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1968-04-03 第58回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月三日(水曜日)    午後一時四十五分開議  出席委員   委員長 芳賀  貢君    理事 井原 岸高君 理事 池田 清志君    理事 稻葉  修君 理事 湊  徹郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 川村 継義君    理事 永井勝次郎君       阿部 喜元君    小澤 太郎君       小山 長規君    中川 一郎君       藤本 孝雄君   三ツ林弥太郎君       水野  清君  早稻田柳右ェ門君       井上  泉君    井上 普方君       金丸 德重君    唐橋  東君       工藤 良平君    兒玉 末男君       斎藤 正男君    平等 文成君       福岡 義登君    稲富 稜人君       折小野良一君    小川新一郎君  出席政府委員         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         農林政務次官  安部晋太郎君         農林省園芸局長 黒河内 修君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      原   徹君         国税庁直税部審         理課長     大塚 俊二君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省社会局施         設課長     大和田 潔君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農林経済         局参事官    内村 良英君         農林省農政局参         事官      田所  萠君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       松井 芳明君         農林省園芸局園         芸課長     千野 知長君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     犬丸 令門君         気象庁観測部地         震課長     木村 耕三君         建設大臣官房建         設機械課長   圷   質君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省道路局企         画課長     豊田 栄一君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         日本国有鉄道施         設局長     松本 文彦君         参  考  人         (全国農業共済         協会副会長)  下山 一二君         参  考  人         (全国共済農業         協同組合連合会         常務理事)   黒川 泰一君     ――――――――――――― 四月三日  委員中尾栄一君及び森義視辞任につき、その  補欠として小山長規君及び井上泉君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員小山長規君及び井上泉辞任につき、その  補欠として中尾栄一君及び森義視君が議長の指  名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  南九州えび地震による災害対策  昭和四十三年二月の異常降雪等による災害対策  昭和四十三年一月以降の豪雪による災害対策      ――――◇―――――
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、まず南九州えび地震による災害対策について調査を進ます。  最初に、先般現地調査におもむきました政府調査団調査の結果等について、政府当局から説明を聴取いまします。八木総理府総務長官
  3. 八木徹雄

    八木政府委員 前回災害対策特別委員会で御報告申し上げましたように、二十五日の地震態様にかんがみまして、各省技術的専門調査官現地に派遣いたしたわけでありますが、地質関係調査班はあす帰ってまいるわけでございますので、まだ全体詳細を報告をすることができません。二日の日に帰ってまいりました調査団方々概括報告を聞いたのでありますけれども、いずれそれらの詳細につきましてはできるだけすみやかに文書によって御報告をいたしたいと思いますので、きょうは概括について私からかわって御報告申し上げることにいたしたいと思います。  二月二十一日より二十二日にかけ、三回の地震があり、大きな被害が発生したえびの地震は、その後漸減の傾向にあり、応急復旧対策も鋭意進められていたところでありますが、三月二十五日午前零時五十九分及び一時二十分と二回にわたり、震度五の地震があり、宮崎えびの町及び鹿児島吉松町にかなりの被害を生じたのであります。  被害の内訳は、負傷三名、住家全壊十八棟、同半壊百七十三棟にのぼり、えびの地震被害合計死者三名、負傷四十六名、住家全壊三百八十六棟、同半壊八百七十三棟、罹災世帯千二百十一世帯罹災者五千二百二十人となっております。  政府はこの事態を重視し、三月二十九日より三十一日にかけて、団長以下十二名よりなる総合技術調査団現地に派遣し、被害状況をそれぞれの専門的な立場でつぶさに調査してまいりました。昨二日には関係省庁連絡会議を開催し、調査団報告を聞くとともに、各省庁担当官問題点協議をいたしたのであります。  まず、地質班は、被災地の土質が特に粒度のこまかいシラス地帯であり、軟弱な層からなっていることのほか、詳細について本月四日まで現地に残り、調査をいたすことにしております。  次に、建築物班は、現地木造家屋が構造上耐震性について非常に欠陥が多く、新築、補修を行なう場合の工法についての指導を行なう必要があること。  また、治山、砂防班は、山腹に崩壊した土砂が多量残り、多くの地割れが見られるため、今後、梅雨期台風期を迎えるにあたり、土砂崩壊拡大、下流への流出を防ぐ必要があること等、これからの復旧対策に必要なおのおの専門的調査報告をいたしました。  政府といたしましては、これらの応急対策並びに復旧対策を強力に推進するため、関係省庁で構成するえびの吉松地区地震対策連絡協議会をすみやかに設置するよう準備中であります。  なお、現地では、災害救助、自衛隊の派遣等、当面の応急対策地震観測強化等、積極的に推進するとともに、復旧対策についても万全の措置を講ずることにいたしております。  なお、この際、日向灘地震の概況について簡単に御報告いたします。  四月一日午前九時四十三分ごろ、日向灘地震が起こり、九州四国中国地方地震を感じ、太平洋沿岸に高さ〇・五メートルから二・三メートルの津波が発生しましたが、被害は比較的少なかったのであります。  各地の震度は、延岡、宿毛で震度五の強震、松山、熊本、呉、大分高知宮崎、佐賀、阿蘇、足摺、宇和島、人吉、鹿児島震度四の中震でありました。  次に、一般被害は、警察庁の調査によれば、宮崎高知、愛媛、鹿児島熊本、山口、大分の各県に及び、死者一名、負傷二十九名、建物全壊一、半壊十、罹災者三十四名となっております。  施設等被害は、公共土木施設水産関係港湾等に若干の被害を受けたのでありますが、現在、各省庁で鋭意集計中であります。政府としては、これらの復旧についても万全の措置を講ずることにいたしております。  以上、報告いたします。     ―――――――――――――
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。池田清君。
  5. 池田清志

    池田(清)委員 えびの吉松地区地震が発生いたしましたところ、政府関係省庁におかれましては、現地災害救助法を適用することをはじめといたしまして、各省庁担当対策を樹立、進行していただいておることを感謝をしております。さらにまた今回は現地合同調査をせられまして、政府一体となってこの問題の対策を進められるという御報告に接しまして、ほんとうにうれしく思うわけです。  先般私は当委員会を代表いたしまして、政府統一機関を設ける、地震対策協議会と申しましょうかあるいは本部と申しましょうか、そういうものを設けるべきであるということを強く主張しておきましたのでありますが、ただいまの御報告におきましては、これを設置するという方針であるということを伺いました。ところが、すみやかに設置するというだけであります。突き詰めて申しますならば、何月何日から設置されるかというのが質問の第一点です。  次には、この地震が発生いたしますと、えびの地震、こういうふうに公表せられております。ところが、えびの町は鹿児島県の吉松町に連なるのであり、県境、町境は一本線があるだけでありまして、地震地区といたしましては一緒なのです。そこで名称えびの吉松地震、こういうふうにしてほしいという要望等もあるのでありますが、これも政府でいち早く取り上げて、えびの吉松地震という、こういうことでありますが、これまた何月何日からその名称を訂正していただけますか、これがお尋ねの第二点です。
  6. 八木徹雄

    八木政府委員 対策協議会設置についての事務的検討は大体済んでおるのでありますが、地質班があす帰ってまいりますが、その地質班最終報告によりまして発動するということが適当でないかと思いますので、われわれ事務当局考え方といたしましては、来週火曜日の閣議には決定できるようにいたしたいものだ、こういう心組みで進めておるということをまず第一に申し上げておきます。  それから、名称の点につきましては、確かにえびの地震というふうに人口に膾炙されておるわけでありますけれども、両県にまたがるというような特殊な事情もございますし、印象的にえびの吉松といったほうがより地元感情にマッチするような感じもいたしますので、昨日長官とも相談いたしまして、仮称としてえびの吉松地区地震対策連絡協議会、こういうような形で進めたい、こう思っております。
  7. 芳賀貢

  8. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの池田議員質問に関連しましてお尋ねしたいと思いますが、いま池田議員からも御発言がありましたが、このえびの地区地震対策本部設置については、先般の本委員会におきましても特に副長官から答弁いただいたところであります。私の宮崎県におきましても、二月二十一日の地震発生以来今日まで実に六十数億をこえる甚大な被害を受け、さらにまた四月一日の日向灘地震を含めて、この状態がいつまで続くかわからないというきわめて重大な状況に置かれまして、罹災住民はもとより、県民全体が大きな不安の中に包まれている現状であります。こういう点等から考えますと、松代地震とはその形態を異にいたしまして、むしろこれは連続的に発生する可能性というものが十分予測をされるわけであります。こういう点から考えますならば、いま御意見もありましたとおり、これに対する対策本部を設けることは政府の当然の責務ではないかと私は考えるわけであります。総合的な対策の中からこの罹災地域住民要望にこたえて問題の解決に対処していただきたい、このように私は考えるわけでございますが、重ねて副長官の御見解を承りたいと存じます。
  9. 八木徹雄

    八木政府委員 ただいま池田委員にもお答えいたしましたように、おっしゃるとおり、当初は群発地震ではないあるいは連続しないであろうということであったものですから、局地的な被害として非常に大きな被害があるということは十分承知しながらも、対策協議会なり本部なりをつくるというに至らなくても済むのではなかろうか、こういう感じ方で本部設置についての準備をいたしておりませんでしたが、二十五日に重ねてあったという事態にかんがみまして、これはやはり群発地震とは違うと学者は言いますが、連続しておるという態様にかんがみて、協議会をつくることが適当であろうということで、次の火曜日の閣議決定をめどにいたしまして、いま協議会をつくることに総理府としては踏み切って準備をいたしておる、こういうところでございます。
  10. 兒玉末男

    兒玉委員 気象庁のほうにお尋ねしたいのでございますが、四月一日に日向灘地震が発生しまして、御承知のとおり、宮崎県だけでなくて四国から九州全域にその影響があるわけでございます。特に日向灘地震は、たしか昭和三十六年でございましたか、ほぼこれと同じような地震がありまして、国鉄の橋梁等が破壊されて交通機関途絶あるいは送電線全面停止という状態がありました。特に今回はえびの地区も含めてこういうふうに広域な地震が発生しておりますが、この日向灘の場合の今後の状態というものが、これまたえびのに重なって非常に恐怖心が持たれておるわけでございますけれども、これに対して大体どういうふうな判断をされておるのか、この点をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 木村耕三

    木村説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問は、今後はどうかというような御質問のように思いますが、実は昨夜も米沢で局地的な地震がありました。これは昭和四十一年にも発生したし、よく群発地震が起こる場所でございますけれども、その他、このところ地震が続きまして、桜島でも毎日のように噴火をしております。そういうような状態で異常に思われますけれども、大体昭和三十八年ごろから日本地震活動火山活動が非常に穏やかになりまして、そこで始まったものですから異常に思われているだけではないかと思います。大体こういう地球物理的な現象は集中しやすい傾向を持っておりますので、まあ一時静かであったのがようやっと最近常態に戻ってきた、こういうように私は考えております。
  12. 兒玉末男

    兒玉委員 今回の日向灘地震影響で大体えびの地区では震度三ということが報道せられておりますが、このことを一つの転機として、また霧島火山一帯にこのような地震を誘発する危険性というものは考慮されないのかどうか、この点をあわせてお聞きしたいと思います。
  13. 木村耕三

    木村説明員 この問題に関連性があるかというような御質問だと思いますが、現在学者のうちには関連性ありという人とないという説がありまして、われわれの知識はまだそこまでいっておりません。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 あとの予定もあるようでございますが、せっかく農林政務次官がおいででございますので、一言要望を兼ねてお聞きしたいと思いますが、一つ農地関係復旧ですね、これをひとつ早急にやって、早期水稲等に支障のないように特にこの際要望を申し上げたい。もう一つ現地における酪農関係でございますけれども、先般災害対策で御調査いただいた場合は、県の当局酪連関係のほうで集中管理をしたわけでございますけれども、相次ぐ地震によりまして、特に酪農家乳牛導入のためにも施設費を含めて相当たくさんな借り入れをしているわけです。ところが引き続く災害によって、いわゆる住宅でない家畜施設関係等復旧により以上の負担がかかるわけでございますが、このことについては、私はこういう状態から判断しまして、格別の融資なりあるいは支払い延期等なり、そういう特別の措置を御検討いただいてしかるべきじゃないかと思うのですが、これについて特にこの際次官に御見解を承りたいと思います。
  15. 安倍晋太郎

    阿倍政府委員 ただいまの兒玉さんの御質問でございますが、農地復旧等につきましても、今後とも制度資金等の活用をはかって、十分考慮しなければならないと思っております。また、酪農については、いろいろのケースがあると思いますが、それによりまして、具体的にできるだけの方法で検討を進めてみたいと思います。
  16. 稲富稜人

    稲富委員 ただいまの御質問に関連いたしまして一言お尋ねいたします。  今回のえびの地方におきます連発地震の様相というものは、かつての松代におきまする群発地震と、連続的にやってくるという点でよく似ております。松代におきましては、その対策としてやはり総理府対策協議会をおつくりになると同時に、次々に起こりますいろいろな災害に対しては、知事にある程度の権限を持たして処置をとられた。これが非常に効を奏したように承っております。今回のこのえびの地震に対しましても、連発することにおいてはやはりいろいろな対策が次から次へと出てくると思うのでございますので、松代のように協議会は総合的に政府におつくりになったのでございますから、竿頭一歩を進めて、ちょうど地元知事にこれが対策に対する権限をある程度ゆだねられたように、今回もやはり両県の県知事に対してある程度の対策権限政府はゆだねて、そして緊急対策をやるということが必要だと思うのでございます。これに対する政府としての考え方はどういうことになっておりますか、お伺いしたいと思います。
  17. 八木徹雄

    八木政府委員 松代のときに、当委員会の決議に従ってそういう措置がとられたというふうに私たちも承知をいたしております。またそれが実効をあげたことも承知をいたしております。そういう意味連絡協議会設置したことでもございますので、連絡協議会とも十分に打ち合わせをいたしまして、前回のよき例のあることでもございますので、そういうことができるようになるようにおはかりをいたしたい、こう思っております。
  18. 稲富稜人

    稲富委員 この点は特に私、松代の結果から見て、非常に効果的であったので、その点を政府としておとりになるように強く要望いたしまして、私の関連質問を終わります。
  19. 芳賀貢

  20. 小川新一郎

    小川(新)委員 いまお話がありました一連の地震の件について、気象庁にお尋ねします。  大体調査は進んでおると思いますが、えびの地震をはじめとして最近起きておりますが、これらの関係というものは、それぞれ別なものだと思うのですけれども、地震というものはちょくちょく出たほうが大きなやつがこないというふうな話があるのですが、その点は気象庁としてはどういう見解を持っていらっしゃいますか。
  21. 木村耕三

    木村説明員 お答えいたします。  これは純粋な過去の統計でございますが、それによりますと、地震というのは集まって起こりやすいという性質を持っておりますので、一日の日向灘地震が一発あったから、あれでエネルギーがもうなくなってしまって、あとは心配ないとは申せません。むしろ少しまともになってきた。だから被害のほうでいきますと、年間三件くらい出るのが普通であります。ここのところずっと出ておりませんので、まだことしも出る可能性のほうがむしろ大きい、統計的には大きいというふうに考えます。
  22. 小川新一郎

    小川(新)委員 そこで総務長官にお尋ねしておくのですが、えびの地震をはじめ、日向灘、これは西の方面ばかり続発しておるのですが、特にえびの町とか吉松町、こういうところの方々は人心が非常に不安定だと思うのです。そこにまた日向灘地震が起きたということで、何か現地からそういった面で不安なので、国が何らか安定のために施策を講ずる、またはPRする、またはそういうことは安心なんだというような面で、要望等というものが現地市町村または県から国に来ておりますか。
  23. 八木徹雄

    八木政府委員 確かに続発する地震現地方々は不安に思っているに違いないと思うのであります。そういう意味で、的確にひとつ地震の将来について見きわめてほしいという強い要請もあることでございますので、前回も申し上げましたように、今回の専門調査班の中に特に地質を中心に重点的に調査というものをやる、しかもその調査班方々一般方々よりもあとに残って長くやる、しかも現地方々に積極的にお会いして、情報について御報告をしてあげるということの処置をとっておりますが、そういう意味でいまの地質班方々専門的立場に立って調査をし、その調査を積極的に発表しておるということは、かなり好感を持って迎えられておるのではないかと思います。やはりわれわれとしては、現地方々安心感を与えるということが政治の要諦であるわけでございますから、今後ともそういう見地に立って的確なる指導というものはしむけてまいりたい、こう思います。
  24. 小川新一郎

    小川(新)委員 えびの地震でございますが、水道の件でこの間も問題になった点は、国庫の補助、助成の点で非常に問題になったのでございますけれども、現在破壊された水道復旧というものはほとんど全部済んでおるのでしょうか。回復はできておるのでしょうか。
  25. 大和田潔

    大和田説明員 現在におきましては、おおむね復旧は終わっておるという状況でございます。
  26. 小川新一郎

    小川(新)委員 もう一点ですが、この水道復旧のために現地市町村が財政的に非常に困っているということであります。これらの点の復旧にかかって、起債等の問題で受益者負担がかぶさってくるということがこの間ちょっと話に出たのでございますが、こういった地震等の不慮の災害復旧する場合には、やはり災害救助立場からこういうものは国でめんどうを見てあげて、市町村にそれが全部かぶさっていくというようなことはないのでしょうか。
  27. 大和田潔

    大和田説明員 その点は災害救助法との関係ではございませんので、また災害で特別に水道に対する補助金というものがあるかどうかという問題でございますが、特にそれについては水道関係いたしましてはございません。交付税等のほうでもって見ていただくということになろうかと思います。
  28. 小川新一郎

    小川(新)委員 あと参考人にまた質問いたします。     ―――――――――――――
  29. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、昭和四十三年一月以降の豪雪による災害対策について調査を進めます。  最初に、去る三月二十一日の委員懇談会において協議懇談いたしました諸問題につきまして、関係政府当局から説明を聴取いたします。文部省菅野教育施設部長
  30. 菅野誠

    菅野説明員 ただいまお話がありましたような点につきましては、特に今次の豪雪に際しましての法律といたしまして、豪雪に際して地方公共団体が行なう公共施設除雪事業に要する費用補助に関する特別措置法がございますが、当委員会においていろいろの御意見、御提案がございました点につきまして、さっそく事務当局といたしましても過日来、御趣旨に沿いまして、関係省すなわち大蔵省自治省厚生省文部省間で検討を開始しております。  ところで、今次災害豪雪実態に即して問題を明らかにいたしますためには、前回委員会にもお話がありましたサンプル的な調査はいたしたのでございますが、全体的にやはり実態を把握する必要があるということが大蔵省のほうからも話がありまして、取り急ぎ今回の豪雪実態を把握いたしますために、目下教育関係におきましては、各県の教育委員会を通じまして資料の収集を依頼しております。何ぶんにもこれにつきましては県単位というよりは市町村単位のきわめて詳細なこまかな資料を作成していただく関係もありまして、関係者相当の努力を見込みましても、期限につきましてはできるだけ早くしたいということを考えたのでございますが、いろいろ現地状況等意見等もありまして、四月十日を各県教育委員会からの資料提出期限といたしております。したがいまして、問題点につきましては、各省間でいま話はいたしておりますが、本格的に具体的にこれをたとえば政令関係におきましてどうするというようなことにつきましては、この十日以降に資料を整えた上でないと困難だという事情がございますので、この点たいへん申しわけないことだとは思っておるのでございますが、御了承いただきたいと思います。もちろん資料が取りまとまりました暁には、直ちに御趣旨に沿いまして関係省庁と具体的に検討に入りまして、できるだけ早く結論を出すように努力したいと考えております。
  31. 芳賀貢

  32. 原徹

    原説明員 ただいま文部省のほうからお答えがありましたように、私どもこの豪雪除雪費用についての特別措置と、それからそれを受けました政令でございますが、これは三十八年にございました豪雪をもとにしてああいう規模の豪雪がありました場合には、相当数がこれによって補助金が得られるという前提で実は政令をつくったわけでございます。したがいまして、一体今次の豪雪、この間のサンプル調査でございますと、該当するものがないというような話なのでございますけれども、一体どうして該当するものがないのか、実は判断に迷っているわけでございます。そこでさっそくただいまの資料文部省のほうから出ましたならば、できるだけすみやかに結論を出す考えでございます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員長 建設省豊田道路局企画課長
  34. 豊田栄一

    ○豊田説明員 先般の二十一日の委員会お話がございましたのは、私どものほうでは指定路線と除雪機械の関係でございます。この点は私ども去る三月の二十二日に第五次五ヵ年計画が閣議決定されまして、その中で雪寒地域に関する事業量と事業費がきめられておりますので、御案内のようにこれは第四次が五百億でございましたのが、今度第五次で八百十億、したがって、一・六二倍ということで、雪寒事業そのものの事業の量はずいぶん拡大されてまいりました。その中で、いまお話のございます指定問題でございますが、現在四十二年度末での指定延長は三万七千、まるめて申しますと約三万でございます。今度の新しい五ヵ年の規模がきまりましたので、これを大幅に増大いたしまして、現在その増大の作業の検討中でございます。もちろんこの中で、お尋ねの路線を指定いたしまして、除雪機械の補助というものをできるだけ雪寒地域の市町村に普及させようというのが私どものたてまえでございまして、そういう方向で現在数量、それから地区計画に合ったものを見ようという作業中でございます。そういう方向で御趣旨の点については、指定路線以外についてというお話もございましたが、これは私どもの積寒法そのもののたてまえから申しますと、路線を指定して、それに対して補助をするというたてまえになっておりますので、結局、結果的に申しますと、いま申し上げました除雪機械の普及のほうが大事かと思っておりますので、そういう普及の徹底というものを事業の量の拡大によって行ないたい、かように考えて現在処置しておるわけでございます。  以上、簡単でございますが……。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、国鉄の松本施設局長。
  36. 松本文彦

    ○松本説明員 先般の懇談会において御指摘を受けました点は、たしか二点ありましたと思います。  その第一点は、今年度の雪害によりまして、相当長期にわたって不通となりました飯山線並びに会津線につきまして、これの除雪対策をより強化すべきではないかということが第一点でございます。これに対しましては、私ども帰りましていろいろ検討いたしまして、もちろん国鉄全線の除雪能力というものをより向上する、一般の除雪施設をより強化するというわけで、この両線につきましては、特に昨年開発いたしました非常に強力な除雪機械がございますが、これを四十三年度においてこの両線区に配置をしようという面で努力してまいりたいということでございます。  他の一点は、非常に特殊な問題でございますが、会津線のまん中に会津横田という駅がございますが、これは会津線が川口――只見間全線無人であるということが防災上非常に問題があるのじゃないかという御指摘でございまして、これについていろいろ数字を調べたわけでございますが、どうも現在の横田駅の乗客数から判断いたしますというと、いま国鉄の現状におきましては、この程度以上の、現在人員を配置しております駅でも逐次減らしていこうという趨勢にございますので、いま直ちに横田駅にわが国鉄の人を張りつけるということにはちょっとまいらないかと存じますが、ただ会津線につきましては、これは近い将来において上越線とつながって全通いたす時期がございますが、そうなりまするというと、相当列車回数なり、輸送量なりがふえてまいります。そういう時点においてあらためて駅員の配置方を検討したいと考えております。  以上でございます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員長 農林省太田官房参事官
  38. 太田康二

    ○太田説明員 懇談会で問題になりました事項は、農林業の関係の諸措置について、特に消雪関係であったわけでございますが、あの席でも申し上げたのでございますが、天災融資法の発動とか、自作農維持資金の災害ワクの特別設定等の問題につきましては、いずれにいたしましても、融雪時を待っての被害調査の結果を見て、発動の有無を検討するということで御了解を得られたと思うのでございますが、そういった態勢をとってまいりたいと考えております。  それから消雪一般の問題として、あの際申し上げたのでございますが、たとえば、畑とか、田に対しまして、カーボンブラックあるいはわら灰をまくとか、土をまくとかいうものの助成というのは、一般的に消耗資材でもございますので、これを助成するということは非常に困難でございます。ただ、あの際にも申し上げましたが、苗しろをつくる、要するに苗しろをつくることが豪雪によりまして苗しろ準備が著しく支障を来たしておる。そのために特定の地点を選びまして苗しろ施設あるいは他の村に委託して苗しろをつくってもらうというような場合に、従来これを補助の対象にいたした事例がございます。この際は、当然保温折衷用の資材費とか、消雪用の資材費等も助成の対象にいたした例があるわけでございまして、今回こういったことがどのくらい行なわれたか、あるいは要望があるかというような実情調査の上、従来の事例等も勘案いたしまして、対策検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  39. 芳賀貢

  40. 大和田潔

    大和田説明員 先般の懇談会で問題になりました点は、豪雪により孤立部落が生じた場合に、災害救助法の適用はどうなるか、こういうような問題でございます。これにつきましては、豪雪によりまして孤立部落が生じました場合、あるいはそこまでまいりませんでも、人家が倒壊をする、あるいは、倒壊の危険性が非常に大きいといったような場合には、災害救助法の施行令の第一条の規定によりまして、災害救助の適用の対象ということにはなるわけでございます。現にその例といたしましては、三十八年の豪雪に際しましては、十一県にわたりまして災害救助法の適用が行なわれたわけであります。ただ、前回の三十八年の豪雪状況を見ますと、死者が九十名、負傷者が五百九十七名、六百九十名程度の死傷者を生じております。また、住居の損壊あるいは全壊、半壊等を加えまして三千六百余の被害を出しておるというような状態であったわけでございます。なお、今回の豪雪につきましては、新潟県の山古志村におきまして、特に生鮮食料品が足らないので、これを輸送してほしいという要望があったわけでございますが、それ以外につきましては、特にそういったような要望もございませんで、各県からも、自力で救助を行なうというような情勢の判断のもとで、この救助法の要望も出てまいらなかったわけでございます。したがいまして、今回の豪雪は、三十八年の豪雪に比べますと、まだ救助法の適用にまで至らぬものであるというように私どもは考えておるわけでございます。  以上でございます。     ―――――――――――――
  41. 芳賀貢

    芳賀委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。川村継義君。
  42. 川村継義

    ○川村委員 ほかの委員の皆さん方からもいろいろお尋ねがあるようでございますから、私、簡単に、いま御報告をいただきました問題についてお聞きをしておきます。  順序に従ってお聞きをするわけですが、文部省の方のお話で、四月十日に資料をまとめて、それによって検討をしたいということですから、ここでとやかく言っても始まらぬような気がしますけれども、ただ、この前からも、いろいろ委員会でも、理事懇談会でも問題になっておるように、いまの豪雪に際して地方公共団体が行なう公共施設除雪事業に要する費用補助に関する特別措置法、この法律及び政令によっては、ことしのような福島、新潟に見られるようなものすごい雪が降っても、ほとんどこの適用にならぬという実態は明らかです。これを何とかせねばならぬのではないか。そうしますと、もちろん調査も私は決して否定はいたしません。しかし、これまでのデータあるいは今日調べられたところのデータで、私は、ある点の結論が出るのじゃないかと思うのですがね。これはどんなにお調べになっても、何か前進をするめどを持っておらなければ、お調べになっても、この法律がこのままでは、どんなことがあっても、これは適用になりませんよ。ことしは三十八年にまさる大雪だといわれた。そのときでさえも該当しない、ほとんどないということになると、ただ調査をする、調査をするとおっしゃっても、これは住民の立場からしてもやはりちょっと何か釈然としないものがありますし、国会の災害対策委員をつとめておるわれわれとしても何かこう、詰まったものが離れないという気がいたします。  そこで、お尋ねすることは、この法律を、いわゆる政令事項等に基づくやつを――法律には、平年に比較して著しく多額である場合と書いてあるだけだけれども、政令では、大体二倍ときめてある。この二倍というものを手直しをしたいという考えで調査をされるのか、ただ実態を見てみようという調査なのか、その点をきょうはお聞きしておきたいと思う。そして、皆さんが調査なさったあと、どのように進めていただくかは、これはもう見守らなければしょうがないですね。その点をひとつ答えていただきたい。
  43. 菅野誠

    菅野説明員 どうもたびたびおしかりを受けておる点でございますが、先ほども申し上げましたように、いろいろ政府部内での意見の統一をした上でお答えをいたす点までは、やはりいろいろな資料を整え、また検討した上でなければ申し上げられない点があるわけでございますが、いま率直に意見を申し述べよという点のお話もございましたので、率直に申し上げますと、確かに三十八年の豪雪の場合には対象になって、それよりも豪雪だといわれたことしの場合に対象にならないというのが、私自身も多少おかしいのではないかという気を持って調査しておりますので、その点におきましては、できるだけ前向きに調査の結果を生かしていきたいという方向で調査をしているというふうにお答えいたしたいと思います。
  44. 川村継義

    ○川村委員 決してしかったり文句を言うわけじゃありませんが、いまあなたの答弁を県や市町村の住民の皆さん方がお聞きになったら、おそらくむかむかするような気持ちになるんじゃないかと思います。しかし、せっかく先ほど、調査をして四月十日でまとめて何か結論を出したいというお考えのようですから、いまここでいろいろ言ってもどうかと思います。しかし、この委員会で、あるいは理事懇談会で、特に民社の小澤さんあたりは、やはり地元立場からも非常にその点を強く話しておられますし、特に自民党の稻葉委員のごときは、この法律をおれの担当のときにつくったんだが、こういう抜け道があろうとは思わなかった、けしからぬと、たいへん稻葉さんはおこっているわけですね。そういう空気は御存じでしょうから、ひとつ十分前向きに関係省検討して、いい結論が出るように私はお願いをしておきたいと思うのです。  それから、建設省にお尋ねをいたしておきますが、たいへん前向きなお話をお聞きしましたけれども、一点お聞きしますが、おっしゃるとおり、指定路線の問題になると思いますが、指定路線を非常に増大をする、新五ヵ年計画で考えて除雪機械等の補助を考えていくということであります。四十三年度の費用相当増大しておる。この指定路線の増大をお考えくださるときに、その中に市町村道を含めて指定路線の延長、あるいは県道だけに終わるのか、市町村道にも及ぶのか、その辺のところはいかがでございましょう。
  45. 豊田栄一

    ○豊田説明員 お答えいたします。  指定路線は、先生御案内のように、法律に基づきます指定でございますので、その指定路線になったものについて、市町村道については、除雪機械の補助が行なわれることになっております。したがいまして、指定された結果、市町村道については除雪機械の補助が行くということになりますので、ただいま私、先ほどの説明の、指定路線の拡大と申しましたのは、その意味も含めておるのでございます。
  46. 川村継義

    ○川村委員 これはまた特にお願いでありますけれども、今度の新潟、福島等の大雪について、たいへん国道の除雪というのは、あるいは、県道の主要な幹線については非常にうまくいったと私たちは感謝しています。ところが、十分御存じと思いますけれども、われわれが実態を見ても、市町村道になると、まったく雪に埋まって動かない、こういう点が強く目につきました。  そこで、私がとやかく申し上げるわけではありませんけれども、やはり今日の地域住民の経済活動あるいは生活の大きな変化等々を考えると、道路交通というものは欠かせない重要な役目を占めておるから、やはり市町村道ということをなおざりにしてまいりますと、国道あるいは県道、主要幹線だけが動いても、住民の地域におけるところのいろいろの生活あるいは経済的な活動というものが確保されないという結果になると思います。そこで、お話しの点はよくわかりましたから、市町村道についても十分目を向けていただいて、除雪機械の購入等に際して補助を考えていただく。その場合、これは私のことばが当たるかどうかわかりませんが、国道あたりで使用していただいている大型な除雪機械になりますと、市町村道で非常に無理をするのじゃないか。雪をはねのけていきますから、狭い道路がさらに狭くなる。そこで能力のいい少し小型な除雪機械というものをこれから市町村あたりでは備えるということが大切ではないか、こういうような見方をしてきたところです。その点も十分ひとつ御検討おき願い、お力添えを願いたいと思います。  それから国鉄にお尋ねいたしますが、私はこの前もちょっと申し上げましたように、実は会津線のあれを見たが、除雪能力を向上したい。どれくらい四十三年度にその予算を見ていただくことになっておるのか、これはその費用が予算上はっきりいたしておりますか。
  47. 松本文彦

    ○松本説明員 今年度の予算の実行のあり方というものにつきましては、私ども実は部内的にまだ検討いたしておる段階でございますので、今日この席で何千万円、何百万円ということをはっきりは申し上げにくいのでございますが、さいぜん申し上げましたように、高性能の除雪車両が一台と、それからそれに伴う若干のなだれ防止のための地上施設、そういったようなものをあわせて施行してまいりたいというふうに考えております。
  48. 川村継義

    ○川村委員 たいへん抽象的であれなんですが、仙台の鉄道管理局の施設部長さんは、あと一億程度出していただけば、この会津線の住民の皆さん方に御安心いただけるようななだれの防止等々の施設ができるのではないか、こう言っておられる。こういうものをちびちび、ちびちび出していっては、これはいつ災難が起こるかわからぬというような問題もあろうかと思う。そこで早急にそういう除雪施設をしていただくということが大事だと思いますけれども、国鉄にもお家の事情がありましょうから、四十三年度一億支出をしろと言っても、いろいろ施設、作業の関係等もあってそうはいかぬ。しかし、どれくらい出していただくか、いまお聞きすることができませんけれども、こんなのはかりに一億二千万ということにこの後の必要な費用を踏んでみても、それを五年や六年かかって出していくというようなやり方じゃ困るのじゃないかと思います。この点はひとつ十分御検討いただきたいと思うのであります。  それから御承知のとおり、あの会津線の川口から只見に至る中間駅、これを踏み切っていただけないということについては、たいへん不満なんです。あの間は二十八キロか三十キロ近くありますね。二十八キロくらいあり、六つの無人駅がある。私はこの前もこれは申し上げたと思うのです。六つの無人駅がある。そして線が一本しかない。だから雪が降っても除雪能力があがらない。また住民の交通の上でも非常に不便をかこっておる。この線は、あの地域の住民の唯一の交通幹線であります。これは道路よりも鉄道に依存をしておる。なるほど経営上は赤字かもしれません。しかし、赤字だから、採算があがらぬから、たった一つの中間駅をつくったらいいじゃないかというのを否定なさるということは、私にはわからない。国鉄の合理化というものはそんなものですか。国鉄が今日大きな経営上の苦しみがあるということは知っております。しかし、どんどん新幹線はつくっておるではありませんか。どんどん都会地には膨大なる金をつぎ込んでやっておるじゃありませんか。それを私は不都合だとは言いませんよ。不都合だとは言わぬけれども、あの地域のたった一つの駅に数名の駅員を置いて列車の離合ができる、かりに赤字であっても、これはやってやっていいじゃありませんか。人減らしをする、首を切っていく、人員を減らす、それが国鉄の合理化ですか。私はそうではないと思う。国鉄の使命からして、そうあってはならないと思う。あなたは先ほど、あの鉄道がさらに新潟に続く予定であるから、続いたら考えると言われたが、そんななまぬるいことでは許されませんよ。いつ続きますか。また、続いたっていいじゃありませんか。続いたって、私たちが申し上げていることは解消しない。続いたって、あの事態は解消しない。だからして、当然将来続ける、鉄道線を延長して新潟に結ぶ、そのときにつくるという考えがあったら、いま思い切ってつくっておいたらいい。そうでしょう。ただお金のことで、赤字線だからということでこの問題を処理しようとされることは、私たちとしては、現地に行ってまあ一日の調査でありましたけれども、おそらくあの地域に住んでおる皆さん方はたいへん御不満だと思う。いかがですか。
  49. 松本文彦

    ○松本説明員 あるいはさいぜんの私の答弁がことばが足らなかったのかもわかりませんが、私どもといたしましては、先生がただいま御指摘のとおり、会津線が赤字であるということはもう疑う余地のない事実でございます。ただ私どもといたしましては、赤字線だから置くべき人も置かないというようなつもりは決して持っておるわけじゃありません。ただ、国鉄全体の姿勢といたしまして、なるべく少ない人が運転していくようにいたしたいということで申し上げたわけでありますが、具体的な会津線の問題についてでございますが、これは人を置くことによって非常に除雪能力があがるということがありますると、私どももそういうふうに踏み切るということも可能かと思うのでございますが、さいぜんお話し申し上げましたように、結局は除雪の能力をどうやってあげるか、それにはもちろん沿線の方の御協力なり、あるいはいずれにいたしましても人力をいま以上に投入するとか、あるいは除雪の機械をもっとふやすとか、あるいはなだれ防止の施設をするとかということが一番大きな問題になるというふうに私どもは考えておりまして、中間の線路の人をふやすということはもちろん全然無関係とは申し上げませんが、それほど直接な関係はないんじゃなかろうかというふうに考えておりますので、先ほどお話し申し上げたわけでございます。
  50. 川村継義

    ○川村委員 専門家に向かってしろうとがとやかく言うのはどうもおかしくなるけれども、こうなんですよ。この前の雪のとき、一つ例があったでしょう。川口から只見間で、途中で除雪車が脱線をしたのです。これはぶつかったのですよ。脱線して全然動かないでしょう。あとから除雪車を入れようとしても入れられないでしょう。その除雪車を住民の協力を得て、雪をのけてどっこいしょとレールに乗せてもなかなか動かぬ。ようやくこれが動いたのは、作業を始めてから何時間かかりましたか。一台で除雪をして只見まで行ってくる、帰る、こういうことを考えていただきたい。専門家に向かってちょっとあれだけれども、中間駅があって、そこに離合ができることになりますと、一つ行った除雪車が只見に着いて帰ってくる、また新しい除雪車が入っていく。利用できるじゃありませんか。じゃないと、除雪の能力があがらないといっているのです。あなたはさっき、中間駅があってもそんなのは大事なことじゃない、除雪の車を入れればいいと言われたが、車を入れてみても動かぬじゃありませんか。そういう結論になりはしませんか。これはあとでまたほかの先生がお聞きになるかもしれませんが、こういう問題は専門家は専門家らしく御検討いただいて、われわれが納得のいくように御説明いただかなければならぬじゃないかと思います。あとでまた御質問があると思います。  農林省にお伺いいたします。  私たちは向こうへ行きまして、この消雪の問題、特に苗しろの問題を非常に心配して帰ってきたわけです。いま四月ですから、もうあと二週間もすると苗しろ期に入ると思うのですが、どうでしょう、向こうの雪の状態は。たとえば緊急な対策を立てて苗しろをやらなければならぬという事態に追い込まれるでしょうか、あるいはいまの雪解け等の問題からしてそこまでの心配はないというような状況でしょうか。御存じでございましたら、ちょっとお話しいただきたい。
  51. 太田康二

    ○太田説明員 先生のお尋ねの、新潟等におきましては、毎度豪雪時におきましては、先ほども申し上げましたように、市町村あるいは農業者が組織する団体が事業主体となりまして、市町村の区域内に苗しろ用地を借りあげて、除雪をして共同で苗しろを設置する事業、あるいは自分の市町村の区域内で苗しろ用地を確保できない場合は他の市町村にこれを頼みまして設置をする事業、これらの事業は改良普及員等の指導によっていつも行なっておるわけでございまして、本年度も当然そういった事業が行なわれるかと思います。したがいまして、われわれは、これらの事業を取りまとめました上で、先ほども申し上げましたように、従来の例もあるわけでございますから、しかるべき措置検討してまいりたい、かように考えておるのでございます。
  52. 川村継義

    ○川村委員 いまの点はやはり当面しておる農業経営の上で一番大事な問題ではないかと思うのでありますから、あの地帯の農村の皆さん方が、苗しろをとんでもない時期におくらせてしまって、米の生産に大きな打撃を受けないように、ぜひひとつ御尽力を願いたいと思います。  これで終わります。
  53. 芳賀貢

    芳賀委員長 唐橋東君。
  54. 唐橋東

    ○唐橋委員 時間がありませんし、なおこの前いろいろ申し上げた点でありますので、ごく簡単に質問させていただきたいと思います。  第一点は、この前、只見線の除雪問題を取り上げまして、何かもう少し科学的な方法はないのかというような意見を出しましたところ、やはり検討してみるということで、いままだ不通でございますが、その後新しい試みとしてダイナマイトを使って人工なだれをもって最も危険な個所のなだれを先におろしてしまって運行を早めよう、こういうような方法をとられておることに対しては、深い敬意を表したいと思うわけでございます。ただ、その中で一番問題なのは、やはりいま川村委員から申されましたように、中間駅に交差線がない。このことが、私たちしろうとが見てみても、対策に対して、むしろ地元の人たちは非常に苦労しておる点じゃないかと思う。特に、一番最大の難所といわれており、ことしあたりはそういう点で、なだれ防止のいわば半トンネルとでも申しましょうか、あの形の施設を当然していただかなければならないのは、いまも川村委員から申されました横田駅のすぐわきのところが一番危険なわけでございます。これはいわば出先でなければ、ここで申し上げてもどうかと思いますけれども、そういう点を考えますと、やはりあの約三十キロの間に、鉄道がちょうど中間で交差できるこの駅が、いわゆる輸送力の増強あるいはまた災害の場合に、先ほども除雪車が立ち往生をした話がありましたが、こういう場合に、あとから応援に行くのにも交差線がないのです。あれは、私から申し上げるまでもなしに、田子倉発電所の建設路線ということで敷設され、それを強化したにすぎない、こういう特殊事情もございますが、三十キロの間に、ただ一本レールで、交差する場所がないのだという。こんなような特殊事情というものがあっていいのかどうか。これがいま当面緊急に取り上げていただかなければならない問題ではないか、これが第一点でございます。  したがって、いま問題になっておりますのは、第二点としてお伺いしたいのですが、これは地元の民友新聞にこの三月二十八日に出た記事でございます。民友新聞というのは、福島県内にある、民友、民報という二大地方紙でございまして、何も普通のものを特に大きく書くというような性格のものでございません。これにも、「急行に化けた通勤列車、只見線のダイヤ改正」こういうことで、やはりこういうダイヤ改正をせざるを得ない。もう地元関係市町村議会は、あげて、この三月の議会で、このダイヤ改正に対しては、非常に困りますといっている。特にそれ以外の通勤の足がないものですから、学生は夜の七時ごろまでもうストップだ。こういうようなダイヤ改正が出てくるのは、やはりそういう線が、先のほうにガンがあるのではないか。これは川口までの問題でございます。その先がやはり、そういう線だから、横田まで延ばしていけば延ばしていけるのに、いわゆる川口でとまってしまうという、こういう路線の形態が、今度のダイヤ改正でいま地元に非常な問題を起こしている。こういうようなことであると思うときには、やはり只見中線の開通までお待ちくださいということでなしに、ひとつこの問題をもう少し全体の中から検討していただけないものか、こういうようなことで、いま川村委員から質問がありました点をさらにふえんしたようなことでお聞きしたいわけでございます。なお、参考までに、これはお上げしておきますから、ひとつ御検討願いたいと思います。
  55. 松本文彦

    ○松本説明員 お答えいたします。  あるいは私多少勘違いをいたしておった面があるのかもわかりませんが、この中間で行き違いをつくれというお話と駅にしておけというのは、専門的になりますが、必ずしも一致しないことになりまして、この中間で行き違いをつくれ、つくっても別に人間の配置は要らない、いまの国鉄のいろいろな信号の技術ではそうなっておりますから、行き違いをつくれというお話ですけれども、あるいはそういう点でお答えをすべきかとも存ずるのですが、この問題は、さいぜんも申し上げましたように、輸送量の面からいけば、ちょっと全国的には、ありていに申しますと、時期尚早であるといわざるを得ないかと思うのであります。問題は、こういう除雪の車両の運行などもうちょっと円滑にやるというような点でもっと考えがないのかということかと存ずるのでございますが、これにつきましては、これも非常に専門的になりまして恐縮でございますが、現状であそこの閉塞区間の中を二つに割る。これも災害あるいは除雪、そういうふうな非常に特異な場合には何かそういう措置を考えまして、もっと輸送力を向上させるように信号の技術の面で解決していかなければならないというふうなことをいま考えておるようなわけであります。
  56. 唐橋東

    ○唐橋委員 豪雪対策としてのこの路線の問題、あるいは輸送力をふやしていく場合の問題、あるいは地元に最も適したダイヤ改正、いろいろろな観点があると思うわけであります。したがって、私は災害対策の問題として会津線を先回取り上げたのでございますが、と同時に、それだけでは、なるほどいまのような御答弁もあるいはしかるものかとも考えますが、私が申し上げたいのは、そのようないろいろな観点からもう少し検討していったときに、あなたたちは専門家だから私らよりもいろいろな厳密なものをお持ちだという点については了解できますが、常識的に考えてみても、あそこに一つ列車が交換する駅ができる、駅ができれば大体二人か三人の職員、まああの辺の無人駅に近いところは大体二名か三名です。そういうなものです。大体三名の人たちくらいで持っている駅がございます。そういう人たちさえ入れていけば、いまのような問題も相当前進していくのではないか、こんなような考え方を持っておるわけでございまして、総合的な中でもう一応あの路線の輸送力増加並びにいま地元で問題になっておるこの通勤列車の不足ということに対して御検討をいただきたい、こういう要望意見を付して質問しているのでございまして、これらに対してもう一度総合的な検討をお願いしたいわけですが、どうですか。
  57. 松本文彦

    ○松本説明員 ただいまいろいろ拝聴しておりまして、どうも必ずしも輸送の量の数字だけでは相ならないと思います。いろいろ地方的な特殊事情というものがおありのようでございますので、これらにつきまして私ども仙台鉄道局のほうとも十分連絡いたしまして、検討してまいりたいと思います。
  58. 唐橋東

    ○唐橋委員 それでは国鉄関係は一応終わります。  次には、いま豪雪地帯の市町村長が最も頭を痛めている問題、この点をひとつ御解決願いたい、こういう趣旨質問申し上げたいのでございますが、御承知のように、特別交付金がきまりました。それには一応災害的なものも見込んで配分したわけです。ところが実際の経費は特交がきまったあとほんとうの支出が出てきているわけです。それが異常に膨大である。しかし、会計年度は御承知のとおり。だとすると、この埋め合わせがもうできなくなってしまっておる。ですから、もうほんとうに全部赤字決算をいませざるを得ない。これに対しては、それではどのように処置したらいいのだろうか、こういうことになると、いま市町村長の一番頭の痛い問題がこれなのです。これに対するやっていき方がないものか。あったとすれば、これをひとつ明らかにしていただいて速急に手を打っていただきたい。これは大蔵省自治省関係になると思うのですが、ひとつ御答弁をいただきたい。
  59. 横手正

    ○横手説明員 特別交付税の本年度の配分はすでに終わりましたわけでございますが、特交の配分にあたりましては、異常豪雪に対する経費につきましては年度間処分経費というようなことを頭に置きながら配分はいたしております。ただ十分な額、実際の地方団体の決算上必要とする額までに足りない団体も数多く見られるような状況でございますので、年度末近くになりましての所要額といいますか、それにつきましてはいまの段階では何ともいたしかねるわけでございます。ただ現実の地方団体の財政運営といたしましては、必要経費につきまして一時借り入れ金、こうしたものを新年度において取り入れて運営を行なう、こういう措置が可能かと存じます。なお、必要がありますれば、この一時借り入れの措置等につきましては十分県のほうとも連絡をとりまして指導を行なってまいりたい、かように考えます。
  60. 唐橋東

    ○唐橋委員 もう決算をやる場合にも支出しなければなりませんし、財源がないからほとんど一時借り入れでやるのですが、実際、その一時借り入れが短期間のものであれ、結果はこれは財政の赤字になる。それは御承知のわけでしょう。しかも一月から予期しない支出が出ているわけです。新潟県と福島県の境の西会津なんというのは千二百万くらいも出ています。そのわきの山都町というのは赤字が六百万。それはいままでかからないものがことし特に出たということです。特にもう一つの原因は、これは多ければ多いほど除雪車をよけいに動かさなければならぬ。だから幾何級数的にこの支出というのはふえるのです。一メーターの場合と二メーターの場合は倍にしかならないのだ、こういうような機械的なものではなくて、実際雪が降れば降るほど回数がよけいに出る。回数がよけいに出れば経費もよけいかかる。ブルも買い付けてやる。こういうようなことで締め切った後にいまのような数字が出てきて、それで頭を痛くしておるのですね。これに対して、もう年度が終わってしまったので交付税はきまってしまった、もうほんとうに借り入れしかないのだ、こういうことで財政の赤字というものが加算されてきた。それを自治省としてはどう見るのだということ。それに対して借り入れを許したのだから、あとおまえのほうはいいのだろう、こういうような態度でいいのかどうか。たとえばえびの地震市町村がいま急に必要なときには、たとえ交付税が終わった時点でも交付税的なもので見る。それはあなたたち専門家が、交付税がきまってしまったのですから、交付税で出せないならば、何らか予備費的なものから見ていかなければ、借り入れだけでは市町村はなりませんわね。だからこの出し方をあなたたちは、この上に立って財政を正しくさせていくというこのことの中に――当面は借り入れでやっていますよ。それでいいのか、私は悪いと思うのです。だからいまの問題を取り上げているのです。これに対して基本的な対策といいますか、基本的な施策というものがなかったならば、これはやはりある程度時期的に起こってくる。災害の場合起こりますよ。えびの地震もそうでしょう。豪雪地帯もそうでしょう。偶然に出てくるものなのです。それをいまの会計法からいくとなかなか当てはめにくいからといって、借り入れだけにまかせておく、これではいけないのじゃないか、これの対策はどうするのだ、こういうことなんです。
  61. 横手正

    ○横手説明員 先生も御承知のように、年度がもう変わりましたので、四十二年度のあと始末的な意味合いでの援助の措置というものは実は何ともいたし方がない次第でございます。したがいまして、四十三年度の新たな問題として私どもは対処してまいりたい、かように考えるわけでございますが、なお私どものほうでも――おそらく先生のおっしゃられますのは、除雪関係経費の中でも特に道路関係の除雪費と存じます。これにつきましても実は新潟県あたり、実態調査いたしておりますが、かなりの市町村においてはまあ普通交付税と特別交付税で何とかやりくりのできる団体も見られます。また中には、いまお名前をあげられましたような市町村、特に異常豪雪の大きかった市町村につきましては、決算額は確かに普通交付税及び特別交付税での措置以上のものも使っておるようでございます。こうした団体につきましては、そうした市町村の財政状況を見まして、四十三年度において十分な措置を考えてまいりたい、かように存じます。ただ残念なことに四十二年度が終わってしまいましたので、四十二年度の措置として的確な措置をと言われますと、いまのところ何ともいたし方ないわけでございます。その間の資金的ないわゆるつなぎ的な面におきましては、一時借り入れ等の措置による以外には方法がない、かように考えるわけでございます。
  62. 唐橋東

    ○唐橋委員 いまの答弁で大体了承いたします。年度が締まりましたから、そういう実態を早く自治省は行政指導していただきたいという要望一つ。そしてやはり借り入れに対するものはあくまでも借り入れなので、年明けた四十三年度の財政計画の中で処置させていただきたいということを要望します。  もう一点は、指定路線の問題で建設省に、指定路線ではこういう状態になっているということを申し上げて、この打開策を今後検討していただきたい。といいますのは、国道では除雪の指定路線にしますね。その次に府県道を指定路線にする。ですが、国道に対する除雪というのは、国が直接やるのはごく少なくて、県にやらせるわけですね。国道の除雪の指定路線をした、しかしそれはあくまでも国道のほんとうの何分の一かなんです。ですが、その国道は余ったところはしかたがないから県の費用でやる。それからそれが市町村になってきますと、県道の分まで回らないということで、今度は県道については実際の除雪は市町村がやる。だんだん下がって、市町村だけが全部ふくれているわけです。自分の市町村道もやらなければいけない、県道の一部もやらなければいけない、こういう状態が実はあるのです。ですからそれらの点については、いま御答弁は要りませんが、何かこう下にだけそういう費用がかかっている実態等を十分つかんでいただきたい。やはり国道は国が責任を負う、それから県道は県が負うというたてまえをはっきりしていただかなければならないわけです。
  63. 豊田栄一

    ○豊田説明員 ただいまの先生の御指摘、まことにごもっともでございますが、国道と申しましても、現在全部が全部管理を国がやっているわけではございません。これは御案内のように、国道も直轄管理区間とそれから補助区間とに分かれておりますので、補助区間は県が管理するわけでございます。したがって、その区間が除雪対象路線になっておる場合には、これは当然県がやることになっておるわけでございます。そういう点では、下に云々ではなくて、そういうたてまえでございますので、ただ末端にいきます場合に、除雪作業の中でそういう意味でのごたごたというのは現場的な意味では理解できますので、そういう意味のトラブルのないように処置いたしたい、かように考えておりますが、たてまえはさようでございます。御了承願います。
  64. 唐橋東

    ○唐橋委員 あとでなお議論します。  どうもありがとうございました。     ―――――――――――――
  65. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、昭和四十三年二月の異常降雪等による災害対策について調査を進めます。  まず、去る三月二十一日の委員懇談会において協議懇談いたしました諸問題について政府当局から説明を聴取いたしました後、前回委員会において協議決定いたしました参考人全国農業共済協会副会長下山一二君及び全国共済農業協同組合連合会常務理事黒川泰一君から、ビニールハウス等の園芸施設を対象とする共済制度等に関する問題について意見を聴取することといたします。  まず、農林省太田官房参事官
  66. 太田康二

    ○太田説明員 先般、委員懇談会におきまして、二月の異常降雪等による災害対策として九項目の検討が行なわれたわけでございます。お手元にお配りしてございます「二月中下旬の暴風雪による被害について」という資料と参照しつつ御説明を申し上げたいと思います。  まず第一が「天災融資法、激甚法の適用、自創資金の枠の拡大等」、これは二ページの(五)をごらんいただきたいと思います。「天災融資法の適用政令政令第五十二号)並びに激甚法第八条の指定政令政令第五十三号)を三月三十日に公布した」のでございます。その概要は、以下に書いてございますように、融資総額四十五億円、いわゆる三分資金の適用のある県として農業ではどこどこ、林業、漁業それぞれ書いてございます。そういうことによりまして、第一は処置済みでございます。  それから第二番目の「造林木復旧作業の経費助成、再造林の補助等」、これは三ページの(八)と(九)をごらんいただきたいと思います。(八)に書いてございますように、「雪起こし資金の活用を図るため、農林漁業金融公庫の造林資金の保育対象林令」、従来は八年までであったのでありますが、「を緩和し、原則として林令十五年までのものを貸付対象とする。」今回非常にこの御希望が強うございまして、十年生から十五年生のものが非常に倒れておる。したがって、林齢を拡大しろという要望が強かったのでございますが、これによって措置をしたのでございます。(九)でございますが、「雪起こしにより復旧できない被害林の復旧造林」の問題でございます。これにつきましては「今後の精査をまって具体的な復旧計画をたて、必要な助成措置を講ずることを検討する。」林野当局説明によりますと、大体六月中にどのくらい再造林をする必要があるかどうか調べまして、したがいまして造林には補助金がございますから、その補助金を充当する。まあ非常に数量が多くて不足すればまた予備費等の措置も場合によっては具体化を要求するというようなことを林野庁は含めまして、要するに六月中にこの調査をする。大体植えつけは九月ごろを考えておるようでございます。  それから第三が「ビニールハウス施設を対象とする共済制度の問題」でございます。この問題は後ほど参考人の方から御意見をお聞かれになるわけでございますが、先般農林省としては、御承知のとおり、農協が独自で実施する方法もございます、あるいは共済団体が任意の共済事業として実施することも一応省令を改正して可能でございます、ただし現在の段階におきましてビニールのハウスにつきましては規格が非常にまちまちであるということがございますし、しかもビニールハウスで行なわれておる栽培の地域が非常に片寄りがあるというようなことから、全国的な規模における共済制度を仕組むことは現在の段階では技術的に非常に困難でございますということを申し上げておるのでございます。これは後ほど参考人からの御意見もお聞き取りの上、御議論をいただきたいと思うのでございます。  それから次が「天災融資法の対象にビニールハウス等の施設を加え、融資限度額を引上げること及び自創資金の枠、限度額の引上げについて」、これはやり三ページの3に書いてございますが、今回の被害はビニールハウス農家が非常に多かったのでございますので、そこにも書いてございますように「野菜等施設栽培者の貸付限度額二十万円」、これは従来二十万円が限度額であったわけでございますが、これを四十万円まで引き上げました。なお、激甚農家は、さらにこれに十万加算でございますから、五十万まで借りられるということになるわけでございます。  それから自創資金はその隣の(六)に書いてございますように「自作農維持資金の特別枠の設定については、天災融資法の発動が決定したので、資金需要調査のとりまとめをまって所要の手続きを行なう。」なお、この際貸し付け限度額を引き上げるかどうかという点につきましては、いままで自作農維持資金を借りておられる農家が今回また被害を受けたという実態があるかどうか。さらにいままでの融資残高がどのくらいかというような実例も十分調査の上で対処してまいりたい、かように考えております。  それから第五番目が「鉄骨ハウスの新設、再建、復旧に対する特別助成について」ということでございますが、この特別助成という意味補助金でございますれば、実は個人の施設に対する助成は原則としていたしておりませんので、困難でございます。(七)に書いてございますように、一応農林漁業金融公庫の融資対象で解決いたしたい。「温室施設復旧については、必要に応じ、農林漁業金融公庫より主務大臣指定施設災害)資金の貸し付けを行なう。」ということで、金融上の措置は講ずることが可能でございます。  それから第六番目の、「果樹の優良種苗導入を昭和四十三年度も農業改良資金(技術導入資金)の対象とすること及び融資枠の拡大について」という要望でございます。この点につきましては、実は数年前に果樹の優良種苗導入資金を技術導入資金に入れたのでございますが、すでにこの技術が一般的に普遍化したということでございますので、特掲する事業から落としたのでございます。それは四十二年まではあったのですが、四十三年からはこれを落とした。しかしながら、御承知のとおり、農業改良資金は国と県との共同事業でございまして、県がどうしても特認事業としてやりたいということで、従来この優良種苗導入の資金を借りておる農家がいまだに技術を習熟していない、そして今回被害をこうむられたというようなことで、さらにもう一つこの優良種苗導入の技術導入の資金を借りたいという場合で、まだ技術の習熟が終わっていないというような場合には、県知事が農林大臣に申請いたしまして、特認事業としてその道を開くことは可能であるということを申し上げておきます。  それから第七が、「土地基盤整備事業の条件緩和」でございますが、この点はこの前も農地局から申し上げたのでございますが、御承知のとおり、従来の土地改良事業というのは、農地の種別のいかんにかかわらず、その事業規模によりまして、国営、県営、団体営という区分をして国庫補助を行なっておるのでございまして、補助事業の採択基準以下の小視模なものにつきましては、御承知のとおり、三分五厘の資金で非補助事業として取り扱っておるのでございまして、このような補助の体系から見まして、現段階におきまして施設園芸だけを切り離して採択基準を引き下げるということは、実行困難であるということでございます。  それから八番目は、「農業構造の改善事業による施設災害復旧について」ということでございますが、これも先般お答え申し上げたわけでございますが、農業構造改善事業で設置されました施設が共同利用施設でございますれば、御承知のとおり、暫定法で補助の対象になるわけでございます。個人施設の場合には、遺憾ながら補助の対象にはいたしがたいということでございまして、ただこの場合は、実はこれはきわめて具体的なケースがあるのでございまして、延岡市の構造改善事業の問題でございまして、現地と直接私のほうの農政局と話し合いまして、大体うまく片づくのではないかということでございます。  それから最後の九番目でありますが、「サトウキビ苗の助成及びブリックス低下の場合の原料価格確保」の問題でございますが、サトウキビの苗の助成につきましては、共同苗木の助成事業として既定予算に組んでおります資金の中から一部流用いたしまして、助成をすることに大蔵省と話がついております。  それからブリックス低下の問題でございますが、これも御承知のとおり、先般食糧庁長官と園芸局長名で鹿児島知事に通達をいたしまして、指導をお願いいたしたのでございますが、要するに最低生産者価格の趣旨に基づいて両当事者間で取引価格を円満に決定するよう県当局指導通達をいたしたのでございます。そして両当事者間、工場側と農民側とで話し合いがつきまして、十九度未満のものについて五千三百五十円という、農林省がきめました最低生産者価格で取引するよう自主的に調停がされたというふうに報告を聞いておりますので、大体御趣旨が貫かれたというふうに考える次第でございます。  以上でございます。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に、参考人各位から意見を徴するのでありますが、この際、委員長から一言申し上げます。  参考人各位には、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席くださいまして、まことにありがとうございます。  御承知のとおり、本年二月の異常降雪等によるハウス園芸の施設及び作物被害はきわめて激甚であり、ハウス経営者に与えた影響ははなはだ深刻なものがあります。本委員会といたしましては、先般議長の承認を得て現地委員を派遣し、被害の実情をつぶさに調査してまいったのでございますが、被害者の窮状がまことに同情を禁じ得ないものがありましただけに、政府当局をはじめ関係機関の金融面等の措置もさることながら、かかる災害に対処するための共済制度を検討する必要を痛感してまいった次第であります。  以上の観点から、参考人各位におかれましては、忌憚のない御意見をお述べいただければ幸甚に存じます。  なお、はなはだかってながら、時間等の都合もありますので、御意見の開陳はお一人十五分程度にお願いいたし、あと委員各位の質疑にお答えいただきたいと存じます。  それでは、まず下山参考人にお願いいたします。
  68. 下山一二

    ○下山参考人 私、全国農業共済協会副会長の下山でございます。  先日この委員会委員長のお使いが見えまして、去る三月八日の本委員会での各先生方の御発言の速記録を拝見したわけでございますが、各地を視察なさいまして、そうして、農家のビニールハウス経営者の切実なる災害対策についての真剣なる御討議も拝見いたしたわけでございます。  実はこのビニールハウス等に対しても、これを共済制度に何とかならないだろうかということは、現在自民党国会対策委員長をされております長谷川四郎先生が農林水産委員長をなさっていましたときからも一部話がありましたし、また木村先生からも一部話がありまして、私どもも寄り寄り研究をしておったのでありますが、御案内のとおり、家畜共済制度の改正なりまたことし四月から入っております果樹共済保険の改正の問題等もありまして、具体的に検討が深く進められておらないということをおわび申し上げます。  ただ、きょうは、これについてまだ実行はしていないのでございますが、農業共済に対してこれが実行できる可能性があるかどうか、あるいはこれの見通しについて意見を述べるようにということでございますから、私のほうで、いままで考えておりますようなことを御参考までに申し上げたいと思います。  私ども全国農業共済協会では、御案内のとおり、農林省の農業災害補償法に基づいて、末端は農業共済事業として各組合を通じてやっておるのでありますが、本体の仕事は、農事、蚕繭、家畜でございまして、これは必須共済あるいは義務加入――家畜共済は義務加入になっておりまして、法律で強制されております。一定の耕作面積以上を持っておる者は義務加入、もう一つ任意共済という、農家の建物を中心といたしまして、主としてこれは風水害と火災を農家の建物が受けた場合にその災害を補てんするという事業、これは任意共済でやっております。これは農家の建物損壊共済というので、薄い。パンフレットでございますが、全国農業共済協会としてお手元に差し上げておりますものでごらん願えばおわかりと思うのでございますが、まだ四十一年の実績しかわからないわけでありますけれども、これは各農家が建物あるいは納屋等を持っておりまして、それが火災、風水害、雪害等で被害を受けた場合にその損害を支払いするところの保険と、それから風水害とか雪害は抜きにして、火災オンリーの損害に対して支払いをする場合と二つがありまして、前者を第一種共済といっておりまして、県によって火災、風水害、雪害等をまるめて事故としておるのが少ないので、後者の火災のみで損害を受けた場合、これをやっておるケースが多いのでございます。全国的に総括的に四十一年度の末で見ますと、引き受けております共済金額は全国で一兆二千億ほどありまして、その中で前者の火災と風水害と雪害等を事故の対象としておりますのは、約二千億円、残りの火災のみの損害を対象としておるのが約一兆円というような形になっております。四十二年度の末は、この三月末で締め切っていま集計しておりまして、両方合わせて大体一兆五千億ほどになっておるわけでございます。  そういうような関係で、この園芸関係施設園芸のビニールハウスの関係を農業共済で取り入れるということになれば、当面、農作、蚕繭、家畜等とは違いまして、必須共済でなくて任意共済、建物の共済と同じような形でもっていくよりしかたがないんじゃないか、かように考えております。しかし、ちょうどここに稲富先生もおいでになっておりますが、昔、十数年前に、やはり雪害ではございませんが、福岡のなたねの災害に、風水害等各種の災害に対して、雨の害等に対して、政府の再保険の保証がなくて共済をやったことがありました。農林省が勧めてやったのでありますが、相当大きな数千万円の災害が出ました。ところが、農家のこれが政府の再保険につないでなかったので、あと支払いに非常にお困りになったというようなケースもあります。そこで、私どももいろいろほかのことも考えまして、この園芸施設のビニールハウスの損害というものは大きいのだから、そういうような構造改善を中心とした農家のために、こういうようなことに対して何か共済事業をして損害をカバーすることについて協力したいのはやまやまでございます。しかし、これは先生方に申し上げるのはおかしいのでありますが、災害のあったときに、補助金とか見舞い金を出す制度とは違いまして、農業共済という一つのルールに入りまして、平素掛け金を積んで、そうして災害のあった場合には、これだけの被害のあった場合には、何割の損害には何割の、どれくらいの給付額を出すという一つの約束ごとに基づいて、そのルールに基づいてやるということでございまして、その場合に、そういうようなルールが少しこちらが安全を見てやれば、入ってくる施設農家としては希望がないだろうというようなことがあります。それかと言ってルーズになれば、支払いに欠損を生ずるというようなことがございますので、こういうような、異常災害と私たちが言っております普通、通常の災害とは違って、今回の雪害等でもその地帯には珍しい災害ですので、異常災害と私らは言うておりますが、この異常災害の場合にこの事故を保険共済とする場合には、やはり国がどうしてもめんどうを見る、私のほうでは国が再保険するということを言っておりますが、建物の再保険は、これを全共連に去年から三割分だけすることにいたしましたが、ほかの農作、蚕繭、全部国がおしりを見ております。おしり日の丸ということで、国が見ております。したがいまして、今回も園芸施設、こういうようなビニールハウスの関係を共済で取り上げる場合には、国がやはり再保険を、何らかそういう裏づけをする保証がないと、福岡のなたね共済というような苦い例もありまして、そういうようなこともあるのじゃないかと思っております。したがって、やる場合には国がどう考えるかということも念頭に置かなければならないと思っております。  それからいま申し上げたように、どうしても約束ごとでございますから、平素から一定の計算に基づいて掛け金を積む、それからやはり事務をするための事務費が要る、そういうような諸経費をどういう形で取るかということが必要でございまして、国が掛け金の相当部面を農作、蚕繭、家畜では持っておりますが、はたしてこの場合に国がどれくらいの補助金を出せるか、その事務費と並びに純掛け金の料率について国がどのくらい補助金的なものを出せるかどうかというようなことも、一つの前提になると思います。それからこの間、農林経済局長がお答えになっておったようでございましたが、まだ残念ながらこういうような施設に対する雪害なりその他のビニールハウスあるいはガラスのフレームに対する正確な全国的あるいは県別の被害統計が把握できておらないのが実情でございます。推測すれば推測できないこともないのでありますが、特に去年、ことしなどの異常の関係で類推することもおかしいのでありまして、言いかえますれば、被害統計が把握できない。まだしてない。それに基づいてやはり料率等が、純保険料率、純掛け金がきまるわけでございますから、そういうようなものを、いま園芸局なりあるいはビニールハウス協会で調べておられるようであります。農林省でもそうでありますが、まだ私どもには、大体の見積もり等はないことはないのでありますが、これをもって掛け金料率を査定するだけの自信を持つような統計がキャッチされてないということが実情でございます。  それから、こういうような事業をやりましても、そういうような受ける災害をほとんど全部これでカバーするということはできない。農作においても、七、九、六十三で六割三分を全滅の場合補償するというようなことになっておるわけでございますから、どうしてもここに事故保険というものをやらなければならぬ。その場合に、こちらが共済金で支払った残りの不足金といいますか、災害の金は、国の災害融資との関係はどういうふうにするか、それらのこともやはりわれわれ研究しておこうということで、目下研究をしております。  以上申し上げたような一つの点が前提となりまして、それで許されるならば、それらが何か解決がつくならば、われわれのほうとして何かこの共済も農家のためにぜひやりたいというように考えております。この間の局長の御答弁でも、任意共済をやるにつきましては、省令の十七条改正で追加すればこれはできることはすぐできる、法律的の裏づけができるわけでございますが、ただそれを追加して法律の裏づけをしても、さっき申し上げたような一定の料率なりあるいは約束ごとで農家がはたしてついてくるか、保険的に申しますと保険の需要がはたしてあるのかどうか。災害があったときに補助金をもらうとかあるいは多額の融資を受けるのだったら農家は喜ぶけれども、こういう約束で平素から何がしかの掛け金を出して、そうしてやっておる、こういうような共済事業に対して、このルールに対して、被害を受ける農家がはたしてついてくるものかどうかというような、保険需要の面から見てまだ幾分の不安を持っておるわけでございます。私どもはそういうようないま申し上げたようなことを前提として考えた場合には、考えられる共済事業の設計といたしますれば、加入はやはり建物と同じような任意加入、農家の自由加入にしまして、一定の資格を持った人が同意を得て、そうしてこの組合等に加入してくるという任意加入の方式をやはりとっていくよりほかに方法がないだろう。共済の目的は施設園芸の施設、特に農林省とかまたは県の一定の規格に基づいてそうして共済の運用委員会か何かが――仮称でございますが、認めた施設に対して加入を認めるというような方法をとっていったらどうか。そうしてこれはやはり一年一年の計算をやる短期共済で、一年間を共済期間としてやる。一年のものを積み上げる。農家の建物共済も、われわれのほうでやっておりますのは、一年一年の短期共済でやっております。  それからてん補の方法といたしましては、やはり一棟当たり――農家でも、いま農家の住むおもやが一つとかあるいは作業場が一つというように、一棟ずつに分かれておりますから、やはり各一棟一棟で、温室園芸をやりますれば、百五十坪のものを、一棟のものを単位として引き受けをする。  それからてん補の金額につきましては、これはいろいろ考えがあるのでありますが、大体全滅した場合に最高八〇%、いわゆる建築費、特に資材費の八〇%ぐらいを支払う。それからこれは共済では道徳危険、モラルリスクといっておりますが、やはり農家の被害を受けた人も、損害があった場合には自分が損害をこうむるということの道徳危険をなくするために、足切りと申しておりますが、一割程度の少額の損害の場合には少額損害不てん補というような制度をとっておりまして、足切りといって一割か二割程度の少額の損害については支払いをしない。最高八〇%で少額の場合はやらぬ。そうなりますれば、全損を受けた場合に七割ないし八割程度の資材の購入費が支払いできるというようなことを考えております。  それから共済事故といたしましては、気象上の原因として雪害、風害、ひょう及び火災、こういうようなものを考えたらどうかということを考えております。  それから料率につきましては、共済金額でさっき申し上げたように、掛け金料率の関係がまだ被害実態がわかりませんからちょっとむずかしいのでありますが、災害実態に即応する料率にしなければいかぬ。いまの火災関係は、火災オンリーの建物でございますれば、一万円に対して大体二十円前後の掛け金になっておる。これは事務費の一部とそれから純災害率、合わして大体対万二十円、これは営利会社に比べたらずっと安いのでありますが、それから風水害と火災と雪害とを入れたいわゆる第一種共済でありますと、大体掛け金が対万四十円ないし五十円、倍になっております。そこへもってきて、施設の共済では、今度雪害なりひょう害が重要ですが、その被害一般家屋とは違いますから、これを入れますれば、当然また何がしかの掛け金がかさまって、火災の上に雪害、ひょう害でございますから、掛け金がまたそれの二倍ぐらいには当然なるということを覚悟しなければならぬだろうということも考えられます。  それからその場合に農家の負担はどうするかというと、原則としては大部分は農家負担でして、一部分を国が補助する。これは国会の先生方にお願いいたしまして、そういうような農家負担をなるべく軽減するようにできれば、農作、家畜並みに、事務費はもちろんですが、純掛け金の補助あたりを国が出していただければ非常にけっこうだと思います。  それから災害がなかった場合にどうするかということですが、雪害あたりは特に十何年ぶりとか相当長年に一度というような大きな災害、大きいかわりにレアケースでございますから、災害がない場合には一定の制度として無事戻し制度を設けようということも考えております。  それから料率の徴収は、これはやはり掛け金前納で、前に徴収しなければならないというような一つの構想を考えております。  また保険責任と事務費の関係は、さっき申し上げたような関係がございまして、保険責任が、全部災害を受けたものを払うということは、これは道徳危険も起こりますし、いろいろな問題が起こりますので、やはり一定限度の責任、いわゆる通常責任は連合会が持ち、その他の、上は政府が持ってもらうような責任額の持ち方を考えてもらういわゆる再保険的な考えを取り入れてもらったらけっこうだと思います。  それから不足金対策としましては、幸い私どもに農業共済基金がございますから、農家の責任の場合で政府が再保険をしてもらってもまだ組合なり連合会が不足金がある場合には、それを支払うための不足金の融資は農業共済基金でこれを貸し付けることができるというような、これも法律改正が必要でございますが、これをやるということであります。  それから事務費は掛け金の一定限度を付加しますが、純保険料に一定の事務費を付け加えるのでございます。これはやはり政府から何がしかの補助一般共済と同じようにしてもらう。事務は必ずしもわれわれの共済組合ばかりでなくて、場合によっては園芸組合等にも委託することができる、こういうような構想を考えて、わりあいかってなこともございますが、相当この制度はむずかしいのでございまして、先刻申し上げたように、二、三年前から先生からも御注意もあって、研究せよということになっておったのでありますが、研究すればするだけ、なかなかむずかしいし、いろいろな条件を前提としてやらなければいかぬということです。今回お呼び出しを受けて、意見を述べろということでございますが、非常にかってなことでありますけれども、再保険なり、相当程度の事務費なり純保険料を国が助成するということにして、そしてこの制度をやらしていただければ非常に幸いだ。したがって一定の約束ごとでございますから、こんなものができないわけはないのでありまして、そういうような条件がかなえば、また被害統計がもうちょっと集められれば、これは一つのルールに乗せることができるのではないか、かように考えております。全国的に見ましても、ここ一、二年急激に施設園芸の火災が多くなりまして、農家のためにもこの関係は非常に必要だと思っておりますが、いま申し上げましたような隘路が相当ありまして、これらについてひとつ御協力を賜わりたいことをお願い申し上げまして、意見といたします。(拍手)
  69. 芳賀貢

    芳賀委員長 次に黒川参考人にお願いいたします。
  70. 黒川泰一

    ○黒川参考人 私は全国共済農業協同組合連合会、略称全共連と申しておりますが、そこの常務理事をいたしております黒川でございます。  本日の、委員長から意見を述べよとおっしゃる問題につきまして十五分程度だということで、できるだけ要点を述べさしていただきたいと存じます。  その前に、私ども農業協同組合の共済事業は、いろいろ苦難の道をたどって戦後発展してまいったのでありますが、おかげさまで順調に発展をしてまいりました。これひとえに国会の諸先生の御協力、御鞭撻のたまものであるということを常に考えております。高いところでございますが、ここから厚くお礼を申し上げます。  さて、この自然災害による補償措置、いわゆるビニールハウスあるいは温室、そういうものの問題でございますが、すでに御承知のように、そういう種類のものは、最近になりまして、ここ四、五年前あたりから急速に全国的に非常に目ざましく発展して普及してきた、こういうことでございます。その中でいわゆるガラスを使っておるものあるいは硬質性のビニールハウス、こういうハウス類、いわゆる償却資産と考えられるものは、一定の条件を備えたものに限りまして、私どもの農業協同組合組織が行なっております建物更生共済の引き受け対象物件としているわけであります。これは台風、水害、降雪、地震等の自然災害による損害に対しまして一定割合の補償を行なうということを現にやっておるわけでありますが、実はお手元にプリントで簡単な「農協共済に関する参考資料全国共済農業協同組合連合会」というのがありますが、この一ページにございますように、現在私ども農協で共済事業をやっておるその共済事業の種類というものはいろいろ多岐にわたっておるわけでありますが、そのうちのおもなるものは、そこに種類の名称と件数、これはことしの二月末で出しております。そのとおりでございますが、この中でいま申しました自然災害を共済の事項の対象に入れております種類というものは、さっき申しました建物更生共済、ここでは一ページの上の1の「長期共済保有契約高」の中に三つ種類がありますが、三番目に「自然災害担保付建物更生共済」こうなっておりますが、これによって行なっておる、これだけでございます。この建物更生共済の対象となりますものは五年以上の耐用年数を持っておることが一つと、それから時価額が五万円以上でかつ構造の面からいいましても、基礎工事、小屋組み、屋根取び外壁、この四つを兼ね備えたいわゆる建物と称されるものを総称しておるわけでありまして、これには一般家屋のほかに、いま申しましたような木骨とか鉄骨組みの、ガラスによるものあるいは硬質性ビニールのいわゆる温室も対象の中に入っておるわけであります。  それらはまだたいした実績はございませんが、それのハウス類関係のものが実は四ページにⅢとしまして「自然災害担保付建物更生共済に係る温室契約の実態等」と書いてありまして「1、引受関係(1)最近3カ年の引受成績」こういうふうにここに数字が並べてございますが、全体の建物更生の引き受け件数の中からきわめてわずかなものにしか貸しておりません。四百五件、この合計が下に出ておりまするが、ほんのわずかございます。これは四十年度から四十二年度と三年間にわたってのものでございますが、そういうふうに微々たる実績しかまだない。共済金額は四百五件で三億二千万円という契約でありまして、一件当たりの平均が約八十万円、こういうふうになっております。  どういう府県にそういうものがわずかながらでも片寄りを示しておるかということは八ページに出ておりますので、それをごらんを願いたいと思います。ここでは神奈川とか静岡、愛知あるいは岡山、こういうふうなところに比較的多く契約がある、こういうわけでございます。  この建物更生共済というのはどういうものかということを申し上げませんでしたが、一つには火災が起きて罹災した場合、それからその他の自然災害によって損害を受けた場合、それから一定の、長期の契約期間を持っております、最低五年で最長三十年という、ちょうど生命保険と同じような仕組みでありますが、その一定契約した期間の耐存、ここまで何も事故がなくて残る、こういった場合にはその満期額の、いわゆる契約金額は一〇〇%支払う、こういうわけであります。それから中途損害が起きた場合は、火災の場合には損害の一〇〇%を補償いたします。しかしながら風水害等の自然災害の場合には、一昨年までは風水害について契約金額の最高一〇%とこうなっておりましたが、昨年からこれを改めまして二〇%に補償率を引き上げたわけであります。現在ではそういうふうになっております。またその前、地震というものはございませんでした。そこで地震に対しましては、昨年度から全壊の場合には三〇%を補償する。部分損害の場合には二〇%ということでありまするが、そういうふうになっておるわけでありまして、この問題はさっきちょっと触れましたが、風水害で一〇%しか払わなかったものを、昨年から二〇%に引き上げたと申しますことは、これは全く農民がみずからの力で、お互いに共同の力で助け合っていく、ほかから、第三者からの援助を受ける、こういう性質のものじゃございません。自主独立なのが協同組合で、御承知と思いまするが、そういうたてまえを持っておりまするので、そこでこの自然災害に対する補償限度を漸次引き上げていく。最初からこれを一〇〇%なりあるいは五〇%補償するということは、先ほど下山参考人がるる申されたその理由によって明らかなんでありまするが、そういうことは事実できない。そこで私どもみずからの中のいわゆる異常危険準備金というものをできる限り努力して積み立てまして、場合によりますと相当の税金を払いまして、剰余がありますとそれをそこへ繰り入れるというようなこともやってまいりました。できる限り財政的な基礎の充実、こういうことをやりまして、そうして漸次補償率を引き上げていく。理想といたしましては、これを一〇〇%の補償ができるようにいたしたい。いつなるかはなかなか申せませんが、とにかく若干ずつでも上げていきたい、こういうことを現在考えて努力をいたしておる、こういうことでございます。  先ほどちょっと申しましたが、災害がないとき、火災なり自然災害を受けない場合に、満期が来たときに共済金が支払われる。これは満期共済金ということで支払うのでありまして、これの目的は、その建物が年々やはり消耗減損してまいります。それを建てかえをする、あるいは大修理を行なわなければならぬ、その場合の資金を準備させる。いわゆる法人の場合は減価償却積み立て金ということをやっておりますが、個人の場合はそういうことがありませんので、それにかわる一つの性質をここに持たしておる、こういうことでございます。  さらにいま四百五件の温室関係のものについて若干簡単に申し上げまするが、六ページの下段「(2)構造別件数分布」こういうものも出ておりますが、これで見ますると、木骨のガラス室が五〇・八%、鉄骨のガラス室が三九・六、約四〇%、こういうことでございます。一件当たりの面積は、その前に戻りまして恐縮ですが、五ページに面積が出ております。平均はここに出しておりませんが、一件平均二百十七平方メートル、六十五・七坪、こういう程度でございまして、金額も一件平均が大体約八十万円の契約である。これはそのもの自体の時価格に見合うものが一応契約されておる、こういうことがこれによって見ることができるわけでございます。  さらにこの四百五件のいわゆる温室関係の損害割合はどうか。これは七ページに表が(3)として出ておりまするが、二〇%未満の損害しかなかったというものが、これは木造、鉄骨に分けまして平均して四一・三で、これが一番大きいのであります。その次が八〇から一〇〇%の損害を受けたというのが二位で二五・四、第三位は二〇から三九という損害割合が二二・二、こういうふうになっております。  ここで私どもがやっておりますのは、いわば償却のできる資産、園芸用の施設であって、つまり土台があって柱があって壁面があり、屋根がある、こういう建物として法律上あるいは通念上規定されたものが対象になっておりまして、そこからはみ出す部分、足りないもの、たとえば土台がないというものは、これは建物として実はいま除外されておるのでありますが、ところがビニールハウスがどんどん発展してまいりますと、そこに当てはまらないものが出てくる。その他は当てはまっても肝心の土台工事がない、これが非常に発展してきているようであります。そこで、これをどうするかということが、今回の先生方の質問というか、意見を述べろということの中心ではなかろうかと私拝察するわけでございます。とにかく、現在建物更生共済というのは、以上申し上げたような範疇で仕事をやってきておる。  ところで、現在われわれが扱う対象とすることのできないそういうビニールハウスの問題を一体どういうふうにやっていくのか、こういう問題でございます。しかも、これに対する災害はほとんど自然災害に属するものでありまして、いわゆる保険設計あるいは共済設計をわれわれがする場合に、要するにそれらに原則が幾つもございますが、収支相等の原則、そうして一たん加入して契約をして掛け金を払った者はもう請求権が発生するんだ、そういうふうな性質のものである、これは下山参考人が強調された点でありますが、そういうふうにやってまいりますためには種々困難性がある。いろいろ予測のつかぬ問題があるし、また年数がまだ全体として足りませんで、日本にはそういう一つの経験統計というものは事実ないようでございますが、われわれはそういう経験統計というものを基礎にして立てませんと、確実にこれだけ支払えるんだ、したがって、これだけの掛け金を出してもらえばいいという約束ごとができない、そこに非常に困難性が、この自然災害にはつきものでございます。その理由はもうすでに下山さんが申されましたので、あえて私は重複して申し上げることを省略させていただきます。全部あのとおりの事情が働いておるのでございます。  しかしながら、とにかく私どもがいまやっておる建物更生共済というのは、いわゆる不動産として固定した資産である、こういう概念のもとに扱われておる。ところが、一般に非常に広がってまいっておりますビニールハウスというものは、実態を私も正確には存じませんけれども、いろいろ調査したところ、また先生方の御意見をいろいろ伺ってみますと、要するに鉄骨なり木骨なりで一応建物のかっこうをしておる。しかしながら土台までしっかりするということは非常に少ない。つまり土台に相当金をかけるというようなことでは、ことに野菜ものなどでは毎年毎年連続して一カ所で、同じ土壌の上で栽培いたしますと土壌が酸性化するというようなことで、輪作をやる。そこで解体をしてまた次に移る、あるいは短期間だけやってあとは別のものを植える、そういうふうに解体してまたやるということになりますと、従来の私どもの建物という観念に比較いたしますると、これはちょっと動産に類似したような性質を持ってまいります。そこで、現在私どもの持っております規定ではすぐにそれを適用することがむずかしい、こういう点でございます。しかしながら、こういうふうにビニールハウスというものが今後ますます発展していくということは、いまのところ間違いなかろうと考えられるわけであります。  そこで、それに対して農民側の事情が切実になって相当にこれがまとまるんだ、こういうことがはっきりしてまいりますれば、これはすでにそういうことが起こっておると思いますが、私どもの組織でその点をまだそういう意味ではっきりとつかんではおりませんので、今後そういう需要予測――どういう地帯にどの程度どういう構造のものが普及しておるのか、それらがこういう共済事業に一体参加するかどうか、そういう点もつかんでいきたい。いろいろな要素、調査すべき要点があるわけでありまして、それに基づいてどういうふうな共済の仕組みをここで設計するか、そういう検討をしなければならない。これにつきましては私どもの農協のいわゆる系統組織がございますから、その組織と十分相談する、組織と相談するということは結局農民と十分相談することになるわけでありますが、さらに監督官庁である農林省とも協議いたしまして、大いに前向きの姿勢でこの問題に取り組んでひとつ検討を進めていきたい、かように考えております。  現在のビニールハウスの問題については、共済だけで問題が片づくかどうか、あるいは共済をやる場合にしても、あれに使われておる資材そのものが不適当なために損害を大きくしているといういろいろな点が見られるわけでありまして、そういうことは私ども系統農協、ことに全購連あたりがそういう施設園芸の資材三カ年計画といったようなものを立てまして、施設資材取り扱い対策というものを実は打ち出してまいっておりますが、総合的に農協の力でそういう点の改善にも尽くさなければならない、こういうふうに思っております。  そこで、先生方が御視察なさって、農民から直接これを全額すぐ補償のできる道を開くようにということを訴えられたと推察するわけでありますが、そのことにずばりと、私どもはそれはそのとおりいたしますというお答えのいまできないことをはなはだ遺憾に存ずるわけでございますが、ひとつこれを、私どもの事業、組織というものは農民自身のものでございますから、農民に対して一そう役立つものというふうにいたしたい、そういう積極的な気持ちを持って今後努力いたしたいと思いますので、諸先生の御後援をお願いいたしたいと存じます。  以上、一応申し上げました。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて政府当局説明及び参考人からの意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  72. 芳賀貢

    芳賀委員長 委員各位に申し上げますが、本日は時間もだいぶ経過いたし、参考人もたいへんお待たせしておりますので、参考人に対する質疑を先にお一人十分程度を目途としてお願いいたしたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水野清君。
  73. 水野清

    ○水野委員 私から、下山、黒川両参考人とそれから農林省の太田参事官に、これは伺うというわけでもないのですが、ちょっと私の考え方を申し上げますので、あとで御批判をいただきたいと思います。  いま御両人のお話を伺いまして、ちょっと要点を私はメモしてみたのでございますが、第一に任意共済をやる以外はないという、これは私はけっこうだと思う。農林省の施設園芸の指導方針というものをあわせて考えて、漸進主義をとっていただくということ以外にはないと思うのであります。  それからもう一つ、建物共済と区別せざるを得ない、これも当然だと思う。建築物ではないのでありまして、新しい農業の一つの形としてあらわれてきたわけでありますから、たとえば土台がないとか、耐用年数の問題も長くて二、三年あります。ですから建物共済と一緒に考えられるということがむしろ無理なんです。この間の政府当局の御答弁も建物共済の規格に当てはまらぬというお話でありました。それは当然なことであります。その辺はむしろ逆に考えていただいて、新しい農業の分野としてこれを取り上げていただかなければならないということをまず申し上げたいと思います。  それから、実はこれは私、農林省の統計その他から見たのでございますが、大体ハウス農業というのは全国ほとんどやっているわけであります。東京とか特別なところを除きましては、相当な――昭和四十年においても全国で四千三百町歩余りの面積になっております。戸数にして約十万戸を数えているわけです。四十年から四十二年の間に急激に普及しておるわけでありますから、むしろこの統計などは当てはまらないというような規格だと思う。その後、農林省の各施設からいろいろな数字を調べていただいたのでありますが、どこにもいわゆる経済価値として、生産物の数字として出ていないというところに、私に農林省もやや施設園芸に対するお考えがまだきまっていないように思いますので、この点は太田参事官にもう少し、施設園芸に対してどのぐらいの施設が行なわれていて、生産金額はどのぐらいかという、いわゆる経済価値の比重の問題をよく取り上げていただきたいと思う。そういう概論的なことは別としまして、共済をおやりになるのに、この全国の四十年の統計を見ますと、施設園芸で非常に進んだ県とおくれた県があるわけです。そこで進んだ県からだけでも取り上げる方法がないか。それは現在蔬菜の生産と流通体制が大体出荷組合というものを中心にできている。東京の青果市場と出荷組合が結びついて、その中で生産と消費の結びつきができているわけです。流通対策というものが問題にもなっておりますので、出荷組合を主体とした何か共済制度というものが考えられないか。出荷組合に入っている人に対してかけさせる、あるいはその出荷組合に対する青果会社にも保険料を三分の一なりなんなり払わせるという制度ができないか。同時に、今度は一定面積と一定戸数、要するにハウス農業、施設農業をやっている農家の数あるいは面積、そういったものの一定数をこえたものについて、県を通じて、いわゆる保険料の国の負担分を、補助制度を与えて県にも義務負担を与えるというようなことができないかどうか。国が一千万、保険料のある。パーセンテージを払ってやれば、県も一千万払いなさい、合わせて二千万出して、その残りを農民の自己負担にしたらどうか。こういうふうにすれば、現在農林省の蔬菜園芸の生産指導方針というのは大体団地指定をやっておられるわけですから、その団地というものの生産体制にもマッチしてくるんではないかと私は思うわけであります。この点において、もう一度農林当局や農業共済の団体のほうで御検討をいただけないかというふうに思います。私は保険のしろうとでありますので、そういうことが法制上むずかしいかどうかということはわかりませんが、実情はそういうことだと思いますので、お願いをしたいわけであります。  それから規格の問題をこの間、これは経済局長か何かお話がありましたけれども、規格もいま千差万別あるわけでありますが、ある規格以上のものからでも救い上げていただくということができるわけであります。土台がないのはもちろんでありますけれども、鉄骨を使うもの以上とか――もちろん硬質ガラスや硬質樹脂、こういったものは現在建物共済でやっておられる。それ以外の中間にあるもの、ある一定基準のものを対象にして考え直していただく、そうすれば、逆に生産の施設がその基準にはまってくるんではないかと思うのであります。それを規格がばらばらだからだめだというふうに排除されるような姿勢でなくて、ある規格以上を逆に救い上げていこうというような考え方をしていただきたい。  それから実施のための調査というのは、過去においてどこか特定地域でおやりになったことがあるのかどうかということもあわせて、これは後ほどお話をいただければ伺いたいわけであります。  御承知のように、自然災害が主だといまおっしゃいましたが、自然災害でありますから、どうしても当委員会のごやっかいになることが非常に多いわけであります。結局補助制度というものにかかってくるわけでありまして、共済の掛け金の補助をある定率にしておいて、自然災害の場合だけさっき申し上げたように県に補助金を出す。県も義務負担をそれにつけていくというふうにやれば、比較的安心して施設園芸が営める。そうすればさらにもっと施設園芸が伸びる可能性は非常にあるわけであります。先ほどお話があった土台がない云々よりも、これは水田裏作とか畑作のいわゆる裏作の冬の間の日本の農業でありまして、農村の人口問題についてもこれは非常に役に立っているわけでありますから、そういう考え方をひとつとって、もう一度御検討いただけないかと思う次第でございます。
  74. 内村良英

    ○内村説明員 ただいまの先生の御意見につきまして、とりあえず私が感じたところを述べさせていただきます。  まず先ほど黒川参考人が言われましたいわゆる土台工事がないビニールハウス、黒川さんのお話によりますと、動産類似的なもの、こういうものを共済の対象にしていくことになりますと、やはりこれは先生のおっしゃるように、建物共済とは別なものとして考えていくべきではないか、私もそう思います。  それから全国に非常に広がっている、これはそのとおりだと思いますが、私どもが持っております統計によりますと、現在のところでは高知、静岡、愛知、大阪、徳島、千葉の六府県全体で約五六%を占めております。そこで保険の場合には、なるべく危険が広く分散されたほうが健全なる保険経理ができるという問題がございますので、その辺のところは保険の技術といいますか、保険数理の点から考えてみるべき問題がなおあるのじゃないか。ただこれは非常に急速に広がっておりますので、この統計だけで判断していいかという点には、もちろん先生の御指摘のような問題がたくさんあろうと思います。  それから施設園芸の比重をどう考えるかという問題につきましては、園芸局長が見えておりますので、園芸局長のほうから御答弁申し上げさせていただきたいと思います。  それから、進んだ県から取り上げたらどうか。これも一つ考え方でございまして、非常に進んだ県、危険分散がある程度できる県では、任意共済として取り上げるというのは一つ考え方じゃないか。  それから出荷組合と共済制度を結びつけて考えたらどうか。これもなかなかすぐれた考え方だと思いますが、ただ出荷組合と共済組合というものは、おそらく従来ほとんど関係がないというようなこともございまして、いろいろ事務的に検討すべき問題がそこにあるのじゃないか。  それから規格をある一定以上のものからまず始めたらどうか。規格についてはさまざまなものがあるから、まずある一定の規格から始めたらどうか。これも一つ考え方ではございますが、私ビニールハウスの専門家じゃございませんので、その場合いかなる基準のものをまず基礎とするかというような点については、技術的に検討すべき問題があるのじゃないかという感じがいたします。  それから調査をやったことがあるかという御質問でございますが、私どもが承知しているところでは、いままで調査をしたケースはございません。
  75. 黒河内修

    ○黒河内(修)政府委員 ただいまお尋ねの施設園芸につきましての現状、これは先生も御承知のように、この数年間のうちに急激にふえてまいりましたので、統計のほうも実は必ずしも明確ではございませんけれども、最近の趨勢を申し上げます。ただこの中にはいろいろな形態がございまして、たとえば苗を育てるためにビニールをおおったようないわゆる育苗用の被覆施設というようなものもありますし、それから栽培用のフレームみたいなものもありますし、それからトンネルでこうやっているものとかいろいろありまして、一がいに申せませんけれども、今度の特に問題になっておりますハウス、いわゆるハウスとして野菜なり花卉なり、あるいは一部ブドウなんかの果樹ですね、ああいうものについての設置の実面積を申しますと、これは私ども大体府県からとっておるものでございまして、ちょうど三十九年の七月から四十年の六月の一年間の面積を見ますと、約四千三百万平方メートルというようなことになっております。それを、たとえば三十一年ぐらいと比較をいたしますと、三十一年が五百七十万平方メートルくらいですから、約七倍なり八倍にふえております。そういう急激な伸びをしております。これはいまいろいろと御議論になっているものでございます。それからあと、いわゆるガラス室というようなもの、むしろ温室に額したようなもの、これは同じく三十九年の七月から四十年の六月、これを見ますと約五百二十万平方メートル、それで三十一年が約百六十万平方メートルですからやはり三倍か四倍程度にふえている。こういうように、統計の数字は県報告でございまして必ずしもあれですが、一応全国集計のもので比較しますと、この四、五年間に非常な伸びをしているということであります。ただ、その形態は先ほど申しましたようにいろいろございますので、その辺が一がいに言えないということと、それからハウスから出た収穫高ですが、これは残念ながらいま私どもも的確な数字を持っておりません。  それからハウスの場合は、先ほどもちょっと参考人からお話がありましたように、特に野菜なんかについては、いや地現象ですね、連作しますと収穫が落ちるということがございます。たとえば水田の裏作でつくって一年で転々するという場合もありますし、二、三年つくれるものもございますし、その辺の経営形態もいろいろ複雑多岐でございます。それからブドウなんかも、たとえば岡山の温室ブドウ等については、あれは場合によれば土台もあってきちっとしたものもありますし、それで普通の一般のハウスは大体土台がなくてというようなことで、いろいろその辺の形態の違いはあるということでございます。
  76. 下山一二

    ○下山参考人 別にあれですが、先生御案内のように、千葉県は一部建物共済で引き受けておるのです。非常に危険を感じておりますから、いまおっしゃったように別にやらなければいかぬと思います。  それから、どっか生産会社とか県等から補助の一部を、というような御意見が出ましたが、これは私は非常にいいのじゃないかと思います。というのは、農業保険でやるときに、昔、蚕繭共済がスタートしたときに、蚕糸業者みんなに掛け金の一部を負担させたことが数年間あったのです。そういうような例もあります。ただ、いま内村参事官がおっしゃったように、生産会社とこちらとコネをどういうふうにつけていくかというような技術的な問題はあると思いますが、ヒントとしては私は、そういう生産会社が出荷して、その一部をこれに充てるというようなことは、蚕繭共済で蚕糸業者に掛け金の一部を負担させたという例がありますから、それで非常におもしろいのじゃないかということを感じたわけです。
  77. 水野清

    ○水野委員 園芸局長に伺いたいのですが、農林省が蔬菜の――大体施設園芸は蔬菜と見ていいわけです、果樹もありますけれども、これを集団化しようという指導をとっておられる。ですから、私は逆にこの保険を一種の援護射撃としておやりになることを、せっかくの生産体制においてもう画竜点睛を欠いているわけですから、点を入れるという意味でおやりになっていただきたい。そういう前向きの姿勢が農林省にないということを申し上げているわけです。それをひとつよく考えてもらいたい。  ほかの委員の方の御質問もあると思いますけれども、かつて蚕繭関係で生産会社から保険料をとるということがあったというならば、いま下山参考人お話にあったように、生産会社というか青果会社自体も、その出荷体制、いわゆる商品の生産体制というものがこの保険によって確保されるわけですから、私は決してマイナス面がないと思う。金は出すのでしょうが、マイナス面はない。青果会社も出し得る可能性がある。まして農林省のいうことを非常によく聞く会社でありますから、青果会社のほうもしりを引っぱたいてやる。これは大蔵省がいることですが、農林省自身も大蔵省と御相談の上に適宜その補助金を乗っけていただく。自然災害に際してだけ乗っけていただくということができるのではないか。それに県当局にも義務負担を負わせるということで、三者がそれに乗っていただけば、農民の自己負担も軽くなりますし、その可能性が出てくる。ただし、その場合保険業務としては非常にむずかしいと思うのですが、やはり面積の広い生産高の高い県からそれを漸次実施していただくというような方法があるのじゃないかと思います。これはここで御答弁をいただいてもしようがないものですから、御検討をいただきたい。  私の質問を終わります。
  78. 芳賀貢

  79. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、これは非常に簡単に質問申し上げますので、簡潔に御答弁をお願いしたいと思いますが、この施設園芸に対する共済というものは関係農民が非常に要望しておるわけです。いま水野さんも指摘されたのですが、何か農林省の施策というものは農民のあとを追っかけておる、安心をして農民が作業のできるような条件をつくってやる、こういうふうな気持ちというものが非常に少ないのじゃないかということを指摘をせざるを得ないわけです。今日このビニールハウス園芸がこんなに成長したということは、社会的な必要、そしてまた農民の農業としての防衛的な考え方、この二つが作用してこれほど成長しておるのですから、こういう成長に対して、やはり今度は施設を共済制度の中に組み入れるということを、今日の段階ではちゆちょすべき時期ではないのじゃないか、こういうように思うわけです。しかし、いま参考人の方やあるいは農林省の方もるる述べられたのですが、私はこれを前進させる意味において、水野さんも言われたような点と同じような意見ですが、たとえば地区を指定して――全体の五六%を五県か六県かでやっているわけですから、この五県か六県かの中で地区を指定をして、それで施設を共済に加入さしてやるということはどうか。今年度あたり何らかそれだけの経費というものは農林省の中で捻出の道もあろうと思うのですが、農林省あるいは全国共済連合会等が共同して、ひとつ地区を指定をして調査をするというお考えはないのかどうかということを、まず第一点として承りておきたいと思います。
  80. 内村良英

    ○内村説明員 ただいま先生から、農業の現実はどんどん進んでいるのに、農政はおくれているんじゃないかというようなお話がございましたが、その辺私、事務屋といたしまして、ちょっとお答えいたしかねます。  まず最初地区を指定してやったらどうかというお話でございますが、この点につきましては、両参考人がるる申し述べられましたように、補助金を出すということならば別でございますが、共済なり保険ということになりますと、保険のルールといいますか、下山さんの言われた約束事というものがございますので、まず料率をきめなければならぬ。残念ながらまだただいまのところ料率を形成できるだけの資料がない。そこで漸進的にするとすれば、まず料率を作定するための調査を行なわなければならないわけでございます。こういう調査を行なうことについては今年度実は農林省の予算に任意共済の料率を作定するための予算を組んではございません。ございませんが、何らかの形である程度の予備調査――本格的な調査ということになりますと相当な経費がかかりますので、何らかの形の予備調査というようなものをやることを検討してみたい、こういうふうに思っております。
  81. 井上泉

    井上(泉)委員 たまたま主産地であります高知県でも、県議会ではこの共済の施設をぜひとも――制度の確立に関する意見書というものを議決をしておるのですから、そういう地域が任意共済をやるにしても、農林省とそしてまたその関係地域とが共同して調査をし、予備調査でも、あるいは本格的な調査に入る事前の段階として予備調査でもけっこうですが、ぜひともそういうふうな調査だけでも早急に進めていただきたい。これは今年度はいま四千三百万平方メートルといいますけれども、四十三年度になりますと、おそらくこの五割以上はふえておると思うのです。そういう点でなお一そう前向きで調査をして進めていただきたいと思います。  それからいまの豪雪による被害についての報告の中で、三項で、野菜等の施設栽培等の貸し付け限度額あるいは温室施設復旧等について必要に応じ、というのは、これはハウス園芸のハウス施設あるいはハウスの農作物、これに適用されるのかどうか、この点についてお答えを賜わりたいと思います。
  82. 太田康二

    ○太田説明員 先生お専ねのビニールハウスの天災融資の問題でございますが、大体三年以内で償却するようなものにつきましては、大体天災融資法の経営資金で見ていくということになっておるわけでございまして、それ以上のものにつきましては農林漁業金融公庫なり農業近代化資金で見る、こういう内訳にいたしておるのでございます。
  83. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、そういう、ふうな条項に当てはまった場合には適用される、こういうわけですか。
  84. 太田康二

    ○太田説明員 適用することにいたしたのでございまして、先ほども申し上げましたように、従来貸し付け限度額が二十万円であったものを今回特別な措置として四十万円まで引き上げたのでございます。
  85. 井上泉

    井上(泉)委員 それでは参考人の方にも御意見を承りたいのですが、こういう施設園芸だけを対象にした関係府県が共済組合をつくるとか、高知県がつくる、あるいは千葉県がつくる、徳島がつくるというふうに各県単位に共済組合をつくって、そして連合会組織をつくる、あるいは全国の共済協会に加盟をするとかいうように、任意共済制度を各県単位につくるということについてはどういうふうなお考えを持っておられるのか、承っておきたいと思います。
  86. 下山一二

    ○下山参考人 この前の会長会議でも、徳島県と高知県に相当強い要望がございましたが、さっき申し上げましたように、相当まとまらなければこれはできぬ。まだそのまとまりの見当がついておらぬので、われわれもそのままにしたわけでございますが、やはりやるということになれば、さっき申し上げましたように事前に農林省で省令を直して、それから始めるということにならぬと、これは進まないということになっておるわけでございます。(井上(泉)委員「任意の場合は」と呼ぶ)任意でも省令の十七条を変えていかぬと、そしてそれを追加してやらぬと能力がないわけです。
  87. 黒川泰一

    ○黒川参考人 いま先生の御意見、私のほうからもちょっと簡単に意見を述べさしていただきたいと思いますが、後段でおっしゃった施設の非常に普及した県だけがそれぞれ任意的にやれないものかどうかということ。農協のは全部任意でございますから、農協の場合も当てはまるのですが、ただこういう災害は、その地帯に来る場合には――来ないときは全然来ないのですが、来た場合にそこを全部してしまうということになると大体まいってしまう。どうしてもこれをやっておる県がたくさんになってきて、それが量が多い、地域的に分散しておる、それをまとめていかないとやはり設計ができないわけです。支払いがなかなかできない、能力ができない。そういうことで私のほうは実は全農協のあれとして昨年の十一月に農協の全国大会で、今後の農協のあり方として基本構想というものを決議しまして、そしていわゆる営農団地を中心に造成しながらそれに付属するいろいろな問題を解決する中に、非常に重要な事項として共済制度をどういうふうに裏づけていくか、こういう問題も入っておりまして、私どもは、やはり裏づけがないとだめだ、前向きの生産ばかりやっても、いま言ったように不慮の災害が来たら一ぺんにおじゃんになる、この救済施設がついていかなければだめだという考えで積極的に取り組むようになっております。  なお、ついででございますが、私ども建物共済をやっておりますが、全体の契約金の中でのほんの取るに足らないものでございますが、事故率はその他の家屋と比較しまして損害率が九倍だ。これはわずかな数だから大きな損害率が出るというのも一応考えられますので、まだこれを基礎にどうこうということは私ども考えられない。一点ちょっと先ほど私申し上げましたように、規格そのものを一いま事故の状態を私のほうで調べますと、規格内の鉄骨なり鉄のパイプを使ったものが被害が大きい、被害をよけい受けておる、こういう事実も出ております。ですからこういう点もひとつ指導しまして、やはりしっかりしたものを使わせる。これもひとつ共済とうらはらの関係で考えていかなければなならない、また共済もしやすくなるのではないかというふうにも考えるので、ちょっとつけ加えさせていただきます。
  88. 内村良英

    ○内村説明員 ただいまの省令の点でございますが、現在農業災害補償法の第八十四条の第三項に「農業共済組合は、任意共済にあっては、第一項第一号の農作物以外の農作物、農産物、建物、農機具その他命令で定める物について生じた損害又は家畜の輸送中に生じた損害について、組合員に対して共済金を交付するものとする。」という任意共済の規定がございます。そこで、それに基づきまして農業災害補償法施行規則第十七条に「法第八十四条第三項の命令で定める物とは、畳、建具その他家具類及び豚」ただしこれは種豚は除くわけでございますが、「とする。」こうなっておるわけであります。そこにビニールハウスを加えればビニールハウスの共済事業を共済組合及び共済組合連合会が行なうということになるわけでございまして、その点につきましての省令改正はこれを行なう準備がございます。
  89. 井上泉

    井上(泉)委員 たとえば高知県なら高知県、徳島県なら徳島県、千葉県がやるとしても、そういう省令が改正してないとなかなかやれない。ひとつそういう省令を早急に改正するようにお願いしたいと思います。
  90. 内村良英

    ○内村説明員 承知いたしました。
  91. 芳賀貢

  92. 稲富稜人

    稲富委員 時間がありませんので、政府に対する質問は次の機会にすることにいたしまして、両参考人に主としてお尋ねしたいと思います。  まず、ビニールハウスをもって共済の対象にするかどうか、共済の事業をやるかということになりますと、いま農業共済とそれから共済農業と二つの団体のいずれがやるかということが大きな問題になってくる。この両方の団体がやるということになりますと、ちょうどかつて建物共済で私も組合長で実は非常に苦労しました。それで二つの団体が同じ事業をやるということになりますと、非常に将来困った問題が出てくる。相手は同じ農民であります。それでどちらの団体がやるかということが必要な問題じゃないかと私は思う。そういう点から申し上げますと、やはり任意共済としてやるとしても、従来の形等から申し上げますと、失礼かわかりませんが、私の端的な考え方では、やはり農業共済がやったほうが――従来の建物共済をやられている共済農業は固定した建物であるし、そういう点から農業共済がやられたほうが大体筋道なのじゃないか、こう私は思うわけでございます。これに対して、いろいろな団体の関係もありましょうが、率直に承ることができるならば、ひとつ参考に承りたいと思うのでございます。
  93. 下山一二

    ○下山参考人 この前の去る三十八年のあの農災法の改正のときに、稲富先生のいま御指摘になりました農協と共済との建物共済の質問の問題でずいぶん議論が出まして、そのときに協約ができまして、将来任意共済でも政府の再保険につながるようなものは全部農業共済がやるということの申し合わせと、それから協約になっております。それから、その後の農林省の再保険審査会の席上でも、私はそのときの議長にそれを質問しましたら、やはり政府の再共済につながるものは農業共済がやることは間違いないということを松岡局長のときに言明がありますから、これから今度できるものがどういう形になるかまだわかりませんが、相当国等が補助も出し、それから再共済につながるという制度ができれば、先生の御指摘のように農業共済がやるのではないか、私はそう思っておるわけであります。
  94. 黒川泰一

    ○黒川参考人 稲富先生は二人並べてそういう御質問をなさるので非常にあれでございますが、稲富先生の御意見は、時間がございませんのでいろいろな理由をおっしゃらなかったと思います。ただ私どもとしましては、国が相当な助成をして強制的にやっていくのだ、こういうことでございますと、これは先生のおっしゃったような方向に行ってもいいのじゃないか。農協はもう全く自由独立でやっていこうとやっていますから。そうしますと、この施設園芸は大体資材に及ぼす損害なんです。下の中に入っている農作物の損害をいまどうするかということは問題外になっていますから、それならば別でございますが、そういう資材でございますので、やはり資材を扱うのは農協が現実に扱っております。全購連も非常な力を投入してやっております。しかもそれを改良していく、そういうことでございますので、それとあわせて共済がくっつくというものでないと不便ではないか、こういうふうに考えております。
  95. 稲富稜人

    稲富委員 この点、私たちが一番苦労しますことは、二つの団体が同じ対象に競合することは非常に困るのです。あるいは、もしも二つやるとするならば、温室であるとかそういう永久施設のものは農業共済協会でやられる。しかしながら、ビニールハウス式の移動性のもので、短期間の問題はあるいは共済農業がやるとか、何かそこに区別するとして、問題は政府の問題であります。ただ問題は、二つの団体が同じ仕事をやらない、これだけは基本的にやることが必要じゃないかということを、特に私は建物共済で自分で非常に苦しい体験をいたしましたので、ビニールハウスを共済事業でやるとすれば一つにすべきである、こういうことを私は考えております。これは政府の問題でございますから、いずれ機会を見て政府に対してこの問題を要望したいと思うのでございます。  さらに任意共済の問題でございます。それは、やられるとすれば、任意共済としておやりになるという、これはさっき太田参事官からも意見があっておりますが、任意共済の困難性ということは、私は実は体験をいたしております。さっき下山さんからも話がありましたように、私はかつて福岡県の農業共済の会長をしておりまして、そしてなたねの共済を試験的にやらされて、二十八年の災害でさんざんいじめられまして、まだそれが尾を引いておるという状態であります。それで、任意共済でおやりになるとするならば、何としましてもこれに対する責任体制というものは十分政府で持ってもらわなければ、任意共済としての共済事業はなかなか困難でございます。  それで、その点から私は特に下山さんにお尋ねしたいと思いますことは、もしも農業共済で、このビニールハウスを共済の対象として将来おやりになるということになりますと、先刻からもお話がありましたように、あるいは政府が再保険の裏づけをするとか、これに対する十分の助成をするとか、こういうようなものがあらなければ、自信を持っておやりになることは困難であろうと私は思う。単に任意共済でやるのだということでは、私にはこの衝に当たる自信はございません。ほんとうに任意共済でやるというならば、政府がどういう態度をとったならば自信を持ってやれるか、また農民が喜んでこれに加入し得るような形がどうすれば裏づけられるか、この点を下山さんからひとつ具体的に承りたいと思うのです。
  96. 下山一二

    ○下山参考人 非常にあれでございますが、先刻申し上げしたように、やはりこれは再保険と申しますか、一定の額を超過した損害についてはうしろだてを国が持ってもらうということが前提にならないと、なかなかできないと思います。ただ長年にそう連続する災害でございませんから、ひょう害とか風害はあるのですが、雪害のごときは先生御存じのとおり何十年目に一ぺんというようなことでございますから、これは料率の関係では相当特別異常として割り振りできますが、いずれにしても政府の再保険というものが前提にならぬとなかなか任意としてはできない。もちろんほかの農作物、蚕繭、家畜も国の助成が多額にありますから、こういうものは、先刻水野先生からもお話があったように、相当の事務費なり、それから事務費、掛け金の国庫助成がないと、これは私らではできないのではないか、こういうふうに思っております。
  97. 稲富稜人

    稲富委員 最後に、これは政府に聞かぬはずでありましたが、太田参事官がいらっしゃいますから……。  それで、政府にお尋ねしたいと思いますことは、ビニールハウスを共済制度の対象にしてやるということになれば、いま共済事業を行なう二つの団体がありますが、この二つの団体のある中に、検討の上、いずれか一方にやらせるという意思表示をしてもらう、これをひとつ考えてやってもらわぬと、将来非常に混乱におちいるおそれがあると思いますので、これに対する政府考え方をまずもっていただきたいということが一つ。  さらに、任意共済としてこれを実施するということになりますと、私自分で苦い経験があるからあえて言うわけなんで、いま下山参考人が言われましたように、任意共済に再保険なりあるいはその他の国が責任を持ってこれをなし得るようなことを考えなければ、これを任意共済でやらせることは非常に困難性があると思うのでありますが、これに対する政府の心がまえさえ承れば、私はそれでようございます。その心がまえを承りたいと思います。
  98. 内村良英

    ○内村説明員 第一の御質問は非常に重要な問題であることは私どももよくわかるところでございます。したがいまして、この問題は先生の御趣旨をよく大臣なり政務次官にお伝えしまして、農林省としてもこの問題は真剣に考えていかなければならぬと思っております。  それから第二に、はたして任意共済でやれるかやれないかという問題、これは下山さんからは無理であるという御意見がございました。それから、先生からは昭和二十七、八年の福岡のなたねの経験のお話がございました。ただ、私ども事務を扱っておるものから申し上げますと、あの福岡のなたね共済は、非常に悪い時期にぶつかって、被害がたまたま重なった、それから料率等についてももう少し検討すべき点があったのじゃないかということが、いまから考えますと反省される問題があるわけでございます。それから、非常にビニールハウスが普及いたしまして、保険のプールが大きくなる――これは保険のことばでございますが、なれば、あるいは任意共済でもやれるのじゃないかという感じがいたしまして、その点についてはなお検討すべき問題がある。ここで再保険がなければ無理だというふうに断定するのは、ちょっとまだ早いのじゃないかという感じがいたします。
  99. 稲富稜人

    稲富委員 いまの後段の問題ですが、やはりビニールハウスというものは、換金農産物をつくりたいという農民の意欲の上から、将来ますます発展するだろうと思います。これをやはり共済対象にするということは、私は非常に時宜を得たものである、当然であると思います。ただ、これに対しては、将来それを検討してもらうこととしても、任意共済というのは非常に困難性があるので、この困難性を排除し得るような何らかの方法を政府は考えてやって、これが実施に当たる、こういう親心を政府は持ってやっていただきたい。かつて、それは時期的に悪かったかもしれないけれども、私たちが体験しましたようなこういう体験を、今後ほかの人にやらしたくないと思いますから、私はその点を特に要望いたしまして、今後、そういう点も考えて、ひとつこれが実施にあたっては検討していただきたい。そしてこれが共済対象として取り扱われることを要望しながら、そういうことを申し上げたいと思うのであります。
  100. 内村良英

    ○内村説明員 先生の福岡のなたねの問題の御苦労は、私ども非常によく承知しております。私どももあの問題では非常に苦しんだわけでございますので、任意共済が非常にむずかしいということは、私どもよくわかっております。したがいまして、この問題を進めるにあたっても、そうした経験を十分生かしながら、十分なる施策をとるべきである、こう思っております。
  101. 芳賀貢

    芳賀委員長 井上普方君。
  102. 井上普方

    井上(普)委員 私は共済問題等につきましてしろうとでございます。ですが、しろうとなりに、実は私どもの地元におきまして非常な被害をこうむりましたので、二、三、ひとつお伺いしたいと思いますが、先ほど下山さんのほうからも、また黒川さんからも、正確なる被害調査がでていない、こういうお話でございました。しかし、農林省のほうは、被害は野菜三十四億円でビニールハウスの全壊または一部破壊が約三十億円と出ておるわけであります。私どもの知っております限りにおきましては、実はビニールハウスの全壊いたしました場合に、あるいは一部破損いたしましても、あの雪で、しかも電線が切れて停電するというようなことでございましたので、ほとんど農作物もいたんでしまった、私どもはこう理解いたしておるのでございます。少なくとも八割は農作物についてもいたんだのではないか、このように思いますと、どうもこれは農林省の数字と違ってまいるわけでございます。そこで、先ほど来も特に稲富先生は御専門で言われておるのでございますが、統計事務所が各県にありながら、どういうわけでこれは正確なる統計ができていないのか、まずこれを農林省のほうにお伺いいたしたいのと同時に、施設にいたしましても、府県によって、ビニールハウスの一反歩――一反歩といいましても百五十坪ないし百八十坪が単位になっておるようでございますが、それにかかる費用が少ないところで三十万円、私どものほうのところで大体四十万円から五十万円程度かかっておるわけであります。しかも鉄骨にいたしましても、実は継ぎ目がいたむ。としますと、もうそれは再使用できないというような状況に相なるのであります。鉄骨がゆがんでしまったら直したらいいじゃないかという話がありますけれども、技術的に鉄骨を直すことができないらしい。としますと、ほとんど一部被害でも、もう継ぎ月がいたんでおる場合にはだめになってしまう。そうしますと、先ほどの資料によりますと、ハウスの全壊、一部被害が三十億円という数字が、私はどうも、たとえば一つのハウスを三十万円といたしましても、これは一万のハウスしかいたんでないということに相なると思うのです。先ほども水野さんから指摘せられましたように、四十年には四万三千町歩、おそらくこれの十倍近い数字に現在なっておるのじゃなかろうかと思うのでございますが、この数字が、統計事務所としては、どうも私はしろうとなりに考えましても、少な過ぎるのじゃないかという気がいたすのでございますが、これは農林省にお伺いいたしたいのでございます。  第二点といたしまして、私、実はちょっと下山さんと黒川さんの肩書きを見ますと、全国共済協会というのと全国共済農業協同組合連合会と二つあるのでございます。これは一体どう違うのか、実はいまもふしぎに思いまして、稲富さん、どうしたんですかと言いましたら、いや、二つあるのだというお話なんで、こういう全国組織をつくる以上、しかも共済保険をつくる以上は、二つを一本化したほうが農民のためになるのじゃないかと思うのでございますが、一本化される御意思があるか、あるいはまた、それをされるにはどういう方法をやればいいか。先ほど来稲富さんもおっしゃっておられましたように、政府助成というものも必要でございましょう。それには、国におきましてどういう点をやってくれればわれわれは統合できるのだという条件を、お二方からひとつお示し願いたいのでございます。  それからいろいろとビニールハウスの設計上の問題等々がございましたけれども、これは先ほど来質問がございましたので私は省かしていただきまして、次に農林省に特にお伺いいたしたいのでございますが、果樹の被害につきましては、一応数字がここに四十五億と出ておるのでございますが、実際果樹の被害は、ミカンとかナツカン、温州あるいは梅というようなのが非常に出ておりまして、特に芳賀委員長が御視察になって、果樹の被害の甚大さに実は一驚をしたようでございます。ところが、ここに、農林省の対策といたしまして三ページの八番目に、農林漁業金融公庫の造林資金につきましては、保育対象樹齢の八年までを緩和して、これを十五年にいたしております。しかし、果樹につきましてはやはり延長しておるのでございますか。当然私はすべきだと思いますが、この点やられておるかどうか、ひとつお伺いいたしたいと同時に、モモ、クリ三年、カキ八年と言っておるようでございますけれども、ミカンとかあるいは梅とかいうようなたぐいのものは、先般も川村先生が御指摘になりましたように、大体ミカンがなるのに六年から八年くらいかかるようでございます。この間、特に川村先生から、大蔵省と農林省との間で果樹の被害についての免税の三年をもう少し長くするよう検討しろという御要求があったのでございますが、その結果どういうような措置をおとりになったのかお伺いいたしたいのでございます。  以上はなはだしろうとの質問で、あるいは御迷惑するかもしれませんけれども、率直にひとつお考え方お話し願いたいと思います。
  103. 下山一二

    ○下山参考人 お答えいたします。  これは先生の御意見、私も同じような感じがするのですけれども、競合しておりまして、実際手紙でも、電報でも参ってきております。だから、先生方がこの問題を御不審に考えられるようなことがあったようですが、これは法律的には農業災害補償法というのでできておりまして、その事業の裏づけは、再保険はさっき私が申しましたように政府がやっております。私どもの全国農業共済協会というのは、職員の待遇改善とか退職給付金とか、それから法律改正のための国会のいろいろな政治活動のようなものとか、普及宣伝とか、そういった事業をやるために、全国的に連合会が会員となった社団法人でございます。それから、全共連のほうは、農協法に基づいて中央で事業をやっております。したがって、これは性質上なかなか一本にはできない。農協法と災害補償法とは違いますからね。いま何回も言われたように、任意にやられて、政府補助金はありませんから、自分らで自由に生命保険とか火災保険やそういうようなものをやっておるというようなことでございまして、稲富先生が御指摘になったような建物とかいろいろな問題では相克摩擦を起こして、困ったことがあるのでございますが、いまからどうも、それを一本にしようにもなかなかできぬというような立場になっております。私はむしろ、個人的に申しますと、生命保険でも火災保険でも、何も一本にしないで、あるいは両団体に二つあれば、アメリカなど外国でもやっておるように、もっと自由にやらして、そして安く農家にサービスしたほうがかえっていいのではないかという個人的な考えを持っております。  いま二つの団体が分野を一応国会の先生に分けてもらいまして、そして一応たてまえにおいては長期は農協でやる、短期は共済ということで、先生御指摘のように非常に問題がございましたが、ようやく現在落ちついてきて、私らがとった短期の火災の三期くらいを全共連で再保険をして、コネをつけておるというような形になっておるわけでございます。いまこれを一本にしたらどうかという御意見があっても、なかなかそれでいいんじゃないかということは申し上げられない立場になっております。
  104. 黒川泰一

    ○黒川参考人 下山さんからお話がありましたけれども、先生方がそういう御意見を持たれるのは当然かと思います。いま下山さんから話されましたように、法律で全然性質の違った団体なんですね。もともとは、昭和二十二年の十一月に農業協同組合法ができて、そのほうはいわゆる協同組合はすべて任意ですから、一種の共済事業、農業上の災害に関する共済というものが法律に入っておったわけです。それが一応基盤になって、今日のわれわれの協同組合の共済が発展してきた。それから、下山さんのほうの農業災害補償法は、同じく昭和二十二年の十二月にできまして、これはその当時はいわゆる任意共済というものはなくて、大体私の記憶するところでは、国が保証をする、いわゆる再保険をする、国が責任を負う。これはもう本来国営でやるべきものだが、当時はアメリカの支配下にありましたから、これは割り切り、とにかく国が予算から金を出す、国費を出す団体は団体ではっきりすべし、これは強制である、任意にやるのは何か、農民がお互いに自由意思でやるやつは農協だ、こういう割り切り方で出発したのですが、その後昭和二十四年に農業災害補償法の一部修正が、その当時の議員さんの手であったわけです。任意共済ができる、こういうことになりまして以来、その中に建物が入りまして、両方がやれるというかっこうで、えらい二十年近い争いで、これは困ったものであったわけです。しかし四、五年前に一応国会の先生方なりあるいは一これは主として自民党がいろいろあっせんされまして、そして両者協調していこうじゃないかというので、いまは仲よくやっておるわけです。いま下山さんの言ったように、短期共済が一応三割は全共連に再保険で来ておる、こういうかっこうには実はなっておるのですが、本来一本になったらどうか。これはその性質上、最初に戻りまして、私が考えれば、災害補償という農業上の災害補償――自然災害ですから、これはどうしたって国が最後の補償を持たんければ事実上できないのですから、これはそのものずばり国営保険でやったらいい。それで任意でやるのは農民自身の発意でやらせる、これが一番割り切ったもので、もう何らそこに両者の紛争も起きないだろう。そういう線をはっきりさせたらいいじゃないか。これは私のいまのここでの考えですが、まあそういう意思決定は、組織的に討論しませんと、ほんとうのところはまだ申し上げられませんから、あらかじめ御了承を願います。
  105. 太田康二

    ○太田説明員 まず第一点の統計調査部の野菜の被害額の三十四億円は少ないのじゃないかというお話でございましたが、こまかい統計の技術の問題は、私は十分お答えできないのですが、統計調査部の今回の被害調査によりますと、キュウリから始まりましてピーマンまで十八品目その他ということで、被害面積は全部で一万八千九百ヘクタール、そのうち御承知のとおり天災融資法の対象になりますのは三割以上の被害でございますから、三割以上の被害面積をとりまして、それに被害量を出しまして、それから市場価格等から逆算した農家庭先価格を出して、被害金額を出しておるわけでございます。それが正確には三十三億七千八百万、約三十四億と申しておるのでございまして、まあ県報告等に比べて少なかったか多かったかという議論があるわけでございますが、いままで統計調査部の数字が一番権威のあるものとして使われてきておるのでございまして、今回の場合もそういったことで、この三十四億というものを基礎にいろいろな施策が講ぜられた、そういうことでございます。  それから施設関係の三十億がまた少ないのじゃないかという御指摘でございますが、実は統計調査部は、施設被害関係調査をいたしておらないのでございまして、ビニールハウスの全壊または一部破損の被害報告の三十億円というのは、県報告の数字をそのまま用いた数字でございますので、そういうことで御理解をいただきたいのでございます。  それから先きほど、材木につましては、今回非常にやられたものは十年生から十五年生のものが多い。これは雪起こしをやればまたうまくもとに戻るというようなことがございまして、現在の造林資金のうちの保育対象林齢を八年であったものを十五年まで引き上げてもらいたいという要望が非常に強かったわけですが、これはそのとおり実施をいたしたのでございます。  それから果樹でございますが、果樹の場合は、原則としておそらく雪起こし等によって対処できるものはないのではないかと考えるわけでございまして、これにつきましては、改植等の場合は、御承知のとおり、農林漁業金融公庫の中に果樹植栽資金がございます。これによりますと、償還期限が据え置き期間十年を含めまして二十五年以内ということに相なっておりまして、果樹によりまして、あるいは短いものは据え置き期間五年、長いものは八年、それぞれものに応じて据え置き期間等もきめられておりますので、今回特に果樹の雪起こし資金のために何か先生のおっしゃった林齢と申しますか、それを延ばすというような必要はないのじゃないか、かように考える次第でございます。
  106. 井上普方

    井上(普)委員 ただいま下山さんと黒川さんにまことに失礼な申しようであったかもしれませんが、過去のいきさつからいたしまして、初めてお伺いしたわけでございます。何を申しましても、いまの農家は非常に経営規模が小さくて、いかに農業を振興し、かつまた農家が自立できるような体制に持っていかなければならぬというのが民族の要請ではないか、私はそのように考えるわけでございます。それはいろいろとその間に法律上の行き違いもあり、あるいはまた二つの団体ができておれば感情的な対立もないではなかったろうとはお察しいたしますけれども、農民のためにいかにすればいいかということを考えるならば、統一をして、おそらく農林省におきましても、再保険をするということになりましたならば、一つの団体ということにしたほうが行政上やりやすいのじゃないかと考えられるわけでございます。そういう意味合いから申しますと、どっちが古い、どっちが本筋であるとかいうような気持ちも私は全然持っておりませんし、その知識はございません。しかし、いま建物保険も三割以上片一方のほうには出してあるんだというようなお話でございますが、農家、農民をいかにして自立させ、かつまたそれに対して国が積極的な行政上のあるいは財政的な再保険あるいは援助を与えるということでありますならば、私らもやりたいと思います。そのためには、私はしろうとなりに、過去の行きがかりを捨てて一つにしていただいたほうが、行政当局もやりやすいし、われわれ国会議員といたしまして審議する場合もやりやすいということをひとつお考えになっていただいて、過去のいきさつがどんなものか知りませんけれども、どうか仲よく農民のためにやっていただきたい。特にいまハウス園芸農業が非常に全国的にも及んでおります。かつまた、私どものところにおきましては、大体大阪の市場の八割までを占めておる。高知県なんかもこれまた東京市場にどんどん来ている。二割や三割は押えておる。ここがいたんだがために、東京の生鮮野菜類の値上がりはすざましいものがあります。大阪でもそのとおりです。消費者段階から考えましても、何とかしてこいつを防ぐと同時に、それがまた農民の負担にならないようにするためには、どういたしましても国の再保険をかけてやるという援助が必要でないかと思いますので、私個人の意見ではございますけれども、仲よくやっていただいて、国が財政援助ができるような体制に持っていっていただきたいことを両参考人に切にお願いする次第でございます。  先ほど農林省のほうから御報告がございましたけれども、一万八千九百町歩の野菜類がいたんで三十四億の被害というのは、私どうも数字が違いはせぬかという気がいたすのでございます。と言いますのは、これでいきますと、被害が一町歩当たり二万円、反当たり二千円になりますね。そうしますと、どうも数字が違ってくるように思うのでございますが、いかがでございますか。
  107. 太田康二

    ○太田説明員 私が先ほど申し上げましたように、被害面積は一万八千九百ヘクタールでございますが、そのうちの三割以上の被害が対象になるわけでございます。
  108. 井上普方

    井上(普)委員 それはどれくらいあります。
  109. 太田康二

    ○太田説明員 千六百十ヘクタールです。一割以下ですね。その被害量が四万七千四百トン、それを金額に換算しますと、三十三億七千八百万円ということであります。
  110. 井上普方

    井上(普)委員 私もビニールの実態を中に入って聞いておりますと、一反当たり二万円で――一割といたしますとわずかに二万円ぐらいの被害で済むのだろうかという気がするのです。どうでございましょう、ビニールハウス栽培一反当たりの収穫量というのは一体どれくらいにお考えになっているのですか、普通に成熟した場合。
  111. 千野知長

    ○千野説明員 お答えいたします。  中につくる野菜の種類によってもかなり相違がございまして、水揚げというのは大体平均して六十万円、それからいろいろ農協の選果施設、箱代、運賃等を差し引かれますので、手取りは大体二十万円以内になるのじゃないかと思います。
  112. 井上普方

    井上(普)委員 水揚げが六十万円で、肥料代とか差し引かれて二十万円というのは、私はこれはちょっと筋が違ってくるのじゃなかろうかと思います。水揚げが六十万円としますと、四十万円はともかく農協の肥料代であるとか、あるいはまた、ビニール施設を借りた金におそらく還元しているのじゃないかと思うのです。そういたしますと、ビニールハウスの全壊による被害が三十億円というのとでは、だいぶん数字が違ってきます。たとえ手取り反当たり二十万円にいたしましても、これは水揚げの場合でございますけれども、いまキュウリが最盛期でございますが、これが水揚げ二十万円でございますが、ともかくその一割しか被害を見ていない。生長過程にあるところをどのくらいに見たか、これはまた見方があるだろうと思います。これは統計をとる上での技術上の問題だろうとは思いますけれども、二十万円にいたしましても、野菜の被害総額が三十四億というような数字は出てこないのじゃないかと私は思うのですが、どうでございますか。
  113. 太田康二

    ○太田説明員 私、専門でありませんので、どうも十分説明できないので、いずれ統計調査部の被害の専門官を先生のところへ差し向けまして、よく御説明申し上げたいと思いますが、ものによって、たとえばキュウリの場合だと、キュウリの三割以上の被害面積が二百二十二ヘクタール、その被害量が一万四千五百トン、その被害額が十二億五千四百万円、それぞれものによって当然違うわけでございます。  それで、その価格をどう算定したかということにつきましては、先ほどもちょっと申し上げたのですが、今回の場合には施設野菜が中心でございましたので、市場価格等から逆に農家の庭先価格を推定して、先ほど申し上げた被害量にその推定した庭先価格を掛けて一応被害額というものをつくっておるのでございます。これはいままで全部こういうルールでやっておるわけでございまして、正式には、私のほうの統計調査部の専門の人間を先生のところに派遣いたしまして、御説明して御納得をいただきたいと思います。
  114. 井上普方

    井上(普)委員 どうも私は数字の上で、六十万円水揚げがある、そのうちでというお話でございますが、そのうちで農協に支払っておる肥料といいましても、私はせいぜい七、八万の程度であると思います。礫耕栽培でありましたならばもっといくかもしれません。礫耕栽培でありましたら、あるいは水揚げがおそらく百二、三十万上がるでしょう。しかし、今度の場合のように、ビニールハウスというようなことになりますと、これは水揚げも六十万ぐらい上がったけれども、農協に払う肥料代は七、八万円で済むはずです。としますと、他はほとんど農協のビニールの施設にかかっておるのが実情じゃないかと思います。そうしますと、全度の場合、ビニールがいたんだ、一部破損したといいますけれども、一部破損によってほとんどその一棟の中の農作物は全滅しておるのが実態じゃないかと思います。といいますのは、ビニールをかぶせるというのは、温度を防ぐためなんですよ。それが一部でも破れれば、冷たい空気が入ってくるのです。冷たい空気が入ってくれば、促成野菜でございますから、全部しなびてしまって、だめになるというのが実態じゃございませんか。そういたしますと、被害面積は、それはピーマンとかあるいはナスビとか、そういうようなものは、いまつくりつつあるのは、小さい苗でございましょう。しかし、それにいたしましても、これは苗代だけの被害しか出ないのじゃないですか。そういう場合には、キュウリだけでももっと私はあるように思うのです。どうも、あなた方の統計のとり方が少し間違っているのではないか。農民にこの数字を示して、農民がはたして納得するかどうかといいますと、私は納得しないと思います。私は技術屋ではございませんけれども、この点もう一度ひとつ、資料を、私個人じゃなしに、この委員会に御配付いただきたい。どういうような方法で統計を集めておるか、特にビニール栽培の場合。みんなにひとつ統計資料のとり方をお示し願いたいということをお願いいたしたいと思います。  最後に、先般川村先生から果樹等の免税措置について御質問がありまして、そのとき、大蔵省と農林省とで御協議するという御答弁があったのでございますが、いまだに私は聞いておりませんので、お示し願いたいと思います。果樹の枝割れとか、そういうような被害が出た場合に、いままでは大蔵省は、免税は三年しかとってない。しかし果樹は御承知のように六年なり八年なりかかるから、免税をひとつ考えるべきではないかということを、農林省、大蔵省に申したのでございますが、そのとき、農林省と大蔵当局とはよく協議いたしますと、こういうお話でございます。その結果、まだ御報告を承っておらぬのでございますが、ひとつお示し願いたいと思います。
  115. 大塚俊二

    ○大塚説明員 実は農林省のほうから、私どもまだその話は全然伺っておりません。現在の三年の免税措置とおっしゃいますのは、被害資産の繰り越し控除の話だと思いますが、これは、現行法では三年になっております。立法で解決する問題になりますので、これを解決するといたしますれば、これは大蔵省の主税局のほうのことになります。私国税庁でございますので、直接その関係に携わっておりませんが、私どもにはまだ農林省のほうから話は伺っておりません。
  116. 井上普方

    井上(普)委員 どうも農林省当局、この前、川村先生にあれだけ約束しておきながら、また大蔵省も約束しておきながら、怠慢ではないか、このように思うわけでありまして、早急にこの点を解決すると同時に、先ほど来申しますように、日本の農業は大きな危機に来ています。これを救うには農家の被害を少なくするかということを考えなければ、後継者も出てこないのではないかと私は憂えるものでございます。私、感想を申し上げて申しわけないのでございますが、先日もビニールハウスでビニール栽培をやっておる家へ参りました。そういたしますと、集まったところで、おとうさんのいわく、実はむすこを県立の農業高等学校に行かしておる。それで後継者としておるのだ、ところがこのたびの被害によって、おやじさんも百姓というもの、農業というものが成り立たないものなのだ、いまは農業高等学校に行っているけれども、将来私はもうやめた、どこかサラリーマンあるいはまた工場労働者として行きたいというような意見すら出てきておるのでございます。日本の農業の将来を考えますと、どういたしましても、後継者を養成しなければならぬというためにも、この際国が大いなる援助をしなければならないという気が私は強くいたしたものでございます。こういう点をお考え願いまして、農林省当局においても、あるいは大蔵省当局においても、適切なる災害に対する措置をとられることを心からお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  117. 芳賀貢

    芳賀委員長 政府に申しますが、井上委員から要求のあった資料の提出、並びに先般の委員会で保留になった果樹被害に対する免税措置の点については、次回の委員会までに政府内の意見を調整して、明らかにしていただきたいと思います。よろしいですか。だれか代表して……
  118. 太田康二

    ○太田説明員 できる限り御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。
  119. 芳賀貢

    芳賀委員長 それでは、政府当局並びに参考人に対する質疑は、この程度にとどめます。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会