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鈴木(珊)
政府委員 資料をまとめて本日御
提出申し上げなかったことはまことに申しわけなく存じます。実は私の手元にあるものでひとつ補足して御報告させていただきたいと思います。実はまず
事故発生の
運転者と助手の勤務状況につきまして名古屋の陸運局でわかるだけの資料をとりまして、私の手元に報告が参っております。
それによりますと、どうしてああいう
運転手が無免許の助手に
運転を一時なりともやらしたという点が
原因の一つの追及になるかと存じますが、その資料によりますと、その
運転手の上野というのが正
運転手でございますが、これが、その事件前一週間くらいの状況を見てまいりますと、たとえば五月十四日でございます。その事件の前の日でございますけれども、五月十四日に、この
運転手は、三郷という土地から名古屋港までの間を一往復しております。これは八時半から十一時半まで三時間やっております。それから帰ってまいりまして今度引っ越し荷物を車に積み込む仕事を午後一時から二時半までやっております。その晩午後八時から東京に出発いたしました。したがいまして、この辺のところを見ますと、その正式の
運転手を一名で、あと無免許の助手を乗せたままで深夜の、しかも長距離を走らせる、そういう仕事を命じたということにつきましては、
使用者として、運行管理の面から、運輸規則に違反するのではないかというふうに私どもは推定いたしておる次第でございます。それから、しかもその本人は、前の前の日の五月十二日には実は一日休んでおりまして、安全講習というものを受けておるのでございます。このために休んでおります。そういった講習を受けた直後でございます。にもかかわらず、そういう運行管理者がそういう
労働条件を課したということは問題があるのではないか、こういうふうに私は存ずるのでございます。
それからなお、山下という助手でございます。これは
事故を起こした当人でございますけれども、これにつきましては、やはり前の日は名古屋港へ二往復の仕事をしております。これは朝八時半から午後四時半までやっております。その晩八時に東京に向かって乗っておるということでございます。これにつきましても運行管理者としての配慮が足りないのではないかという、そういう裏づけになるのではないかというふうに存じております。こういう資料が一つございます。
それから三郷運送の
車両の保険加入状況はどうかという資料も実は手に入りました。これによりますと、二十一
車両持っておりますが、そのうち十一
車両につきまして任意保険に——たとえば保険金は大体一千万円から一千二百万円程度の保険金の任意保険をつけております。したがいまして、二十一
車両中十一
車両はその保険をつけておる。それ以外の十両につきましては、トン数も小そうございますので、それほどの額の保険はつけておりません。ただ十一両につきましては、保険金額は全部出ております。保険状況はそういう状況でございます。
それからなお、三郷運送会社の状況でございますけれども、これは免許時の資本金が百九十万円でございまして、現在もこのままでございます。
それでその間に、現在二十一
車両使っておりますが、免許当時は四両でございました。これは普通車五トンが一両、四トンが二両、小型が一両という非常に小規模な業者でもって免許を申請いたしまして免許を得たということでございます。その後増車をいたしました。これも三十九年に九両、四十年に十二両、四十一年に十七両、四十二年になって結局合計二十一両というふうに、逐年増車の認可を得まして、増車をいたしておる次第でございます。
それから車庫は、免許時は有蓋、無蓋の車庫を合わせまして百八十八・二平米ございましたけれども、現在は、車の
増加に応じまして九百六十三平米というふうに非常に広くなっております。
それから社員でございますけれども、社員は三名でございまして、そのうちの一名が運行管理者並びに
車両整備管理者を兼ねております。これは社長の実弟がやっております。それから社員以外のいわゆる従業員は四十四名でありまして、このうち
事務員が八名、
運転者が三十一名、助手が五名、四十四名で現場をやっておるという状況でございます。
なお、会社の収支状況でございますけれども、四十一年度、これは年間決算でございますが、大ざっぱに申しまして営業収入が約五千六百万円であります。それから営業支出が五千百万円でございまして、差し引き年間約四百五十万円の益をあげております。しかしながら、その前の年の四十年度におきましては、収支見まして約八十四万円の赤でございます。それから三十九年度におきましては、約三百八十万円の年間の黒を出しております。したがいまして、こういう小規模でございますが、営業状況につきましては悪くはないというふうに私ども見ております。
それから地元の自動車の協同組合というのがございます。これは瀬戸地区に瀬戸自動車事業協同組合というのがございまして、その中のメンバーとして入っております。この中のメンバーといたしましては、八社ございますが、この三郷運送はその中でもわりに大きなほうでございまして、二十一両持っております。それ以外のメンバーは二十三両というのがございまして、その次に、第二位に位するくらいの大きさの業者でございます。この八社が集まって事業協同組合をつくっております。しかしながら、どうもこの事業協同組合の事業の実態が、共同でいろいろ仕事をしているというふうになっておりますが、あまり事業協同組合としての実質的な活動はしてないように見受けられます。
それからもう一つ、この会社が過去にそういう
交通違反があったかどうかという問題につきましての資料でございますが、四十二年中の
事故でございますけれども、これも調べて手に入った限りによりますと、合計いたしまして十三件の
事故をやっております。これはたとえば衝突、追突、接触それから後退時の衝突、物損、そういった程度でございまして、大きな
事故ではないと私ども思っておりますが、そういう
事故を過去一年間に十三件やっております。それから私どもがいわゆる大きい
事故と思っておりますのは一件ございます。これは四十一年五月にやったのでございますけれども、これは前の車が急停車したためにこっちの車がうしろから前の車にぶつかったというのでございまして、この場合は車間距離が不適切だったというふうに私ども判断しておりまして、その場合に死者が一人出まして、軽傷が三人、物損が九十万円、こういう
事故を四十一年五月に起こしております。その事後処理をどうしたかということにつきましては、いま問い合わせしておりますけれども、これは書類が韮崎の警察のほうに押収されているために、どうなったかということが実はわからないのでございます。この点私ども局のほうにあると思いますけれども、いままだ聞いておりませんので、ちょっとこの点ブランクになっておりますが、そういう
事故が大きな
事故といたしまして過去ございました。したがいまして、四十二年度は十三件の
事故があったということは浮かんでおります。
なお、会社の内部におきます運行管理あるいは
車両整備でございますけれども、会社内部はどうやっておるかということにつきましての状況も一応わかりましたので簡単に御
説明申し上げたいと存じますが、どうも乗務員の勤務時間それから乗務時間の把握というものはこれは記録してないのでございます。したがいまして、これでは不十分ではないかというふうに陸運局は見ております。それから長距離または夜間
運転時の交代
運転者の配置
基準というものが一体あるのかないのかということにつきましては、これは記録してないのです。こういう点についても、やはり会社としてはそういう
基準をきちんとつくっておくべきものではないかというふうに思っております。陸運局が調べました範囲におきましてはございません。
それから点呼でございます。これはやはりもちろん運輸規則によるものでございますけれども、点呼は
実施しております。しかしながら、点呼を
実施したという旨の記録がないのでございます。これは
実施したかどうかということは、陸運局が調べに行きまして、そこの社員なり従業員に聞いた結果でありますけれども、点呼は毎日やっておる。しかしながら記録はしてない。ただし始業点検の記録だけはございました。これはやっております。
それから乗務記録でございますけれども、これはやはり運輸規則によるものでございますけれども、乗務時間、それから交代時間、交代の場所、そういったものの記録がきわめて不十分であったというふうに報告されております。
それから乗務員に対しまする指導監督でございますが、この
事故を発生いたしました無免許の男は、実は、この二月にも無免許
運転で警察に検挙されておるのでございます。こういう事実が発見いたされました。そういう男をまた使っているということも、私は会社の運行管理としてきわめて不適切であったというように判断しております。
それから非常用の信号用具でございますが、これは私どもの運輸規則どおりにつけてございます。
それから
車両の点検
整備でございますが、これはおおむねいいようでございます。これは去年の暮れに
車両点検の
整備の監査をこの会社についてやったのでございますけれども、このときにはよかったというふうに局の記録にございます。それで
車両の
整備状況はいいようだというふうに局では判断いたしております。
それから運行管理者の選任でございますが、これはやはり有資格者がちゃんと選任されておる。この点につきましては、規則どおりやっておるというふうに報告されております。
それからなお、運行記録計でございますけれども、これは実は大型トラックにつきまして運行記録計をつける義務が去年の運輸規則改正によりましてできたのでございます。これは新車はもうすでに義務づけてやっておりますけれども、在来車につきましては、ことしの八月一日から義務づけることになっておりますが、この会社につきましては、一部の大きい
車両にはすでに運行記録計はつけております。つけておりますけれども、中に紙が入ってないのです。これはまだ義務づけの時期がきておりませんので、準備しているのだと思います。記録計はつけております。
以上のような諸点が、現在私どもの入手いたしました範囲の状況でございまして、たいへん粗雑でございますけれども、なおきょう告知書もきておりますから、よく事情を調べたいと思っております。