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1968-05-28 第58回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十八日(火曜日)    午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 池田 清志君 理事 渡辺 栄一君    理事 永井勝次郎君 理事 神田 大作君       木野 晴夫君    田澤 吉郎君       田中 正巳君    渡海元三郎君       中川 一郎君    葉梨 信行君      三ツ林弥太郎君    水野  清君     早稻田柳右ェ門君    渡辺  肇君       赤路 友藏君    福岡 義登君       山内  広君   米内山義一郎君       小川新一郎君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         農 林 大 臣 西村 直己君         建 設 大 臣 保利  茂君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  出席政府委員         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         厚生省社会局長 今村  譲君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農地局長 和田 正明君         農林省園芸局長 黒河内 修君         林野庁長官   片山 正英君         水産庁長官   久宗  高君         運輸省港湾局長 宮崎 茂一君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         気象庁次長   増田 誠三君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浦川 親直君         消防庁次長   山本  弘君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         警察庁警備局警         備調査官    津田 武徳君         北海道開発庁水         政課長     富所 強哉君         防衛庁防衛局第         一課長     今泉 正隆君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      原野 律郎君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     大和田 潔君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農政局参         事官      田所  萠君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         水産庁漁港部長 瀬尾 五一君         水産庁漁港部建         設課長     矢野 照重君         中小企業庁計画         部長      井土 武久君         気象庁観測部地         震課長     木村 耕三君         郵政大臣官房秘         書課長     太原 幹夫君         建設省河川局次         長       多治見高雄君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省道路局次         長       吉兼 三郎君         建設省住宅局市         街地建築課長  上野  洋君         自治大臣官房参         事官      皆川 迪夫君         日本国有鉄道施         設局長     松本 文彦君         日本電信電話公         社保全局長   橋本 真澄君     ————————————— 五月二十八日  委員宇野宗佑君、塩谷一夫君、福永一臣君及び  田邊誠辞任につき、その補欠として木野晴夫  君、葉梨信行君、渡海元三郎君及び赤路友藏君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員木野晴夫君、渡海元三郎君及び葉梨信行君  辞任につき、その補欠として宇野宗佑君、福永  一臣君及び塩谷一夫君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十三年十勝沖地震による災害対策      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  昭和四十三年十勝沖地震による災害対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神田大作君。
  3. 神田大作

    神田(大)委員 大事な災害の問題を審議する委員会にわれわれは各大臣出席を要求しておるにもかかわらず、総務長官のみで、運輸大臣建設大臣農林大臣、いずれも欠席しておるということは、委員会軽視で、はなはだもってけしからぬ話です。災害地皆さんが非常な災難にあって苦しんでおるとき、国務の責任者がこの大事な委員会に出てこないということについて、田中総務長官からひとつ弁明を願います。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 私から御答弁を申し上げるのもまことに妙なものでありますが、災害対策本部長でございまして、当面の責任者でございますので、各省大臣もさることでございますけれども、私が万事お話を承り、お答えを申し上げさしていただきとうございます。
  5. 神田大作

    神田(大)委員 時間もないから、もっと——長官がそういうように全部万事引き受けると言ったところで、あなたは、国鉄廃止の問題なんか、廃止するとか廃止しないとかいうようなことも変にうやむや、あるいは建設大臣公共建物に対する問題等をあなたに言っても、あなたは伝えるだろうが、責任を持って処置することができないでしょう。そういう点において、このような大事な委員会に万難を排して出席すべきであるにもかかわらず、総務長官だけで処理するというようなことに対しては、われわれとしては承服できないわけでありますから、今後各大臣によろしくお伝えを願いたい。また、私も、時間がないから、二十分と制限されているわけでございますから、この程度にいたします。  まず、建設関係についてお尋ねいたしますが、われわれが災害地を視察いたしましたところ、公共建設施設が非常な被害をこうむっておる、しかも木造とかあるいはその他の私設の建設には、公共建設施設に比較いたしまして被害がないということに対しては、地元皆さんも非常な疑問を持っておるわけであるが、これに対して、建設省責任者は適切なるこれに対する対策を立てたか、あるいはその原因の究明を行なったかどうか、お尋ねをいたします。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 御指摘のように、今回の災害の一つの特色とも指摘されておりまする公共施設災害、特に学校その他の道路等、いろいろとございます。本日は建設省からも、運輸省からもおのおの担当官が出ておりますので、以下詳細なことは担当者からお答えをさせていただきます。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員長 神田委員に申し上げますが、建設省政府委員は来ていませんが、多治見河川局次長でいいですか。——多治見河川局次長
  8. 多治見高雄

    多治見説明員 お答えいたします。  建設省では災害対策の窓口が河川局になっておりますので、災害対策の全般について調整いたしておりますので、私からお答えいたします。  公共建物被害につきましては、お話しのように今回の災害で相当大きな被害を受けておりまして、たとえばむつの市役所あるいは函館の学校等について被害がありましたことは御存じのとおりでございまして、建設省といたしましては、この被害原因についてさっそく調査いたすため、建築研究所あるいは住宅局等専門家をすぐ現地に派遣いたしまして、詳細な調査をいたしております。その結論はまだ出ておりませんが、現在鋭意その原因について検討いたしておりますが、まだ設計、施工あるいは地質の関係等について十分な結論を得ておりませんので、早急にこの結論を出しましてその対策を講じたい、こういうふうに考えております。
  9. 神田大作

    神田(大)委員 建設省関係責任者はいつ何時に来ますか。——それでは建設省関係大臣が来るそうですから、大臣が来てからお尋ねすることにいたします。  運輸省関係お尋ね申し上げます。  地震予知施設についてどのような予算を持ち、どのような対策をやっておったか、お尋ねをいたします。
  10. 増田誠三

    増田政府委員 地震予知の問題でございますけれども地震予知は、きわめて重要でありますことはしばしば指摘ありましたとおりであります。昭和三十九年に文部省の機関であります測地学審議会が、地震予知の十カ年間のプランを一応関係各省に建議をいたしまして、昭和四十年といたしまして、一応各省庁でもってそれに基づきまして予算要求を続けてまいりました。その後進捗状況は必ずしも満足すべきものがございませんでしたので、先般の閣議におきまして、地震予知の推進につきまして閣議の御決定を願ったわけでございます。今後の計画といたしましては、近く測地学審議会が開催されまして、この新しいプランにつきまして検討が加えられ、ことしの七月ごろには結果が出るということでございまして、政府といたしましては、この結論を見ました上で前向きに地震予知研究をさらに推進する必要があろうかと思います。気象庁といたしましても、その担当いたします分野につきまして前向きに検討いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  11. 神田大作

    神田(大)委員 予算から見ますると、四十年度四千万程度、四十一年度が六千万、四十二年度が六千九百万、四十三年度が九千三百万と、一億に満たないような、まことに少ない予算でもって地震予知をやっておるようでありますが、この辺に私は大きな問題があると思うのであります。今度の地震震源地を、十勝沖地震であると言っておりますけれども、これが十勝沖よりも五十キロあるいは六十キロも離れた三陸沖であるというようなことが新聞にも報道されておるが、このような信頼できないそういう気象庁のやり方に対しまして、地元においても大きな不信を買っておるが、この点についてどう考えますか。
  12. 増田誠三

    増田政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生があげられました地震関係の四十年度から四十三年度に至ります予算でございますけれども、これは気象庁地震観測網あるいは気象庁研究部門の数字でございまして、地震予知研究と申しますのは、単に気象庁のみならず、建設省、通産省その他各大学に関係いたしておりますので、予算規模といたしましてはもう少し大きいわけであります。  また、ただいま御質問のございました震源地の問題でございますけれども、当初この地震が発生いたしましたときに気象庁が発表いたしましたのは、北緯四十度九分、東経百四十四度一分……。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員長 増田次長に申しますが、質問者の時間の関係があるので……。
  14. 増田誠三

    増田政府委員 最初震源地と異なりましたのは確かでございます。襟裳岬南東百二十キロと当初発表いたしましたが、その後南南東百四十キロというふうに訂正いたしました。  このように訂正いたしましたのは、海底で大地震が起こりました場合に、すぐ考えられますのは津波の発生でございます。そのために早急に津波警報を出す関係上、与えられた資料でもって直ちに震源地をきめて津波警報を出す、こういうことをいたしてかります。そのために、本庁とかあるいは管区気象台等は早急に入手いたしました資料震源地をきめるという関係上、どうしても多少の誤差が出てまいるわけでございます。その後全国的に資料を収集いたしまして、震源地をあらためて調査いたしまして、誤りを十八日に訂正した次第でございます。
  15. 神田大作

    神田(大)委員 気象庁は科学的な、緻密なものであるとわれわれは考え、また災害地皆さんも考えておる。科学的分析をもってやる気象庁がそのように震源地を訂正しなければならぬというようなことは、今後政府信頼を失墜することになるので、今後はひとつ、日本地震国といわれておる今日において、地震予知対策に対して万全を期すべきであると考えるのでありますが、総務長官としてはどのように考えますか。
  16. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまのお話予知の問題でございますが、先般も閣議におきまして運輸省のほうから、地震予知のいろいろな新しい探知装置の設置の問題やら、あるいはまた、さらにこれらの予算を取りまして、全国的に探知網を形成するといったようなことで今後は信頼度も高まるように、また、防災の面におきましても甚大な被害が起こらないように、万全の対策を立てるということにいたしております。
  17. 神田大作

    神田(大)委員 ことばではなしに、ひとつぜひこれは実行に移してもらいたいと思います。  時間がありませんから先に進みますが、農林関係で特にこの津波によって三陸沖養殖ワカメコンブノリホタテ貝等災害にあっております。これはようやく構造改善事業の緒についたばかりでありますが、これらの災害救済対策について農林省としてはどのように考えておるか、お尋ねを申し上げます。
  18. 久宗高

    久宗政府委員 お答えいたします。  ワカメその他の養殖事業でございますが、ノリにつきましては、共済制度がすでに料率が確立いたしておりますのでしておるわけでございますが、ワカメコンブ等につきましては、最近数年間に急速に発達をしたものでございまして、まだ料率組み立てができないわけでございます。私どももこれはぜひ取り上げたいと思って検討いたしておりますが、今回の災害には、ワカメコンブ等については共済裏打ちがないわけでございますので、共済としての働きができないわけでございます。しかし、御存じのように、この制度につきましては共同施設としてやってわるものがございますので、その関係におきましては例の暫定法裏打ちがあるわけでございまして、なお、個人施設につきましては目下検討をいたしておるわけでございます。
  19. 神田大作

    神田(大)委員 チリ地震のときに、これら養殖ワカメコンブ等施設に対しまして、国は助成金を出してこれを救済しておるようでありますが、このような例にのっとってこの救済対策を講ずるか、それから、漁業共済対象ワカメコンブホタテ貝等のこれらの品種を入れるかどうかについて、重ねてお尋ねいたします。
  20. 久宗高

    久宗政府委員 養殖施設の扱いにつきましては、後ほど大臣からも申し上げると思うのでありますが、私どもといたしましては、被害の態様から見ましてぜひしかるべき措置をとりたいということでございます。しかしながら、計数がまだ固まっておらないのでそれを見まして判断させていただきたいというわけでございます。  なお、共済対象といたしましては、現在申し上げましたように料率組み立てを急ぎまして、これが設定可能でございますれば、一日も早く制度の中に取り入れたいと考えておるわけでございます。
  21. 神田大作

    神田(大)委員 時間がありませんから、総務長官に……。きのうの淡谷委員質問に対して、第五条による激甚災害指定するという答弁がありましたが、これはえびの地震にも私は適用さるべきものであると考える。現在におきましても余震が鳴りつつあるところのえびの地震と、この十勝沖地震とを区別すべきではないと思いますが、この点について総務長官の見解をただします。
  22. 田中龍夫

    田中国務大臣 今回の震災に対しましては、今朝の閣議におきまして激甚災指定いたすということに相なっておりますが、このえびのの問題につきましては、非常に一同が苦慮いたしておるところでありまして、何とかこれを救済したいという気持ちは十二分に持っておるのでございますが、遺憾ながらこの激甚災指定とは非常に遠いものがございますので、これをどうしたらよろしいか、激甚災指定をいたしませんでも、地方自治体その他の負担に対しましては十分な救済措置をとってまいりたい。ちなみにちょっと申し上げますると、えびのの場合におきましては、公共土木施設関係被害査定額は九億でございます。それから農地関係の面におきましても、わずかに五億になっております。それから中小企業関係の分は九億。ちょっとこれではどうにもならないというのが現状でございまして、各省庁ともに非常に同情的に考えておりますので、今後の施策によりまして何とか救済をいたしてまいりたい、かように考えております。
  23. 神田大作

    神田(大)委員 いま言われたことは、いわゆる災害基本法の欠陥だと私は思うのです。これは後に総理が来るようでありますから、私は総理によくこの検討を御考慮願いたいと思うのですが、規模が小さくとも一カ所に甚大な災害をこうむった場合においては激甚指定をすべきであって、総ワクでもってこれをきめるというところに、いろいろ問題が私はあると思うのであります。第五条における激甚指定はきょう閣議決定されたという話でありますが、その他の激甚指定の問題、たとえば財政援助の問題あるいは中小企業その他の各条項、第六条、第八条、第十二条、第十六条、第十七条、第十八条、第十九条、第二十一条、第二十四条と、各条項ごと激甚指定の項目が違っておりますが、特にこの第十七条の私立学校復興の問題、あるいは十六条の公立社会教育施設復興問題等激甚災害指定されるとされないとではたいへんな違いになる。あるいは公共土木施設復旧問題等についても、重大なこれは影響を来たしておるのでありますが、これらの条項についての激甚災害としての指定をお考えになっておられるがどうか、お尋ねいたします。
  24. 田中龍夫

    田中国務大臣 お答えをいたしますが、今日のところ、農地等に関します第五条並びに第六条の共同利用施設の問題と、中小企業の第十二条のケースと、それから小災害元利補給の第二十四条、これは該当をいたしております。なお、担当官が昨夜現地から帰ったというようなこともございまして、まだ大蔵当局との話が詰まっておりませんその他の若干の条項がございます。それからなお、農林省のほうにおかれまして天災融資法の御決定をいただきますならば、またこれと関連いたしまする激甚災の問題もございますので、ただいま御指摘になりました十六条、十七条、十八条等のケースは、公共土木施設の第二章が適用いたされませんと、これを単独でいたすということはむずかしいのでございます。これにつきましては、さらにまた研究をさせていただきとうございます。
  25. 神田大作

    神田(大)委員 先ほども申したとおり、災害基本法激甚災害指定の基準を私は再検討すべきであると思いますので、どうか総務長官においてもこの点をよく詳細に検討いたしまして、激甚災害指定できるように御努力を願いたいと思います。  建設大臣がお見えになりませんから、建設省関係はあと続けて担当官お尋ねをいたします。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員長 神田委員に申し上げますが、建設大臣が二時少し回ったころ出席するわけであります。ですから、その点は質問を保留していただいて、建設大臣出席の場合に発言を許すということにしたいと思います。
  27. 神田大作

    神田(大)委員 それではあとに回します。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員長 大体時間ですから……。
  29. 神田大作

    神田(大)委員 文部大臣に一つお尋ねいたしますが、名川町の剱吉中学校校舎のいわゆる敷地が崩壊して児童四人がなくなっております。これは建設不適地にこのような学校を建てたことについて、文部省としてどのような責任を持つのか、お尋ねをいたします。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員長 文部大臣はまだ出席していないのです。
  31. 神田大作

    神田(大)委員 係官でいいです。
  32. 菅野誠

    菅野説明員 お答えいたします。  ただいまの剱吉中学につきましては、いまお話がありましたように、十一人の生徒が校庭の地割れ、土砂くずれの中に入りまして、そのうち四人が死亡いたしましたことは、まことに残念かつ哀悼の意を禁じ得ないところでございます。  この中学は、御案内のように新制中学といいましょうか、戦後の新しい学校でありますために、この土地状況からこのような土地が選ばれたというようなことがあるようでございます。なお、町のほうからの報告によりますと、慎重にこの造成工事につきましては三期に分けての校地造成もしたというようなことでございまして、造成後九年を経過しておりましたが、従来大雨のときの被害がなかったというようなことでございますが、今回の被害でこのようなことになったことは、事実問題としてまことに残念なことだと思っております。  なお、この学校復旧につきましては、同じ土地復旧いたしますればまた再び災害を繰り返すようなこともあるということで、新たな所に移転復旧をするというようなことについても、いま関係地元研究中でございます。なお、敷地選定等につきましては、公立学校につきましては市町村の実施するところでありますが、こういう災害の再び繰り返されないよう、この土地選定にあたっても十分注意するよう今後指導してまいりたい、かように考えております。
  33. 神田大作

    神田(大)委員 一言だけ。これはまことに残念だで済まされる問題ではない。私は、これは建設大臣のほうの所管文部省関係所管かよくわかりませんが、このように谷間に埋め立てをして校舎をつくることを何年も見のがしておる。監督官庁として、これはただ残念だったでは済まされない問題だと私は思うのです。このような状態になっておる学校もあろうかと思うのでありますが、今後文部省として、単に校舎建築のみならず、そういう立地条件等について厳重なる監督を行なうべきであると思いますが、その点について——いままで何年もの間、こういう危険な場所を黙認しておいた責任を私は問うものでありますからして、その点についてお答えを願います。
  34. 菅野誠

    菅野説明員 おっしゃるとおりでございますので、今後十分気をつけたいと思っております。
  35. 神田大作

    神田(大)委員 建設大臣が来たらお願いします。
  36. 芳賀貢

  37. 小川新一郎

    小川(新)委員 最初に、きのうも問題になりました青森県の下北半島大畑線大湊線について、きょうの七時にNHKテレビニュースで、これが廃止であるというようなニュアンスニュースが流された。これは地元青森支所からのニュースでありますけれども、きのうもこの問題では、開通する、しないでもって非常に議論が出た。ところがその取材に来ていらっしゃったNKHの記者の方も、はっきりこれが、地元の言うように、廃止に踏み切るのだか何だかわからないようなニュアンス答弁であったので、きょうのNHKテレビの七時のニュースで流してしまった、こういう答えでありました。これは地元にとっても非常に心配なことでありまして、昨日も問題になったのは、こういった流言飛語がどれほど地元復興気持ちをそぐか。ましてや地元下北半島は、零細なそれらの漁業前進ベースキャンプでありますので、そういった輸送の面においてもたいへんな比重がかかっておる。こういう面について、特に大畑線が完全に国鉄から見放されないで復旧するのかしないのか、また大湊線はどうなのか、ここではっきり御答弁を願って、あらためてNHKニュースで流してもらいたい、私はきょうこのように言ってあるのですが、その点御答弁願います。
  38. 増川遼三

    増川政府委員 大畑線の問題につきましては、昨日も国鉄の本社の当局のほうと十分話し合いまして、不用意なる発言を慎むように警告をいたしております。赤字線の問題とこの災害の問題とは、全く別個の問題でございます。今回の災害によりましてこわれましたものは、これはもとに復するというのが当然たてまえでございまして、現在のところ東北本線が最も急を要するものでございますので、こちらのほうに主力を注いでおりますので、大湊線並び大畑線につきましては若干おくれております。これは事実でございますけれども、先ほど申し上げましたような趣旨でございますので、地元の方には、いましばらくごしんぼういただきたいと考えております。東北本線の単線復旧はなりましたけれども、なお全面復旧を急いでおりますので、このほうのめどをつけ次第、早急に大畑線につきましても詳細調査並びに復旧工事に着手するように進めたいと考えております。
  39. 小川新一郎

    小川(新)委員 ありがとうございました。はっきりわかりましたから了解いたしました。  総務長官にお願いします。五戸町で御両親がなくなられまして、小さい小学校等の女の子をかしらに、四人の恥子さんが残された農家がございます。これはもう新聞でごらんになっておると思いますが、このきょうだいを、引き取り人の親戚の方々が非常に貧しいので個々に引き取りたい。ところがきょうだいは、離れ離れになるのはいやだ、夜もからだを寄せ合って寝ているということが新聞記事に載っておりましたし、私たち視察した際にもその近所をお見舞いしたわけでありますが、この農家に四人のお子さんが残されておりますが、これに対して特別に政府としても、何らかのお見舞いまたは処置を講じてあげるようなことは考えられておりませんか。
  40. 田中龍夫

    田中国務大臣 まことにお気の毒なことでございます。そういう問題につきまして、あるいは法律であるいは行政でということではなく、これはあるいは地元の県知事さんでありますとか、あるいは総理大臣のお見舞いとかなんとかいう形で処理されるべきものであろう、かように考えます。ほんとうにその点につきましては心からお気の毒であり、同時に、それにつきましての気持ちは十分具体化いたしたい、かように考えております。
  41. 小川新一郎

    小川(新)委員 小さな問題のようでありますが、政府災害に対する姿勢の中の一つとして、こういったかわいそうな家族を救ってあげるというような姿勢が政治の面にあらわれてくるのであると思うのであります。
  42. 田中龍夫

    田中国務大臣 ちょっと追加させていただきます。ただいまの、たとえば総理からそれに対しまする弔慰をいたしますとかなんとかする以外に、厚生省でも措置を考えておるようでございますから、担当者から一言お答えさせます。
  43. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  いま先生お話しになりましたことは、私担当は違いますが、児童家庭局のほうから県の民生部にすぐ連絡いたしまして、施設にすぐ引き取ったほうがいいのか、あるいはほんとうにその子供をばらばらにさせないでというふうに親戚で話し合いがつくものか、その辺をいま連絡さしておりますので、おそらくもうすぐに方向がきまると思います。
  44. 小川新一郎

    小川(新)委員 では、その点よろしくお願いいたします。  南部鉄道について、赤字ローカル線の損害が約三億円、これに対して廃止の方向ということを承っておりますが、地元においてもこの問題は関心のあることでありますので、南部鉄道の存続等について、これは運輸省ですか、指導または監督する立場に立ってどのような態度で処していくのか、お尋ねいたします。
  45. 増川遼三

    増川政府委員 南部鉄道の災害につきましては、現在のところでは約三億一千万円ばかりの復旧費用を要するような状況でございまして、これに対しまして、会社の責任者のほうからもいろいろ話が来ておりまして、現地におきましては大手の出資者その他ともいろいろ対策を協議している模様でございます。会社のほうといたしましては、現在議論しております要点を申し上げますと、これを廃止するか、あるいは全面復旧するか、あるいは途中まで復旧をするかというようなことで論議をしておるようでございますが、何ぶんにもこの会社は欠損補助を受けております会社でございまして、ただでも非常に苦しいところでございます。政府からの補助金で何とか食いつないでいっておるというような状況で、したがいまして、会社の責任者といたしましては資金をどういうふうに補助していただけるかどうか、こういったことにも非常に期待をしておるわけで、これが自分らの考えます分だけ十分な手当てをしてもらえない限りは、何とも自力では復旧の見込みが立たないというような、非常に心配をしておるわけでございます。同社といたしましては、現在全面的に自社のバスによりまして代行輸送をいたしておりますが、本来ディーゼル並びに貨車輸送につきましてもわりあいに数が少のうございまして、輸送需要が少のうございますので、現在におきましては全面的にバス輸送でやっておりまして、従来よりもバスを七両増配をしておる、これで大体旅客輸送は需要に応じておる趣でございます。なお、貨物輸送につきましては、すべてトラック輸送にゆだねておる状況でございます。  現在のところ、私どものほうとしましては、現地の仙台陸運局のほうで職員を派遣いたしまして、実際の復旧作業にどのくらいかかるか、また、それによって会社が今後どういうふうに経営できるだろうかというふうに、せっかく相談に応じて検討しておるところでございます。同社としましては、復旧費のめどが現在のところまだついておりません。北海道東北開発公庫等とも現在打ち合わせをしておるわけでございますが、その腹がまえができますまで、われわれも陸運局の指導にゆだねておるところでございます。何とかできるものならばこれを復旧さしてやりたいというふうに考えておるわけでございます。
  46. 小川新一郎

    小川(新)委員 大畑線復旧の中で特に急いでもらいたい個所があるのです。それはむつ市の早掛沼の決壊のために線路が浮き上がりまして、いま田植えができないところがあります。それの工事はいつ始めてくださいますか。
  47. 増川遼三

    増川政府委員 現在東北本線が単線開通いたしまして、現在複線部分の復旧につとめておるわけでございますので、これが数日中にはめどがつくのじゃないかというふうに考えておりますので、多少でも余力が出次第大畑線大湊線両方に手を入れる、こういうふうに考えておりまして、国鉄の本社にございます対策本部におきましても、この点につきまして現在なお協議をいたしております。
  48. 小川新一郎

    小川(新)委員 私が言っているのは、田植えができない個所だけ何とかしてあげろという質問なんです。
  49. 増川遼三

    増川政府委員 この点につきましては、私まだ具体的な対策を聞いておりませんので、さっそく国鉄当局に連絡いたしまして、御要望の点につきましては最も早急にこれが対策を講ずるようにいたしたいと考えます。
  50. 小川新一郎

    小川(新)委員 農林大臣にお願いいたします。  幹線用排水路の復旧に自衛隊が出動して応援をしておったのでありますが、その後の自衛隊の出動をさらに要請し、完全復旧をするお考えはございませんですか。
  51. 西村直己

    ○西村国務大臣 幹線用水、要するに私のほうとしては植えつけた水を確保する、これが最大の大事なことでございます。したがって、必要な現地におきまして、地域県知事あるいはその他地元の市町村長等の判断でもって、自衛隊、あるいは中学校、あるいは高校その他のいわゆる協力を求めて進めておるわけであります。  それから、特にこの応急用排水の確保につきましては、技術面が必要でございますから、そういう面からも私のほうなり出先の機関から技術者を置いているわけであります。したがって、現在の状況におきまして特にこれ以上自衛隊の協力を求めなければならぬかどうかということは、現地からその要請判断があれば、また私どものほうとしては検討する必要があると思います。さしあたりは、いま現在あるところに対して一応大体のめどを、できるところは五月一ぱい、少なくとも六月の初旬には通常なし得る範囲のところは応急対策て用水確保をしたい、こういう考えでございます。
  52. 小川新一郎

    小川(新)委員 農林大臣に重ねてお尋ねいたしますが、田植えの用水の確保のために大型ポンプの要請がございますが、これはいま何台出ておりまして、この問題は、そのポンプの解決はそれでできるのでしょうか。
  53. 西村直己

    ○西村国務大臣 細部にわたりましては関係局長からお答えさせますが、全体では二十台ほど出ております。
  54. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 ただいま大臣からお答えを申し上げましたように、東北農政局その他各農政局で持っておりますポンプをすでに現地に貸し出しまして、設置を終わった個所もございます。いま大臣が申しました二十台というものは、その国有の貸し付けでございますが、大体のところ地元の要望はすでに満たしておりまして、活動を開始したポンプもあるわけでございます。
  55. 小川新一郎

    小川(新)委員 国有林野の払い下げのことが報ぜられておりますが、国有林野材の払い下げは、公共施設建築にだけ使うのか、それとも一般住宅の建設にまで使うのか、また、その一般建設に回す場合には幾らぐらいの値段で払い下げてくれるのか、この点についてお尋ねします。
  56. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 お答え申し上げます。  災害に基づきまして国有林材の払い下げをいたす場合、都道府県が行ないます応急住宅あるいは市町村が行ないます公共施設、これに関しましては、災害救助法に基づきまして、いわゆる時価の半分の値段、五割減で売り払う措置をいたしております。それ以外の、いわゆる災害復旧等につきましては、市町村の場合、それから個人の場合、それぞれ担保並びに延納の期間が若干違いますが、価格につきましては時価によって売り払うという措置になっております。
  57. 小川新一郎

    小川(新)委員 自治省にお尋ねいたしますが、十和田市とか八戸市のように、予算財源規模の六倍もの損害を受けておる市町村の財政援助は、特別交付金も来るでしょうけれども、一律にはいかないと思うのですが、また、住民税の減免等を行ないますと財源の穴が相当あくように思うのですが、この点についての援助措置というものは、どういう対策を講じようとしていますか。
  58. 皆川迪夫

    ○皆川説明員 災害に対する地方財政の問題につきましては、御指摘のように非常に急激な負担がまいりますので、主として特定財源、特に起債を入れまして、それに対する元利補給というたてまえをとっておるわけでございます。なお、そのほかにも特別交付税等によりまして、今回の災害に対する地元負担には十分な措置をとってまいりたいと思っております。
  59. 小川新一郎

    小川(新)委員 では、最後に一言。建設大臣お尋ねいたします。  三沢市にまいったのでありますが、三沢の米軍基地は何も変化がないのです。あの広大な軍用滑走路にはひび一つ入ってない。ところが国道四号、四十五号は軒並みくずれている。金さえ出して、基礎工事さえきっちりとやっていればひび一つ入らない。地震は、アメリカ軍の基地だからといってそこを避けたわけではないと思うのですが、このように国道四号線とか四十五号線の幹線国道の破損というものが相当目立ちますが、今後の設計、施工に対しては、この災害を取り入れて、さらに補強された設計のもとに道路というものをやっていくのですか。また、公共施設の鉄筋コンクリート等の建物に相当被害がある。この点についてもお尋ねしたいし、よろしくその点御答弁願いたいと思うのです。
  60. 保利茂

    ○保利国務大臣 国道四号線では道路の破損はお話しのとおりでございますが、大体は盛り土をしたところがいかれておるという——これは小川さん現地をごらんになっておるから、教えていただかなければならぬわけですけれども、どうもそういうことで、この事態を見まして建設省でも内部で相談しまして、ただいまお話しのように、今回の災害復旧にあたりましては、この程度地震で再びずらっといくようなことでは困る、そういうやり方でなしに、このくらいの耐震力は持ち得るようにくふうをして復旧に当たりたいという方針を固めております。
  61. 小川新一郎

    小川(新)委員 一つだけ最後に建設大臣、実は道路のあれを持って看てはいるのですけれども、ここで建設大臣に恥をかかせるのもお気の毒なんで私やらないのですが、これは建設委員会のときにみっちりやらしていただきますが、とにかく私どもが見たところ、基礎工事も何もないのです。もうわずかの厚さ、きょうは何センチとは言いませんけれども、非常に薄いのです。ところが、三沢のアメリカ軍の基地は何ともないのです。同じ三沢で、片方はめちゃめちゃ。こういうところに政治があらわれているということを私は訴えたいのです。そういう点で、ここの基礎はどれくらいなのか、ここのところは何センチ必要なのかということは、建設委員会であらためてまたお尋ねいたします。きょうは、そういうわけでございますのでこの程度にとどめておきますが、ひとつよろしくお願いいたします。
  62. 芳賀貢

  63. 神田大作

    神田(大)委員 建設大臣がおいでにならなかったものですから、保留をしておきましたことについて、簡単にお尋ねします。  私も、この公共施設が、私の施設がこわれないのに、市役所とかあるいは学校とかが、鉄筋コンクリートでありながら今度の地震でこわれているということについては、よほどこれは検討しなければならぬと思うのですが、これはいわゆる土木建築請負の場合の談合というような方式がありますね。話し合い、いわゆる指名入札をさせてその人たちの話し合いをして、順々にこれを請け負っていくというようなこと、建設業界においてはもう公然たる事実でしょう。この問題等が大きく災いをして、そうして今度の災害公共施設がもろくもくずれ去った、こう思うのです。市町村長あるいは県知事等の選挙のときに、一番先にかけ出すのはだれですか。これは土建業者が現状の知事を守るためにかけ出すのです。これは何を物語っておるか。そういう点について突っ込んだ御検討をひとつ願わない限り、私は、地震災害ではなしに人災として、いつまでたってもこれは解決できない問題だと思います。私は、残念ながら時間がないからいろいろな証拠書類を出すわけにいかぬが、建設大臣の率直な御見解をひとつただして、今度の地震災害を単なる天災としてではなしに、人災をなくする努力を私はしていただきたいと思いますが、その点について御見解をお願いいたします。
  64. 保利茂

    ○保利国務大臣 御注意をいただきました点につきましては、十分検討をいたして、善処いたすようにいたします。ただ、非常に注目を引いております函館大学の損壊、それから剱吉中学校の損壊という、目につくものがございます。剱吉中学校のほうは、全くもう地盤——何か沢を埋めたので、その沢がざらっといったためのもので、建築上のいたみはないようでございます。函館大学のほうは、ただいま専門家調査を委託いたしておりまして、そうしてどうしてああいう損壊を生じたものか、よく検討いたし、全体といたしましては、建築基準法に基づきまして建築確認の段階におきまして、その手法においては大体、これも専門家の言うことですから私はわかりませんけれども専門家の言うところでは、建築基準法の運用で、この程度地震ないしは台風には十分耐え得る今日の基準法でありますから、これの運用を適正にいけばそう心配はないけれども、実際事故が起きておりますから、その事故のよってきたところをよく調査いたしまして、今後の施策に対処してまいりたい。ただいまの御意見は十分検討さしていただきたいと思います。
  65. 神田大作

    神田(大)委員 剱吉中学校お話が出ましたが、あの剱吉中学校の地盤の問題ですね、あれはやはり建築基準法第十九条によって、これらの造成等については、建設大臣としてこれを監督する責任があるわけでございますが、この点について、あるいは文部省の管轄だというようなことでは困る。この建築基準法第十九条に基づく地盤に対する検討監督というものは、やはり建設大臣がやるべきであるが、その点についてはどう思いますか。
  66. 保利茂

    ○保利国務大臣 それはそのとおりだと思いますから、いま各損壊個所について専門的に御調査を願っておるわけでございます。その調査を待ちまして、考えなければならぬところは考えていただいて、どうも専門家の領域に属するものでございますから、技術的な検討をよくやっていただいて、再びこういうことの起こらぬように建築基準法の運用の誤りなきを期していきたいと思います。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員長 水野清君。
  68. 水野清

    ○水野委員 総括的な問題は後ほど同僚の池田委員から質問することになっておりますので、私は、現地に行ってまいりまして、こまかいことでございますが、気のついた点を御質問申し上げたいと思います。  最初に、農林省関係のことを伺いますが、御承知のように災害地——これは六戸町、十和田市周辺の問題であります。稲生川というかんがい用水が地震災害によってこわれてしまいました。十和田市周辺は自衛隊の活躍で大体復旧しておりますが、その末端になっている六戸町というところにおいては、いわゆるコンクリートの水路が割れて水が来ないわけであります。とうてい田植えの時期に間に合うように復旧できないということで、私ども調査団に対して地元の町長から陳情があったのでありますが、たまたまこの六戸町にフジ製糖といって、昨年ビート問題で大騒ぎをした製糖会社がある。そこに水源があり、またポンプを持っている。このフジ製糖の持っている施設をかんがい用水に利用して田植えに間に合わせるようにしたい、こういうことを言っていますが、これについて自主的に、農地局関係だと思いますが、どういう手を打っておられるか、伺いたいと思います。
  69. 和田正明

    ○和田(正)政府委員 稲生川につきましては、自衛隊の応援も得まして幹線水路はほぼ応急工事が終わりまして、昨日朝から試験通水を開始いたしました。ただ、一番末端の向山の地区につきましては、御指摘のように、支線水路等の復旧がまだ終わっておりませんので水が若干不足をいたしますので、地元とフジ製糖とで話し合いまして、日量四千立米の水をポンプで末端の向山用水路に流し込みまして田の水に使うということにいたしまして、本日からポンプアッブして通水を開始いたすことにしてございます。
  70. 水野清

    ○水野委員 次に、林野庁のほうに伺いたいのでありますが、災害地、やはり五戸町というところであります。五戸町の浅水地区へ調査団が参りました。あまり名前がはっきりしない山ですが、裏に山があって、現在山自身が亀裂をしている。今後雨でも降りますと山がくずれて地くずれが起こるかもしれないというので、浅水地区自体がすでに退避命令を出されて部落を離れております。ところが、いつまでもいるわけにいかないのでありまして、この浅水地区に対して、地元から、至急に山の地くずれ防止の対策をやってほしいということであります。ところが、これは県知事からも話があったのでありますが、この仕事を林野庁でおやりいただけるのか、あるいは建設省でやっていただけるのかということを地元から聞かれたのであります。その問題点を申し上げますと、建設省のほうでは、急傾斜地災害防止対策事業という制度がございまして、この制度でやると地元に負担が二割かかる。国が四割で、県が四割で、地元が二割だ。ところが、災害地で五戸町のような小さな自治体では、あれだけの大きな事業の三割はとても持てない。ひとつ林野庁のほうで、特別緊急治山事業のほうで保安林指定をしてやっていただきたい、そうすれば全部地元負担なしで恥すべり防止ができる。こう言っているのであります。二つの行政官庁の中間に位するような仕事でありますが、保安林指定はやっていただけるかどうかということをお話しいただきたいのであります。
  71. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 お答え申し上げます。  今回の災害につきましては、さっそく当林野庁の課長を派遣いたしまして実情を調査いたしたわけでござい侵すが、この地帯につきましても山腹の崩壊が中心でございます。そういうきらいが非常に強いわけでございます。したがいまして、人家あるいは公共施設に非常に影響がある、そういうものにつきましては緊急治山事業ということで取りあげまして速急に復旧をいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  72. 水野清

    ○水野委員 長官、もう一つ伺いたいのですが、そうすると、保安林の指定はできるということですか。実は山の名前がよくわからないので、地元でもあまり名前がはっきりしない山なんでありますが……。
  73. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 私のいまの調査の範囲では、現在は保安林にはなっておらぬと思います。したがいまして、今後の措置といたしましては、保安林指定等も含めまして災害復旧をはかりたい、かように存じておる次第でございます。
  74. 水野清

    ○水野委員 ちょっとあいまいなんですが、保安林を含めてということですか、保安林の指定ということですか。
  75. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 保安林指定を含めまして……。
  76. 水野清

    ○水野委員 指定にするということは、まだちょっと言いかねるということでありますか。
  77. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 地元関係でありますけれども復旧の姿としては保安林に指定していくということになろうと思いますが、そういうことでやっていきたいと思います。
  78. 芳賀貢

    芳賀委員長 長官、答弁を整理して明確にしてください。質問中に答弁しないように……。
  79. 水野清

    ○水野委員 次に、これは農政局関係でありますが、大臣お答えいただいてもけっこうであります。  御承知のように、田植えをやっている最中に地震がありまして、東北地方特有の田植えの方法で非常に浅く植えてあるために、一ぺん植えたところも苗が浮き上がっております。それで苗に不足しておりますので、他町村から苗を輸送して持ってこなくてはいけない。現在まだそれが続いておりますけれども、その輸送費のめんどうを見てほしいということを地元から陳情を受けたのであります。これについてどういう対策をお考えでありますか。
  80. 西村直己

    ○西村国務大臣 浮き苗でたいへん御苦労されておりますが、他町村から苗を持ってきて植えるのに、それについての輸送費の補助、これは従来もその例がございます。したがいまして、今般その状況が激しいものでございますから、特に正式に、私は大蔵大臣に従来の例に準じてやるように強く申し入れておりまして、私としては、それは可能性は非常にあると考えております。最終的には事務的にこれはもちろん詰めさせますけれども、私から大蔵大臣そのものにも、すでに一週間ほど前からそれは強く正式に申し入れをして、そして従来の例もございますから、やらせるように事務的に詰めております。
  81. 水野清

    ○水野委員 次に、これは農林省の問題でないかもしれませんが、農家の住宅対策といいますか、御承知のように、災害地の各所でまだ部落から——さっき申し上げたように、浅水地区のように退避をしたままの部落もあります。あるいは土砂くずれで家屋を破壊されたままになっているところがあるわけであります。こういうところの農家の住宅をどうしてやるかということであります。具体的に、個人住宅は個人災害でありますので非常にむずかしいという声が聞かれておるのでありますが、同時に住宅すらも失ってしまった農村の人たちを何とか国の現在の法律の範囲で研究をして対策をしてもらいたいと思うのであります。これについて農林省関係で何か方法はないかと私は思ったのでありますが、農林省よりもむしろ厚生省の社会局で災害緊急対策として、何か伊勢湾台風のときに住宅を建ててやったという例があるそうでありますけれども、そういうような方法がとれるかどうか。
  82. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  現在、青森県だけで七百二十戸ほどの全壊住宅がありまして、現在まで報告が入っておりますのは七十三戸すでに契約をしてどんどん着工中ということでございます。これはその地方地方に応じまして、必要な戸数は全壊の三割ということでありますが、それをオーバーするものについてはこっちに至急連絡をしてもらって、大蔵省ともいろいろ接触をして、それをオーバーしても三割にこだわらないということで、県としては至急に措置する。すでに相当戸数建っております。もう少しふえるだろうと思います。
  83. 水野清

    ○水野委員 住宅問題について、私は実はこの前、えびの地震のときに現地の視察に行ったのでありますが、東北、特に青森県の県人の特有な性格かと思いますが、たとえば自分のところの個人災害被害について非常に発表をしないくせがあるのであります。町村長があわてて個人災害を聞いても、自分のところの災害を明確に言わない、あるいは学校も小さな分校なぞは休校したままで、その対策を同時にやらないというきらいがあるわけであります。九州のえびの地震のときに行ってまいりましたときには、プレハブを県で建ててもらって、そこで一応子供が集まって勉強をしておるような風景を見受けたのでありますが、青森県にはまだそういうところは一カ所も見なかったのであります。これは、現に休校しておる学校もあるわけでありますが、文部省関係ですが、そういう緊急の校舎に準ずるような措置をおとりになれるかどうか、保育所なども含めてお話しを願いたい。
  84. 菅野誠

    菅野説明員 学校の授業再開につきましては、おっしゃるように一日も早くこれをすることを実は指導いたしたのでございます。青森県は小中高校等合わせまして九百七十六校あるのでございますが、罹災直後の五月十六日には四百三十四校を休校するというような実情でございました。しかしながら、これを漸次再開をはかりまして、五月十七日にはこれが三百九十二校になり、五月十八日には九十六校、五月二十日には二十三校、五月二十七日、直近の資料では、現在六校休校しておるというような状況でございます。これはちょうど農繁期とも関連いたしまして、農繁期の休日と夏休みの休日とを振りかえて授業をすることも現地では考えておるようでございます。なお、ただいまお話しがございましたプレハブの校舎につきまして、確かに地元のほうからの申請も、若干おくれた状況はあるわけでございますが、これにつきましては前回の例もありまして、文部省といたしましてもやはり全壊、半壊の校舎につきましてはプレハブをつくっても、授業上非常に支障ある部分については、これをやはりあとの補助の対象にするということにいたしまして、現地を指導いたしまして、プレハブの校舎建設費につきましても、いま早急にこれに着工するよう、あとからこれを補助する予定にしまして、さしあたりプレハブ教室を着工して差しつかえないということを指示しておりますので、さらにこれを徹底さしたいと思っております。
  85. 水野清

    ○水野委員 あと一問で終わりますが、国鉄関係に伺いたいと思います。  現地へ行ってみまして、大湊線までの国鉄も当時はまだ復旧をしておりませんでしたが、さらにその奥の、大湊から奥の大畑線については、全く復旧工事が進められておらなかった。これは東北本線自体の復旧工事を急いでおられるのでやむを得ないと私は思ったのでありますが、ただ、現地の人たちを非常に不安に思わせておりましたのは、大畑線赤字線であるからこの際廃止をしたいという話を何か現地に行かれた鉄道管理局の責任者か何かの方が、個人的な形で言われたのだと思うのでありますが、そういう発言をしておられた。たまたまそれを報道機関が報道したために、大湊から奥の大畑線はとうとう鉄道が今度は廃止になってしまうのだというふうに伝えられて、現地がさらに不安を持っております。現地へ行って非常に気の毒に思いましたのは、調査団が、時間がないので自衛隊のヘリコプターでむつ市まで強行していったのでありますが、さらにその奥はどうしても行けなかった。調査団もほとんど行かないし、中央からの対策もほとんど現地に浸透していない。その上、国鉄大畑線廃止になるという声がしきりに伝えられて、非常に不安に思っているのでありますが、国鉄関係からこれについて明確なお話をいただきたいと思います。
  86. 増川遼三

    増川政府委員 仰せのごとく東北本線の全面復旧のめどがつき次第、大畑線並びに大湊線につきましての復旧対策に着手させる予定でございます。いわれておるような大畑線廃止というようなことは、現地に参りました盛岡鉄道管理局の当事者が不用意にそういった感想を漏らしたということがもとだそうでございますが、こういったことにつきましては、十分発言を慎むように注意をいたしております。こういった廃止するかどうかということは、現地の局あたりで云々すべき問題ではございませんで、これはまた別個の問題でございますので、こわれたものは十分もとのとおり直すということを当然たてまえとしておりますので、御了承願いたいと思います。
  87. 水野清

    ○水野委員 これで質問を終わります。
  88. 芳賀貢

    芳賀委員長 山内広君。
  89. 山内広

    ○山内委員 先ほど本部長の御報告の中に、けさほどの閣議で、最終決定ではないけれども、いずれ防災会議で最終的にきめるというお話しの中に、五条、六条、十二条、二十四条、この四項目だけはほぼ合意に達したというお話でしたが、間違いありませんですか。
  90. 田中龍夫

    田中国務大臣 そのとおりでございます。
  91. 山内広

    ○山内委員 その次の御説明の中に、十六、十七条については、もう脈がないようなお話しでした。この点も間違いありませんですか。
  92. 田中龍夫

    田中国務大臣 十六の公立社会教育施設、十七の私立学校施設、これは御案内のとおりに第二章の適用があれば自動的にいたしますが、そうでないとこの適用はむずかしい、こういうことでございます。しかしながら、学校災害その他につきましても、非常に地元からもいろいろと陳情等がございます。いまの段階におきましては、これは二章が適用ございませんので、いたしませんが、かような問題につきましても、できるだけ現地の実情に即して措置をいたしたい、救済いたしたいという気持ちの点におきましては、十分に配意いたしております。
  93. 山内広

    ○山内委員 そこでいま明らかになった以外に十数項目にのぼるたくさんの被害を受けた方々の各階層の問題がまだ残るわけであります。これについては、いままでの本部長の御答弁によりますと、激甚災害法の適用に準じて措置したい、そういうことばで答弁されてきておるわけです。そこでこの準ずるという中身はどういうことをお考えになっておるのか。抽象的でなく、もう少し具体的にこの適用を受けられない場合の、いわゆる準ずる措置の具体的内容をお聞かせいただきたい。
  94. 田中龍夫

    田中国務大臣 まず今回の十勝沖の震災が、当初計数的に集計が非常におそくなりまして、激甚災害の適用が危ぶまれたわけでございます。さような意味から激甚災の適用ができなかった場合に、これに準じてというふうな気持ちを持ってお答えいたしておりました。今日はすでに激甚災としての指定をいたすわけでございますから、ただその中におきましても全条が適用されない。激甚災激甚災として指定いたしましても、特に公共土木施設あるいはまたそれに関連いたします各施設等は、これが適用できなくなるわけでございます。かような激甚法というものも国家国民のためにつくった法律でありまして、それが現実の被害に、こうきまっておるからどうにもならないのだというようなことはあり得ない。必要に応じて法律もつくり、必要に応じて改正もしなければならぬのでございます。  そこで、そこまでいかなくとも、その基礎条項の二章なら二章というものは適用できないにしても、ある条項は、これはどうしても適用しなければならぬのじゃないかというふうな、防災会議の議を経てやればやれないこともないわけでございます。そういうことは、言いかえればこの基準の改定ということになるかもしれませんが、しかし災害対策でございますから、お困りになった方々に対しまして、われわれとしましては、政府としてもまた防災会議としても、当然今後いろいろと施策を考究してまいります。
  95. 山内広

    ○山内委員 多少意見になりますけれども、いま長官は、激甚災害指定基準の変更があり得るとおっしゃいました。不公平な扱いの点について是正することはもちろんでありますけれども、この昭和三十七年の十二月に防災会議決定しました指定基準というものは、これはあまり動かせないものではないか。そうしますと、この激甚災害指定を受けた場合は、当然とはいいながら、非常に手厚い庇護があるわけであります。国の愛の手が伸べられておる。ところが、これからはずれると非常に差が出てくる。きのう来からも出ております、たとえばいまもお話のありました函館大学の例をとりましても、大学そのものの被害というものは、御本人にとっては、私学にとっては激甚の災害指定を受けようと受けまいと同じなんですから、考えようによってはもう少し災害が大きくて、こういうものの適用を受けたほうが、二分の一の補助なんですから、これは大きい補助になると思う。そういうところで災害もその規模に応じて何段階かを設けて、激甚法の適用を受けないものはこれに準ずるならば、たとえば二分の一の補助は三分の一にするとか、三年間の据え置きを二年にするとか、そういう、災害の種類というものはたくさんあるのですから、防災会議でそういう決定を事前に法文化しておいて、そうして、こんなに政治運動で毎日のように本部長をいじめつけなくても、これはこれでもってぽんと、この程度被害ならこの段階で適用するのだ、そうなれば必要以上に、災害で困っているときに勢力をさいて陳情もしなくともいい、そういう点についてはどういうふうにお考えですか。
  96. 田中龍夫

    田中国務大臣 元来激甚災の法律ができましたのは、終戦後いろいろな災害が頻発いたしまして、そのたびに単行法をつくって、実を申しますとたくさんの法律ができてしまったのでございますが、それを一本に集大成いたしましたのがこの激甚法でございますから、そこでその激甚法がつくられました際に、国家の経済に対して甚大な被害をこうむった場合というふうな基本の基準をきめますときに、もとのたくさんの単行法だったならばそんなにめんどうくさくなく適用できたものも、激甚法に一まとめになってしまってから、今度はその基準に達しない場合にはどうにもこうにもならないというような、どうも少し都合の悪い、かたいところもできてしまったのじゃないか、かようにも存じますし、この点は今回の十勝のあれにどうこうというても日もないことでございますから、この激甚災につきまして、やはりいろいろな災害に妥当できますように、基準の問題もあるいはまた項目の問題も、時日をかけて根本的に十分検討しなければならぬじゃないか、私はかように考えております。
  97. 山内広

    ○山内委員 大体私の意見をお認めになったようでありますから、やはりその必要が今回あるということを私は痛感しておりますので、御検討いただきたいと思います。  それからもう一つ、いまのお話の中に、被害の計数がなかなか出てこない、そういうことで、激甚災指定をしようかしまいかということで迷ったということですが、なぜそういう被害の計数が出てこないかということについては、私は私なりに考えておるわけであります。というのは、この被害金額なんですが、現地へ行きましていろいろ資料をいただきます。そうすると非常に妙な数字が出されることがあるわけです。非常に少ないなと思うこともあるし、それから、これは非常に過大な見積もりでないかと思うこともあります。聞いてみますと、一つは原形復旧の形で損害額を計上しておる、片方は改良復旧なんだ、どちらの数字が正しいのか、どういうふうに指導して——まあ政府のほうからもたくさん数字をいただいておりますけれども、これはおそらくそれぞれの役所で査定された数字だと思うのですが、災害対策基本法の八十八条の精神からいっても、これは当然改良復旧をたてまえとしなければならぬ、こういうことで、当然のこととはいいながら、強くこの基本法は改良復旧をうたっておるわけてす。そういう意味で、この数字の取り方をどう指導しておるのか。手元に出されているこれは、一体基本的にどう統一された数字が出てきたのか、こういうことで、どうも私は合点のいかない点がたくさんあるのですが、ひとつこれについて事務当局でもけっこうですが、どういうことになっているか、お知らせいただきたい。
  98. 田中龍夫

    田中国務大臣 この計算の基礎、あるいはまた改良復旧、原形復旧の問題につきましては、いろいろと算定の根拠や経緯もあるようでございますので、事務当局からお答えさせていただきます。
  99. 上田伯雄

    ○上田説明員 災害復旧被害額報告が非常におそいためにいろいろ時間もかかるというようなことに関連しまして、公共土木とか農地とかその他中小企業、農作物、各種の被害額がありまして、それぞれの被害ごとに計算のやり方は違うわけでございますが、ただいま先生が例に引かれました公共土木施設等につきましては、これは原形に復旧することをもって被害額と原則としてやっております。ただ、もちろん原形復旧のみではございませんので、改良的な部面を入れまして災害関連事業などを興すことももちろんございます。そういう災害関連事業などをやる場合には、その新しくつけ加えました改良分については、被害額とはせずに別扱いにしておるわけでございます。
  100. 山内広

    ○山内委員 取り扱いとしてはあるいはそういうことになるのかもしれませんが、この八十八条の第二項を大臣も読んでみていただきたいのです。この中には「再度災害の防止のため災害復旧事業とあわせて施行することを必要とする施設の新設又は改良に関する事業が円滑に実施されるように十分の配慮をしなければならない。」と書いてあります。これは、改良復旧でやれ、こういう精神なんでしょう、基本法なんですから。それを単に原形だけというのはちょっと考え方がおかしい。
  101. 田中龍夫

    田中国務大臣 やはり災害復旧はもとどおりにするというのが常識でございまして、災害が起こったたびにもととは違ったいいものをつくるのだというのじゃ、これは常識的に言うても、示しもつかないことに相なろうと存じます。結局、復旧の問題は原形復旧が原則でございまして、そうしてただいま担当官が申しましたように、再度災害の防止とか、いろいろと改良をしなければいかぬような面につきましては改良復旧を認める。ということは、もとは改良復旧を非常にきびしく押えてしまいまして、どうしても原形でなければならぬ、国家的に不経済であってもなお原形復旧しろといった当初のあれを改めまして、原則は原形であるが、改良もできるようにするのだというのがこの八十八条の精神だろうと存じます。
  102. 山内広

    ○山内委員 そういう御答弁だと、どうしてもあなたと論争しなければいかぬことになるわけです。ちゃんと基本法に書いてあるじゃありませんか。再度災害が起こらないようにやれと書いてある。それをただ復旧するというのはおかしい。——総理もおいでになりましたので、どうですか、総理からも御回答があったら……。
  103. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま私突然入ったので、どういうようなやり取りをしておられるかわかりませんが、ただいまちょっと片言で聞くと、原形復旧、これが原則だと言う。しかし事と性質によりましては十分考慮して同じような災害を繰り返さないようにしなければならぬことは当然のことであります。
  104. 山内広

    ○山内委員 先ほどの理事会の申し合わせもありますし、佐藤総理もお見えになったので、途中ですが、これで質問を打ち切ります。
  105. 芳賀貢

    芳賀委員長 ただいま佐藤内閣総理大臣がお見えになりましたので、この際内閣総理大臣に対する質疑を行ないます。  なお、先ほどの理事会の協議のとおり、質疑時間は一人十五分の範囲で御協力をお願いいたします。  それでは質疑を許します。池田清志君。
  106. 池田清志

    ○池田(清)委員 理事会の話し合いによりまして、各党で総理お尋ねをしたいということで総理のお出ましをいただいておるわけであります。  総理は、たび重なる災害の罹災者に対しまして深く同情を寄せられ、罹災者の立場に立ってあたたかい対策を進めると言うておられるわけでございます。先ごろのえびの・吉松地震における罹災者あるいはまた今回の十勝沖地震の罹災者がたくさんあるわけでございます。この罹災者に対しましても、前同様の気持ちであるということを私は想像しておるのでありまして、お尋ねするのはあるいはおかしいことかも存じませんけれども、まずもって総理のお考え、お気持ちお尋ねをいたします。
  107. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 私の気持ちには変わりはございません。今回の地震災害は、一日も早く罹災者の方々がこの不幸から立ち上がられるように、政府といたしましてもあらゆる措置をとりたいと思います。また、なくなられた方々に対しましては心から御冥福を祈るのみであります。問題は、政府自身がこまかな注意をいたしまして、あたたかい対策を立てると同時に、罹災者の諸君がとにかくみずから立ち上がるというその気力を持ってほしいのです。また、そういう意味で立ち上がられるそのことに政府が突っかい棒になり、お助けしたい、かように私は思っております。
  108. 池田清志

    ○池田(清)委員 ただいまの総理のお気持ちによりまして、罹災者が復興のために大いに発奮することと考えるわけであります。  わが国は災害国であります。毎年の暴風雨、干ばつ、フェーン現象、火災などなど災害がたくさん起こっております。わが国はまた火山列島であります。地殻の下が火の海といたしまするならば、その火の上に漂っておる一連の島々が日本列島であります。でありまするから、わが国は地震の非常に多いところであります。各種の災害の多いわが国におきましては、御承知のように、災害基本法天災融資法、激甚法、災害救助法などなど、一連の災害対策制度を持っておるわけであります。これらの災害制度は多くは風水害を対象として編み出されておる、こういわれております。地震に対しまする考慮がないとは申しません。しかしながら、地震に対する考え方としてまだ重点が置かれていないということが指摘されておるわけであります。こういうようなこともありまして、現在の災害制度そのものの内容を改めていかなくちゃならぬ、改善をしていかなくちゃならないという問題があるわけです。私ども委員会におきましても、このことについていろいろと考慮、研究、相談をいたしております。木村官房長官は、地震に対する激甚指定の基準を改正することを検討すべきであるということを言うておられるやに聞いております。こういうような地震に対しまする基準の改定等をも含めまして、現在の災害制度の内容を改善していくということは、国としてやらなければならないと思うのでありますが、この点につきまして総理のお考えはいかがでございましょう。
  109. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいま御指摘のように、災害対策一連の立法措置がとられております。その際に、多くは風水害には非常にはっきりしているが、ただいま御指摘になりましたように、地震脈については軽視しておるというわけじゃありませんが、やや地震の実態に即したような対策が立てられてない、こういうような見方もあるわけであります。そこで、今回の災害が起きた、地震対策もいろいろやってみますと、どうもいままでの激甚災害等でも、一局部にわいては非常な大きな損害を発生しておりますが、その県全体として見ると、何だか激甚法の基準に合わないとか、こういうような問題もあるようであります。そこで、防災会議等におきましてもう一度ひとつよく検討してみる必要があるんじゃないかと、ただいま総理府におきましてもそういう意味で取り組んでおります。もちろん、皆さま方国会におきましてもこれらの問題を十分ひとつ御検討願いたい。政府政府の立場においてこれらについても再検討するつもりでございます。
  110. 池田清志

    ○池田(清)委員 冒頭に総理お答えになりましたように、罹災者の立場に立ってあたたかい政策を進めるんだ、こういうお気持ちが、いまお尋ねいたしましたこのことについても御答弁をいただいたわけです。すなわち、地震に対しまする激甚地指定の基準等の改定等をも含めて災害対策制度の前向きなる検討を進めていきたい、こういうお気持ちでありまして、ぜひそのことを進めていただきたいと思います。  総理は、声なき声を聞いて政治をすると言うておられます。総理の名言であります。声なき声を聞いて政治をするということは、もちろん声ある声を聞いて政治するということは当然に含まれておるわけであります。先般のえびの・吉松地震の際におきましても、そうしてまた今回の十勝沖地震の際におきましても、政府現地調査団を派遣せられました。われわれ委員会におきましても調査団が参りました。さらにまた諸政党におきましてもそれぞれ現地に参ったわけです。その際、現地の罹災者の方々や市町村長や知事、そういう関連の方々から耳にたこができるほど聞いてまいったのは、つまり激甚地の指定をしてほしいということであったわけであります。そこで問題は、今回の地震に対しまして激甚地の指定ということになってくるわけでありますが、先ほど来、田中国務大臣の御説明によりますと、激甚地の指定をする方針である、その激甚地に指定されない以外のことについてはこれに準ずる取り扱いをする方針であると、こういうことを明らかにしておられるわけであります。その内容について総理お尋ねするものなんでございますが、たとえば農業施設公共施設中小企業関係漁業関係学校施設などなど、わかりやすいこういう施設対象に対しまして激甚地の指定が行なわれる準備をしておるかどうかということをお尋ねいたします。
  111. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 いま調査を急いでおりまして、そうしてこの激甚地指定に該当する地域がそれぞれあるようでございますし、またそれぞれその業種等もあるようでございますから、激甚災害法第五条、六条、七条、八条等々の適用について万遺憾なきを期するつもりでございます。  ただいま九州のえびの・吉松地震等も引き合いに出されましたが、これはいろいろ調べましたが、なかなか条件がそろわないようで、したがいましてこれは激甚地指定はいたしません。が、しかし、その準ずる処置をしたい。準ずる処置というのは一体どういうことか、これはもう御承知のように、起債の場合にくふうするとか、あるいは交付税の分配の場合に特別に考えるとか等々の処置でございまして、またそれぞれの部門において適切なる対策を立てる、かような意味でございます。問題は、吉松、えびの、あの付近、これは自治体といたしましてはたいへんな私は負担だと思いますので、そういう点が自治体の負担にならないといいますか、十分お手伝いができるような処置をくふうすることです。しかし、もちろん法律がございますから、そうルーズな処置をとるわけではございません。やはりその基準を守らなければならない、かように思っておりますが、問題は地方自治体の健全性を維持するために私どもがなし得る方法、それをひとつ考えてみよう、かような意味でございます。
  112. 池田清志

    ○池田(清)委員 激甚地指定の問題について検討を進めていく、こういう御説でありまして、ぜひそれをお願いいたします。  そこで、またこの問題に加えてお尋ねをいたしますのは、先ほど基準の改定を含めて制度の改善をするということも御答弁になっておるのであります。現行の基準によっては該当しない施設も、基準の改定をするにおいては取り上げていただけるという事柄がいろいろあるのでありますが、われわれといたしましては、そこまで前進をしていただきたいということをお願い申し上げる次第です。  いま御答弁の中のあとの、えびの・吉松地震についてのお答えがございましたが、一応これはお答えをお返ししておかなければなりません。と申しますのは、政治は、ひとしからざるを憂えるのが政治の要諦です。ひとしからざるを憂えるというのがほんとうの政治家でなければなりません。わが国の地震がどこで起こりましょうとも、その罹災者の苦痛は同じであります。そしてまた、どこの市町村に起こりましょうとも同じであります。たまたまえびの・吉松地震においては地上が震源地である、十勝沖地震においては海中が震源地である、そういう分け方を政府はいたしております。そしてまた、あるいは年度が違うというような雑談みたようなことも伺ったのでありますが、これらはいずれも理由にならない理由でございます。でありますから、えびの・吉松地震についても、十勝沖関係がみな取り上げていただけるならば、これにイコールして取り上げていただくべきである、これこそ政治の要諦である、こう考えるわけであります。  試みに町村単位の被害状況を申し上げてみますと——激甚地指定関係は県単位に集計せられ、県が分母になっておるわけです。さらにこれを下げまして、市町村単位にするということになったら、もっと拾い上げていただけまする町村がたくさん出てくると思うのであります。青森県の市町村単位の例を申し上げますと、青森市において二十八億円の被害状況、むつ市において十七億円、八戸市において百三億円、十和田市三十五億円、三沢が五十三億円、六戸町が九億円、こういう状況です。これと対比いたしまして、えびの、吉松について申し上げますと、えびの町では六十四億円、吉松町二十一億円です。町村単位に下げて検討していただきますと、えびの、吉松両町は、ゆうゆうと取り上げていただく資格のあることに被害がなっておるわけです。こういうこともありますから、概括的にえびの、吉松には適用しないということをおっしゃらないで、さらに検討いただきまして、取り上げていただく方向でお願い申し上げるわけです。これについて総理いかがでございましょう。
  113. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 池田君はよく御承知だと思いますから、災害の条件その他を詳しく私は申し上げません。ただ金額だけではこれがきまらないもののようです。したがいまして、先ほど申しますように、私は、全部が公平だといわれますが、政府自身は公平だと考えているので、みんなお子さん方が学校に行かれますけれども、やっぱり六歳、そこらが一つの区切りでございまして、それ以下だとどうもできがよくても学校に行かれない、こういうことがございますから、この条件をよく勘案いたしまして、そして処置する。大事なことは、先ほど申しますように、自治体自身の健全性をそこなわないようにする、そういう意味のくふうを私どもはす為、こういうつもりでございますので、ただいま法自身の適用よりも、そういう実態についてくふうしたい、かように思っておりますので、なおよく対策等については、政府自身も考えてまいりますが、現地の皆さま方もこういう事柄で失望されないで、十分また実情で政府を教えてやる、こういうことも態度として望ましいことですから、よく政府並びに地域団体におきまして考え方にそごを来たさないように、この上とも政府も努力するつもりでございます。
  114. 池田清志

    ○池田(清)委員 えびの・吉松地震十勝沖地震を私は南北とこう申しておきます。この南北に対しまして、政府の態度、制度の適用及びその内容に違いがあるということになりますと、これはひとしくない政治になるわけでありますから、そういうことがないように、ひとつ総理におかれまして前進して公平なる政治が行なわれますように、この上とも御努力をお願い申し上げておきます。  終わります。
  115. 芳賀貢

    芳賀委員長 福岡義登君。
  116. 福岡義登

    ○福岡委員 総理質問をするわけでありますが、その前に一言苦言を呈しておきたいのであります。そのことは、責任ある閣僚が軽々しく発言をしないようにしてもらいたいということであります。去る二十日の日だったと思うのでありますが、木村官房長官あるいは赤澤自治大臣が今回の十勝沖地震に際して今後の被害状況の報告を待ってそれを積算をしてみても激甚指定というのはきわめて困難である、こういう発言をされたのが二十一日の新聞に載りました。きょうの報告を聞いてみますと、部分的にではあるけれども激甚指定がなされる見通しである、こういうことなんであります。そういう事情を考えますときに、被災地の住民の人々は非常に心配しておる。責任ある立場にある閣僚がそういう指定はされないだろうというような発言をすることによって、人心の動乱はきわめて大きいと思うのであります。今後そういう軽々しい発言をしないように総理から注意をしていただきたいことを冒頭に苦言を呈しておきたいと思っております。  時間がありませんから十分な質問ができませんが、四つにわたって質問をしたいと思うのであります。  まず第一点は、いま池田委員からも質問がありましたが、激甚指定の問題であります。十勝沖については、いまも申し上げましたように、部分的に指定される見通しのようでありますが、えびの地震については、お話があったように、全然指定される見通しが今日のところないというわけであります。  そこで私は総理質問をするのでありますが、総理も先ほど半ば認められましたように、現在の指定基準というのは、風水害を中心にして考えられた基準である、地震に即した基準でない点もある程度認められておるようであります。この際防災会議にはかられまして、この指定基準というものを根本的に検討されまして、えびの地震を含め今回の十勝沖地震に全面適用ができるように要望したいのであります。総理は先ほども言われましたが、特別交付金などでいろいろとめんどうを見ていきたい、こういうお話でありますが、これは政府の援助ということに直接的にならぬと私は思うのであります。というのは、この特別交付金財源というのは、もともと地方財源なんです。今年度大体六百億くらいあるように聞いておるのでありますが、問題はその六百億の地方財源の分け方なんであります。去年は五百六十億かであったのでありますが、その中で百三十億程度災害対策に特交の中で配慮されておるわけです。政府が援助するということになれば、やはり政府予算を支出するのが当然だと思う。ですから、あたかも政府がめんどうを見るかのような、特交でめんどうを見る、めんどうを見ると言うことは、認識違いでありますから、そういう言い方では問題の解決にならぬ、こういうことを申し上げたいのであります。  あとで見解を聞きまして再び質問をしたいと思うのでありますが、第二番目の問題は、個人災害に対する問題並んであります。総理も御承知のように、現行法では個人災害救済されるものはほとんどないといっていい状態であります。農地の災害復旧はわずかに認められておりますが、あとは災害救助法によって毛布なりあるいは乾パン程度の支給、あとの住宅であるとかあるいは家財であるとか人命であるとか宅地であるというようなものについては、今日一切災害の援護というものはないわけであります。今回も相当の人命を失っておるし、えびのでも御承知のようにばく大な個人災害が発生しておるのでありますが、この際私どもといたしましては、個人災害の援護について考えなければならぬのじゃないかと思うのであります。そのためには特別立法を、たとえば被害者援護法あるいはまた災害共済制度といったようなものを考えて個人災害の救援に当たるべきだと思うのでありますが、これも総理の見解を聞いてから再度質問したいと思います。  それから第三の問題は、地震の観測及び研究体制が非常に弱いということであります。日本地震国であるということは、もういわれておるとおりであります。いまなお八〇%のエネルギーが蓄積されておるのでありますから、いつどこでどのように地震が発生するかもわからぬ状態なんであります。今度の十勝沖地震にあたりましても、気象庁はその観測に誤りをおかしまして、当初発表したものとその後発表したものとでは五十キロの誤差があったというのであります。さらにまた東大の地震研究所は、予算が非常に少ないためにできる観測もできない状態にあるということを言っておるのであります。政府は先ごろ十カ年計画を立てられておるようでありますが、中身を見ますと必ずしも十分でない。十年も待てないというように私どもは思うのであります。もう少し積極的な地震観測及び研究体制というものをつくっていただきたいと思うが、総理の見解を承りたいのであります。  第四の問題点は、公社関係災害復旧についてであります。今回代表的なのは、国鉄の百三十四億、電通関係の二十億、百五十四億あるのでありますが、中でも全体五百億余りの被害額のうちで国鉄はおおむね三分の一の百三十四億円の被害を出しておるわけであります。この災害復旧費というものはほとんど国鉄持ちなのであります。ですから十分な復旧というものができない。かりにできたといたしましても、いろいろ国鉄経営については問題になっておるところでありますが、国鉄の今日の財政事情を考えてみると、必ずしもこういう問題に対処できる状態にあるということにはなっていない。そこで一定以上の非常災害が発生したようなときには、公社にそれらの災害復旧を全部まかせるのではなくて、国家的な援助をする必要があると思うのでありますが、その点を聞きたいのであります。時間がありませんので、以上四点を簡単に質問いたしまして、またあとで問題により質問したいと思います。
  117. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 だいぶん福岡君から問題をぶっつけられました。先ほど申しますように、激甚災害指定、私も過日参議院で実は失言をしました。これは間違ったのですが、私自身、その当時調査もしてない際でございましたが、激甚災害に一、二指定いたしましたというような話をしたのです。実はそれもしてなかった。しかし、これはその後私の間違いが明らかになってきましたので、参議院では了承してもらったと思っておりますが、ただいま言われるように、政府発言というものはよほど慎重に気をつけなければならない。しかし事柄によりましてはできるだけ早く処置をとらなければならない。場合によっては調査が未定でありましても政府の大体のねらいのところを先にぶっつけて、その方向で解決する場合もありますから、その辺は御了承を願いたい。ただ、今回のように激甚災害に部分的にするにかかわらず、しないということを言うと、これはたいへんなことだ、かように思います。したがって、最初に御注意のありました点は、政府部内のことですから、私よく今後注意するようにいたします。  ところで、ただいま防災会議を開いて各種の条件等も再検討するつもりでございますから、さらにそういうことになると、えびの・吉松が一体どうなるか、こういう問題はあろうかと思います。しかし、いまの法のたてまえそのものから言うと、これは激甚災害にならない。そこでそれにかわる処置、準ずる処置として、政府はできるだけの処置をとろうと、こういうことでございます。したがって、ただいま二つに分けて、防災会議でどういう結論が出るか、その結論が出て変わったことになれば、またその線で政府は処置する、これが一つでございます。いまの状態のもとにおいては、残念ながらいまの政府の準じた扱い方、これが特交であったり、あるいは起債であったり、そういうことになるのだ、こういうように御了承いただきたいと思います。  で、その特別交付税のものは、特別交付金は、これは本来もう自治体に配るべき性質のものだ、したがって、特別な処置、こういうことはできない、こういうお話でありますが、しかしこの交付金がひもつきで渡されるところに意味があるのだ、かように御理解いただきたいのであります。政府政府予算から出すという、そういうような考え方で別にプラスアルファしろ、こういうようなお気持ちのようですが、あくまでも特別交付金というようなものはそういうような使い方をするものですから、ただいまの炭鉱の炭産地について特別の交付をするとか、こういうような筋のものです。したがって、こういうような災害が起こればやはり特交で処置するということ、これはやはり政府の特別処置だ、かように御理解いただきたい。これはどうも不満足のようでいらっしゃいますが、これが政府の考えられる処置でございます。  それから次の問題といたしまして、個人災害、これは一体どうなるか。いままでのたてまえから言いますと、個人の災害、これは普通の場合におきまして、個人の負担においてこれを回復するという、これが本来のたてまえであります。しかしながら、過去におきましても、その災害いかんによりましては、見舞い金等を出した例はございます。これは地方自治体が出しておる。そうしてその後において中央政府がそのあとの穴埋めをしておる、こういう例はございます。しかし、今回の場合におきましても、まず個人の負担において個人が回復するというその原則に一つ立っていただく、政府は金融、税制等の特別措置で特別に援護関係をする、これがいまのたてまえであります。生活扶助なりあるいは家屋の建設資金等が低利、長期にできるとか、あるいは免税処置がとられるとか、こういうような処置がそれぞれあるわけであります。そこでただいま言われますような罹災者援護法、こういうものまで実は発展しておりませんけれども、ただいまのような、政府が過去においてとってきたその程度で救えるか救えないか、こういうことはもう一度政治の面から気をつけてその効果を見る必要があると思います。ただ、いまのところで、私は十勝沖地震に対しましてはただいま申し上げるような在来からとってきている援護処置、これで個人災害の場合をめんどう見る、こういう考え方でございます。  それからその次は公社、公団のたてまえについて、災害復旧についてのお尋ねであります。  本来申しますと、予算編成をいたしますと、予備費等が一応計上されております。予備費のないところにおいて——ただいまの国鉄の場合が一番だと思いますが、国鉄は予備費あるいは修理費その他の名目で一応予算を計上しておりますから、そこらの問題で大体まかなえるんではないだろうかと思います。また、電電公社は、これはもう明らかに予備費の範囲内でまかなえるようだ。また道路公団等におきましても、特別に予算をふやさないで、これも災害復旧のあと始末ができる、かように実は思っております。  しかし、一般的な問題としてお尋ねがあったようであります。私が申し上げるまでもなく、非常災害、とんでもない災害が起きた場合に一体どういう処置をとるか、これはその公社、公団だけでは処理できない、こういうような場合はこれはまた別々問題だと思います。まあ今回の十勝沖地震災害については、ただいま予算を計上されたその範囲内においてやりくり等でまかなっていく、こういうたてまえでございます。御了承をいただきたいと思います。
  118. 福岡義登

    ○福岡委員 御答弁をいただいたのですが、どうも満足するような答弁がないのは非常に残念に思います。いろいろと反論をしたいのでありますが、時間が約束されておりますのでそれができませんので、再度二、三の点について申し上げて、私の質問を終わりたいと思うのであります。  激甚指定の基準問題なんですが、どうも佐藤総理のおっしゃっておることがよくのみ込めない。私どもは、地震に即応できるような基準に再検討してもらいたい。その結果、えびの地震がどうなるのか、あるいは今度の十勝沖地震がどうなるのかという判断をしてもらえばいいのであって、総理の御説明では、どうも先に何か前提をお持ちになって——その前提というのは、これは勘ぐり過ぎるかもしれませんが、補正なし予算というものに総理はこだわられて、この激甚指定の全面適用というものに踏み切っておられぬように私どもは思えてしかたがないわけであります。また場所を改めて、政府責任をただしていきたいと思うのでありますが、ぜひ前向きで激甚指定の基準というものを早急に防災会議検討してもらいたい。その結果に基づいてえびの十勝沖も全面的に救済されるように特段の御努力をお願いしたいと思います。  第二の点は個人災害の点でありますが、もし各党、与野党共同いたしまして、中身は別にいたしましても、個人災害の援護法的なものを出すというようなときには、ぜひそれを尊重し、政府としても協力をしていただきたい。  もう一点申し上げておきたいのは、公社関係災害なんでありますが、異常な場合にはやはり政府措置するという道筋だけはつくっておく必要があるのじゃないか。国鉄の今回の場合の百三十四億が異常であるかどうかという議論は別にいたしまして、相当多額なものであることは間違いない。今日の段階ではその道筋もないじゃないか。一定以上の災害が発生したときには、政府が援護をするという筋道をつくっておくべきだということを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  119. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 簡単にお答えいたしますが、今回の考え方は、いわゆる補正なし予算ということとは関係はございません。これはもうはっきり申し上げておきます。したがいまして、いまの防災会議でどういう結論が出ますか、それが出ましたら政府は処置するつもりでございます。善処するつもりでございます。まあ、善処すると言いましても、これは年度の途中でございますから、おそらく既定経費のうちからそれを出すということになるだろうと思います。さように御了承いただきます。  それから次の個人災害の場合ですが、各党で援護法をつくるという場合にはひとつ政府は全部まかしてくれと、こういうお話ですが、全然中身を知らないことには、私はけっこうですともちょっと言いかねるのです。(福岡委員「方針だけを」と呼ぶ)私、その方針から申しますと、先ほどの基本的な原則はひとつ守りたい、かように実は思っております。したがって、各党で話し合いなさるにしても、さらにもっと掘り下げた中身がほしい、またその段階におきまして、政府ももちろんもっとはっきりした考え方を申し上げる、かように御了承いただきます。  それから公社、公団については、これはもう異常災害なら道が——いままでの既定予算でどうこうというようなそんな問題じゃございませんから、それについての特別処置をとることはこれは当然だ、かように御了承おき願いたい。
  120. 芳賀貢

  121. 神田大作

    神田(大)委員 時間の関係もありますから、簡単に二、三の点を御質問申し上げます。  まず第一に、今度の十勝沖地震におきましてとうとい人命がたくさんなくなられましたが、この中でいまだに行くえ不明になっておる人たちが海上において一名、それから山くずれで二名、それと堤防決壊で一名というように四名の不明者がありまして、人命尊重の観点に立って、これらの人たちに対しまして自衛隊等をはじめ努力をしておるようでありますが、まだこれらの発見ができないようであります。総理は、このような不幸な人たちを一刻も早くさがし出すために、地元にまかせるということではなしに、ひとつ積極的に一日も一刻も早くこれの発見のために御努力願いたいと思いますが、総理の見解をお尋ねいたします。
  122. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 政府は最善の努力を払って、そうして、なくなられた方の御冥福を祈るといいますか、そういう立場からも遺骸の発掘等について努力するつもりでございます。ことに、残された方々を慰める方法といたしましても、こういう災害から遺骸を掘り出してねんごろに葬るということは、これはなくなられた方に対しても当然やるべきことじゃないだろうか、かような意味で最善を尽くしてただいま努力している最中でございます。
  123. 神田大作

    神田(大)委員 自衛隊等が今度の地震において相当努力をしておりますが、これは集中的に、私らがこの間視察しておりましたところが、地元の消防団を中心に部落の人たちが全部でこれら山くずれをくずしておりましたが、くわやまんのう等をもってやっておるのですね。そんなことであの膨大な山くずれの中で行くえ不明者をさがすことはできない。自衛隊においては相当の機械化がされておるのですから、ブルドーザーなりあるいは何らかの方法をもって、機械を動員してさがすことをしなければ、もう田植えが忙しいから部落の人はとても手伝っていられない。そうなるというと、この間の新聞のように、病気のおとうさんとむすこが妻とおふくろの行くえをさがすためにシャベルや唐ぐわで掘っておる。こういうことを幾日も見過ごしておくことは、政府がほんとうに誠意をもってこれに尽くすということが見られない。だから、総理がきょう御答弁なさるようなことであるならば、すみやかにこれらの行くえ不明者の捜索に全力をあげ、具体的な方法でもってこれを遂行してもらいたい、このように考えますが、その点についてお答え願います。
  124. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 基本的には、私、先ほどのようにお答えをいたしましたし、また私もそのつもりでございます。  ところで、いま神田君も御指摘になりますように、今回の土砂くずれあるいは山くずれ等、たいへん激甚なものがございます。きわめて簡単にはそれを掘り出すことができないという場合があります。そういう場合におきましても、やはり地域住民の方々の感情をそこなわないように十分話し合いの上、またその意思、その気持ちに沿ったような処置をとらなければならないと思います。御承知のように、自衛隊が救援あるいは援護に出向くにいたしましても、これは知事さんの要請があれば出ていくわけでありますけれども、知事さん自身といたしましても、これを長く引きとめるというわけにもいかない、こういうようなことで途中で帰ることもあろうかと思います。ただいま御指摘になりました新聞に出ていた写真、これは私も見ました。たいへん心を痛める記事も出ておりました。たいへん残念なことのように思います。しかし、災害のあとには間々こういうようなことがありますが、そういう点で地域住民の感情をそこねるようなことでは、政府責任あるいは自治体の責任が果たせない、かように思いますので、こういう点についてこの上とも努力をいたすようにいたしたいものだ、かように思います。
  125. 神田大作

    神田(大)委員 第二に、今度の地震でもってわれわれは——これは天災には違いありません。しかしながら、先ほども建設大臣に御質問申し上げたのですが、地震のために公共建物学校とかあるいは市役所とか、そういう公共建物が意外にくずれて、民間の木造建築とかあるいは民間の耐久建物がそれほどでもないというようなことを見ますと、これら公共施設建設に対しまして何らかの手抜かりがあったのではないか、あるいはまた建設を請け負うときに建設業者が談合して順次請負を回していくというような日本の一番悪いこれらの請負工事に対して、この際私は徹底的なメスを入れるべきではないか。そういう地震のためにくずれたのではなしに、人の努力が足らないために災害が起きたことをわれわれは考えますが、これらについて総理としてもき然たる態度をもって抜本策を立ててもらいたい、このように考えますが、この点についてお伺い申し上げます。
  126. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 公共建物、その例として学校あるいは市役所等の建物がこわれて、そうして民家、木造建物が残った。鉄筋コンクリート、これらは見かけはいかにも堂々たる強いものだが、民家の木造建物が残った、どこか不正があるのじゃないか、手抜かりがあったのじゃないか、あるいは談合等が工事で行なわれたのじゃないか、こういうように疑わざるを得ない、こういうお話であります。私は耐震建物、地震に対する建物、ここらに十分の研究がなされていたかどうか、これは一つの問題だと思います。どうも倒れそうな家が地震には案外強い、見たところ非常に強いようだが、地震では一たまりもなくやられる、こういうことが間々あるのでありますから、これは耐震建築という立場から技術的に見る必要があるのじゃないだろうか。いまのような犯罪、汚職につながるという疑いを持たれることもさることですが、やはり建築としては地震には特別なくふうが要るのじゃないだろうか、かように私は思います。科学技術の進歩から申しまして、こういう点が必ず今後注意される、かように私考えるのであります。  先ほど答弁を落としましたが、いま地震予知、そういうことについてはまだ十分ではございません。この機会に福岡君に落ちた答弁を補わしていただきますが、地震予知されて、そして事前にそれに対する対策が立てられれば、たいへんしあわせであります。しかし、いまの科学技術の進歩の状況、この状態でも地震予知が完全にできるとは思えない。ただ、いま科学技術庁長官や中曾根君が言っているのは、はっきりしたことはわからないにしても、その予知体制はまず考えられるのじゃないのか、相当金を投ずれば予知する、測定その他データを集める方法があるのじゃないのか、かようにいま言われております。そういう意味で、地震予知も、その予知の事前の設備といいますか、そういうものを完全にしたい。こういうようなことで政府はこの次、予算にもそういう意味の計上をしよう、こういうことであります。  同時にまた、いまの耐震家屋、それには何が一番よろしいのか、これはもっとくふうしなければならないのじゃないだろうかと思います。ただいま三十六階とか何階というような建物ができておりますが、高層建築になるとたいへん心配なものであります。科学技術館に行ってみて、必ずしも高いだけであぶないというものじゃないようだ。なかなか力学的にはむずかしい計算があるようであります。そこらのものをよくくふうしてやっていかないと、地震の問題は十分対策が立たない。かようにも思います。私は、ただいまの問題はおそらく建設省でも努力し、再調査する、かように思いますが、一般的にただ見かけだけではこれは判断できないように思います。
  127. 神田大作

    神田(大)委員 もう時間がないので……。  私も、それは総理の言うこともわかりますが、私が最初に言ったこれらの耐震耐火建築に対して政府としては根本的な検討を願って、やはりそういう問題が私の申したような問題を含んでおることを、これは十分心しなければならぬと思う。  次に、先ほど前の委員からもいわゆる激甚災害指定の話がありましたが、この災害対策基本法に激甚災害の局地災害の規定を入れる、これが第一じゃないか。これが抜けているために、先ほども質問のありましたえびの地震が、局部的に非常に災害があったにもかかわらず、激甚指定にならぬという非常に不公平なことができる。ぜひこれは基本法の改正あるいは基準の改定等について御考慮願いたい。  いま一つ最後に。もしこの十勝沖地震のような地震が東京、横浜、大都会に起きた場合はどうしますか。これはたいへんなことになると思うのであります。大都会に地震が来ないとは限らぬ。大正十二年からもう五十年近いのですから、これはもうそろそろ来なくちゃならぬと予想されると思うのですが、これらに対する予防、予知をどのように考えておるか。  この二点をお尋ね申し上げたいと思います。
  128. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 第一のお尋ねにつきなしては、先ほどお答えいたしましたように、近く開かれる防災会議において十分検討さすつもりでございます。  第二の問題、これはたいへんな問題でございます。ただい玄消防庁におきましても、またその他の警察当局等におきましても、また行政府におきましても、大都市に災害が起きたら、特に地震が起きたらどうするか、いろいろ防災会議を開いております。なおなか予測のできないような問題がそこにはあると思います。  神田君は御記憶にあるかどうか、また若かったからないでしょうが、私なども関東大震災、それを学生最後の年に実は経験したものであります。これあたりも、あの火災がたいへんな災害を引き起こした。よもやああいう火災が起ころうとは思わなかった。その際にはやはり消防庁もずいぶん努力いたしましたが、水がとにかく出てこなかった。そのために大火になった。こういうようなことでございますから、われわれの想像できないようなものがいろいろあります。しかし、それは別といたしまして、想像のできる、予測のできるその対策としては万全を尽くす、こういう意味でただいま努力しておる次第でございます。  なお、これらの問題はひとり政府ばかり考えないで、皆さん方にも名案がありましたらぜひひとつこういうことをやれとお指図が願いたい、かように思います。  とにかく、この地震予知、さらに予防、さらに起きた場合の対策等につきましては、やはり人知のできるだけのくふうをし、対策を立てる決意でございます。ひとつ、まあいたずらに声を大にして危険を叫ぶよりも、これの対策を立てることが大事でありますので、どうかよろしくお願いいたします。
  129. 芳賀貢

  130. 小川新一郎

    小川(新)委員 ただいま東京に対しての御質問がございました。私もそれを聞きたかったのであります。非常に簡単な答弁なんでございますが、特別に東京、大阪等の過密大都市のそういった災害防止に対する組織というものをつくって、今後の検討対策を講ずるかどうか、それがまず第一点。  第二点は、災害防止対策に関する行政監察が出ております。これは行管庁から防災会議議長である総理に対しての勧告であると思うのでありますが、この勧告が十分尊重されていない点が多々あるように見受けられます。また今回の地震等においても、この勧告を十分尊重された対策が練られていなかったということが今回の災害で明らかになっておりますが、この災害防止対策に関する行政監察結果に基づく勧告に対して、総理のお考えをまずお聞きしたい。
  131. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 大都市に対する災害防止は一体どうなっておるかということであります。  まず普通に考えられるのは、暴風雨、高潮対策として考えられる。その高潮対策は、東京や大阪、名古屋と一応いまはできている、かように考えております。しかしながら、一面においてさらに沈下もいたしますから、こういうことに対してもさらにくふうする必要があるだろうと思います。  もう一つは、ただいまの火災の問題であります。途中に防火壁を都市の中につくっておくということもございますが、何といいましても水を確保することが大事でございます。そういう意味において水源を確保すること、さらにまた、その導水がうまくいくように、途中で故障を起こさないように、そういうことを考えなければならない。  あるいは、最近できます高い建物で特に注意をされているものが耐震並びに防火対策。もしも地震が起きて途中でエレベーターがとまる、あるいは停電する、そういう場合には自家発電をしてでも完全にエレベーターその他が動くように、こういうようなくふうまでしている。もちろんシャッターでそれぞれを締め切ることは考えられておるようであります。でありますから、高い建物についてはそれぞれのくふうをされておりますので、この辺でまずいいだろう。  ただ問題になりますのは、小川君も御承知のように、非常に膨大な地域に多数の人が住んでいる。そしてどの役所がそういう処置をするのか十分でない。ただいますぐ考えられるのは消防庁や警察部ですが、それだけでは不十分だ。そこでやはり平素が大事だ。だから平素から防災会議を開いて事務当局の各省の間の緊密な連携、それによって、不幸にして災害が起こりましても、その対策が時期を失しないでとられるような、そういう処置をいろいろくふうしているということであります。大都市には大都市なりの非常な心配があるということを、御指摘になりましたとおり私どもも感じておりますので、政府も万全の対策をとるつもりでございます。  その次は、勧告はもちろん尊重しなければなりません。しかし、勧告を尊重すると申しましても、ときに予算的な制約を受ける。したがいまして、この勧告どおりに何もかもやれない。ここらにむずかしさがあります。それらの点は緩急よろしきを得るとかあるいは重点的な施策として事欠かないようにする、そういうように政府は処置をとっている、かように御了承いただきたいと思います。
  132. 小川新一郎

    小川(新)委員 個人災害については、これに対してございませんので、われわれはその災害に対する防衛というものは損害保険会社にたよる以外にないのであります。現在地震保険というものは総合保険の中に含まれておりまして、全壊の場合だけその契約高の支払い額が決定されるわけです。それには非常にきびしい条件がついておりまして、これに対して今回のえびの・吉松または十勝沖地震のように、損害保険会社に対しての条件緩和というものを政府では何らか勧告ができるかどうか。また、その支払いに該当しない全壊以外の小被害に対しては見舞い金程度のものが出せるのかどうか。こういう点、総理として、営利だけが目的でない公共の福祉の立場に立って、損害保険会社に対して、公共責任の分野に立って、何らか政府として勧告ができるのかどうか、また、そうしていただきたい、こういう質問でございます。
  133. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 この地震保険というものはたいへんむずかしいものだろうと思います。したがって、私、専門的な知識を持ってかりませんが、なかなかかけにくい問題ではないだろうか、かように思います。しかし、全然ほっておくわけにはいきませんし、いまお話しになりましたように、一部については実施してかりますが、これをもっと広範にやり得るかどうか、専門家にもう少し検討させたい、かように思っております。
  134. 小川新一郎

    小川(新)委員 個人災につきまして先ほど福岡委員からもお話がありましたが、現在交通共済制度というものが市町村でできております。私、埼玉県の川口でございますが、川口市で一日一円の市民共済を積み立てまして、死亡した場合には五十万円、けがをした場合には十万円とランクをきめて支払うように、交通災害共済組合制度というものをいま地方公共団体がやっておりまして、これはいま全国的に広がっております。これを拡大いたしまして、全国災害共済制度なるものを打ち立てて、そうして先ほどの罹災者救済援護法とあわせて個人救済というものをはかっていくべきである、これが一つの前向きの姿勢のあらわれではないかと私は思うのでございますが、この全国災害共済制度なるものを打ち立てていくようなお考えはございませんでしょうか。
  135. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいま小川君から交通災害共済組合の話が出ました。たいへん進んだ考え方だと思います。さらに全国災害共済組合というものをくふうしたらどうか、こういう御提案でございますが、実は私、ただいま初めて耳にするのでありまして、これはなかなかいい着想だなと考えながらいま答弁に立ったようなわけであります。この制度を普及さすについては、さらにもっと専門的に検討さす必要がああだろう、かように思います。私、総理でございますから、その立場でお返事申し上げるのが望ましいことですが、ただもう少し私自身に研究させていただかないと、ただいま聞いたはかりでありますので、しばらくその答えは私に預からせていただきたい。十分検討さすつもりでございます。
  136. 小川新一郎

    小川(新)委員 今回現地に参りまして、公共学校の耐震建物が非常にもろくくずれました。そのことの原因の一つに、コンクリートの化学変化の点についてお話があったのです。それはどういうことかと申しますと、東北とか北海道のような寒冷地帯におきましては、予算が四月に決定いたしまして、お金が出るのは秋でございます。そうしてこれが事業にかかるのが秋から初冬にかけてであります。そうしますと、寒い地帯の東北、北海道にかいてコンクリートがよく固まらないというのです。もう化学変化を起こさないというのです。それは、予算制度のそういったたてまえの中から当然秋から冬にかけてやるために、寒い地帯においては非常にコンクリートに変化を起こす。そのために、一般の建築などはそういった寒いときを避けるのでございますが、公共事業の場合にはそれができない。そういった予算と施工と、そうして耐震の建築物の寒冷地帯における関連性、こういう点で非常に災害が重なったということを現地の市町村長並びに知事、技師から聞きましたが、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  137. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 これはひとつよく研究させましょう。私もいまのようなお話、あるいはああいうコンクリートが十分固まらない、化学変化をしない、その前にこれが凍結するというようなことでもあるのか、これはたいへんな問題だと思いますので、よく研究させて、そうして、ただいま言われるように、信用のできないような建物にならないようにひとつくふうさせるようにいたしましょう。
  138. 小川新一郎

    小川(新)委員 その点よろしくひとつお願いいたします。  次に、漁業共済対象ノリだけになっております。農業構造改善裏業に指定ざれた作物としましてコンブとかワカメ、それからホタテ貝、これがいま三陸沿岸で非常に盛んになっております。ところが共済組合の対象になっておりませんので、これは早急にしなければならぬと思います。総理、ひとつこの点で前進的にお願いしたい。それが一つ。  第二点は、共済組合の掛け金が非常に高いために、めったに起こらない災害に対してそんなにかけ切れない、こういう声が起きておりますので、この点、掛け金の配慮というものをひとつ行なわなければならぬ。これが第二点でございます。  その次に、海岸保全の計画について、長期計画がいま日本にございません。道路とか治山治水または橋、公共施設、住宅等に対して長期の計画がありながら、なぜ海岸保全の長期計画というものが日本にないのでしょうか。これは四面海に囲まれた日本の中で非常に不可解に思っておる。この点総理お尋ねしたいと思います。
  139. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 海岸における養殖の範囲、これはだんだん拡大しておりますので、一番最初法律をつくったときは非常に限定されて数が少なかった。ノリ以外のものはあまり養殖されていなかった。したがって、その後、ワカメだとかあるいはホタテ貝だとか等々を養殖するようになったら、直ちにそういうものもつけ加えればよかったと思います。これがやはりノリだけに限定されたということは片手落ちだ、かように私は思います。  次に、共済組合の掛け金の問題であります。これはやはり掛け金が非常に高いと困りましょう。さっきも、保険の場合に、一体地震に適用する保険ありやということで、私は首をひねったのでありますが、共済組合の場合でも一やはり普及するためには適正な掛け金でなければならぬことは、これはもう当然であります。いろいろ損害等の発生度等もなかなか計算がむずかしい。そういうようなことで掛け金がややおくれている、安全度をとり過ぎている、こういうこともあろうかと思います。しかし、さらに検討すべき問題だと思います。  最後の海岸堤防の問題ですが、今回は、岩手県の海岸はチリ地震津波、それの対策で海岸堤防がたいへん役立った、かように聞いております。しかしながら、その他の場所等においては、海岸が沈下する場所もございますが、そういう場所において、関係省がそれぞれあってなかなか対策が立てかねている。農林、運輸等々がございますから、今後長期計画を立てろという、これは確かに当然なさねばならないことだと思いますが、この長期計画はいわゆる高潮対策、こういうようなことではもうすでにやられたと思いますが、その他の場所においても、長期計画を立てる場合には関係省で十分連携を緊密にいたしまして、そうしてそごを来たさないようにする、その心がけで今後立てていくように研究さす、かように御了承をいただきたいと思います。
  140. 小川新一郎

    小川(新)委員 最後に、今回の地震でまことにかわいそうな方々がたくさん出まして、特にかわいそうなのは、五戸町で両親を一ぺんになくしまして、十一歳の女の子をかしらに四人の子供たちが行くところもないというような状態でおりましたところを私ども見てまいりました。どうかこういったかわいそうな子供たちに、私は総理大臣から激励のお手紙が来るからがんばってねと言ってわいたのでありますが、総理はお忙しいからお手紙は書けぬでしょうから、秘書の方にでも書いていただいて、ひとつ激励をしてあげていただきたいのです。それはなぜかと申しますと、両親がいないこの四人が、夜になるとみんなくっつき合って寝ているわけです。そうして、ばらばらになるのはいやだと言っているようなかわいそうなところでございますが、こういうところに政治の一つのあらわれがあらわれたときに佐藤総理の人気も上がるし、また佐藤内閣の一つの姿勢というものもあらわれるのでありまして、小さなことではございますが、ひとつ私、このきょうだいに総理みずからの激励の手紙をいただいて、激励さしてあげていただきたいと思います。
  141. 佐藤榮作

    ○佐藤内閣総理大臣 ただいまの小川君のお話、私もほんとに胸の痛む思いで聞きました。ありがとうございました。
  142. 小川新一郎

    小川(新)委員 以上で終わります。
  143. 芳賀貢

    芳賀委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる六月三日月曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時十二分散会