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1968-05-23 第58回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年五月二十三日(木曜日)    午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 大久保武雄君 理事 大竹 太郎君    理事 登坂重次郎君 理事 板川 正吾君    理事 河村  勝君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       加藤 六月君    亀山 孝一君       河野 洋平君    井上  泉君       太田 一夫君    加藤 勘十君       松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  出席政府委員         総理府総務副長         官       八木 徹雄君         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         運輸政務次官  金子 岩三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君  委員外出席者         議     員 登坂重次郎君         議     員 板川 正吾君         議     員 河村  勝君         議     員 松本 忠助君     ————————————— 五月十七日  陸上交通安全基本法案松本忠助君外一名提出、  衆法第四二号)  交通安全対策基本法案山本榮二君外一名提出、  衆法第四三号)  陸上交通安全対策基本法案大久保武雄外四  名提出衆法第四四号) 同月十八日  交通安全施設整備促進に関する請願小山長規  君紹介)(第六〇六〇号) 同月二十一日  交通事故防止のため自転車尾灯取付けに関す  る請願大野市郎紹介)(第六九〇一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  陸上交通安全対策基本法案大久保武雄外四  名提出衆法第四四号)  交通安全基本法案板川正吾君外六名提出、衆  法第三三号)  交通安全対策基本法案山下榮二君外一名提出  衆法第四三号)  陸上交通安全基本法案松本忠助君外一名提出  衆法第四二号)  交通安全対策に関する件(韮崎市における修学  旅行バス衝突事故に関する問題等)  交通安全対策に関する件  請 願  一 交通事故防止国民運動に関する請願(原    健三郎君外二百八十名紹介)(第一二〇〇    号)  二 交通事故被害者救済対策に関する請願(    進藤一馬紹介)(第二八二〇号)  三 盲人の交通安全確保に関する請願(長谷川    正三君紹介)(第三〇六〇号)  四 同(稻葉修君紹介)(第三二七〇号)  五 交通安全施設整備促進に関する請願小山    長規紹介)(第六〇六〇号)  六 交通事故防止のため自転車尾灯取付けに    関する請願大野市郎紹介)(第六九〇    一号)      ————◇—————
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  大久保武雄外四提出にかかる陸上交通安全対策基本法案板川正吾君外六名提出にかかる交通安全基本法案山下榮二君外一名提出にかかる交通安全対策基本法案及び松本忠助君外一名提出にかかる陸上交通安全基本法案一括議題として、順次提案理由を聴取いたします。
  3. 門司亮

  4. 登坂重次郎

    登坂議員 ただいま議題となりました陸上交通安全対策基本法案につき、自由民主党を代表いたしまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  御承知のとおり、近年におけるわが国経済の驚異的な発展に伴い、陸上交通、特に自動車交通は、急速な伸展を遂げております。しかしながら、これとともに、道路における交通事故も、また、逐年増加の一途をたどっているのが現状であり、最近においては、交通事故による年間の死者数は一万三千名をこえ、同じく負傷者数は六十五万名を上回るというまことに憂慮すべき事態に立ち至っているのであります。次に、鉄道及び軌道における交通事故は、幸い、ここ数年間横ばいないし減少の傾向を示しておりますが、これとても、一たび事故が発生いたしました場合には、多数の死傷者を生ずるという重大な結果をもたらすものでありまして、いまや、陸上における交通事故は、国民社会生活に大きな不安を与えているのであります。  このような情勢に対処して、陸上交通の安全を確保し、明るい住みよい社会を建設することは、今日の政治の急務でありまして、そのためには、この際、陸上交通の安全に関する諸施策の抜本的な強化をはかることが、何よりも必要であると考えられるのであります。  すなわち、その具体的方策としては、まず、陸上交通の安全に関する国及び地方公共団体責務を明らかにし、これらの責務に基づく国及び地方公共団体陸上交通の安全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための体制を確立し、あわせて国及び地方公共団体が講ずべき陸上交通の安全に関する基本的施策を明示すること等により、陸上交通の安全に関する施策の効果的な推進をはかるとともに、他方において、交通施設設置者等車両製造者車両使用者車両運転者歩行者及び一般住民陸上交通の安全に関する責務を明らかにすることによって、これらの者がそれぞれの立場において、国及び地方公共団体施策に積極的に協力するという陸上交通の安全に関するいわゆる国民総ぐるみ体制の確立をはかることがこれであります。  以上のような見地から、このたび、右に申し述べました事項内容とする、陸上交通安全対策基本法案を提案することといたした次第であります。  次に、この法律案概要を御説明いたします。  まず、第一章に規定する総則について御説明いたします。  総則においては、この法律目的を定めるほか、交通の安全に関する国及び地方公共団体責務を明らかにするとともに、交通施設設置者等車両製造者車両使用者車両運転者歩行者及び一般住民につきましても、それぞれその責務を明らかにすることといたしております。  次に、第二章に規定する交通の安全に関する組織について御説明いたします。  第一に、総理府は、内閣総理大臣関係行政機関長等をもって構成する中央交通安全対策会議を設け、これに交通安全基本計画作成、その実施推進等事務を所掌させることといたしております。  第二に、都道府県におきましては、当該都道府県知事、国の関係行政機関長等をもって構成する都道府県交通安全対策会議を設け、これに地域交通安全計画作成、その実施推進当該地域における交通安全行政連絡調整等事務を所掌させることといたしております。なお、市町村につきましても、都道府県交通安全対策会議に準じて、市町村交通安全対策会議を置くことができることといたしております。  第三に、国の施策に対し、交通の安全に関する総合的な施策についての高度にしてかつ専門的な意見を体系的に取り入れ、あわせて民間の建設的な意見を反映させるために、総理府に、諮問機関として学識経験者委員とする交通安全対策審議会を置くことといたしております。  なお、地方公共団体につきましても、当該地方公共団体地域にかかる交通の安全に関する総合的な施策に関する基本的事項を調査審議させるため、地方交通安全対策審議会を置くことができることといたしております。  次に、第三章に規定する交通安全計画について御説明いたします。  第一に、国におきましては、陸上交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策を樹立し、これを効果的に実施していくため、中央交通安全対策会議は、陸上交通の安全に関する総合的かつ長期的な施策大綱について交通安全基本計画作成するとともに、関係行政機関の長は、毎年、交通安全基本計画に基づき、その所掌事務に関し、当該指定行政機関陸上交通の安全に関し講ずべき施策について交通安全業務計画作成することといたしております。  第二に、都道府県地域につきましては、都道府県交通安全対策会議は、交通安全基本計画に基づき、当該都道府県地域にかかる総合的かつ長期的な交通安全施策大綱について都道府県地域交通安全計画作成するとともに、さらに、毎年、右の地域交通安全計画についての実施計画作成することといたしております。  なお、市町村地域につきましても、市町村交通安全対策会議が、都道府県地域交通安全計画に基づき、市町村地域交通安全計画作成するとともに、さらに、必要があるときは、右の地域交通安全計画についての実施計画作成することといたしております。  次に、第四章に規定する交通の安全に関する基本的施策について御説明いたします。  この章におきましては、国及び地方公共団体は、交通環境整備交通安全思想普及車両の安全な運転及び車両安全性確保交通秩序維持救急医療充実損害賠償適正化交通の安全に関する科学技術振興民間交通安全活動促進等をはかるため、必要な措置を講ずべきことといたしております。  次に、第五章に規定する財政措置等について御説明いたします。  この章におきましては、国は、地方公共団体に対して所要財政上の措置等を講ずべきこととするとともに、国及び地方公共団体は、交通施設設置者等に対して所要の金融上の措置等を講ずべきことといたしております。  最後に、第六章の雑則においては、特別区についてのこの法律の適用及び政令への委任について規定しております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞすみやかに御審議の上、御可決くださるようお願い申し上げる次第であります。(拍手)
  5. 門司亮

    門司委員長 次に、板川正吾君。
  6. 板川正吾

    板川議員 日本社会党提出交通安全基本法案提案理由説明申し上げます。  今日、交通に課されている任務は、安全にして能率的な輸送力を提供することによって、国民経済と文化の発展を助け、ひいては社会福祉向上をはかることにあるわけですが、交通の現況は慢性的な渋滞と続発する事故により、交通地獄交通戦争といわれるように、国民生活を脅かすに至っており、経済発展の障害となっておるのであります。  このような状態に立ち至らしめたものは、戦後経済が急速に発展する中で、設備投資はすべて産業資本に振り向けられ、経済発展をささえる交通には十分な投資がなされず、ために基礎的な固定施設の拡充による輸送力増強に及ばず、もっぱら可動施設を増備することによって、差し迫る輸送需要に応じようとしてきたからであります。  それが道路交通の混雑としてあらわれ過密ダイヤ殺人的通勤輸送あるいは慢性的な船混み等を余儀なくし、このような状態の中では、安全輸送という至上命令を、保安施設増強によって受けとめることができず、もっぱら精神訓話職人的運転技術に依存し、当然の帰結として交通事故の続発を招くに至ったのであります。  かくて、交通機能は生産の隘路となり、固定施設増強中心とする輸送力増強が強調され、道路鉄道、港湾、空港等、それぞれに計画的投資が行なわれるに至りました。しかしその規模は小さく、これまでの過小蓄積を補いかつ当面の輸送需要を満たすことができないものであるにもかかわらず、その小規模の投資企業性独算性中心に行なわれ、投資効果波及効果投資基準となり、ために一部においては交通機関相互の競争を激化し、国民が要求している輸送力増強保安施設への投資が十分行なわれておりません。  安全輸送確保するには、基本的にかかる弊害をなくし、その誤りを正す総合的な交通政策の樹立が必要であります。しかし日一日と深刻さを増してきている交通事故から国民生活を守ることはさらに喫緊のことであります。よって交通安全の施策を確立し、これを強力に推進する体制を整えることが必要であります。このことが本法案を提案する理由であります。  次に本法案の主要な部分について御説明申し上げます。  まず、第一章について御説明いたします。  すなわちこの基本法のねらいは、言うまでもなく、交通安全のあり方を明らかにし、交通安全の政策目標を示し、国政の中の交通安全行政統一的指針を与え、総合的計画推進をはからせるためのものであります。  よって本法案の骨格は陸、海、空にわたる交通安全対策基本を示すとともに、総合的な施策実施を促し、そのための国及び地方公共団体責任と一体的な実行を要求しておるものであります。  次に交通安全を確保することは、国及び地方公共団体責任であると同時に、交通運輸事業者もまた、その責任があることを明確にいたしました。  さらに今日交通戦争に立ち向かう交通安全の施策は総合的であり、実行国民的な協力による総合体制によってのみ可能でありますので、国民交通の安全に関する国及び地方公共団体施策協力しなければならないことといたしております。  次に第二章について御説明いたしますと、まず第一に、交通安全施設整備を国及び地方公共団体責任によって行なわせることにいたしております。  なお、この点につき付言いたしますと、施策実行には、言うまでもなく財政的裏づけが十分でなければなりません。従来政府対策財源措置が十分でなく、地方公共団体の貧困な財政を一そう圧迫するような方法で進められ、ために施策実行が阻害され、特に機動性を必要とするこの種の対策実効があがらず、あたら貴重な人命と財産が失われつつありますので、この際、政府に、この法律目的を達成するための財源措置について特段の考慮を払わせる必要があります。これは、第一章総則の第七条に規定を設けてあります。  第二に、車両等可動施設安全性確保することといたしております。  そのためには、それぞれの保守基準を一そう的確に高めていくことと、その基準が確実に守られるよう規制せねばなりません。近時、企業性の追及が急であって、その面からの安全性をくずす傾向がありますので、きびしく規制し、一そう保安度を高めさせようといたしております。  第三に、気象業務体制整備により、安全運行確保をはかることといたしております。気象条件交通安全に重大な関係を持っていることは多言を要しないところでありますが、特に海上交通航空交通の安全に関しましては、現在の気象業務体制をさらによく整備することが急がれなければなりません。  第四に、運転者等の面からの安全の確保について規定を設けております。すなわち運転者はいつでも安全運転ができる最もよい条件のもとに置かれねばなりません。そのためにはまず労働条件を改善し、過労から来る事故を防ぎ、生活環境もそれにふさわしいものに整備されねばなりません。  第五に、交通規制等を含む交通秩序維持について規定を設けております。ここにおきましては、陸、海、空の全体にわたり、大衆輸送確保と安全の両面から新たな規制も考慮しなければならないのであります。  第六に、交通安全の教育教育機関、職域、地域で計画的に実施されるようにいたしております。  第七に、交通事故原因を科学的に究明するため、調査機関の設置等必要な施策を講ずることといたしております。  交通事故のすべての原因が、運転者等の不注意と、不可抗力に帰せられることは人権にも反するばかりか、問題の正しい解決を誤ることになります。事故原因が正しく把握され、初めてその責任所在が明確にされて、その対策が立てられなければなりません。交通労働者の長い間の要求である事故原因の正しい究明をこの際ここで実現させようとしているものであります。  第八に、交通事故防止に関する科学的かつ総合的な研究等につき規定しております。交通事故防止のための研究をより科学的かつ総合的なものとするとともに技術開発推進し、またこれらの成果の利用の促進をはからんとするものであります。  次に第三章について御説明いたしますと、ここでは、救急医療体制等整備自動車損害賠償保障制度等充実について規定しております。  救急医療体制におきましては脳神経外科医療陣営強化が緊急を要するものであります。  最後に、以上の施策実行するには、ただいまの行政部門は多岐にわたっていますので、これを統一的に実行させるためその機関整理統合が必要でありますが、当面行政委員会を設置しその調整をはかり対策実行促進しようとするものであります。このため、交通安全対策委員会に関し第四章を、また交通安全対策審議会に関し第五章を、それぞれ設けております。  以上で説明を終わります。
  7. 門司亮

  8. 河村勝

    河村議員 ただいま議題となりました交通安全対策基本法案提案理由を御説明申し上げます。  御承知のとおり、わが国交通安全施策ははなはだしいおくれを来たしており、このため陸上交通におきまする事故被害だけでも一日当たりの平均が二千数百名に達する状態であります。まさに交通戦争の名が、それを物語るごとく平和な国民生活を脅かす新たな暴力の発生と理解すべきであります。  このような交通安全の確保に関し、基本的にして効果的な施策のないまま経過するならば国民生命財産等の不安はますます拡大され、終局するところ国民生命、自由、幸福追求権を立法その他国政の上で最大に尊重せよと命ずる憲法に反する疑義さえ生ずるのであります。  また現行法制下におきましては、交通に関する行政が各省庁に細分の上所管されております関係から応急な対策を要する場合においてすら効果的な措置が期待されません。ましてや高度に発展した科学技術を駆使したところの輸送手段が数多く実用化されつつある今日では、これに対応して交通行政もまた、可及的に一元化することが社会的要請であります。  私どもは以上述べましたところから、交通の安全に関する施策基本を早急に確立する必要があると判断いたしまして、ここに本法案提出する次第であります。  次に、法案内容についてその概要を御説明申し上げます。  第一は、本法案目的において、国、地方公共団体車両運転者、及び歩行者等責務を明確化させるとともに、国及び地方公共団体交通の安全に関する基本施策を定めることにより、総合的かつ計画的な交通安全行政推進をはかり、もって国民生命身体及び財産の安全と公共福祉確保せんとの立場を宣言したものであります。  第二は、国民が日夜最も不安に脅かされております陸上交通について重点的に施策を講じ、一日も早くその不安の根源を絶つことに集約いたしていることであります。もちろん、航空海上交通等につきましても国際条約等における調整をはかりつつ国内法において統一的に施策が講ぜられるよう政府の努力を期待しておることをこの際明らかにしておきたいと思います。  第三は、国及び地方公共団体責務については、国民生命身体及び財産を保護する憲法上の使命が特に国に課せられている立場から見て、交通の安全に関する総合的な施策の策定とこれが実施に関する責務を明確化いたし、また、地方公共団体も国の講ずる施策に準じて実施する責務のあることを明記いたしました。  第四は、交通施設設置者車両製造者運輸事業者及び運転者等については、その施設運行管理等の面で充実かつ完全を期すとともに、車両の構造、装置の改善、安全運転につとめなければならない等の責務を明らかにいたしまして、交通安全確保の万全を期さんとするものであります。  歩行者、並びに住民につきましては交通事故被害者立場にありますが、正しい交通道徳秩序を確立し、かつ適切なる施策実施する上では一半の責務を負うことは共同社会の構成においては当然だと思いますのでそれらの払うべきつとめを責務として明記したのであります。  第五は、交通の安全を確保する上で、その施策が直接的に講ぜられるものも数多くありますが、最近のごとく社会経済発展変化に応じて都市計画区画整理等、他の面での施策が多く講ぜられておりますが、このような場合でも交通の安全に寄与するよう国及び地方公共団体のそれぞれの施策において配慮することを求めることにしたのであります。  第六は、先に申し述べましたごとく、現法制下におけるわが国交通に関する行政は、各省庁に所管され一元性を欠いておりますので、将来の方向を示すとともに交通安全確保重要性にかんがみまして内閣総理大臣会長とし、指定行政機関の長を委員とする中央交通安全対策会議を設け、交通の安全に関する総合的な施策についての基本計画作成する等の事務を担当し、その施策推進に当たることといたしております。  これと同時にその事務局を強力なものとして施策効果性を高めるため事務局長には総理府総務長官をもって当てることといたしております。  都道府県市町村におきましても国に準じてそれぞれの首長を会長とする地方交通安全対策会議を設けることといたしております。  第七は、中央及び地方交通安全対策会議相互関係は、中央都道府県に、都道府県市町村交通安全対策会議に対し、所掌事務の遂行のため勧告または指示できることとし、それぞれの地方交通安全対策会議相互協力交通安全確保実効を期そうとするものであります。  第八は、交通安全基本計画及び交通安全業務計画地方交通安全計画であります。交通安全基本計画は、中央交通安全対策会議が総合的かつ長期的な施策、その他必要な事項について作成し、都道府県知事に通知するとともに、これを公表するものといたしました。これに基づき、指定行政機関の長はその所掌する事務に関し、当該指定行政機関が講ずべき施策等作成して内閣総理大臣に報告し、都道府県知事に通知するとともに、それを公表するものといたしました。  各級段階地方行政におきましては、その地域にかかる地方交通安全計画交通安全基本計画及び都道府県交通安全計画に基づき作成し、市町村都道府県知事に、都道府県知事内閣総理大臣及び指定行政機関の長に報告するとともに公表するものといたしました。これによって国及び地方行政を緊密に連携させ、一元性を高め、その効率化をはからんとするものであります。  第九は、交通の安全に関する施策については、交通環境整備交通安全に関する知識の普及車両安全運転安全性確保交通秩序維持救急医療充実損害賠償適正化及び科学技術振興等々の諸般にわたり、国及び地方公共団体が具体的に講ずべき施策内容を示し、わが国における交通安全施策のおくれを回復するとともに、国民の理解を深め、その協力を得て効果的に施策を講ずることを明らかにしたのであります。  以上、民主社会党提案交通安全対策基本法案提案理由並びに法案概要説明を終わります。
  9. 門司亮

  10. 松本忠助

    松本(忠)委員 ただいま議題となりました陸上交通安全基本法案につき、公明党を代表いたしまして、その提案理由及び内容概要を御説明いたします。  近年における交通機関の目ざましい発達は、産業経済発展社会生活向上を著しく促進するとともに、交通機関を利用することは、国民がその生活を営む上において欠くことのできないものとなっております。  しかるに、国民経済の急速な発展国民生活向上に伴い、陸上交通、特に自動車交通は、急激な伸展を遂げ、その需要交通供給との間に不均衡を生じ、慢性的な交通の混乱と渋滞を引き起こしております。  このような交通事情に加えて、交通安全施設整備車両安全運転確保等の面においての立ちおくれは著しく、これが交通事故増加の大きな原因となっているのであります。  昨年度の陸上における交通事故死傷者は、約六十七万人にものぼり、史上最悪な記録を残しております。本年度の陸上における交通事故死傷者は、七十五万人をこえることも予想されており、そのために及ぼす国民生命身体及び財産の損失は甚大なものであり、きわめて憂慮すべき現状にあります。  また、鉄道及び軌道による交通事情も、無計画な都市計画により通勤地獄を引き起こし、過密ダイヤの編成を余儀なくされ、また経済活動の活発化に伴う交通量の増加などにより一触即発の危機をはらんだダイヤが組まれ、一たび事故が発生した場合、多数の死傷者が出ることは火を見るよりも明らかであります。  このような交通事情に対処して人命尊重の精神にのっとり陸上交通の安全を確保し、国民生活の確立を目ざし、その実現の推進をはかることこそ国家に課せられた責務であり、福祉国家の建設を目ざすわれら国民の果たすべき使命であります。  なお陸上交通のみならず、海上交通及び航空交通の安全をはかることは当然であり、その安全のための諸施策を講じていかなければならぬことも明白でありますが、当面は最も緊急を要する陸上交通の安全について基本法を制定し、海上交通及び航空交通についてはさらに審議を重ね、充実した法律を制定することとし、とりあえず、この際は陸上交通の安全をはかる抜本的な諸施策を講ずべきであると考えるのであります。  以上のような見地から、このたび、陸上交通安全基本法を提案することといたした次第であります。  次に、この法律案内容概要を御説明いたします。  まず、第一章の総則について御説明いたします。  総則には、この法律目的を定め、本法律陸上交通の安全に関し、国及び地方公共団体が講ずべき施策基本を定めるとともに、その総合的な実施推進するために必要な体制を確立し、国民生命身体及び財産陸上交通による危害から保護し、公共福祉確保に資することを目的といたしました。  また、定義には、この法律における「交通」とは、道路による交通及び一般交通の用に供する鉄道または軌道による交通をいうことといたしました。  さらに、国及び地方公共団体の講ずべき施策を明らかにしております。  すなわち、国の講ずべき施策として、次にあげる各号につき、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的かつ計画的に講ずるものといたしました。  一、交通安全施設整備すること。  二、車両安全性確保をはかること。  三、車両の安全な運転確保をはかること。  四、交通秩序維持をはかること。  五、交通安全思想普及徹底をはかること。  六、交通事故原因の科学的究明、交通事故防止に関する科学的研究及び技術開発推進並びにこれらの成果の利用の促進をはかること。  七、交通事故にかかわる負傷者、被害者等の救済をはかること。以上の七項目であります。  地方公共団体の講ずべき施策は、この法律目的を達成するため、前述の各項に掲げた施策を講ずるものとし、さらに地方公共団体は、その施策を講ずるにあたって、その施策が一体として交通の安全に寄与することとなるよう、国の施策協力する責務があることといたしました。  次に、運輸事業者責務を定めております。運輸事業を営む者は、その事業を営む上に、常に交通の安全が確保されるように万全の措置を講ずるものとし、一般国民責務は、交通の安全に関する国及び地方公共団体施策協力しなければならないことといたしております。  法制上の措置等については、政府がこの法律目的を達成するために必要な法制上、財政上及び金融上の措置を講じなければならない責務を有するものであるといたしました。その他政府の行なうべき措置として、実態調査、年次報告等を規定としております。  実態調査等に関する政府の行なうべき措置は、定期的に、交通事故の発生の状況、交通安全施設整備の状況その他交通の安全に関する実態の調査を行ない、その結果を公表するものといたしました。  さらに、年次報告等は、政府が毎年、国会に交通の安全に関する実態及び政府交通の安全に関して講じた施策に関する報告書を提出し、毎年、その報告にかかる交通の安全に関する状況を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、国会に提出しなければならない責務を有するものといたしました。  次に第二章の交通の安全の確保について御説明いたします。  第二章は、交通の安全の確保をはかるため、国及び地方公共団体が行なう責務を明らかにしております。  すなわち、第一には、交通安全施設整備をはかること。  第二には、車両安全性確保をはかるため、車両の構造及び装置の改善、車両の検査の充実等に必要な施策を講ずること。  第三には、車両の安全な運転確保をはかるため、車両運転者労働条件の適性化、適性の確保及び指導訓練の充実車両運転の管理の改善並びに運転免許制度の合理化等に必要な施策を講ずること。  第四には、交通秩序維持をはかるため、交通規制強化等に必要な施策を講ずること。  第五には、交通安全思想普及徹底をはかるため、学校または地域及び職域における交通安全教育の計画的かつ組織的な実施等に必要な施策を講ずること。  第六には、交通事故原因の科学的究明、さらには交通事故防止に関する科学的かつ総合的な研究及び技術開発推進をはかり、これらの成果の利用の促進をはかるため、研究施設整備研究の成果の普及等に必要な施策を講ずること。等、以上の点について規定いたしております。  次に、第三章の交通事故にかかわる負傷者及び被害者等の救済について御説明いたします。  まず最初に、国及び地方公共団体は、交通事故にかかわる負傷者が、迅速かつ適切な応急手当てを受け、引き続き医療を受けることができるようにするため、救急業務の充実をはかり、さらに救急医療施設及び更生医療施設整備等に必要な施策を講ずるようにいたしました。  次に、国及び地方公共団体交通事故にかかわる被害者とその遺族に対して迅速かつ適正な損害賠償が行なわれるようにするため、保険または共済等による損害賠償保障制度の充実をはかり、また損害賠償の請求に関する援助の強化等に必要な施策を講ずるようにいたしました。  次に、第四章の陸上交通安全対策本部について申し上げます。  対策本部は交通の安全に関する総合的な計画を策定し、その実施推進に関する事務を統一的に遂行するために設置するものであって、総理府機関として設置するものであります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞすみやかに御審議の上、御可決くださるようお願い申し上げる次第であります。
  11. 門司亮

    門司委員長 これにて提案理由説明は終わりました。      ————◇—————
  12. 門司亮

    門司委員長 次に、交通安全対策に関する件について調査を進めます。  ただいま委員長の手元に、大久保武雄君、板川正吾君、河村勝君、松本忠助君から、四派共同提出にかかる交通安全対策に関する件について決議せられたいとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を聴取いたします。大久保武雄君。
  13. 大久保武雄

    ○大久保委員 ただいま議題となりました交通安全対策に関する決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、民主社会党及び公明党を代表いたしまして、私からその趣旨の説明を申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     交通安全対策に関する件(案)   ここ数年来わが国自動車交通量は急激な増加をみており、これが道路における交通事故発生の一つの大きな要因となつて、道路における交通事故による死傷者は逐年増加傾向を示している。   また、鉄軌道による交通海上交通及び航空交通においても、同じくそれぞれの交通量の増大が一つの要因となつて、重大事故が多発する傾向にある。   このようなすう勢に対処して、人命尊重の見地から交通事故防止の徹底を期するため、政府は、左に掲げる措置を強力に推進すべきである。  第一 交通安全基本法案について     すみやかに、交通の安全に関する国、地方公共団体、事業者、住民等の責務並びに交通安全に関する基本的施策を明確にし、国及び地方公共団体を通じての必要な組織を整備し、総合的かつ長期的な施策についての基本計画を策定することなどを内容とする交通安全基本法案を次の国会に提出すること。     なお、これに伴い、右の法案に関する調査及び立案を行なわせるため、現在の総理府陸上交通安全調査室の所掌事務の変更について検討すること。  第二 陸上交通海上交通及び航空交通の安全対策に関する緊急措置等について   一 陸上交通の安全対策について    1 交通安全施設整備については、現行の交通安全施設整備事業三箇年計画に定める事業の早期完成に努めるものとし、とくに通学通園路における交通安全施設整備促進して学童幼児の交通事故防止の徹底を図ること。      なお、今後における交通安全施設整備の一層の推進を図るため、現行の交通安全施設整備事業三箇年計画の改定について検討を加えるとともに、これを改定する場合には、計画に定められる事業の実施に必要な財源について十分な措置を講ずること。    2 道路網の整備、交差点の改良、駐車場及び自動車ターミナルの整備交通規制強化、信号機の系統化等により、大都市における道路交通の円滑化を図ること。    3 交通安全思想普及徹底を図るため、地域社会及び学校における交通安全教育の一層の充実を図るとともに、とくに交通安全教育センターの整備促進すること。    4 自動車の安全性向上を図るため、その構造及び装置の改善に関し、保安上の技術基準の改善を図るとともに、自動車の検査体制充実に努めること。    5 道路交通秩序を確立するため     (1) 運転不適格者の排除の徹底を図る等運転免許制度の改善に努めること。     (2) 無免許運転及び酒気帯び運転の取り締りの強化を図ること。とくに、ドライブイン等においては、運転者に対し、酒類の提供をしないよう強力に行政指導すること。     (3) 交通反則通告制度の実施に当たっては、警察官の公正な職務執行を確保する等その適正を期すること。     (4) 市町村交通指導員制度について検討を加えるとともに、歩行者及び運転者に対する街頭における交通指導を強化すること。     等の措置を講ずること。    6 土砂等を運搬する大型自動車による交通事故防止等に関する特別措置法の実施当たつては、大型自動車の使用の届出、積載重量の自重計の取付け等の義務の励行の確保を図るとともに、土砂等の運搬に関する事業の協業化の促進並びに土砂等の運搬に関する事業を行なう者の団体の指導及び育成に関する具体的方策をすみやかに検討すること。    7 運転者等労働条件の改善を図る等労務管理の適正化に努めること。    8 鉄道事故防止の徹底を期するため、民営鉄道における自動列車停止装置の整備鉄道の保安設備の整備及び地下高速鉄道における車両の不燃化を促進すること。    9 交通事故による被害者救済対策促進するため     (1) 救急医療施設、更生援護施設整備促進を図るほか、頭部損傷患者等に対して適切な治療を行なうための救急医療センターの整備促進すること。     (2) 自動車損害賠償責任保険の保険金の支払限度額は、昭和四十二年八月から三百万円に引き上げられているが、なお不十分であるので、その大幅な引き上げについて早急に検討するとともに、自動車保険(任意)についてもその普及に努めること。     (3) 地方公共団体実施している交通災害共済制度については、その適正な運営が行なわれるよう指導すること。     等の措置を講ずること。    10 交通安全に関する科学的研究推進するため、試験研究機関充実を図るとともに、各省庁にまたがる試験研究については、関係省庁間の協力体制強化を図ること。   二 海上交通及び航空交通の安全対策について    1 海上における交通の安全と円滑を図るとともに、海上における危険を防止するため、交通の方法、交通の管制、危険防止等を内容とする海上交通法(仮称)を新たに制定する等所要の法的措置をすみやかに講ずること。    2 航路標識の整備、水路業務の充実等海上交通環境整備促進すること。    3 海上交通秩序の確立、海上における法令の励行の確保及び海難救助体制整備を図るため、巡視船艇、化学消防艇、捜索救助活動用航空機等の整備促進すること。    4 港湾整備に際しては、航路及び避難港の整備推進を図るとともに、とくにタンカー事故等による災害を防止する等の港内の保安を確保するため、危険物埠頭の整備促進すること。    5 航空事故防止の徹底を期するため、滑走路の延長等現行の空港整備五ケ年計画に定める事業の早期完成に努めるとともに、航空保安施設航空機乗員養成体制及び航空保安職員研修体制整備を図ること。    6 交通の安全に関する気象情報等の内容充実を図るため、観測網の充実、通信施設整備気象業務体制整備すること。    右決議する。  以上であります。  次に、その趣旨について申し上げます。  交通事故の現況は、陸上交通につきましては、わが国経済の伸長による輸送量の増加に伴い、近時、特に自動車の保有台数は驚異的な増加率を示し、道路における交通量の著しい増加をもたらし、これが大きな要因となって、交通事故による死傷者は逐年増加傾向を示しているのであります。  すなわち、史上最高を記録した昨年の交通事故による死傷者数は六十六万八千九百九十五人でありましたが、本年四月末現在、すでに死者四千百八十四人、負傷者二十二万六千四十四人を数え、昨年同期に比し、死者は二・六%、負傷者は三〇・三%と、いずれも増加いたしており、死傷者総数において二九・七%の増加率を記録し、昨年の事故件数をはるかに越え、平和な生活を送っているはずの国民が、数十秒に一人の割合で死傷していることになり、まことに憂慮すべき状況にあるのであります。  また、鉄軌道による交通におきましては、過密都市化、経済活動の活発化等に伴う交通量の増大等の要因によりまして、過般の南海電鉄の事故など、重大事故が多発する傾向を示しております。  海上交通につきましては、船舶の多様化とともに、港内及び狭水道の交通量が著しく増加し、衝突、乗り上げ等の海難事故が頻発している現状であります。  特に、大型タンカーの増加により、危険度の高い事故の多発が憂慮される状況であり、海難防止強化と海難救助体制整備等、海上交通安全確保に関する強力なる施策が要請されるところであります。  航空交通におきましても、国際、国内線ともに、その運航回数の増加、就航機種の大型化、高速化等に対処するため、航空における安全確保強化が望まれているのであります。  いまや、交通全般にわたる安全対策の確立は、当面する政治上、社会上重要かつ緊急なる課題となっているのであります。  本特別委員会は、設置されて以来、四党共同の議員立法により、通学路に係る交通安全施設等の整備及び踏切道の構造改良等に関する緊急措置法及び土砂等を運搬する大型自動車による交通事故防止等に関する特別措置法の二法律を、陸上における事故防止の当面の緊急措置として成立せしめたのであります。  しかし、これが総合対策樹立について、引き続き本委員会並びに各党間において検討が進められてきたのでありますが、今国会において、去る四月二十六日、日本社会党提出にかかる交通安全基本法案が、五月十七日、公明党提出にかかる陸上交通安全基本法案が、民主社会提出にかかる交通安全対策基本法案が、自由民主党提出にかかる陸上交通安全対策基本法案がそれぞれ本委員会に付託され、先刻、各党案につきまして提案理由説明を聴取いたしたところであります。  この各党案には幾つかの相違点がありますが、そのおもな点は、自由民主党、民主社会党及び公明党の三党は、陸上交通の安全のみでなく、海上交通及び航空交通の安全をも当然含めるべきであるが、当面最も緊急を要する陸上交通の安全について、まず基本法を制定し、海上交通及び航空交通の安全については、なお慎重に検討の上、なるべく早い時期にこれを立法化すべきであると考えているのに対し、日本社会党は、当初から陸上交通のみならず、海上交通及び航空交通の安全をも含めた基本法を考えている点であります。  過般来の理事会等におきまして協議いたしたのでありますが、各党一致の案を得るに至らなかったので、今後これらの案を基礎にして、来たるべき国会において、交通全般にわたるいわゆる交通安全基本法を成立させることを目途として、引き続き十分な協議を重ねることに合意した次第であります。  政府においても、人命尊重の見地から、交通事故防止の徹底を期するため、交通安全に関する総合対策樹立及び交通安全に関する緊急措置等、本決議案におけるそれぞれの措置について強力に推進するよう特段の努力をすべきであるというのが、その趣旨であります。  委員各位の御賛同をお願いいたす次第であります。(拍手)
  14. 門司亮

    門司委員長 本動議について採決いたします。  大久保武雄君外三名提出の動議のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  15. 門司亮

    門司委員長 起立総員。よって、大久保武雄君外三名提出の動議のとおり決しました。  この際、本決議について、田中総理府総務長官及び中曽根運輸大臣より発言を求められておりますので、順次これを許します。田中総理府総務長官
  16. 田中龍夫

    ○田中国務大臣 ただいま御決議のございました事項につきましては、政府といたしましては、御趣旨に沿いまして十分検討をいたし、努力をいたしたいと存ずる次第でございます。
  17. 門司亮

    門司委員長 中曽根運輸大臣。
  18. 中曽根康弘

    ○中曽根国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、善処する所存でございます。どうもありがとうございました。
  19. 門司亮

    門司委員長 なお議長に対する報告及び関係方面に対する参考送付につきましては、その手続等、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 門司亮

    門司委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  21. 門司亮

    門司委員長 この際、自動車の全規制に関する問題について説明を求めます。鈴木自動車局長。
  22. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 過般来、私ども運輸省のほうから当委員会に対しまして御報告申し上げまして、さらに非常に御熱心な御審議を賜わりました自動車の構造と装置につきましての保安基準についての十四項目の追加改正の点でございますけれども、これにつきましては、実は私ども当委員会の席上におきまして、本月中旬に省令を直しまして公布できる見通しであるというふうに申し上げたのでございます。実は今月中旬ももう過ぎまして、その点につきましてたいへん申しわけないと存じております。諸先生方からいろいろこれにつきましての御勉励を賜わりましたのでございますが、中旬には間に合いませんでした。実はそれにつきまして御報告申し上げまして、なお現状経過につきましての御了承を賜わりたいというふうに存ずる次第でございます。  実は十四項目のうちスクールバスの色の問題でございます。それから部分強化ガラスの問題、それからもう一つは消火器の問題、それからブレーキの高速制動の構造の問題、この四点につきまして実は技術上の基準がなかなか煮詰まらないのでございます。それで四月の末までにと思ったのでございますけれども、なかなか煮詰まりませんでございまして、これを待っていたのではほかの十項目の実施がおくれても困ると存じます。そこでこれを残しまして、まず十項目につきまして至急公布できるようにいま進めております。  なお、実を申しますと、この十項目につきましては、すでに私どもの手を離れまして、省内で法令の審査の機構がございますが、そこで条文化につきまして専門家に見てもらっておりまして、これにつきましては来月の上旬には公布できる予定になっております。そういう状況でございます。  それから残りました四項目につきましては、実はブレーキにつきましては現車試験——実際の車についてやはりもう一ぺん試験してみないとどうも自信が持てないということに相なりましたので、さらに慎重を期するために現車試験をもう一ぺんやってみたいと存じます。それからほかの三項目につきましては、たとえば関係の専門の官庁あるいは専門の機関からいろいろ御意見をいただきました。いただきましたのですけれども、まだ基準として明確に詰めるというところまで実はまいっておりませんので、これにつきましては多少時間がかかると存じます。したがいまして、できるだけこの四項目につきましてさらに作業を進めまして、追っかけてこれを公布したいというふうに存じております。  したがいまして、結論的に申し上げますと、十四項目のうち十項目だけは来月上旬には道路運送車両法に基づきまする保安基準省令ということで条文化できまして公布する予定になっております。あと四項目につきましては、極力そういった点での煮詰めが終わりまして条文化してやるということで、追っかけてやっていきたい、こういう経過でございますので、何とぞ御了承をいただきたいと存ずる次第でございます。
  23. 門司亮

    門司委員長 以上で説明は終わりました。
  24. 門司亮

    門司委員長 次に、去る十五日の韮崎市における修学旅行バス衝突事故に関する問題について質疑の通告がございますので、これを許します。太田一夫君。
  25. 太田一夫

    ○太田委員 私、この間、甲府の韮崎ですか、修学旅行バスに対する大型トラックの衝突事故に関連いたしまして、有限会社三郷運送のことにつきましていささかお尋ねをしてあるわけでありますが、あのときに出ました資料というのはしごく簡単なものでありまして、ほとんど資料らしいものではなかった。きょうの委員会にその資料が何か追加して出されておるかと思ったのですが、それが出ておりません。これはどういうことでございますか。
  26. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 たいへん申しわけないと存じますが、きょう準備しておりませんでした。
  27. 太田一夫

    ○太田委員 先回当委員会にお出しいただきました資料以外にお調べになった資料というものは運輸省にはないのですか。
  28. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 先般お示し申しました資料以外に、その後だいぶ新しい詳細な資料が手に入りました。ただし、私どもといたしましては警察に押収されておる書類等もございますので、その全部ではないのでありますけれども、あの後以来新しくまた詳細な資料は手に入っております。
  29. 太田一夫

    ○太田委員 したがって、ただいま決議をされて運輸大臣も非常にけっこうな決議だと所信をお述べいただいて順守するというお誓いもいただいたのでありますけれども、これに書いてある思想から見ましても、ほんとうに大事な点は運輸省なら運輸省がその所管業務について、また警察庁なら警察庁がそれぞれの所管業務についてもうちょっと徹底したきびしさをお持ちになることだと思うのですよ。  ところがあのときの話は、甲府の韮崎の事故というものは、あの際にあれだけ報告をしてあのような質疑応答をしてそれで終わってしまったということではしり切れトンボだと思うのです。私どもお尋ねしたことに対して、なるべく早く調べて報告してくださいということをお願いしてあるわけですが、何も出ておらない。今国会これで大体あと審議する機会がないということになると、この次、夏過ぎなどに議論してみても、いささか時期がおくれ過ぎまして当面の対策にならぬと思うのですよ。その点どうなんですか。そのことは何か理由があるのですか。
  30. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 本日その資料を用意いたしませんでたいへん申しわけないと存じます。  その後の経過を口頭をもちまして御説明申したいと思いますが、いかがでございましょうか。実は事件の起きました翌日でございますか、名古屋の陸運局におきましてたまたま三郷運送の社長とそれから運行管理の責任者が韮崎から名古屋に帰ってまいりました。そこで二人を局へ呼びまして、実は今回の事故につきましての行政処分につきましての聴聞を開始いたしました。そこですでに形式的には行政処分につきましての聴聞に十六日から入っておるわけでございます。そこで局で調べられるだけの範囲、もちろん警察にも御連絡いたしましていろいろ証拠書類も貸していただきまして、そこで早いうちにこれについての行政処分をするという準備でおりまして、実は本日、つい先ほどでございますけれども、名古屋の担当の陸運局長が本省に参りまして、局での案をいま持つてまいりました。そこでいま本省といたしまして局での意見を聞きまして、どういう処分にしていいかということをこれから午後相談するという予定になっておる段階であります。  そういうことでございます。
  31. 太田一夫

    ○太田委員 私は、処分の結果はまた処分が出た後において御報告いただければけっこうでありまして、それをいま聞こうとは思いません。ただ事故が起きたことは必然ではないかのごとく、偶発によるがごとくにいわれておりますが、何か必然性があるのではなかろうかという気がして当時お尋ねをしたわけです。たとえばその会社は免許当時の事業計画はどういうことであったのか、その後どういう経過をたどって増車されてきたのか、その荷主というのは固定をしていたのか、その経理や資金関係のパックはどうであったかなどということをお尋ねしましたけれども、それは調べておると思いますけれども、いまはお答えできませんがあらためて資料を出しましょうというお話でありました。したがって、私はそういうようなことを早く、中間報告でもよろしいからわかるだけのことを御報告いただいて、今後地方の中小トラック業者、道路運送業者が事業を経営していくのに、われわれは健全経営とか安全運転の勘どころはここだというところをつかみませんと、事故が起きてからそれを追っておるということは奔命に疲れるだけで何ら解決にはならぬと思うのでこの前私はお尋ねしたわけでありますが、資料が全然ない、これは運輸省としてはあまり重く見ていらっしゃらないということになると私は心配でございまして、この決議をせっかく尊重するとおっしゃったが、はたして安全についてそれだけの御配慮があるかどうか疑わしくなってまいります。局長いかがですか。
  32. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 資料をまとめて本日御提出申し上げなかったことはまことに申しわけなく存じます。実は私の手元にあるものでひとつ補足して御報告させていただきたいと思います。実はまず事故発生の運転者と助手の勤務状況につきまして名古屋の陸運局でわかるだけの資料をとりまして、私の手元に報告が参っております。  それによりますと、どうしてああいう運転手が無免許の助手に運転を一時なりともやらしたという点が原因の一つの追及になるかと存じますが、その資料によりますと、その運転手の上野というのが正運転手でございますが、これが、その事件前一週間くらいの状況を見てまいりますと、たとえば五月十四日でございます。その事件の前の日でございますけれども、五月十四日に、この運転手は、三郷という土地から名古屋港までの間を一往復しております。これは八時半から十一時半まで三時間やっております。それから帰ってまいりまして今度引っ越し荷物を車に積み込む仕事を午後一時から二時半までやっております。その晩午後八時から東京に出発いたしました。したがいまして、この辺のところを見ますと、その正式の運転手を一名で、あと無免許の助手を乗せたままで深夜の、しかも長距離を走らせる、そういう仕事を命じたということにつきましては、使用者として、運行管理の面から、運輸規則に違反するのではないかというふうに私どもは推定いたしておる次第でございます。それから、しかもその本人は、前の前の日の五月十二日には実は一日休んでおりまして、安全講習というものを受けておるのでございます。このために休んでおります。そういった講習を受けた直後でございます。にもかかわらず、そういう運行管理者がそういう労働条件を課したということは問題があるのではないか、こういうふうに私は存ずるのでございます。  それからなお、山下という助手でございます。これは事故を起こした当人でございますけれども、これにつきましては、やはり前の日は名古屋港へ二往復の仕事をしております。これは朝八時半から午後四時半までやっております。その晩八時に東京に向かって乗っておるということでございます。これにつきましても運行管理者としての配慮が足りないのではないかという、そういう裏づけになるのではないかというふうに存じております。こういう資料が一つございます。  それから三郷運送の車両の保険加入状況はどうかという資料も実は手に入りました。これによりますと、二十一車両持っておりますが、そのうち十一車両につきまして任意保険に——たとえば保険金は大体一千万円から一千二百万円程度の保険金の任意保険をつけております。したがいまして、二十一車両中十一車両はその保険をつけておる。それ以外の十両につきましては、トン数も小そうございますので、それほどの額の保険はつけておりません。ただ十一両につきましては、保険金額は全部出ております。保険状況はそういう状況でございます。  それからなお、三郷運送会社の状況でございますけれども、これは免許時の資本金が百九十万円でございまして、現在もこのままでございます。  それでその間に、現在二十一車両使っておりますが、免許当時は四両でございました。これは普通車五トンが一両、四トンが二両、小型が一両という非常に小規模な業者でもって免許を申請いたしまして免許を得たということでございます。その後増車をいたしました。これも三十九年に九両、四十年に十二両、四十一年に十七両、四十二年になって結局合計二十一両というふうに、逐年増車の認可を得まして、増車をいたしておる次第でございます。  それから車庫は、免許時は有蓋、無蓋の車庫を合わせまして百八十八・二平米ございましたけれども、現在は、車の増加に応じまして九百六十三平米というふうに非常に広くなっております。  それから社員でございますけれども、社員は三名でございまして、そのうちの一名が運行管理者並びに車両整備管理者を兼ねております。これは社長の実弟がやっております。それから社員以外のいわゆる従業員は四十四名でありまして、このうち事務員が八名、運転者が三十一名、助手が五名、四十四名で現場をやっておるという状況でございます。  なお、会社の収支状況でございますけれども、四十一年度、これは年間決算でございますが、大ざっぱに申しまして営業収入が約五千六百万円であります。それから営業支出が五千百万円でございまして、差し引き年間約四百五十万円の益をあげております。しかしながら、その前の年の四十年度におきましては、収支見まして約八十四万円の赤でございます。それから三十九年度におきましては、約三百八十万円の年間の黒を出しております。したがいまして、こういう小規模でございますが、営業状況につきましては悪くはないというふうに私ども見ております。  それから地元の自動車の協同組合というのがございます。これは瀬戸地区に瀬戸自動車事業協同組合というのがございまして、その中のメンバーとして入っております。この中のメンバーといたしましては、八社ございますが、この三郷運送はその中でもわりに大きなほうでございまして、二十一両持っております。それ以外のメンバーは二十三両というのがございまして、その次に、第二位に位するくらいの大きさの業者でございます。この八社が集まって事業協同組合をつくっております。しかしながら、どうもこの事業協同組合の事業の実態が、共同でいろいろ仕事をしているというふうになっておりますが、あまり事業協同組合としての実質的な活動はしてないように見受けられます。  それからもう一つ、この会社が過去にそういう交通違反があったかどうかという問題につきましての資料でございますが、四十二年中の事故でございますけれども、これも調べて手に入った限りによりますと、合計いたしまして十三件の事故をやっております。これはたとえば衝突、追突、接触それから後退時の衝突、物損、そういった程度でございまして、大きな事故ではないと私ども思っておりますが、そういう事故を過去一年間に十三件やっております。それから私どもがいわゆる大きい事故と思っておりますのは一件ございます。これは四十一年五月にやったのでございますけれども、これは前の車が急停車したためにこっちの車がうしろから前の車にぶつかったというのでございまして、この場合は車間距離が不適切だったというふうに私ども判断しておりまして、その場合に死者が一人出まして、軽傷が三人、物損が九十万円、こういう事故を四十一年五月に起こしております。その事後処理をどうしたかということにつきましては、いま問い合わせしておりますけれども、これは書類が韮崎の警察のほうに押収されているために、どうなったかということが実はわからないのでございます。この点私ども局のほうにあると思いますけれども、いままだ聞いておりませんので、ちょっとこの点ブランクになっておりますが、そういう事故が大きな事故といたしまして過去ございました。したがいまして、四十二年度は十三件の事故があったということは浮かんでおります。  なお、会社の内部におきます運行管理あるいは車両整備でございますけれども、会社内部はどうやっておるかということにつきましての状況も一応わかりましたので簡単に御説明申し上げたいと存じますが、どうも乗務員の勤務時間それから乗務時間の把握というものはこれは記録してないのでございます。したがいまして、これでは不十分ではないかというふうに陸運局は見ております。それから長距離または夜間運転時の交代運転者の配置基準というものが一体あるのかないのかということにつきましては、これは記録してないのです。こういう点についても、やはり会社としてはそういう基準をきちんとつくっておくべきものではないかというふうに思っております。陸運局が調べました範囲におきましてはございません。  それから点呼でございます。これはやはりもちろん運輸規則によるものでございますけれども、点呼は実施しております。しかしながら、点呼を実施したという旨の記録がないのでございます。これは実施したかどうかということは、陸運局が調べに行きまして、そこの社員なり従業員に聞いた結果でありますけれども、点呼は毎日やっておる。しかしながら記録はしてない。ただし始業点検の記録だけはございました。これはやっております。  それから乗務記録でございますけれども、これはやはり運輸規則によるものでございますけれども、乗務時間、それから交代時間、交代の場所、そういったものの記録がきわめて不十分であったというふうに報告されております。  それから乗務員に対しまする指導監督でございますが、この事故を発生いたしました無免許の男は、実は、この二月にも無免許運転で警察に検挙されておるのでございます。こういう事実が発見いたされました。そういう男をまた使っているということも、私は会社の運行管理としてきわめて不適切であったというように判断しております。  それから非常用の信号用具でございますが、これは私どもの運輸規則どおりにつけてございます。  それから車両の点検整備でございますが、これはおおむねいいようでございます。これは去年の暮れに車両点検の整備の監査をこの会社についてやったのでございますけれども、このときにはよかったというふうに局の記録にございます。それで車両整備状況はいいようだというふうに局では判断いたしております。  それから運行管理者の選任でございますが、これはやはり有資格者がちゃんと選任されておる。この点につきましては、規則どおりやっておるというふうに報告されております。  それからなお、運行記録計でございますけれども、これは実は大型トラックにつきまして運行記録計をつける義務が去年の運輸規則改正によりましてできたのでございます。これは新車はもうすでに義務づけてやっておりますけれども、在来車につきましては、ことしの八月一日から義務づけることになっておりますが、この会社につきましては、一部の大きい車両にはすでに運行記録計はつけております。つけておりますけれども、中に紙が入ってないのです。これはまだ義務づけの時期がきておりませんので、準備しているのだと思います。記録計はつけております。  以上のような諸点が、現在私どもの入手いたしました範囲の状況でございまして、たいへん粗雑でございますけれども、なおきょう告知書もきておりますから、よく事情を調べたいと思っております。
  33. 太田一夫

    ○太田委員 鈴木局長、たいへんこまかいデータを諸所に集めていらっしゃるようで非常にけっこうだと思いますけれども、眼づけをつけるところをあやまたずに、陸運行政の中においてそういう道路運送事業者が無事故で健全な事業を遂行できるように、相当な監督と指導をなさることは必要だと思うのです。陸運局はそこまでいきませんと、陸運局なり陸運事務所というものの存在というものは、だんだんいろんな意味において形式化してまいりますると問題が起きますから、十分ひとつ将来の陸運行政発展のために、この事故を契機として、いつも無理なやりくりばかりしているトラック業者というものを健全な事業にして、日本の国の流通機構の中に占める運送業者の位置というものを高めてもらいたい。ほんとうに社会に奉仕する事業にしてほしいと思いますね。  またあらためてこのことについて資料がまとまりましたときには本委員会に御報告いただきたいと思います。  それに関連して、委員長、これは宮崎さん、あなた総理府で、ちょっと伺いますが、きょうはこの決議を行なうについて警察庁が来ておらないのはどういうわけですか。
  34. 門司亮

    門司委員長 それでは委員長からちょっとお話しをいたしますが、実は警察庁来てなかったわけでありませんで先ほど見えておりましたけれども、決議のほうが少しおくれておりますので、ただいまいないようでございます。
  35. 太田一夫

    ○太田委員 それでは、警察庁を代表する意見というのはないわけですが、所信の表明も何もなかったわけですが、そうするとこれは警察庁に関係するやつはだれが責任を負うのですか。この趣旨に沿ってがんばりますと言うのはだれか。だれも言う人がないということになるとどういうことになるのですか。
  36. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 総理府は、御承知のようにただいま交通安全行政につきまして取りまとめをやっておりますので、本日御決議をなさいました御趣旨は私のほうからもあらためて関係省庁に十分連絡いたしまして、その趣旨の実現に努力するよう徹底いたす所存でございます。
  37. 太田一夫

    ○太田委員 それでいいとするならそれでいいですよ。しかしいまの話で、無免許運転の実績のある者にまた無免許運転をさせておる。その無免許運転の厳重な取り締まりということを強力に行政指導することが、この決議の中に入っておるじゃないですか。五項の第二に入っておる。そういう大事な問題があるのに、たとえば国家公安委員長もここに出てきて、そういうことに対する所信の表明がなかったということになると、これは決議倒れに終わるような気がしますが、だいじょうぶでしょうね、宮崎さん。
  38. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 きょう御決議いただきました事項につきまして、検討及びその実現に努力することにつきましては、総理府責任を持っていたします。
  39. 太田一夫

    ○太田委員 田中長官がそのようなことをおっしゃればいいけれども、警察庁も国家公安委員会責任を持つとはおっしゃらなかったわけです。けれどもいま問題になっておることは、たとえば警察庁のほうは、そんなことは道交法に書いてないから、いなずま型交差点の表示はだめだと言う。警視総監のほうは、これはけっこうなことでやるべきだと言って論争が起きておるでしょう。そんなばかな形式論ではなくて、どうしたら無事故というものが確立できるかという観点から、ものごとを近代的に処理していかなければいかぬと思うのです。いまのナンセンスな議論が新聞紙上をにぎわすなんということは、とんでもない話だ。この中に交差点におけるところの無事故ということなどもうたっておりますから、当然その問題については、道交法そのものに誤りがあるなら、あるいは何かに誤りがあるなら、その法体系の上から改善を加えていくということでなくちゃならぬと思うのです。何か警視庁と警察庁とが相争っておるというばかなことは、世の中に聞こえが悪いですよ。せっかく効力があるといういなずま型の表示を、道交法にないから、道路をよごすからいかぬと警察庁は言う。それから道交法の権威を振りかざす警察庁が、やはりそんなものをつくっては困ると言っておったらたいへんだと思うのです。ひとつ総理府、十分その点はがんばってください。  それからもう一つ宮崎さんに注文する。五の(3)のところに「交通反則通告制度の実施に当たっては、警察官の公正な職務執行を確保する等その適正を期すること。」とあります。これもまたきょうは公安委員長出ておりませんから私は心配するんだ。「公正な職務執行を確保する」というようなことを出したが、まさか七月一日というのは、この次の国会までに七月一日という実施のときにきますからね。七月一日のときになって、「公正な職務執行を確保する」というところから、むやみやたらに、めちゃくちゃに罰金を取りまくるつもりじゃないでしょうね。その点はあなたのほうからよく言っていただけますか。
  40. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 本日御決議になりました公正という意味は、まさに先生御指摘のようなことだと思っております。
  41. 太田一夫

    ○太田委員 私は心配するからちょっと申し上げておくのですが、警察庁関係の仕事では現在第一線においてはいろいろな問題が起きておるわけです。表示が見えないとか足らないとか、あるいはいわゆる取り締まりの不適正という問題がいろいろある。だからもっと大所高所から見なければいかぬと思うのです。指導する立場において、あいきょうのある事故などをしかりつけて、しかるべき事故は見のがしておるということはとんでもない話だ。だからあいきょうのある事故は反則金の対象にすべきではない、これはもう確立した概念だと思うのです。だからここにせっかく書いてあることでも、総理府として私は間違いのないように警察庁、公案委員長のほうにひとつお伝えをしていただきたい。いいですね。
  42. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 ただいま御指摘の点は、現在私がお答えする立場にはございませんが、個人的のことで恐縮でございますが、かつて私が警察庁におきまして交通を担当しておりました当時は、取り締まりにつきましては国民の納得のいくような取り締まりをすべきであるという指導をいたしておりました。この方針は現在でも変わってないと思いますが、なお先生の御指摘の点は強く警察庁にお話しをしておきます。
  43. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 実は三郷運送事件に関連いたしました点で、私どものとりました措置につきまして先ほど御報告申し上げました中で落としましたので、一部追加させていただきたいと思います。  実は、これは、貸し切りバスのほうはいわゆるもらい事故でございました。そこで、私ども考えまして、どうも修学旅行にああいう深夜のスケジュールを組むということがもらい事故を起こす大きな原因になるのではないだろうか、それから道路がよければよいほど、ああいう無暴な運転をやるというもらい事故が起こるんではないかということを懸念いたしまして、実は、貸し切りバスの関係の業界と、それから旅行あっせん業者がございますが、この団体の四社をうちへ呼びまして、私から直接、学校からそういう修学旅行のスケジュールのオファーがあった場合は無理なスケジュールを組まないで、深夜、夜間運行をするというようなことのないような、つまりそういうときには一泊するとか、そういったような点について、専門家の立場からひとつコンサルトをするようにしてくださいということで、私のほうからじかに関係の業界にも申し上げました。  それからもう一点は、文部省に対しまして、昨日付で運輸省から文部省の関係の局長あてに文書を出しまして、そういったような趣旨で貸し切り事業者のほうとそれからあっせん業者のほうに文書を出したから、文部省のほうもひとつそういう場合には学校のほうで十分気をつけて、またそういう専門業者とよく十分相談してスケジュールを組むように、そういう旨、協力してくれという趣旨の自動車局長と監督局長の両方の名の文書を文部省に出しました。御報告申し上げる次第でございます。      ————◇—————
  44. 門司亮

    門司委員長 次に、これより請願の審査に入ります。  本日の請願日程、第一から第六までの請願を一括して議題といたします。  まず、請願の審査の方法についておはかりいたします。  各請願内容については、文書表で御承知のことでありますし、また、理事会において御検討願いましたので、この際、紹介議員の説明聴取等は省略し、直ちに採否の決定に入りたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 門司亮

    門司委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  これより採決いたします。  理事会において御協議願いましたとおり、本日の請願日程中、第一ないし第四及び第六の各請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 門司亮

    門司委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 門司亮

    門司委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたしました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  48. 門司亮

    門司委員長 なお、本日までに本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してございますとおり、交通安全基本法の早期制定に関する陳情書の外二陳情書でございます。この際、申し添えておきます。      ————◇—————
  49. 門司亮

    門司委員長 次に、閉会中審査の申し出の件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件につきまして、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 門司亮

    門司委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。  次に、委員派遣承認申請についておはかりいたします。  閉会中審査にあたり、現地調査の必要がありました場合には、委員長において適宜委員派遣承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 門司亮

    門司委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、派遣地、派遣期間、派遣委員の選定等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 門司亮

    門司委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時五分散会