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1968-03-08 第58回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月八日(金曜日)     午後一時三十分開議  出席委員    委員長 芳賀  貢君    理事 井原 岸高君 理事 池田 清志君    理事 稻葉  修君 理事 湊  徹郎君    理事 川村 継義君 理事 神田 大作君       小澤 太郎君    塩谷 一夫君       中川 一郎君    橋口  隆君      三ツ林弥太郎君    水野  清君       渡辺  肇君    井上  泉君       井上 普方君    唐橋  東君       兒玉 末男君    斉藤 正男君       平等 文成君    福岡 義登君       村山 喜一君    森  義視君       折小野良一君    小川新一郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 西村 直己君         建 設 大 臣 保利  茂君  出席政府委員         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         厚生省社会局長 今村  譲君         農林政務次官  安倍晋太郎君         農林省農林経済         局長      大和田啓気君         農林省農政局長 森本  修君         農林省園芸局長 黒河内 修君         林野庁長官   片山 正英君         気象庁長官   柴田 淑次君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 三橋 信一君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    上田 伯雄君         警察庁警備局公         安第一課長   勝田 俊男君         防衛庁防衛局第         一課長     今泉 正隆君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      緒方 雅彦君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         大蔵省銀行局特         別金融課長   小宮  保君         国税庁直税部審         理課長     大塚 俊二君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         厚生省環境衛生         局環境衛生課長 赤穴  博君         厚生省環境衛生         局水道課長   大橋 文雄君         厚生省社会局施         設課長     大和田 潔君         農林大臣官房参         事官      太田 康二君         農林省農地局参         事官      佐々木四郎君         農林省園芸局園         芸課長     千野 知長君         食糧庁業務第二         部長      荒勝  巌君         林野庁指導部長 木村 晴吉君         林野庁指導部造         林保護課長   大塚 武行君         中小企業庁計画         部長      井土 武久君         気象庁予報部主         任予報官    加藤 茂数君         気象庁観測部地         震課長     木村 耕三君         建設省河川局防         災課長     坂井 秀正君         建設省住宅局市         街地建築課長  上野  洋君         自治省財政局財         政課長     首藤  堯君         消防庁調査官  永瀬  章君     ————————————— 二月二十八日  委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として岡  澤完治君が議長指名委員に選任された。 三月八日  委員金丸徳重君、工藤良平君、平等文成君及び  小沢貞孝辞任につき、その補欠として唐橋東  君、斉藤正男君、井上泉君及び折小野良一君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員折小野良一辞任につき、その補欠として  小沢貞孝君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  南九州えび地震による災害対策  昭和四十三年二月の異常降雪等による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 芳賀貢

    芳賀委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、南九州えび地震及び昭和四十三年二月の異常降雪等による被害状況並びに昭和四十三年一月以降の豪雪による被害状況等調査のため、先般当委員会より現地に派遣されました委員から報告を聴取することといたします。  第一班につきましては、便宜この席から私が御報告いたします。  南九州えび地震及び昭和四十三年二月の異常降雪等による被害状況調査のため、議長承認を得て、去る三月一日から五日までの五日間、高知県、宮崎県、鹿児島県及び徳島県の四県に派遣されました派遣委員を代表して、調査概要を御報告いたします。  派遣委員は、自由民主党池田清志君、水野清君、日本社会党の私、芳賀貢民主社会党岡津完治君及び公明党の小川新一郎君の五名であり、ほかに地元選出議員多数の御参加を得て、現地実情をつぶさに調査してまいったのであります。詳細につきましては、調査報告書として提出いたしましたので、本委員会議録の末尾に参照として掲載していただくこととし、簡単に御報告申し上げることといたします。  まず、南九州えび地震による被害状況調査の結果について申し上げます。  地震発生状況については、先般の委員会において政府から説明を聴取いたしましたので、これを省略いたしますが、今次調査に同行いたしました気象庁木村地震課長報告に基づき、その後の経緯について申し上げます。  まず地震の現況と見通しでありますが、去る二月二十五日、東大、京大及び気象庁の合議により、現地に構成されましたえびの地震総合観測班に集積された資料によれば、地震活動は多少の消長を繰り返してはおりますが、傾向としては順調に衰弱しつつあるとのことであります。震源域は二月二十一日午前十時四十五分の本震まではえびの真幸地区にありましたが、余震は吉松町東部にあるようであります。この現象は地震の場合常に見られることであり、特異なものではなく、火山地帯発生する地震の場合、しばらく静かになってから再び活発化する場合もありますので、当分の間、地震活動状況を監視する必要があるとのことであります。また、火山地帯での地震火山活動の前兆となる場合もありますので、霧島火山及び桜島火山観測を強化する必要があります。地震活動状況を監視するため、気象庁は人体に感じない小地震発生回数を自動的に数える地震計を、四月一日よりえびの町、吉松町に設置し、また霧島及び桜島火山観測方式を改めて、体制を強化する方式を早急に検討し、近日中に現地官署へ指示する予定であるとのことでありました。  宮崎県の報告による被害状況は、負傷者三十二人、罹災者数一万二千六百二十人、住家全壊四百十二戸、半壊六百七十五戸、被害総額は四十八億七千万円にのぼっております。これらの被害はいずれもえびの町、一町の被害であり、えびの町は最近合併したばかりの町でありますので、被害真幸地区に集中していることからして、旧真幸町一町のみの被害であるということができるのであります。このことは、災害の範囲は必ずしも広いとは申せませんが、一町がほとんど全滅というきわめて傷の深いものである点に特徴があると考えられます。  県においては、同町に災害救助法適用し、自衛隊の出動を要請して、応急対策に万全を期したとのことでありましたが、特に乳牛を所有している農民避難ができない実情にあったため、県において、これらの乳牛を一カ所に集め、集団管理を行なったことはまことに適切な処置であったとのことであります。  われわれ調査団は、三月三日えびの町におもむき、被害の実態を克明に調査したのでありますが、道路には大きな亀裂が入っており、亀沢橋は三十センチも沈下しており、川内川の堤防及び用水路にもたくさんの亀裂が入っており、住家及び畜舎は傾き、特に、温泉旅館の大きな建物は、外見上はそれほどでもありませんが、一歩足を中に踏み入れると、柱は折れ、廊下は落ち傾き、家全体がねじれている惨状は、想像を絶するものがあり、地震の激しさを物語って余りあるものがありました。  次に、鹿児島県の報告による被害状況は、死者三名、重軽傷者九名、住家全壊三十五戸、半壊二百四十八戸、被害総額十七億七千万円であり、本県においても、ほとんど吉松町一町のみの被害であります。  県においては、吉松町に災害救助法を発動し、諸般応急対策を推進したとのことでありますが、特に、知事の決断によってプレハブ学習場七棟を建築して授業を開始し、また住宅改築補修のため、県の備蓄木材三千七百立方メートルを準備して、資材値上がり等に備えたとのことでありました。  吉松町の被害現場におきましては、えびの町と同様、住家はほとんど柱が折れ、家全体がねじれ、あるいは傾いている状況であります。また、特殊土壌地帯でありますため、随所に山腹崩壊が見られ、危険区域内に六十戸の住家があり、うち二十戸は移転を希望しているとのことでありました。  小学校三年生の女児を含む二名の死者を出した落石現場では、住家の裏にある新築のブロックづくりのガレージに、たまたま九名の人々避難をしたところに、直径一メートル余の岩石が落下しての事故であったとのことで、まことにお気の毒な状況でありました。プレハブ学習場において、勉強中の小学生の代表から、われわれ調査団に対し、手紙が寄せられ、また、中学生からも二通手渡されたのでありますが、この小学生手紙には、地震の激しさ、雪の中で竹やぶの中にテントをはって集団で夜を明かし、あたたかい食べものがなく、飲み水にも不自由している状況がたくまずに描かれ、早くお家にゆっくり寝たいから、お家をよくしてくださいという切々たる訴えがしたためられていたのでありまして、真に胸迫るものがあったのであります。  両県の要望事項の詳細は、調査報告書及び陳情書を御参照願いたいと存じますが、第一に激甚災害法適用またはこれと同等措置が強く要望されているところであり、宮崎県議会の決議による要望があったことを申し添えておきます。  また、鹿児島県からは、危険区域住民には集団移転もやむを得ないとの空気があり、また、被災住民一般についても、将来の地震の見きわめがつかないことから、家屋の移転改築等に踏み切れない現状であるため、とりあえず応急仮設住宅を建設してこれらの人々を収容することについて、何らかの助成の道を講じられたいこと並びに、建築資材として国有林材の払い下げと個人に対する減価措置が強く望まれておりました。  最後に、調査団としての印象及び政府に対する要望を申し述べますと、地元要望と一致するのでありますが、第一は、激甚災害としての指定またはそれと同等措置についてであります。今次地震による災害は、被害の額においてはるかに基準に遠いのでありますが、局地的にはきわめて深い被害である実情と、連続的な頻発地震の様相を呈しており、地震の将来の見通しがはっきりしないこと、さらに特殊土壌地帯であることから、民心にきわめて深い不安があり、これを安定せしめるため国による総合的な強力な対策を早急に樹立する必要が痛感されるところであります。  第二は、何はさておき、まず住宅の早急な復興が肝要であり、そのためには、応急仮設住宅の供給のワク拡大する方向を検討するとともに、住宅復旧するための資材及び資金について現行制度ワクを越えた何らかの措置をとる必要があり、恒久的な対策としては、危険区域内の住家移転耐震構造屋根がわらを長尺鉄板等軽量なものに改めることなどについても早急に考慮する必要が痛感されるところであります。  第三は、シラス土壌地帯であるため、今後の災害を防止するため、緊急治山事業をはじめ地すべりの防止等に早急な対策の樹立が必要であります。  第四に、埋没あるいは亀裂を生じている用水路などの農業用施設について、田植え期に間に合うよう早急な復旧が必要であります。  第五に、危険校舎耐震性のものに改築する措置並びに応急仮設校舎建築について配慮する必要があります。  第六に、恒久的な地震観測施設を設置して、将来に備えるとともに、民心の安定につとめる必要があることを痛感してまいった次第であります。  政府におかれましては、以上の諸点について、特段配意を用い措置されるよう要望いたしておきます。  次に、昭和四十三年二月の異常降雪等による被害状況調査の結果について申し上げます。二月十四、十五日の両日にわたるいわゆる台湾坊主の影響で、九州四国から関東地方に至るまでの各都府県におきましては、造林木果樹及び農作物総額六百十六億円にのぼる激甚なる被害発生いたしました。このうち特に、九州四国の各県に被害が顕著であります。  まず、高知県の調査結果について申し上げますと、同県においては、二月十五日瞬間風速最大五十二・九メートル、被害の最も多かった安芸地方で三十メートルをこえる突風に見舞われ、ちょうど出荷期を迎えていたビニールハウス栽培促成野菜に激甚なる被害を生じ、ハウス経営者に与えた物心両面における影響はきわめて深刻なものがあります。また、異常降雪による民有林造林木に甚大な被害発生しております。県の報告による被害総額は十九億三千万円であります。  同県の促成野菜は同時期のものとしては、全国一といわれ、特に販売面で県と園芸連との組織がきわめてスムーズに運ばれている点で他に例を見ないものでありますが、県においては、被害発生後直ちに積極的な指導を行ない、まず代作として白いぼキュウリを奨励することとし、共同育苗及びつなぎ融資について県費助成措置を決定推進しているとのことであります。また、恒久対策としては、ハウス鉄骨または堅固な木造に変えるよう指導することとし、圃場整備のため土地改良事業を推進するとのことであります。  安芸地方ビニールハウス被害状況について調査を行なったのでありますが、ほとんどのハウスは破壊され、中の野菜は枯れしぼんでむざんな姿をさらしている状況は、収穫目前にして、二十年来初めてという被害の深刻さを十分に察知できたのであります。  次に、宮崎県について申し上げます。同県においては、十五日午前一時から十一時間にわたり、雨または雪を伴う強風が吹き荒れ、瞬間風速三十二メートルをこえる状況であったため、ビニールハウス栽培施設及び蔬菜類並びに北部山林地区造林木に大きな被害発生を見たのであります。県の報告による被害総額は、五億六千万円余であります。県においては、施設園芸被害に対し緊急対策指導班を編成して、現地指導を行なうとともに、広報活動等諸般対策を実施したとのことであります。  延岡市、祝子地区及び東海地区被害現場について視察を行なったのでありますが、祝子地区におきましては、構造改善事業として法人組織で大規模ビニールハウス栽培を始めたばかりであり、収穫目前にして、鉄骨ハウス作物ともに壊滅的な被害を受け、こわれたハウスのあと片づけにも手がつかないという状況でありました。東海地区におきましても、個人で一千万円の費用をかけたという鉄骨ハウスがほとんど倒壊破損している実情を見て、この被害から立ち直るのに十年以上を要するとの説明を聴取し、まことに同情を禁じ得ないものがあったのであります。  次に、鹿児島について申し上げます。同県においては、二月十日から十二日までの異常低温降霜に引き続き、十五日の暴風及び二十日から二十一日にかけての降雪等により、農作物及びビニールハウス等に大きな被害発生しております。県の報告による被害総額は、十一億一千万円にのぼり、このうちサトウキビが三億四千万円を占めております。  国分市のビニール栽培のトマトの被災現場及び垂水市のキヌサヤエンドウ等農作物被害について調査を行なったのであります。国分市においては、農協、普及所の職員、一般部落民に加えて、実業高校の生徒八十名の応援により被害最小限度に食いとめるため、あとうる限りの努力を傾注したとのことでありましたが、資材人手不足に加えて二日後に降霜を見たため、一部助かったものの中からもさらに被害が出たという実情で、若い農業者の中から転職の声も聞かれ、心配しているとのことでありました。  垂水市におきましては、風速四十メートルという暴風と冷害のため、規模は小さいが全国一の栽培面積であるといわれるキヌサヤエンドウをはじめ、農作物に二億四千万円の被害発生したとのことであり、農産物の価格安定方策及び野菜団地の育成についての抜本的な対策について要望があったのであります。  次に、徳島県について申し上げます。同県においては、二月十四日夜半から降り始めた雨が雪となり、十五日も終日降り続いたため、積雪量は、都市部で二十センチ、平野部で三十センチ、山間部で五十センチに及ぶ十七年ぶり大雪で、しかも、この雪は水分を多量に含んだぬれ雪であったとのことであります。その後の気温が平年より二、三度低かったため、降り積もった雪は根雪となって残り、積雪継続日数は一週間をこえ、同地方にとっては、明治二十四年の気象台開設以来の記録であるといわれております。このため通信線電灯線の切断により、通信は途絶、全県下停電となり、交通は完全にストップするとともに、積雪による造林木果樹の折損、凍害、ビニールハウス倒壊及び停電による農作物被害はきわめて甚大なものとなったのであります。県の報告による被害状況は、住家半壊十八戸、一部損壊八百七十四戸、被害総額五十九億四千万円にのぼっております。  被害の内訳について見ると、電力関係配電線はすべて配電停止、断線したもの三万カ所、送電線は六十八回線中、五十六回線が送電停止停電戸数は九五%に当たる二十二万四千戸を数え、そのほとんどが、一週間の停電であったといわれ、通信関係では電話回線障害一万七千回線、電柱破損二千本に及んでおります。農作物被害は、三十九億四千万円、園芸施設四億四千万円、林業関係十億五千万円であります。県としては、高知県同様、促成野菜転作対策を推進し、共同育苗を実施するなど、応急対策を樹立し、県費でかんきつの苗木購入及び蔬菜共同育苗ハウス施設のため千百万円の支出をきめるとともに、つなぎ融資利子補給として二千万円を予定しているとのことでありました。  小松島市、阿南市及び鳴門市の被災現地を視察したのでありますが、小松島市及び阿南市におけるビニールハウス倒壊状況は、前記三県の風による被害と異なり、積雪によって押しつぶされたものがほとんどで、被災者説明によれば、ビニールハウスの上に積もった雪が異常に重く、しかも固まっているため、雪の中でくつが脱げているのも気がつかずに雪をおろす努力をしたが、一向に雪が落ちず、ついに全滅してしまったとのことで、全く同情を禁じ得ないものがありました。  鳴門市におきましては、果樹被害状況を見たのでありますが、枝折れ及び枝裂けの被害想像以上に激甚であり、十七年ぶり大雪というけれども、四十年来全く経験したことのない異常な災害であるとのことで、後遺症により、二、三年後には改植しなければならないとの声も聞かれたのであります。  次に、各県共通要望事項のおもなものについて申し上げますと、まず第一に、天災融資法の発動及び特別被害地域指定について、第二に、自作農維持資金ワク拡大について、第三に、既借り入れ金償還延期について、第四に、造林木復旧作業に要する経費の助成及び再造林に対する補助について、第五に、特別交付税の増額について、いずれも特段の配慮が望まれているほか、高知県からは、基盤整備事業条件緩和について、宮崎県からは、農業構造改善事業費補助金にかかわる施設災害復旧について、復旧工事等の施工を補助対象にされたいこと、鹿児島県からは、熊毛地方におけるサトウキビ苗購入費助成及びブリックス低下サトウキビ原料価額の確保について、徳島県からは、激甚災害法適用並びに林業関係育種事業種苗ハウス等に対する助成措置及び公庫資金融資条件緩和、税の減免措置について要望があったのであります。  以上が、今回視察いたしました四県の被害状況及び要望事項概要でありますが、最後にわれわれ調査団の感じてまいりました二、三の点について申し述べたいと存じます。  今次の暴風雨雪による災害は、果樹及び造林木に巨額の被害を与えるとともに、ちょうど収獲、出荷期を迎えていたビニールハウス栽培施設及び促成野菜に壊滅的な被害をもたらしたのであります。御承知のとおり、四国及び九州南部における施設園芸は、農業近代化の一環として各県とも大いに力を注ぎ、将来ますます発展が期待されているところでありますが、ハウス経営農民にとっては、多額の投資を必要とする上、需給関係出荷時期及び農作物価格など危険もまた大きいのでありまして、国の施策として十分なる援護措置が必要であることは論をまたないところであります。今次の暴風雪により、ハウス経営者は、施設及び作物とも全滅という災害に見舞われ、物心両面に受けた打撃はきわめて深刻なものがありますが、これらに対する何らの補償措置もないのが現状であります。このことは、最近いわれるところの過密、過疎対策との関連において、農業後継者養成観点からしても、施設園芸が比較的若い農業者による開発途上であるだけに、これらに与える影響は真に憂慮されるものがあると思うのであります。したがって、今次災害を契機として、施設園芸に対する抜本的な救済措置を講ずる必要が痛感されるところであります。  以上の観点から、二、三の点について、政府の積極的な善処を要望いたしておきたいと存じます。  第一は、ビニールハウス等施設対象とする共済制度を早急に検討する必要があるということであります。  第二に、天災融資法においてビニールハウス等施設対象として取り上げるとともに、貸し付け限度額引き上げを考慮する必要があり、また、これとの関連において、自作農維持資金融資ワク拡大限度額の大幅な引き上げを考慮する必要があります。  第三に、鉄骨ハウスの新設、再建、復旧に対する特別助成措置を講ずることについて検討する必要があります。  第四に、土地基盤整備事業についての条件緩和について、実情に即しての措置を考慮する必要があります。  次に、施設園芸被害と並んで、きわめて被害が顕著であった果樹及び造林木についての対策として、第五に、果樹優良種苗導入昭和四十三年度においても農業改良資金技術導入資金)の対象にするとともに、融資ワク拡大をはかることを考慮する必要があります。  第六に、造林木について、いわゆる雪起こしに要する費用についての助成措置を講ずる必要があります。  終わりに、今次調査に御協力賜わりました各県知事をはじめ、地元関係者の方々に深く謝意を表しまして、報告といたします。  次に、第二班、川村継義君。
  3. 川村継義

    川村委員 昭和四十三年一月以降の豪雪による被害状況等調査報告を申し上げます。  昭和四十三年一月以降の豪雪による被害状況等調査のため、去る二月二十七日、議長承認を得て、自由民主党三ツ林弥太郎君、民主社会党小沢貞孝君及び日本社会党川村継義君のほか、地元参加議員多数の御参加を得て、三月一日から四日までの日程で、新潟県及び福島県における被害状況等をつぶさに調査いたしてまいったのであります。  本調査の詳細につきましては調査報告書委員長に提出いたしてありますので、本日の会議録に参照掲載していただくようお願いをし、以下その概要につきまして御報告申し上げます。  新潟県及び福島県の会津地方におきましては、今年一月末から二月上旬にかけて豪雪に見舞われ、その積雪量は平年の積雪量をはるかに上回り、所によっては、去る昭和三十八年の豪雪をしのぐ積雪量を記録したのであります。このため同地方道路、鉄道等の交通が至るところで麻痺状態となり、不通となる個所が続発し、ヘリコプターにより急患の救出や緊急物資の輸送を行なう等孤立したところもあり、除雪のため消防団、自衛隊の派遣を要請する等の緊急事態が発生したのであります。  新潟県におきましては、今冬の初め、雪害予防計画実施要領を作成し、また福島県におきましても、県が雪害対策についての通達を関係方面に発して雪害に対する体制を固めていたのでありますが、一月末から襲った豪雪に、二月二日両県とも雪害対策本部を設置し、道路等の交通の確保に全力を傾注するとともに、救援体制の確立をはかったのであります。  調査時点における県の報告による被害状況は、新潟県におきましては、死者九人、負傷者五人、建物損壊等三百四十三棟、農林、商工関係の被害約四十億円、道路等除雪経費九億五千万円、一般除雪経費等十八億六千万円となっております。福島県におきましては、負傷者五人、建物損壊等二百四十棟、土木、商工関係等の被害額は十一億円、道路の除雪費は一億九千六百万円となっております。この豪雪による被害はむしろこれからが心配で、すでに発生し始めた底なだれとともに、融雪期における洪水、消雪遅延による農作物の植えつけ遅延等の災害が憂慮されているところであります。  われわれ調査団は、新潟県におきましては、県庁、上越支庁、長岡市役所等において、県当局並びに各市町村長、商工、農業団体各代表のほか、関係各層の方々から説明を聴取し、新井市、高田市、直江津市、長岡市等の豪雪状況を視察したのであります。また、福島県におきましては、会津若松駅の駅長室及び会津若松から只見に向かう三時間の列車内において県並びに各市町村長等から説明を聴取し、蒲生駅から只見町までの間は雪上車に乗って三メートル余の豪雪に閉ざされた同地方を視察したのであります。  これら両県の調査現地において切々たる要望を数多く承ってまいったのでありますが、本調査の所感を含めてその要望を申し上げます。  一、除雪の問題は最大の課題でありまして、今日の経済社会の急速なる発展、変化に伴い、道路等交通の途絶が及ぼす影響ははかり知れないものがあり、豪雪地における道路確保の問題はあらためて検討をする必要があり、積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法に基づく指定路線の追加を大幅に認め、幹線となる市町村道の除雪費について助成措置を検討し、防雪対策事業費、凍雪害防止事業費、除雪機械整備費等の増額をはかることなどを感じてまいったのであります。  二、地方団体の行なう除雪費はばく大な額に達し、地方財政を大きく圧迫しているのでありまして、新潟県においては今年の除雪費として支払うべき額のうち、九千万円の財源について全く見込みが立たない現状にあり、こうしたことは県のみならず、各市町村においても同様のことが言えるのであって、交付税等の増額等について考慮すべき問題があろうかと存じます。  三、豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用補助に関する特別措置法について、各地で問題となったのでありますが、これが適用について実情にそぐわない点が多く、実情に合わせてその適用がはかれるよう、これら関係法令について再検討する必要を痛感してまいった次第であります。  四、その他、なだれの防止策、緊急用ヘリコプター、雪上車の拡充、固定資産税の減免、消雪期の遅延による農作物の植えつけ遅延の問題、会津線、飯山線のラッセル車等の問題等数多くありますが、時間の関係上詳細は報告書に譲ることとし、以上簡単でありますが、派遣報告といたします。
  4. 芳賀貢

    芳賀委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。     —————————————
  5. 芳賀貢

    芳賀委員長 なお、ただいま報告がございました両班の派遣委員から、内容の詳細についてその調査報告書が提出されておりますので、これを会議録の末尾に参照として掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 芳賀貢

    芳賀委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔報告書は本号末尾に掲載〕     —————————————
  7. 芳賀貢

    芳賀委員長 それでは、本日は、南九州えび地震による災害対策、及び、昭和四十三年二月の異常降雪等による災害対策について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池田清志君。
  8. 池田清志

    池田(清)委員 私は委員長のお供をいたしまして、西のほうの調査第一班に加わって現地被害状況調査をしてまいったわけです。その実情並びにこれに対します県市町村等の御要望の趣は、団長であります委員長から詳細に御報告になりました。その要求として報告を申し上げましたものは、私ども国会議員といたしまして、国会においてもこれが実現をはかるべきである。そしてまた政府、各省庁におかれましても、これが実現に御協力を願いたい、こういうふうに考えるわけであります。  現地被害状況はまことにひどいものでありまして、それにいたしましても、現地を拝見をいたしまして、地震情報の速報や、あるいはまた警察、消防、警備当局の活躍によりまして、えびの地震地帯におきましても人心が安定しつつあるという実情を伺いまして、せめてもの喜びといたして帰ったわけであります。  そこでお尋ねを申し上げ、御要求も申し上げるのでありますが、関係県市町村の要求の第一項にありましたところの、えびの地震に対しまして天災融資法適用と激甚地の指定をやれ、これはもう強い強い要求でございました。  そこで、まず、災害状況委員長報告をいたしたのでありますけれども、くどいですけれども、もう一ぺん申し上げてみたいと思います。  宮崎県はえびの町、鹿児島県は吉松町、この二つの町において起こったえびの地震であります。その他のところにおきましてもいささかの被害はありましたが、集中的に被害をこうむっておりますのはこの両町でございます。えびの町におきましては、住まいの被害が、ラウンドナンバーで申しますが、二十二億円、鹿児島吉松町におきましては七億円、合わせまして二十九億円。また農林被害を見ましても、宮崎えびの町におきまして十一億円、鹿児島吉松町におきましても七億円、締めて十九億円。これらを総合いたしまして、宮崎県の被害四十八億円、鹿児島県の被害十七億円、締めて六十五億円、こういう報告があったわけです。この災害地の両町におきます被害状況はまことに甚大であります。でありまするから、私、思いまするに、激甚地なりと、こう断定を申し上げるわけです。そこで、地元におきましても、われわれ国会議員といたしましても、天災融資法適用をしてしかるべし、激甚地の指定をしてしかるべし、こう考えておるものでありますが、これに対しまして、この問題について政府のお考えをまずお伺いしておきます。
  9. 西村直己

    ○西村国務大臣 えびの地震に際しまして羅災されました方々に対しましては、心から御同情を申し上げます。と同時に、また政府といたしましても、各省関係事項を通し、また現地のそれぞれの機関、また地方公共団体に御苦労をお願いいたしまして、これが復旧なり今後の対策に推進をしてまいりたいと思います。  具体的に、ただ天災融資法の発動いかんという具体問題に入りまして御答弁いたすにつきましては、天災融資法対象である農作物被害というようなものをどうつかんでいくかというところが、県の報告、実態調査等から見まして、必ずしもこれが直ちに法の適用になり得るというふうには、ちょっと現在の段階では困難ではあるのであります。その点につきまして、県の報告等をしんしゃくいたしまして、どういう状況でありますか、法の具体的運用につきまして、事務の関係者からさらにお答えをさしたいと思います。
  10. 池田清志

    池田(清)委員 災害を受けた者の立場から申しますと、災害被害がどうあろうと、災害の区域がどうあろうと、そういうこととかかわりなく、罹災者についてはもう激甚である、こういうふうであるわけです。ところが、法制のたてまえといたしましては、基準がどうのこうの、被害状況がどうのこうの、地域がどうのこうの、こういう基準があるということは承知しております。その基準自体は、政府、省庁において研究されてつくったものです。ですから、その基準というものは人為的にあるいは政策的に変更し得るものであると考えますが、まずこの抽象的なことについてはいかがでございましょうか。
  11. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、そのおっしゃるとおりだと私思います。これは人間のつくった法律でございますから、あるいは国会の最高機関において御意思が決定すればこれは尊重してまいる。ただ、国政をあずかる者といたしましては、こういう災害のないことを望むのでありますが、また他にもありますから、したがってそれらを勘案して、立法されたる趣旨に基づいてやっておるわけでありまして、もしこの法において現実にまた手の届かないような場合には、この法だけでない方法でもまた勘案していかなければならぬ場合もあると思うのでありまして、そこいらは十分検討はいたしていかなければならぬと思います。
  12. 池田清志

    池田(清)委員 この法律そのものを直接に適用することが無理な場合においては、法を適用した結果と同じところまでは措置してもよろしいというような農林大臣の御発言でございます。これ等につきましては、先例等も松代地震等においてあろうかと思うのでありますが、この点について明らかにしていただきたい。
  13. 西村直己

    ○西村国務大臣 私も具体的な別に考え方を持っておりませんが、こういうものにつきましては、直ちに具体的な方法でここでぴしゃっとしたお答えを申し上げる段階ではございませんが、被害を受けられた方々の立場からいえば、確かにその部分が激しいものを受けておるということは十分認識をしながら、法運用なり、法運用外のことも検討はしていかなければならぬ、こういう考えでございます。
  14. 池田清志

    池田(清)委員 天災融資法適用そのものをお願いを申し上げるわけでありますが、もしそれ、それができないという場合においては、一歩譲りましょうというわけで、農林大臣、説明されましたように、その法律を適用したものと同じような結果において措置をすると、こういうことであってほしいと思います。これはぜひお願いを申し上げておきます。  農林大臣がいらっしゃった機会でありますから、農林土木の問題について申し上げます。これは具体的に申し上げますと、えびの町の柳地区の用水路に丘がくずれてきて、ふさがっております。さらにまた、吉松町の竹中池が水が出なくなって干からびております。これらは大事な大事な用水関係であり、水源でございまするから、あと三カ月の間に切り開いて、また水をためていかなければなりません。こういうことについて具体的にどういうふうに進めていかれるか、農民の方々が安心されるように御処置を願っておきます。
  15. 西村直己

    ○西村国務大臣 端的にお答えいたしますが、おそらく農地あるいは農業用施設災害の早期復旧の問題であると思うのでございます。すでに池田さんも十分に御研究になり、御存じのとおり、この問題につきましては、法律の基礎は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律というものがございます。その規定によって緊急を要するもの、その他のもの、緊急を要するものについては三カ年以内、そこで今回のえびの地震に対しましては、ことしの作付に支障のないように応急措置をさしあたりやっていくように目下指導中でございます。査定というものが御存じのとおりございます。これは三月二十日ごろ実施をいたす予定でございます。
  16. 池田清志

    池田(清)委員 大臣はお急ぎのようですから、ほかの方、やってください。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員長 橋口隆君。
  18. 橋口隆

    ○橋口委員 私は、二月中旬に西日本を襲いました暴風雪状況について、特に種子島、屋久島地区の実情を視察してまいりましたので、それを御報告申し上げ、あわせてせっかく農林大臣がおいでになりましたので、御要望を申し上げたいと思う次第でございます。  今回西日本を襲いました暴風雪の中で、種子島は独特の地位を占めておるのでございます。それは、ほかの地域は降雪による被害でございますが、種子島は独自の降霜による被害でございます。それによりますと、二月十日、二月十二日、二月十三日のこの三日間にわたりまして、特に二月十三日の霜は連続時間十二時間をこえまして、種子島全域にわたり、サトウキビに非常に大きな打撃を与えたのでございます。四十年ぶりの霜と申しておりますが、記録は正確でございませんので、おそらく最近では未曽有の被害ではないかと考えるのでございます。非常に被害が大きく報道されておりましたので、私は芳賀委員長を団長とする現地調査団と相前後いたしまして、この種子島、屋久島の実情を見てまいったのでございます。予想しておりましたよりも非常に被害が大きくて、私は驚いたのでございます。二月ごろのこの島の実情は私は非常によく知っているのでございますが、サトウキビなんかまだ青い色をしておるのでございますが、それが一面にもう枯れておりまして、農家も森閑として静まり返って、悲嘆に暮れておる、そういうような実情でございました。この被害は全島にわたっておりますけれども、特に降霜による被害が大半でございまして、それと台湾坊主の被害等を合わせますと八四・二%でございます。降霜だけで八二%の被害を受けておるのでございます。そしてサトウキビの中で全然被害がなかったというのは、わずかに一五・八%であるという、これは現地調査ができ上がっております。  そこで、どのくらいの損失になるかと申しますと、非常に糖度が下がりまして、かねては平均十八度くらいでございますが、今度は平均十六度くらいであろうといわれておるのでございます。その被害額を概算いたしますと、ブリックスの低下に伴う損失の分だけで、二億九百八十三万円と一応推定をされております。またサトウキビの減収量が五千八百万トンと県の推定になっておるのでございます。したがって、現地の農家としては非常な損害でございまして、現在のままの値段でもし工場に売り渡すとしますと、二億数千万円にのぼる農家の被害になるわけでございます。なお、このほかに苗不足の分によりますものが六千二百万と推定をされまして、合わせて、今回の霜によるサトウキビの損害は三億二千九百八十七万円と推定をされております。この数字は、この災害の直後に地元当局で作成をしたのでございますが、その後六日の日に、農林省から調査団がお見えになったはずでございます。したがいまして、あとでその農林省の現地調査団からの調査実情をここで御報告いただきたいと思うのでございます。  そこで、現地要望といたしましては、降霜によってブリックスが低下して、十六度未満のものが二万六千トンに達する見込みでございます。これは従来のブリックス十六度未満のサトウキビの集荷量は約七十二万トンでございますから、差し引き二万六千二百六十五トンにつきましては、トン当たり十六度の値段、最低価格の五千三百五十円が確保されるように特別の措置をお願い申し上げたいのでございます。もし五千三百五十円で買っていただくとなれば、農家の損失はかなり軽減されるものと見込まれております。これが第一点の要望でございまして、ぜひとも最低五千三百五十円を確保するように万全の処置を講じていただきたいのでございます。  次に、天災による被害農業者に対しまして、資金の融通に関する暫定措置法の適用をお願い申し上げたいのでございます。農家は明年度の農作につきましては、非常に資金の不足に悩まされることと思いますので、特にその点も御配慮を願いたいと思います。  なお、苗の購入に対して、苗が全島でほとんど枯れておりますので、その分に対する助成策を講じていただきたいと存じます。  生産農家に対しては、この三つの点を特に御配慮をいただきたいと思う次第でございます。もしこういうような五千三百五十円で工場に売り渡していただくといたしますと、工場側では企業のコスト高となりまして、大幅な赤字が予想されるのでございます。この点については、すでに農林当局は十分御調査済みのことと思うのでございますが、実績コストによる事業団買い入れを実施していただくように特にお願いを申し上げる次第でございます。  私は種子島、屋久島地方を見てまいったのでございますが、この地域はわが日本では最低の所得水準の地域でございまして、サトウキビだけにたよりまして、それで農家の生計を維持してきたのでございます。ちょうどいまから二十年くらい前に台湾からサトウキビを入れまして、そして営々として今日を築き上げてきたのでございますが、台風にも弱く、霜にも弱い。また政府に特別の措置を講じていただかないことになりますと、再び逆行いたしまして、サツマイモに作付転換をしなくてはならないという悲境におちいるのではないかと思われるのでございます。そういう意味で万全の措置を講じていただきますように、特に農林大臣にお願いを申し上げたいのであります。
  19. 西村直己

    ○西村国務大臣 ただいま橋口委員から御意見の開陳なり御質問なり御要望が出まして、種子島のサトウキビに対しまする凍霜害というものは島としては未曽有のことだ、こういう状況につきましては、私もかねがね承っております。  そこで糖価、サトウキビの原料価格、これを安定的に、しかも生産を安定させる意味で従前法律があり、買い入れ価格あるいはこれに対する最低価格等ができていることは御存じのとおりでございますが、実は御質問の中で、第一は資金が要る金の問題、これは天災融資法、これらはできるだけ、災害状況、損害の状況等を私のほうでも調査中で、近くまとまってまいりますので、それによって一つは発動するという方向をきめていくように努力をしてみたい、これが一つ。  それから第二は、この価格安定と申しますか、買い入れ価格等によって安定してもらいたいというお話でございます。これらの被害の実態をつかむために、お話がありましたように、農林省からも調査団が出ておりまして、近く帰ってまいるのではないかと思いますが、これらの実態をはっきりつかみました上で、なるべくすみやかに措置をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員長 兒玉末男君。
  21. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に農林省関係だけに限って質問し、他の部分はまたあとで質問したいと思います。  まず大臣に一言お伺いしたいのは、今回非常に集中的に被害を受けておるわけでございますが、特に農地関係の復旧につきましては、昨年十一月二十九日の災害対策特別委員会災害対策の基本問題に関する小委員会におきまして、特に緊急治山並びに農地復旧等農林関係に対する決議がなされております。これの一つは、農地復旧の反当復旧限度額引き上げについてすみやかに措置をすること、緊急治山につきましては、予備費等の支出により大幅な促進をはかること、こういうことが決議されておりまするが、特に今回のえびの地区における農地関係、並びにこれに関連しまして先ほども説明がありましたが、用水路が山のくずれによって大幅な損害を受けております。これの復旧は単に原形復旧という問題だけじゃなくして、特に、御承知のとおり、シラス土の特殊土壌地帯でございまして、現在の状況から類推しますならば、単に原形復旧等のことでは、再び災害が重なるという危険性が十分にある特殊事情にあるわけでございます。こういう点から、特に今後の山地崩壊に対処するためのいわゆる緊急治山事業並びに農地の復旧等につきましては、いわゆる原形復旧から将来への防災を加味したところの復旧を行なうべきだと思うのでございます。これに対する大臣の御所見を承りたいと存じます。
  22. 西村直己

    ○西村国務大臣 私もその点は同感でございます。と申しますのは、御存じのとおり、先ほど農地につきましても来年の作付に間に合うようまず応急をやって、それから今度は災害復旧の本来の原形復旧、しかし原形復旧と申しましても改良ももちろんそれに関連してやれることはやります。それからもう一つは防災関係、関連防災と申しますか、そういったことも当然やってまいらなければならないし、それからもう一つは、あそこの地帯の特殊性、シラスと申しますか、そういう特殊性があるということも十分考慮して、関連なり改良なりの中でもそういうものを含めて考えていかなければならぬ、そういうような趣旨で御答弁申し上げたいと思います。
  23. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先ほど申し上げました農地復旧の反当復旧限度額引き上げについて促進をはかることになっておりますが、これは、この決議が出されましてから、具体的にそういうふうな措置がなされておるのかどうか、その点を伺いたい。
  24. 西村直己

    ○西村国務大臣 いわゆる財政負担の限度の引き上げになりますと、これは農林省だけでございませんで、財政当局とも十分関連を持って最終的な決定をしなきゃなりませんので、あるいは財政当局もお呼びいただいて御答弁願いたいと思うのでございます。
  25. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 従来やってきております災害の農地復旧の単価と申しますのは、毎年物価のスライド等がございますので、それにつれて引き上げていくのは当然でございますが、新しい土地をつくったり何かする場合にかかる最高限度の線、そういうものがもともとは基準として考えられているわけでございます。だんだん復旧単価が上がりますので、先ほどお話しのような御意見が強く出ております。現在具体的にどの程度どういうふうにするということはきめてはおりませんが、かねがね前々から農地復旧単価につきましては、個々の復旧農地の実情に応じまして、復旧が可能になるように単価を計上してやってきておりますので、実際の設計に支障のないようには今後とも進めていきたい、こういうふうに考えております。
  26. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大臣の時間に制限がありますので、あと三点にしぼって特に質問したいと思います。  一つは災害に伴う自作農資金融資ワク拡大と、それから貸し付け限度額引き上げについて格別の御配慮を願いたい。御承知のとおり、今回、農家の厩舎とかあるいは養畜豚舎など、畜産関係に関連の深い農家の倒壊が非常に多いのでございまして、しかも非常に零細であり、経済力も非常に劣悪な状況にありますので、特にこの農林漁業金融関係の措置について、非常に強い要望を持っておるわけですが、これに対する御所見、並びにこの地域は開拓者の多いところでございまして、今回のこの災害によりましてすでにこの復旧だけでも相当の資金を要するわけでございますが、今後これに対する復旧融資ワクの増額、さらにいままで借り入れたところの返済等の条件緩和していただきたい、この要望が非常に強いわけであります。それからもう一つは、御承知のとおり、この地震によりまして、ほとんどの家が全壊あるいは半壊、しかも半壊としましても、ほとんど全壊同様の措置が必要であります。そういう点から特に住宅再建のために、この際個人対象ということよりも、県なり市町村団体等を対象にして、ひとつ最大限の国有林等の払い下げ、こういう措置等によって木材等の値上がりに対処する住宅対策を含めた措置要望されておりますが、ぜひひとつお願いしたい。この金融関係と国有林の払い下げの点について、農林大臣の御所見を承りたいと思います。
  27. 西村直己

    ○西村国務大臣 自作農創設資金の問題でございますが、資金の貸し付け限度、一般的には御存じのとおり五十万円という現行限度がございます。今回の災害に伴う貸し付け限度の引き上げにつきまして、被害実情、本資金の農家の需要、もうすでに貸し付けてある金の残高等を十分把握いたしまして、その必要について慎重に検討していきたいということを御答弁申し上げたいと思います。  それからもう一つは、入植者の問題、入植施設被害につきましては、従来と同様の助成を行なうように検討してまいりたいと思います。  それから、家屋被害に対しましては御同情にたえないのでありますが、公共施設等に対しましては、国有林の備蓄等があるいは廉価で提供になると思うのであります。その他につきましては、他のいわゆる家屋に対する一般の融資とかいう中で解決をしていくという方法ではないかと思いますが、なおこの点につきまして補足がありますれば、事務当局のほうから後ほど補足させていただきたいと思います。
  28. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 ただいまの家屋復旧についてでございますが、国有林といたしましては、いま大臣がおっしゃいました備蓄をいたしております。そして、災害救助法の発動されました市町村の管理に属する公共施設並びに県が応急仮設住宅として復旧するというものにつきましては、五割の減額で出す予定でございます。その他のものにつきましては、災害等によって値上がりするというような場合には、災害前の時価によって売り払うということでございます。
  29. 兒玉末男

    ○兒玉委員 あと一点だけでほかの人に譲ります。  先ほども少し触れましたが、特にこの前の気象庁関係の方が飛行機の上から見た現地状況を類推しますと、非常に地すべり現象がたくさん見られまして、これから五月、六月の雨季を控えまして、どうしても大きな土砂崩壊等による災害が予想される。そういう点から、特に特殊土壌地帯ということを考慮し、人命財産に直接被害を与えるということが十分予想されますので、特に林地崩壊防止事業を適用して、積極的な予算措置と、林地並びに林業施設災害の早期復旧に格段の御配慮が願いたい、こういうことでございますが、これについて大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  30. 西村直己

    ○西村国務大臣 林地とそれから林業施設の早期復旧をしろ、各地にそういうくずれがあるからということはごもっともでございまして、山地の崩壊につきまして、現在、御存じのとおり、現地調査を実施中でございます。民生安定上、これは非常に不安を与えますし、同時に将来の問題としても、予防なり防災なりをしておかなければなりません問題でございますので、緊急に復旧を要する個所につきまして、治山事業として早期復旧をはかりますことをお約束申し上げます。
  31. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それではこれだけで農林大臣に対しては終わります。
  32. 芳賀貢

  33. 井上泉

    井上(泉)委員 二つの問題を農林大臣にお尋ねいたしたいと思います。  過般の災害によって生じた高知県とか徳島とかいうところの台湾坊主による被害、特にハウス園芸、これは今日は俗に施設園芸と称しておるわけで、この点は農林大臣も高知県の知事をされておったので、高知県とかあるいは徳島県の地理状況はよく御存じだと思うのですが、その施設に要する経費というものは相当ばく大なものが要るわけです。そういうものに対する補償というものは、農業災害補償法の中で適用するなり、あるいは農協の事業の共済の事業内容の中へ繰り入れるなり、何かの法的な方法を改正し、そういう救済の措置を講ずる必要がありはしないかと思うのですが、この点についての農林大臣の見解を承りたいと思います。
  34. 西村直己

    ○西村国務大臣 この点につきましては、少し専門的な問題もございますし、共済でございますから関係の局長から御答弁さしていただきたいと思います。
  35. 大和田啓気

    大和田政府委員 共済事業につきましては、農協がやりますものと農業共済組合がやるものと両方ございますが、農協がやるものにつきましてはあるいはまた農政局長からお話があろうかと思いますが、農業共済組合がやるものにつきましては、私ども任意共済という形で、法律上省令で指定すればビニールの施設についても共済事業ができるような法律制度にはなっておるわけでございます。ただ、何ぶんビニールハウスによる農業は、ごく最近急に伸びたわけでございますから、共済事業でやります場合は、保険として保険設計を立てて、どういうものについて被害率が地方的に見てどのくらいかということを厳密に保険数理の上から仕組みを組み立てませんと、全国的な事業はできないわけであります。したがいまして、私ども農業共済組合による共済事業といたしまして、全国的な規模でこれをやることはとうてい不可能でございますけれども、地方地方によりまして、ビニールハウスをやっておる農家の要望が非常に強いようでありますれば、私ども県あるいは団体に話をしまして、地方的に任意共済事業として出発して、だんだんに資料を集めていって、はたして全国的な規模で共済事業に乗るかどうかということを検討することが一番良策ではないかというふうに現在考えておる次第でございます。
  36. 森本修

    ○森本政府委員 農協が現在やっております建物関係の共済事業は、御承知のように、建物更生共済という名前で呼ばれております。これは長期の共済でございます。対象としております建物は、主として基礎工事がしてある建物ということ、それから自然災害は補償のてん補の率としても少ないということで、現在はおそらく被害を受けられたビニールハウス等はほぼ対象になっていないのではないかというふうに思っております。将来のところについては、先ほど経済局長が言われましたような保険に共通の問題がございますので、何ぶんにも農協が自主的にやっております事業でございますから、農協にそういうふうな点を十分研究させたいというふうに思っております。
  37. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうふうにやっていない。現在そういうことはやれていないから、それをやる必要がありはしないかという私の質問なんですから、それを将来にわたってとかいうような問題ではなしに、ハウス園芸というのは高知県にしても宮崎県にしてもあるいは徳島県にしても、今日の農家にとっては非常に生命線的な要素を持っておる農業ですから、これはいま経済局長が言われたように、農協が、たとえば単位農協——単位農協というのは、高知県なら高知県、徳島県なら徳島県の連合会が任意的に共済制度を設けてやる、こういうようなことについては、農林省の省令というようなものを改正するなり、あるいは何らかの措置でこのことが実行できるかどうか、やり得るか、やり得ることが可能だ、こう解していいわけですか。
  38. 大和田啓気

    大和田政府委員 先ほども申し上げましたように、農業共済組合の共済事業としましては、農林省の省令でこれを指定すれば事業はできるわけであります。
  39. 森本修

    ○森本政府委員 農協のほうは、たてまえとしましては、農協のほうから共済規程の承認の申請というものが私のほうへ出てまいります。それを承認すればできるということになるわけであります。農協のほうで先ほど言いましたような問題点を十分検討した上で判断されるべき問題だというふうに思っております。
  40. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう判断の場合に、経済局長さんのほうは、そういうふうな地域の要望があれば早くできるというような印象を受けるわけで、たいへん農民としてはうれしい話ですけれども、あなたの答弁は何かことさらに問題をおくらそうとするような考え方であるようですが、この点やはりこれは政策的なものにもなるのですから、大臣の見解を承っておきたいと思います。
  41. 西村直己

    ○西村国務大臣 非常に残念でありますが、正直に申し上げまして、私自体が事柄を十分認識いたしておりません。と申しますのは、保険の問題でございますから、保険計算という問題がございましょう。それから国の、あるいは制度の仕組みというものもございましょう。しかし、同時に、日本の園芸と申しますか、そういったものの地域的な片寄りであっても、いまおっしゃるような農業の中の実態的な中心になりつつあるとすれば、それを保険経済の上からどう守っていくかということについてわれわれはやはり検討すべきじゃないか、そういうような気持ちで私どものほうも研究はしてみていかなければならぬ、こういう考えでございます。
  42. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうような研究は何年も時を経過するということではなしに、これは池田先生も視察をしてごらんになっていただいたような状況で、高知県にしても徳島県にしても宮崎県にしても、ハウス園芸というものは相当広大な地域を占めておるわけで、高知県なんかでは、米の生産額が百二十億あるのですけれども、園芸になると百五十億をこしておる。それはほとんどハウス園芸、こういうような実態です。これは単に高知県だけでなくて、太平洋岸の暖地地帯の農家としてはどうしても必要な施設だと思いますから、その点は、政調会長をされておって、非常に農業にも明るい農林大臣としては、早急にひとつやっていただきたい。  その次に土地改良の問題ですけれども、これは日本の国土の性質から考えて、県営の土地改良を行なえる広い面積あるいは団体営の土地改良の行なえる面積はごく限られた地域です。やはり農業の構造改善に伴って、今度の災害でも、突風による災害事故を見ても、ハウスが右へ向いておるものもあれば左へ向いておるものもある。とにかくその建て方というものは、その土地の状況に応じてやっておる関係です。なぜそういう状態であるかと言いますと、やはり農民のほうは、小規模な土地改良を行なうことに対する国の助成措置を講じていただかないと、高知県あるいは徳島県、こういうところの多くの地域が土地改良の助成措置からはずれておる、こういうことを訴えるわけです。事実そのとおりだと思います。やはり日本の国土の性質を考えて、三十ヘクタールとかあるいは二百ヘクタールとかいうような限度の幅は改正する必要があると思うのですが、この点についての農林大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  43. 西村直己

    ○西村国務大臣 土地改良につきましては、これは事業規模によりまして御存じのとおりいろいろ分けているわけでございますね、国営、県営、団体営と、補助事業の採択基準以下の小さいものをどうしようか。これは現在非補助あるいは非融資対象として扱っている、こういうふうに一応の補助体系ができておりますものですから、この中で御存じのとおり、いま施設園芸等を考えても、小さい規模のものを土地改良の中で考えてみる場合に、採択基準を下げてそれを対象にしたらどうかという御意見のように承っておりますが、いまのところは私どもは困難ではないか、こう考えております。
  44. 井上泉

    井上(泉)委員 特にこれは防災的な見地から被害地域の農家が平均して大体三反歩くらいの土地でハウス園芸をやっておる、こういう状態です。そういう状態の中でやはり小規模な土地改良を行なうような助成措置を講じないと、また一方のところでは被害を受けておる、すぐ隣のほうでは全然被害を受けていない、こういうふうな状態が今後においても起こり得ると思うので、やはり小規模の土地改良を行なう、共同の施設を行なうとか、あるいは災害のあとで共同の育苗施設をつくって涙ぐましい再建への努力を重ねておるわけです。この点については、やはり日本の零細農民を救済するたてまえ、あるいは過疎対策という面からも、この問題はぜひひとつ防災とあわせて考えていただきたいと思うのです。もう一回そういう点を配慮の上での御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  45. 西村直己

    ○西村国務大臣 いまでも御存じのとおり、公庫融資として三分五厘と申しますか、最低の低利融資の方法等はあるわけであります。なお私どもも十分検討はしてみたいと思っております。
  46. 芳賀貢

  47. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 大臣にお願いしますが、農協の共済保険制度に地震対策が盛り込まれておりませんが、これは農協の保険の中に地震を受けた場合の農家の補償というものが今後できるでしょうか。
  48. 西村直己

    ○西村国務大臣 事務当局からちょっと答えさせます。
  49. 森本修

    ○森本政府委員 先ほど御説明しましたようなことで、現在は自然災害のてん補率が非常に少ないというようなことで、将来は自然災害についてもある程度盛り込んでいくといったような方向で検討すべきものだというふうに考えております。
  50. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 農村後継者対策について、現地では非常にビニールハウスとか近代園芸の施設農業に対して希望を失っておりますが、こういう若手の後継者の方々に対して農林大臣は激励に行かれる決意がおありでしょうか。またこれらの農村青年に対して何らかの物質的な援助を与えることができるのかどうか、この点ひとつお願いしたいと思います。
  51. 西村直己

    ○西村国務大臣 もちろん、私、微力ではございますが、この職責をいただいております以上、私は農家の自立あるいは近代化、また希望の持てる、あるいは採算のとれる農家経営、この方向へ向かって、特にこれから農家経営の方々が主体的な経営をしながら、しかも優良な青少年の方々が農村の中心になっていく、こういう意味で農政の方向を推進してまいりたい。その意味では私どもがまた現場へ入ってそれ自体をみずから身に感じてまいるという機会はできるだけつくってまいりたいという決意でございます。
  52. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 鳴門市のかんきつ類の中でハッサクというミカンをつくっている専業農家が全滅であります。このミカンの木は、五年、十年、十五年もかかって育てたものでありますが、これから先五年も六年もかからなければ取れないということで泣いておりました。この問題はどのように補償してあげられるのか、またこれらの農家がいま生産意欲をなくしておりますが、これについて保険制度または農協のこれからのこういった農作物の共済保険制度についてはどう考えられているか。
  53. 西村直己

    ○西村国務大臣 実はミカン一般につきまして、もちろん将来この果樹全体を共済の対象にする、これはたしかいま試験研究をやっておると思います。それから融資につきまして、一般としては、御存じのとおり、改植、移植とか、そういうものに対して公庫の低利資金等はもちろん用意されておるわけでございます。ただ具体的に、ハッサクというかんきつの一種でございますか、これに対しましては専門の農政局長のほうから御説明いたしたいと思います。
  54. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 農林大臣はお時間がないようですから、もう一点、大臣だけに伺います。  林業の樹木の補助対象になる八年生ですね。これが非常に損害を受けましたけれども、今回の損害は十年、十五年ものが非常に多いのであります。この点について損害の対象基準というものが十年生、十五年生に及ばなければならないという点を農林大臣は今後お考えになられて、どのような措置をおとりになりますか。
  55. 西村直己

    ○西村国務大臣 これは雪害による倒木の問題で、十年生とか十五年生とか、そういうものは、八年生というもの以下に現行ではなっているわけで、今度はいまお話しのようなそれより大きい木がたくさん倒れた、それをめんどう見ろ、こういう御質問だと私は思うのであります。そこで、これについては、いままでのあれでいきますと、現行は八年生以下ということにはなっておりますが、その実情把握をいたしますれば、そこまで私どもは考究の対象にしていくように緩和するように、実情に応じて検討を前向きに加えていいんじゃないかと思います。
  56. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それでは農業構造改善事業の中の問題でありますが、復旧工事等の施工に対して補助対象に今度できるかできないかという点でありますが、いかがでありますか。
  57. 太田康二

    ○太田説明員 農業構造改善事業で実施いたしました施設のうちで、共同利用施設等につきましては、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律で当然補助対象になるわけでございます。ただ個人施設等ですでに完了しているものにつきましては、現在の段階では、資金の融通措置はございますが、助成措置はないということでございます。
  58. 芳賀貢

  59. 折小野良一

    ○折小野委員 農林大臣に対する質問だけに限って申し上げたいと思います。今度の台湾坊主による暴風雪、これは南国なるがゆえに大きい被害を出した、こういう特質があると思います。先ほど来質問のございましたサトウキビだとかハッサクだとか、あるいはその他の暖地作物、こういうものが特に大きな被害を受けておるわけでございます。こういうものについて、今後品種の耐寒性ですか、そういう面の品種の育成あるいは寒さに対する指導と申しますか、そういう面の対策についてお考えになっておりますかどうかをお伺いいたします。
  60. 黒河内修

    ○黒河内(修)政府委員 私どもといたしましては、従来果樹園芸試験場、それから県の試験場等を通じまして、そういう品種の更新等につきまして試験研究をいたしております。
  61. 折小野良一

    ○折小野委員 時間がございませんので簡単に申しますが、今回の暴風雪につきましては、特に西日本が激しいのであります。西日本につきましては、御存じのとおり、昨年は例の干害というものがございました。それから立ち直れない状態の上に、また今度の被害が重なっておるわけでございます。したがって、いわゆる重複災害、こういう状態になっておるわけでございますが、特に今回の災害対策についての御配慮の中で、そういう面を十分考慮して対策を講じていただきたいと考えるのでございますが、その辺の大臣の所信をお伺いいたします。
  62. 西村直己

    ○西村国務大臣 それは当然のことだと思うのでございます。
  63. 折小野良一

    ○折小野委員 特に今回の災害を受けました地域は、従来後進地といわれる地域でございます。また日本全体から考えますと、いわゆる過疎地域でございます。したがって、こういう地域を立て直すためにはやはり農業を振興する、これが当然の道である、こういうことで、政府におかれましてもいろいろな指導がなされております。また地元におきましてもそれにこたえる、こういう立場で意欲を持って新しい農業に立ち向かってまいっておるわけでございます。たとえば、構造改善事業にいたしましても、そういう立場から何とか立ち直っていかなければならない、そういう意欲を持って、特に農村の青年たちが中心になってやっていっておるわけでございます。それが災害のためにむざんに打ちのめされる。先ほど調査団長の御報告にもありました延岡のビニールハウス災害等につきましては、これは若い人たちが中心になって、昨年ようやくそれをやって、そうしてことしのできを楽しんでおった。そこに今回の災害を受けておるわけであります。したがって、私どもが最も心配いたしますのは、そういう人たちが立ち直れるかどうか、少なくも災害対策という立場においてこういう人たちを立ち直らせるように、こういう人たちの意欲を阻害しないように、十分な災害対策というものが講ぜられてしかるべきだ、かように考えます。したがって、こういう面について特に大臣の所信をお伺いいたしておきたいと思います。
  64. 西村直己

    ○西村国務大臣 先ほどの干害の昨年の西日本の状況も、実は私個人として現地へ行ってよく事情は見ておるのでございます。その後拝命をいたしまして、今回の雪害等の処理もしなければなりませんが、そこで、おっしゃるとおり、皆さんがこれに対して非常に御熱心に、補助をしろとか率を上げろとか、それよりももっと基本的に、農村の青年あるいは優良な壮年、りっぱな壮年が自分の農業というものをみずからの力で興すのだという意欲を阻害しない、むしろそれを促進をしていくようにとか、いろいろおっしゃいます。これは全くそういうような気持ちで、われわれはそういうところの基本的な姿勢の中でこういった災害の問題を解決してまいりたい、全く同感でございます。
  65. 折小野良一

    ○折小野委員 最後に、そういうような立場で今回の災害復旧についていろいろ御指導、御援助をいただくといたしまして、農業構造改善事業によってやったそれが今回の災害でやられた。これに対する具体的な援助の方法、こういう面についてお答えいただきたい。
  66. 太田康二

    ○太田説明員 先ほど小川先生の御質問にもお答えいたしたのでございますが、構造改善事業ででき上がりました共同利用施設等につきましは、現在その災害復旧につきまして農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律という法律に基づきまして、補助の道があるのでございます。  それから構造改善事業で実施中に、まだ完成しない場合に一部施設被害を受けたというような場合には、これを手戻り工事として調整をいたしたというような事例は過去にあるのでございます。ただ、完成した施設がまたやられたというような場合には、助成の道といたしましては、個人施設の場合には農林漁業金融公庫の資金融通で措置するというふうにいたしておるのでございます。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員長 兒玉末男君。
  68. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいま折小野さんが言われましたこの件ですが、事故の状態が全壊という状態でございまして、おそらく、せっかくの希望を持った青年たちはこのことに対して非常に関心を持っておると思うのです。事業費五百万、この改善事業に対しましては災害復旧事業は再度指定事業として実施させるべきだと思うのですが、農林省当局としてはどういうふうな見解をお持ちなのかお聞かせをいただきたいと思います。
  69. 森本修

    ○森本政府委員 現地の事情を調査いたしまして、検討したいと思います。
  70. 芳賀貢

  71. 水野清

    水野委員 私も芳賀委員長のお供をして南九州に行ってきたのでございますが、特にビニールハウスハウス園芸の問題について先ほど兒玉委員からの御質問もありましたが、ちょっと不足な点が多うございますから、もう一度伺いたいと思います。  先ほど大臣及び関係局長の御答弁がありましたが、いま日本の国の農業の中でハウス園芸の農業というものは、農林省の構造改善事業にも取り上げられております。そして非常に急速な勢いで太平洋沿岸地帯の新しい形の農業として進展をしているわけです。実は私は数字は調べておりませんが、その生産額は相当な金額になると思うのです。それに対して個人共済制度が一切ないということについて、先ほど大臣及び関係局長の御答弁は、私はやや退嬰的な態度をとっておられるのではないか。この際さらに積極的な対策を、農業共済に入れるということについて大臣から御所見を承りたい。さらに、もし取り入れるとすると、財政負担がどのくらいになるかという御試算があれば伺いたい。私はこの問題につきましては、関係当委員会として、できればこれを決議をしていただいて、行政当局に早急に申し入れていただきたい。これは今回は豪雪地帯だけでございますが、私の関係の千葉県のほうでも常にこの問題は起こっておるわけであります。大臣の御出身の静岡県でも起こっておることはよく御承知だと思いますので、御所見を承っておきたい。
  72. 大和田啓気

    大和田政府委員 先ほど申し上げましたけれども、農業共済事業は災害が起こりました場合に見舞い金を出す制度ではございませんで、保険掛け金を取って保険金を支払う制度でございますから、相当長期にわたる綿密な被害その他のデータがないとできない仕事であります。御承知のように、米麦につきましては、すでに二十年の資料がございますし、果樹保険につきましてもことしようやく出発いたしましたが、それでも数年の資料では足りないので、なお五年間の試験実施をいたす段階でございます。ビニールハウスにつきましては、ここ数年急速に伸びましたもので、構造がきわめてまちまちでございますし、被害率が全国的な資料として一向つかめておりません。また、地域的な片寄りも相当あるわけでございますから、いまのままの資料で全国的な設計に立って共済制度をつくるということは、困難というよりむしろ不可能なことでございます。したがいまして、私ども別にビニールハウス園芸の共済事業について消極的なのではございませんで、先ほど申し上げましたように、関係者の御要望が強ければまず地方的に任意共済の形で農林省の省令の指定で始めて、だんだんにデータを積み上げて、これを全国的な規模でやることができるかどうかということを十分検討いたしますというように申し上げて、御了承を願います。
  73. 水野清

    水野委員 その話はよくわかるのでございますけれども、米麦と同様に二十年間の調査を待つというわけにはいかないと私は思います。それから各県の任意共済制度をそれじゃ即刻農林省で始めるような手を打っておられるかどうか。
  74. 大和田啓気

    大和田政府委員 これは農林省の省令で指定をすれば共済組合の共済事業としてできるということでございまして、何よりも保険需要と申しますか、農業者あるいは現地の共済組合なり連合会がこれをやろうという強い希望がないと、これは農林省が押しつけるわけには毛頭まいりませんので、先ほども申し上げましたように、関係者の要望を見ながら十分連絡して相談をしてまいりたいというふうに申し上げておきたいと思います。
  75. 水野清

    水野委員 それでは私はこの議論を繰り返してもしようがないので、次回でけっこうでございますが、共済連の担当者とそれから農林省に来ていただいて、さらにもう少し前向きな議論をしていただかないと、議論だけでやっておっても私は全然ナンセンスだと思うので、この点はやめます。  もう一つ、折木、折損木の問題で簡単に伺いたいのでありますが、今度の豪雪全国的に森林地帯の折木や倒伏木が相当出たわけであります。これについて、一ヘクタール単位の補助金の単価の問題でございますが、御承知のように、来年度は五万八千九百円という単価によって、それに計数をはじいて植林の補助金を災害の場合出すということです。御承知のように、最近の山村地帯の労賃も非常に高騰しております。この単価を変えろというのは無理かもしれませんが、何らかの方策を考えていただかないと再造林ができない。できないとまた夏の干ばつになって、今度はまた雨が降ると水害を伴うわけであります。これは災害の累積の原因になると私は思うのです。それについてちょっと大臣の御所見を伺いたいと思います。
  76. 西村直己

    ○西村国務大臣 復旧造林につきまして、被害が著しいという場合には普通再造林の場合よりは優遇措置をとっている、これは御案内のとおりだと思います。これを考えてまいりたいと思います。  それからあと公庫資金等のいろいろな緩和の問題、これも検討していきたいというふうに考えておるのでございます。
  77. 水野清

    水野委員 その際お願いをしたいのでございますが、農業と林業は収穫の年期が非常に違うわけでございます。農業の場合は一年でございますが、林業の場合は大体二十年とかありますので、それをあわせて御考慮いただきたい。要するに金融の返済の期限、金利を農業金利よりさらに下げていただくというようなことをお考えいただきたいと思います。これは要望しておきます。
  78. 芳賀貢

  79. 池田清志

    池田(清)委員 台風のあとの家屋の全壊、損壊、これはまあ大きな被害であります。しかしながら、被災者は直ちに帰ってあと片づけやらあるいは半壊の補強やらできるのです。ところが、地震のあとの全壊、半壊につきましては、被災者の方々はなかなか家に帰っていけないという気持ちがあるわけです。というのは、地震が続いておりまするし、いつまたあるかもしれない、こういうことでありまするから、台風一過の場合と趣が異なるということをここに申し上げるわけです。そこで、仮設住宅というものが非常に喜ばれるわけであります。  災害救助法適用のありましたところのえびの町、吉松町におきましては、いち早く仮設住宅、応急修理等それぞれ許されております。吉松町につきまして申し上げますと、仮設住宅十戸、応急修理七十六戸、これが限度であるかのごとき許し方であります。ところが、罹災者の数を考えてみますと、吉松町におきまして一千六百九十八世帯、こういうわけです。一千六百九十八世帯に対しまして十戸の仮設住宅、応急修理七十六戸では、これはもう九牛の一毛と申しますか、あまり足しにならないのです。そこで、こういうような制度がありますから、それを特別えびの地震の場合においてはさらにふやしていただきたい、こういう鹿児島県、宮崎県の要求となってあらわれておるわけです。鹿児島県のものにつきましては、ここに要求の数字がありますからそれを申し上げて、ぜひ実現方をお願いいたしますが、特別基準といたしまして仮設住宅をさらに十二戸、応急修理をさらに七十二戸、これはぜひひとつ願いたい、こういうわけでありますから、いわゆる地震後の災害救助法関係に基づきまする住まいの問題は特別な問題としてぜひ許していただきたい、こう思うのですが、いかがでしょう。
  80. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  いま仰せになりました応急仮設のほうの十二戸、それから応急修理の七十二戸のいわゆる追加、これは申請がございまして財政当局と話し合いをしております。
  81. 池田清志

    池田(清)委員 ぜひ許していただくようにお願いをしておきます。  地震地帯におきましては、建物は軽い建物、これがぜひ必要であると思うわけです。今回の仮設住宅におきましても、プレハブ住宅は十五万円で一世帯分ができるということで、たいへん罹災者の方々は喜んでおられます。  そこで今後の問題でありますが、この地震地帯につきまして地震に強い軽い建物の指導、こういうことが大事になってくると思うのですが、これについてはどういうお考えでしょうか。
  82. 上野洋

    ○上野説明員 お答え申し上げます。  実はえびのを中心といたしました地震の場合の構造は、御案内のように基礎構造が非常に不安定な構造になっておりますし、その反面屋根の重いものをかけているような実情でございます。そこで、いま宮崎鹿児島両県の建築技術員を中心にいたしまして、今後の地震の場合によくもつような構造にするように現地指導したい、かように思っておる次第でございます。
  83. 池田清志

    池田(清)委員 お願いを申しておきます。  なお、現地を視察して目につきましたのは、ブロックというものが弱いということです。ブロックの建物はこわれてしまっておる。ブロックのへいはこわれてしまっておる。これではいけません。建材といたしましてブロックを使うという傾向がどしどしあるのでありますから、あのブロックを使ってつくりまする建物やへいは地震に対しまして弱いという、こういう建築指導もしてもらわなければなりません。いかがでしょう。
  84. 上野洋

    ○上野説明員 えびののブロックの場合には倒壊が目立っておりますけれども、その全部が鉄筋の入っていないブロックの倒壊のようでございます。したがいまして、ブロック造そのものも、先ほどの木造と同様に、縦横の鉄筋を十分に入れるように指導してまいりたい、かように思っております。
  85. 池田清志

    池田(清)委員 ブロックハウスにつきましても、いわゆる耐震的立場から、よい指導をお願い申し上げます。  吉松町におきましては、がけがくずれてきまして、二人の方が犠牲になっておられます。急傾斜地対策、これが必要になってくるわけです。鹿児島県はシラス地帯でありまして、そのシラスの中に大きな石ころがまじっておるような傾斜地であります。土地がゆれたのでありますから、石ころがころび落ちて、その下敷きになって二人の方が生命を失われた、こういうわけです。これらの地帯におきましては、住宅集団的に移らなければならないかもしれません。また、おくれておりまする急傾斜地に対しまする対策そのものも確立して、こういうことが再びないようにしなければならぬと思います。当局のお考えはいかがでしょうか。
  86. 坂野重信

    ○坂野政府委員 いまの急傾斜地の問題でございますが、急傾斜地の崩壊地対策事業の適用をされるかどうか、農林省との関係がありますので、いま農林省と打ち合わせております。農林省が現地を見ておりますので、その結果を待ちまして、できるだけ急傾斜地または治山の関係で措置いたしたいと思っております。
  87. 池田清志

    池田(清)委員 急傾斜地対策は緊急にひとつお願い申し上げておきます。  学校の施設に移ります。  えびの町の京町の真幸小学校、これはもう校舎がこわれる寸前の状態になっております。授業は休んでおります。授業をいたしまするためには、プレハブ教室をつくらなければなりません。そしてまた、本建築によりまする小学校を建築しなければなりません。吉松町におきましては、吉松小学校がこれまた倒れかかっておる。学校に行ってはあぶないから、部落、部落に部落講習所というものを開設いたしまして、そこで教育をしておるという実情です。この部落講習所も、長く続くわけにまいりません。そういたしますと、吉松小学校におきましても、いわゆるプレハブ教室をつくり、そして堅固な本建築の小学校をつくる、こういうことになっていかなければならないのですが、これに対しまして文部省はいかに進んでおるでしょうか。
  88. 菅野誠

    ○菅野説明員 ただいまのお話、現地からの報告も受けております。その点につきましては、全壊、半壊被害を受けた校舎に対しましては、必要最小限度の仮設校舎の補助をすることができる規定になっておりますので、この点、現実に半壊、全壊の問題につきましてさらに検討いたしまして、補助ができるようなことになるかどうかは、全壊、半壊被害を受けたということになるわけでありますから、この点は研究いたしまして……。
  89. 池田清志

    池田(清)委員 建設省の関係です。国道二六八号を通りますと、あちこち亀裂が生じております。橋の取りつけのところに段差ができております。これに対しましては、応急的に埋めてある、段差を補正してある。これは臨時、緊急のものです。それじゃいけませんので、災害といたしましてぜひ本格的に復旧をしてもらわなければなりません。これに対しまして早急復旧をお願いするわけですが、いかに進んでおるでしょう。
  90. 坂野重信

    ○坂野政府委員 応急的な措置はただいま先生がおっしゃるとおりでございます。緊急の査定につきましては、宮崎県は三月十一日から六日間査定官が参ることにいたしております。鹿児島県につきましては、三月十七日から査定官が参りまして、その際に緊急査定を実施いたしまして、復旧の工法等を早急に決定いたしまして、できるだけ早急に災害復旧の本格的な工事に着工いたしたいと存じておる次第であります。
  91. 池田清志

    池田(清)委員 川内川の堤防もあちこち亀裂しておるという報告を受けました。そのうちの一つといたしまして、鹿児島県栗野町のとどろき橋、これがあぶなくて交通どめになっておるというのです。建設省河川当局はよく御承知のように、とどろき橋のあそこは迫っておる、そして古い橋がかかっておるというのでありますから、あれを切開して新しい橋をつくるということが地元の念願であるのであります。今回の地震が原因となりまして災害を受けておる、こういうのでありますから、この際災害といたしまして、災害復旧では改良を加えて復旧することになっておるのですから、それを本格的にやってもらうということはいかがですか。
  92. 坂野重信

    ○坂野政府委員 査定官が参りましてよく実地を調査いたしまして、できるだけ先生のおっしゃるような線に沿って本復旧ができるようにいたしたいと思いますが、被害程度等がはっきりいたしませんので、その段階におきましてできるだけ御趣旨に沿うように努力したい、かように存じます。
  93. 池田清志

    池田(清)委員 個人災害が非常に多いところのえびの地震でございました。宮崎鹿児島両県を回ってみますと、知事が見舞い金を出しております。あるいは市町村長で見舞い金を出す、こういうところも耳にいたしました。そうすると、地方団体はこの災害のために出費をしておるわけです。これに対しまして、御承知のように国自体が見舞い金を出すとか個人に対して助成をするとかそういう道はまだないのでありますが、このことについては先般も申し上げましたように、私どもも勉強して実現できるように努力をしなくちゃならないのでありますけれども、現在の状態において地方公共団体が災害のためにその出費をいたしておりますから、これを中央で見てくれ、こういう要求になってくるわけです。自治省のお考えはいかがでしょう。
  94. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答え申し上げます。  地方団体の災害に伴いますもろもろの出費につきましては、特別交付税をもって措置をいたしておることは御承知のとおりでございます。ただ、特別交付税は、災害に必要な諸種の財源に充てますための一般財源、こういうかっこうで措置をいたしておりますので、災害の全体の規模に一定の比率をかけましたり等の計算を基礎にいたしまして、交付をいたしております。したがいまして、直接に見舞い金そのものとリンクをするという考え方ではございませんで、そのようなもろもろの経費のために充てる所要財源、こういうかっこうで交付をしているわけでございます。
  95. 川村継義

    川村委員 関連して、文部省にちょっとお願いします。  いま池田先生から学校関係の施設のことについて質問がありました。もちろん災害を受けたら公立学校施設災害復旧費国庫負担法でやるでしょうが、今度のえびの地震によってえびの町の真幸小学校というのがやられたようです。これは査定に行きましたか。
  96. 菅野誠

    ○菅野説明員 ただいまの点は、査定ということになりますと現地立会査定ということになりますので、大蔵省と文部省の査定官が一緒に参ることになるわけでございますが、ただいまのところでは現地の査定ということではなしに、現地調査員を派遣したことはございます。査定は当該の市町村から事業計画書が出てきた上で査定になりますので、ただいままだ事業計画書が出てきておりませんので、現地査定までには至っておりません。
  97. 川村継義

    川村委員 調査官はいつやりましたか。
  98. 菅野誠

    ○菅野説明員 二月二十四日と二月二十五日であります。
  99. 川村継義

    川村委員 文部省から調査に来ないから手がつけられぬ、このままに校舎をしておかなければいかぬ、こういう声が伝わっておるのです。そこで私がこの際考えてもらいたいのは、台風でも何でも校舎が大きな被害を受ける。ところが文部省が調査あるいは査定に行くその以前に手をつけたら、これを対象にしないということでよくトラブルを起こしている。たとえば台風がありまして、校舎のかわらが吹っ飛んだ、雨がじゃんじゃん漏る、授業はせにゃならぬ、ところがうっかりかわらでもはめようものなら、そんなのは補助対象からはずすということがいわれる。これはたぶんおどしかもしれませんが、とにかくトラブルが起こったり、あるいはいろいろおもしろくない事態がよく起こるのです。こういうものは急いで調査をして、そして写真にとらせるとかなんとかもう少し地方団体を信用して、早く手をつけておく。雨が漏ったら一日も早く雨漏りを防げ、授業せい、あとからちゃんと復旧対象にしてやる、これをやってもらわなければならぬ。おそく行って、それまで校舎をほったらかしておくような事態がよく起こるのですね。今度のえびのの学校のことでも、さっき言ったようなことがいわれておる。これは行政的にできることでしょうから、ひとつ何とか検討してもらわなければならぬと思うのですね。こんなところに目をつけるのが大事なことじゃありませんか。どうですか。
  100. 菅野誠

    ○菅野説明員 まことにおっしゃるとおりだと思います。その点若干現地とのトラブルを起こしたことがありますれば、まことに申しわけないと思っております。被害の立証ができれば復旧にかかってよいことを指導しておりますから、先ほどお話がありましたように、写真をとりましたり、その事実が認定されれば、その前に復旧作業をいたしましても、これは災害対象になり得ることになっておりますので、その点指導が足りなかったと思いまして、まことに申しわけございません。以後さらに早期復旧をして、おっしゃるとおりにしたいということで努力してまいりたいと考えております。
  101. 橋口隆

    ○橋口委員 ただいまの池田先生の質問に関連して、建設省に要望いたします。  本日現地のほうから要請がございまして、緊急にこの委員会で建設省当局に要請をしてくれということでございます。それは二月二十一日のえびの地震発生以来、現在も連続して発生する地震や地鳴りのため、住民は一日として安眠することができず、今後長期的地震対策の一環としてプレハブ緊急避難所の設置が急務である、こういうことを地元で非常に痛感しておるようでございます。そこで、こういう緊急避難所について全額国庫負担をもって建設できるよう特別の措置ができるかどうか、それをひとつ御開示願いたいと思います。
  102. 上野洋

    ○上野説明員 先生の御指摘の件につきましては、実は従来まだ例もございませんで、新しいケースだと思いますので、検討させていただきたいと思います。
  103. 橋口隆

    ○橋口委員 それでは、いまの緊急避難所の問題は初めてのケースだと思われますが、最近日本列島各地においてこういう災害が非常に予想されますので、建設省においては十分御検討をお願いしたいと思います。
  104. 芳賀貢

    芳賀委員長 兒玉末男君。
  105. 兒玉末男

    ○兒玉委員 最初に気象庁にお伺いします。  この前の二十七日の委員会でも私は質問申し上げたわけですが、御承知のとおり、地元民は地震気象観測に非常に重大な関心を持っておるわけでございます。いままでは東大の測観所のデータ等に委託しておった。もちろん地震計は人吉かどこかにあるそうですけれども、われわれが地元において感じますことは、やはり気象庁としても的確なる観測設備というものをこの際置くことは決して国費の乱費じゃないと思うのであります。以前にも新燃岳が噴火しまして、煙をはいておるわけでございますが、この際特に桜島と同様に霧島にも観測所を置いて的確なる情勢の把握をすべきだ、こういう要望を申し上げたわけでありますけれども、予算の関係でそれは実現しなかったという過去の歴史的な背景があるわけであります。私は、こういう際にこそ、気象庁は勇断をもって地域住民のために的確なる地震観測ができるように措置をすべきだと思うのでありますが、これはいかがでございますか。
  106. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 地震観測の設備の整備のことでございますが、これは先生のおっしゃるようにいろいろな過去のいきさつもありまして、えびの町だけじゃなくて、全国的に目下整備を急いでおる最中でございます。十分ではございませんが、しかし、先生も御承知のように、気象庁観測所が霧島町に一カ所ございます。これは霧島火山帯の観測を主目的とした観測点でございますが、今回のえびの地震におきましては、この気象庁観測点はむろん利用いたしまして解析に使いました。しかし、御承知の東大その他の観測点がまわりに数十ございます。   〔委員長退席、川村委員長代理着席〕 そういうような観測点の資料も同時にその解析に使えるような体制を現在とっているということは、先ほどの委員長の御報告の中にも書いてあるとおりでございます。  御承知のように現在は、このえびの地震は一進一退がございますけれども、総体的に見ますと、漸次衰弱の方向に向かっているというように現地の資料の分析から判明しているのでございます。しかし、何ぶんにもこういうような地震予知の問題につきましてはなかなかむずかしいのでございまして、たとえば伊豆七島のように、一ぺんおさまりましてまたふたたび活動し出すというような経過をたどるような場合もあるのでございますので、今後はその情勢の推移を十分分析いたしまして、必要な観測施設現地に備えつける、すなわち、観測施設の整備につきましては今後ともなお一そう強力に推し進めていきたいと考えております。  なお、これは現在のところの方針でございますが、実は、御承知のように、あそこに霧島山という火山がございます。こういう地震はときどき火山活動と結びつく可能性も考えられるのでございますので、そういう面から早急にえびの町と吉松町に機械を持っていきまして、その観測をしたいというように考えておりますし、また霧島の高千穂岳の西側にも地震計を一カ所追加する予定になっております。  なお、桜島につきましては、観測体制を強化するというような方向で強力に進めていきたいと思っております。
  107. 兒玉末男

    ○兒玉委員 長官に再度お尋ねしたいのですが、この前東大の観測計でございますか、これが電気が全部とまった関係で、何か水をくみ上げるための自家発電機を借りて一カ所だけは観測が継続的にできたが、あとは全部だめだった。こういうことを考えますと、私は非常に心もとない気がするわけですけれども、地震観測計というのはそんなにお粗末な機械なのか、相当の耐震というものを考慮しなければ観測の意味がないと思うのですけれども、前に日向灘の地震があったときも宮崎の測候所の地震計はとたんにとまってしまって役に立ってない、こういうことがあるわけですが、この辺の関係は一体どういうふうに処置され、今回のえびの地震の教訓から一体何を学び、何を措置しようとしておられるのか、この辺の専門的な立場の御見解を承りたいと思います。
  108. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 実は停電のために機械が動かなくなったということは、地震計のみならず、気象機械で、そういうように電気で動いているものにつきましてはそういう場合が往々にございますけれども、現在の気象庁におきましては、できるだけ停電によって機械がストップしないように、停電した場合でもすぐ自家発電あるいは電池に切りかえられるような装置を使っております。したがって、今回のえびの地震の場合の気象庁霧島山の観測所にございます地震計につきましては、停電しても機械がとまらないような装置になっておるのでございます。
  109. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ひとつそういうことを二回と繰り返さないように、十分な措置をお願いしたい。  それから、これは現地に行かれました気象庁調査官の御意見の中にもありましたが、飛行機の上から見た状況によりますと、先ほども農林大臣にもお伺いしたのでありますが、これからだんだん雨がふえてくる。しかもシラス地帯地震の動揺と同様に、降雨によるところの災害の波及ということを非常に懸念されておられたようでございますが、この辺の関係については、気象庁、農林省さらに建設省としては、あの膨大な土砂が降雨によって川内川に流れていきますと、川底が上がって洪水の危険性ということが十分予測される、こういうような一つの御意見を述べられておりましたが、この件について気象庁並びに農林、建設両省の方から、そういうことに対する予防措置等について御見解を承りたいと思います。
  110. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 先生のおっしゃいますように、確かに今後大雨がございますと、特にあのえびのの今回の地震で地盤がゆるんでいるところは、大きながけくずれあるいは地すべりその他の大災害を起こす可能性が十分考えられるのでございます。そういうようなことを気象庁としては念頭に置きまして、ともかくそういったがけくずれあるいは地すべりというようなことは大雨の場合が主でございますので、気象庁の仕事の分野としまして、いつごろ大雨が降るかという、その大雨に対する注意というのが非常に重大でございます。したがいまして、今後の九州地方に大雨の心配がございますような場合には、福岡の管区気象台、これが九州を統轄しておりますし、それからまた、予報的に鹿児島地方気象台が鹿児島県の付近を統轄しております。その福岡と鹿児島のそれぞれの気象台に対しまして、特に今回の地震があったえびの地方のことを念頭に置いて、そういった大雨の注意警報を出すようにという指示は先日与えてございます。すぐではございませんけれども、できるだけそういう先生の御意思に沿いまして、気象庁としては万全を期していきたいと考えております。
  111. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 お答え申し上げます。  地勢によりましてそういったくずれやすい地帯がございます。それに対しましては、治山計画といたしまして、従来の荒廃地の復旧のみならず、予防治山というものに重点を置いてやってまいる所存でございます。今後ともそういう形で推進してまいりたい、かように思います。
  112. 坂野重信

    ○坂野政府委員 建設省関係では、現地の大丸川という小さな川、あと二河川あるようでございますが、それが一番シラス地帯で崩壊のひどいところ、現に相当川の中にも崩壊土が入っておる。崩壊土の排土につきましては、いま緊急に処置いたしております。恒久的な対策といたしましては、それぞれの河川の末端のほうに砂防のダムを計画いたしておりまして、できれば山腹工等も実施いたしまして、実質的な処置をやっていきたいと考えております。
  113. 兒玉末男

    ○兒玉委員 同じように気象庁と建設省の関係ですけれども、これからの住宅復旧にしましても、現地における地すべりなり、あるいは地震の強度、それからあそこの地殻は地震に弱い、こういう点等から考えますならば、住宅の今後の復旧にしましても、耐震構造ということを十分考えていかなければ、復旧の計画も立たないであろう。その辺のこれからの、的確な予報は不可能だとしても、過去の幾多の例から推して、がけの近くだとか、特に今回の地震によって地動の激しかったところ等はやはり避けて住宅の建設を行なうべきだ、こういうふうに私は現地を三回見まわして痛切に考えておるわけです。その辺、建設省のほうとどういうふうな連携をおとりになっておるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  114. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 この問題につきましては、気象庁と建設省だけじゃございませんで、まだ関係方面の省庁がございます。したがいまして、これは科学技術庁の防災センターのほうでこれを調整いたしまして、そこで大体の計画を立てたりなんかやっておるのでございますが、地震に対しての構造物あるいは家の建て方ということにつきましては、私のほうの気象庁としてはしろうとでございますので、大体地震というものはこういうようにゆれるのだというような、地震というものについての説明は関係方面には十分やっておるつもりでございます。また今後もその方向で進んでいきたいと考えております。
  115. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは総理府の関係かと思うのですけれども、防災会議ですね、この前村山議員も指摘したわけですが、地方自治体における防災対策というものが非常になまぬるい、徹底していない、こういうような指摘がなされたわけです。現在まだ余震も続いているし、今後どういうような作用が起こるかわからないのでありますが、この辺の措置についてはその後どういうような指導をしているのか、この点お聞かせをいただきたい。   〔川村委員長代理退席、委員長着席〕
  116. 上田伯雄

    ○上田説明員 えびの地震のあとで、さらにこういうようなことに対する将来の指導でございますが、現在のところ私ども、各省庁ともいろいろ連絡し合いまして、当面の対策に追われておるというのが実情でございまして、今後こういうものに対してどうするかというようなことは、その辺が一段落して、さらに各省とも連絡をとりながら考えなければならぬ、特に地震関係の今後の趨勢といいますか、気象庁のほうでは、松代のようないつまでも続くというようなことはあるまい、いまのところ断定的ではございませんが、そういうような状況でございますので、その辺の地震等の趨勢なども見ながら、そういう学問的な研究も見ながら考えていかなければならぬ、かように考えております。
  117. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、先ほども質問がありましたが、文部省関係にお伺いしたいのであります。  現地におきましては、学校の災害の状態というのが、一般的な台風等による被災率というか、そういうのと若干本質を異にしているわけです。というのは、半壊だとか全壊だとか、これによって公立学校の災害復旧の国庫補助適用率も変わると思うのですけれども、これは報告もありましたが、とにかく地震によっていつまたゆれるかわからない、いつ倒れるかわからぬ、こういうことでもって、どうしても木造建築では不安である、だから県並びに地元の町としてもどうしても耐震構造を考えた、いわゆる鉄筋校舎にしなければいけない。しかしながら現在の町の財政状態ではとても鉄筋校舎を建てることは不可能に近い、これに対して格別の配慮をしていただきたいという強い要望がなされております。現在いまだに全面的な授業再開ができない、こういうことから考えますと、単に一般の災害適用するような被災率ということでなくして、これが地震に耐えるだけの、十分子供たちが安心して勉強のできるような学校校舎の再建ということを配慮していただかなければいけないと思うのですが、この辺どういうような現地からの報告を受けているのか、またそういう特殊な状況に対処してどういうふうな措置をとるお考えなのか、この点お聞かせをいただきたいのであります。
  118. 菅野誠

    ○菅野説明員 ただいまのお話も現地のほうからも承っております。ごもっともなことだと思います。なお、御案内のように、公立学校施設災害復旧費国庫負担法に基づきまして、全壊、半壊被害を受けた学校建物につきましては、これを上位構造で復旧すること、つまり木造が全半壊いたしましても、鉄筋で復旧するということは認められることになっております。したがって、全半壊の部分については立会査定の上でその必要ありということになりますれば、木造の被害に対しても上位構造で復旧することは可能でございます。これは現地がまたそのように復旧計画を立てなくてはならぬことになりますが、木造で倒れたものは木造で建てるという場合でなくて、鉄筋で建てようとする場合には可能だということでございます。  さらにいまお話のなかにありました全半壊に至らない建物の関係でございますが、全半壊に至らないものにつきましては、義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づきまして、危険改築という形になりますので、その部分につきましては、この義務教育諸学校施設費国庫負担法に基づく新改築の場合に、やはりその木造の場台を鉄筋にするということは可能になるわけでございます。
  119. 兒玉末男

    ○兒玉委員 ただいまの御説明によりますと、こういう地震が今後も予想されるというふうな考慮を十分払っていただけるという意味にとってもいいですか。
  120. 菅野誠

    ○菅野説明員 さようでございます。
  121. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは次に、総理府のほうにお伺いしたいと思いますが、いずれの災害の場合でも激甚災害適用ということがどこの場合でも言われながら、それがなかなか大きな隘路となって、現実に激甚災の適用が実質的に行なわれておらない。でありますから、このことは、今回の激甚災害関連する法案というものに大きな隘路があるのではないか、この際、私は思い切った基準の改定を含めたところの内部の改善をすべきだと思う。しかも、このことにつきましては、先ほど申し上げました昨年十一月二十九日のこの関係の小委員会におきまして、特に決議事項の十二項に、「激甚災害法適用に関する指定基準について、災害の実態に即するよう再検討を加え、整備拡充を図ること。」と、こういうきちんと規定づけられた決議がなされておるわけであります。ですから、すでに三、四カ月たっておりますが、その後、至るところ災害発生している。こういう状況等、特に各地方自治団体等の熱烈な激甚災害に対する要請は、みずからの力で立っていけない、だからこそこういう要望が強いし、しかも、十一月二十九日のこのような決議に相なったと思うわけですが、その点はどういうふうにその後具体的な検討がなされたか、また今回の、このえびの災害を転機としてひとつ積極的な前向きの姿勢で取り組んで、地域住民要望にぜひこたえていただきたい。この点、あわせてお尋ねする次第であります。
  122. 八木徹雄

    ○八木政府委員 兒玉さんのお気持ちは、ほんとうにすなおによくわかるわけでございます。また、当委員会におきましても、御指摘のとおり、指定の基準につきまして前向きに考えろというふうな決議につきましても、私ども賜わっておりますので、正直に申し上げまして、いま慎重に検討中でございます。前向きで、基準改定につきましては、対処してまいりたいと思っております。
  123. 兒玉末男

    ○兒玉委員 前向きの姿勢で検討中というお気持ちはよく察しますが、この委員会において先ほど申し上げたような基準の改定なりそういう具体的な点について、たとえば今国会中にそういう検討を加えて改善するとかいうふうな、それこそ前向きの積極的な御意見というものがぜひほしいわけでございます。その辺はいかがでございますか。
  124. 八木徹雄

    ○八木政府委員 この国会中に出すということを約束するほど検討が煮詰まっているというふうには、まだ私も報告を聞いていないのであります。たびたび手直しをするということでなくて、一ぺんやれば、それは相当長期にわたってその基準が実施できるような、そういう形にしなければならぬと思いますので、各省の意見も十分聞くし、財政当局のほうの配慮も聞いた上で善処してまいりたい、こう思っております。
  125. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、ひとつそのことを強く要望しまして、次の点に移りたいと存じます。まだあとたくさんの方がおりますので、できるだけしぼってやります。
  126. 芳賀貢

    芳賀委員長 兒玉委員、ただいま保利建設大臣が出席しましたので……。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  127. 芳賀貢

    芳賀委員長 速記を始めて。
  128. 兒玉末男

    ○兒玉委員 せっかく大臣がお見えでございますので、ほかの委員も質問があると存じますから、二点にしぼって御質問をしたいと存じます。  特に今回の災害地が特殊土壌地帯でございまして、先ほど農林省関係にもただしたのでございますが、今後の災害を防止するための防災対策、恒久的に対処するための防災対策ということが非常に重要ではないかと考えております。これに対するお考えを伺いたい。  もう一つは、御承知のとおり、総計で一千戸以上の住宅が全壊あるいは半壊をいたしました。しかも住宅復旧に対しましては、特に住宅金融公庫法による災害特別融資のいわゆる認定を早急にしていただきまして、この対策を積極的に推し進めていただきたい。それから生活困窮者に対しまして、建設省の御理解ある協力なくしては、この混乱した状態から不安を解消し、生活の安定を期することはできない。こういう点について、特に大臣の御所見を承りたいと思います。
  129. 保利茂

    ○保利国務大臣 先般のえびの地震につきましては、御同様まことに罹災者に対しましては御同情を申し上げるわけでございます。地震があって、相当の被害が出たのではないかという報を耳にいたしましたので、仮谷政務次官に、厚生省等の係官とともに至急現地へ行っていただいて、現地の視察をしていただきました。  御指摘のように、特殊土壌地帯ではございますし、相当奥地のほうには、まだ今日つかんでおられない被害も出ておるのではないかということが想像できるわけであります。建設省としましては、とにかく災害に対しては迅速に手を打っていくということが大事であるということから、この十一日から査定官に宮崎鹿児島両県に出てもらうように手配をいたしております。その上で適切な対策を講じてまいるつもりであります。  御案内のように、おそらく御説明があったと思いますが、とりあえず本日の閣議決定で緊急の予備費支出というものをいたしておるわけであります。  なお、お話のように罹災者住宅問題というのは非常に困難をされておることは、想像に余るわけであります。こういう場合に備えて住宅金融公庫にも相当なワクがございますし、時期を逸せずこの措置ができるようにいたしております。  とにかく現地の要請というものにこたえて、遺漏なきように尽くしてまいりたいというようなことで、勉強してもらっております。
  130. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは一点だけ大臣にお聞きいたしまして、他の委員に譲ります。  これは特に建設関係が大きいわけでありますけれども御承知のとおり、激甚災害法適用ということが、いままでだいぶ論議されましたが、今度の場合等も、非常に小地域に限定されておる関係で、なかなか適用ということがむずかしい、こういう総理府の答弁でありますが、特に今回の場合の状態というのは、一つの地域に五十億というばく大な損害を与え、しかも八〇%の住宅が全壊、半壊で、この立ち上がりにはとにかくどういうことをしても国からの援助なくしては再起は望めない、こういうきびしい状況の中にあるのでありまして、基準の適用ということについては、これは法律等を改正していけばできるわけです。同時にまた、国の財政的な限度というものもあるわけでしょうけれども、こういう余測できない災害等については、やはりあたたかい思いやりの政治こそが行なわれてしかるべきだ、こういう点から激甚災害法適用について格段の御配慮を私は要望しているわけですが、建設大臣としての御所見をひとつ承りたいと思います。
  131. 保利茂

    ○保利国務大臣 区域の広い激甚災害に対しては直ちに激甚災害法が発動される。しかし、激甚度は同じでも、区域が狭いと発動されないということは、これはお互いさま全くいかがかという感じを私らも年来いたしておるわけでございます。そういう矛盾を感じておる一員でございますけれども、しかし現行法のたてまえは現行法のたてまえでございますから、現行法のたてまえの中でできる限りの処置を講じてまいるということ以外には、いま私は申し上げ得ない。そういうあなたと同じ矛盾を感じておることは率直に申し上げます。
  132. 兒玉末男

    ○兒玉委員 終わります。
  133. 芳賀貢

    芳賀委員長 村山喜一君。
  134. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 吉松町の場合は、えびの地震災害で全壊が三十五、それから半壊が二百四十八、一部破損が千四百十五棟出た。これを公営住宅法に基づく基準からまいりまするならば、一市町村の区域内で二百戸以上ということになりまするし、また住宅戸数の一割以上というその該当事項に抵触をいたしまして、このままの形ではこの公営住宅法に基づく災害公営住宅の割り当てが困難になろうかと思うのでございます。そこで、滅失家屋、この戸数が被災地全域で、これはえびの町と吉松町が中心でございますが、その全域で五百戸以上、こういうようなことにその地域を、県は境にいたしておりますが、全体的な形でとらえていくということになるならば、これは解釈の運営の問題になってまいりますが、災害公営住宅の割り当てが可能になってくるのではないかと思います。そういうような、いわゆる特別に緩和をする方法というものを考えていただくような措置をこの際処理願いたいと思うのでございますが、いかがでございますか。この点についてお尋ねをしたい。
  135. 保利茂

    ○保利国務大臣 吉松地区の被害につきましても、同様に私心配いたしております。したがいまして、お話しのように基準のなににはまってこないというところはありますけれども、一般の公営関係がございますから、これをえびの地区とできるだけ同じような扱いになるように運用できると思っておりますし、またできるようにひとつやってもらいたいと考えておるようなわけであります。
  136. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 ぜひそういうふうに温情ある措置をお願いをしたい。  そこでもう一点だけ大臣にお尋ねをいたしますが、それは松代地震のときに、大臣も御承知のように、これが非常に長期間にわたりまして地震が継続をいたしました。ところが全壊をいたしました家屋は、松代の場合は確かになかったと記憶しておるのでございます。したがいまして、災害救助法の発動はございませんでした。しかしそれにかわるべきものとして、松代地震災害の特別措置というものを講じました。それはいわゆる夜安眠ができるようにプレハブ住宅等について三分の二助成方式というものを予算措置で講じたのであります。これは所管が厚生省になるかと思いますが、しかし考え方はそういうような住宅の問題として考えられて差しつかえないのではないかと思いますのは、四百九十三戸、当時そういうような方式で家をつくったのでございます。そこでこの災害公営住宅なりあるいはいわゆる災害復興住宅資金ワクの設定の問題等にあたりましても、こういうような国のほうの補助方式による災害住宅の建設という問題について、非常に人心が安定をするようなそういう問題について考える方法はないだろうかということ。罹災した者が金を借りてつくればそれでいいじゃないかということに現在の法律の上はなっておりますが、国の補助方式による考え方というものはとられないか、一般災害住宅についての大臣の御所見を、この松代地震を引き伸ばして適用をしていくようなそういう方式で建設省としても考えていただくことはできないかどうかということをお尋ねしたいわけです。
  137. 保利茂

    ○保利国務大臣 災害の公庫融資の住宅につきましては、御案内のように三年間据え置いて償還していくというような特別の措置も講じております。また今回の場合もそういうことで処置していかなければならないと思いますけれども、これはまあ村山さんも御存じのように、住宅補助をしないかということになってきますと、問題のたてまえが根本から個人補助になってくるわけでございますから、これはいますぐ言明をなし得る問題じゃございません。しかしそうでない点におきましては、可能な限りひとつ手を打たしていただきたいと考えております。
  138. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 この問題は、無理だろうと思いますが、将来の問題として御検討いただきたい。  そこで災害復興住宅資金の貸し付けワクの問題でございますが、これは住宅金融公庫で、新築をする場合に平均七十万ないし八十万程度にいまなっているようでございます。ところが、いなかでありましても、あとの残りの半分は自分で出さなければ家ができないようなかっこうでは、困るのでございます。そこで特別な措置として、木造であれば百万円くらい、耐火構造であれば百五十万円くらいの資金の融通を願いたいというのが現地の声として非常に出ているわけでございますが、この一戸当たりの資金ワクの設定の問題については、特別な配慮は、こういうような地震災害等についてはできないかどうかということを、大臣から、そういうような方向で努力をしてみていただきたいと私たち要望申し上げておるわけでございますが、御回答をいただきたい。
  139. 保利茂

    ○保利国務大臣 努力いたしますことはやぶさかではございませんけれども、全体の住宅政策をとってまいっております関係からいたしまして、いま直ちに御要請にこたえ得るかどうか、どうも歯切れの悪いお答えを申し上げるほかはないと思うのであります。しかし努力はいたしておきます。
  140. 芳賀貢

  141. 折小野良一

    ○折小野委員 大臣に、一つだけお伺いいたしたいと思います。  災害応急住宅の建設につきましてですが、これは通常の運用からいたしますと、関係の市町村から土地を出していただいて、そこにまとめてつくって、入居してもらう、こういうようなことになっておる。ところが、現実に今度のえびの地震の場合のように、農村地帯ということになりますと、つとめ人はいいわけなんですけれども、農民、こういう人たちはそれじゃちょっと困る、こういうような面が多いのであります。これは運用の問題でございますけれども、災害応急住宅の建設につきまして、地域の実情に即して、あちこちある程度分散してつくる、こういうような面の御配慮がいただけるかどうか、そういう面について御答弁を願いたいと思います。
  142. 保利茂

    ○保利国務大臣 住宅局長から……。
  143. 三橋信一

    ○三橋政府委員 お答え申し上げます。  公営につきましては、たてまえ上は、できないことはございません。ただ、問題は、従来の実例から申し上げますと、その地元の市町村が公営住宅の管理の問題、いろいろ散っちゃうと管理がしにくいというようなことが、いろいろ従来から問題がございまして、そこいらの問題で解決しなければならぬ問題がございますが、たてまえとしては、できないことはございません。  それから、もう一つ、広さとか何かの点もあるかと思われますが、これらにつきましては、公営住宅では、これがある限度までどうしても解決できませんし、と申しまして、しからば公庫で、先ほどお話しのように、相当大幅に貸せるかどうかということになりますと、やはりこれは返せるかどうかという問題にもつながってまいりますので、ただいま六十七万円くらいで区切っておりますけれども、そこいらは十分検討いたしましてやってまいりますが、公営でまいりません点は公庫でカバーするというような考え方でまいりたいと思っております。
  144. 折小野良一

    ○折小野委員 公営住宅の管理ももちろんでございますけれども、当面、仮設住宅は、とにかく応急の、いまの災害対策なんですね。そういう方面から考えまして、あとあとの市町村の管理という問題もそれはございますでしょうけれども、当面の実情を考えて、できるだけ実情に即した運営というものをぜひひとつお願いをいたしたいと思います。大臣、ひとつお願いいたします。
  145. 保利茂

    ○保利国務大臣 仮設は厚生省のほうで……。
  146. 折小野良一

    ○折小野委員 厚生省ですか。それなら厚生省からひとつお願いします。その点だけ……。
  147. 今村譲

    ○今村政府委員 災害救助法に基づきます応急仮設住宅というのは、いま、申しわけありませんが、五坪くらいの小さなものでございまして、これは必要なところにまとめてつくらなければならないことはございません。状況によってはどこにでもつくれます。したがって、公営住宅のようなりっぱなものではございませんので、このための管理というような、それほどむずかしい問題はございません。ただ、これは長持ちはいたしませんから、これは簡単なものでございます。私のほうといたしましては、先ほど先生からお話がありましたように、前回の三〇%と、それから、それがどうしても現状がどうにもならないという場合には、特別復旧ということで、戸数のある程度増減ということもできます。そういうふうな状況であります。まとめてという問題は、私のほうではないのであります。
  148. 折小野良一

    ○折小野委員 わかりました。終わります。
  149. 芳賀貢

  150. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設大臣にお尋ねいたしますが、災害復興住宅建設資金の貸し付けの耐火構造にするためのワク引き上げというものは、お考えになっておられますか。
  151. 三橋信一

    ○三橋政府委員 ただいま、耐火住宅につきましては、八十一万でワクをきめておりますが、これを直ちに引き上げるというのはちょっと無理だと思います。
  152. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そういう要望はたくさん来ておりますが、何らかの特別措置というものは考えられないのですか。
  153. 三橋信一

    ○三橋政府委員 特別措置というお尋ねでございますけれども、これはやはり特別措置と申すより恒久対策になってくる問題であると思われます。したがいまして、将来の検討問題としては、これは私ども当然積極的に検討せにゃいかぬと思っておりますけれども、やはり公庫のたてまえといたしまして、返していただくというのがたてまえなんでございまして、そうすると、おのずからの限度があろうかというふうにも考えられますので、そこいらをあわせ考えまして、前向きに検討いたしたいと思っております。
  154. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 少なくとも百五十万円ぐらいはお願いしたいというのが現地の声であります。よろしくお願いしたいと思います。  建設大臣、これは御所見をお尋ねしたいのですが、日本の災害の問題につきまして、地震対策というのは非常にないがしろにされております。これは農林共済組合なんかでもはずされておりますし、火災保険の対象にもなっておりません。こういった日本の建築、不良建築、木造建築に対して、将来、こういう地震災害に対する何らかのこういった不動産に対する保険の適用というものに対しては、建設大臣としてはどういう御所見を持っておられるか、まずそれを聞きたいと思うのです。
  155. 保利茂

    ○保利国務大臣 仰せのような検討をしなければならない問題だと思いますから、政府のほうとしても検討いたしますが、国会のほうにおかれましても、ひとつ十分御検討、御審議をいただきますようにお願いを申しておきます。
  156. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 今回の地震によりまして、鹿児島県栗野町、それからえびの町においては、橋に相当被害が出ておりますが、こういった緊急に直さねばならぬ橋はどれくらいありますか。また、それに対する国の援助措置はどういうふうになっておりますでしょうか、お答え願います。
  157. 保利茂

    ○保利国務大臣 今回の地震に対しては、もうひとつできるだけ迅速に手を打ってまいりたいということで、先ほど申し上げましたとおりでございまして、直轄の川内川堤防の亀裂等につきましては、二千百余万円の予備金支出をきょう決定していただいたわけでございます。先ほど申しますように、十一日から宮崎県、十六日から鹿児島県、両県に防災担当官が査定に参っておりまして、査定を持って帰ってくると思いますから、適切に手を打ってまいりたいと思っております。
  158. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 建設省としては、今回の災害に対して、有能なるそういった耐震構造等の技師等を現地へ派遣して、そういった指導を行なっているんですか。
  159. 保利茂

    ○保利国務大臣 現地では、これは地震被害でございますから、建設省のその面の技術陣は絶えず研究をいたしておりますから、それに対応するところの手は十分打っていけると思っております。
  160. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最近地震が連続して起きておりますね。東京においても、きのう、おとといと大きな地震が、震度三というのが三つくらい続いております。日本全土に、東京等も含めてですが、気象庁あたりから建設省に、地震に対する——えびの地震にも関係しておるのですが、大きな地震が来るといううわさがいま飛んでおります。佐藤内閣がゆれ動いていますせいか知りませんが、とにかく非常に地震が多い。この点について建設省は、気象庁のほうから何らかの注意等を受けておりますでしょうか。
  161. 保利茂

    ○保利国務大臣 私は何も伺っておりません。ただ閣議で、気象庁の所管である運輸大臣から、どうも地震の多い年らしいというようなお話は伺ったことがあります。
  162. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最後に、建設大臣として、現地被災者の激励また地方自治体の激励等に実際出向いていく御決意がおありでしょうか。それをお聞きして終わりたいと思います。
  163. 保利茂

    ○保利国務大臣 地震被害の報に接しまして、私自身が飛んでいきたいというような衝動にかられたわけでございますけれども、どうも離れがたい事情がございましたので、仮谷政務次官に御無理を願って行っていただいたようなことでございまして、もちろんその気持ちは十分でございますけれども、今日はちょっとなかなか許されないのじゃないかと思っております。
  164. 芳賀貢

    芳賀委員長 兒玉末男君、先ほどに続いて……。
  165. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、厚生省関係と防衛庁の関係についてお伺いしたいと思います。  まず、今回の地震によって、井戸水のくみ上げ過ぎ、それから水道管が全部だめになりまして、結局自衛隊のいわゆる救援活動を通じて、初めて給水ができた。この点について、自衛隊がとりました措置を非常に私たちは感謝いたしておるわけでございますが、こういう異常時における給水作業というものは、衛生的な面あるいは人道上の点についてもきわめて重大な課題であります。今回自衛隊のほうがとられたこの給水活動というのは、私は一部を拝見したわけですけれども、どういう形で、そして大体延べ何名程度の給水活動が行なわれたのか、この点をまずお聞きしたいと思うのです。
  166. 今泉正隆

    ○今泉説明員 お答えいたします。  自衛隊が給水をいたしましたのは、二月二十一日から三月七日、きのうまででありますが、給水しました総量は三百十八トンでございます。給水に何名のものが当たったかというのは詳細なデータをとっておりませんが、たとえば昨日給水をやりました例では、大体三十名のものでやっております。ただし給水も、途中ではこれは宮崎県につきましては都城の四十三連隊、吉松町につきましては鹿児島県の国分の第十二連隊から出動して当たっておりますが、多いときには両方それぞれ三百名ずつぐらいのものが当たっております。  それから、給水いたします場合には、浄水セットその他を用意いたしまして、衛生には十分注意したいという話でございます。
  167. 兒玉末男

    ○兒玉委員 いまの自衛隊のほうから報告があったとおり、厚生省に対してお聞きしたいのですが、少なくとも災害発生してから二週間以上、自衛隊の援助に待たなければ給水ができない。これはやはり衛生的な面を担当する、特に水道関係は厚生省の所管だと思っておるのですが、こういうような災害時に対する給水活動はいつも自衛隊の力をかりなくては早期の復旧ができないということは、もう少し厚生省としても積極的な取り組みを示すべきじゃないか。しかも、今回の場合は、停電、しかも、地震によって水道管がどこが破壊したかわからない、非常に復旧も手間どる、こういう非常に困難な情勢にあるわけですけれども、これをひとつ貴重な教訓として、もう少し前向きの姿勢でこういう給水活動というものができるような体制を整備すべきじゃないかと思うのですが、その辺はいかがでございますか。
  168. 大橋文雄

    ○大橋説明員 お答え申し上げます。  地震にあたりまして水道が非常に被害を受けるということでございますが、今回のえびの町の場合には、水道で水を送っておりました給水人口が約四千人でございました。水源が三本ございましたが、その中で、水が取れなくなったもの、あるいは一部取れるもの、被害が軽微というようなものもございます。また、浄水施設、あるいは配水管、送水管等が非常に破損されまして、断水しました。それに対しまして、先ほど来防衛庁のほうから御説明のございましたように、自衛隊の非常に強力なる給水応援を得まして、給水活動を行ないました。町といたしましても、給水の車等により給水を行なったわけであります。  まずえびの町から申し上げますと、復旧状況は三月五日をもちまして一応応急復旧が全部終わりまして、現在では全域に給水中でございます。こういう場合には、どうしても水道は応急復旧を最初にやりまして、次に本復旧ということになるわけでございますが、御指摘のように、非常にその間に給水体制を自衛隊に依存するというふうな弱さ、それから非常に復旧が手間どるということにつきましては、こういうことを教訓にいたしまして今後検討してまいりたいと思う次第でございます。吉松町につきましても、同じように二カ所の水源が使用不能になりまして、そのほか各所におきましてパイプがやられておるというようなことで、この両町につきましては同じような状態でございまして、吉松町のほうの水源を新規に仮工事をしなければならないというようなことで、吉松町のほうがむしろおくれたというようなことで、きょう現在で、ようやく応急的な給水装置が全部できるようになったというような状態でございます。したがいまして、こういう両町のことを教訓といたしまして、水道の給水体制というものにつきまして今後大いに努力してまいりたいと思います。
  169. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それではあと二問御質問します。一ぺんに質問したいと思います。  一点は、厚生省関係でございますが、先月二十七日の当委員会におきまして、同僚議員の村山さんからの環衛公庫融資の拡大についての御質問の中で、四月一日から業務方法書の改善を通じまして、いままでの貸し付け対象ワク拡大する。特に当町は旅館なりこのような関係の商店街が多いところでございますが、特に環衛金融公庫の融資に非常に期待をかけておるわけでございます。これらの措置についてその後どういうふうな御検討なりあるいは県等からの要請によって対処されておるか。  それから大蔵省関係でございますけれども、特に商店街が壊滅的な状態でありまして、ほとんど商行為もできないし、相当の商品が地震のために損壊し、ばく大な被害を受けておる。当然これに対しましては、国税等の減免もしくは納期の延長等、特に御配慮していただきたいと思うわけでございます。けれども、この辺いかような措置をとられておるか。  以上、二点を質問しまして、私の質疑を終わりたいと思います。
  170. 赤穴博

    赤穴説明員 お答え申し上げます。  環衛公庫の融資につきましては、近代化、協業化、こういう点を主体に従来融資を行なっておるわけでございます。明年度以降につきましては、およそ環衛業につきましてはすべて環衛公庫で特別な融資をするということで、一応関係方面との御了解にも達しておりますので、できるだけこの線を早期に出発させるということで御要望の線に沿いたい、こういうことで関係方面と折衝いたしている次第でございます。
  171. 大塚俊二

    大塚説明員 租税の災害に伴います減免、それから徴収猶予等に関する取り扱いにつきましては、えびの地震についてさしあたって災害発生しました二月二十一日から四月二十一日までに期限がまいります申請、申告それから納期、納税、これらを全部四月二十二日まで延長してございます。  それからいま御質問の、商店等が全部非常に災害を受けておる。現在の税法でまいりますと、四十二年分の所得税は、実は今度の三月十五日が申告期限になっておるわけでございますが、四十二年分の所得税につきましては、税の減免という制度が現行法では実はございません。これにつきましては、ただいま申し上げました申告期限の延長はございますが、税の減免そのものはございませんで、一応これは計算はいたしていただきまして、納税のほうを原則といたしまして一年間猶予ができる。さらに個別の事情によりましては、最高三年まで猶予ができるという制度になっております。今回の地震に関します災害は、四十三年分の所得税として減免する、あるいは雑損控除とか、商店の場合でございますれば純損失の繰り越し控除とか、四十三年分の所得税の問題として措置がございます。そういう状況でございます。
  172. 芳賀貢

    芳賀委員長 村山喜一君。
  173. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 もうほとんど触れられてまいりましたので、私は問題を二点にしぼって質問をいたします。  第一点は、災害救助法関連をする問題でございます。厚生省の社会局長にお願いをしたいと思いますが、いまたき出しは一日百円というのは、これはいつきまったのですか。
  174. 今村譲

    ○今村政府委員 昨年の春だったと思います。
  175. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 その前は幾らですか。
  176. 今村譲

    ○今村政府委員 その前は九十円だと思います。
  177. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 一日百円で、これは一週間でしょう。一週間過ぎたら、今度は百三十円になるわけですね。老人ホームでなにしている人の基準が、いま百三十九円ですか。措置児童、収容施設の子供たちが百八十七円、こういうことでございますが、男も女も子供もおしなべて一日百円で、緊急事態だからというので食わせる。これはなんですか、百円で何カロリー処理できるのですか。
  178. 今村譲

    ○今村政府委員 これは私説明不十分でございましたが、一週間百円でございませんで、最初の三日間は百円、それから四日目からは百三十円、これも去年の春に——これは正確に申しまして、何カロリーとかなんとかいうような恒常的な栄養計算というふうなものではございませんで、臨時緊急に握りめしというものから出発しておるのだから、一日、二日ぐらいはどろ水の中ということで、四日以降については何とか直してくれというので、これを百二十円に昨年の春に直してもらった、こういうふうな状況でございます。
  179. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それにしましても、今日、百円では、ラーメン一ぱい食べても百円取られるわけですね。握りめしとつけものくらいで——これは一食分じゃなくて、三食分でしょう。こういうようなことで応急措置を講じて災害救助法を発動したからということで処理される状態から見ますと、あまりにも現実離れをした災害救助法の内容ではないかと私は思うのですが、これを現実に合うように改正をされる必要があるのではないかと思いますけれども、そういうようなことは検討はしておられませんか。  時間がありませんので、その答えと、それから中身に関する問題でございますが、テント借り上げ料一人当たり一日五円二十五銭だそうですね。それから避難施設に入った場合には、一日四円五十銭だそうですね。これも、そういうような安い値段でテントを貸してくれるのは、地方公共団体や自衛隊のほうから貸してくれるのでしょうが、そういうようなやり方をいつまでも続けて、災害救助法を発動してやったから、なんじ臣民はこれで助かったんだというような感覚に立っているところに、佐藤内閣の政治の姿勢があるような気がしてならないのですが、もう少し人心を安心させるような形を名実ともにとらなければ、社会開発も発展も何もありませんよ。この点を、私はもっと現実に即するような方法で内容を改善をしてもらいたいということを考えるわけですが、それに対する御回答をお伺いをしたい。
  180. 今村譲

    ○今村政府委員 お答え申し上げます。  おっしゃいますように、災害救助も二十種目くらい、遺体捜査から医療から、いろいろなものがございます。いまお話しになりましたように、避難所五円二十五銭、既存建物の中に入ってもらった場合には四円五十銭、これは実は二十八年から基準は同じでございます。この問題は、現実に仮小屋をつくる、あるいは天幕を業者から借りてきてという実態がほとんどございませんで、自衛隊から貸してもらう、あるいは公民館に入れるということで、こっちのほうはほとんど市町村としては負担にならないという問題がございますので、われわれとしましては、応急仮設住宅、たとえば十三万円であったものを十六万円に直すとか——五坪でありますけれども、それからたき出し、被服、毛布、そういうようなもの、それから住宅の応急修理というふうに、とりあえず一番緊急なものというものを重点にやってまいりましたので、お話しのように、避難所の設置経費は、実例は非常に少ないのでございますけれども、これはほったらかしになっておるという点については、私どももちょっとあと回しにし過ぎたというふうに考えます。特に個人住宅とか、被服とか、めし代とか、そういうふうなものについての引き上げを重点的にやってきたものですから、ちょっとこれが立ちおくれになっておるという事実は、私どもとしても非常に手落ちであった、こういうふうに考えます。
  181. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 八木副長官、いま私が言ったことをお聞きになって、どういうようなお感じでございますか。
  182. 八木徹雄

    ○八木政府委員 確かに非常識な話だと思います。ただ実態が、要請がないから惰性でそのままで置いておるということのように聞こえるのですけれども、それならやめればいいのであって、やる場合においては、それによって処置できるという可能性の範囲で処置しなければならぬと思いますから、まだまだこういう点、災害の各種の問題について配慮が足りないところはたくさんあると思いますから、御指摘をいただきながら、現実に即した、それこそ社会開発にふさわしい対策になれるように仕上げていくことに努力してまいりたい、こう思います。
  183. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 いい答弁をいただきましたので、ひとつ資料としてお出しをいただきたいのですが、現行の災害救助法の各項目ごとの適用の単価基準、これをこの委員会にお出しをいただいて、この委員会でももう少しこのような問題については、何か小委員会あたりでもずいぶん検討されておるようでございますが、内容をより高次なものにしていかなければならぬ任務が国会にもあろうかと思いますので、それをお願いをしたいと思います。  そこで、この応急仮設住宅の問題がございますが、先ほど以来お話が出ておりました、また、委員の方からも鹿児島県の要望についても触れられたようでございますので、あまりくどくは申し上げません。いま三割以内、それに特別加算をある程度認めて処置してやるということでございますが、それにしても全壊戸数が少なければ割り当て戸数が少ないことは事実でありまして、鹿児島県にせいぜい認められて二十二戸ぐらいしか認められないんじゃないかというふうに私は思うのであります。ところが、現場を回ってみまして、もう半分こわれかかった家の中に寝るのはかなわぬ、眠れない、庭先にテントを張って寝ているわけですね。あるいはたんぼの中にわらを敷いて、その上に農業用の施設のビニールのテントを持ち出して、その中で人間が寝ている。余震は一向におさまらない。先ほどの気象庁の話ではだいぶおさまってくるようなお話をお伺いしましたが、それがおさまるという保証は、気象庁として保証書を出してくれといっても、保証書は出せないのが現在の地震の、地球物理学の現状ではないかと思うのです。そういうようなことから考えますと、人心の安心立命のなにをやるためには、まず第一に寝る場所、眠れるということを措置してやることが必要だ。いつまでもテントの中に、あるいはビニールハウスの中に寝泊まりをさせておくということは、政治のあり方ではないと私は思うのです。そういう立場から、もっと仮設住宅について、あなた方が松代地震のときにとられましたように、当時の記録によると四百九十三戸ですか、これだけ三分の二の補助方式でそういう家の中に眠れない人たちに特別の措置をしてやったわけですね。だから、余震がまだ続いておる、これからどれだけ続くかわからない、そういうような情勢の見通しに立つならば、長期的な展望の上に立って、この応急仮設住宅という問題は処理してしかるべきではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、担当の厚生省としてはどういうような感触でおられるのか、これをお聞かせいただきたいと思うのです。
  184. 今村譲

    ○今村政府委員 いまお話しの点でありますが、私どもが県なりあるいは気象庁なりから報告をしていただいておりますのは、松代と違って大体終息しかかっておる。回数は多いですけれども、小さなもので、一応災害はおさまってきている。たとえば、えびの町あたりはほとんど自宅復帰しつつある。吉松町のほうの情勢も大体同じだと思いますが、そういうふうな情報に基づきまして、従来の三割、たとえば吉松町でいいますならば三十五戸なので、三割なら十二戸となり、それに対して約倍近くになりますけれども、二十二戸の申請が出てきております。そういうふうな状況で、現在まで地元もおさまったと聞いておったわけです。しかし、いまお話しのように、今後被害がどんどん出るかもしれない、こういうことになれば、たとえば松代のように、ほとんど数カ月にわたって激烈なやつが続いたというふうな事態になれば、またもう少し考えなければならぬじゃないかというふうな気はいたしております。
  185. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 気象庁にお尋ねいたします。松代の場合には群発地震だった。今度のやつは群発性地震、こういうふうなことになっているようでございますが、余震がだんだん減ってきているということは事実であろうと思います。しかし、これがいつおさまるのかということになってくると、いまの予測、予知というのですか、観測による予知、この技術の段階においては、これが火山に飛び火するというような事態も現地のああいうような状態の中で考えられないでもない。だからいつになったら完全におさまるかということは、私ははっきり言えないのではないかと思うのです。たとえば五月なら五月になったらもう完全におさまる、こういうような証明ができますか。
  186. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 そういう証明あるいは将来の見通しにつきましては、現状では断定はできません。
  187. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 それであれば、やはり地震がまだ継続するという前提のもとに、行政なり政治というものは手を打つべきではないか、私はこういうように考えるわけですが、厚生省のほうは、もう松代と違って、えびのはこれでおさまるのだという前提のもとに行政措置をしようとしておられるわけです。これではやはり家の中に入って寝ろと言うて幾らせき立ててみても、いや、おっかなくて中に入って寝ることはできないと言うて、たんぼの中でがんばっているわけです。いつまでもテントの中で生活をする、こういうようなことになっているのが現実の姿なんです。やはりそのような現状に即した対策をお取りいただきたいと思うのですが、八木副長官、どうですか。
  188. 八木徹雄

    ○八木政府委員 地元からどうしても仮設住宅をこれこれつくってもらわなければ民生安定上好ましくないということで強い要請があるということであれば、それはまたそれなりの基準というものをオーバーしても考えなければならぬ場合があり得ると思うのです。しかし、いまの実態がどうであるかということ、われわれのほうで聞いておる報告によりますと、徐々にそういう現象が少なくなってきて、集団生活というものも徐々に解除していっておるということで、自然に減少しておるといったようにも聞いておりますので、仮設住宅というものはあくまでも仮設住宅であって、仮設住宅にいつまで置いておくかという問題がまた出てくるかと思いますので、実態を十分に把握した上で厚生省側も対処しておると思いますけれども、問題はやはり実態の把握というものを的確にして、個人並びに地方のそれらに対する期待といいますか、要請というものがどういうものであるかということを把握した上で善処していくように、私のほうからも関係当局のほうにお願いをしてまいりたい、こう思います。
  189. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 仮設住宅に入れるのは、御承知のように、行政の基準がございますね。生活保護を受けている者が第一優先順位ですね。その次に市町村民税の均等割りですか、これしか納めていない者、そこまでで一応の線が引かれて、そして所得割りの住民税を納めている者はなかなか入れないでしょう。そこで現場の市町村長といたしましては、それに従って申請をする。住民からは責め立てられるんだけれども、思い切った行政措置をとろうと思っても、そのような基準にしばられて申請が出せないでおる。だから、政治家である私どもの立場から見れば、何をあなたはぼやぼやしているんだ、もう少し住民の気持ちに立って申請をしたらどうですかと言ったら、いや、そういうようなことはというようなことで二の足を踏んでいるという状態にある。それはやはり行政の責任者と政治をやる人との間には、そのような感覚の違いが出てくるわけです。そこでわれわれ国会のほうが、そういうような立場で善処すべきじゃないかということをもの申しまして、皆さん方が、そういうような基準があるけれども実情に即してやるようにするからということを下のほうに流してもらうと、そういうような実情に即した体制というものが生まれてくると私は思うのであります。そういうような点からそのような配慮というものを講じていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  190. 今村譲

    ○今村政府委員 実は宮崎県、鹿児島県は非常に災害常襲地帯でありまして、県の人方はなれておるのです。その判断もよく存じておりますし、それから一応三割という一般基準であっても、現実にいまおっしゃいましたように、市町村民税の非課税とかそういうものでなしに、それ以外にも現実にどうしても困るというものがあれば特別基準というものもどんどん持ってくるという道も県の担当の人方はよく知っておられると私どもも思っておりますので、それとしょっちゅう一日に十分も実は地元と電話連絡をしているわけであります。ですから、いま仰せられたように、そういう現実に地震被害の認識の違い、私どもは若干甘いかもしれませんが、その辺でよく連絡をとって、必要があればその辺の打ち合わせは十分現地とやっていきたい、こういうふうに思っております。
  191. 村山喜一

    ○村山(喜)委員 終わります。
  192. 芳賀貢

    芳賀委員長 森義視君。
  193. 森義視

    ○森(義)委員 時間がだいぶおくれておりますので、林業災害にしぼって、しかも内容を要約して二、三点お尋ねしたいと思います。  先ほどいただきました資料によりましても、今度の暴風雪害の被害の内容は、全額で五百七十四億、その中で林業被害が三百十九億を上回っておるわけです。林業被害というのは、今度の雪害の五割を上回っておるわけですが、林業の災害に対して準拠する法律的根拠というのは林業基本法の十一条だと思うのです。この林業基本法の十一条をどういうふうに理解され、それに対して対処してこられたか、これをまずお伺いします。
  194. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 先生のいまお尋ねの件は、現行制度では、御案内のように、森林国営保険制度というものに対していま現在運営されておるわけでございます。国営保険制度は、御承知のように、沿革的に非常に古いものでございますが、三十七年に気象災害を新しく含めまして、運営上いろいろな問題を実は持っております。加入率もそのわりに伸びてはおりませんし、保険てん補額も現情に沿ってない面もありますし、支払い関係も非常におそい。それから気象災害を入れた以後は保険負担率の問題等、いろいろ問題もございますので、この問題につきまして、端的に申し上げますと、四十三年から向こう二カ年間林業共済制度的な新しい制度の検討に実は取りかかる段階に相なっておるわけでございます。
  195. 森義視

    ○森(義)委員 もう一回林業基本法の第十一条を読んでみます。「国は、災害によって林業の再生産が阻害されることを防止するとともに、林業経営の安定を図るため、災害による損失の合理的な補てん等必要な施策を講ずるものとする。」現行の森林国営保険あるいは森林組合連合会がやっておる共済制度がこの法十一条の精神に合致しておると思っておられますか、どうですか。
  196. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 直接その旨のものにぴたりと結びつくものとは考えておりません。つまりこれを全部包含したものとは考えておりませんが、御承知のように、林業経営は長期性あるいは低利性というような立場から、いわゆる属人的な、個人の資産に対しますところの造林補助金制度もございますし、その他森林病害虫等、森林経営の面についてもろもろの補助制度も、農業には考えられない面も加味されておるのでございます。そういう点もあわせまして、その柱になるものは、先ほど若干触れさせていただきましたが、林業共済制度の改正の問題に結びつくのではないかと思っておるのでございます。
  197. 芳賀貢

    芳賀委員長 森委員に申し上げますが、林野庁長官が御出席になりました。
  198. 森義視

    ○森(義)委員 それでは長官にお尋ねします。  四十年の林業災害です。これは大体現地の集計では二百億を上回っているわけですが、農林省の集計では百数十億、それに対して森林国営保険で支払われたのは何と千百四十九万、全森連の共済で支払われたのは千五百万です。双方合わせまして〇・一%にしかならない。こういうものでこの基本法の「災害による損失の合理的な補てん等」、これに当てはまるのかどうか。三百数十億の被害に対して、おそらくいまの状態では三千万円ぐらいしか森林国営保険やあるいは共済制度では損失に対する補てんにならないと思うわけです。これは御承知のように農業災害補償法やあるいは漁業災害補償法、これと比べましてあまりにも格差がつき過ぎておるわけです。こういう問題について、いま指導部長の答弁では、森林国営保険の内容について検討しておる。林業基本法が三十九年に制定されましてからこちらで、もう二回大雪害が起きておるわけですが、いまだ検討しておるという段階でございますか。これについて長官はどういうふうにお考えでございますか。
  199. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、現在の森林保険は、面積にして、国営保険、森林組合共済、一般の保険会社のものを含めて、おそらく三分の一ぐらいしか入ってないと思います。さらに、国営保険がなぜ金額的に補償が少ないかということにつきましては、面積のほかに大体幼齢林の補償が主体になっておる。若い木の林が大体保険の主体になっておるということから、保険金額が非常に低調であるということに存じております。しかし、先生がおっしゃるように、現在のそういうような保険の内容におきましては、今後さらに保険の加入率を高めるとか全般の林業経営を安定させるための保険に誘導するとかいうことにつきましては、今後ともわれわれも十分検討してまいりたいのでございますが、さらにそれを具体的に進めるために、来年度予算におきましてその調査費を実は計上いたして御審議をいただいているわけでございます。その結果によって、基本法の定める趣旨に沿った林業らしい保険の制度の問題を確立してまいりたい、こういうふうに存じております。
  200. 森義視

    ○森(義)委員 長官も御承知のように、農業災害補償制度の場合においては、国庫負担の割合は最低五〇以上、現在では五〇から七八・八七%、これだけ国庫負担しているわけです。森林国営保険では掛け金は全部森林家の負担である、事務費まで全部掛け金の中から払われておる。こんな保険に国営保険という名前をつけておることが私はおこがましいと思う。こういうものが基準になって森林保険にはなかなか入らない。  そこで、いまそういう森林保険の国営保険は制度としては十分でないので、十分調査費を取って調査して検討する、こういうお話でございますが、どういうものを考えようとしておるか。聞くところによりますと、現在の森林国営保険を基準にして考える、こういうふうに承っておるわけですが、私はあくまで農業、漁業の災害補償と同じ制度を林業にも確立すべきであると思います。特に林業の場合においては、営々として育ててきた、二十年、三十年の木材を一挙にして全部失う。農業の場合でしたら一年ですね、そうでしょう。ところが、これは全財産を失うのと同じなんです。そういう場合におけるところの補償制度というものが、あまりにも、他の同じ農林省の中で取り扱われておる農業災害補償や漁業災害補償とこんなにかけ離れたものを今日まで温存されてきた、こういうところに私は非常に問題があると思うわけです。したがって、いま検討されておりますところの新しい災害補償制度というものは、農業、漁業と劣らないところの、それを上回るような災害補償制度をしいてもらわないと、日本の林業の将来に向かっての安定的経営だとかあるいは拡大だとかいったところで、十年も二十年もかかっても、ぱっと一度来たらおしまいだというものに、だれが投資する者があるか。私は日本の林業の荒廃に通ずるものがあると思うのです。その点についてもう一回、どういうような形のものをいま検討しようとしておるか、長官の確たる答弁をお願いしたい。
  201. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 ただいま先生のおっしゃいました農業並びに漁業の共済制度、それに準拠するとかこういう意味の、あるいはそれ以上のものかどうかというような御質疑を承わったわけでございますが、私たちとしましては、それに準拠するというような意味じゃなしに、もちろんそういうこともあり得るかもしれませんが、そういう意味じゃなしに、あるいは国営保険であるというふうに限る、そういうふうな意味じゃなしに、もっと基本的な意味で林業らしいものをひとつこの際検討していきたい、こういうふうに考えております。
  202. 森義視

    ○森(義)委員 林業基本法の十一条とそれから農業基本法の十条は、ただ「林業」と「農業」をかえただけですよ。同じ文章です。同じ文章であるのに、その災害に対する補償制度というものは全然違ってくる。準拠すべき基本法が農業も林業も、十条、十一条同じ文句ですよ。それなのに林業はほったらかしたままで、今度考える場合においても林業独特なものを考えるのだという、林業独特なものが農業を上回るようなそういう制度ならば、私はそれは非常にけっこうだと思うのです。その点、上回るような考え方でおられるように、いまの答弁からは受け取れないわけです。あくまでも森林国営保険を何とかいじくったような形、そういうものを考えておられるように思うのですが、少なくとも準拠すべき基本法で同じ文章を使われておる農業と林業が、違った形に補償制度が出てくるということ自体に疑問を持つわけですが、いま一度その考え方を明らかにしてほしい。
  203. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 林業の災害につきましても、調査はやっておるのですが、期間的に非常にまだ短い関係で明確な態度がとりにくいのでございます。したがいまして、先ほど御説明したように、調査費まで計上いたしまして、その解明をはかろうということでございます。したがいまして、それらの中でいまの漁業、農業との関係、あるいは現在の国営保険との関係、それらを明確にしまして、そして林業らしいものを打ち立てたい。したがって、現在いまここでそれが国営保険であるとかあるいは農業共済以上のものであるかということは、ちょっとまだその段階でないように思います。御了承いただきたいと思います。
  204. 森義視

    ○森(義)委員 森林国営保険がつくられたときは、民間の保険を圧迫しないということで、掛け金もそういう民間の保険会社を圧迫しないということを根拠に置いてつくられておるわけなんです。そういうことで、今度新しくつくろうとするときに、これほど大きな林業災害昭和三十八年、四十年、四十三年と連続して出ておる、こういう事態に、そういうものを根拠に置きながらものを考えるということは間違っておる、こういうことを私は言っておるわけです。白紙に戻って、どうすればこの林業基本法の十一条の精神にのっとるところの災害に対する立法措置ができるのか、こういうことを白紙の上から考え直してほしいと思う。先ほど長官がお見えになる前に、林業基本法十一条の精神をどういうふうに理解し、どう対処してきたかということを聞いたわけです。それに対しては、指導部長のお話では、現在の森林国営保険のあれを何とか検討してと、こういう話です。それじゃならないのですよ。この林業基本法の十一条の精神は、「損失の合理的な補てん」を行なうということです。林業の三百十九億のこの営々として築き上げた損害に対する合理的な補てんということはどういうことを考えるか。これは基本法の精神ではっきりとうたわれているのです。それを合理的に補てんするというのは、どれだけの金額を出せば合理的であるのか。それに対しては林業には造林補助とかいろいろな補助があるとおっしゃっているわけです。  それではお聞きいたしますが、四十年災害のときに、あの災害に対してどれだけの補助があって、どれだけの融資のワクが設けられたか、出してもらいたい。
  205. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 四十年度の災害の資料、ちょっと持ち合わせておりませんので、調べまして後刻申し上げたいと思います。
  206. 森義視

    ○森(義)委員 それでは非常にしつこいようですが、今度の林業災害補償法をつくるについては、自民党の林業部会からもあるいは全国森林組合からも案が出ているわけです。ところが、その案が林野庁の森林国営保険に拘束をされて、それを見ようとしない、ここに問題点が一つあるわけなんです。だからあくまでもただしておきたいわけなんです。林野庁の考えておるところの林業の災害補助制度というものはどういうものをいま調査して考えておるのか、全国森林組合連合会から出されておる災害補償制度の案も、あるいは自民党の林業部会から出されておる案も、大体農業や漁業に準拠したものである。それを変えようとしておる。あなたたちは、変えてよくなるのか、そういう自信があるのだったら、私は明確にあなたたちが考えているほうが現在の農業災害補償制度やあるいは漁業災害補償制度よりもよくなるのだということであるならば、それに賛成をいたします。どうもそこら辺先ほどからの答弁を聞いていますと、林業の実態に応じてとかなんとかいう形でごまかしておられますが、腹がどこにあるのだという問題を、もう一回聞いておきます。
  207. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 ただいま先生の御指摘のように、私たちは基本法の趣旨を体しまして、いわゆる林業の経営を安定的にする、その意味の補てんでございますから、そのような態度で検討してまいりたいと思います。
  208. 森義視

    ○森(義)委員 林業の経営を安定的にするという、その意味においての補てんを考えるというならば、ばく大な金額ですよ。それを腹をくくっておられますか。少なくとも七〇%以上の、今度災害補償制度ができても、そのくらいの国費の補てんがなかったらできませんよ、林業の安定的な経営を補てんするという考え方が基礎に立つならば。そういう腹がまえがありますか。
  209. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 先生のおっしゃる意味は——私たちは、加入する対象人員、現在三分の一くらいでございますが、そういうことじゃなしに、相当の人、できれば一〇〇%、そういうものを対象にし、そして保険料率、保険額、そういうものを総合した中で判断してまいりたいと思いますので、いまばく大なものかどうかということですが、それはそれらとの関連で判断してまいりたい、こう思う次第でございます。
  210. 森義視

    ○森(義)委員 それでは、その調査をされて、いつごろまでに国会に提案する考え方ですか。
  211. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 先ほど御説明したように、調査費といたしまして今年度具体的なある程度の数字で御審議をいただいておるわけでございますが、その結果を待って、法案の改正ということで提出してまいりたいと思います。
  212. 森義視

    ○森(義)委員 結果を待ってというと、どのくらいの期間ですか。来年は出せますか。
  213. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 現在林野庁として考えておりますのは、いま御審議をいただいている四十三年度予算、さらに二年の予定でいま準備を進めておるわけでございます。
  214. 森義視

    ○森(義)委員 それでは、根本的な林業災害に対するところのそういう補償制度ができておりませんので、現行法の中で、いまの災害をどう救済していくかということについてお伺いしたいと思うわけですが、まず第一に、災害が起きますと直ちに要るのは復旧資材です。それと復旧労務の確保です。復旧資材は、雪害が起きますとすぐに上がるわけです。雪起こしの針金やあるいはなわやナイロンテープ、これがすぐ上がる。こういう問題について、これは四十年の経験もあるわけですが、どういう対処をされたか。それから復旧作業はちょうど植林時とぶち当たるわけですね。したがって、労務費が非常に高くつわけです。この労務確保の問題についてどういう考え方を持っておられるか。復旧労務の確保については、林野庁は、災害が起きたらすぐ考えなければならぬ問題ですよ。どういうふうに考えておるか。
  215. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 まず第一点の、なわとかそういう資材に対してどう考えるか、こういうことでございますが、ことしの雪害には、御承知のように十二、三年くらいの年齢のものが多いように調査しております。したがいまして、従来八年ものということで造林資金の融資をいたしておったわけでございますが、それを十五年ぐらいまで延長する、年齢を上げるような形で対処してまいりたいというふうに検討いたしております。それは金利の関係が造林資金は三分五厘でございます。普通は育林資金になりますと八年もので五分でございます。それを十五年もの三分五厘ということで、従来の実績もございますので、そういう形で検討している最中でございます。  それからその中でビニールとかそういうなわとかのものを手当てしていただきたいと思う次第でございます。と申しますのは、それらの資材は非常に小額でございます。したがって、そういう低利融資の中で御処置いただきたいと思う次第でございます。  それから労務の問題につきましては、ちょうどたまたまぶつかるような期間にもなろうかとは思いますが、森林組合あるいは県等との連絡の中で、国有林といたしましても、常用の以外に臨時的に雇っておるのがございますから、そういう国有林で臨時的に雇っている人たちとの関係も地元で調整いたしまして、お互いに安定した形で労務をやるというふうに打ち合わせてまいりたい、そのように考えます。
  216. 森義視

    ○森(義)委員 雪起こしの補助金の対象はいま十五年とおっしゃいましたが、四十年のときには二十五年までやったのですよ。今度の雪害は、特に二十年生以上の木でかなり被害が大きいのです。奈良県あたりの統計を見ますと、十年から二十年までのものよりも、二十年以上のものが被害は倍です。十年以下の幼齢林は比較的被害が少ない。だから二十年以上のものが多い。四十年の災害のときには雪起こしの補助金を二十五年にしたのを、今度十五年というのはどういうことですか。
  217. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 私十五年と申しましたのは、大体木が太ってまいりますと、十五年過ぎますと、雪あたりで倒れましたものが、軽度の倒れたものでございますと雪起こしで直りますが、相当の倒れ方をしますと、必ずしも成林しないというふうに判断するわけでございます。たまたま奈良とかそういうところにおきましては、いわゆる密植栽培をやっておる関係上、特殊な林業栽培をやっておるわけでございますので、十五年を過ぎましても細い木であると存じます。したがいまして、そういうものは雪起こしで十分成り立つというふうに考えられますので、特例として処してきたと思っております。今回もそのようなことで対処してまいりたい、そういう意味で検討をいたしております。
  218. 森義視

    ○森(義)委員 そういう資材の確保や労務の確保については、これは災害と同時に緊急措置として考えていただきたいことで、しかしこれは、口で言うべくして、実行はなかなかむずかしい。特に復旧労務の確保はむずかしい問題ですが、御努力いただきたいと思います。  その次に問題になってくるのは、やはり改植の問題でございます。そこで、罹災地の改植造林費用は従来どれだけの補助というか、融資がついたか、お聞きしておきたい。
  219. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 改植造林につきましては、再造林という補助のやり方があります。しかしその再造林補助のやり方のほかに、激甚な、非常に災害の多かった場合には、さらに四十点の加算ということで、補助率と申しますか、補助点数を上げてやる。さらにそういう形の中で補助残融資というものをあわせてやっておるわけであります。
  220. 森義視

    ○森(義)委員 造林補助の問題については、これは毎回農林水産委員会で問題になるが実態に合わない。特に奈良県のような一ヘクタール二十万円かかるような密植地帯では、これは問題にならない金額なんです。こういう災害のために木が倒れた。そのあとの改植造林をやる場合に、こういう事業費くらいは当然、あの林業基本法の精神からいうならば、合理的な損失の補てんに当てはまると思うわけです。そういうふうな抜本的な、いわゆる林業災害による損失の補てんを合理的にやるという考え方は、そのくらいのところまでお考えいただけないものだろうかと思うのですが、いかがですか。
  221. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 われわれもそのような形で努力してまいったわけでございますが、御承知のように、造林費の単価と申しますのは、労賃がだいぶ大きなウエートを占めるわけでございますが、労賃は、ことしは七百十円でございます。御審議いただいております予算ではそれを八百五十円に上げまして、なるべく実態に合うように努力はいたしておるわけであります。しかし、なかなか一挙にいきませんので、今後とも努力していきたいと思います。  なお、災害につきましての補助率と申しますか、補助点数と申しますか、そういうものにつきましては、先ほども御説明いたしましたように、従来、再造林については六十点満点ということで、六十点の加算しかしないわけですが、それに四十点を加算しまして百点ということで、少なくとも被害を受けた方になるべく御迷惑のかからぬようにという意味で努力してまいった次第でございます。それで十分とは思いませんけれども、そのような努力をしてまいったわけでございます。
  222. 森義視

    ○森(義)委員 この問題については、またあらためて委員会で検討いたしますが、いまひとつ、税法上の特別措置について聞いておきたいのですが、山林所得の計算上、ことしは概算経費率を二六で押えられておりますね。去年までは三〇で押えておられたわけです。今度こういうことになった理由はあとで聞くといたしまして、被災立木の損失を、所得税法上この概算経費率のワク外で計算してもらえるかどうか。
  223. 大塚俊二

    大塚説明員 私、直接の担当ではございませんので御答弁申しかねますが、至急に調べましてお答えしたいと思います。
  224. 森義視

    ○森(義)委員 もう一つ自治省に伺いますが、地方税について、木材引取税あるいは今度の被災立木の場合にはそれを免除してもらえるかどうか。
  225. 首藤堯

    ○首藤説明員 申しわけございませんが、税は直接の担当ではございませんので、調べまして、ひとつ連絡申し上げたいと思います。
  226. 森義視

    ○森(義)委員 いま申し上げましたようなことは、林野庁長官、これは当然林業の災害に対して、この基本法十一条の精神からいうならば、林野庁は大蔵省なりあるいは自治省と話し合ってとるべき措置なんです。私がいま聞いておりますと、いま責任者がおられないからああいう御回答でございますが、林野庁のほうから直接大蔵省なりあるいは自治省と話し合って、こういう税法上の被災地に対する特典を与えるような措置を講ずることが、私は林業基本法十一条の精神に基づくところの林業災害に対する林野庁のあるべき姿勢だと思うのです。その点いかがですか。
  227. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 私のほうの所管ではございませんけれども、関連した御質問でございますが、ただいまの所得税の減免につきましては、概算控除率ということではなかなかいきにくいんじゃないだろうか。したがいまして、実際これだけ経費がかかりましたという申告をすれば、その中で確かに損害額は損金として見ていただくことになっておると私承知しております。  それから木引につきましては、これも関係省と一応打ち合わせてみたいと思います。
  228. 森義視

    ○森(義)委員 私は、所得税の取り扱いについて、概算経費率の二六%のワク外に考えよ、こう言っているのですよ。だからその点については、損失が出た場合には、申告をすればそれだけ損金として落としてもらえる、こういうことなんですが、その損金が二六%の概算経費率の中に入られたら困るわけです。その点は大蔵省と十分話し合ってもらって、これは自治省とも話し合ってもらって、基本法十一条の精神にのっとった形で、林業災害の救済に林野庁は格段の努力をしていただくように要望いたしまして、時間がまいりましたので、質問を終わります。
  229. 芳賀貢

    芳賀委員長 林野庁長官、それでいいですか。
  230. 片山正英

    ○片山(正)政府委員 いまの概算控除率というのは、それもたしか一括した中できめられている性格のものですから、もしそういう特定の被害があって、それを控除するという場合には、それだけかかったものを別に申告すれば、それは損金に見ていただく制度になっているはずですから、そのような進め方でいいのじゃないかと思います。
  231. 森義視

    ○森(義)委員 そういう説明で大蔵省はいいですか。
  232. 大塚俊二

    大塚説明員 私、直接担当でございませんので、制度そのものとしましては、概算経費控除の制度は全体に対する経費率でございます。もちろん概算経費を適用するか、それとも育成期から伐採に至るまでの実際経費で所得を計算するか、そのどちらかの計算になると思いますが、概算経費を控除いたしまして、概算経費率を適用して、さらにその外で個別の費用を見るということは、現在認めておるかどうか、そこは私実は明確にお答えできませんので、至急調べましてお答えしたいと思います。
  233. 森義視

    ○森(義)委員 終わります。
  234. 芳賀貢

  235. 折小野良一

    ○折小野委員 災害地はどこでもそうなんですが、被災者民心の安定、これは災害対策におきまして、非常に大切なことだと思っております。特に地震のあと、その面の見通しがつかないということも、一つは民心の安定に非常に問題がある点でございますが、そのほかに、えびの地震の場合、この間地震直後、副食物、こういうものが欠乏いたしまして、一時的ではございましたが、非常な値上がりをいたしました。今後もこういうようなことはいろいろ出てくるんじゃなかろうか。特にまた現地におきまして全壊家屋あるいは半壊家屋、こういうものが非常にたくさんございますので、一時的にそれに対する建築、こういうものが非常に多くなってまいります。したがいまして、工事費とかあるいはそういう面の人件費とかあるいは建築資材とか、そういう面の値上がりがあるということが当然予想されるわけでございますが、こういう面に対して特に被災地における被災者民心の安定という立場から、どのような対策を御考慮になりますか、お伺いいたします。
  236. 今村譲

    ○今村政府委員 災害救助法の発動に関連するものでありまして、いまお話しのように、たとえば輸送機関による生鮮食料品の問題あるいは労務の問題、資材の問題、ちょっと厚生省が担当いたしておりませんので、申し上げにくいかと思います。
  237. 黒河内修

    ○黒河内(修)政府委員 私のほうのは、施設園芸の関係のビニールハウス復旧資材でございますが、いま私どもが業界に対して調べておりますところでは、大体六千万平方メートルくらいストックがあるわけであります。そこで、今度の災害によりまして、大体三千万平方メートルくらいあれば足りるということでございますから、施設園芸ハウスの関係につきましては、たいして御心配の点はないというふうにただいまのところ考えております。
  238. 折小野良一

    ○折小野委員 いま園芸用の資材についてお話がございましたが、私が申し上げておるのは、一般的に特に先ほどの工事費とかその他の例で申し上げましたのは、えびの地震の関係でそういう建築資材その他が非常に暴騰するのじゃなかろうか、そういう面が地元に非常に大きな影響を及ぼす、したがって、あらゆる物資にということでお願いしたいわけであります。総務副長官のほうからでもひとつお願いいたしたいと思います。
  239. 上田伯雄

    ○上田説明員 私のほうは総理府でございまして、直接的には扱っておらないのでございますが、食糧につきましては食糧庁のほうでそれぞれ地元の食糧事務所等を通じまして、いろいろ差しつかえのない措置をしているはずでございますし、建築資材、たとえばかわら屋根とかトタン板とかというものは通産省のほうで処置しておるはずでございます。それから特にそれらのものについて、こういう災害が越こりますと一番問題なのは、物はいまのような時代でございますから、あちらこちらに相当たくさんあるわけでございます。交通機関、道路、鉄道等がやられるのが実は一番おそろしいのでございまして、これさえ復旧すれば、物が出回ってきますれば、これは潤沢になるわけでございます。そういうことで、今回のえびのの場合、鉄道、道路等はそれほど大きい被害がなかったので、私どものほうとしましては、実は的確には値上がりの状況等はつかんでおらないのでございますが、資材の関係、食糧の関係等はそれぞれ担当省のほうで措置をしてくれておると考えております。
  240. 折小野良一

    ○折小野委員 いろいろな措置が講ぜられるはずだということでございますが、現実にいままでの例からいきましても、値上がりをして困ったという例があります。もちろんそれは直ちに措置されました。しかし今後もそのおそれがある。これは何もこの地域だけについてのことじゃありません。いろいろな災害のあとでいろいろな物資の値上がりその他を来たすということは、いままでしょっちゅうあっておることです。ですから今度の際につきましても、やはりそういう面の対策というものはなされるはずだということでなしに、ある程度あらかじめ手を打つということが必要じゃなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。
  241. 八木徹雄

    ○八木政府委員 非常に抽象的なことを申し上げて恐縮なんですけれども、とりあえず私どもとしては現地の両県知事に対して、とにかくおっしゃるとおり、民心を安定さしていくためには、後手に回らぬことだ、だから食糧にしても、あるいは建築資材にしても、あるいは地震の予報にしても、あるいは道路復旧にしても、あるいは水の確保にしても、後手後手に回ることが民心を不安にさす原因である。そういう意味で、先々にどうしたらいいか。いま説明がありましたように、的確に事前にキャッチして措置すればできる世の中でありますから、そういう意味で、的確な現地情報というものを把握して、それに対する対策というものを先行しながらやっていくというふうにしてもらいたい。それに対して、当方としてやらなければならぬ措置につきましては、どのようにでもひとつ御協力申し上げましょう、こういうふうに申し上げております。それは少しのんきではないかと言われるかもわかりませんが、われわれが把握しておる情報としましては、一時的に混乱がなかったとは言えませんけれども、大体の流れとしては、民心を不安定ならしめるような、異常な物価だとか、あるいは通信途絶だとか、あるいは交通途絶だとかいったような、そういう特異な現象というものは幸いにも起こらないで、順調に復興というものが進められつつある、こういうふうに聞いております。現地をごらんになった皆さん方のほうがより的確であるわけでございますけれども、御指摘がございますならば、それに対しては、いま言ったような精神に従って、できるだけひとつ善処してまいりたい、こう思っております。
  242. 折小野良一

    ○折小野委員 今後の問題として予想されますのは、特にえびの地震地域におきまして建築需要が一ぺんに出てくるということでございますので、私どもが予想しておりますところでも、建築資材、あるいはその面の人件費、工事費、こういう面に影響があるだろうと思われます。いまのような御趣旨でひとつ事前に十分お手配をお願いいたしたいと思います。  ところで、えびの地震の中心地でございます真幸地区、これは昔から京町温泉といわれております温泉場でございます。もちろん、今度の地震温泉旅館が倒れたり、いたんだりいたしております。しかし、その建物あるいは温泉旅館のいろいろな施設、こういうものにつきましては、中小企業金融公庫であるとか、あるいは環境衛生公庫であるとか、こういう面の御配慮をいろいろいただけるそうでございますので、そういう面で何とかできていくのではないかと思いますが、私が聞いておるところによりますと、今度の地震で一部泉源が変わった、こういうところがあるのでございます。したがって、建物の被害もさることながら、また建物の復旧は一応できるといたしましても、泉源が変わったがために今後営業が成り立たない、あるいは、新しく何とか考えていかなきゃならないのじゃないか、こういう温泉街全体の将来に対する見通しと不安、こういうものがいろいろあるわけでございます。こういう面につきまして、実は私もどこがそういう点を所管されるのかよく存じませんのですが、指導対策、こういう面を何とか政府の立場でやっていただけるようなお手配ができますかどうか、お伺いいたしたいと思います。
  243. 赤穴博

    赤穴説明員 先ほどお答え申し上げましたように、環衛公庫におきまして、明年度、そういう面も含めて一般貸し付けをするという手はずを現在進めておりますので、関係方面と折衝を経ておりますので、最終的な詰めを早急にいたしまして、できるだけそれらの方々の御融資に応ずるというふうな態勢を考慮いたしていきたい、かように考えております。
  244. 折小野良一

    ○折小野委員 そういたしますと、ただいまの御答弁は、泉源が変わった、したがって、新しいところにボーリングをしてみるとか、新しい施設をつくるとか、そういうものが環衛公庫の融資の対象になる、こういうふうにおっしゃるわけですね。
  245. 赤穴博

    赤穴説明員 そういう施設の設備の新設につきまして、従来は改築その他をほかの制度で見ておったわけですが、今後そういう施設につきましては、環衛公庫として一括運営していくというふうなこともございますので、これは貸し付け限度の問題、いろいろ困難な問題がございますけれども、そういう問題をできるだけ御要望の線に沿うよう、関係方面と折衝いたしまして考慮さしていただくという方向で、検討さしていただきたいと思います。
  246. 折小野良一

    ○折小野委員 そのもう一つ前に、泉源が変わった、現実に出ていた温泉が出なくなった、かれて非常に量が少なくなった、こういうことになるわけでございますが、そうしますと、どの辺に新しい泉源を求めたらいいのか、あるいはいま掘っておる井戸が浅いので、もっと深くすればいいとか、そういうようないろいろな面の指導というような面、こういうものもあろうかと思いますが、そういう面は何とか御指導いただけますかどうか。
  247. 今村譲

    ○今村政府委員 実は厚生省で温泉法というのを主管いたしております。したがって、それの権利関係とか規制とかいうふうなものは、厚生省の国立公園局でやっておるのですが、おそらくそっちだと思います。ただ残念なことに、厚生省ではどのくらい掘ったら湯が出てくるかというふうな、千里眼みたいな役人はおらないわけです。とにかく現在ある温泉の権利義務関係というふうな問題、掘さくの制限とかいうふうな法律関係や民事法的なものでやっておるだけでありまして、技術的には鉱山とか別なところになると思います。
  248. 折小野良一

    ○折小野委員 私どものほうも、何も千里眼的なものを求めておるわけじゃ決してないのです。現在の科学技術の段階で、そういう面に対するある程度の対策というものはつくはずだと思うのです。しかもその温泉によってささえられてきた町なんです。もしそれがなくなるということになりますと、町全体が今後どうしていったらいいのか。ただ単にこわれた家を復旧するだけでなしに、長い将来にわたってのいろいろな不安というものが出てくるわけであります。ですからそういう面について、ある程度的確な指導をやっていただくとか、こういうようなことが必要なことじゃなかろうか、そういう面でいまお尋ねしておるわけです。
  249. 八木徹雄

    ○八木政府委員 不確かなことを申し上げては申しわけございませんから、あとで的確なことはまた御報告さしていただきますが、通産省の地質調査所で、温泉のボーリングの試掘といったことを実際問題としてやっておると思います。その地質調査所が全責任を持ってやれるのかどうかということは、また別の課題だと思いますけれども、どちらにしましても、いままで温泉でその町が経営できておった。それが震災によって泉源が変わってくるということになれば、その町の将来の運命にもかかわるものでございますから、どこでやるかということも含めて、そういう心配がある場合には、それにこたえられるような対策というものをひとつそれぞれのほうであっせんをいたしまして、措置をするようにいたしたい、こう思います。
  250. 折小野良一

    ○折小野委員 その点につきましては、ただいまの御答弁もございました。したがって、政府のほうでどこでやっていただくか、あるいはどういう方法でやっていただくか、あるいはそれに対する援助その他の措置があるか、そういう面についてひとつ資料を御提出いただきたいと考えております。  それからあと一、二申し上げますが、災害応急仮設住宅、厚生省関係の小さいやつ、あれは地震にはだいじょうぶなんですか。
  251. 今村譲

    ○今村政府委員 これは非常に軽量な鉄骨を使っておりますので、少なくとも松代の場合でも危険があったということは聞いておりませんし、それからこれを扱っておりますいろいろな鉄鋼メーカーとかいろいろな関係からデータを出させても、屋根が非常に軽くできておりますので、相当の震度のものでもだいじょうぶだ、こういうふうに私ども聞いております。おそらく震度五以上だいじょうぶとか六はどうとかいうことは言いにくいのですけれども、構造から見まして、それほど危険なことはないというふうに思います。
  252. 折小野良一

    ○折小野委員 まあ、ただ聞いているというのでは、厚生省の国民に対する立場としては困るのじゃないかと思います。ですから、地震の場合にはだいじょうぶなんだ、あるいはこの程度以上はだいじょうぶなんだ、そういうような資料はちゃんとそろえていろいろ御指導いただきたいと思います。  それから、最後ですが、先ほど自治省のほうから関係市町村あるいは県、こういうものの災害に対する単独事業、こういうものに対しましては特別交付税で見るというお話がございました。そうしてまたちょうど年度末でもございますので、これはつなぎ融資、こういうような面で対策をとっていただく、こういうふうに承知をいたしておりますが、その際、その金利、これは小さい問題かもしれませんが、現地の特に小さな町村にとってはやはり大切な問題だと思いますが、その金利の補給についてまで御考慮いただけるかどうか。
  253. 首藤堯

    ○首藤説明員 お答え申し上げます。  特別交付税につきまして、四十二年度の配分にこの地震は間に会いませんで、残念ながら四十三年度の配分のほうに回したいと思うと申し上げましたのは、この前申し上げたとおりでございますが、その際に、途中に非常に大幅な経費が要りまして、現金支出等があるという場合には、つなぎ融資等のお世話を申し上げたい、こうも申し上げたところでございます。  もし、そのようなつなぎ融資の金利、これが大きな額になりまして、当該団体の財政を圧迫するような事態になりますれば、もちろんそのような金利をもあわせて四十三年度の特別交付税の際にいろいろ考慮してみたい、こう思います。
  254. 折小野良一

    ○折小野委員 一般的にいって、その公共団体の財政を圧迫するようなということで申し上げているわけじゃないのです。少なくも、災害応急対策に要する経費というのがほとんどなんです。ですから、特に関係の町村あたりにおきましては、出せるだけ出すということでなきゃ、現実に何とも手がつかないような状態なんです。ですから、それについてはわずかな金利であっても、やはり小さな町村あたりにおきましては非常に痛いわけです。そしてまた少しでもそういう経費があれば、何とか住民の不安をなくすためにやれるだけのものはやろう、こういうことでございますから、それが大きい小さい、あるいは財政的に圧迫を加える加えないということでなしに、やはりこういう、特に災害に伴う交付税のつなぎ融資、こういう面の金利については、当然見ていただくべきじゃなかろうか、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
  255. 首藤堯

    ○首藤説明員 お気持ちといたしましては、全くそのような考え方で災害に対します所要財源は特別交付税においても最も優先的に配分するつもりでおりますし、また現在もそのように扱っております。なお、その他の面におきましても、現在まだつなぎ融資の所需要求は参っておりませんのでございますが、非常に多額の金額が要るような場合におきましては、これも一定の基準がございますが、交付税の繰り上げ交付等の措置をやりまして、金利がかからない金を前もって交付をしてやる、このような措置をとっておるわけでございます。全般的に考えました場合には、いずれにいたしましても、特別交付税の配分は、一般財源をそういう面で補てんをしてやる、こういう考え方でございますので、完全なひもつきと申しますか、金利がごくわずかかかったら、その分はひもつきで配分する、このような体制にはなっておりませんので、先ほどのように申し上げたわけでございます。
  256. 折小野良一

    ○折小野委員 ただいまの御答弁の趣旨はわかりますので、ひとつ実情に即した運用というものを十分御考慮願いたいと思います。  終わります。
  257. 芳賀貢

  258. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 気象庁にお尋ねいたしますが、今回のえびの地震の最高の震度はどれくらいあったのですか。
  259. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 最高六でございます。震度にしまして六でございます。
  260. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 これは予測ができなかったのですか。
  261. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 残念ながら現在の地震予知の知識の上に立ちましては、的確にそれを予測するということはできなかったわけでございます。
  262. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 将来そういう予測ができるためにはどれくらいの資材、そして技術、また国の援助、またそういった設備等があれば、その必要に応じられるのですか。
  263. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 先生も御承知のことと思いますけれども、地震予知問題につきまして、地震予知十カ年計画というものが立っておりまして、本年はたしか二年目か三年目かでございます。その計画によりまして、そのとおりまいりますと、その計画では概算百億円という金額になっております。これは国の地震予知関係の機関及び研究所も含めまして、全部集まって、共同でやろうじゃないかという計画になっております。それが十年たちますと、大体こういうことをすれば地震の予知ができるであろうという段階に達するのでございます。したがいまして、それからその方法に沿いましていろいろな施設をやらなければならないというような順序になっておるのでございます。
  264. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 十年計画なんということは現在の状態から見て非常に甘いように考えられますが、これはもっと短縮した国土計画の中で地震対策というものを盛り込むことを政府で考えなければならぬと思うのです。それが一点です。  第二点としては、最近東京にも、私の感ずる範囲でも、もう皆さん御存じのとおり、国会開会中二回大きな地震があった。あれは震度三ですね。えびの地震程度の六の地震がもしもいま東京に来たならば、どの程度の被害が出るのですか。
  265. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 最初の問題でございますが、十年という期間に対しての御批判だろうと思うのでございますが、こういう技術的あるいは科学的調査をするに際しましては、やはり相当の期間が必要なんでございます。そうしないと結論が出ないという問題がたくさんございます。地震予知の問題もそのうちの一つでございまして、地震学者が大ぜい集まりまして考えました結果、どうしても十年の資料を蓄積しないとその結論が出ないであろうということになったので、十年ということで計画が立っております。  それから次の、東京地方に六程度の地震があったらどのような被害があるかということにつきましては、これは気象庁の所管でございませんで、建設省その他です。被害状況になりますと、気象庁のほうではその点はつまびらかではございません。これは防災会議というのが東京都にございます。その防災会議でこういう点を審議しておりまして、われわれのほうからも職員が参っておりまして、その審議に加わっている状況でございます。
  266. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 御答弁を聞いておりまして、われわれはまことに不安でしょうがなくなりました。なぜかと申しますと、大正十二年の関東大震災のときには震度七であります。それ以来私どもは地震を何十回となく経験しておる。まして新潟地震が最近ありました。それからえびの地震、それから松代地震昭和になって数えただけでも大きな地震が幾つかある。それを十年計画で、まだ二年目だというようなことでは、私は災害対策のあり方についても疑問があるのです。なぜかと申しますと、こういった陳情のその場限りの検討よりも、この災害対策、いかにしたら災害を防止するかという研究もここでなされなければならぬ、こういう考えを持っております。そういった地震が、まだ二年目だ、予算も百億しかない。そうしますと、一年間わずかに十億足らず、こういうふうなことで、国土総合開発計画とかまたは地域開発計画、国土利用計画等の中から、東京のように過密の大都市まで、こうしてなっております。それが気象庁のほうから御意見が出ない。われわれのほうの立場から言ったら、東京はこういうふうな危険な状態にあるのだから、えびの地震の震度六ぐらいの地震ではこの程度になってしまうというような研究のデータというものは、当然こういった総合研究機関の中に、省庁としてのまた研究というものがなされなければならない。その一つの例をあげますと、えびの地震でプロパンガスの問題が出ておる。プロパンガスの危険度というものは、いまえびの地震においても相当問題になっておる。東京の場合はそういった問題どころじゃないのです。ここにはガソリンもある、ガスもある、プロパンガスもある、あらゆるものがここに集中されておる。それでなくとも東京はいま下が空洞化しております。掘って掘って掘りまくっております。こういう状態でえびの地震級の震度六の地震が来ないとはだれも断言できない。ましてここで二回も地震が起きておる。われわれ大衆は、えびの地震に関係しておるのではないかという気を持っております。そしてこの間も小笠原の地震が二回ございました。これとは一体どういう関係があるのか、この点ひとつ気象庁のほうから、もう少し見解を私が納得するように話してください。
  267. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 たいへんむずかしい問題でございまして、先生が御納得なさるかどうかわかりませんが、東京にたとえば六とか七とかいうような大きな地震がありましたら、どういうような被害がどの程度にあるかということにつきましては、これは東京という町における被害の種類はいろいろな種類がございます。それぞれ各省に関係した種類もございますし、各分野に関係した種類がございますので、そういうものを総合いたしまして、先ほど申しましたように、目下東京都の防災会議でどういうような被害を受けるかということが検討されておるのでございまして、一部は私も聞いております。一部は聞いておりますが、そういうような現状でございまして、総括的にこういう被害が出るのだという総合研究はまだ私は聞いておりません。
  268. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると、科学が進みまして、地震気象の観測が進みまして、ある程度地震が予測できるような状態に立ち至ったときに、えびの地震のような地震がもしも一年とか半年前、もう少し前でも一週間、十日前にキャッチできた場合に、これを発表すると、大衆に及ぼす心理的影響、これは大なるものがある。しかし、こういった過密大東京のような場合には、子供を疎開させるとか、緊急事態に備える体制をとるとか、ベトナム戦争の例を引くわけではありませんが、ベトコンがサイゴンを襲撃するときに、情報が入った、それに対して準備をしたけれども、あのとおりの、アメリカ大使館を六時間占領されたような事態にまで立ち至っております。これは戦争の例でありますが、地震、雷、火事、おやじといって、一番おっかない地震がいつ来るのだかわからないというような、そんな状態ではわれわれは困るのであって、金を惜しみなく使ってもらって、ほんとうにこういった自然の災害に対しては、あくまでもわれわれは団結して、科学の力でこれを防いでいく、これは大事な問題と思うのです。その点、もしもそういう点がキャッチできた場合には、気象庁としてはどういう態度をとられますか。
  269. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 事前に大地震が起こるということが科学的な根拠によりまして確実にそういうことが申せるということになりますと、これはその時代が来れば事前に発表すべきじゃないかと私は考えております。しかし、そこまではまだ現状のところは、いっておりません。
  270. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 先ほど建設大臣が来て、私が、建設大臣はこういう地震に対する情報を受けたかという質問をしたときに、ことしは地震が多い、たくさんあるようだというようなことをちょっとさっき漏らしておりました。それは根拠のある、確たるところから、気象庁あたりから運輸大臣がつかんでことしは地震が多いのだというような発表をなされたというのか、それが一点。  第二点は、東京に先日も二回、それから小笠原方面に二回、こういった地震えびの地震と関係がありますか。また今後東京に大きな地震が来る可能性がある状態にいまあるのですか、その三点をお聞きします。
  271. 柴田淑次

    ○柴田政府委員 大臣の発言につきましては、現在の地震状況を見てみますと、統計的に非常にあっちこっちに地震が頻発している、こういう状態でございますが、それを大臣が閣議でおっしゃったのじゃないかというふうに私は考えております。  それから次の、東京あるいはどこかに大きな地震が近いうちにあるかどうかというようなお尋ねでございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、特にえびの地震とこれを関係づけるということにつきましては、現在のところ、私のほうではその関係についての何の根拠も持っておりません。これはえびの地震のみならず、きのう、おとといの千葉県とか茨城県の地震などをながめてみますと、第一にすぐ気がつくことは、震源地が同一ではない、一つはえびの付近、一つは千葉県というような、震源地がばらばらしておりますので、これは同一の地震の巣から起こっているものではないということがわかります。  それからもう一つ、ただいまも申し上げましたように、地震があっちこっちにぽかぽか起こるというのは、統計的に考えてみますと、ある期間にそういう期間がございまして、その期間が過ぎますと日本国じゅうあまりそういった地震が起こらない期間がまたあるのでございます。そういうような状態が統計的にわかります。こういうようなことを考えますと、現在地震が多いということが、すぐに大地震が起こるという前兆とは考えられないのでございます。しかし、何度も申し上げますように、地震予知はまだできません。したがいまして、東京のみならず、日本に絶対に今後あるいは近い将来に大地震が起こらないということをここで断定的に申し上げることはできないというのが現状でございます。
  272. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 八木総務副長官にお願いいたします。  ただいま気象庁の非常に責任あるおことばを承ったのでありますが、今後政府においては観測陳の強化とか、日本全国の国土の状態から配置したところの地震対策における政府の今後の姿勢と申しますか、学者の養成とかいろいろございますが、そういう点、また予算の増加とか、そういう点はどのようにお考えになっておられますか。
  273. 八木徹雄

    ○八木政府委員 いま長官は非常に謙虚なものの言い方をされておりますけれども、われわれが聞いている限りにおいては、世界の中で地震に対する研究というものが一番進んでおるのは日本である、こういうふうに聞いております。しかし、その研究を重ねておる日本であっても、いま的確に、地震を事前に完全にキャッチするということができないというのが実態だと思うのです。そういう意味では、今後科学の分野において惜しみなく金を使いながら、その地震科学に対する検討というものが進められていくということが絶対必要であろうと思います。この前この席でも申し上げましたように、災害対策に対する国の姿勢、取り組み方というのは、概して台風とか風水害とかいったことに重点が置かれて、地震が軽視されておるきらいがなかったとは言えぬと思います。やはりそういう意味合いで、火山列島である日本列島のことでありますから、地震に対する対策というものが災害の重要課題であるという御指摘については全く同感でございます。それらの問題に対処するためには、一つにはやはり学問研究の、大学あるいは研究所というところの拡充強化、そういうものによって、いやが上にも世界に冠たる地震科学というものの確立をはかるようにしていく、その上で一つの成果があがって、これぐらいの措置をすれば予知が完全にできるのだ、そういう予知のための機械といいますか設備といいますか、そういうものが日増しにできてくると思いますけれども、そういうものができれば、先ほど言った災害対策の見地に立って、それをひとつ各地に適宜、予算をつけて分配をして配置をして、それができるように研究陣の充実と施設設備に対する拡充というものを含めて、やはり対策を立てていくようにすべきではないか。中央防災会議もあることでありますし、総理を長にしてそういうことについて絶えず気を配っているところでありますから、そういう方向で、国の基本的姿勢がそういうほうに向かっていくように、総理にもよく御連絡申し上げまして、御配慮いただくようにお願いをいたしておきたいものだ、こう思います。
  274. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 具体的に申しますと、地震対策が確かに日本の災害対策の中でおくれておりますことはいまお聞きしたとおりでありますが、この地震災害に対しては、防災の中にどのように繰り入れられていくのですか。
  275. 八木徹雄

    ○八木政府委員 これからの課題でございますから、先ほど申しましたようにいままで不十分であったということは私たちも率直に認めたわけであります。だから、防災ということとそれから災害復旧ということとは別でありますが、防災のためにはやはりそれ相応の学問の研究がなされ、それに対する、何といいますか、学問的成果というものがあがった上でそれをひとつ活用することによってやらなければならぬということでありますから、いますぐ、それでは来年度こういう予算をつけますとか、こうやれば問題が解決しますとか、それだけの成果はまだあがっていないと思います。その方向に向かって努力するようにいたしてまいりたい、こう申し上げたわけであります。
  276. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 税金対策についてちょっとお尋ねしますが、現地災害によって滅失した不動産にかわるべき不動産を取得した場合は、滅失した不動産の価額に見合う税額を免除すべきでありますか。またこのようなことは現地から要望が来ておりますか。国としてはどうお考えになりますか。
  277. 大塚俊二

    大塚説明員 滅失した家屋につきまして、その家屋のかわりの資産を取得した、こういった場合に税金のほうで特例を設けておりますのは、保険金で取得した場合、それから一般的に収用で取りこわされた場合、それから事業用で使っております資産を買いかえる、こういった場合だけでありまして、災害で滅失いたしました場合は、結果といたしましては、保険金をもらいまして、その保険金で取得した場合だけ適用することになっております。
  278. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 現在、地震で保険がかかっている保険というのはあるんですか。どういう保険ですか。
  279. 大塚俊二

    大塚説明員 直接担当ではございませんが、地震保険というものができております。
  280. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いまおっしゃられているのは、火災保険会社の保険のことを言っているのですか。
  281. 大塚俊二

    大塚説明員 損害保険として昨年から制度化されております。
  282. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、えびの地震で、新しく今度できた、私も初めて聞いたのですが、地震を加えたところの損害保険に加入されているのを政府としてはキャッチしておりますか。あの辺では入ってないのじゃないですか。
  283. 大塚俊二

    大塚説明員 入っているか入ってないか、これは実は私関係しておりませんので、全然存じません。
  284. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 副総務長官にまことに悪いのですけれどもお尋ねいたしますが、こういう状態でいま申し上げました不動産を買いかえる場合に、保険の対象になっている場合は認められるのですね。
  285. 大塚俊二

    大塚説明員 前の古い建物の帳簿価額をそのままつけかえることが認められておるわけであります。
  286. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 それが、現地へ私たちが直接視察に行って聞いた声は、保険に入っていないのですよ。それで困って泣いているのです。だからプレハブ住宅を建てるとか、それから先ほど申しました公営住宅をつくるとか、いろいろの声があがってきている。そういう血の通った政治というものが行なわれませんと、規則はこうだといっても、委員長以下われわれ全部あそこへ行って、かわいそうで泣いたわけですが、もう何とかしてくれということに対して、ここで現地の声をペーパー一枚の資料だけ見て、地震というものはわかるものではないです。たとえば、かんきつ類の喪失のときなんか、十五年もののミカンの木が全滅になった。そのときに、三十七、八の壮年でありますけれども、意欲をなくしている。ちょうど自分の長男を失ったような気持ちだという、これはやっぱりわれわれが現地へ行ってものを見る、百聞は一見にしかずということわざのとおり、見てきてほんとうに感じました。そこでわれわれはいまのような免税点ということを言うのですが、これは宮崎県で今後の応急対策の中で県がこういうことをきめているのです。だから国もこれに対してどういうような処置をとるかと私はいまお聞きしたのであって、明快な御答弁を、またあとでひとつ調査して、いただきたいと思うのです。  次は、衛生関係でございますが、その後伝染病等の発生または流行性感冒等、非常な対策をしていただきましたけれども、現在どのような状態になっておりますか。
  287. 今村譲

    ○今村政府委員 公衆衛生局の担当の者が来ておりませんので、はっきりいたしておりませんが、私が二、三日前に聞いたところでは、伝染病の発生はない、それからかぜは一時非常に寒いところにおったということで若干はやったけれども、それがどんどん蔓延しておるというような状況ではないのだ、こういうことを担当官が言っておりましたのを聞いたわけでありまして、詳しいことはよくわかりません。
  288. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 最後にお尋ねいたしますが、今後の生活の問題とか身の振り方とかいろいろな問題で生活相談、身の振り方の相談と申しますか、それに対する市民相談所、被災地の方々のために生活相談所を設置して、市町村と協力してあたたかい援護というものを精神的にも物質的にも与えていくようなことを政府が中心になってやっていくお考えがございますでしょうか。それを聞いて、私の質問を終わらしていただきます。
  289. 今村譲

    ○今村政府委員 この問題は非常に大きな問題がありまして、現地の県の民生部では、その関係で第一番には地元の市町村、それからこれは役人ではありませんが、民生委員制度というのがございます。それから福祉事務所というのがございます。これは生活保護とかいろいろやっておりますが、そういうものが全力をあげてその相談に当たらせるということで準備をいたしております。これは災害地ではどこでもそういう体制をとっておるわけでありますが、えびのでもあるいは吉松でも、できる限り従来のとおり努力をしたいというふうに思います。
  290. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 結局その問題ですが、ただ、指導の場合は、地震が今後この地帯に多いから、屋根がわらはこういうふうにしなさいとか、耐震の建築はこうしなさいとか、こういう問題はこうしなさいとか、アドバイス的な市民相談所の中に政府関係の専門官が行って、ほんとうに指導相談に当たってあげるかどうかということを私は聞きたいんですよ。どうですか、その点。
  291. 今村譲

    ○今村政府委員 いま私が申し上げたのは、いわゆる民生部門だけでございますが、おっしゃいますように、それは県のほうにもよく連絡いたしまして、建築関係とかいろいろなそういう専門家も入ってもらえるような体制を至急検討してみたい、かように思います。
  292. 川村継義

    川村委員 ちょっと関連して——たいへんおそくなって恐縮ですが、せっかくですから簡単にお尋ねしておきます。実は先ほどの森委員の質問に関連してお聞きすべきでしたけれども、お許しいただきます。  まず林野庁の方はおられますね。先ほどのお話で、いわゆる雪害を受けた森林関係保育資金について、いうところの一−二齢級、これは十年生以下、それから三−七齢級、これは二十年以下、これがいままでは八年以下が適用であったのをさらに三−七齢級まで、十五年とか言っておりましたが、そこまで適用を広げるというお話がありまして、現地被害を受けた連中はたいへん力強く思うのじゃないかと思いますから、早急に結論を出していただきたい。  私がお尋ねしたい一つは、この雪害関係でいろいろ問題を起こしておる。特にきょういただいておる資料を見ると、造林地が一番被害額が多いですね。そこで農林漁業金融公庫から出ております林業経営維持資金、これにはたしか三十万とかいうワクがあると思うのです。それから貸し付けの対象条件がたしか四項目ばかりありましたね。現在はワクが三十万円なのか、それから対象ワクがどれだけだったか、ちょっと教えてください。
  293. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 ワク限度額が三十万でございまして、総ワクは十一億でございます。
  294. 川村継義

    川村委員 そこで三十万というワクを、こういう大災害を受けたんですから、少しワクを広げてやるという検討はできませんか。  それといま一つは、この林業経営維持資金の貸し付けの対象には、いわゆる生活に困った諸君の生活費というか、そういうのはたしかもうないはずですね。これもやはり見てやる必要が今日出ているんじゃないかと思うのですが、ちょっと考え方をはっきり聞かせてください。
  295. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 いまの三十万の貸し付け限度額拡大につきましては、前向きの姿勢でひとつ検討してまいりたいと思います。  それから生活のために金が要るので、これに対して木を切るんだ、これをある適正伐期齢級まで残すための伐採調整資金制度は、昔はあったのでございます。三十七年の法律改正でそれは一応廃止されております。
  296. 川村継義

    川村委員 この山林を持っておる山間地の皆さんは、これは木を切って売るときに現金が入るけれども、日ごろの生活はたいへん苦しいんですよ。そういう意味でこの貸し付けの対象というものをぜひ検討しておいてくださいよ。生活資金、これは率直に言うと非常にむずかしいかもしれぬけれども、ぜひひとつそれをきょうはたのんでおきます。  それからもう一つは、先ほどだんだん質問がありましたが、いわゆる改植再造林、これは六十点を満点としていく。激甚な場合には加算する場合がある。ところが再造林の単価というものは、いうところの拡大造林に比べて単価が安いですね。再造林の場合の単価はいまどうなっていますか。
  297. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 再造林の場合は、やはり造林地を切ったあとに植えるというのが再造林でございまして、若干拡大造林よりは単価が低くなっておるのが現状でございます。
  298. 川村継義

    川村委員 再造林の場合の単価幾ら、拡大造林の場合幾ら、ちょっとその金額を……。
  299. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 失礼いたしました。四十二年度は再造林の場合は一ヘクタール当たり五万三千円に相なっております。拡大造林の場合は六万七千円になっております。
  300. 川村継義

    川村委員 そこで、こういう災害を受けたんだから、再造林の場合は五万幾ら、拡大造林の場合はこうだと言うのですが、単価を一緒に見てやってくれませんか。どうです。できるはずだ。
  301. 木村晴吉

    木村(晴)説明員 この問題は災害とは実は関連がない一つの制度でございまして、天然林を成長量のいい造林地に切りかえる場合におきましては、やはり実質的に歩掛かり工程人工が多くかかるということから、拡大造林は高くなっておる。それから再造林の場合は、先ほど申し上げましたように人工造林地を切ったあとの植栽のためのいろいろな諸掛かり人工の点からこういうことが出ておる。そこに災害があった場合は、人工造林地の災害という形に対しまして、あと地造林の場合の歩掛かり人工数につきましては、やはり再造林というものの人工数を使って、いま先生のおっしゃるように災害のための一つの損失的な面から見まして、そこに四十点を加算しておるわけでございます。
  302. 川村継義

    川村委員 とにかく今度被害を受けた場合、どうも再造林のほうは単価が安くてという声が大きいですから、これはやはり検討してください。拡大造林と同じ単価でこれは研究してもらう必要があるのじゃないかと思いますから、きょうはひとつ頼んでおきます。  それから最後に申し上げておきます。これは農林省にお尋ねすべきですか、あるいは総務副長官にお聞きしたほうがいいかもしれません。  今度非常に施設園芸がやられた。特に園芸だけでなくて鶏のいわゆるひなをやっておる施設等がやられた。そこで保温のために電力を使っておるわけですね。この場合に電力会社の責任というものはないんだろうか。なぜ私はこんなことを聞くかと言うと、農業近代化、これは政府が一生懸命やっておる仕事であります。ところが電力会社がやはり電気を使って実験して見せて、そしてああいう施設園芸や鶏を養うこと、これは電力会社でも奨励しているわけです。ところが今度の暴風雪で電線がやられてしまう、長い間停電をする、施設に対する電力は行かない、だから施設園芸がやられる、あるいはひなが斃死をする、こういう事態が起こっているでしょう。となると、電力会社も何かやはり考えるべきじゃないかと思うのですが、どうでしょう。
  303. 安倍晋太郎

    ○安倍政府委員 いまの問題ですけれども、電力会社に責任があるかどうか、何といってもこれは天災だと思いますので、不可抗力な点があると思います。だから電力会社に責任があるかどうかということについては、はっきりお答えできないと思います。
  304. 川村継義

    川村委員 それで実は私も考えてみたのです。電力会社に損害補償を出せ、これはちょっとどうも言えないようだけれども、やはり停電被害を受けたところのそういうものに対しては、これは見舞い金ぐらいは出してしかるべきじゃないか。これは政府は全然考えておりませんかね。それは電力会社に交渉すべきだと思うのです。こちらの東日本あたりの非常に雪が降るところは強いですね、ちゃんと用意ができておる。ところが、西日本なんというところは、ああいうものには電力会社の配電設備そのものが弱い。だから今度の暴風雪でやられる、停電する。そうするとそういう施設園芸や鶏のひなの斃死という被害が出るでしょう。これはやはり電力会社が、損害補償とまでいかなくとも、見舞い金を出すぐらいのことがあってしかるべきじゃないか。私が現地で電力会社の出張所の諸君にそういう話をしたら、それはやはり見舞い金ぐらいは考えるべきでしょうねという意見もあるのです。政府のほうでひとつ考えてみてください。そうしてしかるべき見舞い金を電力会社が出すように、ひとつ政府があっせんしてやりなさいよ。八木総務副長官の御所見を承ります。
  305. 八木徹雄

    ○八木政府委員 お答えのしようがないと思いますけれども、お気持ちはわかります。自主的に持っていくというのがほんとうの見舞い金だから、その意味で、そういうことの御質問があったということを強調して、国会でもこういうような御意見もあることだから、ひとつ善処したらどうかという程度のことぐらいなら、それは当然やるべきだと思いますから、お話しします。
  306. 川村継義

    川村委員 そこで副長官、ひとつあなたのほうから通産省に言うて、通産省が電力会社に補償させるというところへ運んでください。
  307. 八木徹雄

    ○八木政府委員 通産省に連絡いたします。
  308. 芳賀貢

    芳賀委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる三月十三日午後一時理事会、一時三十分委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後六時二十四分散会      ————◇—————