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1968-07-18 第58回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年七月十八日(木曜日)    午前十時三十分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 池田 清志君 理事 湊  徹郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 川村 継義君    理事 永井勝次郎君 理事 神田 大作君       熊谷 義雄君    田中 正巳君      三ッ林弥太郎君    水野  清君       森田重次郎君    渡辺  肇君       淡谷 悠藏君    金丸 徳重君       工藤 良平君    平等 文成君       福岡 義登君    稲富 稜人君       小沢 貞孝君    伊藤惣助丸君  委員外出席者         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         内閣総理大臣官         房参事官    川上 幸郎君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         文部省大学学術         局学術課長   三角 哲生君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       栗山 幸三君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局長 今村  譲君         厚生省社会局施         設課長     大和田 潔君         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林大臣官房参         事官      荒勝  巖君         農林省農林経済         局長      亀長 友義君         農林省農林経済         局金融課長   松本 作衛君         農林省農政局参         事官      田所  萠君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       櫻井 芳水君         農林省蚕糸園芸         局園芸振興課長 千野 知長君         中小企業庁計画         部金融課長   井川  博君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         気象庁予報部長 北岡 龍海君         気象庁予報部主         任予報官    大野 義輝君         気象庁観測部地         震課長     木村 耕三君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省道路局企         画課長     難波 隼象君         建設省住宅局住         宅総務課長   白川 英留君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君     ————————————— 七月十八日  委員竹内黎一君、田原春次君、森義視君及び小  川新一郎君辞任につき、その補欠として森田重  次郎君、淡谷悠藏君、工藤良平君及び伊藤惣助  丸君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 六月二一日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  えびの吉松地区地震及び十勝沖地震による災  害対策  昭和四十三年四月以降の干ばつ及び降ひょうに  よる災害対策      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、えびの吉松地区地震及び十勝沖地震による災害対策並びに昭和四十三年四月以降の干ばつ及び降ひょうによる災害対策について調査を進めてまいりたいと存じます。  まず、政府当局から被害概要及び現在までにとられた措置等について説明を聴取いたします。総理府総務副長八木徹雄君。
  3. 八木徹雄

    八木説明員 えびの吉松地区地震及び十勝沖地震に対する政府措置並びに最近の大雨による被害状況について御報告申し上げます。  えびの吉松地区地震及び十勝沖地震被害状況並びに政府応急対策については、先般の当委員会で御報告いたしましたので、その後の政府措置について簡単に御説明いたします。  えびの吉松地区地震については、地震災害特異性及び長期にわたって続発した状況にかんがみ、上水道地下埋設施設補助率引き上げ中小企業に対する政府関係金融機関利子率引き下げ破損家屋に対する国有林による補強材補助消防施設に対する補助率引き上げ集団移転のため宅地造成事業に対する起債の許可等特別措置を講ずることといたしたのであります。  なお、中小企業金融機関利子率引き下げにあわせて、環境衛生金融公庫及び医療金融公庫からの災害融資についても利子率引き下げ措置を講ずることとしているところであります。  次に、十勝沖地震については、激甚災害法適用することとして、六月三日及び六日の二回に分けて政令を公布したのでありますが、指定条項は、法第五条、すなわち農地等災害復旧事業等に係る補助特別措置、法第六条、すなわち農林水産業共同利用施設災害復旧事業費補助特例、法第七条の開拓者等施設災害復旧事業に対する補助、法第十一条の共同利用小型漁船建造費補助、法第十二条、中小企業信用保険法による災害関係保証特例、法第十三条、中小企業近代化資金等助成法による貸付金等償還期間等特例、法第十五条、中小企業者に対する資金の融通に関する特例、及び法第二十四条第二項から第四項まで、すなわち農地及び農業用施設等災害に係る地方債元利補給等であります。  また、これら諸般の対策のほかに、水道地下埋設施設等環境衛生施設に対する補助率引き上げ等措置を講ずる予定であります。  次に、梅雨前線による降雨災害について御報告申し上げます。  六月下旬から梅雨前線が活発化し、九州地方はじめ中国近畿地方等、主として西日本各地に、断続的にかなり強い降雨がありました。これら降雨による被害状況のうち、現在まで判明しているものは、一般被害では、死者、行くえ不明十四名、負傷十九名、家屋の全・半壊三十一棟、床上浸水千百七十三棟、床下浸水二万一千三百八十五棟等であります。  施設関係等被害額は、県報告によると、公共土木施設等約百十二億円、農地等約三十四億円、農作物等約八億円、その他十四億円、合計百六十八億円であります。  これらの被害に対して、各省庁においてそれぞれ所定の対策を講じ、災害対策の万全を期しておるところであります。  以上、御報告いたします。
  4. 芳賀貢

  5. 安倍晋太郎

    安倍説明員 まず、昭和四十三年の田植え期干ばつについて御報告申し上げます。  被害概況でございますが、中国四国並び九州地方は本年の三月以降より六月中旬まで寡雨で、各地降雨量は平年比五〇%前後に経過し、稲作の本田植えつけ各地でおくれがあったのでありますが、六月下旬より七月上旬にかけての降雨並びに各種対策の結果、一部に遅延を見せたものの、植えつけは大体完了いたしました。  次に、対策概要について申し上げます。  農林省といたしましては、農作物干ばつの拡大を懸念し、六月八日付にて事務次官名により中国四国九州の両農政局長あて技術指導通達を行ない、管下の各県を指導するように指示いたしました。  中国四国農政局は六月九日、中国四国農政局干ばつ対策連絡会議を設置し、状況把握技術指導を行ない、九州農政局は六月十一、十二日の両日、九州地区稲作指導協議会——これは各県が出席いたしました——を開催いたしまして、技術指導等を行ないました。  なお、干ばつ被害の多い各県の要請により、中国四国農政局四十七台、九州農政局九十二台のポンプ、発動機の貸し出しを行ないました。  各県においても対策本部等を設置するとともに、各種応急対策を実施しており、報告によれば、水路等工事約一万四千五百カ所、約十二億円、揚水機購入約一万七千台、約十四億三千万円、揚水機借り入れ約千五百台、約二千万円、合計約二十六億五千万円の応急対策工事、追播用種もみ配布約十一万八千キログラム、事業費は約千八百万円等の処置が行なわれたのであります。  次に、四十三年本日までのひょう害について御報告申し上げます。  その概況は、四月から六月にかけまして関東地方を中心として数次にわたり降ひょうがあり、野菜、果樹、桑、たばこ等に約四十二億円の被害が発生いたしました。  対策概要でございますが、今回の降ひょうによる災害については、早急に天災融資法を発動する方向で、目下関係当局と折衝中でございます。  次に、今回の降ひょうについて農作物及び蚕繭被害を生じたので、必要に応じ、保険金または共済金の仮渡しの実施を指導するよう、六月五日各県知事あて農林経済局長名をもって通達をいたしました。  以上でございます。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明は終わりました。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。熊谷義雄君。
  8. 熊谷義雄

    熊谷委員 副長官からその後の状況についての説明があったわけでございますが、それによりましても、われわれが本委員会審議過程におきまして強く要望をいたしてありました激甚災害指定基準関係について、どのような検討が行なわれているかどうか、懸念いたしておるわけでございます。今度の十勝沖地震災害につきましては、従来類例がないようなスピーディーな措置をもって、農業関係施設災害あるいは中小企業施設災害に対してすみやかな激甚災害指定措置をとられて、農業災害のごときは四次査定を実施しているような状況でございまして、被災地におきましては、政府の今回の措置に対しては、その面においては深く感謝いたしておるような状況でございます。しかしながら、最も関心の深い公共土木事業関係施設については、いまだに激甚災害指定が行なわれておらない状況であるわけです。さなきだに財政力の乏しい東北地方におきまして、このような広範な部面に対しての激甚な災害を受けている県、市町村立場からいいますと、財政負担に対する懸念が非常に甚大でございまして、その対措置に対して非常に焦慮いたしておるわけでございます。現在の指定基準に照らして指定が現在のところ云々というようなことの論議が行なわれたわけでございますが、それに対しまして、従来の公共土木施設災害激甚災指定に関しての基準要素には、おおむね地震要素というものが取り入れられておらない。風水害に重点を置いた指定基準である。こうしたようなことは論議の余地がないところであって、これに対して、この指定基準緩和すべきだということがわれわれから強く要望され、これに対して、政府を代表して田中総務長官から、前向きに善処するという約束がなされたことは、御承知のとおりであります。しかも、さらに、前国会最終日の六月三日の当委員会におきましては、特に「地震による災害対策に関する件」を、満場一致をもって決議いたしまして、えびの吉松地震並びに十勝沖地震に対してのこの対措置に対して、すみやかにその指定基準緩和する等の対策をとるべきだということを要望し、これに対して、同じく総務長官から、善処する旨の意思表示が行なわれておりますが、それからすでに四十数日を経た今日において、いまだ公共土木施設災害についての激甚災指定は行なわれておらない状況でございます。したがって、もう一度政府は、この本委員会審議過程において明らかにした前向きの検討、そうしてまた、本委員会満場一致決議による要請、それに対しても同じことを言明してあるわけですが、そのことに基づいてどのような検討が行なわれ、そうして今後どのような措置をとる考えであるか。また、その見通しについての段階を、時間的、時期的に明らかにしてもらいたいと思うわけです。
  9. 八木徹雄

    八木説明員 いま熊谷先生から御質問のありました第二章の公共土木施設に対して、地震特異性にかんがみて、基準というものを前向きで検討すると長官も前に言ったではないか、どのように作業を進めておるかという御質問でございますが、中央防災会議主事会議をあれから四回ばかり行ないまして、各省の専門家に集まっていただいて、それに対する基準改定あるいは基準改定にかわる何らかの措置ということについて検討を願っておるのでございますけれども、どこに線を引くかということは、なかなか簡単にはきめがたいことでございます。事務的だけで片づけられない分野もございますので、まだ、地震に対する激甚災指定基準をこのようにする方向で固まっておるという報告ができる段階になっておりません。しかし、本質的問題として考えなければならぬことでございますので、今後とも十分に検討を重ねまして、できるだけすみやかにその結論を得るようにいたしたいと思いますけれども、いつまでにできるというお約束ができるほどの煮詰まり方をいたしておりませんので、まことに申しわけございませんが、いましばらく御猶予をいただきたいと思うわけでございます。
  10. 熊谷義雄

    熊谷委員 相も変わらず形式的な善処の姿勢というように受け取れるわけですが、災害地におきましては、その後もまだ震度二あるいは震度三というような地震が引き続き続いておりますし、また、ここ数日前には、地震災害によって港の決壊した導流堤が事故の原因になりまして、漁船の乗り組み員一人が死亡するというような、また派生した災害も起きている、こうしたような状況でございます。  大体本委員会審議を通してそれぞれの立場から明らかにされたところによると、繰り返すようですが、従来の指定基準の中には地震要素がおおむね取り入れられておらない。取り入れられておれば、二百五十七億、十勝沖地震災害をこえなければその指定はできないというようなことはあえて問題ではなしに、局地的に激甚である災害に対しては、その様態によって、従来の基準にこだわることなしに指定してしかるべしだ、こうしたような考えを支持する者が多いわけでございまして、この問題については与野党を越えて、おそらく国会議員のだれしも、この問題は当然そうすべきだ、こういうふうに考えていることは明らかであります。にもかかわらず、いまだそうしたような程度検討しか行なわれておらないということは、はなはだ残念にたえない次第でございます。  大体、この指定基準運営の基礎といいますか、法的根拠といいますか、そうした問題は、いまさら申し上げるまでもなく、別に法律規定の上にその基準が示されているわけではないわけであります。法律上は、国民経済に著しい影響を及ぼすこと、また、災害による地方財政負担緩和、または被災者に対する特別の助成が特に必要と認められること、こういうこと以外には、あげて法の運営にまかせられているわけでございます。その指定基準決定は、中央防災会議において、過去において決定された基準にしかすぎない。法律でもなければ政令でもないということであるわけで、結局政府考え方一つにかかっている、こうしたようなことでございます。法律でも政令でもない、そうした運営上の、言うならば申し合わせ的な状況に縛られて、国民があげて要望しているこの事実を遷延日をおくらすようなことは、潤いのある政治行政の面からとるべき態度ではない。こうしたようなことはいまさら言うまでもないところであります。くどいことは言いませんが、どうぞそうしたようなことから、当委員会において、決議をもって最後の申し入れをするというような意思統一の行なわれているこの措置要請でありますので、今後取り急ぎのこの問題に対して結論つけるという措置を特に要望いたしたいわけでございます。事、貧弱な地方財政の上に乗りかかっていく公共事業に対しての負担が、県及び市町村の上に非常な重圧になっていくというような関係を思うときに、特にその措置に対しては勇断をもって当たるべきだ、こういうことがいえるわけでありまして、この点を強く要望いたしまして次に進んでまいりたいと思います。  その公共土木施設に対する激甚災害指定がないために、法の十六条、社会教育施設、十七条、私立学校施設、その他二項目ばかりあるわけですが、こうしたものがやはり国の援助措置がとれないというような状況に放任されておることは御承知のとおりです。この二つ考えてみましても、第二章第三条に明らかに指定されている項目以外の社会教育施設私立学校施設関係でございまして、これに対しては法の解釈からいたしまして、これは必ずしもあの明らかに指定されたものとこの二条とは同一に考えうべきものではない、この点は分離適用が法的に可能であるという論をなす向きも非常に多いわけです。この際は、そういうような考え方があり得るということであるならば、その点に政治運営政治の要諦といいますか、そうしたような考え方から、分離適用を思い切ってやるというような措置によって、おくれている公共土木関連運営に少しでもプラスをつけるということは当然の行政措置ではないか、こういうふうにも考えられるわけですが、これに対しての見解をひとつ伺いたいと思います。
  11. 八木徹雄

    八木説明員 ただいま御指摘のありました十六条の社会教育施設並びに十七条の私立学校施設については、二章とは分離して激甚災適用ができるのではないか、そういう法解釈があるのではないか、こういうお話でございますが、御案内のとおり、第二章のところでは、もちろん河川だとか漁港だとか港湾だとかいったような大きなものがございますけれども、同時にその中には、公立文教施設がかなり大きなウエートを占めておるわけでございます。公立文教施設のほうが激甚災指定が受けられない、その他十六条、十七条だけは激甚災指定を受けるということには、なかなかなりにくいではないかと思うのであります。そういう意味合いから、現在のところ、十六条、十七条を二章とは分離して激甚災に踏み切るということはちょっと決心しかねることではないか、こう思うわけでございます。前段で申し上げました地震に対する特別な問題というものを解明する過程において措置するような方向に努力する以外に、現行法の運用の面の中で便宜これを措置するということは、現実問題としてやりづらいのではないかと、こう思っております。
  12. 熊谷義雄

    熊谷委員 第二章の第三条に列記されている事項と別になっている、したがって分離適用考えられてもいいじゃないかということは、法律解釈の上からいってそれを指摘する者が多数あるということは事実であります。しかもまた、実際の問題といたしまして、各部面に対して相当深刻な影響を持つこの公共土木災害激甚災指定、これがいつまでも放任されているということから起きる諸問題。それから、いま副長官はそういうお話ですけれども、それに対しては、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法というものが別にあって、法の二章三条に記載されているものに対してはそうした措置がとれることになっている、ところがそれにはこの十六条、十七条の分はこれまた入らない、こうしたようなことからして、分離運営が可能だという所論もなされるわけであります。このことについてはさらに今後検討を加えてもらいたいし、さらにこのような矛盾があちこちに散在するような状態であって、したがって、根本的にはやはり何としても指定基準緩和して、そうして公共土木関連災害激甚災害指定するという抜本措置をとることが最もとるべき措置だということには間違いがないわけです。ですから、そうしたような二つ関連をあわせて検討されて、この際、ただいま申し上げたように一日も早く激甚災指定を行ないまして、県、市町村に対する心配の種を一応解決して、この陰惨な災害状況を現出した十勝沖地震に対して最後措置をとってもらいたいということを強く要望いたしまして、さらに先に進みます。  そこで、農業災害関係中小企業関係については、災害発生後わずか十五日、二十日というようなスピーディーな措置をとったわけですけれども、公共土木災害については、それ以来三カ月になんなんとする段階になってもまだ検討中という状況であることは、何としても遺憾であります。これに対しては何かこだわりがあるのじゃないかというようなことも憶測されるわけですが、たとえば閣議において、もしも激甚災害指定がなされない場合は、それに準ずる措置をとるという方針は決定されてあるというように伝えられるわけでございます。そうしたようなことの含みがあるので、指定基準緩和等措置に対してはあまり強い関心政府は示しておらないのではないかというようなことも考えられるわけでございます。しからば、これに準ずる措置というのは、一体政府としてどういうことを考えているのか、参考までにこの際にひとつその内容について具体的に項目的に御指示を願いたい。
  13. 八木徹雄

    八木説明員 えびののときにもそうであったわけでございますが、具体的に、準ずる措置でどういうものが考えられるかということでありますが、えびの決定をいたしましたような、例の上水道補助率引き上げといった、そういうことは、基準にないものについては、これはできるだけ前向きでひとつ引き上げるようにしていきたい。当面その十勝沖の場合にも、上水道施設あるいはし尿処理施設、そういうものについては、これは準ずる措置において激甚災に準ずるような方向でいま準備をしておりますので、もう少しお待ちいただければ明快になるか、こう考えております。
  14. 熊谷義雄

    熊谷委員 法律規定にないその部分については、それに準ずる措置をとる、そういうことは行なわれている。それはわかるわけです。が、いずれそのことについては先輩の森田先生からあとで御質問申し上げるはずでございますが、そのことについてさえ、富裕県といわれる新潟県で、水道し尿処理施設に対しては十分の八の助成措置をとり、貧乏県の青森県に対しては、その十分の八さえもちゅうちょしているというようなことが伝えられておるわけですが、そういうようなことの運営考え方ということも、この際に十分に考えてもらいたいと思うし、その規定そのものにないものについては準ずる措置をとる。その方向は進んでいる。ところが、本来的な規定にあるものについては、何らの具体的な措置考えられないということは、これは片手落ちじゃないかということになるわけです。ですから、本来の規定にあるほうに対しても、準ずる措置というものは考えられてしかるべきはずだ。それによって進めておいて、指定基準緩和して木指定を行なった場合に、それによって是正するというようなことの、その前提をなす準ずる措置というものであるならば、それは意味がある、こう思うわけですが、これに対しても十分な御検討をひとつ願いたいということを強く要望いたして、この点は終わります。  最後にひとつ、港湾局長が見えておりますからお伺いしたいのですが、かつてのチリ津波対策としての防潮堤建設が行なわれてあったわけですが、その対策防潮堤が今度の津波災害をいかに大きく防除したかということに対して、三陸、北海道沿岸、どの地域でも、この点に対しては非常な感謝と称賛の意思を表示しております。いまだかつてこうしたような効果的な施設が行なわれたことがないとさえいわれておるわけであります。現地においては港湾行政立場に対して非常に共鳴いたしているわけでございます。  それに関連いたしまして、たとえば八戸を例にとりますと、新産都市の指定を受けて建設が行なわれております八戸の第二臨海工業地帯も、今度の十勝沖地震による津波によって相当程度被害を受けておるわけでございます。これに対して、このチリ津波と同じように、防災意味も含めて、この地域災害防除施設をなすべきだ、こういう考え方が強く要請されておるわけであります。重要港湾津波から守る、あるいは臨海工業地帯津波、高潮から守る、こうしたようなことは当然のことでございまして、その地帯を守るための保全施設を、チリ津波の前例を追ってひとつやるべきだ、こういうふうに考えるわけですが、これに対しての港湾局としての考え方、運輸省としての考え方をお伺いしたいと思います。
  15. 宮崎茂一

    ○宮崎説明員 御指摘のように、私どもは海岸の中の港湾区域の分だけを所管いたしておりますが、重要港湾というところは、やはり背後にいろいろな国富の集積が非常に多いわけでございますので、その他の海岸に比べましても重点的に計画を立てて遂行してまいりたいと思うわけでございます。ところが、海岸の津波による問題あるいはまた高潮、こういった問題は、その場所場所によりまして技術的に非常に困難な問題がございます。したがいまして、十分その場所の気象なりあるいはまた起こり得べき地震津波方向なり、そういったものを想定いたしまして、技術的な立場からいかようにしたらよいかということを検討してまいりたいと思っております。  御指摘の八戸港の第二臨海工業地帯と申しますか、八太郎地先でございますが、これは今回相当な災害を受けたわけでございます。と申しますのは、港湾の改修事業と申しますか、主として防波堤でございますが、これがまだ工事中でございまして、未完成な段階でございましたのでそういうことになったのではないかと考えておりますが、この点につきましては改修事業を促進するということが、やはり一つの大きな眼目ではないかと思います。また、そのほかにもう一つ、海岸の保全事業でございますが、こういったものにつきましても今後検討してまいりたい。目下、港湾管理者でありますところの県のほうから、来年度以降の防災計画について御要望が出ております。私どものほうといたしましては、これにつきまして目下検討をいたしておる段階でございます。
  16. 熊谷義雄

    熊谷委員 港湾局長から、技術面に重点を置いて、その地域に適当する施設考えながら、この問題に対処したい、こうした積極的な御意見の開陳があったわけでございます。非常に広範な地域港湾修築を進めているという関係もございまして、港湾計画も、いわゆる防波堤の被覆以内と以外とあるわけでございまして、部分的には自然海岸的な条件に放任されている部面もあるわけでございます。そうしたことがそのまま放任、放置されるというようなことが長く続くならば、最近は津波あるいは高潮、これが二年に一度、三年に一度というようなことが繰り返されている状況は御承知のとおりです。ですから、チリ津波対策として行なわれたその防潮堤が、結局防災的な役割りを果たしたというようなことを考えるならば、改良復旧的な陸上のいき方と同様に、この港湾修築の面におきましても、また海岸保全の対措置においても考えられてしかるべきものと、こう強く信ずるわけです。ひとつ、せっかくそうした効果をあげている一つの生きた実例もあるわけですから、この際にさらに第二のヒットを打ってもらいたいということを強く要望いたしまして、あとは先輩の森田先生に譲りまして、質問を続けさしていただきます。
  17. 芳賀貢

  18. 森田重次郎

    ○森田委員 今回の十勝沖震災につきましては、政府のほうでもさっそくいろいろの方面に手を打っていただき、また県もそれぞれ調査、準備を進めて政府のほうに陳情をいたしております。その結果、相当程度の問題は大体事務折衝で処理されているものが非常に多かったわけであります。この点は取り扱い関係当局に対して感謝の意を表したい、こう考えております。  そこで、きょう私御質問申し上げるのは、事務折衝ではなかなか簡単に片づきそうもないというような問題が幾つかありますので、その問題を簡単に要点だけ御質問申し上げたい。したがって、答弁もひとつ的確な御答弁をお願い申し上げたいと思うわけであります。  そこで、きょうは政務次官並びに副長官もお見えになっておりますので、総論的な意味において、政府の態度に対する質問を最初にいたしたいと思います。  これは私も震災のその日のうちに自衛隊の飛行機で知事等と同行いたしまして現場を見ております。それからあまり離れない間に、政府のほうからも責任のある方が現場を視察においでくださった。その名をあげますと、赤澤自治大臣、木村行政管理庁長官、それから田中総務長官、保利建設大臣等であります。特に赤澤大臣は二度、木村行管長官も二度というほど、たんねんにおいでになった。そして最初おいでになられて発言したことばは、今後の行政上の基本的態度として私はきわめて重要だと思う。そうめんどうなことではありません。とにかく水田その他、ことしのうちに、さっそく田植えを完了しなければならない、したがってこれが復旧というものは非常に急がなければならないものなんです。だから、現場がどの程度まで崩壊したかということを写真にとっておいて、あとで問題が起こったときには、こういう形に崩壊しておったものだというような、後日立証できるようなものは立証の準備を整えておいて、市町村長などに対して、仕事はどんどんやってください、決して御迷惑をかけることはいたしません。必ず政府は責任をもってそれにおこたえしますから、こういうことを断言いたしておったのでありまして、それで、当時非常に大きいショックを受けた地方の人々も、政府がそこまでめんどうを見てくれるということだとまことにありがたいことだ、今後どうなるだろうと非常に心配しておったことが、この一言で非常に安心したという形であって、人心がこのために非常に安定したという政治的効果があったわけであります。ところが、その後いろいろ個々の問題になりますと、さあ今度は技術官とかそういう方々が実地を見ますというと、何か普通の場合のような事務的なことを基準としてやるものですから、なかなか現場で事件の処理が簡単にいかないという事柄が発生しておるわけでありまして、そこで地方の自治体あたりからひんぱんにその陳情に来なければならないというような現象が起こっているのであります。そこで、そういうような点から、やはり最初国務大臣が責任ある発言をしているし、またあの発言は決していいかげんな発言ではなくて、私は、政治的観点から見て、国家行政をやる根本態度として実にりっぱであったと思う。この態度はまだくずれていないはずだ、こう思うのですが、政務次官並びに八木長官から、その点をまず明確にお答え願っておきたい。
  19. 八木徹雄

    八木説明員 おっしゃるとおり、災害地において一番大事なことは人心を安定させるということでありますから、その意味において応急対策、緊急対策を手ぎわよく迅速果敢にやらなければならぬ。そのことは今回の災害の場合にもやったつもりでございます。ただ応急、緊急以外に、一般査定を受けて恒久復旧という場合に、これぐらいは応急でやってくれたらいいではないかというような、そういう食い違いが出てきている場合があるかもわかりません。できるだけわれわれのほうは、恒久対策につきましてもすみやかに査定をし、すみやかに実施設計をし、予算をつけて、その工事が行なわれるようにしたいということで準備をいたしておりますが、今回の場合も、まだ一般公共につきましては査定そのものが八月初旬にかかるのではないか、こういわれておりますので、できるだけ督励をして、現地にそういう不安感をなからしめるように今後とも一そう努力をしてまいりたい、こう考えております。
  20. 安倍晋太郎

    安倍説明員 ただいま八木長官が申したとおりでございまして、各大臣等が災害地を視察いたしまして発言をした内容については、政府としては責任をもってこの内容に従って実施をしなければならないと考えております。
  21. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、いま十和田市で起こったことを実例として御質問申し上げたほうが具体的でいいと思いますので引例として申し上げますが、これと類似した現象が随所に起こっているわけであります。  これからその要点を申し上げますと、水田が、広い原野でなく、大体細長い谷間の間にあちこちに多くあるわけです。それが地震のために沢が地すべりして、それで水田が埋没してしまう、これが非常に数多かったわけであります。ところが、これは部分的に見ると決して大きい工事でも何でもないのです。十和田市だけで千カ所をこえているのです。大きい工事だと、復旧工事というものはやはり何年計画かでやらなければならぬということでありますけれども、問題は、水田ですから、そのままにしておくとこれを利用することができないということになる。だから一日も早く復旧しなければならない。いま一カ所の工事費などを概算してみますと、平均して八十万円程度で済む、こういうのです。ところが、これを政府のほうでは大体二年ぐらいの計画でと、一般的な方針を定めて進めるつもりらしいと聞いておるのです。ところがそういう工事を二年にわたってというようなことでやって、一年使用不能の状態にしておくということは問題だということが一つ。これはすばやく復旧しなければならない。それから、これをすみやかに復旧したいという持ち主などの意欲も非常に旺盛なわけであります。しかし、この千カ所にわたる場所を個人個人の動きにまかしておくということではとても不可能に近いから、ここで市が主体になりましてこれが回復の事業をやりたいという計画を立てているのであります。ところがこれをもし二年でやってもらうということになると、いろいろのところで支障が起こる。そこで、こういうのはあまり大きな工事でもなし、二カ年、三カ年に分割されたのでは何ともしようがないから一年にやってもらいたい、これが強い要請なんでありますが、これに対してひとつ政務次官の御答弁を願いたい。
  22. 安倍晋太郎

    安倍説明員 農地等の埋没がありまして緊急に復旧を要する個所につきましては、最近まで早急に復活できるように努力をしておるわけでありまして、まあ植えつけも終わったことでございますが、今日に至ってもまだ埋没して植えつけができないという状況の個所につきましては、来年の植えつけまでには少なくとも復旧できるように、可能な限りの努力をしていきたいと思っております。
  23. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、一ぺんにやってもらうということになりますれば、補助金の問題にいたしましても起債の問題にいたしましても、問題なしにこれはやっていけると思う。これを要求してくれという要請が地元から非常に強く起こっておる。ただしかし、いま政務次官の御答弁の中にも、できるだけ努力いたしましょうということなんで、その程度よりそれは答弁ができないかもしれない。そこで二年にわたる場合も考えられなければならぬ、こうなる。そこでこういうことが考えられているのです。市が主体になりまして、これを一挙にやってしまう。そこで助成関係も一ぺんにやってもらえればいいのだが、二年にわたるなら二年でもいい。しかし、その自己負担の点があるのだ。それをいま一ぺんにやるということになって、仕事が完成したということになりますれば、起債の点で、もうすでに完成したのだからその二年目の起債は要らないじゃないかというようなことが、いままでの行政の取り扱いとして行なわれている。そうすれば、自己負担で金を借りてやった者に対して次の年の起債は認められないということになると、これは非常に困るという現象が起こる。そこでそういう場合は、繰り上げて一年に一ぺんにやってしまって、市の責任ですべて解決するという場合は、二年目の起債関係というものも必ず認めるという態度をとってもらいたい。これはいろいろ陳情してみたが、なかなか政府のほうでうんと言ってくれない。これが問題になっているのであります。これに対して私はおかしいじゃないかという考え方を持っているのですが、ひとつ御回答願いたい。
  24. 山本成美

    ○山本説明員 補助によります災害復旧事業について施越しをやりました場合の起債がどうなるかということでございますが、当該年度に緊急なものについて補助がつかないという事情がどうして起こるのかということが、私はちょっと事情がよくわかりませんけれども、自治省としては、本来緊急なものについては当該年度で補助金がつくべきものである、そういう考え方で貫徹してまいってきておるものでございますので、当該年度において起債を認めるということについては非常に困難でございます。ただ、いまお説のような翌年度になって補助金が交付される、それは両年度にまたがるものについての補助金でありますから、次年度において決算される事業についての経費が、収入、支出が決算されるわけでありますから、その段階になって、前年度に施越しをやりました分についての起債のほうもあわせてやるということ、あわせて許可をするということについては十分前向きで進めてまいりたい、かように考えております。
  25. 森田重次郎

    ○森田委員 その前向きでというところに問題があるように思うのです。これは補助金はやるのですよ。それを前の年に起債を認めてもらえば、次の分も何も問題はないわけです。それを助成金はやるが起債だけは認めないということはあまりにも事務に拘泥した取り扱い方で、どうしても納得が私はいかないのです。そこで私は調べてみましたら、こういう取り扱いになっております、八木長官。ひとつこれをちょっと読んでみます。「施越工事——施越工事というのは二年にわたるような工事のようです。私は初めてこの熟語を知ったのですが、「施越工事を実施した場合、後年度に本来の補助金が交付されることについては「所謂施越工事に対する補助について(昭和三十一年四月三十日付通達)」において明らかにされている。その裏負担」について、ここですね。「その裏負担に対する補助災害復旧事業債については、既にその年度において復旧工事が完了して決算済になっているので認められないという取扱になる」。ここなんです。この「認められない」という取り扱いなんです。これがいままでの取り扱いです。そのあとがある。「しかしこれでは同一の災害復旧事業について、補助金と起債の取扱が均衡を失し実情に合わない場合もあるので、真にやむをえないと認められる場合には、起債も認めることとしている。」と、こういうのです。ちゃんとこう出ているのです。これは何に出ているかというと「地方資金借入要領」、「大蔵省理財局地方資金課内地方資金研究会編」という、この本の中にこれが出ているのですよ。ここまではっきり書いている。しかもこれは激甚災指定を受けて、だから「真にやむをえないと認められる場合」といったら、これ以上これにぴったりくる規定はないじゃないですか。これに対して、前向きの姿勢で検討しますという答弁ではどうしても納得ができないですから、副長官、これを読んでみてひとつ……。
  26. 八木徹雄

    八木説明員 御指摘のように、緊急を要するから施越しをやるということなんですが、元来緊急を要するものを施越しするということ自身が避けるべきものであるというのが、いま山本課長が言ったことなんです。緊急を要するものについては、その年度の中に当然補助金も全部つけるし、それに見合う起債も全部つけるというのがたてまえである。ところが財源の都合で、緊急性は高いのであるが財源がないから施越しをやってよろしいという場合に、補助金はつくが、その翌年の施越しした分の起債がいまのままではどうも不安定ではないか、こういうお話だと思う。いままで私の伺ったところによりますと、たとえば十の仕事のあるうち、査定を五受けた。緊急査定を年度内の予算で五受けた。しかしその五だけでは十分な緊急対策ができないから八をやったという場合、あと二がその翌年に残っておるという場合、その場合には、繰り上げた三の分についても二と一緒に起債がつけられるという道はいままでもあったと思うのであります。そこまでやっておるのであるから、だから単年度で事業が終わっても、翌年補助金がつく分に対する見合いの形において当然つけるべきであるというのが森田先生の御質問だと思いますし、私もその前段で申し上げたような措置ができることであるならば、その翌年に前年施越しした分について起債をつけるということには勇断をもって当たるべきだ、こう思いますので、私のほうからもひとつ防災会議を通じて、そういうような起債についても一いま課長は前向きでと言いましたが、役人が前向きでということはもう覚悟をした、そういう気持ちだと思いますので、叱咤督励をいたしまして実現に努力をしたい、こう思います。
  27. 森田重次郎

    ○森田委員 まあその程度以上はあれでしょうから、大体可能だというふうに了解いたしまして、納得したいと思います。  そこで次の問題でありますが、気象庁の人は見えておるでしょうか。これも簡単でございますから簡単に御答弁くださっていいのですが、地震研究所の施設ですが、日本は世界で最も地震の多い国であって、これは世界のトップを切ってこの地震に対しては科学的検討を加えて、これが実用化されるということが何としても大事なことだ、こう考えるわけであります。そこで、青森県にそういう意味でひとつ地震の予知観測等のできる施設を国の地震研究所として設置してもらいたい、こういうのが地元の切なる要請なのでありますから、これに対して答弁していただきたい。ひとついい御答弁を願いたいと思います。
  28. 木村耕三

    ○木村説明員 そういう地震研究所関係は、文部省に測地学審議会というのがございまして、そこで大学その他と相談をして計画をいたしております。これは測地学審議会の事務局担当の学術課長が来ておりますから、そこから答弁されるのが適当かと思います。気象庁としましては、地震観測の一翼として地震観測をやっておりまして、研究業務は現在のところ大学その他がやっておるというようなことになっておりまして、文部省でございます。
  29. 三角哲生

    ○三角説明員 地震に関する研究につきましては、現在関連の学科あるいは研究所を有する大学で基礎的な研究、これに合わせて教育等を行なっておる次第でございます。最近の地震災害にかんがみまして、文部省の、ただいま気象庁の地震課長から申されました測地学審議会では、昭和三十九年と四十一年に地震予知の研究推進計画というものを関係各省の大臣に建議をいたしまして、これによりまして、政府といたしましてはこの建議の趣旨に沿いまして、建設省国土地理院、気象庁、それから海上保安庁、それから通産省の地質調査所、それから文部省関係といたしましては大学あるいは研究所、緯度観測所等、これらが協力して、計画的にこの地震予知研究計画を進めるということで予算措置を行ないまして、実現につとめてまいっておりますが、最近の十勝沖地震などによる災害にかんがみまして、御承知のように、今後さらにこの地震予知を強力に推進いたしまして、この実現をはかり、実用化に近づける必要があるということで、去る五月二十四日に地震予知の推進についてという閣議了解が行なわれた次第でございます。この閣議了解の趣旨を受けまして、測地学審議会ではあらためて慎重に審議いたしました結果、これまでの計画に基づきます研究の進展を踏まえまして、さらに社会的な要請にこたえまして、あらためて去る十六日、地震予知の推進に関する計画の実施についてという建議を内閣総理大臣ほか関係四大臣にいたした次第でございます。この建議は、現在すでに二回の建議に基づいて実施中の地震予知研究計画の実施のペースをさらに早めますとともに、地震予知の実用化という目標に向かってさらに研究を一歩前進させるべきである、そういう必要があるということで新たな計画を立てたものでございます。文部省といたしましては、従来からこの分野におきまして非常に顕著な実績をあげております研究者が所属しておる大学の学部あるいは学科、研究所について、全国的な観点からそういった研究所あるいは学部付属の観測所等の整備充実を行なってきております。ただいま御指摘のありましたような研究所でございますとか、あるいは学部付属の研究施設、こういったようなものの新設につきましては、先ほど来申し上げました地震予知の計画の進展に伴いまして、人材養成という点、この計画の推進の中核となります人材養成の観点から検討をすべきものと考えておりますが、一方それぞれの大学におきます研究所あるいは学部の整備計画、大学としての全体整備計画との関連もございますので、大学からそのような要求が出てきました場合には、それをよく検討いたしまして慎重に措置したい、こういうように考えております。
  30. 森田重次郎

    ○森田委員 非常に詳しい御説明で、ありがとうございました。そこで具体的に青森県がその候補地になっているのかどうかということ、それから弘前の大学でやはりそれと関連性を持った研究施設をしてもらいたいという要請があって、これもある程度あなた方のほうへ通っているだろうと思うのですが、これに対する態度をひとつ明確にしていただきたい、こう思います。
  31. 三角哲生

    ○三角説明員 現在のところは、たとえば青森県なら青森県のどこかに観測所を設けるということは、まだ具体的な計画としてはのぼってきておりません。それからなお、おっしゃいました弘前大学の計画につきましても、私ども昨日から各大学の来年度の計画について具体的な内容を聴取することにいたしておりまして、これは昨日から約二週間の間に各大学順番でお聞きすることになっております。その際にそれをお聞きした上で、将来計画というものについてどういうふうに乗せていくかということを検討いたしたいと思います。
  32. 森田重次郎

    ○森田委員 こういう問題は、事の起こったときに処理しませんとまた忘れられる。その際になって文部省が幾らがんばっててこ入れしても、なかなか容易じゃないと思います。地元の要請も非常に熾烈でありまするし、それから国全体としても、地震に対する備えというものは、私は非常に不十分だという感がいたしますので、これらもあわせてぜひ地元の要請におこたえくださるよう要望いたしまして、その問題に対しての質問は打ち切ります。  次に、上水道、下水道のこわれたものに対する.復旧に対するいままでの態度ですね、どんなことをやっておいでになるかということを一応お尋ねしておきたい。
  33. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  十勝沖地震水道の復旧状況につきましては、被災いたしました各市町村とも一応応急的な復旧は完了いたしまして、現在給水は支障なく行なっているわけでございます。また、し尿処理とかいう清掃施設につきましても、応急的な措置は一応なされております。現在青森県の水道及び清掃施設につきましては、目下担当官による査定がなされておりますので、これが終わりますと本復旧と申しますか、恒久復旧の事業費決定されますので、それに基づいて本復旧がなされるということになっております。
  34. 森田重次郎

    ○森田委員 そこで、先ほど熊谷委員からもこの問題に触れられたのですが、青森市等における災害というものは、水道として非常に大きい打撃を受けている。こういうことはいずれ調査員が帰りますとよく明確になると思うのでありますが、ただ問題は、これに対する助成の率を一体どうしてくださるかという点が大きい問題だと私は思うのです。これは新潟の場合、先ほど引例になりましたが、十分の八もらっている、こういうことなんでございまして、われわれの場合、人の死んだりした数などからいいますと、新潟地震よりもなお災害が大きかったということも言えるわけでありますから、新潟に準じて処理していただきたい、こう考えているわけなんですが、これに対してひとつ御所見をお聞きしたい。
  35. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  水道及び清掃施設等におきます災害の場合の補助率につきましては、一般的には現在予算措置として二分の一を採用しておるわけでございます。しかし、今回のえびの及び十勝沖地震災害の場合には、先ほど副長官からの御説明にもございましたように、補助率もかさ上げ分を考慮いたしまして一定の基準を設けまして、この基準に適合したものについては、たとえば水道の場合ですと地下埋設物の補助率引き上げて、一応三分の二ということにつきまして、ただいま関係方面の了解を得ているという次第でございます。
  36. 森田重次郎

    ○森田委員 その三分の二というのは、基準としてもうきまったのですか。
  37. 大橋文雄

    ○大橋説明員 一応関係方面で三分の二という了解に達しております。
  38. 森田重次郎

    ○森田委員 われわれといたしましては、この災害程度等を十分に御考慮くださって、やはり新潟並みに取り扱ってもらいたい、それをひとつ強く要望いたします。長官、この点ぜひ御検討願いたい、こう思うのであります。  次は、文部省の学校建設に関する基準についてちょっとお伺いしておきたいのであります。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員長 森田委員に申し上げますが、だいぶ時間が経過しているのと、あとまだ五名質問者が残っておりますから……。
  40. 森田重次郎

    ○森田委員 それでは一括して申し上げますから簡単に御答弁ください。  第一に、学校設置の場所ですが、非常に危険を誘発するような条件の場所に一体どうしてあんな学校を建てさせるのかという問題。  そこで、今度災害を受けたのはみなどこかへ移転して学校を建てたい、鉄筋コンクリートでやりたい、こう言っているのです。ところが鉄筋コンクリートに対する助成の際の単価が非常に低いので、結局地元負担が多くなるというかっこうになる。これでは災害を受けた上にまた大きい負担をしなければならないから、そういうことでないように単価の引き上げを強く要請してほしいというのが地元の意図するところでございます。これに対する態度をひとつ明らかにしてもらいたい。
  41. 栗山幸三

    ○栗山説明員 最初の校地の問題でございますが、私ども確かに従来指導が行き届かない点についてはおわびしたいと思いますが、校地の選定については今後できるだけあらゆる手を尽くしまして、いい校地を選定するような指導をいたしていきたい。  なお、とりあえずの措置としていま私どもが考えておること、いままでとった措置についてちょっと簡単に申し上げますと、まず六月の五日に大学の専門の先生などを含めた災害対策研究会を設けまして、そこでそういった校地の選定の基準、そういったようなものをつくりまして、これはできるだけ早い時期に各都道府県に流したいと思っております。それから、具体的には、たとえば青森県の場合については、県立の高校についてはいろいろと技術的な指導、打ち合わせというようなことを数回行なってまいりました。それからなお、先の問題ですけれども、校地の選定とか、そういった技術的な問題に関しては、やはり具体的に人間と人間が話し合って大いにディスカッションをしていかなければならない。そういう研修会というものを考えて進めなければ、ただ口で通り一ぺんのお知らせをしてもなかなか進まないんじゃないか。そういうことで、要するにそういう研修会をこの秋にやりまして趣旨の徹底をはかりたい、こういうことを考えております。  それからその次に単価の問題でございますが、単価についてはある程度ずつですけれども年々改善されていると思います。しかしそれにしても必ずしも十分とは考えていないので、したがいまして、できるだけ単価のアップについて今後とも努力したいと考えております。  それからなお、今回の災害に関する単価の問題につきましては、できるだけ積雪度、寒冷度そういったものを考慮して十分な措置考えていきたい。特に単価に影響のあるのは、地震とかそういった災害に非常に問題のある、くい打ちの工事とかあるいは暖冷房の工事、こういったものについては、できるだけその補助単価に上積みをして措置をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  42. 森田重次郎

    ○森田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
  43. 芳賀貢

  44. 淡谷悠藏

    淡谷委員 具体的に質問申し上げますが、十勝沖地震災害の重点地区になりました青森県の歳入欠陥の起債を認めるかどうかという点です。これは災害対策基本法の第百二条の第一項に基づく適用条件があります。この中には公共土木施設、公立学校施設農地農業用施設、林道の激甚災害復旧事業費の合計額が、当該地方公共団体の標準税収をこえる団体で、歳入欠陥債と災害対策債の合計額が起債の限度をこえる団体、こう規定されております。これについて問題点となりますのは、激甚災害復旧事業費の合計額に、激甚法の政令指定をなされていない公共土木施設は算入されないとする自治省の見解が出されており、この見解によれば、県及び市町村災害特例債の適用は困難である、こういう現実の矛盾がある。復旧費は七十七億四千七百万円かかっておりますが、標準税収は六十六億六千九百万円、これによって生ずる十億七千八百万円、これを起債したいという県の意思が、さっき熊谷委員から話されました公共土木の激甚指定がなされていないという事実によってはばまれておる。これは現実に起こってきた矛盾なんですが、私は、やはりこの激甚法指定のもとになっておるのが指定基準だ。指定基準によって激甚法を発動する。どうもそこに、さっきから同僚委員の言っております矛盾が露呈されていると思うのですがね。いわば指定基準というのは、実際にこれを指定する場合の基準であると思う。そこに欠陥がはっきりしましたらすみやかにこれを訂正して、法の精神に基づいた発動をすべきが順当だろうと思うのです。現実に起こっておる起債などに関してもこういうこがとある。どういうふうにお考えになっておりますか。
  45. 山本成美

    ○山本説明員 激甚災害が生じました場合、歳入欠陥債が認められるという現在の制度につきましては御指摘のとおりでございます。ただ一般的に申し上げまして、この歳入欠陥債というものが、あとにおいて返します場合の交付税措置も実は何もなされていないわけでございまして、全くの金繰りと申しますか、そういう性格を強く持っておりますので、そういう歳入欠陥債の性格から見ますと、歳入欠陥債もほどほどに受け入れておくほうがよい場合も中にはございます。むろん激甚災に準じたような大きな災害があります場合に、資金繰りが非常に困る場合があると思いますけれども、そういう場合におきましては他の制度、たとえば交付税の繰り上げ措置でございますとか、あるいは他の事業債におきましてつとめて拡充の措置をとっていくというふうなことによりまして、使用料でありますとか手数料でありますとか、あるいは税収の欠陥も防いでいけるのじゃないか、かようなことも考えられるのでございますが、一般的に申し上げれば、赤字債でございますので、自治省としては、ただいま政令に載っておりますこの制度につきまして改正を加えるかどうかにつきましては、十分慎重な検討を要する問題ではないか、かように考えておる次第でございます。
  46. 淡谷悠藏

    淡谷委員 政務次官にお答え願いたいと思うのですが、これはやはり事務をやる方にとっていまのような答弁が出るのは当然なんです。政令とか基準とかというものは、現実と合わない場合はすみやかに変えるのは常識だと思うのです。法律でさえも現実に合わなかったら変えるのが常道なんです。現実があるのに、法律あるいは政令基準があるから何とも現実の矛盾が解消できないということは全く本末転倒だと私は思う。特にいまのお答えによりますと、金繰りでやるのだからあとのことを考えて歳入欠陥の起債ができないといったような御答弁では——もともと起債というのは金繰りでしょう。どの法によろうとも金繰りには違いはないのです。ですから、最も端的にできる、実態を明らかにした歳入欠陥の起債を認めてやるのが順当じゃないかと思うのです。そのとき阻害しているのがこの災害指定基準だとすれば、さっきからくどくど話しておりますとおり、この災害指定基準を何とか直すことがいま早急に必要な手段だろうと私は考えるのです。一体この指定基準というものはどうしてつくられ、事務的にはどういう経路をたどってでき、これを改正するためにはどういう手続が要るのか、政務次官のほうからはっきり政治的に御答弁願いたいと思います。
  47. 八木徹雄

    八木説明員 基本的にはおっしゃるとおりだと私も思うのであります。現在の政令なり基準というものは、過去のデータというものを中心にして、そのときの時点においてはそれがやはり最高だ、そういう信念のもとにつくっておることでありますけれども、しかし災害の態様がいつも同じでないわけでありますから、先ほど来も地震についての配慮が足らなかったじゃないかという御意見が出てくるように、そういうふうに災害の態様が変わることによって、現在ある基準あるいは政令というものが不十分だという事態は起こり得ると思います。そこで、前段で申し上げましたように、防災会議におきましても、その基準改定というものについて検討しなければならぬというときが来た。そういう意味長官も前向きで検討いたしますとお約束をいたしました。現在検討を加えておるところでございます。いまおっしゃいました問題も含めて善処するように努力をしたい。そういう形で、すでに作業を進めておることでございますので、御猶予をいただきたい、こう思います。
  48. 淡谷悠藏

    淡谷委員 短い時間ですからくどくは申し上げませんが、この現実の矛盾に立って、できるだけすみやかにこの災害にも適用できるようなおきめを願いたいと思うのであります。これはなお県当局からも折衝に来るだろうと思いますから、十分御考慮願いたいと思います。  次には、さっきもいろいろ話がございましたが、今回の地震によりましては思いがけないような建築物の被害状況があらわれてまいっております。たとえば三沢における防音装置の学校が建設間もなく地震にあいまして、非常用のはしごなどというものがほとんど役に立たないでこわれてしまった。あるいは、さっき森田委員からもお話がございました剣吉の学校のような場合も、場所の選定を誤ったと思われるような建設のしかた、特にその他さまざまな思いがけない破壊が行なわれましたので、私、先般の委員会でも、これはもう普通ではとても望めないような大きな破壊検査のような形ができるので、この際設計、施工その他万般にわたって根本的に検討すべきことを要請しておきましたが、一体今度のあの思いがけないこわれ方というものは、設計、施工の面で若干反省すべき点もあったと思うのですが、これはいかがでございましょう。
  49. 栗山幸三

    ○栗山説明員 私のほうは学校だけでございますので、一般の建築物についてはちょっと私の範囲でございません。  いろいろと災害の結果を見まして、私どももたいへん異常ないろいろな要素がございますので、目下、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、災害対策研究会で、これは具体的に申し上げますと、東大の地震研究所の先生、それから東大の建築工学科の先生、あるいは都立大学の建築学科の先生、こういう方々にいろいろと研究をお願いしまして現在研究を進めております。この先生方の御意見でも、いまの段階で必ずしも設計のミスとか施工のミスとかいうことは言えない。何とかして具体的な解析をしてまいりたい。   〔委員長退席、川村委員長代理着席〕 いま考えておりますことは、地震の専門的なことばになりますけれども、動的な分析をぜひ行ない、それを具体的な建物にその地震の地下地震力というものをかける、そういう実験研究をしてみないと、いま直ちにそういういろいろな結論を出すことはなかなか無理だ。私どもはとにかくそういう基礎的な研究を今年度できるだけ詰めてやりまして、それから来年度においては、これは予算要求との関係もございますけれども、できれば国立の八戸高専、あの被害を受けた建物に実際に大きな地震をかけまして、あるいは水平力を——大きなウインチで引っぱるわけですが、水平力をかけて実際にやってみたい、こういうことで、そういうようなもろもろの実験研究をなされた段階で初めていろいろと問題がはっきりすると思います。そういうことで、その設計、施工、そういったような問題については、どういう点に問題があるかということについてはもうしばらくお待ちをいただきたい、こういうふうに考えております。
  50. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではこれからの研究によりましては、設計、施工の上においても改革をしなければならぬという点が出るかもしれない、こう考えられますけれども、ただその復旧はこれを待っておれないんですね。あなた方の研究結果が出ますまで学校の建築を待つというわけにはいかない。早急の措置をとらなければならない。いまの結論1いまの結論というとおかしいけれども、いままでわかっただけで、やはりこの復旧は急がなければならないと思いますけれども、明らかにだれの目によってもわかるようなケースもございますね。さっき私が申し上げました一つの例としては剱吉の学校というのがそうです。土地の選定も明らかに誤っておったらしい。それからまた、土地だけではなくて、この土地に対応するような防災の設備もできてなかった。結局結論を待たないで、こういう災害が起こった場合を予想していろいろな建築をするわけになりますが、その場合には、明らかにわかっておりましても、いろいろ起債や経費の関係上、またしても災害に耐えないような間に合わせ工事ができるおそれが多分にある。したがって、もし根本的な結論が出ないならば、地元の要請に基づいた耐震建設なり何なりが予算上できなかったということがないように、ひとつ各官庁とも十分に御配慮を願いたいと思うのですが、いかがでございますか。具体的な問題ですがね。
  51. 栗山幸三

    ○栗山説明員 敷地の選定につきましては、確かに私ども指導が徹底しなかった面についてはおわびしたいと思うのですが、先ほど申したとおり、その敷地の選定については十分に措置をとってまいりたい、こういうふうに考えております。  それで剱吉中学校でございますが、あそこができてから約九年間、この間に非常な大雨もあったと聞いております。それでもいままで持ちこたえてきたのでございますけれども、今回はどうも地震が非常に異常であったために崩壊したということで、これは確かにこれを教訓として将来に生かさなければならない、こういうふうに考えております。くどいようですけれども、先ほど申したとおり、そういう敷地の選定については十分に指導を徹底してまいりたい、こういうふうに考えております。
  52. 淡谷悠藏

    淡谷委員 八木長官が退出されますそうで、先にひとつ重要な問題で御質問申し上げたいのですが、この間東海村の原子力研究所に火事がありました。これも非常に心配されたケースです。あの建物並びに原子炉は、建設当時から地震に対する危険を非常に心配された設備なんです。これは他の災害でもやはり取り返しがつかぬ損害を受けますけれども、原子炉が万一地震で崩壊するということにでもなりますと、これはもうたいへんな取り返しのつかない事態が発生することがわかっている。あとで気がついてもしようがない。並びに、今度は青森県のむつ市には原子力船の定係港が建設されて、工事中であります。これなども非常に危険なものを扱いますが、地震が起こってから設計、施工に狂いがあったかどうかあらためてまた検討しなければならない事例も起こっております今日、一たん災害が起こったら取り返しがつかないというこの両施設に対して、一体副長官はどういうふうな考え方を持っておりますか。これも災害が起こるまで考えないということはおかしいと思うのですよ。災害が起こる前にあらかじめ起こるべき災害考えて、その災害ができるだけ少ない損害で済むように配慮するのが安全性の第一の問題であると私は考える。その点についての明確な御答弁をいただきたいと思います。
  53. 八木徹雄

    八木説明員 先ほど来文部省のほうで申しておりますように、過去の地震に対する対策として、この程度の設計、施工をしておけばだいじょうぶだという思いの上に立ってやっておったものがああいう被害を受けたということでございます。そういう意味合いで既設の施設というものに対して、特にいま御指摘のありましたように原子力を扱う、入れる、そういうものについて格段の再検討を加えるべきであるという淡谷先生の御要請はしごく当然だと思います。いま私にどうしろと言われても、いますぐこうしますということを答えるわけにはまいりませんが、御注意の点は十分に各省に連絡をとって、それらに対して再点検をするように至急に指令をいたしまして万全を期するように努力をいたしたい、こう思います。
  54. 淡谷悠藏

    淡谷委員 具体的にいまどうしろと言ったところで、これは副長官ではなかなか御答弁できないと思いますが、ただ政府災害に対する考え方が非常に甘いと思うのです。たとえば東海村のあの場所選定につきましても、すぐそばに那珂湊の射爆場があった。いまになってあわてふためいて、この射爆場をどこかに持っていこうとするのですが、引き受け手がないという矛盾がある。これはっくる当時、われわれも再々御警告申し上げた。また、青森県のむつ市のあの原子力船の定係港にしましても、土地の選定を誤ったんじゃないかと私ははっきり思うのです。災害というのは絶対起こらないという観点に立つならば、これはたいへんな誤りです。災害は起こるものとして、その災害をできるだけ極小にとどめるのが災害対策の第一だと私は考えるのです。たとえば放射能の問題でも、先般私質問してお答え願いましたけれども、犬が治療用のコバルト棒を二本くっつけたまま——これは放射能の試験をするつもりでやったらしいのですが、そのコバルト棒を二本しょったまま逃げ出したという例が答弁されました。これは、人間の考える安全性の中に、犬がコバルト棒をしょって逃げるものだという条件は入っていなかったと私は考えるのです。したがって、災害はいつでも起こるものとして、アメリカのガルベストン、ペリカン島でも、放射能が漏れた場合にはまず外海にすみやかに流れ去ることが第一の要件になっている。あの青森県のむつ市などは、ぐるぐる回ったサザエのしりみたいな港です。しかも津軽海峡の早い潮流にさえぎられまして、湾内の潮が絶えず回流する。それを絶対災害が起こらない、安全だというだけでああいう場所を選定して、万一人知の及ばない災害が起こって、一たん放射能が流れ出したら、何回陸奥湾、青森湾の中を回流するかわからない。沈でんもするでしょう。しかも、それが流れ出す津軽海峡というのは公海でしょう。こういう場所を、ろくに検討もしないで、潮流、風向き等の調査も十分しないままに選定したという態度は、非常に誤りだったと思うのです。この十勝沖地震に便乗するわけじゃありませんけれども、将来の地震災害考えますとこの点は非常に心配されますので、東海村、むつ市というのは日本でもたぐいまれなる原子力を扱う場所になりますので、この十勝沖地震の教訓に学びまして、十分慎重に再検討すべきだと思いますが、その点を副長官からもう一ぺん御答弁を願いたいと思います。
  55. 八木徹雄

    八木説明員 御注意は御注意として十分承りました。それぞれ上司に向かってその御意見を伝えまして、善処するようにいたしたいと思います。
  56. 淡谷悠藏

    淡谷委員 民主政治はやはり責任政治でなければならないと思うのです。政府が信じてやったことに誤りがあるならば、政府が責任をとらなければならない。私はあえてこの委員会をおかりしまして申し上げておきますが、もし、いまの政府のやったことに対して、すみやかに対策を講じないで災害が起こった場合は、十分政府政治責任を追及する決意だけをはっきり申し上げまして、八木長官に対する質問はこれで終わりますから、どうぞ……。  そこで、学校のほうで御質問申し上げますが、災害の場合に原状復旧でやるか改良復旧でやるかは、ずいぶんわれわれ議論しました。長い間かかってやっとある程度まで改良復旧が認められた現状であります。実際やってみますと、さっき申し上げましたとおり、耐震の校舎をつくろうと思ってもなかなか予算上できない。起債ができなくてできない。また間に合わせのいいかげんな学校をつくるという例がある。もう一つは、地震のあるなしにかかわらず、老朽校舎、耐用年限の切れた校舎が危険校舎として残っているのがずいぶんたくさんあるのです。これは青森県でもかまいませんし、全国でもかまいませんが、予算上そういう学校の復旧ができないでいるのはどれくらいございますか。
  57. 栗山幸三

    ○栗山説明員 最初に耐震設計のことでございますが、これは先ほども単価のことで申し上げましたけれども、単価についてはできるだけの努力は払って、年々若干程度ずつ増加をしているということです。まだ十分とは考えておりません。とにかく何とかしてもっともっと引き上げなければいけない。そこで耐震設計が現在の単価でできるかできないかということでございますけれども、実は、単価が上がりますと、ややもしますと建物の外観といいますか、お化粧ということ、そちらのほうに改善分が流れる傾向がある。まずとにかく確保しなければならない建物のじょうぶさということについてよりも、単価の改善分がややお化粧に回ってしまう。さらに、たとえば青森県でございますと、坪当たりにして約九万何がしの単価でございますが、そのうち鉄筋だとかコンクリートで軸組みの経費というのは約三割、これを一割増すということは不可能ではないと私どもは考えております。そういう意味で、必ずしもいまの単価で絶対にできないかというと、私どもは、考え方によっては多少お化粧を節約して、その部分を構造部分に回せば耐震設計は十分可能だ、そういうふうに考えております。単価の低いことに関しては、私どもの努力の至らないことでありますし、今後努力しなければなりませんけれども、そういうことで、この点についても今後指導を徹底してまいりたい、そしてお化粧よりまず建物のじょうぶさということに進めたい、こういうふうに考えております。  それから第二の危険校舎の問題でございますが、現在までのところ危険校舎は全国で六百万平方メートルございます。これに対しまして、一年間の危険校舎を改築する補助面積というのは百十万平方メートルでございます。ですから、現在の危険校舎についてはかなり早い時期に改築がなされるのですけれども、危険校舎はもう毎年毎年重なってまいりますので、やはり危険校舎を完全に解消するというには相当長期にかかるというふうに考えております。
  58. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これで質問を終わりますけれども、たださっきからいろいろ質問の重点をなしておりますのは、指定基準の問題なんです。これは繰り返し申し上げますが、現実に即応した対策を立てる場合に、もしこれをはばむような法律政令基準があった場合には、法律政令基準を改定すべきである。現実は曲げられないのです。基準だって法律だって政令だって、これはみな人がつくったものですから、現実に合わない部分は大胆しかも敏速にこれを改善する必要がある。その基準をたてにして実際の矛盾が解決できないといったような場合には、すみやかに対策を立てて解消してほしい、このことを強く要望しまして、私の質問を終わります。
  59. 川村継義

    ○川村委員長代理 小沢貞孝君。
  60. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私は、二点御質問をいたしたいと思います。一つは、降ひょう被害についてであります。一つは、私のほうの長野県だけで、全国に類例を見ない平地湧水でワサビを栽培しておりましたが、これがほとんど最近壊滅状態になった。この原因は自然災害であろう、こういうように考えられるので、その点についての研究と対策をひとつ要望したい。この二点についてお尋ねをいたしたいと思うわけです。  まず第一点の降ひょう災害は、現在のところ全国的にどういうような被害額になっておるであろうか。そういう状況について、これは安倍次官でなくもけっこうです。事務当局でけっこうですから、お尋ねをいたしたいと思います。
  61. 荒勝巖

    荒勝説明員 四月からこの六月の終わり、七月の初めにかけましての降ひょう災害の現在の状況につきまして簡単に申し上げます。  この四月から六月にかけての関東地方を中心といたしまして、遠くは長野県までかかっておりますが、野菜、果樹、たばこ等農作物被害の総額が約四十二億円に達しております。なお、御参考までに申し上げますと、くだものが一番いまの段階では多くて、主としてリンゴの系統でございますが、約十一億八千六百万円、野菜が十一億四百万円、それからたばこ等いわゆる工芸作物という、食物にならない、たばことか大麻の系統でございますが、これが約八億六千三百万円、それから水陸稲にも被害がございまして、三億四千百万円、麦類が二億九千七百万円、その他いろいろな作物が三億七千七百万円で、合計四十一億六千八百万円、こういうふうになっております。
  62. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 作物別にはわかりましたが、大体県別ぐらいに分けて被害額はわかっておりますか、大きいところを三、四県……。
  63. 荒勝巖

    荒勝説明員 実は全部の作物別、府県別の総集計がちょっと整理不十分でございまして、まだ査定はいたしておりません。まことに申しわけありませんが、できましたら資料を整備いたしまして、あとでお届けいたしたいと思います。
  64. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私どもの長野県で、つい最近長野県農業会議が陳情をしてきたところによると、十八億七千四百万、こういうような数字が出ておるわけです。査定をしていただいても大体そういう額になろうかと思います。各県合わせて、いまお聞きするところによれば四十二億円になる、こういうような状況にお聞きいたしました。この被害から立ち直るために一番農家が求めているものは、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法、いわゆる天災融資法による融資、こういうことが農家の求めている第一であります。第二は、きょうはこれは重点的にお尋ねをしたいとは思いませんが、市町村や何かが農作物被害の救済のために使った農薬とか肥料とか種苗とか、その輸送等に要した経費に対して、地方財政を特交によって見てくれ、これが私は第二だろうと思います。  そこで、最初のいわゆる天災融資法、この法律によれば、天災は、「当該天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大であると認めて政令指定するものに限る。」こういうようにいわれていると思います。これは、当委員会でいままで、国民経済に甚大な影響を及ぼす額とは何ぞや、こういうことで質疑を繰り返している中からお聞きするところによれば三十億である。三十億が天災融資法発動のめどである、こういうようにお聞きいたしております。それから懇談会あるいは委員会等で上田参事官かどなたかから言明があったかとも思いますが、局所的なものについてはまあ三十億にこだわらない、降ひょうと高潮と突風と、この三つについては三十億以下、十億程度においても天災融資法は発動いたしましょう、現に過去においてもそういう例があった、やってまいりました、こういうことであります。この法律どおり、国民経済に甚大な影響を及ぼす額を三十億といたしましても、いま事務当局から発表のありました四十二億になんなんとする額、こういうことになると当然天災融資法が発動されるんではなかろうか、こういうように考えております。安倍次官いかがでしょう。
  65. 安倍晋太郎

    安倍説明員 農林省といたしましても、ただいまお話しのように、被害状況から見まして天災融資法を発動することは当然であると考えまして、目下財政当局と折衝いたしておりまして、ぜひとも天災融資法は発動させたいと考えております。
  66. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それで私の質問は終わるわけですが、事務的にはいつになるでしょうか。聞くところによれば。来週あたりは事務的に進んで、政令が公布できるような事務的な進行状況であるというようにも聞いておるわけです。来週発動になりましょうか。
  67. 亀長友義

    亀長説明員 いま私どもと大蔵省と折衝いたしておりまして、御指摘のように来週中には政令段階まで持っていきたいという考えでございます。
  68. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 天災融資法が来週発動、こういうことで私の第一項の質問の大部分は終わりました。  次は、要望を申し上げておきますが、これはきょうは自治省に質問通告をしてありません。追ってこれは一日がかりでじっくりやりたいと思いますが、降ひょうの場合に、市町村が農薬とか肥料とか種苗とか、そういうものを輸送する、こういうような場合に、なけなしの市町村費をもって応急対策を講じておるわけです。昨年来、干害等の問題についてはもうさんざんに自治省等に質問をいたしました。私はその実績を追ってあらためて、その特交がどのようにこういう局所的な災害について救済をしたかということを追及をいたしたいと思いますが、降ひょうその他の被害のあるのは山間僻陬の地で、いわゆる過疎地帯が多くて、地方財政も非常に窮迫している、こういうところが多かろうと思いますので、きょうは自治省おりませんが、農林省においてもあるいは総理府においても、こういう救済について、特に地方財政を救済する問題については格段の——自治省いますか。おりましたらひとつ所信のほどを御発表いただけば幸いだと思います。
  69. 山本成美

    ○山本説明員 ただいま小沢委員からお話のありました問題は、かねてから私も何度も御卓見を伺っておる次第でありまして、私もいま同じようなことを繰り返さざるを得ないことはまことに残念でございますが、農薬あるいはそういった性格のものは、相当個人的なものの性格が高いものでございますので、これにつきましてどの程度まで公費で見るかという基本的な議論が一つございます。ただ中間的に相当灰色のものもございますので、その点についてはいろいろ議論が実はございます。なおよく慎重に検討は進めてまいりたいと思います。
  70. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 地方財政を救済する、あるいは簡単には特交のことです、これについてはまた日を改めて、去年の干害やらいろいろのことから実績を検討して、自治省に対して質問なり要望を申し上げたいと思いますが、特にこの降ひょう問題等についても格段の御配慮をお願いいたしたいと思います。  以上で降ひょう災害についての質問を終わります。  次は、これは長野県だけの特殊なものでありますが、先ほど申し上げたように、全国のワサビの生産の約四割というものは長野県の南安曇郡穂高町と豊科町、この二カ町村で栽培をしておりました。その特徴というのは、よその県には例を見ないような平地湧水栽培で、平地でも湧水をもって栽培する、こういうような特徴ある栽培で、これは全国で長野県の穂高町、豊科町以外にはないと思います。これは各県においては山の中のわずかな湧水でやっているので林務部で取り扱っている、こういうようです。わが長野県においては、これは農政部で取り扱っている、こういうように聞いておりますが、ここが最近、この二、三年の間に全滅に瀕するような被害をこうむっておるわけです。  このことについて若干質問をいたしたいと思いますが、国は、このワサビというものは一体林野庁で扱っているのであろうか、あるいは農林省の最近合併した蚕糸園芸局ですか、そこで扱っているものでしょうか。一体山のものか農林省のものか、どっちでそういうものを扱っているのだろうか、この点について最初お尋ねをしたいと思うわけです。
  71. 安倍晋太郎

    安倍説明員 主管としては蚕糸園芸局の園芸課だそうです。
  72. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこで、全国の四割を平地湧水栽培でやっておりましたこの地区のことについて、私は、これは若干自然災害でもあろうと思いますし、あるいは人災も加味されているであろう、こういうようになかなか結論は得がたいような状態だと思いますが、このことについて、結論から最初に申し上げるならば、膨大な農林漁業資金を、何億という金を借りて土地改良をしたのに、いま収穫が皆無になって償還ができないという問題なのです。その問題が一つ。  いま一つは、全国に一つしかないこの平地湧水栽培についてもっと研究をし、助成をし、何らかの生産復興の方法はないものだろうか、これをひとつぜひ農林省としても力を入れてやっていただきたい、こういう点が第二点であります。  第三点としては、私はこれは災害であろう、こういうように見ておるわけです。昨年干害のときに、たしか山林種苗に遮蔽をする、いろいろの施設つけるというようなことで、これも災害に入れていただいて、災害として助成をしてもらったというような例がありますが、私はこれは災害ではないか、これは災害として取り扱える種類のものではなかろうかと思いますので、第三点としては、災害対策上この収穫皆無に近いような状態になったものをひとつ御検討いただきたい。  以上三点をきょうは、初めて問題を提起するわけですから、申し上げて、対策をひとつ立てていただきたい、こういうように考えるわけです。  その第一点についてまず質問をいたしたいと思いますが、農林漁業資金を、豊科総合開発土地改良区が七千七百六十万円、矢原土地改良区が二千四百九十四万円、等々力土地改良区が五千九百三十五万円、合計一億五、六千万円の金をかけて土地改良をした。要するにワサビ畑を造成したわけです。これはたしか昭和三十六年ごろだと記憶しております。最初のうちはたいへん収穫も上がったような状況でありましたが、先ほど申し上げたように、特に豊科総合開発土地改良区においては収穫が皆無で草がはえておる、こういう状態になっておるわけです。ところが、借金の返済を迫られておって、いまのところ滞納が二千二百万前後あるのではなかろうか、こう思われます。  だから、これはひとつ率直に要望申し上げますと、どういう手を打ったらこの生産復興ができるかということがよく研究ができるか。私は、このワサビをつくっている人以外にはこのことについてよくわからないのではないか、こう思います。したがって、試験研究その他のことについても何もわかっていないから対策も立たない。膨大な金を借りてしまった。最初一、二年はよかったが、いまや収穫皆無になって草がはえておる、こういうような状況ですので、先ほど申し上げたように、生産復興ができるように研究ができるまで、あるいはまた災害なら災害として扱って、それを助成してもらうことができるまで、こういうような間はこの償還期限について御猶予をいただけないだろうか、こういうように考えるわけです。  実は、その土地改良区の借り入れについては、町当局が町議会等で論議をして、町が保証人になってまず立てかえて返す、それからだんだん土地改良区の組合員から取ればいいじゃないか、こういうようなことをいってだいぶ無理な取り立てをされておるのではないだろうか、そういうような状況だと思います。しかし、現実においては、これだけの金をかけて草がはえておるというようなぼう然自失たる状況を見ては、この町民自身も、町が町議会の議決によって保証はしたものの、一ワサビ業者に対して町の財政をもって立てかえて返還をするということは感情的に許されない。まあ、ワサビをつくっている者が土地を売り、何を売り、全部まる裸になって、しかる後に町が保証するというなら意味がわかるがというような町民感情があって、町がどうすることもできない、こういうようないわば現実に突き当たっているわけです。これはうわさ程度だと思いますが、聞くところによれば、そのワサビ畑をみんな地ならしをして宅地造成をして、宅地にして売り払って借金を返せ、こういうようなことまでどうもいわれているやに聞いておりますが、こういうことになれば、国が指導して、あるいは県が指導して、ワサビ畑の造成ということで土地改良資金を使って、膨大な金をかけてやって、ただ借金を返すためだけにそれをつぶしてしまって宅地造成をやるというようなことは、農林行政上からもいまは許されないようなことではなかろうか、こういうように考えますので、まず第一点としては、借金を返す、元利償還を一時停止してもらえないか。そして生産復興についてまた御援助いただいて、そうしてそれからだんだん返済をする、こういう便法は講じられないものだろうか。ちょっとくどかったようですが、現状はそういうことでありますので、ひとつ経済局長なり何なりから御答弁をいただきたいと思います。まだ実情がわかっておらなければ、きょうは突然の問題ですから研究をしていただければいいと思いますけれども……。
  73. 亀長友義

    亀長説明員 御指摘の長野県のワサビ田については、農林公庫から七千七百六十万円を三十六年に出しておりまして、現在の延滞額が二千百万程度ございます。農林公庫といたしましては、もちろんこの回収につきまして、町村の保証もいただいておりますので、そういう融資をいたしました経緯から町村当局ともいろいろ御相談をしておるわけでございます。また、災害の場合には一般的に、実情に応じて公庫としても、生産復興が可能であるような場合には、たとえば中間据え置きであるとか、あるいは償還期限の延長であるとかというような方策を、従来一般的には行なっております。  問題は、具体的にこの地区につきまして、ワサビの栽培が思うようにいかないという原因が何であるかということにつきまして、もう少し調査を進める必要があるのではないか。さらに、将来ここがワサビ田として、何らかの対策を講ずれば生産回復が可能であるかどうかというような点も調査をした上でないと結論が出しにくいという点がございました。園芸局のほうからも話があるかと思いますが、県なり園芸局のほうで調査をなさっておるようでございます。私のほうといたしましては農林公庫とも連絡をとりまして、そういう生産復興計画の可能な度合い、模様というようなものとも十分調節を取りまして、ただいまお話のありましたような、あまり残酷に、ただ金を取り立てるというような態度では農林公庫としては進めないように、厳重に私のほうからも注意をいたしたいと思います。  実情の詳細につきましては、実はきょう御質問の内容を承ったので、急速に電話で照会をいたしました程度でございますので不十分な点があるかと思いますが、一応かように考えております。  なお、技術的な生産回復の内容につきましては園芸局のほうからお話があると思います。
  74. 千野知長

    ○千野説明員 園芸局のほうからただいまの御質問の点についてお答え申し上げます。  長野のワサビは松本市付近の穂高、豊科両町で行なっておるようでございます。約百ヘクタールと聞き及んでおりますが、五、六年前から反収が急激に落ちてまいりました。県といたしましては、これに対して四十年から学識経験者によって調査専門委員会を構成して、原因究明にかかったわけでございます。なお一方、試験場に、四十年から三カ年、八十万の経費で研究を命じまして、それぞれ追及してまいりました結果、いずれもバイラス病が原因であり、それに夏の高温障害も加わっておるのではないかというような結論に達したようでございます。それで県といたしましては、本四十三年度から農林改良資金をもちまして、夏期の高温を抑制するかんれいしゃを導入する。それから一方、バイラスにかかっていない株からとった種で新しい苗をつくりまして、それをもって年次的に全面改良を進めるというようなことで、せっかく措置を講じつつある段階でございます。なお、これにつきましては県とさらに密接な連絡をとって、適切な措置を今後とも引き続いて進めたい、こう考えております。
  75. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大体そういうことであろうと思いますが、私が第二項として要望したいことは、平地湧水のこういう栽培はここだけだろうと思います。これについては国も積極的に、生産復興といってはおかしいでしょうが、試験研究、そういうものに対して力を入れていただきたい、これが私の第二の要望であったわけですが、いまは県でやっていることを聞いて御答弁いただいただけではなかろうかと思います。もっともっとこういう特産の振興について、助成措置なり何なりを強力に園芸局でやっていただきたい、こういうように考えるわけです。これは何か干害等の影響があろうと私は思います。十八度Cくらいになるとこれはだめなんだ、適温は十二度から十三度なんだ、そういうようなこともあろうし、これは研究ですから力を入れて国も援助をしていただきたい、これが第二の要望です。これは要望だけしておきます。  第三は、いま病気ではなかろうかというような推定みたいなことを言われましたが、この地区において干害があった、こういうようなこともまた湧水に影響を与えるのではなかろうか、これが一つと、もう一つは、上流のほうで開田を盛んにいたしました。水をポンプで揚げましたというような時期と関連をしつつ、こういう被害が起こってきていると私は思うわけです。したがって、そういうことは人災ではなかろうか。自然災害もあろうし人災もあろう、こういうように考えるわけです。特にこれは、そういうことをここで言うのもどうかと思いますが、たとえばワサビ畑の工事をやるのに、一般のたんぼの改良工事と同じようにブルドーザーががあがあやってしまって、それで造成ができたんだ、こういうようなやり方も私は技術的に指導が足りなかったのではなかろうか、こう思います。やはり水の流れる線、かんがい線といいますか、岸と接触する期間が長くなければいけないというのを、四角四面でやってしまうというようなこともあって、これは土地改良の技術的な指導も十分でなかったのではなかろうか、こういうように考えると、上の開田やら、造成工事そのものもどうも十分でなかった、これはどうやら人災ではなかろうか、こう思います。   〔川村委員長代理退席、委員長着席〕 くどいようですが、干害の時期、そういうこと等もやはり影響するので、二、三年来急になったのは自然災害もあろう、こういうように考えます。そこで自然災害等が加味されておるというようなことになると、これまた災害対策の一環としてもこれは研究していただかなければならないのではなかろうか、こう思います。これはひとつ安倍次官にその点を強く要望しておきます。急に二、三年の間に悪くなったということは干害も影響がある。あるいは土地改良そのもののやり方、あるいは上のほうで開田をあまりにしてしまった、こういうようなことは人災的なこともありはしないか、こういうふうに考えますので、災害という目でいま一回農林省は見ていただいて、これは救済できる道があるならば、干害対策あるいはその他の災害として救済をしていただくような道を講じていただくことをひとつ研究をしていただきたい、こう思うわけです。
  76. 安倍晋太郎

    安倍説明員 御指摘の点につきましては今後十分研究をしていきたいと思います。
  77. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 以上、きょうは問題提起だけで、また後ほど十分研究をして御質問させていただきたい、こう思います。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員長 神田大作君。
  79. 神田大作

    ○神田(大)委員 きょうは関連でございますから、一言だけ御質問申し上げますが、天災融資法の発動につきましていま小沢委員のほうから質問がありまして、御答弁があったようでありますが、私も再々このことについては御質問をしておりましたが、降ひょうが北関東地区にあったのは一体いつですか。
  80. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  降ひょうがありました県によってもだいぶ違いますが、一番最初にありましたのが四月三十日でございまして、これは主として群馬と埼玉県に発生しておるようでございます。一番おそいのが六月の終わりごろのように理解しております。
  81. 神田大作

    ○神田(大)委員 大体相当の被害をもたらしたのが五月十日前後だと私も考えておりますが、それから考えてみますと、二月半、大体五月、六月、七月と二カ月過ぎておりますね。私はきょう申し上げたいことは、事務当局が敏速に事務の処理をしないで、二月以上もこれら天災融資法の発動を行なわないで、検討中であるというようなことを言っておったのでは——降ひょう被害とかあるいは災害はいつもそうでありますが、これはもう被害農家というものはその当時非常な打撃を受けているわけです。精神的にも物質的にも非常に甚大な打撃を受けているときに適切な処置をしないで、二月も三月もたってから、忘れたころ天災融資法の発動をするというような、そういうような行政の遅滞、こういうようなことは私は非常に残念だと思うのですが、この点についてもっと敏速に、被害に即応してちゃんと適切な措置のできる体制がとれないものかどうか、次官にお尋ねします。
  82. 安倍晋太郎

    安倍説明員 農林省といたしましても、もちろん被害が発生いたしましたならばそれに対応して適切な措置を早くとっていくというたてまえでやっておるわけです。御存じのように、災害の場合は災害の実情を的確に把握するということが最も大切でございまして、この降ひょう被害の実態を把握することがどれだけかかったか、私承知しておりませんけれども、この実態の把握というものについて相当時間がかかって、今日天災融資法の発動ということになったのであろうと私たちは思っておるわけであります。
  83. 神田大作

    ○神田(大)委員 次官、ここでそういう他人事のような答弁をしておりますが、毎年われわれの北関東地区はいつもひょう害をこうむっておる。これはもう非常に局部的な被害ですから甚大です。ほとんど全滅です。ナシにしましてもあるいは桃、果樹類など全部そうです。たばこのごときは全部植えかえて、やむを得ず陸稲の種をまいて、まきかえている。そういうように被害というものは局部的に甚大なものです。それを、被害が二月もかからなくちゃわからぬ、こういう技術専門家がありますか。一体何をやっておる、こういうことですね。机上でもってこれをごまかして、集計ができないとか把握ができないということは、国民はそんなことは信じないです。そんなことは役人がなまけて、いわゆる行政を遅滞しているからそういうふうなんで、そんなことは言いわけにならぬ。今後そういうことで農林省がまたのろのろとするような行政をやっているとすれば、だんだん国民から信頼を失っていくと私は思うのです。この点について事務当局として局長はどう考えますか。
  84. 亀長友義

    亀長説明員 今回の災害は四月から六月にわたっておりまして、その途中の段階において、もちろん県なり統計調査部の正確な集計が迅速でなかったという点について、われわれも今後これをできるだけ迅速にするように対処していかなければならぬというように考えております。  また同時に、御承知のように天災融資法指定いたします場合には、一応の被害額についての見当が立ち、それがまたある一定の基準に該当するという条件を満たすという問題もございます。御承知のようにひょう害は、昨年もそうであったかと思いますが、本年につきましても四月の終わりごろから六月一ぱいにかけまして次から次へと来る。その点の災害を一つ一つとっておりますと、中には金額的には低い被害額になるというものもございまして、結局これらを一括まとめて、総被害額として天災融資法に該当するように持っていくようにというのが実情でございます。一つ一つをとりますと、いわゆる天災融資法適用条件という点からまいりますとなかなか困難な問題が出てまいりますので、自然ある程度まとめて適用するという方法をとらざるを得ない実情にございます。そういうふうないろいろな予算上のテクニックーと申すと語弊がありましょうが、いまの天災融資法に適合させるための操作と申しますか、そういう面もございまして、今回実は近く指定をするという段階までおくれたというわけです。被害状況の把握につきましては、統計調査部のほうでより迅速にやっていただくように、私どもとしては今後も十分連絡をとりながらやってまいりたいと思います。
  85. 神田大作

    ○神田(大)委員 では私はきょうはこの程度にしますが、順々にひょう害が出たというような説明でありますが、少なくとも六月半ばにはもう三十億をこしておると私は思います。私はきょう資料を持っておりませんからわかりませんが、それにもかかわらず、とにかくその発動をしないでおったということに対して、今後こういう災害に対しましては、ひとつ次官としてもその被害者の心境をよく察しまして、迅速な、効果のある適切な時期にやるということについて御考慮をいただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  86. 安倍晋太郎

    安倍説明員 ただいまの御注意に対しましては、十分農林省も配慮いたしまして、被害が起こりましたならば迅速に的確に対策が講ぜられるように、今後努力を続けていきたいと思います。
  87. 芳賀貢

  88. 工藤良平

    工藤委員 私は先般の委員会でも、今度の九州をはじめといたしました田植え時期の干害問題について若干御質問をいたしましたけれども、念のためもう一回、若干詳細な面についてお聞きをいたしたいと思います。  今度の田植え時期におきます干害につきましては先般も御報告をいただいたわけでありますが、現在の時点で大体被害応急対策事業を実施いたしました県並びにその応急対策事業費の額について把握した点がありましたら、把握した点についてまずお聞きをいたしたいと思います。
  89. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  ただいまわれわれのところに各府県方面から入りました一応最近のこれは情報でございますが、十分まだ確定というところまではまいっておりませんが、おおむねというふうに御理解願いたいと思います。四十三年のこの干ばつにつきまして各府県が支出されましたといいますか、府県の段階でいままでされました工事が大体十八億円強といいますか、十八億八千万円前後になっておるんじゃなかろうか、こういうふうにわれわれは査定しておる次第でございます。
  90. 工藤良平

    工藤委員 該当県は何県ぐらいありますか。
  91. 荒勝巖

    荒勝説明員 お答えいたします。  県の数といたしましては、大体干ばつ状況でいたしますと、該当県といたしましては中国、四国、九州、おおむね十六県が該当するんではなかろうか、こういうふうに思っております。
  92. 工藤良平

    工藤委員 本日この陳情に出ております九州の総計を見ますと、応急対策事業費で約十四億七千万です。先般小澤先生の質問にあったようですが、中国、四国合わせて十一億幾らというような報告をちょっと聞いたのでありますけれども、その点の把握はどうでしょう。
  93. 荒勝巖

    荒勝説明員 ちょっと先ほど私の口足らずの点で、査定額を申し上げたのでございますが、いわゆる災害総額といたしましては二十六億五千二百万円ぐらいありまして、それに対して査定率といいますか、七一%前後をかけまして十八億円前後、こう申し上げた次第でございます。前回の小澤先生の御質問に対して、九州中国、四国を合わせて大体それくらいの金額になるんじゃなかろうか、こう思っております。
  94. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、農林省が現時点で査定をいたしましたのが十八億八千万円と、こういうことになるわけですね。
  95. 荒勝巖

    荒勝説明員 そういうふうに御理解願いたいと思います。
  96. 工藤良平

    工藤委員 この問題につきましてすでに、六月の二十日の委員会が実は流れたわけでありますけれども、あの際の懇談会の際にも、私どもこの干害についてできるだけ早急に調査をし、指導をしていただきたいという要望を申し上げておいたわけでありますが、これについて農林省としての対策はどのように講じてきたか、その点をお伺いをいたしたいと思います。
  97. 荒勝巖

    荒勝説明員 これにつきましては先ほど政務次官から若干御報告がございましたが、農林省といたしましてはただいま申し上げたように、去年ほどはひどい干ばつとはまだ現在見ておりません。が、例年にない、やはり相当な被害だというふうに判断をいたしまして、しかもことしの中国四国並びに北九州地方では本年三月以降六月中旬までほとんど雨が降りませんで、各地降雨量が平年の約半分前後というふうなことで、多少雨が降りましてもため池にまで水は十分たまらないというふうなことで、各地稲作の作付状況が非常に悪かったというふうに見ましたので、いろいろと春以来心配しておりまして、そこで六月上旬にいろいろな指導を出したような次第でございます。その間、非常に雨が初めのころは降らなくて弱ったのでありますが、指導を出した前後から、六月から七月にかけて非常に降雨がありまして、各地の作付状況は、本日現在の時点では、多少おくれましたが、作付が大体完了したというふうに各県から報告をいただいている次第でございます。  それにつきまして、六月八日付で、事務次官名中国四国九州の各担当の農政局長あてに技術指導通達を出して、管下の各県を十分督励するようにということで指導を出した次第でございます。そのほか、各地方農政局長はこれを受けまして、干ばつ対策の連絡協議会を設け、状況把握を速報的にわれわれ中央にも入るようにいたしますとともに、技術指導を的確に行なって、特に干ばつの非常に多発していると思われる地帯については、それぞれ中国、四国地区では四十七台のポンプ、九州農政局では九十二台のポンプ並びに発動機の貸し出しを行なってやっております。  こういうことで、ことしの干ばつにつきまして、去年に引き続いて非常に御迷惑をかけたような次第でございますが、幸いにしましてこの六月の下旬から七月の上旬にかけての降雨量が非常に多かったので、一応この段階では危機を乗り越えたのではなかろうか、こういうふうに判断しておる次第でございまして、今後七月、八月あるいは九月にかけての雨が、むしろいまの段階になればわれわれとしては新たな心配、こういうふうに判断している次第でございます。
  98. 工藤良平

    工藤委員 すでに山間部等におきましては、稲の作付の限界の期日と申しますか、そういう関係から、ある地点では相当作付転換もやむを得なかったのではないかというように判断をしているわけでございますが、そういう事実はございませんですか。
  99. 荒勝巖

    荒勝説明員 われわれといたしましては、ただいま聞いている範囲では、県からの報告では、六月下旬の段階ではまだ多少作付不能面積があるというふうに聞いておりましたが、七月のむしろ豪雨に近い降雨量に恵まれまして、大体作付不能地はなくなったというふうに聞いております。多少あるいは落ちこぼれがあるかもわかりませんが、その辺まだつまびらかにいたしておりません。
  100. 工藤良平

    工藤委員 いずれにいたしましても、六月の終わりから七月にかけての豪雨のために、ほとんど大部分というのは作付が終わっているだろうというように私どもも大体判断できるわけでありますが、問題は、ことしの場合には昨年に続きまして、ため池等におきましてはほとんどゼロに近い貯水量しかなかったという事態から、一時は相当憂慮されまして、各県あるいは市町村におきましても、相当やはり早目の対策というものが要請されてまいったことは農林省も御存じのとおりだと思います。ただ、この種の問題については、補助金のあるなしにかかわらず、農民にとりましては死活の問題でありますから、やはりあらゆる手段を講じなければならないというようなことでございまして、ことしの場合には昨年に続き、特に関西方面におきましては連続的な干ばつ、こういうことがはっきり言えるのではないだろうか、こういうように考えているわけであります。したがって、干ばつ応急対策事業に対する助成について、農林省考え方というものを明らかにしていただきたいと思っております。
  101. 安倍晋太郎

    安倍説明員 本年の干ばつは昨年に続いてのことでございますが、昨年の干ばつに対しては御存じのような助成措置を講じたわけでございまして、ことしの干ばつにつきましても、これからも八、九月ごろ起こる可能性もありますが、そういう状況も十分参照しまして、昨年に準じた干ばつ対策助成措置というものを講ずるように、今後とも努力をしてまいりたい、検討していきたい、こういうふうに考えております。
  102. 工藤良平

    工藤委員 昨年に準じた助成措置を講ずるということでございまして、たいへんありがたいと思うわけでございますが、この助成の率について、昨年は三十九年に引き続いて特別激甚の干害対策として助成の率を引き上げていただいているわけでありますけれども、そういうように理解をしてよろしゅうございますか。
  103. 荒勝巖

    荒勝説明員 昨年もまあ結果論といたしましては、水稲の落水期後において災害状況を判断した上で、それが非常な異常災害であったという前提のもとに補助率等がきまったような次第で、ことしもまだ今後における七月、八月の観点におきましてさらに干ばつが非常にふえるのか、あるいは適当な温度と雨に恵まれまして、逆に豊作型といいますか、水稲のあれを回復してくるかということによって、多少取り扱いを異にいたしますので、九月にならないと、補助率をどういうふうに適用するかにつきましては、落水期後にならないと政府としては決定いたしかねる、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  104. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、従前の三十三年からずっと毎年の経過を見てみますと、三十九年には特別の助成を行なっておるようでありますが、各年度それぞれ補助率が、工事費四〇%、機械費二〇%というような一つの率があるわけでありますが、これは最低限確保していただいて、あと激甚県に対する措置については、昨年のようなことがやれるかどうかというのは九月の段階を見て判断をされる、このように考えてよろしいわけですか。
  105. 荒勝巖

    荒勝説明員 御質問によりますと、最低限確保するかどうかということでありますが、われわれといたしましては全部——全然相手にしないと言ったら失礼でございますが、要するに落水期後そういった問題を総合的に判断してきめるということでありまして、現在の時点でそれをお約束するということは、まだ少しむずかしいのではなかろうか、こういうふうに思います。
  106. 工藤良平

    工藤委員 そうすると、その従前やってまいりました干害応急対策事業に対する補助率そのものも、まだ現在のところではわからない、こういうことなんですか。
  107. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど政務次官からも多少申し上げましたが、従来の慣行というものもございまして、慣行を直ちにわれわれ事務当局が全然無視してかかるという気は毛頭ございません。しかし現在の段階で、事務当局といたしまして事務的にどういう補助率をとるかということにつきましては、まだ煮詰まっておりませんので、それは落水期までひとつお待ち願いたい、こういうことでございます。
  108. 工藤良平

    工藤委員 そういたしますと、昨年に例をとりますと、昨年の場合には四月、五月の苗しろ時期から全国的に干害があった、七月以降につきましては特に西日本を中心にいたしました大干害というものが発生をいたしたわけでありますけれども、私はその全体的な干害の被害状況から見て、ことしの場合というのを比較いたしますと、おそらくまだ未知数のものが今後発生するかどうかという問題がありますからそれは判断をしにくいといたしましても、しかし昨年の農林省の指導を見てみますと、六月五日に地方農政局長あてに農林省農地局長から干ばつ関係通達という形で出されているわけであります。これによりますと、すでに六月五日現在で「干害応急対策事業に要した経費の助成については、原則として過去の例に準じて措置することとしたい。」こういうふうにほぼその大要というものを示しているわけであります。ことしはすでに国の査定だけでも十八億八千万という査定が出ているわけでありますから、これは過去、三十三年からの当局の出した資料でありますから間違いないと思いますけれども、三十三年、三十五年、三十六年、三十七年、三十九、四十年、四十一年という例をとってみましても、この十八億八千万というような査定額を出しておるのは数少ないわけであります。そういたしますと、これは当然指導としては、昨年あたり大干害が予想される前の時点ですでにこういう文書を出しているわけでありますから、私はその程度のものは明らかにしても何ら差しつかえないんじゃないかと思うわけであります。この点が明らかにならないとやはり現段階におきます指導が——もちろん私がさっき申し上げましたように、助成があろうがなかろうが農民としてはやらなければならぬわけでありますけれども、しかし昨年に引き続く干害でありますから、できることならばやはり国の助成というものを期待したいわけでありまして、そういう指導の面についても、各市町村、県におきましては非常にこの点に重大な関心を持っているわけで、やはりこの時点で明らかにしていただけたら——最終の率というものが四〇%になるのか五〇%になるのかという問題は今後の問題としても、こういった基本的な方針だけは明らかにしていただくというのが当面必要ではないか、こういうように思いますので、この点ぜひひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  109. 井元光一

    ○井元説明員 去年は御存じのように六月ごろにかけて——そのころといたしましてはちょっと早かったわけでありますけれども、去年の統計からいたしますと御存じのように非常に大きな被害であったわけであります。それを具体的に申し上げますと、四十二年は百五十一億八千万円、三十九年は二十八億九百万円であります。被害額からいきますと、いま現在では十八億で御存じのように三位になっておるわけであります。これは額からいって申し上げたというわけでは決してないのだろうと思いますけれども、去年の六月には非常に大きな額であったものですから、たまたまこういう通知を出したわけであります。今度の災害の場合には、災害を待っているというのははなはだおかしいわけでありますけれども、落水期を待たないとどうしてもいまのところまだ確定的なことを申し上げられないわけでありますので、もうしばらくぜひお待ちを願いたいと思います。
  110. 工藤良平

    工藤委員 いま御答弁がありました百五十何億というのは、全体的に七月以降の大干害も含めての数字ではないかと私は思うのですけれども、そういたしますと、昨年は六月五日に出しているわけでありまして、まだそういう大干害は予想されていなかったわけですね。しかし六月五日に、やはりそういう全国的に苗しろ水等の判断からいたしますと、相当な被害になるだろうということを予測をして出しているわけであります。本年すでに十八億八千万という被害の査定が、応急対策事業の査定が行なわれているわけでありまして、私は過去の例を申し上げて、この十八億八千万というのはどれを見ましても、この統計からいいますと三番目くらいに入りますから、現にこういうものは補助の対象にするということくらいは、最終のパーセントは別としても、そういう程度のものはここで明らかにしていただかないと、私は県の指導なり市町村の指導なりというものはできないんじゃないかと思うわけでありますが、その点明らかになりませんか。
  111. 井元光一

    ○井元説明員 なるべくそういうふうにいたそうと思いまして、先ほどからも政務次官から御答弁がありましたように、できるだけ去年の干ばつの続きだというような理由を考えているわけであります。いま直ちに的確な回答は残念ながらできないわけでございます。
  112. 工藤良平

    工藤委員 私は、この昨年からの連続というものは率を引き上げていただきたい。やはり激甚県として、三十九年、そして昨年の四十二年に匹敵するような被害としてひとつ率を引き上げていただきたいという関連からそういう問題の提起をしているわけです。たとい切り離してみても、これを単年度の、ただことしだけの干ばつとして取り上げてみても、すでに十八億八千万という額になっているわけでありますから、過去のずっと補助金を出していた考え方、干害応急対策事業に補助金を出していった例から見ても非常に額が大きいわけでありますから、いまこの段階でそれはぜひそういう措置をしたいということの発言をしても、そう危険な問題ではないのじゃないだろうか、私はこういうふうに理解をしているわけでありますが、政務次官、どうですか。ぜひはっきりしていただかないと各県とも困ると思います。
  113. 安倍晋太郎

    安倍説明員 農林省といたしましては、私が先ほどお答えをいたしましたように、昨年に準じた助成措置というものをとっていきたいという考えでございます。しかし、まだ被害状況——すでに十八億ありますが、今後の落水期までにどうなるか、さらにどういうふうな状況に移っていくか、これも把握しなければなりませんし、また最終的には、やはり助成措置をきめる場合においても財政当局と話し合いをしなければならぬわけで、農林省のたてまえとしては準じてやりたいという考え方でございますが、今後の被害状況並びに財政当局との折衝が残っておりますので、ここで明確にその率を申し上げる段階ではないと私は思っております。
  114. 川村継義

    ○川村委員 関連して。いま工藤委員の話を聞いておりまして、ちょっと私もよくわからぬところがあるのでお聞きします。  いま次官がいみじくも言われましたが、きょう腹がきめられない、答弁ができないというのは、いずれにしても助成をする場合の財政的問題で大蔵省との話し合いができていないからということですか。それが一つ。  それからもう一つは、十八億八千万円の査定をされておる、この内容は何ですか。これは参事官のほうで内容はおわかりだろうと思う。応急対策の内容は何ですか。それからひとつお答えいただきたい。
  115. 荒勝巖

    荒勝説明員 先ほど申し上げましたように、財政当局とまだ突っ込んだ話をしているという段階ではございませんで、むしろ落水期後という意味をもちまして、今後の災害状況、まだあるいは西日本には相当干ばつが予想もされますので、そういうものを多少見きわめた上でというのがむしろわれわれのほうの現在の姿勢と申しますか、そういう状況だということを申し上げたいと思います。  それからなお、工事費等につきましては農地局のほうから御答弁願いたいと思います。
  116. 井元光一

    ○井元説明員 二十六億五千二百六十二万円の内容につきましては、水路等の工事費といたしまして十一億九千八百六十二万八千円、それから揚水機の購入費といたしまして十四億三千二百八十五万五千円、これは台数が先ほど申し上げましたとおり一万六千八百九十六基、それから揚水機の借り入れで、台数は千五百二十台、それの金額は二千百十三万七千円でございます。以上で合計二十六億五千二百六十二万円であります。
  117. 川村継義

    ○川村委員 そこで私はよくわからぬのですがね。参事官がおっしゃったように、大蔵省と話を煮詰めておる段階でなくて、落水期を待ってでないと結論が出ない、こういうことですね、ことばをかえて.言うと。なぜ一体落水期を待たなければならぬ。いま局長が言われたように、すでに水路をつくった、ポンプを据えつけた、井戸を掘った、あるいはポンプを買った、これはもう明らかなんでしょう。それが二十六億五千万円か六千万円が出ておる。ところが皆さん方はこれを十八億幾らと査定をしておる。これは明らかなんでしょう。そうすると、その助成の率を上げる上げぬは、それはあとでもかまわぬのですよ。しかし、すでにもうこういう施設はして金を使っているのだから、これに対して当然慣行となっておるような一般的な助成は、三〇%か、三五%か、四〇%か、これだけは見てやろう、これは言えるのではないですか。これを落水期を待たなければならぬということはどうなのか。落水期を見て、非常にお米がよくできたら、いや、これはもうけたからそんなものは見る必要はない、こういうわけですか。じゃないでしょう。すでにポンプを買ったり、水路をつくったり、井戸を掘ったりしておるのですからね。  そこでもう一つ私は疑問に思う。皆さん方は、昨年非常にこういう干害を受けてたくさんの金を使った同じ場所が同じ干害を受けたと考えたら、たいへんですよ。なるほど、去年皆さん方の手当てによって井戸を掘ったりポンプを据えたりしたところは、ことしはその干害で非常に助かっている場所が多いですよ。ところが、ことしは昨年そういう施設を全然してないところに干害を受けておる。だから、新しく井戸を掘らなければならない、ポンプを据えなければならない、用水路をつくらなければならない、こういう応急の対策をやっているわけでしょう。同じ場所をやられたのじゃないということも頭に入れて考えていただくと、何も落水期を待つ必要はなくて、それはいままでのように三〇%、四〇%の助成は見ましょう、こういって腹をきめてしかるべきではないですか。しかし、あとでもっともっとひどかったということになれば、それは補助率三〇%、四〇%では困るでしょう、ではひとつ補助率を五〇%にしてやろうかというような問題が出てきてしかるべきですね。そう思うのですよ。そのほうが当然の考え方ではありませんか。次官、どうです。そこのところがどうも私はよくわからない。それをおっしゃると、はっきりするのでしょう。
  118. 安倍晋太郎

    安倍説明員 先生も御存じのように、これまでの干ばつ対策は、大体落水期ごろに補助の具体的な内容を明らかにする、こういうふうな形で今日まできておる。そういうことで、ことしは十八億という災害は厳としてあるわけですけれども、最終的に助成措置をきめるのは、これまでのように落水期においてこれをきめる、こういうことであろうと思います。私は再々申し上げますように、われわれとしては何としても昨年並みといいますか例年並みの干ばつ対策助成措置というものは講じなければならない、そういう考え方で財政当局とも強力に折衝していきたい、こういうふうに思うわけであります。
  119. 川村継義

    ○川村委員 その行政的なやり方、それはそれで一応了解できますよ。昨年は六月の五日でしたか、農政局に対して、これはたいへんだから、ひとつこういうポンプだとかいろいろな助成、めんどうを見てやるから、それで指導せよ、こういうのが出ていますね。そうなると、ことしもやはりそういう意思——ことし通達が出たかどうか知らぬけれども、あるいは出さなかった、そうなると、やはりいまの時点で当然そういう通達を出して、あるいは県なり地方のそういう何か明るいというか、負担が済むような、あるいは対策が前進するような手段を講じていただいても、私は何も間違った方法でないと思いますよ。その辺の線は少し早く出していただいたほうがいいのじゃありませんか。さっきの神田さんの話ではないけれども、どうもおくれてしまってからどうこうでは、またたいへんな問題になるのじゃないか。
  120. 安倍晋太郎

    安倍説明員 確かにいまおっしゃいましたように、いままでの被害に対してどういうふうな助成措置が講ぜられるかということについては、各市町村とも相当不安な状況にあることは事実だろうと思います。ただ、昨年は御存じのように百億以上というふうな大きな干ばつでございましたから、特別措置ということで六月ごろでしたか、通達を出したわけですが、ことしは金額の点においても十八億ということで、例年並みに落水期を待って、こういうふうな方向行政当局は考えておると思います。けれども、いまおっしゃいましたように、やはり地方公共団体、というのはたいへん不安にかられておると思いますので、私としてはなるべく早くそういう問題については財政当局と話を進めて通達を出せるようにすべきである、こういうことで今後も指導していきたいと思っております。
  121. 工藤良平

    工藤委員 いまの政務次官の御答弁で私も大体了解したいと思いますが、ここに、これは農林省の資料でありますが、査定工事費は、三十三年が三十八億八百万、三十五年が十一億八千五百万、三十六年が九億七千九百八十万、それから三十七年が三億四千万、それから三十九年が、これが多くて二十八億、それから昭和四十年が十三億四千万、それから昭和四十一年が九億七千八百万ということで、いままでの例からいいますと、十八億八千万というのはやはり三十九年と昨年を除いては最高のほうなんですね。ですからいま御指摘のあったように、少なくとも早急に指導文書を出していただく。この前農地局長もその点については大体了解をしておったと私は理解をしたわけなんですが、この文書にもありますように、「干害応急対策事業に要した経費の助成については、原則として過去の例に準じて措置することとしたい。」ということを、昨年は六月五日の段階でこういう指導文書を出していらっしゃるわけですから、被害額からいっても当然この程度の親切というのはあってしかるべきじゃないか。ただ最終段階補助率をどうするかという問題については、今後の干害の見通し等もありましょうから、私はここではあえて追及いたしませんけれども、できることならば、その助成率の引き上げについては昨年の干害の連続という形に見ていただいて、若干でも引き上げていただくという措置は十分に考慮していただきたいと思うのですが、ただ、いま川村先生からも御指摘のように、こういう指導文書は少なくとも出していただかないと、やりたいけれどもなかなか自己資金ではできないというところもあります。またこれは来年の干害にも、起こりますと響いてまいりますから、ぜひひとつそういった意味でこういう指導文書を農林省として出していただくように最善の努力をお願いいたしたい、こういうことをつけ加えておきたいと思います。  それから、具体的な内容に入りますが、ことしの場合には、御存じのように六月の末まで実はこういうような応急対策を講じなければならなかった。ところが六月の終わりから七月にかけまして集中豪雨なり若干の雨が降りましたので、現在のところでは逆に水害が発生をするというような事態まで起こったわけなんですが、時期がおくれましたけれども、どうにか田植えは終わったというような状況でございます。ただこの場合に、応急工事を実施をする準備をして、機械も購入した、資材も全部整えた、ところが雨がたまたま来たものですから、その施設を完全につくらないままでどうにかいま進んでいるという地域もたくさんあるわけでありますが、こういう場合に助成の対象になるかどうか、この点もお聞きをしたいと思うのです。
  122. 井元光一

    ○井元説明員 過去におきましては、合理的にやった施設に対しましては出ております。今後もそういうような考え方で指導いたしたいと思います。
  123. 工藤良平

    工藤委員 ことしはたまたま六月の終わりから七月の初めにかけて降ったものですから、そういう場面がたくさんあると思いますので、これは善意にひとつ解釈をしていただきまして、昨年のような措置をぜひ講じていただきたい。  それからもう一つは、応急対策事業というものの判断、これはどの程度のものなのか。単年度だけで終わるということはいけないということにはなっておりますね。恒久的な施設というのは一体どういう程度のものを応急対策事業として取り上げるのか。その点の判断はどうなるわけでございますか。
  124. 井元光一

    ○井元説明員 非常にばく然としたお答えなんですけれども、数年間その施設が持ちこたえられるという意味に解しております。
  125. 工藤良平

    工藤委員 応急ということばがついておりますから、確かに半永久的なものということになると、これはむしろかんがい排水事業としてやるというのが至当かもわかりませんけれども、しかし干害を契機にして用水施設をつくるというようなことについては、私は応急干害対策事業の中に含めてもいいのではないか、こういうように思うわけであります。従来の例からいたしまして、そういう点はどういうことになりますか。数年ということになりますと五、六年ということになりましょうから、ほとんどある程度長期間、揚水ポンプなりそういう施設についてはいけるんじゃないかと思うのです。
  126. 井元光一

    ○井元説明員 ただいまのことにつきましては、ポンプとかその他の取り入れ施設、井戸、そういうものは恒久的な施設というふうに解釈いたしまして、建屋等につきましては、その建て方において非常に簡単に老朽化してしまう、こういうようなものはちょっと考えられないわけでございます。
  127. 工藤良平

    工藤委員 この点についても、干害対策として講じた施設については、たとえばいま言った揚水ポンプの場所の家屋等については、たとえばブロックを使うというということは通例の場合にも行なわれますので、そういう場合にはやはり応急干害対策事業としてできるだけ査定をしていただくことが最も正しいのではないか、こういうように考えますので、そういう点については運用の面で十分配慮をしていただきたい。  それともう一つは、たとえば昨年の干害に続いてことしも干害という立場になりまして、昨年応急干害施設をやりかけたけれども、実はそれが間に合わずに本年度に持ち越して、たとえばことしの五月なら五月にそれが工事を完成をした、こういうような場合に、昨年の対象にはならなかったけれども、本年の対象に入れて応急干害対策事業としてやる、こういうようなことが具体的にできるかどうか、きわめて具体的でありますけれども、その点もぜひひとつお聞かせを願いたいと思うのです。
  128. 井元光一

    ○井元説明員 干害発生以前にした施設については過去においてもとっていないわけであります。干害発生後にした施設に対しては、同じような処置をとって処理をしているということでありきす。
  129. 工藤良平

    工藤委員 きわめて具体的になりますからその程度にいたしておきます。ぜひひとつ、この応急干害対策事業を進める際には、それらの点を配慮しながら御指導いただきたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。いずれにいたしましても、この問題については早急な対策が必要でございまして、ぜひ農林省におきましては、さっきから再三申し上げておりますように、万全の対策を講じていただくように配慮をお願いをいたしたい、こういうことを申し上げまして、農林省関係については質問を終わりたいと思います。  気象庁にお伺いいたしますが、大体ことしの干害ということは、昨年から九州方面は予測をされておったわけでありますが、一応、六月末から七月上旬にかけましては相当の雨量があったわけでありますが、今後長期的な気象の条件等につきまして、おわかりになればお示しをいただきたいと思います。
  130. 大野義輝

    ○大野説明員 お答えいたします。  非常に非科学的な言い方かもしれませんが、長期予報の傾向を見ますと、ある年を中心にして数年間は非常に雨量が少ない、それからある年は非常に多くなるというようなのが、ある周期性であらわれてくる、そういうふうな見方がございまして、特別の事情のない限り、ある年、たとえば昨年が異常干ばつ、そうしますと、やはりその翌年あるいはその前の年は干ばつの傾向がある、そういうふうな統計的な結果がございます。そういうふうな観点からいたしますと、昨年もございましたし、本年も、たまたま六月の末から七月にかけてかなりの降雨がございましたけれども、一昨日九州南部ではすでにつゆが明けているというようなこと、おっつけ九州方面も明けるというような事態になると思います。つゆで明けますと、当然降雨というものが多量には見込まれないというようなことから、七月末、八月、この辺は多量の雨をもし望むとすれば、これは台風でございます。その台風の見通しでございますけれども、本年は八月を中心にして特に台風は活発になるだろうというような予想もございます。ただ台風が参りますと、統計的な被害額を申しますと、年間大体平均二千億円という被害額が出ております。ことしはそれより上回るか下回るかというようなことはわかりませんが、たとえば大型台風が一つ参りますと、日本国中におよそ六百億トンぐらいの雨が一時に降る。これが一日か二日の間に降る。中型で申しますと大体その半分くらい、三百億トン。小型でも百億トンくらい。今後台風の来方いかんによっては、百億トンあるいは二百億トンというような雨も期待できますけれども、これは一に今後台風が発生して本土に接近するかどうかということできまるわけでございます。それを考えに入れなければ、今後はなお、昨年ほどの異常渇水ではないけれども、やはり雨量は決して多くはないだろうというふうな見通しをただいま立てているわけでございます。  以上でございます。
  131. 工藤良平

    工藤委員 最後に自治省にお願いしておきたいと思います。  先ほどから農林省からもいろいろお聞きをいたしましたように、ことしの場合には昨年に続いて干害が予想されたということから、各県におきましても干害対策委員会等を設置をいたしまして、いろいろと対策を講じてきたわけでありまして、すでに相当の経費を使用しておるようでございます。これらの点について、各地方公共団体の財政負担に対する特別交付税の措置について考え方をお聞かせをいただきたいと思います。
  132. 山本成美

    ○山本説明員 干害によります災害の場合は、一般に公共土木等の災害が台風なんかによって非常に生ずるのと違いまして、市町村の財政にいきなり非常な影響を与えるということは比較的ございません。ただ長期間にわたる場合が多うございますので、その点で公共土木の場合と違った財政需要がまた生ずるわけでございます。申し上げるまでもないことでございますけれども、そういう特徴を持っておりますので、干害の場合もそうでございますし、降ひょうの場合もそうでございますが、特別交付税の中で、被害額に応じまして〇・五%の特別交付税をまず差し上げるような準備が一つございます。それから、事業の性格によりまして、国庫補助事業で応急干害対策をやります場合が多うございますが、そういうものが行なわれました場合は、その裏負担について七〇%を特別交付税で措置するといったようなことを考えております。これは例年のことでございますので、特に変わったわけじゃございませんが、さような措置考えております。
  133. 工藤良平

    工藤委員 これで終わりますが、これは農林省の政務次官にぜひお願いをしておきたいと思います。  いま気象庁からも御指摘のように、昨年ほどの干害はないにいたしましても、これから相当の心配もあるというようなことでございまして、幸いに現在のところでは相当の降雨量がございましたから、ため池等につきましてもある程度貯水もできたのじゃないかと考えるわけでございますが、特に昨年の教訓からいたしまして、計画的なこれからの指導というものが私は必要じゃないか、こういうように思いますので、ぜひ農政局を通じまして、このため池の実態、その他の水の利用状況等について、ひとつ十分なる御配慮と御調査をしていただいて、万全の措置を講じていただくように、特に御要請を申し上げまして私の質問をこれで終わります。
  134. 安倍晋太郎

    安倍説明員 ただいまのお話のような干ばつ対策、総合的な水に対する対策につきましても、農林省としても最も大切な政策の一つとして、今後とも十分調査並びに長期的な計画等を樹立していかなければならない、こういうふうに考えております。
  135. 芳賀貢

    芳賀委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十六分散会