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1968-04-18 第58回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十八日(木曜日)    午前十時七分開議  出席委員    委員長代理 理事 島本 虎三君    理事 天野 公義君 理事 小山 省二君    理事 丹羽 兵助君 理事 橋本龍太郎君    理事 河上 民雄君 理事 本島百合子君       塩川正十郎君    葉梨 信行君       箕輪  登君    加藤 万吉君       浜田 光人君    岡本 富夫君  出席政府委員         厚生政務次官  谷垣 專一君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         水産庁次長   森沢 基吉君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         運輸省航空局長 澤  雄次君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       橋本 道夫君         運輸大臣官房参         事官      内村 信行君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     犬丸 令門君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部施         設課長     高野 宗司君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(ばい煙水質汚濁及  び騒音対策)      ————◇—————
  2. 島本虎三

    島本委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、委員長が所用のため、出席がおくれますので、その間、委員長の指名により、私がその職務を行ないます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。岡本富夫君。
  3. 岡本富夫

    岡本(富)委員 きょうは、公害の二法案が出る前に、来週は大体その問題でとられると思いますので、いままで懸案になっておりますものを全部片づけてしまいたいと思うのです。したがって、要点をはっきりと答えていただきたいと思います。  最初に、この前の委員会でお尋ねしました新幹線の問題でありますが、今度の騒音防止法から新幹線騒音対策が抜かれておる。それはどういうわけか、もう一度はっきりとお答え願いたいと思うのです。これは厚生省から……。
  4. 谷垣專一

    谷垣政府委員 現在、御提案をいたしまして御審議を願いたいと考えております。進行中の、騒音防止法には、新幹線等騒音に関しましての問題は、実は含まれておりません。経過を申し上げますると、この案件に関しましては、何とか法案の中に包含をさせるようにという方針のもとに、いろいろと検討いたしてまいったわけでございますが、これは単なる騒音だけではなく、振動の問題もございますし、さらにまた新幹線のでき上がったところの問題、あるいは新しい建設の問題、いろいろと問題が広範にわたっておりまして、運輸省のほうでもそれに踏み切るだけの結論に達しなかったという状況がございますので、厚生省のほうといたしましても、技術的にどこまでこれを入れるかということの検討にもう少し時間を要する、そういう状況でございましたので、現在提案を急いでおります中には、割愛せざるを得なかった、こういう状況でございます。
  5. 岡本富夫

    岡本(富)委員 きのうのお話では、工業立地適正化法は見送る、こういうように新幹線騒音問題も抜く、振動問題も抜いてしまう、こういうことになりますと、今度出てくるところの二つ法案というものは何もかも抜いてしまって、結局何にもならない。ないよりあるほうがましだというようなことになってしまって、これは骨抜きになってしまうのではないか。非常にこの点懸念しているわけですが、やはり公害対策基本法の精神にのっとって、すべて網羅をしてこの際やらなければ、結局しり抜けになるのじゃないか、こういうように思うわけです。そこで、新幹線西宮尼崎でやかましく言っておりますところの、両方五十メートルずつの緩衝地帯を設けてもらいたい、こういう話がありまして、運輸省にこの間話をしておいたのですけれども内村さんでしたか、その後どういうように交渉がなりましたか。
  6. 内村信行

    内村説明員 原局鉄道監督局のほうから、担当課長が来ておるようでございますので、そのほうからお答えいたします。
  7. 高野宗司

    高野説明員 お答えいたします。  先生御存じのように、ただいま山陽新幹線大阪から岡山、約百七十キロ工事をいたしておるわけでございますが、この工程を一番左右いたしますのは、やはり隧道でございますので、現在のところは隧道に着手しております。そしていわゆるあかりの丁場は、現在、用地買収とか、地元との種々の設計協議段階に入っておるわけでございます。それで、ただいま御質問のございました、いわゆる騒音の問題に関連いたしましての問題でございますが、現在工事をいたしております山陽新幹線は、騒音の問題につきましては、設計上も考慮をいたしておりまして、市街地では鉄げたを使用しないでコンクリートのけたで渡っていく、あるいは必要な個所には防音壁を設ける、こういったことをただいま検討いたしております。しかしながら、線路両側緩衝地帯を大幅にとるという問題も、地元でそういうような御希望が出ておるということも、国鉄当局は承知いたしておりまして、幅はともかくといたしまして、大幅な側道をとるということになりますと、必ずしも国鉄単独だけではまいらないという面がございまして、関係する沿線の市あるいは県の協力、あるいはそのバックにおります建設省というようなところの協力を得まして、いわゆる都市計画的な手法を用いましてこの問題を解決しようということで、ただいま、現地におきましては、国鉄と、それからその出先機関と、関係の市及び県、それから中央におきましては国鉄の本社と建設省本省両方で、この問題をどういうふうにやっていくか、事務的に折衝をいたしておる段階でございます。現状はこういうことでございます。
  8. 岡本富夫

    岡本(富)委員 厚生政務次官に。こういうように、新幹線の問題でも、ちゃんと法案の中に盛り込んでおけば、地元折衝したり、あるいはまた、いま研究中であるというようなことなくして、たとえば何ホンまでは許されるとか、あるいは何ホン以上はだめだということによって、はっきりと対策が立てられる。そこで、もういまから言うてもおそいかもわからぬけれども、今度の原案の中で、大幅に後退したというその支障がこういうところに出てくるのです。ですから私は、この工業立地の問題でも、ばい煙規制法と同じようにしり抜けになってしまう、こういう問題で非常に懸念をしておる。そこで厚生省として、なぜもっと強力に、人命尊重の上から——この二つ法案をつくるために努力はしたと思いますけれどもあと各省に押されてしまって、そしてしり抜け法案が出てくる、こういうことでは、いつまでたっても公害というものはなくならない。今後起こってくる問題については、住民からやかましくいわれる、そうして皆さま方が苦しむ、こういうことになっては相ならぬと思うのです。新幹線の問題はいまからもう入れられない、こういうところにいっていますか、どうですか。
  9. 谷垣專一

    谷垣政府委員 新幹線の問題について御質疑がございましたが、実は私自身新幹線沿線で非常な騒音振動の経験を持っておるものでございまして、新幹線自体の周辺に及ぼしまするこれらの影響に対して、何らかの措置をとらなければならぬということは、私自身強い要望を持っておる一人でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、技術的な問題その他でかなり問題がありますことと同時に、これは公害と申しましても、公害を発生いたしまする発生源がはっきりいたしております。その責任は国鉄一つの主体としてやっております。運輸省がそれに強い監督をいたしております。これは法律をまたずとも、国鉄なり運輸省なりの決心いかんで、相当のことがやれる筋合いの話であろうかと私自身は考えております。もちろん、法律の中に入れたほうがよろしいという考え方、私もそのとおりだと思いますけれども、しかし他の非常に多数の発生源を持っております問題と、この新幹線に対しまする対処方法というものとは、その点においていささか違う形がとられても、実際の公害発生を押えます可能性というものはあるのじゃないかというふうに私たちは考えておりますので、いわば運輸省あるいは国鉄当局の今後のこの問題に対しまする努力、またそうすべき義務がある程度あると思いますが、そういう問題につきましては、厚生省といたしましても厳重に、当方から考えましたそれぞれの要望を申し述べて、そしてこの問題が円滑に、かつ迅速に解決されることを望んでおる次第でございまして、ほかの問題点よりも、いわば法的には処置のしやすい問題ではなかろうか、ただ、技術的に問題は残りますし、あるいは財政的な問題で、問題が残ると思いますが、そういう感じを持っておるのでございます。したがいまして、これは決してこのたびの騒音防止法の中に含まれなかったことの遁辞として申しておるわけではございませんので、他の問題に比べるとそういう対処方法が大きく残っておるということ、これを申し上げておる次第でございます。  そのほかの二法の問題につきまして、岡本先生から激励的な御意見を拝聴いたしまして、たいへんありがたいことと考えおります。従来の公害に対しまする対処のあり方から申しますと、この二法が、確かにいろいろな問題でもっと強力でありたいという願望を、私たちも持っておりますけれども、従来から比べますと、かなりの進展をいたしておると思います。したがいまして、この問題を実施してまいりますのは、単なる法的問題以外に、非常に広範な、世論なりその他の問題が非常に有力な解決策になると私たちもほかの案件等に比べまして考えております。したがいまして、従来から考えますと、提案をして御審議をお願いいたしたい思っております法案自体の内容は、相当進んでおる。そういうものでまず公害問題に取り組みまして、漸次各省方面の御協力を得て、公害対策を進めてまいりたい、こういう立場でやっておるわけでございます。先生から激励をいただきながら、厚生省として十分御期待に沿い得ない点がいまだ残っておりますけれども、これは今後の各方面の御協力と私たち努力で、御期待に沿うような結果を持ち来たしたい、かように考えて努力をさせていただいておる次第でございます。
  10. 岡本富夫

    岡本(富)委員 努力していらっしゃるということはよくわかるのですが、何か、厚生省は、ほかの省に——通産省やあるいはは運輸省に気がねをしておる。また、その方面にかかると非常に弱い、こういうように国民の皆さん言っている場合がある。  それで、一つの例といたしまして、運輸省あるいは国鉄というのは非常に横暴である。これは、この間私、播磨のほうに行ってまいりました。姫路のほうへ行ってきたのでけれども一つの例といたしましては、運輸省新幹線の通るところを指定する。その指定したところは、国鉄がそこでやるわけすが、その付近土地の買い取りにしましても、大体いつ幾日に申し込まないところは、あとは知らない。というよりも、いま話をしてある値段よりも安くなるかもわからないぞ、こういうようなおどかし的な一方的な土地買収をやっている。そういう面から見ますと、私前にこの委員会で、前の大臣だった大橋さんに言ったのですけれども、ただ一方的に、住民皆さんと話し合いせずに、その土地を、価格も自分できめてしまって、そして、これで買い上げるがどうだ、そういうように、非常に横暴である。しかし、その付近人たちは、ほとんどお百姓さんが多いのですが、あとは泣き寝入りだ。非常に憤慨をしているわけです。そういう面から考えて、やはり厚生省のほうで、人命尊重あるいはまた住民のためを考えて、やはり法案にも盛っておけば、これは法によってこうなっているんだということで、納得させることはできると思うのですけれども、かえって国鉄やあるいはまた運輸省が、いまのようにこれから折衝するんだとか——ところが、折衝やり方も、いま話したように、ほとんど押しつけなんです。ここにぼくは問題があると思うのです。もう少しすれば、工事がある。そのときには、ひとつよくいろいろ話を聞いてもらいたい、こういうように、姫路方面人たちは言っておりました。そこで今度出てくるところの法案の中にはっきりと盛っておくと、これはそういう問題が起こってこないと思う。成田空港の問題にいたしましても、いま盛んに騒いでおるのは、最初運輸省がこの住民皆さんと話し合って納得させておいて、納得してもらって、その後に行なえば、ああいうことにはならなかった。全学連のあのやり方はよくないと思いますけれども、やはりそこに政治の大きなミスがある、手抜きがある、こういう面を考えるわけです。したがって、この法案の中にはやはりぼくは入れたほうがよい、こう主張するわけです。もうすでに法制局のほうへ回っておるらしいので、この法案審議のときに、ぼくはもっと詳しく話したいと思います。  そこで、これは内村さんにこの前お話しをして、金子政務次官からも善処しますと言ったのが、幅五十メートルの、両側緩衝地帯を設ける。それが西宮尼崎方面人たちの話である。いま、高野さんの話では隧道に力を入れておる。方向違いです、私の言っておるのとは。隧道のほうは神戸のほうになると思うのです。あるいは芦屋の方面になると思うのです。私の言っておるのは、西宮尼崎のその緩衝地帯はどれくらいにする、またどれくらいが適当である、こういう検討をしたかどうか。あるいはまた話があったかどうか。これを話しておるわけです。
  11. 高野宗司

    高野説明員 お答えいたします。  隧道お話を先ほどいたしましたものですから、先生に誤解をお与えしたようなことになったようがございますけれども隧道工事を現在やっておりますので、全般的な御説明をしたわけでございますが、側道の問題は、先ほどお話しいたしましたように、幅が何メートルがいいかということは別といたしまして、国鉄自身でも、実はある程度の側道は要るわけでございます。   〔島本委員長代理退席河上委員長代理着席〕 たとえば工事の途中、あるいは完成をいたしまして営業を開始いたしましてからでも、保守上あるいはまた災害応急用のためとしての側道はやはり必要なわけでございます。幅がたとえば数十メートルというような非常に広いということになりますと、これは国鉄だけの問題として取り扱うには少し問題が大きくなり過ぎるということで、むしろ都市計画的な考え方から、現地の県とかあるいは市とか関係皆さま方といろいろ協議をいたしまして、国鉄はもちろん若干の金を出すわけでございますが、道路側のほうからも御協力をいただきまして、この問題を解決するということで、現在事務的にいろいろ折衝中でございます。ですから、何らかの形で私はそれはまとまるものだというふうに期待をいたしております。
  12. 岡本富夫

    岡本(富)委員 何らかの方法でまとまるという話がありましたが、いまのところで、あなたのほうでは、向こうは幅の問題をやかましく言っておるわけです、その幅はどのくらいのところまでであったら、じゃおさまるのか、そういう研究はなさったのかどうか、これをお聞きしておるわけです。
  13. 高野宗司

    高野説明員 幅が何メートルということがいいかという研究は、というよりも、むしろ、国鉄で現在いろいろ調査をいたしておりますのは、新幹線の列車が走る場合に、その車両から線路のすぐそばで、結局何ホンの音がどういうメカニズムで出るのか、それを防ぐためには、たとえば側道でばっと広げるという方法一つ方法でありましょうし、あるいはまた、車両の構造的な改良の面でこれをある程度解決するという方法もございますでしょうし、あるいはまた、防音壁を設けるというようなことで解決する方法もございますでしょうし、その辺、いま種々比較検討いたしまして、研究をいたしておるところでございます。ただ一般的に申し上げますと、線路両側に広いあき地をつくれば、確かに、そこから先に結局一般の民家があるわけでございますから、それから先の住民皆さん方にとっては、結局発生する音が、発生源からそれだけ遠のくわけでございますから、それだけ低くなるのは確かだと思います。
  14. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それは、そこに幅の広い緩衝地帯を設ければ音が低くなるということをあなた認めているのだから、だから、いままでの新幹線があるわけですから、そこからはかって、現在のものを研究して、しかる後に、これはこれだけのホンになります、三十ホンなら三十ホン、十ホンなら十ホンですから、こうなるんですが、どうでしょうか、こういうようにして、折衝するにあたっては、やはり何らかのそういう根拠を持って住民皆さんを納得さしていく、それでなければならないと私は思うのです。いまあなたの話では、ただ広げたらそれは音は小さくなります、これはわかっています——ただそれだけでは、住民人たちは決して納得しないと思う。ですから、現在全然新幹線がないというんだったらあれですけれども、すでに東京から大阪まであるわけですから、現在のはこうなんです、ですから、ここまでこうしたらいいと思うのだがというような、一つ根拠がないのかあるのか、ぼくは聞いているのです。どうですか。
  15. 高野宗司

    高野説明員 線路から何メートル離れれば何ホンだということの実験のデータはございます。私いま手元に資料は持ち合わせておりませんですけれども、それは国鉄技術研究所がやったということを私聞いております。ただその音をいかにして防ぐか、結局その手段といいますか、方法といいますか、その辺のところにいろいろな問題があるものですから、いまいろいろその対策研究いたしておる、こういう状態でございます。
  16. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私は向こうへ行っていろいろな皆さん方の話を聞きました。国鉄が言うことに対して非常に不信感を持っているわけです。あの人たちは非常に素朴な人たちばかりでありまして、自分付近に通られた場合にどうなるかというわけで、自分で足で歩いてみて、この辺だったらだいじょうぶだというような素朴な根拠から出ているわけですから、私はいま数字的に示して、そしてたとえば五十メートルだったらこうなる、十五メートルだったらこうなる、この辺で落ちつくわけにいかぬだろうかというようにやらなければ、納得はしない。吉村さんですか、工事局次長か何かいるらしいのですが、何か相当高圧的な、今度からはそんな音出ませんのやというような、もう一つはっきりとした根拠のないような、非常に住民皆さん不信を抱くような交渉やり方をやっているらしい。ですから、あなた、そのほうの特に取り締まりのほうなんですから、国鉄でやったそういうデータがすでにあれば、それを示して、そしてこうなるのだということを折衝に用いなければ、皆さんは納得しないと思うんですが、どうですか。
  17. 高野宗司

    高野説明員 お答えいたします。  私が先ほど現地と種々折衝をいたしておりますと申し上げましたが、私どもといたしましては、この騒音の問題に限りませず、また新幹線に限りませず、一般的に鉄道線路建設する場合に必ず、用地買収とか、そういった問題がありまして、地元皆さん方といろいろ折衝の場がそこに持たれるわけでございます。運輸省といたしましては、そういった場合に、私どものほうも地元からいろいろな国鉄に関するいわば苦情的な陳情をよく受けるわけでございますが、そのつど国鉄に対しましては、一方においては鉄道建設をやらなければならないという使命はわかるにいたしましても、やはり現地において円満な話し合いのもとにおいて、そういう事柄を進めるように、日ごろ指導をいたしております。これは必ずしも新幹線の場合ばかりじゃございませんが、いまの山陽新幹線の場合につきましても、五十メートルがどうとか三十メートルがどうとか、こういう具体的な技術的な問題になりますと、これはいわば国鉄技術者のほうがよく知っておるわけでございますから、五十メートルがいいか、三十メートルがいいかということを私どもがここで申し上げるのは、運輸省といたしましては、少し問題があるのでございまして、いずれにいたしましても、三十メートルなら三十メートル、五十メートルなら五十メートル、その双方が、いわば技術的にも、かつ合理的に判断されるある幅がかりに必要だとするならば、その幅において、それじゃその問題をどういうようにして解決していくか、こういうふうにしてやってもらいたいというふうに、日ごろから国鉄に対して注意をいたしておるところでございます。
  18. 岡本富夫

    岡本(富)委員 日ごろから国鉄注意をされておるらしい。あなたはそういうようにおっしゃっているけれども、現在、事実において、私はこの間の委員会で、はっきりと五十メートル幅でこうだ、こういうふうに要求しているのだということを提案しておいたのです。では、善処しますと言ったのは運輸政務次官金子さんですか。それからそのときは内村さんいましたね。それからの交渉結果はどうなったのですか、内村さんから……。
  19. 内村信行

    内村説明員 この間、先生のおっしゃるように、善処いたします、こういうふうに申し上げました。そこで、私どものほうは官房でございますので、直接こういう問題にタッチしておりませんし、またできません立場におりますので、直接その主管である鉄道監督局のほうに、きょう先生からこういう問題がありました、したがって、これにつきましては現地事情を十分よく確かめて、これについてうまく双方スムーズに運ぶようにやってもらいたいということを話をしました。その結果、ただいま課長から御説明申し上げましたように、現地事情はこうであるということでございますけれども、いま説明がございましたように、この問題については、そもそも公害という問題は、環境保全という問題、それから経済発展という問題、この調和ということを考えてやらなければいかぬ問題でございまして、ただいたずらに経済性を無視しましてやりましても、かえって運賃にはね返るとか、そういうふうなことにもなりますので、先ほど厚生省政務次官から御説明を伺いましたように、また特に経済的問題あるいは技術的問題、非常に複雑でございますので、直ちにどうこうということは、現在結論はなかなか出すに至らないわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、都市計画その他ともかね合わせまして、なるべく民意に沿うようにいたしたい、こういうふうに考えております。特に申し上げたいのは、いかなる方法をとるにいたしましても、現地住民の方々と、いわゆる納得づくで円満に進めていなければならぬ、これが基本でございまして、その点につきましては、平生から国鉄に強く申しておりますが、この件については、なおさらに、特によく現地の御意向を尊重して、スムーズにやるようにというようなことを指導いたしております。
  20. 岡本富夫

    岡本(富)委員 じゃ、この間金子さんも内村さんも善処しますと言ったけれども、できない立場なんですね。私ども担当が違うからと、あなたはいま一番最初そうおっしゃったでしょう。それから担当のほうの高野さんに話したのですか。
  21. 内村信行

    内村説明員 そうです。
  22. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この間の話で、私は、向こう要求は五十メートルの要求をしているのだ、これをよく一ぺん話し合ってもらいたい、五十メートルなくても、十五メートルでもこういうふうになるのだという根拠を示して話をすれば、あの人たちは、ぼくの会った感じでは、無理に反対するとか、あるいはまた経済発展に反対する人たちではない、そういう面を考えて、私がこの間要求したのは、その幅の問題でも、これは幅の問題一つを取り上げても、まだ納得させられるような数子も示さないで、またいまの高野さんのお話を聞きますと、それから後に結局何もやっていないことになっている。ですから、これはまた次の委員会で、次の機会に話をします。要求しておることは、やはり経済発展との調和、これは必要ですけれども、その土地はその人たちの持っているものなんですから、やはり個人の尊重もしてあげなければならない。したがって納得できるような線を出し、またお互いに話し合うことが大事である。幅の問題でも、もう少し話し合ってもらいたいと思うのです。これはこの次にまたお聞きします。高野さん、よろしいですね。犬丸さん来ておりますか。あなた保安課長ですか。犬丸さんはこの問題で、国鉄当局にはっきりと保安の上から話をし、まとめさせられるだけの用意はありますか。どうですか。
  23. 犬丸令門

    ○犬丸説明員 新幹線騒音問題につきましては、ただいま内村事官厚生政務次官からお話がございましたように、現在の新幹線騒音対策といたしまして、当初からいろいろ努力してまいっておるわけでございますけれども、今後なお一そう技術的な研究と、発生した音の拡散を防止するための具体的な措置というものについて、強力に進推してまいるよう指導いたしております。今後とも一そうこの点について努力してまいりたいと考えております。
  24. 岡本富夫

    岡本(富)委員 はっきりせぬ。この問題については、内村さん、犬丸さん、高野さん、はっきり答えをいただきたいと思います。こればかりやっていると時間がなくなりますので、これは陸ですが、次には、今度は海のほうへ入ります。  この間、千葉の船橋のほうで「公害に悩む浅草ノリ」ということで、新聞報道がありまして、この状態を私ども調べてみましたならば、日本冷蔵という会社の食品工場から重油が流れて、そして浅草ノリの本場であるところの千葉県船橋市の付近が海水が汚濁して、相当ノリに被害があった。被害額は千葉県だけでもことし全部で十四億ですか、この日本冷蔵の油だけで四億四千万、こういうような大きな被害を出しておる。また、新聞報道によれば、和歌山県の和歌浦付近の、石油コンビナートのしわ寄せがきて、すなわちタンカーが流したところのバラストあるいはビルジ、こういうようなもので海水汚濁しまして、相当なノリの被害が出ておる、こういうように報道されておりますけれども、特にこの海水の汚濁の問題は漁民の生活権を奪うものである、こういうように思われるわけです。そこで将来石油コンビナートがまたあちらこちらにできると思うのですが、それに対するところの公害予防、公害防止の立場から、これは陸と海とに関係するわけですが、どういうような予防措置をするか、あるいはさせるか、これについて通産省の矢島さんからお聞きしたいと思うのです。
  25. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 石油コンビナートを構成する会社は、火力発電所、石油会社、それから石油化学、いろいろございますが、やはり中心になるのは石油精製会社であると思います。これにつきましては、御案内のとおり、当省で総合事前調査というものをやっておりまして、これは煙につきましても、海域汚濁につきましても、あらかじめ将来の計画をとりまして、事前にそういうことのないように行政指導をやっておるわけでございますが、その計画に基づいて、諸般の許認可を進めることといたしております。さらに石油精製所につきましては、石油業法というものがございまして、現実に設備の新増設を許可する際に、総合事前調査でだいぶ前からやっておりました諸般の防止設備を、具体的に許可の際の条件として、相手に認めさせるというようなことを講じておるわけでございます。具体的にどういうものがあるかと申しますと、煙の関係では、たとえば集合商煙突あるいは重油の脱硫設備というようなものが考えられますし、水の関係ではバクテリアによる排水処理、あるいは場合によりまして騒音防止措置というような諸般の公害対策を、この条件の一環としてやらせることにしております。一般的に申し上げると、以上のような点でございます。
  26. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そうすると、陸のほうでは集合高煙突あるいは重油の脱硫装置ですか、千葉県の市原の出光でやっておりましたから、これはわかるのですが、この脱硫装置の開発はいまやっておる最中だと思うのです。初めからつけさせるわけにはいかないのではないでしょうかね。   〔河上委員長代理退席、島本委員長代理着席〕
  27. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 重油の脱硫装置にはいろいろ複雑なものがございますが、簡単に申し上げますと、直接脱硫と間接脱硫というのがございまして、直接脱硫のほうが脱硫率も高いし、コスト的にもいいので、理想的なものだと思いますが、これは先生御指摘のとおりに、現在開発中でございまして、大型プロジェクトにより、多額の予算を計上して開発研究中で、これが完成までにはまだ二年ばかりはかかるわけでございます。しかしながら、間接脱硫は直接脱流よりは若干脱硫率その他落ちるかと思いますが、すでに外国のライセンスを買いまして、これをやることができるわけでございまして、現に昨年の石油業法に基づく新増設の許可にあたっては、五、六社について全部条件としてやらせておりますし、それから、先生御指摘の出光の千葉につきましては、これは別途技術導入によって開発しておるわけであります。簡単に申せば、要するに間接脱硫は現在でもどんどんやっておるわけであります。
  28. 岡本富夫

    岡本(富)委員 脱硫のことはまた次の機会にいたします。  そこで、いま私が問題にするのは、タンカーなど——油を輸送するときに、タンカーが入ってくる、そのときに流すところの排水、この処理について、バラストなんかの処理をする処理場を義務づけるのかどうか。それがありませんと、石油会社が流すのではない、そこへ来たところの、運ぶ船が流すわけですから、そのほうの分はどうするか、これについて答えてもらいたいと思います。
  29. 矢島嗣郎

    ○矢島政府委員 先生御指摘のいわゆるバラストの処理の件につきましては、現在運輸省とも打ち合わせいたしましていろいろの計画があるわけでございますし、また本年度からは開銀融資もつきまして、金融上のめんどうを見て、これを推進しているわけでございますが、そのやり方はいろいろございまして、これは運輸省からあとお話もあるかと思いますが、港湾管理者が直接設置する場合もありますし、あるいは石油精製業者が自家用施設として設置する場合も、いろいろ考えられるわけでございます。現在のところ、私どもの考えとしては、運輸省の計画で、港湾管理者が設置する廃油処理施設を利用する予定になております。ただし、場所によりましては必ずしもそれが適当でないところもあるので、運輸省の意見も聞きまして、石油精製業者が自家用施設として廃油処理施設を設置する必要がある場合には、それについても検討するつもりでございます。いずれにしても、港湾管理者の設置するところでやるにしても、あるいは自家用でやるにしても、これについては、やはり先ほど申し上げました石油業法の許可の際のいわば条件のような形で、どちらかでもって処理するということを義務づけまして、遺憾なきを期したいと思っております。
  30. 岡本富夫

    岡本(富)委員 港湾管理者のほうがつくるところの処理場は、全国でたしか六カ所だったと思う。それで、兵庫県の場合は、今度出光が播磨に来る、姫路に進出してくるという場合に、神戸にしかこれはできぬわけです。神戸にこの処理があって、そして姫路までからで行くわけにいかないと思います。まして、しけの場合はとても、バラストを積んでいかないと、船はひっくり返るわけですから、いまあなたのおっしゃる一つの例をとりますれば、そういう不合理なことになる。神戸で全部バラストを処理して、からで姫路へ行くというわけにはいかない。いまあなたが、じゃ自家用でつくらせることもできる、こういう話なんですが、いま全国に六カ所ぐらいの排水処理場が——まだそれもこれから建設するところなんですが、そういうことを考えますれば、石油コンビナートのあるところ、すなわちタンカーで運ばなければならぬところに対しては、必ず船の便所が必要である、海を守るためには、どうしてもその便所が必要である、こういうように考えるのですが、藤井政務次官、その点についてどうでございますか。
  31. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 御指摘の趣旨は、全く私もそのとおりだと思うのでありまして、ちょうどこれは、先ほど部長からお答えをいたしましたように、港湾管理者が設置する公衆便所といいますか、いまお話しの廃油処理施設、これは国が相当な補助をして都道府県知事がやる。これが全国で六カ所、とりあえずここいら辺が大がかりなタンカーが出入りする地帯でございます。ところがその後、石油精製施設というものは、新産業都市を中核として、次々新しいものが出ておりますので、一々国が全部めんどうを見るということもいかない。したがって精製業者も応分の負担をし、都道府県もあるいは国も、この三者でひとつ需要に当てる、こういうことの必要性は、私は現時点で出ておると思うのでありまして、これは今後運輸省の御意見も聞いて、前向きで検討したい、このように思います。
  32. 岡本富夫

    岡本(富)委員 今度新しくできる石油コンビナートに対しては、いままである分で見ますと、私も市原の出光の脱硫装置を見に行きましたけれども、そこに相当大きな十万トン級の船も入るというのですが、この排水処理がないわけです。そうすると、その付近の海は、バラスト水によってみんなよごれてしまうということになる。これを非常に懸念するわけでありますが、そこで私の言っているのは、そういう今後新しくできる石油コンビナートには、船の廃油の処理場を必ずつくらせる、それでなければ許可をしないという考えがありやいなや、これを聞いているのですが、どうですか。
  33. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 確かに公害の観点から考えますと、これが許可の一つの条件として考えるべき重要な問題だというふうに思うわけでございまして、ひとつ施設の内容によっては、もうはっきり条件につける——まあ施設の大小、いろんなケース、ケースによって事情は変わりましょうから、でき得べくんばこれを一つの許可条件として、公害防止に万全を期したい、このように考えます。
  34. 岡本富夫

    岡本(富)委員 なぜ私がこれをやかましく言うかといいますと、いまは瀬戸内海の中で、水島は魚がくさくて食べられないし、またのりの被害も相当起こっている。いまきれいなのは家島とか赤穂とかあるいは淡路島の西海岸、大体その辺だけはきれいだというように予想されるわけでありますが、今度あそこの姫路に石油コンビナートが進出するならば、こういうようないいかげんな許可をすればたいへんなことが起こる。こういう予防の上から、私はいま話をしているわけですが、運輸省内村さん、どうでございますか。
  35. 内村信行

    内村説明員 私どもといたしましても、全く先生の御趣旨に同感でございまして、運輸省といたしましては、いま海上における船舶からの油による海水の汚濁の防止、これにつきましては法律がございまして、概括的に申し上げますと、制限、禁止をしておるわけでございますが、おっしゃいますように、共同施設、共同便所と申しますか、そういうものがないと、幾ら制限してもこれは効果がない。そういうことからいたしましても、その施設というものをぜひ拡充強化していかなければならぬ、こういうふうに考えております。その意味におきまして、現在のシステムといたしましては、公共団体が行なう、それに対して国が補助をするという考え方一つと、それからあと民間の人が事業としてこれを行なっていく、この場合には開銀から融資をするという方法、それからもう一つは、自家用施設というものを届け出によって認めてまいる、この三つの方法がとられておるわけでございます。  ただいま先生の御指摘の石油の精製所、そういうところが自家用としての施設を持ったらどうかということにつきましては、おっしゃるとおりでございまして、場所によっては、公共団体が全般的に処理しなければならぬというところもございますし、場所によってはそれでは処理しきれないところもあるかと存じます。したがいまして、そういうようなところにつきましては、やはり自家用というものを活用してまいらなければならぬということでございます。そこで法律上そういう道は開かれておりますので、その辺は通産省ともよく御相談いたしまして、そういうふうに施設ができていくという方向と積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  36. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題は、五十五国会から、私はやかしく言っていたわけですが、両省の意見がなかなかマッチしなかったわけです。いま政務次官の藤井さんからも、あなたからもお話がありましたが、意見が完全に一致して、将来行なわれることを私は希望します。  そこで新しくできるところの石油コンビナートには、自家用の排水処理場を必ずつくってもらいたい、このことを確約してもらいたいと思うのですが、政務次官からひとつ……。
  37. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 私としては、水島地帯は地元としてよく承知いたしておりますし、公害予防対策の必要性は御指摘のとおりだと思うのです。金のかかることでありますから、ぜひ四十四年度の予算で実現するように——国は行政指導だけでやれれば、ぜひやりたいと思いますけれども、どうしてもある程度の助成措置が必要だということになれば、そういうことも勘案して、ぜひ実現する努力を確約いたします。
  38. 岡本富夫

    岡本(富)委員 努力の確約ですから、努力はしたけれども、だめだった、そういうことのないように、ひとつお願いいたしたいと思います。この問題は、いまここで努力だけしか約束できないそうですから、あとでもう一度、運輸省とよく検討して、そしてはっきりお答えを願いたいと思います。それでなければ、今後できるところの石油コンビナートの付近は、全部海がもうだめになってしまう、漁民はみな干上がってしまうと思うのです。  それで、厚生省といたしまして、新しく石油コンビナートの工場群ができる問題について、四日市のようなああいう無策な工場誘致をして、大ぜいの者に迷惑をかけてはいけない、こう思いますが、あなたのほうでは、これを許可するときに、通産省にどういうような要求をするのか、これは橋本さんからひとつお願いいたします。
  39. 橋本道夫

    橋本説明員 石油コンビナートの建設の問題でございますが、厚生省が行政的に関与いたしてまいりますのは、工業整備特別地域の法律基本計画の承認に際して、公害防止の方針を指示する場合と、それからもう一つは、新産業都市の基本計画の承認の際に、公害防止の方針を指示する場合、この点が第一段になっております。その点につきましては、すでに総理府の告示で二年ほど前にもう出されておりますが、これはおもに土地利用の点からの指示でございます。それに引き続きまして、開発地域の事前調査というものをいたしておりまして、どういう調査をするかという点につきましては、通産省にも非常に関連がございますので、お互いにどういう地域をどういう分担をもってやるかというような点については打ち合わせをやり、ものによってはおのおのの場所を分け、ものによっては両方共同の調査をいたしまして、その調査結果に基づきまして、厚生省から直接企業には行なわず、地方公共団体に対して、どのような条件をつけて企業の誘致をはかったらいいかという点について、特に大気汚染の観点に重点を置いていたしております。  石油コンビナートの施設につきましては、現在までの法規の関係では、ばい煙規制法の指定地域にあります場合には、ばい煙発生地域の届け出が都道府県知事になされます。必要に応じて、排出基準に適合しないと認められますときには、それに対して計画変更命令を出せますし、また六十日以内にその企業者はその施設の設置に着手してはならないということになっております。特定有害物質につきましては、法律によっての規制はございませんが、現行ばい煙規制法におきましては、条例で特定有害物質を規制することを一応認めております。それによって、県によっては特定有害物質の規制をいたしております。地域の態様によって規制の方式が非常に異なってまいりますので、その点については、詳細な点は地方公共団体を指導しながら、ケースによっては協定を結ばせながら、この公害防止に当たらせるというような形をとっております。  石油コンビナートの場合、特に発電については、電源開発審議会の中の幹部会の下部機構に厚生省は入っておりますので、電力について、非常にきびしい姿勢で公害防止をはかるということが現状においては可能でございますが、石油審議会に対しましては、直接の関係は持っておりません。
  40. 岡本富夫

    岡本(富)委員 聞くところによると、今度の公害法案をつくるときにも、エネルギー産業について厚生省は口出しすべきでない、こういうような通産省の話があったということで、でき上がってから、厚生省のほうから地方公共団体に対してやかましく言っても、要するに全部でき上がってからであれば、これは非常に問題があろうと思うのです。  したがって、これは私の提案でありますけれども、やはりいままでの経験の上から、四日市あるいはまた、尼崎、あるいはこっちの川崎、そういうところがいま大気汚染で非常に困っているわけですが、こういう面にはこういうふうに気をつけなければならぬ、こういう面にはこういう防止施設が必要だということを強く通産省のほうに要求すべきではないか。そしてその要求したものが、許可するところの、認可するところの工場に、それだけのことがはっきりとあらわれてくるかどうか。この点は厚生省としてもやはり考えなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですが、厚生政務次官谷垣さん、どうでございますか。
  41. 谷垣專一

    谷垣政府委員 その問題は、先般来お話がございます工業立地の規制法等にも関連のある問題かと思いますが、私たちのほうといたしましては、先ほど担当課長のほうから御答弁いたしましたように、告示その他で一つの基準を示す、あるいは地方庁を通じて指導している、こういうことに相なっております。もちろん、先ほど御指摘になりました個々の地域におきます。ことにばい煙発生の激しい施設、これらの特定の事項につきましては、直接通産省その他と相談することもあるかと思いますが、現在これらのところにそれぞれ監視施設を持っておりますので、それらの監視施設によりまして、ばい煙状況、汚染の状況を調べまして、関係方面に申し入れをしている、こういう状況に相なっているわけでございます。
  42. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまあなたがお答えになったの賃現在のやり方はそうなんです。私が言っているのは、今後新しくそういう工場群ができてくる。その前に、こういう防止策が必要だ、こういう防止装置が必要だ、こういう面に気をつけなければならぬ、というものを、もっと強力に、厚生省の意見として通産省に申し入れて、そしてそれがその工場の防止設備の中に入っているかどうか、こういう面までも、あなたのほうで権限はないといたしましても、要求する必要があるのではないか。それでなければ、いままで見ておりますと、企業をつくるのは、許可は通産省がやっている。あとで監視をして、いろいろ注意だけしていくというようなことでは、この公害問題というものはなくならない。したがって、通産省のほうも、やはり厚生省の意見を入れていく。そして今後の工場の許可に対してはそういう条件を与えて、先に公害の発生をしないように予防をしてから、企業を行なわせるようにしないと、結局は追っかけてばかりいる、こういうように思うのですが、その点について、あなたのお考えを聞きたいと思います。
  43. 谷垣專一

    谷垣政府委員 先ほど申し上げましたのは、現在までの制度におきます現状を申し上げたのでございまして、岡本委員の御指摘のとおりに、それでは不十分である、同感でございまして、このたび提案をいたそうとして準備いたしております大気汚染防止法の中には、その点につきましては一歩突き進んで、特定の地域を指定し、あるいは、ことに環境基準等にかんがみまして、きびしい規制をいたしますような地域の指定をいたしました場合には、新増設の問題につきましても規制をいたしまして、改善指令を出せる、こういうような仕組みにいたしております。いまの岡本先生の、もう一歩先へ進んで、工場のいわゆる団地計画そのものの際に、許可その他の状況まで一歩進むべきかという問題になりますれば、先ほどの工場立地規制法の中における問題点として、私たちはそれを期待いたしておる次第でございます。なお、そういうものがいまだ実現を見ない段階におきましても、先ほど来お話ししておりますように、地方の自治体を通じての発言以外に、一種の基準のごときもの、あるいは特に注意すべきもの等がございますれば、関係各省に連絡をいたしまして、こちらの意見を申し述べていきたい、かように考えております。
  44. 岡本富夫

    岡本(富)委員 四日市の例を見たところで、ああいう無策な工場誘致をやったために、いま困っているわけですが、その一つの事例から見ましても、今後こういう、工場誘致して工場群ができる場合は、やはり何と何とが必須条件であるということは、もういままでの経験でわかっているわけであります。したがってそういう必要があれば申し入れをするというようでは、厚生省がいつも非常に弱腰で、今度の公害関係法は大幅に厚生省案から後退をしておるということもうなずけることになるわけです。したがって、もっと厚生省が強力に、人命尊重立場から、通産省に申し入れていいのじゃないか、私はこういうように思うのですが、谷垣さん、横に通産省がいるから、何かえらい遠慮しておるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  45. 谷垣專一

    谷垣政府委員 人命の尊重等の観点から見まして、厚生省公害問題についてもっと強く主張すべきであるという御意見は当然のことであり、私たちもその立場で仕事を進めておるつもりでございます。ただ、通産省その他産業官庁自体が、はたして公害の発生というものに対して野放しでやらしておるかといいますと、私は必ずしもそうとも考えておりません。その省自体といたしましても、当然その地帯全体の問題を考えていきました場合に、これらの公害防止のための努力をせなければいけない義務があると考えております。従来、厚生省等から示しております基準、あるいは地方自治体等を指導いたしまして示しております一つの態度、あるいは各種の審議会等におきまして厚生関係から申し述べておりまする意見というものは、直接産業担当官庁がそのままそれを認めてやっておられるかどうかという点につきましては、いろいろ問題があろうかと思いますが、私たちは、それらの産業担当官庁が当然公害につきましても顧慮を払っておるものと考えております。ただ、それらの状況を従来の経過から見ても、もっと強く言う必要があるという御指摘につきましては、私も同感であります。したがいまして、各種の新しい立法、あるいは立法をまたなくても、運用の問題、あるいは従来あります産業立地に関する審議会等においても、厚生省がもっと発言をする場を与えられてしかるべきでないかという気が、私はいたしております。岡本委員の御趣旨に対しましては、そのとおりでありまして、厚生省といたしましても、その方面につきまして、さらに努力をいたさなければ相ならぬと思っております。
  46. 岡本富夫

    岡本(富)委員 この問題をなぜやかましく言うかと申しますと、再び四日市のような状態になっては、もうあとでどうしようもないわけです。そうしますと、企業の分散あるいはまた立地規制によって、いまある工場を移転しなければならぬ、こういうことになれば、かえって産業の発展に対してはマイナスになる。したがって、言うべきことは、やはり通産省やあるいはまた運輸省にも言って、そうして初めから一つのめどをつくっておけば、各企業にも迷惑をかけずに済むのじゃないか、かえって企業擁護になるのじゃないか、こういうように私は思うわけです。したがって、この問題について何か、厚生省が弱腰か、あるいはまたもう一つはっきりしたきめ手を持っていないのかというように疑われる面もあるわけですけれども、もうここまできましたならば、相当な計画も、あるいはまた調査も進んでおるわけですから、堂々たる意見を申し入れてもらいたい。それに対して、通産省のほうではよくそれを聞いて、そうして受け入れて、公害防止を行なっていくという姿勢があるかどうか、これは藤井政務次官にお願いしたいと思うのです。
  47. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 昨日もお答えしたと思うのでありますが、結局根本は、人間が健康で、環境のいいところで生活をするということ、これが基本でございましょう。しかし、同時に、人間の生活を豊かにするためには、産業の発展をはからなければならぬ。ところが、その産業の発展と人体の健康保持という、これが四日市の例のごとく非常に悲惨な結果を生んできたということでありますから、これをいかにしてうまく調和していくかというところに、現在のいわば大切な問題があるわけであります。したがって、私は、厚生省は決して弱腰ではない、これは弁解を申し上げるわけではないのですが、おのおのの立場立場で、一生懸命にやって、そこによりよき調和が生み出されてくるというふうに思うわけでございます。やはり産業も伸ばさなければならない、公害も極力少なくしなければならない。原始生活においては公害は全然なかったでしょう。ここまで近代生活になれば、いい面も出てくるが悪い面も出てくるわけです。ひとつ相互に職場の最大の能力を発揮し、うまきよき調和を求めていく。いろんな御意見を拝聴して、いい線を出したい。そういうことで、今度大気汚染防止法案が、いささか後退したという御疑問、御質疑もありますが、これは立地適正化法との組み合わせにおいて、ああいう案を政府として提案しようという準備をし、肩入れがちょっと時間切れがして、あとをついていく、こういうことでありますから、その点、われわれとしても、もともと公害を防止する規制だけでなくて、この公害を出す元口をできるだけ事前に適正化していくという考え方に、今後ますます前進していかなければならない、このように思います。
  48. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私は、根本的な考えが、この民主主義というのは、やはり人間尊重、人間の楽しい社会にしていく、人間にすばらしいりっぱな生活をさせるための経済成長なんですから、したがって人命尊重というのが、またそれの根底になければならないと思うのです。したがって人間の生活に潤いのない、また人間の生活を犠牲にした経済成長というものはあり得ない、これはほんとうの健全なる経済ではない、こういうふうにも言われておりますけれども、その点について、やはり通産省のほうも——企業の成長というものは必要である。しかし人間を犠牲にしたところの経済発展、要するに人間尊重を手段として経済活動していくというようなところに、やはり根本的な考え方の違いがあるんじゃないかと思うのです。だからやはり人命のほうをあずかっておるところの、特に厚生省は、これをしなければならないわけです。その役目を負っておるわけですから、厚生省の意見をもっともっと入れてやらなければならぬ。いままでの考えで行ないますれば、やはり四日市あるいはまた川崎と同じような状態になってしまうというわけですから、私は一歩進んだ提案をしているわけですが、それに対して、もうひとつはっきりしたお答えをいただきたいと思うのですが、どうですか。
  49. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 お互いが豊かで住みよい人間社会をつくり上げる、これがおっしゃるとおり、われわれの最大の目標でなければならない。その社会をつくり上げる一つの手段が産業の発展である。目的は人間生活の尊重、これが基本であることは御指摘のとおりであります。そこら辺のかね合いを、時代の移りかわりとともに産業構造の変革とともに、スムーズに調和していく。進歩と調和はまさに万博のテーマだけではない、このように考えております。
  50. 岡本富夫

    岡本(富)委員 それでは、その問題は、これからやりますと抽象的になりますから、それでおきます。  次に大阪伊丹空港の航空機の騒音による防止について、この前の委員会で若干話しましたが、時間が非常に短かかったので、あらためてもう一度大事な点だけを詰めておきたいと思うのです。  その一つとしまして、航空局の澤さん、来ていますね。航空機の航路を指定して、そしてあまりたくさん分散しないようにしたいというような調査をやっておるそうでありますが、そうしますと、その地域に集中的に航空機の騒音が集約されるわけです。そうした場合に、そのコースを指定されたその下にあるところの人たちの被害、これはもう言うまでもありませんが、それに対する補償はどういうようにしようとお考えになっているのか、はっきりとお答えを願いたいと思うのです。
  51. 澤雄次

    ○澤政府委員 先生御指摘のように、いま伊丹空港の飛び方につきまして、これを変えるように調査をいたしております。現在は御承知のように久代小学校のちょっと手前で、まだ高度が十分でないとき、左のほうに曲がっておりますので、その周辺の騒音が非常にひどいわけであります。それでこれをいま少し、もう千メートル近くまっすぐに飛ばしまして、高度五百メートルぐらいになったところで左旋回をさしたら、騒音の被害の範囲がどの程度減るだろう、こういう調査をやっております。これはまだ何とも申し上げられませんが、もしそのような飛び方をいたしました場合に、直線で飛びますので、騒音がいままでよりひどくなる地域がございましたら、現在の騒音防止法の規定に基づきまして、共同利用施設あるいは学校の騒音防止工事その他のものを、重点的にこの地区に実施をしてまいりたい、このように考えております。
  52. 岡本富夫

    岡本(富)委員 学校の騒音防止については、いま若干の予算が——全部が全部ではありませんけれども、予算がついてやっているように聞いておりますけれども、一般の民家が、ちょうどあそこは高芝地区が入ってくると思うのですが、あそこには元大阪機工の社宅があるわけですが、その方面の各一軒一軒の補償といいますか——そこで一時間ぐらいすわっておりますと、逃げたくなります。よくあんなところに住んでいるなと思われるところでございますが、そこに今度集約されてきますと、とてもしんぼうできないと思うので、その地域はやはり立ちのきをしなければならぬじゃないか、こう思うのですが、どうでございますか。
  53. 澤雄次

    ○澤政府委員 現在の騒音防止法では、滑走路の末端から千三百メートルまでの範囲は、立ちのきの移転の御希望がある場合には、これを補償することに相なっておりますが、千三百メートルを越えましたところからは、現在の騒音防止法では、法律的に措置する方法がないわけでございます。それで、これは地元の県、市それから建設省等と御相談をいたしまして、集中的に移転を希望される地域を、何とかこれを土地利用計画を立てまして、そして御希望に沿う方法はないかということを、地元会議を開いて詰めております。非常にむずかしい問題でございます。
  54. 岡本富夫

    岡本(富)委員 むずかしい問題ではあるでしょうが、いまよりもよけい今度集約されて、この地域に飛行機の騒音がまかれるということになりますと、とてもここでは住めないと思うのです。したがって、現在の法律ではどうしようもないということになれば、やはりそれを何とかするところの法改正にも持っていかなければならぬと思うのですが、実際において、この地域の騒音というものはものすごい、御承知だと思うのです。それはいまの法律ではどうしようもないんだ、こういうようにお手あげになると、どうしようもないわけですが、聞くところによると、遮断緑地公園ですか、あるいは土地利用の対策、こういう面にもう少しあなたのほうで考えることができないか。また、このままでは、この地域の人たちはどうしようもなくなってくる。ですから、かってに逃げていくまで置いておけ、こういうようなことでは、私は相ならないと思うのです。いまの法律ではどうしようもないなんという逃げ腰じゃなくて、強力な体制を整えてもらいたいと思うのです。今度騒音防止法が国会で審議されて通れば、この問題は解決されるのか、これを一ぺんお伺いしたい。
  55. 澤雄次

    ○澤政府委員 先生の、今度通ればとおっしゃいましたのは、厚生省騒音規制法でございますか。(岡本(富)委員「そうです。」と呼ぶ)それでは、厚生省のほうから……。
  56. 岡本富夫

    岡本(富)委員 いまぼくは澤さんに聞いたのです。  騒音防止法については、これは運輸省も一緒に入って、厚生省案を見ているわけです。それで、新幹線はだめだと抜いたりしている。ですから、これから出てくる騒音防止法に対して、あなたのほうはどういう考慮をされたか聞きたいと思います。どうですか。
  57. 澤雄次

    ○澤政府委員 私のほうも、騒音防止法をつくりますときには、この対策土地をなるべく広くいたすように関係省と極力折衝いたしまして、基地周辺整備法よりも、場所によりましては若干広くなるようなやり方をやったわけでありますが、これでも足りないことは、先生おっしゃるとおりでございます。これは航空審議会のほうからも、空港の周辺の土地利用計画を積極的に考えろということもいわれておりまして、私のほうも、地元の県、市それから関係省集まりまして、さっき先生の言われましたように、公園緑地をつくる、あるいは倉庫群、トラックターミナル、それから煙の出ない、煙突のあまり高くない工場を誘致するというようなことにつきましても、地元と一生懸命に詰めております。法律にないから全然何もしていないということじゃございませんで、御承知のように、何とか土地を利用するという方向で、運輸省には予算がございませんが、関係省、地元集まりまして、解決するということについて、私ども懸命の努力をいたしておるわけであります。
  58. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私の聞いているのはそこじゃないのです。今度騒音防止法を国会に提出してくるその原案について、航空機の騒音を、たとえば何ホンなら何ホン、それ以上は規制しなければならぬというような、私はヒントを与えますけれども、そういうことで、あなたのほうが——今度厚生省が出してくるといいますけれども、これは運輸省関係しているわけですから、その点について、その法案が通ればこの問題は解決するのかどうか、どういうように解決するか、そこのところを、微妙なところですが、あなたが御存じだと思うのですが、どうですか。
  59. 澤雄次

    ○澤政府委員 航空機騒音につきましては、航空機の騒音防止法がございまして、このほうでできる限りの措置をするということで、厚生省の原案からは、航空機関係のものは除外されているというふうに了解しております。
  60. 岡本富夫

    岡本(富)委員 私の問題はそこなんです。先ほどの新幹線もやはり同じです。これはきょうは運輸大臣に言わなければならぬと思っておったのですが、航空機によるところの騒音防止法で、航空機の騒音は全部取り締まれるんだ、だから今度国会に出てくるところの公害法案には入れなくていいんだ、だからそれを除いている。ところがこの高芝地区のように、今度出てくるところの防止法案にもひっかからない、いまあるところの航空機による騒音防止法でもどうしようもない、こういう盲点が出てきてはしり抜けだ。私、これを皆さん方に聞いて、それから厚生政務次官——こういうことになっている、ですから、この審議については相当審議しないと、ないよりあったほうがましですわ——ちょうど下請代金支払遅延防止法みたいなもので、結局ざる法になる。ですから、これはおそらく運輸省のほうでも、この問題については、最初の原案から見れば、こんなのをきめられてはたいへんだ、そこは航空機による騒音防止法でいいじゃないかという、若干ごまかしたのではないかというところが考えられるわけです。ここに盲点が出てくる。したがって、私が今度のこの二法案につきまして非常に心配している点が、ここに一つあらわれているわけです。先ほどの新幹線の問題といい、またこうして一つずつつついてくると——だいぶぼくは調べ上げてあるのですけれども、現在の航空機による騒音防止法でとらまえることのできない地域に対して、私どもではどうしようもないんだと、あなたは先ほど答弁になった。あなたの答弁では、地方自治体すなわち県や市に、圧力をかけるというのはおかしいですけれども、言って、その面は解決をさせよう、こういうことでは、自治体のほうでも、そんなにたくさん財政があるのではない。やはり国のある程度の法律があってそこにひっかかり、国は何ぼ、県は何ぼ、あるいは市は何ぼ、こういうようにして、従来の助成措置のようにやっていくのなら話はわかる。これでは地方公共団体をいじめるようになる、悪く言えばですね。そう思われてもしかたがないような盲点が出てきているわけです。こういうことについて、谷垣厚生政務次官どうですか。
  61. 谷垣專一

    谷垣政府委員 先ほどの新幹線の問題といい、あるいは飛行機の騒音といい、これは当然に騒音防止法を想定いたしますときに議論になる諸点でございます。岡本委員の盲点という言い方が、一つの言い方かと思いますが、盲点であると同時に、これは争点であります。これは各省それぞれの、担当いたしております分野分野において、法律がございますが、その法律のどこでどういう規制をするか、どういう法律がいいかという議論になってまいりまして、これは一つの争点でございますが、私たち提案いたそうといたしております騒音防止法には、確かに、飛行機が発生源になっております騒音に対しての対策はございません。そういう意味におきまして、これが盲点であるといえば盲点でございますが、これは争点であります。争いの点であります。したがいまして、もし私たち提案しようとしております騒音防止法において、その精神そのものの考え方というものをふえんいたしますならば、当然にこれは飛行機の騒音によって被害を受けておる、そういうところにも、この問題の対策が何らかなければならない筋合いになると思います。騒音防止法でできなければ、飛行機騒音防止法のほうでそれをやるべきであるという観点を私たちは持っておるわけであります。ただ公害全般につきまして、すべて一足飛びにやれるかどうかという、これは順序の問題になるかと思います。私たち騒音防止法に対しまして、飛行機が騒音源になるものに対する対策は、確かに提案しようといたしておりますものの中から省かれておりますが、しかし公害立場から見まして、飛行機が発生源であろうと、その法律がどうであろうと、そういうことによる公害が存在いたします限り、今後の行政といたしましても、また厚生省といたしましては、その問題に対する充てんをせなければならない、こういう義務があると思っております。これは当然運輸省その他も御理解願えるところである、運輸省としてもお考えのあるところだと私は考えております。
  62. 岡本富夫

    岡本(富)委員 どうも何を言われたか、ちょっとはっきりわからないのですが、各地方自治体から私のほうへずいぶん、公害対策の三案の即時成立を求めるとか、こういうように来ている。これは国民の声だと思うのです。早く公害対策の三案を出してもらいたい、そうしたら少しでも早く取り締まってもらって、そしてうまくいく、こういうような国民皆さんの声が非常に出ているわけですけれども、さて、できてみたら、いまの話のように、そこは航空機のやつはひっかかりませんね。新幹線もひっかかりません、工業立地適正化法ができませんから、これもひっかかりません、こういうようになってきたら、ほんとうにないよりあるほうがまし、こういうことになってしまう。これはもう一度一考を願いたいと思うのです。そうでなかったならば、何にもならないと思います。  それで、この問題はあとにしまして、澤さん、このいまの法律がぐあいが悪ければ、やはり法改正をしなければならない。それについてどういうようにしたらいいか、これはあとで私のほうへ示してもらいたい。  時間が参りますから、次に、何と申しましても、この伊丹空港の問題は金がなければ解決しないわけです。予算がないとなかなか解決はしないのですが、土地利用対策、あるいはまた遮断緑地の公園をつくるということにいたしましても、相当な資金が必要になってくると思うのですが、四十二年度においては、私どもやかましく言って、三億のうちから二億一千万円ですか、四十三年度には五億三千万円の配分で四億何ぼでしたか、この伊丹空港のほうに入るようになっておりますけれども、とてもこれくらいのスズメの涙みたいな状態でやっておったのでは、これはいつまでかかるかわからない。あなたから、五カ年計画でもって約百億くらいの予算でなければできないということを、前に伺ったことがあるのですけれども、いまのこういうような予算しか取れなくて、ほんとうに五年たったらうまくいくのかどうか疑わしいのですが、どうですか、その点について。
  63. 澤雄次

    ○澤政府委員 この騒音防止対策の五カ年計画につきましては、先生からも御指摘がございまして、地元、県、それから関係市、いろいろ御協議をいたしまして、五カ年計画の具体的な案をつくるように、いま精力的に努力をいたしております。それで、この全体の所要金額につきましては、学校の騒音防止対策あるいは共同利田施設等につきましては、地元のほうの御負担分も計上して、五カ年でどれくらいやるかということは、これは計上はできるのでございます。土地の移転につきまして、どの程度、騒音防止法の範囲内で移転される方、御希望の方があるか、あるいは農耕補償その他についてどれくらいの御要求が出てくるだろうか、というような点がまだ固まりませんので、全体の所要金額というものは具体的に申し上げる段階には至っておりません。百億というのは、それらを推定を入れまして、そうして騒音防止法をつくりますときに、約百億程度は必要であろう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  64. 岡本富夫

    岡本(富)委員 去年は三億のうち二億一千万でしたか、こちらの伊丹空港に対しては。そのときの対策、これをやっているところはどこでしたか、管理課でしたかね。管理課は何人でやっておったわけですか、この当時は。
  65. 澤雄次

    ○澤政府委員 本省では、課長を入れまして三名、それから地方で二名の者がこれに当たっております。
  66. 岡本富夫

    岡本(富)委員 ことしは、五億三千万のうちの配分は、今度は四億何ぼになりますね。ことしは何人くらいでこれを担当するわけですか。
  67. 澤雄次

    ○澤政府委員 同じ人数でございます。
  68. 岡本富夫

    岡本(富)委員 来年は、またこれは二十億くらい出してもらわなければいかぬのですが、そうなってくると、わずか三人や四人、全部で五人でしたか、それくらいの人数でもって、これだけのものが消化できるのかどうか、仕事ができるのかどうか、非常に疑われるわけですが、その点、澤さんどうですか。
  69. 澤雄次

    ○澤政府委員 騒音対策関係のスタッフは、先生御指摘のように非常に多忙をきわめておりまして、私たちとしましても、この定員は極力ふやしてまいりたい、このように考えております。先生のまた一そうの御援助をお願いしたいと思います。
  70. 岡本富夫

    岡本(富)委員 やはりあなたが五カ年計画を立てるにあたって、その金額なりあるいはまた人員なり、そういう面もよく計画を立てなければ、この問題は、私、五十五国会から話しているわけですが、まだ被害状況やあるいはみながどういう要求をしてくるかわからぬからわかりません、そういうことでは、ものごとは立たないと思うのです。大体あのくらいたくさんの調査、あるいは八市が連合して一生懸命調査しているわけでございますから、見当はおつきになると思うのです。上下わずかなプラスマイナスはあると思いますけれども、それによってやはり長期のプランを立てて、五カ年後にはこういうふうになるんだ、だから皆さんしんぼうしてください、いまのところはこうです、高芝の皆さんも、いまこうなっていますけれども、今度はこういうようにしますよというようなビジョンと希望を与えなければ、現地人たちは納得しない。ただ行き当たりばったりで、何といいますか、そのときそのときだけを糊塗しているような、塗ってごまかしているような——ごまかすというのはおかしいけれども、これでは住民皆さんが不安である、したがって、私は早急に五カ年計画なら五カ年、十カ年なら十カ年、そういう計画を立てて、みなに発表し、また納得してもらって、そして行なっていかなければならぬ、こういうように思うのですが、どうですか。これは何べんでもぼくは提案しているのです。
  71. 澤雄次

    ○澤政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、その方向で、いま精力的に作業を進めておるわけでございます。
  72. 岡本富夫

    岡本(富)委員 もっと早くやってください。付近人たちは非常にやかましく言っております。そうすると、どうしてもお金の問題、要するに予算の問題で困ってくると思うのです。いま通行税が年間大体二十億になっておる。この通行税の二十億を騒音防止に使っておるんだというように聞いておりますけれども、出てきたところの予算は非常に少ない。また、航空機の燃料はいま全部非課税になっておる、こういうふうに聞いておりますけれども、これが二百七十七億ですか、助成のほうはやはりある程度必要になると思いますけれども、取るものは取り、また、援助してやることは援助してやる、こういうふうにはっきりすれば、ここにある程度の予算が出てくると思う。それでなければ——航空機のほうだけは助成するけれども、今度は被害にあう住民のほうはほったらかす、——全然ほったらかしではありませんけれども。これはやはり両方の調和が必要である。したがって、この航空機燃料の非課税、それから通行税の問題。この問題について、もっと強力に大蔵省にも申し入れてやらなければ、この騒音の問題は解決しない、私はこう思うのですが、澤さんどうですか。
  73. 澤雄次

    ○澤政府委員 昨年、空港整備の五カ年の計画を立てますときに、財政当局からの御要望がありまして、その財源——目的税ではございませんが、財源のごく一部に充てるという意味で、着陸料を二割値上げし、通行税を倍に上げたわけでございます。しかし、これは公害だけではございませんで、航空機の事故が続きましたあとの飛行場の整備、安全をはかるために飛行場を整備する財源に充てる。それから、もちろん公害対策の財源にも充てるということでございまして、この通行税あるいは着陸料を上げたのは、公害だけではないわけでございます。それで、額は非常にわずかでございますが、昨年三億、それからことしは、この財政硬直化のおりではございますが、先生方の非常な御助力を得まして、これが五億三千万ということで、今年度の予算の財政硬直化のもとにおいては非常な伸びを示しまして、額はわずかでございますが、非常に前向きに対処しておるわけでございます。  燃料に関します課税につきましては、航空産業が後発産業でございますので、それで減免をいたしておるわけでございますが、この減免は、運輸省といたしましては、今後とも続けてまいりたい、このように考えております。
  74. 岡本富夫

    岡本(富)委員 昨年が三億で、ことしは五億三千万で、非常に伸び率がよろしいなんて、手ばなしで喜んでもらったら困ると思うのです。あなたがそんな考えではいけないと思う。もとはなかったのですが、私も五十五国会でやかましく言って、これは当時の金子政務次官でしたかな。スズメの涙みたいなものですと……。ここでこれだけ、五億になったから、非常に伸び率がいいなんて、そんな頭でおるから、いつまでたってもこの騒音問題は解決しないのですよ。もともとはもっとたくさんの助成をしてやらなければならぬ。何もしてなかったじゃないですか。ゼロから上がれば——いままでゼロで、今度三億になった、三億倍だ。そんな、喜ぶのはおかしいですよ。次の機会には、ひとつその頭をかえて——一ぺんあそこに住んでみなさい。そう私は思うのです。一時間おったらもういやになりますよ。もっと強力に力を入れていただきたい。きょうは、運輸省であなたが最高の方ですから、あなたにもう一ぺん、はっきりした決意を聞いておきたいと思います。
  75. 澤雄次

    ○澤政府委員 本日、先生の御指摘になった点はすべてごもっともでございまして、運輸省といたしましても、前向きに、積極的にこの問題と取り組みたいと思っております。
  76. 岡本富夫

    岡本(富)委員 最後に、テレビの受信料の減免について。この問題も、この前私は要求しておきましたのですけれども、その後まだはっきりした答えをもらっていないわけですが、確実にテレビの減免をするかしないか、これをひとつ、簡単でいいですから、明瞭に答えてもらいたい。
  77. 澤雄次

    ○澤政府委員 テレビの減免がまだ実現できないことは、まことに申しわけないことであると思っております。これは大臣みずから陣頭に立たれて、いま一生懸命にやっておりますので、早急に実施に移す方向で、今後ともがんばってまいりたいと思っております。
  78. 岡本富夫

    岡本(富)委員 そのお答えでは不満足なんですけれども、いまどういうところに隘路があって、どの面を解決すれば、このテレビの受信料の減免ができるか、その内容を一つだけ聞かしていただきたい。
  79. 澤雄次

    ○澤政府委員 テレビの減免につきましては、いろいろな方法を考えまして、関係の向きと折衝をいたしているわけでございます。まずNHKに、全額まけてくれということを申しているわけでございますが、NHKも、これは相当前向きの姿勢を示しております。ただ、自分のところだけでまけるというのは、いろんな他への波及の関係もあって、ぐあいが悪いので、やはりほかからも財源を探してくれということで、私のほうといたしましては、これはまた先生からおしかりを受けるかもしれませんが、関係の府県、それから航空機によって利益を受けている事業者、これらのものからも出さして、全体として二分の一なら二分の一聴視料を免除するという方向でまいりたいと思っておりますが、まだ関係府県の御了解が得られないというところに、目下の難点があるわけでございます。
  80. 岡本富夫

    岡本(富)委員 これはNHKだけに全部出させるというのは間違いだと思うのです。NHKは周波を送っているわけですが、これをじゃましているのは航空機になるわけですから。航空機にはこうした助成があるわけですから、航空会社のほうにもいって、それだけのものを出させるのがあたりまえだ、こういうように、私はこの前提案はしておいたのです、飛行場部長の梶田さんに。その点についても、あなたのほうは考えられたのかどうか。いまの答弁では、全然そういうことは考えていないような答弁ですが、どうですか。
  81. 澤雄次

    ○澤政府委員 航空会社からも出させようと思っております。ただ、飛行場があることによりまして利益を受けている方からも、やはり出さすべきではないかということで、府県のほうとも御協議をしているわけでございます。
  82. 岡本富夫

    岡本(富)委員 まあ、この問題は、いまここで即座にあなたは答えができないそうですから、後日に譲ります。もう少しはっきりした答えができ、またちゃんとできるようにしてもらいたいと思うのです。  水産庁の次長さんに来ていただいたのですが、きょうは時間がありませんので、次の機会にいたします。  きょうはこれで終わります。
  83. 島本虎三

    島本委員長代理 以上をもって、岡本君の質疑は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    正午散会