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1968-05-21 第58回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十一日(火曜日)    午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 池田 清志君 理事 稻葉  修君    理事 渡辺 栄一君 理事 川村 継義君    理事 神田 大作君       内海 英男君    小澤 太郎君       熊谷 義雄君    田澤 吉郎君       中川 一郎君    橋口  隆君      三ツ林弥太郎君    水野  清君       山口 敏夫君  早稻田柳右ェ門君       淡谷 悠藏君    井上 普方君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       島本 虎三君    田邊  誠君       平等 文成君    福岡 義登君       山内  広君    小平  忠君       和田 耕作君    小川新一郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君         国 務 大 臣         (北海道開発庁         長官)     木村 武雄君  出席政府委員         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         厚生省環境衛生         局長      松尾 正雄君         厚生省社会局長 今村  譲君         農林政務次官  安倍晋太郎君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         警察庁警備局警         備調査官    津田 武徳君         防衛庁防衛局第         一課長     今泉 正隆君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      原野 律郎君         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       磯辺 律男君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     大和田 潔君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農政局参         事官      田所  萠君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         食糧庁業務第一         部長      馬場 二葉君         林野庁指導部治         山課長     松岡  明君         水産庁漁政部長 岩本 道夫君         中小企業庁計画         部金融課長   井川  博君         運輸大臣官房参         事官      内村 信行君         運輸省港湾局港         政課長     向井  清君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     犬丸 令門君         気象庁観測部長 斎藤 錬一君         気象庁観測部地         震課長     木村 耕三君         郵政大臣官房秘         書課長     太原 幹夫君         建設省河川局河         川総務課長   粟屋 敏信君         建設省道路局国         道第一課長   高橋国一郎君         建設省住宅局住         宅総務課長   白川 英留君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君         日本国有鉄道施         設局長     松本 文彦君         日本電信電話公         社保全局長   橋本 真澄君     ————————————— 五月二十日  委員小沢貞孝君辞任につき、その補欠として和  田耕作君が議長指名委員に選任された。 同月二十一日  委員金丸徳重君、田原春次君及び稲富稜人君辞  任につき、その補欠として淡谷悠蔵君、山内広  君及び小平忠君が議長指名委員に選任され  た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会審査に関する件  昭和四十三年十勝沖地震による災害対策請願   一 豪雪災害対策拡充強化に関する請願     (湊徹郎紹介)(第四九七五号)   二 鹿児島県栗野町の地震による災害復旧に     関する請願池田清志紹介)(第五四一     六号)     ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  まず、閉会審査に関する件についておはかりいたします。  先ほどの理事会において協議いたしましたとおり、災害対策に関する件について、閉会審査申し出をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、閉会中の委員派遣に関する件についておはかりいたします。  閉会審査案件付託になり、その審査のため委員派遣の必要が生じました場合には、議長に対し委員派遣申請をいたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、派遣委員の氏名、員数派遣地、期間、その他所要の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、請願審査に入ります。  本日の請願日程二件を一括して議題といたします。  本委員会付託になりました請願は二件であります。その取り扱い等につきましては、先ほどの理事会で協議いたしたのでありますが、この際、紹介議員説明等を省略し、直ちにその採否を決することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  おはかりいたします。  本日の請願日程第一及び第二の請願は、いずれもその趣旨妥当と認められますので、採択の上内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  ただいま議決いたしました請願に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————報告書は附録に掲載〕     —————————————
  10. 芳賀貢

    芳賀委員長 なお、念のため御報告申し上げておきますが、本委員会に参考送付されております陳情書は、えびの地震災害対策に関する陳情書外八件であります。      ————◇—————
  11. 芳賀貢

    芳賀委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十三年十勝沖地震による災害対策について議事を進めます。  まず、非常災害対策本部において本日まで取りまとめられました被害状況及び対策の概要について説明を聴取いたします。田中非常災害対策本部長
  12. 田中龍夫

    田中国務大臣 それでは御報告を申し上げます。  地震概況につきましては、先般の当委員会安倍本部長報告をいたしましたので、その後判明いたしました被害政府対策につきまして御報告をいたします。  一般被害は、二十日現在、死者四十六名、行くえ不明四名、負傷二百九十七名、住家全壊二百五十七棟、同半壊千四百二十八棟、同全焼十三棟、同半焼五棟、罹災世帯二千七百十七、罹災者一万二千百八十二名などと相なっております。  施設関係等被害は、目下集計中でございますが、現在までに判明いたしましたものは、県報告によりますると、公共土木施設六十六億円、公立学校施設十二億円、農地農業用施設、林道三十億円、商工関係六十一億円等、総計二百三十億円と相なっております。  非常災害対策本部は、十八日夜、さきに派遣いたしました政府調査団の帰るのを待ちまして、本部会議を開催いたし、被災地現状報告を聴取いたしまするとともに、緊急に措置すべき対策を検討いたしたのでございます。調査団報告によりますると、今回の地震の規模は関東大震災級でありましたが、地震発生時刻が食事時間とずれておりましたこと、引き潮のときであり、津波によりまする災害が少なかったこと等によりまして、被害がこの程度で済んだこと。また地震発生前に降り続いておりました雨のために地盤がゆるんでおりましたことによりまして、特に盛り土個所被害が大きく、したがいまして、道路鉄道水道等公共施設被害が大きかったこと、及び比較的軟弱な地盤または埋め立て地にありまする港湾施設被害が大きかったこと等が特徴でございます。  そこで、本部といたしましては、当面の対策といたしまして、給水、物資の輸送、生鮮食料品値上がり防止対策を強力に推進いたしまするとともに、復旧が完了していない水道鉄道港湾ガス等応急復旧財政金融対策農林漁業対策等の各般の災害対策を推進いたしますることを決定いたしたのでございます。  なお、被害並びに政府措置につきましての詳細は、お手元に御配付いたしておりまする資料で御了承をいただきたいと存じます。  本部といたしましては、今後さらに詳細な被害状況を的確に把握して、災害対策につきまして万全を期しまするよう努力をする所存でございます。  以上、御報告を申し上げます。
  13. 芳賀貢

  14. 木村武雄

    木村(武)国務大臣 私は土曜から日曜にかけまして、まる二日、北海道現地の視察をしてまいりました。その視察いたしました結果について御報告を申し上げます。  北海道では、この災害のためにたっとい人命をおなくしになった方が二人おいでになります。全く哀悼の限りであります。その他傷害を受けられた人々も相当おいでになりますけれども、今度の被害を概略申し上げますると、一番震源地に近かった浦河地区に参りましたけれども、その地方における指導者指導よろしきを得ましたために、被害最小限度に食いとめられておったのであります。大きな対策といたしましては、あの地方学校建物なのでありますが、みな古くなっておる。そこに暖房用煙突が大半こわされておりまするから、これは早く復旧させる必要があるだけでなくて、老朽校舎のようなものは、この際やはり新しく建ててやる必要があるということを切に感じてきたのであります。  次は苫小牧地区に参りましたけれども、ここでは人命を失われた御婦人の方が一人おいでになります。全くお気の毒にたえなかったのであります。被害の大きな場所は、いま築港をやっておりまする場所でありまするが、岸壁は若干の痛手をこうむっております。倉庫相当痛手をこうむってはおりまするけれども、現在の仕事には支障がないと思いまするが、岸壁は早急に手入れしなければなりますまい。倉庫は、市が経営しておられるようでありますから、市が自力起債や何かでやりたい、こういうお話でありましたから、起債は何としても早くつけてやって、早く復旧せしめる必要があると思います。  室蘭地区に参りますと、同様に岸壁相当被害をこうむっております。私の視察いたしました場所富士製鉄岸壁でありまするが、ここでは一人重傷者が出まして、その方がおなくなりになったのであります。これもお気の毒にたえないと思っております。富士製鉄は一日半休みましたけれども、自後各地区から援助を受けまして、私が参りました土曜日には、四基のかまのうち三基が煙突から煙をふいておりましたし、もう一つも一両日中に煙突から煙が出るようにすることができるといって非常に回復に大わらわだったのでありまして、民間のたくましさはさすがであると、私は敬服してきたのであります。  それから函館に参りましたが、函館はやはり一番被害が激甚なところでありまして、特に青函連絡船場所が、あれだけの被害を受けておりながら、よくも死者を出さなかったということにびっくりしたような次第であったのでありまして、これもその担当者指導よろしきを得た結果であると、私は敬服してきたのであります。ここは運輸省が管轄いたしまして、思い切って早く直す必要があると、運輸大臣にも直接連絡申し上げたわけであります。  青函連絡船の目の前にありまする商店地区でありまするが、ここは埋め立てた場所商店街をつくった関係上、ここは百戸以上が倒壊しております。一番、惨状目も当てられないような状態だったのであります。市長さんは、各代議士の力を得まして自分の手でこの回復をしてみたい、それには二億円くらいの起債を早急にもらいたい、そうすれば自力でやる、あと民間対策はいろいろな方法でやってみたいが、激甚災害地の特別な御指定を受けるように何とかしてもらったならば幸いだ、こういうことでありましたから、こっちへ帰ってまいりまして、自治大臣自治事務次官等とも相談をいたしまして、起債対策を講じたような次第であります。  五稜郭は、ここも石垣や建物が若干支障を来たしておりましたが、文化財に指定されておりまする関係上、文部省から独自に対策を立てることができまするので、これも早急に対策を樹立して早期に着工してもらいたい、こういう話をしたのであります。  御承知のような函館大学でありまするが、ここも見てまいりましたが、直接の原因は今度の地震でありまするけれども、必ずしもそうでないものも含まれておるらしいというようなわけで、北大その他のほうで調査員を派遣して調査しておるようであります。ともあれ、八百人の大学生の学業に支障を来たすということは一大事でありまするから、そうした理屈は抜きにいたしましても、建物だけは早く危険のない建物を建ててやる必要があるというのが、学校当局及び市当局の一致した意見だったのであります。かつていまの建物を建てますときには、私学振興会から一億の金を借りておったそうであります。今度復活するためには約二億円の金がぜひともほしい、こういう話でありまして、これも大半を私学振興会に御援助をお願いしたい、こういうことでありましたから、こっちに帰ってまいりまして、私学振興会とも話をいたし、きのう学校当局者東京のほうに見えまして、諸般の打ち合わせをしておると思います。文部省にもその御援助方を懇請したような次第であります。  私が見まして、北海道は、幸いにも十八年前の十勝沖地震の体験というものもほんとうに一〇〇%生かされた。それを生かして万全を期せられました中央及び地方指導者各位には敬意を表さざるを得ない。それにいろいろな点で非常に幸いした点もあるようでありまするが、したがって人心も落ちつきを取り戻しております、安定いたしておりまするが、より以上大切なことは、行政信頼を持たせることが一番だ、こういうふうに思います。行政を督促いたしまして、万全を期したいと考えております。  なお、いろいろな点で足らざる点がありましたならば、各位の御指摘によりまして、ほんとう行政信頼感を早急に回復するような方針で邁進したいと存じております。  以上、御報告申し上げます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  16. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより質疑に入るのでありますが、質疑申し出が多数ありますので、理事会の申し合わせにより、答弁を含めお一人二十分以内にお願いいたします。  熊谷義雄君。
  17. 熊谷義雄

    熊谷委員 私は災害地から昨日帰ってまいりまして、まだ感触になまなましいものを感じながら、今度の災害のポイントについて質問をいたしたいと思います。  今度の地震中心地は、十勝沖地震と銘打たれておりますが、実際上から言いますと、青森県の八戸市が中心になっておりまして、このことはあと災害概況を申し上げますが、そのことによっても明らかなごとく、むしろ八戸沖地震災害とも称すべきものだ、こういうふうに思うわけでございます。  たとえば、今度の災害について、ただいま政府から報告のありました死者、行くえ不明者全国で四十九名、こうなっておりますが、青森県においてはその中で四十五名、四十九名中青森県が四十五名、その青森県の四十五名の中で、さらに八戸周辺を含めまして二十八名、こういう死者行くえ不明者の数でございます。この事実、また政府報告によりますと、二十日現在で二百三十億、こう言っておりますが、五月二十日の午前九時の青森県の調査申告によると二百三十億、青森県だけで二百三十億、さらに農業災害につきまして、二十日の午後五時に到着いたしました調査がプラス十五億となって、四十五億ということになっておりますので、この時点におきまして、青森県だけで二百四十五億こういうような巨額に達しておるわけでございます。そうしたようなことでございますので、今後の政府調査あるいは当委員会現地調査等にあたりましても、その中心地である八戸市を中心青森県全域というよりも、青森以南地域、これを中心にひとつ見てもらいたい、調査の徹底を期してもらいたい、こういうことをまずもってお願いしたい、こう思うのでございます。  特に、今度の災害について特筆されなければならないことは、農地災害の多いことでございます。死者、行くえ不明者、これの大部分農業者でございまして、しかも時期が田植え時期でございますので、その田植えの作業中に、たんぼで山くずれにあって、その下敷きになって倒れているという痛ましい事実が数々重なっておるわけでございます。しかも余震がまだ続いておりまして、昨日も震度三というような余震がまだ続いておりまして、しかも今度の農地災害を多くしました関係は、八戸周辺の丘陵的な丘からする地すべり現地では山津波と言っておりますが、これがなお続いておる、亀裂が次々に広くなっていっている、鳴動を伴っているというようなことで、部落は総ぐるみ避難命令を受けて、全部避難しているというような実情にございます。いつまでこの余震が続くかというようなことで、田植えなどには手もつかないというようなことが、この被災地域農業者実情でございます。この状況をまのあたり見ながら、これに対する対策は何としても公共的な手によってするのでなければ、力の弱い百姓農家、そうしてまた町村の手においては負い切れない、こうした感じが強くいたしますし、また農家のその地域の者からしますと、日ごろ自衛隊にたよっているというような実情もございまして、自衛隊の手によって、つぶれた農道、水路等回復を少しでも早くという声が高いのでございます。ところが自衛隊鉄道災害のために動員されまして、そうした農地災害等に対する措置に回す員数がないというような、地域現状でもあったわけでございます。この点については、今後さらにそうした全体的な対策と関連して、自衛隊動員対策について、大局的な、また大量的な手を打ってもらわなければならないという感じを深くいたしたわけでございます。  さらに、農地災害のそうしたような実情に続きまして、今度の災害の特徴といたしまするところは、小災害が広範にわたっている。住家のごときは、ほとんど軒並みといっていいほどの被害を受けている。常識的にはたいしたことはあるまいというように外見から見て、中に入るともう家具の類や何かはめちゃめちゃだ。商店におきましては、店舗の災害のほかに商品の災害在庫等被害等おびただしいものがあるわけでございまして、中小企業者被害というものは相当額に達しておりますが、その範囲があまりにも広いというような実情からしまして、調査がまだ行き届いておらない。したがって、今後なお被害額相当額出てくるであろうということが予測される状態にあるわけでございます。  住宅についての対策——しかも地すべりが続いておりまして、避難命令を受けておる世帯が三百世帯以上をこえておるわけでございますが、この避難命令をいつ解除するかということにつきましては、余震が続き、地すべりが続き、地割れが続いている間は、どうしても避難命令の解除をすることは、市町村長はできない、こういうのが現地実情でございまして、これに対しては、科学的な調査によって、人心の安定をはかる等の徹底した調査の上で、かくかくの理由によって不安がないというようなことを打ち出さない限りは、この不安は解消されない、こうした実情にあるのでございます。  さらに問題は、木村長官は先ほど、災害対策中心は何としても人心の安定であり、行政信頼を持たせるということでなければならないというようなことを言っております。人心の安定のために、また行政信頼を持たせるために、そのとおりでございますが、実際問題としましては、なかなかにそうしたようなことには運んでおらないというのが実相であるわけでございます。たとえば、けさの新聞報道を見ましても、官房長官の談として、激甚災適用は無理だとかなんとかというような、現地罹災者を失望させるような言が報道されておるわけでございます。自民党は政府に対して、激甚災適用について配慮すべきである、こういうような申し入れをしたと報道されているのとまさに対称的なものを見るわけでございますが、私は、この五十名にのぼる死傷者、特に八戸市を中心に三十名にのぼっている死者、行くえ不明者、それと過去の各地の災害を考えまして、近い例としまして、新潟地震災害死傷者等と比べてみましても、これがどうして激甚災指定ができないのかということを常識的に怪しむのでございます。しかも、社会的、経済的な影響が少ないとかなんとかというようなこともいわれておりますけれども、たとえば通信の面からしますと、青森県の甲地村にマイクロウェーブ中継地があるのでございますが、これが今度の地震でことごとく自家発電施設までやられてしまった。そのために、北海道と本土との通信は全部途絶した、こうしたようなことによる道民の不安等を考え、また東京から北海道までのそれも、甲地村のマイクロウェーブ中継施設の破壊によって全部不可能になった、こうしたような事実、また鉄道交通におきましても、東北本線のあの不通、しかも復旧についてはまだ予測もつかないというような状況等を考え、またさらに、この災害中心であります八戸漁業の基地でございまして、年間三十二万トンの水揚げがあるわけでございますが、その大部分大衆魚である。したがって一般都民をはじめ関西まで及んでいるわけでございますが、大衆魚の供給に対して非常な不安を与えるような魚市場施設が破壊されているというような事実、また港湾の防波堤が三百メートルにわたって倒壊し決壊している、こういうようなこと等を考えまして、社会的不安に通じ、また経済上からしましても、新産地域八戸の諸工場が全部工場運営をストップしているというような状況でございます。こうしたようなこと等を考えますときに、どうして激甚災適用が不可能なのかということについて、この点、政府の基本的な考え方をお伺いしたいと思うわけでございます。  しかも、今後に残されている問題は、つゆ時期が今後に続くわけでございます。一例を東北本線災害復旧関係について見ましても、実は新聞にも報道されておりますように、地震の前に長雨がございまして、その長雨のために、東北本線の一部が不通になった、それが地震で追い打ちをかけられている、こういうようなことが事実でございます。そうすると、地震がなくても、長雨だけでも起きる災害だということが考えられるわけでございまして、今後に続くつゆ時期の雨の追い打ちを考えますときに、さらに再び災害が起きないということは断じて言えないわけでございます。むしろ地震災害の前に起きた長雨のための災害による鉄道の不通、それが今後とも起きるであろうということを予想するということが正当性があるんじゃないか、こうしたようにも考えられるわけでございます。  しかも、こうしたような今度の災害を通じて考えますことは、チリ津波対策として港湾施設に防潮堤がずばりと先行投資的に施設されたわけでございますが、それが今度の災害をきわめて軽微にさせた大きな導因にもなっている。したがって先行投資的ないわゆる公共施設についてのそれは、何としても徹底的な施設施策として行なわれなければならないということを痛感いたしたわけでございます。  そうしたようなこと等を考えまして、今度の災害激甚災適用いまだしというようなことは、むしろこっけい千万だとさえ私には感じられるわけでございます。人心の安定のためにも、また行政信頼を持たせるということのためにも、激甚災適用に断固踏み切って、そして各面にわたる災害復旧に対して、時間的に早い措置をとるべきだということを考えるわけであります。  以上、時間の関係もございますので、この程度にとどめまして、以上につきまして、結論的には、政府は断固として激甚災適用に踏み切るべきだということを強く主張し、これに対する政府の見解を伺いたいと思うわけでございます。
  18. 八木徹雄

    ○八木政府委員 ただいま熊谷先生から御指摘のありましたように、私も現地に行ってまいりました。青森県の県南地区被害は、目をおおうばかりたいへんな被害を受けておられまして、そういう県民感情、国民感情というものを前提にして、熊谷先生が激甚災害の早期指定を主張されるお気持ちは、すなおにわかるわけでございます。ただ、昨日官房長官から、現時点において報告されておる公共土木施設災害の数字から申しますと、現行指定基準から申しますと、激甚災にはほど遠いということである、そのために政府としても苦慮しておるというような、こういう意味の発言があったかと思うのでございますが、そのことは、現在の報告されておる災害の数字というものと現行基準というものとの対比の上に立ってそういう悩みがあるんだという、すなおな表現であったのではないかと思うのであります。ふさの閣議でも、もろもろの意見が閣僚の中から出まして、とにかく局地的大災害というものがある、しかしながら、全体的にこの災害の数字が大きくない場合に、これは激甚ではないということで放任できないではないか、こういうような強い発言もございまして、しかし、まだまだ日増しにこの報告も届いておることであるから、現時点で激甚災害の指定にならないとか、指定にならない場合にどうするとかいったことをここで即断することは時期尚早だということで、閣僚全体が今回の地震災害については非常に心配をいたしておりますし、これが最終的な処理については、もう少し時間をかしていただいて、適宜の措置をとるような方向で進んでおりますので、いましばらくこのことについては時間をかしていただきたい、こういうふうにお願いしておきます。
  19. 熊谷義雄

    熊谷委員 いまの答弁を聞きまして、官房長官のそれは、現在出てきている調査資料によってはいまだしの感があるが、政府としては、なるべくそうした激甚災適用の方向において対処したいという親心であるということでございますので、了承します。  それで、さらに今後とるべき最大の措置は、ただ抽象的なことではなしに、査定官といいますか、調査官といいますか、これを各所管省から至急派遣して、現在の災害現状そのままの事態を一日も早くつかむこと、これをまずやってもらいたいということをあわせて希望いたしまして、私の質問を終わります。
  20. 八木徹雄

    ○八木政府委員 現地でも、おっしゃるとおり、技術指導検討等のために専門家をよこせという強い要求がございまして、各省はそれぞれ専門家をもう順次派遣をいたしております。これらの方々が現地で活動することによって、地元の方々のお気持ちにこたえられるのではないかと思いますが、われわれは、一そう督励をいたしましてその方向で努力してまいりたいと思います。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員長 福岡義登君。
  22. 福岡義登

    ○福岡委員 ただいまもお話がありましたが、震源地の問題をまずはっきりしてもらいたいと思います。  今度の地震は、十勝沖地震というようにいわれておるのですが、どうも三陸沖地震と言うほうが適切だというようなことが、気象庁自体でも、内部に意見が出ておるということがきょうの読売新聞に出ております。「二十日までに集まったデータで震源は北緯四〇・七度、東経一四三・七度、深さは二十キロと結論を出した。」こういうことが新聞に出ているのですが、そういうことになれば、今回の地震の名称を変える必要があると思うのですが、その見解をまず明らかにしてもらいたい。
  23. 斎藤錬一

    ○斎藤説明員 御説明申し上げます。  地震震源地の決定の場合、まず最初に届きました情報によりまして、至急に初動時間その他を判定しまして震源地を決定するのでございますが、これは、最初の段階のは、早急に決定するために推定の要素が多分に入っております。その後詳しいデータを電子計算機でもって計算しまして、その地震の位置を決定いたします。最初決定しました位置から約五十キロほど、最初の本震がずれているということは、その後の電子計算機による計算でもってわかったのでございますが、この本震と、それから主要な地震を申し上げますと、本震は十六日の午前九時四十九分でありまして、再調査の結果は、緯度にしまして北緯四十・七度、東経百四十三・七度となっております。それからその後のおもな余震としましては、十六日の十九時三十九分、この緯度が北緯四十一・一度、東経百四十三・三度となっております。また十七日の……(福岡委員「時間がないから簡単に」と呼ぶ)簡単にします。もう一つ余震がございますが、以上の点を総合しますと、いずれも襟裳岬よりも東に寄っております。それでその場所の決定は、内規がございまして、この海域に起きた場合にはこういうふうに呼ぶというように、気象庁内部できめておりまして、これは今回の本震と主要な余震を総合しましても、最初の名称どおり十勝沖地震という名称が妥当ではないか、そういうふうに考えております。
  24. 福岡義登

    ○福岡委員 呼び名をどうするかということが基本的な問題じゃないと思うのですが、当初の観測よりも五十キロも六十キロも違っておったという気象庁の観測体制に問題があると思うのです。われわれの常識でいえば、今度の地震の呼び名をつけるとすれば、このデータによりますと、当然十勝沖じゃなくて三陸沖というか、八戸沖というか、そういう呼び名のほうがふさわしいと思うけれども、その議論は別にいたしまして、この観測の実態が五十キロも六十キロも違うという観測体制に問題があると思うのです。この間も兒玉委員のほうから本会議で質問したところでありますが、地震予知研究第一次五カ年計画の今年度予算の措置もほとんどしてない。きょうは時間がありませんから深くは申し上げませんが、もう少し将来観測体制というものを強化してもらって、責任を持った報道などもしてもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  次の問題は、先ほども議論が出ましたが、「激じん指定困難」というので木村官房長官の談話がここに載っておって、「今後の交通、通信回復による被害状況を集めても激じん災害指定は困難のようだ。」と、こう言っておるわけです。今後の被害報告を受けても、おそらくこれはできないということをはっきり言うておるわけです。おかしいじゃないかということが言える。それから赤澤自治大臣も同じようなことを談話で発表しておるでしょう。いまの段階で政府の責任ある立場の者が、こういうようなことを発言するということは非常に大きな問題だと思う。正直な見解を聞きたい。
  25. 八木徹雄

    ○八木政府委員 先ほど申しましたように、現行の激甚の指定基準というのがありまして、その指定基準と報告の数字と比較対象するとそういうことだ、率直に申し上げまして、公共土木施設災害B級基準でも二百五十七億なければならぬのが、報告自体では七十八億ということだから、数字だけをもってすれば、あと報告してくるものを予定してもなかなか到達しないのではないかという気持ちを持つのは、決して無理からぬことだと思うのであります。しかし、赤澤大臣はけさも、こういう指定基準自身に問題があるのではないか、だからその総額二百五十七億というものを動かせないということにすれば、これは激甚に準ずる措置という方向に行かざるを得ないが、しかし、こういう局地的災害のひどい場合については特別立法措置をするなり、指定基準自身に対する基準を改定するなり、そういうこともあわせ考えなければならぬのじゃないか、こういう提案もなさっているわけであります。そういう意味で、政府全体として数字が最終的にまとまり、被害の実態が把握できた時点で検討しようという閣議のけさの話し合いでもございますので、決してきのう言ったことがもうすべてであって、あと続くものがないのだというふうにお思いにならないで、もう少し政府の最終的措置をきめるまでの間お待ちをいただきたい、そのように先ほど申したわけであります。
  26. 福岡義登

    ○福岡委員 確かにいまの基準がきびし過ぎる、特にきびしいというよりも、いまの激甚の基準というものは、風水害を中心にして考えられた基準であるように私どもは思うのであります。地震に対する配慮というものが非常に少ないのではないか。その基準というのは、ほとんどこれは政令できめられておるわけであります。さきのえびの地震にも激甚の指定は受けられなかった。今回も、いまの基準でいけば指定が受けられぬだろうということを大臣みずからが言っておるわけであります。ここで実情に合うような政令の、いわゆる基準の改正というものを考える必要があると思うのだが、その点についてどうです。
  27. 八木徹雄

    ○八木政府委員 私は責任ある答弁がしにくいのでありますけれども、けさの閣議の模様を拝聴しておりまして、言われることは、いわゆるその地震に対する指定基準というものを変えるという方策が一つあります。それから、そうではなくて、特別災害市町村に対して、激甚災害と同様の効果をあげるような特別措置をする方策というのが別に考えられるのではないかと思います。とにかくそういう激甚災害の市町村というものの実態に照らして、これに対して万全の措置がとれるように何らかの方策を講ずるように引き続き検討しよう、こう言っておるわけでございますから、いましばらくひとつ時をかしていただきたいと思います。
  28. 福岡義登

    ○福岡委員 責任ある答弁ができない、あるいはいましばらく待てとおっしゃるのですが、えびの地震のときにも同じような議論を繰り返しているのですよ。今日、いまここで責任ある答弁ができぬというのは怠慢じゃないですか。それじゃ責任ある答弁のできる人を出しなさいよ。えびののときに、あれだけやかましい議論をしておるのですよ。今度の地震が起きて、もう何日かたっておるわけでしょう。特別措置を考えるというなら、それじゃ特別措置というのはどういうことなんです。災害を受けた現地の人々は、これを一番中心に期待しておるのですよ。政府としてやる一番中心的な事柄じゃないですか。再答弁を願いたい。
  29. 八木徹雄

    ○八木政府委員 けさの閣議でそれが検討されたわけであります。されたけれども、数字はまだ動くという前提に立って、それでは指定基準をここまで下げるとか、あるいは特別地域に対して特別立法措置をするということに踏み切るには時期尚早である。普通この種の災害の集計というものは、一週間ないしは十日はたいていかかることでありますので、数字の最終的——最終というか、ほとんどコンクリートしたときに、その数字を前提にしてどのような措置をとるか考えるということは、決しておそきに失することではないのではないか。決して閣議そのものがこれに対して打ち切ったわけではないので、引き続き検討しようと言っておるわけでありますから待っていただきたい、このように申し上げているわけであります。
  30. 福岡義登

    ○福岡委員 地震が今回初めてあったのなら、それでいいと思うのですよ。さっきも申し上げるように、えびの地震のあったときに、あれだけのやりとりをしておるのでしょう。それを今日まで検討されてないで、また地震が起きたからけさ急いで閣議をやった、だからそういうことでは怠慢だということを言っておるわけです。具体的に、一つは基準の改正をするということを考えるかどうかということですよ。いまの基準ではえびのも適用できない、今度も適用できないという、風水害中心の基準になっておるのですから、地震も配慮した基準にやりかえることが必要だということ、これが一つですよ。それから、特別措置を考えるということが新聞社などを通じて発表されておるのですが、具体的には特別措置というのは一体どういうことなのか、どういうことがたとえば考えられておるのか、そういうことをもう少し具体的にお伺いしたいのです。
  31. 八木徹雄

    ○八木政府委員 特別措置というのは、具体的にこういうふうにするというのじゃないのであります。ただ、現在の激甚指定基準というのは、御承知のとおり、全体を見てその中で特別ひどいところについて町村指定が行なわれる、こういうことになるわけですが、全体が届かなくてそして個々の町村においてはひどいという場合、現行指定基準だけでは救済できない場合、その場合にその特別ひどい市町村に対して立法措置をするか、あるいは指定基準を変えるか、どちらかの方法でひとつそれらに対する対策を考えていこう、こういうことでございますから、いま直ちに市町村に対してこれこれの措置をするというふうに固まってない、ただ方向はそういう方向である、このように申し上げておるわけであります。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員長 福岡君に申しますが、非常災害対策本部長の田中総務長官がいま沖繩対策特別委員会に出席しておりますので、直ちに当委員会に出席を求めておりますので、その点お含みの上、質疑を続けてください。
  33. 福岡義登

    ○福岡委員 いまの答弁は具体性が何もないですよ。指定基準を変える用意があるかどうか、変えるべきだと私どもは言っておるわけです。えびのの例にも照らして、また今回の地震にも照らして考えてみて、当然変えなければいけないんじゃないか。風水害中心の基準なんだから、地震を配慮した基準にやり変える必要があるということをさっきから言っておるわけです。それについてどうなんです。
  34. 八木徹雄

    ○八木政府委員 現在の激甚災害について、風水害が結果的に中心になっておるということは言えるかもわかりません。しかし、激甚災害法を審議したとき、あるいは現在のこの指定基準をきめたときに、地震というものを全然無視してきめたというものではない。だから、すでに新潟地震には激甚災害がこの基準によって適用されておることであるから、地震についてはこれでは全然救済措置がないのだときめてかかるのは、少し酷な言い方ではないかと思うのであります。しかし、現実にえびの地震があり、そしてまた今回十勝沖地震があって、現行基準によっては届かないということであるから、その時点においてもう一回検討してみようと言っておるわけでありますから、検討をさせていただきたい、こう思います。
  35. 福岡義登

    ○福岡委員 そこをはっきりしておきたいのですよ。いまお話があったことは否定はしませんが、結果として指定基準というものが非常にむずかし過ぎるんじゃないか、だからそれを検討するべきだと言っておるのですが、それを検討するというようにいまの答弁はとっていいですか。あなたで答弁できなければできる人を出してください。
  36. 八木徹雄

    ○八木政府委員 けさの総理発言によって検討するということにいたしております。閣議で検討することになっております。
  37. 福岡義登

    ○福岡委員 では早急にその検討をしていただきたいと思います。  それから特別措置——あたかもこの新聞を読んだ現地の人は、激甚指定は困難だが、特別措置をするという各大臣の発言を見れば、激甚指定に準ずるような何かの措置をしてくれるだろうという、そういう期待をしておるだろうと思う。さっきのお話では、どうも中身がいまのところないようでありますが、たとえばどういうことが考えられておるのか。特別措置を考えなければなるまいということは、木村官房長官も赤澤自治大臣も言っておるわけです。それはどういうことなんですか。
  38. 八木徹雄

    ○八木政府委員 それが具体的に固まっておるということではありません、これから検討されるということであります。ただし、いままでの例を申しますならば、いわゆる激甚災指定を受けなくて、そして特別措置、いわゆる準ずる措置をするという具体的事例と申しますと、府県なり市町村なりがかわってしたことについて、特別交付税をもってこれを措置するといったようなことが、いままでの例でなかったかと思うのであります。しかしながら、それじゃその特別交付税のワクというものがあるわけでありますから、無限にこれを広げるわけにまいらぬわけであります。その意味において、それじゃ特別交付税でよろしいかどうか、特別交付税というもののワクをふやす方策がほかに講じられるかどうか、そういうこともあわせ検討されなければならぬ課題ではないか、こう思います。
  39. 福岡義登

    ○福岡委員 どうも十分な答弁になっておらぬのですが、もう少し具体的な措置を——さっきも言いましたように、今回が初めての地震じゃないわけですから、体制というものをとっていただきたいし、具体的な政策というものを考えてもらいたい。早急に具体的な措置というものを、先ほど要請しました基準の再検討、特別措置の具体的な内容というようなものを要求しておきたいと思うのであります。  次は、輸送関係についてなんでありますが、現在の復旧状況を簡単にひとつ説明していただきたいと思います。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員長 ちょっと待ってください。ただいま田中本部長が出席しましたので、先ほどの福岡委員の質問の重点並びに熊谷委員の質問の要旨等も関連がありますので、お二人から順次田中本部長に対して質疑を続けてもらいたいと思います。福岡さん、先にやってください。
  41. 福岡義登

    ○福岡委員 本部長がお見えになりましたので、先ほどの質問を整理してもう一回聞くのですが、けさの新聞に出ておりますように、今回の十勝沖地震というものは激甚指定は受けられないだろう、困難だろうということが、官房長官及び自治大臣から言われておるわけであります。さきのえびの地震も、結果的に激甚の指定を受けることができなかった。ですから、当時私どもが主張いたしましたのは、当然この基準の改正をするべきであるということを要求したわけであります。政府も、それは検討しましょうという答弁があったのですが、この地震が発生するまでにある程度検討されておったかと思ったのですが、全然それが検討されていない。  そこでお聞きしたい要点は、激甚指定の基準というものを、現在の基準というものは風水害を中心に考えておるような基準であるけれども、地震の問題も配慮した、あるいは全体的な基準というものがむずかしいから、もう少しその基準を下げるように検討を政府はするという約束をしていただきたいということなんであります。
  42. 田中龍夫

    田中国務大臣 その問題は、本日も閣議がございました際にも、この激甚法というものが一般風水害を対象に今日までつくられておるというような構成からいいまして、地震のような非常な局地的なものでありますとか、あるいは対象におきましても特に地盤のゆるいところだけ非常な災害が起きている、そうでないところはけろっとしているというようなこういうふうなもの、こういうふうな、やっぱり地震の本質というものについては、激甚法という現在の法の立て方が必ずしも十全を期してないのじゃないか。災害を受けられました地元の方々なり罹災者の気持ちからいきますと、これはもうたいへんな実はお気の毒なことであって、ただ法の基準に該当しないからというて、それで知らぬ顔をするような政治であっては相ならぬと私は存ずるのでございます。しかしながら、行政のたてまえから申すならば、立法せられました法の執行にあたって、それを逸脱してどうこうという自由がかってに持てないという行政庁としての悩みがあるわけでございます。しかし、まだこの災害が起きましてから、これは十六日でございますからきょうで五日目でございますが、すでに担当から報告がございましたように、被害総額等もだんだん判明いたしまして累増いたしておるのでございます。ただいま副長官からもお話があったと存じますが、公共災害等の計数も、いましばらく模様を見ないと私はその点がはっきりしないのじゃないか、こういうふうに——別に災害が多からんことを望むわけじゃ決してございませんが、それは災害が少ないほうがよろしいのでございますけれども、同時に、また激甚法の指定ということになりますと、一方においてはできるだけ地元のお気持ちもくんでそれをあれしたいし、また、かき集められるだけの資料は集めてその辺の何とか調整をしたいものだ、かように念願をいたしております。
  43. 福岡義登

    ○福岡委員 長官はいまそうおっしゃいますが、けさの毎日新聞によりますと、木村官房長官は、今後の交通通信回復による被害状況を集めても激甚災指定は困難である、こうはっきり言っているわけです。自治大臣もそう言っておるでしょう。だから、長官自身が認められましたように、現在の激甚指定の基準というものは風水害中心になっている。脱法行為のようなお話、そういうことはできぬとおっしゃいましたが、政令で基準というものはきめておるのでしょう。だから、その基準を改定しさえすれば、いますぐ法律を変えなくたってそれはできるはずなんです。政令を改正して基準を改定する用意があるかどうかということをはっきり聞きたい。
  44. 田中龍夫

    田中国務大臣 その点は、本朝の閣議におきましても、できる限りこれが救済ができるような方向に努力をする、それからまた、激甚法の適用がどうしてもできない場合におきましてもこれに準ずる措置をとる、こういうことを実は閣議では申し合わせたような次第でございまして、いまのこの基準の問題につきましても、政府のほうでできますことは今後あらゆる努力を続けてまいります。
  45. 福岡義登

    ○福岡委員 そう回りくどく言わないで、はっきり言ってもらいたい。基準を政令で定めておるのだから、政府は、えびの地震に照らしても今回の地震に照らしても、激甚指定にできるような状態にないので、これは再検討を必要と考えます。だから、政令改定を検討いたしますということをはっきり言えばいい。
  46. 田中龍夫

    田中国務大臣 これは、ただいまお話しのようにわれわれの気持ちも全く同じでございますから、その方向へ向かって検討いたします。
  47. 芳賀貢

    芳賀委員長 熊谷委員に関連質問を許します。熊谷義雄君。
  48. 熊谷義雄

    熊谷委員 先ほど結論として、激甚災害の適用人心を安定させる唯一最大の措置だ、こういうことを申しまして政府の見解をただし、それに対して八木副長官から、政府としても、現在収集されている資料による被害額をもってしては、現行法の基準からしてちょっとそれに及ばないのじゃないか。しかし、なお災害地から刻々の調査報告が入って金額も伸びているということ、それに対して、きのうの青森県だけの災害報告で二百三十億、ところがきのうの夕刻のそれで二百四十五億というように、青森県だけで伸びている。したがって、北海道、岩手県、宮城県、これを集めれば三百億をこえるというようなことは必至の状況にあるわけです。だから政府として激甚災害の適用をするという腹であれば、いまの質問にもあるように、政令でその基準を変えるなりあるいは何なりの措置はとれるわけですよ。だから政府の腹として、いまも言われたように、激甚災害の適用をする腹で前向きにこれに対処していく、こういうことが人心安定をさせる方策だ、こう思うのです。その点長官からひとつ……。
  49. 田中龍夫

    田中国務大臣 お説のごとく全く私どもも同じでございます。そうして、これからひとつ前向きで作業もいたし、検討いたしたいと思います。
  50. 福岡義登

    ○福岡委員 与えられております時間がもうありませんので、簡単にもう一つだけはっきりお伺いしておきたいのですが、災害復旧のことなのであります。過去の方針、現在もそうなんですが、大体普通の場合三年がかりで復旧をしておる。初年度は大体三割くらい、第二年度が五割くらい、三年度が二割くらい、三年間で復旧をやっておるのです。これを二年くらいでひとつ——原則としてはその年度で復旧するのが好ましいのですけれども、一挙にそこまではいかぬと思いますから、少なくとも二年度で完成するという方針にしてもらいたいと思うのです。この間の雨で、災害復旧をやっている工事が相当流れたところもあるようであります。その点について見解を示していただきたい。
  51. 田中龍夫

    田中国務大臣 私も災害頻襲地帯の出身でございまして、知事時代からどうも、いまは三年でございますが、もとは五年くらいかかったのであります。これをぜひとも、三、五、二なんていわないで六、四くらいでやってもらわなければほんとうに相ならぬのでございます。その点につきましては全く私も同じ気持ちでございますので、担当者と相なりましても——これはもちろん大蔵省やその他の問題が非常に大きいのでございますが、また、査定等の技術上の問題もございますけれども、これまた、同じような考え方で今後ともに努力いたしたい、かように考えております。
  52. 福岡義登

    ○福岡委員 交通の復旧関係について聞きたかったのですが、時間が来ましたのでこれで終わりますが、早急に交通が全線開通するように特段の努力をしていただきたいことを要望して、これで終わりたいと思います。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員長 淡谷悠蔵君。  淡谷君に申し上げますが、あと民社党、公明党の各委員からも特に田中本部長に対する質問が予定されておるので、先に田中本部長に関する点について質問を願いたいと思います。
  54. 淡谷悠藏

    淡谷委員 本部長も副本部長現地の御調査をいただきましたので、十分実情はおわかりだろうと思うのであります。私も、地震の発生しました十六日に現地へ参りまして、最も被害の激しかった八戸の市役所の二階で説明を聞いている間に、余震の中では最も強いといわれました四度のあの余震にぶつかりました。電灯は消え、ガラスは割れるといったような、四度でさえもあれだけのひどい状態でございましたので、実際本震の場合は想像するに余りあるものがあったと思うのであります。なお、豊間内、豊崎、志斗岸といったような非常にたくさんの人命を失いましたあの地帯も全く、何とも言えない悲惨な気がいたしまして、ことばも出せないような不安の中に、まだ生き埋めになって発掘されない死体などを尋ねあぐんで、戸板を敷き、畳を敷いて、たき火をし夜寒を防ぎながら待っているあの形というものは、もう実際ことばに絶するものがある。先ほどから同僚の各委員から強く要求がございましたが、激甚地の指定ということも、これはやはり総額の大きさもさることながら、被災者に与えた打撃の程度というものはこれを十分考えなければならないと思う。特に今回の青森県における災害状況を見ますると、農業災害が非常に多い。人命を失ったのも、都会の人よりも農村の人が多いのであります。したがって、あの農業災害、農村における災害と都会の災害というものの本質をもう少し徹底的にこれはお調べになって、いまの地震の本質というものをはっきりおつかみを願いたい。あの農村における災害の様子と都会における災害の様子、これはむろん天災といってしまえばそれまでですけれども、天災をどの程度に押えるかということは一つの政治的な責任になっておる。農村の場合は、むしろあまりにも政治に恵まれなかった、あまりにも災害に対する予防措置ができていなかったという、この形があらわれてまいっておりまするし、都会においてはそのやり方が非常に誤ったような方向も考えなければならないと思う。今度の災害というのは、いわば不幸にして思わざる大きな破壊検査をやって建築物その他の本体を明らかにしたといったような、私この災害の中から学ぶものがあったのでありますが、長官、この災害を一つの契機にしまして、抜本的に災害対策を考えてみる御決意があるかどうか。特に農業災害に対しては、いま一ぺん根本的に考え直す御意思があるかどうか、はっきり承りたい。
  55. 田中龍夫

    田中国務大臣 お話しのとおりでございます。私もそのことを痛感いたしておりおす。
  56. 淡谷悠藏

    淡谷委員 したがって、先ほどから話がありましたけれども、何か具体的な災害が起こった場合は、やはりその災害に基づいて法は考えなければならない。法はやはり改正しなければならない。それが今度の激甚地指定の政令基準に合わないからというだけで、もう直ちにできませんというだけでは政治の責任は済まないと思う。重ねて私からも要求いたしますけれども、農村の災害というものは金額はふえないのです。金額はふえませんが、あの生活の程度や施設状況から見ますと、この受けた災害の打撃というものは非常に大きい、そういう本質もございますので、長官が強い姿勢で、せめて政令による基準改正に踏み切るといったような御決意がおありかどうか、重ねてくどいようでございますが、確かめておきたいと思います。
  57. 田中龍夫

    田中国務大臣 私でできますことは何でもいたしたいと思います。
  58. 淡谷悠藏

    淡谷委員 少なくとも木村官房長官が言ったように、これはできないものだ、赤澤自治大臣が言ったように、法なんというものはまるで地震にもくずれないコンクリートみたいに考えて、それを基準にして、実際の被害者の気持ちも考えないような発言だけは慎んでいただきたいし、あんなような態度は長官はお持ちじゃないと思いますが、いかがでございますか。もっとはっきり被災地の諸君の気持ちになって対策を立ててもらいたい。特に激甚地の指定に対しては万難を排してこれはやるのだといったような御決意を伺っておきたい。
  59. 田中龍夫

    田中国務大臣 私も政治家でございますので、そういう点につきましては、法の改正をも含めてあらゆることに努力いたしたいと考えます。
  60. 芳賀貢

    芳賀委員長 この際、関連質問を許します。小平忠君。
  61. 小平忠

    小平(忠)君 このたびの十勝沖地震によりましてとうとい人命を失い、かつまた甚大な被害を受けられた被災地の方々に対し、私は党を代表して心からなる弔意とお見舞いを申し上げる次第であります。  今回のこの地震に対しまして政府のとられた処置も、直ちに対策本部を設置せられ、田中総務長官みずからが本部長となられて、また現地には東北班として八木総務副長官を、また北海道班には川野政務次官を派遣せられて、直ちに現地を視察する等の措置は適切であったと思うのであります。ただし、ただいまの質疑の中でも問題になっております激甚地指定の問題は非常に明確でありませんが、従来この激甚地指定は、いま本部長もおっしゃったように、これは従来の台風災害、こういったことを基準にされておる関係上、この地震という問題についてはおそらく官房長官の述べられておられるようなことになると思うけれども、しかし、いま総務長官がおっしゃったように、やはりこれは政府がその基準というものを政令で指定している。だから、私は現実に災害を見て、やはり青森県の八戸のごときは一番ひどいと思う。そのひどいところが指定に入らぬというようなことは、これは事、重大であります。したがいまして、これは単にその方向で検討するだけでなく、すみやかにこれを決定してこれからのいろいろな問題を進めてもらいたい、こう思うのであります。  実は私のほうも党としましては、十六日直ちに災害対策本部を設置して、春日書記長をその委員長に、並びに現地には、東北班には同僚の田畑君を、北海道班には私が団長として現地を全部見てまいりました。しかし、このたびの地震災害そのものが関東震災並みの規模でありながら、先ほど八木副長官が述べられたような事情によって、人身災害等が比較的少なくて済んだということは、私は非常に幸いだと思うわけであります。しかし、局部的には非常に凄惨をきわめる地帯があるのであって、この指定の問題は政府としてぜひすみやかに措置すべきだと私は思います。いかがでございますか。
  62. 田中龍夫

    田中国務大臣 そのとおりでございます。
  63. 小平忠

    小平(忠)委員 それを信頼して、われわれは、今回の災害復旧に対して政府が万遺憾なきを期していただきたいと思います。  もう一つ、今度の災害の特異性は、全体の被害の中でやはり国鉄被害が非常に大きいと思います……。
  64. 芳賀貢

    芳賀委員長 小平委員に申し上げます。質問中ですが、田中本部長は沖繩問題特別委員会の都合があるので、本部長に対する関連質問だけにとどめていただきたいと思います。あとからあなたの時間がありますから。
  65. 小平忠

    小平(忠)委員 一つだけです。東北線がまだ開通していない。函館は、連絡船の棧橋が非常にものすごくいたんでおる。こういう鉄道被害について、従来の災害復旧の取り扱いから見て、これをどうなさるか。すなわち、政府が一般会計の中で災害復旧費として別に計上したものによってこの国鉄の災害復旧をなすのか、いやこれは国鉄予算の中でやりくりをしてこの災害復旧をするという見解なのか。国鉄はただいま御承知のように独算制をとっております。そういう際、何百億というものが、この災害復旧のために、予算の中の操作によってやられるとなれば、近代化なり全体に大きな影響を来たすのではないか、現在これをどのように措置されるのか、本部長のお考えを聞いておきたい。
  66. 田中龍夫

    田中国務大臣 北海道におかれましては、特に野菜その他の生鮮食料品等の門戸をなくしております青凾のバースが四本の中の半分は使えない。その復旧という問題につきまして、一日も早くという現地からのお話でございます。それを全部早くやろうと思うと、一応青凾をとめなければならぬということで、一方を復旧し、一方は輸送を継続しながらやっていくということから、回復に若干の日にちを要するというようなことに相なっておりますし、凾館港におきましても、やはりバースがやられております。  東北本線のほうの復旧は最も重大な問題でございまして、本日も閣議におきまして、今月一ぱいなんといわないで、全力をあげて一日も早く東北本線回復をするようにということを、特に強く総理からもお話があって、われわれもそれを希望いたしたのでございます。  運輸省といたされましては、もちろん当面の問題につきまして既定経費でやっていただかなければならぬので、いまさらどうこうということもございませんが、もちろん金額の膨大なものにつきましては、大蔵当局のほうとの関係におきまして、予備費なり何なりの問題も起こりましょう。しかしながら当面は、何しろ一日もすみやかに幹線輸送、特にまた東北本線のみならず青凾の港湾の問題の修復ということが非常に重大な問題でございます。全力をあげてその問題に取り組まなければならぬ、かように対策本部といたしましては考えております。
  67. 小平忠

    小平(忠)委員 ちょっと質問の筋を……。そのことも大事だが、国鉄の被害が膨大である、またふえると思う。その災害復旧を日本国有鉄道公社の独立採算制による国鉄の予算の中でやるというのか、そうではなくて一般会計の災害復旧費という中で負担するのか、どちらで考えておるのかということです。
  68. 田中龍夫

    田中国務大臣 その点は従来の災害行政慣行と申しますか、行政実例もございます。当面はそういうふうな既定経費の振り込みでやってまいるわけでございますが、その後におきましての災害の集計その他によりまして、それをあとから補てんをするというかっこうになると思います。
  69. 芳賀貢

  70. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 簡単に聞きます。  第一点は、公明党が今回の激甚災指定を聞いたところが、まだ調査数字がまとまらないから何とも言えないという答弁を政府のほうからいただいておるにもかかわらず、本日の新聞においては、あたかも数字がまとまったごとく結果が出ておりますが、一体こういうことがどうしてこういうように簡単に出るかということで、先ほどから問題になっておりますが、公党が調査をした数字を聞いておるときに、まだ調査の数字がまとまらないから激甚災害を指定するかしないかも判別しないというときに、政府木村官房長官の談話が出ておるということはまことに理解に苦しむのですが、総務長官の見解を承りたい。
  71. 田中龍夫

    田中国務大臣 木村官房長官は、内閣全体のスポークスマンとして、新聞社のほうのいろいろ御質問にお答えになったのであろうと存じますが、ただいまもお話が出ましたように、昨日の段階における集計というものは、現行法制下におきましては先ほど来お答えをいたしたような次第でございます。しかしながら、政府におきましても、また国会の皆さま方におきましても、この問題は、ぜひとも早急に激甚法の指定をしなければならぬという思いはみな同じでございます。さような関係から、今日でも閣議におきまして何とか激甚法の指定をしなければならぬのだというような非常に前向きの気持ちでみんなも相談をいたしたのでございます。さような関係で、政令の問題その他につきましても、ただいまここでお話が出ましたような政府のできる限りの前向きの解釈でまいりたいということでございまして、昨日の官房長官の記者会見、これがけしからぬというておしかりをいただかないようにひとつよろしくお願いをいたします。
  72. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大蔵省が損害保険会社の縮小てん補条項というものをいま出して、一両日中にこれを認定するということになりましたが、保険金の契約高の三〇%か二〇%しか払えないような損害保険会社の縮小てん補条項というものは、これは地震対策の後退である、われわれそう思っておりますが、総務長官、その点はどう考えておられますか。
  73. 田中龍夫

    田中国務大臣 詳細な点は私心得ておりませんが、しかし大蔵大臣の報告によりますと、地震保険につきましては早急に払い出しをして、それで対処するからというようなお話を聞いたのでございますが、ただいまのような払い出し条件につきましてのことは、また事務当局におきまして詳細調べまして、これまたあくまで前向きで解釈をしていかなければならぬ、かように考えておりますが、詳細は私よく承知いたしておりません。
  74. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは大事な問題なんです。損害保険にかかっていて金が契約高の三〇%か四〇%しかいただけないなんて、こういう保険会社優先、企業優先の——日本の災害地震というものに対する支払い額というものは、これは六月の一日からはっきりきまっているのです。これは新聞に出ていることなんです。これが今回の地震に重大な関係があるから、こういうことを大蔵省が急いでいるとしか解釈できない。この点について地震災害の当面の責任者としての長官の御答弁がそれではまことに情けないと思って、私いま追及しておるわけであります。その点、はっきりお答え願いたい。
  75. 田中龍夫

    田中国務大臣 私は事務的な詳細な問題は了知いたしておりませんので、気持ちだけを申し上げ、また大蔵大臣の閣議におきまするお話だけを申し上げたのでありますが、詳細な点につきましては、大蔵当局のほうからひとつ詳細に説明させていただきたいと存じます。しかし、これに対する救済措置に対しまして、何とかしなければならぬという気持ちは同じでございます。
  76. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 契約高の三〇%しか払わないのです。そんなばかな話はないじゃないかということを言っているのです。契約高を払えばいいのです。それ以上くれと言っているのじゃないのです。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員長 小川委員に申し上げますが、大蔵省の銀行局長の所管ですから、さっそく出席するように連絡します。  淡谷君。
  78. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官はお急ぎのようですから、あと一問でまた別な質問をいたしますけれども、一つ確かめておきたいのは、今度の災害は水をどうして配給したらいいか、あるいはまだ発掘されていない死体をどう発掘したらいいかというような、被害を正確に調査するような段階に全然至っておりません。したがって、見ておりましても、農業災害その他の災害がほとんどまだ十分な調査もされておりませんので、まるで打ち身みたいに、あとになってからだんだん痛くなるというような災害の性格を持っている。したがって、今後被害総額というものは、たくまずして自然に大きくなってくると私は思うのです。長官はどうお考えですか。
  79. 田中龍夫

    田中国務大臣 災害発生以来まだ五日でございます。普通でございますと、まだまだ計算がまとまらないのでございますが、地震であるがために、比較的早くまとまっておるわけでございますがそれによりましても、特に農業災害のような場合、またお話しの農業災害につきまして私ども報告を受けておりますのは、側溝がふさがってしまったり、苗の問題が出ておりましたり、あるいはまた各方面におきまする農道その他の決壊の問題やら、いろいろな問題が出ております。そういう点は都会地と違いましてまだ集計がおくれます。私どもも一日も早くいたしますが、同時に、できますことは片っ端からどんどんと善処して対策を実行に移してまいりたい、かように考えております。
  80. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そうじゃなくて、今後被害額がふえると思うのです。変な疑いを持たれぬように、激甚地の指定をとるために水増ししたのだというようなさもしい疑いをお持ちにならないように、すなおに現地災害の形は受けとめていただきたい、そう思うのです。
  81. 田中龍夫

    田中国務大臣 その点は私まことにすなおでございますから、どうぞ御安心ください。
  82. 淡谷悠藏

    淡谷委員 長官お急ぎのようですが、まだこまかい点を二、三質問したいと思いますから、もしできますならば長官もなるべく長くいていただきたいと思いますが、長官に限らず御答弁願いたいと思います。  一つは、いまお話がございました農業災害の問題ですが、一番心配しておりますのは、田植えを控えまして、水路が破壊されておることです。十和田市の相坂というところなんですが、これは新渡部博氏の構想にかかる大水道で、昭和の初年にできた水路ですが、相当大がかりなものです。山の中腹まで上がっていろいろ苦労して調べてきたのですが、これが隧道が破壊され、水路が破壊されまして、修復はむずかしい、これはなかなか早急には修復できないような状況になっておる。ところが、この修復ができませんと、四百町歩にわたるたんぼが作付不能になる、このたぐいのものがたくさんあるのですが、この御調査に進んでおりますか。
  83. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 お話しのように、この災害の時期がちょうど田植えの時期と合致しておりまして、田植え相当支障を来たすのではないかと心配しております。それに対して、これが早急に復旧をして田植えに間に合うようにしなければならないということで、いま農林省も、北海道には五月二十三日から、青森は東北農政局から五月二十四日から査定官を派遣することにいたしておりますが、御存じのように、応急な措置については査定前にもこれを行なうことになっているわけでありまして、農林省としても、応急措置として田植えに十分間に合うように万全の措置を講じていきたいと考えております。いま、お話しの具体的な問題の詳細については私存じておりませんから、担当のほうから答弁いたさせます。
  84. 松井芳明

    ○松井説明員 青森県でいま先生の御指摘のような用水路の被害が非常に多く出ておりまして、あるいはまたポンプの被災もかなり出ておりますが、こういうようなものにつきましては、いま政務次官から御答弁がございましたように、田植えに間に合わせるように応急の措置中心にしていま進めてございます。東北農政局のポンプ並びに足りないものにつきましては、北陸農政局のポンプも全部合わせまして、十八台現地に現在持ち込みをいたしておりますが、こういうような応急ポンプ等を施設いたしまして、当面の水の確保をはかってまいりたい。  なお、いまお話しのような隧道内の被災その他につきましては、応急工事として迂回水路その他こういったような方法についても今後至急検討してまいりたいと思っております。
  85. 淡谷悠藏

    淡谷委員 数々の政治災害を受けてきました下北地方も、大きなため池が完全に決壊してしまって、また新しい自然災害が一緒に来たように考えております。この水の補給のいかんによっては、まだまだ農業災害がふえるような状況です。これは大胆に、しかも迅速に応急措置はとっていただきたい。それからあの地震の際に植えていたたんぼですが、あれがもう大ゆれにゆれて、そのために植えた苗が全部浮かんでしまって、この苗はもまれてほとんど使えなくなってしまっている。したがって、油断していますと、せっかく苦労いたしまして水を入れましても、苗に不足を来たすというような心配も多分にある。これはどうしても都会地の災害に比べて、農村のほうはなおざりになりがちですけれども、今度の農業被害の大きさから考えまして、早急に実態を確かめて、応急措置をとっていただきたいと思います。  さらに私は農家の建築のことを一つお伺いしたいのですが、今度の地震は、ただ天災とは言えないような建築物の被害状況があらわれている。古いからといってつぶれたわけでもないし、それから新しいからといってつぶれないわけでもない。むつ市役所の建物あるいは八戸建物、これらを見ますと、破壊された原因をただ天災だけにはあずけておけないような気がするのです。設計はどうだったか、あるいは工事に手抜かりはなかったかという点は、この不幸中の問題ですけれども、大じかけな破壊検査をしたような気持ちでじっくり考えてもらいたいと私は思う。  これもやはり農村と都会地とは違いますが、剣吉中学校の生徒四名が地割れのために即死したというような報道がございましたので、現地調査してまいりました。これは地割れと言っていいかどうかわからぬような事態なのです。山の中腹を削って建てた学校なのです。したがって、うしろのほうの山はそのままになって水がどんどん流れてくる。しかも地震の前日には百二十ミリといったような豪雨があった。この地震と同時に生徒を逃がそうと思ったときに、中腹に建てた学校の土台の下から割れまして、その大きな土の層が生徒と一緒にぐっと押し流された。したがって、死んだのは四名でございましたが、腰まで、あるいは首までどろに埋まったというような非常に悲惨な状態現地で見てまいりました。そのあとの水は直接道路に流れないような配慮もされておるようですが、あの建築の場合も、もう少しその位置なり、あるいは同じ位置であっても補強工作なりに配慮したら、あの悲惨な犠牲者は出なかったろうと思う。農村のこういうような学校建築については、予算を出すだけじゃなくて、こういう災害に十分に耐えるような今後の設計なり監督が必要だと思うのですが、いかがでございましょう。これは関係の方から御答弁願いたいと思います。
  86. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 学校等の問題については文部省からお答えいたしますが、いまの農業災害の場合は、復旧の時期等が非常に大事であります。いまちょうど田植えの問題も起こっておりますし、また苗のお話がありましたが、この点は青森県と農林省でいま調べておりますけれども、青森県には手持ちの苗があるということで、いまのところ、田植えには支障はないだろうというふうに考えておりますが、足らない場合には農林省として早急な措置をとって田植えには十分間に合うように苗の確保をはかっていきたいと思っております。  なお、学校の建築物あるいはいわゆる農家等につきましては、先生も十分御存じのように、都会地と違いまして、耐震性といったようなことをあまり考えないで建築されておるのではないかというふうなことも考えられるわけですが、こういう地震国でありますし、農村といえども、いまおっしゃるようないろいろな被害が大きく出てまいりますので、これからはこういうことも全体的に総合的に、総合対策の一環として取り上げていかなきゃならないと思います。  なお、農村等における学校建築については、こうした耐震性等についていままでどういうふうにやっておりますか存じておりませんので、文部省のほうからお答えいたします。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員長 文部省に申し上げますが、つとめて文部省政府委員委員会に出席するようにしてもらいたいと思います。
  88. 菅野誠

    ○菅野説明員 ただいま学校建築の被害等のお話がございましたが、御案内のただいまのお話の青森県三戸郡名川町剣吉中学校の問題につきましても、死亡四名を生じましたことはまことに遺憾に存じております。なおまた、この中学校の敷地が、御案内のようによくなかった点もございまして、実はこの復旧などについても、ほかの土地に復旧すべきでなかろうかなどと、いま一応技術的な面などについても指導しておるわけでありますが、公立学校の建築指導等につきましては、今後さらにこの指導の強化をはかってまいりたいと思っております。  なお、これに関連いたしまして、鉄筋校舎の建物が、私立では先ほどお話がありました函館大学でありますとか、公立では野辺地高校、八戸東高校、国立では八戸高専等の鉄筋の被害の起こりましたことが今回の被害といたしましても非常に問題のあるところでございまして、この問題についても技術的、専門的調査をいたしたいというふうに考えまして、技術的調査団を編成いたしまして、明日さらに現地に派遣するという手はずも整えているところでございます。御指摘の点につきましては、今後さらに指導を強化してまいりたいと考えております。
  89. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは学校だけではなくて、農家等が倒壊したのを見ますと、完全に倒壊すべくして倒壊した感じがするのです。住宅対策なども農村には全然立っていなかったし、特に文部省にお願いしたいのは、この地震で非常に気が落ちつかなかったのは腐朽校舎、危険校舎がずいぶんたくさんあるのですが、それがなかなか規定どおり予算ももらえないので、万一災害でも起こりましたらとんでもないことになりますから、その点は、今後大蔵省に十分また腰を強くして、子供たちの人名にかかわる問題ですから少しやっていただきたいし、なお、農村の住宅についても、これを機会に万全の策を立ててもらいたい。ただ非常に残念に思いましたのは、あの三沢小学校の例なんです。これは御承知のとおり、防衛庁の防音工事でコンクリートでつくった校舎ですが、その非常用の階段が地震とともに崩壊してしまっておるんです。非常用の階段が地震ですぐ崩壊するのであれば非常用になりません。しかも三つあるものが三つともみなやられて、一つはむざんにもくだけてしまっておる。児童を誘導してこの階段からのがれさせようと思って戸をあけたら、くずれておったから別の階段からのがれさせましたけれども、もしあれがもう少し児童が早く出ましたらとても四名や五名の死亡者ではなかったとちょっとひやっとしました。これなどもついこの間できた校舎ですから、少なくとも災害調査は本格的にやる必要がある。これはやはり請負をする者にまで及ぶような調査をして、あの工事がはたして設計的に誤りがなかったか、工事に手抜きがなかったか——私は夕方でよく見えもしなかったのですが、見たところでは、本校舎と非常用階段との間に何らつながりがないように見えるのです。そういう点などはこの際思い切って調査すべきだと思いますが、これは副本部長はどうお考えですか。
  90. 八木徹雄

    ○八木政府委員 私もその状況を見てまいりました。確かにもう常識で考えられないような結果が出ておるわけであります。これが設計上のミスなのか施工上のミスなのか、十分に検討しなければならぬということで、文部省から行っておった担当課長もこれについては徹底的に究明すると言っております。とにかく非常用階段がいの一番に落ちるということでは非常用にならないことはおっしゃるとおりであります。ただ幸いにその階段によって事故が起こらなかったのが不幸中の幸いでありましたが、今後のこともありますので、徹底的にこの問題の原因究明を文部省等もすると申しておりますから、やらせたいと思っております。
  91. 淡谷悠藏

    淡谷委員 約束の時間も参りましたし、委員会から派遣される方もございましょうから、そのあとでまた質問する機会をいただきたいと思いますが、ただあと一問だけ漁業災害についてお伺いしたい。  八戸の岸にインドのタンカーが座礁してジェット機用の油が流れて発火するのではないかとたいへん心配したようですが、この油が魚類にどういう影響を及ぼすかということを専門家の熊谷委員とも話をしましたが、いまのところ、ちょっとわからないという形なんです。これはやはり魚をとって、市場から一般消費者が食膳にのせて食べた場合に、これは油のあれが出てくるわけですね。  それからもう一つは、これは油のことではありませんが、強震があって下からどろを巻き起こしたものですから、シャコなんという海の底にいるものが浮遊して大漁なんです。しかし二割は死んでいる。これなどもいま一時大漁だといってとっておっても、あとで非常に大きな被害を起こすものであります。それから地震だけではなくて、工場がどんどん汚水を流したり、あるいはどろが流れ込んだりする例もございますけれども、とにかく地震という大きなショックでそういったような漁業災害がこれから発生すると思う。何かいままでのところでそういうお調べがついているかどうか、まだそのひまがないのかお聞きしたい。
  92. 安倍晋太郎

    安倍政府委員 漁政部長がその油の問題、漁業災害の問題について、八戸のほうに調査に行って、報告することになっておるわけです。油のほうは、私のところの選挙区でも油で相当被害を受けた地域がありまして、相当深刻な影響があるのではないかと私は心配をしておりますが、漁政部長報告を待って対策を協議したいと思っております。
  93. 岩本道夫

    ○岩本説明員 私ちょうど地震がありましたときに八戸に出張しておりまして、つぶさに災害実情を味わって帰ったわけでございまして、被害の非常に大きいこと、激しいことに驚いております。先生の御指摘のように、いろいろ水産関係につきましても、漁港施設をはじめ共同利用施設、それからワカメ、カキ等の養殖施設についてかなり被害があったようでございます。それから油の点においては、非常に心配をしていろいろ聞いてもみたわけでございますが、先生の御指摘のような事態はあまり耳に入らなかったわけでございまして、一応胸をなでおろしたわけでございます。ただ災害の最中のどさくさのことでございますので、調査とても交通機関も十分でございませんし、十分できておりませんので、その後そういう事態が判明いたせば、それ相応のことを考える必要があろうかと存じます。
  94. 淡谷悠藏

    淡谷委員 質問はこれで終わりますが、今度の非常に不幸な人命を失った災害に対して、応急の措置をとることは一番大事ですけれども、それにしても今後災害が起こった場合に、いまの轍を再び繰り返さないような十分なる覚悟をもって対処されるように特に強く要請いたしまして、先ほど申し上げました激甚地帯の政令改正などはこれはもう早急にやるべきがほんとうだと思いますが、副本部長の御決意のほどを伺っておきたいと思います。
  95. 八木徹雄

    ○八木政府委員 先ほど来申し上げておりますように、前向きで真剣に検討いたしたいと思っております。
  96. 淡谷悠藏

    淡谷委員 終わります。
  97. 芳賀貢

  98. 小平忠

    小平(忠)委員 現地調査団が出発する時間の都合もありますから、簡単に要点を質問いたしますから、要領よく答弁願いたいと思います。  ただいまのところ災害救助法が発動されている市町村は幾つございますか。
  99. 今村譲

    ○今村政府委員 青森県の八戸以下全部で十二市町でございます。
  100. 小平忠

    小平(忠)委員 この災害救助法の発動は、都道府県知事が内閣に相談をして、都道府県知事が発動いたしますね。問題になっておる激甚地の指定は、これは国が都道府県を指定することになっていると解しておりますが、そのとおりでございますか。
  101. 今村譲

    ○今村政府委員 災害救助法につきましては法律で一定の基準がありまして、その基準に適合するものは知事が本省に相談なしに独自で発動するということになっています。ただ激甚は総理府の関係でございますので……。
  102. 八木徹雄

    ○八木政府委員 小平さん御承知のとおり、激甚の災害指定災害指定基準にのっとって各府県からの災害の実態報告、それに伴う査定を終えて、金額的にマッチした場合に総理府のほうにおいて指定をする、こういうことであります。
  103. 小平忠

    小平(忠)委員 都道府県をですか、市町村をですか、どういう地域指定するのですか。
  104. 八木徹雄

    ○八木政府委員 地域としては一応全国標準全体でやって、その全体の中からまたその大ワクがひとつそれできまって、それに入ればA基準にする、ということは公共施設災害復旧事業費等の査定見込み額が全国標準税収入額の四%をこえた場合は自動的になる。しかしそれに届かなくても、基準として復旧事業費の査定見込み額が全国標準税収額の一・二%をこえ、かつ都道府県の事業の査定見近み額が当該都道府県の税収額をこえるものが一以上あった場合にこれが指定される、これが一つのあり方でございます。  それから、それは公共土木の場合でございますが、農地農業用施設の場合は、復旧事業見込み額が全国の農業所得推定額の〇・五%をこえる災害であれば自動的にきまる、そうではなくてB基準の場合には、その見込み額が農業所得の推定額の〇・一五%をこえて、かつ都道府県の復旧事業見込み額がその県の農業所得推定額の四%をこえる都道府県が一つあった場合にはきまる、そういう二つのやり方があるわけであります。それによって激甚災害の指定がされるというふうになっております。
  105. 小平忠

    小平(忠)委員 その場合、激甚災害の指定は都道府県を指定するのであって、都道府県知事が市町村を指定するとこれは違いますね。
  106. 八木徹雄

    ○八木政府委員 御案内のとおり、激甚県が指定されましたら、その激甚県の中で町村はその知事のほうによって、この町村とこの町村とが対象になるというふうにされて規定されることになっております。
  107. 小平忠

    小平(忠)委員 そのとおりだと思いますね。それでいま副長官が述べられたような災害基準によると、今度の十勝沖地震被害もやはりいまの数字のようなワク内にはまってこないという問題が起きてくる。先ほどいろいろ質問を通じて田中総務長官からも述べられたように、そういう地域的に被害が甚大であるという場合には、激甚災害の指定ができるような方向に善処したいと答弁された、私はそうすべきだと思う。そうするとそれはその指定基準を政令で定めればいいのであって、それは内閣が、国ができることなんですね。先ほど質問を通じてなされたような見解に基づいて、今度の十勝沖地震の問題も激甚災指定をする場合に、どのような県が該当されると副長官はお思いですか。
  108. 八木徹雄

    ○八木政府委員 今回の場合、県で申しますならば、やはり青森が一番ひどいのでありますから、青森がその一番中心になる府県として近いところにある、こういうふうに言っていいんではなかろうかと思います。
  109. 小平忠

    小平(忠)委員 それはもちろん青森が一番ひどかった。地震震源地に近いところの北海道のいわゆる日高の浦河のほうは、近いにもかかかわらず比較的被害が少ない、あるいはもうちょっと離れている苫小牧が震度六という烈震であったという、これが被害が比較的少なかったという、まちまちなんですね。ところがいまのように、これは全体的に見て青森県が一番ひどかったということは当然であるし、またそう理解するのがあたりまえである。ところが先ほど来質問を通じて政府に伺っておる内容は、県全体で見てはそれは少ないけれども、局部的には非常な被害を受けている、こういうところを救済する道はないのかという質問に対して、先ほど本部長も答弁されたように、これは該当するように善処したい。県を指定しても全県が指定されるわけじゃない。やはりいま副長官が言ったように、県が指定されるけれども、その中で局部的な市町村がやはり対象の問題になってくるのであるからして決して不合理にはならないと思うので、そういう点を十分にすみやかに検討していただきたい。  第二は、先ほど国鉄の問題を私は申し上げましたが、従来国の予算扱いでは一般会計それから政府機関、特別会計というふうにいろいろ分かれておりますけれども、従来災害復旧の場合に、政府機関の災害復旧と国の予算の扱い、それから政府機関でない直接本省所管の施設災害を受けた場合に、どのような区分によって災害復旧しているか、お伺いいたします。
  110. 松本文彦

    ○松本説明員 国鉄でございます。  ただいま先生の御質問は国鉄だけではないようでございますが、従来の国鉄の例といたしましては、まず予備費を流用いたしまして、それで不足分は部内的ないろいろな諸経費の節約をもってまかなう、まあそれで不足の場合には政府関係資金で援助措置をお願いする、そういうふうになっております。  今回の災害について申し上げますと、一応現段階で被害額を、私ども実は最終的集計ではございませんが、推計した範囲では、百三十四億という数字になっております。この被害額は、必ずしも今年度中に全部必要とする額ではないわけでございまして、当然災害復旧の工事の中には御案内のように二年あるいは三年かかる仕事もございます。したがいまして、この百三十四億の何分の一かが今年度の災害額として必要な経費になるわけでございます。一方国鉄の予備費としては御案内のようにいま百五十億組んでございますが、この予備費をまず第一義的に流用していくというふうなことで、それで不足な——不足と申しますのは、過般のベースアップその他についてのお金も当然要るわけでございますが、そういう点で不足を生じた場合に政府関係の御援助を仰ぐというふうなのが従来の慣行になっております。
  111. 小平忠

    小平(忠)委員 私は政府機関全体を聞いたのだけれども、けっこうでございます。  それは従来、これは国鉄によらず、三公社五現業、いわゆる政府機関が災害を受けた場合に、その機関が国鉄なら国鉄、郵政なら郵政という見地に立ってその予算内の措置をしている関係上、非常に私は問題があろうと思う。特に国鉄の場合は、このたびの地震だけでなく、日本が台風常襲地帯であるだけあって、台風災害の場合に国鉄などの受ける被害は甚大でございます。こういうものを国鉄だけの予算操作をしている関係上、非常に問題になっている。国鉄の近代化などに障害となっているわけです。今回の十勝沖地震についても、東北本線やあるいは函館の棧橋などの被害を国鉄自身の予算でまかなうとなれば、やはり相当な額である。こういうことを今度対策本部は、やはり国全体の一般会計の中で災害復旧費から何らかの援助の手を差し伸べるという方法をとらぬ限り、なかなか各政府機関の近代化など困難であります。こういうことを私はこの際考えるべきだと思うが、政府はいかがですか。
  112. 八木徹雄

    ○八木政府委員 災害のつどにその意見はいつも出ております。そしてまたそのことがまだ抜本的に改正されていないことは遺憾であると思うのでありますが、特に三公社五現業の中でも一番影響を持つのは国鉄だと思うのであります。国鉄の財政再建についてはこの災害対策も含めて抜本的に改善を加えなければならぬということであって、本年度中にその抜本改善というものを目途に準備をするというふうに運輸大臣が申しておりますから、この際、災害を受けて絶えずその復旧に悩む国鉄の問題につきましては、その財政再建の根本問題と並行して処置するように、私のほうからもひとつ強く進言をしたい、こう思います。
  113. 小平忠

    小平(忠)委員 本件は抜本改正、抜本改正と言っていると時間がたってしまって間に合わないから、この機会にやはりそういう問題を解決したほうがよろしいと思うので、これは強く要望いたしておきます。  その次に、今度の災害学校などの災害相当大きいのでありますが、国立、公立、私立と分かれておる。その場合に、国立はもちろん国の責任において、公立はすなわち地方公共団体の責任において、そうすると、一つの例を申し上げれば、函館大学は私立の大学であるが、これは私立であるからしてその学校法人の力でやる以外にないという問題になってくるとなかなか——私は現地を見て、あの鉄筋の四階がもう三階建てになっている。全校舎がめちゃめちゃになって、あのときも人身被害がなかったということは非常に私は幸いだと思う。というのは、やはり教師などの誘導よろしきを得て四階におった学生をおさまるまで絶対おろさなかった。途中でみしみしやられているときにおりたら教師も学生も相当な犠牲を受けたと私は思うけれども、よろしきを得たということは幸いだと思うのですが、これの処置についてなかなかめんどうな問題だろうと思う。しかしこういう点に救済の手を差し伸べるということを講じなければ、やはりなかなか復旧は困難であろうと思う。もう一つは前者の質問の中にもありました建築上の問題。これは隣の校舎はがんとしているけれども、同じ高台の地盤で新しいほうの四階建てがめちゃめちゃにいっている。隣の四階建てはそのままである。これはやはり非常に問題がある。建築上どこに原因があるかという点についてはやはり今後の問題になるので、十分にその原因を追及して、もし建築上のミスがあるならば、絶対そういうことがないように最善の処置をとるべきじゃないかと私は思うのですが、この二つの点、いかがですか。
  114. 菅野誠

    ○菅野説明員 第一点の私立学校災害復旧につきましては、私どもも心配いたしておるところでございますが、さしあたりましては、私立学校振興会に対しまして積極的に災害復旧資金の融資を行なって、この災害復旧に万全を期したいというふうに考えております。  第二点の建築上の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、技術的な問題を徹底的にこの際究明いたしまして、今後の学校建築指導の面にも十分にこれを反映したい。御趣旨まことにそのとおりでございますので、努力したいと考えております。
  115. 小平忠

    小平(忠)委員 もう一点、今度の災害地方公共団体が所有している土地、敷地に甚大な被害を受けて、その上にいろいろ民間施設があるとかまた実際に民間の中小企業などの営業を行なっているという場合に、地域社会の発展あるいはいろいろな観点から、どうしても破壊されたその敷地なり土地を復旧をして、やはりその地域の人たちが困らないようにしてあげたいという場合に、これはなかなかめんどうな問題で、しからば地方公共団体の所有地であるものを、それをかりに埋め立て地であるならば復旧して、もとどおりにして、そしてまた完全な営業ができるようにというようなことをやる場合、問題はその市町村がやはり起債を受ける必要がある。その起債もなかなかこれはめんどうな面があろうと思うのだけれども、今次の災害のような場合は、特例債を認めるような措置、具体的に言うならば、函館の棧橋の横に、函館市の所有地に約二百戸余りの商店街があるが、これがめちゃめちゃになってしまったわけです。ところがその地盤が下がった、あるいは津波で洗われた、こういうところに対してはすみやかに処置しなければならぬと思うのですが、これは政府として、ああいう地域に、もし函館市が特別債の申請をするというような場合に、そういうことが認められるかどうか、私は当然なすべきだと思うのですが、いかがでしょう。
  116. 山本成美

    ○山本説明員 土地の所有者であります公共団体と、これを利用しております民間の個人あるいは団体との間で、土地について災害があった場合にどういうふうにするかという問題でございますが、これは個々の当該利用者と土地所有者との間のいろいろな契約がありましたり、慣行がありましたりして、一がいに申し上げることは困難かと思いますけれども、問題は平穏な地域社会ができればよろしいことでありますので、ケース・バイ・ケースでございますけれども、前向きに検討してまいりたいと思います。
  117. 小平忠

    小平(忠)委員 現時点では、被害状況もまだ最終的にまとまっておりませんし、また本院におきましても、現地調査にただいまから出発するという状態でありまして、残余の問題は、また調査団が帰ってこられてから、被害がさらに判明してから、私はあらためて質問をいたしたいと思います。質問を保留いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  118. 芳賀貢

  119. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 気象庁にお尋ねしたいのです。  今回の十勝沖地震が突発型の地震であるということを聞いておりますが、現地では、十七日、十八日にまだ相当余震がありました。四十数回人体に感ずるような地震があって、非常に不安を感じておりますが、この今回の十勝沖地震というものがえびの地震と違うということは、しろうとである私どももいろいろなことでわかりますが、どういう点が違い、今後この問題——大きな地震が発生しないかということを現地では非常に心配しておりますので、その点の見解を、簡単でけっこうですから、ひとつお願いしたいと思います。
  120. 斎藤錬一

    ○斎藤説明員 今回の地震は、地震のしばしば起こるところでございまして、今後の余震の予想でございますが、従来の余震の減り方から比べまして、急激に減り方が多いのでございますので、まだ今後も多少強めの余震が起こる可能性もあるのではないか、そういうふうに考えております。簡単でありますが……。
  121. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今後まだ強めの地震が起きるということは、あの大型地震が起きたあと、非常に急傾斜地などは、まだくずれる可能性のあるところが一ぱいあるわけです。私ども現地を回ってみまして、こんなところに住んでいたらまたつぶされてしまうのじゃないかというところをずいぶん見てまいりましたが、そういうところに対して、いま気象庁のほうからそういうお話を伺ったので、まだ今後大きな余震が起きるということがはっきりはわかりませんでしょうけれども、そういう見方が立っている場合、どういうふうに、これは現地に流していきますか。
  122. 斎藤錬一

    ○斎藤説明員 この余震の結果、一番私たちが心配しておりますのは、すでに破壊されかかっているものがさらに破壊される、そういうような破壊現象と、もう一つは、地割れ等ができておりまして、それが今後梅雨季になりますと、土砂流となって流れる可能性もありますので、現地官署のほうには、特にそういうような雨の予報には十分気をつけ、また現地の人たちにも、そういうのを警戒していただくように指示しております。
  123. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点は、非常に人心が不安定でございますので、適切な手段を講じていただきたいと思います。  次は、国道四十五号、四号ですが、ものすごい亀裂がありまして、私、十六日の午後走ったのでありますけれども、この国道四十五号、四号の亀裂個所に、何の標識も表示もなかった。十数時間たったと思うのですが、翌十七日には交通渋滞が起きたのです。ところが警察官も何も出ていない、われわれが交通整理をやった、そういう個所があったのですが、この国道四十五号とか四号とかの幹線道路の亀裂、そういったときに警察官のとるべき態度、また指示というものは、今回どの程度行なわれたのですか。
  124. 津田武徳

    ○津田説明員 警察といたしましては、何をおいても交通の確保ということが、自後のいろいろな災害対策に重要であるということを認識いたしまして、大地震が起こった直後にパトロールカー、白バイ、それから駐在所の巡査、こういうものを動員いたしまして、道路の決壊状況をつぶさに調査いたしました。それから直ちに、交通渋滞が起きておりますので、迂回路その他を指定いたしまして、交通規制をやっております。また、先ほど先生の御指摘になりました危険地に対する標識ですが、これは残念ながらそういう標識の予備がございませんので、十分な措置を取り得なかったんじゃないかと思います。ただ要点につきまして、交通警察官を配置して整理をやっているのは、新聞報道その他の写真でごらんになっておられるとおりでございまして、なお今後も、十分でないようでございますので、そういう際には十分の対策が立てられるように措置をしたいと考えております。
  125. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 国道四十五号、四号は、仙台から青森まで数百キロありますね。その間、私の走った経験ですが、標識には夜光塗料が塗ってないということ、陥没した道路があるために自動車が落っこちてしまったとか、非常に警戒しなければならぬ点が多々ありますので、この点、今後十分やっていただきたい、それからパトロールを全然見かけなかった。長い間ですから、やっているのでしょうけれども、何台もないパトロールでは、あれだけの広大なキロ数のところではとても足りない。建設省の黄色い車がありますね、よくわかりませんが、黄色いランプの回っているやつがあります。あれが非常に効果的だったという地元の声だったんです。建設省であろうとも、また警察庁であろうとも、あらゆるそういった公的のパトロールを出してやっていただきたいということをお願いしておきます。  第二点は、これは総務副長官にきのうもお話ししたのでありますが、今回の視察の件であります。非常にわれわれも努力し、各党とも一生懸命やったんであります。だけれども、新聞記者その他また地元の声というものは、視察というものに対して非常に冷淡な見方をしている。またあるところには来なかったとか、一時間足らずで行っちゃったとか、薄情であるとか、われわれが一生懸命やっておるにもかかわらず、そういう声が非常に現地にある。これは非常に短時間の間では満足のいく視察ができるわけがない。でもありますが、一回引き返したことがありますね。下北半島ですが、これは行く予定であったのが、盛岡に引き返した、これが非常に現地では激憤をかっておりますが、この理由は何で引き返したのですか。
  126. 八木徹雄

    ○八木政府委員 当日は三沢に着いて、そして八戸、五戸、十和田を経て、最後にむつ市に行く、こういうスケジュールを組んでおったわけであります。ところが、少々当方の認識違いもあったのですけれども、日のあるうちはだいじょうぶ行けるんだ、こういうふうに思っておりましたところ、夕方には、ヘリが発着困難だ、危険であるということでございましたので、急遽予定を変更いたしまして、むつ市には翌日の朝行くということにいたしたわけであります。そのように了解を求めたわけでありますが、その翌日がまた天候が悪うございまして、結局行くには行ったんですけれども、大湊の飛行場までしか行けなかった。そこの現地で、町長さんと議長さんにお目にかかって事情を聞いて、ヘリの上からその災害の個所の一部を見て帰らざるを得なかった、天候の関係でそうならざるを得なかったわけでございまして、まことに申しわけなく思っております。しかし、決してむつ市のことについて冷淡であったわけではないのでありまして、一行すべてそのことについては心痛いたしておりますが、現地の詳細は、そういう意味において現地視察ができませんでしたけれども、ヘリコプターの上からも拝見さしていただきましたし、実情報告は、写真で詳細、そのときに海上自衛隊がとっておる写真、町村長が持ってきた写真も見せていただきましたので、それを基礎にいたしまして、適切な措置を講ずるようにいたしたい、こう考えております。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 ただいま御説明を承ったのでわかりましたのですが、やはり現地というのは非常に興奮しております。六人、七人の調査団でありますから、手分けをして車で行くとか、いろいろ今後残された課題というものがあるのです。そういった問題を——またわれわれは、きょうから、衆議院災害対策委員会で視察に行くのでありますが、そういうところへ行ったのでは、まともに、地震のように攻撃を受けるわけですから、これは政府としては、われわれが被害を受けないように、そういった言いわけはちゃんと言ってきてもらわないと、これからみんなそれぞれ手分けして行くのですから、何でも十ぱ一からげでみんな同一視されて、また来たか、災害地に大名行列だとかなんとか、実に情けないことを言われる。ほんとうに喜ぶのは、物をもらうとか、血の通ったものをほしいということを要求しておるのでありますから、今後ひとつお願いしたいと思います。  それから、新聞に出ておったのでありますが、十和田の北里大の分校から用水が流れて、細菌が流れたのじゃないかというテレビニュースが流された。それに対して見解が発表されたのでありますが、私は当日は現地に行っておって、聞き漏らしておりますので、この北里大の分校の細菌が流れたという政府見解、これが非常に地元で問題になっておるのでありますが、正式に御答弁願いたいと思います。
  128. 松尾正雄

    ○松尾政府委員 実は公衆衛生局が担当しておるわけでございますが、かわりまして、私も情報をいただいておりますので、お答えいたします。  北里の衛生研究所——衛生検査技師の養成所におきまして、教育用の培養基が落ちたということでございます。これは落ちたことは事実だそうでございます。しかしながら校舎の中で、その実験室の床の上に落ちたということで、私ども非常に心配しておりましたが、川に流出したということはなかったと私どもは聞いております。(小川(新)委員「何の細菌ですか」と呼ぶ)たしか大腸菌であったと思います。
  129. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点了解いたしました。  次は、海岸保全長期計画の問題で、総務副長官にお尋ねしますが、海岸保全整備の長期計画というものはいまあるんですか。
  130. 八木徹雄

    ○八木政府委員 お答えします。  海岸保全については、農林省関係、建設省関係運輸省関係というふうに分かれておりますので、それがために一括した海岸保全の長期計画というものはまだできておりません。今回の災害を見ましても、チリ津波の余震の体験にかんがみて、いわゆる防潮堤をつくったということが非常に効果をあげたというような実情にかんがみましても、地震多発地帯のわが国のことでありますから、その意味において、海岸保全について各省にまたがるものについての長期的計画というものを立てる必要があるのではないかと思いますから、今後検討してまいりたいと思います。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 まことに御答弁がのんきなように思うのですけれども、釜石港なんかは御存じのとおり、防潮堤がないんです。これはチリ津波のときに、これをつくる計画から漏れたと釜石市長は一生懸命力説しておりました。激甚地であって防潮堤がないのはどういうわけだ、だからノリとかカキとかホタテ貝、ワカメ、こんな損害を受けた。これは政府の長期海岸保全計画というものが成り立たないで、農林省だ運輸省だ建設省だとみんな違っているんですね。やっている基準も違えば、やっている予算も違えば、こちらが要求しているのに、農林省ではこう言う、建設省ではこう言う、運輸省ではこう言う、これでは一体どういうものをつくったらいいかわからぬという答弁でありました。こういったばらばら行政というものは——今回の津波の被害というものが出ておるので、早急にこれは立ててもらいたいというのは、宮古、釜石、八戸、三沢、ずっと回った間に聞いた声でありますが、これに対して早急に立てるという見通しはないのですか。
  132. 八木徹雄

    ○八木政府委員 ちょっとおことばを返すようでありますが、釜石の問題は、チリ津波があったあとでできなかったところは、荷揚げ場のところが、現地の都合によって、そこは困るということでやらなかったというふうに聞いております。  それからいまお話のあったうちで、いわる農林水産施設災害——ノリだとかカキだとかいうものの養殖施設は防潮堤の外にあるものでありますから、防潮堤とは直接関係をしないことではないかと思うのであります。しかしそのことは抜きにして、やはり海岸保全というものは問題が各省に共通しておる課題であるがために、計画的、全国的な保全措置というものがおろそかになっておるというところが確かにあると思いますから、その点については、関係各省と協議をいたしまして、できるだけすみやかに、これが対策を立てるように努力してまいりたいと思います。
  133. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総務副長官がそこまでおっしゃるのですから、釜石市の市長とどっちが正しいかということをここでやるわけにまいりませんが、それから宮古ですが、ラワン材が三千八百本流れて——これは県の貯木港があるのですが、これがいま三千八百本流れて、二つの会社があって、おれの材木だ、おれの材木だとけんかしておりますが、そういうことは災害対策には関係ありませんけれども、そのために、沖に流れて浮かんでおる材木を揚げる作業がおくれておる。そのために、二トン三トンの小型漁船が二トンもあるようなラワン材にぶつかればこなごなになってしまうといわれておりますが、これに対して対策はどう講ずるのですか。
  134. 八木徹雄

    ○八木政府委員 私もその状況を見てまいりました。そして確かにかなりのものが岸に打ち上げられております。また沖にも流れておりますので、現地のほうにおいて、海上交通の安全を確保するために、早急にこれが陸揚げをするように指示しておりますので、まだきょう現在で完全にそれが措置ができたというふうには聞いておりませんが、かなりすみやかにやってもらうように期待いたしております。一そう督励をいたしたいと思います。
  135. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これに関係しまして、沈船、廃船、船の沈んだものが、宮古でも八戸でもありましたが、川と海の境のところに、船が二、三ばい沈んだのを見受けてきたのです。この沈船引き揚げは、現地だけにまかせるのですか。
  136. 芳賀貢

    芳賀委員 質問の相手はだれですか。
  137. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 関係の部課長でけっこうです、よくわかりませんから。海岸のことですから、建設省が……。わからなければ、副長官、全部責任ですから答えてください。
  138. 八木徹雄

    ○八木政府委員 具体的に、その措置がどのように進んでおるか、まだ聞いておりませんが、先ほどのラワン材と一緒でございまして、海上交通の安全を確保するために、適宜の措置をとるようにいたしておりますが、ものが大きいだけに、直ちにそれが実効をあげておるかどうかわかりませんけれども、督励をいたしまして、万全の措置を講ずるようにいたさせたいと思います。
  139. 芳賀貢

    芳賀委員長 小川委員に申し上げますが、先ほどあなたから保険金の支払い問題について保留した点があります。いま大蔵省の担当官が出席しておりますから、必要があれば質問してください。
  140. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 はい。  八木副長官は人柄がいいから、あまり責めたくないのですが、二〇三高地の旅順港ではないから、いつまでもあそこに沈めておくのはよくないと思う。そのために船が通れないということは、軍港封鎖ではないし、漁港の安全確保のために、これは早急にやらなければいかぬ。ところが、いつまでもそんなこと言っておりますと、これはやりませんよ。国がやらなければだれもやりません。だれが責任を持ちますか。あれは廃船ですから、現役の船じゃないのですから、もうどうしようもない船が流れていって沈んだのですから、そういうのをだれが揚げるかということが、いま地元で問題になっております。それは督励だ、督励だと言うが、どこを一体督励するのですか。
  141. 八木徹雄

    ○八木政府委員 運輸省港湾局を督励いたしまして、港湾局で適宜な措置をとらせたいということでございます。
  142. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、これは運輸省港湾局で必ず揚げてくれるのですか。
  143. 八木徹雄

    ○八木政府委員 やり方につきましては、港湾局にまかせたいと思います。目的を達成すればいいわけでございますので、達成できるように督励をいたしたいと思います。
  144. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 その点はその程度にとどめておきますが、漁業共済補償の問題で、ノリだけは共済の対象になっていると聞いておりますが、ワカメ、ホタテ貝、コンブこれらの新しい産業の補償に対してはどのようにこれからやっていくのでしょうか。
  145. 岩本道夫

    ○岩本説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、ノリはすでに漁業共済の対象になっておりますが、ワカメにつきましては、この養殖共済が発足しました当時、あまり養殖技術が進んでいなかった点もありまして、対象にされておりません。したがいまして、今回の被害実情にかんがみまして、早急に検討をいたしたいと考えております。
  146. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これはやはり関係法を改正しなければならぬと思うのですが、そういう点は用意されているのですか。
  147. 岩本道夫

    ○岩本説明員 至急に検討いたします。
  148. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは、その点は時間がありませんから、きょうは聞きません。けっこうです。  あと仮設応急住宅ですが、建設関係の方にお伺いいたします。私が行ったときに、十六日、十七日、十八日と五戸の豊間内地区ですが、総務副長官も行ったと思いますが、あそこの農協の倉庫の中で、遺体四体と一緒に避難民がごろ寝しているのです。これは地元民の感情として、なくなられた方をどこかへ持っていってしまうのではかわいそうだ、そこに一緒に寝てあげようという気持ちで、あの四十何人かの方が一緒にごろ寝しているのならいいのですけれども、そうではなくて、行きどころがない、安置するところがないから、三日間もあのなくなられた遺体と一緒にいる。そうして子供もそのまわりで騒いでいて、全く見られたものではございません。お線香のにおいがする、片方ではパンをかじり、握りめしを食べている、そこへ水がくる、もうごちゃごちゃです。これはやはり政治の分野において、そういった共同慰霊所というか、遺体安置所——この前、西の呉のほうで異常水害があって、われわれが行ったときには、ちゃんと安置所まであって、お花まで飾られて、仏壇ができていたのです。こっちは、ただふとんの上に寝ている。こういう点は、仮設応急住宅がないからそういう状態なのか、一体何日ごろに仮設応急住宅というものはできるのか、その点どうお考えになりますか。
  149. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  いまのような状態で、電話の不通で非常におくれて情報が入ったわけでありますが、私どものほうとしては、仮設応急住宅を、至急戸数を調べてこっちへ言ってこいという連絡はしておりますが、青森県下におきましては、きょうの夕方までに、数字は全部言ってくるだろうと思います。
  150. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 電話の不通といっても、もうきょうは何日ですか、二十一日じゃないですか。きょうの夕方にならなければ遺体の安置がどうなるかわからないようでは、これはスロモーだ。現地には自民党だって社会党だって公明党だってみんな行っているのです。政府調査団だって行っていると思うのです。だから、行けないことはない。そういう点を配慮しないから、私ども調査団が行ったときに、何だかんだと言われるのですよ。その点まずしっかり把握してもらいたい。そのために、ふなれな市町村長が掌握の報告が悪いために、災害救助法の発動さえしない市町村があるじゃないですか。これはどうなされるつもりですか。
  151. 今村譲

    ○今村政府委員 先ほど申し上げましたように、青森県の八戸以下十二市町村やっておりますけれども、十六日にやりましたのが一市町村、十七日が四市町村、それから十八日が六戸以下二カ所、二十日が五カ所というふうになっております。県のほうで実態把握がおくれたということにつきましては、二十日になってやっと災害救助法の発動——これは県が発動するものですから、その辺の状況のおくれがあったので、非常に申しわけないと思っております。
  152. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 災害救助法の発動なんていうものはすぐやらなければ意味がない。すぐ発動して、そして毛布なり救急の品物を被災者にあげなければならぬ。それが第一、市町村長が掌握できないとか報告がわからないのですから、どういうようにしたらいいか、それさえつかめない。災害救助法を発動する資格がありながら発動できなかったということに対しては、自治省から厳重に青森県の各市町村長にあてて一度勧告をしてもらいたいということを希望しておきます。  最後に、税の減免の問題でありますが、この点の見解をお尋ねして質問を終わります。
  153. 芳賀貢

    芳賀委員長 その前に、さっきの地震保険を……。
  154. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 先ほど地震保険について御答弁をいただけませんでしたが、損害保険を契約高の三〇%にすることを六月一日からきめるということは、地震対策の後退じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  155. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 ただいま御質問のございました六月一日から六〇%に下げるという問題は、これはいわゆる火災保険の拡張担保としての地震危険特約、それの縮小填補条項を挿入して六〇%及び三〇%に下げるということ、これは今回災害等で問題になっておりますところの、いわゆる地震保険法に基づきました地震保険というのは、住宅総合保険それから店舗総合保険、これは主契約の三〇%もしくは生活用動産については六十万円、建物については九十万円を填補限度とすることに最初からなっております。
  156. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 個人災というものがいつも問題になっておりますが、災害に対する防衛というものを何でやるかというと、任意の火災保険ないし損害保険で防衛する以外にない。企業にしても住宅にしても同じです。それを、ある企業によっては、ある地域によっては契約高の三〇%だ、四〇%だ、減らすということは、企業の育成面からいっても、災害対策の精神の分野からいっても、これは明らかに後退じゃありませんか。そんなことを大蔵省が——それは確かに保険会社のさいふの問題から割り出されて、そういうようになってきたと思いますけれども、そういう問題を、損害保険の填補条項がどうだとかいうことを——われわれはこまかいことはわかりませんが、これは企業本位過ぎる。日本のような地震国において——えびの地震から何カ月たっているか。そうしてやれえびの地震が起きた、やれ十勝沖地震が起きた、こういう一連の地震が起きてから、そういうことを早急に協議する。これでは国民感情からいって納得できない。こういうことについてどういう見解でしょうか。
  157. 磯辺律男

    ○磯辺説明員 ただいま御質問の問題でございますが、まず第一に、企業物件にかかる地震保険というのは、これは昭和三十一年に大蔵省で認可したわけでございますが、三十九年の新潟の大震災を契機として非常にふえてまいったわけでございます。ところで昨年の十二月現在においては、企業物件、つまり石油化学工場であるとかあるいは石油精製工場、こういったところの地震危険を担保する契約と申しますのは、昨年の暮れにおいて約三千億になっております。ところが、これに対しまして、今後ますます石油精製工場あるいは石油化学工場等が、東京湾を中心とする千葉、東京、それから神奈川という工業地帯にふえる傾向にありますので、わが国の保険会社の担保力としては、そういった一地域に集中する巨大リスクについては引き受けることがとうてい不可能だという予想が立ったわけでございます。従来は、こういった巨大リスクについては、その大部分はロンドンの再保険のほうに売っておりまして、日本国内においてこういうリスクを引き受けるのは総体の一割に満たない、約三千億に対しまして百九十億程度でございます。その大部分は、九割程度というものは、ほとんどロンドンの再保険市場に売ってその危険を消化しておったわけでございますけれども、一方において、最近ロンドン市場におきましては、世界的にリスクが非常に発生してきた、それからかたがたポンド引き下げ等によりまして、ロンドンの経済力も非常に落ちまして、従来九割程度引き受けておりました再保険の取り手側がだんだんその契約を断わってくるというふうな状況になりまして、日本の保険会社独自では、今後ふえてくるであろうこういった企業物件についての地震保険については、引き受けるのがこのままではとても不可能だ。そうなってまいりますと、従来の企業につきましては一〇〇%、それから新たに契約を求める企業につきましてはゼロということでは、いかにも国内の企業に対する付保状況が不公平になる。かたがた再保険取引に伴いますところの国際収支というのが非常に悪化してまいりまして、大蔵省としましては、国内の各企業に対して同一な取り扱いで地震危険を担保する方法や、同時に地震保険を含めまして保険取引の国際収支の改善をはかるべきだというふうなことを損保協会のほうに話しまして、その結果、今後国際収支を改善し、なおかつ国内で今後ふえてくるであろう——主として石油精製工場あるいは石油化学工場でございますが、そういった企業物件についての地震保険を公平に付保できるという道を開く意味におきまして、現在の担保力と今後の海外における引き受け能力、そういったものを勘案して、この前新聞で発表されましたように、従来から契約のあります企業物件につきましては六〇%、それから今後契約いたします企業物件につきましては三〇%というふうに、事故が起こりました場合の保険金の支払い額を削減するという方法をとったわけでございます。もちろん、これに伴いまして、保険料も六〇%、三〇%で、それぞれ下げるというふうなことにしたわけでございます。
  158. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 じゃ終わります。
  159. 芳賀貢

  160. 山内広

    山内委員 私が最後だそうでありますから、おそくなりましたが、ひとつ御答弁いただきたい。簡潔にお伺いします。重複した部分もありますけれども、少し掘り下げて再確認しておきたいと思います。  先ほど国鉄の災害復旧で答弁がありまましたけれども、予備費を使って足りない場合、政府援助をいただく。それを具体的にどういうふうに援助されるのか。返さなくてもいい金なのか、返すのか。そうすれば、その償還の年限あるいは利子等、少し具体的に御答弁いただきたいと思います。
  161. 松本文彦

    ○松本説明員 お答えいたします。  結論から申しますと、借金をいたすわけでございます。これは一時借り入れ金の場合あるいは一般財政投融資を増額する場合、その間いろいろございます。それに従いまして、利子その他も、七分を前後して、いろいろな種類になるわけでございます。
  162. 山内広

    山内委員 国鉄の災害復旧については、やはりこの際考え直す必要があるのではないか。日本は毎年どこかで台風があるとか水害があるとか地震があるとか、災害のない年というのはほとんどないわけでありますけれども、国鉄は、南から北まで長いうちで、どこか必ずそれと一緒に災害を受けているわけです。これが非常なガンになっておりまして、その模様などお聞きしたいと思いますが、きょうは省略いたします。  この災害復旧については一般会計が見るという慣行をこの際つくり上げたらどうかということは、根拠がないわけじゃないのです。災害で国鉄自体も困っているときに、国鉄の輸送というものは絶対至上命令なわけです。今回も、私北海道へ参りまして一番心配したのは、最盛期の青果物輸送がどうなるのか。ところが、これを国鉄も考えまして、迂回経路をとって、毎日六百両の青果物輸送を優先的に扱った。そういうことで、物価の値上がりを押えることに非常に貢献された。それから御存じのとおり、国鉄自体が輸送に困っているときに、北海道青森、岩手、そういう災害地に行く救恤品については無賃の扱いをしているわけです。そうして優先的にどんどん鉄道の能力をあげて、そういうものを無賃輸送さしておるじゃありませんか。そういうことを考えたら、予備費でまかなううちはいいわけですけれども、これだってまた、さっきも言うとおり、労働者の給料に充てなければならぬ。それを使ってしまって、予備費がないということになると、またそこが労使紛争の種にもなる。私はある一定の額——軽微の災害までとは申しませんけれども、やはりある程度被害が大きい場合には、国が、返さなくてもいい援助の手を伸べて、そして鉄道の輸送の万全を期して、こういういろんな対策を次々と政府が号令して、民生の安定と物価の抑制とか、そういう意味で復興に貢献させるということが施策としてとるべきものだ、私はそう考えますが、これは副本部長いかがでしょう。あなたの御答弁だと思います。
  163. 八木徹雄

    ○八木政府委員 おっしゃるとおりだと思うのです。国鉄の果たす公益的使命というものと独立採算制というものはマッチしない課題だと思います。そういう意味で、先ほど申しましたように、国鉄の財政再建というものは、いままでのようなペースではない別途の角度で検討されなければならぬときが来ているのだと思います。災害復旧にしても、新線延長にいたしましても、同様の見地でひとつ対処しなければならぬのだと思いますから、運輸省自体そういう見地に立って、いまその検討を加えておるようでございますから、促進さすようにいたしたいと思います。
  164. 山内広

    山内委員 これはそういうこそくな国鉄自体だけの力にまかせますと、復旧対策がうまくいかないのです。私も青函の実情を見てまいりました。そして徹夜で復旧作業をやりまして、接岸作業など、試験も見てまいりましたけれども、肉眼やちょっとした計器の測定ではわからないほど、もう基盤から故障がいっているわけです。ですから、見た目で、ここがわずかばかり故障だ、出たからここを切ってしまえばいい、ここが割れたから穴を埋めればいいというようなものではない。もうあそこも非常に古くなりまして、あのままでは、応急措置だけで一時うわべだけを復旧さしても、この次に災害があったときは、たいへん大きな災害が出てきます。これを基本的に直そうとすれば、さっき出された百三十四億というものの大部分はこの施設復旧にかかるのではないか、私はそういうような予想をしておるわけです。そういう意味で、そうでなくても赤字で困って独立採算の危機におちいっている国鉄に、災害のときくらい一般会計で見てやるくらいのことは当然の措置でもあるし、国鉄自体も要求すべきだ。いがですか。
  165. 松本文彦

    ○松本説明員 ほんとうに御理解のあるおことばをいたださまして、厚く御礼申し上げます。私、個人的には全く同感でございまして、実はいま政府から御答弁がございましたように、国鉄の財政の問題というもは、何も災害復旧費のみならず、災害復旧費というのはかりに政府の御援助を仰ぐといたしましても、私どもいま考えております国鉄全体のあるべき投資といいましょうか、あるべき必要とする額のごく一部にすぎない。したがいまして、当然災害復旧につきましても、今後ともいまのような御支援をいただきまして、私ども大いに力を得まして、一そう政府とも折衝いたしまするが、基本的に国鉄財政全体が非常に危機にあるということで、いま政府筋からいろいろな御配慮をいただいておりますので、その中で、私どもも当然お考え願えるものというふうに考えております。
  166. 山内広

    山内委員 次に、これも先ほど出た問題ですけれども、凾館大学が倒壊しまして、この倒壊は、学校建築に非常に大きな教材を与えたものだ、私も見てそう考えるわけです。しろうとなりに、原因がどこにあるかということを、私も実はある考えは持っておりますけれども、専門家でもありませんし、いずれ詳細な報告がそれぞれ専門家から出るものと思いますので、必要があれば、そのときあらためて意見を申し上げたいと思いますけれども、いずれにしても、あの学校復旧というわけにはいかない、あれは建て直さなければならない、危険校舎ですから。  それで、先ほど振興会から融資のあっせんをするということでありますけれども、これはもちろん私学で力もない、また何億かの借金をするということになりますと、これまたPTAのほうにもはね返ってくる。これはいろいろな問題を残すと思うのですが、この振興会の融資というのは、償還期限がどれくらいで、利子がどれくらいなのか、その辺をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  167. 菅野誠

    ○菅野説明員 いま、その資料をちょっと用意しておりませんで、関係官に問い合わせておりますが、たぶん七分の利子で十八年償還かと思いますが、なお詳細に調べます。
  168. 山内広

    山内委員 では、私、希望だけを申し上げておきます。  私学ですから、くれてやるというわけにもいかぬのでしょうけれども、せめて利子補給ぐらいは考えてやるべきものではないか、こう思いますが、その点についての御見解はいかがですか。これは副本部長、どうですか。
  169. 八木徹雄

    ○八木政府委員 不確かなことを申し上げては申しわけございませんから、軽率にものが言えないのですけれども、函館大学の場合に一番心配なのは、振興会から金を貸してやるといっても、いまの建物の振興会からの借り入れあるいは一般銀行からの借り入れの返済がまだほとんど済んでないのではないかと思うのであります。その上に今度新築をするという場合に、いまと同様のものが振興会から借りられて建てられるかどうかということが、たいへん問題だと思うのであります。そういう意味で、これの再建については、いままでの私学助成とかあるいは振興会融資だとかといったようなワクの中でやる場合には、なかなか容易ならぬことになるのではないか。文部省のほうでも、この間私たちと一緒に調査に行って——私は北海道に参りませんでしたけれども、北海道から帰ってきた担当官の話によりますと、通常ベースにおいては、これの再建というものはなかなか容易ではない、その意味で、特殊ケースとしてどうするかということと、原因究明と、保険料の支払いと、再建と含めて考えたい、こういうふうに申しておりましたから、いま直ちにこれからの利子補給をどうするとか、いわゆる借り入れ年限をどうするかといったような個別の問題ではなくて、抜本的にどうするかということを十分に考えさせるように、私のほうからも文部省を督励いたしたい、こう考えております。
  170. 山内広

    山内委員 そういうことより答弁は出ないと思いますけれども、やはりこれは前向きで、ひとついま申されたような方向で、政府も御努力いただきたい。  その次に、これは開発庁長官報告の中に出された問題でございますけれども、函館の朝市の埋め立て地の問題です。長官はかなり詳しい知識を持って帰られたので、それぞれお考えがあると思いますけれども、まず一点、先にお聞きしたいのは、ここの場所ほんとうの取り扱い窓口と申しますか、主管官庁はどこなのか、これをお聞きしたいと思います。と申しますと、ちょっとけげんに思われる人もあると思いますけれども、これはもちろん建設省の関係でもあるけれども、海面ということをとれば運輸省関係にもなる。いろいろこれはひっかかる問題が多いものですから、あるいは窓口を開発庁なら開発庁にしよう、総理府なら総理府にしようというならば、それでもけっこうなんですが、まず窓口をすかっときめないと、時がたつと、あそこへ行けばあっちだという、そこに行くとこっちだということで、最後はだんだん消えていくおそれがありますので、この際はっきりきめていただきたい。——それではよろしいですが、いずれそれは本部としてお考えになって、統一していただきたい、どこでもいいですから。これは非常に関連するところが大きいのです。特にこれの復旧は、もぐりを入れたりしていろいろ調べているようですけれども、あのままではかえってお金もかかるし、再度の災害でまたやられるおそれがあるので、どうしたってあそは、海の中をもう一ぺん掘ってみるなんということでなく、海面をもう少し大きくして、かえって初めからやり直したほうが、根本的な災害対策でもあるし、経費がかからぬと思うのですよ。そうなりますと、所管が運輸省だ、いや、あっちだということになってきて、これはあとで非常に取り扱いに困ると思います。  それから、これは市が埋め立てまして、個人に分譲している土地なんです。ですから、これは個人にまかしておいたら、金のかかることだし、とても復旧など及びもつかないことになります。したがって、先ほど質問の中でも出ておりましたけれども、やはり市がまとめて仕事をやって、そのあとのかかった経費をどうするかという分担の問題については、その上で協議しなければ、もうこれは仕事になりませんので、その点、十分ひとつあたたかい目で、ここに住む人たちの仕事が成り立つように考えていただきたい、これは希望を申し上げておきます。  もう飛行機出発の時間だそうですから、まだ残しておりますけれども、次回に回すことにして、これで終わります。
  171. 芳賀貢

    芳賀委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時二十七分散会