運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1968-03-19 第58回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十三年三月十九日(火曜日)    午前十時十九分開議  出席委員    委員長 門司  亮君    理事 大久保武雄君 理事 大竹 太郎君    理事 木部 佳昭君 理事 登坂重次郎君    理事 濱野 清吾君 理事 板川 正吾君    理事 河村  勝君      稻村左近四郎君    浦野 幸男君       加藤 六月君    亀山 孝一君       河野 洋平君    太田 一夫君       只松 祐治君    松本 忠助君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    宮崎 清文君         警察庁交通局長 鈴木 光一君         運輸省自動車局         長       鈴木 珊吉君  委員外出席者         通商産業省重工         業局次長    本田 早苗君         運輸省自動車局         整備部長    堀山  健君         参  考  人         (社団法人日本         自動車工業会安         全公害委員会委         員長)     家本  潔君         参  考  人         (日産自動車株         式会社取締役副         社長)     岩越 忠恕君         参  考  人         (トヨタ自動車         工業株式会社取         締役社長)  斎藤 尚一君         参  考  人         (日本自動車タ         イヤ協会最高技         術会議委員長) 松平 信孝君         参  考  人         (社団法人日本         自動車工業会理         事事務局長)  櫻井 淑雄君         参  考  人         (日産自動車株         式会社取締役) 原  禎一君         参  考  人         (日本自動車タ         イヤ協会専務理         事)      林 紀子夫君         参  考  人         (トヨタ自動車         工業株式会社取         締役)     藪田 東三君     ————————————— 三月十五日  交通事故被害者救済対策に関する請願(進藤  一馬君紹介)(第二八二〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件(自動車の安全に関す  る問題)      ————◇—————
  2. 門司亮

    門司委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めたいと思います。  本日は、自動車の安全に関する問題について、参考人として、日産自動車株式会社取締役社長岩越忠恕君、トヨタ自動車工業株式会社取締役社長斎藤尚一君、社団法人日本自動車工業会理事事務局長櫻井淑雄君、日産自動車株式会社取締役原禎一君、日本自動車タイヤ協会専務理事林紀子夫君日本自動車タイヤ協会最高技術会議委員長松平信孝君、社団法人日本自動車工業会安全公害委員会委員長家本潔君、トヨタ自動車工業株式会社取締役藪田東三君、以上八名の方々の御出席をいただいております。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、厚くお礼を申し上げます。  本日は、自動車工業界及び自動車タイヤ工業界における安全に関する問題の現状及び今後の対策はどうなっているか等、それぞれの立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の順序について申し上げます。時間の都合もありますので、御意見の御開陳は、家本参考人岩越参考人斎藤参考人及び松平参考人順序で、お一人約十分程度にお願いをいたしたいと存じます。次に、委員からの質疑がありますので、その際、参考人各位から十分お答えをいただきたいと存じます。  それでは、家本参考人からお願いをいたします。
  3. 家本潔

    家本参考人 私、ただいま御指名をいただきました社団法人日本自動車工業会安全公害委員会委員長をいたしております家本潔でございます。  さて、本日は、お手元に差し上げました陳述要旨に基づきまして、自動車業界全体としての自動車安全対策につき、どのような現況にあるかを申し上げたいと存じます。  まず最初に、自動車業界としての交通安全に対する姿勢でございますが、本工業会はお手元陳述書に添付いたしました組織を持ちます安全公害委員会を設置いたしまして、交通安全についての技術的な検討を行なう一方、一般的な交通対策といたしましては、交通対策委員会を設けまして、交通安全に関する諸問題の検討を前向きに進めておるわけでございます。  いま申し上げました委員会組織並びに各委員会もしくは部会に所属いたします委員の人数もその資料に書き込んでございますが、延べ人員は二百五十四名でございまして、いずれも工業会に所属いたします各社の中堅以上の技術者をもって構成されております。各委員会もしくは各部会もしくは分科会は、原則として月一回でございますが、昨年度におきましての活動状況はおおむね平均一・五回にのぼります。特に大型車対策部会におきましては、昨年度に多くの課題をかかえておりましたために、二十回にわたる委員会を開催いたしております。  なお、自動車産業全体といたしまして、交通安全問題に対処する趣旨をもちまして、自動車関係団体、すなわち自動車工業会自動車工業振興会自動車販売協会連合会小型自動車販売協会連合会部品工業会車体工業会整備振興会日本自動車タイヤ協会自動車機械工具工業会及び自動車技術会の十団体によりますところの自動車産業交通安全対策協議会を去る二月二日に設置いたしまして、さらに広範な問題に対して活動をする心組みで進めておるわけでございます。  次に、先般運輸省当局より御提示のございました安全規制強化十四項目につきましては、業界といたしましては、交通安全問題の重要性にかんがみ、各社技術者を動員いたしまして、前向きの積極的な姿勢でこの問題に取り組みまして、その検討いたしました結果を先般運輸省当局へ提出いたしました。  わが国の自動車に対する安全規制は、すでに御承知のように保安基準がございまして、生産過程におきましても、整備段階におきましても、きわめて厳重な監督下にございます。したがいまして、この点から見ますと、日本自動車安全管理は世界のうちで最もすぐれた状態にあると申して過言でないと存じますが、交通環境変化等に対応すべく、新たなるこの十四項目に対しましては、ただいま申し上げましたごとき検討過程を経まして、業界といたしまして若干の修正並びに追加意見を申し上げましたが、これとともに、各項目を確実に具体化していくために必要な設計もしくは検査に関する基準案業界としては積極的に提案申し上げた次第であります。  実施の時期につきましては、提示されました時期が、すでに六九年型車設計各社とも完了をいたしておる時期でございまして、常識で申しますと七〇年型よりの実施が望ましいのでございますが、現下の交通安全の問題の重要性にかんがみまして、できるものは一日も早くこれを実施すべきであるという趣旨をもちまして、一部の例外を除いて四十四年四月生産の車から実行に入りたいという希望を運輸省当局に申し上げた次第でございます。  次に、業界といたしまして自主的に自動車安全対策一つ目標を定めました十項目について申し上げたいと存じます。  すなわち、運転者の誤操作を防止する目的をもちまして、コントロール類の配置並びに表示基準化する、トランスミッションのチェンジレバーの操作の型並びにインターロックの方式を基準化する、ブレーキホースをさらに一そう安全性を高める一つ目標を定める、あるいはクロームメッキ等から反射してまいります光が運転者視野を妨害しないための処置をする、シートベルトを取りつけられるようにする、突起物をなくすようにする、ボンネットに二重のロックをつける、あるいはサイドターンシグナル等を取りつけるということを、業界の第一次の申し合わせといたしまして、これを六九年型から実行すべく進めてまいっておる次第でございます。  このように私ども自主規制を申し合わせましたねらいといたしましては、現在すでに新型車につきましては非常に進んだ安全装備が施されておりますが、既往の車の中にはまだ不十分のものもなしとしない状況でありますので、全体のレベルアップをはかる目的でこのような基準をわれわれの最低目標として設定をいたしたわけでございます。  以上のように、私どもは安全の問題についてはできるだけ積極的な姿勢で臨んでおるわけでございますが、今後さらに安全対策を進めてまいりますのには、十分な基礎調査と、それから基礎調査に基づく方向づけができましたならば、それを具体化するための実験研究の積み重ねが必要であるということを特にこの機会に御理解いただきたく申し上げる次第でございます。  次に、安全対策に関する共同研究体制の確立について申し上げます。  業界では、各企業別に安全に関しましては相当な投資を行ない、かつ研究陣を動員しておるわけでございます。一例を申し上げますならば、日産、トヨタ両社におきましては、それぞれ本年度の安全研究予算をほぼ四十億ときめておるような次第でございまして、このような金額は世界的に見ましても相当高率な投資であると存ずる次第でありますが、さらに一そう総合的な効果をあげるために、業界といたしまして共同研究体制を進めておる次第でございます。現在、茨城県に敷地約七十五万坪、一周約五・五キロメートルの自動車高速試験場業界として持っておるのでございますが、いままで主として走行性能テストに用いておりましたのを共同研究所に拡大発展させまして、自動車の安全公害問題を抜本的に研究したいという方向検討を進めておる次第でございます。  なお、この場所に通産省の安全公害センターの用地として敷地の一部を提供することになっておりますので、これによりまして官民共同研究体制が一そう前進することを期待しておる次第でございます。  次に、交通事故追跡調査について申し上げたいと存じます。  御承知のとおり、交通安全対策には、事故実態を科学的に究明する必要がございます。すでに航空、鉄道、船舶等におきましては、国家予算によりまして事故実態究明が行なわれておりますが、自動車につきましては、いまだそのような体制ができておらないのであります。四十二年度におきまして初めて自動車技術会を中心とし、政府補助金業界協力のもとに死亡、重傷事故追跡調査を行なうことにいたしました。総予算は二千百万円でございまして、うち補助金千三百万円をいただいたのでございますが、この結果につきまして近く公表される予定でございますけれども、私どもとしては、今後の安全技術対策に貴重な資料が得られることを期待いたしております。なお四十三年度におきましても引き続きこの種の調査を行ないたい所存でございますけれども、こうした追跡調査業界行動としては限界を越えるものでございまして、ぜひとも政府によって将来大きく取り上げられることを希望いたす次第でございます。  次に、当会の一般交通対策について申し上げますと、まず第一に、歩行者対策といたしまして、対歩行者安全実験を、先ほど申しました谷田部の自動車高速試験場におきまして四月の上旬に実施する計画を進めております。このねらいといたしましては、乗用車トラックに対する歩行者関係を、速度もしくはその他の条件において衝突の際にどのような現象が起きるであろうかを確かめる目的でございまして、先ほどの事故実態調査同様、今後の自動車安全対策技術面で貴重な資料が得られることを期待いたしておるわけでございます。  第二には、ドライバー対策でございますが、その一は、ドライバー安全運転向上をはかる趣旨をもちまして、二輪車、四輪車それぞれの安全教育映画を作製いたしまして、県警、学校等に配付し、効果をあげておるわけでございますが、さらに安全運転指導書、特に二輪車につきましては目下編さん中でございます。  その二といたしましては、自動車教習所指導員の質の向上をはかるために、日本自動車教習所協会とタイアップいたしまして、全国的に再教育実施計画を進めております。  次に、一般交通対策の第三といたしましては、都市交通渋滞が問題となっておりますので、目下都市交通の流通に関する基礎調査計画検討いたしております。この調査のねらいは、都市交通渋滞の原因を探求の上、これが対策を把握し、関係当局施策資料を供したいとの所存からでございます。  次に、冒頭に触れました自動車産業交通安全対策協議会について申し上げたいと存じます。この協議会は、自動車産業が一体となりまして交通安全対策の問題に取り組むために、アメリカ自動車交通財団にならって、自動車交通財団の設立について研究をいたしております。  最後に、安全基準国際性について申し上げたいと存じますが、御承知のとおり自動車はお互いに輸出されており、その意味で広い国際性を持った製品でございます。メーカーといたしましては、各国がばらばらに安全基準を行ないますことは、生産上非常な支障があるわけでございます。私ども国際団体でありますところの国際自動車会議所はこの問題を取り上げまして、昨年秋、安全基準国際的統一方について各国政府に要望をいたしております。なおすでにこの線に沿って、安全基準につきましては国連及びECEでは積極的に検討が進められておりますので、われわれといたしましても、一日も早くこの機関正式メンバーに参加せられまして、以上の国際的な問題の解決に役立たれることを希望いたす次第でございます。  以上をもちまして私の陳述を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  4. 門司亮

    門司委員長 ありがとうございました。  それでは次に岩越参考人お願いをいたします。
  5. 岩越忠恕

    岩越参考人 ただいま御指名のありました日産自動車岩越でございます。  当社安全対策実情について御説明いたします。  自動車を製造いたしますまず第一の条件は、昭和二十六年に運輸省が出されております道路運送車両法に基づく保安基準によりまして、最低限度の構造の問題、装置の問題、性能についての基準が定められておりますので、これによって自動車設計され、製造されておるのでありますが、近来問題となっております安全の問題というのは、アメリカ安全基準昭和四十一年の三月に出されて以来の状況、また四十二年の十月に将来の問題として四十七項目が大体示されたということによりまして非常に大きく取り上げられているのでありますけれども、実際問題といたしましては、われわれとしては最低限度基準ということについては、常に守ったものをやっておるということがいえると思うのであります。自動車安全対策といたしましては、道路などの施設あるいは運転する人の面に対する対策も重要でありますけれども、われわれとしては、車両自体安全対策を最重点として努力してまいったわけでありまして、今後もその対策研究及び実施方向最大限努力を払うつもりでおります。  自動車安全対策といたしましては、事故未然防止する対策でありまして、一つ事故が生じました際に、人身に対する傷害最小限度にとどめる対策であります。したがいまして、この事故防止対策といたしましては、自動車からの視野を広くする、視野をどういうふうにして確保するか。また自動車がどういう行動を示すか、あるいはどこにあるかというような表示の問題、あるいは制動能力を確保する問題、あるいは運転の誤りをしないような防止の措置などがありまして、これなどは従来からも多く研究され、また実施されてきたわけでございます。  傷害防止対策は、三、四年前から特に重視されたもので、車外歩行者二輪車など、直接に衝突の際に傷害の起こることを防止する対策衝突によって塔乗者が車内で傷害を受けたり、あるいは車外に投げ出されて人身事故となることを防止する対策や、衝突後の火災などの災害を防止したり、救出の妨げになることのない対策でございまして、これらは第二次衝撃衝突によって起こった事故というものに対しての対策であります。当社といたしましても、これらの対策開発部門重点施策といたしまして、研究設計実験、試作及び品質保証体制最大限努力整備しながら、多大の開発費を投入しましてこの対策を推進しておる次第であります。今後もさらに努力を続けるつもりでおりまして、四十二年度までにそれぞれの開発部門の使いました費用も相当なものでございまして、現在発売しております車両にその成果を生かしておりますし、今後もさらに安全化方向努力するつもりでおります。これまでは、安全対策に関する資料というものが国内においては少なかったために、十分な統計的な解析が困難でありましたので、米国内での研究機関資料政府規制などかなり参考として進めてまいりました。しかし、今後は自動車技術会で昨年九月に実施しました自動車事故解析調査をはじめとする各種資料や、メーカー独自または工業会として共同で行なった解析実験など、資料もだんだんと整いつつありますので、かなり効果を予想できる対策が立てられる段階にまいっておると考えております。また、政府安全規制や学会などで制定しつつありますところの安全に関する諸規格につきましても、積極的に意見を出しまして、また一般の人からの提案についてもその成果を早く実現するように、協力体制を整えておる次第でございます。  以上のような趣旨によりまして、実際に安全対策内容、どういうふうにして事故未然防止するか、事故が起こった際に生ずる第二次衝撃というものに対してどういうふうにやるかということが、それぞれの部門において研究開発されておりまして、これが研究されましたことによりまして、従来よりも視野の確保というようなことにつきましても数倍の広さになっている、あるいは明るさになっているということが現実の事実としてあらわれておりますし、内容的にも今日の車両というものには幅広く取り入れられているということを申し上げてよろしいというふうに思っております。  内容につきましては、こまかいことがたくさんございますが、簡単に当社の現在対応しておる実態につきまして御報告いたしまして、陳述にかえる次第でございます。
  6. 門司亮

    門司委員長 どうもありがとうございました。  次に、斎藤参考人お願いを申し上げます。
  7. 斎藤尚一

    斎藤参考人 トヨタ自動車斎藤でございます。  ただいま岩越参考人が申し上げましたとほとんど同じでございますので省略させていただきたいと思います。
  8. 門司亮

    門司委員長 ありがとうございました。  次に、松平参考人お願いをいたします。
  9. 松平信孝

    松平参考人 松平でございます。自動車タイヤの安全の問題について申し上げたいと思います。  自動車タイヤは、御承知のように、世界的にどこでも同じ規格でつくられております。そして、同じ規格でつくられるようになっておるわけでありますが、多少各国によりまして、その車の種類によって多少の違いがありますが、一般的にそういう状態であります。しかも使われるのは、新しいタイヤ、またはそれがだんだん古くなって使い古したタイヤ、いろいろの使用条件が変わってきております。ここらに自動車タイヤの安全の問題に非常にむずかしい点があると思います。  これから、差し上げております印刷物について申し上げたいと思います。  まず第一に、アメリカ自動車タイヤ安全基準、これができましたが、それについて申し上げたいと思います。  アメリカは毎年五万人ほどの死者、百数十万人のけが人が自動車事故で出ております。これは非常に大きな問題でありますので、自動車運輸安全法というのがこれに基づいてできまして、自動車タイヤ安全基準もこれによって出たわけであります。アメリカでは、この安全法は、交通安全の教育道路施設その他の改良自動車及びその付属物改良、こういう三つの柱によって安全の問題を解決しようとしております。初めの二つは、大体アメリカで前々から実行されておったのでありますが、さらにこれを強化し、今後自動車とその付属物の安全問題に取っ組もうというのが今度の安全法でございます。  それで、自動車タイヤにつきましては、現在きめられておりますのは、新品の乗用車タイヤ安全基準というのがきめられております。これは各種タイヤの寸法をきめ、それぞれの強さ、それぞれの耐久力試験及び高速試験に合格するかいなかということによってこのタイヤ規格をきめ、それぞれのその合格した品物使用される、あるいは販売されるということになっております。合格した製品にはマークを入れます。そのタイヤサイド面に、横に空気内圧それから最大の負荷量というようなものを入れまして、一般の人にわかりやすくするのが、この基準法でございます。大体これはことしの正月初めから実施されることになっておりますが、今後は小型トラックタイヤ大型トラックタイヤまた将来はリキャップタイヤの安全の問題もきめられることになっております。  次に、この自動車安全基準に対して日本タイヤ業界はどういうふうに具体策をとったかということについて申し上げたいと思います。  米国のこのタイヤ安全基準試験は、一番大きな問題は耐久力試験であります。これは普通八十キロメートルの速力で走らせて試験をいたします試験基準であります。また高速試験は八十キロからだんだんスピードを増しまして、百三十六キロまで耐え得るかどうか、こういう試験を行なっております。日本では名神国道ができるようになりましてから、だんだんと高速で使うところのタイヤがふえてまいりました。また実際にそういう道ができたので、この高速での使用タイヤ実情がわかるようになってまいりました。それまではほとんど五十キロ以上のスピードを出して走ることができませんので、そういう試験はできなかったのでありますが、こういう道ができ、また実際の試験機とこの実地の速度での試験の成績との関係もだんだんわかるようになってまいりました。そういうようなときにアメリカタイヤ安全基準というものが出ましたので、各社ともこれにできるだけマッチするような方策をとりまして、ここ一年間ほど研究したのでありますが、どこの会社も全部タイヤ安全基準にその性能が合格しております。この印刷物の一番最後参考にあげてございますが、各社米国安全基準に通ったか通らないかというそのコードの番号が各社に下げられてきておるわけであります。それで本年の一月からタイヤ会社で製造しておりますところのタイヤアメリカに輸出しておるものは全部合格された品物が出ておるような実情でございます。  さて、先ほど述べましたように小型トラック大型トラック、また将来の問題でありますリキャップタイヤというような、修理のタイヤというようなものにつきましての安全の問題がこれからの研究の焦点になるわけでございますが、これに対してはいろいろまだ問題が非常に複雑でありますので、結論は出ていない状態でございます。  第三番目に、タイヤ安全対策に対する企業の考え方を申し上げます。交通事故がだんだんと激増しておりますので、自動車タイヤの製造、販売をしております立場から、できるだけこれを最小限に持っていきたいというのがわれわれの念願でございまして、一生懸命にこの努力をしております。できるだけこの目的に沿うような性能を持ったタイヤ、すなわち高速安全性がある、耐久力がある、また操縦性もよろしい、すべらない、また自動車が振れないというふうな性質を備えたタイヤをつくるようにいま努力いたしておるわけでありまして、また安全の問題に対しましては、タイヤ協会内にタイヤ安全委員会というのを設けて各社共同でこの安全対策を進めておるような現状でございます。ただ一つ申し上げたいのは、日本では乗用車のみならずバン型の、小型を含めた小型トラックまたは大型トラックによる事故が非常に多いわけでありますが、ここで、先ほど述べました運輸省令によるところの保安基準で、トラックタイヤにつきましては特別に規格以上の過荷重が認められておるわけであります。この保安基準ができました当時は、五十キロ以上の速力で走る道がなかったわけでありますから、これでよかったのでありますけれども、現在のように各地で高速の道ができておるときには、高速で走れば自動車はあるいはタイヤも同様でありますけれども、それに持っておる慣性、イナーシアはその速度の自乗に比例するわけでありますので、速度が非常に早くなるということは非常に大きな影響があると思います。また、ブレーキをかけてもとまりにくいわけでありますので、こういう点で高速運転されるときにはこの点が考慮されるべきではないかと思います。また、同時に一番初めに申し上げましたように、自動車タイヤは世界じゅう同じ規格でつくっておるわけでありますので、できるだけこの規格に合わせたいと思うのでございますが、日本で、こういうふうな特殊な基準がありますために、なかなかこれが合わせにくいことがあります。こういう点は安全問題の解決のためにはすっきりしなければならぬ問題ではないかと私は思うわけであります。  それから、タイヤの安全問題に対しての研究開発でありますが、各社研究開発でありますけれども、まず、第一にちょっと詳しく説明いたしますが、使用条件、すなわち速度とか荷重とか空気圧というような問題であります。これはタイヤ基準になります。自動車タイヤ高速試験機で走らせます、またときによって特別にスタンディングウェーブが起こるような試験をいたします。そういうような、また、実際に名神高速で走ったような場合、また、谷田部の高速試験場で走らせた場合、また、自動車のサーキットで実際に運行させ、こういうような実際の試験の結果を見たときに、速度が早くなって荷重が大きくなるとタイヤの発熱は多くなる。そうしてタイヤが早くいたむ、また破裂するわけであります。このタイヤの破裂をできるだけ防いで使うというためには、空気圧を常に一定に保つということが必要でありますが、これは自動車タイヤのメーカーの仕事でありませんので、実際に使う人の管理の問題になってくるわけであります。これはわれわれの管理外の問題になっておるので、この点非常にむずかしいと思いますが、だんだんと空気漏れの少ないところのチューブレスタイヤ、こういうようなものがだんだん安全走行のためには必要だといわれておりますので、こういう方面にだんだん向けていかなければならぬのではないか、こういうように考えておるわけであります。  また、耐久力でありますが、タイヤ耐久力を強くしようと思えば、タイヤに使いますところのコードの枚数をふやすとかいたしますれば、耐久力、強さは増してまいりますけれども、これを高速で走らせますと、そういうふうにしたものはかえって発熱が多いわけであります。強くしようとすれば発熱が多い、こういうジレンマを——タイヤコードをできるだけ細くしてしかもじょうぶなコードを使うというようなこと、すなわちナイロンとかポリエステルのコードのようなものを使って、薄くて同じだけの強さのタイヤをつくるというようなことにいたしまして、発熱にも強い、高速にも耐え得るタイヤをつくるというようなことをやっておるわけであります。今後は幅の広いタイヤ、またラジアルタイヤというように、構造の面も改造いたしまして、そうしてより高速に安全なタイヤ生産というものに心がけております。また振れとか、すべりとか、道路面把握、またそういうような自動車操縦性関係のある問題について申しますと、自動車運転に支障を来たさないように、トレッドの模様とか、あるいはトレッドに使いますゴムの質とか、あるいはタイヤの構造というようなものをいろいろと研究しておりますが、また工場で製造いたしますときも、いつも品質が一定するような加工方法をとるような設備をやっておって、しかもタイヤのバランスをできるだけ一様にし、そして振れの少ないタイヤをつくるということに努力をしておりますが、これもある程度の限界があります。また、自動車タイヤメーカーのほうでは、オートレース用のレーサータイヤもつくっております。これはレースをやるのがほんとうの目的ではないのでありまして、高速で安全なタイヤ、また、横すべりのないタイヤ、いろいろそういう高速の安全タイヤの技術につながりますのでこれをやっておるわけであります。また、雨水だまりの道路あるいは雪の上、氷の上でのタイヤのすべりというようなものも研究の対象となっております。  それからタイヤの損耗度でありますが、タイヤが摩耗して模様がなくなれば、すべりどめの効果がなくなるわけであります。タイヤには、ウエヤーインジケーター、安全サインというのがつけてあります。こういうようなタイヤでありますが、新しいタイヤはこの模様でありますけれども、これがだんだん減ってまいりますと、こんなふうに変わってまいります。それがもう一つ減りますと、こういう状態にまで減ります。ここのところに安全のサインが出ております。こういうふうにして、大体の、最小限度ここまで使えばもうタイヤを取りかえるかあるいは修理するかというような限界を示しております。こういうのをタイヤのメーカーで協会と打ち合わせて宣伝もし、PRもしておるわけであります。新品のタイヤに比べて、使い古したタイヤはどのくらい強さが残っておるかというのは、これは使い方で全部違います。幾らまで走ってもだいじょうぶということは言えないのでありまして、これは使い方がじょうずであれば強さが残るし、使い方が悪ければ早くいたみます。じょうずに使ったタイヤは数回のリクリエート、修理もききますが、そうでなければ早く、一回でもう使えないタイヤになると思います。アメリカ安全基準ができておりますけれども、こういう点については、全然いまのところは問題に触れていない。非常にむずかしい問題でありますので、問題にしておりません。こういうような実情でありますが、われわれはこの現状にあきたらずに、できるだけいろいろの点で、材料の面、構造の面あるいは生産の技術の面におきましても一そうの安全タイヤの製造に努力するつもりでおります。  それから安全の問題に対して各企業はどんなふうにやっておりますかと申しますと、数年前から、合理的にタイヤ規格をきめるために、日本自動車タイヤ協会内に道路委員会試験委員会というのを設けておりまして、それで共同で実地の試験をやっております。その結果、JIS委員会設計委員会とも打ち合せまして、だんだんとその試験を続行しておるわけであります。また、企業の内部におきましても、それぞれ試験設備を整備して、実地試験をやっております。また、名神国道が開通してからは、いままでできなかった高速運転、また谷田部においてもそういうような試験をやりまして、高速運転時の安全問題というようなものをだんだんと解明することができる状態になってきております。試験機としましては、現在三百キロ以上の時速で走るところの試験機もありまして、それで試験も行なっておるわけであります。現在名神で走っております高速バス用のタイヤというのは、百キロ以上も走ることができまして、それで故障が少ないのでありますが、そういうのはこういうような試験機研究した結果でございます。それからまた先ほども申しましたが、レーシングタイヤ研究は、高速時においてのタイヤの破壊現象とか、道路の把握力の改善、高速でカーブを切ったときの横すべりの防止、特に雨中でのレースの安全走行というような、極端な条件での試験をやりまして、そうして安全タイヤ設計に貢献したい、こういうわけでございます。大小各種タイヤの回転試験機だとか、操縦性試験機高速タイヤ試験機とか、あるいはスキッドパット、ハイドロプレーニング試験設備等、各企業でいろいろな安全なり高速につながるところの試験を現在やっております。また、そういう設備をしておりまして、最近では毎年全体で約一億ぐらいのそういうような設備の投資をしておるわけであります。それから名神国道、谷田部の高速試験場その他自動車サーキットを借りまして、実地試験をやっておりますが、普通の道では高速の走行はできませんので、そういうような試験をやっておりますが、毎年これにやはり一億ぐらいの試験費をかけております。この試験費の中にはタイヤ試験代は大体含まれていないのであります。  最後に、消費者に対しての安全走行のPRの問題について申し述べます。  先ほども申し上げましたように、タイヤは新しいタイヤをつくるだけが一応自動車タイヤ会社の責任でありますけれども、しかしこれが安全に運転、走行されるためには、最後までその安全が保たれる必要があります。そのためには、どうしても実際に使われるところの消費者に安全のPRをする必要があると思います。それで各社各社発行のPRの雑誌あるいはタイヤ使用方法等の解説的なパンフレットを盛んに出しておりますが、またその使用の方法、高速走行に対してどういうふうになっておるかというようなことを、タイヤ協会を通じて、これは「タイヤの正しい使用法」というのを前に出しましたが、目下新しいのをまたつくって出そうとしております。近日これを消費者の各位に配ると思いますが、できれば全国の一千万台になる自動車の保有者各位あるいは潜在するところの免許所有者にも、実際にこういう点が行き渡るようにするためには非常に大量の頒布が必要になってくるわけで、この費用は一タイヤ協会だけではちょっとまかない切れないものだと思うわけであります。これを何とかしたいと、こういうふうに考えております。また、業界はテレビあるいはラジオを通じていろいろとこの自動車の安全の問題について現在PRをしておる現状でございます。  以上述べましたように、自動車タイヤ各社自動車タイヤ協会と連合いたしまして現在われわれのやれる範囲のところはやっておりますが、まだ多数の問題が残されておると思うのでありまして、いま盛んに日本一般で安全問題が論議されておるときでありますので、われわれもこの線に沿いましてできるだけ努力したいと思っております。
  10. 門司亮

    門司委員長 どうもありがとうございました。  以上で四参考人からの御意見の御開陳は終わりました。     —————————————
  11. 門司亮

    門司委員長 質疑の通告がございますので、順次これを許します。大久保武雄君。
  12. 大久保武雄

    ○大久保委員 ただいま参考人からの御意見を承りましたが、この委員会は交通安全の問題を取り扱っております。昨年は交通安全を政治の上にのぼせた非常に画期的な年でございました。本委員会におきましては、通学路や踏切道を整備する法律、ダンプの取り締まり法を制定いたしましたし、道路交通法の改正も成立をいたしたわけであります。また、四十三年度予算には交通安全対策予算が五百九十七億円計上され、引き締めの際にもかかわりませず、前年に比しまして実に四七%の増額が行なわれたような次第であります。  一方、自動車日本における保有台数の将来というものは非常な大きな増加が見込まれておるようでございまして、ただいますでに一千万台をこえておる。四十六年には一千六百万台になる。六十年には三千万台をこえる、欧米先進国を抜くであろう、こういったありさまであります。  一方、日本道路整備が非常におくれておりますので、もちろんこちらもわれわれといたしましては重点的に進めておるわけでありますけれども道路一キロ当たりにおける自動車台数は、アメリカの十五台、西独の二十人台に比して日本が四十七台といったようなありさまで、非常な道路交通の渋滞を来たし、これがために衝突、追突その他の人身事故が起こっておるわけであります。  自動車事故状況は、昨年昭和四十二年は六十六万人をこえるといったような画期的な死傷者が出た不幸な年でございましたが、ことしに入りまして一月、二月も昨年に比較いたしまして非常に死傷者がふえておる、こういう状況を昨晩のテレビが放送をいたしておりましたような状態であります。  こういったような自動車事故の激増からいたしまして、自動車は走る凶器である、あるいは文明の破壊者である、自動車はあまりないほうがいいだろう、こういう議論にも発展するわけでありますけれども、私たちはやはり自動車が今日の人間生活の進歩の上にもたらした功績というものを認めるにやぶさかではありません。また、文明の進歩の上からいっても、自動車は増強していかなければならぬと考えておるのでありますけれども自動車がふえて国民の必需品となり、国民の足となればなるほど、この自動車に対する安全、自動車から人命を守るという責任企業というものが重加されていかなければならぬだろうと思うわけであります。本日はこの点をお尋ねしたかったんでありますけれども、先ほど来参考人の御開陳によって、その辺の企業責任は十分考えて施策を講じておるという開陳がございましたから、この点は一応参考人の御意見を信頼をいたしまして次の質問に入っていこうと考える次第であります。  米国自動車工業会が一九六五年に非常に大規模な調査をいたしました。その結論におきましても、自動車工業会はより安全な自動車の開発、生産に積極的に努力しなければならないという結論を発表しておりまするようであります。日本工業会もこの点について非常に努力しておられますことは、ただいまの御発表によりましても私は認めるにやぶさかではありません。しかし、昨年の本委員会におきましてむち打ち対策が取り上げられました際に、私はこれら車と車との事故、すなわち衝突によって起こるむち打ち対策、それをめぐる安全基準ということにつきまして質問をいたしたのに対しまして、政府は三月中に安全基準をつくりたい、そのような回答がございました。それに基づきましてただいま安全基準の策定が進んでおりますようなわけでございます。  そこで、この安全基準のうちに取り上げられておるむち打ち対策一つといたしまして安全まくらの問題でございます。これは、ただいままで衝突ということについての深い研究もない中小企業のかばん屋が年間二百万個の生産を行ない、運転台だけにしぼりますれば四台に一台の割合でまくらをつけておる。また、そのまくら自身がきわめて安全を欠く凶器まくらであったり、あるいはきわめてぶかっこうであったりしておりますのはわれわれが町で見るとおりでありますけれども、しかし、それを優秀な大手メーカーがほうっておかれるのは一体どういうわけであろうか。スピードが早くなり流線型に近代化された車に、まことに奇妙なまくらがくっついている。いかにも不似合いで、私はせんだっても、タキシードにちょんまげをつけたようなものだ、こう申しましたが、まことに文明の先端を走る自動車としては、いかがなものであろうか、かように考えております。またこのまくらは、まうしろから追突されました場合におきましては効果がありますけれども、斜めうしろから追突されました場合におきまするその反動というものは、二十五センチないし三十センチのまくらで必ずしもこれを安全にカバーできないんじゃないか。またまくらの、追突されましたときの反動によるその傷害というものに対しては、どういう研究をしておられるだろうか、こういうことを運輸省にも質問をしたのでありますけれども、メーカーのこの辺の考え方を明らかにしていただければたいへん幸いであると考えます。それが一つであります。  次に私は、十二日の委員会のときにネットについて質問をいたしたのであります。私も昔野球をやっておりましたが、野球のバックネットにたまが落ちると、これは反発しないで垂直に落ちる。ゴルフの練習場の網あるいはテニスコートの網種々しかりであります。そこでこのネットの開発が行なわれて、すでにある程度これが実用化されて使用しておるユーザーもあるということでございます。このネットに関する何らかの研究をメーカーにおいてされておるかどうか、これを第二点にお尋ねをいたしたいと思います。  第三点はエアバッグの問題であります。エアバッグの理論は、これは日本で原理的には開発をせられて、それがアメリカのフォードがこれを実用試験をして、アメリカ・フォードで実用化されたものが日本に技術輸入をするということは、まことに残念なことではないかと通産省に質問をいたしたのであります。通産省は補充答弁といたしまして、エアバッグの特許は、日本工業会がそっくりこれは買い取っております。こういう答弁がありましたが、工業会は買い取られた後、いかなる実用化の努力をされておるのか。私たちがよく本を本屋に行って買いまして、これを読まないで本だなに積んでおくということを積ん読と言います。特許権を買っておいてそれをしまっておいたのでは、これはなまけ書生の積ん読にあたるものでございますが、特許権を買われたあと、いかなる実用化試験をしておられるのか、その点を質問をいたしたいと考えております。  次にシートベルトでございますが、せんだっても私は質問をいたしましたが、私もかつて航空におりました。航空は、このシートベルトを締めるいうことを申しますが、シートベルトは昔から必ずしも安全性は航空においても保証されていないといわれております。非常なハイスピードにおいて衝撃を受けましたときの、これは動物実験におきましてもその危険性は証明されておるようでございますが、安全ベルト安全ベルトということでございますが、一体どれだけのスピードに対してシートベルトは安全であるのか、この辺につきましてメーカーの御回答をいただけるならば、たいへんしあわせであると考える次第であります。
  13. 家本潔

    家本参考人 以上の御質問に対しまして、まず、私からごく概略お答え申しまして、詳細な技術的な内容につきましては、私よりも一そう専門的な原副委員長並びに藪田副委員長が列席されておりますので、必要があらばその御両氏から補足をさしていただきます。  まず、安全まくらについての御質問でございますけれども、メーカーとして決してそれをほっておいたというわけではございません。ただいまJIS規格がほぼでき上がろうとしております。この規格の制定につきましては、まくらの構造それ自体につきましても、あるいはそのまくらの構造や、やわらかさ等が生理的にどういうふうな影響を及ぼすかということ、これはたいへんむずかしい問題でございますけれども、まあ一応の成案を得つつございまして、今度の十四項目の私どもの回答といたしましても、そのJIS規格によってこれを製造していくのがしかるべきであろうということを御回答申し上げておるわけでございます。お話しのとおり、これは非常にむずかしい問題を多く含んでおりまして、今後も一そう研究をしていかなければならない課題がたくさんあると存じます。  次にネットでございますけれども自動車工業会としては、みずからの実験はいたしておりませんけれども、ある種の実験によりまして、ある条件においてはかなり効果があるということは私どもも認めております。ただし、これが前席、後席を含めていずれの場合でも効果があるかどうかということについては、もう少しく検討が必要ではなかろうか、これは私の個人の見解でございますが、ある程度の効果があるということは私どもも認めております。  それから次のエアバッグでございますが、特許権を買い取りまして、ただいまではその実用化のための基本的な問題の開発を各社が行なっている段階でございます。エアバッグの構造は、爆発性の気体を用いましてたたんだナイロンの袋を瞬間的にふくらませまして、そうして衝突によって人体が移動する前に障害物との間に空気の袋をつくろうということでございまして、非常に短時間でしかも確実に作動しなばればならないということでございますが、これには爆発性の気体が袋をふくらませますその過程の問題といたしまして、装着上、自動車に取りつけるという面で実用化のためにはまだ多くの基礎的研究が必要でございます。  まくらといい、ネットといい、エアバッグといい、それぞれの特徴を持っておるわけでございますが、いずれも私どもの重要な関心事でございまして、今後とも積極的に研究いたしてまいりたいとかように存じておるわけであります。  ベルトでございますが、ベルトは、私どもの見解といたしましては、ただいまのところ最も実用的な安全装置であるというふうに考えております。速度何キロで安全かという問題につきましては、同じようにベルトをいたしておりましても、そのときのすわっております人の姿勢あるいは座席の角度等々に影響されますので、明確なことはなかなか申し上げにくいと存じます。しかし、先日の「日刊自動車」に発表されておりましたスイスのボルボ社が過去の事故歴をシートベルトの有無によって層別いたしました結果では非常に有効であるということが出ております。アメリカ実験においても結果としてはそのように出ていると信じております。
  14. 大久保武雄

    ○大久保委員 次に、私は安全基準の国際化について、先ほども参考人から要請がございましたが、この点は、十二日の委員会で私は政府に質問をいたしました。欧州のECEが安全基準を策定しておりますのに域外国のアメリカがこれに入っておる。しかるになぜ日本がこれにはいれないのか。ECEに加盟するか、あるいは適当な国際機関によって安全基準の国際化に日本が大いに積極的に働きかけるべきじゃないかということを政府側に質問をいたしました結果、運輸政務次官並びに通産政務次官から、協力して外交機関に働きかけたい、こういう答弁があって、その成果を待っておりますような次第であります。  次に、私がお尋ねしたいのは、メーカーが設計にあたって、ユーザーの声を聞かれますことはもちろん必要であろうかと思いますが、と同時に被害者の声もひとり聞いていただきたいと考えるわけであります。最近スポーツカーが非常に若い人にはやるそうであります。あのスポーツカーまがいのものにはいろんなものがございまして、メーカーでつくられるときにはそうでもございますまいが、マフラーが二本出ておって、最近はマフラーの消音装置をはずしてぶらららっという音を立てるのはまだしもでございまして、中には奇声を発する装置というものを、これは部品メーカーであるかどうか知りませんが、どこかでつくりまして、深夜にスポーツカーまがいの乗用車運転して、ぴいっ、ぱんぱんぱんぱん、ぶるるるという音を立てて住宅街を深夜に走り去っていくわけであります。これはまことに都会の安眠を妨害をいたしております。しかもこれが住宅街にできておる非常な不健全な深夜喫茶と結びつきまして、青少年を非常に悪の道に堕落をさしておるわけであります。私は先年法務委員長をいたしておりますときに、このいわゆる原宿族というものの征伐に乗り出しまして、なかなか深夜喫茶の取り締まり、あるいはどれだけの音を出したら取り締まりに触れるか、あるいはマフラーから消音装置をはずしておる現行犯をどう見つけるか、非常なむずかしい問題がございまして、政府が手が出ませんでしたけれども、警察の非常な積極的な努力によって、最近は深夜喫茶の手入れあるいは騒音の取り締まり等からいたしまして、ようやく住宅地帯の静ひつを取り戻そうとしておるわけでございます。しかしながら、こういったようなスポーツカーまがいのいわゆるスピード狂というものは今日も相当若い者の中にあります。その一つ自動車に対する嗜好というものに乗っておられるとは申しませんけれども、メーカーがいろいろな新聞広告等にあたりまして、スピードがこれだけ早くなっておる、百五十キロ出るのだ、百六十キロ出るのだといったような広告をよく見るのであります。ところが日本スピードはどうかと申しますと、わずかな名神国道ですらこれは百二十キロが最高である。百二十キロ出せる道路というものはほとんどございませんね。そういう際に百五十キロとか百六十キロといったようなスピードは必ずしも必要ないではないか。若干のゆとりが必要であるということは私も認めるにやぶさかではございませんけれども、何らか、スピードスピードという一つスピード性の性能向上と見合うような、そのスピードの早さから起こってくる危険に対する安全性の開発というものに対し同じような努力をされる必要があるのではないかと私は考えるのでございます。三十万人にものぼるむち打ち病、あるいはことしの一、二月は昨年の  一、二月よりさらに大きな死傷者を出しておるという今日、このスピード一つの、どの辺までいけばまあスピードはこの辺で今度は、衝撃というものに対する安全のほうに重点を指向せられていかれるのか、その辺の分かれ目をひとつお示しを願いたいと思う次第であります。
  15. 家本潔

    家本参考人 たいへんむずかしい御質問でございますけれども、まず、自動車速度向上していっていることは、これは事実でございまして、また御案内のとおりに、業者は自動車を今後とも特に積極的に輸出をしていかなければならないので、そういう国際性性能の上で持つようにしなければならない一面がございます。そういうことは別といたしまして、自動車性能速度という  一つのものさしではかります点で、速度を上げていきますにつきましては、実はその裏にまずブレーキがしっかりしていなくちゃならない、つまり安全性の面でブレーキ性能向上ということをやらなければ速度は上げられないのでございます。それからもう一つは、走行安定性でございます。高速におきましてハンドルを取られるような、そういう欠点を持った状態では自動車速度は上げられないのでございまして、一般的にいう自動車安全対策という面から走行性能高速安定性やあるいはブレーキの性能というものは表面にはあらわれておりませんけれども、メーカーといたしましてはその性能を上げるためにそちらの問題の解決に実は必死の努力をいたしておるわけでございまして、速度で申します性能向上の裏には、そういう本質的な安全対策というものが打たれてきておるということをひとつ御理解いただきたいと存じます。  さてそれでは、しからば絶対速度を幾らまでにすべきかということについては、百二十キロというぎりぎりのところでかりに押えたといたしますと、百二十キロぎりぎりの運転をする場合があるわけでございます。ゆとりという点から申しますならば、もっともっとやはり速度が出ておって、逆にその道路の環境や、あるいはまた運転のマナーということによって調和点を求めるということのほうがやはり実際的な考え方ではなかろうかというふうに思うわけでございます。
  16. 大久保武雄

    ○大久保委員 次に私がお尋ねしたいのは、先ほどちょっと触れておられましたが、非常な大型バス、超大型トラックというものが開発せられておって、それに対しては、特別な安全対策研究回数をふやして研究をしておるという発言が参考人からあったようであります。私もこの点はぜひお尋ねしたいと思っておりました。大型バス、大型トラックに対していかなる安全対策をとられようとするのであるかお示しをいただきたいと思うのであります。
  17. 家本潔

    家本参考人 大型車安全対策につきましては、昨年度いろいろな法規の規制がございまして、それに伴いまして業界としてのこの対策には多くの時間と人力を投入してきておるわけでございますが、いまの御質問の大型バスとトラックについてでございますが、大型バスと申しましても、大きさから申しますと全長十二メートルという限界を今後も越えることはまずあるまいというふうに考えます。したがいまして、形の上ではこれ以上大型化するということはまずないものと考えておりますが、走行性能につきましては、高速道路の開通と同時に多くの高速バスが運行することになることと存じます。その点につきましては、一般乗用車と同じように、やはり走行安定性及びブレーキの信頼性、ここに安全対策の基本的な焦点が集中され、あとはドライバーの疲労をいかに少なくするか等々、乗用車高速走行に対する安全対策と同様な考慮が払わるべきでありまして、すでに一部分的には、乗用車と並行いたしましてそれらの施策が進んでおります。先ほど申し上げました業界申し合わせの十項目につきましては、バス、トラックを含むわれわれの申し合わせでございまして、この点につきましてはアメリカ乗用車を先行し、バス、トラックをおくらせておるということからいたしますと、私どもの考え方のほうがより一歩進んでおるということを申し上げて差しつかえないと思います。トラックにつきましては、大型化という方向で申しますならば、やはりトレーラー、連結車両の問題であろうかと存じます。やはり基本的には考え方は同じでございまして、高速走行に対して走行安定性並びに制動能力という観点から、さらに一そう安全性を追求していくべきであろうというふうに考えておるわけでございます。  それから、申し落としましたが、先ほどの御質問のうちのマフラーの件でございます。排気音の問題でございますが、新型車をつくりますときには運輸省当局の厳重な制限がございまして、騒音の面から公害に影響のあるような排気音は許可されません。したがいまして、個人が細工をするとか、あるいは一部の部品メーカーがそういうものを売るとかいうことからそういう事態が発生すると思うのでございますけれども、これは一般運転教育という面から業界としてはPRを行なっていくよりほかしかたがないと考えておるわけでございます。
  18. 大久保武雄

    ○大久保委員 この安全基準運輸省努力していま策定しておりまするし、先ほども参考人の御説明で、日本安全基準アメリカにもまさるりっぱなものだ、こういうお話がございましたが、ところが新聞のメーカーの新車広告を見ておりますと、日本安全基準というのが書いてないですね。私もこれは非常に残念に思うのですが、これは運輸省が少し詰まらぬから無視されておるのかもしれませんけれどもアメリカ安全基準をりっぱにやり遂げておるんだ、日本運輸省はどっかへ飛んでしまっておるのですよ。そこで日本運輸省が一生懸命安全基準をいま努力しておるんだから、日本の国内新聞に出される広告は、やはり日本安全基準を上回っておる、こういう広告でありたいもんだと私は思っておるのであります。  さて、先ほど参考人からお話がありました研究機関の問題、これは私もぜひ必要であると思っております。昨年は通学路の問題、踏切道の問題あるいはダンプカーの規制等に集中してまいりましたが、今後はこういう衝撃の問題に対して努力していかなければならぬのでございますけれどもアメリカにおいてもこの衝撃に関する研究とか資料というものはまだきわめて乏しいということを雑誌で見るようであります。アメリカですら乏しいのですから、これは日本も乏しい。しかし世界的に乏しいならば、それにぶつかっていって日本が一歩先んじたならば、これは世界をリードすることができるんじゃないかと私は思う。そこで、そういう研究開発というものに対して、これは政府も民間も非常な努力をしなければならぬとは思うのでありますが、民間は共同研究その他によって努力しておられる。ところが政府はまだこの点に対しての努力が非常に足りないと私は思います。そこで、この追跡研究につきましては、業界と連絡して警察が努力しておられる。私はこの前の十二日も質問しましたが、海難の審判ですね。海難の調査に対しては政府は毎年四億円使っておるのです。航空の事故調査においては、昭和四十一年度において五千万円使った。ところが一方、六十六万人もの死傷者を出しておるこの自動車事故に対して、先ほどお話がありましたように、二千百万円でしたか、そのうち政府が千三百万円出しておると言うけれども、これはオートレースか何かから出しておるのであって、純粋な政府資金じゃない。まことに政府道路交通、自動車に対する追跡研究調査に対しては非常に冷淡である。これに対してひとつ来年は大いに考えよということを申しましたところ、宮崎調査室長から政府を代表して、来年は大いに考えよう、こういう答弁がございましたが、研究機関については、依然としてまだ政府研究機関は非常に不完全である。それで運輸省安全基準を出すなら、それだけの十分な実験研究をした上で安全基準を出しておるかどうかということをいうたならば、これはここに自動車局長もおるけれども、かなりじくじたるものがあろうと私は思うのであります。そこで、この安全基準というものは業界一つの将来を指向して人命とその障害を守るというのであるから、きわめて高い見地で見ていかなければならぬのに、運輸省自動車関係研究はどうかというと、船舶技研の中に細々と間借りをしてやっているようなもので、まことに言語道断、話にならぬ。そこで一方通産省のほうは、これは民間と協力をされて谷田部に施設をつくられるそうである。そこで民間の開発される一つ研究と、それから安全基準をつくっていく政府一つ研究というものは二つあってよろしい。そういう意味において政府研究は高度の研究をやっていかなくちゃならぬと思うのだけれども運輸省はまことに怠慢である。怠慢であるから、大手メーカーの新聞広告のときには日本安全基準とは書かないで、アメリカ安全基準と書かれる。これは国辱である。これに対して自動車局長は一体どう考えておるのか。ほんとうならば運輸大臣を呼ばなくちゃならぬけれども、きょうは参議院の予算委員会に行っておるので、いずれ私はやかましく言うが、きょうは自動車局長、これに対して答弁をしてもらいたい。来年度の予算でどうする、また今後安全基準の発表と同時にどういう心がまえでおるのか。将来は新聞にアメリカ安全基準なんて書いてもらわぬように自信を持ってやるのかどうか、ひとつしっかりした腹がまえを聞かしてもらいたいと思う次第であります。
  19. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 この前の委員会でもちょっと申し上げたのでございますけれども、怠慢というおことばがございましたが、これは毎年予算要求をやっております。ただし四囲の情勢と申しますか、特に民間のメーカー側でもただいま御陳述がありましたように、本気でやっていくという気がまえがいよいよ出てまいりましたので、この際ひとつ来年度は、先生おっしゃいましたような世界をリードし得るような研究機関運輸省といたしましてもぜひ実現したいというので省をあげて努力すべく、大臣にも報告を申し上げました。私どもそれによりまして何とかしてそういった施設を実現いたしますように絶大の努力をいたしたいと思います。その節はよろしく御援助のほどをお願い申し上げます。
  20. 大久保武雄

    ○大久保委員 次に、私は設備投資のことについて質問をいたしたいと思っております。  自動車工業の設備投資の中に占める安全対策に関する投資がどれだけあるかという十二日の私の質問に対しまして、通産省から、昭和四十年度で二十二億円、四十一年度で四十五億円、四十二年度で八十三億円、四十三年度は総設備投資額二千二百億円に対して百四十二億円である、こういう答弁と資料の提出がございました。設備投資全体との比率は逐次向上しておりまして、四十年度の〇・九%から四十二年度、四十三年度の一・九%まで向上しておることは認めます。しかし、この安全関係の設備投資の中に、運転しやすい自動車とするための装置の改良のごとき、広い意味の安全対策投資が含まれていると思うのであります。自動車衝突自動車衝撃の際の人命、人身の保護という見地からの安全対策に関する投資はこのうちどのくらいを占めておるか、これをお聞きいたしたい。  そこで、こういったような安全対策というものは、先ほど申しましたようにアメリカすらまだ開発をしていない。そこで日本が、メーカーでも、あるいは運輸省にしろ、これを開発したならば世界をリードすることができる。コロンブスの卵を日本が立てたらどうかということを私は申したいのでありまして、いま申し上げました安全対策投資をさらに拡大する用意があるかどうか。この二点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
  21. 家本潔

    家本参考人 すでにお手元にございます資料、ただいまお話のございました数字の八0%は安全関係衝突関係の設備に投入される予定でおります。
  22. 大久保武雄

    ○大久保委員 八0%というとかなり大きな金額にのぼるわけでございます。しかし、これはまだ未開発の問題でございますから、これで必ずしも足れりとしないわけでございます。将来さらに増強を私は切望いたすわけであります。  そこで次に、私は自由化の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。先ほどの設備投資の拡充等につきましても、日本では最近非常なこれに対する積極的努力がメーカーでも行なわれておるようでございますが、アメリカとこれを比べてみますと、この全設備投資に対する比率でございますとか、全従業員に対する研究開発人員の比率でございますとか、あるいは売り上げ高に対する研究開発費の比率でございますとか、これはそれほどアメリカと変わっていないようであります。しかし総人員、総金額というものをアメリカと比較いたしてみますと、アメリカの工業は一年間に七兆円もの売り上げをするくらいでありますから、その比率を見ると百対三とか百対五とか、まことに大きな隔たりがあるわけであります。そこで、こういう点は今後やはり日本企業一つ体制の強化ということと見合っていかなければならぬと思うのでございます。そこで私は、自由化の問題と関連してお尋ねをいたしたいと思います。  自動車の自由化が問題となっておりますけれども、聞くところによりますと、イギリスにはフォードが進出しておる。イギリスフォードはイギリスのポンド切り下げに伴う緊縮政策のときには必ずしも協力体制をとらなかったということも聞いておる。また外国企業の進出は、非常に不当なる高賃金で労働者の雇用をしてみたり、あるいは不当なる安値で販売市場を撹乱してみたり、あるいは特許権を独占して日本の民族資本の妨害をしてみたり、いろいろな弊害が予想されるようであります。しかしながら自由化の波はひしひしと迫っております。日本でも自動車一般部品はすでに自由化されておりまして、目下自動車のエンジンが焦点となっておるそうであります。先日の新聞を見ておりますと、自動車工業会の会長の川又さんが、エンジンの自由化は政府の態度にまかせたい、こういう発表をしておられたのを私は拝見いたしたのでありますが、この考え方というものは、政府が踏み切りさえすればエンジンの自由化は日本自動車工業界にとっても差しつかえないとお考えであるかどうか、あるいは日本自動車の対米輸出との見合いの問題もあろうかとは思いますけれども日本の工業体制あるいは工業水準というものは、アメリカ自動車のエンジンを入れて、あるいはそのエンジンを入れたために組み立て工業ができたといたしましても、これを迎え撃つだけの体制と用意が備わっておるのかどうか。また、日本自動車工業界は、部品が非常に規格が不統一であるということもよく聞くのでありますけれども、そういった合理化努力というものは、こういったような自由化のあらしの前に立って十分な体制がとられておるのかどうか、この点をお尋ねをいたしたいと考える次第であります。
  23. 家本潔

    家本参考人 私の役目は安全公害委員長ということでありまして、実はそのような高度の御質問に対してお答えする立場にございませんのですけれども、いずれにしても、自動車業界といたしましては、なるべく自由化は先へ延ばしていただきたいということが基本的な態度であることに変わりはございません。
  24. 大久保武雄

    ○大久保委員 この点は通産省の今後の対策とも関係があろうと考えております。そこで一括いたしまして、次の質問とあわせて通産省にお尋ねをいたしたいと思います。  それは企業体制整備であります。かつて昭和三十八年度予算に開発銀行に体制融資を三十億円つけたことを、私は記憶いたしております。その後、年々体制金融というものは開発銀行につけてありまして、これは自由化に伴う自動車業界の競争力を強化する、こういう意味の金融であります。最近昭和四十一年度以降この金融が、メーカーにおかれましても逐次消化せられて、日本企業体制整備に向かっておられますことは、これは喜ばしいことであると思います。  そこで、通産省といたしまして、この体制金融に対して今後いかなる指導をとっていかれるか、体制金融の融資ワクがつけてあっても、それが睡眠していくということはないのかどうか、また、先ほど質問いたしましたエンジンの自由化に対して、通産省はいかなる考え方を持っておるか、この点をひとつ通産省から答弁をしていただきたいと思う次第であります。
  25. 本田早苗

    ○本田説明員 先生御指摘のとおり、自動車の自由化問題につきましては、自動車工業の歴史が欧米諸国と日本との間でかなり開きがあり、そのために企業の規模としましても、企業の技術の蓄積といたしましても、かなり大きな格差がある。しかしながら、国際経済の基本的な流れというものに沿うための努力は急速にやる必要があるということでございまして、したがいまして、自動車工業の国際競争力の強化ということを緊急の課題として、ここ数年努力してまいっております。  御承知のように、日産、プリンスの合併、あるいは日野、トヨタの業務提携、昨年トヨタ、ダイハツの業務提携というような実績が出てまいりまして、企業体制整備方向が逐次進んでおるという状況でございます。しかしながら、現在のトヨタのグループの四十二年におきまする生産化率から申しましても三五%弱、日産のグループで二五%弱ということでございまして両者で六0%弱という程度でございますので、まだまだ体制整備が十分できておるとは申せないということであろうと思います。  先ほど御指摘のありました体制金融につきましては、御指摘のとおり三十八年から体制金融のワクをつくりまして、自動車企業において合併、提携等によりまして体制整備が促進し、今後の輸出の増進の用に役立つというような効果につきまして融資をするということにいたしておりましたが、四十一年におきまして日産自動車に、本年度において日産と日野の両社に融資し得る体制になっております。四十三年度以降におきましても、こうした体制整備効果のある設備投資につきまして、体制金融を行なっていくという考え方でおるわけでございます。  さきの御質問の自由化問題につきましては、業界といたしましては、基本的な国際経済の流れというものに対して、積極的に応ずる努力をするということでやってまいっておるわけでございますが、先般の川又会長の御発言も、そうした積極的努力の事態を見て、政府として慎重な判断をしてもらいたい、こういうことであろうというふうに考えております。
  26. 大久保武雄

    ○大久保委員 最後タイヤ問題について、これは運輸省から伺いたいと思います。  いま参考人のお話を聞きますと、運輸省トラックタイヤに対して特別に規格以上の過荷重を認めておる、これはきわめて危険であるという重大な発言がありましたが、これは運輸省がいかに考えておるか、また、タイヤに対して安全基準は、運輸省は今後どうするつもりか、この点を最後にお尋ねしたいと思います。
  27. 鈴木珊吉

    鈴木(珊)政府委員 ちょっと専門的なものでございますから、整備部長から御答弁いたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  28. 堀山健

    ○堀山説明員 トラックには過荷重は確かに認めております。これは逐次タイヤ規格基準を合わせていく所存でございますが、現在は過渡的な時代でございますので、逐次交通条件その他にマッチして是正してまいりたいと考えております。  それから、もう一点の安全基準の問題でございますが、これは先般の委員会でもお答えしたと思いますが、日本と外国では、アメリカでは走行条件が違いますので、走行条件が欧米並みに速くなりますと、当然タイヤ使用条件が変わってまいります、性能上の要求条件も変わってまいりますので、そういう条件に合わせるべく今後検討をしてまいりたいと思います。
  29. 大久保武雄

    ○大久保委員 終わります。
  30. 門司亮

    門司委員長 板川正吾君。
  31. 板川正吾

    ○板川委員 二、三伺います。  今度の自動車安全規制について十四項目に対して回答があって、大体了承されたということのようでありますが、この自動車の安全問題は、御承知のようにアメリカの議会において取り上げられて大きな論争の中心になった。当時アメリカの議会においてロバート・ケネディ氏が中心になったりしまして、自動車事故による死傷者というものは、結局これは自動車メーカーに重大な責任があるのだ、こういうような結論が出まして、いわゆる二十項目にわたる第一次自動車安全基準というのが決定をされた。それに準じて日本でも自動車の安全というのが非常に重要な問題として取り上げられるようになった。ここで私が残念に思うのは、人命尊重という立場で積極的に取り組むのではなくて、アメリカに輸出をする自動車関係者としては、アメリカ安全基準に適合しなければ輸出ができないということで安全基準問題と取り組むようになったということは、まあわれわれとしてはやや残念に思うわけであります。しかし、考えてみれば、アメリカは非常に自動車の多い国でありますから、その国が先行的にそういう問題を取り上げるということもやむを得なかったかと思います。  そこで、最近日本においても自動車による交通事故があまりにもふえるため、文明破壊者としての自動車だとか、あるいは走る凶器、走る棺おけ、都市生活の敵、殺人機械、こういうように、自動車に対する怨嗟の声が国民の中に盛り上がっております。自動車業界としてもこういった国論の動向というものを重要視しなければならないのじゃないか、こう思うのです。アメリカにおいても、日本においてもそうでありますが、自動車交通事故の推移を見ますると、自動車の保有台数の推移と全く曲線が一致しておる。もちろん自動車がふえるに従って自動車事故がふえる。昨年一年間で死傷者を合わせて七十万人になろうといたしております。こういうような自動車事故防止するための安全対策というのは何か。これはまあいわゆる三つの点が安全対策の三原則として言われておりますが、第一は、道路を拡幅整備すること、そうして、それに標識をつけること、また第二は、自動車の構造の安全性向上をはかること、第三は、安全教育という問題を重要視すること、こう言われております。道路整備、標識の整備、こういったものは、これは国なり地方自治体なりがやる任務であります。しかし、自動車の構造の安金性の問題、これは主として業界がこれに責任を持つべきでありましょう。しかし、国民の交通安全に対する教育というものは、国と業界が一致して交通安全の教育という問題と取り組んでいかなくてはならない問題ではないか、私はこう思うのであります。  そこで家本さんに伺いますが、陳述の中で、七として「自動車産業交通安全対策協議会について、自動車産業交通安全対策協議会においては、アメリカ自動車交通財団にならい、自動車交通安全財団の設立について研究を進めております。」こういう陳述がございましたが、アメリカにおける交通財団、これはどういう組織で、どういうような活動、また活動の規模はどういうものでありますか、この点を伺います。
  32. 家本潔

    家本参考人 その問題につきましては、私よりもより詳細によく知っております櫻井君からお答え申し上げたいと思います。
  33. 櫻井淑雄

    櫻井参考人 それでは御質問のアメリカ自動車安全財団について申し上げたいと思います。  アメリカ自動車安全財団は、一九三七年六月に設立されたのでありまして、道路における交通安全の推進を援助するために、自動車産業界、主としてメーカー、部品業者、タイヤ業者及び金融業界の指導者によって設立された公益的な団体であります。これは財団という一つの表現にございますように、かなり幅広い形におきまして自動車の関連産業あるいは金融業界あるいは保険業界、そういう関係業界を動員いたしまして、現在では約六百以上の企業がこの財団に参加していると言われておるわけでございます。この財団の目的といたしましては、一つは、全体の福祉を助成するということ、第二は、公共及び自動車産業の相互利益を次の方法によって増進すると言われております。その一つは、安全かつ効果的な道路利用の促進をはかる。第二は、道路交通事故の原因に関する研究の振興をはかる。第三は、自動車の安全な利用、交通事故防止効果的な方法、交通混雑の緩和及び交通の円滑化の方法、その他自動車及びその利用に関する事項についての情報の普及をはかるということ。第三は、安全かつ効率的な道路輸送のために現在及び将来にとって必要な近代道路施設に関する財政上及び工学上の基礎開発をする。こういうようなことが財団の目的とされておりますが、現実にそれではどういうような事業ということでございますけれども一つは、この財団の助成金の交付ということが大きな仕事になっております。この財団の年間予算の約二分の一は、他の団体が行なう交通安全活動その他道路輸送の改善活動実施のための助成金に引き当てをする、こういうことでございます。その助成の問題の一例を申し上げますと、開発計画等に対する助成とか、あるいは交通安全調査活動に対する助成、あるいは交通安全教育に対する助成、あるいは交通工学等の研究、あるいは道路に関する研究に対する助成を行なう。もう一つ、第二の柱といたしましては、技術援助の実施をするということでございまして、アメリカ乗用車トラック及びバスの、先ほど御指摘のように登録台数が相当ふえてございますが、これに関するアメリカ業界、車の増加に対するいろいろの安全の施設に関する技術的な研究に対する援助をする、こういうようなことが指摘されております。  現在どの程度の規模でやっておるかということについて申し上げますと、大体日本の金にいたしまして年間五億四千万ぐらいの規模でございまして、これは毎年その程度の出資が行なわれまして、これによって先ほど申し上げたような助成——アクティビティーが行なわれているわけでございます。このうちの約半分程度が自動車関係の出資によって現在行なわれておりまして、非常に多数のアメリカにおける自動車大学あるいは研究機関に対する助成に主として交付されているということを申し上げたいと思います。  以上です。
  34. 板川正吾

    ○板川委員 そうしますとアメリカの例にならったこの財団というのは、日本の金にしまして五億四千万円くらい、アメリカのドルに計算するとごくわずかな金ですね。そしてこれはまあ技術開発や何かについて多少の援助をする、安全開発についての助成金を払う、こういうことになりますと、日本でこの例にならうとすると、どのような規模ですか。たとえば日本の経済力はアメリカの大体十分の一か七分の一か知りませんが、五分の一にしましても一億円程度ということになりますが、日本の場合には、これはアメリカの財団にならってこうしようというのですが、これを今後どのように、この機関を拡大し、活用していこうとされておるのですか。この点についてお答えを願いたい。
  35. 櫻井淑雄

    櫻井参考人 先ほど家本参考人が申し上げたように、現在の段階では、このアメリカの財団の構想をいろいろな角度から検討している段階でございまして、御指摘のような、どの程度の規模でどういう具体的なアクティビティーをするかということは、現時点においてはまだ申し上げられないわけでございますが、先ほど申し上げたような、関係団体の責任者が集まりまして、十分前向きな形でいま研究を申し上げておるということでございます。
  36. 板川正吾

    ○板川委員 これはアメリカでもごく申しわけ的な財団じゃないかと思いますね。これでほんとうに交通の安全を推進していくという財団ではなさそうな感じがしますが、もし日本において将来これをつくっていくならば、事業の範囲ももっと拡大をし、内容も充実したものにしていってほしいと思うのです。それはなぜかというと、最近交通事故の被害者の中から、自動車さえなければこういう事故にならなかったという、自動車に対する怨嗟の声があるわけです。それからまた、むち打ち症なんかの患者からいえば、全く自動車のためにそういう難病にかかったということを考えるのでありまして、この自動車交通安全の財団というのは、私はもっと事業の範囲をアメリカよりも広げた活動をすべきではないかというふうに考えるわけであります。  それから都市交通の問題、これは自動車の構造上の安全には直接関係はありませんが、自動車交通の安全に都市交通の問題というのは非常に重要な関係を持つことは、先ほど陳述者の言われたとおりでありますが、日本でよく面積当たりとか人口当たりとか、いろいろ当たりで自動車の数を割り出し、あるいは道路当たりというので自動車の数を割り出しておりますが、また別にこういう資料もあります。それは、関東地方とオランダとベルギーとの面積と人口との割合で自動車数を出した数字がございます。それは関東地方がちょうどオランダ、ベルギーと大体面積において三万二、三千平方キロの面積を持っており、人口は関東地方が二千六百二十万、オランダが千二百三十万、ベルギーが九百五十万、こういう人口であり、人口密度は関東地方が八百十六人、オランダ三百六十六人、ベルギー三百十人、こういうふうになっております。このオランダ、ベルギーでどのくらいの自動車の保有台数を持っておるかというと、オランダが一九六五年で百五十三万台、ベルギーが百五十七万台で、当時日本は二百四万台でありました。大体オランダ、ベルギーと匹敵するような——人口割合については少し少ないけれども、面積等から見ればやや匹敵をいたしております。しかし、一九六五年の日本自動車保有台数が六百三十万台でありましたが、ことしは千三百五十万台と予想されておりますから、大体この二百四万台というのが二倍になった、こう考えていいと思います。オランダ、ベルギーでは自動車保有台数が若干ふえるかもしれませんが、日本のように爆発的に自動車の保有台数はふえておりません。ですから、今日において、関東地方とオランダとベルギーを比較しますと、向こうが百六、七十万台に対しまして四百万台、約二倍の自動車がこの地域で運転されておる、こういう状況ですね。こういうように、同じくらいの面積の中に、日本の関東地方は非常に自動車の数が多い。関東地方なりあるいは近畿地方なりという自動車が実際にたくさんある地域を比較いたしますると、日本自動車保有台数というのは非常に高水準にある、こう思うのです。ですから、事故が続出をしておる、こういうことになると思うのでありますが、私は、日本自動車が、いまの段階でさらに保有台数がふえていけば、ことしが千三百五十万台の見通しでしょう、来年は約千六百万台、再来年、昭和四十五年は千九百万台近くなるだろう、こう思います。こういうように、日本道路交通の事情というものが、自動車の急激な、爆発的な増加によって非常に危険の度合いがふえてくるのですね。非常にふえているのです。だからこういう自動車のふえるに従って事故も多いのでありますから、自動車メーカーも自動車の交通安全、事故防止という面に研究投資もするだろうし、また国民をして納得せしめるような社会的な活動をしなくちゃいけないのじゃないか。ただ、売らんかな、売ればいい、自動車保有台数はまだ伸びるのだというだけでいきますと、ある時期、国民から非常な爆発的な自動車工業に対する非難というのが、私は、集中されてくるのじゃないか、こう思うのであります。だからいまのうちに、自動車メーカーがこぞって交通安全に対する取り組みというものを真剣にやらなければならぬ、こう思うのでありますが、お考えはいかがですか。
  37. 櫻井淑雄

    櫻井参考人 いま先生から御指摘いただきましたように、自動車の数がかなりふえていっていることは現実でございます。それに対する道路環境との関係におきましていろいろ問題があるわけでございますが、もちろん御指摘のように、私どもとしましては、先ほど家本参考人から申し上げたように、かなり交通安全の問題につきましては、積極的な姿勢で進めていくという基本方針でございまして、構造上の問題は、技術的な面からかなり前向きな形で探求していく。また対社会的な問題につきましても、先ほど申し上げような、一つは交通財団というようなものを軸にいたしまして、かなり、今後積極的に進めていくような構想で進んでおるわけでございます。板川先生の御指摘の点は、業界も十分体しまして、今後前向きな形で対社会的な問題につきましても検討研究をしていきたい、かように考えております。
  38. 板川正吾

    ○板川委員 ぜひひとつそういう取り組み方で積極的にやっていただきたいと思います。  それでは具体的に二、三お伺いいたしますが、この十四項目について、ドライバー安全性という問題が入っておりませんが、これはどういうことになっておりますか。たとえばハンドルを非常に柔軟性のある物質にかえて、衝突した場合に、ドライバーが胸を打って傷害を起こすということをできるだけ避けるような対策とか、あるいは計器類を、ぶつかったときにやはり傷害を起こさないような材質のものにかえていくとか、バンパーの高さは、同じクラスの自動車で、おのおの各社高さが違いますが、これは大体同じ車——トラック乗用車と同じにしろというのじゃありませんが、二千CCの中型車なら中型車の高さをどこでも大体一致させる、前とうしろと高さを一致させるということがあれば、少なくとも衝突事故の際にバンパーによって衝撃を吸収されるわけでありますが、各社それぞれまちまちで、高さが違うのであります。こういう点で統一をはかるべきではないかと思うのでありますが、この点に対するお考え、いかがですか。
  39. 家本潔

    家本参考人 十四項目の中で、ドライバー対策といたしましては、具体的にはシートベルトが入っております。御指摘のハンドルの構造等につきましては、各メーカーとも積極的に研究をいたしておりまして、一部の車にはすでにそれが実施されておる状況でございます。私ども、先ほど申し上げました十項目に引き続いて今後とも自主的な申し合わせで安全対策実施をしていきたいと申し上げましたけれども、今後の項目の中に、おそらくそういうハンドルの構造等が入っていくであろうというふうに存じております。それからバンパーにつきましては、運輸御当局の御意向等も、当然そのような方向にお考えと存じますが、これは今後の問題として研究していくべきではなかろうか、かように存じております。
  40. 板川正吾

    ○板川委員 われわれ若干自動車関係しておるから言うのですが、各社で、同じクラスのものだったら、バンパーをお互いに——これは通産省が指示してどうこう言わなくたって、何か業界でまとめて、同じ高さにしようじゃないかという話、できませんか。これは研究しないとできないのですか。
  41. 家本潔

    家本参考人 業界としての研究課題の中には当然入り得る課題だと思います。ただいまの御意見を尊重しまして、今後の研究課題に入れたいと存じます。
  42. 板川正吾

    ○板川委員 これは若干余談になりますが、まくらとシートベルトですね。いろいろこれに対して意見もあるようですね。大久保先生のニュアンスは、まくらは必要ではないじゃないかというような感じがするのでありますが、これは、当たってみますと、大体背の低い人はまくらなんか強制的につけるのはけしからぬ、こう言っておる人が多いのですね。だから私は、おまえは背が低いからすでにいまの標準で安全まくらになっているんだ、われわれスタンダードクラスになるとまくらがないといかんぞ、実はそんなことを言うのです。小さい人はこれは必要ないじゃないか、そんなことを言う声もありますが、私はやはり安全まくらは必要だと思います。かばん屋がつくった不安全なまくらじゃなくて、ほんとうに衝撃を吸収できるていのものを、ひとつ規格を統一してつくられることがいいと思います。ただ、横から当たって、といいましても、これは衝突すればどこか衝撃を受けて傷害のもとになるのでありますが、大体自動車衝突というものは前とうしろが多いのであって、すべてをひっくるめてまくらで安全というわけにもなかなかいかないのじゃないかと思います。  それからシートベルトでも、羽田で飛行機が事故を起こして、胴体が二つに割れて、中から飛び出した人が助かった。しかしベルトをしておった人は実はほとんど焼け死んで、ベルトをはずしておった人が胴体が割れたとたんに飛び出して助かった、こういう特殊な例があります。しかし、特殊な例はありますが、やはり何十万件という自動車事故の中では、やはり私はシートベルトをつけておったほうがより安全だ——これは比較の問題です。つけておったから絶対ぶつかってもだいじょうぶだというものではない、比較の問題として、私はこれは必要だと思うのです。ただ、あまりベルトの幅が狭いと、大柄な太った人なんかではかえって食い込む場合がありますから、その辺の幅なんかはひとつ検討の上、安全性のあるものをつけてもらいたいと思います。  それからタイヤ関係で一言伺いますが、チュブレスタイヤ高速性にも耐えて安全性もいい、タイヤバースすることも少ないし、高速性に耐え得るというのでありますが、そのチューブレスタイヤが四七年に開発をされて、非常にいいことになっておるが、意外と普及率が少ないような感じがするのですが、それはどういう理由でしょうか。
  43. 松平信孝

    松平参考人 チューブレスタイヤにつきまして御質問でありますが、実際使用上、普通のチューブが入ったタイヤでありますと、空気を調節して、一週間目には必ずこれは空気を見ないとあぶないのではないか、こういうふうに思います。チューブレスであります場合には、大体われわれの実験では、よくいった場合は一カ月はもとの圧力を保っております。こういう点でチューブレスがいい、こういうふうに申し上げるわけでありまして、ただ御承知のように、チューブレスはリムにはめて、リムとタイヤでもって空気が漏らないようにしておるわけであります。もしリムのほうの構造とタイヤの構造が一致しない場合には、ここにタイヤから空気が漏れる可能性がある。そこのところにリムのできぐあいというようなもの——タイヤのほうはリムとの嵌合部にゴムを使っておりますので、できるだけリムに順応するようにできておりますけれども、これも限界があるのではないかと思うのであります。そこのところに、やはり多少の問題が残っておる、こういうふうに思います。  それからもう一つは、大体外国でチューブレスがよく出ておる。ほとんど乗用車タイヤの八割がチューブレスであります。その原因は、これは新車に採用されておる。そのために取りかえ用もチューブレスということが多いわけでありますけれども、現在日本では新車に一、二採用されておるのが現状であります。そこでチューブレスがなかなか需要家にアピールしない、こういうのが一つの原因、もう一つの原因は、これはわれわれタイヤ業者が、チューブレスを出しましたときに、簡単にしろうとでも修理ができますという宣伝を非常にしたのが、これが大きな間違いであります。実際はやはり専門家によって修理をするということでもって安全をはからなければならぬというのを、簡単にしろうとでも空気をとめることができますということを言ったのが間違いで、そのために起こる不慮のタイヤの故障というものが需要家から毛ぎらいをされる、それがひいて新車に採用されない原因ということで、日本は特殊な状態になっております。今後リムのつくり方、あるいはタイヤのつくり方、また今後のそういう実際使用上の指導というようなものがマッチしますれば、海外諸国と同じようなレベルにいくんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  もう一つつけ加えますと、われわれがいつも自動車に乗って遠方に出かけまして宿泊した場合、自動車運転手は、チューブつきの場合であれば必ずその夜の間にタイヤの空気の調節をし、あくる日の朝出るときにはチューブタイヤの圧力を規定の圧力に直して、そして出なければならぬわけでありますが、チューブレスの場合はそれほど注意をしなくても大体規定の圧力を保っております。
  44. 浦野幸男

    ○浦野委員 ちょっと関連で簡単にお尋ねしたいのですが、いま交通事故が死傷者だけで七十万人近いといわれておりますが、この交通事故の一番大きな原因というのはまず人の問題であろうと思います。一体、この構造上の欠陥によって交通事故が起きたというものの比率あるいは数字はわかりませんか。警察庁でないとわかりませんか。
  45. 家本潔

    家本参考人 私ども手元にあります警察庁の統計から申しますと、構造上の欠陥によって生じた事故の発生率は一%に達しません。非常に低率でございます。
  46. 浦野幸男

    ○浦野委員 いろいろ新聞等で報道されておりましても、構造上の欠陥によって事故が起きたということはごくまれだと思います。しかし自動車メーカーといたしましては、構造上の欠陥がないから自動車事故が起きてもこれはわれわれの責任ではない、こういうことは言い得ないと思います。そこで、先ほどからいろいろと論議が尽くされておりますが、構造はしっかりやってあるんだ、車検もしっかりやっておるんだ、こういうことでわれわれの責任じゃないんだ、こういうふうなことでなくて先ほど板川さんからもお話があったが、アメリカでは財団法人をつくって交通の安全をいろいろとPRしておる。あるいは運転手の教育についても、これはむろん国においてやることが大きな責任だと思います。試験場で、あるいはそのほか小学校の教育あるいはいろいろの方法でこの教育をしていくことはもちろんでありますが、やはりそれをつくっておる人が構造上は何にも心配ないんだ、いまの交通事故の警察庁の統計を見ましても、これだけ大きい事故の中でわずかに一%しかない、こういうことになるかもしれませんけれども、やはり交通安全対策については、アメリカはわりあいにその国の比率において少ない、板川さんもこれじゃ何にもならぬじゃないか、日本にこれを適用すれば一億程度のものじゃないかというお話がありましたが、やはり業界といたしましてもこれにもう少し協力——アメリカアメリカで、広い国ですからいろいろ問題もありましょうけれども日本日本としてこれに積極的に取り組んで、そうして業界からもこのPR活動にもっともっと大きな協力をいただきたいと思います。むろん道路の問題は建設省、あるいはそのほか取り締まりのほうは警察庁、いろいろ分野があって、また国がやらなければならないことは当然でありますけれども、こうした協力体制についての御所見を伺いたいと思います。
  47. 家本潔

    家本参考人 御指摘の点の、構造上統計的にその原因となっている率が少ないから、それでメーカーの責任はないと考えておりはしないかということでございますけれども、決してそのような態度、考えをいま持ってはおりません。先ほど私、業界としての自主的な安全対策項目の申し合わせをいたしておりますということを御報告申し上げましたが、その内容を申しますと、運転台付近の操作、たとえばヘッドライトのスイッチでありますとか、あるいはワイパーのスイッチ、いろいろなスイッチ類がございます。そういうスイッチ類やギアを変えますときの変速レバーの位置、変え方、このような操縦に直接関係のあります部分が従来は各社で少しずつ違っておりました。このことは、もし運転者があるなれた車からなれない車に乗りかえました際、誤操作による事故の原因となりやすい。それを防ぐようにこれを各社とも一定の規格にはめようではないか、そして車を乗りかえてもあるいは緊急の場合でも間違った操作をしないように、無意識に手を動かしてもそれが法にかなった結果になるようにということを目的といたしまして、そのような申し合わせをいたしました。  なおそのほかに、来月の初旬に実験計画いたしております人対車の関係実験につきましても、現在まだ私ども日本の交通災害の中でも高い比率を占めます人対車の関係、これが車の構造上どういう問題があるかということがほんとうにわかっておりません。あるモデルの人形を使いまして、ある条件のもとで実験を行なうことによって、今後何か構造上解決すれば災害防止効果のある点が発見されるのではなかろうか、こういう期待を持って自守的にそのような実験に取り組もうとしておるわけでございます。
  48. 浦野幸男

    ○浦野委員 いま構造上の問題は、私はギアの切りかえとかライトだとかいろいろ問題があると思います。それはそれなりに当然これはメーカーで検討していただかなければならない。研究もしていかなければならない。あるいはタイヤの問題、いろいろな問題があると思いますが、今日の交通事故の原因というものは、先ほどもお話のありましたように、自動車の構造上からくる事故はきわめて少ない。そうなってくれば、もっとほかの面で先ほども申しましたように、国でやるべきことはやらなければいけないけれども自動車メーカーとして何かこれに対して手を打つ方法を考えておられるか。あるいはすぐお金の問題になるかもしれませんけれども、こういった問題についても具体的な方策をいま考えておられるか、これをちょっとお聞きいたしたいのです。
  49. 家本潔

    家本参考人 冒頭に、私ども工業会には安全公害対策委員会と、それから交通対策委員会と二つの組織を持っておることを申し上げました。あとの交通対策委員会活動といたしまして、ドライバー安全運転向上をはかる趣旨をもちまして、二輪車、四輪車それぞれの安全教育映画をつくっております。その映画を県警、学校等に配付をいしてまして、従来かなりのそういう面での成果があがっていると考えているわけでございますが、なお、さらに特に二輪車につきまして安全運転指導書を作成いたしております。それから次に、自動車教習所の指導員の質の向上をはかるために、日本自動車教習所協会協力をいたしまして、全国的に再教育実施する計画をいまその協会側と進めておる、このような活動をいたしておるわけでございます。
  50. 板川正吾

    ○板川委員 では最後に一言だけ。  自動車の保有台数がいまの趨勢で将来も伸びていきますと、おそらくことしは八十万をこえる死傷者ができるでしょう。来年は百万近い死傷者になるだろうと思います。しかし、そういうふうにこの交通事故が頻発をして激増してまいりますと、自動車業界に対する国民の批判も高まらざるを得ない。そしてそのためには、いろいろの制限なりというものが加わる傾向になるだろう、こう思うのです。ですから、自動車構造上の欠陥で事故が起こったんじゃないのだ、扱い者が悪いんだというだけではいけないのでありまして、業界全体が交通安全の社会教育にもひとつ責任を持つ取り組み方をしてもらいたいと私は思うのです。アメリカの例で申し上げますと、アメリカは小学校、中学校、高校、ほとんどこの交通安全に対する教育を行っております。その教育の費用の七五%は交通違反者の罰金から取っておる。あとの二五%は州なりあるいは各自治体で負担する。しかし、実地教育をやる自動車とかガソリンとか、そういう実地教育の教材は、ほとんどメーカーがカンパをして出しておるそうですね。やはり自動車の安全を子供のときから根本的に仕込むような対策も、私はアメリカ流に考えていかなくちゃならぬと思います。われわれもそういう方向に国の教育方向も向けてまいりたいと思うので、ぜひひとつ業界でも、この交通安全教育の問題を真剣に取り上げてもらいたいと思います。  それから一言だけ通産省に要望しておきますが、自動車の製造をわれわれは押えるという気持ちはないのですが、しかし、自動車が非常にふえてまいりますと、そういう社会的な批判も受けてまいります。私は自動車の輸出に対してもっと真剣に取り組んで、生産を上げる、輸出はふやす、こういうぐあいにいけば経済力は上がるし、国民の批判というのも多くはならないということにもなるだろうと思いますから、自動車の輸出面についてひとつ格段の努力を考えてもらいたい。  そのほか自由化等の問題ありますが、これはまた場をかえて議論をしてみたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  51. 本田早苗

    ○本田説明員 自動車は先進工業国としての輸出適格品でございますので、先生仰せのとおり、輸出振興には格段の努力をいたしたいというふうに考えております。
  52. 門司亮

    門司委員長 河村勝君。
  53. 河村勝

    ○河村委員 だいぶ時間がたちまして、参考人もお疲れだろうと思いますから、二点だけお尋ねをいたします。  第一点は、先ほど御説明のあった共同研究体制についてです。先ほどから話を伺っておりますと、日産、トヨタそれぞれ四十億という相当巨額の安全に対する投資をやっておられるようで、たいへんけっこうでありますが、一般に受ける印象は、どうも自動車業界というのはお互いに国内のシェア競争に狂奔しながら車ばかりふやして、お互い一緒になって安全などということを考える体制にはないという一般的な印象があるわけです。そういう意味で、今度共同研究所をおつくりになるということはたいへんけっこうだと思うのですが、日産、トヨタそれぞれ四十億というような巨額な金をお出しになるそうでありますけれども昭和四十三年度からスタートされるのだと思いますけれども、この研究所に対して一体どの程度の資金を投下して仕事を開始されるのであるかどうか、それをまず伺いたい。
  54. 家本潔

    家本参考人 まだその構想が緒についたばかりでございまして、まず研究所の組織をきめなければならないというのが今日の現状でございます。しかし、おおむね五年間に二十億程度の設備の投入をやっていく必要があろうという、非常に荒削りな構想は現在固まっております。本年度はいま申し上げましたような研究所の組織、人選等にかなりの時間を要すると思いますので、あるいは具体的活動は来年度に譲らなければならないのではなかろうか。ただし必要な研究、たとえば衝突実験等につきましては、研究所がございませんでも共同研究はできるわけでございまして、活動はそのような方向で必要なものは具体的に進めていくという考えでおるわけでございます。
  55. 河村勝

    ○河村委員 組織や人選が先になって、それから金がきまるというのもほんとうはおかしいので、どのくらいの仕事をまずこの研究所でやらせるかというのが先にきまってしかるべきだと私は思うのですけれども、それで、その共同研究もちろんけっこうでありますけれども、先ほど大久保さんから安全まくらの話なんか出ましたが、安全装置については構造と全然切り離せないで、したがって、それぞれ各社の秘密がおありでしょうから、それを切り離して共同研究できないものもあるでしょうけれども日本の場合にはアメリカにはないようないろいろな事故の複雑性もありますし、切り離してできるものもずいぶん多いんじゃないかと思うのです。そういうものについてはただ共同研究というだけでなしに、実用化の共同開発までそこでやっていくというような体制をつくれば、そうすればもっと性能がよくて、しかもコストの安いものをつくり得る可能性があるんじゃないかと私は想像いたしますけれども、その点どうお考えでしょうか。
  56. 家本潔

    家本参考人 確かにある特殊の問題につきましては、いま考えておりますような研究所におきまして開発の段階まで進めるということは非常に効果的だと存じます。しかし現状におきまして、具体的に何をそのようにすべきかというところまでは私どもまだ行っておりませんのでございますけれども、御説はまことにごもっともかと存じます。
  57. 河村勝

    ○河村委員 まあ、これからスタートをしようというところでいきなりいろいろな注文をしても無理かと思いますけれども、あまりお互いの競争——競争はけっこうであって、競争なくて発展はございませんけれども、競争でなしにそういう協調し得る部分はあるはずでありますから、どうかせっかくスタートさせるのですから、そういう有効な方向にぜひ引っぱっていただきたいと思うのです。  それからいま一つですが、どうもこの安全の問題について、私は業界の取り組み方が常に受け身であると思うのです。積極的な取り組み方がございません。だからかえってむだなものをつくらざるを得ないことが起こり得るのであって、たとえば去年つくられた安全基準のことし四月から実施されるものの中で、速度表示装置なんかがございますね。ああいうのは、運輸省自動車局長がここにいる前で言ったら憤激されるかもしれぬけれども、私どもしろうとから考えても、一体あれがどれだけ安全に役立つかというのは相当大きな疑問があるのじゃないかと思うのです。そういうものを、いいというんだか悪いというんだかわからない、何となくお上の仰せだからしようがなしにやるという態度を私は見受けるのでありますけれども、これはやはり、結局自分のほうの取り組み方が真剣でなくて、積極的に、自分でもっていいものはやる、むだなものはやらぬという態度があれば、かりにお役所がやれといったことであっても、むだなことはやらぬ、そのかわり自信を持ってやれるものはやるんだというふうに変わっていき得るはずだ。それに私は非常に疑問の点があると思うのですが、業界としての態度をお伺いしたい。
  58. 家本潔

    家本参考人 交通環境が非常に急速に変わってまいりまして、事故が非常に多くなってきた、そのために安全対策を急がなければならない、そういう環境の中で、確かに業界といたしましても、研究すべき課題をもっと以前から取り上げておるべきであったという結果論は出ておりますけれども、今日ただいま私どもの態度として申し上げたいことは、先ほども一言触れましたけれども、これからの安全対策は、設備にしても一台当たりのコストにしても相当巨額な金が導入されなければならないと思います。したがいまして、今後はほんとうに実験研究を積み重ねられたその根拠に立って、効果のほどをよくよく見きわめる態度をもって進みたい、かように考えており、かつそのことを先ほども簡単にお願いとして触れたような次第でございます。
  59. 河村勝

    ○河村委員 安全、特に人命ということについてはほんとうに大切なことではありますけれども、それだからといってむだなことまでやるというのは、企業的な損害だけでなしに国民経済的にもつまらぬわけですね。ですから、そういう点について業界はもっと積極的にかつ自信を持って取り組んで、りっぱな安全対策をつくっていただくようにぜひ御努力を願いたい、それだけお願いいたしまして私の質問を終わります。
  60. 門司亮

    門司委員長 松本忠助君。
  61. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 公明党は人命尊重という立場から、昨年十月に自動車安全基準、これの検討を開始いたしました。運輸省自動車局におかれましても寄り寄り検討を進められておったようでありますが、今般自動車安全基準の強化、安全規則の強化という点につきまして、先般十四項目にわたっての発表がございました。いまこの自動車安全基準という問題については、政府業界、また使用するわれわれ側、あげてこの問題について取っ組んで、りっぱな成果をおさめたいと思っております。きょうはまた業界の代表の方々の御意見を聞く機会ができましたことをたいへんにうれしく思うものでございます。開会以来途中休憩もなく、もうすでに三時間にもなっております。たいへんお疲れと思いますが、五、六点私からもお伺いいたします。もう少々おつき合い願いたいと思うわけでございます。  まず第一点でございますが、先ほど松平さんからのお話の中に、アメリカの運輸長官ボイド氏をたずねたときに、米国運輸安全法は三つの柱から成り立っている、交通安全の教育道路施設改良、それから自動車及びその付属物改良、こういうふうな三つの柱をお話しになりました。この点につきましてわれわれがいままで考えていたものは、一つは交通の取り締まりというもの、それからもちろん交通安全教育、それから道路施設改良、こういう三本の柱を考えております。アメリカのボイド長官のお話でございますと、交通取り締まりという点が抜けて、ここに自動車及びその付属物改良という点が加えられているように思います。この点につきまして、交通取り締まりという点についてアメリカではどのように考えておりましたか、昨年直接お会いになったその経験から松平さんにお話を伺いたい。
  62. 松平信孝

    松平参考人 ただいま御指摘の交通の取り締まりも非常に大きな問題でございます。私は本日の陳述に対しましては、時間がございませんので、できるだけ項目は——この中に教育と同時に入れなければならぬ問題だと思いますが、それを抜かしております。ただ、アメリカ日本と違うのは、やはり取り締まりだけにたよるということは、これはどうかと思うのでありまして、やはり自主的に運転をされる方自身の安全に対する心がまえということが一番必要なことで、これは教育につながるのじゃないかと思います。  もちろん、アメリカ日本とでは、自動車事故の発生した場合にタイヤによって起こる事故の件数は、アメリカのほうが非常に少なくて、カリフォルニア州での統計では約一%。全体の事故の一%がタイヤ関係する、こういう統計が出ております。しかし、日本ではこれの十数倍の事故が出ておるわけであります。しかし、いずれにしましても、たとえばアメリカの統計にしますと、その七0%は、一応タイヤが、先ほどお見せしましたああいうマークが出てから使っておるか、あるいはすり減って中のキャンパスが出ておるというような状態、大体この一%の事故の中の八割がそういう事故であります。それからもう一つ、二0%は空気の入れ方が少なかった、こういうことが事故の原因であります。こういう点から見ましても、また国内の事故の中で——国内の事故はそれほど詳細に内容検討してありません。これは当然今後そういうような事故調査をやった場合に、どういう使用状態であったかということを明確にされれば、われわれはもっと判断がつくのでありますが、その点が明確にされておりませんけれども日本で起こった事故の中でタイヤ整備不良というのが、やはり千件の事故の中で七0件ございます。六・七%です。こういうふうにタイヤ事故は大体これが主たるものであります。そうなりますと、やはり警察が取り締まるよりも先に、運転する人がまず自分の運転する車を取り締まる、こういうことが一番大事だ、それがやはり教育につながる、こういうふうに考えますので、タイヤ協会は、先ほども申し上げましたようにタイヤの使い方というPRをしたい、こういうのがわれわれの主眼であります。いいタイヤをつくっても使い方がまずいということが一番ぐあいが悪い、こういうふうに考えております。
  63. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 自動車メーカーの各社の方々にお伺いしたいわけでありますが、各社研究機関、いろいろ社内で研究をなさっておるようでありますが、この研究成果を発表するために、業界でその発表会と申しますか、そういうものをいままで持ったことがあるかどうか。また今後持つお考えがあるかどうか。また相互に情報の提供等はしているものかどうか。各社ばらばらに、自分のところだけよければ、自分のところだけ新しい製品を売り出せばいい、そういうことから情報の交換などは拒否している、いずれであるか。この点についてどのようにいままでやってこられたか。また、今後どのような方向に向かっていくかについてお答えいただきたい。
  64. 家本潔

    家本参考人 安全並びに公害の問題に関しましては、自動車メーカー各社間の協力はきわめて積極的でございまして、私ども安全公害委員会の内部におきましては、各社研究データを積極的に提示されまして、しかもかつ安全に対する特許は原則として相互に公開をするという態度を持って今後やっていく方針でございます。
  65. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 その研究成果等については、通産省あるいは運輸省等に自発的に報告をしているわけでございましょうか。その点はいかがですか。
  66. 家本潔

    家本参考人 必要であると思いましたものは自発的に報告をいたしております。
  67. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、いわゆる政府部内でも、いろいろとこの自動車安全基準というものに対しての研究機関がございます。ざっと勘定しましても七つくらいにわたっているわけです。たとえば運輸省の中の船舶研究所であるとか、警察庁の科学警察研究所であるとか、いろいろの研究機関がございますが、こういう機関が二十数項目にわたって現在のところはおのおのばらばらに研究を進めているわけであります。これを業界側から見た場合には、統合してもらって一本でやってもらったほうがいいか、あるいはいままでのような状態のままでよろしいかどうか、この点についての業界の希望をお聞かせいただきたい。
  68. 家本潔

    家本参考人 私ども承知いたしております限りにおきましては、それぞれの官庁の研究機関は、それぞれの使命と目的に従って研究テーマを選ばれ、かつ研究活動を展開されていると承知いたしております。すなわち運輸省の船舶研におきましては、規制立場から必要な研究をなさる。それから通産省の機械試験所におきましては、開発という立場から研究をなさる。それぞれ明確な目的を持っておられると承知いたしております。しかし、現実の具体的な研究のテーマになりますと、非常に密接な相関関係が当然生じてまいると思います。したがいまして、官庁関係におきます研究活動は、業界の希望といたしましては交通安全という一つの大きな目的に常に成果が集約されるように、さらに一そうの強力な調整をおはかりいただきましたならば、なおけっこうであろうと存ずるわけでございます。
  69. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いま交通局長が退席なさるという御希望があるようでございますから、交通局長に一言だけ聞いておきたい。  それはワンマンバスの乗り方なんでございます。ワンマンバスの乗り方が、前の運転手さんの席のほうから乗ってうしろからおりる。いわゆる東京で大体そんなふうに考えられますが、うしろから乗って前へおりる、要するに車内で料金を、二十円、三十円といった小銭を用意して、おりるときに払う。どちらが得失があるか。大阪等ではうしろから乗って、中で用意をしておりるから、非常にスムーズに乗りおりができた。東京のほうでは入口で、運転手さんの横で小銭を出したりおつりをもらったりという操作があるために、非常に発車までに手間どる。こういう点を考えますと、どちらが得失があるか、この点について交通局長はお考えになったことがあるかどうか、ひとつお聞かせ願いたい。
  70. 鈴木光一

    鈴木(光)政府委員 お尋ねの件につきましては運輸省の所管でございますので、運輸省のほうからお答えをいただきたいと思います。
  71. 堀山健

    ○堀山説明員 ワンマンバスにつきましては前乗りうしろおり、うしろ乗り前おり、二つの方法がありますが、それはそれぞれの一利一害があろうかと思います。ただ実際のワンマンになりますと、たとえば都市交通のように区間が一区間とかせいぜい二区間、こういうようなものと、地方になりますと多区間にわたって、長いものでありますと十区間とか十五区間とかこういうような例もあります。でありますものですから、それを使うほうの事業者側で適当に選んでおるわけであります。特にラッシュアワー対策的な意味の都市交通におきましては、一時に多くの人が乗っておりる、こういうようなことを考えますと、うしろ乗り前おりというほうが便利であるという考え方があるようでございます。これを実際に実行しておるのが大阪であります。これは先ほど言いましたようにいろいろな使い方があるものですから、それは使用者側で適宜判断をして自分の適当と思う方法を選んでいただく、こういうことでございます。
  72. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に業界の方にお伺いするわけでありますが、自動車衝突あるいは追突したような場合、前面のガラスに運転手さんが頭を突っ込んでけがをしたというようなことを聞いております。この前面ガラスがそのまま、ひびが入るだけで割れない、飛び散らない、こういうほうがいいのか、それともそれがそっくりはずれて飛んでしまう、こういうことも聞いたわけでございますが、その得失、それからまた安全ガラスと部分強化ガラスの得失、そういう点についてお伺いいたしたい。
  73. 原禎一

    ○原参考人 前面ガラスの問題はいろいろ複雑な問題を含んでおりますが、理想的にいえば、衝突したときにガラスがはずれなくて、しかもガラスが網のようにふくれてきて衝撃を吸収するのが一番理想的だと思います。現在その方向研究が進んでおりまして、アメリカのほうでもそういうふうな提案が将来形としてなされております。理想形はその形だと思います。部分強化のほうがいいか、全面強化のほうがいいかという問題につきましては、実は窓の大きさによって差がない場合と差がある場合とがございます。比較的小さい窓でございましたらやはり部分強化で、その部分だけひびが入っても前が見えるというほうが有利でございますが、非常に大きいガラスになりますと、どちらにしてもガラスがくずれてしまいますので、現在のところはほとんど差がなくなるかと思います。
  74. 門司亮

    門司委員長 濱野君。
  75. 濱野清吾

    ○濱野委員 参考人の方々にまことに恐縮でありますが一言だけ聞いておきたいと思います。  先ほど同僚からの意見に対して参考人の皆さま方には非常に誠意を持ってお答えなさるし、またあの調子なら私どもが御協力願える、こういう感じを受けているわけであります。しかし従来は、率直にいってそうではなかった。二年、三年、四年前から考えると、自動車工業会の各分野の企業家も非常に熱心になってきた。これは私どもありがたいことだと思っております。この機会に私から特に皆さま方に申し上げて特段の御理解を願い、かつまた交通安全のために特段の御高配を願いたいという理由を一つ申し上げておきます。  これは同僚からも申されていることでありますが、私ども自動車事故が全部メーカーその他の責任によって引き起こされるものとは考えておりません。おおむね基本設計については諸外国の先進国と劣らないところまで技術水準がすべてかなってきた。これは日本の技術陣の誇りであり、国民は敬意を表すべきだと思っております。ただ、最近自動車事故が、三年前の四十二万から今日では同僚の申しますとおり六十五万に及んでいる。これはたいへんなことだ。大東亜戦争のあの当時でさえも年間四十万の死傷を出しただけであって、四、五年前四十二万の自動車事故を出している交通戦争というゆえんのものは、こうした実態がものをいわしているに違いない。そういう見地から、運輸関係のわれわれは、何とかして事故を減らしたい。事故のできる大きな原因は何かと申しますれば、同僚が申し上げましたとおり、日本道路事情の現状というものが事故のできるようにでき上がっている。たとえば統計を見ますと、国道でさえも七・五メートル以下の幅員の道路が少なくとも八0%以上ある。公団の道路を除いて国道でそういうような状況。電信柱をよけて、かろうじて車が行き違うというような道路の事情である。これがそもそも罪ありとするならば、大きな責任者の一人に違いない。これはわれわれも承知しております。このことは、政府並びに国会のわれわれの責任でありますけれども、この点につきましては、しかしながら急速にこの幅員や舗装ができるものではありません。ずいぶん国会でも協力して道路の幅員その他のことに努力しておりますが、いかにせん、非常に大きな予算がかかってくる。最近軽油あるいはガソリン、これらの税金も道路にぶち込んでおりますし、今度新設されるものにつきましても、自動車取得税につきましても、それは道路に移行して、急速にひとつ道路の改修をしようじゃないか。政府は国会と歩調を合わして事故対策のために、まず犯罪人とするならば道路だということを、よくわれわれは理解して、その施策を推進しておるわけであります。  それからもう一つの原因は、わが国の自動車関係の技術陣営には申し上げにくいのでありますが、そういう道路の中に非常に性能の高い自動車がとにかく動いておる。こういうことであります。ですから、テレビで私どもは毎晩よく見るのでありますが、その広告を見ると、すばらしいという感じとこわいという感じが入り乱れてくるわけであります。ですから、私どもは技術陣営には非常に相済まぬことではあるけれども、この道路事情で、そうして安全に運行するためには、技術陣営もやはり何か考えていただく必要があるのじゃなかろうか。アメリカやあるいはまた西ドイツのああした道路ならば、それは百三十五キロあるいは二百キロ近くのスピードを出してもいいのでありますが、わが国では、なかなか公団の道路以外にはそうはいかない。そんなことをやったらたいへんだ。ですから、速度をもっと落として、そして電信柱をよけて通るような、この道路で間違いのないような運行のできるくふうはなかろうか、こういうことを私どもは考えているわけであります。  それからもう一つ考えることは、そういう性能の高い自動車を運行するドライバーは、業務用あるいは民間のオーナーであっても、一体どれだけの注意、どれだけの教養、どれだけの社会的な道義的な考えを持って運行しているか、これがわが国としては大きな問題であろうと思います。  警察庁においてこの運転免許を下付するときの試験条件ども、いろいろ私ども拝聴しておりますし、いろんな注文もつけております。しかしながら、日本の産業を今後どこまで伸ばすかということになれば、あまりに裁判所のようなむずかしい試験を課して、そして事故を絶滅する方途もおおむねとれないであろう。これも適当に調節して、そして試験の問題を出さなければならぬ。いわば今日非常に性能の高い自動車をやわな考えを持ったドライバーが運行をする。ちょっと間違ってアクセルを踏み違えば、これは八0キロ、百キロで飛び出すような性能の高いものを運行している。ですから、この三つを総合的に考えますと、日本自動車事故のかくのごときたくさんの数字を表示したことは、決してゆえなきことではない。基本的にはこの三つが犯罪人である。私どもはそう思うわけであります。  そこで、この問題は、総理府の室長やあるいは警察庁、その他自動車局もいろいろ苦労されておりますが、ひとつこの苦労されていることについて、十分あなたのほうで誠意を持って協力してもらいたいということであります。  先ほど来、私は同僚からの意見や皆様方の意見を拝聴して、もう雲泥の違いがある。かつて皆さまの同僚で、名前はこの場合秘しますが、安全装置をつければ一体一台幾らかかって、それはわれわれのつくった車両の売れ行きがそれだけ少なくなってくるのだ。なるほど企業は利潤追求の企業であるに間違いない。しかし、私はそのときに申し上げたのでありますが、皆さま方のつくった車を運行するのは、常にその運行人に責任があることは間違いない。しかし四十二年に  当時四十二年でありましたが、今日では六十五万ですか、こういうような傷害事件を皆さま方のつくった自動車で惹起しているということについて、無関心であるという法はないだろう、あなた方は売ってしまえばおれには関係ない。それは運行者が事故を起こしたんであって、われわれは何ら責任はない。そのとおりだと思う。しかしながら、少なくとも大東亜戦争以上の傷害事件を起こしておいて、この自動車がこうした三つのアンバランスの中に運行されるのであるから、何らか誠意を持ってこの事故を減少するくふうがなかろうか、こういうような惻隠の情から出た御協力というものが、私は必要でなかったかと思うのであります。運輸省から一つの相談がいき、それについてはすぐ反対だと言う。国会がこういう立法をしようとする。そうすると、それについては反対だといって民間企業者を動員して、そうして国会に押しかけてくる。こういうことは私は、日本の有数なる企業家はやるべきではない。国民とともに生きるということが大企業家の責任だ。私はそう思っているのです。ですから、こういうことについて、最近の皆さま方の考え方が非常に変わってきた。この点については、ありがたく考えております。しかし、先ほど申しますとおり、日本道路事情といい、あるいはドライバーの性格、教養その他の知識といい、必ずしも理想的にはいっておりません。そして皆さま方の高い性能の車を使うのでありますから、この事故の係数が少し減るとは私ども考えておりません。  そこで、私どもは将来基本的な構造等につきましては、不平不満もございませんし、むしろ、わが国の自動車工業の技術陣営に敬意を表しますが、安全装置等につきましては、それは二万円損だ、一万円損だ、売れ行きが悪くなる、あるいはわれわれ工業界としては、少なくとも十億ドルの輸出をしているのだ、そんなことを言われては困るなということを言わぬように、ひとつ御相談を願って、そうして国民の身体生命をできるだけかばってやる、こういうことにお願いしたいものだ、こう私は考えております。  こまかいことを申し上げようとすれば、私どもも専門家でありますから、いろいろと申し上げたいことはたくさんございますけれども、それはこの機会には差し控えますが、この三つが犯罪人であり、この三つをどうセーブしていくかということが国会の悩みであり、政府当局の悩みでもある。それからまた、皆さま方も同じ悩みを持って、ともにこの六十五万という膨大な傷害事件というものを駆逐していこう、こういうふうにぜひお願いしたいものだ。心からお願いをいたします。皆さま方の御協力なしには、この問題の解決はできないのでありますから、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。ありがとうございました。
  76. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 関連質問ということでございましたので、時間をとったわけでありますが、それでは私からもう二、三点聞かせていただいて終わりにいたしたいと思います。  それはブレーキの問題でありますけれども、斜面で停車する場合に歯どめ等を使わないで、どの程度の斜面まで現在のサイドブレーキなり使ってできるものか、技術的な問題としてお伺いしておきたいわけであります。
  77. 原禎一

    ○原参考人 最低限度としては、空車で絶対五分の一は確保するということで整えられておると思いますが、実際問題として、どこまで行けるかということは車ごとによって違いまして、乗用車ではそれよりはるかに強い制動力を持っております。たとえば、三分の一ぐらいのところを十分にとめられる能力を持っております。
  78. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 次に、昨年もいろいろと問題になりましたバックミラーあるいはドアの取っ手、こういうものが突起物のために傷害を受けて、中には死亡したというような事故がございました。この点については、各社ともそれぞれ検討を進めているようでありますけれども、それについてどのような対策が実際にとられたか、お伺いしたいわけであります。
  79. 原禎一

    ○原参考人 従来も突起のないようなバック、ミラーをつけておりましたけれども、過去においてやはり突起のあるものが出ておりまして、それで、事故をときどき出したということでございますので、その後、去年でございますけれども、過去にどのタイプの車で事故があったかという、危険なタイプのものについては全部交換を指令いたしまして、無料交換の手続をとっております。またとらしております。それじゃその後どうするかということでは、特に運輸省のほうからも積極的な指導がございまして、今後つくろうとしている車は、人が当たったり何かしたときに、倒れる方向に、今後の車については整備する方向に向いております。
  80. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、タイヤの点で、もう二点ばかりお伺いしたい点は、スノータイヤ道路に与える影響であります。スノータイヤを使いまして、全部が全部雪の道ではないと思いますが、雪のない場所の場合に、道路に与えるところの障害と申しますか、道路のほうが非常に荒れてしまう、こういう点については、何か対策を考えられているのか。それとも、何も考えないでスノータイヤを売ることだけに専念しているのか。その辺のところを伺いたいと思います。
  81. 松平信孝

    松平参考人 ただいま御質問のスノータイヤの問題でございます。  スノータイヤに二種ございます。われわれは最近ウィンタータイヤ、冬向きのタイヤ、こういうふうに言っておりますが、冬向きのタイヤは雪道だけを大体の目標にしてつくったタイヤでございます。しかし、これは雪のない道に使いましても、タイヤのほうでは、普通の夏に使うタイヤに比べて、牽引力その他非常に強いので、安全の点では問題はないんですが、トレッドの深さが深いために発熱の点でやはり問題があります。それで、これは夏に使うべきものではないので、冬分に使うべきものでありますが、道路が雪面であっても、雪面でない場合でも、路面に与える影響はほとんど皆無、普通のタイヤと同じといって差しつかえないと思います。  もう一つ、スノータイヤに金属の突起物をつけたスパイクタイヤというのがございます。これは雪の降った路面の表面が解けて、そして水がたまる、あくる日の朝、これが凍って交通に支障が起こる。あるいは長い間に雪面が全部凍りついたというような氷上で使うところのタイヤであります。これはやはり雪が降っておるところ、降ってないところで取りかえて使うというわけにはいかぬのでありまして、特に寒冷の地域におきましては、夕方から朝になって、氷点下に下がれば、解けた雪なり水は必ず凍るのであります。そういうような場合に、このタイヤをつけておればすべらないのでありますが、普通の冬タイヤであれば、やはりスリップを起こします。こういう点で、このタイヤは、その使用条件のところ、すなわち、常に冬分の間気温が氷点下に下がるようなところでは、道路のいかんにかかわらずこれをつけざるを得ないのであります。また、路面上ですべらないという場合は、やはり路面が凹凸があるような場合のほうがすべりにくいのでありまして、その点からいってもこのタイヤを使うことは、冬分はやはりしかたがないのじゃないか、こういうふうに考えます。やはり、そういうタイヤを関東地方、または九州地方、四国地方に使うことは問題がある、こういうふうに思っております。
  82. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それからタイヤチェーンの問題でありますが、雪の降っていないところ、そういう路面でタイヤチェーンを使用いたしますと、道路に対して相当損害を与えると思います。このほうに対しては、タイヤのメーカーとしては直接関係がないといえば関係ないわけでありますけれども、相当に道路に障害を与える、こういうことに対して何か検討を進めたことがございますか。
  83. 松平信孝

    松平参考人 ただいまの御質問にお答えいたしますが、先ほど申しました雪の上の走行、または雪が氷になった上の走行、これはなかなか問題が多いわけです。これは、実際にスキーをおやりになった方はよくわかるのでありまして、普通の雪が幾ら降って、幾ら積もったといっても、新雪の場合、雪が解け始めて気温がゆるんだ場合、それぞれで条件が違うわけであります。それですから、今度、自動車タイヤのメーカーとしては、冬分に向くタイヤとして、先ごろ、冬タイヤというものを出しております。また、凍ったときに使うのに適しておるスパイクの入ったタイヤというものを出しておりますが、必ずしもこれ全部でその目的を一00%達する、あらゆる条件にこれで合うということはできないのでありまして、大体、賢い使用者は、北海道、東北あたりでは、雪が非常に降って、新雪で動かないときには、この雪タイヤの上にチェーンをつけて走ります。そのほうが牽引力が多いわけであります。しかし、チェーンをつけたままで雪のない道を走ることは道路をこわしますし、また、運転上も非常にまずいし、またチェーンもすぐいたみます。こういう場合にはチェーンは取りはずしが非常に楽でありますので、チェーンをつける必要があるところはチェーンをつけて走り、チェーンが不要になればチェーンははずして、そして雪タイヤだけで走る、こういうのがほんとうの使用法であります。
  84. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後に一点だけ。先ほどのお話の安全サインでありますが、それは全メーカー共通のものでありますか。その点を最後一つお聞きします。
  85. 松平信孝

    松平参考人 これはタイヤ協会で大体規格にしましてきめたサインであります。これは各社とも全部つけております。この深さは、大体各会社製品全部同一になっております。ただし、外国では、雨の多いところは多少深い目にきめております。
  86. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 ありがとうございました。
  87. 門司亮

    門司委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言お礼を申し上げたいと存じます。  本日は、長い間にわたりまして、貴重な御意見を拝聴さしていただきましたことにつきまして、本委員会調査に非常に資するところ多かったと存じます。  委員会を代表いたしまして、厚くお礼を申し上げます。どうもありがとうございました。  次回は、公報をもってお知らせすることといたしまして、本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十一分散会