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渡辺(惣)
委員 今月末やりたいということは漏れ承っておるのです。
建設省としては「国土
建設の現況」という資料を毎年発表されていますね。この国土
建設の
基礎になるものは、
昭和二十五年五月末に公布された国土総合
開発法に基づく実行部面の行為ですね。国土総合
開発法に基づきますと、その主要なる仕事は全国
開発計画を策定することです。しかし、
昭和二十五年に
開発法が発足しておりながら、全国
開発計画というものができたのは
昭和三十七年十月のことですね。それまで実に十二年間の長い間実は全国総合
開発計画というものがなしに過ごしてきた。法は完全にじゅうりんされておったわけです。そこで問題は、三十七年にはじめて十二年目に全国総合
開発計画というものが策定された。ところが、私ここで問題にするのは、出しおくれの証文ですが、実は
都市計画法という
法案審議の過程に、
都市計画法という新法がこの全国
開発計画の上においていかなる位置、条件、関連を持つのかというとこを聞きたかったわけです。もちろん、他の
委員の諸君もそれを希望したし、部分的に発言をされておると思います。ところが、十二年目に策定された全国総合
開発計画というものは実はパアになっておるのです。十二年目にようやくできたものが、空文化してしまって、実際は今日の段階に全く通用しない状態に来ておるわけです。そこで経済企画庁は、これを策定し直す作業に、まる六年を
経過していま入ろうとしておる。しかし、その間にも
都市計画法は進行しますし、あるいは
都市再
開発法の
審議も進んでくる、全般の問題あるいは首都圏、中部圏、近畿圏その他の問題も出てくる、こういう中で、全然架空の全国
開発計画をかけておるということは、全く本末転倒しておるのではないかと考えるのです。そこで、いま全国総合
開発計画を策定しておりますものの
考え方が、ここでこれから論議しますのに大事な問題になると思うのですが、経済
審議会という
機関がありますね、その経済
審議会の
地域部会というのが、昨年の十月に、二十年後における日本の
地域社会の想定を中心にして、いわゆる「高密度経済社会への
地域課題」という意見書を発表しておりますね。御存じだろうと思います。この「高密度経済社会への
地域課題」という経済
審議会の
地域部会の発想が土台になって、これが
基礎になって、そうしていま四月三十日に第一回の会合を持とうといわれる国土総合
開発審議会の
議題の資料になっておるわけです。この
考え方というものは、もう全国の
地域開発、地方
開発、拠点
開発といったようなもろもろの二十年間やってきた国土
開発計画というものを全面的に否定するものとして出てきておると私は理解するのです。それはもういまの状態では
都市化は必然なことだ。押えられない。だから拠点
開発とか地方資源
開発とか、そういう地方
開発にとらわれないで、集中的に、
都市化するなら
都市化を肯定し前提としてその
開発計画を進める以外にない、こういう
考え方でこの「高密度経済社会への
地域課題」というパンフレットはそういう
方向を示唆し、それを受け継いで国土
開発審議会が
審議するのではないかという心配があるわけです。そういうことになりますと、御了承のように、
昭和二十五年の五月に北海道
開発法が発足し、一月置いて国土総合
開発法ができ、自今約十年くらいは
地域開発ですね、
地域資源に重点を置いてきた。しかし、池田内閣の高度経済成長政策が推し進められて以来、急速に
方向転換をせざるを得なくなってきて、三十七年十月に策定された全国総合
開発計画というものは、要するに、池田内閣の所得倍増政策、高度経済成長政策を裏打ちするために、それを理論づけ、そうして裏づけをするための
計画として策定された。ところが、今日の段階では所得倍増政策が
一つの行き詰まりにきておる。ということになると、地方
開発、拠点
開発の方式を変えなければならぬ。そこで今度の国土総合
開発計画がつくられつつあるのではないかということになると、従来のいわゆる国土総合
開発計画に対する大転換、全くの
方向転換を今度の全国
開発計画の策定で打ち出されるのではないかという批判もあるし、危惧もあるわけですが、この点について、大臣は、そういう
方向をとりつつあるということをお認めになるか、それに対する御意見を伺いたいと思います。