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1968-04-17 第58回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年四月十七日(水曜日)    午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 大久保武雄君 理事 木部 佳昭君    理事 登坂重次郎君 理事 板川 正吾君    理事 兒玉 末男君 理事 河村  勝君       浦野 幸男君    加藤 六月君       田中 榮一君    太田 一夫君       加藤 勘十君    浜田 光人君       古川 喜一君    松本 忠助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中曽根康弘君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     赤澤 正道君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      田中 龍夫君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁保安局長 今竹 義一君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁施設         部長      鐘江 士郎君         運輸省鉄道監督         局長      増川 遼三君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君         海上保安庁次長 井上  弘君  委員外出席者         厚生省医務局総         務課長     上村  一君         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         労働省労働基準         局補償課長   長岡  貢君     ————————————— 四月十七日  委員松祐治辞任につき、その補欠として浜  田光人君議長指名委員に選任された。 同日  委員浜田光人辞任につき、その補欠として只  松祐治君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がございますので、順次これを許します。河村勝君。
  3. 河村勝

    河村委員 きょうは幸い関係の各大臣出席であります。運輸大臣ももうじき見えるでありましょうから、交通安全に対する直接の対策の前に、その基本になる問題を一、二御質問して、あと具体的な問題を二点だけお伺いして、あと質問者もあるようでありますから、なるべく簡潔に済ましたいと思います。  最初に、今日わが国におきましては、交通戦争と言われるように、非常な、特に自動車中心とした交通事故が激発をしておるわけでありまして、それに対して関係各省あるいは当委員会等においても一生懸命対策に取り組みまして、着々対策は講じておりますけれども、その効果はもちろんかなりのものがありますが、やはりその根底に、私はどうしてもわが国社会資本充実というものが非常におくれておるということが根本にあるのではないか。特に道路等について見れば非常に道路が、量も少なければ、自動車保有量に対しまして数も少ければ、質も悪くて、とても自動車交通需要をまかなうことができない。国道ですら、車道あっても歩道はないというようなところが一ばいある。また都市におきましては公園とか緑地とかそういうものが非常に少なくて、道路率からいうと一〇%足らず、世界じゅうの大都市の中でもって極端に少ないという状況がございます。そういうところで人と車がごしゃごしゃに動いている。そういうところに問題がございます。そういう意味で、直接の交通安全対策は別といたしまして、本質的には社会資本充実というものが根本に解決されなければならない、そういうふうに考えるわけでありますが、大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。
  4. 田中龍夫

    田中国務大臣 全く御意見のとおりでございます。
  5. 河村勝

    河村委員 そこで、昨年来、政府佐藤内閣では、経済社会発展計画というものをつくりまして、そこでは、いままでの昭和三十年代の経済成長というものは民間設備投資だけが独走して、それで社会資本のおくれが非常に目立っておる、そのためにいろんなひずみが生まれてきた、そこでそれを解決するために、この発展計画によりますと、四十年代への挑戦という非常に魅力のある表題を掲げて、そこで、今後は社会資本民間設備投資との間に調和のとれた発展を行なう、そういうことが一つの大きなタイトルになっておるわけですね。そこで、現在でもこの経済社会発展計画基本的な政府の姿勢というものは変わっていないのか、今後ともそういう社会資本民間設備投資との間の調和のとれた発展ということを考え政府の施策を進めていくつもりがおありなのかどうか、その点をお伺いしたい。
  6. 田中龍夫

    田中国務大臣 まことに基本的な御質問でございますが、その点は、お説のとおり、既定方針どおりまいるつもりでおります。
  7. 河村勝

    河村委員 それならばお伺いいたしますが、この経済社会発展計画の中で、これは五カ年計画でありますけれども、毎年の民間設備投資伸びというものをどの程度想定をして、その民間設備投資伸びに対応してどの程度社会資本充実、要するに政府公共投資をどのくらいの程度に伸ばしていくというおおよその数字見当御存じですか。
  8. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの御質問の計数その他、私のほうで持ち合わせがございませんので、追って調べましてお答えいたしますか、しからざれば、これは大蔵省経済企画庁と存じますが、担当官を呼びましてお答えいたしたいと思います。
  9. 河村勝

    河村委員 実は私がこれをお聞きしますのは、別段事務当局にお伺いするというのではなしに、政府が、この経済社会発展計画の中で、民間設備投資だけの独走にまかせないで社会資本充実していくんだということを大きな看板にしているからには、これは閣議でも決定されたことであるし、社会開発というのは佐藤内閣の非常に大きな看板ですね。だから事務当局に聞かなくても、国務大臣皆さま方は、少なくとも民間設備投資が大体どのくらい伸びて、それに上回るか下回るか、大体どの辺の見当公共投資を進めていく計画になっているかくらいのことはお知りになってしかるべきだ、そうでなければ、この計画そのものが非常にいいかげんなものだと思うのですが、自治大臣、いかがですか。御存じありませんか。
  10. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 総務長官同様、数字のことはいま持ち合わせをしておりませんが、しかし民間設備投資計画以上に伸びて、そのために日本経済に非常にまずい影響を与えておる。計画いたしましたより、毎年、予想外伸びておるわけでございます。ところが公共投資の面も、やはり社会資本の蓄積がたいへん不足しておりますので……。
  11. 河村勝

    河村委員 大体の見当だけお知りかどうか、それを伺いたい。
  12. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 数字のことは、いま申しましたとおり、手持ちがございませんので、大体の感じを申し上げておるので、大蔵省かあるいは企画庁のほうに御質問をお願いいたします。
  13. 河村勝

    河村委員 運輸大臣御存じありませんか。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ちょっと数字に弱いもんですから、ごかんべん願いたいと思います。
  15. 河村勝

    河村委員 私も決して数字に強くありませんけれども、ですけれども、政府はこの経済社会発展計画の中で、民間設備投資がいままで暴走しておった、それを社会資本のおくれを取り戻していくのだということを最大の看板にしているわけですね。社会開発というのはいまの政府の一番大きな看板ですね。それなら閣議決定になった中身で、大体民間設備投資が一〇%なら社会資本投資が大体一〇%前後、どの辺かというくらいのおおよその見当くらいはお知りにならないというのは、ほんとう社会開発考えていない証拠だと思います。そういう意味で私はお伺いしたわけですが、やはり予想にたがわずあまり御熱心でないことが証明されたようなことで非常に残念です。これで見ますと、平均でいって民間設備投資を大体九・七%に見ておるのです、五カ年平均で。それで公共投資は一〇・七%、だから一%くらい公共投資のほうをよけいやって取り返そうというのが経済社会発展計画中身ですね。だからそのくらいのことは国務大臣であるからには御存じであるべきはずだと私は思うのですね。数字はともかく見当ですね。  そこで私は非常に疑問を持っているのですが、昨年度景気対策と称して三千億の公共投資を本年度に繰り延べをいたしましたね。あのときはきょうここにおられる方はいずれも閣僚でおありでなかったから、それについての責任はおありでないかもしれませんけれども、大体の感じとして、公共投資の三千億の繰り延べというものは非常に大きくて、これは安全対策にも非常に響いて、国鉄財政投融資さえ延ばされているわけですね。運輸大臣、こういう三千億の繰り延べというものについて一体どういうふうにお感じになっているのですか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 全体的な財政の観点からああいう措置をしたと思いますが、国鉄通勤輸送等に関する部面についてはああいう中へ入れないほうが賢明だろう、ものには重点がありますから、特に大事なポイントについては、そういう点含まないほうが賢明だろうと思います。
  17. 河村勝

    河村委員 そこで三千億の繰り延べあるいは景気対策そのものとしてはやむを得ない場合もあるかもしれないですね。ですけれども、去年あたりの状況を見ますと、先ほど私申し上げましたように、民間設備投資よりも、やや上回るくらい公共投資を進めていこうという計画ですね、基本計画が。ところがいかに景気過熱状態とはいえ、民間設備投資のほうが、去年三四%も伸びているのですね。そうしておいて、公共投資のほうは、これは三千億も繰り延べということになりますと、看板に完全に偽りがあるわけですね。一体そういうことをやっていて、社会資本のおくれを取り戻して、ほんとうに安定した基盤をつくることができるとお考えであるかどうか、その点、総務長官、いかがでございますか。
  18. 田中龍夫

    田中国務大臣 国全体の財政政策から申すならば、フィスカルポリシーといたしまして、景気が沈滞しておるときに公共投資充実する、それによって景気の刺激をする。しかし過熱の場合におきましては逆に公共投資を押えていく。こういうふうな財政操作というものは当然行なわれなければならぬ。こういうふうな場合におきまして、公共投資伸びに反比例する民間投資伸びといった形が一時的に現象的に出てくることもやむを得ない、かように考える次第でございます。
  19. 河村勝

    河村委員 そうなりますと、公共投資というのは非常な不況のときしか計画には乗らないで、ちょっと景気過熱してくると民間投資のほうは押えないで公共投資のほうだけ削ってしまうのですね。そうすると、道路でも鉄道でも港湾でも住宅でも、結局は計画には一つも乗らないことがはっきりしておりますね。そういうやり方でいいとお考えになりますか。
  20. 田中龍夫

    田中国務大臣 実はその問題でございますが、本論に帰りますけれども、先般交通安全対策といたしまして、政府といたしましての直接の経費は五百九十七億というふうなあれをいたしましたが、国並びに県、市町村といったような各交通問題についての総経費を累計いたしますと、事業経費といたしまして一兆何千億になる。ところがおまえは景気対策としてそういう公共投資を出すことは、いまの財政政策からいうと矛盾じゃないかというふうな御質問が実は先般ございまして、いやそれはそうだが、しかし交通安全の問題は国として焦眉の急なので、フィスカルポリシーフィスカルポリシーとしての財政政策があるだろうが、この緊迫した交通安全問題に対する公共投資はぜひやらなくちゃならぬのだ、こういうふうに私お答えしたような次第でございます。
  21. 河村勝

    河村委員 私は、直接の交通安全対策についてはかなり努力をされて手当てがされたことは認めます。ただ直接の交通安全対策だけでは済まないので、やはりその基盤になる道路なり公園なり、あるいは港湾でも鉄道でもみなそうですけれども、そういうものの充実がいつまでたっても追っつかなければ、結局いかに対症療法をやりましても、体質改善ができないじゃないか、それではいつまでも解決ができないであろうということを申したのでありますが、時間がありませんから、これ以上この議論はいたしません。ただ、先ほど申したように、社会開発というものが政府の大看板であるのなら、もう少し各大臣におかれましても認識を深めて、各省所管のことだけでなしに大局をごらんになっていただきたいと申し上げたいわけであります。  そこで、もう一つ都市対策のことなんですが、けさの新聞などを見ましても、学童、今度上がったばかりの新入の小学生の自動車事故が非常に目立っております。その大半が、通学の途中ではなくて、うちへ帰ってからの事故なんですね。要するに公園緑地等が少ないから遊ぶ場所がなくて往来に出てくる。往来に出てくると道路は狭くて、人も車もごちゃごちゃになっているから、結局事故を起こすということで、やはりそこに都市政策というものの非常なおくれがその根本にあるわけですね。それで私非常にいま気になっておりますことは、人口大都市集中というものはやまらないわけですね。東京だけで見ましても——東京を含めた一都三県、東京、千葉、神奈川、埼玉、これだけで昭和五十年までに四百万ぐらい人口集中するであろうといわれております。そういう集中をどういうふうに扱われるのか。集中不可避だと考えれば、ふえた人口を一体どういうふうに配分をして都市政策をつくるか、これは大問題だろうと思うのです。この都市政策については所管がどこであるかわからないのですが、総務長官のところじゃないかと思いますが、一体政府としてほんとうに今後の人口集中に対してしかるべき成案をお持ちなのかどうか、ちょっとお伺いしたいと思います。
  22. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 これは何も自民党にだけ名案があるわけではございませんので、ですからこの歩通安全、混雑緩和などにつきましても超党派で研究しようと、いまその入口に立っておるわけでございます。  先ほど公共投資民間設備投資お話がございましたけれども、民間の場合はやはり景気過熱の大きな原因にもなっておりますが、これは金融引き締めなど間接的な方法で押えようとしておるけれども、公共投資のほうは言うまでもなく国の財貨サービスの購入が一番中心になっておるわけであります。これは多分に景気調節の作用を持たしておるわけであります。ですから、いまの三千億の繰り延べなども、国全体の経費並びに財政状態からこういう発想が生まれたものであることは言うまでもないところでございます。  そこで、ただいまのお尋ねのことですが。何ぶん社会開発社会資本充実と申しましても、日本で一番おくれておるのは道路整備なのです。道路整備は、先般の第五次の道路整備五カ年計画で六兆六千億円という計画は立てましたけれども、これはまだまだ前途遼遠のことでございますが、それより自動車の台数がふえるほうがどんどん早いわけでございまして、なかなか道路整備自動車の増加というものがちょうどうまく合っていかないものだから、いろいろなやっかいなことが起こっておる。そこで、大都市人口分散のことにつきましては、これは関係各省それぞれ苦慮いたしまして、やはり地域的にまた都会地点の面でも人口の過疎ができることは非常におもしろくない現象を起こしてまいりますから、大都市過密化防止のためには、中心産業分散であるとかいろいろな計画を立てまして、全国に御案内のとおりに新産都市あるいは工特地区あるいは低開発地域工業開発促進法による地域などをつくりまして、分散をはかっておる途中でございまして、工業出荷額などは大体想定どおりにいっておりますけれども、まだこれも年次的には満足するところまでいっておらぬ段階でございます。しかし過密化防止のためには、私は自治省を担当しておりますけれども、交付税でもここに人口急増補正をとるとか、また起債の面でもここに重点配分をするとかいろいろなことを考えてやっておりますけれども、全体から見ればやはりこそくだと思います。ですから、抜本的な計画を立てるべくいま政府でも根本的な対策を立てようとしておるところでございまして、まだ、こういう方向で、しかも年次的にこうなるという計画はございませんけれども、企画庁中心になって立案することになると思っております。
  23. 河村勝

    河村委員 私は別段過密化防止をぜひやっていただきたいと申し上げたのじゃなしに、人口集中というのはある程度経済の論理みたいなもので不可避でございますから、それをどうおさばきになるかという計画がおありかということを伺ったのであります。  そこで、運輸大臣にお伺いしたいのですが、東京中心にして一番人口集中が多いのですが、これはやはりその主体になるのは通勤手段がもとになりませんと、ほんとうに合理的な人口の分布ができないわけです。今度いよいよ都市計画法あるいは都市開発法というようなものがおそらく今国会通るでしょう。そうすると、ある程度計画的な住宅計画などもできるわけですね。やれる可能性が生まれるわけです。その点で通勤輸送計画ですね、そういうものの根幹をおつくりになって、それでその輸送力に見合って、この地帯には、このくらいの人口があって差しつかえない、あるいはあるべきだ、あるいはこっちのほうは入れては困るのだというような計画輸送手段の側から当然あって、それを今後の人口配分中心にすべきものだというふうに考えますが、運輸大臣いかがお考えですか。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私もかねがねそういう気持ちを持っておりまして、御趣旨には同感であります。建設省のほうとも連絡をとりましてそういうふうにしていきたいと思っています。
  25. 河村勝

    河村委員 それで、最近コンピューター政策の中に導入しようという計画がおありのようでありますけれども、これはアメリカなどではマクナマラもベトナムでは計算ができなかったようでありますけれども、一般的にはかなり成功しているようであります。日本の場合はなかなか政策そのものの中に入れるのはむずかしいでしょうけれども、都市計画の中にコンピューターを導入するのは、私はきき目が一番あるんじゃないかと思うのです。といいますのは、いまニュータウンをつくるとかあるいは既成市街地の再開発をするとか、あるいは衛星都市開発するとか、いろいろあるかと思うのでございます。そういうものは一長一短でありまして、ニュータウンをつくって通勤新幹線をやるということになりますれば、土地は安く買えて、そこに理想的な町ができるかもしれないけれども、都市づくりの金は別にかかるし、通勤新幹線というような非常に大きな金がかかります。都市開発ということになれば、今度は非常に工事そのものがやっかいで、金もかかるかもしれないけれども、通勤のための設備なんかも要らないし、上下水道なんかもそのまま使えるというぐあいに、非常に相反するような要素がいっぱいありますね。そういうものを、ほかのものと違いまして、いろいろな記憶装置の中にそういうデータをぶち込んでいけば、国民経済的にどういうふうに組み合わせたら一番得なのかという計算がわりと簡単に出てくるはずだと思うのです。各省ばらばらでやっておりますとその組み合わせがさっぱりできない。電子計算機を用いれば一番簡単にできると思うのです。その点、今度コンピューターを入れるというお話であるけれども、第一番に都市計画に実際に当てはめてみたらどうかというふうに考えておりますが、運輸大臣いかがですか。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は全く同感であります。
  27. 河村勝

    河村委員 同感だけじゃ困るのです。同感というのは、ただ、ジョンソンが佐藤さんに、あなたの言うことは理解できたというのと同じなんで、やるということじゃありませんですね。おやりになる積極的なる意思ありやということを伺っておるのです。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 積極的な意思はあります。しかしこれは都市計画と一体でやるべきものでありますので、電子計算機建設省に置くかどこに置くかは、私は建設省に置いたらいいと思っておるのです。それで各省のプログラマーを集めていろいろなデータをほうり込んで、そうしてこの地点にどういうものをつくればいい、それには交通体系をこうするとか、そういう計画をつくるのが最も先行すべき問題だ、そう思っております。
  29. 河村勝

    河村委員 建設省コンピューターを置くというようなお考えを持っているからいけないのであって、機械はどこに置いたっていいのです。国会に置いたっていい。記憶装置の中に入れておくデータだけの問題で、機械は中正でありますから。これはむしろ総理府にでも置いたらいい。一番いろいろなものに使えるから便利だろうと思うのです。コンピューターを使うという話は運輸大臣だけでもできないのです。これは総務長官自治大臣、それぞれ御案件あるので、三大臣そろってぜひ、来年から都市計画コンピューターではじき出して、国民経済的に一番いい答えが出たらそれでやろうというかまえが三人でおありになったら必ずできると思うのですが、総務長官自治大臣、いかがですか。
  30. 田中龍夫

    田中国務大臣 行政の科学的管理法といたしましても、そういうふうな進歩的な機構をぜひ用いたいものだと考えております。
  31. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 科学技術に弱くて、コンピューターデータを食わせればすぐけっこうな結論が出るなんということはわかりませんけれども、そういうけっこうなものだったら大いに活用すべきだと思います。
  32. 河村勝

    河村委員 これは、データをそろえればいい結論答えが出るのはきまっているんです、各省データを出さなければ別ですが。ですから、せっかくコンピューターをお入れになるのですから、高等政策を一気にこんなものでやろうとしたって、いまの日本段階ではとてもできるはずはありませんが、ほんとう都市政策というものは一番やりよいもので、しかもそれが現在焦眉の急の問題でありますから、ぜひとも各大臣にひとつ御検討いただきまして、そういう方向に持っていっていただきたい、それをお願いを申し上げておきます。  あと、時間がありませんから、具体的な問題を二つお伺いをいたします。  運輸大臣にお伺いしますが、昨年の八月、自賠法の強制保険を百五十万円から三百万円に上げましたね。そこで現在、これは事務当局でけっこうですが、三百万円という強制保険の額によってカバーできる事例——これは一般の示談のものはわからないでしょうけれども、裁判所和解、それから判決、そういうものの例の中で、三百万円でカバーできる率というのはどれくらいございますか。
  33. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 私どもの調べましたところによりますと、これは四十二年の四月から十一月までの八カ月でございますけれども、高等、地方それから簡易、三つの裁判所判決、調停及び和解によりまして決定されました損害の額を調べました。その結果によりますと、三百万円まででカバーできております実績は七一・四%というふうになっております。これはいま申しましたように、四月から十一月までの八カ月でございます。そういう数字が出ております。
  34. 河村勝

    河村委員 運輸大臣、いまのように、昨年の夏上げてからで、もうこういう七〇%ぐらいのカバー率になっているわけですね。実際、保険の掛金の負担額というものは、それほど大きくはありません。そういう意味で、現在飛行機がもうすでに約款において六百万ですね。ですから飛行機並みに、もうしていい時期じゃないかと思うのです。そういう意味で、昨年の八月にやったことではあるけれども、この辺で六百万まで上げる意思はおありでないかどうか。
  35. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 六百万はともかくとして、ともかく現状ではもうカバーし切れないという気がいたしまして、いま検討を命じております。私はもう少し引き上げる必要ありと感じております。
  36. 河村勝

    河村委員 いまの状態からいいますと、六百万でも決して私は上げ過ぎということはない。現に航空機がそうなっておるわけですから、ぜひそうお願いしたいと思うのです。それと別にひとつお伺いしたいのですが、そっちのほうを上げていただいて、そういうものでカバーするのが一番理想的なのですが、それでもカバーし切れないものがございます。最近でも賠償金額はきまったけれども、とれないで自殺したとか、あるいは払い切れないで自殺したとか、そういう例がいろいろあるわけです。そういう気の毒なものを賠償以外の方法で救済する方法がないかということなんです。そこで現在自賠法の賠償保険の中の保障勘定の運用益の中からいろいろな補助をやっておられますが、その金額は一体どのくらいになりますか。
  37. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 保障勘定のうちの運用利益でございますね。それにつきまして、四十二年度におきましては一億五千二百万円ばかりをたとえば法律扶助の関係の相談所とか、あるいはまた新しくつくりましたのでございますけれども、運転者の適性検査、そういったものを業界が金を出し合いまして協会をつくりまして、それに補助するというふうなこと、それからあと救急医療センターに機械等を買うということで、四十二年度は一億五千万円、それから四十三年度の予算におきましては二億四千万円を予定いたしております。
  38. 河村勝

    河村委員 そのほかに、政府の行なっている保障事業のファンドですね、これの益金は現在どのくらいございますか。
  39. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 政府がやっております保障勘定の益金でございますけれども、これは例のひき逃げの場合とか無保険の場合にやっておりますものでございます。その益金につきましては、四十二年度ばまだ締めておりませんけれども、おおよその予定は、四十二年度は約六億六千万円程度であります。それから、それまでずっと累計の益金があります。これは四十二年度まだ締めておりませんけれども、約四十二億くらいを予定しております。
  40. 河村勝

    河村委員 かなりのファンドがあるわけですね。余裕と言ったらおかしいかもしれないけれども、使い得る金が……。  自治大臣、数は御承知ないでしょうけれども、いま地方でやむにやまれず、こういう保険だけにたよれないもので、市町村が交通災害共済をやっておりますね。実情はあるいは御存じないかもしれないけれども、数でいうとずいぶん多いですね。私の知っている範囲で、実施または実施予定でもう三百十六市ございますね。これはそれぞれ掛け金もかけ、あるいは自治団体が金も出してやっておるわけですね。こういうものもございます。それから、場合によったら、私はメーカーその他から多少のファンドを募るということも可能だろうと思うのですね。そういう意味で、こういう元に国の金がなければぐあいが悪いでしょうから、政府の自賠法の関係のファンドを基礎にして、そういった市町村でやっているものを組み合わせるなり、あるいはその他の基金を募って、まあ例はおかしいけれども、育英資金みたいな長期の貸し付けでもよろしいから、法律で解決できない非常に気の毒な現象——この数量というのはそう多くはないけれども、実際には非常に悲惨に見えるわけですね。それが何か政府のやり方が足らない、非常に足らないように印象づけることが多いわけです。そういうものを使って一つの救済事業をおやりになったらどうかというふうに考えるのですが、まず運輸大臣、いかがですか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は運輸委員会でも質問がありまして、非常に大事なことであるから検討します、そういう返事をしておりまして、検討していきたいと思います。
  42. 河村勝

    河村委員 自治大臣、こういう市町村の交通災害共済は非常にばらばらにやっているんですね。まあ、ああいうものはほっておいて自然にやらしておけばいい、そういうふうにお考えでしょうかどうか、その点だけちょっと……。
  43. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 そういう市町村の数はいま御指摘のとおりのようでございます。総務長官のところでお調べになっておるようですけれども、実態はなお検討した上でこれに対する措置について考えなければならぬと思います。
  44. 河村勝

    河村委員 時間もありませんので、最後に一つだけ救急病院のことを聞きたいんですが、きょう厚生省は大臣はおいでにならないし、課長がどなたか見えたんですか。
  45. 門司亮

    門司委員長 上村総務課長が……。
  46. 河村勝

    河村委員 総務長官、交通安全の元締めですから、この救急病院の実態を少し聞きますので、お聞きをいただきまして、あとで十分御判断をいただきたいと思います。  そこで厚生省、いま救急病院は全国で幾らあって、それでその登録公示ですか、それまでの手続は一体どういうふうに行なっているのか、ちょっと……。
  47. 上村一

    ○上村説明員 昨年暮れの数字でございますが、全国で救急病院、診療所として告示されておりますものが三千六百五十三カ所ございます。そのうち病院が二千二百十四カ所、公立と私立に分けますと、公立は病院が多うございますが、六百四十一カ所。ややふえんして申し上げますと、大体私立の病院では全国の病院の二九%が告示病院になっております。それから国公立の病院では約三一%が救急病院になっております。  それで救急病院なり診療所の告示を受けるまでの手続でございますが、これは消防法に基づく厚生省令で、救急病院診療所を定める基準というのが設けられておりまして、一定の基準——ごく簡単に申し上げますと、不断に医師なりその他の医療関係者が診療に従事し得るような体制にあることとか、あるいは救急隊によって搬送されました患者のために優先的に使用できるベッドが確保されておるとか、そういった基準に該当すると考えられる病院、診療所の中で、救急業務に協力をする旨の申し出を都道府県知事にいたしまして、その申し出のあったものについて都道府県知事が告示をする、こういう仕組みになっております。
  48. 河村勝

    河村委員 この質問を申し上げるのは、実は先週当委員会で谷田部の自動車の試験場に視察に参りました。人形、ダミーを使って自動車がそれをはね飛ばしてどういうような結果を生ずるかという実験なんですけれども、それを見ますとやはり非常にはっきりしていることは、はねられた場合に、重心が腰の辺にあるものですから、どうしても足のほうが先にはねられて、重心を中心に逆転するわけですね。だから必ずおっこって頭を打つというのが大部分ですから、そういう意味で救急病院の、主として脳外科関係の手当てのいかんというものが死者をつくるかつくらないかの決定的な要素になるという印象が非常に強いわけですね。それでお伺いしているわけですけれども、一体この三千六百五十三ですか、この中で脳神経外科の配備があるのは一体どのくらいですか。
  49. 上村一

    ○上村説明員 救急病院として告示されましたものについて脳神経外科があるのはどの程度かという、数字はつまびらかにしておりませんが、いま脳神経外科医が日本で非常に少ない、そういうこともございまして、こういった救急病院の中で地域中心になるような公的な病院に救急医療センターというのを整備して、そこで頭部外傷等の重い交通外傷患者等を扱わせるようにしよう、そうしてそこに脳神経外科の専門家が置けるようにしようということで、四十二年度から整備に入っておるところでございます。  それで、この救急病院そのものと直接関係はございませんけれども、脳神経外科を標榜する病院は現在まだ全国で二百六十五カ所しかございません。
  50. 河村勝

    河村委員 先ほどの手続を伺ってみると、ただ届け出をさせて、それで規格に合っておれば登録をするというだけであって、何もそれに対して助成や何かはやっていないわけですね。いかがですか。
  51. 上村一

    ○上村説明員 厚生省といたしましては、現在こういった救急病院として告示されたものにつきましては助成いたしておりません。
  52. 河村勝

    河村委員 それじゃ事故が起こった直後、脳をやられますと非常な手当てなんですね。私も直接経験のあるものでございますけれども、注射や何かものすごく打って、それによって生きるか死ぬかきまるものですから、健康保険なんかではとてもカバーできないような非常な診療費を要する場合があります。また払えない、非常に高くなるものですから、五十万とか六十万とか……。だから貸し倒れみたいな状況が生ずる場合が多いですね。こういうのはやはり国としては、ただ向こうが申し出て、申し出によって登録したのだからめんどうを見る義務はない、そういうことで全然野放しにしておく、こういうことなんですか。
  53. 上村一

    ○上村説明員 いまお話しになりました、大きい頭部外傷につきましても社会保険を適用するように指導いたしておるわけでございます。現に救急患者の中で約四割以上のものが社会保険によって医療を受けておるような状況でございます。それでいま取りはぐれのお話が出ましたが、どういう対策を立てたらいいか、私どもいろいろ検討中でございますが、問題点として意識しておりますけれども、まだ結論は出ておりません。
  54. 河村勝

    河村委員 総務長官、実はこういう状況なんです。いま社会保険で大半カバーできていると言うのかと思ったら、四割五分ですか。そうすると過半数は保険ではやれてないわけです。届け出だから、自分の自由で救急病院になったからいいんだということらしいんですけれども、先ほど厚生省から説明があったように、医師の常時待機だとか、あるいはあいたベッドを常につくっておけとか、いろんな義務はあるのですね。やる仕事はさっぱり引き合わない。こういうことでほんとうの救急の能力を発揮しろといっても私は無理だと思うのです。私はこういう対策の中での非常な穴だと思うのですが、総務長官、交通安全の立場から、ひとつ所見を伺いたいと思います。
  55. 田中龍夫

    田中国務大臣 先生が御視察になりましたとおっしゃるダミーですか、ちょうど私も六時からのテレビを二日間にわたって見ておりまして、実に気持ちの悪いような記録映画でございましたけれども、なるほどと考えました。また今度私は病気いたしまして、ちょうど菊池病院という救急病院に入っておりました。そうしますと、夜夜中でも、何回となく救急車が参ります。それに対しまして、お医者は不眠不休でそれに対する手当てをする。これは実にたいへんなことだという感じがいたしたのでございますが、ただいまも厚生省からのお話を聞きまして、これは一日もすみやかに何とか処置しなければならない最も重大な問題である、私は身をもって体験いたしましただけに痛感いたしたわけでございます。なお政府といたしましても、本件につきましてはできる限りすみやかに善処いたしたい、かように考えます。
  56. 河村勝

    河村委員 質問を終わります。
  57. 門司亮

    門司委員長 兒玉末男君。
  58. 兒玉末男

    ○兒玉委員 警察庁関係のことでまずお聞きしたいのでございます。これはこの前のこの委員会でも若干御質問ございましたが、特に公安委員長の所信に対しましてまだ一ぺんも質問しておりませんので、含めて御質問したいと思います。  本日の新聞によりましても、とにかく警察庁が新学期に対する、通学生の安全を守るための交通作戦を展開されたわけでございますけれども、ところが結果的には最高の犠牲者を出しているということが発表になっております。特にこの点は総務長官も所信表明の中におきまして、本年度の最大目標は、歩行者保護に重点を置いた交通安全施設の整備、さらに交通安全思想の普及徹底、こういうようなことを強調されておるわけでありますが、本年一月から三月における死者並びに負傷者の統計数にいたしましても、最大の数字を示しております。このことは、ただ取り締まりを強化するということだけでは問題の解決ができないことは、今回の新学期の交通作戦の結果でも明らかに示しておるわけでございますが、これに対処しまして、特に公安委員長は最高の責任者として、また総務長官は総体的な交通安全施策の責任者として、これからどういうふうな解決策をとっていかれようとするのか、御所見を承りたいと思います。
  59. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 交通の安全施設の整備につきましては、おととしから政府のほうでも特別な措置を計画いたしまして、三年計画でやっておりますし、また新しく交通反則金制度などに財源を求めまして、また、いままでだって交付税の面でも六百億円からの国費をかけておるわけでございますが、まだはかばかしく進んでおらぬのをたいへん残念といたします。しかしながら、子供の事故はいかにもかわいそうでもありますので、通学路につきましては特に意を用いておるわけですけれども、ああいう高価な設備が一朝一夕に至るところにできるというわけにはまいりませんので、まだ不十分なことは認めざるを得ません。しかしながら、やはり一年に入学した子供にこういう事故が起こるということは、学校側にも父兄側にも、またああして引率して付き添って行列をして学校へ行かせることがいいか悪いかという根本的な指導のしかたにも大きな欠点もあるんじゃないか。こういうことはやはり交通安全教育などを通じて、いま施設が完全に整備されるまでの間においても十分検討して、こういうかわいそうなことがないようなことを考えていかなければならぬと考えております。
  60. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいまの御指摘でございますが、問題は非常に重大な問題でございまして、これらの交通安全対策につきましては、いろいろ道路等整備、あるいはまた踏切その他の整備とか何かと並びまして、やはり学校教育、家庭教育といったようないわゆる交通安全に対しまする教育の普及徹底、ことに本日の新聞等でもごらんのとおりに、通学時よりもむしろ帰りましてからあとの被害が大きいというようなことから考えましても、特にそういう点に意を用いまして、対策を講じなければならぬ、かように考えます。
  61. 兒玉末男

    ○兒玉委員 再度私は公安委員長にお聞きしたいのでございますが、いまの御答弁を聞いておりますと、その大半がやはり父兄なり子供にある。しかし私は現在のこの都市計画等を通じましても、子供たちの遊ぶ場所あるいは道路という道路が、自動車の生産がほとんど一方的に増強されて、しかも通路等における設備についても、まず歩行者の安全が確保されるような積極的な交通規制なり、あるいはそのような設備が私は非常におくれているんじゃないかと思うのです。警察庁の統計によりましても、いままでの大都市周辺から、だんだん地方にまで事故の傾向がふえておるということも指摘されておるわけでございますが、これは単に父兄なり子供の注意力だけで防げるものではないと私は思うのです。その辺はやはり実際に運転をする者あるいはこのような輸送業務をやっている経営者の指導態勢、こういうものが私は非常に必要ではないかと思うのですが、その辺どういうようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
  62. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 ただいま御指摘の点は当然のことであると考えて、現に非常に強力に実施しつつありますけれども、私が申し上げたのは交通安全施設がまず先行するということ、それにはやはり交通事故の多発地点というものはわかっておりますから、こういうところに集中的と申しますか、重点をかけるということ、また緑のおばさんといいますか、ああいう街頭でいろいろ子供その他通行人のお世話をしていただいておる方がありますが、こういう人たちもできるだけ増強してやらなければならぬということ、これは当然のことであろうと思うのです。しかし、運転者側について酔っぱらい運転等を中心とするこういうものを徹底取り締まる、また雇用者のほうにも重大な責任を負わせる、こういうことはもちろん重大なことでございまして、当然並行してやらなければならぬということを前提にし、なおかつ、やはりいま総務長官が言われたとおりに、家庭その他その地域を通じてそれぞれ住民に交通安全の教育というか、そういうことを徹底する必要もある、かように考えておるわけでございます。
  63. 兒玉末男

    ○兒玉委員 この点私は非常にむずかしい問題だろうと思うのですけれども、やはり私は、自動車運転者に対する免許制度ということについても、この際やはり内容の改善ということについて検討する段階にきておるのじゃないか。特に会社が非常にノルマを強化する、強制する、あるいは営利本位で運転者の指導教育ということがないがしろにされておるのじゃないか。またそういう点から、そういうことを含めたいわゆる免許基準の引き上げなど、やはりこの際積極的な取り組みをする必要があるのじゃなかろうかと思うのでありますけれども、この運転免許制度の、申し上げましたような改善についてどういうふうなお考えをお持ちか、お伺いしたいと思います。
  64. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 その点は始終公安委員会で検討いたしておりますが、この間も一つ大失敗をやった。そのことは、精神異常者に運転免許証を与えることは最も危険だけれども、精神異常ということを証明してもらう制度をつくりましたところ、これがすぐデッドロックに乗ってしまって、朝令暮改と申しますか、わずか一年にして取り消さざるを得なかったこともありました。しかし大型免許の資格などは、やはり事故の悲惨なものを起こしますのは大型が多いようでありまするから、これを強化すると申しますか、二十歳以上と、さらに運転経験二年以上に改め、また軽自動車のほうも、いままで現在十六歳で免許が受けられておりましたものを、ことしの九月一日から十八歳でなければ受けられない、こういうふうにいろいろ強化することは考えてやりつつあるところであります。
  65. 兒玉末男

    ○兒玉委員 関連しまして運輸大臣にお伺いしたいのですけれども、大臣の所信表明では約七項目にわたってその主張が述べられておりますけれども、特に先般の南海事故の場合も運輸省等に聞きましたが、この際特に大臣にお伺いしたいことは、自動車の運転の場合においてもあるいは軌道の場合におきましても、そこに働いている労働者の労働条件、こういうものは事故発生の大きな要因をなしておるのじゃないか。同時にまた、そこの会社なり企業がいわゆる営利第一主義の経営政策をとって、ほんとうに国民の貴重な生命、財産を輸送する、安全輸送に対するところの観念というものが欠如しておるのじゃないか、こういう感を深くするわけでございますけれども、このような、いわゆる輸送関係の業務に携わる運輸関係の経営対策あるいはこれに対する、経営企業者に対するところの行政指導の強化、こういうことが私は非常に重大ではなかろうかと思うのですが、まず第一点、この点について大臣の御所見を承りたいと思います。
  66. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 御指摘のとおりであると思います。そこで運輸省では民営鉄道あるいはバス会社等に監査をいたしまして、特に運転要員の不足が著しくないか、あるいは超勤がはなはだしく偏しておったり、また超勤の度合いが多いということはないかとか、そういう諸般の点についていまチェックをしておりまして、是正させております。
  67. 兒玉末男

    ○兒玉委員 先般の委員会で資料提出をいただきまして、本朝労働省の基準局からいただいた資料によりますと、特にこれは大手私鉄における三十六条協定の内容をいただいたわけでありますが、たとえば先般事故を起こしました南海の場合は一日の延長時間が実に十五時間であります。私は国鉄の出身でありますけれども、大体実ハンドルの時間というのは、せいぜい四時間半が、現在のスピードアップされた中では限界じゃないかと思うのです。ところが南海の場合に十五時間、そのほか、阪急、近鉄、阪神、京阪、名鉄、西鉄と、いずれもこれは実ハンドル時間のいわゆる二・五倍以上の延長労働がなされておる。もちろんこれは労使間の問題でございますし、あるいは場合によっては、会社側が要員不足などいろいろな条件からそういう無理押しをしている点もこの表でわかるわけでありますが、少なくとも私は、実ハンドル時間の倍以上の延長時間が協定されるところは、この際やはり改定するような強力な行政指導というものがなされてしかるべきじゃないか、こういうふうに考えるわけでございます。この非常にオーバーな労働時間、時間外勤務は、どんなに施設を整備しましても運転をするものは人間であります。この基本的な点の解明というものを私はやはりこの際積極的に行なうべきじゃないかと思うのですが、これに対する運輸大臣の御所見を承りたいと思います。
  68. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 全く同感であります。南海のような場合には、月一人七十時間をこす場合はもう危険である、そういうことで七十時間というものを一つのメルクマールにいたしましてチェックするようにしております。そういう考え方はほかの民鉄各社にも及ぼして監査をやらしておる次第でございます。
  69. 兒玉末男

    ○兒玉委員 これは大手私鉄における場合がこういう状態でございまして、他のあまり労働組合が強くない、また労働組合にほとんど大多数が参加をしていないという中小の交通業者等の場合は、またこれ以上に非常に深刻な状態にあるのじゃないか。この辺のことが私はまだいまの大臣の答弁では心もとない感じをいたすわけでございます。大手私鉄すらこういう状況でございますが、これ以外の中小企業等の交通営業者に対してはどういうような御指導をされようとしておるのか、この点重ねてお伺いをしたいと思います。
  70. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は全面的に私鉄及びバス営業者に対しまして陸運局から監査いたしておりまして、その超勤の点、それから過度の労働にわたらないようにする点につきましては特に重点的にチェックさしております。
  71. 兒玉末男

    ○兒玉委員 次に、これは公安委員長総務長官運輸大臣にお伺いしたいのでございますが、この際やはり交通関係諸法令の再検討を行なう段階に来ておるのじゃないか、特に経営者に対するところの安全対策ということを義務づけるような行政指導を強化すべきだと思います。同時にまた、わが党が昨年の本委員会でも出しました陸海空を含めた総合的な、いわゆる交通安全基本法を含めてこの制定を、この際私は促進していくべきじゃないかと思うのですが、この二点についてそれぞれひとつ御所見を承りたいと思います。
  72. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 交通安全基本法は超党派でやろうという計画でありましたものが、最近自民党のほうで、責任政党ですから、大体政府自民党のほうでまとまりましたものが近く提案になることを承知しております。  ただいま御指摘になっておりますが、道交法の上でも雇用者には運転者に安全運転をする責任を負わしておるわけでございまして、ただいま運輸大臣から私鉄その他についての詳しい御説明がありましたが、大体自動車を五台以上持っておる事業所には安全運転管理者を置くことになっておりまして、雇い主による運転者の教育は、この安全運転管理者や、事業用自動車については運行管理者が置いてありますが、これを組織的、計画的に実施することでかなり効果をあげつつあると思っております。しかし不十分であるとも考えられる面もありますので、こういったものもあわせて再検討の時期にきておることは御指摘のとおりであると考えます。
  73. 田中龍夫

    田中国務大臣 雇用者の責任問題につきましては、今回の基本法等におきましても、それを強化いたすように相なっておりますけれども、まだまだ不十分であろうと類推いたします。それからこの基本法にあたりまして、社会党の皆さま方におかれましては、海空も含めた陸海空の基本法でなければならぬ、こういうふうな御主張でございますが、いまの段階におきまして、そこまで基本法といたしまして入れるということの以前に、まだまだやらなければならない陸上交通の当面の問題が非常にたくさんあるものでございますから、その点は遺憾ながら御主張に沿い得ておらないことを申し上げておきます。
  74. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 私は、御指摘のように交通安全基本法をつくり、ここに陸海空を入れることには賛成でございます。陸は非常に焦眉の急を要する問題がありますが、空も飛行場の整備とか信号とか、あるいはILSとかいろいろな問題が幾つもあるわけです。海につきましても、大型タンカーの出現その他にかんがみまして、海上安全というものもございます。したがって、社会党が御提出になりましたような基本法の考え方には、基本的には私は賛成であります。ただ、焦眉の急である陸上交通というものをとりあえずどうするかという問題もあるかと思いますので、それについては、それに即応したお考えで国会でおきめくだされば、それでけっこうでもあると思っております。
  75. 兒玉末男

    ○兒玉委員 続きまして、運輸大臣にお伺いしたいのでございますけれども、交通事故というものと取り締まりをする部門あるいは道路の通りをよくするための問題、あるいは無制限に近いほど自動車の生産が増強され、非常に自動車がはんらんをする、この相関関係考えてまいりますと、やはり自動車の生産というものが、その許容量である道路整備よりもはるかに先行している、ここにやはり一つの大きな問題点があろうかと私は思うのです。東京都内の場合におきましても、いわゆる夜間の駐車制限が解除されたあとに、方々から車を持ってきて、それが必要以上道路を狭隘にしておる、こういう総合的な点についてやはり対処していかなければ、いかに道路を広くしましても、自動車の生産が無制限に増強されるならば、これはいわゆるイタチごっこであって、この道路運送における安全性の確保はなかなか困難だ、こういう関係についてどういうふうな指導をされていかれようとするのか。これは所管がどこにあるのか私よくわかりませんが、総合的な運輸行政という立場から考えるならば、当然運輸大臣の御所管ではないかと思うのですが、この辺の見解についてお伺いしたいと思います。
  76. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 警察のほうは取り締まるほうでございます。しかし、いままで交通事故が多過ぎるものですから、安全の点だけが強調されておって、混雑緩和対策というものについてあまり意が用いられていなかったきらいがあるわけでございます。  この間、東京都政の診断のために、例のイギリスからロブソン博士が参りまして報告しましたものを読んでみましても、やはりこの点が指摘されておるわけでございます。しかし、この混雑緩和というものは、もう大都市では世界中どこもそれぞれ悩んでおって、こそこそ抜本的な、人が聞いたらびっくりするような策を講じなければ、なかなか解決は困難だと思いますし、私はいまその時期にきておると思うのです。たとえばロブソンさんあたりも言っているように、一定の地域内にある車種の乗り入れ禁止をやる、こういうことになれば、やはり車の使用も消極的な制限を受けることになります。また、一定の地域に入る車には混雑税を課するとかあるいは郊外にそれぞれ大きなパーキングエリアをつくって、都内への乗り入れを防いでいく。そこまでいけば駐車場も東京周辺にべらぼうに大きなものをつくる必要があります。しかし、そういうことをいつまでもきめないでおいては、ますます混雑が激化して、もう自動車が自転車みたいなことになってしまって、動くはずのものが動く余地がなくなるということは目に見えていると思います。そういうことのために、今度は交通混雑緩和対策というものを中心に入れて関係各省が寄って十分検討しなければならぬと考えておりますし、その段階にきていると私は考えております。
  77. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  自動車の需要につきましては、御承知のように非常に急速に伸びている事情にあるわけでございます。これにつきまして、需要面をどういうふうに抑制するかという問題もあるわけでございますが、生産面でこれを押えるということは、実は輸入を自由化しているというような事情もございまして、国内生産だけ押えるといっても、輸入面からは自由に入るというような情勢がございまして、いま赤澤大臣から申されたように、交通緩和のための総合的な環境整備がやはり基本的な問題ではなかろうかというように考えるわけでございます。
  78. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現在、昭和四十二年にたしか三百四十万台くらい四つ足の車が生産されているようです。この数量で激増していくと、これは赤澤さんのほうでどんなに警察官をふやしても、なかなか苦しい問題があるということは、もう御指摘のとおりであります。しかし、やはりまだ北海道とか東北とかそういうところには、自動車の重要が非常に多うございまして、米の値段がよかったせいで、去年あたりもずいぶんふえたようです。そういう面を見ると、生産を制限するということはどうかと思います、需要はあるのですから。それから海外に輸出するためにも、単価を下げるという面で、アメリカあたりへブルーバードなんかがどんどん出ている情勢から見ると、この点も輸出振興という面から考えてみる要素があるように思います。  そこで非常に混雑しているところや狭隘なところは、交通規則とかあるいは乗り入れ制限とかそういう面できびしい規則をつくって、人命の安全それから安全運転を確保することが適当である。駐車場の問題とか右折禁止とか大型トラックのある期間の乗り入れ禁止とかそういう措置をもっときびしくやったらいいと私は思っております。
  79. 板川正吾

    ○板川委員 関連して。そういう着想は一応言うのですが、実行はどうするのですか。それはいろいろ方法はあります。たとえば西独においては、長距離貨物は禁止している。あるいは石炭とか鉄鉱石というものの長距離貨物は、トラック輸送を禁止して鉄道で輸送しよう、こういうことで道路のふくそうを緩和するという方法もやっておりますし、またフランスやイギリスでは駐車場の規制を実際やっております。それからヨーロッパの諸国では、ほとんど逆転式一方通行というやつですが、たとえば朝上り線が非常に込む場合には、下りを六車線なら一車線くらいにして上りだけの専門に使う、夕方今度は地方へ帰る場合には、下り線を大きく開放して上り線を少なくする、こういうような同じ道路面積を自動車が使用するにしましても、そういうような調整する方式を現にとっているわけです。それからヨーロッパの諸国では、御承知のように大衆輸送車を優先的に輸送しよう、こういうことをやっておるところもあるし、現にそういう計画を立てておるところもあるのです。だから、抜本的な対策ということを口先だけで言っておっても、真剣に取り組んで、それをやるという体制を示さなければ——自動車はことし三百九十万台生産されるでしょう。来年はおそらく五百万台近くなるでしょう。なるほど自動車の普及率は都市よりも地方がいまやや多いのです。交通事故伸びる割合も地方が多くなってきた。地方もすでに都市交通化してきたんですね。だから、自動車の生産制限とかいうことをわれわれ言おうとしておるんじゃないのです。しかし、そういう情勢の中で、道路予算が五カ年計画で六兆六千億、あれだって、六兆六千億全部を全部五年間でやったところで、舗装率が七%くらいしか上がらないんじゃないか。全く微々たるものですね。だから、そういう都市の交通混雑緩和に対して、思いつきばかり言っているんでなくて、それを実行する体制というものが、今日すでに必要な段階じゃないかと思うのです。ほんとうに取り組んでやるという気概がなければ、学者の説を幾つか並べて、こういう手もある、こういう手もある、説もあるというだけではいけない今日の段階だと思うのですが、いかがですか。大臣の所見をこの際伺っておきたい。
  80. 田中龍夫

    田中国務大臣 お話のとおり、われわれは、この焦眉の問題につきまして、やれることを片っ端からどんどんとやっていくということでなければ、とても追いつかないと存じます。さような点で対策本部と申しますか、推進の機構ができておる次第でございまするから、各省庁力を合わせまして、具体的な問題を一つ一つ解決してまいりたい、かように考えております。
  81. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは、運輸大臣にお伺いしたいのでございますが、これは国鉄関係のことでございますけれども、大臣の所信表明の中においても特に安全性ということを強調されておりますが、いま国鉄が合理化問題を控えまして、非常にスピードアップされ、しかも、かなり労働条件も強化される中において、いわゆる動力車乗務員の削減ということが当面の大きな焦点になっているわけでございます。やはり安全性確保ということと、このスピードアップの要請にこたえるためには非常な神経を使うわけでありまして、これによって、重大な事故を発生しかけた例もたくさんあるわけでございます。特に、安全ということは、輸送の最大の使命であるということが国鉄の安全綱領にも明記されております。そういう点から考えましても、この点は特に所管大臣として真剣にひとつ対処していただきたいと思うのですが、これについての御所見を承りたいと存じます。
  82. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 安全ということは、私就任以来特に強調いたしまして、いろいろ措置もしてきたところでございますが、国鉄の問題につきましても同様でございます。ただ、いま安全問題で、労使紛争の一つの課題となっております機関助士の問題でございますが、国鉄当局の話を聞いてみますと、安全に支障はないという見解を言っております。それは、一つには、電気機関車あるいはディーゼルカーに機械化してきたということで、かまたきの石炭時代とは違ってきておるということ、それから、ATSその他の装置が非常に発達してきておるということです。それからいままでの例を見ると、二人乗車の場合と一人乗車の場合のどちらが事故が多いかというと、一人の場合事故が多いという統計に必ずしもなっていない。かえって、二人の場合、気のゆるみとかその他の問題から起こり得る。そういうこと等もあげまして、安全にはさしつかえない、そういう見解を言っております。私は専門家じゃありませんから、よくわかりませんが、国鉄の経営者がそう言っているならば、それでいいだろう、そう思いますが、これはいま労使の団交の一つ中心課題になっておりますので、私がこの際どちらがいいとか悪いとかということは言わぬほうがいいと思っております。
  83. 兒玉末男

    ○兒玉委員 特に私は運輸大臣に要望を申し上げたいことは、動力車乗務員という性格が、非常に緊張の連続である。また、先般は、東海道線で特急の「あさかぜ」がダンプと衝突をして、そして機関士が即死をした。しかもその際、複線でございますから、対向列車をとめる手配をしなければいけない。それで、機関助士が緊急に停止の手配をして事なきを得たという貴重な経験もあるわけでありますから、こういう点等から考えまして、二人乗務の場合がわりと事故を起こしているという——これは当局側の統計調査でしょうけれども、予測しないところにそういうふうな事故が発生した場合が非常に大きい。過去における幾多の事故の例から見ましても、事故の起きる瞬間というものは、非常に多様性を持つものだと私は思うのです。その点等を十分御配慮して、今後とも対処していただきたい。これは要望を申し上げます。  次に、特に大臣が所信表明で強調されました踏切保安対策でございますが、特に、現在、国鉄、私鉄を通じまして、踏切番のおらない無人踏切という第四種が多いわけであります。これの改善対策、同時にまたそれの計画、あるいは見通し困難な事故多発の場所の第一種踏切化、または立体交差化、こういうような踏切改善対策ということが非常に重要でありますが、この中におきまして、国鉄なり大手私鉄は十分経営能力がありますけれども、私鉄の中においても、あるいは経営能力の小さいところ等には、このような三種への切りかえなり、また第一種立体交差化等に対する経費の捻出が因難なところがある。そのためにそういう作業がなかなか進まないという事例も聞き及んでおりますけれども、総体的な踏切対策について大臣の御所見を承りたいと思います。
  84. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 交通安全の一つの要目には、踏切道の構造改良に関することがございまして、特別立法も行なわれているわけであります。昭和四十二年度、四十三年度におきましては、鉄道事業者の負担は、構造改良に要する費用は十二億円、保安設備整備に要する費用は四十八億円、計六十億を予定しておりますが、構造改に要する事業について、運輸省と建設省の間で、鉄道事業者及び道路管理者との間の費用負担について申し合わせを行ないまして、鉄道事業に対して過重な負担とならないような措置をしております。  国鉄に対しては、構造改良及び保安設備整備に要する費用については、すでに第三次長期計画で予定している保安対策の範囲内で立法しております。私鉄に対しましては、従来から、踏切道整備の助成措置として、踏切道改良促進法によって整備されている保安対策について、赤字会社及び準赤字会社に対して、国が、その工事費の三分の一を補助してきました。緊急措置法では二年間という短期間でありますが、保安設備整備するという場合に、私鉄業者の負担が一時的かつ急激なものとならないように、赤字会社及び準赤字会社に対して、国が工事費の二分の一を補助することとしております。  また、私鉄業者の実施する立体交差化等の踏切道の改良工事については、その費用の一部に対し、日本開発銀行から長期低利の資金の融資を行なっており、四十二年度からは工事の重要性にかんがみ金利も七%に引き下げられている情勢でございます。
  85. 兒玉末男

    ○兒玉委員 大体受け持ちの時間もきましたので、あと二問にしぼって御質問いたします。  第一点は、これは労働省のほうにお伺いをしたいのでございますけれども、現在労働者災害補償保険の死亡一時金に対する支給金額が非常に少ない。全交運傘下の労働者の主張としては、この死亡一時金を少なくとも三百万以上に引き上げるべきだ、こういう全体の意思が大体集約されておるわけでございますが、これに対する見解を承りたいと思います。
  86. 長岡貢

    ○長岡説明員 労災保険の問題に関しまして、従来労働基準法の規定によりまして一時金を支給しておったわけでございますが、労災補償保険法におきましてもかつては一時金による処理をしていたのでございます。昭和三十五年と四十年の法律改正によりまして、法定の遺族に対しまして補償を必要とする期間必要な補償を行なうことをたてまえといたしまして、年金制度を大幅に取り入れまして遺族保護の見地から補償水準を大幅に引き上げるという給付改善の措置をとったところでございます。したがいまして、死亡労働者に扶養されております被扶養利益を長期に継続的に補てんするために遺族補償年金を支給することといたしたわけでございまして、自賠法の一般の損害賠償と同様に死亡者の本人と遺族の財産的損害や慰謝料等を含めてその実損害を補償することを前提とする賠償額とは直ちに比較できない、むしろ年金の改善の方向で努力いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  87. 兒玉末男

    ○兒玉委員 再度お伺いしますけれども、この金額の改定はできないというのか、あるいはやはり現行の制度をある程度改正をしなければいけないというのか、どちらのほうをお考えなのか、この点あらためてお伺いをしたいと思います。
  88. 長岡貢

    ○長岡説明員 年金制度を充実していくという方向で今後も努力してまいりたいということでございます。
  89. 兒玉末男

    ○兒玉委員 それでは総務長官に最後に一点お伺いしたいと思いますが、先般交通安全国民会議の構成なり運営についても若干お伺いしましたが、先般資料をいただきまして国民会議の討議の内容等も読ませていただきましたが、この際、私はやはり専門分科会の設置によって充実した運営をなすべきじゃないかという感を強くするわけでございますが、この点について総務長官の御所見を承りたいと思います。
  90. 田中龍夫

    田中国務大臣 御意見のとおりに実際の運営におきましては分科会に分けていろいろと検討をいたしておるやに聞いております。しかしながらそれで不十分であるというような場合におきましては、御高見に沿いましてまた今後運営の面におきまして善処をいたしたい、かように思います。
  91. 門司亮

    門司委員長 松本忠助君。
  92. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 総理府総務長官にお伺いをいたすわけであります。  昨年の秋に運輸、建設両省の話し合いによりまして新都市交通総合対策懇談会が発足いたしましたことを聞いておりますが、交通対策通勤対策改善が都市計画とあわせて総合的見地から解決する施策が検討されることを期待しておりましたが、どうやら開店休業のような状態であるということを聞いておりますが、この根本的の原因は、両省間の折衝では意見の食い違いや、なわ張り争い的なものがあって、計画の進展が思うにまかせないのではないかと思うわけでございます。  そこで都市交通圏の著しい人口増加と郊外化に対応する開発計画は、住宅の供給と交通計画を合理的に組み合わせた開発計画が必要とされておりますが、総務長官は、この運輸、建設の両省を高次元の立場から意見の調整をはかって、都市交通と交通安全対策の総合的対策を練る考えがないか、この点について意見をお聞かせ願いたい。
  93. 田中龍夫

    田中国務大臣 ただいま各省庁の間におきまして意見の統一を欠いておるというようなお話がございましたが、もしその問題につきましての今日までの何らかの詳細な計画の御質問ならば後ほど担当官から申し上げます。しかしながら私どもの職務というものは、いまの各省庁の間にこれを総合調整いたして、そして推進いたすのが私どもの本務でございますので、その点におきましては都市交通問題特に今後経済企画庁その他関係各省庁との推進連絡につきまして努力をいたしてまいる所存でございます。
  94. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一点伺いたいことは、総務長官の所信表明の中に、交通安全思想普及及び徹底のために交通安全教育センターを全国の主要都市整備するということが書かれてございますが、具体的な構想はどのようなことをなさるのか、その内容をお聞かせいただきたい。
  95. 田中龍夫

    田中国務大臣 この教育センターにつきましては、とりあえず四十三年度におきまして全都道府県にモデル校を一校ずつ選択いたしまして、これに小規模の交通公園的な設備を設けまして、児童生徒に対しまする実際に即した交通安全教育を実施する考えでございますが、なおこれに要しまする経費といたしましては約二千八百万円を計上いたしているような次第でございまして、このような交通安全教育センターというのは、今後年次計画をもって整備してまいりたい、こういうふうに考えております。
  96. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 主要都市につくるわけでございますが、どの都市につくるのか、二千八百万円では非常に予算が少ないように思いますが。
  97. 田中龍夫

    田中国務大臣 担当官から申し上げます。
  98. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 これは実は文部省の所管事項でございまして、具体的にどこに設置するかにつきましてはまだ連絡を受けておりません。全国四十六カ所ございますので、初年度はおそらく県庁所在地ということに相なるかと思われます。ただ先ほど総務長官も申しましたように、今後年次計画をもちまして一応の最終の達成目標といたしましては、人口五万人につき一個の割合でそういうものを整備いたしたい、このように一応考えております。
  99. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 調査室長にお伺いいたしますが、踏切道改良促進法によって指定された踏切道は、総理府発行の交通白書を見ても、四十二年三月末現在、国鉄、民鉄を含めまして立体化指定個所が四百二十九の中で竣工工事合わせまして二百七十八カ所、大体六五%の進捗状況を示しているようでございますが、昭和三十六年度当初から比べると、交通量の増大に伴いまして指定個所数の増加があろうと思います。指定個所等の変更はどのようになっているのか、この点を伺いたい。
  100. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 鉄道監督局長が参っておりますので、鉄道監督局長からお答えいただいたほうが正確だろうと思います。
  101. 増川遼三

    ○増川政府委員 最初に指定いたしましてから逐次増加いたしまして、一昨年の春並びに秋に相当数の追加指定をいたしたのでございます。その合計が、先ほど御指摘のありました立体交差につきましては四百二十九カ所ということになっておるのでございます。そのうち四十一年度中にすでに竣工いたしたのは国鉄私鉄合わせまして百八十カ所でございます。さらに四十二年度中に竣工いたしますのが、まだ実数が上がってきておりませんけれども、推計約七十でございます。したがいまして、合わせますと二百五十カ所が完成を見るわけでございます。御指摘のようにあと百七十九カ所という状況にございます。  なお、このほかに当局といたしましても指導をいたしておりまして、指定個所のほかに相当多くの立体交差化を実施をいたしております。国鉄関係で申しますると全部で、指定踏切を合わせまして九百三十九カ所、私鉄も百八十六カ所、すなわち合計いたしますると指定を合わせて千百二十五カ所のものがすでに四十一年度中に終わっておるわけでございます。さらに四十二年度、先ほど申しました七十カ所がふえますほかに、若干の指定外の立体交差化というものが進捗をしておる状況でございます。そういうふうに考えております。
  102. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 特に第一種の踏切等は交通量が激しいし、車の渋滞を来たす所が多いわけでございますが、この交通量の激しいこのような踏切道こそ最優先して立体化をはかるべきだと思いますが、第一種の踏切は一体幾つくらいそのうちに含まれているのかお答え願いたいと思います。
  103. 増川遼三

    ○増川政府委員 おおむね立体交差を要望せられますのは第一種の踏切が主でございますけれども、このうち相当連続立体交差、すなわち高架化のものもあるわけでございまして、したがいまして、そういう場合には第一種のほかに二種はもちろん第三種、第四種というものの除却というものも相当進んでおるわけでございます。
  104. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その詳細な数についてはわかりませんか、どれくらい第一種が進行したか。連続立体交差もあるでしょうが。わからなければこれはあとでもけっこうですが、参考のためにひとつ聞かせていただきたいと思います。
  105. 増川遼三

    ○増川政府委員 一種、二種、三種、この種別ごとの数字がいま手元にございませんが、この立体交差等によりまして整備統合せられました個所数は三十六年度から四十一年度までの数字でございますが八千八百十五カ所除却になっております。
  106. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 四十三年度中の交通安全対策関係の予算に、この踏切道の立体交差化の予算が二百九億五千四百万円、このようにありますが、どの程度の工事内容なのか。どのくらいの工事量があるものなのか。この事業量をお知らせ願いたいと思います。
  107. 宮崎清文

    ○宮崎(清)政府委員 ただいま御指摘の二百九億でございますが、これは実を申しますと建設省関係、つまり道路管理者関係で行なう立体交差が大部分でございまして、この点は実はまだ実施計画の詳細は私承知いたしておりません。建設省に連絡いたしまして、もしそういうものができていれば御報告申し上げますし、できていない場合には御容赦願いたいと思います。  それから鉄道関係はまた次に……。
  108. 増川遼三

    ○増川政府委員 現在手持ちの資料といたしましては高架化工事がございます。現在の予定では三十二カ所、三十四区間で、これによります踏切除却可能数が二百八十四カ所、こういう状況でございます。
  109. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、次に公安委員長にお伺いをしたいわけでありますが、反則金の通告制度がことしの七月から実施の予定でございますが、その取り締まり並びに判定をめぐりまして、現場の警察官の判断にまかされる率が多くなると思います。そこで警察官に対して新しい権力を与えることになるのではなかろうか。この運営については、公平、慎重でなければならないと思うわけでありますが、そこでその準備体制はどうなっているか、具体的にお答えいただきたい。また交通事故の処理を専門化して、交通事故検察処理要員、こういうようなものを増員を行なって、これらの人に専門化した研究をさせ、判断をさせるような体制をつくったら非常に公平にいくのではなかろうかと思うわけでありますが、この点について公安委員長の御意見をお伺いいたします。
  110. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 交通反則金制度を今回とることになって、七月から実施いたしますが、ちょっと見るとなかなか複雑なことになっておりまして、その判定も一つ誤りますと、たいへん御迷惑をかけることになるわけであります。それで取り扱い者の教育などについて、万遺憾なきを期しておりますが、ただいま御質問の細部につきましては、交通局長が参っておりますので、そちらから御説明をさせます。
  111. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 先生御指摘の交通反則金制度につきましては、昨年の五十五特別国会におきまして御審議を願ったわけでございますが、その際に附帯決議にも、この制度の適正かつ円滑な実施について、幹部の責任ある指導を望むという附帯決議がつけられまして、私どももこの制度につきましては非常に画期的な制度でございますから、かねてそういうことを考えておったわけでございますが、ちょうど一年間の準備期間をいただきまして、七月一日までの実施を控えて、この一年間、御指摘のように非常に画期的な制度でございますので、現場の取り締まりの警察官の認定というものが、従来の取り締まりでもそうでございますけれども、特にこの制度になりますと、現場の警察官の認定ということが非常にきめ手になるわけであります。もっとも裁判の道は、この制度については開かれてはおるわけでございますけれども、大部分のものは行政段階で処理されるという制度でございますので、その辺のところを十分教養するということで一年間の準備期間を与えていただいたわけでございます。現在その教養を全国の各府県につきまして、その推進状況を私どもが監察をして歩いている。それから御承知のように警察では、管区の警察局というものがございまして、これも監察をやらせるということで、従来この準備状況について監察するということはないのでございます。実施状況についてはやるということはございますけれども、この制度につきましては、特にその準備状況について監察を加えるということで、現在御指摘のような点についての準備状況について観察をしておるわけでございます。  それからなお、この制度につきましては、手続面で非常に従来と変わってくることは御承知のとおりでございます。警察官の教養と並行いたしまして、国民にも理解していただくという広報活動の面についてもさらに積極的に行なっていくということで、準備おさおさ怠りないという考え方でやっておる次第でございます。
  112. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 公安委員長お話にもございましたように、一歩取り扱いを間違いますとたいへんな前例を残す、慎重の上にも慎重にやっていただきたいわけでありますが、特に警察の処理要員を専門化するという考え方はどうか、この点についてはどうでしょう。
  113. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 この反則金制度は取り締まりの問題でございまして、取り締まりにつきましては、従来も専門の要員といたしましては白バイとか交通パトカーに乗っております専従の取り締まり要員がございます。それから、御承知のように、比較的簡明な現認、定型、明白なものにつきましては外勤警察官を使って間違いなきを期すという考え方でやっておるわけでございますが、ただお話しのものは交通事故の処理の問題だというふうに承りましたが、交通事故の処理はこれとはまた別問題でございまして、交通事故の処理につきましては、事故が起きた際に現場で事故の実態をよく調査いたしまして、人身事故の場合には刑法の業務上過失致死傷という立証を現場から採証をしていくという作業でございまして、この点につきまして、激増する交通事故、昨年も五十二万件以上交通事故が起きているわけであります。ことしになりましてもさらにふえつつあるわけですけれども、これを専門に取り扱う警察官を十六万の警察官の中から捻出することはなかなかむずかしい。したがって、警察の総合力を使って間違いの起こらないように教養をいたしまして、現場の事故処理にもし不統一があるということがあれば問題でございますので、そういうことのないように十分教養をしてまいりたいと思います。
  114. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、公安委員長が、所信表明の中で、関係各省と十分な連絡を保って都市交通問題の総合的解決の促進に努力される、こういう点を強調されておりますが、この具体案をお示しいただきたい。
  115. 赤澤正道

    赤澤国務大臣 先ほど申しましたとおりに、交通緩和対策としての具体案がまだできておるわけではございませんので、いま急がなければならぬ時期でもございますし、いろいろどういう形でやるかということを先般閣議の協議会でも発言がありましたし、最近手をつけることになっております。大体私は警察を担当しておるわけですが、やはりいま国会にかかっている都市計画法あたりも通していただくということ、それは、前提は、公益優先と申しますか土地利用計画というものを立てて、激増する交通量と道路整備などとの調和と申しますか、交通需要を調整するということがまず先行しなければいかぬ。それにはやはり街路の整備自動車のターミナルの整備あるいは地下鉄の建設などいろいろ含まれております。ただ警察としては、当面今日の交通の混雑緩和に対処いたしまして、都心部だとか幹線道路での駐車の禁止、また一方通行、右折禁止などいろいろ規制をしているわけですけれども、さらにこれを強化していかなければならぬと考えておりますが、全般の交通混雑緩和対策につきましては、これから根本的な策を講ずるという段階でございます。
  116. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 これは公安委員長に要望でありますが、確かに、計画を立案される、その準備体制に入っておられることばわかりますが、一刻も早くこの問題は実施すべきであるし、遅滞することを許さないと思いますので、一そうこの点について努力されるようお願いいたしたいと思います。  それからポイントシステムの問題につきまして前に質疑したことがございます。四十四年十月から実施したいという御返事がありましたが、私は、この問題はもっともっと早くやるべきではなかろうかという意見を持っております。この点についてどうでしょう。
  117. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘のポイントシステムにつきましてはまだ大臣に詳細説明しておりませんので、私からお答えいたしたいと思います。  これは御指摘のように来年の十月からということで準備を進めておるわけでございます。そういう意味でまだ大臣に御説明申し上げておりませんが、このことは先生御承知かと思いますけれども、従来いわゆる運転免許につきましての停止処分それから取り消し処分というのがございまして、これを従来からもやってまいっておるわけでございますが、さらに合理的なものにいたしたいということで、中央に運転者の管理センターというものをつくりまして、そこに全国の運転免許者を全部電子計算機のもとに記憶させまして、それによってやろうということになります。この電子計算機中心とした管理センターをつくるのに実は三年計画でやっております。四十一年の十月から始めまして四十四年の十月には完成する。その間に各府県の運転免許者を全部記憶させる。ちょうど三年間で更新いたしまして、その更新の時期に全部記憶させるということになりますので、やはり四十四年の十月からでないと発足できない形になっております。したがって、実施を繰り上げるということはできないのでございますが、そのための法令の改正を要する作業がございますので、それにつきましては現在いろいろ検討を進めて、なるべく早い時期にこれを公布をいたしまして、施行は十月一日からという考え方で作業を進めております。
  118. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 運輸大臣にお伺いするわけでございますが、わが国は台風、地震等による災害で毎年多くの被害を受けておるわけでございます。海難事故、航空機の事故の防止のためにも、これらを含んで気象観測または気象通報等はより一そう力を入れて援助する必要があろうと思うわけであります。大臣が所信表明の中にも言われておりますように、気象業務等の整備の確立はぜひ行なってもらいたいわけでございますが、この点についての大臣の熱意を具体的にひとつお話しいただきたい。
  119. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 気象に関しまして一番の重点はレーダーの整備だろうと思います。そこで福岡にレーダーを設置いたします。それから来年は秋田、それから釧路、稚内、五島列島等にレーダーを整備いたしますと、一応その布陣が終わることになります。  それから観測船の整備でありますが、鳥島が例の爆発で観測できなくなりましたので、ことしからたしか千七百トンの観測船を造船いたします。これを配置いたしますと、南方方面における観測陣がもっと充実するわけであります。それから業務の充実と申しますか各測候所、気象台等における要員の充実という点にも心がけてまいりたいと思います。  なお地震につきましては、いま気象庁におきまして五カ年計画をつくって、相当精密に日本全国にわたって観測陣を配置いたしまして、そうして地震予知についてこの方法にたよればまずいいだろうという方法を五年以内に見つける、それから次の五カ年計画でその方法を展開いたしまして、充実いたしまして、まあ十年くらいで地震予知の問題を解決しよう、そういう考えでいま気象庁で各官庁と連絡をとりまして五カ年計画を策定しておりまして、来年度予算からそれを実施する考え方でございます。
  120. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 台風の予報等につきましては、まだアメリカの極東空軍のお世話にならなければならないというようなことを聞いておりますが、気象観測の確立について、いまのお話でだいぶんわかったわけでございますが、やはりアメリカの極東軍のやっかいにならなければならぬものかどうか、この点はどうでしょう。
  121. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点はまことに遺憾な点でありまして、私も科学技術庁長官をしているときから、日本でそれをやりたい、そういうふうに念願しておるのでありますが、目下のところ飛行機、要員その他の点からできないのはまことに遺憾であります。しかしこれはできるだけ早期に代替し得るように機械、要員の整備をしていかなければならぬと思っております。
  122. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお話によりまして、大臣が非常にこれらの気象観測について熱意を持っておられることはわかるわけでございますが、四十三年度の気象庁の予算を見ましても、人件費六十億を含んで全体で百六億六千万円、こういう予算でございまして、他に比べまして非常に私は少ないように思うわけでございます。と申しますのは気象観測の設備等が結局は四十六億円にしかならない。こういうことではなかなか的確な観測器具等もどんどん新しくできてくるようなものも充足ができないのではないかと思って心配しておるのでございますが、この点はもう少し予算を大幅にふやして、事故を未然に防止するという点について、もっと徹底的な対策を講ずる必要があるのではなかろうかと思いますが、どうでしょうか。
  123. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その点は御指摘のとおりでありまして、まことに申しわけなく思っております。ことしの運輸省の予算は一四・八%の伸びをしておりますのに気象庁の比率というものは非常に低いわけであります。それを反省いたしまして、来年度はさらに充実させるように努力をしていきたいと思っております。
  124. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、気象業務の整備五カ年計画というのが四十三年から四十七年にかけてできるわけでございますが、このほうも百六十六億という予算を設定されたようでございます。これらのもので、気象観測船の建造、気象観測用の航空機の増強、いろいろお話がございましたように観測用レーダーの整備、こうういうものは十分できるのかどうか、五カ年間で達成できるのかどうか、この点はどうでしょう。
  125. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 五カ年間で一応達成できる見通しで着々進めているつもりでおります。
  126. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、次に自動車局長に伺いたいことでございますが、自動車損害賠償保障法の第十条の適用除外になる自動車は、現在何両くらいあるのですか。
  127. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 第十条に基づきます適用除外車両は、国、三公社、それから都道府県、六大都市、駐留軍等を入れまして、現在十九万三千四百九十八両でございます。
  128. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そのほかに外交官とか、駐留軍等が運行に供している自動車また構内用自動車、こういうものについては数を掌握しておりますか。
  129. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいま駐留軍等と申しました中に入っております。
  130. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その内訳は。
  131. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ちょっとただいま手元に持っておりませんけれども、駐留軍等といたしまして九千九百三十四両、この中に入っておるものです。
  132. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 構内用自動車ばどれぐらいあるかわかりませんか。道路上で運転しない、登録の必要のない自動車、こういったものは掌握しておりませんか。
  133. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 登録しておりませんのでわかりません。
  134. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 さらにもう一点伺いたい点は、自動車損害賠償保障法の第四章の五十五条から七十条に規定されておりますところの自家保障のことでございますが、現在許可基準に合致してこの対象になっている事業者は何社くらいあるか、業種別におわかりでございましたならば業種別に、なおその車両数もお伺いしたいわけです。
  135. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 自賠法の五十六条に基づきまして運輸大臣が許可いたしておりまする自家保障者の数は合計五十五社ございます。その車両の数は約六万両ございます。それから自家保障者の事業の内容の問題でございますけれども、自動車運送事業者が三十九社、それから地方公共団体が四つ、それから電力会社が八つ、その他NHK等が四社、合計五十五社でございます。
  136. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで大臣に伺いたい点でございますが、いまお伺いしました適用除外になっている自動車、これも事故発生車となり得るわけでございまして、決してこの適用除外車だけが無事故であるというわけにはいかないと思います。そこで自家保障制度の特例は、強制保険制度の全般より見た場合に、危険率が非常に多い資力の弱小な企業者のみが強制保険制度に加入している状態になっておりまして、そこで強制保険制度の健全化に著しい障害を伴っていることは否定できないことだと思うわけです。そこで世間一般に責任保険の最大の抜け穴だといわれるのがこの免除制度でございますが、この免除制度について大臣はどのようにお考えであるか、所見を承りたい。
  137. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 確かにそういう御指摘の要素もあると思いますが、そういう企業は資力もかなりあって、相手方に対する損害賠償という責任については、そう心配ない要素があるわけです。そこで、この問題は要するに被害者を救うということが中心になっておるものでありますから、被害者本位ということを考えてみると、そういう資力確実で信頼できるものはやらしていいのではないか、そういう考え方によって免除しておるのだろうと思うのです。私は立法の趣旨それ自体はそれほど悪くないと思いますが、制度全体の運営という面から見るとなるほど御指摘の要素もあるように思います。そういう点はよく検討してみたいと思います。
  138. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまお答えがございましたけれども、確かにこの抜け穴が一番問題だと思うのです。特に官庁等につきまして、事故がありましてもなかなかその解決が長引いている。また官庁等で保障する場合にも、いわゆるその保障の率というものが非常にきびしい。そういうことでなかなか手続等もありまして、官庁等の車と接触事故を起こした場合でもなかなかその支払いが迅速にいかない。こういう訴えをしばしば聞いているわけでございます。この制度は、やはり役所そのものが率先して強制保険にも加入して、そして一そうこの制度の有効な活用をはかっていくべきであって、この点については大臣もお考えがございますようですが、何とか一刻も早くこういう特例を取り除いて、官庁も一切この強制保険の中へ入ってやっていくようにしていただきたい。この点について特にお願いしておきます。  それから航空事故あるいは海上事故、陸上の事故、これらにつきまして補償金の額がまちまちでございます。どうしても一番補償額の高いのは空、それからまた海、それから陸、こういうふうに、同じ人命でありながら補償の額の差がある。この差というものは、同じ人命であるならば、あってはならないことだと思うわけでございます。大臣はこの事故の補償の金額について統一するというような考えをお持ちであるかどうか、この点について伺っておきたい。
  139. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 人命がとうといという点においてはみんな同じであるように思いまして、松本委員がおっしゃるようなことはなるほどと自分でも感じます。ただ、何となしにそれだけでは割り切れないようなものがまた別の面にあるような気も若干いたします。船や飛行機やあるいは普通の陸上の自動車事故等によって、その責任の度合いとか、いろいろな面について補償のいろいろな差別みたいなものがあるのではないかという感じもいたします。しかしまた、人命はとうといという点においては全く同じであるという気もいたしますので、これはよくひとつ自分で検討してみたいと思います。
  140. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後に伺いたい点でありますが、先ほどもお話があったようでございますが、自賠責の最高限度額の引き上げの点であります。最近における事故の死亡については一千万円以上の判例も出ております。こういう点から考えまして、先般わが党の大会におきましても、七百万円を目標にすべきである、このように発表したわけでございますが、大臣はこの点についてどう考えられるか、最後にお伺いしておきたい。
  141. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 現在の三百万円は昨年変えたばかりでございますが、その後の情勢を見ますと必ずしも社会の実勢に適応しないような気もいたしますので、これを上げる方向に向かって検討を加えていきたいと思います。
  142. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この点については昨年百五十万を三百万にしたばかりであって、なかなかその財源もないとか、いろいろ保険料を上げることは負担が多くなってたいへんだとかいろいろいっておりますけれども、この点は一刻も早く現在の補償額をぐっと引き上げて、そうして少なくとも五百万円は当然のことではなかろうかと私どもは思うわけであります。希望する点は七百万を私どもは言っておりますが、とりあえず三百万から五百万の線だけでも至急に上げるように、この点は御配慮を願いたいと思っております。  以上で終わります。
  143. 門司亮

    門司委員長 大久保君。
  144. 大久保武雄

    ○大久保委員 大臣がお急ぎでございますから、私は大臣に一言だけお答えを願って、あとは自重計の問題に主として関連して事務当局質問いたします。事務当局からよく大臣に報告してもらいたいと思います。  大臣にお尋ねしたいのは、先般来予算委員会で、大臣の御欠席のときに政務次官あるいは事務当局から答弁を得ているものでありまして、大臣にこの際お答えを願っておいたほうがよかろうと思う二点だけについて申し上げます。  一つは、むち打ち対策につきまして昨年の暮れ私は質問をいたしました。それに対して運輸省の事務当局から、整備部長から、翌年すなわち四十年の四月にはぜひ安全基準を出します、こういう答えがあった。なかなか国会で質問しましても、事務当局が約束したことを実行するためしはめったにありません。しかし、今回の運輸省の事務当局はこの国会答弁を忠実に守って、四月に案を提示して、目下それが確定に向かって努力をしておるところであります。これは私はまことに言行一致であって、りっぱだと言って先般の委員会で称賛をしたわけであります。そこで、この安全基準はきわめて重大な問題でございます。運輸省が今回やろうとしておられるのはまことに画期的な安全基準の策定であります。ところが、日本自動車メーカーが新聞にほとんど一ページ使って広告しているのを大臣もごらんになると思いますが、あれは何と書いてあるか読んでみますと、アメリカの安全基準を上回ると書いてある。これはおかしいじゃないかと私は思う。日本の新聞で日本のユーザーに向かってメーカーが宣伝をするのに、アメリカの安全基準を上回るとはどういうことだと言って、この間私はメーカーを参考人として呼びましたときに厳重な忠告をいたしておきました。もっとそういうことよりも日本の安全基準をなぜ書かないのか。またそれはいままで安全基準に対する運輸省の怠慢でもあったのじゃないということを申し添えておきましたわけでございます。  そこでこの安全基準は、自動車が国際化した今日においては、一国だけの安全基準であってはならないのであって、日本のように自動車を国外に輸出をするといったような際におきましては、相当国際性を持たせる必要もあるわけであります。そこで国際的な自動車の、安全基準の会合といたしまして、ヨーロッパにECEという会合がある。これはヨーロッパの各国が相互に集まって安全基準の策定をしておるわけであります。このECEの機構に、アメリカは域外国であるのに、正式メンバーとして参加をしておる。しかるに日本自動車の生産が世界第二位であるのに、このECEには参加できない。自動車局長が行って傍聴をして帰っておる、こういうことであります。  そこで私は外務省に向かって、外務省は何をしているのだ、まことに追随外交もはなはだしいのではないかということを言って外務省にやかましく言ったわけであります。ところが外務省は、通産省と運輸省からこれに対する強い要請がございませんから申しません、こういうのであります。全くくつのひもを結ぶ外交であって、言われぬから言わぬという外務省のやり方もまことに私はなっておらぬと思うのでありますけれども、通産省と運輸省からこれに対する強力な発想がないのも私はおかしいと思うのであります。そこで、先般通産政務次官と運輸政務次官がおそろいの席上で、両政務次官が大臣にかわって何とこれに対して考えられるかということを質問しました結果、両政務次官とも、外務省に向かって厳重に、強硬に申し入れをいたしますというそろっての答弁がございました。きょうは通産大臣は出ておりませんけれども、運輸大臣は実行力におきましては通産大臣を上回る大臣だと思いますから……。そこで私はこの両政務次官が言ったことを大臣も一ぺんお聞き願って、この点に対する大臣の政治的判断をお聞きしたいことが一つであります。  それからもう一つは、この試験設備であります。アメリカのような自動車の発達した国におきましても、昨年でございましたか、自動車のメーカーあるいは自動車に関連する官庁等が全部集まりまして、そうして自動車の強力なる試験研究設備をつくろうということを決議をいたしまして、すでにいままでも相当アメリカは進んでおりますが、なおその上に強力なる推進をしようという申し合わせをいたしておるようであります。私もせんだって谷田部の試験場を視察をいたしましたが、民間で相当大きな試験設備をつくっております。ところがどうしても安全基準を運輸省がリーダーシップをとって引きずっていくからには、それだけの自信のある試験研究の結果、これでいけという基準を示さなければいかぬと思う。ところが運輸省の試験研究設備というのはどうなっておるかと申しますと、これは御承知のとおり船舶技術研究所の片すみに細々とともしびをともしておる、こういう形であります。死傷者六十六万人をこえる、ことしは昨年を上回る新記録が出るというこの際におきまして、私はまことにさびしい話であると思う次第であります。そこで大蔵省は、通産省と運輸省と試験研究設備が二つあるのはおかしいじゃないか、こういうことを言うかもしれませんけれども、これは通産省の研究は民間の生産と密着した研究であろう、またそうあるべきである、運輸省は安全基準を出していくという上において、これは一つの行動の、独自な考え方を打ち立てていかなければならない次第であって、これは両省から出たってちっともそれは矛盾ではないと私は思っておる次第であります。八月から次の年度の予算にも入っていくわけでありますから、新しい年度におきまして、この点につきまして大臣はどうお考えであるか。アメリカのような国ですから、いま非常に大々的な試験研究開発設備——衝撃試験というものは全く新しい分野の試験研究でございますから、これに対する大臣の清新なる感触の御発言をひとつ願いたいと思う次第でございます。その二点大臣からお話を承って、お引き取り願ってけっこうであります。
  145. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ECE加入に関する政務次官の発言は私も同感でありまして、これは確認をいたします。  それから試験設備の件は、私も船舶技術研究所のすみでやっているのを聞きまして、非常にこれは行政として力の入れ方が足りない、そう思いまして、大蔵省とも折衝して、いまのお説のように改革していきたいと思っております。
  146. 門司亮

  147. 浜田光人

    浜田委員 大臣が時間がないそうでありますから、一つだけお聞きします。  すでに御案内だと思いますが、過日在日米軍が広島から九州の小倉まで弾薬輸送をやっております。過去においても、この弾薬輸送については、地域住民が非常な不安を持ちまして、できるだけ道路輸送ということはやってはいけないということをしばしば政府当局にも訴えて、在日米軍等にもしばしば交渉はやらせておると思うのでありますが、それらは防衛施設庁関係といたしまして——あの長い距離を国道三十一号線を経て二号線を通って運搬しておるのですね。国道三十一号線だけでも一日に二万六千台ぐらい車両が通っておるという。それがえんえん九州まで火薬類を積んで輸送するという。幾ら大臣が交通安全のためにいろいろと努力され、規制されても、こういう米軍の火薬類というものが日本の動脈ともいう国道二号線をいとも簡単にどんどん輸送されたのではたまらぬと思うのであります。海上輸送をすればきわめて簡単なんですね。あの危険な下関の海底の国道を通らなくても済むし、これらがアメリカのドル節約等によって国内の交通が麻痺するというような状態であっては許されぬと思うのであります。各県の警察はおのおの保安のために要所要所で警備したということは新聞報道もされておる。こういう点を道路規則の面から見て、運輸大臣は勇敢にひとつ内閣の意思統一もしてもらって——それがためにすぐあの長い道路建設省にいうて別個にバイパスをつくるようなことはできないと思いますから、やはりできるだけ安全な——根本的にはやらさないこと、安全輸送するためにはどうさせたらいいかということがあると思うのです。たとえばわずかのトン数ならば貨車輸送が当然でしょうし、あるいはさっき申し上げた海上輸送、少なくともこの道路輸送だけはやらしてはならぬと思うのでありますが、その点について大臣の御見解を聞きたいと思います。
  148. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 交通のひんぱんな国道を弾薬が通るということは私もあまり適当でないと思います。そこで防衛施設庁とも話をしまして、通る時間であるとかあるいはやり方その他も点検してみて、適切でないところがあればそれを改革するように協議してやっていきたいと思います。いまのお話のように、海上輸送にかえられるならばこれが一番いい方法だと思いますし、それが時間その他の点で間に合わないというような場合がもしあるとすれば、陸上輸送をするにしてもやり方がいろいろあるだろうと思いますし、こういう点についても検討を加えて改革していきたいと思います。
  149. 大久保武雄

    ○大久保委員 私はダンプ規制法の代表提案者でもありましたから、この法律がどういうふうに実行されていくかということにつきましては非常に深い関心を持っておるわけであります。法律ができまして二月一日から施行されておる。そこで、この規制法によってダンプに関する使用の届け出が義務づけられておるわけであります。これが順調に進んでおるかどうか。二月一日から三カ月以内にこの届け出をするということになっておるが、二月一日からですから四月末です。もうすでに迫っておる。この間にいかなる届け出がされて、このダンプの実態というものは掌握せられつつあるかどうか、この点を御答弁を願いたいと思います。
  150. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 お答えを申し上げます。  ダンプ規制法によりまする使用の届け出でございますけれども、二月一日から始めまして、四月十日現在におきましてただいまのところ八万六千十六台でございます。あと残すところ今月末まででございます。おそらく月末までには相当集中してまいると思いますが、この調子でいきますればほとんどは使用届けがなされるのではないかというふうにわれわれは見ております。
  151. 大久保武雄

    ○大久保委員 四月十日まで八万六千何台ということでありますが、そうすると残り二十日間ぐらいですから、ダンプの台数がそうたくさん出てくるとも見受けられぬけれども、その近辺の数字に落ちつくわけですか。
  152. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 これは推定でございますのではっきりした数字は申し上げられませんでございますけれども、月末になりまして相当集中して届け出が出てくるんじゃないかと思います。したがいまして八万台ではなしに十万台こすと思いますが、しかしまあ十二、三万台ぐらいではないかというふうに推定いたしております。
  153. 大久保武雄

    ○大久保委員 ダンプは一匹オオカミもあってその実態がなかなか掌握できにくいということで、われわれも運輸省に相当の定員もつけて、実態掌握に向かって努力をお願いしておるわけでありますので、十分国会の負託にこたえていただきたいと考えております。  それから、省略したダンプ規制法という呼称で呼びますけれども、ダンプ規制法には、ダンプの暴力運転あるいは労働基準法違反、そういうものに対する罰則がいろいろつけられている。二月一日から三カ月近くになっておりますが、警察等と連絡をして、この新しい法律によって処分したものがあるかどうか、いかなる事案によって処分したのか、この点を、自動車局長あるいは交通局長どっちがよろしいか知りませんが、お答えを願いたいと思います。
  154. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 御指摘の点につきましては、警察といたしまして法第七条に基づきまして陸運局長に対して通報した件数は、四月十日現在で十六件でございます。このうち私どものほうで承知しておりますのは、陸運局長が使用の制限及び禁止の処分を行なったものは六件というふうに聞いております。これはなお正確に運輸省のほうからお答えがあると思います。  なお、使用の制限及び禁止の処分につきましては、私どもの承知しております典型的な事例といたしまして、本年の二月十七日に兵庫県の警察本部から通報した死亡事故につきまして百二十日の使用禁止処分が行なわれたということを聞いております。
  155. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいまの件でございますけれども、ただいま交通局長から御説明がありましたように、警察からの連絡で受理いたしました数は四月十日現在で十八件ございます。そのうちでいわゆる行政処分をいたしましたものは六件でございまして、ただいまの交通局長お話しの兵庫県第一号を加えまして六件ございます。東京陸運局管内で一件、大阪陸運局管内で四件、それから高松陸運局管内が一件、合計六件でございます。  なお、労働基準法違反の関係につきましては現在受理しているのが一件ございます。まだ処分しておりませんけれども、これは目下検討中でございます。  以上でございます。
  156. 大久保武雄

    ○大久保委員 法の励行につきましては十分法の趣旨が生きますように、今後とも努力を願いたいと思います。  次に、ダンプ規制法に記載してございます自重計の問題であります。自重計の取りつけは施行規則によって五月一日から三カ月、こういうことになっています。そこで新車は五月一日、在来車は七月の三十一日までの間に取りつけろ、こういうことになっておるわけであります。五月一日はもう目睫の間に迫ってきております。新車につきましてはあらかじめこの法律ができておるのでございますから、メーカーがそれを意識して生産しておりますから、これは問題なかろうと思っております。問題は在来車であります。いま局長が届け出は何ぼあるか知らぬけれども、十万台はこすだろうと言っておりましたが、世間に伝わるところによると十五万台あるということもいわれておるわけですね。そこで十五万台ある在来車、これに五月一日から七月三十一日までの間に自重計を取りつけることができますか。というのは、自重計を取りつけるためには、これは取りつけ業者があるでしょう。取りつけ業者は聞くところによりますと、五、六百軒しかないという。取りつけたあとで、今度はその計器を点検をしなければいけない。これは看貫屋等がやるという話も聞きますけれども、なかなかそんなところを動員してみても、三百軒か五百軒しかなかろうという話も聞いている。そうしますと、どう目の子で考えてみましても、十五万台を三カ月間にそのくらいの工場で一体処理できるかどうか。またうっかりすると、これは七月の中旬に届け出する——十何万台あると思われるのがいま八万台ぐらいしか届け出がないのだから、これは自重計の取りつけも在来車は七月の中旬以降に殺到するかもしれない。一体そのときにどうするのか。せっかくこうやってこの委員会が法律をつくったのですから、法が死法になってはいけない。今度こそ私たちはこの法律をあくまで励行して、そして交通安全に対する強い意思を表明しなければならないのに、それがかかった瞬間に死法になったのでは、これは耐えられない。そこで、一体運輸省並びに通産省は法律に定めた期間内に自重計の取りつけが完了できるかどうか。また、その計器は正常に働くことを確認できるかどうか。この点をひとつ運輸省、通産省の責任者から、法律の権威のために答弁をしておいてもらいたいと思います。
  157. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ただいま政府にたいへんな勉励、叱咤をいただいたのでございますけれども、中古車につきましては三カ月の期間しかございません。それにつきまして、非常に窮屈でございますけれども、私どもといたしましては定員を、実は非常に苦しいところを予算もいただいたのでございます。陸運局、地方陸運事務所を叱咤いたしまして目標を達しますように努力いたしたいと存じております。  なお、取りつけの作業をする事業所等につきまして、あるいはまたその他の技術問題もございますので、補足さして整備部長からお答えさせたいと思います。
  158. 堀山健

    ○堀山説明員 ただいまの説明に補足して説明さしていただきます。  対象両数はおおむね十五万という推定をしております。それに対して先生お話しのような工場が現在予定されております。この取りつけにつきましては、自動車メーカーの系列の各地にありますサービス工場、それから自重計をつくっておりますメーカーのそれぞれの系列店、あるいはダンプの車体をつくりますメーカーのそれぞれの系列店、指定店が全国に相当数あります。これは従来の小さい車しか扱わないような工場に扱わせても無理だと思いますので、そういうところに重点的に扱わせるという指導をいたしておるわけであります。  それで、法律によりますと、五月一日から新車を始めまして、七月じゅうに現在走っている車の全部を取りつけるということになっておりますので、先ほどの御心配になりましたような、特に期末に集中するという問題が一応は考えられるわけであります。私ども現地の陸運事務所、それから関係業界あるいは関係の行政機関、すべての方々の御協力をいただきまして、できるだけ平均化するように、何とか期間内に取りつけられるように、最大の努力をしたいと思います。  なお、取りつけの担保といたしましては、私ども車両検査をしておりますので、検査の際にそれぞれ別途またチェックをしたい、かように考えております。
  159. 本田早苗

    ○本田説明員 自重計の生産の見込みでございますが、生産計画の確定しておるボデーメーカー等から受注を受けたものの数字が七万八千三百個というふうに報告されておりまして、そのほかに見込み生産で生産するもの、それからすでに生産をして在庫をして持っておるもの等を加えますと、いまお話の出ました在来単十数万台の自重計につきましては、期日までには十分供給し得る状況にあろうかと思います。  取りつけ等につきましては運輸省のほうから御説明がございましたが、われわれといたしましても運輸省のほうによく御協力申し上げて、陸運事務所あるいは県の検定所とも連絡をとりまして、なるべく事前に取りつけ点検を行なうように勧奨をしていく。ダンプの所有者が、時期が詰まってから取りつけ点検を集中して行なうことのないようにいたしたいというふうに考えておる次第でございます。
  160. 大久保武雄

    ○大久保委員 まだ説明が明快でないのですが、通産省に伺がいたい。私さっき指摘したように、この修理場といいますか、取りつけ点検をするところが足りないのじゃないかということを質問したのに対してはお答えがなかったわけであります。それは通産省の関係だろうと思いますが、町の看貫屋あたり、とてもそれはこなせるものではない。この辺の動員体制を一体どうやっておられるか。これをひとつ明快に答弁してもらわぬと、できるということが信用できない。
  161. 本田早苗

    ○本田説明員 町の看貫屋というと計量証明事業者というようにいっておりますが、これが全国で約千五百ございます。そのうち県立のものというような公共のもの、あるいは一般的に利用し得ると推定されるものが約百ございます。このほかに既存の車両業者あるいは自動車メーカー、車体メーカーのサービス工場等を含めますと三百数十のものは点検調整の事業をやってもらえるというふうに推定いたしておるわけであります。
  162. 大久保武雄

    ○大久保委員 点検調整を五月から七月末までやるためには千数百工場を動員して一生懸命やらなければ消化できぬだろうということもいわれておる。まあいま通産省から最大の動員能力を発動してやってみたいということでありますから、一応信頼をしておきたいと考えております。  ただ問題は、そういったような点検設備をつくるために若干の投資が要るわけです。ところが今度点検したならばこれは一年間有効ですね。一年間は遊休する設備になるわけだけれども、そういったような投資をそれほど大きい会社でもないであろう事業者にさせるということについては喜んでするものであるのか、あるいは行政指導で、そういう設備をするように何らか適当な指導、助成をしておられるのか、その辺の感触を聞いてみたいと思います。
  163. 本田早苗

    ○本田説明員 自動車メーカー、車体メーカー等のサービス工場につきましては、百万円余りの設備を要するわけでございまして、おっしゃるように、最初の山の点検時期が来ますればあとは一年ごとになりまして、効率の悪い設備になるわけでございますが、せっかく国として交通安全のために自重計をつける、これを活用していくということで、その趣旨をよく説明してできるだけ協力を願おう、こういうふうに考えております。
  164. 大久保武雄

    ○大久保委員 一応信頼いたしておきます。  そこで法律上、自重計の取り付けについては罰則があります。自重計の点検は両省通達ですね。それで適合証という証明書を持っておれということになっておる。そこでさっきの整備部長の答弁は、その適合証を車検のときに見よう、こういうことであろうと思うのです。そうすると二段の規制があるわけなんです。取り付けについてはダンプ規制法によって罰する、その自重計が適正であるかどうかということは適合証を持っておるということによって車検で見ていく、こういう二段がまえの措置であるということで、今後遺憾なく法律が施行されるものであると了承してよろしゅうございますか。これは自動車局長から御答弁願います。
  165. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 そういうことで御了承いただきたいと存じます。  なお、これにつきましては、重ねて申し上げますけれども、全力をあげて御趣旨に沿うように努力いたします。
  166. 門司亮

  167. 浜田光人

    浜田委員 時間がありませんから問題をしぼって質問いたします。  さっきも運輸大臣に所見を聞いたごとく、去る十四日に広島から九州までの弾薬輸送があって、たいへん住民に不安を与えておる。さらに取り締まり当局の警察といたしましても、私たちから見ればずいぶん不必要な時間をかけて警備に当たっておられる。そういう点を考えますと、弾薬輸送というのは、本来基地があるためにこういう弊害が生ずるわけで、根本的には基地をなくさなければならぬと思いますが、本問題と関連して一挙にどうするかということになりましても、政策上の大きな問題でしょうから、それは一応こちらへ置きまして、常識的に考えほんとうにむちゃなこういう輸送の方法をやっているわけですね。そういう点について、むろん公安委員会は火薬類取締法の第十九条によってこれを許して証明書を出しておろうかと思うのでありますが、ほんとうに具体的な今回のような弾薬輸送については、将来どういう措置を講じようと思っておられるのか、まず警察当局のほうから見解を聞きたいと思うのです。
  168. 今竹義一

    ○今竹政府委員 お話しの事件は、去る四月十四日、十五日に運搬した件でございます。これにつきまして警察としましては、火薬類取締法十九条に基づきまして運搬の届け出を受けまして、その際最初運搬の経路は、一たん秋月弾薬庫広支所に運びまして、そこからさらに輸送するというような経路でございましたので、そういうことを含みまして、それで海岸通の川原石から直ちに九州のほうに運ぶようにという経路指定の問題、それから出発の車両につきましても車間距離を置かせるということ等についての車間距離の確保の問題、それからさらに途中で徳山の警察署で指定検問を受けるというようなこと等の安全措置、さらに出発に際しては呉署の係員が積み荷の状況を点検するというような措置を講じまして、火薬類取締法十九条及び二十条による安全確認を処なって輸送をいたしております。  火薬類の輸送につきましては、警察が安全確認の義務を持っております陸上の輸送、それからさきにもお話がありましたように海上その他の輸送、いろいろございまして、私どもとしましては陸上輸送のものについてはこの十九条、二十条という規定の励行によって安全性が確保できるもの、かように考えております。
  169. 浜田光人

    浜田委員 そういたしますと、こういうことで安全性があるから、これからでもそういうことをやったら十九条、二十条によって証明書を出すのだ、こういうお考えですか。
  170. 今竹義一

    ○今竹政府委員 確かに火薬が通行ひんぱんな道路を通るということについて、感情の上においてのいろいろな問題はあろうかと思います。しかし、現に問題になっておる砲弾類等につきましては、私どもとしましてはこの火薬取締法の規定を励行することによって安全性は確保できるもの、かように考えております。
  171. 浜田光人

    浜田委員 あなたら、火薬類取締法で言われるのでしょうが、独立国に基地がある、それから派生するこういう火薬類の運搬ということは本来正常じゃないことは御案内だと思うのですね。したがって、安保条約六条からくる地位協定の三条では、「陸上交通を不必要に妨げるような方法によっては執らない」、こういうことが規定づけされているのですね。私は、さっきも申し上げたように、このわずかのトン数の弾薬を九州まで中国から運ぶのに、しかも九州は、わざわざ前の晩に小倉の山田弾薬庫に行って、さらに翌日は波止場へ出しておるのですよ。当然常識で考えても、あの呉から海上輸送して、しかも狭い下関の水道を通らなくても、手前なんですよ、米軍の岸壁は。なぜ、これをやらさないのか。それをやらすためには、警察はこの火薬類取り締まりのこういう法もあるからといって証明書をお宅がその文書さえ出さなければ、当然私は在日米軍も考えざるを得ないと思うのですね。また、一番簡単な方法なんです。その点についての見解を聞きたい。
  172. 今竹義一

    ○今竹政府委員 確かに御指摘のような狭い国道を通るということについてのいろいろな国民感情の上においての問題はあろうかと思います。したがって、別の次元でこういう方法が妥当ではないかという御意見につきましては、私どもも十分承っておるわけでございますが、現に問題になっておるものについて、この警察の行なった措置は、十分に安全性を確認して行なっておるものと私どもかように存じております。
  173. 浜田光人

    浜田委員 そういたしますと、この運搬された弾火薬類はどういうものが運搬されたのですか。
  174. 今竹義一

    ○今竹政府委員 砲弾類と承知いたしております。
  175. 浜田光人

    浜田委員 砲弾といいましてもいろいろありますね。そういう点……。
  176. 今竹義一

    ○今竹政府委員 内容の詳細については、私承知いたしておりませんが、安全性の相当高いもの、こういうふうにわかっております。
  177. 浜田光人

    浜田委員 基地問題、在日米軍問題といいますと、住民はいろいろ不安を持つ。それは内容も実情もよく知らない点もあろうかと思うのですけれども、それだけ不安があるということは、私は日本のいろいろな役所が実際の内容なりをよくつかんでおらぬと思うのですね。たとえば、いまの問題にいたしましても、公安委員会は、ちゃんと出すときには運搬される火薬類の正常もしくは積載方法について必要な指示をするようになっておるのですね。すると、内容を知らなければできないはずですよ、それは。私たちもかつては、短い距離でございますけれども——国会の答弁でもしかりでありますし、現地で聞きましても、あの辺の輸送は、いわば昔の三八式の小銃弾であるとか、せいぜい陸軍のりゅう弾くらいです。こういうように聞いているのですね。ところが十四日でなくして、十二日に、ここにも出ておりますね、こういうように。これはいまのコースと違うところですよ。また近い弾薬庫に移動している。ところが、それがこれにはロケット弾だというふうに報道されておるのですよ。その内容は、ただ安全であるから、こういうことでは、私はほんとうの指導はてきないと思うのですよ。したがって——時間もおそくなっておりますから、あまり議論いたしませんが、少なくとも、それくらいは常識ですよ、これは。中国路からはるばるあの二級国道、三十一号線だって一日二万六千台なんですよ。二号線なんというのは、もっともっと通っておる。それを延々と何のためにトラックで輸送させるのか、これは警察当局も常識的に考えてもわかると思うのですがね。  それから警察が、こういうむだな輸送をするよりか、こういう方法もあるから、われわれは日本国民の安全を守るためからも、これは出せぬ。これは常識なんです。勇気までも要らぬと思うのですがね。そのくらいのことは当然私はやるべきだと思う。それが——施設庁もおられるが、むしろ日米関係というものは要らぬ摩擦を起こすよりか、将来もスムーズにいくゆえんだと思うのですが、そういう点から考えて、将来に対する警察当局のこういう扱い方の見解を聞きたいのです。
  178. 今竹義一

    ○今竹政府委員 御意見、確かに国民の感情の上からいたしまして、不安を持つ、特にそういう基地周辺の方々が不安に思うということは、確かに十分に察せられるところでございます。私どもそういう国民の気持ちなり考えなりというものを十分理解して行政の処置に当たってまいりたい。ただ具体の案件につきましては、国内におきます他の火薬類一般の輸送体制その他との問題もございまして、それらと比較いたしまして、このことについては、この措置によって安全性は十分に確保されておるものと、私どもかように考えておるところでございます。
  179. 浜田光人

    浜田委員 おかしいですね。そうなると、ここは国内と同じようにやられるなら、国内の火薬類の輸送承諾を与えて、こうしたところであなたたちは警察に保安警備に当たらせている例がありますか。今回のように、これはずっと保安警備に当たっておらぬですよ。これは危険な度合いというものは、一般の国内の火薬、日本人のつくったそういうものを輸送するよりか危険度が高いと思われればこそ、各省に指示されていろいろと手配を講じておられるのだと私は思うのです。ですから、そういう一般的なものの考え方でおりますと、私は危険だと思うのですね。  それから、しばしば言うのですが、内容はほんとうはようチェックしていないのですよ。専門家もあまり警察にはいないですがね。ましてや、それより数日前にロケット弾をこれこれしておると言っておるのですから、少なくともあの時点において、陸上輸送なんかやらすべきではないと思うのです。常識なんです。海上輸送もしくは一段下がっても貨車輸送をやらすべきなんだ。何千トンもあるなら狂うでしょう、貨車を入れるのに鉄道もなかなか操作できないかもしれぬ。しかし、わずか一両か二両の貨車のものなんだから、向こうが困難だといっても、やらすべきでしょうね、国民の安全を守るためには。ほんとうに安全だと言われるけれども、チェックをようできやしません。しておらぬし、またそれだけの危険度というものは、現地の警察がおのおの知っておるから、またそういう指示も出されるのだから、こういう点については、お宅だけでは困難でしょう。防衛庁やら運輸省やら一体になって、ほんとうに国民の不安を除くという立場で、再びこういう輸送法をとらすべきではないと思うので、強く要望、要求いたしておきますから、協議し合って、その輸送方法を変えさすようにやっていただきたい。  さらに今度は、その交渉は施設庁のほうにやってもらわなければならぬので、施設庁は、いま言ったような経緯から、当然ぼくは海上輸送ということを在日米軍に要求すべきだと思うのですが、その点について見解を施設庁長官から。
  180. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 輸送の安全性ということについては、警察当局においても十分御配慮いただいておることと思いまするが、私ども施設を提供しておる立場におる者といたしましても、この米軍基地付近におきましていろいろ治安上あるいは輸送上危険の感じを与えるというようなことももちろん好ましくないことでもありまするし、万一のことも考えられぬこともないというような状況でございますので、今後とも関係機関ともよく連絡をとりましてできるだけ安全な方法をとってもらうように、米側にも、あるいは関係機関にも要望するようにし、そして今後安全を期するようにいたしたい、こういうふうに考えております。
  181. 浜田光人

    浜田委員 要望だけじゃだめなんですよ、具体的にあなたが窓口なんですから。軍と具体的に交渉してやらすんですよ、いま言ったように海上輸送か貨車輸送が常識なんですから。広の火薬庫から八本松の火薬庫に貨車輸送がいまできないからと言ってトラック輸送している。これを貨車輸送せいということなら、それは無理かもしれぬ。しかし、あの長距離間、こんなことは安全を守ろうとすれば常識じゃ考えられぬでしょうが……。これは要求してもらわなければならぬ。そうして、将来は変えさす。ほんとうにそこに必要があるんなら変えさせて、貨車輸送か海上輸送をさせる。またそれが何千トンというものをトラックで輸送する、これもまたたいへんだから、少なくともいまのような状態のときには海上輸送あるいは貨車輸送、これらに切りかえさす。これだけの交渉はぜひやって実現させてもらわなければならない。その決意を再度聞くのです。それから警察にもう一点聞いておくのですが、実は日本のトラックで輸送するときはいま二十四時間前に届けして書類をもらう、こうなっておるんですね。ところが、軍のトラックでやるときには無警告でやれるわけですよ。やっておるんですね。そういう点どういうふうにお考えになっておりますか。
  182. 今竹義一

    ○今竹政府委員 米軍が直接火薬類を運搬する場合につきましては、昭和三十五年の十二月にそういう火薬の輸送につきましての日米合同委員会の特別分科委員会の取りきめがございまして、二千ポンド以上の火薬を運ぶ場合、可能な限りあらかじめ運搬の通知を、この当時は、県当局、いまは警察当局にする、こういうこと。その他そういう輸送についての、たとえば火薬という表示を掲げるということであるとか、その他いろいろと順守すべきことをお互いに協定いたしまして、それによって実行いたしておるわけであります。
  183. 浜田光人

    浜田委員 私はそれがけしからぬと思うのですよ。さっきも申し上げたように、なぜそういうように特権を認めるのか。さっき言った地位協定の三条の二項に「不必要に妨げるような方法」はとってはならない、こうなっておる。それはやはりあの日本のトラックへ下請に出したときは、当然おたくのほうに了解をとって、それに対処してやる、こういう手段を講じておるわけです。ところが米軍のトラックで日本人のドライバーが運転しておるときには無警告でどんどんやってもいい、いまのような協定だと。協定はこの下のものですからね、これから出てこなければならぬのです。なぜそういうようなこと、だから摩擦を起こさぬでもいいことが起きているのですよ。それを防衛庁、きのうの新聞を見ますと、現地ではそれをいろいろ市議会の各党の代表者が行って話をすると、危険じゃない、米軍のことを考えてやれとかそういうことを言っているから、住民はなおさらアメリカのほうばっかり肩を持ってわれわれ国民や住民のことは考えてやせぬのだろう、こういうことになるのですね。ましてやいまのような、当然在日米軍の権力というものは運用でも少なくしていかなければならないのに、それを拡大して権限を与えてあるような、それは私は全く納得いかぬ、けしからぬと思うのです。どうされますか、将来、それは。
  184. 今竹義一

    ○今竹政府委員 在日米軍の砲弾類につきましてのこの火薬類取締法との関係につきましては、従来から在日米軍の地位等の関係で問題がございまして、現在までの形では、先生のお話しのとおり、日本人の運送業者が運転する場合は日本の火薬類取締法の手続によって実行していく。米軍の軍用車で輸送する場合につきましては、火薬類取締法を尊重しまして、いろいろとそういう輸送の車両に標識をつけることであるとか、あるいはその他先導車をつけることであるとか、あるいは通路等について警察に通知し、また警察と連絡して、いいとなった通路を通らなければならないというような事故防止のもろもろの取りきめをいたしております。そういうことによって事故のないようにいたしておるわけであります。
  185. 浜田光人

    浜田委員 どうもかみ合っておらぬけれども、時間がないですから、最後に、これからは警察当局はそれを十九条に基づいてやられるときには、届け出があったら必ず内容をチエックして、そしてほんとうに危険があるかないか、形式的なものじゃなくしてきちっとして、そしてそれの書類発行をやる、こういうことはお約束できますね。ぜひやってもらわなければいかぬ。それからそういうものは、さっき申し上げたように当然他に安全な輸送方法があるとするならば、まずそれを軍にそういう方法でやれ、こういう交渉をやるということ。こういう二点をひとつ確約できますね。  最後に、施設庁は、交通関係で、運搬関係で、問題点を指摘するとたくさんあるのです。たとえば道路公団関係、今回の場合でも全く打ち合わせもやらずしてやっておる。何か特権的な権力を持ったようなやり方をやっておるわけです、関門海底の道路を通るのなんかは。私はあらかじめそういうことについては、米軍ときちっと取りきめをしておくべきだと思うのですよ。少なくともこういう所々方々で、基地の問題はこれからもなおさら起こってきますからね、そういうことを日本の法規定は順守することになっておるのだし、当然それはきちっと守らせますし、さらにそれからくる日米地位協定あるいは安保条約にいろいろ拡大解釈されている点がたくさんあると思うから、それらはやはり住民の不安を、あるいは危険を防止するというたてまえで、軍とはきちっとした取りきめをやっておっていただきたい。これは長官当然のことながらやれるということを言われると思いますが、決意のほどを聞いて質問を終わります。
  186. 山上信重

    ○山上(信)政府委員 輸送の問題につきましては、実は施設庁は当面担当となっておらないのでございます。対米関係につきましても、われわれのところまでは施設の提供、その管理ということがその任務となっておりますので、ただいま御質問のありました点は、それらにつきまして私のほうが直接どうするということはいかがかと思いますが、御趣旨の点はよくわかりますので、関係の警察あるいは運輸当局等に十分連絡をとりまして遺憾のないようにやってまいりたい、こういうふうに考えております。
  187. 今竹義一

    ○今竹政府委員 お話しのように住民に不安を与えないようにすること、これは御指摘のとおりでございまして、今後輸送の方法について、私どもとしても不安を与えないように十分努力をいたしたいと思っております。  なお、火薬類の輸送について万々事故があってはならないこと、これまた御指摘のとおりであります。事故のないよう今後とも十分に措置してまいりたいと考えております。
  188. 門司亮

    門司委員長 次回は公報をもってお知らせすることといたしまして、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十二分散