いろいろ排水処理のしかたを厳重にするとか、そういう方法でやるほか、現在のところないわけでございます。そのほか測定方法につきましては、現在これは外国でもなかなか解決されていない問題でございますけれども、なお私のほうでは、測定方法について、現在専門家に委託研究を依頼している状況でございます。
  37. 塩川正十郎

    塩川委員 質問を終わります。
  38. 山崎始男

    山崎委員長 島本虎三君。
  39. 島本虎三

    ○島本委員 いよいよ大気汚染防止法案騒音規制法案が出されたわけであります。会期ぎりぎりの現在までこれをとめ置いたということは、まことに残念であります。しかし、出されないよりも出したほうがまずいいのでありますけれども、会期ぎりぎりまでこれをとめ置いたということは、何か含みがあるのかどうか。こういうような審議の状態で、もうすでに来週に入ったらどうかというような状態も予想されるのに、この重要法案をいまごろ出してきたということは、少し不見識じゃないか。これに対して、何か含みがあったならば、その点を明確にしておいてもらいたい。私は、そういうようなことをはっきりさせた上でないと、今度審議に入ることに対してちゅうちょを感ずるのです。なぜか。おわかりのとおりなんです。流すなら流せ、こういうような気持ちでやってくるならば、もう審議する要はありません。これはどういうわけでこうおそくなったのか。政府としては、これに対してどれほどの関心と熱意を持っていたのか。ひとつ賢明なる厚生大臣並びに各次官の御答弁を承っておきたいと思います。
  40. 園田直

    園田国務大臣 公害に関する問題は、逐次各所に問題が発生しておりまするし、公害基本法に従って、その他の規制あるいは紛争等の法律案をすみやかに準備したいと思いまして、事務的には寧日なく折衝してまいりましたが、それぞれいままでの関係もありまするし、大気汚染騒音ともに、所管が各省にわたっておりまするので、その折衝等の時間もございまして、今日ぎりぎりの提案になったことはまことに遺憾でございます。これが他の問題でありまするならば、さらに折衝を重ねて次の機会にとも思うわけでありまするが、公害はその被害者のことを考えると、その時間を許しませんので、まことに御迷惑と思いながら、早急に準備をして提案をしたわけでございます。
  41. 金子岩三

    ○金子政府委員 ただいま厚生大臣が御説明になられましたような趣旨でおくれたわけでございまして、ひとつすみやかに御審議をいただきまして、御可決あらんことをお願いいたします。
  42. 仮谷忠男

    ○仮谷政府委員 厚生大臣の御答弁のとおりでございます。
  43. 島本虎三

    ○島本委員 私は順を追うてずっと質問をやっていく準備をしてまいったわけでございます。これだけ切り離してやるのは残念ですが、もしいま厚生大臣がおっしゃったそのことばを、国民のためにそのまま受け取るとしても、この内容が不十分だといううらみがあまりにも多いのが私は残念なんです。ほんとうに国民のためを思い、国民の健康のためにこの法案を出したのだ、憲法に基づき、公害基本法に基づいて、国民の健康を第一に考えたのだとするならば、もっとこの問題についての考え方はあったはずであります。私はその点等についても、国民の期待に十分沿っていないということを考えて、残念なんです。これは逐次聞いてまいりたいと思いますけれども、これが最善のものではない、私はそう思います。今後この問題については、審議の過程の中で、それぞれ可能な限り、これは修正して通すべきではなかろうか、こう思いまするけれども、これに対して、厚生大臣の御所見を承りたいと思います。
  44. 園田直

    園田国務大臣 私のほうでは、主管大臣として提案したほうでございまするから、各省と折衝をして、最終案をまとめたわけでございます。国会におきまして審議され、あるいは御意見を出され、修正されることは、これは最高権威たる国会の御自由でございまするから、これは国会のほうに御委任をするわけでございます。
  45. 島本虎三

    ○島本委員 そのように質問を進めてまいりたいと思います。そういたしますと、公害関係では、いま出されたのが大気汚染防止法案騒音規制法案の二つである。しかしこれと対になってまだまだ重要な法案もあるはずであります。この公害にかかる紛争処理及び被害の救済に関する法律案、この問題等は、もうすでに現在起きているその解決の問題点を含んでいるのです。そうなりますと、やはりこれ一つでも出ないということは残念なんです。ほんとうに国民のためを思うならば、いま私が申し上げましたこれをまっ先に出すべきなんです。まだどこかにひっかかっているようでありますけれども、この公害にかかる紛争処理及び被害の救済に関する法律案は、いまどこでどういうような状態に審議されておりますか、その経過を発表願いたいと思います。
  46. 園田直

    園田国務大臣 公害基本法に基づく法律案は、このほかにも、毒性のまじる排水の問題、その他まだたくさんございまするが、御指摘紛争処理及び救済についての法律案は、これは一番大事な問題であって、特に現にその紛争処理並びに救済という法律案ができなければ、制度的に、被害者が数年間の調査の間、手を施すことが十分でありませんので、この点は急いでおるわけでありまするが、ただいま中央公害対策審議会において、特に早く御審議を願うように、これについてのお願いをしているわけであります。  なお、政府といたしましても、決して審議会に責任を転嫁して、それまでは安閑としているわけではなくて、これと並行いたしまして、私のほうでも、いつでも審議会の結論が出ればそれを受け入れてやれるように、それぞれの案やその他のことは準備をしておるわけであります。  したがいまして、この救済、処理の大体の概略は、御承知のとおりに大体公害が起きてから、これの公害の認定ということが制度的にございません。また、認定するまでにはやはりいろいろな力関係だとか官僚的であるとか、そういうことにとらわれずに、学問的に公平に慎重にやるべきでございますから、若干の日にちを要します。その日にちの間ほうるわけにもまいりませんので、まず国の責任において立てかえて被害者を救済し、続いてその公害の認定は、たとえば公正取引委員会のような厳正にして権威のある委員会をつくって、これで大体精査をし、これで公害の認定をして、それに基づいて、それぞれこれに対する医療あるいは補償の問題を片づけるというふうなことで、こちらも概略の案は考えておるわけであります。これは決して責任のがれだとかなんとかではなくて、ぜひこの国会でやりたいと思ってやったわけでありますが、そのようなわけで、間に合わぬことはまことに私ども遺憾でございますが、これは早い機会に、できたらもういつでも次の機会に提案をしてお願いをしたい、このように考えております。
  47. 島本虎三

    ○島本委員 では、大臣のことばをそのまま私も受け取って、次の機会に、次の国会でこれは御提案になるものであるというふうに理解して、この質問は終わりたいと思いますが、そういうように理解してよろしゅうございますか。
  48. 園田直

    園田国務大臣 こちらも、そのつもりで準備をいたしております。
  49. 島本虎三

    ○島本委員 つもりというのは、努力目標にもなるわけです。私は努力目標を否定するわけじゃない。ただことばは、平和に徹すると言いましても、佐藤総理の言うことばはさっぱり徹しておらないようなあれですね。おそらくは、努力目標であっても園田厚生大臣はやるだろうと、私は、人柄からして、あなたを信用しておりますから、それは信じますよ。しかしもう少し、それだけの信念があるならば、次の国会には提案いたしますという決意をはっきりしておいてもらいたいのです。
  50. 園田直

    園田国務大臣 長い間の御親交で、私の人柄を了解いただいたことはまことにありがたいわけでございますが、私が決意いたした以上は、必ず最短時間においてやるつもりです。私は、今国会においてぜひやりたい、相当無理もしたい、場合によっては、完全でなくても一応出しておいて、次の国会でさらに御修正を願うというほどの決意もしたわけでございますが、準備ができなかったわけでございます。そういう意味でございますから、私は、決してそれは単なる努力目標ではなくて、次の国会には何とかして出せるように、くふう惨たんをいたすことで、御了解願いたいと思います。
  51. 島本虎三

    ○島本委員 次の国会に、苦心惨たんして優秀なものを出してもらいたいと思います。そのことばはりっぱに議事録にとどまってございますから、ひとつ息のある限り、十分その責めを果たしてもらいたい、こういうふうに思うわけでございます。それじゃ、この問題はこれで終わります。  次に、経済企画庁水資源局、来ておりますか。――公共用水域の水質保全に関する法律の一部を改正する法律案、これはかねてから準備されておった。そして企画庁の長官も、この問題は早い機会に出したいと言っておった。十二月の段階では、これはもうすぐ出す、こういうように言っておったのですけれども、本年になりますと、その出すという理由がいつの間にか消えてしまっているわけです。大臣もいろいろ苦労されて、りっぱなものにして出したいための準備期間をよけいほしいと、こういうようなことであるようです。これはいまの厚生大臣も、重大な紛争処理と被害者救済、これは次の機会に出したい、こういうように言っておりますが、あなたのほうも、この重要な法律案については、次の機会に出せる準備は十分整っておるのでしょうね。
  52. 宮内宏

    ○宮内説明員 お答え申し上げます。  現在、極力各省と詰めておるわけでございますけれども、まだ結論に達しておりません。厚生大臣のおっしゃるように、わがほうも次の国会には何とか出したいというふうに考えております。
  53. 島本虎三

    ○島本委員 その場合に、現在何か暗礁に乗り上げている具体的な問題がありましたならば、その御指摘を願いたいと思います。
  54. 宮内宏

    ○宮内説明員 たとえば、目的でございますとか、あるいは権限委譲の問題でございますとか、その他調整が行き悩んでいる問題があるわけでございまして、極力早く詰めてまいりたいというふうに考えます。
  55. 島本虎三

    ○島本委員 これは厚生省とよく相談して、この問題を早く取り上げ、早く解決できる方法もあろうかと思いますけれども、長官は、現在そのままの状態で出すならばこれは出せないわけではないけれども、家庭下水――汚水を含んだ下水の問題と下水道の問題がある、したがってこれは長期計画になっているから、そういうような長期計画の問題、この汚染源まで完全につかんで規制するということはいまのところなかなかむずかしいのだ、こういうふうに言っているわけです。しかしながら、これは早い機会に出したい、こう言っておりますから、またこれはもう年次計画できまっておるのだから、これはもう出せるはずなんです。そういうふうにはっきりきまったものに対しては、きまった措置は完全にすべきだと思うのです。下水道、終末処理計画なんかはっきりきまっておりますから、これはやらないと、皆さん方の怠慢になるのです。  そのほかに、もう一つ、し尿処理施設と斃獣処理場、それから屠殺場並びに採石、砂利採取、こういうようなものも規制の目標の中に入れたい、こういうふうに言っておりますが、これは考えて進行しておりますか。
  56. 宮内宏

    ○宮内説明員 そのとおりでございます。考えております。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 だから、これを考え、なおかつ次回の国会にはこれは提案できる、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  58. 宮内宏

    ○宮内説明員 極力そのように努力いたします。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 極力努力するのはわかりますけれども、これは単なる努力目標ではない、政治的な責任ある発言である、こういうふうに理解して、議事録にとどめておきたいと思いますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  60. 宮内宏

    ○宮内説明員 よろしゅうございます。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 では、それをもう早急に制定し、早い機会に出すように心から望んで、この問題に対しては終わっておきます。  それから、先ほど厚生大臣のほうでいろいろと、おくれたその理由並びにおくれたけれどもいま急遽これを出した理由、これは国民のために必要だ、こういうふうな御答弁がございました。私は、それをやはりそのままお受けしておきます。しかし、国民の期待したその期待は、公害発生源である企業――この企業が防止対策と救済の責任を果たさないというようなことがあったとすると、現にあるわけですから、そういうような場合には、公権力による規制強化以外に道がないのだ、したがって法による規制が最も妥当なんだ、こういうような考え方の上に立って、これは公害基本法の実施法として、それぞれ法律が出されることになったわけであります。そういうような点では、公害基本法はなまぬるい、当時はそういわれました。しかし、総理の言明並びに附帯決議を付したその際における大臣の答弁、こういうふうなことからして、実施法で具体的な解決ができる、こういったような了解があったものだ、こういうように私どもは理解して、今度の実施法に対して一生懸命に取っ組んでまいったわけなんです。おそらく国民のためをお思いとすると、いまの私の気持ちと完全に変わりはないと思うのです。そうであるならば、公害発生源はすべて許可制にするというような大原則、これはもう必要なことです。許可制というとなぜ困るか、その裏には、違法行為や妥当ならざる行為があった場合には禁止できるという、その禁止が含まれるからであります。それはもう法としてはき然とした強いものになるわけです。ところが、それが届け出制に変わった、こういうようなことになってしまったわけであります。そうなりますと、これに対して具体的な規制力が失われるのじゃないかという心配は国民全部が持っています。具体的な規制力が失われない、これでよろしいのだという確信を、前の委員の質問に対する答弁と違った角度から、私が理解できるように答弁してもらいたい。これは大臣でも事務当局でもよろしい。私はもうこれが大前提だと思っております。大事なところです。
  62. 園田直

    園田国務大臣 私のほうから言ったほうが言いやすいと思いますので申し上げまするが、ただいまの御指摘の点については、私も全く同意見でありまして、公害は、起こったあと、これに対する対策を講ずることではほとんど不可能に近い問題であって、単に被害者を救うだけにとどまります。しかも被害者を出したあとにおいては、いかほど救済をしてももとに返るわけではありません。したがって、規制によって公害を根絶をする、しかもそれは工場ができてからではなくて、できる前に、企業側で規制をして計画をするというところまでいくのが当然であると考えておりまするが、その施設設置規制とか、土地利用の規制とも関連を持つ問題でありまして、政府としてはどのような形でこれを取り上げていったほうがいいかということが論点になっているわけであります。  そこで、正直に申し上げますると、その点で論議を費しておりますると、今国会に間に合わない。そこでとりあえずは、本法案においては、従来と同様の届け出制をとったわけであります。しかしながら、届け出制であっても、環境基準を越えるような著しい汚染が生じている地域については、一般的にも特別に厳しい基準を適用する措置を新たに講ずることとしておりまするし、また設置に関する計画の廃止命令をも特に出し得ることとしておりますので、事実上は相当効果があがるものと考えて提案をし、お願いをしたわけでございます。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 具体的にこれは効果があがらなければならない。これははっきり私どももそういうような考え方で、いま質問を展開しております。そうすると、この法案が成立した場合には、公害絶滅にどれだけの力を発揮できるのか、現状維持にすぎないということは、これは杞憂なんだ、おそらく許可も届け出も、その方法が同じような効果をあげることができるのだ、こういうような理解点がもう一歩突き進んでほしいのです。ということは、届け出制になりますと、これは知事または地方公共団体の長、こういうような人自身が、今度はどういうような強力な命令を出せるのか、おそらく国の世話になり国におんぶしている以上、あまり強いことも言えないのじゃないか。まして固定資産税を払ってもらっているような工場に対してまたお願いする程度じゃなかろうか。許可でこそ禁止があるけれども、届け出はこれはもう何もないですな。そしてそういうふうになった場合には、やはり公害発生源についての取り締まりが、届け出であっても、これは許可と同じような規制ができるのだ、こういうようなことであるならば――私は、こう理解しておきたいのですが、大臣の道徳的なる答弁だけでは、何か私はまだ理解できない。これは不明です。しかしながら、そのままで進めていくことはできません。私は、ばい煙発生施設、こういうようなものに対して、都道府県知事が不許可の措置がこの法律でとれるのかどうか。そしてスモッグなんかの濃厚なときに、当然原因企業に対して協力要請をする。もしそれでも協力に応じなかった場合、罰則による強制力があるのかないのか、私には理解できない。やはりこれも、届け出は単なる届け出じゃないか。いま大臣がおっしゃったような強力な、これは許可制をも含むような効果があるんだということの理解に苦しむことになります。その点をいま二つに申し上げましたけれども、はっきりと解明してもらいたいと思います。
  64. 園田直

    園田国務大臣 先ほど申し上げましたことをさらに詳しく申し上げますと、特別な基準を適用する措置を講ずることができまするし、なおまた、ばい煙発生施設設置に関する計画を廃止する命令も出し得ることにしておりまするから、単なる届け出ではなくて、許可制と同等の効果をあげ得るものと考えますが、なおまた、これによりまして、公害の本質を企業のほうでも理解されて、これを許可制にさらにしなくてもよいように、企業家自体の方々の御理解も願いたい、こう考えておりますが、法律の中に、計画の変更を命じ、あるいは廃止を命ずる個条を設けておりまするから、その点はただいまの段階において、許可制と同じようにできる。それは決意の問題である、こう考えております。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、罰則による強制力はどういうことになりますか。
  66. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 ただいま大臣が御説明いたしましたのは、第十条の「計画変更命令」でございます。これにつきましての罰則は三十三条でございまして、「一年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。」こうなっております。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 それはそのままやる状態、すなわち、特に指定された地域、そして知事権限でこれを行なう、行なわなかった場合には、それはもうやれるけれども……。しかし、この罰則による強制力は罰金だけなんですか。
  68. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 特別の排出基準をできますのは、第四条の二項で特別の排出基準を強くできるわけでございます。それから一般的なところについては、当然第四条の一項で、地域ごとに排出基準をきめております。したがいまして、第十条では、この排出基準に適合しないときに計画変更命令ができるわけでございまして、そういう点については十分罰則が担保されておりますし、それから排出基準自体も決して最初きめられた排出基準だけでなくて、その後の状況によりまして、厚生省通産省都道府県知事意見を聞きまして、規制強化をはかることは当然でございます。罰則の点につきましては、一年以下の懲役でございます。
  69. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、私のほうではもう少し具体的に聞きますが、このばい煙発生施設を新たにつくる場合、これは都道府県知事が不許可の措置がとれますか。それが適合しないというようなことで、これはよろしくないという不許可の措置がとれますか。
  70. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 第七条で、ばい煙発生施設設置するものは都道府県知事届け出ることになっております。したがいまして、その届け出があった場合におきまして、その地域排出基準に適合しない場合に、その計画変更命令もしくは計画の廃止を命ずることができるということでございまして、いま先生が御指摘許可制そのものはとっておりませんけれども、実質的には計画変更命令も出せる仕組みにはなっておりますので、場合によっては実質的に不許可に近い場合もございます。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 くどいようですけれども、心配のあまり聞きますが、都道府県知事は、企業に対して、ばい煙発生施設の新増設の面で、計画に沿わない場合、不許可の措置が直接にも間接にもとれる、それと原因企業に協力を要請して、その要請にこたえなかった場合にも、罰則による強制力がある、この二つは届け出であっても、これははっきり厳存するものである、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  72. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 形式的には届け出制になっておりますけれども、先ほど御説明いたしましたように、第十条で排出基準に適合しないときには計画変更命令を出せる仕組みになっておりますし、それから計画の廃止までも命ずることができる、こういう仕組みになっておりまして、それを罰則で担保しておりますので、実質的には許可制度と変わらない、かように考えております。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 それはひとつチェックしておきたいと思います。それと同時に、同じばい煙であっても、最近の都市公害において著しく、これは公害の原動力というふうに言われておるものの一つに、自動車の排気ガスがあるわけです。この排気ガスの場合には、排気ガス装置の取りつけ義務、それと改善命令、それに沿わない場合の使用禁止、こういうような点については、具体的にこの中に規定してございますか。
  74. 内村信行

    ○内村説明員 ただいまの自動車の排気ガスに関する問題でございますけれども、排気ガスにつきましては、装置を自動車の構造につけるということは、直接この法律自体では規定しておりません。と申しますのは、この法律は、運輸大臣が厚生大臣意見を伺いまして、それによって自動車の排気ガスの許容限度をきめることになっております。そうしてこのきめられました許容限度を守りますにつきましては、従来道路運送車両法というのがございまして、それに基づいてきめております。そこで自動車の排気ガスは、こういう許容限度に合うように、そういった装置を義務づけており、そういうふうな基準に合わない場合は使用できないというたてまえになっております。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 答弁としてはなかなかりっぱでございますけれども、あわせて、どうしてこういうふうになったのかという経過を御説明願いたいのです。というのは、この二法を見てみますと、大気汚染防止法案の第三章に「自動車排気ガスに係る許容限度等」というのがございます。私はそこも大事じゃないかと思っておりますけれども、自動車の排気ガス対策、これはまことに重要じゃないかと思って、さっきからやっておりますけれども、通産省厚生省は概して仲がいいのですけれども、一方は企業的であり、一方は国民的である、こうまで言われるほど、それぞれの立場ははっきりしている。しかし煙となりますと、監督規制は、通産、厚生仲よくやるようになっている。ところが自動車の排気ガスだけは、運輸省が監督規制を単独でやるということになって、都市公害の大事なポイントである排気ガスの問題は、運輸省だけで単独でやろうとする高邁なる意思の発表が見られるわけです。通産省厚生省、仲が悪いにもかかわらず、国民のためにこういう煙なんかの監督規制はちゃんと仲よくやる。おそらく今後の重大な関心事である自動車の排気ガスの点だけ、運輸省単独で監督規制する。そうして単に厚生大臣意見を聞くのみにとどめた。これはどうも同じ煙でも、自動車の煙だけを尊重しているのじゃないか。白い煙が黒い煙よりもなお人体に害があるという実態に対して、どういうように認識しておられるのか。私はどうもこの措置を一べつして不審でたまらないわけです。これは厚生大臣、どういうわけでこういうような煙に差をつけたのですか。煙に差をつけなければならない理由があるのですか。
  76. 園田直

    園田国務大臣 正直に言いまして、私のほうでは、これは両方で共管でやることにお願いしたいと思っておったのでありますが、やはり自動車の構造その他に関係もあることであるから、厚生大臣の同意を得て必ずやるからという話もありましたから、こういうことになったわけでございます。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 大臣、私はいまのことばを聞いて、いまの質問はこれでやめたいと思うのですが、これは意見を聞くのですか、協議するのですか、同意を得てやるのですか。私は、同意を得てやるというなら、それでよろしいと思います。法律には意見ということになっておりませんか。意見では、聞きおく程度にされては困る、せめて協議はどうだろう、もう同意を得てとすれば、これはりっぱなものである、こういうように思っているわけです。これはいまの厚生大臣の答弁で、私はピリオドを打っておきたいと思いますが、これはやはり同意を得て実施するんですね。
  78. 内村信行

    ○内村説明員 先ほどの経過がどうだったかというご質問にからんでおりますけれども、歴史的に見まして、自動車の排気ガスにつきましては、運輸省のほうで道路運送車両法というものに基づいてやってきたということが歴史上あるわけでございます。そういった経過もございまして、結果としては、こういうふうな形になったわけでございまして、法律上は意見を伺うということになっておりますけれども、その意見は十分尊重していく、すなわち厚生省当局は、環境保全と申しますか、そういう面のエキスパートでございまして、その意見は十分尊重してまいるということになっております。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 厚生省環境基準排出基準国民の健康を守るためのいわば専門家なんです。金がないのは残念ですけれども、一応専門家です。しかしながら、やはり運輸行政は多岐にわたっておりますから、これは運用のためにやむを得ないのだ、こういうようないままでの御答弁だったと思うのです。それであるならば、もうこの意見ということは、同意ということと同意義なんだ、こういうように解釈して、実施の万全を期しておきたい、こういうふうに思います。イエスかノーかそれだけ……。
  80. 内村信行

    ○内村説明員 法律上は、法律上のことばがきまっておりまして、意見というものを同意と同じであるというふうには解釈できませんが、運用上は、同じように十分尊重してまいるということであります。
  81. 島本虎三

    ○島本委員 ではその意見は、同意なしにかってにはやらないということですね。
  82. 内村信行

    ○内村説明員 その意見と反したことはいたさないと思います。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 必ずその意見を取り入れて実施する、こういうように理解していいですね。
  84. 内村信行

    ○内村説明員 意見は十分に取り入れる所存でございます。
  85. 島本虎三

    ○島本委員 それによって、私は、ただ単に、意見を聞くということになっていることに若干の不安を感じたのです。これよりも協議がいいじゃないかというように私どもは思っております。しかし何よりもいいのは、同意を得なければならない、が一番いいのです。専門家ですからね。そういうようなことで、今度は運輸行政を完全に公害発生源でなくする――自動車の場合は特に、こういうようなお考えであるならば、これで私の杞憂は雲散霧消するわけです。最後にもう一回言いますが、意見を聞くということは、同意を得なければやらないということなのだ、こういうように私どもは完全に理解しておきたいと思いますので、くどいようですが、もう一回はいと言ってください。
  86. 内村信行

    ○内村説明員 たびたび申し上げましたように、一つ法律上のことばでございますから、それを無視した形にもできません。しかし、実際上は、十分に意見を尊重してまいりたいと思っております。それを取り入れてやることについては間違いないことであります。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 大臣と政務次官と、いわば個々であるならば、われわれとしては、国会に対しての責任追及はあくまでもできますが、皆さんの場合は、いかにたんのうでございましても、大臣がだめだと言ったならば従わなければならない立場にあるのじゃないかと思います。大臣と政務次官と同意見である、こういうようなこともあわせて確認しておきたいと思いますが、この上下の関係で、まさか意思の疎通を欠くことはございますまいね。どうですか。
  88. 内村信行

    ○内村説明員 意思の疎通を欠くことはございません。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 もう一回、運輸政務次官の格調の高い御答弁をいただきたいと思います。
  90. 金子岩三

    ○金子政府委員 島本さんの御心配の点はよく承知いたしましたので、運用上、必ず御意見を尊重して、御意見の趣旨に従って運用するということを参事官が申しておるのでございますから、それによって御了承願いたいと思います。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 次に進ませてもらいます。  先ほどから、いろいろと脱硫装置の研究促進の問題、燃料規制の問題等についても質問がございまして、皆さんの考え方もある程度わかりました。この排出基準は、煙の場合は、大気汚染防止法案の中で最も強化されなければならない問題だと思います。そうしてこれは、現在のところでは、いわば企業が文句を言わない範山内で強くできる、しかしながら、やはり文句を言う範囲では規制できない、いままではそういうように運営されてきておるわけです。これは告示などによって、強力にこの規制措置をきめてしまったほうがいいのじゃないかというように思いますけれども、現在のところでは、排出基準について、告示をもって強力に行なっている都市はどことどこでございましょうか。
  92. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 現在、四日市地区と川崎地区については、ほかの地区よりもきびしくいたしております。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、四日市と川崎地区だけは他のほうよりきびしくやっている、こういうことになっておりますけれども、四日市市と川崎市は他のどこの都市よりも一番公害がきびしいのです。これはもう排出基準をきびしくすればするほど、公害発生は高くなるのですか。これは逆論になりますけれども、いまあなたは二つの市をやっているとおっしゃいました。二つの市をやっているならば、これによって公害発生し得なくなっているのではないか、こう私は思うわけですが、いま四日市も川崎も一番多い都市だ。それだったら、強力に排出規制をやっていないということに結果的になるのではないか。そうじゃないのだ、煙突がよけい過ぎて幾らやってもだめなんだ、そういうようなことであるならば、これに対してもっと基準強化が必要になるのではないかと思うのです。いま偶然でしょうけれども、四日市と川崎、ここだけは強力な告示により規制をやっているのだという話のようでございましたけれども、そこの都市だけがどうも公害都市といわれるゆえんのものが理解できない。もしそれがほんとうだとすれば強力にやればやるほど公害はよけいになるのではないか、結果論ですけれども……。そういうふうになってしまうことは残念に思いますが、これはどういうわけですか。
  94. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 排出基準強化につきましては、先生のような立論でやっているわけではございませんが、もちろん一般的な地域についても、もっと排出基準強化すべきだろうと思います。それから、現在の四日市、川崎等についてもなおさらに検討すべきだろう、かように考えております。
  95. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、これは厚生省のほうではそういうふうに考えていても、そのとおりにいかないのが実態だ、私のこの立論を認めてもらえるならば、通産省が一緒になってこれを指導するのでなければ実効があがらない、こういうことになってしまうのではないかと思うのです。通産省としても、排出基準強化は今後やはり重大な問題ではないかと思っておるのですけれども、常にこれを指導するような体制は、通産省のほうでは完ぺきでしょうか。
  96. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 御指摘のように、排出基準強化もさることながら、行政指導によりまして、大気汚染ができるだけ少なくなるようにするということは非常に大事でございまして、通産省におきましては、現在ある、現在すでに操業を開始している企業についてもやっておりますが、さらに新設あるいは増設分につきましては、いろいろな方策、たとえば煙突の集合化あるいは高煙突の設置あるいは場合によりましては低硫燃料の使用というようなものによりまして、今後大気汚染ができるだけ少なくなるようにやっているわけでございまして、その具体的措置は、いわゆる総合事前調査というのがございまして、すでに昭和四十年度から毎年全国数カ地域ふやしておりますが、本年度はたしか六カ地域でございましたか、そういうところについて、総合事前調査ということでもって、御指摘のような行政指導を進めているわけでございます。
  97. 島本虎三

    ○島本委員 いま厚生省のほうから御答弁がございましたけれども、四日市や川崎、いわゆる横浜ぜんそくだとか、また四日市ぜんそくだとか、そういうようなことばさえも生まれるような地域、こういうようなものに対しては、通産省は、指導の責任ということを完全に、これはもう意識しなければならないのではないかと思うわけです。いかに告示によってこの排出規制をしていっても、これでは何にもならない。依然としてこういうような患者がよけい出ている、こういうようなことになってしまうと、指導を根本的に改めなければならないことになってしまう。その指導の根源は何だ。排出基準強化じゃなかろうか。これを完全にやらせるべきだ。したがって、許可であるならばやらせられる、届け出であるから、協力を願うよりしようがない、こういうようなところに、また再び原因がくるんじゃないか、こういうように思うわけなんです。私どもとしては、これに画竜点睛を欠くようなことがあっては困るんです、今度の場合は。したがって、これは念には念を入れて、一つ一つでも直していきたい。実効をあげていきたい。そのためには、もっともっと通産省厚生省はこういうような問題に対しては仲よくやってもらわないといけない。足の引っぱり合いじゃなく、ほんとうに国民の健康を考えることは日本の産業を振興させるもとなんだ、国民の健康を度外視して、日本の産業がいかに世界のファーストランクになっても、これは何にもならぬのだ、いまこそ通産省はこの辺を十分考え、かつ措置するのでなければならないのじゃないか、こう思うわけなんです。常にこの点は今後も指導してもらいたい。それと合わして、脱硫研究促進、これは重要です。  それから、先ほど御答弁がございましたが、角度を変えて私は伺いたいのです。燃料規制は、現段階ではこれはできませんか、通産省
  98. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 一般的な燃料規制というものは、低硫黄重油供給の現段階におきましては、若干無理な点があるのではないかと思います。先ほども説明しましたように、直接脱硫にしましても、間接脱硫にしましても、年を追うに従いまして、研究開発は進むし、石油会社の低硫黄重油の生産も増加してまいるわけでございます。大体、通産省あたりで考えてみますと、四十四年度におきましては、主要の都市におきましては硫黄分一・七のものが大体供給できるというようなことになりますのですが、そういう段階になれば、その段階に応じて、ある程度燃料規制というものができると思いますが、現段階においては無理だろうと思います。ただしかしながら、この今回提案大気汚染防止法にもございますように、緊急時の措置につきましては、あらかじめ会社は計画都道府県知事に出すことになっておりますが、その計画の一環といたしまして、燃料も十分配慮する。場合によりましては、会社によりまして、できない会社もないわけじゃないので、そういう会社はある程度の低硫黄重油をたくという計画を出すことになっておりますから、個別にそういうものを積み上げていけば、相当程度燃料面の改善ということが期待できるのではないかと考えております。
  99. 島本虎三

    ○島本委員 では、排出基準強化と、脱硫研究促進、燃料規制を厳重に行なうこと、こういうようなことは通産省自身も異議のないところだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  100. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 燃料規制につきましては、燃料供給、低硫黄重油供給の度合いが増すに従いまして、それに応じてやることについては全く異議はございません。
  101. 島本虎三

    ○島本委員 広域汚染対策、これに対してどういうふうなお考えがございましょうか。
  102. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 現在、各地の工業地帯は、府県が隣接し、またはそれをまたがっていろいろ公害問題が起きております。したがいまして、各都道府県はそれぞれの立場で熱心にやっておられますけれども、やはり、特に大気につきましては、流動性がございますので、アメリカでやっておりますように、国がもう少し積極的に広域的な大気汚染の問題について取り組む必要があろう、また都道府県間あるいは各市町村間の連絡指導等についても、もう少し積極的に指導するとか、あるいは財政的な問題についても援助し、または直接国が大気汚染等についての監視等も促進する、かように将来の検討問題として考えております。
  103. 島本虎三

    ○島本委員 京浜や阪神や中京地区や北九州、こういうふうに地域が広範になってくると、一県のみではとうていでき得ないというようなことも、広域汚染対策の面にはあらわれてくるのじゃないか、これがもう一つの欠陥として今後露出してくるのじゃないか、こういうふうにも思われるわけなんですけれども、もしそうだとすると、国が十分この点を補助して、そして委託するなり何かするなりして、完全にその根源を把握するのがまず第一番じゃないか。横浜へ行くと、川崎から流れてきた煙であるから、どうも被害者はわれわれなんだ、こういうように言うこともある。四日市のほうへ行くとまた、別なほうから流れてくる煙なんだ、こういうように、常に市だとか、または大きく見れば県、これが二つ以上にまたがって公害発生しているというような状況が多いですから、やはり抜本的に対策を講ずるとするならば、これは広域汚染対策強化して、国がこれを完全に見てやるというような姿勢でなければ、この監視も指導もできないのじゃないか、こういうように思うのですが、なぜ厚生省はこれをやっておらなかったのですか。
  104. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 先生指摘の地帯につきましては、府県間を越えて監視を広域的にやるということがやはり絶対必要だろうと考えまして、率直のところ、本年度の予算で、昨年財政当局に要求したわけでございますけれども、財政措置が講ぜられなかった実情でございます。来年度はぜひこういう点につきましても最大の努力をしたい、かように考えております。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 御存じのように、公害対策基本法が、前にも若干申し上げましたけれども、まだまだ不十分である。しかしながら、やはり現時点においては不十分なものであっても、実施法で活を入れるとこの問題は生きてくる。ないよりはましだということではなくて、それによって完全に公害がなくなるのだ、このところまでいけるのだ。ましてこれは、新たにやる企業に対しては予防措置を講ずる、現にあるものに対しては排出規制措置を講ずる、そして被害が起きた場合にはその救済措置を講ずる、この三つの柱の上に立って、これは十分こなし得るのだという総理の答弁もあり、今後の実施法に期待して、私どもとしては公害対策基本法を通したわけです。しかし、出てきた実施法と、またその内容そのものを見る場合には、やはり何か金に左右されてその実があがらないようなんです。大気汚染防止する。これが特定の排出源であるならば、これは私害である。しかし、それがこん然一体になって、何が何だかわからない、その原因を探求するのだ、こういうふうになれば、一県、一市というようなものだけではとうていやれない。すなわちこれはもう広域汚染対策強化しなければならないのだ、こういうようになってきますと、一県や何市かでだけやったって、これはとうてい実があがらない。そうすると当然国がその面に対してはタッチするのでなければならぬのじゃないか、こういうように思うわけなんです。私は、佐藤総理が意外に公害対策には熱心でございましたから、大蔵省もこの点は十分カバーしておったのじゃないか、こういうように思っておりましたところが、何か予算が削られたかのようないまの答弁がございました。広域汚染対策強化について、こういうような補助や委託費を出すこと、こういうようなことは不必要と認められたのかどうか、大蔵省の主計官にお願いしたいのですが……。――厚生担当の主計官来ていないと、困るじゃありませんか。
  106. 山崎始男

    山崎委員長 速記をとめて。   〔速記中止〕
  107. 山崎始男

    山崎委員長 速記を始めてください。
  108. 島本虎三

    ○島本委員 では、大気汚染関係のやつは関係主計官が来るまで、このまま留保さしていただきます。  特に騒音規制法案について、逐次伺ってまいりたいと思うわけです。  この騒音規制法案によりますと、やはり一番問題になってくるのは飛行場の騒音じゃないか、こういうように思います。先ほどもこの問題に対しては十分議論を尽したようでございますけれども、あれだけでは、ちょっと私自身、納得できないのです。今後のためにも、ひとつもっと詳しく私に知らしてもらいたいと思います。それは飛行場の騒音対策強化の件です。公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律が昨年できました。それによって――防衛庁では当然基地周辺に関する法律がございますから、民間では現在のこの公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止法、こういうようなことと二つセットになって、十分その実をあげることができる、こういうように私どもは理解しておったわけです。しかし一たんでき上がっても、依然として飛行場の騒音の問題が問題としてあげられてくるわけなんです。これは、運輸省では、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律ができた以後、どのように措置をしてまいりましたか。この一年間の措置状況について、簡単に御報告願いたいと思います。
  109. 梶田久春

    ○梶田説明員 お説のように、昨年、五十五国会におきまして、航空機の騒音防止法が成立いたしまして、それ以後、まだ一年足らずでございますが、昨四十二年度の予算といたしましては、三億円が、この法律に基づきますいろいろの公共用飛行場周辺におきます騒音対策費として計上されたわけでございます。その内訳は、大阪並びに東京の両国際空港周辺におきます小中学校に対する騒音防止工事がおもなものでございまして、そのほかに大阪国際空港周辺におきまして、法律規定がしてあります共同利用施設の助成として二カ所助成を行なったのが現状でございます。なお四十三年度、今年度の予算は、すでに御承知と思いますが、五億三千万円でございまして、これにつきましては、目下大蔵当局と実施の承認についていろいろ検討、折衝いたしておるわけでございますが、私どもの考え方といたしましては、東京並びに大阪の両国際空港周辺におきます小中学校を対象に防音工事を進めてまいりたい、さらに大阪周辺はああいったような立地状況でございますので、あわせて共同利用施設の助成も行ないたい、かように考えております。
  110. 島本虎三

    ○島本委員 同じ騒音規制法の中でも、特に航空機騒音というもの、この問題だけは別になっておるわけです。別になっておるには、必要な法律がありますから、その法律に基づいて政令なり規則なり、こういうようなものによって完全に措置するから、いわばこれも一種の公害実施法の一つになっているわけです。実施法ができても、依然として、大阪国際空港の周辺ではもう被害者があとを絶たないのみか、だんだんふえてきている、これはどうもおかしいのではないかと私は常に思っているのです。これはいかがなものでございますか、それができてから政令第二百八十四号が出されてございます。これによりますと、それぞれ必要な措置を講じて、そして防音装置に対する施設補助なりいろいろ指導をなさっておられるようであります。それをやっておるにかかわらず、被害者がまたずいぶんふえておる、これも私わからない一つの問題なんですけれども、まだ何かこの辺に抜けておるものがあるのではなかろうか、もしあるならば、この際それをはっきりとえぐり出してその対策を講じなければならない、こういうように思うわけなんです。そして航空機騒音防止工事の対象となる施設、こういうようなものに対しては、政令でどのように規定してありますか。
  111. 梶田久春

    ○梶田説明員 御指摘のように、政令の第二百八十四号によりまして、公共用飛行場周辺におきますいろいろの騒音防止施策について、各条項を規定いたしております。御指摘のように、最近におきましても、依然として両国際空港周辺の住民の方からいろいろ苦情が引き続きあるわけでございますが、私どもの考え方といたしましては、飛行機の騒音は非常に大きいものでございますので、付近住民の方々には非常に御迷惑をかけておるわけでございます。昨年法案審議の際におきましても、学校の防音工事、これは人間の教育といったものが最も基本であるから、まず最優先して措置すべきではなかろうかということ、それから病院あるいは診療所、そういったものについても、これも健康の回復ということに関して基本的なものじゃなかろうかといった問題、そういったものを勘案いたしまして、最も緊急を要する部面に対する措置から考えようじゃないかということで、現在まできておるわけでございます。それで、政令の中では、学校、病院等に類する対象といたしまして、保育所だとかあるいは精神薄弱児の通園施設だとか、そういったものを規定いたしております。  それから、先生指摘の、特に大きな問題は何かということでございますが、現在一番問題になっておりますのは、この法律とは直接関連いたしませんが、テレビの受信障害に対するいろいろの苦情でございます。これも本委員会におきまして、従前いろいろ御説明申し上げておりますけれども、まだ結論には至っておりませんが、早急にテレビの受信障害についても何らかの措置をとりたいということで、せっかく努力中でございます。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 わかりました。この政令で定むるいろいろな補助範囲、こういうようなものについては、学校教育法によるのと医療法によるのと、またはそれに類するもの、こういうふうになっておりますが、これは私はよくやったとほめている。ただ、このほうに保育所があるという御答弁でございますが、保育所に対する予算は組んでございますか。
  113. 梶田久春

    ○梶田説明員 先ほど御説明申し上げましたように、昨年度から初めてこういったいろいろな措置に対する予算が計上されたわけでございますが、現在までの段階におきましては、最も基本になります学校教育の面に対するいろいろの助成というのが先決でございまして、正直申し上げまして、いまだそういった診療所あるいはいろいろの医療関係施設等にまでは及んでいないというのが現状でございます。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 やはり法律ができており、政令もできておりまして、それの準拠する根拠がはっきりしているのですから、それによってなぜ予算を組んで完全にやれないのか。これはやはり大蔵省がうんと言わないのですか。政令にまできめられ、法律にまで規定されているものに対して、どうして予算措置がとれないのですか。
  115. 梶田久春

    ○梶田説明員 実は私ども法律が成立いたしまして以後、各地元に対しましては、法律の趣旨その他につきまして十分御説明を申し上げておるわけでございます。また先ほどの御指摘のように、政令等も公布いたしまして、各市町村等につきまして説明会等も催したわけでございます。ただ、今日まで病院あるいは診療所等について、こういう防音工事をやりたいからという具体的な申請をまだ私どもとしては受け取っておらない段階でございまして、そういう経緯もございまして、現在までの状況は、学校に対するもの、あるいは共同利用施設の助成といったものになっておる次第でございます。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 病院なんかはその必要を感じないのですか。
  117. 梶田久春

    ○梶田説明員 当然その必要は感じておられると思いますが、まだ具体的には、そういう申し出を受けておりません。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 それは十分説明をしてやる必要があろうと思います。  保育所と、それから乳児院、こういうようなものについては、対象に入っておりますか、おりませんか。
  119. 梶田久春

    ○梶田説明員 保育所は、先ほど申し上げましたようなことで、私どものほうでは入れております。それから乳児院は現在入っておりません。これはいろいろ問題があろうかと思いますが、さしあたり対象にするかどうかの大まかな基準といたしましては、医療を施すもの、あるいは教育訓練等を施すかどうかといったものを基準にいたしまして、学校、病院等に類するものの施設をきめたわけでございまして、今後の検討材料ではなかろうか、かように考えております。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 今後の検討材料ということになりますと、公共の施設に対しては、全部これは検討してもらわないといけないと思います。たとえば身体障害者更生援護施設、これは身体障害者福祉法、昭和二十四年十二月二十六日法律第二百八十三号、第二十七条第二項に規定する身体障害者更生援護施設というものがございます。こういうようなもの等についても、当然その対象として考えてもしかるべきじゃなかろうか、こういうふうに思います。第二番目は助産施設、これは児童福祉法、昭和二十二年十二月十二日法律第百六十四号、第三十六条に規定する助産施設ということになっておりますけれども、この助産施設等についても十分考えてやったほうがいいのではなかろうか。第三番目は、いま言った乳児院です。第四番目は精神薄弱児通園施設、これも児童福祉法第四十二条の二に規定する精神薄弱児通園施設ということになっております。第五番目は虚弱児施設、これも児童福祉法第四十三条の二に規定する虚弱児施設、それから第六番目は有床診療所、これは医療法の第一条第二項に規定する有床診療所、これは現在のベットが幾つ以上でなければ対象にしないというようなことでなしに、有床診療所も対象にすべきである。同時に、第七番目は有床助産所、これは医療法第二条に規定する有床助産所であります。  こういうようなもの等についても、公共の施設として、騒音から免れさせるために十分措置してやるべきが当然だ、こういうように思うのです。しかし、これまで考えておらないとすると、今後これに対しては対処してもらわないと困る。せっかく公害基本法による実施法ができても、こういうようなところで画竜点睛を欠いては何にもならぬことになります。ひとつ今後これを対象にし、補助並びにいろいろ指導の万全を期するお覚悟がございますか。
  121. 梶田久春

    ○梶田説明員 いま先生指摘の中に、若干私ども対象にいたしております施設もございます。たとえば精神薄弱児通園施設、これは現在対象にいたしております。しかしながら、いろいろたくさんの施設のお話を伺ったわけでございますが、その大部分が現在対象外となっております。そういった面で、私ども、現在の法律に基づきますいろいろの措置というものが、これで万全なんだということには決して考えておらないわけでございまして、いろいろの面について、もう少し地域住民の方々のことを考えて措置する必要があろうということで、前向きでいろいろ検討してまいりたい。それから、こういったいろいろの施設がはたして病院等に類するかどうかといった問題につきましても、今後引き続き政府部内で慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 補助にかかる施設としていろいろございますけれども、いま言ったのはやはりあいまいなところ、どっちにもかからないというところにあるのです。だから見のがされるのです。見のがされていい問題じゃないのです。これは十分考えてやる必要があります。これを考えている経過、どういうふうになったかという点につきましては、私のほうに知らせてもらいたい、こういうように思いますが、お約束できましょうか。
  123. 梶田久春

    ○梶田説明員 十分先生の言うとおりにいたしたいと思います。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 同じ問題で、基地周辺に関する施設庁の考え方を承りたいと思いますが、これは自衛隊の飛行場や駐留軍の飛行場、こういうようなところに対してはいまあげたような点に対する補助やいろいろな指導がなされておるかどうか、私は不敏にしてわかりませんが、防衛庁関係の方、施設関係の方来ておるはずですが、これはどうなっておりましょうか。
  125. 山崎始男

    山崎委員長 ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  126. 山崎始男

    山崎委員長 速記を始めてください。
  127. 島本虎三

    ○島本委員 当然、民間の施設に対しては、空港周辺の航空機騒音による措置はこれによって講ぜられており、講じつつあるものもあり、将来またこういうような公共の施設に対しては十分の措置をする考えがいま発表された。これは同じような問題が自衛隊や駐留軍のほうにはないのです。ですから、それが野方図になっては、これは一致いたしません。ですから、この問題は十分連携をとりながら対処してもらわなければならない。これはいま答弁いただけないのはまことに残念でありますけれども、後日また審議がございますから、そのおりに責任ある答弁を求めさせていただきたい、こういうように思いますから、この問題に限っては中止をさせていただきます。  次は、同じ飛行場騒音対策強化についてなのですけれども、これは今後一般家庭のほうにまで、いろいろな補助なんかは広げていく必要が、たとえば大阪国際空港の場合などは当然あるのじゃないか、こう思います。しかし、現在は一般の家庭までそれは及ぼしておりますかどうか、また今後及ぼすつもりでありますかどうか。
  128. 梶田久春

    ○梶田説明員 付近の一般民家に対して防音工事といった問題も、審議過程におきましては、やるべきではないかという御意見もかなりあったわけでございますが、あの周辺の民家すべてに対しまして防音工事をやるということになりますと、現在の財政状況のもとにおきましては、とてもたえられない程度の膨大な額になるのではなかろうか、かように思いますことが一点。それから第二点といたしましては、日本の家屋構造というものが主として木造でございまして、効果的な防音工事というものがなかなか技術上困難であるといった面もございまして、現段階におきましては、一般民家の防音工事にまで踏み切ることは考えておりません。ただ、一般住民の方にしんぼうしろということは、まことに住民の方々に対して申しわけないのでございまして、そういった面からいたしまして、せめて共同の利用施設、共同で学習しあるいは休養する、そういった共同の利用施設設置し、その際には補助金を出しましょうということで、先ほど申し上げましたように、昨年度二カ所、今年度も二カ所程度のものを、共同利用施設としての設置に対して助成をいたしてまいりたい、かように考えております。
  129. 島本虎三

    ○島本委員 この問題等につきましては、今後も騒音対策強化という点はいろいろな形で出てまいります。十分対処してもらいたいと思うのです。いままでおった人が、飛行場ができ、それが国際空港となって、今度はジェット機が発着するようになり、自分は好んだのじゃないけれども、もういたたまれなくなる。飛行場ができてからうちを建てた人は、その事情は十分知っているから、まずいいかもしれない。よくはないけれども、いいかもしれない。しかし前から住んでいて、そこへ飛行場ができて生活環境がいわば音によって汚染されたということは、これは当然考えてやらなければならない問題じゃないかと思うのです。当然こういうような問題も重大問題になってくると思います。この点も十分対処しておいてもらいたい、こういうふうに思います。これは大蔵省関係では、こういうような問題では、どう考えていなさるのでしょうか。
  130. 福島譲二

    ○福島説明員 私から、直接の担当でもございませんが、かわりましてお答え申し上げます。  騒音の被害防止のために、これを一般家屋に及ぼすことにつきましては、これは一般の補償の基本的な法律的な見地からも、かなり問題があるかと思いますし、また当然財政上の負担からいっても非常に大きな問題があろうと思います。そういうことで、現在、特に公共的施設のうち重点的に措置すべきものとして、学校とかあるいは医療施設とか、そういったものについて優先的に防音装置についての補助を実施しておるわけでございます。なお、そのほか、防衛庁関係といたしましては、特に騒音程度のひどい特定飛行場の周辺につきましては、その住民のこうむる障害の軽減をはかるために、場合によってはその飛行場の周辺一定区域一定基準によって移転の補償をするといったような形におきまして、間接的ではございますが、住民の被害の防止に資しておる次第でございます。
  131. 島本虎三

    ○島本委員 私はいまここで一つ聞いてみたいことがあるのです。それは皆さんの場合は、常に飛行機を利用される人も多いと思います。そしておそらく北海道へ飛行機で行っておられると思います。千歳の飛行場へおりますと、すぐあの目の前に旧海軍砲台のあとがそのままいまだに残っているわけです。飛行場から国鉄の線路をはさんで、すぐそばにそういう地域があるわけです。そして昭和三十八年の六月に、そこで遊んでいる子供が中の穴にはまって――その穴には水が入っておった、こういうふうなことで、溺死しております。そしていわゆる非行少年のたまり場である。早くこれを措置してもらいたい。そしてそのあいた土地は、市のほうでも利用したいから払い下げてもらいたい、こういうようなことが数年来続けられておる。こういうふうなことを承っておるのです。しかしいまだにそれがどうなったのかわかららない。私も来るときに見てまいりました。きのう十分見てまいりました。まだ戦争が終わったまま、まっ黒に塗られたままに放置してあるのです。これは市のほうで払い下げてくれと言っても払い下げない。そのままにして醜をさらす。非行青少年のたまり場になっている。こういうふうなことは、ちょっと厚生大臣としても許されないのじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。これは現在大蔵省の国有財産として所管中のものである、こういうふうに聞いているのですけれども、空の玄関のこういう奇怪な物体に対して、なぜ措置をしないのか。私どもは、これはやはり公害の一種ではなかろうか、無理ですけれども、そうさえも思うわけなんです。飛行場のすぐそばです。ほとんどの人が見ているでしょう。大蔵省、これはなぜこのままにしておくのですか。
  132. 市川広太郎

    ○市川説明員 お答えいたします。  いまのお話にありました点を財務局で確かめてみましたところ、この財産は現在在日米軍に提供中の財産でございます。で、非行少年のたまり場として使われているという弊害があるということで、市の当局といたしては、これを公園にいたしたいというような希望があるようでございますが、そのような希望は、大蔵省としてはまだ正式に聞いておりません。もし正式に市のほうから、具体的な事業計画をもちまして、そのような希望がありましたときには、私ども検討いたしまして、防衛施設庁を通じまして、米軍側に返還方の申し入れをするという段取りになろうかと思います。米軍に返還の要求をいたしますのは、これは防衛施設庁でございますので、具体的な問題になったあとで、施設庁ともよく相談いたしまして、返還の可能性の有無――可能性が全然ないのであれば返還要求もできませんので、そういうことも含めて検討した上で、具体的な措置をとりたいと考えております。
  133. 島本虎三

    ○島本委員 これは私どもが伺ったところによりますと、自衛隊のものではない。すでに旧海軍砲台あとというのですか、施設になっておりますから、これはすべて大蔵省の所管にかかっているのであって、駐留軍の所管中のものではない、こういうふうに承っておったのです。これはだれが所管して、ああいうふうな醜い姿をさらしておるのですか。大蔵省ですか、駐留軍ですか。
  134. 市川広太郎

    ○市川説明員 所有権は大蔵省にございます。しかし在日米軍に、米軍の施設といたしまして提供中のものでございます。したがいまして、現在の直接の管理権は在日米軍にあります。
  135. 島本虎三

    ○島本委員 あの砲台あとは、いま私が言ったように、非行青少年のたまり場になっている。あそこに行ったら、芸術的な絵がかいてあったり、私、行って見てまいりましたが、中に大きい穴があって、水がたまっていた。そしてあれはまさに好ましからざるかっこうのたまり場です。それもそのままになっている。それで、市のほうはいままで何回も要請してあるというのですが、これを撤去しない理由は何かあるのですか。あれは何かに使うために撤去しないのですか。それとも、管理しているのであれば、米軍に要請して、ああいうふうなものは早く取ってしまうようにしたほうがいいのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、依然として千歳から戦後はまだ去っておらないのです。こういうふうな状態の中で、非行青少年ということで、新聞にまで大きい話題になっているのです。そうなりますと、これは厚生大臣も頭が痛い問題なんです。これでやってみたら、これは大蔵省だ、こういうようなことになって、千歳市もどうも困っているようです。これはやはりしかるべく措置をして、使っておらないものなら、これは適当に返還していただくなり、そういう手は打つべきであろう。そしてそういうふうな施設は現在不要ですから、醜を天下にさらすことなく、早く撤去させたほうがいいのではないかと思います。こういうふうな点については十分やらなければいけないのではないかと思いますが、このままにしておきますか。
  136. 市川広太郎

    ○市川説明員 在日米軍に財産を提供する場合、これは国有財産の場合もございますし、民有財産の場合もございます。提供いたします責任の官庁は防衛施設庁でございまして、いまの件につきましては、施設庁と今後十分に検討いたしまして、必要に応じまして適切な措置をとりたいと考えております。
  137. 島本虎三

    ○島本委員 くどいようですが、防衛施設庁のほうでは、大蔵省のほうだと言うのです。うちのほうは関係ないと言っているのです。防衛庁の人、いるでしょう。話しておいてください。課長ですから、両方とも政府委員でしょう。それでは、これもあとで十分措置をしてください。こういうふうな問題をそのままにしておいてはいけません。
  138. 市川広太郎

    ○市川説明員 所有権者でございますので、責任をのがれるつもりではございません。施設庁と十分に協議いたしまして、しかるべき措置をとりたいと思います。
  139. 島本虎三

    ○島本委員 次に移ります。新幹線と高速道路に対する騒音対策は、騒音規制法の中に入っておりますか。おらないとすれば、その理由を承りたいと思います。
  140. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま御質問の新幹線の騒音防止対策、これは今回の騒音防止法の中には入っておりません。まずその理由一つとして、現在東海道新幹線についてどういうふうな騒音防止対策をとられておるかということを御説明申し上げたい、こういうふうに思います。  現在、東海道新幹線の騒音防止に関しましては、まず設計計画当初から、あるいはロングレールを採用するとか、あるいは駆動歯車の音を抑止するとか、あるいはロングスカートを使いまして、床下の機器の騒音防止するとか、あるいは市街地につきましては防音壁の設置、こういうふうな措置をとってまいったわけでございます。それでなおその開通後も騒音があるという実態にかんがみまして、さらに学校であるとか病院であるとか、そういった個所については防音施設をつくる。それから変電所については防音構造にする。あるいは工事用の低圧配線、こういったものについても防音対策をはかる。こういうことを実施してまいったのでございます。そういうふうなことによりまして、ある程度騒音防止というものは果たせておるのではないかというふうに考えておるわけでございます。今後とも学校とか病院とか、そういうものの存在する個所、あるいは市街地の民家の密集しておる場所、こういうところについては防音壁の設置を推進してまいる、こういうふうに考えておるわけであります。ただ、これだけでは必ずしも完全ではないかもしれないということでありますので、今後は公害対策基本法に定めております環境基準というものの設定につきまして、厚生当局とも十分密接な連絡をとりまして、そういったものを設置いたしたい、そしてその暁に、その結果必要とあれば、所要の措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。  また、なお今後の山陽新幹線の建設にあたりましては、鉄げたの橋をなくすとか、あらかじめ防音壁を必要な個所につけるとか、車両の床下の機器をカバーするボディマウント方式をとるとか、そういったような機器の開発、こういった面から十分に措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えております。  そういうところで、それではなぜ騒音規制法から落ちたのだという御質問かと思いますが、その点につきましては、まず騒音規制するということになりますと、一体どういう騒音をどういうふうに規制したらいいのかということが問題でございます。そこで公害基本法に書いてございますように、いわゆる環境保全ということとそれから経済発展との調和ということが公害基本法の定めるところでございまして、なかんずく鉄道、新幹線というふうなものにつきましては、公共的使命も非常に大きいものでございます。したがいまして、その措置のとり方あるいは補償措置が非常に要るというふうな場合には、これがひいては運賃にはね返ってきますので、国鉄財政に非常な負担をもたらすということも考え得るわけでございます。したがいまして、そういうことも慎重に検討いたしませんと、どういうふうな形にしていいか、その形が明確にならぬというふうなことから、今回はこの法律には盛られなかったというふうな経緯になっておると存じております。ただしかし、それだからといって、放置しているわけではなくて、ただいままで申しましたように、諸般の防音対策を進めてまいりたい、またまいっておる、こういうことであります。
  141. 島本虎三

    ○島本委員 いままで新幹線ができることを予想しないでそこに住んでおった人、新幹線ができてから家を建ててその近所に行った人、二とおりありましても、それぞれの立場が違うのじゃないかと思うのです。その人たちは、きてもらいたくてその辺へ住んだ人でないかもしれない。しかしながら国の考え方によってそこへできた。こうなりますと、その騒音のために悩まされるということがあってはいけないし、それはやはり措置は講じてやらぬといけないのじゃないか。厚生省は、こういうような基準の設定だとかいろいろな指導なんという場合には、専門家ですから、よく連携をとって、これは指導してやるべきだと思うのです。  この新幹線や高速道路というようなものに対して、各地で別に訴訟やトラブルは、いまのところ全然ございませんかどうか、現状をお聞かせ願いたいと思います。
  142. 内村信行

    ○内村説明員 私も具体的にどこそこということは存じておりませんが、若干そういったものはあるように聞いております。
  143. 島本虎三

    ○島本委員 そういうふうになれば、なおさら、それに対してはっきり対処してやったほうがいいのじゃないかと思うのです。それで、次管もおりますから、御承知のように航空機の場合には、民間空港周辺の航空機騒音による法律が特別立法としてできているわけです。あえて言うと、公害基本法に対する実施法としてできているわけです。いま単に新幹線と言っていますが、これは飛行機に追いつくようなスピードの列車ですから、当然音も相当なものであり、これからの利用も拡大する傾向にあるのじゃないかと思います。それは文明に対しては重要な一つの利器でございましょう。しかしながら周辺に住む人の健康の状態、生活環境を考えると、やはりこれはそのまま野放しでいいということにはなりません。それは特にこの騒音規制法に盛られないという理由があるならばあるでよろしい。民間の飛行場の場合に対しての規制も、いわゆる特別立法になってできておりますから、新幹線というようなものに対する周辺対策として、では特別立法を飛行機並みにつくってみるのも一つ対策じゃないか、こういうように思いますが、そういうような考え方は持っておりませんか。
  144. 内村信行

    ○内村説明員 先ほど申し上げましたように、いままである程度対策をやっておりますが、今後はさらに環境基準というふうなものを、環境保全あるいは経済発展との調和という見地から十分詰めまして、それによってしかるべき方法が必要であるということになれば、それに従いたい、このように考えております。したがいまして、その具体的な方向によりまして、その規制措置の方法もきまるかというふうに考えております。
  145. 島本虎三

    ○島本委員 その規制措置は何によって講じますか。
  146. 内村信行

    ○内村説明員 これは現在まだ確と、この方法によるということは考えておりません。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、新幹線の騒音と申しますのは、あるいはレール、路床、そういうところから出るもの、あるいは機器の構造自体から出るもの、そういったものもございまして、そういうふうなものとも兼ね合わせながら考えていかなければならぬということで、ある意味においては、国鉄の建設規程等になじむ部分もあると存じますし、あるいは車両構造の規程になじむ部分もあると存じます。したがいまして、そういうものも総合的に考えまして、しかるべき措置を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  147. 島本虎三

    ○島本委員 まだそれもはっきりしていない。しかしながら、やはり騒音規制法の適用を受けておらない、この中に入っておらない。そうだとすると、いま野放しである。これから考えて実施したいというような考えのようです。もうすでにこの問題に対して訴訟さえも起きている例が、関西方面にあるじゃございませんか。これはやはりはずすならはずすだけの理由があると、私は好意的に考えます。そうだとするならば、この裏づけは、いつでもこれを審議する場合に持っていないと、片手落ちです。何か厚生省の鼻息をうかがうのがいやで、セクト主義を出して、おれはおれでやるのだというような一家意識を出してこうしているのじゃないかと疑われてもしかたがないじゃないですか。はっきりした基準を聞いても、まだない、これから考える。飛行機並みに特別立法を考えるかというと、それさえも考えていないようです。飛行機で考えられるのだから、新幹線だって考えられないわけはないじゃありませんか。これから北海道までだって、青函トンネルを通して札幌まで延びるでしょう。どこまででもいくのですから、これは特別立法にして、飛行機並みに考えてもいい、騒音規制やなんかもちゃんとやってもよろしい、こういうように考えるのです。政務次官どうですか。
  148. 金子岩三

    ○金子政府委員 御意見ごもっとものように承ります。ただ新幹線の場合は、技術的に解決する問題があるというようなことで、いろいろ検討を続けておるのでございまして、環境基準について、やはり厚生省とよく相談いたしまして、ひとつ島本先生の御要望にこたえるよう努力をいたします。
  149. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 ただいまの新幹線や高速度道路の騒音問題につきましては、この法律を立案する段階で、運輸省当局あるいは建設省当局とも検討が行なわれたわけでございますけれども、工場騒音や建設騒音とまた別の違った、いわば飛行機に近いような特別の騒音でございまして、どういうふうな法的な制度をつくるか、あるいは技術的な制度として、いま運輸省のほうから御説明がありましたように、検討すべき点もございましたので、この法律と同時に対策ができなかったことについては残念でございましたけれども、前向きに関係省でやるということに現在なっておりますので、もうしばらく御猶予願いたい、かように思います。
  150. 島本虎三

    ○島本委員 これは、ついでに厚生省のほうに伺っておきますが、市街地における交通騒音、これは排気ガスと同様に相当ひどいというデータがあるわけでありますけれども、この市街地の交通騒音対策というものは、この騒音規制法の中で、具体的にどういうふうに考えられておりますか。
  151. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 市街地における交通騒音の問題につきましては、騒音規制法を当初考えます場合に、いろいろ検討したわけでございますが、現在道路交通法で、運転者の義務といたしまして、それぞれ義務が課せられておりますし、また各都道府県あるいは市町村におきます騒音防止条例等では、細部にわたって規制をしている点もございました関係と、それから法律で直接騒音見地から交通取り締まりをやるということが、また影響するところは多々ございますので、この法律では取り上げなかったわけでございます。ただ、いま御説明いたしましたような関係で、直接的にこの騒音規制法には入らなかったわけでございますが、道路交通法の運用の問題あるいは条例等の問題で、この問題の指導をいたしたい、かように考えております。
  152. 島本虎三

    ○島本委員 この中で画期的――画期的というのは何ですけれども、なかなか目新しいのに、二十八条の「深夜騒音等規制」というのがあるのです。これはわれわれはいつも耳にし、青少年の教育上の問題としても重要視されている問題です。この「深夜騒音等規制」、二十八条に盛られている意味の重点はどこなんですか。
  153. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 第一には、騒音規制法では、工場騒音それから建設騒音、この二つを取り上げておるわけでございますが、そのほかのいわゆる雑騒音と申しますか、そういう問題につきましては、現在各府県または市町村等でいろいろ取り締まりが行なわれているわけでございます。そういう点につきまして、二十八条ではより積極的に、地方公共団体地域性に応じまして措置を講ずるように、規定をうたっているわけでございます。その中でも、先生指摘飲食店営業等にかかる深夜における騒音、最近は住宅地帯等におきまして飲食店を営業することによりまして、飲食店そのものから発する騒音ではなくて、そこに深夜集まる自動車あるいは人の騒音、または夜おそくボーリング場とかあるいはその他の遊技場等で直接、またはそこに車で乗りつけるために、住宅街の住民はよく眠れないというような状況が各地にあるわけでございまして、そういう点につきましては、その地域性を考えて、地方公共団体が、たとえば営業時間を制限するというような条例をつくりまして、積極的に地域の住民の生活環境を守るということが必要でございますので、こういう規定を積極的に置いたわけでございます。
  154. 島本虎三

    ○島本委員 私はそれはいいと思うのです。それと同時に、同じ騒音の中でも、この取り締まりがどこなのか、指導がどこのか、ちょっとわからない問題の一つとして、若い人であの単車のマフラーをはずして高い音を立てながら走っていく、ああいう騒音は、夜であればあるほど影響も大きいのですが、これは一体どっちのほうが指導することになるのですか。
  155. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 自動車の直接的なそういう問題の取り締まりにつきましては、警察当局が当たることになっております。
  156. 島本虎三

    ○島本委員 深夜騒音等規制まではっきり考えられたということは私はいいと思う。これはずいぶん要望もあった件ですから、これに十分意を注いだということは、私は、進歩だ、前進だ、こういうふうに思っております。しかしこれはただ単に書いただけでおまかせしておいたんでは実があがりません。これに対しての指導も的確にやらなければならない、こういうふうに思うわけなんです。その点に対しては手抜かりなくやってほしいと思います。その点はよろしゅうございますね。
  157. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 御指摘のように、強力に進めてまいりたいと思います。
  158. 島本虎三

    ○島本委員 辻さんいらしておりますね。どうも御苦労さまでございます。先ほどからちょっと聞きたいことがございました。いま大気汚染防止法案が出ております。大気汚染防止法案の中で、広域汚染対策強化、京浜だとか阪神、中京地区、それから北九州、こういうようにして見ますと、一つだけで、また一都道府県だけでやれる問題ではない場合が多い。横浜ぜんそくといわれながら、これは川崎なんだ、こういうようにいわれて、いろいろ苦情を申し出る人もある。そこに煙が全部集まってくる。高煙突にしたり、こういうような指導をすればするほど、遠くに流れてしまう。遠くへ流れたら他の府県まで入ってしまうおそれも当然ある。そういうような点は、高煙突にすればするだけ拡散の率が高くなりますから、そういうようなおそれ等については、十分これを監視し指導するのでなければならない。そのためには、国が都道府県に、おまえらだけでやりなさいといっても、これはとうていできる問題ではなかろうと思うのです。そうすると勢いこれは国が委託してやらせるか、または十分それに対して措置をしてやる、こうでなければ実効があがらないのではないかと思うのです。いまいろいろ聞いておりましたところが、この広域汚染対策強化は考えておるけれども、予算面でいろいろ差しさわりがあって削られた、こういうようなことなんですけれども、大蔵省では、ことに佐藤総理も、公害基本法ができて、それ以後実施法ができてきた、それで懸案になっている問題は全部実施法で解決するんだ、こういうような前向きの姿勢を示したわけです。大気汚染防止法案も、その実施法の一つとして出てきた。その内容の広域汚染対策強化という点も重要な問題である。しかしながら、一つの市だとかあるいは県だとか、それからはみ出るような問題に対しては、やはり国が直接やるか、また国が指導してやるか、補助してやるか、こういうような措置を十分講じて、公害の絶滅を期さなければならない、またこういう調査も十分しなければならない、こういうようなことなんです。何のためにこの予算を削ったのか、この予算を認められなかったのか、この理由がはっきりしなかったわけです。この点について解明を願いたいと思います。
  159. 辻敬一

    ○辻説明員 御承知のように、大気汚染関係の問題といたしましては、ばい煙の影響でございますとか、あるいは大気汚染状況でございますとか、そういう基礎的な調査は国が直接やっておるわけでございます。それから第一線の監視業務は地方団体の仕事になっておりますので、それに対しては設備の補助をやっておるわけでございます。ただいま御指摘のございましたように、二つ以上の都道府県にまたがります監視の体制につきましては、いろいろ問題もあろうかと思いますけれども、関係地方公共団体におきまして、連絡を密にされて調整をはかるというようなことも可能でございますので、直接国がやるという考え方はとらなかったわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような基礎的な国の調査と、それから地方監視設備に対します補助と組み合わせまして、なお事業の円滑な運営をはかってまいりたい、こういう考え方でおるわけでございます。
  160. 島本虎三

    ○島本委員 その実はあがったでしょうか。結果はどうだったでしょうか。
  161. 辻敬一

    ○辻説明員 これからの問題でございますので、いまのところ、私どもも十分状況は把握しておりませんけれども、基礎的な調査と第一線の監視設備に対します補助とあわせまして、なお関係地方公共団体が連絡を密にされていくならば、事業の円滑な遂行に支障はないではないか、かように考えております。
  162. 島本虎三

    ○島本委員 事業は円滑にいくんだ、心配はないんだ、こういうような考え方のようです。県同士で力を合わせてやりなさい、これは国のほうで見なくてもいいんだ、こういうようなお考えのようです。  これはちょっと飛んで悪いのですが、公害部長、これはアメリカではどういうふうな方式をとっていますか。あなた行って調べておられるようですから、それを発表願いたい。
  163. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 アメリカは日本と違いまして、非常に大きい国でございまして、州自体で独自で、いろいろな規制あるいはその他の措置を講じておりますけれども、連邦政府自体としても、州をまたがるような問題につきましては、国も積極的な権限を持ち、またいろいろな財政的な援助をやっておるようでございます。
  164. 島本虎三

    ○島本委員 裕福であるといわれているアメリカでさえも、他の州に及ぶような場合には、国が直接補助している。まして日本なんかの場合には、私としては、これは大蔵省のほうでも――おまえらだけでやりなさいといっても、企業そのものはやるわけは断じてありません。何のために公害発生しているのですか。企業がほんとうにもうけるのはよろしい、そのかわり、人間を犠牲にしない、こういうような道徳的な考えの上に立って、事業を経営している場合には、公害なんて発生しないのです。生産力が、造船では世界一だと誇ったり、電気や繊維は二番目だといってみたり、それから鉄鋼は三位だ、いろいろいってみても、やはり国民所得の差がぐっとある。これあたりの原因を考えてみても、そのどこかの一つ公害というものもあるのじゃないかと思うのです。企業そのものは、いまだに踏み切って救済措置に対してはっきりした態度をとれない。自分が発生源といわれるのがおそろしいということもあるでしょう。もともと企業がもうけるのはいい、しかしそれによって害を受けた人々を同時に救済してやったなら、なおいいじゃありませんか。それさえやらない。ましてほかのほうでやりなさい、その経費は関係都道府県で見なさい、こういうふうにいっても、実はあがるものではありません。アメリカでさえもそういうふうにしてやっていると言う。日本なんかだったらなおさらやらないじゃありませんか。したがって、日本の場合は大蔵省あたりが、特にあなたあたりがその補助費なり委託費なりというものを十分見てやって――特定の場所ですよ。日本全国じゃないのです。特定の場所ですから、その観測くらいのものは、便利になるように、国が権威を持って指導できるように、ちゃんと大蔵省が見てやっても差しつかえないじゃありませんか。総理が言った、公害基本法に基づいて、関係立法、実施法によってその実をあげるのだという実は、この辺にある。これはやはり大蔵省の今後の考え方は十分改めてもらったほうがいいと思うのです。決してあなたを非難しておるわけではありません。あなたにはあなたの考えがあったと思う。それくらいではもう済まなくなっているのです。もうすでに大気汚染防止法案が出ておる。この実をあげるのがこれからの一つの行き方になってきました。あげるためには、大蔵省もだいぶ腹をきめてもらわなければならない場合もあるわけです。いま一つの例をあげましたが、今後この補助等の面については、大蔵省も十分考えて、かつ指導してやっていただきたいと思うのですが、いままでの考えどおりに実施する決意ですか。
  165. 辻敬一

    ○辻説明員 財政援助を全然やっていないということではございませんで、地方公害監視施設の整備に対しましては、補助金といたしまして、四十三年度も一億二千三百万円を計上いたしておるわけでございます。監視業務はやはり第一線の地方団体の仕事であるというように承知いたしておりますので、国が直接やるというたてまえをとらなかったわけでございますが、補助金の活用によって対処してまいりたい、かように考えております。
  166. 島本虎三

    ○島本委員 委託費なり補助金なり、こういうようなものは、それは好き好んでやる人はございませんから、必要やむを得ずしてやることですから、大蔵省もこれくらいは、特定の場所ですから、十分に見てやってもいい、こういうように思います。今後ひとつ十分に見てやってください。その決意を表明してください。
  167. 辻敬一

    ○辻説明員 公害対策につきましては、従来から財政当局といたしましても相当配慮しておるつもりでございまして、四十三年度は各省関係経費を全部合わせますと四十六億七千五百万円、前年度補正後に比べまして二十億六千三百万円、七九%の増ということになっております。厚生省の所管におきましても、前年度三億八千七百万円を大幅に上回る六億七百万円という経費を計上しておりますが、今後も公害対策の重要性にかんがみまして、実情に沿うように対処してまいりたいと思います。
  168. 島本虎三

    ○島本委員 いままで当然手を打たなければならなかったものを打ってないので、これから少しくらいよけいやってもまだ焼け石に水ですから、公害対策だけは総理の厳命だと思って、あなた、おそれないで、決意を持ってこれはどんどんふやしてやってほしいと思います。もしあなたに総理がだめだと言うなら、総理が前に言ったことはうそを言ったことになりますから、これは国会で追及しなければなりません。はっきり言っていますから、厚生大臣も知っていますから、あなた安心してこれは組んでもいい。  それと、もう一つ伺っておきたいと思いますが、大気汚染防止法案の中の適用除外である電気、ガス、立ち入り検査の二十七条の問題、これはどういうふうな趣旨ですか。
  169. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 電気工作物、ガス工作物は御指摘のとおりに、一部について適用除外になっております。その理由は、電気工作物、ガス工作物であるばい煙発生施設につきましては、すでに現在それぞれ電気事業法、ガス事業法の体系において、ばい煙排出規制を十分行ない得るようになっておりまして、供給義務というものを、公益事業の円滑な遂行という目的のもとに、ばい煙発生施設以外の工作物、たとえばボイラー以外のタービンなり発電機なり、そういうものの保安の維持とあわせて統一的に規制することが行政上最善であると考えまして、現行ばい煙規制法においても、排出基準の設定、緊急時の措置、和解の仲介の規定は除きまして、具体的な排出規制そのものに関する規定を適用除外にいたしておるわけでございまして、それらのものは各事業法の相当規定のもとで規制を行なうことになっておるわけでございます。本法においても特にこの点を変える必要はないと考えまして、基本的にこの考え方を踏襲したわけでございます。
  170. 島本虎三

    ○島本委員 これは緊急時だけは立ち入りできるわけですか。普通の場合でも、必要あると認めた場合には立ち入り検査ができるわけですか。緊急時のみですか。
  171. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 立ち入り検査権の問題は二十六条に書いておりますが、これは適用除外されておらないわけであります。  それで、先生の御質問に対して答えますと、緊急時だけに立ち入るわけでないので、この点は適用除外されておりませんから、一般的に立ち入り検査ができるわけであります。
  172. 島本虎三

    ○島本委員 これはどうなっているのですか。すると、緊急時でも普通の場合でも、これは適用除外されているから、もう立ち入り検査は、厚生省その他必要ある官庁はできないということなんですか。
  173. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 ちょっと説明を間違えましたので、訂正さしていただきますが、二十六条に書いてございますように、「この法律の施行に必要な限度において、政令で定めるところにより、」云々、立ち入り検査ができることになっておりますので、具体的に言いますと、「この法律の施行に必要な限度」というものは、緊急時の措置に関するものに限るということでございます。先ほど逆に申し上げまして失礼いたしました。
  174. 島本虎三

    ○島本委員 逆に申し上げてもまともにやっても、通産省の考えはそこなんですよ。いつでも立ち入り検査はやらぬのだ、おれのほうがやるのだ、ここなんでしょう。運輸省のほうでは運輸省のほうで、やはりおれのほうでやるのだ、しかし公害に関しての基準などは、そういうようなのは厚生省中心にしてやっていいのじゃないか、それぞれ協議し合っていいのじゃないか、同意でいいのじゃないか、こういうふうに思っているのです。しかしながら、いま聞いてみましても、これはあくまでも緊急時に立ち入りできる、こういうようなんですけれども、部長もそういうふうにしてやっていると、ふだんの癖が出て、こういうのは全然だめなんだという考えがあるから、いまのような答弁を間違ってしなさるのだ。これはどうということはない。緊急時にいいのだったら、必要ある場合にもいいようにしておけばいいじゃありませんか。緊急時の判定はだれがやるのですか。必要があると認めたらいいのじゃありませんか。緊急時だとおれが認めないで、必要があってもだめなんだということでは、その辺がおかしいじゃないか、こういうふうに思うのですが、部長、これは大事なところですから、あなたも腹を割って、この際はっきり、協調していきたいというならば、この際必要あるときぐらいにしてもいいじゃありませんか。
  175. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 緊急時の措置にかかわるものについて、立ち入り検査ができるわけでございまして、したがって具体的に立ち入り検査するのは緊急時だけではなく、緊急時の措置にかかわるものについて、必要があるとすれば、緊急時でない事前にも立ち入り検査ができる、もっと具体的に言いますと、この法律によりまして緊急時においてはどういうふうにするのだ、たとえば燃料を少し低硫黄の重油をたくのだというような緊急時の措置がいろいろありますが、そういうような措置が完全に行なわれるかどうかということをチェックする、必要ある限りにおいては、緊急時のそのときでなくとも、事前においても、そういう用意ができているかどうかを立ち入り検査をすることができるということでございます。
  176. 島本虎三

    ○島本委員 必要あるときには、立ち入り検査をして万全を期しても差しつかえない、こういうふうなことですね、要は。緊急時ということだけにすると、緊急の認定があるのですから、どこからどこまで緊急だということになってしまえば、その範囲によってできるできないがまたきまってくるので、いまのあなたの答弁はそのままちょうだいして、もしそうだとすると、必要あるその場合にはできるのだということになりますと、それでいいのです。無理に緊急なんていわぬでもいいのです。必要がある場合には、万全を期するために、立ち入り検査し指導してもよろしい、これでいいじゃありませんか、そういうわけでしょう。
  177. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 はなはだ説明が複雑で、緊急時の措置にかかわるものについては、いつでも立ち入り検査ができるわけですが、緊急時の措置に全然関係ないものについては、立ち入り検査ができないわけでございます。
  178. 島本虎三

    ○島本委員 緊急時の措置というのはどういう措置ですか。緊急時の措置にかかわるというのはどういうことなんですか、具体的に。
  179. 矢島嗣郎

    矢島政府委員 この法律における緊急時の措置につきまして、まだ説明が十分してないと思いますが、この新しい大気汚染防止法におきましては、従来と違いまして、緊急時の措置に備えまして、あらかじめふだんのときにおいて、どういうふうにやるかという計画都道府県知事届け出て、都道府県知事にそれをチェックしていただいて、必要がある場合には、都道府県知事がそれを変えるようにというようなことが、新たに規定されておるわけです。これが本法における規制強化一つであることは、冒頭提案理由説明の際にも言ったわけでありますが、そういうふうに、緊急のときに備えまして、平常時において計画を提出し、都道府県知事にチェックしてもらうわけですが、計画を提出しただけで、ほんとうにそういう用意ができているかどうか、そういうことを都道府県知事がチェックするために、立ち入り検査が必要になる場合があるかと思います。そういう限りにおきましては、平常時においても、そういう用意ができているかどうか、提出されたとおりの用意ができているかどうかチェックするために、立ち入り検査ができるわけです。
  180. 島本虎三

    ○島本委員 この問題等につきましては、いまの答弁でいいような気がいたしますけれども、後刻議事録を調べて、それでよろしければ――私は、もっと何か複雑な点がありそうに思うものですから、調べた上でやめるか続けるかをきめたいと思いますから、ひとつその点は留保ということにしておいてもらいたいと思います。  最後に、厚生大臣。いろいろと許可制の検討の問題等は大きい問題です。届け出だけでも、これは許可と同じような条件で実効をあげられる、こういうようなことであります。私はいままで言ったいろいろの疑念はまだ晴れておりません。しかしながらこの許可制ということの検討は今後は十分したほうがいいのではないか、こういうふうに思うわけなんですが、いまの届け出だけではなくて、その点等についても、今後たゆまず検討はしておいてもらいたい、こう思いますが、この点はどうですか。
  181. 園田直

    園田国務大臣 ほかの問題もそうでございますが、公害というものは今後ますます複雑になるし、その起こってくる形態も変わってくると思いますので、当然いろいろなもろもろの問題について検討し、逐次適時適切に、合うようにやっていかなければならないと思いますが、特に許可制等については、そのように考えております。なおまた、先ほど質問に出ました新幹線等の問題では、これは関係各省意見が対立をしてやむを得ず譲ったわけではございません。先ほど意見がありましたとおりに、緩衝地帯の問題であるとか、防音の問題であるとか、あるいは建物買収の請求をどうするとかいういろいろな問題がありますので、この公害関係する法律案をとりあえず急ぐという意味において、まだまだ検討をし、さらに折衝を続けなければならぬので、いまの問題を前向きに検討しようということで留保された問題もございますから、届け出中心にして、御指摘のとおりに、今後とも十分検討して、お願いするつもりでおります。
  182. 島本虎三

    ○島本委員 最後に――最後にと言えばぐあい悪いことになりますから、ほんとうはあれで最後ではなかったのであります。この辺でやめておこうと思って、最後と言ったわけです。それで、これでほんとうの最後ですから。  これは厚生大臣に。財政、税制の措置等については、今後十分、公害防止施設に対しては考えてやったほうがいいと思います。私、これをいままでのとおりに金融機関にまかしておく、これだけだったならば、やはり財産のほうが主であって、この公害対策のほうはいつでも手が抜けるという結果になってしまいます。これではとんでもないことになりますので、財政、税制措置等についても十分考えておいてやっていいのではないか、こういうふうに思います。融資関係措置なんか、ことに前向きに検討されたほうがいいと思います。またあわせて、公害防止施設に対する固定資産税、こういうようなものに対しては、ある程度考えてやってもいいと思います。低利融資、それと固定資産税、こういうふうになっているのだから、うんとつくりなさい、それに誘発されてつくる面も出てくるでしょう。私はこの程度ぐらいは大いに考えてやってもいいと思っているのですが、財政、税制、融資関係の点についても、ひとつ高邁なる御高見を拝聴しておきたいと思います。
  183. 園田直

    園田国務大臣 いまの御意見は、公害防止事業団法改正をお願いした際にも出た意見でございまして、融資問題、税制の問題、その他財政支出の問題等については、御指摘のとおりでございまして、そういう面から公害防止に対する面がはずれてはたいへんでございますから、関係各省とも十分相談をして、そのようにしたいと考えております。  なおまた、固定資産税の非課税の措置等は、すでに準備してございまして、事務当局から説明をいたさせます。
  184. 武藤き一郎

    武藤(琦)政府委員 ただいまの固定資産税の非課税の問題につきましては、ばい煙施設につきましては、三十八年から非課税措置が講じられております。それから耐用年数の短縮の問題につきましては、減価償却の耐用年数の短縮が実施されております。ただいま申しましたのは一例でございますが、そういうふうにいたしまして、非課税措置については、なお今後とも努力をしたいと、かように考えております。
  185. 島本虎三

    ○島本委員 これで終わりますが、最後に要望しておきます。  次の国会に出される紛争処理及び救済、これを心から待望しておきます。それと同時に、それができるまでの間、被害者の家族に対しての税の減免措置その他、手厚い措置だけは忘れないように、その医療関係のほうも一切手を抜かないように、十分やっておいてもらいたい、こう思います。  以上強力に要望いたしまして、私の質問は一部を保留したまま終わらせてもらいます。
  186. 山崎始男

    山崎委員長 次回は、明九日午前十一時理事会、理事会散会後委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十一分散会