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1968-03-06 第58回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月六日(水曜日)    午後一時二十一分開議  出席委員    委員長 山崎 始男君    理事 天野 公義君 理事 橋本龍太郎君    理事 河上 民雄君 理事 島本 虎三君    理事 本島百合子君       地崎宇三郎君    藤波 孝生君       和爾俊二郎君    工藤 良平君       浜田 光人君    折小野良一君       岡本 富夫君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 園田  直君         運 輸 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         経済企画政務次         官       山下 春江君         経済企画庁水資         源局長     今泉 一郎君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         通商産業政務次         官       藤井 勝志君         自治省税務局長 松島 五郎君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局公害部長   武藤埼一郎君         通商産業省企業         局立地公害部長 矢島 嗣郎君         運輸大臣官房参         事官      内村 信行君         建設省都市局技         術参事官    葛生 新一君         参  考  人         (公害防止事業         団理事長)   原 文兵衞君     ————————————— 本日の会議に付した案件  委員派遣承認申請に関する件  参考人出頭要求に関する件  公害防止事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号)  産業公害対策に関する件(自動車排気ガス、水  質汚濁及び騒音対策等)      ————◇—————
  2. 山崎始男

    山崎委員長 これより会議を開きます。  委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  先刻の理事会において協議いたしましたとおり、札幌市における冬季の大気汚染状況等調査のため、議長に対し、委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、派遣委員の人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  4. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  また、今回の委員派遣に際しましては、往復とも航空機使用をいたしたいと存じますので、この点も議長に申請するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 山崎始男

    山崎委員長 参考人出頭要求の件について、おはかりいたします。  公害防止事業団法の一部を改正する法律案審査のため、本日、参考人として、公害防止事業団理事長原文兵衛君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 山崎始男

    山崎委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  8. 山崎始男

    山崎委員長 産業公害対策に関する件について調査を進めます。  産業公害対策に関し、中曽根運輸大臣から所信を伺うことにいたします。中曽根運輸大臣
  9. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 運輸大臣といたしまして、公害対策所信を申し述べたいと存じます。  今日、運輸省が直面している運輸公害のうち、主要なものとして、船舶による海水の油濁、自動車による排気ガス、並びに航空機等交通機関による騒音の三つが特に指摘されるのでありますが、私といたしましては、これら公害問題の解決のため、格段の努力をいたし、一日も早く国民各層期待に沿い得るよう、最善の努力を尽くす決意であります。  次に、この機会運輸省公害対策に関する具体的施策について若干申し述べたいと存じます。  まず第一に、船舶による海水の油濁につきましては、第五十五特別国会におきまして、船舶の油による海水汚濁防止に関する法律成立及び同法関係条約承認を見ましたので、同法に基づき、船舶からの油の排出の規制廃油処理事業等の適正な運営の確保及び廃油処理施設整備実施に移されております。  特に、廃油処理施設整備の促運をはかるため、所要補助金支出あるいは財政融資等につき、予算措置を講じております。  第二に、自動車排気ガスによる大気汚染防止につきましては、昨年九月以降の新車はすべて一酸化炭素濃度を三%以下とするように規制しました。  また、使用過程自動車につきましては、整備基準を制定すべく、目下調査研究継続実施中でありますが、とりあえず、現在までに得られた調査結果をもとに、昨年末に、排気ガス対策点検整備要領を定め、これにより、自動車使用者及び整備関係者指導を行なっております。  第三に、航空機等交通機関による騒音対策についてであります。  航空機騒音につきましては、従来から、東京、大阪両空港における夜間のジェット機の離着陸禁止措置等を講じてまいりましたが、第五十五特別国会におきまして、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止に関する法律可決成立を見ましたので、同法に基づき、航空機航行時間、航行経路等に関する指定、学校、病院等防音工事に対する助成共同利用施設整備に対する助成空港周辺建物等移転補償及び農業経営上の損失に対する補償等を積極的に講ずることとなっております。  また自動車騒音につきましては、道路運送車両法に基づき所要規制を行なっているほか、自動車メーカー等を強力に指導いたしております。  第四に、交通公害防止技術研究につきましては、その重要性にかんがみ、技術研究開発を一そう推進する所存でありますが、特に自動車公害防止につきましては、安全性向上とあわせて、その研究体制強化をはかってゆくこととなっております。  なお、大気汚染防止に関連して、気象庁では必要な気象情報を提供しておりますが、このため、体制並びに施設を令後とも一そう整備していくこととしております。  以上、当面の重点施策等の一端を申し述べまして、私の所信表明を終わります。(拍手)
  10. 山崎始男

    山崎委員長 前回の本委員会における、昭和四十三年度産業公害対策関係予算説明について、厚生省武藤公害部長より発言を求められております。これを許します。
  11. 武藤き一郎

    武藤説明員 前回予算説明の際に、公害防止事業団助成費二億八千三百万でございますが、それを一億八千三百万と申し上げましたので、この際、訂正させていただきたいと思います。      ————◇—————
  12. 山崎始男

    山崎委員長 公害防止事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  公害防止事業団から、理事長原文兵衛君がお見えになっております。  なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対する応答の形でお述べをいただきますので、さよう御了承をいただきたいと存じます。  質疑の通告がありますので、これを許します。藤波孝生君。
  13. 藤波孝生

    藤波委員 公害防止事業団法の一部を改正する法律案中心にいたしまして、直面する問題についてお伺いいたしたいと思います。  公害の問題が、今日物価問題や交通問題と並んで、国民の最も注目をする問題になって、関心の的になっていることは、いまさら申し上げるまでもないところでございます。特に近年の公害の発生にあたりまして、厚生通産両省におきましては、特に中心になって、各省庁の非常にきびしいワクを乗り越えて、公害問題に取り組んできた。このことについては、衷心より敬意を表したいと思うわけであります。特に四十年に公害防止事業団が発足をいたしまして以来、問題を具体的に解決をする、こういう姿勢で取り組んでこられまして、着々と前進を遂げてきておるわけであります。しかしながら、昨年の五十五国会において公害対策基本法成立を見まして以来、さらに国民期待は、政府が非常に積極的に公害問題に取り組んでくれるものだ、こういうふうに考えて、大きな期待を持っておるわけであります。そういう中で、たとえば公害紛争処理被害者救済大気汚染防止、あるいは騒音規制といった三法を成立せしめたいというような、関係各位の非常な期待があることも否定し得ないところでございます。その問題につきましては、後にまた触れるといたしまして、そういった非常に大きな期待の中で、今回公害防止事業団法の一部改正が提出をせられてまいったわけでありますが、四十三年度の公害防止事業団業務に関して、どのように拡充強化をはかられようとするのか、まず最初に、厚生省の御所見を承っておきたいと思います。
  14. 松尾正雄

    松尾政府委員 四十三年度におきます公害防止事業団事業につきましては、まず第一には、事業規模拡大したいということでございます。すでに前回も御説明申し上げましたごとく、企業契約ベースワクを、七十五億でございましたのを九十億まで拡大をした。それから第二は、政府出資事業補給金措置によりまして、金利引き下げ実施いたしたということでございます。それから第三には、緩衝緑地地帯というものの建設国庫補助の道が開けたということでございます。それから第四は、貸し付け業務を行なっております場合に、従来は業務対象地域というようなものが制限をされておったわけでございます。この制限を撤廃いたしまして、その他の地域でも貸し付けができるようにいたしたい。それから第五に、集中暖房事業実施を可能にするようにいたしたい、こういうふうに拡充をいたしたいと考えております。
  15. 藤波孝生

    藤波委員 ただいま公害防止事業団業務拡充強化について御説明がございましたが、法制的な問題にわたりますが、こういった防止事業団事業強化する場合、たとえば金利引き下げ事業対象地域拡大集中暖房実施、これらはいずれも法改正を必要とするのではないかと考えますが、どのように考えておられるか、お尋ねいたしたいと思います。
  16. 松尾正雄

    松尾政府委員 第一の利子引き下げの問題につきましては、利率自体のきめ方というものは、法律の中には書いてないわけでございます。いわば法令事項ではなくて、事業団の運用上の問題をきめる業務方法書の中できめられておるわけでございます。したがいまして、その業務方法書を変えるということで金利引き下げ実施できる、こう考えておるわけでございますので、法律上の改正は必要としないと考えております。  それから第二の、業務対象地域拡大いたしますことにつきましては、その事業団業務対象地域というのは、公害が著しい、あるいはまた著しくなるおそれのある地域であるというような表現になっておるわけでございます。したがいまして、その著しくなるおそれのあるという解釈に基づきまして、特段の制限がいままでも設けられていないわけでございます。ただ政府資金の問題というような関係の、そういうワクのような問題から、一応業務方法書等制限をしておった、地域制限をしておったということでございますので、そういう関係の省令なりあるいは業務方法書というものの改正ということを検討いたしますれば、実現できると考えております。  それから第三点の、いわゆる集中暖房という問題でございますが、これは具体的に札幌集中暖房明年度から着手いたしたい、こういうことでございまして、もっぱらビルディングや工場の暖房というものを集中化することによりまして、大気汚染防止したいということでございます。このビル暖房そのものにつきましては、従来から産業公害、いわゆる事業活動を行なっておるものであるという解釈に立っております。またばい煙規制法におきましても、さようなある一定量以上のボイラーを設けておるもの、というようなものが対象にされておるという経緯もございますので、この点も法律改正をしないで実施できる、かように考えておるわけでございます。
  17. 藤波孝生

    藤波委員 幸いに厚生大臣がお見えになりましたので、先ほど申し上げました、国民公害問題解決に対する政府の積極的な姿勢、非常に大きな期待というものの上に立って、さっきも触れましたように、公害問題を積極的に解決するためには、昨年の公害対策基本法成立に引き続いて、公害紛争処理被害者救済大気汚染防止騒音規制といった三法をどうしても成立をさせてもらいたい、こういった大きな関心があるわけでありますが、そういった問題について、厚生省として将来どんな見通しを持っておられるか、この際、大臣からお伺いしておきたいと思います。
  18. 園田直

    園田国務大臣 ただいま御指摘のとおりでございまして、きわめて緊急に処理すべき問題だと思っております。環境基準設定のための三法律案は、関係各省とそれぞれ折衝中でございますが、紛争処理及び救済の問題については、いまなお具体的な問題として折衝するに至っておりません。かといって、ほうっておくわけにまいりませんので、公害審議会のほうに意見を具申しまして、政府と別個に、審議会のほうでもこれに対する御検討を願うと同時に、関係各省ではこの話を詰めよう、こう言っております。他の二つ法律案については、意見の若干の食い違いはありますが、それぞれ結論が出る段階にございまして特に関係の深い通産大臣とは話をしておりまして、ただ無為に時間を取っては相ならぬから、ひとつ時間を切って事務当局同士折衝を待って、そのあと大臣同士で話を進めてみよう、こういうことで、できるだけ早く成案を得て、皆さん方の御審議を願うように準備をしている。段階でございます。
  19. 藤波孝生

    藤波委員 厚生大臣の非常に力強い御発言を承りまして、われわれといたしましても安心をいたしたような次第でございます。  次に、公害対策基本法を昨年審議いたします中で、非常に大きく浮かび上がってまいりました問題は、特に衆議院で、中小企業対策を積極的に進めるように、こういうような意見でございました。基本法の中にも、そのような規定が、中小企業者に対する特別な配慮をなさるべきことが、本院の修正によって取り上げられたわけでありますが、この公害問題を解決いたします場合に、施設の設置と直接に生産性向上と結びつかない、利益向上と結びつかない、こういった公害の除去並びに防止のいろいろな施策につきましては、大企業ならいいというわけでは決してございませんが、特に中小企業の場合には、公害と取り組んでいくうちにその企業がつぶれてしまったというようなことが起こりかねないくらい、非常に深刻な問題を中小企業はかかえているわけであります。事業団の仕事を進めていく上において、特に中小企業対策についてどのような配慮がなされているか、この機会にお伺いをいたしたいと存じます。
  20. 園田直

    園田国務大臣 仰せのとおりでありまして、面接生産と結びつかない、しかも公害の問題を考えながらもみずからの力でなし得ない、こういう中小企業に対する観点から、特別な配慮をすることはきわめて大事な問題だと思っております。こういう観点から、国としては、公害事業団適用利率においても、中小企業を優遇するという方法を検討しております。次には、中小企業振興事業団による共同公害防止施設に対する無利子融資を行なうほか、中小企業金融公庫及び中小企業近代化資金による融資公害防止施設にかかる固定資産税の非課税、特別償却制度耐用年数短縮等による税制上の優遇措置等の、税制及び金融上の助成措置を講じておるところであります。昭和四十三年度からは、さらい公害防止事業団に対して政府出資及び事業団補給を行なって、金利引き下げ実施するとともに、業務対象地拡大等をはかることを予定しておることは、先ほど御報告したとおりでございます。このほか、環境緑地地帯公共下水道等公共施設整備を推進することによって、より効果的な公害防止に積極的に努力することは言うまでもございません。
  21. 藤波孝生

    藤波委員 続いて通産省にお伺いをいたしたいのでありますが、産業廃棄物の問題についてでございます。先ほど来触れてまいりましたように、公害を除去するという問題と、企業利益向上させる、こういった問題とは相伴わないわけであります。それにいたしましても、それらの中で着々といろいろな設備が整えられていきつつありますことは、まことに喜ばしい限りでございます。そういった中で、産業廃棄物、これにはたとえば鉄くずなどの生産に伴う残滓物、それから汚泥、スラッジでありますが、こういったものを両方から考えられると思うのでありますが、この産業廃棄物の問題は今後の公害の大きなポイントになってくるのではないかということが、私ども考えられるわけであります。特にこれを処理いたします場合に、海洋投棄方法などもとられておりますけれども、しかしこれは海水汚濁せしめる、こういった危険性が非常に多いわけでありまして、特に海岸部水産業、漁業をかかえております海岸線におきましては、非常な神経過敏になってこの海岸投棄を見守っておるというのが実情でございます。こういったことから考えましても、よほどの行政指導をしなければ、この産業廃棄物処理という問題は非常にむずかしい、このように考えるのでありますが、通産省として、産業廃棄物対策を今後どのように進めようとしておられるか、この機会にお伺いをいたしておきたいと思います。
  22. 矢島嗣郎

    矢島説明員 先生御指摘のとおりに、産業廃棄物の問題は、非常に最近問題になっておるわけでございますが、産業廃棄物のおもなものといたしましては、やはり産業廃水処理の結果生ずる汚泥、どろどろのものでございますが、これが一番問題だろうと思います。最近、廃水処理の普及につれまして、この処理が問題になりまして、あるいは埋め立て地あるいは外洋投棄等で処分されておりますが、何と申しましても、これは、そこに至る前の段階におきまして、これをできるだけ処理してしまうということが一番大事で、乾燥いたしましたり、焼却いたしましたり、あるいはこれを回収する、硫酸などは回収する、これはむしろ企業にとってプルスになりますが、そういう処理方法指導しているわけでございまして、一部の会社においてはすでにそういうようなことをやっているわけです。たとえば四日市におきましては、大協石油昭和石油というような石油会社がありますが、その硫酸ピッチを石原産業に持っていって処理し、硫酸を回収する、かようなことをやっているわけでございますが、逐次こういうような方向に指導してまいりたいと思います。ただ、こういうのは、単に指導すると口で言うだけではなかなかうまくいかないので、これに対しましては、まず通産省としては、その処理技術研究開発を、通産省自身試験研究機関、たとえば資源技術試験所というのがございますが、そういうところでやる、それから民間の研究機関でもこれをやらせるというようにいたしまして、かような処理技術研究開発というものを促進いたしたい、そのための所要予算も、来年度計上していただいたわけでありますが、またこの研究開発が進むに従いまして、これを企業に設置せしめるにつきましては、金融税制上の優遇措置を講じまして、そしてこれを指導してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  23. 藤波孝生

    藤波委員 廃棄物処理については、いまの御答弁では、技術開発段階であるような感を受けたのでありますが、しかし、これは相当早くからこの研究に取りかかっているのではないかと、私は思うのであります。そういった技術開発を進める一方、公害防止事業団業務として、いまも融資のお話がございましたけれども、ばい煙処理施設汚水処理施設特定有害物質処理施設などと並んで、産業廃棄物処理という問題に、公害防止事業団業務の中で積極的に取り組んでいくというようなお考えがないかどうか、あらためてお伺いをいたしたいと思います。
  24. 矢島嗣郎

    矢島説明員 産業廃棄物処理のための施設は、現在におきましては、すでに公害防止事業団貸し付け対象となっておるわけでございまして、今後とも、事業団資金ワク拡大すること等によりまして、その整備を促進いたしたいと考えております。
  25. 藤波孝生

    藤波委員 環境基準設定につきましては、先ほど厚生大臣お触れになりました対策基本法におきましても、第二章に、そういった環境基準設定すべきものである、こういった規定がなされております。先日の厚生大臣所信表明においてもお触れになったところでありますが、生活環境審議会公害部会が、さきに亜硫酸ガスについての環境基準設定するための専門委員会の報告を了承した、こういうニュースを承ったのであります。この基準でまいりますと、人間の健康を守るために必要な濃度規制基準、これが一日平均〇・〇五PPM、一時間〇・一PPM、こういった内容を中心として、環境基準がきめられるような線が出つつあるやに承っておるのでありますが、これは相当きびしいものになろうと私は思います。きびしいものということは、環境基準はどれだけきびしくてもいい、相当きびしいものを出して、積極的に政府公害に取り組む、これが国民期待でありますから、その基本線はひとつ厚生省しっかりやっていただいて、国民を守っていただきたい、このように私ども考えるのでありますが、ただ、いま申し上げたような基準でまいりますと、亜硫酸ガス一つを取りましても、相当きびしい基準でありますだけに、また与える影響もきわめて大きいということが考えられるわけであります。たとえば三重県の四日市を当てはめた場合に、いまの基準でいきますと、四日市市の市街地の大体四〇%ぐらいがこの環境基準に抵触する、こういうことが予想せられるのであります。四百人も公害患者をかかえている三重四日市として、たいへんな問題がここに出てくるわけでありますが、どのようにしてこの亜硫酸ガスを除去するか、煙突の高さ、あるいは煙を集約するといいますか、そういった施設につきましては、公害防止事業団のほうで相当にお進めいただいておりまして、ある意味では、大体煙突をなぶることは限界にきたという感じすら、私どもは持っておりますが、その上に立って考えますと、対策といたしましては、排煙脱硫技術あるいは重油燃料に含まれている硫黄分を除去するいわゆる重油脱硫技術を早急にひとつめどを立てて、これを実用化せしめなければならぬ、こういう段階にもうきているのではなかろうか、私はそのように考えるのであります。幸いに通産省でも、四十二年から四十三年に引き続いて、この排煙脱硫重油脱硫技術開発を進めようとしておられるわけでありますが、あまりいつまでも研究研究では、あとからすぐに環境基準が追っかけてくるわけでありますから、間に合わない。こういった環境基準がきびしいものが出てくる、産業は一向に脱硫装置建設に取りかからないというようなことでは、国民の不安というものはなおさら大きなものになる、このように考えるわけであります。通産省といたしまして、排煙脱硫重油脱硫技術開発はどのような形でめどを持っておるか、実用化についてのめどは一体どの辺に置いておるのかということについて、お伺いをいたしたいと思うのであります。
  26. 矢島嗣郎

    矢島説明員 御指摘のとおりに、排ガス脱硫重油の直接脱硫、この二つが、亜硫酸ガス対策としては基本的な対策でございます。その進捗状況を申し上げます。  最初排ガス脱硫のほうから申しますと、排ガス脱硫につきましては、現在通産省大型プロジェクト予算によりまして、二つ方法研究しておるわけであります。第一の方法活性炭法と申します。第二の方法活性酸化マンガン法、この二つ方法でやっておりますが、前者、すなわち活性炭法進捗状況は、研究設備——われわれパイロットプラントと言っておりますが、それを製作中の段階でございまして、これは千葉県にありますが、この装置による運転研究実施した後、来年の半ばに実用化見通しを得るわけでございます。前者のほうは来年、四十四年の半ばに実用化見通しを得るということになっております。次に、あとのほうの活性酸化マンガン、こちらのほうはもっと早く進んでおりまして、研究設備は昨年の末に完成いたしまして、現在それによりまして運転研究中でございます。これは先ほどのより半年早く、昭和四十三年の末、ことしの十二月までに実用化見通しを得る計画でございます。本件につきましては、一昨年来、当委員会の御決議もいただきまして、早くやるようにというお話だったわけでありますが、幸い予算のほうも、ほぼこういうことを実施できる予算がつきまして、いま言いましたように、活性酸化マンガンのほうは、本年末、活性炭のほうは来年六月に実用化見通しを得るわけであります。以上が第一の排ガス脱硫のほうの話でございます。  それから次が重油の直接脱硫重油そのものから全部硫黄を取ってしまう、こうすれば、火力発電所のような大きなところだけでなくて、小さいところもみんなこれを利用して、硫黄分の少ない重油をたくということになって、非常にいいわけですが、こちらのほうは、昨年末、この研究の一番問題である触媒が、何がいいかというようなことをいろいろのものについてテストいたしまして、どれがいいかという研究開発を続けているわけでございますが、現在、たとえば脱硫率七〇%以上の良好な触媒の開発に成功しておるわけでございます。問題は、この触媒がどれだけ続くか——ライフテストと申しますか、いわば長期耐久試験です。これが大事でございまして、この長期耐久試験を引き続き実施いたしまして、そうしてそれを今後パイロットプラントにつけて研究に入るわけですが、これはそういうふうに触媒の段階からいまやっておるので、若干時間がかかりまして、四十六年の半ばごろに実用化見通しを得る計画でございます。大体四年四カ月ぐらいかかると思います。本年度から始めたものでございますので、四十六年の半ばごろに実用化見通しを得る計画でございます。  以上が本研究実施状況でございます。
  27. 藤波孝生

    藤波委員 着々と技術開発が進められていよいよ四十四、五、六年あたりになると実用化段階に入る、こういった非常に力強い答弁を承ったわけでありますが、ぜひこれはひとつ促進をしていただきたいと思います。  ただ、それらがいよいよ実用化段階に入ってまいりますと、これが亜硫酸ガス公害状況に非常に大きな関係がある、こういうことがいよいよ焦点として浮かび上がってくるわけでありますが、その時期が参りますと、問題はこの実用化をどのように進めるかというところになるわけであります。ところが、私の知っております知識に誤りがなければ、排煙の脱硫で一カ所約三十億、これを全国にまず第一次の段階として考えましても、そういった施設建設するためには、どうしても三百億から三百五十億くらいの資金が必要ではなかろうか。また重油脱硫装置につきましても、たとえば大協石油あたりで四十五億というような金額を聞いておりますが、これまた全国的に考えますと、第一次の段階で五百億くらいの資金が必要になるのではないか。とすると、四十四、五、六と、いよいよ実用化の時代に入りますと、第一段階として考えましても、七百億から八百億の資金が必要になってくるのではないか、私はこのように考えるのであります。これは、企業、さあやりなさいでは済まないので、やはりどうしても政府が強力に推進をする姿勢が必要になるわけでありますが、こういった資金融資の道を、ひとつこの際思い切って一元化をして、公害防止事業団業務対象として積極的に取り組んで、融資の道を講ずる、こういうふうなお考えがないかどうか。通産、厚生両省から御所見を承っておきたいと思うのであります。
  28. 園田直

    園田国務大臣 先ほど言われましたスラッジの処理問題、それからただいま言われました問題、こういう問題は、御指摘のとおりに、公害の焦点の重大な問題として、産業の推進とともに急速な進歩であると考えております。したがいまして、一例をとりますと、先ほどしばしば名前が出ておりますように、四日市大協石油ほか十四の会社が、油性スラッジの処理等について建設計画を進めておりますが、やはり建設の費用あるいは融資の問題等で、いまなお建設が実現されていない、こういう例から見ましても、仰せのごとく、いまの技術開発の面に伴う問題は相当問題である。しかもいま言われた活性炭素あるいはマンガンというものは、ここに使っている防毒マスクの一つの形態でありまして、これは相当大規模にやらなければ効果はないだろう。こうなってくると、金額等についてはまだ判明はいたしませんが、御指摘のとおりのような相当大規模な金額が必要になってくると考えます。こういう点からして、将来、公害事業団事業対象というものはさらに拡大をし、あるいは政府出資資金拡大をし、これに対する国庫の補助等も逐次増大していかなければならぬと考えております。その第一歩として、ただいま御審議を願っている法律案改正をお願いした次第でございます。
  29. 藤波孝生

    藤波委員 通産の分だけあとでというようなお話でございますから、あとは他の先生の関連で伺ってもいいと思いますが、最後に一点だけ厚生大臣にお伺いをいたしたいと存じます。  公害防止事業団が四十年に発足をいたしましてから、着々と事業が進められてきて、まさにほんとうに公害の清掃係の役割りを果たしていただいているわけでありますが、私ども考えますのに、公害防止事業団業務、これが、あるいは地方の公共団体であるとか、あるいは各企業、こういったものの共同、個別は別といたしまして、問題を防止事業団へ持ち込んできて、注文を受けて事業団がそこで仕事をして、そしておあつらえ向きのものでおこたえをする、こういうふうな形になっておるのではないかと思うのであります。したがいまして、行政指導の面に関しては、厚生省なり通産省なりが担当して、関係各省と連絡をとってやるということになっておると思いますが、これまでの実績の上に立ちましても、この公害除去のために防止事業団が果たしてきております役割りというものを考えますと、単に注文を受けて生産をするというような形だけでなしに、防止事業団そのものにもう少し指導する役割りを与えて、そうしてこの指導業務実施というものを結びつけて仕事を進めていく、最先端に立って、国民と最も直結をする部分で、公害を除去していく仕事を推進をさせる、こういうことが非常に重要ではないかと私は考えるのであります。それも時期を待っておるんだと言われればそれまででありますけれども、環境基準設定等、いよいよ公害が日本の政治の一番中心の舞台へ浮かび上がってきました段階において、そういった抜本的な対策の一つとして、公害防止事業団にもう少し指導する役割りを与えるというふうなお考えは厚生省にないかどうか、この点だけお伺いをいたしておきたいと思います。
  30. 園田直

    園田国務大臣 公害対策については、しばしば御指摘を受けておりますとおりの実情でありまして、正直に申し上げますと、発生した現実の公害に対して、あわてて対策を講じておるというのが今日の段階であります。しかし、公害というものは、御承知のとおりに、将来起こるであろう事態を予想して、企業の形態あるいは都市の計画等を考えてやるべきでありまして、今日では産業の発展とともにどんどん事件が出てきております。それをいまなお環境基準設定さえも法律案の準備中であって、逐次勃発する事件に対処するという救急対策の状態でありますから、御指摘のとおりに、事業団は各省の要求に応じて仕事をやるという関係になっておりますから、将来は主管庁である厚生省が全国の実情を調査をし、来たるべき事態を予想し、事業団と連絡をし、事業団自体もまたみずからの力によって指導して、公害を未然に防止し、起こった公害に対して早急に対策を講じるというような体制をとらなければならぬことは御指摘のとおりだと存じます。
  31. 藤波孝生

    藤波委員 通産省に関して若干のお尋ねをしたいことがありますが、以上で私の質問を終わります。
  32. 山崎始男

    山崎委員長 島本虎三君。
  33. 島本虎三

    ○島本委員 大臣厚生大臣だけのようでございます。  まず園田厚生大臣伺いますが、私はこの産業公害対策特別委員会委員として、また理事として、前回からの継続において、いろいろ問題点があるわけでございます。その問題点の大きい点、それだけ一、二御所見とあわせて伺いたいと思うわけです。  そこで、以前の高度経済成長政策、いわば所得倍増計画という名でアピールしたのが、いまはなき池田勇人前総理大臣であった。そのあと人間尊重、社会開発、このふれ込みで、また現在その衝に当たっているのが佐藤総理である。そうすると、その違いは何だ、こういうようなことになりますと、経済成長のもたらすひずみ是正であり、具体的には公害問題の解決なんだ、こういうことに相なろうかと思うのです。そうすると、現在の政府の政策を具体的に実施させるのは、いわば副総理の役目を負わされているのは、その名前はありませんが、園田厚生大臣だ。したがって任務はまことに重い。いままでの伴食大臣とは違う、こういうように私自身思っておるのでございますが、園田厚生大臣、いかがでございましょう。
  34. 園田直

    園田国務大臣 責任の重大さはまさにそのとおりであると考えております。
  35. 島本虎三

    ○島本委員 では次に、以前からずっと要請されている懸案の一つの、国家行政組織法第三条による強力な委員会にしなくとも、各省間の調整は総理を中心にしてりっぱにやっていけるから、こういうようなものは必要ないと言明してきたのが坊前厚生大臣であり、佐藤総理その人であったわけであります。最近の情勢を見ますと、この中で最もわれわれが心配しておりましたところの公害関係の、それもその基本をなすと思われる公害紛争処理被害者救済、この問題については関係各省間の意見が整わなくて、厚生省はまさにピンチに陥っているという新聞情報があるのでありますけれども、そうするとその重要性を認識し、そして国家行政組織法以上にりっぱに運営すると言っているこの調整ができないわけはないのでありますけれども、これはどういうふうないきさつになっておりますか。これも明らかにしていただきたいと思います。
  36. 園田直

    園田国務大臣 このような問題を政府各省関係の調整をはかるために、強力な委員会をつくることがいいかどうかという意見は、前はどう言われておりますかわかりませんが、御承知のとおりに、公害に関する所管官庁は多岐にわたっておる。しかもそれは当然であって、その多岐にわたるたとえば建設省、通産省厚生省、こういう各省にわたる諸問題を処理するのには、やはり総理大臣中心にした横につながった体系的な機関が必要であるとは考えますが、いずれにいたしましても、現在はこの紛争処理の問題では、わがほうと通産省と主として話をしておる段階でございます。しかし御指摘のとおりに、今日の事態を考ええますと、漫然とただ内部の折衝に終わっておるわけにもまいりませんから、通産省とも話をして、時期を切って事務当局の見解を調整し、さらにその時期が来たならば、大臣同士話し合いをして、これは内々のものではなくて、堂々と、どういう点が問題になっておるか、これを皆さま方の御批判も仰ぎつつ解決していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  37. 島本虎三

    ○島本委員 当然それは前回から引き続いての、厚生大臣としてやらなければならない政策であります。これはやらなければならないのであります。  それで、特にこれは通産省に聞いてみたいと思いますが、公害基本法ができまして以後、その運営の点においては、一元化せいというわれわれの意向より以上に、現在の組織のほうがこれをやるのによろしいのであるという構想のもとに、これは行なわれているのです。これじゃ強力に行なわれないおそれがあるから、一元化方式をとりなさい、その方式は、国家行政組織法第三条によるいわゆる公取のような委員会でどうなんだ、これに対して、それ以上にやれるから必要なしということだった。そうしてその根本をなすのは、公害基本法ができて、公害問題の解決には、国民の健康を第一とするか、産業保護に重点を置くか、これは国民の健康が第一であるというのが、いわゆる基本法第一条によって明確になったのであります。そうなりますと、基本法の精神にのっとってやるためには、この公害紛争処理被害者救済——たとえばこれはかりの立法だとすると、このような法律は意思の疎通がなくてできないということはあり得ないのです。国民の健康が第一、これが一条によって明確にしるされているのです。産業との調和、これは注意立法になっているのです。この辺のかね合いを、前回から一貫してきているこの産業公害対策特別委員会の中で、大臣がかわるから、そのたびごとにその考え方がぐらつく、こういうようなことじゃ困ると思うのです。厚生大臣、こういうような意味で、あなたの責任もまことに重要なんですから、他の大臣を督励して、早くこの法律を立法化させる必要があろうかと思います。これは準備はだいじょうぶですか。今国会に提案できますか。
  38. 園田直

    園田国務大臣 ただいまの御意見は、この前の委員会でも——予算委員会か当委員会か覚えておりませんが、発言したと思いますが、紛争の処理救済については、御指摘のとおりに、公取以上の権威ある委員会をつくって、そしてその委員会が相当な権威を持って処理できるようにしたいという考え方が私の考え方であります。従来の大臣との食い違いがございますれば、これは政府部内において、私は責任を持って、そのように説明申し上げていきたいと考えております。  そこで、ただいま意見が出ておりますが、この意見は、通産省が悪いとか厚生省が悪いとかいうことでなくて、厚生省は、御承知のごとく、生存権と生命権の擁護の立場から主張するし、通産省企業の育成指導という点から主張されるので、そこに若干の食い違いがあると思いますが、ただ事務当局だけで話しておりますと、その範囲からなかなか出ることができません。その両面よりもっと大きいのは、今日出されている公害対策という社会的な重大問題のほうが大きな問題でありますから、これは時期が来たならば、なるべく表面に出すようにして論議していけば、お説のとおりにまとまるのではないか、こういうわけで、早急にまとめたいと思っておるわけであります。
  39. 島本虎三

    ○島本委員 その考え方は理解できます。早急にまとめたいというその誠意ある考え方は、私自身も賛成であります。ただ、その両省の考え方の違いの中で、いままであらわれた公害紛争処理または被害者の救済という、こういうような一つの命題のもとにあらわれたデータは、科学的でなく、それを認めると、企業側の責任がいままでの点を全部含めて認めざるを得ないような結果になることを半ばおそれて、八分の五、この数字による明らかな負担さえもこれをがえんじないのだ、こういうようなことがないならば、もっと違った方法ならばやってもいいんだ、こういうようなことを考えているとかいないとかということを漏れ承るのでございまするけれども、これはそれより先にやらなければならない問題なんです。裁判で争われている問題がございましても、その解決がいかようにつきましても、それはその時点においての決定なんです。基本法ができて以後のやらなければならないことは、無条件にこれらを救済しなければならないのでございますから、そこはやはりいままでのメンツ、また各省間のなわ張り争い、こういうようなセクト性を捨てて——これはまさに厚生大臣のもとに、強力にこれを実施しなければならないはずなんであります。それで、通産省のほうでは、やはりこの問題に対しては、何か科学的でないとか、これを認めることによっていままでの自己責任をはっきり認めることになるとか、こういうようなおそれがあるとかということを言っておるというのですが、はたしてこれは事実ですか。厚生省でなく、通産省公害部長。
  40. 矢島嗣郎

    矢島説明員 先ほどから先生のお話で、紛争処理と被害者の救済につきまして、通産省厚生省とに基本的に意見の違いがあるとか、あるいは通産省企業の育成とか保護とかいう観点から考えておるために、国民の健康保護という第一義を無視しておるというお話がございましたが、別にそういう観点から意見の対立などはないわけでございまして、この問題、そもそも不幸にして予算が計上されなかったために、十分詰める機会がなかったのですが、特に私の考えますところでは、通産省厚生省、この二つの省に大きな意見の対立とかなんとかがあったために、そういうことになっているということではないと思います。この問題につきましては、私のほうの省は直接関係ないわけですが、いろいろの省の関係で、法律上いろいろな問題があるということで、十分詰める機会がないままに今日に至ったわけでありまして、特に基本的な対立がある、そういうようなものではございません。
  41. 島本虎三

    ○島本委員 やはり大臣でないとだめだということになってしまうのです、それなら。問題は具体的なんです。八分の五が企業側、八分の一が国、八分の一が都道府県、八分の一が市町村、きわめて具体的に出ておるのです。これはやれないわけはないです。何か聞くところによると、これと別にこういうような制度をつくって、恩恵的に実施してみたらいいというようなことが、財界からの試案として出されておると聞いておるのですが、どうしてそれができてこれができないのですか。私はその考え方がおかしいと思う。その考え方を通産省は助長しておるのじゃありませんか。もしそうでなかったならば、原案を認めたらいいじゃありませんか。どうも、言っておることとやっておることが違うじゃありませんか。もう一回そこをはっきりしてください。
  42. 矢島嗣郎

    矢島説明員 基本的な対立はございませんけれども、通産省に限らず、各省でいろいろ問題が指摘されておるために、不幸にして今日までに本案が日の目を見ないわけでございますが、先生御指摘のとおり、確かに原因者の範囲とその負担の割合をどんぴしゃりときめるというようなことに、本件の一つの問題があるということは、私どもとしては否定できないわけでございまして、それが確かに一つの点ではあると思います。それから、先生が先ほど御指摘になりました財界云々というのは、内部でそういうような意向を検討しておる向きがありますけれども、それは、予算がつかなかったために、とりあえず四十三年度からどういうふうにしていったらいいかということを心配しておる向きの者が言っておる意見だと思います。
  43. 島本虎三

    ○島本委員 予算がつかなかったのは残念なんです。したがって、これが日の目を見ないということがあったならば、とんでもないことになるのです。しかしながら、財界だけでこういうような組織をつくれるということだった場合には、この法律の原案を認めることもできるのじゃないかと思うのです。それができないというところが、私はどうしてもわからない。自分らだけでやって恩恵的に施すことはいたします、しかしながら、これが義務づけられ、そしてこれが法律化され、そのもとに八分の五の負担を負うことはごめんこうむる、結果的にどう違うのですか。自分らだけならやりましょう、しかしこの法律のもとにやるのは反対だ、こういうようなことは、私はあり得べきことじゃないと思うのです。やはり大臣がいないと、幾らあなたを責めたってしょうがない。厚生大臣、これはどう思います。
  44. 園田直

    園田国務大臣 この問題は、やはり関係各省が率直に、御指摘のとおりに、いままでの経緯とか、あるいはかりに役所のなわ張り根性があるとするならば、そういうものを捨てて、そして時代の要求というものを痛切に痛感をしなければならぬ。私はそこに問題があるのじゃないかと率直に考えます。私としては、厚生省の事務当局にも十分反省するように言いますし、なおまた、具体的に事務当局で合わない点があるならば、合わない点は合わないままに上にあげてくるように、事務当局に命じたいと考えております。そして、われわれ、またはその上の線で折衝してきめる。そうしなければ、いたずらに遷延をして——一方には公害のために生命と生存権が脅かされつつ、そういう事態を目の前にして、あいまいな国会答弁だけで遷延することは、これは政府としても国会としても許されない、こういう問題であるということを痛切に感じておりまするから、御質問並びに御指摘の趣旨はよくわかっておりますから、そういう趣旨に従って、私は事務当局を督励していきたいと思います。ただ、この席で言うべきことではありませんけれども、やはりいま御指摘の、政府企業体とそれから地方自治体、関係団体の責任において救済処置をしたいという考え方を、責任をきめつけては困るから、やはり企業体の寄付等によってやろうという考え方は、私は賛成できません。しかも、そういう案があるならば、これは事務当局同士で話し合うべきであって、新聞で初めてそういう意見厚生大臣が見ることは、私としては遺憾でございます。
  45. 島本虎三

    ○島本委員 その点は、私も遺憾であります。では、それ以外の点でいいというならば、大気汚染防止法はいつごろ出る予定でございますか。
  46. 園田直

    園田国務大臣 今国会にぜひ間に合うように準備をします。
  47. 島本虎三

    ○島本委員 騒音規制法はいつ出る見込みでございますか。
  48. 園田直

    園田国務大臣 これも、そのとおりでございます。
  49. 島本虎三

    ○島本委員 今国会のどの辺で出る見込みでございますか。
  50. 園田直

    園田国務大臣 二つの法案については、個々の問題については、なおまだまとまらぬ点があるようでございますが、本筋についてはまとまっておるようでございまして、事務的な処理段階でございますから、日にちはいつとは申し上げられませんけれども、責任をもって、早急に出してまいりたいと考えております。
  51. 島本虎三

    ○島本委員 わかりました。それを誠意をもって期待しております。  通産当局、ばい煙施設の点で、届け出制を許可制にする点、それからばい煙排出の基準をきめ、燃料規制まで行なう点、こういうような点では、何か抵抗があるということを聞いておるのですが、いかような観点からこれは抵抗があるのですか。
  52. 矢島嗣郎

    矢島説明員 いまの二点につきましては、結論から申し上げますと、特に抵抗があるわけではございませんが、具体的に申し上げますと、立地規制につきましては、すでに昨年より、通産省におきまして工業立地適正化法というものを研究しておるわけですが、その中にもちゃんとのせておりまして、立地規制については特に抵抗はございません。それから、これが入るか入らないかは別といたしまして、排出規制強化するという方向につきましても、これは特に抵抗はございません。
  53. 島本虎三

    ○島本委員 工場立地適正化法案、これは実体は公害対策の一部なんですから、これに抵抗があるのはおかしいのです。これは抵抗がないのが正しい。こういうふうな観点から、これはもっともっと話し合うべきだ。こんなところでなわ張り争いをすべきでありません。  それともう一つは、この火力発電所の規制の問題で、電気事業法ですかガス事業法、こういうふうなものがある以上、これは十分だという考え方があるということも聞いております。それで十分だとするならば、その立ち入り検査はどういうふうにして可能なのか、届け出、改善命令はいかようにしてこれを容易に行ない得るのか、この二つ観点を明らかにしてもらいたいと思います。
  54. 矢島嗣郎

    矢島説明員 火力発電所に対するばい煙規制につきましては、おおむね現在のばい煙規制法によっているわけでございますが、御指摘の届け出とか改善命令とか立ち入り検査につきましては、一応ばい煙規制法の適用から除外いたしまして、電気事業法によってやっております。したがって、電気事業法によりまして——電気事業法というのは、施設の許可からずっと一貫してやっているわけでございますので、その中におきまして、届け出に相当する部分は当然行なわれておりますし、必要な改善命令も相当条文でやることもできますし、立ち入り検査も、相当条文でやることができることになっております。
  55. 島本虎三

    ○島本委員 それは法によって、それぞれの官庁で個々にやり得る。それならば運輸省自動車排気ガス規制、これは現在の道路運送車両法の運用強化で十分だ、こうお考えになっておられるようですけれども、そうだとすると、これは、新車はわかるにしても、中古車、現行のもの、こういうふうなものの一つの基準を、どういうふうにしてこれを指導せんとするのか、この点も明らかにしておいてもらいたいと思います。
  56. 内村信行

    ○内村説明員 自動車排気ガス規制につきましては、先生いまおっしゃいましたように、新車については、四十二年から以降すでに一酸化炭素三%以下ということになっております。そこで、現在使用中の車の排気ガス規制をどうするか、こういう問題でございますが、これにつきましては、一律に何%以下というふうな規制のしかたはいたしておりません。ただその整備のしかたについての基準をつくる、こういう方針になっております。と申しますのは、自動車使用期間が長くなりますと、だんだん排気ガスも多く出てまいります。そういうところから、追跡調査などをいたしまして、一本どういうふうに使ったらどういうふうなふえ方をするのか、あるいは整備前、整備後では一体どういうふうに違ってくるのか、こういうふうなことを個々の車について、あるいは追跡調査をしたり、あるいは整備前、整備後の調査をいたしまして、そういった調査に基づきまして、排気ガス点検整備要領というものを四十二年十二月に作成いたしまして、それによって、いま排気ガスを極力少なくするようにやっております。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 それは運輸省のほうでやっておられるわけですね。片や通産省のほうでは、法によってこういうふうな規制措置まで行なう、運輸省も同じようにこれを行なう。そういたしますと、今度は大気汚染対策としての現行法の規制が十分であり、それに対する手当てが十分である場合は問題はありません。しかし、公害問題としていま発生している諸問題は、現行法だけの規制では弱過ぎる。したがって、こういうような公害の被害者が発生している。私どもは、各省ばらばらになっているような対策では弱い、したがって、この際一本化した規制を強めるべきだと思い、そのために一元化が必要だ、こういうふうに述べているのに対して、そうしなくても、これは十分関係法の中でやれますというのが総理はじめ関係大臣の答弁であったわけであります。したがって、これはばらばらであってはいけない。一元化すると同じような効力がなければ、前の答弁は全部うそだということになってしまうのです。いま聞いてみましても、私どもとしては、まだまだばらばらの感なきにしもあらず。そうして中古、それから現行車に対しては何ら手も打てない。それから通産省所管の大気汚染の面、その分では火力発電所関係規制、これも個々ではやれるけれども、十分ではない。そうすると、やはり一元化したところの強力な一つの規制、こういうふうなものが必要だということになるじゃありませんか。やはりこの点で話し合いをすべきなんです。厚生省、やっていますか、これは事務当局……。
  58. 松尾正雄

    松尾政府委員 私どもは、大気汚染問題をとらえます場合に、新しい公害基本法では、環境基準という概念も打ち出されておるわけでございます。したがいまして、古い時代のばい煙規制法、ただいまのばい煙規制法が、ただ一本ごとの煙突の排出基準をきめるという観点に立っておりますのに対して、公害基本法ができた暁におけるこの大気汚染というものは、やはり大気を一つの全体としてとらえるという形で、やはり規制なり、そういうことができるような体系が必要である。そういった観点から、ただいま御指摘のような火力発電等の問題にいたしましても、これはそれぞれの面で規制をし、監督をすることは可能でございます。その地域における他の工場等との関連を考えますれば、たとえば都道府県知事が行ないますところの大気汚染規制というものは、やはりそれも取り込んで、一環として行なうべきではないか、こういう形で、私どもはその主張をいろいろと述べて折衝中でございます。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 せっかくの皆さん方の答弁は、私は心から満足するものではありませんが、誠意は認められます。点数つけて八十五点はやれると思います。しかしながら、これで満足して何もやらなければゼロになるのであります。私は、そういうような点から、特に皆さんに要望しておきたいと思います。これは、今後の関係立法はできるだけ早く出してもらうこと、各省間の意思の疎通は可及的すみやかにこれをつけること、そして問題になっているあの紛争処理関係法律案は、その上に立って早く今国会に間に合わせて出すこと、これを強力に要請しておきたいと思いますが、要請にこたえましょうか、厚生大臣
  60. 園田直

    園田国務大臣 御意見のとおりに、誠意を持って推進をいたします。
  61. 島本虎三

    ○島本委員 次に、問題の公害防止事業団法の一部改正法案に入らしてもらいたいと思います。  まず、今回の場合の、一億円政府が出したのは、これは出資ですか、融資ですか、どちらになっていましたか。
  62. 原文兵衞

    ○原参考人 これは政府出資でございます。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 その政府出資は、適用するのは、今回の場合は、特に札幌にのみ限定するとありますが、これは札幌のみの限定でございますか。今後は類似のものは一切扱わないということですか。
  64. 原文兵衞

    ○原参考人 先ほど私がお答えいたしましたのは、いままで公害防止事業団事業を進めるについては、全部財投の借り入れ金だけでやっておりまして、いわゆる政府出資というものはなかったのでございますが、四十三年度初めて政府出資を認められる、こういうので、その額が一応一億円を計上されたわけでございます。  それから、ただいまのお話の問題は、例の集中暖房に対して、いままでああいう種類のものにはたして融資ができるかどうかという点について、若干疑問もありましたし、またそういう具体的な事例が出てまいりませんでしたのでございますが、札幌集中暖房の計画があり、これについてぜひ公害防止事業団から融資をしてもらいたいということもありまして、これは監督官庁といろいろ御相談もいたしまして、お願いもいたしまして、そういうものに対する融資ワクを四十三年度の予算の中に入れていただいたわけでございます。したがって、一応四十三年度予算では、集中暖房については、札幌以外のところには計画はございませんけれども、将来そういうような計画が出てきた場合、四十三年度予算には、それは入っておりませんが、将来は、いわゆる集中暖房であるということで、札幌に固定したものではございませんので、他の地域にでも、そういう必要があれば、融資できるというふうに考えております。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 そういたしますと、公害基本法によって、産業公害と都市公害二つあることになっております。その産業公害に限定したから、札幌のみに適用という苦しいただし書きがあるのではなかろうか、将来これを発展させようとするならば、当然都市公害にも利用させるということが、いわゆる社会開発であり、人間尊重にもつながる政策なのであります。産業公害にのみ限定をして、これができるでしょうか。この点、大臣いかがです。
  66. 園田直

    園田国務大臣 札幌のただし書きがありまするのは、産業公害から都市公害に第一歩を踏み出したものと解釈していただいてけっこうであります。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 では、産業公害という名であるけれども、その趣旨と内容は、都市公害もだいぶ含むものである。したがって、今後、都市公害融資する面を積極的に考えてもよろしい、こういうふうに私理解しておきたいと思いますが、大臣よろしゅうございますか。
  68. 園田直

    園田国務大臣 御趣旨のとおりであります。
  69. 島本虎三

    ○島本委員 その場合には、当然今度は利息の問題になろうかと思います。現在のような高利では、中小企業を含むところの都市公害施設の面に十分融資するということになりますると、もっと下げてやれるような配慮も必要になってまいるのではないか、こう思われます。現行でも〇・五%ですか、これは下げておりますから、まあかつてない画期的なやり方だ、こう言わざるを得ない。私は、その点においては敬意を表するのです。しかしながら、今後都市公害の面に幅を広げて、これを実施させようとすると、もっともっとこれは下げなければ、当初の趣旨を貫徹することはできないようなことに相なってしまう。この点、今後利幅の引き下げを考慮する決意ですか、どうですか。
  70. 園田直

    園田国務大臣 公害対策施設整備のために、低利融資強化は、各方面からしばしば要望されているところでありまして、そのために、公害事業団発足以来、毎年金利引き下げは考慮してまいりましたが、明年度は御承知のとおりでございまして、その見返り財源として政府出資の一億、あるいは事業団に対する補給金の九百七十万円の交付を行なうように、予算措置はいたしたのでありますが、将来についても現状のままでいいということではなくて、さらに金利引き下げは重要な問題と考えて、今後とも一そう十分な配慮をすべきであると考えております。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 したがって、その配慮の上に立って、今後こういうふうな一つのばい煙の排出の規制、こういうようなものを主にしたところの都市公害の排除、こういうような点まで進めてまいるというようなことになりますると、今度は事業に対する大幅な改正と、適用範囲の拡大、こういうようなことが問題になると同時に、融資条件についても改善する必要が当然出てくるわけであります。それはもういなむことはできません。私は、そういうような点からして、今後やはりこの点では強力に指導しなければならないと思います。前の発言者も、その点では強力な要請がありました。事業があって、それから起こる公害に関する分だけ防止事業団融資してやるんだ、こういうような考え方ではなく、事業を行なわんとするならば、必ずその事業から引き起こされる、何か被害を受ける人があるはずだ、公害があるはずだ。そうするならば、事業と一緒に公害防止事業団も常に動くか、それより先に、こういうことをしなさいという指導的見地から、今後強力に動く必要があるわけです。いま政府のほうで公害問題が大きくなってきたということは、公害防止事業団が計画のうしろにかぼそくついていくから、こういうようなことになるわけであります。これらのあらゆる点を克服して、事業の先へついていってごらんなさい。これはりっぱな施設になるじゃありませんか。  私が事業団に要望したいことは、今後事業の位置づけとして、事業あとからついていくのではなくて、その先に、必ずこれだけの施設条件を改善しなさい、そのための融資はこうです、これも低利であります、わからなければ指導いたします、こういうようなところまで強力にやっていかなければならないと思うのであります。理事長はそのくらいの気がまえがなければ、今後の複雑な時代に対処することにはならない。また、それがだめならば、大臣に対してどんどんそれを要望して、改善をはからなければならないと思うのです。この点等については、いかがでございますか。
  72. 原文兵衞

    ○原参考人 全くお説のとおり、私もそのとおりだろうと思っております。当事業団といたしまして、現在も、法律事業団でやれる範囲のことでは企業側にも働きかけまして、いろいろな施設をつくるように、法律上、指導ということばでわれわれのほうではいまできないかもしれませんが、働きかけることは事実でございます。  同時にまた、おっしゃるように、今後、工場建設、特に新しい工業地帯になるというようなところについては、あらかじめ公害を起こさないような予防措置を講ずるということは当然のことでございまして、私どものほうも、特に融資その他についても、対象地域制限も撤廃されましたものでございますから、公害が予想される地域にあらかじめ予防措置を講ずるように、いろいろとできる範囲のことで努力をしてまいりたいし、また将来さらに事業団業務範囲なり、あるいはやり方なりについて、拡充していただかなければならない点につきましては、関係官庁のほうにも十分お願いをして、一生懸命努力してまいりたい。こういうふうに思います。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 そういうような意味で、これがぐんぐん進んでいくことは望ましいことであります。そのためには地域暖房事業法、これは仮称でございますけれども、そういうような特別立法の制定、そして今後の円滑かつ適正な運営をはからせ、そして、これを進めていくことが厚生省としても、通産省としても、これは当然考えてもいい段階にくるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。そのバックアップをするのがいまの公害防止事業団、その意図も十分わかりましたが、地域暖房事業法、こういうようなものを今後制定し、この方面の運営の円滑を期する意図がありますかどうか。この辺御意見を伺わしてもらいたいと思います。
  74. 松尾正雄

    松尾政府委員 いわゆる都市公害というものの非常に基本的な解決策の一つといたしまして、そういう都市の集中暖房というものをはかっていくという必要性については、私どもも同感でございます。先生御提案のような特別のそういう事業法というものが必要であるかどうか。また、そういうものがはたして日本においてどの程度まで早急に具体化できるものであるかどうかという状態、かようなものもいろいろと検討しなければならない問題があるかと存じますので、そういった点については、十分研究をさせていただきたいと思います。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 どうせ、うんとこういう事業は発展してまいります。これはもうたなごころをさすように明らかです。こうなりましたら、当然そのあとに来るものはこういうような立法化ということになりますから、これはあらかじめ、私もそのために皆さんにひとつ提起をしておきたいと思います。今後の公害防止事業を都市公害の面まで発展させ、その具体的なあらわれとして、集中暖房がここに取り上げられた。その過程では、今後そういうような事業を円満かつ適正に運営するためには、その方面の立法が必要だということは当然であります。これは今後前向きで検討されるように望んでやみません。いまの答弁、そのとおりでよろしゅうございますか、厚生大臣
  76. 園田直

    園田国務大臣 先ほどから言われました、公害対策を、特に公害防止事業団事業を予防的見地からやれという御意見でございましたが、私、全くそのとおりであると考えておりまして、今日の公害対策が、公害を救う対策から公害を防ぐ対策へ移ることが基本線である、 こう考えております。現在でも、事業団では、緩衝地帯の設定事業、あるいは起こるであろう地域に対する公害事業等をその対象にしておりまするが、将来とも、そういう予防的見地の範囲の配慮をいたしてまいりたいと考えております。  なお、いまの都市の集中暖房に対する事業法というような法律は、正直に申し上げまして、今度やりまするのは、産業公害から都市公害へ踏み出す第一歩であって、いわばモデルケースともいうべきものでありますから、この事業をやりつつ、先ほど御意見の中にもずっとありましたとおりに、今後どしどし都市公害へと踏み出していろいろ問題が出てくる段階に、その時期等も見合わせつつ、前向きで検討したいと考えます。
  77. 島本虎三

    ○島本委員 それじゃ、公害防止事業団法の一部改正法案についての私の質疑は、この次の一問で終わりにしたいと思います。  その最後の質問というのは、いま理事長のほうから、各省間の連絡を緊密にしたいという御意見がございましたが、札幌の特別の集中暖房の問題、これを実施する上に、成果をりっぱにあげるためには、協力体制が必要なんであります。その協力体制の主たるものは、まず、官公庁のこれに対する手助けであります。それはどういうことか。日本国有鉄道の関係では、あの計画の中には、当然札幌鉄道管理局があるわけでございます。そこでは、特別の暖房を自分でやっております。御存じのとおりです。それと、郵政省の関係では札幌中央郵便局がございます。それも暖房は自分でやっております。そのほか、大蔵省の関係では札幌第一合同庁舎がございます。林野庁の関係では札幌営林局がございます。同じ郵政省の関係では、札幌郵政局がございます。農林省の関係では、北海道食糧事務所がございます。日本電信電話公社の関係では、北海道電気通信局、札幌中央電報局、札幌大通電話局等がございます。それと、国民金融公庫の関係では、国民金融公庫札幌支店があるわけです。そして、農林中央金庫の関係では、農林中央金庫札幌支所があります。これらのビル、これらの関係官庁、こういうようなものは、一斉に協力体制をとらないと、これは成功しないのであります。これは各省間の連絡にもなります。この辺は、事業実施させるためにも、これは十分考えてやらねばならぬはずなんですが、これは主務大臣たる厚生大臣の責任で、十分な成果をあげるために、各省間の連絡を緊密にさしてやり、協力体制を整えてやるべきだと私は思いますが、この点いかがなものでございますか。
  78. 園田直

    園田国務大臣 御意見のとおりであると考えております。
  79. 島本虎三

    ○島本委員 やるのですか。やらないのですか。
  80. 園田直

    園田国務大臣 やります。
  81. 島本虎三

    ○島本委員 通産大臣、いらっしておりますか。
  82. 山崎始男

    山崎委員長 政務次官です。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 それと、企画庁の政務次官は。
  84. 山崎始男

    山崎委員長 見えていらっしゃいます。
  85. 島本虎三

    ○島本委員 まず、先に、経済企画庁の政務次官にお伺いしておきたいのですが、私の手元にありますのが、宮澤経済企画庁長官のあいあつなんです。あいさつというのは、所信表明なんでございます。公害対策について、いま、経済企画庁としてはこういうふうにしてやりたい、こういうふうな意思表明なんです。ところが、二月の二十八日と去年の十二月二十二日と、同じ大臣で二回やっているわけであります。その十二月二十二日にやった経済企画庁の宮澤長官の所信表明では、「公害対策基本法が制定されましたが、これに関連いたしまして、流水基準設定規制対象拡大等につき、目下、水質保全法の改正を検討しているところであります。」、これは書いてあるとおりです。これははっきり言っておるのです。今度二十八日に、山崎委員長のもとで、この五十八国会に対する所信表明がございます。その際に「これに関連いたしまして、環境基準設定規制対象拡大等につき検討を続けているところであります。」、これで切れてしまって、いるわけであります。そうすると、十二月二十二日には、これは当然流水基準設定規制対象拡大等について、現在懸案になっている水質保全法関係改正も十分検討して提案いたしますよ、という説明なんです。今度の場合にはそれだけ除かれて出されている。そうすると、これは前にはやると言った。今度はやらないというのと同じ結果になるのでございまして、そういうようなことではなかろうと思うのですけれども、これはいかがなものでございますか。これはやわらかくていいですから……。
  86. 山下春江

    ○山下政府委員 御指摘の、表現の方法につきましては若干違っておりますけれども、内容は全く同じことを考えておるのでございまして、変更はございません。
  87. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、十二月二十二日に言ったことと二月二十八日に言ったことは、後者においては字句が、具体的に言ったことがすべて抜かれておるのは、これは準備が全部できていて、いつでも出せるから、あえて言う必要がありません、したがって、これはあえて言いません、こういうような意味で抜いたのでございますか。
  88. 山下春江

    ○山下政府委員 準備が全くできたということとも違いますが、しかしながら、何とかして改正をいたしたいというので、企画庁としては鋭意検討をいたしまして、企画庁としての案はようやくまとまりまして、いま各省といろいろ協議を進めておる段階でございます。
  89. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、くどいようでございますけれども、これは一つ大事なところでございます。水質汚濁防止関係法律の制定について、これはもう考えているというふうに解釈する。それは、基本法ができて、今度は実施法の段階になりまして、水質関係の二法、これはしり抜けであるというようなことから、この改正が要望として出されておったやさきでございます。そういうようなことから、当然、この水質汚濁関係法律をまとめて防止法としてお出しになるということに私は考えていいかどうか、これはひとつ……。
  90. 山下春江

    ○山下政府委員 たいへん大切な水の問題でございますから、もちろん御発言のとおり出したいのでございますが、ただいま各省と協議中でございまして、厚生省とも通産省ともよく協議をいたしまして、なるべくすみやかにその結論を出す考えでございます。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 そういたしますと、規制対象、それから環境の基準、排水基準規制権限、設置の許可の要件、緊急時の措置規制の担保、下水道整備の促進、こういうような点は具体的に調査されておる、こういうことはなんですか、政務次官でなくともよい、事務当局……。
  92. 今泉一郎

    ○今泉政府委員 御趣旨のとおりでございまして、前回、宮澤大臣が昨年末、ここで所信表明されたとき以来、御指摘のような点につきまして、いろいろ検討を進めておる状況でございます。
  93. 島本虎三

    ○島本委員 資料としてお願いしておきます。いままでの素案でけっこうです。これはまことに重大でございますので、私のほうへ資料として提出願いたいと思います。資料を出せますかどうか。
  94. 今泉一郎

    ○今泉政府委員 すみやかに御提出申し上げたいと思います。
  95. 島本虎三

    ○島本委員 経済企画庁関係は、これで終わります。御苦労さんでございます。  あとは、通産省関係です。これは別にどうということではありませんが、次官が来なかったので、厚生大臣一人が大奮闘しておったわけです。要は、これはもう、公害関係立法で両省間の意思の疎通があまりうまくいっていない。これをいくように、誠心誠意やると厚生大臣は言っております。それを受けて立つ通産省側では、いろいろ具体的な問題がございます。具体的な問題はありますけれども、これは完全に克服して、関係立法は早期提出してもらいたい、こういうようなことなんですけれども、何のためにいままでおくれていたのか。巷間伝えられるところによると、だいぶ通産省の抵抗が多いということが伝えられておりますが、これは健康第一でありますから、あくまでも企業第二という見地から、双方の意思の、これはもう完全なる一致は、望むべくして望めるものでございますから、早くこれを誠心誠意を持ってやってもらいたい、こう思うのです。どうしていままで抵抗しておったのか、その点をひとつ言ってください。
  96. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 公害問題は、公害基本法の制定を見るまでもなく、当面の、解決を急がなければならぬいわゆる国民的課題だと思います。したがっていまお話しのような、各省間における意見の調整に手間どっておるということが、いかにも意見の対立のような印象を与えておることも、見方によっては、一部事実だと思いますけれども、そのような重要な問題なるがゆえに、ひとつ最善を尽くしてりっぱな法律をつくり上げようと、目下意見の調整を急いでおる、こういう状態でございまして、決して通産省企業側に味方して抵抗していると、こういうことは断じてない。問題は、一つ目的に向かって、日本政府として最善の努力をいします。
  97. 島本虎三

    ○島本委員 厚生大臣通産省は政務次官ですから、対等でないとお思いかもしれませんが、両者が言っていることが一致したわけでございます。一致した以上、紛争処理関係法律案も今国会に、両方とも一致したのですから、出せると思います。これを、希望的観測じゃなく、具体的な問題として私は了承し、質問を終わりたいのでございます。それはだいじょうぶですか。
  98. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 ひとつ御質問を終わっていただけるように、最善の努力をいたします。
  99. 島本虎三

    ○島本委員 じゃ、それで私は、もう出せるものであるという確約を得たことにして、質問を終わります。
  100. 藤波孝生

    藤波委員 先ほど、通産省関係で若干お伺い漏れがございますので、関連の形でお伺いをいたしたいと思います。  先ほど来、厚生大臣にいろいろお伺いをいたしたのですが、基本法に基づいて環境基準設定する段階へ入ってまいりまして、特に亜硫酸ガス大気汚染関係基準がいずれ近いうちに設定をせられる段階に入ってこようと思います。そういう中で、特に問題は、排煙脱硫重油脱硫、こういった技術開発をさらに積極的に進めて、徹底的に亜硫酸ガス対策を講じなければいかぬ、こういう話になってきたわけでありますが、先ほど来、通産省の部長の御説明では、いよいよ技術開発も相当進んで、四十四年、四十五年、四十六年、こういったところへ実用化の時代をぶつけていく、こういう時代がいよいよ来たのではないかと、私も楽しみに承ったのでございます。外務省関係でも、いろいろ一九七〇年と言われておりますけれども、私ども早くから、大体公害問題の一九七〇年対策というものをずいぶん叫んできたわけであります。その一つは、やはり脱硫実用化中心として、徹底的に亜硫酸ガス対策を講ずる、こういう考え方でまいったわけでございますけれども、そこで、この脱硫対策を講ずるにつきましては、どうしても資金が要る。大体重油と排煙両方考えましても、第一次で、全国的に考えますと、七百億から八百億の資金が必要ではなかろうか、このように私どもでも大ざっぱに考えられるのでございます。そこで、これをいよいよ企業が進めていく場合に、一つは、普通の利率ではなかなか持つまい、このように考えるのであります。公害防止という立場から、公害防止事業団融資対象としてこれをひとつ一元化をして、積極的にこの問題に取り組もうとするお考えがないか、これが一点であります。  もう一点は、なかなかこのコスト商を招来することになろうと思います。はたしてそれに耐え得るやいなや、各企業もでありますけれども、日本の産業が国際競争にうちかっていくことができるかどうかというような問題すら、四十五、四十六年あたりは起こってくるのではなかろうか、このように考えるのであります。公害は、非常にきびしい環境基準ができてくる、一方ではこれをどうしても解決をしなければいかぬ、その上に立って、通産省としてひとつこういった装置建設については、思い切った免税措置などの特典を講ずる考えはないか、これを第二点として、以上二点お伺いをいたしたいと思います。
  101. 藤井勝志

    ○藤井政府委員 大型プロジェクトによる重油脱硫施設研究の進行状態は、担当部長から御報告をいたしたいと思いますが、それがことしの末ないしは来年の中旬に実用化段階に入る。それを裏づける金融対策いかん、同時にまた企業側に対する租税特別措置の問題、全くお説のとおりでありまして、開銀融資の特利の問題等、今度は公害防止事業団もできておりますから、大いに事業団でも働いていただけるような財政措置は、四十四年度の予算編成においてぜひ実現をいたしたい、このように考えております。同時にまた、相当膨大な資金を寝かすわけですから、面接生産に直結しない資本投下になりますから、これが償却については特別償却を認めるということについて、所管は大蔵省でございますから、われわれは大蔵省に対して強く要請をしなければならぬという心準備で進めております。
  102. 藤波孝生

    藤波委員 幸い通産、厚生両省とも、非常に積極的にこの問題に取り組むという姿勢を承りましたので、以上で私の質問を終わります。
  103. 山崎始男

  104. 折小野良一

    ○折小野委員 公害対策につきまして、先ほど来厚生大臣その他から御答弁がございました。特に公害対策の一元化あるいは公害行政の一元化という問題につきまして、ただいま島本委員からもいろいろな御意見がございました。それに対しまして、大臣その他の御答弁も非常に真摯でございますし、前向きの姿勢は私どもも了といたします。しかしながら、現実は必ずしもそのとおりに合っていない。それによって被害を受けるのはだれか、これは国民であります。昨年公害対策基本法ができました。したがって、今国会におきましては、当然次の実施法が出るということを予定をして期待をしておる、これは国民、しかも公害によって被害を受けておる多くの国民でございます。そういう国民に対して、はたして政府としての姿勢がほんとうにその期待にこたえるような姿勢になっておるのかどうか、そういうような立場から、私どもは昨年も、公害行政の一本化、一元化ということを強く要請をいたしたわけでございますし、その際におきましても、総理大臣をはじめ、十分その効果を発揮するというふうにおっしゃっていただいた。しかし現実には、今国会において提案されることを予定されております公害三法、こういうようなものにつきまして、先ほどの御答弁のように、なかなか内部で問題がある、こういうふうにお聞きいたしております。すなわち国民期待にこたえ得ない。もし今国会成立しないということになりますならば、これは一年延びるわけです。公害は日一日と進んでいっております。その被害者も出ておりますし、被害者の数もますます多くなっていっておるわけであります。一年間ここに時日をおくということは、それだけ公害対策を非常におくらせる、国民の福利にどれだけ大きな影響があるか、こういうことを考えますならば——もちろんいいものをつくるために調整に時間をおかけになる、これはよくわかります。しかし、ほんとうに国民のために法をつくっていかなければならないということでありますならば、やはり一日も早くやっていく、こういう気持ちで御努力を願いたい、こういうふうに考ええるわけでございます。ひとつそういう国民に対して、ほんとうに何とか公害対策の効果を少しでもあげていこう、こういう姿勢でおっていただけますか、またそういう姿勢で今後促進をしていただけますか、特に大臣の御決意をお伺いいたしたいと思います。
  105. 園田直

    園田国務大臣 複雑なる公害が、各省にわたりまして、そのために公害対策実施上いろいろ難点をきたしていることは事実でございます。しかも現実を率直に申し上げますと、公害基本法ができまして初めて、公害問題は主管が厚生省であるということが明確になったような次第でございまして、その点から、いままでの惰性と慣例からくるつまずきもございますが、主管省がはっきりきまりまして、逐次連絡を取りつつやっているわけでございます。いまなおいろいろ御心配の点があるわけでございますが、十分一元化あるいは一体化という御意見の線を尊重しつつ、支障のないように、各省とも連絡をし、あるいは総理ともよく連携してやりたいと考えております。
  106. 折小野良一

    ○折小野委員 なお、現在のいろいろな制度の中におきまして、一元化を阻害するような面もたくさんあります。しかも国民の側から見て、これではどうしても困るのだといわれるようなこともいろいろあると思っております。公害防止事業をやっていく上におきまして、政府も御熱意を持っておられますから、いろいろな対策を講じておられます。たとえば公害防止のいろいろな施設をやりますための融資、こういうような制度もたくさんございます。しかし受ける国民として見た場合に、はたしてどういうところから受けたらいいのか、やはり戸惑いを感ずるのであります。あるいはこちらに行ってみて、いろいろ文句を言われて、また次に行ってみる、またその次に行ってみるというようなことになろうかと思うのであります。たとえば融資の面からいたしますと、開銀の融資がございます。それから中小企業金融公庫融資もあります。中小企業振興事業団融資もございます。それから今日問題になっておりますこの公害防止事業団融資もある。はたして国民はどこに持っていったら一番いいのか、あるいはどこの指導を受けたら一番いいのか、やはりこういう面になれない国民として、戸惑いを感ずるというのは当然なことではないかと思っておりますが、こういう制度的な面も、やはり一元化というたてまえから、しかも国民というものを考えました場合には、何とか統合してやっていく、こういうことによって、いろいろな施策が十分効果をあげる、また国民として十分活用させていただける、こういうような方向に考えていく必要があるのではなかろうかと思うのであります。ただいま申し上げましたのは一つの例でございますが、そういう面についてのお考えを承りたいと思います。
  107. 園田直

    園田国務大臣 公害対策の一体化に関連する御意見でありますが、御指摘のとおり、金融面についても個々多岐にわたっております。河川の水質の問題——あるいは河川の流域の砂利の採取については建設省、水源地の山地、田畑等については農林省、水質そのものは企画庁などというふうに、一本の川さえも各省に分かれております。したがいまして、いまのままで主管庁が責任を持って各省と連絡をとってやるにいたしましても、そういう点についてはやはり検討をし、調整をし、体系立てた一貫した方針のもとにやらなければならぬ、このように考えております。
  108. 折小野良一

    ○折小野委員 それでは、直接、公害防止事業団法の一部を改正する法律案に入ってまいりたいと思いますが、公害防止事業団は、政府のどの省の指揮監督を受けているのでございますか。
  109. 原文兵衞

    ○原参考人 厚生省通産省両省の監督でございます。
  110. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいま一元化ということを申し上げましたが、両省の監督を受けてやっていく、こういうような仕事のやり方、これにもやはりいろいろな問題があるのではなかろうかと思っております。事業団としましては、一つのことをやろうといたします場合に、他のほうからいろいろな意見も出てくる。その意見を調整してもらわなければなかなか仕事が進めていかれない。こういうような面があろうかと思うのですが、そういうような面について、事業団側の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
  111. 原文兵衞

    ○原参考人 現在までの事業団事業につきまして、実施計画の認可を受けるような場合に、同時に両省に認可の申請をして認可を受けておりますが、現在までのところで、特に両省にわたるために支障があったというような事実はございません。
  112. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまの問題に関連いたしまして、通産省で、公害防止事業団の監督費というものが予算に組んでございますが、その内容をお教え願いたいと思います。
  113. 矢島嗣郎

    矢島説明員 正確な数字をいまちょっと持ってまいりませんでしたが、通産省予算公害防止事業団の一般的な業務監督費として、約四十万円計上してございます。これは、公害防止事業団が四十年に発足いたしましたときから、ずっとこの種の予算はついておりまして、公害防止事業団の一般的な業務監督に必要な経費として、使用いたしております。
  114. 折小野良一

    ○折小野委員 二つの省で監督をするということになりますと、ただいま、現在までのところは別に支障が起こっていないというふうにおっしゃったわけでございますが、とかく支障が起こりやすいということは考えられていいんじゃなかろうかと思っております。昨年公害基本法ができまして、主管省が厚生省ということになったわけでございますが、今後この公害防止事業団の主管省を一本にまとめる、こういう御意思はございますか、お伺いいたしておきたいと思います。
  115. 園田直

    園田国務大臣 先ほどから申し上げますとおり、一番大事な問題でございまして、これもやはり両省が監督しているということは、私は、いままでの責任の所在が明確でなかった場合の惰性からきておるものと考えます。したがいまして、この問題については関係各省と話し合って、やはり公害対策の責任官庁であるならば、私のほうで責任を持つようにやらしていただきたい。しかしながら、決してそれはなわ張り根性で言うのではなくて、いろいろ支障があるならば、むしろ通産省でやってもらうなり、どこかやはり一カ所でやるようにするのが当然だ。いま問題がないと言いますのは、私、自分の判断ではありますが、事業団事業というものが、いまなお踏み出した程度であって、どんどん複雑なる公害対策に取り組むということになってまいりますと、やはり責任官庁は明確でなければならぬ、私はこのように考えます。
  116. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまの大臣の御答弁のような立場で、御検討、御善処をお願いいたしておきたいと思います。  ところで、それに関連あるかと思うのでございますが、事業団から出ておりますこの説明書によりますと、地域制限、これは現在ばい煙規制法の指定地域に限られておるということでございます。その個別融資でございますが、その地域制限が撤廃される予定である、こういうことになっております。これには撤廃されるということでございますが、撤廃するのはどこなのか、あるいは、こういうことを決定するのは事業団自体としてはできないのか、その点をお伺いいたします。
  117. 原文兵衞

    ○原参考人 現在、個別の企業に対する融資先の地域対象は、厚生省令、通産省令によって制限されております。またそれを受けて、私どものほうの業務方法書にもうたってございます。したがって厚生通産両省令の改正が必要でございまして、事業団自身で撤廃するというわけには、いまの仕組みでは、そういうふうにはなっておらないのでございます。
  118. 折小野良一

    ○折小野委員 私どもは、今後事業団が積極的に活躍して、そして公害防止に関するいろいろな事業を促進していってもらいたい、かように考えます。また、それが国民期待であろうと思います。そういう立場からいたしますと、このような程度の事業内容といいますか、これに関連する問題につきましては、現在まではしょうがないといたしまして、将来そのような省令は改正をされて、事業団でみずからの判断に基づいて決定できるこういう方法をとっていかれることが至当じゃないかと思うのでございますが、この点は厚生、通産、どちらでもけっこうですが、その立場において御答弁いただきたいと思います。
  119. 松尾正雄

    松尾政府委員 御指摘の点は、先ほど来お話がございましたように、厚生省令あるいは通商産業省令を廃止いたしまして、あと業務方法書事業団がおきめになる、こういうたてまえで進められるわけでございます。ただ、事業団でございますので、その業務方法書を決定するという承認は、ただいまは両省大臣に受けなければならぬということになっております。ただ、こういう問題の進め方につきましては、予算折衝の場合におきましても、通産、厚生両省一緒になりまして、同じ線で進んでまいっておるわけでございますから、それが、こういう予算成立しました暁において、さような改正をいたしますことは、何ら問題はないとお取りいただいてけっこうだと思います。
  120. 折小野良一

    ○折小野委員 ところで今度の法改正、そして予算の主眼でもありますこの一億円の出資であります。これは利子引き下げるというようなことを御説明になっておるようでございますが、具体的にこの一億円の出賀がどれだけの効果をあげるものであるか、その点についてはっきりしたものがございましたら、御答弁をいただきたいと思います。
  121. 原文兵衞

    ○原参考人 お手元に差し上げました資料にもございますが、四十三年度から金利を、従来、中小企業並びに地方公共団体に対しましては、当初三年間六分五厘、四年以降七分、大企業については、当初三年間七分、四年以降七分五厘とありましたのを、中小企業、地方公共団体についてはすべて六分五厘で通し、大企業については七分で通すということになりましたのと、さらにそのうちの共同公害防止施設については、中小企業と地方公共団体の六分五厘を、当初三年間だけさらに六分にする、すなわち五厘だけさらに下げるわけでございますが、大企業につきましては、当初三年間七分を、さらに二厘五毛下げて六分七厘五毛とするということになります。そういたしますと、私どものほうのいままでの資金は、全部財投から六分五厘で借り入れてまいりますので、どうしても逆ざやになるわけでございます。そこで、今度出資金、これは無利子の出資金でございますが、その一億と、それだけではいまの利下げの逆ざや分をカバーできませんので、それにプラス九百七十万円の補給金をいただきまして、一億円の運用とプラス九百七十万円の政府補給金によりまして、四十三年度の利下げの分をカバーする、こういうふうになっておるのでございます。
  122. 折小野良一

    ○折小野委員 そうしますと、今度の利子引き下げ、これに寄与するものは、一億円の運用益、これが四十三年度にプラスされるということでございますね。将来この事業がさらに進んでまいります場合に、今後政府補給金をふやすという方向で、この事業を推進されますか、あるいは将来さらに政府の出資金をふやしてもらう、こういう方向でやろうとせられますか、どういうふうにお考えでありますか。
  123. 原文兵衞

    ○原参考人 ただいまの問題は、事業団事業規模拡大と、先ほど来、金利につきまして、さらに金利引き下げる必要があるのじゃないかという御意見がたくさんございました。私どものほうも、実は金利引き下げ、特に中小企業等につきましては、もっと金利引き下げていただきたいという希望は持っているわけでございます。したがって、事業ワク金利引き下げの幅に応じまして、それをまかなえるだけの出資金でもって、さらに出資金だけによると非常に額が多くなるような場合には、補給金のほうもこれに並行してふやしていただくということの両面になろうかと思います。できれば出資金の運用益だけでカバーできることになればたいへんありがたいのでありますが、これはそれだけによりますと非常に大きな額になるようでありますので、どうなりますか、いずれにしても、私どもといたしましては、将来事業ワク拡大とさらに金利引き下げについて、監督官庁等にもお願いしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  124. 折小野良一

    ○折小野委員 この事業団法ができて事業団が発足しました当初におきましては、政府出資というものは全然予定をしておられなかった。今度初めてこの出資というものを法の改正によってやろうとされるわけでございますが、その辺の事情、すなわち補給金をふやすということと出資金を計上するということ、こういう考え方の違いがここで出てきたというのは、どういうようなお考えでございますが。あるいは実際運営上そこにどれほどの差があり、どれほどの効用をお感じになって、出資金を上げるというふうにされたのですか。その辺をお伺いいたしたいと思います。
  125. 原文兵衞

    ○原参考人 昭和四十年の十月に発足いたしまして、現在まで二年あまりたったわけでございますが、いままでの経験によりまして、この逆ざや分の利子補給金だけでやるということは、事業団事業を円滑に進める、また強力に推進するという意味合いにおいて、不十分な面を感じておりました。と申しますのは、事業団事業をやる上におきまして、やはり出資金の運用ができるということになりますと、たとえば土地の取得というような場合等におきまして、あらかじめ取得しておくというわけではございませんけれども、それに付設する事業等にやはり費用が要るというようなこともございますので、何といいましても、出資金の運用ができるということは、金利引き下げをカバーすると同時に、事業団自身の事業を円滑に進める上において必要性があるということで、私のほうはお願いしたわけでございます。
  126. 園田直

    園田国務大臣 ちょっと補足をさせていただきたいと思いますが、この出資金の一億は、原理事長が非常に強く要望した問題でありまして、所管大臣として、この意見を取り入れて、私も強く要望したゆえんのものは、金利のこともさることながら、今日の事業団の持つ本来の目的、しかもそれの重大性ということから、政府の責任を一そう明確にして、そして何と申しましても、この事業拡大対象拡大等予算措置によってきまるものでありますが、予算折衝のたびごとに、事業団の重大性を認識し、政府のその事業に対する責任というものを明確にするという政治的な意図もあって、私はこれを強く要望したわけであります。したがいまして、将来は逐次この出資金拡大する方向に持っていきたい、出資金拡大することによって、利子補給のほうも拡大していきたい、この両面で、事業団の持つ本来の目的を拡大をして、公害対策に対する事業を進めていきたい、こういう考え方でございます。
  127. 折小野良一

    ○折小野委員 私ども、この出資についてはたいへんけっこうな措置だというふうに考えておるわけでございます。この出資金がふえるということは、いまの御説明によりましても、今後さらに一そう事業団の運営を円滑にする、そして公害防止事業に対する対策をより拡大していく、こういうようなことになるわけでございますが、そういう立場からいたしまして、政府の出資だけでなしに、民間その他の出資を考えるか、あるいはそういう面についての御検討がなされたかどうか、その辺についてお伺いいたしたいと思います。
  128. 松尾正雄

    松尾政府委員 民間の出資を事業団に入れるという点につきましては、残念ながらまだ検討したことはございません。
  129. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろな問題もあろうと思うのでございますが、しかし公害防止というものは、やはり政府、また同時に産業界も考えなければならない問題だと思っております。もちろん救済とか、そういう面について産業界がいろいろ考えていくことは当然でございますが、この予防という面についても、産業界もまた相当程度責任を持って考えていい、こういうふうに考えます。そういうような面からいたしまして、ひとつ民間の出資という問題につきましても、今後御検討をお願いしておきたいと思います。  それから、この法の改正によりますと、必要があると認めるときには、さらに事業団に出資をすることができる、あるいはその出資金を増加することができるということでございますが、この「必要があると認めるとき」ということは、先ほどお話がございました、さらに一そう金利を下げるとか、あるいはワクを広げるとか、そういうことだけでございますか、その他特別お考えになっている面がございますか、御答弁を願いたいと思います。
  130. 松尾正雄

    松尾政府委員 事業団本来の使命でありますところの仕事を進める上において、必要がある、こういう意味でございまして、事業規模拡大あるいは利子引き下げ、さようなこともすべて含んだ意味でございます。
  131. 折小野良一

    ○折小野委員 これは念のためちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、先ほどの島本委員の御質問にも関連しておるのですが、産業公害中心にと、事実上そういうことになっていると思うのです。集中暖房という問題が出まして、都市公害も、というようなお話が出てきておるのでありますが、大体この事業団法の趣旨からいきますと、別に産業公害と限ったものじゃない。都市公害産業公害も含めて、というふうに一応広く解していいのじゃないかと思います。しかし、内部におきましては、いろいろさらに細部の規定があって、従来産業公害ということになっておろうかと思うのでございますが、 この点についてはどうなっておりますか。それからまた、都市公害も含めるということになりますと、そういう面の措置というものを今後なされていこうとされるのでありますか、そういう点についてお伺いしたいと思います。
  132. 松尾正雄

    松尾政府委員 ただいまの事業団法では、その業務の範囲といたしまして、「工場及び事業場が集中し、かつ、これらにおける事業活動に伴う大気の汚染、水質の汚濁等による公害」ということで、以下産業という総称をつけておるわけでございます。しかしながら、この事業活動というもののとらえ方によりましては、先ほど来申し上げておりますように、非常に広く解釈できるものでございますが、いま御指摘のような都市公害というものをどういうふうに考えるかという問題は、実は別にあるかと存じますが、いわゆる都市公害というものを、こういう事業活動による公害でなくて、その他のものとして考えるならば、やはり将来そういったものを大幅に入れるというためには、基本的に条文等を改正する必要がある、こう考えておるわけでございます。
  133. 折小野良一

    ○折小野委員 ということになりますと、いわゆる札幌集中暖房という問題は、いまの法律解釈拡大してということになろうと思うのですが、少し無理なんじゃありませんですか。
  134. 松尾正雄

    松尾政府委員 拡大してと申しましたのは、都市公害という意味を含めたつもりでございましたが、いわゆる事業活動に伴うという点におきましては、そのままで読んで差しつかえない実態である、こういうふうに考えておるわけであります。決して無理な解釈であれを取り入れる、こういうつもりではないわけでございます。
  135. 折小野良一

    ○折小野委員 まだ私札幌の実態というものをよく存じませんから、はっきりしたことは言えませんが、もちろん産業活動によってばい煙を出すということもございましょう。しかし何といっても、普通常識的に考えまして、ああいう寒いところにおいては、いわゆる暖房——この暖房はもちろん事業活動に伴う暖房もございますでしょうが、普通の生活の上で出す暖房のばい煙、こういうものがやはり相当多いのじゃないかと思います。こういうようなものは、むしろ概念からいえば、都市公害というものの中に入るべきものだ、そういう面からしますと、あまりそうそう無理な解釈をされるよりは、それが入れられるような法なり規制なり、そういうものを十分改正して、そうしてそれに対処するということのほうがいいんじゃなかろうかと思うのですが、いかがでございますか。
  136. 松尾正雄

    松尾政府委員 札幌の場合には、いわゆる家庭というものを含めないで、事業所だけを連ねていく、こういう集中暖房の計画でございましたので、特に法律改正をしないで実施ができる、こういうふうに踏んでおるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、家庭におきます暖房というものを含めまして将来集中暖房というものを考えるという暁におきましては、やはり改正を要すべきものであると考えております。
  137. 折小野良一

    ○折小野委員 終わります。
  138. 山崎始男

    山崎委員長 岡本富夫君。
  139. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 ただいま議題となっております公害防止事業団法について、この法のいろいろな面は同僚議員がずいぶん質問されましたので、私は、今度は実際面から若干御質問申し上げます。  最近とみに多発している公害が、国民の健康を阻害している。したがって、この事業団の役割りというものは相当大きなものである、こういうふうに期待するものであります。  そこで、今度の予算を見ますと、当初、予算の要求額が一般会計から二十億、それから利子補給として一億五千万、こういうような要求があった、こう聞いておりますが、常識で考えられないくらい低くなっておる。こういう面について、厚生大臣はどのような努力をされたのか、お答え願いたいと思うのです。
  140. 園田直

    園田国務大臣 御指摘のような点もございまするが、そういう点がございましたので、特に政府出資一億を出して、将来に対する布石をしたわけでありまして、その個々の折衝については、事務当局から御報告いたさせます。
  141. 松尾正雄

    松尾政府委員 御指摘のように、私どもといたしましても、そういう政府出資をつけ、また利子補給もその額を持ち、同時に事業規模というものをもっとふくれたもので対処したい、こういう希望で努力いたしたわけでございますが、いわゆる財政硬直の問題でございますとか、またあるいはこの事業団が、いままで政府出資がなかったということでやってきたというような実態もありまして、なかなか思うように通らなかったというような実情でございます。
  142. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 要求の二十分の一しか通せなかったというような面において、今度の厚生大臣は非常に積極的であり、また国民の健康を守るという大きな期待国民は持っておるわけです。したがって今後において、たとえば来年度ですね。どのくらいの要求をし、またどういうような規模に持っていこうという構想を持っておられるか。やはり政治というものはビジョンを持ってそれに近づけていこう、こういうことでなければ、りっぱな政策というものは行なわれないと思うのです。行き当たりばったりで、今度はこのくらいにしておこうとか、そういうことでなく、厚生大臣としてそれでは次の機会にはどういう構想を持っておるか、これをひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  143. 園田直

    園田国務大臣 御意見のとおりに、事業はやはり財源措置があってこそ事業でございまして、しかも非常に社会の重大な問題になっておる時期に、予算の獲得が十分いかなかったことは、まことに申しわけないと考えておりますが、行き当たりばったりではいけませんので、先ほど申し上げましたとおりに、政府出資を獲得することによって、政府の責任を明確化し、政府部内においてもこの点を主張しつつ、明年度はさらにその計画を早い時期に打ち出しつつ、各位からおしかりを受けないような予算を獲得いたしたいと考えております。
  144. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それはそのくらいにしておきましょう。  それで、先ほどからも話がありましたように、政府出資が多くなればなるほど、現行の金利が下がる。一億の出資と利子補給の九百七十万で、約五%に金利引き下げができた、こういうことでありますが、この積算の根拠といいますか、一億あるいは九百七十万の利子補給をやったために五%になった、その積算根拠のこまかいのを明示していただきたい。なぜかならば、来年二億になりあるいは十億になったらどうなるか、これは全部説明ということはたいへんでしょうから、資料で出していただきたいと思います。  そこで、中小企業振興事業団法では、金利が約四・五%くらいになっております。私、実際面の神戸のゴム団地のほうを視察してまいりましたが、やはり中小企業は、この金利について非常に負担を感じておるようであります。金利四・五%、中小企業振興事業団のほうと同じようなものにするならば、どのくらいの政府出資あるいはまた補給金が必要なのか、この点について、これは事業団のほうから……。
  145. 原文兵衞

    ○原参考人 非常にこまかい、まとまった数字ではございません。概算——実はこれは事業ワクにもよるわけでありますけれども、われわれのほうで希望をするだけの事業ワクでもって、いまおっしゃるような中小企業振興事業団とほぼ同じような程度ということになりますと、四分五厘ということにいたしますと、出資で二十億くらいは必要になる。利子補給金一億数千万というような、両建てでそのくらいなものがないと——これは事業ワクのきめ方でございます。事業ワクが少なければもっと少ないわけでございますから、したがってその利子補給金利の問題だけでは言えませんけれども、私どものほうで、一応そういうことを考えたときもあったということで申し上げます。
  146. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 厚生大臣、そういうように、一般会計から相当な出資がなければ、実際に中小企業の人たちが使うのに非常に困るということでありますので、御努力をいただきたい、こう思うわけであります。  次に、神戸のゴム団地を視察いたしまして、いろいろと感じたことがあります。また実際面を見まして、現在の事業団規定では、担保価値と申しますか、これが総金額の八〇%、一つの個所を見ますと、五億円の出資に対して四億しか価値を見ない、したがってあとの二〇%、この一億のものは、これは個人担保がなければ事業はできない。そこで、それだけの個人の担保を持っているところであればよろしいのでございますけれども、そういう担保がないところにおいては、せっかくあるこの事業団を使うことができない、こういうような状態です。御承知のように、神戸はゴム工場が非常に多く、散在しておりまして、大体毎年毎年ものすごい火事です。火事の中に寝ておるような状態で、これはいま大きな反響を呼んでおるわけです。今後この担保価値についてどのように改正をなさるおつもりがあるか、これについて、原さんからひとつお聞きしたいと思います。
  147. 原文兵衞

    ○原参考人 一つの基本的な考え方になろうかと思いますが、公害防止事業団資金も、先ほど来申し上げますように、国の財投からの借り入れ——今度一億だけ、出資が四十三年度からつくことになりましたけれども、いずれにしても国の金でございます。そうしますと、これもいわゆる長期の年賦でございますので、資金回収ができないというような場合のことを考えて、担保価値を非常にむずかしい規定を設けてやっておるわけでございますが、かりにそういう危険性が相当あっても、公害防止という点を重視して、資金回収困難というような場合でも、どんどん事業としてはやるべきであるという、いろいろな基本的な考え方もあろうかと思います。そういう点で、私どものほうとしては、監督官庁とも御相談して、この両方のかね合いを見ながら、一応いまの担保条件というようなものをきめてきたわけであります。しかし、今後事業がだんだん進んでまいりますと、やはり公害のいろいろな現象も複雑でありますし、またわれわれのほうで取り上げる対象企業というようなものもやはり複雑になってこようかと思います。したがって、今後の進み方によって、検討するべき点があれば検討したいと思いますが、現在、この担保条件をどうしようというふうにいま考えてはおりません。今後の事業の進展のしかたによって検討したい、こう思います。
  148. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 実際の姿を見ますと、業者も相当選別され、いままでの事業経過あるいはまた今後の推移、そういうものをよく見て——これは神戸市が非常に力を入れておりましたが、いいものばかりよる。いいものばかりよるというのはおかしいのですけれども、そういうような状態でありますので、そういう面からいきますれば、担保物件というものは相当な面を見てもいいのではないか。念には念を入れるのも必要ではありますけれども、私の申し上げたいことは、それでは、せっかくこうした国の政策によって公害防止事業団ができたのに、皆さんが使えない、こういうことでは相ならない。したがって、そういう状態ができたときには考えるじゃなくて、ひとついまから前向きに考えていただきたいと思いますが、どうでしょう。
  149. 原文兵衞

    ○原参考人 ただいま何か、そういう状態ができてから考えるというような、非常に消極的なようにおとりいただいたことは、私の表現がまずかったかと思います。いままで非常にいいのだけを選んだのではないかとおっしゃいましたが、これは最初のモデルケースということもございまして、私のほうの事業を進める上において、事業団として全く新しい初めてのことで、こっちのほうが、どの程度ということがはっきりわからなかったので、非常に慎重にやったということは言えると思います。将来、対象企業も、資金手当てや何かでもっと困難なものが出てくる。しかし公害防止の面からはほうっておけないというようなこともいろいろあるわけですから、これまたひとつ十分検討してみたいと思っております。
  150. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 いま神戸は第三次までかかっているわけですね。全国にこういうことが次々と起こってくると思いますので、慎重なのもよろしい。しかし、やはり一つの福祉事業でありますし、また中小企業の育成、その公害防止する、これは一番大きな目標でありますから、今後もう少し前向きに検討していただきたいことを要望しておきます。  次に、いま、注文があってからつくるというやり方では、地価はどんどん上がってくるわけです。大体その地域は、市とか県とかの地方公共団体がよく知っているわけです。したがって、こういう産業にはこういうふうにしようということで、一応の計画を立てて、そうして先行投資、これが必要ではなかろうかと思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  151. 原文兵衞

    ○原参考人 私どものほうも、その事業の種類によりますが、特に土地を取得するというような場合には、先行投資ができたほうがベターであるということは、率直に言ってそう考えます。ただ現在の法制上では、ちょっとそれは困難だということであります。
  152. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 これは厚生大臣どうでしょうか。先行投資について……。
  153. 園田直

    園田国務大臣 これは事業団ばかりでなく、その他の事業についても、先行投資が問題になっておりますが、現在の法制下では、技術上困難な点がございます。したがって、これは貴重な御意見として検討したいと考えます。
  154. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それではひとつ検討していただきたいと思います。  次に、事業団によって建築方式が決定されます。その建築が、要するに神戸のように浸水のよくあるところ、あるいはまたいろいろな地域地域によって違うと思うのですが、この建築については、やはりそれを使用する企業者の意見をいれないとうまくいかない、こう思うのですが、その点について、原参考人、ひとつお願いしたいと思います。
  155. 原文兵衞

    ○原参考人 もちろんおっしゃるとおりでございまして、やはりそこに入って生産をする人たちが、生産がやりいいような設計その他、希望をいれておりますし、途中からでも、設計などは変更したりなんかして、希望をいれております。ただ昨年でしたか、神戸に大水が出たときに、たしか第一次のアパートに水が入ったのであります。これは日曜日だったでしょうか、ちょっといろいろな事情がありましたけれども、やはり設計上の問題も考えなくちゃならない点があろうかと思います。今後そういうような、その土地の特殊事情によって、しょっちゅう水が出そうなところだとかなんとかというようなものについては、十分考えていきたいと思います。  たとえば今度、近く落成いたしますが、葛飾につくっておりますメッキの工場のアパートも、この辺がやはり低い地域で水が出るということが多いものですから、そういう点も十分考慮した設計になっておりますが、おっしゃるように、その入る人たちの意見なり希望というものは十分聞いてやっていきたい。いままでもやっておりましたが、今後もぜひやっていきたいと思います。
  156. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それを聞いて安心いたしましたが、実際には、事業団の態度と申しますか、貸してやっているのだというような態度で、昨年の神戸のこの一つのアパートを見ましても、七月に浸水して、七百万程度の被害をこうむっているわけであります。これはそういうような設計ではだめだということを再三言った、しかし、もう事業年度が越えると困るんだというわけで、なかなか変更もしてくれなかった、こういう意見もあります。したがって、今後この問題については、ひとつ強力に皆さんに伝えて、やっていただきたいと思います。  次に、わが党が五十五回国会において主張しまして、公害基本法の中に挿入しましたのですが、この二十四条に「事業者に対する助成」というところがございます。これは自治省の松島さんに質問いたしますが、「国又は地方公共団体は、者が行なう公害防止のための施設整備について、必要な金融上及び税制上の措置その他の措置を講ずるように努めなければならない。」「2 前項の措置を講ずるにあたっては、中小企業者に対する特別の配慮がなされなければならない。」、こういうように規定されておりますけれども、これについてどういうような配慮をされたか。公害基本法中心にしたこの法制定によって、どういう配慮をされたか、これについてお答えを願いたいと思います。
  157. 松島五郎

    ○松島政府委員 公害対策につきましては、かねてから、地方税においても、そのつど必要な措置を講じてまいっております。  現在やっております措置の概要について申し上げますと、まず大気汚染防止対策といたしましては、ばい煙処理施設、集じん装置等でございますが、これに対しまして非課税の措置を講じております。それからこれは中小企業に必ずしも関係ないかもわかりませんが、放射性廃棄物質の処理につきましても、課税標準の特例という措置を講じております。それから重油脱硫装置といわれるものでございますが、これにつきましても、課税標準の特例を、本年度から講ずることにいたしております。それから次は、水質汚濁防止対策でございますけれども、工場排水等の規制に関する法律に基づきます汚水処理施設につきましては、非課税の措置を講じております。また、公共下水道の使用者が設置いたします除害施設につきましても、非課税の措置を講じております。なお、これも中小企業にあるいは直接関係ないかも存じませんが、海水汚濁防止法律ができましたので、海水汚濁につきましても、特別の措置を講じております。次に地盤沈下対策につきましては、工業用水道への強制転換施設について、非課税の措置を講じております。それから鉱害防止対策としまして、鉱滓、坑水、鉱煙の処理施設につきまして、これも非課税の措置を講じております。さらに爆発物の事故防止対策といたしまして、火薬庫の土手でありますとか、障壁でありますとか、あるいは高圧ガス、プロパンガスでありますが、これの販売業者等の設置いたします障壁等に対しまして、非課税の措置を講じております。  こういうような、いま申し上げましたのは、主として固定資産税でございますが、さらに不動産取得税につきましては、先ほど問題が出されておりました、公害防止事業団が行ないます工場アパートにつきまして、ただいま地方税法改正案を提出いたしておりますが、その中で、課税標準の特例を設けることにいたしております。
  158. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 基本法ができましてからだいぶたちます。そこで、一つの現実の姿を見ますと、神戸のこの工場アパートで、実はせっかく完成していよいよ入るようになりましたのですが、そこで不動産取得税が土地と家屋とまぜまして八百六十万、登録税は四百何万ですが、こういうようにまだ——不動産は名義は変わりました。しかしなるほど名義は入っておる人になりまして、それが担保になって、これから何年間かずっと分割払いをして自分のものになる、こういうことになります。そこで、この小さい十四、五社ですが、入りまして、急に八百六十万ばかりの不動産取得税がきて、非常にみな困った、こういう例があるわけです。したがって、中小企業者に対しては特別の配慮が望まれなければならない。こういう面から考えまして、今後この税制について、取得税なんかをどういうように考慮なさるおつもりか、これをひとつお聞かせ願いたい。
  159. 松島五郎

    ○松島政府委員 ただいま申し上げましたように、ただいま国会に提出しております地方税法の改正案におきましては、御指摘の工場アパートにつきましては、課税標準の特例を設けることにいたしております。具体的に内容を申し上げますと、工場アパートを公害防止事業団から買い取られます方の買い取り価格に相当するものから、工場アパートを買い取りますために頭金を払うその頭金を引いた残り、頭金が二割といたしますと八割相当額、その八割相当額を不動産取得税の課税標準から控除する、結論を申し上げますと、二割課税されるということになりますけれども、ただ、実際には評価がそこに入ってまいりまして、従来の前例からまいりますと、評価は取得価格より安くなっておりますので、八割のほうを確実に引きますと本来は二割ですけれども、実際は二割より少なくなるというのが実態であります。そういうような特例を設けることにいたしております。
  160. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それを聞いて安心いたしました。  ちょっと先ほど忘れましたが、次の、この法案が通りましたならば、約五%くらい金利が引き下るがということでありますが、現在すでにもうこの事業をやって、どんどん払っておるところに対しては、この金利引き下げは行なうのですか。それは現行のままなんですか。これをひとつ原さんからお願いしたいと思います。
  161. 原文兵衞

    ○原参考人 この金利引き下げがきまりましたそれ以後の分については、もちろん引き下げるようにいたします。事前には遡及はいたしません。
  162. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 次は、公害の一般のことについて少しお聞きしたいと思うのですが、その前に、尼崎の油脂団地、西脇の公共公害防止施設、この西脇は、私はかつて加古川の水質基準をきめるときに要望したわけでありますが、それから、赤穂の共同福利施設、これについての事業計画を簡単に御説明願いたいと思います。いつごろ着工して、どういう規模で……。
  163. 原文兵衞

    ○原参考人 西脇の排水処理の共同施設については、これは四十二年度の事業なんで、現在もいろいろと話し合っておりますが、はっきり申し上げまして、まだいつから着手できるというようなめどはついておりません。まだ話し合い中でございます。それから、尼崎の油脂団地につきましては、現在話が進捗しておりまして、本年度中に契約をしたいというつもりで、いま運んでおります。それから赤穂の緩衝緑地につきましても、本年度に何とか契約にもっていきたいと、いま進めておるところでございます。西脇については、ちょっといまめどはついておりません。
  164. 岡本富夫

    ○岡本富委員 加古川のまっ黒な水をされいにするには、どうしてもこれが必要だと思うのです。だから、もう少し強力にやっていただきたい。それから、尼崎市は、いま聞きましたが、ここも非常にばい煙が多くて、公害で非常に悩んでおるところでありますので、特にすみやかにやっていただくように要求しておきます。  あともう一点だけ。武庫川の水質基準につきまして、これはすでに水質基準がきまっておるのかどうか。この点については、当委員会で、私は局長に対してお願いしておいたのですが、水資源局長、どうですか。
  165. 今泉一郎

    ○今泉政府委員 これは、昨年でございましたが、先生にもそういうことをお答えしたわけでございますが、あれ以来、県ともいろいろ御相談を申し上げておりますが、まだきまっておりません。
  166. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 お役所仕事といいながら、これはもうあの県では一つしかないきれいな川ですから、早く基準をきめていただきたい。そしてやっていただきたいと思います。  そこで、今度万博の事業といたしまして、将来、宝塚にたくさんの外人が来るのだろうということで、し尿処理施設が宝塚に計画されております。すでに着工されておるのかどうか、ちょっとわかりませんが、これをされますと、下流の武庫川が非常によごれるんじゃないかというわけで、伊丹、西宮あるいはまた尼崎で大反対がありまして、これについていろいろと検討したところが、そのまま水を武庫川に入れるということは、これはもう下流の皆さんの反対がありますし、また渇水期になりましたら、とてもくさくてだめだろうということで、一つの計画として、上流から海に向かって下水管の敷設をするというのですが、これについて県のほうから要求があったか、またこれに対する考えはどうであるか、ということをお伺いいたします。
  167. 葛生新一

    ○葛生説明員 武庫川の水質の保全と申しますか、この点につきましては、私どものほうで流域下水道というのがございます。それで四十二年度におきまして、実は県のほうで流域下水道の調査をしております。これが大体調査費で三百万でございますが、四十三年度におきましても、さらに継続して調査を続けていく、こういうようなことになっております。建設省といたしましては、その調査の結果を待ちまして、流域下水道としての予算要求なり新規採択なり、そういうことを検討してまいりたいと考えております。
  168. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 この事業には約百五十億くらいかかるそうであります。それで、この負担を地方財政ではできませんので、万博事業の一環として計画をしてやっていただきたい。これを要求したいのですが、どうでございましょうか。
  169. 葛生新一

    ○葛生説明員 私ども万博関係の関連公共事業としておりますのは万博が開催されます昭和四十五年三月でございますか、それまでに一応完成するものということを考えたわけでございますので、この百五十億というものにつきましては、実際問題として、事業量、それから工期、そういう点からいきましても、万博までには間に合わないだろうということであります。万博関連事業としては、現在のところ考えられないと思っております。
  170. 岡本富夫

    ○岡本(富)委員 それでは、ほかの方法ででも、前向きにこれを考えてやっていただきませんと、先ほど経企庁のほうでは、武庫川の水は、そのまま水質基準をきめずにほうってある。そこへ上からきたない水を流すということになりますと、地域住民はしんぼうできないわけです。したがって、あなたのほうでもっとリードして、県にもやかましく言って、どういうようにするかということを、早急に私のほうに御返事いただきたい、これをお願いいたしまして、質問を終わります。
  171. 山崎始男

    山崎委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時七分散会